JP2014005409A - ポリフェニレンサルファイド樹脂微粒子分散液の凝集方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】PPS微粒子分散液の塩析による凝集において、できる限り少量の無機金属塩、もしくは有機金属塩の添加で効率的にPPS樹脂微粒子を凝集させる方法を提供する。
【解決手段】NMPおよび水の質量比が1〜2:1の割合の分散媒に平均1次粒径が300nm以下のPPS樹脂微粒子が分散した分散液に、有機溶媒および無機金属塩または有機金属塩を添加してPPS樹脂微粒子を凝集させる凝集工程を有し、前記無機金属塩または有機金属塩は、前記PPS樹脂微粒子100質量部に対し5質量部未満の割合で添加されることを特徴とする凝集方法。
【選択図】なし
【解決手段】NMPおよび水の質量比が1〜2:1の割合の分散媒に平均1次粒径が300nm以下のPPS樹脂微粒子が分散した分散液に、有機溶媒および無機金属塩または有機金属塩を添加してPPS樹脂微粒子を凝集させる凝集工程を有し、前記無機金属塩または有機金属塩は、前記PPS樹脂微粒子100質量部に対し5質量部未満の割合で添加されることを特徴とする凝集方法。
【選択図】なし
Description
本発明は、ポリフェニレンサルファイド樹脂微粒子分散液の凝集方法に関する。
ポリフェニレンサルファイド(以下、PPSと略すことがある)樹脂は、優れた耐熱性、耐薬品性、耐溶剤性、電気絶縁性などエンジニアリングプラスチックとして好適な性質を有しており、射出成形、押出成形用途を中心として各種電気・電子部品、機械部品及び自動車部品などに使用されている。このような優れた各種特性を持ったPPS樹脂およびその微粒子分散液は、塗料分野、接着材料分野、自動車分野、電子材料分野などにおいての需要が高く、近年、PPS樹脂微粒子分散液を得る方法が報告されている(特許文献1参照)。また、PPS樹脂微粒子分散液の分散媒には、用途に応じて水のみならず、非水系溶媒、例えば、イソプロピルアルコール等のアルコール系溶媒、MEK、MIBK等のケトン系溶媒、N−メチル−2−ピロリジノン(以下、NMPと略すことがある)等のアミド系溶媒、トルエン等の炭化水素系溶媒等が使用されている(特許文献2参照)。
特許文献1記載のPPS樹脂微粒子の製造方法は、PPSをNMP等の有機溶媒に溶解させた後、フラッシュ冷却させることによりPPS樹脂微粒子分散液(以下、フラッシュ冷却後のPPS樹脂微粒子分散液をフラッシュ液と略することがある)を得る方法である。
この方法では、フラッシュ冷却後のPPS樹脂微粒子分散液をそのまま機械的粉砕もしくは機械的分散に供することもできるが、PPS樹脂微粒子を凝集させた後、単離してウエットケークとすることにより、フラッシュ液の分散媒とは異なる分散媒のPPS樹脂微粒子分散液を作製することができる。例えば、フラッシュ液を凝集させ、脱液後、水で洗浄することによりPPS樹脂微粒子の水ウエットケークが得られる。このウエットケークを界面活性剤の水溶液に懸濁させ、機械的分散することによりPPS樹脂微粒子水分散液が得られる。凝集方法としては、経時的に凝集させる自然凝集法、加熱と冷却による凝集法、無機金属塩や有機金属塩(以下、無機金属塩や有機金属塩を塩析剤と略すことがある)の塩析による凝集法などを用いることができるが、自然凝集法、加熱と冷却による凝集法は、PPS樹脂微粒子の種類や微粒子の大きさによっては効率的に凝集が進行せず、凝集に長時間を要することがある。これに対して無機金属塩や有機金属塩を用いた塩析による凝集方法は、PPS樹脂微粒子の種類や粒子の大きさによらず、短時間で微粒子を凝集させることができる。
塩析による凝集でPPS樹脂微粒子を効率的に凝集させるためには、PPS樹脂微粒子100質量部に対して10〜1000質量部程度の塩化ナトリウム、酢酸ナトリウム、酢酸マグシウム等の塩析剤を加える。しかし、塩析剤の添加量が多くなる程ウエットケーク中に残存する塩析剤が増加するので、塩析剤中に含まれるナトリウムやマグネシウム等の金属が部材の性能に悪影響を及ぼす用途、例えば半導体等の電子材料用途等では、できる限り少量の無機金属塩や有機金属塩で凝集を行う必要がある。
本発明は、無機金属塩や有機金属塩の使用量を低減しながら、効率的にPPS樹脂微粒子分散液を凝集させる方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、驚くべきことにフラッシュ液100質量部に対して20〜100質量部の有機溶媒を加えることにより、極めて少量の無機金属塩、もしくは有機金属塩の添加でPPS樹脂微粒子を凝集させることができることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明は、N−メチル−2−ピロリジノンおよび水を分散媒とし、平均1次粒径が300nm以下であるポリフェニレンサルファイド樹脂微粒子が分散したポリフェニレンサルファイド樹脂微粒子分散液の凝集方法であって、前記ポリフェニレンサルファイド樹脂微粒子分散液に、有機溶媒および無機金属塩または有機金属塩を添加してポリフェニレンサルファイド樹脂微粒子を凝集させる凝集工程を有し、前記ポリフェニレンサルファイド樹脂微粒子分散液中のN−メチル−2−ピロリジノンと水との質量比は、水1に対しN−メチル−2−ピロリジノンが1〜2であり、前記無機金属塩または有機金属塩は、前記ポリフェニレンサルファイド樹脂微粒子100質量部に対し5質量部未満の割合で添加されることを特徴とする。
本発明を用いることにより、PPS樹脂微粒子100質量部に対して5質量部未満の無機金属塩、もしくは有機金属塩の添加で効率的にPPS樹脂微粒子を凝集させることができ、そのようなPPS樹脂微粒子ウエットケークを使用した分散液は、金属が性能に悪影響を及ぼす部材にも提供できるという効果を有する。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
[原料のPPS樹脂]
本発明におけるPPS樹脂とは、化学式(1)
[原料のPPS樹脂]
本発明におけるPPS樹脂とは、化学式(1)
