JP2009016316A - 燃料電池用触媒膜形成用の塗布液の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】分散性が良好で、白金系触媒粒子との接触による危険性がなく、ひび割れ、はじき等の塗布性、電池性能に影響を与える塗膜性能、保存安定性等を満足させる燃料電池用触媒膜形成用の塗布液を提供すること、また、それを用いた燃料電池用触媒膜を提供すること。
【解決手段】白金系触媒粒子を、高分子電解質が溶解された水中で分散処理を行い、その後、アルコール系分散媒及びエステル系分散媒を加えることを特徴とする燃料電池用触媒膜形成用の塗布液の製造方法、その製造方法で製造された燃料電池用触媒膜、その触媒膜を用いた燃料電池
【選択図】なし
【解決手段】白金系触媒粒子を、高分子電解質が溶解された水中で分散処理を行い、その後、アルコール系分散媒及びエステル系分散媒を加えることを特徴とする燃料電池用触媒膜形成用の塗布液の製造方法、その製造方法で製造された燃料電池用触媒膜、その触媒膜を用いた燃料電池
【選択図】なし
Description
本発明は、燃料電池用触媒膜形成用の塗布液の製造方法、その製造方法で製造された塗布液、その塗布液を塗布・乾燥して得られた燃料電池用触媒膜及びその触媒膜を有する燃料電池用電極に関するものである。
固体高分子型燃料電池に用いられる触媒膜としては、白金系触媒粒子を高分子電解質中に分散させたものが一般的に使用されている。そして、この触媒膜を製造する方法としては、白金系触媒粒子を、高分子電解質が溶解されたアルコール類に分散させ、得られた分散液を、固体高分子電解質膜、拡散層等に直接、塗布・乾燥する方法、又は、何らかの基材上に塗布・乾燥して製膜し、それを転写する方法が知られている。
ここで、白金系触媒粒子の分散液に分散媒として用いられるアルコール類としては、分散性等が良好であることから、エタノール、1−プロパノール、エチレングリコール等が汎用されている。また、アルコール類以外の分散媒も知られており、特許文献1には、白金系触媒に高分子電解質を均一に付着させることを目的として、分散媒として水酸基以外の極性基をもち、かつ特定の誘電率を有するものを用いることが開示されている。しかしながら、かかる有機分散媒は何れも、乾燥した白金系触媒粒子と接触させると触媒反応により発熱、燃焼する危険性があり、予め、白金系触媒粒子を水に浸漬して用いる必要があった。
また、特許文献2には、触媒膜を作製する際の有機分散媒使用に伴うかかる危険性を排除するため、分散媒として水を用い、実質的に有機分散媒を含まない分散液を使用する方法が開示されている。
しかしながら、前記した、「白金系触媒粒子の分散液に汎用に用いられるアルコール類」を分散媒に用いる方法、安全性確保のために白金系触媒粒子を水に浸漬して用いる方法、分散媒として水を用いる方法等では、塗布・乾燥後に、触媒膜にひび割れや亀裂が発生することが多く、この傾向は、触媒膜の厚さが大きくなるにつれてより顕著になるものであった。そして、このひび割れは、高分子電解質膜に食い込み、物理的なダメージ等の原因となり、結果として燃料電池の性能低下をもたらしていた。
また、上記方法で製造された白金系触媒粒子の分散液は、何れも保存安定性が悪く、分散液を調製してから、塗布・乾燥までに触媒が劣化するものが多かった。
そこで、特許文献3では、3級アルコールと誘電率20以下の有機溶媒とを主成分とする分散媒を用いれば、ひび割れ等の発生を抑制できるとしているが、危険性の問題を解決するものではなかった。
このように、白金系触媒粒子と分散媒との接触による危険性、ひび割れの有無等の塗布性、分散液の保存安定性等を満足させる「白金系触媒粒子の分散液」、すなわち、燃料電池用触媒膜形成用の塗布液は、未だ完成されておらず、更なる改善の余地があった。
本発明は上記背景技術に鑑みてなされたものであり、その課題は、分散性が良好で、白金系触媒粒子と分散媒との接触による危険性がなく、ひび割れ、はじき等の塗布性に優れ、電池性能に優れ、保存安定性等が良好な燃料電池用触媒膜形成用の塗布液を提供することにあり、またそれを用いた燃料電池用触媒膜を提供することにある。
本発明者は、上記の課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、特定の方法で白金系触媒粒子を分散させ、その後、特定の分散媒を配合することによって、上記性能について満足できるものが得られることを見出して、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、白金系触媒粒子を、高分子電解質が溶解された水中で分散処理を行い、その後、アルコール系分散媒及びエステル系分散媒を加えることを特徴とする、燃料電池用触媒膜形成用の塗布液の製造方法を提供するものである。
また本発明は、上記の「燃料電池用触媒膜形成用の塗布液の製造方法」を使用して製造されたことを特徴とする燃料電池用触媒膜形成用の塗布液を提供するものである。
