JP2014229558A - 有機elデバイス - Google Patents

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Aya Takagiwa
綾 高際
布士人 山口
Fujito Yamaguchi
布士人 山口
潤 古池
Jun Furuike
潤 古池
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Abstract

【課題】角度依存性とカラーシフトが抑制され、特に広角にしたがって抑制される。また、寿命を長くすることができる。【解決手段】有機ELデバイスにおいて、光抽出体(100)は、互いに独立した複数の凸部(101b)を含むナノオーダーの凹凸構造(101a)を備え、第1の屈折率(n1)を有する凹凸構造層(101)と、第2の屈折率(n2)を有する光抽出層(102)と、第3の屈折率(n3)を有する平坦化層(103)と、凹凸構造(101a)は所定の条件を満たし、第1〜第3の屈折率(n1〜n3)が式(5)〜(7)のいずれかを満たす。式(5)n2>n3≧n1且つ(n2−n3)≧0.1式(6)n3>n2>n1且つ(n3−n2)≧0.1式(7)n3≧n1>n2且つ(n1−n2)≧0.1【選択図】図2

Description

本発明は、有機ELデバイスに関する。
近年、有機ELデバイスにおける発光効率を向上させるために、光取り出し効率の改善が検討されている。光取り出し効率を効果的に向上させるためには、発光した光が減衰される前に、導波モードを早期に乱す必要がある。そこで、光取り出し効率を改善するために、低屈折率領域と高屈折率領域との間に中間の屈折率層を形成する方法が提案されている。特許文献1,2に記載の方法では、導波モードを乱し、光取り出し効率を改善した例として、導波モードにより閉じ込められた光を、基板近傍に設けた周期構造により、回折光として取り出す方法が提案されている。
また、特許文献3に記載された有機EL素子においては、光取り出し効率を更に向上させるために、透明支持基板の有機EL素子の光の入射面となるべき面側に、第一の凹凸が表面に形成された第一凹凸層からなる回折格子を備えると共に、有機EL素子に用いる場合に透明支持基板の有機EL素子の光の出光面となるべき面側に、第二の凹凸が表面に形成された第二凹凸層からなるマイクロレンズを備える構造になっている。
特開2004−273122号公報 特表2010−533932号公報 国際公開第2012/147759号パンフレット
しかし、特許文献1,2記載の方法では、周期構造に基づく光の回折を利用して導波モードを乱すため、有機ELデバイスから取り出された光に、周期構造に基づく光の回折特有のギラツキが生じる。ここで、ギラツキとは、特定角度で特定波長の光が点状の輝点として観察される現象、即ち視野角依存性を指し、カラーシフトを伴った輝点状の発光である。
上述のカラーシフト及びギラツキは、ディスプレイ又は照明用の発光デバイスとしては致命的な問題であり、デバイス全体としての光取り出し効率は向上しても、実用としては採用し難い。このように、回折構造を利用した場合、光取り出し効率とカラーシフト及びギラツキの発光特性とは、相反するものであった。
また、特許文献3記載の方法では、第一凹凸層からなる回折格子上に電極、有機層等を蒸着させるため、凹凸の影響により電力集中が起こり、有機ELデバイスの発光寿命が短いという問題があった。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、光の回折に起因するカラーシフト及び視野角依存性を抑えることができ、また発光寿命が長い有機ELデバイスを提供することを目的とする。
本発明の有機ELデバイスは、一対の陽極及び陰極と、前記陽極及び前記陰極との間に配置された少なくとも一層の有機層を含む発光層と、前記陽極の前記発光層とは反対側に配置された光抽出体と、前記光抽出体の前記発光層とは反対側に配置された光学フィルムと、を具備し、前記光抽出体は、一主面に、互いに独立した複数の凸部又は凹部と、前記複数の凸部又は凹部の間をつなぐ連続した凹部又は凸部と、を含む凹凸構造を備え、第1の屈折率(n1)を有する凹凸構造層と、前記凹凸構造の少なくとも一部上に設けられ、第2の屈折率(n2)を有する光抽出層と、前記凹凸構造層及び前記光抽出層を覆うようにして設けられ、第3の屈折率(n3)を有する平坦化層と、を含み、前記凹凸構造層は、前記一主面内の第1方向において、前記複数の凸部又は凹部がピッチPyで配列された複数の凸部列又は凹部列を構成し、一方、前記第1方向に直交する第2方向において、前記複数の凸部又は凹部がピッチPxで配列された複数の凸部列又は凹部列を構成しており、前記ピッチPy及び前記ピッチPxは、いずれか一方がナノオーダーからマイクロオーダーの一定間隔であり、他方がナノオーダーからマイクロオーダーの不定間隔であるか、又は、いずれもナノオーダーからマイクロオーダーの不定間隔であり、前記光抽出層は、前記凹凸構造の凸部上に設けられた第1の光抽出層を含み、前記凹凸構造は、凸部頂部平均位置Shと前記第1の光抽出層の凸部上界面平均位置Scvとの間の距離Lcvが下記式(1)を満たし、凸部平均高さHが下記式(2)を満たし、平均ピッチPavが下記式(3)を満たし、且つ、前記距離Lcv及び前記凸部平均高さHが下記式(4)を満たし、前記第1の屈折率(n1)、前記第2の屈折率(n2)及び前記第3の屈折率(n3)が下記式(5)〜(7)のいずれかを満たし、且つ、前記凹凸構造は、前記第1の光抽出層の前記凸部上界面平均位置Scvと前記平坦化層の表面との間の平均距離Lorが、下記式(8)を満たすことを特徴とする。
式(1)
0nm≦Lcv≦5000nm
式(2)
0nm≦H≦5000nm
式(3)
50nm≦Pav≦18000nm
式(4)
10nm≦Lcv+H≦5000nm
式(5)
n2>n3≧n1且つ(n2−n3)≧0.1
式(6)
n3>n2>n1且つ(n3−n2)≧0.1
式(7)
n3≧n1>n2且つ(n1−n2)≧0.1
式(8)
10nm≦Lor≦5000nm
本発明の有機ELデバイスにおいては、前記光抽出層は、前記凹凸構造の凹部内に設けられた第2の光抽出層を含み、前記凹凸構造は、凸部頂部平均位置Shと前記第2の光抽出層の凹部内界面平均位置Sccとの間の距離Lcc及び凸部平均高さHが下記式(9)を満たすことが好ましい。
式(9)
0.0H<Lcc<1.0H
本発明の有機ELデバイスにおいては、前記不定間隔が変動幅δであることが好ましい。
本発明の有機ELデバイスにおいては、前記不定間隔の前記ピッチPyは前記複数の凸部又は凹部のそれぞれの中心間の距離に等しく、前記不定間隔の前記ピッチPxは前記複数の凸部又は凹部が前記ピッチPyで配列された前記複数の凸部列又は凹部列の間の距離に等しく、且つ、前記ピッチPy及び前記ピッチPxは前記複数の凸部又は凹部の直径より大きく、前記ピッチPyが前記不定間隔である場合には、少なくとも隣接する4個以上m個以下の前記複数の凸部又は凹部のピッチPyn(3≦n≦2a又は3≦n≦2a+1、ただし、m、aは正の整数であり、n=m−1である)は、下記式(10)の関係を満たすと共に、前記第1方向において、ピッチPx1〜Pxnで構成される凸部列群又は凹部列群が少なくとも1個以上配列され、前記ピッチPxが不定間隔である場合には、少なくとも隣接する4個以上m個以下の前記ドット間のピッチPxn(3≦n≦2a又は3≦n≦2a+1、ただし、m、aは正の整数であり、n=m−1である)は、下記式(11)の関係を満たすと共に、前記第2方向において、ピッチPx1〜Pxnで構成される凸部列群又は凹部列群が少なくとも1個以上配列されることが好ましい。
式(10)
Py1<Py2<Py3<…<Pya>…>Pyn
式(11)
Px1<Px2<Px3<…<Pxa>…>Pxn
本発明の有機ELデバイスにおいては、前記不定間隔の前記ピッチPyは前記複数の凸部又は凹部の中心間の距離に等しく、前記不定間隔の前記ピッチPxは前記複数の凸部又は凹部が前記ピッチPyで配列された前記複数の凸部列又は凹部列の間の距離に等しく、且つ、前記ピッチPy及び前記ピッチPxは各ドットの直径より大きく、前記ピッチPyが前記不定間隔である場合には、少なくとも隣接する4個以上m個以下の前記複数の凸部又は凹部のピッチPyn(3≦n≦2a又は3≦n≦2a+1、ただし、m,aは正の整数であり、n=m−1である)は下記式(10)の関係を満たすと共に、前記第1方向において、ピッチPy1〜Pynで構成される凸部列群又は凹部列群が、長周期単位Lyzを繰り返し配列され、且つ、前記ピッチPxが前記不定間隔である場合には、少なくとも隣接する4個以上m個以下の前記複数の凸部又は凹部のピッチPxn(3≦n≦2a又は3≦n≦2a+1、ただし、m、aは正の整数であり、n=m−1である)は、下記式(11)の関係を満たすと共に、前記第2方向において、ピッチPx1〜Pxnで構成される凸部列群又は凹部列群が、長周期単位Lxzを繰り返し配列されることが好ましい。
式(10)
Py1<Py2<Py3<…<Pya>…>Pyn
式(11)
Px1<Px2<Px3<…<Pxa>…>Pxn
本発明の有機ELデバイスにおいては、前記複数の凸部又は凹部の各々の直径が、前記ピッチPy及び/又は前記ピッチPxに対応して増減し、前記ピッチPyが不定間隔である場合には、少なくとも隣接する4個以上m個以下の前記ピッチPyを構成する前記複数の凸部又は凹部の直径Dyn(3≦n≦2a又は3≦n≦2n+1、ただしm、aは正の整数であり、n=m−1である)は、下記式(12)の関係を満たすと共に、前記第1方向において直径Dy1〜Dynで構成される凸部群又は凹部群が少なくとも1個以上配列され、且つ、前記ピッチPxが不定間隔である場合には、少なくとも隣接する4個以上m個以下の前記ピッチPxを構成する前記複数の凸部又は凹部の直径Dxn(3≦n≦2a又は3≦n≦2n+1、ただし、m、aは正の整数であり、n=m−1である)は、下記式(13)の関係を満たすと共に、前記第2方向において直径Dx1〜Dxnで構成される凸部群又は凹部群が少なくとも1個以上配列されることが好ましい。
(式12)
Dy1<Dy2<Dy3<…<Dya>…>Dyn
(式13)
Dx1<Dx2<Dx3<…<Dxa>…>Dxn
本発明の有機ELデバイスにおいては、前記複数の凸部又は凹部の各々の直径が、前記ピッチPy及び/又は前記ピッチPxに対応して増減し、前記ピッチPyが不定間隔である場合には、少なくとも隣接する4個以上m個以下の前記ピッチPyを構成する前記複数の凸部又は凹部の直径Dyn(3≦n≦2a又は3≦n≦2n+1、ただし、m、aは正の整数であり、n=m−1である)は、下記式(12)の関係を満たすと共に、前記第1方向において、直径Dy1〜Dynで構成される凸部群又は凹部群が長周期単位Lyzで繰り返し配列され、且つ、前記ピッチPxが不定間隔である場合には、少なくとも隣接する4個以上m個以下の前記ピッチPxを構成する前記複数の凸部又は凹部の直径Dxn(3≦n≦2a又は3≦n≦2n+1、ただし、m、aは正の整数であり、n=m−1である)は、下記式(13)の関係を満たすと共に、前記第2方向において直径Dx1〜Dxnで構成される凸部群又は凹部群が長周期単位Lxzで繰り返し配列されることが好ましい。
式(12)
Dy1<Dy2<Dy3<…<Dya>…>Dyn
式(13)
Dx1<Dx2<Dx3<…<Dxa>…>Dxn
本発明の有機ELデバイスにおいては、前記複数の凸部又は凹部の各々の高さが、前記ピッチPy及び/又は前記ピッチPxに対応して増減し、前記ピッチPyが不定間隔である場合には、少なくとも隣接する4個以上m個以下の前記ピッチPyを構成する前記複数の凸部又は凹部の高さHyn(3≦n≦2a又は3≦n≦2n+1、ただし、m、aは正の整数であり、n=m−1である)は、下記式(13)の関係を満たすと共に、前記第1方向において、高さHy1〜Hynで構成される複数の凸部群又は凹部群が少なくとも1個以上配列され、且つ、前記ピッチPxが不定間隔である場合には、少なくとも隣接する4個以上m個以下の前記ピッチPxを構成する前記複数の凸部又は凹部の高さHxn(3≦n≦2a又は3≦n≦2n+1、ただし、m、aは正の整数であり、n=m−1である)は、下記式(14)の関係を満たすと共に、前記第2方向において、高さHx1〜Hxnで構成される複数の凸部群又は凹部群が少なくとも1個以上配列されることが好ましい。
式(13)
Hy1<Hy2<Hy3<…<Hya>…>Hyn
式(14)
Hx1<Hx2<Hx3<…<Hxa>…>Hxn
本発明の有機ELデバイスにおいては、前記複数の凸部又は凹部の各々の高さが、前記ピッチPy及び/又は前記ピッチPxに対応して増減し、前記ピッチPyが不定間隔である場合には、少なくとも隣接する4個以上m個以下の前記ピッチPyを構成する前記複数の凸部又は凹部の高さHyn(3≦n≦2a又は3≦n≦2n+1、ただし、m、aは正の整数であり、n=m−1である)は、下記式(13)の関係を満たすと共に、前記第1方向において、高さHy1〜Hynで構成される複数の凸部群又は凹部群が長周期単位Lyzで繰り返し配列され、且つ、前記ピッチPxが不定間隔である場合には、少なくとも隣接する4個以上m個以下の前記ピッチPxを構成する前記複数の凸部又は凹部の高さHxn(3≦n≦2a又は3≦n≦2n+1、ただし、m、aは正の整数であり、n=m−1である)は、下記式(14)の関係を満たすと共に、前記第2方向において、高さHx1〜Hxnで構成される複数の凸部群又は凹部群が長周期単位Lxzで繰り返し配列されることが好ましい。
式(13)
Hy1<Hy2<Hy3<…<Hya>…>Hyn
式(14)
Hx1<Hx2<Hx3<…<Hxa>…>Hxn
本発明の有機ELデバイスにおいては、前記光学フィルムが、角錐形状、角錐台形、円錐形状、円錐台形状、屋根形状、半球形状若しくは半球形台形形状の突起物又は窪みを有することが好ましい。
本発明の有機ELデバイスは、一対の陽極及び陰極と、前記陽極及び前記陰極との間に配置された少なくとも一層の有機層を含む発光層と、前記陽極の前記発光層とは反対側に配置された光抽出体と、前記光抽出体の前記発光層とは反対側に配置された光学フィルムと、を具備し、前記光抽出体は、一主面に、互いに独立した複数の凸部又は凹部と、前記複数の凸部又は凹部の間をつなぐ連続した凹部又は凸部と、を含む凹凸構造を備え、第1の屈折率(n1)を有する凹凸構造層と、前記凹凸構造の少なくとも一部上に設けられ、第2の屈折率(n2)を有する光抽出層と、前記凹凸構造層及び前記光抽出層を覆うようにして設けられ、第3の屈折率(n3)を有する平坦化層と、を含み、前記凹凸構造層は、前記一主面内の第1方向において前記複数の凸部又は凹部が一定間隔のナノオーダーのピッチPyで配列された複数の凸部列又は凹部列を構成し、且つ、前記複数の凸部列又は凹部列を前記第1方向に直交する第2方向に一定間隔のナノオーダーのピッチPxで並設し、前記複数の凸部列又は凹部列において、互いに隣接する第1の凸部列又は凹部列と第2の凸部列又は凹部列との間の前記第1方向におけるシフト量α1と、互いに隣接する前記第2の凸部列又は凹部列と第3の凸部列又は凹部列との間の前記第1方向におけるシフト量α2と、が互いに異なることを特徴とする。
この構成により、ピッチPy及びピッチPxがともに一定間隔で、且つ、周期構造を有する一方、複数の凸部列又は凹部列の間の第1方向におけるシフト量α1,α2が互いに異なるので、凹凸構造を構成する複数の凸部又は凹部の配置に周期性が乱れ、光散乱硬化を生じさせることができる。また、ナノオーダーの一定間隔Pxで並設された複数の凸部列又は凹部列により、回折効果と表面プラズモン共鳴により光取り出し効率が向上する。
本発明の有機ELデバイスにおいては、前記シフト量α1と前記シフト量α2の差分が一定でないことが好ましい。
本発明の有機ELデバイスは、上述の構成により、角度依存性とカラーシフトが抑制され、特に広角にしたがって抑制される。また、寿命を長くすることができる。
本実施の形態に係る有機ELデバイスを示す模式断面図である。 本実施の形態に係る有機ELデバイスを示す模式断面図である。 本実施の形態に係る有機ELデバイスに用いられる光抽出体を示す断面模式図である。 本実施の形態に係る有機ELデバイスに用いられる光抽出体の他の例を示す断面模式図である。 本実施の形態に係る有機ELデバイスに用いられる光抽出体の他の例を示す断面模式図である。 本実施の形態に係る有機ELデバイスに用いられる光抽出体における内界面平均位置Sccを説明するための説明図である。 本実施の形態に係る有機ELデバイスに用いられる光抽出体の他の例を示す断面模式図である。 本実施の形態に係る光抽出体における第1の凹凸構造を備えた凹凸構造層を示す斜視模式図である。 本実施の形態に係る光抽出体における第1の凹凸構造を備えた凹凸構造層を示す上面模式図である。 本実施の形態に係る光抽出体における第2の凹凸構造を備えた凹凸構造層を示す斜視模式図である。 本実施の形態に係る光抽出体における第2の凹凸構造を備えた凹凸構造層を示す上面模式図である。 本実施の形態に係る有機ELデバイスに用いられる光抽出体の凹凸構造を示す平面模式図である。 本実施の形態に係る有機ELデバイスに用いられる光抽出体における平均ピッチPavの概念図である。 本実施の形態に係る有機ELデバイスに用いられる光抽出体における凹凸構造層の一例を示す平面模式図である。 本実施の形態に係る有機ELデバイスに用いられる光抽出体において第2方向からみたときの複数のドットの配置を示す模式図である。 本実施の形態に係る有機ELデバイスに用いられる光抽出体における凹凸構造層を構成する複数のドットの配置の一例を示す模式図である。 本実施の形態に係る有機ELデバイスに用いられる光抽出体において第2方向からみたときの複数のドットの配置を示す模式図である。 本実施の形態に係る有機ELデバイスに用いられる光抽出体における凹凸構造層を構成する複数のドットの配置の一例を示す模式図である。 本実施の形態に係る有機ELデバイスに用いられる光抽出体における凹凸構造層を構成する複数のドットの配置の一例を示す模式図である。 本実施の形態に係る有機ELデバイスに用いられる光抽出体における凹凸構造層を構成する複数のドットの配置の一例を示す模式図である。 本実施の形態に係る有機ELデバイスに用いられる光抽出体における凹凸構造層を構成する複数のドットの配置の一例を示す模式図である。 本実施の形態に係る有機ELデバイスに用いられる光抽出体における凹凸構造層を構成する複数のドットの配置の一例を示す模式図である。 本実施の形態に係る有機ELデバイスに用いられる光抽出体における凹凸構造層を構成する複数のドットの配置の一例を示す模式図である。 本実施の形態に係る有機ELデバイスに用いられる光抽出体における凹凸構造層を構成する複数のドットの配置の一例を示す模式図である。 本実施の形態に係る有機ELデバイスに用いられる光抽出体における第2方向における異なるドット径を有するドットの配置例を示す模式図である。 本実施の形態に係る有機ELデバイスに用いられる光抽出体における第2方向における異なるドット高さを有するドットの配置例を示す模式図である。 本実施の形態に係る有機ELデバイスに用いられる光抽出体における凹凸構造を示す平面模式図である。 本実施の形態に係る有機ELデバイスを示す断面模式図である。 本発明の有機ELデバイスの実施例、比較例及び参考例の結果を示すグラフである。 本発明の有機ELデバイスの実施例、比較例及び参考例の結果を示すグラフである。
以下、本発明の一実施の形態(以下、「実施の形態」と略記する。)について、詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
<本発明の概要>
本発明に係る有機ELデバイスは、一対の陽極及び陰極と、前記陽極及び前記陰極との間に配置された少なくとも一層の有機層を含む発光層と、前記陽極の前記発光層とは反対側に配置された光抽出体と、前記光抽出体の前記発光層とは反対側に配置された光学フィルムと、を具備し、前記光抽出体は、一主面に、互いに独立した複数の凸部又は凹部と、前記複数の凸部又は凹部の間をつなぐ連続した凹部又は凸部と、を含む凹凸構造を備え、第1の屈折率(n1)を有する凹凸構造層と、前記凹凸構造の少なくとも一部上に設けられ、第2の屈折率(n2)を有する光抽出層と、前記凹凸構造層及び前記光抽出層を覆うようにして設けられ、第3の屈折率(n3)を有する平坦化層と、を含み、前記凹凸構造層は、前記一主面内の第1方向において、前記複数の凸部又は凹部がピッチPyで配列された複数の凸部列又は凹部列を構成し、一方、前記第1方向に直交する第2方向において、前記複数の凸部又は凹部がピッチPxで配列された複数の凸部列又は凹部列を構成しており、前記ピッチPy及び前記ピッチPxは、いずれか一方がナノオーダーからマイクロオーダーの一定間隔であり、他方がナノオーダーからマイクロオーダーの不定間隔であるか、又は、いずれもナノオーダーからマイクロオーダーの不定間隔であり、前記光抽出層は、前記凹凸構造の凸部上に設けられた第1の光抽出層を含み、前記凹凸構造は、凸部頂部平均位置Shと前記第1の光抽出層の凸部上界面平均位置Scvとの間の距離Lcvが下記式(1)を満たし、凸部平均高さHが下記式(2)を満たし、平均ピッチPavが下記式(3)を満たし、且つ、前記距離Lcv及び前記凸部平均高さHが下記式(4)を満たし、前記第1の屈折率(n1)、前記第2の屈折率(n2)及び前記第3の屈折率(n3)が下記式(5)〜(7)のいずれかを満たし、且つ、前記凹凸構造は、前記第1の光抽出層の前記凸部上界面平均位置Scvと前記平坦化層の表面との間の平均距離Lorが、下記式(8)を満たすことを特徴とする。
式(1)
0nm≦Lcv≦5000nm
式(2)
0nm≦H≦5000nm
式(3)
50nm≦Pav≦18000nm
式(4)
10nm≦Lcv+H≦5000nm
式(5)
n2>n3≧n1且つ(n2−n3)≧0.1
式(6)
n3>n2>n1且つ(n3−n2)≧0.1
式(7)
n3≧n1>n2且つ(n1−n2)≧0.1
式(8)
10nm≦Lor≦5000nm
上述の構成により、光抽出体と光学フィルムとを組み合わせているので、導波モード及びガラスモードの光を空気モードに変換する割合が増加する。また、導波モード及びガラスモードの光を効率良く空気モードに変換できるため、光が熱に変わる量が減り、発熱を抑えることができる。この結果、有機発光材料の劣化を抑えることが可能になり、如いては寿命を長くすることができる。
また、角度依存性及びカラーシフトが抑制され、特に広角にしたがって抑制される。光抽出体と光学フィルムとを組み合わせることにより、片方のみ用いる場合よりも角度依存性及びカラーシフトが更に抑制される。特に顕著に表れるのが広角にしたがって抑制される。つまり広角(例えば、50〜70度)において、角度依存性及びカラーシフトが抑制されているため、どの角度から観察しても変化しないことを意味している。
上述の本発明に係る有機ELデバイスに用いられる光抽出体は、次のような構成(A)〜(D)を含む。
まず、本発明に係る有機ELデバイスに用いられる光抽出体において、微細凹凸構造層は、前記一主面内の第1方向において、前記複数の凸部又は凹部がピッチPyで配列された複数の凸部列又は凹部列を構成し、一方、前記第1方向に直交する第2方向において、前記複数の凸部又は凹部がピッチPxで配列された複数の凸部列又は凹部列を構成しており、前記ピッチPy及び前記ピッチPxは、いずれか一方がナノオーダーからマイクロオーダーの一定間隔であり、他方がナノオーダーからマイクロオーダーの不定間隔であるか、又は、いずれもナノオーダーからマイクロオーダーの不定間隔である(以下、構成Aと呼ぶ)。
また、前記光抽出層は、前記凹凸構造の凸部上に設けられた第1の光抽出層を含み、前記凹凸構造は、凸部頂部平均位置Shと前記第1の光抽出層の凸部上界面平均位置Scvとの間の距離Lcvが上記式(1)を満たし、凸部平均高さHが上記式(2)を満たし、平均ピッチPavが上記式(3)を満たし、且つ、前記距離Lcv及び前記凸部平均高さHが上記式(4)を満たす(以下、構成Bと呼ぶ)。
また、前記光抽出層を構成する複数の層の屈折率、即ち、前記第1の屈折率(n1)、前記第2の屈折率(n2)及び前記第3の屈折率(n3)が上記式(5)〜(7)のいずれかを満たす(以下、構成Cと呼ぶ)。
また、前記凹凸構造は、前記第1の光抽出層の前記凸部上界面平均位置Scvと前記平坦化層の表面との間の平均距離Lorが、下記式(8)を満たす(以下、構成Dと呼ぶ)。
本発明は、上述のような構成(A)〜(D)のすべてを備えていることで、以下のような効果を奏する。光抽出体を設けることにより、滲み出し光を抽出すると共に、臨界角内の発光光が光抽出体の内部において反射し、入光面へもどることが抑制される。光抽出体と光学フィルムを組み合わせることにより、導波モード及びガラスモードの光を空気モードに変換する割合が増加する。また、導波モード及びガラスモードの光を効率良く空気モードに変換できる。
<有機ELデバイスの概要>
図1は、本実施の形態に係る有機ELデバイスを示す模式断面図である。本実施の形態に係る有機ELデバイス1は、一対の陽極10及び陰極11と、陽極10及び陰極11との間に配置された少なくとも一層の有機層を含む発光層12と、陽極10の発光層12とは反対側に配置された光抽出体100と、光抽出体100の発光層12とは反対側、及び、陰極11の発光層12とは反対側にぞれぞれ配置された支持基材13,14と、光抽出体100側に配置された一方の支持基材13の光抽出体100とは反対側に配置された光学フィルム15と、を具備する。支持基材13,14は、少なくとも一方があれば良い。また、両者は、同一のものであっても良いし、互いに異なる材料のものでも良い。
<光抽出体の概要>
図2及び図3は、本実施の形態に係る有機ELデバイスに用いられる光抽出体を示す断面模式図である。なお、以下の説明においては、図2及び図3に示す上方を、図1に示す有機ELデバイス1の発光層12から光抽出体100への入光方向とし、図2及び図3に示す下方を光抽出体100からの光の出向方向とする。また、光抽出体100の上面を入光面100aとし、下面を出光面100bとする。また、図2及び図3中、矢印Aは入光する光を示す。
図2及び図3に示すように、光抽出体100は、表面に凹凸構造101aが設けられ、第1の屈折率(n1)を有する凹凸構造層101と、この凹凸構造層101の凹凸構造101aの少なくとも一部上に設けられ、第2の屈折率(n2)を有する光抽出層102と、凹凸構造層101の凹凸構造101a及び光抽出層102を覆うように設けられ、第3の屈折率(n3)を有する平坦化層103と、を含む。
