WO2015156123A1 - 光学基材及びその製造方法、並びに、積層体、レジスト剥離液 - Google Patents

光学基材及びその製造方法、並びに、積層体、レジスト剥離液 Download PDF

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Abstract

 同一面内にドット領域とともに設けられた電極パッド形成部の検査を容易にできる光学基材を提供すること。微細構造層(6)の表面は、凸状あるいは凹状にて形成された複数の第1ドット(10)により構成される第1ドット領域(7)と、発光素子の電極パッド形成部として利用可能な平坦面(8)と、前記第1の面と前記平坦面との間に位置し、凸状あるいは凹状にて形成された複数の第2ドット(11)により構成される第2ドット領域(12)とを有し、前記第2ドット領域は、前記第1ドット領域よりも光の散乱効果あるいは回折効果が小さい領域であることを特徴とする。

Description

光学基材及びその製造方法、並びに、積層体、レジスト剥離液
 本発明は、凸状あるいは凹状から構成される複数のドットが表面に形成されてなる微細構造層を有する光学基材及びその製造方法、並びに、積層体、レジスト剥離液に関する。
 半導体層を利用した半導体発光素子である例えば発光ダイオード(LED)は、従来の蛍光灯や白熱球等の旧来の発光装置に比較し、小型で電力効率が高く、オンオフ応答性が速い等の特性を有し、かつ、全て固体で構成されているため振動に強く機器寿命が長い等の多くの利点を有している。
 近年ではさらにLEDの光取り出し効率を向上させることを目的として、基材の表面や素子の光出射面に凹凸を形成する試みが活発に行われている。例えば特許文献1では半導体層の表面に凹凸を設けて光の進行方向を変更することにより、光取り出し効率の向上を図っている。
特許第4874155号公報 特開2003-318441号公報 特開2006-128227号公報 特許第3095296号公報 特開2001-21910号公報 特開2005-11793号公報
IEEE TRANSACTIONS ON NANOTECHNOLOGY VOL.10 NO.3 MAY 2011 P587-593
 特許文献1のように同一面内に電極パッド形成部(平坦面)と凹凸から構成されるドット領域を設ける場合、表面賦形後に電極パッド形成部のサイズや形状などの状態を目視検査し、欠陥がないことを確認する必要がある。しかし、特許文献1では電極パッド形成部の周辺が凹凸で囲まれているため、光学顕微鏡などで検査する際に、凹凸部による散乱や回折効果によって電極パッド形成部と凹凸部の境界を視認することが困難になり、正確な検査を行うことが難しいという問題があった。
 また特許文献1以外の特許文献及び非特許文献においても、上記した、光学顕微鏡などの検査の際における、電極パッド形成部と凹凸との境界の視認性についての課題認識がなく、視認性について何ら考慮がなされていない。
 本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、同一面内にドット領域とともに設けられた電極パッド形成部の検査を容易にできる光学基材及びその製造方法、並びに、積層体、レジスト剥離液を提供することを目的とする。
 本発明は、微細構造層を有する光学基材であって、前記微細構造層の表面は、凸状あるいは凹状にて形成された複数の第1ドットにより構成される第1ドット領域と、電極パッド形成部として利用可能な平坦面と、前記第1ドット領域と前記平坦面との間に位置し、凸状あるいは凹状にて形成された複数の第2ドットにより構成される第2ドット領域とを有し、前記第2ドット領域は、前記第1ドット領域よりも光の散乱効果あるいは回折効果が小さい領域であることを特徴とする。
 また本発明は、微細構造層を有する光学基材であって、前記微細構造層の表面は、凸状あるいは凹状にて形成された複数の第1ドットにより構成される第1ドット領域と、電極パッド形成部として利用可能な平坦面と、前記第1ドット領域と前記平坦面との間に位置し、凸状あるいは凹状にて形成された複数の第2ドットにより構成される第2ドット領域とを有し、前記第2ドットは、前記第1ドットよりも、高さ、深さ及び幅のいずれか一つ以上が小さいことを特徴とする。
 また本発明は、微細構造層を有する光学基材であって、前記微細構造層の表面は、凸状あるいは凹状にて形成された複数の第1ドッドを有する第1ドット領域と、電極パッド形成部として利用可能な平坦面と、前記第1ドット領域と前記平坦面との間に位置し、凸状あるいは凹状にて形成された複数の第2ドットを有する第2ドット領域とを有し、前記平坦面から前記第2ドット領域及び前記第1ドット領域にかけて切断した縦断面に現れる前記第1ドットと、隣り合う前記第2ドットと、前記平坦面との間には、以下の関係式が成り立っていることを特徴とする。
1a>txa≧tya>t、又は、t1a<txa≦tya<t、又は、t1b>txb≧tyb>t、又は、t1b<txb≦tyb<t
 ここで、tは、前記平坦面の基準位置からの厚さを示し、t1aは、前記第1ドットの底部の前記基準位置からの厚さを示し、t1bは、前記第1ドットの頂部の前記基準位置からの厚さを示し、txa及びtyaは、前記第2ドットの底部の前記基準位置からの厚さを示し、txb及びtybは、前記第2ドットの頂部の前記基準位置からの厚さを示し、txa及びtxbの膜厚を有する第2ドットは、tya及びtybの膜厚を有する第2ドットよりも前記第1ドット領域に近いことを示す。ただし、前記縦断面において、前記第2ドット領域に前記第2ドットが一つのみ現れる場合、前記関係式から、tya、及びtybが削除され、前記第2ドットの厚さは、txa及びtxbのみで示される。
 また本発明は、上記に記載の前記光学基材を製造するための積層体であって、表面に複数の凸部又は凹部から構成される複数のドットが形成されたモールドと、前記複数のドット上に前記複数の凸部又は凹部を覆うように設けられたポジ型感光性樹脂材を含有する感光性樹脂層とを具備することを特徴とする。
 また本発明は、上記に記載の前記光学基材を製造するための積層体であって、表面に凸部又は凹部から構成される複数のドットが形成されたモールドと、前記複数のドット上に前記複数の凸部又は凹部を覆うように設けられた化学増幅ネガ型感光性樹脂材を含有する感光性樹脂層とを具備することを特徴とする。
 また本発明は、上記に記載された前記光学基材の前記第1ドット及び前記第2ドットを形成する際に用いたレジストを剥離するためのレジスト剥離液であって、1種以上のアルカリ性無機化合物と、1種以上のアルカリ性有機化合物と、有機溶剤とを含有することを特徴とする。
 また本発明は、上記に記載された前記光学基材の製造方法であって、半導体発光素子形成用の基材の主面に複数の凸部又は凹部を有する凹凸領域と前記半導体発光素子の電極パッド形成部として利用可能な平坦面を形成するに際し、前記凹凸領域を形成する前記主面と対向する位置に微細パターンマスク層を設ける工程と、前記微細パターンマスク層をマスクとして前記基材をエッチングして、前記主面に前記凹凸領域と前記平坦面とを形成する工程とを含むことを特徴とする。
 本発明によれば、平坦面と第1ドット領域との間に、第2ドット領域を有しており、第2ドット領域の光の回折効果や散乱効果を、第1ドット領域よりも小さくしており、これにより、電極パッド形成部の検査を容易にすることができる。これにより、半導体発光素子の生産効率を向上させることができる。
図1Aは、各ドットを凹状で形成したときの光学基材の部分斜視模式図であり、図1Bは、各ドットを凸状で形成したときの光学基材の部分斜視模式図である。 本実施の形態における第2ドット領域の構造の例について説明するための光学基材の概念図である。 図3Aは、第1の実施の形態における半導体発光素子(光学基材)の部分断面模式図の一例であり、図3Bは、第1の実施の形態における半導体発光素子の部分平面模式図の一例である。 図4Aは、第2の実施の形態における半導体発光素子の部分断面模式図であり、図4B、図4Cは、第2の実施の形態における半導体発光素子の部分平面模式図である。 ドットの周期性についての説明図である。 ドットの周期性についての説明図である。 本実施の形態に係る第1の積層体の断面模式図である。 本実施の形態に係る第2の積層体の断面模式図である。 本実施の形態における光学基材の製造方法を示す部分断面模式図である。 図9の次に行われる光学基材の製造方法を説明するための部分断面模式図である。 図10の次に行われる光学基材の製造方法を説明するための部分断面模式図である。 モールドの斜視模式図である。 第1の積層体を用いた本実施の形態に係る光学基材の製造工程を説明するための断面模式図である。 第1の積層体を用いた本実施の形態に係る光学基材の製造工程の他の例を説明するための断面模式図である。 第2の積層体を用いた本実施の形態に係る光学基材の製造工程を説明するための断面模式図である。 第2の積層体を用いた本実施の形態に係る光学基材の製造工程の他の例を説明するための断面模式図である。 本実施の形態に係る微細パターンの一例を示す平面模式図である。 本実施の形態に係る微細パターンの他の例を示す平面模式図である。 本実施の形態に係る微細パターンの他の例を示す平面模式図である。 本実施の形態に係る微細パターンの他の例を示す平面模式図である。 実施例12で得られた微細パターン付基材の表面の電子顕微鏡写真である。 比較例5で得られた微細パターン付基材の表面の電子顕微鏡写真である。 比較例6で得られた微細パターン付基材の表面の電子顕微鏡写真である。 比較例9で得られた微細パターン付基材の表面の電子顕微鏡写真である。 図21の一部を示す部分模式図である。 図22の一部を示す部分模式図である。 図23の一部を示す部分模式図である。 図24の一部を示す部分模式図である。 フォトリソグラフィを用いて、凹凸領域にのみ微細パターンマスク層が形成された例を示す顕微鏡写真である。 フォトリソグラフィを用いて、凹凸領域に形成された微細パターンマスク層の一例を示すSEM写真である。 凹凸領域に形成された微細パターンマスク層を部分エッチングした一例を示すSEM写真である。 BClガスを使用した反応性イオンエッチングによって得られた中間体の一例を示すSEM写真である。 残存するマスク層を剥離除去した微細構造層の一例を示すSEM写真である。 図29の模式図である。 図30の一部模式図である。 図31の一部模式図である。 図32の一部模式図である。 図33の一部模式図である。 実施例45の電子顕微鏡写真(平面)である。 実施例45の電子顕微鏡写真(断面)である。 図39の一部模式図である。 図40の一部模式図である。 本実施の形態に係る微細のピット面積比を計算した領域の一例を示す電子顕微鏡写真である。 図43の一部を表した模式図である。 本実施の形態に係る半導体発光素子の光放出面に形成される凹凸部の配列の一例と微細ピットを示す平面模式図である。 本実施の形態に係る半導体発光素子の光放出面に形成される凹凸部の配列の他の例と微細ピットを示す平面模式図である。 本実施の形態に係る半導体発光素子の凹凸部がピラー形状である場合の一例と微細ピットを示す断面模式図である。 本実施の形態に係る半導体発光素子の凹凸部が円錐形状である場合の一例と微細ピットを示す断面模式図である。 本実施の形態に係る半導体発光素子の凹凸部がホール形状である場合の一例と微細ピットを示す断面模式図である。
 本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、光学基材の表面において電極パッド形成部とドット領域との間の形状を最適化することによって、ドット領域に隣接して設けられた電極パッド形成部などに用いられる平坦面の検査を容易にできることを見出した。
 以下、各形態について、詳細に説明する。なお、各形態は、種々変形して実施することができる。
(光学基材)
 図1Aは、各ドットを凹状で形成したときの光学基材の部分斜視模式図であり、図1Bは、各ドットを凸状で形成したときの光学基材の部分斜視模式図である。
 図1Aに示す光学基材は、基材101の表面に微細構造層6が積層された構造である。図1Aに示すように微細構造層6の表面は、第1ドット領域7と、電極パッド形成部として利用可能な平坦面8と、第1ドット領域7と平坦面8との間に位置する第2ドット領域12と、を有して構成される。ここで、第1ドット領域7と、第2ドット領域12とは接しておらず、また、第2ドット領域12と平坦面8とは接していなくてもよい。ただし接している形態が好ましい。電極パッドや電極細線を凹凸上に作製すると、プロセス中に電極パッドや電極細線が剥離するという問題が生じるため、電極部は平坦面となっていることが非常に好ましい。
 図1Aに示すように、第1ドット領域7には、基材101と微細構造層6との積層方向に対して直交する面方向に平行な主面7aから凹状の第1ドット10が積層方向に向けて凹形成されている。また図1Bに示すように、第1ドット領域7には基材101と微細構造層6との積層方向に対して直交する面方向に平行な主面7aから凸状の第1ドット10が積層方向に向けて凸形成されている。
 例えば図1A及び図1Bに示す第1ドット領域7の主面7aと平坦面8との高低差は、200nm以下であることが好ましく、20~100nmであることがさらに好ましい。第1ドット領域7の主面7aと平坦面8との高低差が200nmより大きいと第1ドット領域7の層厚みを大きくする必要があるため、材料コストが上昇してしまい好ましくない。
 また図1A及び図1Bに示すように第2ドット領域12は斜面に形成されてもよい。第2ドット領域12を構成する第2ドット11は、第1ドット領域7の主面7aと平坦面8との間の接続面12aから積層方向に向けて凸状あるいは凹状で形成される。接続面12aとは、例えば図1A、図1Bに示すように、第1ドット領域7を構成する主面7aとの端部と平坦面8の端部との間をつなぐ面である。接続面12aの平坦面8と成す角度は60度以下であることが好ましく、0.5~40度であることがより好ましく、1~30度であることがさらに好ましく、2~20度であることがさらに好ましい。また、接続面12aは平面であっても、曲面であってもよい。接続面12aが曲面の場合、接続面12aの平坦面8と成す角度は、第1ドット領域7の主面7aの端部における接続面12aの接線と平坦面8とが成す角度を指す。
 斜面とは、高さが異なる第1のドット領域7と平坦面8の間に位置し、垂直面以外の面構造を指す。具体的には、斜面は0度よりも大きく90度よりも小さい傾斜角を備えた傾斜面であってもよいし階段面(段差面)となっていてもよい。また傾斜面と階段面との組み合わせとしてもよい。第2ドット領域12が斜面に形成されることにより、さらに視認性が向上する。
 ただし、第2ドット領域12は斜面に形成されず、第1ドット領域7、第2ドット領域12及び平坦面8が同一面上に形成されてもよいし、平坦面8が第1ドット領域7の主面7aよりも下方側(後述する図5Aのように半導体発光素子の形態の発光層3に近い位置)に形成されることが好ましい。
 本実施の形態に係る第1の光学基材は、第1ドット領域7と平坦面8との間に設けられた第2ドット領域12が、第1ドット領域7よりも光の散乱効果や回折効果が小さい領域である点に特徴的部分がある。
 また、本実施の形態に係る第2の光学基材は、第2ドット領域12を構成する第2ドット11が、第1ドット領域7を構成する第1ドット10よりも、高さ、深さ及び幅のいずれか一つが小さく調整されている点に特徴的部分がある。ここで「平均高さ」や「平均深さ」とは少なくとも10個以上の隣り合った複数の凸状ドットの高さ又は凹状ドットの深さについて平均値を算出した値を示す。また幅とは、ドットが略円形状であれば直径を指し、ドットが楕円形状であれば長径を指す。また多角形状であれば長辺の長さを指す。
 上記の第1の光学基材では、第2ドット11と第1ドット10との高さ、深さ及び幅の関係を問わない。
 第1の光学基材及び第2の光学基材における第2ドット領域12では、第1ドット領域7に比べて光の回折効果や散乱効果を小さくでき、平坦面8の端部を明確に視認することが可能となり、平坦面8のサイズや形状を検査することが容易になる。特に平坦面8は、微細構造層6の光の出射面に形成されるため、電極パッド形成部として利用される場合には、光取出しの観点から小面積であることが好ましい。小さい面積の平坦面8を視認するのに、本形態のように小ドットの第2ドット11を配置した第2ドット領域12を第1ドット領域10と平坦面8との間に配置することで、効果的に、平坦面8の視認検査を容易にできる。
 微細構造層6の表面には、第1ドット領域7、第2ドット領域12及び平坦面8以外の領域が存在していてもよい。また、第1ドット領域7、第2ドット領域12及び平坦面8は連続して形成されていることが好適である。
 なお上記した第1の光学基材及び第2の光学基材では、第2ドット領域12が斜面領域として形成されているが斜面領域でなくてもよい。すなわち、第2ドット領域12は平坦面8と平行な平坦領域に形成されていてもよい。ただし、第1ドット領域7は、平坦面8よりも高い位置にあることが好ましい。この構造については図5を用いて後述する。
 本実施の形態における第3の光学基材は、第1ドット10と、隣り合う第2ドット11と、平坦面8との間に以下に説明する関係式が成立している点に特徴的部分がある。関係式について図2を用いて説明する。図2は、本実施の形態における斜面領域の構造について説明するための光学基材の概念図である。
 図2は、平坦面8から第2ドット領域12及び第1ドット領域7にかけて切断した縦断面図である。図2A、図2B、図2Cは、以下の関係式を求める際の斜面領域の一例を示すものである。図2Aに示すように、第1ドット領域7には主面7aから凸状の第1ドット10が突出している。また、第2ドット領域12には、接続面12aから隣り合う2つの凸状の第2ドット11xと第2ドット11yとが突出している。ここでは2つの第2ドットを区別するために各第2ドットに符号11x、11yを付した。第2ドット11xは、第2ドット11yよりも第1ドット領域に近い位置に形成される。
 ここで、関係式における各厚さを求める際の基準位置Aを設定する。基準位置Aは、平坦面8及び/又は、主面7aと平行な平坦な面とする。例えば、図1に示すように基材101と微細構造層6とが積層された構造では、基材101の表面を基準位置Aとすることができる。
 図2Aに示すように、基準位置Aから平坦面8までの厚さをtとする。また、基準位置Aから第2ドット11xの底部までの厚さをtxaとする。厚さtxaの求め方について説明する。まず、図2Aに示すように、第2ドット11xの頂部Bと基準位置Aにかけて基準位置Aに対して垂直な線(以下、垂直線という)を引く。第2ドット11xの頂部Bと基準位置Aまでの厚さを、txbとする。次に、第2ドット11xの第1ドット側裾部Cと平坦面側裾部Dとを直線(以下、仮想線という)で引く。そして前記垂直線と前記仮想線との交点Eを求める。最後に、交点Eから基準位置Aまでの厚さtxaを求める。この厚さtxaを、基準位置Aから第2ドット11xの底部までの厚さと定義する。なお他の第2ドットや第1ドットの底部厚さについても同様にして求めることができる。したがって、第2ドット11yの基準位置Aから頂部までの厚さをtybとして、第2ドット11yの基準位置Aから底部までの厚さをtyaとして求めることができる。また、第1ドット10の基準位置Aから頂部までの厚さをt1bとして、第1ドット10の基準位置Aから底部までの厚さをt1aとして求めることができる。
 ここでは、説明を簡単にするために、第2ドット領域12の縦断面に現れる第2ドット11x、11yを2つとして説明する。当然のことながら縦断面に第2ドット11x、11yが3つ以上現れることがあるが、その場合でも、隣り合う2つの第2ドットを選択し、全ての第2ドットが以下に示す関係式を満たすことが好適である。
 図2Aに示す第1ドット10と、隣り合う第2ドット11x、11y及び平坦面には、次の関係式が成り立っている。
1a>txa≧tya>t (1)、又は、t1a<txa≦tya<t (2)、又は、t1b>txb≧tyb>t (3)、又は、t1b<txb≦tyb<t (4)
 関係式(1)は、第1ドット10及び、第2ドット11x、11yの底部厚と平坦面厚との関係が示されている。すなわち、第1ドット10の底部厚から見ると、第2ドット11x、11yの底部厚、及び平坦面8の厚さは、単調減少している。ただし、第2ドット11xの底部厚さと、第2ドット11yの底部厚さは同じであってもよい。このとき、第2ドット11xと第2ドット11yとの間の接続面12aは平坦面8と平行な平坦な面となっている。
 関係式(2)も、関係式(1)と同様に、第1ドット10及び、第2ドット11x、11yの底部厚と平坦面厚との関係を示すが、関係式(2)では、第1ドット10の底部厚から見ると、第2ドット11x、11yの底部厚、及び平坦面8の厚さは、単調増加している。すなわち平坦面8が第1ドット領域7よりも高い位置(基準位置Aから最も離れた位置)にあり、高い位置にある平坦面8と低い位置にある第2ドット領域7との間に傾斜した第2ドット領域12が形成されている構造となっている。
 関係式(3)(4)は、第1ドット10及び、第2ドット11x、11yの頂部厚と平坦面厚との関係を示したもので、関係式(3)の厚さ関係は、第1ドット10の頂点厚から見て単調減少を示したもの、関係式(4)の厚さ関係は、第1ドット10の頂点厚から見て単調増加を示したものである。
 図2Bでは、図2Aと異なって、第2ドット領域12が階段状となっている。図2Bにおいても、上記した関係式(1)~(4)のいずれかが成立している。なお図2Bにおいて図2Aと同じ符号は、図2Aと同じ部分を指すが、図2Aでは、第1ドット10の高さが、第2ドット11x、11yの高さよりも高いのに対し、図2Bでは、第1ドット10の高さと、第2ドット11x、11yの高さとが同等とされる。このように、第3の光学基材では、第1ドット10と第2ドット11x、11yとが同じ大きさであってもよい。ただし、高さの大小関係は一例であって、これらに限定されるものではない。
 また図2A及び図2Bに示すように、第2ドット領域12は、複数の第2ドット11と第2ドット11の間に位置する平面部12bとを有する斜面領域として形成されている。これにより複数の第2ドット11は、面間隔を有して形成される。平面部12bは、図2A、図2Bに示す縦断面に現れるのみならず、紙面手前方向及び紙面奥行き方向にも広がって形成されている。平面部12bは、隣接する第2ドット11同士を離す間隔領域であり、平坦な面であることが好ましいが、湾曲した面等であってもよい。平坦な面を有するほうが、散乱効果が小さくなり平坦面8をより視認しやすくなる。第二ドット領域が関係式(1)~(4)を満たし、単調減少または単調増加となる構造であるほうが、さらに視認しやすくなる。
 図2Cには、第2ドット領域12に多数の第2ドット11が図示されているが、図2Cにおいても、第1ドット10、隣り合う第2ドット11x、11y、及び平坦面8の厚さ関係は、上記した関係式(1)~(4)のいずれかを満たしている。図2Cでは、図2A及び図2Bと異なって、第2ドット領域12に平面部12bが形成されておらず、各第2ドット11が接している。
 図2では、いずれも第2ドット領域12に2つ以上の第2ドットを図示しているが、縦断面に現れる第2ドット11が1つの場合、上記した関係式(1)~(4)は、tya及びtybを削除し、第2ドット11の厚さをtxa及びtxbのみで示すことができる。すなわち第2ドット11が1つの場合は、以下のように関係式が示される。
1a>txa>t (1´)、又は、t1a<txa<t (2´)、又は、t1b>txb>t (3´)、又は、t1b<txb<t (4´)
 本実施の形態における光学基材は、半導体発光素子として用いることができる。以下、半導体発光素子について説明する。
(半導体発光素子)
 図3Aは、第1の実施の形態における半導体発光素子(光学基材)の部分断面模式図の一例であり、図3Bは、第1の実施の形態における半導体発光素子の部分平面模式図の一例である。
 図3Aに示す例では、本形態の半導体発光素子14は、基材1と、基材1の表面(上面)に設けられた第1半導体層2と、第1半導体層2の表面に形成された発光層3と、発光層3の表面に形成された第2半導体層4と、第2半導体層4の発光層3から発生した光の出射面側(第2半導体層4の表面側)に形成された微細構造層6と、を有する。第1半導体層2と、発光層3と、第2半導体層4と、微細構造層6がこの順に積層されていれば、基材1を具備しなくてもよい。なお、図3Aに示す基材1から第2半導体層4までの積層構造(基材1はなくてもよい)が図1の基材101に該当している。
 図3Aに示す例では、第1半導体層2と第2半導体層4との間に発光層3が介在している。第1半導体層2はn型半導体であり、第2半導体層4はp型半導体であり、微細構造層6の表面はp電極側である。他の例として、第1半導体層2がp型半導体であり、第2半導体層4はn型半導体であって、微細構造層6の表面はn電極側であってもよい。
 図3Aに示すように、微細構造層6の表面(上面:発光層3から離れた側の面)には、複数の凸状からなる第1ドット10を有する第1ドット領域7と、半導体発光素子14の電極パッド形成部として利用可能な平坦面8と、第1ドット領域7と平坦面8との間に位置し、複数の凸状からなる第2ドット11を有する第2ドット領域12が形成されている。
 図3Aに示すように第2ドット領域12に設けられた第2ドット11は、第1ドット領域7に設けられた第1ドット10よりも高さが小さい小ドットで形成されている。
 図3Aに示すように、平坦面8には、電極パッド5が設置されている。図3Bに示すように、第2ドット領域12は、平坦面8の周囲を取り囲むように形成されていることが好ましいが一部のみでもよい。第2ドット領域12の幅は、検査を容易にする観点から400nm以上が好ましく、600nm以上がより好ましく、1μm以上がさらに好ましく、半導体発光素子の光取出し効率の観点から50μm以下が好ましく、30μm以下がより好ましく、10μm以下がさらに好ましい。
 また図3Aでは、出光面である微細構造層6の表面のp面側に電極パッド5を設けており、出光の妨げにならない面積にて平坦面8が形成される。平坦面8の面積としては、電極パッド成膜面として使用することができればよく、10μm以上が好ましく、25μm以上がより好ましく、100μm以上がさらに好ましく、400μm以上がさらに好ましい。平坦面8の面積の上限は100000μm程度である。また、電極パッド5は第2半導体層4の大きさよりも小さければよく、出光の妨げにならないような大きさにすることが好ましい。平坦面8の形状としては、丸、三角形、四角形、五角形、六角形、星型、楕円、ライン等が挙げられ、特に限定されない。
 図3A、図3Bに示すように、発光層3、第2半導体層4及び微細構造層6の平面は、基材1よりも小さく形成され、基材1の表面に形成された第1半導体層2の一部が露出している。その露出した第1半導体層2の表面に電極パッド9が配置されている。電極パッド5はアノード電極であり、電極パッド9はカソード電極である。
 図3Aでは、微細構造層6が第2半導体層4と別の層として示されているが、一体の素材で構成されていてもよい。また、例えば、微細構造層6の表面に形成されたドット部分を除いて、第2半導体層4と一体で形成されていてもよい。ドット部分については、第2半導体層4と別の材料で形成することができる。さらに、微細構造層6の第1ドット領域7と第2ドット領域12が第2半導体層4と別の層として構成され、平坦面は第2半導体層4が露出している構造とすることもできる。
 なお、図3Aでは、第1ドット領域7、第2ドット領域12及び平坦面8が同一面上に形成されている。
 図4Aは、第2の実施の形態における半導体発光素子の部分断面模式図であり、図4B、図4Cは、第2の実施の形態における半導体発光素子の部分平面模式図である。
 図4Aに示すように、微細構造層6の表面には複数の凸状の第1ドット10を有する第1ドット領域7と、発光素子の電極パッド形成部として利用可能な平坦面8と、複数の凸状の第2ドット11を有する第2ドット領域12とが形成されている。
 図4Aに示すように第1ドット領域7は、微細構造層6の全面に形成されておらず、微細構造層6の一部に形成されている。本実施の形態では、出光面に形成した凹凸により発光した光を回折させることで、反射する光(デバイス内に閉じ込められる光)の量を低減することができ、結果として、発光効率の高いLED等の発光素子を製造することが可能である。
 第1ドット領域7は、図4Bに示すように複数が独立して形成されていてもよい。第2ドット領域12は各第1ドット領域7の周囲を囲むように形成される。あるいは、第1ドット領域7は、図4Cに示すように、一部に欠けた部分を備えて形成され、その欠けた部分に、第2ドット領域12及び平坦面8が形成されている。各独立エリアの大きさは、例えば、25μm~1000000μm程度、あるいは10000000μm程度である。第1ドット領域7の配列や大きさは半導体発光素子の発光領域や電極パッドの設計によって適宜選択することができる。
 図4Aに示すように、平坦面8は、第1ドット領域7のすべての主面7aよりも発光層3に近い位置に設けられている。そして電極パッド5が平坦面8上に配置されている。また図4Aでは、第2ドット11を備えた第2ドット領域12が第1ドット領域7と同じ主面上に形成されている。ただし第2ドット領域12は、図1,図2で示したように斜面領域で形成されていてもよい。
 第2ドット領域12に複数形成された第2ドット11の形状や周期は、第1ドット領域7の第1ドット10と同じでもよく、異なってもよい。
 微細構造層6に設けられた第1ドット10の配列は周期性があってもよいし、なくてもよいが、光取出し効率向上の観点から周期性があることがより好ましい。
 図5、図6は、ドットの周期性についての説明図である。例えば図5に示すように、各第1ドット10が一定のピッチPで形成されていてもよいし、図6Bに示すように、複数のドット10を組み合わせたドット群20が一定の周期性を持つように、各第1ドット10が配列されていてもよい。例えば、各第1ドット10が正六方配列、六方配列、準六方配列、準四方配列、四方配列、及び正四方配列などで配列されていてもよい。少なくとも、ある一次元の方向にのみ周期性があってもよい。また、全てのドットに周期性がなくてもよく、一部のドットに周期性があるように配列され、残りのドットがランダムに配列されていてもよい。
 第2ドットの配列は第1ドットと同じように周期性があってもよいが、ランダムであってもよい。第2ドット領域のドット配列の一部がランダムであってもよく、ランダムである領域は平坦面に接する領域であることがより好ましい。
 またドット間(最も近いドット同士の間)の距離(ピッチ)Pの下限値は、光取出し効率の観点や、製造工程でのモールドとの密着性及び剥離性の観点から、10nm以上であることが好ましく、50nm以上であることがより好ましく、100nm以上がさらに好ましく、150nm以上が最も好ましい。またピッチPの上限値は、5000nm以下が好ましく、3000nm以下がより好ましく、2000nm以下がさらに好ましく、1000nm以下が最も好ましい。図5に示すように、ピッチPとは、最も近いドット同士の頂部又は中心間の距離を示す。
 また各第1ドット10の高さ又は各第1ドット10の深さの下限値は、製造工程での樹脂モールドとの密着性及び剥離性の観点から、50nm以上が好ましく、100nm以上がより好ましく、200nm以上がさらに好ましく、300nm以上が最も好ましい。また各第1ドット10の高さ又は各第1ドット10の深さの上限値は、3000nm以下が好ましく、1000nm以下がより好ましく、800nm以下がさらに好ましく、700nm以下がさらに好ましく、500nm以下が最も好ましい。光取出し効率向上の観点からは、50nm以上が好ましく、100nm以上がより好ましい。
 また、第二の形態では、各第2ドット11の高さ又は深さは、第1ドット10の高さの90%以下のドットが存在していることが好ましく、80%以下がより好ましく、70%以下がさらに好ましい。
 各第2ドット11の幅は第1ドット10の幅の90%以下のドットが存在していることが好ましく、80%以下がより好ましく、70%以下がさらに好ましい。また、第2ドット11の高さ、深さ、又は幅は平坦面に近いほど小さい方が平坦面の端面が視認しやすくなるため好ましい。
 各第1ドット10及び第2ドット11は凸状でも凹状でもよく、ドットの形状は使用するモールドの設計による。凸状ドット及び凹状ドットの形状は、本発明の効果が得られる範囲であれば特に限定されず、用途に応じて適宜変更可能である。凸状ドット及び凹状ドットの形状としては、その平面視での形状は問わないが、円状、楕円状、三角形、四角形、五角形、六角形、星型、ラインなどが挙げられ、深さ方向の断面視での形状も問わないが、円状、楕円状、三角形、四角形、五角形、六角形、星型等の一部を表す形状などが挙げられる。例えば、ピラー形状、ホール形状、円錐形状、角錐形状及び楕円錘形状、円錐台形状、ライン形状等を用いることができる。
 微細構造層6及び各ドットの最適な形状やサイズについては、使用する材質の屈折率、エッチング耐性、光取出し効率向上性等の光学特性、物理特性等により種々選択できる。
 図1、図2に示すように、第2ドット領域12を上記斜面領域に設けた場合については、平坦面8が第1ドット領域7の主面7aよりも発光層3に近い位置に形成されてもよいし、平坦面8が第1ドット領域7の主面7aより発光層3から遠い位置に形成されてもよい。ただし、平坦面8を第1ドット領域7の主面7aよりも発光層3に近い位置に形成することで、第1ドット領域および第2ドット領域から斜め方向に出射した光が電極パッド5に当たることを抑制でき、光取出し効率がより一層高くなり好ましい。また、第2ドット領域12を斜面領域に設けない場合については、図3Aのように、第1ドット領域7、第2ドット領域12及び平坦面8が同一面上に形成されるか、平坦面8が第1ドット領域7の主面7aよりも発光層3に近い位置に形成されることが好ましい。
 次に、本実施の形態に係る光学基材を構成する各部材の材質について説明する。本実施の形態に係る光学基材において、適用される基材101の材質は、光学用基材として使用できるものであれば特に制限はない。例えば、サファイア、SiC、SiN、GaN、シリコン、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化マンガン、酸化ジルコニウム、酸化マンガン亜鉛鉄、酸化マグネシウムアルミニウム、ホウ化ジルコニウム、酸化ガリウム、酸化インジウム、酸化リチウムガリウム、酸化リチウムアルミニウム、酸化ネオジウムガリウム、酸化ランタンストロンチウムアルミニウムタンタル、酸化ストロンチウムチタン、酸化チタン、ハフニウム、タングステン、モリブデン、酸化ケイ素や、それらに他元素をドープしたもの、及び、GaP、GaAs等の半導体発光素子用基材を用いることができる。なかでも半導体層との格子マッチングの観点から、サファイア、GaN、GaP、GaAs、SiC半導体発光素子用基材等を適用することが好ましい。さらに、単体で用いてもよく、これらを用いた半導体発光素子用基材本体上に別の半導体発光素子用基材を設けたヘテロ構造の半導体発光素子用基材としてもよい。
 本実施の形態に係る半導体発光素子においては、n型半導体層の材質は、半導体発光素子に適したn型半導体層として使用できるものであれば、特に制限はない。例えば、シリコン、ゲルマニウム等の元素半導体、及び、III-V族、II-VI族、VI-VI族等の化合物半導体に適宜、種々の元素をドープしたものを適用できる。
 また、本実施の形態に係る半導体発光素子においては、p型半導体層の材質は、半導体発光素子に適したp型半導体層として使用できるものであれば、特に制限はない。例えば、シリコン、ゲルマニウム等の元素半導体、及び、III-V族、II-VI族、VI-VI族等の化合物半導体に適宜、種々の元素をドープしたものを適用できる。
 例えば、図4における第1半導体層2は、n型半導体層であり、第2半導体層4は、p型半導体層である。
 また、n型半導体層及びp型半導体層には、適宜、図示しないn型クラッド層及びp型クラッド層を設けることができる。
 発光層3としては、半導体発光素子として発光特性を有するものであれば、特に限定されない。例えば、発光層3として、InGaAsP、GaP、AlGaAs、InGaN、GaN、AlGaN、ZnSe、AlGaInP、ZnO等の半導体層を適用できる。また、発光層3には、適宜、特性に応じて種々の元素をドープしてもよい。
 これらの積層半導体層(n型半導体層、発光層、及びp型半導体層)は、半導体発光素子用基材の表面に公知の技術により成膜できる。例えば、成膜方法としては、有機金属気相成長法(MOCVD)、ハイドライド気相成長法(HVPE)、分子線エピタキシャル成長法(MBE)等が適用できる。
 例えば、積層の例としては、(1)AlGaN低温バッファ層、(2)n型GaN層、(3)n型AlGaNクラッド層、(4)InGaN発光層(MQW)、(5)p型AlGaNクラッド層、(6)p型GaN層、等が挙げられる。
 電極パッド5、9の材質は、例えばNi、Pd、Co、Fe、Ti、Cu、Rh、Cr、Au、Ru、W、Zr、Mo、Ta、Pt、Ag及びこれらの酸化物、窒化物から選択した少なくとも1種を含む合金又は多層膜を用いることができる。例えば電極材料として、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化チタン、ITO(スズドープ酸化インジウムスズ)、IZO(亜鉛ドープ酸化インジウム)、ATO(アンチモンドープ酸化スズ)、TTO(タンタルドープ酸化スズ)、AZO(アルミドープ酸化亜鉛)、NTO(ニオブドープ酸化チタン)、GZO(ガリウムドープ酸化スズ)等の金属酸化物、複合金属酸化物等が挙げられる。半導体層との接触面側では半導体層との密着性の高い材料が好ましく、また、最表層はボンディングボールやワイヤとの密着性が高い材料が好ましい。
 なお電極部分の面積としては、電極として使用することができればよく、10μm以上が好ましく、25μm以上がより好ましく、100μm以上がさらに好ましく、400μm以上がさらに好ましい。また、電極は基材1の大きさよりも小さければよく、例えばLEDの出光面であるp面側に電極部分を設ける場合、出光の妨げにならないような大きさにすることが好ましい。
 電極パッド5、9において電極細線部をパターニングすることにより、p面全体に電流を拡散しやすくすることができる。電極部分が光を透過させない金属で作製される場合、基材101内部又は下部から発せられた光が電極部分で反射し、内部に戻ってしまうことを防止して、発光効率を上げる観点から、電極細線部の太さとしては30μm以下が好ましく、20μm以下がより好ましく、10μm以下がさらに好ましく、7μm以下が最も好ましい。
 微細構造層6は第2半導体層4そのものであってもよく、第2半導体層4の上に積層した異なる材料からなる賦形層を別途設けてもよい。賦形層を設ける場合、賦形層としては例えば透明導電膜、絶縁膜及びこれらの積層体などを用いることができる。光取り出し効率向上の観点から、賦形層は透明であることが好ましく、賦形層の屈折率は発光波長において発光層3及び第2半導体層4との差が小さいことが好ましい。
 微細構造層6として透明導電膜を賦形層として設けた場合、透明導電膜の材質は、半導体発光素子に適した透明導電膜として使用できるものであれば、特に制限はない。例えば、Ni/Au電極等の金属薄膜や、ITO、AZO、GZO、FTO、NTO、ATO、TTO、ZnO、In、SnO、IZO、IGZO等の公知の透明導電膜層、すなわち透明導電性無機酸化物層からなる群、或いは、発光層から発生する波長の光に対して吸収がほとんどなく、実質的に透明である無機化合物からなる群より選択される。例えば、該当する波長の光に対する吸収がほとんどない状態とは、具体的には、該当する波長の光に対する吸収率が10%以下であり、好ましくは5%以下であり、より好ましくは2%以下である。あるいは、実質的に透明とは、該当する波長の光の透過率が、80%以上であり、好ましくは、85%以上であり、より好ましくは、90%以上であると定義される。すなわち、可視光領域に光の吸収を有し着色している物質であっても、発光層から発生する波長の光に対する吸収率が低ければ、透光性無機化合物として利用可能である。特に、透明性、導電性の観点からITOが好ましい。
 さらに、透光性無機化合物層は、高屈折率であることが好ましい。例えば、窒化ガリウム系半導体(屈折率約2.5)や、リン化アルミニウムガリウムインジウム系半導体(屈折率約3.4)よりも低い屈折率を有する場合、半導体層と透光性無機化合物層との屈折率差が大きいほど、界面における臨界角が小さくなり、半導体発光素子内部で多重反射を繰り返して減衰する光の割合が増えるので好ましくない。高屈折率を示す透光性無機化合物としては、前記の透明導電膜層からなる群に加え、酸化チタン、チタン酸ジルコン酸鉛、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、窒化ケイ素、炭化ケイ素、二酸化テルル、窒化アルミニウム、窒化ガリウム、五酸化ニオブ、ヒ化アルミニウム、ヒ化アルミニウムガリウム、ヒ化ガリウム、ヒ化ガリウムインジウム、酸化ハフニウム、酸化タンタル、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、三ホウ酸ビスマス、ケイ酸ビスマス、ニオブ酸リチウム、酸窒化アルミニウム、リン化アルミニウムガリウムインジウム、リン化ガリウム又はリン化インジウム等が例示されるが、これらに限定されるものではない。新たに透光性無機化合物層を積層することなく、半導体層が透光性無機化合物層を兼ねてもよい。また、透光性無機化合物は単体で用いてもよく、複数の透光性無機化合物を積層して用いてもよい。
