JP2012177010A - ポリフェニレンサルファイド樹脂微粒子分散液の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、重量平均分子量2,000以上の高分子界面活性剤を使用することによりPPS樹脂微粒子100質量部に対して10質量部未満の使用量で工業的に有用なPPS樹脂微粒子の水分散液を製造する方法を提供する。
【解決手段】本発明は、PPS樹脂微粒子100質量部に対して10質量部未満の重量平均分子量2,000以上の高分子界面活性剤を使用してポリフェニレンサルファイド樹脂微粒子の機械的分散を行い、平均粒径が1μm以下で、安定なポリフェニレンサルファイド樹脂微粒子水分散液を製造する方法である。
【選択図】なし

Description

本発明はポリフェニレンサルファイド樹脂微粒子分散液の製造方法に関する。
ポリフェニレンサルファイド(以下PPSと略すことがある)樹脂は、優れた耐熱性、耐薬品性、耐溶剤性、電気絶縁性などエンジアニリングプラスチックとして好適な性質を有しており、射出成形、押出成形用途を中心として各種電気・電子部品、機械部品及び自動車部品などに使用されている。このような優れた各種特性を持った樹脂およびその分散液は、塗料分野、接着材料分野、自動車分野、電子材料分野などにおいての需要が高く、PPS樹脂微粒子分散液を得る方法として下記に示す製法が報告されている。
特許文献1では、無機塩の存在下、PPSをNMP等の有機溶媒へ溶解させた後除冷し、得られたPPSをビーズミル等で機械的粉砕することによりPPS樹脂微粒子分散液を得る方法が開示されている。この方法では平均粒径1μm以下のPPS樹脂微粒子が得られ、安定な分散液が得られることが開示されている。特許文献2では、界面活性剤存在下、PPSをNMP等の有機溶媒へ溶解させた後除冷し、得られたPPSをビーズミル等で機械的粉砕することによりPPS樹脂微粒子分散液を得る方法が開示されている。この方法でも平均粒径1μm以下のPPS樹脂微粒子が得られ、安定な分散液が得られることが開示されている。特許文献3には、PPSをNMP等の有機溶媒に溶解させた後、フラッシュ冷却させることにより微細なPPS樹脂微粒子を得、そのPPS樹脂微粒子を機械的粉砕もしくは機械的分散することにより、さらに微細なPPS樹脂微粒子を製造する方法、およびその分散液を得る方法が記載されている。
これらの方法では、安定なPPS樹脂微粒子分散液を得るために必要な1μm以下、いわゆるサブミクロンサイズのPPS樹脂微粒子が得られ、溶媒中にPPS樹脂微粒子を分散させることが可能であるが、PPS樹脂微粒子を溶媒に分散させるには界面活性剤を用いる。上記の分散には、ノニオン系界面活性剤やアニオン系界面活性剤等が用いられ、多くの具体例においてその使用量は、PPS樹脂100質量部に対して10質量部以上であった。しかし、このようにして得られた微粒子分散液を塗料、接着剤、電子情報材料、ポリマーコンパウンド分野等で使用する際、用いた界面活性剤やその分解物の影響で求める性能が得られない場合がある。例えば、界面活性剤の分解温度を超える製造工程を有する部材の製造では、界面活性剤が分解し、その分解物が性能に悪影響を及ぼすことがある。また、絶縁性が必要な部材への適用では、界面活性剤が多いと求める絶縁性が得られないことがある。自動車エンジン等、使用時に高温となる部材の塗膜用途では、耐熱性(熱分解による塗膜重量の減少抑制)が求められるが、分散液中の界面活性剤量が多いとその分、塗膜重量の減少率が大きくなり、求める耐熱性が得られないことがある。このような理由から界面活性剤の使用量に制限のある用途ではできる限り少量の界面活性剤を用いた分散液が望まれている。
特開2009−173878号公報 特開2009−242499号公報 国際公開第2009/119466号
従って、本発明は、界面活性剤(以下、単に高分子界面活性剤、または分散剤と略すことがある)の使用量を低減しつつ、高度に安定性に優れたPPS樹脂微粒子分散液の製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、驚くべきことに重量平均分子量2,000以上の高分子界面活性剤を用いることにより、高分子界面活性剤の使用量がPPS樹脂微粒子100質量部に対して10質量部未満でPPS樹脂微粒子を水に機械的分散させ、且つ極めて安定性に優れた分散液が得られることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明は、PPS樹脂微粒子100質量部に対して10質量部未満の重量平均分子量2,000以上の高分子界面活性剤存在下、PPS樹脂微粒子を水に機械的分散させることを特徴とするPPS樹脂微粒子分散液の製造方法である。
