JP2012195580A - 電界効果トランジスタのゲート絶縁層用組成物、ゲート絶縁層、電界効果トランジスタ及び表示パネル - Google Patents

電界効果トランジスタのゲート絶縁層用組成物、ゲート絶縁層、電界効果トランジスタ及び表示パネル Download PDF

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Abstract

【課題】エッチング液や剥離液に対する耐性に優れているゲート絶縁層を形成することにより、このゲート絶縁層上にエッチング法により電極を形成させることができるようにすること。及び、その上に半導体材料を湿式塗布、結晶化処理しても溶出し難いゲート絶縁層を形成すること。すなわち、安価で高性能な上に、樹脂製のフレキシブル基板に適用可能な電界効果トランジスタを製造すること。
【解決手段】電界効果トランジスタのゲート絶縁層用組成物であって、重合性モノマー、重合開始剤及び架橋性基としてアリル基及び/又は(メタ)アクリロイル基を有する樹脂を含み、該重合性モノマーがエチレン性不飽和結合を2個以上有し、該架橋性基を有する樹脂の架橋性基当量が800g/eq以下であることを特徴とする電界効果トランジスタのゲート絶縁層用組成物。
【選択図】 図1

Description

本発明は、電界効果トランジスタのゲート絶縁層用組成物、該組成物を湿式成膜することにより得られるゲート絶縁層、該ゲート絶縁層を有する電界効果トランジスタ及び該電界効果トランジスタを有する表示パネルに関する。
電界効果トランジスタは、支持基板、ゲート絶縁層、該ゲート絶縁層により隔離されたゲート電極と半導体層、該半導体層に接して設けられたソース電極とドレイン電極を有する。
電界効果トランジスタの半導体層は、ポリシリコンやアモルファスシリコンなどの無機材料を、酸化法、化学気相成長法、物理気相法などの乾式成膜することにより得られるものが主流である。しかしながら、このような無機半導体の乾式成膜は、クリーンルームや真空装置などの大規模設備が必要な上に、複雑で多数の製造工程が必要であり、また、半導体層の結晶化工程で300〜1000℃の加熱を行なうため、基板に耐熱性が求められる。
これに対し、有機材料などを湿式成膜することにより半導体を得る場合は、安価な上、半導体層の結晶化工程は200℃以下の低温で行なうことが可能なため、プラスチック基板を用いることにより、軽量性などに優れた電界効果トランジスタを得ることができると期待されている。また、柔軟性の高い有機半導体とプラスチック基板を用いることにより、折り曲げ性や耐衝撃性にも優れた電界効果トランジスタとすることができると考えられている。更に、有機半導体を用いた電界効果トランジスタの場合、有機半導体層もゲート絶縁層も湿式塗布することにより形成させることにより、製造設備やコスト、低温化などの点で効率良く製造することが可能となる。
有機絶縁膜としては、ソルダーレジストや層間絶縁膜などが知られているが、その求められる物性は、用途に応じて大きく異なり、用途に応じて様々な材料の有機絶縁膜が用いられている。例えば、ソルダーレジストの場合、ハンダ浴耐性が必要であるため、通常、顔料やフィラーを大量に分散させることにより耐薬品性や耐熱性を付与させる。また、層間絶縁膜の場合は、配線容量を減らすために低比誘電率であることが好ましいことから、多孔質にする、脂環構造を多く取り入れるなどされている。
一方、電界効果トランジスタのゲート絶縁層の場合には、比誘電率が高いことが好ましく、また、均一な電極やムラの無い半導体層が形成しやすいことからその表面は滑らかであることが好ましい。そこで、電界効果トランジスタのゲート絶縁層としては、一般的に、ポリイミド、ポリヒドロキシフェノール、ポリビニルアルコール及びポリメタクリル酸メチル等の材料が用いられている。
電界効果トランジスタを表示素子等に適用する場合、ゲート絶縁層をパターン形成させることにより、電極間を連結させる。従来、ゲート絶縁層にフォトリソグラフィーによりレジストパターンを形成させた後にエッチングすることにより、パターン形成を行なっていた。しかしながら、この方法は、処理工程が煩雑であった(特許文献1参照)。
これに対して、架橋性ポリマーを用いることにより、処理工程を簡略化する方法が提案されている。具体的には、架橋ポリビニルフェノール、ノボラック系フォトレジスト、ポリエポキシ系フォトレジスト又はポリ桂皮酸ビニル等の架橋性ポリマーの溶液を塗布、乾燥後に架橋処理を行い、現像することによりパターニングされたゲート絶縁層を得ること
ができる(特許文献1及び2参照)。また、非架橋性樹脂と、エポキシドやラジカル重合性官能基を有する単量体との組み合わせによる組成物を用いてパターン形成する方法も知られている。
特開2005−303270号公報 特表2003−513475号公報
半導体層をゲート絶縁層の上に形成させるボトムゲート型のトランジスタにおいて、有機ゲート絶縁層上に半導体層を湿式成膜により形成させる場合、ゲート絶縁層には、半導体層形成用組成物に含まれる溶剤に対する耐性が求められる。
また、本発明者らが上記公知の有機材料をゲート絶縁層に用いた場合について検討した結果、ゲート絶縁層上に半導体層を塗布した後に半導体を結晶化させるべく焼成やレーザー照射などを行っても充分な結晶化が進行せず高性能な半導体性能が得られない場合があることが判明した。
更に、本発明者らが上記公知の有機材料をゲート絶縁層に用いた場合について検討した結果、ゲート絶縁層上に、モリブデンなどの硬い金属をスパッターすることにより、ソース電極及びドレイン電極などを形成するとゲート絶縁層にひび割れなどが発生することがあり、また、エッチング法によりソース電極及びドレイン電極などを形成しようとすると、エッチング液や剥離液により、ゲート絶縁層が剥離、ひび割れ、膨潤などのダメージを受けてしまうことのあることが判明した。
本発明は、前述の従来技術に鑑みてなされたものである。すなわち、本発明は、溶液塗布による層形成及びパターン形成が可能で、得られた層に湿式塗布した半導体材料を充分に結晶化させることが可能で、且つ、得られた層にスパッター及びエッチング処理に対する耐性があるゲート絶縁層を提供することを目的とする。また、このようなゲート絶縁層を用いることにより、優れた特性を有する電界効果トランジスタを提供することを目的とする。
本発明者は、前記課題を解決すべく種々検討を行った。この結果、特定の重合性モノマー、重合開始剤及び特定の樹脂を含む組成物を用いることにより、前記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の第1の要旨は、電界効果トランジスタのゲート絶縁層用組成物であって、重合性モノマー、重合開始剤及び架橋性基としてアリル基及び/又は(メタ)アクリロイル基を有する樹脂を含み、該重合性モノマーがエチレン性不飽和結合を2個以上有し、該架橋性基としてアリル基及び/又は(メタ)アクリロイル基を有する樹脂の架橋性基当量が800g/eq以下であることを特徴とする電界効果トランジスタのゲート絶縁層用組成物に存する。
本発明の第2の要旨は、更に溶媒を含み、該溶媒の沸点が80℃以上170℃以下であって、該溶媒がSP値が9.0以上10.0以下の成分を60重量%以上含むことを特徴とする、第1の要旨に記載の電界効果トランジスタのゲート絶縁層用組成物に存する。
本発明の第3の要旨は、上記架橋性基としてアリル基及び/又は(メタ)アクリロイル基を有する樹脂がアルカリ可溶性基を有することを特徴とする第1又は2の要旨に記載の電界効果トランジスタのゲート絶縁層用組成物に存する。
本発明の第4の要旨は、前記アルカリ可溶性基がカルボキシル基であることを特徴とする第3の要旨に記載の電界効果トランジスタのゲート絶縁層用組成物に存する。
本発明の第5の要旨は、第1乃至4の何れか1つの要旨に記載の電界効果トランジスタのゲート絶縁層用組成物を湿式成膜後に架橋させることにより得られることを特徴とする電界効果トランジスタのゲート絶縁層に存する。
本発明の第6の要旨は、第5の要旨に記載の電界効果トランジスタのゲート絶縁層であって、前記架橋を露光及び/又は加熱により行い、該架橋後にアルカリ現像液により現像することにより得られることを特徴とする電界効果トランジスタのゲート絶縁層に存する。
本発明の第7の要旨は、第5又は6の要旨に記載のゲート絶縁層を有することを特徴とする電界効果トランジスタに存する。
本発明の第8の要旨は、第7の要旨に記載の電界効果トランジスタであって、前記ゲート絶縁層上にエッチング法により形成される電極を有することを特徴とする電界効果トランジスタに存する。
本発明の第9の要旨は、第7又は8の要旨に記載の電界効果トランジスタであって、前記ゲート絶縁層上に、湿式法により形成後に結晶化処理を施された半導体層を有することを特徴とする電界効果トランジスタに存する。
本発明の第10の要旨は、第7乃至9の何れか1つの要旨に記載の電界効果トランジスタを有することを特徴とする表示パネルに存する。
本発明のゲート絶縁層の湿式成膜用組成物によれば、その上に半導体材料を湿式塗布しても溶出し難いゲート絶縁層を得ることが可能となる。また、本発明のゲート絶縁層の湿式成膜用組成物によれば、その上に半導体層を塗布した後に焼成やレーザー照射などにより半導体を結晶化させることにより高性能な半導体層を形成可能である。このゲート絶縁層は、エッチング液や剥離液に対する耐性にも優れているため、その上にエッチング法により電極を形成させることができる。すなわち、本発明のゲート絶縁層の湿式成膜用組成物によれば、安価で高性能な上に、樹脂製などのフレキシブル基板に適用可能な電界効果トランジスタを製造することが可能となることが期待される。
本発明の電界効果トランジスタの構造を示す模式図である。 本発明の実施例7の電界効果トランジスタの伝達特性を示すグラフである。
以下に、本発明の実施の形態を詳細に説明する。但し、以下に記載する説明は、本発明の実施形態の一例(代表例)であり、本発明はその要旨を超えない限り、これらの内容に限定されるものではない。
本発明において、「(メタ)アクリル酸」とは、アクリル酸とメタクリル酸の双方を含み、「(メタ)アクリレート」、「(メタ)アクリロイル」なども同様の意味を表す。また、モノマー名の前に「(ポリ)」をつけたものは、該モノマー及び該ポリマーを含み、「(酸)無水物」、「(無水)…酸」は、酸及び酸無水物を意味する。
本発明において、「全固形分」とは、本発明の組成物の構成成分のうち、溶剤を除くすべての成分を意味する。
[ゲート絶縁層用組成物]
本発明の電界効果トランジスタのゲート絶縁層用組成物(以下、「本発明のゲート絶縁層用組成物」と記す。)は、(A)重合性モノマー、(B)重合開始剤及び(C)架橋性基としてアリル基及び/又は(メタ)アクリロイル基を有する樹脂を含有する。ここで、(A)重合性モノマーは、エチレン性不飽和結合を2個以上有する。また、(C)架橋性基としてアリル基及び/又は(メタ)アクリロイル基を有する樹脂の架橋性基当量は800g/eq以下である。
[(A)重合性モノマー]
本発明のゲート絶縁層用組成物に含まれる重合性モノマー(以下、「本発明に係る重合性モノマー」と記す。)は、エチレン性不飽和結合を2個以上有する重合可能なモノマーである。重合性モノマーが2個以上のエチレン性不飽和結合を有すると、重合後に重合性モノマー同士のネットワークが構築できるのに加え、架橋性基としてアリル基及び/又は(メタ)アクリロイル基を有する樹脂をも含めた複雑で強固なネットワークを築くことができる。このため、ゲート絶縁層上で半導体を結晶化させる時に、ゲート絶縁層の各成分やその分解物の半導体層への混入が起こり難く、半導体を結晶化させる場合に円滑に進行させられると考えられる。このことから、本発明に係る重合性モノマーは、エチレン性不飽和結合を多数有することが好ましく、具体的には、4個以上有することが好ましく、5個以上有することが更に好ましい。また、エチレン性不飽和結合の数に上限は無いが、通常6個以下である。
本発明に係る重合性モノマーが有するエチレン性不飽和結合は、反応性の点より、アリル基及び(メタ)アクリロイル基が好ましい。
本発明に係る重合性モノマーは、1種類のみを用いても、2種類以上を任意の比率と組合せで用いても良い。なお、複数種の重合性モノマーを用いる場合における、本発明に係る重合性モノマーが有するエチレン性不飽和結合の数については、この複数種の重合性モノマーが有するエチレン性不飽和結合の数のモル平均値が上述の好ましい範囲とするのが良い。
以下、エチレン性不飽和結合を2個以上有する重合性モノマーのうち、特に好適な化合物について説明する。このような重合性モノマーとしては、具体的には、例えば、(A1)不飽和カルボン酸とポリヒドロキシ化合物とのエステル類、(A2)ヒドロキシ(メタ)アクリレート化合物とポリイソシアネート化合物とのウレタン(メタ)アクリレート類、及び(A3)(メタ)アクリル酸又はヒドロキシ(メタ)アクリレート化合物とポリエポキシ化合物とのエポキシ(メタ)アクリレート類等の(メタ)アクリレート系反応性モノマーやオリゴマーが挙げられる。なお、ここで言うオリゴマーは本発明におけるモノマーの概念に含むこととする
(A1)不飽和カルボン酸とポリヒドロキシ化合物とのエステル類としては、例えば、不飽和カルボン酸と糖アルコールとの反応物、不飽和カルボン酸と糖アルコールのアルキレンオキサイド付加物との反応物、不飽和カルボン酸とアルコールアミンとの反応物などが挙げられる。
ここで、不飽和カルボン酸としては、具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸などの炭素数3〜20のカルボン酸などが挙げられる。
糖アルコールとしては、具体的には、エチレングリコール、ポリエチレングリコール(付加数2〜14)、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール(付加数2〜14)、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等の多価アルコールなど挙げられる。
糖アルコールのアルキレンオキサイド付加物としては、具体的には、上述の糖アルコー
ルなどに、エチレンオキサイド又はプロピレンオキサイド等が付加した化合物などが挙げられる。
アルコールアミンとしては、具体的には、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の多価アルコールアミンなどが挙げられる。
そして、不飽和カルボン酸とポリヒドロキシ化合物とのエステル類としては、具体的には、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキサイド付加トリ(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、グリセロールプロピレンオキサイド付加トリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等、及びこれらのクロトネート、イソクロトネート、マレエート、イタコネート、シトラコネート等が挙げられる。なお、不飽和カルボン酸とポリヒドロキシ化合物とのエステル類には、これらの化合物の誘導体なども含まれる。
また、不飽和カルボン酸とポリヒドロキシ化合物とのエステル類としては、不飽和カルボン酸と、ヒドロキノン、レゾルシン、ピロガロール、ビスフェノールF、ビスフェノールA等の芳香族ポリヒドロキシ化合物、或いはそれらのエチレンオキサイド付加物との反応物なども挙げられる。具体的には、例えば、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAビス〔オキシエチレン(メタ)アクリレート〕、ビスフェノールAビス〔グリシジルエーテル(メタ)アクリレート〕等が挙げられる。
