JP2010221438A - 印刷装置、印刷方法、および、ルックアップテーブル作成方法 - Google Patents

印刷装置、印刷方法、および、ルックアップテーブル作成方法 Download PDF

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Abstract

【課題】無彩色インクの高解像度印刷を高速に行う。
【解決手段】 各画素の色が入力色空間の色ベクトルで表現された入力画像データを、各画素が複数の種類のインクに関するインク量を有する出力画像データへ色変換し、該出力画像データに基づいて印刷を実行する印刷装置であって、前記色ベクトルを非線形関数によってスカラーに変換する予備変換手段と、前記スカラーと無彩色インクの前記インク量である無彩色インク量との対応関係を規定した第1ルックアップテーブルを参照することにより、前記色ベクトルを前記無彩色インク量に変換する第1色変換手段と、前記色ベクトルと有彩色インクの前記インク量である有彩色インク量との対応関係を規定した第2ルックアップテーブルを参照することにより、前記色ベクトルを前記有彩色インク量に変換する第2色変換手段とを具備する。
【選択図】図5

Description

本発明は、印刷装置、印刷方法、および、ルックアップテーブル作成方法に関する。
プリンターにおいて、K(ブラック)インクは、他のインクよりも使用頻度が高く、かつ、他のインクよりも目立ち易いため、高解像度で印刷を行うことが望ましい。前記文献では、Kインクを吐出するインクノズルを他のインクよりも高密度で配置し、Kインクについて高解像度印刷を行っている。
特開2004−25545号公報
しかしながら、Kインクについて高解像度印刷を行うと、色変換処理やハーフトーン処理が処理すべき画素数が増大し、高速な印刷ができないという問題があった。特に、Kインクを多用する文書等の印刷には高速性が要求されるため、使用者が満足する印刷速度が得られないという問題があった。
本発明は、前記課題にかんがみてなされたもので、無彩色インクの高解像度印刷を高速に行うことを目的とする。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
[適用例1]
各画素の色が入力色空間の色ベクトルで表現された入力画像データを、各画素が複数の種類のインクに関するインク量を有する出力画像データへ色変換し、該出力画像データに基づいて印刷を実行する印刷装置であって、
前記色ベクトルを非線形関数によってスカラーに変換する予備変換手段と、
前記スカラーと無彩色インクの前記インク量である無彩色インク量との対応関係を規定した第1ルックアップテーブルを参照することにより、前記色ベクトルを前記無彩色インク量に変換する第1色変換手段と、
前記色ベクトルと有彩色インクの前記インク量である有彩色インク量との対応関係を規定した第2ルックアップテーブルを参照することにより、前記色ベクトルを前記有彩色インク量に変換する第2色変換手段とを具備する印刷装置。
この構成によれば、前記色ベクトルから無彩色インク量への変換を高速に行うことができる。また、非線形関数を使用してスカラーに変換するため、印刷装置が有する無彩色インクの出力特性に適合した無彩色インク量への変換を行うことができる。
[適用例2]
前記第1色変換手段は、各画素が前記無彩色インク量を有する第1色変換画像データを出力し、
前記第2色変換手段は、各画素が前記有彩色インク量を有する第2色変換画像データを出力するとともに、
前記第1色変換画像データは前記第2色変換画像データよりも高解像度である印刷装置。
この構成によれば、前記無彩色インク量を高解像度で制御することができ、高精細な印刷を実現することができる。解像度は前記第1色変換手段が変換すべき変換回数に反映されるが、各変換が高速に行われるため、全体の処理時間が問題となることはない。
[適用例3]
前記第1ルックアップテーブルにおいては、前記色ベクトルから変換され得るすべての前記スカラーについて対応する前記無彩色インク量が格納される印刷装置。
この構成によれば、前記第1色変換手段が補間演算を行うことを要しないため、より高速な色変換を実現することができる。
[適用例4]
前記第1ルックアップテーブルにおける前記スカラーと前記無彩色インク量との関係がシグモイド関数によって規定される印刷装置。
この構成によれば、シグモイド関数によって前記無彩色インク量を滑らかに変化させることができる。
[適用例5]
各画素の色が入力色空間の色ベクトルで表現された入力画像データを、各画素が複数の種類のインクに関するインク量を有する出力画像データへ色変換する際に参照するルックアップテーブルを作成するルックアップテーブル作成方法であって、
前記色ベクトルをスカラーに変換し、
前記スカラーと、該スカラーを非線形関数に代入して得られる無彩色インクの前記インク量である無彩色インク量と、の対応関係を規定した第1ルックアップテーブルを作成し、
前記色ベクトルと有彩色インクの前記インク量である有彩色インク量と、の対応関係を規定した第2ルックアップテーブルを作成するとともに、
前記第2ルックアップテーブルを作成するにあたり、前記第1ルックアップテーブルに基づく前記無彩色インク量と組み合わせて印刷を行ったときに最適な印刷結果となるように前記有彩色インク量を最適化することを特徴とするルックアップテーブル作成方法。
この構成によれば、前記印刷装置において使用される前記第1ルックアップテーブルと前記第2ルックアップテーブルを準備しておくことができる。
なお、本発明は、種々の形態で実現することが可能であり、例えば、印刷装置および方法、そのためのルックアップテーブル作成方法および装置、ルックアップテーブルを印刷装置に組み込む印刷装置の製造方法および製造システム、それらの方法または装置の機能を実現するためのコンピュータプログラム、そのコンピュータプログラムを記録した記録媒体等の形態で実現することができる。
本発明の一実施例におけるプリンターの構成を示すブロック図である。 プリンターの印刷方式を説明する模式図である。 プリンターのソフトウェア構成を示すブロック図である。 印刷処理を示すフローチャートである。 色変換処理およびハーフトーン処理を説明する模式図である。 本発明の一実施例におけるルックアップテーブル作成装置の構成を示すブロック図である。 実施例の全体処理手順を示すフローチャートである。 図7のステップS100〜S300によって3D−LUTを作成する場合の処理内容を示す説明図である。 入力表色系であるRGB表色系の色点とL***表色系の色点との対応関係を示す説明図である。 1D−LUT作成処理を示すフローチャートである。 Kインク量を設定するシグモイド関数を示すグラフである。 実施例のスムージング処理に利用される力学モデルを示す説明図である。 スムージング処理の典型的な処理手順を示すフローチャートである。 図13のステップT100の詳細手順を示すフローチャートである。 図13のステップS120〜S150の処理内容を示す説明図である。 最適化処理(図13のステップT130)の詳細手順を示すフローチャートである。
次に、本発明の実施の形態を以下の順序で説明する。
A.印刷装置の構成:
B.印刷処理:
C.LUT作成装置の構成と全体的なLUT作成処理手順:
D.1D−LUTの作成処理手順:
E.力学モデル:
F.スムージング処理(平滑化/最適化処理)の処理手順:
G.最適化処理の内容:
H.変形例:
A.印刷装置の構成:
図1は、本発明の一実施形態にかかるプリンター10の構成を示している。同図において、プリンター10はCPU13とRAM14とROM15とメモリーカードスロット20とバス21とASIC22を備えている。ROM15に記憶されたプログラムデータ15aをRAM14に展開しつつCPU13がプログラムデータ15aにしたがった演算を行うことによりプリンター10を制御するためのファームウェアFWが実行される。ファームウェア)は、メモリーカードスロット20に装着されたメモリーカードMCに記憶された印刷データPDに基づいて駆動データを生成する。ASIC22は駆動データを取得し、紙送り機構17やキャリッジモータ18や印刷ヘッド19の駆動信号を生成する。ROM15においては、1D−LUT15bと3D−LUT15cとが記憶されている。1D−LUT15bは本発明の第1プロファイルに相当し、3D−LUT15cは本発明の第2プロファイルに相当する。プリンター10はキャリッジ21を備えており、キャリッジ11がキャリッジ11はインクカートリッジ12,12・・・が取り付け可能なカートリッジホルダー11a,11a・・・を備えている。そして、各インクカートリッジ12,12・・・をカートリッジホルダー11a,11a・・・に挿入して固定することができる。
本実施形態においてカートリッジホルダー11a,11a・・・は4個備えられているものとし、カートリッジホルダー11a,11a・・・にシアン(C)インクとマゼンタ(M)インクとイエロー(Y)インクとブラック(K)インクのインクカートリッジ12,12・・・が取り付けられる。なお、CMYインクは本発明の有彩色インクに相当し、Kインクは本発明の無彩色インクに相当する。キャリッジ11は、インクカートリッジ12,12・・・から供給されるインクを多数のインクノズルNzから吐出する印刷ヘッド19を備えている。
図2は、本実施形態のプリンター10の印刷方式を模式的に示している。同図において、プリンター10は、CMYKのインクごとに複数のノズルNz・・・を備えた印刷ヘッド19を備えており、ノズルNz・・・が吐出するインク量をCMYKごとに制御する処理が駆動データに基づいて行われる。本実施形態では、KインクのインクノズルNzの主走査方向/副走査方向に関する配置個数および配置密度が他のCMYインクのインクノズルNzの倍となっている。すなわち、Kインクについては他のCMYインクの倍の印刷解像度(ドット形成密度)を有することとなる。本実施形態では、CMYインクについては1440×1440dpiとなり、Kインクについてはその倍の2880×2880dpiとなるような印刷解像度が指定されたものとする。なお、必ずしもKインクのノズルNz・・・を主走査方向/副走査方向に関して高密度で配置する必要はなく、Kインクの吐出頻度を他のインクよりも大きくする等してKインクを高解像度で印刷するようにしてもよい。各ノズルNz・・・が吐出したインク滴は印刷用紙上において微細なドットとなり、多数のドットの集まりによって各インク量Ijに応じたインク被覆率の印刷画像が印刷用紙上に形成されることとなる。なお、各インクのインク量をIjと表すものとし、下付文字jは各インクの種類を識別するための自然数(j=1〜4)とする。ここで、j=1がCインクに対応し、j=2がMインクに対応し、j=3がYインクに対応し、j=4がKインクに対応する。本明細書において、各インク量Ijに基づいて印刷することは、各インク量Ijに応じたインク被覆率の画像が印刷用紙上に再現されることを意味する。本実施形態におけるプリンター10はインクジェット方式のプリンターであるが、インクジェット方式の他にも種々のプリンターに対して本発明を適用可能である。なお、本実施形態において、各インク量Ijは0〜255の8ビットで与えられるものとする。
図3は、ファームウェアFWのソフトウェア構成を示している。ファームウェアFWは、画像データ取得部FW1とレンダリング部FW2と色変換部FW3とハーフトーン部FW4とラスタライズ部FW5とから構成されている。さらに、色変換部FW3は、第1色変換部FW3aと第2色変換部FW3bとから構成されている。画像データ取得部FW1は、メモリーカードMCに記憶された印刷データPDを印刷対象として取得する。印刷データPDは、文書データやグラッフィックデータであってもよいし、写真画像データであってもよい。レンダリング部FW2は、印刷データPDに基づいて印刷に使用する入力画像データIDを生成する。入力画像データIDは、Kインクの印刷解像度(2880×2880dpi)に対応した画素数(印刷解像度×印刷実サイズ)の画素で構成されており、各画素が8ビット(0〜255)のRGB値で表現された色情報を有している。本実施例において、入力色空間はRGB色空間であり、RGB値の組み合わせはRGB色空間において色を表す色ベクトルである。
色変換部FW3は、入力画像データIDを取得し、該入力画像データIDを色変換する。具体的には、各画素のRGB値を順次CMYKインクの各インク量Ijに変換する。第1色変換部FW3aは各画素のRGB値をKインクのインク量I4に変換し、第2色変換部FW3bは各画素のRGB値をCMYインクのインク量I1,I2,I3に変換する。その際に、第1色変換部FW3aは1D−LUT15bを参照し、第2色変換部FW3bは3D−LUT15cを参照する。また、第2色変換部FW3bは、RGB値を各インク量I1,I2,I3に変換する際に、3D−LUT15cを参照しつつ補間演算を実行する。ハーフトーン部FW4は、1色変換部FW3aが出力したKインクのインク量I4および第2色変換部FW3bが出力したCMYインクのインク量I1,I2,I3に対してハーフトーン処理を実行する。ラスタライズ部FW5は、ハーフトーン処理後のハーフトーンデータの各画素(吐出可否)を印刷ヘッド19の各主走査および各インクノズルNzに割り当て、駆動データを生成する。駆動データはASIC22に出力され、ASIC22が紙送り機構17やキャリッジモータ18や印刷ヘッド19の駆動信号を生成する。これにより、印刷が実行される。
B.印刷処理:
図4は、印刷処理の流れを示している。ステップP100において、画像データ取得部FW1は、メモリーカードMCに記憶された印刷データPDを印刷対象として取得する。ステップP110において、レンダリング部FW2は、印刷データPDに基づいて印刷に使用する入力画像データIDを生成する。印刷データPDに含まれるレイアウト情報や描画コマンドに基づいて、RGB値を有する各画素で構成されたビットマップデータを生成し、さらにKインクの印刷解像度(2880×2880dpi)に対応するように解像度変換を行うことにより、入力画像データIDを生成する。上述したとおり、インクノズルNzの配置個数と密度の差から、Kインクは他のCMYインクの倍の印刷解像度となるため、入力画像データIDはCMYインクの印刷解像度の倍の解像度となる。ステップP130において、色変換部FW3は、入力画像データIDを取得し、該入力画像データIDを色変換する。
図5は、色変換処理およびハーフトーン処理の流れを模式的に示している。まず、ステップP130aにおいて、第1色変換部FW3aは、入力画像データIDの一の画素を選択する。ステップP130bにおいて、本発明の予備変換手段としての第1色変換部FW3aは、該選択した画素のRGB値を取得し、該RGB値を逆輝度値Brに予備変換する。RGB値は、R階調とG階調とB階調の各要素を有し、RGB色空間の任意座標を表す色ベクトルであるが、ステップP130bでは下記(1)(2)式により、該色ベクトルをスカラーとしての逆輝度値Brに変換する。逆輝度値Brは、0〜1に正規化した輝度値を1から減算した値であり、値が1に近いほど暗く、値が0に近いほど明るいことを表すスカラーである。
Figure 2010221438