また本発明は、下記(a)ないし(e)からなる組成を実質的に有することを特徴とする燃料電池用触媒膜形成用の塗布液を提供するものである。
(a)白金系触媒粒子 : 4質量%〜18質量%
(b)高分子電解質 : 2質量%〜 8質量%
(c)水 :27質量%〜67質量%
(d)tert−ブチルアルコール: 2質量%〜63質量%
(e)乳酸エチル : 1質量%〜49質量%
(a)白金系触媒粒子 : 4質量%〜18質量%
(b)高分子電解質 : 2質量%〜 8質量%
(c)水 :27質量%〜67質量%
(d)tert−ブチルアルコール: 2質量%〜63質量%
(e)乳酸エチル : 1質量%〜49質量%
また本発明は、上記の燃料電池用触媒膜形成用の塗布液を、基板上に塗布、乾燥して得られた燃料電池用触媒膜を提供するものである。
また本発明は、上記の燃料電池用触媒膜を用いた燃料電池を提供するものである。
本発明によれば、白金系触媒粒子の分散性が良好で、白金系触媒粒子と分散媒との接触による発熱反応が起きにくいため安全性が高く、ひび割れ、はじき等がなく塗布性に優れ、電池性能に影響を与えるような最大粗大粒子径が小さく、また、粘度が経時的に変化し難く保存安定性が良好な、燃料電池用触媒膜形成用の塗布液を提供することができる。
以下、本発明について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、任意に変形して実施することができる。
<白金系触媒粒子>
本発明における白金系触媒粒子とは、白金、パラジウム、ルテニウム、イリジウム、ロジウム又はオスミウムの白金族元素を含有し、水素等の燃料分子の酸化反応、又は、酸素等の還元反応を促進する触媒作用を有する粒子であれば特に限定はないが、白金系触媒又は白金合金系触媒が担持された炭素粒子であることが好ましい。
本発明における白金系触媒粒子とは、白金、パラジウム、ルテニウム、イリジウム、ロジウム又はオスミウムの白金族元素を含有し、水素等の燃料分子の酸化反応、又は、酸素等の還元反応を促進する触媒作用を有する粒子であれば特に限定はないが、白金系触媒又は白金合金系触媒が担持された炭素粒子であることが好ましい。
「白金系触媒又は白金合金系触媒が担持された炭素粒子」の製造方法は特に限定はないが、炭素粒子存在下で、白金含有塩溶液等に対して適正な還元処理を行い、触媒微粉末を炭素粒子表面に析出させる方法等が挙げられる。
これらの触媒の粒径は特に限定はないが、5〜500Åが好ましく、10〜200Åが特に好ましい。粒径が小さすぎると触媒の安定性が欠ける場合があり、粒径が大きすぎると、触媒の活性に劣る場合がある。
また、これらの触媒を担持する炭素粒子は、微粉末状で導電性を有し、触媒に犯されないものであれば特に限定はないが、カーボンブラック、グラファイト、活性炭、フラーレン、カーボンナノチューブ等の凝集体等が使用可能である。炭素粒子の体積平均粒径は、通常5nm〜5000nm、好ましくは7nm〜1000nm、特に好ましくは10nm〜500nmである。体積平均粒径が小さすぎると触媒膜を形成したときに十分な導電性が得られなかったり、作製した触媒膜が緻密になり、ガスや生成水の流路が少なくなったりする場合がある。一方、体積平均粒径が大きすぎると、有効面積が小さいため、電極の効率が低下する場合がある。なお、上記体積平均粒径は実施例記載の方法で測定したものとして定義される。
本発明においては、上記白金系触媒粒子を水中で分散処理することが必須である。触媒が担持された炭素粒子、すなわち、白金系触媒粒子の好ましい体積平均粒径は、上記のように電池性能からも決定されるが、水中で分散処理を行なうに際し、分散性からも決められる。体積平均粒径が上記範囲より小さすぎると、分散に適切な粘度範囲にならず、水への分散性が劣る場合があり、一方、大きすぎると、水への分散安定性が低下し、粗大粒子が沈降する場合がある。
<高分子電解質>
本発明においては、上記白金系触媒粒子を、高分子電解質が溶解された水中で分散処理を行う。本発明における高分子電解質は、プロトンを伝導するポリマーであればよく、特に限定はないが、ナフィオン(Nafion、デュポン社製、登録商標)に代表されるような、含フッ素ポリマーを骨格として、少なくともスルホン酸基、カルボン酸基、ホスホン酸基、リン酸基等のプロトン交換基を有するものが好ましい。また、ポリオレフィンのような炭化水素を骨格とするもの、ポリフェニルエーテルのような芳香族を骨格とするものも使用可能である。これらの高分子電解質は、1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
