JP2012181421A - 定着装置用摺動部材、定着装置、及び画像形成装置 - Google Patents

定着装置用摺動部材、定着装置、及び画像形成装置 Download PDF

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Abstract

【課題】耐摩耗性が向上した定着装置用摺動部材を提供すること。
【解決手段】定着装置用摺動部材101を、基材層110、基材層110上に設けられた架橋ポリテトラフルオロエチレン層112と、で構成させる。そして、架橋PTFE層112は、摺動部材101の平面状の摺動面112Aを構成する層であって、当該平面状の摺動面112Aに凹部112Bが点在して構成させる。定着装置用摺動部材101は、架橋ポリテトラフルオロエチレン層112の単層体で構成されていてもよい。
【選択図】図2

Description

本発明は、定着装置用摺動部材、定着装置、及び画像形成装置に関する。
電子写真方式を用いた複写機、プリンタ等の画像形成装置では、記録紙に形成されたトナー像を定着装置によって定着して画像形成している。
例えば、定着装置に関しては、特許文献1に、「加熱ロールと加熱ロールに接触して配置された加圧ベルトとを備えた構成、又は、加熱ベルトと加熱ベルトに接触して配置された加圧ロールとを備えた構成のベルトニップ方式と呼ばれる定着装置」が知られている。
これら定着装置では、ベルトは、内面から押圧部材により他方のロールに押圧されて配置され、当該ベルトと押圧部材の間にはベルトの回転に伴う摺動抵抗を低減する目的で摺動部材を介在させている。
例えば、特許文献1には、摺動シートにメッシュを用いたエンボス加工で格子状の凹凸形状をポリテトラフルオロエチレン(PTFE)層や架橋ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)層に形成した摺動部材が提案されている。
特許文献2〜4にも、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)層に凹凸形状を施した摺動部材が提案されている。
なお、特許文献5〜6にも、自動車関連部品ではあるが、架橋ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を用いた摺動部品が提案されている。
特開2005−3969号公報 特開2001−42670号公報 特開2002−25759号公報 特開2009−15227号公報 特開平9−278907号公報 特開2000−129019号公報
本発明の課題は、耐摩耗性が向上した定着装置用摺動部材を提供することである。
上記課題は、以下の手段により解決される。即ち、
請求項1に係る発明は、
平面状の摺動面を有し、前記摺動面に凹部が点在した架橋ポリテトラフルオロエチレン層の単層体、又は前記架橋ポリテトラフルオロエチレン層を前記摺動面を構成する層として有する2層以上の積層体で構成された定着装置用摺動部材。
請求項2に係る発明は、
基材層と、前記基材層上に設けられた前記架橋ポリテトラフルオロエチレン層と、の積層体で構成された定着装置用摺動部材。
請求項3に係る発明は、
第1回転体と、
第1回転体の外面に接して配置される第2回転体と、
前記第2回転体の内部に配置され、前記第2回転体の内面から第2回転体を第1回転体へ押圧する押圧部材と、
前記第2回転体の内面と前記押圧部材との間に介在する摺動部材であって、請求項1又は2に記載の定着装置用摺動部材と、
前記第1回転体及び前記第2回転体の少なくとも一方を加熱する加熱源と、
を備える定着装置。
請求項4に係る発明は、
前記第2回転体の内面の表面粗さRaが、0.1μm以上2.0μm以下である請求項3に記載の定着装置。
請求項5に係る発明は、
像保持体と、
前記像保持体の表面を帯電させる帯電手段と、
帯電された前記像保持体の表面に潜像を形成する潜像形成手段と、
前記潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像手段と、
前記トナー像を記録媒体に転写する転写手段と、
前記トナー像を前記記録媒体に定着する定着手段であって、請求項3又は4に記載の定着装置である定着手段と、
を備える画像形成装置。
請求項1に係る発明によれば、架橋ポリテトラフルオロエチレン層の平面状の摺動面に点在した凹部を有さない場合に比べ、耐摩耗性が向上した定着装置用摺動部材を提供できる。
請求項2に係る発明によれば、基材層を有さない場合に比べ、架橋ポリテトラフルオロエチレン層の変形が抑制された定着装置用摺動部材を提供できる。
請求項3に係る発明によれば、架橋ポリテトラフルオロエチレン層の平面状の摺動面に点在した凹部を有さない定着装置用摺動部材を備える場合に比べ、摺動部材の耐摩耗性が向上した定着装置を提供できる。
請求項4に係る発明によれば、第2回転体の内面の表面粗さRaが上記範囲外の場合に比べ、摺動部材の耐摩耗性が向上した定着装置を提供できる。
請求項5に係る発明によれば、架橋ポリテトラフルオロエチレン層の平面状の摺動面に点在した凹部を有さない定着装置用摺動部材を備える場合に比べ、摺動部材の耐摩耗性が向上した画像形成装置を提供できる。
本実施形態に係る管状体を示す概略斜視図である。 図1のA−A断面図である。 第1実施形態の定着装置の構成を示す概略図である。 第2実施形態の定着装置の構成を示す概略図である。 本実施形態に係る画像形成装置の構成を示した概略構成図である。
