JP2012030189A - 消泡剤及びこれを用いるクラフトパルプの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】優れた消泡性を有し、消泡剤に起因する凝集物(ピッチ)の発生が少ない消泡剤を提供する。
【解決手段】疎水性シリカ(A)、25℃で液体である基油(B)、金属石鹸(C)及び界面活性剤(D)を含有してなり、疎水性シリカ(A)、25℃で液体である基油(B)、金属石鹸(C)及び界面活性剤(D)の重量に基づいて、疎水性シリカ(A)の含有量が1〜15重量%、25℃で液体である基油(B)の含有量が60〜97.5重量%、金属石鹸(C)の含有量が0.5〜10重量%、界面活性剤(D)の含有量が1〜15重量%であることを特徴とする消泡剤を用いる。
【選択図】なし

Description

本発明は消泡剤及びこれを用いるクラフトパルプの製造方法に関する。
カルボン酸アルミニウム、芳香族炭素含有炭化水素及びポリオキシアルキレン化合物を含む消泡剤組成物(特許文献1)や、液体炭化水素油からなる基油、脂肪酸のアミド誘導体及び金属石鹸を含む消泡剤組成物(特許文献2)が知られている。
特開2006−87966号公報 特開2002−143606号公報
しかしながら、上記の消泡剤では、高温・高アルカリの条件下で使用した場合、十分な消泡性(破泡、抑泡効果)が得られず、特に発泡液中で容易に失活し、長時間の消泡力が不足するという問題の他に、消泡剤に起因する凝集物(ピッチ)が発生するという問題がある。そこで、本発明の目的は、優れた消泡性を有し、消泡剤に起因する凝集物(ピッチ)の発生が少ない消泡剤を提供することである。
本発明の消泡剤の特徴は、疎水性シリカ(A)、25℃で液体である基油(B)、金属石鹸(C)及び界面活性剤(D)を含有してなり、
疎水性シリカ(A)、25℃で液体である基油(B)、金属石鹸(C)及び界面活性剤(D)の重量に基づいて、疎水性シリカ(A)の含有量が1〜15重量%、25℃で液体である基油(B)の含有量が60〜97.5重量%、金属石鹸(C)の含有量が0.5〜10重量%、界面活性剤(D)の含有量が1〜15重量%である点を要旨とする。
本発明のクラフトパルプの製造方法の特徴は、蒸解工程、洗浄工程、漂白工程、黒液濃縮ソーダ回収工程及び/又は排水処理工程において、上記の消泡剤を添加してクラフトパルプを製造する点を要旨とする。
本発明の消泡剤は、著しく優れた消泡性を有する。また、本発明の消泡剤は、消泡剤に起因する凝集物(ピッチ)が発生しにくい。
本発明のクラフトパルプの製造方法によると、上記の消泡剤を用いるため、優れた消泡性を発揮し、高い生産効率でクラフトパルプを製造できる。また、製造されるパルプには、凝集物(ピッチ)等の含有率が著しく低く、高品質のクラフトパルプとなる。
実施例において消泡性を評価するための消泡性試験装置を模式的に示した斜視図である。
疎水性シリカ(A)としては、シリカ粉末を疎水化剤で疎水化処理した疎水性シリカが含まれる。
市場から入手できる疎水性シリカとしては、商品名として、Nipsil SS−10、SS−40、SS−50及びSS−100(東ソー・シリカ株式会社、「Nipsil」は同社の登録商標である。)、AEROSIL R972、RX200及びRY200(日本アエロジル株式会社、「AEROSIL」はエボニック デグサ ゲーエムベーハーの登録商標である。 )、SIPERNAT D10(エボニック デグサジャパン株式会社、「SIPERNAT」はエボニック デグサ ゲーエムベーハーの登録商標である。 )、REOLOSIL MT−10、DM−10及びDM−20S (株式会社トクヤマ、「REOLOSIL」は同社の登録商標である。)、並びにSYLOPHOBIC100、702、505及び603(富士シリシア化学株式会社、「SYLOPHOBIC」は同社の登録商標である。)等が挙げられる。これらの疎水性シリカは、2種以上の混合物であってもよい。
また、疎水性シリカは、下記の無機粉末シリカを疎水化剤で加熱処理することにより容易に得ることができる。
無機粉末シリカとしては、(1)湿式法シリカ:無機シリカエーロゲル(シリカヒドロゲル中の水分を、70℃以下の沸点を持ち、かつ水との混和性を有する溶媒(メタノール、アセトン、ギ酸メチル、酢酸メチル等)にて置換した後、加熱して溶媒を除去することにより得られるコロイドシリカ)、(2)熱分解法シリカ:発煙シリカ(四塩化ケイ素を焼いて生じたシリカ煤からなるコロイドシリカ)、及び(3)溶融固体法シリカ:沈降性シリカ(ケイ酸ナトリウム水溶液に塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム等のナトリウムイオンを滴下することにより凝集して得られるシリカ粒子)等が含まれ、いずれの方法で製造されたものでも構わない。これらのうち、消泡性の観点等から、発煙シリカ及び沈降性シリカが好ましく、さらに好ましくは沈降性シリカである。
無機粉末シリカとしては、商品名として、NIPGEL AY−200、AY−420、AZ−200、AZ−400(東ソー・シリカ株式会社、「NIPGEL」は同社の登録商標である。),Nipsil E−200A、E−220、G−300、NA、HD、ER(東ソー・シリカ株式会社);FINESIL E70,T32,K41,F80 (株式会社トクヤマ、「FINESIL」は同社の登録商標である。)、SYLYSIA 250N,310,350(富士シリシア化学株式会社、「SYLYSIA」は有限会社ワイ・ケイ・エフの登録商標である。)、AEROSIL 130、200、300、380、OX50(日本アエロジル株式会社)等が挙げられる。これらの無機粉末シリカは、2種以上の混合物であってもよい。
疎水化剤としては、シリコーンオイル及び変性シリコーンオイル等が含まれる。シリコーンオイルとしては、動粘度10〜3000(mm/s、25℃)のジメチルポリシロキサン等が挙げられ、シクロテトラジメチルシロキサン等も含まれる。変性シリコーンとしては、上記のジメチルポリシロキサンのメチル基の一部を炭素数2〜6のアルキル基、炭素数2〜4のアルコキシル基、フェニル基、水素原子、ハロゲン(塩素及び臭素等)原子及び/又は炭素数2〜6のアミノアルキル基等に置き換えたもの等が含まれる。
疎水化剤の使用量(重量%)としては、疎水性シリカの重量に基づいて、5〜70が好ましく、さらに好ましくは7〜50、特に好ましくは10〜30である。この範囲であると消泡性がさらに優れる。
