JP2012240458A - サスペンション組み付け構造、スプリングシート、サスペンション組み付け方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】後側ロアリンク13を構成するロアブラケット31には、ロアスプリングシート17の組み付け面34に、係合孔35を形成する。また、ロアスプリングシート17におけるシート本体41の下面44には、係合孔35に挿入されることで後側ロアリンク13によって係合保持される突起部45を形成する。また、ロアスプリングシート17における円筒部51の外周面52には、径方向に突出し、コイルスプリング15の線間隙間を介してコイルスプリング15における下端一巻き目の線材を上面から係止するフランジ53を形成する。
【選択図】図6
Description
本発明の課題は、コイルスプリングの組み付け性を向上させることである。
《第一実施形態》
《構成》
図1は、後輪サスペンションの概略構成を示す斜視図である。
図2は、後左輪サスペンションの概略構成を示す上面図である。
図3は、後左輪サスペンションの概略構成を示す正面図である。
本実施形態では、独立懸架した後左輪のサスペンションについて説明する。
サスペンション構造は、車輪1を車体側のサスペンションメンバ2に懸架し、アクスルハウジング11(ハブキャリア)と、前側ロアリンク12と、後側ロアリンク13と、アッパリンク14と、コイルスプリング15と、ストラット5(図1)と、を備える。
前側ロアリンク12、及び後側ロアリンク13は、略同等の上下位置で、車体前後方向に並べてある。
前側ロアリンク12は、車幅方向外側の一端が、ブッシュ21を介して揺動可能にアクスルハウジング11の前側下部に連結してあり、車幅方向内側の他端が、ブッシュ22を介して揺動可能にサスペンションメンバ2の前側下部に連結してある。平面視で、各連結点の車体前後方向の位置は、車幅方向外側の連結点(ブッシュ21)が、車幅方向内側の連結点(ブッシュ22)よりもやや後側である。
各ブッシュ21〜26は、入れ子状に形成された外筒と内筒との間にゴム体からなる弾性体を介装して構成してある。本実施形態では、前側ロアリンク12、後側ロアリンク13、アッパリンク14の夫々の両端を外筒に連結し、アクスルハウジング11、サスペンションメンバ2の夫々に内筒を連結する。
ブッシュ27及び28は、前側ロアリンク12に沿って並べてある。ブッシュ27及び28は、入れ子状に形成された外筒と内筒との間にゴム体からなる弾性体を介装して構成してある。本実施形態では、ブッシュ軸を略前後方向とし、前側ロアリンク12を外筒に連結し、張出部16を内筒に連結する。
これらブッシュ27及び28の可動範囲(撓み範囲)で、前側ロアリンク12に対して張出部16及び後側ロアリンク13が相対変位可能となる。なお、本実施形態では、ブッシュ27及び28の剛性は、上下方向の剛性に対して車幅方向の剛性が低くなる異方性を有する。
制動などによって車輪1に対し車体後側への入力があると、アクスルハウジング11が車体後側へ変位する。このとき、アクスルハウジング11に対する、前側ロアリンク12の連結点(ブッシュ21)と、後側ロアリンク13の連結点(ブッシュ23)とは、車体後方への変位量が略同等となる。しかしながら、直線L1及びL2を前述したように配置した場合、車幅方向内側への変位量については、前側ロアリンク12の連結点(ブッシュ21)の方が後側ロアリンク13の連結点(ブッシュ23)よりも大きくなる。つまり、アクスルハウジング11の前側の連結点(ブッシュ21)が、車幅方向内側へ引き込まれる。したがって、制動時に車輪1にトーイン方向のトー変化が生じるので、安定性が向上する。
コイルスプリング15は、コイル軸XAを略上下方向とし、後側ロアリンク13と車体との間に介装してある。平面視で、コイルスプリング15の位置は、直線L2に重なるように配置し、好ましくはコイル軸XAを直線L2上に配置する。
本実施形態では、車幅方向外側の連結点(ブッシュ23)と、車幅方向内側の連結点(ブッシュ24)と、の略中間位置にマウントしてある。コイルスプリング15の座面は、張出部16にも重なり、コイルスプリング15の外径に応じて、後側ロアリンク13における車体後側の外形を拡張させている。
図4は、後側ロアリンクの外観図である。
後側ロアリンク13とコイルスプリング15の下端との間には、ロアスプリングシート17を介装してある。すなわち、後側ロアリンク13に対して環状のロアスプリングシート17を組み付け、このロアスプリングシート17に対してコイルスプリング15の下端を組みつけてある。
図中の(a)は、後側ロアリンク13の上面図であり、(b)は(a)におけるA−A断面図である。
