JP2019020713A - 感光性樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】スプレー塗工法を用いて厚く塗布された感光性樹脂組成物であっても、優れた感度を有し、ダレを防止でき、外観に優れ、高解像性(高寸法精度)と絶縁特性を有する硬化塗膜を形成できる感光性樹脂組成物を提供する。【解決手段】(A)多官能性エポキシ樹脂とラジカル重合性不飽和モノカルボン酸との反応生成物の水酸基に、多塩基酸又はその無水物を反応させた多塩基酸変性ラジカル重合性不飽和モノカルボン酸化エポキシ樹脂のカルボキシル基に、ラジカル重合性不飽和基とエポキシ基とを有するグリシジル化合物が反応した反応生成物であるカルボキシル基含有感光性樹脂と、(B)光重合開始剤と、(C)反応性希釈剤と、(D)エポキシ化合物と、(E)特定の式で表される第4級アンモニウム塩で処理されたベントナイトと、(F)疎水性シリカと、(G)フタロシアニングリーン系以外の着色顔料と、を含有する感光性樹脂組成物。【選択図】なし
Description
本発明は、被覆材料、例えば、プリント配線板等の基板に形成された導体回路パターンを被覆するための被覆材料に適した感光性樹脂組成物、これを硬化させた硬化物及び該硬化物を被覆したプリント配線板に関するものである。
フレキシブルプリント配線板やリジット配線板等のプリント配線板は、基板の上に導体回路パターンを形成し、そのパターンのはんだ付けランドに電子部品をはんだ付けにより搭載するために使用され、そのはんだ付けランドを除く回路部分は絶縁保護膜(例えば、ソルダーレジスト膜)で被覆される。これにより、プリント配線板に電子部品をはんだ付けする際に、はんだが不必要な部分に付着するのを防止すると共に、回路導体が空気に直接曝されて酸化や湿度により腐食されるのを防止する。
また、導体回路パターンを形成する導体は、使用条件等に応じて、従来の汎用の厚さ(10〜25μm程度)よりも厚く(35μm以上、例えば、厚さ50〜100μm)設計されることがある。厚い導体回路を有するプリント配線板に、ソルダーレジスト膜等の保護膜を形成する場合、それに応じて、絶縁保護膜の膜厚も厚く(例えば、厚さ60〜110μm)設ける必要があるので、感光性樹脂組成物を厚く(例えば、厚さ70〜150μm)塗工する必要がある。
そこで、光硬化型ソルダーレジスト層が、下層ソルダーレジストと上層ソルダーレジストからなる積層構造としたプリント配線板が提案されている(特許文献1)。
しかし、特許文献1のように、絶縁保護膜の原料である感光性樹脂組成物を厚く塗工すると、塗膜の厚さから、紫外線の露光時に塗膜の深部では紫外線が到達しにくくなるので、塗膜の感度(特に、塗膜底部付近の感度)が十分ではなく、高解像性(高寸法精度)や良好なライン形状が得られない場合があるという問題があった。
また、作業性及び生産性の観点から、スプレー塗工法にて、感光性樹脂組成物をプリント配線板に塗工することがある。しかし、スプレー塗工法にて、感光性樹脂組成物を、上記のように厚く塗工すると、塗膜にダレが生じてしまう問題や良好な塗膜外観が得られないという問題があった。
上記事情に鑑み、本発明の目的は、スプレー塗工法を用いて厚く塗布された感光性樹脂組成物であっても、優れた感度を有し、ダレを防止でき、外観に優れ、高解像性(高寸法精度)と絶縁特性を有する硬化塗膜を形成できる感光性樹脂組成物、該感光性樹脂組成物の光硬化膜を有するプリント配線板等の配線板を提供することにある。
本発明の態様は、(A)1分子中にエポキシ基を2個以上有する多官能性エポキシ樹脂とラジカル重合性不飽和モノカルボン酸との反応生成物であるラジカル重合性不飽和モノカルボン酸化エポキシ樹脂の水酸基に、多塩基酸又はその無水物が反応した化合物である多塩基酸変性ラジカル重合性不飽和モノカルボン酸化エポキシ樹脂のカルボキシル基に、ラジカル重合性不飽和基とエポキシ基とを有するグリシジル化合物が反応した反応生成物であるカルボキシル基含有感光性樹脂と、(B)光重合開始剤と、(C)反応性希釈剤と、(D)エポキシ化合物と、(E)下記一般式(I)
[R1R2R3R4−N]+X- (I)
(式中、R1、R2、R3、R4は、それぞれ独立に、炭素数1〜25の飽和脂肪族炭化水素基、炭素数2〜25の不飽和脂肪族炭化水素基または置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基(ただし、R1、R2、R3、R4のうちの少なくとも1つは、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基である。)、Xは、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素からなる群から選択されたハロゲンを表す。)で表される第4級アンモニウム塩で処理されたベントナイトと、(F)疎水性シリカと、(G)フタロシアニングリーン系以外の着色顔料と、を含有し、前記(F)疎水性シリカが、前記(A)成分のカルボキシル基含有感光性樹脂100質量部に対して5.0質量部〜20質量部含まれる感光性樹脂組成物である。