高品質のPPS樹脂微粒子を製造するためには、無機イオンの含有量ができるだけ少ないPPS樹脂を原料とすることが特に好ましい。そのため、上記方法により製造されたPPS樹脂は、洗浄等の方法により無機塩などの副生物を除いて使用することが好ましい。洗浄方法は、通常行われる方法でよい。なお、副生物を除くタイミングは重合後に行ってもよいし、後述する工程のいずれで行ってもよいが、後述の溶解工程の前に行うことが好ましい。なお、上記方法により製造されたPPS樹脂は、副生成物を除いた後に結晶加速度を制御するために洗浄あるいは金属水溶液で処理することがある。例えば、特開平10−60113号公報ではpH7未満の無機酸および/または有機酸洗浄により金属イオン含有量を低減させたPPS樹脂の製造方法が開示されている。また、特開2002−332351号公報では、周期表の第II属の金属元素を含む水溶液で処理する方法が開示されている。本発明に用いるPPS樹脂は、上記の重合後に通常の洗浄方法によって副生成物を除いたPPS樹脂、酸洗浄を行ったPPS樹脂、周期表の第II属の金属元素を含む水溶液で処理したPPS樹脂のいずれをも用いることができる。その他、米国特許第5,869,599号明細書、国際公開第07/034800号に記載されたような方法で合成されたものも用いることができる。
[PPS樹脂微粒子の製造]
本発明に用いるPPS樹脂微粒子は、上記PPS樹脂を下記の工程(a)、(b)を含む工程を経て製造することが好ましい。
(a)PPS樹脂を有機溶媒中で加熱してPPS樹脂の溶解液とする工程(溶解工程)
(b)前記溶解液をフラッシュ冷却してPPS樹脂の微粒子を析出させる工程(析出工程)
本発明に用いるPPS樹脂微粒子は、上記PPS樹脂を下記の工程(a)、(b)を含む工程を経て製造することが好ましい。
(a)PPS樹脂を有機溶媒中で加熱してPPS樹脂の溶解液とする工程(溶解工程)
(b)前記溶解液をフラッシュ冷却してPPS樹脂の微粒子を析出させる工程(析出工程)
[溶解工程]
溶解工程では、溶解槽内の有機溶媒中でPPS樹脂を加熱して溶解させる。本発明で使用するPPS樹脂の形態は特に問わないが、具体的に例示するならば粉体、顆粒、ペレット、繊維、フィルム、成形品等があげられる。操作性及び溶解に要する時間を短縮させる観点から、粉末、顆粒、ペレットが望ましく、特に粉末のPPS樹脂が好ましい。ここで、目的とするPPS樹脂微粒子およびその分散液を水溶性塗料等に使用する場合等、共存する無機イオンによる装置の腐食を防止するために、無機イオンを含有していない粉末、顆粒、ペレット状のPPS樹脂が特に好ましい。
溶解工程では、溶解槽内の有機溶媒中でPPS樹脂を加熱して溶解させる。本発明で使用するPPS樹脂の形態は特に問わないが、具体的に例示するならば粉体、顆粒、ペレット、繊維、フィルム、成形品等があげられる。操作性及び溶解に要する時間を短縮させる観点から、粉末、顆粒、ペレットが望ましく、特に粉末のPPS樹脂が好ましい。ここで、目的とするPPS樹脂微粒子およびその分散液を水溶性塗料等に使用する場合等、共存する無機イオンによる装置の腐食を防止するために、無機イオンを含有していない粉末、顆粒、ペレット状のPPS樹脂が特に好ましい。
本工程で使用する有機溶媒は、PPS樹脂が溶解する溶媒であれば何れも使用できる。具体的には、クロロホルム等のアルキルハロゲン化物、o−ジクロロベンゼンや1−クロロナフタレン等の芳香族ハロゲン化物、N−メチル−2−ピロリジノン等のN−アルキルピロリドン類、N−メチル−ε−カプロラクタム等のN−アルキルカプロラクタム類、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N,N−ジメチルアセトアミド(以下、DMAcと略する)、N,N−ジメチルホルムアミド(以下、DMFと略する)、ヘキサメチルリン酸トリアミド、ジメチルスルホキシド(以下、DMSOと略する)、ジメチルスルホン、テトラメチレンスルホン等の極性溶媒の中から少なくとも一種選ばれる溶媒が挙げられる。この中でも、PPS樹脂の溶解度の点で特にNMPが好ましい。
上記有機溶媒に対するPPS樹脂の仕込濃度は、所定温度で未溶解PPS樹脂や溶融状態のPPS樹脂が存在すると、フラッシュ冷却後、粗粒あるいは塊状物となって、フラッシュ冷却した有機溶媒中に存在するが、これらはろ過や遠心分離等の操作により容易に除去できるので特に制限はない。通常は有機溶媒100質量部に対しPPS樹脂0.1〜10質量部、好ましくは 0.5〜10質量部である。この範囲であれば、工業生産に適用可能である。本発明においては前記有機溶媒にPPS樹脂を仕込み、加熱溶解させた後、PPS樹脂溶解液を、後述する析出工程においてPPS樹脂微粒子を析出させる他の容器、または他の容器内の析出用溶媒中にフラッシュ冷却する。
溶解工程の溶解槽の雰囲気は、空気雰囲気下、不活性ガス雰囲気下、あるいは溶媒蒸気の雰囲気下のいずれでも良いが、PPS樹脂の分解、劣化を抑制するため、更には安全に作業を進めるために酸素ガス濃度を低くする方が好ましい。ここで、不活性ガスとしては、窒素ガス、二酸化炭素ガス、ヘリウムガス、アルゴンガスなどが挙げられるが、経済性、入手容易性を勘案して、窒素ガス、アルゴンガス、二酸化炭素ガスが好ましく、特に好ましくは窒素ガスあるいはアルゴンガスが用いられる。また、溶媒蒸気の雰囲気下とする方法としては、(1)溶解槽を減圧または真空にして空気を除去した後に溶解槽を昇温する方法、(2)溶解槽内の空気を吸引しつつ、昇温し、溶媒蒸気が充満した状態になったところで吸引を止める方法、(3)溶解槽内の空気を吸引しつつ、溶媒蒸気が充満した状態になったところで吸引を止めるなどの方法、(4)溶解槽内の空気を吸引しつつ、溶媒と同種の蒸気を反応槽中に吹き込む方法、あるいはこれらを組合せた方法が挙げられ、それにより溶解槽内を気化した溶媒蒸気の雰囲気にすることができる。なお、(2)〜(4)の方法を採用する場合は溶解槽内の溶媒の量を把握しておくことが望ましい。
溶解方法は特に限定しないが、溶解槽として使用する所定の容器にPPS樹脂、有機溶媒を入れ、撹拌しながら加熱する。粒径の揃ったPPS樹脂微粒子を製造するにはPPS樹脂を有機溶媒に完全溶解させてから、フラッシュ冷却して析出させる方法が好ましいが、未溶解PPS樹脂や溶融状態のPPS樹脂が存在してもよい。溶媒沸点でPPS樹脂を溶解させ、その希薄溶液から析出させることもできるが、PPS樹脂は有機溶媒に対する溶解度が小さいので、オートクレーブ等の耐圧容器中で溶媒の沸点以上からPPS樹脂の分解点未満に加熱して溶解する方法が好ましい。
溶解温度は使用する有機溶媒の種類やPPS樹脂の濃度によって異なるが、通常は200℃〜400℃で、好ましくは220℃〜320℃である。温度が高いとPPS樹脂が分解する。また、200℃未満ではPPS樹脂を溶解するために大量の有機溶媒を使用することになる。
溶解時間は有機溶媒の種類、PPS樹脂の仕込濃度、溶解温度によって異なるが、通常、10分〜10時間であり、好ましくは、20分〜8時間、より好ましくは30分〜5時間の範囲である。
