JP5347647B2 - ポリフェニレンサルファイド樹脂微粒子の製造方法、ポリフェニレンサルファイド樹脂微粒子、およびその分散液 - Google Patents

ポリフェニレンサルファイド樹脂微粒子の製造方法、ポリフェニレンサルファイド樹脂微粒子、およびその分散液 Download PDF

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本発明はポリフェニレンサルファイド樹脂微粒子の製造方法、ポリフェニレンサルファイド樹脂微粒子、およびその分散液に関する。
ポリフェニレンサルファイド(以下PPSと略すことがある)樹脂は、優れた耐熱性、耐薬品性、耐溶剤性、電気絶縁性などエンジニアリングプラスチックとして好適な性質を有しており、射出成形、押出成形用途を中心として各種電気・電子部品、機械部品及び自動車部品などに使用されている。このような優れた各種特性を持った樹脂およびその分散液として、塗料分野、接着材料分野、ポリマーコンパウンド分野などにおいてPPS樹脂微粒子およびその分散液の需要が高いが、下記に述べる技術的制約から、現在その入手は極めて困難である。
PPS樹脂微粒子を得る方法としては、下記に示すいくつかの手法が提案されている。特許文献1では、PPS重合時に反応系内の水分量と気相部分の温度をコントロールすることにより比較的粒径の制御されたPPS樹脂微粒子を得る方法が開示されている。この方法で得られるPPS樹脂微粒子は、平均粒径が数十μmから百数十μmのものである。また、特許文献2では、平均粒径が0.1μmから100μmのPPS球状微粉末、およびその製造方法が記載されている。具体的に開示されている製造方法は、PPSを島とし他の熱可塑性ポリマーを海として海島構造の樹脂組成物を形成した後、海相を溶解洗浄して球状のPPS樹脂微粒子を得る方法であるが、この方法によっても、数μmから数十μmという比較的大きな微粒子しか得られない。また、特許文献3には界面活性剤を含む水中に分散させた樹脂を振動ボールミル等の粉砕機によって湿式粉砕し、樹脂系粉末を得る方法が開示されている。本特許文献中には、PPS樹脂の粉砕に関する具体的な開示はなく、また得られる樹脂粉末の平均粒径も5〜50μm程度と大きく、樹脂を単に湿式粉砕するのみでは1μm以下の微粒子を得ることは困難である。
このように従来技術で得られるPPS樹脂微粒子は数μm以上なので、安定なその分散液を得ることは困難であった。安定な分散液を得るためには、より粒径の小さなPPS樹脂微粒子を得る必要があるものの、安定なPPS樹脂微粒子分散液を得るために必要な1μm以下、いわゆるサブミクロンサイズのPPS樹脂微粒子およびその分散液を得る方法、さらにそれを簡便かつ効率良く得る方法は未だ確立されておらず、かかるPPS樹脂微粒子およびその分散液の実用的な製造方法の開発が強く望まれていた。
特開平6−298937号公報(請求項1) 特開平10−273594号公報(実施例1、2) 特開2003−183406号公報(請求項1、発明の実施の形態)
従って、本発明は、工業的に実施でき、かつ簡便な操作でポリフェニレンサルファイド樹脂微粒子およびその分散液を製造する方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、驚くべきことに有機溶媒に溶解させたPPS樹脂を、フラッシュ冷却させることにより微細なPPS樹脂微粒子が得られることを見出した。また、得られたPPS樹脂微粒子を溶媒抽出によって直接PPS樹脂微粒子の水分散液を製造する方法を見出すと共に、フラッシュ冷却によって得られたPPS樹脂微粒子を機械的粉砕もしくは機械的分散することにより、より微細なPPS樹脂微粒子の分散液を製造できることを見出し、本発明に至った。
即ち、本発明は、下記の工程(a)、(b)を含むことを特徴とする平均径が0.05〜0.5μmのポリフェニレンサルファイド樹脂微粒子の製造方法である。
(a)0.1〜10質量部のポリフェニレンサルファイド樹脂を100質量部の有機溶媒中で加熱してポリフェニレンサルファイド樹脂の溶解液とする工程(溶解工程)
(b)前記溶解液をフラッシュ冷却してポリフェニレンサルファイド樹脂の微粒子を析出させる工程(析出工程)
本発明は、また、レーザー回析・散乱方式での平均粒径が0.05〜0.5μm変動係数が20〜100%であるリフェニレンサルファイド樹脂微粒子、およびそのポリフェニレンサルファイド樹脂微粒子を分散させた分散液である。
本発明を用いれば、工業的に入手困難であったPPS樹脂微粒子分散液を簡便に製造することができ、広く産業上有用な材料が提供できる。
本発明のポリフェニレンサルファイド樹脂微粒子の製造方法を説明する図である。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
[原料のPPS樹脂]
本発明におけるPPS樹脂とは、化学式(1)
Figure 0005347647
に示す繰り返し単位を主要構成単位とするホモポリマーまたはコポリマーである。Arとしては化学式(2)〜(4)
Figure 0005347647
(R、Rは、水素、アルキル基、アルコキシル基、ハロゲン基から選ばれる基である)などがあげられる。この繰り返しを主要構成単位とする限り、化学式(5)等で表される分岐結合または架橋結合や、化学式(6)〜(14)(R、Rは、水素、アルキル基、アルコキシル基、ハロゲン基から選ばれる基である)で表される共重合成分を30モル%以下、好ましくは10モル%以下の割合で含むこともできる。
Figure 0005347647
Figure 0005347647
PPS樹脂としては、ポリマーの主構成単位として化学式(15)
Figure 0005347647
で示されるp−フェニレンスルフィドを70モル%以上、なかでも90モル%以上含有するPPSが特に好ましく用いられる。このようなPPSとしては、ジハロゲン芳香族化合物とアルカリ金属硫化物よりN−アルキルアミド溶媒中で、通常用いられる方法によって合成されたものを用いることができる。例えば、特公昭45−3368号公報に記載された製造方法により得られる比較的低分子量の小さいPPSおよびこれを酸素雰囲気下において加熱あるいは過酸化物等の架橋剤を添加して、過熱することにより高重合度化する方法がある。また特公昭52−12240号公報に記載された製造方法により本質的に線状で高分子量のPPSが好ましく用いられる。
高品質のPPS樹脂微粒子を製造するためには無機イオンの含有量ができるだけ少ないPPS樹脂が特に好ましい。そのため、上記PPS樹脂は、洗浄等の方法により無機塩などの副生物を除いて使用することが好ましい。洗浄方法は、通常行われる方法でよい。なお、副生物を除くタイミングは重合後に行ってもよいし、後述する工程のいずれで行ってもよいが、後述の溶解工程の前に行うことが好ましい。なお、上記PPS樹脂は、副生成物を除いた後に結晶化速度を制御するために洗浄あるいは金属水溶液で処理することがある。例えば、特開平10−60113号公報ではpH7未満の無機酸および/または有機酸洗浄により金属イオン含有量を低減させたPPS樹脂の製造方法が開示されている。また、特開2002−332351号公報では、周期表の第II属の金属元素を含む水溶液で処理する方法が開示されている。本発明に用いるPPS樹脂は、上記の重合後に通常の洗浄方法によって副生成物を除いたPPS樹脂、酸洗浄を行ったPPS樹脂、周期表の第II属の金属元素を含む水溶液で処理したPPS樹脂のいずれをも用いることができる。その他、米国特許第5,869,599号明細書、国際公開第07/034800号パンフレットに記載されたような方法で合成されたものも用いることができる。
[PPS樹脂微粒子の製造]
本発明におけるPPS樹脂微粒子は、上記PPS樹脂を下記の工程(a)、(b)を含む工程を経て製造することができる。
(a)ポリフェニレンサルファイド樹脂を有機溶媒中で加熱してポリフェニレンサルファイド樹脂の溶解液とする工程(溶解工程)
(b)前記溶解液をフラッシュ冷却してポリフェニレンサルファイド樹脂の微粒子を析出させる工程(析出工程)。
さらに、下記(c)〜(e)のいずれかの工程を経ることができる。
(c)析出したポリフェニレンサルファイド樹脂微粒子の水と有機溶媒を含む分散液から、有機溶媒のみを抽出除去する工程(抽出工程)
(d)析出したポリフェニレンサルファイド樹脂微粒子、界面活性剤、および分散媒を含む懸濁液を機械的粉砕させる工程(粉砕工程)
(e)析出したポリフェニレンサルファイド樹脂微粒子、界面活性剤、および分散媒を含む懸濁液を機械的分散させる工程(分散工程)
[溶解工程]
本発明において、溶解工程では、PPS樹脂を有機溶媒中で加熱して溶解させる。本発明で使用するPPS樹脂の形態は特に問わないが、具体的に例示するならば粉体、顆粒、ペレット、繊維、フィルム、成形品等があげられる。操作性及び溶解に要する時間を短縮させる観点から、粉末、顆粒、ペレットが望ましく、特に粉末のPPS樹脂が好ましい。ここで、目的とするPPS樹脂微粒子およびその分散液を水溶性塗料等に使用する場合等、共存する無機イオンによる装置の腐食を防止するために、無機イオンを含有していない粉末、顆粒、ペレット状のPPS樹脂が特に好ましい。
