JP2015199875A - ポリフェニレンスルフィド微粒子、ポリフェニレンスルフィド微粒子分散液及びポリフェニレンスルフィド微粒子の製造方法 - Google Patents

ポリフェニレンスルフィド微粒子、ポリフェニレンスルフィド微粒子分散液及びポリフェニレンスルフィド微粒子の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】燃料電池用のフッ素系高分子電解質膜に添加剤として添加することにより、燃料電池の耐久性能を飛躍的に向上させることができるPPS微粒子を提供する。
【解決手段】体積平均粒径が1μm以上であり、かつ粒度分布における累積通過積分値が下記範囲を満足する、ポリフェニレンスルフィド微粒子。
0.3μm≦D10%≦3μm
1μm≦D50%≦10μm
2μm≦D90%≦15μm
(D10%:レーザー回折式粒度分布測定により得られる体積基準粒度分布による、累積10体積%径
D50%:レーザー回折式粒度分布測定により得られる体積基準粒度分布による、累積50体積%径(メジアン径)
D90%:レーザー回折式粒度分布測定により得られる体積基準粒度分布による、累積90体積%径)
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリフェニレンスルフィド微粒子、ポリフェニレンスルフィド微粒子分散液、及びポリフェニレンスルフィド微粒子の製造方法に関する。
ポリフェニレンスルフィド(以下、PPSと記載する場合がある。)樹脂は、優れた耐熱性、耐薬品性、耐溶剤性、及び電気絶縁性など、エンジアニリングプラスチックとしての好適な性質を有しており、射出成形、押出成形用途を中心として、各種電気・電子部品、機械部品及び自動車部品などに使用されている。
また、燃料電池の基幹材料であるフッ素系高分子電解質膜の耐久性を向上させる添加剤としても使用されているなど、PPSの活用分野は多岐にわたる。
これらの多様な用途におけるPPS樹脂の粒子の好ましい粒子径は様々であるが、後述するように、現在においては、これらの用途に応じてPPS樹脂の粒子を適切に制御するという要求に対し、未だ不十分である。
PPS微粒子を得る方法としては、下記に示す方法が提案されている。
特許文献1では、PPSの重合時に、反応系内の水分量と気相部分の温度を調整することにより、比較的粒径の制御されたPPS微粒子を得る方法が開示されている。この方法で得られるPPS微粒子は、平均粒径が数十μmから百数十μmのものである。
また、特許文献2では、平均粒径が0.1μmから100μmのPPS球状微粉末、およびその製造方法に関する技術が開示されている。具体的には、PPSを島相とし他の熱可塑性ポリマーを海相とした海島構造の樹脂組成物を形成した後に、前記海相を溶解洗浄して球状のPPS微粒子を得る技術であり、数μmから数十μmの微粒子が得られる。
さらに、特許文献3では、無機塩の存在下、PPSをNMP等の有機溶媒へ溶解させた後除冷し、得られたPPSをビーズミル等で機械的粉砕することによりPPS樹脂微粒子分散液を得る技術が開示されている。この方法によれば平均粒径1μm以下のPPS樹脂微粒子が得られ、安定な分散液が得られると記載されている。
さらにまた、特許文献4においては、界面活性剤を含む水中に分散させた樹脂を振動ボールミル等の粉砕機によって湿式粉砕し、樹脂粉末を得る技術が開示されている。
特開平6−298937号公報 特開平10−273594号公報 特開2009−173878号公報 特開2003−183406号公報
しかしながら、上述した従来技術で得られるPPS微粒子は、メジアン径が1μm未満か、10μmより大きいもののみである。
一方、PPS微粒子を、例えば燃料電池のフッ素系高分子電解質膜の添加剤として用いる場合には、メジアン径が1μm未満であると、膜製造時の熱処理で分解し、電池性能を悪化させる要因になり、また、メジアン径が10μmよりも大きいと、耐久性の向上効果が得られず、かつ薄膜化改良の進むフッ素系高分子電解質膜に対して不適当であるという問題を有している。
また、前記特許文献4中には、PPS樹脂の粉砕に関する具体的な開示はなされておらず、得られる樹脂粉末の平均粒径も5〜50μm程度であり、特許文献4に記載されている方法を用いても、樹脂を単に湿式粉砕するのみでは、平均粒径を適切に制御したPPS微粒子を得ることはできない。
上述したように、従来技術では、未だ用途に応じて適切に粒子径が制御された樹脂粒子が得られておらず、例えば燃料電池のフッ素系高分子電解質膜の添加剤として好適な粒径のPPS微粒子を得ることができない、という問題を有している。
そこで本発明においては、上述した従来技術の問題点に鑑み、例えば燃料電池のフッ素系高分子電解質膜の添加剤として好適な特定の粒度分布を有するPPS微粒子及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記従来技術の課題を解決するために鋭意検討を行った結果、所定の体積平均粒径を有し、かつ粒度分布における累積通過積分値が所定の条件を満たすPPS微粒子が、燃料電池のフッ素系高分子電解質膜の添加剤として高い効果を発揮し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は下記の通りである。
〔1〕
体積平均粒径が1μm以上であり、かつ粒度分布における累積通過積分値が下記範囲を満足する、ポリフェニレンスルフィド微粒子。
0.3μm≦D10%≦3μm
1μm≦D50%≦10μm
2μm≦D90%≦15μm
