JP2021190402A - 触媒インク - Google Patents

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佳生 提嶋
Yoshio Tsutsushima
昌彦 石井
Masahiko Ishii
諭 長尾
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Abstract

【課題】性能が高く、かつ、耐久性に優れた燃料電池用触媒層を効率よく製造することが可能な触媒インクを提供すること。【解決手段】触媒インクは、カーボン担体の表面に触媒粒子が担持された電極触媒と、触媒層アイオノマと、前記電極触媒及び前記触媒アイオノマを分散させるための溶媒とを備えている。前記溶媒は、水と、エタノールと、比誘電率が20以下の有機溶媒とを含む混合溶媒からなり、前記有機溶媒の含有量が0.5vol%以上15vol%未満であり、前記水の含有量が40vol%以上80vol%以下である。【選択図】なし

Description

本発明は、触媒インクに関し、さらに詳しくは、性能が高く、かつ、耐久性に優れた燃料電池用触媒層を効率よく製造することが可能な触媒インクに関する。
固体高分子形燃料電池は、固体高分子電解質膜の両面に電極(触媒層)が接合された膜電極接合体(MEA)を基本単位とする。また、固体高分子形燃料電池において、触媒層の外側には、一般に、ガス拡散層が配置される。ガス拡散層は、触媒層に反応ガス及び電子を供給するためのものであり、カーボンペーパー、カーボンクロス等が用いられる。また、触媒層は、電極反応の反応場となる部分であり、一般に、白金等の電極触媒を担持したカーボンと固体高分子電解質(触媒層アイオノマ)との複合体からなる。
固体高分子形燃料電池に用いられる触媒層は、一般に、
(a)電極触媒及びアイオノマを含み、固形分濃度が約10%の触媒インクを作製し、
(b)種々の方法を用いて、触媒インクを基材表面に塗布し、塗膜中の溶媒を揮発させることにより基材表面に触媒層を形成し、
(c)基材表面の触媒層を電解質膜に転写する
ことにより製造されている。
また、基材の代わりに固体高分子電解質膜に触媒インクを直接塗布する方法もある。
基材表面への触媒インクの塗布方法としては、例えば、スプレー法、ドクターブレードやアプリケーターを用いたブレードコート法、ダイコート法、リバースロールコータ法、間欠ダイ塗工法などが知られている。いずれの方法を用いる場合であっても、触媒インクの性状は、触媒層の健全性や生産性に影響を与える。
そこでこの問題を解決するために、従来から種々の提案がなされている。
例えば、特許文献1には、ジアセトンアルコール濃度が15体積%以上60体積%以下のジアセトンアルコール水溶液と、カーボン担持触媒と、アイオノマとを混合することにより得られる触媒インクが開示されている。
同文献には、
(A)エタノールは、アイオノマのカーボン担体への吸着を阻害するため、触媒インクの分散媒として好ましくない点、
(B)分散媒中のジアセトンアルコール濃度が15%未満である場合、触媒インクが基材表面に定着しないため、触媒層を形成することができない点、
(C)アイオノマのカーボン担体への吸着が不十分な触媒インクを用いた場合、得られる触媒層の微細構造が不均一となり、電極性能が低下するおそれがある点、及び
(D)触媒インクの分散媒として、ジアセトンアルコール濃度が15体積%以上60体積%以下のジアセトンアルコール水溶液を用いると、アイオノマのカーボン担体に対する吸着性が向上し、放電性能に優れた触媒層が得られる点、
が記載されている。
特許文献2には、触媒担持カーボン微粒子と固体高分子電解質とを、3級アルコール(例えば、t−ペンタノール)及び誘電率が20以下の有機溶媒(例えば、ジアセトンアルコール)を主成分とする液体媒体に分散及び溶解させた触媒層製造用インクが開示されている。
同文献には、触媒担持カーボン微粒子を濡れさせる液体媒体として、水に代えてt−ペンタノールを用い、固体高分子電解質を溶解させる液体媒体として、エタノールや1−プロパノールに代えてジアセトンアルコールを用いると、乾燥時における触媒層のひび割れを防止できる点が記載されている。