本発明においては、上記白金系触媒粒子を、高分子電解質が溶解された水中で分散処理を行う。本発明における高分子電解質は、プロトンを伝導するポリマーであればよく、特に限定はないが、ナフィオン(Nafion、デュポン社製、登録商標)に代表されるような、含フッ素ポリマーを骨格として、少なくともスルホン酸基、カルボン酸基、ホスホン酸基、リン酸基等のプロトン交換基を有するものが好ましい。また、ポリオレフィンのような炭化水素を骨格とするもの、ポリフェニルエーテルのような芳香族を骨格とするものも使用可能である。これらの高分子電解質は、1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
<分散方法>
白金系触媒粒子を、高分子電解質が溶解された水中で分散処理を行なう際の分散方法は特に限定はないが、具体的には、例えば、ビーズミル分散法、ボールミル分散法等のメディア分散法;超音波分散法、ロールミル分散法、高圧衝突分散法等のメディアレス分散法等が好ましい分散法として挙げられる。このうち、分散安定性、分散粘度等の点から、より好ましくはビーズミル分散法又は超音波分散法であり、特に好ましくはビーズミル分散法である。
白金系触媒粒子を、高分子電解質が溶解された水中で分散処理を行なう際の分散方法は特に限定はないが、具体的には、例えば、ビーズミル分散法、ボールミル分散法等のメディア分散法;超音波分散法、ロールミル分散法、高圧衝突分散法等のメディアレス分散法等が好ましい分散法として挙げられる。このうち、分散安定性、分散粘度等の点から、より好ましくはビーズミル分散法又は超音波分散法であり、特に好ましくはビーズミル分散法である。
ビーズミル分散法の場合、分散処理を、直径0.1mm〜2mmのビーズを用いたビーズミルで行なうことが、分散性の点から好ましい。この範囲から、白金系触媒粒子の粒径に応じて、任意にビーズ径を選択できる。
ビーズの材質は特に限定はないが、ジルコニア、シリカ、ステンレス、鋼、ガラス、チタニア、窒化ケイ素等が好ましく用いられる。特に好ましくは、ジルコニア、窒化ケイ素等である。分散時間も特に限定はなく、良好な分散が得られる時間を選べばよいが、1時間〜8時間が好ましく、3時間〜5時間が特に好ましい。
高分子電解質を分散媒である水の中に加えるのは、水に白金系触媒粒子を分散させる前後の何れでもよく、白金系触媒粒子を分散する際に同時に高分子電解質を溶解させてもよいし、高分子電解質の一部を分散媒である水の中に溶解し、白金系触媒粒子を完全に分散させた後に、又は、分散途中で、残りの高分子電解質を溶解させてもよい。白金系触媒粒子を高分子電解質で被覆させ、電極反応の効率を向上させる観点から、使用する高分子電解質の実質的にほぼ全量を水の中に加え、その後、白金系触媒粒子を分散させることが好ましい。
また、本発明においては、水中での該分散処理を、直径1mm〜2mmのビーズを用いたビーズミルで行なった後、次いで、直径0.1mm〜0.8mmのビーズを用いたビーズミルで行なうことが、白金系触媒粒子の分散性を更に高め、電池性能に影響を与えると思われる最大粗大粒子径をより小さくでき、電池性能が優れた触媒膜を与えるために特に好ましい。以下、この分散方法を「2段分散処理」といい、最初の処理を「1段目処理」といい、次の処理を「2段目処理」という。
1段目処理では、直径1mm〜2mmのビーズが用いられるが、好ましくは直径1mm〜1.5mm、特に好ましくは直径1mm〜1.2mmのビーズが用いられる。また、2段目処理では、直径0.1mm〜0.8mmのビーズが用いられるが、好ましくは直径0.1mm〜0.6mm、特に好ましくは直径0.2mm〜0.5mmのビーズが用いられる。
1段目処理の時間と2段目処理の時間の配分割合は特に限定はないが、通常10/1〜1/10、好ましくは5/1〜1/5、特に好ましくは、3/1〜1/3である。
白金系触媒粒子を水中で分散処理を行なうことによって、有機分散媒が白金系触媒粒子と接触することによる発熱、発火等の危険性が回避される。更に、分散処理においては、有機分散媒を実質的に含有していないので経時安定性が良い。また、上記分散方法を採用し、更に、その後に下記する特定の有機分散媒を加えることによって、分散液(塗布液)中に水が含有されているのにもかかわらず、分散液(塗布液)の塗布性が向上し、また、それを塗布乾燥して得られた触媒膜は高い電池性能を有する。すなわち、本発明によれば、これらの性能を、分散時から有機分散媒を含有する分散液の場合と同等に保ちつつ、危険性を回避することができる。
分散処理に際し、分散媒である水中には、危険でない範囲で少量の有機分散媒が含有されていてもよい。含有されていてもよい有機分散媒の種類は特に限定はなく、公知のものが使用できる。分散処理に際し、水中に含有されていてもよい有機分散媒は、分散媒全体に対して、60質量%以下が好ましく、25質量%以下がより好ましく、実質的に含有されていないことが特に好ましい。有機分散媒が含有されていると、又は、含有量が多すぎると、発熱反応が生じたり、触媒による酸化が原因で分散液の安定性が悪くなったりする場合がある。
<アルコール系分散媒及びエステル系分散媒>
