JP2010086674A - 燃料電池用触媒層を形成するためのインクジェット用インキ、燃料電池用触媒層及びその製造方法並びに触媒層−電解質膜積層体 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、厚さが均一で、クラックの発生が少なく、かつ適度な空隙を有する触媒層を容易に、簡便に、安定して形成させることができるインクジェット用インキを提供することを課題とする。
【解決手段】本発明のインクジェット用インキは、触媒粒子、イオン伝導性高分子電解質、ノニオン系界面活性剤及び溶剤を含有する、燃料電池用触媒層を形成するためのインクジェット用インキであって、前記溶剤は水及びアルコール系溶剤からなる群から選ばれた少なくとも1種であり、インキの粘度は20mPa・s以下である。
【選択図】なし
【解決手段】本発明のインクジェット用インキは、触媒粒子、イオン伝導性高分子電解質、ノニオン系界面活性剤及び溶剤を含有する、燃料電池用触媒層を形成するためのインクジェット用インキであって、前記溶剤は水及びアルコール系溶剤からなる群から選ばれた少なくとも1種であり、インキの粘度は20mPa・s以下である。
【選択図】なし
Description
本発明は、燃料電池用触媒層を形成するためのインクジェット用インキ、燃料電池用触媒層及びその製造方法並びに触媒層−電解質膜積層体に関する。
燃料電池は、電解質膜の両面に触媒層を配置し、水素と酸素との電気化学反応により発電するシステムである。発電時に発生するのは水のみであり、従来の内燃機関と異なり、二酸化炭素等の環境負荷ガスを発生しない為、次世代のクリーンエネルギーシステムとして注目されている。
固体高分子形燃料電池は、電解質膜としてイオン伝導性電解質膜を用いて、その両面に触媒層及び電極基材を順次積層し、更にセパレータで挟まれた構造をしている。
このうち特に触媒層は電池反応の中心的役割を果たすものであるため、高性能化が盛んに進められている。
電解質膜上に触媒層を形成させる方法として、(1)転写法・デカール法及び(2)直接塗工法が知られている。
本発明は、後者の直接塗工法において使用される、燃料電池用触媒層を形成するためのインクジェット用インキに関するものである。
直接塗工法において使用される燃料電池用触媒層を形成するためのインキとしては、例えば、特許文献1に記載のものが知られている。
しかしながら、特許文献1に記載のインキを、インクジェットを用いてイオン伝導性電解質膜上に塗布しようとすると、吐出口でインキが乾燥して固着し、そのため、安定した塗布ができなくなり、触媒層の膜厚のバラツキが大きくなるという欠点がある。
特開2003−208903
本発明は、上記欠点のない燃料電池用触媒層を形成するためのインクジェット用インキを提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねてきた。その結果、触媒粒子、イオン伝導性高分子電解質、ノニオン系界面活性剤及び溶剤を含有するインキ組成物において、溶剤として特定の溶剤を使用し、且つインキの粘度を特定の範囲に調整することにより、上記欠点のない所望のインクジェット用インキが得られることを見い出した。本発明は、このような知見に基づいて完成されたものである。
本発明は、下記項1〜項7に示す燃料電池用触媒層を形成するためのインクジェット用インキ、燃料電池用触媒層及びその製造方法、触媒層−電解質膜積層体並びに燃料電池を提供する。
項1.触媒粒子、イオン伝導性高分子電解質、ノニオン系界面活性剤及び溶剤を含有する、燃料電池用触媒層を形成するためのインクジェット用インキであって、前記溶剤は、水及びアルコール系溶剤からなる群から選ばれた少なくとも1種であり、インキの粘度が20mPa・s以下である、インクジェット用インキ。
項2.イオン伝導性高分子電解質を触媒粒子に対して100重量%以下の割合で含有する、項1に記載のインキ。
項3.導電性炭素繊維を更に含有する、項1又は項2に記載のインキ。
項4.項1〜3のいずれかに記載のインクジェット用インキを用いて製造された燃料電池用触媒層。
