JP2018100364A - ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物、成形品及び製造方法 - Google Patents

ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物、成形品及び製造方法 Download PDF

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【課題】 再結晶化温度(Tc2)が低く、かつ成形品とした際の耐熱性にも優れるポリアリーレンスルフィド樹脂組成物、それを成形して得られるポリアリーレンスルフィド樹脂成形品およびそれらの製造方法を提供すること。【解決手段】 ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)と、ポリビニルピロリドン(B)と、カルボキシ基と反応する官能基を有するシランカップリング剤(C)を必須成分として配合してなり、ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)100質量部に対して、前記ポリビニルピロリドン(B)が0.01〜100質量部の範囲であり、前記シランカップリング剤(C)が0.01〜30質量部の範囲であること、を特徴とするポリアリーレンスルフィド樹脂組成物、成形品およびそれらの製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物、成形品およびそれらの製造方法に関する。
ポリフェニレンスルフィド(以下PPSと略すことがある)樹脂に代表されるポリアリーレンスルフィド(以下PASと略すことがある)樹脂は、高融点で耐熱性に優れつつ、かつ、機械的強度、耐薬品性、成形加工性、寸法安定性にも優れることが知られている。そこで、一般的には、PAS樹脂に、充填剤やエラストマー等の添加剤を配合し、これらがPAS樹脂からなるマトリックス中に分散されるよう溶融混練してPAS樹脂組成物とした上で、溶融成形して電気・電子機器部品、自動車部品等として使用される成形品に加工される。
ポリアリーレンスルフィド樹脂等の熱可塑性樹脂の溶融成形には射出成形、押出成形、圧縮成形、ブロー成形等の様々な溶融加工法が採用される。熱可塑性樹脂を溶融加工する場合、樹脂組成物を融点以上の温度に加熱して流動性を高めた上で成形加工する。例えば、射出成形法では、溶融した樹脂を適切な温度に加熱した金型に射出充填し、冷却し固化させて成形物を得る。しかし、PAS樹脂組成物は溶融状態から固化(結晶化)する温度(再結晶化温度:Tc2)が高いため、金型内を充満する前に固化(結晶化)してしまう問題があった。このような問題は、射出成形に限らず、溶融加工全般で見られ、複雑な形状や、肉厚差のある形状の成形品や、さらに大型(樹脂量が多い)成形品では、賦形前に固化(結晶化)してしまい成形不良品の割合が多くなり、歩留り(樹脂組成物の投入量から期待される生産量に対して、実際に得られた製品生産数(量)比率)が低い傾向にあった。このため、より再結晶化温度(Tc2)の低い、ポリアリーレンスルフィド樹脂を含む樹脂組成物の開発が望まれていた。
そこで、ポリアリーレンスルフィド樹脂の再結晶化温度を低下させることを目的として、パラジクロロベンゼンとメタジクロロベンゼンとを共重合させる方法が提案されている(特許文献1参照)。しかしながら、該PAS樹脂は骨格の一部にメタ体を挿入する方法であるため、用いるPAS樹脂そのものの再結晶化温度が低下すると伴に、融点(耐熱性)も低下してしまうという性質があった。その結果、当該PAS樹脂を用いた樹脂材料は低温成形性に優れる一方で、得られた成形品も、融点(耐熱性)が著しく低下するという性質があった。さらに、PAS樹脂の骨格の変更は、コンタミ防止の観点からポリマー製造ラインの洗浄に多大なエネルギーを要するため生産性の低下を招いていた。
特開2014−051655号公報
したがって本発明が解決しようとする課題は、再結晶化温度(Tc2)が低く、かつ成形品とした際の耐熱性にも優れるポリアリーレンスルフィド樹脂組成物、それを成形して得られるポリアリーレンスルフィド樹脂成形品およびそれらの製造方法を提供することにある。
本発明者は上記課題を解決するために鋭意研究した結果、ポリアリーレンスルフィド樹脂にポリビニルピロリドンおよびカルボキシ基と反応する官能基を有するシランカップリング剤を必須成分として配合して溶融混錬することにより得られる樹脂組成物が、用いるポリアリーレンスルフィド樹脂の骨格を変更することなく、再結晶化温度(Tc2)が低く、かつ、成形品とした際に耐熱性にも優れることを見出し、上記課題を解決するに至った。
すなわち、本発明は、ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)と、ポリビニルピロリドン(B)と、カルボキシ基と反応する官能基を有するシランカップリング剤(C)を必須成分として配合してなり、
ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)100質量部に対して、前記ポリビニルピロリドン(B)が0.01〜100質量部の範囲であり、前記エポキシ基含有シランカップリング剤(C)が0.01〜30質量部の範囲であること、を特徴とするポリアリーレンスルフィド樹脂組成物、に関する。
加えて本発明は、前記ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物を成形してなる成形品、に関する。
さらに本発明は、ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)と、ポリビニルピロリドン(B)と、カルボキシ基と反応する官能基を有するシランカップリング剤(C)を必須成分として、ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)の融点以上で溶融混練することを特徴とするポリアリーレンスルフィド樹脂組成物の製造方法、に関する。
また、本発明は、前記の製造方法で得られたポリアリーレンスルフィド樹脂組成物を成形する、成形品の製造方法、に関する。
本発明によれば、再結晶化温度(Tc2)が低く、かつ、成形品とした際の耐熱性にも優れるポリアリーレンスルフィド樹脂組成物、それを成形して得られるポリアリーレンスルフィド樹脂成形品およびそれらの製造方法を提供することができる。
本発明のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物は、ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)と、ポリビニルピロリドン(B)と、カルボキシ基と反応する官能基を有するシランカップリング剤(C)を必須成分として配合してなり、ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)100質量部に対して、前記ポリビニルピロリドン(B)が0.01〜100質量部の範囲であり、前記シランカップリング剤(C)が0.01〜30質量部の範囲であることを特徴とする。
本発明のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物は、ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)を必須成分として含有する。本発明で用いるポリアリーレンスルフィド樹脂は、芳香族環と硫黄原子とが結合した構造を繰り返し単位とする樹脂構造を有するものであり、具体的には、下記一般式(2)
