JP4519719B2 - 炭化水素油の水素化処理触媒の製造方法、ならびに炭化水素油の水素化処理方法 - Google Patents

炭化水素油の水素化処理触媒の製造方法、ならびに炭化水素油の水素化処理方法 Download PDF

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Description

本発明は、間接脱硫装置による減圧軽油留分(以下、VGOと記す)または直接脱硫装置による常圧残油留分(以下、ARと記す)、減圧残油留分(以下、VRと記す)の水素化脱硫に用いられ、上記重質油留分中の硫黄化合物を長期間にわたり、高い効率で除去することができる炭化水素油の水素化処理触媒、および該水素化処理触媒の製造方法、ならびに炭化水素油の水素化処理方法に関する。
原油を常圧蒸留装置により処理して得られたARや、ARを更に減圧蒸留装置で処理することにより得られるVGO、VR等の重質油には多量の硫黄化合物が含有されている。
これらの重質油を脱硫処理することなく燃料として用いた場合には、多量の硫黄酸化物(SOx)が大気中に排出され、環境破壊の一因となる。
そこで従来、原油から種々の石油製品を製造する工程の一つとして、間接脱硫装置や直接脱硫装置による重質油留分の水素化脱硫処理が取り入れられ、硫黄化合物の除去が可能となった。重質油中の硫黄化合物を除去することを目的とする水素化処理触媒は、周期律表第6族のモリブデン、タングステン、第8族のコバルト、ニッケルを活性発現成分とし、これらをアルミナ、マグネシア、シリカ、チタニア等の無機酸化物担体に担持させたものが開発されている。
しかしながら、重質油中には水素化脱硫反応の障害となるアスファルテン、あるいは触媒活性を低下させる有機金属化合物(ニッケルおよびバナジウム等)を含んだ巨大分子が存在し、上記した触媒の水素化脱硫活性を長期にわたり維持することは難しい。
このため、重質油を高効率に水素化処理する目的で、水素化処理触媒の高脱硫性能化、長寿命化に関する研究が盛んに行われている。触媒の長寿命化を目的に、ニッケルおよびバナジウム等からの触媒劣化(メタル劣化)を抑制するには、一般的に触媒の細孔容積および細孔径を大きくすることにより達成できる。しかし、細孔容積および細孔径を大きくすると比表面積が減少し、その結果、脱硫性能が低下する。
一方、触媒の水素化脱硫性能を改善する方法について、幾つかの提案がされている。例えば、特許文献1では、アルミナ担体にゼオライトを加え、水素化脱硫性能の向上を図っている。しかしゼオライトを添加すると、その酸性質のため、他の劣化因子であるコークの生成が増加する傾向にある。また、非特許文献1では、リンを含浸担持することにより、脱硫活性の向上を図っているが、リンを含浸することにより、触媒細孔容積は低下し、急速なメタル劣化を引き起こす傾向にあるため、重質油処理触媒としては触媒寿命が短くなってしまう。特許文献2ではリンを含有する担体を用いることで脱硫活性及び脱金属活性の向上を図っている。しかしながら、脱金属活性が向上したことにより、触媒活性の劣化の要因である金属分が触媒上に多量に堆積することで触媒寿命が大幅に短くなり、また脱硫活性においても更なる向上が望まれる。
特開昭58−146445号公報 特開2000−135438号公報 J. Japan Petrol. Inst.,22, (6), 336(1979)
本発明の目的は、間接脱硫装置によるVGOや直接脱硫装置によるAR等の水素化脱硫処理において、重質油留分中の硫黄化合物を長期間にわたり、高い効率で除去することができるよう、触媒の耐金属性能を向上させ、触媒の堆積金属による劣化が少なく、かつ水素化脱硫性能に優れた炭化水素油の水素化処理触媒を提供することにあり、更には該水素化処理触媒の製造方法、および該触媒を用いた炭素化水素油の水素化処理方法を提供することにある。
本発明によれば、下記構成の触媒の製造方法が提供されて、上記課題が解決される。
1.リンを担体基準、酸化物換算で0.3〜2.5質量%含有するリン含有アルミナ担体に、周期律表第6族金属から選ばれた少なくとも1種を触媒基準、酸化物換算で3〜30質量%、周期律表第8族金属から選ばれた少なくとも1種を触媒基準、酸化物換算で2〜10質量%それぞれ担持し、前記金属の酸化物換算質量比(第6族金属/第8族金属比)が1.5〜3.5であり、エレクトロンプローブ・マイクロアナリシス(EPMA)装置により、触媒中心を通る断面幅方向における線分析結果のリン原子の分布が下記の式(1)で表されるS値を満足する、炭化水素油の水素化処理触媒製造する方法であって、