また、前記の不飽和カルボン酸と、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート等の複素環式ポリヒドロキシ化合物との反応物、例えば、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートのジ(メタ)アクリレート、トリ(メタ)アクリレート等も挙げられる。
また、不飽和カルボン酸と多価カルボン酸とポリヒドロキシ化合物との反応物、例えば、(メタ)アクリル酸とフタル酸とエチレングリコールとの縮合物、(メタ)アクリル酸とマレイン酸とジエチレングリコールとの縮合物、(メタ)アクリル酸とテレフタル酸とペンタエリスリトールとの縮合物、(メタ)アクリル酸とアジピン酸とブタンジオールとグリセリンとの縮合物等も挙げられる。
(A2)ヒドロキシ(メタ)アクリレート化合物とポリイソシアネート化合物とのウレタン(メタ)アクリレート類としては、例えば、ヒドロキシ(メタ)アクリレート化合物と、脂肪族ポリイソシアネート、脂環式ポリイソシアネート、芳香族ポリイソシアネート又は複素環式ポリイソシアネートなどのポリイソシアネート化合物との反応物等が挙げられる。
具体的には、例えば、ヒドロキシ(メタ)アクリレート化合物としては、ヒドロキシメチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、テトラメチロールエタントリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。また、ポリイソシアネート化合物は、ヘキサメチレンジイソシアネート、1,8−ジイソシアネート−4−イソシアネートメチルオクタン等の脂肪族ポリイソシアネート;シクロヘキサンジイソシアネート、ジメチルシクロヘキサンジイソシアネート、4,4−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、イソホロンジイソシアネート、ビシクロヘプタントリイソシアネート等の脂環式ポリイソシアネート;4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート、トリス(イソシアネートフェニル)チオホスフェート等の芳香族ポリイソシアネート及びイソシアヌレート等の
複素環式ポリイソシアネート等が挙げられる。
ヒドロキシ(メタ)アクリレート化合物とポリイソシアネート化合物とのウレタン(メタ)アクリレート類の市販品としては、例えば、新中村化学社製「U−4HA」、「UA−306A」、「UA−MC340H」、「UA−MC340H」及び「U6LPA」等が挙げられる。
ヒドロキシ(メタ)アクリレート化合物とポリイソシアネート化合物とのウレタン(メタ)アクリレート類としては、4個以上のウレタン結合〔−NH−CO−O−〕及び4個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物が好ましい。このような化合物は、例えば、4個以上の水酸基を有する化合物とジイソシアネート化合物とを反応させる、2個以上の水酸基を有する化合物と3個以上のイソシアネート基を有する化合物とを反応させる、4個以上のイソシアネート基を有する化合物と1個以上の水酸基と2個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物とを反応させるなどの方法により得ることができる。
具体的には、例えば、以下の化合物などが挙げられる。すなわち、4個以上の水酸基を有する化合物とジイソシアネート化合物とを反応させることにより得られる化合物としては、ペンタエリスリトール、ポリグリセリン等の4個以上の水酸基を有する化合物と、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート等のジイソシアネート化合物とを反応させて得られる化合物などが挙げられる。
2個以上の水酸基を有する化合物と3個以上のイソシアネート基を有する化合物とを反応させることにより得られる化合物としては、エチレングリコール等の2個以上の水酸基を有する化合物と、旭化成工業社製「デュラネート24A−100」、同「デュラネート22A−75PX」、同「デュラネート21S−75E」、同「デュラネート18H−70B」等のビウレットタイプ及び同「デュラネートP−301−75E」、同「デュラネートE−402−90T」、同「デュラネートE−405−80T」等のアダクトタイプ等の3個以上のイソシアネート基を有する化合物とを反応させて得られる化合物などが挙げられる。
4個以上のイソシアネート基を有する化合物と1個以上の水酸基と2個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物とを反応させることにより得られる化合物としては、イソシアネートエチル(メタ)アクリレート等を重合若しくは共重合させて得られる化合物等の4個以上、好ましくは6個以上のイソシアネート基を有する化合物等と、旭化成工業社製「デュラネートME20−100」と、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等の1個以上の水酸基と2個以上、好ましくは3個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物とを反応させて得られる化合物などが挙げられる。
(A3)(メタ)アクリル酸又はヒドロキシ(メタ)アクリレート化合物とポリエポキシ化合物とのエポキシ(メタ)アクリレート類としては、例えば、(メタ)アクリル酸又は前記のヒドロキシ(メタ)アクリレート化合物と、脂肪族ポリエポキシ化合物、芳香族ポリエポキシ化合物、複素環式ポリエポキシ化合物等のポリエポキシ化合物との反応により得られる化合物などが挙げられる。
具体的には、例えば、(メタ)アクリル酸又は前記のヒドロキシ(メタ)アクリレート化合物と、(ポリ)エチレングリコールポリグリシジルエーテル、(ポリ)プロピレングリコールポリグリシジルエーテル、(ポリ)テトラメチレングリコールポリグリシジルエ
ーテル、(ポリ)ペンタメチレングリコールポリグリシジルエーテル、(ポリ)ネオペンチルグリコールポリグリシジルエーテル、(ポリ)ヘキサメチレングリコールポリグリシジルエーテル、(ポリ)トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、(ポリ)グリセロールポリグリシジルエーテル、(ポリ)ソルビトールポリグリシジルエーテル等の脂肪族ポリエポキシ化合物;フェノールノボラックポリエポキシ化合物、ブロム化フェノールノボラックポリエポキシ化合物、(o−,m−,p−)クレゾールノボラックポリエポキシ化合物、ビスフェノールAポリエポキシ化合物、ビスフェノールFポリエポキシ化合物等の芳香族ポリエポキシ化合物;ソルビタンポリグリシジルエーテル、トリグリシジルイソシアヌレート、トリグリシジルトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート等の複素環式ポリエポキシ化合物等のポリエポキシ化合物との反応により得られる化合物などが挙げられる。
(A1)〜(A3)以外の重合性モノマーとしては、例えば、エチレンビス(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド類、フタル酸ジアリル等のアリルエステル類、ジビニルフタレート等のビニル基を有する化合物類、エーテル結合を有するエチレン性不飽和化合物のエーテル結合を5硫化燐等により硫化してチオエーテル結合に変えたチオエーテル結合を有する化合物類などが挙げられる。
これらのうち、重合性モノマーとしては、(A1)不飽和カルボン酸とポリヒドロキシ化合物とのエステル類が好ましい。また、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等のエチレン性不飽和結合を5個以上有する化合物が特に好ましい。
[(B)重合開始剤]
本発明のゲート絶縁層用組成物に含まれる重合開始剤(以下、「本発明に係る重合開始剤」と記す。)は、光や熱などのエネルギーにより重合性モノマーを重合させることができる化合物であれば良く、従来公知の重合開始剤を用いることができる。本発明に係る重合開始剤としては、パターニングのし易さの点などから、紫外線〜可視光線の照射により、本発明に係る重合性モノマー中のエチレン性不飽和結合を重合させ、ラジカルを発生させることができる化合物が好ましい。本発明に係る重合開始剤は、1種類のみを用いても、2種類以上を任意の比率と組合せで用いても良い。
本発明に係る重合開始剤としては、例えば、(B1)ベンゾイン、ベンゾインアルキルエーテル類、(B2)アントラキノン誘導体、(B3)ベンズアンスロン誘導体、(B4)ベンゾフェノン誘導体、(B5)アセトフェノン誘導体、(B6)チオキサントン誘導体、(B7)安息香酸エステル誘導体、(B8)アクリジン誘導体、(B9)フェナジン誘導体、(B10)チタノセン誘導体、(B11)α−アミノアルキルフェノン系化合物、(B12)アシルホスフィンオキサイド系化合物、(B13)オキシムエステル化合物などの光及び/又は熱ラジカル発生剤が挙げられる。
以下に、これらの好ましい具体例を挙げる。
(B1)ベンゾイン、ベンゾインアルキルエーテル類としては、具体的には、例えば、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテルなどが挙げられる。
(B2)アントラキノン誘導体としては、具体的には、例えば、2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、1−クロロアントラキノンなどが挙げられる。
(B4)ベンゾフェノン誘導体としては、具体的には、例えば、ベンゾフェノン、ミヒラーケトン、2−メチルベンゾフェノン、3−メチルベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、2−クロロベンゾフェノン、4−ブロモベンゾフェノン、2−カルボキシベン
ゾフェノンなどが挙げられる。
(B5)アセトフェノン誘導体としては、具体的には、例えば、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンが挙げられる。
(B6)チオキサントン誘導体としては、具体的には、例えば、チオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントンなどが挙げられる。
(B7)安息香酸エステル誘導体としては、具体的には、例えば、p−ジメチルアミノ安息香酸エチル、p−ジエチルアミノ安息香酸エチルなどの安息香酸エステル誘導体などが挙げられる。
(B8)アクリジン誘導体としては、具体的には、例えば、9−フェニルアクリジン、9−(p−メトキシフェニル)アクリジンなどのアクリジン誘導体などが挙げられる。
(B9)フェナジン誘導体としては、具体的には、例えば、9,10−ジメチルベンズフェナジンなどが挙げられる。
(B10)チタノセン誘導体としては、具体的には、例えば、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ジ−クロライド、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−フェニル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,5,6−テトラフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,4,6−トリフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−2,6−ジ−フルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−2,4−ジ−フルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,6−ジ−フルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−2,6−ジ−フルオロ−3−(ピル−1−イル)−フェニ−1−イルなどが挙げられる。
(B11)α−アミノアルキルフェノン系化合物としては、例えば、2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−1−ブタノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン、4−ジメチルアミノエチルベンゾエート、4−ジメチルアミノイソアミルベンゾエート、4−ジエチルアミノアセトフェノン、4−ジメチルアミノプロピオフェノン、2−エチルヘキシル−1,4−ジメチルアミノベンゾエート、2,5−ビス(4−ジエチルアミノベンザル)シクロヘキサノン、7−ジエチルアミノ−3−(4−ジエチルアミノベンゾイル)クマリン、4−(ジエチルアミノ)カルコンなどのモルフォリン(モルフォリノ基含有化合物)が挙げられる。
(B12)アシルホスフィンオキサイド系化合物としては、具体的には、例えば、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイドなどが挙げられる。
(B13)オキシムエステル化合物としては、具体的には、例えば、1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−,2−(O−ベンゾイルオキシム)、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム)、特開2000−80068号公報、特開2001−233842号公報、特開2001−235858号公報、特開2005−182004号公報、WO02/00903号明細書及び特願2005−305074明細書に記載されている化合物などが挙げられる。このうち、アシルオキシムが好ましい。
また、これらの他に、ファインケミカル、1991年3月1日号、Vol.20、No.4,第16〜26頁や、特開昭59−152396号公報、特開昭61−151197号公報、特公昭45−37377号公報、特開昭58−40302号公報、特開平10−39503号公報等に記載されている化合物なども挙げられる。
これらのうち、紫外線〜可視光線の照射により、重合性モノマー中のエチレン性不飽和結合を重合させ、ラジカルを発生させやすいこと及び半導体を結晶化させる時に脱ガスが生じにくいことなどから、(B11)α−アミノアルキルフェノン系化合物が特に好ましい。
[(C)架橋性基としてアリル基及び/又は(メタ)アクリロイル基を有する樹脂]
本発明のゲート絶縁層用組成物に含まれる架橋性基としてアリル基及び/又は(メタ)アクリロイル基を有する樹脂(以下、「本発明に係る架橋性基を有する樹脂」と記す。)は、架橋性基として、アリル基及び/又は(メタ)アクリロイル基を有する。また、本発明に係る架橋性基を有する樹脂の架橋性基当量は800g/eq以下である。本発明に係る架橋性基を有する樹脂が有する架橋性基とは、光や熱を受けて重合開始剤が発生するラジカルによって、重合性モノマーや架橋性基を有する樹脂同士で架橋する官能基のことを言う。本発明に係る架橋性基を有する樹脂は、光、熱、又は光や熱で発生した重合開始剤のラジカルにより架橋される。