項5.項4に記載の触媒層がイオン伝導性電解質膜上に形成されてなる触媒層−電解質膜積層体。
項6.項5に記載の触媒層−電解質膜積層体を用いた燃料電池。
項7.項1〜3のいずれかに記載のインクジェット用インキを被塗布物に塗布し、大気圧下で乾燥することにより、被塗布物上に触媒層を形成させる工程を備える、触媒層の製造方法。
項1.触媒粒子、イオン伝導性高分子電解質、ノニオン系界面活性剤及び溶剤を含有する、燃料電池用触媒層を形成するためのインクジェット用インキであって、前記溶剤は、水及びアルコール系溶剤からなる群から選ばれた少なくとも1種であり、インキの粘度が20mPa・s以下である、インクジェット用インキ。
項2.イオン伝導性高分子電解質を触媒粒子に対して100重量%以下の割合で含有する、項1に記載のインキ。
項3.導電性炭素繊維を更に含有する、項1又は項2に記載のインキ。
項4.項1〜3のいずれかに記載のインクジェット用インキを用いて製造された燃料電池用触媒層。
項5.項4に記載の触媒層がイオン伝導性電解質膜上に形成されてなる触媒層−電解質膜積層体。
項6.項5に記載の触媒層−電解質膜積層体を用いた燃料電池。
項7.項1〜3のいずれかに記載のインクジェット用インキを被塗布物に塗布し、大気圧下で乾燥することにより、被塗布物上に触媒層を形成させる工程を備える、触媒層の製造方法。
インクジェット用インキ
本発明のインクジェット用インキは、例えば、触媒粒子、イオン伝導性高分子電解質、ノニオン系界面活性剤及び溶剤を含有する。
本発明のインクジェット用インキは、例えば、触媒粒子、イオン伝導性高分子電解質、ノニオン系界面活性剤及び溶剤を含有する。
触媒粒子は、公知又は市販のものを使用することができ、燃料電池のアノード又はカソードにおける燃料電池反応を起こさせるものであれば特に限定されない。触媒粒子としては、例えば、白金、白金合金、非白金系金属化合物等が挙げられる。白金合金としては、例えば、ルテニウム、パラジウム、ニッケル、モリブデン、イリジウム、鉄等からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属と白金との合金等が挙げられる。一般的に、カソード用触媒層として用いられる場合の触媒粒子は白金、アノード用触媒層として用いられる場合の触媒粒子は上述した合金である。非白金系金属化合物における金属元素としては、例えば、スカンジウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、アルミニウム、ケイ素、ガリウム、ゲルマニウム、イットリウム、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、タングステン、銀、インジウム、スズ、ビスマス、ランタン、サマリウム、セリウム等を挙げることができる。
また、触媒粒子は、触媒微粒子が炭素粉に担持された、いわゆる触媒担持炭素粉であってもよい。触媒担持炭素粉の平均粒子径は、通常10〜100nm程度、好ましくは20〜80nm程度、最も好ましくは40〜50nm程度である。触媒担持炭素粉を構成する炭素粒子は特に制限されず、例えば、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、ランプブラック等のカーボンブラック、黒鉛、活性炭、カーボン繊維、カーボンナノチューブ等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上併用してもよい。
イオン伝導性電解質は、水素イオン伝導性のものであればよく、公知又は市販のものを使用することができる。例えば、パーフルオロスルホン酸系のフッ素イオン交換樹脂等が挙げられる。また、電気陰性度の高いフッ素原子を導入することにより、化学的に非常に安定し、スルホン酸基の乖離度が高く、良好な水素イオン伝導性が実現できる。このような水素イオン伝導性電解質の具体例としては、例えば、デュポン社製の「Nafion」、旭硝子(株)製の「Flemion」、旭化成(株)製の「Aciplex」、ゴア(Gore)社製の「Gore Select」等が挙げられる。また、炭化水素系イオン伝導性電解質としては、アルドリッチ社のスルホン化(ポリスチレン−ブロック−ポリ(エチレン−ran−ブチレン)−block−ポリスチレン)等が挙げられる。
