JP2014024957A - ポリフェニレンサルファイド樹脂微粒子分散液の製造方法 - Google Patents

ポリフェニレンサルファイド樹脂微粒子分散液の製造方法 Download PDF

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寛章 赤阪
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Tomohiro Sakane
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Abstract

【課題】平均粒径1μm〜10μmのポリフェニレンサルファイド樹脂微粒子分散液を提供する。
【解決手段】本発明のポリフェニレンサルファイド樹脂微粒子分散液の製造方法は、下記の工程(a)、(b)、(c)を含むことを特徴とする。
(a)有機溶媒に対し、4.8質量%〜10質量%の割合でポリフェニレンサルファイド樹脂を配合し、加熱して溶解液を調整する工程(溶解工程)
(b)前記溶解液を析出用溶媒中にフラッシュ晶析してポリフェニレンサルファイド樹脂微粒子が析出したフラッシュ液を得る工程(析出工程)
(c)ポリフェニレンサルファイド樹脂微粒子が析出したフラッシュ液を、界面活性剤の存在下、超音波処理してポリフェニレンサルファイド樹脂微粒子を分散させる工程(分散工程)
【選択図】なし

Description

本発明は、平均粒径1μm〜10μmのポリフェニレンサルファイド樹脂微粒子分散液の製造方法に関する。
ポリフェニレンサルファイド(以下、PPSと略すことがある)樹脂は、優れた耐熱性、耐薬品性、耐溶剤性、電気絶縁性などエンジアニリングプラスチックとして好適な性質を有しており、射出成形、押出成形用途を中心として各種電気・電子部品、機械部品及び自動車部品などに使用されている。このような優れた各種特性を持った樹脂およびその分散液は、塗料分野、接着材料分野、自動車分野、電子材料分野などにおいて需要が高く、PPS樹脂微粒子分散液を得る方法として下記に示す製法が報告されている。
特許文献1では、無機塩の存在下、PPSをN−メチル−2−ピロリジノン(以下、NMPと略すことがある)等の有機溶媒へ溶解させた後除冷し、得られたPPSをビーズミル等で機械的粉砕することにより、平均粒径1μm以下のPPS樹脂微粒子が分散したPPS樹脂微粒子分散液を得る方法が開示されている。
また、特許文献2では、界面活性剤存在下、PPSをNMP等の有機溶媒へ溶解させた後除冷し、得られたPPSをビーズミル等で機械的粉砕することにより、平均粒径1μm以下のPPS樹脂微粒子が分散したPPS樹脂微粒子分散液を得る方法が開示されている。
さらに、特許文献3には、PPSをNMP等の有機溶媒に溶解させた後、溶解液をフラッシュ晶析させることにより微細なPPS樹脂微粒子を得、そのPPS樹脂微粒子を機械的粉砕もしくは機械的分散することにより、平均粒径1μm以下のPPS樹脂微粒子を製造する方法、およびその分散液を得る方法が記載されている。
一方、PPS樹脂微粒子を、例えば、部材表面の凹凸を形成するために適用する場合等においては、平均粒径1μm〜10μm程度の分散液が求められる場合がある。
しかしながら、上記の方法では、平均粒径1μm以下、いわゆるサブミクロンサイズのPPS樹脂微粒子分散液を得ることはできるものの、部材表面の凹凸を形成する用途等に適した平均粒径1μm〜10μm程度のPPS樹脂微粒子の分散液を製造するものではなかった。
特開2009−173878号公報 特開2009−242499号公報 特開2010−106232号公報
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、平均粒径1μm〜10μmのポリフェニレンサルファイド樹脂微粒子分散液の製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、驚くべきことに下記の(a)〜(c)の工程を行うことにより、平均粒径1μm〜10μmのポリフェニレンサルファイド樹脂微粒子の分散液が得られることを見出し、本発明に至った。
(a)有機溶媒に対し、4.8質量%〜10質量%の割合でポリフェニレンサルファイド樹脂を配合し、加熱して溶解液を調整する工程(溶解工程)
(b)前記溶解液を析出用溶媒中にフラッシュ晶析してポリフェニレンサルファイド樹脂微粒子が析出したフラッシュ液を得る工程(析出工程)
(c)ポリフェニレンサルファイド樹脂微粒子が析出したフラッシュ液を、界面活性剤の存在下、超音波処理してポリフェニレンサルファイド樹脂微粒子を分散させる工程(分散工程)
すなわち、本発明のポリフェニレンサルファイド樹脂微粒子分散液の製造方法は、有機溶媒に対し、4.8質量%〜10質量%となるようにポリフェニレンサルファイド樹脂を配合し、加熱して溶解液を調整し、調整した溶解液を析出用溶媒中にフラッシュ晶析してポリフェニレンサルファイド樹脂微粒子を析出させ、ポリフェニレンサルファイド樹脂微粒子が析出したフラッシュ液を、界面活性剤の存在下、超音波処理してポリフェニレンサルファイド樹脂微粒子を分散させることを特徴とする。
本発明のポリフェニレンサルファイド樹脂微粒子分散液の製造方法は、工業的に入手困難であった平均粒径1μm〜10μmのPPS樹脂微粒子分散液を簡便に製造することができるという効果を奏する。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
[原料のPPS樹脂]
本発明におけるPPS樹脂とは、化学式(1)