疎水化処理の方法は、(1)無機粉末シリカ及び疎水化剤を混合して加熱処理して得る方法、(2)無機粉末シリカ及び疎水化剤と、25℃で液体である基油(B)及び/又は反応触媒(硫酸、硝酸、塩酸、ヒドロキシ酢酸、トリフルオロ酢酸、p−ニトロ安息香酸、水酸化カリウム、水酸化リチウム等)とを混合して加熱処理して得る方法等が適用でき、これらのいずれの方法で製造されたものでも構わない。
無機粉末シリカ及び疎水化剤を混合して加熱処理して疎水性シリカを得る方法(1)の場合、疎水化処理の加熱温度(℃)としては、100〜400が好ましく、さらに好ましくは150〜350、特に好ましくは200〜350である。
無機粉末シリカ及び疎水化剤と、25℃で液体である基油(B)及び/又は反応触媒とを混合して加熱処理して疎水性シリカを得る方法(2)の場合、疎水化処理の加熱温度(℃)としては、100〜250が好ましく、さらに好ましくは105〜2000、特に好ましくは110〜180である。
疎水性シリカ(A)のM値は、50〜85が好ましく、さらに好ましくは55〜80、特に好ましくは60〜75である。この範囲であると、消泡性がさらに良好となる。
M値は、疎水化の度合を表す指標であり、濃度の相違するいくつかの水/メタノール混合溶液と測定試料(疎水性シリカ)とを混合して、測定試料が湿潤し均一混合する混合溶液のうち、メタノール濃度が最も小さい混合溶液の容量%をいう(以下のように測定される)。この値が高い程、疎水性が高いといえる。
<M値の測定法>
メタノール濃度を5容量%の間隔で変化させた水/メタノール混合溶液を調製し、これを容積10mlの試験管に5ml入れる。次いで測定試料0.2gを入れ、試験管にふたをして、20回上下転倒してから静置した後、凝集物を観察して、凝集物がなく、測定試料の全部が湿潤して均一混合した混合溶液のうち、メタノール濃度が最も小さい混合溶液のメタノールの濃度(容量%)をM値とする。
疎水性シリカ(A)の個数平均粒子径(μm)は、1〜20が好ましく、さらに好ましくは2〜15、特に好ましくは2〜12である。この範囲であると、消泡性がさらに良好となる。
個数平均粒子径(μm)は、レーザ回折/散乱式粒子径分布測定装置{たとえば、Partica LA−950V2、 株式会社 堀場製作所製(バッチセル式、分散質の屈折率=1.45、分散媒の屈折率=1.38(ヘキサン)、反復回数15)}を使用して次のように測定される。
<個数平均粒子径の測定法>
ヘキサンをバッチセルに入れてブランク測定を行い、引き続き、このヘキサンに測定試料を適量加えて均一になるまで混合し、真空デシケーターを用いて1〜10kPaで減圧脱泡した後、泡が入らないようにバッチセルに移し、測定を行う。なお、測定値はブランク測定の値が差し引かれて算出される。
疎水性シリカ(A)の個数平均粒子径(μm)は、疎水性シリカ(A)を溶媒{たとえば、基油(B)}に分散させて、これを分散機(たとえば、ビーズミル)等で分散させることにより、微細化することができる。
疎水性シリカ(A)の含有量(重量%)は、疎水性シリカ(A)、25℃で液体である基油(B)、金属石鹸(C)及び界面活性剤(D)の重量に基づいて、1〜15が好ましく、さらに好ましくは1.5〜12、特に好ましくは2〜10である。
25℃で液体である基油(B)としては、鉱油、イソパラフィン油、油脂、ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシブチレングリコール、高級カルボン酸及び高級アルコールが含まれる。
鉱油としては、40℃における動粘度が4〜40mm/sの鉱油が含まれ、商品名として、コスモピュアスピンG、コスモピュアスピンE、コスモSP−10、コスモSP−32及びコスモSC22(以上、コスモ石油株式会社、「コスモ」及び「ピュアスピン」は同社の登録商標である。)、並びにスタノール40(エクソンモービルコーポレーション)等が挙げられる。
イソパラフィン油としては、25℃における動粘度が1〜20mm/sのイソパラフィン油が含まれ、商品名として、NAS−5H(日油株式会社)等が挙げられる。
油脂としては、炭素数6〜22の脂肪酸又はこの混合物とグリセリンとのエステルが含まれ、植物油(オリーブ油、ひまわり油、コーン油、菜種油及び大豆油等)等が挙げられる。
ポリオキシプロピレングリコールとしては、数平均分子量が200〜6000のポリオキシプロピレングリコールが含まれる。
ポリオキシブチレングリコールとしては、数平均分子量が200〜8000のポリオキシブチレングリコールが含まれる。
高級カルボン酸としては、炭素数6〜22の高級カルボン酸及びその混合物が含まれ、ヘキサン酸、オクタン酸、ヘキサデセン酸及びオクタデセン酸等が挙げられる。
高級アルコールとしては、炭素数6〜22の高級アルコールが含まれ、ヘキサノール、オクタノール、デカノール、ドデカノール、オクタデセノール、2−エチル−1−ヘキサノール、2−ブチル−1−オクタノール、2−ブチル−1−デカノール、2−ヘキシル−1−オクタノール、2−ヘキシル−1−デカノール、2−オクチル−1−デカノール、2−ヘキシル−1−ドデカノール、2−オクチル−1−ドデカノール及び2−デシル−1−テトラデカノール等が挙げられる。
これらの基油(B)のうち、鉱油、植物油及びポリオキシプロピレングリコールが好ましく、さらに好ましくは鉱油及び植物油、特に好ましくは鉱油である。
基油(B)の40℃における動粘度(mm/s)としては、4〜40が好ましく、さらに好ましくは6〜39、特に好ましくは9〜36である。
25℃で液体である基油(B)の含有量(重量%)は、疎水性シリカ(A)、25℃で液体である基油(B)、金属石鹸(C)及び界面活性剤(D)の重量に基づいて、60〜97.5が好ましく、さらに好ましくは70〜96、特に好ましくは75〜92である。
金属石鹸(C)としては、炭素数12〜22の脂肪酸と金属原子とから構成されるものが含まれる。
炭素数12〜22の脂肪酸としては、モノカルボン酸、ジカルボン酸及びこれらの混合が含まれ、脂肪族カルボン酸及び脂環式カルボン酸等のいずれも使用できるが、消泡性の観点等から、脂肪族カルボン酸が好ましい。
モノカルボン酸としては、炭素数12〜22(好ましくは14〜20、さらに好ましくは16〜18)のモノカルボン酸が含まれ、ドデカン酸、テトラデカン酸、ペンタデカン酸、ヘキサデカン酸、ヘプタデカン酸、オクタデカン酸、ノナデカン酸、イコサン酸、ドコサン酸、ヘキサデセン酸、オクタデセン酸、オクタデカジエン酸、オクタデカントリエン酸、オクタデカトリエン酸、イコサジエン酸、イコサトリエン酸及びイコサテトラエン酸等が挙げられる。