さらに、特許文献3には、触媒層の健全性や生産性の向上を目的とするものではないが、Ti47を主成分とするチタン酸化物担体の表面にPtが担持された触媒複合体とパーフルオロカーボンスルホン酸ポリマーとを、水/ジアセトンアルコール/エタノール混合液(水:ジアセトンアルコール:エタノール=42質量%:45質量%:13質量%)に分散させた触媒インクが開示されている。
同文献には、
(A)分散媒中に還元力の強い第1級アルコール及び第2級アルコールが含まれていると、アルコールがチタン酸化物担体を還元し、チタン酸化物担体を化学的に劣化させるおそれがある点、及び
(B)ジアセトンアルコールのような炭素数4以上6以下の第3級アルコールは、還元力が低いためにチタン酸化物担体の分散媒として好適である点
が記載されている。
触媒インクに水が含まれている場合、水の表面張力が大きいために、乾燥時に触媒層にひび割れが生じやすい。触媒層のひび割れは、発電/停止を繰り返した時に電解質膜の破壊を引き起こす原因となる。そのため、燃料電池の耐久性を向上させるためには、触媒層のひび割れを抑制する必要がある。
これに対し、特許文献1、2に記載されているように、触媒インクに比誘電率の小さい有機溶媒(例えば、ジアセトンアルコール)を添加すると、乾燥時における触媒層のひび割れをある程度抑制することができる。
しかしながら、ジアセトンアルコールの沸点は166℃であり、これまで一般的に触媒インクに使われているエタノール(沸点:78℃)や1−プロパノール(沸点:98℃)に比べて高い。そのため、相対的に多量のジアセトンアルコールを含む触媒インクを用いて触媒層を製造する場合、従来の分散媒に比べて乾燥時により多くの熱量(熱負荷)が必要となり、製造コストが上昇する。また、乾燥後においても触媒層内に微量のジアセトンアルコールが残存し、触媒被毒の原因となる場合がある。
さらに、特許文献2に記載されているように、t−ペンタノールとジアセトンアルコールの混合物を溶媒として用いると、アイオノマが溶媒に溶解し、触媒粉の表面がアイオノマで被覆されにくくなる。そのため、このような触媒インクを用いて触媒層を作製した場合、電池性能が低下するおそれがある。
特開2016−110888号公報 特開2003−208903号公報 特開2018−116872号公報
本発明が解決しようとする課題は、性能が高く、かつ、耐久性に優れた燃料電池用触媒層を効率よく製造することが可能な触媒インクを提供することにある。
上記課題を解決するために本発明に係る触媒インクは、以下の構成を備えている。
(1)前記触媒インクは、
カーボン担体の表面に触媒粒子が担持された電極触媒と、
触媒層アイオノマと、
前記電極触媒及び前記触媒アイオノマを分散させるための溶媒と
を備えている。
(2)前記溶媒は、
水と、エタノールと、比誘電率が20以下の有機溶媒とを含む混合溶媒からなり、
前記有機溶媒の含有量が0.5vol%以上15vol%未満であり、
前記水の含有量が40vol%以上80vol%以下である。
電極触媒及び触媒層アイオノマを分散させるための溶媒として、水と、エタノールと、比誘電率が20以下の有機溶媒とを含む混合溶媒を用いる場合において、有機溶媒の含有量を0.5〜15vol%とし、かつ、水の含有量を40〜80vol%とすると、性能が高く、かつ、耐久性に優れた燃料電池用触媒層を効率よく製造することができる。
これは、
(A)有機溶媒の含有量を必要最低限とすることで、乾燥時の熱負荷が小さくなるため、
(B)有機溶媒の含有量を必要最低限とすることで、乾燥後の有機溶媒の残存量が少なくなり、有機溶媒による触媒被毒が低減されるため、及び、
(C)カーボン担体との親和性が高い有機溶媒を触媒インク中に適量添加することで、インク中での電極触媒の分散性が向上し、乾燥時の触媒層のひび割れが抑制されるため、
と考えられる。
以下、本発明の一実施の形態について詳細に説明する。
[1. 触媒インク]
本発明に係る触媒インクは、
カーボン担体の表面に触媒粒子が担持された電極触媒と、
触媒層アイオノマと、
前記電極触媒及び前記触媒アイオノマを分散させるための溶媒と
を備えている。
[1.1. 電極触媒]
電極触媒は、カーボン担体の表面に触媒粒子が担持されたものからなる。
