JP2005294809A - 電界効果型トランジスタおよびその製造方法、積層体の製造方法 - Google Patents

電界効果型トランジスタおよびその製造方法、積層体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 結晶性や配向性の高い有機半導体層を形成でき、かつ高い移動度を示す電界効果型トランジスタを提供する。
【解決手段】 有機半導体層を有する電界効果型トランジスタであって、例えば、少なくともポルフィリンを含有する有機半導体層6と、少なくともポリシロキサン化合物からなる層3が密着して積層されている電界効果型トランジスタ。ポリシロキサン化合物が下記一般式(1)で示される化合物である。
Figure 2005294809

(R1 〜R4 は置換または非置換の炭素原子数1〜5のアルキル基、置換または非置換のフェニル基またはシロキサンユニットのいずれかである。R1 〜R4 の各々は同じでも異なっていてもよい。nは1以上の整数である。)
【選択図】なし

Description

本発明は電界効果型トランジスタ、該電界効果型トランジスタの製造方法、積層体の製造方法に関する。
有機半導体を用いた薄膜トランジスタの開発は、1980年代後半から徐々に活発になってきており、近年では基本性能としてアモルファスシリコンの薄膜トランジスタの特性を越えるに至っている。有機材料は加工が容易であり、薄膜FET(Field Effect Transistor)が形成されるプラスチック基板と親和性が高い場合が多いので、有機材料の薄膜デバイス内の半導体層としての使用は魅力的である。有機半導体に関する研究として、これまでに、特許文献1に開示されているペンタセンやテトラセンといったアセン類、特許文献2に開示されている鉛フタロシアニンを含むフタロシアニン類、ペリレンやそのテトラカルボン酸誘導体、といった低分子化合物、特許文献3に開示されているα−チエニールもしくはセクシチオフェンと呼ばれるチオフェン6量体を代表例とする芳香族オリゴマー、さらにはポリチオフェン、ポリチエニレンビニレン、ポリ−p−フェニレンビニレンといった高分子化合物、などが提案されている。また、これらの多くは非特許文献1に記載されている。
これらの化合物を半導体層としてデバイス化する場合に必要となる非線形光学特性、導電性、半導電性などの特性は、材料の純度のみでなく結晶性や配向性に大きく依存する。π共役系が拡張された化合物は、通常溶媒に不溶もしくは難溶である。例えば、ペンタセンは結晶性が高く溶媒に不溶なため、ペンタセン薄膜は真空蒸着法を用いることにより製膜されている。真空蒸着法を用いることにより製膜されたペンタセン薄膜は、高い電界効果移動度を示す事がしられているが、大気中において不安定で酸化を受けやすく、劣化しやすいという課題があった。
一方、有機半導体膜としてπ共役系高分子を用いた有機半導体は、溶液塗布法等で容易に薄膜を形成できるなど成形性に優れることから応用開発が進められている(非特許文献2)。π共役系高分子の場合、分子鎖の配列状態が電気伝導性に大きな影響を及ぼすことが知られていて、同様にπ共役系高分子電界効果型トランジスタの電界効果移動度が半導体層中における分子鎖の配列状態に大きく依存することが報告されている(非特許文献3)。しかし、π共役系高分子の分子鎖の配列は溶液を塗布して乾燥するまでの間に行われるため、環境の変化や塗布方法の違いによって分子鎖の配列状態が大きく変化する可能性があった。
また、ペンタセンの可溶性前駆体薄膜を塗布で形成し、熱処理によってペンタセンに変換した膜を用いたFETも報告されている(非特許文献4)。この場合、ペンタセンへの変換に高温処理が必要であったり、質量が大きい脱離成分を減圧によって取り除いたりしなくてはならなかった。
さらに、かさ高いビシクロ[2.2.2]オクタジエン骨格が縮環したポルフィリンを210℃以上で加熱して得られるテトラベンゾポルフィリンが有機半導体として利用できる事が報告されている(非特許文献5、特許文献4、特許文献5)。しかしながら、これらの公報に示されたキャリア移動度は、決して優れているとはいえない。すなわち、有機半導体として十分な特性を得るためには、キャリア移動度を向上させるべく、最適な結晶配列を得るためのさらなる検討が必要であると考えられる。
特開平5−55568号公報 特開平5−190877号公報 特開平8−264805号公報 特開2003−304014号公報 特開2004−6750号公報 アドバンスド・マテリアル(Advanced Material)誌、2002年、第2号、p.99〜117 「Japanese Journal of Applied Physics」応用物理学会、1991年、第30巻、p.596−598 「Nature」Nature Publishing Group、1999年、第401巻、p.685−687 「J.Appl.Phys.」79巻、1996年、p.2136 日本化学会第81春季年会 2002年 講演予稿集II、p.990(2F9−14)
以上述べたように、従来、有機半導体化合物を用いた電界効果型トランジスタは真空製膜などの工程を経ることで結晶性や配向性を有する半導体層を形成してきたが、その代表例であるアセン類などは酸化を受け劣化しやすいという課題があった。また、塗布法により簡便な方法がとられたものは、優れた配向性、結晶性を備えた膜を形成させるための手法の確立が課題となっていた。
本発明は、この問題を解決するためになされたもので、結晶性や配向性の高い有機半導体層を形成でき、かつ高い電界効果移動度を示す電界効果型トランジスタを提供することにある。
また、本発明は、上記の電界効果型トランジスタを簡便な方法で得ることができる電界効果型トランジスタの製造方法を提供することにある。
本発明は、有機半導体層を有する電界効果型トランジスタであって、少なくともポルフィリンを含有する有機半導体層と、少なくともポリシロキサン化合物からなる層が密着して積層されていることを特徴とする電界効果型トランジスタである。
なお、本発明において、特に断らない限り、ポルフィリンとは、広くポルフィリン類を包含する概念であり、ポルフィリン骨格を有する化合物を意味する。本明細書中において、ポルフィリンは、テトラベンゾポルフィリン銅錯体等の金属ポルフィリン誘導体をも包含する概念である。また、ポリシロキサン化合物とは、シロキサン結合を複数有する化合物を意味し、オルガノポリシロキサンやポリシルセキシオキサン等を包含する概念である。また、これらの層は、これらの化合物の機能を損なわない範囲で他の化合物を含んでいてもかまわない。
また、本発明は、前記ポリシロキサン化合物が下記一般式(1)で示されることを特徴とする電界効果型トランジスタである。
Figure 2005294809
(式中、R1 〜R4 は置換または非置換の炭素原子数1〜5のアルキル基、アルケニル基、置換または非置換のフェニル基またはシロキサンユニットのいずれかである。R1 〜R4 の各々は同じでも異なっていてもよい。nは1以上の整数である。)
また本発明は、前記ポリシロキサン化合物が、下記一般式(2)および/または下記一般式(6)で表されるポリシロキサン化合物であることを特徴とする電界効果型トランジスタである。
Figure 2005294809
(式中、R7 〜R10は置換または非置換の炭素原子数1〜5のアルキル基、アルケニル基、置換または非置換のフェニル基のいずれかである。R7 〜R1 0 の各々は同じでも異なっていてもよい。mおよびnは0以上の整数であり、mとnの和は1以上の整数である。共重合の形態はランダム共重合であってもブロック共重合であっても良い。)
Figure 2005294809
(式中、R21〜R24は置換または非置換の炭素原子数1〜7のアルキル基、アルケニル基、または置換または非置換のフェニル基のいずれかである。R21〜R24の各々は同じでも異なっていてもよい。rおよびpは0以上の整数であり、rとpの和は1以上の整数である。共重合の形態はランダム共重合であってもブロック共重合であっても良い。)
また本発明は、前記ポルフィリンが下記一般式(3)で表されることを特徴とする電界効果型トランジスタである。
Figure 2005294809
(式中、R11はそれぞれ水素原子、ハロゲン原子、水酸基、または原子炭素数1〜12のアルキル基、オキシアルキル基、チオアルキル基、アルキルエステル基より選ばれる少なくとも1種を示し、R11は同じでも異なっていてよい。また、隣接するR11同士が、置換基を有していてもよい芳香環を形成していてもよい。また、隣接するR11同士が形成した芳香環を通して、置換基を有していてもよいポルフィリン環と連結していてもよい。R12は水素原子または置換基を有していてもよいアリール基より選ばれる少なくとも1種を示す。R12は同じでも異なっていてよい。Xは水素原子または金属原子を示す。)
また本発明は、前記一般式(3)中、少なくとも1つの隣接するR11同士が、芳香環を形成していることを特徴とする電界効果型トランジスタである。
また本発明は、前記一般式(3)中、少なくとも1つの隣接するR11同士が形成する芳香環が、置換基を有していて良いビシクロ[2.2.2]オクタジエン骨格構造を有する前駆体の加熱により得られることを特徴とする電界効果型トランジスタである。
また本発明は、有機半導体層におけるCuKαX線回折のブラッグ角(2θ)が8.3°±0.2°、10.1°±0.2°、11.8°±0.2°、14.4°±0.2°にピークを有することを特徴とする電界効果型トランジスタである。
また本発明は、有機半導体層におけるCuKαX線回折のブラッグ角(2θ)が8.4°±0.2°、11.9°±0.2°、16.9°±0.2°にピークを有することを特徴とする電界効果型トランジスタである。
また本発明は、有機半導体層におけるCuKαX線回折のブラッグ角(2θ)が7.2°±0.2°、7.8°±0.2°、11.7°±0.2°、23.5°±0.2°にピークを有することを特徴とする電界効果型トランジスタである。
また本発明は、有機半導体層におけるCuKαX線回折のブラッグ角(2θ)が7.3°±0.2°、7.8°±0.2°、11.7°±0.2°、19.6°±0.2°にピークを有することを特徴とする電界効果型トランジスタである。
また本発明は、有機半導体層を有する電界効果型トランジスタの製造方法であって、少なくともポルフィリンを含有する有機半導体層と、少なくともポリシロキサン化合物からなる層を密着して積層する工程を有する電界効果型トランジスタの製造方法である。
また本発明は、有機半導体層を有する電界効果型トランジスタの製造方法であって、前記ポリシロキサン化合物が前記一般式(1)で示されることを特徴とする電界効果型トランジスタの製造方法である。