ジカルボン酸としては、炭素数12〜22(好ましくは14〜20、さらに好ましくは16〜18)のジカルボン酸が含まれ、ドデカンニ酸、テトラデカンニ酸、ペンタデカンニ酸、ヘキサデカンニ酸、ヘプタデカンニ酸、オクタデカンニ酸、ノナデカンニ酸、イコサンニ酸、ドコサンニ酸、ヘキサデセンニ酸、オクタデセンニ酸、オクタデカジエンニ酸、オクタデカントリエンニ酸、オクタデカトリエンニ酸、イコサジエンニ酸、イコサトリエンニ酸及びイコサテトラエンニ酸等が挙げられる。
これらのうち、消泡性の観点等から、モノカルボン酸及びモノカルボン酸とジカルボン酸との混合が好ましく、さらに好ましくはモノカルボン酸、特に好ましくはテトラデカン酸、ヘキサデカン酸、オクタデカン酸、イコサン酸、ヘキサデセン酸、オクタデセン酸、オクタデカジエン酸、オクタデカントリエン酸、オクタデカトリエン酸、イコサジエン酸、イコサトリエン酸及びイコサテトラエン酸、最も好ましくはヘキサデカン酸、オクタデカン酸、ヘキサデセン酸、オクタデセン酸、オクタデカジエン酸、オクタデカントリエン酸及びオクタデカトリエン酸である。
金属原子としては、アルカリ土類金属(マグネシウム、カルシウム及びバリウム等)及びアルミニウム等の原子が含まれる。
これらのうち、マグネシウム原子、カルシウム原子及びアルミニウム原子が好ましく、さらに好ましくはマグネシウム原子及びアルミニウム原子、特に好ましくはアルミニウム原子である。
金属石鹸(C)は、金属原子1モルに対して、脂肪酸が1〜3(好ましくは2又は3)モルで構成され、これらの混合物(1〜3モルの混合物、1〜2モルの混合物、2〜3モルの混合物)であってもよい。
これらの金属石鹸(C)は、2種以上の混合物であってもよく、混合物の場合、上記の好ましいものが主成分として含まれていることが好ましい。
金属石鹸(C)の含有量(重量%)は、疎水性シリカ(A)、25℃で液体である基油(B)、金属石鹸(C)及び界面活性剤(D)の重量に基づいて、0.5〜10が好ましく、さらに好ましくは0.75〜8、特に好ましくは1〜7である。
界面活性剤(D)としては、アニオン型界面活性剤、ノニオン型界面活性剤及びこれらの混合が含まれる。
ノニオン型界面活性剤としては、ソルビタン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステルのエチレンオキシド付加物、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、植物油のエチレンオキシド付加物、ポリオキシエチレンの脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、グリセリン脂肪酸エステル及びグリセリン脂肪酸エステルのエチレンオキシド付加物等が含まれる。
ソルビタン脂肪酸エステルとしては、ソルビタンと炭素数12〜22の脂肪酸とのエステルが含まれ、ソルビタンモノラウレート(HLB8.6、たとえば、ノニオンLP−20R;日油株式会社)、ソルビタンモノパルミテート(HLB6.7、たとえば、ノニオンPP−40Rペレット;日油株式会社)、ソルビタンモノステアレート(HLB4.7、たとえば、ノニオンSP−60Rペレット;日油株式会社)、ソルビタンモノオレエート(HLB4.3、たとえば、ノニオンOP−80R;日油株式会社)、ソルビタントリオレエート(HLB1.8、たとえば、ノニオンOP−85R;日油株式会社)、ソルビタンモノオレエート(HLB4.3、たとえば、イオネットS−80;三洋化成工業株式会社、「イオネット」は同社の登録商標である。)等が挙げられる。
ソルビタン脂肪酸エステルのエチレンオキシド付加物としては、ソルビタン脂肪酸エステルのエチレンオキシド1〜40モル付加物が含まれ、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート(HLB16.7、たとえば、ノニオンLT−221;日油株式会社)、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート(HLB15.7、たとえば、ノニオンST−221;日油株式会社)、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート(HLB15.7、たとえば、ノニオンOT−221;日油株式会社)等が挙げられる。
ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマーとしては、エチレンオキシド5〜200モルとプロピレンオキシド5〜200モルとの共重合体が含まれ、ポリオキシエチレン(25モル)ポリオキシプロピレン(30モル)ブロックポリマー(たとえば、ニューポールPE−64;三洋化成工業株式会社、「ニューポール」は同社の登録商標である。)及びポリオキシエチレン(48モル)ポリオキシプロピレン(35モル)ブロックポリマー(たとえば、ニューポールPE−75;三洋化成工業株式会社)等が挙げられる。
ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテルとしては、炭素数6〜18のアルキル基を有するアルキルアリールのポリオキシエチレンエーテルが含まれ、ポリオキシエチレン(4モル)ノニルフェノールエーテル(たとえば、ノニポール40;三洋化成工業株式会社、「ノニポール」は同社の登録商標である。)、ポリオキシエチレン(10モル)ノニルフェノールエーテル(たとえば、ノニポール100;三洋化成工業株式会社)等が挙げられる。
植物油のエチレンオキシド付加物としては、植物油のエチレンオキシド1〜200モル付加物が含まれ、ひまし油のエチレンオキシド付加物(たとえば、ユニオックスHC−40;日油株式会社、「ユニオックス」は同社の登録商標である。)等が挙げられる。
ポリオキシエチレンの脂肪酸エステルとしては、数平均分子量200〜4000のポリオキシエチレンと炭素数6〜22の脂肪酸とのモノエステル及びジエステルが含まれ、数平均分子量600のポリオキシエチレングルコールとオレイン酸とのジエステル(たとえば、イオネットDO−600;三洋化成工業株式会社)及び数平均分子量600のポリオキシエチレングルコールとオレイン酸とのモノエステル(たとえば、イオネットMO−600;三洋化成工業株式会社)等が挙げられる。
ポリオキシエチレンアルキルエーテルとしては、炭素数6〜22のアルカノールのオキシエチレン1〜100モル付加物が含まれ、ナロアクティーCL−40(HLB8.9、三洋化成工業株式会社、「ナローアクティー」は同社の登録商標である。)、ナロアクティーCL−100(HLB13.3、三洋化成工業株式会社)等が挙げられる。
