JP2021155778A - Wc基超硬合金製切削工具および表面被覆wc基超硬合金製切削工具 - Google Patents

Wc基超硬合金製切削工具および表面被覆wc基超硬合金製切削工具 Download PDF

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佳祐 河原
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Ryo Ichikawa
龍 市川
誠 五十嵐
Makoto Igarashi
誠 五十嵐
一樹 岡田
Kazuki Okada
一樹 岡田
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Abstract

【課題】高負荷下における合金鋼等の断続切削条件下においても、すぐれた耐摩耗性と耐欠損性を兼ね備えたWC基超硬工具および表面被覆WC基超硬合金製切削工具の提供。【解決手段】前記WC基超硬合金は、Co:5.0〜14.0質量%と、Cr3C2:0.0〜0.98質量%と、TaC、NbC、TiC及びZrCのうちから選ばれる1種以上を合計量にて0.1〜9.0質量%とを含有し、残部はWC及び不可避不純物であり、Cr3C2の質量含有率は、Coの質量含有率の7%以下であり、WC粒界から0.1μm以上離れたWC粒内の平均ナノインデンテーション硬さが200mgfの荷重時に25GPa以上であり、WC平均粒径が0.5〜4.0μmであるWC基超硬合金製切削工具および表面被覆WC基超硬合金切削工具。【選択図】図1

Description

本発明は、高負荷下における合金鋼等の断続切削条件下においても、すぐれた耐摩耗性と耐欠損性を兼ね備えたWC基超硬合金製切削工具(「WC基超硬工具」ともいう)および表面被覆WC基超硬合金製切削工具に関する。
WC基超硬合金は硬さが高く、また、靱性を備えることから、これを基体とするWC基超硬工具は、すぐれた耐摩耗性を発揮し、また、長期の使用にわたって長寿命を有する切削工具として知られている。
しかし、近年、被削材の種類、切削加工条件等に応じて、WC基超硬工具の切削性能、工具寿命をより一段と向上させるべく、各種の提案がなされている。
例えば、特許文献1では、重量%でCo含有量が16〜30%、および、Cr、V、Ta、Nbの一種以上を0.4〜1.5%含有し、残部がWC及び不可避不純物からなり、該WCの平均粒径は0.8μm以下であるWC基超硬合金部材であって、EPMA装置を用いた際の前記超硬合金部材の組成の線分析によって求めたCoの最小濃度分散値CRavを0.25以上とすることにより、Coの均一な分散分布を得て、優れた靭性と強度を実現し、耐欠損性にすぐれた翼根溝加工カッタを提供することが提案されている。
また、特許文献2では、WC粒子を主体とする硬質相とCoを主体とする結合相とを備える超硬合金において、硬質相ではWC粒子にCrを固溶させ、前記WC粒子の平均粒径が0.5μm以下であり、X線吸収分光法によるCr原子の局所構造において、Cr原子がW原子と結合し、かつ、Cr原子から300pm以内の距離に存在するCr原子の数とCo原子の数との和に対するCr原子から300pm以内の距離に存在するW原子の数の比を0.3以上とすることにより、靭性および強度にすぐれ、耐欠損性および耐折損性にすぐれる超硬合金が得られ、該超硬合金からなるマイクロドリルを提供することが提案されている。
また、非特許文献1では、WC粒子のナノインデンテーション硬さがWC方位により異なり、Basal面の方がPrismatic面より高い硬度を示すことが述べられているが、切削性能との関連は指し示されていない。
特開2009−167504号公報 特開2012−162753号公報
Journal of the European Ceramic Society、Volume 33、Issue 12、October 2013、Pages 2227−2232
WC基超硬合金およびWC基超硬合金を用いたWC基超硬工具においては、耐摩耗性と耐欠損性とを両立させることが常に課題とされる。
