JP2011257711A - 黒色硬化性樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】解像性に優れ、黒色への調整が容易で、また熱処理後の色調変化を防止できる黒色硬化性樹脂組成物を提供することを目的とする。
【解決手段】(A)カルボキシル基含有感光性樹脂と、(B)光重合開始剤と、(C)希釈剤と、(D)エポキシ化合物と、(E)黒色着色剤とを含有する黒色硬化性樹脂組成物であって、前記(E)黒色着色剤が、(E‐1)カーボンブラック系黒色着色剤と(E‐2)ペリレン系黒色着色剤とを含有し、前記(E)黒色着色剤のうちの前記(E‐2)ペリレン系黒色着色剤の含有量が53質量%以上であることを特徴とする黒色硬化性樹脂組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、優れた解像性を有する黒色硬化性樹脂組成物に関するものであり、例えば、プリント配線板のソルダーレジストとして使用した場合に、電極のファインピッチ化と微細化に対応でき、また、黒色の色調に優れ、熱処理後であっても色調の変化を防止できる黒色硬化性樹脂組成物に関するものである。
プリント配線板は、基板の上に導体回路のパターンを形成し、そのパターンのはんだ付けランドに電子部品をはんだ付けにより搭載するために使用され、そのはんだ付けランドを除く回路部分は永久保護皮膜としてのソルダーレジスト膜で被覆される。これにより、プリント配線板に電子部品をはんだ付けする際に、はんだが不必要な部分に付着するのを防止すると共に、回路導体が空気に直接曝されて酸化や湿度により腐食されるのを防止する。
また、近年、技術進歩に伴い、エレクトロニクス分野では、小型化、軽量化への要求が一層増し、これに伴い、より小型化された電子部品を高密度に配置するために、プリント配線板の導体回路パターンのファインピッチ化、微細化、高精度性が求められている。これに応じて、ソルダーレジスト膜についても、解像性、寸法精度性、耐熱性等の諸特性について、より高性能のものが要求されており、このようなソルダーレジスト膜の一つに黒色のものがある。
黒色のソルダーレジスト膜を形成する材料として、カルボキシル基含有樹脂に配合される着色剤が、黒色着色剤と、黒色着色剤以外の1種以上の着色剤であるソルダーレジスト組成物が提案されている(特許文献1)。しかし、特許文献1の黒色ソルダーレジスト組成物は、黒色を有するがゆえに露光時の光吸収が多くなってしまい、特に、ソルダーレジスト塗膜の深部にまで光が届きにくい。従って、ソルダーレジスト塗膜の深部おける光硬化が十分ではなく、現像後にソルダーレジスト塗膜深部の寸法が小さくなりすぎてプリント配線板から硬化塗膜が剥離する等、解像性やライン残りに劣るという問題があった。
そこで、カルボキシル基含有樹脂に配合される着色剤が、黄色着色剤と紫色着色剤、黄色着色剤と青色着色剤と赤色着色剤、緑色着色剤と紫色着色剤、及び緑色着色剤と赤色着色剤の群から選択されたいずれかの組合せとすることにより黒色化した黒色ソルダーレジスト組成物が提案されている(特許文献2)。しかし、特許文献2では、黒色着色剤以外の着色剤で黒色化させているために、黒色への調整が困難、煩雑であり、また、黒色度を高めるために着色剤の含有率が高くなって、やはり、解像性能が十分ではないという問題があった。
特開2008―257045 特開2010−91876
上記事情に鑑み、本発明の目的は、優れた解像性を有し、また、黒色への調整が容易で、熱処理後の色調変化を防止できる黒色硬化性樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明の態様は、(A)カルボキシル基含有感光性樹脂と、(B)光重合開始剤と、(C)希釈剤と、(D)エポキシ化合物と、(E)黒色着色剤とを含有する黒色硬化性樹脂組成物であって、前記(E)黒色着色剤が、(E‐1)カーボンブラック系黒色着色剤と(E‐2)ペリレン系黒色着色剤とを含有し、前記(E)黒色着色剤のうちの前記(E‐2)ペリレン系黒色着色剤の含有量が53質量%以上であることを特徴とする黒色硬化性樹脂組成物である。
上記態様では、黒色硬化性樹脂組成物の着色剤に、カーボンブラック系黒色着色剤とペリレン系黒色着色剤とを配合し、全黒色着色剤中におけるペリレン系黒色着色剤の配合割合を53質量%以上としたことで、光硬化のため露光に用いる光が、黒色硬化性樹脂組成物の塗膜深部にまで到達し、塗膜の表面部から深部まで十分に光硬化するものである。カーボンブラック系黒色着色剤は、黒色硬化性樹脂組成物の明度を低減して黒色度を補充、向上させるものである。
本発明の態様は、前記(E‐2)ペリレン系黒色着色剤の波長300〜400nmの光の透過率が、3%以上であることを特徴とする黒色硬化性樹脂組成物である。上記態様では、波長300〜400nmの光の透過率が3%以上のペリレン系黒色着色剤を配合するので、基板上に塗工した黒色硬化性樹脂組成物の深部にまで、光硬化に必要な光量の紫外光が確実に到達する。
本発明の態様は、前記(E‐2)ペリレン系黒色着色剤の波長400〜700nmの光の透過率が、20%以下であることを特徴とする黒色硬化性樹脂組成物である。本発明の態様は、前記(E‐2)ペリレン系黒色着色剤が、赤外線吸収スペクトル測定にて、少なくとも、1669〜1671cm−1の間、1548〜1550cm−1の間、1498〜1500cm−1の間、1402〜1404cm−1の間、1283〜1285cm−1の間、822〜824cm−1の間、763〜765cm−1の間、739〜741cm−1の間の吸収位置に赤外線吸収ピークを有することを特徴とする黒色硬化性樹脂組成物である。
