JP5573539B2 - 燃料電池用電極の製造方法 - Google Patents

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Description

この発明は、燃料電池用電極の製造方法に関する。
従来、例えば特許文献2には、水よりも沸点の高い2価又は3価アルコールを溶媒として用いて触媒インクを作製する工程と、この触媒インクを電解質膜上に塗布し、乾燥させることで電極を形成する工程と、を備える燃料電池用電極の製造方法が開示されている。水よりも沸点の高い2価又は3価アルコールを溶媒として用いると、モノアルコールを用いる場合に比べ、触媒インクのチクソ性や粘性を高くできる。従って、印刷時におけるインクの切れを良くすることができるので、間欠塗工性を向上できる。また、水よりも沸点の高い2価又は3価アルコールを用いると、モノアルコールを用いる場合に比べ、塗膜のひび割れを抑制できる。
また、特許文献3には、水溶性の多価アルコールを溶媒として触媒インクを作製し、この触媒インクを電解質膜上に塗布した後、これらをイオン交換水で煮沸して溶媒を除去する方法が開示されている。
国際公開第2001/22514号 特開2002−280003号公報 特開2003−297373号公報
しかしながら、このような多価アルコールが電極に残留した場合、燃料電池の発電時に濡れ性が変化して電池性能が不安定になる、高分子電解質を溶出させて耐久性を悪化させる、排水と一緒に外部に出る際に不快な匂いを発生させるといった問題が生じる。そのため、上記特許文献2の方法では、乾燥時間を長く設定する必要があり、生産性の低下に繋がるという問題がある。また、上記特許文献3の方法は、煮沸時間を長く設定する必要があるので生産性が低下するだけでなく、抽出した廃液を処理する必要が生じ、生産コストが増すため好ましくない。
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、塗膜のひび割れを抑制しつつ、生産性を向上可能な燃料電池用電極の製造方法を提供することを目的とする。
第1の発明は、上記の目的を達成するため、燃料電池用電極の製造方法であって、
イオン交換基を有し、前記イオン交換基1モル当たりの樹脂乾燥重量を表すEW値が650〜750のパーフルオロカーボンスルホン酸樹脂を、第一の溶媒中に分散させてなる高分子電解質溶液と、t−ブチルアルコールを主溶媒とする第二の溶媒と、触媒担持カーボンと、を準備し、前記触媒担持カーボン中に前記第二の溶媒を加え、その後更に前記高分子電解質溶液を加えて調合する工程と、
前記触媒担持カーボン、前記高分子電解質溶液および前記第二の溶媒の調合後、前記高分子電解質溶液と前記触媒担持カーボンとを前記第二の溶媒中に分散させて、触媒インクを調製する工程と、
前記触媒インクを基材上に塗工し、塗工後に前記第一の溶媒と前記第二の溶媒とを除去する工程と、
を備えることを特徴とする。
また、第2の発明は、第1の発明において、
前記t−ブチルアルコールの前記第二の溶媒の総重量に占める割合が75重量%以上であることを特徴とする。
第1の発明によれば、触媒担持カーボン中にt−ブチルアルコールを主溶媒とする第二の溶媒を加え、その後更にEW値が650〜750のパーフルオロカーボンスルホン酸樹脂を第一の溶媒中に分散させた高分子電解質溶液を加えて調合するので、触媒担持カーボンの表面をパーフルオロカーボンスルホン酸樹脂で均一に被覆することが可能となる。従って、塗膜のひび割れを抑制できる。また、t−ブチルアルコールは、2価又は3価アルコールに比べて除去が容易である。従って、電極の生産性の向上を図ることもできる。
第2の発明によれば、t−ブチルアルコールの総重量に占める主溶媒の割合を75重量%以上とすることができる。これにより、t−ブチルアルコールを除く他の溶媒によって触媒インク中のパーフルオロカーボンスルホン酸樹脂の分散状態が変化してしまうのを良好に抑制できる。