Figure 2018100364
(式中、R及びRは、それぞれ独立して水素原子、炭素原子数1〜4の範囲のアルキル基、ニトロ基、アミノ基、フェニル基、メトキシ基、エトキシ基を表す。)で表される構造部位と、必要に応じてさらに下記一般式(2)
Figure 2018100364
で表される3官能性の構造部位と、を繰り返し単位とする樹脂である。式(3)で表される3官能性の構造部位は、他の構造部位との合計モル数に対して0.001〜3モル%の範囲が好ましく、特に0.01〜1モル%の範囲であることが好ましい。
ここで、前記一般式(2)で表される構造部位は、特に該式中のR及びRは、前記ポリアリーレンスルフィド樹脂の機械的強度の点から水素原子であることが好ましく、その場合、下記式(4)で表されるパラ位で結合するもの、及び下記式(5)で表されるメタ位で結合するものが挙げられる。
Figure 2018100364
これらの中でも、特に繰り返し単位中の芳香族環に対する硫黄原子の結合は前記一般式(4)で表されるパラ位で結合した構造であることが前記ポリアリーレンスルフィド樹脂の耐熱性や結晶性の面で好ましい。
また、前記ポリアリーレンスルフィド樹脂は、前記一般式(2)や(3)で表される構造部位のみならず、下記の構造式(6)〜(9)
Figure 2018100364
で表される構造部位を、前記一般式(2)と一般式(3)で表される構造部位との合計の30モル%以下で含んでいてもよい。特に本発明では上記一般式(6)〜(9)で表される構造部位は10モル%以下であることが、ポリアリーレンスルフィド樹脂の耐熱性、機械的強度の点から好ましい。前記ポリアリーレンスルフィド樹脂中に、上記一般式(6)〜(9)で表される構造部位を含む場合、それらの結合様式としては、ランダム共重合体、ブロック共重合体の何れであってもよい。
また、前記ポリアリーレンスルフィド樹脂は、その分子構造中に、ナフチルスルフィド結合などを有していてもよいが、他の構造部位との合計モル数に対して、3モル%以下が好ましく、特に1モル%以下であることが好ましい。
また、ポリアリーレンスルフィド樹脂の物性は、本発明の効果を損ねない限り特に限定されないが、以下の通りである。
(融点(Tm)と再結晶化温度(Tc2))
前記樹脂(A)の融点(Tm)は、耐熱性や機械的強度に優れるポリアリーレンスルフィド樹脂組成物となることから、270℃以上の範囲であることが好ましく、さらに270〜300℃の範囲であることがより好ましい。また、前記樹脂(A)の再結晶化温度(Tc2)は、耐熱性や機械的強度に優れるポリアリーレンスルフィド樹脂組成物となることから、200〜260℃の範囲であることが好ましい。
(溶融粘度)
本発明に用いるポリアリーレンスルフィド樹脂は、300℃で測定した溶融粘度(V6)が2〜1000〔Pa・s〕の範囲であることが好ましく、さらに流動性および機械的強度のバランスが良好となることから10〜500〔Pa・s〕の範囲がより好ましく、特に60〜200〔Pa・s〕の範囲であることが特に好ましい。但し、本発明において、溶融粘度(V6)は、ポリアリーレンスルフィド樹脂を島津製作所製フローテスター、CFT−500Dを用い、300℃、荷重:1.96×10Pa、L/D=10(mm)/1(mm)にて、6分間保持した後に溶融粘度を測定した値とする。
(非ニュートン指数)
本発明に用いるポリアリーレンスルフィド樹脂(A)の非ニュートン指数は、本発明の効果を損ねない限り特に限定されないが、0.90〜2.00の範囲であることが好ましい。リニア型ポリアリーレンスルフィド樹脂を用いる場合には、非ニュートン指数が0.90〜1.50の範囲であることが好ましく、さらに0.95〜1.20の範囲であることがより好ましい。このようなポリアリーレンスルフィド樹脂は機械的物性、流動性、耐磨耗性に優れる。ただし、非ニュートン指数(N値)は、キャピログラフを用いて300℃、オリフィス長(L)とオリフィス径(D)の比、L/D=40の条件下で、剪断速度及び剪断応力を測定し、下記式を用いて算出した値である。
Figure 2018100364
[ただし、SRは剪断速度(秒−1)、SSは剪断応力(ダイン/cm)、そしてKは定数を示す。]N値は1に近いほどPPSは線状に近い構造であり、N値が高いほど分岐が進んだ構造であることを示す。
(末端カルボキシ基)
さらに、本発明のポリアリーレンスルフィド樹脂(A)は、末端にカルボキシ基およびそのアルカリ金属塩を有するものであることが好ましい。その割合については、用途や必須成分の配合の割合に応じて適宜調整すればよく、一概に限定されるべきものではないが、ポリマー末端にカルボキシ基およびそのアルカリ金属塩を樹脂中5〜200〔μmol/g〕の範囲で含有するものであることが好ましく、さらに20〜100〔μmol/g〕の範囲で含有するものであることがより好ましい。なお、そのカルボキシ基およびそのアルカリ金属塩は、熱水洗工程における熱水温度が高いほど当該樹脂中の末端カルボキシ基数が多くなり、逆に熱水温度が低いほど樹脂中の末端カルボキシ基数も少なくなる傾向となる。したがって、ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)中の末端カルボキシ基の具体的な数値について特に限定する必要はないが、当該樹脂中に70〔μmol/g〕以下の割合とすることが好ましく、0〜60〔μmol/g〕の範囲とすることがより好ましくは、5〜50〔μmol/g〕の範囲とすることがさらに好ましい。なお、0〔μmol/g〕は好ましくは末端カルボキシ基を含有しないことを意味するが、通常は、検出限界以下であることを意味する。
(製造方法)
前記ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)の製造方法としては、特に限定されないが、例えば1)硫黄と炭酸ソーダの存在下でジハロゲノ芳香族化合物を、必要ならばポリハロゲノ芳香族化合物ないしその他の共重合成分を加えて、重合させる方法、2)極性溶媒中でスルフィド化剤等の存在下にジハロゲノ芳香族化合物を、必要ならばポリハロゲノ芳香族化合物ないしその他の共重合成分を加えて、重合させる方法、3)p−クロルチオフェノールを、必要ならばその他の共重合成分を加えて、自己縮合させる方法、等が挙げられる。これらの方法のなかでも、2)の方法が汎用的であり好ましい。反応の際に、重合度を調節するためにカルボン酸やスルホン酸のアルカリ金属塩や、水酸化アルカリを添加しても良い。上記2)方法のなかでも、加熱した有機極性溶媒とジハロゲノ芳香族化合物とを含む混合物に含水スルフィド化剤を水が反応混合物から除去され得る速度で導入し、有機極性溶媒中でジハロゲノ芳香族化合物とスルフィド化剤とを、必要に応じてポリハロゲノ芳香族化合物と加え、反応させること、及び反応系内の水分量を該有機極性溶媒1モルに対して0.02〜0.5モルの範囲にコントロールすることによりポリアリーレンスルフィド樹脂を製造する方法(特開平07−228699号公報参照。)や、固形のアルカリ金属硫化物及び非プロトン性極性有機溶媒の存在下でジハロゲノ芳香族化合物と必要ならばポリハロゲノ芳香族化合物ないしその他の共重合成分を加え、アルカリ金属水硫化物及び有機酸アルカリ金属塩を、硫黄源1モルに対して0.01〜0.9モルの範囲の有機酸アルカリ金属塩および反応系内の水分量を非プロトン性極性有機溶媒1モルに対して0.02モル以下の範囲にコントロールしながら反応させる方法(WO2010/058713号パンフレット参照。)