グリセリン脂肪酸エステルとしては、炭素数6〜22の脂肪酸とグリセリンとのモノエステルが含まれ、グリセロールモノステアレート(たとえば、モノグリMD、HLB5.5、日油株式会社)等が挙げられる。
グリセリン脂肪酸エステルのエチレンオキシド付加物としては、グリセリン脂肪酸エステルのエチレンオキシド1〜100モル付加物が含まれ、グリセリンヤシ油脂肪酸エステルのエチレンオキシド付加物(たとえば、ユニグリMK−207、HLB13.0、日油株式会社、「ユニグリ」は同社の登録商標である。)等が挙げられる。
これらのうち、ソルビタン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステルのエチレンオキシド付加物、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、グリセリン脂肪酸エステル及びグリセリン脂肪酸エステルのエチレンオキシド付加物が好ましい。
アニオン性界面活性剤としては、アルキルアリールスルホン酸塩、アルキルビフェニルエーテルジスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルスルホン酸エステル塩及びポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル塩が含まれる。
アルキルアリールスルホン酸塩としては、炭素数6〜18のアルキルアリールスルホン酸塩が含まれ、ドデシルベンゼンスルホン酸塩等が挙げられる。
塩としては特に制限されないが、アルカリ金属(ナトリウム、カリウム等)塩、アルカリ土類金属(カルシウム、マグネシウム等)塩、アンモニウム塩及び炭素数1〜18のアミン塩(トリエタノールアミン、トリメチルアミン、プロピルアミン等)等が含まれる。
アルキルジフェニルエーテルスルホン酸塩としては、アルキル基が炭素数6〜18であるアルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩が含まれ、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸塩等が挙げられる。
ポリオキシエチレンアルキルスルホン酸エステル塩としては、炭素数6〜22のポリオキシエチレンアルキルスルホン酸エステル塩が含まれ、ポリオキシエチレンラウリルスルホン酸エステル塩等が挙げられる。
ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル塩としては、炭素数6〜22のポリオキシエチレンアルキルリン酸エステルが含まれ、ポリオキシエチレンステアリルリン酸エステル塩等が挙げられる。
これらのうち、アルキルアリールスルホン酸塩及びアルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩が好ましく、さらに好ましくはドデシルベンゼンスルホン酸塩及びドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸塩、特に好ましくはドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム塩及びドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸カルシウム塩である。
界面活性剤(D)の含有量(重量%)は、疎水性シリカ(A)、25℃で液体である基油(B)、金属石鹸(C)及び界面活性剤(D)の重量に基づいて、1〜15が好ましく、さらに好ましくは1.5〜12、特に好ましくは2〜10である。
本発明の消泡剤には、疎水性シリカ(A)、25℃で液体である基油(B)、金属石鹸(C)及び界面活性剤(D)以外に、水(E)、脂肪酸アミド(F)及び/又はシリコーン油(G)等を含有できる。
水(E)としては、水道水、工業用水、脱イオン水及び蒸留水等が挙げられる。
水(E)を含有する場合、水(E)の含有量(重量%)は、疎水性シリカ(A)、25℃で液体である基油(B)、金属石鹸(C)及び界面活性剤(D)の重量に基づいて、1〜60が好ましく、さらに好ましくは1.5〜30、特に好ましくは2〜10である。
水(E)を含有する場合、本発明の消泡剤は、疎水性シリカ(A)、25℃で液体である基油(B)、金属石鹸(C)及び界面活性剤(D)を油相とするエマルション型消泡剤を構成してもよいし、外見上均一溶解していてもよい。エマルションを構成する場合、W/O型でもよいし、O/W型でもよい。
脂肪酸アミド(F)としては、炭素数12〜22の脂肪酸アミドを含み、エチレンビスステアリルアミド、エチレンビスパルミチルアミド及びエチレンビスミリスチルアミド等が好ましく挙げられる。これらのアミドは、2種以上の混合物であってもよく、混合物の場合、上記の好ましいものが主成分として含まれていることが好ましい。
脂肪酸アミド(F)を含有する場合、脂肪酸アミド(F)の含有量(重量%)は、疎水性シリカ(A)、25℃で液体である基油(B)、金属石鹸(C)及び界面活性剤(D)の重量に基づいて、0.1〜6が好ましく、さらに好ましくは0.2〜5.5、特に好ましくは0.3〜5である。
シリコーン油(G)としては、ジメチルポリシロキサン、ポリエーテル変性シリコーン、アルキル変性シリコーン及び上記のシリコーンオイル等が使用できる。これらのシリコーン油は、2種以上の混合物であってもよく、混合物の場合、ジメチルポリシロキサン及び/又はポリエーテル変性シリコーンが主成分として含まれていることが好ましい。
シリコーン油(G)を含有する場合、シリコーン油(G)の含有量(重量%)は、疎水性シリカ(A)、25℃で液体である基油(B)、金属石鹸(C)及び界面活性剤(D)の重量に基づいて、0.1〜7が好ましく、さらに好ましくは2〜5である。
本発明の消泡剤は、公知の増粘剤、分散剤、防腐剤、凍結防止剤及び/又は溶剤を含んでもよい。
増粘剤としてはザンタンガム、ローカストビーンガム、グァーガム、カラギーナン、アルギン酸及びこの塩、トラガントガム、マグネシウムアルミニウムシリケート、ベントナイト、合成含水珪酸、並びに合成高分子型増粘剤(商品名として、たとえば、SNシックナー636、SNシックナー641;サンノプコ株式会社等)等が挙げられる。
分散剤としては、ポリアクリル酸(塩)、部分鹸化ポリビニルアルコール及び硫酸化ポリビニルアルコール等が挙げられる。
凍結防止剤としては、エチレングリコール、プロピレングリコール及びグリセリン等が挙げられる。
防腐剤としては、公知の防腐剤(防菌・防黴剤辞典、日本防菌防黴学会昭和61年第1版発行、1−32頁等)等が使用でき、1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン等が挙げられる。