Figure 2010221438

ステップP130cにおいて、第1色変換部FW3aは1D−LUT15bを参照し、逆輝度値Brに対応するKインクのインク量I4を取得する。
図5においては、1D−LUT15bが示されている。1D−LUT15bにおいては、各逆輝度値Brの各値と、Kインクのインク量I4の各値との対応関係が規定されている。本実施例では、RGB各8ビットであるため、組み合わせられ得る2563個の逆輝度値BrについてKインクのインク量I4を格納すればよい。従って、1D−LUT15bは補間演算を行うことなく、Kインクのインク量I4を取得することができる。ステップP130dにおいて、第1色変換部FW3aはすべての画素を選択したか否かを判定し、すべて選択していない場合には、ステップP130aにて次の画素を選択する。一方、すべての画素を選択した場合には、Kインクのインク量I4への色変換処理は終了する。これにより、Kインクの印刷解像度に対応した画素数の画素で構成され、各画素がKインクのインク量I4を有する色変換画像データCD1が生成されることとなる。
次に、ステップP130eにおいて、第2色変換部FW3bは、入力画像データIDの縦および横方向の画素数を半分(全体の個数では4分の1)にサイズ変換(縮小)する。ここでは、単純間引きを行ってもよいし、周辺画素のRGB値に基づく補間を行ってもよい。予め、CMYインクの印刷解像度の倍の解像度に対応する画素数で入力画像データIDが生成されているため、入力画像データIDを半分にサイズ変換することにより、入力画像データIDの画素数がCMYインクの本来の印刷解像度に一致することとなる。ステップP130fにおいて、第2色変換部FW3bは、サイズ変換後の入力画像データIDの一の画素を選択する。ステップP130gにおいて、第2色変換部FW3bは、該選択した画素のRGB値を取得し、該RGB値をCMYインクのインク量I1,I2,I3へ変換する。具体的には、3D−LUT15cを参照しつつ補間演算を行うことにより、RGB値をCMYインクのインク量I1,I2,I3に変換する。
図5においては、3D−LUT15cを模式的に示している。3D−LUT15cにおいては、RGB色空間に分布する173個の入力格子点についてRGB値とCMYインクのインク量I1,I2,I3の対応関係が規定されている。第2色変換部FW3bは、RGB値を取得すると、RGB空間において格子線に区画されたいずれの小空間にRGB値が属するかを特定し、該小空間の頂点を構成する各格子点に対応付けられたCMYインクの各インク量I1,I2,I3を線形結合(線形補間)することにより、該RGB値に対応するCMYインクのインク量I1,I2,I3を算出する。線形結合する際の重みは、RGB色空間における該RGB値と小空間の各頂点との位置関係に基づいて設定される。例えば、該RGB値および小空間の各頂点によって区画される4面体や6面体の体積に基づいて重みを設定する。このようにすることにより、3D−LUT15cのデータ容量を抑制しつつ、任意のRGB値をCMYインクのインク量I1,I2,I3に変換することができる。ステップP130hにおいて、第2色変換部FW3bはすべての画素を選択したか否かを判定し、すべて選択していない場合には、ステップP130fにて次の画素を選択する。一方、すべての画素を選択した場合には、色変換処理は終了する。これにより、CMYインクの印刷解像度に対応した画素数の画素で構成され、各画素がCMYインクのインク量I1,I2,I3を有する色変換画像データCD2〜CD4が生成されることとなる。以上のようにして、色変換処理が完了すると、ステップP140においてハーフトーン部FW4がハーフトーン処理を実行する。
ステップP130の色変換処理によって、各画素がKCMYインクのインク量I4,I1,I2,I3とを有する色変換画像データCD1〜CD4が得られている。上述したとおり、各画素がKインクのインク量I4を有する色変換画像データCD1は、他のCMYインクの色変換画像データCD2〜4の倍の印刷解像度に対応する画素数(画素数としては4倍)を有している。ステップP140a〜P140dにおいては、色変換後の各色変換画像データCD1〜CD4について順次ハーフトーン処理を実行する。例えば、ディザ法や誤差拡散法を順次行うことにより、色変換画像データCD1〜CD4は、それぞれ2値化され、ハーフトーンデータHD1〜HD4に変換される。むろん、誤差拡散法を適用してもよい。なお、ハーフトーンデータHD1〜HD4においても、KインクのハーフトーンデータHD1が他のハーフトーンデータHD2〜HD4の4倍の画素数を有することとなる。
ステップP150においては、ラスタライズ部FW5は、ハーフトーン処理後のハーフトーンデータHD1〜HD4の各画素(吐出可否を示す2階調)を印刷ヘッド19の各主走査および各インクノズルNzに割り当て、駆動データを生成する。KインクのハーフトーンデータHD1が他のハーフトーンデータHD2〜HD4の4倍の画素数となっているが、KインクのインクノズルNzの主走査方向/副走査方向に関する配置個数および密度が他のCMYインクの倍であるため、各インクの印刷サイズが整合する。ラスタライズ処理後の駆動データは、ステップP160にてASIC22に出力され、ASIC22が紙送り機構17やキャリッジモータ18や印刷ヘッド19の駆動信号を生成する。これにより、印刷が実行される。これにより、色変換画像データCD1〜CD4におけるCMYKインクのインク量Ijに対応するインク量のインクが印刷媒体上に吐出され、入力画像データIDに対応する画像が印刷媒体上に形成されることとなる。
以上説明したように、本実施形態では、Kインクについては印刷解像度が他のCMYインクよりも大きくされるため、文字などを高精細に印刷することができる。3D−LUT15cによるCMY階調への色変換においては補間演算がともなうが、画素数を少なくした上でCMY階調への色変換が行われるため、処理負荷は軽減できる。一方、Kインクのインク量I4への色変換は多数の画素について行うこととなるが、前記(1)(2)式の簡易な演算と、1D−LUT15bを参照するだけでよいため、処理負荷を軽減することができる。従って、プリンター10のCPU13やRAM14の処理能力・記憶容量を大規模としなくても、スムーズに印刷処理を実行することができる。
C.LUT作成装置の構成と全体的なLUT作成処理手順:
図6は、本発明の一実施例におけるルックアップテーブル作成装置の構成を示すブロック図である。この装置は、3D−LUT作成モジュール100と、1D−LUT作成モジュール200と、フォワードモデルコンバーター300と、LUT格納部400と、を備えている。「LUT」は、ルックアップテーブルの略語である。これらのモジュール100,200やコンバーター300の機能は、メモリに格納されたコンピュータプログラムをコンピュータが実行することによってそれぞれ実現される。また、LUT格納部400は、ハードディスク装置などの記録媒体によって実現される。
3D−LUT作成モジュール100は、スムージング処理初期値設定モジュール120と、スムージング処理モジュール130と、テーブル作成モジュール140とを有している。スムージング処理モジュール130は、色点移動モジュール132と、インク量最適化モジュール134と、画質評価指数算出モジュール136と、Kインク量取得モジュール137を有している。1D−LUT作成モジュール200は、逆輝度変換モジュール210と変換関数設定モジュール220とテーブル作成モジュール240とを有している。フォワードモデルコンバーター300は、分光プリンティングモデルコンバーター310と、色算出部320とを備えている。これらの各部の機能については後述する。
LUT格納部400は、1D−LUT15b,3D−LUT15cなどを格納するためのものである。3D−LUT15cは、RGB表色系を入力とし、インク量を出力とする色変換ルックアップテーブルである。なお、「1D」や「3D」は、入力値の数を意味している。3D−LUT15cの入力表色系であるRGB表色系は、いわゆる機器依存表色系では無く、特定のデバイスとは無関係に設定された仮想の表色系(あるいは抽象的な表色系)である。
図7は、実施例の全体処理手順を示すフローチャートである。図7のステップS50において、1D−LUT15bを作成し、その後、図7のステップS100〜S300によって3D−LUT15cを作成する。上述したとおり、1D−LUT15bにおいては、任意のRGB値を前記(1)、(2)式に代入して得られる逆輝度値BrとKインクのインク量I4との対応関係が格納されている。
図8(A)〜(C)は、図7のステップS100〜S300によって3D−LUT15cを作成する場合の処理内容を示す説明図である。ステップS100では、フォワードモデルコンバーター300が準備される。ここで、「フォワードモデル」とは、インク量を機器独立表色系の色彩値(測色値)に変換する変換モデルを意味している。実施例では、機器独立表色系としてCIE−L***表色系を使用する。なお、以下では、CIE−L***表色系の色彩値を、単に「L***値」または「Lab値」とも呼ぶ。