で得られるものが特に好ましい。ジハロゲノ芳香族化合物の具体的な例としては、p−ジハロベンゼン、m−ジハロベンゼン、o−ジハロベンゼン、2,5−ジハロトルエン、1,4−ジハロナフタレン、1−メトキシ−2,5−ジハロベンゼン、4,4’−ジハロビフェニル、3,5−ジハロ安息香酸、2,4−ジハロ安息香酸、2,5−ジハロニトロベンゼン、2,4−ジハロニトロベンゼン、2,4−ジハロアニソール、p,p’−ジハロジフェニルエーテル、4,4’−ジハロベンゾフェノン、4,4’−ジハロジフェニルスルホン、4,4’−ジハロジフェニルスルホキシド、4,4’−ジハロジフェニルスルフィド、及び、上記各化合物の芳香環に炭素原子数1〜18の範囲のアルキル基を有する化合物が挙げられ、ポリハロゲノ芳香族化合物としては1,2,3−トリハロベンゼン、1,2,4−トリハロベンゼン、1,3,5−トリハロベンゼン、1,2,3,5−テトラハロベンゼン、1,2,4,5−テトラハロベンゼン、1,4,6−トリハロナフタレンなどが挙げられる。また、上記各化合物中に含まれるハロゲン原子は、塩素原子、臭素原子であることが望ましい。
重合工程により得られたポリアリーレンスルフィド樹脂を含む反応混合物の後処理方法としては、特に制限されるものではないが、例えば、(1)重合反応終了後、先ず反応混合物をそのまま、あるいは酸または塩基を加えた後、減圧下または常圧下で溶媒を留去し、次いで溶媒留去後の固形物を水、反応溶媒(又は低分子ポリマーに対して同等の溶解度を有する有機溶媒)、アセトン、メチルエチルケトン、アルコール類などの溶媒で1回または2回以上洗浄し、更に中和、水洗、濾過および乾燥する方法、或いは、(2)重合反応終了後、反応混合物に水、アセトン、メチルエチルケトン、アルコール類、エーテル類、ハロゲン化炭化水素、芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素などの溶媒(使用した重合溶媒に可溶であり、かつ少なくともポリアリーレンスルフィドに対しては貧溶媒である溶媒)を沈降剤として添加して、ポリアリーレンスルフィドや無機塩等の固体状生成物を沈降させ、これらを濾別、洗浄、乾燥する方法、或いは、(3)重合反応終了後、反応混合物に反応溶媒(又は低分子ポリマーに対して同等の溶解度を有する有機溶媒)を加えて撹拌した後、濾過して低分子量重合体を除いた後、水、アセトン、メチルエチルケトン、アルコール類などの溶媒で1回または2回以上洗浄し、その後中和、水洗、濾過および乾燥をする方法、(4)重合反応終了後、反応混合物に水を加えて水洗浄、濾過、必要に応じて水洗浄の時に酸を加えて酸処理し、乾燥をする方法、(5)重合反応終了後、反応混合物を濾過し、必要に応じ、反応溶媒で1回または2回以上洗浄し、更に水洗浄、濾過および乾燥する方法、等が挙げられる。
尚、上記(1)〜(5)に例示したような後処理方法において、ポリアリーレンスルフィド樹脂の乾燥は真空中で行なってもよいし、空気中あるいは窒素のような不活性ガス雰囲気中で行なってもよい。
本発明のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物は、ポリビニルピロリドン(B)を必須成分として配合してなる。該ポリビニルピロリドンの平均分子量は特に限定されないが、好ましくは質量平均分子量が3,000〜2,000,000の範囲であり、より好ましくは500,000〜1,500,000の範囲であり、さらに好ましくは1,000,000〜1,200,000の範囲である。重合度nは質量平均分子量が上記範囲となる値であれば特に限定されないが、好ましくはnが30〜18,000の範囲であることが好ましく、4,500〜13,500の範囲であることが好ましく、さらに9,000〜108,000の範囲であることが特に好ましい。なお、質量平均分子量はポリビニルピロリドンのテトラヒドロフラン溶液(0.1wt%)を調製し、TSKGelGHxlシリーズ5000、3000、2000、1000カラムおよび示差屈折計(RI)検出器を備えたGPC装置(東ソー株式会社製HLC−8220GPC)を用い、試料溶液注入量50μl、テトラヒドロフランを移動相(1ml/分)とし、40℃で測定した。質量平均分子量は、標準スチレンからなる検量線から算出した。ただし、質量平均分子量の測定値に実質的な影響を及ぼさない範囲で、測定条件を適宜変更することは可能である。
ポリビニルピロリドンは直鎖型のものでも架橋型のものでも差し支えない。
ポリビニルピロリドン(B)としては、例えば下記一般式(1)
Figure 2018100364
で表される構造を有するものが好ましく挙げられる。ただし、式(1)中、nは繰り返し単位を表し、好ましくは30〜18,000の範囲である。また、Rは水素原子、炭素原子数1〜6の範囲のアルキル基またはアルコキシ基で、好ましくはメチル基、i−またはn−プロピル基、ブチル基であり、このうち、水素原子が好ましい。
上記ポリビニルピロリドンの製造方法は、公知の方法を用いることができ、本発明の効果を損ねない限り特に限定されるものではないが、例えば、2−ピロリドンとアセチレンと原料として反応させる方法(レッペ法)や、N−ヒドロキシエチルピロリドンの脱水反応による方法の他、好ましくは、N−ヒドロキシエチルピロリドンを気相脱水反応させて得られた、γ−ブチロラクトン含有量が、例えば500ppm以下に低減させたN−ビニルピロリドンを、公知の重合開始剤や塩基性pH調整剤を適宜加えて、ラジカル重合する方法などが挙げられる。
ここで、前記N−ビニルピロリドンは、下記一般式(10)
Figure 2018100364
で示されるピロリジニル基を含有する重合性不飽和モノマーである。ここでRは前記式(1)と同様である。
本発明で用いるポリビニルピロリドンは、前記N−ビニルピロリドンを原料とした単独重合物であることが好ましいが、本発明の効果を損ねない範囲で、前記一般式(10)で表されるN−ビニルピロリドン、その他のモノマーを原料とする共重合物であってもよく、その場合、その他のモノマーの使用量は10質量%以下であることが好ましく、1質量%以下であることがより好ましく、0.1質量%以下であることがさらに好ましい。
その他のモノマーとしては、例えば、下記一般式(11)
Figure 2018100364
で示されるピロリジニル基を含有する重合性不飽和モノマーが挙げられる。ここでXは、ラジカル重合可能な二重結合を有する置換基であり、次の一般式(12)〜(17)
Figure 2018100364
(式(12)〜(17)中、Rは水素原子、炭素原子数1〜6の範囲のアルキル基またはアルコキシ基で、好ましくはメチル基、i−またはn−プロピル基、ブチル基である。)で表される置換基が挙げられる。
本発明で用いるポリビニルピロリドンは、例えば、株式会社日本触媒製「K−90」、同「K−85」、同「K−30」などとして市販のものを用いることができる。
本発明においてポリビニルピロリドン(B)の配合の割合は、ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)100質量部に対して、0.01〜100質量部の範囲であることが好ましく、0.1〜50質量部の範囲であることがより好ましく、1〜30質量部の範囲であることがさらに好ましく、2〜25質量部の範囲であることが最も好ましい。かかる範囲において、本発明のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物が低い再結晶化温度を呈しつつ、かつ得られた成形品が良好な耐熱性を呈するため好ましい。
