JP5335228B2 - 新規化合物および有機半導体素子の製造方法 - Google Patents

新規化合物および有機半導体素子の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、新規化合物および有機半導体素子の製造方法に関する。
有機半導体を用いた薄膜トランジスタの開発は、1980年代後半から徐々に活発になってきている。そして、近年では、有機半導体を用いた薄膜トランジスタの基本性能は、アモルファスシリコンを用いた薄膜トランジスタの基本性能を越えるに至っている。有機半導体材料は、薄膜FET(Field Effect Transistor)等の半導体素子が形成されるプラスチック基板と親和性が高い場合が多い。したがって、有機半導体材料は、可撓性あるいは軽量性が要求される素子内の半導体層の材料として魅力的である。また、有機半導体材料には、溶液の塗布や印刷法を用いて成膜することが可能であるものもある。そのような材料を用いた場合、大面積の素子を簡単に低コストで作製することが可能である。
これまでに提案された有機半導体材料としては、以下のようなものが挙げられる。まず、特許文献1に開示されているペンタセンやテトラセンといったアセン類が挙げられる。特許文献2に開示されている鉛フタロシアニンを含むフタロシアニン類、ペリレンやそのテトラカルボン酸誘導体といった低分子化合物が挙げられる。また、特許文献3にはα−チエニールもしくはセクシチオフェンと呼ばれるチオフェン6量体を代表例とする芳香族オリゴマー、さらにはポリチオフェン、ポリチエニレンビニレン、ポリ−p−フェニレンビニレンといった高分子化合物が提案されている。なお、これらの多くは非特許文献1に記載されている。
これらの化合物を半導体層として素子を製造する場合に要求される非線形光学特性、導電性、半導体特性などの特性は、材料の純度のみでなく、結晶性や配向性に大きく依存する。
ところで、π共役系が拡張された低分子化合物の多く(例えば、ペンタセン)は、結晶性が高く溶媒に不溶である。そのため、これらの化合物からなる薄膜は真空蒸着法を用いることにより形成される場合がほとんどである。ペンタセンは、高い電界効果移動度を示す事がしられているが、大気中において不安定で酸化されやすく、劣化しやすいという課題があった。また、真空蒸着法などの真空成膜を用いた場合には、低コストで製造可能という有機半導体材料のメリットが減少してしまう。
一方、π共役系高分子を用いた有機半導体は、溶液塗布法等で容易に薄膜を形成できる場合が多い。したがって、π共役系高分子を用いた有機半導体膜は、成形性に優れる場合が多いことから、応用開発が進められている(非特許文献2)。π共役系高分子は、分子鎖の配列状態が電気伝導性に大きな影響を及ぼすことが知られている。同様に、π共役系高分子電界効果型トランジスタの電界効果移動度が半導体層中における分子鎖の配列状態に大きく依存することが報告されている(非特許文献3)。しかし、π共役系高分子の分子鎖の配列は溶液を塗布して乾燥するまでの間に行われるため、環境の変化や塗布方法の違いによって分子鎖の配列状態が大きく変化する可能性がある。そのため、塗布条件によって電界効果移動度がばらつき、安定的な製造が困難であることが懸念される。
また、近年、可溶性前駆体からなる薄膜を塗布で形成し、熱処理や光照射により有機半導体に変換した膜を用いたFETも報告されている(非特許文献4、特許文献4、特許文献5)。熱処理によって前駆体を有機半導体へと変換する例としてはペンタセン、ポルフィリンが報告されている。しかしながら、ポルフィリンやペンタセンへの変換に高温処理が必要であったり、質量が大きい脱離成分を減圧によって取り除いたりしなくてはならないという課題があった。一方、光照射により前駆体を有機半導体に変換する例としてはペンタセンが挙げられる。この場合、高温処理の必要はないものの、光処理を不活性雰囲気下で行わなければならないという問題があった。
さらに、有機半導体への変換を熱と光のどちらを用いても変換可能な例として、ペンタセンの2量体が知られている。しかし、2量化に[4+4]光2量化を用いており適応可能な骨格が制限されるという問題があった(特許文献6)。
さらに、非特許文献5には、ペンタセン前駆体として下記一般式(12)で示される骨格(以下SCO骨格)を有した材料が記載されており、加熱によってペンタセン前駆体からペンタセンに変換することが記載されている。しかしながら、非特許文献5では、ペンタセン前駆体からペンタセンへの変換が、光でも進行することは記載されていなかった。
また、非特許文献6には、加熱によってペンタセン前駆体からペンタセンに変換することが記載されている。しかしながら、光照射では置換基の重合が起こるだけであり、ビシクロ骨格は維持されたままでペンタセンへの変換は起こらないと記載されている。このことから一般式(14)のようなN−スルフィニル基は熱での変換は起こるが、光での変換は起こらないことが示唆される。
(式中、R44は直鎖または分岐アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキルエステル基、アリール基、水酸基、またはハロゲン原子を示す。)
また、非特許文献7で報告されているように一般式(15)で示される骨格においては光照射ではケテンが脱離し芳香化するが、180℃の加熱では脱離しない。これらの例から、200℃までの低温プロセスにおいて光と熱のどちらでも脱離が起こる骨格は非常に稀であることが分かる。
特開平5−55568号公報 特開平5−190877号公報 特開平8−264805号公報 特開2004−266157号公報 特開2004−221318号公報 特開2004−107216号公報 アドバンスド・マテリアル(Advanced Material)誌、2002年、第2号、p.99から117 「Japanese Journal of Applied Physics」応用物理学会、1991年、第30巻、p.610から611 「Nature」Nature Publishing Group、1999年、第401巻、p.685から687 J.Appl.Phys.79巻 1996年 p.2136 Tetrahedron Letters 45(2004)p7287から7289 Advanced Materials 15 No.24(2003)p2066から2069 Organic Reactions Volume52
以上述べたように、従来、有機半導体化合物を用いたFET素子は、真空製膜などの煩雑な工程を経ることで結晶性や配向性を有する有機半導体層を形成してきた。
また、塗布法により簡便な方法がとられたものでも優れた配向性と結晶性を備えた膜を形成させるためには非常に高い温度が必要であるものが多かった。また、低温で形成可能なものであっても大気中での安定性に問題があった。
本発明の目的は、この問題を解決するためになされたもので、低温領域において優れた結晶性や配向性を備えた有機半導体からなる層を形成でき、かつ大気中で作成可能な有機半導体素子の製造方法を提供することにある。また、前記有機半導体素子の製造方法などに用いることができる新規化合物を提供することにある。
さらに、可溶性前駆体から有機半導体へと変換する材料において、有機半導体への変換は光または熱のどちらか一方でしか進行しない材料がほとんどであった。また、熱と光のどちらを用いても変換可能な材料においては、適応可能な骨格が制限されていた。
よって、本発明の別の目的は、この問題を解決するためになされたもので、熱と光のどちらを用いても有機半導体への変換が可能な有機半導体素子の製造方法を提供することにある。
本発明は、下記一般式(32)に示されることを特徴とする化合物である。
(式中、B環は下記一般式(27)で示される。R 17 からR 22 は、それぞれ独立して水素原子、水酸基、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、エステル基、アリール基、複素環基、およびアラルキル基から選ばれる。Z からZ はCHを示す。Mは2個の水素原子あるいは金属原子(ただし銅は除く)あるいは金属酸化物を示す。R 17 とR 18 、R 19 とR 20 、R 21 とR 22 は互いに連結し、B環を形成していても良い。)
(式中、R 54 からR 59 はそれぞれ独立して水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、複素環基、アラルキル基、フェノキシ基、シアノ基、ニトロ基、エステル基、カルボキシル基およびハロゲン原子から選ばれる。R 58 とR 59 が互いに連結し、5員または6員複素環を形成していても良い。n 及びn は0以上の整数である。)
また、本発明は、下記一般式(33)に示されることを特徴とする化合物である。
(式中、B環は下記一般式(27)で示される。R 17 からR 22 は、それぞれ独立して水素原子、水酸基、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、エステル基、アリール基、複素環基、およびアラルキル基から選ばれる。Z からZ は窒素原子である。Mは2個の水素原子あるいは金属原子あるいは金属酸化物を示す。R 17 とR 18 、R 19 とR 20 、R 21 とR 22 は互いに連結し、B環を形成していても良い。)
(式中、R 54 からR 59 はそれぞれ独立して水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、複素環基、アラルキル基、フェノキシ基、シアノ基、ニトロ基、エステル基、カルボキシル基およびハロゲン原子から選ばれる。R 58 とR 59 が互いに連結し、5員または6員複素環を形成していても良い。n 及びn は0以上の整数である。)
また、本発明は、有機半導体からなる層を有する有機半導体素子の製造方法であって、基体上に有機半導体前駆体からなる層を形成する工程と、前記有機半導体前駆体に光を照射する工程と、を有し、前記有機半導体前駆体からなる層が、前記有機半導体前駆体として上記一般式(32)又は(33)に示される化合物を含むことを特徴とする有機半導体素子の製造方法である。
本発明者らは、特定の有機半導体前駆体からなる層の有機半導体前駆体に光を照射する(有機半導体前駆体からなる層の光反応)工程を経て有機半導体からなる層を形成することで、低温環境(低温領域)で優れた結晶性や配向性を備えた有機半導体からなる層を形成することができ、かつ、大気中で有機半導体素子が作製可能であることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明によれば、低温領域において優れた結晶性や配向性を備えた有機半導体からなる層を形成でき、かつ大気中で有機半導体素子が作製可能となる。そのため、ガラス基板等耐熱性の基板のみならず各種プラスチック基板を使用して簡便に有機半導体素子を作製することができる。
また、本発明によれば、熱と光のどちらを用いても有機半導層を形成することができるため、周辺部材の性質に合わせて同一材料で熱と光のプロセスを使い分けて有機半導体層を形成することが可能となる。
以下、本発明の第一および第二について詳細に説明する。
本発明の第一は、有機半導体からなる層を有する有機半導体素子の製造方法であって、
(i)基体上に有機半導体前駆体からなる層を形成する工程と、
(ii)前記有機半導体前駆体に光を照射する工程と、を有し、
(iii)前記有機半導体前駆体からなる層が、前記有機半導体前駆体として、下記一般式(1)または一般式(2)で示される構造を分子内に少なくとも一つ有するポルフィリン化合物またはアザポルフィリン化合物を含む
ことを特徴とする有機半導体素子の製造方法である。
(式中、XおよびYはそれぞれ独立して酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、チオカルボニル基、CR、NRより選ばれる少なくとも一種である。ここで、RからRはそれぞれ独立して水素原子、炭素原子数1以上12以下の直鎖または分岐アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキルエステル基、アリール基、または水酸基、のいずれかから選択される。ただし、X,Yが同時にCRになることはない。)
(式中、X=YはN=NまたはCR=Nで示される。ここで、Rは水素原子、炭素原子数1以上12以下の直鎖または分岐アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキルエステル基、アリール基、または水酸基、のいずれかから選択される。)
また、本発明の第二は、一般式(1)または一般式(2)で示される構造を分子内に少なくとも一つ有し、かつポルフィリン骨格またはアザポルフィリン骨格を有することを特徴とする化合物である。
以下、本発明の第一が有する各工程および本発明の第二について詳細に説明する。
(i)および(iii)の工程について
(i)の工程では基体上に有機半導体前駆体からなる層を形成する。
このような有機半導体前駆体からなる層は、下記一般式(1)または一般式(2)で示される構造を分子内に少なくとも一つ有するポルフィリン化合物またはアザポルフィリン化合物を有機半導体前駆体として含む。
式中、XおよびYはそれぞれ独立して酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、チオカルボニル基、CR、NRより選ばれる少なくとも一種である。ここで、RからRはそれぞれ独立して水素原子、置換または非置換の炭素原子数1以上12以下の直鎖または分岐アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキルエステル基、アリール基、水酸基、より選ばれる1種を示す。ただし、X,Yが同時にCRになることはない。アルキル基の例としてはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基などが挙げられる。アルケニル基の例としてはビニル基、アリル基等が挙げられる。アルコキシ基の例としてはメトキシ基、エトキシ基及びプロポキシ基等が挙げられる。アルキルチオ基の例としてはメチルチオ基及びエチルチオ基等が挙げられる。アルキルエステル基の例としてはメチルエステル基、エチルエステル基、プロピルエステル基、ブチルエステル基等が挙げられる。アリール基の例としては、置換基を有していても良いフェニル基、ナフチル基などが挙げられる。
