JP2017197665A - ポリエーテルスルホン樹脂粒子の製造方法およびポリエーテルスルホン樹脂粒子 - Google Patents

ポリエーテルスルホン樹脂粒子の製造方法およびポリエーテルスルホン樹脂粒子 Download PDF

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千鶴 小亀
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圭 牧田
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Abstract

【課題】平均一時粒径が小さく、粒径のバラツキがなく、真球度が高いポリエーテルスルホン樹脂粒子を得る。
【解決手段】有機溶媒にポリエーテルスルホン樹脂を溶解した溶液であって、有機溶媒とポリエーテルスルホン樹脂の合計量に対してポリエーテルスルホン樹脂が1〜15質量%含まれる溶液を、ポリエーテルスルホン樹脂を基準として20〜500質量倍の水系溶媒に添加することでポリエーテルスルホン樹脂粒子を析出させるポリエーテルスルホン樹脂粒子の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリエーテルスルホン樹脂粒子、およびその製造方法に関する。
ポリエーテルスルホン樹脂(以下、「PES樹脂」と称することがある)粒子は耐熱性、耐薬品性、耐加水分解性、電気特性、低誘電特性、難燃性、機械特性などに優れており、回路基板、電気絶縁性保護膜、集積回路用層間絶縁膜などの電子部品、自動車部品、航空機部品、医療用機器部品として好適に利用される。
一般にPES樹脂粒子の原料となるPES樹脂としては、公知の方法(特許文献1〜7)で製造されたPES樹脂や市販のPES樹脂が用いられている。
平均粒径1μm以上のPES樹脂粒子の製造方法としては、PES樹脂を高速ハンマー式衝撃式粉砕機により平均粒径50〜140μmの粒子を製造する方法(特許文献8)、溶媒に溶解させたPES樹脂を、溶媒と非相溶の貧溶媒へ添加し、強撹拌してエマルジョンを形成した後、溶媒を除去することにより平均粒径8μmのPES樹脂粒子を製造する方法が報告されている(特許文献9)。さらにPES樹脂とポリビニルアルコールをNMPに溶解混合し、エマルションを形成させた後、PES樹脂の貧溶媒を滴下することにより平均粒径18μm〜23μmの粒子が得られる方法などが報告されている(特許文献10)。
平均粒径1μm以下の粒子を得る方法として、PES樹脂のN−メチル−2−ピロリジロン(以下、NMPと略すことがある)溶液に、アルコール、グリコール等を添加混合した後、界面活性剤を含む水溶液と混合させることにより0.16μm〜0.2μmのPES樹脂粒子分散液を得る方法が開示されている(特許文献11)
特公昭42−7799号公報 特公昭45−21318号公報 特開昭48−19700号公報 特開昭53−12991号公報 特開昭53−16098号公報 特開平5−163352号公報 特開平5−86186号公報 特開2007−231234号公報 特開平4−325590号公報 特開2013−76085号公報 特開2000−80329号公報
上記のとおりPES樹脂粒子の製造方法が提案されているが、電子材料等の部材の薄膜化に適用できる平均粒径1μm以下のPES樹脂粒子の製造方法は、ほとんど報告されていない。特許文献11の方法では、例えば、PES樹脂のNMP溶液に界面活性剤を含む水を添加した場合、1μm以下の粒子が得られるものの、真球度も高くなく、また粒径のバラツキも大きく、粒径の変動係数(後述の走査型電子顕微鏡で得られた画像から算出)が大きくなる。また、特許文献11の分散液の分散媒は、NMP等の高沸点溶媒、アルコール、グリコール等の有機溶媒、水の3種から構成されているので、適応用途に制限があると推定される。そのうえ、界面活性剤の使用によりPES樹脂粒子表面が界面活性剤で被覆されており、界面活性剤を含まないPES樹脂粒子を入手するためには、必ずしも十分な方法ではなかった。特に、粒子以外の成分が部材の性能に影響を与えやすい半導体などの電子情報分野では、その使用が制限される。
電子情報材料分野では小型化、薄膜化が加速しており、これらの分野で用いる粒子として、界面活性剤等の他の成分を含まず、真球状で、粒径の揃った、粒径1ミクロン以下の粒子が求められている。
このような状況から界面活性剤を含まず、真球状で、粒径の揃った粒径1ミクロン以下のPES樹脂粒子を製造する方法の開発が切望されている。
本発明は、界面活性剤を含まず、工業的に実施でき、かつ簡便な操作で、粒径のバラツキがなく、真球度の高い、平均1次粒径300nm以下のPES樹脂粒子を製造することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、1〜15質量%のPES樹脂の有機溶媒溶液を、溶液に溶けているPES樹脂を基準として20〜500質量倍の水系溶媒に添加することにより、微細で、真球度が高く、かつ粒径の揃ったPES樹脂粒子が安定して得られることを見出し、本発明に至った。即ち、本発明は以下のとおりである。