以下、実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。
(定着装置用摺動部材)
図1は、実施形態に係る管状体を示す概略斜視図である。図2は、図1のA−A断面図である。
本実施形態に係る定着装置用摺動部材101(以下、摺動部材と称する)は、図1及び図2に示すように、例えば、シート状に構成され、基材層110、基材層110上に設けられた架橋ポリテトラフルオロエチレン層112(以下、架橋PTFE層と称する)と、で構成されている(基材層110と架橋PTFE層112と接着するための接着層は不図示)。
そして、架橋PTFE層112は、摺動部材101の平面状の摺動面112Aを構成する層であって、当該平面状の摺動面112Aに凹部112Bが点在して構成されている。
ここで、従来、被摺動部材との間に潤滑剤を保持し易くしたり、摺動抵抗を低減することを目的として、摺動部材の摺動面を構成する層には、例えば、繊維で構成されたシート状部材(例えばガラスクロスや、金属メッシュ)を貼り合せることで、摺動面に凹凸を形成することが知られている。
摺動部材の摺動面を構成する層に設ける凹凸は、断面形状で波状をなしており、その凸部の頂部が湾曲状の面で構成(つまり、凸部が山状で構成)されている。
このため、摺動部材は、摺動面の湾曲状の凸部が被摺動部材に対して点接触した状態で配置されることから、被摺動部材が駆動して、摺動する際、摺動面を構成する層に対して局所的な圧力(極圧)が掛かり易くなり、摺動面を構成する層(その凸部)の磨耗が促進され易くなる傾向があった。
これに対して、本実施形態に係る摺動部材101では、摺動面112Aを構成する層として、平面状の摺動面を有し、当該摺動面112Aに凹部が点在した架橋PTFE層112を設けている。
これにより、未架橋PTFE層や変性PTFE層に比べ、架橋PTFE層112が耐摩耗性が優れることに加え、摺動面112Aのうち凹部112Bの除く領域を平面状で構成させることから、被摺動部材に対して面接触した状態で配置されることとなり、被摺動部材が駆動して、摺動する際、摺動面112Aを構成する架橋PTFE層112に対して局所的な圧力(極圧)が掛かり難くなるものと考えられる。
したがって、本実施形態に係る摺動部材101は、耐摩耗性に優れたものとなる。
また、本実施形態に係る摺動部材101では、基材層110と架橋PTFE層112との積層体で構成させ、摺動面112Aを構成する架橋PTFE層112を基材層110で支持した状態としている。
これにより、被摺動部材との摺動に伴う架橋PTFE層112の変形が抑制される。
以下、本実施形態に係る摺動部材101の構成材料や特性について説明する。
まず、架橋PTFE層112について説明する。
架橋PTFE層112は、架橋PTFEで構成され、必要に応じて充填材等その他添加物を含んで構成されていてもよい。
そして、架橋PTFE層112の摺動面112Aは、平面状(平坦な面)で構成され、凹部112Bが点在している。
凹部112Bについて説明する。
摺動面112Aに設けられる凹部112Bの形状は、例えば、摺動面112Aに対して直交する方向からみたときの形状で円形となっている。
具体的には、摺動面112Aに設けられる凹部112Bは、例えば、凹部112Bの上縁部で形作られる形状が円形であると共に、底部の形状も円形となっており、円柱状で構成されている。
摺動面112Aに設けられる凹部112Bにおいて、凹部112Bの上縁部で形作られる形状と底部の形状とは、同じ形状であることがよいが、大きさ(径)は同じであっても異なっていてもよい。
なお、摺動面112Aに設けられる凹部112Bの形状は、円形に限られず、楕円状、角状(四角状その他多角状)であってもよい。
摺動面112Aに設けられる凹部112Bは、例えば、それを構成する架橋PTFE層112の壁面(側面及び底面)は平面状で構成されている。
つまり、架橋PTFE層112の摺動面112A側の表層部は、その断面形状(厚み方向に沿って切断したときの断面形状)が凹凸状となっており、その凸部の頂部と共にその凹部の底部が平面状で構成されている。
摺動面112Aに設けられる凹部112Bは、例えば、一方の方向とこれに交差(例えば直交)する方向に特定の間隔で格子状に配列されている。
なお、摺動面112Aに設けられる凹部112Bは、格子状に限られず、千鳥格子状や、その他不規則に配列されていてもよい。
摺動面112Aに設けられる凹部112Bは、摺動面に占める面積が一つ当たり7×10−3mm以上5mm(望ましくは0.01mm以上0.3mm以下で設けることがよい。また、摺動面112A全面積に対して、全凹部112Bが占める面積の割合は、10%以上50%以下(望ましくは20%以上45%以下)であることがよい。
具体的には、摺動面112Aに設けられる凹部112Bは、例えば、径(凹部112Bの上縁部での最大径)100μm以上1mm以下(望ましくは150μm以上0.6mm以下)で、隣合う凹部112B間の最短距離(配列ピッチ)0.4mm以上1.2mm(望ましく0.5mm以上0.8mm以下で点在させて設けることがよい。
架橋PTFEについて説明する。
架橋PTFE層112を構成する架橋PTFEは、例えば、未架橋PTFEに対して電離性放射線を照射することにより架橋させた架橋PTFEである。
具体的には、架橋PTFEは、例えば、結晶融点よりも高い温度で加熱した状態の未架橋PTFEに対して、酸素不在の環境下で、照射線量1KGy以上10MGy以下の電離性放射線(例えば、γ線、電子線、X線、中性子線、あるいは高エネルギーイオン等)を照射して架橋させたものである。