(D10%:レーザー回折式粒度分布測定により得られる体積基準粒度分布による、累積10体積%径
D50%:レーザー回折式粒度分布測定により得られる体積基準粒度分布による、累積50体積%径(メジアン径)
D90%:レーザー回折式粒度分布測定により得られる体積基準粒度分布による、累積90体積%径)
〔2〕
前記〔1〕に記載のポリフェニレンスルフィド微粒子と、分散媒とを含有する、ポリフェニレンスルフィド微粒子分散液。
〔3〕
前記〔1〕に記載のポリフェニレンスルフィド微粒子の製造方法であって、
ポリフェニレンスルフィド粗粒子に対して、それぞれ種類の異なる粉砕方法を実施する二段階以上の粉砕工程を有する、
ポリフェニレンスルフィド微粒子の製造方法。
〔4〕
前記二段階以上の粉砕工程のうち、最後の粉砕工程のひとつ前の粉砕工程によって得られたポリフェニレンスルフィド粒子の体積平均粒径が50μm以下であり、
最後の粉砕工程によって得られるポリフェニレンスルフィド微粒子の粒度分布における累積通過積分値が、
下記条件を満足する、前記〔3〕に記載のポリフェニレンスルフィド微粒子の製造方法。
0.3μm≦D10%≦3μm
1μm≦D50%≦10μm
2μm≦D90%≦15μm
(D10%:レーザー回折式粒度分布測定により得られる体積基準粒度分布による、累積10体積%径
D50%:レーザー回折式粒度分布測定により得られる体積基準粒度分布による、累積50体積%径(メジアン径)
D90%:レーザー回折式粒度分布測定により得られる体積基準粒度分布による、累積90体積%径)
〔5〕
前記二段階以上の粉砕工程のうち、少なくとも一つの粉砕工程に、ビーズミルを用い、
最後の粉砕工程に、湿式ジェットミルを用いる、前記〔3〕又は〔4〕に記載の、ポリフェニレンスルフィド微粒子の製造方法。
本発明によれば、燃料電池用のフッ素系高分子電解質膜に添加剤として添加することにより、燃料電池の耐久性能を飛躍的に向上させることができるPPS微粒子を得ることができる。
以下、本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施形態」という。)について詳細に説明する。
なお、以下の本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明を以下の内容に限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨の範囲内で適宜変形して実施することができる。
〔ポリフェニレンスルフィド微粒子〕
本実施形態のポリフェニレンスルフィド微粒子(以下、PPS微粒子と記載する場合がある。)は、
体積平均粒径が1μm以上であり、かつ粒度分布における累積通過積分値が下記範囲を満足する。
0.3μm≦D10%≦3μm
1μm≦D50%≦10μm
2μm≦D90%≦15μm
(D10%:レーザー回折式粒度分布測定により得られる体積基準粒度分布による、累積10体積%径
D50%:レーザー回折式粒度分布測定により得られる体積基準粒度分布による、累積50体積%径(メジアン径)
D90%:レーザー回折式粒度分布測定により得られる体積基準粒度分布による、累積90体積%径)
本実施形態のPPS微粒子の体積平均粒径は、1μm以上15μm以下が好ましく、1μm以上13μm以下がより好ましく、1μm以上10μm以下がさらに好ましい。
PPS微粒子の体積平均粒径は、後述する実施例に記載する方法により測定することができる。
本実施形態のPPS微粒子の体積平均粒径が1μm以上であることにより、燃料電池用フッ素高分子電解質膜の添加剤として使用した場合に、膜製造時の熱処理でPPS微粒子の分解を効果的に防止でき、安定的に膜中に存在させることができる。
また、PPS微粒子の体積平均粒径が10μm以下であることにより、フッ素系高分子電解質膜の製膜前の溶液に含まれる塵などの不純物と区別できる効果がある。
さらに、粒度分布における累積通過積分値が上記の範囲にあることにより、燃料電池運転時の抵抗体とならずに添加剤としての性能を十分に発揮することができる。
(PPS樹脂)
本実施形態のPPS微粒子はPPS樹脂により構成されている。
PPS樹脂とは、下記一般式(1)に示す繰り返し単位を主要構成単位とするホモポリマー又はコポリマーである。
ここで「主要」とは、ポリマーを構成する繰り返し単位が全構成単位の内もっとも大きなモル比率を占めることをいう。
Figure 2015199875
前記一般式(1)中のArとしては、下記一般式(2)〜(4)が挙げられる。
なお、下記一般式(2)〜(4)中、R、Rは、各々独立に、水素、アルキル基、アルコキシ基、及びハロゲン基からなる群より選ばれる基である。
Figure 2015199875
前記PPS樹脂は、前記一般式(1)の繰り返しを主要構成単位とする限り、下記化学式(5)〜(7)で表される分岐結合又は架橋結合や、下記化学式(8)〜(16)(R、Rは、各々独立に、水素、アルキル基、アルコキシ基、及びハロゲン基からなる群より選ばれる基である。)で表される共重合成分を好ましくは30モル%以下、より好ましくは10モル%以下の割合で含んでいてもよい。
Figure 2015199875
Figure 2015199875
PPS樹脂は、主構成単位として、下記式(17)で示されるp−フェニレンスルフィドを70モル%以上含有することが好ましく、90モル%以上含有することがより好ましい。
Figure 2015199875
上述したPPS樹脂は、ジハロゲン芳香族化合物とアルカリ金属硫化物とを用い、N−アルキルアミド溶媒中で、公知の方法によって合成することができる。