本発明のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物は、カルボキシ基と反応する官能基を有するシランカップリング剤(C)を必須成分として配合してなる。シランカップリング剤としては、カルボキシ基と反応する官能基を有し、かつ、本発明の効果を損ねなければ特に限定されないが、例えば、エポキシ基、イソシアナト基、アミノ基または水酸基を有するシランカップリング剤が好ましいものとして挙げられる。このようなシランカップリング剤としては、例えば、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシ基含有アルコキシシラン化合物、γ−イソシアナトプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルトリエトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルメチルジエトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルエチルジメトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルエチルジエトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルトリクロロシラン等のイソシアナト基含有アルコキシシラン化合物、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノ基含有アルコキシシラン化合物、γ−ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−ヒドロキシプロピルトリエトキシシラン等の水酸基含有アルコキシシラン化合物が挙げられる。本発明において該シランカップリング剤の配合の割合は、ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)100質量部に対して、0.01〜30質量部の範囲であることが好ましく、さらに0.05〜10質量部の範囲であることがより好ましく、さらに0.1〜5質量部の範囲であることが最も好ましい。かかる範囲において、本発明のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物が低い再結晶化温度を呈しつつ、かつ得られた成形品が良好な耐熱性を呈するため好ましい。
本発明のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物は、必要に応じて、充填剤を任意成分として含有することができる。これら充填剤としては本発明の効果を損なうものでなければ公知慣用の材料を用いることもでき、例えば、繊維状のものや、粒状や板状などの非繊維状のものなど、さまざまな形状の充填剤等が挙げられる。具体的には、ガラス繊維、炭素繊維、シランガラス繊維、セラミック繊維、アラミド繊維、金属繊維、チタン酸カリウム、炭化珪素、珪酸カルシウム、ワラストナイト等の繊維、天然繊維等の繊維状充填剤が使用でき、またガラスビーズ、ガラスフレーク、硫酸バリウム、クレー、パイロフィライト、ベントナイト、セリサイト、マイカ、雲母、タルク、アタパルジャイト、フェライト、珪酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ガラスビーズ、ゼオライト、ミルドファイバー、硫酸カルシウム等の非繊維状充填剤も使用できる。
本発明において充填剤は必須成分ではないが、配合する場合、その配合の割合は本発明の効果を損ねなければ特に限定されるものではなく、また、それぞれの目的に応じて異なり、一概に規定することはできないが、例えば、ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)100質量部に対して、1〜600質量部の範囲であることが好ましく、さらに10〜200質量部の範囲であることがより好ましい。かかる範囲において、樹脂組成物が良好な機械強度と成形性を示すため好ましい。
本発明のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物は、必要に応じて、熱可塑性エラストマーを任意成分として配合することができる。熱可塑性エラストマーとしては、ポリオレフィン系エラストマー、弗素系エラストマーまたはシリコーン系エラストマーが挙げられ、このうちポリオレフィン系エラストマーが好ましいものとして挙げられる。これらのエラストマーを配合する場合、その配合の割合は、本発明の効果を損ねなければ特に限定されなく、また、それぞれの目的に応じて異なり、一概に規定することはできないが、ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)100質量部に対して、0.01〜10質量部の範囲であることが好ましく、さらに0.1〜5質量部の範囲であることがより好ましい。かかる範囲において、得られるポリアリーレンスルフィド樹脂組成物の耐衝撃性が向上するため好ましい。
前記ポリオレフィン系エラストマーは、例えば、α−オレフィンの単独重合または異なるα−オレフィン同士の共重合により、さらに、官能基を付与する場合には、α−オレフィンと官能基を有するビニル重合性化合物との共重合により得ることができる。α−オレフィンは、例えば、エチレン、プロピレン及びブテン−1等の炭素原子数2〜8の範囲のものが挙げられる。また、官能基としては、カルボキシ基、式−(CO)O(CO)−で表される酸無水物基、それらのエステル、エポキシ基、アミノ基、水酸基、メルカプト基、イソシアネート基、またはオキサゾリン基などが挙げられる。
このような官能基を有するビニル重合性化合物の具体例としては、例えば、(メタ)アクリル酸及び(メタ)アクリル酸エステル等のα,β−不飽和カルボン酸及びそのアルキルエステル、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸及びその他の炭素原子数4〜10のα,β−不飽和ジカルボン酸及びその誘導体(モノ若しくはジエステル、及びその酸無水物等)、並びにグリシジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの中でも、上述したエポキシ基、カルボキシ基、及び、該酸無水物基からなる群から選ばれる少なくとも1種の官能基を有するエチレン−プロピレン共重合体及びエチレン−ブテン共重合体が、機械的強度、特に靭性及び耐衝撃性の向上の点から好ましい。