また本発明は、有機半導体層を有する電界効果型トランジスタの製造方法であって、前記ポリシロキサン化合物が、前記一般式(2)および/または前記一般式(6)で表されるポリシルセスキオキサン化合物であることを特徴とする電界効果型トランジスタの製造方法である。
また本発明は、有機半導体層を有する電界効果型トランジスタの製造方法であって、前記ポルフィリンが前記一般式(3)で表されることを特徴とする電界効果型トランジスタの製造方法である。
また本発明は、有機半導体層を有する電界効果型トランジスタの製造方法であって、前記一般式(3)中、少なくとも1つの隣接するR11同士が、芳香環を形成していることを特徴とする電界効果型トランジスタの製造方法である。
また本発明は、有機半導体層を有する電界効果型トランジスタの製造方法であって、前記一般式(3)中、少なくとも1つの隣接するR11同士が形成する芳香環が、置換基を有していて良いビシクロ[2.2.2]オクタジエン骨格構造を有する前駆体の加熱により得られることを特徴とする電界効果型トランジスタの製造方法である。
また本発明は、有機半導体層を有する電界効果型トランジスタの製造方法であって、有機半導体層におけるCuKαX線回折のブラッグ角(2θ)が8.3°±0.2°、10.1°±0.2°、11.8°±0.2°、14.4°±0.2°にピークを形成することを特徴とする電界効果型トランジスタの製造方法である。
また本発明は、有機半導体層を有する電界効果型トランジスタの製造方法であって、有機半導体層におけるCuKαX線回折のブラッグ角(2θ)が8.4°±0.2°、11.9°±0.2°、16.9°±0.2°にピークを形成することを特徴とする電界効果型トランジスタの製造方法である。
また本発明は、有機半導体層を有する電界効果型トランジスタの製造方法であって、有機半導体層におけるCuKαX線回折のブラッグ角(2θ)が7.2°±0.2°、7.8°±0.2°、11.7°±0.2°、23.5°±0.2°にピークを形成することを特徴とする電界効果型トランジスタの製造方法である。
また本発明は、有機半導体層を有する電界効果型トランジスタの製造方法であって、有機半導体層におけるCuKαX線回折のブラッグ角(2θ)が7.3°±0.2°、7.8°±0.2°、11.7°±0.2°、19.6°±0.2°にピークを形成することを特徴とする電界効果型トランジスタの製造方法である。
また本発明は、有機半導体層を有する積層体の製造方法において、基体上に、結晶化促進層を設ける工程と、該結晶化促進層の上に有機半導体前駆体を付与する工程と、該有機半導体前駆体にエネルギーを与えて有機半導体からなる層を形成する工程と、を少なくとも有することを特徴とする積層体の製造方法である。
また本発明は、結晶化促進層が結晶粒同士の接合を促進する機能を有することを特徴とする積層体の製造方法である。
また本発明は、前記エネルギーが光エネルギー又は熱エネルギーであることを特徴とする積層体の製造方法である。
また本発明は、有機半導体前駆体にエネルギーを与えて有機半導体からなる層を形成する工程が、該有機半導体前駆体に脱離反応を生じさせる工程を含むことを特徴とする積層体の製造方法である。
また本発明は、前記脱離反応が逆ディールスアルダー反応であることを特徴とする積層体の製造方法である。
また本発明は、前記脱離反応終了後も前記エネルギーを与えつづけることを特徴とする積層体の製造方法である。
また本発明は、前記有機半導体前駆体を付与する工程が、該有機半導体前駆体を含有する溶液を塗布もしくは印刷する工程であることを特徴とする積層体の製造方法である。
また本発明は、前記結晶化促進層がポリシロキサン化合物を含有することを特徴とする積層体の製造方法である。
さらに本発明は、これらの積層体の製造方法を電界効果型トランジスタの製造方法に適用したものであり、有機半導体層を有する電解効果型トランジスタの製造方法において、基体上に結晶化促進層を形成する工程と、該結晶化促進層の上に有機半導体前駆体を付与する工程と、該有機半導体前駆体にエネルギーを与えて有機半導体層を形成する工程と、を少なくとも有することを特徴とする電界効果型トランジスタの製造方法である。
加えて本発明は、有機半導体層を有する電解効果型トランジスタにおいて、基体上に、結晶化促進層と、該結晶化促進層に接する有機半導体層とを、少なくとも有することを特徴とする電界効果型トランジスタである。
本発明によれば、結晶性、配向性に優れ、電界効果移動度が大きい電界効果型トランジスタを提供することができる。
また、本発明によれば、上記の電界効果型トランジスタを簡便な方法で得ることができる電界効果型トランジスタの製造方法を提供することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本実施の形態に係る電界効果型トランジスタは、有機半導体と、絶縁体と、導電体を少なくとも有する素子である。絶縁体は、電極である導電体を覆うための絶縁膜(層)である。有機半導体はそのような導電体(電極)が発生する刺激(電界)に対して応答する有機半導体層である。具体的には電界に対して電気的特性が変化する層である。更に具体的には導電率、つまり有機半導体層を流れる電流が電界の変化に応じて変化する層である。
図1(a)は本実施形態に係る電界効果型トランジスタを示す模式的な概略断面図である。8は基材、1はゲート電極、2はゲート絶縁層、4はソース電極、5はドレイン電極、6は有機半導体層、7は封止層である。この素子は、基材8の表面にゲート電極1が設けられ、その上にゲート絶縁層2が設けられ、絶縁層3の表面にソース電極4とドレイン電極5が間隔をおいて設けられている。そしてソース電極4とドレイン電極5の上とその離間領域である絶縁層2上に有機半導体層6が両電極4、5と接して設けられている。絶縁層2はゲート電極2を覆うように設けられている。さらに、有機半導体層6上を封止層7で覆われている。また、基材8と封止層7を入れ替えることもできる。
本実施形態に係る電界効果型トランジスタは、ゲート電極1に電圧を印加すると、ゲート絶縁層2と有機半導体層6との界面に正または負の電荷が誘起される。さらにソース電極4とドレイン電極5の間に電圧を印加すると、電荷が両電極間を移動し、電流を得ることができる。それ故、ゲート電極1に電圧を印加した際に、ゲート絶縁層2と有機半導体層6との界面に均一に電荷が生じ、さらにソース電極4とドレイン電極5の間に電圧を印加した際に、障壁が少なく、効率良く電荷が移動することによって、高い電界効果移動度を示すことができる。
本発明者らは電荷が均一に発生し、かつ、発生した電荷が効率良く移動できる有機半導体層界面を形成するための方法を探すべく鋭意検討を重ねたところ、電荷が移動する界面(図1ではゲート絶縁層2と有機半導体層6の界面)を挟んで、特定の有機半導体材料と、結晶化を促進する層(結晶化促進層)とを積層することによって、その界面で連続的に均一で欠陥の少ない結晶が形成可能になり、高い電界効果移動度を示すことを見出すに至った。
本発明の電界効果型トランジスタは、有機半導体層を有する電界効果型トランジスタであって、好ましくは、少なくともポルフィリンを含有する有機半導体層と、少なくともポリシロキサン化合物からなる層が密着して積層されていることを特徴とする。ここで言う密着とは、有機半導体層とポリシロキサン化合物からなる層が他の層を介さずに接している状態を指す。
本発明において、ポリシロキサン化合物からなる層(以下A層とする)とポルフィリンを有する有機半導体層(以下B層とする)とが、素子内の一部又は全面において密着して積層されている電界効果型トランジスタは、高い電界効果移動度を示すため好ましい。また後述するが、ポルフィリンの前駆体を可溶性にすれば、A層、B層ともに塗布工程を用いて作製することができるために簡便なプロセスで素子を作製することが可能である。
さらに、後述するように、A層に代えて、他の結晶化促進機能を有する結晶化促進層を用いることが可能であるし、B層に代えて、当該結晶化促進層によって結晶化が促進されるような有機半導体層を用いることが可能である。
なお、本発明において、結晶化促進層が形成される下地の構造体(一般的には、基材、ゲート電極、ゲート絶縁層からなる構造体。ただし、ゲート絶縁層は省略可能な場合もあるし、積層順によっては、基材のみの場合もある。その他の層が形成されている場合もある。)を基体と呼ぶ場合もある。また、本発明において、結晶化促進機能とは、結晶粒の安定化(移動や回転を伴なう場合もある)及び/又は結晶粒同士の接合を促進する機能を言い、結晶化促進層とは、結晶粒の安定化(移動や回転を伴なう場合もある)及び/又は結晶粒同士の接合を促進する層である。
以下では、A層の上にB層が形成されるが、本発明はこれらに限定されない。もっとも、B層形成時にA層による影響力を与えるという観点からは、A層の上にB層を形成することが好ましい。
本発明のポリシロキサン化合物は、シロキサン構造(−Si−O−)と有機シラン構造を有する重合体であり、その他の有機高分子や無機高分子との共重合体であっても構わない。他の高分子との重合体の場合、シロキサン構造と有機シラン構造を主鎖中に導入されていても、側鎖にグラフトされていても構わない。シロキサン構造(−Si−O−)と有機シラン構造との組み合わせの効果によって、B層の有機半導体層は結晶化の過程でA層からの束縛を受け難い為、結晶化が促進する。
本発明のポリシロキサン化合物は直鎖状もしくは環状でも構わないが、高次に架橋もしくは分岐した構造を持つことがより好ましい。ここで述べる、高次に架橋もしくは分岐した構造とは、網状、梯子状、籠状、星状、樹状構造も含む。また、架橋もしくは分岐した構造は、必ずしもシロキサン構造を介して形成されなければならないわけではなく、ビニル基、アクリロイル基、エポキシ基、シンナモイル基などの有機基同士が架橋した構造や、3官能以上の有機基を介して分岐した構造を含んでも構わない。
本発明のポリシロキサン化合物の層は、高次に架橋もしくは分岐した構造を持つことによって、基材表面の活性基にオクチルトリクロロシランやヘキサメチルジシラザンなどを反応させてできる単分子層とは異なり、基体表面の状態や形状には依存されず、広い面積に非晶質な層を形成できる。そのため、少なくともチャネルを形成する領域以上の広い範囲において、A層とB層の界面は均一となり、前述したシロキサン構造と有機シラン構造との組み合わせの効果とも相まって、連続的に均一で欠陥の少ない結晶が形成される。
本発明のA層に用いられるポリシロキサン化合物は、例えば、下記一般式(1)に示される構造を有し、主鎖がシロキサンユニット、側鎖が水素原子又は炭素原子等の有機基を有する置換基である。
Figure 2005294809
式中、R1 〜R4 は置換または非置換の炭素原子数1〜5のアルキル基、アルケニル基、置換または非置換のフェニル基またはシロキサンユニットのいずれかである。R1 〜R4 の各々は同じでも異なっていてもよい。nは1以上の整数である。