溶剤としては、公知の溶剤(溶剤ハンドブック、講談社 昭和51年発行、143−881頁等)が使用でき、メチルアルコール、エチレングリコールモノブチルエーテル及びプロピレングリコールモノブチルエーテル等が挙げられる。
本発明の消泡剤は、次の製造方法によって製造することが好ましい。
金属石鹸(C)と、25℃で液状である基油(B)の一部とを加熱攪拌しながら、金属石鹸(C)を溶解させて溶解液を得る工程(1)、
25℃で液状である基油(B)の残部を攪拌しながら、この残部に溶解液を投入して混合物を得る工程(2)を含む方法。さらに、混合物を均一混合処理して混合物を得る工程(3)を含んでもよい。
加熱攪拌温度(℃)としては、金属石鹸(C)が溶解できれば制限がないが、100〜180が好ましく、さらに好ましくは110〜170、特に好ましくは120〜160である。
加熱攪拌時間としては、金属石鹸(C)が溶解できれば制限がないが、基油(B)の酸化や蒸発等を防ぐため、できるだけ短時間とすることが好ましい。
加熱攪拌は、密閉下で行ってもよいし(加圧下でもよい)、開放下で行ってもよい。
工程(2)において、溶解液を投入している間も溶解液を加熱攪拌し、金属石鹸(C)を溶解させた状態を保つことが好ましい。
工程(2)において、基油(B)の残部の温度は、消泡性(分散粒子の個数平均粒子径)及び製造コストの観点等から、0〜70℃に保つことが好ましく、さらに好ましくは0〜50℃、特に好ましくは0〜40℃に保つことである。すなわち、工程(2)では、0〜70℃に冷却した25℃で液状である基油(B)の残部を攪拌しながら、この残部に0〜70℃を保ちながら溶解液を少量ずつ投入して混合物を得ることが好ましい。
均一混合処理は、混合物を均一混合できれば制限はないが、乳化分散機(ビーズミル、ディスパーミル、ホモジナイザー又はゴーリンホモジナイザー等)を用いて均一混合処理することが好ましい。
均一混合処理における混合物の温度は、0〜70℃に保つことが好ましく、さらに好ましくは0〜50℃、特に好ましくは0〜40℃に保つことである。すなわち、工程(3)では、0〜70(好ましくは0〜50、さらに好ましくは0〜40)℃を保ちながら混合物を均一混合処理して消泡剤を得ることが好ましい。
疎水性シリカ(A)及び界面活性剤(D)は、上記のいずれの工程で投入してもよく、工程(3)の後で、均一混合してもよい。
脂肪酸アミド(F)を使用する場合、金属石鹸(C)を溶解する工程で投入し、金属石鹸(C)と共に溶解させてもよいし、金属石鹸(C)とは別に基油(B)に溶解(分散)させてから、上記のいずれかの工程又は工程(3)の後で、均一混合してもよい。
水(E)を使用する場合は、工程(2)又は工程(3)のいずれかの工程で投入してもよい。
シリコーン油(G)を使用する場合、上記のいずれの工程で投入してもよく、工程(3)の後で、均一混合してもよい。
本発明の消泡剤は、水性発泡液に対して効果的であり、例えば、紙パルプ製造工程(蒸解工程、洗浄工程、漂白工程、黒液濃縮ソーダ回収工程及び/又は排水処理工程、脱墨工程)、建築工業やその抄造工程、染料工業、染色工業、発酵工業、合成樹脂製造工業、合成ゴム製造工業、インキ、塗料工業又は繊維加工工業等の各種工程で発生する気泡に対して適している。これらのうち、紙パルプ製造工程用消泡剤として適しており、さらに蒸解工程、洗浄工程、漂白工程、黒液濃縮ソーダ回収工程及び/又は排水処理工程用消泡剤として最適である。
本発明の消泡剤は、一括添加法、連続添加方法、断続添加方法又は泡測定器と消泡剤添加装置とを連動させた方法等により、被添加液体に添加することができる。また、1カ所添加及び多点添加のいずれでもよい。また、添加に際しては適当な希釈溶媒又は水などで希釈してもよい。
本発明の消泡剤は、公知の消泡剤{たとえば、ポリエーテル消泡剤、シリコーン消泡剤(特公昭51−35556号、特開昭52−2887号、特公昭52−19836号、特公昭55−23084号、特開平6−142410号及び特開平6−142411号各公報等)、鉱物油消泡剤(特公昭49−109276号、特開昭52−22356号、特開昭54−32187号、特開昭55−70308号及び特開昭56−136610号各公報等)及びワックスエマルション消泡剤(特開昭47−114336号、特開昭60−156516号、特開昭62−171715号、特開昭64−68595号、特開平1−210005号及び特開平4−349904号各公報等)}等と併用してもよい。
本発明の消泡剤の添加量(重量%)は、被添加液体の発泡状態、温度、粘度などに応じて適宜設定すればよいが、被添加液体の重量に基づいて、0.0001〜1が好ましく、さらに好ましくは0.0002〜0.1、特に好ましくは0.0005〜0.05、最も好ましくは0.001〜0.01である。添加温度は0〜100℃程度が好ましく、さらにこのましくは10〜60℃、特に好ましくは20〜50℃である。
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、特記しない限り、部は重量部を、%は重量%を意味する。
<製造例1>
加熱、攪拌、冷却の可能な容器内で、無機粉末シリカ{Nipsil NA、東ソー・シリカ(株)}770部、ジメチルシリコーンオイル{SH200−50CS、東レ・ダウコーニング株式会社}230部を加熱攪拌しながら220℃まで昇温し、この温度にてさらに5時間加熱攪拌を続けて疎水性シリカ(a1)を得た。疎水性シリカ(a1)の個数平均粒子径は、13.4μmであり、M値は65容量%であった。
なお、個数平均粒子径は、レーザ回折/散乱式粒子径分布測定装置Partica LA−950V2、株式会社 堀場製作所製{バッチセル式;分散質の屈折率=1.45;分散媒の屈折率=1.38(ヘキサン);反復回数15;必要に応じて測定試料又はヘキサンを添加し青色LED光透過率が89〜91%となるようにして、測定試料ヘキサン分散液の濃度を調整した。}を使用して測定した(以降も同様)。
また、疎水性シリカが粉末状態の場合、そのままM値は測定され、一方、疎水性シリカが分散媒に分散された状態(分散液)の場合、分散液をヘキサンで10倍希釈した後、遠心分離(1619G、5分)で沈殿させて、上澄みを除き、沈殿物のM値を測定する(以下、同様)。
<製造例2>
加熱、攪拌、冷却の可能な容器内で、無機粉末シリカ{Nipsil G300、東ソー・シリカ(株)}135部、ジメチルシリコーンオイル{SH200−50CS、東レ・ダウコーニング株式会社}40部、鉱物油{コスモSC22、コスモ石油ルブリカンツ株式会社}825部を加熱攪拌しながら120℃まで昇温し、この温度にてさらに3時間加熱攪拌を続けて疎水性シリカ(a2)を含む分散液(1)を得た。疎水性シリカ(a2)の個数平均粒子径は、6.5μmであり、M値は65容量%であった。