光抽出体100は、平坦化層103の上面、即ち入光面100aが陽極10の表面に対面するように配置される。以下、陽極10に代表される発光層面を単に陽極面と記載する。
光抽出体100の入光面100aから光抽出体100内に入光した有機ELデバイス1の発光光は、凹凸構造層101の下面、即ち出光面100bから出光する。出光面100bは、図1に示す光学フィルム15に対面するように配置される。
光抽出体100の入光面100aより入光する光Aは、有機ELデバイス1の発光層12より発光した発光光であり、大きく2つに分類することができる。第1に、陽極面に対して臨界角内の角度にて入光する発光光である(以下、「臨界角内の発光光」ともいう)。換言すれば、臨界角内の発光光は陽極面に対して全反射を生じない入射角にて入光する発光光である。第2に、有機ELデバイス1の内部にて導波モードを形成した発光光が、陽極面にて反射する際に陽極面から入光面100a側へと滲みだす滲み出し光(以下、単に「滲み出し光」ともいう)である。
有機ELデバイス1の光取り出し効率を向上させるためには、臨界角内の発光光及び滲み出し光の双方を、光抽出体100の出光面100bより出光させる必要がある。即ち、光抽出体100と光学フィルム15を同時に使用し、有機ELデバイス1を製造することで、本来、有機ELデバイス1の外部へと取り出されない滲み出し光を抽出し光抽出体100の出光面100bより取り出すことが可能になると共に、臨界角内の発光光が光抽出体100の内部において反射し光抽出体100の入光面100aへと戻ることを抑制することができる。このため、有機ELデバイス1の光取り出し効率を改善することができる。入光面100aより入光した臨界角内の発光光は、凹凸構造層101の凹凸構造101a、光抽出層102及び平坦化層103の各界面形状と、第1の屈折率(n1)、第2の屈折率(n2)及び第3の屈折率(n3)の関係に基づき、光回折を生じ出光面100bへと向かう。ここで、凹凸構造101aの形状を基に上記界面形状は決定されるため、凹凸構造101aの形状を所定の形状にすることで、臨界角度内の発光光の光抽出体100内における反射を抑制し、効果的に出光面100bへと導くことが可能となる。
一方、滲み出し光は、光抽出体100の入光面100aと陽極面との界面より入光面100a側へと滲み出し、平坦化層103の内部を伝搬し光抽出層102及び凹凸構造層101へと到達する。伝搬された滲み出し光は、凹凸構造層101の凹凸構造101a、光抽出層102及び平坦化層103の各界面形状と、第1の屈折率(n1)、第2の屈折率(n2)及び第3の屈折率(n3)の関係に基づき、光回折により抽出され、出光面100bへと向かう。ここで、滲み出し光は、光抽出体の厚み方向に対する距離の指数関数的に減衰するため、光抽出層102及び凹凸構造101aと入光面100aとの距離は、ナノスケールに小さくする必要がある。光抽出体100においては、凹凸構造層101の凹凸構造101aが所定の形状及び大きさを満たすことから、光抽出層102及び凹凸構造層101の凹凸構造101aと入光面100aとの距離を容易にナノスケールに薄くすることが可能となり、滲み出し光を抽出することが可能となる。
更に、光抽出体100においては、凹凸構造層101の凹凸構造101aの形状及び大きさが所定の範囲を満たすことから、凹凸構造101aの凸部101b上に位置する平坦化層103の表面位置と、凹凸構造101aの凹部101c上に位置する平坦化層103の表面位置と、の差を小さくすること、即ち、入光面100aの表面精度を高く保つことができる。このため、有機ELデバイス1における電流集中に主に起因した劣化を抑制することができ、有機ELデバイス1の長期信頼性を向上させることが可能となる。
また、光抽出体100においては、凹凸構造101aは所定の構造を満たすことから、凹凸構造101aに対する配列や形状の乱れを恣意的に容易に加えることが可能となる。このため、第1の屈折率(n1)、第2の屈折率(n2)、及び第3の屈折率(n3)が所定の関係を満たすため、入光面100aより入光する滲み出し光及び臨界角内の発光光は、光抽出体100内部において複数の乱れた界面を認識することが可能となる。即ち、凹凸構造101aの配列により光抽出層102及び平坦化層103の配列を制限した場合であっても、滲みだし光及び臨界角内の発光光は、恰も異なる光回折現象を生じる複数の乱れた回折点群が存在するかのように振る舞うことが可能となる。よって、凹凸構造1つ1つといった微視的なスケールにおいては各界面位置に対応した光回折を生じることとなるが、これらの回折モードは複数のモードを含むこととなる。このため、数十マイクロメートル以上といった巨視的なスケールから見た場合、取り出される光は散乱性を奏すこととなり、カラーシフトを低減することも可能と考えられる。更に、臨界角内の発光光の反射を極力小さくするように凹凸構造101aの大きさをより小さくした場合であっても、有効媒質近似的屈折率Nemaの分布に応じた光散乱性として、滲み出し光を取り出すことが可能となる。
(凹凸構造)
凹凸構造101aは、図2及び図3に示すように、凹凸構造層101の一主面に互いに離間して設けられた複数の凸部101bと、隣接する凸部101bの間をつなぐ連続した凹部101cと、を含む。
なお、図2及び図3示す凹凸構造101aを、ドット状と表記する(後述する第1の凹凸構造110a(図8参照))。一方、凹凸構造層の一主面に互いに離間して設けられた複数の凹部と、隣接する凹部の間をつなぐ連続した凸部と、を含む凹凸構造を、ホール状(後述する第2の凹凸構造120a(図10))と表記する。
(光抽出層)
光抽出層102は、凹凸構造101aの凸部101b上に設けられた第1の光抽出層102aと、凹部101c内に設けられた第2の光抽出層102bと、を含む。なお、光抽出層102は、必ずしも第1の光抽出層102a及び第2の光抽出層102bの双方を有する必要はない。図4及び図5は、本実施の形態に係る有機ELデバイスに用いられる光抽出体の他の例を示す断面模式図である。例えば、光抽出層102は、図4Aや図5に示すように、凸部101b上の第1の光抽出層102aのみを設けてもよく、図4Bに示すように、凹部101c内に第2の光抽出層102bのみを設けてもよい。
また、光抽出層102が第1の光抽出層102a及び第2の光抽出層102bの双方を有する場合には、図2及び図3に示したように、必ずしも第1の光抽出層102a及び第2の光抽出層102bを分離して設ける必要はない。光抽出層102は、第2の光抽出層102bが凹凸構造101aの凹部101c内を完全に充填しないように設けるものであれば、第1の光抽出層102aと第2の光抽出層102bとが連続するように設けてもよい。即ち、光抽出層102は、凹凸構造101aの凹部101c内から凸部101bの頂部に亘って第1の光抽出層102a及び第2の光抽出層102bを連続的に設けてもよい。このような第1の光抽出層102a及び第2の光抽出層102bが連続的に設けられる場合であっても、第1の光抽出層102a及び第2の光抽出層102bにより形成される凹凸構造101aにより滲み出し光を抽出できる。このような場合、第1の光抽出層102aにより滲み出し光を抽出し、第1の光抽出層102aと第2の光抽出層102bとの距離を大きくし臨界角内に発光光の反射を抑制すると好ましい。
(平坦化層)
平坦化層103は、滲み出し光を、凹凸構造101a及び光抽出層102へと伝搬する。光抽出層102は、平坦化層103により伝搬された滲み出し光を、光回折又は光回折及び光散乱現象により抽出する。凹凸構造101aは、光抽出層102を支持すると共に、平坦化層103により伝搬された滲み出し光を、光回折又は光回折と光散乱現象により抽出する。
上記説明したように、本実施の形態に係る光抽出体100においては、滲み出し光を光回折又は光回折及び光散乱により取り出すことが可能である。このような取り出し形式の違いは、凹凸構造層101の凹凸構造101aの配列と、有機ELデバイス1の発光光の波長により決定される。本明細書における光回折は、発光光の波長が凹凸構造の平均ピッチよりも同程度以下の場合に生じる光学現象を意味する。一方、光回折と光散乱は、発光光の波長が凹凸構造の平均ピッチよりも大きい場合に生じる光学現象を意味する。これは、入射光の波長が凹凸構造の平均ピッチよりも大きい場合、凹凸構造は入射光からみて平均化される有効媒質近似的作用に基づくものである。この場合、発光光からみて形成される有効媒質近似的屈折率Nemaの分布及びコントラストに応じた光学現象を生じることとなり、該分布がランダム又は発光光よりも十分に大きければ光散乱現象を発現することとなり、該分布が発光光の波長と同程度以上であれば光回折現象を発現することとなる。
以上、光抽出体100の効果を、ドット状の凹凸構造101aを例に挙げて説明したが、ホール状の凹凸構造も同様である。
なお、以下の説明においては、特に断りのない限り、光回折という表現を代表して使用することとする。
(屈折率n1〜n3)
以下、光抽出体100に基づいて説明する。また、以下においては、図2及び図3に示した凹凸構造101aの凸部101b上の第1の光抽出層102a及び凹部101c内の第2の光抽出層102bの双方が設けられている場合を代表して説明するが、特に断りがない限り、図4A及び図5に示すように、凸部101b上にのみ第1の光抽出層102aが設けられている場合や、図4Bに示すように、凹部101c内にのみ第2の光抽出層102bが設けられている場合も同様である。
まず、光抽出体100の第1の屈折率(n1)〜第3の屈折率(n3)について詳細に説明する。また、本明細書において、「屈折率が実質的に同等」とは、屈折率(nA)の媒質(A)及び屈折率(nB)の媒質(B)の屈折率差の絶対値(|nA−nB|)が0.1より小さい場合であり、「屈折率が等しい」とは、屈折率(nA)の媒質(A)及び屈折率(nB)の媒質(B)の屈折率差の絶対値(|nA−nB|)が0の場合である。
屈折率が実質的に同等である場合、屈折率(nA)を有する媒質(A)と屈折率(nB)を有する媒質(B)との界面における光の反射は0.1%以下に抑えられ、光は、屈折率(nA)の媒質と屈折率(nB)の媒質との界面を略認識しなくなる。このため、屈折率差の絶対値(|nA−nB|)が0.1より小さい場合を屈折率が実質的に同等と定義する。なお、これらの屈折率差の絶対値(|nA−nB|)は、0.07以下であることがより好ましい。この場合、各媒質(A),(B)の界面における光の反射を0.05%以下に抑えることができる。
3種類以上の媒質に対しても2種類の媒質の場合と同様に、屈折率差の絶対値が0.1より小さい場合を「屈折率が実質的に同等」とし、屈折率差が0の場合を「屈折率が等しい」とする。例えば、屈折率(nA)を有する媒質(A)、屈折率(nB)を有する媒質(B)及び屈折率(nC)を有する媒質(C)がある場合、(|nA−nB|)、(|nA−nC|)及び(|nC−nB|)のすべての値が0.1より小さいときは、屈折率(nA)の媒質(A)、屈折率(nB)の媒質(B)及び屈折率(nC)を有する媒質(C)は、互いに屈折率が実質的に同等な媒質として扱う。
また、本明細書において、「互いに屈折率が異なる状態」とは、屈折率差の絶対値が0.1以上の場合である。即ち、屈折率(nA)と屈折率(nB)とが互いに異なる状態とは、屈折率差の絶対値(|nA−nB|)が0.1以上の場合として定義する。
3種類以上の媒質に対しても2種類の媒質の場合と同様に屈折率差の絶対値が0.1以上の場合を互いに屈折率の異なる状態として扱う。例えば、屈折率(nA)を有する媒質(A)、屈折率(nB)を有する媒質(B)及び屈折率(nC)を有する媒質(C)がある場合、(|nA−nB|)、(|nA−nC|)及び(|nC−nB|)のすべての値が0.1以上のときを、屈折率(nA)の媒質(A)、屈折率(nB)の媒質(B)及び屈折率(nC)の媒質(C)は、互いに屈折率の異なる媒質として扱う。
光抽出体100においては、第1の屈折率(n1)〜第3の屈折率(n3)が、下記式(5)〜下記式(7)に示す屈折率の関係式を満たす。
式(5)
n2>n3≧n1且つ(n2−n3)≧0.1
式(6)
n3>n2>n1且つ(n3−n2)≧0.1
式(7)
n3≧n1>n2且つ(n1−n2)≧0.1
光抽出体100においては、平坦化層103の表面(入光面100a)と有機ELデバイス1の陽極面の表面とが当接した際に、滲み出し光を、光抽出層102及び凹凸構造101aにより光回折として抽出する。そして、抽出された滲み出し光は、光抽出層102及び凹凸構造101aを介して出光面100bから有機ELデバイス1の外部へと取り出される。
このとき、第1の屈折率(n1)〜第3の屈折率(n3)が、上記式(5)の関係を満たす場合には、第2の屈折率と第1の屈折率と、の差が大きくなるため、有機ELデバイス1の発光光からみた第2の屈折率(n2)を有する光抽出層102と第1の屈折率(n1)を有する凹凸構造層101との異質性が強まる。即ち、光抽出層102及び凹凸構造層101は恰も異なる光回折現象を生じる回折点群を2つ重ねあわせたかのような機能を発現すると考えられる。このため、滲み出し光は異なる回折モードで取り出されることとなり散乱性を発現するため、導波モードは効果的に乱され光取り出し効率を向上させることが可能となる。このような第2の屈折率(n2)が最も大きく、第2の屈折率(n2)と第1の屈折率(n1)との差が大きい状態、即ち光抽出作用の中心が第2の屈折率(n2)を有す光抽出層102及び第1の屈折率(n1)を有す凹凸構造層101である場合であっても、凹凸構造層101の凹凸構造101aがドット状又はホール状であることにより、第2の屈折率(n2)を有する光抽出層102の光抽出体100の面内方向における大きさを制限することができるため、光抽出層102における臨界角内の発光光に対する反射を抑制することが可能となり、光取り出し効率を大きく向上させることが可能と考えられる。
更に、第1の屈折率(n1)を有する凹凸構造層101の凹凸構造101a及び第2の屈折率(n2)を有する光抽出層102に乱れ(形状や配列)を加えた場合、発光光の波長が凹凸構造101aの平均ピッチよりも十分に大きな場合であっても、有機ELデバイス1の発光光からみた有効媒質近似的屈折率Nemaの分布コントラストが大きくなり、有効媒質近似的屈折率Nemaの分布に応じた光散乱性の程度が大きくなるため、カラーシフト改善の効果が大きいと推定される。一方、発光光の波長が凹凸構造101aの平均ピッチ程度以上の場合、凹凸構造1つ1つといった微視的スケールにおける光回折モードの分散が大きくなり、数十マイクロメートル以上とった巨視的スケールにおける光散乱性がより強くなると考えられる。
更に、光抽出層102が第1の光抽出層102a及び第2の光抽出層102bの双方を有する場合は、第1の光抽出層102a及び第2の光抽出層102b並びに凹凸構造101aにより、相互に異なる回折モードにて滲み出し光を取り出すとも考えられる。このため、恰も異なる光回折現象を生じる3つの回折点群を重ね合わせたかのような機能が発現され、強い光散乱性が発現されると推定される。このような光散乱は、導波モードを乱す効果が大きいため、光取り出し効率をより向上させることが可能と考えられる。更に、凹凸構造の形状や配列に対し恣意的に乱れを加えた場合の乱れに起因した散乱性をより強くすることが可能となる。このため、回折光特有の所定角度への出向特性を満たさないため、カラーシフトは抑制され、より自然光に近い発光光を作ることが可能となる。そのため、使用者が有機ELデバイス1を視認した際のギラツキを抑制することができる。
また、上記式(7)においては、第2の屈折率(n2)と第3の屈折率(n3)との差分値(n2−n3)が0.1以上を満たすので、有機ELデバイス1の発光光から見た光抽出層102の異質性が高まる。即ち、滲み出し光は、平坦化層103と光抽出層102との界面において、第3の屈折率(n3)と第2の屈折率(n2)との屈折率差に基づく光回折が生じることとなるので、滲み出し光を効果的に抽出することが可能となる。特に、上記効果をよりいっそう発揮する観点から、第2の屈折率(n2)と第3の屈折率(n3)との差分値(n2−n3)は、0.15以上であることが好ましく、0.25であることがより好ましく、0.3以上であることが更に好ましい。
なお、上記式(5)においては、第1の屈折率(n1)と第3の屈折率(n3)との差分値(n3−n1)は特に限定されないが、(n3−n1)≧0を満たすことが好ましい。(n3−n1)≧0であれば、滲み出し光及び臨界角内の発光光の出光面100b側への透過を促進できる。また、式(5)を満たす範囲で(n3−n1)を大きくした場合、凹凸構造101aによる滲み出し光の光回折による取り出し能を向上させることができると考えられる。なお、式(5)を満たす範囲で、第3の屈折率(n3)が小さい場合、例えば第3の屈折率(n3)が第1の屈折率(n1)と同等か又は第1の屈折率(n1)に漸近する場合であっても、後述する距離Lorが所定の範囲を満たすため、滲み出し光は、平坦化層103内を伝播し、光抽出層102により抽出される。
上記式(5)を満たしつつ、第3の屈折率(n3)を有機ELデバイス1の陽極面を構成する層(本実施の形態では陽極10)の屈折率、すなわち陽極面の屈折率(nsc)に近づけることにより、臨界角内の発光光の割合を増加させることができる。即ち、導波モードを形成する発光光を減少させることが可能となる。また、第3の屈折率(n3)と有機ELデバイス1の陽極面の屈折率(nsc)との差分値の絶対値(|n3−nsc|)は、平坦化層103と有機ELデバイス1の陽極面との界面における反射を抑制する観点から、0.5以下であることが好ましい。また、差分値の絶対値(|n3−nsc|)は、発光層12と平坦化層103との界面における発光光の全反射光量を小さくする観点から、0.3以下であることが好ましく、0.15以下であることがより好ましく、実質的に同等な屈折率関係を満たす0.1未満であることが最も好ましい。
また、上記式(5)を満たしつつ、第3の屈折率(n3)を第1の屈折率(n1)に近づけることで、滲み出し光の抽出作用の中心を光取り出し層にすることが可能となる。この場合、第3の屈折率(n3)と第2の屈折率(n2)の差に基づく光回折により滲み出し光を抽出すると共に、臨界角内の発光光の平坦化層103と凹凸構造層101と、の界面における反射を小さくすることが可能となる。
また、上記式(5)を満たす範囲で凹凸構造層101の第1の屈折率(n1)を小さくすることにより、光抽出層102及び凹凸構造101aによる滲み出し光の取り出し効率がいっそう向上する。更に、導波モードを打破して取り出される光及び臨界角内の発光光の出光面100b側への透過を促進することができる。
更に、上記説明した原理により滲み出し光を取り出すと共に、臨界角内の発光光を出光面100bへと導くため、平坦化層103を作る材料の選択性を大きくすることができる。このため、平坦化層103の表面、即ち入光面100aの面精度をより高く保つことが容易となるため、有機ELデバイス1の長期信頼性を向上させることが可能となる。
また、第1の屈折率(n1)〜第3の屈折率(n3)が上記式(6)を満たすことにより、平坦化層103の表面(入光面100a)と陽極面とが当接した際に、陽極面と平坦化層103との界面における全反射を小さくすることができる。即ち、導波モードを形成する発光光を減少させ、臨界角内の発光光を増加させることができる。更に、第3の屈折率(n3)と第1の屈折率(n1)との差を大きくできるため、有機ELデバイス1の発光光からみた、平坦化層103と凹凸構造層101との異質性を強くすることができる。このため、平坦化層103の内部を伝搬した滲み出し光の、凹凸構造層101による取り出し効率が向上すると考えられる。更に、臨界角内の発光光の凹凸構造層101と平坦化層103との界面及び光抽出層102と平坦化層103との界面における反射を、ナノ構造特有の平均的(有効媒質的)作用及び第2の屈折率(n2)による中間の屈折率作用により抑制することが可能となると考えられる。このため、入光面100aから平坦化層103内部へと進行した臨界角内の発光光は、効果的に光抽出体100の出光面100bへと到達し、有機ELデバイス1の光取り出し効率が向上すると考えられる。このため、有機ELデバイス1の陽極面と平坦化層103との界面から平坦化層103の内部へと導かれた滲み出し光が効果的に出光面100b側に到達し、有機ELデバイス1からの光取り出し効率が向上する。
なお、滲み出し光は、光抽出層102及び凹凸構造101aにより取り出される。このとき、光抽出層102による回折モードと、凹凸構造101aによる回折モードとは異なるため、回折光特有の所定角度への出向特性は乱されることとなり、光散乱性が発現すると推定される。即ち、光抽出層102と凹凸構造101aとは恰も異なる光回折現象を生じる2つの回折点群を重ねあわせたかのような機能を発現すると考えられる。
また、光抽出層102として、第1の光抽出層102a及び第2の光抽出層102bを有する場合には、第1の光抽出層102a、第2の光抽出層102b及び凹凸構造101aにより、異なる回折モードにて滲み出し光を取り出すとも考えられる。このため、恰も異なる光回折現象を生じる3つの回折点群を重ねあわせたかのような機能が発現され、強い光散乱性を有すとも推定される。このような光散乱は導波モードを乱す効果が大きいため、光取り出し効率向上の効果が大きいと推定される。更に、凹凸構造101aの形状や配列の乱れを制御することにより生じる散乱性をより強めることが可能となる。このため、取り出される発光光は、回折光特有の所定角度への出向特性を満たさないため、カラーシフトは抑制され、より自然光に近い発光光を作ることが可能となる。そのため、使用者が有機ELデバイス1を視認した際のギラツキを抑制することができる。
上記式(6)においては、第3の屈折率(n3)と第2の屈折率(n2)との差分値(n3−n2)が0.1以上を満たすので、有機ELデバイスの発光光からみた光抽出層102の異質性が高まる。即ち、滲み出し光は、平坦化層103と光抽出層102との界面において、光回折を生じることとなる。そのため、滲み出し光を効果的に光抽出層102により抽出することが可能となる。特に、上記効果をよりいっそう発揮する観点から、平坦化層103の屈折率(n3)と光抽出層102の屈折率(n2)との差分値(n3−n2)は、0.15以上であることが好ましく、0.25であることがより好ましく、0.3以上であることが最も好ましい。
一方で、差分値(n3−n2)が0.1以上の範囲において小さい値の場合であっても、第2の屈折率(n2)と第1の屈折率(n1)の差分値(n2−n1)が0.1以上の範囲において増加することで、有機ELデバイス1の発光光から見た凹凸構造101aの異質性が高まる。即ち、滲み出し光は、平坦化層103と凹凸構造101aとの界面において、光回折を生じると考えられる。そのため、滲み出し光を効果的に抽出することが可能となる。本モードにより光取り出し効率を向上させる場合は、第2の屈折率(n2)と第1の屈折率(n1)の差分値(n2−n1)は、0.15以上であることが好ましく、0.25であることがより好ましく、0.3以上であることが最も好ましい。
上記式(6)を満たしつつ、第3の屈折率(n3)を有機ELデバイス1の陽極面の屈折率(nsc)に近づけることで、臨界角内の発光光を増加させることができる。即ち、導波モードを形成する発光光を減少させることができる。平坦化層103と陽極面との界面における反射を抑制するという観点からは、第3の屈折率(n3)と陽極面での屈折率(nsc)との差分の絶対値(|n3−nsc|)は0.5以下であることが好ましい。この差分の絶対値は、陽極面と平坦化層103との界面における発光光の全反射光量を小さくする観点から、0.3以下であることが好ましく、0.15以下であることがより好ましく、実質的に同等な屈折率関係を満たす0.1未満であることが最も好ましい。更に、この場合、第3の屈折率(n3)と第2の屈折率(n2)との差分が大きくなる傾向にあるため、光抽出層102及び凹凸構造層101による滲み出し光の回折現象による取り出し効率が向上すると推定される。
一方、上記式(6)を満たす範囲で第1の屈折率(n1)を小さくすることにより、抽出された滲み出し光及び臨界角内の発光光の光抽出体100の出光面100bへの透過を促進することができる。更に、凹凸構造層101と平坦化層103との界面及び光抽出層102と平坦化層103との界面における臨界角内の発光光の反射を、ナノ構造特有の平均的(有効媒質的)作用により抑制できると推定される。
更に、上記説明した原理により滲み出し光を取り出すと共に、臨界角内の発光光を出光面100bへと導くため、平坦化層103を作る材料の選択性を大きくすることができる。このため、平坦化層103の表面、即ち入光面100aの面精度をより高く保つことが容易となるため、有機ELデバイス1の長期信頼性を向上させることが可能となる。
第1の屈折率(n1)〜第3の屈折率(n3)が上記式(7)を満たすことにより、平坦化層103の上面、即ち入光面100aと有機ELデバイス1の陽極面とが当接した際に、陽極面と平坦化層103との界面における全反射光量を小さくすることができる。更に、滲み出し光を光抽出層102及び凹凸構造101aにより光回折として取り出すことが可能となる。このため、有機ELデバイス1の内部で導波モードを形成していた発光光は、その滲み出し光が光抽出層102及び凹凸構造101aによる光回折として抽出されるため、有機ELデバイス1の外部へと光散乱性を奏し取り出される。更に、第3の屈折率(n3)と第2の屈折率(n2)との差を大きくできるため、有機ELデバイス1の発光光からみた、平坦化層103と光抽出層102との異質性を強くすることができ、このため、陽極面と平坦化層103と、の界面より滲みだす滲み出し光の、光抽出層102による取り出し効率が向上すると考えられる。更に、凹凸構造の形状や配列に乱れを加えることにより光散乱性に対し上記原理を適用することができるため、光散乱性の程度を多くすることが可能となり、カラーシフトを効果的に低減することもできると考えられる。また、陽極面と平坦化層103との界面からの滲み出し光を、光抽出層102及び凹凸構造層101によりそれぞれ異なる回折モードの回折現象として取り出すことが可能となり、光取り出し効率を改善することができると考えられる。