図8(A)に示すように、フォワードモデルコンバーター300の前段を構成する分光プリンティングモデルコンバーター310は、複数種類のインクのインク量を、そのインク量に応じて(プリンター10によって)印刷されるカラーパッチの分光反射率R(λ)に変換する。なお、本明細書において「カラーパッチ」という用語は、有彩色のパッチに限らず、無彩色のパッチも含む広い意味で使用される。本実施例では、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の4種類のインクを利用可能なカラープリンタを想定しており、分光プリンティングモデルコンバーター310もこの4種類のインクのインク量Ijを入力としている。ただし、プリンターで使用する複数種類のインクとしては、任意のインクセットを利用することが可能である。色算出部320は、分光反射率R(λ)からL***表色系の色彩値を算出する。この色彩値の算出には、予め選択された光源(例えば標準の光D50)がカラーパッチの観察条件として使用される。なお、分光プリンティングモデルコンバーター310を作成する方法としては、例えば特表2007−511175号公報に記載された方法を採用することが可能である。
図7のステップS200では、3D−LUT作成のための初期入力値がユーザによって設定される。図8(B)は、3D−LUT15cの構成とその初期入力値設定の例を示している。3D−LUT15cの入力値としては、RGBの各値として予め定められたほぼ等間隔の値が設定される。1組のRGB値はRGB色空間内の点を表していると考えられるので、1組のRGB値を「入力格子点」とも呼ぶ。本実施例では、RGB軸をそれぞれ16分割する直行格子の交点を入力格子点(173個)とする。ステップS200においては、複数の入力格子点のうちから予め選択されたいくつかの少数の入力格子点に対するインク量の初期値(初期入力インク量)がユーザによって入力される。この初期入力インク量が設定される入力格子点としては、RGB色空間における3次元色立体の頂点に相当する入力格子点を少なくとも選択することが好ましい。この3次元色立体の頂点では、RGBの各値がその定義範囲の最小値または最大値を取る。具体的には、(R,G,B)=(0,0,0)、(0,0,255)、(0,255,0)、(255,0,0)、(0,255,255)、(255,0,255)、(255,255,0)、(255,255,255)である8つの入力格子点に関して初期入力インク量が設定される。なお、(R,G,B)=(255,255,255)の入力格子点に対するインク量は、すべて0に設定される。他の入力格子点に対する初期入力インク量は任意であり、例えば0に設定される。
図7のステップS300では、スムージング処理モジュール130(図6)が、ステップS200で設定された初期入力値に基づいてスムージング処理(平滑化/最適化処理)を実行する。スムージング処理の最初の段階において、ステップS200で設定されたRGB色空間内の各初期入力値(ステップS200にて初期入力インク量が入力された少数の初期入力値以外)について初期インク量I j(R,G,B)をスムージング処理初期値設定モジュール120(図6)によって設定する。ただし、Kインクについての初期インク量I4(R,G,B)については、各初期入力値(RGB値)を前記(1)式、(2)式および1D−LUT15bによって変換したものを適用する。スムージング処理(平滑化/最適化処理)において、Kインクについての初期インク量I4(R,G,B)は最適化の対象から除外され、図8(B)に示すように初期インク量I4(R,G,B)がスムージング処理(平滑化/最適化処理)の終了まで維持される。他のCMYインクについては、スムージング処理(平滑化/最適化処理)において、インク量I1,I2,I3が最適化するように変動させられる。図8(C)は、ステップS300の処理内容を示している。図8(C)の左側には、スムージング処理前の状態における複数の色点の分布が2重丸と白丸とで示されている。これらの色点は、L***空間における3次元色立体CSを構成している。各色点のL***座標値は、3D−LUT15cの複数の入力格子点におけるインク量を、フォワードモデルコンバーター300(図8(A))を用いてL***値に変換した値である。
***表色系の3次元色立体CSは、以下の8つの頂点(図8(C)の2重丸の点)を有している。
・点PK:(R,G,B)=(0,0,0)に対応する紙黒点。
・点PW:(R,G,B)=(255,255,255)に対応する紙白点。
・点PC:(R,G,B)=(0,255,255)に対応するシアン点。
・点PM:(R,G,B)=(255,0,255)に対応するマゼンタ点。
・点PY:(R,G,B)=(255,255,0)に対応するイエロー点。
・点PR:(R,G,B)=(255,0,0)に対応するレッド点。
・点PG:(R,G,B)=(0,255,0)に対応するグリーン点。
・点PB:(R,G,B)=(0,0,255)に対応するブルー点。
図8(C)の右側は、スムージング処理後の色点の分布を示している。スムージング処理は、L***空間における複数の色点を移動させて、それらの色点の分布を等間隔に近い平滑なものにする処理である。スムージング処理では、さらに、移動後の各色点のL***値を再現するために最適なCMYインクのインク量I1,I2,I3も決定される。一方、Kインクのインク量I4は、1D−LUT15bによって、すでに確定しているため、Kインクのインク量I4は最適化の対象と成らない。すなわち、すでに確定しているKインクのインク量I4を使用した上で、移動後の各色点のL*a*b*値を再現可能であり、かつ、最適なCMYインクのインク量I1,I2,I3が探索される。この最適なCMYインクのインク量I1,I2,I3が3D−LUT15cの出力値として登録されると、3D−LUT15cが完成する。
図9(A)〜(C)は、入力表色系の色点(すなわち入力格子点)とL***表色系の色点との対応関係を示している。L***表色系の3次元色立体CSの頂点は、3D−LUT15cの入力表色系の3次元色立体の頂点と一対一に対応している。また、各頂点を結ぶ辺(稜線)も、両方の色立体で互いに対応しているものと考えることができる。スムージング処理前のL***表色系の各色点は、3D−LUT15cの入力格子点にそれぞれ対応付けられており、従って、スムージング処理後のL***表色系の各色点も3D−LUT15cの入力格子点にそれぞれ対応付けられる。なお、3D−LUT15cの入力格子点はスムージング処理によって変化しない。スムージング処理後のL***表色系の3次元色立体CSは、3D−LUT15cの出力表色系を構成するインクセットで再現可能な色域(カラーガマット)の全体に対応している。従って、3D−LUT15cの入力表色系は、このインクセットで再現可能な色域の全体を表す表色系としての意義を有している。
3D−LUT15cを作成する際に、L***空間においてスムージング処理を行う理由は以下の通りである。3D−LUT15cでは、なるべく大きな色域を再現できるように出力表色系のインク量を設定したいという要望がある。特定のインクセットで再現可能な色域は、インクデューティ制限(一定面積に吐出可能なインク量の制限)などの所定の制限条件を考慮して決定される。一方、上述したフォワードモデルコンバーター300は、これらの制限条件が考慮されておらず、再現可能な色域とは無関係に作成されている。そこで、スムージング処理の際にインクデューティ制限等の制限条件を考慮してL***空間内の色点の取り得る範囲を決定すれば、特定のインクセットで再現可能な色域を決定することが可能となる。なお、色点の移動を行うアルゴリズムとしては、例えば、後述する力学モデルを使用したものが利用される。
図7のステップS400では、スムージング処理の結果を用いて、テーブル作成モジュール140が3D−LUT15cを作成する。すなわち、テーブル作成モジュール140は、各入力格子点に対応付けられたL***表色系の色点を再現するための最適なインク量を3D−LUT15c(図8(C))の出力値として登録する。なお、スムージング処理では、その計算負荷を軽減するために、3D−LUT15cの入力格子点の一部のみに対応する色点のみを処理対象として選択することも可能である。例えば、3D−LUT15cの入力格子点におけるRGB値の間隔が16である場合に、スムージング処理の対象となる入力格子点におけるRGB値の間隔を32に設定すれば、スムージング処理の負荷を半減することができる。この場合には、テーブル作成モジュール140は、スムージング処理結果を補間することによって3D−LUT15cのすべての入力格子点に対するインク量を決定して登録する。以下では、実施例のスムージング処理(平滑化/最適化処理)に利用される力学モデルについて簡単に説明した後に、スムージング処理の処理手順、および、最適化処理の内容について順次説明する。
D.1D−LUTの作成処理手順:
図10は、図7のステップS50における1D−LUT作成処理のフローチャートである。ステップS52において、1D−LUT作成モジュール200の変換関数設定モジュール220は、三次元の色ベクトルであるRGB値を一次元のスカラーに変換するための変換関数を設定する。本実施例では、上述した(1)、(2)式に示すように、前記スカラーとしての逆輝度値Brを算出する変換関数を設定する。ステップS54においては、逆輝度値BrをKインクのインク量I4に変換するための変換関数を設定する。
図11は、ステップS54において設定される変換関数の一例、および、設定手順を示している。本実施形態では、Kインクのインク量I4は、逆輝度値Br(0〜1)のシグモイド関数(変換関数)によって定義されている。当該シグモイド関数は、下記(3)式によって表される。
Figure 2010221438

