JP2012006135A - エンドミルおよびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 軸線0回りに回転されるチップ部11の工具先端部12に、少なくとも一対の切刃13がチップ部先端において軸線0を挟んで互いに反対側に形成されてなるエンドミルであって、切刃13の外径が、直径2mm以下であり、工具先端部12全体がレーザ加工で形状形成されていると共に、工具先端部12の外周面に逃げ面17がレーザ加工で形状形成され、該逃げ面17の面粗さRzが2μm以下かつ面粗さRaが1μm以下である。
【選択図】図1
Description
また、エンドミルの加工方法としては、砥石による切削加工以外にレーザ加工が知られている。
また、特許文献2には、工具本体と単結晶ダイヤモンドから構成される刃部とを備えたエンドミルにおいて、刃部にレーザ加工を施して単結晶ダイヤモンドの(111)結晶面で構成されたすくい面を形成したエンドミルが提案されている。この刃部も単結晶ダイヤモンドから短冊状に形成され取付座にロウ付けされるものであり、逃げ面がレーザ加工で形成されている。
上記従来のエンドミルの加工方法では、砥石を使った切削加工または研磨加工で逃げ面を形成しているが、切刃の外径が直径2mm以下の小径のエンドミルを作製する場合、逃げ面を砥石によって加工すると、安定した面精度で逃げ面を形成することができないという不都合があった。すなわち、小径で細いエンドミルに砥石による力学的な負荷が掛かると共に砥石自体の形状経時変化が生じることにより、面粗さが大きくなると共に面精度もばらついてしまい、安定した逃げ面を形成することが困難であった。特に、cBN焼結体のように非常に硬度の高い材料の場合は困難であった。例えば、図13に示すように、小径のボールエンドミルを作製する際に砥石によって逃げ面を形成すると、砥石の回転による多数の溝状の切削跡Dが一定方向に並んで形成されて面粗さが大きくなってしまう。このように逃げ面の面粗さが大きくなると、切りくずの逃げが悪くなり、安定した切削性能を得ることができない。そのため、従来、直径2mm以下の小径エンドミルでは面精度の高い逃げ面を形成することができず、安定した切削加工を行うことが難しかった。また、板状のcBNチップやダイヤモンドチップ等をエンドミル本体に装着する手法では、直径2mm以下の小径のボールエンドミルを作製することが困難であった。
また、平板状チップを工具本体にロウ付けするのではなく、切刃を含む工具先端部全体をレーザ加工で形状形成するので、直径2mm以下の小径の工具先端部が容易にかつ高精度に得られる。
すなわち、このエンドミルでは、逃げ面に、互いに略平行に並んで延在した多数の微細長溝と、隣接する微細長溝間に該隣接する方向に延在する多数の微細短溝と、からなる網目状の微細凹凸が形成されているので、従来の一定方向に多数延在する溝状の切削跡に比べて凹凸が小さくなり微細化されるため、面粗さがさらに小さくなり、より安定した切りくず排出性能を得ることができる。
すなわち、このエンドミルでは、工具先端部のうち少なくともボール刃部がcBN焼結体、焼結ダイヤモンド、超硬合金のいずれかまたはその組み合わせで形成されているので、耐摩耗性に優れて高寿命であり、優れた切削性能を有する小径ボールエンドミルとして、金型等の仕上げ加工等に好適であり、特にcBN焼結体は、高硬度鋼の仕上げ加工等に好適である。
すなわち、本発明に係るエンドミルおよびその製造方法によれば、切刃の外径が直径2mm以下の小径エンドミルにおいても、工具先端部全体がレーザ加工で形状形成されていると共に、工具先端部の外周面に逃げ面がレーザ加工で形状形成され、該逃げ面の面粗さRzが2μm以下かつ面粗さRaが1μm以下であるので、小さい面粗さで高面精度な逃げ面を有し、高い切りくず排出性により安定した切削性能を得ることができる。したがって、本発明のエンドミルは、例えば、切りくず排出性に優れて高切削性能を有する小径ボールエンドミルとして、難加工材料の仕上げ加工等に好適である。
そして、このエンドミル10は、切刃13の外径が、直径2mm以下であり、工具先端部12全体がレーザ加工で形状形成されていると共に、切刃13のすくい面16側にチャンファ19(図1のハッチング部分)がレーザ加工で帯状に形成されている。
この逃げ面17には、図3に示すように、互いに略平行に並んで延在した多数の微細長溝M1と、隣接する微細長溝M1間に該隣接する方向に延在する多数の微細短溝M2と、からなる網目状の微細凹凸が形成されている。すなわち、逃げ面17のテクスチャーが、多数の微細長溝M1と多数の微細短溝M2とによる微細凹凸となることから、面粗さRz:2μm以下かつ面粗さRa:1μm以下が実現される。なお、微細長溝M1のピッチは、0.7〜15μmであり、微細短溝M2のピッチは、0.5〜10μmである。