本発明の態様は、さらに、(F)青色着色剤を含有することを特徴とする黒色硬化性樹脂組成物である。上記各黒色着色剤に加えて、さらに青色着色剤を配合することで、色差計にて測定した明度(L*値)を低下させつつ、クロマネティクス指数(a*値)をプラス値側から0近傍へ調整する。また、本発明の態様は、前記(F)青色着色剤が、フタロシアニン系の青色着色剤であることを特徴とする黒色硬化性樹脂組成物である。
本発明の態様は、さらに、(G)黄色着色剤を含有することを特徴とする黒色硬化性樹脂組成物である。上記各黒色着色剤に加えて、さらに黄色着色剤を配合することで、色差計にて測定したL*値を低下させつつ、クロマネティクス指数(b*値)をマイナス値側から0近傍へ調整する。また、本発明の態様は、前記(G)黄色着色剤が、アントラキノン系の黄色着色剤であることを特徴とする黒色硬化性樹脂組成物である。
本発明の態様は、上記した黒色硬化性樹脂組成物を硬化させた硬化物である。また、本発明の態様は、L*値が25以下、a*値及びb*値がいずれも−2〜2の範囲であることを特徴とする硬化物である。本発明の態様は、膜厚20μmにおける、波長400nmの光の透過率が、7.0%以上であることを特徴とする硬化物である。また、本発明の態様は、上記した黒色硬化性樹脂組成物をソルダーレジストとして塗布したことを特徴とするプリント配線板である。
本発明の態様によれば、配合される黒色着色剤総量のうちのペリレン系黒色着色剤の配合割合を53質量%以上としたことで、光硬化のため露光に用いる光が、黒色硬化性樹脂組成物の塗膜深部にまで到達するので、塗膜の表面部から深部に至るまで十分に光硬化する。このように、塗膜の深部まで光硬化が十分に進行するので、ファインピッチの回路パターンを有するプリント配線板等の基板に塗布しても、深部の光硬化不足による塗膜の脱落や欠損等を防止して、解像性が向上する。また、塗膜の深部まで光硬化が十分に進行するので、現像後における硬化塗膜深部の幅寸法の減少を防止できる。よって、硬化塗膜深部の幅寸法は硬化塗膜表層部の幅寸法に近づき、硬化塗膜の寸法精度が向上する。
本発明の態様によれば、波長300〜400nmの光の透過率が3%以上のペリレン系黒色着色剤を配合するので、塗膜深部の光硬化不足による塗膜の脱落や欠損等を確実に防止して、より解像性と寸法精度が向上する。
本発明の態様によれば、さらに必要に応じて青色着色剤を配合することにより、色差計にて測定したL*値を低下させつつ、a*値をプラス値側から0値近傍へ調整できるので、黒色の濃さ及び色具合の調整が容易である。
本発明の態様によれば、さらに黄色着色剤を配合することにより、色差計にて測定したL*値を低下させつつ、b*値をマイナス値側から0値近傍へ調整できるので、黒色の濃さ及び色具合の調整が容易である。
次に、本発明の黒色硬化性樹脂組成物の各成分について説明する。本発明の黒色硬化性樹脂組成物は、(A)カルボキシル基含有感光性樹脂と、(B)光重合開始剤と、(C)希釈剤と、(D)エポキシ化合物と、(E)黒色着色剤とを含有する黒色硬化性樹脂組成物であって、前記(E)黒色着色剤が、(E‐1)カーボンブラック系黒色着色剤と(E‐2)ペリレン系黒色着色剤とを含有し、前記(E)黒色着色剤のうち、前記(E‐2)ペリレン系黒色着色剤の含有量が53質量%以上である。
(A)カルボキシル基含有感光性樹脂
カルボキシル基含有感光性樹脂は、特に限定されず、感光性の不飽和二重結合を1個以上有する感光性のカルボキシル基含有樹脂、感光性の不飽和二重結合を有さないカルボキシル基含有樹脂のいずれも使用可能である。(A)成分の例として、分子中にエポキシ基を2個以上有する多官能エポキシ樹脂のエポキシ基の少なくとも一部にアクリル酸又はメタクリル酸等のラジカル重合性不飽和モノカルボン酸を反応させてエポキシ(メタ)アクリレートを得て、生成した水酸基に多塩基酸又はその無水物を反応させて得られる多塩基酸変性エポキシ(メタ)アクリレートを挙げることができる。
前記多官能性エポキシ樹脂は、2官能以上のエポキシ樹脂であればいずれでも使用可能であり、エポキシ当量の制限は特にないが、通常1000以下、好ましくは100〜500のものを用いる。多官能性エポキシ樹脂には、例えば、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、シリコーン変性エポキシ樹脂等のゴム変性エポキシ樹脂、ε−カプロラクトン変性エポキシ樹脂、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ビスフェノールAD型等のフェノールノボラック型エポキシ樹脂、о−クレゾールノボラック型等のクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、環状脂肪族多官能エポキシ樹脂、グリシジルエステル型多官能エポキシ樹脂、グリシジルアミン型多官能エポキシ樹脂、複素環式多官能エポキシ樹脂、ビスフェノール変性ノボラック型エポキシ樹脂、多官能変性ノボラック型エポキシ樹脂、フェノール類とフェノール性水酸基を有する芳香族アルデヒドとの縮合物型エポキシ樹脂等を挙げることができる。また、これらの樹脂にBr、Cl等のハロゲン原子を導入したものも使用可能である。これらのうちでも塗膜のフレキシブル性の点から、シリコーン変性エポキシ樹脂等のゴム変性エポキシ樹脂が好ましい。これらのエポキシ樹脂は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
使用するラジカル重合性不飽和モノカルボン酸は、特に限定されず、例えばアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、桂皮酸などを挙げることができ、アクリル酸及びメタクリル酸の少なくとも一方(以下、(メタ)アクリル酸ということがある。)が好ましく、特にアクリル酸が好ましい。(メタ)アクリル酸を反応させたものがエポキシ(メタ)アクリレートである。エポキシ樹脂とラジカル重合性不飽和モノカルボン酸との反応方法に特に制限は無く、例えばエポキシ樹脂とアクリル酸を適当な希釈剤中で加熱することにより反応できる。
