JP2024040672A - ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物、成形品及びそれらの製造方法 - Google Patents

ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物、成形品及びそれらの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ポリアリーレンスルフィド樹脂(PAS樹脂)、植物由来原料を用いてなる表面処理剤で処理された無機充填剤及び/又は離型剤を含み、加熱時の臭気を低減したPAS樹脂成形品、当該成形品を提供可能なPAS樹脂組成物及びそれらの製造方法を提供すること。【解決手段】PAS樹脂(A)と、表面処理剤で表面処理された無機充填剤(B)及び/又は離型剤(C)を含む食器用PAS樹脂組成物であって、前記表面処理剤及び前記離型剤(C)が、植物由来原料を用いてなるものであることを特徴とする、食器用PAS樹脂組成物、成形品、及びそれらの製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物、ポリアリーレンスルフィド樹脂成形品及びそれらの製造方法に関する。
近年、ポリフェニレンサルファイド(以下、PPSと略すことがある)樹脂に代表されるポリアリーレンスルフィド(以下、PASと略すことがある)樹脂は、耐熱性に優れつつ、かつ、機械的強度、耐薬品性、成形加工性、寸法安定性にも優れるため、自動車部品や電気電子部品、パッケージ用途などの様々な分野で、広範に利用されている。
PAS樹脂を含む多くの樹脂は、樹脂単体よりもさらに機械的強度や加工性等の性能を向上させるため、無機フィラーや添加剤を配合して樹脂組成物として使用する場合がある。このような無機フィラーの表面処理剤や添加剤は、従来、動物由来材料(例えば、牛脂等)を原料としたものが用いられることがあり、それにより加熱した際に発生する不快な臭気がしばしば問題であった。
PAS樹脂組成物の臭気を低減する方法は、例えば、PAS樹脂を何度も溶融混練し、その過程で揮発物質を除去することにより臭気を低減させる方法が開示されている(特許文献1参照)。しかしながら、この方法ではPAS樹脂や添加剤が溶融混練時に熱劣化し、物性低下が生じる問題があった。
また、
特開2007-238693号公報
しかしながら、PAS樹脂に配合する材料に着目した臭気の改善はこれまでされておらず、更なる検討が求められていた。
そこで、本発明が解決しようとする課題は、加熱した際の不快な臭気を低減したPAS成形品、当該成形品を提供可能なPAS樹脂組成物及びそれらの製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意検討した結果、PAS樹脂に、植物由来原料を用いてなるものである表面処理剤で処理された無機充填剤及び/又は植物由来原料を用いてなるものである離型剤を組み合わせることで、PAS樹脂成形品の、加熱時の臭気を抑制し、かつ、寸法安定性や機械的特性に優れることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本開示の食器用PAS樹脂組成物は、
PAS樹脂(A)と、表面処理剤で表面処理された無機充填剤(B)及び/又は離型剤(C)を含む食器用PAS樹脂組成物であって、
前記表面処理剤及び前記離型剤(C)が、植物由来原料を用いてなるものであることを特徴とする。上記構成を具えることで、耐燃料膨潤性に優れる。
本開示の成形品は、前記記載の食器用PAS樹脂組成物を溶融成形してなる。
本開示の食器用PAS樹脂組成物の製造方法は、
PAS樹脂(A)と、表面処理剤で表面処理された無機充填剤(B)及び/又は離型剤(C)を含む食器用PAS樹脂組成物の製造方法であって、
前記表面処理剤及び前記離型剤(C)が、植物由来原料を用いてなるものであることを特徴とする。
本開示の成形品の製造方法は、前記記載の食器用PAS樹脂組成物を溶融成形してなる食器用成形品の製造方法であって、
得られた食器用成形品をアニール処理する工程を有する。この場合、より臭気を低減でき、さらに、寸法安定性と機械的強度をより向上できる。
本発明によれば、PAS樹脂(A)と、表面処理剤で表面処理された無機充填剤(B)及び/又は離型剤(C)を含み、加熱した際の臭気が抑制される成形品からなる食器、当該成形品を提供可能なPAS樹脂組成物及びそれらの製造方法を提供することができる。
以下、本発明の一実施形態について詳細に説明するが、本発明の範囲はここで説明する一実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更ができる。また、特定のパラメータについて、複数の上限値及び下限値が記載されている場合、これらの上限値及び下限値の内、任意の上限値と下限値とを組合せて好適な数値範囲とすることができる。
本実施形態に係るPAS樹脂組成物は、PAS樹脂(A)と、表面処理剤で表面処理された無機充填剤(B)及び/又は離型剤(C)を含む食器用PAS樹脂組成物であって、前記表面処理剤及び前記離型剤(C)が、植物由来原料を用いてなるものであることを特徴とする。以下、説明する。