本工程で使用する有機溶媒は、PPS樹脂が溶解する溶媒であれば何れも使用できる。具体的には、クロロホルム等のアルキルハロゲン化物、o-ジクロロベンゼンや1−クロロナフタレン等の芳香族ハロゲン化物、N−メチル−2−ピロリジノン(以下、NMPと略する)等のN−アルキルピロリドン類、N−メチル−ε−カプロラクタム等のN−アルキルカプロラクタム類、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N、N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド(以下、DMFと略する)、ヘキサメチルリン酸トリアミド、ジメチルスルホキシド(以下、DMSOと略する)、ジメチルスルホン、テトラメチレンスルホン等の極性溶媒の中から少なくとも一種選ばれる溶媒が挙げられる。この中でも、PPS樹脂の溶解度や水分散液製造の際の溶媒交換の容易さから特にNMPが好ましい。
上記有機溶媒に対するPPS樹脂の仕込濃度は、所定温度で未溶解PPS樹脂や溶融状態のPPS樹脂が存在すると、フラッシュ冷却後、粗粒あるいは塊状物となって、フラッシュ冷却した液中に存在するが、これらはろ過や遠心分離等の操作により容易に除去できるので特に制限はない。通常は有機溶媒100質量部に対しPPS樹脂0.1〜10質量部、好ましくは 0.5〜10質量部である。この範囲であれば、工業生産に適用可能である。本発明においては前記溶媒にPPS樹脂を仕込み、加熱溶解させた後、PPS樹脂溶解液を気層中あるいは、PPS樹脂微粒子を析出させる溶媒中にフラッシュ冷却する。
また、溶解工程では溶液中に均一溶解する界面活性剤等を添加することもできる。添加する界面活性剤としては、使用する有機溶媒に溶解するものであれば良い。界面活性剤としては、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、両性イオン界面活性剤、非イオン系界面活性剤が挙げられる。
アニオン系界面活性剤としては、脂肪酸ナトリウム、脂肪酸カリウム、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム、アルキル硫酸エステルナトリウム、アルキルスルホン酸ナトリウム、アルキルエーテル硫酸エステルナトリウム、モノアルキルリン酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステルナトリウム、脂肪酸エステルスルホン酸ナトリウム、脂肪酸エステル硫酸エステルナトリウム、脂肪酸アルキロースアミド硫酸エステルナトリウム、脂肪酸アミドスルホン酸ナトリウムなどが挙げられる。
カチオン系界面活性剤としては、塩化アルキルメチルアンモニウム、塩化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化ジアルキルジメチルアンモニウム、塩化アルキルジメチルベンジルアンモニウム、塩化アルキルピリジニウムなどが挙げられる。
両性イオン界面活性剤としては、アルキルアミノカルボン酸塩、カルボキシベタイン、アルキルベタイン、スルホベタイン、ホスホベタインなどが挙げられる。
非イオン系界面活性剤としては、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンラノリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリコールモノ脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンモノベンジルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンジベンジルフェニルエーテル、ポリオキシエチレントリベンジルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンモノスチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンジスチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレントリスチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンビフェニルエーテル、ポリオキシエチレンフェノキシフェニルエーテル、ポリオキシエチレンクミルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、脂肪酸アルカノールアミド、脂肪酸モノエタノールアミド、脂肪酸ジエタノールアミド、脂肪酸トリエタノールアミド、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、イソプロパノールアミド、アルキルアミンオキシド、ポリオキシエチレンアミンなどが挙げられる。
なお、ここでいうアルキルを例示するならば炭素数1から30までの直鎖型飽和炭化水素基、または分岐型飽和炭化水素基が挙げられる。アルキルの代わりに直鎖型不飽和炭化水素基、または分岐型不飽和炭化水素基であってもよい。
界面活性剤の使用量は、仕込PPS樹脂に対して0.01〜5質量倍、好ましくは0.01〜1質量倍である。
溶解工程の槽の雰囲気は、空気雰囲気下、不活性ガス雰囲気下、あるいは溶媒蒸気の雰囲気下のいずれでも良いが、PPS樹脂の分解、劣化を抑制するため、更には安全に作業を進めるために酸素ガス濃度を低くする方が好ましい。ここで、不活性ガスとしては、窒素ガス、二酸化炭素ガス、ヘリウムガス、アルゴンガスなどが挙げられるが、経済性、入手容易性を勘案して、窒素ガス、アルゴンガス、二酸化炭素ガスが好ましく、特に好ましくは窒素ガスあるいはアルゴンガスが用いられる。また、溶媒蒸気の雰囲気下とする方法としては、(1)反応槽を減圧または真空にして空気を除去した後に反応槽を昇温する方法、(2)反応槽内の空気を吸引しつつ、昇温し、溶媒蒸気が充満した状態になったところで吸引を止める方法、(3)反応槽内の空気を吸引しつつ、溶媒蒸気が充満した状態になったところで吸引を止めるなどの方法、(4)反応槽内の空気を吸引しつつ、溶媒と同種の蒸気を反応槽中に吹き込む方法、あるいはこれらを組合せた方法が挙げられ、それにより溶解槽内を気化した溶媒蒸気の雰囲気にすることができる。なお、(2)〜(4)の方法を採用する場合は溶解槽内の溶媒の量を把握しておくことが望ましい。
溶解方法は特に限定しないが、所定の容器にPPS樹脂、溶媒を入れ、撹拌しながら加熱する。粒径の揃ったPPS樹脂微粒子を製造するにはPPS樹脂を溶媒に完全溶解させてからフラッシュ冷却して析出させる方法が好ましいが、未溶解PPS樹脂や溶融状態のPPS樹脂が存在してもよい。溶媒沸点でPPS樹脂を溶解させ、その希薄溶液から析出させることもできるが、PPS樹脂は有機溶媒に対する溶解度が小さいので、オートクレーブ等の耐圧容器中で溶媒の沸点以上からPPS樹脂の分解点未満に加熱して溶解する方法が好ましい。
溶解温度は使用する溶媒の種類やPPS樹脂の濃度によって異なるが、通常は200℃から400℃で、好ましくは220℃から320℃である。温度が高いとPPS樹脂が分解する。また、200℃未満ではPPS樹脂を溶解するために大量の溶媒を使用することになる。
溶解時間は溶媒の種類、PPS樹脂の仕込濃度、溶解温度によって異なるが、通常、10分から10時間であり、好ましくは、20分〜8時間、より好ましくは30分〜5時間の範囲である。
上記操作により、PPS樹脂を溶解させることができる。ここで、オートクレーブ等の耐圧容器中で溶解させる場合、構造上の理由により未溶解樹脂の有無や、溶解せずに溶融状態にある樹脂の有無を直接確認できない場合もあるが、引き続いて実施する析出工程で析出する微粒子が溶解前のPPS樹脂と形状や粒径等が相応に異なっていれば、本発明の溶解・析出による結果と判断する。この溶解・析出による形状や粒径変化は粒度分布計を用いた平均粒径の変化およびSEMによる形状変化から判断する。
[析出工程]
上記溶解工程によって溶解させたPPS樹脂溶解液を気相中あるいはPPS樹脂微粒子を析出させる溶媒中にフラッシュ冷却してPPS樹脂微粒子を析出させる。本発明において、フラッシュ冷却とは、加熱・加圧下にある上記溶解液を、溶解工程で用いた有機溶媒の沸点以下(冷却下でも良い)・加圧されている圧力以下(減圧下でも良い)の他の容器(以下受槽と称する場合もある)中にノズルを介して噴出させて移液し、圧力差による冷却効果や潜熱による冷却効果を利用して急速に冷却する方法を指す。
具体的には、加熱・加圧下に保持した容器からPPS樹脂の溶解液を大気圧下(減圧下でもよい)の受槽にフラッシュ冷却することにより行うことが好ましい。例えば前記溶解工程において、オートクレーブ等の耐圧容器中で溶解させると、容器内は加熱による自製圧により加圧状態となる。この状態から放圧して大気圧下の受槽に放出させることにより、よりいっそう簡便に行うことができる。なお、気相中にフラッシュ冷却するとは、空の受槽中にフラッシュする事を指す。また、PPS樹脂微粒子を析出させる溶媒中にフラッシュ冷却する際には気相を介して溶媒中にフラッシュ冷却してもよいし、直接溶媒中にフラッシュ冷却してもよいが、より微細なPPS樹脂微粒子を得るためには急速に冷却することが望ましく、圧力差による冷却効果と潜熱による冷却効果の両方の効果が得られる溶媒中への直接フラッシュ冷却がより好ましい。例えば、特開2007−154166号公報では、耐圧容器中で加熱、溶解させたPPS樹脂溶解液を、耐圧容器ごと氷水で冷却してPPS樹脂微粒子を得ているが、平均粒径1μm程度までしか微粒化されておらず、サブミクロンサイズのPPS樹脂微粒子は得られていない。