実施の形態の(1)インク調合工程と(2)インク分散工程とを説明するための図である。 アイオノマーがネットワーク状態を形成できる溶媒において、ネットワーク状態が平衡に達するまでの違いを説明するための図である。 溶媒量の減少率の算出方法を説明するための図である。 実施例及び比較例で得た各々の電極試料のSEM写真である。 実施例及び比較例で得た各々の電極試料に対する発電試験により得られた電流密度(A/cm)−電圧(V)曲線である。 実施例及び比較例で得た各々の電極試料に対するインピーダンス測定の結果を示す図である。 触媒層抵抗の算出の際に用いた等価回路モデルである。
以下、図1〜図6を参照して、本発明の実施の形態の電極製造方法について説明する。本実施形態の電極製造方法は、イオン交換基を有する高分子電解質(以下、「アイオノマー」ともいう。)を第一の溶媒中に分散させた高分子電解質溶液(以下、「アイオノマー溶液」ともいう。)と、第二の溶媒と、触媒担持カーボンと、を準備して調合する工程と((1)インク調合工程)と、上記アイオノマー溶液と上記触媒担持カーボンとを上記第二の溶媒中に分散させて、触媒インクを調製する工程((2)インク分散工程)と、上記触媒インクを基材上に塗工し、塗工後に上記第一の溶媒と上記第二の溶媒とを除去する工程((3)溶媒除去工程)と、を備える。
(1)インク調合工程
本工程は、アイオノマー溶液と、第二の溶媒と、触媒担持カーボンとを準備して調合する工程である。
図1に触媒として示したものが、本工程で用いる触媒担持カーボンである。この触媒担持カーボンの触媒には、白金、ルテニウム、イリジウム、ロジウム、パラジウム、オスニウム、タングステン、鉛、鉄、クロム、コバルト、ニッケル、マンガン、バナジウム、モリブデン、ガリウム、アルミニウム等の金属、又はそれらの合金等の粒子が使用される。また、触媒担持カーボンのカーボン材料には、カーボンブラックが最も一般的に使用されるが、黒鉛、炭素繊維、活性炭等やこれらの粉砕物、カーボンナノファイバー、カーボンナノチューブ等の炭素化合物等も使用される。
また、図1にアイオノマーとして示したものが、本工程で用いるアイオノマーである。アイオノマーとしては、リン酸基やスルホン酸基といったイオン交換基を側鎖に有する炭化水素系の高分子樹脂が使用される。炭化水素系の高分子樹脂としては、(a)主鎖が脂肪族炭化水素からなる炭化水素系高分子樹脂、(b)主鎖が脂肪族炭化水素からなり、主鎖の一部又は全部の水素原子がフッ素原子で置換された高分子樹脂(代表的なものとしてはNAFION(デュポン社、登録商標))や、(c)主鎖が芳香環を有する高分子樹脂等が挙げられる。
アイオノマーは一般に、そのイオン交換基1モル当たりの樹脂乾燥重量を表すEW値が高いとイオン伝導性が低くなる傾向があり、EW値が低すぎると水溶性が増し電池稼動時に外部に溶出する傾向がある。本工程で用いるアイオノマーのEW値は、後述する第一、第二の溶媒に対する溶解特性の観点から、電極用として通常使用されるアイオノマーよりも低いものを使用する。具体的に、本工程では、EW値500〜960のアイオノマーを使用する。ただし、触媒インクの分散状態をより良好とするために、EW値650〜750のものを使用してもよい。
アイオノマー溶液は、第一の溶媒(水、或いは水に少量のアルコールを混合したアルコール溶液)中に上述のアイオノマーを分散させたものである。このようなアイオノマー溶液は、市販のものが容易に入手できる。一般に、溶媒中に高分子が分散している場合、その高分子は周囲に溶媒分子を引き付けて、他の高分子を寄せ付けにくくする。本工程で準備するアイオノマー溶液は、このような高分子と第一の溶媒との組み合わせであり、外殻に溶媒分子、内殻に高分子がそれぞれ配置された数十ナノのサイズの凝集体(ミセル)を形成する。この内殻は、溶媒分子側に親水性のイオン交換基が、中心側に折り畳まれた疎水性の高分子主鎖がそれぞれ配置された構造をとる。また、外殻に溶媒分子が配置されることで、ミセル間には実効的に斥力が働くような挙動を示す。そのため、アイオノマー溶液の粘度は一般に低い。
