JP2017142931A - 燃料電池用電極触媒インクの添加溶媒の選定方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】電極触媒粒子及び電極触媒粒子を分散させる分散用樹脂を少なくとも含む燃料電池用電極触媒インクの添加溶媒の選定方法であって、溶媒S1〜Snからなるn種の溶媒Sm(mは、1〜nの整数;nは1以上の整数)を準備する工程と、溶媒Smと分散用樹脂とのハンセン溶解度パラメータ距離Ra1m及び溶媒Smと水とのハンセン溶解度パラメータ距離Ra2mを決定する工程;n種の溶媒Smから、ハンセン溶解度パラメータ距離Ra1mが6.4以上であり、且つハンセン溶解度パラメータ距離Ra2mが30.0以下である1種以上の溶媒を燃料電池用電極触媒インクの添加溶媒として選定する工程;を含む、前記選定方法。
【選択図】なし
Description
(1) 電極触媒粒子及び電極触媒粒子を分散させる分散用樹脂を少なくとも含む燃料電池用電極触媒インクの添加溶媒の選定方法であって、以下:
溶媒S1〜Snからなるn種の溶媒Sm(mは、1以上且つn以下の整数であり、nは、1以上の整数である)を準備する工程;
以下の式(1)及び(2):
Ra1m 2 = 4 x (15.2-δdm)2 + (9.3-δpm)2 + (19.6-δhm)2 (1)
Ra2m 2 = 4 x (15.5-δdm)2 + (16.0-δpm)2 + (42.3-δhm)2 (2)
[式中、
δdmは、溶媒Smのハンセン溶解度パラメータの分散項であり、
δpmは、溶媒Smのハンセン溶解度パラメータの極性項であり、
δhmは、溶媒Smのハンセン溶解度パラメータの水素結合項であり、
Ra1mは、ハンセン溶解度パラメータ空間における、溶媒Smと分散用樹脂とのハンセン溶解度パラメータ距離であり、
Ra2mは、ハンセン溶解度パラメータ空間における、溶媒Smと水とのハンセン溶解度パラメータ距離である。]
に基づき、溶媒Smと分散用樹脂とのハンセン溶解度パラメータ距離Ra1m及び溶媒Smと水とのハンセン溶解度パラメータ距離Ra2mを決定する工程;
n種の溶媒Smから、ハンセン溶解度パラメータ距離Ra1mが6.4以上であり、且つハンセン溶解度パラメータ距離Ra2mが30.0以下である1種以上の溶媒を燃料電池用電極触媒インクの添加溶媒として選定する工程;
を含む、前記選定方法。
本発明は、燃料電池用電極触媒インクの添加溶媒の選定方法に関する。本発明において、「燃料電池用電極触媒インク」は、燃料電池用電極触媒を製造する際に使用される、電極触媒成分及び1種以上の溶媒を含む組成物を意味する。燃料電池用電極触媒インクは、通常は、電極触媒成分である電極触媒粒子、及び電極触媒粒子を分散させる分散用樹脂を少なくとも含む。燃料電池用電極触媒インクは、電極触媒成分が水及び有機溶媒等の1種以上の溶媒に分散された形態である。
F1 = 0.5πσd2cos2α/L (a)
[式中、F1は、横毛管力であり、σは、溶媒の表面張力であり、dは、電極触媒粒子の粒径であり、αは、電極触媒粒子と溶媒との接触角であり、Lは、電極触媒粒子の中心間距離である。]
で表される(藤田昌大、第26回数値流体力学シンポジウム予稿集、講演番号C04-6,2012年)。式(a)から、横毛管力F1を抑制するためには、電極触媒粒子の粒径dを小さくすることが必要であると理解される。電極触媒粒子の粒径dは、例えば、電極触媒インクの分散性を向上させることによって小さくすることができる。
本発明の方法は、溶媒S1〜Snからなるn種の溶媒Sm(mは、1以上且つn以下の整数であり、nは、1以上の整数である)を準備する工程(以下、「溶媒準備工程」とも記載する)を含むことが必要である。
