JP2015005696A - 半導体発光素子用ウェハ、エピタキシャルウェハ、及び半導体発光素子 - Google Patents

半導体発光素子用ウェハ、エピタキシャルウェハ、及び半導体発光素子 Download PDF

Info

Publication number
JP2015005696A
JP2015005696A JP2013131590A JP2013131590A JP2015005696A JP 2015005696 A JP2015005696 A JP 2015005696A JP 2013131590 A JP2013131590 A JP 2013131590A JP 2013131590 A JP2013131590 A JP 2013131590A JP 2015005696 A JP2015005696 A JP 2015005696A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
wafer
light emitting
semiconductor light
mask layer
mask
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2013131590A
Other languages
English (en)
Inventor
潤 古池
Jun Furuike
潤 古池
めぐみ 谷川
Megumi Tanigawa
めぐみ 谷川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Asahi Kasei Corp
Original Assignee
Asahi Kasei E Materials Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Asahi Kasei E Materials Corp filed Critical Asahi Kasei E Materials Corp
Priority to JP2013131590A priority Critical patent/JP2015005696A/ja
Publication of JP2015005696A publication Critical patent/JP2015005696A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Led Devices (AREA)
  • Testing Or Measuring Of Semiconductors Or The Like (AREA)
  • Drying Of Semiconductors (AREA)

Abstract

【課題】半導体発光素子用ウェハを用いて、エピタキシャルウェハを経て半導体発光素子を形成した際に特性のばらつきを抑制できる。
【解決手段】表面が凹凸を成す半導体発光素子用ウェハ(20)であって、凹凸の平均ピッチは80nm以上1500nm以下であり、凹凸を構成する凸部の底部の径φ1に対する分布、あるいは凹凸を構成する凹部の開口部の径φ2に対する分布、または、径φ1及び径φ2に対する分布の下記式(1)で求められる下限値が、−30%以上0%以下であり、分布の下記式(2)で求められる上限値が、0%以上30%以下である。
式(1)
[(φmin−φave)/φave]×100(%)
式(2)
[(φmax−φave)/φave]×100(%)
ただし、φaveは、相加平均値を示し、φmaxは径φ1、φ2の最大値を示し、φminは径φ1、φ2の最小値を示す。
【選択図】図1