ここで、KDutyはKインクの使用量の上限に対応するKインクのインク量I4であり、例えばKインクのインク物性や印刷媒体の物性によって決定される値である。aは、シグモイド関数の振幅を微調整するためのパラメータであり、aを1に近い範囲で調整することにより、シグモイド関数の振幅はKDutyを中心として微調整される。ksはシグモイド関数の傾きを調整するパラメータである。逆輝度値Brの増加とともに(暗くなるほど)Kインクのインク量I4を増加させる必要があるため、ksは正値となる。x1とy1は、シグモイド関数の中心位置(対称点)の位置をそれぞれBr軸方向とインク量I4軸方向に調整するパラメータである。ステップS54において、上述したパラメータa,ks,x1,b,y1は、シグモイド関数の最大値がKDuty以下となるように設定される。また、ステップS54において、上述したパラメータa,ks,x1,b,y1は、点PRに対応するKインクのインク量I4が0となるように設定される。
図8(C)に示すように、点PRと点PGと点PBはカラーガマットの頂点を構成するが、このような頂点が示す色を印刷する際にKインクが吐出されると、色がくすんでカラーガマットが狭くなってしまう。点PRと点PGと点PBのうち、前記(1)式による逆輝度値Brが最も大きくなるのは、点PRである。シグモイド関数は単調減少関数であるため、点PRの逆輝度値Brに対するシグモイド関数の出力値が0となるようにすれば、他の点PGと点PBに対応する逆輝度値Brに対してもシグモイド関数の出力値が0となることが保証できる。そのため、点PRの逆輝度値Brをシグモイド関数に代入したときの出力値が0とならない場合には、例えばパラメータbやパラメータaを小さくする等してシグモイド関数を再調整する。なお、点PRの逆輝度値Brをシグモイド関数に代入したときの出力値が厳密に0である必要はなく、出力値を量子化したときにインク量I4が0となる範囲であればよい。例えば、四捨五入する場合には0.5未満であればよい。
以上のようにして、前記(3)式のシグモイド関数が設定できると、ステップS56にて、逆輝度変換モジュール210が各逆輝度値Brを順次前記(3)式に代入し、Kインクのインク量I4を算出する。そして、ステップS58において、テーブル作成モジュール240は、算出されたKインクのインク量I4を8ビットに量子化し、逆輝度値Brとインク量I4との対応関係を1D−LUT15bに格納する。シグモイド関数に基づく1D−LUT15bによれば、Kインクによる滑らかな階調性を実現することができる。
E.力学モデル:
図12は、実施例のスムージング処理(平滑化/最適化処理)に利用される力学モデルを示す説明図である。ここでは、L***色空間内に複数の色点(白丸および2重丸)が配列されている様子を示している。ただし、ここでは説明の便宜上、色点の配置を2次元的に描いている。この力学モデルでは、着目色点gに対して次式の仮想的な力Fpgが係るものと仮定する。
Figure 2010221438