アルミナ担体の原料をリンを含む水溶液で水分調整し、混練、成形、450〜550℃で焼成することにより、比表面積180〜500m/g、細孔容積0.6〜1ml/g、平均細孔直径5〜17nmである、リンを担体基準、酸化物換算で0.3〜2.5質量%含むアルミナ担体を得る工程(a)と、
前記アルミナ担体上に、周期律表第8族金属から選ばれた少なくとも1種を含む化合物と、周期律表第6族金属から選ばれた少なくとも1種を含む化合物を含有する溶液を用い、触媒基準、酸化物換算で周期律第6族金属を3〜30質量%、周期律表第8族金属を2〜10質量%、前記金属の酸化物換算質量比(第6族金属/第8族金属比)が1.5〜3.5となるように担持させる工程(b)と
その後600〜700℃で空気雰囲気下、1〜10時間焼成する工程(c)とを含み、前記工程(c)の焼成温度を前記工程(a)のアルミナ担体の焼成温度よりも高温とすることを特徴とする、製造方法。
S=exp(0.04×Iave.+0.013×Imax.−0.143×Imin.)≦1 ‥‥‥式(1)
(式(1)において、Imax.はEPMA線分析によるリン原子の濃度測定値の最大値であり、Imin.はEPMA線分析によるリン原子の濃度測定値の最小値であり、Iave.はEPMA線分析によるリン原子の濃度測定値の平均値である。)
2.前記金属の酸化物換算質量比(第6族金属/第8族金属比)が1.5〜3.1である上記1に記載の製造方法。
.上記1または2に記載の製造方法で得られた炭化水素油の水素化処理触媒の存在下、水素分圧4〜20MPa、温度320〜450℃、液空間速度0.05〜5hr−1の条件で、炭化水素油留分の接触反応を行うことを特徴とする炭化水素油の水素化処理方法。
本発明の炭化水素油の水素化処理触媒は、種々の重質油留分の水素化脱硫処理において、高い耐金属性能を有すため触媒の堆積金属による劣化が少なく、かつ水素化脱硫性能が高い。本発明の炭化水素油の水素化処理触媒を炭化水素油の水素化脱硫に用いると、重質油留分中の硫黄化合物を長期間にわたり、高い効率で除去することができる。
以下、本発明の炭化水素油の水素化処理触媒(以下、単に「水素化処理触媒」あるいは「触媒」とも言う)およびその製造方法について、詳しく説明する。
本発明の触媒は、担体として、リンを特定量含有するアルミナ担体を用いる。このリン含有アルミナ担体は、平衡吸着法、混練法、共沈法などによって製造することができ特に限定するものでないが、触媒劣化が少なく、かつ水素化脱硫性能の高い触媒が得られる点で、混練法によることが好ましい。即ち、リン含有アルミナ担体製造時、アルミナゲルを洗浄、乾燥した後、リンを含む水溶液で水分調整し、混練、成形、焼成することにより、リン含有アルミナ担体を調製することが好ましく、本発明の触媒の上記性能の発現において優れる結果が得られる。
更に、本発明の触媒は、上記リン含有アルミナ担体に、周期律表第6族金属から選ばれる少なくとも1種を含む化合物と、周期律表第8族金属から選ばれる少なくとも1種を含む化合物とを含有する溶液を含浸担持して調製される。含浸担持後、400〜700℃で空気雰囲気下、1〜10時間焼成することが好ましい。
リンの含有量は、リン含有アルミナ担体を基準として酸化物換算で表示して、0.3〜2.5質量%、好ましくは0.3〜1.5質量%である。リンの含有量が上記範囲であることにより、重質油中の硫黄化合物を長期間にわたり、高い効率で除去する触媒が得られる。リン含有量が0.3質量%以上であれば、予備硫化工程において第6族金属が高分散で硫化物を形成し、優れた触媒活性を発現することが可能であると推測されるため好ましい。一方、2.5質量%以下であれば過剰なリンが被毒物質として触媒活性点の被覆による触媒活性の低下や、細孔容積の大幅な低下等による触媒寿命の低下を引き起こさないため好ましい。
ここで、リンの含有量に関して、「担体を基準として酸化物換算で表示する」とは、担体中に含まれる全ての金属種の質量を金属それぞれの酸化物として算出し、その合計質量に対するリンの酸化物質量の割合を意昧する。なお、アルミニウムは3価、リンは5価、周期律表第6族金属は6価、および第8族金属は2価の金属として求めた。
本発明の触媒で使用するリン含有アルミナ担体のリンの原料として、種々の化合物を用いることができる。具体例としてオルトリン酸、メタリン酸、ピロリン酸、三リン酸、四リン酸が挙げられるがオルトリン酸が好ましい。
リン含有アルミナ担体を得るために、まず始めにアルミナゲルを製造する。アルミナゲルの製造方法は特に限定されず、通常の方法を採用することができる。すなわち、水溶性のアルミニウム化合物、例えばアルミニウムの硫酸塩、硝酸塩あるいは塩化物をアンモニアのような塩基で中和するか、またはアルカリ金属アルミン酸塩を酸性アルミニウム塩または酸で中和するなどして、アルミナゲルを得る。