なお、「−ran−」はランダム型のコポリマー(共重合体)の命名に用いられる接続記号であって、例えば、モノマーAとモノマーBとからなるランダム型のコポリマーに対して「poly-(A−ran−B)」と表記する。同様に「−block−」はブロック型のコポリマーを示す接続記号である。
ノニオン系界面活性剤としては、公知のものを広く使用できる。ノニオン系界面活性剤とは、水溶液中でイオン解離する基を有しない分散剤を意味する。このようなノニオン系界面活性剤の中でも、次に例示するような高分子界面活性剤(高分子分散剤)が好ましい。
高分子界面活性剤の具体例を示せば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類;ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類;ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート等のポリエチレングリコールジエステル類;ソルビタン脂肪酸エステル類;脂肪酸変性ポリエステル類等が挙げられる。
また、シリコーン系界面活性剤及びフッ素系界面活性剤の中でも、ノニオン系のものを使用することもできる。
このようなシリコーン系界面活性剤としては、例えば、シリコ−ンをポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド等で親水変成したもの等が挙げられる。
また、フッ素系界面活性剤としては、例えば、パーフルオロブチルスルホン酸塩、パーフルオロアルキル基含有カルボン酸塩、パーフルオロアルキル基含有トリメチルアンモニウム塩、パーフルオロアルキル基含有リン酸エステル、パーフルオロアルキルエチレンオキシド付加物、パーフルオロアルキル基含有オリゴマー等であって、ノニオン系のものが挙げられる。
ノニオン系界面活性剤を使用することにより、導電性である炭素粒子との凝集を効果的に防止できる。また、濡れ性を高めることができるため、より少ない添加量で、分散性等の界面活性剤としての効果を十分に発揮できる。
本発明で使用される溶剤は、水及びアルコール系溶剤である。アルコール系溶剤としては、低沸点のもの、例えば、沸点が120℃未満のアルコールをいずれも使用でき、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、t−ブタノール等が挙げられ、これらの中でも、水との相溶性の観点から、2−プロパノールが好適である。
本発明において、上記溶剤は、1種単独で又は2種以上混合して使用される。
本発明のインクジェット用インキは、インキの粘度が20mPa・s以下であることを必須としている。インキの粘度が15mPa・s以下であるのが好ましい。また、インキの粘度は1mPa・s以上であるのが好ましい。インキの粘度が上記範囲であると、インクジェットヘッドからの吐出性が一段と良好になり、所望の触媒層を効率よく製造することができる。
本発明のインクジェット用インキ中に含まれる上記触媒粒子、イオン伝導性電解質、ノニオン系界面活性剤及び溶剤の割合は、得られるインキの粘度が上記範囲内に調整される限り、特に限定されるものではなく、広い範囲内で適宜選択できる。
例えば、触媒粒子1重量部(触媒担持炭素粉の場合は、当該触媒担持炭素粉1重量部)に対して、イオン伝導性電解質が0.1〜1重量部(好ましくは0.2〜0.8重量部)程度含まれていればよい。
溶剤は、インクジェット用インキの固形分比率が1〜30重量%(好ましくは5〜20重量%)になるような割合で配合される。
ノニオン系界面活性剤は、全インキ量に対して0.1〜10重量%(好ましくは0.5〜5重量%)程度含まれればよい。
本発明のインクジェット用インキは、必要に応じて、さらに導電性炭素繊維を含有していてもよい。これにより、固体電解質膜上に形成される触媒層のクラックの発生が抑えられ、電解質膜への定着性が一段と向上し、且つ導電性が向上するメリットがある。