<製造例3>
加熱、攪拌、冷却の可能な容器内で、<製造例2>で得た分散液(1)をビーズミルを用いて2160rpmにて1時間攪拌して、疎水性シリカ(a3)を含む分散液(2)を得た。疎水性シリカ(a2)の個数平均粒子径は、2μmであり、M値は65容量%であった。
<製造例4>
加熱、攪拌、冷却の可能な容器内で、無機粉末シリカ{Nipsil NA、東ソー・シリカ(株)}135部、シリコーンレジン{BY 11−908、東レ・ダウコーニング株式会社}40部、鉱物油{コスモSC22、コスモ石油ルブリカンツ株式会社}825部を加熱攪拌しながら120℃まで昇温し、この温度にてさらに3時間加熱攪拌を続けて疎水性シリカを含む分散液(3)を得た。さらに、分散液(3)をビーズミルを用いて2160rpmにて20分攪拌して、疎水性シリカ(a4)を含む分散液(4)を得た。疎水性シリカ(a4)の個数平均粒子径は、12μmであり、M値は75容量%であった。
<製造例5>
加熱、攪拌、冷却の可能な容器内で、無機粉末シリカ{Nipsil NA、東ソー・シリカ(株)}135部、ジメチルシリコーンオイル{SH200−50CS、東レ・ダウコーニング株式会社}5部、鉱物油{コスモSC22、コスモ石油ルブリカンツ株式会社}860部を加熱攪拌しながら120℃まで昇温し、この温度にてさらに3時間加熱攪拌を続けて疎水性シリカ(a5)を含む分散液(5)を得た。疎水性シリカ(a5)の個数平均粒子径は、13.4μmであり、M値は35容量%であった。
<製造例6>
加熱、攪拌、冷却の可能な容器内で、無機粉末シリカ{Nipsil KQ、東ソー・シリカ(株)}770部、ジメチルシリコーンオイル{SH200−50CS、東レ・ダウコーニング株式会社}230部を加熱攪拌しながら220℃まで昇温し、この温度にてさらに5時間加熱攪拌を続けて疎水性シリカ(a6)を得た。疎水性シリカ(a6)の分散粒子の個数平均粒子径は、120μmであり、M値は60容量%であった。
<実施例1>
加熱、攪拌、冷却の可能な容器内で、疎水性シリカ(a7){ニップシール SS−15、東ソー・シリカ(株)、個数平均粒子径:7.4μm、M値:60容量%}50部、金属石鹸(c1){ステアリン酸アルミニウム{SA−1500、堺化学工業株式会社}20部、基油(b1){鉱物油、コスモピュアスピン G、コスモ石油ルブリカンツ株式会社、40℃における動粘度が21mm/s}270部、界面活性剤(dn1){ポリオキシエチレンジオレート、イオネット DO−600、三洋化成工業株式会社}10部、界面活性剤(dn2){ポリオキシエチレンアルキレンエーテル、ナロアクティー CL−40、三洋化成工業株式会社}10部、界面活性剤(dn3){ソルビタンモノオレート、イオネット S−80、三洋化成工業株式会社}10部及び界面活性剤(da1){ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム、テイカパワー BC−2070M、テイカ株式会社、「テイカパワー」は同社の登録商標である。}10部を加熱攪拌しながら140℃まで昇温し、この温度にてさらに15分間加熱攪拌を続けて混合溶解液(1)を得た。
次いで、5℃に調節した基油(b1)620部を冷却攪拌しながら、これに混合溶解液(1){投入中、140℃に保つ}を投入し15分間攪拌して混合物(1)を得た。投入中及び投入後の混合物(1)の温度は5〜40℃であった。
25℃に調節した混合物(1)をゴーリンホモジナイザーを用いて3500psi(24.1MPa)にて均一混合処理して、本発明の消泡剤(1)を得た。
均一混合の処理中及び処理後の温度は25〜40℃であった。また、本発明の消泡剤(1)中の分散粒子の個数平均粒子径は、7μmであった。
<実施例2>
加熱、攪拌、冷却の可能な容器内で、<製造例1>で得た疎水性シリカ(a1)50部、金属石鹸(c1)50部、基油(b2){鉱物油、コスモSC−22、コスモ石油ルブリカンツ株式会社、40℃における動粘度が22mm/s}270部、界面活性剤(dn1)10部、界面活性剤(dn2)25部、界面活性剤(dn3)5部、界面活性剤(da1)10部及び脂肪酸アミド(f1){エチレンビスステアリルアミド、アルフロー H−50S、日油(株)、「アルフロー」は同社の登録商標である。}5部を加熱攪拌しながら140℃まで昇温し、この温度にてさらに15分間加熱攪拌を続けて混合溶解液(2)を得た。
次いで、5℃に調節した基油(b2)580部を冷却攪拌しながら、これに混合溶解液(2){投入中、140℃に保つ}を投入し15分間攪拌して混合物(2)を得た。投入中及び投入後の混合物(2)の温度は5〜40℃であった。
25℃に調節した混合物(2)をゴーリンホモジナイザーを用いて3500psi(24.1MPa)にて均一混合処理して、本発明の消泡剤(2)を得た。
均一混合の処理中及び処理後の温度は25〜40℃であった。また、本発明の消泡剤(2)中の分散粒子の個数平均粒子径は、12.5μmであった。
<実施例3>
加熱、攪拌、冷却の可能な容器内で、金属石鹸(c1)20部、基油(b2)270部、界面活性剤(dn1)10部、界面活性剤(dn2)15部、界面活性剤(dn3)5部及び界面活性剤(da1)10部を加熱攪拌しながら140℃まで昇温し、この温度にてさらに15分間加熱攪拌を続けて混合溶解液(3)を得た。
次いで、5℃に調節した基油(b2)99部、<製造例2>で得たシリカ分散液(1){疎水性シリカ(a2)100部と基油(b2)471部の混合物}571部を冷却攪拌しながら、これに混合溶解液(3){投入中、140℃に保つ}を投入し、水(e1){水道水}50部を加えて15分間攪拌して混合物(3)を得た。投入中及び投入後の混合物(3)の温度は5〜40℃であった。
25℃に調節した混合物(3)をエクセルオートホモジナイザーにて4000rpmにて15分間攪拌して、本発明の消泡剤(3)を得た。均一混合の処理中及び処理後の温度は25〜40℃であった。また、本発明の消泡剤(3)中の分散粒子の個数平均粒子径は、6μmであった。
<実施例4>
加熱、攪拌、冷却の可能な容器内で、金属石鹸(c1)70部、基油(b3){食用大豆油、40℃における動粘度が32mm/s}330部、界面活性剤(dn1)10部、界面活性剤(dn2)25部、界面活性剤(dn3)5部、界面活性剤(da1)10部及び脂肪酸アミド(f1){エチレンビスステアリルアミド、アルフロー H−50S、日油株式会社)、「アルフロー」は同社の登録商標である。}30部を加熱攪拌しながら140℃まで昇温し、この温度にてさらに15分間加熱攪拌を続けて混合溶解液(4)を得た。