例えば、特許文献1に記載されたWC基超硬合金工具においては、Coを多く含有することにより、耐欠損性は高まるものの、耐摩耗性や耐塑性変形性において劣るため、工具寿命が短いという課題を有する。
他方、特許文献2に記載されたWC超硬合金工具は、Cr原子をWCに固溶させ、固溶強化を図り、工具の長寿命化を図るものであるが、WCとCrは異相を形成し、WとCrとの界面などに発生する歪みにより、WC粒に割れが生じる結果、工具寿命に至るという課題を有していた。
そこで、本発明者らは、例えば、合金鋼の高送り断続切削加工のような比較的厳しい条件下においても、すぐれた耐摩耗性と耐欠損性を兼ね備えたWC基超硬工具を提供すべく、WC基超硬合金のWC粒子の形態に着目し、鋭意研究を進めたところ、次のような知見を得た。
すなわち、本発明者らは、WC基超硬合金工具において、WC基超硬合金中におけるWC粒の硬度を高めることにより、超硬合金の靭性を高める、すなわち、WC粒に対し、亀裂が進展してきた場合において、WC粒の硬度を高めることにより、亀裂がWC粒を回避し、WC粒を回り込むような進路を経て通過する、高強度高靭性の超硬合金組織とすることにより、合金鋼の高送り断続切削加工のような比較的厳しい切削条件下においても、WC粒子の耐塑性変形性の向上によって、工具の刃先の変形が抑制されるとともに、WC粒子中の亀裂の進展が抑制される結果、チッピング等の異常損傷の発生も回避でき、工具の長寿命化を達成できるものである。
本発明は、上記知見に基づいてなされたものであって、
「(1)WC基超硬合金を基体とするWC基超硬合金製切削工具において、
(a)前記WC基超硬合金の成分組成は、Co:5.0〜14.0質量%、Cr:0.0〜0.98質量%、残部はWCおよび不可避的不純物とからなり、Crの質量含有率は、Coの質量含有率の7%を上限とし、
(b)WC粒界からWC粒内に向かって0.1μm以上離れたWC粒内において、荷重200mgfでのナノインデンテーション測定による平均ナノインデンテーション硬さが、平均25GPa以上であり、
(c)WC平均粒径が0.5〜4.0μmであることを特徴とするWC基超硬合金製
切削工具。
(2)前記WC基超硬合金は、TaC、NbC、TiC及びZrCのうちから選ばれる少なくとも1種以上を合計量にて0.1〜9.0質量%にて含有することを特徴とする(1)に記載されたWC基超硬合金製切削工具。
(3)(1)または(2)に記載のWC基超硬合金製切削工具の少なくとも切れ刃には、硬質被覆層が形成されていることを特徴とする表面被覆WC基超硬合金製切削工具。」
なお、前記(1)〜(3)におけるCr、TaC、NbC、TiC、および、ZrCの含有量は、WC基超硬合金の断面について測定したCr量、Ta量、Nb量、Ti量、Zr量を、いずれも炭化物換算した数値である。
また、本明細書中において、数値範囲を示す際に用いる「〜」は、その数値の下限および上限を含むことを意味する。
本発明のWC基超硬工具および表面被覆WC基超硬合金製切削工具は、その基体を構成
するWC基超硬合金の成分として、Coと、Cr、および/または、TaC、NbC、TiCおよびZrCのいずれか一つ以上とを特定の組成範囲にて含有するとともに、WC粒自体の硬度が高く、亀裂に対する抵抗力が強いため、亀裂が発生した場合においても、亀裂はWC粒子内を進展することなく、WC粒子を回り込むように進展した後、Co相内を進むため、靭性を向上させることができ、長時間に亘って欠損のない、正常摩耗を維持する工具を提供することができる。
本発明例におけるWC粒の亀裂進展イメージ図 比較例におけるWC粒の亀裂進展イメージ図
以下、本発明について詳細に説明する。
(1)WC基超硬合金の成分組成
<Co含有量>
