JP4946666B2 - 高分子電解質エマルションおよびその用途 - Google Patents

高分子電解質エマルションおよびその用途 Download PDF

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Description

本発明は、高分子電解質エマルション、およびこれを用いて製造される電極、膜電極接合体および固体高分子型燃料電池に関する。
固体高分子型燃料電池は、近年、住宅用や自動車用などの用途における発電機としての実用化が期待されている。固体高分子型燃料電池は、水素と空気の酸化還元反応を促進する白金などの触媒を含む触媒層と呼ばれる電極を、上記高分子電解質膜の両面に形成し、さらに触媒層の外側にガスを効率的に触媒層に供給するためのガス拡散層を有する形態として用いられる。ここで、高分子電解質膜の両面に触媒層を形成したものは、通常、膜電極接合体(以下、「MEA」ということもある。)と呼ばれている。
かかるMEAは、高分子電解質膜上に直接触媒層を形成する方法、カーボンペーパーなどのガス拡散層となる基材上に触媒層を形成した後に、これを高分子電解質膜と接合する方法や、平板支持基材上に触媒層を形成して、これを高分子電解質膜に転写した後、該支持基材を剥離する方法などを用いて製造される。これらの方法では触媒層を形成するために触媒を分散または溶解させた液状組成物(以下、当業分野で広範に使用されている「触媒インク」という用語で呼ぶこともある。)を使用する。触媒インクは、通常、白金族金属を活性炭などに担持した触媒物質(触媒粉末)、ナフィオンに代表される高分子電解質を含む高分子電解質溶液もしくはディスパージョン、及び必要に応じて溶媒、撥水剤、造孔剤、増粘剤を混合、分散して得られるものである。これまで、このような触媒インクを改良することで、MEAの発電性能を向上させようという技術が多く開示されてきた。
例えば、特許文献1には、ポリオルガノシロキサンを必須成分として含むスルホン化重合体粒子および水系媒体を含む水系分散体(エマルション)が、固体高分子型燃料電池の電極材料として用いることにより、発電性能に優れたMEAが得られることが開示されている。しかしながら、発電性能としては必ずしも充分ではなく、改善の余地があった。
特開2005−132996号公報(特許請求の範囲)
本発明の目的は、MEAの発電性能の飛躍的な向上を可能とする電極材料に好適な高分子電解質エマルションを提供することにある。
本発明者らは、より発電性能に優れるMEAを提供できる電極材料について鋭意検討した結果、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、下記[1]に示す高分子電解質エマルションを提供するものである。
[1]高分子電解質粒子が分散媒中に分散した高分子電解質エマルションであって、該高分子電解質粒子に含まれる高分子電解質が、酸性基を有するセグメントとイオン交換基を実質的に有さないセグメントとからなるブロック共重合体であることを特徴とする高分子電解質エマルション
さらに、本発明は[1]に適用する好適な高分子電解質として、下記[2]〜[5]を提供する。
[2]動的光散乱法により求められる体積平均粒径が100nm〜200μmである、[1]の高分子電解質エマルション
[3]上記高分子電解質が芳香族炭化水素系高分子である、[1]または[2]の高分子電解質エマルション
[4]上記高分子電解質が、酸性基を有するセグメントとして、下記式(1)で表されるセグメントを有する高分子電解質である、[1]〜[3]のいずれかの高分子電解質エマルション
Figure 0004946666
(式中、mは5以上の整数を表し、Ar1は2価の芳香族基を表し、ここで該2価の芳香族基は、置換基を有していてもよい。なお、m個あるAr1の一部または全部に酸性基を有する。Xは直接結合または2価の基を表す。)
[5]上記高分子電解質が、イオン交換基を実質的に有さないセグメントとして、下記式(3)で表されるセグメントを有する高分子電解質である、[1]〜[4]のいずれかの高分子電解質エマルション
Figure 0004946666
(式中、a、b、cは互いに独立に0か1を表し、nは5以上の整数を表す。Ar2、Ar3、Ar4、Ar5は互いに独立に2価の芳香族基を表し、ここでこれらの2価の芳香族基は、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアシル基で、または置換されていてもよいアリールカルボニル基で置換されていてもよい。X、X’は、互いに独立に直接結合または2価の基を表す。Y、Y'は、互いに独立に酸素原子または硫黄原子を表す。)
また、本発明は上記いずれかの高分子電解質エマルションを使用した、下記の[6]〜[11]を提供する。
[6]固体高分子型燃料電池の電極用に使用される、[1]〜[5]のいずれかの高分子電解質エマルション
[7]上記高分子電解質に対する良溶媒の含有量が200ppm以下であることを特徴とする、[6]の高分子電解質エマルション
[8]上記いずれかに記載の高分子電解質エマルションと、触媒成分とを含む触媒組成物。
[9][8]の触媒組成物からなる固体高分子型燃料電池用電極
[10][9]の固体高分子型燃料電池用電極を有する、膜電極接合体
[11][10]の膜電極接合体を有する、固体高分子型燃料電池
本発明の高分子電解質エマルションを用いた触媒インクによれば、優れた発電性能を有するMEAを製造するための電極を提供できる。このようなMEAは、発電性能に優れた燃料電池を提供できるため、工業的に極めて有用である。
以下、本発明の好適な実施態様について説明する。
<高分子電解質>
まず、本発明の高分子電解質エマルションに適用する好適な高分子電解質について説明する。本発明の高分子電解質エマルションでは、イオン交換基として酸性基を有する高分子電解質が使用される。かかる酸性基を有する高分子電解質を用いると、塩基性基を有する高分子電解質に比べ一層発電性能に優れた燃料電池が得ることが可能となる。
該酸性基としては、例えば、スルホン酸基(−SO3H)、カルボキシル基(−COOH)、ホスホン酸基(−PO(OH)2)、ホスフィン酸基(−POH(OH)、スルホンイミド基(−SO2NHSO2−)、フェノール性水酸基(−Ph(OH)(Phはフェニル基を表す))などが挙げられる。中でも、スルホン酸基またはホスホン酸基がより好ましく、スルホン酸基が更に好ましい。
本発明に適用される高分子電解質は、酸性基を有するセグメントと、イオン交換基を実質的に有さないセグメントとからなるブロック共重合体であることを特徴とする。この高分子電解質は、これらのセグメントを一つずつ有するブロック共重合体であってもよく、いずれか一方のセグメントを2つ以上有するブロック共重合体であってもよく、両方のセグメントを2つ以上有するマルチブロック共重合体のいずれであってもよい。
電極材料を製造する、上記特許文献1に記載の水系分散体は、明示はされていないものの、開示されている製造方法から得られる高分子電解質は、その分子中にスルホン酸基(イオン交換基)がランダムに導入されているランダム重合体であった。
本発明者らは、かかる高分子電解質の重合シーケンスを詳細に検討したところ、驚くべきことに、上記の酸性基を有するセグメントと、イオン交換基を実質的に有さないセグメントとからなるブロック共重合体を用いた高分子電解質エマルションから電極を製造すると、これまで開示されている水系分散体よりも、発電性能を向上できることを見出した。この理由については、定かではないが、上記ブロック共重合体を高分子電解質粒子として含むエマルションは、粒子1つ1つの表面に、酸性基を有するセグメントが密となり、内部はイオン交換基が実質的に有さないセグメントが密となる形態を発現し、かかるエマルションから得られる電極は、電極反応に係るイオン交換基を密とする粒子が連なってなる形態となることから、効率的に電極反応が生じ、発電性能が優れるものが得られると推定される。