<PAS樹脂(A)>
本実施形態に係るPAS樹脂組成物は、必須成分としてPAS樹脂(A)を配合してなる。
PAS樹脂は、芳香族環と硫黄原子とが結合した構造を繰り返し単位とする樹脂構造を有するものであり、具体的には、下記一般式(1)
Figure 2024040672000001
(式中、R及びRは、それぞれ独立して水素原子、炭素原子数1~4の範囲のアルキル基、ニトロ基、アミノ基、フェニル基、メトキシ基、エトキシ基を表す。)で表される構造部位と、必要に応じてさらに下記一般式(2)
Figure 2024040672000002
で表される3官能性の構造部位と、を繰り返し単位とする樹脂である。式(2)で表される3官能性の構造部位は、他の構造部位との合計モル数に対して0.001~3モル%の範囲が好ましく、特に0.01~1モル%の範囲であることが好ましい。
ここで、前記一般式(1)で表される構造部位は、特に該式中のR及びRは、前記PAS樹脂の機械的強度の点から水素原子であることが好ましく、その場合、下記式(3)で表されるパラ位で結合するもの、及び下記式(4)で表されるメタ位で結合するものが挙げられる。
Figure 2024040672000003
これらの中でも、特に繰り返し単位中の芳香族環に対する硫黄原子の結合は前記一般式(3)で表されるパラ位で結合した構造であることが前記PAS樹脂の耐熱性や結晶性の面で好ましい。
また、前記PAS樹脂は、前記一般式(1)や(2)で表される構造部位のみならず、下記の構造式(5)~(8)
Figure 2024040672000004
で表される構造部位を、前記一般式(1)と一般式(2)で表される構造部位との合計の30モル%以下で含んでいてもよい。特に本発明では上記一般式(5)~(8)で表される構造部位は10モル%以下であることが、PAS樹脂の耐熱性、機械的強度の点から好ましい。前記PAS樹脂中に、上記一般式(5)~(8)で表される構造部位を含む場合、それらの結合様式としては、ランダム共重合体、ブロック共重合体の何れであってもよい。
また、前記PAS樹脂は、その分子構造中に、ナフチルスルフィド結合などを有していてもよいが、他の構造部位との合計モル数に対して、3モル%以下が好ましく、特に1モル%以下であることが好ましい。
また、PAS樹脂の物性は、本発明の効果を損ねない限り特に限定されないが、以下の通りである。
(溶融粘度)
本発明に用いるPAS樹脂の溶融粘度は特に限定されないが、流動性及び機械的強度のバランスが良好となることから、300℃で測定した溶融粘度(V6)が、好ましくは2Pa・s以上の範囲であり、そして、好ましくは1000Pa・s以下の範囲、より好ましくは500Pa・s以下の範囲であり、さらに好ましくは200Pa・s以下の範囲である。ただし、溶融粘度(V6)の測定は、PAS樹脂を島津製作所製フローテスター、CFT-500Dを用いて行い、300℃、荷重:1.96×10Pa、L/D=10(mm)/1(mm)にて、6分間保持した後に測定した溶融粘度の測定値とする。
(非ニュートン指数)
本発明に用いるPAS樹脂の非ニュートン指数は特に限定されないが、0.90以上から、2.00以下の範囲であることが好ましい。直鎖状PAS樹脂を用いる場合には、非ニュートン指数が、好ましくは0.90以上の範囲、より好ましくは0.95以上の範囲から、好ましくは1.50以下の範囲、より好ましくは1.20以下の範囲である。このようなPAS樹脂は機械的物性、流動性、耐磨耗性に優れる。ただし、本発明において非ニュートン指数(N値)は、キャピログラフを用いて融点+20℃、オリフィス長(L)とオリフィス径(D)の比、L/D=40の条件下で、剪断速度(SR)及び剪断応力(SS)を測定し、下記式を用いて算出した値である。非ニュートン指数(N値)が1に近いほど線状に近い構造であり、非ニュートン指数(N値)が高いほど分岐が進んだ構造であることを示す。
Figure 2024040672000005
[ただし、SRは剪断速度(秒-1)、SSは剪断応力(ダイン/cm)、そしてKは定数を示す。]
(製造方法)
前記PAS樹脂の製造方法としては特に限定されないが、例えば(製造法1)硫黄と炭酸ソーダの存在下でジハロゲノ芳香族化合物を、必要ならばポリハロゲノ芳香族化合物ないしその他の共重合成分を加えて、重合させる方法、(製造法2)極性溶媒中でスルフィド化剤等の存在下にジハロゲノ芳香族化合物を、必要ならばポリハロゲノ芳香族化合物ないしその他の共重合成分を加えて、重合させる方法、(製造法3)p-クロルチオフェノールを、必要ならばその他の共重合成分を加えて、自己縮合させる方法、(製造法4)ジヨード芳香族化合物と単体硫黄を、カルボキシ基やアミノ基等の官能基を有していてもよい重合禁止剤の存在下、減圧させながら溶融重合させる方法、等が挙げられる。これらの方法のなかでも、(製造法2)の方法が汎用的であり好ましい。反応の際に、重合度を調節するためにカルボン酸やスルホン酸のアルカリ金属塩や、水酸化アルカリを添加しても良い。