通常のアルミナ担体は、アルミナゲルを熟成、洗浄、脱水乾燥、水分調整、成形、乾燥、焼成等の一般的な工程により製造することができる。本発明の触媒で使用するリン含有アルミナ担体は、脱水乾燥後のアルミナゲル中にリンを含む水溶液を添加して水分調整し、混練する混練工程を上記成形工程の前に付加して製造することが好ましい。
触媒担体として好適な構造物性を有する担体を得るには、沈殿剤や中和剤などを添加してアルミナゲルを作る際のpH、これら薬剤の濃度、時間、温度等を適宜調整すればよい。なお、ゲル生成の際のpHを酸性側で行えば、比表面積が大きくなり、後述するA値を増大できるため好ましい。本発明では、pHは4〜8、温度は15〜90℃の範囲内とすることが好ましい。
ゲル生成後に熟成、不純物の洗浄除去、脱水乾燥を行う。熟成は、熟成後のアルミナゲルから不純物の除去し易さおよびアルミナゲルの比表面積を適度な大きさに維持する観点から、pH4〜9、15〜90℃で1〜25時間の範囲で行うことが好ましい。
また脱水乾燥は、アルミナゲルになるべく熱を加えずに、含有水分量を調整することにより行う。例えば、15〜90℃、0.01〜2MPaでの自然濾過、吸引濾過、加圧濾過等による方法で脱水乾燥する。アルミナゲルに余分な熱を加えずに含有水分量を調整することで、担体の表面構造の制御が可能となり、触媒の水素化脱硫活性を向上させることができる。
脱水乾燥後、担体成形のために含有水分量が約60〜90質量%になるように調整する。リンを含む水溶液により水分調整を行うのが触媒性能及び環境保全の観点からも好ましい。また、水分調整は脱水乾燥条件を調整することで行うこともできる。
水分調整後に担体の成形を行う。成形方法は特に限定されず、押出成形、打錠成形あるいは油中造粒等の一般的な方法を用いることができる。なお成形時の圧力や速度を調整することによっても、担体の構造物性である細孔容積や細孔分布等を制御することができる。
担体の形状は、重質油留分の触媒層の流通を考慮し、円柱状、三葉柱状、四葉柱状、ダンベル柱状あるいはリング状のペレット形状であることが望ましいが、反応条件下で触媒層の圧力損失(圧力差)が小さい形状が選ばれる。同様にこのペレット径は反応条件下で触媒層の前後で圧力損失が大きくならないように1/10〜1/36インチの範囲にあることが望ましい。なおペレット径とは、ペレットの形状が円柱であるもの以外は、その最も太い部分の断面の長径で表す。
成形後、15〜150℃で3〜24時間乾燥し、引き続き400〜700℃、好ましくは400〜600℃、より好ましくは450〜550℃で3〜24時間焼成することにより、本発明で使用するリン含有アルミナ担体を得ることができる。焼成温度が400℃以上であれば十分な触媒強度を有することが可能であり、700℃以下であれば比表面積を十分に大きくでき、活性金属を高分散に担持できるため好ましい。
本発明で使用するリン含有アルミナ担体の比表面積、細孔容積、平均細孔直径は、以下に示す範囲とすれば、耐金属性能および水素化脱硫活性の高い触媒にすることができる。窒素吸着法(BET法)にて測定した比表面積は、180〜500m2/g、好ましくは200〜400m2/g、水銀圧入法にて測定した細孔容積は、0.6〜1ml/g、好ましくは0.7〜1ml/g、水銀圧入法にて測定した平均細孔直径は、5〜17nm、好ましくは5〜15nmであることが好適である。
リン含有アルミナ担体の比表面積が180m2/g以上であれば、活性金属を十分な分散性をもって担持することが可能であり、500m2/g以下であれば触媒細孔径が極端に小さくならず、対象硫黄化合物を十分に細孔内に拡散可能であるため好ましい。
細孔容積が0.6ml/g以上であれば、含浸法において活性金属を担持する場合、細孔容積内に活性金属化合物の溶解性を損なうことなく、活性金属を高分散に担持するのに十分な量の溶媒を保持でき、また耐金属性能を十分に発揮することが可能であるため好ましい。一方、1ml/g以下であれば比表面積を極端に小さくすることがないため活性金属を有効に分散担持できるため、好ましい。
平均細孔直径が5nm以上であれば、対象硫黄化合物の触媒細孔内での拡散性を確保でき、17nm以下であれば極端な比表面積の低下がないため、活性金属を有効に分散担持できるので、好ましい。また、ここに示した平均細孔直径の条件を満たす有効細孔数を増加させるため、平均細孔直径±1.5nmの範囲にある細孔容積の全細孔容積に対する割合は40%以上、好ましくは50%以上であることが好適である。40%以上あれば対象硫黄化合物の脱硫に関係しない細孔径が増加せず、既触媒細孔を有効に活用でき、触媒活性の低下を抑制できるため、好ましい。
本発明の触媒は、周期律表第6族から選ばれる少なくとも1種の金属および周期律表第8族から選ばれる少なくとも1種の金属を担持させたものである。