本発明を用いれば、PPS樹脂微粒子100質量部に対して10質量部未満の重量平均2,000以上の高分子界面活性剤を用いることにより、極めて安定性の高いPPS樹脂微粒子の水分散液を簡便に製造することができ、界面活性剤、またはその分解物が性能に悪影響を及ぼす用途に広く提供できる。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
[原料のPPS樹脂]
本発明におけるPPS樹脂とは、化学式(1)
Figure 2012177010
に示す繰り返し単位を主要構成単位とするホモポリマーまたはコポリマーである。Arとしては化学式(2)〜(4)
Figure 2012177010
(R、Rは、水素、アルキル基、アルコキシル基、ハロゲン基から選ばれる基である)などがあげられる。この繰り返しを主要構成単位とする限り、化学式(5)等で表される分岐結合または架橋結合や、化学式(6)〜(14)(R、Rは、水素、アルキル基、アルコキシル基、ハロゲン基から選ばれる基である)で表される共重合成分を30モル%以下、好ましくは10モル%以下の割合で含むこともできる。
Figure 2012177010
Figure 2012177010
PPS樹脂としては、ポリマーの主構成単位として化学式(15)
Figure 2012177010
で示されるp−フェニレンスルフィドを70モル%以上、なかでも90モル%以上含有するPPSが特に好ましく用いられる。このようなPPSとしては、ジハロゲン芳香族化合物とアルカリ金属硫化物よりN−アルキルアミド溶媒中で、通常用いられる方法によって合成されたものを用いることができる。例えば、特公昭45−3368号公報に記載された製造方法により得られる比較的分子量の小さいPPSおよびこれを酸素雰囲気下において加熱あるいは過酸化物等の架橋剤を添加して、過熱することにより高重合度化する方法がある。また特公昭52−12240号公報に記載された製造方法により本質的に線状で高分子量のPPSが好ましく用いられる。
高品質のPPS樹脂微粒子を製造するためには無機イオンの含有量ができるだけ少ないPPS樹脂が特に好ましい。そのため、上記PPS樹脂は、洗浄等の方法により無機塩などの副生物を除いて使用することが好ましい。洗浄方法は、通常行われる方法でよい。なお、副生物を除くタイミングは重合後に行ってもよいし、後述する工程のいずれで行ってもよいが、後述の溶解工程の前に行うことが好ましい。なお、上記PPS樹脂は、副生成物を除いた後に結晶加速度を制御するために洗浄あるいは金属水溶液で処理することがある。例えば、特開平10−60113号公報ではpH7未満の無機酸および/または有機酸洗浄により金属イオン含有量を低減させたPPS樹脂の製造方法が開示されている。また、特開2002−332351号公報では、周期表の第II属の金属元素を含む水溶液で処理する方法が開示されている。本発明に用いるPPS樹脂は、上記の重合後に通常の洗浄方法によって副生成物を除いたPPS樹脂、酸洗浄を行ったPPS樹脂、周期表の第II属の金属元素を含む水溶液で処理したPPS樹脂のいずれをも用いることができる。その他、米国特許第5,869,599号明細書、国際公開第07/034800号に記載されたような方法で合成されたものも用いることができる。
[PPS樹脂微粒子]
本発明に用いるPPS樹脂微粒子は、安定な分散液が得られる限り制限はないが、平均粒径で1μm以下、特に平均粒径100〜500nmのPPS樹脂微粒子であることが好ましい。上記平均粒径は、後述のレーザー回折・散乱方式粒度分布測定装置により測定される値である。
[PPS樹脂微粒子の製造]
本発明に用いるPPS樹脂微粒子は、上記PPS樹脂を下記の工程(a)、(b)を含む工程を経て製造することが好ましい。
(a)PPS樹脂を有機溶媒中で加熱してPPS樹脂の溶解液とする工程(溶解工程)
(b)前記溶解液をフラッシュ冷却してPPS樹脂の微粒子を析出させる工程(析出工程)。
[溶解工程]
溶解工程では、PPS樹脂を有機溶媒中で加熱して溶解させる。本発明で使用するPPS樹脂の形態は特に問わないが、具体的に例示するならば粉体、顆粒、ペレット、繊維、フィルム、成形品等があげられる。操作性及び溶解に要する時間を短縮させる観点から、粉末、顆粒、ペレットが望ましく、特に粉末のPPS樹脂が好ましい。ここで、目的とするPPS樹脂微粒子およびその分散液を水溶性塗料等に使用する場合等、共存する無機イオンによる装置の腐食を防止するために、無機イオンを含有していない粉末、顆粒、ペレット状のPPS樹脂が特に好ましい。