このとき、光抽出層102による回折モードと、凹凸構造層101による回折モードは異なるため、回折光特有の所定角度への出向特性は乱されることとなり、光散乱性が発現すると推定される。即ち、光抽出層102と凹凸構造101aは恰も異なる光回折現象を生じる2つの回折点群を重ねあわせたかのような機能を発現すると考えられる。また、光抽出層102が第1の光抽出層102a及び第2の光抽出層102bを有する場合には、第1の光抽出層102a、第2の光抽出層102b及び凹凸構造101aにより、異なる回折モードにて、滲み出し光を取り出すとも考えられる。このため、恰も異なる光回折現象を生じる3つの回折点群を重ねあわせたかのような機能が発現され、強い光散乱性を有すとも推定される。このような光散乱により取り出される発光光は、回折光特有の所定角度への出向特性を満たさないため、カラーシフトは抑制され、より自然光に近い発光光を作ることが可能となる。そのため、使用者が有機ELデバイス1を視認した際のギラツキを抑制することができる。
第1の屈折率(n1)と第2の屈折率(n2)との差分値(n1−n2)は、0.1以上を満たすので、有機ELデバイス1の発光光から見た、光抽出層102の異質性が高まる。即ち、滲み出し光は、平坦化層103と光抽出層102との界面において、光回折を生じることとなる。そのため、滲み出し光を効果的に光抽出層102及び凹凸構造101aにより抽出することが可能となる。特に、上記効果をよりいっそう発揮する観点から、第1の屈折率(n1)と第2の屈折率(n2)との差分値(n1−n2)は、0.15以上であることが好ましく、0.25であることがより好ましく、0.3以上であることが最も好ましい。なお、差分値(n1−n2)を大きくする場合には、例えば、空気や不活性ガスに代表される気体や、多孔質SiO等に代表される多孔質材料、イオン液体に代表される液体等を光抽出層102として用いることが挙げられる。
第1の屈折率(n1)と第2の屈折率(n3)との差分(n3−n1)は特に制限されず、(n3−n1)≧0を満たせばよい。(n3−n1)≧0であることにより、抽出された滲み出し光及び臨界角内の発光光の光抽出体100の出光面100b側への透過を促進できる。
上記式(7)を満たす範囲で第3の屈折率(n3)を有機ELデバイス1の陽極面の屈折率(nsc)に近づけることで、臨界角内の平坦化層103への透過光量を増加させることができる。特に、陽極面の屈折率(nsc)と平坦化層103の屈折率(n3)の差分の絶対値(|nsc―n3|)が0.5以下であることが好ましい。陽極面と平坦化層103との界面における発光光の全反射光量を小さくする観点から、差分の絶対値(|nsc―n3|)としては、0.3以下であることが好ましく、0.15以下であることがより好ましく、実質的に同等な屈折率関係を満たす0.1より小さい場合が最も好ましい。
また、上記式(7)を満たす範囲で第1の屈折率(n1)を小さくすることにより、凹凸構造層101の凹凸構造101aによる回折による光取り出し効率が向上する。更に、抽出された滲み出し光及び臨界角内の発光光の光抽出体100の出光面100b側への透過を促進することができる。
更に、上記説明した原理により滲み出し光を取り出すと共に、臨界角内の発光光を出光面100bへと導くため、平坦化層103を作る材料の選択性を大きくすることができる。このため、平坦化層103の表面、即ち入光面100aの面精度をより高く保つことが容易となるため、有機ELデバイス1の長期信頼性を向上させることが可能となる。
(光抽出層の多層構成)
光抽出体100においては、第2の屈折率(n2)を有する光抽出層102は、2層以上の複数の層で構成してもよい。例えば、光抽出層102は、(屈折率(nα)を有する層/屈折率(nβ)を有する層)の2層で構成してもよく、屈折率(nα)を有する層上に屈折率(nβ)を有する層を順次積層した[屈折率(nα)を有する層/屈折率(nβ)を有する層]をm層(m≧2)多層した構成してもよい。同様に、光抽出層102は、屈折率が相互に異なる3層以上の層で構成してもよい。
光抽出層102を相互に屈折率が異なる複数の層で構成する場合には、上記式(5)〜上記式(7)の第1の屈折率(n1)と第2の屈折率(n2)との関係においては、第1の光抽出層102aに対しては、凹凸構造層101側に最も近い層(凹凸構造101aの凸部101bの頂部に最も近い層)の屈折率を第2の屈折率(n2)とし、第2の光抽出層102bに対しては、凹凸構造層101側に最も近い層(凹凸構造101aの凹部101cの底部に最も近い層)の屈折率を第2の屈折率(n2)とする。また、第3の屈折率(n3)と第2の屈折率(n2)との関係においては、第1の光抽出層102aに対しても、第2の光抽出層102bに対しても、平坦化層103側に最も近い層の屈折率を第3の屈折率(n3)とする。
例えば、光抽出体100の平坦化層103側から凹凸構造層101側へ3層[屈折率(nα)の層/屈折率(nβ)の層/屈折率(nγ)の層]で光抽出層102を構成した場合、第1の屈折率(n1)との関係においては、第2の屈折率(n2)として少なくとも屈折率(nγ)を用いればよく、第3の屈折率(n3)との関係においては、第2の屈折率(n2)として少なくとも屈折率(nα)を用いればよい。即ち、屈折率(nβ)については、必ずしも第2の屈折率(n2)として上記式(5)〜上記式(7)の関係を満たす必要はない。なお、複数の層で光抽出層102を構成する場合には、各層の屈折率の全てが上記式(5)〜上記式(7)を満たすことが最も好ましい。また、複数の層で光抽出層102を構成する場合の光抽出体100の厚み方向における平均膜厚は、それぞれ5nm以上であることが好ましく、15nm以上であることがより好ましい。
また、光抽出層102としては、上述した多層構造以外に相分離を含んだ構造であってもよい。この場合には、上記式(5)〜上記式(7)における屈折率(n2)としては、光抽出層102に含まれる全ての相の屈折率の平均屈折率を用いる。例えば、光抽出層102としては、屈折率(nα)を有する相及び屈折率(nβ)を有する相の2相を含み、この2相が相分離している状態のものを用いてもよい。この場合、第2の屈折率(n2)としては、屈折率(nα)及び屈折率(nβ)の平均を用いる。また、相分離サイズは、50nm以上800nm以下であることが好ましい。
<光抽出体の詳細>
(凹凸構造)
次に、凹凸構造層101の凹凸構造101aの構成について詳細に説明する。凹凸構造層101は、詳細については後述するように、凹凸構造層101の一主面内に属する第1方向に沿って延在する複数の凸部101bを有する。この複数の凸部101bは、図2に示した例では、凹凸構造層101の一主面内に属し、第1方向に直交する第2方向に沿って互いに所定の間隔を隔てて設けられている。凸部101bは、光抽出体100の厚み方向に沿った断面視(直交方向に垂直な断面で見たとき)において、凹凸構造層101の一主面に対して垂直な方向に突出している。凸部101b間には、凹部101cが連続して形成されている。この凸部101b及び凹部101cにより凹凸構造101aを構成している。
次に、光抽出体100の凹凸構造101aを説明する際に使用する用語について説明する。以下においては、図2、図3、図4A、図4B及び図5に示した例に基づいて説明するが、特に断りがない限り、詳細については後述する第1の凹凸構造(図8)及び第2の凹凸構造(図10)についても同様の用語を用いることとする。
(平均位置Sh、Sd)
図2、図3、図4A、図4B及び図5に示す記号Shは、凸部101bの平均位置を意味する。平均位置Shは、各凸部101bの位置の面内平均の位置を意味する。平均位置Shは、10点以上の凸部101bの平均により求めることが好ましい。
図2、図3、図4A、図4B及び図5に示す記号Sdは、凹凸構造101aの凹部101cの平均位置を意味する。平均位置Sdは、各凹部101cの位置の面内平均の位置である。平均位置Sdは、10点以上の凹部101cの平均により求めることが好ましい。
(平均高さ、平均深さH)
図2、図3、図4A、図4B及び図5に示す記号Hは、凹凸構造101aの平均高さ(深さ)を意味する。即ち、凹凸構造101aの平均位置Sdと平均位置Shとの間の最短距離である。平均高さ(深さ)Hは、滲み出し光を効果的に光抽出層102により取り出す観点から、0nm以上5000nm以下であることが好ましい。更に、この滲み出し光の取り出し効率を向上させる観点から、50nm以上であることがより好ましい。一方、上限値は、光抽出層102の物理的安定性を向上させ有機ELデバイス1の長期信頼性を向上させる観点から、3000nm以下であることが好ましく、2000nm以下であることがより好ましい。また、臨界角内の発光光の反射を抑制する観点から、1500nm以下であることが好ましく、1000nm以下であることがより好ましい。なお、凹部101c内部にのみ光抽出層102(第2の光抽出層102b)が設けられる場合の平均高さ(深さ)も同様の効果から、上記範囲を満たすと好ましい。
なお、凸部101b上にのみ光抽出層102(第1の光抽出層102a)が設けられる場合の平均高さ(深さ)Hは、滲み出し光を効果的に第1の光抽出層102aにより取り出す観点及び第1の光抽出層102aの物理的安定性の観点から、0nm以上5000nm以下であることが好ましい。特に、滲み出し光に対する光回折作用を向上させる観点から、30nm以上が好ましい。一方、上限値は、光抽出層102の物理的安定性を向上させ有機ELデバイス1の長期信頼性を向上させる観点から、3000nm以下であることが好ましく、2000nm以下であることがより好ましく、1500nm以下であることがより好ましい。
(内界面平均位置Scc)
図2、図3及び図4Bに示す記号Sccは、凹凸構造101aの凹部101c内に設けられた第2の光抽出層102bと平坦化層103とが接触する界面の平均位置を意味する。内界面平均位置Sccは、第2の光抽出層102bと平坦化層103との界面の面内平均の位置を意味する。内界面平均位置Sccは、10点以上の界面の平均により求めることが好ましい。
図6は、本実施の形態に係る有機ELデバイスに用いられる光抽出体における内界面平均位置Sccを説明するための説明図である。内界面平均位置Sccは、第2の光抽出層102bと平坦化層103との界面が曲面を形成する場合であって、この曲面が下に凸の曲面を形成している場合には、第2の光抽出層102bの当該曲面の鉛直方向における最下点をもって求める。即ち、第2の光抽出層102bが凹凸構造101aの凹部101cの内壁に部分的に付着している場合であっても、第2の光抽出層102bの最も低いところをもって内界面平均位置Sccを求める(図6A参照)。また、この曲面が上に凸の曲面を形成している場合には、第2の光抽出層102bの鉛直方向における最も高いところをもって内界面平均位置Sccを求める(図6B参照)。
(距離Lcc)
図2、図3、図4A、図4B及び図5に示す記号Lccは、頂部平均位置Shと内界面平均位置Sccとの間の最短距離を意味する。即ち、凹凸構造101aの平均高さ(深さ)Hから凸部101b内の第2の光抽出層102bの鉛直方向における厚さを減じた値の平均値を意味する。
距離Lccは下記式(9)を満たす。Lcc<1.0Hの範囲を満たすことにより、平坦化層103を伝搬された滲みだし光を、光抽出層102により効率的に抽出することができる。また、距離LccがLcc<0.0Hを満たす場合には、第2の光抽出層102bが凹部101cを全て充填し、凹凸構造101a上に第2の光抽出層102bの薄膜が形成されることを意味する。この場合、滲みだし光を抽出する際に、光回折の利用程度が大きく減少するのみならず、臨界角内の発光光の平坦化層103と光抽出層102との界面における反射が増加し、光取り出し効率が大きく減少する。そのため、Lccの下限値は、0.0H<Lccであることが好ましい。
式(9)
0.0H<Lcc<1.0H
上記効果をいっそう発揮する観点から、距離Lccとしては、0.0H<Lcc≦0.6Hの範囲を満たすことが好ましく、0.0H<Lcc≦0.4Hの範囲を満たすことがより好ましく、0.0H<Lcc≦0.2Hの範囲を満たすことが更に好ましい。なお、Lccは0に漸近してもよい。なお、凹部101cの内部にのみ光抽出層102(第2の光抽出層102b)が設けられる場合であっても、上記Lccの範囲を満たすことで、同様の効果を発現すると考えられる。
なお、図4A及び図5に示すように、凸部101b上にのみ光抽出層102(第1の光抽出層102a)が設けられる場合は、凹部101c内部に第2の光抽出層102bが設けられない。このため、上記距離Lccの定義を使用するとLcc=1.0Hと表現できる。距離Lccが凹凸構造101aの平均高さ(深さ)Hの場合、平坦化層103は、凹凸構造101a及び凹凸構造101aの凸部101b上の第1の光抽出層102aを覆うように設けられる。この場合でも、滲みだし光を効率的に凹凸構造101aの凸部101b上の第1の光抽出層102a及び凹凸構造101aにより取り出すことが可能である。
凹凸構造101aの高さにもよるが、距離Lccの満たす範囲により、光抽出体100を使用して光取り出し効率を向上させる原理が変化すると推定される。距離Lccが小さくなればなるほど、凹凸構造層101の凹凸構造101aと平坦化層103とが接する界面積は減少し、平坦化層103内部に含まれる凹凸構造101aの体積が減少する。この場合、光抽出体100内部に導かれた発光光から見ると、平坦化層103内部に含まれる凹凸構造101aの体積がナノスケールで非常に小さくなるため、光の平均的作用(有効媒質近似)により、発光光は該体積を認識しづらくなる。即ち、滲み出し光は、平坦化層103により伝搬し、光抽出層102により抽出されると推定される。この場合、光抽出体100において光抽出層102による光抽出能が相対的に凹凸構造層101による光抽出能より大きくなると推定される。このようなモードとしては、距離Lccが概ねLcc≦0.2Hの範囲内であると考えられ、Lcc≦0.1Hであるとこのようなモードがいっそう強まると考えられる。即ち、距離Lccがこのような範囲を満たす場合には、光抽出体100において光抽出層102がほぼ光抽出の機能を支配すると考えられる。
逆に、距離Lccが大きくなればなるほど、凹凸構造層101の凹凸構造101aと平坦化層103との界面積は増加し、平坦化層103内部に含まれる凹凸構造101aの体積は増加する。更に、距離Lccが大きくなることは、有機ELデバイス1と平坦化層103との界面から凹部101c内の第2の光抽出層102bまでの距離が大きくなることを意味する。滲み出し光は、光抽出体100の厚み方向に対して距離の指数関数的に減少する。よって、この場合、滲みだし光は、平坦化層103により伝搬し、凹凸構造101a及び第1の光抽出層102aにより優先的に抽出されると推定される。
また、距離Lccが大きくなることは、有機ELデバイス1及び平坦化層103の界面から凹部101c内の第2の光抽出層102bまでの距離と該界面から凹凸構造101aまでの距離との差が大きくなることを意味する。このため、凹凸構造101aと第1の光抽出層102aによる光回折モードは大きく異なることとなり、散乱の程度が向上すると考えられる。このようなモードとしては、距離Lccが概ねLcc≧0.5Hの範囲内と推定される。即ち、距離Lccがこのような範囲を満たす場合、光抽出体100において凹凸構造層101がほぼ光抽出の機能を支配すると考えられる。なお、概ね0.5H≦Lcc≦0.2Hの範囲においては、光抽出層102による光抽出と凹凸構造層101による光抽出の双方が発現すると推定される。
更に、凹凸構造101aの凹部101c内部に設けられる第2の光抽出層102b及び平坦化層103の界面位置と頂部平均位置Shとの間の距離が±25%以下の分布を持つと、第2の屈折率(n2)の光抽出層102による光取り出しに大きく散乱性を付与することができると考えらえる。滲み出し光の光散乱性による取り出し向上程度を、回折によるそれよりも相対的に大きくできるため、カラーシフトを低減することが可能となり、より自然光に近い有機ELデバイス1からの発光スペクトルを得ることができる。即ち、ギラツキが低下する。なお、凹凸構造101aの凹部101c内部に設けられる第2の光抽出層102b及び平坦化層103の界面位置と頂部平均位置Shとの間の距離の平均値は距離Lccに相当する。
(上界面平均位置Scv)
図2、図3、図4A及び図5に示す記号Scvは、上界面平均位置であり、凹凸構造101aの凸部101b上に設けられた第1の光抽出層102aの頂面位置の面内平均の位置である。上界面平均位置Scvは、10点以上の平均値により求めることが好ましい。
また、第1の光抽出層102aと平坦化層103との間の界面が曲面を形成する場合であって、この曲面が下に凸の曲面を形成する場合も、この曲面が上に凸の曲面を形成する場合も、第1の光抽出層102aの厚みが最も厚い場所をもって上界面平均位置Scvを求める。
(距離Lcv)
図2、図3、図4A及び図5に示す記号Lcvは、頂部平均位置Shと上界面平均位置Scvとの間の最短距離を意味する。即ち、凸部101b上に設けられた第1の光抽出層102aの平均厚さを意味する。距離Lcvが0の場合、平坦化層103は、凹凸構造101a及び凹凸構造101aの凹部101c内の第2の光抽出層102bを覆うように設けられる。この場合でも、滲み出し光を凹凸構造101aの凹部101c内の第2の光抽出層102b及び凹凸構造101aにより取り出すことが可能である。
距離Lcvの上限値としては、凹凸構造101aの凸部101b上に設けられた第1の光抽出層102a及び凹凸構造101aの凹部101c内の第2の光抽出層102bの両方の光抽出効果を発揮する観点から、1.5Hであることが好ましい。上記効果をいっそう発揮する観点から、距離Lcvとしては、0.0H<Lcv≦1.0Hであることが好ましく、0.0H<Lcv≦0.45Hであることがより好ましく、0.0H<Lcv≦0.3Hであることが最も好ましい。なお、図4Bに示すように、凹部101c内部にのみ光抽出層102が設けられる場合(第2の光抽出層102bのみが設けられる場合)は、凸部101b上部の光抽出層102(第1の光抽出層102a)は配置されないため、上記Lcvを用いると、Lcv=0.0Hと表現できる。
なお、光抽出層102が、凹凸構造101aの凹部101c内の第2の光抽出層102bを有さず、凸部101b上の第1の光抽出層102aのみを有する場合、第1の光抽出層102aにより、滲み出し光を抽出することとなる。この場合には、第1の光抽出層102aにより、滲み出し光を抽出する観点から、距離Lcvが0nm≦Lcv≦5000nm(式(1))を満たすことが好ましい。特に、3000nm以下であることにより第1の光抽出層102aの物理的安定性を向上させることが可能となり、有機ELデバイス1の長期信頼性を向上させることが可能となる。また、2000nm以下であれば、入光面100aの面精度をより向上させ、有機ELデバイス1の長期信頼性を向上させることができるため好ましい。更に、臨界角内の発光光の反射を抑制する観点から1500nm以下であることが好ましく、1000nm以下であることが最も好ましい。一方、下限値は、第1の光抽出層102aにより光取り出し効率を向上させる観点から、30nm以上であると好ましく、50nm以上であるとより好ましく、80nm以上であると最も好ましい。
更に、光抽出層102が、凹凸構造101aの凹部101c内の第2の光抽出層102bを有さず、凸部101b上の第1の光抽出層102aのみを有する場合、平坦化層103の配置精度及び滲み出し光の伝搬特性の観点から、距離Lcvと凹凸構造101aの平均高さ(深さ)Hとの和(Lcv+H)が、50nm以上5000nm以下を満たすことが好ましい。上記効果をいっそう発揮する観点、及び第1の光抽出層102aの物理的安定性の観点から、Lcv+Hは、100nm以上3000nm以下であると好ましく、100nm以上2000nm以下であるとより好ましい。最も好ましくは、100nm以上1000nm以下である。
凹凸構造101aの凸部101b上に設けられる第1の光抽出層102a及び平坦化層103の界面と凸部頂部平均位置Shとの間の距離は、±25%以下の分布を持つと、第1の光抽出層102aによる光取り出しに大きく散乱性を付与することができると考えられる。また、滲みだし光の光散乱性による取り出し向上程度を、回折によるそれよりも相対的に大きくできる。このため、カラーシフトを低減することが可能となり、より自然光に近い有機ELデバイス1からの発光スペクトルを得ることができ、ギラツキが低下する。
凹凸構造101aの凸部101b上に設けられる第1の光抽出層102a及び平坦化層103の界面と凸部頂部平均位置Shとの間の距離の平均値は距離Lcvに相当する。
なお、凹部101c内の第2の光抽出層102b(平均高さ(深さ)Hから距離Lccを引いた厚みを持つ光抽出層102)及び凸部101b上の第1の光抽出層102a(有限の距離Lcvの厚みを持つ光抽出層102)は、連続していてもよい。例えば、光抽出層102は、凹凸構造層101と平坦化層103との界面が存在せず、平坦化層103が光抽出層102のみを覆うように設けてもよい。このような、平均高さ(深さ)Hから距離Lccを引いた厚みを持つ第2の光抽出層102bと有限の距離Lcvの厚みを持つ第1の光抽出層102aとが連続している場合であっても、距離Lcv及び距離Lccの定義及びそれらの満たす範囲は上記範囲を満たすものとする。このような第1の光抽出層と第2の光抽出層が連続する場合、臨界角内の発光光の反射を抑制する観点から、距離Lcc0.1H以上であると好ましく、0.2H以上であるとより好ましく、0.3H以上であると最も好ましい。
(平均距離Lor)
図2、図3、図4A、図4B及び図5に示す記号Lorは、内界面平均位置Sccと平坦化層103の上面(入光面100a)との間の距離の平均値である。平均距離Lorは、10点以上の平均値により求めることが好ましい。なお、凸部101b上にのみ光抽出層102(第1の光抽出層102a)が設けられる場合(図4A及び図5)は、上界面平均位置Scvと平坦化層103の上面(入光面100a)との間の距離の平均値がLorである。なお、凹部101c内にのみ光抽出層102(第2の光抽出層102b)が設けられる場合(図4B)、内界面平均位置Sccと平坦化層103の上面(入光面100a)との間の距離の平均値がLorである。
平均距離Lorは、滲み出し光を、光抽出層102及び凹凸構造101aに効果的に伝搬するという観点から、(Lcc+Lcv)≦Lor≦5500nmの範囲内であることが好ましい。なお、凹部101cにのみ光抽出層102を設ける場合(第2の光抽出層102bのみを有する場合:図4B)、Lcc≦Lor≦800nmを満たすことで同様の効果が得られる。
平均距離Lorの下限値は、上記効果の観点から、(Lcc+Lcv)以上であることが好ましい。光抽出体100の作製時のハンドリングや、光抽出体100を有機ELデバイス1に適用する際の容易性又は有機ELデバイス1の信頼性等の観点からは、1.1(Lcv+Lcc)以上であることが好ましく、1.2(Lcv+Lcc)以上であることがより好ましく、1.3(Lcv+Lcc)以上であることが最も好ましい。一方で、滲み出し光の伝搬性の観点からLorは5000nm以下であるとより好ましい。なお、凹凸構造101aの凹部101c内部にのみ光抽出層(第2の光抽出層102b)が設けられる場合(図4B)は、上記説明においてLcv=0と代入すればよい。
なお、凸部101b上にのみ光抽出層102が設けられる場合(第1の光抽出層102aのみが設けられる場合:図4A及び図5)は、上界面平均位置Scvと平坦化層103の上面との間の距離の平均値として定義されるLorは、10nm以上5000nm以下であると、滲み出し光を、第1の光抽出層102aにより効果的に抽出できる。上記効果をいっそう発揮する観点から第1の光抽出層102aのみが設けられる場合のLorは、10nm以上3000nm以下であるとより好ましく、10nm以上2000nmであると最も好ましい。
平均距離Lorの上限値が、1500nm以下であると、滲みだし光を、効果的に光抽出層102及び凹凸構造層101に伝搬することができる。この上限値は、有機ELデバイス1の発光層12から発する光により適宜設計できる。例えば、上限値が波長λの発光光に対して0.8λ以下の値であれば、上記滲みだし光を光抽出層102まで効果的に伝搬できる。上限値は、0.65λ以下であることがより好ましく、0.55λ以下であることが更に好まし波長又は平均波長を上述したλとして設計することができる。上記観点から、滲み出し光が、平坦化層103内部を伝搬する際の減衰を抑制するためには、平坦化層103の厚さ≦500nmであることが好ましく、平坦化層103の厚さ≦300nmであることがより好ましく、平坦化層103の厚さ≦150nmであることが最も好ましい。平均距離Lorは、平坦化層103が小さい程、伝搬特性が向上するため好ましい。例えば、RGBの発光波長を有する有機ELデバイス1の場合、最も短波長のB(青色の光)の波長を上記λとして考えても、R(赤色の光)、G(緑色の光)及びB(青色の光)の各波長の平均値をλとして設定してもよい。但し、当該界面からの滲み出しは、光抽出体100の厚み方向に対し、距離の指数関数的に減少する。即ち、より短波長の発光光程早く減衰する。このため、例えば、上記説明したようにRGBの発光波長を持つ有機ELデバイスの場合、最も短波長の青色の光の波長をλとし、平均距離Lorを設計することが好ましい。
上述した光抽出体100において、凹凸構造101aの凸部101b上にのみ光抽出層102が設けられる(第1の光抽出層102aのみが設けられる)場合(図4A及び図5)には、上述した第1の屈折率(n1)〜第3の屈折率(n3)が上記式(5)〜(7)を満たし、平均距離Lorが、下記式(8)の関係を満たすことが好ましい。この構成により、滲み出し光を、効果的に光抽出層102及び凹凸構造101aに伝搬することができる。凹凸構造層101、光抽出層102、平坦化層103は上記屈折率の関係式を満たすため、効果的に伝搬された滲み出し光を抽出することが可能であり、これにより、第1の光抽出層102aと平坦化層103の表面との間の距離が適度な範囲となるので、滲み出し光の伝搬特性が向上し、光取り出し効率が更に改善される。
式(8)
10nm≦Lor≦5000nm
