JP2021086022A - 定着装置および画像形成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】良好な定着性能が得られる定着装置を得る。【解決手段】本発明の定着装置は、ヒータと、基材層と、摺動層と、ベルト部材とを有する。基材層は、ヒータ側の第1面と、第1面の反対側の第2面とを有する。摺動層は、第2面を覆うように構成される。ベルト部材は、摺動層と対向するように構成される。上記定着装置は、基材層および摺動層において下記の条件式(1)を満たす。0<(Tb×Da)/(Ta×Db)≦1.17・・・(1)但し、Taは基材層の厚さ(mm)であり、Tbは摺動層の厚さ(mm)であり、Daは基材層の熱拡散率(mm2/sec)であり、Dbは摺動層の熱拡散率(mm2/sec)である。【選択図】図8

Description

本発明は、定着装置およびそれを備えた画像形成装置に関する。
画像形成装置には、熱方式の定着装置により記録媒体に形成された画像を定着させるものがある。例えば特許文献1では、定着装置における熱拡散部材により、ヒータにより発せられた熱を定着ベルトに拡散させる技術が開示されている。
特開2019−128507号公報
ところで、定着装置では、ヒータにより発せられた熱を効率的に定着ベルトに伝達させ、記録媒体に形成された画像を良好に定着させることが期待されている。
良好な定着性能が得られる定着装置および画像形成装置を提供することが望ましい。
本発明の一実施の形態における定着装置は、ヒータと、基材層と、摺動層と、ベルト部材とを有する。基材層は、ヒータ側の第1面と、第1面の反対側の第2面とを有する。摺動層は、第2面を覆うように構成される。ベルト部材は、摺動層と対向するように構成される。上記定着装置は、基材層および摺動層において下記の条件式(1)を満たす。
0<(Tb×Da)/(Ta×Db)≦1.17・・・(1)
但し、Taは基材層の厚さ(mm)であり、Tbは摺動層の厚さ(mm)であり、Daは基材層の熱拡散率(mm2/sec)であり、Dbは摺動層の熱拡散率(mm2/sec)である。
本発明の一実施の形態における画像形成装置は、上記定着装置を備える。
本発明の一実施の形態における定着装置および画像形成装置によれば、基材層および摺動層において上記の条件式(1)を満たすようにしたので、基材層および摺動層が熱を効率的にベルト部材に伝達することができる。このため、より良好な定着性能を得ることができる。
一実施の形態に係る画像形成装置の全体構成例を表す模式図である。 図1に示した定着装置の要部の一構成例を表す斜視図である。 図1に示した定着装置の要部の一構成例を表す正面図である。 図3に示した定着装置の要部の一構成例を表す断面図である。 図4に示した定着装置の要部の一構成例の一部を拡大して表す拡大断面図である。 図2に示した定着ベルトユニットを表す分解斜視図である。 図5に示したヒータの概略を説明するための説明図である。 図5に示した熱拡散部材の概略を説明するための概略断面図である。 図4に示した定着ベルトの概略を説明するための概略断面図である。 図2に示した加圧ローラの概略を説明するための説明図である。 図10に示した加圧ローラの概略を説明するための概略断面図である。 図5に示した熱拡散部材の作用を説明するための説明図である。 実験例における定着装置の特性を表す特性図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の説明は本発明の一具体例であって、本発明は以下の態様に限定されるものではない。また、本発明は、各図に示す各構成要素の配置や寸法、寸法比などについても、それらに限定されるものではない。説明は以下の順序で行う。
1.実施の形態
2.実験例
3.変形例
<1.実施の形態>
[画像形成装置1の概略構成]
図1は、本発明の一実施の形態に係る定着装置を備えた画像形成装置1の全体構成例を表す模式図である。画像形成装置1は、例えば電子写真方式を用いたプリンタであり、トナーなどの現像剤を用いて画像形成動作を行うことにより、紙などの記録媒体PMに白黒画像やカラー画像を形成するように構成される。なお、本明細書では、記録媒体PMが搬送される搬送経路上における任意の位置から見て給紙トレイ3に近い位置、または給紙トレイ3へ向かう方向を上流という。さらに、搬送経路上における任意の位置から見て、記録媒体PMが排出されて積載されるスタッカ9に近い位置、もしくはスタッカ9へ向かう方向を下流という。上流から下流に向かう方向を搬送方向Fという。
画像形成装置1は、例えば装置本体の筺体である本体フレーム2の内部に、例えば給紙トレイ3と、ホッピングローラ4と、レジストローラ対5と、画像形成部10と、定着装置30と、排出ローラ対6とを備えている。
給紙トレイ3は、記録媒体PMを収容する収容部である。給紙トレイ3では、複数の記録媒体PMが積載される。給紙トレイ3の下流には、ホッピングローラ4が設けられている。
ホッピングローラ4は、記録媒体PMの表面に圧接し、その記録媒体PMを搬送路であるガイド7に沿って下流へ繰り出す回転部材である。ホッピングローラ4は、ホッピングローラ4の中心軸を回転軸として、ホッピングモータ(図示せず)から伝達された動力により回転するようになっている。ホッピングローラ4の下流には、レジストローラ対5が設けられている。
レジストローラ対5は、記録媒体PMを画像形成部10に向けて搬送するように構成される。レジストローラ対5は、記録媒体PMを搬送する際、記録媒体PMの先端部分が突き当てられることにより、記録媒体PMの斜行を矯正するようになっている。レジストローラ対5の下流には、画像形成部10が設けられている。
(画像形成部10)
画像形成部10は、画像(トナー像)を形成し、その画像を記録媒体PMに転写する機構である。画像形成部10は、4つの現像ユニット11(現像ユニット11K,11Y,11M,11C)と、4つの露光ユニット17(露光ユニット17K,17Y,17M,17C)と、転写ベルトユニット18とを有している。
4つの現像ユニット11(現像ユニット11K,11Y,11M,11C)は、パーソナルコンピュータなどの上位装置から送信される印刷データに基づいて、現像剤であるトナーを用いて画像を形成する機構である。4つの現像ユニット11は、画像形成装置1から着脱可能に構成される。具体的には、現像ユニット11Kは、黒色の画像を形成し、現像ユニット11Yは、黄色の画像を形成し、現像ユニット11Mは、マゼンタ色の画像を形成し、現像ユニット11Cは、シアン色の画像を形成するようになっている。この例では、現像ユニット11K,11Y,11M,11Cは、記録媒体PMの搬送方向Fにおいてこの順に配置される。現像ユニット11K,11Y,11M,11Cは、上記したように互いに異なる色のトナーを用いて画像を形成する点を除き、同じ構成を有している。図1に示したように、各現像ユニット11は、例えば感光ドラム12と、帯電ローラ13と、現像ローラ14と、クリーニングブレード15と、トナー収容部16とを有している。
感光ドラム12は、静電潜像を表面(表層部分)に担持する円柱状の部材であり、感光体(例えば有機系感光体)を用いて構成される。感光ドラム12は、感光体モータ(図示せず)から伝達された動力により、この例では時計回りで回転する。感光ドラム12は、帯電ローラ13により帯電し、対応する露光ユニット17により露光される。これにより、感光ドラム12の表面には、静電潜像が形成される。そして、現像ローラ14によりトナーが供給されることにより、感光ドラム12には、静電潜像に応じた画像が形成(現像)されるようになっている。