本発明の方法は、溶媒Smと分散用樹脂又は水とのHSP距離を決定する工程(以下、「ハンセン溶解度パラメータ決定工程」とも記載する)を含むことが必要である。
Ra1m 2 = 4 x (15.2-δdm)2 + (9.3-δpm)2 + (19.6-δhm)2 (1)
で表される。
15.2は、分散用樹脂の親水性部分のHSPの分散項であり、
9.3は、分散用樹脂の親水性部分のHSPの極性項であり、
19.6は、分散用樹脂の親水性部分のHSPの水素結合項であり、
δdmは、溶媒SmのHSPの分散項であり、
δpmは、溶媒SmのHSPの極性項であり、
δhmは、溶媒SmのHSPの水素結合項であり、
Ra1mは、HSP空間における、溶媒Smと分散用樹脂とのHSP距離である。
Ra2m 2 = 4 x (15.5-δdm)2 + (16.0-δpm)2 + (42.3-δhm)2 (2)
で表される。
15.5は、水のHSPの分散項であり、
16.0は、水のHSPの極性項であり、
42.3は、水のHSPの水素結合項であり、
δdmは、溶媒SmのHSPの分散項であり、
δpmは、溶媒SmのHSPの極性項であり、
δhmは、溶媒SmのHSPの水素結合項であり、
Ra2mは、HSP空間における、溶媒Smと水とのHSP距離である。
本発明の方法は、n種の溶媒Smから、HSP距離Ra1mが6.4以上であり、且つHSP距離Ra2mが30.0以下である1種以上の溶媒を燃料電池用電極触媒インクの添加溶媒として選定する工程(以下、「添加剤選定工程」とも記載する)を含むことが必要である。
本発明の方法により、燃料電池用電極触媒インクの添加溶媒として、所望の分散性、ひび割れ防止性能及び乾燥除去速度を有する溶媒を容易に選定することができる。それ故、本発明の別の一態様は、前記で説明した本発明の一態様に係る燃料電池用電極触媒インクの添加溶媒の選定方法を用いて得られた結果に基づき、該方法によって選定された1種以上の溶媒を添加溶媒として含む燃料電池用電極触媒インクを得る工程を含む、燃料電池用電極触媒インクの製造方法に関する。
1.7 gのPtCo担持カーボン(PtCo担持量:30質量%)、14.62 gの水、及び7.04 gの分散用樹脂(ナフィオン(登録商標)DE2020)を混合し、攪拌した。この混合液を、氷浴中、超音波ホモジナイザーを用いて、超音波照射:75秒/停止:105秒/20サイクルの条件で分散させた。得られた分散液を、薄膜旋回型ミキサーを用いて、25℃、35 m/s×30分間の条件でさらに分散させた。分散液に、5.06 gの試験溶媒及び1.07 gのプロピレングリコールを添加して、スターラーを用いて、250 rpm×10分間の条件で攪拌して、電極触媒インクを得た。試験溶媒としては、酢酸(実施例1)、1-プロパノール(比較例1)、2-プロパノール(比較例2)又は1-ヘキサノール(比較例3)を用いた。対照として、試験溶媒に代えて同量の水を添加した電極触媒インクを前記と同様の手順で調製した。
[II-1. 電極触媒インクの分散状態の評価]
前記手順で得られた電極触媒インク中の成分の分散状態を、透過照明下での光学顕微鏡観察及び粘弾性測定によって確認した。粘弾性測定は、粘弾性測定装置を用いて、6.28 rad/sの角速度及び20℃の温度の条件で行った。1%歪みを生じるのに必要となる電極触媒インクの貯蔵弾性率G’(Pa)を図2に示す。
