JP2021131482A - 定着装置および画像形成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】良好な定着性能が得られる定着装置を提供する。【解決手段】この定着装置は、環状ベルトと、発熱部材と、熱伝達部材とを備える。環状ベルトは、所定の搬送速度で搬送される媒体と対向する。発熱部材は、互いに離間して設けられた2つの発熱部を有する。熱伝達部材は、発熱部材と環状ベルトとの間に設けられ、発熱部材と対向する第1の面および環状ベルトと対向する第2の面を有し、発熱部材において発生した熱を環状ベルトへ伝達する。この定着装置は、さらに以下の条件式(1)を満たす。D/L≧0.18×S−28 ……(1)但し、Dは熱伝達部材における第1の面に沿った面方向の熱拡散率[×10-6m2/s]であり、Lは面方向における2つの発熱部の間隔の半分の長さ[×10-3m]であり、Sは媒体の搬送速度[×10-3m/s]である。【選択図】図18

Description

本発明は、定着装置およびそれを備えた画像形成装置に関する。
画像形成装置には、熱方式の定着装置により記録媒体に形成された画像を定着させるものがある。例えば特許文献1では、定着装置における熱拡散部材により、ヒータにより発せられた熱を定着ベルトに拡散させる技術が開示されている。
特開2019−128507号公報
ところで、定着装置では、ヒータにより発せられた熱を可能な限りむらなく定着ベルト(環状ベルト)に伝達させ、記録媒体に形成された画像を良好に定着させることが期待されている。
良好な定着性能が得られる定着装置および画像形成装置を提供することが望ましい。
本発明の一実施形態としての定着装置は、環状ベルトと、発熱部材と、熱伝達部材とを備える。環状ベルトは、所定の搬送速度で搬送される媒体と対向する。発熱部材は、互いに離間して設けられた2つの発熱部を有する。熱伝達部材は、発熱部材と環状ベルトとの間に設けられ、発熱部材と対向する第1の面および環状ベルトと対向する第2の面を有し、発熱部材において発生した熱を環状ベルトへ伝達する。本発明の一実施形態としての定着装置は、さらに、以下の条件式(1)を満たす。但し、Dは、熱伝達部材における第1の面に沿った面方向の熱拡散率[×10-62/s]であり、Lは面方向における2つの発熱部の間隔の半分の長さ[×10-3m]であり、Sは媒体の搬送速度[×10-3m/s]である。
D/L≧0.18×S−28 ……(1)
本発明の一実施の形態における画像形成装置は、上記定着装置を備える。
本発明の一実施の形態における定着装置および画像形成装置によれば、条件式(1)を満たすようにしたので、環状ベルトにおける温度のばらつきを低減できる。そのため、良好な定着性能が得られる。
なお、本発明の効果はこれに限定されるものではなく、以下に記載のいずれの効果であってもよい。
一実施の形態に係る画像形成装置の全体構成例を表す模式図である。 図1に示した定着装置の要部の一構成例を表す斜視図である。 図1に示した定着装置の要部の一構成例を表す正面図である。 図3に示した定着装置の要部の一構成例を表す断面図である。 図4に示した定着装置の要部の一構成例の一部を拡大して表す拡大断面図である。 図2に示した環状ベルトユニットを表す分解斜視図である。 図5に示したヒータの概略を説明するための説明図である。 図5に示した熱伝達部材の概略を説明するための概略断面図である。 図8に示した対向部材(被摺動部材)を拡大して表す模式図である。 図9に示した対向部材(被摺動部材)の構成材料の特性値を表す説明図である。 図8に示した熱拡散部材およびその近傍を拡大して表す模式図である。 図4に示した環状ベルトの概略を説明するための概略断面図である。 図2に示した加圧ローラの概略を説明するための説明図である。 図13に示した加圧ローラの概略を説明するための概略断面図である。 条件式(1)を説明するための概略図である。 図5に示した熱拡散部材の作用を説明するための説明図である。 熱伝達部材における面内方向の熱拡散率の測定方法を説明するための説明図である。 実験例における定着装置の特性を表す特性図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の説明は本発明の一具体例であって、本発明は以下の態様に限定されるものではない。また、本発明は、各図に示す各構成要素の配置や寸法、寸法比などについても、それらに限定されるものではない。説明は以下の順序で行う。
1.実施の形態
2.実験例
3.変形例
<1.実施の形態>
[画像形成装置1の概略構成]
図1は、本発明の一実施の形態に係る定着装置を備えた画像形成装置1の全体構成例を表す模式図である。画像形成装置1は、例えば電子写真方式を用いたプリンタであり、トナーなどの現像剤を用いて画像形成動作を行うことにより、紙などの記録媒体PMに白黒画像やカラー画像を形成するように構成される。なお、本明細書では、記録媒体PMが搬送される搬送経路上における任意の位置から見て給紙トレイ3に近い位置、または給紙トレイ3へ向かう方向を上流という。さらに、搬送経路上における任意の位置から見て、記録媒体PMが排出されて積載されるスタッカ9に近い位置、もしくはスタッカ9へ向かう方向を下流という。上流から下流に向かう方向を搬送方向Fという。
画像形成装置1は、例えば装置本体の筺体である本体フレーム2の内部に、例えば給紙トレイ3と、ホッピングローラ4と、レジストローラ対5と、画像形成部10と、定着装置30と、排出ローラ対6とを備えている。
給紙トレイ3は、記録媒体PMを収容する収容部である。給紙トレイ3では、複数の記録媒体PMが積載される。給紙トレイ3の下流には、ホッピングローラ4が設けられている。
ホッピングローラ4は、記録媒体PMの表面に圧接し、その記録媒体PMを搬送路であるガイド7に沿って下流へ繰り出す回転部材である。ホッピングローラ4は、ホッピングローラ4の中心軸を回転軸として、ホッピングモータ(図示せず)から伝達された動力により回転するようになっている。ホッピングローラ4の下流には、レジストローラ対5が設けられている。
レジストローラ対5は、記録媒体PMを画像形成部10に向けて搬送するように構成される。レジストローラ対5は、記録媒体PMを搬送する際、記録媒体PMの先端部分が突き当てられることにより、記録媒体PMの斜行を矯正するようになっている。レジストローラ対5の下流には、画像形成部10が設けられている。
(画像形成部10)
画像形成部10は、画像(トナー像)を形成し、その画像を記録媒体PMに転写する機構である。画像形成部10は、4つの現像ユニット11(現像ユニット11K,11Y,11M,11C)と、4つの露光ユニット17(露光ユニット17K,17Y,17M,17C)と、転写ベルトユニット18とを有している。
4つの現像ユニット11(現像ユニット11K,11Y,11M,11C)は、パーソナルコンピュータなどの上位装置から送信される印刷データに基づいて、現像剤であるトナーを用いて画像を形成する機構である。4つの現像ユニット11は、画像形成装置1から着脱可能に構成される。具体的には、現像ユニット11Kは、黒色の画像を形成し、現像ユニット11Yは、黄色の画像を形成し、現像ユニット11Mは、マゼンタ色の画像を形成し、現像ユニット11Cは、シアン色の画像を形成するようになっている。この例では、現像ユニット11K,11Y,11M,11Cは、記録媒体PMの搬送方向Fにおいてこの順に配置される。現像ユニット11K,11Y,11M,11Cは、上記したように互いに異なる色のトナーを用いて画像を形成する点を除き、同じ構成を有している。図1に示したように、各現像ユニット11は、例えば感光ドラム12と、帯電ローラ13と、現像ローラ14と、クリーニングブレード15と、トナー収容部16とを有している。
感光ドラム12は、静電潜像を表面(表層部分)に担持する円柱状の部材であり、感光体(例えば有機系感光体)を用いて構成される。感光ドラム12は、感光体モータ(図示せず)から伝達された動力により、この例では時計回りで回転する。感光ドラム12は、帯電ローラ13により帯電し、対応する露光ユニット17により露光される。これにより、感光ドラム12の表面には、静電潜像が形成される。そして、現像ローラ14によりトナーが供給されることにより、感光ドラム12には、静電潜像に応じた画像が形成(現像)されるようになっている。