 透光性無機化合物層を成膜する方法としては、有機金属気相成長法(MOCVD)、ハイドライド気相成長法(HVPE)、分子線エピタキシャル成長法(MBE)、抵抗蒸着法、電子ビーム蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、液相エピタキシャル成長法、液相析出法、塗布法又はゾルゲル法等を適用できる。
 本実施の形態における半導体発光素子基板に用いられる透光性無機化合物層としては、光放出面に凹凸部を形成する加工性の観点から、公知のドライエッチング又はウエットエッチングを容易に行うことができる材質であることが好ましい。上記に挙げた材質の中では、ITO、AZO、GZO、FTO、NTO、ATO、TTO、ZnO、In、SnO、IZO、IGZO、酸化チタン、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、窒化ガリウム、五酸化ニオブ、ヒ化アルミニウム、ヒ化アルミニウムガリウム、ヒ化ガリウム、ヒ化ガリウムインジウム、リン化アルミニウムガリウムインジウム、リン化ガリウム及びリン化インジウムが好ましい。
(積層体)
 次に、本実施の形態の光学基材を製造するための積層体について説明する。図7Aは本実施の形態に係る第1の積層体の断面模式図である。図7Aに示すように、本実施の形態に係る第1の積層体1000は、モールド1002とポジ型感光性樹脂材を含有する感光性樹脂層1003により構成される。本実施の形態においては、第1の積層体1000が支持フィルム1001を備える場合について説明する。
 図7Aに示すように、モールド1002の一主面上には、複数の凸部1012aとその間をつなぐ凹部1012bから構成される複数のドット1012によりドット領域が形成されている。ドット領域は、複数の凹部1012bとそれをつなぐ凸部1012aから構成される複数のドット1012で形成されていてもよく、複数の凸部1012aとその間をつなぐ凹部1012bから構成される複数のドット1012と、複数の凹部1012bとそれをつなぐ凸部1012aから構成される複数のドット1012が共存していてもよい。ドットの形状としては前記ドット10及びドット11と同様の形状を用いることができる。
 モールド1002の表面上には、複数の凸部1012a及び凹部1012bの少なくとも一部を覆うようにポジ型感光性樹脂材を含有する感光性樹脂層1003が設けられている。即ち、ポジ型感光性樹脂材を含有する感光性樹脂層1003は、複数の凸部1012a及び凹部1012bの全面を覆っていてもよく、複数の凸部1012a及び凹部1012bの一部を覆っていてもよい。
 また、第1の積層体1000は、モールド1002の感光性樹脂層1003とは反対側の面上に支持フィルム1001を備えることができる。支持フィルム1001及びモールド1002は、支持フィルム/モールドシート1006として、感光性樹脂層1003より剥離することができる。
 モールド1002の材料としては、例えばフッ素含有樹脂、シリコーン含有樹脂等が挙げられる。水に対する接触角が90度より大きいことが好ましい。ただし、感光性樹脂層1003を、後述する被処理体である基板に転写する際の転写精度の観点から、水に対する接触角は95度以上がより好ましく、100度以上がなお好ましく、120度以上がさらに好ましい。
 フッ素系含有樹脂としては、フッ素原子を持った化合物が樹脂中に含まれていればよく、樹脂中の全ての成分にフッ素が含まれていなくてもよい。また、光硬化性樹脂及び光重合開始材により硬化した樹脂であることが好ましい。特に、光硬化性樹脂、光重合開始材及びフッ素系添加材で構成されることが好ましい。フッ素含有添加材としては特に限定されず、耐摩耗性、耐傷付き、指紋付着防止、防汚性、レベリング性や撥水撥油性等の表面改質剤等を使用できるが、フッ素含有添加材分子中に光重合性基を有することがより好ましい。さらに、モールド1002内部のフッ素原子濃度よりも、モールド1002の感光性樹脂層1003側の表面付近のフッ素原子濃度が高いことが好ましい。
 シリコーン含有樹脂としては、シリコーンを持った化合物が樹脂中に含まれていればよく、樹脂中の全ての成分にシリコーン部位が含まれていなくてもよい。また、光硬化性樹脂及び光重合開始剤、又は、熱硬化樹脂及び熱硬化促進剤若しくは触媒により硬化した樹脂であることが好ましい。特に、光硬化性樹脂、光重合開始材及びシリコーン添加材で構成されることが好ましい。シリコーン添加材としては特に限定されず、耐摩耗性、耐傷付き、指紋付着防止、防汚性、レベリング性や撥水撥油性等の表面改質剤等を使用できるが、シリコーン添加材分子中に光重合性基を有することがより好ましい。
 ポジ型感光性樹脂材を含有する感光性樹脂層1003には、活性化エネルギー線(例えばUV光)を露光した部分が溶解又は溶解度が向上し、未露光部分が不溶又は溶解度が低い材料を用いることができる。
 感光性樹脂層1003のポジ型感光性樹脂材としては、ヒドロキシ基、フェノール性水酸基、カルボン酸基、リン酸基、硫酸基等の酸性官能基を有する樹脂、又はそれらの酸性官能基の少なくとも一部を保護した樹脂と、光により酸を発生する化合物とを含むものを用いることができる。
 酸性官能基を有する樹脂としては、側鎖にカルボン酸を有するアクリレート(共)重合物や、フェノール性水酸基を側鎖に有するスチレン(共)重合体、ノボラック樹脂等が挙げられる。
 その中でも、ノボラック樹脂が、光により酸を発生する化合物との相互作用の点で好ましい。
 本実施の形態で用いられるノボラック樹脂は、フェノール系化合物と、ホルムアルデヒド又はアルデヒド化合物との縮合反応物が好ましい。
 ノボラック樹脂の調製に用いられるフェノール系化合物の例としては、フェノール、クレゾール、キシレノール、トリメチルフェノールや、下記化合物(1)等が挙げられる。これらは、それぞれ単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000001
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000002
 ノボラック樹脂の調製におけるフェノール系化合物とホルムアルデヒド又はアルデヒド化合物の縮合反応を行う場合、酸触媒を用いるのが好ましく、酸触媒としては、種々のものが使用できるが、塩酸、硫酸、p-トルエンスルホン酸、シュウ酸、三フッ化ホウ素、無水塩化アルミニウム、塩化亜鉛等が好ましく、特にp-トルエンスルホン酸、硫酸、塩酸が好ましい。
 フェノール系化合物とホルムアルデヒドの縮合反応は、無溶剤下又は有機溶剤の存在下で行うことができる。有機溶剤を使用する場合の具体例としてはメチルセロソルブ、エチルセロソルブ、トルエン、キシレン、メチルイソブチルケトン等が挙げられる。有機溶剤の使用量は仕込んだ原料の総質量に対して通常50質量%~300質量%、好ましくは100質量%~250質量%である。反応温度は通常40℃~180℃、反応時間は通常1時間~10時間である。これらの溶剤類はそれぞれ単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
 反応終了後、反応混合物の水洗浄液のpH値が3~7、好ましくは5~7になるまで水洗処理を行う。水洗処理を行う場合は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム等のアルカリ土類金属水酸化物、アンモニア、リン酸二水素ナトリウムさらにはジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、アニリン、フェニレンジアミン等の有機アミン等様々な塩基性物質等を中和剤として用いて処理してもよい。また水洗処理の場合は常法に従って行えばよい。例えば、反応混合物中に上記中和剤を溶解した水を加え、分液抽出操作をくり返し、減圧加熱下で溶剤を留去し生成物を得ることができる。
 ノボラック樹脂の分子量は、アルカリ現像時の残渣の観点から、重量平均分子量として30000以下が好ましく、10000以下がより好ましく、5000以下がさらに好ましい。一方で、分子量が低すぎると溶解性が高く、露光部と未露光部のコントラストをつけるのが困難であるため、重量平均分子量として300以上が好ましく、500以上がより好ましく、700以上がさらに好ましい。
 感光性樹脂層1003に含まれる、光により酸を発生する化合物は、活性化エネルギー線により酸を発生すればどのような化合物を用いてもよい。例えば、光酸発生剤や、酸発生溶解抑止剤であるナフトキノンジアジド化合物が挙げられる。未露光部の溶解性を抑制できることからナフトキノンジアジド化合物が好ましい。
 光酸発生剤としては、例えば、スルホニウム塩、ヨードニウム塩といった芳香族オニウム塩等が挙げられる。具体的には、例えば、スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ベンジルトリフェニルホスホニウムヘキサフルオロホスフェート、ベンジルピリジニウムヘキサフルオロホスフェート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、ベンゾイントシレート、アデカオプトマー(登録商標)sp-170(ADEKA社製)、アデカオプトマー(登録商標)sp-172(ADEKA社製)、WPAG-145(和光純薬工業社製)、WPAG-170(和光純薬工業社製)、WPAG-199(和光純薬工業社製)、WPAG-281(和光純薬工業社製)、WPAG-336(和光純薬工業社製)、WPAG-367(和光純薬工業社製)、CPI-100P(サンアプロ社製)、CPI-101A(サンアプロ社製)、CPI-200K(サンアプロ社製)、CPI-210S(サンアプロ社製)、DTS-102(みどり化学社製)、TPS-TF(東洋合成工業社製)、DTBPI-PFBS(東洋合成工業社製)等が挙げられる。
 光によって構造が変化する酸発生溶解抑止剤としては、キノンジアジドスルホン酸化合物等が挙げられる。例えば、1,2-ベンゾキノンジアジド-4-スルホン酸、1,2-ナフトキノンジアジド-4-スルホン酸、1,2-ベンゾキノンジアジド-5-スルホン酸、及び1,2-ナフトキノンジアジド-5-スルホン酸などのo-キノンジアジドスルホン酸化合物、及びその他のキノンジアジドスルホン酸誘導体などが挙げられる。それらのスルホン酸クロライドやスルホン酸エステルであってもよく、好ましくはスルホン酸クロライドやスルホン酸エステルである。
 酸性官能基を有する樹脂の酸性官能基を保護する保護基は、酸触媒によって脱保護される保護基であればよい。酸性官能基が保護されることにより、樹脂のアルカリ可溶性が低くなっているが、光酸発生剤が露光されて生じる酸の効果によって、保護基が脱保護され、露光部の樹脂のアルカリ可溶性が高くなることにより、露光部と未露光部のアルカリ可溶性にコントラストをつけることができる。
 酸触媒によって脱保護される保護基としては、メチル基、t-ブチル基、メトキシメチル基、テトラヒドロピラニル基、エトキシエチル基、トリメチルシリル基、t-ブチルジメチルシリル基、t-ブトキシカルボニル基、アセタール基などが挙げられる。これによりアルカリ可溶性樹脂のカルボキシル基や水酸基等のアルカリ可溶性基の一部又は全部が酸解離性保護基によって修飾される。
 酸性官能基を保護した樹脂を用いる場合は、溶解抑止する必要性が低減するため、光酸発生剤も好ましい。
 他の添加に好ましいアルカリ可溶性樹脂としては、アルカリ可溶性フェノール樹脂の他、例えば、ポリアクリル酸、ポリアミック酸及びその共重合体を用いることができる。このような樹脂を添加することで溶解性、溶解抑止性、ドライエッチング耐性などを制御することができる。アルカリ可溶性樹脂は複数種類混合して使用してもよい。
 溶解抑止剤や光酸発生剤の添加量は、ノボラック樹脂(100質量部)に対して、0.1~50質量部であり、好ましくは1~40質量部であり、より好ましくは3~30質量部である。露光部と未露光部のコントラストを良好にするために0.1質量部以上が好ましく、また組成物の安定性の観点から、より好ましくは50質量部以下である。
 感光性樹脂層1003のポジ型感光性樹脂材の軟化点は、貼合時のプロセス温度の低下、欠陥の低減の観点から150℃以下が好ましく、130℃以下がより好ましく、110℃以下がさらに好ましく、90℃以下が最も好ましい。一方で、モールド1002に形成されるドットパターンの熱安定性、後述するカバーフィルムへのポジ型感光性樹脂材付着防止、カバーフィルム剥離後の平坦性の確保の観点から、30℃以上が好ましく、50℃以上がより好ましく、60℃以上がさらに好ましい。
 軟化点は、感光性樹脂層1003に含まれるノボラック樹脂の原料の構造、ポジ型感光性樹脂材に含まれる化合物のオルト、メタ、パラの比率や、分子量の調整により適宜選択することが可能である。
 軟化点はJIS規格に則って環球法にて測定することが好ましい。ポジ型感光性樹脂材での軟化点の測定は可能であるが、比較的困難なものもある。したがって、ポジ型感光性樹脂材がノボラック樹脂に加えて、例えばノボラック樹脂以外の感光剤等の添加剤を含む場合、添加剤が軟化点に影響を与えない範囲で添加される場合であれば、ノボラック樹脂の軟化点をポジ型感光性樹脂材の軟化点とすることができる。
 また、光により酸を発生する化合物の含有量によっても調整可能である。さらに、融点が140℃以下の低分子化合物を添加することによっても軟化点の調整をすることが可能である。低分子化合物の構造としては、アルカリに可溶なヒドロキシ基、フェノール性水酸基、カルボン酸基、リン酸基、硫酸基等の酸性官能基を有する化合物がフォトリソグラフィ時の残渣低減の点で好ましいが、それらを有さない、アルカリに不溶又は難溶な化合物であっても、第1の積層体1000を後述する基材に貼合する際のエア噛み防止、欠陥率の低減、貼合時の低温度化に寄与することが可能であり、さらにはフォトリソグラフィ時のコントラスト調整として用いることが可能である。
 ポジ型感光性樹脂材中に、添加剤としてノボラック樹脂以外のオリゴマーやポリマーが含まれていてもよい。
 上記感光性組成物中に有機溶剤を含有していてもよい。有機溶剤としては例えば、
 (1)脂肪族アルコール:メタノール、エタノール、n-プロパノール、iso-プロパノール、n-ブタノール、iso-ブタノール、sec-ブタノール、tert-ブタノール、1-ペンタノール、イソアミルアルコール、s-アミルアルコール、t-アミルアルコール、2-メチル-1-ブタノール、1-ヘキサノール、2-エチル-1-ブタノール、4-メチル-2-ペンタノール、イソヘキシルアルコール、メチル-1-ペンタノール、s-ヘキサノール、1-ヘプタノール、イソヘプチルアルコール、2,3-ジメチル-1-ペンタノール、1-オクタノール、2-エチルヘキサノール、イソオクチルアルコール、2-オクタノール、3-オクタノール、1-ノナノール、イソノニルアルコール、3,5,5-トリメチルヘキサノール、1-デカノール、イソデシルアルコール、3,7-ジメチル-1-オクタノール、1-ヘンデカノール、1-ドデカノール、イソドデシルアルコール、アリルアルコール、プロパルギルアルコール、ヘキシノール
 (2)芳香族アルコール:ベンジルアルコール、(2-ヒドロキシフェニル)メタノール、(メトキシフェニル)メタノール、(3,4-ジヒドロキシフェニル)メタノール、4-(ヒドロキシメチル)ベンゼン-1,2-ジオール、(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)メタノール、(3,4-ジメトキシフェニル)メタノール、(4-イソプロピルフェニル)メタノール、2-フェニルエタノール、1-フェニルエタノール、2-フェニル-1-プロパノール、p-トリルアルコール、2-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)エタン-1-オール、2-(3,4-ジメトキシフェニル)エタン-1-オール、3-フェニルプロパン-1-オール、2-フェニルプロパン-2-オール、シンナミルアルコール、3-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)プロパ-2-エン-1-オール、3-(4-ヒドロキシ-3,5-メトキシフェニル)プロパ-2-エン-1-オール、ジフェニルメタノール、トリチルアルコール、1,2-ジフェニルエタン-1,2-ジオール、1,1,2,2,-テトラフェニルエタン-1,2-ジオール、ベンゼン-1,2-ジメタノール、ベンゼン-1、3-ジメタノール、ベンゼン-1、4-ジメタノール
 (3)脂環式アルコール:シクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノール、フルフリルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール、テトラヒドロ-2-フランメタノール
 (4)グリコール及びその誘導体:例えば、エチレングリコール、エチレングリコールモノアルキル(炭素原子数1~8)エーテル、エチレングリコールモノビニルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、ジオキサン、ジエチレングリコールモノアルキル(炭素原子数1~6)エーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、トリエチレングリコールモノアルキル(炭素原子数1~3)エーテル、トリエチレングリコールモノビニルエーテル、トリエチレングリコールモノフェニルエーテル、テトラエチレングリコールモノフェニルエーテル、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノアルキル(炭素原子数1~4)エーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル、ジプロピレングリコールモノアルキル(炭素原子数1~3)エーテル、エチレングリコールモノアセタート、プロピレングリコールモノアクリラート、プロピレングリコールモノアセタート
 (5)ケトン化合物:アセトン、メチルエチルケトン、3-ブチン-2-オン、メチル-n-プロピルケトン、メチルイソプロピルケトン、3-ペンチン-2-オン、メチルイソプロペニルケトン、メチル-n-ブチルケトン、メチルイソブチルケトン、メシチルオキシド、4-ヒドロキシ-4-メチル-2-ペンタノン、メチル-n-アミルケトン、メチルイソアミルケトン、エチル-n-ブチルケトン、ジ-n-プロピルケトン、ジイソプロピルケトン、2-オクタノン、3-オクタノン、5-メチル-3-ヘプタノン、5-ノナノン、ジイソブチルケトン、トリメチルノナノン、2、4-ペンタンジオン、2,5-ヘキサンジオン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、アセトフェノン、プロピオフェノン、イソホロン
 (6)その他:N,N-ジメチルホルムアミド、N-メチル-2-ピロリドン、N-エチル-2-ピロリドン、N,N-ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ピリジン、γ-ブチロラクトン、α-アセチル-γ-ブチロラクトン、テトラメチル尿素、1,3-ジメチル-2-イミダゾリノン、N-シクロヘキシル-2-ピロリドン、炭素数5~20の脂肪族炭化水素(直鎖でも、分岐していてもよい)、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ドデカン等、炭素数6~25の芳香族化合物(酸素原子、窒素原子が含まれていてもよい)、例えば、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン、メシチレン、アニソールなどを挙げることができる。
 これらは、単独で、又は二種以上の組合せで用いることができる。これらの中でも、アセトン、メチルエチルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、乳酸エチル、ガンマブチロラクトン、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどが好ましい。
 支持フィルム1001の材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、エチレン-酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリブタジエン、スチレン-ブタジエン又はスチレン-イソプレンを主体とするブロック共重合樹脂、ブタジエン-スチレン-メタクリル酸メチル共重合樹脂、ナイロン、ポリウレタン、ポリウレタン・塩化ビニル共重合体、アルコキシアルキル(メタ)アクリレート共重合体、ポリビニルアセタール、ポリジメチルシロキサン等のシロキサン系ポリマー、ポリアミド、レイヨン等のセルロース誘導体等の合成樹脂、綿、麻、パルプ、織布、編布、不織布等が挙げられる。
 その他にも、有機無機ハイブリッド材料が挙げられ、有機基を有するシロキサンポリマー、有機ポリマーとシロキサンユニットの共重合体、シリカ、チタニア、ジルコニア等の微粒子を混合した有機ポリマー等が挙げられる。図7Bに示すように、感光性樹脂層1003とモールド1002との間にそれぞれとは別の材料層1005が全面にあるいは一部に具備されていてもよい。
 材料層1005の材料としては、ポジ型感光性樹脂材でなくてもよく、無機化合物や、有機無機ハイブリッド材料等が挙げられる。第1の積層体1000が、材料層1005を具備することにより、モールド1002の離型性が高まり、感光性樹脂層1003に転写されるドットパターンの精度が向上する。さらには、後述するように第1の積層体1000を基材に貼合後には最表層に材料層1005が来るため、材料層1005をマスクとして、エッチングやアッシング等の加工を施すことができる利点がある。
 無機化合物としては、例えば、ゾルゲル材料や無機フィラー(無機微粒子)を含むことができる。ゾルゲル材料のみで構成されてもよい。また、シリカ、チタニア、ジルコニア、酸化亜鉛等の無機酸化物、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム及びITO等の金属複合酸化物、金、銀、銅、アルミニウム及びクロム等の金属が挙げられる。
 また、Al、Si、P、Ti、Ga、Ge、Zr、Nb、Ta、In及びSnから選ばれる少なくとも一種の元素を含有することが好ましい。特に、Ti、Zr、Siであることが好ましい。
 有機無機ハイブリッド材料としては、金属アルコキシド、金属塩化物、及びそれらの加水分解物、加水分解縮合物を用いてもよい。耐クラック性、安定性の観点から、縮合物を用いることが好ましい。
 金属アルコキシドとしては、シランアルコキシド、チタンアルコキシド、ジルコニウムアルコキシド、タンタルアルコキシド等が挙げられるが、安定性の観点からシランアルコキシド、チタンアルコキシド、又はジルコニウムアルコキシドが好ましく、シランアルコキシドがより好ましい。金属塩化物としてはテトラクロロシラン、塩化チタン、塩化ジルコニウム、塩化タンタル等を挙げられる。
 シランアルコキシド又はクロロシランとしては、例えば、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシラン、ジメチルジエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリエトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、フェニルメチルジエトキシシラン、ジシクロペンチルジメトキシシラン、ジシクロペンチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、2-メタクリロキシエチルトリメトキシシラン、2-メタクリロキシエチルトリエトキシシラン、2-メタクリロキシエチルメチルジメトキシシラン、2-アクリロキシエチルトリメトキシシラン、2-アクリロキシエチルトリエトキシシラン、メタクリロキシメチルトリメトキシシラン、メタクリロキシメチルトリエトキシシラン、メタクリロキシメチルメチルジメトキシシラン、アクリロキシメチルトリメトキシシラン、アクリロキシメチルトリエトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルジメトキシメチルシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルジエトキシメチルシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルメトキシジメチルシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルエトキシジメチルシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメトキシジメチルシシラン、3-グリシドキシプロピルエトキシジメチルシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジエトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3-アミノプロピルジエトキシシラン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-(ビニルベンジル)-2-アミノエチル-3-アミノプロピルトリメトキシシランの塩酸塩、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3-メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、メチルトリクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、トリエチルクロロシラン、t-ブチルジメチルクロロシラン、トリ-i-プロピルクロロシラン等を挙げることができる。
 硬化物の安定性、硬度、アッシング耐性、エッチング耐性の観点から、光重合開始剤により反応し得る官能基を有していることが好ましく、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、2-メタクリロキシエチルトリメトキシシラン、2-メタクリロキシエチルトリエトキシシラン、2-メタクリロキシエチルメチルジメトキシシラン、2-アクリロキシエチルトリメトキシシラン、2-アクリロキシエチルトリエトキシシラン、メタクリロキシメチルトリメトキシシラン、メタクリロキシメチルトリエトキシシラン、メタクリロキシメチルメチルジメトキシシラン、アクリロキシメチルトリメトキシシラン、アクリロキシメチルトリエトキシシラン等が挙げられる。
 その他の金属アルコキシド又は金属塩化物としては、チタンテトラメトキシド、チタンテトラエトキシド、チタンテトラn-プロポキシド、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラn-ブトキシド、ジルコニウムテトラメトキシド、ジルコニウムテトラエトキシド、ジルコニウムテトラn-プロポキシド、ジルコニウムテトライソプロポキシド、ジルコニウムテトラn-ブトキシド、タンタルペンタメトキシド、タンタルペンタエトキシド、タンタルペンタn-プロポキシド、タンタルペンタイソプロポキシド、タンタルペンタn-ブトキシド等が挙げられる。
 酸化チタン、酸化ジルコニウム、シリカ、ITO、ZnO、SnO、IZO、ATO、AZO等の微粒子を含有していてもよい。その場合、膜物性、透明性の観点から、粒径は1000nm以下が好ましく、100nm以下がより好ましく、50nm以下がさらに好ましい。これらは、それぞれ単独で、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
 また、図7Bに示すように、感光性樹脂層1003のモールド1002とは反対側の面にカバーフィルム1004がついていても構わない。その場合の材質としては支持フィルム1001と同様の材料を用いることができる。支持フィルム1001とカバーフィルム1004の材質は異なっていてもよい。
 モールド1002と感光性樹脂層1003の対向する面には、複数の凸部1012a又は複数の凹部1012bから構成される複数のドット1012が形成されている。第1の積層体1000を基材の主面に貼合することにより、このドットパターンを基材に転写することができる。カバーフィルム2004がついている場合、貼合前に剥離する必要がある。貼合後、支持フィルム/モールドシート1006を剥離し、フォトリソグラフィを行うことにより後述する光学基材を作製することができる。また、支持フィルム/モールドシート2006を剥離する前に露光工程を行うことによりフォトリソグラフィを行ってもよい。剥離後に露光工程を行うほうが、支持フィルム/モールドシート2006の厚み分のギャップを考慮することなく露光することができるため好ましい。なお以下では、複数のドット1012をドットパターンと称したり、複数のドット1012が形成された面をドットパターン面と称したりする場合がある。ドットパターンは周期性があっても、なくてもよいが、光学素子での光取出し効率向上の観点から、少なくともある一次元に周期性があることがより好ましい。
 第1の積層体1000の基材へのドットパターンシートの貼合、支持フィルム/モールドシート1006の剥離による転写、フォトリソグラフィを行うことにより、図1等に示す光学基材を作製することが可能である。
 なお図1A及び図1Bに示す微細構造層6は、ポジ型感光性樹脂材を含む。また図1A及び図1Bの光学基材において、微細構造層6をマスクにしてアッシング及び/又はエッチング等により加工を行い、基材101の表面が、図1A及び図1Bに示す第2ドット領域12を有する微細構造層6の転写形状としての凹凸構造に加工されてもよい。それにより得られる模式図が図2A及び図2Bである。以上により、本形態では、ドットパターンを具備する部分と、具備しない部分を形成する際、より細い線、より小さいドットの形成等、基材に微細なドットパターンを形成することができる。また、シート化することにより、膜厚均一性の良好な微細構造を容易に形成することが可能である。感光性樹脂層のフォトリソグラフィによるパターニング時にマスクされるべき部分内へ進入する活性化エネルギー線が回折により散乱され、また、ポジ型感光性樹脂材の感光性が均一であることで、基材の主面に微細構造を形成することができる。そのため、基材に微細なドットパターンを具備する部分と具備しない部分を容易に形成することが可能であり、また具備しない部分に平坦面を設け、平坦面に電極部を作製することができる積層体、光学基材、発光素子、及び光学基材の製造方法となっている。
 次に第2の積層体について説明する。図8は、本実施の形態に係る第2の積層体の断面模式図である。図8Aに示すように、本実施の形態に係る第2の積層体2000は、モールド2002と化学増幅ネガ型感光性樹脂材を含有する感光性樹脂層2003により構成される。本実施の形態においては、第2の積層体2000が支持フィルム2001を備える場合について説明する。
 図8Aに示すように、モールド2002の一主面上には、複数の凸部2012aとその間をつなぐ凹部2012bから構成される複数のドット2012によりドットパターンが形成されている。ドットパターンは、複数の凹部2012bとそれをつなぐ凸部2012aから構成される複数のドット2012で形成されていてもよく、複数の凸部2012aとその間をつなぐ凹部2012bから構成される複数のドット2012と、複数の凹部2012bとそれをつなぐ凸部2012aから構成される複数のドット2012が共存していてもよい。ドットの形状としては前記ドット10及びドット11と同様の形状を用いることができる。
 モールド2002の表面上には、複数の凸部2012a及び凹部2012bの少なくとも一部を覆うように化学増幅ネガ型感光性樹脂材を含有する感光性樹脂層2003が設けられている。即ち、化学増幅ネガ型感光性樹脂材を含有する感光性樹脂層2003は、複数の凸部2012a及び凹部2012bの全面を覆っていてもよく、複数の凸部2012a及び凹部2012bの一部を覆っていてもよい。
 また、第2の積層体2000は、モールド2002の感光性樹脂層2003とは反対側の面上に支持フィルム2001を備えることができる。支持フィルム2001及びモールド2002は、支持フィルム/モールドシート2006として、感光性樹脂層2003より剥離することができる。
 モールド2002の材料としては、例えばフッ素含有樹脂、シリコーン含有樹脂等が挙げられる。水に対する接触角が90度より大きいことが好ましい。ただし、感光性樹脂層2003を、後述する被処理体である基板に転写する際の転写精度の観点から、水に対する接触角は95度以上がより好ましく、100度以上がなお好ましく、120度以上がさらに好ましい。
 フッ素系含有樹脂としては、フッ素原子を持った化合物が樹脂中に含まれていればよく、樹脂中の全ての成分にフッ素が含まれていなくてもよい。また、光硬化性樹脂及び光重合開始剤により硬化した樹脂であることが好ましい。特に、光硬化性樹脂、光重合開始剤及びフッ素系添加剤で構成されることが好ましい。フッ素系添加剤としては特に限定されず、耐摩耗性、耐傷付き、指紋付着防止、防汚性、レベリング性や撥水撥油性等の表面改質剤等を使用できるが、フッ素系添加剤分子中に光重合性基を有することがより好ましい。さらに、モールド2002内部のフッ素原子濃度よりも、モールド2002の感光性樹脂層2003側の表面付近のフッ素原子濃度が高いことが好ましい。
 シリコーン含有樹脂としては、シリコーンを持った化合物が樹脂中に含まれていればよく、樹脂中の全ての成分にシリコーン部位が含まれていなくてもよい。また、光硬化性樹脂及び光重合開始剤、又は、熱硬化樹脂及び熱硬化促進剤若しくは触媒により硬化した樹脂であることが好ましい。光硬化樹脂の場合、特に、光硬化性樹脂、光重合開始剤及びシリコーン添加剤で構成されることが好ましい。シリコーン添加材としては特に限定されず、耐摩耗性、耐傷付き、指紋付着防止、防汚性、レベリング性や撥水撥油性等の表面改質剤等を使用できるが、シリコーン添加材分子中に光重合性基を有することがより好ましい。
 化学増幅ネガ型感光性樹脂材を含有する感光性樹脂層2003には、活性化エネルギー線(例えばUV光、深紫外光、電子ビーム等が挙げられるが、UV光が好ましい)を露光した部分の現像液への溶解度が低下し、未露光部分が溶解又は分散する材料を用いることができる。
 感光性樹脂層2003の化学増幅ネガ型感光性樹脂材としては、ヒドロキシ基、フェノール性水酸基、等のアルカリ可溶性官能基を有する樹脂と、光により酸を発生する化合物と、発生した酸と反応可能な官能基を有する架橋剤を含むものを用いることができる。
 アルカリ可溶性官能基を有する樹脂としては、カルボン酸基を側鎖に有する(共)重合体や、フェノール性水酸基を側鎖に有するビニル(共)重合体、ノボラック樹脂等が挙げられる。本明細書において、(共)重合体は、単独重合体及び/又は共重合体を意味する。
 その中でも、フェノール性水酸基を有するビニル(共)重合体、ノボラック樹脂が、架橋速度の点で好ましい。さらに、樹脂組成物の膜強度の点からフェノール系水酸基を有するビニル(共)重合体がより好ましい。
 本実施の形態で用いられるフェノール性水酸基を側鎖に有するビニル(共)重合体は、4-ヒドロキシスチレン、4-ヒドロキシ-(α-メチルスチレン)、3-ヒドロキシスチレン、3-ヒドロキシ-(α-メチルスチレン)、2-ヒドロキシスチレン、2-ヒドロキシ-(α-メチルスチレン)、メタクリル酸(4-ヒドロキシフェニル)、アクリル酸(4-ヒドロキシフェニル)、メタクリル酸(3-ヒドロキシフェニル)、アクリル酸(3-ヒドロキシフェニル)、メタクリル酸(2-ヒドロキシフェニル)、アクリル酸(2-ヒドロキシフェニル)、メタクリル酸(4-ヒドロキシベンジル)、アクリル酸(4-ヒドロキシベンジル)、メタクリル酸(3-ヒドロキシベンジル)、アクリル酸(3-ヒドロキシベンジル)、メタクリル酸(2-ヒドロキシベンジル)、アクリル酸(2-ヒドロキシベンジル)や、それらの置換化合物のうち少なくとも一つの化合物を重合成分とした(共)重合体であることが好ましい。
 それらの例としてはポリ(パラヒドロキシスチレン)やポリ(パラヒドロキシスチレン-スチレン)共重合体等が挙げられる。また、それらの重合体中のフェノール性水酸基の一部がエステル結合、カーボネート結合、シロキシ結合等により保護されているものを用いてもよい。その中でも、架橋性官能基の密度の観点から、ポリ(パラヒドロキシスチレン)等が好ましい。例えば、マルカリンカーシリーズ(丸善石油化学社製)やVPポリマーシリーズ(日本曹達社製)等が挙げられる。
 本実施の形態で用いられるノボラック樹脂は、フェノール系化合物と、ホルムアルデヒド又はアルデヒド化合物との縮合反応物が好ましい。
 ノボラック樹脂の調製に用いられるフェノール系化合物の例としては、フェノール、o-クレゾール、m-クレゾール、p-クレゾール、o-エチルフェノール、m-エチルフェノール、p-エチルフェノール、o-ブチルフェノール、m-ブチルフェノール、p-ブチルフェノール、2,3-キシレノール、2,4-キシレノール、2,5-キシレノール、2,6-キシレノール、3,4-キシレノール、3,5-キシレノール、2,3,5-トリメチルフェノール、3,4,5-トリメチルフェノール、pーフェニルフェノール、レゾルシノール、ヒドロキノン、ヒドロキノンモノメチルエーテル、ピロガロール、フロログリシノール、ヒドロキシジフェニル、ビスフェノールA、没食子酸、没食子酸エステル、α-ナフトール、β-ナフトールや、上記した化合物(1)等が挙げられる。これらは、それぞれ単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、アルデヒド類としては、例えば、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、フルフラール、ベンズアルデヒド、ニトロベンズアルデヒド、アセトアルデヒドが挙げられる。これらは、それぞれ単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
 ノボラック樹脂の調製におけるフェノール系化合物とホルムアルデヒド又はアルデヒド化合物の縮合反応を行う場合、酸触媒を用いるのが好ましく、酸触媒としては、種々のものが使用できるが、塩酸、硫酸、p-トルエンスルホン酸、シュウ酸、三フッ化ホウ素、無水塩化アルミニウム、塩化亜鉛等が好ましく、特にp-トルエンスルホン酸、硫酸、塩酸が好ましい。
 フェノール系化合物とホルムアルデヒドの縮合反応は、無溶剤下又は有機溶剤の存在下で行うことができる。有機溶剤を使用する場合の具体例としてはメチルセロソルブ、エチルセロソルブ、トルエン、キシレン、メチルイソブチルケトン等が挙げられる。有機溶剤の使用量は仕込んだ原料の総質量に対して通常50質量%~300質量%、好ましくは100質量%~250質量%である。反応温度は通常40℃~180℃、反応時間は通常1時間~10時間である。これらの溶剤類はそれぞれ単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
 反応終了後、反応混合物の水洗浄液のpH値が3~7、好ましくは5~7になるまで水洗処理を行う。水洗処理を行う場合は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム等のアルカリ土類金属水酸化物、アンモニア、リン酸二水素ナトリウムさらにはジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、アニリン、フェニレンジアミン等の有機アミン等様々な塩基性物質等を中和剤として用いて処理してもよい。また水洗処理の場合は常法に従って行えばよい。例えば、反応混合物中に上記中和剤を溶解した水を加え、分液抽出操作をくり返し、減圧加熱下で溶剤を留去し生成物を得ることができる。
 ノボラック樹脂の分子量は、アルカリ現像時の残渣の観点から、重量平均分子量として30000以下が好ましく、20000以下がより好ましい。一方で、分子量が低すぎると溶解性が高く、露光部と未露光部のコントラストをつけるのが困難であるため、重量平均分子量として300以上が好ましく、500以上がより好ましく、700以上がさらに好ましい。
 ノボラック樹脂の具体例としては、EP4020G(旭有機材社製)、EP4050G(旭有機材社製)、EP4080G(旭有機材社製)、EPR5010G(旭有機材社製)、EPR5030G(旭有機材社製)、EP6050G(旭有機材社製)、MEHC7800SS(明和化成社製)、MEHC7800S(明和化成社製)、MEHC7800M(明和化成社製)、MEHC7800H(明和化成社製)、MEH7851S(明和化成社製)、MEH7851M(明和化成社製)、MEH7851H(明和化成社製)等が挙げられる。
