JP7337658B2 - 金属担持触媒の製造方法 - Google Patents
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[1] 金属化合物及び第1溶媒を含む第1液体と、第2溶媒を含む第2液体と、を無機材料に含浸させた後、前記第1溶媒及び前記第2溶媒を除去することを含み、前記第1液体と、前記第2液体のハンセン溶解度パラメータの距離(Ra)が所定の値となるよう前記第1液体と、前記第2液体との組み合わせを選択する、金属担持触媒の製造方法。
[2] 前記Raが10MPa1/2以上である、[1]に記載の金属担持触媒の製造方法。
[3] 前記第2液体の前記第1液体に対するハンセン溶解度パラメータに基づく相対的エネルギー差(RED)が1超である、[1]又は[2]に記載の金属担持触媒の製造方法。
[4] 前記金属化合物がニッケル化合物である、[1]~[3]のいずれか一項に記載の金属担持触媒の製造方法。
[5] 前記無機材料がゼオライトを含む、[1]~[4]のいずれか一項に記載の金属担持触媒の製造方法。
[6] 前記金属担持触媒が流動接触分解触媒である、[1]~[5]のいずれか一項に記載の金属担持触媒の製造方法。
[7] 前記第1液体と、前記第2液体と、を別々に含浸させる[1]~[6]のいずれか一項に記載の金属担持触媒の製造方法。
[8] 前記第2液体を含浸させた後に、前記第1液体を含浸させる、[7]に記載の金属担持触媒の製造方法。
[9] 前記第1液体と、前記第2液体と、を混合して含浸させる[1]~[6]のいずれか一項に記載の金属担持触媒の製造方法。
本明細書において「沸点」とは、常圧(101,325Pa)における沸点を意味する。
本明細書において無機材料の「全細孔容積」は、水銀圧入法により測定することができる。
本明細書において、固体触媒の深さ方向の金属成分の分布は、電子プローブマイクロアナライザー(EPMA)分析によって行うことができる。
ハンセン溶解度パラメータ(Hansen solubility parameter(以下、単に「HSP」ともいう。)は、分子間の相互作用が似ている2つの物質は、互いに溶解しやすいとの考えに基づいている。HSPは、分子間の分散力に由来するエネルギー(δd)、分子間の双極子相互作用に由来するエネルギー(δp)、及び分子間の水素結合に由来するエネルギー(δh)から構成される。これらの3つのパラメータは3次元空間(ハンセン空間)における座標とみなすことができる。
HSP値(δdm、δpm、δhm)を三次元空間にプロットすることにより特定されるハンセン溶解度パラメータ空間において、既知のHPS値を有する複数の純物質(1種の化合物からなる物質)をプロットするとともに、上記純物質に対する評価試料の溶解性の有無によってハンセン球を特定し、当該ハンセン球の中心値を求めることで評価試料のHSP値を算出することが出来る。
また評価試料のHSP値は、平均分子構造の情報から原子団寄与法を用いて算出することも出来る。原子団寄与法を用いて評価試料のHSP値を算出する場合、例えばコンピューターソフトウェアHansen Solubility Parameters in Practice(HSPiP)を使用して算出することができる。
先ず、図1に例示する(分散項δd、極性項δpおよび水素結合項δhを座標軸とする)三次元空間に既知のHSP値を有する15~20個程度の純物質のHSP値をプロットする。
このとき、図1に示すように、例えば、評価試料に溶解性を示す純物質を○印、評価試料に溶解性を示さない純物質を×印で表記する。
次いで、プロットされた評価試料の溶解性に基づき、溶解性を示した純物質(図1で○印で示す)を包含し、溶解性を示さなかった純物質(図1に×印で示す)を包含しない仮想球のうち、最小半径を有するものを(図1に球状に示す)ハンセン球Sとして求める。
上記ハンセン球Sを成す半径(上記最少半径)が図中に○印で示す純物質を溶解し相溶性を示す相互作用半径R0となり、また、得られたハンセン球Sの中心値(δdm、δpm、δhm)が評価試料のHSP値となる。
Ra={4×(δd1-δd2)2+(δp1-δp2)2+(δh1-δh2)2}0.5 式1