式中、X=YはN=NまたはCR=Nで示される。ここで、Rは水素原子、置換または非置換の炭素原子数1以上12以下の直鎖または分岐アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキルエステル基、アリール基、水酸基、より選ばれる1種を示す。ここでアルキル基の例としてはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基などが挙げられる。アルケニル基の例としてはビニル基、アリル基等が挙げられる。アルコキシ基の例としてはメトキシ基、エトキシ基及びプロポキシ基等が挙げられる。アルキルチオ基の例としてはメチルチオ基及びエチルチオ基等が挙げられる。アルキルエステル基の例としてはメチルエステル基、エチルエステル基、プロピルエステル基、ブチルエステル基等が挙げられる。アリール基の例としては、置換基を有していても良いフェニル基、ナフチル基などが挙げられる。
なお、本発明において、ポルフィリン化合物とはポルフィリン骨格を有する化合物のことであり、アザポルフィリン化合物とはアザポルフィリン骨格を有する化合物のことである。
また、「または」は「および」を含む概念であるため、「AがBまたはCを含む」とは、AがCは含まずBを含む場合、AがBは含まずCを含む場合、AがBおよびCを含む場合のいずれをも含む概念である。
一般式(1)または一般式(2)で示される構造を有するポルフィリン化合物またはアザポルフィリン化合物は、下記一般式(3)、一般式(4)、および一般式(5)のいずれかに示される構造であることが好ましい。
一般式(1)または一般式(2)に示されるビシクロ骨格を部分構造として有する有機半導体前駆体に光を照射(付与)した場合、該ビシクロ骨格は照射によって得られたエネルギーを受けて逆ディールス−アルダー反応が起きる。ここで、ディールスアルダー反応とは、共役ジエンにジエノフィルと呼ばれる二重結合が付加して環状構造を生じる有機化学反応である。逆ディールスアルダー反応とはディールスアルダー反応の逆反応であり、形成された環状構造が共役ジエンとジエノフィルに変換される反応である。具体的には、下記反応式(1)、反応式(2)に示されるように、ビシクロ骨格は芳香環へと変換される。それにともなって、有機半導体前駆体は有機半導体に変化する。
一般式(1)で示されるビシクロ骨格は反応式(1)に示すように、X=Yのユニットが光によって脱離する。これに伴って、ビシクロ骨格が芳香環へと変化する。なお、X=Yのユニットが不安定な構造体の場合は、X=Yがさらに安定な構造体へと変換されることもある。そのため、X及びYは、光によってX=Yが脱離可能であるかどうかという観点から選ばれる。X及びYは酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、チオカルボニル基、CR、NRより選ばれる少なくとも一種である。ここで、RからRは水素原子、炭素原子数1以上12以下の直鎖または分岐アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキルエステル基、アリール基、水酸基、より選ばれる1種を示す。ただし、X,Yが同時にCRになることはない。ここでアルキル基としてはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基などが挙げられる。アルケニル基としてはビニル基、アリル基等が挙げられる。アルコキシ基としてはメトキシ基、エトキシ基及びプロポキシ基等が挙げられる。アルキルチオ基としてはメチルチオ基及びエチルチオ基等が挙げられる。アルキルエステル基としてはメチルエステル基、エチルエステル基、プロピルエステル基、ブチルエステル基等が挙げられる。アリール基としては、置換基を有していても良いフェニル基などが挙げられる。Rの炭素数が12を越えると脱離成分の分子量が増し、生成した有機半導体中に残存してしまう場合がある。かかる場合、十分な半導体特性が得られない。また、より好ましくはRの炭素数は6以下である。
一般式(2)で示すビシクロ骨格は反応式(2)に示すように、X≡Yのユニットが光によって脱離する。これに伴って、ビシクロ骨格から芳香環へと変化する。なお、X≡Yのユニットが不安定な構造体の場合は、X≡Yがさらに安定な構造体へと変換されることもある。そのため、X、Yは、光によってX≡Yが脱離可能であるか否かという観点から選ばれる。X、Yは、好ましくは窒素原子である。
なお、一般式(5)に示すSCO骨格を部分構造として有する有機半導体前駆体は熱エネルギーと光エネルギーのどちらを与えても逆ディールス−アルダー反応を起し、具体的には、反応式(3)に示されるように、SCO骨格は芳香環へと変換される。それにともなって、有機半導体前駆体は有機半導体に変化する。
前記一般式(1)または一般式(2)で示される構造を有するポルフィリン化合物またはアザポルフィリン化合物としては、例えば、下記一般式(9)で示される化合物が挙げられる。
(式中、B環は下記一般式(25)または一般式(26)で示される。R17からR22は、水素原子、置換または非置換の炭素原子数1以上12以下の直鎖または分岐アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキルエステル基、アリール基、水酸基、水素原子、複素環基およびアラルキル基より選ばれ、同一であっても異なっていても良い。アルキル基の例としてはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基などが挙げられる。アルケニル基の例としてはビニル基、アリル基等が挙げられる。アルコキシ基の例としてはメトキシ基、エトキシ基及びプロポキシ基等が挙げられる。アルキルチオ基の例としてはメチルチオ基及びエチルチオ基等が挙げられる。アルキルエステル基の例としてはメチルエステル基、エチルエステル基、プロピルエステル基、ブチルエステル基等が挙げられる。アリール基の例としては、置換基を有していても良いフェニル基、ナフチル基などが挙げられる。複素環基の例としては、置換基を有していても良い1価のピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、ピロール環、イミダゾール環、ピラゾール環、フラン環、チオフェン環、オキサゾール環、イソキサゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、フラザン環、セレノフェン環、シロール環のような単環の複素環基や単環の複素環や芳香族炭化水素環が任意に組み合わされて縮合した形の縮合複素環基が挙げられる。アラルキル基の例としては、ベンジル基、フェニルエチル基、フェネチル基などが挙げられる。Z1からZ4は窒素原子あるいはCR60から選ばれ、同一であっても異なっていても良い。ここで、R60は水素原子、または置換基を有していても良いフェニル基、ナフチル基などのアリール基より選ばれる。Mは2個の水素原子あるいは金属原子あるいは金属酸化物であれば特に限定されない。金属の例としては、銅、金、銀、亜鉛、ニッケル、クロム、マグネシウム、リチウムなどが挙げられる。金属酸化物の例としてはTiO,VOなどが挙げられる。特に好ましくはMが2個の水素原子もしくは1個の銅原子である。R17とR18、R19とR20、R21とR22は互いに連結し、B環を形成していても良い。)
(式中、XおよびYはそれぞれ独立して酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、チオカルボニル基、CR6869、NR70より選ばれる少なくとも一種である。ここで、R68からR70はそれぞれ独立して水素原子、炭素原子数1以上12以下の直鎖または分岐アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキルエステル基、アリール基、または水酸基、のいずれかから選択される。ただし、X,Yが同時にCR6869になることはない。アルキル基の例としてはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基などが挙げられる。アルケニル基の例としてはビニル基、アリル基等が挙げられる。アルコキシ基の例としてはメトキシ基、エトキシ基及びプロポキシ基等が挙げられる。アルキルチオ基の例としてはメチルチオ基及びエチルチオ基等が挙げられる。アルキルエステル基の例としてはメチルエステル基、エチルエステル基、プロピルエステル基、ブチルエステル基等が挙げられる。アリール基の例としては、置換基を有していても良いフェニル基、ナフチル基などが挙げられる。R54からR59はそれぞれ独立して水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、複素環基、アラルキル基、フェノキシ基、シアノ基、ニトロ基、エステル基、カルボキシル基およびハロゲン原子から選ばれる。アルキル基の例としてはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基などが挙げられる。アルコキシ基の例としてはメトキシ基、エトキシ基及びプロポキシ基等が挙げられる。エステル基の例としてはメチルエステル基、エチルエステル基、プロピルエステル基、ブチルエステル基等が挙げられる。アリール基の例としては、置換基を有していても良いフェニル基、ナフチル基などが挙げられる。複素環基の例としては、置換基を有していても良い1価のピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、ピロール環、イミダゾール環、ピラゾール環、フラン環、チオフェン環、オキサゾール環、イソキサゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、フラザン環、セレノフェン環、シロール環のような単環の複素環基や単環の複素環や芳香族炭化水素環が任意に組み合わされて縮合した形の縮合複素環基が挙げられる。アラルキル基の例としては、ベンジル基、フェニルエチル基、フェネチル基などが挙げられる。R58とR59が互いに連結し、5員または6員複素環を形成していても良い。ここで、5員または6員複素環としては、例えば、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、ピロール環、イミダゾール環、ピラゾール環、フラン環、チオフェン環、オキサゾール環、イソキサゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、フラザン環、セレノフェン環、シロール環が挙げられる。n5及びn6は0以上の整数である。)
(式中、X=YはN=NまたはCR67=Nで示される。ここで、R67は水素原子、炭素原子数1以上12以下の直鎖または分岐アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキルエステル基、アリール基、または水酸基、のいずれかから選択される。ここでアルキル基の例としてはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基などが挙げられる。アルケニル基の例としてはビニル基、アリル基等が挙げられる。アルコキシ基の例としてはメトキシ基、エトキシ基及びプロポキシ基等が挙げられる。アルキルチオ基の例としてはメチルチオ基及びエチルチオ基等が挙げられる。アルキルエステル基の例としてはメチルエステル基、エチルエステル基、プロピルエステル基、ブチルエステル基等が挙げられる。アリール基の例としては、置換基を有していても良いフェニル基、ナフチル基などが挙げられる。R61からR66はそれぞれ独立して置換または非置換の炭素原子数1以上12以下の直鎖または分岐アルキル基、アルコキシ基、アリール基、複素環基、アラルキル基、フェノキシ基、シアノ基、ニトロ基、エステル基、カルボキシル基およびハロゲン原子から選ばれる。アルキル基の例としてはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基などが挙げられる。アルコキシ基の例としてはメトキシ基、エトキシ基及びプロポキシ基等が挙げられる。エステル基の例としてはメチルエステル基、エチルエステル基、プロピルエステル基、ブチルエステル基等が挙げられる。アリール基の例としては、置換基を有していても良いフェニル基、ナフチル基などが挙げられる。複素環基の例としては、置換基を有していても良い1価のピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、ピロール環、イミダゾール環、ピラゾール環、フラン環、チオフェン環、オキサゾール環、イソキサゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、フラザン環、セレノフェン環、シロール環のような単環の複素環基や単環の複素環や芳香族炭化水素環が任意に組み合わされて縮合した形の縮合複素環基が挙げられる。アラルキル基の例としては、ベンジル基、フェニルエチル基、フェネチル基などが挙げられる。R65とR66が互いに連結し、5員または6員複素環を形成していても良い。5員または6員複素環としては、例えば、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、ピロール環、イミダゾール環、ピラゾール環、フラン環、チオフェン環、オキサゾール環、イソキサゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、フラザン環、セレノフェン環、シロール環が挙げられる。n7及びn8は0以上の整数である。)
これらの構造の中でも、光によって脱離する成分の残存による半導体特性への影響などを考慮すると、前記一般式(9)のB環は下記一般式(27)、一般式(28)、一般式(29)のいずれかに示される構造であることが好ましい。
(式中、R54からR59はそれぞれ独立して水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、複素環基、アラルキル基、フェノキシ基、シアノ基、ニトロ基、エステル基、カルボキシル基およびハロゲン原子から選ばれる。アルキル基の例としてはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基などが挙げられる。アルコキシ基の例としてはメトキシ基、エトキシ基及びプロポキシ基等が挙げられる。エステル基の例としてはメチルエステル基、エチルエステル基、プロピルエステル基、ブチルエステル基等が挙げられる。アリール基の例としては、置換基を有していても良いフェニル基、ナフチル基などが挙げられる。複素環基の例としては、置換基を有していても良い1価のピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、ピロール環、イミダゾール環、ピラゾール環、フラン環、チオフェン環、オキサゾール環、イソキサゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、フラザン環、セレノフェン環、シロール環のような単環の複素環基や単環の複素環や芳香族炭化水素環が任意に組み合わされて縮合した形の縮合複素環基が挙げられる。アラルキル基の例としては、ベンジル基、フェニルエチル基、フェネチル基などが挙げられる。R58とR59が互いに連結し、5員または6員複素環を形成していても良い。5員または6員複素環としては、例えば、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、ピロール環、イミダゾール環、ピラゾール環、フラン環、チオフェン環、オキサゾール環、イソキサゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、フラザン環、セレノフェン環、シロール環が挙げられる。n5及びn6は0以上の整数である。)