有機溶媒にポリエーテルスルホン樹脂を溶解した溶液であって、有機溶媒とポリエーテルスルホン樹脂の合計量に対してポリエーテルスルホン樹脂が1〜15質量%含まれる溶液を、ポリエーテルスルホン樹脂を基準として20〜500質量倍の水系溶媒に添加することでポリエーテルスルホン樹脂粒子を析出させるポリエーテルスルホン樹脂粒子の製造方法。
平均一次粒径が30nm以上300nm未満であり、変動係数が30%以下、真球度が1.2以下であることを特徴とするポリエーテルスルホン樹脂粒子。
本発明を用いれば、工業的に安定して入手することが困難であった粒径のバラツキが少なくて真球度が高く、界面活性剤を実質的に含まない平均1次粒径30nm以上300nm以下のPES樹脂粒子を簡便かつ安定的に製造することができ、広く産業上有用な材料が提供できる。本発明により得られたPES樹脂粒子は、電子情報材料分野等で好適に使用することができる。
実施例6で製造したPES樹脂粒子の走査型電子顕微鏡画像である。 比較例1で製造したPES樹脂粒子の走査型電子顕微鏡画像である。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
[原料のPES樹脂]
本明細書におけるPES樹脂とは、一般式(1)および/または一般式(2)で表される芳香族ポリエーテルスルホンをいう。
(式中、Rはそれぞれ同一であっても異なってもよく、炭素数1〜6のアルキル基、および炭素数6〜8のアリール基から選ばれるいずれかを表し、mは、0〜3の整数を表す。Yは、直接結合、O、S、SO、CO,C(CH、CH(CH)、およびCHから選ばれるいずれかを表す)。
PES樹脂は、通常、公知の方法、例えば、前記特許文献1〜7記載の方法で製造することが可能である。有機溶媒中、アルカリ金属化合物存在下、一般式(3)で表されるジハロゲノジフェニル化合物と一般式(4)および/または(5)で表される二価フェノール化合物とを重縮合させ、あるいは、ジハロゲノジフェニル化合物と、予め調整した一般式(4)および/または(5)で表される二価フェノール化合物とアルカリ金属化合物とを重縮合させることにより製造することができる。
(式中、Xは、ClまたはFを表し、Rは、それぞれ同一であっても異なってもよく、炭素数1〜6のアルキル基、および炭素数6〜8のアリール基から選ばれるいずれかを表し、mは、0〜3の整数を表す。Yは、直接結合、O、S、SO、CO,C(CH、CH(CH)、およびCHから選ばれるいずれかを表す)
二価フェノール化合物に対し、ジハロゲノジフェニル化合物は、通常、等モル使用される。分子量や末端基組成を微調整するために二価フェノール化合物を等モルよりわずかに過剰量あるいは過少量で使用することもできる。また、分子量や末端基組成を調整するために、少量のモノハロゲノジフェニル化合物あるいは一価フェノール化合物を重合溶液中に添加することもできる。
重縮合の温度は、使用する溶媒に依存するが、通常140〜340℃で実施することが好ましい。340℃以上より高温で重縮合するとPES樹脂の分解反応が進行する。また、140℃未満で重縮合すると高分子量体が得られない傾向にある。
反応時間は、原料成分の種類、重合反応形式、反応温度により変化するが、通常は10分〜100時間の範囲であり、好ましくは30分〜24時間の範囲で実施される。
反応雰囲気は、酸素のないことが好ましく、窒素、アルゴン等の不活性ガス中で実施することが好ましい。二価フェノール化合物のアルカリ金属塩は、酸素存在下で加熱すると酸化されやすく、目的とする重縮合反応が妨げられ、高分子量化が困難になるほか、重合体の着色原因ともなる。
重縮合反応は、重合終了時に末端停止剤、例えば、メチルクロライド、t−ブチルクロライド、4,4‘−ジクロロジフェニルスルホンのような単官能クロライド、多官能クロライドを反応溶液中に添加し、例えば、90〜150℃で反応させることにより末端を封鎖することができる。
ここで、使用される溶媒としては ジメチルスルホキシド(以下、DMSOと略することもある)、ヘキサメチレンスルホキシド、スルホランなどの硫黄酸化物系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド(以下、DMFと略すことがある)、N,N−ジメチルアセトアミド(以下、DMAcと略すことがある)、N−メチル−2−ピロリジノンなどのアミド系溶媒、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(以下、DMIと略すこともある)等のウレア類、ジフェニルエーテル、ジフェニルスルホンなどのジフェニル化合物、塩化メチレン、クロロホルムなどのハロゲン系溶媒、これら2種類以上の混合物が挙げられる。
重合時の微量の水分が重合の進行を阻害するので、反応系内の水分を分離する目的で非プロトン性極性溶媒に相溶し、かつ0.1MPa下において水と共沸混合物を形成する溶媒を用いることができる。このような溶媒として、特に限定されないが、ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの炭化水素系溶媒、ジイソプロピルエーテル、ジオキサン等のエーテル系溶媒、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール系溶媒、酢酸エチル、酢酸プロピル等のエステル系溶媒などが挙げられ、好ましくは、炭化水素系溶媒、さらに好ましくはベンゼン、トルエン、キシレンからから選ばれる少なくとも1種を使用することができる。