ここで、Fgは着目色点gが隣接色点gn(nは1〜N)から受ける引力の合計値、Vgは着目色点gの速度ベクトル、−kvgは速度に応じた抵抗力、Xgは着目色点gの位置ベクトル、Xgnは隣接色点gnの位置ベクトル、kp,kgは係数である。係数kp,kgは予め一定の値に設定される。なお、文中では、ベクトルを示す矢印は省略される。
このモデルは、バネで互いに結ばれた質点の減衰振動モデルである。すなわち、着目色点gに係る仮想合力Fpgは、着目色点gと隣接色点gnとの距離が大きいほど大きくなるバネ力Fgと、着目色点gの速度が大きいほど大きくなる抵抗力−kvgとの合計値である。この力学モデルでは、各色点について、位置ベクトルXgと速度ベクトルFgの初期値を設定した後に、微少時間経過の位置ベクトルXgと速度ベクトルFgを順次算出してゆく。なお、複数の色点の速度ベクトルVgの初期値は、例えば0に設定される。このような力学モデルを利用すれば、各色点が徐々に移動して、平滑な色点分布を得ることが可能である。
なお、各色点に係る力としては、バネ力Fgと抵抗力−kvg以外の力を用いても良い。例えば、本出願人により開示された特開2006−197080号公報で説明されている他の種々の力をこの力学モデルで利用してもよい。また、力学モデルを適用して各色点を移動させる際に、特定の色点は、力学モデルによって移動しない拘束点として取り扱うことも可能である。
F.スムージング処理(平滑化/最適化処理)の処理手順:
図13は、スムージング処理(図7のステップS300)の典型的な処理手順を示すフローチャートである。ステップT100では、スムージング処理初期値設定モジュール120(図6)が、スムージング処理の対象とする複数の色点を初期設定する。
図14は、ステップT100の詳細手順を示すフローチャートである。ステップT102において、スムージング処理初期値設定モジュール120は、初期入力インク量(図8(B))から、スムージング処理の対象となる各色点の各インクの初期インク量を決定する。例えば、3D−LUT用のスムージング処理では、次の(5)式、(6)式に従って、各入力格子点に対する初期インク量I j(R,G,B)が決定される。
Figure 2010221438

Figure 2010221438

ここで、I j(R,G,B)は、入力格子点のRGB値に対するインクセット全体のインク量を表している。ここでも下付文字jは、インクの種類を示す1〜4の自然数を表す。RGB値が0または255を取る入力格子点に対するインク量は、図5のステップS200においてユーザによって予め入力された初期入力インク量である。前記(5)式および(6)式によれば、いわゆる6面体補間により、任意のRGB値における初期インク量I j(R,G,B)を求めることできる。
図14のステップT104では、Kインク量取得モジュール137が各入力格子点のRGB値を前記(1)式、(2)式に代入することにより、逆輝度値Brを算出する。そして、Kインク量取得モジュール137は、該逆輝度値Brに対応するKインクのインク量I4を1D−LUT15bを参照して取得し、該取得したインク量I4によってKインクの初期インク量I4(R,G,B)を置き換える。すなわち、Kインクについては、前記(1)式、(2)式および1D−LUT15bに基づく値とする。
図14のステップT106では、フォワードモデルコンバーター300を用いて、初期インク量I j(R,G,B)に対応する色彩値L***を求める。この演算は、以下の(7)式で表すことができる。
Figure 2010221438