上記第6族金属としては、クロム、モリブデンまたはタングステンが用いられるが、モリブデンまたはタングステンが好ましい。また、これら第6族金属は2種以上組み合わせて用いることができる。これら第6族金属の化合物として、種々のものを用いることができる。
モリブデン化合物の具体例として、酸化モリブデン、モリブデン酸アンモニウム、モリブデン縮合酸塩等が挙げられるが、酸化モリブデン、モリプデン酸アンモニウム、モリブドリン酸が好ましい。
また、タングステン化合物の具体例として、酸化タングステン、タングステン酸アンモニウム、タングステン縮合酸塩等が挙げられるが、酸化タングステン、タングステン酸アンモニウム、タングストリン酸が好ましい。
これら化合物は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記第8族金属としては、ニッケルまたはコバルトが好ましい。また、ニッケルとコバルトを併用することもできる。これら第8族金属の化合物として種々のものを用いることができる。
ニッケル化合物の具体例として、硝酸ニッケル、硫酸ニッケル、炭酸ニッケル、酢酸ニッケル、シュウ酸ニッケル、塩化ニッケル等が挙げられるが、硝酸ニッケル、炭酸ニッケル、酢酸ニッケルが好ましい。
また、コバルト化合物の具体例として、硝酸コバルト、硫酸コバルト、炭酸コバルト、酢酸コバルト、シュウ酸コバルト、塩化コバルト等が挙げられるが、硝酸コバルト、炭酸コバルト、酢酸コバルトが好ましい。
これらの化合物は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。勿論、ニッケル化合物とコバルト化合物を組み合わせて用いることができる。
また、触媒の調製に際して、第6族金属や第8族金属の触媒金属の化合物の水溶性を向上させるために有機酸を添加してもよい。この有機酸として種々のものを用いることができる。具体例として酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、イソ吉草酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、トリカルバリル酸、グリコール酸、乳酸、グルコン酸、ピルビン酸、クエン酸1水和物、無水クエン酸、イソクエン酸、アロイソクエン酸、リンゴ酸、酒石酸等が挙げられるが、無水クエン酸、イソクエン酸、クエン酸1水和物が好ましい。
第6族金属の担持量は、触媒を基準として酸化物換算で表示して、3〜30質量%、好ましくは5〜25質量%であり、特に好ましくは5〜20質量%である。3質量%以上であれば第6族金属に起因する効果を十分に発現することが可能であり、30質量%以下であれば第6族金属の担持工程における第6族金属化合物の凝集を生じることなく、第6族金属を効率的に分散することができるため好ましい。
また、第8族金属の担持量は、触媒を基準として酸化物換算で表示して、2〜10質量%、好ましくは2.5〜8質量%である。2質量%以上であれば、第8族金属に帰属する活性点を十分に得ることができ、10質量%以下であれば、第8族金属の担持工程での凝集物を生じることなく、第8族金属の分散性を維持することができるため好ましい。
更に、第6族金属と第8族金属の酸化物換算質量比(第6族金属/第8族金属比)は、1.5〜3.5、好ましくは、1.8〜3.5である。第6族金属と第8族金属の酸化物換算質量比が1.5以上であれば第6族金属と第8族金属の触媒活性相乗効果を十分に発現することが可能であり、3.5以下であれば第8族金属が触媒担体に取り込まれ、硫化されにくいアルミネート様化合物の形態を生成しても第6族金属と相乗効果を発揮するのに十分な第8族金属量を確保することができるため、好ましい。
なお、金属質量の測定方法は、触媒を混酸に溶解した後、ICP分光法(誘導結合高周波プラズマ分光法)により分析した。
本発明の触媒において第6族金属、第8族金属の担持方法は、通常の方法、例えば含浸法、共沈法、混練法、沈着法、イオン交換法など種々の調製方法が採用できる。
特に好ましくは含浸法で担持する方法であるが、複数の活性金属を担持する場合、同時に含浸してもよいし、個々に含浸してもよい。個々に含浸する場合、含浸順序に特に制限は無いが、第6族金属を担持した後、第8族金属を担持することが好ましい。
金属を担持させた後、乾燥、焼成の処理を施す。乾燥方法の条件は特に制限されず、例えば、通常の風乾、熱風乾燥、加熱乾燥等の方法で、これらの方法に採用される通常の条件が採用される。乾燥後、電気炉、マッフル炉等を使用し、空気流通下で焼成が行われるが、焼成温度は400〜700℃が好ましく、500〜700℃がより好ましく、600〜700℃が特に好ましい。更に、脱硫活性向上のためには、焼成温度を担体焼成温度よりも高温とすることが好ましい。特に、担体焼成温度よりも50〜250℃高温であることが好ましく、100〜250℃高温であることが更に好ましい。