[R1R2R3R4−N]+X- (I)
(式中、R1、R2、R3、R4は、それぞれ独立に、炭素数1〜25の飽和脂肪族炭化水素基、炭素数2〜25の不飽和脂肪族炭化水素基または置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基(ただし、R1、R2、R3、R4のうちの少なくとも1つは、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基である。)、Xは、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素からなる群から選択されたハロゲンを表す。)で表される第4級アンモニウム塩で処理されたベントナイトと、(F)疎水性シリカと、(G)フタロシアニングリーン系以外の着色顔料と、を含有し、前記(F)疎水性シリカが、前記(A)成分のカルボキシル基含有感光性樹脂100質量部に対して5.0質量部〜20質量部含まれる感光性樹脂組成物である。
上記態様では、(A)成分のカルボキシル基含有感光性樹脂は、多塩基酸変性ラジカル重合性不飽和モノカルボン酸化エポキシ樹脂のカルボキシル基に、さらに、ラジカル重合性不飽和基とエポキシ基とを有するグリシジル化合物が反応した化学構造となっているので、感光性が向上した特性を有している。また、「カルボキシル基含有感光性樹脂100質量部」とは、カルボキシル基含有感光性樹脂の固形分の質量部を意味する。
本発明の態様は、前記(G)フタロシアニングリーン系以外の着色顔料が、フタロシアニンブルー系及びアントラキノン系からなる群から選択された少なくとも1種の化合物である感光性樹脂組成物である。
本発明の態様は、前記R1、R2、R3、R4のうちの1つが、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基である感光性樹脂組成物である。
本発明の態様は、前記(E)成分の第4級アンモニウム塩で処理されたベントナイトが、前記(A)成分のカルボキシル基含有感光性樹脂100質量部に対して5.0質量部〜20質量部含まれる感光性樹脂組成物である。
本発明の態様は、前記(F)疎水性シリカが、前記(A)成分のカルボキシル基含有感光性樹脂100質量部に対して6.5質量部〜13.5質量部含まれ、前記(E)成分の第4級アンモニウム塩で処理されたベントナイトが、前記(A)成分のカルボキシル基含有感光性樹脂100質量部に対して8.0質量部〜18質量部含まれる感光性樹脂組成物である。
本発明の態様は、前記(E)成分の第4級アンモニウム塩で処理されたベントナイトの質量:前記(F)疎水性シリカの質量が、1.0:0.30〜3.0の範囲である感光性樹脂組成物である。
本発明の態様は、前記(F)疎水性シリカが、アルキルシリル基で修飾されているシリカである感光性樹脂組成物である。
本発明の態様は、前記第4級アンモニウム塩が、ステアリルベンジルジメチルアンモニウム塩である感光性樹脂組成物である。
本発明の態様は、さらに、ポリ(オキシエチレン)トリデシルエーテルリン酸塩を含有する感光性樹脂組成物である。
本発明の態様は、上記感光性樹脂組成物の光硬化物である。
本発明の態様は、上記感光性樹脂組成物の光硬化膜を有する配線板である。
本発明の態様によれば、カルボキシル基含有感光性樹脂として、上記した感光性の向上した特性を有する(A)成分のカルボキシル基含有感光性樹脂を用い、さらに、(E)成分の第4級アンモニウム塩で処理されたベントナイトと、(A)成分のカルボキシル基含有感光性樹脂100質量部に対して5.0質量部〜20質量部の(F)疎水性シリカと、(G)フタロシアニングリーン系以外の着色顔料と、が含まれることにより、スプレー塗工法を用いて厚く塗布された感光性樹脂組成物であっても、優れた感度を有し、ダレを防止でき、外観に優れ、高解像性(高寸法精度)と絶縁特性を有する硬化塗膜を形成できる感光性樹脂組成物を得ることができる。
本発明の態様によれば、フタロシアニングリーン系以外の着色顔料が、フタロシアニンブルー系及びアントラキノン系からなる群から選択された少なくとも1種の着色顔料であることにより、優れた塗膜外観と絶縁特性を得つつ、より優れた解像性(寸法精度)を得ることができる。