ここで、L* (R,G,B)、a* (R,G,B)、b* (R,G,B)は変換後の色彩値L***を示しており、関数fL*FM、fa*FM、fb*FMはフォワードモデルコンバーター300による変換を意味している。なお、これらの式からも理解できるように、この変換後の色彩値L***は、3D−LUT15cの入力値であるRGB値に対応付けられている。なお、インク量Ij(I j(R,G,B),ΔIj,Ijr,hjも含む)を下付文字jを付すことなく示す場合は、各インク(j=1〜4またはj=1〜3)のインク量Ijを各行要素として有する行列(ベクトル)を意味することとする。
上述のステップT100の処理の結果、スムージング処理の対象となる色点について、以下の初期値が決定される。
(1)ベースLUTの入力格子点の値:(R,G,B)
(2)各入力格子点に対応するL***空間の色点の初期座標値:(L* (R,G,B),a* (R,G,B),b* (R,G,B)
(3)各入力格子点に対応する初期インク量:I j(R,G,B)
以上の説明から理解できるように、初期値設定モジュール120は、代表的な入力格子点に関する入力初期値から他の入力格子点に関する初期値を設定する機能を有している。初期インク量I j(R,G,B)のうちKインクのI4(R,G,B)については前記(1)式、(2)式および1D−LUT15bに基づく値とされる。なお、初期値設定モジュール120は、スムージング処理モジュール130に含まれるものとしてもよい。図13のステップT120では、色点移動モジュール132が、上述した力学モデルに従ってL***空間内の色点を移動させる。
図15(A)〜(D)は、図13のステップT120〜T150の処理内容を示す説明図である。図15(A)に示すように、スムージング処理前には、色点の分布にはかなりの偏りがある。図15(B)は、微少時間経過後の各色点の位置を示している。この移動後の各色点のL***値を「ターゲット値LABt」と呼ぶ。「ターゲット」という修飾語は、この値LABtが、以下で説明するインク量の最適値の探索処理の際の目標値として使用されるからである。
ステップT130では、インク量最適化モジュール134が、予め設定された目的関数Eを用いて、ターゲット値LABtに対するインク量Ijの最適値を探索する(図15(C)参照)。ただし、Kインクのインク量I4については最適化を行わず、初期インク量I4(R,G,B)のままとする。すなわち、前記(1)式、(2)式および1D−LUT15bに基づく値が維持される。この目的関数Eを用いた最適化では、力学モデルで微少量だけ移動した後の色点の座標値LABtに近いL***値を再現するインク量Ijの中で、複数のパラメータΔL*,Δa*,ΔGI,ΔCII,ΔTIの2乗誤差の和がなるべく小さいインク量が最適なインク量として決定される。また、最適なインク量の探索は、ステップT100で設定された各入力格子点の初期インク値I j(R,G,B)から開始される。従って、探索で得られるインク量は、この初期インク量I j(R,G,B)を修正した値となる。後で詳述するように、(EQ1)式で与えられる目的関数Eは、(EQ2)式のようなインク量ベクトルIに関する2次形式の関数として書き表すことができる。インク量の最適化は、このような2次形式の目的関数Eを用いて、2次計画法に従って実行される。なお、ステップT130の詳細手順や目的関数Eの内容については後述する。
図13のステップT140では、ステップT130で探索されたインク量Ijに対応するL***値が、フォワードモデルコンバーター300で再計算される(図15(D)参照)。ここで、L***値を再計算する理由は、探索されたインク量Ijが目的関数Eを最小とするインク量なので、そのインク量Ijで再現されるL***値は、最適化処理のターゲット値LABtから多少ずれているからである。こうして再計算されたL***値が、各色点の移動後の座標値として使用される。
ステップT150では、各色点の座標値の移動量の平均値(ΔLab) aveが、予め設定された閾値ε以下であるか否かが判定される。移動量の平均値(ΔLab) aveが閾値εよりも大きい場合には、ステップT120に戻りステップT120〜T150のスムージング処理が継続される。一方、移動量の平均値(ΔLab) aveが閾値ε以下の場合には、色点の分布が十分に平滑になっているので、スムージング処理が終了する。なお、閾値εは、予め適切な値が実験的に決定される。
このように、本実施例の典型的なスムージング処理(平滑化/最適化処理)では、力学モデルによって各色点を微少時間間隔毎に移動させつつ、移動後の色点に対応する最適なインク量を最適化手法で探索する。そして、色点の移動量が十分に小さくなるまでそれらの処理が継続される。この結果、図8(C)に示したように、スムージング処理によって、平滑な色点分布を得ることが可能である。
G.最適化処理の内容:
最適化処理の目的関数E(図15(C)参照)は、インク量Ijの関数である色彩値(L***値)および画質評価指数に関するヤコビ行列Jを用いて表現することが可能である。ヤコビ行列Jは、例えば以下の(8)式で表される。
Figure 2010221438
(8)式の右辺の第1行〜第3行は、色彩値L***をCMYインクのインク量Ij(j=1〜3)で偏微分した値を示している。本実施例では、Kインクについての最適化を行わないため、Kインクのインク量I4を許容しないこととしている。従って、インク量I4での偏微分は意味をなさないため、ヤコビ行列Jはインク量Ij(j=1〜3)で偏微分した列要素から構成されている。また、第4行以下は、1組のインク量Ij(j=1〜4)で印刷されるカラーパッチの画質を表す画質評価指数(粒状性指数GI(Graininess Index)と、色非恒常性指数CII(Color Inconstancy Index)と、合計インク量TIを個々のインク量IjでそれぞれCMYインクのインク量Ij(j=1〜3)で偏微分した値を示している。なお、画質評価指数GI,CII,TIは、その値が小さいほど、インク量Ijで再現されるカラーパッチの画質が良い傾向にあることを示す指数である。
色彩値L***は、フォワードモデルコンバーター300を用いて、以下の(9)式でインク量Ij(インク量ベクトルI)から変換される。
Figure 2010221438
画質評価指数GI,CII、TIも、一般にインク量I j(インク量ベクトルI)の関数としてそれぞれ表現できる。
Figure 2010221438

Figure 2010221438

Figure 2010221438
なお、(11)式の色非恒常性指数CIIillの下付文字「ill」は、光源の種類を表している。上述した(8)式では、光源の種類として、標準の光Aと標準の光F12とを用いている。なお、色非恒常性指数CIIの計算方法の例は後述するが、色非恒常性指数CIIとしては一種類または複数種類の任意の標準光源に関するものを利用することが可能である。前記(9)〜(11)式において変数として代入されるインク量ベクトルIには、Kインクのインク量I4も含まれる。また、前記(12)式においても、j=1〜4の範囲でインク量Ijが合計される。本実施例では、Kインクのインク量I4は最適化そのものの対象とはされないが、Kインクのインク量I4も考慮して、色彩値L***と画質評価指数GI,CII,TIが得られる。すなわち、最適化対象のCMYインクのインク量I1,I2,I3にKインクのインク量I4を組み合わせて印刷を行った場合の色彩値L***と画質評価指数GI,CII,TIが評価される。
粒状性指数GIは、各種の粒状性予測モデルを用いて算出可能であり、例えば以下の(13)式で算出することができる。
Figure 2010221438

ここで、aLは明度補正係数、WS(u)はカラーパッチの印刷に利用されるハーフトーンデータが示す画像のウイナースペクトラム、VTF(u)は視覚の空間周波数特性、uは空間周波数である。ハーフトーンデータは、カラーパッチのインク量Ijからハーフトーン処理(プリンター10が実行するハーフトーン処理と同一のものとする)によって決定される。前記(13)式は一次元で表現しているが、空間周波数の関数として二次元画像の空間周波数を算出することは容易である。粒状性指数GIの計算方法としては、例えば、本出願人により開示された特表2007−511161号公報に記載された方法や、Makoto Fujino, Image Quality Evaluation of Inkjet Prints, Japan Hardcopy '99, p.291-294に記載された方法を利用することができる。
色非恒常性指数CIIは、例えば以下の(14)式で与えられる。
Figure 2010221438

ここで、ΔL*は2つの異なる観察条件下(異なる光源下)におけるカラーパッチの明度差、ΔC* abは彩度差、ΔH* abは色相差を示す。色非恒常性指数CIIの計算時には、2つの異なる観察条件下でのL***値は、色順応変換(CAT)を用いて標準観察条件(例えば標準の光D65の観察下)に変換される。CIIについては、Billmeyer and Saltzman's Principles of Color Technology, 3rd edition, John Wiley & Sons, Inc, 2000, p.129, pp. 213-215を参照。
ヤコビ行列Jの複数の成分(「要素」とも呼ぶ)のうち、例えばL*値に関する成分は、(15)式で与えられる。
Figure 2010221438

ここで、fL*FMは、フォワードモデルによるインク量IからL*値への変換関数、Irはインク量Iの現在値(平滑化/最適化処理前のインク量)、分母のhjはj(j=4は除く)番目の各インク量Ijの微少変動量である。一方、分子のhは、微少変動量hjを行要素とする行列(ベクトル)であり、Kインクについての微少変動量h4=0を有している。他の成分も同じ形式で表される。
最適化の目的関数Eは、例えば以下の(16)式で与えられる。
Figure 2010221438

ここで、右辺の各項の最初に記載されているw L*,w a*等は、各項の重みである。各項の重みは、予め設定されている。
(16)式の右辺第1項wL*(ΔL*−ΔL* t2は、色彩値L*の変動量ΔL*,ΔL* tに関する2乗誤差である。これらの変動量ΔL*,ΔL* tは、次の式で与えられる。
Figure 2010221438

Figure 2010221438
前記(17)式の右辺における偏微分値はヤコビ行列((8)式)で与えられる値であり、Ijは最適化処理の結果として得られるインク量であり、Ijrは現在のインク量である。第1の変動量ΔL*は、最適化処理によるインク量の変動量ΔIj=(IjーIjr)を、ヤコビ行列の要素である偏微分値で線形変換した量である。一方、第2の変動量ΔL* tは、ステップT120の平滑化処理で得られたターゲット値L* tと、現在インク量Ijr(インク量ベクトルIr)についてフォワードモデルによって与えられるL*との差分である。なお、第2の変動量ΔL* tは、平滑化処理の前後におけるL*値の差分と考えることが可能である。
前記(16)式の右辺の第2項以降の各項も、前記(17)式および(18)式と同様の式で与えられる。すなわち、目的関数Eは、最適化処理によるインク量の変動量ΔIjをヤコビ行列の成分で線形変換して得られる第1の変動量ΔL*,Δa*,Δb*,ΔGI…と、パラメータL*,a*,b*,GI…に関する平滑化処理の前後における第2の変動量ΔL* t,Δa* t,Δb* t,ΔGIt…と、の2乗誤差の和として与えられている。
第1の変動量ΔL*,Δa*,Δb*,ΔGI…は、以下の(19)式および(20)式の形式に書き表すことが可能である。
Figure 2010221438