固体触媒の深さ方向において、第1液体に含まれる金属化合物に由来する金属成分を偏在させる場合、Raは10MPa1/2以上であることが好ましく、12MPa1/2以上であることがより好ましく、14MPa1/2以上であることがさらに好ましい。Raが前記下限値以上であると、得られる固体触媒における金属化合物の深さ方向の分布の制御が行いやすくなる。なお、Raは使用する金属化合物、溶媒(第1溶媒、第2溶媒)によって値は大きく異なるため、上限値に限定はないが、実質的には30以下程度となる場合が多い。
第2液体の第1液体に対するハンセン溶解度パラメータに基づく相対的エネルギー差(以下、単に「RED」ともいう。)は、第1液体の相互作用半径をR0としたときに下式2により算出することができる。
RED=Ra/R0 式2
本実施形態の無機材料としては、炭素材料、無機酸化物が例として挙げられる。
無機酸化物は、金属元素と酸素原子から構成される塩である。無機酸化物は、金属原子が2種類以上含まれる複合酸化物であってもよい。無機酸化物にさらに別の無機酸化物が担持された構造を有していてもよい。無機酸化物は結晶性の無機酸化物でもよく、非結晶性の無機酸化物でもよい。
無機酸化物としては、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化ニオブ、酸化アルミニウム、酸化ホウ素、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化マンガン、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化鉄、酸化クロム、酸化ランタン、酸化イットリウム、酸化バリウム、酸化リン等が例として挙げられる。複合酸化物としては、シリカ-アルミナ、シリカ-マグネシア、アルミナ-マグネシア、リン-アルミナ、シリカ-ジルコニア、ボリア-アルミナ、シリカ-マグネシア-アルミナ、ゼオライト、ペロブスカイト、粘土鉱物等が例として挙げられる。
炭素材料としては、活性炭、カーボンナノチューブ、カーボンファイバー等が挙げられる。
無機材料の全細孔容積は、本発明の効果が得られる限り特に限定されないが、例えば0.01~2mL/gであることが好ましい。
無機酸化物の比表面積は、特に限定されないが、例えば1~1,000m2/gであることが好ましい。炭素材料の比表面積は、特に限定されないが、例えば500~3,000m2/gであることが好ましい。無機材料の比表面積は、窒素吸着により測定することができる。
本実施形態において第1液体は、金属化合物及び第1溶媒を含む。より具体的には、第1液体は、金属化合物が第1溶媒に溶解した溶液である。以下、第1液体に含まれる金属化合物及び第1溶媒について説明する。
有機溶媒としては、ギ酸メチル、ギ酸エチル、ギ酸プロピル、ギ酸ペンチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ペンチル等のエステル類、アセトン、ジイソブチルケトン、エチルメチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、γ-ブチロラクトン、N-メチル-2ピロリドン等のケトン類、ジエチルエーテル、メチル-tert-ブチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシメタン、ジメトキシエタン、1,4-ジオキサン、1,3-ジオキソラン、4-メチルジオキソラン、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、アニソール、フェネトール等のエーテル類、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール、tert-ブタノール、1-ペンタノール、2-メチル-2-ブタノール、メトキシプロパノール、ジアセトンアルコール、シクロヘキサノール、2-フルオロエタノール、2,2,2-トリフルオロエタノール、2,2,3,3-テトラフルオロ-1-プロパノール等のアルコール類、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールジメチルエーテル等のグリコールエーテル類、N,N-ジメチルホルムアミド、アセトアミド、N,N-ジメチルアセトアミド等のアミド基を有する有機溶媒、アセトニトリル、イソブチロニトリル、プロピオニトリル、メトキシアセトニトリル等のニトリル基を有する有機溶媒、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネート基を有する有機溶媒、塩化メチレン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素、n-ペンタン、シクロヘキサン、n-ヘキサン、1-オクタデセン、ベンゼン、トルエン、キシレン、2,2,4-トリメチルペンタン等の炭化水素等が例として挙げられる。