本発明の態様によれば、R1、R2、R3、R4のうちの1つが置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基であることにより、絶縁特性をさらに向上させることができる。
本発明の態様によれば、(E)成分の第4級アンモニウム塩で処理されたベントナイトが、(A)成分のカルボキシル基含有感光性樹脂100質量部に対して5.0質量部〜20質量部含まれることにより、スプレー塗工法にて厚く塗布された感光性樹脂組成物であっても、感度、ダレの防止、塗膜外観、解像性を損なうことなく、絶縁特性をより向上させることができる。
本発明の態様によれば、(A)成分のカルボキシル基含有感光性樹脂100質量部に対して、(F)疎水性シリカが5.5質量部〜13.5質量部含まれ、(E)成分の第4級アンモニウム塩で処理されたベントナイトが8.0質量部〜18質量部含まれることにより、スプレー塗工法にて厚く塗布された感光性樹脂組成物であっても、優れた感度を損なうことなく、ダレの防止と塗膜外観と絶縁特性と解像性とをバランス良く向上させることができる。
本発明の態様によれば、(E)成分の第4級アンモニウム塩で処理されたベントナイトの質量:(F)疎水性シリカの質量が1.0:0.30〜3.0の範囲であることにより、スプレー塗工法にて厚く塗布された感光性樹脂組成物であっても、確実に、ダレを防止でき、塗膜外観と絶縁特性と解像性をより確実に向上させることができる。
本発明の態様によれば、(F)疎水性シリカが、アルキルシリル基で修飾されていることにより、スプレー塗工法にて厚く塗布された感光性樹脂組成物であっても、より確実に塗膜のダレを防止できる。
本発明の態様によれば、第4級アンモニウム塩が、ステアリルベンジルジメチルアンモニウム塩であることにより、さらに優れた絶縁特性を得ることができる。
本発明の態様によれば、さらに、ポリ(オキシエチレン)トリデシルエーテルリン酸塩を含有することにより、アルカリ現像性に優れた硬化塗膜を得ることができる。
次に、本発明の感光性樹脂組成物について、以下に説明する。本発明の感光性樹脂組成物は、(A)1分子中にエポキシ基を2個以上有する多官能性エポキシ樹脂とラジカル重合性不飽和モノカルボン酸との反応生成物であるラジカル重合性不飽和モノカルボン酸化エポキシ樹脂の水酸基に、多塩基酸又はその無水物が反応した化合物である多塩基酸変性ラジカル重合性不飽和モノカルボン酸化エポキシ樹脂のカルボキシル基に、ラジカル重合性不飽和基とエポキシ基とを有するグリシジル化合物が反応した反応生成物であるカルボキシル基含有感光性樹脂と、(B)光重合開始剤と、(C)反応性希釈剤と、(D)エポキシ化合物と、(E)下記一般式(I)
[R1R2R3R4−N]+X- (I)
(式中、R1、R2、R3、R4は、それぞれ独立に、炭素数1〜25の飽和脂肪族炭化水素基、炭素数2〜25の不飽和脂肪族炭化水素基または置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基(ただし、R1、R2、R3、R4のうちの少なくとも1つは、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基である。)、Xは、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素からなる群から選択されたハロゲンを表す。)で表される第4級アンモニウム塩で処理されたベントナイトと、(F)疎水性シリカと、(G)フタロシアニングリーン系以外の着色顔料と、を含有し、前記(F)疎水性シリカが、前記(A)成分のカルボキシル基含有感光性樹脂100質量部に対して5.0質量部〜20質量部含まれる。
[R1R2R3R4−N]+X- (I)
(式中、R1、R2、R3、R4は、それぞれ独立に、炭素数1〜25の飽和脂肪族炭化水素基、炭素数2〜25の不飽和脂肪族炭化水素基または置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基(ただし、R1、R2、R3、R4のうちの少なくとも1つは、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基である。)、Xは、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素からなる群から選択されたハロゲンを表す。)で表される第4級アンモニウム塩で処理されたベントナイトと、(F)疎水性シリカと、(G)フタロシアニングリーン系以外の着色顔料と、を含有し、前記(F)疎水性シリカが、前記(A)成分のカルボキシル基含有感光性樹脂100質量部に対して5.0質量部〜20質量部含まれる。