本工程で使用する有機溶媒は、PPS樹脂が溶解する溶媒であれば何れも使用できる。具体的には、クロロホルム等のアルキルハロゲン化物、o−ジクロロベンゼンや1−クロロナフタレン等の芳香族ハロゲン化物、N−メチル−2−ピロリジノン(以下、NMPと略する)等のN−アルキルピロリドン類、N−メチル−ε−カプロラクタム等のN−アルキルカプロラクタム類、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N、N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド(以下、DMFと略する)、ヘキサメチルリン酸トリアミド、ジメチルスルホキシド(以下、DMSOと略する)、ジメチルスルホン、テトラメチレンスルホン等の極性溶媒の中から少なくとも一種選ばれる溶媒が挙げられる。この中でも、PPS樹脂の溶解度の点で特にNMPが好ましい。
上記有機溶媒に対するPPS樹脂の仕込濃度は、所定温度で未溶解PPS樹脂や溶融状態のPPS樹脂が存在すると、フラッシュ冷却後、粗粒あるいは塊状物となって、フラッシュ冷却した液中に存在するが、これらはろ過や遠心分離等の操作により容易に除去できるので特に制限はない。通常は有機溶媒100質量部に対しPPS樹脂0.1〜10質量部、好ましくは 0.5〜10質量部である。この範囲であれば、工業生産に適用可能である。本発明においては前記溶媒にPPS樹脂を仕込み、加熱溶解させた後、PPS樹脂溶解液をPPS樹脂微粒子を析出させる溶媒中にフラッシュ冷却する。
溶解工程の槽の雰囲気は、空気雰囲気下、不活性ガス雰囲気下、あるいは溶媒蒸気の雰囲気下のいずれでも良いが、PPS樹脂の分解、劣化を抑制するため、更には安全に作業を進めるために酸素ガス濃度を低くする方が好ましい。ここで、不活性ガスとしては、窒素ガス、二酸化炭素ガス、ヘリウムガス、アルゴンガスなどが挙げられるが、経済性、入手容易性を勘案して、窒素ガス、アルゴンガス、二酸化炭素ガスが好ましく、特に好ましくは窒素ガスあるいはアルゴンガスが用いられる。また、溶媒蒸気の雰囲気下とする方法としては、(1)反応槽を減圧または真空にして空気を除去した後に反応槽を昇温する方法、(2)反応槽内の空気を吸引しつつ、昇温し、溶媒蒸気が充満した状態になったところで吸引を止める方法、(3)反応槽内の空気を吸引しつつ、溶媒蒸気が充満した状態になったところで吸引を止めるなどの方法、(4)反応槽内の空気を吸引しつつ、溶媒と同種の蒸気を反応槽中に吹き込む方法、あるいはこれらを組合せた方法が挙げられ、それにより溶解槽内を気化した溶媒蒸気の雰囲気にすることができる。なお、(2)〜(4)の方法を採用する場合は溶解槽内の溶媒の量を把握しておくことが望ましい。
溶解方法は特に限定しないが、所定の容器にPPS樹脂、溶媒を入れ、撹拌しながら加熱する。粒径の揃ったPPS樹脂微粒子を製造するにはPPS樹脂を溶媒に完全溶解させてからフラッシュ冷却して析出させる方法が好ましいが、未溶解PPS樹脂や溶融状態のPPS樹脂が存在してもよい。溶媒沸点でPPS樹脂を溶解させ、その希薄溶液から析出させることもできるが、PPS樹脂は有機溶媒に対する溶解度が小さいので、オートクレーブ等の耐圧容器中で溶媒の沸点以上からPPS樹脂の分解点未満に加熱して溶解する方法が好ましい。
溶解温度は使用する溶媒の種類やPPS樹脂の濃度によって異なるが、通常は200℃から400℃で、好ましくは220℃から320℃である。温度が高いとPPS樹脂が分解する。また、200℃未満ではPPS樹脂を溶解するために大量の溶媒を使用することになる。
溶解時間は溶媒の種類、PPS樹脂の仕込濃度、溶解温度によって異なるが、通常、10分から10時間であり、好ましくは、20分〜8時間、より好ましくは30分〜5時間の範囲である。
上記操作により、PPS樹脂を溶解させることができる。ここで、オートクレーブ等の耐圧容器中で溶解させる場合、構造上の理由により未溶解樹脂の有無や、溶解せずに溶融状態にある樹脂の有無を直接確認できない場合もあるが、引き続いて実施する析出工程で析出する微粒子が溶解前のPPS樹脂と形状や粒径等が相応に異なっていれば、本発明の溶解・析出による結果と判断する。この溶解・析出による形状や粒径変化は粒度分布計を用いた平均粒径の変化およびSEMによる形状変化から判断する。
[析出工程]
上記溶解工程によって溶解させたPPS樹脂溶解液をPPS樹脂微粒子を析出させる溶媒中にフラッシュ冷却してPPS樹脂微粒子を析出させる。本発明において、フラッシュ冷却とは、加熱・加圧下にある上記溶解液を、溶解工程で用いた有機溶媒の沸点以下(冷却下でも良い)・加圧されている圧力以下(減圧下でも良い)の他の容器(以下受槽と称する場合もある)中にノズルを介して噴出させて移液し、圧力差による冷却効果や潜熱による冷却効果を利用して急速に冷却する方法を指す。