次いで、5℃に調節した基油(b2)530部を冷却攪拌しながら、これに混合溶解液(4){投入中、140℃に保つ}を投入し、疎水性シリカ(a8){疎水性シリカ、SIPERNAT D10、疎水性シリカの個数平均粒子径は、7.9μmであり、M値は65容量%である。}20部、シリコーン油(g1){ポリジメチルシロキサン、SH200−50CS、東レ・ダウコーニング株式会社}20部を加えて15分間攪拌して混合物(4)を得た。投入中及び投入後の混合物(4)の温度は5〜40℃であった。
25℃に調節した混合物(4)をゴーリンホモジナイザーを用いて3500psi(24.1MPa)にて均一混合処理して、本発明の消泡剤(4)を得た。
均一混合の処理中及び処理後の温度は25〜40℃であった。また、本発明の消泡剤(4)中の分散粒子の個数平均粒子径は、7.5μmであった。
<実施例5>
加熱、攪拌、冷却の可能な容器内で、金属石鹸(c2){ステアリン酸カルシウム、カルシウムステアレート、日油株式会社}10部、基油(b2)270部、界面活性剤(dn2)10部、界面活性剤(dn3)5部及び界面活性剤(da1)5部を加熱攪拌しながら140℃まで昇温し、この温度にてさらに15分間加熱攪拌を続けて混合溶解液(5)を得た。
次いで、5℃に調節した基油(b2)129部、<製造例2>で得たシリカ分散液(1){疎水性シリカ(a2)100部と基油(b2)471部の混合物}571部を冷却攪拌しながら、これに混合溶解液(5){投入中、140℃に保つ}を投入し、シリコーン油(g1)50部を加えて15分間攪拌して消泡剤(5)を得た。投入中及び投入後の消泡剤(5)の温度は5〜40℃であった。また、本発明の消泡剤(5)中の分散粒子の個数平均粒子径は、6.5μmであった。
<実施例6>
加熱、攪拌、冷却の可能な容器内で、金属石鹸(c3){ステアリン酸マグネシウム、工業用マグネシウムステアレート、日油株式会社}20部、基油(b1)270部、界面活性剤(dn1)5部、界面活性剤(dn2)5部、界面活性剤(dn3)5部及び界面活性剤(da1)5部を加熱攪拌しながら140℃まで昇温し、この温度にてさらに15分間加熱攪拌を続けて混合溶解液(6)を得た。
次いで、5℃に調節した基油(b2)630部を冷却攪拌しながら、これに混合溶解液(6){投入中、140℃に保つ}を投入し、疎水性シリカ(a7)50部、界面活性剤(dn2)5部及び界面活性剤(da1)5部を加えて15分間攪拌して消泡剤(6)を得た。投入中及び投入後の消泡剤(4)の温度は5〜40℃であった。また、本発明の消泡剤(4)中の分散粒子の個数平均粒子径は、7.4μmであった。
<実施例7>
加熱、攪拌、冷却の可能な容器内で、金属石鹸(c1)50部、基油(b4){鉱物油、コスモSP10、コスモ石油ルブリカンツ株式会社、40℃における動粘度が9.5mm/s}279部、界面活性剤(dn1)10部、界面活性剤(dn2)25部、界面活性剤(dn3)5部及び界面活性剤(da1)10部を加熱攪拌しながら140℃まで昇温し、この温度にてさらに15分間加熱攪拌を続けて混合溶解液(7)を得た。
次いで、5℃に調節した<製造例3>で得たシリカ分散液(2){疎水性シリカ(a3)100部と基油(b2)471部の混合物}571部、界面活性剤(dn1)15部、界面活性剤(dn2)15部、界面活性剤(dn3)10部及び界面活性剤(da1)10部を冷却攪拌しながら、これに混合溶解液(7){投入中、140℃に保つ}を投入し、シリコーン油(g1)20部を加えて15分間攪拌して混合物(7)を得た。投入中及び投入後の混合物(7)の温度は5〜40℃であった。
25℃に調節した混合物(7)をゴーリンホモジナイザーを用いて3500psi(24.1MPa)にて均一混合処理して、本発明の消泡剤(7)を得た。
均一混合の処理中及び処理後の温度は25〜40℃であった。また、本発明の消泡剤(7)中の分散粒子の個数平均粒子径は、2μmであった。
<実施例8>
加熱、攪拌、冷却の可能な容器内で、金属石鹸(c1)20部、基油(b5){菜種油、菜種白絞油NS、日清オイリオ株式会社、40℃における動粘度が35mm/s}350部、界面活性剤(dn2)10部、界面活性剤(dn3)5部、界面活性剤(da1)5部及び脂肪酸アミド(f1)20部を加熱攪拌しながら140℃まで昇温し、この温度にてさらに15分間加熱攪拌を続けて混合溶解液(8)を得た。
次いで、5℃に調節した基油(b2)384部及び<製造例4>で得たシリカ分散液(3){疎水性シリカ(a4)40部と基油(b2)186部の混合物}226部を冷却攪拌しながら、これに混合溶解液(8){投入中、140℃に保つ}を投入し、15分間攪拌して混合物(8)を得た。投入中及び投入後の混合物(8)の温度は5〜40℃であった。
25℃に調節した混合物(8)をゴーリンホモジナイザーを用いて3500psi(24.1MPa)にて均一混合処理して、本発明の消泡剤(8)を得た。
均一混合の処理中及び処理後の温度は25〜40℃であった。また、本発明の消泡剤(8)中の分散粒子の個数平均粒子径は、11.2μmであった。
<比較例1>
加熱、攪拌、冷却の可能な容器内で、基油(b1)270部、脂肪酸アミド(f1)100部、界面活性剤(dn1)5部、界面活性剤(dn2)5部、界面活性剤(dn3)5部及び界面活性剤(da1)5部を加熱攪拌しながら140℃まで昇温し、この温度にてさらに15分間加熱攪拌を続けて混合溶解液(H1)を得た。
次いで、5℃に調節した基油(b1)680部、界面活性剤(dn2)15部及び界面活性剤(dn3)15部を冷却攪拌しながら、これに混合溶解液(H1){投入中、140℃に保つ}を投入し、15分間攪拌して混合物(H1)を得た。投入中及び投入後の混合物(H1)の温度は5〜40℃であった。
25℃に調節した混合物(5)をゴーリンホモジナイザーを用いて3500psi(24.1MPa)にて均一混合処理して、比較用の消泡剤(H1)を得た。均一混合の処理中及び処理後の温度は25〜40℃であった。また、比較用の消泡剤(H1)の個数平均粒子径は、5μmであった。
<比較例2>
加熱、攪拌、冷却の可能な容器内で、金属石鹸(c1)50部、基油(b2)370部、界面活性剤(dn3)5部及び界面活性剤(da1)5部を加熱攪拌しながら140℃まで昇温し、この温度にてさらに15分間加熱攪拌を続けて混合溶解液(H2)を得た。
