JP2017142931A - 燃料電池用電極触媒インクの添加溶媒の選定方法 - Google Patents

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裕之 菅田
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Abstract

【課題】燃料電池用電極触媒の製造において、製造コストの上昇及び生産性の低下を回避し、電極触媒のひび割れを防止し得る燃料電池用電極触媒インクの添加溶媒を選定する手段の提供。
【解決手段】電極触媒粒子及び電極触媒粒子を分散させる分散用樹脂を少なくとも含む燃料電池用電極触媒インクの添加溶媒の選定方法であって、溶媒S1〜Snからなるn種の溶媒Sm(mは、1〜nの整数;nは1以上の整数)を準備する工程と、溶媒Smと分散用樹脂とのハンセン溶解度パラメータ距離Ra1m及び溶媒Smと水とのハンセン溶解度パラメータ距離Ra2mを決定する工程;n種の溶媒Smから、ハンセン溶解度パラメータ距離Ra1mが6.4以上であり、且つハンセン溶解度パラメータ距離Ra2mが30.0以下である1種以上の溶媒を燃料電池用電極触媒インクの添加溶媒として選定する工程;を含む、前記選定方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、燃料電池用電極触媒インクの添加溶媒の選定方法に関する。
燃料電池は、水素及び酸素を電気化学的に反応させて電力を得る。燃料電池の発電に伴って生じる生成物は、原理的に水のみである。それ故、地球環境への負荷がほとんどない、クリーンな発電システムとして注目されている。
燃料電池は、電解質の種類によって、固体高分子型(PEFC)、リン酸型(PAFC)、溶融炭酸塩型(MCFC)及び固体酸化物型(SOFC)等に分類される。このうち、PEFC及びPAFCにおいては、カーボン担体等の導電性の担体と、該導電性の担体に担持された白金等の触媒活性を有する触媒金属とを有する電極触媒の粒子を使用することが一般的である。電極触媒は、通常は、前記成分を溶媒に分散させた電極触媒インクをポリテトラフルオロエチレン(PTFE)(テフロン(登録商標))シートの表面に塗布し、乾燥させることによって形成される。
例えば、特許文献1は、低級モノアルコール中に触媒担持カーボン及び電解質を分散させた触媒インクを基材上に塗布して、前記基材上に触媒インク層を形成するインク層形成工程と、前記触媒インク層の表面に多価アルコールを塗布する多価アルコール塗布工程と、前記多価アルコールが塗布された前記触媒インク層を乾燥する乾燥工程と、を備えることを特徴とする燃料電池用電極の製造方法を記載する。特許文献1は、前記多価アルコールとして、プロピレングリコールを記載する。
特開2011-238438号公報
燃料電池用電極触媒インクは、通常は、電極触媒粒子が水及び有機溶媒等の1種以上の溶媒に分散された分散液である。燃料電池用電極触媒インクにおいて、電極触媒粒子の分散性は、使用される溶媒によって変動し得る。電極触媒粒子の分散性が低下すると、電極触媒粒子が凝集することにより電極触媒インクの貯蔵弾性率が上昇して、貯蔵安定性が低下する可能性がある。このような場合、電極触媒インクを用いて燃料電池用電極触媒を連続的に製造することが困難となる可能性がある。また、高沸点の溶媒を使用する場合、電極触媒の塗膜から該溶媒を蒸発除去するために高温及び/又は長時間の乾燥処理が必要となる。高温及び/又は長時間の乾燥処理は、燃料電池用電極触媒の製造コストの上昇及び生産性の低下を招来する可能性がある。
特許文献1は、基材の表面に形成された電極触媒インク層の表面に、プロピレングリコールのような多価アルコールを塗布した後、乾燥させることにより、電極触媒インクを迅速に乾燥させることができ、結果として得られる電極触媒の塗膜にひび割れが生じることを抑制し得ると記載する。しかしながら、特許文献1に記載の方法で好適に使用されるプロピレングリコールは、沸点(188℃)が高い。このため、電極触媒インク層に含まれる水及び有機溶媒等の溶媒に加えてプロピレングリコールを蒸発除去するためには、前記の場合と同様に、高温及び/又は長時間の乾燥処理が必要となる。
他方、プロピレングリコールのような電極触媒インクの添加剤を使用しない場合、結果として得られる電極触媒にひび割れが生じる可能性がある。