上記操作により、PPS樹脂を有機溶媒に溶解させることができる。ここで、オートクレーブ等の耐圧容器中で溶解させる場合、構造上の理由により未溶解樹脂の有無や、溶解せずに溶融状態にある樹脂の有無を直接確認できない場合がある。かかる場合は、引き続いて実施する析出工程で析出するPPS樹脂微粒子が、溶解前のPPS樹脂と形状や粒径等が相応に異なっていれば、本発明の溶解・析出による結果と判断する。この溶解・析出による形状や粒径変化は粒度分布計を用いた平均粒径の変化およびSEMによる形状変化から判断する。
[析出工程]
上記溶解工程によって有機溶媒に溶解させたPPS樹脂溶解液を、PPS樹脂微粒子を析出させる他の容器内(以下受槽と称する場合もある)、または前記容器内の析出用溶媒中にフラッシュ冷却してPPS樹脂微粒子を析出させる。本発明において、フラッシュ冷却とは、加熱・加圧下にある上記PPS樹脂溶解液を、温度および圧力が、溶解工程で用いた有機溶媒の沸点以下(冷却下でも良い)・溶解槽内の圧力以下(減圧下でも良い)に制御された受槽中、または受槽内の析出用溶媒中に、ノズルを介して噴出させて移液し、圧力差による冷却効果や潜熱による冷却効果を利用して急速に冷却する方法を指す。
上記溶解工程によって有機溶媒に溶解させたPPS樹脂溶解液を、PPS樹脂微粒子を析出させる他の容器内(以下受槽と称する場合もある)、または前記容器内の析出用溶媒中にフラッシュ冷却してPPS樹脂微粒子を析出させる。本発明において、フラッシュ冷却とは、加熱・加圧下にある上記PPS樹脂溶解液を、温度および圧力が、溶解工程で用いた有機溶媒の沸点以下(冷却下でも良い)・溶解槽内の圧力以下(減圧下でも良い)に制御された受槽中、または受槽内の析出用溶媒中に、ノズルを介して噴出させて移液し、圧力差による冷却効果や潜熱による冷却効果を利用して急速に冷却する方法を指す。
具体的には、加熱・加圧下に保持した溶解槽から、PPS樹脂の溶解液を大気圧下(減圧下でもよい)の受槽にフラッシュ冷却することにより行うことが好ましい。例えば前記溶解工程において、溶解槽としてオートクレーブ等の耐圧容器中で溶解させると、溶解槽内は加熱による自製圧により加圧状態となる。この状態から放圧して大気圧下の受槽に放出させることにより、よりいっそう簡便に行うことができる。より微細なPPS樹脂微粒子を得るためには急速に冷却することが望ましく、圧力差による冷却効果と潜熱による冷却効果の両方の効果が得られる析出用溶媒中への直接フラッシュ冷却がより好ましい。
PPS樹脂微粒子の析出用溶媒としては、特に制限はないが、析出させたPPS樹脂微粒子およびPPS樹脂溶解液の溶媒を、析出用溶媒中に均一に分散させる観点からは溶解工程で使用する有機溶媒と均一に混合する溶媒であることが好ましい。ここで均一に混合するとは、2つ以上の溶媒を混合した場合、1日静置しても界面が現れず、均一に混じり合うことをいう。
具体的には、PPS樹脂を溶解させる有機溶媒を、析出用溶媒として使用することもできるが、微細なPPS樹脂微粒子が得られる点、粒径が揃いやすい点から、析出用溶媒は、溶解工程で用いた溶媒と均一に混合する溶媒であって、かつPPS樹脂の貧溶媒を含むことが好ましい。NMPを溶解工程の溶媒に選択した場合には、析出用溶媒として、NMP、アルコール類、アセトン類、水等が使用できる。析出用溶媒は、目的に応じて析出させる溶媒を選択することができる。析出用溶媒は、特に微細かつ粒径の揃ったPPS樹脂微粒子が得られやすい点から水を用いることが好ましい。
また、PPS樹脂微粒子を析出させる析出用溶媒は、溶解工程で使用する有機溶媒と均一に混合するならば、単一の溶媒を用いてもよいし、2種類以上の溶媒を混合して用いてもよい。析出用溶媒は、特に微細かつ粒径の揃った微粒子が得られやすい点から水を含む混合溶媒を用いるのが好ましく、なかでも水とNMPの混合溶媒が好ましい。
PPS樹脂微粒子を析出させる析出用溶媒の使用量は特に限定しないが、溶解工程で使用する有機溶媒1質量部に対して100〜0.1質量部の範囲を例示することができ、好ましくは50〜0.1質量部、更に好ましくは15〜0.1質量部である。
フラッシュ冷却方法は特に限定しないが、通常は200℃から400℃、好ましくは220℃から320℃の溶解液を、加圧されている圧力以下、あるいは減圧下の受槽に1段でフラッシュ冷却する方法、または溶解液を入れた溶解槽内よりも圧力の低い受槽に多段でフラッシュ冷却する方法等が採用できる。微細なPPS樹脂微粒子を得るには、圧力差が大きく、温度差が大きい方が好ましい。具体的には、例えば前記溶解工程において、溶解槽としてオートクレーブ等の耐圧容器中で溶解させると、溶解槽内は加熱による自製圧により加圧状態となる。この加圧状態とした溶解液を、PPS樹脂微粒子を析出させる析出用溶媒を入れた大気圧の受槽にフラッシュさせるか、減圧下の受槽にフラッシュさせる。フラッシュ冷却する溶解液の圧力(ゲージ圧)は0.2〜4MPaであることが好ましい。この環境からこれをフラッシュ冷却、好ましくは大気圧下の受槽中にフラッシュ冷却することが好ましい。
PPS樹脂微粒子を析出させる析出用溶媒中へのフラッシュ冷却では、PPS樹脂の溶解液からPPS樹脂微粒子が析出し、PPS樹脂微粒子の分散液(フラッシュ液)が得られる。ここで、PPS樹脂微粒子の分散液の分散媒は、溶解工程で使用する有機溶媒と析出工程で使用する析出用溶媒の混合物である。受槽の冷却温度は、使用する析出用溶媒により異なるが、PPS樹脂微粒子の析出用溶媒が凝固しない温度〜50℃、具体的には、析出用溶媒として水を使用する場合、フラッシュ冷却直前の温度として0〜50℃が好ましく、0〜40℃がより好ましい。
PPS樹脂微粒子の析出用溶媒中へのフラッシュ冷却方法は、溶解槽からの連結管出口を受槽の析出用溶媒中に入れて、PPS樹脂溶解液を直接析出用溶媒中にフラッシュ冷却する方法が、より微細なPPS樹脂微粒子の分散液もしくは懸濁液が得られるので好ましい。
かくして得られるPPS樹脂微粒子の1次粒子の平均粒径は1μm以下、多くの場合、300nm以下である。1次粒子の平均粒径(平均1次粒径)とは、走査型電子顕微鏡(以下SEMと表記する)で観察したPPS樹脂微粒子のうち、任意の100個の1次粒子の粒径を測長した平均値のことである。
[凝集工程]