本実施形態において第2液体は、第2溶媒を含む。また、第2液体は、金属化合物を含んでいてもよい。以下、第2液体に含まれる第2溶媒について説明する。
前記金属化合物としては、第1液体に含まれる金属化合物を用いることができる。第2液体に含まれる金属化合物は、第1液体に含まれる金属化合物とは同じ金属種の化合物でもよく、異なる金属種の化合物でもよいが、異なる金属種の化合物であることが好ましい。
金属化合物の形態は、第2溶媒に対する溶解度、使用する第1液体、及び目的とするRaやRED等により、第1液体に含まれる金属化合物においてすでに説明した形態から適宜選択すればよい。
含浸法としては、無機材料をその保持可能な最大溶液(溶媒)量に対して過剰の含浸液に浸した後に乾燥することにより、担持成分を担持する「蒸発乾固法」、無機材料をその保持可能な最大溶液(溶媒)量に対して過剰の含浸液に浸した後に、ろ過等の固液分離により担持成分を担持する「平衡吸着法」、無機材料にその保持可能な最大溶液(溶媒)量とほぼ同体積の含浸液を含浸し、乾燥させることにより、担持成分を担持する細孔充填法(Incipient Wetness法)が例として挙げられる。保持可能な最大溶液(溶媒)量として、無機材料の全細孔容積の値を使用してもよい。
本実施形態においては、無機材料の細孔内に充填される第1液体と、第2液体との体積比等を容易に調整しやすい観点から、細孔充填法が好ましい。
蒸発乾固法、平衡吸着法においては、第1液体と、第2液体との混合液を含浸液として使用することができる。
細孔充填法においては、第1液体と、第2液体とをそれぞれ含浸液として別々に逐次含浸してもよく、第1液体と、第2液体との混合液を含浸液として一括含浸してもよい。
この含浸体から、第1溶媒及び第2溶媒を除去すると、第1液体に含まれる金属化合物がそのまま無機材料の外部に担持されると考えられる。
上記含浸方法によって得られた含浸体から第1溶媒及び第2溶媒の除去を行う。乾燥は常圧で行ってもよく、減圧で行ってもよい。また、乾燥温度は、除去する溶媒の乾燥を行う圧力における沸点等を勘案して適宜選択を行えばよいが、例えば第1溶媒及び第2溶媒の中で最も沸点高い溶媒の沸点の-10~30℃の範囲であることが好ましく、-5~20℃の範囲であることがより好ましい。前記乾燥温度で乾燥を行う場合、乾燥時間は0.5~1時間といった短時間で乾燥してもよく、12~24時間といった長時間をかけて乾燥してもよい。
このような固体触媒が触媒する反応としては、特に限定されないが、例えば、水素化反応、脱水素化反応、脱水反応、水和反応、光触媒反応、酸化反応、還元反応等が挙げられる。
このような固体触媒としては、流動接触分解反応に使用される流動接触分解触媒(以下、単に「FCC触媒」ともいう。)の平衡触媒が例として挙げられる。すなわち、本実施形態の金属担持触媒の製造方法は、FCC触媒の平衡触媒を模した模擬触媒の製造に好適に採用される。
流動接触分解反応において、FCC触媒は、反応により生成したコークの堆積、原料油中に含まれる金属の堆積、及び水熱劣化により活性が低下する。コークの堆積により活性が低下したFCC触媒は、流動接触分解装置の再生塔で空気流通下、高温でコークを燃焼除去することにより、流動接触分解装置内で再生することが可能である。一方、金属の堆積による劣化、水熱劣化により活性が低下したFCC触媒は、流動接触分解装置内で再生することは実質的に不可能である。そのため、活性が低下したFCC触媒の一部を定期的あるいは定常的に抜出、必要量の新触媒を投入することによって、流動接触分解装置内のFCC触媒の活性を維持するという方法がとられている。このように流動接触分解装置内におけるFCC触媒は、投入と抜出しを行いながら活性を一定に保っていることから平衡触媒と呼ばれている。
本実施形態においては、無機材料として、FCC新触媒を使用する。