PPS樹脂微粒子を析出させる溶媒としては、特に制限はないが、溶媒中に均一に分散させる観点からは溶解工程で使用する有機溶媒と均一に混合する溶媒であることが好ましい。ここで均一に混合するとは、2つ以上の溶媒を混合した場合、1日静置しても界面が現れず、均一に混じり合うことをいう。 例えば、水に対しては、NMP、DMF、アセトン、DMSO、テトラヒドロフラン、メタノール、エタノール等が均一に混じり合う溶媒として挙げることができる。
具体的には、PPS樹脂を溶解させる溶媒を析出させる溶媒として使用することもできるが、微細なPPS樹脂微粒子が得られる点、粒径が揃いやすい点から、溶解工程で用いた溶媒と均一に混合し、かつPPS樹脂の貧溶媒を含むことが好ましい。NMPを溶解工程の溶媒に選択した場合には、NMP、アルコール類、アセトン類、水等が使用でき、目的に応じて析出させる溶媒を選択することができる。特に微細かつ粒径の揃ったPPS樹脂微粒子が得られやすい点から水を用いることが好ましい。また、PPS樹脂微粒子を析出させる溶媒は溶解工程で使用する有機溶媒と均一に混合するならば、単一の溶媒を用いてもよいし、2種類以上の溶媒を混合して用いてもよいが、特に微細かつ粒径の揃った微粒子が得られやすい点から水を含む混合溶媒を用いるのが好ましい。なかでも水とNMPの混合溶媒が好ましい。
PPS樹脂微粒子を析出させる溶媒の使用量は特に限定しないが、溶解工程の溶媒1質量部に対して100〜0.1質量部の範囲を例示することができ、好ましくは50〜0.1質量部、更に好ましくは10〜0.1質量部である。
PPS樹脂微粒子を析出させる溶媒中に界面活性剤を添加しておくこともできる。予め界面活性剤を添加し、フラッシュ冷却した液をそのまま分散工程に供し、PPS樹脂微粒子分散液とする場合、長期間の保存安定性が向上する効果も得られる。添加する界面活性剤としては、溶解工程で挙げた界面活性剤を使用できるが、新たな界面活性剤を用いても良い。使用量は、界面活性剤の種類や使用目的によっても異なるが、PPS樹脂微粒子の2質量倍以下であることが好ましく、0.01〜1質量倍であることがより好ましい。
フラッシュ冷却方法は特に限定しないが、通常は200℃から400℃、好ましくは220℃から320℃の溶解液を加圧されている圧力以下、あるいは減圧下の容器に1段でフラッシュ冷却する方法、または溶解液を入れた槽内よりも圧力の低い容器に多段でフラッシュ冷却する方法等が採用できる。微細なPPS樹脂微粒子を得るには、圧力差が大きく、温度差が大きい方が好ましい。具体的には、例えば前記溶解工程において、オートクレーブ等の耐圧容器中で溶解させると、容器内は加熱による自製圧により加圧状態となる。この加圧状態とした溶解液を、PPS樹脂微粒子を析出させる溶媒を入れた大気圧の受槽にフラッシュさせるか、減圧下の受槽にフラッシュさせる。フラッシュ冷却する溶解液の圧力(ゲージ圧)は0.2〜4MPaであることが好ましい。この環境からこれをフラッシュ冷却、好ましくは大気圧下に、より好ましくは大気圧下の受槽にフラッシュ冷却することが好ましい。
空の受槽中にフラッシュ冷却する場合は受槽を溶解工程で用いた有機溶媒の沸点以下にすることが好ましい。このとき受槽を冷媒、あるいは氷水で冷却することにより、溶解工程で使用した有機溶媒の沸点以下に一挙に冷却させることができ、微細なPPS樹脂微粒子が得られるのでより好ましい。受槽の冷却温度は、40℃以下が好ましく、さらに好ましくは0〜15℃である。
PPS樹脂微粒子を析出させる溶媒中にフラッシュ冷却する場合は、受槽を冷媒、あるいは氷水で冷却し、あらかじめ受槽中のPPS樹脂微粒子を析出させる溶媒を冷却することにより、溶解工程で使用した有機溶媒の沸点以下に一挙に冷却させることができ、微細なPPS樹脂微粒子が得られるので好ましい。このフラッシュ冷却によりPPS樹脂の溶解液からPPS樹脂微粒子が析出し、PPS樹脂微粒子の分散もしくは懸濁した液が得られる。受槽の冷却温度は、受槽に入れるPPS樹脂微粒子を析出させる溶媒により異なるが、PPS樹脂微粒子を析出させる溶媒が凝固しない温度〜15℃、具体的には水の場合、フラッシュ冷却直前の温度として0〜40℃が好ましく、0〜15℃がより好ましい。
PPS樹脂微粒子を析出させる溶媒中へのフラッシュ冷却方法は、溶解槽からの連結管出口を受槽のPPS樹脂微粒子を析出させる溶媒中に入れ、フラッシュ冷却する方法、あるいは気相を介してPPS樹脂微粒子を析出させる溶媒中にフラッシュ冷却させる方法の何れでもよいが、より微細なPPS樹脂微粒子の分散液を得るには、析出に用いる溶媒中に連結管出口を入れてフラッシュ冷却する方法が好ましい。
上記のPPS樹脂微粒子を析出させる溶媒中へのフラッシュ冷却により、平均一次粒径が0.5μm以下、好ましい様態においては0.2μm以下、かつ、変動係数が10〜40%のPPS樹脂微粒子が得られる。この様にして得られた平均一次粒径が0.2μm以下PPS樹脂微粒子は凝集により、より大きなPPS樹脂微粒子となっている場合があるが、機械的分散に適しているため、容易に再分散することができる。
かくして得られるPPS樹脂微粒子は、分散液もしくは懸濁液の状態で得ることができる(以下、この状態の分散液もしくは懸濁液をフラッシュ液と称することがある)。なお、この際、仕込んだPPS樹脂の未溶解分等の粗粒を含む場合には、ろ過等により除くことも可能である。また、このPPS樹脂微粒子分散液もしくは懸濁液をそのままPPS樹脂微粒子分散液としても良いが、
機械的粉砕もしくは機械的分散により、より微細なPPS樹脂微粒子としてから使用することもできる。
具体的には、溶解工程で得られたPPS樹脂溶解液を気相中にフラッシュ冷却して、あるいはPPS樹脂微粒子を析出させる溶媒中に気相を介してフラッシュ冷却して得られたPPS樹脂微粒子は平均粒径1μm以上のPPS樹脂微粒子となることがあるが、従来技術で得られるPPS樹脂微粒子とは異なり、機械的粉砕によって容易に平均粒径0.5μm以下のより微細なPPS樹脂微粒子とすることができる。また、溶解工程で得られたPPS樹脂溶解液をPPS樹脂微粒子を析出させる溶媒中へフラッシュ冷却して得られるPPS樹脂微粒子は平均一次粒径が0.5μm以下、好ましい様態においては0.2μm以下であり、凝集によってより大きなPPS樹脂微粒子となった場合でも、従来技術で得られるPPS樹脂微粒子とは異なり、機械的分散によって容易に平均粒径0.5μm以下のより微細なPPS樹脂微粒子に再分散することができる。なお、機械的粉砕や機械的分散後に、場合によっては粗粒や沈殿物を含む場合もある。その際には、粗粒や沈殿物と分散部を分離して利用してもよい。分散液のみを得る場合には、粗粒や沈殿物と分散部の分離を行えばよく、そのためには、デカンテーション、ろ過、遠心分離などを行い粗粒や沈殿部分を除去すればよい。
かくして得られるPPS樹脂微粒子は、レーザー回析・散乱方式での平均粒径が0.5μm以下、好ましい様態においては0.35μm以下、かつ、変動係数が20〜100%である。従来技術で得られるPPS樹脂微粒子は平均粒径が数μm以上であり、いわゆるサブミクロン微粒子および、安定なその分散液を得ることは困難であったが、本発明技術により、平均粒径が0.5μm以下のPPS樹脂微粒子を簡便かつ効率良く得ることができ、かつ安定なその分散液を得ることが可能になった。
[抽出工程]
上記析出工程において、PPS樹脂溶解液を水中にフラッシュ冷却して得られたPPS樹脂微粒子分散液中から溶解工程で使用した有機溶媒を抽出除去することにより、より簡便にPPS樹脂微粒子水分散液を製造することができる。この際、溶解工程で使用する有機溶媒としては、NMPがもっとも好ましいが、水と任意に混和する溶媒で有れば他の溶媒を使用しても構わない。
抽出工程に供する析出工程の受槽水量は、0.05〜0.5μmの平均粒径を有するPPS樹脂微粒子が得られる点で、溶解工程のNMP1質量部に対して1〜5質量部の範囲が好ましい。NMP1質量部に対して受槽水量が1質量部未満であると、凝集によりPPS樹脂微粒子の粒径が大きくなり、また5質量部を越えるとPPS樹脂微粒子濃度が低くなるので工業的に好ましくない。
上記の組成の水、NMP、および平均粒径が0.05〜0.5μmのPPS樹脂微粒子を含む分散液から抽出溶媒を用いてNMPを抽出する。例えば、上記析出工程で得られたPPS樹脂微粒子分散液をそのまま用い、NMPの抽出を行うことでPPS樹脂微粒子水分散液とする。抽出後のPPS樹脂微粒子水分散液中のNMPの濃度は、使用目的に応じた濃度でよいが、分散媒が実質的に水であることが所望される場合には、1質量%以下とすることも可能である。NMPの濃度を低減させるためには、以下の抽出工程を繰り返せばよい。
抽出は、析出工程で得られた分散液に抽出溶媒を添加して撹拌を行い、界面が現れるまで静置して分液を行うといった常法で行うことができ、撹拌速度や撹拌時間に特に制限はない。抽出温度は、抽出効率とPPS樹脂微粒子分散液の安定性から40℃以下であることが好ましい。下限は抽出溶媒を添加したPPS樹脂微粒子分散液が凍結しない温度以上であればよいが、抽出効率の点からは10℃以上であることが好ましく、20℃〜40℃がより好ましい。抽出溶媒は、抽出温度でNMPを溶解し、抽出溶媒100gに対する水の溶解量が25℃で約1g以下であることが好ましい。具体的にはクロロホルム(25℃で、クロロホルム100gに対する水の溶解量0.08g)、塩化メチレン(25℃で、塩化メチレン100gに対する水の溶解量0.17g)などのハロゲン系溶媒等を好ましく用いることができるが、抽出効率からクロロホルムが好ましい。塩化メチレンを用いる場合には、その沸点の観点から、30℃以下で行うことが好ましい。