本発明の燃料電池用触媒膜形成用の塗布液の製造方法においては、水中で分散処理を行い、その後、アルコール系分散媒及びエステル系分散媒を加えることが必須である。水中への分散処理後に、「アルコール系分散媒及びエステル系分散媒」を加えればその配合時期は特に限定はないが、塗布直前に「アルコール系分散媒及びエステル系分散媒」を加えることが好ましい。そうすることによって、有機分散媒のみを用いた塗布液と同等の塗布性を与えることができる。
本発明の燃料電池用触媒膜形成用の塗布液の製造方法においては、水中で分散処理を行い、その後、アルコール系分散媒及びエステル系分散媒を加えることが必須である。水中への分散処理後に、「アルコール系分散媒及びエステル系分散媒」を加えればその配合時期は特に限定はないが、塗布直前に「アルコール系分散媒及びエステル系分散媒」を加えることが好ましい。そうすることによって、有機分散媒のみを用いた塗布液と同等の塗布性を与えることができる。
加える有機分散媒は、「アルコール系分散媒及びエステル系分散媒」であることが必須である。それ以外の分散媒又はそれ以外の分散媒の組み合わせだと、塗布性が悪化したり、高分子電解質の溶解性が悪くなってゲル化したりする場合がある。また、エステル系分散媒だけだと、固体高分子型燃料電池の触媒膜形成に用いられる高分子電解質との関係において、分散液(塗布液)の粘度が小さくなりすぎ、乾燥時にひび割れが生じる場合がある。一方、アルコール系分散媒だけだと、高分子電解質の分散媒への溶解性が低下し、凝集やゲル化が生じ、塗布液の流動性が低下する場合がある。
[アルコール系分散媒]
アルコール系分散媒としては、具体的には、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール等の1価のアルコール類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール等の2価のアルコール等が挙げられる。
アルコール系分散媒としては、具体的には、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール等の1価のアルコール類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール等の2価のアルコール等が挙げられる。
このうち、tert−ブチルアルコール、tert−ペンチルアルコール等の3級アルコールが、白金系触媒による酸化を受け難いため、分散液(塗布液)作製時の安全性や経時安定性が確保される点で好ましく、tert−ブチルアルコールが、より毒性が低い等の点で特に好ましい。
[エステル系分散媒]
また、エステル系分散媒としては、具体的には、例えば、乳酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸等のカルボン酸と炭素数1〜5個の1価のアルコールが反応した形のエステル類が好ましいものとして挙げられる。
また、エステル系分散媒としては、具体的には、例えば、乳酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸等のカルボン酸と炭素数1〜5個の1価のアルコールが反応した形のエステル類が好ましいものとして挙げられる。
このうち、乳酸エチルが、水への溶解性、沸点、蒸発速度、高分子電解質の溶解性等の点で特に好ましい。
アルコール系分散媒及びエステル系分散媒は、それぞれ1種又は2種以上を混合して用いられる。また、本発明において、水中で分散処理をした後に加える分散媒としては、「アルコール系分散媒やエステル系分散媒」以外の分散媒の含有を排除するものではなく、本発明の範囲内で含有させることができるが、「水中で分散処理をした後に加える分散媒」全体に対して、通常5質量%以下、好ましくは1質量%以下であり、特に好ましくは0質量%すなわち含有させないことである。「アルコール系分散媒やエステル系分散媒」以外の分散媒が含有されていると、又は、多すぎると、前記した「アルコール系分散媒及びエステル系分散媒」の効果が得られない場合がある。
<含有量>
本発明の製造方法を使用して製造された、白金系触媒粒子の分散液、すなわち、燃料電池用触媒膜形成用の塗布液中の各成分の含有量は特に限定はないが、分散液(塗布液)全体に対して、
(a)白金系触媒粒子 : 4質量%〜18質量%
(b)高分子電解質 : 2質量%〜 8質量%
(c)水 :27質量%〜67質量%
(d)アルコール系分散媒: 2質量%〜63質量%
(e)エステル系分散媒 : 1質量%〜49質量%
が好ましく、
(a)白金系触媒粒子 : 6質量%〜13質量%
(b)高分子電解質 : 3質量%〜 6質量%
(c)水 :49質量%〜64質量%
(d)アルコール系分散媒: 6質量%〜30質量%
(e)エステル系分散媒 : 9質量%〜15質量%
がより好ましく、
(a)白金系触媒粒子 :10質量%〜11質量%
(b)高分子電解質 : 4質量%〜 5質量%
(c)水 :59質量%〜64質量%
(d)アルコール系分散媒: 8質量%〜15質量%