PPS樹脂微粒子を単離する方法としては、ろ過、遠心分離、遠心ろ過等の従来公知の固液分離方法で行うことができるが、1μm未満のPPS樹脂微粒子を固液分離操作で効率よく単離するためには、凝集によって粒径を増大させた後、ろ過や遠心分離等の固液分離操作を行うことが望ましい。凝集によって粒径を増大させる方法としては、経時的に凝集させる自然凝集法、加熱と冷却による凝集法、塩析による凝集法などを用いることができる。特に塩析による凝集方法が、PPS樹脂微粒子の種類や粒子の大きさによらず、微粒子を効率的に凝集させるので好ましい。PPS樹脂微粒子の種類や粒子の大きさによらず、微粒子を効率的に凝集させるには、通常、PPS樹脂微粒子100質量部に対して10〜1000質量部の塩析剤を入れる。しかし、塩析剤が多くなるに従い、ウエットケークに残存する塩析剤量が増加するので、それらの塩に含まれる金属が部材の性能に悪影響を及ぼす用途、たとえば、半導体等の電子材料用途では塩析剤をできる限り減らすことが好ましい。
PPS樹脂微粒子を単離する方法としては、ろ過、遠心分離、遠心ろ過等の従来公知の固液分離方法で行うことができるが、1μm未満のPPS樹脂微粒子を固液分離操作で効率よく単離するためには、凝集によって粒径を増大させた後、ろ過や遠心分離等の固液分離操作を行うことが望ましい。凝集によって粒径を増大させる方法としては、経時的に凝集させる自然凝集法、加熱と冷却による凝集法、塩析による凝集法などを用いることができる。特に塩析による凝集方法が、PPS樹脂微粒子の種類や粒子の大きさによらず、微粒子を効率的に凝集させるので好ましい。PPS樹脂微粒子の種類や粒子の大きさによらず、微粒子を効率的に凝集させるには、通常、PPS樹脂微粒子100質量部に対して10〜1000質量部の塩析剤を入れる。しかし、塩析剤が多くなるに従い、ウエットケークに残存する塩析剤量が増加するので、それらの塩に含まれる金属が部材の性能に悪影響を及ぼす用途、たとえば、半導体等の電子材料用途では塩析剤をできる限り減らすことが好ましい。
本出願人は、ポリフェニレンサルファイド樹脂微粒子分散液(フラッシュ液)を塩析剤により凝集する際、フラッシュ液に対し所定の割合で有機溶剤を添加することにより、塩析剤の添加量が少なくても効率的にポリフェニレンサルファイド樹脂微粒子が凝集することを見出した。本発明にかかるポリフェニレンサルファイド樹脂微粒子分散液(フラッシュ液)の凝集方法により、塩析剤量の残存量が少ないポリフェニレンサルファイド樹脂微粒子のウエットケークを得ることが可能となる。
本発明の凝集工程に用いるPPS樹脂微粒子分散液は、下記の工程(a’)、(b’)を含む工程を経て調整したものを使用することが好ましい。
(a’)ポリフェニレンサルファイド樹脂をNMP中で加熱してポリフェニレンサルファイド樹脂の溶解液を調整する工程(溶解工程)
(b’)前記溶解工程で調整した前記溶解液を、水中にフラッシュ冷却して、平均1次粒径が300nm以下であるポリフェニレンサルファイド樹脂微粒子を析出させて、ポリフェニレンサルファイド樹脂微粒子分散液を調整する工程(析出工程)
しかしながら、ポリフェニレンサルファイド樹脂微粒子分散液中の水とNMPとの質量比が所定範囲、すなわち、水1に対しNMPが1〜2であって、平均1次粒径が300nm以下であるポリフェニレンサルファイド樹脂微粒子が分散する分散液を調整することができる方法であれば、(a’)、(b’)工程以外の方法で調整されたポリフェニレンサルファイド樹脂微粒子分散液でも、塩析剤の使用量を低減しながら効率よくポリフェニレンサルファイド樹脂微粒子の凝集が可能である。
(a’)ポリフェニレンサルファイド樹脂をNMP中で加熱してポリフェニレンサルファイド樹脂の溶解液を調整する工程(溶解工程)
(b’)前記溶解工程で調整した前記溶解液を、水中にフラッシュ冷却して、平均1次粒径が300nm以下であるポリフェニレンサルファイド樹脂微粒子を析出させて、ポリフェニレンサルファイド樹脂微粒子分散液を調整する工程(析出工程)
しかしながら、ポリフェニレンサルファイド樹脂微粒子分散液中の水とNMPとの質量比が所定範囲、すなわち、水1に対しNMPが1〜2であって、平均1次粒径が300nm以下であるポリフェニレンサルファイド樹脂微粒子が分散する分散液を調整することができる方法であれば、(a’)、(b’)工程以外の方法で調整されたポリフェニレンサルファイド樹脂微粒子分散液でも、塩析剤の使用量を低減しながら効率よくポリフェニレンサルファイド樹脂微粒子の凝集が可能である。
本発明の凝集工程において、上記(a’)および(b’)の工程により得られたフラッシュ液であって、フラッシュ液100質量部に対し、新たに有機溶媒を20質量部〜100質量部の割合で添加した場合、塩析剤、すなわち無機金属塩または有機金属塩を、ポリフェニレンサルファイド樹脂微粒子100質量部に対し、わずか5質量部未満の割合で添加することにより、ポリフェニレンサルファイド樹脂微粒子を凝集させることが可能となる。
塩析剤を添加する方法は、上記フラッシュ液に塩析剤を直接添加する、あるいは、上記塩析剤の0.1〜20質量%の溶液を添加する等の方法が挙げられる。塩析剤の添加量は、凝集させるPPS樹脂微粒子の平均1次粒径、フラッシュ液の溶媒組成、添加する有機溶媒の種類および量、添加する塩析剤の種類および量により変動するが、ポリフェニレンサルファイド樹脂微粒子100質量部に対し、5質量部未満であり、好ましくは3質量部以下であり、2質量部以下の添加が特に好ましい。また、塩析剤は、PPS樹脂微粒子の凝集が可能な量を転化すればよく、たとえば、0.1質量部、好ましくは0.5質量部以上添加することが好ましい。塩析剤と有機溶媒の添加順序では、塩析剤を有機溶媒の先に添加しても、有機溶媒を加えた後に添加してもよく、また同時に添加してもよい。
塩析剤の無機金属塩としては、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化リチウム、塩化カリウム等が例示され、塩析剤の有機金属塩としては、酢酸ナトリウム、酢酸マグネシウム、酢酸カルシウム、シュウ酸ナトリウム、シュウ酸マグネシウム、シュウ酸カルシウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸マグネシウム、クエン酸カルシウム等が挙げられる。
塩析剤を溶液としてフラッシュ液に添加する場合、溶媒としては、水が好ましい。塩析剤として塩析剤の水溶液を添加する場合、フラッシュ液には溶媒である水も配合されることになる。したがって、フラッシュ液に加わる溶媒水量を考慮し、フラッシュ液量と添加する有機溶剤との質量比が所定の範囲からはずれないように、添加する有機溶媒量を決定することが好ましい。