具体的には、加熱・加圧下に保持した容器からPPS樹脂の溶解液を大気圧下(減圧下でもよい)の受槽にフラッシュ冷却することにより行うことが好ましい。例えば前記溶解工程において、オートクレーブ等の耐圧容器中で溶解させると、容器内は加熱による自製圧により加圧状態となる。この状態から放圧して大気圧下の受槽に放出させることにより、よりいっそう簡便に行うことができる。また、PPS樹脂微粒子を析出させる溶媒中にフラッシュ冷却する際、より微細なPPS樹脂微粒子を得るためには急速に冷却することが望ましく、圧力差による冷却効果と潜熱による冷却効果の両方の効果が得られる溶媒中への直接フラッシュ冷却がより好ましい。
PPS樹脂微粒子を析出させる溶媒としては、特に制限はないが、溶媒中に均一に分散させる観点からは溶解工程で使用する有機溶媒と均一に混合する溶媒であることが好ましい。ここで均一に混合するとは、2つ以上の溶媒を混合した場合、1日静置しても界面が現れず、均一に混じり合うことをいう。 例えば、水に対しては、NMP、DMF、アセトン、DMSO、テトラヒドロフラン、メタノール、エタノール等が均一に混じり合う溶媒として挙げることができる。
具体的には、PPS樹脂を溶解させる溶媒を析出させる溶媒として使用することもできるが、微細なPPS樹脂微粒子が得られる点、粒径が揃いやすい点から、溶解工程で用いた溶媒と均一に混合し、かつPPS樹脂の貧溶媒を含むことが好ましい。NMPを溶解工程の溶媒に選択した場合には、NMP、アルコール類、アセトン類、水等が使用でき、目的に応じて析出させる溶媒を選択することができる。特に微細かつ粒径の揃ったPPS樹脂微粒子が得られやすい点から水を用いることが好ましい。また、PPS樹脂微粒子を析出させる溶媒は溶解工程で使用する有機溶媒と均一に混合するならば、単一の溶媒を用いてもよいし、2種類以上の溶媒を混合して用いてもよいが、特に微細かつ粒径の揃った微粒子が得られやすい点から水を含む混合溶媒を用いるのが好ましい。なかでも水とNMPの混合溶媒が好ましい。
PPS樹脂微粒子を析出させる溶媒の使用量は特に限定しないが、溶解工程の溶媒1質量部に対して100〜0.1質量部の範囲を例示することができ、好ましくは50〜0.1質量部、更に好ましくは15〜0.1質量部である。
フラッシュ冷却方法は特に限定しないが、通常は200℃から400℃、好ましくは220℃から320℃の溶解液を加圧されている圧力以下、あるいは減圧下の容器に1段でフラッシュ冷却する方法、または溶解液を入れた槽内よりも圧力の低い容器に多段でフラッシュ冷却する方法等が採用できる。微細なPPS樹脂微粒子を得るには、圧力差が大きく、温度差が大きい方が好ましい。具体的には、例えば前記溶解工程において、オートクレーブ等の耐圧容器中で溶解させると、容器内は加熱による自製圧により加圧状態となる。この加圧状態とした溶解液を、PPS樹脂微粒子を析出させる溶媒を入れた大気圧の受槽にフラッシュさせるか、減圧下の受槽にフラッシュさせる。フラッシュ冷却する溶解液の圧力(ゲージ圧)は0.2〜4MPaであることが好ましい。この環境からこれをフラッシュ冷却、好ましくは大気圧下の受槽中にフラッシュ冷却することが好ましい。
PPS樹脂微粒子を析出させる溶媒中へのフラッシュ冷却では、PPS樹脂の溶解液からPPS樹脂微粒子が析出し、PPS樹脂微粒子の分散もしくは懸濁した液が得られる。受槽の冷却温度は、受槽に入れるPPS樹脂微粒子を析出させる溶媒により異なるが、PPS樹脂微粒子を析出させる溶媒が凝固しない温度〜50℃、具体的には水の場合、フラッシュ冷却直前の温度として0〜50℃が好ましく、0〜40℃がより好ましい。
PPS樹脂微粒子を析出させる溶媒中へのフラッシュ冷却方法は、溶解槽からの連結管出口を受槽のPPS樹脂微粒子を析出させる溶媒中に入れ、フラッシュ冷却する方法がより微細なPPS樹脂微粒子の分散液もしくは懸濁液が得られるので好ましい。
かくして得られるPPS樹脂微粒子の1次粒子の平均粒径は1μm以下、多くの場合、300nm以下である。1次粒子の平均粒径とは、走査型電子顕微鏡(以下SEMと表記する)で観察したPPS樹脂微粒子のうち、任意の100個の粒径を測長した平均値のことである。
[ろ過・単離工程]