多塩基酸又は多塩基酸無水物は、前記エポキシ樹脂とラジカル重合性不飽和モノカルボン酸との反応で生成した水酸基に反応し、樹脂に遊離のカルボキシル基を持たせるものである。使用する多塩基酸又はその無水物としては、特に限定されず、飽和、不飽和のいずれも使用可能である。多塩基酸には、例えば、コハク酸、マレイン酸、アジピン酸、クエン酸、フタル酸、テトラヒドロフタル酸、3−メチルテトラヒドロフタル酸、4−メチルテトラヒドロフタル酸、3−エチルテトラヒドロフタル酸、4−エチルテトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、3−メチルヘキサヒドロフタル酸、4−メチルヘキサヒドロフタル酸、3−エチルヘキサヒドロフタル酸、4−エチルヘキサヒドロフタル酸、メチルテトラヒドロフタル酸、メチルヘキサヒドロフタル酸、エンドメチレンテトラヒドロフタル酸、メチルエンドメチレンテトラヒドロフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸及びジグリコール酸等が挙げられ、多塩基酸無水物としてはこれらの無水物が挙げられる。これらの化合物は単独で使用してもよく、2種以上混合して使用してもよい。
本発明においては、上記の多塩基酸変性不飽和モノカルボン酸化エポキシ樹脂も感光性樹脂として使用できるが、上記の多塩基酸変性不飽和モノカルボン酸化エポキシ樹脂の有するカルボキシル基に、1つ以上のラジカル重合性不飽和基とエポキシ基を持つグリシジル化合物を反応させることにより、ラジカル重合性不飽和基を更に導入し、さらに感光性を向上させた感光性樹脂としてもよい。
この感光性を向上させた感光性樹脂は、最後のグリシジル化合物の反応によってラジカル重合性不飽和基が、その前駆体の感光性樹脂の高分子の骨格の側鎖に結合するため、光重合反応性が高く、優れた感光特性を持つことができる。1つ以上のラジカル重合性不飽和基とエポキシ基を持つ化合物としては、例えば、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールトリアクリレートモノグリシジルエーテル等が挙げられる。なお、グリシジル基は1分子中に複数有していてもよい。上記した1つ以上のラジカル重合性不飽和基とエポキシ基を持つ化合物は、単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
カルボキシル基含有感光性樹脂の酸価の下限値は、確実なアルカリ現像の点から30mgKOH/gであり、40mgKOH/gが好ましい。一方、酸価の上限値は、アルカリ現像液による露光部の溶解防止の点から200mgKOH/gであり、硬化物の耐湿性と電気特性の劣化防止の点から150mgKOH/gが好ましい。
また、カルボキシル基含有感光性樹脂の重量平均分子量の下限値は、硬化物の強靭性及び指触乾燥性の点から3000であり、好ましくは5000である。一方、重量平均分子量の上限値は、(C)成分である希釈剤等との相溶性及び円滑なアルカリ現像性の点から200000であり、好ましくは50000である。
カルボキシル基含有感光性樹脂として市販されているものには、例えば、ZFR−1124、FLX−2089(以上、日本化薬(株)製)、サイクロマーP(ACA)Z−250(ダイセル化学工業(株)製)、リポキシ SP−4621(昭和高分子(株)製)等を挙げることができる。これらの樹脂は、単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
(B)光重合開始剤
光重合開始剤は、一般的に使用されるものであれば特に限定されず、例えば、オキシム系開始剤、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン‐n‐ブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、アセトフェノン、ジメチルアミノアセトフェノン、2,2‐ジメトキシ‐2‐フェニルアセトフェノン、2,2‐ジエトキシ‐2‐フェニルアセトフェノン、2‐ヒドロキシ‐2‐メチル‐1‐フェニルプロパン‐1‐オン、1‐ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2‐メチル‐1‐〔4‐(メチルチオ)フェニル〕‐2‐モルフォリノ‐プロパン‐1‐オン、4‐(2‐ヒドロキシエトキシ)フェニル‐2‐(ヒドロキシ‐2‐プロピル)ケトン、ベンゾフェノン、p‐フェニルベンゾフェノン、4,4′‐ジエチルアミノベンゾフェノン、ジクロルベンゾフェノン、2‐メチルアントラキノン、2‐エチルアントラキノン、2‐ターシャリーブチルアントラキノン、2‐アミノアントラキノン、2‐メチルチオキサントン、2‐エチルチオキサントン、2‐クロルチオキサントン、2,4‐ジメチルチオキサントン、2,4ジエチルチオキサントン、ベンジルジメチルケタール、アセトフェノンジメチルケタール、P‐ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル等が挙げられる。これらは単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。光重合開始剤の配合量は、カルボキシル基含有感光性樹脂100質量部に対して、5〜20質量部であり、8〜15質量部が好ましい。
(C)希釈剤