帯電ローラ13は、感光ドラム12の表面(表層部分)を帯電させるように構成される。帯電ローラ13は、感光ドラム12の表面(周面)に接するように配置されるとともに、所定の押し付け量で感光ドラム12に押し付けられるように配置されている。帯電ローラ13は、感光ドラム12の回転に応じて、この例では反時計回りで回転する。帯電ローラ13には、所定の帯電電圧が印加されるようになっている。
現像ローラ14は、帯電したトナーを表面に担持するように構成される。現像ローラ14は、感光ドラム12の表面(周面)に接するように配置されるとともに、所定の押し付け量により感光ドラム12に押し付けられるように配置されている。現像ローラ14は、感光体モータ(図示せず)から伝達された動力により、この例では、反時計回りで回転する。現像ローラ14には、所定の現像電圧が印加されるようになっている。
クリーニングブレード15は、感光ドラム12の表面に残留するトナーを掻き取りクリーニングする部材である。クリーニングブレード15は、感光ドラム12の表面に対してカウンタで当接するように配置されるとともに、所定の押し付け量で感光ドラム12に押し付けられるように配置されている。
トナー収容部16は、トナーを収容するように構成される。具体的には、例えば、現像ユニット11Kのトナー収容部16は黒色のトナーを収容し、現像ユニット11Yのトナー収容部16は黄色のトナーを収容し、現像ユニット11Mのトナー収容部16はマゼンタ色のトナーを収容し、現像ユニット11Cのトナー収容部16はシアン色のトナーを収容するようになっている。
4つの露光ユニット17(露光ユニット17K,17Y,17M,17C)は、4つの現像ユニット11の感光ドラム12に対して光をそれぞれ照射する機構であり、例えば、LED(Light Emitting Diode)ヘッドを用いて構成される。具体的には、露光ユニット17Kは、現像ユニット11Kの感光ドラム12に対して光を照射し、露光ユニット17Yは、現像ユニット11Yの感光ドラム12に対して光を照射し、露光ユニット17Mは、現像ユニット11Mの感光ドラム12に対して光を照射し、露光ユニット17Cは、現像ユニット11Cの感光ドラム12に対して光を照射する。これにより、これらの感光ドラム12の表面には、静電潜像が形成される。そして、感光ドラム12には、静電潜像に応じた画像が形成されるようになっている。
転写ベルトユニット18は、感光ドラム12の表面に形成された画像をクーロン力により記録媒体PMの表面に転写するとともに、記録媒体PMを搬送方向Fに向けて搬送する機構である。転写ベルトユニット18は、画像が転写された記録媒体PMを定着装置30に向けて搬送するようになっている。転写ベルトユニット18は、転写ベルト19と、駆動ローラ20と、従動ローラ21と、4つの転写ローラ22(転写ローラ22K,22Y,22M,22C)と、クリーニングブレード23とを有している。転写ベルト19は、継ぎ目なく形成された、記録媒体PMを担持可能な環状ベルトである。転写ベルト19は、駆動ローラ20および従動ローラ21により張設されている。駆動ローラ20は、ベルトモータ(図示せず)から伝達された動力により記録媒体PMを定着装置30に向けて搬送するように回転する回転部材であり、転写ベルト19を循環回転させるようになっている。従動ローラ21は、駆動ローラ20とともに転写ベルト19を張架しつつ転写ベルト19に付与される張力を調整する部材である。4つの転写ローラ22は、対応する現像ユニット11の感光ドラム12の表面に形成された画像を、記録媒体PMの被転写面上に転写する回転部材である。転写ローラ22Kは、転写ベルト19を介して現像ユニット11Kの感光ドラム12に対向配置されており、転写ローラ22Yは、転写ベルト19を介して現像ユニット11Yの感光ドラム12に対向配置されており、転写ローラ22Mは、転写ベルト19を介して現像ユニット11Mの感光ドラム12に対向配置されており、転写ローラ22Cは、転写ベルト19を介して現像ユニット11Cの感光ドラム12に対向配置されている。転写ローラ22K,22Y,22M,22Cのそれぞれには、所定の転写電圧が印加されることにより、画像形成装置1では、現像ユニット11により感光ドラム12に形成された画像が、記録媒体PMの被転写面上に転写されるようになっている。クリーニングブレード23は、転写ベルト19の表面上に残存した廃トナーを掻き取りクリーニングする部材である。画像形成部10の下流には、定着装置30が設けられている。
(定着装置30)
定着装置30は、転写ベルトユニット18から搬送された記録媒体PM上に転写された画像に対し熱および圧力を付与することにより、その画像を記録媒体PM上に定着させる機構である。画像形成装置1では、定着装置30が画像を記録媒体PMに定着させるとともに記録媒体PMを搬送路であるガイド8に沿って排出ローラ対6に向けて搬送するようになっている。定着装置30の下流には、排出ローラ対6が設けられている。
排出ローラ対6は、記録媒体PMをスタッカ9に向けて搬送するように構成される。この構成により、画像形成装置1は、記録媒体PMをスタッカ9に排出するようになっている。スタッカ9は、本体フレーム2の外側に設けられ、画像が定着された記録媒体PMを積載する部位である。
[定着装置30の詳細な構成]
以下、図2〜6を参照して、定着装置30の詳細の構成について説明する。図2は、定着装置30の主たる構成要素を表す斜視図である。図3は、Z軸方向から見た場合における定着装置30の主たる構成要素を表す正面図である。図4は、図3に示したS4−S4に沿った定着装置30の主たる構成要素を表す断面図である。図5は、図4に示した領域Aを拡大して表す拡大断面図である。図6は、定着ベルトユニット40(後述)を表す分解斜視図である。図6は、定着ベルトユニット40に加えてさらにレバー33L,33R(後述)をも表す。
図2に示したように、定着装置30は、サイドフレーム31L,31Rと、スプリング32L,32Rと、レバー33L,33Rと、駆動ギア35と、定着ベルトユニット40と、加圧ローラ60とを有している。
サイドフレーム31L,31Rは、例えば画像形成装置1の本体フレーム2にねじなどを用いて固定された部材である。図2,4に示したように、スプリング32Lは、例えばばねなどの弾性部材であり、レバー33Lに付勢力を付与するように構成される。スプリング32Lの一端がサイドフレーム31Lに固定されており、スプリング32Lの他端がレバー33Lに固定されている。スプリング32Rは、スプリング32Lと同様に、ばねなどの弾性部材であり、レバー33Rに付勢力を付与するように構成される。レバー33Lは、スプリング32Lから付与される付勢力により、XZ平面において回転支点34Lを回転軸としてD1方向に回転するように構成される。レバー33Lは、サイドフレーム31Lに取り付けられている。レバー33Rは、レバー33Lと同様に、スプリング32Rから付与される付勢力により、XZ平面において回転支点34Rを回転軸としてD1方向に回転するように構成される。定着装置30が定着動作を行わない場合には、レバー33L,33Rは、レバー固定部材(図示せず)により、所定の位置に押さえ付けられる。すなわち、スプリング32Lは、レバー33Lを介してレバー固定部材により押し付けられているので、レバー33Lがレバー固定部材から解放された場合には、レバー33Lに付勢力を付与することができる。スプリング32Rについても同様である。駆動ギア35は、定着ベルトモータ(図示せず)からの動力を加圧ローラ60に伝達するように構成される。
この構成により、定着装置30が定着動作を行う場合には、駆動ギア35は、定着ベルトモータからの動力を加圧ローラ60に伝達する。また、駆動ギア35の動作に応じてレバー33L,33Rがレバー固定部材から解放されることにより、レバー33L,33Rは、回転支点34L,34Rを回転軸としてD1方向に回転する。このため、レバー33L,33Rに取り付けられた定着ベルトユニット40が加圧ローラ60に押し付けられることにより、定着ベルトユニット40および加圧ローラ60においてニップ部Nが形成される。図4は、定着ベルトユニット40および加圧ローラ60においてニップ部Nが形成された状態を表す。記録媒体PMがニップ部Nを通過することにより、記録媒体PM上に転写された画像には熱および圧力が付与され、画像が記録媒体PM上に定着するようになっている。