フラッシュ液に添加する有機溶媒としては、NMP、DMAc、DMF等のアミド系溶媒、DMSO、スルホラン等の硫黄酸化物の極性溶媒、EtOH、MeOH、イソプロピルアルコール等のアルコール系溶媒、THF等のエーテル系溶媒、アセトン等のケトン系溶媒が挙げられる。本発明のポリフェニレンサルファイド樹脂微粒子分散液(フラッシュ液)をこのような方法で凝集させることにより、金属含有量の少ないウエットケークが容易に得られる。また、このような方法で凝集させても極めて再分散の容易なPPS樹脂微粒子が得られる。
また、フラッシュ液への有機溶媒の添加量は、フラッシュ液100質量部に対し、有機溶媒を20質量部〜100質量部の割合で添加することが好ましい。
また、本発明の凝集工程に用いるPPS樹脂微粒子分散液は、下記の工程(a’)、(b”)を含む工程を経て調整したものを使用することもできる。
(a’)ポリフェニレンサルファイド樹脂をN−メチル−2−ピロリジノン中で加熱してポリフェニレンサルファイド樹脂の溶解液を調整する工程(溶解工程)
(b”)前記溶解工程で調整した前記溶解液を、水とNMPとの混合溶媒中にフラッシュ冷却して、ポリフェニレンサルファイド樹脂微粒子を析出させて、ポリフェニレンサルファイド樹脂微粒子分散液(フラッシュ液)を調整する工程(析出工程)
(a’)ポリフェニレンサルファイド樹脂をN−メチル−2−ピロリジノン中で加熱してポリフェニレンサルファイド樹脂の溶解液を調整する工程(溶解工程)
(b”)前記溶解工程で調整した前記溶解液を、水とNMPとの混合溶媒中にフラッシュ冷却して、ポリフェニレンサルファイド樹脂微粒子を析出させて、ポリフェニレンサルファイド樹脂微粒子分散液(フラッシュ液)を調整する工程(析出工程)
上記(b”)のように析出工程で水とNMPとの混合溶媒を使用した場合であっても、得られたフラッシュ液中の水とNMPとの質量比が1:1〜2であり、平均1次粒径が300nm以下のポリフェニレンサルファイド樹脂微粒子が得られる方法であればよい。しかしながら、析出用溶媒中のNMP質量が、水に対し1を超えると、PPS樹脂微粒子として融着粒子や異型粒子が生成し、平均1次粒径が300nm以下の微粒子が得られない場合がある。平均1次粒径が300nm以下の微粒子を得たい場合は、析出用溶媒中の水とNMPとの質量比をほぼ1:1とすることが好ましい。
本発明の凝集方法は、平均1次粒径が300nm以下の凝集しにくいポリフェニレンサルファイド樹脂微粒子分散液の凝集に好適であるが、300nmより大きな平均1次粒径のポリフェニレンサルファイド樹脂微粒子の分散液の凝集にも使用することができる。
[固液工程]
凝集工程で得られたポリフェニレンサルファイド樹脂微粒子の固液分離の方法としては、ろ過、遠心分離等の方法が挙げられる。ろ過や遠心分離の際にはメンブレンフィルター(ろ過)やろ布(ろ過、遠心分離)などを使用できる。フィルターの目開きとしては、得ようとするPPS樹脂微粒子の粒度に応じて適宜決定されるが、メンブレンフィルターの場合、通常0.1〜50μm程度、ろ布の場合、通気度が5cm3/cm2・sec(at 124.5Pa)以下のものが使用できる。固液分離後のウエットケークを溶媒に再分散して分散液を調整する場合(分散工程)、ウエットケーク中の溶媒を分散工程で用いる分散媒へ置換することが好ましい。分散媒へ置換するには、ウエットケークを分散工程で用いる分散媒でリスラリーするか、分散工程で用いる分散媒でかけ洗い洗浄すれば良い。
凝集工程で得られたポリフェニレンサルファイド樹脂微粒子の固液分離の方法としては、ろ過、遠心分離等の方法が挙げられる。ろ過や遠心分離の際にはメンブレンフィルター(ろ過)やろ布(ろ過、遠心分離)などを使用できる。フィルターの目開きとしては、得ようとするPPS樹脂微粒子の粒度に応じて適宜決定されるが、メンブレンフィルターの場合、通常0.1〜50μm程度、ろ布の場合、通気度が5cm3/cm2・sec(at 124.5Pa)以下のものが使用できる。固液分離後のウエットケークを溶媒に再分散して分散液を調整する場合(分散工程)、ウエットケーク中の溶媒を分散工程で用いる分散媒へ置換することが好ましい。分散媒へ置換するには、ウエットケークを分散工程で用いる分散媒でリスラリーするか、分散工程で用いる分散媒でかけ洗い洗浄すれば良い。
このように得られたウエットケークの金属含有率は、PPS樹脂微粒子100質量部に対し5質量部以上の塩析剤を用いた場合の1/2以下に低減させることができる。
以下に、本発明のポリフェニレンサルファイド樹脂微粒子分散液の凝集方法にかかる実施例を説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。
[平均粒径の測定]
PPS樹脂微粒子の平均粒径は日機装製レーザー回折・散乱方式粒度分布測定装置MT3300EXIIを用い、分散媒としてポリオキシエチレンクミルフェニルエーテル(商品名ノナール912A 東邦化学工業製 以後、ノナール912Aと称す)の0.5質量%水溶液を用いて測定した。具体的にはマイクロトラック法によるレーザーの散乱光を解析して得られる微粒子の総体積を100%として累積カーブを求め、その累積カーブが50%となる点の粒径(メジアン径:d50)を微粒子の平均粒径とした。
PPS樹脂微粒子の平均粒径は日機装製レーザー回折・散乱方式粒度分布測定装置MT3300EXIIを用い、分散媒としてポリオキシエチレンクミルフェニルエーテル(商品名ノナール912A 東邦化学工業製 以後、ノナール912Aと称す)の0.5質量%水溶液を用いて測定した。具体的にはマイクロトラック法によるレーザーの散乱光を解析して得られる微粒子の総体積を100%として累積カーブを求め、その累積カーブが50%となる点の粒径(メジアン径:d50)を微粒子の平均粒径とした。
[平均1次粒径の測定]
本発明での平均1次粒径は日本電子製走査型電子顕微鏡JEOL JMS−6700Fで得られた画像(倍率:30,000倍)から任意の100個の粒子を選び、その最大長さを粒径として粒径を測長し、その平均値を平均1次粒径とした。
本発明での平均1次粒径は日本電子製走査型電子顕微鏡JEOL JMS−6700Fで得られた画像(倍率:30,000倍)から任意の100個の粒子を選び、その最大長さを粒径として粒径を測長し、その平均値を平均1次粒径とした。
[マグネシウム量の測定]
試料をフレーム中に噴霧して測定元素を原子蒸気化(原子化)し、これに測定元素特有の波長の光を透過させると基底状態の原子が光を吸収して励起状態に遷移する。この光の吸収(吸光度)から金属濃度を測定した(原子吸光法)。