Description

本発明は、表面に凹凸を備えた半導体発光素子用ウェハ、前記半導体発光素子用ウェハを用いたエピタキシャルウェハ、及び前記エピタキシャルウェハから形成される半導体発光素子に関する。
半導体発光素子、中でもLEDが次世代光源として注目を集めている。しかしながら、現状のLEDは、その効率の低さとコストの高さから蛍光灯の代替にはなりえていない。この様な背景から、LEDの効率を向上させる技術が注目を集めている。
特許文献1には、半導体発光素子に使用する単結晶ウェハ上に凹凸を設け、半導体層での光の導波方向を変えて、光取り出し効率を上げる技術が提案されている。特許文献1に開示の凹凸を具備した単結晶ウェハ、特にサファイアウェハを一般的にPSS(Patterned Sapphire Substrate)と呼ぶ。PSSにおいては、凹凸の大きさはマイクロスケールであり、半導体発光素子の発光光を反射させることで、光取り出し効率を向上させることを特徴としている。
特許文献2には、PSSの凹凸の大きさをナノスケールとした技術が提案されている。
また、非特許文献1には、PSSの凹凸の大きさがナノスケールである場合、LEDの半導体層の転位が低減し、内部量子効率が改善し、LEDの効率が向上することが報告されている。この様なナノスケールの凹凸を具備する単結晶ウェハ、特にサファイアウェハを一般的にnPSS(Nano Patterned Sapphire Substrate)と呼ぶ。
特開2003−318441号公報 特開2007−294972号公報
APPLIED PHYSICS LETTERS 98,151102(2011)
ところで、LEDチップは、一般的に、LED用ウェハ上に半導体層から構成される発光ダイオード構造をエピタキシャル成長させてLED用エピタキシャルウェハを作製し、そのLED用エピタキシャルウェハをチップ化(個片化)することで形成される。即ち、LED用エピタキシャルウェハから複数個のLEDチップを形成する。
しかしながら、PSSやnPSSの技術を使用した場合、凹凸のない平坦なLED用ウェハを使用した場合に比べ、個々のLEDチップに対する発光効率は向上するが、LEDチップの形成において重要なLEDチップの特性のばらつきを抑制する効果が小さいという課題がある。即ち、1枚のLED用エピタキシャルウェハから作製される複数のLEDチップは、それぞれの特性が異なり、ばらつきを生じるという課題がある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、半導体発光素子用ウェハの表面に設けられた凹凸を構成する凸部の底部の径、あるいは凹部の開口部の径、または、凸部の底部の径及び凹部の開口部の径が、半導体発光素子用ウェハの面内において所定の分布内にある半導体発光素子用ウェハを使用することで、半導体発光素子の特性のばらつきを抑制可能なことを見出した。即ち本発明は、以下の通りである。
本発明は、表面が凹凸を成す半導体発光素子用ウェハであって、前記凹凸の平均ピッチは80nm以上1500nm以下であり、前記凹凸を構成する凸部の底部の径φ1に対する分布、あるいは前記凹凸を構成する凹部の開口部の径φ2に対する分布、または、前記径φ1及び前記径φ2に対する分布の下記式(1)で求められる下限値が、−30%以上0%以下の範囲内であり、前記分布の下記式(2)で求められる上限値が、0%以上30%以下の範囲内であることを特徴とするものである。
式(1)
[(φmin−φave)/φave]×100(%)
式(2)
[(φmax−φave)/φave]×100(%)
ただし、φaveは、前記径φ1、φ2の相加平均値を示し、φmaxは前記径φ1、φ2の最大値を示し、φminは前記径φ1、φ2の最小値を示す。
本発明の半導体発光素子用ウエハにおいては、前記相加平均値φave、前記径φ1、φ2の最大値φmax、及び前記径φ1、φ2の最小値φminは、以下の条件にしたがって測定されることが好ましい。
(1) 前記半導体発光素子用ウェハの直径に該当する線分Lを任意に選択すること。
(2) 前記半導体発光素子用ウェハの外縁部に一致する前記線分Lの端部をそれぞれ、点X及び点Yと規定すること。
(3) 前記線分L上において、前記点Xから0.15Lだけ内側に位置する点を測定群Aとし、前記測定群Aを測定開始点として、前記測定群Aから前記点Yの方向に向けて7.5mm間隔に10点の測定群を設定すること。
(4) 各測定群に対して、5点の測定点を設けるが、このとき、各測定点を前記線分L上に設け、各測定点同士の間隔を100μmとすること。
(5) 50個の測定点の全てに対して径を測定し、それらの相加平均値をφaveとし、それらの最大値をφmaxとし、それらの最小値をφminとすること。
また本発明におけるエピタキシャルウェハは、上記に記載の半導体発光素子用ウェハに形成された前記凹凸の表面に少なくとも2層以上の半導体層と、発光層とを積層して構成される積層半導体層を有することを特徴とする。
また本発明における半導体発光素子は、上記に記載のエピタキシャルウェハを複数に個片化することで形成されることを特徴とする。
これらの構成によれば、半導体発光素子用ウェハの凹凸を構成する凸部の底部の径、あるいは凹部の開口部の径、または、凸部の底部の径及び凹部の開口部の径の面内分布を良好に保つことができる。換言すれば、前記凸部の底部の径の面内分布を良好に保った場合には、凹部の底部の平坦面の分布を小さくでき、前記凹部の開口部の径の面内分布を良好に保った場合には、凸部の頂部の平坦面の分布を小さくできる。また、上記したように凹凸の平均ピッチは所定の範囲内に制御される。これらの要件より、半導体発光素子用ウェハの凹凸の表面に、半導体層と発光層とを有してなる積層半導体層(発光ダイオード構造)を成膜してエピタキシャルウェハとした際の、積層半導体層の結晶性やバンドギャップ特性が良好になると共に、特性のばらつきを抑制できる。
よって、エピタキシャルウェハにより形成される半導体発光素子の特性に注目した場合に、半導体発光素子の個体差を小さくすると共に、各半導体発光素子の特性を向上させることができる。更には、エピタキシャルウェハの大きさを、例えば3インチ以上の大きなサイズへと拡張した場合であっても、特性のばらつきを良好に抑制できることから、半導体発光素子のコストを低下させることもできる。
本発明によれば、半導体発光素子用ウェハの表面を成す凹凸を構成する凸部の底部の径、あるいは、凹部の開口部の径、または、凸部の底部の径及び凹部の開口部の径の面内分布を良好に保つことができる。これにより、本発明の半導体発光素子用ウェハを用いてエピタキシャルウェハを作製し、前記エピタキシャルウェハから複数の半導体発光素子を形成した際、各半導体発光素子の特性のばらつきを抑制できる。
本実施の形態に係る半導体発光素子用ウェハ、及び半導体発光素子用ウェハから作製されるエピタキシャルウェハ、及びエピタキシャルウェハを個片化して得られる半導体発光素子の各断面模式図である。 本実施の形態に係る半導体発光素子用ウェハの凸部の底部径に対する分布の測定方法を説明するための第1工程を示す平面模式図である。 本実施の形態に係る半導体発光素子用ウェハの凸部の底部径に対する分布の測定方法を説明するための第2工程を示す平面模式図である。 本実施の形態に係る半導体発光素子用ウェハの凸部の底部径に対する分布の測定方法を説明するための第3工程を示す平面模式図である。 図4に示す一つの測定群を拡大して示した説明図である。 本実施の形態に係るエピタキシャルウェハの断面模式図である。 本実施の形態に係るマスク積層ウェハ、マスク構造体、及び積層成形体の各断面模式図である。 本実施の形態に係るマスク積層ウェハにおけるマスク層の部分断面模式図である。
以下、本発明の一実施の形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の効果を奏する範囲内で適宜変更して実施することができる。また、図面に示す構造は、本発明の理解を容易にするために、実際の寸法や比率等が異っている。
まず本発明の効果である、LEDチップに代表される半導体発光素子の特性ばらつきの抑制を明確にするために、半導体発光素子の特性を、半導体発光素子用ウェハ(LED用パタンウェハ)の表面の凹凸に注目して説明する。
図1は、本実施の形態に係る半導体発光素子用ウェハ、及び半導体発光素子用ウェハから作製されるエピタキシャルウェハ、及びエピタキシャルウェハを個片化して得られる半導体発光素子の各断面模式図である。
図1Aは、本実施の形態の半導体発光素子用ウェハ20を示している。半導体発光素子用ウェハ20に対して、少なくとも2層以上の半導体層及び発光層から構成される積層半導体層(発光ダイオード構造)30を成膜することで、図1Bに示すようにエピタキシャルウェハ31が形成される。そしてエピタキシャルウェハ31を図1Cに示すようにチップ化(個片化)することで複数の半導体発光素子(LEDチップ)32が形成される。例えば、半導体発光素子用ウェハ20及びエピタキシャルウェハ31は、100mmφ〜250mmφの大きさであり、半導体発光素子32は100μm□〜500μm□の大きさある。
半導体発光素子用ウェハ20は、例えば、サファイアウェハ、シリコンカーバイドウェハ、窒化ガリウムウェハまたは、シリコンウェハ等であり、主にウェハ状である。また、半導体発光素子用ウェハ20の、積層半導体層30が成膜される面には、図1に示すように微細な凹凸(パタン)が設けられている。例えば、半導体発光素子用ウェハ20がサファイアウェハであり、前記凹凸がマイクロスケールであればPSSと、前記凹凸がナノスケールであればnPSSと称される。本発明において「半導体発光素子用ウェハ」とは、表面に凹凸が形成されたウェハを示す。また、単に「ウェハ」と称する場合もあるが、表面に凹凸を形成する前段階のウェハを指したり、購入段階でのウェハを指したり、あるいは表面形状に関わらずウェハそのものを指す概念である。また、本明細書においては、半導体発光素子用ウェハ20の表面の凹凸がマイクロスケールの場合を、ウェハの材質によらず、以下PXWと表現する。同様に、半導体発光素子用ウェハ20の表面の凹凸がナノスケールの場合を、以下nPXWと表現する。ここで、PXW及びnPXWの「P」は、「Patterned」の頭文字を指し、PXW及びnPXWの「W」は、「Wafer」の頭文字を指し、nPXWの「n」は、「nano」の頭文字を指す。また、PXW及びnPXWの「X」はLED用ウェハの材質が特定されていないことを示す。
PXWとnPXWとでは、LEDチップの特性向上の原理がことなることが知られている。以下、PXWとnPXWのそれぞれの特性向上の原理について説明する。
(PXWの場合)
PXWの特徴は、半導体発光素子用ウェハの凹凸の大きさが、半導体発光素子の発光波長に比べて十二分に大きいことである。このため、光学現象の観点からは、光線追跡が可能な領域となる。即ち、半導体発光素子の積層半導体層の内部にて導波モードを形成し半導体発光素子の外部へと本来取り出されることのない発光光を、PXWの凹凸により反射することで軌道を変え、半導体発光素子の外部へと取り出すことができる。即ち、光取り出し効率LEEが向上する。一方で、積層半導体層を成膜する際の半導体層及び発光層の成長性には、PXWの凹凸は実質的に影響を与えない。より具体的には、積層半導体層を成膜する際に、PXWの凹凸の凹部へと着陸した核は、その運動エネルギを解放するために移動するが、この移動距離に比べてPXWの凹部における底部の距離が大きいため、半導体層及び発光層の成長性には影響を与えない。しかしながら、PXWの大きな凸部を積層半導体層により、クラックを抑制し平坦化する必要があることから、凸部の大きさや形状に応じ、積層半導体層を成膜する際の条件をシビアに制御する必要がある。例えば、ELO(Epitaxial Lateral Overgrowth)成膜等が行われる。以上から、PXWを使用した場合、主に光取り出し効率LEEが向上し、半導体発光素子特性が改善される。
ここで、PXWによる光取り出し効率LEEの改善原理は光線追跡性にあることを考えると、半導体発光素子の発光波長が分布を有した場合、光取り出し効率LEEの改善程度の分布が生じることとなる。即ち、半導体発光素子用ウェハから得られる半導体発光素子特性にばらつきが生じる。一方で、PXWの凸部を精密な積層半導体層の成膜機構により制御していることから、平坦化する際の半導体層の成長モードやタイミングがばらついた場合、積層半導体層の結晶性やバンドギャップ等にばらつきが生じる。即ち、半導体発光素子特性がばらつく。以上から、半導体発光素子用ウェハから得られる半導体発光素子特性にばらつきが生じることとなる。
(nPXWの場合)
nPXWの特徴は、半導体発光素子用ウェハの凹凸の大きさが、半導体発光素子の発光波長の数倍以下であることである。このため、光学現象の観点からは、光回折や有効媒質近似が可能な領域となる。即ち、半導体発光素子の積層半導体層の内部にて導波モードを形成し半導体発光素子の外部へと本来取り出されることのない発光光を、nPXWの凹凸により回折あるいは透過することで軌道を変え、半導体発光素子の外部へと取り出すことができる。即ち、光取り出し効率LEEが向上する。なお、光取り出し効率LEEの向上程度は、一般的にはPXWの方が大きい。一方で、積層半導体層を成膜する際の半導体層の成長性にも、nPXWの凹凸は大きく影響を与える。より具体的には、積層半導体層を成膜する際に、nPXWの凹凸の凹部へと着陸した核は、その運動エネルギの解放するために移動するが、nPXWの凹部における底部の距離は、前記運動エネルギの解放のための移動距離と略同じか、あるいは小さくなる。このため、半導体層の成長性が乱される。ここで、nPXWの凹部における底部より成長する半導体層及び発光層は、前記凹部における底部近傍において、互いに衝突することができるため、半導体層内部及び発光層内部の転位を凹凸の密度に応じ減少させ、分散化することができる。よって、積層半導体層を構成する半導体層及び発光層の結晶性を向上させたり、転位を低減させたりすることが可能となり、半導体発光素子特性が改善される。
ここで、nPXWの光取り出し効率LEEの改善原理が、光回折あるいは有効媒質近似であることから、半導体発光素子の発光波長の分布等に対する光取り出し効率LEEのばらつきへの影響は、以下に説明する半導体発光素子特性の影響に比べ十分に小さくなる。nPXWの半導体発光素子特性改善の原理から、nPXWの凹部の底部より成長する半導体層の成長タイミングや衝突頻度等にばらつきが生じた場合、積層半導体層の結晶性やバンドギャップ等にばらつきが生じる。即ち、半導体発光素子特性がばらついたり、発光主波長がばらついたりする。以上から、半導体発光素子用ウェハから得られる半導体発光素子特性にばらつきが生じることとなる。
更に、nPXWの場合、nPXWの凹凸のピッチを、前記凹凸のピッチの数倍以上の変調周期にて変動させることで、光取り出し効率LEEをPXW以上に大きくすることができる。これは、ナノスケールの凹凸のピッチがマイクロスケールの周期にて変動することで、光学的散乱性が大きくなるためである。この場合、既に説明した原理から半導体発光素子特性も向上するため、半導体発光素子特性と光取り出し効率LEEの双方を同時に向上させることができる。
この場合、光取り出し効率LEEの改善原理が光学的散乱性の増加であることから、半導体発光素子の発光波長の分布等に対する光取り出し効率LEEのばらつきへの影響は小さい。しかしながら、半導体発光素子特性は既に説明したようにばらつく。以上から、上記説明したピッチの変動したタイプのnPXWの場合であっても、半導体発光素子用ウェハから得られる半導体発光素子特性にばらつきが生じることとなる。
以上から、nPXWやPXWといった半導体発光素子用ウェハを使用することで、半導体発光素子特性にばらつきが生じる。ここで、当該特性のばらつきは、上記説明したように光取り出し効率LEEのばらつきと、当該特性のばらつきとで決定されるが、特に特性のばらつきが主要因子であることがわかる。また、高効率な半導体発光素子を形成することが、半導体発光素子の普及への必須要素であることを鑑みると、当該特性に対してもポジティブなアプローチが可能なnPXWが、PXWに比べより重要であると考えられる。この場合、当該特性のばらつきを抑制することがより重要になる。
半導体発光素子特性のばらつきは、積層半導体層を成膜する際の、半導体層及び発光層の成長モードのばらつき、成長する半導体層及び発光層同士の衝突頻度のばらつき、または、成長速度のばらつき等を抑制することで、良好になる。ここで、積層半導体層は、PXW及びnPXWのパタンの平坦部より優先的に成長することから、平坦部のばらつきを小さくすることが本質的な改善策であると考えることができる。
積層半導体層を成膜する際の面内均等性は、積層半導体層を成膜する際の、一般的なチャンバサイズや条件のみならず、半導体発光素子用ウェハの凹凸の面内均等性の影響を受けると考えられる。これは、半導体発光素子用ウェハの凹凸の面内分布は、凹凸の比表面積の面内分布となることから、成膜される半導体層から見た半導体発光素子用ウェハの表面エネルギの分布につながると推定されるためである。
ウェハスケールにて、積層半導体層の成膜を考えた場合、半導体発光素子用ウェハの凹凸による比表面積の与える表面エネルギの分布範囲を考察できる。この分布範囲とは、分布を求める際の半導体発光素子用ウェハに対する測定箇所に相当する。
以上から、半導体発光素子用ウェハにおいては、半導体発光素子用ウェハの凹凸を構成する凸部の底部の径、あるいは凹部の開口部の径、または凸部の底部の径及び凹部の開口部の径がウェハ表面内にて所定の分布内にあることで、エピタキシャルウェハの半導体発光素子特性が良好となり、これにより当該特性のばらつきが低減される。
本発明の半導体発光素子用ウェハは、表面が凹凸を成しており、下記要件(A)及び要件(B)を同時に満たすことを特徴とする。
(A)凹凸の平均ピッチは80nm以上1500nm以下であること。
(B)凹凸を構成する凸部の底部の径φ1(以下、底部径φ1と称する)に対する分布、あるいは凹凸を構成する凹部の開口部の径φ2(以下、開口部径φ2と称する)に対する分布、または、底部径φ1及び開口部径φ2に対する分布の下記式(1)で求められる下限値が、−30%以上0%以下の範囲内であり、前記分布の下記式(2)で求められる上限値が、0%以上30%以下の範囲内であること。
式(1)
[(φmin−φave)/φave]×100(%)
式(2)
[(φmax−φave)/φave]×100(%)
ただし、φaveは、径φ1、φ2の相加平均値を示し、φmaxは径φ1、φ2の最大値を示し、φminは径φ1、φ2の最小値を示す。
また、相加平均値φave、最大値φmax、及び最小値φminは、以下の条件にしたがって測定されることが好ましい。
(1) 前記半導体発光素子用ウェハの直径に該当する線分Lを任意に選択すること。
(2) 前記半導体発光素子用ウェハの外縁部に一致する前記線分Lの端部をそれぞれ、点X及び点Yと規定すること。
(3) 前記線分L上において、前記点Xから0.15Lだけ内側に位置する点を測定群Aとし、前記測定群Aを測定開始点として、前記測定群Aから前記点Yの方向に向けて7.5mm間隔に10点の測定群を設定すること。
(4) 各測定群に対して、5点の測定点を設けるが、このとき、各測定点を前記線分L上に設け、各測定点同士の間隔を100μmとすること。
(5) 50個の測定点の全てに対して径を測定し、それらの相加平均値をφaveとし、それらの最大値をφmaxとし、それらの最小値をφminとすること。
なお、測定は走査型電子顕微鏡を用いた表面観察により行うことが好適である。
上記した要件(A)、要件(B)を同時に満たすことで、半導体発光素子の効率を向上させると共に、半導体発光素子特性ばらつきを小さくすることができる。
なお(1)〜(5)の各要件について、多少の変更は可能である。例えば、(3)の0.15Lを、0.1L〜0.20Lの範囲にて適宜変更できる。また(3)の7.5mmを7.0mm〜8.0mmの範囲内にて適宜変更できる。また(4)の5点を5点〜10点の範囲内にて適宜変更できる。また(4)の100μmを、100μm以上200μm以下の範囲内にて適宜変更できる。また(5)の50個の測定点は、(3)及び(4)より決定される測定点の数として適宜変更できる。
(要件(A)について)
要件(A)を満たすことで、半導体発光素子特性を向上させることができる。半導体発光素子用ウェハの凹凸の分解能である平均ピッチが80nm以上であることにより、例えば、凹凸の凹部に設けられる平坦部の大きさが、半導体層の安定な核の大きさ以上となることから、核成長性が良好となる。一方で、平均ピッチが1500nm以下であることにより、凹凸の密度が向上するため、転位密度の低減と分散化の効果が高くなる。より具体的には、凹凸の凹部の底部近傍における半導体層同士の衝突頻度を大きくし転位密度を低減できる。更に、前記衝突箇所を凹凸の密度に応じ分散化できることから、転位の分散化が促進され、転位同士が束となる大きな転位を抑制できる。
以上から、要件(A)を満たすことで、積層半導体層を構成する半導体層及び発光層の結晶性や転位密度を改善できることから、半導体発光素子特性が向上する。即ち、半導体発光素子特性の高いエピタキシャルウェハを得ることができる。
特に、上記説明した下限値の効果をより良好に発現する観点から、平均ピッチは150nm以上であることが好ましく、200nm以上であることがより好ましく、280nm以上であることが最も好ましい。また、上記説明した上限値の効果をより良好に発現する観点から、平均ピッチは1200nm以下であることが好ましく、900nm以下であることがより好ましく、720nm以下であることが最も好ましい。なお、平均ピッチの定義及び測定方法については後述する。
(要件(B)について)
上記要件(A)に加えて、要件(B)を満たすことで、エピタキシャルウェハの面内における半導体発光素子特性のばらつきを抑制し、全体として当該特性ばらつきを抑制できる。半導体発光素子用ウェハの凹凸に対して積層半導体層を成膜する際の面内均等性は、積層半導体層を成膜する際の一般的なチャンバサイズや条件のみならず、半導体発光素子用ウェハの凹凸の面内均等性の影響を受けると考えられる。
上記要件(B)の分布は、凸部の底部径φ1、あるいは凹部の開口部径φ2、または、底部径φ1及び開口部径φ2に対する分布である。底部径φ1の分布や開口部径φ2の分布は、凹凸を構成する凹部の底部の平坦面のばらつきや凸部の頂部の平坦面のばらつきに相関する。凹部の底部の平坦面や凸部の頂部の平坦面より優先的に積層半導体層を構成する半導体層及び発光層が成長する。ここで、前記平坦面の大きさは、成長する半導体層及び発光層同士の衝突頻度、あるいは成長速度に影響を与える。即ち、凹凸の径φの分布を所定範囲にすることで、成長する半導体層同士の衝突頻度、あるいは成長速度のばらつきを小さくできるため、半導体発光素子特性の均等性が向上する。
特に、ウェハの大きさが例えば、4インチや6インチと大きくなった場合であっても、エピタキシャルウェハの面内における半導体発光素子特性のばらつきを良好に抑制できる。積層半導体層を成膜する際の面内均等性は、積層半導体層を成膜する際の一般的なチャンバサイズや条件のみならず、半導体発光素子用ウェハの凹凸の面内均等性の影響を受けると考えられる。これは、例えば、4インチや6インチ以上の大きなウェハスケールの成膜現象から見た場合の、半導体発光素子用ウェハの凹凸の比表面積に相関するエネルギ分布が小さくなるため、エピタキシャルウェハの半導体発光素子特性の面内におけるばらつきを抑制できることが可能になるためと推定される。
上記効果をより発揮する観点から、凸部の底部径φ1、あるいは、凹部の開口部径φ2、または、底部径φ1及び開口部径φ2に対する分布は、−25%〜25%の範囲内であることが好ましく、−13%〜13%の範囲内であることがより好ましく、−10%〜10%の範囲内であることがより好ましい。なお、分布が、−8.5%〜8.5%の範囲内であれば半導体発光素子用ウェハの凹凸を構成する凹部の底部の平坦面や凸部の頂部の平坦面に対する分布が、積層半導体層の成膜からみて小さくなると推定される。即ち、エピタキシャルウェハにおける半導体発光素子特性のばらつきをより小さくできるため好ましい。同様の観点から、−5%〜5%の範囲内であることがより好ましく、−2.5%〜2.5%の範囲内であることが最も好ましい。
次に、要件(B)の分布の測定方法について詳細に説明する。半導体発光素子用ウェハの凸部の底部径φ1あるいは凹部の開口部径φ2は、走査型電子顕微鏡観察(Scanning Electron Microscope/SEM)により測定可能である。SEMによる観察は、半導体発光素子用ウェハの表面に対して行う。
SEMを使用した測定においては、凹凸の複数の凸部または複数の凹部が、観察像内に鮮明に25以上150以下で観察される倍率にて測定し、同観察像より凸部の底部径φ1、あるいは凹部の開口部径φ2を測定する。底部径φ1は、観察像内に観察される凸部の輪郭に対する外接円の直径として定義する。また、開口部径φ2は、観察像内に観察される凹部の輪郭に対する外接円の直径として定義する。なお、凹凸がラインアンドスペースの場合は、ラインの幅が凸部の底部径φ1あるいは凹部の開口部径φ2に相当する。SEMとしては、走査型電子顕微鏡SU8010(株式会社日立ハイテクノロジーズ社製)を使用する。なお、測定における加速電圧は、サンプルへのチャージアップやサンプルの焼けから適宜一般的に設定できるが1.0kVが推奨である。
以下では、凸部の底部径φ1に対する分布の測定について図面を参照して説明する。図2ないし図4は、本実施の形態に係る半導体発光素子用ウェハの凸部の底部径に対する分布の測定方法を説明するための各工程を示す平面模式図である。図5は、図4に示す一つの測定群を拡大して示した説明図である。
(1) 前記半導体発光素子用ウェハの直径に該当する線分Lを任意に選択すること(図2)。
まず、ウェハの直径を求める。ウェハの平面が真円でない場合には、最長の幅を直径とみなす。また例えば、オリエンテーション・フラット(orientation flat)の有無に関わらずウェハのサイズが4インチφ、6インチφ、そして8インチφであれば、直径は順次4インチ、6インチ、及び8インチである。
次に、直径の線分を任意に選択し、線分をLとする。以下では、線分Lと表記する。線分Lの配置箇所は限定されないが、例えば、オリエンテーション・フラットのある場合はオリエンテーション・フラットに略平行に配置できる。
(2) 前記半導体発光素子用ウェハの外縁部に一致する前記線分Lの端部をそれぞれ、点X及び点Yと規定すること(図3)。線分Lの端部は、ウェハの外縁部に一致し、これらの点を点X及び点Yとする。
(3) 前記線分L上において、前記点Xから0.15Lだけ内側に位置する点を測定群Aとし、前記測定群Aを測定開始点として、前記測定群Aから前記点Yの方向に向けて7.5mm間隔に10点の測定群を設定すること(図4)。
前記線分L上において、点Xから0.15Lだけ内側に位置する点を測定群Aとする。測定群Aを測定開始点とし、測定群Aから点Yの方向に向けて7.5mm間隔に10点の測定群を設定する。各測定群に対して、5点の測定点を設ける。前記測定点は、線分L上に設けられ、各測定点同士の間隔は100μmである(図5)。即ち、線分L上には、50個の測定点があり、それらの測定点は5つずつ群をなし測定群を作っている。そして、各測定群同士の隣接距離は7.5mmであり、各測定点同士の隣接距離は100μmである。50個の測定点の全てに対して、上記説明したSEMを用いた観察により、凸部の底部径φ1を測定し、それらの相加平均値をφaveとする。
ここで、各測定点に対して、SEMを使用して凸部の底部径φ1を求める。既に説明したように、SEMの観察倍率は、観察像内に鮮明に25以上150以下の凸部が観察される倍率である。各測定点により求められる凸部の底部径φ1は、SEM観察像内に観察される凸部から任意に25点の凸部を選択し、それらの凸部の底部径φ1に対する相加平均値である。換言すれば、1つの測定点から求められる凸部の底部径φ1は、25点の相加平均値として与えられる。
上記定義により、凸部の底部径φ1が50点測定される。ここで、底部径φ1に対する分布は下記定義にしたがい算出される。まず、50点測定された底部径φ1の最大値をφmaxとし、最小値をφminとする。底部径φ1に対する分布は、[(φmin−φave)/φave]×100(%)及び[(φmax−φave)/φave]×100(%)である。例えば、底部径φ1が、150nm〜220nmの範囲で50点測定され、その相加平均値φaveが180nmである場合、底部径φ1に対する分布の上限値は、+22%で、底部径φ1に対する分布の下限値は、―17%である。同様に例えば、底部径φ1が、570nm〜610nmの範囲で50点測定され、その相加平均値φaveが580nmである場合、底部径φ1に対する分布の上限値は、+5%で、底部径φ1に対する分布の下限値は、―2%である。
上記要件(B)は、ウェハ表面内における凹凸の分布を意味している。即ち、SEM観察において、観察されるSEM像内の凹凸がばらついていなくとも、ウェハ表面内でばらついていれば、上記効果が発現されないことを意味している。また、SEM観察における1画像内の凹凸がばらついている場合であっても、各SEM観察像内の凹凸のばらつきが同程度であれば、ウェハ表面内の面内ばらつきは小さくなる。逆に、SEM観察における1画像内の凹凸がばらついている場合であって、各SEM観察像内の凹凸のばらつきが大きく異なる場合、ウェハ表面内の面内ばらつきは大きくなる。また、ウェハ表面内に複数の種類の凹凸が、各種類の凹凸毎にドメインを形成しているような場合もウェハ表面内における凹凸のばらつきは大きくなる。
次に平均ピッチについて説明する。平均ピッチPaveは、上記凹凸を構成する凸部の底部径φ1の分布を測定する際に使用したSEMの観察像より同時に測定される。即ち、上記説明した凸部の底部径φ1の分布の測定方法に関し、凸部の底部径φ1をピッチPと読み替えることができる。即ち、ピッチは50点集計される。これらの相加平均値が平均ピッチである。なお、凸部の底部径φ1と同様に、各測定点に対して、SEM観察像内から任意に25点のピッチを求め、それらの相加平均値をピッチPとすることができる。ピッチとは、SEM撮像内に観察される凸部の頂部の中央部同士の最短距離として定義する。なお、凹凸がラインアンドスペース状の場合、ラインの幅方向の中央部が頂部の中央部に該当する。
(要件(C)について)
本発明では、上記の要件(A)及び要件(B)の前提として、以下の要件(C)を含んでいる。要件(C)とは、ウェハの材質でもって凹凸の表面を成している点である。
要件(C)を満たすことで、積層半導体層の成膜性を良好に保つことができる。積層半導体層の成膜の初期条件は、半導体層の核生成が、半導体発光素子用ウェハの表面にて生じることである。本発明では、例えば後述する方法によりウェハの表面に凹凸を形成しており、凹凸の表面はウェハと実質的に同じ材質で現れる。ここで、ウェハとまったく異なる材質、例えば、二酸化珪素(SiO)や樹脂によりウェハの表面をほぼ全て被覆するような形態では、凹凸の表面にウェハと同じ材質が現れないから、このような形態は本発明に含まれない。すなわち、ウェハの材質と異なる材質で表面を覆う形態では、半導体層の核生成が阻害される原因となる。本発明のように、半導体発光素子用ウェハの表面が凹凸で形成され、この表面がエピタキシャル成長面を成すことで、積層半導体層の成膜性が良好となり、本発明の効果を満たすエピタキシャルウェハを得ることができる。
ここで、本発明では、凹凸の表面がウェハと実質的に同じ材質として現れていればよい。ここで、実質的に同じとは、完全に材質が一致している場合の他、半導体発光素子用ウェハを形成する際の凹凸のマスクとなる物質が多少、凹凸の表面に残存している場合を含む。即ち、半導体発光素子用ウェハの凹凸を構成する凸部の頂部上に前記マスクが残っている場合や、凹凸の表面に薄い被膜を形成するようにマスクが残っている場合を含む。例えば、SiOをマスクとしてウェハをエッチングした場合、半導体発光素子用ウェハの凸部の頂部上にSiOを残すことができる。この様な場合もウェハと凹凸の材質が実質的に同一であるとする。また、エッチング等でウェハの表面にイオンが打ち込まれた状態も、ウェハと凹凸の材質が実質的に同一である。なお本発明では、凹凸が表面に形成されたウェハの裏面に、支持板が設けられた形態としてもよい。支持板は、例えば、金属或いは誘電体である。
