JP2012181421A - 定着装置用摺動部材、定着装置、及び画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】定着装置用摺動部材101を、基材層110、基材層110上に設けられた架橋ポリテトラフルオロエチレン層112と、で構成させる。そして、架橋PTFE層112は、摺動部材101の平面状の摺動面112Aを構成する層であって、当該平面状の摺動面112Aに凹部112Bが点在して構成させる。定着装置用摺動部材101は、架橋ポリテトラフルオロエチレン層112の単層体で構成されていてもよい。
【選択図】図2
Description
例えば、定着装置に関しては、特許文献1に、「加熱ロールと加熱ロールに接触して配置された加圧ベルトとを備えた構成、又は、加熱ベルトと加熱ベルトに接触して配置された加圧ロールとを備えた構成のベルトニップ方式と呼ばれる定着装置」が知られている。
これら定着装置では、ベルトは、内面から押圧部材により他方のロールに押圧されて配置され、当該ベルトと押圧部材の間にはベルトの回転に伴う摺動抵抗を低減する目的で摺動部材を介在させている。
特許文献2〜4にも、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)層に凹凸形状を施した摺動部材が提案されている。
請求項1に係る発明は、
平面状の摺動面を有し、前記摺動面に凹部が点在した架橋ポリテトラフルオロエチレン層の単層体、又は前記架橋ポリテトラフルオロエチレン層を前記摺動面を構成する層として有する2層以上の積層体で構成された定着装置用摺動部材。
基材層と、前記基材層上に設けられた前記架橋ポリテトラフルオロエチレン層と、の積層体で構成された定着装置用摺動部材。
第1回転体と、
第1回転体の外面に接して配置される第2回転体と、
前記第2回転体の内部に配置され、前記第2回転体の内面から第2回転体を第1回転体へ押圧する押圧部材と、
前記第2回転体の内面と前記押圧部材との間に介在する摺動部材であって、請求項1又は2に記載の定着装置用摺動部材と、
前記第1回転体及び前記第2回転体の少なくとも一方を加熱する加熱源と、
を備える定着装置。
前記第2回転体の内面の表面粗さRaが、0.1μm以上2.0μm以下である請求項3に記載の定着装置。
像保持体と、
前記像保持体の表面を帯電させる帯電手段と、
帯電された前記像保持体の表面に潜像を形成する潜像形成手段と、
前記潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像手段と、
前記トナー像を記録媒体に転写する転写手段と、
前記トナー像を前記記録媒体に定着する定着手段であって、請求項3又は4に記載の定着装置である定着手段と、
を備える画像形成装置。
請求項2に係る発明によれば、基材層を有さない場合に比べ、架橋ポリテトラフルオロエチレン層の変形が抑制された定着装置用摺動部材を提供できる。
請求項4に係る発明によれば、第2回転体の内面の表面粗さRaが上記範囲外の場合に比べ、摺動部材の耐摩耗性が向上した定着装置を提供できる。
図1は、実施形態に係る管状体を示す概略斜視図である。図2は、図1のA−A断面図である。
そして、架橋PTFE層112は、摺動部材101の平面状の摺動面112Aを構成する層であって、当該平面状の摺動面112Aに凹部112Bが点在して構成されている。
摺動部材の摺動面を構成する層に設ける凹凸は、断面形状で波状をなしており、その凸部の頂部が湾曲状の面で構成(つまり、凸部が山状で構成)されている。
このため、摺動部材は、摺動面の湾曲状の凸部が被摺動部材に対して点接触した状態で配置されることから、被摺動部材が駆動して、摺動する際、摺動面を構成する層に対して局所的な圧力(極圧)が掛かり易くなり、摺動面を構成する層(その凸部)の磨耗が促進され易くなる傾向があった。
これにより、未架橋PTFE層や変性PTFE層に比べ、架橋PTFE層112が耐摩耗性が優れることに加え、摺動面112Aのうち凹部112Bの除く領域を平面状で構成させることから、被摺動部材に対して面接触した状態で配置されることとなり、被摺動部材が駆動して、摺動する際、摺動面112Aを構成する架橋PTFE層112に対して局所的な圧力(極圧)が掛かり難くなるものと考えられる。
したがって、本実施形態に係る摺動部材101は、耐摩耗性に優れたものとなる。
これにより、被摺動部材との摺動に伴う架橋PTFE層112の変形が抑制される。
架橋PTFE層112は、架橋PTFEで構成され、必要に応じて充填材等その他添加物を含んで構成されていてもよい。