後側ロアリンク13は、薄平型で略凹状に形成した一対のロアブラケット31及びアッパブラケット32を、夫々の凹面を対向させて嵌め合わせた最中(もなか)状の中空構造にしてある。ロアブラケット31とアッパブラケット32とは、例えば溶接によって一体化させている。
ロアブラケット31の凹面(内側の底面)には、上方のアッパブラケット32に向かって略円筒状に隆起させた隆起部33を形成してある。隆起部33は、コイルスプリング15のコイル軸XAを中心に形成してあり、その外径寸法をコイルスプリング15の内径よりも小さくしてある。
アッパブラケット32には、コイル軸XAを中心に円形の開口部36を形成してあり、その直径は、コイルスプリング15の外径よりも大きくしてある。
図中の(a)は、ロアスプリングシート17の上面図であり、(b)は(a)におけるB−B断面図であり、(c)は(a)におけるC−C断面図であり、(d)は(a)におけるD矢視図である。
ロアスプリングシート17は、耐侯性と耐熱性とを備えた例えばポリエチレン(PE)等の樹脂材料で形成され、円環状のシート本体41と、このシート本体41における内周側の端部から連続して上方に立ち上がる円筒部51と、を備える。
シート本体41の上面は、コイルスプリング15の下端に当接し、コイルスプリング15における下端一巻き目のピッチ角αに沿って形成された螺旋状の傾斜面42で構成する。この傾斜面42の傾斜方向に沿った両端に位置する最下位と最上位との間には、コイルスプリング15の径方向に沿って立ち上がる段差面43を形成してある。なお、コイルスプリング15の下端は、線材の端末を無研削のオープンエンドにしてある。つまり、下端一巻き目のピッチ角αと二巻き目のピッチ角αとを略同一にすることで、下端一巻き目の端末と二巻き目の線材との間に隙間を形成してある。
シート本体41の下面44には、径方向の略中央に、係合孔35に挿入可能な突起部45を形成してある。突起部45は、係合孔35よりも小径となる基端部46と、基端側が係合孔35よりも大径で先端側が係合孔35よりも小径となるテーパ状の先端部47と、を備える。基端部46の軸方向の長さは、ロアブラケット31の厚みに対応している。
したがって、対向する分割面同士の接近方向への撓みによって、係合孔35に対する先端部47の挿入方向(前進方向)の通過を許容し、通過後は、対向する分割面同士の離間方向への復元によって、係合孔35に対する先端部47の抜去方向(後退方向)の通過を阻止する。
円筒部51の外周面52には、径方向に突出するフランジ53を形成してある。フランジ53は、傾斜面42に沿って、つまりコイルスプリング15における下端一巻き目のピッチ角αに沿って、周方向の二箇所に形成してある。何れのフランジ53も、傾斜面42からの離隔距離、及び外周面52からの突出長さは、コイルスプリング15の線径(線材の直径)に対応している。
フランジ53の下面は、基端側がコイルスプリング15の線径に応じた逆R形状に形成されている。つまり、フランジ53の断面は、下面における基端側が、シート本体に向けて末広がりとなる。したがって、フランジ53の下面は、コイルスプリング15における下端一巻き目の線材に対して面接触するように構成してある。
図7は、左右輪のサスペンションにおける突起部の理想配置図である。
図中の(a)は、後側ロアリンク13の上面図であり、(b)はロアスプリングシート17の上面図である。
コイルスプリング15のコイル軸に直交する平面は、傾き回転軸XBにより、後側ロアリンク13のロアブラケット31の凹面(内側の底面)に対して傾いている。
図8は、左右輪のサスペンションにおけるフランジの理想配置図である。
図中の(a)は、後側ロアリンク13の上面図であり、(b)はロアスプリングシート17の上面図である。
前側ロアリンク12における車幅方向内側の連結点(ブッシュ22)と、後側ロアリンク13における車幅方向内側の連結点(ブッシュ24)とを結ぶ直線は、前側ロアリンク12及び後側ロアリンク13の揺動軸XCである。
この状態では、図中、コイル軸XAを通り、且つ揺動軸XCに対して直交する直線上における揺動軸XCに近い側にフランジ53を設けることが望ましいので、左輪側の理想位置P3と、右輪側の理想位置P4とが定まる。これらの理想位置P3及びP4は、左右輪で左右対称の位置関係となるため、ロアスプリングシート17を左右輪で共通にするために、円筒部51における外周面52の周方向において、理想位置P3及びP4の双方に、フランジ53を形成してある。
コイルスプリング15の組み付け工程について説明する。
