JP5813418B2 - 微細パターンの製造方法 - Google Patents

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本発明は、加工対象である無機基材に微細パターンを形成するための微細パターン製造方法に関する。
従来、LSI製造における微細パターン加工技術として、フォトリソグラフィ技術が多く用いられてきた。しかし、フォトリソグラフィ技術では、露光に用いる光の波長よりも小さなサイズのパターンとする加工が困難という問題がある。また、他の微細パターン加工技術としては、電子線描画装置によるマスクパターン描画技術(EB法)がある。しかし、EB法では、電子線により直接マスクパターンを描画するため、描画パターンが多いほど描画時間が増加し、パターン形成までのスループットが大幅に低下するという問題がある。また、フォトリソグラフィ用露光装置におけるマスク位置の高精度制御や、EB法用露光装置における電子線描画装置の大型化などにより、これらの方法では、装置コストが高くなるという問題もあった。
これらの問題点を解消し得る微細パターン加工技術として、ナノインプリント技術が知られている。ナノインプリント技術では、ナノスケールの微細パターンが形成されたモールドを、被転写基板表面に形成されたレジスト膜に押圧することで、モールドの微細パターンをレジスト膜に転写する。
図1は、ナノインプリント法の一例を示す説明図である。図1Aにおいては、加工対象である無機基材53表面に、モールド51に形成された微細パターン52を押圧して転写している。その後、モールド51を除去することで、図1Bに示すように、無機基材53表面に転写された微細パターン52を得られる。その後、微細パターン52を微細マスクパターンとして無機基材53を加工することにより、図1Cに示すように無機基材53表面に微細凹凸構造を形成することができる。
無機基材53表面に微細パターン52を転写する際は、微細マスクパターンの幅に影響を与える残膜処理過程を容易にし、精度の高い微細マスクパターンを形成するため、微細パターン52の残膜を薄くする必要がある。微細パターン52の残膜を薄くするためには、微細パターン52を構成する転写材の塗工膜厚を薄くし、かつ、大きな圧力で長時間押圧する必要がある。しかし、転写材の塗工膜厚を薄くすると、無機基材53表面に存在する凹凸やゴミの影響を受けやすくなるばかりでなく、モールド51の微細凹凸構造への転写材の充填不良や、気泡の混入といった問題が生じる。また、長時間押圧すると、スループット性が低下する。さらに、薄い残膜を均質に形成するためには、押圧分布の小さな特殊な装置を使用する必要がある。特に、大面積で均質な薄い残膜を形成することは、非常に困難であることが知られている。このように課題が山積するため、産業上優位とされるナノインプリント法の大面積の転写、簡便さやスループット性というメリットを活かしきれていない。
このような中で、残膜が薄いあるいは残膜が無い微細マスクパターンの形成方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1においては、まず、微細凹凸構造を表面に具備した型の微細凹凸構造上にマスク材料の膜を直接製膜する。続いて、マスク材料膜に対し、エッチバックをかけ、残膜を薄くあるいはゼロにする(型の微細凹凸構造上に配置されたマスク材料膜の膜厚を薄くする)。その後、マスク材料上に基材を貼り合わせ、最後に、型側をアッシング処理することで、型の微細構造を排除し、残膜の無い微細マスクパターンを得ている。
一方、無機基材上に微細マスクパターンをロールtoロールで形成する方法が提案されている(特許文献2)。特許文献2については、シート状のモールドをロールtoロール方式で送り出し、予め無機基材上に塗布された光硬化樹脂と貼合、光ナノインプリントされることによって、無機基材上に微細マスクパターンが形成される。
また、シート状のモールドを用いた別の金型形成プロセスも提案されている(特許文献3)。特許文献3では、マスターモールドからの複製技術として、シート状のモールドを使用している。該シート状モールドは、電鋳用のため、無機基材に高スループットで転写するということはできない。
特開2011−66273号公報 特開2011−202272号公報 特開2011−25677号公報
しかしながら、特許文献1に記載の微細マスク形成方法においては、残膜の薄い微細マスクパターンを得るまでの総工程数が多く、複雑である。したがって、加工対象となる無機基材表面に、残膜の薄いマスク層を形成するまでのスループット性が良好ではない。また、マスク材料膜全体をエッチバックする必要があるため大面積でのマスク形成が困難である。
特許文献2に記載の微細マスクパターン形成方法では、予め無機基材上に塗布された光硬化樹脂とシート状モールドとの貼合時に、真空加圧プロセスを経過するため、シート搬送が貼合毎に停止し、スループットが上がらない。また、記載の特殊装置を使用するため、設備投資が嵩み、低コストを謳うナノインプリントの思想に逆行する。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、加工対象である無機基材表面に残膜の薄い微細マスクパターンを精度よく、かつ、簡便、容易、大掛かりな設備導入なく、形成することができる微細パターン製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは鋭意検討した結果、以下の手段によって本発明の課題を解決せしめた。
すなわち、本発明の微細パターンの製造方法、光透過性の基材と、前記基材上に設けられ表面に微細凹凸構造を有する光硬化性樹脂層とを備えたリール状樹脂モールドを作製するモールド作製工程と、前記リール状樹脂モールドの前記光硬化性樹脂層上にマスク材料を塗布してマスク材料層を形成するマスク層形成工程と、前記マスク材料層を部分硬化する部分硬化工程と、を経て得られる前記リール状樹脂モールド上に前記マスク材料層が積層された積層体Aと、機基材上に樹脂層を形成する樹脂層形成工程を経て得られる積層体Bとを、前記積層体Bの前記無機基材上に形成された前記樹脂層側と前記積層体Aの前記光硬化性樹脂層上に塗布された前記マスク材料層側を貼り合わせて、複合積層体を形成する貼合工程を経た後、貼り合せた状態で、前記樹脂層を硬化した後、前記リール状樹脂モールドを剥離して前記積層体Bの前記樹脂層上に前記微細凹凸構造が転写された前記マスク材料層が積層した微細マスク形成用積層体を作製する硬化剥離工程と、引き続き、前記微細マスク形成用積層体の前記マスク材料層および前記樹脂層をエッチングして、前記無機基材の表面に前記マスク材料層および前記樹脂層からなる微細マスクパターンを形成するエッチング工程と、前記微細マスクパターンを用いてさらに前無機基材の一主面をエッチングする無機基材エッチング工程とを含むことを特徴とする。
また、本発明の微細パターンの製造方法は、光透過性の基材と、前記基材上に設けられ表面に微細凹凸構造を有する光硬化性樹脂層とを備えたリール状樹脂モールドを作製するモールド作製工程と、前記リール状樹脂モールドの前記光硬化性樹脂層上にマスク材料を塗布してマスク材料層を形成するマスク層形成工程と、前記マスク材料層を部分硬化する部分硬化工程と、を経て得られる前記リール状樹脂モールド上に前記マスク材料層が積層された積層体Aに、さらに前記マスク材料層上に樹脂層を形成する樹脂層形成工程と、を経て得られる積層体Cと、無機基材の一主面と、前記積層体Cの前記マスク材料層上に塗布された前記樹脂層側が前記無機基材の一主面と貼り合わせ、複合積層体を形成する貼合工程を経た後、貼り合せた状態で、前記樹脂層を硬化し、前記リール状樹脂モールドを剥離して前記無機基材上に、前記樹脂層および前記微細凹凸構造が転写された前記マスク材料層が積層した微細マスク形成用積層体を作製する硬化剥離工程と、引き続き、前記微細マスク形成用積層体の前記マスク材料および前記樹脂層をエッチングして、前記無機基材の表面に前記マスク材料層および前記樹脂層からなる微細マスクパターンを形成するエッチング工程と、前記微細マスクパターンを用いてさらに前無機基材の一主面をエッチングする無機基材エッチング工程とを含むことを特徴とする。
本発明の微細パターンの製造方法において、前記リール状樹脂モールドの前記微細凹凸構造面側に、光透過性基材上に光硬化性樹脂層を積層した積層体の光硬化性樹脂層側を貼り合せて、光硬化した後、前記リール状樹脂モールドを剥離して、微細凹凸構造を有する第二のリール状樹脂モールドを得、得られた前記第二のリール状樹脂モールドを用いて前記微細パターンを製造することが好ましい。
本発明の微細パターンの製造方法において、前記マスク材料層が、金属元素を含むことが好ましい
本発明の微細パターンの製造方法において、前記マスク層が、ゾルゲル材料を含むことが好ましい
本発明の微細パターンの製造方法において、前記リール状樹脂モールド上の前記光硬化性樹脂層の、前記微細凹凸構造面側の、フッ素元素濃度(Es)と、前記光硬化性樹脂層中の平均フッ素濃度(Eb)と、の比が、下記式(1)を満たすことが好ましい
20≦Es/Eb≦200 式(1)
本発明によれば、アスペクト比の高い微細パターンを無機基材表面に精度よく製造する方法を提供することが可能となる。
ナノインプリント法の一例を示す説明図である。 本発明の実施の形態に係る微細構造体の製造方法のモールド作製工程に用いられる製造装置の概略図である。 本発明のモールド複製工程及びマスク層形成工程に用いられる製造装置の概略図である。 本発明の樹脂モールド上にマスク材料が充填された状態の断面図を表す。 本発明における貼合工程後の状態の断面図を表す。 本発明の微細マスク形成用積層体を使用して無機基材上に形成したマスクパターンの上面図である。 微細マスク形成用積層体におけるホール形状の微細凹凸構造を示す上面図である。
本発明の実施の形態について、以下具体的に説明する。
(モールド作製工程)
図2は、本実施の形態に係る微細構造体の製造方法のモールド作製工程に用いられる製造装置の概略図である。図2に示す製造装置は、基材121を送り出す原反ロール101と、リール状樹脂モールド123を巻き取る巻き取りロール102とを備える。原反ロール101と巻き取りロール102との間には、基材121の搬送方向における上流側から下流側に向けて順に、基材121上に光硬化性樹脂を塗布する塗布装置103と、外周面に微細凹凸構造を有する円筒状金型104と、基材121上の光硬化性樹脂と円筒状金型の外周面との間を密着させる加圧手段105と、光硬化性樹脂に光を照射する光源106と、が設けられている。また、溶媒を用いて光硬化性樹脂を塗布する場合には、光硬化性樹脂中の溶媒を乾燥する乾燥炉107を更に備えた転写装置を用いてもよい。
モールド作製工程においては、原反ロール101から送り出した光透過性の基材121(透明シート)上に塗布装置103により光硬化性樹脂を塗布して光硬化性樹脂層122を形成する。次に、外周面に微細凹凸構造を有する円筒状金型104を回転させながら、加圧手段105によって円筒状金型104の外周面を光硬化性樹脂層122に密着させて光硬化性樹脂層122の表面に微細凹凸構造を転写する。次に、光硬化性樹脂層122に光源106から光を照射して光硬化性樹脂層122を光硬化してリール状樹脂モールド123を作製した後、リール状樹脂モールド123を巻き取りロール102で巻き取る。また、モールド作製工程においては、円筒状金型からの微細凹凸構造転写後の微細凹凸構造を保護するため、光硬化性樹脂層122上に保護フィルム(カバーフィルム)をラミネートしてもよい。
塗布装置103による基材121への光硬化性樹脂の塗布方法としては、公知の塗布コーター又は含浸塗布コーターを用いたコーティング法が挙げられる。具体的にはグラビアコーター、マイクログラビアコーター、ブレードコーター、ワイヤーバーコーター、エアーナイフコーター、ディップコーター、コンマナイフコーター、スプレーコーター、カーテンコーター、スピンコーター、ラミネーターなどを用いた塗布が挙げられる。これらの塗布方法は、必要に応じて1種の塗布方法を用いてもよく、2種以上の塗布方法を組合せて用いてもよい。また、これらの塗布方法は、枚葉方式で実施してもよく、連続方式で実施してもよい。生産性の観点から連続方式で塗布することが好ましい。また、ディップコーター、コンマナイフコーター、グラビアコーター又はラミネーターを使用した連続方式の塗布方法が特に好ましい。
光硬化性樹脂層122への光照射に用いる光源106としては、特に制限されるものではなく、用途及び設備に応じて種々の光源を用いることができる。光源106としては、例えば、高圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、無電極ランプ、メタルハライドランプ、エキシマーランプ、LEDランプ、キセノンパルス紫外線ランプなどを用いることができる。また、光硬化性樹脂は、波長200nm〜500nmの紫外線又は可視光を露光量が100mJ/cm2〜2000mJ/cm2となるように照射することにより硬化することができる。また、酸素による光硬化反応の阻害を防止する観点から、光照射時には酸素濃度が低い状態で光を照射することが望ましい。
モールド作製工程においては、円筒状金型104と光硬化性樹脂層122とを圧着する加圧手段により、円筒状金型104と光硬化性樹脂層122とが密着した状態で光硬化性樹脂層122に光を照射して光硬化する。円筒状金型104の外周面の微細凹凸構造と光硬化性樹脂層122とが密着した状態で、光を照射して転写することにより、円筒状金型104の外周面の微細凹凸構造を正確に転写できる。また、円筒状金型104の外周面の微細凹凸構造と光硬化性樹脂層122とが密着した状態で転写することにより酸素による硬化不足を回避することができる。
また、モールド作製工程においては、窒素雰囲気下において、円筒状金型104と光硬化性樹脂層122とを密着させて光照射を行うことが好ましい。これにより、光硬化性樹脂層122の光硬化性樹脂への大気中の酸素の接触を避けることができ、酸素による光重合反応の阻害を低減できるので、樹脂層を十分に硬化させることができるため好ましい。
光硬化性樹脂層122と円筒状金型104とを密着させて光を照射するためには、加圧手段105としてのニップロールにより光硬化性樹脂層122と円筒状金型とを直接圧着して光を照射してもよく、巻出・巻取制御により基材121(透明シート)の張力を制御して光硬化性樹脂層122と円筒状金型とを圧着した状態で光を照射してもよい。これらの場合においては、光硬化性樹脂層122の転写性により押し付け圧、張力は適宜調整することができる。