更に、本発明のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物は、上記成分に加えて、さらに用途に応じて、適宜、前記ポリアリーレンスルフィド樹脂及び前記ポリビニルピロリドンを除く他の合成樹脂、例えばポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリスルフォン樹脂、ポリエーテルスルフォン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリアリーレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリ四弗化エチレン樹脂、ポリ二弗化エチレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ABS樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、液晶ポリマー等(以下、単に合成樹脂という)を任意成分として配合することができる。本発明において合成樹脂は必須成分ではないが、配合する場合、その配合の割合は本発明の効果を損ねなければ特に限定されるものではなく、また、それぞれの目的に応じて異なり、一概に規定することはできないが、本発明のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物中に配合する樹脂成分(前記ポリアリーレンスルフィド樹脂、前記ポリビニルピロリドン及び合成樹脂の合計)の割合としてポリアリーレンスルフィド樹脂及び前記ポリビニルピロリドンの合計が75.0質量%以上の範囲、好ましくは80〜99.99質量%の範囲となるよう、換言すると、上記の合成樹脂が25.0質量%以下の範囲、好ましくは0.01〜20.0質量%の範囲で、本発明の効果を損なわないよう目的や用途に応じて適宜調整して用いればよい。
また本発明のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物は、その他にも着色剤、帯電防止剤、酸化防止剤、耐熱安定剤、紫外線安定剤、紫外線吸収剤、発泡剤、難燃剤、難燃助剤、防錆剤、およびカップリング剤等の公知慣用の添加剤を必要に応じ、任意成分として配合してもよい。これらの添加剤は必須成分ではないが、配合する場合、その配合の割合は、本発明の効果を損ねなければ特に限定されなく、また、それぞれの目的に応じて異なり、一概に規定することはできないが、例えば、ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)100質量部に対して、好ましくは0.01〜1,000質量部の範囲で、本発明の効果を損なわないよう目的や用途に応じて適宜調整して用いればよい。
本発明のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物の製造方法は、ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)と、前記ポリビニルピロリドン(B)と前記シランカップリング剤(C)を必須成分として配合して、ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)の融点以上で溶融混練する。
本発明のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物の好ましい製造方法は、上述した配合割合となるよう、ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)と、前記ポリビニルピロリドン(B)と、前記シランカップリング剤(C)の各必須成分と、必要に応じて、充填剤などの任意成分を、粉末、ペレット、細片など様々な形態でリボンブレンター、ヘンシェルミキサー、Vブレンダーなどに投入してドライブレンドした後、バンバリーミキサー、ミキシングロール、単軸または2軸の押出機およびニーダーなどの公知の溶融混練機に投入し、樹脂温度がポリアリーレンスルフィド樹脂の融点以上となる温度範囲、好ましくは融点+10℃以上となる温度範囲、より好ましくは融点+10℃〜融点+100℃となる温度範囲、さらに好ましくは融点+20〜融点+50℃となる温度範囲で溶融混練する工程を経て製造することができる。溶融混練機への各成分の添加、混合は同時に行ってもよいし、分割して行っても良い。
前記溶融混練機としては分散性や生産性の観点から二軸混練押出機が好ましく、例えば、樹脂成分の吐出量5〜500(kg/hr)の範囲と、スクリュー回転数50〜500(rpm)の範囲とを適宜調整しながら溶融混練することが好ましく、それらの比率(吐出量/スクリュー回転数)が0.02〜5(kg/hr/rpm)の範囲となる条件下に溶融混練することがさらに好ましい。また、前記成分のうち、充填剤や添加剤を添加する場合は、前記二軸混練押出機のサイドフィーダーから該押出機内に投入することが分散性の観点から好ましい。かかるサイドフィーダーの位置は、前記二軸混練押出機のスクリュー全長に対する、該押出機樹脂投入部から該サイドフィーダーまでの距離の比率が、0.1〜0.9の範囲であることが好ましい。中でも0.3〜0.7の範囲であることが特に好ましい。
このように溶融混練して得られる本発明のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物は、必須成分であるポリアリーレンスルフィド樹脂(A)と、前記ポリビニルピロリドン(B)と、前記シランカップリング剤(C)と、必要に応じて加える任意成分およびそれらの由来成分を含む溶融混合物であり、該溶融混練後に、公知の方法でペレット、チップ、顆粒、粉末等の形態に加工してから、必要に応じて100〜150℃の温度で予備乾燥を施して、各種成形に供することが好ましい。
上記製造方法により製造される本発明のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物は、ポリアリーレンスルフィド樹脂をマトリックスとし、当該マトリックス中に、必須成分である前記ポリビニルピロリドン(B)と前記シランカップリング剤(C)と、それらに由来する成分、必要に応じて添加する任意成分が分散したモルフォロジーを形成する。その結果、当該ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物が低い再結晶化温度を呈しつつ、かつ得られた成形品が耐熱性、耐薬品性等に優れたものとなり好ましい。ピロリドン骨格に起因してポリアリーレンスルフィド樹脂との相溶性に優れる性質を有するポリビニルピロリドンが、溶融混練時にポリアリーレンスルフィド樹脂の結晶化を遅延させたものと考えられ、さらに、ポリアリーレンスルフィド樹脂の分子鎖同士が、シランカップリング剤の存在下で、分子鎖が延長した効果により、さらに上記の結晶化を遅延させたものと考えられる。
本発明のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物ないしその成形品の融点(Tm)は、前記樹脂(A)の融点(Tm)を維持しつつ、一方で、ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物ないしその成形品の再結晶化温度(Tc2)は、前記樹脂(A)の再結晶化温度(Tc2)から、さらに低下させることができる。具体的な再結晶化温度(Tc2)の低下の範囲については、成形品の用途や目的に応じて機械的特性等の他の性質との関係も踏まえて、必須成分や任意成分の配合を決める必要があることから、一概に規定することはできないが、好ましいものでは、ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物ないしその成形品の再結晶化温度(Tc2)として、前記樹脂(A)の再結晶化温度(Tc2)から20〜100℃の範囲で低下させることができ、より好ましいものでは30〜80℃の範囲で低下させることができる。すなわち、本発明のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物および成形品の融点(Tm)と再結晶化温度(Tc2)との差ΔTを、好ましくは50℃以上、より好ましくは50〜130℃の範囲、さらに好ましくは60〜80℃の範囲とすることもできる。