JP2012178800A - 印刷制御装置および印刷制御プログラム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】印刷媒体の指定を受け付ける受付工程と、第一テストパターンの印刷結果に応じた印刷装置の調整を実行する調整工程と、上記指定された印刷媒体のための色変換テーブルを生成する色変換テーブル生成工程と、第二テストパターンを表したデータを色変換テーブルにより色変換して印刷装置に印刷させ、第二テストパターンの測色値に基づいて印刷装置のデバイスプロファイルを生成するプロファイル生成工程とを実行可能であり、デバイスプロファイルによる色変換によって印刷装置に実行させた上記指定された印刷媒体への印刷に対する低評価を受け付けた場合、評価の内容に応じて調整工程と色変換テーブル生成工程とプロファイル生成工程とのうちいずれか一以上の工程を実行する。
【選択図】図28
Description
色変換テーブルの入力格子点や出力格子点の配置を平滑なものにする技術として、例えば本願の出願人により開示された特許文献1に記載されたものがある。この平滑化では、Lab表色系の格子点を移動させた後、目的関数を用いた最適化処理を利用して、移動後のL*a*b*格子点を再現する最適なインク量を決定している。この最適なインク量は、目的関数を最小とするようなインク量として決定される。
また、入力画像データから印刷データへ変換する際の基準となる変換テーブルがそれぞれ既知である複数種類の媒体のうち、ある媒体に対応する変換テーブルを、種類が未知の媒体に対応する変換テーブルとして設定する変換テーブル設定方法が知られている(特許文献2)。
当該構成によれば、上記調整工程が行われて印刷装置の印刷環境が最適化された上で第三テストパターンが印刷されるため、指定された印刷媒体についてのインク量の制限値および発色特性を正確に得ることができる。
当該構成によれば、上記パラメーターを調整しつつデバイスプロファイルを生成しなおすことで、最適なデバイスプロファイルをユーザーに提供することができる。
当該構成によれば、色むらの解消に有効な印刷装置における送り量の調整やプラテンギャップの調整を行うことで、的確に印刷結果を向上させることができる。
1.装置構成と全体処理手順:
2.基本メディアのベースLUT生成:
2−1.基本的手順:
2−2.力学モデル:
2−3.スムージング処理(平滑化および最適化処理):
2−4.最適化処理の内容:
3.プリンター調整:
4.転用メディアのベースLUT生成:
5.デバイスプロファイル生成:
6.低評価を受けての再処理:
7:変形例:
図1は、本発明の一実施例における印刷制御装置の構成を示すブロック図である。印刷制御装置は、プリンターに対する制御装置であり、当該装置の主要部は実体的にはコンピューター10により実現される。具体的には、コンピューター10が備えるCPU12が、ハードディスクドライブ(HDD)400等に記憶されたプログラム(印刷制御プログラム等)を読み込み、プログラムをRAM13に展開しながらプログラムに従った演算を実行することにより、ベースLUT生成モジュール100、デバイスプロファイル生成モジュール200、プリンター調整モジュール500、再処理制御モジュール600等の各機能を実現する。コンピューター10には図示しない表示装置(例えば、液晶ディスプレイ)が接続されており、各処理に必要なUI(ユーザーインターフェイス)の表示が表示装置において行われる。さらに、コンピューター10には図示しない入力装置(例えば、キーボードやマウス。)が接続されており、各処理に必要な情報が入力装置を介して入力される。また、コンピューター10にはプリンター20(図3)と図示しない測色機が接続されている。また、コンピューター10は、フォワードモデルコンバーター300、画質評価指数コンバーター136を備える。フォワードモデルコンバーター300は、さらに分光プリンティングモデルコンバーター310と色算出部320とを備える。フォワードモデルコンバーター300は、色予測モデルに該当する。これらの各モジュールや各部の機能については後述する。本明細書において「LUT」は、ルックアップテーブルの略語である。