本発明に係る架橋性基を有する樹脂は、ゲート絶縁層をパターニングにより形成しやすいことから、現像液で現像可能な樹脂であることが好ましく、現像液としてはアルカリ性の現像液が好ましい。従って、本発明に係る架橋性基を有する樹脂は、カルボキシル基、水酸基等のアルカリ可溶性基を有する樹脂が好ましい。なお、本発明に係る架橋性基を有する樹脂は、何れか1種を単独で用いても、2種以上を任意の比率と組合せで用いてもよい。
本発明に係る架橋性基を有する樹脂としては、アリル基及び/又は(メタ)アクリロイル基を有する架橋性基当量が800g/eq以下の樹脂であれば特に限定されないが、例えば、(C1)架橋性基を有するビニル系樹脂、(C2)エポキシ樹脂に、α,β−不飽和モノカルボン酸及び/又はエステル部分にカルボキシル基を有するα,β−不飽和モノカルボン酸エステルを付加させることにより得ることができる樹脂、及び(C3)変性ノボラック系樹脂などが挙げられる。以下に、(C1)〜(C3)の各樹脂について、具体例を挙げて詳細に説明する。
(C1)架橋性基を有するビニル系樹脂としては、例えば、不飽和カルボン酸とビニル化合物との共重合体等にエポキシ基含有不飽和化合物を反応させた樹脂などが挙げられる。
不飽和カルボン酸としては、例えば(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を任意の組合せと比率で用いてもよい。
ビニル化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、ヒドロキシスチレン等のスチリル化合物;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ヒドロキシメチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−(メタ)アクリロイルモルホリン、(メタ
)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリレート系化合物、酢酸ビニル等のビニル化合物が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組合せと比率で用いてもよい。中でも、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレートは、本発明のゲート絶縁層用組成物を用いて得られるゲート絶縁層を現像によりパターニングするときにおける現像時間や現像液劣化などに対する広いラチチュード(露光寛容度)を与える点で好ましい。そのようなジシクロペンタニル(メタ)アクリレートとしては、例えば、ジシクロペンタジエン骨格、ジシクロペンタニル骨格、ジシクロペンテニル骨格、ジシクロペンテニルオキシアルキル骨格等を有する(メタ)アクリレート等の特開2001−89533号公報に記載の化合物などが挙げられる。また、スチレンなどのエステル基を持たない化合物は、脱ガスを起こしにくく安定した膜が得られることから好ましい。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を任意の組合せと比率で用いてもよい。
不飽和カルボン酸とビニル化合物との共重合体としては、ゲート絶縁層を現像によりパターニングしやすいことから、パターニング形状、現像感度及びゲート絶縁層の硬度の点から、スチレン−(メタ)アクリレート−(メタ)アクリル酸共重合体が好ましく、スチレンが3〜60モル%で(メタ)アクリレートが10〜70モル%で(メタ)アクリル酸が10〜60モル%である共重合体が更に好ましく、スチレンが5〜50モル%で(メタ)アクリレートが20〜60モル%で(メタ)アクリル酸が15〜55モル%である共重合体が特に好ましい。
これらの不飽和カルボン酸とビニル化合物との共重合体の酸価は、本発明のゲート絶縁層用組成物を湿式成膜後に架橋させた後、現像によりパターニングするときに現像液に対する溶解性に優れる点では大きいことが好ましく、また、一方で、現像感度に優れる点及び本発明のゲート絶縁層用組成物を湿式成膜後に架橋させることにより得られるゲート絶縁層を有する電界効果トランジスタの閾値電圧に優れる点では小さいことが好ましい。通常30〜250mg−KOH/g、好ましくは、50〜200mg−KOH/g、更に好ましくは、70〜150mg−KOH/gである。
架橋性基を有するビニル系樹脂は、上記の不飽和カルボン酸とビニル化合物との共重合体に、アリルグリシジルエーテル、グリシジル(メタ)アクリレート、α−エチルグリシジル(メタ)アクリレート、グリシジルクロトネート、グリシジルイソクロトネート、クロトニルグリシジルエーテル、イタコン酸モノアルキルモノグリシジルエステル、フマル酸モノアルキルモノグリシジルエステル、マレイン酸モノアルキルモノグリシジルエステル等の脂肪族エポキシ基含有不飽和化合物、又は、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、2,3−エポキシシクロペンチルメチル(メタ)アクリレート、7,8−エポキシ〔トリシクロ[5.2.1.0]デシ−2−イル〕オキシメチル(メタ)アクリレート等の脂環式エポキシ基含有不飽和化合物を、不飽和カルボン酸とビニル化合物との共重合体の有するカルボキシル基の5〜90モル%、好ましくは30〜70モル%程度を反応させることにより得ることができる。また、ビニル化合物とエポキシ基含有不飽和化合物の共重合体などに、不飽和カルボン酸を反応させることによっても得ることができる。
架橋性基を有するビニル系樹脂は、本発明のゲート絶縁層用組成物を湿式成膜後に架橋させた後、現像によりパターニングしやすいことから、上記のようにして得た樹脂に多塩基酸無水物を付加反応させることにより、アルカリ可溶性基が導入されていることが好ましい。
多塩基酸無水物としては、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水イタコン酸、無水フタル酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水ピロメリット酸、無
水トリメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、無水メチルヘキサヒドロフタル酸、無水エンドメチレンテトラヒドロフタル酸、無水クロレンド酸、無水メチルテトラヒドロフタル酸、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。このうち、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水イタコン酸、無水フタル酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水ピロメリット酸、無水トリメリット酸、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物などが好ましく、無水テトラヒドロフタル酸、無水コハク酸、無水トリメリット酸及びビフェニルテトラカルボン酸二無水物などが特に好ましい。不飽和カルボン酸とビニル化合物との共重合体に対する多塩基酸無水物の付加量は、生成する樹脂の酸価が後述の範囲となる量が好ましい。
架橋性基を有するビニル系樹脂の酸価は、本発明のゲート絶縁層用組成物を湿式成膜後に架橋させた後、アルカリ性の現像液により現像することによりパターニングするときの現像性の点では大きいことが好ましいが、また、一方で、現像感度に優れる点及び本発明のゲート絶縁層用組成物を湿式成膜後に架橋させることにより得られるゲート絶縁層を有する電界効果トランジスタの閾値電圧に優れる点では小さいことが好ましい。具体的には、10〜150mg−KOH/gが好ましく、20〜140mg−KOH/gが更に好ましい。なお、酸価とは、1gの樹脂を中和するのに必要な水酸化カリウムのmg数であり、JIS K2501に基づき測定することができる。具体的には、秤量した樹脂をメタノール等の溶剤に溶かし、フェノールフタレインなどの指示薬を滴下しておき、そこに0.1規定度の水酸化カリウム溶液を滴下して変色点を確認するなどの方法により測定することができる。
本発明のゲート絶縁層用組成物において、架橋性基を有するビニル系樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組合せ及び比率で併用してもよい。
架橋性基を有するビニル系樹脂の重量平均分子量(Mw)は、1,000〜100,000であるのが好ましい。重量平均分子量が上記下限以上であることにより、本発明のゲート絶縁層用組成物を湿式成膜後に架橋させることにより均一な膜を得やすく、また、一方で、上記上限以下であることにより、本発明のゲート絶縁層用組成物を湿式成膜後に架橋させて得られるゲート絶縁層を現像によりパターニングするときの現像性に優れる。但し、本発明のゲート絶縁層用組成物を湿式成膜後に架橋させて得られるゲート絶縁層を印刷法などによりパターニングする場合は、本発明のゲート絶縁層用組成物が各印刷方式に適した粘度になるような分子量であれば良い。
なお、本発明における重量平均分子量は、株式会社島津製作所製「ゲル浸透クロマトグラフシステムLS Solution」で、株式会社島津製作所製「カラムGPC−804」を用いて測定したポリスチレン換算の値とする。
(C2)エポキシ樹脂に、α,β−不飽和モノカルボン酸及び/又はエステル部分にカルボキシル基を有するα,β−不飽和モノカルボン酸エステルを付加させることにより得ることができる樹脂
エポキシ樹脂に、α,β−不飽和モノカルボン酸及び/又はエステル部分にカルボキシル基を有するα,β−不飽和モノカルボン酸エステルを付加させることにより得ることができる樹脂は、実質的にはエポキシ基を有さず、また、アクリレート樹脂でない場合もあるが、慣用名に従って、以下、「架橋性基を有するエポキシアクリレート樹脂」と言う。なお、架橋性基を有するエポキシアクリレート樹脂にアルカリ可溶性基を導入する場合は、エポキシ樹脂に、α,β−不飽和モノカルボン酸及び/又はエステル部分にカルボキシル基を有するα,β−不飽和モノカルボン酸エステルを付加させることにより得ることができる樹脂に多塩基酸無水物を反応させることにより合成できる。
エポキシ樹脂としては、(o,m,p−)クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェ
ノールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、トリスフェノールメタン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂等のフェノール系のエポキシ樹脂を好適に用いることができる。
エポキシ樹脂の重量平均分子量は、合成上、本発明のゲート絶縁層用組成物を用いて得られる樹脂の性能上、200〜200,000であることが好ましく、300〜100,000であることが好ましい。重量平均分子量が上記範囲内であると、ゲート絶縁層の皮膜形成性に優れ、また、エポキシ樹脂へのα,β−不飽和モノカルボン酸及びα,β−不飽和モノカルボン酸エステルの付加反応時に樹脂のゲル化が起こり難く、製造が容易である点で好ましい。
α,β−不飽和モノカルボン酸としては、イタコン酸、クロトン酸、桂皮酸、アクリル酸、メタクリル酸等のが挙げられ、これらのうち、エポキシ樹脂に対する反応性が高いことから、アクリル酸及びメタクリル酸が好ましく、アクリル酸が特に好ましい。
エステル部分にカルボキシル基を有するα,β−不飽和モノカルボン酸エステルとしては、アクリル酸−2−サクシノイルオキシエチル、アクリル酸−2−マレイノイルオキシエチル、アクリル酸−2−フタロイルオキシエチル、アクリル酸−2−ヘキサヒドロフタロイルオキシエチル、メタクリル酸−2−サクシノイルオキシエチル、メタクリル酸−2−マレイノイルオキシエチル、メタクリル酸−2−フタロイルオキシエチル、メタクリル酸−2−ヘキサヒドロフタロイルオキシエチル、クロトン酸−2−サクシノイルオキシエチル等が挙げられ、これらのうち、アクリル酸−2−マレイノイルオキシエチル及びアクリル酸−2−フタロイルオキシエチルが好ましく、アクリル酸−2−マレイノイルオキシエチルが特に好ましい。
エポキシ樹脂へのα,β−不飽和モノカルボン酸及び/又はそのエステルの付加反応は、従来公知の手法により行うことができる。具体的には、例えば、エステル化触媒の存在下で、50〜150℃で、エポキシ樹脂と、α,β−不飽和モノカルボン酸及び/又はそのエステルとを反応させることができる。ここで用いるエステル化触媒としては、トリエチルアミン、トリメチルアミン、ベンジルジメチルアミン、ベンジルジエチルアミン等の3級アミン;テトラメチルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムクロライド、ドデシルトリメチルアンモニウムクロライド等の4級アンモニウム塩等を用いることができる。但し、エステル化触媒を選択するときには、本発明のゲート絶縁層用組成物を湿式成膜後に架橋させることにより得られるゲート絶縁層を有する電界効果トランジスタを長期的に駆動させた時に、電気の流れに影響を及ぼす可能性が低い材料を選ぶことが好ましい。
なお、エポキシ樹脂、α,β−不飽和モノカルボン酸及び/又はエステル部分にカルボキシル基を有するα,β−不飽和モノカルボン酸エステル、エステル化触媒は、何れも1種を単独で用いても、2種以上を任意の組合せと比率で用いてもよい。
原料エポキシ樹脂のエポキシ基1当量に対する、α,β−不飽和モノカルボン酸及び/又はエステル部分にカルボキシル基を有するα,β−不飽和モノカルボン酸エステルの量は、α,β−不飽和モノカルボン酸及び/又はエステル部分にカルボキシル基を有するα,β−不飽和モノカルボン酸エステルの量は、十分な量の不飽和基が導入され、引き続き多塩基酸無水物と反応させることによりカルボキシル基を導入しやすく、未反応のエポキシ基の残存し難く、硬化特性に優れる点では、多いことが好ましい。また、一方、未反応のα,β−不飽和モノカルボン酸及び/又はエステル部分にカルボキシル基を有するα,β−不飽和モノカルボン酸エステルが残存し難く、硬化特性に優れる点では、少ないことが好ましい。原料エポキシ樹脂のエポキシ基1当量に対する、α,β−不飽和モノカルボン酸及び/又はエステル部分にカルボキシル基を有するα,β−不飽和モノカルボン酸エステルの量は、α,β−不飽和モノカルボン酸及び/又はエステル部分にカルボキシル基を有するα,β−不飽和モノカルボン酸エステルの量は、具体的には、0.5〜1.2当
量が好ましく、0.7〜1.1当量が更に好ましい。
エポキシ樹脂に、α,β−不飽和モノカルボン酸及び/又はエステル部分にカルボキシル基を有するα,β−不飽和モノカルボン酸エステルを付加させることにより得ることができる樹脂に多塩基酸無水物を付加反応させることによりアルカリ可溶性基を導入する場合における多塩基酸無水物及びその付加量は、上述の架橋性基を有するビニル系樹脂にアルカリ可溶性基を導入するために用いる多塩基酸無水物と同様の化合物が好ましい。また、エポキシ樹脂に、α,β−不飽和モノカルボン酸及び/又はエステル部分にカルボキシル基を有するα,β−不飽和モノカルボン酸エステルを付加させることにより得ることができる樹脂への多塩基酸無水物の付加反応についても従来公知の手法を用いることができ、エポキシ樹脂に、α,β−不飽和モノカルボン酸及び/又はエステル部分にカルボキシル基を有するα,β−不飽和モノカルボン酸エステルを付加させる反応と同様な条件下で継続反応させることにより得ることができる。