PPS樹脂微粒子を単離する方法としては、ろ過、遠心分離、遠心ろ過等の従来公知の固液分離方法で行うことができるが、1μm未満のPPS樹脂微粒子を固液分離操作で効率よく単離するためには、凝集によって粒径を増大させた後、ろ過や遠心分離等の固液分離操作を行うことが望ましい。凝集によって粒径を増大させる方法としては、経時的に凝集させる自然凝集法、加熱による凝集法、塩析等の凝集剤を用いた凝集法などを用いることができ、これらの凝集法を用いることにより、工業的な固液分離方法に適した粒径の大きな凝集体を得ることができる。このときの凝集体の平均粒径としては5〜50μm(後述の測定方法による粒径)であることが好ましい。
具体的には、自然凝集法の場合、1日以上静置することにより、また、一日静置後、フラッシュ液を50℃〜100℃に加熱することにより凝集時間を短縮することができる。塩析では、無機塩をPPS樹脂微粒子1質量部に対して0.1〜1000質量部、好ましくは0.5〜500質量部程度を加えることにより粒径の大きな凝集体を得ることができる。具体的には、上記分散液もしくは懸濁液中に直接無機塩を添加する、あるいは、上記無機塩の0.1〜20質量%の溶液を添加する等の方法が挙げられる。無機塩としては、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化リチウム、塩化カリウム、酢酸ナトリウム、酢酸マグネシウム、酢酸カルシウム、シュウ酸ナトリウム、シュウ酸マグネシウム、シュウ酸カルシウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸マグネシウム、クエン酸カルシウム等の無機塩が挙げられる。無機塩を溶解させる溶媒としては、水が好ましい。また、上記無機塩をあらかじめフラッシュ冷却する際の受槽中のPPS樹脂微粒子を析出させる溶媒中に溶解しておくこともできる。このときのPPS樹脂微粒子を析出させる溶媒としては、水が好ましい。添加する無機塩の量はPPS樹脂微粒子1質量部に対して0.1質量%以上でかつ、PPS樹脂微粒子を析出させる溶媒への飽和溶解量以下が望ましい。本発明のようにフラッシュ冷却して得られたPPS樹脂微粒子は、このような方法で凝集させることにより固液分離が容易となる。また、このような方法で凝集させても極めて再分散の容易なPPS樹脂微粒子が得られるのである。
上記固液分離の方法としては、ろ過、遠心分離等の方法が挙げられる。ろ過や遠心分離の際にはメンブレンフィルター(ろ過)やろ布(ろ過、遠心分離)などを使用できる。フィルターの目開きとしては、得ようとするPPS樹脂微粒子の粒度に応じて適宜決定されるが、メンブレンフィルターの場合、通常0.1〜50μm程度、ろ布の場合、通気度が5cm/cm・sec at 124.5Pa以下のものが使用できる。固液分離後のウエットケーク中の溶媒を分散工程で用いる分散媒へ置換するには、ウエットケークを分散工程で用いる分散媒でリスラリーするか、分散工程で用いる分散媒でかけ洗い洗浄すれば良い。
[分散工程]
上記ろ過・単離工程で得られたPPS樹脂微粒子をさらに機械的分散により再分散して、より微細なPPS樹脂微粒子分散液を得ることができる。ろ過・単離工程でPPS樹脂微粒子を乾燥させると分散されがたくなるため、分散によって安定かつ微細に粒子が分散したPPS樹脂微粒子分散液を得るためにはPPS樹脂微粒子を、溶媒もしくは分散媒を含んだ状態にしておくことが必要である。分散工程に用いるPPS樹脂微粒子は50質量%以上の溶媒もしくは分散媒を含んだ状態であることが好ましい。
固液分離操作等で得られたPPS樹脂微粒子に重量平均分子量2,000以上の高分子界面活性剤、分散媒を加えて分散工程に供する。
機械的分散によって生成するPPS樹脂微粒子の凝集抑制、および分散媒への分散性を向上させるために、高分子界面活性剤の添加を行う。高分子界面活性剤の添加時期は、機械的分散の前後いずれでもかまわないが、機械的分散中の微粒子の凝集防止のため、分散前添加、または分散前添加と分散中添加を併用した添加方法が好ましい。
ノニオン系界面活性剤やアニオン系界面活性剤等の一般的な界面活性剤が分子内に一対の親水性基と親油性基を持つ構造を有し、重量平均分子量が1,500未満であるのに対し、ここで言う高分子界面活性剤とは、複数の親水性基と親油性基を有する構造を持つ高分子の界面活性剤であり、一般の界面活性剤と比較して、親水性基、親油性基とも多数有する複雑な構造を有し、且つ平均分子量も2,000以上と大きいので、界面活性能よりむしろ分散能に優れている。このように一般的な界面活性剤と高分子界面活性剤は、構造的にも分子量的にも性能的にも大きく異なる。
本発明で用いる高分子界面活性剤としては、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリスチレンスルホン酸(PSS)、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリエチレンイミン、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルエーテル、ポリアクリル酸の合成系高分子界面活性剤が挙げられる。