ステップS01では、ベースLUT生成モジュール100が、表示装置および入力装置を介して処理対象となるメディアの指定を受け付ける。ベースLUT生成モジュール100は、各メディアの一覧(リスト)の中から所望の基本メディアをユーザーに選択させるメディア選択UI画像を表示装置に表示させる。ユーザーは、例えば、基本メディアとして基本光沢紙,基本マット紙,基本普通紙,基本プルーフ紙等を選択することができる。「基本メディア」とは、一般的なメディアの系統毎の代表的な印刷媒体を意味し、特に本発明においてはフォワードモデルコンバーター300(分光プリンティングモデルコンバーター310)と画質評価指数コンバーター136とが予め準備されている印刷媒体を意味する。基本メディアの特性は既知であり、各基本メディアにインクを付着させた場合の発色特性やデューティー制限値を特定するデータが予めメディアテーブルMTBに格納されている。基本光沢紙,基本マット紙,基本普通紙,基本プルーフ紙は、それぞれ光沢紙系,マット紙系,普通紙系,プルーフ系の各系統に属する。
この場合、ベースLUT生成モジュール100は、まず、指定メディアの系統に対応するデフォルト重みw L*,w a*…をHDD400に格納されたメディアテーブルMTBを参照することにより取得する。メディアの系統は、光沢紙系,マット紙系,普通紙系,プルーフ系,未分類系であり、各系統についてデフォルト重みw L*,w a*…がメディアテーブルMTBに格納されている。次に、ベースLUT生成モジュール100は、重み指定用UI画像を表示装置に表示させ、入力装置により重みw L*,w a*…の指定を受け付ける。
本実施例では、CMYKの4種類のインクを自然数の下付文字j(j=1〜4)によって区別し、メディアに付着させるインク量を個々のインクのインク量I1〜I4をベクトルI=(I1,I2,I3,I4)によって表すこととする。なお、インク量Ij(後述するI j(R,G,B),ΔIj,Ijr,hjも含む。)を下付文字jを付すことなく示す場合は、各インクのインク量Ijを各行要素として有する行列(ベクトル)を意味することとする。さらに、下付文字j(j=5〜7)によってCMYの3種類のインクを2種類ずつ混色したときの2次色のインク量を示すこととする。すなわち、I5=I1+I2,I6=I1+I3,I7=I2+I3とする。2次色のインク量I5〜I7は、それぞれブルー(B)、レッド(R)、グリーン(G)の色相に対応する色をメディア上で再現させる。さらに、下付文字j(j=8)によってCMYKの4種類のインクをすべて混色したときのインク量を示すこととする。すなわち、I8=I1+I2+I3+I4とする。
本明細書において、単にインク量Ijと表記した場合には下付文字jの範囲はj=1〜4であり、デューティー制限値DIjと表記した場合には下付文字jの範囲はj=1〜8であるとする。
2−1.基本的手順:
上述したように、指定メディアが転用メディアである場合はステップS05〜が実行されるが、以下ではまず、基本メディアが指定された場合について実行されるステップS04の後の処理(ステップS06の途中からの処理)、すなわち基本メディアについてベースLUTを作成する処理を一通り説明する。
図9および図10は、ステップS06の詳細を示すフローチャートであり、ステップS05の後は、ステップS06の内容として図9(ベースLUT生成の準備処理)が実行され、その次に図10(ベースLUT生成の本処理)が実行される。ただし、指定メディアが基本メディアである場合のステップS06においては(つまりステップS04からステップS06に移った場合は)図10の処理が実行される。
・点PK:(R,G,B)=(0,0,0)に対応する紙黒点。
・点PW:(R,G,B)=(255,255,255)に対応する紙白点。
・点PC:(R,G,B)=(0,255,255)に対応するシアン点。
・点PM:(R,G,B)=(255,0,255)に対応するマゼンタ点。
・点PY:(R,G,B)=(255,255,0)に対応するイエロー点。
・点PR:(R,G,B)=(255,0,0)に対応するレッド点。
・点PG:(R,G,B)=(0,255,0)に対応するグリーン点。
・点PB:(R,G,B)=(0,0,255)に対応するブルー点。
以下では、実施例のスムージング処理(平滑化および最適化処理)に利用される力学モデルについて簡単に説明した後に、スムージング処理の処理手順、および、最適化処理の内容について順次説明する。
図14は、本実施例のスムージング処理(平滑化および最適化処理)に利用される力学モデルを示す説明図である。ここでは、L*a*b*色空間内に上述した入力格子点に対応する格子点(白丸および2重丸)が配列されている様子を示している。ただし、ここでは説明の便宜上、格子点の配置を2次元的に描いている。この力学モデルでは、着目格子点gに対して次式の仮想的な力Fpgが係るものと仮定する。