なお、PTFEには、テトラフルオロエチレン以外の他の共重合成分(パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)、ヘキサフルオロプロピレン、(パーフルオロアルキル)エチレン、あるいはクロロトリフルオロエチレン等)を含んでいてもよい。
充填材その他添加剤について説明する。
充填材は、導電性付与、耐久性、熱伝導性を向上させる目的で添加されるものである。
充填材としては、例えば、金属酸化物微粒子、ケイ酸塩鉱物、カーボンブラック、及び窒素化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種であることがよい。
これらの中でも、ケッチェンブラック、黒鉛、アセチレンブラックは、導電性を付与付与するのに望好ましく、黒鉛、銅、銀、窒化アルミ、窒化硼素、アルミナなどは、熱伝導性を付与するのに望ましい。充填材料は、1種単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
充填材料の平均粒径は、例えば0.01μm以上20μmであることがよい。
充填材の含有量は、例えば、架橋PTFE成分100質量部に対して、0.01質量部以上30質量部以下であることがよい。
なお、架橋PTFE層112には、充填材以外にも、その他添加剤を目的に応じて配合してもよい。
架橋PTFE層112の厚みは、例えば、20μm以上300μm以下(望ましくは50μm以上250μm以下)の範囲で設定される。
次に、基材層110について説明する。
基材層110は、例えば、樹脂材料と必要に応じて充填材等その他添加剤とを含んで構成させる。
樹脂材料としては、(例えば例えば、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルエーテルエステル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエステル樹脂、補強材を添加してなるポリエステル樹脂等が挙げられるが、これらの中でも、耐熱性、機械的強度が高いポリイミド樹脂がよい。
基材層110の厚みは、例えば、50μm以上150μm以下(望ましくは60μm以上130μm以下)の範囲で設定される。
次に、本実施形態に係る摺動部材101の製造方法について説明する。
まず、基材層110となるシート、架橋PTFE層112となるシート、をそれぞれ準備する。そして、これらシートを接着剤により張り合わせる。
次に、基材層110と架橋PTFE層112との積層体で構成されたシートの架橋PTFE層112に対して、エンボス加工を施して、架橋PTFE層112の摺動面112Aとなる面に凹部112Bを形成する。
ここで、凹部112Bを形成するエンボス加工は、例えば、架橋PTFE層112を構成する架橋PTFEのガラス転移温度以上に加熱した状態で、圧力を加えることで形状を得る方法である。
具体的には、本エンボス加工は、例えば、架橋PTFE層112の摺動面112Aに押し付ける押付面に形成する凹部112Bに対応する円柱状の凸部が形成された金型を用いて、当該金型を架橋PTFE層112の摺動面を押し付けて、当該摺動面112Aに凹部112Bを形成する。
なお、金型は、NC工作機械などで作製する場合が多いが、架橋PTFE層112の摺動面112Aに凹部112Bを形成する場合、金属のエッチングで作製してもよい。一方で、金型をエッチングで作製すると深さ方向にテーパーが付き制御が困難な場合がある。
特に、精度の良い金型の作製方法として、Ni電鋳による方法(エレクトロフォーミング法)がある。本作製法は、コストや精度の点や、複製が容易な点で有利な方法である。
以上の工程を経て、本実施形態に係る摺動部材101は製造される。
以上説明した本実施形態に係る摺動部材101は、基材層110と架橋PTFE層112との2層の積層体で構成された形態を説明したが、これに限られず、摺動面112Aを構成する架橋PTFE層112を備えていれば、2層以上の積層体(例えば、基材層110と架橋PTFE層112との間に中間層を設けた形態、基材層110自体が2層以上の積層体で構成された形態等)で構成されていてもよい。
また、本実施形態に係る摺動部材101は、摺動面112Aを構成する架橋PTFE層112の単層体で構成された形態であってもよい。
[定着装置]
以下、本実施形態に係る定着装置の一例について説明する。
本実施形態に係る定着装置としては、種々の構成があり、以下に、第1実施形態として、加熱源を有する加熱ロールと押圧パッドが押圧された加圧ベルトと備えた定着装置を説明し、第2実施形態として、加熱源が押圧された加熱ベルトと加圧ロールと備えた定着装置を説明する。
これらの定着装置におけるシート状の摺動部材として、上記本実施形態に係る摺動部材が適用される。
ここで、本実施形態に係る摺動部材を配置し、その摺動面を接触させる第2回転体の一例としての加熱ベルトや加圧ベルトの内面(内周面)は、例えば、その表面粗さRaが0.1μm以上2.0μm以下(望ましくは0.3μm以上1.5μm以下)がよい。
これにより、第2回転体の一例としての加熱ベルトや加圧ベルトと、摺動部材と、の摺動抵抗が低減し、潤滑剤を介在させた場合、特に、当該部材間で潤滑剤を保持し易くなり、摺動部材の耐摩耗性が向上する。
なお、表面粗さRaの測定は、表面粗さ計サーフコム1400A(東京精密社製)を用いて、JIS B0601−1994に準拠し、評価長さLnを4mm、基準長さLを0.8mm、カットオフ値を0.8mmとした測定条件で行う。
