JP5499751B2 - 耐欠損性にすぐれたダイヤモンド被覆工具 - Google Patents
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Description
また、ダイヤモンド皮膜の結晶配向性に着目し、ダイヤモンド皮膜表面の結晶面を、<111>あるいは<110>に配向させることにより、耐溶着性、耐欠損性、耐摩耗性を高めることも知られている。
また、従来ダイヤモンド被覆工具を、軟質で溶着性の高いAl合金等の高速切削に用いた場合には、切削時の高熱発生により、溶着性の高い被削材(Al合金)の切粉が、工具切刃へ溶着することにより、シャープな切刃を維持することが困難であるばかりか、欠損が生じやすくなるという問題点があった。
この結果、CFRP、Al合金等の高速切削加工に用いた場合、ダイヤモンド被覆工具の寿命は短いばかりか、さらに、被削材のバリ発生のために仕上げ面精度が粗くなり、寸法精度も劣るという問題点があった。
フィラメント温度:2050〜2350℃
フィラメント間隔:10〜30mm
基板温度:750〜950℃
反応圧力:2.66〜10.64kPa(20〜80Torr)
反応ガス:CH4:1.0〜4.0vol% H2:残
の範囲に含まれる特定の条件でダイヤモンド皮膜を形成した場合には、このダイヤモンド被覆工具は、シャープな切刃を維持しつつ、バリの発生が少なく、長期の使用に亘って、すぐれた耐欠損性と耐摩耗性を発揮するようになることを見出したのである。
「 超硬合金焼結体からなる工具基体の表面に、10〜30μmの膜厚のダイヤモンド皮膜が被覆されたダイヤモンド被覆工具において、
電子線後方散乱回折装置を用いて個々のダイヤモンド結晶粒の結晶方位を解析した場合、
(a)表面研磨面の法線方向に対する前記結晶粒の結晶方位<111>がなす傾斜角および表面研磨面の法線と直交する方向に対する前記結晶粒の結晶方位<111>がなす傾斜角を測定し、それぞれの測定傾斜角の分布を求めた時、特定傾斜角区分に半価幅10度以内のピークが存在し、または、
(b)表面研磨面の法線方向に対する前記結晶粒の結晶方位<110>がなす傾斜角および表面研磨面の法線と直交する方向に対する前記結晶粒の結晶方位<110>がなす傾斜角を測定し、それぞれの測定傾斜角の分布を求めた時、特定傾斜角区分に半価幅10度以内のピークが存在し、
上記(a)、(b)の少なくともいずれかを満足する幅0.1〜1μmの二軸配向ドメインが、ダイヤモンド結晶粒全面積の20%以上存在することを特徴とするダイヤモンド被覆工具。」
に特徴を有するものである。
フィラメント温度 2200〜2400℃、
フィラメント−基板間隔 10〜30mm、
基板温度 850〜1000℃、
反応圧力 1.33〜13.3kPa(10〜100Torr)、
反応ガス CH4:0.5〜3.0vol%,H2:残、
という条件の化学蒸着で形成することができる。
また、結晶方位<110>の配向性を有するダイヤモンド皮膜は、例えば、
フィラメント温度 2000〜2200℃、
フィラメント−基板間隔 10〜30mm、
基板温度 700〜850℃、
反応圧力 1.33〜13.3kPa(10〜100Torr)、
反応ガス CH4:2.0〜6.0vol%,H2:残、
という条件の化学蒸着で形成することができる。
(a)表面研磨面の法線方向に対する前記結晶粒の結晶方位<111>がなす傾斜角および表面研磨面の法線と直交する方向に対する前記結晶粒の結晶方位<111>がなす傾斜角を測定し、それぞれの測定傾斜角の分布を求めた時、特定傾斜角区分に半価幅10度以内のピークが存在し、または、
(b)表面研磨面の法線方向に対する前記結晶粒の結晶方位<110>がなす傾斜角および表面研磨面の法線と直交する方向に対する前記結晶粒の結晶方位<110>がなす傾斜角を測定し、それぞれの測定傾斜角の分布を求めた時、特定傾斜角区分に半価幅10度以内のピークが存在し、
上記(a)、(b)の少なくともいずれかを満足する幅0.1〜1μmの二軸配向ドメインが、ダイヤモンド結晶粒全面積の20%以上存在するダイヤモンド皮膜を形成するものであって、このために、例えば、
結晶方位<111>の配向性を有する皮膜であれば、
フィラメント温度 2250〜2350℃、
フィラメント−基板間隔 15〜25mm、
基板温度 850〜950℃、
反応圧力 2.66〜10.64kPa(20〜80Torr)、
反応ガス CH4:1.0〜2.5vol%,H2:残、
という限定された条件でダイヤモンド皮膜を蒸着形成する。