(定着ベルトユニット40)
定着ベルトユニット40は、記録媒体PM上の画像に対して熱を付与するように構成される。図4〜6に示したように、定着ベルトユニット40は、ステー41と、保持部材43と、ヒータ44と、保熱板48と、熱拡散部材50と、定着ベルト53とを有している。ステー41は、定着ベルト53を支持する部材である。ステー41は、ねじ42Lによりレバー33Lに固定されるとともに、ねじ42Rによりレバー33Rに固定されている。保持部材43は、ヒータ44、保熱板48、および熱拡散部材50を保持する部材である。保持部材43は、ステー41に固定されている。図5,6に示したように、保熱板48、ヒータ44、熱拡散部材50、および定着ベルト53は、略X軸方向に沿ってこの順に配置されている。すなわち、保熱板48は、ヒータ44に対向し、ヒータ44は、熱拡散部材50に対向し、熱拡散部材50は、定着ベルト53に対向する。なお、定着ベルト53は、ベルト部材としての環状ベルトである。
図7は、ヒータ44の概略を説明するための説明図である。ヒータ44は、Y軸方向に延在する板状部材であり、定着ベルト53を加熱する熱源である。ヒータ44は、電線45と、発熱部46a〜46eと、繋ぎ目47a〜47dとを有している。電線45は、外部の電源から供給された電流を発熱部46a〜46dのそれぞれに流すように構成される。電線45は、例えば銅(Cu)を含んで構成される。
発熱部46a〜46eのそれぞれは、抵抗発熱体を含んで構成される。抵抗発熱体は、例えばニッケルクロム合金(NiCr)または銀パラジウム合金(AgPd)を含んで構成される。ヒータ44は、例えば、A3用紙などの幅が広い記録媒体PMに画像が形成される場合には、発熱部46a〜46eを発熱させる。また、例えば、はがきなどの幅が狭い記録媒体PMに画像が形成される場合には、発熱部46cを発熱させる。これにより、ヒータ44は、エネルギーの消費を抑えるようになっている。ここで、ヒータ44の長手方向(Y軸方向)とヒータ44の長手方向に直交する短手方向(略Z軸方向)からなる平面に直交する方向を以後、厚さ方向(略X軸方向)という。
ヒータ44において、繋ぎ目47a〜47dは、それぞれ発熱部46aのパターンと発熱部46bのパターンとの境界領域、発熱部46bのパターンと発熱部46cのパターンとの境界領域、発熱部46cのパターンと発熱部46dのパターンとの境界領域、発熱部46dのパターンと発熱部46eのパターンとの境界領域である。すなわち、ヒータ44が発熱する場合、繋ぎ目47a〜47dでは、ヒータ44の長手方向(Y軸方向)における温度分布が不均一である。なお、この例では、ヒータ44は、発熱部46a〜46eを有するようにしたが、これに限定されるものではなく、これに代えて、例えば、一以上の発熱部を有していればよい。また、ヒータ44は、繋ぎ目47a〜47dを有するようにしたが、これに限定されるものではなく、これに代えて、例えば、継ぎ目がなくなるように1つの発熱部により構成されてもよい。
保熱板48は、ヒータ44により発せられた熱を蓄熱する部材である。この例では、保熱板48は、ヒータ44に沿ってY軸方向に延在する板状部材である。保熱板48は、ヒータ44により発せられた熱を、保熱板48におけるヒータ44に対向する面と反対面側に伝達させにくくするようになっている。
ヒータ44と保熱板48との間には、ヒータ44により発せられた熱を効率よく伝達するために熱伝導グリスが塗布されている。同様に、ヒータ44と熱拡散部材50との間には、熱伝導グリスが塗布されている。ヒータ44と保熱板48とは、保持部材43と熱拡散部材50との間に挟み込まれるように配置され、保持部材43により固定されている。なお、この例では、ヒータ44と保熱板48との間に熱伝導グリスが塗布されるようにしたが、これに限定されるものではなく、熱伝導グリスが塗布されなくてもよい。また、ヒータ44と熱拡散部材50との間に熱伝導グリスが塗布されるようにしたが、これに限定されるものではなく、熱伝導グリスが塗布されなくてもよい。
熱拡散部材50は、ヒータ44に沿ってY軸方向に延在する略平板状を有する部材であり、ヒータ44により発せられた熱を定着ベルト53に伝達するように構成される。熱拡散部材50は、XZ平面から見た場合に熱拡散部材50の両端部が厚さ方向に曲げられた形状を有する。すなわち、熱拡散部材50は、XZ平面から見た場合にヒータ44に対向する凹部を有する。図5に示したように、XZ平面から見た場合における熱拡散部材50の凸部は、保持部材43に設けられた保持溝49L,49Rに差し込まれる。保持溝49L,49Rは熱拡散部材50の凸部よりも広い空間であるため、保持溝49L,49Rに差し込まれた熱拡散部材50は、定着ベルトユニット40が加圧ローラ60に押し付けられることにより厚さ方向(略X軸方向)に移動可能である。すなわち、定着装置30が定着動作を行う場合には、熱拡散部材50は、ヒータ44に押し付けられる。この際、熱拡散部材50は、ヒータ44により発せられた熱を定着ベルト53に伝達するようになっている。この例では、熱拡散部材50の長手方向(Y軸方向)における長さは、264.9mmであり、熱拡散部材50の長手方向に直交する短手方向(略Z軸方向)における長さは、17.55mmである。また、保持溝49L,49Rに差し込まれる熱拡散部材50の凸部の厚さ方向の長さは7.5mmである。
図8は、熱拡散部材50の概略を説明するための概略断面図である。熱拡散部材50は、ヒータ44側の第1面と、第1面と反対側の第2面とを有する基材層51と、摺動層52とを有している。すなわち、基材層51には、基材層51の第2面を覆う摺動層52が形成されている。
基材層51は、例えば熱の伝わる速度を表す熱拡散率が大きい金属を含んで構成される。基材層51の厚さTaは、例えば0.485mmである。基材層51の熱拡散率Daは、例えば57.7mm2/sである。この例では、基材層51の主成分はアルミニウム(Al)である。ここで、主成分とは基材層51の全体の50重量%を占める成分を意味する。すなわち、基材層51においてAlの含有率は他の材料よりも大きい。なお、この例では、基材層51はAlを含むようにしたが、これに限定されるものではなく、熱拡散率が大きい他の金属を含むようにしてもよい。基材層51は、例えば、ステンレス鋼(SUS)や銅や亜鉛(Zn)を含むようにしてもよい。なお、基材層51の厚さTaは、例示した厚さに限られない。