帯電ローラ13は、感光ドラム12の表面(表層部分)を帯電させるように構成される。帯電ローラ13は、感光ドラム12の表面(周面)に接するように配置されるとともに、所定の押し付け量で感光ドラム12に押し付けられるように配置されている。帯電ローラ13は、感光ドラム12の回転に応じて、この例では反時計回りで回転する。帯電ローラ13には、所定の帯電電圧が印加されるようになっている。
現像ローラ14は、帯電したトナーを表面に担持するように構成される。現像ローラ14は、感光ドラム12の表面(周面)に接するように配置されるとともに、所定の押し付け量により感光ドラム12に押し付けられるように配置されている。現像ローラ14は、感光体モータ(図示せず)から伝達された動力により、この例では、反時計回りで回転する。現像ローラ14には、所定の現像電圧が印加されるようになっている。
クリーニングブレード15は、感光ドラム12の表面に残留するトナーを掻き取りクリーニングする部材である。クリーニングブレード15は、感光ドラム12の表面に対してカウンタで当接するように配置されるとともに、所定の押し付け量で感光ドラム12に押し付けられるように配置されている。
トナー収容部16は、トナーを収容するように構成される。具体的には、例えば、現像ユニット11Kのトナー収容部16は黒色のトナーを収容し、現像ユニット11Yのトナー収容部16は黄色のトナーを収容し、現像ユニット11Mのトナー収容部16はマゼンタ色のトナーを収容し、現像ユニット11Cのトナー収容部16はシアン色のトナーを収容するようになっている。
4つの露光ユニット17(露光ユニット17K,17Y,17M,17C)は、4つの現像ユニット11の感光ドラム12に対して光をそれぞれ照射する機構であり、例えば、LED(Light Emitting Diode)ヘッドを用いて構成される。具体的には、露光ユニット17Kは、現像ユニット11Kの感光ドラム12に対して光を照射し、露光ユニット17Yは、現像ユニット11Yの感光ドラム12に対して光を照射し、露光ユニット17Mは、現像ユニット11Mの感光ドラム12に対して光を照射し、露光ユニット17Cは、現像ユニット11Cの感光ドラム12に対して光を照射する。これにより、これらの感光ドラム12の表面には、静電潜像が形成される。そして、感光ドラム12には、静電潜像に応じた画像が形成されるようになっている。
転写ベルトユニット18は、感光ドラム12の表面に形成された画像をクーロン力により記録媒体PMの表面に転写するとともに、記録媒体PMを搬送方向Fに向けて搬送する機構である。転写ベルトユニット18は、画像が転写された記録媒体PMを定着装置30に向けて搬送するようになっている。転写ベルトユニット18は、転写ベルト19と、駆動ローラ20と、従動ローラ21と、4つの転写ローラ22(転写ローラ22K,22Y,22M,22C)と、クリーニングブレード23とを有している。転写ベルト19は、継ぎ目なく形成された、記録媒体PMを担持可能な環状ベルトである。転写ベルト19は、駆動ローラ20および従動ローラ21により張設されている。駆動ローラ20は、ベルトモータ(図示せず)から伝達された動力により記録媒体PMを定着装置30に向けて搬送するように回転する回転部材であり、転写ベルト19を循環回転させるようになっている。従動ローラ21は、駆動ローラ20とともに転写ベルト19を張架しつつ転写ベルト19に付与される張力を調整する部材である。4つの転写ローラ22は、対応する現像ユニット11の感光ドラム12の表面に形成された画像を、記録媒体PMの被転写面上に転写する回転部材である。転写ローラ22Kは、転写ベルト19を介して現像ユニット11Kの感光ドラム12に対向配置されており、転写ローラ22Yは、転写ベルト19を介して現像ユニット11Yの感光ドラム12に対向配置されており、転写ローラ22Mは、転写ベルト19を介して現像ユニット11Mの感光ドラム12に対向配置されており、転写ローラ22Cは、転写ベルト19を介して現像ユニット11Cの感光ドラム12に対向配置されている。転写ローラ22K,22Y,22M,22Cのそれぞれには、所定の転写電圧が印加されることにより、画像形成装置1では、現像ユニット11により感光ドラム12に形成された画像が、記録媒体PMの被転写面上に転写されるようになっている。クリーニングブレード23は、転写ベルト19の表面上に残存した廃トナーを掻き取りクリーニングする部材である。画像形成部10の下流には、定着装置30が設けられている。
(定着装置30)
定着装置30は、転写ベルトユニット18から搬送された記録媒体PM上に転写された画像に対し熱および圧力を付与することにより、その画像を記録媒体PM上に定着させる機構である。画像形成装置1では、定着装置30が画像を記録媒体PMに定着させるとともに記録媒体PMを搬送路であるガイド8に沿って排出ローラ対6に向けて搬送するようになっている。定着装置30の下流には、排出ローラ対6が設けられている。
排出ローラ対6は、記録媒体PMをスタッカ9に向けて搬送するように構成される。この構成により、画像形成装置1は、記録媒体PMをスタッカ9に排出するようになっている。スタッカ9は、本体フレーム2の外側に設けられ、画像が定着された記録媒体PMを積載する部位である。
[定着装置30の詳細な構成]
以下、図2〜図6を参照して、定着装置30の詳細の構成について説明する。図2は、定着装置30の主たる構成要素を表す斜視図である。図3は、Z軸方向から見た場合における定着装置30の主たる構成要素を表す正面図である。図4は、図3に示したS4−S4に沿った定着装置30の主たる構成要素を表す断面図である。図5は、図4に示した領域Aを拡大して表す拡大断面図である。図6は、環状ベルトユニット40(後述)を表す分解斜視図である。図6は、環状ベルトユニット40に加えてさらにレバー33L,33R(後述)をも表す。
図2に示したように、定着装置30は、サイドフレーム31L,31Rと、スプリング32L,32Rと、レバー33L,33Rと、駆動ギア35と、環状ベルトユニット40と、加圧ローラ60とを有している。
サイドフレーム31L,31Rは、例えば画像形成装置1の本体フレーム2にねじなどを用いて固定された部材である。図2および図4に示したように、スプリング32Lは、例えばばねなどの弾性部材であり、レバー33Lに付勢力を付与するように構成される。スプリング32Lの一端がサイドフレーム31Lに固定されており、スプリング32Lの他端がレバー33Lに固定されている。スプリング32Rは、スプリング32Lと同様に、ばねなどの弾性部材であり、レバー33Rに付勢力を付与するように構成される。レバー33Lは、スプリング32Lから付与される付勢力により、XZ平面において回転支点34Lを回転軸としてD1方向に回転するように構成される。レバー33Lは、サイドフレーム31Lに取り付けられている。レバー33Rは、レバー33Lと同様に、スプリング32Rから付与される付勢力により、XZ平面において回転支点34Rを回転軸としてD1方向に回転するように構成される。定着装置30が定着動作を行わない場合には、レバー33L,33Rは、レバー固定部材(図示せず)により、所定の位置に押さえ付けられる。すなわち、スプリング32Lは、レバー33Lを介してレバー固定部材により押し付けられているので、レバー33Lがレバー固定部材から解放された場合には、レバー33Lに付勢力を付与することができる。スプリング32Rについても同様である。駆動ギア35は、環状ベルトモータ(図示せず)からの動力を加圧ローラ60に伝達するように構成される。
この構成により、定着装置30が定着動作を行う場合には、駆動ギア35は、環状ベルトモータからの動力を加圧ローラ60に伝達する。また、駆動ギア35の動作に応じてレバー33L,33Rがレバー固定部材から解放されることにより、レバー33L,33Rは、回転支点34L,34Rを回転軸としてD1方向に回転する。このため、レバー33L,33Rに取り付けられた環状ベルトユニット40が加圧ローラ60に押し付けられることにより、環状ベルトユニット40および加圧ローラ60においてニップ部Nが形成される。図4は、環状ベルトユニット40および加圧ローラ60においてニップ部Nが形成された状態を表す。記録媒体PMが環状ベルト53および加圧ローラ60により挟持されつつ下流へ搬送されることにより、すなわち記録媒体PMがニップ部Nを通過することにより、記録媒体PM上に転写された画像には熱および圧力が付与され、画像が記録媒体PM上に定着するようになっている。