すなわち、表面研磨面の測定範囲内に存在する結晶粒個々に電子線を照射して、前記表面研磨面の法線に対して、前記結晶粒の結晶方位<111>がなす傾斜角を測定し、前記測定傾斜角のうち、前記法線方向となす角度が0〜45度の範囲内にある測定傾斜角を0.25度のピッチ毎に区分して各区分内に存在する度数を集計し、また、同様に、表面研磨面の法線と直交する任意の方向に対する前記ダイヤモンド結晶粒の結晶方位<111>がなす傾斜角を測定し、前記測定傾斜角のうち、前記法線と直交する任意の方向となす角度が0〜45度の範囲内にある測定傾斜角を0.25度のピッチ毎に区分して各区分内に存在する度数を集計したとき、ダイヤモンド結晶粒の表面研磨面の法線に対する結晶方位<111>の測定傾斜角の分布は、特定傾斜角区分に分布ピークが存在し、該分布ピークは半価幅10度以内であり、さらに、表面研磨面の法線と直交する方向に対する結晶方位<111>の測定傾斜角の分布も、ある特定傾斜角区分にやはり半価幅10度以内の分布ピークが存在し、しかも、このような測定傾斜角分布を示す幅0.1〜1μmの二軸配向ドメインが、ダイヤモンド結晶粒全面積の20%以上存在している。
このことから、本発明のダイヤモンド皮膜は、二軸配向ドメインを有していることから、優れた靭性を備えることがわかる。
ここでは、ダイヤモンド被覆工具をエンドミルに適用した場合について述べるが、本発明はこれに限定されるものではなく、インサート、ドリル等の各種切削工具に適用することが可能である。
フィラメント温度 2250〜2350℃、
フィラメント−基板間隔 15〜25mm、
基板温度 850〜950℃、
反応圧力 2.66〜10.64kPa(20〜80Torr)、
反応ガス CH4:1.0〜2.5vol%,H2:残、
フィラメント温度 2050〜2150℃、
フィラメント−基板間隔 15〜25mm、
基板温度 750〜850℃、
反応圧力 2.66〜10.64kPa(20〜80Torr)、
反応ガス CH4:2.0〜4.0vol%,H2:残、
という条件で、表2に示される目標膜厚のダイヤモンド皮膜を成膜することによ
り、本発明のダイヤモンド被覆エンドミル(以下、本発明エンドミルという)1〜10をそれぞれ製造した。
フィラメント温度 2200〜2400℃、
フィラメント−基板間隔 10〜30mm、
基板温度 850〜1000℃、
反応圧力 1.33〜13.3kPa(10〜100Torr)、
反応ガス CH4:0.5〜3.0vol%,H2:残、
上記工具基体(エンドミル)の表面に、表3に示される目標膜厚及び<111>配向のダイヤモンド結晶粒のみからなるダイヤモンド皮膜を成膜することにより、比較ダイヤモンド被覆エンドミル(以下、比較エンドミルという)1〜5をそれぞれ製造した。
フィラメント温度 2000〜2200℃、
フィラメント−基板間隔 10〜30mm、
基板温度 700〜850℃、
反応圧力 1.33〜13.3kPa(10〜100Torr)、
反応ガス CH4:2.0〜6.0vol%,H2:残、
上記工具基体(エンドミル)の表面に、表3に示される目標膜厚及び<110>配向のダイヤモンド結晶粒のみからなるダイヤモンド皮膜を成膜することにより、比較ダイヤモンド被覆エンドミル(以下、比較エンドミルという)6〜10をそれぞれ製造した。
被削材−平面寸法:100mm×250mm、厚さ:5mmの、炭素繊維と熱硬化型エポキシ系樹脂が直交積層構造を持つ炭素繊維強化樹脂複合材(CFRP)の板材、
切削速度: 240 m/min.、
切断加工: 5 mm、
テーブル送り: 1500 mm/分、
エアブロー、
の条件(切削条件A)での上記CFRPの乾式高速切断加工試験、
被削材−平面寸法:100mm×250mm、厚さ:50mmの、JIS・ADC12の板材、
切削速度: 420 m/min.、
溝深さ(切り込み):径方向(ae)2.5mm,軸方向(ap)8mm、
テーブル送り: 1200 mm/分、
エアブロー、
の条件(切削条件B)での上記Al合金の乾式高速側面切削加工試験、
をそれぞれ行い、いずれの切削加工試験でも切刃部に欠損が発生するまでの切削溝長(側面加工の場合、切削長)、あるいは、被削材にバリが発生するまでの切削溝長(側面加工の場合、切削長)を測定した。
これらの測定結果を表4にそれぞれ示した。
Claims (1)
- 超硬合金焼結体からなる工具基体の表面に、10〜30μmの膜厚のダイヤモンド皮膜が被覆されたダイヤモンド被覆工具において、
電子線後方散乱回折装置を用いて個々のダイヤモンド結晶粒の結晶方位を解析した場合、
(a)表面研磨面の法線方向に対する前記結晶粒の結晶方位<111>がなす傾斜角および表面研磨面の法線と直交する方向に対する前記結晶粒の結晶方位<111>がなす傾斜角を測定し、それぞれの測定傾斜角の分布を求めた時、特定傾斜角区分に半価幅10度以内のピークが存在し、または、
(b)表面研磨面の法線方向に対する前記結晶粒の結晶方位<110>がなす傾斜角および表面研磨面の法線と直交する方向に対する前記結晶粒の結晶方位<110>がなす傾斜角を測定し、それぞれの測定傾斜角の分布を求めた時、特定傾斜角区分に半価幅10度以内のピークが存在し、
上記(a)、(b)の少なくともいずれかを満足する幅0.1〜1μmの二軸配向ドメインが、ダイヤモンド結晶粒全面積の20%以上存在することを特徴とするダイヤモンド被覆工具。
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