それ故、本発明は、燃料電池用電極触媒の製造において、製造コストの上昇及び生産性の低下を回避しつつ、電極触媒のひび割れを防止し得る燃料電池用電極触媒インクの添加溶媒を選定する手段を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記課題を解決するための手段を種々検討した結果、燃料電池用電極触媒インクの添加溶媒の候補となる溶媒のハンセン溶解度パラメータを指標とすることにより、所望の性質を有する溶媒を容易に選定し得ることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の要旨は以下の通りである。
(1) 電極触媒粒子及び電極触媒粒子を分散させる分散用樹脂を少なくとも含む燃料電池用電極触媒インクの添加溶媒の選定方法であって、以下:
溶媒S1〜Snからなるn種の溶媒Sm(mは、1以上且つn以下の整数であり、nは、1以上の整数である)を準備する工程;
以下の式(1)及び(2):
Ra1m 2 = 4 x (15.2-δdm)2 + (9.3-δpm)2 + (19.6-δhm)2 (1)
Ra2m 2 = 4 x (15.5-δdm)2 + (16.0-δpm)2 + (42.3-δhm)2 (2)
[式中、
δdmは、溶媒Smのハンセン溶解度パラメータの分散項であり、
δpmは、溶媒Smのハンセン溶解度パラメータの極性項であり、
δhmは、溶媒Smのハンセン溶解度パラメータの水素結合項であり、
Ra1mは、ハンセン溶解度パラメータ空間における、溶媒Smと分散用樹脂とのハンセン溶解度パラメータ距離であり、
Ra2mは、ハンセン溶解度パラメータ空間における、溶媒Smと水とのハンセン溶解度パラメータ距離である。]
に基づき、溶媒Smと分散用樹脂とのハンセン溶解度パラメータ距離Ra1m及び溶媒Smと水とのハンセン溶解度パラメータ距離Ra2mを決定する工程;
n種の溶媒Smから、ハンセン溶解度パラメータ距離Ra1mが6.4以上であり、且つハンセン溶解度パラメータ距離Ra2mが30.0以下である1種以上の溶媒を燃料電池用電極触媒インクの添加溶媒として選定する工程;
を含む、前記選定方法。
本発明により、燃料電池用電極触媒の製造において、製造コストの上昇及び生産性の低下を回避しつつ、電極触媒のひび割れを防止し得る燃料電池用電極触媒インクの添加溶媒を選定する手段を提供することが可能となる。
図1は、溶媒Smのハンセン溶解度パラメータ、電極触媒を分散させる分散用樹脂のハンセン溶解度パラメータ及び水のハンセン溶解度パラメータ、並びに溶媒Smと分散用樹脂とのハンセン溶解度パラメータ距離Ra1m及び溶媒Smと水とのハンセン溶解度パラメータ距離Ra2mの概念図を示す図である。 図2は、実施例1、比較例1及び2、並びに対照の電極触媒インクに使用された溶媒と分散用樹脂とのハンセン溶解度パラメータ距離Ra1と、該電極触媒インクの貯蔵弾性率との関係を示す図である。 図3は、乾燥処理における実施例1の電極触媒塗膜の光学顕微鏡像を示す図である。A:乾燥初期の電極触媒塗膜の光学顕微鏡像。B:乾燥後の電極触媒塗膜の光学顕微鏡像。 図4は、乾燥処理における比較例1の電極触媒塗膜の光学顕微鏡像を示す図である。A:乾燥初期の電極触媒塗膜の光学顕微鏡像。B:乾燥後の電極触媒塗膜の光学顕微鏡像。
以下、本発明の好ましい実施形態について詳細に説明する。
<1. 燃料電池用電極触媒インクの添加溶媒の選定方法>
本発明は、燃料電池用電極触媒インクの添加溶媒の選定方法に関する。本発明において、「燃料電池用電極触媒インク」は、燃料電池用電極触媒を製造する際に使用される、電極触媒成分及び1種以上の溶媒を含む組成物を意味する。燃料電池用電極触媒インクは、通常は、電極触媒成分である電極触媒粒子、及び電極触媒粒子を分散させる分散用樹脂を少なくとも含む。燃料電池用電極触媒インクは、電極触媒成分が水及び有機溶媒等の1種以上の溶媒に分散された形態である。
燃料電池用電極触媒インクにおいて、電極触媒粒子の分散性は、使用される溶媒によって変動し得る。例えば、低級1価アルコール(例えば、1-プロパノール又は2-プロパノール)を水に添加する添加溶媒として使用する場合、電極触媒粒子の分散性が低下し得る。電極触媒粒子の分散性が低下すると、電極触媒粒子が凝集することにより電極触媒インクの貯蔵弾性率が上昇して、貯蔵安定性が低下する可能性がある。このような場合、電極触媒インクを用いて燃料電池用電極触媒を連続的に製造することが困難となり、燃料電池用電極触媒の製造コストの上昇及び生産性の低下を招来する可能性がある。