[1.1.1. カーボン担体]
本発明において、カーボン担体の種類の種類は、特に限定されるものではなく、目的に応じて最適なものを選択することができる。カーボン担体としては、例えば、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、活性炭、天然黒鉛、メソカーボンマイクロビーズ、ガラス状炭素粉末などがある。
[1.1.2. 触媒粒子]
本発明において、触媒粒子の種類は、特に限定されるものではなく、目的に応じて最適なものを選択することができる。触媒粒子としては、例えば、
(a)貴金属(Pt、Au、Ag、Pd、Rh、Ir、Ru、Os)、
(b)2種以上の貴金属元素を含む合金、
(c)1種又は2種以上の貴金属元素と、1種又は2種以上の卑金属元素(例えば、Fe、Co、Ni、Cr、V、Tiなど)とを含む合金、
などがある。
これらの中でも、触媒粒子は、Pt又はPt合金が好ましい。これは、燃料電池の電極反応に対して高い活性を有するためである。
Pt合金としては、例えば、Pt−Fe合金、Pt−Co合金、Pt−Ni合金、Pt−Pd合金、Pt−Cr合金、Pt−V合金、Pt−Ti合金、Pt−Ru合金、Pt−Ir合金などがある。
[1.2. 触媒層アイオノマ]
本発明において、触媒層アイオノマの種類は、特に限定されるものではなく、目的に応じて最適なものを選択することができる。触媒層アイオノマとしては、例えば、
(a)ナフィオン(登録商標)、フレミオン(登録商標)、アクイヴィオン(登録商標)、アシプレックス(登録商標)などのパーフルオロカーボンスルホン酸ポリマ、
(b)分子構造内に酸基及び環状構造を含む高酸素透過アイオノマ(参考文献1〜4)
などがある。
[参考文献1]特開2003−036856号公報
[参考文献2]国際公開第2012/088166号
[参考文献3]特開2013−216811号公報
[参考文献4]特開2006−152249号公報
触媒層アイオノマは、特に、パーフルオロカーボンスルホン酸ポリマが好ましい。これは、耐酸化性の高いフルオロカーボン骨格と、プロトン解離性が高いフルオロカーボンスルホン酸構造を持つことで、耐久性とプロトン伝導性とを高いレベルで両立できるためである。
[1.3. 溶媒]
溶媒は、電極触媒及び触媒層アイオノマを分散させるためのものである。本発明において、溶媒は、水と、エタノールと、比誘電率が20以下の有機溶媒(以下、単に「有機溶媒」ともいう)とを含む混合溶媒からなる。
水は、主として、カーボン担体がアルコール、その他の有機溶媒によって発火するのを防ぐために用いられる。
エタノールは、主として、アイオノマを触媒層中に均一に分散させるために用いられる。エタノールは、低沸点かつ安価であるため、これを含む触媒インクは工業的な乾燥プロセスに適している。
有機溶媒は、主として、触媒インク中における電極触媒の分散性を向上させ、乾燥時の触媒層のひび割れを抑制するために用いられる。
[1.3.1. 有機溶媒]
乾燥時の触媒層のひび割れを抑制するためには、有機溶媒は、比誘電率(ε)が20以下である必要がある。このような条件を満たす有機溶媒としては、例えば、ジアセトンアルコール(ε=18.2@25℃)、1−ブタノール(ε=17.1@25℃)、2−ブタノール(ε=15.5@25℃)、1−ペンタノール(ε=15.8@25℃)、1−ヘキサノール(ε=13.3@25℃)などがある。
有機溶媒は、特に、ジアセトンアルコールが好ましい。これは、カーボン担体との親和性が高いために、触媒インクの分散安定性が高くなるためである。
[1.3.2. 溶媒の組成]
本発明において、溶媒は、所定量の有機溶媒及び水を含み、残部がエタノール及び不可避的不純物からなる。
ここで、「有機溶媒の含有量(vol%)」とは、溶媒の総体積に対する有機溶媒の体積の割合をいう。
「水の含有量(vol%)」とは、溶媒の総体積に対する水の体積の割合をいう。
有機溶媒の含有量が少なくなりすぎると、乾燥時に触媒層にひび割れが生じやすくなる。従って、有機溶媒の含有量は、0.5vol%以上である必要がある。
一方、有機溶媒の含有量が過剰になると、乾燥時の熱負荷が増大する。また、乾燥後に相対的に多量の有機溶媒が残存し、触媒被毒の原因となる。従って、有機溶媒の含有量は、15vol%未満である必要がある。