かかる推定を、図1を用いて説明する。図1は、実線で表す酸性基を有するブロック1と、一点鎖線で表すイオン交換基を実質的に有さないブロック2からなるジブロック共重合体の場合において形成される、高分子電解質粒子を表す推定模式図である。粒子中心部にブロック2が凝集し、粒子表面に向けてブロック1があるとすると、後述する燃料電池用電極の電極反応に係るブロック1が粒子表面により存在することから、高い発電性能に寄与すると推定される。従来、このような考えに基づいてなる、高分子電解質エマルションは何ら開示されていなかった。
なお、「酸性基を有する」セグメントとは、当該セグメントを主として構成している繰り返し単位の多くが酸性基を有していることを意味する。具体的には、酸性基が、かかるセグメントを構成している繰り返し単位1個あたりの平均で計算して、0.5個以上含まれているセグメントである。かかるイオン交換基を有するセグメントとしては、そのセグメントを構成している繰り返し単位1個あたり、酸性基が1.0個以上含まれているセグメントであると、より好ましい。
また、「イオン交換基を実質的に有さない」セグメントとは、かかるセグメントを主として構成している繰り返し単位の多くがイオン交換基(酸性基および塩基性基)を有していないことを意味し、具体的には、イオン交換基が、当該セグメントを構成している繰り返し単位1個あたりの平均で計算して、0.1個以下であるセグメントである。かかるイオン交換基を実質的に有さないセグメントとしては、そのセグメントを構成している繰り返し単位1個あたりのイオン交換基が0.05個以下であると好ましく、セグメントを構成している繰り返し単位の全てがイオン交換基を有していないと更に好ましい。
イオン交換基を実質的に有さないセグメントの代表例としては、例えば(A)主鎖が脂肪族炭化水素鎖からなるセグメント;(B)脂肪族炭化水素鎖の水素原子が全てあるいは一部がフッ素原子に置換されたセグメント;(C)主鎖が芳香環を有する高分子鎖からなるセグメント;(D)主鎖に実質的に炭素原子を含まないポリシロキサン、ポリフォスファゼンなどの高分子鎖からなるセグメント;(E)主鎖あるいは側鎖に窒素原子を含む高分子鎖からなるセグメントなどが挙げられる。
一方、酸性基を有するセグメントの代表例としては、例えば(F)主鎖が脂肪族炭化水素からなる高分子鎖に酸性基が導入されたセグメント;(G)脂肪族炭化水素の水素原子が全てあるいは一部がフッ素原子に置換された高分子鎖に酸性基が導入されたセグメント;(H)主鎖が芳香環を有する高分子鎖に酸性基が導入されたセグメント;(I)主鎖に実質的に炭素原子を含まないポリシロキサン、ポリフォスファゼンなどの高分子鎖からなり、該高分子鎖に酸性基が導入されたセグメント;(J)ポリベンズイミダゾールなどの主鎖に窒素原子を含む高分子鎖からなり、酸性基が主鎖に直接あるいは側鎖を通して直接結合したセグメント、(K)ポリベンズイミダゾールなどの主鎖に窒素原子を含む高分子鎖からなり、硫酸やリン酸などの酸性化合物をイオン結合により導入したセグメントなどが挙げられる。
本発明の高分子電解質においては、イオン交換基を実質的に有さないセグメントとして、上記の(A)〜(E)から選択される少なくとも1つのセグメントと、酸性基を有するセグメントとして、上記の(F)〜(K)から選択される少なくとも1つのセグメントを、それぞれ有するブロック共重合体が例示される。これらのセグメントの組み合わせに特に制限はないが、より本発明の効果を高めるためには、イオン交換基を実質的に有さないセグメントとして、上記(C)のセグメントを有するブロック共重合体が好ましく、酸性基を有するセグメントとして、上記(H)のセグメントを有するブロック共重合体が好ましく、上記(C)で表されるセグメントと、上記(H)であるセグメントを共に有するブロック共重合体、すなわち芳香族炭化水素系高分子電解質がより好ましい。ここで、「芳香族炭化水素系高分子」とは、かかる高分子を構成する主鎖が、主として芳香環が直接あるいは2価の基によって連結された形態であり、該高分子を構成する元素組成において、フッ素原子の重量分率が15重量%以下であることを意味する。
上記に示した中でも好適なブロック共重合体である、上記(C)で表されるセグメントと、上記(H)であるセグメントを共に有するブロック共重合体について詳細を説明する。
上記(H)で表されるセグメントとしては、例えば、下記式(1)で表されるセグメントが挙げられる。
Figure 0004946666
(式中、mは5以上の整数を表し、Ar1は2価の芳香族基を表し、ここで該2価の芳香族基は、置換基を有していてもよい。なお、m個あるAr1の一部または全部に酸性基を有する。Xは直接結合または2価の基を表す。)
ここで、式(1)におけるmは5以上の整数を表し、5〜1000の範囲が好ましく、さらに好ましくは10〜1000であり、特に好ましくは20〜500である。mの値が5以上であると、かかるセグメントが発現するイオン伝導度が十分となり、より発電性能を向上できることから、燃料電池用部材として好ましい。mの値が1000以下であれば、製造がより容易であるので好ましい。
上記一般式(1)におけるAr1は、2価の芳香族基を表す。該2価の芳香族基としては、例えば、1,3−フェニレン基、1,4−フェニレン基などの2価の単環性芳香族基、1,3−ナフタレンジイル基、1,4−ナフタレンジイル基、1,5−ナフタレンジイル基、1,6−ナフタレンジイル基、1,7−ナフタレンジイル基、2,6−ナフタレンジイル基、2,7−ナフタレンジイル基などの2価の縮環系芳香族基、ピリジンジイル基、キノキサリンジイル基、チオフェンジイル基などの2価の芳香族複素環基などが挙げられる。好ましくは2価の単環性芳香族基である。また、上記一般式(1)で表されるセグメントはAr1の一部または全部に酸性基を有するものであり、かかる酸性基は、Ar1にある芳香環に直接結合していてもよく、2価の基をスペーサーとして結合している形態でもよく、その組合わせであってもよい。
また、Ar1は、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリールオキシ基または置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアシル基で置換されていてもよい。
ここで、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、2,2−ジメチルプロピル基、シクロペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、2−メチルペンチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、ドデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、イコシル基などの炭素数1〜20のアルキル基、およびこれらの基にフッ素原子、ヒドロキシル基、ニトリル基、アミノ基、メトキシ基、エトキシ基、イソプロピルオキシ基、フェニル基、ナフチル基、フェノキシ基、ナフチルオキシ基などが置換され、その総炭素数が20以下であるアルキル基が挙げられる。