燃料電池用電極触媒の製造においては、通常は、燃料電池用電極触媒インクを電解質膜の表面に塗布し、次いで乾燥させる。乾燥工程により、燃料電池用電極触媒インクに含まれる水及び有機溶媒等の1種以上の溶媒が乾燥除去され、電解質膜の表面に電極触媒の塗膜が形成される。ここで、多価アルコールのような高沸点の溶媒を水に添加する添加溶媒として使用する場合、電極触媒の塗膜から該溶媒を蒸発除去するために高温及び/又は長時間の乾燥処理が必要となる。高温及び/又は長時間の乾燥処理は、燃料電池用電極触媒の製造コストの上昇及び生産性の低下を招来する可能性がある。また、電極触媒の塗膜が形成される際、溶媒の乾燥除去に伴って電極触媒の塗膜にひび割れが生じる可能性がある。
特許文献1は、燃料電池用電極触媒インクの添加剤として、プロピレングリコールのような多価アルコールを用いることによって、結果として得られる電極触媒にひび割れが生じることを抑制し得ると記載する。しかしながら、特許文献1に記載の方法で好適に使用されるプロピレングリコールは沸点(188℃)が高い。このため、プロピレングリコールを含む電極触媒インクを乾燥させるためには、高温及び/又は長時間の乾燥処理が必要となる。
本発明者らは、燃料電池用電極触媒インクの添加溶媒として、電極触媒粒子の分散性が高く、且つ電極触媒のひび割れ防止効果を有する溶媒を選定するために、物質間の溶解特性を表すパラメータであるハンセン溶解度パラメータ(以下、「HSP」とも記載する)に着目した。本明細書において、HSPは、ヒルデブランドの溶解度パラメータを、ロンドン分散力、双極子間力及び水素結合力の3個の凝集エネルギー成分に分割したベクトル量のパラメータを意味する。本発明において、HSPのロンドン分散力に対応する成分を分散項(以下、「δd」とも記載する)、双極子間力に対応する成分を極性項(以下、「δp」とも記載する)、水素結合力に対応する成分を水素結合項(以下、「δh」とも記載する)と記載する。
HSPはベクトル量であるため、純粋な物質で全く同一の値を有するものは殆ど存在しないことが知られている。また、一般的に使用される物質のHSPは、データベースが構築されている。このため、当業者であれば、当該データベースを参照することにより、所望の物質のHSP値を入手することができる。データベースにHSP値が登録されていない物質であっても、当業者であれば、Hansen Solubility Parameters in Practice(HSPiP)のようなコンピュータソフトウェアを用いることにより、その化学構造からHSP値を計算することができる。複数の物質からなる混合物の場合、該混合物のHSP値は、含有成分である各物質のHSP値に、該成分の混合物全体に対する体積比を乗じた値の和として算出される。HSPについては、例えば、山本博志, S. Abbott, C.M. Hansen, 化学工業, 2010年3月号を参照することができる。
本発明者らは、燃料電池用電極触媒インクにおいて電極触媒を分散させるために使用される分散用樹脂のHSP値及び電極触媒インクに含まれる主溶媒である水のHSP値と、添加溶媒として使用される溶媒のHSP値とを用いて算出される、HSP空間における分散用樹脂と溶媒とのHSP距離、及び水と溶媒とのHSP距離を指標とすることにより、該溶媒による電極触媒粒子の分散性能及び電極触媒塗膜のひび割れ防止性能を評価できることを見出した。燃料電池用電極触媒の塗膜の乾燥初期において、横毛管力に起因する電極触媒粒子の凝集が観察される。電極触媒粒子が凝集すると、電極触媒塗膜の表面に凹凸が形成される。この状態で乾燥が進行することにより、電極触媒塗膜の表面の凹凸付近にひび割れが生じる。このように、電極触媒塗膜のひび割れは、電極触媒塗膜の乾燥初期における横毛管力に起因する電極触媒粒子の凝集が原因と考えられる。
電極触媒粒子に作用する横毛管力は、以下の式:
F1 = 0.5πσd2cos2α/L (a)
[式中、F1は、横毛管力であり、σは、溶媒の表面張力であり、dは、電極触媒粒子の粒径であり、αは、電極触媒粒子と溶媒との接触角であり、Lは、電極触媒粒子の中心間距離である。]