したがって、本発明のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物および成形品の融点(Tm)を、好ましくは270〜300℃の範囲としつつ、本発明のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物および成形品の再結晶化温度(Tc2)を好ましくは240℃以下の範囲、より好ましくは120〜240℃の範囲、さらに好ましくは160〜200℃の範囲のものとすることができる。なお、本発明のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物ないしその成形品の融点(Tm)が、前記樹脂(A)の融点(Tm)を維持している、とは、実質的に融点が同じであること、好ましくは、ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物ないしその成形品のTm(℃)と、必須成分として配合したポリアリーレンスルフィド樹脂(A)のTm(℃)の温度差が10℃以内、さらに好ましくは、5℃以内であることを意味する。
本発明のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物は、射出成形、圧縮成形、コンポジット、シート、パイプなどの押出成形、引抜成形、ブロー成形、トランスファー成形など各種成形に供することが可能であるが、特に離形性にも優れるため射出成形用途に適している。射出成形にて成形する場合、各種成形条件は特に限定されず、通常一般的な方法にて成形することができる。例えば、射出成形機内で、樹脂温度がポリアリーレンスルフィド樹脂の融点以上の温度範囲、好ましくは該融点+10℃以上の温度範囲、より好ましくは融点+10℃〜融点+100℃の温度範囲、さらに好ましくは融点+20〜融点+50℃の温度範囲で前記ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物を溶融する工程を経た後、樹脂吐出口よりを金型内に注入して成形すればよい。その際、金型温度も公知の温度範囲、例えば、室温(23℃)〜300℃、好ましくは40〜180℃の範囲に設定することができる。本発明のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物は通常の成形温度として好ましい120〜180℃の温度範囲に設定することもできる上に、上記の通り再結晶化温度(Tc2)が低く、低温成形性に優れる特徴も有することから、40℃以上かつ120℃未満の範囲といった比較的低温条件の金型温度であっても外観性や充填性等の成形性や機械物性、耐薬品性に優れる成形物を得ることができる。
本発明のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物を成形してなる成形品は、シリコーン樹脂との接着性に優れつつ、射出成形時のTD方向の機械的強度にも優れるが、さらに前記ポリビニルピロリドン(B)として質量平均分子量50,000〜2,000,000の範囲のものを用いた場合には、シリコーン樹脂との接着性および射出成形時のTD方向の機械的強度が特に優れたものとなる。そのため、ポリアリーレンスルフィド樹脂とシリコーン樹脂からなる硬化物とが接着した複合成形品として好適に用いることができる。複合成形品を製造する際に用いるシリコーン樹脂としては、当業者が接着剤として通常用いるシリコーン樹脂であればよく、縮合型シリコーン樹脂、付加型シリコーン樹脂のいずれであってもよく、また一液型および二液型のいずれを用いてもよいが、均一に硬化することから付加型シリコーン樹脂を用いることが好ましい。前記複合成形品の製造方法としては各種成形方法により成形したポリアリーレンスルフィド樹脂成形品にシリコーン樹脂を接触させた後、該シリコーン樹脂を硬化することにより複合成形品を製造する方法を用いることができる。
前記複合成形体の主な用途例としては、各種家電製品、携帯電話、及びPC(Personal Computer)等の電子機器の筐体、箱型の電気・電子部品集積モジュール用保護・支持部材・複数の個別半導体またはモジュール、センサ、LEDランプ、コネクタ、ソケット、抵抗器、リレーケース、スイッチ、コイルボビン、コンデンサ、バリコンケース、光ピックアップ、発振子、各種端子板、変成器、プラグ、プリント基板、チューナ、スピーカ、マイクロフォン、ヘッドフォン、小型モータ、磁気ヘッドベース、パワーモジュール、端子台、半導体、液晶、FDDキャリッジ、FDDシャーシ、モーターブラッシュホルダ、パラボラアンテナ、コンピュータ関連部品等に代表される電気・電子部品;VTR部品、テレビ部品、アイロン、ヘアードライヤ、炊飯器部品、電子レンジ部品、音響部品、オーディオ・レーザディスク・コンパクトディスク・DVDディスク・ブルーレイディスク等の音声・映像機器部品、照明部品、冷蔵庫部品、エアコン部品、タイプライタ部品、ワードプロセッサ部品、あるいは給湯機や風呂の湯量、温度センサなどの水回り機器部品等に代表される家庭、事務電気製品部品;オフィスコンピュータ関連部品、電話器関連部品、ファクシミリ関連部品、複写機関連部品、洗浄用治具、モーター部品、ライタ、タイプライタなどに代表される機械関連部品:顕微鏡、双眼鏡、カメラ、時計等に代表される光学機器、精密機械関連部品;オルタネーターターミナル、オルタネーターコネクタ、ブラシホルダー、スリップリング、ICレギュレータ、ライトディヤ用ポテンシオメーターベース、リレーブロック、インヒビタースイッチ、排気ガスバルブ等の各種バルブ、燃料関係・排気系・吸気系各種パイプ、エアーインテークノズルスノーケル、インテークマニホールド、燃料ポンプ、エンジン冷却水ジョイント、キャブレターメインボディ、キャブレタースペーサ、排気ガスセンサ、冷却水センサ、油温センサ、ブレーキパットウェアーセンサ、スロットルポジションセンサ、クランクシャフトポジションセンサ、エアーフローメータ、ブレーキパッド摩耗センサ、エアコン用サーモスタットベース、暖房温風フローコントロールバルブ、ラジエーターモーター用ブラッシュホルダ、ウォーターポンプインペラ、タービンベイン、ワイパーモーター関係部品、デュストリビュータ、スタータースイッチ、イグニッションコイルおよびそのボビン、モーターインシュレータ、モーターロータ、モーターコア、スターターリレ、トランスミッション用ワイヤーハーネス、ウィンドウォッシャーノズル、エアコンパネルスイッチ基板、燃料関係電磁気弁用コイル、ヒューズ用コネクタ、ホーンターミナル、電装部品絶縁板、ステップモーターロータ、ランプソケット、ランプリフレクタ、ランプハウジング、ブレーキピストン、ソレノイドボビン、エンジンオイルフィルタ、点火装置ケース等の自動車・車両関連部品、その他各種用途にも適用可能である。
(ポリフェニレンスルフィド樹脂のカルボキシ基濃度の測定)
ポリフェニレンスルフィド樹脂を350℃、荷重10MPa、60秒でプレスしたのち、60秒かけて25℃まで急冷することによって非晶性を示すフィルムを作成した。得られた非晶性を示すフィルムを、フーリエ変換赤外分光装置(以下「FT−IR装置」と略記する。)を用いて測定した。赤外吸収スペクトルのうち630.6cm−1の吸収に対する1705cm−1の吸収の相対強度を求め、別途後述する方法により作成した検量線を用いて測定サンプル中のカルボキシ基の含有量(以下「カルボキシ基の全含有量」と略記する。)を求めた。カルボキシ基の含有量は樹脂組成物1g中のモル数で示され、その単位はμmol/gで表される。検量線の作成方法は酸処理を行わずにカルボン酸塩を分子鎖に含有するポリアリーレンスルフィド樹脂3gに所定量の4−クロロフェニル酢酸を加え良く混合したのち、前記と同じようにしてフィルムを作成し、FT−IR装置で測定を行い、カルボキシ基含有量に対する、前記吸収の相対強度比をプロットした検量線を作成した。