−定着装置の第1実施形態−
まず、第1実施形態に係る定着装置60について説明する。図3は、第1実施形態の定着装置60の構成を示す概略図である。
第1実施形態に係る定着装置60は、図3に示すように、例えば、回転駆動する第1回転体の一例としての加熱ロール61と、第2回転体の一例としての加圧ベルト62と、加圧ベルト62を介して加熱ロール61を押圧する押圧部材の一例としての押圧パッド64とを備えて構成されている。
なお、押圧パッド64は、例えば、加圧ベルト62と加熱ロール61とが相対的に加圧されていればよい。従って、加圧ベルト62側が加熱ロール61に加圧されてもよく、加熱ロール61側が加熱ロール61に加圧されてもよい。
加熱ロール61は、例えば、金属製のコア(円筒状芯金)611の周囲に耐熱性弾性体層612及び離型層613を積層して構成されたものである。加熱ロール61の内部には、加熱手段の一例としてのハロゲンランプ66が配設されている。加熱手段としては、ハロゲンランプに限られず、発熱する他の発熱部材を用いてもよい。
一方、加熱ロール61の表面には、例えば、感温素子69が接触して配置されている。この感温素子69による温度計測値に基づいて、ハロゲンランプ66の点灯が制御され、加熱ロール61の表面温度が所定の設定温度(例えば、150℃)を維持される。
加圧ベルト62は、例えば、内部に配置された押圧パッド64とベルト走行ガイド63とによって回転自在に支持されている。そして、挟込領域N(ニップ部)において押圧パッド64により加熱ロール61に対して押圧されて配置されている。
押圧パッド64は、例えば、加圧ベルト62の内側において、加圧ベルト62を介して加熱ロール61に加圧される状態で配置され、加熱ロール61との間で挟込領域Nを形成している。
押圧パッド64は、例えば、幅の広い挟込領域Nを確保するための前挟込部材64aを挟込領域Nの入口側に配置し、加熱ロール61に歪みを与えるための剥離挟込部材64bを挟込領域Nの出口側に配置している。
加圧ベルト62の内周面と押圧パッド64との摺動抵抗を小さくするために、例えば、前挟込部材64a及び剥離挟込部材64bの加圧ベルト62と接する面にシート状の摺動部材68が設けられている。そして、押圧パッド64と摺動部材68とは、金属製の保持部材65に保持されている。
なお、摺動部材82は、例えば、その摺動面が加熱ベルト84の内面と接するように設けられている。
保持部材65には、例えば、ベルト走行ガイド63が取り付けられ、加圧ベルト62が回転する構成となっている。
加熱ロール61は、例えば、図示しない駆動モータにより矢印C方向に回転し、この回転に従動して加圧ベルト62は、加熱ロール61の回転方向と反対の方向へ回転する。すなわち、例えば、加熱ロール61が図3における時計方向へ回転するのに対して、加圧ベルト62は反時計方向へ回転する。
そして、未定着トナー像を有する用紙K(記録媒体)は、例えば、定着入口ガイド56によって導かれて、挟込領域Nに搬送される。そして、用紙Kが挟込領域Nを通過する際に、用紙K上のトナー像は挟込領域Nに作用する圧力と熱とによって定着される。
第1実施形態の定着装置60では、例えば、加熱ロール61の外周面に倣う凹形状の前挟込部材64aにより、前挟込部材64aがない構成に比して、広い挟込領域Nを確保される。
また、第1実施形態に係る定着装置60では、例えば、加熱ロール61の外周面に対し突出させて剥離挟込部材64bを配置することにより、挟込領域Nの出口領域において加熱ロール61の歪みが局所的に大きくなるように構成されている。
このように剥離挟込部材64bを配置すれば、例えば、定着後の用紙Kは、剥離挟込領域を通過する際に、局所的に大きく形成された歪みを通過することになるので、用紙Kが加熱ロール61から剥離しやすい。
剥離の補助手段として、例えば、加熱ロール61の挟込領域Nの下流側に、剥離部材70を配設されている。剥離部材70は、例えば、剥離爪71が加熱ロール61の回転方向と対向する向き(カウンタ方向)に加熱ロール61と近接する状態で保持部材72によって保持されている。
−定着装置の第2実施形態−
次に、第2実施形態に係る定着装置80について説明する。図4は、第2実施形態に係る定着装置80の構成を示す概略図である。
第2実施形態に係る定着装置80は、図4に示すように、例えば、第2回転体の一例として加熱ベルト84を備える定着ベルトモジュール86と、加熱ベルト84(定着ベルトモジュール86)に押圧して配置された第1回転体の一例としての加圧ロール88とを含んで構成されている。そして、例えば、加熱ベルト84(定着ベルトモジュール86)と加圧ロール88とが接触する挟込領域N(ニップ部)が形成されている。挟込領域Nでは、記録媒体の一例としての用紙Kが加圧及び加熱されトナー像が定着される。
定着ベルトモジュール86は、例えば、無端状の加熱ベルト84と、加圧ロール88側で加熱ベルト84が巻き掛けられ、モータ(図示省略)の回転力で回転駆動すると共に加熱ベルト84をその内面から加圧ロール88側へ押し付ける加熱押圧ロール89と、加熱押圧ロール89と異なる位置で内側から加熱ベルト84を支持する支持ロール90とを備えている。
定着ベルトモジュール86は、例えば、加熱ベルト84の外側に配置されてその周回経路を規定する支持ロール92と、加熱押圧ロール89から支持ロール90までの加熱ベルト84の姿勢を矯正する姿勢矯正ロール94と、加熱ベルト84(定着ベルトモジュール86)と加圧ロール88とが接触する領域である挟込領域Nの下流側において加熱ベルト84を内面から張力を付与する支持ロール98とが設けられている。