水共沸溶媒の使用量は、系内の水分を除去できる量であれば特に制限はないが、全モノマー質量に対して0.01〜10倍質量の範囲が好ましく、さらに0.02〜5倍質量である。
アルカリ金属化合物としては、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属水素化物、アルカリ金属アルコキシドなどが挙げられる。なかでも炭酸カリウム、炭酸ナトリウムなどのアルカリ金属炭酸塩が好ましく、特に無水炭酸カリウム、無水炭酸ナトリウムなどの無水アルカリ金属炭酸塩が好ましい。
重縮合により得られたPES樹脂は、反応溶液中に含まれるアルカリ金属化合物をろ過、遠心分離によって分離した後、あるいは、ろ過や遠心分離せずにPES樹脂の貧溶媒を加えて、あるいは貧溶媒に反応溶液を加えてPES樹脂を析出させて固体として分離することができる。貧溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール系溶媒、アセトニトリルなどのニトリル系溶媒、水などを挙げることができる。これらの貧溶媒を2種以上混合して用いることもできる。析出固体を貧溶媒で洗浄後、乾燥させることによってPES樹脂の粉末を得ることができる。
このようなPES樹脂としては、前記の公知の方法で製造することができるが、市販品のPES樹脂を使用することができる。具体的な市販されているPES樹脂としては、例えば、スミカエクセルPES 5900P、5400P、5200P、4800P、4100P、3600P、5003PS(住友化学社製)、ウルトラゾーンE1010等のウルトラゾーンシリーズ(BASF社製)等が挙げられる。
PES樹脂の重量平均分子量の下限は5,000以上であり、より好ましくは10,000以上である。
また、PES樹脂の重量平均分子量は1,000,000以下であり、さらに好ましくは500,000以下である。
なお、本明細書におけるPES樹脂の重量平均分子量とは、ジメチルホルムアミドを溶媒に用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定し、ポリスチレンに換算した重量平均分子量を指す。
PES樹脂の形態は特に問わないが、具体的に例示するならば粉体、顆粒、ペレット等があげられる。後述する操作性及び溶解に要する時間を短縮させる観点から、特に粉末のPES樹脂が好ましい。
[PES樹脂粒子の製造]
本実施態様におけるPES樹脂粒子は、下記の工程を経て製造することができる。
[溶解工程]
PES樹脂を有機溶媒に溶解させてPES樹脂の有機溶媒溶液を作製する。目的とするPES樹脂粒子をコーティング用塗剤等に使用する場合等、共存する無機イオンによる装置の腐食等を防止するために、無機イオンを含有していない粉末PES樹脂を使用することが特に好ましい。
PES樹脂の溶解に使用する有機溶媒は、PES樹脂を溶解する溶媒で、水と混じり合う溶媒であればよい。具体的には、DMF、DMAc、NMPなどのアミド系溶媒、DMI等のウレア類、DMSO、ジメチルスルホン、スルホラン等の硫黄酸化物系溶媒の中から少なくとも一種選ばれる溶媒が挙げられる。中でも、溶媒の安定性と工業的取り扱いのしやすさから、好ましくはNMP、DMAc、DMF、DMI、より好ましくはNMP、DMAcが使用される。
溶解槽の雰囲気は、PES樹脂の分解、劣化を抑制するため、更には安全に作業を進めるために酸素ガス濃度を低くする方が好ましく、不活性ガス雰囲気下に溶解槽を配置することが好ましい。不活性ガスとしては、窒素ガス、ヘリウムガス、アルゴンガスなどが挙げられるが、経済性、入手容易性を勘案して、窒素ガス、アルゴンガスが好ましい。
溶解方法は特に限定しないが、所定の容器にPES樹脂、有機溶媒を入れ、撹拌しながら溶解する。常温で溶解しない場合、加熱してPES樹脂を溶解させてPES樹脂の有機溶媒溶液を作る。粒径の揃ったPES樹脂粒子を製造するにはPES樹脂が溶媒に完全溶解していることが好ましいが、未溶解のPES樹脂が存在していてもよい。
PES樹脂の有機溶媒溶液に水を添加する場合、PES樹脂の有機溶媒溶液に水、または水を含む有機溶媒を添加しても良い。所定の容器でPES樹脂溶液を作製した後、その溶液に水、または水を含む有機溶媒を添加する。水、または水を含む有機溶媒の添加には、送液ポンプ、ピペット等を用いることができる。水を加える場合、一度に大量の水を入れるとPES樹脂が析出し、析出したPES樹脂の溶解に長時間を要するので、徐々に水を加えることが好ましい。粒径の揃ったPES樹脂粒子を製造するにはPES樹脂が溶媒に完全溶解していることが好ましいが、未溶解のPES樹脂が存在していてもよい。
