JP2018069712A - 微細凹凸構造付シート、無機材料充填シート、微細凹凸構造付レジストシート、微細凹凸構造付基板、及び、微細凹凸構造付基板の製造方法 - Google Patents

微細凹凸構造付シート、無機材料充填シート、微細凹凸構造付レジストシート、微細凹凸構造付基板、及び、微細凹凸構造付基板の製造方法 Download PDF

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尚希 細見
Naoki Hosomi
尚希 細見
哲理 三田村
Tetsutoshi Mitamura
哲理 三田村
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Abstract

【課題】基板のオリフラに対する微細凹凸構造の向きを適切に判別することができる微細凹凸構造付シート、及び、基板のオリフラに対する微細凹凸構造の向きのばらつきを適切に抑制できる微細凹凸構造付基板の提供。
【解決手段】表面に周期的な微細凹凸構造2を有する微細凹凸構造付シート1であって、微細凹凸構造2が、少なくとも2種類以上の異なる配列パターンを有し、微細凹凸構造付シート1の表面の幅方向(X方向)に亘り、線状のマーク(Zライン)を、微細凹凸構造付シート1の長手方向(Y方向)に周期的に有する微細凹凸構造付シート1。
【選択図】図2

Description

本発明は、微細凹凸構造付シート、無機材料充填シート、微細凹凸構造付レジストシート、微細凹凸構造付基板、及び、微細凹凸構造付基板の製造方法に関する。
表面に微細凹凸構造を有する微細凹凸構造付シート(中間スタンパ)において、シート内に基板との位置合わせ用のマークが設けられている微細凹凸構造付シートが知られている(例えば、特許文献1参照)。
このような、微細凹凸構造を有する微細凹凸構造付シートを用いることで、基板へ微細凹凸構造を転写することができる。
このとき、マークに基づいて、微細凹凸構造付シートと基板とを正確に位置合せすることができる。
特開2011−240643号公報
ところで、従来の構成では、転写先の基板のオリエンテーション・フラット(以下、オリフラという)に対する微細凹凸構造の向きを適切に判別することができない。すなわち、基板の結晶方位と、微細凹凸構造の向きとを所定角度に適切に合わせることができず、基板を備えた半導体発光素子(LED等)の特性にばらつきが生じる。
また、従来の構成では、基板とシートとの位置合わせのマークが点状であり、視認性に欠けるため、欠陥検査時の基準点として使用できない。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、基板のオリフラに対する微細凹凸構造の向きを適切に判別することができる微細凹凸構造付シート、無機材料充填シート、微細凹凸構造付レジストシート、及び、基板のオリフラに対する微細凹凸構造の向きのばらつきを適切に抑制できる微細凹凸構造付基板、並びに、微細凹凸構造付基板の製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、表面に周期的な微細凹凸構造を有する微細凹凸構造付シートであって、前記微細凹凸構造が、少なくとも2種類以上の異なる配列パターンを有し、前記微細凹凸構造付シートの表面の幅方向に亘り、線状のマークを、前記微細凹凸構造付シートの長手方向に周期的に有することを特徴とする。
本発明では、前記線状のマークが、直線状であることが好ましい。
また、本発明では、前記配列パターンが、同じ前記マークの位置で全列、切替わっていることが好ましい。
また、本発明における無機材料充填シートは、上記に記載の前記微細凹凸構造付シートの凹部の少なくとも一部に、無機材料を充填してなる無機材料層が形成されたことを特徴とする。
また、本発明における微細凹凸構造付レジストシートは、上記に記載の前記無機材料充填シートの前記無機材料層を覆うように、エネルギー線硬化性樹脂で構成される接着層が形成されたことを特徴する。
また、本発明は、主面に周期的な微細凹凸構造を有する微細凹凸構造付基板であって、前記微細凹凸構造が、少なくとも2種類以上の異なる配列パターンを有し、前記微細凹凸構造付基板の主面の少なくとも一方向に、線状のマークを、1つ以上有することを特徴とする。
本発明では、前記線状のマークが、直線状に設けられることが好ましい。
また、本発明では、前記配列パターンが、同じ前記マークの位置で全列、切替わっていることが好ましい。
また、本発明は、上記に記載の微細凹凸構造付シートを用いた、微細凹凸構造付基板の製造方法であって、(1) 基板に接着層を塗布する工程、(2) 接着層が塗布された基板に、前記微細凹凸構造付シートを押圧しながら、エネルギー線照射を行う工程、(3) 前記基板と前記微細凹凸構造付シートが前記接着層を介して一体となった積層体から前記微細凹凸構造付シートのみを剥離し、前記基板上に前記接着層からなる微細凹凸構造を転写する工程、(4) (3)で転写された前記接着層からなる微細凹凸構造をマスクとしたドライエッチングにより、微細凹凸構造付基板を得る工程、の各工程を、この順で含むことを特徴とする。
また、本発明は、上記に記載の無機材料充填シートを用いた、微細凹凸構造付基板の製造方法であって、(1) 基板に接着層を塗布する工程、(2) 接着層が塗布された基板に前記無機材料充填シートを押圧しながら、エネルギー線照射を行う工程、(3) 前記基板と前記無機材料充填シートが前記接着層を介して一体となった積層体から前記微細凹凸構造付シートのみを剥離し、前記基板上に無機材料層と接着層からなる微細凹凸構造を転写する工程、(4) (3)で転写された無機材料層と接着層からなる微細凹凸構造をマスクとしたドライエッチングにより、微細凹凸構造付基板を得る工程、の各工程を、この順で含むことを特徴とする。
また、本発明は、上記に記載の微細凹凸構造付レジストシートを用いた、微細凹凸構造付基板の製造方法であって、(1) 基板に前記微細凹凸構造付レジストシートを貼合する工程、(2) 前記基板と前記微細凹凸構造付レジストシートの積層体にエネルギー線照射を行う工程、(3) 前記積層体から前記微細凹凸構造付シートのみを剥離し、前記基板上に無機材料層と接着層からなる微細凹凸構造を転写する工程、(4) (3)で転写された無機材料層と接着層からなる微細凹凸構造をマスクとしたドライエッチングにより、微細凹凸構造付基板を得る工程、の各工程を、この順で含むことを特徴とする。
本発明の微細凹凸構造付シート、無機材料充填シート、及び、微細凹凸構造付レジストシートによれば、転写先の基板のオリフラに対する微細凹凸構造の向きを適切に判別することができる。
また、本発明の微細凹凸構造付基板によれば、基板のオリフラに対する微細凹凸構造の向きのばらつきを適切に抑制できる。
また、本発明では、マークをラインで視認でき、したがって、視認性が向上し、欠陥検査時の基準位置として使用できる。
第1の実施の形態の微細凹凸構造付シートの表面の一部を示す電子顕微鏡写真である。 図1のA領域の模式図である。 実施の形態の微細凹凸構造付シート(微細凹凸構造付基板)の特徴部分を説明するための模式図である。 第2の実施の形態の微細凹凸構造付シートの表面の一部を示す電子顕微鏡写真である。 図4のB領域の模式図である。 本実施の形態に係る無機材料充填シートを示す断面模式図である。 凹凸構造の一例を示す断面図である。 凹凸構造の一例を示す断面図である。 微細凹凸構造付基板の製造工程を示す断面図である。 微細凹凸構造を具備した微細凹凸構造付基板上に成膜される第1半導体層の成長過程を示す模式図(部分断面図)である。 本実施の形態に係る露光装置の概略構成図である。 本実施の形態に係る半導体発光素子の断面模式図である。 比較例の配列パターンを示す模式図である。
以下、本発明の一実施の形態(以下、「実施の形態」と略記する。)について、詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
以下、本実施の形態に係る微細凹凸構造付シートについて詳細に説明する。なお、微細凹凸構造付シートと、微細凹凸構造付基板とで、技術的特徴に大きな差はないが、以下では、微細凹凸構造付シートを中心に説明し、その後、微細凹凸構造付基板については補足して説明する。
(微細凹凸構造付シート)
本実施の形態に係る微細凹凸構造付シートは、後述する露光装置を用いて製造されるものであり、微細凹凸構造付基板に対する中間スタンパ等として用いられる。微細凹凸構造付シートは、表面に周期的な微細凹凸構造を有する可撓性シートである。本実施の形態に係る微細凹凸構造付シートは、以下の特徴を有している。
(1) 微細凹凸構造が、少なくとも2種類以上の異なる配列パターンを有する。
(2) 微細凹凸構造付シートの表面の幅方向に亘り、線状のマークを、微細凹凸構造付シートの長手方向に周期的に有する。
「異なる配列パターン」とは、微細凹凸構造の凸部と凹部との配列順が異なったり、凸部径や凹部径が異なっていたり、凹部及び凸部の形状が異なる場合等を指す。
「線状のマーク」については、後で詳述するが、目視や顕微鏡を通して、ライン状に見えるものであれば、断続的な線も「マーク」に含まれる。
また、上記(2)における、微細凹凸構造付シートの「幅方向」と、「長手方向」とは、互いに交差する方向であり、好ましくは直交する方向である。よって、線状のラインは、シート表面の幅方向に延出して設けられており、長手方向に間隔を空けて複数配置されている。この点、線状ラインが少なくとも一つ以上で、特にライン方向を問わない微細凹凸構造付基板とは異なる。
図1は、微細凹凸構造付シートの表面の一部を示す電子顕微鏡写真であり、微細凹凸構造のパターンは一例である。また、図2は、図1のA領域の模式図である。
図1、図2に示すように、微細凹凸構造付シート1の表面1aには、微細凹凸構造2を有する。図1、図2に示す円形状のドットは、微細凹凸構造2を構成する凸部であってもよいし、凹部であってもよい。ここでは、どちらでもよいことを意味して、以下、ドット3と表記する。
本実施の形態の特徴は、図3の図面がわかりやすいので、図3を用いて本実施の形態の微細凹凸構造付シート1を用いて説明する。
図3に示すように、微細凹凸構造付シート1の表面1aには、例えば、3種類の異なる配列パターンA、B、Cが設けられている。なお、異なる配列パターンは、複数あればよいので、2種類でもよく、4種類以上であってもよい。
図3に示すように、各配列パターンA、B、Cは、夫々、図示上下方向に、ドットが異なる周期にて配列されている。図示上下方向が、微細凹凸構造付シート1の長手方向(Y方向)である。
図3に示すように、長手方向(Y方向)に対して直交する方向が、微細凹凸構造付シート1の幅方向であり、各配列パターンA、B、Cが、幅方向(X方向)に並設されている。
図3に示す線状のマークとしてのライン(以下では、Zラインと称する)が存在し、このZラインにて、必ず配列パターンA、B、Cが切り替わっている。すなわち、図3に示すZラインの図示上側と図示下側とで配列パターンが変化しており、例えば、配列パターンAは、Zラインを介して、配列パターンBに切り替わっている。
図3に示すZラインは、簡易的に図示したものであるが、本実施の形態では、目視或いは顕微鏡を通して配列パターンが切替わるラインを識別することが可能である。
Zラインは、微細凹凸構造付シート1の長手方向(Y方向)に周期的に有する。したがって、図3では、一つのZラインのみが図示されているが、実際には、長手方向に間隔を空けて複数本のZラインが存在している。
Zラインは、曲線状であってもよいが、直線状であることが本発明の効果を高めるうえで好ましい。
本実施の形態では、配列パターンが切り替わる箇所は、光学的に周囲の一般部と異なる。このため、Zラインを、例えば、目視や、低倍率の顕微鏡で検出が可能である。実際には、図1及び図2に示すように、Zライン上に存在するドット7は、周囲に位置するドット形状とは異なっており、このようなドット7が、複数、幅方向(X方向)に配列されることで、目視や顕微鏡を通して、ライン状にて識別することができる。なお、図1や図2では、Zラインを点線で示したが、Zラインが点線で見えることを意味するものでなく、Zラインは光学的な線として識別可能であり、あるいは断続的な線状にて現れてもかまわない。
図4及び図5では、図1及び図2と異なる配列パターンの微細凹凸構造2を備えている。図4及び図5においても、表面に、微細凹凸構造2を備え、配列パターンが切替わる、線状のマークとしてのZラインを識別することができる。
図4及び図5に示すように、Zライン上では、ドット3が他の領域よりも余計に間引かれて大きな歯抜け部6が形成されている。歯抜け部6は、Zライン上に所定間隔にて複数、存在し、該歯抜け部6を、目視、或いは顕微鏡を通して、直線ラインにて識別することができる。
本実施の形態では、Zラインは、微細凹凸構造付シート1の微細凹凸構造2の向きに対応づけられている。例えば、図2に図示したが、ドット3が抜けている部分は、正六角形の各頂点に位置している。本実施の形態では、Zラインにより、正六角形の向きを識別することができる。
したがって、本実施の形態の微細凹凸構造付シート1を用いて、基板側に微細凹凸構造2を転写する際に、基板のオリフラに対して、Zラインの方向を調整することで、オリフラに対する微細凹凸構造2の向きを所定角度に合わせることができ、これにより、所望の光学特性を有する微細凹凸構造付基板を得ることが可能になる。
また、本実施の形態では、マークをラインで視認でき、したがって、視認性が向上し、欠陥検査時の基準位置として使用できる。
本実施の形態における微細凹凸構造付シート1は、例えば、シート基材の表面に形成された樹脂層に微細凹凸構造2が形成された構成である。
(シート基材)
シート基材10(図6参照)の材質に関しては特に制限はなく、ガラス、セラミック、金属等の無機材料、プラスチック等の有機材料を問わず使用できる。成形体の用途に応じて、板、シート、フィルム、薄膜、織物、不織布、その他任意の形状およびこれらを複合化したものを使用できるが、屈曲性を有し連続生産性に優れたシート、フィルム、薄膜、織物、不織布等を含むことが特に好ましい。
屈曲性を有する材質としては、たとえば、ポリメタクリル酸メチル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、シクロオレフィン樹脂(COP)、架橋ポリエチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、変性ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエーテルサルフォン樹脂、ポリサルフォン樹脂、ポリエーテルケトン樹脂などの非晶性熱可塑性樹脂や、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、芳香族ポリエステル樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリアミド樹脂などの結晶性熱可塑性樹脂や、アクリル系、エポキシ系、ウレタン系などの紫外線(UV)硬化性樹脂や熱硬化性樹脂が挙げられる。また、紫外線硬化性樹脂や熱硬化性樹脂と、ガラスなどの無機基板、上記熱可塑性樹脂、トリアセテート樹脂とを組み合わせるか、または単独で用いてシート基材10を構成することもできる。特に、貼合性の向上、かつ、連続的に基板20(図9参照)を加工する点で、シート基材はフィルム(リール状)であることが好ましい。
シート基材10と樹脂層11との接着性を向上させるため、樹脂層11を設けるシート基材10の一主面上に、樹脂層11との化学結合や、浸透などの物理的結合のための易接着コーティング、プライマー処理、コロナ処理、プラズマ処理、UV/オゾン処理、高エネルギー線照射処理、表面粗化処理、多孔質化処理などを施してもよい。