(環状ベルトユニット40)
環状ベルトユニット40は、記録媒体PM上の画像に対して熱を付与するように構成される。図4〜図6に示したように、環状ベルトユニット40は、ステー41と、保持部材43と、ヒータ44と、保熱板48と、熱伝達部材50と、環状ベルト53とを有している。ステー41は、環状ベルト53を支持する部材である。ステー41は、ねじ42Lによりレバー33Lに固定されるとともに、ねじ42Rによりレバー33Rに固定されている。保持部材43は、ヒータ44、保熱板48、および熱伝達部材50を保持する部材である。保持部材43は、ステー41に固定されている。図5,6に示したように、保熱板48、ヒータ44、熱伝達部材50、および環状ベルト53は、略X軸方向に沿ってこの順に配置されている。すなわち、保熱板48は、ヒータ44に対向し、ヒータ44は、熱伝達部材50に対向し、熱伝達部材50は、環状ベルト53に対向する。
図7は、ヒータ44の概略を説明するための説明図である。ヒータ44は、Y軸方向に延在する板状部材であり、環状ベルト53を加熱する熱源である。ヒータ44は、電線45と、発熱部46a〜46eと、繋ぎ目47a〜47dとを有している。電線45は、外部の電源から供給された電流を発熱部46a〜46dのそれぞれに流すように構成される。電線45は、例えば銅(Cu)を含んで構成される。発熱部46a〜46eは、環状ベルト53の回転方向と直交する幅方向(Y軸方向)に沿って並んでいる。環状ベルトユニット40では、例えば記録媒体PMの幅の広狭に応じて発熱部46a〜46eを選択的に通電し、発熱させることができるようになっている。
発熱部46a〜46eのそれぞれは、抵抗発熱体を含んで構成される。抵抗発熱体は、例えばニッケルクロム合金(NiCr)または銀パラジウム合金(AgPd)を含んで構成される。ヒータ44は、例えば、A3用紙などの幅が広い記録媒体PMに画像が形成される場合には、発熱部46a〜46eを発熱させる。また、例えば、はがきなどの幅が狭い記録媒体PMに画像が形成される場合には、発熱部46cを発熱させる。これにより、ヒータ44は、エネルギーの消費を抑えるようになっている。ここで、ヒータ44の長手方向(Y軸方向)とヒータ44の長手方向に直交する短手方向(略Z軸方向)からなる平面に直交する方向を以後、厚さ方向(略X軸方向)という。
ヒータ44において、繋ぎ目47a〜47dは、それぞれ発熱部46aのパターンと発熱部46bのパターンとの境界領域、発熱部46bのパターンと発熱部46cのパターンとの境界領域、発熱部46cのパターンと発熱部46dのパターンとの境界領域、発熱部46dのパターンと発熱部46eのパターンとの境界領域である。すなわち、ヒータ44が発熱する場合、繋ぎ目47a〜47dでは、ヒータ44の長手方向(Y軸方向)における温度分布が不均一である。なお、この例では、ヒータ44は、発熱部46a〜46eを有するようにしたが、これに限定されるものではなく、これに代えて、例えば、一以上の発熱部を有していればよい。また、ヒータ44は、繋ぎ目47a〜47dを有するようにしたが、これに限定されるものではなく、これに代えて、例えば、継ぎ目がなくなるように1つの発熱部により構成されてもよい。
保熱板48は、ヒータ44により発せられた熱を蓄熱する部材である。この例では、保熱板48は、ヒータ44に沿ってY軸方向に延在する板状部材である。保熱板48は、ヒータ44により発せられた熱を、保熱板48におけるヒータ44に対向する面と反対面側に伝達させにくくするようになっている。
ヒータ44と保熱板48との間には、ヒータ44により発せられた熱を効率よく伝達するために熱伝導グリスが塗布されている。同様に、ヒータ44と熱伝達部材50との間には、熱伝導グリスが塗布されている。ヒータ44と保熱板48とは、保持部材43と熱伝達部材50との間に挟み込まれるように配置され、保持部材43により固定されている。なお、この例では、ヒータ44と保熱板48との間に熱伝導グリスが塗布されるようにしたが、これに限定されるものではなく、熱伝導グリスが塗布されなくてもよい。また、ヒータ44と熱伝達部材50との間に熱伝導グリスが塗布されるようにしたが、これに限定されるものではなく、熱伝導グリスが塗布されなくてもよい。
熱伝達部材50は、ヒータ44に沿ってY軸方向に延在する略平板状を有する部材であり、ヒータ44により発せられた熱を環状ベルト53に伝達するように構成される。熱伝達部材50は、XZ平面から見た場合に熱伝達部材50の両端部が厚さ方向に曲げられた形状を有する。すなわち、熱伝達部材50は、XZ断面においてヒータ44に対向する凹部を有する。図5に示したように、XZ断面における熱伝達部材50の凸部は、保持部材43に設けられた保持溝49L,49Rに差し込まれる。保持溝49L,49Rは熱伝達部材50の凸部よりも広い空間であるため、保持溝49L,49Rに差し込まれた熱伝達部材50は、環状ベルトユニット40が加圧ローラ60に押し付けられることにより厚さ方向(略X軸方向)に移動可能である。すなわち、定着装置30が定着動作を行う場合には、熱伝達部材50は、ヒータ44に押し付けられる。この際、熱伝達部材50は、ヒータ44により発せられた熱を環状ベルト53に伝達するようになっている。
図8は、熱伝達部材50の概略を説明するための概略断面図である。図9は、熱伝達部材50のうちの対向部材(被摺動部材)52を拡大して表す模式図である。図10は、対向部材52の構成材料として好適な材料の各種特性値を表す説明図である。さらに、図11は、熱伝達部材50の近傍を拡大して表す模式図である。図8に示したように、熱伝達部材50は、ヒータ44と対向する第1面51Aと、第1面51Aと反対側の第2面51Bとを有する熱拡散部材51と、対向部材52とを有している。すなわち、熱拡散部材51には、熱拡散部材51の第2面51Bに設けられた対向部材52が形成されている。対向部材52は、環状ベルト53の内周面56S(図11)と対向する対向面SFを有している。本明細書において、対向部材52の対向面SFが環状ベルト53の内周面56Sと「対向する」、とは、対向面SFが内周面56Sと向かい合わせの配置関係となることを意味する。この場合、「対向する」は、対向面SFが内周面56Sと当接して向かい合わせの配置関係となることや、対向面SFが後述する摺動グリスGRなどの他の部材を介して内周面56Sと向かい合わせの配置関係となることをも意味する。ヒータ44は、熱拡散部材51の、対向面SFと反対側に位置している。
熱拡散部材51は、例えば熱の伝わる速度を表す熱拡散率が大きい金属を含んで構成される。熱拡散部材51の厚さTaは、例えば0.485mmである。熱拡散部材51における、第1面51Aに沿った面内方向の熱拡散率Daは、例えば60.4mm2/sである。この例では、熱拡散部材51の主成分はアルミニウム(Al)である。ここで、主成分とは熱拡散部材51の全体の50重量%を占める成分を意味する。すなわち、熱拡散部材51においてAlの含有率は他の材料よりも大きい。なお、この例では、熱拡散部材51はAlを含むようにしたが、熱拡散部材51はこれに限定されるものではなく、熱拡散率が大きい他の金属を含むようにしてもよい。熱拡散部材51は、例えば、ステンレス鋼(SUS)や銅や亜鉛(Zn)を含むようにしてもよい。なお、熱拡散部材51の厚さTaは、例示した厚さに限られない。