で表される(藤田昌大、第26回数値流体力学シンポジウム予稿集、講演番号C04-6,2012年)。式(a)から、横毛管力F1を抑制するためには、電極触媒粒子の粒径dを小さくすることが必要であると理解される。電極触媒粒子の粒径dは、例えば、電極触媒インクの分散性を向上させることによって小さくすることができる。
電極触媒インクにおいて、電極触媒粒子は、通常は、分散用樹脂と会合した形態で主溶媒である水及び1種以上の添加溶媒中に分散されている。分散用樹脂は、通常は、疎水性部分及び親水性部分を有する両親媒性構造を有する。電極触媒インクが主溶媒である水のみを含む場合、分散用樹脂が界面活性作用を発現して発泡し得る。このため、電極触媒インクにおいては、1種以上の添加溶媒として水混和性の有機溶媒が使用される。ここで、分散用樹脂と1種以上の添加溶媒との親和性が高すぎると、分散用樹脂が電極触媒粒子の表面から脱離して1種以上の添加溶媒に溶解する可能性がある。分散用樹脂が脱離した電極触媒粒子は互いに凝集することから、結果として電極触媒粒子の分散性が低下し得る。他方、水と1種以上の添加溶媒との親和性が低すぎると、1種以上の添加溶媒が水と十分に混和せず相分離し得る。
一般に、物質間の親和性及び混和性は、該物質間のHSP距離と一定の相関関係を有する。それ故、分散用樹脂とのHSP距離が一定値以上の溶媒を燃料電池用電極触媒インクの添加溶媒として使用することにより、分散用樹脂が該添加溶媒に溶解することを実質的に抑制し得る。また、水とのHSP距離が一定値以下の溶媒を燃料電池用電極触媒インクの添加溶媒として使用することにより、水との混和性を向上し得る。これにより、電極触媒粒子の粒径dが減少し、横毛管力F1が低下すると考えられる。この場合、電極触媒塗膜の表面における凹凸形成が抑制され、結果として電極触媒塗膜のひび割れが抑制され得る。また、電極触媒粒子の分散性が向上することから、電極触媒インクの貯蔵弾性率が低下して貯蔵安定性が向上し得る。
本発明者らは、数種の溶媒のHSP距離に基づき、数種の溶媒から所望の分散性及びひび割れ防止性能を有する溶媒を1種以上の添加溶媒として選定し得ることを見出した。前記の通り、溶媒のHSP値は、データベースを参照することにより、又は計算により、入手することができる。それ故、本発明の方法により、実際に電極触媒塗膜を作製して試験をすることなく、所望の分散性及びひび割れ防止性能を有する最適な溶媒を容易に選定することができる。
本発明の方法は、当該技術分野で通常使用される燃料電池用電極触媒インクに適用することができる。本発明の方法が適用される燃料電池用電極触媒インクは、通常は、カーボンのような担体及び該担体に担持された白金又は白金合金(例えば、白金及びコバルトの合金)のような触媒金属を含む電極触媒粒子と、電極触媒粒子を分散させる分散用樹脂と、主溶媒である水と、1種以上の添加溶媒とを含む。1種以上の添加溶媒は、本発明の方法によって選定することができる。
電極触媒粒子を分散させる分散用樹脂は、通常は、疎水性部分及び親水性部分を有する両親媒性構造を有する。分散用樹脂としては、例えば、ナフィオン(登録商標)DE2020を挙げることができる。ナフィオン(登録商標)DE2020は、親水部分のHSPの分散項が15.2であり、極性項が9.3であり、水素結合項が19.6であり、また、疎水部分のHSPの分散項が18.4であり、極性項が10.9であり、水素結合項が9.7である。電極触媒粒子を分散させる分散用樹脂として前記樹脂を使用する場合、本発明の方法によって、所望の分散性及びひび割れ防止性能を有する最適な溶媒を1種以上の添加溶媒として容易に選定することができる。
燃料電池用電極触媒インクは、場合によりアイオノマと、1種以上の添加剤とを含むことができる。1種以上の添加剤としては、例えば、プロピレングリコール及びメトキシエタノールを挙げることができる。
[1-1. 溶媒準備工程]
本発明の方法は、溶媒S1〜Snからなるn種の溶媒Sm(mは、1以上且つn以下の整数であり、nは、1以上の整数である)を準備する工程(以下、「溶媒準備工程」とも記載する)を含むことが必要である。
本工程において使用される溶媒S1〜Snからなるn種の溶媒Smは、それぞれ単溶媒の形態であってもよく、2種以上の単溶媒からなる混合溶媒の形態であってもよい。