(樹脂層)
樹脂層11は、転写精度の観点から、シリコーンに代表されるポリジメチルシロキサン(PDMS)からなる樹脂またはフッ素含有樹脂で構成されているか、樹脂層11の凹凸構造上に離型層が形成されていれば特に限定されないが、フッ素含有樹脂で構成されることがより好ましい。フッ素含有樹脂は、フッ素元素を含有しており、かつ、水に対する接触角が90度より大きければ特に限定されない。ただし、無機材料層12を基板20に転写する際の転写精度の観点から、水に対する接触角は95度以上がより好ましく、100度以上がなお好ましい。
また、樹脂層11中の樹脂表面(凹凸構造付近)のフッ素濃度(Es)を、樹脂層11中の平均フッ素濃度(Eb)より大きくすることで、樹脂表面は自由エネルギーの低さゆえに転写材樹脂や、後述する無機材料層12および接着層30(13)との離型性に優れ、かつ、ナノメートルサイズの凹凸形状を繰り返し樹脂/樹脂転写できる離型性に優れる樹脂層11が得られるとともに、シート基材10付近では自由エネルギーを高く保つことで、接着性を向上することができる。
さらに、樹脂層11を構成する樹脂中の平均フッ素元素濃度(Eb)と樹脂層11表面部のフッ素元素濃度(Es)との比が1<Es/Eb≦30000を満たすことで、上記効果をより発揮するためより好ましい。特に、3≦Es/Eb≦1500、10≦Es/Eb≦100の範囲となるにしたがって、より離型性が向上するため好ましい。
なお、上記する最も広い範囲(1<Es/Eb≦30000)の中にあって、20≦Es/Eb≦200の範囲であれば、樹脂層11表面部のフッ素元素濃度(Es)が、樹脂層11中の平均フッ素濃度(Eb)より十分高くなり、樹脂表面の自由エネルギーが効果的に減少するので、転写材樹脂や、後述する無機材料層12および接着層30(13)との離型性が向上する。また、樹脂層11中の平均フッ素元素濃度(Eb)を樹脂層11表面部のフッ素元素濃度(Es)に対して相対的に低くすることにより、樹脂自体の強度が向上するとともに、樹脂層11中におけるシート基材10付近では、自由エネルギーを高く保つことができるので、シート基材10との密着性が向上する。これにより、シート基材10との密着性に優れるとともに、後述する無機材料層12との離型性に優れ、しかも、ナノメートルサイズの凹凸形状を樹脂から樹脂へ繰り返し転写できる樹脂層11を得ることができるので特に好ましい。
また、26≦Es/Eb≦189の範囲であれば、樹脂層11表面の自由エネルギーをより低くすることができ、繰り返し転写性が良好になるため好ましい。さらに、30≦Es/Eb≦160の範囲であれば、樹脂層11表面の自由エネルギーを減少させるとともに、樹脂の強度を維持することができ、繰り返し転写性がより向上するため好ましく、31≦Es/Eb≦155であればより好ましい。46≦Es/Eb≦155であれば、上記効果をより一層発現できるため好ましい。
また、樹脂層11において、後述する無機材料層12面側領域のフッ素元素濃度(Es)は、樹脂層11を構成する樹脂中の平均フッ素濃度(Eb)より高くなっている。ここで、樹脂層11の無機材料層12面側領域とは、たとえば、樹脂層11の無機材料層12面側表面から、シート基材10側に向かって、略1〜10%厚み方向に侵入した部分、または厚み方向に2nm〜20nm侵入した部分を意味する。
なお、樹脂層11の無機材料層12面側領域のフッ素元素濃度(Es)は、XPS法により定量できる。XPS法のX線の浸入長は数nmと浅いため、Es値を定量する上で適している。他の解析手法として、透過型電子顕微鏡を使ったエネルギー分散型X線分光法(TEM―EDX)を用いて、Es/Ebを算出することもできる。また、樹脂層11を構成する樹脂中の平均フッ素濃度(Eb)は、仕込み量から計算することができる。
さらに、樹脂層11を構成する樹脂中の平均フッ素濃度(Eb)は、ガスクロマトグラフ質量分析計(GC/MS)で測定することができる。たとえば、樹脂層11を物理的に剥離してガスクロマトグラフ質量分析にかけることで、平均フッ素元素濃度(Eb)を同定することができる。一方、樹脂層11を物理的に剥離した切片を、フラスコ燃焼法にて分解し、続いてイオンクロマトグラフ分析にかけることでも、樹脂中の平均フッ素元素濃度(Eb)を同定することができる。
樹脂層11を構成する樹脂のうち、光重合可能なラジカル重合系の樹脂としては、非フッ素含有の(メタ)アクリレート、フッ素含有(メタ)アクリレートおよび光重合開始剤の混合物である硬化性樹脂組成物を用いることが好ましい。この硬化性樹脂組成物を用いることで、表面自由エネルギーの低い疎水性界面などに該組成物を接触させた状態で上記組成物を硬化させると、樹脂層11表面部のフッ素元素濃度(Es)を、樹脂層11を構成する樹脂中の平均フッ素元素濃度(Eb)より大きくでき、さらには樹脂中の平均フッ素元素濃度(Eb)をより小さくするように調整することができる。
(A)(メタ)アクリレート
(メタ)アクリレートとしては、後述する(B)フッ素含有(メタ)アクリレート以外の重合性モノマーであれば制限はないが、アクリロイル基またはメタクリロイル基を有するモノマー、ビニル基を有するモノマー、アリル基を有するモノマーが好ましく、アクリロイル基またはメタクリロイル基を有するモノマーがより好ましい。そして、それらは非フッ素含有のモノマーであることが好ましい。なお、(メタ)アクリレートはアクリレートまたはメタアクリレートを意味する。
また、重合性モノマーとしては、重合性基を複数具備した多官能性モノマーであることが好ましく、重合性基の数は、重合性に優れることから1〜4の整数が好ましい。また、2種類以上の重合性モノマーを混合して用いる場合、重合性基の平均数は1〜3が好ましい。単一モノマーを使用する場合は、重合反応後の架橋点を増やし、硬化物の物理的安定性(強度、耐熱性等)を得るため、重合性基の数が3以上のモノマーであることが好ましい。また、重合性基の数が1または2であるモノマーの場合、重合性数の異なるモノマーと併用して使用することが好ましい。
(メタ)アクリレートモノマーの具体例としては、下記の化合物が挙げられる。アクリロイル基またはメタクリロイル基を有するモノマーとしては、(メタ)アクリル酸、芳香族系の(メタ)アクリレート[フェノキシエチルアクリレート、ベンジルアクリレート等。]、炭化水素系の(メタ)アクリレート[ステアリルアクリレート、ラウリルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、アリルアクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタアエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等。]、エーテル性酸素原子を含む炭化水素系の(メタ)アクリレート[エトキシエチルアクリレート、メトキシエチルアクリレート、グリシジルアクリレート、テトラヒドロフルフリールアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ポリオキシエチレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート等。]、官能基を含む炭化水素系の(メタ)アクリレート[2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、N,N−ジエチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、N−ビニルピロリドン、ジメチルアミノエチルメタクリレート等。]、シリコーン系のアクリレート等。他には、EO変性グリセロールトリ(メタ)アクリレート、ECH変性グリセロールトリ(メタ)アクリレート、PO変性グリセロールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、EO変性リン酸トリアクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、PO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、EO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールエトキシテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(メタ)アクリレート、ジメチロールジシクロペンタンジ(メタ)アクリレート、ジ(メタ)アクリル化イソシアヌレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、EO変性1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ECH変性1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、アリロキシポリエチレングリコールアクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、EO変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、PO変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、EO変性ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、ECH変性ヘキサヒドロフタル酸ジアクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、EO変性ネオペンチルグリコールジアクリレート、PO変性ネオペンチルグリコールジアクリレート、カプロラクトン変性ヒドロキシピバリン酸エステルネオペンチルグリコール、ステアリン酸変性ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ECH変性プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ECH変性フタル酸ジ(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール−テトラメチレングリコール)ジ(メタ)アクリレート、ポリ(プロピレングリコール−テトラメチレングリコール)ジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、シリコーンジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエステル(ジ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール変性トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリグリセロールジ(メタ)アクリレート、EO変性トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジビニルエチレン尿素、ジビニルプロピレン尿素、2−エチル−2−ブチルプロパンジオールアクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシルカルビトール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、アクリル酸ダイマー、ベンジル(メタ)アクリレート、ブタンジオールモノ(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、EO変性クレゾール(メタ)アクリレート、エトキシ化フェニル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、メトキシトリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールベンゾエート(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、パラクミルフェノキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、ECH変性フェノキシアクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシヘキサエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシテトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、EO変性コハク酸(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、トリブロモフェニル(メタ)アクリレート、EO変性トリブロモフェニル(メタ)アクリレート、トリドデシル(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸EO変性ジおよびトリアクリレート、ε―カプロラクトン変性トリス(アクロキシエチル)イソシアヌレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート等が挙げられる。アリル基を有するモノマーとしては、p−イソプロペニルフェノール、ビニル基を有するモノマーとしては、スチレン、α−メチルスチレン、アクリロニトリル、ビニルカルバゾール等が挙げられる。なお、EO変性とはエチレンオキシド変性をECH変性とはエピクロロヒドリン変性を、PO変性とはプロピレンオキシド変性を意味する。
(B)フッ素含有(メタ)アクリレート
フッ素含有(メタ)アクリレートとしては、ポリフルオロアルキレン鎖および/またはペルフルオロ(ポリオキシアルキレン)鎖と、重合性基とを有することが好ましく、直鎖状ペルフルオロアルキレン基、または炭素原子−炭素原子間にエーテル性酸素原子が挿入されかつトリフルオロメチル基を側鎖に有するペルフルオロオキシアルキレン基がさらに好ましい。また、トリフルオロメチル基を分子側鎖または分子構造末端に有する直鎖状のポリフルオロアルキレン鎖および/または直鎖状のペルフルオロ(ポリオキシアルキレン)鎖が特に好ましい。
ポリフルオロアルキレン鎖は、炭素数2〜炭素数24のポリフルオロアルキレン基が好ましい。また、ポリフルオロアルキレン基は、官能基を有していてもよい。
ペルフルオロ(ポリオキシアルキレン)鎖は、(CFCFO)単位、(CFCF(CF)O)単位、(CFCFCFO)単位および(CFO)単位からなる群から選ばれた1種以上のペルフルオロ(オキシアルキレン)単位からなることが好ましく、(CFCFO)単位、(CFCF(CF)O)単位、または(CFCFCFO)単位からなることがより好ましい。ペルフルオロ(ポリオキシアルキレン)鎖は、含フッ素重合体の物性(耐熱性、耐酸性等)が優れることから、(CFCFO)単位からなることが特に好ましい。ペルフルオロ(オキシアルキレン)単位の数は、含フッ素重合体の離型性と硬度が高いことから、2〜200の整数が好ましく、2〜50の整数がより好ましい。