また、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基、n−プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、n−ブチルオキシ基、sec−ブチルオキシ基、tert−ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基、n−ペンチルオキシ基、2,2−ジメチルプロピルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、2−メチルペンチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、ドデシルオキシ基、ヘキサデシルオキシ基、イコシルオキシ基などの炭素数1〜20のアルコキシ基、およびこれらの基にフッ素原子、ヒドロキシル基、ニトリル基、アミノ基、メトキシ基、エトキシ基、イソプロピルオキシ基、フェニル基、ナフチル基、フェノキシ基、ナフチルオキシ基などが置換され、その総炭素数が20以下であるアルコキシ基が挙げられる。
置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリール基としては、例えばフェニル基、ナフチル基、フェナントレニル基、アントラセニル基などのアリール基、およびこれらの基にフッ素原子、ヒドロキシル基、ニトリル基、アミノ基、メトキシ基、エトキシ基、イソプロピルオキシ基、フェニル基、ナフチル基、フェノキシ基、ナフチルオキシ基などが置換され、その総炭素数が20以下であるアリール基が挙げられる。
置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリールオキシ基としては、例えばフェノキシ基、ナフチルオキシ基、フェナントレニルオキシ基、アントラセニルオキシ基などのアリールオキシ基、およびこれらの基にフッ素原子、ヒドロキシル基、ニトリル基、アミノ基、メトキシ基、エトキシ基、イソプロピルオキシ基、フェニル基、ナフチル基、フェノキシ基、ナフチルオキシ基などが置換され、その総炭素数が20以下であるアリールオキシ基が挙げられる。
置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアシル基としては、例えばアセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、ベンゾイル基、1−ナフトイル基、2−ナフトイル基などの炭素数2〜20のアシル基、およびこれらの基にフッ素原子、ヒドロキシル基、ニトリル基、アミノ基、メトキシ基、エトキシ基、イソプロピルオキシ基、フェニル基、ナフチル基、フェノキシ基、ナフチルオキシ基などが置換され、その総炭素数が20以下であるアシル基が挙げられる。
上記式(1)で表されるセグメントを具体的に下記に例示する。Xが直接結合である(A−1)〜(A−14)、Xが酸素原子である(B−1)〜(B−13)、Xが酸素原子であり、Ar1が2つの芳香環がスルホニル基、カルボニル基または炭化水素基で結合された芳香族基である(C−1)〜(C−11)、Xが硫黄原子である(D−1)〜(D−6)から選ばれる構造単位が挙げられ、これらがm個結合したセグメントを形成し、かかるセグメントに少なくも0.5×m個以上の酸性基を有するセグメントを挙げることができる。なお、下記の例示において、−Phはフェニル基であることを示す。
Figure 0004946666

Figure 0004946666

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Figure 0004946666
上記で例示した構造単位において、酸性基を有する構造単位とは、かかる構造単位にある芳香環に、酸性基および下記式(2)に例示したものからなる群から選ばれる、酸性基を有する基が少なくとも1個以上結合していることを意味する。
Figure 0004946666
(上式中、Zは酸性基であり、r、sは、それぞれ独立に、0〜12の整数であり、Tは、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、スルホニル基のいずれかを表す。*は結合手を表す。)
上記に例示した、酸性基を有するセグメントを構成する構造単位としては、(A−1)、(A−2)、(A−5)、(A−9)、(A−13)、(B−1)、(B-12)、(C−1)、(C−4)、(C−7)、(C−10)、(C−11)であると好ましく、(A−1)、(A−2)(A−5)、(A−10)、(C−1)、(C−11)であるとさらに好ましく、(A−1)、(A−2)または(A−10)であると特に好ましい。これらの構造単位がm個連結されてなり、かかるセグメントの中で、(0.5×m)個以上の構造単位に、酸性基を有しているセグメントが好ましく、m個ある全ての構造単位に酸性基を有していると特に好ましい。
一方、好適なイオン交換基を実質的に有さないセグメントとは、下記式(3)で表されるセグメントである。
Figure 0004946666
(式中、a、b、cは互いに独立に0か1を表し、nは5以上の整数を表す。Ar2、Ar3、Ar4、Ar5は互いに独立に2価の芳香族基を表し、ここでこれらの2価の芳香族基は、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアシル基で、または置換されていてもよいアリールカルボニル基で置換されていてもよい。X、X’は、互いに独立に直接結合または2価の基を表す。Y、Y’は、互いに独立に酸素原子または硫黄原子を表す。)
ここで、式(3)におけるa、b、cは互いに独立に0か1を表す。nは5以上の整数を表し、5〜200であると好ましい。nの値が小さ過ぎると、耐水性や耐久性が不十分であったりするなどの問題が生じやすくなるため、nは10以上であると特に好ましい。
また、式(3)におけるAr2、Ar3、Ar4、Ar5は、互いに独立に2価の芳香族基を表す。2価の芳香族基としてはAr1に例示したものと同様のものが挙げられる。
また、Ar2、Ar3、Ar4は、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアシル基または置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアリールカルボニル基で、置換されていてもよく、これらは、上記のAr1において例示したものと同様のものが挙げられる。
式(3)におけるY、Y’は、互いに独立に酸素原子または硫黄原子を表す。また、式(3)におけるX、X’は、互いに独立に直接結合または2価の基を表すものであるが、中でも、カルボニル基、スルホニル基、2,2−イソプロピリデン基、または9,9−フルオレンジイル基であると好ましい。
式(3)で表される構造単位の好ましい代表例としては、例えば以下のものが挙げられる。なお、nは上記一般式(3)と同義である。
Figure 0004946666
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具体的に、本発明に適用する好適なブロック共重合体としては下記の表1、表2および表3に表した、(H−1)〜(H−50)が例示される。
Figure 0004946666
Figure 0004946666
Figure 0004946666
とりわけ、好ましいブロック共重合体としては、
Figure 0004946666

Figure 0004946666
が挙げられる。