例えば、特公昭45−3368号公報に記載されている製造方法により得られる比較的分子量の小さいPPS樹脂を酸素雰囲気下において加熱又は過酸化物等の架橋剤を添加して加熱することにより高重合度化したPPS樹脂を得る方法や、特公昭52−12240号公報に記載されている本質的に線状で高分子量のPPS樹脂の製造方法が適用できる。
前記溶媒のN−アルキルアミドとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、N−メチル−2−ピロリジノン、N−エチル−2−ピロリジノン等のN−アルキルピロリジノン類;N−メチル−ε−カプロラクタム、N−エチル−ε−カプロラクタム等のN−アルキルカプロラクタム類;1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N、N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ヘキサメチルリン酸トリアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルスルホン、テトラメチレンスルホン等の極性溶媒が挙げられる。これらの中でも特に、N−メチル−2−ピロリジノンが好ましい。
本実施形態のPPS微粒子の原料であるPPS樹脂の分子量は、特に限定されないが、メルトフローレート(MFR)が、316℃、5kg荷重条件下で30〜7000g/10minであることが好ましい。より好ましくは45〜5000g/10minである。
本実施形態のPPS微粒子の原料であるPPS樹脂は、PPS微粒子の用途によって、架橋型、リニア型のいずれかを選択できる。
本実施形態のPPS微粒子を燃料電池用フッ素系高分子電解質膜の添加剤として用いる場合には、PPS樹脂は、架橋型であることが好ましい。
本実施形態のPPS微粒子は、後述する方法により製造されるが、本実施形態のPPS微粒子の原料であるPPS樹脂の粒径は、特に限定されないが、粉砕効率の観点から好ましくはメジアン径500μm以下であり、さらに好ましくは200μm以下である。
〔PPS微粒子の製造方法〕
本実施形態のPPS微粒子は、下記のように、複数の粉砕方法を用いて多段階の粉砕工程を実施することにより製造される。
すなわち、本実施形態のPPS微粒子の製造方法は、
ポリフェニレンスルフィド粗粒子に対して、それぞれ種類の異なる粉砕方法を実施する、二段階以上の粉砕工程を有する。
なお、本明細書中、粉砕工程を実施する前の状態を、「ポリフェニレンスルフィド(PPS)粗粒子」とし、前記PPS粗粒子に対して粉砕工程を実施し、かつ最後の粉砕工程を経る前の状態を、「ポリフェニレンスルフィド(PPS)粒子」とし、最後の粉砕工程を経た状態を、「ポリフェニレンスルフィド(PPS)微粒子」とする。
前記粉砕工程において用いる粉砕方法としては、公知の粉砕方法を用いることができる。
以下に限定されるものではないが、例えば、乾式ジェットミル、湿式ジェットミル、ハンマーミル、振動ミル、ローラーミル、転動ミル、ピンディスクミル、ビーズミル、衝撃せん断ミル、高圧流体衝突ミル、乾式ボールミル、湿式ボールミルなどが挙げられる。
PPS粒子の凝集を防ぐ観点から、粉砕方法は湿式であることが好ましい。
なお、粉砕方法としては、乾式方法のみを採用してもよく、湿式方法と乾式方法を混合した方法を採用してもよく、湿式方法のみを採用してもよい。
粉砕工程の一部又は全部に湿式方法を採用する場合には、所定の分散媒中にポリフェニレンスルフィド樹脂を分散させ、ポリフェニレンスルフィド粗粒子分散液もしくはポリフェニレンスルフィド粒子分散液を調製し、当該分散液に対して粉砕を行うことが好ましく、当該湿式方法を二段階以上の粉砕工程で実施する場合には、それぞれ種類の異なる粉砕方法によって粉砕を行うことが好ましい。
また、前記二段階以上の粉砕工程における、最後の粉砕工程よりも以前の段階のPPS粒子は、平板状であることが好ましい。最後の粉砕工程よりも以前の段階でのPPS粒子が平板状であると、最後の粉砕工程でジェットミルなどの衝撃式粉砕法を採用した場合、PPS粒子を効果的に破砕することができ、より微細化することができる。
PPS粒子を平板状に粉砕する粉砕方法としては、以下に限定されるものではないがビーズミル、ハンマーミル、ローラーミル、及びボールミルが好ましく用いられる。特にビーズミルが好ましい。
二段階以上の粉砕工程のうちの一つの段階において、ビーズミルを使用する場合、用いるビーズは、粉砕効率の観点から、粉砕対象となるPPS粒子のメジアン径の十倍程度の径を有するものが好ましい。
例えば、粉砕対象のPPS粒子のメジアン径が100μmである場合、φ1mmのビーズを用いることが好ましい。粉砕工程の途中でより径の小さいビーズに変更して粉砕工程を実施すると、より効果的に微細化できる。
前記「平板状」とは、PPS粒子のアスペクト比(最大長径/(最大長径に直交する幅=厚み))が1より大きい形状を意味する。
本実施形態のPPS微粒子の製造方法においては、最後の粉砕工程よりも以前の段階のPPS粒子は、アスペクト比が好ましくは3以上であり、より好ましくは5以上であり、さらに好ましくは10以上である。
アスペクト比は走査電子顕微鏡(SEM)の画像を画像処理手段によって解析し、算出することができる。