希釈剤は、例えば、反応性希釈剤である光重合性モノマーであり、カルボキシル基含有感光性樹脂の光硬化を十分にして、耐酸性、耐熱性、耐アルカリ性などを有する硬化物を得るために使用する。光重合性モノマーとしては、例えば、1,4‐ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6‐ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールアジペートジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジシクロペンテニルジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性燐酸ジ(メタ)アクリレート、アリル化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート、イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の反応性希釈剤が挙げられる。これらは単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。上記した反応性希釈剤の配合量は、カルボキシル基含有感光性樹脂100質量部に対して、2.0〜40質量部であり、10〜25質量部が好ましい。
また、希釈剤として、黒色硬化性組成物の粘度や乾燥性を調節するために、上記反応性希釈剤に代えてまたは上記反応性希釈剤とともに、非反応性希釈剤である有機溶剤を用いてもよい。有機溶剤としては、例えば、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、メタノール、イソプロパノール、シクロヘキサノール、などのアルコール類、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素類、石油エーテル、石油ナフサ等の石油系溶剤類、セロソルブ、ブチルセロソルブ等のセロソルブ類、カルビトール、ブチルカルビトール等のカルビトール類、酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、カルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート等の酢酸エステル類等を挙げることができる。有機溶媒を用いる場合の配合量は、カルボキシル基含有感光性樹脂100重量部に対して、40〜500重量部が好ましい。
(D)エポキシ化合物
エポキシ化合物は、硬化物の架橋密度を上げて、十分な機械的強度を有する硬化塗膜を得るためのものである。エポキシ化合物には、例えば、エポキシ樹脂がある。エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂(フェノールノボラック型エポキシ樹脂、o−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、p−tert−ブチルフェノールノボラック型など)、ビスフェノールFやビスフェノールSにエピクロルヒドリンを反応させて得られたビスフェノールF型やビスフェノールS型エポキシ樹脂、さらにシクロヘキセンオキシド基、トリシクロデカンオキシド基、シクロペンテンオキシド基などを有する脂環式エポキシ樹脂、トリス(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレート、トリグリシジルトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート等のトリアジン環を有するトリグリシジルイソシアヌレート、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、アダマンタン型エポキシ樹脂を挙げることができる。これらの化合物は単独で使用してもよく、2種以上混合して使用してもよい。エポキシ化合物の配合量は、硬化後に十分な機械的強度の塗膜を得る点から、カルボキシル基含有感光性樹脂100質量部に対して、10〜50質量部であり、20〜30質量部が好ましい。
(E)黒色着色剤
本発明では、黒色着色剤として(E‐1)カーボンブラック系黒色着色剤と(E‐2)ペリレン系黒色着色剤とを配合する。
(E‐1)カーボンブラック系黒色着色剤
カーボンブラック系黒色着色剤は、硬化物に隠ぺい力と漆黒性を付与するものである。カーボンブラック系黒色着色剤にはカーボンブラックを挙げることができる。カーボンブラックの種類は特に限定されず、例えば、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック等を挙げることができる。また、カーボンブラック系の顔料には、例えば、C.I.ピグメントブラック6、7、9、18等のカラーインデックス番号のものが挙げられる。これらは単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
(E‐2)ペリレン系黒色着色剤
ペリレン系黒色着色剤は、本発明の黒色硬化性樹脂組成物から形成した硬化物に隠ぺい力と黒色度を付与するとともに、黒色硬化性樹脂組成物に紫外光の透過性を付与するものである。ペリレン系黒色着色剤の種類は、特に限定されないが、塗膜深部の光硬化性の点から、波長300〜400nmの光の透過率が3%以上のペリレン系黒色着色剤が好ましい。黒色の色具合の調整、すなわち黒色中に含まれる赤味等の色調を低減して漆黒性を付与するのが容易であり、またはんだ耐熱後変色を抑える点から、上記光の透過率特性を有するのに加えてさらに波長400〜700nmの光の透過率が20%以下でもあるペリレン系黒色着色剤がより好ましい。さらに、漆黒性の付与がより容易な点から、上記した波長300〜400nm及び波長400〜700nmの光の透過率特性に加えて、少なくとも1669〜1671cm−1の間、1548〜1550cm−1の間、1498〜1500cm−1の間、1402〜1404cm−1の間、1283〜1285cm−1の間、822〜824cm−1の間、763〜765cm−1の間及び739〜741cm−1の間の吸収位置に赤外線吸収ピークを有しているペリレン系黒色着色剤が特に好ましい。