(式中、R71からR76はそれぞれ独立して水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、複素環基、アラルキル基、フェノキシ基、シアノ基、ニトロ基、エステル基、カルボキシル基およびハロゲン原子から選ばれる。アルキル基の例としてはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基などが挙げられる。アルコキシ基の例としてはメトキシ基、エトキシ基及びプロポキシ基等が挙げられる。エステル基の例としてはメチルエステル基、エチルエステル基、プロピルエステル基、ブチルエステル基等が挙げられる。アリール基の例としては、置換基を有していても良いフェニル基、ナフチル基などが挙げられる。複素環基の例としては、置換基を有していても良い1価のピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、ピロール環、イミダゾール環、ピラゾール環、フラン環、チオフェン環、オキサゾール環、イソキサゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、フラザン環、セレノフェン環、シロール環のような単環の複素環基や単環の複素環や芳香族炭化水素環が任意に組み合わされて縮合した形の縮合複素環基が挙げられる。アラルキル基の例としては、ベンジル基、フェニルエチル基、フェネチル基などが挙げられる。R75とR76が互いに連結し、5員または6員複素環を形成していても良い。5員または6員複素環としては、例えば、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、ピロール環、イミダゾール環、ピラゾール環、フラン環、チオフェン環、オキサゾール環、イソキサゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、フラザン環、セレノフェン環、シロール環が挙げられる。n9及びn10は0以上の整数である。)
(式中、R77からR82はそれぞれ独立して水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、複素環基、アラルキル基、フェノキシ基、シアノ基、ニトロ基、エステル基、カルボキシル基およびハロゲン原子から選ばれる。アルキル基の例としてはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基などが挙げられる。アルコキシ基の例としてはメトキシ基、エトキシ基及びプロポキシ基等が挙げられる。エステル基の例としてはメチルエステル基、エチルエステル基、プロピルエステル基、ブチルエステル基等が挙げられる。アリール基の例としては、置換基を有していても良いフェニル基、ナフチル基などが挙げられる。複素環基の例としては、置換基を有していても良い1価のピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、ピロール環、イミダゾール環、ピラゾール環、フラン環、チオフェン環、オキサゾール環、イソキサゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、フラザン環、セレノフェン環、シロール環のような単環の複素環基や単環の複素環や芳香族炭化水素環が任意に組み合わされて縮合した形の縮合複素環基が挙げられる。アラルキル基の例としては、ベンジル基、フェニルエチル基、フェネチル基などが挙げられる。R81とR82が互いに連結し、5員または6員複素環を形成していても良い。5員または6員複素環としては、例えば、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、ピロール環、イミダゾール環、ピラゾール環、フラン環、チオフェン環、オキサゾール環、イソキサゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、フラザン環、セレノフェン環、シロール環が挙げられる。n11及びn12は0以上の整数である。)
これらの構造の中で、さらに好ましい例は、前記一般式(9)のZ1からZ4が全てCHで示され、かつ、B環が前記一般式(27)で示される化合物、または、前記一般式(9)のZ1からZ4が全て窒素原子で示され、かつ、B環が前記一般式(27)で示される化合物である。
これらの化合物の合成方法に制限はないが、例えば以下のような合成方法で合成することができる。
一般式(9)のZ1からZ4が全てCHで示され、かつ、B環が一般式(27)で示される化合物において、ポルフィリン環の形成は、例えば、反応式(4)から(7)に示すような方法で行われ、B環を1から4個有するポルフィリン化合物を合成することができる。
反応式(4)から反応式(7)において、化合物(1)と化合物(2)を例えばトリクロロ酢酸等の酸触媒下での縮合、酸化反応による化合物(3)の生成、次いで、塩酸等の酸による脱保護によるジオール体の生成、その後Swern酸化などの酸化反応によってB環を1から3個有する化合物(4)を合成することができる。
反応式(8)に示すように化合物(1)を還元し化合物(2)とし、次いで酸触媒下で4量環化することで化合物(3)が得られる。得られた化合物(3)の脱保護、酸化によってB環を4個有する化合物(4)を合成することができる。
また、メソ位に置換基を導入する場合は、環化反応時のピロール、ジピロメタン、トリピランのα位が水素のものと種種のアルデヒドとを酸触媒下反応させることにより導入可能である。
また、ポルフィリン環の中心に金属を配位させたい場合は、いかなる方法を用いても良いが、無金属体に酢酸金属等を作用させる方法が好ましい。
以上のようなポルフィリン化合物の構成単位となるピロール類はβ位に様々な置換基を有したものが利用可能である。β位に様々な置換基を有するピロール類の合成は、代表的にはBarton−Zard法やKnorr法を用いて合成することができる。また、これらのピロールを適宜組み合わせて、ジピロメタンやトリピランのようなポルフィリン化合物の原料を合成することができる。
また、B環へと変換可能な基を有するピロール類の合成法に制限はないが、アセトナイド保護体がB環へと変換可能な基としては好適に用いられ、例えば、反応式(9)から(11)のような方法で合成可能である。
反応式(9)に示すようにシクロヘキサジエンとビススルホニルエチレンとのDiels−Alder反応、続いてBarton−Zard法によってピロールを合成することができる。また、脱炭酸を行うルート1や還元を行うルート2のようにα位の置換基を変換することが可能である。
反応式(10)に示すようにシクロヘキサジエンとベンザインとのDiels−Alder反応、続いてPhSClの付加、酸化反応、そして、Barton−Zard法によってピロールを合成することができる。また、ルート1やルート2のようにα位の置換基を変換することが可能である。
反応式(11)に示すようにシクロヘキサジエンとナフトキノンとのDiels−Alder反応、続いて塩基との反応で化合物(3)とし、その後ヒドラジンとの反応、塩基での処理によって芳香化し、化合物(4)を合成する。その後、PhSClの付加、酸化、続くBarton−Zard法によってピロールを合成することができる。その後、ルート1、ルート2のようにα位の置換基を変換することが可能である。
また、一般式(9)のZ1からZ4が全て窒素原子で示され、かつ、B環が前記一般式(27)で示されるアザポルフィリン化合物の合成例としては、例えば反応式(12)のような方法が挙げられる。ジシアノ化合物1から4量環化を行い、その後、脱保護、酸化によって合成する方法である。
アザポルフィリン化合物の原料となる反応式(12)中のジシアノ化合物1の合成法は特に制限はないが、アセトナイド保護体がB環へと変換可能な基としては好適に用いられ、例えば、反応式(13)、(14)のような方法で合成可能である。
アセトナイド保護を施したシクロヘキサジエンとジシアノアセチレンとのディールスアルダー反応により、ニトリル化合物は合成可能である。
アセトナイド保護シクロヘキサジエン1とエチレン化合物2とのディールスアルダー反応、次いで、還元、塩素化によって化合物5が合成できる。その後、脱HClによるエキソメチレン6の合成、ジシアノアセチレンとのディールスアルダー反応、芳香化によってジシアノ化合物8が合成可能である。
以上のように合成法を例示したが、これらはほんの一例に過ぎない。その他、B環として好適に用いられる一般式(27)の具体例を表2に挙げる。なお、表中に挙げた骨格内の置換基Xは水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、炭素数1から12の直鎖または分岐のアルキル基、フェニル基、エステル基より選ばれ、X基同士は同じでも異なっていても良い。
これらの例示した化合物の中でも特に好ましいのは一般式(21)に示される構造である。
(式中、R83からR88はそれぞれ独立して水素原子、水酸基、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、エステル基、アリール基、複素環基、およびアラルキル基から選ばれる。アルキル基の例としてはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基などが挙げられる。アルケニル基の例としてはビニル基、アリル基等が挙げられる。アルコキシ基の例としてはメトキシ基、エトキシ基及びプロポキシ基等が挙げられる。アルキルチオ基の例としてはメチルチオ基及びエチルチオ基等が挙げられる。アルキルエステル基の例としてはメチルエステル基、エチルエステル基、プロピルエステル基、ブチルエステル基等が挙げられる。アリール基の例としては、置換基を有していても良いフェニル基、ナフチル基などが挙げられる。R54からR59はそれぞれ独立して水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、複素環基、アラルキル基、フェノキシ基、シアノ基、ニトロ基、エステル基、カルボキシル基およびハロゲン原子から選ばれる。アルキル基の例としてはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基などが挙げられる。アルコキシ基の例としてはメトキシ基、エトキシ基及びプロポキシ基等が挙げられる。エステル基の例としてはメチルエステル基、エチルエステル基、プロピルエステル基、ブチルエステル基等が挙げられる。アリール基の例としては、置換基を有していても良いフェニル基、ナフチル基などが挙げられる。複素環基の例としては、置換基を有していても良い1価のピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、ピロール環、イミダゾール環、ピラゾール環、フラン環、チオフェン環、オキサゾール環、イソキサゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、フラザン環、セレノフェン環、シロール環のような単環の複素環基や単環の複素環や芳香族炭化水素環が任意に組み合わされて縮合した形の縮合複素環基が挙げられる。アラルキル基の例としては、ベンジル基、フェニルエチル基、フェネチル基などが挙げられる。M4は2個の水素原子あるいは金属原子あるいは金属酸化物を示す。金属の例としては、銅、金、銀、亜鉛、ニッケル、クロム、マグネシウム、リチウムなどが挙げられる。金属酸化物の例としてはTiO,VOなどが挙げられる。特に好ましくはMが2個の水素原子もしくは1個の銅原子である。R83とR84、R85とR86、R87とR88は互いに連結し、一般式(30)を形成していても良い。)
以上に述べた本発明で用いられる有機半導体前駆体として好ましい例を以下に示す。
なお、例では無置換体の構造を主体に示しているが、置換基を有していてもよいし、中心に金属が配位していてもよい。ここで示している化合物はあくまで一例であり、本発明の化合物はこれらに限定されない。
したがって、例えば、下記一般式(31)は一般式(22)と書き換えることもできる。
以下、有機半導体前駆体の具体例を示す。
なお、本発明の様な化合物はベンゾポリフィリンやフタロシアニンの可溶化に対して有効であり、更には光照射部のみ光増感剤色素に変換できる事より、正常細胞へのダメージ低減等の効果も十分期待される。したがって、前記有機半導体素子の製造方法に用いることが出来る他に、PDT用光増感剤色素としての展開が考えられる。又、光照射によりフタロシアニンやポリフィリン等の顔料か出来る事より、光を利用した印刷分野への応用や、分子レベルでp−n接合を光照射で形成できる可能性が有り、高感度且つ大面積の有機薄膜太陽電池への応用なども考えられる。
これらの有機半導体前駆体を基体上に付与することにより有機半導体前駆体からなる層が形成される。有機半導体前駆体からなる層の形成方法としては、有機半導体前駆体を有機溶媒に溶解させた溶液を基体上に塗布することで形成する方法が好ましい。有機半導体前駆体を溶解するために用いられる有機溶媒は有機半導体材料が反応したり、析出したりしなければ特に限定されない。また、2種以上の有機溶媒を混合して用いても良い。ここで、溶媒には、塗膜表面の平滑性や膜厚の均一性を考慮に入れた溶媒を選択することが望ましい。
溶媒の例としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチルエーテル、イソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、トルエン、キシレン、1,2−ジメトキシエタン、クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン、1,2−ジクロロエチレン、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼンなどが挙げられる。これらは単独で溶媒として用いても良いし、混合させて溶媒として用いても良い。有機半導体前駆体と溶媒からなる溶液の濃度は所望の膜厚によって任意に調節されるが、好ましくは0.01重量%以上5重量%以下である。