Figure 2014024957
に示す繰り返し単位を主要構成単位とするホモポリマーまたはコポリマーである。Arとしては化学式(2)〜(4)
Figure 2014024957
(化学式(2)〜(4)中、R、Rは、水素、アルキル基、アルコキシル基、ハロゲン基から選ばれる基である)などがあげられる。この繰り返しを主要構成単位とする限り、化学式(5)〜(7)等で表される分岐結合または架橋結合や、化学式(8)〜(16)(R、Rは、水素、アルキル基、アルコキシル基、ハロゲン基から選ばれる基である)で表される共重合成分を30モル%以下、好ましくは10モル%以下の割合で含むこともできる。
Figure 2014024957
Figure 2014024957
PPS樹脂としては、ポリマーの主構成単位として化学式(17)
Figure 2014024957
で示されるp−フェニレンサルファイドを70モル%以上、なかでも90モル%以上含有するPPSが特に好ましく用いられる。このようなPPSとしては、ジハロゲン芳香族化合物とアルカリ金属硫化物よりN−アルキルアミド溶媒中で、通常用いられる方法によって合成されたものを用いることができる。例えば、特公昭45−3368号公報に記載された製造方法により得られる比較的低分子量の小さいPPSおよびこれを酸素雰囲気下において加熱あるいは過酸化物等の架橋剤を添加して、過熱することにより高重合度化する方法がある。また特公昭52−12240号公報に記載された製造方法により本質的に線状で高分子量のPPSが好ましく用いられる。
高品質のPPS樹脂微粒子を製造するためには無機イオンの含有量ができるだけ少ないPPS樹脂を原料とすることが特に好ましい。そのため、上記方法により製造されたPPS樹脂は、洗浄等の方法により無機塩などの副生物を除いて使用することが好ましい。洗浄方法は、通常行われる方法でよい。なお、副生物を除くタイミングは重合後に行ってもよいし、後述する工程のいずれで行ってもよいが、後述の溶解工程の前に行うことが好ましい。なお、上記方法により製造されたPPS樹脂は、副生成物を除いた後に結晶加速度を制御するために洗浄あるいは金属水溶液で処理することがある。例えば、特開平10−60113号公報ではpH7未満の無機酸および/または有機酸洗浄により金属イオン含有量を低減させたPPS樹脂の製造方法が開示されている。また、特開2002−332351号公報では、周期表の第II属の金属元素を含む水溶液で処理する方法が開示されている。本発明に用いるPPS樹脂は、上記の重合後に通常の洗浄方法によって副生成物を除いたPPS樹脂、酸洗浄を行ったPPS樹脂、周期表の第II属の金属元素を含む水溶液で処理したPPS樹脂のいずれをも用いることができる。その他、米国特許第5,869,599号明細書、国際公開第07/034800号に記載されたような方法で合成されたものも用いることができる。
[PPS樹脂微粒子分散液の製造]
本発明に用いるPPS樹脂微粒子は、上記PPS樹脂を下記の工程(a)、(b)、(c)を含む工程を経て製造することが好ましい。
(a)有機溶媒に対し、4.8質量%〜10質量%の割合でポリフェニレンサルファイド樹脂を配合し、加熱して溶解液を調整する工程(溶解工程)
(b)前記溶解液を析出用溶媒中にフラッシュ晶析してポリフェニレンサルファイド樹脂微粒子が析出したフラッシュ液を得る工程(析出工程)
(c)ポリフェニレンサルファイド樹脂微粒子が析出したフラッシュ液を、界面活性剤の存在下、超音波処理してポリフェニレンサルファイド樹脂微粒子を分散させる工程(分散工程)
[溶解工程]
溶解工程では、溶解槽内の有機溶媒中でPPS樹脂を加熱して溶解させる。本発明で使用するPPS樹脂の形態は特に問わないが、具体的に例示するならば粉体、顆粒、ペレット、繊維、フィルム、成形品等があげられる。操作性及び溶解に要する時間を短縮させる観点から、粉末、顆粒、ペレットが望ましく、特に粉末のPPS樹脂が好ましい。ここで、目的とするPPS樹脂微粒子およびその分散液を水溶性塗料等に使用する場合等、共存する無機イオンによる装置の腐食を防止するために、無機イオンを含有していない粉末、顆粒、ペレット状のPPS樹脂が特に好ましい。
本工程で使用する有機溶媒は、PPS樹脂が溶解する溶媒であれば何れも使用できる。具体的には、クロロホルム等のアルキルハロゲン化物、o-ジクロロベンゼンや1−クロロナフタレン等の芳香族ハロゲン化物、N−メチル−2−ピロリジノン(以下、NMPと略する)等のN−アルキルピロリドン類、N−メチル−ε−カプロラクタム等のN−アルキルカプロラクタム類、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N、N−ジメチルアセトアミド(以下、DMAcと略する)、N,N−ジメチルホルムアミド(以下、DMFと略する)、ヘキサメチルリン酸トリアミド、ジメチルスルホキシド(以下、DMSOと略する)、ジメチルスルホン、テトラメチレンスルホン等の極性溶媒の中から少なくとも一種選ばれる溶媒が挙げられる。この中でも、PPS樹脂の溶解度の点で特にNMPが好ましい。
上記有機溶媒に対するPPS樹脂の上限仕込濃度は、所定温度で未溶解PPS樹脂や溶融状態のPPS樹脂が存在すると、フラッシュ晶析後、粗粒あるいは塊状物となって、フラッシュ晶析した液中に存在するが、これらはろ過や遠心分離等の操作により容易に除去できるので特に制限はない。通常は、有機溶媒との混合物中、PPS樹脂を10質量%以下、特に7質量%以下とすることが好ましい。一方、PPS樹脂の仕込濃度が低いと平均粒径1μm以下のPPS樹脂微粒子が生成する割合が増加する。したがって、PPS樹脂の下限仕込濃度は、有機溶媒との混合物中、4.8質量%以上、特に5質量%以上とすることが好ましい。本発明においては前記有機溶媒にPPS樹脂を仕込み、加熱溶解させた後、PPS樹脂溶解液を、後述する析出工程においてPPS樹脂微粒子を析出させる他の容器内の析出用溶媒中にフラッシュ晶析する。