ここで、Fgは着目格子点gが隣接格子点gn(nは1〜N)から受ける引力の合計値、Vgは着目格子点gの速度ベクトル、−kvVgは速度に応じた抵抗力、Xgは着目格子点gの位置ベクトル、Xgnは隣接格子点gnの位置ベクトル、kp,kvは係数である。係数kp,kvは予め一定の値に設定される。なお、文中では、ベクトルを示す矢印は省略される。
図16は、スムージング処理(図10のステップS300)の典型的な処理手順を示すフローチャートである。ステップT100では、ベースLUT生成モジュール100は、スムージング処理の対象とする複数の格子点を初期設定する。
ここで、I(R,G,B)は、入力格子点のRGB値に対するインクセット(複数のインクのインク量の組合せ)全体のインク量Ij(図11の例では4種類のインクのインク量Ij)を表している。RGB値が0または255を取る入力格子点に対するインク量(仮インク量)は、図10のステップS200においてユーザーによって予め入力された初期入力値である。前記(2)式および(3)式によれば、任意のRGB値における仮インク量I(R,G,B)を求めることが可能である。
ここで、I(C,M,Y,K)は、K=0の8個の頂点におけるインク量の初期入力値から、前記(2)式と同様の式で算出されたインク量である。(6)式の関数f D1は値I(C,M,Y,0)と値I(0,0,0,255)の合計値がデューティー制限値D I8をオーバーする場合に、値I(C,M,Y,0)を減じることによって、インク量I(C,M,Y,255)がデューティー制限値D I8内に納まるようにする関数である。また(7)式の関数f D2は、値I(C,M,Y,0)と値I(0,0,0,255)の合計値がデューティー制限値D I8をオーバーする場合に、合計値(I(C,M,Y,0)+I(0,0,0,255))の全体を減じることによって、インク量I(C,M,Y,255)がデューティー制限値D I8内に納まるようにする関数である。
ここで、L* (R,G,B)、a* (R,G,B)、b* (R,G,B)、L* (C,M,Y,K) 、a* (C,M,Y,K)、b* (C,M,Y,K)はフォワードモデルコンバーター300による変換後の色彩値L*a*b*を示しており、関数fL*FM、fa*FM、fb*FMはフォワードモデルコンバーター300による変換を意味している。なお、これらの式からも理解できるように、この変換後の色彩値L*a*b*は、ベースLUTの入力値であるRGB値またはCMYK値に対応付けられている。
(1)ベースLUTの入力格子点の値:(R,G,B)または(C,M,Y,K)
(2)各入力格子点に対応するL*a*b*空間の格子点の初期座標値:(L* (R,G,B),a* (R,G,B),b* (R,G,B))または(L* (C,M,Y,K),a* (C,M,Y,K),b* (C,M,Y,K))
(3)各入力格子点に対応する初期インク量:I(R,G,B)またはI(C,M,Y,K)
以上の説明から理解できるように、ベースLUT生成モジュール100は、代表的な入力格子点に関する入力初期値から他の入力格子点に関する初期値を設定する機能を有している。
最適化処理の目的関数E(図18(C)参照)は、インク量の関数である色彩値(L*a*b*値)および画質評価指数に関するヤコビ行列Jを用いて表現することが可能である。各画質評価指数は、画質評価指数コンバーター136によって算出される。後述するように、各画質評価指数は、各インク量のインクを基本メディアに付着させた場合の画質を評価する指数である。ヤコビ行列Jは、例えば以下の(10)式で表される。
ここで、aLは明度補正係数、WS(u)はカラーパッチの印刷に利用されるハーフトーンデータが示す画像のウイナースペクトラム、VTF(u)は視覚の空間周波数特性、uは空間周波数である。ハーフトーンデータは、カラーパッチのインク量Ijからハーフトーン処理(プリンター20が実行するハーフトーン処理と同一のものとする)によって決定される。前記(16)式は一次元で表現しているが、空間周波数の関数として二次元画像の空間周波数を算出することは容易である。粒状性指数GIの計算方法としては、例えば、本出願人により開示された特開2006−103640号公報に記載された方法を利用することができる。特開2006−103640号公報の方法では、印刷媒体にテストインク量Ijのインクを付着させて形成したカラーパッチを測定することにより得られた粒状性指数GIに基づいて学習したニューラルネットワークによって任意のインク量Ijで印刷した場合の粒状性指数GIを予測する。本実施例では、ニューラルネットワークが基本メディアに形成したカラーパッチの測定結果に基づいて学習されている。実体的には、画質評価指数コンバーター136がニューラルネットワークに任意のインク量Ijを入力することにより、該インク量Ijのインクを基本メディアに付着させた場合の粒状性指数GIを算出する。