FCC新触媒は、ソーダライトケージ構造を有するゼオライト、βゼオライト、ZSM-5型ゼオライト等のゼオライトを含むことが好ましく、ソーダライトケージ構造を有するゼオライトを含むことがより好ましい。FCC新触媒の総質量に対するゼオライトの含有量は25~45質量%であることが好ましく、28~42質量%であることがより好ましく、30~40質量%であることがさらに好ましい。
上記方法で得られた安定化Y型ゼオライトは、水素、アンモニウムあるいは多価金属から選ばれるカチオンでイオン交換された形で使用することができる。また、安定化Y型ゼオライトとして、より安定性に優れたヒートショック結晶性アルミノシリケートゼオライト(特許第2544317号公報参照)を使用することもできる。
結合剤としては、例えば、シリカゾルが例として挙げられる。シリカゾルを使用することにより、FCC新触媒を造粒するときの成形性が向上し、容易に球状化することを可能にする。また、造粒後のFCC新触媒の流動性及び耐摩耗性を容易に向上することができる。FCC新触媒の総質量に対する結合剤の含有量は15~35質量%であることが好ましく、18~32質量%であることがより好ましく、20~30質量%であることがさらに好ましい。
FCC新触媒の総質量に対する粘土鉱物と無機材料の含有量の和は35~55質量%であることが好ましく、38~52質量%であることがより好ましく、40~50質量%であることがさらに好ましい。
FCC新触媒の総質量に対する粘土鉱物の含有量は25~50質量%であることが好ましく、30~45質量%であることがより好ましく、32~42質量%であることがさらに好ましい。
FCC新触媒の粒子径は、例えば、筒井理化学器械製“ミクロ形電磁振動ふるい器 M-2型”により測定することができる。
本実施形態において第1液体は、ニッケル化合物を含む。より具体的には、第1液体は、ニッケル化合物が第1溶媒に溶解した溶液である。
このようなニッケル化合物としては、オクチル酸ニッケル、ナフテン酸ニッケル等が例として挙げられる。
このようなバナジウム化合物としては、オクチル酸バナジウム、ナフテン酸バナジウム等が例として挙げられる。
この中でも第1溶媒としては、トルエン、キシレンが好ましい。
本実施形態において第2液体は、第2溶媒を含む。第2液体は、金属化合物としてバナジウム化合物を含んでいてもよい。バナジウム化合物としては、第1液体において説明したバナジウム化合物を用いることができる。第2液体は、バナジウム化合物以外の金属化合物を含まないことが好ましい。以下、第2液体に含まれる第2溶媒について説明する。
例えば、第1液体が、金属化合物としてオクチル酸ニッケル、第1溶媒としてトルエンからなる液体であるとき、第2溶媒として2,2,4-トリメチルペンタンを選択することが好ましい。
本実施形態の含浸方法としては、細孔充填法が好ましい。また、細孔充填法における含浸手順として、第2液体を無機材料に含浸して含浸前駆体を得、前記含浸前駆体にさらに第1液体を含浸する方法が好ましい。
上記含浸方法によって得られた含浸体から第1溶媒及び第2溶媒の除去を行う。乾燥は常圧で行ってもよく、減圧で行ってもよい。また、乾燥温度は、除去する溶媒の乾燥を行う圧力における沸点等を勘案して適宜選択を行えばよいが、例えば第1溶媒及び第2溶媒の中で最も沸点高い溶媒の沸点の-10~20℃の範囲であることが好ましく、-5~10℃の範囲であることがより好ましい。前記乾燥温度で乾燥を行う場合、乾燥時間は0.5~1時間といった短時間で乾燥してもよく、12~24時間といった長時間をかけて乾燥してもよい。
触媒前駆体に担持されたニッケル化合物を酸化物に変換するため、空気雰囲気下、高温で焼成処理を行う。焼成温度は、有機物が燃焼除去可能な温度であればよく、600℃程度が好ましい。
上述の工程を経て、ニッケルがegg shell型で偏在して担持されたFCC模擬平衡触媒を得ることができる。
無機材料の全細孔容積は、水銀圧入装置として、ポロシメーター(MICROMERITICS AUTO-PORE 9200:島津製作所製)を使用して測定した。
無機材料のEPMA分析は、電子プローブマイクロアナライザー(日本電子株式会社製EPMA、JXA―8600MX)を用いて行った。測定条件は加速電圧15kV、入射電流1×10-7A、測定点間のインターバル10μm、計数時間0.3secで行った。測定触媒の断面は、触媒をMMA(methyl methacrylate)に包埋し、研磨装置を用いて研磨することにより作製した。