 側鎖にカルボン酸基を有する(共)重合体としては、カルボン酸基を有するビニルモノマーを含む重合体が挙げられる。この(共)重合体はカルボン酸基を有さないモノマーとの共重合体でもよい。
 カルボン酸基を有するモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、カルボキシエチル(メタ)アクリレート、カルボキシペンチル(メタ)アクリレート、2-(メタ)アクリロキシエチルコハク酸、2-(メタ)アクリロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2-(メタ)アクリロキシエチルフタル酸、フマル酸、ケイ皮酸、クロトン酸、イタコン酸、及びマレイン酸ハーフエステル等が挙げられる。これらは、それぞれ単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせてもよい。
 カルボン酸基を有さないモノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、カプロラクトン(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、N-メチロールアクリルアミド、N-ブトキシメチルアクリルアミド、スチレン、α-メチルスチレン、p-メチルスチレン、p-クロロスチレン、ベンジル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシベンジル(メタ)アクリレート、4-メトキシベンジル(メタ)アクリレート、4-メチルベンジル(メタ)アクリレート、4-クロロベンジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸グリシジル、3-メチル-3-(メタ)アクリレート、3-エチル―3-(メタ)アクリロキシメチルオキセタン、ヘキサフルオロプロピル(メタ)アクリレート、3-(メタ)アクリロイルプロピルトリメトキシシラン、3-(メタ)アクリロイルプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。これらは、それぞれ単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
 アルカリ可溶性官能基を有する樹脂は、上記に挙げたような各種アルカリ可溶性樹脂を含めばよく、複数種類のアルカリ可溶性樹脂を混合してもよい。ただし、ドライエッチング時の均一性の観点から、フェノール性水酸基を有するビニル(共)重合体を用いることがより好ましい。カルボン酸基を有するポリマーは極性が比較的高く、ノボラック樹脂はその分子間又は分子内で比較的スタッキングしやすいため、比較的相分離しやすい。アルカリ可溶性樹脂は、感光性樹脂組成物100質量%に対して、10~90質量%配合することが好ましい。より好ましくは30~80質量%である。感度の観点から20質量%以上が好ましく、現像性の観点から90質量%以下が好ましい。
 感光性樹脂層2003に含まれる、光により酸を発生する化合物は、活性化エネルギー線により酸を発生すればどのような化合部を用いてもよい。例えば、光酸発生剤や、ナフトキノンジアジド化合物が挙げられる。その中でも、発生する酸の酸性度が高いほうが、縮合速度の点で好ましい。
 光酸発生剤としては、光により酸を発生する化合物であればよく、例えば、スルホニウム塩、ヨードニウム塩といった芳香族オニウム塩、ハロゲン含有化合物等が挙げられる。これらは、光により直接酸を発生しなくてもよく、例えばラジカル等を経由して酸性化合物を生成するものでもよい。
 スルホニウム塩、ヨードニウム塩、ホスホニウム塩といった芳香族オニウム塩としては、例えば、スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ベンジルトリフェニルホスホニウムヘキサフルオロホスフェート、ベンジルピリジニウムヘキサフルオロホスフェート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、ベンゾイントシレート、アデカオプトマー(登録商標)sp-170(ADEKA社製)、アデカオプトマー(登録商標)sp-172(ADEKA社製)、WPAG-145(和光純薬工業社製)、WPAG-170(和光純薬工業社製)、WPAG-199(和光純薬工業社製)、WPAG-281(和光純薬工業社製)、WPAG-336(和光純薬工業社製)、WPAG-367(和光純薬工業社製)、CPI-100P(サンアプロ社製)、CPI-101A(サンアプロ社製)、CPI-200K(サンアプロ社製)、CPI-210S(サンアプロ社製)、DTS-102(みどり化学社製)、TPS-TF(東洋合成工業社製)、DTBPI-PFBS(東洋合成工業社製)等が挙げられる。
 ハロゲン含有化合物は、ハロゲン化メチル基、ハロゲン化メチレン基、ハロゲン化メチン基、ハロゲン化芳香族基を含有する化合物が好ましく、具体的な例としては、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-[2-(2-フリル)エテニル]-s-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-[2-(5-メチル-2-フリル)エテニル]-s-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-[2-(5-エチル-2-フリル)エテニル]-s-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-[2-(5-プロピル-2-フリル)エテニル]-s-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-[2-(3,5-ジメトキシフェニル)エテニル]-s-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-[2-(3,5-ジエトキシフェニル)エテニル]-s-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-[2-(3,5-ジプロポキシフェニル)エテニル]-s-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-[2-(3-メトキシ-5-エトキシフェニル)エテニル]-s-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-[2-(3-メトキシ-5-プロポキシフェニル)エテニル]-s-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-[2-(3,4-メチレンジオキシフェニル)エテニル]-s-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-(3,4-メチレンジオキシフェニル)-s-トリアジン、2,4-ビス-トリクロロメチル-6-(3-ブロモ-4メトキシ)フェニル-s-トリアジン、2,4-ビス-トリクロロメチル-6-(2-ブロモ-4メトキシ)フェニル-s-トリアジン、2,4-ビス-トリクロロメチル-6-(2-ブロモ-4メトキシ)スチリルフェニル-s-トリアジン、2,4-ビス-トリクロロメチル-6-(3-ブロモ-4メトキシ)スチリルフェニル-s-トリアジン、2-(4-メトキシフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン、2-(4-メトキシナフチル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン、2-[2-(2-フリル)エテニル]-4,6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン、2-[2-(5-メチル-2-フリル)エテニル]-4,6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン、2-[2-(3,5-ジメトキシフェニル)エテニル]-4,6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン、2-[2-(3,4-ジメトキシフェニル)エテニル]-4,6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン、2-(3,4-メチレンジオキシフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン、2、4-トリクロロメチル(ピペロニル)-6-トリアジン、トリス(1,3-ジブロモプロピル)-1,3,5-トリアジン、トリス(2,3-ジブロモプロピル)-1,3,5-トリアジン等のハロゲン含有トリアジン化合物及びトリス(2,3-ジブロモプロピル)イソシアヌレート等のハロゲン含有イソシアヌレート化合物が挙げられる。例えば、TR-PAG-107(トリアジンPP、DKSHジャパン社製)等が挙げられる。
 光酸発生剤としては、特に、ハロゲン含有化合物が、有機溶剤への溶解性や、酸発生剤としての性能が高いことから好ましい。
 光酸発生剤は、複数種類の光酸発生剤を混合してもよい。光酸発生剤の添加量は、アルカリ可溶性樹脂(100質量部)に対して、0.01~50質量部であり、好ましくは0.1~10質量部であり、より好ましくは0.5~5質量部である。露光部と未露光部のコントラストを良好にするために0.01質量部以上が好ましく、また組成物の安定性の観点から、50質量部以下が好ましい。
 架橋剤としては、酸の作用により、架橋がより進行する官能基を有する化合物が挙げられ、アミノ基、ヒドロキシ基又はアルコキシ基を有する化合物が挙げられる。その中でも、反応性の観点から、アルコキシ基を有する化合物を含むことが好ましい。特に炭素数3以下のアルコキシ基を用いた場合、縮合が進行する際に生成するアルコールが低沸点のアルコールとなるため、ヒドロキシ基を用いた脱水反応により生成する水よりも、除去しやすく、縮合をより進行させやすくなる。
 架橋剤としては、例えば、メラミン樹脂、尿素樹脂、グアナミン樹脂、グリコールウリル-ホルムアルデヒド樹脂、スクシニルアミド-ホルムアルデヒド樹脂、エチレン尿素-ホルムアルデヒド樹脂を用いることができるが、特に、アルコキシメチル化メラミン樹脂やアルコキシメチル化尿素樹脂等のアルコキシメチル化アミノ樹脂等が好適に使用できる。前記アルコキシメチル化アミノ樹脂は、例えば、沸騰水溶液中でメラミン又は尿素をホルマリンと反応させて得た縮合物を、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、イソプロピルアルコール等の低級アルコール類と反応させてエーテルを形成し、次いで反応液を冷却して析出させることで製造できる。前記アルコキシメチル化アミノ樹脂としては、具体的にメトキシメチル化メラミン樹脂、エトキシメチル化メラミン樹脂、プロポキシメチル化メラミン樹脂、ブトキシメチル化メラミン樹脂、メトキシメチル化尿素樹脂、エトキシメチル化尿素樹脂、プロポキシメチル化尿素樹脂、ブトキシメチル化尿素樹脂等が挙げられる。前記アルコキシメチル化アミノ樹脂は、単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。特に、アルコキシメチル化メラミン樹脂は、放射線の照射量の変化に対するレジストパターンの寸法変化量が小さく安定したレジストパターンを形成できるため好ましい。中でも、メトキシメチル化メラミン樹脂、エトキシメチル化メラミン樹脂、プロポキシメチル化メラミン樹脂又はブトキシメチル化メラミン樹脂が好適である。
 アルコキシメチル化メラミン樹脂としては、ニカラックMX-750、ニカラックMX-706、ニカラックMX-101、ニカラックMX-032、ニカラックMX-708、ニカラックMX-40、ニカラックMX-31、ニカラックMS-11、ニカラックMW-22、ニカラックMW-30、MW-30HM、MW-100LM、ニカラックMW-390(以上全て、三和ケミカル社製)等が挙げられる。これらは単独で又は二種以上を組み合わせて用いてもよい。アルコキシメチル化尿素樹脂としてはMX-290(三和ケミカル社製)が挙げられる。
 架橋剤は、複数種類の架橋剤を混合して使用してもよい。架橋剤の添加量は、アルカリ可溶性樹脂(100質量部)に対して、1~300質量部であり、好ましくは5~20質量部であり、より好ましくは10~100質量部である。感度、耐エッチング性の観点から1質量部以上が好ましく、保存安定性、現像後の残渣の観点から300質量部以下が好ましい。
 感光性樹脂層2003の化学増幅ネガ型感光性樹脂材の軟化点は、貼合時のプロセス温度の低下、欠陥の低減の観点から150℃以下が好ましく、130℃以下がより好ましく、110℃以下がさらに好ましい。一方で、モールド2002に形成されるドットパターンの熱安定性、後述するカバーフィルムへの化学増幅ネガ型感光性樹脂材付着防止、カバーフィルム剥離後の平坦性の確保の観点から、30℃以上が好ましく、50℃以上がより好ましく、60℃以上がさらに好ましい。
 軟化点は、感光性樹脂層2003に含まれるアルカリ可溶性官能基を有する樹脂の原料の構造、化学増幅ネガ型感光性樹脂材に含まれる添加剤の比率や、分子量の調整により適宜選択することが可能である。
 軟化点はJIS規格に則って環球法にて測定することができる。また、光により酸を発生する化合物及び/又は架橋剤の含有量によっても調整可能である。
 さらに、120℃以下で液状である軟化剤を添加することによっても軟化点の調整をすることが可能である。軟化剤の構造としては、アルカリに可溶なヒドロキシ基、フェノール性水酸基等の酸性官能基や、アルキレンオキシド基のような親水性基を有する化合物がフォトリソグラフィ時の残渣低減の点で好ましく、軟化点の調整としては、基材への貼合時のエア噛み欠陥低減観点から、30℃以下で液状である軟化剤を添加することがより好ましい。また、それらを有さない、アルカリに不溶又は難溶な化合物であっても、第2の積層体2000を基材に貼合する際のエア噛み防止、欠陥率の低減、貼合時の低温度化に寄与することが可能であり、さらにはフォトリソグラフィ時のコントラスト調整として用いることが可能である。
 上記軟化剤としては、例えば、ジエチルフタレート等のフタル酸エステル類、o-トルエンスルホン酸アミド、p-トルエンスルホン酸アミド、クエン酸トリブチル、クエン酸トリエチル、アセチルクエン酸トリエチル、アセチルクエン酸トリ-n-プロピル、アセチルクエン酸トリ-n-ブチル、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール、ポリエチレングリコールアルキルエーテル、ポリプロピレングリコールアルキルエーテル、ポリブチレングリコールアルキルエーテル、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールのブロック共重合体およびそのジアルキルエーテル、モノアルキルエーテル、及び上記化合物を構造の一部に有する化合物等が挙げられる。
 アルキレンオキシド基を有する化合物としては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコールや、それらを骨格の一部に有する化合物が挙げられる。
 耐ドライエッチング特性や、化学増幅ネガ型感光性樹脂材への溶解性の点から、アルキレンオキシド基を有する化合物は芳香族基を有する化合物であることが好ましく、骨格としてベンゼン、ビフェニル、ジフェニルエーテル、ジフェニルスルホン、ジフェニルケトン、ジフェニルメタン、2,2-ジフェニルプロパン、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2,2-ジフェニルプロパン等を含むことが好ましい。アデカノール(登録商標)SDX-1569、アデカノール(登録商標)SDX-1570、アデカノール(登録商標)SDX-1571、アデカノール(登録商標)SDX-479(以上ADEKA社製)、ニューポール(登録商標)BP-23P、ニューポール(登録商標)BP-3P、ニューポール(登録商標)BP-5P、ニューポール(登録商標)BPE-20T、ニューポール(登録商標)BPE-60、ニューポール(登録商標)BPE-100、ニューポール(登録商標)BPE-180(以上三洋化成(株)製)、ユニオール(登録商標)DB-400、ユニオール(登録商標)DAB-800、ユニオール(登録商標)DA-350F、ユニオール(登録商標)DA-400、ユニオール(登録商標)DA-700(以上日本油脂社製)、BA-P4U、BA-P8(以上日本乳化剤社製)等が挙げられる。
 軟化剤は、複数種類の軟化剤を混合して使用してもよい。軟化剤の添加量としては、アルカリ可溶性樹脂と架橋剤の総和100質量部に対して、0.1~50質量部とするのが好ましく、1~30質量部とするのがより好ましい。膜物性を変化させる点で、0.1質量部以上であることが好ましい。また、フォトリソグラフィでの解像度を保つ、又は向上させる点で、30質量部以下であることが好ましい。
 フォトリソグラフィにおける現像時において化学増幅ネガ型感光性樹脂材と基材の密着性を向上させるために、化学増幅ネガ型感光性樹脂材が、密着助剤を含むことが好ましい。密着助剤としては基材と親和又は反応する官能基と、化学増幅ネガ型組成物と親和又は反応する官能基とを有する化合物が好ましく、例えば、シランカップリング剤やチオール化合物等が挙げられる。
 シランカップリング剤の例としては3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、2-メタクリロキシエチルトリメトキシシラン、2-メタクリロキシエチルトリエトキシシラン、2-メタクリロキシエチルメチルジメトキシシラン、2-アクリロキシエチルトリメトキシシラン、2-アクリロキシエチルトリエトキシシラン、メタクリロキシメチルトリメトキシシラン、メタクリロキシメチルトリエトキシシラン、メタクリロキシメチルメチルジメトキシシラン、アクリロキシメチルトリメトキシシラン、アクリロキシメチルトリエトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルジメトキシメチルシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルジエトキシメチルシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルメトキシジメチルシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルエトキシジメチルシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメトキシジメチルシシラン、3-グリシドキシプロピルエトキシジメチルシシランN-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジエトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3-アミノプロピルジエトキシシラン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-(ビニルベンジル)-2-アミノエチル-3-アミノプロピルトリメトキシシランの塩酸塩、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3-メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン等が挙げられる。特に、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業社製KBM-403)、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業社製KBM-503)、3-アミノプロピルトリエトキシシラン(信越化学工業社製KBE-903)が好ましい。チオール化合物の例としては、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトブチレート)(昭和電工社製カレンズ(登録商標)MT-PE1)、1,4-ビス(3-メルカプトブチリルオキシ)ブタン(昭和電工社製カレンズ(登録商標)MT-BD1)、1,3,5-トリス(3-メルカプトブチリルオキシエチル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン(昭和電工社製カレンズ(登録商標)MT-NR1)、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトブチレート)(昭和電工社製TPMB)、トリメチロールエタントリス(3-メルカプトブチレート)(昭和電工社製TEMB)、等が挙げられる。好ましくはシランカップリング剤であり、基材との密着性だけでなく、ドライエッチング耐性を向上することもできる。また、フォトリソグラフィの現像時密着性だけでなく、ナノパターンの倒れも低減することができる。接着助剤は、複数種類の接着助剤を混合して用いてもよい。
 接着助剤の添加量は、アルカリ可溶性樹脂と架橋剤の総和100質量部に対して、0.1~50質量部とするのが好ましく、0.5~10質量部とするのがより好ましい。添加量が0.1質量部以上であれば、ガラス、金属等の無機材料基板に対して優れた密着性を持つ硬化成形物を得ることができる。添加量が50質量部以下であれば、その他の特性を維持したまま実用的な硬化成形物を得ることができる。
 フォトリソグラフィにおいて、細線を解像するために、化学増幅ネガ型感光性樹脂材が、酸トラップ剤(プロトントラップ剤)を含むことが好ましい。これにより、特にフォトリソグラフィのパターン内部に入り込んだわずかな露光光により発生した酸をトラップすることが可能である。それにより、フォトリソグラフィのパターン内部での残渣や埋まりの発生を低減することが可能である。酸トラップ剤としては、例えば、アミノ基を含む構造であることが好ましい。さらに、酸トラップ剤の添加により、保管中にわずかに発生した酸をトラップすることにより保存安定性を高めることができる。
 酸トラップ剤としては、例えば、肪肪族アミンや芳香族アミンがあり、脂肪族アミンとしては、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ジプロピルアミン、トリプロピルアミン、ブチルアミン、ジブチルアミン、トリブチルアミン、ベンジルアミン、メチルベンジルアミン、ジメチルベンジルアミン等が挙げられ、アニリン構造を有する化合物としては、アニリン、N-メチルアニリン、N,N-ジメチルアニリン、N-エチルアニリン、N,N-ジエチルアニリン、ジフェニルアミン、トリフェニルアミン等が挙げられ、それらの置換基はさらに別の官能基で置換されていてもよい。また、上記骨格を一部含む化合物であってもよい。
 アニリン構造を有する他の化合物の例としては、ジアミノジフェニルエーテル、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2-ビス(4-(4-アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2,2-ビス(4-(4-アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、ビス(4-(4-アミノフェノキシ)フェニル)メタン、ビス(4-(4-アミノフェノキシ)フェニル)スルホン等が挙げられる。
 構造中に芳香族部位を有すると耐ドライエッチング性で好ましく、アミノ基1個当たりの分子量が70以上であると、溶解性の点で好ましい。
 酸トラップ剤は、複数種類の酸トラップ剤を混合して用いてもよい。酸トラップ剤の添加量としては、アルカリ可溶性樹脂と架橋性化合物の総和100質量部に対して、0.1~30質量部であり、好ましくは0.5~20質量部であり、より好ましくは1~10質量部である。フォトリソグラフィ時の細線化、保存安定性の向上の観点から0.1質量部以上が好ましく、現像後の残渣の観点から30質量部以下が好ましい。
 上記感光性組成物中に有機溶剤を含有していてもよい。有機溶剤としては例えば、
 (1)脂肪族アルコール:メタノール、エタノール、n-プロパノール、iso-プロパノール、n-ブタノール、iso-ブタノール、sec-ブタノール、tert-ブタノール、1-ペンタノール、イソアミルアルコール、s-アミルアルコール、t-アミルアルコール、2-メチル-1-ブタノール、1-ヘキサノール、2-エチル-1-ブタノール、4-メチル-2-ペンタノール、イソヘキシルアルコール、メチル-1-ペンタノール、s-ヘキサノール、1-ヘプタノール、イソヘプチルアルコール、2,3-ジメチル-1-ペンタノール、1-オクタノール、2-エチルヘキサノール、イソオクチルアルコール、2-オクタノール、3-オクタノール、1-ノナノール、イソノニルアルコール、3,5,5-トリメチルヘキサノール、1-デカノール、イソデシルアルコール、3,7-ジメチル-1-オクタノール、1-ヘンデカノール、1-ドデカノール、イソドデシルアルコール、アリルアルコール、プロパルギルアルコール、ヘキシノール
 (2)芳香族アルコール:ベンジルアルコール、(2-ヒドロキシフェニル)メタノール、(メトキシフェニル)メタノール、(3,4-ジヒドロキシフェニル)メタノール、4-(ヒドロキシメチル)ベンゼン-1,2-ジオール、(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)メタノール、(3,4-ジメトキシフェニル)メタノール、(4-イソプロピルフェニル)メタノール、2-フェニルエタノール、1-フェニルエタノール、2-フェニル-1-プロパノール、p-トリルアルコール、2-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)エタン-1-オール、2-(3,4-ジメトキシフェニル)エタン-1-オール、3-フェニルプロパン-1-オール、2-フェニルプロパン-2-オール、シンナミルアルコール、3-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)プロパ-2-エン-1-オール、3-(4-ヒドロキシ-3,5-メトキシフェニル)プロパ-2-エン-1-オール、ジフェニルメタノール、トリチルアルコール、1,2-ジフェニルエタン-1,2-ジオール、1,1,2,2,-テトラフェニルエタン-1,2-ジオール、ベンゼン-1,2-ジメタノール、ベンゼン-1、3-ジメタノール、ベンゼン-1、4-ジメタノール
 (3)脂環式アルコール:シクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノール、フルフリルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール、テトラヒドロ-2-フランメタノール
 (4)グリコール及びその誘導体:例えば、エチレングリコール、エチレングリコールモノアルキル(炭素原子数1~8)エーテル、エチレングリコールモノビニルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、ジオキサン、ジエチレングリコールモノアルキル(炭素原子数1~6)エーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、トリエチレングリコールモノアルキル(炭素原子数1~3)エーテル、トリエチレングリコールモノビニルエーテル、トリエチレングリコールモノフェニルエーテル、テトラエチレングリコールモノフェニルエーテル、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノアルキル(炭素原子数1~4)エーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル、ジプロピレングリコールモノアルキル(炭素原子数1~3)エーテル、エチレングリコールモノアセタート、プロピレングリコールモノアクリラート、プロピレングリコールモノアセタート
 (5)ケトン化合物:アセトン、メチルエチルケトン、3-ブチン-2-オン、メチル-n-プロピルケトン、メチルイソプロピルケトン、3-ペンチン-2-オン、メチルイソプロペニルケトン、メチル-n-ブチルケトン、メチルイソブチルケトン、メシチルオキシド、4-ヒドロキシ-4-メチル-2-ペンタノン、メチル-n-アミルケトン、メチルイソアミルケトン、エチル-n-ブチルケトン、ジ-n-プロピルケトン、ジイソプロピルケトン、2-オクタノン、3-オクタノン、5-メチル-3-ヘプタノン、5-ノナノン、ジイソブチルケトン、トリメチルノナノン、2、4-ペンタンジオン、2,5-ヘキサンジオン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、アセトフェノン、プロピオフェノン、イソホロン
 (6)その他:N,N-ジメチルホルムアミド、N-メチル-2-ピロリドン、N-エチル-2-ピロリドン、N,N-ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ピリジン、γ-ブチロラクトン、α-アセチル-γ-ブチロラクトン、テトラメチル尿素、1,3-ジメチル-2-イミダゾリノン、N-シクロヘキシル-2-ピロリドン、炭素数5~20の脂肪族炭化水素(直鎖でも、分岐していてもよい)、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ドデカン等、炭素数6~25の芳香族化合物(酸素原子、窒素原子が含まれていてもよい)、例えば、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン、メシチレン、アニソールなどを挙げることができる。
 これらは、単独で、又は二種以上の組合せで用いることができる。これらの中でも、アセトン、メチルエチルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、乳酸エチル、ガンマブチロラクトン、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどが好ましい。
 化学増幅ネガ型感光性樹脂材中に、添加剤としてアルカリ可溶性官能基を有する樹脂以外のオリゴマーやポリマーが含まれていてもよい。また、紫外線吸収剤、増感剤、ラジカルトラップ剤等を含んでいてもよい。
 支持フィルム2001の材料としては、図7で示した支持フィルム1001と同様の材料を用いることができる。
 図8Bに示すように、感光性樹脂層2003とモールド2002との間にそれぞれとは別の材料層2005が全面にあるいは一部に具備されていてもよい。
 材料層2005の材料としては、化学増幅ネガ型感光性樹脂材でなくてもよく、無機化合物や、有機無機ハイブリッド材料等が挙げられる。第2の積層体2000が、材料層2005を具備することにより、モールド2002の離型性が高まり、感光性樹脂層2003に転写されるドットパターンの精度が向上する。さらには、第2の積層体2000を基材に貼合後には最表層が材料層2005となるため、材料層2005をマスクとして、エッチングやアッシング等の加工を施すことができる利点がある。
 無機化合物や有機無機ハイブリッド材料については図7にて説明した材料を用いることができる。
 また、図8Bに示すように、感光性樹脂層2003のモールド2002とは反対側の面にカバーフィルム2004がついていても構わない。その場合の材質としては支持フィルム2001と同様の材料を用いることができる。支持フィルム2001とカバーフィルム2004の材料は異なっていてもよい。
 モールド2002と感光性樹脂層2003の対向する面には、凸部2012a又は凹部2012bから構成される複数のドット2012が形成されている。第2の積層体2000を基材の主面に貼合することにより、このドットパターンを基材に転写することができる。カバーフィルム2004がついている場合、貼合前に剥離する必要がある。転写後、支持フィルム/モールドシート2006を剥離し、フォトリソグラフィを行うことにより図1等に示す光学基材を作製することができる。また、支持フィルム/モールドシート2006を剥離する前に露光工程を行うことによりフォトリソグラフィを行ってもよい。剥離後に露光工程を行うほうが、支持フィルム/モールドシート2006の厚み分のギャップを考慮することなく露光することができるため好ましい。ドットパターンは周期性があっても、なくてもよいが、光学素子での光取出し効率向上の観点から、少なくともある一次元に周期性があることがより好ましい。
 第2の積層体2000の基材への貼合によるドットパターンの転写、支持フィルム/モールドシート2006の剥離、フォトリソグラフィを行うことにより、図1のような光学基材を作製することが可能である。
 なお図1A及び図1Bに示す微細構造層6は、化学増幅ネガ型感光性樹脂硬化物を含む。また図1A及び図1Bの光学基材において、微細構造層6をマスクにしてアッシング及び/又はエッチング等により加工を行い、基材101の表面が、図1A及び図1Bに示す第2ドット領域12を有する微細構造層6の転写形状としての凹凸構造に加工されてもよい。それにより得られる模式図が図2A及び図2Bである。以上により、ドットパターンを具備する部分と、具備しない部分を形成する際、より細い線、より小さいドットの形成等、基材に微細なドットパターン領域を形成することができる。また、シート化することにより、膜厚均一性の良好な微細構造を容易に形成することが可能である。さらに、化学増幅ネガ型組成を用いることにより微細なドットパターンの経時あるいは熱による形状変化を抑制することができる。基材に膜厚均一性に優れた微細なドットパターンを容易に形成することが可能であり、かつドットパターンを具備しない平坦面に、電極部を作製することが可能であるため、新たに平坦な電極形成部を作製する工程が必要ない。また、ドット形状の変形が抑えられるため、形状の均一性の良好な微細なドットパターンを形成することができる。本形態のパターン光学基材によれば、基材の主面側に、微細構造層と、平坦面を設け、この平坦面を少なくとも発光素子の電極形成部として利用可能としたことで、平坦部に電極を作製することができ、電極の剥離や抵抗値の増大を防止することが可能であり、従来に比べて高い歩留りの実現や、発光効率の発光素子を製造できる。そのため、基材に経時的に、あるいは熱的に安定な微細なドットパターンを具備する部分と具備しない部分を容易に形成することが可能であり、また具備する部位または具備する部位を細線に形成することができ、さらに具備しない部分に平坦面を設け、平坦面に電極部を作製することができる積層体、光学基材前駆体、光学基材、パターン光学基材、加工光学基材、発光素子、及びパタン光学基材の製造方法となっている。
(レジスト剥離液)
 以下に説明するレジスト剥離液は、図1等に示す第1ドット10及び第2ドット11を形成する際に用いたレジストを剥離するために用いることができる。本実施の形態に係るレジスト剥離液は、アルカリ性無機化合物及びアルカリ性有機化合物を含む。これにより、ドライエッチング法で基材に微細パターン加工を行った際に変質して溶けにくくなったレジストを容易に除去し、微細パターン間の微細な間隙に入り込んだレジスト残渣を除去することができる。図1等に示す第1ドット10及び第2ドット11を形成するための製造方法については別途後述する。
 アルカリ性無機化合物としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウム、水酸化バリウム、水酸化アンモニウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ルビジウム、炭酸セシウム、リチウムメトキシド、ナトリウムメトキシド、カリウムメトキシド、ルビジウムメトキシド及びセシウムメトキシドが挙げられる。強い塩基性を有する水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ストロンチウム、水酸化セシウム等のアルカリ金属水酸化物が、溶解しにくいレジストであっても、その化学結合を切断して除去することができるため、特に好ましい。これらのアルカリ性無機化合物は1種でも2種以上を含んでもよい。
 アルカリ性有機化合物としては、例えば、テトラアルキルアンモニウムヒドロキシドや、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ペンチルアミン、へキシルアミン、シクロへキシルアミン、アニリン、ヒドラジン、ジアミノエタン、ジアミノプロパン、ジアミノブタン、ジアミノペンタン又はジアミノヘキサン等の1級アミン類、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、ジペンチルアミン、ジへキシルアミン、エチルメチルアミン、メチルプロピルアミン、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、ピロール等の2級アミン類、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、ジメチルエチルアミン、ブチルエチルメチルアミン、ピリジン、ジメチルアニリン、DABCO又はジメチルアミノピリジン等の3級アミン類、或いは、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、アミノピリジン等の分子内に異なる級のアミノ基を有するアミン類等のアミン類が挙げられる。また、これらのアミン類は、水酸基、エーテル基、ケトン基、エステル基等の官能基を有してもよい。特に、モノエタノールアミン、N-メチルエタノールアミン、N,N-ジメチルエタノールアミン、2-アミノエトキシエタノール、N-ヒドロキシエチルピペラジン、N-ヒドロキシエチルモルホリン、ジエタノールアミン又はトリエタノールアミン等の水酸基を有するアミン類が、親水性の高いレジスト層にも浸透しやすいので好ましい。アルカリ性有機化合物が水酸基を有するアルコール類でもある場合は有機溶剤としての機能を兼ねることもできる。これらのアルカリ性有機化合物は1種でも2種以上を含んでもよい。
 本実施の形態に係るレジスト剥離液は、1種以上のアルカリ性無機化合物と1種以上のアルカリ性有機化合物を有機溶剤に溶解して得ることができる。有機溶剤としては、ジメチルスルホキシド、N-メチルホルムアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジメトキシエタン又はテトラヒドロフラン等が挙げられる。
 有機溶剤は、1種でも2種以上を混合してもよいが、少なくとも1種はアルコール類であることが、アルカリ性無機化合物の溶解性の観点から好ましい。加温して用いることもできる点でグリコール類及びグリコール類のモノエーテルがより好ましく、溶解性の観点からプロピレングリコールモノメチルエーテルがさらに好ましい。
 アルカリ性無機化合物の含有量の下限は、5重量%が好ましく、7.5重量%がより好ましく、10重量%がさらに好ましい。アルカリ性無機化合物の含有量の上限は、40重量%が好ましく、30重量%がより好ましく、20重量%がさらに好ましい。アルカリ性無機化合物の含有量が下限を下回るとレジスト剥離力が不足して残渣が残ることがある。アルカリ性無機化合物の含有量が上限を上回ると溶解性が不足し、不溶物が残ったり、レジスト剥離液が相分離して再現性が悪くなったりすることがある。
 アルカリ性有機化合物の含有量の下限は、1重量%が好ましく、3重量%がより好ましく、5重量%がさらに好ましい。アルカリ性有機化合物の含有量の上限は、95%が好ましく、50重量%がより好ましく、40重量%がさらに好ましく、30重量%が特に好ましい。アルカリ性有機化合物の含有量が下限を下回ると微細パターン間にレジスト残渣が残ることがある。アルカリ性有機化合物の含有量が上限を上回るとアルカリ性無機化合物の溶解性が低下して、不溶物が残ったり、レジスト剥離液が相分離して再現性が悪くなったりすることがある。
 本実施の形態に係るレジスト剥離液は、アルカリ性無機化合物の溶解性を高め、均一に溶解させるためにさらに水を添加してもよい。水を添加する場合の上限は75重量%が好ましく、50重量%がより好ましく、25重量%がさらに好ましく、15重量%が特に好ましい。水の含有量が上限を上回るとレジスト剥離液が相分離して再現性が悪くなったり、レジスト剥離力が不足して残渣が残ったりすることがある。
 本実施の形態に係るレジスト剥離液に、さらに剥離したレジストの分散性や、レジストの膨潤促進のために界面活性剤を添加してもよい。以上により、ドライエッチング法で基材に微細パターン加工を行った際に変質して溶け難くなったレジストを容易に除去し、微細パターン間の微細な間隙に入り込んだレジスト残渣を除去できるレジスト剥離液、それを用いたレジスト剥離方法及び微細パターン付基材の製造方法となっている。