(e)エステル系分散媒 :11質量%〜12質量%
が特に好ましい。
本発明の製造方法を使用して製造された、白金系触媒粒子の分散液、すなわち、燃料電池用触媒膜形成用の塗布液中の各成分の含有量は特に限定はないが、分散液(塗布液)全体に対して、
(a)白金系触媒粒子 : 4質量%〜18質量%
(b)高分子電解質 : 2質量%〜 8質量%
(c)水 :27質量%〜67質量%
(d)アルコール系分散媒: 2質量%〜63質量%
(e)エステル系分散媒 : 1質量%〜49質量%
が好ましく、
(a)白金系触媒粒子 : 6質量%〜13質量%
(b)高分子電解質 : 3質量%〜 6質量%
(c)水 :49質量%〜64質量%
(d)アルコール系分散媒: 6質量%〜30質量%
(e)エステル系分散媒 : 9質量%〜15質量%
がより好ましく、
(a)白金系触媒粒子 :10質量%〜11質量%
(b)高分子電解質 : 4質量%〜 5質量%
(c)水 :59質量%〜64質量%
(d)アルコール系分散媒: 8質量%〜15質量%
(e)エステル系分散媒 :11質量%〜12質量%
が特に好ましい。
白金系触媒粒子の含有量が多すぎる場合は、塗布性が良好な塗布液ができなかったり、コスト的に問題が生じる場合があり、少なすぎると、導電性が不足したり、酸化還元の反応効率が低下したりする場合がある。高分子電解質の含有量が多すぎる場合は、粘度が高くなりすぎて塗布性が良好な塗布液ができなかったり、触媒層の気体拡散性が悪くなったりする場合があり、一方、少なすぎると、触媒膜のプロトン伝導性が不足する場合がある。また、白金系触媒粒子に対して高分子電解質が多すぎる場合は、白金系触媒粒子が高分子電解質によって被覆され過ぎ、触媒活性が低下する場合があり、少なすぎる場合は、結着剤として作用せず、造膜性が低下して触媒膜の形成が困難になる場合がある。
また、分散媒全体に対する水の量が少なすぎる場合は、分散処理中に分散液の粘度が高くなり過ぎる場合があり、一方、多すぎると、高分子電解質の水への溶解度が低いため、分散液中での電解質の安定性が悪くなり、系が不均一になる場合がある。
また、分散媒全体に対するアルコール系分散媒の量が少なすぎる場合は、固形分の量の割には粘度を高くすることができず、塗布性が悪化したり、ひび割れが生じたりする場合があり、一方、多すぎると、高分子電解質の溶解性が劣り、初期粘度が高くなり、塗布面にむらが生じる場合がある。
また、分散媒全体に対するエステル系分散媒の量が少なすぎる場合は、高分子電解質が十分に溶解しないため、塗布性が悪化する場合があり、一方、多すぎると、水と共沸し難いため、触媒膜中に残留し、電極の性能を低下させる場合がある。
上記した「燃料電池用触媒膜形成用の塗布液の製造方法」を使用して製造された、白金系触媒粒子の分散液、すなわち、燃料電池用触媒膜形成用の塗布液は、危険性がなく、ひび割れ、はじき等がなく塗布性に優れ、電池性能に優れ、保存安定性が良好である。
また、下記(a)ないし(e)からなる組成を実質的に有する燃料電池用触媒膜形成用の塗布液
(a)白金系触媒粒子 : 4質量%〜18質量%
(b)高分子電解質 : 2質量%〜 8質量%
(c)水 :27質量%〜67質量%
(d)tert−ブチルアルコール: 2質量%〜63質量%
(e)乳酸エチル : 1質量%〜49質量%
が特に好ましく、
(a)白金系触媒粒子 :10質量%〜11質量%
(b)高分子電解質 : 4質量%〜 5質量%
(c)水 :59質量%〜64質量%
(d)tert−ブチルアルコール: 8質量%〜15質量%
(e)乳酸エチル :11質量%〜12質量%
が更に好ましい。前記した通り、かかる組成の「燃料電池用触媒膜形成用の塗布液」は、本発明の製造方法によってしか性能を満足するものができないので、従って必然的に、かかる組成自体も「燃料電池用触媒膜形成用の塗布液」としては従来知られていない新規な組成であるはずである。
(a)白金系触媒粒子 : 4質量%〜18質量%
(b)高分子電解質 : 2質量%〜 8質量%
(c)水 :27質量%〜67質量%
(d)tert−ブチルアルコール: 2質量%〜63質量%
(e)乳酸エチル : 1質量%〜49質量%
が特に好ましく、
(a)白金系触媒粒子 :10質量%〜11質量%
(b)高分子電解質 : 4質量%〜 5質量%
(c)水 :59質量%〜64質量%
(d)tert−ブチルアルコール: 8質量%〜15質量%
(e)乳酸エチル :11質量%〜12質量%
が更に好ましい。前記した通り、かかる組成の「燃料電池用触媒膜形成用の塗布液」は、本発明の製造方法によってしか性能を満足するものができないので、従って必然的に、かかる組成自体も「燃料電池用触媒膜形成用の塗布液」としては従来知られていない新規な組成であるはずである。
<塗布液の物性>
上記組成の分散液(塗布液)であって、危険性がなく、塗布性に優れ、電池性能に優れ、保存安定性が良好なものは、本発明の製造方法によって始めて実現した。