具体的には、濃度0.1ppm、0.2ppm、0.5ppm、1ppmのマグネシウム標準液を用いてそれらの吸光度を測定し、検量線を作成した。次に試料の吸光度を測定し、検量線より試料中のマグネシウム濃度を定量した。試料の吸光度が1ppm標準液よりも高い場合は、検量線内に入るよう試料を希釈した。
試料をフレーム中に噴霧して測定元素を原子蒸気化(原子化)し、これに測定元素特有の波長の光を透過させると基底状態の原子が光を吸収して励起状態に遷移する。この光の吸収(吸光度)から金属濃度を測定した(原子吸光法)。
具体的には、濃度0.1ppm、0.2ppm、0.5ppm、1ppmのマグネシウム標準液を用いてそれらの吸光度を測定し、検量線を作成した。次に試料の吸光度を測定し、検量線より試料中のマグネシウム濃度を定量した。試料の吸光度が1ppm標準液よりも高い場合は、検量線内に入るよう試料を希釈した。
製造例1
〔溶解工程〕
9.8Lのオートクレーブ(溶解槽)にバルブ開閉ができ、配管の端が溶解槽の中に位置するように連結管を装着した。また、フラッシュ冷却の受槽として、50Lの耐圧タンクに撹拌機、コンデンサー、ガス通気管を装着し、前記溶解槽に装着した連結管の他端を受槽の中に位置するように装着した。溶解槽にPPS樹脂粉末210g、NMP6,790gを入れ、インターナル連結管のバルブを密閉してから窒素置換した。撹拌しながら内温280℃まで上昇させた後、30分間撹拌した。このときの内圧(ゲージ圧)は0.4MPaであった。
〔析出工程〕
前記受槽に水6,790gを入れて受槽に設置した連結管の先端を水中に入れた。受槽を氷冷し、窒素ガスを通気した。このとき受槽の温度は5℃であった。溶解槽の連結管のバルブを開き、PPS樹脂溶解液を受槽水中にフラッシュ冷却し、フラッシュ液を得た。フラッシュ液中のPPS樹脂微粒子の平均粒径は、12μmであり、平均1次粒径は110nmであった。
〔溶解工程〕
9.8Lのオートクレーブ(溶解槽)にバルブ開閉ができ、配管の端が溶解槽の中に位置するように連結管を装着した。また、フラッシュ冷却の受槽として、50Lの耐圧タンクに撹拌機、コンデンサー、ガス通気管を装着し、前記溶解槽に装着した連結管の他端を受槽の中に位置するように装着した。溶解槽にPPS樹脂粉末210g、NMP6,790gを入れ、インターナル連結管のバルブを密閉してから窒素置換した。撹拌しながら内温280℃まで上昇させた後、30分間撹拌した。このときの内圧(ゲージ圧)は0.4MPaであった。
〔析出工程〕
前記受槽に水6,790gを入れて受槽に設置した連結管の先端を水中に入れた。受槽を氷冷し、窒素ガスを通気した。このとき受槽の温度は5℃であった。溶解槽の連結管のバルブを開き、PPS樹脂溶解液を受槽水中にフラッシュ冷却し、フラッシュ液を得た。フラッシュ液中のPPS樹脂微粒子の平均粒径は、12μmであり、平均1次粒径は110nmであった。
実施例1
製造例1のフラッシュ液4kgに、有機溶媒としてNMPを2kg、塩析剤として酢酸マグネシウムを、フラッシュ液中のPPS樹脂微粒子に対し、PPS樹脂と塩析剤との質量比が100:1となるように加えて70℃で1時間加熱した。加熱後、室温で静置すると、PPS樹脂微粒子が沈降し、上澄みが透明になった。凝集物の平均粒径は、50.0μmであった。凝集後のフラッシュ液を遠心脱水液で固液分離し、固形分をろ取した。その固形分をイオン交換水に懸濁した後、遠心脱水機でろ取した。同様の操作をさらに2回行い、PPS樹脂微粒子の水ウエットケークを得た。得られた水ウエットケークを乾燥後、ケークを灰化した。残渣に6規定塩酸を加えて加熱濃縮し、その残さに超純水を加えて原子吸光測定用サンプルを調整した。原子吸光法で測定したマグネシウム量は、123.1ppmであった。
製造例1のフラッシュ液4kgに、有機溶媒としてNMPを2kg、塩析剤として酢酸マグネシウムを、フラッシュ液中のPPS樹脂微粒子に対し、PPS樹脂と塩析剤との質量比が100:1となるように加えて70℃で1時間加熱した。加熱後、室温で静置すると、PPS樹脂微粒子が沈降し、上澄みが透明になった。凝集物の平均粒径は、50.0μmであった。凝集後のフラッシュ液を遠心脱水液で固液分離し、固形分をろ取した。その固形分をイオン交換水に懸濁した後、遠心脱水機でろ取した。同様の操作をさらに2回行い、PPS樹脂微粒子の水ウエットケークを得た。得られた水ウエットケークを乾燥後、ケークを灰化した。残渣に6規定塩酸を加えて加熱濃縮し、その残さに超純水を加えて原子吸光測定用サンプルを調整した。原子吸光法で測定したマグネシウム量は、123.1ppmであった。
実施例2
製造例1のフラッシュ液0.5kgに、有機溶媒としてNMPを0.25kg、塩析剤として酢酸マグネシウムを、フラッシュ液中のPPS樹脂微粒子に対し、PPS樹脂と塩析剤との質量比が100:1となるように加えて40℃で0.5時間加熱した。加熱後、室温で静置すると、PPS樹脂微粒子が沈降し、上澄みが透明になった。凝集物の粒度分布は、48.6μmであった。
製造例1のフラッシュ液0.5kgに、有機溶媒としてNMPを0.25kg、塩析剤として酢酸マグネシウムを、フラッシュ液中のPPS樹脂微粒子に対し、PPS樹脂と塩析剤との質量比が100:1となるように加えて40℃で0.5時間加熱した。加熱後、室温で静置すると、PPS樹脂微粒子が沈降し、上澄みが透明になった。凝集物の粒度分布は、48.6μmであった。
実施例3
製造例1のフラッシュ液0.5kgに、有機溶媒としてNMPを0.125kg、塩析剤として酢酸マグネシウムを、フラッシュ液中のPPS樹脂微粒子に対し、PPS樹脂と塩析剤との質量比が100:1となるように加えて40℃で0.5時間加熱した。加熱後、室温で静置すると、PPS樹脂微粒子が沈降し、上澄みが透明になった。凝集物の粒度分布は、47.8μmであった。
製造例1のフラッシュ液0.5kgに、有機溶媒としてNMPを0.125kg、塩析剤として酢酸マグネシウムを、フラッシュ液中のPPS樹脂微粒子に対し、PPS樹脂と塩析剤との質量比が100:1となるように加えて40℃で0.5時間加熱した。加熱後、室温で静置すると、PPS樹脂微粒子が沈降し、上澄みが透明になった。凝集物の粒度分布は、47.8μmであった。
実施例4
製造例1のフラッシュ液0.5kgに、有機溶媒としてDMAcを0.25kg、塩析剤として酢酸マグネシウムを、フラッシュ液中のPPS樹脂微粒子に対し、PPS樹脂と塩析剤との質量比が100:1となるように加えて40℃で0.5時間加熱した。加熱後、室温で静置すると、PPS樹脂微粒子が沈降し、上澄みが透明になった。凝集物の粒度分布は、164.2μmであった。