Figure 2010221438
Kインクについてのインク量I4は変動させないため、ΔI4は考慮する必要がない。従って、変動量ベクトルΔIはCMYインクに対応するj=1〜3までの成分のみから構成される。なお、目的関数Eとしては、次の(21)式で与えられるものを利用してもよい。
Figure 2010221438

ここで、(21)式の最後の3個の項wI1(I1−I1t2…wI3(I3−I3t2は、前記(16)式から追加された成分であり、最適化処理の前後での各インク量Ijの滑らかさを維持するために導入されたものである。ここで、I1t〜I3tは、注目している入力格子点に関するターゲットインク量(最適化処理において目標とするインク量)を意味している。ターゲットインク量Ijtは、現在のインク量Ijrに依存する所定の関数に従って決定された値を利用することができる。例えば、ターゲットインク量Ijtとして、その入力格子点に関する現在のインク量Ijrそのものの値や、その入力格子点の現在インク量Ijrとその周囲の入力格子点における現在インク量の加重平均などを利用することが可能である。(21)式で追加された項wI1(I1−I1t2…wI3(I3−I3t2は、最適化処理の結果として得られるインク量Ijと、ターゲットインク量Ijtの2乗誤差である。このような項を導入すれば、最適化処理の前後でインク量が過度に変化してしまうことを防止できるという利点がある。
前記(21)式は、行列を用いて(22)式のように表記できる。
Figure 2010221438
ここで、上付文字Tは行列の転置を表している。行列WM,Wはそれぞれ対角要素に重みを配置した対角行列((23)式、(24)式参照)であり、行列ΔMは各パラメータに関する目標変動量ベクトル((25)式参照)である。また、(22)式におけるインク量に関するベクトル(行列)I,Ir,Itは、いずれもCMYインクに対応するj=1〜3までの成分のみから構成される。すなわち、Kインクのインク量I4については最適化の対象とならない。
Figure 2010221438

Figure 2010221438

Figure 2010221438
(25)式の右辺は、各パラメータL*,a*,b*,CII…(「要素」とも呼ぶ)に関するターゲット値と、現在のインク量Irで与えられる各パラメータL*,a*,b*,CII…との差分である。Kインクのインク量I4については最適化の対象とならないが、各パラメータL*,a*,b*,CII…の算出する場合にはKインクのインク量I4も考慮される。すなわち、(25)式の右辺における現在のインク量Irには、行要素としてI4も含まれる。この点において、(22)式における現在のインク量Irとは異なる。各パラメータのターゲット値のうち、色彩値L* t,a* t,b* tは平滑化処理(ステップT120)で決定される。画質評価指数のターゲット値GIt,CIIt,TItについては、いくつかの決定方法がある。第1の方法は、ターゲット値GIt,CIIt,TItとして所定の定数(例えばGIt=−2,CIIt=−1,TIt=−1)を使用する方法である。なお、定数としてマイナスの値を使用する理由は、これらの画質評価指数は、より小さいほど高画質であることを示す指数だからである。なお、粒状性指数GIのターゲット値GItは、ゼロとすることも好ましい。第2の方法は、ターゲット値GIt,CIIt,TItを色彩値のターゲット値L* t,a* t,b* tの関数として定義しておく方法である。以上のように、各パラメータのターゲット値は最適化処理前に決められているので、目標変動量ベクトルΔMの各成分はすべて定数である。
前記(22)式の右辺の各項のうち、第3項(Ir TT+ΔMT)WM(JIr+ΔM)、および、第6項It Ttは、最適化処理の結果として得られるインク量Iを含まないので定数である。一般に、最適化のための目的関数Eとしては、定数項は不要である。そこで、前記(25)式から定数項を削除して全体に1/2を乗じると、次の(26)式が得られる。
Figure 2010221438
ここで、以下の(27)式および(28)式のように行列Aおよびベクトルgを定義すると、前記(26)式は(29)式のように書き表すことができる。
Figure 2010221438

Figure 2010221438

Figure 2010221438
(29)式で与えられる目的関数Eは、最適化で得られるインク量ベクトルIに関する2次形式であることが理解できる。なお、前記(21)式で与えられる目的関数代わりに、前記(16)式で与えられる目的関数を用いた場合にも、(29)式と同じ2次形式で書き表すことが可能である。図15(C)に示した(EQ1)式と(EQ2)式は、(16)式と(29)式とそれぞれ同じものである。
本実施例の最適化処理では、(29)式のような2次形式の目的関数Eを用いるので、最適化手法として2次計画法を使用することが可能である。ここで、「2次計画法」とは、逐次2次計画法を含まない狭義の2次計画法を意味している。2次形式の目的関数を用いた2次計画法を利用すれば、準ニュートン法や逐次2次計画法などの他の非線形計画法を利用する場合に比べて、処理を大幅に高速化することが可能である。
ところで、本実施例における最適化処理によるインク量の探索は、以下の条件の下で実行される。
(最適化条件)目的関数Eを最小とする。
(制約条件)インクデューティ制限を守る。
インクデューティ制限値としては、例えば、個々のインクのインク量の最大許容値と、合計インク量の最大許容値とが使用される。例えば、各インクのインク量を8ビットで表現したとき、4種類の個々のインクの各インク量Ijの最大許容値を180に設定し、合計インク量ΣIjの最大許容値を240に設定してもよい。
インクデューティ制限は、次の(30)式で表すことができる。
Figure 2010221438

ここで、ベクトルbは、デューティ制限の対象となるインク種類を識別するための係数であり、要素に0か1を持つベクトルである。例えば、1種類のインクに関するデューティ制限の場合には、ベクトルbの1個の要素のみが1となる。一方、全インクの合計インク量に関するデューティ制限の場合には、ベクトルbのすべての要素が1となる。(30)式の右辺のlimは、デューティ制限値である。
各インク量Ijには、負でないという制約も存在する。この非負制限は、以下の(31)式で表すことができる。
Figure 2010221438
前記(30)式と(31)式とを合体すると、インクデューティ制限は、次の(32)式で与えられる。
Figure 2010221438
この(32)式で表される制約は、線形不等号制約である。一般に、2次計画法は線形制約の下で実行することが可能である。すなわち、本実施例における最適化処理では、(32)式の制約の下で、前記(29)式で与えられる2次形式の目的関数Eを用いた2次計画法を実行することによって、最適なインク量を探索する。この結果、この線形制約を厳密に満足しつつ、インク量探索を高速に実行することが可能である。なお、Kインク(j=4)についてのインクデューティ制限を満足するように1D−LUT15bが作成されているため、最適化処理において実質的に4,8行目については考慮する必要はない。
図16は、最適化処理(図13のステップT130)の詳細手順を示すフローチャートである。ステップT132では、まず、前記(28)式で与えられる目標変動量ΔMを求める。この目標変動量ΔMは、前述したように、ステップT120(平滑化処理)で得られたターゲット値L* t,a* t,b* tと現在のインク量Irに基づいて決定される。
ステップT134では、前記(11)式で与えられるヤコビ行列Jを算出する。なお、ヤコビ行列Jの各成分は、前記(18)式で例示されるように、現在のインク量Ir(平滑化/最適化前の値)に関して算出される値である。
ステップT136では、ヤコビ行列Jによる線形変換の結果ΔL*,Δa*,Δb*,ΔGI…と、目標変動量ΔM(ΔL* t,Δa* t,Δb* t,ΔGIt…)との差が最小になるように、インク量Ij(j=1〜3)の最適化を実行する。この最適化は、前記(29)式で与えられる2次形式の目的関数Eを用いた2次計画法を実行することによって実現される。Kインクのインク量I4については最適化を行われず、初期インク量I4(R,G,B)のままとされる。RGB色空間の各入力格子点と最適化されたCMYインクのインク量Ij(j=1〜3)との対応関係を3D−LUT15cに格納する。以上のように作成された1D−LUT15bと3D−LUT15cはプリンター10のROM15に記憶され、上述した印刷処理において参照される。
なお、図13のフローチャートにおいて既に説明したように、ステップT130の最適化処理の後、収束が不十分と判断される場合には、平滑化処理(ステップT120)および最適化処理(ステップT130)が再度実行される。この際、平滑化/最適化処理の初期値としては、その前の平滑化/最適化処理で得られた値が利用される。なお、このような繰り返し処理は必須ではなく、少なくとも1回の平滑化/最適化処理を行えばよい。このように、本実施例では、2次形式の目的関数Eを用いた2次計画法を実行することによって最適なインク量を探索するので、インク量探索を高速に実行することが可能である。発明者らの実測では、従来の準ニュートン法を用いた場合に比べて約1/10の時間で処理を完了できることが見いだされた。
H.変形例:
なお、この発明は前記の実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
H1.変形例1:
前記実施例では、前記(1)式のように輝度式に基づいてRGB値(色ベクトル)をスカラーに変換することとしたが、他の変換関数を用いてもよい。また、前記(1)式のように、RGB値を線形結合する場合においても、前記(1)式とは異なる重み係数を採用してもよい。例えば、好ましいKインクのインク量I4が統計的・経験的に得られている場合には、好ましいKインクのインク量I4に変換されるように各重み係数を設定するようにしてもよい。また、必ずしもRGB値を線形結合する必要はなく、例えばG値を輝度相当値として使用してもよい。このようにすることにより、より高速な色変換を実現することができる。さらに、下記(33),(34)式によってスカラーに変換するようにしてもよい。
Figure 2010221438