波長300〜400nmの光の透過率が3%以上のペリレン系黒色着色剤としては、例えば、ビーエーエスエフ アクチェンゲゼルシャフト社製の「Paliogen Black S 0084」、「Lumogen Black FK 4280」、「Lumogen Black FK 4281」等を挙げることができる。このうち、波長300〜400nmの光の透過率が3%以上、かつ波長400〜700nmの光の透過率が20%以下であるペリレン系黒色着色剤には「Lumogen Black FK 4280」、「Lumogen Black FK 4281」が挙げられる。なお、「Paliogen Black S 0084」は、波長680nmよりも短波長側の光の透過率は20%以下であるが、波長680nm以上の光の透過率が20%超である。「Lumogen Black FK 4280」は、波長300〜750nmの光の透過率が20%以下である。「Lumogen Black FK 4281」は、波長300〜900nmの光の透過率が20%以下である。
このうち、上記した波長300〜400nm及び波長400〜700nmの光の透過率特性に加えて、さらに少なくとも1669〜1671cm−1の間、1548〜1550cm−1の間、1498〜1500cm−1の間、1402〜1404cm−1の間、1283〜1285cm−1の間、822〜824cm−1の間、763〜765cm−1の間及び739〜741cm−1の間の吸収位置に赤外線吸収ピークを有しているペリレン系黒色着色剤には「Lumogen Black FK 4281」が挙げられる。なお、「Lumogen Black FK 4280」は、上記各吸収位置には赤外線吸収ピークを有しておらず、少なくとも1542〜1544cm−1の間、1502〜1504cm−1の間、1284〜1286cm−1の間及び748〜750cm−1の間の吸収位置に赤外線吸収ピークを有している。これらペリレン系黒色着色剤は、単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
また、上記した各黒色着色剤に加えて、必要に応じて、さらに、アニリンブラック、チタンブラック、アゾ系ブラック、黒鉛系等、公知の黒色着色剤を配合してもよい。
黒色着色剤の配合量の下限値は、カルボキシル基含有感光性樹脂100質量部に対して、硬化物に隠ぺい力と黒色度を付与する点から0.1質量部であり、黒色としての外観の点から0.2質量部が好ましい。黒色着色剤の配合量の上限値は、カルボキシル基含有感光性樹脂100質量部に対して、微細な硬化塗膜のラインを形成する点から20質量部であり、硬化物の解像性と寸法精度を得る点から10質量部が好ましい。また、黒色着色剤総量に占めるペリレン系黒色着色剤の含有量について、その下限値は、紫外光の透過性の点から53質量%であり、塗膜深部の光硬化性の点から60質量%が好ましく、解像性の点から65質量部が特に好ましい。一方、黒色着色剤総量に占めるペリレン系黒色着色剤の含有量について、その上限値は、a*値を0に近づけて漆黒性を付与する点から90質量%であり、L*値を下げる、すなわち黒色度を得る点から85質量%が好ましく、黒色としての外観の点から80質量%が特に好ましい。
(F)青色着色剤
青色着色剤は、本発明の黒色硬化性樹脂組成物から形成した硬化物に、色差計によるL*値を下げて黒色度を高めるとともに、色差計によるa*値をプラス側から0値方向に近づけて漆黒性を付与するために配合する。カーボンブラック系黒色着色剤とペリレン系黒色着色剤とを配合すると、硬化物の色調に赤味が現れてプラスのa*値を有する場合がある。このことから、青色着色剤を添加することで、硬化物のa*値が0値に近づいて赤味が抑えられ、硬化物が漆黒性を有するようになる。
青色着色剤の種類は特に限定されず、フタロシアニン系、アントラキノン系、ジオキサジン系の顔料を挙げることができる。青色着色剤の具体例としては、Pigment Blue 15、Pigment Blue 15:1、Pigment Blue 15:2、Pigment Blue 15:3、Pigment Blue 15:4、Pigment Blue 15:6、Pigment Blue 16、Pigment Blue 60等のカラーインデックス番号のものが挙げられる。このうち、黒色の濃さ及び色具合の調整が容易で漆黒性を出し易い点からフタロシアニン系が好ましい。これらは単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
青色着色剤の配合量は、硬化物のa*値を0値方向に近づけて赤味を抑える範囲で適宜選択可能である。所定厚さの硬化物のa*値が0値近傍(例えば、−2〜2の範囲)であれば青色着色剤を添加しなくてもよく、0値近傍であっても、より0値に近づけて漆黒性を出すために青色着色剤を所定量添加してもよい。黒色の濃さと赤味の入った色具合を調整する場合、例えば、配合量の下限値は、黒色着色剤100質量部に対し、硬化物の赤味を抑えて漆黒性を出す点から5質量部が好ましく、黒色度の点から10質量部が特に好ましい。また、その上限値は、黒色着色剤100質量部に対し、硬化物のa*値を0値に近づける点から50質量部が好ましく、解像性の点から30質量部が特に好ましい。
(G)黄色着色剤