また、上記高分子界面活性剤のうち、カルボキシル基やスルホン酸基を有し、金属塩を形成できる高分子界面活性剤では金属塩を形成していないことが好ましい。
本発明の高分子界面活性剤の重量平均分子量は、2,000以上(GPC法による分子量測定)であるが、3,000以上がより好ましい。上限としては特に制限はないが、1,000,000以下であることが好ましい。
高分子化合物の平均分子量測定法には、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法、粘度法、末端基定量法、沈降速度法等の方法が用いられるが、本発明の高分子界面活性剤の分子量は、GPC法による重量平均分子量である。
本発明の重量平均分子量測定に用いているGPC法とはゲル状の粒子を充填したカラムに高分子化合物の希薄な溶液を流し、分子量の違いよって流出するまでの時間が異なることを利用した分子量の測定法であり、分子量を求めるために分子量既知の標準物質を用いるが、標準物質は、測定する試料に適した物質を選択する。上記において測定する試料に適したとは、例えば、同じ種類のポリマーを標準物質として使用するのが原則であるが、入手が困難な場合は、市販の標準物質品の中から測定物質の構造その他分子量測定の技術常識により適するものを選択してもよいし、当業界で汎用されている標準物質があれば、それを使用してもよい。GPCカラムは充填剤により非水系カラムと水系カラムとに分類されるが、試料の性質により適宜カラムを選択する。一般には、有機溶媒に可溶で、水系溶媒に不溶なサンプルの場合は非水系カラムを用い、水系溶媒に可溶なサンプルの場合は水系カラムを用いる。非水系カラムを使用する場合、THF(テトラヒドロフラン)、トルエン、クロロホルム、DMF(ジメチルホルムアミド)、DMSO(ジメチルスルホキシド)等を移動相として使用する。水系カラムの場合、水、メタノール、アセトニトリル等が用いられる。また、分子間の静電的相互作用を抑制するために塩化リチウム、臭化リチウム等の無機塩を用いても良い。酸性、中性の試料では、リン酸緩衝液、塩基性試料には酢酸緩衝液、またはトリエタノールアミン−リン酸水溶液を使用しても良い。さらに高分子界面活性剤の重量平均分子量が十分高く、上記本発明に規定する範囲の高分子界面活性剤であるか否かの判断が可能な場合は、試薬のカタログ等に記載されている各種分子量を参考にしてもよい。
例えばPVAの重量平均分子量を求める場合、標準物質:プルラン GPCカラム:TSK−GEL α―4000 移動相:10mM LiBr水溶液/メタノール=8/2 流速:1.0mlの条件で保持時間と分子量の検量線を作製し、前記条件でのPVAの保持時間と検量からPVAの重量平均分子量を求めることができる。
これらの高分子界面活性剤の添加量は、PPS樹脂微粒子100質量部に対して10質量部未満であり、好ましくは0.1〜9.9質量部の範囲であり、さらに好ましくは0.1〜5質量部の範囲である。この範囲の量の高分子界面活性剤を用いることにより、機械的分散によって得られたPPS樹脂微粒子を非常に効率よく分散媒に均一に分散させることができる。
機械的分散に供するPPS樹脂微粒子分散液もしくは懸濁液におけるPPS樹脂微粒子の含有量は、分散媒100質量部に対して1〜50質量部の範囲であることが好ましく、特に1〜30質量部であることが好ましい。
上記ろ過・単離工程で得られたPPS樹脂微粒子は、後述の測定方法における平均粒径が1μm以下になるまで上記PPS樹脂微粒子懸濁液の機械的分散を行うことが好ましい。粗粒分離後の平均粒径が500nm以下となるまで機械的分散を行うことがより好ましい。下限に制限はないが、凝集抑制の点から平均粒径が100nm以上であることが好ましい。機械的分散装置として、市販の機械的分散装置を挙げることができる。特にPPS樹脂微粒子を効率よく分散し、粒径の小さなPPS樹脂微粒子の分散液を作製するために好適な機械的分散装置として、超音波分散装置、ボールミル装置、ビーズミル装置、サンドミル装置、コロイドミル装置、湿式微粒化装置(例えば、スギノマシン製、アルティマイザー)が挙げられるが、なかでも超音波分散装置、ビーズミル装置、コロイドミル装置、湿式微粒化装置から選択される装置が好ましい。機械的分散の際の分散の力は一般に大きくなるほど、また分散時間が長くなるほど得られる微粒子の平均粒径は、小さくなる方向にあるが、これらが過度になると再凝集が生じやすくなるので、適切な範囲に制御される。例えばビーズミルではビーズ径やビーズ量の選択、周速の調整で、その制御が可能であり、超音波分散装置では、超音波周波数の選択、超音波出力の調整で、その制御が可能である。