次いで、5℃に調節した基油(b2)570部を冷却攪拌しながら、これに混合溶解液(H2){投入中、140℃に保つ}を投入し、15分間攪拌して混合物(H2)を得た。投入中及び投入後の混合物(H2)の温度は5〜40℃であった。
25℃に調節した混合物(H2)をゴーリンホモジナイザーを用いて3500psi(24.1MPa)にて均一混合処理して、比較用の消泡剤(H2)を得た。均一混合の処理中及び処理後の温度は25〜40℃であった。また、比較用の消泡剤(H2)の個数平均粒子径は、8μmであった。
<比較例3>
加熱、攪拌、冷却の可能な容器内で、25℃に調節した<製造例5>で得たシリカ分散液(5){疎水性シリカ(a5)135部と基油(b2)830部の混合物}965部、界面活性剤(dn1)10部、界面活性剤(dn2)5部及び界面活性剤(dn3)20部を攪拌し、比較用の消泡剤(H3)を得た。混合中及び混合後の消泡剤(H3)の温度は25℃であった。また、消泡剤(H3)中の分散粒子の個数平均粒子径は、13.4μmであった。
<比較例4>
加熱、攪拌、冷却の可能な容器内で、25℃に調節した<製造例6>で得た疎水性シリカ(a6)170部、基油(b1)790部、界面活性剤(dn1)10部、界面活性剤(dn2)5部及び界面活性剤(dn3)25部を攪拌し、混合物(H4)を得た。混合中及び混合後の混合物(H4)の温度は25℃であった。
25℃に調節した混合物(H4)をゴーリンホモジナイザーを用いて3500psi(24.1MPa)にて均一混合処理して、比較用の消泡剤(H4)を得た。均一混合の処理中及び処理後の温度は25〜40℃であった。また、消泡剤(H4)中の分散粒子の個数平均粒子径は、60μmであった。
<比較例5>
加熱、攪拌、冷却の可能な容器内で、金属石鹸(c1)50部、基油(b1)370部、界面活性剤(dn3)20部及び脂肪酸アミド(f1)100部を加熱攪拌しながら140℃まで昇温し、この温度にてさらに15分間加熱攪拌を続けて混合溶解液(H5)を得た。
次いで、5℃に調節した基油(b1)540部、界面活性剤(dn1)10部、界面活性剤(dn2)5部及び界面活性剤(dn3)5部を冷却攪拌しながら、これに混合溶解液(H5){投入中、140℃に保つ}を投入し、15分間攪拌して混合物(H5)を得た。投入中及び投入後の混合物(H5)の温度は5〜40℃であった。
25℃に調節した混合物(H5)をゴーリンホモジナイザーを用いて3500psi(24.1MPa)にて均一混合処理して、比較用の消泡剤(H5)を得た。均一混合の処理中及び処理後の温度は25〜40℃であった。また、比較用の消泡剤(H5)の個数平均粒子径は、13μmであった。
実施例1〜8及び比較例1〜5で得た消泡剤(1)〜(8)及び(H1)〜(H5)を用いて、以下のようにして消泡性を評価し、評価結果を表1に示した。
(1)消泡性試験液の調製
某製紙工場のL材クラフトパルプ製造工程(平均パルプ生産量300t/日)で発生する蒸解した後の黒液(濃度17重量%)に、水道水を加えて濃度5重量%に調整し、消泡性試験液を調製した。
(2)消泡性試験
消泡性試験装置(図1)のガラス製透明容器(10、高さ25cm、直径8cm)に80℃に温度調整した消泡性試験液500mlを入れた後、ポンプ(20)でガラス製透明容器の底部(12)から試験液を1300ml/分で循環しながら、ガラス製透明容器の上部{試験液出口(40)の高さはガラス製容器の開口部(11)から2cm}から落下させることにより試験液を発泡させ、泡高さが10cmに達したとき、25μl(50ppm)の消泡剤(実施例1〜8及び比較例1〜5)を添加し、最も泡面の高さが低下した泡面の高さ(mm)(初期破泡性)及び3分後の泡面の高さ(mm)を目盛り(30)(消泡持続性)から読み取った。泡面の高さが小さいほど消泡性が良好である。
(3)消泡剤自身の凝集物発生性
消泡性試験を行った直後の消泡性試験液をステンレス製金網(JIS Z8801−1:2006、公称目開き45μm)でろ過して調製した試験液500gを1000mlのステンレスビーカーに入れ、80℃に加熱保持し、5.0gの消泡剤(実施例1〜5及び比較例1〜4)を添加した後、30分間80℃に保持しながら均一撹拌した後、再び、新たなステンレス製金網でろ過し、残った残渣を105℃×1時間乾燥して、重量(w1)を測定し、次式により残渣率を求め、この残渣率を凝集物発生性とした。なお、残渣率が少ないほど凝集物発生性が低いといえる。

残渣率(重量%)=(w1)×100/(添加した消泡剤量(5.0g))
Figure 2012030189


本発明の消泡剤(実施例1〜8)を添加した消泡性試験液の最低泡高さ及び3分後の泡高さは低く、優れた消泡性を示した。また残渣率も少なく、凝集物発生性が低かった。これに対して、比較例1〜5を添加した消泡性試験液の3分後の泡高さは、すべて100mm以上であり、消泡不良であった。また、比較例1及び比較例5は、残渣率も高く、凝集物の発生性が悪かった。
10 ガラス製透明容器
11 ガラス製透明容器の開口部
12 ガラス製透明容器の底部
20 ポンプ
30 目盛り
40 試験液出口

Claims (6)

  1. 疎水性シリカ(A)、25℃で液体である基油(B)、金属石鹸(C)及び界面活性剤(D)を含有してなり、
    疎水性シリカ(A)、25℃で液体である基油(B)、金属石鹸(C)及び界面活性剤(D)の重量に基づいて、疎水性シリカ(A)の含有量が1〜15重量%、25℃で液体である基油(B)の含有量が60〜97.5重量%、金属石鹸(C)の含有量が0.5〜10重量%、界面活性剤(D)の含有量が1〜15重量%であることを特徴とする消泡剤。
  2. 疎水性シリカ(A)の個数平均粒子径が1〜20μmで、かつ疎水性シリカ(A)のM値が50〜85であり、25℃で液体である基油(B)の40℃における動粘度が4〜40mm/sである請求項1に記載の消泡剤。
  3. 金属石鹸(C)が、炭素数12〜22の脂肪酸と金属原子とから構成される請求項1又は2に記載の消泡剤。
  4. 界面活性剤(D)が、非イオン界面活性剤を含有してなる請求項1〜3のいずれかに記載の消泡剤。
  5. 界面活性剤(D)が、非イオン界面活性剤と、アニオン界面活性剤とを含有してなる混合物である請求項1〜4のいずれかに記載の消泡剤。
  6. 蒸解工程、洗浄工程、漂白工程、黒液濃縮ソーダ回収工程及び/又は排水処理工程において、請求項1〜5のいずれかに記載の消泡剤を添加してクラフトパルプを製造することを特徴とするクラフトパルプの製造方法。
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