ここで、驚くべきことにPPS樹脂微粒子の平均粒径が0.05〜0.5μmの範囲にあるときには、上記好ましい抽出溶媒では、PPS樹脂微粒子は上層である水層に存在し、水より比重の大きい抽出溶媒は水層に対して下層にあり、二層に分液する。この分液した下層成分である抽出溶媒と抽出溶媒に存在している有機溶媒であるNMPを、PPS樹脂微粒子を含む水層と分離する。このPPS樹脂微粒子を含む水層に残存しているNMPを更に除去するために、再び抽出溶媒を加え、所望のNMP濃度になるまで分液する操作を繰り返すことにより、平均粒径0.05〜0.5μmのPPS樹脂微粒子水分散液を得ることができる。しかし、抽出溶媒100gに対する水の溶解量が25℃で約1gを超える抽出溶媒では、PPS樹脂微粒子が、水層と抽出溶媒層に分配して液全体が白濁し、界面が不明確になるので分液が困難となる。PPS樹脂微粒子の平均粒径が0.05〜0.5μmの範囲では、微粒子の外表面積が大きいので、PPS樹脂微粒子と水との親和性が高くなる。そのため、水に溶解しにくい抽出溶媒の場合には、PPS樹脂微粒子は水層に存在し、水に溶解しやすい抽出溶媒では、水と共に抽出溶媒層側にもPPS樹脂微粒子が分配される。その結果、全体が白濁し、界面が不明確となり、分液が困難になるものと推定される。このようにして調製されるPPS樹脂微粒子の水分散液をそのまま使用しても良いが、経時的な凝集を防止するために界面活性剤を添加しても良い。なお、添加する界面活性剤としては前記溶解工程で例示した界面活性剤から1種類あるいは複数の界面活性剤を選択することができる。
[ろ過・単離工程]
上記析出工程で得られたPPS樹脂微粒子分散液もしくは懸濁液をそのままもしくは界面活性剤を加えた後に機械的粉砕もしくは機械的分散を行い、PPS樹脂微粒子分散液としても良いが、新たな分散媒に置き換えてから機械的粉砕もしくは機械的分散を行っても良い。特に1μm未満のPPS樹脂微粒子は凝集して粗大粒子となりやすいため、より微細で、安定なPPS樹脂微粒子分散液を得るためには機械的分散を行うことが好ましい。新たな分散媒に置き換えるためには一旦固液分離を行い、PPS樹脂微粒子を単離する。PPS樹脂微粒子を単離する方法としては、ろ過、遠心分離、遠心ろ過等の従来公知の固液分離方法で行うことができるが、1μm未満のPPS樹脂微粒子を固液分離操作で効率よく単離するためには、凝集によって粒径を増大させた後、ろ過や遠心分離等の固液分離操作を行うことが望ましい。凝集によって粒径を増大させる方法としては、経時的に凝集させる自然凝集法、加熱による凝集法、塩析等の凝集剤を用いた凝集法などを用いることができ、これらの凝集法を用いることにより、工業的な固液分離方法に適した粒径の大きな凝集体を得ることができる。このときの凝集体の平均粒径としては5〜50μm(後述の測定方法による粒径)であることが好ましい。
具体的には、自然凝集法の場合、1日以上静置することにより、また、一日静置後、フラッシュ液を50℃〜100℃に加熱することにより凝集時間を短縮することができる。塩析では、例えば、塩化ナトリウム等の無機塩をPPS樹脂微粒子1質量部に対して0.1〜1000質量%、好ましくは0.5〜500質量%程度を加えることにより粒径の大きな凝集体を得ることができる。具体的には、上記分散液もしくは懸濁液中に直接無機塩を添加する、あるいは、上記無機塩の0.1〜20質量%の溶液を添加する等の方法が挙げられる。無機塩を溶解させる溶媒としては、水が好ましい。また、上記無機塩をあらかじめフラッシュ冷却する際の受槽中のPPS樹脂微粒子を析出させる溶媒中に溶解しておくこともできる。このときのPPS樹脂微粒子を析出させる溶媒としては、水が好ましい。添加する無機塩の量はPPS樹脂微粒子1質量部に対して0.1質量%以上でかつ、PPS樹脂微粒子を析出させる溶媒への飽和溶解量以下が望ましい。本発明のようにフラッシュ冷却して得られたPPS樹脂微粒子は、このような方法で凝集させることにより固液分離が容易となる。また、このような方法で凝集させても極めて再分散の容易なPPS樹脂微粒子が得られるのである。
上記固液分離の方法としては、ろ過、遠心分離等の方法が挙げられる。ろ過や遠心分離の際にはメンブレンフィルター(ろ過)やろ布(ろ過、遠心分離)などを使用できる。フィルターの目開きとしては、得ようとするPPS樹脂微粒子の粒度に応じて適宜決定されるが、メンブレンフィルターの場合、通常0.1〜50μm程度、ろ布の場合、通気度が5cm/cm・sec at 124.5Pa以下のものが使用できる。固液分離の際、必要に応じて、次の分散工程で添加する分散媒で洗浄しておくことも可能である。
[粉砕工程]
上記ろ過・単離工程で得られたPPS樹脂微粒子はさらに機械的粉砕により細粒化して微粒子を得ることができる。粉砕工程に用いるPPS樹脂微粒子は上記ろ過・単離工程で、粉砕工程で用いる分散媒で洗浄した後用いることが好ましい。また、ろ過・単離工程でPPS樹脂微粒子を乾燥させると粉砕されがたくなるため、粉砕によって平均粒径1μm以下のPPS樹脂微粒子を得るためにはPPS樹脂微粒子が溶媒もしくは分散媒を含んだ状態にしておくことが必要である。粉砕工程に用いるPPS樹脂微粒子は50質量%以上の溶媒もしくは分散媒を含んだ状態であることが好ましい。
なお、本発明において粉砕とは粉砕前後の平均一次粒径が小さくなった場合に粉砕されたと判断する。具体的には、走査型電子顕微鏡(以下SEMと表記する)で観察したPPS樹脂微粒子のうち、任意の100個の粒径を測長した平均値を平均一次粒径とし、粉砕後の平均粒径または平均一次粒径が、粉砕前の平均一次粒径より小さくなった場合に粉砕されたと判断する。
機械的粉砕に供給する溶液は、前もって分散媒にPPS樹脂微粒子と界面活性剤を加え、ホモジナイザー等で分散してから使用するのが好ましい。機械的粉砕で用いる界面活性剤としては前記溶解工程で例示した界面活性剤から1種類あるいは複数の界面活性剤を選択することができるが、得られるPPS樹脂微粒子分散液の凝集、沈降を抑制し、分散性を安定化させる観点から、末端にフェニル基を有する界面活性剤であることが好ましい。ここでいう「末端にフェニル基を有する」とは、界面活性剤の分子の末端部にフェニル基を有することをいう。本発明においてはこのような界面活性剤が最も好ましいが、フェニル基が炭素数1〜12の置換基で置換されているものも使用し得る。フェニル基上の置換基としては、直鎖型飽和炭化水素基、直鎖型不飽和炭化水素基または分岐型飽和炭化水素基、分岐型不飽和炭化水素基等であってもよく、好ましくは炭素数1から6までの直鎖型飽和炭化水素基、直鎖型不飽和炭化水素基または分岐型飽和炭化水素基、分岐型不飽和炭化水素基である。
ここで使用するフェニル基を有する界面活性剤としては、分子内にベンゼン環を有していればよく、ナフタレン環などの縮合環の形態であってもよい。フェニル基を有するアニオン系界面活性剤の具体例としては、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルスルホン酸ナトリウムなどが挙げられる。フェニル基を有するカチオン系界面活性剤の具体例としては、塩化アルキルジメチルベンジルアンモニウムなどが挙げられる。
フェニル基を有する非イオン系界面活性剤の具体例としては、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンモノベンジルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンジベンジルフェニルエーテル、ポリオキシエチレントリベンジルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンモノスチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンジスチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレントリスチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンビフェニルエーテル、ポリオキシエチレンフェノキシフェニルエーテル、ポリオキシエチレンクミルフェニルエーテルなどが挙げられる。なお、ここでいうアルキルとしては、炭素数1から30までの直鎖型飽和炭化水素基、または分岐型飽和炭化水素基が好ましく挙げられる。
フェニル基を有する界面活性剤の添加量は、PPS樹脂微粒子に対して0.01から2.0質量倍、好ましくは0.05から1.5質量倍、更に好ましくは0.05から1.0質量倍である。この範囲の量の界面活性剤を用いることにより、機械的粉砕によって細粒化したPPS樹脂微粒子を非常に効率よく分散媒に均一に分散させることができる。