また、溶解工程では溶液中に均一溶解する界面活性剤等を添加することもできる。添加する界面活性剤としては、使用する有機溶媒に溶解するものであれば良い。界面活性剤としては、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、両性イオン界面活性剤、非イオン系界面活性剤が挙げられる。
アニオン系界面活性剤としては、脂肪酸ナトリウム、脂肪酸カリウム、アルキル硫酸エステルナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステルナトリウム、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステルナトリウム、アルキルスルホン酸ナトリウム、アルケニルコハク酸ジカリウム、アルキルエーテル硫酸ナトリウム、モノアルキルリン酸カリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸カリウム、脂肪酸エステルスルホン酸ナトリウム、脂肪酸エステル硫酸エステルナトリウム、脂肪酸アルキロースアミド硫酸エステルナトリウム、脂肪酸アミドスルホン酸ナトリウムなどが挙げられる。
カチオン系界面活性剤としては、塩化アルキルメチルアンモニウム、塩化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化ジアルキルジメチルアンモニウム、塩化アルキルジメチルベンジルアンモニウム、塩化アルキルピリジニウムなどが挙げられる。
両性イオン界面活性剤としては、アルキルアミノカルボン酸塩、カルボキシベタイン、アルキルベタイン、スルホベタイン、ホスホベタインなどが挙げられる。
非イオン系界面活性剤としては、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンラノリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリコールモノ脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンモノベンジルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンジベンジルフェニルエーテル、ポリオキシエチレントリベンジルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンモノスチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンジスチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレントリスチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンビフェニルエーテル、ポリオキシエチレンフェノキシフェニルエーテル、ポリオキシエチレンクミルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、脂肪酸アルカノールアミド、脂肪酸モノエタノールアミド、脂肪酸ジエタノールアミド、脂肪酸トリエタノールアミド、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルキルアルカノールアミドなどが挙げられる。
なお、ここでいうアルキルを例示するならば炭素数1から30までの直鎖型飽和炭化水素基、または分岐型飽和炭化水素基が挙げられる。アルキルの代わりに直鎖型不飽和炭化水素基、または分岐型不飽和炭化水素基であってもよい。
界面活性剤の使用量は、仕込PPS樹脂1質量部に対して、0.01〜5質量部、好ましくは0.01〜1質量部である。
溶解工程の溶解槽の雰囲気は、空気雰囲気下、不活性ガス雰囲気下、あるいは溶媒蒸気の雰囲気下のいずれでも良いが、PPS樹脂の分解、劣化を抑制するため、更には安全に作業を進めるために酸素ガス濃度を低くする方が好ましい。ここで、不活性ガスとしては、窒素ガス、二酸化炭素ガス、ヘリウムガス、アルゴンガスなどが挙げられるが、経済性、入手容易性を勘案して、窒素ガス、アルゴンガス、二酸化炭素ガスが好ましく、特に好ましくは窒素ガスあるいはアルゴンガスが用いられる。また、溶媒蒸気の雰囲気下とする方法としては、(1)溶解槽を減圧または真空にして空気を除去した後に反応槽を昇温する方法、(2)溶解槽内の空気を吸引しつつ、昇温し、溶媒蒸気が充満した状態になったところで吸引を止める方法、(3)溶解槽内の空気を吸引しつつ、溶媒蒸気が充満した状態になったところで吸引を止めるなどの方法、(4)溶解槽内の空気を吸引しつつ、溶媒と同種の蒸気を反応槽中に吹き込む方法、あるいはこれらを組合せた方法が挙げられ、それにより溶解槽内を気化した溶媒蒸気の雰囲気にすることができる。なお、(2)〜(4)の方法を採用する場合は溶解槽内の溶媒の量を把握しておくことが望ましい。
溶解方法は特に限定しないが、溶解槽として使用する所定の容器にPPS樹脂、有機溶媒を入れ、撹拌しながら加熱する。粒径の揃ったPPS樹脂微粒子を製造するにはPPS樹脂を有機溶媒に完全溶解させてからフラッシュ晶析して析出させる方法が好ましいが、未溶解PPS樹脂や溶融状態のPPS樹脂が存在してもよい。溶媒沸点でPPS樹脂を溶解させ、その希薄溶液から析出させることもできるが、PPS樹脂は有機溶媒に対する溶解度が小さいので、オートクレーブ等の耐圧容器中で溶媒の沸点以上からPPS樹脂の分解点未満に加熱して溶解する方法が好ましい。