以下、半導体発光素子用ウェハの表面に形成された半導体発光素子用ウェハの凹凸及び材質について説明し、その後、積層半導体層について説明する。
(凹凸)
凹凸の形状及び配列は、積層半導体層の屈折率及び膜厚、そして発光波長により適宜設計できるため特に限定はされない。凹凸の配列としては、例えば、非回転対象な配列や回転対象な配列を採用できる。非回転対象な配列とは、規則性の低い配列や、規則性の高い集合が散在している配列である。回転対象な配列としては、例えば2回対象であれば、互いに平行なラインが複数配置される配列(ラインアンドスペース配列)、正四方配列や正六方配列を一軸方向に延伸した配列、正四方配列や正六方配列を一軸方向に周期的に(例えば、サイン波に乗じて)変調を加えた配列、複数のラインの間隔が周期的に(例えば、サイン波に乗じて)変調された配列、正四方配列や正六方配列を互いに垂直な二軸方向にそれぞれの軸方向に異なる延伸倍率にて延伸した配列、正四方配列や正六方配列を互いに垂直な二軸方向にそれぞれの軸方向に異なる変調周期にて変調した配列等が挙げられる。また、4回以上の対称性を有する配列としては、正四方配列や正六方配列、正四方配列や正六方配列を互いに垂直な二軸方向に同様の周期にて(例えばサイン波に乗じて)変調した配列、正四方配列や正六方配列をある軸に対して60°刻みの軸方向に同様の周期にて(例えばサイン波に乗じて)変調した配列等が挙げられる。なお、上記変調とは、凹凸のピッチが一定ではなく、所定の周期にて変化することを意味する。即ち、ある周期にて凹凸のピッチが増減を繰り返すような配列である。
凹凸の形状としては、例えば、ライン状体、ドーム状体、レンズ状体、円錐状体、円柱状体、n角錐状体、n角柱状体、多重リング状体、前記錐状体の頂部が0超の曲率半径の角部より構成される錐状体、前記n角錐状体(n≧3)またはn角柱状体(n≧3)の底面の角部が0超の曲率半径の角部を含むn角錐状体またはn角柱状体、あるいは、前記n角錐状体またはn角柱状体の底面の角部が0超の曲率半径の角部を含むと共に、頂部が0超の曲率半径の角部であるn角錐状体またはn角柱状体等が挙げられる。なお、これらの形状は底面の外径が歪んだ形状や、側面が湾曲した形状を含む。なかでも、凸部の頂部の平坦部がない、或いは非常に小さい形状であるライン状体、ドーム状体、レンズ状体又は円錐状体であることで、積層半導体層内の転位密度及び集合した転位の大きさを小さくすることができるため好ましい。
また、凹凸は、複数の独立した凸部と連続した凹部より構成されるドット状構造、複数の独立した凹部と連続した凸部より構成されるホール状構造、あるいは独立した凸部と独立した凹部とを共に含むハイブリッド構造をとることができる。中でも、ドット状構造が最も好ましい。これは、ドット状構造であることにより、エピタキシャルウェハの半導体発光素子特性が良好になるためである。より具体的には、積層半導体層を成膜する際の核の付着、及び核の成長が良好となり、半導体層や発光層のクラックを抑制し、転位を低減し、且つ転位を分散化できるためである。凸部の底部の輪郭形状は、円状、楕円状、柵状、卍状、n角形(n≧3)、角部の曲率半径が0超の角部を有するn角形(n≧3)等を採用できる。中でも、円状、楕円状、柵状、角部の曲率半径が0超の角部を有する3角形であると、積層半導体層を成膜する際のクラック抑制の効果が大きくなるため、エピタキシャルウェハの半導体発光素子特性が向上する。特に、円状が最も好ましい。なお、円状は実質的な円状であり、多少の歪は考慮される。
凹凸の凸部は先細り形状であることが好ましい。即ち、凸部の底部から頂部へと向かうにしたがい、凸部の径が小さくなる形状であることが好ましい。これにより、半導体発光素子の効率を向上させることができる。より具体的には、エピタキシャルウェハの半導体発光素子特性が、積層半導体層を構成する半導体層や発光層の転位低減や転位分散化により向上するためである。これは、半導体発光素子用ウェハ上に成膜される積層半導体層の成膜過程から推察される。即ち、核生成及び成長を、凹凸の凹部の底部から優先的に生じさせることで、転位の分散化が促進される。この観点から、凸部の頂部が小さくなる形状であることにより、転位分散化の効果が高まる。次に、凹部より優先的に成長する半導体層及び発光層が凸部を平坦化する際のクラックの発生を抑制することで、半導体発光素子特性が向上する。この観点から、凸部の頂部が小さくなる形状であることで、凹凸の凸部から半導体層に向けて生じる応力を低減及び緩和できるため、半導体発光素子特性が向上する。以上から、凹凸の凸部における頂部の平坦面の大きさは100nm以下であることが好ましい。100nm以下であることにより、凸部における頂部上からの半導体層の成長を阻害できる。同様の観点から、80nm以下であることがより好ましく、50nm以下であることがより好ましく、平坦部のないことが最も好ましい。なお、平坦部がない場合、凸部の頂部は角部より構成されても、曲率半径が0超の角部より構成されてもよいが、半導体発光素子特性をより向上させる観点から、曲率半径が0超の角部より構成されることが好ましい。例えば、凹凸の凸部の形状としては、ライン状体、ドーム状体、レンズ状体又は円錐状体であることが好ましい。
半導体発光素子用ウェハの凸部の底部径φ1とピッチPにて除した値、即ち比率(φ1/P)をDutyと呼ぶ。凹凸の凹部の底部の大きさが小さくなりすぎる場合、積層半導体層を成膜する際の核生成が阻害されるため、半導体発光素子特性が悪化する。凹凸の凹部の底部の大きさは、ピッチPとDutyを使用し表現できる。また、凹凸の凹部の底部の大きさの下限値は、半導体層及び発光層の核の大きさから概算することができる。以上から、Dutyの上限値が決定され、Duty≦1−(R/Pave)と算出される。ここで、Rは、核生成を良好に生じるための面積を指す指標である。R=50nmであることが好ましく、R=80nmであることがもっとも好ましい。これらの範囲を満たすことで、半導体発光素子特性が改善されることから、半導体発光素子の効率が大きくなる。なお、上記式のPaveのディメンジョンはナノメートルである。
更に、凹凸により光取り出し効率をも向上させることを考えると、積層半導体層の内部を導波する発光光のモードを乱す必要がある。ここで、発光光の進行方向を効果的に乱し、導波モードを崩し、光取り出し効率を向上させることを考えると、Dutyは所定の値より大きい必要があることが分かった。これは3次元RCWA法と2次元FDTD法から計算された。即ち、Duty≧(3.47×10−8)Pave+Zを満たすことが好ましい。ここで、Zは、光の散乱性を表す指標である。Zを0.5、0.6、及び0.65の順に増やすと、凹凸による光回折のモード数と回折強度が増加するために、導波モードを乱す効果が大きくなり、光取り出し効率も向上する。なお、上記式のPaveのディメンジョンはナノメートルである。
半導体発光素子用ウェハの凹凸の高さHを凸部の底部径φ1にて除した値、即ち比率(H/φ1)をAspectと呼ぶ。このAspectの範囲は特に限定されないが、積層半導体層を成膜する際の核成長性を良好にする観点、及びクラックを抑制する観点から上限値を決定し、光取り出し効率を向上させる観点から下限値を決定できる。これらの観点から、Aspectは0.1以上5以下であることが好ましく、0.3以上2以下であることがより好ましく、0.5以上1以下であることが最も好ましい。
上記では、凹凸を構成する凸部の底部径φ1について説明したが、凸部の底部の逆パタンで凹部が形成されている構成では、凹部の開口部径φ2を、上記した底部径φ1に準じて測定し、且つ分布を底部径φ1と同様の範囲内に規制する。また上記のDutyやAspectについても、底部径φ1の部分を開口部径φ2に置き換えて求めることができる。
(ウェハの材質)
ウェハの材質は、形成するLEDの環境や半導体発光素子の用途により適宜選択できるため、半導体発光素子用ウェハとして使用できるものであれば、特に限定されない。例えば、サファイアウェハ、SiCウェハ、SiNウェハ、W−Cuウェハ、Siウェハ、GaN系ウェハ、または、MgAlに代表される絶縁性ウェハであるスピネルウェハ等を使用できる。特に、半導体発光素子特性を良好に保つ観点から、サファイアウェハ、SiCウェハ、GaN系ウェハまたは、Siウェハであることが好ましい。
ウェハの形状も特に限定されず、例えば、円形のウェハや円弧と一本の直線とから作られる外形を有するウェハ(例えば、オリエンテーション・フラットの付いたウェハ)を使用できる。また、ウェハは反りを有していてもよい。例えば、反りとしてはBOW表記として、100μm以下のものを使用できる。BOWは、ウェハの周辺を基準として、ウェハの中心の相対位置で反りを評価した値であり、値が小さいほど反りが小さいことを意味する。特に、凹凸を構成する凸部の底部径φ1や凹部の開口部径φ2の分布を小さくし、半導体発光素子の特性のばらつきを小さくする観点から、BOWは50μm以下であることが好ましく、25μm以下であることがより好ましく、10μm以下であることが最も好ましい。ウェハの大きさは、例えば4インチφ、6インチφ、8インチφを使用できる。
(積層半導体層)
積層半導体層は、特に限定されず公知一般のエピタキシャルウェハに使用される積層半導体層を採用できる。例えば、図6(本実施の形態に係るエピタキシャルウェハの断面模式図である)に示すように、半導体発光素子用ウェハ20に対して、第1半導体層33、発光層34、及び第1半導体層とは異なる第2半導体層35をこの順に成膜することで、積層半導体層30を作ることができる。
この場合、第1半導体層33は単層であっても、多層であってもよい。多層の場合、例えば、バッファ層、非ドープ第1半導体層、及びドープ第1半導体層より構成される。第1半導体層33の膜厚は、クラックを抑制し凹凸を平坦化すると共に、上記した要件(A)、要件(B)及び要件(C)の効果を発現する観点から、800nm以上であると好ましい。特に、凹凸による転位低減の効果をより発揮する観点から、1500nm以上であることが好ましく、2000nm以上であることがより好ましい。第1半導体層33の結晶性と平坦性を良好に保ち、半導体発光素子特性を面内にわたり均等化する観点から、2500nm以上であることが好ましく、3000nm以上であることがより好ましく、4000nm以上であることが最も好ましい。一方、上限値はエピタキシャルウェハの反り及び環境適合性の観点から100000nm以下であると好ましく、7500nm以下であることがより好ましく、6500nm以下であることが最も好ましい。
ドープ第1半導体層は、LEDに適したn型半導体層として使用できるものであれば、特に制限はない。例えば、シリコン、ゲルマニウム等の元素半導体、III−V族、II−VI族、VI−VI族等の化合物半導体等に適宜、種々の元素をドープしたものを適用できる。ドープ第1半導体層の膜厚は、発光層34への電子注入性の観点から、800nm以上であると好ましく、1500nm以上であることがより好ましく、2000nm以上であることが最も好ましい。一方、上限値は、エピタキシャルウェハの反りを低減する観点から、5000nm以下であることが好ましい。ドープ第1半導体層の使用量を低減すると共に、エピタキシャルウェハの製造時間を短縮する観点から、4300nm以下であることが好ましく、4000nm以下であることがより好ましく、3500nm以下であることが最も好ましい。
非ドープ第1半導体層は、ドープ第1半導体層のn型半導体層としての性能に支障をきたさない範囲で適宜選択できる。例えば、シリコン、ゲルマニウム等の元素半導体、III−V族、II−VI族、VI−VI族等の化合物半導体等を適用できる。非ドープ第1半導体層の膜厚は、半導体発光素子用ウェハの凹凸を平坦化し、上記した要件(A)、要件(B)、要件(C)の効果を発現する観点から、1000nm以上であることが好ましい。特に、非ドープ第1半導体層の内部にて転位を効果的に低減する観点から1500nm以上であることが好ましく、2000nm以上であることがより好ましく、2500nm以上であることが最も好ましい。一方、上限値は、エピタキシャルウェハの反りを低減する観点から6000nm以下であることが好ましい。特に、エピタキシャルウェハの製造時間を短縮する観点から、5000nm以下であることが好ましく、4000nm以下であることがより好ましく、3500nm以下であることが最も好ましい。
なお、半導体発光素子用ウェハの凹凸上に少なくとも非ドープ第1半導体層及びドープ第1半導体層が順次積層される場合、ドープ第1半導体層上に更に他の非ドープ半導体層を設け、その上に発光層を設けることもできる。この場合、他の非ドープ半導体層としては、上記非ドープ第1半導体層にて説明した材料を使用することができる。他の非ドープ半導体層の膜厚は、半導体発光素子特性、特に発光性の観点から、10nm以上であることが好ましく、100nm以上であることがより好ましく、200nm以上であることが最も好ましい。一方、上限値は、正孔と電子の再結合の観点から、500nm以下であることが好ましく、400nm以下であることがより好ましく、350nm以下であることが最も好ましい。
発光層34としては、発光ダイオードとして特性を有するものであれば、特に限定されない。例えば、AsP、GaP、AlGaAs、InGaN、GaN、AlGaN、ZnSe、AlHaInP、ZnO等の半導体層を適用できる。また、発光層34には、適宜、特性に応じて種々の元素をドープしてもよい。
第2半導体層35としては、LEDに適したp型半導体層として使用できるものであれば、特に制限はない。例えば、シリコン、ゲルマニウム等の元素半導体、及び、III−V族、II−VI族、VI−VI族等の化合物半導体に適宜、種々の元素をドープしたものを適用できる。
次に、半導体発光素子用ウェハの製造方法について説明する。本実施の形態に係る半導体発光素子用ウェハは、上記説明した条件を満たした凹凸を具備すれば、その製造方法は限定されず、転写法、フォトリソグラフィ法、熱リソグラフィ法、電子線描画法、干渉露光法、ナノ粒子をマスクとしたリソグラフィ法、自己組織化構造をマスクとしたリソグラフィ法等により形成することができる。
自己組織化としては、例えば交互積層法(Layer by Layer adsorption法)、マクロ相分離法、ミクロ相分離法、ナノ層分離法、ブロック共重合体を使用した層分離法等が挙げられる。
例えば、ウェハ表面内にわたり均等な分布の小さな凹凸を形成する方法として、フォトリソグラフィ法が挙げられる。しかしながら、フォトリソグラフィ法の場合、光の波長以下の凹凸を刻むことは物理現象の点から非常に困難であり、本願のいう凹凸(パタン)の形成は困難である。
したがって、nPXWの凹凸の加工精度や加工速度の観点から、転写法を採用すると好ましい。
ここで転写法とは、表面に凹凸を具備したモールドの、凹凸をウェハに転写する工程を含む方法として定義する。即ち、モールドの凹凸とウェハとを転写材を介して貼合する工程と、モールドを剥離する工程と、を少なくとも含む方法である。このような方法としては、ナノインプリントリソグラフィ法が挙げられる。ナノインプリントリソグラフィ法は、モールドの凹凸をウェハ上のマスク層に転写しマスク積層ウェハを得る工程と、マスク積層ウェハをエッチングし、ウェハの加工マスクとなるマスク構造体をウェハ上に形成する工程と、ウェハをエッチングし半導体発光素子用ウェハを得る工程と、を含む方法である。
例えば、マスク層を1種類用いる場合、まずウェハとモールドとをマスク層を介して貼合する。続いて、熱や光(UV)によりマスク層を硬化させ、モールドを剥離し、マスク積層ウェハを得る。マスク積層ウェハのマスク層から構成される凹凸に対して酸素アッシングに代表されるプラズマエッチングを行い、ウェハを部分的に露出させ、マスク構造体を得る。その後、マスク構造体を加工マスクとして、エッチングによりウェハを加工する。この際の加工方法としては、ドライエッチングとウェットエッチングを採用できる。半導体発光素子用ウェハの凹凸の高さを高くしたい場合はドライエッチングが有用である。
また、例えばマスク層を2種類用いる場合、まずウェハ上に第1のマスク層を成膜する。続いて、第1のマスク層とモールドとを第2のマスク層を介し貼合する。その後、熱や光(UV)によりマスク層を硬化させ、モールドを剥離することで、マスク積層ウェハを得る。マスク積層ウェハの第2のマスク層を加工マスクとして、酸素アッシングに代表されるプラズマエッチングを行い、第1のマスク層をエッチングし、ウェハを部分的に露出させ、マスク構造体を得る。続いて、マスク構造体を加工マスクとして、エッチングによりウェハを加工する。この際の加工方法としては、ドライエッチングとウェットエッチングを採用できる。半導体発光素子用ウェハの凹凸の高さを高くしたい場合はドライエッチングが有用である。
また、転写法として2種類以上のマスク層を予め具備した積層成形体を形成し、前記積層成形体を使用する方法を採用できる。図7は、本実施の形態に係るマスク積層ウェハ、マスク構造体、及び積層成形体の各断面模式図である。図7Aに示すように、積層成形体2とは、モールド10の凹凸を構成する凹部の内部に第1のマスク層12を充填して配置し、第1のマスク層12の充填されたモールド10の凹凸上に、凹凸を平坦化するように第2のマスク層13を成膜した成形体である。図7Bに示すように、積層成形体2を半導体発光素子用ウェハ20に貼合する工程と、図7Cに示すように、モールド10を剥離する工程とを、少なくともこの順に含むことで、半導体発光素子用ウェハ20/第2のマスク層13/第1のマスク層12から構成されるマスク積層ウェハ21を得ることができる。得られたマスク積層ウェハ21の第1のマスク層12側から第1ドライエッチング処理を行い、部分的に半導体発光素子用ウェハ20を露出させ、図7Dに示すマスク構造体16を得る。ここで、第1ドライエッチング処理として、酸素ガスを使用したプラズマエッチングを採用できる。次に、ドライエッチングあるいはウェットエッチングによりウェハを加工し、半導体発光素子用ウェハを得ることができる。特に、ドライエッチングを採用することで、半導体発光素子用ウェハの凹凸の高さを容易に制御できる。積層成形体2を構成する第1のマスク層12としては、Ti、Si、Zr等の金属元素を含むことができ、金属アルコキシドやシランカップリング材を選定できる。また、第2のマスク層13としては、光硬化性樹脂や熱硬化性樹脂を採用でき、特に5員環あるいは6員環を含む材料を使用できる。
上記説明したマスク構造体16を加工マスクとしてウェハをドライエッチングする場合、例えば、ウェハがサファイアウェハであれば、ドライエッチングに使用するガスとして、Clガス、BClガス、あるいはClガスとBClガスの混合ガスを使用できる。また、これらのガスにArを添加してもよい。
ここで、半導体発光素子用ウェハ20をエッチングにより得る際の前身は、マスク構造体16を具備するウェハであり、その前身はマスク積層ウェハ21である。即ち、マスク積層ウェハ21により、半導体発光素子用ウェハ20を制御することができる。
即ち、本発明のマスク積層ウェハは、以下の通りである。本発明のマスク積層ウェハは、ウェハとウェハ上に設けられたマスク層とを有してから構成され、下記の要件(D)及び要件(E)を同時に満たすことを特徴とする。
(D)マスク層の表面には凹凸が設けられること。
(E)ウェハとマスク層との界面と、凹凸の頂部位置との距離であるマスク層の膜厚HMに対する分布の下記式(3)で示される下限値が、−30%以上0%以下の範囲内であり、前記分布の下記式(4)で示される上限値が、0%以上30%以下の範囲内であること。
式(3)
[(HMmin−HMave)/HMave]×100(%)
式(4)
[(HMmax−HMave)/HMave]×100(%)
ただし、HMaveは、膜厚HMの相加平均値を示し、HMmaxは、膜厚HMの最大値を示し、HMminは、膜厚HMの最小値を示す。
前記分布は、下記要領にしたがって測定される。まず、ウェハの直径を測定する。次に、直径の線分をLとして任意に選択する。以下、線分Lと表記する。線分Lの端部は、ウェハの外縁部に一致し、これらの点を点X及び点Yとする。前記線分L上において、点Xから0.15Lだけ内側に位置する点を測定群Aとする。測定群Aを測定開始点とし、測定群Aから点Yの方向に向けて7.5mm間隔に10点の測定群を設定する。各測定群に対して5点の測定点を設ける。この測定点は、線分L上に設けられ、各測定点同士の間隔は100μmである。50個の測定点全てに対して膜厚HMを測定し、それらの相加平均値をHMaveとする。また、膜厚HMの最大値をHMmaxとし、最小値をHMminとする。なお、測定はSEMを用いた断面観察により行う。
上記要件(D)及び要件(E)を同時に満たすことで、半導体発光素子用ウェハの凹凸の面内均等性を向上させ、エピタキシャルウェハの半導体発光素子特性の面内均等性を向上させ、半導体発光素子の効率を向上させると共に、半導体発光素子特性ばらつきを小さくすることができる。
(要件(D)について)
要件(D)を満たすことで、マスク層の凹凸を加工マスクとしてウェハをエッチング加工する機構となることから、半導体発光素子用ウェハを得ることができる。なお、エッチングから見たマスク層の好ましい物性や膜厚等については後述する。
(要件(E)について)
上記要件(D)に加えて、要件(E)を満たすことで、半導体発光素子用ウェハの面内における凹凸のばらつきを抑制し、上記説明した半導体発光素子用ウェハを形成できる。
マスク積層ウェハの凹凸のばらつきは、半導体発光素子用ウェハをエッチング加工して形成する際の、一般的なチャンバサイズや条件のみならず、マスク積層ウェハの凹凸の面内均等性の影響を受けると考えられる。上記要件(E)の分布は、マスク層の膜厚HMに対する分布である。マスク層を加工マスクとしてエッチングする場合、エッチングガスのローディング効果やシャドー効果を制御することで、良好な凹凸を得ることができる。
ここで、マスク積層ウェハのマスク層の膜厚HMが異なる場合、ローディング効果やシャドー効果の影響の程度が変わることから、得られる凹凸が異なることになる。即ち、マスク層の膜厚HMを所定範囲にすることで、エッチング環境から見たシャドー効果やローディング効果が均等化されるため、ウェハの面内に亘る加工均等性が向上する。即ち、上記説明した半導体発光素子用ウェハを形成できる。
特に、ウェハの大きさが例えば、4インチや6インチと大きくなった場合であっても、半導体発光素子用ウェハの面内における凹凸のばらつきを良好に抑制できる。これは、例えば、4インチや6インチ以上の大きなウェハスケールのエッチングという物理現象から見た、ローディング効果性やシャドー効果性を向上させることができるためと推定される。
上記効果をより発揮する観点から、マスク積層ウェハのマスク層の膜厚HMに対する分布は、−22%〜22%の範囲内であることが好ましく、−17%〜17%の範囲内であることがより好ましく、−10.5%〜10.5%の範囲内であることがより好ましい。なお、−9%〜9%の範囲内であれば、マスク積層ウェハに対してエッチングを行い形成されるマスク構造体を加工マスクとしてウェハをエッチング加工する際の、ローディング効果及びシャドー効果の分布がより小さくなる。即ち、マスク構造体のエッチングによる減少速度の均等性が向上することから、半導体発光素子用ウェハの凹凸の面内分布がより良好となる。同様の観点から、マスク積層ウェハのマスク層の膜厚HMに対する分布は、−8%〜8%の範囲内であることが好ましく、−5.5%〜5.5%の範囲内であることが最も好ましい。
次に、要件(E)の分布の測定方法について説明する。マスク積層ウェハのマスク層の膜厚は、マスク積層ウェハの断面に対するSEMにより測定される。
SEMによる観察は、マスク積層ウェハの断面に対して行う。SEMを使用した測定においては、マスク層の凹凸の複数の凸部または複数の凹部が、観察像内に鮮明に5以上15以下で観察される倍率にて測定し、同観察像よりマスク層の膜厚HMを測定する。膜厚HMは、観察像内に観察される凸部の頂点の平均位置と、ウェハとマスク層との界面位置との最短距離として定義する。SEMとしては、走査型電子顕微鏡SU8010(株式会社日立ハイテクノロジーズ社製)を使用する。なお、測定における加速電圧は、サンプルへのチャージアップやサンプルの焼けから適宜一般的に設定できるが1.0kVが推奨である。
マスク層の膜厚HMに対する分布は以下の測定定義にしたがい測定される。なお測定は図2ないし図5にて説明した測定に準じて行われる。まずウェハの直径を測定する。例えば、オリエンテーション・フラットの有無に関わらずウェハのサイズが4インチφ、6インチφ、そして8インチφであれば、Lは順次4インチ、6インチ、及び8インチである。次に、直径の線分をLとして任意に選択する。以下、線分Lと表記する。この線分Lの配置箇所は限定されないが、例えば、オリエンテーション・フラットのある場合はオリエンテーション・フラットに略平行に配置できる。線分Lの端部は、ウェハの外縁部に一致し、これらの点を点X及び点Yとする。前記線分L上において、点Xから0.15Lだけ内側に位置する点を測定群Aとする。測定群Aを測定開始点とし、測定群Aから点Yの方向に向けて7.5mm間隔に10点の測定群を設定する。各測定群に対して、5点の測定点を設ける。この測定点は、線分L上に設けられ、各測定点同士の間隔は100μmである。即ち、線分L上には、50個の測定点があり、それらの測定点は5つずつ群をなし測定群をつくっている。そして、各測定群同士の隣接距離は7.5mmであり、各測定点同士の隣接距離は100μmである。50個の測定点全てに対して、上記説明したSEMを用いた断面観察により、膜厚HMを測定し、それらの相加平均値をHMaveとする。ここで、各測定点に対して、SEMを使用して膜厚HMを求める。既に説明したように、SEMの観察倍率は、観察像内に鮮明に5以上15以下の凸部が観察される倍率である。各測定点により求められる膜厚HMは、SEM観察像内に観察される全ての凸部の頂点により作られる平均位置と、ウェハとマスク層との界面位置との最短距離である。
上記定義によりマスク積層ウェハのマスク層の膜厚が50点測定される。ここで、膜厚HMに対する分布は下記定義にしたがい算出される。まず、50点測定された膜厚HMの最大値をHMmaxとし、最小値をHMminとする。膜厚HMに対する分布の上限値(%)は、[(HMmax−HMave)/HMave]×100(%)で示され、膜厚HMに対する分布の下限値(%)は、[(HMmin−HMave)/HMave]×100(%)である。例えば、マスク層の膜厚HMが、470nm〜520nmの範囲で50点測定され、その相加平均値HMaveが490nmである場合、膜厚HMに対する分布の上限値(%)は、+6%であり、膜厚HMに対する分布の下限値(%)は、―4%である。同様に例えば、膜厚HMが、750nm〜830nmの範囲で50点測定され、その相加平均値HMaveが790nmである場合、膜厚HMに対する分布の上限値(%)は、+5%であり、膜厚HMに対する分布の下限値(%)は、―5%である。
以下、マスク積層ウェハの凹凸及び材質について説明する。
(マスク積層ウェハの凹凸)
凹凸の形状及び配列は、半導体発光素子用ウェハの用途に応じ適宜設計することができる。中でも、以下に説明する凹凸を満足することで、既に説明した半導体発光素子用ウェハを容易に制御性高く形成できる。
凹凸の配列及び形状としては、半導体発光素子用ウェハにて説明した凹凸の配列及び形状を採用できる。
また、凹凸は、複数の独立した凸部と連続した凹部より構成されるドット状構造、複数の独立した凹部と連続した凸部より構成されるホール状構造、あるいは独立した凸部と独立した凹部とを共に含むハイブリッド構造をとることができる。中でも、マスク積層ウェハをエッチングして半導体発光素子用ウェハを得る際のエッチング挙動の観点から、ドット状構造が最も好ましい。凸部の底部の輪郭形状は、半導体発光素子用ウェハにて説明した凹凸の形状を採用できる。中でも、マスク積層ウェハを転写法により形成する際の、マスク層の転写精度の観点から、円状、楕円状、柵状、角部の曲率半径が0超の角部を有する3角形であることが好ましく、円状であることが最も好ましい。なお、円状は実質的な円状であり、多少の歪は考慮される。
凹凸の凸部は先細り形状であることが好ましい。即ち、凸部の底部から頂部へと向かうにしたがい、凸部の径が小さくなる形状であることが好ましい。これにより、マスク積層ウェハを転写法により形成する際の、マスク層の転写精度を、転写速度を大きくした場合であっても高く保つことができる。
特に、マスク積層ウェハを転写法により形成する際の、マスク層に加わるモールドの剥離応力を緩和して、転写精度をより向上させる観点から、凹凸の凸部における頂部の平坦面の大きさは500nm以下であることが好ましく、300nm以下であることがより好ましく、100nm以下であることが最も好ましい。なお、50nm以下であれば、マスク層の転写精度を高めた状態にて、転写速度を向上できるため好ましい。最も好ましくは、平坦部のない状態である。なお、平坦部のない場合、凸部の頂部は角部より構成されても、曲率半径が0超の角部より構成されてもよいが、マスク層の破損を抑制する観点から、曲率半径が0超の角部より構成されることが好ましい。
次に平均ピッチについて説明する。マスク積層ウェハのマスク層の凹凸のピッチは、半導体発光素子用ウェハに反映される。この観点から、マスク積層ウェハのマスク層の凹凸のピッチは、半導体発光素子用ウェハにて説明した範囲を満たすことが好ましい。特に、上限値である1500nm以下を満たすことで、マスク積層ウェハを転写法により形成する際の、マスク層に加わる剥離力を低減することができるため好ましい。また、下限値である80nm以上を満たすことで、マスク積層ウェハを転写法により形成する際の、マスク層の環境雰囲気の巻き込みによる欠損割合を低減できるため好ましい。
平均ピッチPaveは、上記マスク層の膜厚HMの分布を測定する際に使用したサンプルと同一のサンプル片より測定される。ここで、平均ピッチPaveを測定する際は、まず平均ピッチPaveを測定し、次に、マスク層の膜厚HMを測定する。平均ピッチPaveの測定方法及び定義は、半導体発光素子用ウェハにて説明した測定方法及び定義と同様である。
マスク層の膜厚HMは、平均ピッチPaveの10倍以下であることが好ましい。この範囲を満たすことで、マスク積層ウェハを使用して半導体発光素子用ウェハを良好に形成できる。より具体的には、マスク積層ウェハのマスク層を半導体発光素子用ウェハとマスク層との界面までエッチングして得られるマスク構造体の物理的安定性が向上するため、半導体発光素子用ウェハの凹凸の欠損を抑制できる。更に、マスク構造体を加工マスクとしてウェハをエッチングする際の、マスク構造体の熱による振動を抑制し、更に、ローディング効果やシャドー効果の影響を小さくできることから、半導体発光素子用ウェハの凹凸の精度が向上する。これらの効果をより発揮する観点から、マスク層の膜厚HMは、平均ピッチPaveの6倍以下であることが好ましく、4.5倍以下であることがより好ましく、3倍以下であることが最も好ましい。
一方で、下限値は平均ピッチPaveの0.1倍以上であることが好ましい。この範囲を満たすことで、半導体発光素子用ウェハの凹凸の高さを高くすることができる。同様の観点から、平均ピッチPaveの0.5倍以上であることが好ましく、1.1倍以上であることがより好ましく、1.3倍以上であることが最も好ましい。
マスク積層ウェハの凹凸の凸部における底部の径φ3とピッチPにて除した値、即ち比率(φ3/P)をDutyと呼ぶ。以下、マスク積層ウェハの凸部における底部の径φ3を底部径φ3と称する。底部径φ3は図8に示されている。図8は、本実施の形態に係るマスク積層ウェハにおけるマスク層の部分断面模式図である。図8において、マスク層80のみを示し、半導体発光素子用ウェハは省略している。マスク層80の凹凸の凹部80aの底部の大きさが小さくなりすぎる場合、半導体発光素子用ウェハをエッチングにより形成する際の、ローディング効果とシャドー効果の影響が指数的に増加するため、半導体発光素子用ウェハの製造制御性が低下する。凹凸の凹部80aの底部の大きさは、ピッチP(図8中記号Pで示す)とDutyを使用し表現できる。また、凹凸の凹部80aの底部の大きさの下限値は、エッチングの異方度、ローディング効果及びシャドー効果より簡易的に計算できる。以上から、Dutyの上限値が決定され、Duty≦1−(R/Pave)と算出される。ここで、Rは、エッチングガスの進行阻害程度を表す指標である。R=0nmであることが好ましく、R=5nmであることがより好ましく、R=10nmであることが最も好ましい。また、半導体発光素子用ウェハの凹凸の加工精度を向上させ及び形成できる凹凸の種類を豊かにする観点から、Duty≧1−(R/Pave)において、Rは0.1Paveであることが好ましく、0.45Paveであることがより好ましく、0.75Paveであることが最も好ましい。なお、上記式中のPaveのディメンジョンはナノメートルである。