架橋性基を有するエポキシアクリレート樹脂の重量平均分子量(Mw)は、通常1,000以上、好ましくは1,500以上であり、また、一方、通常30,000以下、好ましくは20,000以下、さらに好ましくは10,000以下、特に好ましくは8,000以下である。上記範囲内であると、本発明のゲート絶縁層用組成物を湿式成膜後に架橋させた後、現像によりパターニングするときの現像性及びアルカリ性の現像液に対する耐性が良好である点で好ましい。但し、本発明のゲート絶縁層用組成物を湿式成膜後に架橋させて得られるゲート絶縁層を印刷法などによりパターニングする場合は、本発明のゲート絶縁層用組成物が各印刷方式に適した粘度になるような分子量であれば良い。
(C3)変性ノボラック樹脂
変性ノボラック樹脂は、ノボラック樹脂と不飽和基を有するエポキシ化合物とを反応させて得られる反応物が有する水酸基に、多塩基酸及び/又はその無水物を付加させることにより得ることができる。なお、本発明においては、ノボラック樹脂の代りに、レゾール樹脂を用いて得られる樹脂も変性ノボラック樹脂に含まれる。
ノボラック樹脂は、例えば、酸触媒の存在下で、フェノール類をアルデヒド類及び/又はケトン類と重縮合させることにより合成することができる。フェノール類とアルデヒド類との縮合反応は、溶媒中で行っても、無溶媒下で行ってもよい。フェノール類とケトン類との縮合反応は、通常、酸触媒存在下で行う。また、レゾール樹脂は、ノボラック樹脂の重縮合における酸触媒に代えてアルカリ触媒を用いる以外は同様にして重縮合させることにより合成することができる。
フェノール類としては、例えば、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、2,5−キシレノール、3,5−キシレノール、o−エチルフェノール、m−エチルフェノール、p−エチルフェノール、プロピルフェノール、n−ブチルフェノール、t−ブチルフェノール、1−ナフトール、2−ナフトール、4,4’−ビフェニルジオール、ビスフェノール−A、ピロカテコール、レゾルシノール、ハイドロキノン、ピロガロール、1,2,4−ベンゼントリオール、安息香酸、4−ヒドロキシフェニル酢酸、サリチル酸、フロログルシノール等が挙げられる。
アルデヒド類としては、例えば、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、パラアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ベンズアルデヒド、サリチルアルデヒド、フルフラール等が挙げられる。ケトン類としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等が挙げられる。
ノボラック樹脂及びレゾール樹脂の重量平均分子量(Mw)は、本発明のゲート絶縁層用組成物を湿式成膜後に架橋させて得られるゲート絶縁層を現像によりパターニングする
ときの膜の耐現像性の点では大きいことが好ましいが、現像性の点では小さいことが好ましい。そこで、ノボラック樹脂及びレゾール樹脂の重量平均分子量(Mw)は、通常1,000〜20,000であり、好ましくは1,000〜10,000であり、更に好ましくは1,000〜8,000である。但し、本発明のゲート絶縁層用組成物を湿式成膜後に架橋させて得られるゲート絶縁層を印刷法などによりパターニングする場合は、本発明のゲート絶縁層用組成物が各印刷方式に適した粘度になるような分子量であれば良い。
不飽和基を有するエポキシ化合物としては、例えば、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチル(メタ)アクリレート、グリシジルオキシ(ポリ)アルキレングリコール(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート、(3,4−エポキシシクロヘキシル)ビニルなどが挙げられる。これらのうち、反応させやすい点から、特にグリシジルメタクリレート、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチル(メタ)アクリレートなどが好ましい。
ノボラック樹脂と不飽和基を有するエポキシ化合物の反応は、従来公知の方法を用いることができる。具体的には、例えば、トリエチルアミン、ベンジルメチルアミン等の3級アミン、ドデシルトリメチルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムクロライド、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド等の4級アンモニウム塩、ピリジン、トリフェニルホスフィン等の1種または2種以上を触媒として、有機溶剤中で、反応温度50〜150℃で数時間〜数十時間反応させることにより、ノボラック樹脂に不飽和基を有するエポキシ化合物を付加させることができる。ここで、触媒の使用量は、反応原料の合計量(ノボラック樹脂と不飽和基を有するエポキシ化合物との合計量)に対して、好ましくは0.01〜10重量%、特に好ましくは0.3〜5重量%である。また、重合防止剤(例えばメトキノン、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、p−メトキシフェノール、ピロガロール、tert−ブチルカテコール、ジブチルヒドロキシトルエン、フェノチアジン等の1種または2種以上)を使用することが好ましく、その使用量は、反応原料の合計量に対して、好ましくは0.01〜10重量%、特に好ましくは0.03〜5重量%である。
ノボラック樹脂のフェノール性水酸基に、不飽和基を有するエポキシ化合物を付加させる割合は、1〜100モル%である。この割合は、フェノール性水酸基と反応させる不飽和基を有するエポキシ化合物の仕込み量で調整することができる。
変性ノボラック樹脂は、ノボラック樹脂と不飽和基を有するエポキシ化合物とを反応させて得られる反応物が有する水酸基に、多塩基酸及び/又はその無水物を付加させることにより得ることができる。ここで、多塩基酸及び/又はその無水物の付加は、アルカリ性水溶液による現像によるゲート絶縁層のパターニングにおいて、現像させやすくするために行う。
多塩基酸及び/又はその無水物としては、従来公知のものが使用できる。具体的には、例えば、マレイン酸、コハク酸、イタコン酸、フタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、メチルエンドメチレンテトラヒドロフタル酸、クロレンド酸、メチルテトラヒドロフタル酸、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸、メチル−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸等の二塩基性カルボン酸またはその無水物;トリメリット酸、ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、ビフェニルテトラカルボン酸等の多塩基性カルボン酸またはその無水物等が挙げられる。中でも好ましくは、二塩基性カルボン酸またはその無水物が挙げられ、更に好ましくは、テトラヒドロ無水フタル酸または無水コハク酸が挙げられる。これらは1種を単独で用いても、2種以上を任意の組合せ及び比率で併用してもよい。
多塩基酸及び/又はその無水物の付加率は、現像性に優れる点で高いことが好ましい。
そこで、ノボラック樹脂と不飽和基を有するエポキシ化合物の反応物の水酸基に対する付加率は、通常10〜100モル%、好ましくは20〜100モル%、より好ましくは30〜100モル%である。
本発明に係る架橋性基を有する樹脂における架橋性基当量は、組成物の仕込比から算出される。本発明に係る架橋性基を有する樹脂における架橋性基当量は、本発明に係る架橋性基を有する樹脂の効果が充分に発現され、本発明のゲート絶縁層用組成物を用いて得られるゲート絶縁層上で有機半導体を結晶化させやすく、エッチング液や剥離液に対する耐性にも優れることから、小さいことが好ましい。そこで、本発明の架橋性基を有する樹脂における架橋性基当量は、800g/eq以下であることが好ましく、500g/eq以下であることがさらに好ましく、300g/eq以下であることが特に好ましい。なお、該架橋性基等量に下限は特に無いが、通常150g/eq以上である。
本発明に係る架橋性基を有する樹脂は、本発明の優れた効果を発現し易いことから、(C1)架橋性基を有するビニル系樹脂及び(C3)変性ノボラック樹脂が好ましい。
[(D)溶剤]
本発明のゲート絶縁層用組成物は、通常溶剤を含有する。すなわち、本発明のゲート絶縁層用組成物は、前述の本発明のゲート絶縁層用組成物に含まれる成分を溶剤に溶解又は分散させた状態で使用される。溶剤としては、前述の本発明のゲート絶縁層用組成物に含まれる成分を溶解させられれば特に制限は無い。
溶剤としては、例えば、水;グリコールモノアルキルエーテル類、グリコールジアルキルエーテル類、グリコールアルキルエーテルアセテート類、グリコールジアセテート類、アルキルアセテート類、エーテル類、ケトン類、アルコール類、脂肪族炭化水素類、脂環式炭化水素類、芳香族炭化水素類、鎖状又は環状エステル類、アルコキシカルボン酸類、ハロゲン化炭化水素類、エーテルケトン類、ニトリル類及び芳香族カルボン酸類などの有機溶剤等が挙げられる。
具体的には、例えば、グリコールモノアルキルエーテル類としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、プロピレングリコール−t−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、メトキシメチルペンタノール、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、3−メチル−3−メトキシブタノール、3−メトキシ−1−ブタノール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテルなどが挙げられる。
グリコールジアルキルエーテル類としては、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテルなどが挙げられる。
グリコールアルキルエーテルアセテート類としては、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート
、メトキシブチルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、メトキシペンチルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、3−メトキシ−1−ブチルアセテート等が挙げられる。
グリコールジアセテート類としては、エチレングリコールジアセテート、1,3−ブチレングリコールジアセテート、1,6−ヘキサノールジアセテートなどが挙げられる。アルキルアセテート類としては、シクロヘキサノールアセテートなどが挙げられる。エーテル類としては、アミルエーテル、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジアミルエーテル、エチルイソブチルエーテル、ジヘキシルエーテルなどが挙げられる。
ケトン類としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルアミルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルイソアミルケトン、ジイソプロピルケトン、ジイソブチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、エチルアミルケトン、メチルブチルケトン、メチルヘキシルケトン、メチルノニルケトン、メトキシメチルペンタノンなどが挙げられる。1価又は多価のアルコール類としては、エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、メトキシメチルペンタノール、グリセリン、ベンジルアルコールなどが挙げられる。
脂肪族炭化水素類としては、n−ペンタン、n−オクタン、ジイソブチレン、n−ヘキサン、ヘキセン、イソプレン、ジペンテン、ドデカンなどが挙げられる。脂環式炭化水素類としては、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、メチルシクロヘキセン、ビシクロヘキシルなどが挙げられる。芳香族炭化水素類としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、クメン、シクロヘキシルベンゼンなどが挙げられる。
鎖状又は環状エステル類としては、アミルホルメート、エチルホルメート、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸プロピル、酢酸アミル、メチルイソブチレート、エチレングリコールアセテート、エチルプロピオネート、プロピルプロピオネート、酪酸ブチル、酪酸イソブチル、イソ酪酸メチル、エチルカプリレート、ブチルステアレート、エチルベンゾエート、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸プロピル、3−メトキシプロピオン酸ブチル、γ−ブチロラクトンなどが挙げられる。
アルコキシカルボン酸類としては、3−メトキシプロピオン酸、3−エトキシプロピオン酸などが挙げられる。ハロゲン化炭化水素類としては、ブチルクロライド、アミルクロライドなどが挙げられる。エーテルケトン類としては、メトキシメチルペンタノンなどが挙げられる。ニトリル類としては、アセトニトリル、ベンゾニトリルなどが挙げられる。芳香族カルボン酸類としては、エチル安息光酸などが挙げられる。
このような有機溶剤の市販品としては、「ミネラルスピリット」、「バルソル#2」、「アプコ#18ソルベント」、「アプコシンナー」、「ソーカルソルベントNo.1」、「ソーカルソルベントNo.2」、「ソルベッソ#150」、「シェルTS28 ソルベント」、「カルビトール」、「エチルカルビトール」、「ブチルカルビトール」、「メチルセロソルブ」、「エチルセロソルブ」、「エチルセロソルブアセテート」、「メチルセロソルブアセテート」、「ジグライム」(いずれも商品名)などが挙げられる。
溶剤の沸点は、均一なゲート絶縁層が得やすい点から80℃以上であることが好ましいがが、また、一方で、ゲート絶縁層を形成するときに低温で乾燥させやすく、基板にプラスチック等の耐熱性の低い材料を用いることが可能な点では170℃以下であることが好ましい。
溶剤は、SP値が9.0以上10.0以下の成分が全溶剤中の60%以上を占めていることが好ましい。SP値(Solubility Parameter)は、ヒルデブラント(Hildebrand)によって導入された正則溶液論より定義される値である。SP値は、溶剤のモル分子容をV、凝集エネルギー(蒸発エネルギー)をΔEとしたとき、凝集エネルギー密度の平方根(ΔE/V)1/2で定義される。ここで、蒸発エンタルピーをΔHとしたとき、ΔE=ΔH−PΔVであるから、SP値は、[(ΔH−RT)/V]1/2となる。なお、SP値の単位は、(cal/cm1/2である。SP値が9.0以上であると、本発明のゲート絶縁層用組成物の成分、特に重合開始剤やアルカリ可溶性基を導入した架橋性基を有する樹脂の溶解性に優れる。また、SP値が10.0以下であると、高誘電率のゲート絶縁層を形成する場合における乾燥で白化し難い。
