JP2022117637A - 弾性支持部材 - Google Patents

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Abstract

【課題】車両のサスペンション装置におけるコイルスプリングの組付けを適正に行うことができる弾性支持部材を提供する。【解決手段】サスペンション用コイルスプリング100の端部内径と対応する外径を有する筒部310と、当該筒部310の下端外周からフランジ状に延びる座部340と、を有し、コイルスプリング100とスプリングシート210との間に設けられる弾性支持部材300であって、筒部310には、当該筒部310から径方向外方に延出する庇部340が当該筒部310の周方向所定角度範囲にわたって設けられており、庇部340は、当該庇部340と座部320との間に位置させられる上記コイルスプリング100の線素120の上下動を規制する。【選択図】 図2

Description

本発明は、弾性支持部材に関し、例えば、車両のサスペンション装置におけるコイルスプリングの下端とサスペンションアームとの間に介装される、スプリングシートラバーと呼ばれるものに関する。
車両のサスペンション装置においては、車輪を支持する例えばサスペンションアームと車体との間にコイルスプリングが介装され、路面からの振動が緩衝される。
例えば特許文献1に示されているように、サスペンション装置におけるコイルスプリングの下端は、スプリングシートラバーと呼ばれる弾性支持部材を介してサスペンションアームに設けられたスプリングシートに着座させられる。
スプリングシートラバーは、組付け状態においてコイルスプリングとサスペンションアームとの直接接触を避けて異音の発生や衝撃によるコイルスプリングやサスペンションアームの破損を避けるほか、コイルスプリングの組付け時にその位置や姿勢を安定させる役割を果たす。
特許文献1に記載されたスプリングシートラバーは、コイルスプリングの下端における線素端部を受け止めるストッパと、線素端部を通してその浮き上がりを防止するトンネル状の挿通部が設けられている。
コイルスプリングの組付けは、サスペンションアームを大きく下方に回動させ、車体とスプリングシートとの間隔を大きく広げた状態において、コイルスプリングをその下端がスプリングシートラバーに適正に着座するようにして車体とサスペンションアームとの間に介装し、その後、サスペンションアームを通常回動位置まで上方に回動させることにより行われる。
コイルスプリングは、その性質上、圧縮させられる際に、線素端部がコイルスプリングの軸線周りに回転しようとする力が作用する。特許文献1に記載されたスプリングシートラバーにおいては、線素端部を受け止めるストッパと、線素端部の浮き上がりを防止する挿通部が設けられているが、挿通部の上下高さがコイルスプリングの線素径に対して大きいため、コイルスプリングの組付け時にコイルスプリングを圧縮させるとき、線素端部がコイルスプリングの軸線周りに回転しようとする力の反力によって、本来位置するべき位置に対してコイルスプリングが径方向にずれ動いてしまい、コイルスプリングの適正な組付けを完了することができない懸念があった。
特開2011-063200号公報
本発明は、上記した事情のもとで考え出されたものであって、車両のサスペンション装置におけるコイルスプリングの組付けを適正に行うことができる弾性支持部材を提供することをその課題とする。
上記課題を解決するため、本発明では、次の技術的手段を採用した。
すなわち、本発明によって提供された檀瀬支持部材は、サスペンション用コイルスプリングの端部内径と対応する外径を有する筒部と、当該筒部の下端外周からフランジ状に延びる座部と、を有し、当該コイルスプリングとスプリングシートとの間に設けられる弾性支持部材であって、上記筒部には、当該筒部から径方向外方に延出する庇部が当該筒部の周方向所定角度範囲にわたって設けられており、当該庇部は、当該庇部と上記座部との間に位置させられる上記コイルスプリングの線素の上下動を規制することを特徴とする。
好ましい実施の形態では、上記コイルスプリングの線素の先端が突き当てられるストッパ部が上記座部と上記筒部とに支持されて設けられており、平面視において当該ストッパ部と上記庇部との間に隙間が形成されている。