そして、架橋PTFE層112の摺動面112Aは、平面状(平坦な面)で構成され、凹部112Bが点在している。
摺動面112Aに設けられる凹部112Bの形状は、例えば、摺動面112Aに対して直交する方向からみたときの形状で円形となっている。
具体的には、摺動面112Aに設けられる凹部112Bは、例えば、凹部112Bの上縁部で形作られる形状が円形であると共に、底部の形状も円形となっており、円柱状で構成されている。
摺動面112Aに設けられる凹部112Bにおいて、凹部112Bの上縁部で形作られる形状と底部の形状とは、同じ形状であることがよいが、大きさ(径)は同じであっても異なっていてもよい。
なお、摺動面112Aに設けられる凹部112Bの形状は、円形に限られず、楕円状、角状(四角状その他多角状)であってもよい。
つまり、架橋PTFE層112の摺動面112A側の表層部は、その断面形状(厚み方向に沿って切断したときの断面形状)が凹凸状となっており、その凸部の頂部と共にその凹部の底部が平面状で構成されている。
なお、摺動面112Aに設けられる凹部112Bは、格子状に限られず、千鳥格子状や、その他不規則に配列されていてもよい。
具体的には、摺動面112Aに設けられる凹部112Bは、例えば、径(凹部112Bの上縁部での最大径)100μm以上1mm以下(望ましくは150μm以上0.6mm以下)で、隣合う凹部112B間の最短距離(配列ピッチ)0.4mm以上1.2mm(望ましく0.5mm以上0.8mm以下で点在させて設けることがよい。
架橋PTFE層112を構成する架橋PTFEは、例えば、未架橋PTFEに対して電離性放射線を照射することにより架橋させた架橋PTFEである。
具体的には、架橋PTFEは、例えば、結晶融点よりも高い温度で加熱した状態の未架橋PTFEに対して、酸素不在の環境下で、照射線量1KGy以上10MGy以下の電離性放射線(例えば、γ線、電子線、X線、中性子線、あるいは高エネルギーイオン等)を照射して架橋させたものである。
充填材は、導電性付与、耐久性、熱伝導性を向上させる目的で添加されるものである。
充填材としては、例えば、金属酸化物微粒子、ケイ酸塩鉱物、カーボンブラック、及び窒素化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種であることがよい。
これらの中でも、ケッチェンブラック、黒鉛、アセチレンブラックは、導電性を付与付与するのに望好ましく、黒鉛、銅、銀、窒化アルミ、窒化硼素、アルミナなどは、熱伝導性を付与するのに望ましい。充填材料は、1種単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
充填材料の平均粒径は、例えば0.01μm以上20μmであることがよい。
基材層110は、例えば、樹脂材料と必要に応じて充填材等その他添加剤とを含んで構成させる。
樹脂材料としては、(例えば例えば、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルエーテルエステル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエステル樹脂、補強材を添加してなるポリエステル樹脂等が挙げられるが、これらの中でも、耐熱性、機械的強度が高いポリイミド樹脂がよい。
まず、基材層110となるシート、架橋PTFE層112となるシート、をそれぞれ準備する。そして、これらシートを接着剤により張り合わせる。
具体的には、本エンボス加工は、例えば、架橋PTFE層112の摺動面112Aに押し付ける押付面に形成する凹部112Bに対応する円柱状の凸部が形成された金型を用いて、当該金型を架橋PTFE層112の摺動面を押し付けて、当該摺動面112Aに凹部112Bを形成する。
特に、精度の良い金型の作製方法として、Ni電鋳による方法(エレクトロフォーミング法)がある。本作製法は、コストや精度の点や、複製が容易な点で有利な方法である。
また、本実施形態に係る摺動部材101は、摺動面112Aを構成する架橋PTFE層112の単層体で構成された形態であってもよい。
以下、本実施形態に係る定着装置の一例について説明する。
本実施形態に係る定着装置としては、種々の構成があり、以下に、第1実施形態として、加熱源を有する加熱ロールと押圧パッドが押圧された加圧ベルトと備えた定着装置を説明し、第2実施形態として、加熱源が押圧された加熱ベルトと加圧ロールと備えた定着装置を説明する。