添加する水量は、溶解させるPES樹脂濃度、有機溶媒の種類によって異なるが、PES樹脂溶液(有機溶媒とポリエーテルスルホン樹脂の合計)100質量部に対して1〜25質量部、好ましくは、1〜20質量部、さらに好ましくは1〜15質量部である。PES樹脂溶液に水を添加することで、より変動係数の小さいPES樹脂粒子を得ることができる。水の量が多すぎるとPES樹脂が析出してしまうので好ましくない。
溶解温度は使用する溶媒の種類やPES樹脂の濃度によって異なるが、通常は常温〜200℃、好ましくは常温〜150℃、または有機溶媒の沸点以下である。
溶解時間は溶媒の種類、PES樹脂の濃度、溶解温度によって異なるが、通常、5分〜50時間の範囲であり、好ましくは、10分〜40時間の範囲である。
PES樹脂の濃度が高いと、PES樹脂溶液を水系溶媒へ添加して粒子を析出させる際に粒子同士の融着等が生じ、粒径の小さな粒子や粒径の揃った粒子が得られない恐れがある。
そのため、PES樹脂溶液の濃度は、有機溶媒とPES樹脂の合計を100質量%として、1質量%〜15質量%であり、好ましくは1質量%〜10質量%、さらに好ましくは1質量%〜8質量%である。上記範囲であれば、工業生産に適用可能である。本実施態様においては前記溶媒にPES樹脂を溶解させたPES樹脂溶液、その溶液に水を添加したPES樹脂溶液を後述する析出工程に供する。
[析出工程]
析出工程では、PES樹脂溶液を水系溶媒に添加することで、PES粒子を析出させ、粒子化液を得る。
水系溶媒を、通常、粒子化槽(以下、「受槽」と称することがある)に準備し、そこにPES樹脂溶液を添加する。受槽への添加する場合、気相を介して添加しても、PES樹脂溶液を移液する管、またはピペット等の先端部分(以下、「添加口」と称することがある)を受槽の水系溶媒中に入れて添加しても良い。微細で粒径の揃った粒子が得られやすい点からPES樹脂溶液を移液する管、またはピペット等の先端部分を受槽の水系溶媒中に入れることが好ましい。
PES樹脂溶液を粒子化槽の水系溶媒へ添加するにあたっては、PES樹脂溶液を入れた容器から水系溶媒を入れた受槽に連続的に注入しても良いし、断続的に注入しても良い。添加速度は、粒子が生成する範囲であれば、特に限定されないが、0.1g/分〜3,000g/分、好ましくは0.5g/分〜1,000g/分、より好ましくは、1g/分〜750g/分、さらに好ましくは1g/分〜500g/分、特に好ましく5g/分〜300g/分である。
PES樹脂粒子を作製する方法には、水系溶媒を入れた受槽へPES樹脂溶液を添加して粒子化液を作製した後、粒子化液を抜き出し、次工程に供する方法(回分式)と連続流通式(単に連続式と略することがある)の2つの方法がある。連続流通式に用いる反応器には、連続槽型反応器(continuous stirred tank reactor、略称:CSTR)と管型反応器(plug flow reactor、略称:PFR)とがある。PES樹脂の粒子化には、いずれの反応器も適応可能である。
CSTRを用いる方法は、受槽(連続式では反応器ということがある)に水系溶媒を入れ、PES樹脂溶液を受槽へ添加してPES樹脂粒子を作製した後、続いて、その粒子化液にPES樹脂溶液と水系溶媒を同時に滴下しつつ、受槽からPES樹脂粒子の粒子化液を連続的に抜き出して、連続的に粒子化する方法である。また、回分式により作製したPES樹脂の粒子化液に、PES樹脂溶液と水系溶媒を同時に滴下しつつ、受槽からPES樹脂粒子の粒子化液を連続的に抜き出して粒子化液を作製することもできる。
CSTRを用いる場合、PES樹脂溶液と水系溶媒を同時に滴下することが必要である。水系溶媒の滴下速度に対するPES樹脂溶液の滴下速度の比は、PES樹脂粒子が生成できれば良く、特に限定されないが、生産性の観点から水系溶媒の滴下速度に対するPES樹脂溶液滴下速度比は、0.01〜100の間にあることが好ましく、0.02〜50の間にあることがより好ましい。
また、受槽(反応器)からの粒子化液抜き出し流量に対する受槽内の粒子化液重量の比を滞留時間とすると、滞留時間は、微細で粒径の揃った粒子が得られれば特に限定されないが、1秒間から10時間の間が好ましく、1分間〜3時間の間がより好ましい。
受槽には粒子化液の均一性を保持するために混合装置を設置しても良い。混合装置の例として攪拌羽や2軸混合機、ホモジナイザー、超音波振動等を挙げることができる。
PFRを用いる方法は、PES樹脂溶液と水系溶媒を配管の中へ一定速度で通液して配管中でPES樹脂溶液と水系溶媒を混合させて粒子化を行い、連続的に粒子化液を取り出す方法で、種々の配管を使用することができる。例えば、2つの配管を使用する場合、PES樹脂溶液を内管、水系溶媒を外管に一定速度で通液し、外管中でPES樹脂溶液と水系溶媒を混合させて粒子化することもできる。また、PES樹脂溶液を外管、水系溶媒を内管に通液しても良い。
1つの配管を用いて連続粒子化する場合、例えば、T字型配管では、PES樹脂溶液の流れに対して90度の方向から水を通液してPES樹脂溶液と水系溶媒を接触させて粒子化することもできる。
種々の配管を用いてPES樹脂溶液と水系溶媒を混合させて連続的に粒子化することができるので、PFRの方法は、上記に限定されるものではない。