水の含有量が少なくなりすぎると、触媒インクの作製時及び乾燥時に発火を起こす可能性がある。従って、水の含有量は、40vol%以上である必要がある。
一方、水の含有量が過剰になると、乾燥負荷が大きくなる。また、触媒インクが塗工基材(例えば、ポリテトラフルオロエチレンシート)から剥がれやすくなり、安定した塗工ができなくなる場合がある。従って、水の含有量は、80vol%以下である必要がある。
[1.4. I/C]
「I/C」とは、触媒インクに含まれるカーボン担体の質量に対する触媒層アイオノマの質量の比をいう。触媒インクのI/Cは、その触媒インクから作製される触媒層のI/C及び触媒層の性能に影響を与える。そのため、触媒インク中のI/Cは、目的に応じて最適な値を選択するのが好ましい。
一般に、I/Cが小さくなりすぎると、触媒インクを用いて作製される触媒層のプロトン伝導度が低下し、触媒層の性能が低下する。従って、I/Cは、0.5以上が好ましい。I/Cは、好ましくは、0.6以上、さらに好ましくは、0.7以上である。
一方、I/Cが大きくなり過ぎると、触媒層中の細孔容積の減少が大きくなり、触媒層の性能が低下する。従って、I/Cは、1.5以下が好ましい。
[1.5. 固形分濃度]
「固形分濃度(mass%)」とは、触媒インクの総質量に対する、電極触媒及び触媒層アイオノマの総質量の割合をいう。
固形分濃度が低すぎると、乾燥時の熱負荷が大きくなり、生産性が低下する。従って、固形分濃度は、8mass%以上が好ましい。固形分濃度は、好ましくは、9mass%以上、さらに好ましくは、10mass%以上である。
一方、固形分濃度が高くなりすぎると、触媒インクの粘度が過度に高くなり、塗工が困難となる場合がある。従って、固形分濃度は、20mass%以下が好ましい。
[2. 触媒インクの製造方法]
本発明に係る触媒インクは、溶媒に電極触媒及び触媒層アイオノマを加え、分散処理することにより得られる。
この場合、各成分の添加順序は、特に限定されない。
例えば、初めに所定の組成を有する混合溶媒を調製し、次いで、混合溶媒に所定量の電極触媒及び触媒層アイオノマを加えて分散処理を行っても良い。
あるいは、電極触媒に対して、水、アイオノマ溶液、エタノール、及び比誘電率が20以下の有機溶媒をこの順で加え、成分を追加するごとに分散処理を行っても良い。
後者の方法を用いると、電極触媒にアイオノマが吸着しやすくなるために、分散安定性の高い触媒インクが得られる。電極触媒の表面にアイオノマが吸着すると、インク中においてスルホン酸基が解離(−SO3 -)し、電極触媒の表面が負電荷を帯びる。その結果、マイナス反発が起こり、インク中における電極触媒の凝集が抑制される。
[3. 作用]
電極触媒及び触媒層アイオノマを分散させるための溶媒として、水と、エタノールと、比誘電率が20以下の有機溶媒とを含む混合溶媒を用いる場合において、有機溶媒の含有量を0.5〜15vol%とし、かつ、水の含有量を40〜80vol%とすると、性能が高く、かつ、耐久性に優れた燃料電池用触媒層を効率よく製造することができる。これは、以下の理由によると考えられる。
[3.1. 触媒層の生産性の向上]
比誘電率が20以下の有機溶媒は沸点が高いものが多いため、これを多量に含む触媒インクは乾燥時の熱負荷が大きい。これに対し、有機溶媒の含有量を必要最低限にすると、触媒インクの乾燥時の熱負荷が小さくなり、触媒層の生産性が向上する。
また、従来の触媒インクは、分散安定性が低いために、保存中又は塗工中に触媒インクの分散状態が変化し、安定した触媒層の作製が困難となる場合があった。これに対し、比誘電率が20以下の有機溶媒はカーボンとの親和性が高いため、これを触媒インクに添加すると、インクの分散安定性が向上し、触媒層の生産性が向上する。
さらに、従来の触媒インクは、インク中の泡を除去しにくい。インク中に泡が残ったまま塗工及び乾燥すると、触媒層中に空洞となって残る。そのため、従来の触媒インクは、十分に脱泡処理を行う必要があった。これに対し、本発明に係る触媒インクはインク中の泡を除去しやすいので、これを用いて触媒層を作製すると、触媒層の生産性が向上する。従来に比べて脱泡が容易となるのは、電極触媒に吸着したアイオノマが多いため(すなわち、非吸着アイオノマが少ないため)と考えられる。すなわち、アイオノマは界面活性剤でもあるため、溶媒中に含まれるアイオノマが少なくなるほど、発生する泡の量が少なくなり、切れも良くなると考えられる。