本発明の触媒では、触媒に含有されるリン原子について、エレクトロンプローブ・マイクロアナリシス(EPMA)装置により、触媒中心を通る断面幅方向における線分析の結果は、リン原子の分布が下記の式(1)で表されるS値を満足する。
S=exp(0.04×Iave.+0.013×Imax.−0.143×Imin.)≦1 ‥‥‥式(1)
式(1)において、Imax.はEPMA線分析によるリン原子の濃度測定値の最大値であり、Imin.はEPMA線分析によるリン原子の濃度測定値の最小値であり、Iave.はEPMA線分析によるリン原子の濃度測定値の平均値である。
本発明の触媒はリンの分散状態を制御しており、式(1)で示したS値が1以下、好ましくは0.8以下、更に好ましくは0.6以下である。S値が小さいほどリン原子の分布が触媒ペレット内で均一に制御されていることを示し、S値が1以下であればリン原子の触媒中での分散均一性が制御されているため、活性金属の分散性向上による触媒活性の向上と、リン原子が偏析することによる触媒細孔閉塞を抑制できるため耐金属性能を向上できるので、好ましい。
S値の測定は、日本電子製JXA-8200装置を使用し、触媒の断面を一方の表面から中心を通り、反対側の表面までリン原子のEPMA線分析により実施した。分析条件を以下に示した。
・試料作成
触媒試料をMMA樹脂に包埋し、切削法により、平滑な触媒断面を得た後、表面にカーボン蒸着した。
・測定条件
加速電圧 ;15kV
照射電流 ;1×10−7
デ−タ点数;250
取り込み時間;30msec/点
次に、本発明の触媒が有する触媒物性等について説明する。
本発明の触媒における窒素吸着法(BET法)にて測定した比表面積は150〜350m2/gが好ましく、200〜330m2/gがより好ましい。比表面積が150m2/g以上であれば活性金属が十分に高分散化されており、硫化処理することによる活性点の凝集等を抑制でき高脱硫性能を発現可能であり、350m/g以下であれば触媒細孔径が極端に小さくならないため、対象硫黄化合物が十分に細孔内で拡散可能であること、および堆積金属による触媒細孔閉塞を低減可能である点から好ましい。
本発明の触媒における水銀圧入法にて測定した細孔容積は0.4〜0.8ml/が好ましく、0.5〜0.7ml/gがより好ましい。細孔容積が0.4ml/g以上であれば、対象硫黄化合物の細孔内の拡散性を十分に維持可能であり、また耐金属性能を十分に発現可能であるため好ましく、0.8ml/g以下であれば、触媒の比表面積が極端に小さくならず、活性金属の高分散性を維持可能であるため好ましい。
本発明の触媒における水銀圧入法にて測定した平均細孔直径は、6〜18nmが好ましく、6〜15nmがより好ましい。平均細孔直径が6nm以上であれば、対象硫黄化合物の拡散性の維持および堆積金属による触媒細孔閉塞の抑制が可能であり、18nm以下であれば極端な比表面積の低下による活性金属の凝集を抑制可能であるため好ましい。
本発明の触媒における水銀圧入法にて測定した平均細孔直径±1.5nmの範囲にある細孔容積は、全細孔容積の50%以上であることが好ましく、60〜90%がより好ましい。平均細孔直径±1.5nmの範囲にある細孔容積は、全細孔容積の50%以上であれば、炭化水素油の水素化反応に有用でない細孔が増加しないため、結果として触媒活性の大幅な低下を抑制可能であるため好ましい。
更に、本発明の触媒における比表面積と平均細孔直径±1.5nmの範囲にある細孔容積の全細孔容積に対する割合との関係は下記の式(2)を満足することが好ましい。
A=1.74×SA+8.68×PSD−960 > 0 ‥‥‥式(2)
式(2)において、SAは比表面積、PSDは細孔直径が平均細孔直径±1.5nmの範囲にある細孔の全容積と全細孔容積の比を百分率で示した値である。
本発明の触媒は、式(2)で示したA値が0以上、好ましくは150以上であることが好適である。A値が高い程、活性金属の触媒活性を有効に発現できることを示しており、A値が0以上であれば、活性金属の分散性と脱硫対象硫黄化合物の拡散性の制御が好適であるため、好ましい。
上記比表面積は、触媒を400℃で1時間真空脱気した後、日本ベル(株)製の表面積測定装置(ベルソープ28)を用いBET法にて測定を行った。また、細孔容積および平均細孔直径は、触媒を400℃で1時間真空脱気した後、(株)島津製作所製(AUTOPORE-9220)を用い、接触角度:130°、表面張力:470dyne/cmの条件で測定を行った。