なお、ブロック共重合体を形成する酸性基を有するブロックと、イオン交換基を実質的に有さないブロックの存在比率は、各々のブロックの種類によって最適化できるものであるが、好適には、高分子電解質総重量に対して、酸性基を有するブロックが30重量%〜60重量%の範囲である。
<平均粒径>
本発明の高分子電解質エマルションが含有する粒子の平均粒径は動的光散乱法に基づく測定により求められた体積平均粒子径で表して、100nm〜200μmの範囲が好適である。かかる平均粒径としては、好ましくは、150nm〜10μmの範囲であり、さらに好ましくは、200nm〜1μmの範囲である。高分子電解質粒子の平均粒径が上記の範囲であると、得られる高分子電解質エマルションが実用的な貯蔵安定性を有するものとなり、被膜を形成させたとき、該被膜の均一性が比較的良好となる利点がある。なお、上記粒子とは、高分子電解質からなる高分子電解質粒子はもとより、後述するような添加剤を使用する場合は、高分子電解質と添加剤とを含む粒子、添加剤からなる粒子など、高分子電解質エマルションに粒子状に分散している全てを含む概念である。
<高分子電解質エマルション>
本発明の高分子電解質エマルションの作製方法は、高分子電解質からなる高分子電解質粒子が分散媒中に分散させることができる範囲において、特に制限はない。一つの例を挙げると、高分子電解質を、該高分子電解質の良溶媒に溶解して高分子電解質溶液を得、次いで、この高分子電解質溶液を、エマルションの分散媒たる別の溶媒(該高分子電解質の貧溶媒)に滴下して、高分子電解質粒子を貧溶媒中で析出・分散せしめて高分子電解質分散液を得る作製方法が例示される。さらに得られた高分子電解質分散液中に含まれる該良溶媒を透析膜などの膜分離を用いて除去する工程や、さらに、高分子電解質分散液を蒸留などで濃縮して高分子電解質粒子濃度を調整することが、好ましい作製方法として示すことができる。この方法により、あらゆる高分子電解質から高分子電解質エマルションを作製することができる。なお、例示した作製方法において、「良溶媒」と「貧溶媒」の定義は、25℃における溶媒100gに溶解し得る高分子電解質の重量で規定されるものであり、良溶媒とは、0.1g以上の高分子電解質が可溶である溶媒であり、貧溶媒とは、高分子電解質が0.05g以下しか溶解し得ない溶媒である。高分子電解質エマルション中の良溶媒の残存量は、200ppm以下であると好ましく、100ppm以下であるとさらに好ましく、50ppm以下であると、より好ましく、かかる膜分離を経て得られる高分子電解質エマルション中に、高分子電解質溶液を調製する工程にて使用した良溶媒が実質的に含まれない程度まで除去することが、特に好ましい。
<分散媒>
高分子電解質粒子を分散させる貧溶媒は、適用する高分子電解質の分散安定性を妨げない限り、特に制限はなく、水、メタノールやエタノールなどのアルコール系溶媒、ヘキサンやトルエンなどの非極性有機溶媒、もしくはこれらの混合物が用いられる。しかしながら、工業的に使用した場合の環境負荷低減の観点から、水もしくは水を主成分とした溶媒が好ましく用いられる。
<高分子電解質濃度>
本発明の高分子電解質エマルションの高分子電解質濃度は0.1〜10重量%である。ここで、高分子電解質濃度とは、適用した高分子電解質の総重量を、得られた高分子電解質エマルションの総重量で除した値で定義するものである。該高分子電解質濃度としては、好ましくは0.5〜5重量%、さらに好ましくは1〜2重量%である。高分子電解質濃度が上記の範囲であれば、被膜を形成するのに多量の溶媒を必要としないことから効率的であり、塗布性にも優れるため、好ましい。
<乳化剤>
本発明の高分子電解質エマルションには、より良好な分散安定性を付与するために、本発明の企図する効果を損なわない範囲で、乳化剤を添加してもよい。乳化剤として用いられる界面活性剤としては、例えばアルキル硫酸エステル(塩)、アルキルアリール硫酸エステル(塩)、アルキルリン酸エステル(塩)、脂肪酸(塩)などのアニオン系界面活性剤;アルキルアミン塩、アルキル四級アミン塩などのカチオン系界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ブロック型ポリエーテルなどのノニオン系界面活性剤;カルボン酸型(例えば、アミノ酸型、ベタイン酸型など)、スルホン酸型などの両性界面活性剤、商品名で、ラテムルS−180A〔花王社製〕、エレミノールJS−2〔三洋化成社製〕、アクアロンHS−10、KH−10〔第一工業製薬社製〕、アデカリアソープSE−10N、SR−10〔旭電化工業社製〕、Antox MS−60〔日本乳化剤社製〕などの反応性乳化剤などのいずれでも使用可能である。
親水性基を有するポリマーのうち、分散媒に可溶で、分散機能を有するものも乳化剤として使用することができる。このようなポリマーとしては、スチレン・マレイン酸共重合体、スチレン・アクリル酸共重合体、ポリビニルアルコール、ポリアルキレングリコール、ポリイソプレンのスルホン化物、水添スチレン・ブタジエン共重合体のスルホン化物、スチレン・マレイン酸共重合体のスルホン化物、スチレン・アクリル酸共重合体のスルホン化物などを挙げることができる。特にスルホン酸基を有するポリマーを酸型のまま用いることで体積抵抗を小さくすることができる。このようなポリマーとしては、ポリイソプレンのスルホン化物、水添スチレン・ブタジエン共重合体のスルホン化物、スチレン・マレイン酸共重合体のスルホン化物、スチレン・アクリル酸共重合体のスルホン化物などを挙げることができる。
これらの乳化剤は、単独で、あるいは2種以上を併用することができる。乳化剤を使用する場合、エマルション100重量部に対し通常、0.1〜50重量部の乳化剤を使用する。かかる乳化剤の使用量としては、好ましくは0.2〜20重量部、さらに好ましくは0.5〜5重量部である。乳化剤の使用量が、この範囲であると、高分子電解質粒子の分散安定性を向上させるとともに、泡立ちの抑制などの操作性も良好となるため、好ましい。
<その他の添加剤>
かくして、本発明の高分子電解質エマルションを作製することができるが、本発明の高分子電解質エマルションは、無機あるいは有機の粒子、密着助剤、増感剤、レベリング剤、着色剤などその他の添加剤を含有していてもよい。また、このような添加剤は、既述のように高分子電解質エマルションを構成する高分子電解質粒子中に含まれていてもよいし、分散媒中に溶解していてもよいし、高分子電解質粒子とは別に、他の成分からなる微粒子として存在していてもよい。
<用途>
本発明の高分子電解質エマルションは、固体高分子型燃料電池用を製造するためのバインダー樹脂として好適であるが、高分子電解質膜や、その他コーティング材やバインダー樹脂など種々用途に応用することも可能である。また、このような用途に用いる際に、物性などを設計する観点から、他のポリマーを併用することもできる。他のポリマーとしては、例えばウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエーテル、ポリスチレン、ポリエステルアミド、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、SBRやNBRなどのジエン系ポリマーなど公知のものが挙げられる。
<フィルム成形法>
本発明の高分子電解質エマルションは、さまざまなフィルム成形法にて、精度のよいフィルムを得ることができる。該フィルム成形法として例えば、キャストフィルム成形、スプレー塗布、刷毛塗り、ロールコーター、フローコーター、バーコーター、ディップコーターなどが挙げられ、これらのフィルム成形法を用いて、該高分子電解質エマルションを基材に塗工し、必要に応じて乾燥処理などを施すことでフィルムを成形することができる。塗布膜厚は、用途によって異なるが、乾燥膜厚で、通常、0.01〜1,000μm、好ましくは0.05〜500μmである。