溶解温度は使用する有機溶媒の種類やPPS樹脂の濃度によって異なるが、通常は200℃から400℃で、好ましくは220℃から320℃である。温度が高いとPPS樹脂が分解する。また、200℃未満ではPPS樹脂を溶解するために大量の有機溶媒を使用することになる。
溶解時間は有機溶媒の種類、PPS樹脂の仕込濃度、溶解温度によって異なるが、通常、10分から10時間であり、好ましくは、20分〜8時間、より好ましくは30分〜5時間の範囲である。
上記操作により、PPS樹脂を有機溶媒に溶解させることができる。ここで、オートクレーブ等の耐圧容器中で溶解させる場合、構造上の理由により未溶解樹脂の有無や、溶解せずに溶融状態にある樹脂の有無を直接確認できない場合もある。かかる場合は、引き続いて実施する析出工程で析出する微粒子が溶解前のPPS樹脂と形状や粒径等が相応に異なっていれば、本発明の溶解・析出による結果と判断する。この溶解・析出による形状や粒径変化は粒度分布計を用いた平均粒径の変化およびSEMによる形状変化から判断する。
[析出工程]
上記溶解工程によって溶解させたPPS樹脂溶解液を、PPS樹脂微粒子を析出させる他の容器内(以下、受槽と称する場合がある)の析出用溶媒中にフラッシュ晶析してPPS樹脂微粒子を析出させる。本発明において、フラッシュ晶析とは、加熱・加圧下にある上記溶解液を、温度および圧力が、溶解工程で用いた有機溶媒の沸点以下(冷却下でも良い)・溶解槽内の圧力以下(減圧下でも良い)に制御された受槽内の析出用溶媒中に、ノズルを介して噴出させて移液し、圧力差による冷却効果や潜熱による冷却効果を利用して急速に冷却する方法を指す。
具体的には、加熱・加圧下に保持した溶解槽からPPS樹脂溶解液を大気圧下(減圧下でもよい)の受槽にフラッシュ晶析することにより行うことが好ましい。例えば前記溶解工程において、溶解槽としてオートクレーブ等の耐圧容器中で溶解させると、溶解槽内は加熱による自製圧により加圧状態となる。この状態から放圧して大気圧下の受槽に放出させることにより、よりいっそう簡便に行うことができる。
PPS樹脂微粒子の析出用溶媒としては、特に制限はないが、析出させたPPS樹脂微粒子およびPPS樹脂溶解液の溶媒を、析出用溶媒中に均一に分散させる観点からは溶解工程で使用する有機溶媒と均一に混合する溶媒であることが好ましい。ここで均一に混合するとは、2つ以上の溶媒を混合した場合、1日静置しても界面が現れず、均一に混じり合うことをいう。例えば、NMPに対しては、水、DMF、アセトン、DMSO、テトラヒドロフラン、メタノール、エタノール等が均一に混じり合う溶媒として挙げることができる。
具体的には、PPS樹脂を溶解させる有機溶媒を析出用溶媒として使用することもでき、析出用溶媒は、溶解工程で用いた溶媒と均一に混合する溶媒であって、かつPPS樹脂の貧溶媒を含むことが好ましい。NMPを溶解工程の溶媒に選択した場合には、析出用溶媒としてNMP、アルコール類、アセトン類、水等が使用できる。析出用溶媒は、目的に応じて析出させる溶媒を選択することができる。また、PPS樹脂微粒子を析出させる析出用溶媒は、溶解工程で使用する有機溶媒と均一に混合するならば、単一の溶媒を用いてもよいし、2種類以上の溶媒を混合して用いてもよい。NMP、もしくはNMPと水の混合溶媒を用いることが好ましい。析出用溶媒として、NMPと水の混合溶媒を用いる場合、NMPと水の混合割合は、質量比でNMP1に対し、水を1〜3とすることが好ましい。
PPS樹脂微粒子を析出させる析出用溶媒の使用量は特に限定しないが、溶解工程で使用する有機溶媒1質量部に対して100〜0.1質量部の範囲を例示することができ、好ましくは50〜0.1質量部、更に好ましくは15〜0.1質量部である。
PPS樹脂微粒子を析出させる溶媒中に界面活性剤を添加しておくこともできる。添加する界面活性剤としては、溶解工程で挙げた界面活性剤を使用できるが、新たな界面活性剤を用いても良い。使用量は、界面活性剤の種類や使用目的によっても異なるが、PPS樹脂微粒子の2質量以下であることが好ましく、0.01〜1質量部であることがより好ましい。
フラッシュ晶析方法は特に限定しないが、通常は200℃から400℃、好ましくは220℃から320℃の溶解液を加圧されている圧力以下、あるいは減圧下の受槽に1段でフラッシュ晶析する方法、または溶解液を入れた溶解槽内よりも圧力の低い受槽に多段でフラッシュ晶析する方法等が採用できる。具体的には、例えば前記溶解工程において、溶解槽としてオートクレーブ等の耐圧容器中で溶解させると、溶解槽内は加熱による自製圧により加圧状態となる。この加圧状態とした溶解液を、PPS樹脂微粒子を析出させる析出用溶媒を入れた大気圧の受槽にフラッシュさせるか、減圧下の受槽にフラッシュさせる。フラッシュ晶析する溶解液の圧力(ゲージ圧)は0.2〜4MPaであることが好ましい。この環境からこれをフラッシュ晶析、好ましくは大気圧下の受槽中にフラッシュ晶析することが好ましい。
PPS樹脂微粒子を析出させる析出用溶媒中にフラッシュ晶析する場合、受槽の温度は、受槽に入れるPPS樹脂微粒子を析出させる溶媒により異なるが、具体的には水とNMPの混合溶媒の場合、フラッシュ晶析直前の温度として5〜100℃が好ましく、5〜60℃がより好ましい。