車体に対してサスペンションアームが下方回動させられた状態でコイルスプリングの組付けを行う場合、コイルスプリングの軸線は、当該弾性支持部材の上記筒部の軸線に対してサスペンションアームの回動支点側に傾斜することになる。このとき、サスペンションアームの回動支点側において、コイルスプリングの線素端部が上記庇部と座部との間に挟持されるようにしておくと、線素端部は、庇部の下面における上記筒部の周方向両端部と、座部との3点でしっかり保持される。したがって、サスペンションアームを通常状態に戻すべく上方回動させてコイルスプリングを圧縮させる際に、コイルスプリングが不用意に径方向にずれ動いてしまうことを防止することができる。
本発明のその他の特徴および利点は、図面を参照して以下に行う詳細な説明から、より明らかとなろう。
本発明にかかる弾性支持部材が適用されるトレーリング式サスペンションの構成を示す略示側面図である。 本発明の一実施形態にかかる弾性支持部材の全体斜視図である。 図2に示す弾性支持部材の平面図である。 図3のIV-IV線に沿う断面図である。 図2に示す弾性支持部材の側面図である。 図2に示す弾性支持部材に対するコイルスプリングの組付け作業状態を示す側面図である。 図2に示す弾性支持部材に対するコイルスプリングの組付け作業状態を示す正面図(車体前方側から視た図)である。
以下、本発明の好ましい実施の形態につき、図面を参照して具体的に説明する。これらの図において、前方をfr、後方をrrで示す。
なお、図に示す実施形態は、トレーリング式リアサスペンションBに設けられるコイルスプリング100の下端部110とトレーリングアーム200に設けられるスプリングシート210との間に介装されるスプリングラバーとしての弾性支持部材300に本発明を適用したものである。
図1は、トレーリング式リアサスペンションBにおいて、車体Aとトレーリングアーム200と、これらの間に設けられるコイルスプリング100との関係を略示する。なお、トレーリング式リアサスペンションBにおいては、車体Aとトレーリングアーム200との間に、図示しないダンパ装置が介装される。
トレーリングアーム200は、回動支点201を中心として上下に回動可能に後方に向けて延びており、その適部上面には、弾性支持部材300を介してコイルスプリング100の下端部110を受け止めるスプリングシート210が形成されている。
本実施形態においてスプリングシート210は、図4に表れているように、トレーリングアーム200を構成する板金部材と一体に形成されており、後記する弾性支持部材300の筒部310を外篏させて当該弾性支持部材300をずれなく保持するための円筒状膨出部215を有している。
弾性支持部材300は、ゴム製であり、図2~図7に示すように、コイルスプリング100の下端部110の内径と対応する外径を有する筒部310と、当該筒部310の下端外周からフランジ状に延びるドーナツ状の座部320と、を基本的に有する。
図2、図3、図7に示すように、弾性支持部材300はまた、コイルスプリング100の下端部110の線素120の先端121が突き当てられるストッパ部330が座部320と筒部310の外面にわたって支持されるように一体形成されているとともに、筒部310から径方向外方に延出する庇部340が一体形成されている。また、ストッパ部330と庇部340との間には、平面視において隙間S(図3)が形成されている。
庇部340は、筒部310の周方向所定角度範囲、例えば30~60°の範囲に形成されており、庇部340の下面と座部320との間の距離Hは、コイルスプリング100の下端の線素120の直径dと対応させられている(図4、図7)。座部320の下面には、スプリングシート210に形成した位置決め孔216に係合させて当該弾性支持部材300の筒部310を中心とした回転方向の位置決めを行うための位置決めピン321と、スプリングシート210に形成した係止孔217に係合して当該弾性支持部材300のめくれあがりを防止するための係止突起322とが一体形成されている。
弾性支持部材300はまた、庇部340が車体前方、すなわち、トレーリングアーム200の回動支点201の方向を向いて延びるようにして、スプリングシート210に装着される。すなわち、筒部310がスプリングシート210の円筒状膨出部215に外篏されるとともに、位置決めピン321が位置決め孔216に、係止突起322が係止孔217に、それぞれ係合される。
本実施形態において、コイルスプリング100は、右巻きに下方に向かうものが使用される。