重合性基としては、ビニル基、アリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、エポキシ基、ジオキタセン基、シアノ基、イソシアネート基または式−(CH)aSi(M1)3−b(M2)で表される加水分解性シリル基が好ましく、アクリロイル基またはメタクリロイル基がより好ましい。ここで、M1は加水分解反応により水酸基に変換される置換基である。このような置換基としては、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシロキシ基等が挙げられる。ハロゲン原子としては、塩素原子が好ましい。アルコキシ基としては、メトキシ基またはエトキシ基が好ましく、メトキシ基がより好ましい。M1としては、アルコキシ基が好ましく、メトキシ基がより好ましい。M2は、1価の炭化水素基である。M2としては、アルキル基、1以上のアリール基で置換されたアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、アリール基等が挙げられ、アルキル基またはアルケニル基が好ましい。M2がアルキル基である場合、炭素数1〜炭素数4のアルキル基が好ましく、メチル基またはエチル基がより好ましい。M2がアルケニル基である場合、炭素数2〜炭素数4のアルケニル基が好ましく、ビニル基またはアリル基がより好ましい。aは1〜3の整数であり、3が好ましい。bは0または1〜3の整数であり、0が好ましい。加水分解性シリル基としては、(CHO)SiCH−、(CHCHO)SiCH−、(CHO)Si(CH−または(CHCHO)Si(CH−が好ましい。
重合性基の数は、重合性に優れることから1〜4の整数が好ましく、1〜3の整数がより好ましい。2種以上の化合物を用いる場合、重合性基の平均数は1〜3が好ましい。
フッ素含有(メタ)アクリレートは、官能基を有すると透明基板との密着性に優れる。官能基としては、カルボキシル基、スルホン酸基、エステル結合を有する官能基、アミド結合を有する官能基、水酸基、アミノ基、シアノ基、ウレタン基、イソシアネート基、イソシアヌル酸誘導体を有する官能基等が挙げられる。特に、カルボキシル基、ウレタン基、イソシアヌル酸誘導体を有する官能基の少なくとも1つの官能基を含むことが好ましい。なお、イソシアヌル酸誘導体には、イソシアヌル酸骨格を有するもので、窒素原子に結合する少なくとも1つの水素原子が他の基で置換されている構造のものが包含される。フッ素含有(メタ)アクリレートとしては、フルオロ(メタ)アクリレート、フルオロジエン等を用いることができる。フッ素含有(メタ)アクリレートの具体例としては、下記の化合物が挙げられる。
フルオロ(メタ)アクリレートとしては、CH=CHCOO(CH(CF10F、CH=CHCOO(CH(CFF、CH=CHCOO(CH(CFF、CH=C(CH)COO(CH(CF10F、CH=C(CH)COO(CH(CFF、CH=C(CH)COO(CH(CFF、CH=CHCOOCH(CFF、CH=C(CH)COOCH(CFF、CH=CHCOOCH(CFF、CH=C(CH)COOCH(CFF、CH=CHCOOCHCFCFH、CH=CHCOOCH(CFCFH、CH=CHCOOCH(CFCFH、CH=C(CH)COOCH(CFCF)H、CH=C(CH)COOCH(CFCFH、CH=C(CH)COOCH(CFCFH、CH=CHCOOCHCFOCFCFOCF、CH=CHCOOCHCFO(CFCFO)CF、CH=C(CH)COOCHCFOCFCFOCF、CH=C(CH)COOCHCFO(CFCFO)CF、CH=CHCOOCHCF(CF)OCFCF(CF)O(CFF、CH=CHCOOCHCF(CF)O(CFCF(CF)O)(CFF、CH=C(CH)COOCHCF(CF)OCFCF(CF)O(CFF、CH=C(CH)COOCHCF(CF)O(CFCF(CF)O)(CFF、CH=CFCOOCHCH(OH)CH(CFCF(CF、CH=CFCOOCHCH(CHOH)CH(CFCF(CF、CH=CFCOOCHCH(OH)CH(CF10F、CH=CFCOOCHCH(OH)CH(CF10F、CH=CHCOOCHCH(CFCFCHCHOCOCH=CH、CH=C(CH)COOCHCH(CFCFCHCHOCOC(CH)=CH、CH=CHCOOCHCyFCHOCOCH=CH、CH=C(CH)COOCHCyFCHOCOC(CH)=CH等のフルオロ(メタ)アクリレートが挙げられる(但し、CyFはペルフルオロ(1,4−シクロへキシレン基)を示す。)。
フルオロジエンとしては、CF=CFCFCF=CF、CF=CFOCFCF=CF、CF=CFOCFCFCF=CF、CF=CFOCF(CF)CFCF=CF、CF=CFOCFCF(CF)CF=CF、CF=CFOCFOCF=CF、CF=CFOCFCF(CF)OCFCF=CF、CF=CFCFC(OH)(CF)CHCH=CH、CF=CFCFC(OH)(CF)CH=CH、CF=CFCFC(CF)(OCHOCH)CHCH=CH、CF=CFCHC(C(CFOH)(CF)CHCH=CH等のフルオロジエンが挙げられる。
なお、本発明で用いるフッ素含有(メタ)アクリレートは、下記化学式(1)で示されるフッ素含有ウレタン(メタ)アクリレートであると、樹脂中の平均フッ素元素濃度(Eb)を低くした状態で、効果的に樹脂層11表面部のフッ素元素濃度(Es)を高くでき、基材への接着性と離型性を一層効果的に発現できるため、より好ましい。このようなウレタン(メタ)アクリレートとしては、たとえば、ダイキン工業社製の「オプツールDAC」を用いることができる。
フッ素含有(メタ)アクリレートは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、耐摩耗性、耐傷付き、指紋付着防止、防汚性、レベリング性や撥水撥油性等の表面改質剤との併用もできる。たとえば、ネオス社製「フタージェント」(たとえば、Mシリーズ:フタージェント251、フタージェント215M、フタージェント250、FTX−245M、FTX−290M;Sシリーズ:FTX−207S、FTX−211S、FTX−220S、FTX−230S;Fシリーズ:FTX−209F、FTX−213F、フタージェント222F、FTX−233F、フタージェント245F;Gシリーズ:フタージェント208G、FTX−218G、FTX−230G、FTS−240G;オリゴマーシリーズ:フタージェント730FM、フタージェント730LM;フタージェントPシリーズ:フタージェント710FL、FTX−710HL、等)、DIC社製「メガファック」(たとえば、F−114、F−410、F−493、F−494、F−443、F−444、F−445、F−470、F−471、F−474、F−475、F−477、F−479、F−480SF、F−482、F−483、F−489、F−172D、F−178K、F−178RM、MCF−350SF、等)、ダイキン社製「オプツールTM」(たとえば、DSX、DAC、AES)、「エフトーンTM」(たとえば、AT−100)、「ゼッフルTM」(たとえば、GH−701)、「ユニダインTM」、「ダイフリーTM」、「オプトエースTM」、住友スリーエム社製「ノベックEGC−1720」、フロロテクノロジー社製「フロロサーフ」、等が挙げられる。
フッ素含有(メタ)アクリレートは、分子量Mwが50〜50000であることが好ましく、相溶性の観点から分子量Mwが50〜5000であることが好ましく、分子量Mwが100〜5000であることがより好ましい。相溶性の低い高分子量を使用する際は希釈溶剤を使用しても良い。希釈溶剤としては、単一溶剤の沸点が40℃〜180℃の溶剤が好ましく、60℃〜180℃がより好ましく、60℃〜140℃がさらに好ましい。希釈剤は2種類以上使用もよい。
溶剤含量は、少なくとも硬化性樹脂組成物中で分散する量であればよく、硬化性組成物100重量部に対して0重量部超〜50重量部が好ましい。乾燥後の残存溶剤量を限りなく除去することを配慮すると、溶剤含量は0重量部超〜10重量部がより好ましい。
特に、レベリング性を向上させるために溶剤を含有する場合は、(メタ)アクリレート100重量部に対して、溶剤含量が0.1重量部以上40重量部以下であれば好ましい。溶剤含量が0.5重量部以上20重量部以下であれば、光重合性混合物の硬化性を維持できるためより好ましく、1重量部以上15重量部以下であれば、さらに好ましい。光重合性混合物の膜厚を薄くするために溶剤を含有する場合は、(メタ)アクリレート100重量部に対して、溶剤含量が300重量部以上10000重量部以下であれば、塗工後の乾燥工程での溶液安定性を維持できるため好ましく、300重量部以上1000重量部以下であればより好ましい。
(C)光重合開始剤
光重合開始剤は、光によりラジカル反応またはイオン反応を引き起こすものであり、ラジカル反応を引き起こす光重合開始剤が好ましい。光重合開始剤としては、下記の光重合開始剤が挙げられる。
アセトフェノン系の光重合開始剤:アセトフェノン、p−tert−ブチルトリクロロアセトフェノン、クロロアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、ヒドロキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2’−フェニルアセトフェノン、2−アミノアセトフェノン、ジアルキルアミノアセトフェノン等。ベンゾイン系の光重合開始剤:ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−2−メチルプロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール等。ベンゾフェノン系の光重合開始剤:ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、メチル−o−ベンゾイルベンゾエート、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、ヒドロキシプロピルベンゾフェノン、アクリルベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、ペルフルオロベンゾフェノン等。チオキサントン系の光重合開始剤:チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、ジエチルチオキサントン、ジメチルチオキサントン等。アントラキノン系の光重合開始剤:2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−tert−ブチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン、2−アミルアントラキノン。ケタール系の光重合開始剤:アセトフェノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタール。その他の光重合開始剤:α−アシルオキシムエステル、ベンジル−(o−エトキシカルボニル)−α−モノオキシム、アシルホスフィンオキサイド、グリオキシエステル、3−ケトクマリン、2−エチルアンスラキノン、カンファーキノン、テトラメチルチウラムスルフィド、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルペルオキシド、ジアルキルペルオキシド、tert−ブチルペルオキシピバレート等。フッ素原子を有する光重合開始剤:ペルフルオロtert−ブチルペルオキシド、ペルフルオロベンゾイルペルオキシド等、の公知慣用の光重合開始剤を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
光重合性混合物は、光増感剤を含んでいてもよい。光増感剤の具体例としては、n−ブチルアミン、ジ−n−ブチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン、アリルチオ尿素、s−ベンジスイソチウロニウム−p−トルエンスルフィネート、トリエチルアミン、ジエチルアミノエチルメタクリレート、トリエチレンテトラミン、4,4’−ビス(ジアルキルアミノ)ベンゾフェノン、N,N−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、N,N−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル、ペンチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、トリエチルアミン、トリエタノールアミンなどのアミン類のような公知慣用の光増感剤の1種あるいは2種以上と組み合わせて用いることができる。
市販されている開始剤の例としては、BASFジャパン(株)製の「Irgacure(登録商標)」(たとえば、Irgacure651、184、500、2959、127、754、907、369、379、379EG、819、1800、784、O26E01、O26E02)や「Darocur(登録商標)」(たとえば、Darocur1173、MBF、TPO、4265)等が挙げられる。
光重合開始剤は、1種のみを単独で用いても、2種類以上を併用してもよい。2種類以上併用する場合には、フッ素含有(メタ)アクリレートの分散性ならびに光重合性混合物の凹凸構造表面部および内部の硬化性の観点から選択するとよい。たとえば、αヒドロキシケトン系光重合開始剤とαアミノケトン系光重合開始剤とを併用することが挙げられる。また、2種類併用する場合の組み合わせとしては、たとえば、BASFジャパン(株)製の「Irgacure」同士、「Irgacure」と「Darocur」の組み合わせとして、Darocur1173とIrgacure819、Irgacure379とIrgacure127、Irgacure819とIrgacure127、Irgacure250とIrgacure127、Irgacure184とIrgacure369、Irgacure184とIrgacure379EG、Irgacure184とIrgacure907、Irgacure127とIrgacure379EG、Irgacure819とIrgacure184、DarocurTPOとIrgacure184などが挙げられる。
本実施の形態における微細凹凸構造付シートを用いたナノインプリントリソグラフィ法により、後述する微細凹凸構造付基板を得ることができる。
例えば、微細凹凸構造付シートの凹部内に無機材料を充填した無機材料充填シートを作製し、接着層が表面に塗布された基板に対して無機材料充填シートを押圧し、エネルギー線照射することで、基材上に微細凹凸構造の逆パターンの無機材料及び接着層を転写する。その後、転写された無機材料及び接着層からなる微細凹凸構造をマスクとしてドライエッチングを行うことで、微細凹凸構造付基板を得ることができる。無機材料を微細凹凸構造付シートの凹部に充填せず、接着層が表面に塗布された基板に対して押圧し、エネルギー線照射することでも微細凹凸構造付基板を得ることができるが、微細凹凸構造付基板上の微細凹凸構造の面内均一性を観点から、接着層の残膜分布を均一にする必要があるため、無機材料充填シートを用いることが好ましい。
また、無機材料充填シートの無機材料層を覆うように接着層を塗布した微細凹凸構造付レジストシートを作製し、微細凹凸構造付レジストシートを基板に貼り合せ、エネルギー線照射することで、微細凹凸構造の逆パターンの無機材料及び接着層を基板に転写する。その後、転写された無機材料及び接着層からなる微細凹凸構造をマスクとしてドライエッチングを行うことでも、微細凹凸構造付基板を得ることができる。微細凹凸構造付レジストシートを用いた場合、基材へ接着層および無機材料層からなる凹凸構造を転写したときの、接着層の厚さが微細凹凸構造付レジストシートによって担保されるため、基材を精度良く加工することができる。