(光透過性の基材)
基材121(透明シート)としては、紫外・可視光領域で使用する光源に対して実質的に光透過性を有する材料を主成分とするものであれば特に限定されないが、ハンドリング性、加工性に優れた樹脂材料であることが好ましい。このような樹脂材料としては、例えば、ポリメタクリル酸メチル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、シクロオレフィン樹脂(COP)、架橋ポリエチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、変性ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエーテルサルフォン樹脂、ポリサルフォン樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、トリアセチルセルロール(TAC)樹脂などの非晶性熱可塑性樹脂や、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、芳香族ポリエステル樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリアミド樹脂などの結晶性熱可塑性樹脂などがあり、フィルム状やシート状であることが好ましい。
基材121(透明シート)の表面には、光硬化性樹脂との密着性向上のため、プライマー処理、大気圧プラズマ処理、コロナ処理を施すことができる。
モールド作製工程においては、円筒状金型104と密着した状態で基材121上の光硬化性樹脂層122に光を照射して光硬化させる。このため、使用する光硬化性樹脂にもよるが、基材121には、200nm〜500nmの範囲で良好な透過率が求められる。使用する光硬化性樹脂の感光性にもよるため、200nm〜500nmの範囲で具体的な透過率の値については特に限定しないが、365nm、405nm及び全光線透過率が良好であれば、光硬化性樹脂が十分に光硬化するため好ましい。また、波長200nm〜500nmの範囲における透過率が良好であれば、光硬化性樹脂の硬化に要する光照射エネルギーを低減でき、且つ、転写の迅速化を達成することができる。
(光硬化性樹脂層)
光硬化性樹脂層122は、光硬化性樹脂を含有する。光硬化性樹脂は、転写性、円筒状金型からの剥離性、基材121(透明シート)との密着性、粘度、製膜特性、感光性、硬化後の力学特性、樹脂鋳型作製時の樹脂層との剥離性を考慮して選択する。
モールド作製工程に用いる光硬化性樹脂層は、前記微細凹凸構造が形成された表面の表面部におけるフッ素元素濃度(Es)が、前記樹脂層中の平均フッ素元素濃度(Eb)より高いことが好ましい。
これによれば、光硬化性樹脂層における微細凹凸構造形成面側のフッ素元素濃度(Es)が、光硬化性樹脂層中の平均フッ素元素濃度(Eb)に対して相対的に高いことから、後工程であるモールド複製工程における光硬化性樹脂と樹脂モールドの離型性や微細マスク形成用積層体を作製する硬化剥離工程における樹脂モールドと微細マスク形成用積層体の離型性が向上する。
さらに、光硬化性樹脂層を構成する樹脂中の平均フッ素元素濃度(Eb)と光硬化性樹脂層表面部のフッ素元素濃度(Es)との比が20<Es/Eb≦200を満たすことで、上記効果をより発揮するためより好ましい。
なお、20≦Es/Eb≦200の範囲であれば、光硬化性樹脂層表面部のフッ素元素濃度(Es)が、樹脂層11中の平均フッ素濃度(Eb)より十分高くなり、樹脂表面の自由エネルギーが効果的に減少するので、モールド複製工程時の転写材樹脂や、マスク層および有機層との離型性が向上する。また、光硬化性樹脂層中の平均フッ素元素濃度(Eb)を光硬化性樹脂層表面部のフッ素元素濃度(Es)に対して相対的に低くすることにより、樹脂自体の強度が向上すると共に、光硬化性樹脂層中における基材121付近では、自由エネルギーを高く保つことができるので、基材121との密着性が向上する。これにより、基材121との密着性に優れ、マスク層12との離型性に優れ、しかも、ナノメートルサイズの凹凸形状を樹脂から樹脂へ繰り返し転写できる光硬化性樹脂層を得ることができるので特に好ましい。また、26≦Es/Eb≦189の範囲であれば、光硬化性樹脂層表面の自由エネルギーをより低くすることができ、繰り返し転写性が良好になるため好ましい。さらに、30≦Es/Eb≦160の範囲であれば、光硬化性樹脂層表面の自由エネルギーを減少させると共に、樹脂の強度を維持することができ、繰り返し転写性がより向上するため好ましく、31≦Es/Eb≦155であればより好ましい。46≦Es/Eb≦155であれば、上記効果をより一層発現できるため好ましい。
光硬化性樹脂としては、例えば、光重合開始剤により重合可能な各種アクリレート化合物及びメタクリレート化合物、エポキシ化合物、イソシアネート化合物、チオール化合物、シリコーン系化合物などを使用することができる。これらの中でも、アクリレート化合物及びメタクリレート化合物、エポキシ化合物、シリコーン系化合物を用いることが好ましく、アクリレート化合物、メタクリレート化合物を用いることがより好ましい。これらの化合物は単独種類で用いてもよく、エポキシ化合物とアクリレート化合物との組合せなど、複数種類を組合せて用いてもよい。
アクリレート化合物及びメタクリレート化合物としては、(メタ)アクリル酸、フェノキシエチルアクリレート、及びベンジルアクリレートなどの芳香族系の(メタ)アクリレート、ステアリルアクリレート、ラウリルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、アリルアクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタアエリスリトールトリアクリレート、及びジペンタエリスリトールヘキサアクリレートなどの炭化水素系の(メタ)アクリレート、エトキシエチルアクリレート、メトキシエチルアクリレート、グリシジルアクリレート、テトラヒドロフルフリールアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ポリオキシエチレングリコールジアクリレート、及びトリプロピレングリコールジアクリレートなどのエーテル性酸素原子を含む炭化水素系の(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、N,N−ジエチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、N−ビニルピロリドン、及びジメチルアミノエチルメタクリレートなどの官能基を含む炭化水素系の(メタ)アクリレート、シリコーン系のアクリレートなどが挙げられる。
また、アクリレート化合物及びメタクリレート化合物としては、EO変性グリセロールトリ(メタ)アクリレート、ECH変性グリセロールトリ(メタ)アクリレート、PO変性グリセロールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、EO変性リン酸トリアクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、PO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、EO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールエトキシテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(メタ)アクリレート、ジメチロールジシクロペンタンジ(メタ)アクリレート、ジ(メタ)アクリル化イソシアヌレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、EO変性1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ECH変性1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、アリロキシポリエチレングリコールアクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、EO変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、PO変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、EO変性ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、ECH変性ヘキサヒドロフタル酸ジアクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、EO変性ネオペンチルグリコールジアクリレート、PO変性ネオペンチルグリコールジアクリレート、カプロラクトン変性ヒドロキシピバリン酸エステルネオペンチルグリコール、ステアリン酸変性ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ECH変性プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ECH変性フタル酸ジ(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール−テトラメチレングリコール)ジ(メタ)アクリレート、ポリ(プロピレングリコール−テトラメチレングリコール)ジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、シリコーンジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエステル(ジ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール変性トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリグリセロールジ(メタ)アクリレート、EO変性トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジビニルエチレン尿素、ジビニルプロピレン尿素、2−エチル−2−ブチルプロパンジオールアクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシルカルビトール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、アクリル酸ダイマー、ベンジル(メタ)アクリレート、ブタンジオールモノ(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、EO変性クレゾール(メタ)アクリレート、エトキシ化フェニル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、メトキシトリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールベンゾエート(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、パラクミルフェノキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、ECH変性フェノキシアクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシヘキサエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシテトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、EO変性コハク酸(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、トリブロモフェニル(メタ)アクリレート、EO変性トリブロモフェニル(メタ)アクリレート、トリドデシル(メタ)アクリレート、シリコーン系アクリレート化合物などが挙げられる。なお、EO変性とはエチレンオキシド変性をECH変性とはエピクロロヒドリン変性を、PO変性とはプロピレンオキシド変性を意味する。これらは1種又は2種以上の組合せで用いることができる。また、市販のナノインプリント用樹脂であるPAKシリーズ(東亞合成社製)、NIFシリーズ(AGC社製)、NIACシリーズ(ダイセル化学工業社製)などを使用することができる。これらの中でも、PAK−02、NIAC−702が樹脂シートへの塗布特性とパターン転写性から特に好ましい。
また、光硬化性樹脂としては、上記アクリレート化合物及びメタクリレート化合物、エポキシ化合物、イソシアネート化合物、シリコーン系化合物のうち、炭化水素中の水素がフッ素に置換されたフッ素含有化合物を用いることができる。フッ素含有化合物を用いることにより、硬化後の表面自由エネルギーが減少し、転写工程におけるリール状樹脂モールド123からの積層体26の離型性が向上する。これは、リール状樹脂モールドと樹脂鋳型を貼合後、離型する際にも同様の効果がある。
フッ素含有(メタ)アクリレートとしては、ポリフルオロアルキレン鎖及び/又はペルフルオロ(ポリオキシアルキレン)鎖と、重合性基とを有することが好ましく、直鎖状ペルフルオロアルキレン基、または炭素原子−炭素原子間にエーテル性酸素原子が挿入されかつトリフルオロメチル基を側鎖に有するペルフルオロオキシアルキレン基がさらに好ましい。また、トリフルオロメチル基を分子側鎖または分子構造末端に有する直鎖状のポリフルオロアルキレン鎖及び/又は直鎖状のペルフルオロ(ポリオキシアルキレン)鎖が特に好ましい。
ポリフルオロアルキレン鎖は、炭素数2〜炭素数24のポリフルオロアルキレン基が好ましい。また、ポリフルオロアルキレン基は、官能基を有していてもよい。