PFRを用いる場合、PES樹脂溶液の通液速度と水系溶媒の通液速度は、PES樹脂粒子が生成できれば良く、特に限定されないが、生産性の観点から水系溶媒の通液速度に対するPES樹脂溶液の通液速度の比は、0.01〜100の間にあることが好ましく、0.02〜50の間にあることがより好ましい。
また、PES樹脂溶液と水系溶媒の混合部分は配管のみでも良く、管状混合装置を設置しても良い。管状混合装置として上記混合装置やスタティックミキサー等の静的混合構造物を格納した管状混合装置等を挙げることができる。
PES樹脂溶液と水系溶媒の混合時間は前記滞留時間と同じ範囲内であれば良い。配管の内径はPES樹脂溶液と水系溶媒が混合すれば良く、特に限定されないが、生産性の観点から0.1mm〜1mの間にあることが好ましく、1mm〜1mの間にあることがより好ましい。
2つの配管を内管と外管として用いる場合、内管径と外管径の比は、粒子化液ができれば特に限定しないが、外管径/内管径=1.1〜500の間が好ましく、外管径/内管径=1.1〜100の間がより好ましい。
本発明においては、PES樹脂溶液を添加する水系溶媒の使用量が重要であり、PES樹脂溶液に溶解しているPES樹脂を基準として、20〜500質量倍の範囲であれば、界面活性剤を含まない水に添加する場合であってもばらつきの少ないPES樹脂粒子を得ることができる。水系溶媒の使用量は、好ましくは20〜〜200質量倍、さらに好ましくは20〜100質量倍である。
析出工程において使用される水系溶媒として、メタノール、エタノール等のアルコール溶媒、水等が挙げられるが、粒径のバラツキがなく、真球度の高い粒子が得られることから水が好ましい。また、水系溶媒は、界面活性剤を実質的に含まないものを用いることで、得られるPES樹脂粒子に界面活性剤を含まない粒子を得ることができる。界面活性剤を全く含まないことが最も好ましいが、本発明の効果を損なわない程度で混入していても構わない。具体的には、PES樹脂に対し、界面活性剤の混入割合を3質量%以下にとどめるべきであり、可能な限り1質量%未満にとどめるべきである。
水系溶媒にPES樹脂溶液を添加する場合の水系溶媒の温度は、0℃以上で溶媒の沸点以下まで設定できるが、用いる溶媒によっては、粒子同士の融着が起こり、粒子が得られない場合があるので、添加直前の受層の温度は0〜40℃が好ましい。添加によりPES樹脂溶液からPES樹脂粒子が析出し、PES樹脂粒子の分散した液、もしくは懸濁した液(粒子化液)が得られる。
PES樹脂溶液を加える際には受槽の水系溶媒を攪拌することが好ましい。撹拌速度は、粒子が生成する範囲であれば、特に限定されないが、30rpmから1,500rpm、好ましくは、50rpm〜1000rpm、より好ましくは50rpmから600rpmである。
また、PES樹脂溶液を加える際には、PES樹脂溶液を撹拌しても撹拌しなくても良い。
[ろ過・単離工程]
上記で得られた粒子化液を固液分離することで、PES樹脂粒子を回収することができる。
PES樹脂粒子を単離する方法としては、ろ過、遠心分離、遠心ろ過等の従来公知の固液分離方法で行うことができるが、平均1次粒径300nm以下のような微細なPES樹脂粒子を固液分離操作で効率よく単離するためには、凝集によって見掛け上の粒径を増大させた後、ろ過や遠心分離等の固液分離操作を行うことが望ましい。凝集によって見掛け上の粒径を増大させる方法としては、加熱することにより凝集させる方法、塩析等の凝集剤を用いた凝集法などを用いることができるが、これらの凝集法のうち、塩析を用いる方法が、短時間で凝集体を得ることができることから好ましい。このときの凝集体の平均粒径としては10〜500μmであることが好ましく、20〜500μmであることがより好ましい。
塩析を用いた凝集法では、例えば、塩化ナトリウム等の無機塩、または酢酸マグネシウム等の有機酸塩をPES樹脂を基準として0.01〜10質量倍用いることが好ましい。さらに好ましくは0.05〜5質量倍加えることにより粒径の大きな凝集体を得ることができる。具体的には、粒子化液(前記分散液もしくは懸濁液)中に直接無機塩、有機酸塩を添加する、あるいは、前記無機塩、有機酸塩の0.1〜20質量%の溶液を添加する等の方法が挙げられる。無機塩としては、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化リチウム、塩化カリウム、有機酸塩としては、酢酸ナトリウム、酢酸マグネシウム、酢酸カルシウム、シュウ酸ナトリウム、シュウ酸マグネシウム、シュウ酸カルシウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸マグネシウム、クエン酸カルシウム等が挙げられる。前記無機塩、有機酸塩は、単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて使用しても良い。無機塩、有機酸塩を溶解させる溶媒としては、水が好ましい。本実施態様の方法で得られたPES樹脂粒子は、このような方法で凝集させることにより固液分離が容易となる。