本工程は、以下で説明する工程において使用される溶媒Smを準備することを目的とする。前記で説明したように、一般的に使用される溶媒のHSP値はデータベース化されており、公知である。また、データベースにHSP値が登録されていない溶媒であっても、その化学構造からHSP値を計算することができる。それ故、本工程で準備される溶媒Smは、特に限定されず、添加溶媒として使用される燃料電池用電極触媒インクの他の成分に応じて適宜選択すればよい。通常、燃料電池用電極触媒インクに含まれる主溶媒は水であることから、添加溶媒の候補である溶媒Smもまた水混和性有機溶媒であることが好ましい。また、水の沸点が100℃であることから、添加溶媒の候補である溶媒Smもまた100℃以下の沸点を有することが好ましい。好適な溶媒Smとしては、限定するものではないが、例えば、直鎖状、分岐鎖状又は環式の脂肪酸を挙げることができる。前記溶媒成分は、ハロゲン(例えば、塩素、フッ素、臭素又はヨウ素)、ヒドロキシル、アルコキシル、アミノ、直鎖状、分岐鎖状若しくは環式の脂肪族炭化水素基、又は芳香族炭化水素基で置換されていてもよい。前記溶媒成分は、酢酸又はその混合溶媒であることが好ましい。前記の溶媒は、市販品を購入等することにより容易に入手することができる。また、前記の溶媒は、データベースを参照することにより又は計算により、HSP値を得ることができる。それ故、前記の溶媒を溶媒Smとして準備することにより、より簡便に本発明の方法を実施することができる。
[1-2. ハンセン溶解度パラメータ決定工程]
本発明の方法は、溶媒Smと分散用樹脂又は水とのHSP距離を決定する工程(以下、「ハンセン溶解度パラメータ決定工程」とも記載する)を含むことが必要である。
本発明において、「ハンセン溶解度パラメータ(HSP)距離Ra1m」は、HSP空間における、溶媒Smと分散用樹脂とのHSP距離を意味し、「ハンセン溶解度パラメータ(HSP)距離Ra2m」は、HSP空間における、溶媒Smと水とのHSP距離を意味する。溶媒SmのHSP値、分散用樹脂のHSP値及び水のHSP値、並びに溶媒Smと分散用樹脂とのHSP距離Ra1m及び溶媒Smと水とのHSP距離Ra2mの概念図を図1に示す。
溶媒Smと分散用樹脂の親水性部分とのHSP距離Ra1mは、以下の式(1):
Ra1m 2 = 4 x (15.2-δdm)2 + (9.3-δpm)2 + (19.6-δhm)2 (1)
で表される。
式中、
15.2は、分散用樹脂の親水性部分のHSPの分散項であり、
9.3は、分散用樹脂の親水性部分のHSPの極性項であり、
19.6は、分散用樹脂の親水性部分のHSPの水素結合項であり、
δdmは、溶媒SmのHSPの分散項であり、
δpmは、溶媒SmのHSPの極性項であり、
δhmは、溶媒SmのHSPの水素結合項であり、
Ra1mは、HSP空間における、溶媒Smと分散用樹脂とのHSP距離である。
また、溶媒Smと水とのHSP距離Ra2mは、以下の式(2):
Ra2m 2 = 4 x (15.5-δdm)2 + (16.0-δpm)2 + (42.3-δhm)2 (2)
で表される。
式中、
15.5は、水のHSPの分散項であり、
16.0は、水のHSPの極性項であり、
42.3は、水のHSPの水素結合項であり、
δdmは、溶媒SmのHSPの分散項であり、
δpmは、溶媒SmのHSPの極性項であり、
δhmは、溶媒SmのHSPの水素結合項であり、
Ra2mは、HSP空間における、溶媒Smと水とのHSP距離である。
すでに説明したように、HSPはベクトル量であるため、純粋な物質で全く同一の値を有するものは殆ど存在しないことが知られている。また、複数の物質からなる混合物の場合、該混合物のHSP値は、混合物成分である各物質のHSP値に、該成分の混合物全体に対する体積比を乗じた値のベクトル和として算出される。一般的に使用される溶媒のHSPはデータベース化されており、公知である。また、データベースにHSP値が登録されていない溶媒であっても、その化学構造からHSP値を計算することができる。このため、前記式に、溶媒SmのHSP値を代入することにより、溶媒Smと分散用樹脂とのHSP距離Ra1m及び溶媒Smと水とのHSP距離Ra2mを容易に決定することができる。
[1-3. 添加剤選定工程]