本実施形態のPPS微粒子の製造方法においては、最後の粉砕工程よりも以前の段階におけるPPS粒子は、最大粒径が200μm〜20μmであることが好ましい。PPS粒子の最大粒径が前記範囲であることにより、最後の粉砕工程において効果的に微細化されたPPS微粒子が得られる。より好ましくは170μm〜20μmであり、さらに好ましくは150μm〜20μmである。
また、本実施形態のPPS微粒子の製造方法においては、最後の粉砕工程のひとつ前の粉砕工程によって得られたPPS粒子の体積平均粒径が50μm以下であることが好ましい。これにより、最後の粉砕工程において微細化されたPPS微粒子が短時間で得られる。より好ましくは25μm以下であり、10μm以下である。
そして、最後の粉砕工程によって得られるPPS微粒子の粒度分布における累積通過積分値が、下記の数値範囲を満たすものとする。
0.3μm≦D10%≦3μm
1μm≦D50%≦10μm
2μm≦D90%≦15μm
(D10%:レーザー回折式粒度分布測定により得られる体積基準粒度分布による、累積10体積%径
D50%:レーザー回折式粒度分布測定により得られる体積基準粒度分布による、累積50体積%径(メジアン径)
D90%:レーザー回折式粒度分布測定により得られる体積基準粒度分布による、累積90体積%径)
PPS微粒子の粒度分布における累積通過積分値は、後述する実施例に記載する方法により測定することができる。
本実施形態のPPS微粒子の製造方法における、最後の粉砕工程における粉砕方法としては、衝撃式粉砕法を適用することが好ましい。前記平板状のPPS粒子を衝撃式粉砕法で粉砕することにより、より微細化することができる。よって、最後の粉砕工程における粉砕方法としてはジェットミルを用いた方法が好ましく、特に湿式ジェットミルを用いた方法が好ましい。
PPS粒子を湿式粉砕法によって微細化する場合、分散媒が必要である。
分散媒は、最終的に得られるPPS微粒子分散液の用途によって選択され、特に限定されないが、分散性の観点からは、エタノールなどのアルコールが好ましい。
また、PPS粒子やPPS微粒子の沈降速度の観点からは、エチレングリコールが好ましい。
分散性を向上させるために、分散媒に所定の分散剤を添加してもよい。
また、PPS樹脂は撥水性を有しているため、分散媒に水や親水基を多く持つ溶媒を使用する際には分散剤を添加することが好ましい。
前記分散剤も分散媒同様、最終的に得られるPPS微粒子の分散液の用途によって選択され、特に限定されない。
例えば、本実施形態のPPS微粒子の分散液を、燃料電池用フッ素系高分子電解質膜の添加剤として用いる場合には、前記分散剤は、ノニオン系界面活性剤が好ましい。
粉砕工程を実施するPPS粗粒子分散液や、PPS粒子分散液の固形分は、それぞれの粉砕工程における粉砕機器の運転に支障がない範囲で自由に選択できる。
一般的に、分散液の固形分と粘度とは比例の関係にあるが、例えば、ビーズミルにおいて、高粘度の原料を用いるとローターの負荷が大きくなるために十分な周速を確保することが困難になり、目標とする粉砕エネルギーを原料に与えることができない。
また、湿式ジェットミルでは粒径との兼ね合いではあるが、分散液の固形分が高いほどオリフィスへの詰りやトラブルが発生しやすくなる等の傾向がある。
一方、分散液の粘度は分散媒と分散剤の選択により制御することもできる。また、例えば、PPS粗粒子やPPS粒子のビーズミル粉砕を実施する際には、固形分が5%の分散液よりも固形分20%の分散液の方が高い粉砕効率を示す場合もある。
よって、粉砕効率は、分散液の固形分、分散媒、及び分散剤を適宜選択することにより、制御することができる。
本実施形態のPPS微粒子を上述したように湿式粉砕法によって製造する場合には、PPS微粒子は所定の溶媒に分散した形態の、PPS微粒子分散液として得られる。
当該PPS微粒子分散液においては、分散液中のPPS微粒子の体積平均粒子径が1μm以上であり、かつ粒度分布における累積通過積分値が下記の範囲を満足する。
0.3μm≦D10%≦3μm
1μm≦D50%≦10μm
2μm≦D90%≦15μm
(D10%:レーザー回折式粒度分布測定により得られる体積基準粒度分布による、累積10体積%径
D50%:レーザー回折式粒度分布測定により得られる体積基準粒度分布による、累積50体積%径(メジアン径)
D90%:レーザー回折式粒度分布測定により得られる体積基準粒度分布による、累積90体積%径)
なお、分散液中のPPS微粒子の体積平均粒子径及び累積通過積分値は、後述する実施例に記載する方法により測定することができる。
PPS微粒子分散液は、PPS微粒子同様に、例えば、接着剤、塗料、印刷インク中の分散剤、磁気記録媒体、プラスチックの改質剤、層間絶縁膜用材料、燃料電池用フッ素高分子電解質膜の添加剤等として利用することができる。
〔用途〕
本実施形態のPPS微粒子は、燃料電池用途の高分子電解質膜の添加剤のみならず、その特性から、塗料、接着、ポリマーコンパウンド分野における有用な添加剤となる。
以下、具体的な実施例及び比較例を挙げて本発明について詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
〔体積平均粒径・累積通過分析値の測定〕
PPS微粒子の体積平均粒径は、(株)堀場製作所製レーザー回折・散乱式粒度測定機 LA−950を用い、分散媒としてポリオキシエチレンクミルフェニルエーテル(“ノナール912A”、東邦化学工業株式会社製)0.5質量%水溶液を用いて測定した。
マイクロトラック法によるレーザーの散乱光を解析して得られる体積平均粒径を、PPS微粒子の体積平均粒径とした。
また同様に、マイクロトラック法によるレーザーの散乱光を解析して得られる累積通過積分値を、PPS微粒子の累積通過積分値とした。