ここで、ΔL*は2つの異なる観察条件下(異なる光源下)におけるカラーパッチの明度差、ΔC* abは彩度差、ΔH* abは色相差を示す。非色恒常性指数CIIの計算時には、2つの異なる観察条件下でのL*a*b*値は、色順応変換(CAT)を用いて標準観察条件(例えば標準の光D65の観察下)に変換される。なお、観察条件下でのL*a*b*値は、上述したフォワードモデルコンバーター300によって算出される。フォワードモデルコンバーター300(分光プリンティングモデルコンバーター310)は基本メディアについて準備されたものであるため、非色恒常性指数CIIによれば各インク量Ijのインクを基本メディアに付着させた場合の非色恒常性を評価することができる。CIIについては、Billmeyer and Saltzman's Principles of Color Technology, 3rd edition, John Wiley & Sons, Inc, 2000, p.129, pp. 213-215を参照。
ここで、fL*FMは、フォワードモデルによるインク量IからL*値への変換関数、Irはインク量Iの現在値(平滑化および最適化処理前のインク量)、hjはj番目のインク量Ijの微小変動量である。L*値について(17)式を例示したが、a*b*値についても同様である。L*a*b*値は、上述したフォワードモデルコンバーター300((11)式)によって算出されるため、L*a*b*値は各インク量Ijのインクを基本メディアに付着させた場合の色彩値を意味する。ヤコビ行列Jの最下行を除く他の成分も同様の形式で表される。前記(14)、(18)式に準じて、ヤコビ行列Jの最下行の要素を算出すると、ヤコビ行列Jの最下行の要素はすべて1となる。あるインクのインク量Ijが微小変動量hjだけ変動した場合の合計インク量TIの変動量もhjとなるからである。
ここで、右辺の各項の最初に記載されているw L*,w a*等は、各項の重みである。各項の重みw L*,w a*…は、ステップS02において、ユーザーから指定され、設定テーブルSTBに格納された重みw L*,w a*…が使用される。特に、ユーザーがポインターの位置を初期位置から移動させなかった場合には、デフォルト重みw L*,w a*…が使用される。従って、目的関数Eによって重要視される項目がメディアおよびユーザーの設定に依存することとなる。
(最適化条件)目的関数Eを最小とする。
(制約条件)デューティー制限値を守る。
ここで、ベクトルbは、デューティー制限値の対象となるインク種類を識別するための係数であり、要素に0か1を持つベクトルである。例えば、1種類のインクに関するデューティー制限値の場合には、ベクトルbの1個の要素のみが1となる。一方、全インクの合計インク量に関するデューティー制限値の場合には、ベクトルbのすべての要素が1となる。(31)式の右辺のDIは、個々のデューティー制限値DIjを要素とするベクトルである。(31)式の右辺、左辺とも、j=1〜8であるとする。すなわち、デューティー制限値に関する制約条件を課す際には、2次色の合計インク量I5〜I7と全部の合計インク量I8も考慮する。
次に、ステップS05(図2)の詳細について説明する。
図20は、ステップS05の詳細をフローチャートにより示している。ステップS50では、プリンター調整モジュール500は、プリンター調整用のテストパターンを指定メディアに印刷させる。具体的には、プリンター調整モジュール500がプリンター調整用のテストパターンを印刷させるための画像データを生成し、該画像データをプリンター20のハーフトーン部FW4に出力する。該画像データは、各画素がインク量を有する画像データである。
このように当該調整工程(図20)において、上述したような印刷環境の複数の項目について設定調整を実行する場合には、プリンター調整モジュール500は、一つの項目についてステップS50〜を実行してステップS52において“Yes”の判定をしたら、次の項目についてステップS50〜を実行して・・・ということを繰り返し、最終的にすべての項目についてステップS52において“Yes”の判定をした場合に、当該調整工程(図20)を終えるとしてもよい。