対向部材52は、例えば環状ベルト53の内周面56Sとの摺動性がよい樹脂を含んで構成される。対向部材52の厚さTbは、0.005mm以上であり、0.015mm以下であることが好ましく、例えば0.015mmである。対向部材52における、対向面SFに沿った面方向の熱拡散率Dbは、例えば1.53mm2/sである。図9に示したように、対向部材52は、バインダ樹脂52Bを主成分として含んでいる。対向部材52を構成するバインダ樹脂52Bは、例えば靭性が高いポリアミドイミド(PAI)である。ここで、主成分とは対向部材52の全体の50重量%を占める成分を意味する。すなわち、対向部材52においてPAIの含有率は他の材料よりも大きい。さらに、対向部材52は、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などの粒子状のフィラー(以下、フィラー粒子52F)を複数含んでいる。図10は、PAIおよびPTFEにおける、耐熱温度[℃]、熱伝導率[W/mK]および動摩擦係数を例示している。図10に示したように、フィラー粒子52Fを構成するPTFEの動摩擦係数は、バインダ樹脂52Bを構成するPAIの動摩擦係数よりも小さい。複数のフィラー粒子52Fは、図9に示したように、バインダ樹脂52Bの内部に例えば離散的に分布している。複数のフィラー粒子52Fのうちの一部のフィラー粒子52Fは、対向面SFに露出した部分を含んでいる。このため、対向面SFには、微細な凹凸構造が形成されている。また、対向面SFが内周面56Sと摺動することによって対向面SFが摩耗した場合であっても、バインダ樹脂52Bに複数のフィラー粒子52Fが埋設されていることにより対向面SFは微細な凹凸構造を維持することができる。ここで、複数のフィラー粒子52Fの平均粒子径は、例えば1μm以上30μm以下であることが好ましい。複数のフィラー粒子52Fの平均粒子径が上述の範囲であることにより、対向面SFにおける微細な凹凸構造の表面粗さを適切に制御することが容易となるからである。対向面SFの算術平均粗さRaは0.27μm以上1.88μm以下であることが望ましい。そのような算術平均粗さRaを対向面SFが有することにより、対向面SFに対する内周面56Sの摺動性が適切に保たれるうえ、後述の摺動グリスGR(図11)を対向面SF上に適切に保持することができる。なお、算術平均粗さRaは、JIS B0601:2013に規定されるものである。また、対向面SFの算術平均粗さRaは、例えばフィラー粒子52Fの平均粒子径を変更することにより制御可能である。すなわち、フィラー粒子52Fの平均粒子径を大きくすることで対向面SFの算術平均粗さRaを大きくすることができ、フィラー粒子52Fの平均粒子径を小さくすることで対向面SFの算術平均粗さRaを小さくすることができる。さらに、バインダ樹脂52Bに対するフィラー粒子52Fの添加量を変更することにより、対向面SFの算術平均粗さRaの微調整が可能である。例えば、バインダ樹脂52BがPAIであり、フィラー粒子52FがPTFEである場合には、例えば重量比でPAI:PTFEが、1:0.5から1:2までの範囲が好ましい。
対向部材52は、さらにグラファイトなどのフィラーが添加されてもよい。対向部材52がグラファイトなどのフィラーを含むことにより、対向部材52の摺動性および熱伝導性がより向上するようになっている。この例では、例えば、PTFEを含むPAIの溶媒が熱拡散部材51の一面にスプレーにより噴射され、加熱されることにより樹脂が硬化し、熱拡散部材51に対向部材52が形成される。対向部材52の厚さTbは、例えば、照射するスプレーの回数を調整することにより制御される。この例では、対向部材52の長手方向(Y軸方向)における長さは、略264.9mmであり対向部材52の短手方向(略Z軸方向)における長さは、略17.55mmである。すなわち、対向部材52は、環状ベルト53の内周面56Sに対向する熱拡散部材51の面の略全面を覆うようになっている。対向部材52の対向面SFは、上述したように環状ベルト53と対向しており、循環回転する環状ベルト53の内周面56Sが対向面SF上を摺動するようになっている。したがって、対向面SFに対する内周面56Sの摺動性を向上させるため、図11に示したように、環状ベルト53と対向部材52の対向面SFとの間に、潤滑剤としての摺動グリスGRが設けられているとよい。摺動グリスGRは、例えば対向面SFに塗布されている。よって環状ベルト53は、摺動グリスGRを介して対向面SF上を摺動することとなる。摺動グリスGRは、例えば、ゲル状のグリスであり、シリコーン系の材料やフッ素系の材料を含む。なお、この例では、対向部材52のバインダ樹脂52BがPAIを含むようにしたが、これに限定されるものではなく、他の樹脂を含むようにしてもよい。そのような他の樹脂としては、環状ベルト53の摺動性が良好となるうえ、耐熱性および機械強度に優れたポリイミド(PI)が挙げられる。また、対向部材52は、PTFEのフィラー粒子52Fを含むようにしたが、四フッ化エチレンとパーフルオロアルコキシエチレンとの共重合体(PFA)などの他のフッ素系樹脂をフィラー粒子52Fとして含むようにしてもよい。あるいは、例えば二硫化モリブデンなど他の材料種からなるフィラー粒子52Fを含むようにしてもよい。さらに、対向部材52にはグラファイトなどのフィラーが添加されるようにしたが、これに限定されるものではなく、フィラーが添加されていなくてもよい。また、対向部材52は、環状ベルト53の内周面56Sに対向する熱拡散部材51の第2面51Bの略全面を覆うようにしたが、これに限定されるものではなく、これに代えて、例えば、熱拡散部材51の第2面51Bの一部を覆うようにしてもよい。また、対向部材52の厚さTbは、例示した厚さに限られない。
環状ベルト53は、ステー41により所定の張力で張架される環状ベルトであり、回転可能に保持されるように構成される。対向面SFと対向する内周面56Sを有し、この内周面56Sにおいて対向面SF上を摺動するように設けられている。環状ベルト53は、加圧ローラ60との間にニップ部N(図5)を形成するようになっている。
図12は、環状ベルト53の概略を説明するための概略断面図である。環状ベルト53は、表面層54と、弾性層55と、基材層56とを有している。すなわち、基材層56に弾性層55が形成され、弾性層55に表面層54が形成されている。
表面層54は、この例では、テトラフルオロエチレンとパーフルオロアルキルビニルエーテルとの共重合体(PFA)を含んで構成される。表面層54の厚さは、例えば20μmである。表面層54の厚さは、弾性層55の変形に対して追従できる大きさであることが望まれる。一方、表面層54の厚さが小さすぎると加圧ローラ60との摺動や記録媒体PMとの摺動により表面層54にしわが発生するため、表面層54の厚さは10μm〜50μmであることが好ましい。また、表面層54は、定着温度に耐え得る耐熱性を有することおよび環状ベルト53に残存したトナーや記録媒体PM由来の紙粉を張り付きにくくする離型性を有することが望まれ、フッ素置換された材料からなることが好ましい。なお、表面層54の材料は例示した材料に限られず、表面層54の厚さは例示した厚さに限られない。
弾性層55は、この例では、定着温度に耐え得る耐熱性を有するシリコーンゴムを含んで構成される。弾性層55のゴム硬度は例えば12度であり、弾性層55の厚さは例えば300μmである。弾性層55は、ニップ部Nを形成可能なゴム硬度と厚さを有することが望まれる。一方で、弾性層55は、ヒータ44から発せられた熱の熱量損失を抑制し、ヒータ44から発せられた熱を効率よく環状ベルト53の外周面(トナー接触面)に伝達させることが望まれる。弾性層55の厚さが大きいと均一なニップ部Nが形成されやすいが、熱容量が大きくなり熱損失が大きくなるため、好ましくない。弾性層55の厚さは、50〜500μmであることが好ましい。また、弾性層55のゴム硬度は、ニップ部Nの均一性を高めるため10〜60度であることが好ましい。なお、この例では、弾性層55はシリコーンゴムを含むようにしたが、これに限定されるものではなく、定着温度に耐え得る耐熱性を有する他の材料を含むようにしてもよい。弾性層55は、例えば、フッ素ゴムを含むようにしてもよい。なお、弾性層55の厚さは、例示した厚さに限られない。