上記固液分離の方法としては、ろ過、遠心分離等の方法が挙げられる。ろ過や遠心分離の際にはメンブレンフィルター(ろ過)やろ布(ろ過、遠心分離)などを使用できる。フィルターの目開きとしては、PES樹脂粒子の粒度に応じて適宜決定されるが、メンブレンフィルターの場合、通常0.1〜50μm程度、ろ布の場合、124.5Paでの通気度が5cm/cm・sec以下のものが使用できる。
[PES樹脂粒子]
かくして得られるPES樹脂粒子はそのままで、もしくは水、有機溶媒等の分散媒に分散させて分散液とし、あるいはその他の媒体に再分散させて種々の用途に用いることが可能である。
かくして得られるPES樹脂粒子は、界面活性剤を実質的に含まない平均一次粒径が300nm以下、より好ましい態様においては200nm以下の粒子である。下限としては30nm程度である。
また、粒度の揃った粒子が得られ、通常変動係数が40%以下、好ましい態様においては変動係数が30%以下であり、より好ましい態様においては、変動係数が25%以下、最も好ましくは変動係数が23%以下であるPES樹脂粒子が得られる。変動係数は小さい方が好ましいが、本発明においては、10%以上の変動係数を有するPES粒子が得られる。
粒子の長径と短径の比(長径/短径)(以下、「真球度」と称することもある)は、1.2以下のものが得られるより好ましくは真球度が1.15以下、さらに好ましくは、1.13以下のPES樹脂粒子が得られる。真球度の下限は理論的には1であるが、本発明では真球度が1.05以上のPES樹脂粒子が得られる。
なお、ここでいうPES樹脂微粒子の平均一次粒径は、走査型電子顕微鏡写真から無作為に選択した100個の粒子の最大長を測定し、その算術平均を求めることにより決定するものである。真球度は、走査型電子顕微鏡写真から無作為に選択した100個の粒子の長径と短径を測長し、長径を短径で除した値の算術平均から求めた値である。
また、本実施態様におけるPES樹脂粒子の粒度の均一性を示す変動係数(CV)は、平均一次粒径を算出する際に測長したデータから、下記の式(1)〜式(3)により求めた。
PES樹脂粒子は、中実であってもよいし中空であってもよいが、産業上の用途という観点からは、中実であることが好ましい。また、本実施態様のPES樹脂粒子が中実であることは、透過型電子顕微鏡の粒子断面観察にて確認することができる。
本実施態様におけるPES樹脂粒子の特徴は、サブミクロンサイズの平均一次粒径を持ち、粒径分布が狭く、真球度が高く、さらには界面活性剤の含まれる量が少ない点が挙げられる。
このようなPES樹脂粒子を使用することで、回路基板、電気絶縁性保護膜、集積回路用層間絶縁膜などに対して、緻密に塗工をすることができ、緻密に塗工された状態を利用することにより、均一かつ薄層を形成することができ、産業上有益なものになる。
[平均一次粒径の測定]
本実施態様におけるPES樹脂粒子の平均一次粒径は日本電子製走査型電子顕微鏡JEOL JMS−6700Fで得られた画像(30,000倍)から無作為に選択した100個の粒子を選び、その最大長さを粒径として粒径を測長し、その平均値を平均一次粒径とした。
[PES樹脂粒子の変動係数の算出]
本実施態様におけるPES樹脂粒子の変動係数(CV)は、日本電子製走査型電子顕微鏡JEOL JMS−6700Fで得られた画像(30,000倍)から任意の100個の粒径を測長して求めた粒子径の個々の値を用いて、前出の式(1)〜式(3)により求めた。
[PES樹脂粒子の真球度の算出]
本実施態様におけるPES樹脂粒子の真球度は、日本電子製走査型電子顕微鏡JEOL JMS−6700Fで得られた画像(30,000倍)から任意の100個の長径と短径を測長し、長径を短径で除した値の算術平均として求めた。
〔実施例1〕
PES樹脂(住友化学製3600P)3gをNMP(三菱化学(株)社製)297gに80℃で溶解させてPES樹脂溶液を作製した。前記溶液(80℃)移液管の先端口を受槽の水中(常温、300g)に入れ、350rpmで撹拌している受槽へ60g/分で移液した。500μmフィルターで粒子化液をろ過した後(フィルター捕捉物は、ほとんどなし)、ろ液に10質量%塩化ナトリウム水溶液を3g加えて凝集させ、メンブレンフィルターでろ過、水洗し、PES樹脂粒子の含水ケークを得た。そのケークを走査型電子顕微鏡(SEM)で観察したところ、平均1次粒径は85nm、変動係数20.6%、真球度1.08であった。結果を表1に示す。
〔実施例2〕
PES樹脂(住友化学製3600P)6g、NMP(三菱化学(株)社製)294g、10質量%塩化ナトリウム水溶液6gを使用した以外は、実施例1と同様に実施した。そのケークを走査型電子顕微鏡で観察したところ、平均1次粒径は86nm、変動係数21.3%、真球度1.09であった。結果を表1に示す。
〔実施例3〕
PES樹脂(住友化学製3600P)9g、NMP(三菱化学(株)社製)291g、10質量%塩化ナトリウム水溶液9gを使用した以外は、実施例1と同様に実施した。そのケークを走査型電子顕微鏡で観察したところ、平均1次粒径は87nm、変動係数22.1%、真球度1.07であった。結果を表1に示す。
〔実施例4〕