そして、定着ベルトモジュール86は、例えば、加熱ベルト84と加熱押圧ロール89との間に、シート状の摺動部材82が介在するように設けられている。
摺動部材82は、例えば、その摺動面が加熱ベルト84の内面と接するように設けられている。
摺動部材82は、例えば、その両端が支持部材96により支持された状態で設けられている。
加熱押圧ロール89は、アルミニウムからなる円筒状の芯金の表面の金属磨耗を防止する保護層として、芯金表面に坪量200μmのフッ素樹脂皮膜が形成されたハードロールである。
加熱押圧ロール89の内部には、例えば、加熱源の一例としてハロゲンヒータ89Aが設けられている。
支持ロール90は、アルミニウムで形成された円筒状ロールであり、内部には加熱源の一例としてハロゲンヒータ90Aが配設されており、加熱ベルト84を内面側から加熱するようになっている。
支持ロール90の両端部には、例えば、加熱ベルト84を外側に押圧するバネ部材(図示省略)が配設されている。
支持ロール92は、例えば、アルミニウムで形成された円筒状ロールであり、支持ロール92の表面には厚み20μmのフッ素樹脂からなる離型層が形成されている。
支持ロール92の離型層は、例えば、加熱ベルト84の外周面からのトナーや紙粉が支持ロール92に堆積するのを防止するために形成されるものである。
支持ロール92の内部には、例えば、加熱源の一例としてハロゲンヒータ92Aが配設されており、加熱ベルト84を外周面側から加熱するようになっている。
つまり、例えば、加熱押圧ロール89と支持ロール90及び支持ロール92とによって、加熱ベルト84が加熱される構成となっている。
姿勢矯正ロール94は、例えば、アルミニウムで形成された円柱状ロールであり、姿勢矯正ロール94の近傍には、加熱ベルト84の端部位置を測定する端部位置測定機構(図示省略)が配置されている。
姿勢矯正ロール94には、例えば、端部位置測定機構の測定結果に応じて加熱ベルト84の軸方向における当り位置を変位させる軸変位機構(図示省略)が配設され、加熱ベルト84の蛇行を制御するように構成されている。
一方、加圧ロール88は、例えば、アルミニウムからなる円柱状ロール88Aを基体として、基体側から順に、シリコーンゴムからなる弾性層88Bと、膜厚100μmのフッ素系樹脂を含む剥離層とが積層された構成となっている。また、加圧ロール88は、回転自在に支持されると共に、図示しないスプリング等の付勢手段によって加熱ベルト84が加熱押圧ロール89に巻き回された部位に押圧されて設けられている。これにより、定着ベルトモジュール86の加熱ベルト84(加熱押圧ロール89)が矢印E方向へ回転移動するのに伴って、加熱ベルト84(加熱押圧ロール89)に従動して矢印F方向に回転移動するようになっている。
そして、未定着トナー像を有する用紙Kは、定着装置80の挟込領域Nに導かれ、挟込領域Nに作用する圧力と熱とによって定着される。
[画像形成装置]
次に、本実施形態に係る画像形成装置について説明する。
図5は、本実施形態に係る画像形成装置の構成を示した概略構成図である。
本実施形態に係る画像形成装置では、上記実施形態に係る定着装置が適用される。
本実施形態に係る画像形成装置100は、図5に示すように、例えば、一般にタンデム型と呼ばれる中間転写方式の画像形成装置であって、電子写真方式により各色成分のトナー像が形成される複数の画像形成ユニット1Y、1M、1C、1Kと、各画像形成ユニット1Y、1M、1C、1Kにより形成された各色成分トナー像を中間転写ベルト15に順次転写(一次転写)させる一次転写部10と、中間転写ベルト15上に転写された重畳トナー像を記録媒体である用紙Kに一括転写(二次転写)させる二次転写部20と、二次転写された画像を用紙K上に定着させる定着装置60とを備えている。また、画像形成装置100は、各装置(各部)の動作を制御する制御部40を有している。
この定着装置60が既述の第1実施形態の定着装置であり、当該定着装置は既述の本実施形態の加圧ベルト62を有してなる。なお、画像形成装置100は、既述の第2実施形態に係る定着装置80を備える構成であってもよい。
画像形成装置100の各画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kは、表面に形成されるトナー像を保持する像保持体の一例として、矢印A方向に回転する感光体11を備えている。
感光体11の周囲には、前記像保持体の表面を帯電させる帯電手段の一例として、感光体11を帯電させる帯電器12が設けられ、前記帯電手段により帯電した像保持体の表面に潜像を形成する潜像形成手段の一例として、感光体11上に静電潜像を書込むレーザー露光器13(図中露光ビームを符号Bmで示す)が設けられている。
また、感光体11の周囲には、前記潜像形成手段により前記像保持体の表面に形成された潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像手段の一例として、各色成分トナーが収容されて感光体11上の静電潜像をトナーにより可視像化する現像器14が設けられ、感光体11上に形成された各色成分トナー像を一次転写部10にて中間転写ベルト15に転写する一次転写ロール16が設けられている。