本発明の方法は、n種の溶媒Smから、HSP距離Ra1mが6.4以上であり、且つHSP距離Ra2mが30.0以下である1種以上の溶媒を燃料電池用電極触媒インクの添加溶媒として選定する工程(以下、「添加剤選定工程」とも記載する)を含むことが必要である。
すでに説明したように、ハンセン溶解度パラメータ決定工程を実施することにより、溶媒Smと分散用樹脂とのHSP距離Ra1m及び溶媒Smと水とのHSP距離Ra2mを容易に決定することができる。それ故、ハンセン溶解度パラメータ決定工程により得られたRa1m及びRa2mに基づき、n種の溶媒Smから、HSP距離Ra1mが6.4以上であり、且つHSP距離Ra2mが30.0以下である1種以上の溶媒を燃料電池用電極触媒インクの添加溶媒として容易に選定することができる。
本工程において決定される1種以上の溶媒は、沸点が100℃以下であることが好ましい。当該技術分野において、一般的に使用される溶媒の沸点は公知である。それ故、HSP距離Ra1mが6.4以上であり、且つHSP距離Ra2mが30.0以下である溶媒から、沸点が100℃以下である1種以上の溶媒を燃料電池用電極触媒インクの添加溶媒として容易に選定することができる。
実施例に示すように、燃料電池用電極触媒インクの添加溶媒として酢酸を用いた場合、添加溶媒を使用しない、すなわち主溶媒である水のみを含む燃料電池用電極触媒インクの場合と同程度の貯蔵弾性率を示し、且つ良好なひび割れ防止性能を示した。酢酸の沸点は100℃であり、前記式に基づき算出されるHSP距離Ra1mが6.4であり、且つHSP距離Ra2mが30.0である。それ故、n種の溶媒Smから、HSP距離Ra1mが6.4以上であり、HSP距離Ra2mが30.0以下であり、且つ好ましくはさらに沸点が100℃以下である1種以上の溶媒を選定することにより、所望の分散性、ひび割れ防止性能及び乾燥除去速度を有する最適な添加溶媒を得ることができる。
本工程において決定される1種以上の溶媒は、それぞれ単溶媒の形態であってもよく、2種以上の単溶媒からなる混合溶媒の形態であってもよい。
本工程を実施することにより、n種の溶媒Smから所望の分散性、ひび割れ防止性能及び乾燥除去速度を有する溶媒を容易に選定することができる。
本発明の方法において、燃料電池用電極触媒インクに含まれる溶媒及び添加剤の乾燥除去速度を実際に決定する場合、例えば、燃料電池用電極触媒インクをPTFE(テフロン(登録商標))シートのような基材の表面に塗布した後、該シートを加熱乾燥させて、電極触媒塗膜の試験片を得る。この際、乾燥前後の試験片の質量を経時的に測定し、該質量に基づき、溶媒蒸発率(%)を算出することにより、溶媒及び添加剤の乾燥除去速度を実際に決定することができる。また、本発明の方法において、燃料電池用電極触媒インクのひび割れ防止性能を実際に決定する場合、例えば、前記と同様の手順で電極触媒塗膜の試験片を得る。得られた電極触媒塗膜の試験片の表面を光学顕微鏡等を用いて観察し、ひび割れの有無を確認することにより、ひび割れ防止性能を実際に決定することができる。さらに、本発明の方法において、燃料電池用電極触媒インクの貯蔵安定性を実際に決定する場合、例えば、粘弾性測定装置を用いて電極触媒インクの貯蔵弾性率を測定することにより、貯蔵安定性を決定することができる。
<2. 燃料電池用電極触媒インクの製造方法>
本発明の方法により、燃料電池用電極触媒インクの添加溶媒として、所望の分散性、ひび割れ防止性能及び乾燥除去速度を有する溶媒を容易に選定することができる。それ故、本発明の別の一態様は、前記で説明した本発明の一態様に係る燃料電池用電極触媒インクの添加溶媒の選定方法を用いて得られた結果に基づき、該方法によって選定された1種以上の溶媒を添加溶媒として含む燃料電池用電極触媒インクを得る工程を含む、燃料電池用電極触媒インクの製造方法に関する。
本発明の一態様に係る燃料電池用電極触媒インクの添加溶媒の選定方法によって選定される溶媒としては、限定するものではないが、例えば、直鎖状、分岐鎖状又は環式の脂肪酸を挙げることができる。前記溶媒成分は、ハロゲン(例えば、塩素、フッ素、臭素又はヨウ素)、ヒドロキシル、アルコキシル、アミノ、直鎖状、分岐鎖状若しくは環式の脂肪族炭化水素基、又は芳香族炭化水素基で置換されていてもよい。前記溶媒成分は、酢酸又はその混合溶媒であることが好ましい。
燃料電池用電極触媒インクにおいて、添加溶媒として使用される溶媒の含有量は、該インクの総質量に対して、1〜30質量%の範囲であることが好ましく、1〜20質量%の範囲であることがより好ましい。