ペルフルオロ(ポリオキシアルキレン)鎖は、(CF2CF2O)単位、(CF2CF(CF3)O)単位、(CF2CF2CF2O)単位および(CF2O)単位からなる群から選ばれた1種以上のペルフルオロ(オキシアルキレン)単位からなることが好ましく、(CF2CF2O)単位、(CF2CF(CF3)O)単位、又は(CF2CF2CF2O)単位からなることがより好ましい。ペルフルオロ(ポリオキシアルキレン)鎖は、含フッ素重合体の物性(耐熱性、耐酸性など)が優れることから、(CF2CF2O)単位からなることが特に好ましい。ペルフルオロ(オキシアルキレン)単位の数は、含フッ素重合体の離型性と硬度が高いことから、2〜200の整数が好ましく、2〜50の整数がより好ましい。
重合性基としては、ビニル基、アリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、エポキシ基、ジオキタセン基、シアノ基、イソシアネート基または式−(CH2)aSi(M1)3-b(M2)bで表される加水分解性シリル基が好ましく、アクリロイル基またはメタクリロイル基がより好ましい。ここで、M1は加水分解反応により水酸基に変換される置換基である。このような置換基としては、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシロキシ基などが挙げられる。ハロゲン原子としては、塩素原子が好ましい。アルコキシ基としては、メトキシ基またはエトキシ基が好ましく、メトキシ基がより好ましい。M1としては、アルコキシ基が好ましく、メトキシ基がより好ましい。M2は、1価の炭化水素基である。M2としては、アルキル基、1以上のアリール基で置換されたアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、アリール基などが挙げられ、アルキル基またはアルケニル基が好ましい。M2がアルキル基である場合、炭素数1〜炭素数4のアルキル基が好ましく、メチル基またはエチル基がより好ましい。M2がアルケニル基である場合、炭素数2〜炭素数4のアルケニル基が好ましく、ビニル基またはアリル基がより好ましい。aは1〜3の整数であり、3が好ましい。bは0または1〜3の整数であり、0が好ましい。加水分解性シリル基としては、(CH3O)3SiCH2−、(CH3CH2O)3SiCH2−、(CH3O)3Si(CH23−または(CH3CH2O)3Si(CH23−が好ましい。
重合性基の数は、重合性に優れることから1〜4の整数が好ましく、1〜3の整数がより好ましい。2種以上の化合物を用いる場合、重合性基の平均数は1〜3が好ましい。
フッ素含有(メタ)アクリレートは、官能基を有すると透明基板との密着性に優れる。官能基としては、カルボキシル基、スルホン酸基、エステル結合を有する官能基、アミド結合を有する官能基、水酸基、アミノ基、シアノ基、ウレタン基、イソシアネート基、イソシアヌル酸誘導体を有する官能基などが挙げられる。特に、カルボキシル基、ウレタン基、イソシアヌル酸誘導体を有する官能基の少なくとも一つの官能基を含むことが好ましい。尚、イソシアヌル酸誘導体には、イソシアヌル酸骨格を有するもので、窒素原子に結合する少なくとも一つの水素原子が他の基で置換されている構造のものが包含される。フッ素含有(メタ)アクリレートとしては、フルオロ(メタ)アクリレート、フルオロジエンなどを用いることができる。フッ素含有(メタ)アクリレートの具体例としては、下記の化合物が挙げられる。
フルオロ(メタ)アクリレートとしては、CH2=CHCOO(CH22(CF210F、CH2=CHCOO(CH22(CF28F、CH2=CHCOO(CH22(CF26F、CH2=C(CH3)COO(CH22(CF210F、CH2=C(CH3)COO(CH22(CF28F、CH2=C(CH3)COO(CH22(CF26F、CH2=CHCOOCH2(CF26F、CH2=C(CH3)COOCH2(CF26F、CH2=CHCOOCH2(CF27F、CH2=C(CH3)COOCH2(CF27F、CH2=CHCOOCH2CF2CF2H、CH2=CHCOOCH2(CF2CF22H、CH2=CHCOOCH2(CF2CF24H、CH2=C(CH3)COOCH2(CF2CF2)H、CH2=C(CH3)COOCH2(CF2CF22H、CH2=C(CH3)COOCH2(CF2CF24H、CH2=CHCOOCH2CF2OCF2CF2OCF3、CH2=CHCOOCH2CF2O(CF2CF2O)3CF3、CH2=C(CH3)COOCH2CF2OCF2CF2OCF3、CH2=C(CH3)COOCH2CF2O(CF2CF2O)3CF3、CH2=CHCOOCH2CF(CF3)OCF2CF(CF3)O(CF23F、CH2=CHCOOCH2CF(CF3)O(CF2CF(CF3)O)2(CF23F、CH2=C(CH3)COOCH2CF(CF3)OCF2CF(CF3)O(CF23F、CH2=C(CH3)COOCH2CF(CF3)O(CF2CF(CF3)O)2(CF23F、CH2=CFCOOCH2CH(OH)CH2(CF26CF(CF32、CH2=CFCOOCH2CH(CH2OH)CH2(CF26CF(CF32、CH2=CFCOOCH2CH(OH)CH2(CF210F、CH2=CFCOOCH2CH(OH)CH2(CF210F、CH2=CHCOOCH2CH2(CF2CF23CH2CH2OCOCH=CH2、CH2=C(CH3)COOCH2CH2(CF2CF23CH2CH2OCOC(CH3)=CH2、CH2=CHCOOCH2CyFCH2OCOCH=CH2、CH2=C(CH3)COOCH2CyFCH2OCOC(CH3)=CH2などのフルオロ(メタ)アクリレートが挙げられる(但し、CyFはペルフルオロ(1,4−シクロへキシレン基)を示す。)。
フルオロジエンとしては、CF2=CFCF2CF=CF2、CF2=CFOCF2CF=CF2、CF2=CFOCF2CF2CF=CF2、CF2=CFOCF(CF3)CF2CF=CF2、CF2=CFOCF2CF(CF3)CF=CF2、CF2=CFOCF2OCF=CF2、CF2=CFOCF2CF(CF3)OCF2CF=CF2、CF2=CFCF2C(OH)(CF3)CH2CH=CH2、CF2=CFCF2C(OH)(CF3)CH=CH2、CF2=CFCF2C(CF3)(OCH2OCH3)CH2CH=CH2、CF2=CFCH2C(C(CF32OH)(CF3)CH2CH=CH2などのフルオロジエンが挙げられる。
また、上記フッ素含有(メタ)アクリレートとしては、下記化学式(1)で示されるフッ素含有ウレタン(メタ)アクリレート、及び/又は下記化学式(2)で示されるフッ素含有(メタ)アクリレートであることで、樹脂層12の微細凹凸構造形成面の表面自由エネルギーをより低くできるので、樹脂層12と無機基材11との間の密着性が向上する。また、樹脂層12中の平均フッ素元素濃度(Eb)を減少させ樹脂層12の強度を保つことができるため、繰り返し転写性がより向上するため好ましい。このようなウレタン(メタ)アクリレートとしては、例えば、ダイキン工業社製の「オプツールDAC」を用いることができる。
Figure 0005813418
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フッ素含有(メタ)アクリレートとしては、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、耐摩耗性、耐傷付き、指紋付着防止、防汚性、レベリング性や撥水撥油性などの表面改質剤との併用もできる。例えば、ネオス社製「フタージェント」(例えば、Mシリーズ:フタージェント251、フタージェント215M、フタージェント250、FTX−245M、FTX−290M;Sシリーズ:FTX−207S、FTX−211S、FTX−220S、FTX−230S;Fシリーズ:FTX−209F、FTX−213F、フタージェント222F、FTX−233F、フタージェント245F;Gシリーズ:フタージェント208G、FTX−218G、FTX−230G、FTS−240G;オリゴマーシリーズ:フタージェント730FM、フタージェント730LM;フタージェントPシリーズ:フタージェント710FL、FTX−710HLなど)、DIC社製「メガファック」(例えば、F−114、F−410、F−493、F−494、F−443、F−444、F−445、F−470、F−471、F−474、F−475、F−477、F−479、F−480SF、F−482、F−483、F−489、F−172D、F−178K、F−178RM、MCF−350SFなど)、ダイキン社製「オプツール(登録商標)」(例えば、DSX、DAC、AES)、「エフトーン(登録商標)」(例えば、AT−100)、「ゼッフル(登録商標)」(例えば、GH−701)、「ユニダイン(登録商標)」、「ダイフリー(登録商標)」、「オプトエース(登録商標)」、住友スリーエム社製「ノベックEGC−1720」、フロロテクノロジー社製「フロロサーフ(登録商標)」などが挙げられる。
フッ素含有(メタ)アクリレートとしては、重量平均分子量Mwが50〜50000であることが好ましく、相溶性の観点から重量平均分子量Mwが50〜5000であることが好ましく、重量平均分子量Mwが100〜5000であることがより好ましい。相溶性の低い高分子量を使用する際は希釈溶剤を使用しても良い。希釈溶剤としては、単一溶剤の沸点が40℃〜180℃の溶剤が好ましく、60℃〜180℃がより好ましく、60℃〜140℃がさらに好ましい。希釈剤は2種類以上使用もよい。
光硬化性樹脂としては、感光性を向上するため光重合開始剤を含むことが好ましい。光重合開始剤としては、光ラジカル重合開始剤、光酸発生剤、光塩基発生剤などが挙げられる。光重合開始剤は、使用する光源波長及び基材(透明シート)、諸物性などを考慮し、選択することができる。光重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルケトン、ジベンジルケトン、フルオレノン、2,2’−ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオニル)−ベンジル]−フェニル}−2−メチルプロパン−1−オン、フェニルグリオキシル酸メチル、チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、ジエチルチオキサントン、ベンジル、ベンジルジメチルケタール、ベンジル−β−メトキシエチルアセタール、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、2−ヒドロキシ−2−メチル−1フェニルプロパン−1−オン、1−フェニル−1,2−ブタンジオン−2−(O−メトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(O−メトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(O−エトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(O−ベンゾイル)オキシム、1,3−ジフェニルプロパントリオン−2−(O−エトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−3−エトキシプロパントリオン−2−(O−ベンゾイル)オキシム、1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)]、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム)、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチルプロパン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2−ジメチルアミノ−2−(4−メチルベンジル)−1−(4−モルフォリン−4−イル−フェニル)ブタン−1−オン、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド、ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)フェニル)チタニウムなどが好ましい。また、これらは、単独種類で用いてもよく、複数種類を混合物として用いてもよい。市販されている開始剤の例としては、Ciba社製の「IRGACURE」(例えば、IRGACURE651、184、500、2959、127、754、907、369、379、379EG、819、1800、784、OXE01、OXE02)や「DAROCUR」(例えば、DAROCUR1173、MBF、TPO、4265)などが挙げられる。
光硬化性樹脂としては、光感度向上のため増感剤を含むものが好ましい。このような増感剤としては、例えば、ミヒラーズケトン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、2,5−ビス(4’−ジエチルアミノベンジリデン)シクロペンタノン、2,6−ビス(4’−ジエチルアミノベンジリデン)シクロヘキサノン、2,6−ビス(4’−ジメチルアミノベンジリデン)−4−メチルシクロヘキサノン、2,6−ビス(4’−ジエチルアミノベンジリデン)−4−メチルシクロヘキサノン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)カルコン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)カルコン、2−(4’−ジメチルアミノシンナミリデン)インダノン、2−(4’−ジメチルアミノベンジリデン)インダノン、2−(p−4’−ジメチルアミノビフェニル)ベンゾチアゾール、1,3−ビス(4−ジメチルアミノベンジリデン)アセトン、1,3−ビス(4−ジエチルアミノベンジリデン)アセトン、3,3’−カルボニル−ビス(7−ジエチルアミノクマリン)、3−アセチル−7−ジメチルアミノクマリン、3−エトキシカルボニル−7−ジメチルアミノクマリン、3−ベンジロキシカルボニル−7−ジメチルアミノクマリン、3−メトキシカルボニル−7−ジエチルアミノクマリン、3−エトキシカルボニル−7−ジエチルアミノクマリン、N−フェニル−N−エチルエタノールアミン、N−フェニルジエタノールアミン、N−p−トリルジエタノールアミン、N−フェニルエタノールアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アニリン、4−モルホリノベンゾフェノン、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、4−ジエチルアミノ安息香酸イソアミル、ベンズトリアゾール、2−メルカプトベンズイミダゾール、1−フェニル−5−メルカプト−1,2,3,4−テトラゾール、1−シクロヘキシル−5−メルカプト−1,2,3,4−テトラゾール、1−(tert−−ブチル)−5−メルカプト−1,2,3,4−テトラゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−(p−ジメチルアミノスチリル)ベンズオキサゾール、2−(p−ジメチルアミノスチリル)ベンズチアゾール、2−(p−ジメチルアミノスチリル)ナフト(1,2−p)チアゾール、2−(p−ジメチルアミノベンゾイル)スチレンなどが挙げられる。また、増感剤は、単独種類で用いてもよく、複数種類を混合物として用いてもよい。