置換基R1 〜R4 は、下記に示すようなシロキサンユニットでも良い。
Figure 2005294809
(式中、Rは置換または非置換の炭素原子数1〜5のアルキル基、アルケニル基、または置換または非置換のフェニル基または上記に表されているシロキサンユニットのいずれかであり、各々同じ官能基であっても違う官能基であっても良い。)
一般式(1)中の置換基の種類によってポリシロキサンの形状には直鎖状、環状、網状、梯子状、籠状構造等が存在するが、本発明に用いるポリシロキサンはそのいずれでも構わない。
本発明において、A層に用いられるポリシロキサン化合物として特に好ましいのは、少なくとも下記の一般式(2)に示すような特定のシルセスキオキサン骨格および/または下記の一般式(6)に示すような特定のオルガノシロキサン骨格を有するポリシロキサン化合物である。
Figure 2005294809
(式中、R7 〜R10は置換または非置換の炭素原子数1〜5のアルキル基、アルケニル基または置換または非置換のフェニル基のいずれかである。R7 〜R10の各々は同じでも異なっていてもよい。mおよびnは0以上の整数であり、mとnの和は1以上の整数である。共重合の形態はランダム共重合であってもブロック共重合であっても良い。)
Figure 2005294809
(式中、R21〜R24は置換または非置換の炭素原子数1〜5のアルキル基、アルケニル基、または置換または非置換のフェニル基のいずれかである。R21〜R24の各々は同じでも異なっていてもよい。rおよびpは0以上の整数であり、rとpの和は1以上の整数である。共重合の形態はランダム共重合であってもブロック共重合であっても良い。)
また、一般式(2)で示されるシルセスキオキサン骨格と一般式(6)で示されるオルガノシロキサン骨格とはいずれか一方を含んでも、両方を含んでも構わない。
また、上記シルセスキオキサン骨格およびオルガノシロキサン骨格の側鎖に相当する炭素原子を有する置換基R7 〜R10およびR21〜R24は置換または非置換の炭素原子数1〜5個のアルキル基、アルケニル基もしくは置換または非置換のフェニル基であり、箇所によって同じ官能基であっても違う官能基であっても良い。例えば、メチル基、エチル基のような非置換アルキル基/非置換のフェニル基/ジメチルフェニル基やナフチル基といった置換フェニル基などが挙げられる。また、置換基R7 〜R10には炭素原子、水素原子の他に酸素原子や窒素原子や金属原子など各種の原子が含まれていて良い。
以下、本発明に用いられる化合物のシルセスキオキサン骨格について説明する。一般式(2)では、置換基R7 、R8 を有するシルセスキオキサンユニット(以後、第一ユニット)がm個繰り返したものと、置換基R9 、R10を有するシルセスキオキサンユニット(以後、第二ユニット)がn個繰り返したものが接続した構造式が示されている(mおよびnは0以上の整数であり、m+nは1以上の整数である)が、これは第一ユニットの繰り返しと、第二ユニットの繰り返しが分離していることを意味するのではない。両ユニットは、分離して接続していてもランダムに入り交じって接続していても良い。
一般式(6)では、置換基R21、R22を有するジオルガノシロキサンユニット(以後、第一ユニット)がr個繰り返したものと、置換基R23、R24を有するジオルガノシロキサンユニット(以後、第二ユニット)がp個繰り返したものが接続した構造式が示されている(rおよびpは0以上の整数であり、r+pは1以上の整数である)が、これは第一ユニットの繰り返しと、第二ユニットの繰り返しが分離していることを意味するのではない。両ユニットは、分離して接続していてもランダムに入り交じって接続していても良い。
一般式(2)や一般式(6)に示すようなシルセスキオキサン骨格および/またはオルガノシロキサン骨格を有するポリシロキサン化合物を主体として含有する本発明におけるA層を形成するためには、例えば、下記の一般式(4)および一般式(5)もしくはいずれか一方に示すポリオルガノシルセスキオキサン化合物および/または下記の一般式(7)および一般式(8)もしくはいずれか一方に示すポリオルガノシロキサン化合物を含む溶液を基板上に塗布して、加熱乾燥させる方法と、ケイ素モノマーを加水分解して得られるゾルを基板上に塗布して、加熱乾燥させる方法とがある。
前者の一般式(4)および一般式(5)もしくはいずれか一方に示すポリオルガノシルセスキオキサン化合物および/または下記の一般式(7)および一般式(8)もしくはいずれか一方に示すポリオルガノシロキサン化合物の塗膜を加熱乾燥させる方法では、加熱により化合物の末端同士が脱水もしくは脱アルコール反応により縮合することで、ポリオルガノシルセスキオキサン化合物はラダー状に接続され、一方、ポリオルガノシロキサン化合物は高分子量化して、緻密化する。ただしこの時、乾燥温度は有機物が完全に消失するほど高くないので原料化合物は完全なシリカ構造にまでにはならずに大部分の置換基が残存している一般式(2)や(6)に示すようなシルセスキオキサン骨格もしくはオルガノシロキサン骨格となる。
一般式(4)および一般式(5)に示すポリオルガノシルセスキオキサン化合物および一般式(7)および一般式(8)に示すポリオルガノシロキサン化合物は市販されたものを用いることができるが、一般的にポリオルガノシルセスキオキサン化合物やポリオルガノシロキサン化合物はそれぞれ下記反応式(11)および反応式(12)で示される反応によって合成される。
Figure 2005294809
上記反応式(11)および(12)について説明する。有機基R’を有する3官能性有機ケイ素モノマーおよび/または2官能性有機ケイ素モノマーをアルコールなどの溶媒中、加水分解してシラノール化合物を生成する。上記式中に示すケイ素モノマーはアルコキシドであり、加水分解によってR’’OHが脱離するが、他にもクロライドをケイ素モノマーとして用いることができる。ただし、この場合の脱離成分として塩化水素が発生する。加水分解によって得られたシラノール化合物は、さらに加熱などによって脱水縮合し、ポリオルガノシルセスキオキサン化合物およびポリオルガノシロキサン化合物が生成する。溶媒や触媒などを除去することで、ポリオルガノシルセスキオキサン化合物およびポリオルガノシロキサン化合物が固体として単離される。得られる化合物の構造や分子量、末端基の種類などは反応の際の触媒、溶媒、pH、濃度などによって変化させることができる。
Figure 2005294809
(式中、R7 、R8 は置換または非置換の炭素原子数1〜5のアルキル基、アルケニル基または置換または非置換のフェニル基のいずれかであり、R7 とR8 は同じ官能基であっても良い。R13〜R16は炭素原子数1〜4のアルキル基または水素原子であり、zは1以上の整数である。)
Figure 2005294809
(式中、R9 、R10は置換または非置換の炭素原子数1〜5のアルキル基、アルケニル基または置換または非置換のフェニル基のいずれかであり、R9 とR10は同じ官能基であっても良い。R17〜R20は炭素原子数1〜4のアルキル基または水素原子であり、yは1以上の整数である。)
Figure 2005294809
(式中、R25、R26は置換または非置換の炭素原子数1〜5のアルキル基、アルケニル基、または置換または非置換のフェニル基いずれかであり、R25とR26は同じ官能基であっても良い。R27、R28は炭素原子数1〜4のアルキル基または水素原子であり、qは1以上の整数である。)
Figure 2005294809
(式中、R29、R30は置換または非置換の炭素原子数1〜5のアルキル基、アルケニル基、または置換または非置換のフェニル基のいずれかであり、R29とR30は同じ官能基であっても良い。R31、R32は炭素原子数1〜4のアルキル基または水素原子であり、sは1以上の整数である。)
また、乾燥工程に際してオリゴマーであるシルセスキオキサン化合物が互いに架橋しあう反応を補助する目的で、塗布溶液にはギ酸などの酸を少量添加してもよい。
酸の添加量は特に限定されるものではないが、ギ酸の場合は、塗布溶液に含まれるポリオルガノシルセスキオキサン化合物の固形分重量に対して1重量%から30重量%の範囲で添加すると架橋反応が促進される。添加量が1重量%より少ないと架橋反応の促進効果が十分でなくなり、逆に添加量が30重量%より多いと乾燥後の膜化を阻害するおそれがある。
一方、ケイ素モノマーを加水分解して得られるゾルを基板上に塗布して、加熱乾燥させる方法について説明する。前記反応式(11)および反応式(12)に示した3官能ケイ素モノマーおよび/または2官能ケイ素モノマーを溶媒中で、水および触媒共存させて室温もしくは加熱しながら攪拌すると、反応式(11)および反応式(12)同様の加水分解、脱水縮合反応を経由してゾルを調製する。得られたゾルの塗膜を加熱すると、シラノールや未反応のアルコキシド同士が脱水もしくは脱アルコール反応により縮合し、緻密な一般式(2)や(6)に示すようなシルセスキオキサン骨格もしくはオルガノシロキサン骨格を形成する。
ゾルを調製するために使用できる代表的なケイ素モノマーとしては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシランやフェニルトリメトキシシランなどの3官能ケイ素モノマー、ジメチルジメトキシシランやジフェニルジメトキシシランなどの2官能ケイ素モノマーが挙げられる。
ゾルの調製には、モノマーの加水分解を促進するために、水と触媒を加えることができる。水の添加量は前記反応式(11)または反応式(12)中のモノマーのOR’’基に対し0.1〜20当量である。一方、触媒は酸または塩基触媒を用いることができる。酸触媒としては塩酸、硝酸、p−トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、酢酸、ギ酸、トリフルオロ酢酸、アルキル燐酸などを使用できるが、腐食性が低く、塗膜の加熱乾燥時に揮発して膜中に残存しないなどの点からギ酸がより好ましい。塩基触媒としては水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化テトラメチルアンモニウムなどを使用できるが、ナトリウムなどのアルカリ金属の残存は素子としての電気特性を悪化させる原因になることから、水酸化テトラメチルアンモニウムが好ましい。触媒の添加量は、溶液に含まれるケイ素モノマーの固形分重量に対して1重量%から30重量%の範囲で添加すると加水分解反応が促進される。添加量が1重量%より少ないと架橋反応の促進効果が十分でなくなり、逆に添加量が30重量%より多いと乾燥後の膜性を悪化するおそれがある。