 次に、本実施の形態に係るレジスト剥離液を用いたレジスト剥離方法について説明する。レジスト剥離液は、例えば、被加工部材としての基材に対してレジストをマスクとして用いてドライエッチングを行った後に、レジスト残渣を剥離するために用いられる。
 レジスト剥離処理は、例えば、レジスト剥離液にドライエッチング後の基材を浸漬してレジスト残渣に作用させることで行うことができるが、特に限定されるものではなく、スプレー式、シャワー式及びパドル式等の処理方法でも行うことができる。また、微細パターンを破壊しない範囲で、超音波照射を行ってもよい。
 レジスト剥離処理を行う場合の温度と時間は、特に制限は無い。レジスト剥離処理を短時間で完了させるためには加温することが好ましい。温度の上限は好ましくは100℃であり、より好ましくは80℃であり、さらに好ましくは70℃である。また、微細パターンを破壊しない範囲で、超音波照射を行ってもよい。
 本実施の形態に係るレジスト剥離液によれば、アルカリ性無機化合物及びアルカリ性有機化合物を含むことにより、ドライエッチングにより表層が変質したレジストであっても、微細パターンの間隙にレジスト残渣が残ることなく、除去することができる。これは、アルカリ性無機化合物を用いることによる強アルカリ性によってレジストの分解と溶解が起こることと、微細パターンの間隙に入り込んだレジスト残渣にアルカリ性有機化合物が浸透し、剥離を促進することによる。
 本実施の形態に係るレジスト剥離液は、被加工部材である基材の表面にサブミクロン以下の微細パターンが形成されている場合にも優れた効果を奏する。
(光学基材の製造方法)
 次に、本実施の形態に係る半導体発光素子の製造方法について説明する。前記したように、半導体発光素子用基材の主面側に、n型半導体層、発光層、p型半導体層を形成する。本実施の形態の半導体発光素子の製造方法においては、半導体発光素子用基材上に、半導体層を設ける工程が含まれていればよく、得られる半導体発光素子中に、半導体発光素子用基材が含まれている必要はない。具体的には、半導体発光素子用基材上に半導体層を設けた後、半導体発光素子用基材を除去する方法が挙げられる。得られた半導体発光素子の最表面に、微細構造層6を形成する。
 微細構造層6を形成する工程としては、フォトリソグラフィ、熱リソグラフィ及びナノインプリント等、一般的に知られている微細パターン形成手法を挙げることができる。本実施の形態においては、ナノサイズのパターン形成が安価かつ容易という観点からナノインプリントを用いているが、これに限定されるものではない。
 図9は、本実施の形態における光学基材の製造方法を示す部分断面模式図であり、図10は、図9の次に行われる光学基材の製造方法を説明するための部分断面模式図であり、図11は、図10の次に行われる光学基材の製造方法を説明するための部分断面模式図である。
 図9Aには、光学基材前駆体形成工程、図9B、図10A、図10Bには露光及び現像工程、図11Aにはマスク層の部分エッチング工程を含む微細パターンマスク層の形成工程を示した。
 モールド25の表面25aの略全域には複数の凸部又は凹部からなる凹凸部25bが形成されている。
 図2Aに示すように、凹凸部25bが形成された表面25a側にマスク層28を構成する第1マスク層28a及び第2マスク層28bを順に充填する。光学基材101の主面が第2マスク層28bに接触するように、モールド25ごと基材主面に押圧し、モールド25、マスク層28、光学基材101が順に積層された光学基材前駆体を得る(光学基材前駆体形成工程)。
 ここで光学基材101とは、半導体発光素子の加工前の積層基板(平板)を指している。また、光学基材101の主面とは、LED等の発光素子を製造するうえで、光学基材101中又はその下部で発生した光を透過していくための広い面を指す。
 次に、光学基材前駆体に対し、パターニング用露光マスク29を通して紫外線を照射し、モールド25を光学基材前駆体から剥がす。そして非露光部131を現像により除去する。これにより基材主面の一部にマスク層28からなる凹凸部が転写され、それ以外の部分では基材の表面が露出した状態になる(露光及び現像工程)。
 次いで、第1マスク層28aをマスクとして第2マスク層28bをドライエッチングする。これにより、光学基材101の主面上の露光部にのみ、第1マスク層28a及び第2マスク層28bで構成された微細パターンマスク層28が形成される(マスク層の部分エッチング工程)。
 以下、光学基材前駆体形成工程、露光及び現像工程、及びマスク層の部分エッチング工程の夫々についてさらに詳細に説明する。
(光学基材前駆体形成工程)
 モールド25の表面25aに形成された凹凸部25bにマスク層28を充填する方法としては、スピンコート、バーコート、ダイコート、ディップ、スプレー塗布などがある。面内均一性、モールド25の凹凸部25bへの充填の観点から、バーコート又はダイコートを用いることが好ましい。
 バーコートの場合、膜厚均一性の観点から、塗布ウェット膜厚としては1μm以上が好ましく、2μm以上がより好ましく、3μm以上がさらに好ましく、また、100μm以下が好ましく、50μm以下がより好ましい。
 前記した以外の光学基材前駆体形成方法としては、第2マスク層28b及び第1マスク層28aを順に基材表面に塗布したのち、モールド25を第1マスク層28aとモールド25の凹凸部25bとが接触するようにして光学基材101に押圧する方法が挙げられる。また、第1マスク層28aを凹凸部25bに充填したモールド25と、第2マスク層28bを表面に塗布した光学基材101を夫々作製したのち、第1マスク層28aを充填したモールド25の凹凸部25b側の表面12aと第2マスク層28bとが接触するようにして光学基材101に押圧する方法も可能である。
 光学基材101の表面にマスク層を塗布する場合、塗布の方法としては、スピンコート、バーコート、ディップ、スプレー塗布などを用いることができる。なお、面内均一性及び大面積塗布の観点から、スピンコート又はバーコートを用いることが好ましい。
 スピンコートの場合、マスク層の固形分又は粘度にも依存するが、膜厚均一性の観点からメインの回転数としては300rpm以上が好ましく、500rpm以上がより好ましく、1000rpm以上がさらに好ましく、1500rpm以上が最も好ましい。なお塗布時の安全性の観点から5000rmp以下が好ましい。メインの回転時間としては、3秒以上が好ましく、5秒以上がより好ましく、10秒以上がさらに好ましい。
 バーコートの場合、膜厚均一性の観点から、塗布ウェット膜厚としては1μm以上が好ましく、2μm以上がより好ましく、3μm以上がさらに好ましく、また、100μm以下が好ましく、50μm以下がより好ましい。
 マスク層を光学基材101あるいはモールド25へ塗布した後、溶剤を除去するために、又は光学基材101との密着性を向上させるために、加熱乾燥してもよい。
 スピンコートで塗布した場合は、回転数と時間にもよるが、溶剤がすでにある程度除去されている場合もあるので、室温で数十秒から数時間静置することにより溶剤を除去してもよい。
 加熱乾燥させる場合は、使用溶剤の種類、残存溶剤量にもよるが、40℃以上が好ましく、60℃以上がより好ましく、80℃以上がさらに好ましい。特にモールド25への塗布の場合は、マスク層を均一な膜厚で塗布し且つモールド25にマスク層を安定して保持するために、200℃以下が好ましく、150℃以下が好ましい。乾燥時間としては、乾燥温度にもよるが、1分以上が好ましく、3分以上がより好ましく、5分以上がさらに好ましい。特にモールド25への塗布の場合は、マスク層を均一な膜厚で塗布し且つモールド25にマスク層を安定して保持するために、10時間以下が好ましく、5時間以下がより好ましく、2時間以下がさらに好ましい。
 光学基材前駆体を形成する工程でモールド25と光学基材101を貼合する際、加圧してもよい。加圧する際の圧力は、マスク層の物性や状態(例えば乾燥状態等)にもよるが、加圧したほうが、モールド25の凸部間(凹凸が凸部で構成される場合)あるいは凹部内(凹凸が凹部で構成される場合)へのマスク層の充填の観点から好ましい。
 光学基材前駆体を形成する工程でモールド25と光学基材101を貼合する際、加熱してもよい。加熱する対象は、貼合雰囲気であっても、基材であってもよいが、プロセス上の簡便さの観点から基材を加熱することが好ましい。加熱することにより、光学基材101及びマスク層との密着性を向上することができる。
 モールド25について詳細に説明する。モールド25の形状は、表面25aに凹凸部25bが形成されていれば特に限定されないが、平板状、フィルム状又はリール状であることが好ましく、特に平板状又はフィルム状であることが好ましい。図12Aに示すように、モールド25は、表面に微細構造が設けられている。又は図12Bに示すように、モールド25は支持基板121上に設けられていても良い。
 モールド25の材料としては、例えば、シリコン、石英、ニッケル、クロム、サファイア、SiC等の無機材料や、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂等の有機材料が挙げられる。光硬化性樹脂又は熱硬化性樹脂としては、フッ素含有樹脂あるいはシリコーン含有樹脂が挙げられる。また、支持基板121としては、ガラス、石英、シリコン、SUS等の剛性基板、スポンジ、ゴム(シリコーンゴム)等の弾性材料で構成された弾性基板、PETフィルム、TACフィルム、COPフィルム等の樹脂フィルム等が挙げられる。この支持基板121は、図7、図8に示す支持フィルム1001、2001に該当する。
 図12Aに示すように、支持基板121を具備しないモールド25としては、シリコン、石英、ニッケル、クロム、サファイア、SiC等の無機材料で構成される硬質な平板状モールドや、軟質なPDMS、COP、ポリイミド、ポリエチレン、PET、フッ素樹脂等で構成されるフィルム状モールドが挙げられる。硬質な平板状のモールド25を使用することで、モールド25の面精度を高く保つことができる。ここで面精度とは、モールド25の微細構造の頂部位置と微細構造と反対側の面との間の平行度を意味する。
 一方、軟質なモールド25を使用することにより、モールド25を含む微細パターン形成用の光学基材前駆体を基材表面に貼合する際の大きな気泡の巻き込みや、微細構造の内部へのミクロな気泡の巻き込みなどを抑制することができる。さらに、基材の表面の凹凸を吸収することができるため、転写精度が向上する。
 モールド表面に設けられた凹凸部は凸状でも凹状でもよく、ドット状でもライン状でもよい。凸部及び凹部の形状は、本形態の効果が得られる範囲であれば特に限定されず、用途に応じて適時変更可能である。凸部及び凹部の形状としては、その平面視での形状は問わないが、円状、楕円状、三角形、四角形、五角形、六角形、星型、ラインなどが挙げられ、深さ方向の断面視での形状も問わないが、円状、楕円状、三角形、四角形、五角形、六角形、星型等の一部を表す形状などが挙げられる。例えば、ピラー形状、ホール形状、円錐形状、角錐形状及び楕円錘形状、円錐台形状等を用いることができる。モールド表面に設けられた凹凸部の形状は、微細パターンマスク層形状に転写された後、エッチング後の光学基材101の主面に形成される凹凸領域の形状を決定するため、モールド25における凹凸部25bの最適な形状やサイズについては、使用する材質の屈折率、エッチング耐性、光取出し効率向上性等の光学特性、物理特性等により種々選択できる。凹凸部25bは周期性があっても、なくてもよいが、半導体発光素子20の光取出し効率向上の観点から周期性があることがより好ましい。
 凸部あるいは凹部で形成された各ドット10は、例えば、図6に示すように一定の周期にて形成されるが、これに限定されるものではない。例えば、各ドット10が正六方配列、六方配列、準六方配列、準四方配列、四方配列、及び正四方配列などで配列されていてもよい。また、全てのドットに周期性がなくてもよく、一部のドットに周期性があるように配列され、残りのドットがランダムに配列されていてもよい。
 また凹凸間(最も近い凸部もしくは凹部同士の間)の距離(ピッチ)の下限値は、光取出し効率の観点や、製造工程でのモールドとの密着性及び剥離性の観点から、50nm以上であることが好ましく、100nm以上がより好ましく、150nm以上がさらに好ましい。またピッチの上限値は、5000nm以下が好ましく、3000nm以下がより好ましく、2000nm以下がさらに好ましく、1000nm以下が最も好ましい。
 凸部の高さ又は凹部の深さの下限値は、光取出し効率向上の観点や、製造工程でのモールド25とマスク層28の密着性及び剥離性の観点から、50nm以上が好ましく、100nm以上がより好ましく、200nm以上がさらに好ましく、300nm以上が最も好ましい。また凸部の高さ又は凹部の深さの上限値は、3000nm以下が好ましく、1000nm以下がより好ましく、800nm以下がさらに好ましく、700nm以下がさらに好ましく、500nm以下が最も好ましい。
 次にマスク層について詳しく説明する。図9Aに示すようにマスク層28は、第1マスク層28a及び第2マスク層28bで構成されている。なお、マスク層28は、図9A等に示す構成に限定されず、単一の層で構成されていても良く、3層以上の層で構成されていても良い。
 マスク層28を構成する材料については、エッチング選択比を満たせば特に限定されず、溶剤に希釈可能な種々の樹脂、無機前駆体、無機縮合体、メッキ液(クロムメッキ液など)、金属酸化物フィラー、金属酸化物微粒子、HSQ、SOG(スピンオングラス)などを適宜選択することができる。露光・現像工程によって凹凸領域と平坦面を同一面内に有する微細パターンマスク層を形成できるという点から、マスク層の材料は感光性樹脂材を含むことが好ましい。
 ここで、感光性樹脂材としては、上記の(積層体)の欄で述べた、「ポジ型感光性樹脂材」、あるいは、「化学増幅ネガ型感光性樹脂材」を用いることがより好ましいが、ここでは、感光性樹脂材として用いることが可能な材質を「ポジ型感光性樹脂材」、及び、「化学増幅ネガ型感光性樹脂材」に限定せず広く記載する。
 本実施の形態では、感光性樹脂材としては光重合開始剤、光酸発生剤、光塩基発生剤等、光に反応して、活性物質を生成する化合物を用いることができる。好ましくは、感光性化合物の光への反応性、感光性化合物から発生した活性物質の反応性の観点から、光重合開始剤が好ましい。
<光重合開始剤を用いた樹脂材>
 光重合開始剤を用いた樹脂材としては、エチレン性不飽和付加重合性モノマー含有組成物が挙げられる。光重合開始剤として好ましいものとしては、光によりラジカルを発生する化合物であり、以下の化合物が挙げられる。
 (1)ベンゾフェノン誘導体:例えば、ベンゾフェノン、o-ベンゾイル安息香酸メチル、4-ベンゾイル-4’-メチルジフェニルケトン、ジベンジルケトン、フルオレノン
 (2)アセトフェノン誘導体:例えば、2,2’-ジエトキシアセトフェノン、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオフェノン、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、IRGACURE(登録商標)651)、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、IRGACURE(登録商標)184)、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オン(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、IRGACURE(登録商標)907)、2-ヒドロキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオニル)-ベンジル]-フェニル}-2-メチルプロパン-1-オン(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、IRGACURE(登録商標)127)、フェニルグリオキシル酸メチル
 (3)チオキサントン誘導体:例えば、チオキサントン、2-メチルチオキサントン、2-イソプロピルチオキサントン、ジエチルチオキサントン
 (4)ベンジル誘導体:例えば、ベンジル、ベンジルジメチルケタール、ベンジル-β-メトキシエチルアセタール
 (5)ベンゾイン誘導体:例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、2-ヒドロキシ-2-メチル-1フェニルプロパン-1-オン(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、DAROCURE1173)
 (6)オキシム系化合物:例えば、1-フェニル-1,2-ブタンジオン-2-(O-メトキシカルボニル)オキシム、1-フェニル-1,2-プロパンジオン-2-(O-メトキシカルボニル)オキシム、1-フェニル-1,2-プロパンジオン-2-(O-エトキシカルボニル)オキシム、1-フェニル-1,2-プロパンジオン-2-(O-ベンゾイル)オキシム、1,3-ジフェニルプロパントリオン-2-(O-エトキシカルボニル)オキシム、1-フェニル-3-エトキシプロパントリオン-2-(O-ベンゾイル)オキシム、1,2-オクタンジオン,1-[4-(フェニルチオ)-2-(O-ベンゾイルオキシム)] (チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、IRGACURE(登録商標)OXE01)、エタノン,1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-,1-(O-アセチルオキシム)(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、IRGACURE(登録商標)OXE02)
 (7)α-ヒドロキシケトン系化合物:例えば、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、2-ヒドロキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオニル)-ベンジル]フェニル}-2-メチルプロパン
 (8)α-アミノアルキルフェノン系化合物:例えば、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタノン-1(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、IRGACURE(登録商標)369)、2-ジメチルアミノ-2-(4-メチルベンジル)-1-(4-モルフォリン-4-イル-フェニル)ブタン-1-オン(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、IRGACURE(登録商標)379)
 (9)フォスフィンオキサイド系化合物:例えば、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、IRGACURE(登録商標)819)、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチル-ペンチルフォスフィンオキサイド、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-フォスフィンオキサイド(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、DAROCUR TPO(登録商標))
 (10)チタノセン化合物:例えば、ビス(η5-2,4-シクロペンタジエン-1-イル)-ビス(2,6-ジフルオロ-3-(1H-ピロール-1-イル)フェニル)チタニウム(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、IRGACURE(登録商標)784)
 また、これらの光重合開始剤の使用にあたっては、単独でも2種以上の混合物でもかまわない。
 前記した光重合開始剤の中では、特に光感度の点で、(5)のベンゾイン誘導体又は(9)のフォスフィンオキサイド系化合物がより好ましく、光への安定性への観点からは、(1)のベンゾフェノン誘導体、(2)のアセトフェノン誘導体、又は(7)のα-ヒドロキシケトン系化合物が好ましい。その添加量は、アクリル/メタクリル化合物(100質量部)に対して、0.01~30質量部であり、好ましくは0.1~5質量部であり、より好ましくは0.2~2質量部であり、さらに好ましくは0.3~1.5質量部である。実用的な硬度の微細凹凸構造を得る観点から、光重合開始剤の添加量は、0.01質量部以上であり、また組成物の安定性の観点から、30質量部以下であることが好ましい。
 感光性樹脂材は、エチレン性不飽和付加重合性モノマー(以下、「アクリル系モノマー」とも呼ぶ)を含むことが好ましい。感光性樹脂材に添加するアクリル系モノマーとしては、耐エッチング性、硬度、耐熱性を向上させる観点から、アクリロイル基、又はメタクリロイル基を含む化合物を使用することが好適である。
 耐エッチング性、膜強度、硬度、耐熱性の観点から、芳香族基、多環状基、又は複素環基を含有するモノマーを感光性樹脂材に含むことが好ましい(1つの化合物が芳香族基、多環状基、又は複素環基のうち、二種類以上に分類される化合物もある)。芳香族基としてはフェニル、ナフタレン、又はアントラセン骨格を有する化合物が挙げられる。また、フェニル基を含有する骨格としては、ビフェニルのような複数の芳香族基同士が直接結合した化合物や、ビスフェノールA骨格のような、複数の芳香族基が炭素、酸素、窒素、けい素、硫黄のうち少なくとも一種類を含む架橋基で結合した化合物を含む。
 芳香族基が付加されている化合物例としては、フェニル、ナフタレン、アントラセンに置換基として、-R-O(C=O)-CR=CH基(Rは炭素、酸素、窒素、けい素、硫黄のうち少なくとも一種類の元素を含有する置換基であり、好ましくは、炭素、及び/又は酸素で構成された置換基であり、Rは水素又はメチル基である)が結合しているものが挙げられる。それらの具体例としては、フェニルアクリレート、フェニルメタクリレート、1-ナフタレンアクリレート、1-ナフタレンメタクリレート、2-ナフタレンアクリレート、2-ナフタレンメタクリレート、1-アントラセンアクリレート、1-アントラセンメタクリレート、2-アントラセンアクリレート、2-アントラセンメタクリレート、9-アントラセンアクリレート、9-アントラセンメタクリレート等が挙げられる。フェニル、ナフタレン、アントラセンに置換基として、これらの化合物に複数個のアクリロイル基、又はメタクリロイル基が結合していてもよい。また、他の水素原子を炭素、酸素、窒素、けい素、硫黄、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素を含む官能基で置換された構造でもよい。それらの化合物の置換基としてカルボン酸基、無水カルボン酸基、又はヒドロキシ基等のアルカリ水溶液への溶解性を向上させるような置換基を有していると、アルカリ水溶液での現像を可能にするため好ましい。
 複数の芳香族基同士が直接結合した化合物としては下記の化学式群Aから選ばれる化合物のうち少なくともいずれか1つが挙げられる。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000003
 複数の芳香族基が炭素、酸素、窒素、けい素、硫黄のうち少なくとも一種類を含む架橋基で結合した化合物としては、下記の化学式群Bから選ばれる化合物のうち少なくともいずれか1つが挙げられる。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000004
 多環状化合物としては下記の化学式群Cから選ばれる化合物のうち少なくともいずれか1つが挙げられる。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000005
 複素環化合物としては下記の化学式群Dから選ばれる化合物のうち少なくともいずれか1つが挙げられる。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000006
 上記に記載の芳香族基、多環状基、又は複素環基の置換位置としては、結合でき得る部位であればどこで置換されていてもよく、複数置換されていてもよく、置換基としては-R-O(C=O)-CR=CHが挙げられる(Rは炭素、酸素、窒素、けい素、硫黄のうち少なくとも一種類の元素を含有する置換基であり、好ましくは、炭素、及び/又は酸素で構成された置換基であり、Rは水素又はメチル基である)。また、他の水素原子を炭素、酸素、窒素、けい素、硫黄、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素を含む官能基で置換された構造でもよい。さらに、窒素に結合する水素を置換する置換基としては-(C=O)-CR=CHや-CH=CHでもよい(Rは水素又はメチル基である)。また、それらの化合物の置換基としてカルボン酸基、無水カルボン酸基、又はヒドロキシ基等のアルカリ水溶液への溶解性を向上させるような置換基を有していると、アルカリ水溶液での現像を可能にするため好ましい。
 上記では耐エッチング性、耐熱性等の良好なアクリル系モノマーを挙げたが、組成全体として芳香族基、多環状基、又は複素環基を含有していればよく、脂肪族系のアクリレート系モノマー、エチレンオキシド鎖を有するアクリル系モノマーを添加してもよい。
 添加量は、耐エッチング性、膜強度、硬度、耐熱性の観点から、アクリル系モノマー化合物(100質量部)に対して、前記芳香族基、多環状基、又は複素環基含有モノマーが20質量部以上であることが好ましく、30質量部以上であることがより好ましく、50質量部以上であることがさらに好ましく、70質量部以上であることが最も好ましい。
 粘度調整、エッチング耐性のために、オリゴマー又はポリマーを樹脂材中に添加してもよい。添加するオリゴマー又はポリマーとしてはアクリロイル基又はメタクリロイル基を有するオリゴマー又はポリマーを用いるとより好ましい。
 好ましい構造としては、上記で述べたフェノールノボラック系オリゴマー/ポリマー、クレゾールノボラック系オリゴマー/ポリマー、スチレン系オリゴマー/ポリマー、ノルボルネン系開環重合物オリゴマー/ポリマー、ノルボルネン系付加重合物オリゴマー/ポリマー、ノルボルナジエン系開環重合物オリゴマー/ポリマー、ノルボルナジエン系付加重合物オリゴマー/ポリマー、上記で記載したアクリル系モノマーのオリゴマー/ポリマー等が挙げられる。さらに、それらオリゴマー/ポリマーの側鎖にアクリロイル基、又はメタクリロイル基が結合していると、より耐エッチング性、硬度等の物性が向上するため好ましい、また、それらオリゴマー/ポリマーの側鎖にカルボン酸基、無水カルボン酸基、又はヒドロキシ基等のアルカリ水溶液への溶解性を向上させるような置換基を有していると、アルカリ水溶液での現像を可能にするため好ましい。
 添加量は、耐エッチング性、膜強度、硬度、耐熱性の観点から、アクリル系モノマー化合物(100質量部)に対して、10質量部以上であることが好ましく、20質量部以上であることがより好ましく、30質量部以上であることがさらに好ましく、組成物の硬化性の観点から1000質量部以下であることが好ましく、500質量部以下であることがより好ましい。
 また、エッチング耐性、耐熱性、透明性の観点から、無機材料、有機無機ハイブリッド材料を用いることができる。あるいは、有機材料に無機材料や、有機無機ハイブリッド材料を添加することが可能である。
 無機材料としては、例えば、ゾルゲル材料や無機フィラー(無機微粒子)を含むことができる。また無機材料としては、ゾルゲル材料のみで構成されてもよい。また無機材料としては、シリカ、チタニア、ジルコニア、酸化亜鉛などの無機酸化物、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム及びITO等の金属複合酸化物、金、銀、銅、アルミ及びクロム等の金属が挙げられる。
 また、Al、Si、P、Ti、Ga、Ge、Zr、Nb、Ta、In及びSnから選ばれる少なくとも一種の元素を含有することが好ましい。特に、Ti、Zr、Siであることが好ましい。
 有機無機ハイブリッド材料としては、金属アルコキシド、金属塩化物、及びそれらの加水分解物、加水分解縮合物を用いてもよい。耐クラック性、安定性の観点から、縮合物を用いることが好ましい。
 金属アルコキシドとしては、シランアルコキシド、チタンアルコキシド、ジルコニウムアルコキシド、タンタルアルコキシドなどが挙げられるが、安定性の観点からシランアルコキシド、チタンアルコキシド、又はジルコニウムアルコキシドが好ましく、シランアルコキシドがより好ましい。金属塩化物としてはテトラクロロシラン、塩化チタン、塩化ジルコニウム、塩化タンタルなどを挙げられる。
 シランアルコキシド又はクロロシランとしては、例えば、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシラン、ジメチルジエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリエトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、フェニルメチルジエトキシシラン、ジシクロペンチルジメトキシシラン、ジシクロペンチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、2-メタクリロキシエチルトリメトキシシラン、2-メタクリロキシエチルトリエトキシシラン、2-メタクリロキシエチルメチルジメトキシシラン、2-アクリロキシエチルトリメトキシシラン、2-アクリロキシエチルトリエトキシシラン、メタクリロキシメチルトリメトキシシラン、メタクリロキシメチルトリエトキシシラン、メタクリロキシメチルメチルジメトキシシラン、アクリロキシメチルトリメトキシシラン、アクリロキシメチルトリエトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルジメトキシメチルシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルジエトキシメチルシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルメトキシジメチルシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルエトキシジメチルシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメトキシジメチルシシラン、3-グリシドキシプロピルエトキシジメチルシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジエトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3-アミノプロピルジエトキシシラン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-(ビニルベンジル)-2-アミノエチル-3-アミノプロピルトリメトキシシランの塩酸塩、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3-メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、メチルトリクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、トリエチルクロロシラン、t-ブチルジメチルクロロシラン、トリ-i-プロピルクロロシランなどを挙げることができる。
 硬化物の安定性、硬度、エッチング耐性の観点から、光重合開始剤により反応し得る官能基を有していることが好ましく、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、2-メタクリロキシエチルトリメトキシシラン、2-メタクリロキシエチルトリエトキシシラン、2-メタクリロキシエチルメチルジメトキシシラン、2-アクリロキシエチルトリメトキシシラン、2-アクリロキシエチルトリエトキシシラン、メタクリロキシメチルトリメトキシシラン、メタクリロキシメチルトリエトキシシラン、メタクリロキシメチルメチルジメトキシシラン、アクリロキシメチルトリメトキシシラン、アクリロキシメチルトリエトキシシランなどが挙げられる。
 その他の金属アルコキシド又は金属塩化物としては、チタンテトラメトキシド、チタンテトラエトキシド、チタンテトラn-プロポキシド、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラn-ブトキシド、ジルコニウムテトラメトキシド、ジルコニウムテトラエトキシド、ジルコニウムテトラn-プロポキシド、ジルコニウムテトライソプロポキシド、ジルコニウムテトラn-ブトキシド、タンタルペンタメトキシド、タンタルペンタエトキシド、タンタルペンタn-プロポキシド、タンタルペンタイソプロポキシド、タンタルペンタn-ブトキシドなどが挙げられる。
 酸化チタン、酸化ジルコニウム、シリカ、ITO、ZnO、SnO、IZO、ATO、AZO等の微粒子を含有していてもよい。その場合、膜物性、透明性の観点から、粒径は1000nm以下が好ましく、100nm以下がより好ましく、50nm以下がさらに好ましい。これらは、夫々単独で、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
 組成物の耐エッチング性を向上又は制御する目的をもって、金属酸化物、金属複合酸化物、金属、又は有機無機ハイブリッド材料を添加する場合、複数の凸部又は凹部から構成される凹凸を含む微細構造層中の組成物全体でバランスよく配合することが必要とされる。一方、耐熱性、透明性等の物性を向上させるためは、微細構造層の組成物(100質量部)に対して、添加量を10質量部以上とすることが好ましく、20質量部以上とすることがより好ましく、30質量部以上とすることがさらに好ましく、50質量部以上とすることがさらに好ましく、70質量部以上とすることがさらに好ましく、90質量部以上とすることが最も好ましい。
<光酸発生剤組成物>
 光酸発生剤は、光照射により光酸を発生すれば、特に限定されるものではない。例えば、スルホニウム塩、ヨードニウム塩といった芳香族オニウム塩が挙げられる。光酸発生剤としては、例えば、スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ベンジルトリフェニルホスホニウムヘキサフルオロホスフェート、ベンジルピリジニウムヘキサフルオロホスフェート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、ベンゾイントシレート、アデカオプトマー(登録商標)sp-170(ADEKA社製)、アデカオプトマー(登録商標)sp-172(ADEKA社製)、WPAG-145(和光純薬工業社製)、WPAG-170(和光純薬工業社製)、WPAG-199(和光純薬工業社製)、WPAG-281(和光純薬工業社製)、WPAG-336(和光純薬工業社製)、WPAG-367(和光純薬工業社製)、CPI-100P(サンアプロ社製)、CPI-101A(サンアプロ社製)、CPI-200K(サンアプロ社製)、CPI-210S(サンアプロ社製)、DTS-102(みどり化学社製)、TPS-TF(東洋合成工業社製)、DTBPI-PFBS(東洋合成工業社製)が挙げられる。
 光酸発生剤の添加量は、カチオン硬化性モノマー化合物(100質量部)に対して、0.01~30質量部であり、好ましくは0.1~20質量部であり、より好ましくは0.2~10質量部であり、さらに好ましくは0.3~5質量部である。実用的な硬度の凹凸パターンを得る観点から、光酸発生剤の添加量は、0.01質量部以上であり、また組成物の安定性の観点から、30質量部以下である。
 光酸発生剤組成物中に、カチオン硬化性モノマー及び/又はポリマーを添加することが好ましい。
 耐エッチング性、膜強度、硬度、耐熱性の観点から、芳香族基、多環状基、又は複素環基を含有するモノマーを感光性樹脂材に含むことが好ましい(1つの化合物が芳香族基、多環状基、又は複素環基のうち、二種類以上に分類される化合物もある)。芳香族基としてはフェニル、ナフタレン、又はアントラセン骨格を有する化合物が挙げられる。また、フェニル基を含有する骨格としては、ビフェニルのような複数の芳香族基同士が直接結合した化合物や、ビスフェノールA骨格のような複数の芳香族基が炭素、酸素、窒素、けい素、硫黄のうち少なくとも一種類を含む架橋基で結合した化合物を含む。芳香族基がついている例としては、フェニル、ナフタレン、アントラセンに置換基として、-R-Rが挙げられる(Rは炭素、酸素、窒素、けい素、硫黄のうち少なくとも一種類の元素を含有する置換基であり、好ましくは、炭素、及び/又は酸素で構成された置換基であり、Rはエポキシシクロヘキシル基、グリシジル基、又はビニルエーテル基である)。他の水素原子を炭素、酸素、窒素、けい素、硫黄、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素を含む官能基で置換された構造でもよい。また、それらの化合物の置換基としてカルボン酸基、無水カルボン酸基、又はヒドロキシ基等のアルカリ水溶液への溶解性を向上させるような置換基を有していると、アルカリ水溶液での現像を可能にするため好ましい。複数の芳香族基同士が直接結合した化合物としては下記の化学式群Eから選ばれる化合物のうち少なくともいずれか1つが挙げられる。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000007
 複数の芳香族基が炭素、酸素、窒素、けい素、硫黄のうち少なくとも一種類を含む架橋基で結合した化合物としては、下記の化学式群Fから選ばれる化合物のうち少なくともいずれか1つが挙げられる。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000008
 多環状化合物としては下記の化学式群Gから選ばれる化合物のうち少なくともいずれか1つが挙げられる。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000009
 複素環化合物としては下記の化学式群Hから選ばれる化合物のうち少なくともいずれか1つが挙げられる。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000010
 上記に記載の芳香族基、多環状基、又は複素環基の置換位置としては、結合でき得る部位であればどこで置換されていてもよく、複数置換されていてもよく、置換基としては-R-Rが挙げられる(Rは炭素、酸素、窒素、けい素、硫黄のうち少なくとも一種類の元素を含有する置換基であり、好ましくは、炭素、及び/又は酸素で構成された置換基であり、Rはエポキシシクロヘキシル基、グリシジル基、又はビニルエーテル基である)。また、他の水素原子を炭素、酸素、窒素、けい素、硫黄、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素を含む官能基で置換された構造でもよい。また、それらの化合物の置換基としてカルボン酸基、無水カルボン酸基、又はヒドロキシ基等のアルカリ水溶液への溶解性を向上させるような置換基を有していると、アルカリ水溶液での現像を可能にするため好ましい。
 上記では耐エッチング性、耐熱性等の良好なアクリル系モノマーを挙げたが、組成全体として芳香族基、多環状基、又は複素環基を含有していればよく、脂肪族系のカチオン硬化性モノマー、エチレンオキシド鎖を有するカチオン硬化性モノマーを添加してもよい。
 カチオン硬化性モノマーの具体例としては、以下のものが挙げられる。脂環式エポキシ化合物としては、例えば、3’,4’-エポキシシクロヘキサンカルボン酸-3,4-エポキシシクロヘキシルメチル、3’,4’-エポキシ-6’-メチルシクロヘキサンカルボン酸-3,4-エポキシ-6’-シクロヘキシルメチル、ビニルシクロヘキセンモノオキサイド1,2-エポキシ-4-ビニルシクロヘキサン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランが挙げられる。
 グリシジルエーテルとしては、例えば、ビスフェノールAグリシジルエーテル、ビスフェノールFグリシジルエーテル、水添ビスフェノールAグリシジルエーテル、水添ビスフェノールFグリシジルエーテル、1,4-ブタンジオールグリシジルエーテル、1,6-ヘキサンジオールグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、グリシジルメタクリレート、3-グリシジロキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシジロキシプロピルエチルジエトキシシラン、3-グリシジロキシプロピルトリエトキシシランなどが挙げられる。
 オキセタン化合物としては、例えば、3-エチル-3-(フェノキシメチル)オキセタン、ジ[1-エチル(3-オキセタニル)]メチルエーテル、3-エチル-3アリルオキシメチルオキセタン、3-エチル-3-(2-エチルヘキシロキシメチル)オキセタン、3-エチル-3-{[3-(トリエトキシシリル)プロポキシ]メチル}オキセタンが挙げられる。