(A)成分のカルボキシル基含有感光性樹脂
(A)成分のカルボキシル基含有感光性樹脂は、1分子中にエポキシ基を2個以上有する多官能性エポキシ樹脂のエポキシ基の少なくとも一部に、アクリル酸やメタクリル酸(以下、「(メタ)アクリル酸」ということがある。)等のラジカル重合性不飽和モノカルボン酸を反応させて、エポキシ(メタ)アクリレート等のラジカル重合性不飽和モノカルボン酸化エポキシ樹脂を得、生成したラジカル重合性不飽和モノカルボン酸化エポキシ樹脂の水酸基に多塩基酸又はその無水物を反応させて、多塩基酸変性エポキシ(メタ)アクリレート等の多塩基酸変性ラジカル重合性不飽和モノカルボン酸化エポキシ樹脂を得、得られた多塩基酸変性ラジカル重合性不飽和モノカルボン酸化エポキシ樹脂のカルボキシル基の一部に、1つ以上のラジカル重合性不飽和基とエポキシ基とを有するグリシジル化合物を反応させた樹脂である。
(A)成分のカルボキシル基含有感光性樹脂は、1分子中にエポキシ基を2個以上有する多官能性エポキシ樹脂のエポキシ基の少なくとも一部に、アクリル酸やメタクリル酸(以下、「(メタ)アクリル酸」ということがある。)等のラジカル重合性不飽和モノカルボン酸を反応させて、エポキシ(メタ)アクリレート等のラジカル重合性不飽和モノカルボン酸化エポキシ樹脂を得、生成したラジカル重合性不飽和モノカルボン酸化エポキシ樹脂の水酸基に多塩基酸又はその無水物を反応させて、多塩基酸変性エポキシ(メタ)アクリレート等の多塩基酸変性ラジカル重合性不飽和モノカルボン酸化エポキシ樹脂を得、得られた多塩基酸変性ラジカル重合性不飽和モノカルボン酸化エポキシ樹脂のカルボキシル基の一部に、1つ以上のラジカル重合性不飽和基とエポキシ基とを有するグリシジル化合物を反応させた樹脂である。
本発明の感光性樹脂組成物に配合される(A)成分のカルボキシル基含有感光性樹脂は、多塩基酸変性ラジカル重合性不飽和モノカルボン酸化エポキシ樹脂のカルボキシル基に、グリシジル化合物を反応させることで、さらに、ラジカル重合性不飽和基が、多塩基酸変性ラジカル重合性不飽和モノカルボン酸化エポキシ樹脂の側鎖に導入されるので、多塩基酸変性ラジカル重合性不飽和モノカルボン酸化エポキシ樹脂と比較して、優れた感光特性を有している。
従って、導体回路パターンを形成する導体が厚く(厚さ35μm以上、例えば、厚さ50〜100μm)設計されたプリント配線板に、膜厚の厚い(例えば、厚さ60〜110μm)絶縁保護膜を形成するために、感光性樹脂組成物を厚く(例えば、厚さ70〜150μm)塗工しても、塗膜の感度(特に、塗膜底部付近の感度)が優れているので、高解像性と良好なライン形状を有する硬化塗膜を得ることができる。
前記多官能性エポキシ樹脂は、2官能以上のエポキシ樹脂であればいずれでも使用可能である。多官能性エポキシ樹脂のエポキシ当量は、特に限定されないが、3000以下が好ましく、2000以下がより好ましく、1000以下がさらに好ましく、100〜500が特に好ましい。多官能性エポキシ樹脂の構造は、特に限定されないが、例えば、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、シリコーン変性エポキシ樹脂等のゴム変性エポキシ樹脂、ε−カプロラクトン変性エポキシ樹脂、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ビスフェノールAD型等のフェノールノボラック型エポキシ樹脂、о−クレゾールノボラック型等のクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、環状脂肪族多官能性エポキシ樹脂、グリシジルエステル型多官能性エポキシ樹脂、グリシジルアミン型多官能性エポキシ樹脂、複素環式多官能性エポキシ樹脂、ビスフェノール変性ノボラック型エポキシ樹脂、多官能性変性ノボラック型エポキシ樹脂、フェノール類とフェノール性水酸基を有する芳香族アルデヒドとの縮合物型エポキシ樹脂等を挙げることができる。また、これらの樹脂にBr、Cl等のハロゲン原子を導入したものを使用してもよい。これらの多官能性エポキシ樹脂は、単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
ラジカル重合性不飽和モノカルボン酸は、特に限定されず、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、桂皮酸などを挙げることができ、アクリル酸、メタクリル酸が好ましい。これらのラジカル重合性不飽和モノカルボン酸は、単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