上記(製造法2)方法のなかでも、加熱した有機極性溶媒とジハロゲノ芳香族化合物とを含む混合物に含水スルフィド化剤を水が反応混合物から除去され得る速度で導入し、有機極性溶媒中でジハロゲノ芳香族化合物とスルフィド化剤とを、必要に応じてポリハロゲノ芳香族化合物と加え、反応させること、及び反応系内の水分量を該有機極性溶媒1モルに対して0.02~0.5モルの範囲にコントロールすることによりPAS樹脂を製造する方法(特開平07-228699号公報参照。)や、固形のアルカリ金属硫化物及び非プロトン性極性有機溶媒の存在下でジハロゲノ芳香族化合物と必要ならばポリハロゲノ芳香族化合物ないしその他の共重合成分を加え、アルカリ金属水硫化物及び有機酸アルカリ金属塩を、硫黄源1モルに対して0.01~0.9モルの範囲の有機酸アルカリ金属塩及び反応系内の水分量を非プロトン性極性有機溶媒1モルに対して0.02モル以下の範囲にコントロールしながら反応させる方法(WO2010/058713号パンフレット参照。)で得られるものが特に好ましい。ジハロゲノ芳香族化合物の具体的な例としては、p-ジハロベンゼン、m-ジハロベンゼン、o-ジハロベンゼン、2,5-ジハロトルエン、1,4-ジハロナフタレン、1-メトキシ-2,5-ジハロベンゼン、4,4’-ジハロビフェニル、3,5-ジハロ安息香酸、2,4-ジハロ安息香酸、2,5-ジハロニトロベンゼン、2,4-ジハロニトロベンゼン、2,4-ジハロアニソール、p,p’-ジハロジフェニルエーテル、4,4’-ジハロベンゾフェノン、4,4’-ジハロジフェニルスルホン、4,4’-ジハロジフェニルスルホキシド、4,4’-ジハロジフェニルスルフィド、及び、上記各化合物の芳香環に炭素原子数1~18の範囲のアルキル基を有する化合物が挙げられ、ポリハロゲノ芳香族化合物としては1,2,3-トリハロベンゼン、1,2,4-トリハロベンゼン、1,3,5-トリハロベンゼン、1,2,3,5-テトラハロベンゼン、1,2,4,5-テトラハロベンゼン、1,4,6-トリハロナフタレンなどが挙げられる。また、上記各化合物中に含まれるハロゲン原子は、塩素原子、臭素原子であることが望ましい。
重合工程により得られたPAS樹脂を含む反応混合物の後処理方法としては、特に制限されるものではないが、例えば、(後処理1)重合反応終了後、先ず反応混合物をそのまま、あるいは酸又は塩基を加えた後、減圧下又は常圧下で溶媒を留去し、次いで溶媒留去後の固形物を水、反応溶媒(又は低分子ポリマーに対して同等の溶解度を有する有機溶媒)、アセトン、メチルエチルケトン、アルコール類などの溶媒で1回又は2回以上洗浄し、更に中和、水洗、濾過及び乾燥する方法、或いは、(後処理2)重合反応終了後、反応混合物に水、アセトン、メチルエチルケトン、アルコール類、エーテル類、ハロゲン化炭化水素、芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素などの溶媒(使用した重合溶媒に可溶であり、かつ少なくともPASに対しては貧溶媒である溶媒)を沈降剤として添加して、PASや無機塩等の固体状生成物を沈降させ、これらを濾別、洗浄、乾燥する方法、或いは、(後処理3)重合反応終了後、反応混合物に反応溶媒(又は低分子ポリマーに対して同等の溶解度を有する有機溶媒)を加えて撹拌した後、濾過して低分子量重合体を除いた後、水、アセトン、メチルエチルケトン、アルコール類などの溶媒で1回又は2回以上洗浄し、その後中和、水洗、濾過及び乾燥をする方法、(後処理4)重合反応終了後、反応混合物に水を加えて水洗浄、濾過、必要に応じて水洗浄の時に酸を加えて酸処理し、乾燥をする方法、(後処理5)重合反応終了後、反応混合物を濾過し、必要に応じ、反応溶媒で1回又は2回以上洗浄し、更に水洗浄、濾過及び乾燥する方法、等が挙げられる。これらの方法のなかでも、(後処理4)の方法が、PAS樹脂の分子末端に存在するナトリウム等の金属原子を効果的に除去することができ、ナトリウム含有量の少ないPAS樹脂を得られるため好ましい。
尚、上記(後処理1)~(後処理5)に例示したような後処理方法において、PAS樹脂の乾燥は真空中で行なってもよいし、空気中あるいは窒素のような不活性ガス雰囲気中で行なってもよい。
本実施形態に係るPAS樹脂組成物は、表面処理剤で表面処理された無機充填剤(B)及び/又は離型剤(C)を原料成分として配合してなる。前記表面処理剤及び前記離型剤(C)は、植物由来原料を用いてなるものであることを特徴とする。
<表面処理剤で表面処理された無機充填剤(B)>