図2のステップS05の後のステップS06(指定メディア=転用メディアである場合のステップS06)においては、上述したようにまず図9の処理が実行され、その後、図10の処理が実行される。図9では、ステップS61において、ベースLUT生成モジュール100は、被転用メディアを決定する。被転用メディアとは、指定された転用メディアの系統と同じ系統の基本メディアである。指定された転用メディアの系統が未分類であった場合には、基本メディアのうち各インクの発色特性が標準的なものを被転用メディアとする。被転用メディアを特定する情報は、設定テーブルSTBに登録される。ステップS62においては、ベースLUT生成モジュール100が、メディアテーブルMTBに記憶された被転用メディアの発色特性データとデューティー制限値DIj(以下、基準デューティー制限値DSIjと表記する。)とを取得する。
(34)式が示すように、正規化比RWは、各基準デューティー制限値DSIjを各デューティー制限値DIjによって除算した制限値比のうち最も値の小さい成分とされる。正規化比RWが算出できると、ベースLUT生成モジュール100は、指定メディア(転用メディア)に印刷した各カラーパッチの測色値のプロット(白丸)の横軸方向の位置を示すインク量Ij(j=1〜4)に正規化比RWを乗算することにより、インク量Ij(j=1〜4)を第1仮インク量IPPj(j=1〜4)へと変換する(ステップS68)。すなわち、第1仮インク量IPPjとインク量Ijとの関係は(35)式で表される。
第1仮インク量IPPj(j=1〜4)の取り得る範囲は0〜DPIjとなる。つまりDPIj=RW・DIjである。なお、2次色以上のインク量Ij(j=5〜8)は、インク量Ij(j=1〜4)の変換に追従して変換されるため、変換の対象としていない。
以上により、指定メディア(転用メディア)に各インクを付着させた場合の発色特性が、被転用メディアに各インクを付着させた場合の発色特性に近似するようにインク量Ijを変換する変換式(変換関係)が得られたこととなる。fCVjは、インク量Ij(j=1〜4)を第2仮インク量ISPjに変換する変換関数を意味する。ここで、前記の(37)式を満足すれば、第2仮インク量ISPjのインクを被転用メディアに付着した場合の発色(L*,C*値)は、インク量Ijのインクを指定メディア(転用メディア)に付着した場合の発色(L*,C*値)とほぼ等しくなるということが言える。
さらに、(39)式のように、転用メディア色味(aC *,bC *)(白三角)から被転用メディア色味(aS *,bS *)(黒三角)を差し引くことにより、差分色味(aD *,bD *)を算出する。
以上のようにして、差分色味aD *,bD *を算出できると、差分色味(aD *,bD *)の符号を逆にしたベクトル(−aD *,−bD *)が示す色相方向を、グレーターゲットの色味(agt *,bgt *)の色相方向として設定する(ステップS71)。すなわち、グレーターゲットの色味(agt *,bgt *)は、ベクトル(−aD *,−bD *)に正の係数kを乗算したベクトルとなる。係数kの大きさは、例えばユーザーによって設定される。ステップS72では、ベースLUT生成モジュール100は、グレーターゲットの色味(agt *,bgt *)を設定テーブルSTBに登録する。
前記の(40)式の両辺に、転用メディアに対するインク成分j=zについてのデューティー制限値DIzと、転用メディアに対するインク成分j=qについてのデューティー制限値DIqとを乗算すると、それぞれ下記の(41)(42)式が成り立つ。
上記の(41)(42)式の左辺のRW・DIz,RW・DIqは、インク成分j=z,qについての仮デューティー制限値DPiz,DPIqを意味する。インク成分j=zについては、仮デューティー制限値DPizが被転用メディアについての基準デューティー制限値DSIzと等しくなる。従って、インク成分j=zについては、被転用メディアの各コンバーター等300,310,410,136が色彩値等を予測可能なインク量Ijの範囲の全体にわたってインク量Ijの最適化を行うことができる。
次に、ステップS07(図2)の詳細について説明する。