Coは、WC基超硬合金の主たる結合相形成成分として含有させるが、Co含有量が5.0質量%未満では十分な靱性を保持することはできず、一方、Co含有量が14.0質量%を超えると急激に軟化し、切削工具として必要とされる所望の硬さが得られず、変形および摩耗進行が顕著となることから、WC基超硬合金中のCo含有量を5.0〜14.0質量%と定めた。Coには、WやC、その他の不可避不純物が含まれていても良い。さらに、Cr、およびγ相成分元素であるTa,Nb,Ti,Zrの少なくとも一種を含んでいてもよい。これら元素がCo中に存在するときは、Coに固溶した状態であると推定される。
<Cr含有量>
Crは、主たる結合相を形成するCo中に固溶し、Coを固溶強化することで、WC基超硬合金の強度を高めることができる。
一方、Cr含有量が、Co含有量の7%を超えて添加されると、靭性の低下による欠損発生のおそれがあるため、Cr含有量は、0.0〜0.98質量%であって、かつ、Co含有量の7%を上限とする。
<TaC、NbC、TiC、ZrC含有量>
本発明のWC基超硬合金は、その成分として、さらに、TaC、NbC、TiC及びZrCのうちから選ばれる少なくとも1種以上を0.1〜9.0質量%の範囲で含有することができる。
ここで、Ta、Nb、Ti、Zrはいずれもγ相成分といわれ、主たる結合相を形成するCo相中に一部が固溶することで、結合相の耐熱性、高温硬さを向上させる。また、Co相中に固溶せずに、合金中にこれらγ相成分を主とする炭化物相であるγ相(γ相成分とは別に、Wをさらに含んでもよい。)として存在することで、耐酸化性や耐クレーター摩耗性を高める効果を有し、かつWC−WC界面に接着することで、WC−WC界面の粒界すべりを抑制するが、合計含有量が0.1質量%未満では、効果が不十分であり、9.0質量%を超えると、γ相の凝集体を形成しやすく、欠損発生の起点となる場合があるため、TaC、NbC、TiC及びZrCとして、少なくとも1種以上を合計量で0.1〜9.0質量%含有することが好ましい。
なお、TaC、NbC、TiC、ZrCに加え、前記したCrの含有量は、WC基超硬合金についてEPMAによって測定したCr量、Ta量、Nb量、Ti量、Zr量を、いずれも炭化物換算した数値である。
(2)WC基超硬合金焼結体組織
本発明に係るWC基超硬合金の焼結体組織においては、まず、WC平均粒径(面積平均粒径)D(μm)を、0.5μm以上、4.0μm以下と規定することにより、粗粒WCへの応力集中によるクラックの進展や、クラック進展抵抗の低い微粒WCによる欠損を生じず、かつ、硬度、靭性バランスに優れたWC基超硬合金焼結体組織を得ることができる。
前記WC平均粒径は、さらに1.5μm以上、3.0μm以下の範囲とすることが好ましい。
ここで、WC平均粒径Dとは、WC超硬合金の縦断面に対して、EBSD測定を行い、1視野24μm×72μmの視野にてピクセルサイズを0.1μm×0.1μmとし、かつWC数が4000個以上となるように複数視野観察し、画像解析によって、観察領域内における個々のWC粒子の面積を測定し、該WC粒を同一面積の円形に近似した時の直径とともにその直径を有するWC粒子が占める面積割合を算出し、各直径と面積割合を乗算した総和の値をWC粒子の平均粒径という。
この時、縦断面の加工は、例えば、集束イオンビーム装置(FIB装置)、クロスセクションポリッシャー装置(CP装置)等を用いる。
そして、さらに、本発明に係るWC基超硬合金の焼結体組織において、発生した亀裂がWC粒内を通過することなく、WC粒を回り込むように進展する組織とするためには、WC粒自体の硬さを高くし、さらに、亀裂に対する抵抗を高めることが必要である。
すなわち、本発明においては、後述するWC基超硬合金の製造方法を用いてWC基超硬合金組織を得て、その焼結体組織におけるWC硬質相の硬度をナノインデンテーション法(ISO 14577)を用いて測定したところ、押込荷重200mgfにて測定した際のナノインデンテーション硬さの平均値が25GPa以上、好ましくは30GPa以上であるときには、亀裂が発生した場合であっても、亀裂はWC粒内を通過することなく、WC粒を回り込むように進展するため、高負荷下における合金鋼等の断続切削能力が従来品に比較し大きく向上することを見出した。