摺動層52は、例えば定着ベルト53の内周面との摺動性がよい樹脂を含んで構成される。摺動層52の厚さTbは、0.005mm以上であり、0.015mm以下であることが好ましく、例えば0.015mmである。摺動層52の熱拡散率Dbは、例えば1.53mm2/sである。すなわち、摺動層52の熱拡散率Dbは、基材層51の熱拡散率Daより小さく、摺動層52の厚さTbは、基材層51の厚さTaより小さい。この例では、摺動層52の主成分は、靭性が高いポリアミドイミド(PAI)であり、さらにポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を含んでいる。ここで、主成分とは摺動層52の全体の50重量%を占める成分を意味する。すなわち、摺動層52においてPAIの含有率は他の材料よりも大きい。摺動層52において、さらにグラファイトなどのフィラーが添加されることにより、摺動層52の摺動性および熱伝導性が向上するようになっている。この例では、例えば、PTFEを含むPAIの溶媒が基材層51の一面にスプレーにより噴射され、加熱されることにより樹脂が硬化し、基材層51に摺動層52が形成される。摺動層52の厚さTbは、例えば、照射するスプレーの回数を調整することにより制御される。この例では、摺動層52の長手方向(Y軸方向)における長さは、略264.9mmであり、摺動層52の短手方向(略Z軸方向)における長さは、略17.55mmである。すなわち、摺動層52は、定着ベルト53の内周面に対向する基材層51の面の略全面を覆う。摺動層52は、基材層51と反対側に定着ベルト53に対向する摺動面SFを有している。摺動面SFには、摺動性を向上するために摺動グリスが塗布されており、摺動面SFは、この摺動グリスを介して定着ベルト53と摺動する。摺動グリスは、例えば、ゲル状のグリスであり、シリコーン系の材料やフッ素系の材料を含む。なお、この例では、摺動層52はPAIを含むようにしたが、これに限定されるものではなく、摺動性がよい他の樹脂を含むようにしてもよい。また、PAIにはグラファイトなどのフィラーが添加されるようにしたが、これに限定されるものではなく、フィラーが添加されていなくてもよい。また、摺動層52は、定着ベルト53の内周面に対向する基材層51の第2面の略全面を覆うようにしたが、これに限定されるものではなく、これに代えて、例えば、定着ベルト53の内周面に対向する基材層51の第2面の一部を覆うようにしてもよい。また、摺動面SFには摺動グリスが塗布されるようにしたが、これに限定されるものではなく、摺動グリスが塗布されていなくてもよい。なお、摺動層52の厚さTbは、例示した厚さに限られない。
熱拡散部材50では、摺動層52の熱拡散率Dbが基材層51の熱拡散率Daよりも小さいため、摺動層52の厚さTbが基材層51の厚さTaに対して大きいほど、厚さ方向に熱が伝わる時間が長くなる。このような場合には、定着動作において記録媒体PMに伝達した熱を補うため、定着ベルト53の温度を所定の温度から上昇させることが望まれる。すなわち、画像の記録媒体PMへの定着性が所定の条件を満たすことができる定着ベルト53の表面温度の下限値(以下、定着限界温度)が上昇する可能性がある。一方、摺動層52の熱拡散率Dbが基材層51の熱拡散率Daに対して大きいほど、厚さ方向における熱拡散部材50全体の熱拡散率が大きくなり、厚さ方向に熱が伝わる時間が短くなる。このような場合には、定着動作において、定着ベルト53の温度が所定の温度でも記録媒体PMに伝達した熱を補うことができる。すなわち、定着限界温度は上昇しない。言い換えれば、厚さTbの厚さTaに対する比が小さいことおよび熱拡散率Daの熱拡散率Dbに対する比が小さいことが望ましい。具体的には、基材層51および摺動層52において、条件式(1)を満たすことが望ましい。
0<(Tb×Da)/(Ta×Db)≦1.17・・・(1)
ここで、厚さTbの厚さTaに対する比と熱拡散率Daの熱拡散率Dbに対する比との積を熱伝達寄与率とする。この例では、熱伝達寄与率は、1.17である。
定着ベルト53は、ステー41により所定の張力で張架される環状ベルトであり、回転可能に保持されるように構成される。摺動面SFと対向する内周面を有し、この内周面において摺動面SF上を摺動するように設けられている。定着ベルト53は、加圧ローラ60との間にニップ部Nを形成するようになっている。
図9は、定着ベルト53の概略を説明するための概略断面図である。定着ベルト53は、表面層54と、弾性層55と、基材層56とを有している。すなわち、基材層56に弾性層55が形成され、弾性層55に表面層54が形成されている。
表面層54は、この例では、テトラフルオロエチレンとパーフルオロアルキルビニルエーテルとの共重合体(PFA)を含んで構成される。表面層54の厚さは、例えば20μmである。表面層54の厚さは、弾性層55の変形に対して追従できる大きさであることが望まれる。一方、表面層54の厚さが小さすぎると加圧ローラ60との摺動や記録媒体PMとの摺動により表面層54にしわが発生するため、表面層54の厚さは10μm〜50μmであることが好ましい。また、表面層54は、定着温度に耐え得る耐熱性を有することおよび定着ベルト53に残存したトナーや記録媒体PM由来の紙粉を張り付きにくくする離型性を有することが望まれ、フッ素置換された材料からなることが好ましい。なお、表面層54の材料は例示した材料に限られず、表面層54の厚さは例示した厚さに限られない。
弾性層55は、この例では、定着温度に耐え得る耐熱性を有するシリコーンゴムを含んで構成される。弾性層55のゴム硬度は例えば12度であり、弾性層55の厚さは例えば200μmである。弾性層55は、ニップ部Nを形成可能なゴム硬度と厚さを有することが望まれる。一方で、弾性層55は、ヒータ44から発せられた熱の熱量損失を抑制し、ヒータ44から発せられた熱を効率よく定着ベルト53の外周面(トナー接触面)に伝達させることが望まれる。弾性層55の厚さが大きいと均一なニップ部Nが形成されやすいが、熱容量が大きくなり熱損失が大きくなるため、好ましくない。弾性層55の厚さは、50〜500μmであることが好ましい。また、弾性層55のゴム硬度は、ニップ部Nの均一性を高めるため10〜60度であることが好ましい。なお、この例では、弾性層55はシリコーンゴムを含むようにしたが、これに限定されるものではなく、定着温度に耐え得る耐熱性を有する他の材料を含むようにしてもよい。弾性層55は、例えば、フッ素ゴムを含むようにしてもよい。なお、弾性層55の厚さは、例示した厚さに限られない。
基材層56は、この例では、ポリイミド(PI)を含んで構成され、基材層56の主成分はPIである。ここで、主成分とは基材層56の全体の50重量%を占める成分を意味する。すなわち、基材層56においてPIの含有率は他の材料よりも大きい。基材層56の内径は例えば30mmであり、基材層56の厚さは例えば80μmである。基材層56は、定着ベルト53に耐久性および機械的強度を発現させ、機械的強度、耐繰り返し屈曲性および耐座屈耐久性に優れている。すなわち、基材層56は、ヤング率が大きく、座屈強度が高いので、定着ベルト53が破断しにくい。なお、この例では、基材層56はPIを含むようにしたが、これに限定されるものではなく、これに代えて、例えば、高い耐熱性、大きいヤング率、および高い座屈強度を有する他の材料を含むようにしてもよい。基材層56は、例えば、ステンレス鋼、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)材を含むようにしてもよい。特に、耐熱性に優れた樹脂材料が好ましく、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)が好ましい。また、基材層56は、カーボンブラックや亜鉛などの金属元素を含む導電性フィラーが添加された材料を含むようにしてもよく、この場合、基材層56に伝導性を発現させることができる。また、基材層56は、チッカホウ素などのフィラーが添加されたPTFEを含むようにしてもよく、この場合、基材層56の摺動性や熱伝導性を向上させることができる。なお、基材層56の厚さは、例示した厚さに限られない。
(加圧ローラ60)
図10は、加圧ローラ60の概略を説明するための説明図である。図11は、図10に示したS11−S11に沿った加圧ローラ60の概略断面図である。加圧ローラ60は、定着ベルトユニット40との間にニップ部Nが形成されるように定着ベルトユニット40における定着ベルト53の外周面と当接可能に設けられ、記録媒体PM上の画像に対して圧力を付与する回転部材である。加圧ローラ60の外径は40mmであり、加圧ローラ60の硬度は50〜65度であることが好ましい。加圧ローラ60は、表面層61と、接着層62と、弾性層63と、シャフト64とを有している。すなわち、シャフト64に弾性層63が形成され、弾性層63に接着層62が形成され、接着層62に表面層61が形成されている。なお、シャフト64と弾性層63との間に接着層が設けられてもよい。