図26は、ステップS07におけるデバイスプロファイル生成処理をフローチャートにより示している。ステップS80では、デバイスプロファイル生成モジュール200は、所定のプロファイル生成用テストパターンを表す画像データを、上記ステップS06により指定メディアに対応して生成されたベースLUTで色変換し、色変換によって生成された画像データ(各画素がCMYKのインク量Ijを有する画像データ)をプリンター20のハーフトーン部FW4に出力することにより、プロファイル生成用テストパターンを指定メディアに印刷させる。プロファイル生成用テストパターンは、第二テストパターンに該当する。ステップS06によりベース3D−LUT510が生成された場合には、ステップS80では、例えば、ベース3D−LUT510の各入力格子点のRGBの階調値で表された複数のパッチを表現したプロファイル生成用テストパターンを、ベース3D−LUT510により色変換する。一方、ステップS06によりベース4D−LUT520が生成された場合には、ステップS80では、例えば、ベースLUT4D−520の各入力格子点のCMYKの階調値で表された複数のパッチを表現したプロファイル生成用テストパターンを、ベースLUT520により色変換する。
図27(A)は、デバイス3D−プロファイル610を生成したときに行う確認用の印刷に関わる処理を説明する図である。デバイスプロファイル生成モジュール200は、当該確認用の印刷のために用意されたsRGB表色系で各画素が表された画像データを、sRGB値とL*a*b*値との変換関係を規定した既知のソースプロファイルSP1により変換する。次に、ソースプロファイルSP1からの出力値(L*a*b*値)を、指定メディアに対応するデバイス3D−プロファイル610としての上記第二プロファイル(第二プロファイル610b)に(必要に応じてガマットマッピングをして)入力し、第二プロファイル610bにより変換する。次に、第二プロファイル610bからの出力値(RGB)を、指定メディアに対応するベース3D−LUT510に入力し、ベース3D−LUT510により変換する。このようにベース3D−LUT510で変換されて出力されたインク量Ijによる印刷をプリンター20に実行させることで、指定メディアへの確認用の印刷が完了する。
これまでは図2のフローチャートに基づいて、メディアの指定から、当該メディアに対応したデバイスプロファイル610,620の生成までを説明した。ユーザーは、上記のようにデバイスプロファイル610,620を生成、登録した後は、これらプロファイル610,620を用いた色変換を伴う印刷処理(プリンター20による指定メディアへの印刷)をコンピューター10やプリンター20に任意に実行させることができる。しかしながら、日常の印刷処理を繰り返していく中で、ユーザーは印刷結果における画質に対して徐々に不満を感じるようなこともあり得る。そこで本実施例では、図2の処理を終えた後、ユーザーが印刷結果に不満(画質に対する低評価)を抱くようになった場合に、当該低評価を受け付け、受け付けた低評価に応じた解決処理を自動で行なうようにした。
本発明は前記の実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。上記実施例や各変形例は、適宜組み合わせることができる。
上記実施例では、基本メディアについてベースLUTを生成する場合には、予めメディアテーブルMTBに記録されたデューティー制限値DIjを用いるとした。しかし、ユーザーが基本メディアを指定メディアとした場合であっても、プリンター20の印刷環境の設定を調整する処理(図2のステップS05)を実行し、基本メディアについても改めてデューティー制限値DIjを取得する目的で図9のステップS63〜S66の処理を実行してもよい。そして、このようにプリンター20で基本メディアに対して実際に印刷したテストパターンに基づいて取得したデューティー制限値DIjの制約の下で、基本メディアについてのベースLUT生成を行うようにしてもよい。
上記実施例においては、発色特性も考慮して(37)式に示す変換関数fCVj(fCVj -1)によってベースLUT510,520の出力値として登録するインク量Ijを変換したが、メディア間のデューティー制限値の差異のみを考慮した(35)式によってインク量Ijを変換するようにしてもよい。この場合、発色特性の差異に起因する誤差が生じることとなるが、転用メディアにおける各インクのデューティー制限値を反映させたベースLUT510,520を作成することができる。