フェニル基を有する界面活性剤の添加方法は、機械的粉砕の前にPPS樹脂微粒子と共に分散媒に全量仕込んでもよいが、機械的粉砕の際に逐次添加することも可能である。ここで使用する分散媒は、PPS樹脂微粒子分散液の使用目的によって異なるが、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、シクロペンタン、デカン、ドデカン、トリデカン、テトラデカン等の脂肪族炭化水素系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレン、2−メチルナフタレン等の芳香族炭化水素系溶媒、酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸ブチル、プロピオン酸ブチル、酪酸ブチル等のエステル系溶媒、クロロホルム、ブロモホルム、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、クロロベンゼン、o-ジクロロベンゼン、p−ジクロロベンゼン、2,6−ジクロロトルエン、1−クロロナフタレン、ヘキサフルオロイソプロパノール等のハロゲン系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルブチルケトン等のケトン系溶媒、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール等のアルコール系溶媒、NMP、N−エチル−2−ピロリジノン等のN−アルキルピロリジノン系溶媒、N−メチル−ε−カプロラクタム、N−エチル−ε−カプロラクタム等のN−アルキルカプロラクタム系溶媒、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N、N−ジメチルアセトアミド、DMF、ヘキサメチルリン酸トリアミド、DMSO、ジメチルスルホン、テトラメチレンスルホン等の極性溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジイソプロピルエーテル、ジオキサン、ジグライム、ジメトキシエタン等のエーテル系溶媒および水の中から少なくとも一種から選ばれる溶媒が使用できる。
機械的粉砕装置に供給するPPS樹脂微粒子の仕込濃度は、所望するPPS樹脂微粒子分散液の濃度によって異なるが、通常は1質量%から20質量%である。希薄過ぎると粉砕効率が悪く、濃すぎると粉砕液の粘度が上がり、作業性が損なわれるだけでなく、粉砕効率も低下する。
機械的粉砕装置に供給する前に、分散媒にPPS樹脂微粒子とフェニル基を有する界面活性剤を分散媒に加えてからホモジナイザー、超音波照射等で十分に分散させておく。ここで、凝集物が混入する恐れがある場合には前記分散液を篩等で濾過し、大型凝集物を事前に除去してから機械的粉砕装置に供する方が好ましい。
ここで使用する機械的粉砕装置としてはボールミル装置、ビーズミル装置、サンドミル装置、コロイドミル装置、湿式微粒子化装置等が使用できるが、目的とする1μm以下のPPS樹脂微粒子分散液を効率よく製造するには、1mm以下のビーズを充填したビーズミル装置が好ましく使用できる。上記粉砕により、平均粒径が通常、1μm以下、好ましい態様においては0.5μm以下のPPS樹脂微粒子とすることが可能である。
[分散工程]
上記ろ過・単離工程で得られたPPS樹脂微粒子はさらに機械的分散により再分散して、より微細なPPS樹脂微粒子分散液を得ることができる。分散工程に用いるPPS樹脂微粒子は上記ろ過・単離工程で、分散工程で用いる分散媒で洗浄した後用いることが好ましい。また、ろ過・単離工程でPPS樹脂微粒子を乾燥させると分散されがたくなるため、分散によって平均粒径1μm以下のPPS樹脂微粒子を得るためにはPPS樹脂微粒子が溶媒もしくは分散媒を含んだ状態にしておくことが必要である。分散工程に用いるPPS樹脂微粒子は50質量%以上の溶媒もしくは分散媒を含んだ状態であることが好ましい。
なお、本工程において分散とは分散後の平均粒径が分散前の平均粒径より小さくなったにもかかわらず、分散前後の平均一次粒径が変化していない場合に分散されたと判断する。具体的には、走査型電子顕微鏡(以下SEMと表記する)で観察したPPS樹脂微粒子のうち、任意の100個の粒径を測長した平均値を平均一次粒径として判断する。
フラッシュ冷却によって得られた分散液もしくは懸濁液は、直接分散工程に供することも可能である。これにさらに溶媒を添加したり、濃縮することにより、PPS樹脂微粒子の濃度、任意成分として含まれる界面活性剤の濃度を調整することも可能である。また、固液分離操作等で得られたPPS樹脂微粒子に界面活性剤、分散媒を加えて分散工程に供することも可能である
一旦固液分離を行い、PPS樹脂微粒子を単離した場合、新たな分散媒になりうる媒体は、上記粉砕工程と同じ分散媒を使用することができる。例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、シクロペンタン、デカン、ドデカン、トリデカン、テトラデカン等の脂肪族炭化水素系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレン、2−メチルナフタレン等の芳香族炭化水素系溶媒、酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸ブチル、プロピオン酸ブチル、酪酸ブチル等のエステル系溶媒、クロロホルム、ブロモホルム、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、クロロベンゼン、o-ジクロロベンゼン、p−ジクロロベンゼン、2,6−ジクロロトルエン、1−クロロナフタレン、ヘキサフルオロイソプロパノール等のハロゲン系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルブチルケトン等のケトン系溶媒、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール等のアルコール系溶媒、NMP、N−エチル−2−ピロリジノン等のN−アルキルピロリジノン系溶媒、N−メチル−ε−カプロラクタム、N−エチル−ε−カプロラクタム等のN−アルキルカプロラクタム系溶媒、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N、N−ジメチルアセトアミド、DMF、ヘキサメチルリン酸トリアミド、DMSO、ジメチルスルホン、テトラメチレンスルホン等の極性溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジイソプロピルエーテル、ジオキサン、ジグライム、ジメトキシエタン等のエーテル系溶媒および水の中から少なくとも一種選ばれる溶媒を例示できるが、環境面、安全面から水が最も好ましい。
一旦固液分離を行い、PPS樹脂微粒子を単離した場合、機械的分散によって生成するPPS樹脂微粒子の凝集抑制、および分散媒への分散性を向上させるために、界面活性剤の添加を行う。フラッシュ冷却によって得られた分散液もしくは懸濁液を分散工程に用いる場合で、溶解工程あるいは析出工程で使用した界面活性剤を含む場合は、必要に応じて新たな界面活性剤を加える。界面活性剤の添加時期は、機械的分散の前後いずれでもかまわないが、機械的分散中の微粒子の凝集防止のため、分散前添加、または分散前添加と分散中添加を併用した添加方法が好ましい。
界面活性剤としては、溶解工程、析出工程、粉砕工程で例示したものと同様の界面活性剤が好ましく例示される。前記工程で用いた界面活性剤と同一種類の界面活性剤を新たに別の界面活性剤として用いても良いし、異なる種類の界面活性剤を添加してもよい。
これらの界面活性剤の添加量は、PPS樹脂微粒子100質量部に対して0.01〜100質量部の範囲であり、好ましくは0.5〜100質量部の範囲であり、より好ましくは、1〜100質量部の範囲である。この範囲の量の界面活性剤を用いることにより、機械的分散によって得られたPPS樹脂微粒子を非常に効率よく分散媒に均一に分散させることができる。また、フラッシュ冷却した液をそのまま分散液として用いる場合でも上記の含有量になるように界面活性剤の量を調整する。
機械的分散に供するPPS樹脂微粒子分散液もしくは懸濁液におけるPPS樹脂微粒子の含有量は、分散媒100質量部に対して1〜50質量部の範囲であることが好ましく、特に1〜30質量部であることが好ましい。
後述の測定方法における平均粒径が500nm以下になるまで上記PPS樹脂微粒子を分散させたPPS樹脂微粒子分散液もしくは懸濁液の機械的分散を行う。好ましくは粗粒分離後の平均粒径が350nm以下となるまで機械的分散を行う。下限に制限はないが、凝集の点から平均粒径が100nm以上であることが好ましい。機械的分散装置として、市販の機械的分散装置を挙げることができる。特にPPS樹脂微粒子を効率よく分散し、粒径の小さなPPS樹脂微粒子の分散液を作製するために好適な機械的分散装置として、超音波分散装置、ボールミル装置、ビーズミル装置、サンドミル装置、コロイドミル装置、湿式微粒化装置(例えば、スギノマシン製、アルティマイザー)が挙げられるが、なかでも超音波分散装置、ビーズミル装置、コロイドミル装置、湿式微粒化装置から選択される装置が好ましい。機械的分散の際の分散の力は一般に大きくなるほど、また分散時間が長くなるほど得られる微粒子の平均粒径は、小さくなる方向にあるが、これらが過度になると再凝集が生じやすくなるので、適切な範囲に制御される。例えばビーズミルではビーズ径やビーズ量の選択、周速の調整で、その制御が可能であり、超音波分散装置では、超音波周波数の選択、超音波出力の調整で、その制御が可能である。
PPS樹脂微粒子分散液においても、場合によっては粗粒や沈殿物を含む場合もある。その際には、粗粒や沈殿物と分散部を分離して利用してもよい。分散液のみを得る場合には、粗粒や沈殿物と分散部の分離を行えばよく、そのためには、デカンテーション、ろ過、遠心分離などを行い粗粒や沈殿部分を除去すればよい。