表面層61は、この例では、PFAを含んで構成される。表面層61の厚さは、例えば30μmである。表面層61は、記録媒体PMおよび定着ベルト53と摺動するようになっている。表面層61の厚さは、定着ベルト53の表面層54と同様に、弾性層63の変形に対して追従できる大きさであることが望ましい。一方、表面層61の厚さが小さすぎると定着ベルト53との摺動や記録媒体PMとの摺動により表面層61にしわが発生するため、表面層61の厚さは、15μm〜50μmであることが好ましい。また、表面層61は、定着温度に耐え得る耐熱性を有することおよび定着ベルト53に残存したトナーや記録媒体PM由来の紙粉を張り付きにくくする離型性を有することが望まれ、フッ素置換された材料からなることが好ましい。表面層61の材料は例示した材料に限られず、表面層61の厚さは例示した厚さに限られない。
接着層62は、この例では、接着力が十分であり、導電材が添加された、定着温度に耐え得るシリコーン接着剤を含んで構成される。接着層62は、表面層61が弾性層63から剥離することやしわの発生を抑制するため、弾性層63と表面層61とを接着する。接着層62は、導電性を有するため、例えば連続印刷において加圧ローラ60に帯電した電荷が蓄積し、静電的に紙粉などが付着することを抑制するようになっている。なお、この例では、接着層62は導電材が添加されるようにしたが、これに限定されるものではなく、導電材が添加されなくてもよい。なお、接着層62の材料は、例示した材料に限られない。
弾性層63は、この例では、導電材が添加された、発砲セルを有するシリコーンスポンジを含んで構成される。弾性層63の厚さは、例えば4mmである。弾性層63は、導電性を有するため、例えば連続印刷において加圧ローラ60に帯電した電荷が蓄積し、静電的に紙粉などが付着することを抑制するようになっている。弾性層63は、ニップ部Nを形成可能なゴム硬度と厚さを有することが望まれる。また、弾性層63は、定着ベルト53から画像と記録媒体PMに伝達された熱量を損失しないように蓄熱性を有することが望まれる。また、加圧されたニップ部Nにおいてニップ痕が残存しないように、発砲セルのセル径が小さいことが好ましく、具体的には、発砲セルの平均セル径が20〜250μmであることが好ましい。この例では、平均セル径は、100μmである。平均セル径の測定は、カミソリなどを用いてシリコーンスポンジを切断し、CCD(Charged-coupled devices)顕微鏡で観察し、観察視野角内でのセル径を10個測定しこれらの平均値を測定値とした。なお、この例では、弾性層63には導電材が添加されるようにしたが、これに限定されるものではなく、弾性層63には導電材が添加されなくてもよい。また、弾性層63はシリコーンスポンジを含むようにしたが、これに限定されるものではなく、他の材料を含むようにしてもよい。弾性層63は、例えば、ソリッドゴムを含むようにしてもよい。なお、弾性層63の厚さは、例示した厚さに限られない。
シャフト64は、定着圧力により変形しない圧力耐性を有する部材であり、例えば、中実のステンレス鋼(SUS304)を含んで構成される。なお、この例では、シャフト64は、SUS304を含むようにしたが、これに限定されるものではなく、これに代えて、他の材料を含むようにしてもよい。また、この例では、中実のシャフトを用いるようにしたが、これに限定されるものではなく、これに代えて、例えば、中空のシャフトを用いるようにしてもよい。
ここで、定着ベルト53は、本発明における「ベルト部材」の一具体例に対応する。基材層51は、本発明における「基材層」の一具体例に対応する。摺動層52は、本発明における「摺動層」の一具体例に対応する。定着装置30は、本発明における「定着装置」の一具体例に対応する。ヒータ44は、本発明における「ヒータ」の一具体例に対応する。加圧ローラ60は、本発明における「加圧部材」の一具体例に対応する。
[作用・効果]
(A.基本動作)
画像形成装置1では、以下のようにして、記録媒体PMに対して画像が転写される。
まず、図1を参照して、画像形成装置1の全体の動作について説明する。画像形成装置1は、上位装置から印刷データを受信すると、現像ユニット11が、感光ドラム12を回転させて、画像形成処理を行う。
画像形成装置1では、露光ユニット17が、現像ユニット11において表面が帯電した感光ドラム12に対して選択的に光を照射することにより、感光ドラム12の表面には、静電潜像が形成される。そして、感光ドラム12には、静電潜像に応じて画像が形成される。
画像形成装置1が給紙トレイ3に積載された記録媒体PMに対して画像を転写する場合、ホッピングモータ(図示せず)から伝達された動力により、ホッピングローラ4は、記録媒体PMをレジストローラ対5に向けて繰り出す。レジストローラ対5は、記録媒体PMを画像形成部10に向けて搬送する。その際、記録媒体PMの前方端縁がレジストローラ対5に突き当てられることにより記録媒体PMの斜行が矯正する。
こののち、画像形成部10において、転写ベルト19は、循環回転することにより、記録媒体PMを定着装置30に向けて搬送する。その際、記録媒体PMは、感光ドラム12と転写ローラ22との間を通過する。
画像形成装置1では、画像が感光ドラム12の表面に形成されると、転写ベルトユニット18が転写処理を行う。その際、転写ベルトユニット18では、転写ベルト19が記録媒体PMを搬送しながら、転写ローラ22が感光ドラム12の表面に形成された画像を引き寄せる。その結果、画像が、感光ドラム12から記録媒体PMへ転写される。
画像形成装置1は、画像が感光ドラム12から記録媒体PMに転写されると、記録媒体PMを定着装置30に搬送する。定着装置30は、記録媒体PMが搬送されると、定着処理を行う。その際に、定着装置30は、記録媒体PMの表面に転写された画像に対する加熱および加圧を行い、その画像を溶融させて記録媒体PMに定着させる。
画像形成装置1は、画像が記録媒体PMに定着されると、記録媒体PMをスタッカ9に向けて搬送し、記録媒体PMをスタッカ9の上に排出する。
画像形成装置1の全体の動作は、以上の通りである。
(B.定着動作における熱拡散部材50の挙動)
次に、画像が転写された記録媒体PMが画像形成部10から定着装置30に向かって搬送される場合における定着動作における熱拡散部材50の挙動について説明する。
定着装置30が定着動作を行う場合には、駆動ギア35は、定着ベルトモータからの動力を加圧ローラ60に伝達する。この際、駆動ギア35の動作に応じてレバー33L,33Rがレバー固定部材から解放されることにより、レバー33L,33Rは、回転支点34L,34Rを回転軸としてD1方向(図4)に回転する。このため、定着ベルトユニット40が加圧ローラ60に押し付けられることにより、定着ベルトユニット40および加圧ローラ60においてニップ部Nが形成される。この例では、ニップ部Nの長手方向(Y軸方向)における長さは227mmであり、ニップ部Nの長手方向に直交する短手方向(略Z軸方向)における長さは8〜11mmである。また、定着ベルトユニット40にかかる荷重は、ニップ部Nの全体に対して33〜39kgであり、例えば36kgである。36kgの荷重に対するニップ圧は、1.32〜2.15kg/cm2である。加圧ローラ60は、定着ベルトモータから伝達された動力により回転する。定着ベルト53は、加圧ローラ60の回転に応じて加圧ローラ60に連れ回る。これにより、定着ベルトユニット40において、熱拡散部材50における摺動層52の摺動面SFと定着ベルト53とは、摺動グリスを介して摺動する。この際、定着ベルトユニット40において、熱拡散部材50は、ヒータ44に押し付けられる。また、定着動作では、電線45が外部の電源から供給された電流を発熱部46a〜46eのそれぞれに流すことにより、ヒータ44は発熱する。ヒータ44により発せられた熱は熱伝導グリスを介して、熱拡散部材50に伝達し、摺動グリスを介して、定着ベルト53に伝達する。記録媒体PMがニップ部Nを通過することにより、記録媒体PM上に転写された画像には、定着ベルト53から熱が伝達されるとともにニップ部Nにより圧力が付与され、画像が記録媒体PM上に定着する。