すなわち、本発明においては、WC基超硬合金焼結体組織の全体の平均の硬さではなく、WC粒自体の個々の硬度測定を行う必要があるため、微細位置における硬度測定に適するナノインデンテーション法(ISO 14577)を用いることとし、20個のWC粒について、WC粒界からWC粒内に向かって0.1μm以上離れたWC粒内位置において、押込荷重200mgfでのナノインデンテーション硬さを測定し、その測定値の平均値が25GPa以上であることと規定した。
(3)WC基超硬合金の製造方法
本発明において、前記特性を有するWC基超硬合金は、例えば、以下の方法により作製することができる。
すなわち、まず、強固なWC相を有する合金を作製するためには、市販のWC粒では、転位や不純物、空孔(以下、転位等と称する。)を有しており、十分な硬度を有していないため、まず、熱処理により硬度の回復を図る。
ついで、WC粉末、Co粉末、さらに、必要に応じ、Cr粉末、および/または、TaC粉末、NbC粉末、TiC粉末、ZrC粉末のいずれか1種以上を加えた原料粉末を本発明の超硬合金にて規定する組成となるように配合し混合する。
混合時においては、WCが粉砕されることを避けつつ、WC同士を分散させるために、長時間のメディアレス混合を実施する。
ついで、焼結は、高温真空焼結とし、1400〜1600℃にて、30〜90分実施することにより、WC相間におけるCoの回り込みの促進、WCの粒成長および転位等除去を促し、焼結後は、真空雰囲気のまま、毎分1度以下の範囲にて後述の熱処理温度まで徐冷を行うことにより、急冷した場合に生じるWCとCoの熱膨張率の差による転位等の導入を回避し、続けて、真空雰囲気のまま、1200〜1300℃の温度範囲で、5時間以上の熱処理を行うことにより、WC中の転位等を除去し、本発明に係るWC基超硬合金を作製する。
得られたWC基超硬合金を機械加工、研削加工し、所望サイズ・形状のWC基超硬工具を作製することができる。
前記工程にて作製されたWC基超硬工具は、WC粒が高硬度化し、亀裂に対する抵抗力が高まり、WC粒内への直線的な亀裂の進展が回避されることにより、靭性にすぐれ、長時間にわたる耐欠損性および耐摩耗性を発揮するものである。
さらに、前記WC基超硬合金製切削工具の少なくとも切れ刃について、Ti−Al系、Al−Cr系等の炭化物、窒化物、炭窒化物あるいはAl等の硬質皮膜を、PVD、CVD等の成膜法により被覆形成することにより、表面被覆WC基超硬合金製切削工具を作製することができる。
なお、表面被覆WC基超硬合金製切削工具の作製にあたり、硬質皮膜の種類、成膜法は当業者に既に知られている膜種、成膜手法を採用すればよく、特に制限するものではない。
本発明のWC基超硬合金および表面被覆WC基超硬合金製切削工具について、以下、実施例により具体的に説明する。
(a)原料粉末
WC粉末の原料としては、高硬度であって転位等のないWC粉末を用いる。また、市販のWC粉末を用いる場合、市販のWC粉末は、転位等を有し、また、十分な硬度を有していないため、例えば、1400〜1900℃、2〜10時間の熱処理を行うことにより、転位等を除去し、十分な硬度を確保する。この場合、熱処理中にWC粒同士のネッキングが進行するので、低温処理では比較的長時間、高温処理では比較的短時間の熱処理とし、その後、解砕処理によりネッキングを解消する。
WC粉末の原料粉末としては、平均粒径(d50)が、0.2μm以上、2.0μm以下のWC粉末を用意した。表1に、本発明に係るWC粉末の平均粒径(d50)および熱処理条件を示す。
また、Co粉末、Cr粉末、TaC粉末、NbC粉末、TiC粉末、および、ZrC粉末としては、いずれも平均粒径(d50)が、1.0μm以上、4.0μm以下の範囲内のCo粉末、Cr粉末、TaC粉末、NbC粉末、TiC粉末、および、ZrC粉末を準備した。
表2には、本発明に係る超硬合金について、各原料粉末の配合組成(質量%)およびWC粉末種別を示す。
(b)混合工程(メディアレス混合工程)および圧粉成形体の製造