これらの定着装置におけるシート状の摺動部材として、上記本実施形態に係る摺動部材が適用される。
これにより、第2回転体の一例としての加熱ベルトや加圧ベルトと、摺動部材と、の摺動抵抗が低減し、潤滑剤を介在させた場合、特に、当該部材間で潤滑剤を保持し易くなり、摺動部材の耐摩耗性が向上する。
なお、表面粗さRaの測定は、表面粗さ計サーフコム1400A(東京精密社製)を用いて、JIS B0601−1994に準拠し、評価長さLnを4mm、基準長さLを0.8mm、カットオフ値を0.8mmとした測定条件で行う。
まず、第1実施形態に係る定着装置60について説明する。図3は、第1実施形態の定着装置60の構成を示す概略図である。
なお、押圧パッド64は、例えば、加圧ベルト62と加熱ロール61とが相対的に加圧されていればよい。従って、加圧ベルト62側が加熱ロール61に加圧されてもよく、加熱ロール61側が加熱ロール61に加圧されてもよい。
押圧パッド64は、例えば、幅の広い挟込領域Nを確保するための前挟込部材64aを挟込領域Nの入口側に配置し、加熱ロール61に歪みを与えるための剥離挟込部材64bを挟込領域Nの出口側に配置している。
なお、摺動部材82は、例えば、その摺動面が加熱ベルト84の内面と接するように設けられている。
次に、第2実施形態に係る定着装置80について説明する。図4は、第2実施形態に係る定着装置80の構成を示す概略図である。
定着ベルトモジュール86は、例えば、加熱ベルト84の外側に配置されてその周回経路を規定する支持ロール92と、加熱押圧ロール89から支持ロール90までの加熱ベルト84の姿勢を矯正する姿勢矯正ロール94と、加熱ベルト84(定着ベルトモジュール86)と加圧ロール88とが接触する領域である挟込領域Nの下流側において加熱ベルト84を内面から張力を付与する支持ロール98とが設けられている。
摺動部材82は、例えば、その摺動面が加熱ベルト84の内面と接するように設けられている。
摺動部材82は、例えば、その両端が支持部材96により支持された状態で設けられている。
加熱押圧ロール89の内部には、例えば、加熱源の一例としてハロゲンヒータ89Aが設けられている。
支持ロール90の両端部には、例えば、加熱ベルト84を外側に押圧するバネ部材(図示省略)が配設されている。
支持ロール92の離型層は、例えば、加熱ベルト84の外周面からのトナーや紙粉が支持ロール92に堆積するのを防止するために形成されるものである。
支持ロール92の内部には、例えば、加熱源の一例としてハロゲンヒータ92Aが配設されており、加熱ベルト84を外周面側から加熱するようになっている。
姿勢矯正ロール94には、例えば、端部位置測定機構の測定結果に応じて加熱ベルト84の軸方向における当り位置を変位させる軸変位機構(図示省略)が配設され、加熱ベルト84の蛇行を制御するように構成されている。
次に、本実施形態に係る画像形成装置について説明する。
図5は、本実施形態に係る画像形成装置の構成を示した概略構成図である。
本実施形態に係る画像形成装置では、上記実施形態に係る定着装置が適用される。
本実施形態に係る画像形成装置では、図示しない画像読取装置や図示しないパーソナルコンピュータ(PC)等から出力される画像データは、図示しない画像処理装置により所定の画像処理が施された後、画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kによって作像作業が実行される。
エレクトロフォーミングで作製した、直径0.2mm、配列ピッチ0.6mm、高さ0.1mmのNi電鋳製円柱付きの金型(SUS板:日立マクセル社製)と、基材層となる厚さ75μmのポリイミド樹脂シートと、架橋PTFE層となる厚さ0.1mmの架橋PTFEシート(エクセロンXF−1B)と貼り合わせた積層シートを準備し、プレス機で180℃に加熱しながら加圧することで架橋PTFEシート表面にエンボス加工を施した。
これにより、架橋PTFE層における平面状の摺動面に、直径0.2mm、配列ピッチ0.6mmで円形の凹部が格子状に配列して設けられたシート状の摺動部材を得た。
エレクトロフォーミングで作製した、直径0.4mm、配列ピッチ1.2mmのNi電鋳製円柱付き金型(SUS板:日立マクセル社製)を用いた以外は、実施例1と全く同様にして、平面状の摺動面に、直径0.4mm、配列ピッチ1.2mmで円形の凹部が格子状に配列して設けられたシート状の摺動部材を得た。
架橋PTFEシートとして単層(膜厚0.2mm)の架橋PTFEを用いた以外は、実施例1と全く同様にして、平面状の摺動面に、直径0.2mm、配列ピッチ0.6mmで円形の凹部が格子状に配列して設けられたシート状の摺動部材を得た。