黄色着色剤は、本発明の黒色硬化性樹脂組成物から形成した硬化物に、色差計によるL*値を下げて黒色度を高めるとともに、色差計によるb*値をマイナス側から0値方向に近づけて漆黒性を付与するために配合する。カーボンブラック系黒色着色剤とペリレン系黒色着色剤とを配合すると、硬化物の色調に紫味が現れてマイナスのb*値を有する場合がある。このことから、黄色着色剤を添加することで、硬化物のb*値が0値に近づいて紫味が抑えられ、硬化物が漆黒性を有するようになる。
黄色着色剤の種類は特に限定されず、アントラキノン系、モノアゾ系、ジスアゾ系、縮合アゾ系、ベンズイミダゾロン系、イソインドリノン系等を挙げることができる。黄色着色剤の具体例としては、Solvent Yellow 163, Pigment Yellow 24, Pigment Yellow 108, Pigment Yellow 193, Pigment Yellow 147, Pigment Yellow 199, Pigment Yellow 202 (以上、アントラキノン系)、Pigment Yellow 1, 2, 3, 4, 5, 6, 9, 10, 12, 61, 62, 62:1, 65, 73, 74, 75, 97, 100, 104, 105, 111, 116, 167, 168, 169, 182, 183(以上、モノアゾ系)、Pigment Yellow 12, 13, 14, 16, 17, 55, 63, 81, 83, 87, 126, 127, 152, 170, 172, 174, 176, 188, 198(以上、ジスアゾ系)、Pigment Yellow 93, Pigment Yellow 94, Pigment Yellow 95, Pigment Yellow 128, Pigment Yellow 155, Pigment Yellow 166, Pigment Yellow 180(以上、縮合アゾ系)、Pigment Yellow 120, Pigment Yellow 151, Pigment Yellow 154, Pigment Yellow 156, Pigment Yellow 175, Pigment Yellow 181(以上、ベンズイミダゾロン系)、Pigment Yellow 110, Pigment Yellow 109, Pigment Yellow 139, Pigment Yellow 179, Pigment Yellow 185(以上、イソインドリノン系)等のカラーインデックス番号のものが挙げられる。このうち、黒色の濃さ及び色具合の調整が容易で漆黒性を出し易い点からアントラキノン系が好ましい。これらは単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
黄色着色剤の配合量は、硬化物のb*値を0値方向に近づけて紫味を抑える範囲で適宜選択可能である。所定厚さの硬化物のb*値が0値近傍(例えば、−2〜2の範囲)であれば黄色着色剤を添加しなくてもよく、0値近傍であっても、より0値に近づけて漆黒性を出すために黄色着色剤を所定量添加してもよい。黒色の濃さと紫色がかった色具合を調整する場合、例えば、配合量の下限値は、黒色着色剤100質量部に対し、硬化物の紫味を抑えて漆黒性を出す点から5質量部が好ましく、黒色度の点から10質量部が特に好ましい。また、その上限値は、黒色着色剤100質量部に対し、硬化物のb*値を0値に近づける点から50質量部が好ましく、解像性の点から30質量部が特に好ましい。
本発明の黒色硬化性樹脂組成物の硬化物の色調について、色差計によるL*値は、黒色度の点から30以下が好ましく、25以下が特に好ましい。また、色差計によるa*値及びb*値は、漆黒性の点からいずれも−3〜3が好ましく、−2〜2が特に好ましい。また、膜厚20μmの硬化物における、波長400nmの光の透過率は、塗膜深部の光硬化性の点から7%以上が好ましく、8%以上が特に好ましい。従って、本発明の黒色硬化性樹脂組成物は、上記硬化物のL*値、a*値、b*値、透過率を考慮しつつ、上記した(A)〜(D)成分や下記する任意成分、さらに上記(E)〜(G)成分の着色剤を適宜の配合割合で配合する。
本発明の黒色硬化性樹脂組成物では、上記成分の他に、必要に応じて、種々の添加成分、例えば、消泡剤、各種添加剤、体質顔料、増粘剤などを適宜配合することができる。
消泡剤には、公知のものを使用でき、例えば、シリコーン系、炭化水素系、アクリル系等を挙げることができる。添加剤には、例えば、シラン系、チタネート系、アルミナ系等のカップリング剤といった分散剤、三フッ化ホウ素−アミンコンプレックス、ジシアンジアミド(DICY)及びその誘導体、有機酸ヒドラジド、ジアミノマレオニトリル(DAMN)及びその誘導体、メラミン及びその誘導体、グアナミン及びその誘導体、アミンイミド(AI)並びにポリアミン等の潜在性硬化剤、アセチルアセナートZn及びアセチルアセナートCr等のアセチルアセトンの金属塩、エナミン、オクチル酸錫、第4級スルホニウム塩、トリフェニルホスフィン、イミダゾール、イミダゾリウム塩並びにトリエタノールアミンボレート等の硬化促進剤を挙げることができる。体質顔料は、硬化物の物理的強度を上げるためのものであり、例えば、シリカ、硫酸バリウム、アルミナ、水酸化アルミニウム、タルク、マイカ等を挙げることができる。また、増粘剤には、有機ベントナイト等を挙げることができる。
上記した本発明の黒色硬化性樹脂組成物の製造方法は、特定の方法に限定されないが、例えば、上記各成分を所定割合で配合後、室温にて三本ロールにより混合分散させて製造することができる。
次に、上記した本発明の黒色硬化性樹脂組成物の塗工方法について説明する。ここでは、本発明の黒色硬化性樹脂組成物をソルダーレジストとしてプリント配線板に塗工する場合を例にとって説明する。