前記手順で得られた電極触媒インクを、ドクターブレード法を用いてテフロン(登録商標)シートの表面に約120 μmの膜厚で塗布した。このシートを、85℃の送風乾燥機中に5分間静置して乾燥させて、電極触媒塗膜の試験片を得た。乾燥中及び乾燥後の塗膜状態を、透過照明下で光学顕微鏡を用いて確認した。乾燥処理における実施例1及び比較例1の電極触媒塗膜の光学顕微鏡像を図3及び4にそれぞれに示す。図中、Aは、乾燥初期の電極触媒塗膜の光学顕微鏡像を、Bは、乾燥後の電極触媒塗膜の光学顕微鏡像を、それぞれ示す。
以下の式(1):
Ra1 2 = 4 x (15.2-δd)2 + (9.3-δp)2 + (19.6-δh)2 (1)
[式中、
15.2は、分散用樹脂の親水部分のHSPの分散項であり、
9.3は、分散用樹脂の親水部分のHSPの極性項であり、
19.6は、分散用樹脂の親水部分のHSPの水素結合項であり、
δdは、使用した試験溶媒のHSPの分散項であり、
δpは、使用した試験溶媒のHSPの極性項であり、
δhは、使用した試験溶媒のHSPの水素結合項であり、
Ra1は、HSP空間における、使用した試験溶媒と分散用樹脂の親水部分とのHSP距離である。]
で表される、使用した溶媒と分散用樹脂の親水部分とのHSP距離Ra1、並びに
以下の式(2):
Ra2 2 = 4 x (15.5-δd)2 + (16.0-δp)2 + (42.3-δh)2 (2)
[式中、
15.5は、水のHSPの分散項であり、
16.0は、水のHSPの極性項であり、
42.3は、水のHSPの水素結合項であり、
δdは、使用した試験溶媒のHSPの分散項であり、
δpは、使用した試験溶媒のHSPの極性項であり、
δhは、使用した試験溶媒のHSPの水素結合項であり、
Ra2は、HSP空間における、使用した試験溶媒と水とのHSP距離である。]
で表される、使用した溶媒と水とのHSP距離Ra2を得た。ここで、使用した試験溶媒のHSP(δd、δp及びδh)は、公知のデータベースに登録された定数を参照した。水及び試験溶媒の沸点を表1に、試験溶媒のHSP値とこれらの溶媒を用いて調製された実施例及び比較例の電極触媒の塗膜状態の評価結果との関係を表2に示す。
Claims (1)
- 電極触媒粒子及び電極触媒粒子を分散させる分散用樹脂を少なくとも含む燃料電池用電極触媒インクの添加溶媒の選定方法であって、以下:
溶媒S1〜Snからなるn種の溶媒Sm(mは、1以上且つn以下の整数であり、nは、1以上の整数である)を準備する工程;
以下の式(1)及び(2):
Ra1m 2 = 4 x (15.2-δdm)2 + (9.3-δpm)2 + (19.6-δhm)2 (1)
Ra2m 2 = 4 x (15.5-δdm)2 + (16.0-δpm)2 + (42.3-δhm)2 (2)
[式中、
δdmは、溶媒Smのハンセン溶解度パラメータの分散項であり、
δpmは、溶媒Smのハンセン溶解度パラメータの極性項であり、
δhmは、溶媒Smのハンセン溶解度パラメータの水素結合項であり、
Ra1mは、ハンセン溶解度パラメータ空間における、溶媒Smと分散用樹脂とのハンセン溶解度パラメータ距離であり、
Ra2mは、ハンセン溶解度パラメータ空間における、溶媒Smと水とのハンセン溶解度パラメータ距離である。]
に基づき、溶媒Smと分散用樹脂とのハンセン溶解度パラメータ距離Ra1m及び溶媒Smと水とのハンセン溶解度パラメータ距離Ra2mを決定する工程;
n種の溶媒Smから、ハンセン溶解度パラメータ距離Ra1mが6.4以上であり、且つハンセン溶解度パラメータ距離Ra2mが30.0以下である1種以上の溶媒を燃料電池用電極触媒インクの添加溶媒として選定する工程;
を含む、前記選定方法。
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