本発明に用いる前記無機充填剤(B)の原料としては当業者に公知のものが使用可能であり、例えば、繊維状、板状、粉粒状等、さまざまな形状の充填剤等が挙げられる。具体的には、ガラス繊維、ガラスフレーク、ミルドファイバー、クレー、パイロフィライト、ベントナイト、セリサイト、マイカ、タルク、アタパルジャイト、フェライト、ケイ酸カルシウム、ゼオライト、ベーマイト、シリカ、石英粉末、ガラスビーズ、ガラス粉、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、珪藻土等のケイ酸塩、酸化鉄、酸化チタン、酸化亜鉛、アルミナ等の金属酸化物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の金属炭酸塩、硫酸カルシウム、硫酸バリウム等の金属硫酸塩、その他炭化ケイ素、窒化ケイ素、窒化ホウ素、各種金属粉末等が挙げられる。本発明では、これらを1種又は2種以上併用することができる。中でも、ハイドロタルサイト、炭酸カルシウム、タルク、炭酸亜鉛、、アルミナ、水酸化マグネシウム、窒化ホウ素、炭酸マグネシウムを好ましく用いることができる。そのアスペクト比は成形品の用途などに応じて適宜調整可能である。
前記無機充填剤(B)は、表面処理剤で表面処理されたものを用いる。前記表面処理剤は必須の成分として植物由来原料を用いてなるものであればよく、本発明の効果を損なわない範囲で他の化学合成由来原料や動物由来原料を含んでもよい。前記表面処理剤は、当該剤の合計量の内、植物由来原料が、90質量%以上100質量%以下、95質量%以上100質量%以下、98質量%以上100質量%以下の範囲であるものがこの順で好ましい。本実施形態に係る樹脂組成物に用いる表面処理剤は、より好ましくは植物由来原料のみからなる。
また、前記表面処理剤は、植物由来原料を用いてなる脂肪酸、脂肪酸金属塩、脂肪酸アミド系化合物及び脂肪酸エステル系化合物からなる群から選ばれる少なくとも1つを含むものが好ましい。
無機充填剤に対する表面処理剤の含有量については、本発明の効果を損ねなければ特に限定されないが、発生ガス量抑制の観点から、無機充填剤100質量部に対して5質量部以下の範囲であることが好ましく、3質量部以下の範囲であることがより好ましい。
前記無機充填剤(B)の配合量は、より優れた機械的強度を得る観点から、PAS樹脂(A)100質量部に対して、0.01質量部以上が好ましく、0.1質量部以上がより好ましく、1質量部以上の範囲がさらに好ましい。一方、樹脂組成物の流動性や加工性の観点から、1000質量部以下が好ましく、600質量部以下がより好ましく、400質量部以下の範囲がさらに好ましい。
前記無機充填剤(B)のうち、粉粒状の無機充填剤を用いる場合は、機械的強度の観点から、平均粒子径(D50)は0.1μm以上の範囲であることが好ましく、0.3μm以上の範囲であることがより好ましい。同様の観点から、70μm以下の範囲であることが好ましく、50μm以下の範囲であることが好ましく、30μm以下の範囲であることがより好ましい。なお、前記平均粒子径(D50)は、当該平均粒子径は、レーザー回折散乱式粒度分布測定機(Microtrac MT3300EXII)を用いて常法に従って測定した粒度分布に基づき求められる平均粒子径(D50)とする。
<離型剤(C)>
本実施形態に係る樹脂組成物に用いる離型剤(C)は、必須の成分として植物由来原料を用いてなるものであればよく、本発明の効果を損なわない範囲で他の化学合成由来原料や動物由来原料を含んでもよい。前記離型剤(C)は、当該剤の合計量の内、植物由来原料が、90質量%以上100質量%以下、95質量%以上100質量%以下、98質量%以上100質量%以下の範囲であるものがこの順で好ましい。本実施形態に係る樹脂組成物に用いる離型剤(C)は、より好ましくは植物由来原料のみからなる。
また、前記離型剤(C)は、植物由来原料を用いてなる脂肪酸、脂肪酸金属塩、脂肪酸アミド系化合物及び脂肪酸エステル系化合物からなる群から選ばれる少なくとも1つを含むものが好ましい。
前記離型剤(C)の配合量は、本発明の効果を損ねなければ特に限定されないが、前記PAS樹脂(A)の100質量部に対して、好ましくは0.01質量部上、より好ましくは0.05質量部上、さらに好ましくは0.1質量部以上から、好ましくは10質量部以下、より好ましくは5質量部以下、さらに好ましくは2質量部以下までの範囲である。かかる範囲において、樹脂組成物が良好な成形性、特に離形性を呈するため好ましい。
<他の任意成分>
本実施形態に係るPAS樹脂組成物は、必要に応じて、シランカップリング剤を任意成分として配合することができる。シランカップリング剤としては、本発明の効果を損ねなければ特に限定されないが、カルボキシ基と反応する官能基、例えば、エポキシ基、イソシアナト基、アミノ基又は水酸基を有するシランカップリング剤が好ましいものとして挙げられる。このようなシランカップリング剤としては、例えば、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシ基含有アルコキシシラン化合物、γ-イソシアナトプロピルトリメトキシシラン、γ-イソシアナトプロピルトリエトキシシラン、γ-イソシアナトプロピルメチルジメトキシシラン、γ-イソシアナトプロピルメチルジエトキシシラン、γ-イソシアナトプロピルエチルジメトキシシラン、γ-イソシアナトプロピルエチルジエトキシシラン、γ-イソシアナトプロピルトリクロロシラン等のイソシアナト基含有アルコキシシラン化合物、γ-(2-アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ-(2-アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノ基含有アルコキシシラン化合物、γ-ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、γ-ヒドロキシプロピルトリエトキシシラン等の水酸基含有アルコキシシラン化合物が挙げられる。