マスク層80の凹凸の高さH(図8中記号Hで示す)を凸部80bにおける底部径φ3にて除した値、即ち比率(H/φ3)をAspectと呼ぶ。このAspectの範囲は特に限定されないが、転写法にてマスク積層ウェハを形成する際の、マスク層80の破損を抑制する観点から上限値を決定し、半導体発光素子用ウェハの凹凸の形状制御マージンの観点から下限値を決定できる。これらの観点から、Aspectは0.1以上5以下であることが好ましく、0.3以上2以下であることがより好ましく、0.5以上1以下であることが最も好ましい。
(ウェハの材質)
ウェハの材質、形状、及びBOWは、半導体発光素子用ウェハに記載したものと同様のものを使用できる。特に、マスク積層ウェハを転写法により形成する際の精度及び半導体発光素子用ウェハを形成する際の凹凸の分布精度の観点から、ウェハのマスク層の配置される面の表面粗さRaは、100nm以下であることが好ましく、10nm以下であることがより好ましく、1.5nm以下であることが最も好ましい。
なお、表面粗さRaは、算術平均粗さであり、本明細書においては、そのディメンジョンはナノメートルである。表面粗さRaは、原子間力顕微鏡(Atomic Force Microscope/AFM)を使用し測定された値として定義する。特に本明細書においては、下記装置及び下記条件にて測定した場合の表面粗さを採用する。
・株式会社キーエンス社製 Nanoscale Hybrid Microscope VN−8000
・測定範囲: 200μm(比率1:1)
・サンプリング周波数: 0.51Hz
また、ウェハに異物が付着していた場合であって、前記異物ごとAFMにより操作した場合、表面粗さRaは大きくなる。このため、測定する環境は、クラス1000以下のクリーンルームである。また、上記装置VN−8000は光学顕微鏡を付帯している。このため、光学顕微鏡観察により異物や傷が観察された場合、前記異物や傷を避けるようにプローブの下降位置を設定する。また、測定前にはイオナイザ等による除電環境下におけるエアブロー洗浄をする。更に、静電気による操作プローブの跳ね上がりを抑制するために、測定環境の湿度は、40%〜50%の範囲である。
(マスク層の組成)
マスク層の組成は、マスク層を加工マスクとしてウェハをエッチング加工する観点から、一般的に設計できるため特に限定されない。同様に、2層以上のマスク層を配置し、1以上のマスク層を加工マスクとして、他のマスク層をエッチング加工する場合も、特に限定されない。以下、具体例として、転写法の中でも積層成形体2を使用する場合を例にとり説明する。これは、積層成形体2を使用する場合のマスク層は、少なくとも2層以上になるため、説明の範囲が大きくなるためである。なお、以下に説明するマスク層は、一般的なナノインプリントリソグラフィ法のマスク層(レジスト材)として使用することができる。また、以下に説明する第1のマスク層及び第2のマスク層は、一般的な2層レジストを使用するナノインプリントリソグラフィ法にマスク層(レジスト材)として使用することができる。
(積層成形体)
まず、積層成形体について説明する。積層成形体は、モールドの凹凸の凹部における内部に第1のマスク層を充填して配置し、第1のマスク層の充填されたモールドの凹凸上に、凹凸を平坦化するように第2のマスク層を成膜した成形体である。即ち、マスク積層ウェハのマスク層の凹凸及び膜厚の精度を予め、積層成形体という成形体により担保した構成である。積層成形体をウェハに貼り合わせ、その後、モールドを除去することでマスク積層ウェハを形成できる。このマスク積層ウェハをエッチングすることで、ウェハ上にマスク構造体が形成され、マスク構造体を加工マスクとすることで半導体発光素子用ウェハを形成できる。なお、モールドについては後述する。
(第1のマスク層)
第1のマスク層は、モールドの凹凸を構成する凹部の内部に少なくとも充填される。特に、モールドの凹凸の凹部の内部に配置された第1のマスク層の厚み(h1)は、モールドの凹凸の凸部における頂部上に配置された第1のマスク層の厚み(h2)に比べ大きいことを特徴とする。この膜厚の比率(h1/h2)が2以上であることで、マスク積層ウェハをエッチングして得られるマスク構造体の精度が向上する。特に、マスク構造体をエッチングにより形成する際のマスク構造体の径の分布を抑制する観点から、比率(h1/h2)は3.3以上であることが好ましく、10以上であることがより好ましい。なお、比率(h1/h2)は無限に漸近することが最も好ましい。この場合は、モールドの凹部の内部にのみマスク層が充填配置された状態であり、マスク積層ウェハを形成する際の転写精度がより向上すると共に、マスク構造体の径の分布をより小さくできる。
第1のマスク層は、第2のマスク層に比べてエッチングレートが大きいものであれば特に限定されない。これは、第1のマスク層の役割が、第2のマスク層の加工マスクとして機能することにあるためである。特にマスク構造体を大面積のウェハ上に容易に形成する観点から、前記エッチングレートは2以上大きいことが好ましく、10以上大きいことがより好ましく、25以上大きいことが最も好ましい。なお、第1のマスク層のモールドの配置精度の制御できる範囲で、前記エッチングレートは大きい程好ましい。
第1のマスク層は、有機物、無機物あるいは有機無機複合体であってもよい。また、モノマ、オリゴマ、あるいはポリマのみから構成されても、これらを複数含んでもよい。このため、例えば、有機粒子、有機フィラー、無機粒子、無機フィラー、有機無機ハイブリッド粒子、有機無機ハイブリッドフィラー、ゾルゲル反応を誘発する分子、有機ポリマ、有機オリゴマ、無機ポリマ、無機オリゴマ、有機無機ハイブリッドポリマ、有機無機ハイブリッドオリゴマ、重合性樹脂、重合性モノマ、金属アルコキシド、金属アルコラート、金属キレート化合物、ハロゲン化シラン、スピンオングラス、金属あるいは金属酸化物等を使用することができる。
マスク積層ウェハを得る際の転写速度、そして精度を向上させる観点から、第1のマスク層は、硬化性物質を含むことが好ましい。ここで、硬化性物質とは、光重合または熱重合、そしてこれらの複合重合を起こす材料である。よって、光重合可能な光重合性基と熱重合可能な熱重合性基の両方、またはいずれか一方を含むと特に好ましい。また、第2のマスク層の加工精度を向上させることができるため金属元素を含むことが好ましい。第1のマスク層を構成する材料は、以下の[第2のマスク層]にて説明する材料に、下記金属元素を含む材料を加えた材料を使用することができる。特に、その中でも、樹脂及びモノマを含み、少なくともモノマによって金属元素を導入することが好ましい。例えば、モノマとして金属アルコキシドを使用できる。更にこの場合、樹脂が無機樹脂、例えば、シリコーンであることが好ましい。更にこの場合、少なくともモノマが硬化性物質を含むことが好ましく、特に光硬化性物質であるとより好ましい。この場合、硬化開始材を含むことができる。なお、第2のマスク層と第1のマスク層の双方に金属元素を含む場合、第1のマスク層に含まれうる金属元素の方が大きい原子番号であり、あるいは、最大の原子番号が同じ場合は、前記最大の原子番号の金属元素の濃度が、第1のマスク層の方が、1.5倍以上、より好ましくは5倍以上、最も好ましくは10倍以上大きくなるようにすればよい。
金属元素としては、特に限定されないが、例えば、マンガン(Mn)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、ルビジウム(Rb)、ニオブ(Nb)、モリブデン(Mo)、テクネチウム(Tc)、ルテニウム(Ru)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、セシウム(Cs)、オスミウム(Os)、プラチナ(Pt)、金(Au)、カリウム(K)、リチウム(Li)、ナトリウム(Na)、バリウム(Ba)、カルシウム(Ca)、マグネシウム(Mg)、鉛(Pb)、ストロンチウム(Sr)、亜鉛(Zn)、アルミニウム(Al)、ホウ素(B)、ビスマス(Bi)、鉄(Fe)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、ランタン(La)、アンチモン(Sb)、バナジウム(V)、イットリウム(Y)、ゲルマニウム(Ge)、ハフニウム(Hf)、シリコン(Si)、スズ(Sn)、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、またはタングステン(W)から選ばれた少なくとも1種以上であることが好ましい。これは、第1のマスク層のモールドに対する配置精度、第1のマスク層の物理的及び化学的安定性の観点から選定している。マスク積層ウェハに対してエッチングを行いウェハ上にマスク構造体を形成する際の加工精度の観点から、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、クロム(Cr)、亜鉛(Zn)、スズ(Sn)、ホウ素(B)、インジウム(In)、アルミニウム(Al)、シリコン(Si)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)及びゲルマニウム(Ge)からなる群から選ばれた少なくとも1種であることが好ましい。特に、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、クロム(Cr)、シリコン(Si)、亜鉛(Zn)であることが好ましく、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、シリコン(Si)または亜鉛(Zn)であることが最も好ましい。
また、特に、化学的安定性を向上させる観点から、第1のマスク層は、メタロキサン結合(―O−Me1−O−Me2−O−)を含むことが好ましい。ここで、Me1及びMe2は共に金属元素であり、同一の金属元素であっても異なっていてもよい。Me1またはMe2としては、上記説明した金属元素を採用するこができる。例えば、単一金属元素の場合、―O−Ti−O−Ti−O−や、―O−Zr−O−Zr−O−、そして―O−Si−O−Si−O−等が挙げられる。異種金属元素の場合、―O−Ti−O−Si−O−、―O−Zr−O−Si−O−、―O−Zn−O−Si−O−等が挙げられる。なお、メタロキサン結合中の金属元素種は、3種類以上含まれてもよい。特に、2種類以上含まれる場合、転写精度の観点から、少なくともSiを含むことが好ましい。
特に、前記金属元素は、Si元素とSi以外の金属元素を含むことが好ましい。この場合、Si元素濃度(CpSi)と、Si以外の金属元素の合計濃度(CpM1)との比率(CpM1/CpSi)が、0.02以上24未満であると、転写精度及び、マスク構造体の加工精度がより向上するため好ましい。特に、0.05以上20以下であるとより好ましく、0.1以上15以下であると最も好ましい。
この様な金属元素を含むことで、特に金属元素を少なくとも金属アルコキシドに代表されるゾルゲル材料により導入することで、第2のマスク層をドライエッチングする際の、縦方向のドライエッチングレート(Vr1)と、横方向のドライエッチングレート(Vr2)との比率(Vr1/Vr2)を大きくすることができる。これは、第2のマスク層をドライエッチングする際の、加工される第2のマスク層の側壁保護効果が向上するためである。即ち、第1のマスク層は、第2のマスク層の側壁へと移動することができる。このような条件を満たすことで、ローディング効果やシャドー効果の影響を小さくできるため、マスク構造体のウェハ表面内における径の分布を抑制することができる。
第1のマスク層を構成する材料には、極性基が含まれることが好ましい。この極性基は、以下に[第2のマスク層]内にて説明するものと同様のものを使用できる。これにより、第1のマスク層とモールドの凹凸との接着力を低減することができると共に、第1のマスク層の力学的強度を向上させることができるため、転写精度が向上する。特に、[第2のマスク層]内にて説明する重合性基を含むことで、第1のマスク層の体積収縮により第1のマスク層とモールドの凹凸との接着力がより低下すると共に、第2のマスク層と第1のマスク層との界面接着強度が向上することから、転写性がより向上する。
いずれにしても、第1のマスク層の材料は、既に説明したエッチングレートを満たす範囲において設計される。
更に、第1のマスク層の安定性を向上させるために、酸化防止剤を含むことができる。また、可塑剤等の添加剤を含めることもできる。この酸化防止剤や可塑剤等の添加剤は、以下の[第2のマスク層]にて説明するものを使用できる。また、第1のマスク層の色味は特に限定されない。
[第2のマスク層]
次に、第2のマスク層の組成について説明する。第2のマスク層は、ウェハを加工する際の加工マスクとして機能するため、以下に説明する選択比の範囲内にて適宜設計される。例えば、有機物、無機物あるいは有機無機複合体であってもよい。
また、モノマ、オリゴマ、あるいはポリマのみから構成されても、これらを複数含んでもよい。このため、例えば、有機粒子、有機フィラー、無機粒子、無機フィラー、有機無機ハイブリッド粒子、有機無機ハイブリッドフィラー、ゾルゲル反応を誘発する分子、有機ポリマ、有機オリゴマ、無機ポリマ、無機オリゴマ、有機無機ハイブリッドポリマ、有機無機ハイブリッドオリゴマ、重合性樹脂、重合性モノマ、金属アルコキシド、金属アルコラート、金属キレート化合物、ハロゲン化シラン、スピンオングラス、金属あるいは金属酸化物等を使用することができる。
また、ウェハのエッチングレート(Rw)と第2のマスク層のエッチングレート(Rm2)との比率である選択比(Rm2/Rw)は、小さいほど好ましい。選択比(Rm2/Rw)が1未満であれば、第2のマスク層のエッチングレートの方が、ウェハのエッチングレートよりも小さいため、ウェハを容易に加工し、半導体発光素子用ウェハを形成できる。前記選択比(Rm2/Rw)が3以下である場合、エッチング精度が向上するので、マスク構造体を形成することが可能となる。また、第2のマスク層を薄くし、マスク積層ウェハのマスク層の膜厚分布のマスク構造体に対する影響を小さくする観点から、前記選択比(Rm2/Rw)は2.5以下であることが好ましく、2以下であることが更に好ましく、1以下を満たすことが最も好ましい。更に、選択比(Rm2/Rw)が0.8以下を満たすことで、半導体発光素子用ウェハの凹凸の高さの制御範囲が広くなるため好ましい。なお、下限値は0.05以上であると好ましい。この範囲を満たすことにより、マスク構造体の側面が荒れた場合であっても、半導体発光素子用ウェハに設けられる凹凸の平滑性を向上できる。同様の観点から、選択比(Rm2/Rw)は0.1以上を満たすことが好ましく、0.2以上を満たすことがより好ましく、0.4以上を満たすことが最も好ましい。
第2のマスク層は、既に説明したように、上記[第1のマスク層]内の金属元素を含むことができる。特に、第2のマスク層が樹脂を含むことで、第2のマスク層の硬度を減少させることができると共に、第2のマスク層の配置安定性を向上させることができる。
本明細書における樹脂は、分子量が1000以上のオリゴマあるいはポリマとして定義する。樹脂の構成としては、有機樹脂、無機樹脂または、有機無機ハイブリッド樹脂が挙げられる。これらは1種のみ含んでも、複数含んでもよい。この様な樹脂を含むことで、積層成形体を使用してマスク積層ウェハを転写形成する際、貼り合わせ精度を向上させることができるため、マスク積層ウェハのウェハ表面内における欠陥を抑制し、マスク層の膜厚分布を小さくできる。また、第2のマスク層に樹脂を含むことで、モールドの凹凸に配置された第2のマスク層の物理的安定性が向上することから、マスク積層ウェハのマスク層の分布が小さくなる。これらの樹脂は、公知一般のオリゴマあるいはポリマを採用できる。例えば、一般的に、フォトレジスト用樹脂、ナノインプリント用樹脂、接着剤用樹脂、粘着剤用樹脂、ドライフィルムレジスト用樹脂、エンプラ、封止材用樹脂、ゴム、プラスチック、繊維、医療用プラスチック、医薬用樹脂等を使用できる。また、天然高分子も使用できる。
また、樹脂が、「#−C=C−#」部位及び/または「#−C=O」部位を含むことで、第2のマスク層と第1のマスク層との界面強度及び第2のマスク層とウェハとの界面強度が向上するため、マスク積層ウェハの精度が向上する。
樹脂の重量平均分子量は、積層成形体の第2のマスク層の成膜性及びマスク積層ウェハの膜厚精度の観点から、1000〜1000000であることが好ましい。下限値の1000は、第2のマスク層の硬度の減少から決定された。一方で、上限値の1000000は、第2のマスク層の凹凸に対する配置精度から決定された。特に、第2のマスク層の配置精度をより高める観点から、重量平均分子量は、500000以下であることが好ましく、100000であることがより好ましく、更に好ましくは60000である。
樹脂の分散度は概ね1〜6のものが用いられ、1〜4であることが好ましい。分散度は、重量平均分子量と数平均分子量の比(重量平均分子量)/(数平均分子量)である。なお、分子量は、日本分光社製ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)、(ポンプ:Gulliver、PU−1580型、カラム:昭和電工社製Shodex(登録商標)(KF−807、KF−806M、KF−806M、KF−802.5)4本直列、移動層溶剤:テトラヒドロフラン、ポリスチレン標準サンプルによる検量線使用)により重量平均分子量(ポリスチレン換算)として求められる。
特に、第2のマスク層に含まれる樹脂は、極性基を有することが好ましい。この場合、第2のマスク層内における分子間相互作用を強くすることができるため、第2のマスク層とモールドの凹凸との密着力を小さくすることができる。更に、第2のマスク層とウェハとの界面に対する静電相互作用や水素結合作用等が強くなる傾向にあるため、第2のマスク層とウェハとの接着強度が向上する。以上から、極性基を含むことで、マスク積層ウェハを形成する際の転写性を向上させることができる。極性基の種類は特に限定されないが、エポキシ基、水酸基、フェノール性水酸基、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、カルボキシル基、カルボニル基、アミノ基、アリル基、ジオキタセン基、シアノ基、イソシアネート基及びチオールからなる群の少なくとも1以上の極性基を含むことで、モールドの凹凸と第2のマスク層との界面接着力を分子スケールの隙間により弱めることができるためである。特に、モールドの凹凸と第2のマスク層との物理的接着力及び化学的接着力を共に低減する観点から、エポキシ基、水酸基、フェノール性水酸基、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、カルボキシル基、カルボニル基、アミノ基及びイソシアネート基からなる群の少なくとも1以上の極性基を含むことが好ましい。更に、エポキシ基、水酸基、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、カルボキシル基及びカルボニル基からなる群から選ばれる少なくとも1以上の極性基を含むと、光重合による体積収縮、熱重合による体積収縮、あるいは水素結合による高密度化の1以上の現象を発現できるため、モールドの凹凸と第2のマスク層との界面接着力がより低下し、転写性がいっそう向上するため好ましい。中でも、エポキシ基、水酸基、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、または、カルボキシル基の少なくとも1以上を含むことで、前記効果がより大きくなる。
樹脂が硬化性樹脂である場合、積層成形体の第2のマスク層の体積よりも、モールドを除去する際の第2のマスク層の体積は小さくなる傾向がある。即ち、モールドを第2のマスク層より除去する段階において、モールドの凹凸と第2のマスク層との界面に分子スケール以上の隙間を作ることができる。これは、凹凸とマスク層との密着力を大きく低減することを意味するため、モールドの剥離速度を十分に大きくすることができる。硬化性樹脂は、熱、光、あるいは熱と光により硬化する樹脂である。例えば、熱硬化性樹脂であれば、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、またはケイ素樹脂等が挙げられる。また、例えば、光硬化性樹脂であれば、エポキシ基、アクリロイル基、メタクリロイル基、または、ビニル基等を有する樹脂が挙げられる。なお、硬化性樹脂を含む場合、その硬化原理に見合った硬化開始剤を含むことが好ましい。光硬化性樹脂に対しては、光重合開始剤を適用できる。光重合開始剤としては、公知一般のラジカル重合開始剤、カチオン重合開始剤、またはアニオン重合開始剤を使用できる。これらは組み合わせて使用することもできる。熱重合樹脂に対しては、熱重合開始剤を適用できる。熱重合開始剤としては、公知一般の例えば、アゾ化合物を使用できる。なお、光硬化性樹脂に対して、熱重合開始剤を使用することもできる。なお、重合開始剤の他に、光増感剤を添加することもできる。
特に、第2のマスク層の体積収縮を効果的に発現させ、第2のマスク層と凹凸との接着強度を弱める観点から、光硬化性樹脂を含むことが好ましい。
また、樹脂は、少なくとも1以上の繰り返し単位を含む樹脂を含むことが好ましい。更に、この繰り返し単位は、繰り返し単位を構成する全原子数をNa、繰り返し単位中の炭素原子数をNc、及び繰り返し単位中の酸素原子数をNoとした時、[Na/(Nc−No)]で示される比率Kが5.5以下の繰り返し単位であることが好ましい。即ち、繰り返し単位が3つある状態を代表させた場合、−(A)x−(B)y−(C)z−で表現される一般式において、A、BあるいはCの少なくとも1以上の繰り返し単位は前記比率K≦5.5を満たす。このような範囲を満たす場合、樹脂の分子間の相互作用が強まる傾向にあるため、第2のマスク層と凹凸との界面の分子スケールの隙間が大きくなると考えらえる。即ち、マスク積層ウェハを形成する際の転写性が向上する。特に、樹脂の分子間相互作用と分子内相互作用を共に強め、前記隙間を凹凸の表面にわたり形成し、転写性を向上させる観点及び、第2のマスク層をマスクとしてウェハをドライエッチング加工する際の加工精度の観点から、比率Kは、4.0以下を満たすことがより好ましく、3.5以下を満たすことが最も好ましい。ここでの加工精度とは、ウェハ上に設けられたマスク構造体の形状精度である。これは、比率Kが上記範囲を満たすことにより、第2のマスク層をマスクとしてウェハをドライエッチング加工する過程における第2のマスク層の形状の歪を小さくできるためである。特に比率Kが3.0以下である場合、樹脂内の炭素密度が大きくなるため、第2のマスク層と凹凸との化学的作用を低減でき、第2のマスク層と凹凸との密着力をより低下させることができる。更に、ドライエッチング時にイオンやラジカルからみた樹脂のエネルギ障壁及び物理強度が大きくなることから、半導体発光素子用ウェハの凹凸の制御範囲を大きくできるため好ましい。このように、比率Kの値が小さくなる程、高精度なマスク積層ウェハを得ることが可能となり、更に、第2のマスク層によりウェハをドライエッチング加工する際の、第2のマスク層の形状安定性が向上するため、ウェハの加工精度を向上できる。特に、前記比率Kが小さい程、エネルギの高いドライエッチング条件も採用することが可能となるため、半導体発光素子用ウェハの凹凸の形状精度を担保しながら、加工速度を大きく改善することができる。
上記説明においては、−(A)x−(B)y−(C)z−で表記できる繰り返し単位が3つある状態を代表させたが、繰り返し単位の構成数は3に限らず、ホモポリマあるいはホモオリゴマである1の状態から、3超の状態であってもよい。特に、繰り返し単位間のドライエッチング特性差を小さくする観点から、繰り返し単位の数は5以下であることが好ましく、4以下であることがより好ましく、3以下であることが最も好ましい。なお、繰り返し単位が1であるホモポリマあるいはホモオリゴマの場合、第2のマスク層のドライエッチング過程における形状の歪をよりいっそう低減できるため、半導体発光素子用ウェハに設けられる凹凸の精度をいっそう向上できる。
また、繰り返し単位数が2以上の場合、少なくとも1以上の繰り返し単位は上記比率Kを満たす。この場合、比率Kを満たす繰り返し単位と比率Kを満たさない繰り返し単位との繰り返し数は以下の範囲を満たすことが好ましい。比率Kを満たす繰り返し単位の繰り返し数の合計値をα、比率Kを満たさない繰り返し単位の繰り返し単位数の合計値をβとする。例えば、−(A)x−(B)y−において、繰り返し単位Aが上記比率Kを満たし、繰り返し単位Bが上記比率Kを満たさない場合、x=α、y=βである。また、例えば、−(A)x−(B)y−(C)z−において、繰り返し単位Aが上記説明した比率Kを満たし、繰り返し単位B及び繰り返し単位Cが上記説明した比率Kを満たさない場合、x=α、(y+z)=βである。なお、繰り返し単位の数が4以上の場合も同様である。
このとき、α/β≧1を満たすことで、分子内相互作用の効果が大きくなり、マスク積層ウェハを形成する際の転写性が向上するため好ましい。更に、樹脂分子内におけるドライエッチング特性差を小さくすることができるため、半導体発光素子用ウェハの加工精度を向上できる。特に、α/β≧1.5を満たすことで、分子間相互作用も利用でき、転写性がより向上すると共に、ドライエッチング過程における第2のマスク層の形状の歪をより小さくできるため好ましい。α/βが2.3以上であることで、第2のマスク層と凹凸との界面の化学的相互作用を抑制する効果が大きくなると共に、ドライエッチング時のパワーを強くできるため、半導体発光素子用ウェハの加工速度を向上できる。更に、α/βが4以上であれば、第2のマスク層を加工マスクにし、ウェハをドライエッチング加工する際のオーバーエッチング時間を短縮できる。これらの効果をいっそう発揮する観点から、α/βが9以上であることが最も好ましい。
なお、ホモポリマあるいはホモオリゴマの場合、α/βはβが0であることから無限に漸近する。また、繰り返し単位を2以上含む場合であって、全ての繰り返し単位が上記比率Kの範囲を満たす場合も、α/βはβが0であることから無限に漸近する。このようなα/βが無限に漸近する場合、樹脂分子内のエネルギの均等性が向上することから、モールドを第2のマスク層より除去する際の凝集破壊に対する耐性が大きくなるため、最も好ましい。なお、これらの範囲を満たすことで、ウェハを加工する場合の加工精度も大きく向上する。
更に、繰り返し単位間の上記比率Kの差の最大値、即ちΔKmaxは、3.5以下であることが好ましい。これにより、効果的に分子間相互作用を発現できる。更に、樹脂分子内におけるドライエッチングレート差を小さくすることができるため、ドライエッチング過程における第2のマスク層の形状歪を抑制する効果が大きくなる。特に、3.0以下であることで、分子内相互作用が大きくなると共に、比率Kの大きな繰り返し単位の集合が優先的にドライエッチング除去されることを抑制する効果が高まるため好ましい。2.5以下であれば、樹脂の安定性が向上し、第2のマスク層と凹凸との界面の化学的作用を抑制する効果が高まる。また、ドライエッチング過程における第2のマスク層の側面部のラフネスを抑制できるため好ましい。更に、樹脂分子内のエネルギの均等化の向上に伴う第2のマスク層の凝集破壊耐性の向上効果をより顕著にすると共に、半導体発光素子用ウェハに設けられる凹凸の形状精度を向上させる観点から、2.0以下であることが好ましく、1.5以下であることがより好ましく、1.0以下であることが最も好ましい。なお、ΔKmaxが0.5以下であれば、ドライエッチングにおけるラジカルやイオンから見た第2のマスク層の均等性が大きく向上する。このため、第2のマスク層の側面部を含む表面の形状安定性が向上するため、半導体発光素子用ウェハの加工精度を向上できる。
第2のマスク層は、環状部位を有する材料を含むことが好ましい。特に、環状部位を有する樹脂を含むことが好ましい。環状部位を有する材料を含むことにより、環状部位同士のパッキングや配列により、マスク層の硬度の上昇や、マスク層の体積収縮を誘発する傾向にあるためである。即ち、モールドをマスク層より除去する際のマスク層の凝集破壊の抑制や、モールドの凹凸とマスク層との密着力低減の効果がある。更に、ウェハをドライエッチング加工する際の第2のマスク層の形状歪を低減できることから、半導体発光素子用ウェハの加工精度を向上できる。特に、環状部位が、炭素数30以下の環状部位であることで、既に説明した比率Kを満たすことが容易となり、これにより第2のマスク層の炭素密度が向上すると共に、第2のマスク層の熱振動やボンバードメント耐性、またラジカルやイオンに対する耐性が向上するため、ウェハの加工精度を向上できる。更に、環状部位が4員環、5員環及び6員環からなる群から選ばれる少なくとも1以上の要素を含み構成されることで、パッキング性が良好となることからマスク層のエネルギが低下する傾向にある。即ち、モールドの凹凸とマスク層との化学的作用を低減できるため、転写性が向上すると共に、第2のマスク層のドライエッチング耐性が大きく向上する。このため、半導体発光素子用ウェハの加工精度が向上する。ここで、環状部位は、上記説明した樹脂に含まれても、それ以外の成分、例えば以下に説明するモノマに含まれてもよい。特に、第2のマスク層が樹脂及びモノマを含む場合、少なくとも樹脂に前記環状部位を含むことが好ましい。環状部位としては、例えば、下記化学式群Aから選ばれる少なくとも1以上の環状部位が挙げられる。これらは、1種類のみを含んでも、2種類以上含まれてもよい。
Figure 2015005696
Figure 2015005696
Figure 2015005696
Figure 2015005696
本明細書においては、化学式中に表記されるアスタリスク(asterisk)の部分は、酸素元素(O)、窒素元素(N)、硫黄元素(S)あるいは炭素元素(C)のいずれかを示し、その部分を介して他の元素に結合する。また、結合手の不足している部分は、水素元素(H)、メチル基(CH)、あるいは水酸基(OH)へと結合する。例えば、上記環状部位を含む樹脂として、ポリスチレン、ポリp−ヒドロキシスチレン、ポリ−9−ビニルカルバゾール、カルバゾール骨格を有する樹脂、側鎖にカルバゾール骨格を有する樹脂、クレゾールノボラック骨格を有する樹脂、フェノールノボラック骨格を有する樹脂、ビスフェノールA骨格を有する樹脂、フルオレン骨格を有する樹脂、側鎖にアダマンタン骨格を有する樹脂、側鎖にアダマンチル骨格を有する樹脂、あるいは、側鎖にノルボルナン骨格を有する樹脂等が挙げられる。これらの環状部位を具備する樹脂に、既に説明した極性基を更に付帯させることで、転写性及び加工マスクとしての性能がより一層向上する。
また樹脂は、アルカリ可溶性の樹脂であってもよい。アルカリ可溶性の樹脂であることで、マスク積層ウェハのマスク層を容易に現像し、パターニングすることができる。樹脂がアルカリ可溶性の樹脂の場合、樹脂にカルボキシル基が含まれることが好ましい。カルボキシル基の量は、酸当量で100〜600が好ましく、より好ましくは300〜450である。酸当量とは、その中に1当量のカルボキシル基を有する線状重合体の質量を示す。なお、酸当量の測定は、平沼産業社製の平沼自動滴定装置(COM−555)を使用し、0.1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を用いて電位差滴定法により行われる。