(ポリフェニレンスルフィド樹脂の溶融粘度の測定)
参考例で製造したポリフェニレンスルフィド樹脂を島津製作所製フローテスター、CFT−500Dを用い、300℃、荷重:1.96×10Pa、L/D=10(mm)/1(mm)にて、6分間保持した後に測定した。
(PPS樹脂およびPPS樹脂組成物の融点(Tm)、再結晶化温度(Tc2)の測定)
参考例、比較参考例で得られたポリアリーレンスルフィド樹脂及び実施例、比較例で得られたポリアリーレンスルフィド樹脂組成物に係る融点(Tm)、再結晶化温度(Tc2)は、樹脂又は樹脂組成物を350℃にて溶融させた後、急冷させて非晶性フィルムを作製し、このフィルムからおよそ4mgはかりとり、示差走査熱量計(Perkin Elmer社製『DSC8500』)を用いて測定した。
(参考例1)カルボキシ基含有ポリフェニレンスルフィド樹脂(PPS−1)の製造
圧力計、温度計、コンデンサ、デカンター、精留塔を連結した撹拌翼付き150リットルオートクレーブにp−ジクロロベンゼン(以下、「p−DCB」と略記する。)33.222kg(226モル)、NMP2.280kg(23モル)、47.23質量%NaSH水溶液27.300kg(NaSHとして230モル)、及び49.21質量%NaOH水溶液18.533g(NaOHとして228モル)を仕込み、撹拌しながら窒素雰囲気下で173℃まで5時間掛けて昇温して、水27.300kgを留出させた後、オートクレーブを密閉した。脱水時に共沸により留出したp−DCBはデカンターで分離して、随時オートクレーブ内に戻した。脱水終了後のオートクレーブ内は微粒子状の無水硫化ナトリウム組成物がp−DCB中に分散した状態であった。この組成物中のNMP含有量は0.069kg(0.7モル)であったことから、仕込んだNMPの97モル%(22.3モル)がNMPの開環体(4−(メチルアミノ)酪酸)のナトリウム塩(以下、「SMAB」と略記する。)に加水分解されていることが示された。オートクレーブ内のSMAB量は、オートクレーブ中に存在する硫黄原子1モル当たり0.097モルであった。仕込んだNaSHとNaOHが全量、無水NaSに変わる場合の理論脱水量は27.921gであることから、オートクレーブ内の残水量621g(34.5モル)の内、401g(22.3モル)はNMPとNaOHとの加水分解反応に消費されて、水としてオートクレーブ内に存在せず、残りの220g(12.2モル)は水、あるいは結晶水の形でオートクレーブ内に残留していることを示していた。オートクレーブ内の水分量はオートクレーブ中に存在する硫黄原子1モル当たり0.053モルであった。
上記脱水工程終了後に、内温を160℃に冷却し、NMP47.492kg(479モル)に含む溶液を仕込み、185℃まで昇温した。オートクレーブ内の水分量は、工程2で仕込んだNMP1モル当たり0.025モルであった。ゲージ圧が0.00MPaに到達した時点で、精留塔を連結したバルブを開放し、内温200℃まで1時間掛けて昇温した。この際、精留塔出口温度が110℃以下になる様に冷却とバルブ開度で制御した。留出したp−DCBと水の混合蒸気はコンデンサで凝縮し、デカンターで分離して、p−DCBはオートクレーブへ戻した。留出水量は179g(9.9モル)で、オートクレーブ内水分量は41g(2.3モル)で、脱水後に仕込んだNMP1モル当たり0.005モルで、オートクレーブ中に存在する硫黄原子1モル当たり0.010モルであった。オートクレーブ内のSMAB量は脱水時と同じく、オートクレーブ中に存在する硫黄原子1モル当たり0.097モルであった。
次いで、内温200℃から230℃まで3時間掛けて昇温し、230℃で1時間撹拌した後、250℃まで昇温し、1時間撹拌した。内温200℃時点のゲージ圧は0.03MPaで、最終ゲージ圧は0.30MPaであった。冷却後、得られたスラリーの内、6.5kgを30リットルの80℃温水に注いで1時間撹拌した後、濾過した。このケーキを再び30リットルの温水で1時間撹拌し、洗浄した後、濾過した。次に、得られたケーキに30リットルの水を加え、酢酸でpHを4.5に調整し、常温で1時間撹拌したのち、濾過した。さらに得られたケーキに30リットルの温水を加え、1時間撹拌したのち、ろ過する操作を2回繰返して、熱風循環乾燥機を用い120℃で一晩乾燥して白色粉末上のカルボキシ基含有PPS樹脂(以下、PPS−1)を得た。得られたポリマーの溶融粘度は98Pa・sで、カルボキシ基含有量は55.4μmol/gであった。また、融点(Tm)は282℃、再結晶化温度(Tc2)は203℃であった。
(参考例2)カルボキシ基含有ポリフェニレンスルフィド樹脂(PPS−2)の製造
圧力計、温度計、コンデンサを連結した撹拌翼および底弁付き150リットルオートクレーブに、45%水硫化ソーダ(47.55質量%NaSH)14.148kg、48%苛性ソーダ(48.7質量%NaOH)9.474kgと、N−メチル−2−ピロリドン38.0kgを仕込んだ。窒素気流下攪拌しながら209℃まで昇温して、水12.150kgを留出させた(残存する水分量はNaSH1モル当り1.13モル)。その後、オートクレーブを密閉して180℃まで冷却し、パラジクロロベンゼン17.129kg及びN−メチル−2−ピロリドン16.0kgを仕込んだ。液温150℃で窒素ガスを用いてゲージ圧で0.1MPaに加圧して昇温を開始した。液温220℃で4時間撹拌したのち、昇温して260℃になった時点でオートクレーブ上部を散水することで冷却しながら、260℃で3時間反応した。オートクレーブ上部を冷却中、液温が下がらないように一定に保持した。次に降温させると共にオートクレーブ上部の冷却を止めた。反応中の最高圧力は、0.87MPaであった。反応後、冷却し、100℃で底弁を開き、反応スラリーを150リットル平板ろ過機に移送し120℃で加圧ろ過した。得られたケーキに70℃温水50kgを加え撹拌したのち、濾過し、さらに温水25kgを加え濾過した。次に温水25kgを加え、酢酸でpHを4.5に調整し、1時間撹拌し、濾過したのち、温水25kgを加え、濾過した。さらに、温水25kgを加え1時間撹拌し、濾過したのち、温水25kgを加えろ過する操作を2回繰り返した。得られたケーキを熱風循環乾燥機を用いて120℃で15時間乾燥し、PPS−2を得た。得られたポリマーの溶融粘度108Pa・sで、カルボキシ基含有量は74.5μmol/gであった。また、融点(Tm)は278℃、再結晶化温度(Tc2)は240℃であった。
(参考例3)カルボキシ基含有ポリフェニレンスルフィド樹脂(PPS−3)の製造
「次いで、内温200℃から230℃まで3時間掛けて昇温し、230℃で1時間撹拌した後、250℃まで昇温し、1時間撹拌した。」ところを、「次いで、内温200℃から230℃まで3時間掛けて昇温し、230℃で3時間撹拌した後、250℃まで昇温し、1時間撹拌した。」としたこと、「次に、得られたケーキに30リットルの水を加え、酢酸でpHを4.5に調整し、常温で1時間撹拌したのち、濾過した。」ところを「次に、得られたケーキに30リットルの水を加え、炭酸水でpHを6.0に調整し、常温で1時間撹拌したのち、濾過した。」としたことの2点以外は参考例1と同様に行い、PPS−3を得た。得られたポリマーの溶融粘度は171Pa・sで、カルボキシ基含有量は34.1μmol/gであった。また、融点(Tm)は280℃、再結晶化温度(Tc2)は211℃であった。