ついで、(a)にて準備した(体積基準での)平均粒径(d50)が、0.2μm以上、2.0μm以下のWC粉末と、同じく、準備した(体積基準での)平均粒径(d50)が、1.0μm以上、4.0μm以下の範囲内のCo粉末、Cr粉末、TaC粉末、NbC粉末、TiC粉末、および、ZrC粉末とを混合し焼結用粉末とする。
これらの粉末の混合時には、WCについて粉砕が行われることを避け、WC同士を分散させるために長時間のメディアレスのアトライター混合、例えば、回転数50rpm、20時間の湿式混合を行い、乾燥後、100MPaの圧力でプレス成形し、圧粉成形体を作製した。
(c)焼結工程および熱処理工程
ついで、焼結工程においては、作製された圧粉成形体に対して、1400〜1600℃、30〜90分での高温焼結を行うことにより、WC相へのCoの回り込みを促進させ、合わせて、WC粒の粒成長、および、WC粒の転位等の除去を行った。
また、引き続いて行う冷却工程においては、冷却速度を1.0℃/min以下とする徐冷を行うことにより、急冷した場合に発生するWCとCoの熱膨張率差によるさらなる転位等の導入を回避し、引き続き、1200〜1300℃の固相状態において5時間以上の熱処理を行うことにより、WC中の転位等を除去し、本発明に係るWC基超硬合金を作製した。
表4に、本発明に係る焼結工程における焼結条件、および、熱処理工程における冷却速度、熱処理温度、熱処理時間を示す。
(d)ついで、前記WC基超硬合金を機械加工、研削加工し、CNMG120408−GMのインサート形状の表6に示すWC基超硬工具1〜9(以下、「本発明工具1〜9」という。)を作製した。
これに対し、比較のため、比較例として、WC基超硬工具11〜18(以下、「比較例工具11〜18」という。)を作製した。
具体的には、本発明例で用いたWC粉末に対する熱処理を行わず、未処理のWC粉末を用いて、本発明例と同様の手順、すなわち、原料粉末に対して本発明例と同条件にてメディアレス混合を行い、次いで、本発明例と同条件にて圧粉成形体を製造し、引き続き、表5に示す焼結工程、熱処理工程を経て、比較例焼結体11〜18を得た。
ついで、得られた比較例焼結体11〜18を機械加工、研削加工し、CNMG120408−GMのインサート形状の表7に示すWC基超硬工具11〜18(以下、「比較例工具11〜18」という。)を作製した。
本発明工具1〜9および比較例工具11〜18のWC基超硬合金基体の断面について、EPMAにより、その成分であるCo、Cr、Ta、Nb、Ti、Zrの含有点を10点測定し、その平均値を各成分の含有量とした。
なお、Cr、Ta、Nb、Ti、Zrは、それぞれの炭化物に換算して含有量を算出した。表6、表7にそれぞれの平均含有量を示す。
つぎに、本発明工具1〜9及び比較例工具11〜18のWC基超硬合金基体の断面について、後方散乱電子回折装置(以下、「EBSD」という。)を備えた走査型電子顕微鏡(SEM)にて観察し、得られたWC粒の結晶方位マッピング像の画像解析によりWC粒の面積を測定し、さらに該WC粒を同一面積の円形に近似したときの直径とともにその直径を有するWC粒子が占める面積割合を算出し、各直径と面積割合を乗算した総和の値をWC平均粒径(μm)として、それぞれ、表6、表7に示した。
つぎに、本発明工具1〜9及び比較例工具11〜18のWC基超硬合金基体表面を研磨し、出現したWC結晶粒に対し、ナノインデンテーション試験法(ISO 14577)に基づき、エリオニクス社製ナノインデンター(ENT−1100)により、ダイヤモンド製のBerkovich圧子を用い、押込荷重200mgf、荷重保持時間1秒、除荷速度20mgf/秒の条件にて、ナノインデンテーション硬さの測定を行った。
WC結晶粒における測定点位置については、既に測定が行われた位置、かつ同一WC粒子上での負荷による基体表面の変質による影響を排除するため、測定点同士が20μm以上離れた箇所となるようにした上で20点以上の測定点において測定を行い、その後、SEMによる圧痕観察を行い、粒界部の影響を避けるために、WC粒界からWC粒内に向かって0.1μm以上離れた箇所に打たれた圧痕を20点とり、それらのナノインデンテーション硬さ値の平均値をそれぞれ、表6、表7に示した。