また、フィルム成形に使用される基材には特に制限はなく、例えば、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ABS樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロンなどの高分子材料、アルミニウム、銅、ジュラルミンなどの非鉄金属、ステンレス、鉄などの鋼板、炭素、ガラス、木材、紙、石膏、アルミナ、無機質硬化体などが挙げられる。基材の形状に特に制限はなく、平面状のものから不織布などの多孔質材料なども使用できる。
さらに、高分子電解質エマルションの好適な用途である固体高分子型燃料電池の触媒層を製造する際には、イオン伝導膜に、該高分子電解質エマルションあるいは該高分子電解質エマルションと触媒成分とを混合してなる触媒インクを直接塗布することで、該イオン伝導膜と触媒層が接合された形態を製造することも可能であり、かかる用途の詳細については後述する。
<MEAの説明>
次に、本発明の高分子電解質エマルションを用いて製造されるMEAについて説明する。本発明のMEAはイオン伝導(高分子電解質)膜と触媒層からなるが、触媒層はイオン伝導膜に、触媒インクを塗布することで形成される。また、ガス拡散層になり得る基材に、触媒インクを塗布して、ガス拡散層と触媒層が積層一体化された積層体を得、かかる積層体をイオン伝導膜に接合させれば、本発明のMEAをガス拡散層を有する形態、いわゆる膜電極ガス拡散層積層体(MEGA)として得ることもできる。
まず、イオン伝導膜について説明する。該イオン伝導膜は、上記の高分子エマルションを構成する高分子電解質として例示したものと同様なブロック共重合体の高分子電解質や、下記の例示から選択される高分子電解質を含み、膜状の形態を有するものである。このように、MEAを構成するイオン伝導膜と、触媒層は共に高分子電解質を含有するものであるが、かかる高分子電解質同士は、同じであっても異なっていてもよい。
かかるイオン伝導膜を構成する高分子電解質において、上記のブロック共重合体の高分子電解質以外の具体例としては、例えば(A’)主鎖が脂肪族炭化水素からなる炭化水素系高分子にスルホン酸基および/またはホスホン酸基を導入した高分子電解質;(B’)脂肪族炭化水素の水素原子が全てあるいは一部がフッ素原子に置換された高分子;(C’)主鎖が芳香環を有する高分子にスルホン酸基および/またはホスホン酸基を導入した炭化水素系高分子電解質;(D’)主鎖が、脂肪族炭化水素とシロキサン基、フォスファゼン基などの無機の単位構造からなる重合体にスルホン酸基および/またはホスホン酸基を導入した炭化水素系高分子電解質;(E’)上記(A’)〜(D’)のスルホン酸基および/またはホスホン酸基導入前の高分子を構成する繰り返し単位から選ばれるいずれか2種以上の繰り返し単位からなる共重合体にスルホン酸基および/またはホスホン酸基を導入した炭化水素系高分子電解質;(F’)主鎖あるいは側鎖に窒素原子を含む炭化水素系高分子に、硫酸やリン酸などの酸性化合物をイオン結合により導入した炭化水素系高分子電解質などが挙げられる。
上記に例示した高分子電解質の中でも、高い発電性能と耐久性を両立させるという観点から、上記(C’)、(E’)の高分子電解質が好ましく、とりわけ、該イオン伝導膜を構成する高分子電解質としても、ブロック共重合体であると好ましく、高分子主鎖が芳香環を有し、スルホン酸基をイオン交換基(イオン伝導性基)として有するものが好ましい。特に好ましくは、スルホン酸基を有するブロックと、イオン交換基を実質的に有さないブロックとからなるブロック共重合体である。
このようなブロック共重合体としては、特開2001−250567号公報に記載のスルホン化された芳香族ポリマーブロックを有するブロック共重合体、特開2003−31232号公報、特開2004−359925号公報、特開2005−232439号公報、特開2003−113136号公報などの特許文献に記載の、ポリエーテルケトン、ポリエーテルスルホンを主鎖構造とするブロック共重合体を挙げることができる。
さらに、該イオン伝導膜は、上記に例示した高分子電解質に加え、所望の特性に応じて、プロトン伝導性を著しく低下させない範囲で他の成分を含んでいてもよい。このような他の成分としては、通常の高分子に使用される可塑剤、安定剤、離型剤、保水剤などの添加剤が挙げられる。
特に、燃料電池の動作中に、上記に記載の安定剤を高分子電解質膜に含有させると、隣接する触媒層において発生する過酸化物による劣化を抑制させることを可能とし、好ましい。
また、上記イオン伝導膜の機械的強度を向上させる目的で、高分子電解質と所定の支持体とを複合化した複合膜を、用いることもできる。支持体としては、フィブリル形状や多孔膜形状などの基材が挙げられる。
上記イオン伝導膜上に、本発明の高分子電解質エマルションからなる触媒インクを用いて触媒層を形成する。
ここで、触媒インクは、本発明の高分子電解質エマルションに加え、触媒物質を必須成分として含むものである。該触媒物質としては、従来の燃料電池において用いられているものをそのまま用いることができ、例えば、白金、白金−ルテニウム合金のような貴金属類や、錯体系電極触媒(例えば、高分子学会燃料電池材料研究会編、「燃料電池と高分子」、103〜112頁、共立出版、2005年11月10日発行に記載されている)が挙げられる。さらに、触媒層での水素イオンと電子の輸送を容易にできるとの観点から、該触媒物質を表面に担持させた導電性材料を用いると好ましい。該導電性材料としては、カーボンブラックやカーボンナノチューブなどの導電性カーボン材料、酸化チタンなどのセラミック材料が挙げられる。
該触媒インクを構成するその他の成分は任意であり、特に制限はないが、触媒インクの粘度を調整する目的で溶媒が添加されることがある。また、触媒層の撥水性を高める目的で、PTFEなどの撥水材が、また触媒層のガス拡散性を高める目的で、炭酸カルシウムなどの造孔材が、さらに得られるMEAの耐久性を高める目的で金属酸化物などの安定剤などが含まれることもある。
該触媒インクは、上記の成分を、公知の方法によって混合して得られるものである。混合方法としては、超音波分散装置、ホモジナイザー、ボールミル、遊星ボールミル、サンドミルなどが挙げられる。
上記のようにして調製された触媒インクを用いて、イオン伝導膜上に触媒層を形成する。かかる形成方法は、公知の技術を適用することができるが、本発明の高分子電解質エマルションを含む触媒インクは、イオン伝導膜に直接塗布して、乾燥処理などを施すことで、該イオン伝導膜に対して、高い接合性を有する触媒層を形成することを可能とする。
触媒インクを塗布する方法としては特に制限は無く、ダイコーター、スクリーン印刷、スプレー法、インクジェット法などの既存の方法を使用することができる。
次に、本発明の製造方法により得られたMEAを備える燃料電池について説明する。
図2は、好適な実施形態に係る燃料電池の断面構成を模式的に示す図である。図2に示すように、燃料電池10は、イオン伝導膜12の両側に、これを挟むように触媒層14a,14bがなり、これが本発明の製造方法で得られるMEA20である。さらに、両面の触媒層には、それぞれ、ガス拡散層16a,16bを備え、該ガス拡散層にセパレータ18a,18bが形成されている。
ここで、MEA20とガス拡散層16a,16bを備えたものが上述したMEGAである。
ここで触媒層14a,14bは、燃料電池における電極として機能する層であり、これらのいずれか一方がアノード触媒層となり、他方がカソード触媒層となる。