上記組成の分散液(塗布液)であって、危険性がなく、塗布性に優れ、電池性能に優れ、保存安定性が良好なものは、本発明の製造方法によって始めて実現した。
本発明の製造方法で製造された「燃料電池用触媒膜形成用の塗布液」の粘度は、特に限定はないが、レオメーター粘度計による測定値で、50cp(センチポイズ)[mPa・s]〜5000cp[mPa・s]が好ましく、500cp[mPa・s]〜3000cp[mPa・s]が特に好ましい。すなわち、ペースト状のものが、本発明の効果が得られやすいため特に好ましい。
<燃料電池用触媒膜>
上記塗布液を塗布・乾燥して得られた燃料電池用触媒膜の膜厚は特に限定はないが、5μm〜50μmが好ましく、5μm〜20μmが特に好ましい。
上記塗布液を塗布・乾燥して得られた燃料電池用触媒膜の膜厚は特に限定はないが、5μm〜50μmが好ましく、5μm〜20μmが特に好ましい。
分散液(塗布液)を塗布する方法としては特に限定されず、ダイコータ、ナイフコータ、バーコータ、ロールコータ、スクリーン印刷、グラビア印刷等の一般的な方法が適用できる。塗布された分散液から水及び有機分散媒を除去する方法としては、加熱等により蒸発させる方法、高分子電解質の貧溶媒に浸漬して析出させる方法等が例示できる。
本発明の上記塗布液を基板上に塗布、乾燥して得られた燃料電池用触媒膜は、ひび割れ、はじき等がなく均一な膜であり、また、電池性能にも優れている。
<燃料電池>
固体高分子型燃料電池の基本構成は、高分子電解質膜をアノード極及びカソード極としての燃料電池用触媒膜で狭持した膜−電極接合体を、更に拡散層、セパレータ等で狭持した構造が一般的である。高分子電解質膜の両面に触媒膜を形成し、導電性の多孔体膜からなる燃料ガス供給層と空気供給層でこれを挟み込む形で積層されたものである。この燃料電池の発電能力に影響を与える最も重要な因子の1つは触媒膜である。本発明の製造方法で製造された塗布液中の白金系触媒粒子は、電池性能に影響を与えるような最大粗大粒子径が小さく、その塗布液を用いて調製された燃料電池用触媒膜を有する燃料電池は、触媒膜の優れた塗布性が電池性能にも直接影響するので、種々の電池性能にも優れている。
固体高分子型燃料電池の基本構成は、高分子電解質膜をアノード極及びカソード極としての燃料電池用触媒膜で狭持した膜−電極接合体を、更に拡散層、セパレータ等で狭持した構造が一般的である。高分子電解質膜の両面に触媒膜を形成し、導電性の多孔体膜からなる燃料ガス供給層と空気供給層でこれを挟み込む形で積層されたものである。この燃料電池の発電能力に影響を与える最も重要な因子の1つは触媒膜である。本発明の製造方法で製造された塗布液中の白金系触媒粒子は、電池性能に影響を与えるような最大粗大粒子径が小さく、その塗布液を用いて調製された燃料電池用触媒膜を有する燃料電池は、触媒膜の優れた塗布性が電池性能にも直接影響するので、種々の電池性能にも優れている。
以下に、実施例及び比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限りこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例1
水33.77g中に、50質量%白金が担持された炭素粒子を14.29g、Nafion DE1020(デュポン社製、登録商標)(含フッ素系高分子電解質が水に溶解されたもの)を51.95g加え、φ1.2mmのジルコニアビーズを用い、ペイントシェーカーで2時間、ビーズミル分散処理を施して、水中分散液を調製した。発熱は全く見られず安全性が確認された。得られた水中分散液に含まれる白金系触媒粒子の体積平均粒径は531nmであった。
水33.77g中に、50質量%白金が担持された炭素粒子を14.29g、Nafion DE1020(デュポン社製、登録商標)(含フッ素系高分子電解質が水に溶解されたもの)を51.95g加え、φ1.2mmのジルコニアビーズを用い、ペイントシェーカーで2時間、ビーズミル分散処理を施して、水中分散液を調製した。発熱は全く見られず安全性が確認された。得られた水中分散液に含まれる白金系触媒粒子の体積平均粒径は531nmであった。
なお、本発明において、体積平均粒径は、堀場製作所製LA−910(レーザー回折散乱式)を用いて、装置付属の測定説明書に従って、バッチ式で測定し、そのように測定した値として定義する。
上記水中分散液100gに対して、乳酸エチルを15g、tert−ブチルアルコールを15g添加し、燃料電池用触媒膜形成用の塗布液を調製し、基材上に白金系触媒質量が0.4mg/cm2となるように調整して塗布・乾燥して触媒膜を形成した。
上記触媒膜は、ひび割れ、ピンホール、はじき等がなく塗布性に優れていた。また、電池性能に影響を与えるような最大粗大粒子径をSEM(日立超高分解能電界放出型走査顕微鏡S−4800)を用いて測定したところ、3μmであった。また、上記塗布液を、25℃で3時間静置したが、分散性、粘度等に経時変化が少なく、保存安定性も良好であった。