図6は、本実施の形態に係る無機材料充填シートを示す断面模式図である。図6Aに示すように、無機材料充填シートは、微細凹凸構造付シートと、樹脂層11の凹凸構造の凹部11b内に無機材料を充填して設けられた無機材料層12aと、樹脂層11の凹凸構造の凸部11a上に位置する無機材料層12bを具備する。なお、無機材料充填シートは、微細凹凸構造付1と同様に、上記した(1)(2)の特徴点を備えている。
樹脂層11には、特定方向に延在する単数(たとえば、ライン状)または複数(たとえば、ドット状)の凸部11aが、特定方向に直交する方向に沿って、互いに所定の間隔を隔てて設けられている。すなわち、凸部11aは、平面視においてシート基材10の全面にわたって複数形成されている。また、凸部11aは、積層体の厚み方向に沿った断面視(直交方向に垂直な断面でみたとき)において、図6Aに示すように、シート基材10の主面に対して垂直な方向に突出している。凸部11a間には、凹部11bが形成されている。この凸部11aおよび凹部11bで凹凸構造を構成している。
図6Aにおいて、凹凸構造の高さhは、凸部11aの長さ(高さ)または凹部11bの深さを意味する。また、凹凸構造の高さhは、凹部11b底部の位置と凸部11a頂部の位置(後述する位置(S))との最短距離である。凹凸構造の開口幅φと高さhとの比率h/φで示されるアスペクト比は、0.1〜2.5の範囲が好ましい。アスペクト比は、耐ドライエッチング性の観点から0.1以上の範囲が好ましく、0.5以上がより好ましい。また、アスペクト比は、レジスト転写精度の観点から2.5以下であることが好ましい。
図6Aにおける位置(S)は、凹凸構造の凸部11aの頂部の位置を意味する。なお、凹凸構造の高さにバラつきがある場合には、位置(S)は、各凸部11aの頂部位置の面内平均の位置を意味する。平均数としては、10点以上が好ましい。
図6Aにおける位置(Scc)は、凹凸構造の凹部11bの内部に形成された無機材料層12aの露出する表面の位置を意味する。凹部11b内部の無機材料層12aの露出する表面の位置にバラつきがある場合には、位置(Scc)は、凹部11bの無機材料層12aの表面位置の面内平均の位置を意味する。平均数としては、10点以上が好ましい。
また、凹部11b内部の無機材料層12aの露出する表面が曲面を形成する場合であって、この曲面が下に凸の曲面を形成する場合には、無機材料層12aの厚みが最も薄い場所をもって位置(Scc)とする。すなわち、無機材料層12aが樹脂層11の凹部11b内面壁に部分付着している場合であっても、無機材料層12aの最も低いところをもって位置(Scc)とする。また、この曲面が上に凸の曲面を形成する場合には、無機材料層12aの厚みが最も厚い場所をもって位置(Scc)とする。
図6Aにおける位置(Scv)は、凹凸構造の凸部11aの頂部に形成された無機材料層12bの頂面位置を意味する。無機材料層12bの頂面位置にバラつきがある場合には、位置(Scv)は、凸部11a上の無機材料層12bの頂面位置の面内平均の位置を意味する。平均数としては、10点以上が好ましい。
図6Aにおける距離lccは、位置(S)と位置(Scc)との距離を意味する。すなわち、樹脂層11の面内における複数の凸部11aの凹凸構造の高さhから樹脂層11の面内における凹部11b内の無機材料層12aの厚さを減じた値を意味する。したがって、面内において位置(S)や位置(Scc)にばらつきがある場合には、凹凸構造の高さhの平均値と無機材料層12aの厚さの平均値の両方、またはいずれか一方を用いる。この距離lccは、レジストパターンを基板20に転写した後に、レジストパターンを加工し、高アスペクト比のレジストパターンを得るという観点から、lcc<1.0hを満たす範囲にあるのが好ましい。
図7に示すように、凹凸構造における凸部11aの側面が樹脂層11の主面に対して垂直な方向に延在している場合、膜面内におけるlccのバラつきに関わらず、形成される無機材料層12の幅は常に一定で分布を持たない。このため、無機材料層12には耐ドライエッチング性が求められる。耐ドライエッチング性および転写の容易性の観点から、lcc≦0.9hが望ましい。より好ましくは、lcc≦0.7hであり、さらに好ましくは、lcc≦0.6hである。
一方、図8に示すように、凹凸構造における凸部11aの側面が樹脂層11の主面に対して垂直な方向から傾斜している場合、膜面内におけるlccのバラつきは、形成される無機材料層12の幅のバラつきへと影響を与える。無機材料層12の幅のバラつきは、基板20に形成される微細凹凸構造のバラつきへと繋がる。膜面内におけるlccのバラつきを小さくするという観点から、lccは、0<lccを満たす範囲にあるのが好ましく、0.02h≦lccがなお好ましい。さらに好ましくは、0.05h≦lccであり、特に0.1h≦lccが好ましい。
このような無機材料層12のlccの範囲を満たすことにより、接着層30を介し、基板20に押圧する際の押圧力を小さくできる。さらに、無機材料層12をマスクとして接着層30を加工できるため、押圧工程とエネルギー線照射工程とを、独立に行うことができる。
図6Aにおける距離lcvは、位置(S)と位置(Scv)との距離を意味する。すなわち、凹凸構造の凸部11a上の面内における無機材料層12bの厚さを意味する。したがって、面内において位置(S)や位置(Scv)にばらつきがある場合には、無機材料層12bの厚さの平均値を用いる。ドライエッチングによる無機材料層12b幅減少の観点から、lcvは、lcv≦0.05hであることが好ましい。なお、lcv≦0.02hであれば、ドライエッチングによるlcvの膜厚を持つ無機材料層12bを除去するのが一層容易であるため好ましく、lcv≦0.01hであるとより好ましい。ドライエッチングによるlcvの膜厚を持つ無機材料層12bを除去する必要がないことから、lcv=0であることが最も好ましい。
無機材料充填シートは、基板20表面に設けられた接着層30を介して基板20に接着される(図9B参照)。接着層30は、エネルギー線の照射により硬化する材料で構成される。
基板20上に接着層30を塗布する場合の接着層30の厚さは、無機材料充填シートの凹部11b体積以上となる厚さであると、貼合性が向上する。特に、ドライエッチング性の観点から、接着層30の厚さは、100nm〜1500nmの範囲であることが好ましく、150nm〜1000nmの範囲であることがより好ましく、さらに200nm〜700nmの範囲であると好ましい。
また、接着層30の膜厚ムラは、接着層30をエッチングした後の、基板20上の接着層30の幅バラつきの観点から、±25%範囲内であることが好ましく、±10%の範囲内であるとより好ましい。
ドライエッチングによる、無機材料層12のエッチングレート(Vm1)と、接着層30のエッチングレート(Vo1)との比率(Vo1/Vm1)は、無機材料層12をマスクとして接着層30をエッチングする際の加工精度に影響を与える。Vo1/Vm1>1は、無機材料層12が接着層30よりもエッチングされにくいことを意味するため、大きいほど好ましい。無機材料層12の塗工性の観点から、Vo1/Vm1≦150であることがこの好ましく、Vo1/Vm1≦100がより好ましい。耐エッチング性の観点から、3≦Vo1/Vm1であることが好ましく、10≦Vo1/Vm1であることがより好ましく、15≦Vo1/Vm1であることが、なお好ましい。
上記範囲を満たすことにより、無機材料層12をマスクとして、厚みのある接着層30を容易にドライエッチングによって微細加工することができる。また、接着層30に残膜厚分布があったとしても、接着層30のエッチングレートに比べて無機材料層12のエッチングレートの方が小さいため、接着層30の残膜厚分布を吸収することが可能となる。これにより、ドライエッチング微細加工された無機材料層12および接着層30からなる、アスペクト比の高いレジストを、基板20上に形成することができる。このような、アスペクト比の高いレジスト(無機材料層12および接着層30)を用いることで、基板20を容易にドライエッチング加工することができる。
一方、接着層30のエッチング時のエッチング異方性(横方向のエッチングレート(Vo//)と、縦方向のエッチングレート(Vo)との比率(Vo/Vo//)は、Vo/Vo//>1が好ましく、より大きいほど好ましい。接着層30のエッチングレートと、基板20のエッチングレートの比率にもよるが、Vo/Vo//≧2であることが好ましく、Vo/Vo//≧3.5であることがより好ましく、Vo/Vo//≧10であることがなお好ましい。なお、縦方向とは、接着層30の膜厚方向を意味し、横方向とは、接着層30の面方向を意味する。
ピッチがサブミクロン以下の領域においては、基板20を容易にドライエッチングするためには、接着層30の幅を大きく保つ必要がある。上記範囲を満たすことにより、ドライエッチング後の接着層30の幅(幹の太さ)を大きく保つことができるため、好ましい。
ドライエッチングによる、基板20のエッチングレート(Vi2)と、接着層30のエッチングレート(Vo2)との比率(Vo2/Vi2)は、小さいほど好ましい。Vo2/Vi2<1であれば、接着層30のエッチングレートの方が、基板20のエッチングレートよりも小さいため、基板20を容易に加工することができる。接着層30の塗工性および、エッチング精度の観点から、Vo2/Vi2≦3であることが好ましく、Vo2/Vi2≦2.5であるとより好ましい。Vo2/Vi2≦2であれば、接着層30を薄くできるためより好ましい。Vo2/Vi2<1であれば、最も好ましい。
図6Bは、本実施の形態に係る微細凹凸構造付レジストシートを示す断面模式図である。図6Bに示すように、微細凹凸構造付レジストシートは、樹脂層11上部を覆うように接着層13が設けられている。なお、樹脂層11上部を覆うとは、lcv=0の場合には無機材料層12aおよび凹凸構造の凸部11a上に接着層13が設けられることを意味し、lcv>0の場合には無機材料層12a,12b上に接着層13が設けられることを意味する。また、微細凹凸構造付レジストシートは、微細凹凸構造付1と同様に、上記した(1)(2)の特徴点を備えている。
接着層13を設けることにより、微細凹凸構造付レジストシートを使用して微細凹凸構造40(図9E参照)を基板20上に形成する際に、基板20上に接着層30を塗布することなく、微細凹凸構造付レジストシートを直接、基板20上に貼合することができる。これにより、ナノインプリント(転写)における転写材の充填や剥離といったノウハウを排除でき、かつ、一般的手法であるラミネートで転写を行えるため、より簡便に基板20上に微細凹凸構造を形成することが可能となる。
微細凹凸構造付レジストシートを使用することにより、容易に基板20に凹凸構造を加工できるとともに、過大な装置(設備)を排除することができる。さらに、微細凹凸構造付レジストシートを使用することにより、貼合後の接着層13の膜厚分布を、微細凹凸構造付レジストシートの接着層13の膜厚分布にて担保できるという利点がある。
接着層13の厚さ(lor)は、基板20との貼合性およびドライエッチング性の観点から、0nm<lor≦1500nmの範囲であることが好ましく、100nm≦lor≦1000nmの範囲であることがより好ましく、さらに好ましくは150nm≦lor≦1000nmの範囲である。ドライエッチング時の物理的安定性の観点から、接着層13の厚さは、200nm≦lor≦700nmの範囲であることが最も好ましい。
なお、接着層13の厚さ(lor)とは、位置(Scv)と接着層13の露出する表面位置(Sb)との距離を意味する。特に、lcv=0においては、接着(貼合)性および、基材への加工性が向上するため、好ましい。この場合、lcv=0における接着層13(lor)の厚さは、位置(S)と接着層13の露出する表面位置(Sb)との距離となる。
また、接着層13の膜厚ムラは、接着層13エッチング後の、基板20上の接着層13の幅バラつきの観点から、±25%nmの範囲内であることが好ましく、±10%の範囲内であるとより好ましい。
ドライエッチングによる、無機材料層12のエッチングレート(Vm1)と、接着層13のエッチングレート(Vo1)との比率(Vo1/Vm1)は、無機材料層12をマスクとして接着層13をエッチングする際の加工精度に影響を与える。Vo1/Vm1>1は、無機材料層12が接着層13よりもエッチングされにくいことを意味するため、大きいほど好ましい。無機材料層12の塗工性の観点から、Vo1/Vm1≦150であることがこの好ましく、Vo1/Vm1≦100がより好ましい。耐エッチング性の観点から、3≦Vo1/Vm1であることが好ましく、10≦Vo1/Vm1であることがより好ましく、15≦Vo1/Vm1であることが、なお好ましい。
上記範囲を満たすことにより、無機材料層12をマスクとして、厚みのある接着層13を容易にドライエッチングによって微細加工することができる。また、接着層13に残膜厚分布があったとしても、接着層13のエッチングレートに比べて無機材料層12のエッチングレートの方が小さいため、接着層13の残膜厚分布を吸収することが可能となる。これにより、ドライエッチング微細加工された無機材料層12および接着層13からなる、アスペクト比の高いレジストを、基板20上に形成することができる。このような、アスペクト比の高いレジスト(無機材料層12および接着層13)を用いることで、基板20を容易にドライエッチング加工することができる。
一方、接着層13のエッチング時のエッチング異方性(横方向のエッチングレート(Vo//)と、縦方向のエッチングレート(Vo)との比率(Vo/Vo//)は、Vo/Vo//>1が好ましく、より大きいほど好ましい。接着層13のエッチングレートと、基板20のエッチングレートの比率にもよるが、Vo/Vo//≧2であることが好ましく、Vo/Vo//≧3.5であることがより好ましく、Vo/Vo//≧10であることがなお好ましい。なお、縦方向とは、接着層13の膜厚方向を意味し、横方向とは、接着層13の面方向を意味する。
ピッチがサブミクロン以下の領域においては、基板20を容易にドライエッチングするためには、接着層13の幅を大きく保つ必要がある。上記範囲を満たすことにより、ドライエッチング後の接着層13の幅(幹の太さ)を大きく保つことができるため、好ましい。
ドライエッチングによる、基板20のエッチングレート(Vi2)と、接着層13のエッチングレート(Vo2)との比率(Vo2/Vi2)は、小さいほど好ましい。Vo2/Vi2<1であれば、接着層13のエッチングレートの方が、基板20のエッチングレートよりも小さいため、基板20を容易に加工することができる。接着層13の塗工性および、エッチング精度の観点から、Vo2/Vi2≦3であることが好ましく、Vo2/Vi2≦2.5であるとより好ましい。Vo2/Vi2≦2であれば、接着層13を薄くできるためより好ましい。Vo2/Vi2<1であれば、最も好ましい。
このような無機材料充填シート、及び微細凹凸構造付レジストシートによれば、凹凸構造の凹部11b内部を埋めるように無機材料層12aが配置され、凹凸構造の凸部11a上部には非常に薄い無機材料層12bが配置されるか、あるいは無機材料層12bが配置されない構成となる。そのため、加工対象である基板20に接着層30(13)を介して無機材料充填シート、または微細凹凸構造付レジストシートを貼合して基板20上に接着層30(13)および無機材料層12で構成されるレジストパターンを転写することができ、この接着層30(13)のエッチングレートに比べて無機材料層12のエッチングレートの方が小さいために、接着層30(13)に残膜厚分布があったとしても、接着層30(13)の残膜厚分布を吸収することが可能となる。したがって、微細凹凸構造付基板の製造工程において、接着層30(13)の残膜厚分布を広く許容することができる。