PES樹脂(住友化学製3600P)15g、NMP(三菱化学(株)社製)285g、10質量%塩化ナトリウム水溶液15gを使用した以外は、実施例1と同様に実施した。500μmフィルターでのろ過では、30wt%程度のPES樹脂融着物がフィルターに捕捉された。含水ケークを走査型電子顕微鏡で観察したところ、平均1次粒径は142nm、変動係数24.5%、真球度1.12であった。結果を表1に示す。
〔実施例5〕
PES樹脂(住友化学製3600P)15gをNMP(三菱化学(株)社製)285gに80℃で溶解させてPES樹脂溶液を作製した。気相を介して前記溶液(80℃)を350rpmで撹拌している受槽へ60g/分で移液した。500μmフィルターで粒子化液をろ過した後(60wt%程度のPES樹脂融着物がフィルターに捕捉)、ろ液に10質量%塩化ナトリウム水溶液を10g加えて凝集させ、メンブレンフィルターでろ過、水洗し、PES樹脂粒子の含水ケークを得た。含水ケークを走査型電子顕微鏡で観察したところ、平均1次粒径は137nm、変動係数23.4%、真球度1.11であった。結果を表1に示す。
〔実施例6〕
PES樹脂(住友化学製4800P)12gをNMP(三菱化学(株)社製)288gに80℃で溶解させ後、その溶液に水30gを加え、均一なPES樹脂溶液を作製した。前記溶液(80℃)移液管の先端口を受槽の水中(常温、330g)に入れ、350rpmで撹拌している受槽へ60g/分で移液した。500μmフィルターで粒子化液をろ過した後(フィルター捕捉物は、ほとんどなし)、ろ液に10質量%塩化ナトリウム水溶液を12g加え、メンブレンフィルターでろ過した後、水洗し、PES樹脂粒子の含水ケークを得た。そのケークを走査型電子顕微鏡で観察したところ、平均1次粒径は119nm、変動係数20.3%、真球度1.09であった。結果を表1に示す。また、粒子のSEM画像を図1に示す。
〔実施例7〕
PES樹脂(住友化学製3600P)15g、NMP(三菱化学(株)社製)285g、樹脂溶液に加える水30g、移液速度を250g/分、10質量%塩化ナトリウム水溶液15gを使用した以外は、実施例6と同様に実施した。500μmフィルターでのろ過で、フィルター上にPES樹脂融着物がほとんど捕捉されなかった。含水ケークを走査型電子顕微鏡で観察したところ、平均1次粒径は117nm、変動係数21.9%、真球度1.10であった。結果を表1に示す。また、粒子のSEM画像を図1に示す。
〔実施例8〕
PES樹脂(住友化学製3600P)18g、NMP(三菱化学(株)社製)282g、移液速度を200g/分、10質量%塩化ナトリウム水溶液18gを使用し、受槽の水の量を360gに変更した以外は、実施例6と同様に実施した。500μmフィルターでのろ過で、フィルター上にPES樹脂融着物がほとんど捕捉されなかった。含水ケークを走査型電子顕微鏡で観察したところ、平均1次粒径は123nm、変動係数22.4%、真球度1.11であった。結果を表1に示す。
〔実施例9〕
PES樹脂(住友化学製3600P)の溶解温度を40℃、移液速度を60g/分とした以外、実施例7と同様に実施した。含水ケークを走査型電子顕微鏡で観察したところ、平均1次粒径は123nm、変動係数22.1%、真球度1.11であった。結果を表1に示す。
〔実施例10〕
PES樹脂(住友化学製3600P)の溶解温度を60℃、移液速度を60g/分とした以外、実施例7と同様に実施した。含水ケークを走査型電子顕微鏡で観察したところ、平均1次粒径は119nm、変動係数20.8%、真球度1.12であった。結果を表1に示す。
〔実施例11〕
有機溶媒をNMPの代わりにDMAc、移液速度を60g/分とした以外は、実施例7と同様に実施した。平均1次粒径は134nm、変動係数20.7%、真球度1.09であった。結果を表1に示す。
〔実施例12〕
PES樹脂溶液に添加する水量を42g、受層中の水を342g、移液速度を60g/分とした以外は、実施例7と同様に実施した。
平均1次粒径は135nm、変動係数21.8%、真球度1.11であった。結果を表1に示す。
〔実施例13〕
PES樹脂溶液に添加する水量を15g、受層中の水を315g、移液速度を60g/分とした以外は、実施例7と同様に実施した。
平均1次粒径は131nm、変動係数20.5%、真球度1.09であった。結果を表1に示す。
〔実施例14〕
PES樹脂溶液に添加する水量を12g、受層中の水を312g、移液速度を60g/分とした以外は、実施例7と同様に実施した。
平均1次粒径は127nm、変動係数21.9%、真球度1.10であった。結果を表1に示す。
〔実施例15〕
PES樹脂(住友化学製3600P)12.5gをNMP(三菱化学(株)社製)237.5gに80℃で溶解させ、その溶液に水25gを加え、均一なPES樹脂溶液を作製した。前記溶液(80℃)移液管の先端口を受槽の水中(常温、275g)に入れ、350rpmで撹拌している受槽へ60g/分で移液し、粒子化液を作製した。