特に、第2のマスク層は、上記説明した樹脂の他に、モノマを含むことが好ましい。即ち、樹脂及びモノマを含むことが好ましい。ここで、モノマは本明細書により定義される樹脂以外の物質且つ、固体微粒子や固体フィラー以外の物質として定義する。即ち、有機物、無機物、有機無機複合体のいずれも採用できる。この場合、積層成形体をウェハに貼り合わせる際に、樹脂により運動性を阻害されたモノマが、その運動性を開放され、第2のマスク層の表層の流動性をより向上させることができる。このため、マスク層とウェハとの接着面積の増加をより促進することができる。樹脂とモノマとの組み合わせは、(樹脂/モノマ)と記載すれば、(有機物/有機物)、(有機物/無機物)、(無機物/無機物)、または(無機物/有機物)のいずれであってもよい。例えば、(有機物/無機物)であれば、上記説明した樹脂要件を満たす有機樹脂に対して金属アルコキシドを加えることができる。(無機物/無機物)であれば、上記説明した樹脂要件を満たす無機樹脂、例えば、金属ポリマや金属酸化物ポリマに対して、金属アルコキシドを加えることができる。また、例えば(無機物/有機物)であれば、上記説明した樹脂要件を満たす無機樹脂、例えば、金属ポリマや金属酸化物ポリマに対して、有機モノマを加えることができる。なお、金属アルコキシドは単量体として使用しても、縮合した数量体、あるいはオリゴマ体を使用してもよい。なお、金属ポリマや金属酸化物ポリマとは、チタンポリマ、チタニアポリマ、チタニアオリゴマやシリコーン等であり、金属元素が連なった分子や金属元素が酸素元素を介して連なった分子の総称である。
特に、この場合、樹脂あるいはモノマの少なくとも一方は硬化性物質であることが好ましく、少なくともモノマが硬化性物質であることが好ましい。硬化性物質は、樹脂が硬化性樹脂である場合について上記説明した欄において、硬化性樹脂の樹脂を物質に置き換えればよい。この場合、第2のマスク層の収縮作用が大きくなるため、凹凸とマスク層との界面接着強度が低下し、転写性が向上する。更に、以下に説明する第2のマスク層の軟化点が高くなることから、マスク構造体の精度が向上する。特に、樹脂及びモノマが共に硬化性物質であると、前記効果はより大きくなる。なお、硬化性物質を含む場合、樹脂が硬化性樹脂である場合について上記説明したように、硬化開始剤を含むことが好ましい。
樹脂及びモノマを含む場合、モノマの粘度は25℃において概ね5cP以上5000cP以下であると好ましく、8cP以上2500cP以下であるとより好ましく、10cP以上1500cP以下であると最も好ましい。なお、ここでの粘度は、使用するモノマ全てを混合した時の混合物に対する粘度を意味する。また、第2のマスク層とウェハとの界面の接着強度の固定化及びマスク層の物理安定性の向上、そして第2のマスク層の軟化点の観点から、モノマの平均官能基数は、概ね1以上6以下が好ましく、1以上4以下が好ましく、1.5以上3以下が最も好ましい。
なお、モノマは、上記化学式群(A)から選ばれる環状部位を含むモノマであると、環状部位による物理的安定性の効果と、凹凸の表面との化学的相互作用の低減の効果が大きくなる傾向にあるため、転写性が向上する。更に、環状部位によるエネルギの安定化の効果に伴い、加工マスクとしての性能が大きくなる。
上記説明したように少なくとも樹脂を含むことで、積層成形体の第2のマスク層の露出面を、気体のように無形体ではなく、液体のようにその形状を自ら保持できない状態ではない非液体状態にすることができる。例えば、半固体状、ゲル状、粘着状または固体状といった状態にできる。
積層成形体の第2のマスク層の露出面がこのような非液体状態を満たすことにより、積層成形体のマスク層の配置及び膜厚精度の維持性が高くなる。このため、ウェハ表面内に対する膜厚分布の小さなマスク積層ウェハを、ウェハの大きさに寄らず形成できる。なお、最も好ましくは、積層成形体の第2のマスク層の表面のタック性が抑制されている状態である。特に、温度20℃且つ遮光下にて非液体状態であることが好ましい。
更に、第2のマスク層は、温度20℃且つ遮光下にて非液体状態であると共に、20℃超300℃以下の温度範囲の中でタック性を示すか、または、タック性が増加することが好ましい。これにより、積層成形体をウェハに直接当接する際に、所定の温度を加えることで、第2のマスク層の表層の接着性が発現され、または接着性が増加する。これにより、第2のマスク層全体の流動性を抑制しつつ、第2のマスク層とウェハの界面の流動性を向上させることができるため、積層成形体として予め決定したマスク層の精度を反映させたマスク積層ウェハを得ることができる。例えば、樹脂の幹ポリマが、熱により運動を開始しタック性を発現することとなる。中でも、温度20℃且つ遮光下にてタック性を抑制された非液体状態である第1の機能層が、上記温度範囲の中でタック性を発現することが最も好ましい。特に、上記説明した極性基を含む樹脂を含むことで、タック性を容易に発現することができる。
樹脂の総量とモノマの総量とが重量部にて25:75〜100:0であると、積層成形体としては積層成形体に適度なタック性を実現できる。特に、マスク積層ウェハのマスク層の膜厚分布をより小さくする観点から、40:60〜100:0がより好ましく、55:45〜100:0が最も好ましい。なお、上記説明したように、低分子量のモノマと高分子量のオリゴマあるいはポリマである樹脂とを混合する場合、高分子量のオリゴマあるいはポリマである樹脂は、一般的にバインダ樹脂と称される。また、バインダ樹脂及びモノマが共に硬化性物質、例えば光硬化性物質の場合、モノマは一般的にクロスリンカと称される。
更に、第2のマスク層に染料、顔料等の着色物質を含有させることもできる。着色物質を含有することで、第2のマスク層をウェハに転写形成した際に、凹凸の大きさが可視光の波長より十分小さい場合にも、転写が良好に行われているかを、目視及び光学式検知手段により判断することができる。更に、モールドの凹凸上に成膜された第2のマスク層の品質管理に、着色物質の吸収を利用することができる。着色物質は、第2のマスク層の凹凸由来の機能に支障をきたさぬように適宜選定できる。
用いられる着色物質としては特に限定されず、公知一般の物質を使用できる。また、例えば、ロイコ染料またはフルオラン染料と、ハロゲン化合物の組み合わせに代表される光照射により発色する発色系染料を使用することもできる。
第2のマスク層は、酸化防止剤を含むことができる。ここで、酸化防止剤は光安定剤であることが好ましい。光安定剤は、ラジカル連鎖開始阻止剤、ラジカル捕捉剤、過酸化物分解剤に分類でき、いずれも採用できる。ラジカル連鎖開始阻止剤は、更に、重金属不活性化剤と紫外線吸収剤に分類でき、重金属不活性化剤には主にヒドラジド系とアミド系があり、紫外線吸収剤には主にベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、そしてトリアジン系がある。これらの中では紫外線吸収剤がより好ましい。紫外線吸収剤を含ませることにより、第2のマスク層を光学的に安定化できるため、積層成形体を使用に好適な場所にて使用できる。またラジカル捕捉剤は、HALS及びフェノール系酸化防止剤に分類でき、いずれも採用できる。
また、第2のマスク層中に、必要に応じて可塑剤等の添加剤を含有させることもできる。そのような添加剤としては、例えば、ジエチルフタレート等のフタル酸エステル類やpートルエンスルホンアミド、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテル等が挙げられる。
なお、第2のマスク層は、多層構造であっても、多相構造であってもよい。これらの層数や相数は、マスク構造体や半導体発光素子用ウェハの観点から、適宜設計できる事項である。
安定化後の第2のマスク層のTg(ガラス転位温度)は、30℃〜250℃であることが好ましく、60℃〜200℃であるとより好ましい。なお、安定化とは、第2のマスク層に硬化性物質が含まれる場合、前記硬化性物質を硬化した状態である。
特に、積層成形体に対して高圧水銀灯光源を使用し積算光量が1500mJ/cmになるまで、N雰囲気下にて光を照射し、第2のマスク層を硬化させ、硬化した第2のマスク層に対して以下に説明する押し込み試験を行い求められる軟化点が、45℃以上であることが好ましい。この場合、第2のマスク層を加工マスクとしてウェハをドライエッチング加工する際の、第2のマスク層の物理的安定性が向上することから、ウェハの加工精度を向上できる。同様の観点から、前記軟化点は60℃以上であることが好ましく、95℃以上であることがより好ましく、105℃以上であると更に好ましい。また、前記軟化点が110℃以上である場合、ウェハの加工速度を向上させた場合であっても、第2のマスク層の物理的安定性を向上できる。即ち、高い加工速度で、且つ、高い加工精度で、ウェハをドライエッチング加工できる。同様の観点から、前記軟化点は135℃以上であることが好ましく、185℃以上であることが最も好ましい。
なお、上限値は特に限定されないが、積層成形体をウェハに貼合する際の密着性の観点から、300℃以下であることが好ましい。また、ここでの軟化点は、走査型プローブ顕微鏡(SPM)を用い測定される軟化点のことを指す。プローブを押し付ける押圧力を一定に制御し、プローブの温度を変化させることで測定することができる。特に、株式会社日立ハイテクサイエンス社製のナノサーマル顕微鏡(nano−TA)を使用できる。
また、第2のマスク層に対する含有水分の割合は1.5重量%未満であることが好ましい。この場合、積層成形体をウェハに貼り合わせる際にブリードアウトする水分や、第2のマスク層を硬化する際の押し出される水分を抑制できると考えられる。これにより、マスク積層ウェハの面内における転写性が向上する。同様の効果から、含有水分は、0.8重量%以下であることが好ましく、0.7重量%以下であることがより好ましい。
(モールド)
次にモールドについて説明する。モールドはナノインプリントあるいはナノインプリントリソグラフィ用途にて提案されているものを適宜使用することができる。
ナノインプリントリソグラフィ法に代表される転写法を採用することで、nPXWを形成できる。しかしながら、転写法の特徴であるウェハとモールドとを、マスク層を介し狭持する工程を経ることで、マスク層の厚み分布を、ウェハの面内にわたり小さくすることは非常に困難となる。即ち、転写法を採用した場合であっても、上記説明した半導体発光素子用ウェハを形成することは困難と考えられる。
これは、モールドとウェハとを、液状のマスク層を介し狭持する際に、マスク層が流動するためである。この観点から、上記説明した積層成形体を使用することが好適である。ここで、以下に説明するモールドを使用することで、上記説明した積層成形体の面内におけるマスク層の精度が向上するため、膜厚分布の小さなマスク積層ウェハを形成でき、これに伴い凹凸を構成する凸部の底部径φ1や凹部の開口部径φ2の分布の小さな半導体発光素子用ウェハを容易に形成できる。
即ち、本発明のモールドは以下の通りである。モールドは、表面に凹凸を有するモールドであって、下記要件(F)、要件(G)、及び要件(H)を同時に満たすことが好ましい。
(F)モールドの凹凸に対する水の接触角ΘHOが、90°以上170°以下であること。
(G)モールドの凹凸に対するプロピレングリコールモノメチルエーテルの接触角Θpgmeが50°以上150°以下であること。
(H)Θpgmeの標準偏差σpgmeが、0°以上8°以下であること。
ただし、σpgmeは、S点の測定点より計測されたΘpgmeに対する標準偏差である。また、測定点は直線状に配置されると共に、互いに隣接する測定点同士の間隔は10mmである。Sは5以上である。
上記した要件(F)、要件(G)、要件(H)を同時に満たすことで、積層成形体に対する第1のマスク層の面内における配置精度が向上すると共に、第2のマスク層の面内における膜厚精度が向上し、更に転写作製されるマスク積層ウェハの転写精度が向上する。
(要件(F)について)
要件(F)を満たすことで、積層成形体を使用して形成されるマスク積層ウェハのマスク層のウェハ表面内に対する転写性が向上する。特に、マスク層とモールドの凹凸の化学的な密着性及び物理的な密着性を同時に低減させ、マスク積層ウェハのマスク層の転写性を向上させる観点から、ΘHOは110°以上であることが好ましく、115°以上であることがより好ましく、120°以上であることが最も好ましい。
一方で、第1のマスク層及び第2のマスク層のエネルギ的な自己凝集を抑制し、それぞれのマスク層の配置及び膜厚精度を向上させる観点から、ΘHOは165°以下であることが好ましく、150°以下であることがより好ましく、140°以下であることが最も好ましい。なお、接触角の測定方法及び使用する装置については後述する。
(要件(G)について)
上記要件(F)に加えて、要件(G)を満たすことで、第1のマスク層の配置精度及び第2のマスク層の膜厚精度を向上させることができる。特に、Θpgmeが下限値である50°以上を満たすことにより、積層成形体におけるモールドの凹凸を構成する凹部の内部に配置された第1のマスク層の厚み(h1)と凹凸を構成する凸部の頂部上に配置された第1のマスク層の厚み(h2)との比率(h1/h2)を大きくすることができる。この効果をより発揮する観点から、Θpgmeは、76°以上であることが好ましく、81°以上であることがより好ましく、84°以上であることが最も好ましい。なお、Θpgmeが91°以上である場合、前記比率(h1/h2)を無限に漸近させることができるため最も好ましい。一方で、Θpgmeの上限値である150°以下を満たすことにより、積層成形体の第1のマスク層及び第2のマスク層のエネルギ的な自己凝集を抑制できる。この観点から、Θpgmeは、130°以下であることが好ましく、120°以下であることがより好ましく、110°以下であることが最も好ましい。なお、接触角の測定方法及び使用する装置については後述する。
(要件(H)について)
上記要件(F)及び要件(G)に加えて、更に要件(H)を満たすことで、第1のマスク層の面内の配置精度を向上させると共に、第2のマスク層の面内における膜厚精度を向上させることができる。特に、σpgmeの上限値である8°以下を満たすことにより、積層成形体の第1のマスク層の面内における配置分布を抑制できる。この観点から、σpgmeは、5°以下であることが好ましい。また、3°以下である場合、大きな比率(h1/h2)を面内にわたり実現できると共に、この比率(h1/h2)の分布を小さく、且つ、第2のマスク層の面内にわたる膜厚分布を小さくできるため最も好ましい。なお、σpgmeは小さい程好ましい。
要件(H)における測定点の数であるSは5以上である。これにより、モールドの面内におけるマスク層の分布を、半導体発光素子用ウェハに好適な範囲にて管理することができる。特に、10以上であれば、面内分布がより小さくなると共に、積層成形体の300mmや500mmと大きくなった場合であっても、マスク層の均等性を維持することができる。
ここで、モールドに対する接触角を水及びプロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)にて表現している理由について説明する。まず水による接触角を評価することで、モールドの凹凸の表面エネルギを表現することができる。より具体的には疎水性の程度を表現できる。ここで、モールドの表面のエネルギは、積層成形体のマスク層のモールドに対する密着性と相関関係にある。よって、まず、水による接触角を導入した。
次に、モールドに対するPGMEの接触角を評価することで、極性基に対する親和性を表現することができる。既に説明したように、積層成形体のマスク層は極性基を含むことが好ましい。極性基に対する親和性は、積層成形体のマスク層の配置及び膜厚精度と相関関係にある。更に、PGMEの接触角については標準偏差σを導入した。これは、第1のマスク層及び第2のマスク層をモールドに配置する際のマクロな流動性を考慮してのことである。即ち、例えば、第1のマスク層をモールドに対して塗工した場合の、塗工液のミリメートルスケール以上の流動性を考慮してのことである。PGMEの接触角が分布を有する場合、前記流動性が分布を有する。即ち、第1のマスク層はモールドの面内において分布を有する。以上から、PGMEの接触角を導入した。
次に、接触角の測定方法について説明する。なお、以下の説明においては、接触角を測定する溶液をプローブ液として記載する。このプローブ液に水あるいはプロピレングリコールモノメチルエーテルを挿入することで、上記要件を同時に説明するものとする。
接触角は、水平状態(傾斜角0°)のモールドの凹凸上のプローブ液に対して、Θ/2法により計測される値として定義する。特に本明細書においては、下記装置及び条件により測定する。
・装置:株式会社ニック社製、濡れ性評価装置(接触角計):LSE−B100W
・シリンジ:ガラスシリンジ
・ディスペンサ:オートディスペンサ
・プローブ液吐出量:2.5μl±0.5μl
・測定環境:温度21℃〜25℃、湿度35〜49%
・プローブ液被着方法:吐出プローブ液滴の半分程度までモールドを押し込む。
・測定時間:0〜10.1秒の間を1秒間隔にて測定し、1.1秒時の接触角値を使用。
・プローブ液:イオン交換水(水)あるいは、和光純薬工業株式会社製(特級)プロピレングリコールモノメチルエーテル
なお、プローブ液を吐出する針は、協和界面化学株式会社製のテフロン(登録商標)コート針22Gを使用する。
接触角は、σpgmeを求める際に測定された接触角の相加平均値として定義する。即ち、σpgmeをS点の接触角より定義した場合は、Θpgme及びΘHOは共にS点の相加平均値として定義される。
σpgmeは、以下の測定定義にしたがい測定される。モールドの凹凸の付与されている領域の幅を規定する。例えば、モールド幅300mm、モールド長さ200mのモールドであって、モールド幅300mmの中央部250mmの領域に凹凸が付与されていれば、幅=250mmである。次に、幅方向の線分をTとする。線分Tの端部は、凹凸の付与された領域の端部に一致し、これらの点を点X及び点Yとする。前記線分T上において、点Xから0.15Tだけ内側に位置する点を測定点aとする。測定点aを測定開始点とし、測定点aから点Yの方向に向けて10mm間隔にS点の測定群を設定する。即ち、S個の測定点がある。S個の測定点の全てに対して、各測定点に対して、上記説明した方法にしたがい接触角Θを求める。それらの相加平均値が、本明細書における接触角である。プローブ液に水を使用した場合がΘHOであり、PGMEを使用した場合がΘpgmeである。
上記定義によりΘpgmeが定義される。ここで、σpgmeは、S点測定されたPGMEに対する標準偏差である。なお、本明細書のおける標準偏差は、引数を母集団全体であると見なすもの、即ち分散に対する平方根として定義する。例えば、Microsoft Corporation社製の表計算ソフトであるMicrosoft Excelを使用してデータ整理する場合、関数としてstdev.pを指定することとなる。
次に、モールドの凹凸について説明する。モールドの凹凸は、半導体発光素子用ウェハの凹凸により決定されるため特に限定されない。しかしながら、以下に説明する凹凸を具備したモールドを使用することで、積層成形体の精度及びマスク積層ウェハの精度、そしてマスク構造体の精度を向上させることができるため、良好な半導体発光素子用ウェハを形成することができる。
(モールドの凹凸)
まず、モールドの凹凸の平均開口径φave2は、モールドの凹凸の平均ピッチPave2の0.6倍以上1倍以下であることが好ましい。この範囲を満たすことで、積層成形体に対する第1のマスク層の配置精度を向上させることできる。特に上記で説明した要件(F)、要件(G)、要件(H)の効果をいっそう高めることができることから、面内において分布精度の高い第1のマスク層及び第2のマスク層を配置することが可能となる。中でも、φave2が、Pave2の0.7倍以上であることで、積層成形体におけるモールドの凹凸を構成する凹部の内部に配置された第1のマスク層の厚み(h1)と凹凸を構成する凸部の頂部上に配置された第1のマスク層の厚み(h2)との比率(h1/h2)を大きくすると共に、要件(F)、要件(G)、要件(H)の効果である面内精度を維持することができる。特に、前記比率(h1/h2)をより大きな値とし、マスク構造体の精度を向上させる観点から、φave2は、Pave2の0.8倍以上であることがより好ましい。更に、φave2が、Pave2の0.85倍以上であることにより前記比率(h1/h2)が無限へと漸近するため最も好ましい。要件(F)、要件(G)、要件(H)の効果を発揮すると共に、前記比率(h1/h2)を無限へと漸近させる操作を、積層成形体の製造速度を向上させた状態でも維持する観点から、φave2は、Pave2の0.9倍以上であることが最も好ましい。
平均ピッチPave2は、上記接触角を測定する際に使用したサンプルと同一のサンプル片より測定される。また、ピッチの定義は、半導体発光素子用ウェハにて記載した定義と同様である。測定方法は、以下の通りである。
接触角の測定に使用したサンプル片の、プローブ液の接触していない部分に対してSEMにより測定される。SEMによる観察は、モールドの凹凸の表面に対して行う。SEMを使用した測定においては、凹凸の複数の凹部または複数の凸部が、観察像内に鮮明に25以上150以下で観察される倍率にて測定し、同観察像よりピッチを測定する。ここで、測定はS点の測定点に対して行う。即ち、接触角はS個の点に対して行い、前記接触角を測定した部分に近接すると共に、プローブ液の被着していない箇所(測定群)に対してピッチを測定する。即ち、ピッチはS個の測定点により求められる。ここで、1つの測定点に対して、SEMを使用してピッチを求める。既に説明したように、SEMの観察倍率は、観察像内に鮮明に25以上150以下の凹部が観察される倍率である。各測定点により求められるピッチPは、SEM観察像内に観察される凹部から任意に25点の凹部を選択し、それらの凹部に対する相加平均値である。平均ピッチはS点測定されたピッチの相加平均値として定義する。
平均開口径φave2は、上記ピッチを測定する際に使用した観察像と同一の観察像より測定される。「開口径」とは、モールドの凹凸の凹部の開口部の径であり、特に凹部の開口部に対する内接円の直径として定義する。測定方法は、上記説明した平均ピッチPave2において、ピッチを開口径と読み替えて定義される。
モールドの凹凸を構成する凸部の頂部の最短の幅(径)は、300nm以下であることが好ましい。この範囲を満たすことで、比率(h1/h2)を大きくできるため、ウェハ上に設けられるマスク構造体の精度が向上し、面内分布がより良好となる。特に、モールドの凹凸を構成する凸部の頂部上における第1のマスク層の凝集を抑制する観点から、前記幅(径)は、150nm以下であることが好ましく、100nm以下であることがより好ましく、50nm以下であることが最も好ましい。なお、下限値は特に限定されないが、モールドの繰り返し使用の観点から、0nm超である。なお、0nm超とは、凸部の頂部が角部あるいは曲率半径が0超の角部の場合を含む。
以上説明した凹凸を満たすことで、要件(F)、要件(G)、要件(H)の効果が大きくなると共に、既に説明した比率(h1/h2)を大きくできる。更には、積層成形体の精度及びマスク積層ウェハの精度、そしてマスク構造体の精度を向上させることができるため、良好な半導体発光素子用ウェハを形成することができる。
更に、以下に説明する凹凸を満たすことで、積層成形体の精度及びマスク積層ウェハの精度、そしてマスク構造体の精度を向上させることができるため、良好な半導体発光素子用ウェハを形成することができる。
モールドの凹凸の形状及び配列は、半導体発光素子用ウェハの用途に応じ適宜設計することができる。
凹凸の配列としては、半導体発光素子用ウェハにて説明した凹凸の配列を採用できる。また、凹凸の形状としては、半導体発光素子用ウェハにて説明した凹凸の形状を採用できる。
また、凹凸は、複数の独立した凸部と連続した凹部より構成されるドット状構造、複数の独立した凹部と連続した凸部より構成されるホール状構造、あるいは独立した凸部と独立した凹部とを共に含むハイブリッド構造をとることができる。中でも複数の凹部が連続した凸部により離間されたホール状構造であることが好ましい。これにより、エッチング時のローディング効果やシャドー効果の影響を小さくできるため、マスク構造体の精度が向上し、これに伴い、半導体発光素子用ウェハの精度が向上する。凹部の開口部の輪郭形状は、半導体発光素子用ウェハにて説明した凹凸の形状を採用できる。中でも、マスク積層ウェハを転写法により形成する際におけるマスク層の転写精度の観点から、円状、楕円状、柵状、角部の曲率半径が0超の角部を有する3角形であることが好ましく、円状であることが最も好ましい。なお、円状は実質的な円状であり、多少の歪は考慮される。
凹凸の凹部は先細り形状であることが好ましい。即ち、凹部の開口部から底部へと向かうにしたがい、凹部の開口径が小さくなる形状であることが好ましい。これにより、マスク積層ウェハを転写法により形成する際のマスク層の転写精度を、転写速度を大きくした場合であっても高く保つことができる。特に、マスク積層ウェハを転写法により形成する際の、マスク層に加わるモールドの剥離応力を緩和して、転写精度をより向上させる観点から、凹凸を構成する凹部の底部の平坦面の大きさは500nm以下であることが好ましく、300nm以下であることがより好ましく、100nm以下であることが最も好ましい。なお、50nm以下であれば、マスク層の転写精度を高めた状態にて、転写速度を向上できるため好ましい。最も好ましくは、平坦部のない状態である。なお、平坦部のない場合、凹部の底部は角部より構成されても、曲率半径が0超の角部より構成されてもよいが、マスク層の破損を抑制する観点から、曲率半径が0超の角部より構成されることが好ましい。
モールドの凹凸のピッチは、半導体発光素子用ウェハに反映される。この観点から、モールドの凹凸のピッチは、半導体発光素子用ウェハにて説明した範囲を満たすことが好ましい。特に、上限値である1500nm以下を満たすことで、マスク積層ウェハを転写法により形成する際の、マスク層に加わる剥離力を低減することができるため好ましい。また、下限値である80nm以上を満たすことで、積層成形体を形成する際の第1のマスク層の配置精度が向上するため好ましい。
モールドの凹凸の深さDを開口径φ4にて除した値、即ち比率(D/φ4)をAspectと呼ぶ。このAspectの範囲は特に限定されないが、転写法にてマスク積層ウェハを形成する際の、マスク層の破損を抑制する観点から上限値を決定し、半導体発光素子用ウェハの凹凸の形状制御マージンの観点から下限値を決定できる。これらの観点から、Aspectは0.1以上5以下であることが好ましく、0.3以上2以下であることがより好ましく、0.5以上1以下であることが最も好ましい。
(モールドの材質)
モールドの材質は、特に限定されない。これは、既に説明した要件(F)、要件(G)、要件(H)を満たすことで、ウェハの面内における分布の小さなマスク積層ウェハを形成できるためである。このため、モールドの材質は、ナノインプリントやナノインプリントリソグラフィ法にて一般的に提案されているものを、要件(F)、要件(G)、要件(H)を満たす範囲内にて選択できる。
上記した要件(F)、要件(G)、要件(H)を満たすために、モールドの凹凸の表面の自由エネルギを減少させることが好ましい。自由エネルギを低減させる手法としては、凹凸に対して離型処理を行うか、自由エネルギの低い材質を選定するか、表面の自由エネルギを低下させる成分を仕込む手法等を採用できる。凹凸に対する離型処理は、公知一般に知られる離型処理を採用でき、一般的な防汚剤、レべリング剤、撥水剤あるいは指紋付着防止剤等を使用できる。また、離型処理を行う前に、凹凸の表面を金属や金属酸化物にて被覆してもよい。この場合、離型処理の均等性と凹凸の強度を向上させることができる。自由エネルギの低い材質としては、フッ素含有樹脂やシリコーン樹脂等を使用できる。表面の自由エネルギを低下させる成分を仕込む手法としては、偏析やブリードアウト等を利用することができる。例えば、フッ素成分やメリル基成分の偏析、シリコーン成分のブリードアウト等を利用できる。なお、表面の自由エネルギを低減させる成分を仕込む手法は、既に説明したマスク層に対して行うこともできる。例えば、フッ素成分やシリコーン成分をマスク層に仕込むことで、フッ素成分の偏析やシリコーン成分のブリードアウトを利用することができるため、マスク層とモールドとの接着強度を大きく低減できる。
上記説明したフッ素成分は、ポリフルオロアルキレンやペルフルオロ(ポリオキシアルキレン)鎖、直鎖状ペルフルオロアルキレン基、炭素原子−炭素原子間にエーテル性酸素原子が挿入され且つトリフルオロメチル基を側鎖に有するペルフルオロオキシアルキレン基、トリフルオロメチル基を分子側鎖、あるいは、分子構造末端に有する直鎖状のポリフルオロアルキレン鎖、または直鎖状のペルフルオロ(ポリオキシアルキレン)鎖等を具備するモノマや樹脂により導入できる。特に、表面自由エネルギの低減効果を大きくする点から、ポリフルオロアルキレン鎖は、炭素数2〜炭素数24のポリフルオロアルキレン基であることが好ましい。
ペルフルオロ(ポリオキシアルキレン)鎖は、(CFCFO)単位、(CFCF(CF)O)単位、(CFCFCFO)単位及び(CFO)単位からなる群から選ばれた1種以上のペルフルオロ(オキシアルキレン)単位からなることが好ましく、(CFCFO)単位、(CFCF(CF)O)単位、または(CFCFCFO)単位からなることがより好ましい。ペルフルオロ(ポリオキシアルキレン)鎖は、凹凸の物性(耐熱性、耐酸性等)が優れることから、(CFCFO)単位からなることが特に好ましい。ペルフルオロ(オキシアルキレン)単位の数は、凹凸の表面自由エネルギの低減と硬度の向上の観点から、2〜200の整数が好ましく、2〜50の整数がより好ましい。
また、モールドは、フッ素元素、メチル基及びシリコン元素からなる群から選ばれる少なくとも一つの要素を含有することが好ましい。特に、シリコン元素はシロキサン結合により導入されることが好ましい。このような要素を含むことにより、要件(F)、要件(G)、要件(H)の効果が高まると共に、モールドの凹凸とマスク層との物理的接着力及び化学的接着力を小さくすることができる。即ち、マスク層とウェハとの接着力を、モールドとマスク層との接着力に比べ相対的に大きくすることが容易となる。
また、シロキサン結合を含む添加剤、フッ素を含む添加剤あるいはメチル基を含む添加剤をモールドの原料に添加し、モールドの凹凸の表面自由エネルギを減少させることもできる。添加量としては、モールドの原料全体に対して、概ね0.1重量%以上30重量%以下であると、凹凸の物理安定性が向上すると共に、マスク層への前記添加剤の転写が抑制されるため好ましい。
シロキサン結合の導入は、一般式−[−Si−O−]−nにおいて、nが50以上の部位を含む樹脂であると表面自由エネルギの低下が促進されるため好ましい。特に、nが100以上であると好ましく、300以上であるとより好ましく、1000以上であると最も好ましい。このような樹脂は、公知一般のシリコーンを使用することができる。
また、モールドがフッ素含有樹脂より構成される場合、樹脂全体に対するフッ素元素濃度が25at%以上であると、凹凸の表面の自由エネルギの低下が大きくなるため好ましく、35at%以上であるとより好ましい。
特に、表面に凹凸を備える表層のフッ素元素濃度(Es)とモールドの平均フッ素元素濃度(Eb)との比率(Es/Eb)は、1超30000以下(1<Es/Eb≦30000)であることが好ましい。なお、平均フッ素元素濃度(Eb)は、モールドが、支持基材と凹凸より構成される場合は、凹凸に対して測定される。
比率(Es/Eb)を1超にすることにより、モールドを構成する支持基材と表面に凹凸を備える表層との接着力を大きくすると共に、凹凸の物理強度を向上させることができる。一方、前記比率(Es/Eb)を30000以下にすることで、要件(F)、要件(G)、要件(H)の効果が大きくなると共に、凹凸の表面の自由表面エネルギを効果的に減少させることができる。特に、要件(F)、要件(G)、要件(H)の効果をより一層発現すると共に、積層成形体の生産速度を向上させる観点から、3≦Es/Eb≦1500、20≦Es/Eb≦200の範囲となるにしたがって好ましい。