有機半導体前駆体と溶媒からなる溶液を基体上に塗布する方法は、特に限定されるものではない。塗布方法としては、慣用のコーティング方法、例えばスピンコーティング法、キャスト法、スプレー塗布法、ドクターブレード法、ダイコーティング法、ディッピング法、印刷法、インクジェット法、滴下法等が挙げられる。なお、印刷法としては、スクリーン印刷、オフセット印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷、マイクロコンタクトプリンティングなどが挙げられる。これらの塗布方法のうち、塗布量を制御して所望の膜厚の成膜ができるという点で好ましい塗布方法は、スピンコーティング法、ディッピング法、スプレー塗布法、インクジェット法である。また、塗膜に極力ゴミなどを混入させないために事前に溶液をフィルタで濾過することが望ましい。なぜならば、不溶分や外部からのゴミは均一な配向を妨げ、オフ電流の増加やオン/オフ比の低下を引き起こす場合があるからである。有機半導体前駆体の塗膜は予備乾燥することもできる。
以上の操作によって得られる有機半導体膜の膜厚は10nm以上500nm以下であることが好ましく、好ましくは20nm以上200nm以下である。膜厚は表面粗さ計や段差計などで測定することができる。
次に、(ii)の工程では、形成された有機半導体前駆体からなる層に光を照射する。
有機半導体前駆体からなる層に光を照射することで、反応式(1)から(3)のような逆ディールス−アルダー反応が引き起こされ、有機半導体からなる層が形成される。有機半導体前駆体からなる層に照射する光の波長は有機半導体前駆体が有する吸収波長領域であればよいが、より好ましくは、190nm以上500nm以下の波長領域である。190nmより短い波長は、周辺部へのダメージや副反応が懸念され、500nmをこえるとの波長は得られた有機半導体に対してのダメージが懸念されるからである。光源としては、タングステンランプ、ハロゲンランプ、メタルハライドランプ、ナトリウムランプ、キセノンランプ、高圧水銀灯、低圧水銀灯および各種レーザー光等が選択される。光を照射する方法は有機半導体前駆体が有機半導体に変化すれば特に限定されないが、光反応をより効果的に行うことを考えると、有機半導体前駆体に直接光を照射する方法が望ましい。ただし、光照射によって発生する熱が有機半導体前駆体に加わる場合は熱吸収フィルタ等で熱をカットすることが好ましい。また、マスクを介して光照射を行うことにより、有機半導体のパターニングを行うこともできる。有機半導体の優れた結晶化膜を得るためには有機半導体前駆体からなる層に光と熱を同時に与えることがより好ましい。光エネルギーと熱エネルギーを同時に与えることにより、光によって有機半導体前駆体が有機半導体へと変換され、かつ熱エネルギーによって脱離反応によって生じた結晶粒中の隙間を埋める働きをするからである。これにより、有機半導体からなる層の結晶状態を、酸素や水分の侵入を受けにくいより安定な結晶状態へと導くことができる。
この際、熱は外部から基体を加熱することによって与えられる。加熱方法としては、如何なる方法を用いてもよいが、好ましい方法としては、ホットプレート上、熱風循環型オーブン又は真空オーブン中で加熱する方法が挙げられる。これらのうち、ホットプレート上で基体を加熱する方法がより好ましい。加熱温度は、有機半導体前駆体の種類によって最適な温度は異なるが、周辺部への影響等を考えると、50℃以上180℃以下の温度領域での加熱が好ましい。
光と熱を同時に与える場合の光と熱を同時に与える時間は、膜厚、材料等によって大きく異なるものであり、一概には決めることができないが、一般的には、有機半導体結晶化膜が成長するに従い、膜の深部までの光透過が難しくなるため、光エネルギー及び熱エネルギーを同時に与える時間を1秒以上30分以下とすることが好ましい。このようにすることにより、有機半導体前駆体から有機半導体への変換に光を有効に利用することができる。より好ましくは、光エネルギー及び熱エネルギーを同時に与える時間は、1分以上15分以下である。また、より安定な結晶化膜を得るために光エネルギー及び熱エネルギーを同時に与えた後、さらに熱エネルギーのみを与えても良い。
これらの操作によって得られる有機半導体からなる層の厚さは10nm以上500nm以下であることが好ましく、好ましくは20nm以上200nm以下である。厚さは表面粗さ計や段差計などで測定することができる。
本発明において、基体は有機半導体前駆体からなる層を形成する対象のことである。
基体は、一つの層で構成されていても、複数の層で構成されていても良い。
基体が複数の層で構成されている場合、最表面の層は結晶化促進層であることが好ましい。最表面の層が結晶化促進層となる場合は、結晶化促進層が形成される下地(電界効果型トランジスタの場合、一般的には、支持体層、ゲート電極、ゲート絶縁層からなる構造体である。ただし、ゲート絶縁層は省略可能な場合もあるし、積層順によっては、支持体層のみの場合もある。その他の層が形成されている場合もある。)を基材と呼ぶ。
本発明者らの詳細な検討によれば、結晶化促進層上で有機半導体前駆体からなる層に光エネルギー及び熱エネルギーを同時に付与し、有機半導体からなる層へと変換することが結晶化促進機能を最大限に引き出すために重要であると考えられる。一般に、有機半導体前駆体を光エネルギー及び熱エネルギーを付与することにより脱離反応させ、有機半導体を生じさせた際に、得られた化合物からなる結晶粒間に隙間が生ずることが観察される。一方、結晶化促進層上でかかる反応を行った場合は、有機半導体からなる層の結晶粒間の隙間が埋まり、基板全体に渡り均一な結晶が形成される。
これは、結晶化促進層が、有機半導体からなる層の結晶粒の安定化(移動や回転を伴う場合もあり得る)や結晶粒同士の接合を促す機能を有することによるものであると考えられる。したがって、結晶化促進層とは、結晶粒の安定化(移動や回転を伴う場合もある)及び/又は結晶粒同士の接合を促進する層である。
結晶化促進層のこのような作用によって、有機半導体からなる層の結晶性が向上することが結晶化促進層として機能する所以であると、本発明者は考えている。なお、結晶粒同士の接合が生じることが、特に好ましいと考えられる。
このような結晶化促進層としては、ポリシロキサン化合物を含有する層であることが好ましい。
本発明者らの検討の範囲内では、ポリシロキサン化合物は、有機半導体の結晶化を促進する作用を有すると考えられる。
さらに、本発明者らは、ポリシロキサン化合物を含有する層の表面に有機半導体前駆体からなる層を付与(積層)した後、該有機半導体前駆体からなる層に光エネルギーと熱エネルギーとを同時に与える方法が、良質な有機半導体からなる層を形成するために有効であることを見出した。なお、以下、ポリシロキサン化合物を含有する層のことを、単に「ポリシロキサン化合物層」と呼ぶ場合がある。このような方法によれば、ポリシロキサン化合物を含有する層と有機半導体からなる層の界面で連続的に均一で欠陥が少なく、酸素や水のような外的刺激による劣化を受けにくい有機半導体結晶を形成することが可能になると考えられる。そのため、各素子間における特性のばらつきが少なく、高い耐久性を備えた有機半導体素子を作製することが可能であると考えられる。かかる方法は、いずれの有機半導体素子であっても有効であると考えられるが、有機半導体素子の一例である有機電界効果型トランジスタを作製するために、とりわけ有効であると考えられる。
なお、本発明において、ポリシロキサン化合物とは、シロキサン構造(−Si−O−)と有機シラン構造を有する重合体のことであり、ポリシロキサン化合物からなる層とは、シロキサン構造(−Si−O−)と有機シラン構造を有する重合体からなる層のことである。したがって、前記構造を有してさえいれば、ポリシロキサン化合物は、その他の有機高分子や無機高分子との共重合体であっても構わない。他の高分子との共重合体の場合、シロキサン構造や有機シラン構造が主鎖中に存在していてもよいし、グラフト重合などにより側鎖に存在していても構わない。なお、有機シラン構造とは、SiとCとが直接結合した構造である。
ポリシロキサン化合物としては、直鎖状や環状などの種々の構造のものが考えられる。
ポリシロキサン化合物は、高次に架橋もしくは分岐した構造を持つことがより好ましい。ここで述べる、高次に架橋もしくは分岐した構造とは、網状、梯子状、籠状、星状、樹状構造も含む。また、架橋もしくは分岐した構造は、必ずしもシロキサン構造を介して形成されなければならないわけではない。ビニル基、アクリロイル基、エポキシ基、シンナモイル基などの有機基同士が架橋した構造や、3官能以上の有機基を介して分岐した構造を含んでも構わない。
ポリシロキサン化合物の例としては、下記一般式(6)に示される構造を有する化合物が挙げられる。かかる構造においては、主鎖がシロキサンユニット、側鎖(RからR)が水素原子又は炭素原子等の有機基を有する置換基である。
式中、RからRは置換または非置換の炭素原子数1以上8以下のアルキル基、アルケニル基、置換または非置換のフェニル基またはシロキサンユニットのいずれかである。RからRは各々同じであっても良く異なっていても良い。
置換のアルキル基としては、例えば、水素原子が、ハロゲン原子、水酸基、シアノ基、フェニル基、ニトロ基、メルカプト基、グリシジル基で置換されたアルキル基が挙げられる。また、メチル基やメチレン基がアミノ基などで置換されていてもかまわない。さらに、置換のフェニル基としては、例えば、水素原子が、ハロゲン原子、水酸基、シアノ基、ニトロ基、メルカプト基、グリシジル基で置換されたフェニル基が挙げられる。もちろん、置換基はこれらに限られるものではない。なお、これらの例示は、論理的にありえないといった例外的な場合を除き、以下に記載するシロキサン化合物中のR及びRn(nは自然数)のすべてに妥当する。
置換基RからRは、下記に示すようなシロキサンユニットでも良い。
(式中、Rは置換または非置換の炭素原子数1以上8以下のアルキル基、または置換または非置換のフェニル基または上記に表されているシロキサンユニットのいずれかであり、各々のRは同じ官能基であっても違う官能基であっても良い。)
一般式(6)中の置換基の種類によってポリシロキサンの形状には直鎖状、環状、網状、梯子状、籠状構造等が存在するが、本発明に用いるポリシロキサンはそのいずれでも構わない。
本発明で用いられるポリシロキサン化合物の別の例としては、下記一般式(8)に示すような構造を有するものも挙げられる。
式中、R13からR16は置換または非置換の炭素原子数1以上8以下のアルキル基、アルケニル基、または置換または非置換のフェニル基のいずれかである。R13からR16のは各々同じであっても良く異なっていても良い。rおよびpは0以上の整数であり、rとpの和は1以上の整数である。
本発明で用いられるポリシロキサン化合物は、少なくとも下記の一般式(7)に示すような特定のシルセスキオキサン骨格を有すると特に好ましい。
式中、RからR12は置換または非置換の炭素原子数1以上8以下のアルキル基、アルケニル基、または置換または非置換のフェニル基のいずれかである。RからR12は各々同じであっても良く異なっていてもよい。mおよびnは0以上の整数であり、mとnの和は1以上の整数である。共重合の形態はランダム共重合であってもブロック共重合であっても良い。極めて具体的にRからR12の例を挙げるとすれば、メチル基、エチル基のような非置換アルキル基/非置換のフェニル基/ジメチルフェニル基やナフチル基といった置換フェニル基などが挙げられる。また、置換基RからR12には炭素原子、水素原子の他に酸素原子や窒素原子や金属原子など各種の原子が含まれていても良い。
本発明におけるシルセスキオキサン骨格を説明する。一般式(7)では、置換基RからR10を有するシスセスキオキサンユニット(以後、第一ユニット)がm個繰り返したものと、置換基R11、R12を有するシスセスキオキサンユニット(以後、第二ユニット)がn個繰り返したものが接続した構造を示す。なお、mおよびnは0以上の整数であり、m+nは1以上の整数である。しかしながら、これは第一ユニットの繰り返しと、第二ユニットの繰り返しが分離していることを意味するのではない。両ユニットは、分離して接続していてもランダムに入り交じって接続していても良い。
また、一般式(7)で示される構造と一般式(8)で示される構造の両方を有するシロキサン化合物もポリシロキサン化合物として本発明には用いられ得る。
一般式(7)に示すような特定のシルセスキオキサン骨格を有する化合物を主体として、本発明における結晶化促進層を基材に形成するための方法の例としては、以下のものが挙げられる。すなわち、下記の一般式(10)および一般式(11)もしくはいずれか一方に示すポリオルガノシルセスキオキサン化合物を含む溶液を基材上に塗布して、加熱、乾燥させることで基体を得ることができる。
その際の、好ましい加熱処理温度は140℃以上300℃以下、さらに好ましくは150℃以上230℃以下である。140℃未満で加熱すると加水分解反応が不十分となるおそれがある。
式中、R、R10は置換または非置換の炭素原子数1以上8以下のアルキル基、アルケニル基、または置換または非置換のフェニル基のいずれかであり、RとR10は同じ官能基であっても良い。R26からR29は炭素原子数1以上4以下のアルキル基または水素原子であり、zは1以上の整数である。
式中、R11、R12は置換または非置換の炭素原子数1以上8以下のアルキル基、アルケニル基、または置換または非置換のフェニル基のいずれかであり、R11とR12は同じ官能基であっても良い。R30からR33は炭素原子数1以上4以下のアルキル基または水素原子であり、yは1以上の整数である。
このような加熱、乾燥により化合物の末端で加水分解反応が誘起され、原料であるシルセスキオキサン化合物はラダー状に接続され、緻密化する。ただし、この時、前記加熱、乾燥温度は有機物が完全に消失するほど高くないので、原料化合物は完全なシリカ構造にまでにはならずに大部分の置換基が残存しているシルセスキオキサン骨格とすることができる。
また、乾燥工程に際してオリゴマーであるシルセスキオキサン化合物が互いに架橋しあう反応を補助する目的で、塗布溶液にはギ酸などの酸を少量添加してもよい。
酸の添加量は特に限定されるものではない。酸としてギ酸を用いる場合は、塗布溶液に含まれるポリオルガノシルセスキオキサン化合物の固形分重量に対して1重量%から30重量%の範囲で添加すると架橋反応が促進されるので好ましい。添加量が1重量%より少ないと架橋反応の促進効果が十分でなくなる恐れがあり、逆に添加量が30重量%より多いと乾燥後の膜性を阻害するおそれがある。
架橋反応、溶剤除去の過程において、系内にはその温度領域で蒸発、揮発、焼失しない安定剤は溶液系から極力除去する。
塗布溶液の溶媒にはアルコール類やエステル類など任意のものを使用できる。基板への濡れ性などを考慮して溶媒を選択すればよい。