上記により平均粒径で500nm以下、特に平均粒径100〜350nmのPPS樹脂微粒子を得ることができる。
このような微細なPPS樹脂微粒子の分散液は、室温(25℃)条件下にて24時間静置してもPPS樹脂微粒子は沈降せず、塗料、接着、ポリマーコンパウンド分野における特に有用な添加剤として使用することができる。
[平均粒径の測定]
PPS樹脂微粒子の平均粒径は日機装製レーザー回折・散乱方式粒度分布測定装置MT3300EXIIを用い、分散媒としてポリオキシエチレンクミルフェニルエーテル(商品名ノナール912A 東邦化学工業製 以後、ノナール912Aと称す)の0.5質量%水溶液を用いて測定した。具体的にはマイクロトラック法によるレーザーの散乱光を解析して得られる微粒子の総体積を100%として累積カーブを求め、その累積カーブが50%となる点の粒径(メジアン径:d50)を微粒子の平均粒径とした。
[標準偏差の算出]
本発明における標準偏差(SD)とは、上記平均粒径の測定の際に得られる累積カーブから算出した。具体的にはマイクロトラック法によるレーザーの散乱光を解析して得られる粒子の総体積を100%として累積カーブを求め、その累積カーブが84%となる点の粒径をd84%(μm)、累積カーブが16%となる点の粒径をd16%(μm)とし、次式で求めた値を標準偏差(SD)とした。
SD=(d84%−d16%)/2 (μm)
[平均粒径の変動係数の算出]
本発明における平均粒径の変動係数(CV)は、上記の日機装製レーザー回折・散乱方式粒度分布測定装置MT3300EXIIで求めた粒度分布の値を用いて式(1)〜式(3)により求めた。尚、各サンプルの粒径、およびそのデータ数は、MT3300EXIIに内蔵されているData Management System 2 ver10.4.0-225Aによって自動的に算出される値である。
Figure 0005347647
[平均一次粒径の測定]
本発明での平均一次粒径は日本電子製走査型電子顕微鏡JEOL JMS−6700Fで得られた画像から任意の100個の粒子を選び、その最大長さを粒径として粒径を測長し、その平均値を平均一次粒径とした。
[平均一次粒径の変動係数の算出]
本発明における平均一次粒径の変動係数(CV)は、日本電子製走査型電子顕微鏡JEOL JMS−6700Fで得られた画像から任意の100個の粒径を測長して求めた粒度分布の値を用いて上記の式(1)〜式(3)により求めた。
[ビーズミル粉砕]
ビーズミル粉砕は寿工業株式会社製ビーズミル“ウルトラアスペックミル”UAM―015型またはアシザワ・ファインテック株式会社製ビーズミル DMS−65型を用い、東ソー株式会社製50μmジルコニアビーズを所定の量充填し、循環運転にて行った。
[超音波分散]
超音波分散は日本精機製超音波ホモジナイザー、US−300T(超音波発振器:定格出力300W、発振周波数19.5KHz±1KHz(周波数自動追尾型)、超音波変換器:φ26mmPZT(ボルト締電歪型)振動素子)を用い、所定の出力になるように調整の上超音波発振チップをPPS樹脂微粒子分散(懸濁)液中に接液して行った。
実施例1
〔溶解工程〕
溶解槽の1,000mlのオートクレーブに撹拌機、温度測定器、およびインターナルの溶解液抜き出し管を装着した。抜き出し管にはバルブ開閉ができる連結管を装着した。また、フラッシュ冷却の受槽として、1,000mlのオートクレーブに撹拌機、コンデンサー、ガス通気管、および前記溶解槽からの連結管の他端を装着した。
溶解槽にPPS樹脂粉末(東レ株式会社製、グレード名M3910、平均粒径27μmを用いた。以下の実施例には本粉末を用いた)10.0g、界面活性剤としてノナール912A6.25g、NMP(関東化学社製)490gを仕込み、窒素置換して密封した。撹拌しながら内温を280℃まで上昇させたのち、さらに5時間撹拌を継続した。このときの内圧(ゲージ圧)は0.4MPaであった。
〔析出工程〕
前記受槽を氷水中で冷却し、撹拌しながら窒素ガスを微量通気しておいた。前記溶解槽のインターナル連結管のバルブを開き、溶解液を約1分間で大気圧の受槽に移液し、液温が40℃以下になったのを確認してから撹拌を停止し、受槽を開封した。受槽中のPPS樹脂微粒子のNMP懸濁液を38μmの篩でろ過して僅かに混入している粗大粒子を除去してPPS樹脂微粒子分散液を得た。本分散液をNMP中で粒度分布を測定した結果、平均粒径は9.35μmであった。
次いで、PPS樹脂微粒子懸濁液を20℃以下に保ちながら10分間4,000rpmで遠心分離した。上澄液のNMPを分離したのち、下部に沈降していたPPS樹脂微粒子に1.25質量%ノナール912A水溶液200gを加えて撹拌し、再度10分間4,000rpmで遠心分離したのちに上澄液を除去して、PPS樹脂微粒子を得た。このPPS樹脂微粒子を0.5質量%ノナール912A水溶液に分散させてからPPS樹脂微粒子分散液の粒度分布を測定した結果、平均粒径は7.36μmであった。また、平均一次粒径は5.91μmであった。
〔粉砕工程〕
前記PPS樹脂微粒子を1.25質量%ノナール912A水溶液400mlに懸濁させて、1.5質量%のPPS樹脂微粒子懸濁液を調整した。液温を20℃以下に保持しながらビーズミル(寿工業製 ウルトラアスペックミル UAM―015型 東ソー製50μmジルコニアビーズ80%充填)で60分間粉砕した。得られたPPS樹脂微粒子分散液の粒度分布を測定した結果、PPS樹脂微粒子の平均粒径は0.20μm、であった。 また、このPPS樹脂微粒子分散液は室温(25℃)条件下にて24時間静置し、目視で観察したところPPS樹脂微粒子は沈降しなかった。
実施例2
PPS樹脂粉末10g、ノナール912A6.25g、NMP490gを用い、実施例1と同様にしてフラッシュ冷却した。得られたフラッシュ液を遠心分離して、上澄み液を取り除いた。残さにイオン交換水を加えて懸濁液とした後、遠心分離した。この操作を2回繰り返し、PPS樹脂微粒子10gを得た。このPPS樹脂微粒子の平均粒径は7.8μm、平均一次粒径は5.6μmであった。得られたPPS樹脂微粒子6.25gをノナール912A1.25質量%水溶液400g中に分散させ、PPS樹脂微粒子分散液を調製した。上記PPS樹脂微粒子分散液を実施例1と同様にしてビーズミルで1時間粉砕し、PPS樹脂微粒子分散液を得た。PPS樹脂微粒子分散液の平均粒径は200nmであった。また、このPPS樹脂微粒子分散液は室温(25℃)条件下にて24時間静置し、目視で観察したところPPS樹脂微粒子は沈降しなかった。
実施例3
PPS樹脂粉末15g、ノナール912A6.25g、NMP485gを用い、実施例1と同様にして溶解工程・析出工程を行いPPS樹脂微粒子分散液を得た。得られたPPS樹脂微粒子の粒度分布を測定した結果、平均粒径は10.64μm、平均一次粒径は6.8μmであった。引き続き実施例1と同様にしてビーズミル粉砕を行いPPS樹脂微粒子分散液を得た。このPPS樹脂微粒子分散液の平均粒径は0.30μmであった。また、このPPS樹脂微粒子分散液は室温(25℃)条件下にて24時間静置し、目視で観察したところPPS樹脂微粒子は沈降しなかった。
実施例4
PPS樹脂粉末15g、NMP485gを用い、実施例1と同様にしてフラッシュ冷却を行った。得られたフラッシュ液を遠心分離して、上澄み液を取り除いた。残さにイオン交換水を加えて懸濁液とした後、遠心分離した。この操作を2回繰り返し、PPS樹脂微粒子15gを得た。このPPS樹脂微粒子の平均粒径は10.04μm、平均一次粒径は7.6μmであった。得られたPPS樹脂微粒子6.25gをノナール912A1.25質量%水溶液400g中に分散させ、PPS樹脂微粒子分散液を調製した。引き続き、実施例1と同様にビーズミル粉砕を行い、PPS樹脂微粒子分散液を得た。PPS樹脂微粒子分散液の平均粒径は300nmであった。また、このPPS樹脂微粒子分散液は室温(25℃)条件下にて24時間静置し、目視で観察したところPPS樹脂微粒子は沈降しなかった。
実施例5
実施例1と同様に、PPS樹脂粉末6.1g、NMP490gを用い、撹拌しながら内温を280℃まで上昇させたのち、さらに5時間撹拌を継続した。次いで、窒素ガスを内圧(ゲージ圧)2MPaまで圧入したところ、内温は310℃まで上昇した。溶解槽のインターナル連結管のバルブを開き、実施例1と同様にしてフラッシュ冷却してPPS樹脂微粒子分散液を得た。得られたPPS樹脂微粒子の平均粒径は1.36μmであった。また、このPPS樹脂微粒子分散液は室温(25℃)条件下にて24時間静置し、目視で観察したところPPS樹脂微粒子は沈降しなかった。
実施例6
〔溶解工程〕
PPS樹脂粉末14.7g、NMP490gを用い、実施例1と同様に溶解工程を実施した。
〔析出工程〕
受槽に水490gを入れて氷水中で冷却し、撹拌しながら窒素ガスを微量通気した。このときの連結管出口を水中に入れた。引き続き、実施例1と同様のフラッシュ冷却を行い、PPS樹脂微粒子分散液を得た。得られたPPS樹脂微粒子分散液中のPPS樹脂微粒子の平均粒径は0.14μm、標準偏差は0.05μmであった。このPPS樹脂微粒子分散液は室温(25℃)条件下にて24時間静置し、目視で観察したところPPS微微粒子は沈降しなかった。
実施例7
受槽に仕込む分散媒の水にノナール912Aを6.1g添加し、実施例6と同様にして実施した。得られたPPS樹脂微粒子分散液中のPPS樹脂微粒子の平均粒径は0.14μm、標準偏差は0.05μmであった。このPPS樹脂微粒子分散液は室温(25℃)条件下にて24時間静置し、目視で観察したところPPS微微粒子は沈降しなかった。