特にlcv=0の場合には、無機材料充填シートおよび微細凹凸構造付レジストシートにおける微細凹凸構造の凸部11a上部に付着する無機材料層12の残膜がない状態となり、上記効果がより一層発揮される。
また、微細凹凸構造付レジストシートの場合は、基板20へ接着層13および無機材料層12からなる凹凸構造を転写したときの、接着層13の厚さが微細凹凸構造付レジストシートによって担保されるため、基板20を精度良く加工することができる。
(無機材料層)
無機材料層12の材料については、溶剤に希釈可能な、無機前駆体、無機縮合体、金属酸化物フィラー、金属酸化物微粒子を使用できる。無機材料層12は、無機材料充填シートを使用して、マスクを形成したい基材にマスクを転写する際の転写精度の観点から、光重合可能な光重合性基と熱重合可能な重合性基の両方、またはいずれか一方を含むと特に好ましい。また、無機材料層12は、耐ドライエッチング性の観点から、金属元素を含むことが好ましい。さらに、無機材料層12は、金属酸化物微粒子を含むことにより、基板20をドライエッチングする際の加工が、より容易になるため好ましい。
希釈溶剤としては、特に限定されないが、単一溶剤の沸点が40℃〜200℃の溶剤が好ましく、60℃〜180℃がより好ましく、60℃〜160℃がさらに好ましい。希釈剤は2種類以上を使用してもよい。
また、溶剤希釈した無機材料の濃度は、単位面積上に塗工された塗膜の固形分量が、単位面積上(または単位面積下)に存在する凹凸構造の空隙(凹部11b)の体積以下となる濃度であれば、特に限定されない。
無機材料層12に含まれる光重合性基としては、アクリロイル基、メタクリロイル基、アクリロキシ基、メタクリロキシ基、アクリル基、メタクリル基、ビニル基、エポキシ基、アリル基、オキセタニル基などが挙げられる。
また、無機材料層12に含まれる金属元素としては、チタン(Ti),ジルコニウム(Zr),クロム(Cr),亜鉛(Zn),スズ(Sn),ホウ素(B),インジウム(In),アルミニウム(Al),シリコン(Si)からなる群から選ばれた少なくとも1種であることが好ましい。特に、チタン(Ti),ジルコニウム(Zr),クロム(Cr),シリコン(Si)であることが好ましい。
無機材料層12を形成する材料は、ゾルゲル材料を含むことが好ましい。ゾルゲル材料を含むことで、耐ドライエッチング性の良好な無機材料層12を、樹脂層11の凹凸構造内部(凹部11b)への充填が容易になるばかりでなく、接着層30(13)をドライエッチングする際の、縦方向のドライエッチングレート(Vr)と、横方向のドライエッチングレート(Vr//)との比率(Vr/Vr//)を大きくすることができる。ゾルゲル材料としては、単一の金属種を持つ金属アルコキシドのみを用いても、異なる金属種を持つ金属アルコキシドを併用してもよいが、金属種M1(ただし、M1は、Ti,Zr,Zn,Sn,B,In,Alからなる群から選択される少なくとも1種の金属元素)を持つ金属アルコキシドと、金属種Siを持つ金属アルコキシドとの、少なくとも2種類の金属アルコキシドを含有することが好ましい。または、無機材料として、これらのゾルゲル材料と、公知の光重合性樹脂とのハイブリッドも使用できる。
無機材料は、ドライエッチング時の物理的破壊を抑制する観点から、縮合と光重合の両方、あるいはいずれか一方による硬化後の相分離が小さいことが好ましい。ここで、相分離は、透過型電子顕微鏡(TEM)のコントラストで確認することが可能である。無機材料層12の転写性の観点から、TEMのコントラストより、相分離サイズが20nm以下であることが好ましい。物理的耐久性および、耐ドライエッチング性の観点から、相分離サイズは15nm以下であることが好ましく、10nm以下であると、より好ましい。なお、相分離を抑制する観点から、ゾルゲル材料中に、光重合性基を具備するシランカップリング剤を含むことが好ましい。
また、無機材料層12としての耐ドライエッチング性の観点から、ゾルゲル材料は、金属種の異なる、少なくとも2種類の金属アルコキシドを含むことが好ましい。金属種の異なる2種類の金属アルコキシドの、金属種の組み合わせとしては、たとえば、SiとTi,SiとZr,SiとTa等が挙げられる。耐ドライエッチング性の観点から、Siを金属種に持つ金属アルコキシドのモル濃度(CSi)と、Si以外の金属種M1を持つ金属アルコキシド(CM1)との比率CM1/CSiは、0.2〜15であることが好ましい。塗工乾燥時の安定性の観点から、CM1/CSiは0.5〜15であることが好ましい。物理的強度の観点から、CM1/CSiは5〜8であることがより好ましい。
無機材料層12は、無機材料層12の転写精度と耐ドライエッチング性の観点から、無機のセグメントと有機のセグメントを含むハイブリッドであることが好ましい。ハイブリッドとしては、たとえば、無機微粒子と、光重合(あるいは熱重合)可能な樹脂の組み合わせや、無機前駆体と光重合(あるいは熱重合)可能な樹脂、や、有機ポリマーと無機セグメントが共有結合にて結合した分子、等が挙げられる。無機前駆体としてゾルゲル材料を使用する場合は、シランカップリング剤を含むゾルゲル材料の他に、光重合可能な樹脂を含むことを意味する。ハイブリッドの場合、たとえば、金属アルコキシド、光重合性基を具備したシランカップリング材、ラジカル重合系樹脂などを混合することができる。より転写精度を高めるために、これらにシリコーンを添加してもよい。また、ドライエッチング耐性を向上させるために、ゾルゲル材料部分は、あらかじめ予備縮合を行ってもよい。シランカップリング剤を含む金属アルコキシドと、光重合性樹脂の混合比率は、耐ドライエッチング性と転写精度の観点から、3:7〜7:3の範囲が好ましい。より好ましくは、3.5:6.5〜6.5:3.5の範囲である。ハイブリッドに使用する樹脂は、光重合可能であれば、ラジカル重合系でも、カチオン重合系でも特に限定されない。
無機材料層12を構成する光重合可能なラジカル重合系の樹脂としては、上記に挙げた樹脂層11を構成する光重合可能なラジカル重合系の樹脂から、フッ素含有(メタ)アクリレートを除いたものを用いることが好ましい。
無機材料層12を構成する光重合可能なカチオン重合系の樹脂は、少なくともカチオン硬化性モノマーと、光酸発生剤とを含む組成物を意味する。カチオン硬化性樹脂組成物におけるカチオン硬化性モノマーとは、カチオン重合開始剤の存在下で、たとえば、UV照射や加熱などの硬化処理を行うことにより硬化物が得られる化合物である。カチオン硬化性モノマーとしては、エポキシ化合物、オキセタン化合物、およびビニルエーテル化合物が挙げられ、エポキシ化合物としては、脂環式エポキシ化合物、およびグリシジルエーテルが挙げられる。これらの中でも脂環式エポキシ化合物は、重合開始速度が向上し、オキセタン化合物は重合率の向上効果があるので、使用することが好ましく、グリシジルエーテルはカチオン硬化性樹脂組成物の粘度を低下させ、塗工性に効果があるので使用することが好ましい。より好ましくは、脂環式エポキシ化合物とオキセタン化合物とを併用することであり、さらに好ましくは脂環式エポキシ化合物とオキセタン化合物との重量比率が99:1〜51:49の範囲で併用することである。
カチオン硬化性モノマーの具体例としては、以下のものが挙げられる。脂環式エポキシ化合物としては、たとえば、3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボン酸−3,4−エポキシシクロヘキシルメチル、3’,4’−エポキシ−6’−メチルシクロヘキサンカルボン酸−3,4−エポキシ−6’−シクロヘキシルメチル、ビニルシクロヘキセンモノオキサイド1,2−エポキシ−4−ビニルシクロヘキサン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランが挙げられる。
グリシジルエーテルとしては、たとえば、ビスフェノールAグリシジルエーテル、ビスフェノールFグリシジルエーテル、水添ビスフェノールAグリシジルエーテル、水添ビスフェノールFグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、グリシジルメタクリレート、3−グリシジロキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシジロキシプロピルエチルジエトキシシラン、3−グリシジロキシプロピルトリエトキシシランなどが挙げられる。
オキセタン化合物としては、たとえば、3−エチル−3−(フェノキシメチル)オキセタン、ジ[1−エチル(3−オキセタニル)]メチルエーテル、3−エチル−3アリルオキシメチルオキセタン、3−エチル−3−(2−エチルヘキシロキシメチル)オキセタン、3−エチル−3−{[3−(トリエトキシシリル)プロポキシ]メチル}オキセタンなどが挙げられる。
ビニルエーテルとしては、2−ヒドロキシブチルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、2−ヒドロキシブチルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、1,4−ブタンジオールジビニルエーテルなどが挙げられる。
光酸発生剤は、光照射により光酸を発生すれば、特に限定されるものではない。たとえば、スルホニウム塩、ヨードニウム塩といった芳香族オニウム塩が挙げられる。光酸発生剤としては、たとえば、スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ベンジルトリフェニルホスホニウムヘキサフルオロホスフェート、ベンジルピリジニウムヘキサフルオロホスフェート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、ベンゾイントシレート、アデカオプトマーsp−170(ADEKA社製)、アデカオプトマーsp−172(ADEKA社製)、WPAG−145(和光純薬工業社製)、WPAG−170(和光純薬工業社製)、WPAG−199(和光純薬工業社製)、WPAG−281(和光純薬工業社製)、WPAG−336(和光純薬工業社製)、WPAG−367(和光純薬工業社製)、CPI−100P(サンアプロ社製)、CPI−101A(サンアプロ社製)、CPI−200K(サンアプロ社製)、CPI−210S(サンアプロ社製)、DTS−102(みどり化学社製)、TPS−TF(東洋合成工業社製)、DTBPI−PFBS(東洋合成工業社製)等が挙げられる。
希釈した無機材料を、樹脂層11の凹凸構造面上に直接塗工した際の濡れ性が悪い場合は、無機材料に界面活性剤やレベリング材を添加してもよい。これらは、公知市販のものを使用することができるが、同一分子内に光重合性基を具備していることが好ましい。添加濃度は、塗工性の観点から、無機材料100重量部に対して、40重量部以上が好ましく、60重量部以上が、より好ましい。一方で、耐ドライエッチング耐性の観点から、500重量部以下であることが好ましく、300重量部以下であると、より好ましく、150重量部以下であると、なお好ましい。
一方、無機材料と接着層30(13)との転写精度を向上させる観点から、界面活性剤やレベリング材を添加する場合は、これらの添加濃度は、無機材料100重量部に対して、20重量部以下であることが好ましく、15重量部以下であると、より好ましく、10重量部以下であると、なお好ましい。これらの界面活性剤やレベリング材は、特に、カルボキシル基、ウレタン基、イソシアヌル酸誘導体を有する官能基の、少なくとも1つの官能基を含むことが、相溶性の観点から好ましい。なお、イソシアヌル酸誘導体には、イソシアヌル酸骨格を有するもので、窒素原子に結合する少なくとも1つの水素原子が他の基で置換されている構造のものが包含される。これらを満たすものとして、たとえば、ダイキン工業社製のオプツールDACが挙げられる。添加剤は、溶剤に溶かした状態で、マスク剤と混合することが好ましい。
(接着層)
無機材料充填シートを、接着層30を介して加工対象である基板20に貼合して接着した後に、接着層30を硬化させ、その後、シート基材10および樹脂層11を剥離することで、容易に無機材料層12を基板20上へと転写することができる。一方、微細凹凸構造付シートを、接着層13を介して加工対象である基板20へと貼合して接着した後に、接着層13を硬化させ、その後、シート基材10および樹脂層11を剥離することでも、容易に無機材料層12を基板20上へと転写することができる。ここで、無機材料充填シートを用いる場合に使用する接着層30と、微細凹凸構造付シートの接着層13は同様の特性を満たし、同様の材料から構成される。
接着層30(13)は、エネルギー線の照射により硬化するものであって、先述のエッチングレート比(選択比)を満たせば、特に限定されない。接着層30(13)を構成する材料として、上記に挙げた樹脂層11を構成する光重合可能なラジカル重合系の樹脂から、フッ素含有(メタ)アクリレートを除いたものや、上記に挙げた無機材料層12を構成する光重合可能なカチオン重合系の樹脂、その他公知である市販の光重合性あるいは熱重合性樹脂や、部分的に架橋し、熱圧着が可能な樹脂を使用することができる。
無機材料層12と、接着層30(13)とは、化学的に結合することが、転写精度の観点から好ましい。そのため、無機材料層12が光重合性基を含む場合は、接着層30(13)も光重合性基を含み、無機材料層12が熱重合性基を含む場合は、接着層30(13)も熱重合性基を含むことが好ましい。また、無機材料層12中の、ゾルゲル材料との縮合により、化学結合を生成するために、接着層30(13)にゾルゲル材料を含んでもよい。光重合方式としては、ラジカル系とカチオン系が存在するが、硬化速度とドライエッチング耐性の観点から、ラジカル系のみ、あるいは、ラジカル系とカチオン系のハイブリッド系が好ましい。ハイブリッドの場合、ラジカル重合系樹脂とカチオン重合系樹脂を、重量比率で、3:7〜7:3で混合することが好ましく、3.5:6.5〜6.5:3.5であるとより、好ましい。
ドライエッチング時の、接着層30(13)の物理的安定性と、ハンドリングの観点から、硬化後の接着層30(13)のTg(ガラス転位温度)は、30℃〜300℃であることが好ましく、600℃〜250℃であるとより好ましい。
接着層30(13)と基板20、および、接着層30(13)と無機材料層12との密着性の観点から、接着層30(13)の比重法による収縮率は、5%以下であると好ましい。
また、微細凹凸構造付シートにおける樹脂層11、無機材料層12および接着層13から成る積層体を使用して、基板20へと微細凹凸構造付シートを貼合する際のハンドリングの観点から、接着層13は、熱圧着可能な樹脂であると好ましい。この場合、微細凹凸構造付レジストシートにおける樹脂層11、無機材料層12および接着層13からなる積層体を作製し、カバーフィルムを合わせて巻き取り回収することができる。このロールを繰り出し、所望の基板20へと熱圧着により容易に貼合することができる。このような使用方法は、微細凹凸構造付レジストシートを用いることで、ナノインプリント(転写)の転写材の充填や剥離といったノウハウを排除でき、また、特殊な装置を必要としないことを意味する。
熱圧着できる樹脂としては、200℃以下で圧着可能な樹脂が好ましく、150℃以下で圧着可能であるとより好ましい。熱圧着可能な樹脂を、樹脂層11および無機材料層12上に積層し、樹脂層11、無機材料層12および接着層13で構成される積層体とすることが挙げられる。熱圧着可能な樹脂としては、無機材料層12との接着性の観点から、感光性樹脂を含むとより好ましい。特にバインダーポリマー、光重合性モノマー、光重合性開始剤を含むことが好ましい。熱圧着および転写精度の観点から、バインダーポリマーと光重合性モノマーとの比は、9:1〜1:9が好ましく、より好ましくは7:3〜3:7、最も好ましくは6:4〜4:6である。また、耐ドライエッチング性の観点から、バインダーポリマーは化学式(4)に示す部位を含むことが好ましい。