PPS樹脂微粒子分散液においても、場合によっては粗粒や沈殿物を含む場合もある。その際には、粗粒や沈殿物と分散部を分離して利用してもよい。分散液のみを得る場合には、粗粒や沈殿物と分散部の分離を行えばよく、そのためには、デカンテーション、ろ過、遠心分離などを行い粗粒や沈殿部分を除去すればよい。
上記により少ない界面活性剤の使用でPPS樹脂微粒子が微細に分散した、極めて安定性の高いPPS樹脂微粒子の分散液を得ることができる。また、かかる分散液は耐熱性にも優れている。
このような微細なPPS樹脂微粒子の分散液は、室温(25℃)条件下にて48時間静置してもPPS樹脂微粒子は沈降せず、塗料、接着剤、電子情報材料、ポリマーコンパウンド分野等において、界面活性剤、およびその分解物の性能への影響が懸念される分野で、特に有用な添加剤として使用することができる。
PPS樹脂微粒子の平均粒径は日機装製レーザー回折・散乱方式粒度分布測定装置MT3300EXIIを用い、分散媒としてポリオキシエチレンクミルフェニルエーテル(商品名ノナール912A 東邦化学工業製 以後、ノナール912Aと称す)の0.5質量%水溶液を用いて測定した。具体的にはマイクロトラック法によるレーザーの散乱光を解析して得られる微粒子の総体積を100%として累積カーブを求め、その累積カーブが50%となる点の粒径(メジアン径:d50)を微粒子の平均粒径とした。
[平均1次粒径の測定]
本発明での平均1次粒径は日本電子製走査型電子顕微鏡JEOL JMS−6700Fで得られた画像(倍率:30,000倍)から任意の100個の粒子を選び、その最大長さを粒径として粒径を測長し、その平均値を平均1次粒径とした。
[超音波分散]
超音波分散は日本精機製超音波ホモジナイザー、US−300T(超音波発振器:定格出力300W、発振周波数19.5KHz±1KHz(周波数自動追尾型)、超音波変換器:φ26mmPZT(ボルト締電歪型)振動素子)を用い、所定の出力になるように調整の上超音波発振チップをPPS樹脂微粒子懸濁液中に接液して行った。
[熱分解温度]
島津製作所製の示差熱・熱重量同時測定装置DTG−60/60Hを使用した。雰囲気ガス:空気、ガス流量:50ml/min、昇温条件:10℃/minの条件で熱分解温度を測定した。
製造例1
〔溶解工程〕
9.8Lのオートクレーブ(溶解槽)にバルブ開閉ができ、配管の端が槽の中に位置するように連結管を装着した。また、フラッシュ冷却の受槽として、50Lの耐圧タンクに撹拌機、コンデンサー、ガス通気管を装着し、前記溶解槽の連結管の他端を槽の中に位置するように装着した。溶解槽にPPS樹脂粉末210g、NMP6,790gを入れ、インターナル連結管のバルブを密閉してから窒素置換した。撹拌しながら内温280℃まで上昇させた後、30分間撹拌した。このときの内圧(ゲージ圧)は0.4MPaであった。
〔析出工程〕
前記受槽に水6,790gを入れて受槽に設置した連結管の先端を水中に入れた。受槽を氷冷し、窒素ガスを通気した。このとき受槽の温度は5℃であった。溶解槽の連結管のバルブを開き、溶解液を受槽水中にフラッシュ冷却した。このフラッシュ液中のPPS樹脂微粒子の平均粒径は、12μmであった。このフラッシュ液を0.38質量%酢酸マグネシウム水溶液5,600gへ投入して1時間撹拌した後、5時間静置して塩析した。静置後の平均粒径は30μmであった。塩析液を遠心脱水機で固液分離し、固形分をろ取した。その固形分をイオン交換水1,800g中に懸濁した後、遠心脱水機でろ取した。同様の操作を2回行い、含水PPS樹脂微粒子(920g、PPS固形分20質量%)を得た。平均1次粒径は110nmであった。
実施例1
製造例1の含水PPS樹脂微粒子37.5gにPVP(東京化成株式会社製、ポリビニルピロリドン K30、粘度法による平均分子量40,000、カタログ値)の10質量%水溶液1.9g(PPS樹脂微粒子100質量部に対するPVPの量として2.5質量部)と水35.6gを加えて1400rpmで10分間撹拌した。超音波(出力120W)を用いて、その懸濁液を、PPS樹脂微粒子の平均粒径が400nm以下になるまで分散した。遠心分離(1000G、5分間)で粗粒を除去すると平均粒径200nmの分散液が得られた。該分散液は、室温で48時間静置したところ、凝集せず、安定であった。
実施例2