本発明においてシランカップリング剤は必須成分ではないが、配合する場合、その配合量は、本発明の効果を損ねなければその添加量は特に限定されないが、PAS樹脂(A)100質量部に対して、好ましくは0.01質量部以上、より好ましくは0.1質量部以上から、好ましくは10質量部以下、より好ましくは5質量部以下までの範囲である。かかる範囲において、樹脂組成物が良好な成形性、特に離型性を有し、かつ成形品の機械的強度が向上するため好ましい。
本実施形態に係るPAS樹脂組成物は、必要に応じて、熱可塑性エラストマーを任意成分として配合することができる。熱可塑性エラストマーとしては、ポリオレフィン系エラストマー、弗素系エラストマー又はシリコーン系エラストマーが挙げられ、このうちポリオレフィン系エラストマーが好ましいものとして挙げられる。これらのエラストマーを添加する場合、その配合量は、本発明の効果を損ねなければ特に限定されないが、PAS樹脂(A)100質量部に対して、好ましくは0.01質量部以上、より好ましくは0.1質量部以上から、好ましくは10質量部以下、より好ましくは5質量部以下までの範囲である。かかる範囲において、得られるPAS樹脂組成物の耐衝撃性が向上するため好ましい。
例えば、前記ポリオレフィン系エラストマーは、α-オレフィンの単独重合体、又は2以上のα-オレフィンの共重合体、1又は2以上のα-オレフィンと、官能基を有するビニル重合性化合物との共重合体が挙げられる。この際、前記α-オレフィンとしては、エチレン、プロピレン、1-ブテン等の炭素原子数が2以上から8以下までの範囲のα-オレフィンが挙げられる。また、前記官能基としては、カルボキシ基、酸無水物基(-C(=O)OC(=O)-)、エポキシ基、アミノ基、水酸基、メルカプト基、イソシアネート基、オキサゾリン基等が挙げられる。そして、前記官能基を有するビニル重合性化合物としては、酢酸ビニル;(メタ)アクリル酸等のα,β-不飽和カルボン酸;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル等のα,β-不飽和カルボン酸のアルキルエステル;アイオノマー等のα,β-不飽和カルボン酸の金属塩(金属としてはナトリウムなどのアルカリ金属、カルシウムなどのアルカリ土類金属、亜鉛等);グリシジルメタクリレート等のα,β-不飽和カルボン酸のグリシジルエステル等;マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等のα,β-不飽和ジカルボン酸;前記α,β-不飽和ジカルボン酸の誘導体(モノエステル、ジエステル、酸無水物)等の1種又は2種以上が挙げられる。上述の熱可塑性エラストマーは、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
更に、本実施形態に係るPAS樹脂組成物は、上記成分に加えて、さらに用途に応じて、適宜、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリスルフォン樹脂、ポリエーテルスルフォン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリアリーレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリ四フッ化エチレン樹脂、ポリ二フッ化エチレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ABS樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、液晶ポリマー等の合成樹脂(以下、単に合成樹脂という)を任意成分として配合することができる。本発明において前記合成樹脂は必須成分ではないが、配合する場合、その配合の割合は本発明の効果を損ねなければ特に限定されるものではなく、また、それぞれの目的に応じて異なり、一概に規定することはできないが、本発明に係る樹脂組成物中に配合する合成樹脂の割合として、例えばPAS樹脂(A)100質量部に対し5質量部以上の範囲であり、15質量部以下の範囲の程度が挙げられる。換言すれば、PAS樹脂(A)と合成樹脂との合計に対してPAS樹脂の割合は質量基準で、好ましくは(100/115)以上の範囲であり、より好ましくは(100/105)以上の範囲である。