また、上述した光抽出体100において、凹凸構造101aの凹部101c内にのみ光抽出層102が設けられる(第2の光抽出層102bのみが設けられる)場合(図4B)には、上述した第1の屈折率(n1)〜第3の屈折率(n3)が上記式(5)〜(7)を満たし、平均距離Lor、及び距離Lccが、下記式(i)の関係を満たすことが好ましい。この構成により滲み出し光を、効果的に光抽出層102及び凹凸構造層101に伝搬することができる。凹凸構造層101、光抽出層102、平坦化層103は上記屈折率の関係式を満たすため、効果的に伝搬された滲み出し光を抽出することが可能であり、これにより、第2の光抽出層102bと平坦化層103の表面との間の距離が適度な範囲となるので、滲み出し光の伝搬特性が向上し、光取り出し効率が更に改善される。
式(i)
Lcc≦Lor≦5500nm
更に、上述した光抽出体100において、凹凸構造101aの凸部101b上及び凹部101c内の双方に光抽出層102が設けられる(第1の光抽出層102a及び第2の光抽出層102bが設けられる)場合(図2及び図3)には、上述した第1の屈折率(n1)〜第3の屈折率(n3)が上記式(5)〜(7)を満たし、凹凸構造101aは、平均距離Lor、距離Lcc及び距離Lcvが、下記式(ii)の関係を満たすことが好ましい。この構成により、滲み出し光を、効果的に光抽出層102及び凹凸構造層101に伝搬することができる。凹凸構造層101、光抽出層102、平坦化層103は上記屈折率の関係式を満たすため、効果的に伝搬された滲み出し光を抽出することが可能であり、これにより、第1の光抽出層102aと平坦化層103の表面との間の距離が適度な範囲となると共に、第2の光抽出層102bと平坦化層103の表面との間の距離が適度な範囲となるので、滲み出し光の伝搬特性が向上し、光取り出し効率が更に改善される。
式(ii)
(Lcc+Lcv)≦Lor≦55000nm
(光散乱性)
上記光抽出体100においては、凹凸構造層101と光抽出層102とが実質的に異なる屈折率を有するので、光抽出層102による回折モードと凹凸構造層101による回折モードとは異なるものとなる。この結果、回折光特有の所定角度への出光特性は乱されることとなるので、光散乱性が発現すると推定される。即ち、光抽出層102と凹凸構造層101は恰も異なる光回折現象を生じる2つの回折点群を重ねあわせたかのような機能を発現すると考えられる。
また、第1の光抽出層102a及び第2の光抽出層102bの双方を有する場合には、第1の光抽出層102a、第2の光抽出層102b及び凹凸構造層101により、相互に異なる回折モードにて滲み出し光を取り出すことが可能となる。このため、恰も異なる光回折現象を生じる3つの回折点群を重ねあわせたかのような機能が発現され、強い散乱性が発現されると推定される。
上記原理により、滲み出し光が、平坦化層103により効果的に凹凸構造101a及び光抽出層102へと伝搬され、伝搬された滲み出し光を光抽出層102及び凹凸構造層101の光回折によって取り出すことが可能となるため、光取り出し効率が大きく向上する。更に、凹凸構造の形状や配列の乱れを制御した場合であっても、上記原理は成立する。即ち、凹凸構造1つ1つといった微視的スケールにおいては、凹凸構造の配列に応じた光回折により滲み出し光は取り出されることとなるが、取り出される際の回折モードが異なるため、数十マイクロメートル以上の巨視的スケールにおいては散乱性を奏すこととなる。したがって、回折光特有のカラーシフトを低減し、より自然光に近いギラツキの少ない光として、効果的に有機ELデバイス1より取り出すことが可能となると考えらえる。
(屈折率の勾配)
光抽出体100においては、凹凸構造層101は内部で屈折率の勾配を有していてもよい。ここでの屈折率の勾配とは、光抽出体100の厚み方向への勾配である。屈折率の勾配としては、光抽出体100の平坦化層103側の表面から凹凸構造層101の出光面100bの表面に向けて減少してもよく、増加してもよい。特に、凹凸構造層101が、光抽出体100の平坦化層103側の表面から凹凸構造層101の出光面100b側に屈折率が減少する屈折率の勾配を有することにより、光抽出体100内部に導かれた発光光の凹凸構造層101の出光面100b側へ透過する透過光の割合が増加する。
屈折率の勾配は、微粒子やフィラーによる濃度勾配や、2種類以上の樹脂の密度差を利用した勾配により形成することができる。なお、屈折率の勾配は、発光光の波長の半分より小さいサイズの第1の屈折率(n1)と異なる屈折率を有する層により形成されるものと定義する。そのため、発光光の波長をλと表記した場合、上記微粒子やフィラーのサイズ及び2種類以上の樹脂の密度斑サイズはλ/2より小さいものと定義する。
また、凹凸構造層101は、発光光の波長の半分(λ/2)以上800nm以下の第1の屈折率(n1)と実質的に異なる屈折率を有する相を含んでもよい。このような相を含むことにより、光抽出体100内部へと導かれた発光光を、凹凸構造101aの内部において散乱させることが可能となる。これにより、光抽出体100を用いることによりカラーシフトを低減でき、より自然光に近い光を発する有機ELデバイス1となる。このような相として例えば、微粒子やフィラーを添加した層が挙げられる。
光抽出体100においては、平坦化層103は、平坦化層103の内部で屈折率の勾配を有していてもよい。ここでの屈折率の勾配とは、光抽出体100の厚み方向への勾配である。屈折率の勾配としては、平坦化層103の入光面100a側から凹凸構造層101へと減少してもよく、増加してもよい。特に、平坦化層103が入光面100a側から凹凸構造層101側へと減少する濃度勾配を有することにより、平坦化層103と有機ELデバイス1の陽極面との界面における全反射光量を小さくすることができる。更に、光抽出層102と平坦化層103との界面付近における光抽出層102の第2の屈折率(n2)と平坦化層103の第3の屈折率(n3)との差を大きく設けることが容易になる。このため、光抽出体100内部へ導かれる光から見た光抽出層102の異質性が大きくなり、滲み出し光の光抽出層102による取り出し能が向上する。
屈折率の勾配は、微粒子やフィラーによる濃度勾配や、2種類以上の樹脂の密度差を利用した勾配等により形成することができる。なお、屈折率の勾配は、発光光の波長の半分より小さいサイズの第3の屈折率(n3)と異なる屈折率を有する相により形成されるものと定義する。そのため、発光光の波長をλと表記した場合、上記微粒子やフィラーのサイズ及び2種類以上の樹脂の密度斑サイズはλ/2より小さいものと定義する。
(異なる屈折率を有する相)
また、平坦化層103は、発光光の波長の半分(λ/2)以上800nm以下の第3の屈折率(n3)と実質的に異なる屈折率を有する相を含んでもよい。このような相を含むことにより、滲み出し光の取り出しをより向上できると共に、光抽出体100内部へと導かれた発光光に散乱性を付与することが可能となり、カラーシフトを低減し、より自然光に近いスペクトルを得ることが可能となる。このような相としては、例えば、微粒子やフィラーの添加した相等が挙げられる。この場合、発光光の波長の半分(λ/2)以上800nm以下の第3の屈折率(n3)と実質的に異なる屈折率を有する相の屈折率は、前記屈折率(n3)よりも0.1以上大きいことが好ましく、0.2以上大きいとより好ましく、0.3以上大きいと最も好ましい。
(別の凹凸構造)
光抽出体100においては、凹凸構造層101の出光面100b上に別の凹凸構造を設けてもよい。別の凹凸構造を設けることにより、別の凹凸構造の大きさと取り出される光の波長に応じた光学現象を発現することができる。別の凹凸構造の平均ピッチが数十マイクロメートル以上であることにより光散乱性を奏し、波長と同程度以上であることにより光回折性を奏し、波長以下であることにより有効媒質近似性を奏すこととなる。特に、光抽出体100においては、凹凸構造層101の出光面100b上にナノスケールの凹凸構造を設けてもよい。凹凸構造のサイズがナノスケールであると、凹凸構造層101の出光面100bにおける発光光の透過率が向上し、且つ外光の映り込みを低減することが可能となる。ナノスケールの凹凸構造としては、凹凸構造層101の出光面100b上に凹凸構造を形成してもよく、出光面100b上に別途凹凸構造層を設けてもよい。
また、凹凸構造層101の出光面100b上に新たに設ける凹凸構造の平均ピッチとしては、100nm以上800nm以下であることが好ましい。特に平均ピッチが300nm以下であると、光抽出体100を具備した有機ELデバイス1を使用者が使用した場合の光の映り込みを低減できる。
凹凸構造層101上に新たに設ける別の凹凸構造の構造形状としては、特に制限されないが、当該凹凸構造の表面に対する光の反射率が0.15%以下であることが好ましく、0.1%以下であることがより好ましい。このような光学性能が得られる凹凸構造としては、例えば、六方配列にて複数の凸部が配列し、凸部の平均ピッチが200nm程度であり、凸部底部の径が180nm程度であり、アスペクト比(凸部の高さ/凸部底部の径)が0.8〜2.5程度の凹凸構造が挙げられる。
また、マイクロスケールの別の凹凸構造を設けてもよい。特に、別の凹凸構造のサイズがマイクロスケールであると、出光する発光光の散乱性が向上し、より自然光に近い出光を得ることが可能となる。マイクロスケールの別の凹凸構造は、出光面100b上に設けてもよく、出光面100b上に凹凸構造層として別途新たに設けてもよい。特に、凹凸構造の平均ピッチが1μm以上50μm以下であると好ましい。特に平均ピッチが2μm以上であると、有機ELデバイス1を使用者が使用した(見た)場合の、ギラツキをより抑制できるため好ましい。
なお、凹凸構造層101の出光面100b上に凹凸構造層を別途新た設ける場合には、凹凸構造層101の出光面100bと新たに設ける凹凸構造層との界面における発光光の反射及び外部からの光の反射を抑制する観点から、新たに設ける凹凸構造層の屈折率と、第1の屈折率(n1)と、が実質的に同等であることが好ましい。
また、詳細については後述する凹凸構造層101の凹凸構造101aの形状や配列並びに後述する配列LP、配列α及び分布DFを、それらの平均ピッチが上記範囲を満たす範囲において新たに設ける凹凸構造の形状や配列に用いることができる。また、新たに設ける凹凸構造層の代わりに、単層又は多層の反射防止層を成膜してもよい。特に、凹凸構造層101の第1の屈折率(n1)と空気の屈折率との差、又は、凹凸構造層101の第1の屈折率(n1)と有機ELデバイス1に使用する封止材の屈折率との差が大きい場合(例えば、0.1以上)に有効である。上述の別の凹凸構造、新たに設ける凹凸構造層及び反射防止層を設けることにより、上記屈折率差が0.5以上や0.7以上といった非常に大きな場合においても、光抽出体100から取り出される透過光強度を増加し、且つ、外光の反射を抑制することができる。
(支持基材)
図7は、本実施の形態に係る有機ELデバイスに用いられる光抽出体の他の例を示す断面模式図である。光抽出体100においては、図7に示すように、凹凸構造層101の出光面100b上に第4の屈折率(n4)を有する支持基材104を設けることが好ましい。支持基材104を設けることにより、光抽出体100を製造する際のスループットが向上し、且つ、光抽出体100を有機ELデバイス1に適用する際の容易性も向上する。また、ガスバリア性や水蒸気バリア性といった機能を有する支持基材104を用いることにより、有機ELデバイス1の長期信頼性が向上する。ここで、支持基材104としては、第4の屈折率(n4)と凹凸構造層101の第1の屈折率(n1)とが実質的に同等又は等しいものを用いることが好ましい。このような屈折率関係を満たす支持基材104を設けることにより、取り出された滲み出し光及び臨界角内の発光光は、凹凸構造層101と支持基材104との界面における反射の影響をうけることなく、効果的に光抽出体100の支持基材104の出光面100b側から取り出される。
また、上記説明したのと同様の効果から、支持基材104の出光面上に、上記説明した出光面100b上に設けられる別の凹凸構造又は単層(多層)の反射防止膜を設けてもよい。
(光抽出層の配置)
光抽出体100の光抽出層102は、凹部101c内部にのみ配置されても(図4B)、凹部101c及び凸部101b上に配置(図2及び図3)されても、凸部101b上にのみ配置(図4A及び図5)されてもよい。凹部101c内部及び凸部101b上部に光抽出層102が設けられる構成(図2及び図3)により平坦化層103及び陽極面との界面と光抽出層102との間の距離に分布が生じるため、陽極面と平坦化層103との界面において導波モードを形成する発光光における当該界面から滲みだす滲み出し光を、凸部101b上の第1の光抽出層102a、凹部101c内の第2の光抽出層102b及び凹凸構造101aによる光回折で抽出することが可能となると考えられる。このとき、回折モードが相互に異なるものとなり、恰も異なる光回折現象を生じる3つの回折点群を重ねあわせたかのような機能が発現されることとなり、光散乱性が発現すると考えられる。光散乱性を利用した光抽出は効果が大きいため、光取り出し効率がより向上すると考えられる。更には、凹凸構造の形状や配列の乱れを制御した場合、乱れに応じた光散乱性の効果を強めることができる。このため、使用者が有機ELデバイス1を視認した際のギラツキを抑制することができると考えられる。また、連続プロセスより光抽出体100を製造することが可能となり、製造時のスループットが向上する。
凹部101c内にのみ第2の光抽出層102bが設けられる構成(図4B)の場合、平坦化層103及び陽極面の界面と光抽出層102との間の距離と、平坦化層103及び発光層12との界面と凹凸構造層101との間の距離が異なるため、滲み出し光を、凹部101c内部の第2の光抽出層102b及び凹凸構造101aによる光回折で抽出することが可能となる。このとき、光抽出層102及び凹凸構造層101は、屈折率が実質的に異なるので、回折モードが相互に異なるものとなり、恰も異なる光回折現象を生じる2つの回折点群を重ねあわせたかのような機能が発現されることとなり、光散乱性が発現すると考えられる。光散乱性を利用した光抽出は効果が大きいため、光取り出し効率がより向上すると考えられる。更には、凹凸構造の形状や配列の乱れを制御した場合、乱れに応じた光散乱性の効果を強めることができる。このため、使用者が有機ELデバイス1を視認した際のギラツキを抑制することができると考えられる。更に、凹部101c内部にのみ第2の光抽出層102bが設けられる構成の場合、光抽出層102は凹凸構造層101により周囲を支持されるため、物理的な安定性が向上する。
凸部101b上にのみ第1の光抽出層102aが設けられる場合(図4A及び図5)は、平坦化層103及び陽極面の界面と光抽出層102との間の距離を小さくすることが容易になる。滲み出し光は、有機ELデバイス1の厚み方向において距離の指数関数的に減衰するため、平坦化層103及び発光層12の界面と光抽出層102との間の距離を小さくすることで、陽極面と平坦化層103との界面において導波モードを形成する発光光における当該界面から滲みだす滲み出し光をより効果的に抽出することが可能となると考えられる。また、連続プロセスより光抽出体100を製造することが容易になり、製造時のスループットが向上する。
<凹凸構造>
次に、本実施の形態に係る光抽出体における凹凸構造層の凹凸構造の構成について詳細に説明する。凹凸構造はドット状又はホール状であればその配列や形状は、特に制限されず、有機ELデバイス1の発光スペクトルや、有機ELデバイス1の使用方法に応じて適宜選択できる。このような凹凸構造としては、以下の第1の実施の形態に示す第1の凹凸構造(図8)及び第2の実施の形態に示す第2の凹凸構造(図10)が挙げられる。この第1の凹凸構造(図8)及び第2の凹凸構造(図10)により、有機ELデバイス1の陽極面と光抽出体100の平坦化層103との界面から滲みだす発光光を、光抽出層102及び凹凸構造層101により、効果的に散乱性を付与し取り出すことができる。
(第1の凹凸構造と第2の凹凸構造)
図8は、本実施の形態に係る光抽出体における第1の凹凸構造を備えた凹凸構造層を示す斜視模式図である。図9は、本実施の形態に係る光抽出体における第1の凹凸構造を備えた凹凸構造層を示す上面模式図である。凹凸構造層110が有する第1の凹凸構造110aは、図2に示す凹凸構造101aと同様に、ドット状である。
一方、図10は、本実施の形態に係る光抽出体における第2の凹凸構造を備えた凹凸構造層を示す斜視模式図である。図11は、本実施の形態に係る光抽出体における第2の凹凸構造を備えた凹凸構造層を示す上面模式図である。凹凸構造層120の第2の凹凸構造120aは、第1の凹凸構造110aを反転させた構造(図3参照)である。以下の説明では、第1の凹凸構造110aについて説明するが、特に断りがない限り、第2の凹凸構造120aを同時に説明するものとする。
図8に示すように、第1の凹凸構造110aは、凹凸構造層110の一方の主面Sに対して垂直方向上方に向かって突出する独立した複数の凸部110bを含む。複数の凸部110bは、それぞれ所定の間隔をおいて配置されている。互いに隣接する凸部110bの間は、一主面Sに対して垂直方向下方に向かって陥没した凹部110cにより連続的につながっている。
第1の凹凸構造110aにおいては、複数の凸部110bの形状が柱状体(錐状体)であり、凸部110b間の凹部110cが連続性のある状態である。即ち、図2に示す光抽出体100に凹凸構造層110を採用する場合、及び、図3に示す光抽出体100が凹凸構造層120の第2の凹凸構造120aを有する場合には、凹部110c内の第2の光抽出層102bは、連続的な薄膜を形成する。そして、この第2の屈折率(n2)を有する薄膜は、第1の屈折率(n1)を有する複数の凹部110c内に設けられる構造となる。
一方、凸部101b上の第1の光抽出層102aは、互いに独立した複数のドットを形成する。そして、この第2の屈折率(n2)を有する複数の独立したドットは、第3の屈折率(n3)を有する平坦化層103により、凸部110bと接する面以外の周囲を囲まれる構造となる。
凸部110bの形状としては、例えば、円錐、底面の円が歪んだ錐状体、円柱、三角錐、三角柱、四角錐、四角柱、底面の角の丸まった多角錐、底面の角の丸まった多角柱、多角錐又は多角柱、これらの側面が上に凸に又は下に凸に撓んだ形状、或いは、リング状又は2重リング状が挙げられる。
複数の凸部110bの平均ピッチとしては、有機ELデバイス1からの滲み出し光の取り出し効率が向上させると共に、臨界角内の発光光の反射を抑制する観点、並びに、図2及び図3に示す平坦化層103の表面、即ち入光面100aの平坦性を向上させ有機ELデバイス1の長期信頼性を向上させる観点から、50nm以上5000nm以下であることが好ましい。特に、滲み出し光を光回折により抽出し光取り出し効率を向上させる観点から、100nm以上が好ましく、150nm以上がより好ましく、200nm以上が最も好ましい。一方、上限値は、臨界角内の発光光の反射を抑制する観点から3000nm以下であることが好ましく、2000nm以下であることがより好ましい。更に、入光面100aの面精度を向上させ、有機ELデバイス1の長期信頼性を向上させる観点から、1500nm以下であることが好ましく、1000nm以下であることがより好ましい。
ここで、複数の凸部110bの平均ピッチとは、次のように定義される。ある凸部の中心とこの凸部に最近接する凸部の中心との間の中心間距離がピッチである。図9に示すように、ある凸部A1から最も近くにある凸部B1を選択し、凸部A1の中心と凸部B1の中心との距離PA1B1をピッチPと定義する。しかし、この図8に示すように、複数の凸部110bが不均一に配置され、選択する凸部によりピッチが異なる場合は、選択されたそれぞれの凸部A1,A2…ANに隣接する凸部B1,B2…BNとの間のピッチPA1B1,PA2B2〜PANBNをそれぞれ測定する。そして、それらの相加平均値を、複数の凸部110bの平均ピッチPavと定義する。即ち、(PA1B1+PA2B2+…+PANBN)/N=Pと定義する。なお、上記相加平均値を求める際に選択する凸部の数Nが10点以上であることが好ましい。なお、第1の凹凸構造110aの凸部110bの構造配列(パターン)としては、後述する配列LP、配列α又は分布DFのいずれも用いることができる。
第1の凹凸構造110aがドット状であることにより、有機ELデバイス1の長期信頼性を向上させることができる。図2に示すように平坦化層103を凹凸構造101a上に設ける場合も、接着層を介して凹凸構造101aと陽極面とを接着する場合も、第1の凹凸構造110aに対する平坦化層材料(接着層材料)の濡れ性が重要となる。例えば、平坦化層材料を第1の凹凸構造110a上に塗工した場合、凸部110b上に位置する平坦化層材料は、頂部縁部におけるピン止め効果を平坦化層材料の薄膜内部に含むこととなり、頂部縁部における接触角は大きくなる。即ち、凸部110b上に位置する平坦化層材料の接触角と、凹部110c上に位置する平坦化層材料の接触角とは異なることとなり、凹凸構造110aの凸部110b上に位置する平坦化層材料のエネルギー的に安定な状態と、凹部110c上に位置する平坦化層材料のエネルギー的に安定な状態は同一にならない。このため、凸部110b上に位置する平坦化層表面位置と、凹部110c上に位置する平坦化層表面位置と一致しないことがある。このような場合、平坦化層表面、即ち入光面100aの平坦性は減少し、このため有機ELデバイス1の長期信頼性を減少させることとなる。第1の凹凸構造110aがドット状であることにより、凸部110b頂部の面積を減少させることができる。即ち、上記説明したピン止め効果による接触角度の向上が生じる場合であっても、該接触角に起因した平坦化層材料のエネルギー的に安定な体積はナノスケールに小さくなる。このため、凸部110b上に位置する平坦化層材料と凹部110c上に位置する平坦化層材料と、の間に存在するエネルギー勾配は小さくなり、平坦化層103の表面(入光面100a)の精度を向上させることが可能となる。上記原理から、平坦化層103の表面(入光面100a)の精度をより向上させるために、凸部110b頂部の径は平均ピッチPavの0.5倍以下であると好ましく、0.3倍以下であるとより好ましく、0.2倍以下であると最も好ましい。なお、第1の光抽出層102aが設けられる場合は、上記説明した凸部110bを第1の光抽出層102aと読み替えることができる。
更に、第1の凹凸構造110aの凸部110bの頂部は、凸部110bの底部径よりも小さいと上記効果をより発揮できるため好ましい。このような凸部110bが傾斜を有する構造であることにより、ピン止めされた凸部110b上に位置する平坦化層材料の接触角を小さくすることができる。即ち、凸部110b頂部径が凸部110b底部径よりも小さいことで、凸部110b上に位置する平坦化層材料のエネルギー的に安定な体積をナノスケールに小さくできる。このため、凸部110b上に位置する平坦化層材料と凹部110c上に位置する平坦化層材料との間に存在するエネルギー勾配は小さくなり、平坦化層103の表面(入光面100a)の精度を向上させることが可能となる。上記原理から、平坦化層103の表面(入光面100a)の精度をより向上させるために、凸部110bの頂部の径は底部の径の2分の1以下であると好ましく、5分の1以下であるとより好ましく、10分の1以下であると最も好ましい。なお、最も好ましくは、凸部110bの頂部と側面とが滑らかにつながっている場合、換言すれば凸部110bの頂部に平坦面がない場合である。なお、第1の光抽出層102aが設けられる場合は、上記説明した凸部110bを第1の光抽出層102aと読み替えることができる。
上記原理から、平坦化層103の表面(入光面100a)の精度をより向上させるために、第1の凹凸構造110aの充填率は、充填率が45%以上であることが好ましく、55%以上であることがより好ましい。更に、第1の凹凸構造110aの凸部110bの面積をより大きくし、上記効果をより発揮する観点から、充填率は65%以上であると好ましい。更に、第1の凹凸構造110aの材料の選択性を向上させることが可能となるため、70%以上が好ましく、75%以上がより好ましく、80%以上であれば最も好ましい。なお、充填率とは、単位面積中に含まれる第1の凹凸構造110aの凸部110bの底部面積/単位面積×100により求められる値である。なお、第1の光抽出層102aが設けられる場合は、上記説明した凸部110bを第1の光抽出層102aと読み替えることができる。
更に、第1の屈折率(n1)を有する凹凸構造層110の第1の凹凸構造110aがドット状であるため、第1の凹凸構造110aに対し乱れ(配列や形状)を導入することが容易となる。凹凸構造の乱れについては後述する。このため、出光する光の散乱性は強まることとなり、カラーシフトは低減され、より自然光に近い出光を得ることができる。これは、発光光の波長が第1の凹凸構造110aの平均ピッチPavよりも十分に大きい場合は、有機ELデバイス1の発光光からみた有効媒質近似的屈折率Nemaの分布に対応する光散乱性のためと推定される。一方、発光光の波長が第1の凹凸構造110aの平均ピッチPavよりと同程度以下である場合は、凹凸構造1つ1つといった微視的スケールにおいて生じる光回折のモード数が増加し、且つ光回折モードに分散が含まれると考えられる。即ち、数十マイクロメートルといった巨視的スケールにおいては、複数の光回折モードの平均的光が観察されるためである。同様の理由から、第2の屈折率(n2)を有す光抽出層102に対して乱れ(形状や配列)を導入することも容易であり、そのため、カラーシフトの抑制効果を発現できる。この結果、使用者が有機ELデバイス1を視認した際のギラツキを抑制することもできる。
凹凸構造層110の第1の凹凸構造110aとしては、上述した形状及び配列により、平坦化層103内部を伝搬する滲み出し光を光抽出層102及び凹凸構造層101により抽出できるものであれば、特に制限はないため、六方配列、準六方配列、四方配列、準四方配列等を採用できる。また、第1の凹凸構造110aの配列として、以下に説明する長周期又はシフト量αのいずれかを用いることにより、平坦化層103内部を伝搬する滲み出し光を抽出する際に、光散乱性をより強く発現させることが可能となるため、光取り出し効率が向上する。更に、凹凸構造の形状や配列の乱れを制御することにより発現する光散乱性を回折による光取り出しに対して相対的に強くできるため、カラーシフトは低減し、より自然光に近い有機ELデバイス1とすることもできる。なお、以下に記載する長周期及びシフト量α示す構成は、光抽出層102の配列に用いることもできる。