Figure 2010221438

前記(33),(34)式によればUCR(Under Color Remove)に基づく手法によって、Kインクのインク量I4を得ることができる。以上のようにスカラーへの変換関数を異ならせた場合、変換されるスカラーの特性も異なることとなるため、各スカラーの特性に応じてシグモイド関数の各パラメータを設定する必要がある。
以上においては、1D−LUT15bに入力するスカラーがRGB値の線形関数で表されるものを例示したが、該スカラーがRGB値の非線形関数によって算出されるようにしてもよい。例えば、RGB値についての2次・3次式等の関数を用いることにより、スカラーへの変換特性を細かく調整することができる。従って、例えばプリンター10のKインク吐出特性に適合させるような調整をスカラーへの変換関数によって実現することもできる。
H2.変形例2:
上述した実施例では1D−LUT15bにおいて、前記(1),(2)式によって算出され得る2563個の逆輝度値BrについてKインクのインク量I4を格納することにより、補間演算を不要とし、色変換処理を高速化した。1D−LUT15bは、入力側と出量側がともに一次元であるため、補間演算を行ったとしても、処理負荷は少なくて済む。従って、1D−LUT15bを17グリッド程度として、補間演算を併用するようにしてもよい。
H3.変形例3:
前記実施例では、機器独立表色系としてCIE−L***表色系を利用していたが、CIE−XYZ表色系やCIE−L***表色系などの他の任意の機器独立表色系を利用することが可能である。ただし、滑らかな色再現を実現するという意味からは、CIE−L***表色系やCIE−L***表色系などの均等色空間である機器独立表色系を用いることが好ましい。
H4.変形例4:
前記実施例では、平滑化処理として力学モデルを利用した処理を採用していたが、他の種類の平滑化処理を採用してもよい。例えば、隣接する色点同士の間隔を測定し、その平均値になるべく近づくように個々の間隔を調整する平滑化処理を採用することも可能である。
H5.変形例5:
本明細書において「インク」とは、インクジェットプリンタやオフセット印刷等に用いられる液体状インクに限らず、レーザプリンタに用いられるトナーも含む広い意味で使用されている。このような「インク」の広い意味を有する他の用語としては、「色材」や「着色材」、「着色剤」を用いることも可能である。
H6.変形例6:
前記実施例では、ルックアップテーブルのような色変換対応情報を作成する方法および装置に関して説明したが、本発明は、こうして得られた色変換対応情報を印刷装置に組み込む組み込み部を備える印刷装置製造システムにも適用可能である。色変換対応情報を作成する色変換対応情報作成装置は、この印刷装置製造システムに含まれるものとしてもよく、他のシステムや装置に含まれるものとしてもよい。なお、この製造システムの組み込み部は、例えば、プリンタドライバのインストーラ(インストールプログラム)として実現することができる。
10…プリンター、13…CPU、14…RAM、15…ROM、20…メモリーカードスロット、21…バス、22…ASIC、15a…プログラムデータ、15b…1D−LUT、15c…3D−LUT、100…3D−LUT作成モジュール、120…スムージング処理初期値設定モジュール、130…スムージング処理モジュール、132…色点移動モジュール、134…インク量最適化モジュール、136…画質評価指数算出モジュール、140…テーブル作成モジュール、200…1D−LUT作成モジュール、300…フォワードモデルコンバーター、310…分光プリンティングモデルコンバーター、320…色算出部、400…LUT格納部

Claims (6)

  1. 各画素の色が入力色空間の色ベクトルで表現された入力画像データを、各画素が複数の種類のインクに関するインク量を有する出力画像データへ色変換し、該出力画像データに基づいて印刷を実行する印刷装置であって、
    前記色ベクトルを非線形関数によってスカラーに変換する予備変換手段と、
    前記スカラーと無彩色インクの前記インク量である無彩色インク量との対応関係を規定した第1ルックアップテーブルを参照することにより、前記色ベクトルを前記無彩色インク量に変換する第1色変換手段と、
    前記色ベクトルと有彩色インクの前記インク量である有彩色インク量との対応関係を規定した第2ルックアップテーブルを参照することにより、前記色ベクトルを前記有彩色インク量に変換する第2色変換手段とを具備することを特徴とする印刷装置。
  2. 前記第1色変換手段は、各画素が前記無彩色インク量を有する第1色変換画像データを出力し、
    前記第2色変換手段は、各画素が前記有彩色インク量を有する第2色変換画像データを出力するとともに、
    前記第1色変換画像データは前記第2色変換画像データよりも高解像度であることを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
  3. 前記第1ルックアップテーブルにおいては、前記色ベクトルから変換され得るすべての前記スカラーについて対応する前記無彩色インク量が格納されることを特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載の印刷装置。
  4. 前記第1ルックアップテーブルにおける前記スカラーと前記無彩色インク量との関係がシグモイド関数によって規定されることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の印刷装置。
  5. 各画素の色が入力色空間の色ベクトルで表現された入力画像データを、各画素が複数の種類のインクに関するインク量を有する出力画像データへ色変換し、該出力画像データに基づいて印刷を実行する印刷方法であって、
    前記色ベクトルを非線形関数によってスカラーに変換し、
    前記スカラーと無彩色インクの前記インク量である無彩色インク量との対応関係を規定した第1ルックアップテーブルを参照することにより、前記色ベクトルを前記無彩色インク量に変換し、
    前記色ベクトルと有彩色インクの前記インク量である有彩色インク量との対応関係を規定した第2ルックアップテーブルを参照することにより、前記色ベクトルを前記有彩色インク量に変換することを特徴とする印刷方法。
  6. 各画素の色が入力色空間の色ベクトルで表現された入力画像データを、各画素が複数の種類のインクに関するインク量を有する出力画像データへ色変換する際に参照するルックアップテーブルを作成するルックアップテーブル作成方法であって、
    前記色ベクトルを非線形関数によってスカラーに変換し、
    前記スカラーと、該スカラーを変換関数に代入して得られる無彩色インクの前記インク量である無彩色インク量と、の対応関係を規定した第1ルックアップテーブルを作成し、
    前記色ベクトルと有彩色インクの前記インク量である有彩色インク量と、の対応関係を規定した第2ルックアップテーブルを作成するとともに、
    前記第2ルックアップテーブルを作成するにあたり、前記第1ルックアップテーブルに基づく前記無彩色インク量と組み合わせて印刷を行ったときに最適な印刷結果となるように前記有彩色インク量を最適化することを特徴とするルックアップテーブル作成方法。
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