また、本発明の触媒におけるマイクロカロリメトリー法にて測定した100〜200kJ/molのアンモニア吸着熱を発する酸点は、触媒1g当たり、250〜380μmolの範囲で有していることが好ましく、270〜380μmolであることがより好ましい。
マイクロカロリメトリー法にて測定した100〜200kJ/molのアンモニア吸着熱を発する酸点が、触媒1g当たり、250μmol以上であれば所望の触媒活性を発現できる十分な酸点があり、380μmol以下であれば、過剰な酸点による対象炭化水素油の過分解によるコーク生成を抑制し、触媒活性の低下を抑制できるため、好ましい。
なお、酸点は前述した触媒の比表面積、リン含有量、担持金属(周期律第6族及び8族金属)量に依存すると考えられるが、それぞれ前述した範囲であれば酸点の上記好ましい範囲を達成できる。
上記マイクロカロリメトリー法は、触媒を所定量、吸着管に充填し、所定温度のもとアンモニアガスを一定量のパルスで導入し、触媒に吸着させ、吸着の際に生じる吸着熱を測定し、酸強度および酸量を測定する方法である。ここで、吸着熱は酸強度を、吸着量は酸量に相当する。本発明において測定を実施したマイクロカロリメトリー法の測定条件を以下に示した。
測定装置は、東京理工(株)製、高温熱測定法表面解析装置を使用し、触媒を400℃で4時間真空乾燥させた後、恒温層を150℃一定とし、アンモニアガスを導入して吸着熱をTian-Calvet型熱量計により測定した。
本発明の水素化処理触媒を用いる炭化水素油の接触水素化処理は、水素分圧4〜20MPa、温度320〜450℃、液空間速度0.05〜5hr−1の条件で行う。例えば、本発明の触媒を間接脱硫装置や直接脱硫装置等の反応器に充填し、反応器に原料油としての重質油を導入し、高温・高圧の水素分圧の条件下で、脱硫処理を行うことができる。好ましい実施態様としては、いわゆる固定床流通反応方式である。触媒を固定床として反応器に維持し、予備硫化処理を行い、担持金属成分の大部分を硫化物に変換した後、原料油をこの固定床の上方から下方に通過させる。触媒は単独の反応器に充填しても良く、直列に連結した複数の反応器のそれぞれに充填しても良い。特に原料油がARやVRの場合は、原料油に高濃度のニッケル、バナジウム等の金属分を含んでいるので、本発明の触媒層の前段に(上層部に)脱メタル機能を有する触媒層を組み合わせた多段反応器を用いることが特に好ましい。
上記のように重質油の水素化処理を行うとき、本発明の触媒は、従来の触媒と比較して、触媒劣化が少なく、かつ脱硫性能に長けているため、長期間にわたり、低硫黄重質油を生産することができる。
なお、本発明の触媒は、原料油がVGO、ARやVR以外に、他の炭化水素油の水素化処理触媒としても使用できる。
以下、実施例および比較例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
〔触媒の調製〕
実施例1
アルミナゲルをオルトリン酸水溶液により水分調整し、混練、成形、乾燥後、480℃で3時間焼成することにより、酸化リン含有量(担体換算)1.2質量%、比表面積320m/g、細孔容積0.85ml/g、平均細孔直径7.5nmの性状を有するリン含有アルミナ担体を調製した。
一方、モリブデン酸アンモニウム8.76g、硝酸ニッケル9.27gをイオン交換水42gに添加し、更に添加した金属化合物が完全に溶解するまでクエン酸を添加し、金属水溶液を調製した。この水溶液を上記リン含有アルミナ担体50gに滴下した後、室温にて3時間浸漬した。その後、窒素気流中で5時間風乾し、マッフル炉にて650℃で4時間焼成することで触媒Aを得た。
実施例2
アルミナゲルをオルトリン酸水溶液により水分調整し、混練、成形、乾燥後、520℃で3時間焼成することにより、酸化リン含有量(担体換算)1.2質量%、比表面積292m/g、細孔容積0.73ml/g、平均細孔直径7.7nmの性状を有するリン含有アルミナ担体を調製した。
一方、モリブデン酸アンモニウム8.76g、硝酸ニッケル11.6gをイオン交換水40gに添加し、更に添加した金属化合物が完全に溶解するまでクエン酸を添加し、金属水溶液を調製した。この水溶液を上記リン含有アルミナ担体50gに滴下した後、室温にて3時間浸漬した。その後、窒素気流中で5時間風乾し、マッフル炉にて630℃で4時間焼成することで触媒Bを得た。
実施例3
アルミナゲルをオルトリン酸水溶液により水分調整し、混練、成形、乾燥後、500℃で3時間焼成することにより、酸化リン含有量(担体換算)0.6質量%、比表面積303m/g、細孔容積0.75ml/g、平均細孔直径7.9nmの性状を有するリン含有アルミナ担体を調製した。
一方、モリブデン酸アンモニウム8.76g、硝酸ニッケル9.27gをイオン交換水40gに添加し、更に添加した金属化合物が完全に溶解するまでクエン酸を添加し、金属水溶液を調製した。この水溶液を上記リン含有アルミナ担体50gに滴下した後、室温にて3時間浸漬した。その後、窒素気流中で5時間風乾し、マッフル炉にて650℃で4時間焼成することで触媒Cを得た。