(ドット配列)
図12は、本実施の形態に係る有機ELデバイスに用いられる光抽出体の凹凸構造を示す平面模式図である。以下の説明においては、図8に示すようなドット状の第1の凹凸構造110aにおける互いに独立した複数の凸部110bと、図10に示すようなホール状の第2の凹凸構造120aおける互いに独立した複数の凹部110cと、をまとめてドットと呼ぶ。図12に示すように、ドット130は、第1方向D1において、複数のドット130が不定間隔Py(ピッチPy1,Py2,Py3,…)で配列された複数のドット列(凸部列又は凹部列)130−1〜130−Nを構成する。また、各ドット列130−1〜130−Nは、第1方向D1に直交する第2方向D2において、不定間隔Px(ピッチPx1,Px2,Px3,…)で配置されている。
また、本実施の形態の光抽出体100において、ナノオーダーの不定間隔が変動幅δであることが好ましい。具体的には、図12において、ピッチPy1,Py2,Py3は、Pyav±δの範囲である。
図13は、本実施の形態に係る有機ELデバイスに用いられる光抽出体における平均ピッチPavの概念図である。ここで、変動幅δは、第1方向D1におけるドット130間のピッチPyの標準偏差σの3倍の値であり、第1方向D1のピッチPyを100点以上計測して算出される値で定義される。また、変動幅δは、平均ピッチPyavより小さいことが好ましい。変動幅δは、特に、平均ピッチPyavの1%以上50%以下の範囲であると、複数のドット130間のピッチPyの大きさが適度な範囲となるので、光散乱性による発光効率向上効果とカラーシフト低減効果を実現できる。変動幅δは、更に、平均ピッチPyavの5%以上30%以下の範囲であると、光散乱性よる光取り出し効率向上効果とカラーシフト低減効果に加え、更に、回折による光取り出し効率向上効果が共に得られるのでより好ましい。
以上は、第1方向D1のピッチPyについての記述であるが、第2方向D2のピッチPxについては、PyをPxと読み替えて定義することができる。
(長周期)
図14は、本実施の形態に係る有機ELデバイスに用いられる光抽出体における凹凸構造層の一例を示す平面模式図である。図14に示すように、光抽出体100の凹凸構造層101の主面内に属する第1方向D1において複数のドット140が配列されたドット列140−1〜140−Nを複数並設している。各ドット列140−1〜140−Nに属する複数のドット140は、互いに異なるピッチ(Py1,Py2,Py3,・・・)で不定間隔に配列されている。また、各ドット列140−1〜140−Nは、主面内で第1方向D1に直交する第2方向D2において、一定間隔のピッチPxで並設されている。
即ち、光抽出体100においては、各ドット列140−1〜140−Nに属する複数のドット140が第1方向D1に不定間隔Py1,Py2,Py3で配置されると共に、各ドット列140−1〜140−Nが第2方向D2に一定間隔Pxで設けられている。この構成により、凹凸構造層101を第2方向D2から見た場合に、主面内に配設される複数のドット140間の繰り返しパターンの周期性が低減される。例えば、凹凸構造層101の主面内の斜め方向のピッチPa,Pbが異なる値となる。これにより、回折効果による光取り出し効率向上効果を高めることができる。また、凹凸構造101aによる光散乱性が向上するので、カラーシフト低減効果と散乱による導波モードの解消による光取り出し効率向上効果も期待できる。
図15は、本実施の形態に係る有機ELデバイスに用いられる光抽出体において第2方向からみたときの複数のドットの配置を示す模式図である。図15において、第2方向D2に複数のドット140が一定間隔のピッチPxで配列された複数のドット列140−1〜140−3を有し、第1方向D1において、変動幅δを有するピッチPyで配列されている光抽出体100を第2方向D2からみた時の複数のドットの配置を示している。図15中、複数のドット140は、ドット列140−1に属するもの(図中実線で示す)と、ドット列140−2に属するもの(図中一点破線で示す)と、ドット列140−3に属するもの(図中二点破線で示す)に分けられる。同一のドット列に属する複数のドット140が、第1方向D1に不定間隔Py1,Py2,Py3で配置されている。これにより、図15に示すように複数のドット140が互いにずれて不規則に配置され、配置が乱れることにより光散乱効果を発現させることができる。
図16は、本実施の形態に係る有機ELデバイスに用いられる光抽出体における凹凸構造層を構成する複数のドットの配置の一例を示す模式図である。図16に示す配置(ドットパターン)においては、各ドット140のピッチPy及びピッチPxが略等しく、変動幅δがピッチPyavの20%である例を示している。図16に示すように、各ドット列140−a,140−bがピッチPxで一定間隔に並んでいても、第1方向D1におけるドット140間のピッチPyに周期性はないことがわかる。このように、複数のドット140の存在により、光抽出体100上に設けた発光層12からの光取り出し効率向上を高めることができ、更に、複数のドット140の配置が乱れることにより光散乱効果とカラーシフト低減効果を発現させることができる。
ここで、互いに異なるピッチPxで不定間隔に配置された第2方向D2におけるドット列の配置例について説明する。図17は、本実施の形態に係る有機ELデバイスに用いられる光抽出体において第2方向からみたときの複数のドットの配置を示す模式図である。図17に示すように、第2方向D2におけるドット列(図17中DL)は、8列ずつ特定の間隔(ピッチPx)で配置されており、且つ、8列のドット列が繰り返し配置されている。この複数(z)のドット列で構成された単位を、長周期単位Lxz(ただし、zは正の整数)と称する。なお、互いに異なるピッチPyで不定間隔に配置された第1方向D1におけるドットについても、長周期単位Lyzを使用し、以下の説明と同様に配置できる。
不定間隔のピッチPyは、各ドットの中心間の距離に等しく、不定間隔のピッチPxは、複数のドットがピッチPyで配列された複数のドット列間距離に等しい。また、ピッチPy及びピッチPxは各ドットの直径より大きい。
ピッチPyが不定間隔である場合には、少なくとも隣接する4個以上m個以下のドット間のピッチPyn(3≦n≦2a又は3≦n≦2a+1、ただし、m,aは正の整数であり、n=m−1である)は、下記式(10)の関係を満たすと共に、第1方向D1において、ピッチPy1〜Pynで構成されるドット群が、長周期単位Lyzを繰り返し配列した構成であり、且つ、ピッチPxが不定間隔である場合には、少なくとも隣接する4個以上m個以下のドット間の前記ピッチPxn(3≦n≦2a又は3≦n≦2a+1、ただし、m、aは正の整数であり、n=m−1である)は、下記式(11)の関係を満たすと共に、第2方向D2において、ピッチPx1〜Pxnで構成されるドット列群が、長周期単位Lxzを繰り返し配列した構成であることが好ましい。
式(10)
Py1<Py2<Py3<…<Pya>…>Pyn
式(11)
Px1<Px2<Px3<…<Pxa>…>Pxn
図17は、長周期単位Lxzが8列のドット列で構成される場合、即ち、m=8の場合を示している。この場合、n=7,a=3となるため、長周期L1において、ドット列間のピッチPxnには、次の式の関係が成り立っている。
Px1<Px2<Px3>Px4>Px5>Px6>Px7
また、長周期単位LxzにおけるピッチPxは、ピッチPxの最大値(Px(max))と、最小値(Px(min))との差で表される最大位相ずれδが、(Px(min))×0.01<δ<(Px(min))×0.66、好ましくは、(Px(min))×0.02<δ<(Px(min))×0.5、より好ましくは、(Px(min))×0.1<δ<(Px(min))×0.4、を満たすよう設定されている。
例えば、図17に示す長周期単位L1においては、各ドット列間のピッチPxnは次のように表される。
Px1=Px(min)
Px2=Px(min)+δa
Px3=Px(min)+δb=Px(max)
Px4=Px(min)+δc
Px5=Px(min)+δd
Px6=Px(min)+δe
Px7=Px(min)+δf
ただし、δaからδfの値は、Px(min)×0.01<(δa〜δf)<Px(min)×0.5を満たす。隣接する長周期単位L2についても同様である。
また、長周期単位Lxz、或いは長周期単位Lyzにおけるzの最大値は、4≦z≦1000、好ましくは、4≦z≦100、より好ましくは、4≦z≦20、を満たすよう設定されている。
なお、第1方向D1及び第2方向D2における長周期単位Lxz及びLyzは互いに同一である必要はない。
本実施の形態に係る光抽出体100において、第1方向D1においては、上記した長周期単位Lyzを有するドット列群が少なくとも1個以上配列され、第2方向D2においては、上記した長周期単位Lxzを有するドット列群が少なくとも1個以上配列されることが好ましい。
ピッチPyの不定間隔に配置された配置は、上記説明した互いに異なるピッチPxで不定間隔に配置された第2方向におけるドット列の配置例において、ドット列をドットと読み替えることで定義される。即ち、ピッチPyが不定間隔である場合には、少なくとも隣接する4個以上m個以下の前記ドット間のピッチPyn(3≦n≦2a又は3≦n≦2a+1、ただし、m、aは正の整数であり、n=m−1である)は、上記式(10)の関係を満たすと共に、第1方向において、ピッチPy1〜Pynで構成されるドット群が少なくとも1個以上配列され、ピッチPxが不定間隔である場合には、少なくとも隣接する4個以上m個以下のドット間のピッチPxn(3≦n≦2a又は3≦n≦2a+1、ただし、m、aは正の整数であり、n=m−1である)は、上記式(11)の関係を満たすと共に、第2方向において、ピッチPx1〜Pxnで構成されるドット列群が少なくとも1個以上配列されることが好ましい。
図18から図24は、本実施の形態に係る有機ELデバイスに用いられる光抽出体における凹凸構造層を構成する複数のドットの配置の一例を示す模式図である。光抽出体100においては、凹凸構造101aの微細構造を構成するドット140は、第1方向D1、第2方向D2ともに上記説明したような不定間隔のピッチPx,Pyで配置することもできるし(図18参照)、第1方向D1、第2方向D2のいずれか一方のみを上記説明したような不定間隔のピッチで配置し、他方を一定間隔のピッチで配置することもできる(図19参照)。なお、図19においては、第1方向D1におけるドットが不定間隔で配置され、第2方向D2におけるドット列が一定間隔に配置されている。
更に、隣接する第1ドット列及び第2ドット列間、或いは第1ドット列及び第3ドット列がそろった配置とすることもできる(図20、図21、図22及び図23参照)。
ピッチPy及びピッチPxのいずれか一方が一定間隔であり、他方が不定間隔である場合には、ピッチPy及びピッチPxがともに不定間隔である場合に比べて、周期性の乱れが減少し、散乱効果が減少するため、自然光に近い発光特性は低下するが、回折効果による光取り出し効率が向上する。
一方、ピッチPyとピッチPxがともに不定間隔である場合には、周期性の乱れによる光散乱効果とカラーシフト低減効果を高めることができる。即ち、導波モードを効果的に乱し、光取り出し効率を改善すると共に、より自然光に近い発光特性を得ることが可能となり、ギラツキの抑制に効果的である。
ピッチPyとピッチPxの両方を不定間隔とするか、或いは、ピッチPyかピッチPxのいずれか一方を不定間隔とするかは、光抽出体100を用いた有機ELデバイス1の発光特性と用途等により種々選択し、最適な構造とすることができる。例えば、比較的カラーシフトが問題となりにくい、一般照明用途の場合は、回折による光取り出し効率向上効果をより高めるために、ピッチPyかピッチPxのいずれか一方を不定間隔とする構造を採用すればよい。逆に、色特性や角度依存性が問題となりやすいディスプレイ用途の場合は、ピッチPyとピッチPxの両方を不定間隔とする構造を採用すればよい。
また、第1方向D1におけるドット間距離又は第2方向D2におけるドット列間距離のいずれか一方が一定間隔で配置される場合には、一定間隔のピッチに対する不定間隔のピッチの比が、特定の範囲内にあることが好ましい。
ここで、第1方向D1におけるドットが一定間隔Pycで配置され、第2方向D2におけるドット列が不定間隔Pxで配置される例について説明する。この場合には、一定間隔のピッチPycに対する、不定間隔のピッチPxの比は、85%〜100%の範囲内にあることが好ましい。一定間隔のピッチPycに対する、不定間隔のピッチPxの比が85%以上であれば、隣接するドット間の重なりが小さくなるため好ましい。また、一定間隔のピッチPycに対する、不定間隔のピッチPxの比が100%以下であれば、ドットを構成する凸部の充填率が向上するため好ましい。なお、一定間隔のピッチPycに対する、不定間隔のピッチPxの比は、90%〜95%の範囲内にあることが、より好ましい。
また、1つの長周期単位Lxz或いはLyzは、5個以上のドットから構成されると(属するピッチPx又はPyが4以上であると)、有機ELデバイス1で発生した光の屈折率の長周期の変動が、ナノオーダーから遠ざかり、光散乱が生じやすくなるため好ましい。一方、十分な光取り出し効率向上効果を得るためには、長周期単位Lxz或いはLyzは、1001個以下のドットから構成される(属するピッチPx又はPyが1000以下である)ことが好ましい。
光抽出体100は、以上のような凹凸構造101aの微細構造の関係を満足することにより、光散乱効果が十分となる。その結果、ナノオーダーの凹凸で回折効果による光取り出し効率が向上すると同時に、ナノオーダーの周期性が乱れることとなり、有機ELデバイス1からの発光に対し、光散乱性を強く発現することができる。更に、ナノオーダーの凹凸間隔は長周期変動により穏やかに変動するため、回折効果による光取り出し効率向上におけるカラーシフトが低減され、より自然光に近い発光特性を得ることが可能となり、ギラツキを抑制することができる。
また、図24に示す配置例では、凹凸構造101aの各ドット140の間隔は、ピッチの大小により領域が分けられる(図中140a〜140c)。そのため、各領域で励起される表面プラズモンの励起波長が異なり、且つ、その境界は滑らかであるので、発光効率が向上する波長を広い範囲で調整が可能である。各ドット140の間隔と長周期Lxz或いはLyzの変動は、任意に調整可能であるので、発光デバイスの用途により、適宜、発光波長を調整できる。例えば、照明用途であれば、発光波長を選択することにより、暖色系、自然色系、クール色等を選択できる。
(凹凸構造の形状)
続いて、本実施の形態に係る光抽出体100の凹凸構造101aの微細構造を構成する凹凸構造101aの形状(ドット形状)について説明する。
本実施の形態に係る光抽出体100の凹凸構造101aの微細構造を構成する凹凸構造101aの形状(ドット形状)においては、ドット140の各々の直径が、ピッチPy及び/又はピッチPxに対応して増減することが好ましい。なお、本発明において、ドット140の各々の直径が、ピッチPy及び/又はピッチPxに対応して増減するとは、ピッチPy及びピッチPxの少なくともいずれか一方の増加にともなって、ドット140の各々の直径が増加する、或いは、減少する、のいずれかを指す。
以下、ピッチPに対応して増減するドット140の直径の例について、詳細に説明する。本実施の形態に係る光抽出体100において、ピッチPyが不定間隔である場合には、少なくとも隣接する4個以上m個以下のピッチを構成するドット径Dyn(3≦n≦2a又は3≦n≦2n+1、ただし、m、aは正の整数であり、n=m−1である)は、下記式(12)の関係を満たすと共に、第1方向において、ドット径Dy1〜Dynで構成されるドット群が少なくとも1個以上配列され、ピッチPxが不定間隔である場合には、少なくとも隣接する4個以上m個以下のピッチを構成するドット径Dxn(3≦n≦2a又は3≦n≦2n+1、ただし、m、aは正の整数であり、n=m−1である)は、下記式(13)の関係を満たすと共に、第2方向において、ドット径Dx1〜Dxnで構成されるドット群が少なくとも1個以上配列されることが好ましい。
式(12)
Dy1<Dy2<Dy3<…<Dya>…>Dyn
式(13)
Dx1<Dx2<Dx3<…<Dxa>…>Dxn
更に、本実施の形態に係る光抽出体100においては、ピッチPyが不定間隔である場合には、少なくとも隣接する4個以上m個以下のピッチを構成するドット径Dyn(3≦n≦2a又は3≦n≦2n+1、ただし、m、aは正の整数であり、n=m−1である)は、上記式(12)の関係を満たすと共に、第1方向において、ドット径Dy1〜Dynで構成されるドット群が長周期単位Lyzで繰り返し配列され、且つ、ピッチPxが不定間隔である場合には、少なくとも隣接する4個以上m個以下のピッチを構成するドット径Dxn(3≦n≦2a又は3≦n≦2n+1、ただし、m、aは正の整数であり、n=m−1である)は、上記式(13)の関係を満たすと共に、第2方向において、ドット径Dx1〜Dxnで構成されるドット群が長周期単位Lxzで繰り返し配列されることが好ましい。
図25は、本実施の形態に係る有機ELデバイスに用いられる光抽出体における第2方向における異なるドット径を有するドットの配置例を示す模式図である。図25は、長周期単位Lxzが8列のドット列で構成される場合、即ち、m=8の場合を示している。この場合、n=7,a=3となるため、長周期L1において、ドット列を構成する各ドットの径Dxnには、上記式(13)の関係が成り立っている。
図25においては、隣接するドット間隔(ピッチ)Pが広くなると、ドット径が小さくなり、ドット間隔Pが狭くなるとドット径が大きくなっている。増減するドット径の増減範囲は、大きすぎると隣接するドットと接するようになり好ましくなく、小さすぎると、光取り出し効率が低下するため好ましくない。同じ長周期単位Lxz内における、ドットの平均径に対し、±20%以内であると、光取り出し効率が増加し好ましい。
上記説明は、ドットを構成するピッチが減少すると、ドット径が増加する例についてであるが、同様に、ドットを構成するピッチが減少すると、それに対応してドット径が減少してもよい。いずれの場合でもドット径の増減の長周期は、ドットを構成するピッチの増減の長周期と一致することが好ましい。
上記構成により、発光光に対するドットによる周期性の乱れが大きくなり、有機ELデバイス1における光取り出し効率が増加することとなる。
また、本実施の形態に係る光抽出体100の凹凸構造101aの微細構造を構成する凹凸構造101aの形状(ドット形状)においては、各ドットの各々の高さが、ピッチPy及び/又はピッチPxに対して増減することが好ましい。
以下、ピッチに対応して増減するドット高さの例について、詳細に説明する。本実施の形態に係る光抽出体100において、ピッチPyが不定間隔である場合には、少なくとも隣接する4個以上m個以下のピッチを構成するドット高さHyn(3≦n≦2a又は3≦n≦2n+1、ただし、m、aは正の整数であり、n=m−1である)は、下記式(14)の関係を満たすと共に、第1方向において、ドット高さHy1〜Hynで構成されるドット群が少なくとも1個以上配列され、ピッチPxが不定間隔である場合には、少なくとも隣接する4個以上m個以下の前記ピッチを構成するドット高さHxn(3≦n≦2a又は3≦n≦2n+1、ただし、m、aは正の整数であり、n=m−1である)は、下記式(15)の関係を満たすと共に、第2方向において、ドット高さHx1〜Hxnで構成されるドット群が少なくとも1個以上配列されることが好ましい。
式(14)
Hy1<Hy2<Hy3<…<Hya>…>Hyn
式(15)
Hx1<Hx2<Hx3<…<Hxa>…>Hxn
更に、本実施の形態に係る光抽出体100においては、ピッチPyが不定間隔である場合には、少なくとも隣接する4個以上m個以下のピッチを構成するドット高さHyn(3≦n≦2a又は3≦n≦2n+1、ただし、m、aは正の整数であり、n=m−1である)は、上記式(14)の関係を満たすと共に、第1方向において、ドット高さHy1〜Hynで構成されるドット群が長周期単位Lyzで繰り返し配列され、ピッチPxが不定間隔である場合には、少なくとも隣接する4個以上m個以下のピッチを構成するドット高さHxn(3≦n≦2a又は3≦n≦2n+1、ただし、m、aは正の整数であり、n=m−1である)は、上記式(15)の関係を満たすと共に、且つ、第2方向において、ドット高さHx1〜Hxnで構成されるドット群が長周期単位Lxzで繰り返し配列されることが好ましい。
図26は、本実施の形態に係る有機ELデバイスに用いられる光抽出体における第2方向における異なるドット高さを有するドットの配置例を示す模式図である。図26は、長周期単位Lxzが8列のドット列で構成される場合、即ち、m=8の場合を示している。この場合、n=7,a=3となるため、長周期L1において、ドット列を構成する各ドットの高さHxnには、上記式(15)の関係が成り立っている。
図26においては、隣接するドット間隔(ピッチ)Pが広くなると、ドット高さが小さくなり、ドット間隔が狭くなるとドット高さDHが大きくなっている。増減するドット高さDHの増減範囲は、大きすぎるとその部分における光取り出し効率のムラが大きくなり好ましくなく、小さすぎると、ドット高さDHの増減による光取り出し効率の向上効果が低下するため好ましくない。同じ長周期単位Lxz内における、ドットの平均高さに対し、±20%以内であると、光取り出し効率がムラなく増加し好ましい。
上記構成により、発光光に対するドットによる周期性の乱れが大きくなり、有機ELデバイス1における光取り出し効率が増加することとなる。
(シフト量α)
また、本実施の形態に係る光抽出体100において、光抽出体100の主面から面外方向に延在する複数の凹凸構造101aで構成される複数のドットを含む微細構造、即ち凹凸構造101aを備え、凹凸構造101aは、光抽出体100の主面内の第1方向D1において複数のドットが一定間隔Pyで配列されたドット列を構成し、且つ、これらのドット列を第1方向D1に直交する第2方向D2に一定間隔のピッチPxで並設し、隣接する第1ドット列と第2ドット列との間の第1方向D1におけるシフト量α1と、隣接する第2ドット列と第3ドット列との間の第1方向D1におけるシフト量α2と、が互いに異なることが好ましい。
この構成によれば、まず、ピッチPy及びピッチPxがともに一定間隔で、且つ、周期構造を有する一方、各ドット列間の第1方向D1におけるシフト量α1,α2が互いに異なるので、凹凸構造101aを構成する複数のドットの配置の周期性が乱れ、光散乱効果を生じさせることができる。
また、この構成によれば、凹凸構造101aにおいて、ナノオーダーの一定間隔ピッチPxで並設された複数のドット列が支持基材の表面に設けられるので、回折効果と、表面プラズモン共鳴により光取り出し効率が向上する。
図27は、本実施の形態に係る有機ELデバイスに用いられる光抽出体における凹凸構造を示す平面模式図である。図27に示すように、光抽出体100の凹凸構造101aにおいて、複数のドット150は、基材本体の主面内の第1方向D1においてピッチPyで一定間隔のピッチPyに配列され、ドット列150−1〜150−Nを構成している。各ドット列150−1〜150−Nは、基材本体の主面内で第1方向D1に直交する第2方向D2に一定間隔のピッチPxで並設されている。そして、互いに隣接するドット列間に第1方向D1においてシフト量α(位置差)が生じるように配列されている。
即ち、凹凸構造101aにおいては、第2方向D2において隣接する第1ドット列150−1及び第2ドット列150−2との間の第1方向D1におけるシフト量α1と、第2トッド列150−2及びこの第2ドット列150−2に隣接する第3ドット列150−3との間のシフト量α2と、が互いに異なるように設けられる。
この構成により、凹凸構造層101の主面内における斜め方向の複数のドット150間のピッチP1〜ピッチP3が不規則となり、繰り返しパターンの周期性が低減されるので、凹凸構造101aによる光散乱性がより強まる。
また、この場合、シフト量α1とシフト量α2との差分が一定でないことが好ましい。この構成により、凹凸構造101aを構成する複数のドット150の配置の周期性、即ち、繰り返しパターンの周期性がより低減され、更に光散乱性を強めることができるので、有機ELデバイス1における光取り出し効率を向上させると共に、カラーシフトを低減し、ギラツキを抑制することができる。
また、凹凸構造101aにおいて、ピッチPy及びピッチPxが共に一定間隔となるように設けている。このため、上述のように、ピッチPxのみが一定間隔であり、第1方向D1のピッチPyが変動幅δを有して不定間隔である光抽出体100に比べて、ドット150の間隔が小さくなる。これにより、周期性の乱れによる光散乱効果は低下するが、回折効果と表面プラズモン共鳴により光取り出し効率を向上させることができる。
また、ピッチPyが不定間隔である光抽出体100と比較して、回折効果又は表面プラズモン共鳴による光取り出し効果は低下するが、複数のドット150の配置の周期性の乱れによる光散乱効果をより高めることができ、導波モードを解消することによる光取り出し効率の増加とカラーシフト、ギラツキを抑制することが可能である。
この場合、シフト量α1とシフト量α2の差分が一定でないことが好ましい。この構成により、光散乱効果が更に向上するので、導波モードを解消し光取り出し効率を更に高め、カラーシフト、ギラツキを抑制することが可能となる。
また、上述のように長周期又はシフト量αを適用した光抽出体100において、ピッチPx及びピッチPyは、それぞれ100nm以上1000nm以下であることが好ましい。ピッチPx,Pyがこの範囲内にあると、ナノオーダーの凹凸が光抽出体100表面に設けられることにより、光抽出体100上に有機ELデバイス1を設けた場合に、回折子効果と表面プラズモン共鳴により、発光層からの発光効率を向上させることができる。ピッチPx,Pyは、100nm以上であることにより、有機ELデバイス1の光取り出し効率が向上し、表面プラズモン共鳴による発光効率向上の効果が現れる。また、ピッチPx、Pyが1000nm以下であることにより、回折効果と表面プラズモン共鳴による発光効率の効果が現れる。
(光取り出し効率の向上)
続いて、本実施の形態に係る光抽出体100により、光取り出し効率が向上する原理について説明する。