〔耐久性試験:発電・OCVサイクル試験〕
高温低加湿条件下における高分子電解質膜の耐久性を加速的に評価するため、以下のような手順で発電、OCVサイクルによる加速試験を実施した。
なお、「OCV」とは、開回路電圧(Open Circuit Voltage)を意味する。
(高分子電解質組成物の調製)
高分子電解質の前駆体である、テトラフルオロエチレン、及びCF=CFO(CF−SOFから得られたパーフルオロスルホン酸樹脂前駆体(加水分解・酸処理後のEW:740)ペレットを、水酸化カリウム(15質量%)とメチルアルコール(50質量%)を溶解した水溶液中に、80℃で20時間接触させて、加水分解処理を行った。
その後、60℃水中に5時間浸漬した。次に60℃の2N塩酸水溶液に1時間浸漬させる処理を、毎回新しい塩酸水溶液を用いて5回繰り返した後、イオン交換水で水洗、乾燥した。これにより、スルホン酸基(SOH)を有する高分子電解質のペレットを得た。
このペレットをエタノール水溶液(水:エタノール=66.7:33.3(質量比))と共に5Lオートクレーブ中に入れて密閉し、翼で攪拌しながら160℃まで昇温して5時間保持した。その後、オートクレーブを自然冷却して、5質量%の均一なパーフルオロスルホン酸樹脂溶液を製造した。このパーフルオロスルホン酸樹脂(溶液中の固形分)を化合物(a)とする。
次に、前記パーフルオロスルホン酸樹脂溶液100gに、化合物(b)として後述する実施例及び比較例で製造したPPS微粒子を0.15g添加し、a/b=97/3(質量比)となるように調整しPPS微粒子を含む高分子電解質溶液を得た。
(高分子電解質膜の製造)
上記のようにして得られた高分子電解質溶液をスターラーを用いて充分に攪拌した後、80℃にて減圧濃縮して、キャスト溶液を得た。
キャスト液21gを直径15.4cmのシャーレに流し込み、ホットプレート上にて60℃で1時間及び80℃で1時間の乾燥を行い、溶媒を除去した。
次に、シャーレをオーブンに入れ160℃で1時間熱処理を行った。
その後、オーブンから取り出し、冷却したシャーレにイオン交換水を注いで膜を剥離させ、膜厚約30μmの高分子電解質膜を得た。
次に、60℃の2N塩酸水溶液に3時間浸漬した後、イオン交換水で水洗、乾燥して高分子電解質膜を得た。
(電極触媒インクの調製)
20質量%のパーフルオロスルホン酸ポリマー溶液(SS700C/20、旭化成製、当量質量(EW):740)、電極触媒(TEC10E40E、田中貴金属販売社製、白金担持量36.7質量%)を、白金/パーフルオロスルホン酸ポリマーが1/1.15(質量)となるように配合し、次いで、固形分(電極触媒とパーフルオロスルホン酸ポリマーの和)が11質量%となるようにエタノールを加え、ホモジナイザー(アズワン社製)により回転数が3,000rpmで10分間、撹拌することで電極触媒インクを得た。
(MEAの作製)
自動スクリーン印刷機(製品名:LS−150、ニューロング精密工業株式会社製)を用い、上記のようにして製造した高分子電解質膜の両面に、前記電極触媒インクを、白金量がアノード側0.2mg/cm、カソード側0.3mg/cmとなるように塗布し、140℃、5分の条件で乾燥・固化させることで膜・電極接合体(MEA)を得た。
(燃料電池単セルの作製)
前記MEAの両極にガス拡散層(製品名:GDL35BC、MFCテクノロジー社製)を重ね、次いでガスケット、バイポーラプレート、バッキングプレートを重ねることで燃料電池単セルを得た。
(発電・OCVサイクル試験)
前記燃料電池単セルを評価装置(東陽テクニカ製燃料電池評価システム890CL)にセットして、発電3時間、OCV3時間のサイクルによる耐久性試験を実施した。
発電の試験条件は、セル温度90℃、加湿ボトル61℃(相対湿度30%RH)とし、アノード側に水素ガス、カソード側に空気ガスを、それぞれ0.3A/cmでのガス利用率が75%、55%となるよう供給する条件とした。
また、アノード側とカソード側の両方を無加圧(大気圧)とした。
OCVの試験条件は、セル温度、加湿ボトル温度、供給ガス、圧力は発電の試験条件と同様とした。
(劣化判定)
試験時間0時間(L0)から100時間毎に水素のリーク電流を測定した。
試験開始から500時間後(L500)の水素のリーク電流とL0の差(L500−L0)を算出することで劣化判定を行った。
L500−L0が小さい程良好な耐久性を有すると判断した。
なお、水素リーク電流が10mA/cm以上となった場合、試験時間が500時間に満たなくとも破膜と判断し試験を中止した。
水素のリーク電流は、セル温度、加湿ボトルの温度は発電の試験条件と同様にして、無加圧の条件でアノードに水素ガス、カソードに窒素ガスをそれぞれ200cc/min導入することで実施した。測定にはポテンショガルバノスタット(製品名:ソーラートロン1280B、東陽テクニカ社製)を用い、0.4Vを5分間保持し、5分後の電流値を電極面積で割ることで算出した。
後述するように、〔実施例1〜6〕及び〔比較例1〜4〕において、PPS微粒子を製造した。
〔実施例1〕
イオン交換水1890gに、分散剤(ポリオキシエチレンラウリルエーテル、“ペグノールL−12P”、東邦化学工業株式会社製)10gを加えた後、PPS(シェブロンフィリップス化学株式会社製、グレード名P−4)100gを投入、分散させ、PPS粗粒子分散液を調製した。
このPPS粗粒子の体積平均粒径は34.1μmであった。
また、粒度分布における累積通過積分値は、D10%=16.8μm、D50%=30.6μm、D90%=55.6μmであった。