[3.2. 触媒層の性能の向上]
比誘電率が20以下の有機溶媒は、沸点が高いものが多いことに加えて、触媒被毒を起こすものが多い。そのため、触媒インクに多量の有機溶媒が含まれていると、乾燥後においても相対的に多量の有機溶媒が残存し、触媒被毒による性能低下を起こしやすい。これに対し、有機溶媒の含有量を必要最低限とすると、有機溶媒の残存量を減らすことができ、触媒被毒による性能低下を抑制することができる。
[3.3. 触媒層の耐久性の向上]
触媒インクを用いて触媒層を形成する場合において、塗工条件及び/又は乾燥条件が不適切であると、触媒層にヒビ割れが発生することがある。触媒層にヒビ割れが発生した状態で燃料電池の発電/停止を繰り返すと、電解質膜の破壊を引き起こすことがある。これに対し、比誘電率が20以下の有機溶媒は、カーボンとの親和性が高い。そのため、これを触媒インクに添加すると、電極触媒が溶媒中に分散しやすくなる。その結果、乾燥時における触媒層のヒビ割れが抑制され、触媒層の耐久性が向上する。
(実施例1〜10、比較例1〜9)
[1. 試料の作製]
[1.1. 触媒インクの調製]
電極触媒には、白金担持カーボン(TEC10E40E、田中貴金属工業(株)製、白金割合:40mass%、カーボン:高比表面積タイプ)を用いた。触媒層アイオノマには、アイオノマ溶液(DE1020、デュポン社製、ポリマ濃度:10mass%、水分散液)を用いた。さらに、溶媒には、水、ジアセトンアルコール、及びエタノールの混合溶媒を用いた。
以下の手順に従い、触媒インクを調製した。触媒インクのI/Cは0.75とし、固形分濃度は10mass%とした。溶媒組成は、表1に示した通りである。
(1)電極触媒:1gに所定量の水を添加し、スパーテルで攪拌した。
(2)得られた混合物に所定量のアイオノマ溶液をさらに添加し、超音波ホモジナイザーにより5分間、分散処理を行った。
(3)得られた混合物に所定量のエタノールをさらに添加し、超音波ホモジナイザーにより5分間、分散処理を行った。
(4)得られた混合物に所定量のジアセトンアルコールをさらに添加し、超音波ホモジナイザーにより5分間、分散処理を行い、触媒インクを得た。
(5)得られた触媒インクに対し、遠心脱泡処理を3分間行った。
[1.2. 触媒層の作製]
アプリケータを用いて、得られた触媒インクをポリテトラフルオロエチレン(PTFE)シート上に塗工した。塗工は、塗膜の厚さが100μmとなり、単位面積あたりの白金質量が0.5mg/cm2となるように行った。塗工したシートを、大気雰囲気中において80℃のホットプレート上に載せ、10分間放置した。さらに、減圧乾燥器中において、100℃で一晩放置した。
[1.3. MEAの作製]
電解質膜には、ナフィオン(登録商標)211(厚さ20μm、ケマーズ製)を用いた。電解質膜の両面に触媒層を熱転写し、MEAを得た。熱転写の条件は、温度:140℃、圧力:50kg/cm2(4.9MPa)、加圧時間:10分間とした。
[2. 試験方法]
[2.1. 触媒インクの安定性評価]
触媒インクをバイアル瓶に入れ、蓋をして静置した。状態変化を目視により観察し、静置開始から沈降が始まるまでの時間を測定した。なお、「×」は72時間以内に沈降が起きたことを表し、「○」は72時間以内に変化が起きなかったことを表す。
[2.2. 触媒インクの泡残り評価]
触媒インク表面の泡残りの状態を目視により評価した。なお、「×」は泡残りがあることを表し、「○」は泡残りがないことを表す。
[2.3. 触媒層のヒビ割れ評価]
PTFEシート上に触媒層を形成した後、触媒層/PTFEシートをライトボックスに載せて、ヒビ割れの有無(すなわち、ヒビを介した光の漏れの有無)を目視により評価した。なお、「×」はヒビ割れがあることを表し、「○」はヒビ割れがないことを表す。
[2.4. 燃料電池性能評価]