光硬化性樹脂は、溶媒を添加して粘度を調整することができる。溶媒としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホルアミド、ピリジン、シクロペンタノン、γ−ブチロラクトン、α−アセチル−γ−ブチロラクトン、テトラメチル尿素、1,3−ジメチル−2−イミダゾリノン、N−シクロヘキシル−2−ピロリドン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アニソール、酢酸エチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールなどが好ましい。これらの溶媒は、単独で用いてもよく、2種以上を組合せて用いてもよい。これらの溶媒中でも、N−ビニル−2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、アセトン及びメチルエチルケトン、イソプロピルアルコールが好ましい。これらの溶媒は、光硬化性樹脂の塗布方法、塗布膜厚及び粘度に応じて、適宜添加することができ、限定されるものではないが、例えば光硬化性樹脂100重量部に対して溶媒を1重量部〜10000重量部添加することができる。
光硬化性樹脂は、例えば、光硬化、熱硬化、電子線による硬化、及びマイクロウェーブなどにより硬化させることができる。これらの中でも、光硬化を用いることが好ましい。基材(透明シート)に光硬化性樹脂を上記塗布方法により塗布した後、所定波長における任意の光量で光硬化性樹脂に光を照射することにより、光硬化性樹脂の硬化反応を促進することができる。
(円筒状金型)
樹脂モールド作製における表面凹凸を形成した金型には、連続生産性や歩留まりの観点から円筒状金型を用いることが好ましい。また、継ぎ目のない円筒状金型であればより好ましい。継ぎ目があった場合、継ぎ目部のパターンがない箇所を切り落とすため、歩留まりが悪化するだけでなく、切り落とす作業が余分に入るため連続生産性も悪化する。
円筒状金型104としては、外周面に製造する微細構造体の微細凹凸構造の形状に応じた微細凹凸構造を有する円筒状金型を用いる。円筒状金型104の微細凹凸構造は、レーザー切削法、電子線描画法、フォトリソグラフィー法、半導体レーザーを用いた直接描画リソグラフィー法、干渉露光法、電鋳法、陽極酸化法などの加工方法により基材の外周面に直接形成することができる。これらの中でも、微細凹凸形状に継目のない円筒状金型を得る観点から、フォトリソグラフィー法、半導体レーザーを用いた直接描画リソグラフィー法、干渉露光法、電鋳法、陽極酸化法が好ましく、半導体レーザーを用いた直接描画リソグラフィー法、干渉露光法、陽極酸化法がより好ましい。
また、円筒状金型104としては、上記加工方法で平板基板の表面に形成した微細凹凸構造を樹脂材料(フィルム)へ転写し、このフィルムを円筒状金型の外周面に位置精度よく張り合わせたものを用いてもよい。また、上記加工方法で平板基板の表面に形成した微細凹凸構造を電鋳法によりニッケルなどの薄膜に転写し、この薄膜をローラーに巻き付けたものを用いてもよい。
円筒状金型104の材料としては、微細凹凸構造の形成が容易であり、耐久性に優れた材料を用いることが望ましい。このような観点から、円筒状金型104に用いられる材料としては、ガラスロール、石英ガラスロール、ニッケル電鋳ロール、クロム電鋳ロール、アルミロール、又はSUSロール(ステンレス鋼ロール)が好ましい。
ニッケル電鋳ロール及びクロム電鋳ロール用の母材としては、導電性を有する導電性材料を用いることができる。導電性材料としては、例えば、鉄、炭素鋼、クロム鋼、超硬合金、金型用鋼(例えばマルエージング鋼など)、ステンレス鋼、アルミ合金などの材料が好適に用いられる。
円筒状金型104の表面には、離型処理を施すことが望ましい。離型処理を施すことにより、円筒状金型104の表面自由エネルギーを低下させることができるので、連続的に光硬化性樹脂へ転写した場合においても、良好な剥離性及び微細凹凸構造のパターン形状を保持することができる。離型処理には、市販の離型剤及び表面処理剤を用いることができる。市販の離型剤及び表面処理剤としては、例えば、オプツール(ダイキン化学工業社製)、デュラサーフ(ダイキン化学工業社製)、ノベックシリーズ(3M社製)などが挙げられる。また、離型剤、表面処理材としては、円筒状金型104の材料の種類、及び転写される光硬化性樹脂との組合せにより、適宜好適な離型剤、表面処理剤を選択することができる。
樹脂モールド作製工程を経由することによって、生産性が高く、大面積化が可能となる微細パターンの製造方法を提供することができる。
(モールド複製工程)
図3は、モールド複製工程及びマスク層形成工程に用いられる製造装置の概略図である。図3に示す製造装置は、リール状樹脂モールド227を送り出すリール状樹脂モールドロール204と、リール状樹脂モールド227を巻き取る巻き取りロール203とを備える。リール状樹脂モールドロール204と巻き取りロール203との間には、基材223(図示せず)の搬送方向における上流側から下流側に向けて順に、基材23上に光硬化性樹脂を塗布する塗布装置203と、基材223を送り出す基材巻き出しロール201と、リール状樹脂モールド227とカバーフィルム(図示せず)とを貼り合わせるための貼合手段205と、基材223上の光硬化性樹脂層224を部分硬化する乾燥炉206と、光硬化性樹脂層224を光によって部分硬化する場合の光を照射する光源207と、が設けられている。また、リール状樹脂モールド227を送り出すリール状樹脂モールドの巻きだしロール204と、基材223を送り出す基材巻き出しロール201とを入れ替えても構わない。入れ替えた場合、リール状樹脂モールド227上に光硬化性樹脂を塗布することになる。また、乾燥炉206は、リール状樹脂モールド227の搬送方向における貼合手段205の前後のいずれに設けてもよい。
モールド複製工程においては、基材ロール201から送り出された基材223上に、塗布装置208により直接光硬化樹脂を塗布し、光硬化性樹脂層224を形成する。次に、貼合手段205によって巻き出しロール204から巻き出されたリール状樹脂モールド227の微細パターン面を光硬化樹脂層224上に貼り合わせる。光硬化樹脂層224を光によって光硬化した後、リール状樹脂モールド227を剥離し巻き取りロール203に巻き取る。この時、光硬化樹脂層224にはリール状樹脂モールドの反転形状か転写され、巻き取りロール202に巻き取られる。
塗布装置208による基材23への光硬化性樹脂を塗布する際の塗布方法としては、公知の塗布コーター又は含浸塗布コーターを用いたコーティング法が挙げられる。具体的にはグラビアコーター、マイクログラビアコーター、ブレードコーター、ワイヤーバーコーター、エアーナイフコーター、ディップコーター、コンマナイフコーター、スプレーコーター、カーテンコーター、スピンコーター、ラミネーターなどを用いた塗布方法が挙げられる。これらは必要に応じて単独種類を用いてもよく複数種類を組合せて用いてもよい。またこれらの塗布方法は、枚葉方式で実施してもよく、連続方式で実施してもよい。生産性の観点から連続方式で実施することが好ましい。また、ディップコーター、コンマナイフコーター、グラビアコーター又はラミネーターを使用した連続方式が特に好ましい。
尚、本発明では、この反転形状の微細パターンを有する基材上の光硬化性樹脂を基材と合わせて、リール状樹脂モールドとすることができる。
モールド複製工程に用いる光硬化性樹脂層は、モールド作製工程に用いた光硬化樹脂と同様に、前記微細凹凸構造が形成された表面の表面部におけるフッ素元素濃度(Es)が、前記樹脂層中の平均フッ素元素濃度(Eb)より高いことが好ましい。
これによれば、光硬化性樹脂層における微細凹凸構造形成面側のフッ素元素濃度(Es)が、光硬化性樹脂層中の平均フッ素元素濃度(Eb)に対して相対的に高いことから、後工程である微細マスク形成用積層体を作製する硬化剥離工程における樹脂モールドと微細マスク形成用積層体の離型性が向上する。
本発明におけるリール状樹脂モールドは、上記モールド複製工程のように複製できるため、多数のリール状樹脂モールドを作製できるだけでなく、凹部形状や凸部形状を自由に選択することができる。
(マスク層形成工程)
マスク層形成工程においては、図3と同様の装置を使用することができる。図3中201の巻き出しロールにリール状樹脂モールドを設置し、ロールから送り出されたリール状樹脂モールド227の微細凹凸構造に、塗布装置208により直接マスク材料を塗布し、マスク材料層225(図示せず)を形成する。次に、乾燥炉206でマスク材料層225を部分硬化してから、貼合手段205によって巻き出しロール204から巻き出されたカバーフィルム(図示せず)をマスク材料層上に貼り合わせる。なお、マスク材料層225の部分硬化は、カバーフィルムを貼り合わせてから行ってもよい。マスク材料層225を光によって部分硬化する場合は、次に、マスク材料層225に光を照射して部分硬化してからリール状樹脂モールドを巻き取りロール202に巻き取る。なお、図3に示す装置においては、乾燥炉206と光源207とを共に備えた製造装置について例示しているが、乾燥炉206又は光源207によってマスク材料層24を部分硬化できる製造装置であれば、必ずしも乾燥炉206と光源207とを共に具備するものでなくともよい。
塗布装置208によるリール状樹脂モールド227の微細凹凸構造へのマスク材料を塗布する際の塗布方法としては、公知の塗布コーター又は含浸塗布コーターを用いたコーティング法が挙げられる。具体的にはグラビアコーター、マイクログラビアコーター、ブレードコーター、ワイヤーバーコーター、エアーナイフコーター、ディップコーター、コンマナイフコーター、スプレーコーター、カーテンコーター、スピンコーター、ラミネーターなどを用いた塗布方法が挙げられる。これらは必要に応じて単独種類を用いてもよく複数種類を組合せて用いてもよい。またこれらの塗布方法は、枚葉方式で実施してもよく、連続方式で実施してもよい。生産性の観点から連続方式で実施することが好ましい。また、ディップコーター、コンマナイフコーター、グラビアコーター又はラミネーターを使用した連続方式が特に好ましい。
マスク層形成工程においては、リール状樹脂モールド上の微細パターン面にマスク材料を塗布することが望ましい。予めマスク材料に対し、溶剤を添加し、溶液として、リール状樹脂モールドに塗布すれば、塗布後の乾燥によって、マスク層の残膜を制御できるだけでなく、リール状樹脂モールドの微細パターンの凹部にマスク材料を選択的に埋め込むことができる。
(部分硬化工程)
本発明における部分硬化工程においては、リール状樹脂モールド227の表面に形成されたマスク材料層225を加熱して部分硬化する。部分硬化の条件としては、例えば、窒素雰囲気下において、40℃〜120℃の温度下で1分〜60分程度で部分硬化することができる。この際の加熱により、マスク材料層225中の溶媒を蒸発させることもできる。また、部分硬化工程においては、マスク材料層225に予め光重合開始剤と光重合性基を有するマスク材料を導入しておけば、光源から光照射、EB照射、マイクロ波照射などを施すことにより、マスク材料層225を部分硬化することもできる。
また、マスク材料の部分硬化は、その後の樹脂層との積層時に、マスク材料の樹脂層への拡散を防ぐことができる。これによって、さらに後の工程であるエッチング工程でのマスク材料と樹脂層の選択比の及び、無機基材との選択比を確保することができる。
ゾルゲル材料をマスク層225に含む場合、巻き取った後に養生する工程を加えてもよい。養生は、室温〜120℃の間で行うことが好ましい。特に、室温〜105℃であると好ましい。
(マスク材料)
図4は樹脂モールド上にマスク材料が充填された状態の断面図を表す。
マスク層12の組成については、特に限定されず、溶剤に希釈可能な種々の公知樹脂(有機物)、無機前駆体、無機縮合体、メッキ液(クロムメッキ液など)まで使用できる。マスク層12は、微細マスク形成用積層体を使用して、マスクを形成したい基材にマスクを転写する際の転写精度の観点から、光重合可能な光重合性基と熱重合可能な重合性基の両方、またはいずれか一方を含むと特に好ましい。また、マスク層12は、有機物に比べ、原子量が大きく電子密度が高いために、耐エッチング性に優れる金属元素を含むことが好ましい。
希釈溶剤としては、特に限定されないが、単一溶剤の沸点が40℃〜200℃の溶剤が好ましく、60℃〜180℃がより好ましく、60℃〜160℃がさらに好ましい。希釈剤は2種類以上を使用してもよい。
また、溶剤希釈したマスク材料の濃度は、単位面積上に塗工された塗膜の固形分量が、単位面積上(下)に存在する微細凹凸構造の空隙(凹)の体積以上となる濃度であれば、特に限定されない。
マスク層12に含まれる光重合性基としては、アクリロイル基、メタクリロイル基、アクリロキシ基、メタクリロキシ基、アクリル基、メタクリル基、ビニル基、エポキシ基、アリル基、オキセタニル基などが挙げられる。
また、マスク層12に含まれる金属元素としては、チタン(Ti),ジルコニウム(Zr),クロム(Cr),亜鉛(Zn),スズ(Sn),ホウ素(B),インジウム(In),アルミニウム(Al),シリコン(Si)からなる群から選ばれた少なくとも1種であることが好ましい。特に、チタン(Ti),ジルコニウム(Zr),クロム(Cr),シリコン(Si)であることが好ましい。