また、図1に溶媒として示したものが、本工程で用いる第二の溶媒である。この第二の溶媒としては、アイオノマー溶液に対して可溶性を示す他、乾燥させ易く、上記触媒を被毒する成分を含まず、製造時の環境に悪影響を及ぼすことのないものが使用される。このような第二の溶媒の主溶媒には、t−ブチルアルコールが使用される。ここで、「主溶媒」とあるのは、第二の溶媒にt−ブチルアルコール以外の他の溶媒を使用してもよいことを意味するものである。他の溶媒としては、水、t−ブチルアルコール以外の1価アルコール、多価アルコール又はそれらの混合物が挙げられる。
第二の溶媒中に占めるt−ブチルアルコールの重量分率は、75重量%以上であることが好ましい。t−ブチルアルコールの重量分率を75重量%以上とすることで、後述する各種効果を発揮できる。
第二の溶媒の主溶媒にt−ブチルアルコールを使用する理由について説明する。上述したように、第二の溶媒には、アイオノマー溶液に対して可溶性を示すものが用いられるが、この第二の溶媒は、次の2つのタイプに分けられる。即ち、第二の溶媒には、(i)アイオノマーをミセル状態にして分散させるタイプと、(ii)アイオノマー同士を物理吸着によりネットワーク状態を形成させ、高粘度化させるタイプとがある。
上記(i)のタイプの溶媒は、例えば水であり、アイオノマー溶液中に添加すると、すぐに拡散して混和する。そのため、アイオノマー溶液の粘度は低いままである。従って、第二の溶媒の主溶媒に上記(i)のタイプの溶媒を使用すると、ミセルが触媒担持カーボンと弱い吸着(例えば、静電気的な吸着、或いは、親水−親水(若しくは疎水−疎水)の吸着)しかできず、カーボン表面から外れ易く、被覆状態が不十分となったり、触媒インクの乾燥時にひび割れが発生する原因となってしまう。
一方、上記(ii)のタイプの溶媒は、上記(i)のタイプの溶媒とは異なり、溶液を高粘度化できるため、アイオノマーをカーボン表面に吸着させ易くなる。しかしながら、この高粘度化の度合いは、アイオノマー溶液中に取り込まれる溶媒量によって異なり、取り込まれる溶媒量の上限は、添加する溶媒種によって異なる。そのため、例えば粘度が極端に高くなりすぎると、カーボン表面の一部にアイオノマーが偏在して被覆状態が悪化し、ひび割れが発生する原因となってしまう。
このことに関して、図2を用いて具体的に説明する。図2は、アイオノマーとして固形分濃度20重量%のパーフルオロカーボンスルホン酸樹脂(EW値650〜750)溶液(以下、単に「樹脂溶液」ともいう。)を、この固形分濃度が2.5重量%となるまで溶媒(エタノール又はt−ブチルアルコール)でそれぞれ希釈した場合における溶媒の減少特性を示した図である。図2のx軸は溶媒混合後の経過時間(Hr)を示し、y軸は溶媒量の減少率(%)を示す。
溶媒量の減少率は、次のように求めたものである。直径30mmのガラス容器に固形分濃度20重量%の樹脂溶液1.875gを入れ、続いて、溶媒13.125gを加えて静置する。その状態を表す模式図を図3に示す。図3に示すように、樹脂溶液に溶媒を加えると、樹脂溶液の層が下に、溶媒の層が上にそれぞれ形成される。この界面は、時間の経過に伴って上昇する。そこで、上層に残留する溶媒量を測定し、その変化量を算出すれば、溶媒量の減少率を求めることができる。
図2に示すように、樹脂溶液にエタノールを加えた場合、時間の経過に伴って溶媒量の減少率が大きく増加し、180時間経過後は限りなくゼロに近づく。即ち、エタノールは、樹脂溶液内に勢い良く取り込まれ続ける。そして、樹脂溶液が極度に高粘度化してしまう。一方、t−ブチルアルコールを加えた場合、時間の経過に伴う溶媒量の減少率の増加は緩やかであり、350時間経過後であっても60%以上を示す。即ち、t−ブチルアルコールは、その多くが樹脂溶液内に取り込まれずに残留する。また、樹脂溶液は高粘度化するものの、その度合いはエタノールの場合に比べて低い。