前記PPS粗粒子分散液を、ビーズミル(寿工業株式会社製、ウルトラアペックスミルUAM−05、使用ビーズ:1mmジルコニアビーズ、周速:10m/sec)で3時間粉砕し、PPS粒子分散液を得た。
得られたPPS粒子分散液中のPPS粒子の体積平均粒径は16.9μmであった。
また、粒度分布における累積通過積分値は、D10%=6.3μm、D50%=10.7μm、D90%=18.4μmであった。
さらに、前記PPS粒子分散液を、湿式ジェットミル(株式会社常光製、ナノジェットパルJ−100、使用オリフィス:φ150μmオリフィス、吐出圧:250MPa)を用いて20Pass粉砕し、PPS微粒子分散液を得た。
得られたPPS微粒子分散液中のPPS微粒子の体積平均粒径は3.0μmであった。
また、粒度分布における累積通過積分値は、D10%=0.6μm、D50%=2.2μm、D90%=5.7μmであった。
〔実施例2〕
イオン交換水1890gに、分散剤(ポリオキシエチレンラウリルエーテル、“ペグノールL−12P”、東邦化学工業株式会社製)10gを加えた後、PPS(DIC株式会社製、グレード名LR−1G)100gを投入、分散させ、PPS粗粒子分散液を調製した。
このPPS粗粒子の体積平均粒径は35.2μmであった。
また、PPS粗粒子の粒度分布における累積通過積分値は、D10%=16.2μm、D50%=31.0μm、D90%=54.9μmであった。
前記PPS粗粒子分散液を、ビーズミル(寿工業株式会社製、ウルトラアペックスミルUAM−05、使用ビーズ:1mmジルコニアビーズ、周速:10m/sec)で3時間粉砕し、PPS分散液を得た。
得られたPPS分散液中のPPS粒子の体積平均粒径は17.5μmであった。
また、PPS粒子の粒度分布における累積通過積分値は、D10%=6.6μm、D50%=11.5μm、D90%=18.8μmであった。
さらに、前記PPS分散液を、湿式ジェットミル(株式会社常光製、ナノジェットパルJ−100、使用オリフィス:φ150μmオリフィス、吐出圧:250MPa)で20Pass粉砕し、PPS微粒子分散液を得た。
得られたPPS微粒子分散液中のPPS微粒子の体積平均粒径は3.6μmであった。
また、PPS微粒子の粒度分布における累積通過積分値は、D10%=0.8μm、D50%=3.0μm、D90%=6.2μmであった。
〔実施例3〕
イオン交換水1670gに、分散剤(ポリオキシエチレンラウリルエーテル、“ペグノールL−12P”、東邦化学工業株式会社製)30gを加えた後、PPS(シェブロンフィリップス化学株式会社製、グレード名P−4)300gを投入、分散させ、PPS粗粒子分散液を調製した。
このPPS粗粒子の体積平均粒径は55.2μmであった。
また、前記PPS粗粒子の粒度分布における累積通過積分値は、D10%=17.6μm、D50%=40.0μm、D90%=113.1μmであった。
前記PPS粗粒子分散液を、ビーズミル(寿工業株式会社製、ウルトラアペックスミルUAM−05、使用ビーズ:1mmジルコニアビーズ、周速:10m/sec)で3時間粉砕しPPS分散液を得た。
得られたPPS分散液中のPPS粒子の平均粒径は8.3μmであった。
また、PPS粒子の粒度分布における累積通過積分値は、D10%=4.8μm、D50%=7.9μm、D90%=12.5μmであった。
さらに、前記PPS分散液を湿式ジェットミル(株式会社常光製、ナノジェットパルJ−100、使用オリフィス:φ150μmオリフィス、吐出圧:250MPa)で20Pass粉砕し、PPS微粒子分散液を得た。
前記PPS微粒子分散液中のPPS微粒子の平均粒径は2.8μmであった。
また、PPS微粒子の粒度分布における累積通過積分値は、D10%=0.5μm、D50%=2.2μm、D90%=5.6μmであった。
〔実施例4〕
イオン交換水1670gに、分散剤(ポリオキシエチレンラウリルエーテル、“ペグノールL−12P”、東邦化学工業株式会社製)30gを加えた後、PPS(DIC式会社製、グレード名LR−1G)300gを投入、分散させ、PPS粗粒子分散液を調製した。
前記PPS粗粒子の平均粒径は50.3μmであった。
また、PPS粗粒子の粒度分布における累積通過積分値は、D10%=17.2μm、D50%=38.0μm、D90%=110.2μmであった。
前記PPS粗粒子分散液をビーズミル(寿工業株式会社製、ウルトラアペックスミルUAM−05、使用ビーズ:1mmジルコニアビーズ、周速:10m/sec)で3時間粉砕し、PPS分散液を得た。
得られたPPS分散液中のPPS粒子の体積平均粒径は7.9μmであった。
また、PPS粒子の粒度分布における累積通過積分値は、D10%=4.3μm、D50%=7.2μm、D90%=11.9μmであった。
さらに、前記PPS分散液を、湿式ジェットミル(株式会社常光製、ナノジェットパルJ−100、使用オリフィス:φ150μmオリフィス、吐出圧:250MPa)で20Pass粉砕し、PPS微粒子分散液を得た。
前記PPS微粒子分散液中のPPS微粒子の体積平均粒径は2.5μmであった。
また、PPS微粒子の粒度分布における累積通過積分値は、D10%=0.6μm、D50%=2.3μm、D90%=5.7μmであった。
〔実施例5〕
エチレングリコール(和光純薬社製、表1中、EGと表記する。)1900gに、PPS(シェブロンフィリップス化学株式会社製、グレード名P−4)100gを投入、分散させ、PPS粗粒子分散液を調製した。
前記PPS粗粒子の平均粒径は38.1μmであった。