 ビニルエーテルとしては、例えば、2-ヒドロキシブチルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、2-ヒドロキシブチルビニルエーテル、4-ヒドロキシブチルビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、1,4-ブタンジオールジビニルエーテルが挙げられる。
 これらの中でも脂環式エポキシ化合物は、重合開始速度が向上し、オキセタン化合物は重合率の向上効果があるので、使用することが好ましく、グリシジルエーテルはカチオン硬化性樹脂材の粘度を低下させ、塗工性に効果があるので使用することが好ましい。より好ましくは、開始反応の及び反応初期の反応速度を上げる観点から、脂環式エポキシ化合物とオキセタン化合物とを併用することであり、さらに好ましくは脂環式エポキシ化合物とオキセタン化合物との重量比率が99:1~51:49の範囲で併用することである。硬化物の耐熱性を上げる観点からSi、Ti原子などの無機化合物を含むことが好ましい。
 添加量は、耐エッチング性、膜強度、硬度、耐熱性の観点から、カチオン硬化性モノマー化合物(100質量部)に対して、前記芳香族基、多環状基、又は複素環基含有モノマーが20質量部以上であることが好ましく、30質量部以上であることがより好ましく、50質量部以上であることがさらに好ましく、70質量部以上であることが最も好ましい。
 粘度調整、エッチング耐性のために、オリゴマー又はポリマーを樹脂材中に添加してもよい。
 好ましい構造としては、フェノールノボラック系オリゴマー/ポリマー、クレゾールノボラック系オリゴマー/ポリマー、スチレン系オリゴマー/ポリマー、ノルボルネン系開環重合物オリゴマー/ポリマー、ノルボルネン系付加重合物オリゴマー/ポリマー、ノルボルナジエン系開環重合物オリゴマー/ポリマー、ノルボルナジエン系付加重合物オリゴマー/ポリマー、上記で記載したアクリル系モノマーのオリゴマー/ポリマー等が挙げられる。さらに、それらオリゴマー/ポリマーの側鎖にエポキシシクロヘキシル基、グリシジル基、又はビニルエーテル基が結合していると、より耐エッチング性、硬度等の物性が向上するため好ましい。また、それらオリゴマー/ポリマーの側鎖にカルボン酸基、無水カルボン酸基、又はヒドロキシ基等のアルカリ水溶液への溶解性を向上させるような置換基を有していると、アルカリ水溶液での現像を可能にするため好ましい。
 添加量は、耐エッチング性、膜強度、硬度、耐熱性の観点から、カチオン硬化性モノマー化合物(100質量部)に対して、10質量部以上であることが好ましく、20質量部以上であることがより好ましく、30質量部以上であることがさらに好ましく、組成物の硬化性の観点から1000質量部以下であることが好ましく、500質量部以下であることがより好ましい。
 金属アルコキシド、金属塩化物、及びそれらの加水分解物、加水分解縮合物を用いてもよい。耐クラック性、安定性の観点から、縮合物を用いることが好ましい。
 金属アルコキシドとしては、シランアルコキシド、チタンアルコキシド、ジルコニウムアルコキシド、タンタルアルコキシドなどが挙げられるが、安定性の観点からシランアルコキシド、チタンアルコキシド、又はジルコニウムアルコキシドが好ましく、シランアルコキシドがより好ましい。金属塩化物としてはテトラクロロシラン、塩化チタン、塩化ジルコニウム、塩化タンタルなどを挙げられる。
 シランアルコキシド又はクロロシランとしては、例えば、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシラン、ジメチルジエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリエトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、フェニルメチルジエトキシシラン、ジシクロペンチルジメトキシシラン、ジシクロペンチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、2-メタクリロキシエチルトリメトキシシラン、2-メタクリロキシエチルトリエトキシシラン、2-メタクリロキシエチルメチルジメトキシシラン、2-アクリロキシエチルトリメトキシシラン、2-アクリロキシエチルトリエトキシシラン、メタクリロキシメチルトリメトキシシラン、メタクリロキシメチルトリエトキシシラン、メタクリロキシメチルメチルジメトキシシラン、アクリロキシメチルトリメトキシシラン、アクリロキシメチルトリエトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルジメトキシメチルシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルジエトキシメチルシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルメトキシジメチルシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルエトキシジメチルシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメトキシジメチルシシラン、3-グリシドキシプロピルエトキシジメチルシシランN-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジエトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3-アミノプロピルジエトキシシラン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-(ビニルベンジル)-2-アミノエチル-3-アミノプロピルトリメトキシシランの塩酸塩、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3-メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、メチルトリクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、トリエチルクロロシラン、t-ブチルジメチルクロロシラン、トリ-i-プロピルクロロシランなどを挙げることができる。
 硬化物の安定性、硬度、エッチング耐性の観点から、光酸発生剤により反応し得る官能基を有していることがより好ましく、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルジメトキシメチルシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルジエトキシメチルシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルメトキシジメチルシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルエトキシジメチルシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメトキシジメチルシシラン、3-グリシドキシプロピルエトキシジメチルシシランなどが挙げられる。
 その他の金属アルコキシド又は金属塩化物としては、チタンテトラメトキシド、チタンテトラエトキシド、チタンテトラn-プロポキシド、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラn-ブトキシド、ジルコニウムテトラメトキシド、ジルコニウムテトラエトキシド、ジルコニウムテトラn-プロポキシド、ジルコニウムテトライソプロポキシド、ジルコニウムテトラn-ブトキシド、タンタルペンタメトキシド、タンタルペンタエトキシド、タンタルペンタn-プロポキシド、タンタルペンタイソプロポキシド、タンタルペンタn-ブトキシドなどが挙げられる。
 酸化チタン、酸化ジルコニウム、シリカ、ITO、ZnO、SnO、IZO、ATO、AZO等の微粒子を含有していてもよい。その場合、膜物性、透明性の観点から、粒径は1000nm以下が好ましく、100nm以下がより好ましく、50nm以下がさらに好ましい。これらは、夫々単独で、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
 組成物の耐エッチング性を向上又は制御する目的をもって、金属酸化物、金属複合酸化物、金属、又は有機無機ハイブリッド材料を添加する場合、複数の凸部又は凹部から構成される凹凸を含む微細構造層中の組成物全体でバランスよく配合することが必要とされる。一方、耐熱性、透明性等の物性を向上させるためは、添加量は、微細構造層の組成物(100質量部)に対して、10質量部以上であることが好ましく、20質量部以上であることがより好ましく、30質量部以上であることがさらに好ましく、50質量部以上であることがさらに好ましく、70質量部以上であることがさらに好ましく、90質量部以上であることが最も好ましい。
<光塩基発生剤>
 光塩基発生剤は、光照射により塩基を発生すれば、特に限定されるものではない。例えば、WPBG-018(和光純薬工業社製)、WPBG-027(和光純薬工業社製)、WPBG-082(和光純薬工業社製)、WPBG-140(和光純薬工業社製)などが挙げられる。
 光塩基発生剤組成物中で用いられる反応性モノマーとしては、エポキシ基、オキセタン基、金属アルコキシド、その加水分解物、加水分解縮合物等を用いることができる。
 光塩基発生剤の添加量は、反応性モノマー化合物(100質量部)に対して、0.01~30質量部であり、好ましくは0.1~20質量部であり、より好ましくは0.2~10質量部であり、さらに好ましくは0.3~5質量部である。実用的な硬度の凹凸パターンを得る観点から、光酸発生剤の添加量は、0.01質量部以上であり、また組成物の安定性の観点から、30質量部以下である。
 上記感光性組成物中に有機溶剤を含有していてもよい。有機溶剤としては例えば、
 (1)脂肪族アルコール:メタノール、エタノール、n-プロパノール、iso-プロパノール、n-ブタノール、iso-ブタノール、sec-ブタノール、tert-ブタノール、1-ペンタノール、イソアミルアルコール、s-アミルアルコール、t-アミルアルコール、2-メチル-1-ブタノール、1-ヘキサノール、2-エチル-1-ブタノール、4-メチル-2-ペンタノール、イソヘキシルアルコール、メチル-1-ペンタノール、s-ヘキサノール、1-ヘプタノール、イソヘプチルアルコール、2,3-ジメチル-1-ペンタノール、1-オクタノール、2-エチルヘキサノール、イソオクチルアルコール、2-オクタノール、3-オクタノール、1-ノナノール、イソノニルアルコール、3,5,5-トリメチルヘキサノール、1-デカノール、イソデシルアルコール、3,7-ジメチル-1-オクタノール、1-ヘンデカノール、1-ドデカノール、イソドデシルアルコール、アリルアルコール、プロパルギルアルコール、ヘキシノール
 (2)芳香族アルコール:ベンジルアルコール、(2-ヒドロキシフェニル)メタノール、(メトキシフェニル)メタノール、(3,4-ジヒドロキシフェニル)メタノール、4-(ヒドロキシメチル)ベンゼン-1,2-ジオール、(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)メタノール、(3,4-ジメトキシフェニル)メタノール、(4-イソプロピルフェニル)メタノール、2-フェニルエタノール、1-フェニルエタノール、2-フェニル-1-プロパノール、p-トリルアルコール、2-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)エタン-1-オール、2-(3,4-ジメトキシフェニル)エタン-1-オール、3-フェニルプロパン-1-オール、2-フェニルプロパン-2-オール、シンナミルアルコール、3-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)プロパ-2-エン-1-オール、3-(4-ヒドロキシ-3,5-メトキシフェニル)プロパ-2-エン-1-オール、ジフェニルメタノール、トリチルアルコール、1,2-ジフェニルエタン-1,2-ジオール、1,1,2,2,-テトラフェニルエタン-1,2-ジオール、ベンゼン-1,2-ジメタノール、ベンゼン-1、3-ジメタノール、ベンゼン-1、4-ジメタノール
 (3)脂環式アルコール:シクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノール、フルフリルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール、テトラヒドロ-2-フランメタノール
 (4)グリコール及びその誘導体:例えば、エチレングリコール、エチレングリコールモノアルキル(炭素原子数1~8)エーテル、エチレングリコールモノビニルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、ジオキサン、ジエチレングリコールモノアルキル(炭素原子数1~6)エーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、トリエチレングリコールモノアルキル(炭素原子数1~3)エーテル、トリエチレングリコールモノビニルエーテル、トリエチレングリコールモノフェニルエーテル、テトラエチレングリコールモノフェニルエーテル、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノアルキル(炭素原子数1~4)エーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル、ジプロピレングリコールモノアルキル(炭素原子数1~3)エーテル、エチレングリコールモノアセタート、プロピレングリコールモノアクリラート、プロピレングリコールモノアセタート
 (5)ケトン化合物:アセトン、メチルエチルケトン、3-ブチン-2-オン、メチル-n-プロピルケトン、メチルイソプロピルケトン、3-ペンチン-2-オン、メチルイソプロペニルケトン、メチル-n-ブチルケトン、メチルイソブチルケトン、メシチルオキシド、4-ヒドロキシ-4-メチル-2-ペンタノン、メチル-n-アミルケトン、メチルイソアミルケトン、エチル-n-ブチルケトン、ジ-n-プロピルケトン、ジイソプロピルケトン、2-オクタノン、3-オクタノン、5-メチル-3-ヘプタノン、5-ノナノン、ジイソブチルケトン、トリメチルノナノン、2、4-ペンタンジオン、2,5-ヘキサンジオン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、アセトフェノン、プロピオフェノン、イソホロン
 (6)その他:N,N-ジメチルホルムアミド、N-メチル-2-ピロリドン、N-エチル-2-ピロリドン、N,N-ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ピリジン、γ-ブチロラクトン、α-アセチル-γ-ブチロラクトン、テトラメチル尿素、1,3-ジメチル-2-イミダゾリノン、N-シクロヘキシル-2-ピロリドン、炭素数5~20の脂肪族炭化水素(直鎖でも、分岐していてもよい)、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ドデカン等、炭素数6~25の芳香族化合物(酸素原子、窒素原子が含まれていてもよい)、例えば、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン、メシチレン、アニソールなどを挙げることができる。
 これらは、単独で、又は二種以上の組合せで用いることができる。これらの中でも、アセトン、メチルエチルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、乳酸エチル、ガンマブチロラクトン、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどが好ましい。
 これらの溶剤は、塗布膜厚及び粘度に応じて、感光性樹脂材に適宜加えることができるが、感光性樹脂材中の溶剤以外の全成分の質量基準で、50~10,000質量%の範囲で用いることが好ましい。
 また感光性樹脂材に紫外線吸収剤、光安定剤、接着助剤、重合禁止剤、増感剤、酸化防止剤、平滑性付与剤を含有していてもよい。
 感光性樹脂材を構成する組成としては、エッチング耐性の観点から、組成中の全原子数中における炭素原子の数の割合が大きいことが好ましい。
 微細パターンマスク層形成工程における形状精度の観点からマスク層は2層以上の多層膜であることが好ましく、例えば、図9A等に示すような第1マスク層28aと第2マスク層28bとを設けた場合、以下の材料を用いることが好ましい。
 第1マスク層28aを構成する材料(第1マスク材料)については、後述するエッチング選択比を満たせば特に限定されず、適宜、材料の選択が可能である。
 第1マスク層28aは、微細パターンマスク層の形成工程における耐ドライエッチング性の観点から、金属元素を含むことが好ましい。さらに、第1マスク層28aは、金属酸化物微粒子を含むことにより、無機材料で構成された基材をドライエッチングする際の加工が、より容易になるため好ましい。
 希釈溶剤としては、特に限定されないが、単一溶剤の沸点が40℃~200℃の溶剤が好ましく、60℃~180℃がより好ましく、60℃~160℃がさらに好ましい。希釈剤は2種類以上を使用してもよい。
 また、溶剤希釈した第1マスク層28aを構成する材料の濃度は、単位面積上に塗工された塗膜の固形分量が単位面積上(下)に存在する微細凹凸構造の空隙(凹部)の体積以下となる濃度であれば、特に限定されない。
 微細パターンマスク層の形成工程に用いられるドライエッチングについて、第1マスク層28aのエッチングレート(Vm1)と、後述する第2マスク層28bのエッチングレート(Vo1)から算出されるエッチング選択比(Vo1/Vm1)が、10≦Vo1/Vm1を満たす樹脂を含有することが好ましい。第1マスク層28aと第2マスク層28bのエッチング選択比(Vo1/Vm1)がVo1/Vm1>1を満たすとき、これは、第1マスク層28aが第2マスク層28bよりもエッチングされにくいことを意味する。特に、Vo1/Vm1≧10を満たすことで、厚みのある第2マスク層28bをドライエッチングにより容易に加工でき、ドライエッチング微細加工されたアスペクト比の高い微細凹凸構造を有するマスク層28(第1マスク層28a及び第2マスク層28bからなる微細パターン)を光学基材101上に形成できるため好ましい。
 なお、微細パターンに対するドライエッチングレートは、微細パターンに大きく影響するため、これらのエッチング選択比は、各種材料のフラット膜(ベタ膜)に対し測定される値である。
 第1マスク材料は、ゾルゲル材料を含むことが好ましい。ゾルゲル材料を含むことで、耐ドライエッチング性の良好な第1マスク層28aのモールド25の凹凸内部への充填が容易になるのに加えて、第2マスク層28bをドライエッチングする際の、縦方向のドライエッチングレート(Vr)と、横方向のドライエッチングレート(Vr//)との比率(Vr/Vr//)を大きくすることができる。ゾルゲル材料としては、単一の金属種を持つ金属アルコキシドのみを用いても、異なる金属種を持つ金属アルコキシドを併用しても良い。特に、金属種M1(ただし、M1は、Ti,Zr,Zn,Sn,B,In,Alからなる群から選択される少なくとも1種の金属元素)を持つ金属アルコキシドと、金属種Siを持つ金属アルコキシドとの、少なくとも2種類の金属アルコキシドを含有することが好ましい。あるいは、第1マスク層28aの材料として、これらのゾルゲル材料と、感光性樹脂材とを組み合わせた材料も使用できる。
 また、第1マスク層28aの耐ドライエッチング性の観点から、ゾルゲル材料は、金属種の異なる、少なくとも2種類の金属アルコキシドを含むことが好ましい。金属種の異なる2種類の金属アルコキシドの、金属種の組み合わせとしては、例えば、SiとTi,SiとZr,SiとTa等が挙げられる。耐ドライエッチング性の観点から、Siを金属種に持つ金属アルコキシドのモル濃度(CSi)と、Si以外の金属種M1を持つ金属アルコキシド(CM1)との比率CM1/CSiは、0.2~15であることが好ましい。塗工乾燥時の安定性の観点から、CM1/CSiは0.5~15であることが好ましい。物理的強度の観点から、CM1/CSiは5~8であることがより好ましい。
 第1マスク層28aは、第1マスク層28aの転写精度と耐ドライエッチング性の観点から、無機のセグメントと有機のセグメントとを含むこと(ハイブリッド)が好ましい。組み合わせとしては、例えば、無機微粒子と、感光性樹脂材との組み合わせ、無機前駆体と感光性樹脂材との組み合わせ、有機ポリマーと無機セグメントが共有結合にて結合した分子との組み合わせ、等が挙げられる。無機前駆体としてゾルゲル材料を使用する場合は、シランカップリング剤を含むゾルゲル材料の他に、感光性樹脂材を含むことが好ましい。組み合わせの場合、例えば、金属アルコキシド、光重合性基を具備したシランカップリング材、ラジカル重合系樹脂等を混合することができる。より転写精度を高めるために、これらにシリコーンを添加してもよい。また、ドライエッチング耐性を向上させるために、ゾルゲル材料部分は、予め予備縮合を行ってもよい。シランカップリング剤を含む金属アルコキシドと、感光性樹脂材との混合比率は、耐ドライエッチング性と転写精度の観点から、3:7~7:3の範囲が好ましい。より好ましくは、3.5:6.5~6.5:3.5の範囲である。
 希釈した第1マスク材料を、モールド25の凹凸上に直接塗工した際の濡れ性が悪い場合は、界面活性剤やレベリング材を添加してもよい。これらは、公知市販のものを使用することができるが、同一分子内に感光性樹脂材と重合できる官能基を具備していることが好ましい。添加濃度は、塗工性の観点から、第1マスク材料100重量部に対して40重量部以上が好ましく、60重量部以上がより好ましい。一方で、耐ドライエッチング耐性の観点から、500重量部以下であることが好ましく、300重量部以下であると、より好ましく、150重量部以下であると、なお好ましい。
 一方、第1マスク材料の分散性の向上や、転写精度を向上させる観点から、界面活性剤やレベリング材を使用する場合は、これらの添加濃度は、第1マスク材料に対し20重量%以下であることが好ましい。20重量%以下であることで分散性が大きく向上し、15重量%以下であることで転写精度も向上するため好ましい。より好ましくは、10重量%以下である。これらの界面活性剤やレベリング材は、特に、カルボキシル基、ウレタン基、イソシアヌル酸誘導体を有する官能基の、少なくとも1つの官能基を含むことが、相溶性の観点から好ましい。なお、イソシアヌル酸誘導体には、イソシアヌル酸骨格を有するもので、窒素原子に結合する少なくとも1つの水素原子が他の基で置換されている構造のものが包含される。これらを満たすものとして、例えば、ダイキン工業社製のオプツールDACが挙げられる。添加剤は、溶剤に溶かした状態で、第1マスク材料と混合することが好ましい。
 第1マスク材料中に、希釈塗工後の溶剤揮発過程において様態が変化する材料を含むと、材料自体の面積を小さくするというドライビングフォースも同時に働くと推定されるため、より効果的に第1マスク材料がモールド25の凹部内部へと充填されるため好ましい。様態の変化とは、例えば、発熱反応や、粘度の大きくなる変化が挙げられる。例えば、ゾルゲル材料を含むと、溶剤揮発過程で、空気中の水蒸気と反応し、ゾルゲル材料が重縮合する。これにより、ゾルゲル材料のエネルギーが不安定化するため、溶剤乾燥に伴い低下する溶剤液面(溶剤と空気界面)から遠ざかろうとするドライビングフォースが働き、結果、ゾルゲル材料が良好にモールド凹内部へと充填されると想定される。
 第2マスク層28bを構成する材料は、上記した微細パターンマスク層の形成工程におけるエッチングレート比(エッチング選択比)を満たせば、特に限定されないが、感光性樹脂材を用いることが好ましい。
 ドライエッチング時の、第1マスク層28aの物理的安定性とハンドリングの観点から、硬化後の第1マスク層28aのTg(ガラス転位温度)は、30℃~300℃であることが好ましく、60℃~250℃であるとより好ましい。
 第2マスク層28bと光学基材101、及び、第2マスク層28bと第1マスク層28aとの密着性の観点から、第2マスク層28bの比重法による収縮率は、10%以下であることが好ましく、5%以下であることがより好ましい。
 また、モールド25、第1マスク層28a及び第2マスク層28bが積層された構造体を使用し、光学基材101へ貼合する際のハンドリングの観点から、第2マスク層28bは、ドライフィルムレジストに代表される熱圧着可能な樹脂であると好ましい。ここで、ドライフィルムレジストとは、少なくともバインダーポリマー、反応性希釈材及び重合開始材を含む有機材であり、熱圧着が可能な樹脂を意味する。特に、モールド25及び、モールド25と支持基板121の光学基材前駆体がフィルム状(可撓性のシート状)であることが好ましい。この場合、モールド25、第1マスク層28a、及び第2マスク層28bからなる光学基材前駆体を作製し、カバーフィルムを合わせ、巻き取り回収することができる。このロールを繰り出し、光学基材101へと熱圧着により容易に貼合することができる。このような使用方法は、この微細パターン形成用の光学基材前駆体を用いることで、ナノインプリント(転写)の転写材の充填や剥離といったノウハウを排除でき、また、特殊な装置を必要としないことを意味する。熱圧着できる樹脂としては、200℃以下で圧着可能な樹脂が好ましく、150℃以下がより好ましい。例えば、公知のドライフィルムレジストを、モールド25、第1マスク層28aに積層し、モールド25、第1マスク層28a、第2マスク層28bの光学基材前駆体とする。ドライフィルムレジストとしては、第1マスク層28aとの接着性の観点から、感光性樹脂を含むドライフィルムレジストであるとより好ましい。
(露光及び現像工程)
 図9Bに示すように、光学基材前駆体のモールド側に、露光マスク29を配置する。図9Bに示すように、露光マスク29をモールド25に接触させてもよいし、露光マスク29をモールド25からやや離した状態で配置してもよい。
 図9Bに示すように、露光マスク29には露光領域29aと非露光領域29bとが設けられている。図9Bに示すように、露光領域29aは、露光マスク29の一部分だけに形成されており、露光領域29aは、モールド25に形成された凹凸部25bの形成領域よりも狭い領域となっている。
 露光マスク29の露光領域29aあるいは非露光領域29bの形状は、図4B、図4C(例えば、図4B、図4Cに示す平坦面8の領域が、非露光領域29bとして設定される)に示すような矩形や矩形の組み合わせ以外に円形、正方形、長方形、台形、ラインアンドスペース等、任意の形状を用いることができる。それらの形状は抜きパターン(その形状の内部の感光性樹脂材が溶解する)であっても、残しパターン(その形状の外部の感光性樹脂材が溶解する)であってもよい。それらの形状の面積としては、パターニングの精度の観点から、2μm以上が好ましく、25μm以上がより好ましく、100μm以上がさらに好ましく、400μm以上が最も好ましい。
 露光は、縮小投影法、等倍投影露光法、コンタクト露光法、又はプロキシミティ露光法のいずれの方法でもよい。パターニングの精度の観点から縮小投影法が好ましく、スループットの観点からは等倍投影露光法、コンタクト露光法又はプロキシミティ露光法が好ましい。
 光学基材前駆体のモールド表面には微細な凹凸パターンが存在するため、モールドとマスク層の屈折率の違いにより光が散乱することがある。そのような場合はパターニングの精度の観点から、縮小投影露光法、等倍投影露光法又はコンタクト露光が好ましく、縮小投影露光法及び等倍投影露光法がより好ましい。
 露光量としては、マスク層中に添加する光活性物質の添加量により最適値を変化させることが可能であるが、プロセスのスループットの観点から、3000mJ/cm以下が好ましく、2000mJ/cm以下がより好ましく、1000mJ/cm以下がさらに好ましい。また、プロセスの再現性の観点から、10mJ/cm以上が好ましく、20mJ/cm以上がより好ましく、50mJ/cm以上がさらに好ましい。
 露光後に、光学基材前駆体を加熱することが好ましい。加熱により、露光により発生した活性物質が、より活性化し、露光部132と非露光部131のコントラストを強くすることができる。加熱の温度としては、活性物質の活性化の観点から、40℃以上が好ましく、60℃以上がより好ましく、80℃以上がさらに好ましい。一方で、モールド25の安定性、凹凸パターンの安定性から、200℃以下が好ましく、150℃以下がより好ましい。
 加熱時間としては、加熱温度にもよるが、プロセスの安定性の観点から、5秒以上が好ましく、10秒以上がより好ましく、スループットの観点から10分以下が好ましい。
 続いて、光学基材前駆体からモールド25を剥離する。剥離工程において、剥離する方向は貼り付け時の方向と同じであっても、異なっていてもよい。剥離する速さとしては、スループットの観点から、毎秒0.1cm以上が好ましく、毎秒0.5cm以上がより好ましく、毎秒2.0cm以上がさらに好ましい。光学基材前駆体からモールド25を剥離した状態を図10Aに示す。
 図10Aに示すように、光学基材101の主面101a全体にマスク層28が形成されており、光学基材101の主面101a全体が、微細な凹凸パターンとなっている。図10Aに示すマスク層28は、露光部132と非露光部131とに分かれている。
 続いて図10Bの工程では、マスク層のうち非露光部131を現像により除去する。これにより光学基材101の主面101aの一部に凹凸領域が残され、それ以外の部分では光学基材101の主面101aが露出した状態になる。
 現像方法としては、ディップ、ディスペンススピン、スプレー、シャワーなどが挙げられる。現像液としては有機溶剤、アルカリ性水溶液、酸性水溶液が挙げられる。基材へのダメージの観点から、有機溶剤、又はアルカリ性水溶液が好ましい。また、環境調和及び安全性の観点からアルカリ水溶液がより好ましい。
 現像液として用いる有機溶剤としては、マスク層中に添加できる有機溶剤であればよいが、沸点や引火点の観点から、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、乳酸エチル、ガンマブチロラクトン等が挙げられる。
 現像液で非露光部131を洗浄したのちに、低沸点の有機溶剤でリンスしてもよい。例えば、アセトンやエタノール、メタノール、イソプロパノール等が挙げられる。
 アルカリ性水溶液として適した例としては、例えば、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の炭酸塩の水溶液、アルカリ金属の水酸化物の水溶液、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラプロピルアンモニウム水溶液等の水酸化アンモニウム類、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミン類を挙げることができる。特に、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム等の炭酸塩、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム等の水酸化アンモニウム類、ジエチルアミン、ジエタノールアミン等のアミン類を0.05~10質量%含有する弱アルカリ性水溶液を用いて、現像するのがよい。
 アルカリ性水溶液で現像した場合は、リンス液として純水を用いることが好ましい。現像及びリンスは20℃以上、35℃以下の温度で行うことが好ましい。
 現像及び/又はリンス後に加熱してもよい。加熱により、凹凸内に浸透した現像液、リンス液を除去することができる。さらに加えて、マスク層をより硬化させることもできる。
 非露光部131の部分には現像後、光学基材101の主面101aが露出するが、残渣などでマスク層28の成分の一部又は全てが残っていたとしても、後述する微細パターンマスク層の形成工程のエッチングにより除去することも可能である。
 なお、現像液としては、上記の(レジスト剥離液)の欄で記載したように、1種以上のアルカリ性無機化合物と、1種以上のアルカリ性有機化合物と、有機溶剤とを含むレジスト剥離液を用いることがより好適である。
 前記した以外の露光及び現像方法としては、ポジ型の感光性材料をマスク材として用い、露光部を現像により除去することで、非露光部にのみマスク層からなる凹凸を転写する方法が挙げられる。材質については、上記の(積層体)の欄のポジ型感光性樹脂材を参照されたい。
(マスク層の部分エッチング工程)
 図11Aに微細パターンマスク層133が光学基材101の主面(表面)101aに形成された状態を示す。マスク層の部分エッチング工程とは、第1マスク層28aをマスクとして、光学基材101がエッチングされずに第2マスク層28bのみがエッチングされる条件でエッチングを行うことにより図11Aに示す第2マスク層28b及び第1マスク層28aで構成されるマスク層(微細パターンマスク層113)を光学基材101の主面101aに形成する工程である。
 マスク層の部分エッチング工程は形状制御の観点から行うことが好ましいが、前述の現像工程で得られたマスク層28に対して直接、後述の基材エッチング工程を行ってもよい。
 マスク層の部分エッチング工程としては、ウェットエッチングやドライエッチングのような一般的に知られているエッチング方法を用いることができる。このエッチング条件は材料により種々設計できるが、例えばドライエッチングを用いる場合は、次のようなエッチング条件が挙げられる。
 第2マスク層28bを化学反応的にエッチングする観点から、Oガス及びHガスを選択することができる。イオン入射成分の増加による縦方向(鉛直方向)エッチングレート向上という観点から、Arガス及びXeガスを選択することができる。エッチングに用いるガスは、Oガス、Hガス、及びArガスの少なくとも1種を含む混合ガスを使用する。特に、Oのみを使用することが好ましい。
 エッチング時の圧力は、反応性エッチングに寄与するイオン入射エネルギーを高め、エッチング異方性をより向上させることができるため、0.1~5Paであることが好ましく、0.1~1Paであると、より好ましい。
 また、Oガス又はHガスとArガス又はXeガスとの混合ガス比率は、化学反応性のエッチング成分とイオン入射成分とが適量であるときに異方性が向上する。このため、ガスの層流量を100sccmとした場合、ガス流量の比率は99sccm:1sccm~50sccm:50sccmが好ましく、95sccm:5sccm~60sccm:40sccmがより好ましく、90sccm:10sccm~70sccm:30sccmがなお好ましい。ガスの総流量が変化した場合、上記の流量の比率に準じた混合ガスとなる。
 プラズマエッチングとしては、容量結合型RIE、誘導結合型RIE、誘導結合型RIE、又はイオン引き込みバイアスを用いるRIEを用いることができる。例えば、Oガスのみ、又はOガスとArを流用の比率90sccm:10sccm~70sccm:30sccmの間で混合したガスを用い、処理圧力を0.1~1Paの範囲に設定し、且つ容量結合型RIE、又は、イオン引き込み電圧を用いるRIEを用いる。エッチングに用いる混合ガスの総流量が変化した場合、上記の流量の比率に準じた混合ガスとなる。
 第1マスク層中に含まれる蒸気圧の低い成分(例えば、Ti,Zr,Ta,Zn,Si等を金属元素として有するゾルゲル材料や、メタロキサン結合部位)が、第2マスク層をエッチングする際に、第1マスク層の側壁を保護する役割を果たし、その結果、厚みのある第2マスク層を容易にエッチングできる。
 次に、微細パターンマスク層をマスクとして基材をエッチングする工程について説明する。
 図11Bに示すように露光部にのみ形成された微細パターンマスク層28をマスクとして基材をエッチングすることにより、光学基材101の主面(表面)101aに凹凸領域7及び平坦面8を同一面内に併設する微細構造層が形成される。
 (基材エッチング工程)
 基材のエッチング工程とは、微細パターンマスク層28をマスクとして、基材がエッチングされる条件でエッチングを行うことにより、基材の表面に凹凸からなる凹凸領域7及び平坦面8を形成する工程である。
 基材のエッチングとしては、ウェットエッチングやドライエッチングのような一般的に知られているエッチング方法を用いることができるが、微細形状の加工精度の観点からドライエッチングが好ましい。エッチング条件は基材やマスク層の材料により種々設計できるが、例えばドライエッチングを用いる場合は、次のようなエッチング条件が挙げられる。
 基材をエッチングするという観点から、塩素系ガスやフロン系ガスを用いたエッチングを行うことができる。塩素系ガスに、酸素ガス、アルゴンガス、又は酸素ガスとアルゴンガスとの混合ガスを添加してもよい。基材を反応性エッチングすることが容易なフロン系ガス(CxHzFy:x=1~4、y=1~8、z=0~3の範囲の整数)のうち、少なくとも1種を含む混合ガスを使用する。フロン系ガスとしては例えば、CF、CHF、C、C、C、C、CH、CHF等が挙げられる。さらに、基材のエッチングレートを向上させるため、フロン系ガスにArガス、Oガス、及びXeガスを、ガス流量全体の50%以下混合したガスを使用する。フロン系ガスでは反応性エッチングすることが難しい基材(難エッチング基材)や堆積性の高い反応物が発生してしまう基材をエッチングする場合は、反応性エッチングすることが可能な塩素系ガスのうち少なくとも1種を含む混合ガスを使用する。塩素系ガスとしては、例えば、Cl、BCl、CCl、PCl、SiCl、HCl、CCl、CClF等が挙げられる。さらに難エッチング基材のエッチングレートを向上させるため、塩素系ガスに酸素ガス、アルゴンガス、又は酸素ガスとアルゴンガスとの混合ガスを添加してもよい。
 エッチング時の圧力は反応性エッチングに寄与するイオン入射エネルギーが大きくなり、基材のエッチングレートが向上するため、0.1Pa~20Paであることが好ましく、0.1Pa~10Paであることがより好ましい。
 また、フロン系ガス(CxHzFy:x=1~4、y=1~8、z=0~3の範囲の整数)のCとFの比率(y/x)の異なるフロン系ガス2種を混合し、基材のエッチング側壁を保護するフロロカーボン膜の堆積量を増減させることで、基材に作製される微細パターンのテーパー形状の角度を作り分けることができる。基材に対するマスクの形状を、ドライエッチングにより精密に制御する場合、F/C≧3のフロンガスと、F/C<3のフロンガスの流量の比率を、95sccm:5sccm~60sccm:40sccmとすることが好ましく、70sccm:30sccm~60sccm:40sccmであると、より好ましい。ガスの総流量が変化した場合においても、上記の流量の比率は変わらない。
 また、フロン系ガス及びArガスの混合ガスと、Oガス又はXeガスとの混合ガスは、反応性エッチング成分とイオン入射成分が適量である場合に、基材のエッチングレートが向上するという観点から、ガス流量の比率99sccm:1sccm~50sccm:50sccmが好ましく、より好ましくは、95sccm:5sccm~60sccm:40sccm、さらに好ましくは、90sccm:10sccm~70sccm:30sccmである。また、塩素系ガス及びArガスの混合ガスと、Oガス又はXeガスとの混合ガスは、反応性エッチング成分とイオン入射成分が適量である場合に、基材のエッチングレートが向上するという観点から、ガス流量の比率99sccm:1sccm~50sccm:50sccmが好ましく、より好ましくは、95sccm:5sccm~80sccm:20sccm、さらに好ましくは、90sccm:10sccm~70sccm:30sccmである。ガスの総流量が変化した場合においても、上記の流量の比率は変わらない。
 また、塩素系ガスを用いた基材のエッチングにはBClガスのみ、又はBClガス及びClガスの混合ガスとArガス又はXeガスとの混合ガスを用いることが好ましい。これらの混合ガスは、反応性エッチング成分とイオン入射成分が適量である場合に、基材のエッチングレートが向上するという観点から、ガス流量の比率99sccm:1sccm~50sccm:50sccmが好ましく、99sccm:1sccm~70sccm:30sccmがより好ましく、99sccm:1sccm~90sccm:10sccmがさらに好ましい。ガスの総流量が変化した場合においても、上記の流量の比率は変わらない。
 プラズマエッチングとしては、容量結合型RIE、誘導結合型RIE、誘導結合型RIE、又はイオン引き込み電圧を用いるRIEを用いることができる。例えば、CHFガスのみ、又はCF及びCをガス流量の比率90sccm:10sccm~60sccm:40sccmの間で混合したガスを用い、処理圧力を0.1~5Paの範囲で設定し、且つ、容量結合型RIE、又は、イオン引き込み電圧を用いるRIEを用いる。また、例えば、塩素系ガスを用いる場合はBClガスのみ、又はBClガスとClガスもしくはArガスとをガス流量の比率95sccm:5sccm~85sccm:15sccmの間で混合したガスを用い、処理圧力を0.1~10Paの範囲で設定し、且つ、容量結合型RIE、誘導結合型RIE、又は、イオン引き込み電圧を用いるRIEを用いる。