導電性炭素繊維としては、例えば、気相成長法炭素繊維(VGCF)、カーボンナノチューブ、ワイヤーカップ、ワイヤーウォール等が挙げられる。
繊維径は限定的でなく、平均繊維径50〜400nm(好ましくは100〜250nm)程度とすればよく、平均繊維長も限定的でなく5〜50μm(好ましくは10〜20μm)程度とすれよい。アスペクト比は、およそ10〜500が好ましい。
導電性炭素繊維の含有量は、本発明インクジェット用インキ中に、通常0.1〜20重量%(好ましくは1〜10重量%)である。
本発明のインクジェット用インキは、上記触媒粒子、イオン伝導性電解質、ノニオン系界面活性剤及び溶剤を混合することにより、製造される。上記触媒粒子、イオン伝導性電解質、ノニオン系界面活性剤及び溶剤の混合順序は、特に制限されない。例えば、上記触媒粒子、イオン伝導性電解質、ノニオン系界面活性剤及び溶剤を順次又は同時に混合し、触媒粒子を分散させることにより、インクジェット用インキを調製できる。
なお、本発明のインクジェット用インキには、本発明の効果を阻害しない程度であれば、その他の公知の添加剤(例えば、炭素繊維等)等を適宜配合することができる。
触媒層の製造方法
本発明の触媒層は、例えば、本発明インクジェット用インキを被塗布物に塗布し、大気圧下で乾燥することにより、被塗布物上に触媒層を形成させることにより製造される。
本発明の触媒層は、例えば、本発明インクジェット用インキを被塗布物に塗布し、大気圧下で乾燥することにより、被塗布物上に触媒層を形成させることにより製造される。
本発明インクジェット用インキを被塗布物に塗布するに当たっては、インクジェット方式により本発明インキを所望の層厚となるように被塗布物に吹き付ければよい。インキ吹き付けの条件は、特に限定されない。
被塗布物としては、例えば、イオン伝導性電解質膜、導電性多孔質基材、転写基材等を挙げることができる。
被塗布物に塗布されたインキの乾燥は、大気圧下に行われる。本発明では、乾燥を大気圧下で行うだけで、適度な乾燥速度となり、乾燥中において、触媒層が適度な空隙を構成するように触媒粒子を配列させることができる。この結果、クラックの発生及び触媒層中の空隙の閉塞が抑制された、優れた電池性能を発揮する触媒層を製造できる。また、この工程は、特殊な装置及び複雑な工程を必要としない。
斯かるインクジェット用インキを塗布し、乾燥する工程を経ることにより、被塗布物上(例えば、イオン伝導性電解質膜上)に触媒層が形成される。触媒層の膜厚を厚くしようとすれば、塗布及び乾燥を繰り返して行えばよく、これにより所望の厚さを有する触媒層の形成が可能になる。
乾燥時間は、インキの含まれる溶剤の種類等に応じて異なり一概には言えないが、通常1〜120分程度、好ましくは5分〜60分程度、より好ましくは15分〜30分程度とすればよい。
乾燥時の温度は限定的でないが、好ましくは15〜100℃程度、より好ましくは20〜80℃程度とすればよい。
本発明の製造方法によって得られる触媒層は、その細孔径10nm〜200nmの空隙における空隙率が触媒層に対して、好ましくは6〜30%であり、より好ましくは12〜30%であるか又は7.5〜20%であり、更に好ましくは15〜20%である。細孔径5μm〜50μmの空隙における空隙率は触媒層に対して好ましくは2〜18%であり、より好ましくは2〜9%であるか又は4〜17%であり、場合に応じて4〜8.5%が最も好ましい。
なお、本発明における空隙率は水銀ポロシメーター(島津製作所社製、製品名「AUTOPORE9500」)によって測定されるものである。
触媒層の厚さは限定的でなく、例えば、通常5μm〜120μm程度、好ましくは、10μm〜50μm程度、より好ましくは15μm〜30μm程度とすればよい。
触媒層中の触媒粒子の含量(触媒担持炭素粉の場合は、当該触媒担持炭素粉の含量)は、触媒層全量に対して、通常10〜90重量%程度、好ましくは40〜80重量%程度である。
本発明の触媒層は、例えば固体高分子形燃料電池及び直接燃料形燃料電池に用いることができる。
触媒層−電解質膜積層体