上述のように、光抽出体100に、ナノオーダーのドットから構成される凹凸構造層101を設けることにより、1)表面プラズモン共鳴による光取り出し効率の改善、2)回折効果による光取り出し効率の改善、3)光散乱により導波モードを解消することによる光取り出し効率の改善、4)光散乱によるカラーシフト及びギラツキを抑制する効果、の4つの効果が得られる。
複数のドットから構成される長周期単位Lxzを繰り返し並べることにより、長周期単位Lxzごとに屈折率が変化し、長周期単位Lxzを構成する複数のドットが1単位となって繰り返された場合と同じ効果を生じることとなる。換言すると、波長と同程度の複数のドットの場合、平均的な屈折率分布で光の挙動を説明できるため(有効媒質近似)、空間の平均屈折率分布を計算すると、あたかも、長周期単位Lxzの複数のドットが1単位として繰り返されたように光に作用する。このように長周期単位Lxzで並べられた複数のドットは、光散乱効果を奏する。
また、ナノオーダーのドットが光抽出体100の表面に設けられることにより、ドットの間隔に調和した表面プラズモン共鳴が起き、有機ELデバイス1から発生した光エネルギーの発光効率を向上させることができる。或いは、ドットの間隔に調和した回折が生じ、導光モードにより閉じ込められた発光光を効果的に取り出すことができる。
更に、本実施の形態に係る光抽出体100においては、ドットの各々の直径が、ピッチに応じて増減する。空間の平均屈折率分布は、構成単位の体積分率に依存し変化するため、長周期単位Lxzの複数のドットにおいて、各ドットの体積が変化するとそれだけ、平均屈折率分布の変化が大きくなり、同じ長周期単位Lxzでも、より光散乱効果が高まることとなる。この効果は、ドット間ピッチが狭い場合、ドットの直径を大きく、ドット間ピッチが広い場合、ドットの直径を小さくすることでより顕著となる。
更に、本実施の形態にかかる光抽出体100においては、ドットの高さもドット間ピッチに応じて増減する。この場合も上記した理由と同様、ドット間ピッチが狭い場合、ドット高さを大きくし、ドット間ピッチが広い場合、ドット高さを小さくすると、長周期単位Lxz内の平均屈折率分布が大きくなり、光散乱効果を増加させることになる。
更に、複数のドットから構成される長周期単位Lxzを繰り返し並べた配列において、上記したドットの各々の直径とドットの高さの両方を、ピッチに応じて増減させると、有効媒質近似により記述される屈折率分布の差が更に大きくなるため好ましい。この場合、ドット間ピッチが狭い場合、ドットの直径とドットの高さを大きくし、ドット間ピッチが広い場合、ドットの直径とドットの高さを小さくすると、空間の平均屈折率分布において、構成単位の体積分率の差が大きくなり、より光散乱効果が高まり好ましい。
以上のような光散乱効果により導光モードを解消し光取り出し効率を高めることが可能となる。これに加えて、凹凸構造101aのナノオーダーでの均一性が乱れることによって、カラーシフトを低減し、より自然光に近い発光特性を得ることが可能となるため、ギラツキを抑制できる。
上記のような長周期又はシフト量αを適用することにより、取り出された光に散乱性を付与することができる。発光光の波長が凹凸構造101aや光抽出層102の大きさよりも十分に大きい場合、凹凸構造101aや光抽出層102は有効媒質近似により平均化され、有効媒質近似的屈折率Nemaを有す薄膜として機能する。しかしながら、長周期又はシフト量αを有すことにより、有効媒質近似的屈折率Nemaに分布を付与することが可能となると考えられる。このため、有効媒質近似的屈折率Nemaの分布及びそのコントラストに応じた光学現象を新たに付与することが可能となり、取り出される光は散乱性を奏すこととなる。一方、発光光の波長が凹凸構造101aや光抽出層102の大きさと同程度以下の場合、発光光は光回折により取り出されることとなる。ここで、長周期又はシフト量αを満たすことで、凹凸構造1つ1つといった微視的スケールにおける光回折のモード数が増加するため、数十マイクロメートルといった巨視的スケールからみた場合、複数の回折モードの平均的光を観察することができるため、散乱性を奏すと考えられる。
(凹凸構造層、光抽出層及び平坦化層の材質)
次に、本実施の形態に係る凹凸構造層101、光抽出層102及び平坦化層103の材質について説明する。なお、これらの層を作る材質は、上述した第1の屈折率(n1)、第2の屈折率(n2)及び第3の屈折率(n3)が上記式(5)〜上記式(7)を満たすものであれば、特に限定されない。また、凹凸構造層101、光抽出層102及び平坦化層103を構成する材質は、消衰係数(k)が0であることが好ましい。k=0であることにより、消衰係数を0にすることが可能となる。このため、光抽出体100の入光面100aから光抽出体100内に導かれた発光光が光抽出体100の出光面100bに透過するまでに、積層体内部にて吸収され減衰するのを抑制することができる。ここで、消衰係数kが0である場合とは、k≦0.01を満たす範囲と定義する。この範囲を満たすことで上記効果を得られるため好ましい。特に、各層における多重反射を抑制する観点からk≦0.001であるとより好ましい。なお、kは小さい程好ましい。
また、上記式(5)〜上記式(7)及び消衰係数kの範囲を満たす凹凸構造層101、光抽出層102、及び平坦化層103を構成する材質としては、例えば、スパッタや蒸着が可能な透明誘電体、ガラス、石英、サファイア、無機前駆体の硬化体(例えば金属アルコキシドに代表されるゾルゲル反応により、加水分解・重縮合を生じ硬化する材料の硬化体)、樹脂(熱硬化性樹脂の硬化体、光重合性樹脂の硬化体、熱可塑性樹脂)、有機無機ハイブリッド分子の硬化体、透明誘電体微粒子、透明誘電体フィラーやこれらの混合物等が挙げられる。いずれの材質を使用するかは、有機ELデバイス1の特性や使用環境、及び積層体の製造方法等を考慮して適宜選択することができる。特に、平坦化層103を構成する材料は吸水性の低い材料により構成されるか、又は、平坦化層103の露出する面上に吸水性の低い層を更に設けると、有機ELデバイス1の長期信頼性が向上するため好ましい。
(機能層)
本実施の形態に係る光抽出体100は、ガスバリア機能、水蒸気バリア機能、耐摩耗機能、防汚機能、疎水性機能、親水性機能、帯電防止機能、カラーフィルタ機能、カラーシフト機能、偏光修正機能、反射防止機能、光再指向機能、拡散機能、及び光学回転機能からなる群から選ばれた少なくとも1つの機能層を更に含んでもよい。これらの機能層を更に含むことにより、光抽出体100を使用して作製された有機ELデバイス1の機能が向上する。例えば、ガスバリア性や水蒸気バリア性を更に含むことにより、有機ELデバイス1の発光部の寿命を延ばすことが可能となる。また、支持基材104の露出する面上に耐摩耗機能、防汚機能、疎水性機能、親水性機能、帯電防止機能等を更に含むことにより、有機ELデバイス1に付着する汚れの量を低減すると共に、ふき取りが容易になる。また、支持基材104の露出する面上に反射防止機能を付加することで視認性が向上する。これらの機能を発現するための構成や材質は特に限定されず、有機ELデバイス1の特性や用途に応じ、適宜選択することができる。
<有機ELデバイスの構成>
図28は、本実施の形態に係る有機ELデバイスを示す断面模式図である。図28に示す有機ELデバイス1は、上述のように、2つの支持基材13,14を有する。陽極10と一方の支持基材13との間に光抽出体100が配置されている。光抽出体100側の支持基材13に対して光学フィルム15が貼り合わせてある。光抽出体100を構成する材料に限定はなく、誘電体、半導体、金属等の材料を用いることができる。
また、発光部30は、少なくとも、陰極11、発光層12及び陽極10の3層で構成される。図28では、発光部30は、陰極(金属電極)11、電子注入層31、電子輸送層32、発光層12、ホール輸送層33、ホール注入層34及び陽極(透明導電膜層)10を順次積層することで作製されている。発光層12は1層以上の有機層とする。
光抽出体100の表面に金属面が存在する場合は、光抽出体100を陰極11の代わりとし、発光部30の陰極形成を省略してもよい。電子注入層31、電子輸送層32、発光層12、ホール輸送層33及びホール注入層34については、一つの層が二つ以上の機能を兼ねてもよいし、ホール輸送層33及び電子輸送層32は省略してもよい。ホールと電子が出会う場所として発光層12は必要である。最も単純な系としては、陽極10と陰極11に挟まれた発光層12だけがあればよい。
図28に示すように、光抽出体100を反射型とする場合には、光抽出体100を誘電体や半導体又はこれらと金属との組み合わせで形成することができる。
本発明で用いる陽極10、ホール注入層34、ホール輸送層33、発光層12、電子輸送層32、電子注入層31及び陰極11の作製方法は特に限定しないが、一般的なボトムエミッション型有機ELデバイスを例にとり説明すると以下のようになる。即ち、陽極10及び陰極11は真空蒸着法又はスパッタリング法等によって行い、ホール注入層34、ホール輸送層33、発光層12、電子輸送層32及び電子注入層31は有機蒸着法又は薄膜塗工法によって行うことができる。
各層の積層は、一方の支持基材13に近い層から順に行われるので、最初に陽極10が形成される。ボトムエミッション型有機ELデバイスの場合、陽極10は透明であることが必要なので、材質は、ITO(Indium Tin Oxide)やZnO(Zinc Oxide)、ZTO(Zinc Tin Oxide)等の透明導電材料(TCO)が選択される。
次に、ホール注入層34として、芳香族アミン化合物等を成膜する。α−NPDやCuPc等の芳香族アミン化合物は、イオン化ポテンシャルとホール輸送特性が適切であり、電気化学的に可逆であるため、ホール輸送材料として最も多く使用される。
次に発光層12を積層する。発光層12に単独で用いられる材料は蛍光性色素化合物であるBBA(2,3−ビス{4−[N,N−ジ(4−ビフェニリル)アミノ]やDTE(ジチエニルエテン)等が挙げられるが、ホールや電子輸送化合物に蛍光性色素化合物をドープしてもよい。蛍光発光性材料の置き換えで、りん光発光性材料を用いると、理論変換効率が約25%から約100%に向上するため好ましい。
次に、電子輸送層32を積層する。電子輸送層32としては、オキサジオール系(PBD誘導体:2−フェニル−5−(4−ビフェニリル)−1,3,4−オキサジアゾール誘導体等)、トリアゾール系(TAZ誘導体:(4−tert−ブチルフェニル)−4−フェニル−5−(4−ビフェニリル)−1,2,4−トリアゾール誘導体)等が使用される。金属錯体系(Alq3等)の物質を用いると、電子輸送層32と発光層12を兼ねることができ有益である。
最後に陰極11を積層する。陰極11の材料は一般にLiFやLi系化合物等をごく少量付けた後、Al,Ag等の金属やAl/Ag合金等の合金を積層する方法が一般的である。
本実施の形態に係る有機ELデバイス1に用いられる光学フィルム15は、凹凸形状が少なくともフィルム片面に存在しているものをいう。凹凸形状が存在するとは、例えば、角錐形状、角錐台形、円錐形状、円錐台形、屋根形状、半球形状若しくは半球台形形状の突起又は窪みを少なくとも1種類以上が形成されていることである。光学フィルム15は、凹凸のない市販のフィルムに凹凸加工処理を施して製造しても構わないし、凹凸加工処理を施してなる市販の光学フィルムを購入して使用しても構わない。凹凸加工処理を施してなる光学フィルムとは、マイクロレンズアレイシート、プリズムシート又は光拡散板等である。このようなシート又は板の凹凸の表面は、例えば、1〜100μmの直径又は底面の円の直径を有する。
凹凸加工処理を施してなる光学フィルムの製造方法は特に限定されず、一例として、均一なシート又は板を金型等でプレスして表面成型加工を行うこと、液状樹脂を転写型表面に塗布して、UVや熱で硬化させて成型することが可能である。更には、微粒子を分散したポリマー溶液を、微粒子の粒径より小さな乾燥厚で塗布することで、表面に凹凸形状を作製した拡散板を作製することができる。また、ポリマー溶融物に微粒子を錬込み、押し出し成型することで、表面や内部に光拡散機能を持たせた拡散板を作製することもできる。
このような光学フィルム15としては、透明であれば使用でき、具体的な材料としては、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂等が挙げられ、単独で、又は積層された状態で用いることができる。
光学フィルム15には、例えば、ハードコート処理を行うことでキズが付き難い工夫を施すことが可能である。また、防汚性を付与することや、帯電防止性や紫外線吸収性を付与すること等も可能である。ハードコート処理や防汚性を付与すること、又は、帯電防止性や紫外線吸収性を付与することは、追加のフィルムの積層によって達成できる場合もある。
光学フィルム15の屈折率は、空気の屈折率以上透明基板の屈折率以下であることが好ましい。ガラスモードから空気モードに変換させる光量が増加させる。好ましくは1.0≦光学フィルムの屈折率≦1.8、より好ましくは1.1≦光学フィルムの屈折率≦1.7、さらに好ましくは1.2≦光学フィルムの屈折率≦1.6であることが好ましい。
<光抽出体の製造方法>
本実施の形態に係る光抽出体100の製造方法としては、上記式(5)〜上記式(7)の屈折率を満たす光抽出体100が得られるものであれば特に限定されない。
凹凸構造の形状を制御して製造するという観点から、例えば、透明誘電体(ガラス、石英、サファイア、熱可塑性樹脂等)を直接加工する加工方法を用いた製造方法が挙げられる。
例えば、光学的に透明なガラスの表面のナノスケールでの加工方法としては、電子線描画、フォトリソグラフィ、ナノインプリントリソグラフィ、熱ナノインプリント、自己組織化膜をマスクとしたリソグラフィ、微粒子をマスクとしたリソグラフィ等が挙げられる。熱ナノインプリントの場合、少なくとも凹凸構造(熱可塑性樹脂層)を表面に有するモールドを加熱し、その状態にてガラスに凹凸構造を押圧し、凹凸構造を転写することで、ガラスをリソグラフィ工程無しで加工することができる。
また、表面に凹凸構造を有するモールドの凹凸構造と基材(被エッチング材)との間にレジストを狭持し、熱ナノインプリントリソグラフィを適用する場合は、レジストのガラス転移点Tgより高い温度にて押圧してTgより低い温度にてモールドを剥離する。光ナノインプリントリソグラフィを適用する場合は押圧状態にて光を照射した後にモールドを剥離する。得られた凹凸構造を表面に有するレジスト層/基材から構成される積層体に対し、レジスト層面側からレジスト層の残膜を除去(例えば、酸素を使用したドライエッチング)し、続いて、レジスト層をマスクとして基材をエッチングする方法が挙げられる。
一方、光学的に透明な凹凸構造層を光学的に透明な基材上に別途形成する方法としては、転写法(光ナノインプリント法、熱ナノインプリント法、室温ナノインプリント法等)が挙げられる。転写法としては、被転写材料を、凹凸構造を具備したモールドと基材との間に狭持し、モールドを剥離することで被転写材料表面に凹凸構造を形成する方法が挙げられる。この際に、上述した、無機前駆体(例えば金属アルコキシドに代表されるゾルゲル反応により、加水分解・重縮合を生じ硬化する材料)、樹脂(熱硬化性樹脂、光重合性樹脂、熱可塑性樹脂)、有機無機ハイブリッド分子や、これらの材料と透明誘電体微粒子又は透明誘電体フィラーの混合粒等を被転写材料として使用することができる。
続いて、図2に示す凹凸構造層101上に光抽出層102を配置する方法としては、例えば、光抽出層102を構成する材料(光抽出層材料)の希釈溶液を凹凸構造層101の凹凸構造101aが形成された面(凹凸構造面)上に塗工する方法や、スパッタや蒸着により成膜する方法が挙げられる。塗工方法としては、グラビアコート法、マイクログラビアコート法、ブレードコート法、ワイヤーバーコート法、エアーナイフコート法、ディップコート法、コンマナイフコート法、スプレーコート法、カーテンコート、インクジェット法、スピンコート法、ダイコート法等を採用することができる。光抽出層材料を希釈し塗工した場合は、余剰な溶剤を除去すると好ましい。除去方法としては、加熱処理、減圧(真空)処理やこれらの組み合わせによる処理が挙げられる。
平坦化層103の成膜方法としては、例えば、平坦化層103を構成する材料(平坦化層材料)の希釈溶液を、充填材配置後の凹凸構造の残存ラフネス面に塗工する方法や、スパッタや蒸着により成膜する方法が挙げられる。塗工方法は、上述の光抽出層材料の場合と同様である。平坦化層材料を希釈し塗工した場合は、余剰な溶剤を除去すると好ましい。除去方法としては、加熱処理、減圧(真空)処理やこれらの組み合わせによる処理が挙げられる。
本実施の形態に係る光抽出体100の製造方法においては、上記製造方法の中でも、少なくとも下記(i)〜(iii)の工程をこの順に含む製造方法により製造されることが好ましい。特に、凹凸構造層101の凹部101cの内部のみ、又は凹凸構造層101の凹部101cの内部及び凸部101bの上部に光抽出層102を配置する際に有用である。これにより、各構成要素の制御性が向上すると共に、製造時のスループットが向上する。
(i)凹凸構造層形成工程
第4の屈折率(n4)を有する支持基材(図7中、104)の一主面上に転写法により第1の屈折率(n1)を有する凹凸構造層を形成する工程
(ii)光抽出層形成工程
凹凸構造層の凹凸構造上に、希釈された充填材料を塗工し、余分な溶剤を除去し光抽出層を配置する工程
(iii)平坦化層形成工程
光抽出層が設けられた凹凸構造層の凹凸構造上に、希釈された平坦化材料を塗工し、余分な溶剤を除去して凹凸構造層及び光抽出層上部を覆うように平坦化層を形成する工程
(i)凹凸構造層形成工程
凹凸構造の転写方法としては、特に限定されず、被転写材により適宜選択できる。例えば、被転写材が光硬化性樹脂の場合、表面に凹凸構造を有するモールドの凹凸構造と支持基材との間に被転写材を狭持し、基材側又はモールド側のいずれか一方から光を照射して被転写材を硬化させた後、モールドを剥離することで凹凸構造を形成できる。この転写方法は、一般的に光ナノインプリントと称される。
照射する光の種類は特に限定されず、被転写材の特性に応じて適宜選択できる。照射する光の種類としては、例えば、X線、紫外光線、可視光線、赤外光線等等が挙げられる。これらの中でも、紫外光線を用いることにより、光ナノインプリントによる第1の屈折率(n1)を有す凹凸構造の転写精度が向上する。紫外光線としては、特に、250nm〜450nmの波長域の紫外光線が好ましい。エネルギー線の線源としては、例えば、各種の放電灯、キセノンランプ、低圧水銀灯、高圧水銀灯、メタルハライドランプ発光素子、及びレーザを用いることができる。レーザとしては、例えば、紫外光LED、Arガスレーザ、エキシマレーザ及び半導体レーザを用いることができる。積算光量は、転写精度が向上する観点から、500mJ/cm〜5000mJ/cmの範囲であることが好ましく、800mJ/cm〜2500mJ/cmであることがより好ましい。なお、光を照射する場合は、二酸化炭素やペンタフルオロプロパンガスに代表される圧縮性ガス環境下や、窒素やアルゴンガス環境下や減圧(真空)下で行ってもよい。
また、エネルギー線の照射においては、複数の線源を使用し照射を行ってもよい。これにより、上述した積算光量の範囲を満たしやすくなり転写精度を向上させることができる。更に、2以上の線源において、波長帯域の異なる線源を含むことにより、第1の屈折率(n1)を有す凹凸構造層101の転写精度及び安定性を向上させることができる。複数の線源を用いる照射方法としては、例えば、紫外線LEDを2台使用し、1台目の主波長をλxとし、2台目の主波長をλynmにする(λx≠λy、λx=365,385,395,405nm等、λy=365,385,395,405nm等)方法や、発光スペクトルのシャープな紫外線LEDと広帯域の波長成分を含むメタルハライド光源や高圧水銀灯光源を併用する方法が挙げられる。
支持基材の形状としては、特に限定されない。例えば、平板状の基材であれば、スピンコート法、キャスト法、インクジェット法等により基材の一主面上に被転写材料を成膜して被転写材料にモールドを貼合及び押圧することができる。この場合、モールドとしては、平板状モールドや、フィルム(リール)状モールドを用いることができ、転写精度の観点からフィルム(リール)状モールドであること好ましい。一方、支持基材がガラスフィルムや樹脂フィルムに代表されるフィルム(リール)状である場合、ロール・ツー・ロールプロセスを適用できるため、生産性が向上する。
例えば、被転写材が無機前駆体の場合、支持基材と表面に凹凸構造を有するモールドの凹凸構造との間に被転写材を狭持し、熱や光により被転写材を硬化させた後、モールドを剥離することで凹凸構造を形成可能である。特に、モールドを剥離した後に、加熱処理を行うことで、被転写材料の硬化を促進することができるため好ましい。更に、被転写材が無機前駆体中に光重合性官能基や光酸発生剤が含まれる場合、支持基材と表面に凹凸構造を有するモールドの凹凸構造との間に被転写材を狭持し、モールド側又は基材側から光を照射することで、被転写材の硬化速度を速めることが可能となり、転写精度及びスループット性を向上させることができる。このような無機前駆体を使用する場合、モールドとしては樹脂モールドを使用すると好ましい。これは、無機前駆体の硬化反応中に発生する成分を、樹脂モールドが吸収又は樹脂モールドを透過させ除去できるためである。例えば、光硬化性樹脂の硬化物から構成される樹脂モールドやポリジメチルシロキサン(PDMS)から構成される樹脂モールドを好適に使用できる。光硬化性樹脂としてはウレタン系樹脂を含むと好ましい。
なお、(i)凹凸構造層形成工程の前に、支持基材の一主面上に接着層を形成する工程又は支持基材の一主面を親水化する工程を実施することが好ましい。これらの工程を実施することにより、上記被転写材の支持基材への密着性が向上し、それにより転写精度を向上させることが可能となる。
接着層としては、支持基材及び被転写材の双方に密着性があれば限定されず、数nm以上の薄膜から数nm以下の分子層まで採用できる。例えば、末端官能基変性のシランカップリング材蒸気に晒す方法や、末端官能基変性シランカップリング溶液に浸漬又はスピンコートすることにより単分子層膜を形成する方法等により、接着層を形成することができる。特に、接着層の厚さが数nm以上ある場合、接着層の材質は光学的に透明であると好ましい。単分子層に近い数nm以下の場合、接着層による光吸収や多重反射の効果は非常に小さくなるため、この場合の特性は特に限定されないが、光学的に透明であると好ましい。
なお、(i)凹凸構造層形成工程の後((ii)光抽出層形成工程の前)に凹凸構造を安定化させる工程を加えてもよい。ここで安定化とは、凹凸構造中に残る未反応の部位を減少させること、又は、凹凸構造層中に含まれる水分を除去することを意味する。前者の場合、被転写材の特性により安定化方法は適宜選択できるが、例えば、加熱処理やエネルギー線照射処理が挙げられる。加熱処理の温度としては、40℃〜300℃の範囲で適宜選択できる。また、エネルギー線照射処理の場合は、上記説明したエネルギー線を使用できる。なお、エネルギー線により安定化をはかる場合、減圧下や不活性ガス雰囲気下といった酸素の少ない環境下にて行うと、安定化の効果が大きくなるため好ましい。
(ii)光抽出層形成工程
光抽出層102の塗工方法としては、特に限定されず、上述のように、グラビアコート法等を用いることができる。塗工における光抽出層材料の希釈溶液の塗工膜厚(hc)と、光抽出層材料の希釈溶液の体積濃度(C)と、単位面積(Sc)の領域下に存在する凹凸構造の凹部体積(Vc)とが、Sc・hc・C<Vcを満たす塗工条件を設定し、塗工後に余剰な溶剤を除去することで光抽出層102を配置可能となる。溶剤除去方法は、特に限定されず加熱処理、減圧(真空)処理やこれらの組み合わせによる処理が挙げられる。特に、凹凸構造層101の凹部101c内部にのみ光抽出層102を配置する場合は、凹凸構造層101の表面を疎水性にし、且つ、開口率を65%以上に設定すると配置精度が向上する。ここで疎水性とは、凹凸構造層101の表面上における水の接触角が90度より大きい状態と定義する。更に、光抽出層材料の原料溶液の希釈溶剤を水系(親水系)溶剤にすることで、凹凸構造層101の凹凸構造101aの凹部101cの内部にのみ光抽出層102を配置する場合の、配置精度が向上する。
加熱処理の場合の温度及び時間は、特に限定はされず、光抽出層材料の希釈溶液を作製する際に使用する溶剤の蒸気圧や沸点等、及び塗工膜厚(hc)により適宜設定できる。加熱処理の条件としては、概ね、温度20℃〜300℃、時間30秒〜1時間の範囲であると、光抽出層102の配置精度が高まるため好ましい。また、使用溶剤の沸点をTsとした時に、温度(T)がT<Tsを満たす溶剤除去工程(1)を含むと、光抽出層102の配置精度がより向上するため好ましく、T<Ts/2を満たすことがより好ましい。更に、溶剤除去工程(1)の後に、T≒Tsを満たす溶剤除去工程(2)を含むと、上記効果をいっそう発揮できるため好ましい。なお、T≒Tsは、概ね、T=Ts±20%である。
例えば、支持基材として平板状基材を使用した場合であれば、スピンコート法、キャスト法、インクジェット法等により凹凸構造層101の凹凸構造面上に光抽出層材料の希釈溶液を成膜し、余剰な溶剤を除去する工程を経ることができる。特に、スピンコート法の場合は低蒸気圧溶剤を使用することが好ましい。一方、支持基材がガラスフィルムや樹脂フィルムに代表されるフィルム(リール)状である場合、ロール・ツー・ロールプロセスを適用できるため、生産性が向上する。なお、(ii)光抽出層形成工程の前に、凹凸構造層101の凹凸構造面への処理を加えてもよい。処理としては、酸素プラズマ処理やUV−O処理等が挙げられる。
なお、(ii)光抽出層形成工程の後((iii)平坦化層形成工程の前)に安定化させる工程を加えてもよい。ここで安定化とは、凹凸構造層101及び光抽出層102に残る未反応の部位を減少させること、又は、凹凸構造層101及び光抽出層102中に含まれる水分を除去することを意味する。前者の場合、被転写材や光抽出層102の特性により適宜選択できるが、例えば、加熱処理やエネルギー線照射処理が挙げられる。加熱処理の温度としては、40℃〜300℃の範囲で適宜選択すると好ましく、エネルギー線照射処理の場合は上記説明したエネルギー線を使用できる。なお、エネルギー線により安定化をはかる場合、減圧下や不活性ガス雰囲気下といった酸素の少ない環境下にて行うと、安定化の効果が大きくなるため好ましい。