製造例1のフラッシュ液0.5kgに、有機溶媒としてDMAcを0.25kg、塩析剤として酢酸マグネシウムを、フラッシュ液中のPPS樹脂微粒子に対し、PPS樹脂と塩析剤との質量比が100:1となるように加えて40℃で0.5時間加熱した。加熱後、室温で静置すると、PPS樹脂微粒子が沈降し、上澄みが透明になった。凝集物の粒度分布は、164.2μmであった。
実施例5
製造例1のフラッシュ液0.5kgに、有機溶媒としてDMSOを0.25kg、塩析剤として酢酸マグネシウムを、フラッシュ液中のPPS樹脂微粒子に対し、PPS樹脂と塩析剤との質量比が100:1となるように加えて40℃で0.5時間加熱した。加熱後、室温で静置すると、PPS樹脂微粒子が沈降し、上澄みが透明になった。凝集物の粒度分布は、68.1μmであった。
製造例1のフラッシュ液0.5kgに、有機溶媒としてDMSOを0.25kg、塩析剤として酢酸マグネシウムを、フラッシュ液中のPPS樹脂微粒子に対し、PPS樹脂と塩析剤との質量比が100:1となるように加えて40℃で0.5時間加熱した。加熱後、室温で静置すると、PPS樹脂微粒子が沈降し、上澄みが透明になった。凝集物の粒度分布は、68.1μmであった。
実施例6
製造例1のフラッシュ液0.5kgに、有機溶媒としてEtOHを0.25kg、塩析剤として酢酸マグネシウムを、フラッシュ液中のPPS樹脂微粒子に対し、PPS樹脂と塩析剤との質量比が100:1となるように加えて40℃で0.5時間加熱した。加熱後、室温で静置すると、PPS樹脂微粒子が沈降し、上澄みが透明になった。凝集物の粒度分布は、123.6μmであった。
製造例1のフラッシュ液0.5kgに、有機溶媒としてEtOHを0.25kg、塩析剤として酢酸マグネシウムを、フラッシュ液中のPPS樹脂微粒子に対し、PPS樹脂と塩析剤との質量比が100:1となるように加えて40℃で0.5時間加熱した。加熱後、室温で静置すると、PPS樹脂微粒子が沈降し、上澄みが透明になった。凝集物の粒度分布は、123.6μmであった。
実施例7
分子量の異なるPPS樹脂を用いた以外は、製造例1と同様に実施してフラッシュ液を得た。このフラッシュ液0.5kgに、有機溶媒としてNMPを0.125kg、塩析剤として酢酸マグネシウムを、フラッシュ液中のPPS樹脂微粒子に対し、PPS樹脂と塩析剤との質量比が100:1となるように加えて40℃で0.5時間加熱した。加熱後、室温で静置すると、PPS樹脂微粒子が沈降し、上澄みが透明になった。凝集物の粒度分布は、53.2μmであった。凝集後のフラッシュ液を遠心脱水液で固液分離し、固形分をろ取した。その固形分をイオン交換水に懸濁した後、遠心脱水機でろ取した。同様の操作をさらに2回行い、PPS樹脂微粒子の水ウエットケークを得た。得られた水ウエットケークを乾燥後、ケークを灰化した。残渣に6規定塩酸を加えた後、加熱濃縮し、その残渣に超純水を加えて原子吸光測定用サンプルを調整した。原子吸光法で測定したマグネシウム量は、39.8ppmであった。
分子量の異なるPPS樹脂を用いた以外は、製造例1と同様に実施してフラッシュ液を得た。このフラッシュ液0.5kgに、有機溶媒としてNMPを0.125kg、塩析剤として酢酸マグネシウムを、フラッシュ液中のPPS樹脂微粒子に対し、PPS樹脂と塩析剤との質量比が100:1となるように加えて40℃で0.5時間加熱した。加熱後、室温で静置すると、PPS樹脂微粒子が沈降し、上澄みが透明になった。凝集物の粒度分布は、53.2μmであった。凝集後のフラッシュ液を遠心脱水液で固液分離し、固形分をろ取した。その固形分をイオン交換水に懸濁した後、遠心脱水機でろ取した。同様の操作をさらに2回行い、PPS樹脂微粒子の水ウエットケークを得た。得られた水ウエットケークを乾燥後、ケークを灰化した。残渣に6規定塩酸を加えた後、加熱濃縮し、その残渣に超純水を加えて原子吸光測定用サンプルを調整した。原子吸光法で測定したマグネシウム量は、39.8ppmであった。
比較例1
製造例1のフラッシュ液4kgに、有機溶媒を添加することなく、塩析剤として酢酸マグネシウムを、フラッシュ液中のPPS樹脂微粒子に対し、PPS樹脂と塩析剤との質量比が100:10となるように加えて室温で1時間攪拌した。攪拌後、室温で静置すると、PPS樹脂微粒子が沈降し、上澄みが透明になった。凝集物の粒度分布は、67.8μmであった。凝集後のフラッシュ液を遠心脱水液で固液分離し、固形分をろ取した。その固形分をイオン交換水に懸濁した後、遠心脱水機でろ取した。同様の操作をさらに2回行い、PPS樹脂微粒子の水ウエットケークを得た。得られた水ウエットケークを乾燥後、ケークを灰化した。残渣に6規定塩酸を加えた後、加熱濃縮し、その残渣に超純水を加えて原子吸光測定用サンプルを調整した。原子吸光法で測定したマグネシウム量は、276.8ppmであった。
製造例1のフラッシュ液4kgに、有機溶媒を添加することなく、塩析剤として酢酸マグネシウムを、フラッシュ液中のPPS樹脂微粒子に対し、PPS樹脂と塩析剤との質量比が100:10となるように加えて室温で1時間攪拌した。攪拌後、室温で静置すると、PPS樹脂微粒子が沈降し、上澄みが透明になった。凝集物の粒度分布は、67.8μmであった。凝集後のフラッシュ液を遠心脱水液で固液分離し、固形分をろ取した。その固形分をイオン交換水に懸濁した後、遠心脱水機でろ取した。同様の操作をさらに2回行い、PPS樹脂微粒子の水ウエットケークを得た。得られた水ウエットケークを乾燥後、ケークを灰化した。残渣に6規定塩酸を加えた後、加熱濃縮し、その残渣に超純水を加えて原子吸光測定用サンプルを調整した。原子吸光法で測定したマグネシウム量は、276.8ppmであった。
比較例2
製造例1のフラッシュ液4kgに、塩析剤を添加することなく、有機溶媒としてNMPを2kg加えて70℃で1時間加熱した。加熱後、室温で静置したが、PPS樹脂微粒子が沈降せず、上澄みが透明にならなかった。
製造例1のフラッシュ液4kgに、塩析剤を添加することなく、有機溶媒としてNMPを2kg加えて70℃で1時間加熱した。加熱後、室温で静置したが、PPS樹脂微粒子が沈降せず、上澄みが透明にならなかった。
比較例3
製造例1のフラッシュ液4kgに、有機溶媒を添加することなく、塩析剤として酢酸マグネシウムを、フラッシュ液中のPPS樹脂微粒子に対し、PPS樹脂と塩析剤との質量比が100:1となるように加えて70℃で1時間加熱した後、室温で静置したが、PPS樹脂微粒子が沈降せず、上澄みが透明にならなかった。