本発明の触媒層−電解質膜積層体は、電解質膜の一方面又は両面に本発明の製造方法によって得られた触媒層が形成されたものである。
本発明の触媒層−電解質膜積層体は、電解質膜の一方面又は両面に本発明の製造方法によって得られた触媒層が形成されたものである。
本発明の触媒層が積層された電解質膜(触媒層−電解質膜積層体)は、例えば、電解質膜の一方の面にインクジェット用インキを塗布した後、減圧乾燥を行うことにより製造される。この操作を複数回繰り返すことにより、所望の層厚の触媒層が電解質膜の一方面に積層された触媒層/電解質膜積層体が製造される。更に、触媒層が電解質膜の一方面に積層された触媒層−電解質膜積層体の反対面に、上記と同様にして触媒層を形成させることにより、所望の層厚の触媒層が電解質膜の両面に積層された触媒層/電解質膜積層体/触媒層が製造される。
また、電解質膜の一方の面に上記の製造方法により触媒層が形成された触媒層−電解質膜積層体の他方の面に、導電性多孔質基材上に触媒層が形成された触媒層付電極を配置してもよい。
ここで、電解質膜は、公知のものである。電解質膜の膜厚は、通常20〜250μm程度、好ましくは20〜80μm程度である。電解質膜の具体例としては、デュポン社製の「Nafion」膜、旭硝子(株)製の「Flemion」膜、旭化成(株)製の「Aciplex」膜、ゴア(Gore)社製の「Gore Select」膜等が挙げられる。
固体高分子形燃料電池
本発明の触媒層−電解質膜積層体の両面に公知又は市販の電極基材(例えば、カーボンペーパー、カーボンクロス等)及びセパレータを順次積層させることにより、本発明の固体高分子形燃料電池が得られる。
本発明の触媒層−電解質膜積層体の両面に公知又は市販の電極基材(例えば、カーボンペーパー、カーボンクロス等)及びセパレータを順次積層させることにより、本発明の固体高分子形燃料電池が得られる。
本発明のインクジェット用インキを使用すれば、インクジェット方式により触媒層を容易に、簡便に、安定して形成させることができる。しかも、形成された触媒層は、厚さが均一で、クラックの発生が少なく、かつ適度な空隙を有しているので、本発明で得られた触媒層を燃料電池に組み込むことにより、良好な電池性能を発揮できる。
また、本発明の触媒層の製造方法は、大気圧下で乾燥を行えばよいため、特殊な装置及び複雑な工程を必要としない。
以下に実施例及び比較例を挙げて、本発明をより一層詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
実施例1
触媒担持カーボン粒子(田中貴金属製、TEC10E50E)5重量部、イオン伝導性高分子電解質(デュポン社製、NafionDE520CS)25重量部、ノニオン系界面活性剤(花王製、レオドール TW−120V)1重量部及び溶剤(水/イソプロピルアルコール=1/1、重量比)69重量部を、分散機を用いて混合分散し、本発明のインクジェット用インキを調製した。得られるインクジェット用インキの粘度は、20mPa・sであった。
触媒担持カーボン粒子(田中貴金属製、TEC10E50E)5重量部、イオン伝導性高分子電解質(デュポン社製、NafionDE520CS)25重量部、ノニオン系界面活性剤(花王製、レオドール TW−120V)1重量部及び溶剤(水/イソプロピルアルコール=1/1、重量比)69重量部を、分散機を用いて混合分散し、本発明のインクジェット用インキを調製した。得られるインクジェット用インキの粘度は、20mPa・sであった。
比較例1
触媒担持カーボン粒子(田中貴金属製、TEC10E50E)10重量部、イオン伝導性高分子電解質(デュポン社製、NafionDE520CS)50重量部、ノニオン系界面活性剤(花王製、レオドール TW−120V)2重量部及び溶剤(水/イソプロピルアルコール=1/1、重量比)38重量部を、分散機を用いて混合分散し、比較のためのインクジェット用インキを調製した。得られるインクジェット用インキの粘度は、1000mPa・sであった。