Figure 2021155778

Figure 2021155778
Figure 2021155778

Figure 2021155778
Figure 2021155778
Figure 2021155778
Figure 2021155778
<合金鋼の高送り断続切削(乾式肩削り切削加工)>
次いで、前記本発明工具1〜9、比較例工具11〜18について、いずれも工具鋼製バイトの先端部に固定治具にてネジ止めした状態で、以下の高送り断続切削試験を実施した。
被削材:JIS・SCM440(硬さ:58HRc)の長さ方向4本スリット入り丸棒、
切削速度:160m/min、
切り込み:0.4mm、
送り:0.4mm/rev
切削時間:10分
上記高送り断続切削試験では、逃げ面摩耗幅が0.2mmを超えた際に工具寿命とし、工具寿命に達するまでの切削時間、もしくは10分切削後の逃げ面摩耗幅を測定し、切削加工試験後の切れ刃の損耗状態を観察した。
表8に、この測定結果を示す。
Figure 2021155778
また、前記本発明工具1〜4、比較例工具11〜14の切刃表面に、表9に示す平均層厚の硬質被覆層をPVD法あるいはCVD法で被覆形成し、本発明表面被覆WC基超硬合金製切削工具(以下、「本発明被覆工具」という)1〜4、比較例表面被覆WC基超硬合金製切削工具(以下、「比較例被覆工具」という)11〜14を作製した。
上記の各被覆工具について、いずれも工具鋼製バイトの先端部に固定治具にてネジ止めした状態で、以下の高送り断続切削試験を実施した。
被削材:JIS・SCM440(硬さ:58HRc)の長さ方向4本スリット入り丸棒、
切削速度:280m/min、
切り込み:0.4mm、
送り:0.4mm/rev
切削時間:7分
上記高送り断続切削試験では、逃げ面摩耗幅が0.2mmを超えた際に工具寿命とし、工具寿命に達するまでの切削時間、もしくは10分切削後の逃げ面摩耗幅を測定し、切削加工試験後の切れ刃の損耗状態を観察した。
表10に、切削試験の結果を示す。
Figure 2021155778
Figure 2021155778
表8および表10に示される試験結果によれば、本発明工具および本発明被覆工具は、高負荷化の断続切削加工においても、欠損を発生することもなく、また、すぐれた耐摩耗性と耐欠損性を発揮することが分かる。
これに対して、比較例工具および比較例被覆工具は、耐摩耗性と耐欠損性に劣り、短時間で寿命に至った。
以上のとおり、本発明のWC基超硬工具および被覆工具は、合金鋼等の高送り断続切削加工等の難削材の切削加工に供した場合、すぐれた耐摩耗性とともに、すぐれた耐欠損性を有するが、他の被削材、切削条件に適用した場合にも、長期の使用にわたってすぐれた切削性能を発揮し、工具の長寿命化が図られることが期待される。

Claims (3)

  1. WC基超硬合金を基体とするWC基超硬合金製切削工具において、
    (a)前記WC基超硬合金の成分組成は、Co:5.0〜14.0質量%、Cr
    :0.0〜0.98質量%、残部はWCおよび不可避的不純物とからなり、
    Crの質量含有率は、Coの質量含有率の7%を上限とし、
    (b)WC粒界からWC粒内に向かって0.1μm以上離れたWC粒内において、荷重200mgfでのナノインデンテーション測定による平均ナノインデンテーション硬さが、平均25GPa以上であり、
    (c)WC平均粒径が0.5〜4.0μmであることを特徴とするWC基超硬合金製
    切削工具。
  2. 前記WC基超硬合金は、TaC、NbC、TiC及びZrCのうちから選ばれる少なくとも1種以上を合計量にて0.1〜9.0質量%にて含有することを特徴とする請求項1に記載されたWC基超硬合金製切削工具。
  3. 請求項1または請求項2に記載のWC基超硬合金製切削工具の少なくとも切れ刃には、硬質被覆層が形成されていることを特徴とする表面被覆WC基超硬合金製切削工具。
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