実施例8
受槽の連結管出口を水面より上に位置するように設置し、その他は実施例1と同様の装置を使用した。受槽中に分散媒の水490gとノナール912A6.1gを仕込み、実施例6と同様にして実施した。得られたPPS樹脂微粒子の平均粒径は11.4μm、標準偏差は6.82μmであった。引き続き実施例1と同様にビーズミル粉砕を行い、PPS樹脂微粒子分散液を得た。PPS樹脂微粒子分散液の平均粒径は320nmであった。また、このPPS樹脂微粒子分散液は室温(25℃)条件下にて24時間静置し、目視で観察したところPPS樹脂微粒子は沈降しなかった。
実施例9
受槽に仕込む分散媒としてNMPを490g用い、実施例6と同様にして実施した。得られたPPS樹脂微粒子の平均粒径は、9.88μm、標準偏差は4.50μmであった。引き続き実施例1と同様にビーズミル粉砕を行い、PPS樹脂微粒子分散液を得た。PPS樹脂微粒子分散液の平均粒径は450nmであった。また、このPPS樹脂微粒子分散液は室温(25℃)条件下にて24時間静置し、目視で観察したところPPS樹脂微粒子は沈降しなかった。
実施例10
〔溶解工程〕
PPS樹脂粉末14.7g、NMP490gを用い、実施例1と同様にして実施した。
〔析出工程〕
受槽に水490gを入れて実施例6と同様にして実施した。得られたフラッシュ液の平均粒径は、0.1μmであった。この懸濁液に懸濁液と同量の2質量%塩化ナトリウム水溶液(PPS樹脂微粒子に対する塩化ナトリウム量は200質量%)を加えて塩析し、0.1μmメンブランフィルターでろ取した。このときの平均粒径は29μmであった。得られた固形分をイオン交換水150g中に懸濁した後、0.1μmメンブランフィルターでろ取した。同様の操作を2回実施し、含水PPS樹脂微粒子(53.9g、PPS分20.0wt%)を得た。
[分散工程]
前記含水PPS樹脂微粒子50g(PPS分10.0g)にノナール912A2.0g(PPS比20質量%)、イオン交換水148gを加えて5質量%のPPS樹脂微粒子懸濁液を調整した後、ホモミキサーで予備分散した。その懸濁液を超音波(出力90W、20分間)で処理した後、遠心分離器(1,090G、5分間)を用いて粗粒を分離し、平均粒径181nm、変動係数47%のPPS樹脂微粒子水分散液を得た。超音波分散前の平均一次粒径は83nm、変動係数は21%であり、超音波分散後の平均一次粒径は80nmであった。このPPS樹脂微粒子分散液を室温(25℃)条件下にて24時間静置し、目視で観察したところPPS樹脂微粒子は沈降していなかった。
実施例11
受槽に入れる水を196gとし、実施例10と同様にしてフラッシュ冷却した。このフラッシュ液の平均粒径は、9μmであった。このフラッシュ液にイオン交換水(685g)を加え、2日間静置した後、0.1μmメンブランフィルターでろ取した。2日静置後の平均粒径は21μmであった。実施例1と同様に水洗、分散工程を行い、平均粒径176nm、変動係数75%のPPS樹脂微粒子分散液を得た。超音波分散前の平均一次粒径は98nm、変動係数は25%であり、超音波分散後の平均一次粒径は92nmであった。このPPS樹脂微粒子分散液を室温(25℃)条件下にて24時間静置し、目視で観察したところPPS樹脂微粒子は沈降していなかった。
実施例12
受槽に水196g、NMP98gを入れ、実施例10と同様にしてフラッシュ冷却した。このフラッシュ液の平均粒径は、18μmであった。このフラッシュ液を2日静置して大粒径化した後、ろ過、水洗した。2日静置後の平均粒径は30μmであった。分散剤として、ポリオキシエチレンステアリルエーテル(エチレンオキシド20モル付加物)を用いる以外は、実施例10の分散工程と同様に行い、平均粒径163nm、変動係数60%のPPS樹脂微粒子分散液を得た。超音波分散前の平均一次粒径は102nm、変動係数は25%であり、超音波分散後の平均一次粒径は101nmであった。 このPPS樹脂微粒子分散液を室温(25℃)条件下にて24時間静置し、目視で観察したところPPS樹脂微粒子は沈降していなかった。
実施例13
受槽に水196g、NMP147gを入れ、実施例10と同様にしてフラッシュ冷却した。このフラッシュ液の平均粒径は、10μmであった。このフラッシュ液を2日静置した後、ろ過、水洗した。2日静置後の平均粒径は17μmであった。分散剤としてポリオキシエチレンステアリルエーテル(エチレンオキシド20モル付加物)を用いる以外は、実施例10の分散工程と同様に行い、平均粒径155nm、変動係数53%のPPS樹脂微粒子分散液を得た。超音波分散前の平均一次粒径は97nm、変動係数は25%であり、超音波分散後の平均一次粒径は99nmであった。このPPS樹脂微粒子分散液を室温(25℃)条件下にて24時間静置し、目視で観察したところPPS樹脂微粒子は沈降していなかった。
実施例14
受槽に水294g、NMP73.5gを入れ、実施例10と同様にしてフラッシュ冷却した。このフラッシュ液の平均粒径は、11μmであった。このフラッシュ液を80℃で1時間加熱した後、ろ過、水洗した。加熱後の平均粒径は18μmであった。分散剤として、ポリオキシエチレンステアリルエーテル(エチレンオキシド20モル付加物)を用いる以外は、実施例10と同様の分散工程を行い、平均粒径160nm、変動係数58%のPPS樹脂微粒子分散液を得た。超音波分散前の平均一次粒径は101nm、変動係数は22%であり、超音波分散後の平均一次粒径は105nmであった。このPPS樹脂微粒子分散液を室温(25℃)条件下にて24時間静置し、目視で観察したところPPS樹脂微粒子は沈降していなかった。
実施例15
〔溶解工程〕
溶解槽の9.8Lのオートクレーブにバルブ開閉ができ、配管の端が槽の中に位置するように連結管を装着した。また、フラッシュ冷却の受槽として、50Lの耐圧タンクに撹拌機、コンデンサー、ガス通気管を装着し、前記溶解槽の連結管の他端を槽の中に位置するように装着した。溶解槽にPPS樹脂粉末210g、NMP6,790gを入れ、インターナル連結管のバルブを密閉してから窒素置換した。撹拌しながら内温280℃まで上昇させた後、1時間撹拌した。このときの内圧(ゲージ圧)は0.4MPaであった。
〔析出工程〕
前記受槽に水2,800gを入れて受槽に設置した連結管の先端を水中に入れた。受槽を氷冷し、窒素ガスを通気した。このとき受槽の温度は5℃であった。溶解槽の連結管のバルブを開き、溶解液を受槽水中にフラッシュ冷却した。このフラッシュ液の平均粒径は、10μmであった。このフラッシュ液を2日間静置した後、遠心脱水機で固液分離し、固形分をろ取した。2日静置後の平均粒径は26μmであった。固形分をイオン交換水1,800g中に懸濁した後、遠心脱水機でろ取した。同様の操作を2回行い、含水PPS樹脂微粒子(860g、PPS分22.0wt%)を得た。
[分散工程]
前記含水PPS樹脂微粒子68.2g(PPS分15.0g)にポリオキシエチレンステアリルエーテル(エチレンオキシド20モル付加物)3.0g(PPS比20質量%)、イオン交換水228.8gを加えて5質量%のPPS樹脂微粒子懸濁液を調整した後、ホモミキサーで予備分散した。その懸濁液を超音波(出力90W、20分間)で処理した後、遠心分離器(1,090G、5分間)を用いて粗粒を分離して平均粒径197nm、変動係数98%のPPS樹脂微粒子分散液を得た。超音波分散前の平均一次粒径は115nm、変動係数は29%であり、超音波分散後の平均一次粒径は110nmであった。このPPS樹脂微粒子分散液を室温(25℃)条件下にて24時間静置し、目視で観察したところPPS樹脂微粒子は沈降していなかった。
実施例16
実施例15の析出工程で得られた含水PPS樹脂微粒子を用い、分散工程に用いる界面活性剤をポリオキシエチレンオレイルエーテル(エチレンオキシド18モル付加物)にした以外は実施例15の分散工程と同様に行い平均粒径188nm、変動係数87%のPPS樹脂微粒子分散液を得た。超音波分散前の平均一次粒径は115nm、変動係数は29%であり、超音波分散後の平均一次粒径は112nmであった。このPPS樹脂微粒子分散液を室温(25℃)条件下にて24時間静置し、目視で観察したところPPS樹脂微粒子は沈降していなかった。
実施例17
実施例15の析出工程で得られた含水PPS樹脂微粒子を用い、分散工程に用いる界面活性剤をポリオキシエチレンオレイルエーテル(エチレンオキシド24モル付加物)にした以外は実施例15の分散工程と同様に行い平均粒径186nm、変動係数87%のPPS樹脂微粒子分散液を得た。超音波分散前の平均一次粒径は115nm、変動係数は29%であり、超音波分散後の平均一次粒径は109nmであった。このPPS樹脂微粒子分散液を室温(25℃)条件下にて24時間静置し、目視で観察したところPPS樹脂微粒子は沈降していなかった。
実施例18〜28
受槽の水を196gとし、溶解工程で用いるPPS樹脂粉末量と溶解工程の温度を表1記載の値にした以外は、実施例10と同様の操作でフラッシュ冷却した。このフラッシュ液を2日静置して大粒径化した後、ろ過、水洗した。実施例10の分散工程と同様に分散を行った。結果を表1に示す。下記のPPS樹脂微粒子分散液を室温(25℃)条件下にて24時間静置し、目視で観察したところPPS樹脂微粒子は沈降していなかった。
Figure 0005347647
実施例29