触媒担持カーボン粒子(田中貴金属製、TEC10E50E)10重量部、イオン伝導性高分子電解質(デュポン社製、NafionDE520CS)50重量部、ノニオン系界面活性剤(花王製、レオドール TW−120V)2重量部及び溶剤(水/イソプロピルアルコール=1/1、重量比)38重量部を、分散機を用いて混合分散し、比較のためのインクジェット用インキを調製した。得られるインクジェット用インキの粘度は、1000mPa・sであった。
実施例2
実施例1で調製した本発明のインクジェット用インキを、インクジェットヘッドに充填し、被塗物であるイオン伝導性高分子電解質膜(NafionNRE212CS)に向けて、ヘッドからドロップ径30μmで滴下したところ、当該インキをイオン伝導性高分子電解質膜上に容易に塗布することができた。
実施例1で調製した本発明のインクジェット用インキを、インクジェットヘッドに充填し、被塗物であるイオン伝導性高分子電解質膜(NafionNRE212CS)に向けて、ヘッドからドロップ径30μmで滴下したところ、当該インキをイオン伝導性高分子電解質膜上に容易に塗布することができた。
次に、当該塗布物を大気圧下、70℃で30分乾燥を行うと、インキは問題なく乾燥し、触媒層(白金担持量:0.5mg/cm2)が得られた。
比較例2
比較例1で調製したインクジェット用インキを、インクジェットヘッドに充填し、被塗物であるイオン伝導性高分子電解質膜(NafionNRE212CS)に向けて、ヘッドからドロップ径30μmで滴下したが、ヘッドからインキが吐出し難く、当該インキをイオン伝導性高分子電解質膜上に塗布することが困難であった。
比較例1で調製したインクジェット用インキを、インクジェットヘッドに充填し、被塗物であるイオン伝導性高分子電解質膜(NafionNRE212CS)に向けて、ヘッドからドロップ径30μmで滴下したが、ヘッドからインキが吐出し難く、当該インキをイオン伝導性高分子電解質膜上に塗布することが困難であった。
実施例3(触媒層転写フィルムの製造)
実施例1で調製した本発明のインクジェット用インキを、インクジェットヘッドに充填し、転写基材(東洋紡:PET E5100(12μm))に向けて、ヘッドからドロップ径30μmで滴下したところ、当該インキを基材上に容易に塗布することができた。
実施例1で調製した本発明のインクジェット用インキを、インクジェットヘッドに充填し、転写基材(東洋紡:PET E5100(12μm))に向けて、ヘッドからドロップ径30μmで滴下したところ、当該インキを基材上に容易に塗布することができた。
次に、当該塗布物を大気圧下、70℃で30分乾燥を行うと、インキは問題なく乾燥し、転写基材上に触媒層(白金担持量:0.5mg/cm2)を形成させることができた。
実施例4(触媒層−電解質膜積層体の製造)
実施例1で調製した本発明のインクジェット用インキを、インクジェットヘッドに充填し、被塗物であるイオン伝導性高分子電解質膜(NafionNRE212CS)に向けて、ヘッドからドロップ径30μmで滴下したところ、当該インキをイオン伝導性高分子電解質膜上に容易に塗布することができた。
実施例1で調製した本発明のインクジェット用インキを、インクジェットヘッドに充填し、被塗物であるイオン伝導性高分子電解質膜(NafionNRE212CS)に向けて、ヘッドからドロップ径30μmで滴下したところ、当該インキをイオン伝導性高分子電解質膜上に容易に塗布することができた。
次に、当該塗布物を大気圧下、70℃で30分乾燥を行うと、インキは問題なく乾燥し、イオン伝導性高分子電解質膜上に触媒層(白金担持量:0.5mg/cm2)を形成させることができた。
その後、イオン伝導性高分子電解質膜の触媒層を形成した裏面に向けて、ヘッドからドロップ径30μmで滴下したところ、当該インキをイオン伝導性高分子電解質膜の裏面上に容易に塗布することができた。
次に、当該塗布物を大気圧下、70℃で30分乾燥を行うと、インキは問題なく乾燥し、イオン伝導性高分子電解質膜の裏面上にも触媒層(白金担持量:0.5mg/cm2)を形成させることができた。この結果、触媒層−電解質膜積層体(触媒層/イオン伝導性高分子電解質膜/触媒層)が得られた。
実施例5(膜−電極接合体の製造)