(微細凹凸構造付基板)
続いて、微細凹凸構造付基板について説明する。本実施の形態における微細凹凸構造付基板は、本実施の形態の微細凹凸構造付シート1、無機材料充填シート、或いは、微細凹凸構造付レジストシートを用いて適切に位置決めし、転写することで得られる。よって、微細凹凸構造付基板は、以下の特徴点を備えている。
(3)微細凹凸構造が、少なくとも2種類以上の異なる配列パターンを有する。
(4)微細凹凸構造付基板の主面の少なくとも一方向に、線状のマークを、1つ以上有する。
上記(3)の特徴点は、微細凹凸構造付シート1での(1)の特徴点を変わりがない。一方、上記(4)での特徴点は、微細凹凸構造付シート1で説明したZラインが、少なくとも一つ以上、主面の一方向に存在するというものである。
ここで、「主面」とは、微細凹凸構造が形成される面である。また「一方向」とは、任意の方向であり、特に限定されるものではないが、例えば、「半径方向」である。
微細凹凸構造付基板の主面には、図1及び図2に示す微細凹凸構造付シート1を用いた場合は、図1及び図2に示す微細凹凸構造2、或いは、微細凹凸構造2の逆パターンが形成され、また、図4及び図5に示す微細凹凸構造付シート1を用いた場合は、図4及び図5に示す微細凹凸構造2、或いは、微細凹凸構造2の逆パターンが形成される。
本実施の形態によれば、基板のオリフラに対して、微細凹凸構造付シート1のZラインを所定角度範囲に精度よく調整できるから、オリフラに対する微細凹凸構造の向きのばらつきが小さい微細凹凸構造付基板9を得ることが可能である。
本実施の形態の微細凹凸構造付基板9によれば、線状のマークとしてのZラインが直線状であることが好ましい。従来であれば、SEM等を用いた破壊検査により、オリフラに対する微細凹凸構造の向きを判別する必要があったが、直線状のマークが微細凹凸構造付基板に付与されることで、判別性が向上し、目視や安価な顕微鏡を用いた非破壊検査でのオリフラに対する微細凹凸構造の向きを判別することができるため、管理がしやすくなる。また、微細凹凸構造付シート1において、配列パターンが、各Zラインの位置で全列、切替わっていることが好ましい。これにより、微細凹凸構造付基板を半導体発光素子の光学基板として用いたとき、半導体層の結晶成長ばらつきの抑制につながる。そのため、微細凹凸構造付基板9においても、配列パターンが、Zラインの位置で全列、切替わっていることが好ましい。
ところで、本実施の形態では、上記(3)に記載したように、2種類以上の異なる配列パターンを備えたものであり、例えば、図2に準ずる主面構造を得た場合、ドット3が抜けた部分(歯抜け部)を直線状で結ぶと正六角形状を得ることができる。
また、微細凹凸構造付基板9の断面を見ると、例えば、図10に示す構造を有している。図10に示すように、微細凹凸構造付基板9は、その主面に微細凹凸構造50を具備し、凹凸構造50は、凸部51、凹部53、及び凸部51と凹部53の間に位置する平坦部(凸部間底部)52を有して構成される。
ここで、微細凹凸構造付シート1のドット3に対応するのは、凸部51であり、凹部53は、ドット3が抜けた部分(歯抜け部)に該当する。すなわち、図2に示すドット3が抜けた部分は、微細凹凸構造付基板9に当てはめると最も高さの低い部分となる。このように、微細凹凸構造付基板9の主面において、歯抜け部を設けて、所定のドットパターンを形成することにより、以下の効果を得ることができる。
すなわち、例えば、本実施の形態の微細凹凸構造付基板9は、半導体発光素子(LED)の光学基板として用いることができ、半導体発光素子に求められる特性としては、外部量子効率EQE、内部量子効率IQE、及び、光取出し効率LEEである。LEDの外部量子効率EQEは、内部量子効率IQEと光取出し効率LEEの積で表される。光取出し効率LEEを更に向上させるには、導波モードを崩すために、微細凹凸構造付基板9の平坦部52の割合を減少させることが有効である。しかしながら、平坦部面積が小さくなると、特に、初期の結晶性を決めるある程度の長さよりも平坦部幅が小さくなると、結晶成長時に初期に欠陥の会合が効果的に生じず、貫通転移となり易くなる。加えて、個々の核が周囲の微細凹凸構造の微小な変動に左右されやすくなり、欠陥密度に面内分布が生じる。欠陥が面内に偏在することで、均一な成膜が困難となり、主面の荒れやピットの形成につながり、リーク電流の増加を招く。リーク電流はダイオードの電気特性を表す量であり、所定の量以上の電流値であると、発光素子としての性能に悪影響を与える。つまり、高効率化を狙って平坦部52を減少させると、結果としてウェハあたりのチップ収率が低下してしまう、という課題があった。
そこで、本実施の形態では、微細凹凸構造50に意図的に、歯抜け部を設けている。この歯抜け部は少なくとも凸部1個に相当する平坦面積を有し、易成長部となる。つまり、光取出し効率の向上の為に、十分な平坦部面積が確保されない条件下でも、意図的に歯抜け部を配置すれば、その歯抜け部が易成長部となり、易成長部から選択的に結晶成長を進行させることが可能となる。ここでいう「歯抜け」とは、実際には形成されていた凸部51を後の工程で除去したことを意味するものではなく、間引かれたような間隔が形成されていること、間引かれたような形状となっていることを意味する。
初期の結晶核は凹部53に集中する為、微細凹凸構造付基板9の主面に成膜される第1半導体層60の結晶欠陥の起点も微細凹凸構造付基板9の凹部53に集中する。この後、第1半導体層60は、横方向に向かって結晶成長していきながら、第1半導体層60の成膜が進行し、やがて主面が平坦化される。
欠陥の起点が制御され、凹部53に集中することで、欠陥密度の面内分布が低減され、主面の荒れやピットの形成を抑えながら均一に結晶成長させることが可能となる。故に、結晶性向上に由来する内部量子効率の向上に加えて、ウェハから得られる半導体発光素子の個数(ウェハあたりのチップ収率)を効果的に高くすることが可能となる。
また、易成長部が凹部53であることで、易成長部が平坦である場合と比べて微細凹凸構造の側面積が増加し、光取出し効率LEEも向上する。以上より、易成長部としての凹部23を設けることで、内部量子効率IQEと光取出し効率LEEが高い半導体発光素子を歩留りよく製造することが可能となる。
このように、本実施の形態によれば、光取出し効率LEEも向上させることができるが、その前提として、基板のオリフラに対する微細凹凸構造の向きのばらつきを抑えることができ、これにより、安定して高い特性を得ることが可能になる。
ここで、ドット形状については特に限定されるものなく、例えば、円錐、円柱、四角錐、四角柱、六角錐、六角柱、多角錐、多角柱、二重リング状、多重リング状等の構造が挙げられる。なお、これらの形状は底面の外径が歪んだ形状や、側面が湾曲した形状を含む。
また、凹部53の配置は、凹部53から成長する結晶核の面同士が会合するような配置であれば、より好ましい。例えば、第1半導体層60が六方晶であれば、凹部53の位置は三方格子或いは六角形配置が好ましく、立方晶であれば四方配列が好ましい。
本実施の形態に係る微細凹凸構造付基板9の基材本体の材質は、半導体発光素子用基板として使用できるものであれば特に制限はない。例えば、サファイア、SiC、SiN、GaN,シリコン、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化マンガン、酸化ジルコニウム、酸化マンガン亜鉛鉄、酸化マグネシウムアルミニウム、ホウ化ジルコニウム、酸化ガリウム、酸化インジウム、酸化リチウムガリウム、酸化リチウムアルミニウム、酸化ネオジウムガリウム、酸化ランタンストロンチウムアルミニウムタンタル、酸化ストロンチウムチタン、酸化チタン、ハフニウム、タングステン、モリブデン、GaP、GaAsなどの基材を用いることができる。なかでも半導体層との格子マッチングの観点から、サファイア、GaN、GaP、GaAs、SiC基材などを適用することが好ましい。例えば、光学基板に、C面(0001)を主面とするサファイア基板を用いることができる。更に、単体で用いてもよく、これらを用いた基板本体上に別の基材を設けたヘテロ構造の基材としてもよく、前記凹凸部を別の基材としたヘテロ構造としてもよい。
(製造方法)
続いて、本実施の形態に係る微細凹凸構造付シート1、無機材料充填シート、微細凹凸構造付レジストシート、及び、微細凹凸構造付基板9を製造するにあたり、まずは露光装置について説明する。図11は、本実施の形態に係る露光装置の概略構成図である。
本実施の形態に係る露光装置は、上記した実施の形態に係る微細凹凸構造付シート1及び、微細凹凸構造付基板9を転写賦形によって製造するためのインプリント用シートの表面にドットパターンを形成するものである。
ここで、インプリント用シートは、上記実施の形態に係る微細凹凸構造付シート1及び、微細凹凸構造付基板9の主面上に形成するドットに対応する形状のドットを有する。
図11に示すように、露光装置400は、レジスト層が被覆されたロール状部材401を図示しないロール把持部により把持しており、回転制御部402と、加工ヘッド部403と、移動機構部404と、露光制御部405と、を備えている。回転制御部402は、ロール状部材401の中心を軸として、ロール状部材401を回転させる。加工ヘッド部403は、レーザ光を照射して、ロール状部材401のレジスト層を露光する。移動機構部404は、加工ヘッド部403をロール状部材401の長軸方向に沿って、制御速度で移動させる。露光制御部405は、回転制御部402によるロール状部材401の回転と同期した基準信号に基づいて、加工ヘッド部403によるレーザ露光のパルス信号を制御する。
露光装置400によるロール状部材401の加工は、ロール状部材401を回転させた状態で、加工ヘッド部403からパルスレーザを照射することにより行う。加工ヘッド部403は、パルスレーザを照射しながら、移動機構部404によって、ロール状部材401の長軸方向に沿って移動する。ロール状部材401の回転数およびパルスレーザの周波数から、回転方向におけるロール状部材401の外周面のレジスト層に任意のピッチでパターン406が記録される。
さらに、ロール状部材401の長軸方向に沿って走査しているため、任意の位置からロール状部材401が1周すると、加工ヘッド部403が長軸方向にずれることになる。
ロール状部材401は、円筒状に形成された部材に回転軸が備えられているものであり、材質としては、金属、カーボンコア、ガラス、石英などが適用できる。ロール状部材401は、高回転が可能な加工精度が必要とされることから、材質は、金属、カーボンコアなどが好ましい。さらに、レーザ露光される円筒表面部のみ、異なる材料で被覆することもできる。特に、熱反応型レジストを使用するときは、断熱効果を高めるために金属よりも熱伝導率が低い材料を適用することが好ましく、ガラス、石英、酸化物、窒化物などが挙げられる。円筒表面に被覆した層を、後述するレジスト層をマスクとしてエッチングするエッチング層として、使用することも可能である。
ロール状部材401を被覆するレジストは、レーザ光により露光されるものであれば、特に限定されるものではなく、光硬化型レジスト、光増幅型レジスト、熱反応型レジストなどが適用できる。特に、熱反応型レジストは、レーザ光の波長よりも小さい波長でパターン形成できるので好ましい。
熱反応型レジストは、有機レジストまたは無機レジストであることが好ましい。これらのレジストにより形成されたレジスト層は、単層構造であっても、複数のレジスト層を組み合わせた多層構造であってもよい。なお、どのようなレジストを選択するかは、工程や要求加工精度などによって適宜変更することができる。例えば、有機レジストは、ロール状部材401を被覆するレジスト層を形成する際に、ロールコーターなどで塗布できるため工程が簡便となる。ただし、スリーブ上に塗布するためレジストの粘性に制限があり、塗布厚精度や制御あるいは多層にコーティングすることは難しい。
有機レジストとしては、(株)情報機構発刊 「最新レジスト材料ハンドブック」や(株)工業調査会 「フォトポリマーハンドブック」にあるように、ノボラック樹脂またはノボラック樹脂とジアゾナフトキンとの混合物、メタクリレート系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、フェノール系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミド系樹脂、シリコーン樹脂、ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂、メラミン系樹脂、ビニル系樹脂などが挙げられる。
一方、無機レジストは、ロール状部材401を被覆するレジスト層を、抵抗加熱蒸着法や電子ビームスパッタ法、CVD法などの気相法などによって設けることが好適である。これらの方法は、基本的に真空プロセスになるため、スリーブ上に形成するには工数が掛かるが、膜厚が精度良く制御でき、また、多層に積層することが容易である。
無機レジスト材料は、反応させる温度によって種々選択することができる。例えば、無機レジスト材料としては、Al,Si,P,Ni,Cu,Zn,Ga,Ge,As,Se,In,Sn,Sb,Te,Pb,Bi,Ag,Auおよびこれらの合金が挙げられる。また、無機レジスト材料は、Mg,Al,Si,Ca,Ti,V,Cr,Mn,Fe,Co,Ni,Cu,Zn,Ga,Ge,As,Se,Sr,Y,Zr,Nb,Mo,Pd,Ag,In,Sn,Sb,Te,Ba,Hf,Ta,W,Pt,Au,Pb,Bi,La,Ce,Sm,Gd,Tb,Dyの酸化物、窒化物、窒酸化物、炭化物、硫化物、硫酸化物、フッ化物、塩化物や、これらの混合物を適用してもよい。
本実施の形態においては、ロール状部材401を被覆するレジスト層を利用してそのままロールツーロールナノインプリントシートとして適用してもよく、また、レジスト層をマスクとして、ロール状部材401の表面基材をエッチングすることによりパターンを形成してもよい。
露光装置400により、表面に設けられたレジスト層が露光されたロール状部材401を現像し、現像したレジスト層をマスクとして、ドライエッチングによりエッチング層をエッチングする。エッチング後、残渣のレジスト層を除去すると、ロールツーロールナノインプリントシートを得ることができる。
このとき、図11に示すように、配列パターンが2種類以上ある場合、露光装置400のロール状部材401の表面のパターン406は、ちょうどラインD上で配列パターンが切り替わり、このラインDを、目視や顕微鏡を通して識別することができる。なお、図11に示すパターン406は、図1や図4に示す配列パターンに対応するものであるが、図11では簡略化して示した。
そして、上記に挙げたロールツーロールナノインプリントシートを用いて、シート状基材の表面に、微細凹凸構造を転写するため、シート状基材の表面には、パターン406に応じた配列パターンが転写される。このようにして得られた微細凹凸構造付シート1は、ナノインプリントリソグラフィ法のスタンパとして用いることができる。