図30は、メディア特性指定UI画像を示す図である。同図においては、被転用メディアと転用メディアの発色特性(彩度C*値)が示されている。一般的に、各メディアにデューティー制限値DIj程度のインクを付着させると、それ以上インクを付着させても発色が変動しなくなる。そのため、C*値の傾きの絶対値(|δC*/δIj|)が所定の基準値(≒0)と等しくなるインク量Ijをデューティー制限値DIjとしてもよい。図30の例では、発色特性のグラフにおいて傾きの絶対値(|δC*/δIj|)が基準値と等しくなるインク量Ijにマーカー(白三角)を表示させるようにしている。これにより、ユーザーが、どのインク量Ijにデューティー制限値DIjが設定されるかを認識することができる。図30の例では、ユーザーによるラジオボタンの選択により、デューティー制限値DIjを直接指定することも可能としている。これにより、マーカーの位置が、ユーザーがにじみを感じたカラーパッチのインク量Ijと明らかに異なる場合等にも対応することができる。
上記実施例では、転用メディアのデューティ制限値DIjと被転用メディアの基準デューティ制限値DSIjとの比である正規化比RWを使用して、転用メディアのデューティ制限値DIjを仮デューティ制限値DPIjに変換することとしたが、正規化比RWは他の指標によって定められてもよい。例えば、被転用メディアと転用メディアの発色特性の傾きの絶対値が一定の基準値(≠0)になったときのインク量Ijの比を正規化比RWとしてもよい。
前記実施例では、機器独立表色系としてCIE−Lab表色系を利用していたが、CIE−XYZ表色系やCIE−L*u*v*表色系などの他の任意の機器独立表色系を利用することが可能である。ただし、滑らかな色再現を実現するという意味からは、CIE−Lab表色系やCIE−L*u*v*表色系などの均等色空間である機器独立表色系を用いることが好ましい。
前記実施例では、平滑化処理として力学モデルを利用した処理を採用していたが、他の種類の平滑化処理を採用してもよい。例えば、隣接する色彩値同士の間隔を測定し、その平均値になるべく近づくように個々の間隔を調整する平滑化処理を採用することも可能である。
本明細書において「インク」とは、インクジェットプリンタやオフセット印刷等に用いられる液体状インクに限らず、レーザプリンタに用いられるトナーも含む広い意味で使用されている。このような「インク」の広い意味を有する他の用語としては、「色材」や「着色材」、「着色剤」を用いることも可能である。
前記実施例では、ルックアップテーブルのような色変換プロファイルを作成する方法および装置に関して説明したが、本発明は、こうして得られた色変換プロファイルを印刷装置に組み込む組み込み部を備える印刷装置製造システムにも適用可能である。色変換プロファイルを作成する色変換プロファイル作成装置は、この印刷装置製造システムに含まれるものとしてもよく、他のシステムや装置に含まれるものとしてもよい。なお、この製造システムの組み込み部は、例えば、プリンタドライバのインストーラ(インストールプログラム)として実現することができる。
Claims (8)
- 印刷制御装置であって、
印刷媒体の指定を受け付ける受付工程と、
少なくとも印刷装置に当該印刷装置における印刷環境の設定の良否を判定するための第一テストパターンを上記指定された印刷媒体に印刷させ、第一テストパターンの印刷結果に応じた上記設定の調整を実行する調整工程と、
上記調整工程後において、上記指定された印刷媒体とは異なる基本印刷媒体にインクを付着させたときの画質を評価する目的関数を用いたインク量の最適化によって、機器非依存表色系の格子点が示す色彩値を再現するインク量を決定し、当該決定したインク量を基本印刷媒体におけるインクの発色特性と上記指定された印刷媒体におけるインクの発色特性とに基づく変換関係によって変換したインク量と、所定の入力表色系の格子点との対応関係を規定することにより、上記指定された印刷媒体のための色変換テーブルを生成する色変換テーブル生成工程と、
第二テストパターンを表したデータを上記生成された色変換テーブルにより色変換し、当該色変換後のデータに基づいて、上記印刷装置に第二テストパターンを上記指定された印刷媒体に印刷させ、第二テストパターンの測色値に基づいて上記印刷装置の特性を規定したデバイスプロファイルを生成するプロファイル生成工程と、を実行可能であり、
上記生成されたデバイスプロファイルによる色変換を含む印刷制御処理によって上記印刷装置に実行させた上記指定された印刷媒体への印刷に対する所定の低評価を受け付けた場合には、当該評価の内容に応じて上記調整工程と色変換テーブル生成工程とプロファイル生成工程とのうちいずれか一以上の工程を実行することを特徴とする印刷制御装置。 - 上記色変換テーブル生成工程では、上記印刷装置に第三テストパターンを上記指定された印刷媒体に印刷させ、第三テストパターンの印刷結果に基づいて、上記指定された印刷媒体に付着可能なインク量の制限値および上記指定された印刷媒体における上記発色特性を取得し、上記最適化によってインク量を決定する際のインク量の範囲を当該制限値に基づいて制限することを特徴とする請求項1に記載の印刷制御装置。