次に、本実施形態に係る弾性支持部材300の作用について、説明する。
自然状態のコイルスプリング100を組み付けるため、トレーリングアーム200は大きく下方に回動させられ、車体Aとスプリングシート210との間隔が拡げられる。この状態でコイルスプリング100はその上端部が車体側に、下端部110がトレーリングアーム200側に保持される。コイルスプリング100の下端部110の保持は、図6、図7に示すように、弾性支持部材300の筒部310を線素120が取り巻くようにしつつ、当該線素120の先端121を庇部340の下を通し、かつストッパ部330に突き当てるようにしてなされる。本実施形態においては、ストッパ部330と庇部340との間に平面視において隙間Sが形成されているので、コイルスプリング100の線素120の先端121がストッパ部330に適正に当接する状態を確認することができる。
この状態において、コイルスプリング100の軸線L1は、弾性支持部材300の筒部310の軸線L2に対してトレーリングアーム200の回動支点201側に大きく傾斜することになる(図6)。このとき、図7に示すように、線素120は、庇部340の下面における筒部310の周方向両端部a,bと、座部320における部位cとの3点において強く接触し、しっかり保持される。したがって、トレーリングアーム200を通常状態に戻すべく上方回動させてコイルスプリング100を圧縮させる際に、コイルスプリング100が軸線周りに回転して不用意に径方向にずれ動いてしまうことを防止することができる。そのため、トレーリングアーム200を上方回動させてコイルスプリング100を圧縮変形させる際、コイルスプリング100が径方向にずれ動かないように作業者がこれを保持する必要がなくなり、トレーリング式リアサスペンションBの組み立てにおいてコイルスプリング100の組付け作業性が向上する。
また、弾性支持部材300の下面における、筒部310の径方向について庇部340と反対側に設けられた係止突起322がスプリングシート210に設けられた係止孔217に係合しているので、上記のようにコイルスプリング100を圧縮変形させるに際し、弾性支持部材300の座部320が不用意にめくれ上がるといったことも防止することができる。
もちろん、本発明の範囲は上記した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した事項の範囲内でのあらゆる設計変更はすべて本発明の範囲に含まれる。
例えば、上記した実施形態では、スプリングシート210は、トレーリングアーム200を構成する板金部材と一体となったものであるが、当該板金部材とは別体に形成したスプリングシート210をトレーリングアーム200の適部に溶接するなどして取り付けてもよい。
A 車体
B トレーリング式サスペンション
L1 軸線(コイルスプリングの)
L2 軸線(弾性支持部材の)
S 隙間
H 距離(庇部と座部との間の)
d 直径(線素の)
100 コイルスプリング
110 下端部(コイルスプリングの)
120 線素(コイルスプリングの)
121 先端(線素の)
200 トレーリングアーム
201 回動支点
210 スプリングシート
215 円筒状膨出部
216 位置決め孔
217 係止孔
300 弾性支持部材(スプリングラバー)
310 筒部
320 座部
321 位置決めピン
322 係止突起
330 ストッパ部
340 庇部

Claims (2)

  1. サスペンション用コイルスプリングの端部内径と対応する外径を有する筒部と、当該筒部の下端外周からフランジ状に延びる座部と、を有し、当該コイルスプリングとスプリングシートとの間に設けられる弾性支持部材であって、
    上記筒部には、当該筒部から径方向外方に延出する庇部が当該筒部の周方向所定角度範囲にわたって設けられており、当該庇部は、当該庇部と上記座部との間に位置させられる上記コイルスプリングの線素の上下動を規制することを特徴とする、弾性支持部材。
  2. 上記コイルスプリングの線素の先端が突き当てられるストッパ部が上記座部と上記筒部とに支持されて設けられており、平面視において当該ストッパ部と上記庇部との間に隙間が形成されている、請求項1に記載の弾性支持部材。
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