PPS樹脂微粒子の析出用溶媒中へのフラッシュ晶析方法は、溶解槽からの連結管出口を受槽の析出用溶媒中に入れて、PPS樹脂溶解液を直接析出用溶媒中にフラッシュ晶析する方法が粒径の揃ったPPS樹脂微粒子が得られるので好ましい。本明細書において、PPS樹脂溶解液を析出用溶媒中へフラッシュ晶析して得られたPPS樹脂微粒子が析出した液体を、フラッシュ液という。
前記溶解工程で用いる有機溶媒と析出工程で用いる析出用溶媒との質量比は、前記溶解工程で用いる有機溶媒100質量部に対し、析出用溶媒が50〜100質量部であることが好ましい。
[ろ過・単離工程]
上記析出工程で得られたフラッシュ液をそのまま、または界面活性剤を加えた後に機械的分散を行い、PPS樹脂微粒子分散液としてもよいが、新たな分散媒に置き換えてから機械的分散を行ってもよい。分散媒を他の溶媒に置き換えるためには一旦固液分離を行い、PPS樹脂微粒子を単離することが好ましい。PPS樹脂微粒子を単離する方法としては、ろ過、遠心分離、遠心ろ過等の従来公知の固液分離方法で行うことができるが、PPS樹脂微粒子を固液分離操作で効率よく単離するためには、凝集によって粒径を増大させた後、ろ過や遠心分離等の固液分離操作を行うことが望ましい。凝集によって粒径を増大させる方法としては、経時的に凝集させる自然凝集法、加熱による凝集法、塩析による凝集法などを用いることができ、これらの凝集法を用いることにより、工業的な固液分離方法に適した粒径の大きな凝集体を得ることができる。このときの凝集体の平均粒径としては5μm〜150μm(後述の測定方法による粒径)、好ましくは20μm〜100μmである。
具体的には、自然凝集法の場合、1日以上静置することにより、または、一日静置後、フラッシュ液を50℃〜100℃に加熱することにより凝集時間を短縮することができる。塩析では、無機金属塩、または有機金属塩(無機金属塩、有機金属塩を合わせて塩析剤と略すことがある)をPPS樹脂微粒子1質量部に対して0.1〜1000質量部、好ましくは0.5〜500質量部程度を加えることにより粒径の大きな凝集体を得ることができる。具体的には、上記フラッシュ液中に直接無塩析剤を添加する、あるいは、上記塩析剤の0.1〜20質量%の溶液を添加する等の方法が挙げられる。無機金属塩としては、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化リチウム、塩化カリウム等の無機金属塩、有機金属塩としては、酢酸ナトリウム、酢酸マグネシウム、酢酸カルシウム、シュウ酸ナトリウム、シュウ酸マグネシウム、シュウ酸カルシウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸マグネシウム、クエン酸カルシウム等の有機金属塩が挙げられる。塩析剤を溶解させる溶媒としては、水が好ましい。また、上記塩析剤をあらかじめフラッシュ晶析する際の受槽中のPPS樹脂微粒子を析出させる溶媒中に溶解しておくこともできる。このときのPPS樹脂微粒子を析出させる溶媒としては、水が好ましい。添加する塩析剤の量はPPS樹脂微粒子1質量部に対して0.1質量部以上でかつ、PPS樹脂微粒子を析出させる溶媒への飽和溶解量以下が望ましい。本発明のようにフラッシュ晶析して得られたPPS樹脂微粒子は、このような方法で凝集させることにより固液分離が容易となる。また、このような方法で凝集させても極めて再分散の容易なPPS樹脂微粒子が得られるのである。
上記凝集で得られたポリフェニレンサルファイド樹脂微粒子の固液分離の方法としては、ろ過、遠心分離等の方法が挙げられる。ろ過や遠心分離の際にはメンブレンフィルター(ろ過)やろ布(ろ過、遠心分離)などを使用できる。フィルターの目開きとしては、得ようとするPPS樹脂微粒子の粒度に応じて適宜決定されるが、メンブレンフィルターの場合、通常0.1〜50μm程度、ろ布の場合、通気度が5cm/cm・sec以下(at 124.5Pa)のものが使用できる。固液分離後のウエットケークを分散媒に再分散して分散液を調整するには(分散工程)、ウエットケーク中の溶媒を分散工程で用いる分散媒へ置換する。分散媒へ置換するには、ウエットケークを分散工程で用いる分散媒でリスラリーするか、分散工程で用いる分散媒でかけ洗い洗浄すれば良い。
[分散工程]
上記ろ過・単離工程で得られたPPS樹脂微粒子を超音波分散により再分散してPPS樹脂微粒子分散液を得る。ろ過・単離工程でPPS樹脂微粒子を乾燥させると分散されがたくなるため、所望の平均粒径のPPS樹脂微粒子分散液を得るためには、分散工程で用いるPPS樹脂微粒子が分散媒を含んだ状態にしておくことが必要である。分散工程に用いるPPS樹脂微粒子は50質量%以上の分散媒を含んだ状態であることが好ましい。
新たな分散媒になりうる媒体は、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、シクロペンタン、デカン、ドデカン、トリデカン、テトラデカン等の脂肪族炭化水素系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレン、2−メチルナフタレン等の芳香族炭化水素系溶媒、酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸ブチル、プロピオン酸ブチル、酪酸ブチル等のエステル系溶媒、クロロホルム、ブロモホルム、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、クロロベンゼン、o-ジクロロベンゼン、p−ジクロロベンゼン、2,6−ジクロロトルエン、1−クロロナフタレン、ヘキサフルオロイソプロパノール等のハロゲン系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルブチルケトン等のケトン系溶媒、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール等のアルコール系溶媒、N−メチル−2−ピロリジノン、N−エチル−2−ピロリジノン等のN−アルキルピロリジノン系溶媒、N−メチル−ε−カプロラクタム、N−エチル−ε−カプロラクタム等のN−アルキルカプロラクタム系溶媒、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N、N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ヘキサメチルリン酸トリアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルスルホン、テトラメチレンスルホン等の極性溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジイソプロピルエーテル、ジオキサン、ジグライム、ジメトキシエタン等のエーテル系溶媒および水の中から少なくとも一種選ばれる溶媒を例示できるが、環境面、安全面から水が最も好ましい。
固液分離操作等で得られたPPS樹脂微粒子に界面活性剤、分散媒を加えて分散工程に供する。
超音波分散によって生成するPPS樹脂微粒子の凝集抑制、および分散媒への分散性を向上させるために、界面活性剤の添加を行う。界面活性剤の添加時期は、超音波分散の前後いずれでもかまわないが、超音波分散中の微粒子の凝集防止のため、分散前添加、または分散前添加と分散中添加を併用した添加方法が好ましい。
界面活性剤としては、溶解工程で挙げた界面活性剤を使用できるが、新たな界面活性剤を用いても良い。
これらの界面活性剤の添加量は、PPS樹脂微粒子100質量部に対して0.01〜100質量部の範囲であり、好ましくは0.5〜100質量部の範囲であり、より好ましくは、1〜100質量部の範囲である。この範囲の量の界面活性剤を用いることにより、超音波分散によって得られたPPS樹脂微粒子を分散媒に均一に分散させることができる。分散工程で用いるPPS樹脂微粒子と分散媒との混合割合は、分散媒100質量部に対してPPS樹脂微粒子1〜50質量部の範囲であることが好ましく、特に1〜30質量部であることが好ましい。
上記ろ過・単離工程で得られたPPS樹脂微粒子は、超音波の出力90w〜120Wで、最大限平均粒径が小さくなるように超音波分散される。超音波分散後のPPS樹脂微粒子の平均粒径は、後述の測定方法において1μm〜10μmである。PPS樹脂微粒子分散液においても、場合によっては粗粒や沈殿物を含む場合もある。その際には、粗粒や沈殿物と分散部を分離して利用してもよい。分散液のみを得る場合には、粗粒や沈殿物と分散部の分離を行えばよく、そのためには、デカンテーション、ろ過、遠心分離などを行い粗粒や沈殿部分を除去すればよい。なお、本明細書において、分散液とは、室温(25℃)条件下にて24時間静置してもPPS樹脂微粒子と分散媒との界面が現れない状態をいう。
上記により平均粒径1〜10μmのPPS樹脂微粒子が分散した分散液を得ることができる。
[平均粒径の測定]
PPS樹脂微粒子の平均粒径は日機装製レーザー回折・散乱方式粒度分布測定装置MT3300EXIIを用い、分散媒としてポリオキシエチレンクミルフェニルエーテル(商品名ノナール912A 東邦化学工業製 以後、ノナール912Aと称す)の0.5質量%水溶液を用いて測定した。具体的にはマイクロトラック法によるレーザーの散乱光を解析して得られる微粒子の総体積を100%として累積カーブを求め、その累積カーブが50%となる点の粒径(メジアン径:d50)を微粒子の平均粒径とした。
[超音波分散]
超音波分散は日本精機製超音波ホモジナイザー、US−300T(超音波発振器:定格出力300W、発振周波数19.5KHz±1KHz(周波数自動追尾型)、超音波変換器:φ26mmPZT(ボルト締電歪型)振動素子)を用い、所定の出力になるように調整の上超音波発振チップをPPS樹脂微粒子分散液中に接液して行った。
実施例1
〔溶解工程〕
9.8Lのオートクレーブ(溶解槽)にバルブ開閉ができ、配管の端が槽の中に位置するように連結管を装着した。また、フラッシュ晶析の受槽として、50Lの耐圧タンクに撹拌機、コンデンサー、ガス通気管を装着し、前記溶解槽の連結管の他端を槽の中に位置するように装着した。溶解槽にPPS樹脂粉末300g、NMP5,700gを入れ(PPS樹脂の有機溶媒中の割合、5.0質量%)、インターナル連結管のバルブを密閉してから窒素置換した後、撹拌しながら内温270℃まで上昇させた。このときの内圧(ゲージ圧)は0.4MPaであった。
〔析出工程〕
前記受槽に、析出用溶媒として水4,000g、NMP2,000gを入れて受槽に設置した連結管の先端を水中に入れ、窒素ガスを通気した。溶解槽の連結管のバルブを開き、溶解液を受槽水中にフラッシュ晶析した。このフラッシュ液に10質量%酢酸マグネシウム水溶液300gを投入して30分間撹拌した後、1時間静置した。この凝集液を遠心脱水機で固液分離し、固形分をろ取した。その固形分をイオン交換水1,800g中に懸濁した後、遠心脱水機でろ取した。同様の操作を2回行い、含水PPS樹脂微粒子(固形分濃度:22.3wt%)を得た。
〔分散工程〕
前記含水PPS樹脂微粒子33.6g(PPS樹脂微粒子固形分7.5g相当)に、“ラムテル(登録商標)”ASK(花王株式会社製、アルケニルコハク酸ジカリウム)28質量%水溶液2.7g(PPS10質量部に対し1質量部)、イオン交換水38.7gを加えてホモミキサーで予備分散した。その予備分散液を超音波(出力120W)で処理し、平均粒径3.1μmのPPS樹脂微粒子水分散液を得た。