また本実施形態に係るPAS樹脂組成物は、その他にも着色剤、帯電防止剤、酸化防止剤、耐熱安定剤、紫外線安定剤、紫外線吸収剤、発泡剤、難燃剤、難燃助剤及び防錆剤等の公知慣用の添加剤を必要に応じ、任意成分として配合してもよい。これらの添加剤は必須成分ではなく、例えば、PAS樹脂(A)100質量部に対して、好ましくは0.01質量部以上の範囲であり、そして、好ましくは1000質量部以下、より好ましくは100質量部以下、さらに好ましくは10質量部以下の範囲で、本発明の効果を損なわないよう目的や用途に応じて適宜調整して用いればよい。
本実施形態に係るPAS樹脂組成物の製造方法は、PAS樹脂(A)と、表面処理剤で表面処理された無機充填剤(B)及び/又は離型剤(C)を含む食器用PAS樹脂組成物の製造方法であって、
前記表面処理剤及び/又は前記離型剤(C)が、植物由来原料を用いてなることを特徴とする。以下、詳述する。
本実施形態に係るPAS樹脂組成物の製造方法は、上記必須成分を配合し、PAS樹脂(A)の融点以上の温度範囲で溶融混錬する工程を有する。より詳しくは、本実施形態に係るPAS樹脂組成物は、各必須成分、及び、必要に応じてその他の任意成分を配合してなる。本発明に用いる樹脂組成物を製造する方法としては、特に限定されないが、必須成分と必要に応じて任意成分を配合して、溶融混錬する方法、より詳しくは、必要に応じてタンブラー又はヘンシェルミキサー等で均一に乾式混合し、次いで、二軸押出機に投入して溶融混練する方法が挙げられる
溶融混錬は、樹脂温度がPAS樹脂(A)の融点以上となる温度範囲、好ましくは該融点+10℃以上となる温度範囲、より好ましくは該融点+10℃以上、さらに好ましくは該融点+20℃以上から、好ましくは該融点+100℃以下、より好ましくは該融点+50℃以下までの範囲の温度に加熱して行うことができる。
前記溶融混練機としては分散性や生産性の観点から二軸混練押出機が好ましく、例えば、樹脂成分の吐出量5~500(kg/hr)の範囲と、スクリュー回転数50~500(rpm)の範囲とを適宜調整しながら溶融混練することが好ましく、それらの比率(吐出量/スクリュー回転数)が0.02~5(kg/hr/rpm)の範囲となる条件下に溶融混練することがさらに好ましい。また、溶融混練機への各成分の添加、混合は同時に行ってもよいし、分割して行っても良い。例えば、前記成分のうち、必須成分のガラス繊維(B)を添加する場合は、前記二軸混練押出機のサイドフィーダーから該押出機内に投入することが分散性の観点から好ましい。かかるサイドフィーダーの位置は、前記二軸混練押出機のスクリュー全長に対する、該押出機樹脂投入部(トップフィーダー)から該サイドフィーダーまでの距離の比率が、0.1以上であることが好ましく、0.3以上であることがより好ましい。また、かかる比率は0.9以下であることが好ましく、0.7以下であることがより好ましい。
このように溶融混練して得られる本発明に係るPAS樹脂組成物は、前記必須成分と、必要に応じて加える任意成分及びそれらの由来成分を含む溶融混合物である。このため、本実施形態に係るPAS樹脂組成物は、PAS樹脂(A)が連続相を形成し、他の必須成分や任意成分が分散されたモルフォロジーを有する。本発明に係るPAS樹脂組成物は、該溶融混練後に、公知の方法、例えば、溶融状態の樹脂組成物をストランド状に押出成形した後、ペレット、チップ、顆粒、粉末などの形態に加工してから、必要に応じて100~150℃の温度範囲で予備乾燥を施すことが好ましい。
本実施形態に係る成形品はPAS樹脂組成物を溶融成形してなる。また、本実施形態に係る成形品の製造方法は、前記PAS樹脂組成物を溶融成形する工程を有する。このため、本実施形態に係る成形品は、PAS樹脂(A)が連続相を形成し、他の必須成分や任意成分が分散されたモルフォロジーを有する。PAS樹脂組成物が、かかるモルフォロジーを有することにより、耐燃料膨潤性及び機械的強度に優れた成形品が得られる。
本実施形態に係るPAS樹脂組成物は、射出成形、圧縮成形、コンポジット、シート、パイプなどの押出成形、引抜成形、ブロー成形、トランスファー成形など各種成形に供することが可能であるが、特に離形性にも優れるため射出成形用途に適している。射出成形にて成形する場合、各種成形条件は特に限定されず、通常一般的な方法にて成形することができる。例えば、射出成形機内で、樹脂温度がPAS樹脂(A)の融点以上の温度範囲、好ましくは該融点+10℃以上の温度範囲、より好ましくは融点+10℃~融点+100℃の温度範囲、さらに好ましくは融点+20℃~融点+50℃の温度範囲で前記PAS樹脂組成物を溶融する工程を経た後、樹脂吐出口よりを金型内に注入して成形すればよい。その際、金型温度も公知の温度範囲、例えば、室温(23℃)~300℃、好ましくは130~190℃に設定すればよい。
本実施形態に係るPAS樹脂成形品の製造方法は、前記成形品にアニール処理する工程を有する。アニール処理は、成形品の用途あるいは形状等により最適な条件が選ばれるが、アニール温度は100℃以上の範囲であることが好ましく、120℃以上の範囲であることがより好ましい。一方、260℃以下の範囲であることが好ましく、240℃以下の範囲であることがより好ましい。アニール時間は特に限定されないが、0.5時間以上の範囲であることが好ましく、1時間以上の範囲であることがより好ましい。一方、10時間以下の範囲であることが好ましく、8時間以下の範囲であることがより好ましい。かかる範囲において、得られる成形品のひずみが低減し、かつ、樹脂の結晶性が向上するため好ましい。アニール処理は空気中で行ってもよいが、窒素ガス等の不活性ガス中で行うことが好ましい。