なお、表層のフッ素元素濃度(Es)は、X線光電子分光法(XPS法)により測定される値として定義する。XPS法のX線の浸入長は数nmと浅いため、Es値を定量する上で適している。また、モールドの平均フッ素濃度(Eb)は、仕込み量から計算することができる。または、モールド切片を、フラスコ燃焼法にて分解し、続いてイオンクロマトグラフ分析にかけることでも、モールドの平均フッ素元素濃度(Eb)を同定することができる。
モールドを構成する支持基材と表面に凹凸を備える表層とは、任意に組み合わせることができる。例えば、支持基材としては、ガラス、石英、シリコン、SUS、アルミ板等の無機材料であっても、スポンジやゴム(シリコーンゴム等)に代表される柔弾性体で構成されても、PETフィルム、TACフィルム、COPフィルム、PEフィルム、PPフィルムといった樹脂フィルムで構成されてもよい。また、これらはフレキシブルであっても、非フレキシブルであってもよい。一方で、表面に凹凸を構成する表層の材料としては、公知一般の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、光硬化樹脂や無機物を採用できる。その他にも、既に説明した積層成形体のマスク層を使用することも、それらをブレンドすることもできる。表層を構成する無機物としては、金属や金属酸化物等を使用できる。例えば、シリコン、石英、ニッケル、クロム、サファイア、シリコンカーバイド、ダイヤモンド、ダイヤモンドライクカーボンあるいはフッ素含有ダイヤモンドライクカーボン、金属アルコキシド、金属アルコラート、金属キレート化合物、ハロゲン化シラン、スピンオングラス等の無機材等を使用できる。
特に、表面に凹凸を備える表層が弾性体であると、マスク積層ウェハのマスク層の膜厚HMの分布がより良になる(小さくなる)ため好ましい。このような観点から、モールドの表層は、ABS樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、塩化ビニル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、フッ素含有アクリル樹脂、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリエステル、ポリフェニレンエーテル、ポリウレタン、フッ素含有ポリウレタン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体(ETFE)、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、クロロトリフルオエチレン・エチレン共重合体(ECTFE)、シリコーン樹脂、あるいはポリジメチルシロキサン等の樹脂より構成されると好ましい。特に、光硬化性樹脂の硬化物より構成される場合、原料となる光硬化性樹脂の平均官能基数は6以下であると転写精度が一層向上するため好ましく、4以下であるとより好ましく、3以下であると最も好ましい。表面に凹凸を備える表層の弾性率を減少させ、被処理体に転写付与されるマスク層の選択幅を拡大する観点から、2.5以下であると好ましく、1.5以下であるとより好ましい。
表面に凹凸を備える表層が弾性体である場合、ガラス転移温度Tgが100℃以下である弾性体であってもよく、公知市販のゴム板や樹脂板、フィルム等を使用することができるが、特に、60℃以下であることで、弾性変形の程度が大きくなることから、転写性が向上するため好ましい。最も好ましくは、同様の観点から30℃以下である。更に、前記ガラス転移温度が30℃以下であることで、被処理体に対する貼り合わせの容易性が大きくなる。同様の観点から、前記ガラス転移温度Tgは、0℃以下であることが好ましく、−20℃以下であることが最も好ましい。このようなTgの低い弾性体としては、例えば、シリコーンゴム、ニトリルゴム、フッ素ゴム、ポリイソプレン(天然ゴム)、ポリブタジエン、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン6、ナイロン66、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリメタクリル酸メチル、ポリスチレン等が挙げられる。
モールドの曲げ弾性率が5Mpa以上10Gpa以下である場合、マスク積層ウェハのマスク層の膜厚分布がより良好になると共に、マスク積層ウェハのマスク層とウェハとの間に閉じ込められる気泡を抑制できる。モールドの曲げ弾性率は、支持基材のある場合とない場合とに分類できる。
支持基材のない場合、即ち、モールドが表面に凹凸を備える表層のみにより構成される場合、上記効果をより発揮する観点から、モールドの曲げ弾性率は、100Mpa以上5Gpa以下であることがより好ましく、400Mpa以上3.0Gpa以下であることがより好ましく、400Mpa以上2Gpa以下を満たすことが最も好ましい。
一方で、支持基材のある場合、即ち、モールドが表面に凹凸を備える表層及び支持基材より構成される場合、モールドの曲げ弾性率は、750Mpa以上10Gpa以下を満たすことが好ましく、1.3Gpa以上10Gpa以下を満たすことがより好ましく、2.3Gpa以上10Gpa以下を満たすことが最も好ましい。中でも、5Gpa以上10Gpa以下であることで、モールドの操作性が向上する。7.5Gpa以上10Gpa以下であれば、マスク積層ウェハを形成する際の速度を向上できる。
また、上記曲げ弾性率は、JIS K 7171、ISO 178に準拠し測定される値とする。また、表面に凹凸を備える表層は、上記支持基材のない場合にて説明した曲げ弾性率値を満たす材料により構成されると好ましく、モールドの支持基材は、上記支持基材のある場合にて説明した曲げ弾性率値を満たす材料であると好ましい。
モールドの支持基材は、透明であっても着色されていてもよい。本発明の半導体発光素子には、LED、有機EL、有機発光ダイオード等が含まれる。
LED用パタンウェハ(半導体発光素子用ウェハ)の凹凸を構成する凸部の底部径φ1の分布の影響を調査した。評価までの流れは以下の通りである。
(1)円筒状マスターモールドの作製
(2)モールドの作製
(3)ナノ加工シート(積層成形体)の作製
(4)マスク積層ウェハの作製
(5)LED用パタンウェハの作製
(6)LED用エピタキシャルウェハの作製
(7)LEDチップ(半導体発光素子)の作製と評価
((1)円筒状マスターモールドの作製について)
半導体レーザを用いた直接描画リソグラフィ法により円筒状石英ガラスの表面に、凹凸を形成した。まず石英ガラス表面を十二分に洗浄し、パーティクルを除去した。続いて、円筒状石英ガラス表面上に、スパッタリング法によりレジスト層を成膜した。スパッタリング法は、ターゲット(レジスト層)として、φ3インチのCuO(8atm%のSiを含有)を用いて、RF100Wの電力で実施し、20nmのレジスト層を成膜した。続いて、円筒状石英ガラスを回転させながら、波長405nmの半導体レーザを用い、レジスト層の表面を一度露光した。
続いて、一度露光されたレジスト層に対し、波長405nmのレーザ光を照射した。このとき、露光パタンにより、ナノ構造の配列を制御し、凹凸の平均ピッチを制御した。次に、露光後のレジスト層を現像した。レジスト層の現像は、0.03wt%のグリシン水溶液を用いて、240secの処理時間とした。次に、現像したレジスト層をマスクとし、ドライエッチングによるエッチング層(石英ガラス)のエッチングを行った。
ドライエッチングは、エッチングガスとしてSFを用い、圧力1Pa、電力300Wの条件で実施した。処理時間を変化させることで凹凸の開口部の大きさ及び凹凸の深さを調整した。最後に、表面に凹凸が付与された円筒状石英ガラスから、レジスト層残渣のみを、pH1の塩酸を用いて剥離した。剥離時間は6分間とした。得られた円筒状石英ガラスの凹凸に対し、フッ素系表面処理剤(デュラサーフHD−1101Z、ダイキン化学工業社製)を塗布し、60℃で1時間加熱後、室温で24時間静置し固定化した。その後、洗浄剤(デュラサーフHD−ZV、ダイキン化学工業社製)で3回洗浄し、円筒状マスターモールドを得た。
((2)モールドの作製について)
モールドとしては以下に説明するモールド(G2)を作製して、更に表面処理を施して使用した。PETフィルム(PET−1)の易接着面にマイクログラビアコーティングにより、塗布膜厚2μmになるように以下に示す材料(M−1)を塗布した。次いで、円筒状マスターモールドに対し、材料(M−1)が塗布されたPETフィルム(PET−1)をニップロールで押し付け、積算露光量が1500mJ/cmとなるように、高圧水銀灯光源を用いて紫外線を照射し、連続的に光硬化を実施し、表面に凹凸が転写されたモールド(G1)(長さ200m、幅300mm)を得た。PETフィルム(PET−2)の易接着面にマイクログラビアコーティングにより、材料(M−1)を塗布膜厚2μmになるように塗布した。次いで、モールド(G1)の凹凸の面に対し、材料(M−1)が塗布されたPETフィルム(PET−2)をニップロールで押し付け、積算露光量が1200mJ/cmとなるように、高圧水銀灯光源を使用し紫外線を照射し、連続的に光硬化を実施し、表面に凹凸が転写されたモールド(G2)(長さ200m、幅300mm)を複数得た。
材料(M−1)・・・フッ素含有ウレタン(メタ)アクリレート(OPTOOL DAC HP(ダイキン工業社製)):トリメチロールプロパン(EO変性)トリアクリレート(M350(東亞合成社製)):1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(Irgacure(登録商標)184(BASF社製 )):2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1(Irgacure(登録商標)369(BASF社製))=17.5g:100g:5.5g:2.0gにて混合した材料。
形成したモールド(G2)を裁断して以下の表面処理を施した。この処理により、モールド(G2)の表面物性を制御した。まず、モールド(G2)の凹凸上にSiO及びCrをこの順番に10nmずつ成膜した。次に、Crの表面をアセトン、イソプロパノール及びエタノールの混合溶剤中に水を3重量%添加した洗浄液にて、Cr表面を十分に洗浄した。
1H,1H,2H,2H−パーフルオロオクチルトリメトキシシラン及びテトラエトキシシランをモル比にて1:99〜99:1の間で任意に混合し、80℃に加温されたデシケータの中に配置した。また、デシケータの内部に水を加えた。即ち、1H,1H,2H,2H−パーフルオロオクチルトリメトキシシラン及びテトラエトキシシランのモル比と、各蒸気圧に従った蒸気がデシケータ内に充満されるようにした。この様なデシケータ内に、上記洗浄済みのモールド(G2)を配置し、6時間静置した。
デシケータより取り出したモールド(G2)を、イソプロパノールにて洗浄し、その後エタノールにて再度洗浄し、乾燥させた。乾燥温度は、105℃とし、湿度は49%とした。
表面処理をしたモールド(G2)の凹凸に対して接触角を測定した。接触角は、株式会社ニック社製の塗れ性評価装置(接触角計)であるLSE−B100Wを使用し、水平状態(傾斜角0°)のモールド(G2)の凹凸上のプローブ液に対して、Θ/2法により計測される値を採用した。プローブ液としてプロピレングリコールモノメチルエーテル(和光純薬工業株式会社制(特級))とイオン交換水をそれぞれ用いた。プローブ液をガラスシリンジに入れ、オートディスペンサを使用して、プローブ液吐出量が2.5μl±0.5μlになるように制御した。なお、プローブ液を吐出する針は、協和界面化学株式会社製のテフロンコート針22Gを使用した。また、測定環境は、温度22℃〜25℃、湿度38%〜42%であった。
モールド(G2)の凹凸の付与されている領域の幅は250mmである。凹凸の付与された領域の端部をそれぞれ点X及び点Yとした。点Xから幅方向に37.5mmだけ内側に位置する点を測定点aとした。測定点aを測定開始点とし、測定点aから点Yの方向に向けて10mm間隔に10点の測定群を設定した。即ち、a1〜a10の10個の測定点があり、各測定点の距離は10mmである。10個の測定点全てに対して、接触角Θを求めた。接触角Θの相加平均値を記録した。プローブ液に水を使用した場合がΘHOであり、PGMEを使用した場合がΘpgmeである。
また、Θpgmeの標準偏差σpgmeは、10点測定されたPGMEに対する接触角の標準偏差であり、分散に対する平方根として計算した。ここでは、Microsoft Corporation社製の表計算ソフトであるMicrosoft Excelを使用してstdev.pの関数を指定して計算した。
また、SEM観察を行い、平均ピッチPave2と平均開口径φave2を求めた。SEMとしては、走査型電子顕微鏡SU8010(株式会社日立ハイテクノロジーズ社製)を使用した。測定における加速電圧は、1.0kVとした。また、平均ピッチPave2と平均開口径φave2は、SEM観察における同様の観察像から求めた。SEMの倍率は、観察される凹部の開口部が、観察像内に鮮明に25以上150以下にて観察される倍率とした。
平均ピッチPave2も平均開口径φave2も、上記接触角を測定する際に使用したサンプルと同一のサンプル片より測定した。接触角の測定に使用したサンプル片の、プローブ液の接触していない部分に対して観察を行った。測定は表面に対する観察であり、10点の測定点に対して行った。即ち、接触角を測定した部分であるa1〜a10のそれぞれに近接すると共に、プローブ液の被着していない箇所に対して測定した。また、1観察像内から、任意に25点の凹部を選択して、それらの相加平均値をピッチ及び開口径とし、10個の観察像の平均を平均ピッチPave2及び平均開口径φave2とした。
以上のようにして作製されたモールド(G2)を表1にまとめた。
Figure 2015005696
なお、表1に記載の用語の意味は以下の通りである。
・Mold1〜Mold25・・・作製したモールドを管理する番号。
・Pave2・・・平均ピッチであり、ディメンジョンはナノメートル。
・φave2・・・平均開口径であり、ディメンジョンはナノメートル。
・ΘHO・・・水に対する接触角。
・Θpgme・・・プロピレングリコールモノメチルエーテルに対する接触角。
・σpgme・・・Θpgmeの標準偏差。
・NFS・・・以下に説明するナノ加工シートに使用したモールド。なお、ナノ加工シートに使用したモールドはNFSとして表記する。
・NIL・・・以下に説明するナノインプリントリソグラフィ法に使用したモールド。なお、ナノインプリントリソグラフィ法に使用したモールドはNILと表記する。
((3)ナノ加工シートの作製について)
NFS1〜NFS25のそれぞれに対して、以下の操作を個別に行い、25種類のナノ加工シートを作製した。NFSの凹凸に対して、下記第2の塗工液を塗工し、第1の積層体を作製した。続いて、第1の積層体の凹凸の面上に、第1の塗工液を塗工し、ナノ加工シートを得た。
第2の塗工液・・・チタニウムテトラブトキシド,モノマ(和光純薬工業社製):3アクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越シリコーン社製):フェニル変性シリコーン(東レ・ダウコーニング社製):1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(Irgacure184、BASF社製):2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1(Irgacure369、BASF社製)=65.2g:34.8g:5.0g:1.9g:0.7gにて調合し、プロピレングリコールモノメチルエーテルにて希釈した塗工液。
第1の塗工液・・・パラヒフドロキシスチレンポリマ(マルカリンカー H−2P、丸善石油化学製):トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(SR833、SARTOMER社製):トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレート(SR368、SARTOMER社製):1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(Irgacure(登録商標)184(BASF社製)):2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1(Irgacure(登録商標)369(BASF社製))=77.1g:11.5g:11.5g:1.47g:0.53gにて混合した組成物をプロピレングリコール及びアセトンの混合溶剤にて希釈した材料。
第2の塗工液を、NFSの凹凸の面上に、バーコート法を使用して、塗工速度を10mm/secとして塗工した。塗工後、105℃の乾燥オーブン内に10分間静置し、第1の積層体を得た。なお、第2の塗工液の希釈濃度は、単位面積当たりの固形分量が、単位面積当たりの凹凸の体積よりも20%以上小さくなるように設定した。
第1の積層体の凹凸上に、バーコート法を使用して、塗工速度を25mm/secとして第1の塗工液を塗工した。塗工後、95℃の乾燥オーブン内に15分間静置し、ナノ加工シートを得た。
作製したナノ加工シートに対しSEMを用いて断面観察を行ったところ、NFSの凹部における内部に第2のマスク層(第2の塗工液の固形分)が充填されていることが観察された。
((4)マスク積層ウェハの作製について)
4インチφのサファイアウェハをLED用ウェハとして選択し、マスク積層ウェハを作製した。
まず、上記説明したモールドを使用してナノインプリントリソグラフィ法を適用した場合について説明する。LED用ウェハに対してUV−O処理を行い、その後、除電下にてエアブローをあて、異物を除去した。LED用ウェハ上に、上記第1の塗工液をスピンコート法により成膜した。成膜後、80℃にて2分間静置し、溶剤を除去した。LED用ウェハを120℃のホットプレート上に配置し、ラミネータを使用してモールドであるNIL1〜NIL23をそれぞれ押圧した。押圧力としては、0.18Mpaとした。押圧後、熱を加えた状態にて5分間、0.20Mpaにて押圧を持続した。続いて、波長365nmのUV−LED光源を使用して、81mW/cmの照度にて、積算光量が800mJ/cmになるまでUV光を露光した。露光後に、120℃に加温した加温板にて5秒間挟みこんだ。その後、エアブローを5秒間あて、モールドであるNILを除去し、マスク積層ウェハを得た。
次に、上記説明したナノ加工シートを適用した場合について説明する。LED用ウェハに対してUV−O処理を行い、その後、除電下にてエアブローをあて、異物を除去した。LED用ウェハ上を85℃に加温した状態にて、ナノ加工シートをラミネータにて貼り合わせた。ラミネート圧力は0.10Mpaとし、ラミネートロールの表面温度を90℃に設定した。次に、波長365nmのUV−LED光源を使用して、81mW/cmの照度にて、積算光量が800mJ/cmになるまでUV光を露光した。露光後に、120℃に加温した加温板にて5秒間挟みこんだ。その後、エアブローを5秒間あて、モールドであるNFSを除去し、マスク積層ウェハを得た。
得られたマスク積層ウェハに対して、SEM観察を行い、マスク層の膜厚分布を測定した。マスク層の膜厚は、マスク積層ウェハの断面に対するSEMによる観察から求めた。SEMを使用した測定においては、マスク層の凹凸の複数の凸部が、SEM観察像内に鮮明に5以上15以下の範囲内で観察される倍率にし、同観察像よりマスク層の膜厚HMを測定した。なお、膜厚HMは、観察像内に観察される凸部の頂点の平均位置と、LED用ウェハとマスク層との界面位置との最短距離とした。SEMとしては、走査型電子顕微鏡SU8010(株式会社日立ハイテクノロジーズ社製)を使用した。なお、測定における加速電圧は、1.0kVとした。
マスク層の膜厚HMに対する分布は次のように求めた。LED用ウェハのオリエンテーション・フラットに平行であり、4インチの長さを持つ線分Lを設定した。線分Lの端部は、LED用ウェハの外縁部に一致し、これらの点を点X及び点Yとした。前記線分L上において、点Xから15mmだけ内側に位置する点を測定群Aとした。測定群Aを測定開始点とし、測定群Aから点Yの方向に向けて7.5mm間隔に10点の測定群を設定する。各測定群に対して、5点の測定点を設けた。この測定点は、線分L上に設けられ、各測定点同士の間隔は100μmである。即ち、線分L上には、50個の測定点があり、それらの測定点は5つずつ群をなし測定群を作っている。そして、各測定群同士の隣接距離は7.5mmであり、各測定点同士の隣接距離は100μmである。50個の測定点の全てに対して、上記説明したSEMを用いた断面観察により、膜厚HMを測定し、それらの相加平均値をHMaveとした。
以上のようにして作製したマスク積層ウェハを表2にまとめた。
Figure 2015005696
なお表2に記載の用語の意味は以下の通りである。
・マスク積層ウェハ・・・マスク積層ウェハの管理番号であり、MWと番号の組み合わせを表記。
・モールド・・・マスク積層ウェハを形成するのに使用したモールド。NILと番号の組み合わせは、ナノインプリントリソグラフィ法を使用した場合であり、NFSと番号の組み合わせはナノ加工シートを使用した場合である。
・分布+(分布の最大値)・・・マスク層の膜厚HMの最大値をHMmax、最小値をHMmin、相加平均値をHMaveとした時、[(HMmax−HMave)/HMave]×100(%)により求めた値である。
・分布−(分布の最小値)・・・[(HMmin−HMave)/HMave]×100(%)で求めた値である。
・HMave・・・マスク積層ウェハの膜厚HMの相加平均値であり、ディメンジョンはナノメートル。
・HMmax・・・マスク積層ウェハの膜厚HMの最大値であり、ディメンジョンはナノメートル。
・HMmin・・・マスク積層ウェハの膜厚HMの最小値であり、ディメンジョンはナノメートル。
((5)LED用パタンウェハの作製について)
マスク積層ウェハに対してエッチングを行い、LED用パタンウェハを形成した。
ナノインプリントリソグラフィ法によりマスク積層ウェハを形成した場合は、まず、酸素ガスを使用したエッチングを行い、第1のマスク層の残膜を除去して、マスク構造体を得た。酸素エッチンングとしては、圧力1Pa、電力300Wの条件にて行った。ここで、マスク層の膜厚分布を考慮して、最大膜厚の場合であっても、残膜が除去できるように時間を調整した。続いて、BClガスとClガスの混合ガスを使用した反応性イオンエッチングを行い、LED用ウェハを加工して、LED用パタンウェハを得た。反応性イオンエッチングは、ICP:150W、BIAS:50W、圧力0.2Paにて実施し、反応性イオンエッチング装置(RIE−101iPH、サムコ株式会社製)を使用した。なお、反応性イオンエッチング後に、硫酸と過酸化水素水を混合した溶液を使用して、LED用パタンウェハを洗浄した。
積層成形体を使用しマスク積層ウェハを形成した場合は、まず、ナノインプリントリソグラフィ法を使用した場合と同様に、酸素ガスを使用したエッチングを行い、第2のマスク層を加工マスクとして第1のマスク層をエッチングした。ここで、マスク層の膜厚分布を考慮して、最大膜厚の場合であっても、LED用ウェハが部分的に露出するように時間を調整した。続いて、ナノインプリントリソグラフィ法を使用した場合と同様に、反応性イオンエッチングを行い、LED用ウェハを加工して、LED用パタンウェハを得た。なお、反応性イオンエッチング後に、硫酸と過酸化水素水を混合した溶液を使用して、LED用パタンウェハを洗浄した。
得られたLED用パタンウェハの表面に対して、SEM観察を行い、凹凸を構成する凸部の底部径φ1を測定した。なお、凹凸を構成する凸部の形状は、略円錐状であり、円錐の頂点は丸みを帯びた形状であった。また、凸部と凸部との間の凹部の底部は平坦面が設けられていた。凸部の底部径φ1に対する分布は以下の測定定義にしたがい測定した。LED用ウェハのオリエンテーション・フラットに略平行な4インチの線分Lを設けた。線分Lの端部は、LED用ウェハの外縁部に一致し、これらの点を点X及び点Yとする。前記線分L上において、点Xから15mmだけ内側に位置する点を測定群Aとした。測定群Aを測定開始点とし、測定群Aから点Yの方向に向けて7.5mm間隔に10点の測定群を設定した。各測定群に対して、5点の測定点を設けた。この測定点は、線分L上に設けられ、各測定点同士の間隔は100μmである。即ち、線分L上には、50個の測定点があり、それらの測定点は5つずつ群をなし測定群を作っている。そして、各測定群同士の隣接距離は7.5mmであり、各測定点同士の隣接距離は100μmである。50個の測定点の全てに対して、上記説明したSEMを用いた観察により、凸部の底部径φ1を測定し、それらの相加平均値をφaveとした。ここで、各測定点に対して、SEMを使用して凸部の底部径φ1を求めた。SEMの観察倍率は、観察像内に鮮明に25以上150以下の凸部が観察される倍率である。各測定点により求められる凸部の底部径φ1は、SEM観察像内に観察される凸部から任意に25点の凸部を選択し、それらの凸部の底部径φ1に対する相加平均値である。SEMとしては、走査型電子顕微鏡SU8010(株式会社日立ハイテクノロジーズ社製)を使用した。なお、測定における加速電圧は、1.0kVとした。
以上のようにして作製したLED用パタンウェハを表3にまとめた。
Figure 2015005696
なお表3に記載の用語の意味は以下の通りである。
・LED用パタンウェハ・・・LED用パタンウェハの管理番号であり、PWと番号の組み合わせを表記。
・マスク積層ウェハ・・・使用したマスク積層ウェハ。
・分布+・・・凹凸を構成する凸部の底部径φ1の最大値をφmax、最小値をφmin、相加平均値をφaveとした時、[(φmax−φave)/φave]×100(%)により求めた値である。
・分布−・・・[(φmin−φave)/φave]×100(%)により求めた値である。
・φave・・・凸部の底部径φ1の相加平均値であり、ディメンジョンはナノメートル。
・φmax・・・凸部の底部径φ1の最大値であり、ディメンジョンはナノメートル。
・φmin・・・凸部の底部径φ1の最小値であり、ディメンジョンはナノメートル。
((6)LED用エピタキシャルウェハの作製について)
作製したLED用パタンウェハを使用して、LED用エピタキシャルウェハを形成し、その後、LEDチップを得た。
LED用パタンウェハの凹凸上に、バッファ層としてAlGa1−xN(0≦x≦1)の低温成長バッファ層を100Å成膜した。次に、非ドープ第1半導体層として、アンドープのGaNを成膜し、ドープ第1半導体層として、SiドープのGaNを成膜した。続いて、歪吸収層を設け、その後、発光層として、多重量子井戸の活性層(井戸層、障壁層=アンドープのInGaN、SiドープのGaN)をそれぞれの膜厚を(60Å、250Å)として井戸層が6層、障壁層が7層となるように交互に積層した。発光層上に、第2半導体層として、エレクトロブロッキング層を含むようにMgドープのAlGaN、アンドープのGaN、MgドープのGaNを積層し、LED用エピタキシャルウェハを得た。続いて、ITOを成膜し、エッチング加工した後に電極パッドを取り付けた。その後、チップ化を行い、LEDチップを得た。
((7)LEDチップの作製と評価について)
作製したLEDチップの特性を評価した。比較例として、表面が平坦なLED用ウェハを使用してLED用エピタキシャルウェハを形成し、LED用エピタキシャルウェハから得たLEDチップを比較例とした。即ち、凹凸を具備しない平坦なサファイアウェハを使用してLEDチップを形成した場合を比較例とした。そして、横軸に発光出力、縦軸にLEDチップの個数をとりプロファイルを作製した。以下のように2つの評価を行った。
評価結果を表4に記載した。
Figure 2015005696
なお、表4に記載の用語の意味は以下の通りである。
・LED用エピタキシャルウェハ・・・LED用エピタキシャルウェハの管理番号であり、EWと数字との組み合わせにて表記。
・LED用パタンウェハ・・・LED用エピタキシャルウェハの形成に使用した半導体発光素子用ウェハ。
・評価1・・・比較例における前記プロファイルの半値幅を1として評価した。即ち、LEDチップの特性ばらつきを評価している。
・評価2・・・比較例における前記プロファイルのピーク値の発光出力を1として評価した。即ち、LEDチップの特性の改善程度を評価している。
・総合・・・比較対象に比べ発光出力が1.2倍以上のLEDチップの割合にて総合評価した場合。◎+、◎、◎―、〇+、〇、△、×の順番に、90%以上、80%以上90%未満、70%以上80%未満、60%以上70%未満、50%以上60%未満、40%以上50%未満、40%以下且つ比較対象に比べ発光出力が1倍以下のものが10%以上含まれていた場合である。
表4より以下のことがわかる。まず、ナノスケールの凹凸を具備するLED用パタンウェハを使用することで、LEDチップの特性が向上する。これは、LED用エピタキシャルウェハの発光ダイオード特性が向上したためと考えられる。他の解析から、LED用エピタキシャルウェハの積層半導体層中の転位密度及びエッチピットデンシティが低減していることが確認された。このことから、LED用パタンウェハの凹凸により、半導体層及び発光層の成長性が乱れ、転位が低減したと考えられる。これにより、ホールと電子の生成及びそれらの衝突を良好に引き起こし、換言すればダイオードとしての特性が向上したものと考えられる。
次に、LEDチップの特性の向上程度は、LED用パタンウェハの凹凸を構成する凸部の底部径φ1に対する分布が小さい程大きいことがわかる。これは、LED用パタンウェハの凹凸を構成する凸部の底部径φ1に対する分布が、発光ダイオード特性の分布を引き起こし、効果の低い凹凸にひきずられたためと考えられる。分布の影響については後述する。
半値幅にてみると、LED用パタンウェハを構成する凹凸の凸部の底部径φ1に対する分布が小さい程、半値幅小さい、即ち、LEDチップ間のばらつきが小さいことがわかる。凹凸を構成する凸部の底部径φ1に対する分布が大きいものについて、非ドープ第1半導体層まで成膜した状態にて観察したところ、非ドープ第1半導体層の表面に様々な不陸が生成していることが確認された。このことから、凹凸を構成する凸部の底部径φ1の分布が大きい場合、凸部の底部径φ1の相違により生じる半導体層及び発光層の成長性の相違が生じ、成長速度の異なる半導体層及び発光層が生成するため、表面平滑性が低下したものと考えられる。この様な非ドープ第1半導体層の不陸の影響が残るため、LED用エピタキシャルウェハの発光ダイオード特性の分布が生じ、LEDチップの特性の分布が大きくなると考えられる。
特に、LED用パタンウェハの凸部の底部径φ1に対する分布が絶対値で31.6%以上の領域においては、総合評価結果が大きく低下している。この総合評価結果にて特筆すべきことは、比較例よりも性能の劣るLEDチップが多数生成されていることである。特に、このような場合、非ドープ第1半導体層の表層の不陸が大きく、脈状の凸状体やクレバスのような亀裂が生成することが確認された。この様な非ドープ第1半導体層の表面状態の悪化の影響が発光層へと伝搬するために、性能の劣るLEDチップが生成したものと考えられる。
一方で、LED用パタンウェハの凹凸を構成する凸部の底部径φ1に対する分布が絶対値で、25%以下であれば、比較例の特性以下のチップはほぼ生成されないことが確認された。即ち、高効率なLEDチップを効率よく形成できることがわかる。特に、絶対値で12.5%以下、絶対値で10%以下、絶対値で8.3%以下、絶対値で4.5%以下、そして絶対値で2.3%以下の順に、半値幅及びLEDチップの特性が共により良好になることがわかった。
表4のLEDパタンウェハPW8〜PW32、及びLEDエピタキシャルウェハEW8〜EW32では、凹凸の平均ピッチは300nm以上900nm以下であり、更に凸部の底部径φ1に対する分布が−30%〜30%の範囲内であった。なお、凹凸(パタン)の表面には、マスク層の残渣がほとんど残っておらず、エピタキシャル成長面である凹凸の表面は、LED用ウェハ(サファイアウェハ)と同一の材質であった。
2 積層成形体
10 モールド
12 第1のマスク層
13 第2のマスク層
16 マスク構造体
20 半導体発光素子用ウェハ
21 マスク積層ウェハ
30 積層半導体層
31 エピタキシャルウェハ
33 第1半導体層
34 発光層
35 第2半導体層
80 マスク層