製造例1のフラッシュ液4kgに、有機溶媒を添加することなく、塩析剤として酢酸マグネシウムを、フラッシュ液中のPPS樹脂微粒子に対し、PPS樹脂と塩析剤との質量比が100:1となるように加えて70℃で1時間加熱した後、室温で静置したが、PPS樹脂微粒子が沈降せず、上澄みが透明にならなかった。
比較例4
実施例7のフラッシュ液0.5kgに、有機溶媒を添加することなく、塩析剤として酢酸マグネシウムを、フラッシュ液中のPPS樹脂微粒子に対し、PPS樹脂と塩析剤との質量比が100:12.5となるように加えて室温で2時間攪拌後、静置すると、PPS樹脂微粒子が沈降し、上澄みが透明になった。凝集物の粒度分布は、78.1μmであった。凝集後のフラッシュ液を遠心脱水液で固液分離し、固形分をろ取した。その固形分をイオン交換水に懸濁した後、遠心脱水機でろ取した。同様の操作をさらに2回行い、PPS樹脂微粒子の水ウエットケークを得た。得られた水ウエットケークを乾燥後、ケークを灰化した。残渣に6規定塩酸を加えた後、加熱濃縮し、その残渣に超純水を加えて原子吸光測定用サンプルを調整した。原子吸光法で測定したマグネシウム量は、460.0ppmであった。
実施例7のフラッシュ液0.5kgに、有機溶媒を添加することなく、塩析剤として酢酸マグネシウムを、フラッシュ液中のPPS樹脂微粒子に対し、PPS樹脂と塩析剤との質量比が100:12.5となるように加えて室温で2時間攪拌後、静置すると、PPS樹脂微粒子が沈降し、上澄みが透明になった。凝集物の粒度分布は、78.1μmであった。凝集後のフラッシュ液を遠心脱水液で固液分離し、固形分をろ取した。その固形分をイオン交換水に懸濁した後、遠心脱水機でろ取した。同様の操作をさらに2回行い、PPS樹脂微粒子の水ウエットケークを得た。得られた水ウエットケークを乾燥後、ケークを灰化した。残渣に6規定塩酸を加えた後、加熱濃縮し、その残渣に超純水を加えて原子吸光測定用サンプルを調整した。原子吸光法で測定したマグネシウム量は、460.0ppmであった。
比較例5
受槽溶媒として、NMP4,530g、水2,265gの混合溶媒を用いた以外は、製造例1と同様に実施してフラッシュ液を得た。このフラッシュ液0.2kgに、塩析剤として酢酸マグネシウムを、フラッシュ液中のPPS樹脂微粒子に対し、PPS樹脂と塩析剤との質量比が100:1となるように加えて40℃で0.5時間加熱した後、室温で静置したが、PPS樹脂微粒子が沈降せず、上澄みが透明にならなかった。
受槽溶媒として、NMP4,530g、水2,265gの混合溶媒を用いた以外は、製造例1と同様に実施してフラッシュ液を得た。このフラッシュ液0.2kgに、塩析剤として酢酸マグネシウムを、フラッシュ液中のPPS樹脂微粒子に対し、PPS樹脂と塩析剤との質量比が100:1となるように加えて40℃で0.5時間加熱した後、室温で静置したが、PPS樹脂微粒子が沈降せず、上澄みが透明にならなかった。
以上のように、本発明にかかるポリフェニレンサルファイド樹脂微粒子分散液の凝集方法は、ポリフェニレンサルファイド樹脂微粒子の製造に有用であり、特に、ポリフェニレンサルファイド樹脂微粒子中の金属により性能に悪影響を及ぼす用途、例えば半導体等の電子材料用途に適している。
Claims (5)
- N−メチル−2−ピロリジノンおよび水を分散媒とし、平均1次粒径が300nm以下であるポリフェニレンサルファイド樹脂微粒子が分散したポリフェニレンサルファイド樹脂微粒子分散液の凝集方法であって、
前記ポリフェエニレンサルファイド樹脂微粒子分散液に、有機溶媒および無機金属塩または有機金属塩を添加してポリフェニレンサルファイド樹脂微粒子を凝集させる凝集工程を有し、
前記ポリフェニレンサルファイド樹脂微粒子分散液中のN−メチル−2−ピロリジノンと水との質量比は、水1に対しN−メチル−2−ピロリジノンが1〜2であり、
前記無機金属塩または有機金属塩は、前記ポリフェニレンサルファイド樹脂微粒子100質量部に対し5質量部未満の割合で添加されることを特徴とするポリフェニレンサルファイド樹脂微粒子分散液の凝集方法。 - 前記凝集工程において、前記有機溶剤は、前記ポリフェニレンサルファイド樹脂微粒子分散液100質量部に対し、20質量部〜100質量部の割合で添加されることを特徴とする請求項1に記載のポリフェニレンサルファイド樹脂微粒子分散液の凝集方法。
- 前記有機溶媒は、N−メチル−2−ピロリジノン、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、エタノール、またはイソプロピルアルコールであることを特徴とする請求項1または2に記載のポリフェニレンサルファイド樹脂微粒子水分散液の凝集方法。
- 前記無機金属塩は、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化リチウム、または塩化カリウムであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載のポリフェニレンサルファイド樹脂微粒子分散液の凝集方法。
- 前記有機金属塩は、酢酸ナトリウム、酢酸マグネシウム、酢酸カルシウム、シュウ酸ナトリウム、シュウ酸マグネシウム、シュウ酸カルシウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸マグネシウム、またはクエン酸カルシウムであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載のポリフェニレンサルファイド樹脂微粒子分散液の凝集方法。
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US10212764B2 (en) | 2014-04-23 | 2019-02-19 | Tokuden Co., Ltd. | Induction heated roll apparatus |
US11274183B2 (en) | 2017-09-20 | 2022-03-15 | Lg Chem, Ltd. | Method of preparing polyarylene sulfide |
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US11274183B2 (en) | 2017-09-20 | 2022-03-15 | Lg Chem, Ltd. | Method of preparing polyarylene sulfide |
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