ガス拡散層16a,16bは、MEA20の両側を挟むように設けられており、触媒層14a,14bへの原料ガスの拡散を促進するものである。このガス拡散層16a,16bは、電子伝導性を有する多孔質材料により構成されるものが好ましい。例えば、多孔質性のカーボン不織布やカーボンペーパーが、原料ガスを触媒層14a,14bへ効率的に輸送することができるため、好ましい。
セパレータ18a,18bは、電子伝導性を有する材料で形成されており、かかる材料としては、例えば、カーボン、樹脂モールドカーボン、チタン、ステンレスなどが挙げられる。かかるセパレータ18a,18bは、図示しないが、触媒層14a,14b側に、燃料ガスなどの流路となる溝が形成されていると好ましい。
そして、燃料電池10は、上述したようなMEGAを、一対のセパレータ18a,18bで挟み込み、これらを接合することで得ることができる。
なお、本発明の燃料電池は、必ずしも上述した構成を有するものに限られず、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜異なる構成を有していてもよい。
また、燃料電池10は、上述した構造を有するものを、ガスシール体などで封止したものであってもよい。さらに、上記構造の燃料電池10は、直列に複数個接続して、燃料電池スタックとして実用に供することもできる。そして、このような構成を有する燃料電池は、燃料が水素である場合は固体高分子形燃料電池として、また燃料がメタノール水溶液である場合は直接メタノール型燃料電池として動作することができる。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(重量平均分子量の測定方法)
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による測定を行い、ポリスチレン換算を行うことによって高分子電解質の重量平均分子量を算出された。GPCの測定条件は下記のとおりである。
GPC条件
・GPC測定装置 TOSOH社製 HLC−8220
・カラム Shodex社製 AT−80Mを2本直列に接続
・カラム温度 40℃
・移動相溶媒 ジメチルアセトアミド
(LiBrを10mmol/dm3になるように添加)
・溶媒流量 0.5mL/min
(イオン交換容量の測定方法)
測定に供する高分子電解質を、加熱温度105℃に設定されたハロゲン水分率計を用いて、乾燥重量を求めた。次いで、この高分子電解質膜を0.1mol/L水酸化ナトリウム水溶液5mLに浸漬した後、更に50mLのイオン交換水を加え、2時間放置した。その後、この高分子電解質膜が浸漬された溶液に、0.1mol/Lの塩酸を徐々に加えることで滴定を行い、中和点を求めた。そして、高分子電解質膜の乾燥重量と上記の中和に要した塩酸の量から、高分子電解質膜のイオン交換容量(単位:meq/g)を算出した。
(平均粒径測定方法)
各エマルション中に存在する粒子の平均粒径は、濃厚系粒径アナライザーFPAR−1000(大塚電子製)を用いて測定した。測定温度は30℃、積算時間は30min、測定に用いたレーザーの波長は660nmである。得られたデータを、上記装置付属の解析ソフトウェア(FPARシステム VERSION5.1.7.2)を用い、CONTIN法で解析することで散乱強度分布を得、最も頻度の高い粒径を平均粒径とした。
(発電性能評価方法)
市販のJARI標準セルを用いて燃料電池セルを製造した。すなわち、MEGAの両外側に、ガス通路用の溝を切削加工したカーボン製セパレータを配し、さらにその外側に集電体及びエンドプレートを順に配置し、これらをボルトで締め付けることによって、有効膜面積25cm2の燃料電池セルを組み立てた。得られた燃料電池セルを80℃に保ちながら、アノードに加湿水素、カソードに加湿空気をそれぞれ供給した。この際、セルのガス出口における背圧が0.1MPaGとなるようにした。各原料ガスの加湿は、バブラーにガスを通すことで行い、水素用バブラーの水温は80℃、空気用バブラーの水温は80℃とした。ここで、水素のガス流量は529mL/min、空気のガス流量は1665mL/minとした。
製造例1[高分子電解質Aの合成]
アルゴン雰囲気下、共沸蒸留装置を備えたフラスコに、ジメチルスルホキシド(以下、「DMSO」と呼ぶ)600ml、トルエン200mL、2,5−ジクロロベンゼンスルホン酸ナトリウム26.5g(106.3mmol)、末端クロロ型である下記ポリエーテルスルホン(住友化学製スミカエクセルPES5200P、Mn=5.4×104、Mw=1.2×105)10.0g、2,2’−ビピリジル43.8g(280.2mmol)を入れて攪拌した。その後バス温を150℃まで昇温し、トルエンを加熱留去することで系内の水分を共沸脱水した後、60℃に冷却した。次いで、これにビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケル(0)73.4g(266.9mmol)を加え、80℃に昇温し、同温度で5時間攪拌した。放冷後、反応液を大量の6mol/Lの塩酸に注ぐことによりポリマーを析出させ濾別。その後6mol/L塩酸による洗浄・ろ過操作を数回繰り返した後、濾液が中性になるまで水洗を行い、減圧乾燥することにより目的とする高分子電解質A16.3gを得た。重量平均分子量は270000、イオン交換容量は2.3meq/gであった。なお、m、nは各ブロックを構成する括弧内の繰返し単位の平均重合度を表すものである。
Figure 0004946666
製造例2[高分子電解質Bの合成]
重合は、Dean−Stark管を取り付けた2L のセパラブルフラスコに、ヒドロキノンスルホン酸カリウム13.04g (56.95mmol), 4,4’−ジフルオロジフェニルスルホン−3,3’−ジスルホン酸ジカリウム34.71g(68.34mmol), 4,4’−ジフルオロジフェニルスルホン29.35g (114.00mmol), 4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル23.50g (125.39mmol), 炭酸カリウム 27.72g (200.58mmol)をとり、DMSO395mL, トルエン70mL中、アルゴン雰囲気下、バス温170℃(内温140±5℃)で3時間共沸脱水をおこなった。3時間後、トルエンを系外に除去し、さらに内温150℃で3時間反応をおこなった。反応はGPC測定により追跡した。反応終了後、反応溶液を80℃まで放冷し、3Lの2M塩酸水溶液に滴下した。析出した白色のポリマーをpH7になるまで水洗し、その後80℃の水で2時間処理する工程を2回おこなった。オーブン(80℃)で乾燥することで、ランダムポリマーである高分子電解質Bを81.60g(収率97%)得た。重量平均分子量は340000、イオン交換容量は2.0meq/gであった。なお、下記に示すものは高分子電解質Bを構成する構造単位がランダムに連結していることを示すものである。なお、a、b、c、dは括弧内の繰返し単位の平均重合度を表し、「ran」の表記は括弧内の繰返し単位がランダムに共重合されてなるランダム共重合であることを表す。
Figure 0004946666
製造例3[安定剤ポリマーdの合成]
ポリマーaの合成
減圧共沸蒸留装置を備えた2Lセパラブルフラスコを窒素置換し、ビス−4−ヒドロキシジフェニルスルホン 63.40g、4,4’−ジヒドロキシビフェニル 70.81g、N−メチル2−ピロリドン(以下、「NMP」と呼ぶ)955gを加え均一な溶液とした。その後、炭酸カリウム92.80gを添加し、NMPを留去しながら135℃〜150℃で4.5時間減圧脱水した。その後、ジクロロジフェニルスルホン200.10gを添加し180℃で21時間反応をおこなった。