(iii)平坦化層形成工程
光抽出層102の配置された凹凸構造層101の凹凸構造面上に、希釈された平坦化層材料を塗工し、余分な溶剤を除去することで、凹凸構造層101及び光抽出層102の上部を覆う平坦化層103を形成することができる。塗工方法としては、上述のように、特に限定されず、グラビアコート法等を用いることができる。また、溶剤除去方法は、特に限定されず加熱処理、減圧(真空)処理やこれらの組み合わせによる処理が挙げられる。
加熱処理の場合の温度及び時間は、特に限定はされず、平坦化層材料の希釈溶液を作製する際に使用する溶剤の蒸気圧や沸点等、及び塗工膜厚により適宜設定できる。加熱処理の条件としては、平坦化層103の配置精度が高まる観点から、概ね温度20℃〜300℃、時間30秒〜1時間の範囲であることが好ましい。
また、使用溶剤の沸点をTsとしたときに、温度(T)がT<Tsを満たす溶剤除去工程(1)を含むと、平坦化層103の配置精度がより向上するため好ましく、T<Ts/2を満たすことがより好ましい。更に、溶剤除去工程(1)の後に、T≒Tsを満たす溶剤除去工程(2)を含むと、上記効果をいっそう発揮できるため好ましい。なお、T≒Tsは、概ね、T=Ts±20%である。例えば、光抽出体100をボトムエミッション型有機ELデバイスに適用する場合、平坦化層103の表面の面精度が要求されるため、使用する溶剤や加熱処理を適切に制御し、レべリング性を向上させると好ましい。その他にも、平坦化層103の露出する面を平坦化する方法として、平坦化層形成工程の後に、鏡面を表面に具備するウェハやリールを、平坦化層103の露出する面上に貼合及び押圧する方法が挙げられる。
例えば、支持基材として、平板状基材を使用した場合であれば、スピンコート法、キャスト法、インクジェット法等により光抽出層102が配置された凹凸構造層101の残りの表面ラフネス面上に平坦化層材料の希釈溶液を成膜し、余剰な溶剤を除去する工程を経ることができる。特に、スピンコート法の場合は低蒸気圧溶剤を使用することが好ましい。一方、支持基材がガラスフィルムや樹脂フィルムに代表されるフィルム(リール)状である場合、ロール・ツー・ロールプロセスを適用できるため、生産性が向上する。
なお、(iii)平坦化層形成工程の前に、光抽出層102の配置された凹凸構造層101のラフネス面への処理を加えてもよい。このような処理としては、酸素プラズマ処理やUV−O処理等が挙げられる。
なお、(iii)平坦化層形成工程の後に、鏡面を表面に具備するウェハやリールを、平坦化層103の露出する面上に貼合及び押圧する工程を経てもよい。この工程を経ることにより、平坦化層103の面精度を向上させることが可能となり、平坦化層103上に陽極(透明導電膜)10等を配置する際の配置精度や、有機ELデバイス1の信頼性が向上する。
また、(iii)平坦化層形成工程の後に安定化させる工程を加えてもよい。ここで安定化とは、凹凸構造層101、光抽出層102及び平坦化層103に残る未反応の部位を減少させること、又は、光抽出層102及び平坦化層103中に含まれる水分を除去することを意味する。前者の場合、被転写材、光抽出層102や平坦化層103の特性により適宜選択できるが、例えば、加熱処理やエネルギー線照射処理が挙げられる。加熱処理の温度としては、40℃〜300℃の範囲で適宜選択すると好ましく、エネルギー線照射処理の場合は、上記説明したエネルギー線を使用できる。なお、エネルギー線により安定化をはかる場合、減圧下や不活性ガス雰囲気下といった酸素の少ない環境下にて行うと、安定化の効果が大きくなるため好ましい。
平坦化の程度は、使用される有機ELデバイス1の特性に合わせて適宜選択することができる。例えば、短絡を抑制するという観点から、Ra≦10nmであることが好ましく、Ra≦5nmがより好ましく、Ra≦2nmが更に好ましく、最も好ましくはRa≦1nmである。なお、Raは原子間力顕微鏡(AFM)にて測定可能であり、Raを算出する際のAFM測定の範囲は、5μm×5μmとして測定される。透明誘電体層における光学基材と反対側の主面が平坦化されていることにより、有機ELデバイス1として使用した場合に、有機ELデバイス1の電流短絡を抑制でき、信頼性の向上につながる。
ここでRaとは、JIS B 0601:2001に記載されている算術平均粗さのことを言う。断面曲線の中心に線を引き、中心線によって得られた曲線上の総面積を長さLで割った値のことを言う。
本実施の形態に係る光抽出体100の別の製造方法においては、少なくとも下記(I)〜(III)の工程をこの順に含む製造方法により製造されることが好ましい。特に、凹凸構造層101の凸部101c上部にのみ光抽出層102を配置する場合に有益である。これにより、各構成要素の制御性が向上すると共に、製造時のスループットが向上する。
(I)リール状モールド形成工程
凹凸構造を表面に具備した円筒状マスターモールドの凹凸構造を、光転写法によりフィルム状基材表面へと連続的に転写し、凹凸構造を表面に具備したリール状モールドを得る工程
(II)光抽出層充填工程
リール状モールドの凹凸構造面に対し、光抽出層の希釈溶液を塗工し、余分な溶剤を除去し、リール状モールドの凹部内部に光抽出層を配置する工程
(III)光抽出層転写工程
光抽出層102が配置されたリール状モールドの凹凸構造面を、第4の屈折率(n4)を有する支持基材(図7中、104)の表面上に、第1の屈折率(n1)を有する凹凸構造層原料を介し貼合し、エネルギー線を照射した後に、リール状モールドを剥離し、積層体A[(第4の屈折率(n4)を有す支持基材)/(第1の屈折率(n1)を有する凹凸構造層101)/(凹凸構造層101の凸部101bの頂部上に設けられる第2の屈折率(n2)を有する光抽出層102)]を得る工程
(I)リール状モールド形成工程
リール状モールドの転写形成方法としては特に限定されないが、ロール・ツー・ロールで行うことが可能な光転写法を適用すると好ましい。光転写法としては例えば次の方法(連続プロセス)が挙げられる。
(I−1):フィルム状基材上に光硬化性樹脂組成物を塗布する工程(樹脂を塗工する工程)
(I−2):塗布した光硬化性樹脂組成物を、離型処理を施した円筒状マスターモールドに抱合せる工程(樹脂を鋳型に押圧する工程)
(I−3):フィルム状基材側から光照射を行い、光硬化性樹脂組成物を光ラジカル重合させ硬化物を得る工程(樹脂を光硬化させる工程)
(I−4):硬化物を円筒状マスターモールドから剥離し、マスターモールドのパタン形状の反転形状を具備した凹凸構造を得る工程(硬化物を鋳型から剥離する工程、リール状モールドG1を得る工程)
なお、(I−4)で得られたリール状モールドG1を鋳型として、リール状モールドG2を作製し、このリール状モールドG2を用いて(II)光抽出層充填工程以降を行ってもよい。このようなリール状モールドG2は、例えば以下の工程(I−5)〜(I−8)により製造できる。
(I−5):フィルム状基材上に光硬化性樹脂組成物を塗布する工程(樹脂を塗布する工程)
(I−6):塗布した光硬化性樹脂組成物をリール状モールドG1に抱合せ押圧する工程(樹脂を鋳型に押圧する工程)
(I−7):リール状モールドG1の基材側とリール状モールドG2の基材側の両方、又はいずれか一方から光照射を行い、光硬化性樹脂組成物を光ラジカル重合させ硬化物を得る工程(樹脂を光硬化させる工程)
(I−8):硬化物をリール状モールドG1から剥離し、円筒状マスターモールドのパターン形状と同様の形状を具備した凹凸構造を得る工程(硬化物から鋳型を剥離する工程、リール状モールドG2を得る工程)
工程(I−1),(I−5)における塗工方法としては、ローラーコート法、バーコート法、ダイコート法、グラビアコート法、マイクログラビアコート法、インクジェット法、噴霧コート法、エアーナイフコート法、フローコート法、カーテンコート法等が適用できる。
工程(I)で作製される凹凸構造中に、塗工改善構造を含んでもよい。塗工改善構造は、所望の光抽出層102を作製するための基本構造を挟みこむように配置されており、塗工改善構造のピッチは、基本構造よりも大きいことが好ましい。特に、塗工改善構造中のピッチが、基本構造側から、フィルム端部へと、徐々に大きくなることが好ましい。
工程(I−3),(I−7)における光照射は、上述の(i)凹凸構造層形成工程で説明したのと同様に行うことができる。
リール状モールドG1からリール状モールドG2を製造する要領で、リール状モールドG2からリール状モールドG3を、リール状モールドG3からリール状モールドG4を製造することができる。即ち、リール状モールドGNからリール状モールド(GN+1)を作製し、モールド(GN+1)を上記説明したリール状モールド(G1)に見立て、(2)光抽出層充填工程以降を行ってもよい。
なお、リール状モールド(GN)のパターンが光硬化性樹脂(GN)から構成されており、且つ、リール状モールド(GN+1)のパターンも光硬化性樹脂(GN+1)から構成される場合は、光硬化性樹脂(GN,GN+1)共に、フッ素含有光硬化性樹脂であると好ましい。フッ素含有光硬化性樹脂であることにより、光硬化性樹脂(GN)のパターン部表面へとフッ素成分を偏析させることができる。これにより、リール状モールド(GN)は、パターン部の離型性を具備し、且つ、支持基材との密着性も担保することができるため、良好にリール状モールド(GN+1)を得ることができる。このようなリール状モールド(GN)又はリール状モールド(GN+1)は、表面部のフッ素元素濃度(Es)が、パターンを構成する樹脂中の平均フッ素元素濃度(Eb)よりも大きいと好ましい。
リール状モールド(GN)及び/又はリール状モールド(GN+1)を構成する樹脂層中の平均フッ素元素濃度(Eb)とリール状モールド(GN)及び/又はリール状モールド(N+1)を構成する樹脂層の微細パターン表面部のフッ素元素濃度(Es)との比(Es/Eb)が1<Es/Eb≦30000を満たすことで、上記効果をより発揮するためより好ましい。特に、3≦Es/Eb≦1500、10≦Es/Eb≦100の範囲となるにしたがって、より離型性が向上するため好ましい。
なお、上記する最も広い範囲(1<Es/Eb≦30000)の中にあって、20≦Es/Eb≦200の範囲であれば、リール状モールド(GN)及び/又はリール状モールド(GN+1)を構成する樹脂層表面部のフッ素元素濃度(Es)が、樹脂層中の平均フッ素濃度(Eb)より十分高くなり、リール状モールド(GN)及び/又はリール状モールド(GN+1)表面の自由エネルギーが効果的に減少するので、転写材樹脂や、光抽出層及び凹凸構造層との離型性が向上する。また、リール状モールド(GN)及び/又はリール状モールド(GN+1)を構成する樹脂層中の平均フッ素元素濃度(Eb)をリール状モールド(GN)及び/又はリール状モールド(GN+1)を構成する樹脂層表面部のフッ素元素濃度(Es)に対して相対的に低くすることにより、樹脂自体の強度が向上すると共に、支持基材付近では、自由エネルギーを高く保つことができるので、支持基材との密着性が向上する。これにより、支持基材との密着性に優れ、第1の屈折率(n1)を有する凹凸構造層101及び第2の屈折率(n2)を有する光抽出層102との離型性に優れ、しかも、ナノメートルサイズの凹凸形状を樹脂から樹脂へ繰り返し転写できるリール状モールド(GN)及び/又はリール状モールド(GN+1)を得ることができるので特に好ましい。また、26≦Es/Eb≦189の範囲であれば、リール状モールド(GN)及び/又はリール状モールド(GN+1)を構成する樹脂層表面の自由エネルギーをより低くすることができ、繰り返し転写性が良好になるため好ましい。更に、30≦Es/Eb≦160の範囲であれば、リール状モールド(GN)及び/又はリール状モールド(GN+1)を構成する樹脂層表面の自由エネルギーを減少させると共に、樹脂の強度を維持することができ、繰り返し転写性がより向上するため好ましく、31≦Es/Eb≦155であればより好ましい。46≦Es/Eb≦155であれば、上記効果をよりいっそう発現できるため好ましい。
リール状モールド(GN)及び/又はリール状モールド(GN+1)を構成する樹脂層のパターン面側領域とは、例えば、リール状モールド(GN)及び/又はリール状モールド(GN+1)を構成する樹脂層のパターン面側表面から、基材側に向かって、略1〜10%厚み方向に侵入した部分、又は厚み方向に2nm〜20nm侵入した部分を意味する。なお、リール状モールド(GN)及び/又はリール状モールド(GN+1)を構成する樹脂層のパターン面側領域のフッ素元素濃度(Es)は、XPS法により定量できる。XPS法のX線の浸入長は数nmと浅いため、Es値を定量する上で適している。他の解析方法として、透過型電子顕微鏡を使ったエネルギー分散型X線分光法(TEM―EDX)を用い、Es/Ebを算出することもできる。また、リール状モールド(GN)及び/又はリール状モールド(GN+1)を構成する樹脂層を構成する樹脂中の平均フッ素濃度(Eb)は、仕込み量から計算することができる。又は、ガスクロマトグラフ質量分析計(GC/MS)で測定することができる。例えば、リール状モールド(GN)及び/又はリール状モールド(GN+1)を構成する樹脂層を物理的に剥離してガスクロマトグラフ質量分析にかけることで、平均フッ素元素濃度を同定することができる。一方、リール状モールド(GN)及び/又はリール状モールド(GN+1)を構成する樹脂層を物理的に剥離した切片を、フラスコ燃焼法にて分解し、続いてイオンクロマトグラフ分析にかけることでも、樹脂中の平均フッ素元素濃度(Eb)を同定することができる。
なお、上記説明したEs/Ebの範囲をみたし効果を発揮する観点から、光硬化性樹脂組成物は、光重合性アクリルモノマー、フッ素含有(メタ)アクリレート及び光重合開始材を少なくとも含むと好ましい。フッ素含有(メタ)アクリレートは、下記化学式(1)で示されるフッ素含有ウレタン(メタ)アクリレートであると、樹脂中の平均フッ素元素濃度(Eb)を低くした状態で、効果的に樹脂層表面部のフッ素元素濃度(Es)を高くでき、支持基材への接着性と離型性をいっそう効果的に発現できるため、より好ましい。このようなウレタン(メタ)アクリレートとしては、例えば、ダイキン工業社製の「オプツールDAC」を用いることができる。
Figure 2014229558
Figure 2014229558
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(II)光抽出層充填工程
上述の(ii)光抽出層充填工程と同様に行うことができる。
(III)光抽出層転写工程
支持基材がフィルム状基材である場合は、支持基材の一主面上に第1の屈折率(n1)を有する凹凸構造層101の原料を塗工し、光抽出層102の配置されたフィルム状モールドの光抽出層面側と前記原料とを貼合すると共に、エネルギー線を照射し、続いて、フィルム状モールドを剥離することにより、上述の積層体Aを連続的に製造することができる。
塗工方法としては、特に限定されず、グラビアコート法、マイクログラビアコート法、ブレードコート法、ワイヤーバーコート法、エアーナイフコート法、ディップコート法、コンマナイフコート法、スプレーコート法、カーテンコート、インクジェット法、ダイコート法等を用いることができる。
支持基材が平板状基材の場合は、基材の一主面上に第1の屈折率(n1)を有する凹凸構造層101の原料を塗工し、光抽出層102の配置されたフィルム状モールドの光抽出層面側と前記原料とを半導体マウンターの原理の要領で貼合すると共に、エネルギー線を照射し、続いて、フィルム状モールドを剥離することにより、上述の積層体Aを連続的に製造することができる。
塗工方法としては、特に限定されず、スピンコート法、インクジェット法等を用いることができる。
支持基材の一主面上に塗工する第1の屈折率(n1)を有する凹凸構造層101の原料が溶剤を含む場合は、貼合前に溶剤を除去してもよい。この場合、加熱処理が挙げらえる。温度及び時間は、特に限定はされず、溶剤の蒸気圧や沸点等、及び塗工膜厚により適宜設定できる。加熱処理の条件としては、概ね、温度20℃〜300℃、時間30秒〜1時間の範囲であると、第1の屈折率(n1)を有する凹凸構造層101の転写形成精度が高まるため好ましい。また、使用溶剤の沸点をTsとした時に、温度(T)がT<Tsを満たす溶剤除去工程(1)を含むと、塗工精度が向上するため好ましく、T<Ts/2を満たすことがより好ましい。更に、溶剤除去工程(1)の後に、T≒Tsを満たす溶剤除去工程(2)を含むと、上記効果をいっそう発揮できるため好ましい。なお、T≒Tsは、概ね、T=Ts±20%である。
照射する光の種類は特に限定されず、被転写材の特性に応じて適宜選択できる。照射する光の種類としては、例えば、UV,IR,X線等が挙げられる。UVの場合、その光源としては、UV−LED光源、メタルハライド光源、高圧水銀灯光源等を用いることができる。また、積算光量は、転写精度が向上する観点から、500mJ/cm〜3000mJ/cmの範囲であることが好ましく、800mJ/cm〜2500mJ/cmであることがより好ましい。なお、光を照射する場合は、二酸化炭素やペンタフルオロプロパンガスに代表される圧縮性ガス環境下や、窒素やアルゴンガス環境下や減圧(真空)下で行ってもよい。
上述の(III)光抽出層転写工程の前に、支持基材に前処理を施すことが好ましい。前処理としては、上述の(i)凹凸構造形成工程で説明したのと同様に、接着層の形成及び親水化が挙げられる。
また、上述の(III)光抽出層転写工程の後に、光抽出層102及び凹凸構造層101を覆うように第3の屈折率(n3)を有する平坦化層1031を形成する(IV)平坦化層形成工程を経ることで、光抽出体100を製造することができる。平坦化層形成工程は、上述の(iii)平坦化形成工程と同様に行うことができる。
なお、(IV)平坦化層形成工程の前に、光抽出層102が配置された凹凸構造層101のラフネス面への処理を加えてもよい。このような処理としては、酸素プラズマ処理やUV−O処理等が挙げられる。
なお、(IV)平坦化層形成工程の後に、鏡面を表面に具備するウェハやリールを、平坦化層103の露出する面上に貼合及び押圧する工程を経てもよい。この工程を経ることにより、平坦化層103の面精度を向上させることが可能となり、平坦化層103上に陽極(透明導電膜)10等を配置する際の配置精度や、有機ELデバイス1の信頼性が向上する。特に、連続的に平坦な面を有す平坦化層103を得る観点から、平坦化層材料が光重合性物質であり、鏡面を表面に具備するウェハやリールを、平坦化層103の露出する面上に貼合及び押圧した状態で光照射を行い、平坦化層103を硬化させ、続いて、鏡面体を剥離する方法が好ましい。
なお、(IV)平坦化層形成工程の後に、上述の(iii)平坦化層形成工程と同様に、安定化させる工程を加えてもよい。また、平坦化層形成後に、吸水性の低い材料からなる薄膜を平坦化層103上に更に成膜してもよい。このような新たに設ける層の屈折率は、平坦化層の屈折率(n3)と実質的に同等か等しいと好ましい。このような材料として、例えば、金属アルコキシドに代表されるゾルゲル材料は、スピンオングラス、及び、水素シルセスキオキサンが挙げられる。
<光抽出体を用いた有機ELデバイス>
次に、上記光抽出体100を用いた有機ELデバイス1について説明する。有機ELデバイス1の光取り出し方式としては、トップエミッション方式(以下、「トップエミッション型有機ELデバイス」という)とボトムエミッション方式(以下、「ボトムエミッション型有機ELデバイス」という)とがある。トップエミッション型有機ELデバイスは、上記光抽出体100の平坦化層103を陽極面上に貼合することで、光取り出しの向上した有機ELデバイス1を得ることができる。ここで、有機ELデバイス1の陽極面としては、ITOに代表される透明導電膜面が挙げられる。上述した平均距離Lorの範囲を満たせば、効果を発揮できるため、平坦化層103の平坦性は高い程好ましいが、特に限定されない。また、貼合して使用するため、有機ELデバイス1の陽極面と平坦化層103の密着性が高いことが好ましい。例えば、平坦化層材料が少なくとも、バインダー樹脂、反応性希釈材及び開始材を含むことで熱により圧着(貼合及び接着)することが可能となる。圧着後に、光や熱を加え開始材をアクティブにし、反応性希釈材料を反応させることにより、強固に接着することができる。
ボトムエミッション方式の場合、光抽出体100の平坦化層103上に少なくとも陽極(透明導電層)10と発光層12とをこの順に設けることにより、光取り出し効率の改善された有機ELデバイス1を製造することができる。この場合、有機ELデバイス1の短絡を抑制して有機ELデバイス1の信頼性を向上させるために、陽極10の有機ELデバイス1の積層方向に対する膜厚分布を小さくする必要がある。そのため、光抽出体100の平坦化層103の表面は平滑な程好ましい。例えば、原子間力顕微鏡により求められるRa(5μm×5μm)を用いると、Raは0nmに近い程好ましいが、概ねRa≦10nm以下が好ましく、Ra≦5nm以下がより好ましく、Ra≦2.5nm以下が最も好ましい。即ち、ボトムエミッション型有機ELデバイスに、上記光抽出体100を適用する場合には、平坦化層103の表面の平坦度を制御するために、平坦化層形成工程における溶剤乾燥時のレべリング制御や、平坦化層形成工程の後に、鏡面を表面に具備するウェハやリールを、平坦化層103の表面上に貼合及び押圧する工程等を経ると好ましい。
光抽出体100の支持基材104の種類としては、特に限定されないが、光学的に透明な可撓性基材や光学的に透明な無機基材であることが好ましく、更にガラスに代表される水蒸気バリア性やガスバリア性を有す基材であるとより好ましい。上述したトップエミッション型有機ELデバイスの製造に光抽出体100を用いる場合、支持基材104としては、可撓性基材であると光抽出体100の貼合性が向上する。更に、可撓性基材を使用することで、光抽出体100の連続生産性が向上する。可撓性基材の材質は特に限定されないが、耐熱環境で使用する場合は、ガラス(ガラスフィルム)や透明ポリイミド等が挙げられ、それ以外の場合は、光学的に透明な樹脂フィルム、例えば、PET、TAC、PEN及びCOPが挙げられる。なお、有機ELデバイス1の長期信頼性を向上させるために、支持基材104としてガラス板やガラスフィルム、又は、ガラスフィルムと樹脂フィルムとの積層体を使用することもできる。
一方、ボトムエミッション型有機ELデバイスに適用する場合は、光学的に透明な無機基材や耐熱性基材であると、光抽出体100の平坦化層103の表面上への陽極(透明導電膜)103の配置が容易になる。その材質は特に限定されないが、例えば、ガラス、石英、水晶、サファイア及び透明ポリイミドが挙げられる。特に、連続生産性と長期信頼性の観点から、支持基材104としてガラス板やガラスフィルム、又は、ガラスフィルムと樹脂フィルムとの積層体を使用することもできる。
なお、上記「光学的に透明」とは、消衰係数(屈折率の虚数部)が0の場合と定義する。複素屈折率をNとした時にN=n−ikと表現できる。ここで、iは虚数でありi2=−1を意味する。この時、nを屈折率(の実数部)、kを消衰係数(屈折率の虚数部)と称す。即ち、k=0の媒質を光学的に透明な媒質として定義する。なお、kは光の媒質への吸収を表す指標であり、吸収係数αとα=4πk/λの関係を満たす。λは波長である。即ち、k=0であれば吸収係数は0となり、光の吸収が生じない媒質となる。ここで、k=0の場合とは、kが0.01以下の場合と定義する。この範囲を満たすことで、光学的な透明性が向上するため好ましい。
以下、本発明の効果を明確にするために行った実施例について説明する。なお、本発明は、以下の実施例によって何ら制限されるものではない。
(円筒状モールドの作製)
円筒状モールドの基材としては、直径80mm、長さ50mmの円筒型の石英ガラスロールを用いた。この石英ガラスロール表面にレジスト層を成膜し、このレジスト層の表面に、半導体パルスレーザを用いた直接描画リソグラフィ法により凹凸構造を形成した。凹凸構造の種類は複数作製した。
まず、石英ガラスロールの表面に、スパッタリング法によりレジスト層を20nm成膜した。スパッタリング法は、ターゲット(レジスト層)として、CuO(8atm%Si含有)を用いて、RF100Wの電力で実施した。次に、レジスト層が成膜された石英ガラスロールを線速度s=1.0m/secで回転させながら、以下の条件で露光した。
露光用半導体レーザ波長:405nm
露光レーザパワー:3.5mW
X軸方向ピッチ(Px):606nm
X軸方向ピッチ(Px)に対する変動幅δ2:61nm
Y軸方向ピッチ(Py):700nm
Y軸方向ピッチ(Py)に対する変動幅δ1:70nm
Y軸方向ピッチ(Py)は次のように決定される。スピンドルモーターのZ相信号を基準に、1周に要する時間Tが測定され、線速度sから周長Lが計算され、下記式(A)が得られる。
式(A)
L=T×s
目標ピッチを(Py)として、L/(Py)が整数になるように目標ピッチ(Py)の0.1%以下の値を足して調整し、実効ピッチ(Py)’を下記式(B)によって得る。
式(B)
L/(Py)’=m (mは整数)
目標ピッチ(Py)と実効ピッチ(Py)’とは、厳密には(Py)≠(Py)’であるが、L/(Py)≒107であるので、(Py)/(Py)’≒10−7となり、実質的に等しいものとして扱うことができる。同様に、長周期(Py)Lも、L/(Py)Lが整数になるように実効長周期(Py)L’を下記式(C)によって得る。
式(C)
L/(Py)L’=n (nは整数)
この場合も、厳密には(Py)L≠(Py)L’であるが、L/(Py)L≒105であるので、(Py)L/(Py)L’≒10−5となり、実質的に等しいものとして扱うことができる。
次に、実効ピッチ(Py)’から、下記式(D),下記式(E)により、基準パルス周波数fy0、変調周波数fyLが算出される。
式(D)
fy0=s/(Py)’
式(E)
fyL=s/(Py)L’
最後に、上記式(D)、上記式(E)から、スピンドルモーターのZ相信号からの経過時間tにおけるパルス周波数fyが、下記式(F)のように決定される。
式(F)
fy=fy0+δ1×sin(t×(fyL/fy0)×2π)
X軸方向の軸送り速度は次のように決定される。スピンドルモーターのZ相信号を基準に、1周に要する時間Tが測定され、X軸方向ピッチ(Px)から、軸方向の基準送り速度Vx0が下記式(G)のように決定される。