 さらに、例えば、塩素系ガスを用いる場合はBClガスのみ、又はBClガスとClガスもしくはArガスとをガス流量の比率95sccm:5sccm~70sccm:30sccmの間で混合したガスを用い、処理圧力を0.1Pa~10Paの範囲で設定し、且つ、容量結合型RIE、誘導結合型RIE、又は、イオン引き込み電圧を用いるRIEを用いる。また、エッチングに用いる混合ガスのガス総流量が変化した場合においても、上記の流量の比率は変わらない。
 また、基材のドライエッチングを行った後において基材上にマスク層が残っている場合は、マスク層を除去する工程を含んでもよい。基材の表面からマスク層を除去する方法としては、ドライエッチングでマスク層を選択的にエッチングする方法やウェットエッチングで基材の表面を溶かし、マスク層を剥離する方法、有機溶剤、アルカリ性水溶液、酸性水溶液などに浸しマスク層を膨潤もしくは溶解させて剥離する方法、酸化剤などでマスク層を分解して除去する方法などが挙げられる。基材がダメージを受けない手法が好ましい。
 ここで非露光部131と露光部132との境界部分は、上記した露光・現像の影響を少なからず受けている領域である。すなわち露光された領域は、露光部132と非露光部131との境界で明確に分けられているわけでなく、露光部132ほどでないにしても弱く露光されたブロードな領域が、露光部132と非露光部131との間に存在する。このため、図10Aの現像工程にて非露光部131を除去したとき、非露光部131のみが除去されるわけでなく、上記した露光部132と非露光部131との境界部分の、弱い露光の影響を受けたブロード領域も除去され、このとき、非露光部131に近い部分ほど除去される量が多い。例えば、図9Bに示す露光マスク29を用いた露光の際、コンタクト露光法又はプロキシミティ露光法を用いた場合は、図10Aにおいて、非露光部131の露光部132に接した領域のマスク層が弱く露光されやすい。そのため、例えばマスク層材料にネガ型感光性材料(特に好ましくは、(積層体)の欄で説明した化学増幅ネガ型感光性樹脂材)を用いた場合、図10Bに示すように、基材101の露出面30から第2マスク層27の膜厚が厚くなる方向に徐々に傾斜する斜面領域31が形成される。このとき、非露光部131と露光部132の境界部分に残されたマスク層のドットは露光部のドットよりも高さ、深さおよび幅などが小さいドットになる。第2ドット領域ではこの小さいドットをマスクとして半導体エッチングを行うため第1ドットよりも小さいドットを形成することができる。
 そして図11Aに示すように、微細パターンマスク層133は、基材101の表面に、第1マスク層28a及び第2マスク層28bの材質からなる複数のドットとして残される。このとき、図10Bにて斜面領域31に形成された微細パターンマスク層は、他の部分の微細パターンマスク層よりも低い凸状ドットで残される。このため、平坦面8の周囲に小ドットの第2ドット11からなる第2ドット領域12を形成することが可能である。
 図11Bに示す複数の第2ドット11を備える第2ドット領域12は第1ドット領域7よりも光の回折効果又は散乱効果が小さいため、平坦面8と第1ドット領域7との間に第2ドット領域12を設けることによって、平坦面8の端部が視認しやすくなり、平坦面8の形状や大きさを検査することが容易にできる。よって電極パッドを適切に平坦面8に配置することができる。また図11Cでは、第2ドット11を備える第2ドット領域12は傾斜面に形成されており、第1ドット10と第2ドット11とが基材101に一体化している。
 上記では微細パターンマスク層を形成する手法の一例を詳しく述べたが、特に限定されない。上述のように微細パターンマスク層を凹凸領域にのみ形成することにより、基材を一度ドライエッチングするだけで、基材の凹凸領域と電極パッド形成部として利用可能な平坦面を同時に形成することができるため、半導体発光素子の光取り出し効率向上と製造工程の容易化を両立することが可能である。
 続いて、図7に示す第1の積層体を用いた場合の光学基材の製造方法について説明する。図13は、第1の積層体を用いた本実施の形態に係る光学基材の製造工程を説明するための断面模式図である。図14は、第1の積層体を用いた本実施の形態に係る光学基材の製造工程の他の例を説明するための断面模式図である。
 図13Aに示す工程では、表面に複数の凸部又は凹部から構成されるドット12が形成された支持フィルム/モールドシート1006を用意する。そして、モールド1002のドット1012が形成された表面側にポジ型感光性樹脂材を塗布する。モールド1002とポジ型感光性樹脂材を含有する感光性樹脂層1003とを具備する第1の積層体1000となる。
 また図13Aに示すように基材101を用意する。基材101の表面には、例えばITO等からなる導電層5が形成されている。
 図13Aに示すように、基材101の導電層5側を、感光性樹脂層1003に対向させて、積層体1000に基材101を貼り合わせる。モールド1002と基材101との間に感光性樹脂層1003が介在した積層体を光学基材前駆体55と呼ぶ。
 図13Aに示すように、モールド1002に感光性樹脂層1003のポジ型感光性樹脂材を塗布する方法としては、スピンコート、バーコート、ディップ、スプレー塗布等がある。面内均一性、モールド1002の凹凸への充填の観点から、バーコートを用いることが好ましい。
 次に図13Bに示す工程では、光学基材前駆体55に対し、パターニング用マスク60を通して紫外線を照射する。
 図14Aに示すように、この紫外線を照射する前に支持フィルム/モールドシート1006を剥離してもよい。あらかじめ剥離することにより、支持フィルム/モールドシート1006の膜厚ムラによるフォトリソグラフィのパターンの均一性の低下を抑制することが可能である。また、本実施の形態におけるポジ型感光性樹脂材は、酸を発生させることにより溶解性の差を生じ、酸の発生において、雰囲気は影響を受けないことから、空気による表面反応性の低下等の懸念がなく、均一できれいなパターンを形成できる。光重合開始剤型のネガ型感光性樹脂材を用いると、樹脂表面近くに存在する多くの酸素により、発生したラジカルが失活して光硬化しなくなる。特に、樹脂の厚さが薄い場合やナノパターンが存在する場合、表面に近い部分の割合が大きくなり、フォトリソグラフィはもちろん、微細なパターンを形成できない。
 図13Bに示すように、光学基材前駆体55の支持フィルム1001側に、パターニング用マスク60を配置する。図14Bに示すように、支持フィルム/モールドシート1006をあらかじめ剥離した場合は、感光性樹脂層1003側にパターニング用マスク60を配置する。
 図13B及び図14Bに示すように、パターニング用マスク60には露光領域60aと非露光領域60bとが設けられている。図13B及び図14Bに示すように、露光領域60aは、パターニング用マスク60の一部分だけに形成されており、露光領域60aは、モールド1002に形成されたドット12の形成領域よりも狭い領域となっている。
 続いて、光学基材前駆体55から支持フィルム/モールドシート1006を剥離する。図14Bに示すように、あらかじめ支持フィルム/モールドシート1006を剥離した場合はこの工程は必要ない。
 続く工程は図10A以降と同様である。本実施の形態では、感光性樹脂層1003にポジ型感光性樹脂材を用いている。これにより、回折された光はマスクされるべき部分にも光が当たるが、溶解速度が若干早まるだけでパターンの埋まりや残渣は発生しにくい。埋まりとは、フォトリソグラフィのパターンの溶解すべき部分の全面に不溶物あるいは難溶解物が存在している状態であり、フッティングとは、フォトリソグラフィのパターン端に膜厚のグラデーションを持ちながら不溶物あるいは難溶解物が存在している状態であり、残渣とは、フォトリソグラフィのパターンの溶解すべき部分の一部にランダムに不溶物あるいは難溶解物が存在している状態である。
 また、積層体1000(図7A参照)の構造内に、又は基材101へ貼合後の感光性樹脂層1003の表面にドットパターンが存在することにより、フォトリソグラフィ時にマスクされるべき部分内へ進入する活性化エネルギー線が回折により散乱されるため、ドットパターンが存在しないときに比べ、パターン端がきれいになる。ドットパターンが存在しない場合、マスクされるべき部分に活性化エネルギー線が散乱されずに侵入することにより、アンダーカット等の形状になってしまう。
 このように、ドットパターンを有する感光性樹脂層1003をフォトリソグラフィによりパターニングするときに好適的な材料の一つが、ポジ型感光性樹脂材である。
 続いて、図8に示す第2の積層体を用いた場合の本実施の形態の光学基材の製造方法について説明する。図15は、第2の積層体を用いた本実施の形態に係るパターン光学基材の製造工程を説明するための断面模式図である。図16は、第2の積層体を用いた本実施の形態に係るパターン光学基材の製造工程の他の例を説明するための断面模式図である。
 図15Aに示す工程では、表面に複数の凸部又は凹部から構成されるドット2012が形成された支持フィルム/モールドシート2006を用意する。そして、モールド2002のドット2012が形成された表面側に化学増幅ネガ型感光性樹脂材を塗布する。モールド2002と化学増幅ネガ型感光性樹脂材を含有する感光性樹脂層2003とを具備する第2の積層体2000となる。
 また図15Aに示すように基材101を用意する。例えば基材101の表面にはITO等からなる導電層5が形成されている。
 図15Aに示すように、基材101の導電層5側を、感光性樹脂層2003に対向させて、積層体2000に基材101を貼り合わせる。モールド2002と基材101との間に感光性樹脂層2003が介在した積層体を光学基材前駆体56と呼ぶ。
 図15Aに示すように、モールド2002に感光性樹脂層2003の化学増幅ネガ型感光性樹脂材を塗布する方法としては、スピンコート、バーコート、ディップ、ダイコート、グラビア、スプレー塗布等がある。面内均一性、モールド2002の凹凸への充填の観点から、バーコート、ダイコート、グラビアを用いることが好ましい。
 次に図15Bに示す工程では、光学基材前駆体56に対し、パターニング用マスク61を通して紫外線を照射する。
 図16Aに示すように、この活性化エネルギー線を照射する前に支持フィルム/モールドシート2006を剥離してもよい。あらかじめ剥離することにより、支持フィルム/モールドシート2006の膜厚ムラによるフォトリソグラフィのパターンの均一性の低下を抑制することが可能である。また、露光時のマスクをレジスト面近くまで接近させることができ、より解像度の優れたフォトリソグラフィをすることができる。さらに、本実施の形態における化学増幅ネガ型感光性樹脂材は、酸を発生させることにより縮合及び三次元架橋し、酸の発生において、雰囲気は影響を受けないことから、空気による表面反応性の低下等の懸念がなく、均一できれいなパターンを形成できる。光重合開始剤型のラジカルネガ型感光性樹脂材を用いると、樹脂表面近くに存在する多くの酸素により、発生したラジカルが失活して光硬化しなくなる。特に、樹脂の厚さが薄い場合やナノパターンが存在する場合、表面に近い部分の割合が大きくなり、フォトリソグラフィはもちろん、微細なパターンを形成できない。さらに、実施の形態における化学増幅ネガ型感光性樹脂材は、フォトリソグラフィ後三次元架橋していることから、ドットの変形を制御することができる。
 図15Bに示すように、光学基材前駆体56の支持フィルム2001側に、パターニング用マスク61を配置する。図16Bに示すように、支持フィルム/モールドシート2006をあらかじめ剥離した場合は、感光性樹脂層2003側にパターニング用マスク61を配置する。
 続く工程は図10A以降と同様である。例えば、感光性樹脂層2003にラジカル重合ネガ型感光性樹脂材を用いた場合、感光性樹脂層2003の表面に存在する酸素の影響を大きく受けるため、微細構造層をモールドと同じ形状で硬化させるためには、多量の開始剤が必要となる。ここで、酸素の影響とは、開始剤に活性化エネルギー線が照射された際に生成したラジカルが、酸素により失活してしまうことを指す。多量の開始剤により、表面まで硬化させることは可能であるが、その場合、未露光部へ進入した活性化エネルギー線により、未露光部に大きな残渣が発生し、フォトリソグラフィで細線を解像することは困難である。また、多量の開始剤を入れた場合でも、表面の硬化が内部に比べ劣ることから、ドット形状が経時的に、あるいは熱により変化してしまう。
 本実施の形態では、感光性樹脂層2003に化学増幅ネガ型感光性樹脂材を用いる。これにより、露光感度の観点から効果的であることがわかる。また、化学増幅ネガ型感光性樹脂材は露光後に三次元架橋しているため、形状の経時あるいは熱による変化が少ない微細なドットパターンを基材の主面に形成することができる。
 このように、ドットパターンを有する感光性樹脂層1003をフォトリソグラフィによりパターニングするときに好適的な材料の一つが、化学増幅ネガ型感光性樹脂材である。
 また本実施の形態では、光学基材の製造方法において、レジスト層を上記の(レジスト剥離液)の欄に記載したレジスト剥離液により剥離することにより、ドライエッチングによりレジスト層の表層が変質してあっても、微細パターンの間隙にレジスト層の残渣が残ることなく、除去することができるので、レジスト残渣によって、半導体結晶成長の阻害、微細パターンによる回折・散乱効果の低下、及び、着色による発光素子としての性能低下を防止することができる光学基材を製造することができる。
(微細パターン)
 図6でもドットの配列を説明したが、ここでは更に平面状に広がる複数のドットの配列について説明する。図17は、本実施の形態に係る微細パターンの一例を示す平面模式図である。図18から図20は、本実施の形態に係る微細パターンの他の例を示す平面模式図である。例えば、図17及び図18に示すように、微細パターン22は、各ドット21(第1ドット及び第2ドットの別を問わない)が一定のピッチで形成されていてもよい。また、図19及び図20に示すように、複数のドット21を組み合わせたドット群が一定の周期性を持つように、各ドット21が配列されていてもよい。例えば、各ドット21が、正六方配列、六方配列、準六方配列、準四方配列、四方配列、及び正四方配列等で配列されていてもよい。また、全てのドット21に周期性がなくてもよく、一部のドット21に周期性があるように配列され、残りのドット21がランダムに配列されていてもよい。
 凸部又は凹部で形成されるドット21間のピッチ(図17及び図18中に記号Pで示す)、すなわち最も近接するドット21同士の中心間の距離の下限値は、光取出し効率の観点や、製造工程でのモールドとの密着性及び剥離性の観点から、10nm以上であることが好ましく、50nm以上であることがより好ましく、100nm以上がさらに好ましく、150nm以上が特に好ましい。またピッチの上限値は、5000nm以上が好ましく、3000nm以下がより好ましく、2000nm以下がさらに好ましく、1000nm以下が最も好ましい。
 また、ドット21間の間隔(図17及び図18中記号Sで示す)、すなわち最も近接するドット21同士の端部間の距離の下限値は、光取出し効率の観点から、1000nm以下が好ましく、700nm以下がより好ましく、500nm以下がさらに好ましい。
(レジスト)
 上記では光学基材の製造方法において、感光性材料を用いたが、熱可塑性材料を加熱しながらモールドを押し当てて熱インプリントする方法や、熱硬化性材料にモールドを押し当てて加熱し硬化させる方法で微細パターニングする非感光性レジストを用いることもできる。
 熱インプリントに用いられる熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリメタクリレート、ポリアクリレート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン等の不飽和二重結合を有するモノマーを重合させて得られるポリマー及びこれらの共重合ポリマー、ポリカーボネート樹脂又はポリエチレンテレフタラート等のポリエステル樹脂、シクロオレフィンポリマー、ポリアミド、ポリイミド、ポリアセタール、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルフィド又はポリウレタン等が挙げられる。
 熱インプリントに用いられる熱硬化性材料としては、例えば、PDMS等のシリコーン樹脂、エポキシ樹脂が挙げられる。
 本実施の形態における半導体発光素子は、前記の方法で光放出面に凹凸部を形成した後、凹凸部を有する光放出面の表面に、発光層から発せられる光の波長よりも小さい幅を有する微細ピットが形成される。微細ピットについて以下に詳しく説明する。
(微細ピットについて)
 図45、図46に示すように、光放出面7bには、凸部15(ただし第1ドット、第2ドットの別を問わない)の周囲に広がる光放出面7bの主面7aに多数の微細ピット16が形成されている。
 微細ピット16は凸部15の基端の周囲に広がる主面7aに形成された微細な孔、溝である(図47、図48も参照されたい)。
 また図49に示すように、周期配列した凹凸部が複数の凹部18(第1ドット、第2ドットの別を問わない)で形成される場合、凹部18と凹部18の間に広がる主面7aに微細ピット16が形成される。
 微細ピット16の形状はランダムであり、略円形や矩形に近いものや、あるいはクレバス形状のようにある程度の長さを有する溝であってもよい。
 本実施の形態における微細ピット16は、光の波長よりも小さい幅で形成されている。ここで「光の波長よりも小さい幅」とは、光放出面を法線方向(平面視)から観察したときに、微細ピットに引くことができる直線の長さで定義される。図45に幅Lを示した。
 ただし図45、図46に示すように、微細ピット16はランダムな形状で形成されるので、所定の個数(例えば10個以上)の微細ピット16の平均幅を求め、この平均幅が光の波長よりも小さいことを条件とすることができる。
 微細ピット16を形成する方法としては、凹凸部を形成した半導体層、もしくは透光性無機化合物層を溶解する薬液を用いて、温度、濃度、及び処理時間等を調整し、表層部だけを溶解する条件で処理する方法等が挙げられる。
 また、微細ピットは、半導体層、もしくは透光性無機化合物層の結晶粒界によって形成されてもよい。結晶粒界は、多結晶体を構成する任意の結晶と、隣接する別の結晶との間に存在する境界であり、結晶と結晶の間には結晶化していないアモルファス状の物質が存在する。結晶状態とアモルファス状態では同じ物質であっても、エッチャントに対する溶解性や安定性に差がある。この性質を利用し、半導体層、もしくは透光性無機化合物層を溶解する薬液で処理することで、溶け易いアモルファス部分から優先的に除去する方法、アニーリングを行うことでアモルファス部分を結晶化させて、ナノサイズの空隙を形成する方法等により、微細ピットを形成することができる。
 微細ピットは、周期配列した凹凸部の側面、及び、凹凸部の頂部(凸部の場合)や底部(凹部の場合)が平坦な形状の場合には側面、頂部及び底部にも形成され得る。
 上記したように微細ピットの幅は、発光層から発生する光の波長λより小さい。下記式(5)で表されるように、真空中での波長をλ0とすると、表面に光放出面が形成されている層(透光性無機化合物や半導体層等)の屈折率nで除した値が、表面に光放出面が形成されている層中での波長λとなる。
 λ=λ0/n  (5)
 微細ピットの幅が、波長λより大きい場合は、微細ピット自体が光を散乱・回折する場合があり、周期配列した凹凸部が乱されることによって、光の回折効果を低下させることがある。ただし、ランダムに形成されるが故に、稀に波長λ以上の幅の微細ピットが含まれることがあるが、これにより半導体発光素子の発光効率や製品歩留りを悪化させるものではない限りは、波長λより大きい幅の微細ピットが含まれていてもよい。
 本明細書においては、前記微細ピットの定量化は以下に述べる方法で行う。微細ピットが形成された透光性無機化合物の光放出面を、法線方向から電界放出型走査型顕微鏡(FE-SEM)で観察し、得られた画像から、凹凸部を除く光放出面に観察されるピットの面積と、凹凸部を除いた光放出面の主面面積から、ピット面積比を下記式(6)で計算する。
 微細ピット面積比=[微細ピット面積/(凹凸部を除く主面面積)](6)
 ここで凹凸部を除く主面面積とは、例えば図45に示す凸部15の周囲に広がる平坦部と微細ピット16を足した面積を指す。
 なお、微細ピット形成の処理を過剰に行った場合には、凹凸部を除く光放出面が粗面化され、見かけの微細ピット面積が少なくなるが、微細ピット面積比は大きくなる。
 微細ピット面積比の下限としては、1%以上が好ましく、2%以上がより好ましい。上限としては、30%未満が好ましく、20%未満がより好ましい。微細ピット面積比が下限値よりも低い場合は、微細ピットが形成されることによる効果がほとんど見られない。上限値よりも高い場合は、透光性無機化合物層の表層の密度が低下し、凹凸部が脆くなるため、半導体発光素子の製造プロセス中に多くの欠陥を生じる原因となる。また、透光性無機化合物層が透明導電膜層である場合は、電気抵抗値が高くなり半導体発光素子の発光効率が低下する。
 微細ピットを形成する方法としては、半導体層、もしくは透光性無機化合物層を溶解する薬液で処理する方法が好ましい。被処理層の表層やアモルファス部分を溶解する工程が、残存するレジスト層を除去する工程及び/又はドライエッチング後の表面を洗浄する工程を兼ねることができるため、本実施の形態に係る半導体発光素子の製造プロセスを短縮することができる。上記の処理に用いる薬液としては、凹凸部が形成された半導体層や透光性無機化合物層を溶解する薬液であれば、特に制限なく使用することができる。
 透光性無機化合物層が、多結晶質の無機化合物層である場合、上記の処理に用いる薬液としては、アモルファス状の透光性無機化合物を溶解する速度Raと結晶質の透光性無機化合物を溶解する速度Rcの比(Ra/Rc)が、1より大きいことが好ましく、10以上であることがより好ましく、100以上であることがさらに好ましい。多結晶無機化合物の結晶粒界の間隙がアモルファス状無機化合物で充填されている場合、溶解速度比(Ra/Rc)が1より大きければ、アモルファス状無機化合物が優先的に溶解され、多結晶質の無機化合物層に形成された凹凸部の形状を維持しながら、結晶粒界に由来する微細ピットが形成される。
 透光性無機化合物層がITOの場合、前記微細ピットを形成するための薬液としては、弗酸、硫酸、王水、塩酸、硝酸、リン酸、ヨウ素酸、シュウ酸、クエン酸などの酸性水溶液が例示される。これらの薬液は単体で用いてもよいし、複数を混合して用いてもよい。さらに添加剤として、過酸化水素水、塩化第二鉄、過硫酸塩等の酸化剤、界面活性剤、キレート剤等を適宜加えることもできる。
 光放出面に、周期配列した凹凸部と発光層から発せられる光の波長よりも小さい幅を有する微細ピットとが形成された本形態の半導体発光素子基板は、公知の方法で素子化することができる。
 フェースアップ型の窒化ガリウム系LEDの場合を例に取って説明すると、周期配列した凹凸部を形成し、表面に微細ピットを形成した半導体発光素子基板にフォトレジストを成膜し、フォトリソグラフィを行って素子区画をパターニングする。レジストで覆われていない部分の積層半導体層を、塩素系ドライエッチング法でn型半導体層までエッチングした後、レジストを除去する。再度、フォトレジストを成膜して、フォトリソグラフィを行って電極パッド形成部位をパターニングする。次に、真空蒸着法で電極パッド材料の金属(Cr、Ti、Au等)を全面に成膜する。その後、レジストマスクとレジスト上に成膜された電極パッド材料を除去して、p型半導体層又は透明導電膜上にp電極パッドが形成され、n型半導体層上にn電極パッドが形成された半導体発光素子基板が得られる。本実施の形態に係る半導体発光素子においては、光放出面が透明導電膜層である場合、発光層から発せられる光の波長よりも小さい幅を有する微細ピットが形成された透明導電膜層の表面に、電極パッド材料が成膜されてp電極パッドが形成される。
 例えば図3Aでは、微細構造層6として透明導電膜を賦形層として設けた場合、透光性無機化合物層が透明導電膜層より形成されており、電極パッド5を成膜する主面は平坦面として図示されているが、平坦面にも本形態における多数の微細ピットが形成されている。したがって、電極パッド5の下部では微細ピットの空間が電極パッド材料で埋められることにより、アンカー効果が生じて、電極パッド5と透光性無機化合物層あるいはp型半導体層との間の密着性が向上し、半導体発光素子から半導体発光装置を製造する工程における電極剥離の発生率が低減される。また、金属電極パッドを形成した後に、電極パッド以外の表面に保護膜を設けてもよい。
 次に、半導体発光素子基板をチップ化する工程が行われる。半導体発光素子用基材を研削・研磨して、個別の素子に裁断し易い薄さに加工する。ダイヤモンド刃やレーザーを用いて、素子区画に沿ってスクライビングを行い、スクライブラインを起点として、素子区画ごとに裁断される。裁断された素子はチップボンディング、ワイヤボンディング、蛍光体と封止樹脂の充填、及び樹脂硬化工程を経て、LEDパッケージが製造される。
 本形態の半導体発光素子を封止する封止樹脂としては、一般的なエポキシ系封止樹脂やシリコーン系封止樹脂を用いることができる。本実施の形態に係る半導体発光素子は、光放出面に、発光層から発せられる光の波長よりも小さい幅を有する微細ピットが形成されているが、粗さなどによる微小な凹凸がある面では、平滑面の場合に比べて実質的な表面積が大きい。このため、ぬれに伴う表面エネルギーの変化が強調され、撥液性の表面はより撥液性になり、親液性の表面はより親液性が増すことが知られている。このように、親液性が増す効果により、本実施の形態に係る半導体発光素子の光放出面は、封止樹脂に対するぬれ性が向上し、樹脂封止工程における空隙の発生が抑制される。
 本形態の光学基材は、第1ドット領域の断面における厚さ(残膜厚)T1aが、下記式(7)を満たす乱れを有してもよい。
0.025≦(δT1a/T1aave)≦0.5     (7)
(δT1aは、残膜厚T1aの標準偏差を表し、T1aaveは、残膜厚T1aの相加平均を表す)
 第1ドット領域の残膜厚T1aは、本形態の光学基材における凹凸構造の高さ又は深さ方向の位置情報を表す凹凸構造の要素の一つとして挙げられ、第1ドット領域の残膜厚に乱れがあることによって、高低差の小さい凹凸構造においてもさらなる光学現象(光散乱や光回折)が効果的に発現される。
 微細構造層の膜厚は光の波長と同程度のスケールであるので、(δT1a/T1aave)が下限値の0.025よりも小さい場合は、光散乱や光回折にほとんど寄与せず、上限値の0.5より大きい場合は膜厚のバラつきが大きすぎて、本形態の光学基材を半導体発光素子に加工した際の収率が悪化する。
 上述のように、残膜厚に乱れを有する場合、凹凸構造の配列周期や形状が均一であっても、光学基材内における凹凸構造の位置の乱れを生じるので、新たな光学効果(光回折や光散乱)による導波モードの乱れが発生し、光取り出し効率LEEが向上する。なお、微細構造層の残膜厚は走査型電子顕微鏡(SEM)による断面観察を行うことによって判断することができる。
 相加平均を算出する際のサンプル点数Nは、10として定義する。また、標準偏差算出時のサンプル点数は、相加平均算出時のサンプル点数Nと同様とする。
 また、(標準偏差/相加平均)は、光学基材の面内における値ではなく、光学基材の局所的な部位に対する値として定義する。すなわち、光学基材の面内に渡りN点の計測を行い(標準偏差/相加平均)を算出するのではなく、光学基材の局所的観察を行い、該観察範囲内における(標準偏差/相加平均)を算出する。ここで、観察に使用する局所的範囲とは、凹凸構造の平均ピッチPの5倍~50倍程度の範囲として定義する。例えば、平均ピッチPが300nmであれば、1500nm~15000nmの観察範囲の中で観察を行う。そのため、例えば2500nmの視野像を撮像し、該撮像を使用して標準偏差と相加平均を求め、(標準偏差/相加平均)を算出する。
 本実施の形態に係る光学基材において、微細構造層の残膜厚に乱れを作り出す方法としては、膜厚に分布を有する被処理層を成膜した後に被処理層に対して凹凸構造を賦形する方法、エッチングにより被処理層を凹凸加工するためのマスクの膜厚に分布を持たせ、エッチングすることで被処理層の残膜厚に分布を持たせる方法、エッチングにより被処理層を加工するためのマスクの面内密度に分布を持たせ、マイクロローディング効果によるエッチング速度の差を利用して被処理層の残膜厚に分布を持たせる方法などが挙げられる。膜厚に分布を有する被処理層を成膜した後に被処理層に対して凹凸構造を賦形する方法とは、被処理層を積層する際に成膜温度や成膜速度等の条件を設定することにより、表面にラフネスを有する被処理層を成膜して得た基板や、平坦な被処理層を形成した後に被処理層を溶解する薬液で表面処理、またはブラスト処理することにより、被処理層の表面を粗面化して得た基板を用いて、被処理層に凹凸構造をドライエッチングやウェットエッチングにより形成する方法である。これらの方法により、均一な高さ・深さの凹凸を形成した際に、被処理層表面のラフネスが残膜厚の乱れを生じる。
 エッチングにより被処理層を凹凸加工するためのマスクの膜厚に分布を持たせ、エッチングすることで被処理層の残膜厚に分布を持たせる方法とは、被処理層と同等程度かそれ以下の速度でエッチングされるレジストをマスクとして使用する方法である。そのようなレジストとしては、有機樹脂からなるレジストが好ましく、溶剤に溶かしたレジストを塗工乾燥したときの溶剤の対流などにより、レジスト膜厚が面内分布を有する。レジストのエッチング速度は、被処理層のエッチング速度の10倍以下が好ましい。レジストのエッチング速度が被処理層のエッチング速度より速い場合は、レジストの膜厚分布(乱れ)より小さな乱れとして被処理層にエッチングされる。ほぼ同等のエッチング速度の場合は、レジストの膜厚分布(乱れ)がほぼ同等のスケールで被処理層にエッチングされる。レジストのエッチング速度が被処理層よりも遅い場合は、レジストの膜厚分布(乱れ)が増幅された乱れとして被処理層にエッチングされる。レジストと被処理層のエッチング速度は、ガス種、減圧度、BIAS電圧などのドライエッチング条件の調整により変化するので、レジスト膜厚とドライエッチング条件を設定することで、残膜厚の乱れを制御することができる。
 エッチングにより被処理層を加工するためのマスクの面内密度に分布を持たせ、マイクロローディング効果によるエッチング速度の差を利用して被処理層の残膜厚に分布を持たせる方法は、微細なマスクパターンの開口部が狭い場合にドライエッチングの速度が遅くなることを利用する方法である。開口部の広さに分布のあるマスクを形成し、エッチングすることで被処理層の残膜厚の乱れが生じる。上記のように、凹凸構造形成層に残膜厚の乱れを導入することによって、高低差の小さい凹凸構造においても、微細な凹凸構造による内部量子効率IQEの向上、電子注入効率EIEの向上、導波モードの解消の効果を促進できる。
 本実施の形態によれば、第1ドット領域7、第2ドット領域12、及び平面部8が形成された図11Bに示す光学基材から、公知の方法で半導体発光素子を製造することができる。一例を挙げて説明すると、図11Bに示す光学基材にフォトレジストを成膜し、フォトリソグラフィを行って半導体発光素子区画をパターニングする。レジストで覆われていない部分の積層半導体層を、塩素系ドライエッチング法で第1半導体層までエッチングした後、レジストを除去する。再度、フォトレジストを成膜し、フォトリソグラフィを行って電極パッド形成部位をパターニングする。次に、真空蒸着法で電極パッド材料の金属(Cr、Ti、Au等)を全面に成膜する。その後、レジストマスクとレジスト上に成膜された電極パッド材料をリフトオフ法により除去して、p電極パッドとn電極パッドが形成された光学基材が得られる。
 次に、上記の光学基材をチップ化する工程が行われる。半導体発光素子用基材を研削・研磨して、個別の素子に裁断し易い薄さに加工する。ダイヤモンド刃やレーザーを用いて、素子区画に沿ってスクライビングを行い、スクライブラインを起点として、素子区画ごとに裁断することで半導体発光素子14が作製される。得られた半導体発光素子14はチップボンディング、ワイヤボンディングを経て、LEDパッケージの製造に好適に用いることができる。
 以下、実施例に従って詳細に説明する。
[実施例1]
(半導体層の形成)
 サファイア半導体発光素子用基材上に、MOCVDにより、(1)GaN低温バッファ層、(2)n型GaN層、(3)n型AlGaNクラッド層、(4)InGaN発光層(MQW)、(5)p型AlGaNクラッド層、(6)p型GaN層を連続的に積層した。さらに、(6)p型GaN層の上に(7)ITO層を電子ビーム蒸着法によって成膜した。上記構成により、半導体層からの発光は460nmであり、ITO層の膜厚は、550nmとした。
(積層体の形成)
 モールドには、次の凹部からなるドットパターンを表面に備える樹脂モールドを使用した。
   凹部の直径:600nm
   凹部深さ:800nm
   ドットの配列:六方格子
   ピッチP:700nm
 まず、半導体パルスレーザを用いた直接描画リソグラフィ法にて微細なドットパターンを備える樹脂モールド作製用鋳型を形成した。続いて、前記樹脂モールド作製用鋳型を用いた転写工程を経て樹脂モールドを形成した。
 下記の表1に示すように感光性樹脂材(A)及び(B)を調整した。感光性樹脂材(B)を樹脂モールド上にバーコーター(No4)を用いて塗布しシートを得た。そしてシートを、105℃のオーブンで10分乾燥させた。得られたシートに、さらに感光性樹脂材(A)を、バーコーター(No4)を用いて塗布しシートを得た。そしてシートを、105℃のオーブンで15分乾燥させた。
 上記で得られたシートと予め85℃に加熱しておいた半導体層を、ITO層と感光性樹脂材(A)が接するように0.01MPaの圧力をかけながら貼合し、積層体を得た。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000011
 なお表1に記載された記号は以下の意味を示す。
EA-HG001:9,9‘-ビス(4-(アクリロキシエトキシ)フェニル)フルオレン(大阪ガスケミカル社製)
ACMO:3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン
CNEA-100:ノボラックアクリレート(ケーエスエム社製、固形分50%)
TTB:テトラn-ブトキシチタン(東京化成工業社製)
SH710:トリメチル末端フェニルメチルシロキサン(東レダウコーニング社製)
Irg184:1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン(IRGACURE(登録商標)184、BASF社製)
Irg369:2--ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタノン(IRGACURE(登録商標)369、BASF社製)
PGME:プロピレングリコールモノメチルエーテル
(露光・現像工程)
 積層体の樹脂モールド側の上方に露光マスクを載せ、平行光露光機でコンタクト露光した。露光マスクのパターンは、一辺が50μmの正方形の非露光領域が400μm間隔で正方格子状に配列したものを用いた。
 露光量は50mJ/cmだった。露光後、120℃で30秒間の露光後ベークを行った。続いて樹脂モールドを剥離したのちに、PGMEで30秒間ディップ現像し、その後エタノールで10秒間リンスし、圧気にて乾燥後、さらに100℃のオーブンにて5分間ベークした。
(微細パターンマスク層の形成工程)
 得られた微細ドットを有するマスク層と半導体層からなるエッチング被加工材の第1マスク層側より酸素ガスを使用したエッチングを行い、第1マスク層をマスクとして第2マスク層をナノ加工し、第1半導体層表面を部分的に露出させることで微細パターンを有するマスク層を形成した。酸素エッチンングは、処理時間10分、圧力1Pa、電力300Wの条件にて行った。
(半導体層のドライエッチング)
 微細パターンマスク層が形成された半導体層に対し、BClガスを使用した反応性イオンエッチングを行い、半導体層表面に微細凹凸構造を形成した。装置は反応性イオンエッチング装置(RIE-101iPH、サムコ株式会社製)を使用し、エッチング条件はBClガス:20sccm、ICP:150W、BIAS:100W、圧力0.2Pa、温調Heガス温度40℃(ガス圧力2.0kPa)、処理時間7分間として実施した。
 ドライエッチング後に酸素エッチングを20分行い、ITO表面に残留していたマスク層及びエッチング堆積物を除去した。酸素エッチンングは、圧力1Pa、電力300Wの条件にて行った。
 得られた半導体層の露光部を走査型電子顕微鏡で観察したところ、ITO層表面に直径300nm、高さ300nmの円柱凸状ドットが複数形成されていることを確認した。
 また、非露光部の中心には46μm角の平坦面が形成されており、その平坦面の周囲には2μm幅の領域に直径150nm、高さ150nmの円柱凸状小ドットが複数形成されていることを確認した。平坦面のITO膜厚は250nmであった。
 [実施例2]
(半導体層の形成)
 ITO層の厚みを250nmとし、その上にスパッタリングによって厚み300nmのNb層を積層させた以外は、実施例1と同様に半導体層を形成した。
(積層体の形成)
 シートと半導体層の貼合の際に、Nb層と感光性樹脂材(A)が接するようにした以外は、実施例1と同様に積層体を形成した。
 また(露光・現像工程)及び(微細パターンマスク形成工程)も、実施例1と同様に実施した。
(半導体層のドライエッチング)
 得られた微細パターンマスクが形成された半導体層に対し、SFガスを使用した反応性イオンエッチングを行い、半導体層表面に微細凹凸構造を形成した。装置は反応性イオンエッチング装置を使用し、エッチング条件はSFガス:50sccm、BIAS:200W、圧力5Pa、処理時間7分間として実施した。また、ドライエッチング後の酸素エッチングは実施例1と同様に実施した。
 得られた半導体層の露光部を走査型電子顕微鏡で観察したところ、Nb層表面に直径300nm、高さ300nmの円柱凸状ドットが複数形成されていることを確認した。
 また、非露光部の中心には46μm角の平坦面が形成されており、その平坦面の周囲には2μm幅の領域に直径150nm、高さ150nmの円柱凸状小ドットが複数形成されていることを確認した。平坦面に接する付近のドットは周期性が崩れランダムに配列されていた。平坦面においてNb層はエッチングにより無くなっておりITO層が露出していた。
 [比較例1]
 露光・現像工程で露光マスクを使用しない以外は実施例1と同様の操作を行った。得られた半導体層の表面を走査型電子顕微鏡で観察したところ、ITO層表面に直径580nm、高さ300nmの円柱凸状ドットが形成されていることを確認した。またこのドットはITO層表面全体に形成されていた。
 上記で得られた全面ドット賦形された半導体層のITO層表面に、フォトレジストAZ-5214E(AZ Electronic Materials社製)をスピンコート法で塗布し、その上に露光マスクを置いて平行光露光機で露光した。露光マスクのパターンは、一辺が50μmの正方形の非露光領域が400μm間隔で正方格子状に配列したものを用いた。その後、現像液AZ351b(AZ Electronic Materials社製)に浸漬させ、非露光領域のレジストを除去した。
 得られたレジストでパターニングされた半導体層を実施例1の半導体層に対するドライエッチング工程と同様の条件で3分間処理を行い、非露光領域を平坦面とした。その後、アセトン中で超音波処理を行い、レジストを剥離した。
 得られた半導体層の非露光部を走査型電子顕微鏡で観察したところ、非露光部の中心には46μm角の平坦面が形成されており、その平坦面の周囲に小ドットは存在しなかった。平坦面のITO膜厚は250nmであり、高さ300nmの円柱凸状ドットが形成された領域の主面からp-GaN層表面までのITO層の厚みは300nmであった。
[評価方法]
 マイクロスコープ(HIROX社製、KH―3000、100倍レンズ)を用いて平坦面の大きさ(一辺の長さ:Lm)を測定し、得られた値と走査型電子顕微鏡(500倍)で測定した実際の平坦面の大きさ(一辺長さ:Ls)を比較し、平坦面検査の容易性を評価した。結果を表2に示す。
 ○ 検査しやすい:|Ls-Lm|≦10μm
 × 検査しにくい:|Ls-Lm|>10μm
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000012
 実施例1及び実施例2においてはLmとLsの差が2μmであり、光学顕微鏡の観察で平坦面の形状についても明確に視認することができた。平坦面と第1ドット領域の境界に第1ドット領域を構成する第1ドットよりも高さ及び幅の小さい第2ドットから構成される第2ドット領域が存在するため、平坦面の端部を容易に視認することができ、平坦面の大きさや形状を容易に検査することが可能であった。
 一方、比較例においてはLmとLsの差が20μmと大きく、光学顕微鏡の観察では平坦面のサイズも形状についても明確に視認することができなかった。