(参考例4)
パラジクロロベンゼンと同時に1,3,5−トリクロロベンゼン65.3g(NaSH1モルに対して0.3mol%)を添加した以外は参考例2と同様に行い、カルボキシ基含有ポリフェニレンスルフィド樹脂(PPS−4)を得た。得られたポリマーは溶融粘度2840Pa・s、カルボキシ基濃度は66.9μmol/gであった。また、融点(Tm)は284℃、再結晶化温度(Tc2)は230℃であった。
(比較参考例1)
パラジクロロベンゼン17.129kgの変わりに、パラジクロロベンゼンを14.559kg、メタジクロロベンゼンを2.569kg加えた以外は参考例2と同様に行い、カルボキシ基含有ポリフェニレンスルフィド樹脂(PPS−C1)を得た。得られたポリマーは溶融粘度10Pa・s、カルボキシ基濃度は32.1μmol/gであった。また、融点(Tm)は242℃、再結晶化温度(Tc2)は146℃であった。
<実施例1〜5及び比較例1〜2>
表1〜2に記載する組成成分および配合量(全て質量部)に従い、各材料をタンブラーで均一に混合した。その後、東芝機械株式会社製ベント付き2軸押出機「TEM−35B」に前記配合材料を投入し、樹脂成分吐出量25kg/hr、スクリュー回転数250rpm、樹脂成分の吐出量(kg/hr)とスクリュー回転数(rpm)との比率(吐出量/スクリュー回転数)=0.1(kg/hr・rpm)、設定樹脂温度330℃で溶融混練して樹脂組成物のペレットを得た。このペレットを用いて融点(Tm)、再結晶化温度(Tc2)を測定、両者の差ΔTを算出した。結果を表1〜2に示す。
Figure 2018100364
Figure 2018100364
なお、表1、2中の組成の数値は質量部を示す。以下の表も同じ。
※1 ΔTc2は、各実施例で得られた試験片(PPS樹脂成形品)のTc2(℃)から、各実施例で原料の用いたPPS樹脂のTc2(℃)を差し引いた値。
また、表中の各原料は以下の通り。
ビニルピロリドン系添加材
PVP−1 ポリビニルピロリドン樹脂 株式会社日本触媒製「K−90」(質量平均分子量:1050000〜1200000)
PVP−2 ポリビニルピロリドン樹脂 株式会社日本触媒製「K−85」(質量平均分子量:900000〜1050000)
PVP−3 ポリビニルピロリドン樹脂 株式会社日本触媒製「K−30」(質量平均分子量:80000〜120000)
PVP−4 ポリビニルピロリドン樹脂 第一工業製薬株式会社製「ピッツコールK−17L」(質量平均分子量:9000〜120000)
エポキシシラン 3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン ダウ・コーニング株式会社製「SH−6040」

Claims (13)

  1. ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)と、ポリビニルピロリドン(B)と、カルボキシ基と反応する官能基を有するシランカップリング剤(C)を必須成分として配合してなり、
    ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)100質量部に対して、前記ポリビニルピロリドン(B)が0.01〜100質量部の範囲であり、前記シランカップリング剤(C)が0.01〜30質量部の範囲であること、を特徴とするポリアリーレンスルフィド樹脂組成物。
  2. 前記ポリビニルピロリドン(B)の質量平均分子量が3,000〜2,000,000の範囲である請求項1記載のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物。
  3. 前記ポリビニルピロリドン(B)が、下記一般式(1)
    Figure 2018100364
    (式中、nは繰り返し単位を表し、30〜18,000の範囲である。Rは水素原子、炭素原子数1〜6の範囲のアルキル基またはアルコキシ基である。)で表される構造を有する請求項1または2記載のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物。
  4. 溶融混練物である請求項1〜3のいずれか一項に記載のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物。
  5. 融点(Tm)が270℃以上であり、かつ、再結晶化温度(Tc2)が240℃以下である請求項1〜4のいずれか一項に記載のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物。
  6. 融点(Tm)と再結晶化温度(Tc2)との差ΔTが50℃以上である請求項1〜5のいずれか一項に記載のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物。
  7. 前記請求項1〜6の何れか一項に記載のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物を成形してなる成形品。
  8. ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)と、ポリビニルピロリドン(B)と、カルボキシ基と反応する官能基を有するシランカップリング剤(C)を必須成分として、ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)の融点以上で溶融混練することを特徴とするポリアリーレンスルフィド樹脂組成物の製造方法。
  9. 前記ポリビニルピロリドン(B)の質量平均分子量が3,000〜2,000,000の範囲である請求項8記載のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物の製造方法。
  10. ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)100質量部に対して、前記ポリビニルピロリドン(B)が0.01〜100質量部の範囲であり、前記シランカップリング剤(C)が0.01〜30質量部の範囲である、請求項8または9記載のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物の製造方法。
  11. 前記ポリビニルピロリドン(B)が、下記一般式(1)
    Figure 2018100364
    (式中、nは繰り返し単位を表し、30〜18,000の範囲である。Rは水素原子、炭素原子数1〜6の範囲のアルキル基またはアルコキシ基である。)で表される構造を有する請求項8〜10のいずれか一項に記載のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物の製造方法。
  12. 前記請求項8〜11の何れか一項に記載の製造方法で得られたポリアリーレンスルフィド樹脂組成物を成形する、成形品の製造方法。
  13. ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物を金型内で成型する工程を有し、金型温度が40〜180℃の範囲である請求項12記載の成形品の製造方法。
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