図12は、定着動作における、ヒータ44の表面温度と、熱拡散部材50の表面温度と、定着ベルト53の表面温度との関係を表す。図12の横軸は、ヒータ44の長手方向(Y軸方向)における長さを表し、縦軸は温度を表す。この例では、ヒータ44と熱拡散部材50との位置関係と、ヒータ44の発熱部46bから発熱部46dまでの範囲におけるヒータ44、熱拡散部材50、および定着ベルト53の表面温度の測定結果の一例を示す。発熱部46b,46c,46dにおいては、ヒータ44の表面温度は高くなる。一方、繋ぎ目47b,47cにおいては、ヒータ44の表面温度は低くなり、ヒータ44の表面温度が高い箇所と表面温度が低い箇所との間には、温度差TS1が生じる。ヒータ44の表面温度の分布に応じて熱拡散部材50に熱が伝達されるため、熱拡散部材50においても表面温度が高い箇所と表面温度が低い箇所との間には温度差が生じるが、この温度差は、温度差TS1よりも小さい。すなわち、熱拡散部材50は、ヒータ44の長手方向(Y軸方向)における温度分布の均一化を図る。熱拡散部材50の表面温度の分布に応じて定着ベルト53に熱が伝達されるため、定着ベルト53においても表面温度が高い箇所と表面温度が低い箇所との間には温度差TS2が生じるが、温度差TS2は、熱拡散部材50における温度差よりもさらに小さい。温度差TS2は、2℃以下であることが好ましい。この場合、定着ベルト53において、表面温度が高い箇所の反射率と表面温度が低い箇所の反射率との差が例えば2.8以下となり、光沢の差を目視により認識しにくい。すなわち、温度差TS2が2℃以下である場合、定着ベルト53において表面温度が低い箇所においてもトナーを溶かすことができる温度になるため、画像の光沢ムラが発生しずらくなる。そして、熱拡散部材50において、基材層51および摺動層52は、条件式(1)に示したように、熱伝達寄与率が1.17以下になるように構成されるので、基材層51および摺動層52は熱を効率的に定着ベルト53に伝達するため、定着限界温度の上昇を抑制できる。
(C.効果)
このように、本実施の形態では、熱拡散部材50における基材層51および摺動層52において、熱伝達寄与率が条件式(1)を満たすようにした。これにより、本実施の形態では、より良好な定着性能を得ることができる。すなわち、定着装置30では、一般に、例えば、ヒータにより発せられた熱を伝達する熱拡散部材の基材層に摺動性の向上のために摺動層を設けることがある。具体的には、例えば、摺動層にガラスを用いることができるが、金属である基材層に比べて、熱拡散率が小さい。このような場合、定着装置30では、摺動層の熱拡散率が小さいため、ヒータにより発せられた熱を効率的に定着ベルトに伝達することができなくなる可能性がある。一方、本実施の形態の定着装置30では、基材層51および摺動層52において、熱伝達寄与率が条件式(1)を満たすようにした。これにより、基材層51および摺動層52は、例えば、ヒータ44により発せられた熱を効率的に定着ベルト53に伝達することができるので、より良好な定着性能を得ることができる。
また、本実施の形態では、基材層51および摺動層52はヒータ44により発せられた熱を略均一に定着ベルト53に伝達するようにした。これにより、本実施の形態では、画像の光沢ムラの発生を抑制できる。すなわち、例えば、熱拡散率が小さい熱伝達部材を有する定着装置において、ヒータ44において繋ぎ目47a〜47dの温度が低くなり発熱部46a〜46eとの温度差が生じることにより、ヒータ44により発せられた熱が十分に均一化されない。この結果、記録媒体PM上の画像に対し熱が均一に伝達しないため、画像の一部においてトナーが溶けきらずトナーが定着しない。このような画像の部位の光沢は低く、例えば、記録媒体PMにおける縦筋として光沢ムラが発生する。一方、本実施の形態では、熱拡散部材50において基材層51および摺動層52はヒータ44により発せられた熱を略均一に定着ベルト53に伝達するようにしたので、画像の光沢ムラの発生を抑制できる。
また、本実施の形態では、定着ベルト53において摺動層52はPAIを含むようにした。これにより、例えばスクリーン印刷を使用するガラスよりも摺動層52における材料コストや製造コストを削減することができる。また、例えば、ガラスを適用する場合に比べて、摺動層52の熱拡散率Dbが低く、また、薄層化が可能であるため、熱拡散部材全体としての熱拡散率を高めることができる。また、例えば、ガラスを適用する場合に比べて、摺動性を向上させることができるので、定着ベルト53の内周面の傷の発生を抑制できる。
また、本実施の形態では、定着ベルト53において基材層56はPIを含むようにした。これにより、例えば、定着ベルトの基材層が金属を含む場合に比べて、定着ベルト53と摺動する摺動層52の強度を低くすることができる。このため、摺動層52において、例えば、ガラスよりも強度が低い樹脂を適用することができる。その結果、摺動層52における材料コストや製造コストを削減することができる。また、例えば、ガラスを適用する場合に比べて、熱拡散部材全体としての熱拡散率を高めることができる。また、例えば、ガラスを適用する場合に比べて、摺動性を向上させることができるので、定着ベルト53の内周面の傷の発生を抑制できる。
基材層51はAlを含み、摺動層52の厚さTbは0.015mm以下であるようにした。これにより、基材層51の熱拡散率Daは例えばSUSを含む基材層の熱拡散率よりも大きい。また、摺動層52の厚さTbが基材層51の厚さTaに対して小さいので熱拡散部材全体としての熱拡散率を高めることができるので、より良好な定着性能を得ることができる。
<2.実験例>
(実験例1−1)
Alを含む基材層51において摺動層が形成されていない熱拡散部材を作製し、この熱拡散部材を適用した定着装置を備えた画像形成装置(株式会社沖データ製のカラープリンタC833)において、定着限界温度を測定し、この例では50000枚の記録媒体PMを印刷した状態(以後、経時)において定着ベルト53に傷が発生するかどうかを確認した。
基材層51の厚さTaは0.485mmであり、マイクロメータMDC−25MJ(株式会社ミツトヨ製)を用いて測定した。また、基材層51の長手方向(Y軸方向)に3箇所の厚さを測定し3箇所の平均値を測定値とした。基材層51の熱拡散率Daの測定は、サーモウェーブアナライザTA35(株式会社ベテル製)を用いて、周期加熱放射測温法により実施した。熱拡散率Daの測定対象である試料のサイズは15×40mmであり、試料の両面にグラファイトスプレーを噴射することにより、黒化処理を行った。基材層51においてヒータ44に対向する面側からレーザを入射させることにより、定着ベルト53に対向する面の温度を測定した。加熱光には、測定スポット径が500μmであり、波長が808nmである半導体レーザを使用した。温度の検出器には、半導体素子であるInSbを使用した。温度の検出器では、赤外線を検出することにより温度を測定した。なお、測定時の環境温度は25℃であった。すなわち、環境温度に対する熱拡散率Daの変動は小さいため、25℃における熱拡散率Daを測定した。熱拡散率Daは57.7mm2/sであった。