マスク層12を形成する材料は、ゾルゲル材料を含むことが好ましい。ゾルゲル材料を含むことで、耐ドライエッチング性の良好なマスク層12を光硬化性樹脂層11の微細凹凸構造内部に充填しやすくなる。マスク層12を構成するマスク材料中に、希釈塗工後の溶剤揮発過程において様態が変化する材料を含むと、材料自体の面積を小さくするというドライビングフォースも同時に働くため、より効果的にマスク材料が凹部内部へと充填される。様態の変化とは、例えば、発熱反応や、粘度の大きくなる変化が挙げられる。例えば、ゾルゲル材料を含むと、溶剤揮発過程で、空気中の水蒸気と反応し、ゾルゲル材料が重縮合する。これにより、ゾルゲル材料のエネルギーが不安定化するため、溶剤乾燥に伴い低下する溶剤液面(溶剤と空気界面)から遠ざかろうとするドライビングフォースが働き、結果、ゾルゲル材料が良好に凹内部へと充填されやすくなる。
ゾルゲル材料としては、単一の金属種を持つ金属アルコキシドのみを用いても、異なる金属種を持つ金属アルコキシドを併用してもよいが、金属種M1(ただし、M1は、Ti,Zr,Zn,Sn,B,In,Alからなる群から選択される少なくとも1種の金属元素)を持つ金属アルコキシドと、金属種Siを持つ金属アルコキシドとの、少なくとも2種類の金属アルコキシドを含有することが好ましい。または、マスク材料として、これらのゾルゲル材料と、公知の光重合性樹脂とのハイブリッドも使用できる。
マスク材料は、ドライエッチング時の物理的破壊を抑制する観点から縮合と光重合の両方、あるいはいずれか一方による硬化後の相分離が小さいことが好ましい。ここで、相分離とは、透過型電子顕微鏡(TEM)のコントラストで確認することが可能である。マスク層12の転写性の観点から、TEMのコントラストより、相分離サイズが20nm以下であることが好ましい。物理的耐久性および、耐ドライエッチング性の観点から、相分離サイズは15nm以下であることが好ましく、10nm以下であると、より好ましい。なお、相分離を抑制する観点から、ゾルゲル材料中に、光重合性基を具備するシランカップリング剤を含むことが好ましい。
また、マスク層12としての耐ドライエッチング性の観点から、ゾルゲル材料は、金属種の異なる、少なくとも2種類の金属アルコキシドを含むことが好ましい。金属種の異なる2種類の金属アルコキシドの、金属種の組み合わせとしては、例えば、SiとTi,SiとZr,SiとTa等が挙げられる。耐ドライエッチング性の観点から、Siを金属種に持つ金属アルコキシドのモル濃度(CSi)と、Si以外の金属種M1を持つ金属アルコキシド(CM1)との比率CM1/CSiは、0.2〜15であることが好ましい。塗工乾燥時の安定性の観点から、CM1/CSiは0.5〜15であることが好ましい。物理的強度の観点から、CM1/CSiは5〜8であることがより好ましい。
マスク層12は、マスク層12の転写精度と耐ドライエッチング性の観点から、無機のセグメントと有機のセグメントを含むハイブリッドであることが好ましい。ハイブリッドとしては、例えば、無機微粒子と、光重合(あるいは熱重合)可能な樹脂の組み合わせや、無機前駆体と光重合(あるいは熱重合)可能な樹脂、や、有機ポリマーと無機セグメントが共有結合にて結合した分子、等が挙げられる。無機前駆体としてゾルゲル材料を使用する場合は、シランカップリング剤を含むゾルゲル材料の他に、光重合可能な樹脂を含むことを意味する。ハイブリッドの場合、例えば、金属アルコキシド、光重合性基を具備したシランカップリング材、ラジカル重合系樹脂などを混合することができる。より転写精度を高めるために、これらにシリコーンを添加してもよい。また、ドライエッチング耐性を向上させるために、ゾルゲル材料部分は、予め予備縮合を行ってもよい。シランカップリング剤を含む金属アルコキシドと、光重合性樹脂の混合比率は、耐ドライエッチング性と転写精度の観点から、3:7〜7:3の範囲が好ましい。より好ましくは、3.5:6.5〜6.5:3.5の範囲である。ハイブリッドに使用する樹脂は、光重合可能であれば、ラジカル重合系でも、カチオン重合系でも特に限定されない。
マスク層12を構成する光重合可能なラジカル重合系の樹脂としては、上記に挙げた光硬化性樹脂層11を構成する光重合可能なラジカル重合系の樹脂から、フッ素含有(メタ)アクリレートを除いたものを用いることが好ましい。
マスク層12を構成する光重合可能なカチオン重合系の樹脂は、少なくともカチオン硬化性モノマーと、光酸発生剤とを含む組成物を意味する。カチオン硬化性樹脂組成物におけるカチオン硬化性モノマーとは、カチオン重合開始剤の存在下で、例えば、UV照射や加熱などの硬化処理を行うことにより硬化物が得られる化合物である。カチオン硬化性モノマーとしては、エポキシ化合物、オキセタン化合物、およびビニルエーテル化合物が挙げられ、エポキシ化合物としては、脂環式エポキシ化合物、およびグリシジルエーテルが挙げられる。これらの中でも脂環式エポキシ化合物は、重合開始速度が向上し、オキセタン化合物は重合率の向上効果があるので、使用することが好ましく、グリシジルエーテルはカチオン硬化性樹脂組成物の粘度を低下させ、塗工性に効果があるので使用することが好ましい。より好ましくは、脂環式エポキシ化合物とオキセタン化合物とを併用することであり、さらに好ましくは脂環式エポキシ化合物とオキセタン化合物との重量比率が99:1〜51:49の範囲で併用することである。
カチオン硬化性モノマーの具体例としては、以下のものが挙げられる。脂環式エポキシ化合物としては、例えば、3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボン酸−3,4−エポキシシクロヘキシルメチル、3’,4’−エポキシ−6’−メチルシクロヘキサンカルボン酸−3,4−エポキシ−6’−シクロヘキシルメチル、ビニルシクロヘキセンモノオキサイド1,2−エポキシ−4−ビニルシクロヘキサン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランが挙げられる。
グリシジルエーテルとしては、例えば、ビスフェノールAグリシジルエーテル、ビスフェノールFグリシジルエーテル、水添ビスフェノールAグリシジルエーテル、水添ビスフェノールFグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、グリシジルメタクリレート、3−グリシジロキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシジロキシプロピルエチルジエトキシシラン、3−グリシジロキシプロピルトリエトキシシランなどが挙げられる。
オキセタン化合物としては、例えば、3−エチル−3−(フェノキシメチル)オキセタン、ジ[1−エチル(3−オキセタニル)]メチルエーテル、3−エチル−3アリルオキシメチルオキセタン、3−エチル−3−(2−エチルヘキシロキシメチル)オキセタン、3−エチル−3−{[3−(トリエトキシシリル)プロポキシ]メチル}オキセタンなどが挙げられる。
ビニルエーテルとしては、2−ヒドロキシブチルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、2−ヒドロキシブチルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、1,4−ブタンジオールジビニルエーテルなどが挙げられる。
光酸発生剤は、光照射により光酸を発生すれば、特に限定されるものではない。例えば、スルホニウム塩、ヨードニウム塩といった芳香族オニウム塩が挙げられる。光酸発生剤としては、例えば、スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ベンジルトリフェニルホスホニウムヘキサフルオロホスフェート、ベンジルピリジニウムヘキサフルオロホスフェート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、ベンゾイントシレート、アデカオプトマーsp−170(ADEKA社製)、アデカオプトマーsp−172(ADEKA社製)、WPAG−145(和光純薬工業社製)、WPAG−170(和光純薬工業社製)、WPAG−199(和光純薬工業社製)、WPAG−281(和光純薬工業社製)、WPAG−336(和光純薬工業社製)、WPAG−367(和光純薬工業社製)、CPI−100P(サンアプロ社製)、CPI−101A(サンアプロ社製)、CPI−200K(サンアプロ社製)、CPI−210S(サンアプロ社製)、DTS−102(みどり化学社製)、TPS−TF(東洋合成工業社製)、DTBPI−PFBS(東洋合成工業社製)等が挙げられる。
希釈したマスク材料を、光硬化性樹脂層11の微細凹凸構造面上に直接塗工した際の濡れ性が悪い場合は、界面活性剤やレベリング材を添加してもよい。これらは、公知市販のものを使用することができるが、同一分子内に光重合性基を具備していることが好ましい。添加濃度は、塗工性の観点から、マスク材料100重量部に対して、40重量部以上が好ましく、60重量部以上が、より好ましい。一方で、耐ドライエッチング耐性の観点から、500重量部以下であることが好ましく、300重量部以下であると、より好ましく、150重量部以下であると、なお好ましい。特に、カルボキシル基、ウレタン基、イソシアヌル酸誘導体を有する官能基の、少なくとも1つの官能基を含むことが、相溶性の観点から好ましい。なお、イソシアヌル酸誘導体には、イソシアヌル酸骨格を有するもので、窒素原子に結合する少なくとも1つの水素原子が他の基で置換されている構造のものが包含される。これらを満たすものとして、例えば、ダイキン工業社製のオプツールDACが挙げられる。添加剤は、溶剤に溶かした状態で、マスク剤と混合することが好ましい。
(樹脂層形成工程)
本発明における無機基材上に樹脂層を形成する樹脂層形成工程においては、公知のコーティング法を用いることができる。具体的にはグラビアコーター、マイクログラビアコーター、ブレードコーター、ワイヤーバーコーター、エアーナイフコーター、ディップコーター、コンマナイフコーター、スプレーコーター、カーテンコーター、スピンコーター、ラミネーターなどを用いた塗布が挙げられる。これらの塗布方法は、必要に応じて1種の塗布方法を用いてもよく、2種以上の塗布方法を組合せて用いてもよい。無機基材は枚葉形式のため、スピンコーター、ディップコーター、ラミネーター、スプレーコーターを使用した塗布方法が特に好ましい。優れた膜厚分布を確保できるスピンコーターが特に好ましい。
本発明におけるマスク材料層上に樹脂層を形成する樹脂層形成工程においては、公知のコーティング法を用いることができる。具体的にはグラビアコーター、マイクログラビアコーター、ブレードコーター、ワイヤーバーコーター、エアーナイフコーター、ディップコーター、コンマナイフコーター、スプレーコーター、カーテンコーター、スピンコーター、ラミネーターなどを用いた塗布が挙げられる。これらの塗布方法は、必要に応じて1種の塗布方法を用いてもよく、2種以上の塗布方法を組合せて用いてもよい。また、これらの塗布方法は、枚葉方式で実施してもよく、連続方式で実施してもよい。生産性の観点から連続方式で塗布することが好ましい。また、ディップコーター、コンマナイフコーター、グラビアコーター又はラミネーターを使用した連続方式の塗布方法が特に好ましい。
本発明における無機基材には、その用途により選定すればよく、特に限定されない。例えば、合成石英や溶融石英に代表される石英、無アルカリガラス、低アルカリガラス、ソーダライムガラスに代表されるガラスや、シリコンウェハ、ニッケル板、サファイア、ダイヤモンド、SiC基板やマイカ基板等が挙げられる。
(積層体を形成する貼合工程)
本発明における貼合工程においては、無機基材上に形成された樹脂層側と前記光硬化性樹脂層上に塗布されたマスク材料層側を貼り合わせ、積層体を形成することができる。この貼り合わせは、市販の貼合装置を用いることができる。貼合工程において、真空することで空気の抱き込みを防ぐことができる。貼合装置の他に、ラミネートによる貼り合わせであれば、真空過程を経由しないので好ましい。
図5は、本発明における貼合工程後の状態の断面図を表す。
無機基材35と樹脂層34との接着性を向上させるため、樹脂層34を設ける無機基材35の一主面上に、樹脂層34との化学結合や、浸透などの物理的結合のための易接着コーティング、プライマー処理、コロナ処理、プラズマ処理、UV/オゾン処理、高エネルギー線照射処理、表面粗化処理、多孔質化処理などを施してもよい。
樹脂層34は、リール状樹脂モールド作製用いた光硬化性樹脂中の材料を用いることができる。また、マスク材料に用いた化合物群と組み合わせることもできる。さらに、溶融した熱可塑性樹脂や予め溶媒に溶解した熱可塑性樹脂も用いることができる。タクトタイム、作業性、残膜均一性、マスク材料33と無機基材35との接着性に優位な点から、樹脂層34には、光硬化性樹脂を用いることが好ましい。また、市販のレジスト材料を使用することもできる。
樹脂層34は、先述のエッチングレート比(選択比)を満たせば、特に限定されない。樹脂層34を構成する材料として、上記に挙げた光重合可能なラジカル重合系の樹脂や光重合可能なカチオン重合系の樹脂、その他公知である市販の光重合性あるいは熱重合性樹脂や、ドライフィルムレジストに代表される部分的に架橋し、熱圧着が可能な樹脂を使用することができる。
マスク層33と、樹脂層34とは、化学的に結合することが、成形性の観点から好ましい。そのため、マスク層33が光重合性基を含む場合は、樹脂層34も光重合性基を含み、マスク層33が熱重合性基を含む場合は、樹脂層34も熱重合性基を含むことが好ましい。また、マスク層33中の、ゾルゲル材料との縮合により、化学結合を生成するために、樹脂層34にゾルゲル材料を含んでもよい。光重合方式としては、ラジカル系とカチオン系が存在するが、硬化速度とドライエッチング耐性の観点から、ラジカル系のみ、あるいは、ラジカル系とカチオン系のハイブリッド系が好ましい。ハイブリッドの場合、ラジカル重合系樹脂とカチオン重合系樹脂を、重量比率で、3:7〜7:3で混合することが好ましく、3.5:6.5〜6.5:3.5であるとより、好ましい。
ドライエッチング時の、樹脂層34の物理的安定性の観点から、樹脂層34のTg(ガラス転位温度)は、30℃〜300℃であることが好ましく、60℃〜250℃であるとより好ましい。
樹脂層34と無機基材35、および、樹脂層34とマスク層33との密着性の観点から、樹脂層34の比重法による収縮率は、5%以下であると好ましい。