以上説明したように、本発明により、燃料電池用電極触媒インクの添加溶媒として、所望の分散性、ひび割れ防止性能及び乾燥除去速度を有する溶媒を容易に選定することができる。前記溶媒を燃料電池用電極触媒インクの添加溶媒として使用することにより、燃料電池用電極触媒の製造において、製造コストの上昇及び生産性の低下を回避しつつ、電極触媒のひび割れを防止することができる。
以下、実施例を用いて本発明をさらに具体的に説明する。但し、本発明の技術的範囲はこれら実施例に限定されるものではない。
<I. 電極触媒インクの調製>
1.7 gのPtCo担持カーボン(PtCo担持量:30質量%)、14.62 gの水、及び7.04 gの分散用樹脂(ナフィオン(登録商標)DE2020)を混合し、攪拌した。この混合液を、氷浴中、超音波ホモジナイザーを用いて、超音波照射:75秒/停止:105秒/20サイクルの条件で分散させた。得られた分散液を、薄膜旋回型ミキサーを用いて、25℃、35 m/s×30分間の条件でさらに分散させた。分散液に、5.06 gの試験溶媒及び1.07 gのプロピレングリコールを添加して、スターラーを用いて、250 rpm×10分間の条件で攪拌して、電極触媒インクを得た。試験溶媒としては、酢酸(実施例1)、1-プロパノール(比較例1)、2-プロパノール(比較例2)又は1-ヘキサノール(比較例3)を用いた。対照として、試験溶媒に代えて同量の水を添加した電極触媒インクを前記と同様の手順で調製した。
<II. 電極触媒インクの評価方法>
[II-1. 電極触媒インクの分散状態の評価]
前記手順で得られた電極触媒インク中の成分の分散状態を、透過照明下での光学顕微鏡観察及び粘弾性測定によって確認した。粘弾性測定は、粘弾性測定装置を用いて、6.28 rad/sの角速度及び20℃の温度の条件で行った。1%歪みを生じるのに必要となる電極触媒インクの貯蔵弾性率G’(Pa)を図2に示す。
図2に示すように、実施例1及び対照の電極触媒インクは、15 Pa以下の貯蔵弾性率を示した。これに対し、比較例1及び2の電極触媒インクは、20 Paを超える貯蔵弾性率を示した。以上のように、実施例1の電解触媒インクは貯蔵弾性率が低く、分散性が高いことが明らかとなった。
[II-2. 電極触媒の塗膜状態の評価]
前記手順で得られた電極触媒インクを、ドクターブレード法を用いてテフロン(登録商標)シートの表面に約120 μmの膜厚で塗布した。このシートを、85℃の送風乾燥機中に5分間静置して乾燥させて、電極触媒塗膜の試験片を得た。乾燥中及び乾燥後の塗膜状態を、透過照明下で光学顕微鏡を用いて確認した。乾燥処理における実施例1及び比較例1の電極触媒塗膜の光学顕微鏡像を図3及び4にそれぞれに示す。図中、Aは、乾燥初期の電極触媒塗膜の光学顕微鏡像を、Bは、乾燥後の電極触媒塗膜の光学顕微鏡像を、それぞれ示す。
図3Aに示すように、実施例1の電極触媒塗膜においては、電極触媒粒子の凝集は観察されなかった。この電極触媒塗膜を乾燥させた場合、ひび割れは生じなかった(図3B)。
これに対し、図4Aに示すように、比較例1の電極触媒塗膜においては、横毛管力に起因する電極触媒粒子の凝集が観察された。電極触媒粒子が凝集すると、電極触媒塗膜の表面に凹凸が形成される。この状態で乾燥が進行することにより、電極触媒塗膜の表面の凹凸付近にひび割れが生じた(図4B)。
[II-3. 沸点及びHSP距離に基づく溶媒の評価]
以下の式(1):
Ra1 2 = 4 x (15.2-δd)2 + (9.3-δp)2 + (19.6-δh)2 (1)
[式中、
15.2は、分散用樹脂の親水部分のHSPの分散項であり、
9.3は、分散用樹脂の親水部分のHSPの極性項であり、
19.6は、分散用樹脂の親水部分のHSPの水素結合項であり、
δdは、使用した試験溶媒のHSPの分散項であり、
δpは、使用した試験溶媒のHSPの極性項であり、
δhは、使用した試験溶媒のHSPの水素結合項であり、
Ra1は、HSP空間における、使用した試験溶媒と分散用樹脂の親水部分とのHSP距離である。]
で表される、使用した溶媒と分散用樹脂の親水部分とのHSP距離Ra1、並びに
以下の式(2):
Ra2 2 = 4 x (15.5-δd)2 + (16.0-δp)2 + (42.3-δh)2 (2)
[式中、