先ず、後側ロアリンク13に対してロアスプリングシート17の組み付けを行う。すなわち、シート本体41及び円筒部51をロアブラケット31の隆起部33に外嵌させ、且つ突起部45をロアブラケット31の係合孔35に挿入する。このとき、先端部47が係合孔35に引っ掛かるが、さらに挿入方向に押圧すると、すり割り48による突起部45の撓みにより、先端部47が係合孔35を通過する。通過後は、突起部45の撓みが復元し、先端部47が係合孔35に引っ掛かるので、抜け止めとなる。
次に、ロアスプリングシート17に対してコイルスプリング15の組み付けを行う。すなわち、コイルスプリング15における線材の端末をシート本体41とフランジ53との間に挿入させながら、コイルスプリング15を巻き方向に回転させることで、コイルスプリング15の下部を円筒部51に対して雌螺子のように外嵌させる。
なお、各部品の形状、配置、数量などは、本発明の主旨を逸脱しない範囲で任意に変更してもよい。
また、コイルスプリング15の下端は、線材の端末を無研削のオープンエンドにしてあるが、研削したり、テーパにしたりしてもよい。また、タンジェントテールエンドや、ピッグテールエンドにしてもよい。
以上より、後側ロアリンク13が「サスペンションリンク」に対応し、ロアスプリングシート17が「スプリングシート」に対応する。
(1)本実施形態のサスペンション組み付け構造によれば、後側ロアリンク13を構成するロアブラケット31には、ロアスプリングシート17の組み付け面34に、係合孔35を形成する。また、ロアスプリングシート17におけるシート本体41の下面44には、係合孔35に挿入されることで後側ロアリンク13によって係合保持される突起部45を形成する。また、ロアスプリングシート17における円筒部51の外周面52には、径方向に突出し、コイルスプリング15の線間隙間を介してコイルスプリング15における下端一巻き目の線材を上面から係止するフランジ53を形成する。
これにより、コイルスプリング15における下端一巻き目の上面をフランジ53の下面に摺接させることができる。したがって、コイルスプリング15の保持性能を向上させることができる。
これにより、フランジ53の下面を、コイルスプリング15における下端一巻き目の線材に対して面接触させることができる。したがって、フランジ53の下面に抉りが入力されても、フランジ53における応力を分散でき、フランジ53の耐久性を向上させることができる。
これにより、耐候性と耐熱性に優れたロアスプリングシート17を形成することができる。また、ゴムのような弾性体と比べると摩擦係数が低いので、摺動抵抗が小さく、組み付けやすい。
これにより、コイルスプリング15における線材の端末が段差面43に当接する。したがって、円筒部51に対してコイルスプリング15を外嵌するときに、コイルスプリング15における回転方向の位置決めを行いやすい。
これにより、突起部45を係合孔35に挿入すると、先端側が係合孔35に引っ掛かるので、抜け止めとなる。このように、突起部45を係合孔35によって係合保持することで、後側ロアリンク13に対してロアスプリングシート17が周方向へ変位することを抑制できる。特に、ロアスプリングシート17に対してコイルスプリング15を組み付ける際に、ロアスプリングシート17が周方向へ変位することを抑制できる。また、抜け止め構造により、ロアスプリングシート17が後側ロアリンク13から外れることも防止できる。
これにより、コイルスプリング15をバランスよく支持することができる。また、コイルスプリング15からの抉りが入力されても、二つのフランジ53の間が逃げ代となる。したがって、周方向に連続した一つのフランジ53を形成する場合と比較して、フランジ53の耐久性を向上させることができる。
これにより、サスペンションの組み付けの際に、ロアスプリングシート17に対するコイルスプリング15の転倒や脱落をさらに抑制することができる。すなわち、コイルスプリング15をさらに保持しやすくなるので、このコイルスプリング15の組み付け性をさらに向上させることができる。
このように、シート本体41は、突起部45を介して後側ロアリンク13に係合保持されており、且つコイルスプリング15は、下端一巻き目の線材が上面からフランジ53によって係止されているので、コイルスプリング15を保持しやすくなる。すなわち、コイルスプリング15の組み付け性を向上させることができる。
このように、ロアスプリングシート17は、突起部45を介して後側ロアリンク13に係合保持されており、且つコイルスプリング15は、下端一巻き目の線材が上面からフランジ53によって係止されているので、コイルスプリング15を保持しやすくなる。すなわち、コイルスプリング15の組み付け性を向上させることができる。