本実施形態に係るPAS樹脂成形品は、加熱した際に発生する不快臭が低減された成形品であるため、食品や飲料と接する調理道具や調理家電部材、食器用部材として好適である。また、食品包装材用途としても用いることができ、ハラール対応のパッケージやフィルム等へ利用することもできる。さらに、上述の用途以外であっても、高温での臭気改善効果があることから、高温環境下で使用される部材、例えば自動車の燃料関係や排気・吸気系部材などの車載用部材にも適応できる。その他、以下のような通常の樹脂成形品とすることもできる。例えば箱型の電気・電子部品集積モジュール用保護・支持部材・複数の個別半導体又はモジュール、センサ、LEDランプ、コネクタ、ソケット、抵抗器、リレーケース、スイッチ、コイルボビン、コンデンサ、バリコンケース、光ピックアップ、発振子、各種端子板、変成器、プラグ、プリント基板、チューナ、スピーカ、マイクロフォン、ヘッドフォン、小型モータ、磁気ヘッドベース、パワーモジュール、端子台、半導体、液晶、FDDキャリッジ、FDDシャーシ、モーターブラッシュホルダ、パラボラアンテナ、コンピュータ関連部品等に代表される電気・電子部品;VTR部品、テレビ部品、アイロン、ヘアードライヤ、炊飯器部品、電子レンジ部品、音響部品、オーディオ・レーザディスク・コンパクトディスク・DVDディスク・ブルーレイディスク等の音声・映像機器部品、照明部品、冷蔵庫部品、エアコン部品、タイプライタ部品、ワードプロセッサ部品、あるいは給湯機や風呂の湯量、温度センサなどの水回り機器部品等に代表される家庭、事務電気製品部品;オフィスコンピュータ関連部品、電話器関連部品、ファクシミリ関連部品、複写機関連部品、洗浄用治具、モーター部品、ライタ、タイプライタなどに代表される機械関連部品:顕微鏡、双眼鏡、カメラ、時計等に代表される光学機器、精密機械関連部品;オルタネーターターミナル、オルタネーターコネクタ、ブラシホルダー、スリップリング、ICレギュレータ、ライトディマ用ポテンシオメーターベース、リレーブロック、インヒビタースイッチ、排気ガスバルブ等の各種バルブ、燃料関係・排気系・吸気系各種パイプ、エアーインテークノズルスノーケル、インテークマニホールド、エンジン冷却水ジョイント、キャブレターメインボディ、キャブレタースペーサ、排気ガスセンサ、冷却水センサ、油温センサ、ブレーキパットウェアーセンサ、スロットルポジションセンサ、クランクシャフトポジションセンサ、温度センサ、エアーフローメータ、ブレーキパッド摩耗センサ、エアコン用サーモスタットベース、暖房温風フローコントロールバルブ、ラジエーターモーター用ブラッシュホルダ、ウォーターポンプインペラ、タービンベイン、ワイパーモーター関係部品、デュストリビュータ、スタータースイッチ、イグニッションコイル及びそのボビン、モーターインシュレータ、モーターロータ、モーターコア、スターターリレ、トランスミッション用ワイヤーハーネス、ウィンドウォッシャーノズル、エアコンパネルスイッチ基板、燃料関係電磁気弁用コイル、ヒューズ用コネクタ、ホーンターミナル、電装部品絶縁板、ステップモーターロータ、ランプソケット、ランプリフレクタ、ランプハウジング、ブレーキピストン、ソレノイドボビン、エンジンオイルフィルタ、点火装置ケース等の自動車・車両関連部品が挙げられ、その他各種用途にも適用可能である。
以下、実施例、比較例を用いて説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、以下、特に断りが無い場合「%」や「部」は質量基準とする。
<実施例1~4及び比較例1、2>
表1に記載する組成成分及び配合量にしたがい、各材料を配合した。その後、株式会社日本製鋼所製ベント付2軸押出機「TEX-30α(製品名)」にこれら配合材料を投入し、樹脂成分吐出量30kg/hr、スクリュー回転数200rpm、設定樹脂温度320℃で溶融混練して樹脂組成物のペレットを得た。ガラス繊維はサイドフィーダー(S/T比0.5)から投入し、それ以外の材料はタンブラーで予め均一に混合しトップフィーダーから投入した。得られた樹脂組成物のペレットを140℃ギヤオーブンで2時間乾燥した後、射出成形することで各種試験片を作製し、下記の試験を行った。
<評価>
(1)臭気評価
実施例1~4及び比較例1、2に係る樹脂組成物のペレットを使用し、シリンダー温度320℃に設定した住友重機製射出成形機(SE75D-HP)に供給し、金型温度150℃に温調したISO D2シート成形用金型を用いて射出成形を行い、ISO D2シートを得た。得られた試験片を各2枚ずつSUS316製の密封容器(内径80φ)に入れ、200℃に熱したオーブンにて2時間加熱した。オーブンから取り出し、室温(23℃)まで冷却したのち、蓋を開け、内容物の臭いを嗅いだ時の臭気の強さについて以下の基準に従って評価を行った。4名の被験者によるスコアの平均を臭気評価点とした。測定結果を表1に示す。