受槽の水500g、PPS樹脂粉末量を10gとした以外は、実施例10と同様の操作でフラッシュ冷却した。このフラッシュ液を2日静置して大粒径化した後、ろ過、水洗した。次に実施例10の分散工程と同様に分散を行い平均粒径140nm、変動係数51%のPPS樹脂微粒子分散液を得た。超音波分散前の平均一次粒径は92nm、変動係数は28%であり、超音波分散後の平均一次粒径は90nmであった。このPPS樹脂微粒子分散液を室温(25℃)条件下にて24時間静置し、目視で観察したところPPS樹脂微粒子は沈降していなかった。
実施例30
受槽の水を300gとした以外は、実施例10と同様の操作でフラッシュ冷却した。このフラッシュ液を2日静置して大粒径化した後、ろ過、水洗した。次に実施例10の分散工程と同様に分散を行い平均粒径145nm、変動係数54%のPPS樹脂微粒子分散液を得た。超音波分散前の平均一次粒径は90nm、変動係数は26%であり、超音波分散後の平均一次粒径は91nmであった。このPPS樹脂微粒子分散液を室温(25℃)条件下にて24時間静置し、目視で観察したところPPS樹脂微粒子は沈降していなかった。
実施例31
実施例15の析出工程で得られた含水PPS樹脂微粒子を用い、分散工程に用いる界面活性剤をドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(商品名ネオペレックスG−15 花王株式会社製 有効成分16%)を18.8g(PPS比20質量%)、イオン交換水213.0gとした以外は実施例15の分散工程と同様に行い、平均粒径245nm、変動係数64%のPPS樹脂微粒子分散液を得た。超音波分散前の平均一次粒径は115nm、変動係数は29%であり、超音波分散後の平均一次粒径は101nmであった。このPPS樹脂微粒子分散液を室温(25℃)条件下にて24時間静置し、目視で観察したところPPS樹脂微粒子は沈降していなかった。
実施例32
実施例15の析出工程で得られた含水PPS樹脂微粒子を用い、分散工程に用いる界面活性剤をアルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム(商品名ペレックスNBL 花王株式会社製 有効成分35%)を8.6g(PPS比20質量%)、イオン交換水223.2gとした以外は実施例15の分散工程と同様に行い、平均粒径254nm、変動係数63%のPPS樹脂微粒子分散液を得た。超音波分散前の平均一次粒径は115nm、変動係数は29%であり、超音波分散後の平均一次粒径は102nmであった。このPPS樹脂微粒子分散液を室温(25℃)条件下にて24時間静置し、目視で観察したところPPS樹脂微粒子は沈降していなかった。
実施例33
〔溶解工程〕
PPS樹脂粉末14.7g、NMP490gを用い、実施例10と同様にして実施した。
〔析出工程〕
受槽に水490gを入れ、実施例10と同様にして実施した。得られたPPS樹脂微粒子分散液は、PPS樹脂微粒子、NMPおよび水を含むものであり(NMP:水(質量比)=1:1)、同分散液中のPPS樹脂微粒子の平均粒径は0.14μmであった。
〔抽出工程〕
前記分散液に30℃でPPS樹脂微粒子分散液100gに対し、クロロホルム(25℃で、クロロホルム100gに対する水の溶解量は0.08g)を100g添加し撹拌を行った。10分間で撹拌を止め、界面が見えるまで静置した。その結果、上層に白濁した水層、下層に澄明な抽出溶媒層の2層に分液した。水層が白濁していることからPPS樹脂微粒子は水層に存在していると判断した。上層であるPPS樹脂微粒子水分散液を回収した。下層であるクロロホルム層をガスクロマトグラフィー(条件:FID、カラム:DB−WAX 30m×0.25mmΦ×0.25μm、空気圧力:50kPa、水素圧力:50kPa、ヘリウム圧力:20kPa、カラム温度:40〜180℃、インジェクション温度:280℃、 昇温速度:10℃/min)で分析した結果、クロロホルム層中にNMP25.8gが、存在していることが判明した。仕込量から計算したクロロホルム添加前のPPS樹脂微粒子分散液のNMP量は49.3gであるから、水層中に23.5g存在すると考えられる。このPPS樹脂微粒子水分散液についてクロロホルム抽出を6回繰り返し、NMPを48.7g除去することができた。このことからPPS樹脂微粒子水分散液中のNMP濃度は0.75%と判断される。得られたPPS水分散液中のPPS樹脂微粒子の平均粒径は0.14μmであった。
比較例1
9.8Lの耐圧容器内に、PPS樹脂粉末62.5g、NMP(関東化学社製)4,937.5gを加え、脱気後窒素下に密閉し、内温300℃まで上昇させた。300℃で1時間攪拌した後、4時間で室温(25℃)へ冷却した。反応溶液を200μmの篩でろ過後、10Kgの5.0質量%食塩水中に注ぎ入れ、30分間撹拌後遠心脱水して粗含水ケークを得た。得られた粗含水ケークにイオン交換水約1kgを加えて撹拌し、遠心脱水した。この洗浄操作を2回繰り返し、PPS樹脂微粒子206gを得た。このPPS樹脂微粒子の平均粒径は21μm、含水率76.8質量%(PPS分47.7g、回収率76.3%)であった。得られたPPS樹脂微粒子64.6gにノナール912A0.62gを加えた後、ノナール912A1.25質量%水溶液235g中に分散させ、PPS樹脂微粒子分散液を調製した。
上記PPS樹脂微粒子懸濁液をビーズミル(アシザワ・ファインテック株式会社製、 DMS−65、使用ビーズ:0.05mmジルコニアビーズ、周速:14m/sec)で2時間粉砕しPPS樹脂微粒子分散液を得た。PPS樹脂微粒子の平均粒径は15μmであった。
比較例2
PPS樹脂粉末(平均粒径27μm)6.0gをノナール912A5.0質量%水溶液594g中に分散させ、PPS樹脂微粒子分散液を調製した。上記PPS樹脂微粒子懸濁液をビーズミル(寿工業株式会社製、 “ウルトラアペックスミル”、使用ビーズ:0.05mmジルコニアビーズ、ミル回転数:4,300rpm)で1.5時間粉砕しPPS樹脂微粒子分散液を得た。PPS樹脂微粒子分散液の平均粒径は19μmであった。
本発明の製造法によれば、粒度分布が狭く、かつ粒径の細かいPPS樹脂微粒子分散液を非常に容易に得ることができる。このようにして得られたPPS樹脂微粒子分散液は、接着剤、塗料、印刷インク中の分散剤、磁気記録媒体、プラスチックの改質剤、層間絶縁膜用材料等の用途に幅広く用いることができる。

Claims (14)

  1. 下記の工程(a)、(b)を含むことを特徴とする平均径が0.05〜0.5μmのポリフェニレンサルファイド樹脂微粒子の製造方法。
    (a)0.1〜10質量部のポリフェニレンサルファイド樹脂を100質量部の有機溶媒中で加熱してポリフェニレンサルファイド樹脂の溶解液とする工程(溶解工程)
    (b)前記溶解液をフラッシュ冷却してポリフェニレンサルファイド樹脂の微粒子を析出させる工程(析出工程)
  2. 前記析出工程において、溶解液をポリフェニレンサルファイド樹脂微粒子を析出させる溶媒中にフラッシュ冷却する請求項1に記載のポリフェニレンサルファイド樹脂微粒子の製造方法。
  3. 前記析出工程において、0.2〜4MPaの圧力(ゲージ圧)下にある溶解液をフラッシュ冷却する請求項1または2に記載のポリフェニレンサルファイド樹脂微粒子の製造方法。
  4. 前記溶解工程において、200℃〜400℃の範囲に加熱する請求項1から3のいずれかに記載のポリフェニレンサルファイド樹脂微粒子の製造方法。
  5. 前記溶解工程において、用いる有機溶媒がN−メチル−2−ピロリジノンである請求項1から4のいずれかに記載のポリフェニレンサルファイド樹脂微粒子の製造方法。
  6. 前記析出工程において、ポリフェニレンサルファイド樹脂微粒子を析出させる溶媒が水である請求項2から5のいずれかに記載のポリフェニレンサルファイド樹脂微粒子の製造方法。
  7. 前記析出工程で得られるポリフェニレンサルファイド樹脂微粒子を含む、界面活性剤および分散媒からなる懸濁液を機械的粉砕装置で粉砕し、ポリフェニレンサルファイド樹脂微粒子をさらに微粒子化する工程(粉砕工程)を含む請求項1から6のいずれかに記載のポリフェニレンサルファイド樹脂微粒子の製造方法。
  8. 前記析出工程で得られるポリフェニレンサルファイド樹脂微粒子を含む、界面活性剤および分散媒からなる懸濁液を機械的分散させる工程(分散工程)を含む請求項1から7のいずれかに記載のポリフェニレンサルファイド樹脂微粒子の製造方法。
  9. 前記析出工程で得られたポリフェニレンサルファイド樹脂微粒子を凝集させて大粒径化した後に固液分離し、引き続いて分散工程に用いる請求項8に記載のポリフェニレンサルファイド樹脂微粒子の製造方法。
  10. 前記分散工程で用いる分散媒が水である請求項8または9のいずれかに記載のポリフェニレンサルファイド樹脂微粒子の製造方法。
  11. 請求項1から10のいずれかに記載のポリフェニレンサルファイド樹脂微粒子の製造方法で得られるポリフェニレンサルファイド樹脂微粒子、界面活性剤および分散媒からなるポリフェニレンサルファイド樹脂微粒子分散液。
  12. レーザー回析・散乱方式での平均粒径が0.05〜0.5μmかつ、変動係数が20〜100%であるリフェニレンサルファイド樹脂微粒子。
  13. 平均一次粒径が0.2μm以下、かつ、変動係数が10〜40%であるポリフェニレンサルファイド樹脂微粒子。
  14. 請求項12または13に記載のポリフェニレンサルファイド樹脂微粒子を分散させたポリフェニレンサルファイド樹脂微粒子分散液。
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