さらに、感光体11の周囲には、感光体11上の残留トナーが除去される感光体クリーナ17が設けられ、帯電器12、レーザー露光器13、現像器14、一次転写ロール16及び感光体クリーナ17の電子写真用デバイスが感光体11の回転方向に沿って順次配設されている。これらの画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kは、中間転写ベルト15の上流側から、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の順に、略直線状に配置されている。
中間転写体である中間転写ベルト15は、ポリイミドあるいはポリアミド等の樹脂をベース層としてカーボンブラック等の帯電防止剤を適当量含有させたフィルム状の加圧ベルトで構成されている。そして、その体積抵抗率は10〜1014Ωcmとなるように形成されており、その厚みは、例えば、0.1mm程度に構成されている。
中間転写ベルト15は、各種ロールによって図5に示すB方向に所定の速度で循環駆動(回転)されている。この各種ロールとして、定速性に優れたモータ(図示せず)により駆動されて中間転写ベルト15を回転させる駆動ロール31、各感光体11の配列方向に沿って略直線状に延びる中間転写ベルト15を支持する支持ロール32、中間転写ベルト15に対して一定の張力を与えると共に中間転写ベルト15の蛇行を防止する補正ロールとして機能する張力付与ロール33、二次転写部20に設けられる背面ロール25、中間転写ベルト15上の残留トナーを掻き取るクリーニング部に設けられるクリーニング背面ロール34を有している。
一次転写部10は、中間転写ベルト15を挟んで感光体11に対向して配置される一次転写ロール16で構成されている。一次転写ロール16は、シャフトと、シャフトの周囲に固着された弾性層としてのスポンジ層とで構成されている。シャフトは、鉄、SUS等の金属で構成された円柱棒である。スポンジ層はカーボンブラック等の導電剤を配合したNBRとSBRとEPDMとのブレンドゴムで形成され、体積抵抗率が107.5〜108.5Ωcmのスポンジ状の円筒ロールである。
そして、一次転写ロール16は中間転写ベルト15を挟んで感光体11に圧接配置され、さらに一次転写ロール16にはトナーの帯電極性(マイナス極性とする。以下同様。)と逆極性の電圧(一次転写バイアス)が印加されるようになっている。これにより、各々の感光体11上のトナー像が中間転写ベルト15に順次、静電吸引され、中間転写ベルト15上において重畳されたトナー像が形成されるようになっている。
二次転写部20は、背面ロール25と、前記現像手段により形成されたトナー像を記録媒体に転写する転写手段の一例としての、中間転写ベルト15のトナー像保持面側に配置される二次転写ロール22と、を備えて構成されている。
背面ロール25は、表面がカーボンを分散したEPDMとNBRのブレンドゴムのチューブ、内部はEPDMゴムで構成されている。そして、その表面抵抗率が10〜1010Ω/□となるように形成され、硬度は、例えば、70°(アスカーC:高分子計器社製、以下同様。)に設定される。この背面ロール25は、中間転写ベルト15の裏面側に配置されて二次転写ロール22の対向電極を構成し、二次転写バイアスが安定的に印加される金属製の給電ロール26が接触配置されている。
一方、二次転写ロール22は、シャフトと、シャフトの周囲に固着された弾性層としてのスポンジ層とで構成されている。シャフトは鉄、SUS等の金属で構成された円柱棒である。スポンジ層はカーボンブラック等の導電剤を配合したNBRとSBRとEPDMとのブレンドゴムで形成され、体積抵抗率が107.5〜108.5Ωcmのスポンジ状の円筒ロールである。
そして、二次転写ロール22は中間転写ベルト15を挟んで背面ロール25に圧接配置され、さらに二次転写ロール22は接地されて背面ロール25との間に二次転写バイアスが形成され、二次転写部20に搬送される用紙K上にトナー像を二次転写する。
また、中間転写ベルト15の二次転写部20の下流側には、二次転写後の中間転写ベルト15上の残留トナーや紙粉を除去し、中間転写ベルト15の表面をクリーニングする中間転写ベルトクリーナ35が接離自在に設けられている。
一方、イエローの画像形成ユニット1Yの上流側には、各画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kにおける画像形成タイミングをとるための基準となる基準信号を発生する基準センサ(ホームポジションセンサ)42が配設されている。また、黒の画像形成ユニット1Kの下流側には、画質調整を行うための画像濃度センサ43が配設されている。この基準センサ42は、中間転写ベルト15の裏側に設けられた所定のマークを認識して基準信号を発生しており、この基準信号の認識に基づく制御部40からの指示により、各画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kは画像形成を開始するように構成されている。
更に、本実施形態の画像形成装置では、用紙Kを搬送する搬送手段として、用紙Kを収容する用紙収容部50、この用紙収容部50に集積された用紙Kを所定のタイミングで取り出して搬送する給紙ロール51、給紙ロール51により繰り出された用紙Kを搬送する搬送ロール52、搬送ロール52により搬送された用紙Kを二次転写部20へと送り込む搬送ガイド53、二次転写ロール22により二次転写された後に搬送される用紙Kを定着装置60へと搬送する搬送ベルト55、用紙Kを定着装置60に導く定着入口ガイド56を備えている。
次に、本実施形態に係る画像形成装置の基本的な作像プロセスについて説明する。