無臭:0点
かすかに感知できる臭気:1点
普通に感知できる臭気:2点
強い臭気:3点
不快感を伴う強烈な臭気:4点
(2)引張強さ試験
(1)と同様の操作で試験片として実施例1~4及び比較例1、2のISO TYPE-Aダンベル片を得た。得られた試験片の引張強さを、株式会社島津製作所製「AGS-J」を用いて、ISO527-1及び2に準拠して測定した。なお、ダンベル片はウェルド部を含まない試験片となるよう1点ゲートから樹脂を射出して作製したものと使用した。測定結果を表1に示す。
Figure 2024040672000006
・PAS樹脂成分
A-1:リニア型ポリフェニレンスルフィド樹脂 溶融粘度(V6)80Pa・s
・無機充填剤
B-1:表面処理されたハイドロタルサイト、表面処理剤:植物性由来油脂を素原料とした表面処理剤、平均粒子径D50 0.4μm
B-2:表面処理されたハイドロタルサイト、表面処理剤:動物性由来油脂を素原料とした表面処理剤、平均粒子径D50 0.4μm
B-3:表面処理された炭酸カルシウム、表面処理剤:植物性由来油脂を素原料とした表面処理剤、平均粒子径D50 20μm
B-4:表面処理された炭酸カルシウム、表面処理剤:動物性由来油脂を素原料とした表面処理剤、平均粒子径D50 20μm
・離型剤
C-1:カルナバワックス1号
C-2:ポリエチレンワックス 三洋化成工業株式会社製「サンワックス151-P」
・その他の成分
D-1:ガラス繊維 繊維径10μm、長さ3mmのガラス繊維チョップドストランド
表1から、実施例1~4は比較例1、2に対して臭気評価点が低いことが示され、加熱した際に発生する臭気が低減されていること明らかとなった。

Claims (8)

  1. ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)と、表面処理剤で表面処理された無機充填剤(B)及び/又は離型剤(C)を含む食器用ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物であって、
    前記表面処理剤及び前記離型剤(C)が、植物由来原料を用いてなるものであることを特徴とする、食器用ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物。
  2. 前記表面処理剤及び前記離型剤(C)が、脂肪酸、脂肪酸金属塩、脂肪酸アミド系化合物及び脂肪酸エステル系化合物からなる群から選ばれる少なくとも1つを含むものである、請求項1記載の食器用ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物。
  3. 前記無機充填剤(B)が、ハイドロタルサイト、炭酸カルシウム、タルク、炭酸亜鉛、、アルミナ、水酸化マグネシウム、窒化ホウ素及び炭酸マグネシウムからなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項1又は2記載の食器用ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物。
  4. 溶融混練物である請求項1又は2記載の食器用ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物。
  5. 請求項1又は2記載のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物を溶融成形してなる食器用ポリアリーレンスルフィド樹脂成形品。
  6. ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)と、表面処理剤で表面処理された無機充填剤(B)及び/又は離型剤(C)を含む食器用ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物の製造方法であって、
    前記表面処理剤及び前記離型剤(C)が、植物由来原料を用いてなるものであることを特徴とする、食器用ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物の製造方法。
  7. 前記表面処理剤及び前記離型剤(C)が、脂肪酸、脂肪酸金属塩、脂肪酸アミド系化合物及び脂肪酸エステル系化合物からなる群から選ばれる少なくとも1つを含むものである、請求項6記載の食器用ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物の製造方法。
  8. 請求項1又は2記載の食器用ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物を溶融成形してなる食器用成形品の製造方法であって、
    得られた食器用成形品をアニール処理する工程を有することを特徴とする、食器用ポリアリーレンスルフィド樹脂成形品の製造方法。
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