実施例2
実施例1において、tert−ブチルアルコールを150g添加した以外は、実施例1と同様に塗布液を調製し、触媒膜を形成した。発熱はなく安全性に問題はなかった。
実施例1において、tert−ブチルアルコールを150g添加した以外は、実施例1と同様に塗布液を調製し、触媒膜を形成した。発熱はなく安全性に問題はなかった。
上記触媒膜は、ひび割れ、ピンホール、はじき等がなく塗布性に優れ、上記SEMを用いて測定した最大粗大粒子径は3μmであった。また、上記塗布液を、25℃で3時間静置したが、分散性、粘度等に経時変化がなく、保存安定性も良好であった。
実施例3
実施例1において、tert−ブチルアルコールに代えて、n−ブタノールを7g添加した以外は、実施例1と同様に塗布液を調製し、触媒膜を形成した。発熱はなく安全性に問題はなかった。
実施例1において、tert−ブチルアルコールに代えて、n−ブタノールを7g添加した以外は、実施例1と同様に塗布液を調製し、触媒膜を形成した。発熱はなく安全性に問題はなかった。
上記触媒膜は塗布性に優れ、上記SEMを用いて測定した最大粗大粒子径は3μmであった。tert−ブチルアルコールを用いた実施例1、実施例2と比較すれば、粘度等に経時変化がややあったが、保存安定性は良好であった。
比較例1
実施例1で得られた水中分散液に対して、tert−ブチルアルコールも乳酸エチルも添加せずに、水中分散液そのものを、実施例1と同様に塗布乾燥して触媒膜を形成したが、ひび割れとはじきが発生し塗布性が劣っており、また、容易に基板から剥離してしまった。
実施例1で得られた水中分散液に対して、tert−ブチルアルコールも乳酸エチルも添加せずに、水中分散液そのものを、実施例1と同様に塗布乾燥して触媒膜を形成したが、ひび割れとはじきが発生し塗布性が劣っており、また、容易に基板から剥離してしまった。
比較例2
実施例1において、分散処理をする際に全ての分散媒を実施例1と同量用い、その他は実施例1と同様にして分散液(塗布液)を調製した。すなわち、水33.77g、乳酸エチル15g及びtert−ブチルアルコール15g中に、50質量%白金が担持された炭素粒子を14.29g、Nafion DE1020(デュポン社製、登録商標)を51.95g加え、φ1.2mmのジルコニアビーズを用い、ペイントシェーカーで2時間分散処理を施して、分散液(塗布液)を調製した。
実施例1において、分散処理をする際に全ての分散媒を実施例1と同量用い、その他は実施例1と同様にして分散液(塗布液)を調製した。すなわち、水33.77g、乳酸エチル15g及びtert−ブチルアルコール15g中に、50質量%白金が担持された炭素粒子を14.29g、Nafion DE1020(デュポン社製、登録商標)を51.95g加え、φ1.2mmのジルコニアビーズを用い、ペイントシェーカーで2時間分散処理を施して、分散液(塗布液)を調製した。
上記分散液(塗布液)を用いて、実施例1と同様にして触媒膜を形成したが、分散液(塗布液)作製直後から粘度が低下し、劣化が速かった。
比較例3
実施例1及び実施例2において、tert−ブチルアルコールを用いない以外は、実施例1及び実施例2と同様にして塗布液を調製し、触媒膜を形成した。分散時の安全性に問題はなかったが、上記触媒膜は、ひび割れとピンホールが発生し、塗布性に劣っていた。
実施例1及び実施例2において、tert−ブチルアルコールを用いない以外は、実施例1及び実施例2と同様にして塗布液を調製し、触媒膜を形成した。分散時の安全性に問題はなかったが、上記触媒膜は、ひび割れとピンホールが発生し、塗布性に劣っていた。
比較例4
実施例1において、乳酸エチルを用いない以外は、実施例1と同様にして塗布液を調製し、触媒膜を形成した。分散時の安全性に問題はなかったが、分散液(塗布液)は、塗布に適した粘度範囲にならず、乾燥時に対流が生じて触媒膜には塗布ムラが発生した。
実施例1において、乳酸エチルを用いない以外は、実施例1と同様にして塗布液を調製し、触媒膜を形成した。分散時の安全性に問題はなかったが、分散液(塗布液)は、塗布に適した粘度範囲にならず、乾燥時に対流が生じて触媒膜には塗布ムラが発生した。
比較例5
水20g及び乳酸エチル50.95g中に、50質量%白金が担持された炭素粒子を10g、Nafion DE2020(デュポン社製、登録商標)(含フッ素系高分子電解質が、水とn−プロパノールに溶解されたもの)を19.05g加え、φ1.2mmのジルコニアビーズを用い、ペイントシェーカーで2時間分散処理を施して、分散液(塗布液)を調製した。
水20g及び乳酸エチル50.95g中に、50質量%白金が担持された炭素粒子を10g、Nafion DE2020(デュポン社製、登録商標)(含フッ素系高分子電解質が、水とn−プロパノールに溶解されたもの)を19.05g加え、φ1.2mmのジルコニアビーズを用い、ペイントシェーカーで2時間分散処理を施して、分散液(塗布液)を調製した。