また、一般式(4)および一般式(5)に示すポリオルガノシルセスキオキサン化合物および一般式(7)および一般式(8)に示すポリオルガノシロキサン化合物と前記反応式(11)または反応式(12)中のケイ素モノマーを混合して用いることもできる。この場合、ゾルの調製と同様、水や触媒を加えることができる。水の添加量はモノマーのOR’’基に対し0.1〜20当量であり、触媒の添加量は、ポリオルガノシルセスキオキサン化合物および/またはポリオルガノシロキサン化合物とケイ素モノマーを加えた固形分重量に対して1重量%から30重量%であることが好ましい。
さらに、塗布性や加熱後の対溶剤性を高めるために、テトラメトキシシランやテトラエトキシシランなどの4官能ケイ素モノマーを併用することができる。
好ましい加熱処理温度は140℃以上、さらに好ましくは150〜230℃である。140℃未満で加熱すると加水分解反応が不十分となるおそれがある。
架橋反応、溶剤除去の過程において、系内にはその温度領域で蒸発、揮発、焼失しない安定剤は溶液系から極力除去する。
塗布溶液の溶媒にはアルコール類やエステル類など任意のものを使用できる。基板への濡れ性などを考慮して溶媒を選択すればよい。
A層の原料溶液の塗布方法は特に限定されるものではなく、慣用のコーティング方法、例えばスピンコーティング法、キャスト法、スプレー塗布法、ドクターブレード法、ダイコーティング法、ディッピング法、印刷法、インクジェット法、滴下法等により塗布する。これらの方法のうち、塗布量を制御して所望の膜厚の成膜ができるという点で好ましい方法はスピンコーティング法、ディッピング法、スプレー塗布法、インクジェット法である。また、得られた膜の絶縁性を保つためには塗布溶液に極力ゴミなどを混入させないことが重要であり、事前に原料溶液をメンブランフィルタで濾過することが望ましい。
A層の膜厚は10nm以上、好ましくは15〜500nmになるように液濃度を調整することが好ましい。10nm未満になると、均一な膜が得られにくくなるからである。
A層を塗布する前に基板をアルカリ液による超音波処理やUV照射等で濡れ性向上のための表面改質を行ってもよい。
次に、本発明のB層の好ましい態様について説明する。B層は、好ましくは少なくとも下記の一般式(3)で表されるポルフィリン化合物を含有する。
Figure 2005294809
式中、R11はそれぞれ水素原子、ハロゲン原子、水酸基、または炭素原子数1以上12以下のアルキル基、オキシアルキル基、チオアルキル基、アルキルエステル基より選ばれる少なくとも1種を示し、R11は同じ又は異なっていてよい。また、隣接するR11同士が、置換基を有していてもよい芳香環を形成していてもよい。また、隣接するR11同士が形成した芳香環を通して、置換基を有していてもよいポルフィリン環と連結していてもよい。R12は水素原子または置換基を有していてもよいアリール基より選ばれる少なくとも1種を示す。R12は同じ又は異なっていてよい。またXは水素原子または金属原子を示す。Xの一例として、H、Cu、Zn、Ni、Co、Mg、Fe等の各種金属や、AlCl、TiO、FeCl、SiCl2等の原子団などである。Xは特に限定されないが、水素原子または銅原子が特に好ましい。芳香環としては例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環等が挙げられる。
これらポルフィリン化合物は、A層が形成されている基板上に、真空蒸着法、分散塗布法等の一般的な手法で製膜することができる。
以下にポルフィリン化合物の一例を示す。無置換、無金属体の構造を主体に示しているが、置換基、中心金属、中心原子団は限定されない。もちろん本発明の化合物はこれらに限定されない。
Figure 2005294809
Figure 2005294809
Figure 2005294809
Figure 2005294809
Figure 2005294809
Figure 2005294809
先に述べたように、前記一般式(3)で表されるポルフィリン化合物の少なくとも1組の隣接するR11同士が、芳香環を形成していることが好ましいが、この芳香環がビシクロ[2.2.2]オクタジエン骨格構造を有する前駆体(以下ビシクロ体)の溶剤塗布により得られる塗膜の加熱により得られるのであれば、ポルフィリン化合物の結晶化を促進するためさらに好ましい。なお、加熱に代えて、光照射などの他のエネルギー付加手段を用いることも可能である。より一般的に言えば、逆ディールスアルダー反応(レトロディールスアルダー反応)を用いることが、塗布プロセスの使用を容易にするという点で好ましい。
ビシクロ体を前駆体に用いたときのB層の作製法としては、ビシクロ体を有機溶媒に溶解させてから、A層が形成されている基材に塗布し、その後に加熱することでポルフィリン化合物の結晶化膜を得る方法が好ましい。
A層とB層は少なくとも一部で密着していれば良く、A層とB層の間には一部電極などの他の素子構成要素が存在してもよい。
B層を塗布する前に必要に応じてA層の表面を一般的な手法を用いて改質を行ってもよい。
ビシクロ体を溶解するために用いられる有機溶媒はビシクロ体が反応したり、析出しなければ特に限定されない。また、2種以上の有機溶媒を混合して用いてもよい。塗膜表面の平滑性や膜厚の均一性を考慮に入れるとハロゲン溶媒を使用することが好ましい。ハロゲン溶媒の例としては、クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン、1,2−ジクロロエチレンなどが挙げられる。溶液の濃度は所望の膜厚によって任意に調節されるが、好ましくは0.01〜5重量%である。
ビシクロ体を用いたときのB層の塗布方法としてはA層と同様に特に限定されるものではなく、慣用のコーティング方法、例えばスピンコーティング法、キャスト法、スプレー塗布法、ドクターブレード法、ダイコーティング法、ディッピング法、印刷法、インクジェット法、滴下法等により塗布する。これらの方法のうち、塗布量を制御して所望の膜厚の成膜ができるという点で好ましい方法はスピンコーティング法、ディッピング法、スプレー塗布法、インクジェット法である。
また、半導体層中に極力ゴミなどを混入させないために事前にメンブランフィルタで濾過することが望ましい。なぜならば、不溶分や外部からのゴミの混入は均一な配向を妨げ、OFF電流の増加やON/OFF比の低下を引き起こすからである。また、ビシクロ体の塗膜の際に130℃以下で予備乾燥することもできる。
塗布形成されたビシクロ骨格は加熱によって逆ディールスアルダー反応(レトロディールスアルダー反応)を引き起こし、エチレン骨格の脱離に伴い芳香環(ベンゾ体)へ変換する。芳香環の生成と同時にポルフィリン環同士のスタッキングによる結晶成長を引き起こし、ポルフィリン化合物の結晶化膜が得られる。また、脱離反応は140℃以上で起こるが、より高い電界効果移動度を得るための加熱温度としては150〜280℃、好ましくは170〜230℃の範囲が望ましい。150℃未満では結晶生長が十分な結晶化膜が得られず、280℃を越えると急激な膜収縮のためにクラックが発生する。
加熱はホットプレート上、熱風循環型オーブンや真空オーブン中等で行われるが加熱方法は限定されない。均一配向を得るためにはホットプレート上で瞬時に加熱する方法が好ましい。
また、より高い結晶性を得るためには加熱前の塗膜を布などで軽く擦るラビング処理を行うことができる。ラビング処理に使用する布はレーヨン、木綿、絹などが挙げられるが、これらに限定されない。
以下にビシクロ体の一例を示す。無置換、無金属体の構造を主体に示しているが、置換基、分子内のビシクロ環が存在する位置、中心金属、中心原子団は限定されない。もちろん本発明の化合物はこれらに限定されない。
Figure 2005294809
Figure 2005294809
Figure 2005294809
Figure 2005294809
Figure 2005294809
Figure 2005294809
これらの操作によって得られる第B層の膜厚は10〜200nm、好ましくは20〜150nmである。膜厚は表面粗さ計や段差計などで測定できる。
またB層をフタロシアニン等の他の一般的な有機半導体化合物に置き換えることも考えられる。
また本発明で得られた有機膜は電界効果型トランジスタに用いることが最も好ましいが、他のデバイス等にも応用が可能である。
図1(b)は本発明の電界効果型トランジスタの一部を拡大して示す模式的な断面図である。本発明の電界効果型トランジスタは、ゲート電極1と絶縁層2とA層3(ポリシロキサン化合物層)、ソース電極4とドレイン電極5とB層6(有機半導体層)から構成される。図1(b)では省略しているが、ゲート電極1の絶縁層と反対側には基材8が存在する。
ゲート電極、ソース電極、ドレイン電極としては、導電性材料であれば特に限定されず、白金、金、銀、ニッケル、クロム、銅、鉄、錫、アンチモン鉛、タンタル、インジウム、アルミニウム、亜鉛、マグネシウム、およびこれらの合金や、インジウム・錫酸化物等の導電性金属酸化物、あるいはドーピング等で導電率を向上させた無機および有機半導体、例えばシリコン単結晶、ポリシリコン、アモルファスシリコン、ゲルマニウム、グラファイト、ポリアセチレン、ポリパラフェニレン、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリン、ポリチエニレンビニレン、ポリパラフェニレンビニレン等が挙げられる。電極の作製方法としてはスパッタ法、蒸着法、溶液やペーストからの印刷法、インクジェット法、ディップ法などが挙げられる。また、電極材料としては、上に挙げた中でも半導体層との接触面において電気抵抗が少ないものが好ましい。
絶縁層としては、A層が均一に塗布できるものであれば何でもよいが、誘電率が高く、導電率が低いものが好ましい。例としては、酸化シリコン、窒化シリコン、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化タンタルなどの無機酸化物や窒化物、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、ポリエーテル、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリベンゾオキサゾール、ポリベンゾチアゾール、フェノール樹脂、ポリビニルフェノール、エポキシ樹脂等が挙げられる。上記絶縁材料の中でも、表面の平滑性の高いものが好ましい。またA層自身が絶縁性に優れている場合、絶縁性が発現する膜厚に調整してA層自体をゲート絶縁層としてもよい。この場合の構成は、前述した図1(a)と同様のものになる。
なお、前述したように、図1(b)では省略されているが、ゲート電極1の絶縁層と反対側には基材8が存在する。この点は図1(a)と同様である。