本実施形態に係る画像形成装置では、図示しない画像読取装置や図示しないパーソナルコンピュータ(PC)等から出力される画像データは、図示しない画像処理装置により所定の画像処理が施された後、画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kによって作像作業が実行される。
画像処理装置では、入力された反射率データに対して、シェーディング補正、位置ズレ補正、明度/色空間変換、ガンマ補正、枠消しや色編集、移動編集等の各種画像編集等の所定の画像処理が施される。画像処理が施された画像データは、Y、M、C、Kの4色の色材階調データに変換され、レーザー露光器13に出力される。
レーザー露光器13では、入力された色材階調データに応じて、例えば半導体レーザーから出射された露光ビームBmを画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kの各々の感光体11に照射している。画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kの各感光体11では、帯電器12によって表面が帯電された後、このレーザー露光器13によって表面が走査露光され、静電潜像が形成される。形成された静電潜像は、各々の画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kによって、Y、M、C、Kの各色のトナー像として現像される。
画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kの感光体11上に形成されたトナー像は、各感光体11と中間転写ベルト15とが接触する一次転写部10において、中間転写ベルト15上に転写される。より具体的には、一次転写部10において、一次転写ロール16により中間転写ベルト15の基材に対しトナーの帯電極性(マイナス極性)と逆極性の電圧(一次転写バイアス)が付加され、トナー像を中間転写ベルト15の表面に順次重ね合わせて一次転写が行われる。
トナー像が中間転写ベルト15の表面に順次一次転写された後、中間転写ベルト15は移動してトナー像が二次転写部20に搬送される。トナー像が二次転写部20に搬送されると、搬送手段では、トナー像が二次転写部20に搬送されるタイミングに合わせて給紙ロール51が回転し、用紙収容部50から所定サイズの用紙Kが供給される。給紙ロール51により供給された用紙Kは、搬送ロール52により搬送され、搬送ガイド53を経て二次転写部20に到達する。この二次転写部20に到達する前に、用紙Kは一旦停止され、トナー像が保持された中間転写ベルト15の移動タイミングに合わせてレジストロール(図示せず)が回転することで、用紙Kの位置とトナー像の位置との位置合わせがなされる。
二次転写部20では、中間転写ベルト15を介して、二次転写ロール22が背面ロール25に加圧される。このとき、タイミングを合わせて搬送された用紙Kは、中間転写ベルト15と二次転写ロール22との間に挟み込まれる。その際に、給電ロール26からトナーの帯電極性(マイナス極性)と同極性の電圧(二次転写バイアス)が印加されると、二次転写ロール22と背面ロール25との間に転写電界が形成される。そして、中間転写ベルト15上に保持された未定着トナー像は、二次転写ロール22と背面ロール25とによって加圧される二次転写部20において、用紙K上に一括して静電転写される。
その後、トナー像が静電転写された用紙Kは、二次転写ロール22によって中間転写ベルト15から剥離された状態でそのまま搬送され、二次転写ロール22の用紙搬送方向下流側に設けられた搬送ベルト55へと搬送される。搬送ベルト55では、定着装置60における最適な搬送速度に合わせて、用紙Kを定着装置60まで搬送する。定着装置60に搬送された用紙K上の未定着トナー像は、定着装置60によって熱及び圧力で定着処理を受けることで用紙K上に定着される。そして定着画像が形成された用紙Kは、画像形成装置の排出部に設けられた排紙収容部(不図示)に搬送される。
一方、用紙Kへの転写が終了した後、中間転写ベルト15上に残った残留トナーは、中間転写ベルト15の回転に伴ってクリーニング部まで搬送され、クリーニング背面ロール34及び中間転写ベルトクリーナ35によって中間転写ベルト15上から除去される。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に限定的に解釈されるものではなく、種々の変形、変更、改良が可能であり、本発明の要件を満足する範囲内で実現可能であることは言うまでもない。
なお、本実施形態に係る画像形成装置では、電子写真方式の画像形成装置について説明したが、これに限られず、電子写真方式以外の公知の画像形成装置(例えば、用紙搬送用の無端ベルトを備えたインクジェット記録装置など)であってもよい。
以下に、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
(実施例1)
エレクトロフォーミングで作製した、直径0.2mm、配列ピッチ0.6mm、高さ0.1mmのNi電鋳製円柱付きの金型(SUS板:日立マクセル社製)と、基材層となる厚さ75μmのポリイミド樹脂シートと、架橋PTFE層となる厚さ0.1mmの架橋PTFEシート(エクセロンXF−1B)と貼り合わせた積層シートを準備し、プレス機で180℃に加熱しながら加圧することで架橋PTFEシート表面にエンボス加工を施した。