溶剤は、具体的には、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(沸点146℃、SP値9.2)、メチルエチルケトン(沸点80℃、SP値9.3)、エチレングリコールモノブチルエーテル(沸点170℃、SP値9.5)、シクロヘキサノン(
沸点156℃、SP値9.9)等が挙げられる。
これらの溶剤は、1種を単独でも、2種以上を任意の組合せ及び比率で用いてもよい。溶剤の使用量は、均一膜を得やすい点では少ない方が好ましいが、一方で、所望の膜厚に制御しやすい点では多い方が好ましい。そこで、本発明のゲート絶縁層をフォトリソ法によりパターニングする場合は、本発明のゲート絶縁層用組成物中の溶剤以外の成分の合計量が通常10重量%以上、好ましくは15重量%以上となり、通常90重量%以下、好ましくは50重量%以下となるような量比で溶剤を使用することが好ましい。
但し、本発明のゲート絶縁層用組成物をパターン印刷法によりパターニングする場合は、必ずしも上記の好ましい範囲でなくても、印刷方式に応じて、適宜選択すればよい。フォトリソ法によりパターニングする方法とインクジェット等の吐出タイプの方法では、通常、ゲート絶縁層用組成物中の溶剤濃度はほぼ同程度となるが、凸版・凹版・孔版・オフセット印刷等の方法では、本発明のゲート絶縁層用組成物中の溶剤濃度はそれらより低くなる。これは、基板上や版上での液ダレを防ぐ必要があるからである。なお、例えば、重合成モノマーなどの本発明のゲート絶縁層用組成物の成分が液体である場合は、該成分を溶剤の代わりとしてもよい。
[その他の成分]
本発明のゲート絶縁層用組成物には、本発明の優れた効果を大幅に妨げなければ、上記の本発明に係る重合性モノマー、重合開始剤、架橋性基を有する樹脂及び溶剤以外の成分が含まれていてもよい。
このようなその他の成分としては、例えば、水素供与性化合物が挙げられる。本発明のゲート絶縁層用組成物に、水素供与性化合物が含まれていると、ゲート絶縁層用組成物の架橋反応促進の点で有効である。水素供与性化合物としては、例えば、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、2−メルカプト−4(3H)−キナゾリン、β−メルカプトナフタレン、エチレングリコールジチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリスチオプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネート等のメルカプト基を有する化合物類;ヘキサンジチオール、トリメチロールプロパントリスチオグリコネート、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネート等の多官能チオール化合物類;N,N−ジアルキルアミノ安息香酸エステル、N−フェニルグ
リシン、N−フェニルグリシンのアンモニウム塩やナトリウム塩等の誘導体;フェニルアラニン、フェニルアラニンのアンモニウム塩やナトリウム塩等の誘導体;フェニルアラニンのエステル等の誘導体等が挙げられる。これらを用いる場合は、1種を単独で用いても、2種以上を任意の組合せと比率で用いてもよい。
また、本発明のゲート絶縁層用組成物には、その他のアミノ化合物、表面改質剤、現像改良剤、シランカップリング剤、その他のエポキシ化合物、その他の樹脂等が含まれていてもよい。
その他のアミノ化合物は、上記の本発明のゲート絶縁層用組成物に含まれる必須成分に含まれる化合物以外のアミノ化合物を言う。このようなアミノ化合物としては、例えば、メチロール基を炭素数1〜8のアルコール縮合変性したアルコキシメチル基を少なくとも2個有するアミノ化合物などが挙げられる。具体的には、例えば、メラミンとホルムアルデヒドとを重縮合させたメラミン樹脂;ベンゾグアナミンとホルムアルデヒドとを重縮合させたベンゾグアナミン樹脂;グリコールウリルとホルムアルデヒドとを重縮合させたグリコールウリル樹脂;尿素とホルムアルデヒドとを重縮合させた尿素樹脂;メラミン、ベンゾグアナミン、グリコールウリル又は尿素等の2種以上とホルムアルデヒドとを共重縮合させた樹脂;上述の樹脂のメチロール基をアルコール縮合変性した変性樹脂等が挙げられる。これらは1種を単独で用いても、2種以上を任意の組合せ及び比率で用いてもよい。
アミノ化合物としては、中でも、メラミン樹脂及びその変性樹脂が好ましく、メチロール基の変性割合が70%以上の変性樹脂が更に好ましく、メチロール基の変性割合が80%以上の変性樹脂が特に好ましい。
上記アミノ化合物の市販品としては、メラミン樹脂及びその変性樹脂としては、例えば、三井サイテック株式会社の「サイメル300」、「サイメル301」、「サイメル303」、「サイメル350」、「サイメル736」、「サイメル738」、「サイメル370」、「サイメル771」、「サイメル325」、「サイメル327」、「サイメル703」、「サイメル701」、「サイメル266」、「サイメル267」、「サイメル285」、「サイメル232」、「サイメル235」、「サイメル238」、「サイメル1141」、「サイメル272」、「サイメル254」、「サイメル202」、「サイメル1156」、「サイメル1158」及び株式会社三和ケミカルの「ニカラックMW−390」、「ニカラックMW−100LM」、「ニカラックMX−750LM」、「ニカラックMW−30M」、「ニカラックMX−45」、「ニカラックMX−302」等が挙げられる。上記ベンゾグアナミン樹脂及びその変性樹脂としては、例えば、三井サイテック株式会社の「サイメル1123」、「サイメル1125」、「サイメル1128」等が挙げられる。上記グリコールウリル樹脂及びその変性樹脂としては、例えば、三井サイテック株式会社の「サイメル1170」、「サイメル1171」、「サイメル1174」、「サイメル1172」及び株式会社三和ケミカルの「ニカラックMX−270」等が挙げられる。上記尿素樹脂及びその変性樹脂としては、例えば、三井サイテック株式会社の「UFR65、300」及び株式会社三和ケミカルの「ニカラックMX−290」等が挙げられる。本発明のゲート絶縁層用組成物に含まれているその他のアミノ化合物の量は、ゲート絶縁層が高硬度になりやすい点では多いことが好ましいが、組成物の保存安定性の点では少ないことが好ましい。そこで、本発明のゲート絶縁層用組成物中の全固形分に対して、通常0.1重量%以上、好ましくは0.3重量%以上であるのが良く、通常20重量%以下、好ましくは10重量%以下であるのが良い。
本発明のゲート絶縁層用組成物に含まれていてもよい表面改質剤及び現像改良剤としては、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、フッ素系界面活性剤及びシリコン系界面活性剤等が挙げられる。このうち、平滑性の確保と適正な表面活性剤両立の点から、ノニオン性界面活性剤及びフッ素系界面活性剤が好ましく、ジメ
チルシラン系の界面活性剤更に好ましい。本発明のゲート絶縁層用組成物中の全固形分に対するこれらの成分の含有量は、表面改質剤及び現像改良剤の各々について、通常0.001〜5重量%以下、好ましくは0.01〜3重量%以下である。表面改質剤及び現像改良剤の量は、基板面に濡れ広がりやすく、表面の平滑性に優れる点では多いことが好ましいが、また、一方で、泡によるハジキに起因するゲートリークが起こり難い点では少ないことが好ましい。
本発明のゲート絶縁層用組成物に含まれていてもよいシランカップリング剤としては、例えば、エポキシ系、メタクリル系、アミノ系、イミダゾール系等の種々のシランカップリング剤などが挙げられるが、これらのうち、エポキシ系及びイミダゾール系のシランカップリング剤が好ましい。本発明のゲート絶縁層用組成物中のシランカップリング剤の含有量は、基板との密着性に優れる点では多いことが好ましいが、現像性の点では、少ないことが好ましい。そこで、本発明のゲート絶縁層用組成物中の全固形分に対するシランカップリング剤の含有量は、通常10重量%以下、好ましくは5重量%以下である。
本発明のゲート絶縁層用組成物に含まれていてもよいその他のエポキシ化合物は、上記の本発明のゲート絶縁層用組成物に含まれる必須成分に含まれる化合物以外のエポキシ化合物を言う。このようなエポキシ化合物としては、ポリヒドロキシ化合物とエピクロルヒドリンとを反応させて得られるポリグリシジルエーテル化合物、ポリカルボン酸化合物とエピクロルヒドリンとを反応させて得られるポリグリシジルエステル化合物及びポリアミン化合物とエピクロルヒドリンとを反応させて得られるポリグリシジルアミン化合物等が挙げられる。また、先述の(C2)で挙げた原料エポキシ樹脂などを用いても良い。なお、その場合のエポキシ樹脂の添加量は、本発明の架橋性基を有する樹脂に対して、1〜80重量%、好ましくは2〜30%程度を添加することが好ましい。添加量は、ゲート絶縁層を低温で作製することが可能となる点では、多いことが好ましいが、また、一方で、本発明のゲート絶縁層用組成物の保存安定性の点では、少ないことが好ましい場合もある。
上記のポリグリシジルエーテル化合物としては、例えば、ポリエチレングリコールのジグリシジルエーテル型エポキシ、ビス(4−ヒドロキシフェニル)のジグリシジルエーテル型エポキシ、ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)のジグリシジルエーテル型エポキシ、ビスフェノールFのジグリシジルエーテル型エポキシ、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル型エポキシ、テトラメチルビスフェノールAのジグリシジルエーテル型エポキシ、エチレンオキシド付加ビスフェノールAのジグリシジルエーテル型エポキシ、フルオレン型ビスフェノールのジグリシジルエーテル型エポキシ、フェノールノボラック型エポキシ、クレゾールノボラック型エポキシ等が挙げられる。これらのポリグリシジルエーテル化合物は、単量体でもポリマーでも良い。また、これらのポリグリシジルエーテル化合物は、ゲート絶縁層をアルカリ性の現像液を用いてパターニングする場合における現像性の点で、エポキシ基を当量導入しない場合に残存するヒドロキシル基に酸無水物や2価の酸化合物等を反応させることにより得られるカルボキシ基を導入したものを用いてもよい。
上記のポリグリシジルエステル化合物としては、例えば、ヘキサヒドロフタル酸のジグリシジルエステル型エポキシ、フタル酸のジグリシジルエステル型エポキシ等が挙げられる。
上記ポリグリシジルアミン化合物としては、例えば、ビス(4−アミノフェニル)メタンのジグリシジルアミン型エポキシ、イソシアヌル酸のトリグリシジルアミン型エポキシ等が挙げられる。
本発明のゲート絶縁層用組成物中のその他のエポキシ化合物の含有量は、ゲート絶縁層の硬化性(特に低温硬化性に優れるため、プラスチック基板を用いる場合に有利である)
及び基板との密着性に優れる点では多いことが好ましいが、本発明のゲート絶縁層用組成物の保存安定性の点では、少ないことが好ましい。そこで、本発明のゲート絶縁層用組成物中の全固形分に対するその他のエポキシ化合物の含有量は、通常40重量%以下、好ましくは30重量%以下である。
[ゲート絶縁層用組成物の組成]
本発明のゲート絶縁層用組成物中に含まれる本発明に係る重合性モノマーの割合は、ゲート絶縁層を現像によりパターニングする場合における露光感度の点では多いことが好ましいが、また、一方で、ゲート絶縁層の形成性の点では、少ないことが好ましい。そして、本発明のゲート絶縁層用組成物中に含まれる本発明に係る架橋性基を有する樹脂の割合は、本発明のゲート絶縁層用組成物の塗布性の点では多いことが好ましいが、また、一方で、ゲート絶縁層上において半導体を結晶化させやすい点では少ないことが好ましい。そこで、本発明のゲート絶縁層用組成物における重合性モノマーと架橋性基を有する樹脂の割合(重量比)については、重合性モノマーと架橋性基を有する樹脂の合計量に対し、重合性モノマーが10重量%以上であるのが好ましく、30重量%以上であるのが更に好ましく、また、一方で、90重量%以下であるのが好ましく、70重量%以下であるのが更に好ましい。そして、重合性モノマーと架橋性基を有する樹脂の合計量に対し、架橋性基を有する樹脂が10重量%以上であるのが好ましく、30重量%以上であるのが更に好ましく、また、一方で、90重量%以下であるのが好ましく、70重量%以下であるのが更に好ましい。
本発明のゲート絶縁層用組成物中に含まれる本発明に係る重合開始剤の割合は、半導体を結晶化させる時に脱ガスが起こり難いと思われる点では少ないことが好ましいが、また、一方で、ゲート絶縁層を現像によりパターニングするときの現像感度の点では、多いことが好ましい。そこで、本発明のゲート絶縁層用組成物における重合性モノマーと架橋性基を有する樹脂の合計量に対する、重合開始剤の割合は、0.001重量%以上であるのが好ましく、0.1重量%以上であるのが更に好ましく、また、一方で、通常20重量%以下であるのが好ましく、15重量%以下であるのが更に好ましい。
また、重合性モノマーに対する重合開始剤の相対量については、基板とゲート絶縁層との密着性やゲート絶縁層の硬化性の点から、重合成モノマー/重合開始剤が重量比で、通常2/1以上、好ましくは3/1以上であり、また、一方で、通常300/1以下、好ましくは100/1以下であることが良い。
本発明のゲート絶縁層用組成物中に、重合性モノマー、重合開始剤及び架橋性基を有する樹脂以外の成分が含まれる場合、本発明のゲート絶縁層用組成物中における重合性モノマー、重合開始剤及び架橋性基を有する樹脂の合計量は、本発明の優れた効果が発言しやすい点では多いことが好ましいが、また、一方で、その他の成分が有する効果を発現しやすい点では、その他成分が多いことが好ましい。そこで、本発明のゲート絶縁層用組成物中における重合性モノマー、重合開始剤及び架橋性基を有する樹脂の合計量は、通常70重量%以上であり、好ましくは90重量%以上であり、また、一方で、通常100重量%以下であり、好ましくは99.5重量%以下であることが良い。
[ゲート絶縁層用組成物の調製]
本発明のゲート絶縁層用組成物は、通常、上述の各成分を溶剤と共に混合すると共に、撹拌や超音波をかけることにより、溶解又は分散させることにより、調製することができる。なお、組成物を調製する時に、重合性モノマー等の溶剤以外の成分が液体である場合は、溶剤の代わりとしても良い。
また、本発明のゲート絶縁層用組成物は、上述の各成分を溶剤と共に混合した後に、フィルターを用いて濾過することにより、不溶物、樹脂などの合成時に生じるゲル成分、ゴ
ミ、微量金属などを除去することが好ましい。フィルターとしては、例えば、インテグリスオプチマイザー、CUNOナノシールド、ゼータプラスECなどを使用することが出来る。なお、不溶物、ゲル成分、ゴミ、微量金属などは、ゲート絶縁層を形成した場合におけるハジキの原因となり、電界効果トランジスタがゲートリークする危険性があるため、フィルターの目は細かいものが好ましい。
本発明のゲート絶縁層用組成物であることは、核磁気共鳴スペクトル法(NMR法)やゲルパーミネーションクロマトグラフ法(GPC法)や赤外分光法(IR法)などの手法により分析することにより、確認できる。
[ゲート絶縁層の形成]
本発明のゲート絶縁層は、基板などの絶縁層の下になる層の上に、上述の本発明のゲート絶縁層用組成物を湿式成膜後に架橋することにより形成することができる。具体的には、基板などの下地層の上に本発明のゲート絶縁層用組成物を塗布した後、パターニングを行うことにより形成することができる。また、基板などの下地層の上に本発明のゲート絶縁層用組成物を印刷することにより形成することができる。ここで、パターニング不要となり製造プロセスが簡略化できる点では、ゲート絶縁層をパターン状に印刷することが好ましい。