80℃のPES樹脂溶液825g(PES樹脂37.5g、NMP712.5g、水75g)の移液管先端口を前記受槽の粒子化液中に入れ、常温の水825gと同時に、350rpmで撹拌している受槽へ添加しつつ(PES樹脂溶液と水の滴下時間は、いずれも14分間)、粒子化液の液面を保つように粒子化槽底部から粒子化液550gを連続的に抜き出し、抜き出した粒子化液の順に粒子化液A、B,Cとした。添加終了後の受槽中の粒子化液を粒子化液Dとした。各々の粒子化液を500μmフィルターでろ過した後、大各々の粒子化液に10質量%塩化ナトリウム水溶液を12.5g加え、メンブレンフィルターでろ過した後、水洗し、PES樹脂粒子の含水ケークを得た。そのケークを走査型電子顕微鏡で観察したところ、粒子化液A、B、C、Dの粒子の平均1次粒径は、それぞれ127、128、126、123nm、変動係数は、23.3、22.8、21.6、23.0%、真球度は、1.10、1.11、1.09、1.10であった。結果を表2に示す。
〔比較例1〕
PES樹脂(住友化学製3600P)60gをNMP(三菱化学(株)社製)240gに80℃で溶解させてPES樹脂溶液を作製した。前記溶液(80℃)を移液する管の先端口を受槽の水中(常温、300g)に入れ、その樹脂溶液を受槽へ移液したところ、PES樹脂の融着物が生成した。結果を表1に示す。また、粒子のSEM画像を図2に示した。
〔比較例2〕
特開2000−80329号公報に従い、ポリエーテルスルホン樹脂粒子を製造した。
PES樹脂(住友化学製3600P)2gをNMP(三菱化学(株)社製)38gに溶解し、次いでエタノール10gを添加してPES樹脂溶液を作製した。その溶液を、10質量%オクチルフェノキシポリエトキシエタノール水溶液2.5gと水35gを入れた受槽に添加し、粒子化液を作製した。その粒子化液に10質量%塩化ナトリウム水溶液を2g加え、メンブレンフィルターでろ過した後、水洗し、PES樹脂粒子の含水ケークを得た。そのケークを走査型電子顕微鏡で観察したところ、平均1次粒径130nm、変動係数25.8、真球度は、1.28であった。結果を表3に示した。
本発明に係るポリエーテルスルホン樹脂粒子の製造方法によれば、粒径のバラツキがなく、真球度が高く、界面活性剤を実質的に含まない平均1次粒径300nm以下、特に200nm以下のPES樹脂粒子を簡便かつ安定的に製造することができ、広く産業上有用な材料が提供できる。

Claims (13)

  1. 有機溶媒にポリエーテルスルホン樹脂を溶解した溶液であって、有機溶媒とポリエーテルスルホン樹脂の合計量に対してポリエーテルスルホン樹脂が1〜15質量%含まれる溶液を、ポリエーテルスルホン樹脂を基準として20〜500質量倍の水系溶媒に添加することでポリエーテルスルホン樹脂粒子を析出させるポリエーテルスルホン樹脂粒子の製造方法。
  2. 有機溶媒にポリエーテルスルホン樹脂を溶解した溶液が、有機溶媒とポリエーテルスルホン樹脂の合計量100質量部に対し、水を1〜25質量部含む請求項1記載のポリエーテルスルホン樹脂粒子の製造方法。
  3. 有機溶媒にポリエーテルスルホン樹脂を溶解した溶液を水系溶媒に連続的に添加する請求項1または2に記載のポリエーテルスルホン樹脂粒子の製造方法。
  4. ポリエーテルスルホン樹脂粒子が析出した粒子化液を連続的に抜き出す請求項1〜3のいずれかに記載のポリエーテルスルホン樹脂粒子の製造方法。
  5. 前記有機溶媒が、N−メチル−2−ピロリジノン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、および1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンからなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項1〜4のいずれかに記載のポリエーテルスルホン樹脂粒子の製造方法。
  6. 前記有機溶媒が、N−メチル−2−ピロリジノン、またはジメチルアセトアミドである、請求項5に記載のポリエーテルスルホン樹脂粒子の製造方法。
  7. 有機溶媒にポリエーテルスルホン樹脂を溶解した溶液を水系溶媒へ添加する速度が1g/分〜500g/分である請求項1〜6のいずれかに記載のポリエーテルスルホン樹脂粒子の製造方法。
  8. 有機溶媒にポリエーテルスルホン樹脂を溶解した溶液を水系溶媒へ添加する際の添加口が水系溶媒中に存在する請求項1〜7のいずれかに記載のポリエーテルスルホン樹脂粒子の製造方法。
  9. 水系溶媒が実質的に界面活性剤を含まない水である請求項1〜8のいずれかに記載のポリエーテルスルホン樹脂粒子の製造方法。
  10. ポリエーテルスルホン樹脂粒子が析出した粒子化液を固液分離し、ポリエーテルスルホン樹脂粒子を回収する請求項1〜9のいずれかに記載のポリエーテルスルホン樹脂粒子の製造方法
  11. 固液分離する際に、ポリエーテルスルホン樹脂を基準として0.01〜10質量倍の無機塩、または有機酸塩を粒子化液に添加する請求項10記載のポリエーテルスルホン樹脂粒子の製造方法
  12. 平均一次粒径が30nm以上300nm未満であり、変動係数が30%以下、真球度が1.2以下であることを特徴とするポリエーテルスルホン樹脂粒子。
  13. 界面活性剤を実質的に含まない、請求項12に記載のポリエーテルスルホン樹脂粒子。
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