上記のようにして製造した本発明の黒色硬化性樹脂組成物を、例えば銅箔をエッチングして形成した回路パターンを有するプリント配線板上に、スクリーン印刷法、ロールコータ法、バーコータ法、スプレーコータ法、カーテンフローコータ法、グラビアコータ法等を用いて所望の厚さに塗布し、黒色硬化性樹脂組成物中の溶剤を揮散させるために60〜80℃程度の温度で15〜60分間程度加熱する予備乾燥を行ってタックフリーの塗膜を形成する。その後、塗布した黒色硬化性樹脂組成物上に、前記回路パターンのランド以外を透光性にしたパターンを有するネガフィルムを密着させ、その上から紫外線を照射させる。そして、前記ランドに対応する非露光領域を希アルカリ水溶液で除去することにより塗膜が現像される。現像方法には、スプレー法、シャワー法等が用いられ、使用される希アルカリ水溶液としては0.5〜5%の炭酸ナトリウム水溶液が一般的であるが、他のアルカリも使用可能である。次いで、130〜170℃の熱風循環式の乾燥機等で20〜80分間ポストキュアを行うことにより熱硬化させ、プリント配線板上に目的とする黒色硬化性樹脂組成物の硬化塗膜を形成させることができる。
このようにして得られた硬化塗膜にて被覆されたプリント配線板に、噴流はんだ付け方法、リフローはんだ付け方法等により電子部品がはんだ付けされることで、電子回路ユニットが形成される。
本発明の黒色硬化性樹脂組成物は、ソルダーレジストとしてプリント配線板に塗工する用途の他に、適宜の塗工方法にて、街灯用バックライト、美感を重視した太陽電池用バックシート表面、LEDのバックシート表面等にも利用可能である。
次に、本発明の実施例を説明するが、本発明はその趣旨を超えない限り、これらの例に限定されるものではない。
実施例1〜13、比較例1〜5
下記表1に示す各成分を下記表1に示す配合割合にて配合し、攪拌機にて予備混合した後、3本ロールを用いて室温にて混合分散させて、実施例1〜13、比較例1〜5にて使用する黒色硬化性樹脂組成物を調製した。そして、調製した黒色硬化性樹脂組成物を後述する試験片作製工程を用いて基板上に塗工し、試験片を作成した。下記表1に示す各成分の配合量は、特に断りの無い限り質量部を示す。
Figure 2011257711
なお、表1中の各成分についての詳細は以下の通りである。
(A)カルボキシル基含有感光性樹脂
・リポキシSP‐4621:昭和高分子(株)製、多塩基酸変性クレゾールノボラック型エポキシアクリレート樹脂
(B)光重合開始剤
・イルガキュア907:チバ・スペシャリティー・ケミカルズ(株)製、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン
・イルガキュア369:チバ・スペシャリティー・ケミカルズ(株)製、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1
(C)希釈剤
・EDGAC:三洋化成(株)製、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート
(D)エポキシ化合物
・EPCRON 860:大日本インキ化学工業(株)製、ビスフェノールA型エポキシ樹脂
(E)黒色着色剤
・カーボンブラック:電気化学工業(株)製、「デンカブラック」
・LUMOGEN BLACK FK4281:ビーエーエスエフ アクチェンゲゼルシャフト社製
・LUMOGEN BLACK FK4280:ビーエーエスエフ アクチェンゲゼルシャフト社製
・Paliogen Black S 0084:ビーエーエスエフ アクチェンゲゼルシャフト社製
(F)青色着色剤
・リオノールブルーFG‐7351:東洋インキ製造(株)製、フタロシアニン系の顔料
(G)黄色着色剤
・クロモフタロイエローAGR:チバ・スペシャリティー・ケミカルズ(株)製、アントラキノン系の顔料
その他、DICY−7はジャパンエポキシレジン(株)製の硬化促進剤である。
試験片作製工程
回路パターン形成したガラスエポキシ基板(FR‐4)を、バフ研磨により表面処理した後、スクリーン印刷法にて、実施例1〜13及び比較例1〜5の黒色硬化性樹脂組成物をそれぞれ塗布後、BOX炉にて80℃で20分の予備乾燥を行った。予備乾燥後、塗膜上に露光装置(オーク社製HMW−680GW)にて500mJ/cm2露光した後、30℃、1%の炭酸ナトリウム水溶液にて現像後、BOX炉にて150℃で60分のキュアを行ってガラスエポキシ基板上に黒色硬化性樹脂組成物の硬化塗膜を形成し、試験片を作成した。硬化塗膜の厚みは20μmであった。
評価
(1)解像性
所定のフォトマスク(ライン30〜130μm)を介して形成した露光部の残存ラインと抜けたスペースを目視にて確認、評価した。
(2)アンダーカット
幅100μmのフォトマスクを用いて硬化塗膜のラインを形成した基板について、基板を切断して切断面からライン観察し、ラインの表面側の幅(x)と底部側(深部側)の幅(y)を測定し、(x−y)/2からアンダーカットを評価した。
(3)L*値、a*値、b*値
色差計SE2000(日本電色工業(株))で測定した。
(4)透過率
硬化塗膜を形成したガラスエポキシ基板について波長400nmの光の透過率を測定し、別途測定したガラスエポキシ基板単体の波長400nmの光の透過率をベースラインに用いることで、硬化塗膜の透過率を測定した。透過率の測定には、UV分光光度計U−3310(日立ハイテクノロジー(株))を使用した。
(5)はんだ耐熱後変色
試験片を260℃のはんだ槽に20秒間浸せき後、硬化塗膜の状態を目視により観察して変色の程度を評価した。
実施例1〜13、比較例1〜5の解像性、アンダーカット、L*値、a*値、b*値、透過率、はんだ耐熱後変色の結果を表2に示す。
Figure 2011257711