ゲート絶縁層用組成物の架橋は、通常、露光及び/又は加熱により行う。ゲート絶縁層用組成物を湿式成膜により形成する場合は、パターニング時の露光によりゲート絶縁層用組成物を架橋させてもよい。ゲート絶縁層用組成物を印刷することにより形成する場合は、印刷後に露光及び/又は加熱により架橋させる。
塗布方法としては、例えば、スピナー法、ワイヤーバー法、フローコート法、ダイコート法、ブレードコート法、ロッドコート法、ロールコート法、スプレーコート法、インクジェット法、エレクトロスプレイデポジション法などが挙げられる。中でも、ダイコート法は、少量塗布が可能で、スピンコート法などの方法に比べ、ミストが付着する危険性が少なく、異物が発生し難いため、好ましい。
印刷方法としては、オフセット印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷、ステンシル印刷、インクジェット印刷、ノズルプリント、スタンピング(マイクロコンタクト印刷)などが挙げられる。なお、本発明における印刷方法には、基板以外の支持体に印刷したゲート絶縁層用組成物を基板などの下地層の上に転写させる方法も含まれる。
本発明のゲート絶縁層用組成物が溶剤を含む場合は、ゲート絶縁層用組成物を基板上に塗布又は印刷した後に、通常、これを乾燥させる。乾燥は、クリーンオーブン、ホットプレート、赤外線、ハロゲンヒーター、マイクロ波照射などの加熱機器を用いて加熱することにより行うことができる。中でも、膜全体を均等に加熱しやすいことから、クリーンオーブン及びホットプレートが好ましい。乾燥条件は、用いるゲート絶縁層用組成物に含まれる溶剤の種類や乾燥方法などに応じて、適宜選択すればよい。十分に乾燥させることにより、安定な素子を得やすい点では、高温で長時間乾燥させることが好ましいが、また、一方で、乾燥に要する時間が短く、生産性に優れ、基板やその他の層に加熱の影響を及ぼし難い点では、低温で短時間乾燥させることが好ましい。そこで、乾燥温度は、通常40℃以上、好ましくは50℃以上であり、また、一方、通常130℃以下、好ましくは110℃以下である。また、乾燥時間は、15秒以上が好ましく、30秒以上が更に好ましいが、また、一方で、5分以下が好ましく、3分以下が更に好ましい。また、乾燥は、減圧乾燥法により行ってもよく、加熱法と減圧乾燥法を併用してもよい。
ゲート絶縁層のパターニングは、通常、塗布した(溶剤を含む場合は更に乾燥させた)ゲート絶縁層用組成物の一部に露光マスクを被せ、露光マスクが被っていない部分のみを露光し、不溶化させた後、現像により露光マスクが被さっていた部分のゲート絶縁層用組成物を取り除くことにより行う。但し、ゲート絶縁層用組成物を基板上にパターン印刷す
る場合は、パターニングは不要である。
露光は、通常、塗布した(溶剤を含む場合は更に乾燥させた)ゲート絶縁層用組成物の一部に露光マスク(ネガタイプのマスクパターン)を被せた後、紫外線〜可視光線等の光を照射することにより行う。これにより、パターンの開口部分のみが露光により不溶化されるため、不溶化されなかった部分を現像により除去することが可能となる。露光マスクは、塗布した(溶剤を含む場合は更に乾燥させた)ゲート絶縁層用組成物に近接させてもよいし、露光マスクを離れた位置に配置して、露光マスクを介して塗布した(溶剤を含む場合は更に乾燥させた)ゲート絶縁層用組成物に投影させてもよい。また、走査露光方式により露光を行う場合は、露光マスクを用いずに露光させてもよい。露光は、酸素によるラジカルトラップを回避しやすい点では、脱酸素雰囲気下で行う、或いは、ポリビニルアルコール層などの酸素遮断層を形成した後に行うのが好ましい。
露光に使用される光源は、本発明のゲート絶縁層用組成物を不溶化できれば、特に限定されない。具体的には、例えば、キセノンランプ、ハロゲンランプ、タングステンランプ、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、中圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、蛍光ランプ、LEDなどのランプ光源及びアルゴンイオンレーザー、YAGレーザー、エキシマレーザー、窒素レーザー、ヘリウムカドミニウムレーザー、青紫色半導体レーザー、近赤外半導体レーザーなどのレーザー光源などが挙げられる。
ここで、特定波長の光を使用する場合には、光学フィルターを用いてもよい。光学フィルターとしては、例えば、薄膜で、露光波長における光透過率を制御可能なタイプでもよい。材質としては、例えば、Cr化合物(Cr酸化物、窒化物、酸窒化物、フッ化物など)、MoSi、Si、W、Al等が挙げられる。ハーフトーンマスクを用いることで、ゲート絶縁層の厚みをコントロールし、ゲート絶縁層に凹部を形成させることも可能である。
露光量は、通常0.01mJ/cm以上、好ましくは0.1mJ/cm以上、より好ましくは1mJ/cm以上であり、また、一方、通常1000mJ/cm以下、好ましくは800mJ/cm以下、より好ましくは500mJ/cm以下である。近接露光方式の場合、露光対象とマスクパターンとの距離は、通常10μm以上、好ましくは50μm以上、より好ましくは75μm以上であり、また、一方、通常500μm以下、好ましくは400μm以下、より好ましくは300μm以下である。上記の露光を行った後、現像することにより、ゲート絶縁層にパターンを形成することができる。
現像液としては、露光により不溶化されていないゲート絶縁層用組成物を除去できればよく、特に限定されるものではない。現像液は、有機溶剤などを用いても良いが、アルカリ性化合物の水溶液を主成分として用いることが臭気、コスト、環境問題等の点から好ましい。
現像液として用いることができる有機溶剤としては、例えば、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、ベンジルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、フェニルセロソルブ、ジアセトンアルコールなどが挙げられる。有機溶剤は、1種を単独で用いても、2種以上を任意の組合せ及び比率で用いてもよい。
現像液として用いることができるアルカリ性化合物の水溶液に用いるアルカリ性化合物は、無機アルカリ性化合物でも有機アルカリ性化合物でも良い。無機アルカリ性化合物としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、メタケイ酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸水素ナトリ
ウム、リン酸水素カリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム、水酸化アンモニウムなどが挙げられる。有機アルカリ性化合物としては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのエタノールアミン;モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミンなどのメチルアミン;モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミンなどのエチルアミン;モノイソプロピルアミン、ジイソプロピルアミンなどのイソプロピルアミン;n−ブチルアミン;モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミンなどのイソプロパノールアミン;エチレンイミン;エチレンジイミン;テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)及びコリンなどが挙げられる。これらのうち、電界効果トランジスタの電気特性の点では、有機アルカリ性化合物が好ましく、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドが特に好ましい。アルカリ性化合物の水溶液は、通常、これらのアルカリ性化合物の0.01〜5重量%水溶液を用いる。なお、アルカリ性化合物は、1種を単独で用いても、2種以上を任意の組合せ及び比率で用いてもよい。
また、アルカリ性化合物の水溶液と有機溶剤を併用しても良い。具体的には、例えば、現像液100重量%に対してアルカリ性化合物0.001〜5重量%と有機溶媒0.1〜20重量%を含む水溶液などを用いてもよい。また、現像は複数回に分けて行なっても良い。具体的には、例えば、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液で現像した後、エタノールで2回目の現像を行うなどしても良い。
現像液には、界面活性剤、消泡剤、緩衝剤、錯化剤等が含まれていてもよい。界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルエステル類、ソルビタンアルキルエステル類、モノグリセリドアルキルエステル類などのノニオン系界面活性剤;アルキルベンゼンスルホン酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、アルキル硫酸塩類、アルキルスルホン酸塩類、スルホコハク酸エステル塩類などのアニオン性界面活性剤;アルキルベタイン類、アミノ酸類などの両性界面活性剤などが挙げられる。
現像方法及びその条件ついては、特に制限は無い。現像方法としては、浸漬現像、パドル式現像、スプレー現像、ブラシ現像、超音波現像等が挙げられる。中でも、浸漬現像、及びスプレー現像は、汚れが付き難く、ダメージが生じ難く、均一に現像しやすいことから好ましく、また、パドル式現像は現像液の使用量が抑えられる点で好ましい。現像温度については、通常10℃以上、好ましくは15℃以上であり、また、一方、通常50℃以下、好ましくは45℃以下で行う。
現像後に、必要により追露光を行ってもよい。追露光は、上記の露光方法と同様の方法により行なえばよい。但し、追露光の場合は、マスクを用いずに全面露光すれば良い。
ゲート絶縁層用組成物を塗布後にパターニングした後、又はゲート絶縁層用組成物を印刷した後に、更に加熱による架橋処理を施しても良い。熱架橋処理は、十分に架橋させやすい点では、高温で長時間行うことが好ましいが、一方で、基板の耐熱性の点では低温処理が好ましく、また、生産性の点では、短時間処理が好ましい。そこで、熱架橋処理時の温度は、通常100℃以上、好ましくは120℃以上、より好ましくは150℃以上であり、また、一方、通常280℃以下、好ましくは250℃以下、より好ましくは240℃以下である。熱架橋処理を行なう時間は、通常1分以上、好ましくは10分以上であり、通常60分以下である。熱架橋処理を行うときの雰囲気は、大気、窒素又は減圧下などから適宜選択すればよい。架橋処理時に発生したラジカルを効率的に使用することができる点では、窒素雰囲気で熱架橋処理するのが好ましいが、加熱処理の分解で発生する脱ガスを効率良く除去して、脱ガスによる汚染を起こり難くしやすい点では減圧下での熱架橋処理が好ましい。また、設備面やコストの点では、大気下で熱処理することが好ましい。本発明のゲート絶縁層組成物は、効率的に架橋させることができる上に脱ガスも少ないため、
本発明の電界効果トランジスタを大気下処理でも作製することができる。
[ゲート絶縁層]
本発明のゲート絶縁層は、上述の本発明のゲート絶縁層の湿式成膜用組成物を湿式成膜後に架橋させることにより得られる。
本発明のゲート絶縁層の膜厚は、ハジキなどの欠陥によるゲートリークが起こり難い点では厚いのが好ましいが、また、一方で、移動度の点では薄いのが好ましい。そこで、ゲート絶縁層の膜厚は、通常50nm以上、好ましくは100nm以上、より好ましくは200nm以上であり、また、一方、通常3000nm以下、好ましくは2000nm以下、より好ましくは1000nm以下である。また、ゲート絶縁層の膜厚は、基板上の全面に渡って均一であることが重要である。なぜなら、ゲート絶縁層の膜厚が均一であると、このゲート絶縁層を有する電界効果トランジスタの移動度が均一になり、この電界効果トランジスタを有する表示パネルが均一に表示されやすいからである。
本発明のゲート絶縁層は、エッチング液に対する耐性に優れる。具体的には、基板上に形成させたゲート絶縁層を、関東化学株式会社製「AURUM−302」(Auエッチング用溶液)又は三菱化学株式会社製「クロムエッチャントLD(L7)」(Crエッチング用溶液)に5分間浸漬した後、水洗し、乾燥させたときの表面状態を、光学顕微鏡により5〜50倍で観察したときに、通常、表面荒れや剥がれ等の異常が見られない。
また、本発明のゲート絶縁層は、耐熱性及び膜としての安定性に優れることから、その上に形成した半導体に加熱やレーザー照射を施したときに、ゲート絶縁層からの溶出物や脱ガスにより半導体の結晶化が阻害され難い。具体的には、200℃〜240以上の高温で処理にかけることが可能である。
本発明のゲート絶縁層は、その上に、モリブデンなどの硬い金属をスパッターしてもひび割れなどが発生し難い。
[電界効果トランジスタ]
本発明の電界効果トランジスタ(FET)は、本発明のゲート絶縁層を有する。以下に、電界効果トランジスタの構造について詳細に説明するが、本発明の電界効果トランジスタは、以下に説明するものに限定されるものではなく、本発明のゲート絶縁層を備える限り任意の構成とすることができる。
電界効果トランジスタは、通常、基板、該基板上のゲート絶縁層、該ゲート絶縁層により隔離されたゲート電極と半導体層、及び該半導体層に接して設けられたソース電極とドレイン電極を有する。ここで、ゲート電極に電圧が印加されると、ソース電極−ドレイン電極間の半導体層と隣接する層との界面に電流の流路(チャネル)が形成される。そして、このような構造により、電界効果トランジスタは、ゲート電極に印加される入力電圧に応じて、ソース電極とドレイン電極との間を流れる電流を制御する機構となっている。
電界効果トランジスタの構造を図面に基づいて説明する。図1(A)〜(D)は、各々、電界効果トランジスタの代表的構造を模式的に表わす縦断面図である。図1(A)〜(D)において、1は基板、2はゲート電極、3はゲート絶縁層、4は半導体層、5はソース電極、6はドレイン電極をそれぞれ表わす。また、図1(A)は、ボトムゲート・ボトムコンタクト型、図1(B)は、ボトムゲート・トップコンタクト型、図1(C)はトップゲート・ボトムコンタクト型、図1(D)はトップゲート・トップコンタクト型の電界効果トランジスタを各々表わすが、本発明の電界効果トランジスタの構造は、これらの例に限定されるものではない。更に、図示を省略するが、各電界効果トランジスタの図面上最上部には、オーバーコート層が形成されている場合もある。これらの構造のうち、本発明のゲート絶縁層は、その上に高性能な半導体層を湿式成膜時しやすく、結晶化させやすく、その優れた効果が発現されやすいことから、半導体層をゲート絶縁層上に設ける「ボト
ムゲート型」とすることが好ましい。
[基板]