本発明に好適に用いられる基材8としてはシリコン、ガラス、金属、樹脂などを板状、ホイル状、フィルム状もしくはシート状に加工されたものが挙げられる。特に、柔軟性や加工性の観点から樹脂基材が好ましい。使用される樹脂基材の材質としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリイミド(PI)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリスルホン(PSF)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリアリレート(PAR)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリシクロオレフィン樹脂、アクリル樹脂、ポリスチレン、ABS、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、セルロース樹脂が挙げられる。これらの樹脂材料に無機酸化物微粒子を混合したり、無機素材を結合させたりした有機−無機複合材料基材などを用いても良い。
本発明における電界効果型トランジスタ構造はトップコンタクト電極型、ボトムコンタクト電極型、トップゲート電極型のいずれでも良い。また横型に限定されるものではなく、縦型でもよい。
なお、本発明者らの詳細な検討によれば、A層上でビシクロ前駆体を加熱してB層を得る工程(すなわち、逆ディールスアルダー反応を用いてB層を形成する工程)が、A層がB層の結晶化促進層として機能する上で重要であると考えられる。
すなわち、ビシクロ前駆体を過熱して脱離反応を生じさせた際に、得られた化合物からなる結晶粒間に隙間が生ずることが観察されるが、A層上でかかる反応を行なった場合には、B層の結晶粒間の隙間が埋まる現象が確認された。
これは、A層がB層の結晶粒の安定化(移動や回転を伴なう場合もあり得る)や結晶粒同士の接合を促すからであると考えられる。
このようなA層の作用によって、B層の結晶性が向上することがA層が結晶化促進層として機能する所以であると、本発明者は、考えている。なお、結晶粒同士の接合が生じることが、特に好ましいと考えられる。
本発明者のさらなる実験的検討によれば、B層を構成する化合物の前駆体を変換するのに必要なエネルギー以上のエネルギーを該前駆体あるいは変換済みの化合物に付与することで、かかる結晶化反応は促進される。前駆体からの変換(脱離)終了後も、加熱等のエネルギー付与を続けることにより、結晶化反応はさらに促進される。
すなわち、これまで述べてきたような特定のポリシロキサン化合物からなる層(A層)の代わりに、上記したような結晶化促進機能(結晶粒の安定化機能や結晶粒同士の接合の促進機能)を有する層を本発明の結晶化促進層として用いることができる。
また、有機半導体層もポルフィリン化合物を有する層(B層)に限られず、前駆体からの変換を伴なう化合物からなる層であって、結晶化促進層によって上記したように結晶化が促進される層であればよい。有機半導体層に含まれる有機半導体材料としては、前駆体からの変換によって分子量が減少する化合物が好ましい。より具体的には、ジアゾ基やジカルボニル基を有するビシクロ体からこれらの基を脱離させることによって得られるペンタセンを含有する層も、本発明で好適に用いられる有機半導体層である。
なお、有機半導体層形成工程において、上述した結晶粒の移動、回転、接合の少なくとも一つが結晶化促進層が存在ことにより促進されていうること、結晶化促進層が存在していることにより電界効果移動度が増加していること、の2点が実験的に確認されるような有機電界効果型トランジスタ及びその製造方法であれば、本発明の範囲内であることが確認できる。
さらに、本発明のコンセプトは、電界効果型トランジスタの製造方法のみならず、他の有機デバイスの製造方法、さらに広くは有機半導体層を有する積層体の製造方法全般において、有機半導体層の性能を向上させる上で有効なものであり、これらは全て本発明の範囲内である。
以下に合成例および実施例を示すが、本発明はそれらの実施例に限られるものではない。
合成例1
工程1−1
1,3−シクロヘキサジエン3.16g(39.5mmol)、トランス−1,2−ビス(フェニルスルフォニル)エチレン10.5g(34.1mmol)、トルエン200mlの混合液を7時間還流させた後、冷却、減圧下濃縮することにより反応混合物を得た。この反応粗生成物を再結晶(クロロホルム/ヘキサン)することにより5,6−ビス(フェニルスルフォニル)−ビシクロ[2.2.2]オクタ−2−エン(13.8g、35.6mmol、収量90%)を得た。
工程1−2
得られた5,6−ビス(フェニルスルフォニル)−ビシクロ[2.2.2]オクタ−2−エン7.76g(20mmol)、無水テトラヒドロフラン50mlの混合液の反応系を窒素置換し、イソシアノ酢酸エチル2.425ml(22mmol)を加え0℃に冷却した。カリウムt−ブトキシド(50ml/1M THF(テトラヒドロフラン)溶液)を2時間かけて滴下した後、室温で3時間攪拌した。反応終了後、希塩酸を加えてから反応混合物を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、蒸留水、飽和食塩水の順で洗浄し無水硫酸ナトリウムで乾燥した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム)で精製し、エチル−4,7−ジヒドロ−4,7−エタノ−2H−イソインドール−1−カルボキシレートを得た(3.5g、16mmol、収率80%)。
工程1−3
アルゴン雰囲気下、得られたエチル−4,7−ジヒドロ−4,7−エタノ−2H−イソインドール−1−カルボキシレート0.42g(1.92mmol)、無水THF50mlの混合溶液を0℃まで冷却し、水素化リチウムアルミニウム粉0.228g(6mmol)を加え、2時間攪拌した。その後、THFを除去し、クロロホルムで抽出し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、蒸留水、飽和食塩水の順で洗浄し無水硫酸ナトリウムで乾燥した。この反応溶液を濾過、アルゴン置換、遮光し、p−トルエンスルホン酸10mgを加え12時間室温で攪拌した。さらにp−クロラニル0.11gを加え12時間室温で攪拌した。飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、蒸留水、飽和食塩水の順で洗浄し無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶液を濃縮後、アルミナカラムクロマトグラフィー(クロロホルム)と再結晶(クロロホルム/メタノール)により下記の式(9)で表わされる無金属テトラビシクロ体を得た(0.060g、0.097mmol、収率20%)。
Figure 2005294809
工程1−4
得られた無金属テトラビシクロ体0.02g(0.032mmol)と酢酸銅(II)一水和物0.019g(0.1mmol)のクロロホルム30ml−メタノール3ml溶液を室温で3時間攪拌した。反応溶液を蒸留水と飽和食塩水とで洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶液を濃縮後、クロロホルム/メタノールで再結晶し、テトラビシクロ銅錯体を得た(0.022g,収率100%)。
合成例2
工程2−1
2,4−ペンタンジオン205.4ml(2.0mol)、アセトン100ml、臭化n−ブチル54ml(0.5mol)、炭酸カリウム34.55g(0.25mol)を反応容器に入れ、窒素置換して48時間還流した。生成した固体をろ別し、エバポレーターで溶媒を留去した後、ダイアフラムで未反応の2,4−ペンタンジオンを減圧留去した。そして、真空蒸留することにより、3−n−ブチル2,4−ペンタンジオンを得た(43.25g,収率55%)。
工程2−2
アセト酢酸ベンジル97ml(560mmol)と酢酸81mlを反応容器に入れ、10℃以下で亜硝酸ナトリウム37.8gと水115mlの水溶液を滴下し、滴下後3時間室温で撹拌した。別の容器に工程2−1で得られた3−n−ブチル2,4−ペンタンジオン43.16g(280mmol)の酢酸45ml溶液に亜鉛粉末36.6gと酢酸ナトリウム25.9gの混合物と前述の溶液を60℃以下で加え、80℃で1時間撹拌後、氷水1.12L中に反応溶液を注ぎ、生じた沈殿を濾過し、水で洗浄した。この沈殿をクロロホルムに溶かし、水、飽和重曹水、飽和食塩水で洗浄、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥、濃縮しダイアフラムで減圧蒸留することにより余分な液体を除いた。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc/Hexane)で精製し、さらに再結晶(MeOH)することにより、4−n−ブチル−3,5−ジメチルピロールベンジルエステルが得られた(22.92g,収率24%)。
工程2−3
反応容器に酢酸200mlと無水酢酸3.09mlを加えた。そして、そこに4−n−ブチル−3,5−ジメチルピロールベンジルエステル8.56g(30mmol)を溶解させ、その後ゆっくりと四酢酸鉛15.38g(31.5mmol)を加えた。2時間撹拌後、反応が終了していることをTLCにより確認し、反応容器を氷水に注ぎ、生成した沈殿を濾過して水でしっかりと洗った。この沈殿をクロロホルムに溶解させ、水、飽和重曹水、飽和食塩水で洗浄、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥、減圧下濃縮し、ヘキサンでトリチュレーションすることによりベンジル5−アセトキシメチル−4−n−ブチル−3−メチルピロール−2−カルボキシレートが得られた(8.93g,収率87%)。
工程2−4
反応容器を窒素置換し、1−ニトロプロパン8.93ml(100mmol)、dry−THF50mlを加えた。そして、DBU(1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン)1.5ml(10mmol)を加えた後、プロピオンアルデヒド4.68ml(100mmol)を氷浴で冷却しながら加えた。室温で10時間撹拌後、酢酸エチル100mlを加え、希塩酸、水、飽和食塩水で洗浄、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥、減圧下濃縮することにより4−ヒドロキシ−3−ニトロヘキサンが得られた(12.33g,収率84%)。
工程2−5
4−ヒドロキシ−3−ニトロヘキサン14.7g(100mmol)、無水酢酸14.8ml(157.3mmol)、クロロホルム50ml、濃硫酸数滴を反応容器に入れ、室温で10時間撹拌した。反応終了後、クロロホルム50mlを加え、水、5%重曹水、飽和食塩水で洗浄、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥、減圧下濃縮することにより、4−アセトキシ−3−ニトロヘキサンが得られた(16.3g,収率86%)。