また、樹脂層34は、ドライフィルムレジストに代表される熱圧着可能な樹脂であると成形性が向上するため好ましい。ドライフィルムレジストの熱圧着可能温度としては、200℃以下であることが好ましく、150℃以下がより好ましい。ドライフィルムレジストとしては、マスク層33との接着性の観点から、感光性樹脂を含むドライフィルムレジストであるとより好ましい。
(硬化剥離工程)
本発明における硬化剥離工程において、樹脂モールド側から光を照射することができる。これにより、樹脂層34と無機基材35との接着性が向上するだけでなく、樹脂層34とマスク層33の接着性を向上させることができる。また、光硬化の後に、加熱することができる。加熱により、マスク層33及び樹脂層34の硬化が促進され、それぞれ同士の接着性が向上する。
樹脂層34を硬化させたのち、リール状樹脂モールド36を剥離することで、微細マスク形成用積層体を形成することができる。
図5に示すように、微細マスク形成用積層体1は、無機基材35と、樹脂層34を介し、無機基材35の一主面上に設けられた表面に微細凹凸構造を有するマスク層33とを具備する。微細マスク形成用積層体1は、透明基材31と微細パターンを有する光硬化性樹脂層32から構成されるリール状樹脂モールド36を剥離することで得られる。
一方、図4に示す通り、光硬化性樹脂層11には、特定方向に延在する単数(例えば、ライン状)または複数(例えば、ドット状)の凸部11aが、特定方向に直交する方向に沿って、互いに所定の間隔を隔てて設けられている。すなわち、凸部11aは、平面視において透明基材10の全面にわたって複数形成されている。また、凸部11aは、積層体の厚み方向に沿った断面視(直交方向に垂直な断面でみたとき)において、図2に示すように、透明基材10の主面に対して垂直な方向に突出している。凸部11a間には、凹部11bが形成されている。この凸部11aおよび凹部11bで微細凹凸構造を構成している。
微細凹凸構造の高さhは、凸部11aの長さ(高さ)または凹部11bの深さを意味する。微細凹凸構造の高さhは、凹部11b底部の位置と凸部11a頂部の位置(後述する位置(S))との最短距離である。微細凹凸構造の開口幅φと高さhとの比率h/φで示されるアスペクト比は、0.5〜2.5の範囲が好ましい。アスペクト比は、耐ドライエッチング性の観点から0.5以上の範囲が好ましく、マスク転写精度の観点から2.5以下の範囲が好ましい。
図4における位置(S)は、微細凹凸構造の凸部11aの頂部の位置を意味する。なお、微細凹凸構造の高さにバラつきがある場合には、位置(S)は、各凸部11aの頂部位置の面内平均の位置を意味する。平均数としては、10点以上が好ましい。
図4において、光硬化性樹脂層11上部を覆うようにマスク層12を設けると、凹部11b内を充填するマスク層12aが形成されるとともに、凸部11aの頂部およびマスク層12aの頂部で構成される平面上にマスク層12bが形成される。マスク層12bは、図5中の微細マスク形成用積層体1における残膜33にあたる。図4における位置(Srl)は、マスク層12の露出する表面の位置を意味する。
図4における距離lrlは、位置(S)と位置(Srl)との距離を意味する。すなわち、凸部11a上のマスク層12bの厚さ(残膜の厚さ)を意味する。マスク層12の露出する表面にうねりがある場合には、積層体のある複数の領域において、凸部11aの頂部を含む平面と平行な面が、マスク層12の露出する表面と交わる点をランダムに10点摘出し、前記10点の交点それぞれから凸部11aの頂部を含む平面に対して引いた垂線の長さの加算平均を、距離lrlとする。この距離lrlは、小さい値であるほど好ましい。マスク層12bを除去する残膜処理を等方性エッチングで行ったとすると、除去するマスク層12bの厚みの2倍分だけ、マスク層12bは幅方向に削れる。したがって、距離lrlは、lrl≧0を満たす範囲にあるのが好ましい。また、微細凹凸構造のバラつきや、カバーフィルム表面にミクロンスケールのうねりがあることを考慮すると、均質な塗工性の観点から、lrl≧0.01hがより好ましい。一方、残膜処理終了時におけるマスク幅の観点から、lrl≦0.1hが望ましい。より好ましくは、lrl≦0.05hである。
このような微細マスク形成用積層体によれば、微細凹凸構造の凹部内部を埋めるようにマスク層12が形成され、微細凹凸構造の凸部上部には非常に薄いマスク層12が形成される構成であるため、加工対象である基材(無機基材)に微細マスク形成用積層体1を貼り合わせて基材上に微細マスクパターンを転写したときに、残膜が薄い状態にすることができ、微細マスクパターンの幅に影響を与える残膜処理過程が非常に容易になる。これにより、精度の高い微細マスクパターンを形成することが可能となる。
以下、微細マスク形成用積層体の各構成要素の材質等について詳細に説明する。
無機基材35の材質に関しては、その用途により選定すればよく、特に限定されない。例えば、合成石英や溶融石英に代表される石英、無アルカリガラス、低アルカリガラス、ソーダライムガラスに代表されるガラスや、シリコンウェハ、ニッケル板、サファイア、ダイヤモンド、SiC基板やマイカ基板等が挙げられる。微細マスク形成用積層体1の無機基材35として、柔軟性のある基材を選定した場合、曲率を持つ外形を有す無機基材(例えば、レンズ形状、円筒・円柱形状、球形状等)を選定することもできる。
(微細マスク形成用積層体)
微細マスク形成用積層体1におけるマスク層33が有する微細凹凸構造の形状は、特に限定されないが、円錐形状、角錐形状、または楕円錘形状の凸部を複数含むピラー形状や、ラインアンドスペース構造であることが好ましく、円錐形状、円柱形状、角錐形状、または楕円錘形状の凸部を複数含むピラー形状であることがより好ましい。前記ピラー形状は、ピラーが滑らかな凹部を通じ隣接していてもよい。あるいは、円錐形状、円柱形状、角錐形状、または楕円錘形状の凹部を複数含むホール形状であることが好ましい。
微細マスク形成用積層体を使用して無機基材上にマスクパターンを形成し、このマスクパターンを利用してエッチングを行うことを考慮すると、マスク層33の微細凹凸構造は、ホール形状であることが好ましい。また、ホール形状であることは、マスク層33を構成するマスク材料を、光硬化性樹脂層32の微細凹凸構造面上に直接塗工する際の塗工性や、微細凹凸構造の耐久性(物理的破壊に対する耐性)の観点からも、好ましい。
ここで、「ピラー形状」とは、「柱状体(錐状態)が複数配置された形状」であり、「ホール形状」とは、「柱状(錐状)の穴が複数形成された形状」である。また、凹凸構造において、凸部同士の距離が50nm以上5000nm以下であり、凸部の高さが10nm以上2000nm以下であることが好ましい。用途にもよるが、凸部同士の隣接距離(凸部の頂点同士の間隔)が小さく、凸部の高さ(凹部の底から凸部の頂点までの高さ)が大きいことが好ましい。ここで、凸部とは、微細凹凸構造の平均高さより高い部位をいい、凹部とは、微細凹凸構造の平均高さより低い部位をいうものとする。
また、図6に示すように、面内において直交する第1方向と第2方向に対し、第1方向にピッチPで凸部(または凹部)が配列し、かつ、第2方向にピッチSで凸部(あるいは凹部)が配列する場合において、第2方向に列をなす凸部(または凹部)の第1方向に対するずれαの規則性が高い配列であってもよいし(図6A参照)、ずれαの規則性が低い配列であってもよい(図6B参照)。ずれαとは、第1方向に平行な隣り合う列において、最も近接する凸部の中心を通る第2方向に平行な線分間の距離をいう。例えば、図6Aに示すように、第1方向に平行な第(N)列の任意の凸部の中心を通る第2方向に平行な線分と、この凸部から最も近い距離にある第(N+1)列の凸部の中心を通る第2方向に平行な線分との間の距離が、ずれαと規定される。図6Aに示す配列は、どの列を第(N)列としても、ずれαはほぼ一定であるため、周期性を備えた配列といえる。一方、図6Bに示す配列は、どの列を第(N)列とするかによって、ずれαの値が変わるため、非周期性を備えた配列といえる。
ピッチPおよびピッチSは、想定する用途に応じて適宜設計することができる。例えば、ピッチPとピッチSとは等しいピッチであってもよい。また、図6においては、凸部(または凹部)が重なりを持たず独立した状態で描かれているが、第1方向と第2方向の両方、またはいずれか一方に配列する凸部(または凹部)が重なっていてもよい。
なお、本明細書においては、図6に示すように、ピラー形状またはホール形状を含む微細凹凸構造は、平面視で凸部または凹部が円形状に見えるため、ドット構造ともいう。
図7は、微細マスク形成用積層体におけるホール形状の微細凹凸構造を示す上面図である。マスク層33の微細凹凸構造がホール形状の場合、1つのホール(A)と、ホール(A)に最近接するホール(B)において、ホール(A)の開口淵部と、ホール(B)の開口淵部をつなぐ、最短の線分(ly)の長さがサブミクロンスケールであると、希釈塗工したマスク材料が、系のエネルギーを減少させるように、効率的に凹部内部へと充填される結果、lrlを小さくできるため好ましい。特に、最短の線分の長さが、500nm以下であると、上記効果をより一層発揮できるため好ましく、より好ましくは、400nm以下、最も好ましくは、300nm以下である。さらに、ピッチPおよびピッチSはともに800nm以下であると上記効果をより発揮するため好ましく、500nm以下であるとより好ましい。
また、ホール開口部の面積の方がホール底部の面積よりも大きい構造、すなわち、凹部の内側面が傾斜を持つ構造であると、上記効果をより発揮できるため好ましい。さらに、開口淵と凹部側面とは、連続的に滑らかにつながっていると、上記効果をより一層発揮できるため好ましい。
マスク層33を構成するマスク材料中に、希釈塗工後の溶剤揮発過程において様態が変化する材料を含むと、材料自体の面積を小さくするというドライビングフォースも同時に働くため、より効果的にマスク材料が凹部内部へと充填される結果、lrlを小さくできるため好ましい。様態の変化とは、例えば、発熱反応や、粘度の大きくなる変化が挙げられる。例えば、ゾルゲル材料を含むと、溶剤揮発過程で、空気中の水蒸気と反応し、ゾルゲル材料が重縮合する。これにより、ゾルゲル材料のエネルギーが不安定化するため、溶剤乾燥に伴い低下する溶剤液面(溶剤と空気界面)から遠ざかろうとするドライビングフォースが働き、結果、ゾルゲル材料が良好に凹内部へと充填され、lrlが小さくなる。
(エッチング工程)
本発明におけるエッチング工程において、エッチング条件は、材料により種々設計できるが、例えば、次のようなエッチング方法が挙げられる。
樹脂層34を化学反応的にエッチングする観点から、O2ガスおよびH2ガスを選択することができる。イオン入射成分の増加による縦方向エッチングレート向上という観点から、ArガスおよびXeガスを選択することができる。エッチングに用いるガスは、O2ガス、H2ガス、およびArガスの少なくとも1種を含む混合ガスを使用する。
エッチング時の圧力は、反応性エッチングに寄与するイオン入射エネルギーを高め、エッチング異方性をより向上させることが出来るため、0.1〜5Paであることが好ましく、0.1〜1Paであると、より好ましい。
また、O2ガスあるいはH2ガスと、ArガスあるいはXeガスの、混合ガス比率は、化学反応性のエッチング成分と、イオン入射成分が適量である時に、異方性が向上するため、ガス流量の比率は99sccm:1sccm〜50sccm:50sccmが好ましく、95sccm:5sccm〜60sccm:40sccmがより好ましく、90sccm:10sccm〜70sccm:30sccmがなお好ましい。
プラズマエッチングは容量結合型RIE、誘導結合型RIE、あるいはイオン引き込みバイアスを用いるRIEを用いて行う。例えば、酸素ガスのみ、あるいは酸素ガスとアルゴンガスを90sccm:10sccm〜70sccm:30sccmの間で混合したガスを用い、処理圧力を0.1〜1Paの範囲に設定し、かつ容量結合型RIEあるいは、イオン引き込み電圧を用いるRIEを用いるエッチング方法等が挙げられる。
マスク層33中に含まれる蒸気圧の低い成分(例えば、Ti,Zr,Ta等を金属元素として有するゾルゲル材料)が、樹脂層34をエッチングする際に、樹脂層34の側壁を保護する役割を果たし、その結果、厚みのある樹脂層34を容易にエッチング可能になる。
(無機基材エッチング工程)
本発明における無機基材エッチング工程において、エッチング条件は、材料により種々設計できるが、例えば、次のようなエッチング方法が挙げられる。
無機基材35と樹脂層34のエッチングレートの比率(Vo2/Vi2)を小さくするという観点から、塩素系ガスやフッ素系ガスを用いたエッチングを行うことができる。無機基材を反応性エッチングすることが容易なフロン系ガス(CxHzFy:x=1〜4、y=1〜8、z=0〜3の範囲の整数)のうち、少なくとも1種を含む混合ガスを使用する。フロン系ガスとしては例えば、CF4、CHF3、C2F6、C3F8、C4F6、C4F8、CH2F2、CH3F等が挙げられる。さらに、無機基材のエッチングレートを向上させるため、フロン系ガスにArガス、O2ガス、およびXeガスを、ガス流量全体の50%以下混合したガスを使用する。
エッチング時の圧力は反応性エッチングに寄与するイオン入射エネルギーが大きくなり、無機基材のエッチングレートが向上するため、0.1〜5Paであることが好ましく、0.1〜1Paであることがより好ましい。
また、フロン系ガス(CxHzFy:x=1〜4、y=1〜8、z=0〜3の範囲の整数)のCとFの比率(y/x)の異なるフロン系ガス2種を混合し、無機基材のエッチング側壁を保護するフロロカーボン膜の堆積量を増減させることで、テーパー形状の角度を作り分けることができる。無機基材のマスク形状を、ドライエッチングにより、より精密に制御する場合、F/C≧3のフロンガスと、F/C<3のフロンガスの流量の比率を、95sccm:5sccm〜60sccm:40sccmとすることが好ましく、70sccm:30sccm〜60sccm:40sccmであると、より好ましい。
また、フロン系ガスとArガスの混合ガスと、O2ガスあるいはXeガス、の混合ガスは、反応性エッチング成分とイオン入射成分が適量である場合に、無機基材のエッチングレートが向上するという観点から、ガス流量の比率99sccm:1sccm〜50sccm:50sccmが好ましく、より好ましくは、95sccm:5sccm〜60sccm:40sccm、さらに好ましくは、90sccm:10sccm〜70sccm:30sccmである。