これにより、架橋PTFE層における平面状の摺動面に、直径0.2mm、配列ピッチ0.6mmで円形の凹部が格子状に配列して設けられたシート状の摺動部材を得た。
(実施例2)
エレクトロフォーミングで作製した、直径0.4mm、配列ピッチ1.2mmのNi電鋳製円柱付き金型(SUS板:日立マクセル社製)を用いた以外は、実施例1と全く同様にして、平面状の摺動面に、直径0.4mm、配列ピッチ1.2mmで円形の凹部が格子状に配列して設けられたシート状の摺動部材を得た。
(実施例3)
架橋PTFEシートとして単層(膜厚0.2mm)の架橋PTFEを用いた以外は、実施例1と全く同様にして、平面状の摺動面に、直径0.2mm、配列ピッチ0.6mmで円形の凹部が格子状に配列して設けられたシート状の摺動部材を得た。
(比較例1)
ガラスクロスに厚さ0.02mmのPTFEシートをラミネートした、摺動面に高さ0.02mmの凹凸を持つ摺動部材(中興化成工業製:HGF−500−6)を準備した。
(比較例2)
金型の替わりにステンレス製のメッシュ(30メッシュ、線径0.22mm)を使い、基材層となる厚さ75μmのポリイミド樹脂シートと、架橋PTFE層となる厚さ0.1mmの架橋PTFEシート(エクセロンXF−1B)と貼り合わせた積層シートを準備し、プレス機で180℃に加熱しながら加圧することで架橋PTFEシート表面に十字マークのエンボス加工を施した。これにより、架橋PTFE層の摺動面に、線幅が5μm〜30μmと不規則で、十字マークの交点ほど線幅が太く、十字マーク同士が一部連続した形状で格子状に配列したパターンを持つシート状の摺動部材を得た。
(評価)
各例で得られたシート状の摺動部材を、高速複写機(富士ゼロックス社製:Color 1000 Press)のベルト・ロールニップ方式の定着装置(図4参照:シート状の摺動部材を配置する加熱ベルトの内面の表面粗さRa=0.8μm)に取り付けて、プロセススピードを800mm/secに上げて、摩擦係数評価と磨耗試験を行った。結果を表1に示す。
−摩擦係数評価−
初期摩擦係数と通紙後の摩擦係数を測定し、摺動部材の性能を評価した。評価基準は以下の通りである。
◎:初期摩擦係数が1.0以下、1000000枚(1Mpv)通紙後の摩擦係数が1.2以下
○:初期摩擦係数が1.0以下、800000枚(800kpv)通紙後の摩擦係数が1.5以下
△:初期摩擦係数が1.0以下、400000枚(400kpv)通紙後の摩擦係数が1.5以下
×:初期摩擦係数が1.0以上あるいは、400000枚(400kpv)通紙後の摩擦係数が1.5以上
−磨耗試験−
シート状の摺動部材(摺動面を構成する層)の磨耗状態について、100000枚(100kpv)通紙後の摩耗量を測定して調べた。
Figure 2012181421
上記結果から、本実施例は、比較例に比べ、シート状の摺動部材の磨耗が抑制されていることがわかる。
また、本実施例は、通紙後の摩擦係数が本実施例が比較例に比べて摩擦係数の上昇が抑制されており維持性が高く摺動部材の寿命(ライフ)が長いことがわかる。
60 定着装置
61 加熱ロール
62 加圧ベルト
63 ベルト走行ガイド
64 押圧パッド
64a 前挟込部材
64b 剥離挟込部材
65 保持部材
66 ハロゲンランプ
68 摺動部材
69 感温素子
70 剥離部材
71 剥離爪
72 保持部材
80 定着装置
82 摺動部材
84 加熱ベルト
86 定着ベルトモジュール
88A 円柱状ロール
88 加圧ロール
88B 弾性層
89 加熱押圧ロール
89A ハロゲンヒータ
90 支持ロール
90A ハロゲンヒータ
92 支持ロール
92A ハロゲンヒータ
94 姿勢矯正ロール
96 支持部材
98 支持ロール
100 画像形成装置
101 定着装置用摺動部材
110 基材層
112 架橋ポリテトラフルオロエチレン層
112A 摺動面
112B 凹部

Claims (5)

  1. 平面状の摺動面を有し、前記摺動面に凹部が点在した架橋ポリテトラフルオロエチレン層の単層体、又は前記架橋ポリテトラフルオロエチレン層を前記摺動面を構成する層として有する2層以上の積層体で構成された定着装置用摺動部材。
  2. 基材層と、前記基材層上に設けられた前記架橋ポリテトラフルオロエチレン層と、の積層体で構成された請求項1に記載の定着装置用摺動部材。
  3. 第1回転体と、
    第1回転体の外面に接して配置される第2回転体と、
    前記第2回転体の内部に配置され、前記第2回転体の内面から第2回転体を第1回転体へ押圧する押圧部材と、
    前記第2回転体の内面と前記押圧部材との間に介在する摺動部材であって、請求項1又は2に記載の定着装置用摺動部材と、
    前記第1回転体及び前記第2回転体の少なくとも一方を加熱する加熱源と、
    を備える定着装置。
  4. 前記第2回転体の内面の表面粗さRaが、0.1μm以上2.0μm以下である請求項3に記載の定着装置。
  5. 像保持体と、
    前記像保持体の表面を帯電させる帯電手段と、
    帯電された前記像保持体の表面に潜像を形成する潜像形成手段と、
    前記潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像手段と、
    前記トナー像を記録媒体に転写する転写手段と、
    前記トナー像を前記記録媒体に定着する定着手段であって、請求項3又は4に記載の定着装置である定着手段と、
    を備える画像形成装置。
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