 続いて、ポジ型感光性樹脂材組成物を感光性樹脂層として用いた実験例について説明する。以下の凹部からなるドットパターンを表面に備える樹脂モールドを使用した。
   凹部の直径:650nm
   凹部深さ:800nm
   X軸方向のピッチPx:700nm
   Y軸方向のピッチPy:700nm
 樹脂モールドは、半導体パルスレーザを用いた直接描画リソグラフィ法により微細なドットパターンを形成した樹脂モールド作製用鋳型によって、転写工程を経て形成されたものである。
 樹脂モールドの組成としては、アロニックスM350(東亞合成社製)20部、DAC-HP(ダイキン社製)3.5部、Irgacure(登録商標)184(BASF社製)1.1重量部、Irgacure369(BASF社製)0.4質量部を混合させたものを用いた。支持フィルムとしてはPETを用いた。
 上記の支持フィルム/樹脂モールドシートを用いて以下の作製例1~3に従って積層体を作製した。
[作製例1]
 ポジ型感光性樹脂材組成物(pA)を調整した。組成としては、MEHC-7800S(明和化成社製)5.0質量部、TS(4)-200(東洋合成社製)1.0質量部、プロピレングリコールモノメチルエーテル(和光純薬社製)2.2質量部、アセトン(和光純薬社製)1.4質量部を混合したものを用いた。使用前には1μm孔のフィルターにて濾過を行った。次に調整されたポジ型感光性樹脂材組成物(pA)を上記樹脂モールド上にバーコーター(No4)を用いて塗布し支持フィルム/樹脂モールドシートを得た。そしてシートを、105℃のオーブンで15分乾燥させ積層体(pI)を得た。MEHC-7800Sの軟化点は61~89℃の範囲である。
[作製例2]
 作製例1と同様の方法で積層体を作製したが、組成物(pB)を上記樹脂モールド上にバーコーター(No4)を用いて塗布し、105℃のオーブンで10分乾燥させたのちに、ポジ型感光性樹脂材組成物(pA)を塗布することにより積層体を作製し、積層体(pII)を得た。組成物(pB)はテトラ-n-ブトキシチタン(東京化成工業社製)2.73質量部、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業社製)1.45質量部、SH710(トリメチル末端フェニルメチルシロキサン、東レダウコーニング社製)0.21質量部、Irgacure369(BASF社)0.029質量部、Irgacure184(BASF社)0.083質量部、プロピレングリコールモノメチルエーテル5.12質量部、アセトン20.4質量部を混合させたものである。
[作製例3]
 作製例2と同様の方法で積層体を作製したが、ポジ型感光性樹脂材組成物(pA)の代わりにネガ型感光性樹脂材(pC)を用いて、ネガ型積層体(pIII)を作製した。ネガ型感光性樹脂材(pC)はCNEA-100(ノボラックアクリレート、ケーエスエム社製、固形分50%)7.53質量部、EA-HG001(主成分9,9’-ビス(4-(アクリロキシエトキシ)フェニル)フルオレン、大阪ガスケミカル社製)1.00質量部、Irgacure369(BASF社)0.040質量部、Irgacure184(BASF社)0.11質量部、プロピレングリコールモノメチルエーテル15.6質量部、アセトン10.4質量部を混合させたものである。
 続いて、作製例で示した積層体を用いて、以下の実施例3~実施例5及び比較例2を行った。
[実施例3]
 積層体(pI)を、あらかじめ85℃に加熱したITOを600nmの厚さで成膜したソーダガラスのITO膜上に、0.01MPaの圧力で貼合した。基盤が室温まで冷えた後、40℃のホットプレートにて加熱し、40℃の状態で支持フィルム/樹脂モールドシートを剥離し、感光性樹脂層付き基板(pI)を作製した。
 感光性樹脂層付き基板(pI)上に2μmから100μmまでのパターンがあるマスクを載せ、PLA-501F(キャノン社製)にて50mJ/cm露光した。UV光の365nmの照度は5.0mW/cmであった。露光後、水酸化テトラメチルアンモニウム2.38%水溶液にて60秒間ディップ現像を行い、その後、純水にて30秒間リンスし、パターニングされた感光性樹脂層付き基板(pI-a)を得た。
[実施例4]
 実施例3と同様の方法でパターニングされた感光性樹脂層付き基板を作製したが、支持フィルム/樹脂モールドシートを露光後に剥離し、パターニングされた感光性樹脂層付き基板(pI-b)を得た。
[実施例5]
 実施例3と同様の方法でパターニングされた感光性樹脂層付き基板を作製したが、積層体(pI)の代わりに積層体(pII)を用いて、パターニングされた感光性樹脂層付き基板(pII)を得た。
[比較例2]
 ネガ型積層体(pIII)を、あらかじめ85℃に加熱したITOを600nmの厚さで成膜したソーダガラスのITO膜上に、0.01MPaの圧力で貼合し、ネガ型レジスト付き基板(pIII)を得た。
 ネガ型レジスト付き基板(pIII)上に2μmから100μmまでのパターンがあるマスクを載せ、PLA-501F(キャノン社製)にて75mJ/cm露光した。UV光の365nmの照度は5.0mW/cmであった。露光後、支持フィルム/樹脂モールドシートを剥離し、プロピレングリコールモノメチルエーテルにて15秒間ディップ現像を行い、その後、エタノールにて15秒間リンスし、パターニングされたネガ型レジスト付き基板(pIII)を得た。
[評価手法1]
 得られた各パターニングされた感光性樹脂層付き基板及びネガ型レジスト付き基板を光学顕微鏡で観察し、ラインアンドスペースの最小解像度を確認した。ここでの最小解像度とは、ラインアンドスペースのマスクデザインの太さと、パターニングされた感光性樹脂層付き基板及びネガ型レジスト付き基板のラインアンドスペースの太さの差が10%以内である、最も細いラインアンドスペースの値を示す。なお評価結果は以下の表1に示した。
 ○:最小解像度が10μm以下
 ×:最小解像度が10μm以上
[評価手法2]
 得られた各パターニングされた感光性樹脂層付き基板及びネガ型レジスト付き基板の50μmラインアンドスペースの断面SEM像を確認した。なお評価結果は以下の表1に示した。
 ○:アンダーカット又はスロープがない(パターン角度80度以上100度未満)
 ×:アンダーカット又はスロープがある(パターン角度80度未満又は100度以上)
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000013
 また、ポジ型組成を用いると、第2ドット領域の直線性も良好であり、電極部の形状を制御しやすいことがわかった。上記の結果から、アクリル重合ネガ型組成物に比べ、ポジ型組成物が本願発明により好ましいことが分かった。
 上記に示したポジ型感光性樹脂材組成物を感光性樹脂層として用いた微細構造層を、例えば、ラインアンドスペースで形成した場合、ライン及びスペースの幅は、好ましくは3μm以下であり、より好ましくは1μm以下であり、さらに好ましくは700nm以下であり、好ましくは50nm以上であり、より好ましくは100nm以上であり、さらに好ましくは200nm以上である。ラインアンドスペースの高さとしては、好ましくは3μm以下であり、より好ましくは1μm以下であり、さらに好ましくは700nm以下であり、好ましくは50nm以上であり、より好ましくは100nm以上であり、さらに好ましくは200nm以上である。ラインアドスペースにおける凸及び凹形状は任意の構造が選べ、例えば、矩形や三角状、半球状、ドーム状が挙げられる。
 続いて、化学増幅ネガ型感光性樹脂材組成物を感光性樹脂層として用いた実験例について説明する。次の凹部からなるドットパターンを表面に備える樹脂モールドを使用した。
   凹部の直径:650nm
   凹部深さ:800nm
   X軸方向のピッチPx:700nm
   Y軸方向のピッチPy:700nm
 樹脂モールドは、半導体パルスレーザを用いた直接描画リソグラフィ法により微細なドットパターンを形成した樹脂モールド作製用鋳型によって、転写工程を経て形成されたものである。
 樹脂モールドの組成としては、アロニックスM350(東亞合成社製)20部、DAC-HP(ダイキン社製)3.5部、Irgacure(登録商標)184(BASF社製)1.1重量部、Irgacure369(BASF社製)0.4質量部を混合させたものを用いた。支持フィルムとしてはPETを用いた。
 上記の支持フィルム/樹脂モールドシートを用いて以下の作製例4~10に従って積層体を作製した。
[作製例4]
 化学増幅ネガ型感光性樹脂材組成物(nA-1)を調整した。組成としては、VP-15000(ポリ(パラヒドロキシスチレン)、日本曹達社製)2.07質量部、ニカラックMW-390(架橋剤、三和ケミカル社製)0.6質量部、TR-PAG-107(トリアジンPP、DKSHジャパン社製)0.03質量部、BPX-33(液状添加剤、ADEKA社製)0.3質量部、プロピレングリコールモノメチルエーテル12.11質量部、アセトン8.07質量部を混合したものを用いた。使用前には0.2μm孔のフィルターにて濾過を行った。次に調整された化学増幅ネガ型感光性樹脂材組成物(nA)を上記樹脂モールド上にバーコーター(No4)を用いて塗布し支持フィルム/樹脂モールドシートを得た。そしてシートを、80℃のオーブンで5分乾燥させ積層体(nI)を得た。
[作製例5]
 作製例4と同様の方法で積層体を作製したが、組成物(nB)を上記樹脂モールド上にバーコーター(No4)を用いて塗布し、105℃のオーブンで10分乾燥させたのちに、化学増幅ネガ型感光性樹脂材組成物(nA-1)を塗布することにより積層体を作製し、積層体(nII-I)を得た。組成物(nB)はテトラ-n-ブトキシチタン(東京化成工業社製)2.73質量部、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業社製)1.45質量部、SH710(トリメチル末端フェニルメチルシロキサン、東レダウコーニング社製)0.21質量部、Irgacure369(BASF社)0.029質量部、Irgacure184(BASF社)0.083質量部、プロピレングリコールモノメチルエーテル5.12質量部、アセトン20.4質量部を混合させたものである。
[作製例6]
 作製例5と同様の方法で積層体を作製したが、化学増幅ネガ型感光性樹脂材組成物(nA-1)の代わりに化学増幅ネガ型感光性樹脂材組成物(nA-2)を用いて積層体(nII-II)を得た。化学増幅ネガ型感光性樹脂材組成物(nA-2)はVP-15000(ポリ(パラヒドロキシスチレン)、日本曹達社製)2.07質量部、ニカラックMW-390(架橋剤、三和ケミカル社製)0.6質量部、TR-PAG-107(トリアジンPP、DKSHジャパン社製)0.03質量部、BPX-33(液状添加剤、ADEKA社製)0.3質量部、KBM-5103(3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、信越化学社製)0.15質量部、プロピレングリコールモノメチルエーテル12.11質量部、アセトン8.07質量部を混合したものを用いた。
[作製例7]
 作製例5と同様の方法で積層体を作製したが、化学増幅ネガ型感光性樹脂材組成物(nA-1)の代わりに化学増幅ネガ型感光性樹脂材組成物(nA-3)を用いて積層体(nII-III)を得た。化学増幅ネガ型感光性樹脂材組成物(nA-3)はVP-15000(ポリ(パラヒドロキシスチレン)、日本曹達社製)2.07質量部、ニカラックMW-390(架橋剤、三和ケミカル社製)0.6質量部、TR-PAG-107(トリアジンPP、DKSHジャパン社製)0.03質量部、BPX-33(液状添加剤、ADEKA社製)0.3質量部、BAPP(2,2-ビス(4-〈4-アミノフェノキシ〉フェニル)プロパン、和歌山精化社製)0.15質量部、プロピレングリコールモノメチルエーテル12.11質量部、アセトン8.07質量部を混合したものを用いた。
[作製例8]
 作製例5と同様の方法で積層体を作製したが、化学増幅ネガ型感光性樹脂材組成物(nA-1)の代わりに化学増幅ネガ型感光性樹脂材組成物(nA-4)を用いて積層体(nII-VI)を得た。化学増幅ネガ型感光性樹脂材組成物(nA-4)はVP-15000(ポリ(パラヒドロキシスチレン)、日本曹達社製)2.07質量部、ニカラックMW-390(架橋剤、三和ケミカル社製)0.6質量部、TR-PAG-107(トリアジンPP、DKSHジャパン社製)0.03質量部、BPX-33(液状添加剤、ADEKA社製)0.3質量部、KBM-5103(3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、信越化学社製)0.15質量部、BAPP(2,2-ビス(4-〈4-アミノフェノキシ〉フェニル)プロパン、和歌山精化社製)0.15質量部、プロピレングリコールモノメチルエーテル12.11質量部、アセトン8.07質量部を混合したものを用いた。
[作製例9]
 作製例5と同様の方法で積層体を作製したが、化学増幅ネガ型感光性樹脂材組成物(nA-1)の代わりにラジカル重合ネガ型感光性樹脂材(nC)を用いて、ラジカル重合ネガ型積層体(nIII)を作製した。ネガ型感光性樹脂材(nC)はHG001(9,9‘-ビス(4-(アクリロキシエトキシ)フェニル)フルオレン、大阪ガスケミカル社製)0.5質量部、N-ビニルカルバゾール(東京化成工業社製)0.5質量部、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタノン(Irgacure(登録商標)369、BASF社製)0.05質量部、プロピレングリコールモノメチルエーテル3.5質量部を混合させたものである。
[作製例10]
 作製例5と同様の方法で積層体を作製したが、化学増幅ネガ型感光性樹脂材組成物(nA-1)の代わりにポジ型感光性樹脂材(nD)を用いて、ポジ型積層体(nIV)を作製した。ポジ型感光性樹脂材(nD)はEP4080(旭有機材社製)100質量部、5.0質量部、TS(4)-200(東洋合成社製)1.0質量部、プロピレングリコールモノメチルエーテル(和光純薬社製)2.2質量部、アセトン(和光純薬社製)1.4質量部を混合させたものである。
 続いて、作製例で示した積層体を用いて、以下の実施例6から実施例10、比較例3及び比較例4に示す各試料を作製した。
[実施例6]
 積層体(nI)を、あらかじめ95℃に加熱したITOを600nmの厚さで成膜したソーダライムガラスのITO膜上に、0.01MPaの圧力で貼合した。基盤が室温まで冷えた後、支持フィルム/樹脂モールドシートを剥離し、感光性樹脂層付き基板(nI)を作製した。
 感光性樹脂層付き基板(nI)上に2μmから100μmまでのパターンがあるマスクを載せ、PLA-501F(キャノン社製)にて50mJ/cmでコンタクト露光した。UV光の365nmの照度は5.0mW/cmであった。露光後、水酸化テトラメチルアンモニウム2.38%水溶液にて60秒間ディップ現像を行い、その後、純水にて30秒間リンスし、パターニングされた感光性樹脂層付き基板(nI)を得た。
[実施例7]
 実施例6と同様の方法でパターニングされた感光性樹脂層付き基板を作製したが、積層体(nI)の代わりに積層体(nII-I)を用いて、パターニングされた感光性樹脂層付き基板(nII-I)を得た。
[実施例8]
 実施例6と同様の方法でパターニングされた感光性樹脂層付き基板を作製したが、積層体(nII-I)の代わりに積層体(nII-II)を用いて、パターニングされた感光性樹脂層付き基板(nII-II)を得た。
[実施例9]
 実施例6と同様の方法でパターニングされた感光性樹脂層付き基板を作製したが、積層体(nII-I)の代わりに積層体(nII-III)を用いて、パターニングされた感光性樹脂層付き基板(nII-III)を得た。
[実施例10]
 実施例6と同様の方法でパターニングされた感光性樹脂層付き基板を作製したが、積層体(nII-I)の代わりに積層体(nII-VI)を用いて、パターニングされた感光性樹脂層付き基板(nII-VI)を得た。
[比較例3]
 実施例6と同様の方法でパターニングされた感光性樹脂層付き基板を作製したが、積層体(nI)の代わりに積層体(nIII)を用いて、パターニングされたネガ型レジスト付き基板(nIII)を得た。
[比較例4]
 実施例6と同様の方法でパターニングされた感光性樹脂層付き基板を作製したが、積層体(nI)の代わりに積層体(nIV)を用いて、パターニングされたポジ型レジスト付き基板(nIV)を得た。
[評価手法3]
 得られた各パターニングされた感光性樹脂層付き基板(nI)(nII)、ネガ型レジスト付き基板(nIII)、及びポジ型レジスト付き基板(nIV)を光学顕微鏡で観察し、ラインアンドスペースの最小解像度を確認した。ここでの最小解像度とは、ラインアンドスペースのマスクデザインの太さと、パターニングされた感光性樹脂層付き基板(nI)(nII)、ネガ型レジスト付き基板(nIII)、及びポジ型レジスト付き基板(nIV)のラインアンドスペースの太さの差が10%以内である、最も細いラインアンドスペースの値を示す。なお評価結果は以下の表4に示した。本実施の形態に係る感光性樹脂層付き基板(nI)(nII)は、化学増幅ネガ型感光性樹脂材を用いているため、露光感度がよく、高解像度であることがわかった。
 ◎:最小解像度が7.5μm以下
 ○:最小解像度が7.5μmより大きく10μm以下
 ×:最小解像度が10μmより大きい
[評価手法4]
 得られた各パターニングされた感光性樹脂層付き基板(nI)(nII)、ネガ型レジスト付き基板(nIII)、及びポジ型レジスト付き基板(nIV)を、120℃で3分加熱した後、AFMで観察し、ドットのピッチの変化を確認した。
 〇:ピッチの変化がない
 ×:ピッチの変化がある
[評価手法5]
 得られた各パターニングされた感光性樹脂層付き基板(nI)(nII)、ネガ型レジスト付き基板(nIII)、及びポジ型レジスト付き基板(nIV)を、120℃で3分加熱した後、その断面SEM像を観察し、ドットの形状を確認した。本実施の形態に係る化学増幅ネガ型感光性樹脂材を含有する感光性樹脂層付き基板(nI)(nII)は、化学増幅ネガ型感光性樹脂材を用いているため、露光後に三次元架橋され、形状の経時あるいは熱による変化が少なくすることができた。
 〇:ドット形状の変化がない
 ×:ドット形状の変化がある
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000014
 上記の結果から、本願発明には化学増幅ネガ型組成物を用いた場合が最も適していることがわかった。
 上記に示した化学増幅ネガ型感光性樹脂材組成物を感光性樹脂層として用いた微細構造層を、例えば、ラインアンドスペースで形成した場合、ライン及びスペースの幅は、好ましくは3μm以下であり、より好ましくは1μm以下であり、さらに好ましくは700nm以下であり、好ましくは50nm以上であり、より好ましくは100nm以上であり、さらに好ましくは200nm以上である。ラインアンドスペースの高さとしては、好ましくは3μm以下であり、より好ましくは1μm以下であり、さらに好ましくは700nm以下であり、好ましくは50nm以上であり、より好ましくは100nm以上であり、さらに好ましくは200nm以上である。ラインアドスペースにおける凸及び凹形状は任意の構造が選べ、例えば、矩形や三角状、半球状、ドーム状が挙げられる。
 続いてレジスト剥離液に関する以下の実験を行った。
(FE-SEMによる観察)
 (株)日立ハイテクノロジーズ製電界放出形走査電子顕微鏡SU8010を用いて、光放出面主面の法線方向からの観察を行った。測定条件は下記の通りである。
 シグナル名:SE(U)
 加速電圧:1000V
 拡大率:20000倍
[作製例11]
(積層半導体基板の形成)
 サファイア半導体発光素子用基材上に、MOCVDにより、(1)GaN低温バッファ層、(2)n型GaN層、(3)n型AlGaNクラッド層、(4)InGaN発光層(MQW)、(5)p型AlGaNクラッド層、(6)p型GaN層を連続的に積層し、電子ビーム蒸着法で(7)ITO層を積層した。上記構成により、半導体層からの発光は460nmであり、ITO層の膜厚は、600nmとした。
[作製例12]
(感光性樹脂材の調整)
 下記の表5に示すように感光性樹脂材(hA)、(hB)、(hC)を調整した。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000015
 なお、表5に記載された略称は以下の原材料を示す。
EA-HG001:9,9‘-ビス(4-(アクリロキシエトキシ)フェニル)フルオレン含有モノマー(大阪ガスケミカル社製)
ACMO:3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン
CNEA-100:ノボラックアクリレート(ケーエスエム社製、固形分50%)
EA-6340:酸変性エポキシアクリレート(新中村化学工業社製)
TTB:テトラn-ブトキシチタン(東京化成工業社製)
SH710:トリメチル末端フェニルメチルシロキサン(東レダウコーニング社製)
Irg184:1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン(IRGACURE184、BASF社製)
Irg369:2--ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタノン(IRGACURE369、BASF社製)
Irg819:ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド(IRGACURE819、BASF社製)
PGME:プロピレングリコールモノメチルエーテル
[作製例13]
(レジストシート(h1)の作製)
 半導体パルスレーザを用いた直接描画リソグラフィー法により微細なドットパターンを備える樹脂モールド作製用鋳型より転写工程を経て、以下の凹部からなるドットパターンを有するフィルムモールドを作製した。
   凹部の直径:650nm
   凹部深さ:800nm
   ピッチP:700nm
 作製例12で調整した感光性樹脂材(hB)を、作製したフィルムモールド上にバーコーター(No4)を用いて塗布しシートを得た。そしてシートを、105℃のオーブンで10分乾燥させた。得られたシートに、さらに感光性樹脂材(hA)をバーコーター(No4)を用いて塗布しシートを得た。そして、シートを105℃のオーブンで15分乾燥させて、レジストシート(h1)を作製した。
[作製例14]
(レジストシート(h2)の作製)
 半導体パルスレーザを用いた直接描画リソグラフィー法により微細なドットパターンを備える樹脂モールド作製用鋳型より転写工程を経て、以下の凹部からなるドットパターンを有するフィルムモールドを作製した。
   凹部の直径:250nm
   凹部深さ:230nm
   ピッチP:300nm
 作製例12で調整した感光性樹脂材(hB)を、作製したフィルムモールド上にバーコーター(No4)を用いて塗布しシートを得た。そして、シートを、105℃のオーブンで10分乾燥させた。得られたシートに、さらに感光性樹脂材(hA)をバーコーター(No4)を用いて塗布しシートを得た。そして、シートを105℃のオーブンで15分乾燥させて、レジストシート(h2)を作製した。
[作製例15]
(レジストシート(h3)の作製)
 感光性樹脂材(hA)の代わりに感光性樹脂材(hC)を用いた他は作製例13と同様の作製作業を行い、レジストシート(h3)を作製した。
[実施例11]
(レジストシート転写)
 作製例11で作製した積層半導体基板を、ITO面が上になるようにホットプレート上に置いて、基板表面温度が85℃になるように加熱した。そのまま基板を加熱しながら、作製例13で作製したレジストシート(h1)の感光性樹脂塗工面がITO面に接する向きで接触させ、ゴムローラーで加圧して熱圧着させた。ホットプレート上から取り上げ、フィルムモールド側から紫外線を2500mJ/cmで照射し、レジスト層を硬化させた。硬化後、フィルムモールドを剥離し、ITO表面にフィルムモールドのパターンが転写されたレジスト層/ITO層/積層半導体基板からなる積層体を得た。
(酸素プラズマアッシング:レジスト層)
 RFエッチング装置(神港精機株式会社製)を用い、下記エッチング条件でレジスト層をエッチングした。
 エッチングガス:O
 ガス流量:50sccm
 エッチング圧力:1Pa
 RIEパワー:300W
 処理時間:15分
 酸素プラズマアッシング後、フィルムモールドの凹部と同様の周期配列を有するピラー状のレジストパターンがITO表面に形成された。
(エッチング:ITO層)
 反応性イオンエッチング装置(RIE-101iPH、サムコ株式会社製)を用い、下記エッチング条件でITO層をエッチングした。
 エッチングガス:BCl
 ガス流量:20sccm
 エッチング圧力:0.2Pa
 アンテナ:150W
 バイアス:100W
 処理時間:10.4分
 エッチング後、ITO面上を電子顕微鏡で観察したところ、断面形状φ440nmの凸部が、フィルムモールドの凹部と同様の周期配列で形成されている微細凹凸構造が得られたことがわかった。
(残存レジスト除去)
 水酸化カリウム15重量%及びトリエタノールアミン10重量%を含むプロピレングリコールモノメチルエーテル溶液としてレジスト剥離液を調整した。レジスト剥離液を60℃に加温し、ドライエッチング後の基板を浸漬して30分間撹拌した。基板を取り出して純水で洗浄し、エアガンで乾燥した。SEMで微細パターンを観察したところ、レジストは全て剥離され、微細パターンの間隙に残る残渣も見られなかった。
 底部径およそ460nm、高さおよそ440nmの微細パターンが賦形されたITO層が得られた。
[実施例12]
 水酸化カリウム14重量%、トリエタノールアミン9重量%及び水9重量%を含むプロピレングリコールモノメチルエーテル溶液としてレジスト剥離液を調整した他は実施例11と同様の処理を行った。SEMで微細パターンを観察したところ、図21(実施例12で得られた微細パターン付基材の表面の電子顕微鏡写真)、図25(図21の一部を示す部分模式図)に示すように、レジストは全て剥離され、微細パターンの間隙に残る残渣も見られなかった。
[実施例13]
 レジストシート(h1)に代わって作製例14で作製したレジストシート(h2)を用いて、BClドライエッチング時間を7分にした他は実施例12と同様の処理を行った。SEMで微細パターンを観察したところ、レジストは全て剥離され、微細パターンの間隙に残る残渣も見られなかった。
 底部径およそ240nm、高さおよそ300nmの微細凹凸パターンが賦形されたITO層が得られた。
[実施例14]
 レジストシート(h1)に代わって作製例15で作製したレジストシート(h3)を用いた他は実施例12と同様の処理を行った。SEMで微細パターンを観察したところ、レジストは全て剥離され、微細パターンの間隙に残る残渣も見られなかった。
[実施例15]
 水酸化ナトリウム10重量%、トリエタノールアミン10重量%及び水5重量%を含むプロピレングリコールモノメチルエーテル溶液としてレジスト剥離液を調整した他は実施例11と同様の処理を行った。SEMで微細パターンを観察したところ、レジストは全て剥離され、微細パターンの間隙に残る残渣も見られなかった。
[実施例16]
 水酸化ナトリウム10重量%、モルホリン5重量%及び水5重量%を含むプロピレングリコールモノメチルエーテル溶液としてレジスト剥離液を調整した他は実施例11と同様の処理を行った。SEMで微細パターンを観察したところ、レジストは全て剥離され、微細パターンの間隙に残る残渣も見られなかった。
[比較例5]
 水酸化カリウム17重量%を含むプロピレングリコールモノメチルエーテル溶液としてレジスト剥離液を調整した他は実施例11と同様の処理を行った。SEMで微細パターンを観察したところ、図22(比較例5で得られた微細パターン付基材の表面の電子顕微鏡写真)、図26(図22の一部を示す部分模式図)に示すようにレジストは全て剥離されていたが微細パターンの間隙に残渣が残っていた。図26のaには「残渣あり」と表記される。
[比較例6]
 水酸化カリウム17重量%を含む水溶液としてレジスト剥離液を調整した他は実施例11と同様の処理を行った。SEMで微細パターンを観察したところ、図23(比較例6で得られた微細パターン付基材の表面の電子顕微鏡写真)、図27(図23の一部を示す部分模式図)に示すようにレジストは全て剥離されていたが微細パターンの間隙に残渣が残っていた。図27のbには「残渣あり」と表記される。
[比較例7]
 水酸化カリウム15重量%及び水10重量%を含むプロピレングリコールモノメチルエーテル溶液としてレジスト剥離液を調整した他は実施例11と同様の処理を行った。SEMで微細パターンを観察したところ、レジストは全て剥離されていたが微細パターンの間隙に残渣が残っていた。
[比較例8]
 水酸化カリウム15重量%、トリエタノールアミン10重量%及び水75重量%を含む水溶液としてレジスト剥離液を調整した他は実施例11と同様の処理を行った。SEMで微細パターンを観察したところ、レジストは全て剥離されていたが微細パターンの間隙に残渣が残っていた。
[比較例9]
 トリエタノールアミン17重量%を含むプロピレングリコールモノメチルエーテル溶液としてレジスト剥離液を調整した他は実施例11と同様の処理を行った。SEMで微細パターンを観察したところ、図24(比較例9で得られた微細パターン付基材の表面の電子顕微鏡写真)、図28(図24の一部を示す部分模式図)に示すようにレジストは剥離されず微細パターンの上に残っていた。図28のcには「レジスト未剥離」と表記される。
[比較例10]
 トリエタノールアミン15重量%及び水10重量%を含むプロピレングリコールモノメチルエーテル溶液としてレジスト剥離液を調整した他は実施例11と同様の処理を行った。SEMで微細パターンを観察したところ、レジストは剥離されず微細パターンの上に残っていた。
 実施例11~16及び比較例5~10の結果を下記表6にまとめた。なお、表6に記載されたKOHは水酸化カリウムを示し、NaOHは水酸化ナトリウムを示す。TEAはトリエタノールアミンを示す。PGMEはプロピレングリコールモノメチルエーテルを示す。結果については、レジストが完全に剥離して微細パターンの間隙にも残渣が残っていないものを〇、レジストは剥離したが微細パターンの間隙に残渣が見られるものを△、レジストが剥離されていないものを×と判定した。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000016
 表6に示す結果から明らかなように、アルカリ性無機化合物によってレジスト剥離が促進され、アルカリ性有機化合物と有機溶剤によって残渣除去が促進される。そのため、微細パターンの間隙にレジスト残渣が付着して残ることなく、微細パターン上のレジストを剥離することができる。次に光学基材の製造方法に関する以下の実験を行った。
(半導体層の形成)
[半導体層A]
 サファイア半導体発光素子用基板上に、MOCVDにより、(1)GaN低温バッファ層、(2)n型GaN層、(3)n型AlGaNクラッド層、(4)InGaN発光層(MQW)、(5)p型AlGaNクラッド層、(6)p型GaN層を連続的に積層した。さらに、(6)p型GaN層の上に(7)ITO層を電子ビーム蒸着法によって成膜し、半導体層rAを得た。上記構成により、半導体層からの発光は460nmであり、ITO層の膜厚は、550nmであった。
[半導体層B]
 ITO層の厚みを250nmとし、その上にスパッタリングによって厚み300nmのNb層を積層させた以外は、半導体層rAと同様に半導体層rBを得た。
[半導体層C]
 ITO層の厚みを250nmとした以外は、半導体層rAと同様に半導体層rCを得た。
(積層体の形成)
 モールドには、以下の表7に示す凹部からなるドットパターンを表面に備える樹脂モールドを使用した。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000017
 樹脂モールドは、半導体パルスレーザを用いた直接描画リソグラフィ法により微細なドットパターンを備える樹脂モールド作製用鋳型より転写工程を経て形成されたものである。上記の樹脂モールドを用いて以下の積層体-r1~積層体-r7を作製した。
[積層体-r1]
 下記の表8に示すように調整された感光性樹脂材(rA)を用いた。感光性樹脂材(rA)を樹脂モールド上にバーコーター(No4)を用いて塗布しシートを得た。そしてシートを、105℃のオーブンで15分乾燥させた。上記で得られたシートとあらかじめ85℃に加熱しておいた半導体層Aを、ITO層と感光性樹脂材(rA)が接するように貼合し、積層体-r1を得た。
[積層体-r2]
 下記の表8に示すように感光性樹脂材(rB)を調整した。感光性樹脂材(rB)を樹脂モールド上にバーコーター(No4)を用いて塗布しシートを得た。そしてシートを、105℃のオーブンで10分乾燥させた。得られたシートに、さらに感光性樹脂材(rA)を、バーコーター(No4)を用いて塗布しシートを得た。そしてシートを、105℃のオーブンで15分乾燥させた。得られたシートを用いて積層体-r1と同様に貼合し、積層体-r2を得た。
[積層体-r3]
 積層体-r2と同様の方法で積層体を作製したが、貼合の際に0.01MPaの圧力をかけながら貼合し、積層体-r3を得た。
[積層体-r4]
 下記の表8に示すように感光性樹脂材(rC)を調整した。感光性樹脂材(rC)を、半導体層AのITO層表面にスピンコート法により成膜し、室温で3分間静置した。その後、樹脂モールドの微細凹凸面と感光性樹脂材とを対向させた状態で貼合した。その後、0.05MPaで5分間押圧し、積層体-r4を得た。
[積層体-r5]
 感光性樹脂材(rB)を、樹脂モールド上にバーコーター(No4)を用いて塗布しシートを得た。そしてシートを、105℃のオーブンで15分乾燥させた。続いて、積層体-r4と同様の方法により、感光性樹脂材(rC)を、半導体層rAのITO層表面にスピンコート法により成膜した。そして、樹脂モールドの代わりとして得られた前記シートを用いて、積層体-r4と同様の方法で貼合し、積層体-r5を得た。
[積層体-r6]
 半導体層を半導体層rBとした以外は積層体-r3と同様の方法で積層体-r6を得た。
[積層体-r7]
 感光性樹脂材(rA)の代わりに感光性樹脂材(rD)を用いた他は、積層体-r3と同様の方法で積層体-r7を得た。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000018
 なお表8に記載された略称は以下の原材料を示す。
EA-HG001:9,9‘-ビス(4-(アクリロキシエトキシ)フェニル)フルオレン含有モノマー(大阪ガスケミカル社製)
ACMO:3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン
CNEA-100:ノボラックアクリレート(ケーエスエム社製、固形分50%)
EA-6340:酸変性エポキシアクリレート(新中村化学工業社製)
TTB:テトラn-ブトキシチタン(東京化成工業社製)
SH710:トリメチル末端フェニルメチルシロキサン(東レダウコーニング社製)
Irg184:1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン(IRGACURE(登録商標)184、BASF社製)
Irg369:2--ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタノン(IRGACURE(登録商標)369、BASF社製)
Irg819:ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド(IRGACURE(登録商標)819、BASF社製)
PGME:プロピレングリコールモノメチルエーテル
 前述の積層体-r1~積層体-r7についてまとめた表が以下の表9である。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000019
 続いて、表9に示した積層体を用いて、以下の実施例17~実施例26及び比較例11を作製した。
[実施例17]
(露光及び現像工程)
 積層体―r1の樹脂モールド側の上方にパターニング用マスクを載せ、平行光露光機(EXF-2828、オーク製作所社製)を用いてコンタクト露光した。照度は12mW/cm、露光量は100mJ/cmだった。露光後、120℃で30秒間の露光後ベークを行った。続いて樹脂モールドを剥離したのちに、PGMEで30秒間ディップ現像し、その後エタノールで10秒間リンスし、圧気にて乾燥させ光学基材前駆体を作製した。
(基材のドライエッチング工程)
 得られた光学基材前駆体を、BClガスを使用した反応性イオンエッチングを行い、ITO表面に微細凹凸構造を形成した。装置は反応性イオンエッチング装置(RIE-101iPH、サムコ株式会社製)を使用し、エッチング条件はBClガス:20sccm、ICP:150W、BIAS:100W、圧力0.2Pa、温調Heガス温度40℃(ガス圧力2.0kPa)、処理時間7分間として実施した。
 ドライエッチング後に酸素エッチングを20分行い、ITO表面に残留していたマスク層及びエッチング堆積物を除去した。酸素エッチンングは、圧力1Pa、電力300Wの条件にて行った。
[実施例18]
 積層体-r2を用いる以外は、実施例17と同様の方法で光学基材前駆体を作製した。得られた光学基材前駆体を圧力1Pa、電力300Wの条件で酸素を用いたアッシング処理を15分間行った。その後、実施例17と同様の方法でITOのドライエッチングを行い、光学基材を作製した。
[実施例19]
 積層体-r3を用いる以外は、実施例18と同様の方法で光学基材を作製した。
[実施例20]
 積層体-r3の樹脂モールド側の上方にパターニング用マスクを載せ、平行光露光機でコンタクト露光した。露光量は30mJ/cmだった。露光後、120℃で30秒間の露光後ベークを行った。続いて樹脂モールドを剥離したのちに、PGMEで30秒間ディップ現像し、その後エタノールで10秒間リンスし、圧気にて乾燥後、さらに100℃のオーブンにて5分間ベークさせ光学基材前駆体を作製した。
 その後、実施例18と同様にアッシング及びドライエッチングを行い、光学基材を作製した。
[実施例21]
 積層体-r4の樹脂モールド側の上方にパターニング用マスクを載せ、平行光露光機でコンタクト露光した。露光量は25mJ/cmだった。露光後、樹脂モールドを剥離したのちに、PGMEで30秒間ディップ現像し、その後エタノールで10秒間リンスし、圧気にて乾燥させ光学基材前駆体を作製した。その後、実施例18と同様にアッシング及びドライエッチングを行い、光学基材を作製した。
[実施例22]
 積層体-r5の樹脂モールド側の上方にパターニング用マスクを載せ、平行光露光機でコンタクト露光した。露光量は25mJ/cmだった。露光後、樹脂モールドを剥離したのちに、PGMEで30秒間ディップ現像し、その後エタノールで10秒間リンスし、圧気にて乾燥させ光学基材前駆体を作製した。その後、実施例18と同様にアッシング及びドライエッチングを行い、光学基材を作製した。
[実施例23]
 積層体-r5の樹脂モールド側の上方にパターニング用マスクを載せ、平行光露光機でコンタクト露光した。露光量は25mJ/cmだった。露光後、樹脂モールドを剥離したのちに、PGMEで30秒間ディップ現像し、その後エタノールで10秒間リンスし、圧気にて乾燥させた。さらに、95℃のオーブン内で5分間ベークすることにより光学基材前駆体を作製した。その後、実施例18と同様にアッシング及びドライエッチングを行い、光学基材を作製した。
[実施例24]
 等倍投影露光機(UX4―LEDs、ウシオ電機製)を用いる以外は、実施例19と同様の方法で光学基材を作製した。
[実施例25]
 積層体-r6を用いて被エッチング層をNbとする以外は、実施例18と同様の方法で光学基材を作製した。
[実施例26]
 積層体-r7の樹脂モールド側の上方にパターニング用マスクを載せ、平行光露光機(EXF-2828、オーク製作所社製)を用いてコンタクト露光した。照度は12mW/cm、露光量は75mJ/cmだった。露光後、120℃で4分間の露光後ベークを行った。続いて樹脂モールドを剥離したのちに、0.06%TMAH(テトラメチルアンモニウムヒドロキシド)水溶液で15秒間ディップ現像し、その後純水で10秒間リンスし、圧気にて乾燥させ光学基材前駆体を作製した。図29の顕微鏡写真及び図34の模式図に示すように、およそ100ミクロンの開口パターンを得ることができた。また図30のSEM写真及び図35の一部模式図に示すように、開口パターン以外には、樹脂モールドの形状を反転したレジスト層が形成されていることがわかった。
 得られた光学基材前駆体に、マスク層の部分エッチングを行った。装置はRFエッチング装置(神港精機製)を使用し、エッチング条件はOガス:50sccm、RIEパワー:300W、圧力:1Pa、処理時間15分として実施した。
 酸素ガスによる部分エッチング後、樹脂モールドの凹部と同様の周期配列を有するピラー状のレジストパターンをITO表面に形成した。ピラー状のレジストパターンの平面および断面SEM写真を、それぞれ図31Aおよび図31Bに示す。図36A及び図36Bに、図31Aおよび図31Bの一部模式図を示す。