本実施形態では、フランジ53を、外周面52における周方向の二箇所に形成しているが、勿論、連続した一つのフランジ53を形成してもよい。
図9は、フランジの変形例を示す図である。
この変形例であっても、前述した本実施形態のように、コイルスプリング15を保持しやすいので、その組み付け性を向上させることができる。
2 サスペンションメンバ
11 アクスルハウジング
12 前側ロアリンク
13 後側ロアリンク
14 アッパリンク
15 コイルスプリング
16 張出部
17 ロアスプリングシート
18 湾曲部
19 補剛ブラケット
31 ロアブラケット
32 アッパブラケット
33 隆起部
34 組み付け面
35 係合孔
36 開口部
41 シート本体
42 傾斜面
43 段差面
44 下面
45 突起部
46 基端部
47 先端部
51 円筒部
52 外周面
53 フランジ
XA コイル軸
XB 回転軸
XC 揺動軸
α ピッチ角
Claims (10)
- 車輪と車体とを揺動可能に連結したサスペンションリンクと、
前記サスペンションリンクと前記車体との間に上下方向に沿って設置したコイルスプリングと、
前記サスペンションリンクと前記コイルスプリングの下端との間に設置したスプリングシートと、を備え、
前記サスペンションリンクにおける前記スプリングシートの組み付け面に、係合孔を形成し、
前記スプリングシートは、
シート本体と、
前記シート本体の下面側に位置し、前記係合孔に挿入されることで前記サスペンションリンクによって係合保持される突起部と、
前記シート本体の上面側に位置し、前記コイルスプリングの下端側に内嵌する円筒部と、
前記円筒部の外周面から径方向に突出し、前記コイルスプリングの線間隙間を介して前記コイルスプリングにおける下端一巻き目の線材を上面から係止するフランジと、を備えたことを特徴とするサスペンション組み付け構造。 - 前記フランジを、前記コイルスプリングにおける下端一巻き目のピッチ角に沿って形成したことを特徴とする請求項1に記載のサスペンション組み付け構造。
- 前記フランジを、下面における基端側が、前記コイルスプリングの線径に応じた逆R形状に形成してあることを特徴とする請求項1又は2に記載のサスペンション組み付け構造。
- 前記スプリングシートは、樹脂材料からなることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載のサスペンション組み付け構造。
- 前記シート本体は、
前記コイルスプリングの下端に当接し、前記コイルスプリングにおける下端一巻き目のピッチ角に沿って形成した傾斜面と、
前記傾斜面の傾斜方向に沿った両端に位置する最下位と最上位との間に形成し、前記コイルスプリングの径方向に沿って立ち上がり、前記コイルスプリングにおける線材の端末に当接する段差面と、を備えたことを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載のサスペンション組み付け構造。 - 前記突起部は、可撓性を有し、前記係合孔よりも大径となる先端形状に形成してあることを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載のサスペンション組み付け構造。
- 前記フランジを、前記外周面における周方向の二箇所に形成したことを特徴とする請求項1〜6の何れか一項に記載のサスペンション組み付け構造。
- 前記フランジの少なくとも一方を、前記コイルスプリングのコイル軸を通り、且つ前記サスペンションリンクにおける前記車体側の揺動軸に対して直交する直線上に配置したことを特徴とする請求項7に記載のサスペンション組み付け構造。
- サスペンションリンクとコイルスプリングの下端との間に設置したシート本体と、
前記シート本体の下面側に位置し、前記サスペンションリンクによって係合保持される突起部と、
前記シート本体の上面側に位置し、前記コイルスプリングの下端側に内嵌する円筒部と、
前記円筒部の円筒面から径方向に突出し、前記コイルスプリングの線間隙間を介して前記コイルスプリングにおける下端一巻き目の線材を上面から係止するフランジと、を備えることを特徴とするスプリングシート。 - 請求項1〜8の何れか一項に記載のサスペンション組み付け構造を備え、
前記突起部を前記係合孔に挿入することで、前記スプリングシートを前記サスペンションリンクに係合保持させ、
前記コイルスプリングにおける線材の端末を前記シート本体と前記フランジとの間に挿入させながら前記コイルスプリングを回転させることで、前記コイルスプリングの下部を前記円筒部に外嵌させることを特徴とするサスペンション組み付け方法。
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