実施例1と同様に、基材上に白金系触媒質量が0.4mg/cm2になるように調整して塗布・乾燥して触媒膜を形成した。上記触媒膜は、ひび割れ、ピンホール、はじき等がなく塗布性に優れてはいたが、上記分散液(塗布液)を、実施例1と同様に、25℃で3時間静置したところ、粘度が低くなったことが確認され、保存安定性が劣っていた。
実施例4
実施例1において、φ1.2mmのジルコニアビーズを用い、ペイントシェーカーで2時間、ビーズミル分散処理を施した(1段目処理)後、更に、φ0.3mmのジルコニアビーズを用い、ペイントシェーカーで2時間、ビーズミル分散処理(2段目処理)を施して、水中分散液を調製した以外は、実施例1と同様に塗布液を調製し、同様に触媒膜を形成した。
実施例1において、φ1.2mmのジルコニアビーズを用い、ペイントシェーカーで2時間、ビーズミル分散処理を施した(1段目処理)後、更に、φ0.3mmのジルコニアビーズを用い、ペイントシェーカーで2時間、ビーズミル分散処理(2段目処理)を施して、水中分散液を調製した以外は、実施例1と同様に塗布液を調製し、同様に触媒膜を形成した。
得られた水中分散液に含まれる白金系触媒粒子の体積平均粒径は443nmであった。また、上記SEMを用いて測定した最大粗大粒子径は1μmであり、実施例1と比較して更に小さくなっていた。また、上記塗布液を、25℃で3時間静置したが、分散性、粘度等に経時変化が少なく、保存安定性も良好であった。
従って、本発明の製造方法を用いて得られた塗布液(分散液)は、分散性や保存安定性(経時安定性)が良好で、作製時の安全性が高く、電池性能に関しても、溶剤を主成分とする分散媒中で分散処理を施した塗布液(分散液)(ただしこれは保存安定性や安全性が低い)から得られる触媒膜と同等以上の性能を持つ触媒膜を与えることができる。
本発明の製造方法を用いて得られた「燃料電池用触媒膜形成用の塗布液」は、分散性が良好で、保存安定性が良好で、安全性が高く、塗布性に優れ、電池性能も優れているため、固体高分子型燃料電池に用いられる触媒膜形成用に広く利用されるものである。
Claims (12)
- 白金系触媒粒子を、高分子電解質が溶解された水中で分散処理を行い、その後、アルコール系分散媒及びエステル系分散媒を加えることを特徴とする、燃料電池用触媒膜形成用の塗布液の製造方法。
- 該分散処理を、直径0.1mm〜2mmのビーズを用いたビーズミルで行なう請求項1記載の燃料電池用触媒膜形成用の塗布液の製造方法。
- 該分散処理を、直径1mm〜2mmのビーズを用いたビーズミルで行なった後、直径0.1mm〜0.8mmのビーズを用いたビーズミルで行なう請求項1又は請求項2記載の燃料電池用触媒膜形成用の塗布液の製造方法。
- 該アルコール系分散媒が3級アルコール類である請求項1ないし請求項3の何れかの請求項記載の燃料電池用触媒膜形成用の塗布液の製造方法。
- 該3級アルコール類がtert−ブチルアルコールである請求項4記載の燃料電池用触媒膜形成用の塗布液の製造方法。
- 該エステル系分散媒が乳酸エチルである請求項1ないし請求項5の何れかの請求項記載の燃料電池用触媒膜形成用の塗布液の製造方法。
- 該白金系触媒粒子が、白金系触媒又は白金合金系触媒が担持された炭素粒子である請求項1ないし請求項6の何れかの請求項記載の燃料電池用触媒膜形成用の塗布液の製造方法。
- 請求項1ないし請求項7の何れかの請求項記載の燃料電池用触媒膜形成用の塗布液の製造方法を使用して製造されたことを特徴とする燃料電池用触媒膜形成用の塗布液。
- 下記(a)ないし(e)からなる組成を実質的に有することを特徴とする燃料電池用触媒膜形成用の塗布液。
(a)白金系触媒粒子 : 4質量%〜18質量%
(b)高分子電解質 : 2質量%〜 8質量%
(c)水 :27質量%〜67質量%
(d)tert−ブチルアルコール: 2質量%〜63質量%
(e)乳酸エチル : 1質量%〜49質量% - 請求項8又は請求項9記載の燃料電池用触媒膜形成用の塗布液を基板上に塗布、乾燥して得られた燃料電池用触媒膜。
- 請求項10記載の燃料電池用触媒膜を有する燃料電池用電極。
- 請求項11記載の燃料電池用電極を用いた燃料電池。
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JP2010205657A (ja) * | 2009-03-05 | 2010-09-16 | Toppan Printing Co Ltd | 膜電極接合体及びその製造方法並びに固体高分子形燃料電池 |
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2007
- 2007-07-09 JP JP2007180242A patent/JP2009016316A/ja active Pending
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