実施例2
溶解工程に用いるPPS樹脂粉末を288g、NMPを5,712gとした以外は(PPS樹脂の有機溶媒中の割合、4.8質量%)、実施例1と同様に溶解工程および析出工程を実施し、含水PPS樹脂微粒子(固形分濃度:23.3wt%)を得た。この含水PPS樹脂微粒子32.2g(PPS樹脂微粒子固形分7.5g相当)に“ラムテル(登録商標)”ASK(花王株式会社製、アルケニルコハク酸ジカリウム)28質量%水溶液2.7g(PPS10質量部に対し1質量部)、イオン交換水40.1gを加えて実施例1と同様に超音波で分散し、平均粒径2.3μmのPPS樹脂微粒子水分散液を得た。
実施例3
溶解工程に用いるPPS樹脂粉末を312g、NMPを5,688gとした以外は(PPS樹脂の有機溶媒中の割合、5.2質量%)、実施例1と同様に溶解工程および析出工程を実施し、含水PPS樹脂微粒子(固形分濃度:23.0wt%)を得た。この含水PPS樹脂微粒子33.6g(PPS樹脂微粒子固形分7.5g相当)に“ラムテル(登録商標)”ASK(花王株式会社製、アルケニルコハク酸ジカリウム)28質量%水溶液2.7g(PPS10質量部に対し1質量部)、イオン交換水38.7gを加えて実施例1と同様に超音波で分散し、平均粒径3.2μmのPPS樹脂微粒子水分散液を得た。
実施例4
溶解工程に用いるPPS樹脂粉末を330g、NMPを5,670gとした以外は(PPS樹脂の有機溶媒中の割合、5.5質量%)、実施例1と同様に溶解工程および析出工程を実施し、含水PPS樹脂微粒子(固形分濃度:22.0wt%)を得た。この含水PPS樹脂微粒子34.1g(PPS樹脂微粒子固形分7.5g相当)に“ラムテル(登録商標)”ASK(花王株式会社製、アルケニルコハク酸ジカリウム)28質量%水溶液2.7g(PPS10質量部に対し1質量部)、イオン交換水38.2gを加えて実施例1と同様に超音波で分散し、平均粒径3.6μmのPPS樹脂微粒子水分散液を得た。
実施例5
溶解工程に用いるPPS樹脂粉末を360g、NMPを5,700gとした以外は(PPS樹脂の有機溶媒中の割合、6.0質量%)、実施例1と同様に溶解工程および析出工程を実施し、含水PPS樹脂微粒子(固形分濃度:22.6wt%)を得た。この含水PPS樹脂微粒子33.2g(PPS樹脂微粒子固形分7.5g相当)に“ラムテル(登録商標)”ASK(花王株式会社製、アルケニルコハク酸ジカリウム)28質量%水溶液2.7g(PPS10質量部に対し1質量部)、イオン交換水39.1gを加えて実施例1と同様に超音波で分散し、平均粒径3.6μmのPPS樹脂微粒子水分散液を得た。
実施例6
溶解工程に用いるPPS樹脂粉末を300g、NMPを5,700g(PPS樹脂の有機溶媒中の割合、5.0質量%)とし、析出用溶媒をNMP6,000gとした以外は、実施例1と同様に溶解工程および析出工程を実施し、含水PPS樹脂微粒子(固形分濃度:21.0wt%)を得た。この含水PPS樹脂微粒子35.7g(PPS樹脂微粒子固形分7.5g相当)に“ラムテル(登録商標)”ASK(花王株式会社製、アルケニルコハク酸ジカリウム)28質量%水溶液2.7g(PPS10質量部に対し1質量部)、イオン交換水36.6gを加えて実施例1と同様に超音波で分散し、平均粒径1.3μmのPPS樹脂微粒子水分散液を得た。
実施例7
溶解工程に用いるPPS樹脂粉末を300g、NMPを5,700g(PPS樹脂の有機溶媒中の割合、5.0質量%)とし、析出用溶媒をNMP3,000gとした以外は、実施例1と同様に溶解工程および析出工程を実施し、含水PPS樹脂微粒子(固形分濃度:21.6wt%)を得た。この含水PPS樹脂微粒子34.7g(PPS樹脂微粒子固形分7.5g相当)に“ラムテル(登録商標)”ASK(花王株式会社製、アルケニルコハク酸ジカリウム)28質量%水溶液2.7g(PPS10質量部に対し1質量部)、イオン交換水37.6gを加えて実施例1と同様に超音波で分散し、平均粒径1.9μmのPPS樹脂微粒子水分散液を得た。
実施例8
溶解工程に用いるPPS樹脂粉末を300g、NMPを5,700g(PPS樹脂の有機溶媒中の割合、5.2質量%)とし、析出用溶媒をNMP4,500gとした以外は、実施例1と同様に溶解工程および析出工程を実施し、含水PPS樹脂微粒子(固形分濃度:22.6wt%)を得た。この含水PPS樹脂微粒子33.1g(PPS樹脂微粒子固形分7.5g相当)に“ラムテル(登録商標)”ASK(花王株式会社製、アルケニルコハク酸ジカリウム)28質量%水溶液2.7g(PPS10質量部に対し1質量部)、イオン交換水39.2gを加えて実施例1と同様に超音波で分散し、平均粒径1.4μmのPPS樹脂微粒子水分散液を得た。
実施例9
溶解工程に用いるPPS樹脂粉末を420g、NMPを5,580g(PPS樹脂の有機溶媒中の割合、7.0質量%)とし、析出用溶媒をNMP3,000gとした以外は、実施例1と同様に溶解工程および析出工程を実施し、含水PPS樹脂微粒子(固形分濃度:23.0wt%)を得た。この含水PPS樹脂微粒子32.6g(PPS樹脂微粒子固形分7.5g相当)に“ラムテル(登録商標)”ASK(花王株式会社製、アルケニルコハク酸ジカリウム)28質量%水溶液2.7g(PPS10質量部に対し1質量部)、イオン交換水39.7gを加えて実施例1と同様に超音波で分散し、平均粒径2.6μmのPPS樹脂微粒子水分散液を得た。
実施例10