式(G)
Vx0=(Px)/T
X軸方向の長周期(Px)Lから、時刻tにおける軸送り速度Vxを下記式(H)で決定し、スキャンする。
式(H)
Vx=Vx0+Vδ2・sin((Px)/(Px)L×t×2π)
ここで、Vδ2は、x軸方向の長周期(Px)Lにおける速度変動幅であり、長周期(Px)Lのピッチ変動幅δ2,(Px)L,Vx0により、下記式(I)で示される。
式(I)
Vδ2=δ2×Vx0/(Px)L
上記操作により露光した後に、レジスト層を現像した。レジスト層の現像は、0.03wt%のグリシン水溶液を用いて、処理時間240秒の条件で実施した。次に、現像したレジスト層をマスクとし、ドライエッチングにより石英ガラスのエッチングを行った。ドライエッチングは、エッチングガスとしてSFを用い、処理ガス圧1Pa、処理電力300W、処理時間5分の条件で実施した。次に、表面に凹凸構造が付与された石英ガラスロールをpH1の塩酸で6分間処理することにより、残渣のレジスト層のみを剥離して円筒状モールド(転写用モールド)を作製した。
(リール状モールドG1の作製)
得られた円筒状モールドに対し、デュラサーフHD−1101Z(ダイキン化学工業社製)を塗布し、60℃で1時間加熱後、室温で24時間静置、固定化した。その後、デュラサーフHD−ZV(ダイキン化学工業社製)で3回洗浄し、離型処理を施した。
次に、フッ素系添加材(ダイキン工業社製 OPTOOL DAC HP)、トリメチロールプロパン(EO変性)トリアクリレート(東亞合成社製 M350)、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(BASF社製 Irgacure(登録商標) 184)及び2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1(BASF社製 Irgacure(登録商標) 369)を重量部で15:100:5.5:2.0の割合で混合して光硬化性樹脂を調製した。次に、この光硬化性樹脂をPETフィルム(A4100、東洋紡社製:幅300mm、厚さ100μm)の易接着面にマイクログラビアコーティング(廉井精機社製)により、塗布膜厚6μmになるように塗布した。
次いで、円筒状モールドに対し、光硬化性樹脂を塗布したPETフィルムをニップロール(0.1MPa)で押し付け、大気下、温度25℃、湿度60%で、ランプ中心下での積算露光量が1000mJ/cmとなるように、UV露光装置(フュージョンUVシステムズ・ジャパン社製、Hバルブ)を用いて紫外線を照射して連続的に光硬化を実施して、表面に凹凸構造が反転転写されたリール状モールドG1を得た。このリール状モールドG1は、長さ200m、幅300mmであった。
リール状モールドG1を下記走査型電子顕微鏡で観察したところ、断面形状がφ450nm、h700nmの凸部が次の構造で形成されていた。
X軸方向ピッチ(Px):606nm
X軸方向ピッチ(Px)に対する変動幅δ2:108nm
Y軸方向ピッチ(Py):700nm
Y軸方向ピッチ(Py)に対する変動幅δ1:125nm
(走査型電子顕微鏡)
装置;HITACHI s−5500
加速電圧;10kV
MODE;Normal
(リール状モールドG2の作製)
次に、PETフィルム(A4100、東洋紡社製:幅300mm、厚さ100μm)の易接着面に、上記光硬化性樹脂をマイクログラビアコーティング(廉井精機社製)により、塗布膜厚2μmになるように塗布した。
次に、上記リール状モールドG1に、光硬化性樹脂を塗布したPETフィルムをニップロール(0.1MPa)で押し付け、大気下、温度25℃、湿度60%で、ランプ中心下での積算露光量が1000mJ/cmとなるように、UV露光装置(フュージョンUVシステムズ・ジャパン社製、Hバルブ)を用いて紫外線を照射して連続的に光硬化を実施して、表面に凹凸構造が反転転写されたリール状モールドG2を得た。このリール状モールドG2は、長さ200mm、幅300mmであった。
リール状モールドG2を下記走査型電子顕微鏡で観察したところ、断面形状がφ450nm、凹部深さhが700nmの凹部が形成されていた。
X軸方向ピッチ(Px):606nm
X軸方向ピッチ(Px)に対する変動幅δ2:61nm
Y軸方向ピッチ(Py):700nm
Y軸方向ピッチ(Py)に対する変動幅δ1:70nm
(走査型電子顕微鏡)
装置;HITACHI s−5500
加速電圧;10kV
MODE;Normal
なお、得られたリール状モールドG1及びリール状モールドG2の凹凸構造面に対し下記のXPS測定を行い、表層フッ素元素濃度Esを求め、凹凸構造層を構成する樹脂中の平均フッ素元素濃度Ebにて割り返すことで、Es/Ebを算出したところ、構造により値は変動したが、概ね、40〜80の間であった。
[フッ素元素濃度測定]
リール状樹脂モールドを約2mm四方の小片として切り出し、1mm×2mmのスロット型のマスクを被せて下記条件でXPS測定に供した。
XPS測定条件
使用機器 ;サーモフィッシャーESCALAB250
励起源 ;mono.AlKα 15kV×10mA
分析サイズ;約1mm(形状は楕円)
取込領域
Survey scan;0〜1, 100eV
Narrow scan;F 1s,C 1s,O 1s,N 1s
Pass energy
Survey scan; 100eV
Narrow scan; 20eV
<実施例1>
(凹凸構造層の作製)
上記リール状モールドG1を、50cmの長さに切り出した。次に、幅300mm、長さ600mmのガラスフィルム(屈折率1.52)上に、プロピレングリコールモノメチルエーテルにて希釈した下記材料(1)をバーコーティング法により塗工した。なお、ガラスフィルムの主面上は、アクリロキシ末端のシランカップリング材(3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン)にて、予め処理したものを使用した。塗工膜厚は溶剤揮発後の固形分膜厚が800nmになるように設定した。塗工後、室温下にて2分間静置し、切り出したリール状モールドG1の凹凸構造形成面側を、ガラス板の下記材料(1)を塗工した面に0.01Mpaの圧力下で貼合した。続いて、リール状モールドG1側から積算光量1000mJ/cmのUV光を照射し、105℃で2分加熱後に、リール状モールドG1を剥離した。剥離後、得られた凹凸構造層/基材から構成される積層体を、200℃で30分間真空下にて加熱した。
材料(1)…3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越シリコーン社製、KM−5103):トリシクロデカンジメチルジアクリレート:フッ素系添加材(ダイキン工業社製 OPTOOL DAC HP)=20g:80g:5gを混合し、80℃の雰囲気下にて部分的に重縮合を行った材料100重量部に、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(BASF社製 Irgacure(登録商標) 184)を2重量部添加した材料。
(光抽出層の形成)
凹凸構造層/基材から構成される積層体の凹凸構造層の凹凸構造上に、下記材料(2)をプロピレングリコールモノメチルエーテルにて希釈し、バーコート法にて塗工した。ここでは、単位面積下の凹凸構造の体積が、単位面積当たりの固形分量よりも大きくなるように設定した。塗工後、25℃、湿度50%の環境下にて3分間静置し、更に80℃で60秒加熱した。その後、真空下、200℃の雰囲気中で30分間加熱処理した。本操作にて得られた積層体は、基材、第1の屈折率(n1)を有する凹凸構造層及び第2の屈折率(n2)を有する光抽出層から構成される。
材料(2)…テトラ−n−ブトキシジルコニウム:テトラエトキシシラン=90g:10gで混合し、25℃、湿度50%の環境下で撹拌した。続いて、3.25%にエタノールで希釈した水を滴下し加水分解を促進した。その後、80℃の雰囲気中にて重縮合を促進し、最後に真空引きすることで余剰なアルコールを除去した材料。
(平坦化層の形成)
4インチφのシリコンウェハ表面をUV−Oにて15分間処理した。次に、Durasurf 1101Zをスピンコート製膜し、25度、湿度50%の雰囲気中で12時間静置した。その後、Durasurf HD−ZV溶液を用い、スピンコート洗浄を3回行った。
光抽出層が形成された凹凸構造層/基材の積層体の光抽出層上に、プロピレングリコールモノメチルエーテル及びメチルイソブチルケトンにて希釈した上記材料(1)をバーコート法にて塗工した。塗工後、室温(25℃)にて1分間静置し、その後80℃にて30秒加熱した。
次に、上記材料(1)の塗工された面上に、表面処理されたシリコンウェハの処理面を配置し、0.01Mpaの圧力で押圧すると共に、基材面側からUV光を積算光量1000mJ/cmになるように照射した。UV照射後、シリコンウェハを除去し、積層体を得た。
平坦化層の表面精度は、原子間力顕微鏡により5μm×5μmの範囲を測定したところ、いずれの試料に対してもRaとして5nm以下であった。実施例1で作製した光抽出体の構成を下記表1に示す
<比較例1>
凹凸構造層、光抽出層及び平坦化層を設けずに基材のみを光抽出体として使用した。その構成を下記表1に示す。
Figure 2014229558
<有機ELデバイスの作製>
実施例1及び比較例1に係る光抽出体を用いて下記の条件で有機ELデバイスを作製し、作製した有機ELデバイスについて評価した。
(ボトムエミッション型有機ELデバイス)
光抽出体の平坦化層面上に、陽極、ホール輸送層、電子輸送層、陰極の順に積層してボトムエミッション型有機ELデバイスを作製した。各層の材料、膜厚、及び成膜方法を以下に示す。
(1)陽極:ITO 130nm スパッタリング
(2)ホール輸送層:N,N’−diphenyl−N,N’−bis(1−naphtyl)−(1,1’−biphenyl)−(4,4’−diamine)(NPB) 60nm 真空蒸着
(3)電子輸送層:Tris−(8−hydroxyquinoline)aluminum(Alq3) 40nm 真空蒸着
(4)陰極:Al 100nm 真空蒸着
下記表2に、実施例1及び比較例1の有機ELデバイスの寿命を測定した結果を示す。表2中、LT50とは、輝度が点灯初期から半分になった時の時間をいい、LT50比とは、比較例1の値を基準とし、相対輝度のことである。電流密度50mA/cmで駆動した時の評価である。
Figure 2014229558
表2から明らかなように、比較例1(光抽出層なし)に比べ、実施例1(光抽出層あり)は1.3倍寿命が改善した。
(光学フィルム)
φ29〜35の半球レンズフィルムを使用した。光学フィルムの半球レンズの反対側に粘着シートを貼り付け、出光面のガラスに貼り合わせた。
半球レンズフィルムは、次のように作製をした。表面に凹部が形成されたマイクロレンズ用成形型(以下、金型と記す)に、未硬化のUV硬化性樹脂を流し込み、そこにPETフィルムを押し当てた。このときにPETフィルムと未硬化のUV硬化性樹脂とは接触をさせた。次にUVを照射してUV硬化性樹脂を硬化させた。その後、金型からPETフィルムを剥がして、半球レンズフィルムを得た。
図29及び図30は、本発明の有機ELデバイスの実施例、比較例及び参考例の結果を示すグラフである。図29は、量測角度と標準輝度との関係を示す。また、図30は、量測角度とuv色度変化との関係とを示す。図29及び図30には、参考例1として光学フィルムを貼っていないことを除き実施例1と同様の構成からなる有機ELデバイス、及び、参考例2として光学フィルムを貼っていないことを除き比較例1と同様の構成からなる有機ELデバイスの結果を併せて示す。
ここで、標準輝度とは、量測角度を0度〜70度まで測定した際に、1番輝度が高い位置を1とし、その他の値を1番高い値で換算したものである。
図29及び図30から明らかなように、実施例1と比較例1を比較すると、カラーシフトにおいて実施例1は低い値を示している。また、30度以降高い角度において有効である。これは実施例1で用いた光抽出体と光学フィルムの相互作用により、カラーシフトが改善されていると考えられる。
なお、本発明は上記実施の形態に限定されず、種々変更して実施することが可能である。上記実施の形態において、添付図面に図示されている大きさや形状等については、これに限定されず、本発明の効果を発揮する範囲内で適宜変更することが可能である。
本発明は、例えば、液晶ディスプレイや照明に利用される有機ELデバイスに適用することができる。
1 有機ELデバイス
10 陽極
11 陰極
12 発光層
15 光学フィルム
100 光抽出体
101,110,120 凹凸構造層
102 光抽出層
103 平坦化層
13,14,104 支持基材
130,140,150 ドット

Claims (12)

  1. 一対の陽極及び陰極と、前記陽極及び前記陰極との間に配置された少なくとも一層の有機層を含む発光層と、前記陽極の前記発光層とは反対側に配置された光抽出体と、前記光抽出体の前記発光層とは反対側に配置された光学フィルムと、を具備し、
    前記光抽出体は、一主面に、互いに独立した複数の凸部又は凹部と、前記複数の凸部又は凹部の間をつなぐ連続した凹部又は凸部と、を含む凹凸構造を備え、第1の屈折率(n1)を有する凹凸構造層と、前記凹凸構造の少なくとも一部上に設けられ、第2の屈折率(n2)を有する光抽出層と、前記凹凸構造層及び前記光抽出層を覆うようにして設けられ、第3の屈折率(n3)を有する平坦化層と、を含み、
    前記凹凸構造層は、前記一主面内の第1方向において、前記複数の凸部又は凹部がピッチPyで配列された複数の凸部列又は凹部列を構成し、一方、前記第1方向に直交する第2方向において、前記複数の凸部又は凹部がピッチPxで配列された複数の凸部列又は凹部列を構成しており、
    前記ピッチPy及び前記ピッチPxは、いずれか一方がナノオーダーからマイクロオーダーの一定間隔であり、他方がナノオーダーからマイクロオーダーの不定間隔であるか、又は、いずれもナノオーダーからマイクロオーダーの不定間隔であり、
    前記光抽出層は、前記凹凸構造の凸部上に設けられた第1の光抽出層を含み、
    前記凹凸構造は、凸部頂部平均位置Shと前記第1の光抽出層の凸部上界面平均位置Scvとの間の距離Lcvが下記式(1)を満たし、凸部平均高さHが下記式(2)を満たし、平均ピッチPavが下記式(3)を満たし、且つ、前記距離Lcv及び前記凸部平均高さHが下記式(4)を満たし、
    式(1)
    0nm≦Lcv≦5000nm
    式(2)
    0nm≦H≦5000nm
    式(3)
    50nm≦Pav≦18000nm
    式(4)
    10nm≦Lcv+H≦5000nm
    前記第1の屈折率(n1)、前記第2の屈折率(n2)及び前記第3の屈折率(n3)が下記式(5)〜(7)のいずれかを満たし、且つ、
    式(5)
    n2>n3≧n1且つ(n2−n3)≧0.1
    式(6)
    n3>n2>n1且つ(n3−n2)≧0.1
    式(7)
    n3≧n1>n2且つ(n1−n2)≧0.1
    前記凹凸構造は、前記第1の光抽出層の前記凸部上界面平均位置Scvと前記平坦化層の表面との間の平均距離Lorが、下記式(8)を満たす
    ことを特徴とする有機ELデバイス。
    式(8)
    10nm≦Lor≦5000nm
  2. 前記光抽出層は、前記凹凸構造の凹部内に設けられた第2の光抽出層を含み、前記凹凸構造は、凸部頂部平均位置Shと前記第2の光抽出層の凹部内界面平均位置Sccとの間の距離Lcc及び凸部平均高さHが下記式(9)を満たすことを特徴とする請求項1記載の有機ELデバイス。
    式(9)
    0.0H<Lcc<1.0H
  3. 前記不定間隔が変動幅δであることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の有機ELデバイス。
  4. 前記不定間隔の前記ピッチPyは前記複数の凸部又は凹部のそれぞれの中心間の距離に等しく、前記不定間隔の前記ピッチPxは前記複数の凸部又は凹部が前記ピッチPyで配列された前記複数の凸部列又は凹部列の間の距離に等しく、且つ、前記ピッチPy及び前記ピッチPxは前記複数の凸部又は凹部の直径より大きく、
    前記ピッチPyが前記不定間隔である場合には、少なくとも隣接する4個以上m個以下の前記複数の凸部又は凹部のピッチPyn(3≦n≦2a又は3≦n≦2a+1、ただし、m、aは正の整数であり、n=m−1である)は、下記式(10)の関係を満たすと共に、前記第1方向において、ピッチPx1〜Pxnで構成される凸部列群又は凹部列群が少なくとも1個以上配列され、
    前記ピッチPxが不定間隔である場合には、少なくとも隣接する4個以上m個以下の前記ドット間のピッチPxn(3≦n≦2a又は3≦n≦2a+1、ただし、m、aは正の整数であり、n=m−1である)は、下記式(11)の関係を満たすと共に、前記第2方向において、ピッチPx1〜Pxnで構成される凸部列群又は凹部列群が少なくとも1個以上配列されることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の有機ELデバイス。
    式(10)
    Py1<Py2<Py3<…<Pya>…>Pyn
    式(11)
    Px1<Px2<Px3<…<Pxa>…>Pxn
  5. 前記不定間隔の前記ピッチPyは前記複数の凸部又は凹部の中心間の距離に等しく、前記不定間隔の前記ピッチPxは前記複数の凸部又は凹部が前記ピッチPyで配列された前記複数の凸部列又は凹部列の間の距離に等しく、且つ、前記ピッチPy及び前記ピッチPxは各ドットの直径より大きく、
    前記ピッチPyが前記不定間隔である場合には、少なくとも隣接する4個以上m個以下の前記複数の凸部又は凹部のピッチPyn(3≦n≦2a又は3≦n≦2a+1、ただし、m,aは正の整数であり、n=m−1である)は下記式(10)の関係を満たすと共に、前記第1方向において、ピッチPy1〜Pynで構成される凸部列群又は凹部列群が、長周期単位Lyzを繰り返し配列され、且つ、
    前記ピッチPxが前記不定間隔である場合には、少なくとも隣接する4個以上m個以下の前記複数の凸部又は凹部のピッチPxn(3≦n≦2a又は3≦n≦2a+1、ただし、m、aは正の整数であり、n=m−1である)は、下記式(11)の関係を満たすと共に、前記第2方向において、ピッチPx1〜Pxnで構成される凸部列群又は凹部列群が、長周期単位Lxzを繰り返し配列されることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の有機ELデバイス。
    式(10)
    Py1<Py2<Py3<…<Pya>…>Pyn
    式(11)
    Px1<Px2<Px3<…<Pxa>…>Pxn
  6. 前記複数の凸部又は凹部の各々の直径が、前記ピッチPy及び/又は前記ピッチPxに対応して増減し、
    前記ピッチPyが不定間隔である場合には、少なくとも隣接する4個以上m個以下の前記ピッチPyを構成する前記複数の凸部又は凹部の直径Dyn(3≦n≦2a又は3≦n≦2n+1、ただしm、aは正の整数であり、n=m−1である)は、下記式(12)の関係を満たすと共に、前記第1方向において直径Dy1〜Dynで構成される凸部群又は凹部群が少なくとも1個以上配列され、且つ、
    前記ピッチPxが不定間隔である場合には、少なくとも隣接する4個以上m個以下の前記ピッチPxを構成する前記複数の凸部又は凹部の直径Dxn(3≦n≦2a又は3≦n≦2n+1、ただし、m、aは正の整数であり、n=m−1である)は、下記式(13)の関係を満たすと共に、前記第2方向において直径Dx1〜Dxnで構成される凸部群又は凹部群が少なくとも1個以上配列されることを特徴とする請求項4記載の有機ELデバイス。
    (式12)
    Dy1<Dy2<Dy3<…<Dya>…>Dyn
    (式13)
    Dx1<Dx2<Dx3<…<Dxa>…>Dxn
  7. 前記複数の凸部又は凹部の各々の直径が、前記ピッチPy及び/又は前記ピッチPxに対応して増減し、
    前記ピッチPyが不定間隔である場合には、少なくとも隣接する4個以上m個以下の前記ピッチPyを構成する前記複数の凸部又は凹部の直径Dyn(3≦n≦2a又は3≦n≦2n+1、ただし、m、aは正の整数であり、n=m−1である)は、下記式(12)の関係を満たすと共に、前記第1方向において、直径Dy1〜Dynで構成される凸部群又は凹部群が長周期単位Lyzで繰り返し配列され、且つ、
    前記ピッチPxが不定間隔である場合には、少なくとも隣接する4個以上m個以下の前記ピッチPxを構成する前記複数の凸部又は凹部の直径Dxn(3≦n≦2a又は3≦n≦2n+1、ただし、m、aは正の整数であり、n=m−1である)は、下記式(13)の関係を満たすと共に、前記第2方向において直径Dx1〜Dxnで構成される凸部群又は凹部群が長周期単位Lxzで繰り返し配列されることを特徴とする請求項5記載の有機ELデバイス。
    式(12)
    Dy1<Dy2<Dy3<…<Dya>…>Dyn
    式(13)
    Dx1<Dx2<Dx3<…<Dxa>…>Dxn
  8. 前記複数の凸部又は凹部の各々の高さが、前記ピッチPy及び/又は前記ピッチPxに対応して増減し、
    前記ピッチPyが不定間隔である場合には、少なくとも隣接する4個以上m個以下の前記ピッチPyを構成する前記複数の凸部又は凹部の高さHyn(3≦n≦2a又は3≦n≦2n+1、ただし、m、aは正の整数であり、n=m−1である)は、下記式(13)の関係を満たすと共に、前記第1方向において、高さHy1〜Hynで構成される複数の凸部群又は凹部群が少なくとも1個以上配列され、且つ、
    前記ピッチPxが不定間隔である場合には、少なくとも隣接する4個以上m個以下の前記ピッチPxを構成する前記複数の凸部又は凹部の高さHxn(3≦n≦2a又は3≦n≦2n+1、ただし、m、aは正の整数であり、n=m−1である)は、下記式(14)の関係を満たすと共に、前記第2方向において、高さHx1〜Hxnで構成される複数の凸部群又は凹部群が少なくとも1個以上配列されることを特徴とする請求項6記載の有機ELデバイス。
    式(13)
    Hy1<Hy2<Hy3<…<Hya>…>Hyn
    式(14)
    Hx1<Hx2<Hx3<…<Hxa>…>Hxn
  9. 前記複数の凸部又は凹部の各々の高さが、前記ピッチPy及び/又は前記ピッチPxに対応して増減し、
    前記ピッチPyが不定間隔である場合には、少なくとも隣接する4個以上m個以下の前記ピッチPyを構成する前記複数の凸部又は凹部の高さHyn(3≦n≦2a又は3≦n≦2n+1、ただし、m、aは正の整数であり、n=m−1である)は、下記式(13)の関係を満たすと共に、前記第1方向において、高さHy1〜Hynで構成される複数の凸部群又は凹部群が長周期単位Lyzで繰り返し配列され、且つ、
    前記ピッチPxが不定間隔である場合には、少なくとも隣接する4個以上m個以下の前記ピッチPxを構成する前記複数の凸部又は凹部の高さHxn(3≦n≦2a又は3≦n≦2n+1、ただし、m、aは正の整数であり、n=m−1である)は、下記式(14)の関係を満たすと共に、前記第2方向において、高さHx1〜Hxnで構成される複数の凸部群又は凹部群が長周期単位Lxzで繰り返し配列されることを特徴とする請求項7記載の有機ELデバイス。
    式(13)
    Hy1<Hy2<Hy3<…<Hya>…>Hyn
    式(14)
    Hx1<Hx2<Hx3<…<Hxa>…>Hxn
  10. 前記光学フィルムが、角錐形状、角錐台形、円錐形状、円錐台形状、屋根形状、半球形状若しくは半球形台形形状の突起物又は窪みを有することを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか記載の有機ELデバイス。
  11. 一対の陽極及び陰極と、前記陽極及び前記陰極との間に配置された少なくとも一層の有機層を含む発光層と、前記陽極の前記発光層とは反対側に配置された光抽出体と、前記光抽出体の前記発光層とは反対側に配置された光学フィルムと、を具備し、
    前記光抽出体は、一主面に、互いに独立した複数の凸部又は凹部と、前記複数の凸部又は凹部の間をつなぐ連続した凹部又は凸部と、を含む凹凸構造を備え、第1の屈折率(n1)を有する凹凸構造層と、前記凹凸構造の少なくとも一部上に設けられ、第2の屈折率(n2)を有する光抽出層と、前記凹凸構造層及び前記光抽出層を覆うようにして設けられ、第3の屈折率(n3)を有する平坦化層と、を含み、
    前記凹凸構造層は、前記一主面内の第1方向において前記複数の凸部又は凹部が一定間隔のナノオーダーのピッチPyで配列された複数の凸部列又は凹部列を構成し、且つ、前記複数の凸部列又は凹部列を前記第1方向に直交する第2方向に一定間隔のナノオーダーのピッチPxで並設し、前記複数の凸部列又は凹部列において、互いに隣接する第1の凸部列又は凹部列と第2の凸部列又は凹部列との間の前記第1方向におけるシフト量α1と、互いに隣接する前記第2の凸部列又は凹部列と第3の凸部列又は凹部列との間の前記第1方向におけるシフト量α2と、が互いに異なることを特徴とする有機ELデバイス。
  12. 前記シフト量α1と前記シフト量α2の差分が一定でないことを特徴とする請求項11記載の有機ELデバイス。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN104393193A (zh) * 2014-12-09 2015-03-04 京东方科技集团股份有限公司 一种oled器件及其制备方法、oled显示装置
JP2018527629A (ja) * 2015-08-14 2018-09-20 マツクス−プランク−ゲゼルシヤフト ツール フエルデルング デル ヴイツセンシヤフテン エー フアウMAX−PLANCK−GESELLSCHAFT ZUR FOeRDERUNG DER WISSENSCHAFTEN E.V. 単一基板上に複数のナノ構造勾配を含むナノ構造基板の製造
WO2020155281A1 (zh) * 2019-01-30 2020-08-06 惠科股份有限公司 光学膜层和显示装置

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