基材層56は、この例では、ポリイミド(PI)を含んで構成され、基材層56の主成分はPIである。ここで、主成分とは基材層56の全体の50重量%を占める成分を意味する。すなわち、基材層56においてPIの含有率は他の材料よりも大きい。基材層56の内径は例えば30mmであり、基材層56の厚さは例えば80μmである。基材層56は、環状ベルト53に耐久性および機械的強度を発現させ、機械的強度、耐繰り返し屈曲性および耐座屈耐久性に優れている。すなわち、基材層56は、ヤング率が大きく、座屈強度が高いので、環状ベルト53が破断しにくい。なお、この例では、基材層56はPIを含むようにしたが、これに限定されるものではなく、これに代えて、例えば、高い耐熱性、大きいヤング率、および高い座屈強度を有する他の材料を含むようにしてもよい。基材層56は、例えば、ステンレス鋼、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)材を含むようにしてもよい。特に、耐熱性に優れた樹脂材料が好ましく、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)が好ましい。また、基材層56は、カーボンブラックや亜鉛などの金属元素を含む導電性フィラーが添加された材料を含むようにしてもよく、この場合、基材層56に伝導性を発現させることができる。また、基材層56は、チッカホウ素などのフィラーが添加されたPTFEを含むようにしてもよく、この場合、基材層56の摺動性や熱伝導性を向上させることができる。なお、基材層56の厚さは、例示した厚さに限られない。
(加圧ローラ60)
図13は、加圧ローラ60の概略を説明するための説明図である。図14は、図13に示したXIV−XIV線に沿った矢視方向における加圧ローラ60の概略断面図である。加圧ローラ60は、環状ベルトユニット40との間にニップ部Nが形成されるように環状ベルトユニット40における環状ベルト53の外周面と当接可能に設けられ、記録媒体PM上の画像に対して圧力を付与する回転部材である。加圧ローラ60の外径は40mmであり、加圧ローラ60の硬度は50〜65度であることが好ましい。加圧ローラ60は、表面層61と、接着層62と、弾性層63と、シャフト64とを有している。すなわち、シャフト64に弾性層63が形成され、弾性層63に接着層62が形成され、接着層62に表面層61が形成されている。なお、シャフト64と弾性層63との間に接着層が設けられてもよい。
表面層61は、この例では、PFAを含んで構成される。表面層61の厚さは、例えば30μmである。表面層61は、記録媒体PMおよび環状ベルト53と摺動するようになっている。表面層61の厚さは、環状ベルト53の表面層54と同様に、弾性層63の変形に対して追従できる大きさであることが望ましい。一方、表面層61の厚さが小さすぎると環状ベルト53との摺動や記録媒体PMとの摺動により表面層61にしわが発生するため、表面層61の厚さは、15μm〜50μmであることが好ましい。また、表面層61は、定着温度に耐え得る耐熱性を有することおよび環状ベルト53に残存したトナーや記録媒体PM由来の紙粉を張り付きにくくする離型性を有することが望まれ、フッ素置換された材料からなることが好ましい。表面層61の材料は例示した材料に限られず、表面層61の厚さは例示した厚さに限られない。
接着層62は、この例では、接着力が十分であり、導電材が添加された、定着温度に耐え得るシリコーン接着剤を含んで構成される。接着層62は、表面層61が弾性層63から剥離することやしわの発生を抑制するため、弾性層63と表面層61とを接着する。接着層62は、導電性を有するため、例えば連続印刷において加圧ローラ60に帯電した電荷が蓄積し、静電的に紙粉などが付着することを抑制するようになっている。なお、この例では、接着層62は導電材が添加されるようにしたが、これに限定されるものではなく、導電材が添加されなくてもよい。なお、接着層62の材料は、例示した材料に限られない。
弾性層63は、この例では、導電材が添加された、発泡セルを有するシリコーンスポンジを含んで構成される。弾性層63の厚さは、例えば4mmである。弾性層63は、導電性を有するため、例えば連続印刷において加圧ローラ60に帯電した電荷が蓄積し、静電的に紙粉などが付着することを抑制するようになっている。弾性層63は、ニップ部Nを形成可能なゴム硬度と厚さを有することが望まれる。また、弾性層63は、環状ベルト53から画像と記録媒体PMに伝達された熱量を損失しないように蓄熱性を有することが望まれる。また、加圧されたニップ部Nにおいてニップ痕が残存しないように、発泡セルのセル径が小さいことが好ましく、具体的には、発泡セルの平均セル径が20〜250μmであることが好ましい。この例では、平均セル径は、100μmである。平均セル径の測定は、カミソリなどを用いてシリコーンスポンジを切断し、CCD(Charged-coupled devices)顕微鏡で観察し、観察視野角内でのセル径を10個測定しこれらの平均値を測定値とした。なお、この例では、弾性層63には導電材が添加されるようにしたが、これに限定されるものではなく、弾性層63には導電材が添加されなくてもよい。また、弾性層63はシリコーンスポンジを含むようにしたが、これに限定されるものではなく、他の材料を含むようにしてもよい。弾性層63は、例えば、ソリッドゴムを含むようにしてもよい。なお、弾性層63の厚さは、例示した厚さに限られない。
シャフト64は、定着圧力により変形しない圧力耐性を有する部材であり、例えば、中実のステンレス鋼(SUS304)を含んで構成される。なお、この例では、シャフト64は、SUS304を含むようにしたが、これに限定されるものではなく、これに代えて、他の材料を含むようにしてもよい。また、この例では、中実のシャフトを用いるようにしたが、これに限定されるものではなく、これに代えて、例えば、中空のシャフトを用いるようにしてもよい。
定着装置30は、さらに、以下の条件式(1)を満たすように構成されている。
D/L≧0.18×S−28 ……(1)
但し、図15に示したように、Dは熱伝達部材50における第1面51Aに沿った面方向の熱拡散率[×10-62/s]であり、Lは第1面51Aに沿った面方向において隣り合う2つの発熱部46同士の間隔の半分の長さ[×10-3m]である。また、Sは定着装置30での記録媒体PMの搬送速度[×10-3m/s]である。
熱伝達部材50における面方向の熱拡散率Dは、例えば6.2[×10-62/sec.]以上60.4[×10-62/sec.]以下である。また、記録媒体PMの搬送速度Sは、例えば160[×10-3m/sec.]以上231[×10-3m/sec.]以下である。さらに、2つの発熱部46同士の間隔2Lは、例えば2.0[×10-3m]以上5.0[×10-3m]以下である。なお、ここでいう間隔2Lとは、例えばヒータ44の長手方向であるY軸方向に沿った発熱部46同士の隙間における最大の距離である(後出の図16参照)。
本実施の形態において、環状ベルト53は本発明における「環状ベルト」の一具体例に対応する。熱伝達部材50は本発明における「熱伝達部材」の一具体例に対応し、熱拡散部材51は本発明における「熱拡散部材」の一具体例に対応し、第1面51Aは本発明の「第1の面」の一具体例に対応する。対向部材52は本発明における「対向部材」の一具体例に対応し、対向面SFは本発明の「第2の面」の一具体例に対応する。定着装置30は、本発明における「定着装置」の一具体例に対応する。ヒータ44は、本発明における「発熱部材」の一具体例に対応する。
[作用・効果]
(A.基本動作)
画像形成装置1では、以下のようにして、記録媒体PMに対して画像が転写される。
まず、図1を参照して、画像形成装置1の全体の動作について説明する。画像形成装置1は、上位装置から印刷データを受信すると、現像ユニット11が、感光ドラム12を回転させて、画像形成処理を行う。
画像形成装置1では、露光ユニット17が、現像ユニット11において表面が帯電した感光ドラム12に対して選択的に光を照射することにより、感光ドラム12の表面には、静電潜像が形成される。そして、感光ドラム12には、静電潜像に応じて画像が形成される。
画像形成装置1が給紙トレイ3に積載された記録媒体PMに対して画像を転写する場合、ホッピングモータ(図示せず)から伝達された動力により、ホッピングローラ4は、記録媒体PMをレジストローラ対5に向けて繰り出す。レジストローラ対5は、記録媒体PMを画像形成部10に向けて搬送する。その際、記録媒体PMの前方端縁がレジストローラ対5に突き当てられることにより記録媒体PMの斜行が矯正される。
こののち、画像形成部10において、転写ベルト19は、循環回転することにより、記録媒体PMを定着装置30に向けて搬送する。その際、記録媒体PMは、感光ドラム12と転写ローラ22との間を通過する。