- 印刷結果における色味、粒状性および階調性のいずれかに対する低評価を受け付けた場合には、上記プロファイル生成工程を実行し、当該プロファイル生成工程ではデバイスプロファイルの変換特性に影響を与える所定のパラメーターの調整を実行することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の印刷制御装置。
- 上記低評価を受け付けた場合に、第四テストパターンを表したデータを上記色変換テーブルにより色変換し、当該色変換後のデータに基づいて、上記印刷装置に第四テストパターンを上記指定された印刷媒体に印刷させ、第四テストパターンの測色値と所定の基準値とを比較し、当該比較結果に基づいて上記色変換テーブルが規定するインク量を補正するキャリブレーションを実行した上でプロファイル生成工程を実行することを特徴とする請求項3に記載の印刷制御装置。
- 印刷結果に色むらが存在する旨の低評価を受け付けた場合には、上記調整工程を実行し、当該調整工程では、印刷装置が印刷媒体を搬送する際の送り量の設定の良否を判定するための第一テストパターンを印刷させ第一テストパターンの印刷結果に応じて当該送り量を調整する処理、及び又は、印刷装置が備える印刷ヘッドと上記搬送される印刷媒体が載るプラテンとのギャップの設定の良否を判定するための第一テストパターンを印刷させ第一テストパターンの印刷結果に応じて当該ギャップを調整する処理を実行することを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の印刷制御装置。
- 印刷結果に、にじみ及びかすれ、のいずれかが存在する旨の低評価を受け付けた場合には、上記調整工程を実行し、当該調整工程では、印刷画像の乾燥に関する設定の良否を判定するための第一テストパターンを印刷させ第一テストパターンの印刷結果に応じて当該乾燥に関する設定を調整することを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の印刷制御装置。
- 上記調整工程における調整量が所定以上大きい場合には、更に上記プロファイル生成工程を実行するか、或いは上記色変換テーブル生成工程およびプロファイル生成工程を実行することを特徴とする請求項5または請求項6に記載の印刷制御装置。
- コンピューターに印刷装置に対する制御を実行させる印刷制御プログラムであって、
当該コンピューターに、
印刷媒体の指定を受け付ける受付工程と、
少なくとも印刷装置に当該印刷装置における印刷環境の設定の良否を判定するための第一テストパターンを上記指定された印刷媒体に印刷させ、第一テストパターンの印刷結果に応じた上記設定の調整を実行する調整工程と、
上記調整工程後において、上記指定された印刷媒体とは異なる基本印刷媒体にインクを付着させたときの画質を評価する目的関数を用いたインク量の最適化によって、機器非依存表色系の格子点が示す色彩値を再現するインク量を決定し、当該決定したインク量を基本印刷媒体におけるインクの発色特性と上記指定された印刷媒体におけるインクの発色特性とに基づく変換関係によって変換したインク量と、所定の入力表色系の格子点との対応関係を規定することにより、上記指定された印刷媒体のための色変換テーブルを生成する色変換テーブル生成工程と、
第二テストパターンを表したデータを上記生成された色変換テーブルにより色変換し、当該色変換後のデータに基づいて、上記印刷装置に第二テストパターンを上記指定された印刷媒体に印刷させ、第二テストパターンの測色値に基づいて上記印刷装置の特性を規定したデバイスプロファイルを生成するプロファイル生成工程と、を実行させ、
かつ上記コンピューターが、上記生成されたデバイスプロファイルによる色変換を含む印刷制御処理によって上記印刷装置に実行させた上記指定された印刷媒体への印刷に対する所定の低評価を受け付けた場合には、当該評価の内容に応じて上記調整工程と色変換テーブル生成工程とプロファイル生成工程とのうちいずれか一以上の工程を実行させることを特徴とする印刷制御プログラム。
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