結晶化促進層の原料溶液を基材に塗布する際の塗布方法は特に限定されるものではない。塗布方法としては、慣用のコーティング方法、例えばスピンコーティング法、キャスト法、スプレー塗布法、ドクターブレード法、ダイコーティング法、ディッピング法、印刷法、インクジェット法、滴下法等を採用することができる。なお、印刷法としては、スクリーン印刷、オフセット印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷、マイクロコンタクトプリンティングなどが挙げられる。これらの塗布方法のうち、塗布量を制御して所望の膜厚の成膜ができるという点で好ましい方法は、スピンコーティング法、ディッピング法、スプレー塗布法、インクジェット法である。また、得られた膜の絶縁性を保つためには塗布溶液に極力ゴミなどを混入させないことが重要であり、事前に原料溶液をメンブランフィルタで濾過することが望ましい。
結晶化促進層の膜厚は10nm以上、好ましくは15nm以上500nm以下になるように液濃度を調整することが好ましい。10nm未満になると、均一な膜が得られにくくなる場合があるからである。
結晶化促進層を塗布する前に、基材表面の濡れ性向上のため、アルカリ液による超音波処理やUV照射等で基材の表面改質を行ってもよい。
有機半導体前駆体は、結晶化促進層が形成されている基体上に付与される。それにより、有機半導体前駆体からなる層が形成される。このとき結晶化促進層と有機半導体前駆体からなる層が密着して積層されていることが望ましい。密着とは、結晶化促進層の少なくとも一部と有機半導体前駆体からなる層の少なくとも一部とが他の層を介さずに接している状態を指す。
上述のように結晶化促進層上に有機半導体前駆体からなる層が形成される。その後、光と熱とを同時に与えることによって、ビシクロ骨格から芳香環(前駆体から有機半導体)に変換される。芳香環への変換と同時に有機半導体同士のスタッキングによる結晶成長が同時に起こり、有機半導体結晶化膜が形成される。これによって有機半導体からなる層が形成される。
以上の工程によって有機電界効果型トランジスタを得た場合の有機電界効果型トランジスタの模式的な断面図を図1に示す。図1に示す電界効果型トランジスタは、ゲート電極1、絶縁層2、A層(結晶化促進層)3、ソース電極4、ドレイン電極5およびB層(有機半導体からなる層)6から構成される。なお、ここでは、基材がゲート電極1と絶縁層2で構成され、基体がゲート電極1と絶縁層2とA層(結晶化促進層)3で構成される場合を想定して説明する。
ゲート電極1、ソース電極4、ドレイン電極5としては、導電性材料であれば特に限定されず、白金、金、銀、ニッケル、クロム、銅、鉄、錫、アンチモン鉛、タンタル、インジウム、アルミニウム、亜鉛、マグネシウム、およびこれらの合金や、インジウム・錫酸化物等の導電性金属酸化物、あるいはドーピング等で導電率を向上させた無機および有機半導体、例えばシリコン単結晶、ポリシリコン、アモルファスシリコン、ゲルマニウム、グラファイト、ポリアセチレン、ポリパラフェニレン、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリン、ポリチエニレンビニレン、ポリパラフェニレンビニレン等が挙げられる。電極の作製方法としてはスパッタ法、蒸着法、溶液やペーストからの印刷法、インクジェット法、ディップ法などが挙げられる。また、電極材料としては、上に挙げた中でも有機半導体からなる層との接触面において電気抵抗が少ないものが好ましい。
絶縁層2としては、A層3が均一に塗布できるものであれば何でもよいが、誘電率が高く、導電率が低いものが好ましい。例としては、酸化シリコン、窒化シリコン、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化タンタルなどの無機酸化物や窒化物、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、ポリエーテル、等が挙げられる。上記絶縁材料の中でも、表面の平滑性の高いものが好ましい。またA層自身が絶縁性に優れているので、A層の厚さを絶縁性が発現する厚さに調整することにより、A層自体をゲート絶縁層として用いてもよい。
また、電界効果型トランジスタ構造はトップコンタクト電極型、ボトムコンタクト電極型、トップゲート電極型のいずれでも良い。さらに、横型に限定されるものではなく、縦型構造(ソース電極、ドレイン電極の一方が基体側の有機半導体層表面にあり、他方が基体とは反対側の有機半導体層表面にある構造)でもよい。
また、本発明の第三は、
有機半導体からなる層を有する有機半導体素子の製造方法であって、
(I)基体上に有機半導体前駆体からなる層を形成する工程と、
(II)前記有機半導体前駆体に加熱および光照射を行う工程と、を有し、
(III)前記有機半導体前駆体からなる層が、前記有機半導体前駆体として下記一般式(5)で示される構造を分子内に少なくとも一つ有する化合物を含むことを特徴とする有機半導体素子の製造方法である。
本発明で用いられる有機半導体前駆体は、一般式(5)に示すSCO骨格を部分構造として分子内に少なくとも1つ含むアセン化合物を含む。このようなアセン化合物としては一般式(13)で示される構造であることが好ましく、より好ましくはペンタセン前駆体であることが好ましい。
式中、A環は環構造であり、前記一般式(12)で示されるSCO骨格、または、5員または6員複素環のいずれかを示す。ここで、5員または6員複素環としては、例えば、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、ピロール環、イミダゾール環、ピラゾール環、フラン環、チオフェン環、オキサゾール環、イソキサゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、フラザン環、セレノフェン環、シロール環が挙げられる。R37、R42は水素原子、アルキル基、アルコキシル基、エステル基またはフェニル基を示す。R34からR36、R38からR41、及びR43は水素原子、アルキル基、アルコキシル基、アリール基、複素環基、アラルキル基、フェノキシ基、シアノ基、ニトロ基、エステル基、カルボキシル基またはハロゲン原子を示す。ここで言うアリール基とは、1価の単環および多環芳香族炭化水素基のことであり、多環芳香族炭化水素とは、例えば、ナフタレン、アントラセン、アズレン、ヘプタレン、ビフェニレン、インダセン、アセナフチレン、フェナンスレン、トリフェニレン、ピレン、クリセン、ピセン、ペリレン、ペンタフェン、ルビセン、コロネン、ピランスレン、オバレンのような芳香族炭化水素環が2から15個縮環したものが挙げられる。2から15個の環の縮合位置は例に挙げたもの以外でもどこで縮環していても良い。また、複素環基とは、1価のピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、ピロール環、イミダゾール環、ピラゾール環、フラン環、チオフェン環、オキサゾール環、イソキサゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、フラザン環、セレノフェン環、シロール環のような単環の複素環基や単環の複素環や芳香族炭化水素環が任意に組み合わされて縮合した形の縮合複素環基が挙げられる。なお、アリール基、複素環基は置換基を有していても良く、置換可能な位置であればどの位置で置換していても良い。さらに、アリール基同士、複素環基同士、アリール基と複素環基が組み合わされオリゴマーの形体を取っても良い。R34からR36、R38からR41、及びR43は、それぞれ同一であっても異なっていても良い。R34とR35、R39とR40は互いに連結し、SCO骨格あるいは5員または6員複素環を形成していても良い。ここで、5員または6員複素環としては、例えば、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、ピロール環、イミダゾール環、ピラゾール環、フラン環、チオフェン環、オキサゾール環、イソキサゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、フラザン環、セレノフェン環、シロール環が挙げられる。nからnの和は1以上の整数である。中でも、アセン系化合物へと光によって変換される構造、同種または異種の前記アセン系化合物が2から6個連結されたオリゴマーへと光によって変換される構造、前記アセン系化合物に複素環が連結された構造へと光によって変換されるものがより好ましい。なお、アセン系化合物とは、例えば、アントラセン、テトラセン、ペンタセン、アクリジン、チアンスレンのように芳香族炭化水素環または複素環から選ばれる3つ以上の環が直線状に縮環した化合物である。
本発明で用いられる有機半導体前駆体として好ましい化合物の例を以下に示す。なお、ここで示している化合物はあくまで一例であり、本発明の化合物はこれらに限定されない。
これらの有機半導体前駆体を(I)の工程で、基体に付与することにより有機半導体前駆体からなる層が形成される。有機半導体前駆体からなる層の形成方法としては、有機半導体前駆体を有機溶媒に溶解させてから塗布する方法が好ましい。有機半導体前駆体を溶解するために用いられる有機溶媒は有機半導体材料が反応したり、析出したりしなければ特に限定されない。溶媒の例としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチルエーテル、イソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、トルエン、キシレン、1,2−ジメトキシエタン、クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン、1,2−ジクロロエチレン、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン、などが挙げられる。溶液の濃度は所望の膜厚によって任意に調節されるが、好ましくは0.01重量%以上5重量%以下である。塗膜表面の平滑性や膜厚の均一性を考慮に入れた溶媒を選択することが望ましい。また、2種以上の有機溶媒を混合して用いても良く、中でも、極性溶媒を混合することが特に好ましい。極性溶媒を混合すると、理由は定かではないが、SCO骨格のダイポール由来の配向を極性溶媒が緩和し、より良い配向状態へと導くことが予想され、半導体特性が向上するからである。混合する極性溶媒の例としては、ニトリル系、エステル系、アルコール系、環状エーテル系などの溶媒が挙げられ、例えば、アセトニトリル、酢酸エチル、アセトン、メチルエチルケトン、アセチルアセトン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、N−メチルピロリドン、などが挙げられる。この中でも特にメタノール、エタノール、1−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノールのようなアルコール系溶媒の混合が特に好ましい。極性溶媒を混合する割合は、有機半導体前駆体が反応したり析出しなければ特に限定されないが、好ましくは有機半導体前駆体と極性溶媒のモル比(極性溶媒/有機半導体前駆体)が2以上30以下である。
有機半導体前駆体からなる層の形成方法は、特に限定されるものではない。形成方法としては、慣用のコーティング方法、例えばスピンコーティング法、キャスト法、スプレー塗布法、ドクターブレード法、ダイコーティング法、ディッピング法、印刷法、インクジェット法、滴下法等が挙げられる。なお、印刷法としては、スクリーン印刷、オフセット印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷、マイクロコンタクトプリンティングなどが挙げられる。これらの塗布方法のうち、塗布量を制御して所望の膜厚の成膜ができるという点で好ましい塗布方法は、スピンコーティング法、ディッピング法、スプレー塗布法、インクジェット法である。また、塗膜に極力ゴミなどを混入させないために事前にフィルタで濾過することが望ましい。なぜならば、不溶分や外部からのゴミは均一な配向を妨げ、オフ電流の増加やオン/オフ比の低下を引き起こす場合があるからである。有機半導体前駆体の塗膜は予備乾燥することもできる。
このようにして形成された有機半導体前駆体からなる層に(II)の工程で、加熱または光照射を行うと、反応式(3)のような逆ディールス−アルダー反応が引き起こされ、有機半導体からなる層が形成される。加熱して有機半導体からなる層を形成する場合、有機半導体前駆体からなる層に与える熱は有機半導体へと変換する温度であればよいが、好ましくは、100℃以上250℃以下の熱である。また、光を照射して有機半導体からなる層を形成する場合、有機半導体前駆体からなる層に照射する光の波長は有機半導体前駆体が有する吸収波長領域であればよいが、好ましくは、190nm以上350nm以下の波長領域である。さらに好ましくは220nm以上280nm以下の波長領域であり、効率良く有機半導体へと変換することができる。光源としては、タングステンランプ、ハロゲンランプ、メタルハライドランプ、ナトリウムランプ、キセノンランプ、高圧水銀灯、低圧水銀灯および各種レーザー光等が選択される。光照射方法は有機半導体前駆体が有機半導体に変化すれば特に限定されないが、光反応をより効果的に行うことを考えると、有機半導体前駆体に直接光を照射する方法が望ましい。ただし、光照射によって発生する熱が有機半導体前駆体に加わる場合は熱吸収フィルタ等で熱をカットすることが好ましい。また、光照射をマスクを介して行うことにより、パターニングを行うこともできる。有機半導体の優れた結晶化膜を得るためには有機半導体前駆体からなる層に光と熱を同時に与えることがより好ましい。このとき、熱は基体を外部から加熱することによって与えられる。加熱方法としては、如何なる方法を用いてもよいが、好ましい方法としては、ホットプレート上、熱風循環型オーブン又は真空オーブン中で加熱する方法が挙げられる。本発明でのより好ましい方法はホットプレート上で基体を加熱する方法である。加熱温度は、有機半導体前駆体の種類によって最適な温度は異なるが、周辺部への影響等を考えると、50℃以上180℃以下の温度領域での加熱が好ましい。
また、前述したように、「または」は「および」を含む概念であるため、加熱と光照射を同時に行っても良い。光と熱を同時に与える場合の光と熱を同時に与える時間は、膜厚、材料等によって大きく異なるものであり、一概には決めることができないが、一般的には、有機半導体結晶化膜が成長するに従い、膜の深部までの光透過が難しくなるため、光エネルギー及び熱エネルギーを同時に与える時間を1秒以上30分以下とすることが好ましい。このようにすることにより、前駆体から有機半導体への変換に光を有効利用することができる。より好ましくは、光エネルギー及び熱エネルギーを同時に与える時間は、10秒以上15分以下である。また、より安定な結晶化膜を得るために光エネルギー及び熱エネルギーを同時に与えた後、さらに熱エネルギーのみを与えても良い。