ガラスクロスに厚さ0.02mmのPTFEシートをラミネートした、摺動面に高さ0.02mmの凹凸を持つ摺動部材(中興化成工業製:HGF−500−6)を準備した。
金型の替わりにステンレス製のメッシュ(30メッシュ、線径0.22mm)を使い、基材層となる厚さ75μmのポリイミド樹脂シートと、架橋PTFE層となる厚さ0.1mmの架橋PTFEシート(エクセロンXF−1B)と貼り合わせた積層シートを準備し、プレス機で180℃に加熱しながら加圧することで架橋PTFEシート表面に十字マークのエンボス加工を施した。これにより、架橋PTFE層の摺動面に、線幅が5μm〜30μmと不規則で、十字マークの交点ほど線幅が太く、十字マーク同士が一部連続した形状で格子状に配列したパターンを持つシート状の摺動部材を得た。
各例で得られたシート状の摺動部材を、高速複写機(富士ゼロックス社製:Color 1000 Press)のベルト・ロールニップ方式の定着装置(図4参照:シート状の摺動部材を配置する加熱ベルトの内面の表面粗さRa=0.8μm)に取り付けて、プロセススピードを800mm/secに上げて、摩擦係数評価と磨耗試験を行った。結果を表1に示す。
初期摩擦係数と通紙後の摩擦係数を測定し、摺動部材の性能を評価した。評価基準は以下の通りである。
◎:初期摩擦係数が1.0以下、1000000枚(1Mpv)通紙後の摩擦係数が1.2以下
○:初期摩擦係数が1.0以下、800000枚(800kpv)通紙後の摩擦係数が1.5以下
△:初期摩擦係数が1.0以下、400000枚(400kpv)通紙後の摩擦係数が1.5以下
×:初期摩擦係数が1.0以上あるいは、400000枚(400kpv)通紙後の摩擦係数が1.5以上
シート状の摺動部材(摺動面を構成する層)の磨耗状態について、100000枚(100kpv)通紙後の摩耗量を測定して調べた。
また、本実施例は、通紙後の摩擦係数が本実施例が比較例に比べて摩擦係数の上昇が抑制されており維持性が高く摺動部材の寿命(ライフ)が長いことがわかる。
61 加熱ロール
62 加圧ベルト
63 ベルト走行ガイド
64 押圧パッド
64a 前挟込部材
64b 剥離挟込部材
65 保持部材
66 ハロゲンランプ
68 摺動部材
69 感温素子
70 剥離部材
71 剥離爪
72 保持部材
80 定着装置
82 摺動部材
84 加熱ベルト
86 定着ベルトモジュール
88A 円柱状ロール
88 加圧ロール
88B 弾性層
89 加熱押圧ロール
89A ハロゲンヒータ
90 支持ロール
90A ハロゲンヒータ
92 支持ロール
92A ハロゲンヒータ
94 姿勢矯正ロール
96 支持部材
98 支持ロール
100 画像形成装置
101 定着装置用摺動部材
110 基材層
112 架橋ポリテトラフルオロエチレン層
112A 摺動面
112B 凹部
Claims (5)
- 平面状の摺動面を有し、前記摺動面に凹部が点在した架橋ポリテトラフルオロエチレン層の単層体、又は前記架橋ポリテトラフルオロエチレン層を前記摺動面を構成する層として有する2層以上の積層体で構成された定着装置用摺動部材。
- 基材層と、前記基材層上に設けられた前記架橋ポリテトラフルオロエチレン層と、の積層体で構成された請求項1に記載の定着装置用摺動部材。
- 第1回転体と、
第1回転体の外面に接して配置される第2回転体と、
前記第2回転体の内部に配置され、前記第2回転体の内面から第2回転体を第1回転体へ押圧する押圧部材と、
前記第2回転体の内面と前記押圧部材との間に介在する摺動部材であって、請求項1又は2に記載の定着装置用摺動部材と、
前記第1回転体及び前記第2回転体の少なくとも一方を加熱する加熱源と、
を備える定着装置。 - 前記第2回転体の内面の表面粗さRaが、0.1μm以上2.0μm以下である請求項3に記載の定着装置。
- 像保持体と、
前記像保持体の表面を帯電させる帯電手段と、
帯電された前記像保持体の表面に潜像を形成する潜像形成手段と、
前記潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像手段と、
前記トナー像を記録媒体に転写する転写手段と、
前記トナー像を前記記録媒体に定着する定着手段であって、請求項3又は4に記載の定着装置である定着手段と、
を備える画像形成装置。
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