基板は、電界効果トランジスタ及びその上に作製される表示パネル等を支持できるものであれば良い。材料としては、ガラス、石英、ポリシロキサン等の無機材料及び各種有機ポリマー等が使用可能である。これらのうち、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリアミド、ポリエーテルスルフォン、エポキシ樹脂、ポリベンゾオキサゾール、ポリベンゾチアゾール、ポリパラバン酸、ポリシルセスキオキサン、及びポリオレフィン等のビニル系ポリマー等の有機ポリマー(プラスチック基板)が好適である。中でも、耐熱性及び耐溶剤性の点から、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル;ポリカーボネート、ポリイミド、ポリアミド、ポリベンゾオキサゾール、ポリベンゾチアゾール、ポリパラバン酸等の縮合系ポリマー及びポリビニルフェノール等が好ましく、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリイミド及びポリベンゾオキサゾールが更に好ましく、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル及びポリイミドが特に好ましい。なお、基板は、これらのブレンド物であってもよい。また、基板には、充填材や添加剤等が含まれていてもよい。
基板の材料は、他の層の積層時や加熱時に軟化し難いことから、ガラス転移点が高いことが好ましく、ガラス転移点が40℃以上であるのが好ましい。また、製造時の熱処理により寸法変化を起こし難く、トランジスタ性能の安定性に優れる点から、線膨張係数が小さいことが好ましく、線膨張係数が25×10−5cm/cm・℃以下である材料が好ましく、10×10−5cm/cm・℃以下である材料が更に好ましい。また、基板の材料は、電界効果トランジスタ作製時に用いる溶剤に対する耐性を有する材料が好ましく、前記ゲート絶縁層及び電極との密着性に優れる材料が好ましい。
基板の厚みは、10mm以下であるのが好ましく、2mm以下であるのが更に好ましく、1mm以下であるのが特に好ましい。また、一方で、0.01mm以上であるのが好ましく、0.05mm以上であるのが更に好ましい。特に、有機ポリマー基板の場合は、0.05〜0.1mm程度であるのが好ましく、ガラスやシリコン等の無機基板の場合は、0.1〜10mm程度であるのが好ましい。
特に、有機ポリマー(プラスチック基板)の場合、ガスバリア性の高い材料を用いるのが好ましく、基板の少なくとも片面に緻密なシリコン酸化膜等を設ける、無機材料を蒸着又は積層するなどすることが好ましい。
[ゲート電極]
ゲート電極は、従来の電界効果トランジスタにおいて、用いられている導電性材料からなる電極を用いることができる。具体的には、例えば、白金、金、銀、アルミニウム、クロム、ニッケル、銅、モリブデン、チタン、マグネシウム、カルシウム、バリウム、ナトリウム等の金属;InO、SnO、ITO等の導電性金属酸化物;ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセチレン等の導電性高分子;塩酸、硫酸、スルホン酸等の酸、PF、AsF、FeCl等のルイス酸、沃素等のハロゲン原子、ナトリウム、カリウム等の金属原子等のドーパントを添加した前記導電性高分子、並びに、カーボンブラック、グラファイト粉、金属微粒子等を分散した導電性の複合材料などが挙げられる。これらの材料は、1種のみを用いても、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用、若しくは積層しても良い。
ゲート電極の形成方法に制限は無いが、例えば、真空蒸着法、スパッタ法、塗布法、印刷法、転写法、ゾルゲル法等により形成された膜を、必要に応じて所望の形状にパターンニングすることなどにより形成することができる。パターニングする方法は、特に制限は無い。電極のパターニングは、例えば、フォトリソグラフィー法、印刷法及びこれらの手
法を複数組み合わせた手法等が挙げられる。フォトリソグラフィー法としては、例えば、フォトレジストのパターニングと、エッチング液によるウェットエッチングや反応性のプラズマによるドライエッチング等のエッチングやリフトオフ法などとを組み合わせる方法などが挙げられる。印刷法としては、インクジェット印刷、スクリーン印刷、オフセット印刷、凸版印刷等の印刷法、マイクロコンタクトプリンティング法等が挙げられる。また、導電性材料に、レーザーや電子線等のエネルギー線を照射して、研磨又は材料の導電性を変化させることによりパターニングを行ってもよい。また、基板以外の支持体に印刷したゲート絶縁層用組成物を基板などの下地層の上に転写させてもよい。
ゲート電極の厚みは、任意であるが、1nm以上であるのが好ましく、10nm以上であるのが特に好ましい。また、500nm以下であるのが好ましく、200nm以下であるのが特に好ましい。
[ゲート絶縁層]
ゲート絶縁層としては、前述の本発明の有機ゲート絶縁層を用いる。
[半導体層]
半導体層に用いる半導体に制限は無い。本発明の効果を活かした電界効果トランジスタにする観点からは、半導体は、湿式法により形成し易いことから有機半導体が最適である。但し、湿式法により形成可能であれば、金属酸化物半導体も好ましく用いられる。
有機半導体としては、通常、π共役系の低分子及び高分子化合物を用いることができる。具体例を挙げると、ポルフィリン、ペンタセン(pentacene)、銅フタロシアニン(copper phthalocyanine)、ポリチオフェン(polythiophene)、オリゴチオフェン、ポリアニリン(polyaniline)、ポリアセチレン(polyacetylene)、ポリピロール(polypyrrole)、ポリフェニレンビニレン(polyphenylene vinylene)またはこれらの誘導体などが挙げられる。これらのうち、電界効果トランジスタのオンオフ比(on/off比)が高く、閾値電圧Vtが低くなりやすいことから、ポルフィリン、ポリチオフェン、オリゴチオフェンが好ましく、ポルフィリンが特に好ましい。半導体の材料は、1種のみでも、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
本発明のゲート絶縁層は、その上に湿式法で半導体層を形成すると、簡便で低コストに高性能な電界効果トランジスタを得やすい上に大面積化にも適していることから、半導体層の形成方法は湿式法が好ましい。湿式法としては、例えば、スピンコーティング、インクジェット、ノズルプリント、スタンプ印刷、スクリーン印刷、グラビア印刷、エレクトロスプレイデポジション法等により半導体材料を塗布した後、乾燥させることにより形成することができる。
本発明のゲート絶縁層上に半導体層を湿式法により形成する場合、電界効果トランジスタが高性能になりやすいことから、半導体層は結晶化処理が施されているのが好ましく、加熱やレーザー照射による結晶化処理が施されているのが特に好ましい。本発明のゲート絶縁層は、耐熱性及び安定性に優れることから、その上に形成された半導体層を加熱やレーザー照射等により結晶化させる場合、ゲート絶縁層の分解や成分の染み出し等による結晶化の阻害が起こり難く、半導体の結晶化が進み、高性能な半導体層が得られる。結晶化処理の方法としては、ホットプレート、オーブンなどによる加熱又はレーザー照射などが挙げられる。加熱温度については、結晶化が進行しやすい点では高温が好ましく、また、一方で、基板等に熱の影響を与え難い点では低温が好ましい。具体的には、100℃以上が好ましく、150以上が特に好ましく、また、一方で、300℃以下が好ましく、250℃以下が特に好ましい。
半導体層の膜厚は、任意であるが、1nm以上が好ましく、10nm以上が更に好まし
い。また、10μm以下が好ましく、1μm以下が更に好ましく、500nm以下が特に好ましい。
[ソース電極、ドレイン電極]
電界効果トランジスタにおいて、ソース電極は、配線を通じて外部から電流が流入する電極である。また、ドレイン電極は、配線を通じて外部に電流を送り出す電極であり、通常、前述した半導体層に接して設けられている。ソース電極及びドレイン電極の材料としては、従来の電界効果トランジスタに用いられている導電性材料を用いることができ、例えば、前記ゲート電極の材料として挙げた導電性材料などが挙げられる。
ソース電極及びドレイン電極は、フォトリソグラフィー法、印刷法及びこれらの手法を複数組み合わせた手法等の前述のゲート電極の形成方法と同様の方法により形成することができる。フォトリソグラフィー法としては、リフトオフ法で行っても、エッチング法で行っても良い。
特に、本発明のゲート絶縁層がエッチング液や剥離液に対する耐性に優れていることから、ソース電極及びドレイン電極はエッチング法でも好適に形成することが出来る。エッチング法は、導電性材料を成膜した後に不要部分をエッチングにより除去する方法である。また、エッチング法によりパターニングすると、レジスト除去時に下地に残った導電性材料の一部が剥がれたり、レジスト残渣や除去された導電性材料の一部が下地に再付着したりする危険性が無く、形成される電極エッジ部の形状に優れる点でリフトオフ法よりも好ましい。
但し、フォトリソグラフィー法として、リフトオフ法を採用しても構わない。リフトオフ法は、下地の一部にレジストを塗布し、この上に導電性材料を成膜し、レジスト等を溶剤による溶出や剥離等することにより、レジスト上の導電性材料ごと除去し、レジストが塗布されていなかった部分にのみ導電性材料を形成する方法である。
ソース電極及びドレイン電極の厚みは、任意であるが、1nm以上が好ましく、10nm以上が特に好ましい。また、500nm以下が好ましく、300nm以下が特に好ましい。
ソース電極とドレイン電極との間の間隔(チャネル長)は任意であるが、100μm以下が好ましく、50μm以下が特に好ましい。また、チャネル幅は、5000μm以下が好ましく、1000μm以下が特に好ましい。
[オーバーコート層]
オーバーコート層は、通常、電界効果トランジスタの表面に保護層として形成される層である。なお、本発明の電界効果トランジスタにおいて、オーバーコート層は必須の層ではない。
オーバーコート層は、有機系のオーバーコート層でも無機系のオーバーコート層でもよい。有機系のオーバーコート層を形成する材料としては、例えば、ポリスチレン、アクリル樹脂、ポリビニルアルコール、ポリオレフィン、ポリイミド、ポリウレタン、ポリアセナチレン、エポキシ樹脂等の有機ポリマー、及びこれらの有機ポリマーに架橋性基や撥水基等を導入した化合物などの有機ポリマーの誘導体など挙げられる。これらの有機ポリマーやその誘導体には、架橋成分、フッ素化合物、シリコン化合物などが添加されていてもよい。無機系のオーバーコート層を形成する材料としては、酸化珪素、酸化アルミニウムなどの金属酸化物、窒化珪素等の金属窒化物等が挙げられる。これらの材料は、1種を用いても、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
オーバーコート層の形成方法に制限は無く、公知の各種の方法により形成することができる。例えば、有機系のオーバーコート層は、例えば、その下地となる層に、オーバーコート層となる材料を含む溶液を塗布後に乾燥させる、オーバーコート層となる材料を含む
溶液を塗布、乾燥後に露光、現像してパターニングするなどの方法により形成することができる。なお、オーバーコート層のパターニングは、印刷法やインクジェット法などにより直接○○に形成することも出来る。また、オーバーコート層のパターニング後に、露光や加熱することにより、オーバーコート層を架橋させてもよい。一方、無機系のオーバーコート層は、スパッタリング法、蒸着法等の乾式法やゾルゲル法のような湿式法により形成することができる。オーバーコート層は、多層構造としてもよい。
[その他の層]
本発明の電界効果トランジスタには、これら以外の層や部位を設けても良い。その他の層としては、例えば、バンク等が挙げられる。バンクは、インクジェット法などにより半導体層やオーバーコート層等を形成するときに、吐出液を所定の位置に塞き止める目的等で用いられる。このため、バンクには、通常、撥液性がある。バンクの形成方法としては、フォトリソ法などにより構造物を形成させた後にフッ素プラズマ法などの撥液処理を施す方法、フッ素化合物などの撥液成分を含む感光性組成物などで構造物を形成させる方法などが挙げられる。本発明の電界効果トランジスタの場合、ゲート絶縁層が有機層であることから、後者の撥液成分を含む組成物で構造物を形成させる方法が、ゲート絶縁層が撥液処理の影響を受ける可能性が無いため好ましい。なお、バンクを用いずに下地に撥液性のコントラストを持たせてバンクと同じ役割を持たせる技術を用いてもよい。
[表示パネル]
本発明の表示パネルは、上述の本発明の電界効果トランジスタを有する。表示パネルとしては、例えば、液晶パネル、有機ELパネル、電子ペーパーパネル等が挙げられる。
以下、本発明を実施例によって詳細に説明する。但し、本発明は、以下の実施例に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲において、任意に変更して実施できる。
表1に、実施例および比較例で用いた組成物の組成を示す。
各組成物は、何れも、各成分を混合、攪拌することにより充分に溶解させた後、孔径0.02μmのUPEフィルターを用いて濾過を行い、最後に充分に脱気させることにより調製した。なお、組成物の調製は、何れも紫外光をカットしたイエロー光の下で実施した。各成分の詳細は、以下の通りである。
<重合性モノマー1> ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート。((A1)不飽和カルボン酸とポリヒドロキシ化合物とのエステル類。)
<重合性モノマー2> ジペンタエリスリトールペンタアクリレートコハク酸モノエステル。((A1)不飽和カルボン酸とポリヒドロキシ化合物とのエステル類。)
<重合性モノマー3> 以下の化学式のモノマー。((A1)不飽和カルボン酸とポリヒ
ドロキシ化合物とのエステル類。)
<重合性モノマー4> トリメチロールプロパントリメタクリレート(アルドリッチ社製)。((A1)不飽和カルボン酸とポリヒドロキシ化合物とのエステル類。)
<重合開始剤1> イルガキュアー907(チバスペシャルケミカルズ社製)。((B11)α−アミノアルキルフェノン系化合物。)
<重合開始剤2> OXE02(BASF社製)。((B13)オキシムエステル化合物。)
<重合開始剤3> トリフェニルスルホニウムトリフラート(アルドリッチ社製)。
<重合開始剤4> ベンゾイルペルオキシド(アルドリッチ社製)。
<樹脂1> 以下の方法により、架橋性基を含む樹脂を合成した。
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート145重量部を窒素置換しながら攪拌し、120℃に昇温した。これに、スチレン20重量部、グリシジルメタクリレート57重量部およびトリシクロデカン骨格を有するモノメタクリレート(日立化成(株)製「FA−513M」)82重量部を滴下し、更に、140℃で2時間攪拌し続けた。次に、反応容器内を空気置換し、アクリル酸27重量部にトリスジメチルアミノメチルフェノール0.7重量部およびハイドロキノン0.12重量部を投入し、120℃で6時間反応を続けた。その後、テトラヒドロ無水フタル酸(THPA)52重量部、トリエチルアミン0.7重量部を加え、120℃で3.5時間反応させ、下記4種の繰り返し単位を有する樹脂1を得た。この樹脂は、(C1)架橋性基を有するビニル系樹脂である。
この樹脂の重量平均分子量(Mw)は、8,000であり、アルカリ可溶性基としてカルボキシル基を有していた。また、この樹脂の架橋性基等量は、原料の仕込比より、480g/eqであった。
なお、本実施例における重量平均分子量は、島津製作所製「ゲル浸透クロマトグラフシステムLS Solution」で、島津製作所製「カラムGPC−804」を用いて測定したポリスチレン換算の値とした。