本実施形態の製造方法に用いるレーザ加工装置21は、図4に示すように、加工対象物の工具先端部12にレーザビーム(レーザ光)Lを照射して3次元加工する装置であって、レーザビームLをパルス発振して工具先端部12に一定の繰り返し周波数で照射すると共に走査するレーザ光照射機構22と、チップ部11を接合したシャンク部14を保持して回転可能なモータ等の回転機構23と、該回転機構23が設置されて移動可能な移動機構24と、これらを制御する制御部25と、を備えている。
また、レーザ光照射機構22は、レーザビームLの走査方向を、楕円形状である上記光強度分布の長軸方向または短軸方向に一致させている。これは、レーザビームLの走査方向が、上記光強度分布の長軸方向または短軸方向に一致せずに長軸または短軸に対して傾いた方向であると、走査終端部分の加工形状が傾いてズレが生じてしまうためである。なお、本実施形態では、レーザビームLの走査方向を、上記光強度分布の短軸方向に一致させている。
上記ガルバノスキャナ27は、移動機構24の直上に配置されている。また、上記CCDカメラ28は、ガルバノスキャナ27に隣接して設置されている。
また、平板状チップを工具本体にロウ付けするのではなく、切刃13を含む工具先端部12全体をレーザ加工で形状形成するので、直径2mm以下の小径の工具先端部12が容易にかつ高精度に得られる。
さらに、工具先端部12のうち少なくともボール刃部13aがcBN焼結体で形成されているので、耐摩耗性に優れて高寿命であり、優れた切削性能を有する小径ボールエンドミルとして、高硬度鋼の仕上げ加工等に好適である。
したがって、本実施形態の製造方法では、逃げ面17の寸法精度を±2μm以内、面粗さをRz:2μm以下、Ra:1μm以下とすることが可能である。
この画像からわかるように、本実施例のエンドミルの逃げ面は、互いに略平行に並んで延在した多数の微細長溝と、隣接する微細長溝間に該隣接する方向に延在する多数の微細短溝と、からなる網目状の微細凹凸が形成されていると共に、面粗さRzが2μm以下、Raが1μm以下であった。
また、ボール刃部および外周刃部が形成された工具先端部全体をcBN焼結体で形成し、ボール刃部および外周刃部の両方をcBN焼結体で形成しているが、軸線方向において先端からボール刃部の基端までの部分をcBN焼結体で形成し、ボール刃部の基端から外周刃部の基端までの部分を超硬合金で形成した工具先端部とするなど、cBN焼結体、焼結ダイヤモンド、超硬合金とのこのような組み合わせをしても構わない。また、工具先端部全体を、焼結ダイヤモンドまたは超硬合金で形成しても構わない。
Claims (4)
- 軸線回りに回転される工具先端部に、少なくとも一対の切刃が先端において前記軸線を挟んで互いに反対側に形成されてなるエンドミルであって、
前記切刃の外径が、直径2mm以下であり、
前記工具先端部全体がレーザ加工で形状形成されていると共に、前記工具先端部の外周面に逃げ面がレーザ加工で形状形成され、該逃げ面の面粗さRzが2μm以下かつ面粗さRaが1μm以下であることを特徴とするエンドミル。 - 請求項1に記載のエンドミルにおいて、
前記逃げ面に、互いに略平行に並んで延在した多数の微細長溝と、隣接する前記微細長溝間に該隣接する方向に延在する多数の微細短溝と、からなる網目状の微細凹凸が形成されていることを特徴とするエンドミル。 - 請求項1または2に記載のエンドミルにおいて、
前記切刃として前記軸線回りの回転軌跡が略半球状をなすボール刃部を有したボールエンドミルであり、
前記工具先端部のうち少なくとも前記ボール刃部がcBN焼結体、焼結ダイヤモンド、超硬合金のいずれかまたはその組み合わせで形成されていることを特徴とするエンドミル。 - 請求項1から3のいずれか一項に記載のエンドミルを製造する方法であって、
ビーム断面の光強度分布がガウシアン分布であるレーザビームを照射して前記工具先端部全体を形状形成する三次元レーザ加工工程を有し、
該三次元レーザ加工工程で、少なくとも前記逃げ面を形成する際に、加工前形状と設計上の加工後形状との両方において加工面に対する前記レーザビームの角度を50°未満に設定して前記レーザビームを照射することを特徴とするエンドミルの製造方法。
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