プラズマエッチングは容量結合型RIE、誘導結合型RIE、あるいはイオン引き込み電圧を用いるRIEを用いて行う。例えば、CHF3ガスのみ、あるいはCF4とC4F8をガス流量の比率90sccm:10sccm〜60sccm:40sccmの間で混合したガスを用い、処理圧力を0.1〜5Paの範囲で設定し、かつ、容量結合型RIEあるいは、イオン引き込み電圧を用いるRIEを用いるエッチング方法等が挙げられる。
ドライエッチングによる、マスク層33のエッチングレート(Vm1)と、有機層のエッチングレート(Vo1)との比率(Vo1/Vm1)は、マスク層33をマスクとして樹脂層34をエッチングする際の加工精度に影響を与える。Vo1/Vm1>1は、マスク層33が樹脂層34よりもエッチングされにくいことを意味するため、大きいほど好ましい。マスク層12の塗工性の観点から、Vo1/Vm1≦150であることがこの好ましく、Vo1/Vm1≦100がより好ましい。耐エッチング性の観点から、3≦Vo1/Vm1であることが好ましく、10≦Vo1/Vm1であることがより好ましく、15≦Vo1/Vm1であることが、なお好ましい。
一方、樹脂層34のエッチング時のエッチング異方性(横方向のエッチングレート(Vo//)と、縦方向のエッチングレート(Vo⊥)との比率(Vo⊥/Vo//)は、大きいほど好ましい。樹脂層34のエッチングレートと、無機基材35のエッチングレートの比率にもよるが、Vo⊥/Vo//≧2であることが好ましく、Vo⊥/Vo//≧3.5であることがより好ましく、Vo⊥/Vo//≧10であることがなお好ましい。なお、横方向とは、樹脂層34の膜厚方向を意味し、縦方向とは、樹脂層34の面方向を意味する。
無機基材へのエッチングは、微細化されたマスク層33と樹脂層34(有機層)とを、加工対象である無機基材35表面に形成された微細マスクパターンとして行う。微細マスクパターンは、アスペクトが高いマスクとして存在するため、樹脂層34(有機層)と無機基材35のエッチングレート比の幅を広く保った状態で、容易に無機基材35を加工することができる。
ドライエッチングによる、無機基材のエッチングレート(Vi2)と、有機層のエッチングレート(Vo2)との比率(Vo2/Vi2)は、小さいほど好ましい。Vo2/Vi2<1であれば、有機層のエッチングレートの方が、無機基材のエッチングレートよりも小さいため、無機基材を容易に加工することができる。有機層の塗工性および、エッチング精度の観点から、Vo2/Vi2≦3であることが好ましく、Vo2/Vi2≦2.5であるとより好ましい。Vo2/Vi2≦2であると、有機層を薄くできるためより好ましい。
以上、本発明に係る微細パターンの製造方法は、大型の設備投資なく、加工対象である無機基材に対して、均一にマスクを形成することができ、その後のエッチング工程により、簡便且つ精度よく、ナノスケールの微細パターンを形成することができる。
また、上記微細マスク形成用積層体を経由すれば、lrlを小さくできるため、その後のエッチング工程おける残膜処理過程が非常に容易になる。また、リール状樹脂モールド36と無機基材との貼合をラミネート工程で転写できるため、加工性が容易であると共に、大面積に展開できる。
以下、本発明の効果を明確にするために行った実施例について説明する。
実施例においては、以下の材料および測定方法を用いた。
・DACHP…OPTOOL DAC HP(ダイキン工業社製)
・M350…トリメチロールプロパントリアクリレート(東亞合成社製 M350)
・I.184…Irgacure 184(Ciba社製)
・I.369…Irgacure 369(Ciba社製)
・TTB…チタンテトラブトキシド
・DEDFS…ヂエトキシヂフェニルシラン
・X21−5841…末端OH変性シリコーン(信越シリコーン社製)
・SH710…フェニル変性シリコーン(東レ・ダウコーニング社製)
・3APTMS…KBM5103(信越シリコーン社製)
・M211B…アロニックスM211B(東亞合成社製)
・M101A…アロニックスM101A(東亞合成社製)
・OXT221…アロンオキセタンOXT−221(東亞合成社製)
・CEL2021P…3、4−エポキシシクロヘキセニルメチル−3、’4’−エポキシシクロヘキセンカルボキシレート
・DTS102…光酸発生剤(みどり化学社製)
・DBA…Anthracure(登録商標) UVS−1331(川崎化成社製)
・PGME…プロピレングリコールモノメチルエーテル
・MEK…メチルエチルケトン
・MIBK…メチルイソブチルケトン
・Es/Eb…微細凹凸構造を表面に具備する樹脂モールドの、XPS法により測定される表面フッ素元素濃度(Es)と、平均フッ素元素濃度(Eb)の比率。
樹脂モールドの表面フッ素元素濃度はX線光電子分光法(X−ray Photoelectron Spectroscopy:XPS)にて測定した。XPSにおける、X線のサンプル表面への侵入長は数nmと非常に浅いため、XPSの測定値を本発明における樹脂モールド表面のフッ素元素濃度(Es)として採用した。樹脂モールドを約2mm四方の小片として切り出し、1mm×2mmのスロット型のマスクを被せて下記条件でXPS測定に供した。
XPS測定条件
使用機器 ;サーモフィッシャーESCALAB250
励起源 ;mono.AlKα 15kV×10mA
分析サイズ;約1mm(形状は楕円)
取込領域
Survey scan;0〜1, 100eV
Narrow scan;F 1s,C 1s,O 1s,N 1s
Pass energy
Survey scan; 100eV
Narrow scan; 20eV
一方、樹脂モールドを構成する樹脂中の平均フッ素元素濃度(Eb)を測定するには、物理的に剥離した切片を、フラスコ燃焼法にて分解し、続いてイオンクロマトグラフ分析にかけることで、樹脂中の平均フッ素元素濃度(Eb)を測定した。
[実施例1]
(モールド作製工程)
(a)円筒状金型作製(樹脂モールド作製用鋳型の作製)
円筒状金型の基材には石英ガラスを用い、半導体レーザーを用いた直接描画リソグラフィー法により微細凹凸構造を石英ガラス表面に形成した。微細表面凹凸を形成した石英ガラスロール表面に対し、デュラサーフHD−1101Z(ダイキン化学工業社製)を塗布し、60℃で1時間加熱後、室温で24時間静置、固定化した。その後、デュラサーフHD−ZV(ダイキン化学工業社製)で3回洗浄し、離型処理を実施した。
(b)光硬化性樹脂
DACHP,M350,I.184およびI.369を混合し、転写材料を調液した。DACHPは、M350、100質量部に対し、10〜20質量部添加した。なお、後述する樹脂モールド(G1)から樹脂モールド(G2)を作るモールド複製工程では、樹脂モールド(G1)を作製する際に使用した樹脂と同様の樹脂を使用し、樹脂モールド(G2)を作製した。
PETフィルム:A4100(東洋紡社製:幅300mm、厚さ100μm)の易接着面にマイクログラビアコーティング(廉井精機社製)により、塗布膜厚6μmになるように光硬化性樹脂を塗布した。次いで、円筒状金型に対し、光硬化性樹脂が塗布されたPETフィルムをニップロール(0.1MPa)で押し付け、大気下、温度25℃、湿度60%で、ランプ中心下での積算露光量が600mJ/cm2となるように、フュージョンUVシステムズ・ジャパン株式会社製UV露光装置(Hバルブ)を用いて紫外線を照射し、連続的に光硬化を実施し、表面に微細凹凸構造が転写されたリール状の樹脂モールド(G1)(長さ200m、幅300mm)を得た。リール状樹脂モールド(G1)の表面微細凹凸の形状は、走査型電子顕微鏡観察で確認した結果、凸部同士の隣接距離は460nm、凸部高さは460nmであった。
(モールド複製工程)
PETフィルム:A4100(東洋紡社製:幅300mm、厚さ100μm)の易接着面にマイクログラビアコーティング(廉井精機社製)により、樹脂モールド(G1)を作製した際に使用した樹脂と同様の光硬化性樹脂を塗布膜厚6μmになるように塗布した。次いで、円筒状金型から直接転写し得られた樹脂モールド(G1)の微細凹凸構造面に対し、光硬化性樹脂が塗布されたPETフィルムをニップロール(0.1MPa)で押し付け、大気下、温度25℃、湿度60%で、ランプ中心下での積算露光量が600mJ/cm2となるように、フュージョンUVシステムズ・ジャパン株式会社製UV露光装置(Hバルブ)を用いて紫外線を照射し、連続的に光硬化を実施し、表面に微細凹凸構造が転写された、円筒状金型と同様の微細凹凸構造を具備するリール状の樹脂モールド(G2)(長さ200m、幅300mm)を複数得た。リール状樹脂モールド(G2)の表面微細凹凸の形状は、走査型電子顕微鏡観察で確認した結果、凹部の開口幅はφ230nm、凹部同士の隣接距離は460nm、凹部高さは460nmであった。
得られた樹脂モールド(G2)の、表面フッ素元素濃度(Es)と、平均フッ素元素濃度(Eb)の比率、Es/Ebは、DACHPの仕込み量により40〜80の間で調整できた。以降、樹脂モールド(G2)を樹脂モールド(dot)と呼ぶ。また、以下の樹脂モールド(dot)を使用した検討においては、Es/Ebの値が、74.1,55.4,49.0である樹脂モールド(dot)を選定し、それら全てに対して検討を行った。
(マスク層形成工程)
樹脂モールド(dot)を用い、本発明の微細マスク形成用積層体を、次のように作製した。マスク材料は、マスク材料(A)〜マスク材料(C)までの3種類を調液し、これら全てに対して同様の検討を行った。
マスク材料(A)…TTB;DEDFS;TEOS;X21−5841;SH710=65.25:21.75:4.35:4.35:4.35[g]で十分に混合した。続いて、3.25%の水を含むエタノール2.3mlを、攪拌下で、徐々に滴下した。その後、80度の環境で4時間熟成し、真空引きを行い、マスク材料(A)を得た。
マスク材料(B)…TTB;DEDRS;X21−5841;SH710;3APTMS;M211B;M101A;M350;I.184;I.369=33.0:11.0:4.4:4.4:17.6:8.8:8.8:8.8:2.4:0.9[g]で十分に混合し、マスク材料(B)を得た。
マスク材料(C)…TTB;DEDRS;X21−5841;SH710;3APTMS=46.9:15.6:6.3:6.3:25.0[g]で十分に混合し、続いて、3.25%の水を含むエタノール2.3mlを、攪拌下で徐々に滴下した。その後、80度の環境で2.5時間熟成し、真空引きを行った。前記溶液に、M211B;M101A;M350;I.184;I.369=29.6:29.6:29.6:8.1:3.0[g]を混合した溶液42.2gを加え、十分に攪拌し、マスク材料(C)を得た。
続いて、マスク材料(A),(B),(C)に対し、それぞれ、以下同様の検討を行った。以下、マスク材料(A),(B),(C)は区別せず、すべてマスク材料と表記する。
本発明の微細マスク形成用積層体を作製する為に、マスク材料を、PGMEで希釈した。希釈倍率は、単位平面積上の塗工膜中に含まれるマスク材料量(固形分量)が、樹脂モールド(dot)の、微細凹凸構造の体積以上となるように設定した。具体的には、lrlが、0nm(0h),4.6nm(0.01h),11.5nm(0.025h),23nm(0.05h),46nm(0.1h),92nm(0.2h)になるように濃度を決定した。希釈は、マスク材料にPGMEを滴下し、十分に攪拌することで行った。
樹脂モールド(dot)の微細凹凸構造面に対するマスク材料の塗工は、樹脂モールド製造と同様の装置を使用した。マイクログラビアコーティングにて、樹脂モールド(dot)の微細凹凸構造面に、希釈したマスク材料を塗工した。
(部分硬化工程)
塗工後、80度の乾燥雰囲気を通過させ、カバーフィルムを貼り合わせ巻き取り、回収した。
(樹脂層形成工程)
有機樹脂としては、下記有機樹脂(A)および有機樹脂(B)を、それぞれ別個に使用した。使用方法は同じなので、以下、有機樹脂とのみ表記する。
有機樹脂(A)… A液=OXT221;CEL2021P;M211B;M101A=20g:80g:50g:50g
B液=PGME;DTS102;DBA;I.184=300g:8g:1g:5g
A液:B液=100g:157g
有機樹脂(B)… MUR−XR02(丸善石油化学社製)
また、無機基材には、サファイア基材を使用した。
2インチφの無機基材表面を、オゾンにより親水処理した。続いて、有機樹脂を、溶剤(PGME、MIBKあるいは、シクロヘキサン)で希釈し、2000rpmの速度のスピンコート法により、無機基材のオゾン処理面上に薄膜を形成した。続いて、80℃のホットプレート上に2分間静置し、その後、120℃のホットプレート上に2分間静置し、溶剤を除去した。これによって無機材上に樹脂層を積層した積層体Bとなる。
(貼合工程)
マスク材料が塗布されたリール状樹脂モールド(リール状樹脂モールド上にマスク材料層が積層された積層体Aに相当)を切り出し使用した。外形は、幅300mm、長さ600mmとした。微細マスク形成部分は、幅250mm、長さ600mmである。本発明のマスク材料が塗布されたリール状樹脂モールド(積層体Bに相当)を、樹脂層を介し、無機基材へと貼合し、光照射を行うことで、微細マスクを無機基材上に形成した(積層体Aと積層体Bの複合積層体に相当)。具体的には次のように行った。
本発明のマスク材料が塗布されたリール状樹脂モールドの、マスク層面側(樹脂モールドの微細凹凸構造面側)を、無機基材上の樹脂層と貼合わせた。この時、樹脂層が形成された無機基材を4個×9個に配列し、合計36個の無機基材に対し、300mm×600mmのマスク材料が塗布されたリール状樹脂モールドを貼合した。
(硬化剥離工程)
貼合後、樹脂モールド上から、0.05MPaの圧力で加圧し、UV光を樹脂モールド上から照射した。有機樹脂(A)を使用した場合は、UV光照射後、室温で10分間静置した。続いて、105℃のオーブンで1.5分間加熱し、樹脂モールドを剥離した。有機樹脂(A)を使用した場合は、樹脂モールド剥離後に、再度UV照射を行った。
得られた無機基材の微細凹凸構造面側に対し、走査型電子顕微鏡観察を行った結果、残膜厚のバラつきは±10%以下であり、均質、かつ、薄い残膜を持つマスク層/有機樹脂層/無機基材という構成が観察された。以上から、本発明の微細マスク形成用積層体を確認した。微細マスク形成用積層体において、合計面積が大きく残膜が非常に薄いマスク層を、容易かつ迅速に形成できることがわかる。