反応終了後、反応溶液をメタノールに滴下し、析出した固体をろ過、回収した。回収した固体は更にメタノール洗浄、水洗浄、熱メタノール洗浄を経て、乾燥し275.55gのポリマーaを得た。ポリマーaの構造を下記に示す。ポリマーaはGPC測定によるポリスチレン換算の重量平均分子量が18000であり、NMR測定の積分値から求めたqとpの比がq:p=7:3であった。なお、下記の「random」の表記は、下記ポリマーaを形成する構成単位が、ランダムに共重合されていることを示す。
Figure 0004946666
ポリマーbの合成
2Lセパラブルフラスコを窒素置換し、ニトロベンゼン1014.12g、ポリマーa 80.00g、を加え均一な溶液とした。その後、N-ブロモスクシンイミドを50.25g添加し、15℃まで冷却した。続いて、95%濃硫酸106.42gを40分かけて滴下し15℃で6時間反応をおこなった。6時間後、15℃に冷却しながら10w%水酸化ナトリウム水溶液450.63g、チオ硫酸ナトリウム18.36gを添加した。その後、この溶液をメタノールに滴下し、析出した固体をろ過、回収した。回収した固体はメタノール洗浄、水洗浄、再度メタノール洗浄を経て乾燥し、86.38gのポリマーbを得た。
ポリマーcの合成
減圧共沸蒸留装置を備えた2Lセパラブルフラスコを窒素置換し、ジメチルホルムアミド116.99g、ポリマーb80.07g、加え均一な溶液とした。その後、ジメチルホルムアミドを留去しながら5時間減圧脱水をおこなった。5時間後50℃まで冷却し、塩化ニッケルを41.87g添加して130℃まで昇温し、亜リン酸トリエチルを69.67g滴下して140℃〜145℃で2時間反応をおこなった。2時間後亜リン酸トリエチルをさらに17.30g添加し145℃〜150℃で3時間反応をおこなった。3時間後室温まで冷却し、水1161gとエタノール929gの混合溶液を滴下して、析出した固体をろ過、回収した。回収した固体に水を添加して十分に粉砕し、5重量%塩酸水溶液で洗浄、水洗浄を経て、86.83gのポリマーcを得た。
ポリマーdの合成
5Lセパラブルフラスコを窒素置換し、35重量%塩酸1200g、水550g、ポリマーc75.00g、を加え105℃〜110℃で15時間攪拌した。15時間後、室温まで冷却し水1500gを滴下した。その後、系中の固体をろ過、回収し、得た固体を水洗浄、熱水洗浄した。乾燥後目的とするポリマーdを72.51g得た。ポリマーdの元素分析から求めたリンの含有率は5.91%であり、元素分析値から計算したx(ビフェニリレンオキシ基1個当たりのホスホン酸基数)の値は1.6であった。
Figure 0004946666
製造例4[4,4’−ジフルオロジフェニルスルホン−3,3’−ジスルホン酸ジカリウムの合成]
攪拌機を備えた反応器に、4,4’−ジフルオロジフェニルスルホン467gと30%発煙硫酸3500gとを加え、100℃で5時間反応させた。得られた反応混合物を冷却した後、大量の氷水中に加え、これに更に50%水酸化カリウム水溶液470mLを滴下した。
次いで、析出した固体を濾過して集め、エタノールで洗浄した後、乾燥させた。得られた固体を脱イオン水6.0Lに溶解させ、50%水酸化カリウム水溶液を加えて、pH7.5に調整した後、塩化カリウム460gを加えた。析出した固体を濾過して集め、エタノールで洗浄した後、乾燥させた。
その後、得られた固体をDMSO2.9Lに溶解させ、不溶の無機塩を濾過で除き、残渣をDMSO300mLでさらに洗浄した。得られた濾液に酢酸エチル/エタノール=24/1の溶液6.0Lを滴下し、析出した固体をメタノールで洗浄し、100℃で乾燥させて、4,4’−ジフルオロジフェニルスルホン−3,3’−ジスルホン酸ジカリウムの固体482gを得た。
製造例5[高分子電解質Cの製造]
(スルホン酸基を有する高分子化合物の合成)
共沸蒸留装置を備えたフラスコに、アルゴン雰囲気下、製造例1で得られた4,4’−ジフルオロジフェニルスルホン−3,3’−ジスルホン酸ジカリウム9.32重量部、2,5−ジヒドロキシベンゼンスルホン酸カリウム4.20重量部、DMSO59.6重量部、及び、トルエン9.00重量部を加え、これらを室温にて撹拌しながらアルゴンガスを1時間バブリングした。
その後、得られた混合物に、炭酸カリウムを2.67重量部加え、140℃にて加熱撹拌して共沸脱水した。その後トルエンを留去しながら加熱を続け、スルホン酸基を有する高分子化合物のDMSO溶液を得た。総加熱時間は14時間であった。得られた溶液は室温にて放冷した。
(イオン交換基を実質的に有さない高分子化合物の合成)
共沸蒸留装置を備えたフラスコに、アルゴン雰囲気下、4,4’−ジフルオロジフェニルスルホン8.32重量部、2,6−ジヒドロキシナフタレン5.36重量部、DMSO30.2重量部、NMP30.2重量部、及び、トルエン9.81重量部を加え、室温にて撹拌しながらアルゴンガスを1時間バブリングした。
その後、得られた混合物に、炭酸カリウムを5.09重量部加え、140℃にて加熱撹拌して共沸脱水した。その後トルエンを留去しながら加熱を続けた。総加熱時間は5時間であった。得られた溶液を室温にて放冷し、イオン交換基を実質的に有さない高分子化合物のNMP/DMSO混合溶液を得た。
(ブロック共重合体の合成)
得られたイオン交換基を実質的に有さない高分子化合物のNMP/DMSO混合溶液を攪拌しながら、これに、上記スルホン酸基を有する高分子化合物のDMSO溶液の全量とNMP80.4重量部、DMSO45.3重量部を加え、150℃にて40時間ブロック共重合反応を行った。
得られた反応液を大量の2N塩酸に滴下し、1時間浸漬した。その後、生成した沈殿物を濾別した後、再度2N塩酸に1時間浸漬した。得られた沈殿物を濾別、水洗した後、95℃の大量の熱水に1時間浸漬した。そして、この溶液を80℃で12時間乾燥させて、ブロック共重合体である高分子電解質Cを得た。この高分子電解質Cの構造を下記に示す。

Figure 0004946666
得られた高分子電解質Cのイオン交換容量は1.9meq/gであり、重量平均分子量は、4.2×105であった。なお、s、rは各ブロックを構成する括弧内の繰返し単位の平均重合度を表すものである。
製造例6[イオン伝導膜の作成]
製造例5で得られた高分子電解質Cを、NMPに13.5wt%の濃度となるように溶解させて、高分子電解質溶液を調製した。次いで、この高分子電解質溶液をガラス板上に滴下した。それから、ワイヤーコーターを用いて高分子電解質溶液をガラス板上に均一に塗り広げた。この際、0.25mmクリアランスのワイヤーコーターを用いて塗工厚みをコントロールした。塗布後、高分子電解質溶液を80℃で常圧乾燥した。それから、得られた膜を1mol/Lの塩酸に浸漬した後、イオン交換水で洗浄し、さらに常温乾燥することによって厚さ30μmのイオン伝導膜Cを得た。
実施例1[高分子電解質エマルションの作成]
製造例1で得られた高分子電解質A0.9gと製造例3で得られたポリマーd0.1gとを、NMPに1.0wt%になるように溶解させて、高分子電解質溶液100gを作製した。次いで、この高分子電解質溶液100gをビュレットを用いて、蒸留水900gに滴下速度3〜5g/minで滴下し、高分子電解質溶液を希釈した。この希釈した高分子電解質溶液を、透析膜透析用セルロースチューブ(三光純薬(株)製UC36−32−100:分画分子量14,000)を用いて72時間流水で分散媒置換を行った。この分散媒置換を行った高分子電解質溶液をエバポレーターを用いて、1.5重量%の濃度になるように濃縮し、高分子電解質エマルションを作製した。この高分子電解質エマルションAの平均粒径は101μmであった。また、高分子電解質エマルションA中のNMP量は4ppmであった。