画像形成装置1では、画像が感光ドラム12の表面に形成されると、転写ベルトユニット18が転写処理を行う。その際、転写ベルトユニット18では、転写ベルト19が記録媒体PMを搬送しながら、転写ローラ22が感光ドラム12の表面に形成された画像を引き寄せる。その結果、画像が、感光ドラム12から記録媒体PMへ転写される。
画像形成装置1は、画像が感光ドラム12から記録媒体PMに転写されると、記録媒体PMを定着装置30に搬送する。定着装置30は、記録媒体PMが搬送されると、定着処理を行う。その際に、定着装置30は、記録媒体PMの表面に転写された画像に対する加熱および加圧を行い、その画像を溶融させて記録媒体PMに定着させる。
画像形成装置1は、画像が記録媒体PMに定着されると、記録媒体PMをスタッカ9に向けて搬送し、記録媒体PMをスタッカ9の上に排出する。
画像形成装置1の全体の動作は、以上の通りである。
(B.定着動作における熱伝達部材50の挙動)
次に、画像が転写された記録媒体PMが画像形成部10から定着装置30に向かって搬送される場合における定着動作における熱伝達部材50の挙動について説明する。
定着装置30が定着動作を行う場合には、駆動ギア35は、環状ベルトモータからの動力を加圧ローラ60に伝達する。この際、駆動ギア35の動作に応じてレバー33L,33Rがレバー固定部材から解放されることにより、レバー33L,33Rは、回転支点34L,34Rを回転軸としてD1方向(図4)に回転する。このため、環状ベルトユニット40が加圧ローラ60に押し付けられることにより、環状ベルトユニット40および加圧ローラ60においてニップ部Nが形成される。この例では、ニップ部Nの長手方向(Y軸方向)における長さは227mmであり、ニップ部Nの長手方向に直交する短手方向(略Z軸方向)における長さは8〜11mmである。また、環状ベルトユニット40にかかる荷重は、ニップ部Nの全体に対して33〜39kgであり、例えば36kgである。36kgの荷重に対するニップ圧は、1.32〜2.15kg/cm2である。加圧ローラ60は、環状ベルトモータから伝達された動力により回転する。環状ベルト53は、加圧ローラ60の回転に応じて加圧ローラ60に連れ回る。これにより、環状ベルトユニット40において、熱伝達部材50における対向部材52の対向面SFと環状ベルト53とは、摺動グリスを介して摺動する。この際、環状ベルトユニット40において、熱伝達部材50は、ヒータ44に押し付けられる。また、定着動作では、電線45が外部の電源から供給された電流を発熱部46a〜46eのそれぞれに流すことにより、ヒータ44は発熱する。ヒータ44により発せられた熱は熱伝導グリスを介して、熱伝達部材50に伝達し、摺動グリスを介して、環状ベルト53に伝達する。記録媒体PMがニップ部Nを通過することにより、記録媒体PM上に転写された画像には、環状ベルト53から熱が伝達されるとともにニップ部Nにより圧力が付与され、画像が記録媒体PM上に定着する。
図16は、定着動作における、ヒータ44の表面温度と、熱伝達部材50の表面温度と、環状ベルト53の表面温度との関係を表す。図16の横軸は、ヒータ44の長手方向(Y軸方向)における長さを表し、縦軸は温度を表す。この例では、ヒータ44の位置と熱伝達部材50の位置との関係と、ヒータ44の発熱部46bから発熱部46dまでの範囲におけるヒータ44、熱伝達部材50、および環状ベルト53の表面温度の測定結果の一例を示す。ヒータ44のうち、発熱部46b,46c,46dが設けられた部分の表面温度は高くなる。一方、繋ぎ目47b,47cにおいては、ヒータ44の表面温度は低くなり、ヒータ44の表面温度が高い箇所と表面温度が低い箇所との間には、温度差TS1が生じる。ヒータ44の表面温度の分布に応じて熱伝達部材50に熱が伝達されるため、熱伝達部材50においても表面温度が高い箇所と表面温度が低い箇所との間には温度差が生じる。その温度差TS2は、温度差TS1よりも小さい。すなわち、熱伝達部材50は、ヒータ44の長手方向(Y軸方向)における温度のばらつきの低減を図る。熱伝達部材50の表面温度の分布に応じて環状ベルト53に熱が伝達されるため、環状ベルト53においても表面温度が高い箇所と表面温度が低い箇所との間には温度差TS3が生じるが、温度差TS3は、熱伝達部材50における温度差TS2よりもさらに小さい。温度差TS3は、2℃以下であることが好ましい。この場合、環状ベルト53において、表面温度が高い箇所の反射率と表面温度が低い箇所の反射率との差が例えば2.8以下となり、光沢の差を目視により認識しにくい。すなわち、温度差TS2が2℃以下である場合、環状ベルト53において表面温度が低い箇所においてもトナーを溶かすことができる温度になる。そのため、画像の光沢むらが発生しづらくなるうえ、良好な定着性能が得られる。
(C.効果)
このように本実施の形態の定着装置30は、環状ベルト53と、発熱部46a〜46eを有するヒータ44と、熱伝達部材50とを備え、熱伝達部材50における面方向の熱拡散率Dと、長さLと、記録媒体PMの搬送速度Sとの関係を規定する条件式(1)を満たすように構成されている。このため、環状ベルト53の表面温度のばらつきを低減できる。よって、定着むらが緩和され、記録媒体PMの全体に亘ってより均質に定着された画像を形成できる。すなわち、熱拡散率Dおよび長さLを適切に選択することにより、記録媒体PMに形成される画像の品質を良好に確保しつつ、搬送速度Sを高めることができる。
また、熱伝達部材50は、熱拡散部材51と環状ベルト53との間に対向部材52を設けるようにした積層構造を含むので、環状ベルト53との接触による熱拡散部材51の摩耗を回避できる。よって、ステンレス鋼などよりも軟質のアルミニウムを熱拡散部材51に用いることができる。熱拡散部材51の主成分をアルミニウムとすることによって、例えばステンレス鋼を熱拡散部材51の主成分とした場合よりも高い熱拡散率Dが得られるので、定着むらがより緩和され、定着性能がより向上する。さらに、熱拡散部材51の主成分としてアルミニウムを採用することにより、ステンレス鋼を熱拡散部材51の主成分として採用した場合と比べ、軽量化を図ることもできる。
また、本実施の形態では、環状ベルト53の主成分をポリイミドなどの樹脂としたので、例えば環状ベルトの主成分が金属である場合と比較して軽量化できるうえ、コストダウンにも有利である。さらに、熱伝達部材50の摩耗を低減できる。
また、本実施の形態の定着装置30では、対向部材52がバインダ樹脂52Bおよびフィラーを含有するようにしたので、例えばガラスコートなどからなる対向部材を採用した場合と比べて環状ベルト53に対する機械的負荷を軽減できる。
また、本実施の形態の定着装置30では、バインダ樹脂52Bにフィラー粒子52Fを分散させた対向部材52を用いるようにしたので、上述の対向面SFに適切な大きさの凹凸構造が形成される。その結果、対向面SFの凹部に摺動グリスGRを保持することができ、対向面SFに対する内周面56Sの摺動性を向上させることができる。特に、フィラー粒子52Fをフッ素系樹脂により形成することにより、より高い耐熱性を確保できる。
また、本実施の形態の定着装置30では、フィラー粒子52Fの平均粒子径を1μm以上30μm以下とすれば、環状ベルト53への良好な熱伝達性能を確保しつつ、適切な対向面SFの算術平均粗さRaを実現するのに好適である。
また、本実施の形態の定着装置30では、フィラー粒子52Fの動摩擦係数を、バインダ樹脂52Bの動摩擦係数よりも小さくするようにしたので、対向面SFに対する内周面56Sの摺動性をより向上させることができる。
また、本実施の形態の定着装置30では、フィラー粒子52FがPTFEを含むようにしたので、フィラー粒子52Fの自己潤滑性に起因して、対向部材52の対向面SFに対する環状ベルト53の内周面56Sの摺動性がより向上すると考えられる。