これらの操作によって得られる有機半導体からなる層の厚さは10nm以上500nm以下であることが好ましく、好ましくは20nm以上200nm以下である。厚さは表面粗さ計や段差計などで測定することができる。
以上の工程によって有機電界効果型トランジスタを得た場合の有機電界効果型トランジスタの模式的な断面図を図2に示す。図2に示す電界効果型トランジスタは、ゲート電極7、絶縁層8、有機半導体からなる層9、ソース電極10とドレイン電極11とから構成される。なお、ここでは、基体がゲート電極7と絶縁層8で構成される場合を想定して説明する。
ゲート電極7、ソース電極10、ドレイン電極11としては、導電性材料であれば特に限定されず、白金、金、銀、ニッケル、クロム、銅、鉄、錫、アンチモン鉛、タンタル、インジウム、アルミニウム、亜鉛、マグネシウム、およびこれらの合金や、インジウム・錫酸化物等の導電性金属酸化物、あるいはドーピング等で導電率を向上させた無機および有機半導体、例えばシリコン単結晶、ポリシリコン、アモルファスシリコン、ゲルマニウム、グラファイト、ポリアセチレン、ポリパラフェニレン、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリン、ポリチエニレンビニレン、ポリパラフェニレンビニレン等が挙げられる。電極の作製方法としてはスパッタ法、蒸着法、溶液やペーストからの印刷法、インクジェット法、ディップ法などが挙げられる。また、電極材料としては、上に挙げた中でも半導体層との接触面において電気抵抗が少ないものが好ましい。
絶縁層8としては、有機半導体からなる層が均一に塗布できるものであれば何でもよいが、誘電率が高く、導電率が低いものが好ましい。例としては、酸化シリコン、窒化シリコン、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化タンタルなどの無機酸化物や窒化物、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、ポリエーテル、等が挙げられる。上記絶縁材料の中でも、表面の平滑性の高いものが好ましい。
本発明における電界効果型トランジスタ構造はトップコンタクト電極型、ボトムコンタクト電極型、トップゲート電極型のいずれでも良い。さらに、横型に限定されるものではなく、縦型構造(ソース電極、ドレイン電極の一方が基体側の有機半導体層表面にあり、他方が基体とは反対側の有機半導体層表面にある構造)でもよい。
以下に実施例を示すが、本発明は実施例に限られるものではない。
(合成例1)
工程(1)
2,4−ペンタンジオン(205.4ml,2.0mol)、アセトン(100ml)、臭化n−ブチル(54ml,0.5mol)、炭酸カリウム(34.55g,0.25mol)を反応容器に入れ、窒素置換して48時間還流した。生成した固体をろ別し、エバポレーターで溶媒を留去した後、ダイアフラムで未反応の2,4−ペンタンジオンを減圧留去した。そして、真空蒸留することにより3−n−ブチル2,4−ペンタンジオンを得た(43.25g,収率55%)。
工程(2)
アセト酢酸ベンジル(97ml,560mmol)と酢酸(81ml)を反応容器に入れ、10℃以下で亜硝酸ナトリウム(37.8g)と水(115ml)の水溶液を滴下し、滴下後3時間室温で撹拌した。別の容器に工程(3)で得られた3−n−ブチル2,4−ペンタンジオン(43.16g,280mmol)の酢酸(45ml)溶液に亜鉛粉末(36.6g)と酢酸ナトリウム(25.9g)の混合物と前述の溶液を60℃以下で加え、80℃で1時間撹拌後、氷水(1.12L)中に反応溶液を注ぎ、生じた沈殿を濾過し、水で洗浄した。この沈殿をクロロホルムに溶かし、水、飽和重曹水、飽和食塩水で洗浄、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥、濃縮しダイアフラムで減圧蒸留することにより余分な液体を除いた。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc/Hexane)で精製し、さらに再結晶(MeOH)することにより、4−n−ブチル−3,5−ジメチルピロールベンジルエステルが得られた(22.92g,収率24%)。
工程(3)
反応容器に酢酸(200ml)と無水酢酸(3.09ml)を加えた。そして、そこに4−n−ブチル−3,5−ジメチルピロールベンジルエステル(8.56g,30mmol)を溶解させ、その後ゆっくりと四酢酸鉛(15.38g,31.5mmol)を加えた。2時間撹拌後、反応溶液を氷水に注ぎ、生成した沈殿を濾過して水でしっかりと洗った。この沈殿をクロロホルムに溶解させ、水、飽和重曹水、飽和食塩水で洗浄、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥、減圧下濃縮し、ヘキサンでトリチュレーションすることによりベンジル5−アセトキシメチル−4−n−ブチル−3−メチルピロール−2−カルボキシレートが得られた(8.93g,収率87%)。
工程(4)
反応容器を窒素置換し、1−ニトロプロパン(8.93ml,100mmol)、脱水テトラヒドロフラン(dry−THF)(50ml)を加えた。そして、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU)(1.5ml,10mmol)を加えた後、プロピオンアルデヒド(4.68ml,100mmol)を氷浴で冷却しながら加えた。室温で10時間撹拌後、酢酸エチル(100ml)を加え、希塩酸、水、飽和食塩水で洗浄、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥、減圧下濃縮することにより4−ヒドロキシ−3−ニトロヘキサンが得られた(12.33g,収率84%)。
工程(5)
4−ヒドロキシ−3−ニトロヘキサン(14.7g,100mmol)、無水酢酸(14.8ml,157.3mmol)、クロロホルム(50ml)、濃硫酸数滴を反応容器に入れ、室温で10時間撹拌した。反応終了後、クロロホルム(50ml)を加え、水、5%重曹水、飽和食塩水で洗浄、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥、減圧下濃縮することにより、4−アセトキシ−3−ニトロヘキサンが得られた(16.3g,収率86%)。
工程(6)
反応容器に4−アセトキシ−3−ニトロヘキサン(11.34g,60mmol)を入れ、窒素置換して、dry−THF(150ml)イソシアノ酢酸エチル(7.28ml,66mmol)を加えた。そして、氷浴で冷却しながらDBU(20.76ml,144mmol)をゆっくりと滴下し、室温で12時間撹拌した。反応終了後、1N塩酸を加え、クロロホルムで抽出、水、飽和食塩水で洗浄、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥、減圧下濃縮した。その後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することによりエチル3,4−ジエチルピロール−2−カルボキシレートが得られた(10.97g,収率94%)。
工程(7)
還流冷却器を取り付けて遮光した反応容器に、工程(6)で得られたエチル3,4−ジエチルピロール−2−カルボキシレート(2.056g,10.53mmol)とエチレングリコール(100ml)と水酸化カリウム(3.5g)を加えた。そして窒素置換し、160℃で2.5時間撹拌した。その後、室温まで冷却した反応溶液を氷水に注ぎ、酢酸エチルで抽出、重曹水、水、飽和食塩水で洗浄、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥、減圧下濃縮し、3,4−ジエチルピロールを得た。再び還流冷却器を取り付けて遮光した反応容器に、この反応で得られた3,4−ジエチルピロールと工程(3)で得られたベンジル−5−アセトキシメチル−4−n−ブチル−3−メチルピロール−2−カルボキシレート(7.21g,21mmol)、酢酸(10ml)、エタノール(150ml)を加え、18時間還流させた。還流後、室温まで冷却しエタノール(50ml)を加え0℃で5時間放置し、析出した結晶を濾過しエタノールでよく洗浄することで2,5−ビス(5−ベンジルカルボニル−3−n−ブチル−4−メチル−2−ピロイルメチル)−3,4−ジメチル−1H−ピロールが得られた(5.25g,収率72%)。
工程(8)
3つ口フラスコにパラジウムカーボン(Pd/C)0.5g、dry−THF20mlを加え水素置換し、30分間撹拌した。そこへ2,5−ビス(5−ベンジルカルボニル−3−n−ブチル−4−メチル−2−ピロイルメチル)−3,4−ジメチル−1H−ピロール(2.09g,3.03mmol)をdry−THF(30ml)に溶かした溶液をゆっくり滴下し、そのまま室温で一晩撹拌した。撹拌後、溶液をセライト濾過し、ろ液を減圧下で濃縮し遮光して、窒素置換した後氷浴で冷却した。そのままトリフルオロ酢酸(TFA)(5ml)を滴下し、10分間撹拌した後、オルトギ酸トリメチル(CH(OMe))(10ml)をゆっくり滴下し、0℃のまま1時間撹拌した。その溶液を1M NaOH溶液(メタノール及び水の1:1混合溶液で希釈した)で中和した後、氷水へ注ぐと茶色の固体が析出した。その固体を濾過した後、水で洗浄し、ヘキサンでリンスすることにより2,5−ビス(5−ホルミル−3−n−ブチル−4−メチル−2−ピロイルメチル)−3,4−ジエチル−1H−ピロールが得られた(1.94g,収率60%)。
工程(9)
1,4−シクロヘキサジエン(73.77ml,0.78mmol)を三口フラスコに入れ撹拌し、−45℃に冷却した。そこへ臭素(122.5g,0.77mmol)のヘキサン(350ml)溶液を4時間以上かけてゆっくり滴下した。滴下終了後、反応溶液を室温に戻してからろ過し、ろ液を減圧下濃縮、乾燥させることで4,5−ジブロモ−1−シクロヘキセンが得られた(146.5g,79%)。
工程(10)
工程(9)で得られた化合物(80.5g,338mmol)、水(500ml)、アセトン(250ml)、N−メチルモルホリン(45.5g,389mmol)を反応容器に入れ撹拌した。そこへOsO(1g)を加え24時間激しく撹拌した。反応終了後、NaHSO(50g)とフロリジル(250g)の水(100ml)懸濁液を反応溶液に加え、10分間撹拌した。その後セライトろ過によって不溶物を取り除き、ろ液に5%HClをpHが3になるまで加えた。pHが3になったことを確認し、減圧下アセトンを除去した。残留物から有機物を酢酸エチルで抽出し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下濃縮した。析出した結晶をろ過した後、塩化メチレンで再結晶することにより4,5−ジブロモ−1,2−シクロヘキサンジオールが得られた(64.6g,70%)。
工程(11)
工程(10)で得られた化合物(20.6g,75.62mmol)を反応容器に入れ、窒素置換した。そこへ、2,2−ジメトキシプロパン(12.92ml)、p−トルエンスルホン酸(0.9g)を加え、3時間撹拌した。反応終了を確認してから活性アルミナに通してろ過し、ろ液を減圧下濃縮することで5,6−ジブロモ−2,2−ジメチルヘキサヒドロ−1,3−ベンゾジオキソオールが得られた(17.1g,72%)。
工程(12)
工程(11)で得られた化合物を反応容器に入れ、窒素置換した後脱水トルエン(116ml)に溶解させた。この溶液に蒸留したDBU(6.0ml,40.1mmol)を加え、6時間還流した。この反応物をろ過した後、ろ液に炭酸水素ナトリウムを加え、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させることで2,2−ジメチル−3a,7a−ジヒドロベンゾ[1.3]ジオキソールが得られた。この化合物はこれ以上精製することなく次の反応に用いた。
工程(13)
工程(12)で得られた化合物のトルエン溶液にトランス‐1,2−ビス(フェニルスルホニル)エチレン(1.37g,4.45mmol)を加え、窒素置換した。この混合物を8時間還流させた後、減圧下濃縮した。得られた反応物をシリカゲルクロマトグラフィー(50%EtOAc/Hexanae)で精製することにより10,11−ビス(フェニルスルホニル)−4,4−ジメチル−3,5−ジオキサ−トリシクロ[5.2.2.02.6]ウンデカ−8−エンが得られた(2.0g,98%)。
工程(14)
工程(13)で得られた化合物(4.0g,8.7mmol)を反応容器に入れ,窒素置換した後テトラヒドロフラン(24ml)に溶解させた。この溶液に氷浴中でエチルイソシアノアセテート(1.3ml,12.2mmol)と1M t−BuOK(テトラヒドロフラン溶液)(21.7ml,21.7mmol)を加えた。その後室温で18時間撹拌した。この反応溶液に10%HCl水溶液(24.4ml)と水160mlを加えた後、酢酸エチルで抽出し、飽和食塩水で洗浄、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下濃縮した。得られた反応物をシリカゲルクロマトグラフィーで精製することにより一般式(a)で示される目的物を得た(2.4g,95%)。
工程(15)
工程(14)で得られた化合物(1g,3.45mmol)、エチレングリコール(50ml)、水酸化カリウム(0.8g)を反応容器に入れ,窒素置換した。その後175℃で5時間撹拌した。その後室温に戻し、反応溶液を水に注いだ後、酢酸エチルで抽出し、水、飽和食塩水で洗浄、シリカゲルクロマトグラフィーで精製することにより一般式(b)で示される目的物を得た(0.52g,70%)。
工程(16)
反応容器に塩化メチレン(300ml)、トリクロロ酢酸(8.43g)を反応容器に入れ、窒素置換した。そこに工程(8)で合成した化合物(0.79g,1.7mmol)、工程(15)で合成した化合物(0.37g,1.7mmol)を塩化メチレン(125ml)に溶解させた液を15分かけて滴下した。その後室温で20時間撹拌した後、トリエチルアミンで中和し、クロラニルを加え2.5時間撹拌した。反応溶液を水に注ぎ、塩化メチレンで抽出、飽和重曹水、水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥、減圧下濃縮し、アルミナカラムクロマトグラフィーで精製することにより、一般式(c)で示される化合物を得た(0.18g,16%)。
工程(17)
工程(16)で得られた化合物(0.085g、0.13mmol)を反応容器に入れ,テトラヒドロフラン(15ml)に溶解させ、6NHCl(10ml)を加えた。その後室温で撹拌した後、反応溶液を水に注ぎ、酢酸エチルで抽出、水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥、減圧下濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することによって一般式(d)で示される化合物が得られた(0.039g,49%)。