Claims (4)

  1. 表面が凹凸を成す半導体発光素子用ウェハであって、
    前記凹凸の平均ピッチは80nm以上1500nm以下であり、
    前記凹凸を構成する凸部の底部の径φ1に対する分布、あるいは前記凹凸を構成する凹部の開口部の径φ2に対する分布、または、前記径φ1及び前記径φ2に対する分布の下記式(1)で求められる下限値が、−30%以上0%以下の範囲内であり、前記分布の下記式(2)で求められる上限値が、0%以上30%以下の範囲内であることを特徴とする半導体発光素子用ウェハ。
    式(1)
    [(φmin−φave)/φave]×100(%)
    式(2)
    [(φmax−φave)/φave]×100(%)
    ただし、φaveは、前記径φ1、φ2の相加平均値を示し、φmaxは前記径φ1、φ2の最大値を示し、φminは前記径φ1、φ2の最小値を示す。
  2. 前記相加平均値φave、前記径φ1、φ2の最大値φmax、及び前記径φ1、φ2の最小値φminは、以下の条件にしたがって測定されることを特徴とする請求項1記載の半導体発光素子用ウェハ。
    (1) 前記半導体発光素子用ウェハの直径に該当する線分Lを任意に選択すること。
    (2) 前記半導体発光素子用ウェハの外縁部に一致する前記線分Lの端部をそれぞれ、点X及び点Yと規定すること。
    (3) 前記線分L上において、前記点Xから0.15Lだけ内側に位置する点を測定群Aとし、前記測定群Aを測定開始点として、前記測定群Aから前記点Yの方向に向けて7.5mm間隔に10点の測定群を設定すること。
    (4) 各測定群に対して、5点の測定点を設けるが、このとき、各測定点を前記線分L上に設け、各測定点同士の間隔を100μmとすること。
    (5) 50個の測定点の全てに対して径を測定し、それらの相加平均値をφaveとし、それらの最大値をφmaxとし、それらの最小値をφminとすること。
  3. 請求項1または請求項2記載の半導体発光素子用ウェハに形成された前記凹凸の表面に少なくとも2層以上の半導体層と、発光層とを積層して構成される積層半導体層を有することを特徴とするエピタキシャルウェハ。
  4. 請求項3記載のエピタキシャルウェハを複数に個片化することで形成されることを特徴とする半導体発光素子。
JP2013131590A 2013-06-24 2013-06-24 半導体発光素子用ウェハ、エピタキシャルウェハ、及び半導体発光素子 Pending JP2015005696A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013131590A JP2015005696A (ja) 2013-06-24 2013-06-24 半導体発光素子用ウェハ、エピタキシャルウェハ、及び半導体発光素子