15.5は、水のHSPの分散項であり、
16.0は、水のHSPの極性項であり、
42.3は、水のHSPの水素結合項であり、
δdは、使用した試験溶媒のHSPの分散項であり、
δpは、使用した試験溶媒のHSPの極性項であり、
δhは、使用した試験溶媒のHSPの水素結合項であり、
Ra2は、HSP空間における、使用した試験溶媒と水とのHSP距離である。]
で表される、使用した溶媒と水とのHSP距離Ra2を得た。ここで、使用した試験溶媒のHSP(δd、δp及びδh)は、公知のデータベースに登録された定数を参照した。水及び試験溶媒の沸点を表1に、試験溶媒のHSP値とこれらの溶媒を用いて調製された実施例及び比較例の電極触媒の塗膜状態の評価結果との関係を表2に示す。
Figure 2017142931
Figure 2017142931
表2に示すように、酢酸を溶媒として使用した実施例1の電極触媒インクの場合、分散用樹脂の親水部分とのHSP距離Ra1は6.4に、水とのHSP距離Ra2は30.0になった。実施例1の電極触媒インクを用いて作製した電極触媒は、ひび割れが確認されなかった。これに対し、1-プロパノールを溶媒として使用した比較例1、及び2-プロパノールを溶媒として使用した比較例2の電極触媒インクの場合、分散用樹脂の親水部分とのHSP距離Ra1はそれぞれ3.7又は4.9に、水とのHSP距離Ra2はそれぞれ26.6又は28.1になった。比較例1及び2の電極触媒インクは分散性が低く、電極触媒粒子が凝集した。また、比較例1及び2の電極触媒インクを用いて作製した電極触媒は、ひび割れが確認された。
1-ヘキサノールを溶媒として使用した比較例3の電極触媒インクの場合、分散用樹脂の親水部分とのHSP距離Ra1は8.0に、水とのHSP距離Ra2は31.5になった。比較例3の電極触媒インクは、溶媒として使用した1-ヘキサノールと水との混和性が低かった。また、比較例3の電極触媒インクを用いて作製した電極触媒は、ひび割れが確認された。
以上の結果より、酢酸のように、分散用樹脂とのHSP距離Ra1が一定値(例えば、6.4)以上であり、水とのHSP距離Ra2が一定値(例えば、30.0)以下である溶媒を燃料電池用電極触媒インクの添加溶媒として選定することにより、所望の分散性及びひび割れ防止性能を有する燃料電池用電極触媒インクを製造できることが明らかとなった。また、好ましくは、酢酸のように、低沸点(例えば、100℃以下)の溶媒を燃料電池用電極触媒インクの添加剤として選定することにより、所望の乾燥除去速度を有する燃料電池用電極触媒インクを製造することができる。

Claims (1)

  1. 電極触媒粒子及び電極触媒粒子を分散させる分散用樹脂を少なくとも含む燃料電池用電極触媒インクの添加溶媒の選定方法であって、以下:
    溶媒S1〜Snからなるn種の溶媒Sm(mは、1以上且つn以下の整数であり、nは、1以上の整数である)を準備する工程;
    以下の式(1)及び(2):
    Ra1m 2 = 4 x (15.2-δdm)2 + (9.3-δpm)2 + (19.6-δhm)2 (1)
    Ra2m 2 = 4 x (15.5-δdm)2 + (16.0-δpm)2 + (42.3-δhm)2 (2)
    [式中、
    δdmは、溶媒Smのハンセン溶解度パラメータの分散項であり、
    δpmは、溶媒Smのハンセン溶解度パラメータの極性項であり、
    δhmは、溶媒Smのハンセン溶解度パラメータの水素結合項であり、
    Ra1mは、ハンセン溶解度パラメータ空間における、溶媒Smと分散用樹脂とのハンセン溶解度パラメータ距離であり、
    Ra2mは、ハンセン溶解度パラメータ空間における、溶媒Smと水とのハンセン溶解度パラメータ距離である。]
    に基づき、溶媒Smと分散用樹脂とのハンセン溶解度パラメータ距離Ra1m及び溶媒Smと水とのハンセン溶解度パラメータ距離Ra2mを決定する工程;
    n種の溶媒Smから、ハンセン溶解度パラメータ距離Ra1mが6.4以上であり、且つハンセン溶解度パラメータ距離Ra2mが30.0以下である1種以上の溶媒を燃料電池用電極触媒インクの添加溶媒として選定する工程;
    を含む、前記選定方法。
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