工程2−6
反応容器に4−アセトキシ−3−ニトロヘキサン11.34g(60mmol)を入れ、窒素置換して、dry−THF150ml、イソシアノ酢酸エチル7.28ml(66mmol)を加えた。そして、氷浴で冷却しながらDBU20.76ml(144mmol)をゆっくりと滴下し、室温で12時間撹拌した。反応終了後、1N塩酸を加え、クロロホルムで抽出、水、飽和食塩水で洗浄、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥、減圧下濃縮した。その後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することによりエチル3,4−ジエチルピロール−2−カルボキシレートが得られた(10.97g,収率94%)。
工程2−7
還流冷却器を取り付けて遮光した反応容器に、工程1−2で合成したエチル−4,7−ジヒドロ−4,7−エタノ−2H−イソインドール−1−カルボキシレート1.95g(9.6mmol)とエチレングリコール100mlと水酸化ナトリウム2.0gを加えた。そして窒素置換し、175℃で2時間撹拌した。その後、室温まで冷却した反応溶液を氷水に注ぎ、クロロホルムで抽出、飽和食塩水で洗浄、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥、減圧下濃縮することにより4,7−ジヒドロ−4,7−エタノ−2H−イソインドールを得た(0.98g、収率70.4%)。
工程2−8
還流冷却器を取り付けて遮光した反応容器に、工程2−6で得られたエチル3,4−ジエチルピロール−2−カルボキシレート2.056g(10.53mmol)とエチレングリコール100mlと水酸化カリウム3.5gを加えた。そして窒素置換し、160℃で2.5時間撹拌した。その後、室温まで冷却した反応溶液を氷水に注ぎ、酢酸エチルで抽出、重曹水、水、飽和食塩水で洗浄、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥、減圧下濃縮した。再び還流冷却器を取り付けて遮光した反応容器に、この反応で得られた3,4−ジエチルピロールと工程2−3で得られたベンジル−5−アセトキシメチル−4−n−ブチル−3−メチルピロール−2−カルボキシレート7.21g(21mmol)、酢酸10ml、エタノール150mlを加え、18時間還流させた。還流後、室温まで冷却しエタノール50mlを加え0℃で5時間放置し、析出した結晶を濾過しエタノールでよく洗浄することで2,5−ビス(5−ベンジルカルボニル−3−n−ブチル−4−メチル−2−ピロイルメチル)−3,4−ジメチル−1H−ピロールが得られた(5.25g,収率72%)。
工程2−9
3つ口フラスコにPd/C 0.5g、dry−THF20mlを加え水素置換し、30分間撹拌した。そこへ2,5−ビス(5−ベンジルカルボニル−3−n−ブチル−4−メチル−2−ピロイルメチル)−3,4−ジメチル−1H−ピロール2.09g(3.03mmol)をdry−THF30mlに溶かした溶液をゆっくり滴下し、そのまま室温で一晩撹拌した。撹拌後、溶液をセライト濾過し、ろ液を減圧下で濃縮し遮光して、窒素置換した後氷浴で冷却した。そのままTFA5mlを滴下し、10分間撹拌した後、CH(OMe)3 10mlをゆっくり滴下し、0℃のまま1時間撹拌した。その溶液を1M NaOH(MeOH/H2 O=1/1溶液)で中和した後、氷水へ注ぐと茶色の固体が析出した。その固体を濾過した後、水で洗浄し、ヘキサンでリンスすることにより2,5−ビス(5−ホルミル−3−n−ブチル−4−メチル−2−ピロイルメチル)−3,4−ジエチル−1H−ピロールが得られた(1.94g,収率60%)。
工程2−10
遮光した反応容器に工程2−7で得られた4,7−ジヒドロ−4,7−エタノ−2H−イソインドール0.12g(0.84mmol)と、工程2−9で得られた2,5−ビス(5−ホルミル−3−n−ブチル−4−メチル−2−ピロイルメチル)−3,4−ジエチル−1H−ピロール0.40g(0.84mmol)、クロロホルム200mlを加え窒素置換した。その溶液へTFA10.0mlを加え、50℃で18時間撹拌した。撹拌後、トリエチルアミン18.0mlをゆっくり滴下し中和した後、クロラニル0.21g(0.84mmol)を加え一晩撹拌した。チオ硫酸ナトリウム水溶液でクエンチし、有機層を水と飽和食塩水で洗浄、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。そこへ酢酸亜鉛を加えて室温で2日間撹拌し、水、飽和食塩水で洗浄、無水硫酸ナトリウムで乾燥、減圧下濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することによりモノビシクロ亜鉛錯体が得られた(0.17g,収率32%)。
工程2−11
得られたモノビシクロ亜鉛錯体0.052g(0.08mmol)を反応容器に入れ、窒素置換しクロロホルム10mlに溶解させた。そこへトリフルオロ酢酸4.5mlをゆっくりと加え1時間撹拌させた。反応溶液を水に注ぎ、クロロホルムで抽出、飽和食塩水で洗浄、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥、減圧下濃縮することにより、下記の式(10)で表される無金属モノビシクロ体が得られた(0.038g,収率81%)。
Figure 2005294809
工程2−12
得られた無金属モノビシクロ体0.041g(0.07mmol)を反応容器に入れ、窒素置換し、クロロホルム25mlに溶解させた。そこへ酢酸銅(II)1水和物0.028g(0.14mmol)を加え一晩撹拌した。反応溶液を水に注ぎ、クロロホルムで抽出、飽和食塩水で洗浄、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥、減圧下濃縮することにより、モノビシクロ銅錯体を得た(0.038g,収率87%)。
樹脂溶液aの調製
エタノール49.5g、1−ブタノール49.5gよりなる混合溶媒に市販のフレーク状のメチルシルセスキオキサン(MSQ)(昭和電工製、商品名GR650)1.0gを溶解させることで、樹脂溶液aを調製した。
樹脂溶液bの調製
エタノール49.4g、1−ブタノール49.5gよりなる混合溶媒に市販のフレーク状のメチルシルセスキオキサン(MSQ)(昭和電工製、商品名GR650)0.975gとテトラエトキシシラン0.025gを完全に溶解させた。この溶液に蒸留水0.02gと蟻酸0.05gを加え、室温で48時間攪拌し、樹脂溶液bを調製した。
樹脂溶液cの調製
エタノール49.3g、1−ブタノール49.5gよりなる混合溶媒に市販のフレーク状のフェニルシルセスキオキサン(PSQ)(昭和電工製、商品名GR950)0.8gとテトラエトキシシラン0.2gを完全に溶解させた。この溶液に蒸留水0.14gと蟻酸0.05gを加え、室温で48時間攪拌し、樹脂溶液cを調製した。
シリカゾルdの調製
エタノール49.5g、1−ブタノール49.5gよりなる混合溶媒にメチルトリメトキシシラン1.0gを完全に溶解させた。この溶液に蒸留水0.83gと蟻酸0.05gを加え、室温で48時間攪拌し、シリカゾルdを調製した。
シリカゾルeの調製
エタノール48.8g、1−ブタノール49.5gよりなる混合溶媒にジメチルジメトキシシラン0.8gとテトラメトキシシラン0.2gを完全に溶解させた。この溶液に蒸留水0.67gと蟻酸0.05gを加え、室温で48時間攪拌し、シリカゾルeを調製した。
実施例1
図1(b)に本実施例における電界効果型トランジスタの構造を示す。
まず、ハイドープN型のシリコン基板をゲート電極1とした。シリコン基板表層を熱酸化して得られる5000Åの酸化シリコン膜を絶縁層2とした。次に絶縁層の表面に樹脂溶液aをスピンコート法(回転数5000rpm)で塗布した。次にこの塗膜をホットプレート上に移して100℃で5分、200℃で20分加熱した。触針式段差計での測定によると膜厚は50nmであった。これをA層3(ポリシロキサン層)とした。
次にこの基板の上に合成例(1)で合成した無金属テトラビシクロ体を粉末状態のまま、真空中200℃で加熱してベンゾ体に変換した後、拡散ポンプで真空排気を行う真空蒸着装置を用いで製膜した。これをB層6(有機半導体層)とした。蒸着膜の作製条件は以下の通りである。蒸着装置チャンバー内の真空度は1×10-6torr、基板の温度は220℃、蒸着温度は水晶振動子から算出される膜厚及び蒸着速度はそれぞれ100nm、0.5〜1.5Å/sであった。その後、マスクを用いて金ソース電極4、ドレイン電極5を作製した。電極の作製条件は以下の通りである。蒸着装置チャンバー内の真空度は1×10-6torr、基板の温度は室温、膜厚は100nmであった。
以上の手順でチャネル長L=50μm、チャネル幅W=3mmの電界効果型トランジスタを作成した。作成したトランジスタのVd −Id 、Vg −Id 曲線をAgilent社(製)のパラメーターアナライザー4156C(商品名)を用いて測定した。
移動度μ(cm2 /Vs)は以下の式(1)に従って算出した。
Figure 2005294809
ここで、Ciはゲート絶縁膜の単位面積あたりの静電容量(F/cm2 )、W、Lはそれぞれ実施例で示したチャネル幅(mm)、チャネル長(μm)である。またId 、Vg 、Vthはそれぞれドレイン電流(A)、ゲート電圧(V)、しきい値電圧(V)である。また、Vd =−80VにおけるVg =−80Vと0VのId の比をON/OFF比とした。結果を表1に示す。
実施例2
実施例1で用いた無金属テトラビシクロ体を合成例1で合成したテトラビシクロ銅錯体に変えた以外は実施例1と同様の操作で素子を作製し、電気特性評価を行った。結果を表1に示す。
実施例3
A層を作製するところまでは実施例1と同様の操作で行った。この基板上に合成例1で合成した無金属テトラビシクロ体の1重量%クロロホルム溶液からスピンコート法により塗膜を形成した(回転数1000rpm)。さらに基板を220℃で加熱してベンゾ体からなるB層6を形成した。有機半導体層の膜厚は100nmであった。その上に金の蒸着を行い、ソース電極4、ドレイン電極5を形成した。
以上の手順でチャネル長L=50μm、チャネル幅W=3mmの電界効果型トランジスタを作成し、同様の電気特性評価を行った。結果を表1に示す。
また下記の条件で、作製したトランジスタ基板のCuKαX線回折測定を行った。結果を図4に示す。
使用機:理学電機社製RAD−RX広角X線回折装置
X線管球:Cu
管電圧:50KV
管電流:150mA
スキャン方法:2θ/θスキャン
スキャン速度:2deg./min.