また、PPS粗粒子の粒度分布における累積通過積分値は、D10%=17.0μm、D50%=32.3μm、D90%=66.0μmであった。
前記PPS粗粒子分散液を、ビーズミル(寿工業株式会社製、ウルトラアペックスミルUAM−05、使用ビーズ:1mmジルコニアビーズ、周速:10m/sec)で3時間粉砕し、PPS分散液を得た。
前記PPS分散液中のPPS粒子の平均粒径は22.5μmであった。
また、前記PPS粒子の粒度分布における累積通過積分値は、D10%=9.4μm、D50%=17.7μm、D90%=41.8μmであった。
さらに、前記PPS分散液を、湿式ジェットミル(株式会社常光製、ナノジェットパルJ−100、使用オリフィス:φ150μmオリフィス、吐出圧:250MPa)で20Pass粉砕し、PPS微粒子分散液を得た。
得られたPPS微粒子分散液中のPPS微粒子の体積平均粒径は3.5μmであり、PPS微粒子の粒度分布における累積通過積分値は、D10%=1.9μm、D50%=3.2μm、D90%=4.6μmであった。
〔実施例6〕
エチレングリコール(和光純薬社製)1900gに、PPS(DIC株式会社製、グレード名LR−1G)100gを投入、分散させ、PPS粗粒子分散液を調製した。
このPPS粗粒子の体積平均粒径は42.1μmであった。
また、PPS粗粒子の粒度分布における累積通過積分値は、D10%=19.2μm、D50%=35.4μm、D90%=67.8μmであった。
前記PPS粗粒子分散液を、ビーズミル(寿工業株式会社製、ウルトラアペックスミルUAM−05、使用ビーズ:1mmジルコニアビーズ、周速:10m/sec)で3時間粉砕し、PPS分散液を得た。
前記PPS分散液中のPPS粒子の体積平均粒径は21.2μmであった。
また、PPS粒子の粒度分布における累積通過積分値は、D10%=8.5μm、D50%=16.6μm、D90%=40.2μmであった。
さらに、前記PPS分散液を、湿式ジェットミル(株式会社常光製、ナノジェットパルJ−100、使用オリフィス:φ150μmオリフィス、吐出圧:250MPa)で20Pass粉砕し、PPS微粒子分散液を得た。
前記PPS微粒子分散液中のPPS微粒子の体積平均粒径は3.2μmであった。
また、PPS微粒子の粒度分布における累積通過積分値は、D10%=1.7μm、D50%=3.5μm、D90%=4.3μmであった。
〔実施例7〕
エタノール(和光純薬社製)1620gに、PPS(シェブロンフィリップス化学株式会社製、グレード名P−4)380gを投入、分散させ、PPS粗粒子分散液を調製した。
前記PPS粗粒子の平均粒径は40.3μmであった。
また、PPS粗粒子の粒度分布における累積通過積分値は、D10%=18.2μm、D50%=39.2μm、D90%=112.6μmであった。
前記PPS粗粒子分散液を、ビーズミル(寿工業株式会社製、ウルトラアペックスミルUAM−05、使用ビーズ:1mmジルコニアビーズ、周速:10m/sec)で3時間粉砕し、PPS分散液を得た。
前記PPS分散液中のPPS粒子の平均粒径は24.5μmであった。
また、前記PPS粒子の粒度分布における累積通過積分値は、D10%=8.3μm、D50%=24.5μm、D90%=56.7μmであった。
さらに、前記PPS分散液を、湿式ジェットミル(株式会社常光製、ナノジェットパルJ−100、使用オリフィス:φ150μmオリフィス、吐出圧:250MPa)で20Pass粉砕し、PPS微粒子分散液を得た。
得られたPPS微粒子分散液中のPPS微粒子の体積平均粒径は3.3μmであり、PPS微粒子の粒度分布における累積通過積分値は、D10%=1.9μm、D50%=3.0μm、D90%=4.5μmであった。
〔実施例8〕
エタノール(和光純薬社製)1620gに、PPS(DIC株式会社製、グレード名LR−1G)380gを投入、分散させ、PPS粗粒子分散液を調製した。
このPPS粗粒子の体積平均粒径は42.8μmであった。
また、PPS粗粒子の粒度分布における累積通過積分値は、D10%=17.0μm、D50%=45.2μm、D90%=94.9μmであった。
前記PPS粗粒子分散液を、ビーズミル(寿工業株式会社製、ウルトラアペックスミルUAM−05、使用ビーズ:1mmジルコニアビーズ、周速:10m/sec)で3時間粉砕し、PPS分散液を得た。
前記PPS分散液中のPPS粒子の体積平均粒径は26.2μmであった。
また、PPS粒子の粒度分布における累積通過積分値は、D10%=8.9μm、D50%=26.9μm、D90%=55.7μmであった。
さらに、前記PPS分散液を、湿式ジェットミル(株式会社常光製、ナノジェットパルJ−100、使用オリフィス:φ150μmオリフィス、吐出圧:250MPa)で20Pass粉砕し、PPS微粒子分散液を得た。
前記PPS微粒子分散液中のPPS微粒子の体積平均粒径は3.4μmであった。
また、PPS微粒子の粒度分布における累積通過積分値は、D10%=1.6μm、D50%=3.3μm、D90%=4.3μmであった。
〔比較例1〕
エチレングリコール(和光純薬社製)180gに、PPS(シェブロンフィリップス化学株式会社製、グレード名P−4)20gを投入、分散させ、PPS粗粒子分散液を調製した。
前記PPS粗粒子分散液中のPPS粗粒子の体積平均粒径は41.9μmであった。
前記PPS粗粒子分散液を、湿式ジェットミル(株式会社常光製、ナノジェットパルJ−100、使用オリフィス:φ150μmオリフィス、吐出圧:250MPa)で20Pass粉砕し、PPS微粒子分散液を得た。