工程(18)
反応容器を窒素置換し、ジメチルスルホキシド(0.8ml)、塩化メチレン(2.1ml)を加えた。その後‐60℃でトリフルオロ酢酸無水物(1.0ml)を滴下し、10分間撹拌した。その後‐60℃で工程(17)で得られた一般式(d)で示される化合物(39mg,0.0063mmol)のジメチルスルホキシド溶液を滴下し、1.5時間撹拌した。その後、−60℃でトリエチルアミン(2.5ml)を加え、さらに1.5時間撹拌した。その後、室温に戻し、10%HCl水溶液に反応溶液を注ぎ、塩化メチレンで抽出、水、で洗浄、無水硫酸ナトリウムで乾燥、減圧下濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィーで精製することにより一般式(e)で示される化合物が得られた(24mg,収率62%)。
1H NMR(CDCl3)d=10.13、7.39、6.14、4.15、4.01、3.71、2.31、1.90、1.73、1.11、−3.89
赤外吸収スペクトル(ATR)cm−1:1739(CO)
マススペクトル(MALDI−TOF−MS)m/z:556.358、613.441
(合成例2)
工程(1)
反応容器に合成例1工程(14)で合成された一般式(a)で示される化合物(0.29g,1.0mmol)を入れ窒素置換し、無水テトラヒドロフラン(5.0ml)に溶解させ、反応容器を氷浴に浸した。水素化リチウムアルミニウム(0.11g,3.0mmol)を加えて氷浴を取り除き、室温で1時間撹拌した。還元終了後、飽和食塩水(20ml)を加え、不溶物をセライトろ過し、クロロホルムで抽出し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶液にp−トルエンスルホン酸(0.08g)を加え、1日撹拌した。さらにクロラニル(0.22g,0.91mmol)を加えさらに1日撹拌した。反応終了後、反応溶液を1%チオ硫酸ナトリウム水溶液、飽和食塩水でそれぞれ洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、再結晶することで一般式(f)で示される化合物が得られた(0.05g,21%)。
工程(2)
合成例2工程(1)で合成された一般式(f)で示される化合物を反応容器に入れ、窒素置換した後、テトラヒドロフランに溶解させた。そこへテトラヒドロフランと同量の1M HCl水溶液を加え、4時間撹拌した。反応終了後、酢酸エチルで抽出、水、飽和食塩水で洗浄、無水硫酸ナトリウムで乾燥、減圧下濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィーで精製し、再結晶をすることで一般式(g)で示される化合物が得られた(84%)。
工程(3)
反応容器を窒素置換し、ジメチルスルホキシド(0.8ml)、塩化メチレン(5.0ml)を加えた。その後‐60℃でトリフルオロ酢酸無水物(1.2ml)を滴下し、10分間した。その後‐60℃で合成例2工程(2)で得られた一般式(g)で示される化合物(50mg,0.067mmol)のジメチルスルホキシド溶液(0.5ml)を滴下し、1.5時間撹拌した。その後、−60℃でトリエチルアミン(2.7ml)を加え、さらに1.5時間撹拌した。その後、室温に戻し、10%HCl水溶液に反応溶液を注ぎ、塩化メチレンで抽出、水、飽和食塩水で洗浄、無水硫酸ナトリウムで乾燥、減圧下濃縮し、酢酸エチルでトリチュレーションすることにより一般式(h)で示される化合物が得られた(15mg,30%)。
H−NMR(CDCl3)d=9.99、7.51、6.20
赤外吸収スペクトル(ATR)cm−1:1728(CO)
マススペクトル(MALDI−TOF−MS)m/z:510.291(イオン化の途中でカルボニル基が脱離してしまうため、ベンゾ体の質量のみが観測された。)
工程(4)
一般式(f)で示される化合物と酢酸亜鉛とを反応させることによって、亜鉛錯体を得た。得られた化合物(1.0g)、THF(100ml)、1N HCl(100ml)を混合し、窒素置換した。その後65℃で3時間撹拌し、室温に戻した。反応溶液を濃縮した後、エタノールに溶かし、炭酸水素ナトリウムに通して再び濃縮した。その後シリカゲルカラムクロマトグラフィーによって得られた化合物を精製することで、一般式(g)の亜鉛錯体が定量的に得られた。
工程(5)
反応容器を窒素置換し、ジメチルスルホキシド(0.93ml)、塩化メチレン(5.4ml)を加えた。その後‐60℃でトリフルオロ酢酸無水物(1.3ml)を滴下し、10分間した。その後‐60℃で合成例2工程(4)で得られた一般式(g)の亜鉛錯体(59mg,0.072mmol)のジメチルスルホキシド溶液(1.0ml)を滴下し、1.5時間撹拌した。その後、−60℃でトリエチルアミン(3.0ml)を加え、さらに1.5時間撹拌した。その後、室温に戻し、10%HCl水溶液に反応溶液を注ぎ、塩化メチレンで抽出、水、飽和食塩水で洗浄、無水硫酸ナトリウムで乾燥、減圧下濃縮し、酢酸エチルでトリチュレーションすることにより一般式(h)の亜鉛錯体が得られた(16mg,28%)。
H−NMR(CDCl3)d=10.17(4H、m)、7.45(8H、m)、6.18(8H、m)
赤外吸収スペクトル(ATR)cm−1:1728(CO)
マススペクトル(MALDI−TOF−MS)m/z:510.329(イオン化の途中でカルボニル基と中心金属の亜鉛が脱離してしまうため、ベンゾ体の質量のみが観測された。)
工程(6)
一般式(h)で示される化合物と酢酸銅とを反応させることによって、銅錯体を定量的に得た。
赤外吸収スペクトル(ATR)cm−1:1728(CO)
マススペクトル(MALDI−TOF−MS)m/z:510.303(イオン化の途中でカルボニル基と中心金属の銅が脱離してしまうため、ベンゾ体の質量のみが観測された。
(合成例3)
工程(1)
五酸化リン(17g、60mmol)を三口フラスコに入れ窒素置換し、P2 O5 存在下減圧蒸留したスルホラン(70ml)を入れた。そこへスルホランに懸濁させたアセチレンジカルボキシアミド(5g、45mmol)を110℃、12Torrで30分以上かけて滴下した。
滴下終了後、反応液の温度を120℃にし生成したジシアノアセチレンが気化してくるので、ドライアイス−アセトンバスで冷却し回収した(0.85g、25%)。
工程(2)
ジシアノアセチレン(0.38g,5.0mmol)が入ったナスフラスコを窒素置換し、トルエンを加えて溶解させた。この溶液に2,2−ジメチル−3a,7a−ジヒドロベンゾ[1.3]ジオキソール(0.31g,2.0mmol)を加え、室温で1晩撹拌した。その後、水、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥、減圧下濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することによって、一般式(i)で示される化合物を得た(0.46g,40%)。
工程(3)
窒素置換をした反応容器にマグネシウム(3.1mg)、脱水ブタノール(4.4ml)、ヨウ素を微量入れ、120℃で3時間撹拌した。得られた溶液(1.2ml)を合成例3工程(2)で得られた一般式(i)で示される化合物(20mg、0.08mmol)が入った窒素置換済みの反応容器に加え、120℃で2日間撹拌した。反応溶液を水:メタノール=1:1溶液中に注ぎ、クロロホルムで抽出した。有機層を水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥、減圧下濃縮し、アルミナカラムクロマトグラフィーで分離することで一般式(j)で示される化合物が得られた(収率7%)。
工程(4)
合成例3工程(3)で得られる一般式(j)で示される化合物を反応容器に入れ,窒素置換し、テトラヒドロフランに溶解させる。そこへ1N塩酸を加え室温で撹拌する。反応終了後、飽和食塩水で洗浄し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、再結晶することで一般式(k)で示される化合物が得られる。
工程(5)
反応容器を窒素置換し、ジメチルスルホキシド、塩化メチレンを加える。その後‐60℃でトリフルオロ酢酸無水物を滴下し、10分間する。その後‐60℃で合成例3工程(4)で得られた一般式(k)で示される化合物のジメチルスルホキシド溶液を滴下し、1.5時間撹拌する。その後、−60℃でトリエチルアミンを加え、さらに1.5時間撹拌する。その後、室温に戻し、10%HCl水溶液に反応溶液を注ぎ、塩化メチレンで抽出、水、飽和食塩水で洗浄、無水硫酸ナトリウムで乾燥、減圧下濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィーで精製することにより一般式(l)で示される化合物が得られる。
(合成例4)
ペンタセン(0.46g,1.6mmol)とチオホスゲン(2ml)を入れた反応溶液を65℃で6時間反応させた。室温まで冷却し、ジクロロメタン(2ml)を反応溶液に加えた。その後、ろ過することで未反応のペンタセンを取り除き、ろ液を減圧下濃縮した。濃縮後トルエンを40mlを加え、減圧下濃縮し、未反応のチオホスゲンを取り除いた。得られた生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、一般式(16)で示される化合物を得た(収率40%)。
樹脂溶液aの調製
エタノール49.5g、1−ブタノール49.5gよりなる混合溶媒に市販のフレーク状のメチルシルセスキオキサン(MSQ)(昭和電工製、商品名GR650)1.0gを溶解させることで、樹脂溶液aを調製した。
樹脂溶液bの調製
エタノール49.5g、1−ブタノール49.5gよりなる混合溶媒にメチルトリメトキシシラン1.0gを完全に溶解させた。この溶液に蒸留水0.83gと蟻酸0.05gを加え、室温で48時間攪拌し、シリカゾル(樹脂溶液)bを調製した。
実施例1
図1に本実施例におけるトップ電極型電界効果型トランジスタの構造を示す。
まず、ハイドープN型のシリコン基板をゲート電極1とした。このシリコン基板表層を熱酸化して得られた500nm(5000Å)の酸化シリコン膜をゲート絶縁層2とした。次に絶縁層の表面に樹脂溶液aをスピンコート法(回転数5000rpm)で塗布した。次にこの塗膜をホットプレートに移して100℃で5分、220℃で30分加熱した。このようにしてA層3(ポリシロキサン層)を形成した。
次にこのようにしてA層3を形成した基板上に、合成例1で合成した一般式(e)の1.0重量%クロロホルム溶液をスピンコート法により塗布した。回転数は900rpmとした。それにより、塗膜を形成した。さらに、このようにして塗膜を形成した基板を150℃に設定したホットプレート上に載せ、熱吸収フィルターとブルーフィルターを通し、日本ピー・アイ株式会社製メタルハライドランプ(PCS−UMX250)の光を5分間照射した。それによってB層6(有機半導体層)を形成した。
B層6の上に、マスクを用いてAuを蒸着し、ソース電極4、ドレイン電極5を形成した。電極作製時の条件は、蒸着装置チャンバー内の真空度は1×10−6torr、基板の温度は室温とした。このようにして、得られる電極の膜厚は100nmであった。
以上の手順でチャネル長L=50μm、チャネル幅W=3mmの電界効果型トランジスタを作製した。作製したトランジスタのV−I、V−I曲線をAgilent社(製)のパラメーターアナライザー4156C(商品名)を用いて測定した。
移動度μ(cm/Vs)は以下の式(1)に従って算出した。
ここで、Ciはゲート絶縁膜の単位面積あたりの静電容量(F/cm)、W、Lはそれぞれ実施例で示したチャネル幅(mm)、チャネル長(μm)である。またI、V、Vthはそれぞれドレイン電流(A)、ゲート電圧(V)、しきい値電圧(V)である。また、V=−80VにおけるV=−80Vと0VのIの比をon/off比とした。得られた結果から算出した電界効果移動度は、1.8×10−3cm/Vsであった。また、on/off比は3.1×10であった。また、このトランジスタ基板のCuKαX線回折測定を行ったところ回折ピークが観測され、良好な結晶性を確認することができた。
実施例2
ハイドープN型のシリコン基板をゲート電極とした。このシリコン基板表層を熱酸化して得られた500nm(5000Å)の酸化シリコン膜をゲート絶縁層とした。次に、合成例1で合成した一般式(e)の1.0重量%クロロホルム溶液をスピンコート法により塗布した。回転数は900rpmとした。それにより、塗膜を形成した。さらに、このようにして塗膜を形成した基板を150℃に設定したホットプレート上に載せ、熱吸収フィルターとブルーフィルターを通し、日本ピー・アイ株式会社製メタルハライドランプ(PCS−UMX250)の光を5分間照射した。それによって有機半導体層を形成した。
有機半導体層の上に、マスクを用いてAuを蒸着し、ソース電極、ドレイン電極を形成した。電極作製時の条件は、蒸着装置チャンバー内の真空度は1×10−6torr、基板の温度は室温とした。
このようにして、得られた電極の膜厚は100nmであった。以上の手順でチャネル長L=50μm、チャネル幅W=3mmの電界効果型トランジスタを作製し、実施例1と同様の電気特性評価を行った。電界効果移動度は1.0×10−5cm/Vsであった。また、on/off比は3.6×10であった。
実施例3
ハイドープN型のシリコン基板をゲート電極とした。このシリコン基板表層を熱酸化して得られた500nm(5000Å)の酸化シリコン膜をゲート絶縁層とした。次に、合成例4で合成した一般式(16)の1.0重量%クロロホルム溶液をスピンコート法により塗布した。回転数は1000rpmとした。それにより、塗膜を形成した。さらに、このようにして塗膜を形成した基板を120℃に設定したホットプレート上に載せ、熱吸収フィルターを通し、HOYA−SCHOTT製UV光源(EX250)の光を1分間照射した。それによって有機半導体層を形成した。有機半導体層の上に、マスクを用いてAuを蒸着し、ソース電極、ドレイン電極を形成した。電極作製時の条件は、蒸着装置チャンバー内の真空度は1×10−6torr、基板の温度は室温とした。このようにして、得られた電極の膜厚は100nmであった。以上の手順でチャネル長L=50μm、チャネル幅W=3mmの電界効果型トランジスタを作成した。作成したトランジスタのV−I、V−I曲線をAgilent社(製)のパラメーターアナライザー4156C(商品名)を用いて測定した。
移動度μ(cm/Vs)は以下の式(1)に従って算出した。