(MEAの作成)
上記高分子電解質エマルションA 5.3gに50重量%白金が担持された白金担持カーボン(SA50BK、エヌ・イー・ケムキャット製)を1g投入し、さらにエタノールを28.8g加えた。得られた混合物を1時間超音波処理したのち、スターラーで5時間攪拌し、触媒インクを得た。引き続き、特開2004−089976号公報に記載の方法に準拠し、イオン伝導膜Cの片面の中央部の5.2cm角の領域に触媒インクを塗布した。吐出口から膜までの距離は6cm、ステージ温度は75℃に設定した。8回の重ね塗りをした後、ステージ上に15分間放置して、溶媒を除去し、触媒層を形成させた。もう一方の面にも同様に触媒インクを塗布し、触媒層を形成した。触媒層の組成と塗布した重量から、片面あたり0.6mg/cm2の白金が配置された、MEAを得た。発電試験の結果得られた0.2Vにおける電流密度を表1に示す。
比較例1
(高分子電解質エマルションの作成)
製造例1に用いた高分子電解質Aを、製造例2で得られた高分子電解質Bに置き換え、2重量%まで濃縮したエマルションを得る以外は、実施例1と同じ実験を行い、高分子電解質エマルションBを得た。この高分子電解質エマルションBの平均粒径は437nmであった。また、高分子電解質エマルションB中のNMP量は8ppmであった。
(MEAの作成)
上記高分子電解質エマルションB 5.3gに50重量%白金が担持された白金担持カーボン(SA50BK、エヌ・イー・ケムキャット製)を1.4g投入し、さらにエタノールを12.5g加えた。得られた混合物を1時間超音波処理したのち、スターラーで5時間攪拌し、触媒インクを得た。引き続き、特開2004−089976号公報に記載の方法に準拠し、イオン伝導膜Cの片面の中央部の5.2cm角の領域に触媒インクを塗布した。吐出口から膜までの距離は6cm、ステージ温度は75℃に設定した。8回の重ね塗りをした後、ステージ上に15分間放置して、溶媒を除去し、触媒層を形成させた。もう一方の面にも同様に触媒インクを塗布し、触媒層を形成した。触媒層の組成と塗布した重量から、片面あたり0.6mg/cm2の白金が配置された、MEAを得た。発電試験の結果得られた0.2Vにおける電流密度を表4に示す。
Figure 0004946666
表1から、ランダム共重合体である高分子電解質2を用いた場合に比べ、ブロック共重合体である高分子電解質エマルション1を用いると発電性能が向上することが判明した。
高分子電解質粒子の推定構造を模式的に示す図である。 好適な実施形態に係る燃料電池の断面構成を模式的に示す図である。
符号の説明
1・・・酸性基を有するセグメント
2・・・イオン交換基を実質的に有さないセグメント
10・・・燃料電池、12・・・イオン伝導膜、14a,14b・・・触媒層、16a,16b・・・ガス拡散層、18a,18b・・・セパレータ、20・・・MEA

Claims (7)

  1. 高分子電解質粒子が分散媒中に分散した高分子電解質エマルションであって、動的光散乱法により求められる該高分子電解質粒子の体積平均粒径が100nm〜200μmであり、該高分子電解質粒子に含まれる高分子電解質が、酸性基を有するセグメントとイオン交換基を実質的に有さないセグメントとからなるブロック共重合体であり、且つ、芳香族炭化水素系高分子であり、該酸性基を有するセグメントが、下記式(1)で表されるセグメントを有し、該イオン交換基を実質的に有さないセグメントが、下記式(3)で表されるセグメントを有することを特徴とする高分子電解質エマルション。
    Figure 0004946666
    (式中、mは5以上の整数を表し、Ar 1 は2価の芳香族基を表し、ここで該2価の芳香族基は、以下の置換基群から選ばれる1種以上の置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、以下の置換基群から選ばれる1種以上の置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、以下の置換基群から選ばれる1種以上の置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリール基、以下の置換基群から選ばれる1種以上の置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリールオキシ基および以下の置換基群から選ばれる1種以上の置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアシル基からなる群から選ばれる1種以上の置換基を有していてもよい。なお、m個あるAr 1 の一部または全部に酸性基を有する。Xは直接結合、酸素原子または硫黄原子を表す。
    [置換基群]
    フッ素原子、ヒドロキシル基、ニトリル基、アミノ基、メトキシ基、エトキシ基、イソプロピルオキシ基、フェニル基、ナフチル基、フェノキシ基、ナフチルオキシ基)
    Figure 0004946666
    (式中、a、b、cは互いに独立に0か1を表し、nは5以上の整数を表す。Ar 2 、Ar 3 、Ar 4 、Ar 5 は互いに独立に2価の芳香族基を表し、ここでこれらの2価の芳香族基は、以下の置換基群から選ばれる1種以上の置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、以下の置換基群から選ばれる1種以上の置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、以下の置換基群から選ばれる1種以上の置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリール基、以下の置換基群から選ばれる1種以上の置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリールオキシ基、以下の置換基群から選ばれる1種以上の置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアシル基でおよび以下の置換基群から選ばれる1種以上の置換基を有していてもよいアリールカルボニル基からなる群から選ばれる1種以上の置換基を有していてもよい。X、X’は、互いに独立に直接結合、カルボニル基、スルホニル基、2,2−イソプロピリデン基または9,9−フルオレンジイル基を表す。Y、Y’は、互いに独立に酸素原子または硫黄原子を表す。
    [置換基群]
    フッ素原子、ヒドロキシル基、ニトリル基、アミノ基、メトキシ基、エトキシ基、イソプロピルオキシ基、フェニル基、ナフチル基、フェノキシ基、ナフチルオキシ基)
  2. 固体高分子型燃料電池の電極用に使用される、請求項1に記載の高分子電解質エマルション。
  3. 上記高分子電解質に対する良溶媒の含有量が200ppm以下であることを特徴とする、請求項に記載の高分子電解質エマルション。
  4. 請求項1〜のいずれかに記載の高分子電解質エマルションと、触媒成分とを含む触媒組成物。
  5. 請求項記載の触媒組成物からなる固体高分子型燃料電池用電極。
  6. 請求項に記載の固体高分子型燃料電池用電極を有する、膜電極接合体。
  7. 請求項記載の膜電極接合体を有する、固体高分子型燃料電池。
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