樹脂溶液中に溶媒が取り込まれるメカニズムは次のとおりと考えられる。上述したように、アイオノマー溶液中では、高分子主鎖が折り畳まれた内殻構造のミセルが形成される。これに関しては、樹脂溶液中においても同様である。そのため、樹脂溶液にエタノールやt−ブチルアルコールといった上記(ii)のタイプの溶媒を添加すると、これらの溶媒がミセルの内殻に作用し、高分子主鎖の折り畳み形状が徐々に解れる。そして、折り畳み形状が解れたパーフルオロカーボンスルホン酸樹脂同士がミセルを隔てて物理的に吸着し、ネットワークを形成していく。また、これらの溶媒は、ネットワーク形成が平衡に到達するまで樹脂溶液中に取り込まれ続ける。
ネットワークの形成が進行する一要因として、今回用いたパーフルオロカーボンスルホン酸樹脂のEW値が高いことが挙げられる。EW値はスルホン酸基1モル当たりの樹脂乾燥重量であるので、疎水性部位の重量と相関を有する。つまり、EW値が高ければ樹脂内に疎水性部位が多く存在するといえる。疎水性部位が多く存在すれば、その疎水性部位が解かれた場合には、樹脂同士のネットワークが形成し易くなる。この裏付けとして、EW値が500未満のパーフルオロカーボンスルホン酸樹脂溶液にエタノールやt−ブチルアルコールを添加した場合、その溶液の粘度変化は殆ど見られない。
また、溶媒種間でネットワークの形成の進行に違いが生ずるのは、溶媒分子の構造が影響しているものと考えられる。即ち、t−ブチルアルコールは分子内に分岐した疎水性部位を有するので、パーフルオロカーボンスルホン酸樹脂の疎水性部位を介したネットワークを短時間で形成させて、このネットワークによって更なる溶媒の取り込みを抑制できると考えられる。一方、エタノールではネットワークが形成されるものの、t−ブチルアルコールの場合ほど強固なネットワークが形成できずに溶媒が取り込まれ続けてしまうと考えられる。
このように、第二の溶媒の主溶媒にt−ブチルアルコールを使用すれば、ミセル間にネットワークを形成できるので、アイオノマー溶液を適度に高粘度化させることができる。従って、アイオノマーをカーボン表面に良好に吸着させて被覆状態を改善できる。よって、塗膜のひび割れ発生の抑制だけでなく、イオン伝導性や酸素ガス拡散性の良好な燃料電池用電極を製造することが可能となる。なお、これらの効果については、後述の実施例で明らかにする。
再び図1に戻って説明を続ける。アイオノマー溶液と、第二の溶媒と、触媒担持カーボンとの調合は、先ず、触媒担持カーボン中に第二の溶媒を加え、更にアイオノマー溶液を加える。このように、触媒担持カーボン、アイオノマーの順に加えることで、触媒担持カーボンの表面をアイオノマー溶液で均一に被覆することが可能となる。
(2)インク分散工程
本工程は、上記アイオノマー溶液と上記触媒担持カーボンとを上記第二の溶媒中に分散させて、触媒インクを調製する工程である。
図1に示すように、本工程では、先ず、(1)インク調合工程で調合した触媒担持カーボン、アイオノマー溶液及び第二の溶媒を撹拌で馴染ませ、その後、撹拌しながら超音波ホモジナイザーで分散させる。超音波ホモジナイザーの代わりに、ジェットミル、ボールミル、ビーズミル、ハイシェアーといった他の撹拌機を使用して分散させてもよい。なお、撹拌速度や撹拌時間といった撹拌条件は、適宜変更できる。
(3)溶媒除去工程
本工程は、(2)インク分散工程で調製した触媒インクを基材上に塗工し、塗工後に上記第一の溶媒と上記第二の溶媒とを除去する工程である。