サンプリング間隔:0.02deg.
積算時間:1s
積算回数:14回
測定温度:室温(20℃)
なお、θ=0°は基板平面に設定した。
また本発明においてX線回折のピークの形状や位置は製造時の条件の相違によってわずかではあるが異なる場合がある。またピークの先端部がスプリットする場合もある。
実施例4
図2に本実施例における電界効果型トランジスタの構造を示す。
まず、ハイドープN型のシリコン基板をゲート電極1とした。シリコン基板表層を熱酸化して得られる5000Åの酸化シリコン膜を絶縁層2とした。その上に、実施例1と同様の操作で樹脂溶液aを塗膜した。膜厚は50nmであった。これをA層3とした。その上に実施例1と同様の操作で金蒸着を行い、ソース電極4、ドレイン電極5とした。この基板上に合成例1で合成した無金属テトラビシクロ体の1重量%クロロホルム溶液からスピンコート法により塗膜を形成した(回転数1000rpm)。さらに基板を220℃で加熱してベンゾ体からなるB層6を形成した。B層の膜厚は100nmであった。
以上の手順でチャネル長L=50μm、チャネル幅W=3mmの電界効果型トランジスタを作成した。
実施例1と同様の電気特性の評価を行った。結果を表1に示す。
実施例5
実施例3で用いた無金属テトラビシクロ体をテトラビシクロ銅錯体に変えた以外は実施例3と同様の操作で素子を作製し、電気特性評価を行った。結果を表1、図3に示す。また、実施例3同様の条件で、作製したトランジスタ基板のCuKαX線回折測定を行った。結果を図5に示す。
比較例1
実施例4においてA層を作製する工程を省き、酸化シリコン膜の膜厚を3000Å、無金属テトラビシクロ溶液を2重量%、基板の焼成を210℃、10分、チャネル長L=25μm、チャネル幅W=0.25mmに代えた以外は実施例4と同様の操作で行った。結果を表1に示す。
実施例6
実施例3で用いた無金属テトラビシクロ体を合成例2で合成した無金属モノビシクロ体に変えた以外は実施例3と同様の操作で素子を作製し、電気特性評価を行った。結果を表1に示す。また、実施例3同様の条件で、作製したトランジスタ基板のCuKαX線回折測定を行った。結果を図6に示す。
実施例7
実施例3で用いた無金属テトラビシクロ体を合成例2で合成したモノビシクロ銅錯体に変えた以外は実施例3と同様の操作で素子を作製し、電気特性評価を行った。結果を表1に示す。また、実施例3同様の条件で、作製したトランジスタ基板のCuKαX線回折測定を行った。結果を図7に示す。
実施例8
実施例4と同様の酸化シリコン膜付きハイドープN型シリコン基板上に、実施例1と同様の操作で樹脂溶液bを塗膜した。膜厚は50nmであった。これをA層3とした。この基板上にテトラビシクロ銅錯体の1重量%クロロホルム溶液からスピンコート法により塗膜を形成した(回転数1000rpm)。さらに基板を220℃で加熱してベンゾ体からなるB層6を形成した。有機半導体層の膜厚は100nmであった。その上に実施例1と同様の操作で金蒸着を行い、ソース電極4、ドレイン電極5とした。結果を表1に示す。
実施例9
樹脂溶液cを用いて膜厚50nmの塗膜を形成し、これをA層3とした以外は、実施例8と同様の操作で素子を作製し、電気特性評価を行った。結果を表1に示す。
実施例10
シリカゾルdを用いて膜厚50nmの塗膜を形成し、これをA層3とした以外は、実施例8と同様の操作で素子を作製し、電気特性評価を行った。結果を表1に示す。
実施例11
シリカゾルeを用いて膜厚50nmの塗膜を形成し、これをA層3とした以外は、実施例8と同様の操作で素子を作製し、電気特性評価を行った。結果を表1に示す。
実施例12
図8に本実施例における電界効果型トランジスタの構造を示す。
まず、基材表面に膜厚3μmの平坦化層を設けたPET基板9上に、銀ナノ粒子ペースト(日本ペイント(株)製、ファインスフェアSVE102)をコートし、180℃/30分間熱風循環オーブン中で加熱を行うことによって、膜厚130nmのゲート電極1を形成した。この上にフェノールノボラック樹脂/ヘキサメトキシメチルメラミン/p−トルエンスルホン酸/1−ブタノール/エタノール=10.5/4.5/0.075/59.5/25.5(重量比)の熱硬化性樹脂組成物をコートし、180℃/60分間熱風循環オーブン中で加熱を行うことによって、膜厚600nmの絶縁層2を形成した。
次に絶縁層の表面に樹脂溶液bをスピンコート法(回転数3000rpm)で塗布した。次にこの塗膜を熱風循環オーブン中で180℃で20分加熱した。膜厚は60nmであった。これをA層3とした。この基板上に合成例1で合成した無金属テトラビシクロ体の1重量%クロロホルム溶液からスピンコート法により塗膜を形成した(回転数1000rpm)。さらに基板を220℃で加熱してベンゾ体からなるB層6を形成した。有機半導体層の膜厚は100nmであった。その上に実施例1と同様の操作で金蒸着を行い、ソース電極4、ドレイン電極5とした。結果を表1に示す。
実施例13
実施例12で用いた無金属テトラビシクロ体をテトラビシクロ銅錯体に変えた以外は実施例12と同様の操作で素子を作製し、電気特性評価を行った。結果を表1に示す。また、実施例3と同様の条件で、作製したトランジスタ基板のCuKαX線回折測定を行った。結果を図9に示す。
実施例14
テトラビシクロ銅錯体からB層6を形成する際の加熱時間を1、5、10分と変化させた以外は、実施例13と同様の操作で素子を作製し、電気特性評価を行った。結果を図10に示す。
実施例15
テトラビシクロ銅錯体からB層6を形成する際の加熱を180℃の熱風循環オーブン中とし、加熱時間を30、60、90分と変化させた以外は、実施例5と同様の操作で素子を作製し、電気特性評価を行った。結果を図10に示す。また、実施例3と同様の条件で、90分加熱して作製したトランジスタ基板のCuKαX線回折測定を行った。結果を図11に示す。
比較例2
A層3を形成する過程を省いた以外は、実施例14と同様の操作で素子を作製し、電気特性評価を行った。結果を図10に示す。
比較例3
A層3を形成する過程を省いた以外は、実施例15と同様の操作で素子を作製し、電気特性評価を行った。結果を図10に示す。
Figure 2005294809
本発明の電界効果型トランジスタは、結晶性、配向性に優れ、電界効果移動度が大きいので、プラスチックICカード、情報タグ、ディスプレイなどの等に利用することができる。
本発明の電界効果型トランジスタの一実施態様の一部を示す模式的な概略断面図である。 本発明の実施例4の電界効果型トランジスタの一部を示す模式的な概略断面図である。 本発明の実施例5で得られた電界効果型トランジスタの電気特性を示す図である。 本発明の実施例3で得られたトランジスタ基板上のX線回折図である。 本発明の実施例5で得られたトランジスタ基板上のX線回折図である。 本発明の実施例6で得られたトランジスタ基板上のX線回折図である。 本発明の実施例7で得られたトランジスタ基板上のX線回折図である。 本発明の実施例12の電界効果型トランジスタを示す模式的な概略断面図である。 本発明の実施例13で得られたトランジスタ基板上のX線回折図である。 本発明の実施例14、15および比較例2、3の電界効果型トランジスタの電気特性評価を示す図である。 本発明の実施例15で得られたトランジスタ基板上のX線回折図である。
符号の説明
1 ゲート電極
2 絶縁層
3 A層(結晶化促進層)
4 ソース電極
5 ドレイン電極
6 B層(有機半導体層)
7 封止層
8 基材
9 平坦化PET基板

Claims (37)

  1. 有機半導体層を有する電界効果型トランジスタであって、少なくともポルフィリンを含有する有機半導体層と、少なくともポリシロキサン化合物からなる層が密着して積層されていることを特徴とする電界効果型トランジスタ。
  2. 前記ポリシロキサン化合物が下記一般式(1)で示されることを特徴とする請求項1記載の電界効果型トランジスタ。
    Figure 2005294809
    (式中、R1 〜R4 は置換または非置換の炭素原子数1〜5のアルキル基、アルケニル基、置換または非置換のフェニル基またはシロキサンユニットのいずれかである。R1 〜R4 の各々は同じでも異なっていてもよい。nは1以上の整数を示す。)
  3. 前記ポリシロキサン化合物が、下記一般式(2)および/または下記一般式(6)で表されるポリシロキサン化合物であることを特徴とする請求項1記載の電界効果型トランジスタ。
    Figure 2005294809
    (式中、R7 〜R10は置換または非置換の炭素原子数1〜5のアルキル基、アルケニル基、置換または非置換のフェニル基のいずれかである。R7 〜R10の各々は同じでも異なっていてもよい。mおよびnは0以上の整数であり、mとnの和は1以上の整数である。)
    Figure 2005294809
    (式中、R21〜R24は置換または非置換の炭素原子数1〜5のアルキル基、アルケニル基、または置換または非置換のフェニル基のいずれかである。R21〜R24の各々は同じでも異なっていてもよい。rおよびpは0以上の整数であり、rとpの和は1以上の整数である。)
  4. 前記ポルフィリンが下記一般式(3)で表されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかの項に記載の電界効果型トランジスタ。
    Figure 2005294809
    (式中、R11はそれぞれ水素原子、ハロゲン原子、水酸基、または原子炭素数1〜12のアルキル基、オキシアルキル基、チオアルキル基、アルキルエステル基より選ばれる少なくとも1種を示し、R11は同じでも異なっていてもよい。また、隣接するR11同士が、置換基を有していてもよい芳香環を形成していてもよい。また、隣接するR11同士が形成した芳香環を通して、置換基を有していてもよい他のポルフィリン環と連結していてもよい。R12は水素原子または置換基を有していてもよいアリール基より選ばれる少なくとも1種を示す。R12は同じでも異なっていてよい。Xは水素原子または金属原子を示す。)