(エッチング工程)
マスク層の残膜をエッチングにより除去し、続いて、O2によるエッチングを行い、樹脂層を微細構造化した。想定lrlが0.01h以上0.1以下の場合、問題なく樹脂層までエッチングできた。
(無機基材エッチング工程)
続いて、マスク層および有機樹脂層をマスクとして用いる塩素系ガスによるエッチングを行うことで、無機基材をエッチングした。最後に、アッシングにより、マスク層および有機樹脂層をすべて排除した。得られた無機基材を走査型電子顕微鏡にて観察した結果、表面に、樹脂モールドの微細凹凸構造と同様のピッチを有する微細凹凸構造が形成されていた。
[実施例2]
(モールド作製工程)
(a)円筒状金型作製(樹脂モールド作製用鋳型の作製)
円筒状金型の基材には石英ガラスを用い、半導体レーザーを用いた直接描画リソグラフィー法により微細凹凸構造を石英ガラス表面に形成した。微細表面凹凸を形成した石英ガラスロール表面に対し、デュラサーフHD−1101Z(ダイキン化学工業社製)を塗布し、60℃で1時間加熱後、室温で24時間静置、固定化した。その後、デュラサーフHD−ZV(ダイキン化学工業社製)で3回洗浄し、離型処理を実施した。
(b)光硬化性樹脂
DACHP,M350,I.184およびI.369を混合し、転写材料を調液した。DACHPは、M350、100質量部に対し、10〜20質量部添加した。なお、後述する樹脂モールド(G1)から樹脂モールド(G2)を作るモールド複製工程では、樹脂モールド(G1)を作製する際に使用した樹脂と同様の樹脂を使用し、樹脂モールド(G2)を作製した。
PETフィルム:A4100(東洋紡社製:幅300mm、厚さ100μm)の易接着面にマイクログラビアコーティング(廉井精機社製)により、塗布膜厚6μmになるように光硬化性樹脂を塗布した。次いで、円筒状金型に対し、光硬化性樹脂が塗布されたPETフィルムをニップロール(0.1MPa)で押し付け、大気下、温度25℃、湿度60%で、ランプ中心下での積算露光量が600mJ/cm2となるように、フュージョンUVシステムズ・ジャパン株式会社製UV露光装置(Hバルブ)を用いて紫外線を照射し、連続的に光硬化を実施し、表面に微細凹凸構造が転写されたリール状の樹脂モールド(G1)(長さ200m、幅300mm)を得た。リール状樹脂モールド(G1)の表面微細凹凸の形状は、走査型電子顕微鏡観察で確認した結果、凸部同士の隣接距離は460nm、凸部高さは460nmであった。
(モールド複製工程)
PETフィルム:A4100(東洋紡社製:幅300mm、厚さ100μm)の易接着面にマイクログラビアコーティング(廉井精機社製)により、樹脂モールド(G1)を作製した際に使用した樹脂と同様の光硬化性樹脂を塗布膜厚6μmになるように塗布した。次いで、円筒状金型から直接転写し得られた樹脂モールド(G1)の微細凹凸構造面に対し、光硬化性樹脂が塗布されたPETフィルムをニップロール(0.1MPa)で押し付け、大気下、温度25℃、湿度60%で、ランプ中心下での積算露光量が600mJ/cm2となるように、フュージョンUVシステムズ・ジャパン株式会社製UV露光装置(Hバルブ)を用いて紫外線を照射し、連続的に光硬化を実施し、表面に微細凹凸構造が転写された、円筒状金型と同様の微細凹凸構造を具備するリール状の樹脂モールド(G2)(長さ200m、幅300mm)を複数得た。リール状樹脂モールド(G2)の表面微細凹凸の形状は、走査型電子顕微鏡観察で確認した結果、凹部の開口幅はφ230nm、凹部同士の隣接距離は460nm、凹部高さは460nmであった。
得られた樹脂モールド(G2)の、表面フッ素元素濃度(Es)と、平均フッ素元素濃度(Eb)の比率、Es/Ebは、DACHPの仕込み量により40〜80の間で調整できた。以降、樹脂モールド(G2)を樹脂モールド(dot)と呼ぶ。また、以下の樹脂モールド(dot)を使用した検討においては、Es/Ebの値が、74.1,55.4,49.0である樹脂モールド(dot)を選定し、それら全てに対して検討を行った。
(マスク層形成工程)
樹脂モールド(dot)を用い、本発明の微細マスク形成用積層体を、次のように作製した。マスク材料は、マスク材料(A)〜マスク材料(C)までの3種類を調液し、これら全てに対して同様の検討を行った。
マスク材料(A)…TTB;DEDFS;TEOS;X21−5841;SH710=65.25:21.75:4.35:4.35:4.35[g]で十分に混合した。続いて、3.25%の水を含むエタノール2.3mlを、攪拌下で、徐々に滴下した。その後、80度の環境で4時間熟成し、真空引きを行い、マスク材料(A)を得た。
マスク材料(B)…TTB;DEDRS;X21−5841;SH710;3APTMS;M211B;M101A;M350;I.184;I.369=33.0:11.0:4.4:4.4:17.6:8.8:8.8:8.8:2.4:0.9[g]で十分に混合し、マスク材料(B)を得た。
マスク材料(C)…TTB;DEDRS;X21−5841;SH710;3APTMS=46.9:15.6:6.3:6.3:25.0[g]で十分に混合し、続いて、3.25%の水を含むエタノール2.3mlを、攪拌下で徐々に滴下した。その後、80度の環境で2.5時間熟成し、真空引きを行った。前記溶液に、M211B;M101A;M350;I.184;I.369=29.6:29.6:29.6:8.1:3.0[g]を混合した溶液42.2gを加え、十分に攪拌し、マスク材料(C)を得た。
続いて、マスク材料(A),(B),(C)に対し、それぞれ、以下同様の検討を行った。以下、マスク材料(A),(B),(C)は区別せず、すべてマスク材料と表記する。
本発明の微細マスク形成用積層体を作製する為に、マスク材料を、PGMEで希釈した。希釈倍率は、単位平面積上の塗工膜中に含まれるマスク材料量(固形分量)が、樹脂モールド(dot)の、微細凹凸構造の体積以上となるように設定した。具体的には、lrlが、0nm(0h),4.6nm(0.01h),11.5nm(0.025h),23nm(0.05h),46nm(0.1h),92nm(0.2h)になるように濃度を決定した。希釈は、マスク材料にPGMEを滴下し、十分に攪拌することで行った。
樹脂モールド(dot)の微細凹凸構造面に対するマスク材料の塗工は、樹脂モールド製造と同様の装置を使用した。マイクログラビアコーティングにて、樹脂モールド(dot)の微細凹凸構造面に、希釈したマスク材料を塗工した。(樹脂モールド状にマスク材料層が積層された積層体Aに相当)
(部分硬化工程)
塗工後、80度の乾燥雰囲気を通過させ、カバーフィルムを貼り合わせ巻き取り、回収した。
(樹脂層形成工程)
樹脂としては、下記有機樹脂(A)および有機樹脂(B)を、それぞれ別個に使用した。使用方法は同じなので、以下、有機樹脂とのみ表記する。
有機樹脂(A)… A液=OXT221;CEL2021P;M211B;M101A=20g:80g:50g:50g
B液=PGME;DTS102;DBA;I.184=300g:8g:1g:5g
A液:B液=100g:157g
有機樹脂(B)… MUR−XR02(丸善石油化学社製)
樹脂モールド(dot)上のマスク材料層上への、有機樹脂の塗工は、樹脂モールド製造と同様の装置を使用した。マイクログラビアコーティングにて、樹脂モールド上のマスク層上に、有機樹脂を塗工した。(樹脂モールド状にマスク材料層、樹脂層が積層された積層体Cに相当)
(貼合工程)
無機基材には、サファイア基材を使用した。
2インチφの無機基材表面を、オゾンにより親水処理した。
マスク材料及び樹脂が塗布されたリール状樹脂モールド(積層体C)を切り出し使用した。外形は、幅300mm、長さ600mmとした。微細マスク形成部分は、幅250mm、長さ600mmである。本発明のマスク材料及び樹脂が塗布されたリール状樹脂モールドを、無機基材へと貼合し、光照射を行うことで、微細マスクを無機基材上に形成した。具体的には次のように行った。
本発明のマスク材料が塗布されたリール状樹脂モールドの、樹脂層面側(樹脂モールドの微細凹凸構造面側)を、無機基材と貼合わせた。この時、無機基材を4個×9個に配列し、合計36個の無機基材に対し、300mm×600mmの有機樹脂が塗布されたリール状樹脂モールドを貼合した。
(硬化剥離工程)
貼合後、樹脂モールド上から、0.05MPaの圧力で加圧し、UV光を樹脂モールド上から照射した。有機樹脂(A)を使用した場合は、UV光照射後、室温で10分間静置した。続いて、105℃のオーブンで1.5分間加熱し、樹脂モールドを剥離した。有機樹脂(A)を使用した場合は、樹脂モールド剥離後に、再度UV照射を行った。
得られた無機基材の微細凹凸構造面側に対し、走査型電子顕微鏡観察を行った結果、残膜厚のバラつきは±10%以下であり、均質、かつ、薄い残膜を持つマスク層/有機樹脂層/無機基材という構成が観察された。以上から、本発明の微細マスク形成用積層体を確認した。微細マスク形成用積層体において、合計面積が大きく残膜が非常に薄いマスク層を、容易かつ迅速に形成できることがわかる。
(エッチング工程)
マスク層の残膜をエッチングにより除去し、続いて、O2によるエッチングを行い、樹脂層を微細構造化した。想定lrlが0.01h以上0.1以下の場合、問題なく樹脂層までエッチングできた。
(無機基材エッチング工程)
続いて、マスク層および有機樹脂層をマスクとして用いる塩素系ガスによるエッチングを行うことで、無機基材をエッチングした。最後に、アッシングにより、マスク層および有機樹脂層をすべて排除した。得られた無機基材を走査型電子顕微鏡にて観察した結果、表面に、樹脂モールドの微細凹凸構造と同様のピッチを有する微細凹凸構造が形成されていた。
なお、本発明は上記実施の形態に限定されず、さまざまに変更して実施可能である。上記実施の形態において、添付図面に図示されている大きさや形状などについては、これに限定されず、本発明の効果を発揮する範囲内で適宜変更が可能である。その他、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施可能である。
本発明の製造方法を用いれば、アスペクト比の高い微細パターンを無機基材表面に精度よく、かつ、簡便、容易、大掛かりな設備導入なく、形成することができる。

Claims (6)

  1. 透過性の基材と、前記基材上に設けられ表面に微細凹凸構造を有する光硬化性樹脂層とを備えたリール状樹脂モールドを作製するモールド作製工程と、
    前記リール状樹脂モールドの前記光硬化性樹脂層上にマスク材料を塗布してマスク材料層を形成するマスク層形成工程と、
    前記マスク材料層を部分硬化する部分硬化工程と、を経て得られる前記リール状樹脂モールド上に前記マスク材料層が積層された積層体Aと、
    機基材上に樹脂層を形成する樹脂層形成工程を経て得られる積層体Bとを、
    前記積層体Bの前記無機基材上に形成された前記樹脂層側と前記積層体Aの前記光硬化性樹脂層上に塗布された前記マスク材料層側を貼り合わせて、複合積層体を形成する貼合工程を経た後、
    貼り合せた状態で、前記樹脂層を硬化した後、前記リール状樹脂モールドを剥離して前記積層体Bの前記樹脂層上に前記微細凹凸構造が転写された前記マスク材料層が積層した微細マスク形成用積層体を作製する硬化剥離工程と、
    引き続き、前記微細マスク形成用積層体の前記マスク材料層および前記樹脂層をエッチングして、前記無機基材の表面に前記マスク材料層および前記樹脂層からなる微細マスクパターンを形成するエッチング工程と、
    前記微細マスクパターンを用いてさらに前無機基材の一主面をエッチングする無機基材エッチング工程と
    を含むことを特徴とする微細パターンの製造方法。
  2. 透過性の基材と、前記基材上に設けられ表面に微細凹凸構造を有する光硬化性樹脂層とを備えたリール状樹脂モールドを作製するモールド作製工程と、
    前記リール状樹脂モールドの前記光硬化性樹脂層上にマスク材料を塗布してマスク材料層を形成するマスク層形成工程と、
    前記マスク材料層を部分硬化する部分硬化工程と、を経て得られる前記リール状樹脂モールド上に前記マスク材料層が積層された積層体Aに、
    さらに前記マスク材料層上に樹脂層を形成する樹脂層形成工程と、を経て得られる積層体Cと
    機基材の一主面と、前記積層体Cの前記マスク材料層上に塗布された前記樹脂層側が前記無機基材の一主面と貼り合わせ、複合積層体を形成する貼合工程を経た後、
    貼り合せた状態で、前記樹脂層を硬化し、前記リール状樹脂モールドを剥離して前記無機基材上に、前記樹脂層および前記微細凹凸構造が転写された前記マスク材料層が積層した微細マスク形成用積層体を作製する硬化剥離工程と、
    引き続き、前記微細マスク形成用積層体の前記マスク材料および前記樹脂層をエッチングして、前記無機基材の表面に前記マスク材料層および前記樹脂層からなる微細マスクパターンを形成するエッチング工程と、
    前記微細マスクパターンを用いてさらに前無機基材の一主面をエッチングする無機基材エッチング工程とを含むことを特徴とする微細パターンの製造方法。
  3. 前記リール状樹脂モールドの前記微細凹凸構造面側に、光透過性基材上に光硬化性樹脂層を積層した積層体の光硬化性樹脂層側を貼り合せて、光硬化した後、前記リール状樹脂モールドを剥離して、微細凹凸構造を有する第二のリール状樹脂モールドを得、得られた前記第二のリール状樹脂モールドを用いて前記微細パターンを製造することを特徴とする請求項1請求項2記載の微細パターンの製造方法。
  4. 前記マスク材料層が、金属元素を含むことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の微細パターンの製造方法。
  5. 前記マスク層が、ゾルゲル材料を含むことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の微細パターンの製造方法。
  6. 前記リール状樹脂モールド上の前記光硬化性樹脂層の、前記微細凹凸構造面側の、フッ素元素濃度(Es)と、前記光硬化性樹脂層中の平均フッ素濃度(Eb)と、の比が、下記式(1)を満たすことを特徴とする、請求項1は請求項2記載の微細パターンの製造方法。
    20≦Es/Eb≦200 式(1)
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