本工程では、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等の基材上にダイコート法を用いて触媒インクを塗工し、塗工後の触媒インクを加温して第一、第二の溶媒を乾燥除去する。塗工方法はダイコート法に限られず、基材上に触媒インクを均一に塗工可能な方法であればよく、スピンコート法、スクリーン印刷法、ドクターブレード法等を使用してもよい。加温速度や加温時間は、第一、第二の溶媒種等によって適宜変更できる。また、加温と同時に脱気することで除去速度をあげてもよい。
以下、実施例を参照して、本発明を詳細に説明する。
(インクの調製)
[比較例1]
Ptを30重量%担持したカーボンブラック(OSAB)、水、エタノール、プロピレングリコール及びパーフルオロカーボンスルホン酸樹脂(EW値650〜750)をn−プロピルアルコール中に分散させた樹脂溶液を、カーボン濃度3.0%、アイオノマー/カーボンブラックの重量比0.75、水/エタノールの重量比1.0、プロピレングリコール/カーボンブラックの重量比3.0となるように調合した。調合後、撹拌しながら超音波ホモジナイザーで分散処理した。分散処理終了後、引き続き撹拌を4時間行い、分散を安定化させて比較例1用のインクを得た。
[比較例2]
プロピレングリコールを添加しない以外は比較例1のインクと同一の条件で調製し、比較例2用のインクを得た。
[実施例1]
Ptを30重量%担持したカーボンブラック(OSAB)、水、t−ブチルアルコール及びパーフルオロカーボンスルホン酸樹脂(EW値650〜750)をn−プロピルアルコール中に分散させた樹脂溶液を、カーボン濃度3.0%、アイオノマー/カーボンブラックの重量比0.75、第二の溶媒中のt−BuOHの重量率を94%、水の重量率を6%となるように調合した。調合後は比較例1のインクと同様にして実施例1用のインクを得た。
(インクの塗布)
上記3つのインクを、それぞれダイコーティングにおいてPTFEシート上に塗布した。この際、Pt目付量が0.1mg/cmとなるように塗布を行った。塗布後、これらのインクを乾燥して3つの電極試料を得た。3つの電極試料をそれぞれ比較例1、2、実施例1の電極試料とした。
(塗布面の観察)
各々の電極試料について、SEM(走査型電子顕微鏡)観察を行った。その結果を図4に示す。図4から分かるように、実施例1の電極試料には、ひび割れが全く観察されなかった。一方、比較例1や2の電極試料には多数のひび割れが観察された。このことから、実施例1のインクを用いれば、ひび割れが抑制できることが分かった。
(電極試料の評価)
1.燃料電池の放電性能評価
各々の電極試料13cmを電解質膜の両面に転写接合し、電極電解質膜接合体(MEA)を作製した。これらのMEAを用い、セル温度80℃、燃料ガスとしてはアノード側に水素ガス、カソード側に空気を用い、バブラー方式によってアノードガス加湿温度60℃/カソードガス加湿温度60℃の条件で発電試験を行った。背圧は0.1MPaとし、ガス流量はアノード側で0.5l/min、カソード側で1.0l/minとした。発電試験により得られた電流密度(A/cm)−電圧(V)曲線を図5に示す。
図5に示すように、実施例1の電極試料は、他の2つの電極試料に比べて放電特性が大幅に向上した。
2.アイオノマーの被覆率の評価
アイオノマーによって被覆されているPtがどの程度存在するか(Pt被覆率)をCV測定により算出した。具体的には、上記同様に3つのMEAを作製し、このMEAを構成する電極の一方を測定対象電極とし、この測定対象電極を純水/プロトン非伝導性のF溶媒(例えば、住友スリーエム社製のフロリナート(商品名))に浸し、他方の電極から水素ガスを加湿供給しながらCV測定した。CV測定により2つの電流−電位曲線(サイクリックボルタモグラム)が得られるので、測定対象電極を純水に浸した場合の吸着電気量H2Oと、測定対象電極をF溶媒に浸した場合の吸着電気量Qとを、それぞれのMEAについて求める。求めた吸着電気量QH2Oに対する吸着電気量Qの百分率を算出し、これをPt被覆率と定義して評価した。