また、本実施の形態の定着装置30では、ヒータ44が、環状ベルト53の回転方向と直交する幅方向(Y軸方向)に沿って並ぶ複数の発熱部46a〜46eを含むようにした。このため、記録媒体PMの幅の広狭に応じて発熱部46a〜46eを選択的に通電し、発熱させることができる。ところで、複数の発熱部46a〜46eの間には繋ぎ目47a〜47dが発生する。繋ぎ目47a〜47dでは、他の部分と比べて低温となりやすいことから、粘度の低下したグリスが生じやすい。その結果、摺動グリスGRの厚さの偏りができやすい状況となる。しかしながら、本実施の形態では、条件式(1)を満たすようにすることで、そのような繋ぎ目47a〜47dに起因する温度分布の偏りを緩和し、その結果、摺動グリスGRの厚さの偏りを十分に緩和できる。したがって、定着むらが緩和され、記録媒体PMの全体に亘ってより均質に定着された画像を形成できる。
<2.実験例>
(実験例1)
アルミニウム(AL5052)を主成分とする熱拡散部材51に対向部材52を設けないようにした熱伝達部材50を作製し、その熱伝達部材50を備えた定着装置30を搭載した画像形成装置(株式会社沖データ製のカラープリンタC833)により、定着性能の評価を実施した。定着性能の評価は、定着速度、すなわち定着装置30における記録媒体PMの搬送速度Sを160mm/s以上231mm/s以下の範囲で5水準設定し、その5水準において定着処理を行い、定着処理後のトナー像の自然剥離の有無と、定着処理後のトナー像における光沢むらの有無との二点を確認した。定着処理後のトナー像の自然剥離とは、記録媒体PMからトナー像が離脱してしまうことをいう。
本実験例では、画像形成部10において、記録媒体PMに対しDuty100%のマゼンタトナーパターンとDuty100%のシアントナーパターンとを順次形成することで得たDuty200%のブルーのトナー像を形成したのち、そのトナー像の定着処理を定着装置30において行うようにした。このブルーのトナー像におけるマゼンタトナーの付着量は0.45mg/cm2であり、シアントナーの付着量は0.40mg/cm2である。また、本実験例で用いたマゼンタトナーのガラス転移温度TgMは56±4℃であり、シアントナーのガラス転移温度TgCは56±3℃である。ここで、Duty100%とは、例えば、感光ドラム1周分や印刷媒体1ページ分などの所定の印刷可能領域において、印刷された領域が印刷可能領域の100%の面積を占めることを表す。Duty1%とは、例えば、印刷可能領域において、印刷された領域が印刷可能領域の1%の面積を占めることを表す。すなわち、Duty1%において形成された画像が占める面積は、Duty100%において形成された画像が占める面積の1%の面積に相当する。Dutyは式(2)により表される。
Duty=[Cm(i)/(Cd×C0)]×100・・・(2)
但し、Cm(i)は、感光ドラム12がCd回転したときに印刷で用いられたドット数である。すなわち、Cm(i)は露光されたドット数である。また、C0は、感光ドラム12が1回転したときに印刷で使用可能な最大のドット数である。すなわち、C0は露光の有無に限らず、感光ドラム12が1回転したときに潜在的に使用可能なドット数である。Cd×C0は、感光ドラム12がCd回転したときに印刷で使用可能な最大のドット数である。
定着処理後のトナー像の剥離の有無および定着処理後のトナー像における光沢むらの有無については目視で確認をおこなった。その結果を、表1に示す。表1では、定着性能の評価をA,BおよびFの3段階で示した。評価Aは、定着処理後のトナー像の自然剥離が無く、光沢むらも無いことを意味する。評価Bは、定着処理後のトナー像の自然剥離が無いが、光沢むらが僅かに見られたことを意味する。評価Cは、定着処理後のトナー像の自然剥離が有り、光沢むらも有ることを意味する。ここで、評価A,Bは許容できるレベルであるが、評価Fは許容できないレベルである。また、環状ベルト53における表面層54、弾性層55および基材層56は、それぞれ、PFA(20μm厚)、ゴム硬度が20度のシリコーンゴム(300μm厚)、およびSUS304のスリーブ(外径30mm、厚さ30μm)からなるものを用いた。なお、基材層56として金属製のスリーブを用いた理由は、基材層56として例えば樹脂製のスリーブを用いた場合と比べて発熱部46a〜46eの間隔の違いによる温度分布が現れやすく、効果が確認しやすいことにある。さらに、加圧ローラ60における表面層61、接着層62、弾性層63およびシャフト64は、それぞれPFA(30μm厚)、シリコーン接着剤、100μmのセル径の発泡セルを有するシリコーンスポンジ(3mm厚)、および中空のステンレス鋼(SUS304)からなるものを用いた。
Figure 2021131482
なお、熱拡散部材51の厚さは0.485mmとした。熱拡散部材51の厚さの測定にはマイクロメータMDC−25MJ(株式会社ミツトヨ製)を用いた。また、試料の平面サイズは15×40mmとし、長さLは2.5mmとした。
また、図17に示したように、熱伝達部材50の面内方向の熱拡散率D[mm2/s]を、以下の測定装置を使用して以下の条件で測定した。その結果も表1に示す。なお、表1に示した熱拡散率Dの数値は、各サンプルにつき3か所測定した値の平均値である。また、表1では、長さLに対する熱伝達部材50の面内方向の熱拡散率Dの比D/L[mm/s]についても併せて示す。比D/L[mm/s]は、隣り合う2つの発熱部の中間位置までの熱の伝わりやすさを表す指標である。
・測定装置:株式会社ベテル ハドソン研究所製「サーモウェーブアナライザ TA35」
・測定モード:距離変化法
・検出器:InSb
・表面処理:試料の表面をグラファイトスプレーの噴射により黒化処理(照射側および検出器側)
・加熱光:半導体レーザ(波長808nm)
・パルス幅:10μs−100μs
・ビーム角:48度(試料の表面に100〜150μmのスポット径となるように集光)
・試料のサイズ:15×40×0.485mm
なお、図17は、面内方向の熱拡散率の測定方法を説明する概略図である。熱伝達部材50におけるヒータ44に対向する第1面51Aの所定の位置P0(固定)に対し、光源71からレーザ光72を照射し、温度検出器73により、環状ベルト53に対向する第2面51Bの温度を測定した。温度検出器73には、半導体素子であるInSbを使用した。温度検出器73を開始位置SPから終了位置EPに至るまでY軸方向に沿って走査させ、周波数3.6Hz〜14.0Hzの範囲で所定の間隔で第2面51Bからの赤外線を検出することにより温度を測定した。表2に、測定した周波数ごとに、位置P0を基準位置(0[mm])としたときの測定開始位置[mm]および測定終了位置[mm]と、測定間隔[mm]とを示す。
Figure 2021131482
(実験例2)
アルミニウム(AL5052)を主成分とする厚さ0.485mmの熱拡散部材51に、PTFEを含むPAIの溶媒をスプレーにより塗布したのち加熱することで、フッ素樹脂からなる厚さ15μmの対向部材52を形成した。この点を除き、他は実験例1と同様にして実験例2としての熱伝達部材50を作製し、その熱伝達部材50を備えた定着装置30を搭載した画像形成装置(株式会社沖データ製のカラープリンタC833)により、実験例1と同様の定着性能の評価を実施した。また、表3に、実験例2において測定した周波数ごとに、位置P0を基準位置(0[mm])としたときの測定開始位置[mm]および測定終了位置[mm]と、測定間隔[mm]とを示す。
Figure 2021131482
(実験例3)
アルミニウム(AL5052)を主成分とする厚さ0.485mmの熱拡散部材51に、PTFEを含むPAIの溶媒をスプレーにより塗布したのち加熱することで、フッ素樹脂からなる厚さ15μmの対向部材52を形成し、さらに第1面51Aに5μmの厚さを有する耐熱絶縁用ポリイミド粘着テープ(カプトン(東レ・デュポンの登録商標)No.360UL)を張り付けるようにした。この点を除き、他は実験例1と同様にして実験例3としての熱伝達部材50を作製し、その熱伝達部材50を備えた定着装置30を搭載した画像形成装置(株式会社沖データ製のカラープリンタC833)により、実験例1と同様の定着性能の評価を実施した。また、表4に、実験例3において測定した周波数ごとに、位置P0を基準位置(0[mm])としたときの測定開始位置[mm]および測定終了位置[mm]と、測定間隔[mm]とを示す。
Figure 2021131482
(実験例4)