実施例1で調製した本発明のインクジェット用インキを、インクジェットヘッドに充填し、被塗物である導電性多孔質基材(SGL34BC、SGLカーボン社)に向けて、ヘッドからドロップ径30μmで滴下したところ、当該インキを導電性多孔質基材上に容易に塗布することができた。
実施例1で調製した本発明のインクジェット用インキを、インクジェットヘッドに充填し、被塗物である導電性多孔質基材(SGL34BC、SGLカーボン社)に向けて、ヘッドからドロップ径30μmで滴下したところ、当該インキを導電性多孔質基材上に容易に塗布することができた。
次に、当該塗布物を大気圧下、70℃で30分乾燥を行うと、インキは問題なく乾燥し、導電性多孔質基材上に触媒層(白金担持量:0.5mg/cm2)を形成させることができた。
その後、この触媒層形成後の導電性多孔質基材でイオン伝導性高分子電解質膜(NafionNRE212CS)を触媒層面で挟み込み、熱プレスを行い、膜−電極接合体(導電性多孔質基材/触媒層/イオン伝導性高分子電解質膜/触媒層/導電性多孔質基材)を作製した。
実施例6(電池評価)
実施例2で作製した触媒層−電解質膜積層体を用い、実施例4の方法に準じて触媒層−電解質膜積層体を作製した。また実施例3の触媒層転写フィルムから転写法を用いてイオン伝導性高分子電解質膜(Nafion NRE212CS)の両面に触媒層を形成し触媒層−電解質膜積層体を作製した。これらの触媒層−電解質膜接合体の両面にガス拡散層(SGL34BC、SGLカーボン社)を接合して、JARI標準セルにセル組みした。また、実施例5をJARI標準セルにセル組みした。 このセルに80℃で燃料極側に加湿水素を供給し、空気極側に加湿空気を供給した。加湿水素及び加湿空気は加えた電流に対して燃料極は燃料利用率が70%に、空気極は燃料利用率が40%になるように供給した。結果、全てのセルは、0.9〜1.1Vの良好な起電力を示した。
実施例2で作製した触媒層−電解質膜積層体を用い、実施例4の方法に準じて触媒層−電解質膜積層体を作製した。また実施例3の触媒層転写フィルムから転写法を用いてイオン伝導性高分子電解質膜(Nafion NRE212CS)の両面に触媒層を形成し触媒層−電解質膜積層体を作製した。これらの触媒層−電解質膜接合体の両面にガス拡散層(SGL34BC、SGLカーボン社)を接合して、JARI標準セルにセル組みした。また、実施例5をJARI標準セルにセル組みした。 このセルに80℃で燃料極側に加湿水素を供給し、空気極側に加湿空気を供給した。加湿水素及び加湿空気は加えた電流に対して燃料極は燃料利用率が70%に、空気極は燃料利用率が40%になるように供給した。結果、全てのセルは、0.9〜1.1Vの良好な起電力を示した。
Claims (7)
- 触媒粒子、イオン伝導性高分子電解質、ノニオン系界面活性剤及び溶剤を含有する、燃料電池用触媒層を形成するためのインクジェット用インキであって、
前記溶剤は、水及びアルコール系溶剤からなる群から選ばれた少なくとも1種であり、
インキの粘度が20mPa・s以下である、
インクジェット用インキ。 - イオン伝導性高分子電解質を触媒粒子に対して100重量%以下の割合で含有する、請求項1に記載のインキ。
- 導電性炭素繊維を更に含有する、請求項1又は請求項2に記載のインキ。
- 請求項1〜3のいずれかに記載のインクジェット用インキを用いて製造された燃料電池用触媒層。
- 請求項4に記載の触媒層がイオン伝導性電解質膜上に形成されてなる触媒層−電解質膜積層体。
- 請求項5に記載の触媒層−電解質膜積層体を用いた燃料電池。
- 請求項1〜3のいずれかに記載のインクジェット用インキを被塗布物に塗布し、大気圧下で乾燥することにより、被塗布物上に触媒層を形成させる工程を備える、触媒層の製造方法。
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- 2008-09-29 JP JP2008251479A patent/JP2010086674A/ja active Pending
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