実施例4
アルミナゲルをオルトリン酸水溶液により水分調整し、混練、成形、乾燥後、500℃で3時間焼成することにより、酸化リン含有量(担体換算)1.8質量%、比表面積311m/g、細孔容積0.78ml/g、平均細孔直径7.8nmの性状を有するリン含有アルミナ担体を調製した。
一方、モリブデン酸アンモニウム8.76g、硝酸ニッケル9.27gをイオン交換水40gに添加し、更に添加した金属化合物が完全に溶解するまでクエン酸を添加し、金属水溶液を調製した。この水溶液を上記リン含有アルミナ担体50gに滴下した後、室温にて3時間浸漬した。その後、窒素気流中で5時間風乾し、マッフル炉にて650℃で4時間焼成することで触媒Dを得た。
実施例5
アルミナゲルをオルトリン酸水溶液により水分調整し、混練、成形、乾燥後、500℃で3時間焼成することにより、酸化リン含有量(担体換算)1.2質量%、比表面積276m/g、細孔容積0.86ml/g、平均細孔直径9.3nmの性状を有するリン含有アルミナ担体を調製した。
一方、モリブデン酸アンモニウム8.76g、硝酸ニッケル9.27gをイオン交換水43gに添加し、更に添加した金属化合物が完全に溶解するまでクエン酸を添加し、金属水溶液を調製した。この水溶液を上記リン含有アルミナ担体50gに滴下した後、室温にて3時間浸漬した。その後、窒素気流中で5時間風乾し、マッフル炉にて650℃で4時間焼成することで触媒Eを得た。
比較例1
アルミナゲルを形成、乾燥後、500℃で3時間焼成することにより比表面積306m/g、細孔容積0.73ml/g、平均細孔直径7.6nmの性状を有するアルミナ担体を調製した。このアルミナペレット50gに、イオン交換水40gにモリブデン酸アンモニウム8.76g、硝酸ニッケル9.27gを添加し、更に添加した金属化合物が完全に溶解するまでクエン酸を添加して調製した金属水溶液を滴下した後、室温で3時間浸漬した。その後、窒素気流中で5時間風乾し、マッフル炉にて500℃で4時間焼成することで触媒aを得た。
比較例2
アルミナゲルを形成、乾燥後、550℃で3時間焼成することにより比表面積312m/g、細孔容積0.75ml/g、平均細孔直径7.7nmの性状を有するアルミナ担体を調製した。このアルミナペレット50gに、イオン交換水41gに炭酸ニッケル4.04g、モリブトリン酸9.90g、リン酸0.50gを添加して調製した金属水溶液を滴下した。その後、窒素気流中で30分風乾し、マッフル炉にて550℃で4時間焼成することで触媒bを得た。
比較例3
アルミナゲルをオルトリン酸水溶液により水分調整し、混練、成形、乾燥後、550℃で3時間焼成することにより、酸化リン含有量(担体換算)1.4質量%、比表面積310m/g、細孔容積0.79ml/g、平均細孔直径9.7nmの性状を有するリン含有アルミナ担体を調製した。
一方、モリブデン酸アンモニウム10.6g、硝酸ニッケル6.95gをイオン交換水44gに添加し、更に添加した金属化合物が完全に溶解するまでクエン酸を添加し、金属水溶液を調製した。この水溶液を上記リン含有アルミナ担体50gに滴下した後、室温にて3時間浸漬した。その後、窒素気流中で5時間風乾し、マッフル炉にて650℃で4時間焼成することで触媒cを得た。
比較例4
リン酸イオンを含むアルミン酸ナトリウム水溶液中に硫酸ナトリウム水溶液を添加することでリン含有アルミナゲルを調製し、熟成、水分調整後、成形、乾燥し、550℃で3時間焼成することにより、酸化リン含有量(担体換算)2.4質量%、比表面積313m/g、細孔容積0.77ml/g、平均細孔直径8.7nmの性状を有するリン含有アルミナ担体を調製した。
一方、モリブデン酸アンモニウム8.76g、硝酸ニッケル6.95gをイオン交換水44gに添加し、更に添加した金属化合物が完全に溶解するまでクエン酸を添加し、金属水溶液を調製した。この水溶液を上記リン含有アルミナ担体50gに滴下した後、室温にて3時間浸漬した。その後、窒素気流中で5時間風乾し、マッフル炉にて550℃で4時間焼成することで触媒dを得た。
比較例5
アルミナゲルを形成、乾燥後、720℃で3時間焼成することにより、比表面積164m/g、細孔容積0.8ml/g、平均細孔直径18nmの性状を有するアルミナ担体を調製した。このアルミナペレット50gに、イオン交換水47gに炭酸ニッケル2.02g、モリブトリン酸7.43g、リン酸1.50gから成る金属水溶液を滴下した。その後、窒素気流中で30分風乾し、マッフル炉にて550℃で4時間焼成することで触媒eを得た。
〔触媒の性状〕