  5. 前記一般式(3)中、少なくとも1つの隣接するR11同士が、芳香環を形成していることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかの項に記載の電界効果型トランジスタ。
  6. 前記一般式(3)中、少なくとも1つの隣接するR11同士が形成する芳香環が、置換基を有していてもよいビシクロ[2.2.2]オクタジエン骨格構造を有する前駆体の加熱により得られることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかの項に記載の電界効果型トランジスタ。
  7. 前記有機半導体層におけるCuKαX線回折のブラッグ角(2θ)が8.3°±0.2°、10.1°±0.2°、11.8°±0.2°、14.4°±0.2°にピークを有することを特徴とする請求項1乃至6のいずれかの項に記載の電界効果型トランジスタ。
  8. 前記有機半導体層におけるCuKαX線回折のブラッグ角(2θ)が8.4°±0.2°、11.9°±0.2°、16.9°±0.2°にピークを有することを特徴とする請求項1乃至6のいずれかの項に記載の電界効果型トランジスタ。
  9. 前記有機半導体層におけるCuKαX線回折のブラッグ角(2θ)が7.2°±0.2°、7.8°±0.2°、11.7°±0.2°、23.5°±0.2°にピークを有することを特徴とする請求項1乃至6のいずれかの項に記載の電界効果型トランジスタ。
  10. 前記有機半導体層におけるCuKαX線回折のブラッグ角(2θ)が7.3°±0.2°、7.8°±0.2°、11.7°±0.2°、19.6°±0.2°にピークを有することを特徴とする請求項1乃至6のいずれかの項に記載の電界効果型トランジスタ。
  11. 有機半導体層を有する電界効果型トランジスタの製造方法であって、少なくともポルフィリンを含有する有機半導体層と、少なくともポリシロキサン化合物からなる層を密着して積層する工程を有することを特徴とする電界効果型トランジスタの製造方法。
  12. 前記ポリシロキサン化合物が下記一般式(1)で示されることを特徴とする請求項11記載の電界効果型トランジスタの製造方法。
    Figure 2005294809
    (式中、R1 〜R4 は置換または非置換の炭素原子数1〜5のアルキル基、アルケニル基、置換または非置換のフェニル基またはシロキサンユニットのいずれかである。R1 〜R4 の各々は同じでも異なっていてもよい。nは1以上の整数を示す。)
  13. 前記ポリシロキサン化合物が、下記一般式(2)および/または下記一般式(6)で表されるポリシロキサン化合物であることを特徴とする請求項11記載の電界効果型トランジスタの製造方法。
    Figure 2005294809
    (式中、R7 〜R10は置換または非置換の炭素原子数1〜5のアルキル基、アルケニル基、置換または非置換のフェニル基のいずれかである。R7 〜R10の各々は同じでも異なっていてもよい。mおよびnは0以上の整数であり、mとnの和は1以上の整数である。)
    Figure 2005294809
    (式中、R21〜R24は置換または非置換の炭素原子数1〜5のアルキル基、アルケニル基、または置換または非置換のフェニル基のいずれかである。R21〜R24の各々は同じでも異なっていてもよい。rおよびpは0以上の整数であり、rとpの和は1以上の整数である。)
  14. 前記ポルフィリンが下記一般式(3)で表されることを特徴とする請求項11乃至13のいずれかの項に記載の電界効果型トランジスタの製造方法。
    Figure 2005294809
    (式中、R11はそれぞれ水素原子、ハロゲン原子、水酸基、または原子炭素数1〜12のアルキル基、オキシアルキル基、チオアルキル基、アルキルエステル基より選ばれる少なくとも1種を示し、R11は同じでも異なっていてよい。また、隣接するR11同士が、置換基を有していてもよい芳香環を形成していてもよい。また、隣接するR11同士が形成した芳香環を通して、置換基を有していてもよいポルフィリン環と連結していてもよい。R12は水素原子または置換基を有していてもよいアリール基より選ばれる少なくとも1種を示す。R12は同じでも異なっていてよい。Xは水素原子または金属原子を示す。)
  15. 前記一般式(3)中、少なくとも1つの隣接するR11同士が、芳香環を形成していることを特徴とする請求項11乃至14のいずれかの項に記載の電界効果型トランジスタの製造方法。
  16. 前記一般式(3)中、少なくとも1つの隣接するR11同士が形成する芳香環が、置換基を有していてよいビシクロ[2.2.2]オクタジエン骨格構造を有する前駆体の加熱により得られることを特徴とする請求項11乃至15のいずれかの項に記載の電界効果型トランジスタの製造方法。
  17. 前記有機半導体層におけるCuKαX線回折のブラッグ角(2θ)が8.3°±0.2°、10.1°±0.2°、11.8°±0.2°、14.4°±0.2°にピークを形成することを特徴とする請求項11乃至16のいずれかの項に記載の電界効果型トランジスタの製造方法。
  18. 前記有機半導体層におけるCuKαX線回折のブラッグ角(2θ)が8.4°±0.2°、11.9°±0.2°、16.9°±0.2°にピークを形成することを特徴とする請求項11乃至16のいずれかの項に記載の電界効果型トランジスタの製造方法。
  19. 前記有機半導体層におけるCuKαX線回折のブラッグ角(2θ)が7.2°±0.2°、7.8°±0.2°、11.7°±0.2°、23.5°±0.2°にピークを形成することを特徴とする請求項11乃至16のいずれかの項に記載の電界効果型トランジスタの製造方法。
  20. 前記有機半導体層におけるCuKαX線回折のブラッグ角(2θ)が7.3°±0.2°、7.8°±0.2°、11.7°±0.2°、19.6°±0.2°にピークを形成することを特徴とする請求項11乃至16のいずれかの項に記載の電界効果型トランジスタの製造方法。
  21. 有機半導体層を有する積層体の製造方法において、基体上に、結晶化促進層を設ける工程と、該結晶化促進層の上に有機半導体前駆体を付与する工程と、該有機半導体前駆体にエネルギーを与えて有機半導体からなる層を形成する工程と、を少なくとも有することを特徴とする積層体の製造方法。
  22. 前記結晶化促進層が結晶粒同士の接合を促進する機能を有することを特徴とする請求項21記載の積層体の製造方法。
  23. 前記エネルギーが光エネルギー又は熱エネルギーであることを特徴とする請求項21又は22に記載の積層体の製造方法。
  24. 前記有機半導体前駆体にエネルギーを与えて有機半導体からなる層を形成する工程が、該有機半導体前駆体に脱離反応を生じさせる工程を含むことを特徴とする請求項21乃至23のいずれか1項に記載の積層体の製造方法。
  25. 前記脱離反応が逆ディールスアルダー反応であることを特徴とする請求項24に記載の積層体の製造方法。
  26. 前記脱離反応終了後も前記エネルギーを与えつづけることを特徴とする請求項24又は25に記載の積層体の製造方法。
  27. 前記有機半導体前駆体を付与する工程が、該有機半導体前駆体を含有する溶液を塗布もしくは印刷する工程であることを特徴とする請求項21乃至26のいずれか1項に記載の積層体の製造方法。
  28. 前記結晶化促進層がポリシロキサン化合物を含有することを特徴とする請求項21乃至27のいずれか1項に記載の積層体の製造方法。
  29. 有機半導体層を有する電解効果型トランジスタの製造方法において、基体上に結晶化促進層を形成する工程と、該結晶化促進層の上に有機半導体前駆体を付与する工程と、該有機半導体前駆体にエネルギーを与えて有機半導体層を形成する工程と、を少なくとも有することを特徴とする電界効果型トランジスタの製造方法。
  30. 前記結晶化促進層が結晶粒同士の接合を促進する機能を有することを特徴とする請求項29記載の電界効果型トランジスタの製造方法。
  31. 前記エネルギーが光エネルギー又は熱エネルギーであることを特徴とする請求項29又は30に記載の電界効果型トランジスタの製造方法。
  32. 前記有機半導体前駆体にエネルギーを与えて有機半導体からなる層を形成する工程が、該有機半導体前駆体に脱離反応を生じさせる工程を含むことを特徴とする請求項29乃至31のいずれか1項に記載の電界効果型トランジスタの製造方法。
  33. 前記脱離反応が逆ディールスアルダー反応であることを特徴とする請求項32に記載の電界効果型トランジスタの製造方法。
  34. 前記脱離反応終了後も前記エネルギーを与えつづけることを特徴とする請求項32又は33に記載の電界効果型トランジスタの製造方法。
  35. 前記有機半導体前駆体を付与する工程が、該有機半導体前駆体を含有する溶液を塗布もしくは印刷する工程であることを特徴とする請求項29乃至34のいずれか1項に記載の電界効果型トランジスタの製造方法。
  36. 前記結晶化促進層がポリシロキサン化合物を含有することを特徴とする請求項29乃至35のいずれか1項に記載の電界効果型トランジスタの製造方法。
  37. 有機半導体層を有する電解効果型トランジスタにおいて、基体上に、結晶化促進層と、該結晶化促進層に接する有機半導体層とを、少なくとも有することを特徴とする電界効果型トランジスタ。
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