ステンレス鋼(SUS430)を主成分とする厚さ0.550mmの熱拡散部材51に対向部材52を設けないようにした熱伝達部材50を実験例4として作製した。さらに、その熱伝達部材50を備えた定着装置30を搭載した画像形成装置(株式会社沖データ製のカラープリンタC833)により、実験例1と同様の定着性能の評価を実施した。また、表5に、実験例4において測定した周波数ごとに、位置P0を基準位置(0[mm])としたときの測定開始位置[mm]および測定終了位置[mm]と、測定間隔[mm]とを示す。
Figure 2021131482
(実験例5)
ステンレス鋼(SUS430)を主成分とする厚さ0.550mmの熱拡散部材51に、PTFEを含むPAIの溶媒をスプレーにより塗布したのち加熱することで、フッ素樹脂からなる厚さ15μmの対向部材52を形成した。この点を除き、他は実験例1と同様にして実験例5としての熱伝達部材50を作製し、その熱伝達部材50を備えた定着装置30を搭載した画像形成装置(株式会社沖データ製のカラープリンタC833)により、実験例1と同様の定着性能の評価を実施した。また、表6に、実験例5において測定した周波数ごとに、位置P0を基準位置(0[mm])としたときの測定開始位置[mm]および測定終了位置[mm]と、測定間隔[mm]とを示す。
Figure 2021131482
(実験例6)
ステンレス鋼(SUS430)を主成分とする厚さ0.550mmの熱拡散部材51に、ガラスからなる厚さ60μmの対向部材52をスクリーン印刷により形成した。この点を除き、他は実験例1と同様にして実験例6としての熱伝達部材50を作製し、その熱伝達部材50を備えた定着装置30を搭載した画像形成装置(株式会社沖データ製のカラープリンタC833)により、実験例1と同様の定着性能の評価を実施した。また、表7に、実験例6において測定した周波数ごとに、位置P0を基準位置(0[mm])としたときの測定開始位置[mm]および測定終了位置[mm]と、測定間隔[mm]とを示す。
Figure 2021131482
実験例2〜6についても定着性能の評価についても表1にまとめて示す。さらに、図18に、記録媒体PMの搬送速度SとD/Lの値との関係についてのグラフを示す。図18では、横軸が搬送速度S[mm/s]を表し、縦軸が長さLに対する熱伝達部材50の面内方向の熱拡散率Dの比D/L[mm/s]を表している。図18における直線は、D/L=0.18×S−28を表している。
表1および図18に示したように、D/L≧0.18×S−28を満たす場合には、評価Aもしくは評価Bの定着性能が得られた。
特に、アルミニウム(AL5052)を主成分とする熱拡散部材51を用いた実験例1〜3においては、搬送速度Sが160mm/s以上231mm/s以下の範囲の全てにおいて評価Aもしくは評価Bの定着性能が得られた。実験例1〜3では、実験例4〜6と比較して比D/L[mm/s]が高い値を示していることから、比較的短時間で効率的に環状ベルト53がより均質に加熱されるためと考えられる。
<3.変形例>
以上、実施の形態を挙げて本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されず、種々の変形が可能である。例えば上記実施の形態等では4色のトナーを用いたカラー画像を形成可能な画像形成装置について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば5色以上のカラー画像を形成する画像形成装置であってもよい。
また、上記実施の形態では、直接転写方式の画像形成装置を例示して本発明を説明したが、中間転写ベルトを備えた2次転写方式の画像形成装置にも適用可能である。
さらに、上記実施の形態では、本発明における「画像形成装置」の一具体例として、印刷機能を有するプリンタについて説明したが、これには限られない。すなわち、そのような印刷機能に加え、例えば、スキャン機能やファックス機能を有する複合機として機能する画像形成装置においても、本発明を適用することが可能である。
1…画像形成装置、2…本体フレーム、3…給紙トレイ、4…ホッピングローラ、5…レジストローラ対、6…排出ローラ対、7,8…ガイド、9…スタッカ、10…画像形成部、11,11C,11K,11M,11Y…現像ユニット、12…感光ドラム、13…帯電ローラ、14…現像ローラ、15…クリーニングブレード、16…トナー収容部、17、17C,17K,17M,17Y…露光ユニット、18…転写ベルトユニット、19…転写ベルト、20…駆動ローラ、21…従動ローラ、22,22C,22K,22M,22Y…転写ローラ、23…クリーニングブレード、30…定着装置、31L,31R…サイドフレーム、32L,32R…スプリング、33L,33R…レバー、34L,34R…回転支点、35…駆動ギア、40…環状ベルトユニット、41…ステー、42L,42R…ねじ、43…保持部材、44…ヒータ、45…電線、46a,46b,46c,46d,46e…発熱部、47a,47b,47c,47d、47e…繋ぎ目、48…保熱板、49L,49R…保持溝、50…熱伝達部材、51…熱拡散部材、52…対向部材、52B…バインダ樹脂、52F…フィラー粒子、53…環状ベルト、54,61…表面層、55,63…弾性層、56…基材層、56S…内周面、60…加圧ローラ、62…接着層、64…シャフト、GR…摺動グリス、SF…対向面。

Claims (11)

  1. 所定の搬送速度で搬送される媒体と対向する環状ベルトと、
    互いに離間して設けられた2つの発熱部を有する発熱部材と、
    前記発熱部材と前記環状ベルトとの間に設けられ、前記発熱部材と対向する第1の面および前記環状ベルトと対向する第2の面を有し、前記発熱部材において発生した熱を前記環状ベルトへ伝達する熱伝達部材と
    を備え、
    以下の条件式(1)を満たす
    定着装置。
    D/L≧0.18×S−28 ……(1)
    但し、
    D:熱伝達部材における第1の面に沿った面方向の熱拡散率[×10-62/s]。
    L:面方向における2つの発熱部の間隔の半分の長さ[×10-3m]
    S:媒体の搬送速度[×10-3m/s]
    とする。
  2. 前記熱伝達部材は、前記第1の面を有すると共にアルミニウムを主成分とする熱拡散部材と、前記第2の面を有する対向部材との積層構造を含む
    請求項1記載の定着装置。
  3. 前記環状ベルトの主成分は樹脂である
    請求項1または請求項2に記載の定着装置。
  4. 前記熱伝達部材における前記熱拡散率は、6.2[×10-62/sec.]以上60.4[×10-62/sec.]以下である
    請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の定着装置。
  5. 前記媒体の前記搬送速度は、160[×10-3m/sec.]以上231[×10-3m/sec.]以下である
    請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の定着装置。
  6. 前記2つの発熱部の前記間隔は、2.0[×10-3m]以上5.0[×10-3m]以下である
    請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の定着装置。
  7. 前記環状ベルトと協働して前記媒体を挟持しつつ前記媒体を搬送可能な加圧部材をさらに備えた
    請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の定着装置。
  8. 前記対向部材は、バインダ樹脂およびフィラーを含有する
    請求項2記載の定着装置。
  9. 前記フィラーの動摩擦係数は、前記バインダ樹脂の動摩擦係数よりも小さい
    請求項8に記載の定着装置。
  10. 前記2つの発熱部は、前記環状ベルトの循環回転方向と直交する幅方向に沿って並んでいる
    請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の定着装置。
  11. 請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の定着装置を備えた画像形成装置。
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