実施例1〜5および比較例1〜5で得た触媒の化学性状を表1に、物理性状、EPMAによる線分析により求めたS値、マイクロカロリメトリー法により測定した100〜200kJ/molのアンモニア吸着熱を発する触媒1g当たりの酸量、および比表面積と細孔分布から求めたA値を表2に示した。
Figure 0004519719
Figure 0004519719
〔脱硫活性の評価〕
固定床流通式マイクロリアクターに、実施例および比較例で得た各触媒を25ccそれぞれ充填した。予備硫化は、減圧軽油により、LHSV=1.0h−1、水素分圧=10MPa、370℃で12時間実施した。その後、常圧残油(硫黄分3.51質量%、ニッケル23ppm、バナジウム36ppm含有)を連続的に通油し、反応温度=380℃、水素分圧=10MPa、液空間速度=0.4h−1、水素/油比=997m/mで反応を行い、運転日数25日目の生成油中の残留硫黄濃度を求め、下記の式(3)により反応速度定数ksを求め、触媒aを基準とした相対値を表3に示した。
ks=[(1/生成油中の硫黄濃度)−(1/原料油中の硫黄濃度)]×液空間速度 ……式(3)
〔耐金属性能の評価〕
固定床流通式マイクロリアクターに、実施例および比較例で得た各触媒を10ccそれぞれ充填した。予備硫化は、減圧軽油により、LHSV=1.0h−1、水素分圧=10MPa、370℃で12時間行った。その後、ボスカン原油(ニッケル120ppm、バナジウム1300ppm、硫黄分4.7質量%含有)を連続的に通油し、395℃の反応温度、10MPaの水素分圧、1.0h−1のLHSVおよび1690m/mの水素/油比で反応を実施し、硫黄含有量および金属(ニッケル、バナジウム)含有量を測定した。
耐金属性能の評価は、水素化脱硫活性が20%以下になった時点で触媒上に堆積した金属(ニッケルおよびバナジウム)量(質量%)により評価した。触媒aを基準に比較した結果を表3にまとめた。
ここで、触媒上に堆積したニッケルおよびバナジウム量の測定は、高周波プラズマ発光金属分析計を用いて行った。
Figure 0004519719
表3から明らかなように、本発明に係る触媒A〜触媒Eは、優れた脱硫性能と耐金属性能を有することが判る。

Claims (3)

  1. リンを担体基準、酸化物換算で0.3〜2.5質量%含有するリン含有アルミナ担体に、周期律表第6族金属から選ばれた少なくとも1種を触媒基準、酸化物換算で3〜30質量%、周期律表第8族金属から選ばれた少なくとも1種を触媒基準、酸化物換算で2〜10質量%それぞれ担持し、前記金属の酸化物換算質量比(第6族金属/第8族金属比)が1.5〜3.5であり、エレクトロンプローブ・マイクロアナリシス(EPMA)装置により、触媒中心を通る断面幅方向における線分析結果のリン原子の分布が下記の式(1)で表されるS値を満足する、炭化水素油の水素化処理触媒を製造する方法であって、
    アルミナ担体の原料をリンを含む水溶液で水分調整し、混練、成形、450〜550℃で焼成することにより、比表面積180〜500m /g、細孔容積0.6〜1ml/g、平均細孔直径5〜17nmである、リンを担体基準、酸化物換算で0.3〜2.5質量%含むアルミナ担体を得る工程(a)と、
    前記アルミナ担体上に、周期律表第8族金属から選ばれた少なくとも1種を含む化合物と、周期律表第6族金属から選ばれた少なくとも1種を含む化合物を含有する溶液を用い、触媒基準、酸化物換算で周期律第6族金属を3〜30質量%、周期律表第8族金属を2〜10質量%、前記金属の酸化物換算質量比(第6族金属/第8族金属比)が1.5〜3.5となるように担持させる工程(b)と、
    その後600〜700℃で空気雰囲気下、1〜10時間焼成する工程(c)とを含み、前記工程(c)の焼成温度を前記工程(a)のアルミナ担体の焼成温度よりも高温とすることを特徴とする、製造方法。
    S=exp(0.04×Iave.+0.013×Imax.−0.143×Imin.)≦1 ‥‥‥式(1)
    (式(1)において、Imax.はEPMA線分析によるリン原子の濃度測定値の最大値であり、Imin.はEPMA線分析によるリン原子の濃度測定値の最小値であり、Iave.はEPMA線分析によるリン原子の濃度測定値の平均値である。)
  2. 前記金属の酸化物換算質量比(第6族金属/第8族金属比)が1.5〜3.1である請求項1に記載の製造方法。
  3. 請求項1または2に記載の製造方法で得られた炭化水素油の水素化処理触媒の存在下、水素分圧4〜20MPa、温度320〜450℃、液空間速度0.05〜5hr −1 の条件で、炭化水素油留分の接触反応を行うことを特徴とする炭化水素油の水素化処理方法。
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