また、定着限界温度を測定した。この例では、定着限界温度は、定着率が80%以上であることを満たすことができる定着ベルト53の表面温度の下限値である。定着率について以下に説明する。まず、画像形成装置1は、記録媒体PMにDuty100%のパターンを形成する。ここで、Duty100%とは、例えば、感光ドラム1周分や印刷媒体1ページ分などの所定の印刷可能領域において、印刷された領域が印刷可能領域の100%の面積を占めることを表す。Duty1%とは、例えば、印刷可能領域において、印刷された領域が印刷可能領域の1%の面積を占めることを表す。すなわち、Duty1%において形成された画像が占める面積は、Duty100%において形成された画像が占める面積の1%の面積に相当する。Dutyは式(2)により表される。
Duty=[Cm(i)/(Cd×C0)]×100・・・(2)
但し、Cm(i)は、感光ドラム12がCd回転したときに印刷で用いられたドット数である。すなわち、Cm(i)は露光されたドット数である。また、C0は、感光ドラム12が1回転したときに印刷で使用可能な最大のドット数である。すなわち、C0は露光の有無に限らず、感光ドラム12が1回転したときに潜在的に使用可能なドット数である。Cd×C0は、感光ドラム12がCd回転したときに印刷で使用可能な最大のドット数である。記録媒体PMに定着された画像にメンディングテープ(スリーエムジャパン株式会社製)を貼り、真鍮からなる円柱状の重石を1cm/秒の速さで1往復させた後に、ゆっくりメンディングテープを剥がした。円柱状の重石において、直径は略5cmであり、厚さは略3cmであり、重さは500gであった。その後、画像濃度をX−Rite528分光濃度計(エックスライト株式会社製)を用いて測定し、式(3)により定着率を算出した。
定着率=(剥がされた後の画像濃度/剥がされる前の画像濃度)×100・・・(3)
このように、様々な定着温度に対して定着率を算出し、定着率が80%であるときの定着温度を定着限界温度として測定した。
本実験例では、基材層51に摺動層が形成されていないため、摺動層の厚さTbは0mmであり、本実験例における熱拡散部材の熱伝達寄与率は、0.00であった。また、本実験例における定着限界温度を実験例1−2〜1−6における定着限界温度の基準値として測定した。定着ベルト53に傷が発生することが確認された。具体的には、目視により、定着ベルト53の内周面を観察することにより、傷の発生を確認した。なお、これらの試験条件および測定結果については、後述する他の実験例における試験条件および測定結果とともに表1にまとめて記載する。
Figure 2021086022
(実験例1−2)
Alを含む基材層51において摺動層52が形成された熱拡散部材50を作製し、熱拡散部材50を適用した定着装置30を備えた画像形成装置1において、実験例1−1と同様に、定着限界温度を測定し、定着ベルト53に傷が発生するかどうかを確認した。実験例1−2では、基材層51に摺動層52を形成する際に、摺動層52の厚さTbが0.005mmになるようにした。なお、厚さTbが0.005mmよりも小さい場合には、例えば一部被覆されていない箇所が発生などの問題が発生する可能性があるため、厚さTbは0.005mm以上にするようにした。摺動層52の厚さTbは0.005mmであり、渦電流膜厚計LH−373(株式会社ケツト科学研究所製)を用いて測定した。摺動層52の長手方向(Y軸方向)に3箇所の厚さを測定し3箇所の平均値を測定値とした。また、熱拡散率Daと同様に、熱拡散率Dbの測定を実施した。この際、樹脂を含む摺動層52に異方性はないため、基材層51に形成された30μmの厚さの摺動層52を、界面の接着力を弱めるエタノールなどの溶剤を使用して剥がすことにより試料を用意した。熱拡散率Dbは1.53mm2/sであった。本実験例における熱拡散部材50の熱伝達寄与率は、0.39であった。定着ベルト53において、実験例1−1の定着限界温度に対する実験例1−2の定着限界温度の上昇温度は0.1℃であり、定着ベルト53の傷の発生は確認されなかった。
(実験例1−3)
基材層51に摺動層52を形成する際に、摺動層52の厚さTbが0.01mmになるようにした。その点を除き、他は実験例1−2と同様にして熱拡散部材50を作製し、熱拡散部材50を適用した定着装置30を備えた画像形成装置1において、評価を実施した。本実験例における熱拡散部材50の熱伝達寄与率は、0.78であった。定着ベルト53において、実験例1−1の定着限界温度に対する実験例1−3の定着限界温度の上昇温度は0.5℃であり、定着ベルト53の傷の発生は確認されなかった。
(実験例1−4)
基材層51に摺動層52を形成する際に、摺動層52の厚さTbが0.015mmになるようにした。その点を除き、他は実験例1−2と同様にして熱拡散部材50を作製し、熱拡散部材50を適用した定着装置30を備えた画像形成装置1において、評価を実施した。本実験例における熱拡散部材50の熱伝達寄与率は、1.17であった。定着ベルト53において、実験例1−1の定着限界温度に対する実験例1−4の定着限界温度の上昇温度は0.9℃であり、定着ベルト53の傷の発生は確認されなかった。
(実験例1−5)
基材層51に摺動層52を形成する際に、摺動層52の厚さTbが0.02mmになるようにした。その点を除き、他は実験例1−2と同様にして熱拡散部材50を作製し、熱拡散部材50を適用した定着装置30を備えた画像形成装置1において、評価を実施した。本実験例における熱拡散部材50の熱伝達寄与率は、1.56であった。定着ベルト53において、実験例1−1の定着限界温度に対する実験例1−5の定着限界温度の上昇温度は2.0℃であり、定着ベルト53の傷の発生は確認されなかった。
(実験例1−6)
基材層51に摺動層52を形成する際に、摺動層52の厚さTbが0.03mmになるようにした。その点を除き、他は実験例1−2と同様にして熱拡散部材50を作製し、熱拡散部材50を適用した定着装置30を備えた画像形成装置1において、評価を実施した。本実験例における熱拡散部材50の熱伝達寄与率は、2.33であった。定着ベルト53において、実験例1−1の定着限界温度に対する実験例1−6の定着限界温度の上昇温度は3.0℃であり、定着ベルト53の傷の発生は確認されなかった。
(実験例2−1)
基材層51にSUSを使用し、基材層51の厚さが0.550mmになるようにした。その点を除き、他は実験例1−1と同様にして熱拡散部材を作製し、この熱拡散部材を適用した定着装置を備えた画像形成装置において、その評価を実施した。熱拡散率Daは7.45mm2/sであった。本実験例では、基材層51に摺動層が形成されていないため、摺動層の厚さTbは0mmであり、本実験例における熱拡散部材の熱伝達寄与率は、0.00であった。また、本実験例における定着限界温度を実験例2−2,3−1における定着限界温度の基準値として測定した。定着ベルト53に傷が発生することが確認された。
(実験例2−2)
SUSを含む基材層51に摺動層52を形成する際に、摺動層52の厚さTbが0.03mmになるようにした。その点を除き、他は実験例2−1と同様にして熱拡散部材50を作製し、この熱拡散部材50を適用した定着装置30を備えた画像形成装置1において、その評価を実施した。本実験例における熱拡散部材50の熱伝達寄与率は、0.27であった。定着ベルト53において、実験例2−1の定着限界温度に対する実験例2−2の定着限界温度の上昇温度は、0.1℃であり、定着ベルト53の傷の発生は確認されなかった。
(実験例3−1)