算出したPt被覆率は次のとおりである。この結果から、実施例1の電極試料は、Ptがアイオノマーによって完全に被覆されていることが分かった。
比較例1・・・96%
比較例2・・・94%
実施例1・・・100%
3.触媒層抵抗の評価
上記のセルを用い、インピーダンス法により触媒層抵抗を測定した。具体的には、測定条件として、アノード側に水素ガス、カソード側に窒素ガスを用い、バブラー方式によってアノードガス加湿温度60℃/カソードガス加湿温度60℃の条件でインピーダンス測定(Cole−Coleプロット)を行った。得られた結果を図6に示す。触媒層抵抗値は、図6の曲線を図7に示す等価回路モデルを用いてフィッティングを行うことで算出した。
算出した触媒層抵抗値は次のとおりである。この結果から、実施例1の電極試料は、他の2つの電極試料に比べて触媒層抵抗が低かった。このことから、実施例1の電極試料は、プロトン伝導性に優れることが分かった。
比較例1・・・1020mΩ
比較例2・・・1080mΩ
実施例1・・・552mΩ
4.アイオノマー層内のガス拡散抵抗の評価
実施例及び比較例で得た各々の電極試料1cmを用いてMEAを作製した。これらのMEA、セル温度80℃、燃料ガスとしてはアノード側に水素ガス、カソード側にヘリウムガス又は窒素ガスを用いて酸素濃度2%に希釈したガスを用い、バブラー方式によってアノードガス加湿温度77℃/カソードガス加湿温度77℃の条件で発電させ、水素ガスを用いた場合と、窒素ガスを用いた場合とで拡散限界電流密度(Ilim)をそれぞれ測定し、ガス拡散抵抗(Rtotal)を算出した。なお、背圧は150kPa.absとし、ガス流量はアノード側で0.5l/min、カソード側で0.65l/minとした。
ここで、ガス拡散抵抗(Rtotal)は、溶媒ガス種に依存する分子拡散抵抗(Rmol)と、溶媒ガス種に依存しないそれ以外の拡散抵抗(Rother)とを用いて次式(1)のように表される。
total=PO2・4F/RT・Ilim=Rmol+Rother・・・(1)
本評価においては、算出したガス拡散抵抗(Rtotal)と、相互拡散係数比α(=ヘリウムガスの拡散係数(DHe)/窒素ガスの拡散係数(DN2))とから、上式(1)のRotherを求め、このRotherをアイオノマー層内のガス拡散抵抗として評価した。
otherは次のとおりである。この結果から、実施例1の電極試料は、他の2つの電極試料に比べてRotherの値が低かった。このことから、実施例1の電極試料は、酸素ガスの拡散性に優れることが分かった。
比較例1・・・29m/s
比較例2・・・31m/s
実施例1・・・23m/s

Claims (2)

  1. イオン交換基を有し、前記イオン交換基1モル当たりの樹脂乾燥重量を表すEW値が650〜750のパーフルオロカーボンスルホン酸樹脂を、第一の溶媒中に分散させてなる高分子電解質溶液と、t−ブチルアルコールを主溶媒とする第二の溶媒と、触媒担持カーボンと、を準備し、前記触媒担持カーボン中に前記第二の溶媒を加え、その後更に前記高分子電解質溶液を加えて調合する工程と、
    前記触媒担持カーボン、前記高分子電解質溶液および前記第二の溶媒の調合後、前記高分子電解質溶液と前記触媒担持カーボンとを前記第二の溶媒中に分散させて、触媒インクを調製する工程と、
    前記触媒インクを基材上に塗工し、塗工後に前記第一の溶媒と前記第二の溶媒とを除去する工程と、
    を備えることを特徴とする燃料電池用電極の製造方法。
  2. 前記t−ブチルアルコールの前記第二の溶媒の総重量に占める割合が75重量%以上であることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池用電極の製造方法。
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