<樹脂2> 以下の方法により、架橋性基を含む樹脂を合成した。
重量平均分子量(Mw)4,000のm−クレゾールノボラック樹脂120gとグリシジルメタクリレート71gをプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート191gに溶解し、パラメトキシフェノール0.19gおよびテトラエチルアンモニウムクロライド1.9gを加え、90℃で13時間反応させた。ガスクロ分析でグリシジルメタクリレートが1重量%以下になったことを確認し、テトラヒドロフタル酸無水物45.6gおよびプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート45.6gを加え、95℃で更に5時間反応させた。赤外線分光装置で酸無水物が無くなったことを確認し、下記3種の繰り返し単位を有する樹脂2((C3)変性ノボラック系樹脂)を得た。
この樹脂の重量平均分子量(Mw)は7500で、アルカリ可溶性基としてカルボキシル基を有していた。また、この樹脂の架橋性基等量は、原料仕込み比より380g/eqであった。
<樹脂3> ポリ桂皮酸ビニル(アルドリッチ社製、重量平均分子量(Mw)200,000)。この樹脂は、アルカリ可溶性基としてカルボキシル基を有していた。また、こ
の樹脂の架橋性基等量は、原料仕込み比より174g/eqであった。
<樹脂4> スチレン/α−メチルスチレン/アクリル酸(モル比:70/10/20)共重合体(酸価:108mg−KOH/g、重量平均分子量(Mw):4,600)。なお、本実施例において、酸価は、フェノールフタレインを指示薬として、0.1mol/リットルの水酸化カリウムのメタノール溶液で滴定することにより測定した。
<樹脂5> ポリビニルフェノール(アルドリッチ社製、重量平均分子量8,000)。
<液性改質剤> ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン BYK−330(ビックケミー社製)。
<溶剤1> プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート。
<溶剤2> シクロヘキサノン。
<現像液1> 0.4重量%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液。
<現像液2> シクロヘキサノン。
<現像液3> 1−メチル−2−ピロリジノン。
[実施例1]
ガラス基板(旭ガラス社製「AN100」)を洗浄剤(ライオン社製「サンウォッシュTL−100」)による超音波洗浄、超純水による水洗、超純水による超音波洗浄、超純水による水洗の順で洗浄した後、水切りし、180℃のオーブンで10分間加熱乾燥させ、UVオゾン処理(低圧水銀灯にて1000mj/cm)を1分間行った。
上記ガラス基板上に、以下の手順でゲート絶縁層を形成させた。ゲート絶縁層の形成は、紫外光をカットしたイエロー光の下で実施した。先ず、上記ガラス基板上に、重合性モノマー1(57g)、重合開始剤1(3g)、樹脂1(39g)及び液性改質剤(0.1g)を溶剤1(300g)に溶解させた組成物をスピンコートした後、ホットプレートを用いて、60℃で1分間加熱乾燥させた。次いで、3kW高圧水銀を用いて、200mJ/cmの露光量で全面露光させた。これを現像液1に揺らしながら20秒間浸漬させた後、水洗してから圧空により乾燥させた。そして、オーブン中で、230℃で1時間ベークすることにより膜厚が500nmゲート絶縁層を形成させた。
<ゲート絶縁層のエッチング液に対する耐性の評価>
上記のようにしてガラス基板上に形成させたゲート絶縁層を関東化学株式会社製「AURUM−302」(Auエッチング用溶液)又は三菱化学株式会社製「クロムエッチャントLD(L7)」(Crエッチング用溶液)に、各々5分間浸漬した後、水洗し、乾燥させた。ゲート絶縁層の表面状態を光学顕微鏡にて、5〜50倍で観察し、以下の基準でゲート絶縁層のエッチング液に対する耐性を評価した。結果を表1に示す。
○:全く異常無し。
△:一部に表面荒れがある。
×:ハガレがある。若しくは全面に表面荒れがある。
<半導体層の結晶性評価>
上記のゲート絶縁層の形成までを行った基板(エッチング液に対する耐性評価前)を、イソプロピルアルコールにより10分間超音波洗浄した後、窒素雰囲気下のグローブボックス中に移し、160℃で10分間乾燥させた。これに、下記構造を有するポルフィリン化合物の0.7重量%クロロホルム溶液を1000rpm/30秒の条件でスピンコートした後、ホットプレートにより210℃で30分間加熱することにより、半導体層を形成させた。
得られた半導体層の表面状態を、電子顕微鏡を用いて50倍で観察し、ベンゾポルフィリン化合物の結晶化状態を以下の基準で評価した。この結果を表1に示す。
○:密な結晶化が進行している。
△:海島状態に部分的に結晶化している。
×:殆ど結晶化が見られない。
[実施例2]
実施例1において、重合性モノマー1の代わりに重合性モノマー2を用いた以外は、実施例1と同様にして、ゲート絶縁層を形成させ、ゲート絶縁層のエッチング液に対する耐性及びこの上に実施例1と同様に形成させた半導体層の結晶性を評価した。この結果を表1に示す。
[実施例3]
実施例1において、重合開始剤1(3g)の代わりに重合開始剤1(3g)と重合開始剤2(3g)を併用し、樹脂1(39g)の代わりに樹脂1(9g)と樹脂2(30g)を併用し、露光量を200mJ/cmから400mJ/cmに変更した以外は、実施例1と同様にして、ゲート絶縁層を形成させ、ゲート絶縁層のエッチング液に対する耐性及びこの上に実施例1と同様に形成させた半導体層の結晶性を評価した。この結果を表1に示す。
[比較例1]
実施例1と同様にUVオゾン処理まで施したガラス基板上に、以下の手順でゲート絶縁層を形成させた。ゲート絶縁層の形成は、紫外光をカットしたイエロー光の下で実施した。先ず、上記ガラス基板上に、樹脂3(7.5g)を溶剤2(92.5g)に溶解させた組成物をスピンコートした後、ホットプレートを用いて、80℃で3分間加熱乾燥させた。次いで、3kW高圧水銀を用いて、500mJ/cmの露光量で全面露光させた。これを現像液2に揺らしながら150秒間浸漬させた後、新しい現像液2を用いて洗浄してから圧空により乾燥させた。そして、更に、3kW高圧水銀を用いて、1000mJ/cmの露光量で全面露光させてから、オーブン中で、160℃で30分間ベークすることにより、膜厚が500nmのゲート絶縁層を形成させた。このゲート絶縁層のエッチング液に対する耐性及びこの上に実施例1と同様に形成させた半導体層の結晶性を、実施例1
と同様に評価した。この結果を表1に示す。
[比較例2]
実施例1において、ゲート絶縁層用組成物の組成を、重合性モノマー1(34g)、重合性モノマー3(19g)、重合開始剤2(6g)、液性改質剤(0.1g)及び溶剤1(300g)とした以外は、実施例1と同様にして、ゲート絶縁層を形成させ、ゲート絶縁層のエッチング液に対する耐性及びこの上に実施例1と同様に形成させた半導体層の結晶性を評価した。この結果を表1に示す。
[比較例3]
実施例1と同様にUVオゾン処理まで施したガラス基板上に、以下の手順でゲート絶縁層を形成させた。ゲート絶縁層の形成は、紫外光をカットしたイエロー光の下で実施した。先ず、上記ガラス基板上に、重合性モノマー4(10g)、重合開始剤3(0.1g)、重合開始剤4(0.1g)、樹脂5(30g)を溶剤2(270cm)に溶解させた組成物をスピンコートした後、ホットプレートを用いて、100℃で5分間加熱乾燥させた。次いで、3kW高圧水銀を用いて、100mJ/cmの露光量で全面露光させた。これを現像液3に揺らしながら3秒間浸漬させたところ、膜が流れ落ちてしまった。そこで、全面露光させたもののゲートコンタクト部を現像液により拭いとった後、圧空により乾燥させた。そして、オーブン中で、100℃で10分間ベークすることにより膜厚が○
○nmのゲート絶縁層を形成させた。このゲート絶縁層のエッチング液に対する耐性及びこの上に実施例1と同様に形成させた半導体層の結晶性を、実施例1と同様に評価した。この結果を表1に示す。
表1の結果を比較すると、本発明に係る重合性モノマー、重合開始剤及び架橋性基を有する樹脂を含む組成物を湿式成膜させた実施例1〜3は、エッチング液に対する耐性に優れ、その上に形成させた半導体層の結晶性にも優れていた。これに対し、架橋性基を有する樹脂のみを湿式成膜させた比較例1は、その上に形成させた半導体層の結晶性には優れていたが、エッチング液に対する耐性に劣っていた。また、重合性モノマー、重合開始剤及び架橋性基を有さない樹脂を含む組成物を湿式成膜させた比較例2及び3については、エッチング液に対する耐性が低く、その上に形成させた半導体層も殆ど結晶化していなかった。
[実施例4]
実施例1と同様にUVオゾン処理まで施したガラス基板を、開口幅1.2mmのシャドーマスクで覆った後、真空蒸着機(アルバック社製「EX−400」)にて、真空度を10−6Torrにて、Crを300Åの厚さで蒸着し、ゲート電極を作製した。このゲート電極を作製した基板をイソプロピルアルコールによる超音波洗浄した後、150℃のオーブンで10分間乾燥させた後、UVオゾン処理(低圧水銀灯にて1000mj/cm)を1分間行った。
そして、この上に、露光前にギャップ100μmでチャネル部を覆う形状の開口パターンのマスクを用いた以外は、実施例1と同様にしてゲート絶縁層を形成させた。
上記ゲート絶縁層を形成させた基板上に、紫外光をカットしたイエロー光の下で、フォトレジスト(日本ゼオン社製「ZPN1150」)を用いて、ソース及びドレイン電極のパターンが開口した状態のパターニングを行った。この上に、Cr50Å及びAu1000Åを蒸着した後、アセトン及びイソプロピルアルコールに各々30分ずつ超音波にかけて浸漬させ、レジストとその上にある金属をリフトオフさせた。このようにして、チャネル長が10μmで、チャネル幅が500μmのソース及びドレイン電極を形成させた。
上記ソース及びドレイン電極を形成させた基板を窒素雰囲気下のグローブボックス中に
移し、150℃で10分間乾燥させた。これに、上記構造のポルフィリン化合物の0.7重量%クロロホルム溶液を1000rpm/30秒の条件でスピンコートした後、ホットプレートにより210℃で30分間加熱することにより、該ポルフィリン化合物をテトラベンゾポルフィリン化合物に変換、結晶化させ、有機半導体層を形成させ、電界効果トランジスタを作製した。
<素子の移動度測定>
このようにして得られた電界効果トランジスタについて、アジレントテクノロジー社製半導体パラメーターアナライザー「4155C」を用いて、移動度μを測定した。移動度の測定は、Vd=−30Vで実施した。結果を表1に示す。
[実施例5、6及び比較例4〜6]
実施例4において、ゲート絶縁層の形成方法を各々、実施例2、3及び比較例1〜3と同様に行った以外は、実施例4と同様にして、電界効果トランジスタを作製し、その移動度を測定した。結果を各々表1に示す。
表1の結果を比較すると、ゲート絶縁層上にリフトオフ法によりソース及びドレイン電極を形成させた電界効果トランジスタについては、重合性モノマー、重合開始剤及び架橋性基を有する樹脂を含む組成物を湿式成膜させることによりゲート絶縁層を形成させた実施例1〜3は、移動度が0.785cm/Vs(実施例4)、0.835cm/Vs(実施例5)、0.424cm/Vs(実施例6)と何れも高かった。これに対し、架橋性基を有する樹脂のみを湿式成膜させることによりゲート絶縁層を形成させた比較例4は、移動度が0.00202cm/Vsと非常に低い(比較例5)、又は現像液への浸漬で膜が溶けて流れ落ちてしまった(比較例6)。
[実施例7]
実施例5と同様にゲート絶縁層の形成までを行った。このゲート絶縁層を形成させた基板上に、Cr50Å及びAu1000Åを蒸着した。紫外光をカットしたイエロー光の下で、ポジ型フォトレジスト東京応化工業株式会社製「OFPR−800LB」を用いて、ソース及びドレイン電極のポジ型レジストパターンを形成させた。次に、関東化学株式会社製「AURUM−302」を用いてAuをエッチングした後、三菱化学株式会社製「クロムエッチャントLD(L7)」を用いてCrをエッチングした。これを水洗したのち、東京応化工業株式会社製「剥離液106」を用いて、レジストを剥離させ、更に新しい「剥離液106」を用いて濯いだ後、流水により10分間水洗し、その後、アセトン10分、水30分、イソプロピルアルコール30分ずつで超音波にかけて洗浄した。このようにして、チャネル長が10μmで、チャネル幅が500μmのソース及びドレイン電極を形成させた。
この上に、実施例5と同様にして、有機半導体層を形成させ、電界効果トランジスタを作製した。
このようにして得られた電界効果トランジスタについて、実施例4と同様にして移動度を測定した。結果を表1に示す。また、伝達特性のグラフは、グラフ1の通りであった。表1の結果より、重合性モノマー、重合開始剤及び架橋性基を有する樹脂を含む組成物を湿式成膜させることにより形成させたゲート絶縁層上に、エッチング法によりソース及びドレイン電極を形成させた電界効果トランジスタの移動度は、0.74cm/Vsと高かった。
1 半導体層
2 ゲート絶縁層
3 ソース電極
4 ドレイン電極
5 ゲート電極
6 基板

Claims (10)

  1. 電界効果トランジスタのゲート絶縁層用組成物であって、重合性モノマー、重合開始剤及び架橋性基としてアリル基及び/又は(メタ)アクリロイル基を有する樹脂を含み、該重合性モノマーがエチレン性不飽和結合を2個以上有し、該架橋性基を有する樹脂の架橋性基当量が800g/eq以下であることを特徴とする電界効果トランジスタのゲート絶縁層用組成物。
  2. 更に溶媒を含み、該溶媒の沸点が80℃以上170℃以下であって、該溶媒がSP値が9.0以上10.0以下の成分を60重量%以上含むことを特徴とする、請求項1に記載の電界効果トランジスタのゲート絶縁層用組成物。
  3. 上記架橋性基としてアリル基及び/又は(メタ)アクリロイル基を有する樹脂がアルカリ可溶性基を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の電界効果トランジスタのゲート絶縁層用組成物。
  4. 前記アルカリ可溶性基がカルボキシル基であることを特徴とする請求項3に記載の電界効果トランジスタのゲート絶縁層用組成物。
  5. 請求項1乃至4の何れか1項に記載の電界効果トランジスタのゲート絶縁層用組成物を湿式成膜後に架橋させることにより得られることを特徴とする電界効果トランジスタのゲート絶縁層。
  6. 請求項5に記載の電界効果トランジスタのゲート絶縁層であって、前記架橋を露光及び/又は加熱により行い、該架橋後にアルカリ現像液により現像することにより得られることを特徴とする電界効果トランジスタのゲート絶縁層。
  7. 請求項5又は6に記載のゲート絶縁層を有することを特徴とする電界効果トランジスタ。
  8. 請求項7に記載の電界効果トランジスタであって、前記ゲート絶縁層上にエッチング法により形成される電極を有することを特徴とする電界効果トランジスタ。
  9. 請求項7又は8に記載の電界効果トランジスタであって、前記ゲート絶縁層上に、湿式法により形成後に結晶化処理を施された半導体層を有することを特徴とする電界効果トランジスタ。
  10. 請求項7乃至9の何れか1項に記載の電界効果トランジスタを有することを特徴とする表示パネル。
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