SUSを含む基材層51にガラスを含む摺動層を形成する際に、この摺動層の厚さTbが0.06mmになるようにした。この摺動層は、例えば、スクリーン印刷により形成される。なお、スクリーン印刷により形成可能なガラスの厚さTbは、例えば0.04〜0.06mmである。その点を除き、他は実験例2−2と同様にして熱拡散部材を作製し、この熱拡散部材を適用するとともに、金属を含む基材層を有する定着ベルトを適用した定着装置を備えた画像形成装置において、その評価を実施した。本実験例における熱拡散部材の熱伝達寄与率は、1.63であった。本実験例に係る定着ベルトにおいて、実験例2−1の定着限界温度に対する実験例3−1の定着限界温度の上昇温度は2.0℃であり、この定着ベルトの傷の発生は確認されなかった。
以上の結果、実験例1−1,2−1において、経時で定着ベルト53に傷が発生することを確認した。これは金属である基材層と定着ベルト53の内周面との摺動性が悪いことに起因する。一方、実験例1−2〜1−6,2−2,3−1において、経時で定着ベルト53に傷が発生しないことを確認した。摺動層を設けることにより定着ベルト53に傷が発生することを抑制できることを確認できた。また、実験例1−2〜1−6において、摺動層52の厚さTbが増加することより、熱伝達寄与率は増加し、熱伝達寄与率が1.17以下である場合、定着限界温度が0.9以下であることが確認できた。
実験例2−2における、摺動層52の厚さTbの基材層51の厚さTaに対する比(厚さ寄与)は0.055であり、実験例1−5における厚み寄与である0.041よりも大きいが、定着限界温度の上昇温度は0.1℃である。これは、実験例2−2における、摺動層52の熱拡散率Dbの基材層51の熱拡散率Daに対する比(熱拡散率寄与)は0.205であり、実験例1−5における熱拡散率寄与である0.027よりも大きいことに起因する。
図13は、熱伝達寄与率と定着限界温度の上昇温度の関係を表す。図13において、横軸は熱伝達寄与率を表し、縦軸は定着限界温度の上昇温度を表す。伝達寄与率と定着限界温度の上昇温度とは相関し、熱伝達寄与率をxとし、定着限界温度の上昇温度をyとするとき、伝達寄与率と定着限界温度の上昇温度との関係は式(4)により表すことができる。なお、決定係数は0.9786であった。
y=0.3845x2+0.4454x・・・(4)
このように、熱伝達寄与率が大きくなるほど定着限界温度の上昇温度が大きくなる。ところで、定着動作における定着温度は、定着限界温度に対してマージンを確保された温度として設定されるため、例えば、定着限界温度よりも15℃程度高い温度に設定される。このため、実験例1−4に示したように、定着限界温度の上昇温度が0.9℃以下であれば、定着率が悪化する可能性が低いと考えられる。
<3.変形例>
以上、実施の形態および実験例を挙げて本技術を説明したが、本技術はこれらの実施の形態等には限定されず、種々の変形が可能である。例えば、上記の実施の形態等では、本技術を単機能のプリンタに適用したが、これに限定されるものではなく、これに代えて、例えば、コピー機能、ファックス機能、スキャン機能、プリント機能などを有する、いわゆる多機能周辺装置(MFP;Multi Function Peripheral)に適用してもよい。
また、上記の実施の形態等では、電子写真方式により、記録媒体PMに画像を形成したが、これに限定されるものではなく、どのような方式で画像を形成してもよい。また、上記の実施の形態等では、4つの現像ユニット11により黒色、黄色、マゼンタ色、およびシアン色の4色の画像を形成できるようにしたが、これに限定されるものではない。これに代えて、例えば、1以上の現像ユニットにより画像を形成できるようにしてもよい。
また、上記の実施の形態等では、画像形成部10が形成した画像を、記録媒体PMに直接転写したが、これに限定されるものではなく、これに代えて、例えば、画像形成部10が形成した画像を、一旦中間転写ベルトに転写し、中間転写ベルトに転写された画像を記録媒体PMに転写してもよい。
1…画像形成装置、2…本体フレーム、3…給紙トレイ、4…ホッピングローラ、5…レジストローラ対、6…排出ローラ対、7,8…ガイド、9…スタッカ、10…画像形成部、11,11C,11K,11M,11Y…現像ユニット、12…感光ドラム、13…帯電ローラ、14…現像ローラ、15…クリーニングブレード、16…トナー収容部、17、17C,17K,17M,17Y…露光ユニット、18…転写ベルトユニット、19…転写ベルト、20…駆動ローラ、21…従動ローラ、22,22C,22K,22M,22Y…転写ローラ、23…クリーニングブレード、30…定着装置、31L,31R…サイドフレーム、32L,32R…スプリング、33L,33R…レバー、34L,34R…回転支点、35…駆動ギア、40…定着ベルトユニット、41…ステー、42L,42R…ねじ、43…保持部材、44…ヒータ、45…電線、46a,46b,46c,46d,46e…発熱部、47a,47b,47c,47d、47e…繋ぎ目、48…保熱板、49L,49R…保持溝、50…熱拡散部材、51,56…基材層、52…摺動層、53…定着ベルト、54,61…表面層、55,63…弾性層、60…加圧ローラ、62…接着層、64…シャフト。

Claims (11)

  1. ヒータと、
    前記ヒータ側の第1面と、前記第1面の反対側の第2面とを有する基材層と、
    前記第2面を覆う摺動層と、
    前記摺動層と対向するベルト部材と
    を有し、
    前記基材層および前記摺動層において下記の条件式(1)を満たす
    定着装置。
    0<(Tb×Da)/(Ta×Db)≦1.17・・・(1)
    但し、
    Ta:基材層の厚さ(mm)。
    Tb:摺動層の厚さ(mm)。
    Da:基材層の熱拡散率(mm2/sec)。
    Db:摺動層の熱拡散率(mm2/sec)。
    である。
  2. 前記摺動層の厚さは、0.005mm以上0.03mm以下であり、
    前記摺動層および前記基材層において、さらに以下の条件式(2)を満たす
    請求項1に記載の定着装置。
    0.27≦(Tb×Da)/(Ta×Db)・・・(2)
  3. 前記摺動層と前記ベルト部材との間に潤滑剤をさらに有する
    請求項1または請求項2に記載の定着装置。
  4. 前記基材層の主成分はアルミニウムであり、
    前記摺動層の厚さは0.015mm以下である
    請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の定着装置。
  5. 前記摺動層の主成分は樹脂である
    請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の定着装置。
  6. 前記基材層の熱拡散率は、前記摺動層の熱拡散率よりも大きい
    請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の定着装置。
  7. 前記基材層の厚さは、前記摺動層の厚さよりも大きい
    請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の定着装置。
  8. 前記ベルト部材の主成分は樹脂である
    請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の定着装置。
  9. 前記基材層および前記摺動層は前記ヒータにより発せられた熱を前記ベルト部材に伝達する
    請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の定着装置。
  10. 前記ベルト部材の表面と当接可能に設けられた加圧部材をさらに有する
    請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の定着装置。
  11. 請求項1から請求項10のいずれか一項に記載の定着装置を備えた画像形成装置。
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