ここで、Ciはゲート絶縁膜の単位面積あたりの静電容量(F/cm)、W、Lはそれぞれ実施例で示したチャネル幅(mm)、チャネル長(μm)である。またI、V、Vthはそれぞれドレイン電流(A)、ゲート電圧(V)、しきい値電圧(Vth)である。また、Vd=−80VにおけるVg=−80Vと0VのIdの比をon/off比とした。得られた結果から算出した電界効果移動度、及び、on/off比を表2に示す。
実施例4
ハイドープN型のシリコン基板をゲート電極とした。このシリコン基板表層を熱酸化して得られた500nm(5000Å)の酸化シリコン膜をゲート絶縁層とした。次に、合成例4で合成した一般式(16)とエタノールをモル比(エタノール/一般式(16))7.8となるように混合し、1.0重量%となるようにクロロホルムを加えて溶液を調整した。この溶液を基板にスピンコート法により塗布した。回転数は1000rpmとした。それにより、塗膜を形成した。さらに、このようにして塗膜を形成した基板を140℃に設定したホットプレートに乗せ、30分間加熱した。それによって有機半導体層を形成した。有機半導体層の上に、マスクを用いてAuを蒸着し、ソース電極、ドレイン電極を形成した。電極作製時の条件は、蒸着装置チャンバー内の真空度は1×10−6torr、基板の温度は室温とした。このようにして、得られた電極の膜厚は100nmであった。以上の手順でチャネル長L=50μm、チャネル幅W=3mmの電界効果型トランジスタを作製し電気特性評価を行ったが、トランジスタ特性を示さなかった。結果を表2に示す。
実施例5
ホットプレートの設定温度を200℃に、加熱時間を1分間に変更して有機半導体層を形成した以外は実施例4に準じてトランジスタを作製し、電気特性評価を行った。結果を表1に示す。
実施例6
ハイドープN型のシリコン基板をゲート電極とした。このシリコン基板表層を熱酸化して得られた500nm(5000Å)の酸化シリコン膜をゲート絶縁層とした。次に、合成例4で合成した一般式(16)とエタノールをモル比(エタノール/一般式(16))7.8となるように混合し、1.0重量%となるようにクロロホルムを加えて溶液を調整した。この溶液を基板にスピンコート法により塗布した。回転数は1000rpmとした。それにより、塗膜を形成した。さらに、このようにして塗膜を形成した基板を室温で熱吸収フィルターを通し、HOYA−SCHOTT製UV光源(EX250)の光を1分間照射した。それによって有機半導体層を形成した。有機半導体層の上に、マスクを用いてAuを蒸着し、ソース電極、ドレイン電極を形成した。電極作製時の条件は、蒸着装置チャンバー内の真空度は1×10−6torr、基板の温度は室温とした。このようにして、得られた電極の膜厚は100nmであった。
以上の手順でチャネル長L=50μm、チャネル幅W=3mmの電界効果型トランジスタを作製し電気特性評価を行った。結果を表2に示す。
実施例7
ハイドープN型のシリコン基板をゲート電極とした。このシリコン基板表層を熱酸化して得られた500nm(5000Å)の酸化シリコン膜をゲート絶縁層とした。次に、合成例4で合成した一般式(16)とエタノールをモル比(エタノール/一般式(16))7.8となるように混合し、1.0重量%となるようにクロロホルムを加えて溶液を調整した。この溶液を基板にスピンコート法により塗布した。回転数は1000rpmとした。それにより、塗膜を形成した。さらに、このようにして塗膜を形成した基板を120℃に設定したホットプレート上に載せで熱吸収フィルターを通し、HOYA−SCHOTT製UV光源(EX250)の光を1分間照射した。それによって有機半導体層を形成した。有機半導体層の上に、マスクを用いてAuを蒸着し、ソース電極、ドレイン電極を形成した。電極作製時の条件は、蒸着装置チャンバー内の真空度は1×10−6torr、基板の温度は室温とした。このようにして、得られた電極の膜厚は100nmであった。以上の手順でチャネル長L=50μm、チャネル幅W=3mmの電界効果型トランジスタを作製し電気特性評価を行った。結果を表2に示す。
実施例8
ホットプレートの設定温度を130℃にした以外は実施例7に準じてトランジスタを作製し、電気特性評価を行った。結果を表2に示す。
実施例9
ホットプレートの設定温度を140℃にした以外は実施例7に準じてトランジスタを作製し、電気特性評価を行った。結果を表2に示す。
実施例10
ホットプレートの設定温度を180℃にした以外は実施例7に準じてトランジスタを作製し、電気特性評価を行った。結果を表2に示す。
実施例11
一般式(16)の1.0重量%クロロホルム溶液を調整し、スピンコート法により基板に塗布し成膜した。
実施例12
一般式(16)とエタノールをモル比(エタノール/一般式(16))1.6となるように混合し、1.0重量%となるようにクロロホルムを加えて溶液を調整した。この溶液をスピンコート法により基板に塗布し成膜した。
実施例13
モル比を7.8に変更した以外は実施例12と同様に成膜した。
実施例14
一般式(16)とメタノールをモル比(メタノール/一般式(16))5.7となるように混合し、1.0重量%となるようにクロロホルムを加えて溶液を調整した。この溶液をスピンコート法により基板に塗布し成膜した。
実施例15
モル比を11.3に変更した以外は実施例14と同様に成膜した。
実施例16
モル比を28.3に変更した以外は実施例14と同様に成膜した。
実施例17
一般式(16)とイソプロピルアルコールをモル比(イソプロピルアルコール/一般式(16))5.9となるように混合し、1.0重量%となるようにクロロホルムを加えて溶液を調整した。この溶液をスピンコート法により基板に塗布し成膜した。
実施例18
一般式(16)とアセトニトリルをモル比(アセトニトリル/一般式(16))8.7となるように混合し、1.0重量%となるようにクロロホルムを加えて溶液を調整した。この溶液をスピンコート法により基板に塗布し成膜した。
実施例19
一般式(16)の1.0重量%トルエン溶液を調整し、スピンコート法により基板に塗布し成膜した。
実施例20
一般式(16)とエタノールをモル比(エタノール/一般式(16))6.7となるように混合し、1.0重量%となるようにトルエンを加えて溶液を調整した。この溶液をスピンコート法により基板に塗布し成膜した。
実施例21
一般式(16)と1−ブタノールをモル比(1−ブタノール/一般式(16))4.2となるように混合し、1.0重量%となるようにトルエンを加えて溶液を調整した。この溶液をスピンコート法により基板に塗布し成膜した。
実施例22
一般式(16)とトルエンをモル比(トルエン/一般式(16))7.0となるように混合し、1.0重量%となるようにクロロホルムを加えて溶液を調整した。この溶液をスピンコート法により基板に塗布し成膜した。
実施例11から実施例22で1.7cm×1.8cmの基板上に作製した膜を比較し、一基板上の1mm角5点の平均値を〇、△、×の三段階で評価した。結果を表3に示す。
(膜質の評価)
〇:平均ピンホール数が15個未満、かつ、平均ピンホール径が100μm未満
△:平均ピンホール数が15個以上50個未満、かつ、平均ピンホール径が100μm未満
×:平均ピンホール数が50個以上、または、平均ピンホール径が100μm以上
実施例23
一般式(e)で示される化合物を重クロロホルムに溶解させ、1H−NMRを測定し、一般式(e)の構造であることを確認した。測定後のサンプルにメタルハライドランプの光を10分間照射した。その後1H−NMRを測定し、カルボニルが脱離した一般式(31)のベンゾ体へと変化していることを確認した。図4にNMRスペクトルを示す。
実施例24
一般式(h)で示される化合物の亜鉛錯体のアセトン溶液を調整し、石英基板上にスピンコート法により塗布した。回転数は1000rpmとした。このようにして塗膜を形成した基板にメタルハライドランプの光を大気中、室温で5分間照射した。テトラベンゾポルフィリンへと変換できていることをUVを測定することにより確認した。UVスペクトルを図3に示す。
比較例1
下記一般式(17)で示す化合物の1wt%クロロホルム溶液を調整し、石英基板上にスピンコート法により塗布した。回転数は1000rpmとした。このようにして塗膜を形成した基板を2枚作製し、一枚は250℃で加熱し、もう一枚は光を照射した。加熱したサンプルはペンタセンへと変換し、光を照射したサンプルは変化がなかった。
比較例2
下記一般式(18)で示す化合物を用いた以外は比較例1に準じて塗膜を形成した基板を2枚作製した。一枚は200℃で加熱し、もう一枚は日本ピー・アイ株式会社製メタルハライドランプ(PCS−UMX250)の光を照射した。加熱したサンプルは変化がなく、光を照射したサンプルはペンタセンへと変換した。
本発明の製造方法により得られた半導体素子は、特性のばらつきが少なく、高い耐久性を備えているので、プラスチックICカード、情報タグ、ディスプレイなどに利用することができる。
本発明の実施例におけるトップ電極型電界効果型トランジスタの構造を示す模式的な概略断面図である。 本発明の実施例におけるトップ電極型電界効果型トランジスタの構造を示す模式的な概略断面図である。 実施例24で作成した有機半導体膜のUVスペクトルである。 実施例23で作成した有機半導体膜を構成する化合物のNMRスペクトルである。
符号の説明
1 ゲート電極
2 絶縁層
3 A層(ポリシロキサン化合物を含有する層ないし結晶化促進層)
4 ソース電極
5 ドレイン電極
6 B層(有機半導体層)
7 ゲート電極
8 絶縁層
9 有機半導体層
10 ソース電極
11 ドレイン電極

Claims (15)

  1. 下記一般式(32)に示されることを特徴とする化合物。
    (式中、B環は下記一般式(27)で示される。R 17 からR 22 は、それぞれ独立して水素原子、水酸基、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、エステル基、アリール基、複素環基、およびアラルキル基から選ばれる。Z からZ はCHを示す。Mは2個の水素原子あるいは金属原子(ただし銅は除く)あるいは金属酸化物を示す。R 17 とR 18 、R 19 とR 20 、R 21 とR 22 は互いに連結し、B環を形成していても良い。)
    (式中、R 54 からR 59 はそれぞれ独立して水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、複素環基、アラルキル基、フェノキシ基、シアノ基、ニトロ基、エステル基、カルボキシル基およびハロゲン原子から選ばれる。R 58 とR 59 が互いに連結し、5員または6員複素環を形成していても良い。n 及びn は0以上の整数である。)
  2. 前記一般式(32)におけるMが2個の水素原子であることを特徴とする請求項1に記載の化合物。
  3. 下記一般式(h)で示されることを特徴とする請求項1または2に記載の化合物。
  4. 下記一般式(e)で示されることを特徴とする請求項1または2に記載の化合物。
  5. 下記一般式(33)に示されることを特徴とする化合物。
    (式中、B環は下記一般式(27)で示される。R 17 からR 22 は、それぞれ独立して水素原子、水酸基、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、エステル基、アリール基、複素環基、およびアラルキル基から選ばれる。Z からZ は窒素原子である。Mは2個の水素原子あるいは金属原子あるいは金属酸化物を示す。R 17 とR 18 、R 19 とR 20 、R 21 とR 22 は互いに連結し、B環を形成していても良い。)
    (式中、R 54 からR 59 はそれぞれ独立して水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、複素環基、アラルキル基、フェノキシ基、シアノ基、ニトロ基、エステル基、カルボキシル基およびハロゲン原子から選ばれる。R 58 とR 59 が互いに連結し、5員または6員複素環を形成していても良い。n 及びn は0以上の整数である。)
  6. 下記一般式(34)に示されることを特徴とする請求項5に記載の化合物。
  7. 下記一般式(l)に示される請求項5に記載の化合物。
  8. 有機半導体からなる層を有する有機半導体素子の製造方法であって、基体上に有機半導体前駆体からなる層を形成する工程と、前記有機半導体前駆体に光を照射する工程と、を有し、前記有機半導体前駆体からなる層が、前記有機半導体前駆体として請求項1〜7のいずれか1項に記載の化合物を含むことを特徴とする有機半導体素子の製造方法。
  9. 前記有機半導体前駆体に光を照射する工程が、前記有機半導体前駆体に加熱を行いながら光照射を行う工程であることを特徴とする請求項8に記載の有機半導体素子の製造方法。
  10. 基材上に結晶化促進層を形成することで前記基体を得る工程をさらに有することを特徴とする請求項8又は9に記載の有機半導体素子の製造方法。
  11. 前記結晶化促進層がポリシロキサン化合物を含有する層であることを特徴とする請求項10に記載の有機半導体素子の製造方法。
  12. 前記ポリシロキサン化合物が下記一般式(6)で示される構造を少なくとも有する化合物を含むことを特徴とする請求項11に記載の有機半導体素子の製造方法。
    (式中、R からR は置換または非置換の炭素原子数1以上8以下のアルキル基、アルケニル基、置換または非置換のフェニル基またはシロキサンユニットのいずれかである。R からR の各々は同じでも異なっていてもよい。nは1以上の整数である。)
  13. 前記ポリシロキサン化合物が下記一般式(7)または一般式(8)で示される構造を少なくとも有する化合物を含むことを特徴とする請求項11に記載の有機半導体素子の製造方法。
    (式中、R からR 12 は置換または非置換の炭素原子数1以上8以下のアルキル基、アルケニル基、または置換または非置換のフェニル基のいずれかである。R からR 12 の各々は同じでも異なっていてもよい。mおよびnは0以上の整数であり、mとnの和は1以上の整数である。)
    (式中、R 13 からR 16 は置換または非置換の炭素原子数1以上8以下のアルキル基、アルケニル基、または置換または非置換のフェニル基のいずれかである。R 13 からR 16 の各々は同じでも異なっていてもよい。rおよびpは0以上の整数であり、rとpの和は1以上の整数である。)
  14. 前記有機半導体前駆体の加熱が、前記基体を外部から加熱することにより行うことを特徴とする請求項9に記載の有機半導体素子の製造方法。
  15. 前記有機半導体前駆体からなる層を形成する工程が、前記有機半導体前駆体を含有する溶液を前記基体上に塗布もしくは印刷によって形成する工程であることを特徴とする請求項9〜14のいずれか1項に記載の有機半導体素子の製造方法。
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