表2の実施例1〜13と比較例1〜4より、カーボンブラックとペリレン系黒色着色剤との混合物であって、ペリレン系黒色着色剤の配合割合が52質量%超の黒色着色剤を使用すると、波長400nmの光の透過率が向上し、優れた解像性と低いアンダーカットを有する硬化物が得られた。さらに、a*値は、0値近傍(例えば、−2〜2の範囲)、または0値近傍でなくとも0値から大きく離れるのを抑えることができた。このように、本発明の黒色硬化性樹脂組成物は、硬化塗膜の膜厚20μmにおける波長400nmの光の透過率が7.5%以上なので、塗膜の深部まで光硬化可能である。また、塗膜の深部まで光硬化可能であることから70μm以下の解像性を有するので、ファインピッチの回路パターンにも対応可能である。さらに、アンダーカットを26μm以下に抑えることができるので、ファインピッチの回路パターンであってもラインの剥離や欠損等を防止でき、ラインの寸法精度が向上する。そして、a*値を低く抑えることができるので、黒色具合の調整、すなわち黒色中の赤味や紫味等の色合いを低減して漆黒性を出すのが容易である。
また、実施例2、8と実施例10から、波長300〜400nmの光の透過率が3%以上であって、かつ波長400〜700nmの光の透過率が20%以下でもあるペリレン系黒色着色剤である「Lumogen Black FK 4281」(実施例2)及び「Lumogen Black FK 4280」(実施例8)が、波長680〜700nmの光の透過率が20%超である「Paliogen Black S 0084」(実施例10)よりもL*値をより低く抑え、さらにa*値とb*値をより0値近傍に近づけることができたので、黒色度を上げつつ赤味や紫味等の色合いを抑えて漆黒性を出すのがより容易であった。
また、実施例2、8から、1669〜1671cm−1の間、1548〜1550cm−1の間、1498〜1500cm−1の間、1402〜1404cm−1の間、1283〜1285cm−1の間、822〜824cm−1の間、763〜765cm−1の間、739〜741cm−1の間の吸収位置に赤外線吸収ピークを有するペリレン系黒色着色剤である「Lumogen Black FK 4281」(実施例2)は、「Lumogen Black FK 4280」(実施例8)よりも、L*値をより低く抑え、さらにa*値とb*値をより0値近傍に近づけることができたので、漆黒性を出すのがより容易であった。
また、波長300〜400nmの光の透過率が3%以上であって、かつ波長400〜700nmの光の透過率が20%以下でもあるペリレン系黒色着色剤を使用すると、はんだ耐熱後変色を抑えることができた。
また、実施例1〜9より、黒色着色剤100質量部に対して、青色着色剤を9〜19質量部、黄色着色剤を30質量部以下配合することで、a*値及びb*値をいずれも−2〜2の範囲にし、黒色中の赤味等の色合いを抑えて硬化物に漆黒性を与えることができた。
比較例5より、黒色着色剤の配合量をカルボキシル基含有感光性樹脂100質量部に対して21.8質量部以上とすると、硬化物のラインが残らず解像性が劣化した。
本発明の黒色硬化性樹脂組成物は、優れた解像性を有し、また、黒色への調整が容易で、熱処理後の色調変化を防止できるので、例えば、ソルダーレジストの分野で利用価値が高い。

Claims (12)

  1. (A)カルボキシル基含有感光性樹脂と、(B)光重合開始剤と、(C)希釈剤と、(D)エポキシ化合物と、(E)黒色着色剤とを含有する黒色硬化性樹脂組成物であって、
    前記(E)黒色着色剤が、(E‐1)カーボンブラック系黒色着色剤と(E‐2)ペリレン系黒色着色剤とを含有し、前記(E)黒色着色剤のうちの前記(E‐2)ペリレン系黒色着色剤の含有量が53質量%以上であることを特徴とする黒色硬化性樹脂組成物。
  2. 前記(E‐2)ペリレン系黒色着色剤の波長300〜400nmの光の透過率が、3%以上であることを特徴とする請求項1に記載の黒色硬化性樹脂組成物。
  3. 前記(E‐2)ペリレン系黒色着色剤の波長400〜700nmの光の透過率が、20%以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の黒色硬化性樹脂組成物。
  4. 前記(E‐2)ペリレン系黒色着色剤が、赤外線吸収スペクトル測定にて、少なくとも、1669〜1671cm−1の間、1548〜1550cm−1の間、1498〜1500cm−1の間、1402〜1404cm−1の間、1283〜1285cm−1の間、822〜824cm−1の間、763〜765cm−1の間、739〜741cm−1の間の吸収位置に赤外線吸収ピークを有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の黒色硬化性樹脂組成物。
  5. さらに、(F)青色着色剤を含有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の黒色硬化性樹脂組成物。
  6. 前記(F)青色着色剤が、フタロシアニン系の青色着色剤であることを特徴とする請求項5に記載の黒色硬化性樹脂組成物。
  7. さらに、(G)黄色着色剤を含有することを特徴とする請求項5または6に記載の黒色硬化性樹脂組成物。
  8. 前記(G)黄色着色剤が、アントラキノン系の黄色着色剤であることを特徴とする請求項7に記載の黒色硬化性樹脂組成物。
  9. 請求項1乃至8のいずれか1項に記載の黒色硬化性樹脂組成物を硬化させた硬化物。
  10. L*値が25以下、a*値及びb*値がいずれも−2〜2の範囲であることを特徴とする請求項9に記載の硬化物。
  11. 膜厚20μmにおける、波長400nmの光の透過率が、7.0%以上であることを特徴とする請求項9または10に記載の硬化物。
  12. 請求項1乃至8のいずれか1項に記載の黒色硬化性樹脂組成物をソルダーレジストとして塗布したことを特徴とするプリント配線板。
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