EPMA分析から得られる図において、赤色で表示された部分が最もニッケル濃度が高い部分であり、黄色、緑、水色、青色の順でニッケルの濃度が下がっていく。
シリカゾル(結合剤)42.0g(乾燥基準、SiO2換算量)を25%硫酸で希釈し、攪拌することによりシリカゾルの水溶液を得た。安定化Y型ゼオライト76.0g(乾燥基準)に蒸留水を加え、ゼオライトスラリーを調製した。上記のシリカゾル水溶液に、カオリナイト71.4g(乾燥基準)とアルミナ水和酸化物10g(乾燥基準)を加えて混合し、さらに上記のゼオライトスラリーを加えて、ディスパーサーを用いて10分間攪拌混合して水性スラリーを得た。得られた水性スラリーを210℃の入口温度、及び140℃の出口温度の条件で噴霧乾燥し、得られた微小球体を触媒前駆体とした。該触媒前駆体を、60℃の5質量%の硫酸アンモニウム水溶液3Lで2回イオン交換した後、さらに3Lの蒸留水で洗浄した。次いで、洗浄した微小球体を、乾燥基準での酸化ランタン含有量が0.3質量%となるように硝酸ランタン水溶液で15分間イオン交換し、次いで、3Lの蒸留水で洗浄した。その後、乾燥機中、110℃で一晩乾燥し、無機材料であるFCC新触媒を得た。FCC新触媒の全細孔容積は、0.09mL/gであった。
第1液体として、金属化合物としてオクチル酸ニッケルを、第1溶媒としてトルエン(沸点:110.6℃)を含むニッケル濃度が2質量%のトルエン溶液を用いた。第2液体として、2,2,4-トリメチルペンタン(沸点:99℃)を使用した。第1液体と、第2液体のRaは15.9であり、第2液体の第1液体に対するREDは1.99である。
上記FCC新触媒について、あらかじめ第1溶媒あるいは第2溶媒を触媒に浸漬させ、触媒が保持可能な最大溶媒量を測定した。最大溶媒量は0.86mL/g-catであった。
上記FCC新触媒の保持可能な最大溶媒量に対し90%の体積の第2液体をFCC新触媒に含浸し、含浸前駆体を得た。前記含浸前駆体に、上記FCC新触媒の保持可能な最大溶媒量に対し10%の体積の第1液体を、含浸前駆体を撹拌しながら添加することにより含浸し、含浸体を得た。
得られた含浸体を110℃で0.5時間乾燥を行い、触媒前駆体を得た。得られた触媒前駆体を空気雰囲気下、600℃で2時間加熱処理し、ひきつづいて800℃で12時間スチーム処理を行い、FCC模擬平衡触媒Aを得た。FCC模擬平衡触媒AのEPMA分析結果を図3に示す。
上記FCC新触媒の保持可能な最大溶媒量に対し100%の体積の第1液体をFCC新触媒に含浸し、含浸体を得た。
得られた含浸体を110℃で0.5時間乾燥を行い、触媒前駆体を得た。得られた触媒前駆体を空気雰囲気下、600℃で2時間加熱処理し、ひきつづいて800℃で12時間スチーム処理を行い、FCC模擬平衡触媒Bを得た。FCC模擬平衡触媒BのEPMA分析結果を図4に示す。
[参考例1]
上記FCC新触媒で実機運転を行った際のFCC平衡触媒を採取した。FCC平衡触媒のEPMA分析結果を図5に示す。
Claims (6)
- 金属化合物及び第1溶媒を含む第1液体と、第2溶媒を含む第2液体と、を無機材料に別々に含浸させた後、前記第1溶媒及び前記第2溶媒を除去することを含み、前記第1液体と、前記第2液体のハンセン溶解度パラメータの距離(Ra)が10MPa 1/2 以上となるよう前記第1液体と、前記第2液体との組み合わせを選択する、金属担持触媒の製造方法。
- 前記第2液体の前記第1液体に対するハンセン溶解度パラメータに基づく相対的エネルギー差(RED)が1超である、請求項1に記載の金属担持触媒の製造方法。
- 前記金属化合物がニッケル化合物である、請求項1又は2に記載の金属担持触媒の製造方法。
- 前記無機材料がゼオライトを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の金属担持触媒の製造方法。
- 前記金属担持触媒が流動接触分解触媒である、請求項1~4のいずれか一項に記載の金属担持触媒の製造方法。
- 前記第2液体を含浸させた後に、前記第1液体を含浸させる、請求項1~5のいずれか一項に記載の金属担持触媒の製造方法。
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