 さらに、BClガスを使用した反応性イオンエッチングを行い、ITO表面に微細凹凸構造を形成した。装置は反応性イオンエッチング装置(RIE-101iPH、サムコ製)を使用し、エッチング条件はBClガス:20sccm、ICP:150W、BIAS:100W、圧力0.2Pa、温調Heガス温度40℃(ガス圧力2.0kPa)、処理時間7分間として実施した。図32のSEM写真及び図37の一部模式図に示すように、ITOがエッチングされ、マスク層が残存していることがわかった。
 ドライエッチング後に酸素エッチングを20分行い、ITO表面に残留していたマスク層及びエッチング堆積物を除去した。酸素エッチンングは、圧力1Pa、電力300Wの条件にて行った。
[比較例11]
 積層体-r3の樹脂モールド側の上方にパターニング用マスクを載せ、平行光露光機でコンタクト露光した。露光量は100mJ/cmだった。露光後、120℃で30秒間の露光後ベークを行った。続いて樹脂モールドを剥離し、光学基材前駆体を作製した。その後、実施例18と同様にアッシング及びドライエッチングを行い、光学基材を作製した。
[評価手法]
 得られた各光学基材を光学顕微鏡で観察し、50μm角の四角抜きのパターニングが形成されているか否かを確認した。なお評価結果は以下の表10に示した。
 ○:きれいに四角く形成されており、四角の内部の残渣は全くない、又は非常に少ない。
 △:四角の一部がギザギザしている、及び/又は四角の内部に残渣が残っている。
 ×:四角く形成されていない。
 実施例17から実施例26及び比較例11で得られた光学基材について露光部を走査型電子顕微鏡で観察したところ、光学基材の表面に平均直径550nm、平均高さ300nmの円柱凸状ドットが複数形成されていることを確認した。
 実施例17から実施例26においては、50μm角、及びそれより大きなエリアにてドットパターンが形成されてない領域が観察されており、その領域は、平坦面であることがわかった。また、実施例17から実施例26ではその平坦面の周囲において2μm幅の領域に直径150nm、高さ150nmの円柱凸状小ドットが複数形成されていたため、平坦面の端部を視認することが容易であった。
 これに対し、比較例11では基材全面にドットパターンが形成されており、平坦面がないことがわかった。従って、比較例11の光学基材を用いた場合、例えばLEDのp面電極側へ電極を付ける際に、ドットパターンを備える微細構造層の一部をアッシングやエッチング等で削除しなければいけないことがわかった。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000020
[実施例27]
 実施例19の方法でBClガスを使用した反応性イオンエッチングを行った後、ITO表面に残留していたマスク層及びエッチング堆積物を、酸素エッチングによって除去する代わりに、水酸化カリウム15重量%、トリエタノールアミン10重量%を含むプロピレングリコールモノメチルエーテル溶液であるレジスト剥離液(アルカリ性剥離液)で処理して除去した。前記レジスト剥離液を60℃に加温し、エッチング後の基板を浸漬して30分間撹拌した。基板を取り出して純水で洗浄し、エアガンで乾燥した。SEMで微細パターンを観察したところ、レジストは全て剥離され、微細パターンの間隙に残る残渣も見られなかった。
[実施例28]
 水酸化カリウム14重量%、トリエタノールアミン9重量%、水9重量%を含むプロピレングリコールモノメチルエーテル溶液としてレジスト剥離液(アルカリ性剥離液)を調整した他は実施例27と同様の処理を行った。SEMで微細パターンを観察したところ、レジストは全て剥離され、微細パターンの間隙に残る残渣も見られなかった。
[実施例29]
 実施例26の方法でBClガスを使用した反応性イオンエッチングまで行った後、ITO表面に残留していたマスク層及びエッチング堆積物を、酸素エッチングによって除去する代わりに、水酸化カリウム14重量%、トリエタノールアミン9重量%、水9重量%を含むプロピレングリコールモノメチルエーテル溶液であるレジスト剥離液(アルカリ性剥離液)で処理して除去した。前記レジスト剥離液を60℃に加温し、エッチング後の基板を浸漬して30分間撹拌した。基板を取り出して純水で洗浄し、エアガンで乾燥した。SEMで微細パターンを観察したところ、図33Aの平面SEM写真、図33Bの断面SEM写真、図38Aの一部模式図及び図38Bの一部模式図にそれぞれ示すように、レジストは全て剥離され、微細パターンの間隙に残る残渣も見られなかった。
[実施例30]
 水酸化カリウム17重量%を含むプロピレングリコールモノメチルエーテル溶液(ただし、アルカリ性有機化合物は含まない)としてレジスト剥離液を調整した他は実施例27と同様の処理を行った。SEMで微細パターンを観察したところ、レジストは全て剥離されていたが微細パターンの間隙に残渣が残っていた。ただし残渣は微量であり、半導体発光素子として加工しても光学特性に大きな影響を与えない程度であった。
[実施例31]
 水酸化カリウム17重量%を含む水溶液(ただしアルカリ性有機化合物及び有機溶剤を含まない)としてレジスト剥離液を調整した他は実施例27と同様の処理を行った。SEMで微細パターンを観察したところ、レジストは全て剥離されていたが微細パターンの間隙に残渣が残っていた。ただし残渣は微量であり、半導体発光素子として加工しても光学特性に大きな影響を与えない程度であった。
[実施例32]
 水酸化カリウム15重量%、水10重量%を含むプロピレングリコールモノメチルエーテル溶液(ただしアルカリ性有機化合物を含まない)としてレジスト剥離液を調整した他は実施例27と同様の処理を行った。SEMで微細パターンを観察したところ、レジストは全て剥離されていたが微細パターンの間隙に残渣が残っていた。ただし残渣は微量であり、半導体発光素子として加工しても光学特性に大きな影響を与えない程度であった。
[実施例33]
 水酸化カリウム15重量%、トリエタノールアミン10重量%を含む水溶液(ただし有機溶剤を含まない)としてレジスト剥離液を調整した他は実施例27と同様の処理を行った。SEMで微細パターンを観察したところ、レジストは全て剥離されていたが微細パターンの間隙に残渣が残っていた。ただし残渣は微量であり、半導体発光素子として加工しても光学特性に大きな影響を与えない程度であった。
[比較例12]
 トリエタノールアミン17重量%を含むプロピレングリコールモノメチルエーテル溶液(ただしアルカリ性無機化合物を含まない)としてレジスト剥離液を調整した他は実施例27と同様の処理を行った。SEMで微細パターンを観察したところ、レジストは剥離されず微細パターンの上に残っていた。
[比較例13]
 トリエタノールアミン15重量%、水10重量%を含むプロピレングリコールモノメチルエーテル溶液(ただしアルカリ性無機化合物を含まない)としてレジスト剥離液を調整した他は実施例27と同様の処理を行った。SEMで微細パターンを観察したところ、レジストは剥離されず微細パターンの上に残っていた。
 実施例27~実施例33および比較例12、比較例13の結果を下記表11にまとめた。なお、表11に記載されたKOHは水酸化カリウムを示す。TEAはトリエタノールアミンを示す。PGMEはプロピレングリコールモノメチルエーテルを示す。結果については、レジストが完全に剥離して微細パターンの間隙にも残渣が残っていないものを〇、レジストは剥離したが微細パターンの間隙に残渣が見られるものを△、レジストが剥離されていないものを×と判定した。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000021
 表11に示すように、実施例の中でも、実施例27~実施例29、すなわち、1種以上のアルカリ性無機化合物と、1種以上のアルカリ性有機化合物とを、有機溶剤に溶解して得られたアルカリ性剥離液を用いることが好ましいとわかった。
(半導体発光装置)
[実施例34]
 実施例29の方法で得られた半導体発光素子基板に対し、公知の方法でエッチング加工し電極パッドを取り付け、各素子区画に裁断して半導体発光素子とした。上記のように得られた半導体発光素子をTO缶パッケージに配置し、電極パッドにAuワイヤを介して電気的に接続した。次に、パッケージ内に配置された半導体発光素子を、屈折率1.54のシリコーン系封止剤(東レ・ダウコーニング社製OE-6631)で半球型の樹脂封止を行い、半導体発光装置を作製した。
[実施例35]
 樹脂モールドrAの代わりに樹脂モールドrBを使用して微細パターンを形成した他は、実施例34と同様の方法で半導体発光装置を作製した。
[実施例36]
 サファイア半導体発光素子用基板として、底部径2400nm、高さ1500nmの円錐形ドットがピッチ3000nmで配列したサファイア半導体発光素子用基板を用いた他は、実施例34と同様の方法で半導体発光装置を作製した。
[実施例37]
 サファイア半導体発光素子用基板として、底部径2400nm、高さ1500nmの円錐形ドットがピッチ3000nmで配列したサファイア半導体発光素子用基板を用いた他は、実施例35と同様の方法で半導体発光装置を作製した。
[比較例14]
 半導体層Cを有する半導体発光素子用基板を用いて、実施例34と同様の公知の方法で半導体発光装置を作製したが、積層体の貼合、露光、露光後ベーク、現像、現像後ベーク、アッシング処理、BClを使用したドライエッチング、及びレジスト除去処理を一切行わなかった。
[比較例15]
 サファイア半導体発光素子用基板として、底部径2400nm、高さ1500nmの円錐形ドットがピッチ3000nmで配列したサファイア半導体発光素子用基板を用いた他は、比較例14と同様の方法で半導体発光装置を作製した。
(発光出力の測定)
 フラットなサファイア半導体発光素子用基板を用いて作製された実施例34、実施例35及び、比較例14の各半導体発光装置に対し、カソードとアノードの間に20mAの電流を流し発光出力を測定した。表12には、比較例14の半導体発光装置からの発光出力を1としたときの発光出力比が示されている。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000022
 底部径2400nm、高さ1500nmの円錐形ドットがピッチ3000nmで配列したサファイア半導体発光素子用基板を用いて作製された実施例36、実施例37及び、比較例15の各半導体発光装置に対し、カソードとアノードの間に20mAの電流を流し発光出力を測定した。表13には、比較例15の半導体発光装置からの発光出力を1としたときの発光出力比が示されている。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000023
 実施例34及び実施例35と比較例14との比較、および実施例36及び実施例37と比較例15との比較により、本実施例の製造方法で作製された半導体発光装置の発光出力が向上していることが分かった。
 続いて、以下に示す実施例38~実施例43及び、比較例16、比較例17の半導体発光素子を作製し、第2ドット領域の構成や平坦面の視認性及び発光効率について調べた。
 各実施例及び各比較例に使用したレジスト材や、加工対象、露光プロセス、レジスト剥離については、以下の表14、表15に示す通りとした。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000024
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000025
 マスク層1及びラジカルネガ(溶剤)、ラジカルネガ(アルカリ)、溶解抑止ポジ、化学増幅ネガ組成物を表14に従って調整した。マスク層1を樹脂モールド上にバーコーター(No4)を用いて塗布しシートを得た。そしてシートを、120℃のオーブンで15分乾燥させた。得られたシートに、さらにラジカルネガ(溶剤)、ラジカルネガ(アルカリ)、溶解抑止ポジ、及び化学増幅ネガ組成物をそれぞれ、バーコーター(No4)を用いて、各レジストが塗布されたシートを得た。そしてシートを、105℃のオーブンで15分乾燥させた。樹脂モールドとしては実施例1と同じものを用いた。
[実施例38]
 上記で得られたマスク層1及びラジカルネガ(溶剤)組成が塗布されたシートを半導体発光素子基板に貼号し、光学基材前駆体を作製した。半導体発光素子基板としては、サファイア半導体発光素子用基板上に、MOCVDにより、(1)GaN低温バッファ層、(2)n型GaN層、(3)n型AlGaNクラッド層、(4)InGaN発光層(MQW)、(5)p型AlGaNクラッド層、(6)p型GaN層を連続的に積層し、さらに、(6)p型GaN層の上に(7)ITO層を電子ビーム蒸着法によって成膜したものを用いた。上記構成により、半導体層からの発光は460nmであり、ITO層の膜厚は、550nmであった。樹脂モールド側の上方にパターニング用マスクを載せ、PLA-501F(キャノン社製)にて50mJ/cmでコンタクト露光した。UV光の365nmの照度は5.0mW/cmであった露光後、120℃で30秒間の露光後ベークを行った。続いて樹脂モールドを剥離したのちに、PGMEで30秒間ディップ現像し、その後エタノールで10秒間リンスし、圧気にて乾燥させた。得られた基板を、酸素エッチングを15分行い、マスク層1をマスクとして、ドット間のレジストを除去した。酸素エッチンングは、圧力1Pa、電力300Wの条件にて行った。次にBClガスを使用した反応性イオンエッチングを行い、ITO表面に微細凹凸構造を形成した。装置は反応性イオンエッチング装置(RIE-101iPH、サムコ株式会社製)を使用し、エッチング条件はBClガス:20sccm、ICP:150W、BIAS:100W、圧力0.2Pa、温調Heガス温度40℃(ガス圧力2.0kPa)、処理時間7分間として実施した。その後、実施例28と同じ方法で残存レジストを除去した。
[実施例39]
 マスク層1及びラジカルネガ(アルカリ)組成が塗布されたシートを用い、現像はTMAH2.38%水溶液を用いて10秒間行い、リンスは純水を用いて10秒間行ったほかは実施例38と同様の方法で行った。
[実施例40]
 マスク層1及び溶解抑止ポジ組成が塗布されたシートを用い、露光は樹脂モールドを剥離した後に行い、現像はTMAH2.38%水溶液を用いて60秒間行い、リンスは純水を用いて10秒間行ったほかは実施例38と同様の方法で行った。
[実施例41]
 マスク層1及び化学増幅ネガ組成が塗布されたシートを用い、露光は樹脂モールドを剥離した後に行い、現像はTMAH2.38%水溶液を用いて10秒間行い、リンスは純水を用いて10秒間行ったほかは実施例38と同様の方法で行った。
[実施例42]
 LED基板のITO上にさらにNb層を250nm積層させたほかは実施例38と同様の方法で行った。
[実施例43]
 マスク層1及び化学増幅ネガ組成が塗布されたシートを用い、現像はTMAH2.38%水溶液を用いて10秒間行い、リンスは純水を用いて10秒間行ったほかは実施例38と同様の方法で行った。
[比較例16]
 露光・現像工程で露光マスクパターンを使用しない以外は実施例38と同様の操作を行った。上記で得られた全面ドット賦形された半導体層のITO層表面に、フォトレジストAZ-5214E(AZ Electronic Materials社製)をスピンコート法で塗布し、その上に露光マスクを置いて平行光露光機で露光した。露光マスクのパターンは、実施例38で用いたものと同じ露光マスクパターンを用いた。その後、現像液AZ351b(AZ Electronic Materials社製)に浸漬させ、非露光領域のレジストを除去した。得られたレジストでパターニングされた半導体層を実施例1の半導体層に対するドライエッチング工程と同様の条件で3分間処理を行い、非露光領域を平坦面とした。その後、アセトン中で超音波処理を行い、レジストを剥離をして光学基材を作製した。それ以降の工程は実施例38と同様の方法で行った。
[比較例17]
 ITOまで製膜した半導体発光素子基板をそのまま、実施例38と同様の方法で半導体発光素子を作製した。表面に凹凸はなく、検査工程はなかった。
[比較例18]
 上記で得られたマスク層1及びラジカルネガ(溶剤)組成が塗布されたシートを半導体発光素子基板に貼号し、光学基材前駆体を作製した。パターニング用マスクは載せずに、PLA-501F(キャノン社製)にて50mJ/cmでコンタクト露光した。UV光の365nmの照度は5.0mW/cmであった。露光後、120℃で30秒間の露光後ベークを行った。続いて樹脂モールドを剥離したのちに、得られた基板を、酸素エッチングを15分行い、マスク層1をマスクとして、ドット間のレジストを除去した。酸素エッチンングは、圧力1Pa、電力300Wの条件にて行った。そこに、フォトレジストAZ-5214E(AZ Electronic Materials社製)をスピンコートし、電極部分に平坦レジストを作製した。次にBClガスを使用した反応性イオンエッチングを行い、ITO表面に微細凹凸構造を形成した。装置は反応性イオンエッチング装置(RIE-101iPH、サムコ株式会社製)を使用し、エッチング条件はBClガス:20sccm、ICP:150W、BIAS:100W、圧力0.2Pa、温調Heガス温度40℃(ガス圧力2.0kPa)、処理時間7分間として実施した。その後、実施例28と同じ方法で残存レジストを除去した。
[実施例44]
 ITOを製膜する前の半導体発光素子基板にフォトレジストAZ-5214E(AZ Electronic Materials社製)をスピンコートし、電極部とその周囲10μmを覆うようにレジストが残存するように露光及び現像を行った。リン酸で180℃、60分間表面処理を行うことにより半導体発光素子基板表面を粗面化した。さらに、アセトン中、超音波によりレジストを剥離した後に、再度AZ-5214Eを用いて電極部とその周囲5μmを覆うようにレジストが残存するように露光及び現像を行った。再度リン酸で、180℃30分間表面処理を行った。これにより、2度表面処理された部分に大きい凹凸の粗面が、2回目のみ表面処理された部分(電極部周囲5μmから10μmの間)は小さい凹凸の粗面が作製された。アセトン超音波によりレジストを剥離した後、ITOを製膜し光学基材を作製した。それ以降の工程は実施例38と同様の方法で行った。
 実験では、第2ドット領域(第1ドット領域と比べて異なる形状のドット領域)がある場合を〇、ない場合を×、第2ドット領域にて、図2Aや図2Bに示すように、斜面平面部とドットがある場合を○とし、ない場合を×とした。また図2に示すように、第1ドット領域から平坦面に向けて第2ドット領域の各第2ドットの高さが順に低く、又は高くなっている場合は単調変化しているとして○、それ以外の場合を×とした。また、図4Aに示すように、平坦面に形成された電極パッドが第1ドット領域に比べて発光層に近い場合を○、逆に第1ドット領域のほうが電極パッドよりも発光層に近い場合を×した。また、評価として、得られた光学基材をマイクロスコープ(HIROX社製、KH―3000、100倍レンズ)を用いて平坦面の大きさ(一辺の長さ:Lm)を測定し、得られた値と走査型電子顕微鏡(500倍)で測定した実際の平坦面の大きさ(一辺長さ:Ls)を比較し、平坦面検査の容易性を評価した。マスクパターンとして一辺が50μmの正方形の部分を観察した。
 ◎ 検査が非常にしやすい:|Ls-Lm|≦5μm
 ○ 検査しやすい:5μm<|Ls-Lm|≦10μm
 × 検査しにくい:|Ls-Lm|>10μm
 さらに、得られた半導体発光素子基板に対し、公知の方法でエッチング加工し電極パッドを取り付け、各素子区画に裁断して半導体発光素子とした。上記のように得られた半導体発光素子をTO缶パッケージに配置し、電極パッドにAuワイヤを介して電気的に接続した。次に、パッケージ内に配置された半導体発光素子を、屈折率1.54のシリコーン系封止剤(東レ・ダウコーニング社製OE-6631)で半球型の樹脂封止を行い、半導体発光装置を作製した。各半導体発光装置に対し、カソードとアノードの間に20mAの電流を流し発光出力を測定した。
 光出向面に凹凸構造のないフラットな半導体発光素子を100%とし、光出力がフラットなものに比べて1倍以下を×、1倍より大きく1.10倍未満のものを△、1.10倍以上のものを〇とした。次に微小ピットに関する以下の実験を行った。
(FE-SEMによる観察)
 (株)日立ハイテクノロジーズ製電界放出形走査電子顕微鏡SU8010を用いて、光放出面主面の法線方向からの観察を行った。測定条件は下記の通りである。
 シグナル名:SE(U)
 加速電圧:1000V
 拡大率:50000倍
[作製例16]
(積層半導体基板の形成)
 サファイア半導体発光素子用基材上に、MOCVDにより、(1)GaN低温バッファ層、(2)n型GaN層、(3)n型AlGaNクラッド層、(4)InGaN発光層(MQW)、(5)p型AlGaNクラッド層、(6)p型GaN層を連続的に積層し、電子ビーム蒸着法で(7)ITO層を積層した。上記構成により、半導体層からの発光は460nmであり、ITO層の膜厚は、600nmとした。
 [作製例17]
(感光性樹脂材の調整)
 上記の表1に示すように感光性樹脂材(A)(以下eAと記す)及び(B)(以下eBと記す)を調整した。
[作製例18]
(ジストシート(e1)の作製)
 半導体パルスレーザを用いた直接描画リソグラフィ法にて微細なドットパターンを備える樹脂モールド作製用鋳型を形成した。続いて、前記樹脂モールド作製用鋳型を用いた転写工程を経て、以下の凹部からなるドットパターンを有するフィルムモールドを作製した。
 凹部の直径:650nm
 凹部深さ:800nm
 ピッチP:700nm
 上記で調整した感光性樹脂材(eB)を、上記のフィルムモールド上にバーコーター(No4)を用いて塗布しシートを得た。そしてシートを、105℃のオーブンで10分乾燥させた。得られたシートに、さらに感光性樹脂材(eA)を、バーコーター(No4)を用いて塗布しシートを得た。そしてシートを、105℃のオーブンで15分乾燥させて、レジストシートを作製した。
[作製例19]
(レジストシート(e2)の作製)
 半導体パルスレーザを用いた直接描画リソグラフィ法にて微細なドットパターンを備える樹脂モールド作製用鋳型を形成した。続いて、前記樹脂モールド作製用鋳型を用いた転写工程を経て、以下の凹部からなるドットパターンを有するフィルムモールドを作製した。
 凹部の直径:400nm
 凹部深さ:550nm
 X軸方向ピッチPx:398nm
 X軸方向ピッチPxに対する変動幅δ2:80nm
 変動幅δ2のX軸方向の長周期Lx:5μm
 Y軸方向ピッチPy:460nm
 Y軸方向ピッチPyに対する変動幅δ1:100nm
 変動幅δ1のY軸方向の長周期Ly:5μm
 上記で調整した感光性樹脂材(B)を前記フィルムモールド上にバーコーター(No4)を用いて塗布しシートを得た。そしてシートを、105℃のオーブンで10分乾燥させた。得られたシートに、さらに感光性樹脂材(A)を、バーコーター(No4)を用いて塗布しシートを得た。そしてシートを、105℃のオーブンで15分乾燥させて、レジストシート(e2)を作製した。
[実施例45]
(レジストシート転写)
 作製例17で作製した積層半導体基板を、ITO面が上になるようにホットプレート上に置いて、基板表面温度が85℃になるように加熱した。そのまま基板を加熱しながら、作製例2で作製したレジストシート(1)の感光性樹脂塗工面がITO面に接する向きで接触させ、ゴムローラーで加圧して熱圧着させた。ホットプレート上から取り上げ、フィルムモールド側から紫外線を2500mJ/cm2で照射し、レジスト層を硬化させた。硬化後、フィルムモールドを剥離し、ITO表面にフィルムモールドのパターンが転写されたレジスト/ITO/積層半導体基板を得た。
(酸素プラズマアッシング:レジスト層)
 RFエッチング装置(神港精機株式会社製)を用い、下記エッチング条件でレジスト層をエッチングした。
 エッチングガス:O
 ガス流量:50sccm
 エッチング圧力:1Pa
 RIEパワー:300W
 処理時間:15分
 酸素プラズマアッシング後、前記フィルムモールドの凹部と同様の周期配列を有するピラー状のレジストパターンがITO表面に形成された。
(エッチング:ITO層)
 反応性イオンエッチング装置(RIE-101iPH、サムコ株式会社製)を用い、下記エッチング条件でITO層をエッチングした。
 エッチングガス:BCl
 ガス流量:20sccm
 エッチング圧力:0.2Pa
 アンテナ:150W
 バイアス:100W
 処理時間:10.4分
 エッチング後、ITO面上を電子顕微鏡で観察したところ、断面形状φ440nmの凸部が、前記フィルムモールドの凹部と同様の周期配列で形成されていることがわかった。
(残存レジスト除去)
 エッチング後の半導体発光素子基板の前記ITO面の凸部の上には、レジストが残存している。塩酸と硝酸の混酸であるITOエッチング液(ITO-02:関東科学株式会社製)を35℃に加温した液中に、ドライエッチング後の半導体発光素子基板を30秒浸漬した。その後、純水で洗浄して、さらに純水中で、残存レジストが除去されるまで超音波洗浄を行った。得られた凸部の形状は、φ360nm、高さ450nmであった。本実施例の方法では、残存レジスト除去が、半導体発光素子の光放出面へのピット形成を兼ねている。図39に示すように、電子顕微鏡で光放出面の法線方向からFE-SEMで観察すると、周期配列した凹凸部を有するITO表面に、結晶粒界に由来する微細ピットが形成されていることが分かった。図41は図39の一部を表した模式図である。図41に微細ピットを図示した。また図40に示す光放出面の断面を観察した電子顕微鏡写真においても、凸部の間の表面から深さ方向に延びる微細ピットの存在が確認された。図42は図40の一部を表した模式図である。図42に微細ピットを図示した。
 また、FE-SEM画像の任意の領域を選択し、凹凸部を除いた主面に形成されたピット面積比を上記式(8)で計算することができる。
 ここで図39に示す微細ピット30の面積と平坦部31の面積との合計は、凹凸部を除く光放出面の主面面積とイコールの関係にある。
 また、図43を基にピット面積比の計算例を示す。図44は、図43の一部を表した模式図である。任意の領域として、図43、図44に示すように、凹凸部を囲む正六角形(図44の正六角形23)の領域を選択し、凹凸部の外接円(図44の外接円24)を除いた光放出面の主面に形成された微細ピット(図44の微細ピット30)の面積と、正六角形内の光放出面主面の平坦部(図44の平坦部31)面積から求めた微細ピット面積比は12%であった。
 さらに、公知の方法でエッチング加工し電極パッドを取り付け、各素子区画に裁断して半導体発光素子とした。
(半導体発光装置)
 上記のように得られた半導体発光素子をパッケージに配置し、電極パッドにAuワイヤを介して電気的に接続した。次に、パッケージ内に配置された半導体発光素子を、屈折率1.54のシリコーン系封止剤で半球型の樹脂封止を行い、半導体発光装置を作製した。
[実施例46]
 残存レジスト除去、及び光放出面へのピット形成を、シュウ酸系ITOエッチング液(ITO-07N:関東化学株式会社製)を用いて、液温50℃、18分浸漬する条件で行った以外は実施例1と同様の方法で半導体発光装置を作製した。このとき、微細ピット面積比は6%であった。
[実施例47]
 実施例45と同様の積層半導体上のITO層に、作製例19で作製したレジストシート(e2)を用いて、ITO表面にフィルムモールドのパターンが転写されたレジスト/ITO/積層半導体基板を得た以外は、実施例1と同様の方法で半導体発光装置を作製した。このとき、微細ピット面積比は10%であった。
[比較例19]
 実施例45と同様の方法で、周期配列した凹凸部を形成した後、残存レジスト除去を、酸素プラズマによるドライエッチング処理で行い、光放出面への微細ピット形成を行わずに、半導体発光装置を作製した。
[比較例20]
 作製例16の積層半導体基板のITO膜厚を200nmとし、光放出面への凹凸部形成と微細ピット形成を行うことなく、公知の方法でエッチング加工し電極パッドを取り付け、各素子区画に裁断して半導体発光素子とした。
 上記のように得られた半導体発光素子をパッケージに配置し、電極パッドにAuワイヤを介して電気的に接続した。次に、パッケージ内に配置された半導体発光素子を、屈折率1.54のシリコーン系封止剤で半球型の樹脂封止を行い、半導体発光装置を作製した。
(発光出力の測定)
 実施例45~実施例47及び、比較例19、比較例20の各半導体発光装置に対し、カソードとアノードの間に20mAの電流を流し発光出力を測定した。表16には、比較例20の半導体発光装置からの発光出力を1としたときの発光出力比が示されている。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000026
 実施例45、実施例46及び実施例47では、比較例19と比較して半導体発光装置の収率が向上し、比較例20と比較して発光出力が向上していることが分かった。次に、残膜厚の乱れに関する実験を行った。
(実施例48)
 ピッチ700nmで円形のホールが六方配列した樹脂モールドAを用いて、感光性樹脂材Aと感光性樹脂材Bの頂部膜厚の合計が0.8~1.2μmの分布を有するレジスト膜をITO層表面に設け、酸素アッシング処理時間を3分にして、部分的に感光性樹脂材Aの残膜を残した状態で、BClガスによるドライエッチングを行った他は、実施例34と同じ方法で半導体発光素子を作製した。断面SEM観察により求めた(δT1a/T1aave)の値は、0.151であった。表16に示すように、残膜厚の乱れが少ない実施例34の半導体発光素子に対して、さらなる光出力の向上を加えることができる(以下の表17参照)。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000027
 なお、上記実施の形態に限定されず、さまざまに変更して実施可能である。上記実施の形態において、添付図面に図示されている大きさや形状等については、これに限定されず、各効果を発揮する範囲内で適宜変更が可能である。その他、各目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施可能である。
 本形態の光学基材によれば、出光面において電極パッド形成部と第1ドット領域との間に小さいドットの第2ドットにて構成される第2ドット領域を形成することによって、ドット領域に接して設けられた電極パッド形成部の検査が容易であるため、光学基材の生産効率を向上することが可能である。また、本形態の光学基材よりなる半導体発光素子は、高い発光効率を有するため、電力の有効活用ができ、省エネルギーに大きく貢献できる。
 本出願は、2014年4月7日出願の特願2014-078313、2014年4月7日出願の特願2014-078314、2014年5月27日出願の特願2014-108708、2014年10月30日出願の特願2014-221320、2014年10月30日出願の特願2014-221321、及び、2014年12月24日出願の特願2014-260277に基づく。これらの内容は全てここに含めておく。

Claims (27)

  1.  微細構造層を有する光学基材であって、前記微細構造層の表面は、凸状あるいは凹状にて形成された複数の第1ドットにより構成される第1ドット領域と、電極パッド形成部として利用可能な平坦面と、前記第1ドット領域と前記平坦面との間に位置し、凸状あるいは凹状にて形成された複数の第2ドットにより構成される第2ドット領域とを有し、前記第2ドット領域は、前記第1ドット領域よりも光の散乱効果あるいは回折効果が小さい領域であることを特徴とする光学基材。
  2.  微細構造層を有する光学基材であって、前記微細構造層の表面は、凸状あるいは凹状にて形成された複数の第1ドットにより構成される第1ドット領域と、電極パッド形成部として利用可能な平坦面と、前記第1ドット領域と前記平坦面との間に位置し、凸状あるいは凹状にて形成された複数の第2ドットにより構成される第2ドット領域とを有し、前記第2ドットは、前記第1ドットよりも、高さ、深さ及び幅のいずれか一つ以上が小さいことを特徴とする光学基材。
  3.  微細構造層を有する光学基材であって、前記微細構造層の表面は、凸状あるいは凹状にて形成された複数の第1ドッドを有する第1ドット領域と、電極パッド形成部として利用可能な平坦面と、前記第1ドット領域と前記平坦面との間に位置し、凸状あるいは凹状にて形成された複数の第2ドットを有する第2ドット領域とを有し、
     前記平坦面から前記第2ドット領域及び前記第1ドット領域にかけて切断した縦断面に現れる前記第1ドットと、隣り合う前記第2ドットと、前記平坦面との間には、以下の関係式が成り立っていることを特徴とする光学基材。
    1a>txa≧tya>t、又は、t1a<txa≦tya<t、又は、t1b>txb≧tyb>t、又は、t1b<txb≦tyb<t
     ここで、tは、前記平坦面の基準位置からの厚さを示し、t1aは、前記第1ドットの底部の前記基準位置からの厚さを示し、t1bは、前記第1ドットの頂部の前記基準位置からの厚さを示し、txa及びtyaは、前記第2ドットの底部の前記基準位置からの厚さを示し、txb及びtybは、前記第2ドットの頂部の前記基準位置からの厚さを示し、txa及びtxbの膜厚を有する第2ドットは、tya及びtybの膜厚を有する第2ドットよりも前記第1ドット領域に近いことを示す。ただし、前記縦断面において、前記第2ドット領域に前記第2ドットが一つのみ現れる場合、前記関係式から、tya、及びtybが削除され、前記第2ドットの厚さは、txa及びtxbのみで示される。
  4.  前記第2ドット領域では、前記複数の第2ドットがその間に面間隔を有して形成されることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の光学基材。
  5.  前記第2ドット領域は、平面部とドット部とを有する斜面領域として形成されることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の光学基材。
  6.  前記光学基材は、第1半導体層、発光層、及び第2半導体層が順に積層されており、前記第2半導体層の前記発光層から発生した光の出射面側に形成された前記微細構造層を有する半導体発光素子である請求項1から請求項5のいずれかに記載の光学基材。
  7.  前記平坦面が、前記第1ドット領域よりも前記発光層に近い位置に形成されていることを特徴とする請求項6記載の光学基材。
  8.  前記微細構造層がp電極側の表面に形成されていることを特徴とする請求項7記載の光学基材。
  9.  請求項1から請求項8のいずれかに記載の前記光学基材を製造するための積層体であって、表面に複数の凸部又は凹部から構成される複数のドットが形成されたモールドと、前記複数のドット上に前記複数の凸部又は凹部を覆うように設けられたポジ型感光性樹脂材を含有する感光性樹脂層とを具備することを特徴とする積層体。
  10.  前記ポジ型感光性樹脂材が、ノボラック樹脂を含むことを特徴とする請求項9記載の積層体。
  11.  前記ポジ型感光性樹脂材が、ナフトキノンジアジド化合物を含むことを特徴とする請求項9又は請求項10に記載の積層体。
  12.  請求項1から請求項8のいずれかに記載の前記光学基材を製造するための積層体であって、表面に凸部又は凹部から構成される複数のドットが形成されたモールドと、前記複数のドット上に前記複数の凸部又は凹部を覆うように設けられた化学増幅ネガ型感光性樹脂材を含有する感光性樹脂層とを具備することを特徴とする積層体。
  13.  前記化学増幅ネガ型感光性樹脂材が、フェノール骨格を有する樹脂を含むことを特徴とする請求項12記載の積層体。
  14.  前記化学増幅ネガ型感光性樹脂材が、架橋剤を含むことを特徴とする請求項12又は請求項13に記載の積層体。
  15.  前記化学増幅ネガ型感光性樹脂材が、120℃以下で液状の軟化剤を含むことを特徴とする請求項12から請求項14のいずれかに記載の積層体。
  16.  前記化学増幅ネガ型感光性樹脂材が、密着助剤を含むことを特徴とする請求項12から請求項15のいずれかに記載の積層体。
  17.  前記化学増幅ネガ型感光性樹脂材が、プロトントラップ剤を含むことを特徴とする請求項12から請求項16のいずれかに記載の積層体。
  18.  前記感光性樹脂層が、光酸発生剤を含むことを特徴とする請求項9から請求項17のいずれかに記載の積層体。
  19.  請求項1から請求項8のいずれかに記載された前記光学基材の前記第1ドット及び前記第2ドットを形成する際に用いたレジストを剥離するためのレジスト剥離液であって、1種以上のアルカリ性無機化合物と、1種以上のアルカリ性有機化合物と、有機溶剤とを含有することを特徴とするレジスト剥離液。
  20.  請求項1から請求項8のいずれかに記載された前記光学基材の製造方法であって、
     半導体発光素子形成用の基材の主面に複数の凸部又は凹部を有する凹凸領域と前記半導体発光素子の電極パッド形成部として利用可能な平坦面を形成するに際し、
     前記凹凸領域を形成する前記主面と対向する位置に微細パターンマスク層を設ける工程と、前記微細パターンマスク層をマスクとして前記基材をエッチングして、前記主面に前記凹凸領域と前記平坦面とを形成する工程とを含むことを特徴とする光学基材の製造方法。
  21.  ドライエッチング法を用いて、前記微細パターンマスク層をマスクとして前記光学基材をエッチングすることを特徴とする請求項20記載の光学基材の製造方法。
  22.  前記微細パターンマスク層を形成する工程は、表面に複数の凸部又は凹部から成る凹凸部が形成されたモールドと、前記基材と、前記モールドの表面と前記基材の表面との間に介在させた感光性材料と、を積層してなる光学基材前駆体を形成する工程と、前記光学基材前駆体に対して露光マスクを介して露光し、このとき露光部を、前記モールドに形成された前記凹凸部の形成領域よりも小さい範囲内とする工程と、前記モールドを剥離し、前記感光性材料の露光部または非露光部の一方を現像により除去することにより、表面に前記凹凸部が形成された前記露光部の前記感光性材料を前記主面の一部に残す工程と、を有することを特徴とする請求項20又は請求項21に記載の光学基材の製造方法。
  23.  前記微細パターンマスク層を形成する工程は、表面に複数の凸部又は凹部から成る凹凸部が形成されたモールドと、前記基材と、前記モールドの表面と前記基材の表面との間に介在させた感光性材料と、を積層してなる光学基材前駆体を形成する工程と、前記モールドを剥離し感光性材料を基材に残す工程と、前記感光性材料付基材に対して露光マスクを介して露光し、このとき露光部を、前記感光性材料付基材に形成された前記凹凸部の形成領域よりも小さい範囲内とする工程と、前記感光性材料の露光部または非露光部の一方を現像により除去することにより、表面に前記凹凸部が形成された前記露光部の前記感光性材料を前記主面の一部に残す工程と、を有することを特徴とする請求項20又は請求項21に記載の光学基材の製造方法。
  24.  前記微細パターンマスク層を形成する工程は、表面に複数の凸部又は凹部から成る凹凸部が形成されたモールドと、前記基材と、前記モールドの表面と前記基材の表面との間に介在させた感光性材料と、を積層してなる光学基材前駆体を形成する工程と、前記光学基材前駆体に対して露光マスクを介して露光し、このとき露光部を、前記モールドに形成された前記凹凸部の形成領域よりも小さい範囲内とする工程と、前記モールドを剥離し、前記感光性材料の露光部または非露光部の一方を現像により除去することにより、表面に前記凹凸部が形成された前記露光部の前記感光性材料を前記主面の一部に残す工程と、前記微細構造層の各凸部間の感光性材料を除去して、前記主面に前記微細パターンマスク層と前記平坦面とを形成する工程と、を有することを特徴とする請求項20又は請求項21に記載の光学基材の製造方法。
  25.  前記微細パターンマスク層を形成する工程は、表面に複数の凸部又は凹部から成る凹凸部が形成されたモールドと、前記基材と、前記モールドの表面と前記基材の表面との間に介在させた感光性材料と、を積層してなる光学基材前駆体を形成する工程と、前記モールドを剥離し感光性材料を基材に残す工程と、前記感光性材料付基材に対して露光マスクを介して露光し、このとき露光部を、前記感光性材料付基材に形成された前記凹凸部の形成領域よりも小さい範囲内とする工程と、前記感光性材料の露光部または非露光部の一方を現像により除去することにより、表面に前記凹凸部が形成された前記露光部の前記感光性材料を前記主面の一部に残す工程と、前記微細構造層の各凸部間の感光性材料を除去して、前記主面に前記微細パターンマスク層と前記平坦面とを形成する工程とを有することを特徴とする請求項20又は請求項21に記載の光学基材の製造方法。
  26.  ドライエッチング後に残留する前記微細パターンマスク層を、アルカリ性剥離液で処理して除去することを特徴とする請求項20から請求項25のいずれかに記載の光学基材の製造方法。
  27.  前記アルカリ性剥離液として、1種以上のアルカリ性無機化合物と、1種以上のアルカリ性有機化合物と、有機溶剤とを含有するレジスト剥離液を用いることを特徴とする請求項26記載の光学基材の製造方法。
     
     
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