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013131590A JP2015005696A (ja) 2013-06-24 2013-06-24 半導体発光素子用ウェハ、エピタキシャルウェハ、及び半導体発光素子

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2015005696A true JP2015005696A (ja) 2015-01-08

Family

ID=52301336

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013131590A Pending JP2015005696A (ja) 2013-06-24 2013-06-24 半導体発光素子用ウェハ、エピタキシャルウェハ、及び半導体発光素子

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2015005696A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2019078153A1 (ja) * 2017-10-18 2019-04-25 古河電気工業株式会社 プラズマダイシング用マスク材、マスク一体型表面保護テープおよび半導体チップの製造方法

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2011027679A1 (ja) * 2009-09-07 2011-03-10 エルシード株式会社 半導体発光素子
JP2011187658A (ja) * 2010-03-08 2011-09-22 Toshiba Corp 半導体発光素子
WO2013031887A1 (ja) * 2011-08-31 2013-03-07 旭化成株式会社 光学用基材および半導体発光素子

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2011027679A1 (ja) * 2009-09-07 2011-03-10 エルシード株式会社 半導体発光素子
JP2011187658A (ja) * 2010-03-08 2011-09-22 Toshiba Corp 半導体発光素子
WO2013031887A1 (ja) * 2011-08-31 2013-03-07 旭化成株式会社 光学用基材および半導体発光素子

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2019078153A1 (ja) * 2017-10-18 2019-04-25 古河電気工業株式会社 プラズマダイシング用マスク材、マスク一体型表面保護テープおよび半導体チップの製造方法
KR20190051000A (ko) * 2017-10-18 2019-05-14 후루카와 덴키 고교 가부시키가이샤 플라즈마 다이싱용 마스크재, 마스크 일체형 표면 보호 테이프 및 반도체 칩의 제조 방법
JP2019075512A (ja) * 2017-10-18 2019-05-16 古河電気工業株式会社 プラズマダイシング用マスク材、マスク一体型表面保護テープおよび半導体チップの製造方法
CN109937469A (zh) * 2017-10-18 2019-06-25 古河电气工业株式会社 等离子体切割用掩模材料、掩模一体型表面保护带和半导体芯片的制造方法
KR102339492B1 (ko) * 2017-10-18 2021-12-15 후루카와 덴키 고교 가부시키가이샤 플라즈마 다이싱용 마스크재, 마스크 일체형 표면 보호 테이프 및 반도체 칩의 제조 방법
US11437243B2 (en) 2017-10-18 2022-09-06 Furukawa Electric Co., Ltd. Mask material for plasma dicing, mask-integrated surface protective tape and method of producing semiconductor chip
CN109937469B (zh) * 2017-10-18 2023-09-08 古河电气工业株式会社 等离子体切割用掩模材料、掩模一体型表面保护带和半导体芯片的制造方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6084282B2 (ja) シームレス樹脂モールドシート
KR101698256B1 (ko) 몰드, 레지스트 적층체 및 그 제조 방법 및 요철 구조체
TWI487629B (zh) Function transfer body, the functional layer of the transfer method, the package and the function of transfer film roll
TWI477824B (zh) Optical substrate and light emitting device
JP6171089B2 (ja) 機能転写体及び機能転写フィルムロール
TW201421736A (zh) 光學基板、半導體發光元件及其製造方法
JP6177168B2 (ja) エッチング被加工材及びそれを用いたエッチング方法
JP2007150072A (ja) インプリント用スタンパおよびそれを用いた発光素子
JP6548024B2 (ja) 凹凸構造を含む基板の製造方法及び半導体発光素子の製造方法
JP6307258B2 (ja) 微細パタン形成用積層体
JP2015005696A (ja) 半導体発光素子用ウェハ、エピタキシャルウェハ、及び半導体発光素子
JP2014229558A (ja) 有機elデバイス
JP6307257B2 (ja) 機能転写体及び機能層の転写方法
JP2017069507A (ja) Led用パタンウェハ
JP6324048B2 (ja) 機能転写体及び機能層の転写方法、ならびに太陽電池及びその製造方法
KR20150101080A (ko) Oled 광추출용 마이크로 렌즈 어레이 제조방법
JP6400930B2 (ja) 超格子六方配列型光学用基材及び発光素子
JP2015002087A (ja) 半導体発光素子、有機el素子及び半導体発光素子の製造方法
JP2017073507A (ja) Led基板
JP2017073509A (ja) Led基板

Legal Events

Date Code Title Description
A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712

Effective date: 20160413

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20160516

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20160519

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20170222

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20170307

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20170905