作製したMEAを用いて電極面積:1cm2の燃料電池セルを組み、評価用ベンチに接続した。カソードには酸素(流量:1L/min)、アノードには水素(流量:1L/min)を流し、電流密度:0.1A/cm2の時の電圧を測定した。なお、「×」は、比較例1(ジアセトンアルコールなし)に比べて電圧が低下したことを表し、「○」は比較例に比べて電圧低下がないことを表す。
[3. 結果]
表1に、結果を示す。なお、表1には、溶媒組成も併せて示した。また、触媒インク安定性の括弧内の数値は、静置開始から沈降が始まるまでの時間を表す。表1より、以下のことが分かる。
(1)混合溶媒中のジアセトンアルコールの含有量が0.5vol%以上15vol%未満である場合(実施例1〜6)、安定性が高く、かつ、脱泡性に優れた触媒インクが得られた。また、このような触媒インクを用いて作製された触媒層には、いずれもヒビ割れは認められなかった。さらに、このような触媒層を用いて作製された燃料電池の性能は、いずれも、比較例1より向上した。
(2)同様に、混合溶媒中の水の含有量が40vol%以上80vol%以下である場合(実施例7〜10)、安定性が高く、かつ、脱泡性に優れた触媒インクが得られた。また、このような触媒インクを用いて作製された触媒層には、いずれもヒビ割れは認められなかった。さらに、このような触媒層を用いて作製された燃料電池の性能は、いずれも、比較例1より向上した。
(3)エタノールを含まない比較例5は、触媒インクの安定性が低く、燃料電池の性能も低い。すなわち、触媒インクの安定性を向上させるには、ジアセトンアルコールとエタノールの2種類のアルコールが必要であることが分かった。安定性向上のために2種類のアルコールを必要とする理由は、以下のように推定される。
すなわち、カーボンがインク中で分散(安定化)する要件として、
(a)カーボンとの親和性が高い溶媒であること、及び、
(b)カーボンにアイオノマが吸着していること、
の両方が必要と考えられる。
ジアセトンアルコール/水の場合(比較例5:エタノールなし)では、ジアセトンアルコールのアイオノマ溶解性が高すぎるために、アイオノマ吸着が妨げられ、これによってアイオノマの凝集・沈降が早期に起きたと考えられる。また、エタノール/水の場合(比較例1:ジアセトンアルコールなし)、カーボンと溶媒との親和性が低すぎるために、アイオノマの凝集・沈降が起きたと考えられる。
Figure 2021190402
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改変が可能である。
本発明に係る触媒インクは、固体高分子形燃料電池のカソード触媒層又はアノード触媒層を作製するための触媒インクとして用いることができる。

Claims (5)

  1. 以下の構成を備えた触媒インク。
    (1)前記触媒インクは、
    カーボン担体の表面に触媒粒子が担持された電極触媒と、
    触媒層アイオノマと、
    前記電極触媒及び前記触媒アイオノマを分散させるための溶媒と
    を備えている。
    (2)前記溶媒は、
    水と、エタノールと、比誘電率が20以下の有機溶媒とを含む混合物からなり、
    前記有機溶媒の含有量が0.5vol%以上15vol%未満であり、
    前記水の含有量が40vol%以上80vol%以下である。
  2. 前記有機溶媒は、ジアセトンアルコールからなる請求項1に記載の触媒インク。
  3. 前記触媒層アイオノマは、パーフルオロカーボンスルホン酸ポリマからなる請求項1又は2に記載の触媒インク。
  4. I/Cが0.5以上1.5以下である請求項1から3までのいずれか1項に記載の触媒インク。
  5. 固形分濃度が8mass%以上20mass%以下である請求項1から4までのいずれか1項に記載の触媒インク。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR102487928B1 (ko) * 2022-07-20 2023-01-16 주식회사 에프씨엠티 전극 내 첨가제 및 이오노머의 분산성을 개선하는 다단계 전극 슬러리 제작 방법 및 고분자전해질 연료전지용 전극

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