前述したように、微細凹凸構造付シートの凹部内に無機材料を充填した無機材料充填シートを作製し(図9A参照)、接着層30が表面に塗布された基板20に対して無機材料充填シート15を押圧し(図9B参照)、エネルギー線照射することで(図9C参照)、基板20上に微細凹凸構造の逆パターンの無機材料層12及び接着層30を転写する(図9D参照)。その後、転写された無機材料層12及び接着層30からなる微細凹凸構造をマスクとしてドライエッチングを行うことで、微細凹凸構造付基板(図2E参照)を得ることができる。無機材料層12を微細凹凸構造付シートの凹部に充填せず、接着層が表面に塗布された基板に対して押圧し、エネルギー線照射することでも微細凹凸構造付基板を得ることができるが、微細凹凸構造付基板上の微細凹凸構造の面内均一性を観点から、接着層の残膜分布を均一にする必要があるため、無機材料充填シート15を用いることが好ましい。
また、無機材料充填シート15の無機材料層12を覆うように接着層13を塗布した微細凹凸構造付レジストシート16(図6B参照)を作製し、微細凹凸構造付レジストシート16を基板20に貼り合せ、エネルギー線照射することで、微細凹凸構造の逆パターンの無機材料層12及び接着層13を基板20に転写する。その後、転写された無機材料層12及び接着層30からなる微細凹凸構造をマスクとしてドライエッチングを行うことでも、微細凹凸構造付基板を得ることができる。微細凹凸構造付レジストシート16を用いた場合、基板20へ接着層13および無機材料層12からなる微細凹凸構造を転写したときの、接着層13の厚さが微細凹凸構造付レジストシートによって担保されるため、基板20を精度良く加工することができる。
図11に示すように、配列パターンを2種類以上とし、ロール状部材401には、パターン406の配列パターンの切替わりとなるラインDを設けた。このとき、ロール状部材401を回転させながら加工ヘッド部403を長軸方向に移動させて露光していくため、パターン406のつなぎ目を介して異なる配列パターンが接続される。
よって、ロール状部材401を用いてパターン406を転写した微細凹凸構造付シート1の表面にも図2、図3及び図5で示した、目視或いは顕微鏡にて識別可能なZラインが転写され、該Zラインは、微細凹凸構造付シート1の長手方向に間隔を空けて(ロール状部材401の一周ごとに)形成される。
(半導体発光素子)
次に、本発明の実施の形態に係る光学基板を適用した半導体発光素子について説明する。本実施の形態に係る半導体発光素子においては、上述の本実施の形態に係る微細凹凸構造付基板を、半導体発光素子用基板として用いる。本実施の形態に係る半導体発光素子用基板を構成に入れることで、IQEの向上、及び、LEEの向上を図ることができる。
本実施の形態に係る半導体発光素子は、半導体発光素子用基板の主面上に、少なくとも2層以上の半導体層と発光層とを積層して構成される積層半導体層を有する。
例えば、図12は、本実施の形態に係る半導体発光素子の断面模式図である。図12に示すように、半導体発光素子A00においては、半導体発光素子用基板A01の主面上に設けられた微細凹凸構造上に、アンドープ型半導体層A51、n型半導体層A52、発光半導体層A53及びp型半導体層A54が順次積層されている。また、p型半導体層A54上には透明導電膜A55が形成されている。
また、n型半導体層A52表面にカソード電極A57が、透明導電膜A55表面にアノード電極A56がそれぞれ形成されている。なお、半導体発光素子用基板A01上に順次積層されたn型半導体層A52、発光半導体層A53、p型半導体層A54を、積層半導体層A60と称する。
ここで、アンドープ型半導体層A51の主面は平坦面であることが好ましい。アンドープ型半導体層A51の主面が平坦面であることにより、n型半導体A52、発光半導体層A53、p型半導体層A54の性能を効率化でき、内部量子効率IQEが向上する。
さらにアンドープ型半導体層A51と半導体発光素子用基板A01との界面には、図示しないバッファ層が存在することが好ましい。バッファ層の存在により、アンドープ型半導体層A51の結晶成長の初期条件である核生成及び核成長が良好となり、積層半導体層A60の半導体としての性能が向上するため、内部量子効率IQEが改善する。
バッファ層は、微細凹凸構造の表面全体を覆うように形成してもよいが、微細凹凸構造の表面に部分的に設けることができ、特に、半導体発光素子用基板A01表面のエピタキシャル成長促進部に優先的にバッファ層を設けることができる。
バッファ層は、例えば、例えば、GaN構造、AlGaN構造、AlN構造、AlInN構造、InGaN/GaN超格子構造、InGaN/GaN積層構造、AlInGaN/InGaN/GaN積層構造等を採用することができる。中でも、GaN構造、AlGaN構造、AlN構造が最も好ましい。これにより、上述したアンドープ型半導体層A51の成長速度のバラツキがより低減するため、会合点の制御性が向上し、アンドープ型半導体層A51の表面ラフネスを低減しやすい。
本実施の形態に係る半導体発光素子において、アンドープ型半導体層A51としては、例えば、シリコンやゲルマニウム等の元素半導体、又は、III−V族やII−VI族やIVI−IV族等の化合物半導体を適用できる。特に、アンドープ窒化物層であることが好ましい。アンドープ窒化物層としては、例えば、900〜1500℃の成長温度で、NH3とTMGaを供給することで成膜できる。
本実施の形態に係る半導体発光素子において、n型半導体層としては、半導体発光素子に適したn型半導体層として使用できるものであれば、特に制限はない。例えば、シリコン、ゲルマニウムなどの元素半導体、III−V族、II−VI族、IV−IV族などの化合物半導体などに適宜、種々の元素をドープしたものを適用できる。また、n型半導体層、p型半導体層には、適宜、図示しないn型クラッド層、p型クラッド層を設けることができる。
発光半導体層としては、半導体発光素子として発光特性を有するものであれば、特に限定されない。例えば、発光半導体層として、AsP、GaP、AlGaAs、InGaN、GaN、AlGaN、ZnSe、AlHaInP、ZnOなどの半導体層を適用できる。また、発光半導体層には、適宜、特性に応じて種々の元素をドープしてもよい。
また、単一量子井戸構造(SQW)又は多重量子井戸構造(MQW)とすることが好ましい。
例えば、600〜850℃の成長温度で、窒素をキャリアガスとして使い、NH、TMGa及びトリメチルインジウム(TMIn)を供給し、INGaN/GaNからなる活性層を、100〜1250Åの厚さに成長させることができる。また、多重量子井戸構造の場合、1つの層を構成するInGaNに関し、In元素濃度を変化させることもできる。
また、発光半導体層A53とp型半導体層A54との間に電子ブロック層(図示せず)を設けることができる。電子ブロック層は、例えば、p−AlGaNにて構成される。
本実施の形態に係る半導体発光素子においては、p型半導体層の材質は、半導体発光素子に適したp型半導体層として使用できるものであれば、特に制限はない。例えば、シリコン、ゲルマニウムなどの元素半導体、及び、III−V族、II−VI族、IV−IV族などの化合物半導体に適宜、種々の元素をドープしたものを適用できる。例えば、p型GaN層の場合、成長温度を900℃以上に上昇させ、TMGa及びCP2Mgを供給し、数百〜数千Åの厚さに成膜することができる。
これらの積層半導体層(n型半導体層、発光半導体層、及びp型半導体層)は、基材表面に公知の技術により成膜できる。例えば、成膜方法としては、有機金属起草成長法(MOCVD)、ハイドライド気相成長法(HVPE)、分子線エピタキシャル成長法(MBE)などが適用できる。
本実施の形態に係る半導体発光素子においては、透明導電膜の材質は、半導体発光素子に適した透明導電膜として使用できるものであれば、特に制限はない。例えば、Ni/Au電極などの金属薄膜や、ITO、ZnO、In、SnO、IZO、IGZOなどの導電性酸化物膜などを適用できる。特に、透明性、導電性の観点からITOが好ましい。
本実施の形態に係る半導体発光素子において、透明導電膜の厚みは30nm以上100nm以下が好ましい。透明導電膜の役割は、アノード電極A56からの電流を拡散させ、p型半導体層A54に注入することである。透明導電膜A55の抵抗は厚みが厚いほど小さくなることから、透明導電膜A55の厚み(T_TE)は、30nm以上が好ましく、40nm以上がより好ましい。上限は、光吸収を抑えることに加えて、薄膜干渉を利用して、臨界角以下の入射角に対する透過率を著しく上げることができ、また臨界角以下の透過率分布を抑える観点から、透明導電膜A55の厚み(T_TE)は、100nm以下が好ましく、80nm以下がより好ましい。
透明導電膜A55の厚み(T_TE)は、例えばSTEM(走査透過電子顕微鏡)によって測定することができる。STEMによる測定は、像のコントラストから積層半導体層との境界を明確化することができ、好ましい。
以下、本発明の効果を明確にするために行った実施例について説明する。
実施例においては、以下の材料および測定方法を用いた。
・DACHP…フッ素含有ウレタン(メタ)アクリレート(OPTOOL DAC HP(ダイキン工業社製))
・M350…トリメチロールプロパン(EO変性)トリアクリレート(東亞合成社製 M350)
・M309…トリメチロールプロパントリアクリレート(東亞合成社製 M309)
・I.184…1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(BASF社製 Irgacure(登録商標)
・I.369…2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1(BASF社製 Irgacure(登録商標) 369)
・TTB…チタニウム(IV)テトラブトキシドモノマー(Wako社製)
・DEDFS…ヂエトキシヂフェニルシラン(信越シリコーン社製 LS−5990)
・X21−5841…末端OH変性シリコーン(信越シリコーン社製)
・SH710…フェニル変性シリコーン(東レ・ダウコーニング社製)
・3APTMS…3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン(KBM5103(信越シリコーン社製))
・M211B…ビスフェノールA EO変性時アクリレート(東亞合成社製 アロニックスM211B)
・M101A…フェノールEO変性アクリレート(アロニックスM101A(東亞合成社製))
・M313…M313…イソシアヌル酸EO変性ジ及びトリアクリレート(ジアクリレート30−40%)(アロニックスM313(東亞合成社製))
・OXT221…3−エチル−3{[(3−エチルオキセタンー3−イル)メトキシ]メチル}オキセタン(アロンオキセタンOXT−221(東亞合成社製))
・CEL2021P…3、4−エポキシシクロヘキセニルメチル−3、’4’−エポキシシクロヘキセンカルボキシレート
・DTS102…ジフェニル[4−(フェニルチオ)フェニル]スルフォニウムヘキサフルオロフォスフェート((みどり化学社製))
・DBA…9、10−ジブトキシアントラセン(Anthracure(登録商標) UVS−1331(川崎化成社製))
・PGME…プロピレングリコールモノメチルエーテル
・MEK…メチルエチルケトン
・MIBK…メチルイソブチルケトン
・PO−A…フェノキシエチルアクリレート(共栄社化学社製 ライトアクリレートPO−A)
・Es/Eb…凹凸構造を表面に具備する樹脂シートの、XPS法により測定される表面フッ素元素濃度(Es)と、平均フッ素元素濃度(Eb)の比率。
樹脂シートの表面フッ素元素濃度はX線光電子分光法(X−ray Photoelectron Spectroscopy:XPS)にて測定した。XPSにおける、X線のサンプル表面への侵入長は数nmと非常に浅いため、XPSの測定値を実施例における樹脂シート表面のフッ素元素濃度(Es)として採用した。樹脂シートを約2mm四方の小片として切り出し、1mm×2mmのスロット型のマスクを被せて下記条件でXPS測定に供した。
XPS測定条件
使用機器 ;サーモフィッシャーESCALAB250
励起源 ;mono.AlKα 15kV×10mA
分析サイズ;約1mm(形状は楕円)
取込領域
Survey scan;0〜1, 100eV
Narrow scan;F 1s,C 1s,O 1s,N 1s
Pass energy
Survey scan; 100eV
Narrow scan; 20eV
一方、樹脂シートを構成する樹脂中の平均フッ素元素濃度(Eb)を測定するには、物理的に剥離した切片を、フラスコ燃焼法にて分解し、続いてイオンクロマトグラフ分析にかけることで、樹脂中の平均フッ素元素濃度(Eb)を測定した。
(実施例1)
(a)円筒状金型作製(樹脂シート作製用鋳型の作製)
円筒状金型の基材には石英ガラスを用い、半導体レーザを用いた直接描画リソグラフィー法により微細凹凸構造を石英ガラス表面に形成した。半導体レーザを用いた直接描画工程(露光工程)では、図3に示す3種類のA,B,Cの配列パターンをA→B→C→Bの順を1組として、円筒状金型の描画範囲の始点から終点に達するまで繰返し露光した。
微細凹凸表面を形成した石英ガラスロール表面に対し、デュラサーフHD−1101Z(ダイキン化学工業社製)を塗布し、60℃で1時間加熱後、室温で24時間静置、固定化した。その後、デュラサーフHD−ZV(ダイキン化学工業社製)で3回洗浄し、離型処理を実施した。
(b)微細凹凸構造付シートの作製
DACHP,M350,I.184およびI.369を混合し、転写材料を調液した。DACHPは、M350、100質量部に対し、10〜20質量部添加した。なお、後述する樹脂シート(A)から樹脂シート(B)を作る工程では、樹脂シート(A)を作製する際に使用した樹脂と同様の樹脂を使用し、樹脂シート(B)を作製した。
PETフィルム:A4100(東洋紡社製:幅300mm、厚さ100μm)の易接着面にマイクログラビアコーティング(廉井精機社製)により、塗布膜厚6μmになるように光硬化性樹脂を塗布した。次いで、円筒状金型に対し、光硬化性樹脂が塗布されたPETフィルムをニップロール(0.1MPa)で押し付け、大気下、温度25℃、湿度60%で、ランプ中心下での積算露光量が600mJ/cmとなるように、フュージョンUVシステムズ・ジャパン株式会社製UV露光装置(Hバルブ)を用いて紫外線を照射し、連続的に光硬化を実施し、表面に凹凸構造が転写されたリール状の微細凹凸構造付シート(長さ200m、幅300mm)を得た。リール状微細凹凸構造付シートを円筒状金型の周長分切り出し、実体顕微鏡を用いて、線状のマークを確認したところ、微細凹凸構造付シートの幅方向に亘り直線状のマークを確認することができた。さらに、実体顕微鏡で確認できた直線状のマークを含むように微細凹凸構造付シートを更に小さく切り出し、走査型顕微鏡(SEM)を用いて直線状のマーク部を確認したところ、図4に示す配列パターンがZライン上の全列で切り替わっている様子が確認できた。
得られた線状マークを含む微細凹凸構造付シートの、表面フッ素元素濃度(Es)と、平均フッ素元素濃度(Eb)の比率、Es/Ebは、DACHPの仕込み量により40〜80の間で調整できた。また、以下の微細凹凸構造付シートを使用した検討においては、Es/Ebの値が、74.1,55.4,49.0のものを選定し、それら全てに対して検討を行った。
(c)無機材料充填シートの作製
検討(b)で作製した微細凹凸構造付シートを用い、実施例に係る無機材料充填シートを、次の様に作製した。無機材料は、以下の無機材料(A)〜無機材料(C)までの3種類を調液し、これら全てに対して同様の検討を行った。
無機材料(A)…TTB;DEDFS;TEOS;X21−5841;SH710=65.25:21.75:4.35:4.35:4.35[g]で十分に混合した。続いて、3.25%の水を含むエタノール2.3mlを、攪拌下で、徐々に滴下した。その後、80度の環境で4時間熟成し、真空引きを行い、無機材料(A)を得た。
無機材料(B)…TTB;DEDFS;X21−5841;SH710;3APTMS;M211B;M101A;M350;I.184;I.369=33.0:11.0:4.4:4.4:17.6:8.8:8.8:8.8:2.4:0.9[g]で十分に混合し、無機材料(B)を得た。
無機材料(C)…TTB;DEDFS;X21−5841;SH710;3APTMS=46.9:15.6:6.3:6.3:25.0[g]で十分に混合し、続いて、3.25%の水を含むエタノール2.3mlを、攪拌下で徐々に滴下した。その後、80度の環境で2.5時間熟成し、真空引きを行った。前記溶液に、M211B;M101A;M350;I.184;I.369=29.6:29.6:29.6:8.1:3.0[g]を混合した溶液42.2gを加え、十分に攪拌し、無機材料(C)を得た。
続いて、無機材料(A),(B),(C)に対し、それぞれ、以下同様の検討を行った。以下、無機材料(A),(B),(C)は区別せず、すべて無機材料と表記する。
実施例に係る無機材料充填シートを作製するために、無機材料を、DACHPを含むMEK溶液で希釈した。DACHPの量は、無機材料100gに対して、20重量部〜600重量部の範囲で行った。希釈倍率は、単位平面積上の塗工膜中に含まれる固形分量が、微細凹凸構造付シートの微細凹凸構造の体積と同等、あるいは、小さくなるように設定した。ここで、固形分量とは、無機材料と、DACHP中のフッ素含有(メタ)アクリレートとの総量を意味する。希釈は、無機材料にPGMEを滴下し、十分に攪拌することで行った。
微細凹凸構造付シートの凹凸構造面に対する無機材料の塗工は、微細凹凸構造付シート製造と同様の装置を使用した。マイクログラビアコーティングにて、微細凹凸構造付シートの凹凸構造面に、希釈した無機材料を塗工し、気圧下、温度25℃、湿度60%の環境雰囲気中にて5分間搬送した後に、大気圧下、温度80℃、湿度60%の環境雰囲気下中にて5分間搬送し溶剤を除去し、カバーフィルムを貼り合わせ巻き取り、回収した。
(d)無機材料充填シート使用
検討(c)で作製した線状マークを含む無機材料充填シートにより、微細凹凸構造付基板を作製し、作製した微細凹凸構造付基板上で線状マークが判別できるか確認した。
使用した無機材料充填シートは、200mの巻き取られた無機材料充填シートから切り出し使用した。切り出した無機材料充填シートの寸法は、幅70mm、長さ70mmであり、全面にわたり無機材料層が充填されている。実施例に係る無機材料充填シートを、接着層としての有機樹脂層を介し、基材へ押圧し貼合した。具体的には次のように行った。
有機樹脂(A)… A液=OXT221;CEL2021P;M211B;M101A=20g:80g:50g:50g
B液=PGME;DTS102;DBA;I.184=300g:8g:1g:5g
A液:B液=100g:157g
有機樹脂(B)… MUR−XR02(丸善石油化学社製)
有機樹脂(A),(B)を基材表面に塗布し、エネルギー線照射を行うことで、接着層を基材上に形成した。有機樹脂としては、上記有機樹脂(A)および有機樹脂(B)を、それぞれ別個に使用しているが、使用方法は同じなので、以下、これらを有機樹脂とのみ表記する。
また、基材には、サファイア基材を使用した。2インチφの基材表面を、オゾンにより親水処理した。続いて、有機樹脂を、溶剤(PGME、MIBKあるいは、シクロヘキサン)で希釈し、2000rpmの速度のスピンコート法により、基材のオゾン処理面上に薄膜を形成した。続いて、80℃のホットプレート上に2分間静置し、その後、120℃のホットプレート上に2分間静置し、溶剤を除去した。
実施例に係る無機材料充填シートの、無機材料層面側(微細凹凸構造付シートの凹凸構造面側)を、基材上の有機樹脂層と貼合わせた。この時、有機樹脂層が形成された基材1個に対し、70mm×70mmの無機材料充填シートを貼合した。
貼合には、サンテック社製のフィルム貼合装置(TMS−S2)を使用し、貼合ニップ力90N、貼合速度1.5m/sで貼合した。
貼合し一体化した無機材料充填シート/有機樹脂層/サファイア基材を、□70mm×t10mmの透明シリコーン板(硬度20,弾性率4MPa相当)2枚で挟んだ。その状態で、エンジニアリングシステム社製のナノインプリント装置(EUN−4200)を使用し、0.05MPaの圧力で押圧した。押圧後、圧力を開放し、無機材料充填シート側からUV光を2500mJ/cmで照射した。有機樹脂(A)を使用した場合は、UV光照射後、室温で10分間静置した。続いて、105℃のオーブンで1.5分間加熱し、微細凹凸構造付シートを剥離した。有機樹脂(A)を使用した場合は、樹脂シート剥離後に、再度UV照射を行った。
続いて、無機材料層をマスクとしてOによるエッチングを行い、接着層の凹部のエッチング処理を行った。
無機材料層および接着層をマスクとして見立て、フッ素系あるいは塩素系ガスによるエッチングを行うことで、基材をエッチングした。
得られた微細凹凸構造付基板を実体顕微鏡で観察したところ、微細凹凸構造付基板のオリフラに対して平行に直線状のマークが形成されていることが確認できた。さらに、実体顕微鏡で確認できた直線状のマークを含むように微細凹凸構造付基板を小片化し、走査型顕微鏡(SEM)を用いて直線状のマーク部を確認したところ、図4に示す配列パターンがZライン上の全列で切り替わっている様子が確認できた。
(実施例2)
(e)微細凹凸構造付レジストシートの作製
(実施例1)の検討(c)で得られた無機材料充填シートの樹脂層側に、熱圧着可能な樹脂を接着層として塗工し、本発明に係る微細凹凸構造付レジストシートを作製した。熱圧着可能な樹脂としては、以下の材料を使用した。
材料…ベンジル系バインダー樹脂:M211B:PO−A:M350:I.184:I.369=150g:40g:40g:20g:11g:4gで混合した。ベンジル系バインダー樹脂は、ベンジルメタクリレート80質量%、メタクリル酸20質量%の2元共重合体のメチルエチルケトン溶液(固形分50%、重量平均分子量56000、酸当量430、分散度2.7)を使用した。なお、上記質量は固形分質量で記載した。
材料はPGME溶剤にて希釈し、微細凹凸構造付レジストシートの接着層の塗工原料とした。
(実施例1)の検討(c)で得られた無機材料充填シートの凹凸構造面に対する接着層の塗工は、微細凹凸構造付シート製造と同様の装置を使用した。マイクログラビアコーティング(廉井精機社製)により、希釈された接着層材料を、無機材料層の充填された無機材料充填シートの凹凸構造面上に塗工した。次いで、大気圧下、温度25℃、湿度60%の環境雰囲気中にて10分間搬送し溶剤を除去した、微細凹凸構造付レジストシート(長さ200m、幅300mm)を得た。
(f)微細凹凸構造付レジストシートの使用
検討(e)で作製した線状マークを含む微細凹凸構造付レジストシートにより、微細凹凸構造付基板を作製し、作製した微細凹凸構造付基板上で線状マークが判別できるか確認した。
使用した微細凹凸構造付レジストシートは、200mの巻き取られた微細凹凸構造付レジストシートから切り出し使用した。切り出した微細凹凸構造付レジストシートの寸法は、幅70mm、長さ70mmであり、全面にわたり無機材料層が充填され、かつ、無機材料層の上部に熱圧着可能な接着層が形成されている。実施例に係る微細凹凸構造付レジストシートを、接着層を介し、熱圧着し、基材に貼合した。具体的には、次のように行った。
基材には、サファイア基材を使用した。2インチφの基材表面を、オゾンにより親水処理した。続いて、サファイア基板のオゾンにより親水処理された面上に直接、微細凹凸構造付レジストシートの有機層面を熱圧着させた。熱圧着は、1段式真空ラミネーターを使用して行った。
ラミネートロールの温度は65℃、ラミネート速度は0.5[m/分]、圧力はラミネートロールの単位長さ当たりの圧力として、0.3[Mpa/cm]に設定した。
次いで、貼合し一体化した微細凹凸構造付レジストシート/サファイア基材に、微細凹凸構造付レジストシート側からUV光を2500mJ/cmで照射した。UV光照射後、室温で10分間静置した。続いて、105℃のオーブンで1.5分間加熱した後、一体化した微細凹凸構造付レジストシート/サファイア基材が、室温(23℃)になるまで、放置し冷却した。その後、微細凹凸構造付レジストシートを剥離し、再度UV照射を行った。
続いて、無機材料層をマスクとしてOによるエッチングを行い、接着層の凹部のエッチング処理を行った。
無機材料層および接着層をマスクとして見立て、フッ素系あるいは塩素系ガスによるエッチングを行うことで、基材をエッチングした。
得られた微細凹凸構造付基板を実体顕微鏡で観察したところ、微細凹凸構造付基板のオリフラに対して平行に直線状のマークが形成されていることが確認できた。さらに、実体顕微鏡で確認できた直線状のマークを含むように微細凹凸構造付基板を小片化し、走査型顕微鏡(SEM)を用いて直線状のマーク部を確認したところ、図4に示す配列パターンがZライン上の全列で切り替わっている様子が確認できた。
(比較例1)
円筒状金型の基材には石英ガラスを用い、半導体レーザを用いた直接描画リソグラフィー法により微細凹凸構造を石英ガラス表面に形成した。半導体レーザを用いた直接描画工程(露光工程)では、図13の配列パターンDのみを円筒状金型の描画範囲の始点から終点に達するまで繰返し露光した。微細表面凹凸を形成した石英ガラスロール表面に対し、デュラサーフHD−1101Z(ダイキン化学工業社製)を塗布し、60℃で1時間加熱後、室温で24時間静置、固定化した。その後、デュラサーフHD−ZV(ダイキン化学工業社製)で3回洗浄し、離型処理を実施した。
後の工程については、(実施例1)に記載した検討(b)〜(d)と同様の処理を行った。(比較例1)の検討(b)で得られたリール状微細凹凸構造付シートを円筒状金型の周長分切り出し、実体顕微鏡を用いて、線状のマークを確認したが、線状のマークを見つけることはできなかった。
また、(比較例1)の検討(d)で得られた微細凹凸構造付基板を実体顕微鏡で観察したが、線状のマークを見つけることができず、微細凹凸構造付基板の微細凹凸構造がオリフラに対してどの角度で形成されているか判別できなかった。
(比較例2)
(比較例1)で作製した円筒状金型を使用し、(実施例1)の検討(b)〜(c)、(実施例2)の検討(e)〜(f)と同様の処理を行った。
(比較例2)の検討(f)で得られた微細凹凸構造付基板を実体顕微鏡で観察したが、線状のマークを見つけることができず、微細凹凸構造付基板の微細凹凸構造がオリフラに対してどの角度で形成されているか判別できなかった。
本発明における微細凹凸構造付シート、無機材料充填シート、及び、微細凹凸構造付レジストシート、を用いて、基板に、微細凹凸構造を転写する際、基板のオリフラに対する微細凹凸構造の向きを適切に判別することができる。よって、微細凹凸構造付基板のオリフラに対する微細凹凸構造の向きのばらつきを適切に抑制できる。その結果、本発明の微細凹凸構造付基板を、半導体発光素子用基板に用いることで、オリフラに対する微細凹凸構造の向きの判別性が向上し、管理能力の向上につながり、発光効率のばらつきが小さな半導体発光素子の供給が可能となる。
A00 半導体発光素子
A01 半導体発光素子用基板
1 微細凹凸構造付シート
2、50 微細凹凸構造
3、7 ドット
9 微細凹凸構造付基板
10 シート基材
11 樹脂層
12、12a、12b 無機材料層
13、30 接着層
15 無機材料充填シート
16 微細凹凸構造付レジストシート
20基板
51 凸部
52 平面部
53 凹部
400 露光装置
401 ロール状部材
406 パターン

Claims (11)

  1. 表面に周期的な微細凹凸構造を有する微細凹凸構造付シートであって、
    前記微細凹凸構造が、少なくとも2種類以上の異なる配列パターンを有し、
    前記微細凹凸構造付シートの表面の幅方向に亘り、線状のマークを、前記微細凹凸構造付シートの長手方向に周期的に有することを特徴とする微細凹凸構造付シート。
  2. 前記線状のマークが、直線状であることを特徴とする請求項1に記載の微細凹凸構造付シート。
  3. 前記配列パターンが、同じ前記マークの位置で全列、切替わっていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の微細凹凸構造付シート。
  4. 請求項1から請求項3のいずれかに記載の前記微細凹凸構造付シートの凹部の少なくとも一部に、無機材料を充填してなる無機材料層が形成されたことを特徴とする無機材料充填シート。
  5. 請求項4に記載の前記無機材料充填シートの前記無機材料層を覆うように、エネルギー線硬化性樹脂で構成される接着層が形成されたことを特徴する微細凹凸構造付レジストシート。
  6. 主面に周期的な微細凹凸構造を有する微細凹凸構造付基板であって、
    前記微細凹凸構造が、少なくとも2種類以上の異なる配列パターンを有し、
    前記微細凹凸構造付基板の主面の少なくとも一方向に、線状のマークを、1つ以上有することを特徴とする微細凹凸構造付基板。
  7. 前記線状のマークが、直線状に設けられることを特徴とする請求項6に記載の微細凹凸構造付基板。
  8. 前記配列パターンが、同じ前記マークの位置で全列、切替わっていることを特徴とする請求項6又は請求項7に記載の微細凹凸構造付基板。
  9. 請求項1から請求項3のいずれかに記載の微細凹凸構造付シートを用いた、微細凹凸構造付基板の製造方法であって、
    (1) 基板に接着層を塗布する工程、
    (2) 接着層が塗布された基板に、前記微細凹凸構造付シートを押圧しながら、エネルギー線照射を行う工程、
    (3) 前記基板と前記微細凹凸構造付シートが前記接着層を介して一体となった積層体から前記微細凹凸構造付シートのみを剥離し、前記基板上に前記接着層からなる微細凹凸構造を転写する工程、
    (4) (3)で転写された前記接着層からなる微細凹凸構造をマスクとしたドライエッチングにより、微細凹凸構造付基板を得る工程、
    の各工程を、この順で含むことを特徴とする微細凹凸構造付基板の製造方法。
  10. 請求項4に記載の無機材料充填シートを用いた、微細凹凸構造付基板の製造方法であって、
    (1) 基板に接着層を塗布する工程、
    (2) 接着層が塗布された基板に前記無機材料充填シートを押圧しながら、エネルギー線照射を行う工程、
    (3) 前記基板と前記無機材料充填シートが前記接着層を介して一体となった積層体から前記微細凹凸構造付シートのみを剥離し、前記基板上に無機材料層と接着層からなる微細凹凸構造を転写する工程、
    (4) (3)で転写された無機材料層と接着層からなる微細凹凸構造をマスクとしたドライエッチングにより、微細凹凸構造付基板を得る工程、
    の各工程を、この順で含むことを特徴とする微細凹凸構造付基板の製造方法。
  11. 請求項5に記載の微細凹凸構造付レジストシートを用いた、微細凹凸構造付基板の製造方法であって、
    (1) 基板に前記微細凹凸構造付レジストシートを貼合する工程、
    (2) 前記基板と前記微細凹凸構造付レジストシートの積層体にエネルギー線照射を行う工程、
    (3) 前記積層体から前記微細凹凸構造付シートのみを剥離し、前記基板上に無機材料層と接着層からなる微細凹凸構造を転写する工程、
    (4) (3)で転写された無機材料層と接着層からなる微細凹凸構造をマスクとしたドライエッチングにより、微細凹凸構造付基板を得る工程、
    の各工程を、この順で含むことを特徴とする微細凹凸構造付基板の製造方法。
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