得られたPPS微粒子分散液中のPPS微粒子の体積平均粒径は7.8μmであった。
また、PPS粒子の粒度分布における累積通過積分値は、D10%=2.0μm、D50%=9.7μm、D90%=21.6μmであった。
なお、装置運転中にPPS粗粒子がオリフィスに詰り、トラブルが頻発した。
〔比較例2〕
エチレングリコール(和光純薬社製)180gに、PPS(DIC株式会社製、グレード名LR−1G)20gを投入、分散させ、PPS粗粒子分散液を調製した。
前記PPS粗粒子の体積平均粒径は39.0μmであった。
前記PPS粗粒子分散液を、湿式ジェットミル(株式会社常光製、ナノジェットパルJ−100、使用オリフィス:φ150μmオリフィス、吐出圧:250MPa)で20Pass粉砕し、PPS微粒子分散液を得た。
前記PPS微粒子分散液中のPPS微粒子の体積平均粒径は8.0μmであった。
また、PPS微粒子の粒度分布における累積通過積分値は、D10%=2.4μm、D50%=9.4μm、D90%=22.0μmであった。
〔比較例3〕
イオン交換水156gに、分散剤(ポリオキシエチレンラウリルエーテル、“ペグノールL−12P”、東邦化学工業株式会社製)4gを加えた後、PPS(シェブロンフィリップス化学株式会社製、グレード名P−4)40gを投入、分散させ、PPS粗粒子分散液を調製した。
前記PPS粗粒子の体積平均粒径は55.2μmであった。
前記PPS粗粒子分散液を、湿式ジェットミル(株式会社常光製、ナノジェットパルJ−100、使用オリフィス:φ200μmオリフィス、吐出圧:200MPa)で20Pass粉砕し、PPS微粒子分散液を得た。
得られたPPS微粒子分散液の体積平均粒径は8.0μmであった。
PPS微粒子の粒度分布における累積通過積分値は、D10%=1.9μm、D50%=9.9μm、D90%=23.7μmであった。
なお、装置運転中にPPS粗粒子が、管内やオリフィスに詰り、トラブルが頻発した。
〔比較例4〕
イオン交換水156gに、分散剤(ポリオキシエチレンラウリルエーテル、“ペグノールL−12P”、東邦化学工業株式会社製)4gを加えた後、PPS(DIC株式会社製、グレード名LR−1G)40gを投入、分散させ、PPS粗粒子分散液を調製した。
このPPS粗粒子の体積平均粒径は40.2μmであった。
前記PPS粗粒子分散液を、湿式ジェットミル(株式会社常光製、ナノジェットパルJ−100、使用オリフィス:φ200μmオリフィス、吐出圧:200MPa)で20Pass粉砕し、PPS微粒子分散液を得た。
前記PPS微粒子分散液の体積平均粒径は7.8μmであった。
また、PPS微粒子の粒度分布における累積通過積分値は、D10%=1.7μm、D50%=10.2μm、D90%=23.4μmであった。
Figure 2015199875
表1に示すように、上記実施例1〜8のPPS微粒子を添加した高分子電解質膜を用いた場合、上述した耐久性試験において実用上良好な結果が得られた。
本発明のPPS微粒子は、接着剤、塗料、印刷インク中の分散剤、磁気記録媒体、プラスチックの改質剤、層間絶縁膜用材料、燃料電池用フッ素高分子電解質膜の添加剤等として、産業上の利用可能性を有している。

Claims (5)

  1. 体積平均粒径が1μm以上であり、かつ粒度分布における累積通過積分値が下記範囲を満足する、ポリフェニレンスルフィド微粒子。
    0.3μm≦D10%≦3μm
    1μm≦D50%≦10μm
    2μm≦D90%≦15μm
    (D10%:レーザー回折式粒度分布測定により得られる体積基準粒度分布による、累積10体積%径
    D50%:レーザー回折式粒度分布測定により得られる体積基準粒度分布による、累積50体積%径(メジアン径)
    D90%:レーザー回折式粒度分布測定により得られる体積基準粒度分布による、累積90体積%径)
  2. 請求項1に記載のポリフェニレンスルフィド微粒子と、分散媒とを含有する、ポリフェニレンスルフィド微粒子分散液。
  3. 請求項1に記載のポリフェニレンスルフィド微粒子の製造方法であって、
    ポリフェニレンスルフィド粗粒子に対して、それぞれ種類の異なる粉砕方法を実施する二段階以上の粉砕工程を有する、
    ポリフェニレンスルフィド微粒子の製造方法。
  4. 前記二段階以上の粉砕工程のうち、最後の粉砕工程のひとつ前の粉砕工程によって得られたポリフェニレンスルフィド粒子の体積平均粒径が50μm以下であり、
    最後の粉砕工程によって得られるポリフェニレンスルフィド微粒子の粒度分布における累積通過積分値が、
    下記条件を満足する、請求項3に記載のポリフェニレンスルフィド微粒子の製造方法。
    0.3μm≦D10%≦3μm
    1μm≦D50%≦10μm
    2μm≦D90%≦15μm
    (D10%:レーザー回折式粒度分布測定により得られる体積基準粒度分布による、累積10体積%径
    D50%:レーザー回折式粒度分布測定により得られる体積基準粒度分布による、累積50体積%径(メジアン径)
    D90%:レーザー回折式粒度分布測定により得られる体積基準粒度分布による、累積90体積%径)
  5. 前記二段階以上の粉砕工程のうち、少なくとも一つの粉砕工程に、ビーズミルを用い、
    最後の粉砕工程に、湿式ジェットミルを用いる、請求項3又は4に記載の、ポリフェニレンスルフィド微粒子の製造方法。
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