溶解工程に用いるPPS樹脂粉末を420g、NMPを5,580g(PPS樹脂の有機溶媒中の割合、7.0質量%)とし、析出用溶媒をNMP4,500gとした以外は、実施例1と同様に溶解工程および析出工程を実施し、含水PPS樹脂微粒子(固形分濃度:22.8wt%)を得た。この含水PPS樹脂微粒子32.9g(PPS樹脂微粒子固形分7.5g相当)に“ラムテル(登録商標)”ASK(花王株式会社製、アルケニルコハク酸ジカリウム)28質量%水溶液2.7g(PPS10質量部に対し1質量部)、イオン交換水39.4gを加えて実施例1と同様に超音波で分散し、平均粒径1.7μmのPPS樹脂微粒子水分散液を得た。
比較例1
溶解工程に用いるPPS樹脂粉末を180g、NMPを5,820gとした以外は(PPS樹脂の有機溶媒中の割合、3.0質量%)、実施例1と同様に溶解工程および析出工程を実施し、含水PPS樹脂微粒子(固形分濃度:21.4wt%)を得た。この含水PPS樹脂微粒子35.0g(PPS樹脂微粒子固形分7.5g相当)に“ラムテル(登録商標)”ASK(花王株式会社製、アルケニルコハク酸ジカリウム)28質量%水溶液2.7g(PPS10質量部に対し1質量部)、イオン交換水37.3gを加えて実施例1と同様に超音波で分散し、平均粒径210nmのPPS樹脂微粒子水分散液を得た。
比較例2
溶解工程に用いるPPS樹脂粉末を276g、NMPを5,724gとした以外は(PPS樹脂の有機溶媒中の割合、4.6質量%)、実施例1と同様に溶解工程および析出工程を実施し、含水PPS樹脂微粒子(固形分濃度:22.3wt%)を得た。この含水PPS樹脂微粒子33.6g(PPS樹脂微粒子固形分7.5g相当)に“ラムテル(登録商標)”ASK(花王株式会社製、アルケニルコハク酸ジカリウム)28質量%水溶液2.7g(PPS10質量部に対し1質量部)、イオン交換水38.7gを加えて実施例1と同様に超音波で分散し、平均粒径0.7μmのPPS樹脂微粒子水分散液を得た。
以上のように、本発明にかかるポリフェニレンサルファイド樹脂微粒子分散液の製造方法は、ポリフェニレンサルファイド樹脂微粒子の製造に有用であり、特に、部材表面の凹凸を形成する用途等に適している。

Claims (10)

  1. 下記の工程(a)、(b)、(c)を含むことを特徴とするポリフェニレンサルファイド樹脂微粒子分散液の製造方法。
    (a)有機溶媒に対し、4.8質量%〜10質量%の割合でポリフェニレンサルファイド樹脂を配合し、加熱して溶解液を調整する工程(溶解工程)
    (b)前記溶解液を析出用溶媒中にフラッシュ晶析してポリフェニレンサルファイド樹脂微粒子が析出したフラッシュ液を得る工程(析出工程)
    (c)ポリフェニレンサルファイド樹脂微粒子が析出したフラッシュ液を、界面活性剤の存在下、超音波処理してポリフェニレンサルファイド樹脂微粒子を分散させる工程(分散工程)
  2. 前記析出工程は、0.2MPa〜4MPaの圧力(ゲージ圧)下にある溶解液を析出用溶媒中にフラッシュ晶析することを特徴とする請求項1に記載のポリフェニレンサルファイド樹脂微粒子分散液の製造方法。
  3. 前記溶解工程に用いる有機溶媒は、N−メチル−2−ピロリジノンであることを特徴とする請求項1または2に記載のポリフェニレンサルファイド樹脂微粒子分散液の製造方法。
  4. 前記溶解工程は、200℃から400℃で加熱することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載のポリフェニレンサルファイド樹脂微粒子分散液の製造方法。
  5. 前記析出工程に用いる析出用溶媒は、N−メチル−2−ピロリジノンであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載のポリフェニレンサルファイド樹脂微粒子分散液の製造方法。
  6. 前記析出工程に用いる析出用溶媒は、水とN−メチル−2−ピロリジノンとの混合溶液であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載のポリフェニレンサルファイド樹脂微粒子分散液の製造方法。
  7. 前記溶解工程に用いる有機溶媒と前記析出工程に用いる析出用溶媒との質量比は、前記有機溶媒100質量部に対し前記析出用溶媒が50〜100質量部であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載のポリフェニレンサルファイド樹脂微粒子分散液の製造方法。
  8. 前記分散工程は、超音波装置の出力を90W〜120Wとして行うことを特徴とする請求項1〜7のいずれか一つに記載のポリフェニレンサルファイド樹脂微粒子分散液の製造方法。
  9. 前記分散工程で用いる界面活性剤は、非イオン系界面活性剤およびアニオン系界面活性剤から選択される一種以上であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一つに記載のポリフェニレンサルファイド樹脂微粒子分散液の製造方法。
  10. (d)前記析出工程で析出したポリフェニレンサルファイド樹脂微粒子を、凝集させて大粒径化し、凝集したポリフェニレンサルファイド樹脂微粒子を分離する工程(分離工程)
    を含み、前記分散工程は、前記分離工程で分離したポリフェニレンサルファイド樹脂微粒子を、界面活性剤の存在下、水に分散させることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載のポリフェニレンサルファイド樹脂微粒子分散液の製造方法。
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