製製造例1の含水PPS樹脂微粒子37.5gにPSS(アルドリッチ社製、ポリスチレンスルホン酸、重量平均分子量75,000、カタログ値)の18質量%水溶液1.0g(PPS樹脂微粒子100質量部に対するPSSの量として2.5質量部)と水36.5gを加えて1400rpmで10分間撹拌した。超音波(出力120W)を用いて、その懸濁液を、PPS樹脂微粒子の平均粒径が400nm以下になるまで分散した。遠心分離(1000G、5分間)で粗粒を除去すると平均粒径193nmの分散液が得られた。該分散液は、室温で48時間静置したところ、凝集せず、安定であった。
実施例3
製製造例1の含水PPS樹脂微粒子37.5gにPVA(日本合成化学株式会社製、重量平均分子量35,000、分子量既知のプルランを標準物質とするGPC法で、GPCカラム:TSK−GEL α―4000 移動相:10mM LiBr水溶液/メタノール=8/2 流速:1.0mlの条件で保持時間と分子量の検量線を作製し、前記条件でのPVAの保持時間と検量から重量平均分子量を算出した)の5質量%水溶液7.5g(PPS樹脂微粒子100質量部に対するPVAの量として5質量部)と水30gを加えて1400rpmで10分間撹拌した。超音波(出力120W)を用いて、その懸濁液を、PPS樹脂微粒子の平均粒径が400nm以下になるまで分散した。遠心分離(1000G、5分間)で粗粒を除去すると平均粒径178nmの分散液が得られた。該分散液は、室温で48時間静置したところ、凝集せず、安定であった。
実施例4
製製造例1の含水PPS樹脂微粒子37.5gにポリアクリル酸(日本触媒株式会社製、重量平均分子量10,000、標準物資としてポリアクリル酸を使用したGPC法、カタログ値))の45質量%水溶液0.4g(PPS樹脂微粒子100質量部に対するポリアクリル酸の量として2.5質量部)と水37.1gを加えて1400rpmで10分間撹拌した。超音波(出力120W)を用いて、その懸濁液を、PPS樹脂微粒子の平均粒径が400nm以下になるまで分散した。遠心分離(1000G、5分間)で粗粒を除去すると平均粒径231nmの分散液が得られた。該分散液は、室温で48時間静置したところ、凝集せず、安定であった。
実施例5
耐熱性の簡易的な評価として熱分解温度が用いられる。実施例1,2,比較例1のPPS樹脂微粒子分散液1gを減圧濃縮してPPS樹脂と界面活性剤からなる固形分を得た。島津製作所製示差熱・熱重量同時測定装置DTG−60/60Hを用いて、その固形分の400℃での残存率を求めた(表1)。400℃までの加熱でPPSは、ほとんど分解しないが、通常、界面活性剤は分解するので、界面活性剤を20質量%を用いた分散剤では400℃での固形分残存率が85%まで低下した(比較例1)。これに対して界面活性剤2.5質量%使用の分散液では固形分の残存率が約98%であった。
Figure 2012177010
比較例1
製製造例1の含水PPS樹脂微粒子37.5gにポリオキシエチレンオレイルアルコール(エチレンオキシド24モル付加物、重量平均分子量1,300)の10質量%水溶液15g(PPS樹脂微粒子に対するポリオキシエチレンオレイルアルコールの量として20質量%)と水22.5gを加えて1400rpmで10分間撹拌した。超音波(出力120W)を用いて、その懸濁液を、PPS樹脂微粒子の平均粒径が400nm以下になるまで分散した。遠心分離(1000G、5分間)で粗粒を除去すると平均粒径188nmの分散液が得られた。該分散液は、室温で48時間静置したところ、凝集せず、安定であったが、固形分残存率が低かった。ポリオキシエチレンオレイルアルコールの使用量を減らして同様の操作を行ったところ、使用量を低減すると、分散液の安定性が低下する傾向にあった。

Claims (3)

  1. PPS樹脂微粒子100質量部に対して10質量部未満の重量平均分子量2,000以上の高分子界面活性剤を使用し、ポリフェニレンサルファイド樹脂微粒子を水に機械的分散させることを特徴とするポリフェニレンサルファイド樹脂微粒子分散液の製造方法。
  2. 重量平均分子量2,000以上の高分子界面活性剤がポリビニルピロリドン、ポリスチレンスルホン酸、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリエチレンイミン、ポリビニルアルコール、ポリビニルエーテル、ポリアクリル酸である請求項1記載のポリフェニレンサルファイド樹脂微粒子水分散液の製造方法。
  3. 機械的分散が超音波分散装置、ビーズミル装置、コロイドミル装置、湿式微粒化装置で行われることを特徴とする請求項2記載のポリフェニレンサルファイド樹脂微粒子分散液の製造方法。
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