多官能性エポキシ樹脂とラジカル重合性不飽和モノカルボン酸との反応方法は、特に限定されず、公知の方法を使用でき、例えば、多官能性エポキシ樹脂とラジカル重合性不飽和モノカルボン酸とを適当な希釈剤中で加熱することにより反応させることができる。
多塩基酸又は多塩基酸無水物は、前記多官能性エポキシ樹脂とラジカル重合性不飽和モノカルボン酸との反応により生成した水酸基に反応し、樹脂に遊離のカルボキシル基を導入するためのものである。多塩基酸又はその無水物は特に限定されず、飽和、不飽和のいずれも使用可能である。多塩基酸には、例えば、コハク酸、マレイン酸、アジピン酸、クエン酸、フタル酸、テトラヒドロフタル酸、3−メチルテトラヒドロフタル酸、4−メチルテトラヒドロフタル酸、3−エチルテトラヒドロフタル酸、4−エチルテトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、3−メチルヘキサヒドロフタル酸、4−メチルヘキサヒドロフタル酸、3−エチルヘキサヒドロフタル酸、4−エチルヘキサヒドロフタル酸、メチルテトラヒドロフタル酸、メチルヘキサヒドロフタル酸、エンドメチレンテトラヒドロフタル酸、メチルエンドメチレンテトラヒドロフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸及びジグリコール酸等が挙げられ、多塩基酸無水物としては、これらの無水物が挙げられる。これらの化合物は、単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
1つ以上のラジカル重合性不飽和基とエポキシ基とを有するグリシジル化合物は特に限定されず、例えば、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールトリアクリレートモノグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールトリメタアクリレートモノグリシジルエーテル等が挙げられる。なお、グリシジル基は1分子中に複数有していてもよい。上記した1つ以上のラジカル重合性不飽和基とエポキシ基とを有する化合物は、単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
(A)成分のカルボキシル基含有感光性樹脂の酸価は、特に限定されないが、その下限値は、確実なアルカリ現像の点から30mgKOH/gが好ましく、40mgKOH/gが特に好ましい。一方、酸価の上限値は、アルカリ現像液による露光部の溶解防止の点から200mgKOH/gが好ましく、硬化物の耐湿性と優れた絶縁特性を維持する点から150mgKOH/gが特に好ましい。
また、(A)成分のカルボキシル基含有感光性樹脂の質量平均分子量は、特に限定されないが、例えば、その下限値は、硬化塗膜の強靭性及び指触乾燥性の点から3000が好ましく、5000が特に好ましい。一方、質量平均分子量の上限値は、円滑なアルカリ現像性の点から200000が好ましく、50000が特に好ましい。
(B)光重合開始剤
光重合開始剤は、一般的に使用されるものであれば特に限定されず、いずれも使用可能である。具体的には、例えば、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−1−(0−アセチルオキシム)、フェニルビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン‐n‐ブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、アセトフェノン、ジメチルアミノアセトフェノン、2,2‐ジメトキシ‐2‐フェニルアセトフェノン、2,2‐ジエトキシ‐2‐フェニルアセトフェノン、2−メチル−4’−(メチルチオ)−2−モルフォリノプロピオフェノン、2‐ヒドロキシ‐2‐メチル‐1‐フェニルプロパン‐1‐オン、1‐ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、4‐(2‐ヒドロキシエトキシ)フェニル‐2‐(ヒドロキシ‐2‐プロピル)ケトン、ベンゾフェノン、p‐フェニルベンゾフェノン、4,4′‐ジエチルアミノベンゾフェノン、ジクロルベンゾフェノン、2‐メチルアントラキノン、2‐エチルアントラキノン、2‐ターシャリーブチルアントラキノン、2‐アミノアントラキノン、2‐メチルチオキサントン、2‐エチルチオキサントン、2‐クロルチオキサントン、2,4‐ジメチルチオキサントン、2,4‐ジエチルチオキサントン、ベンジルジメチルケタール、アセトフェノンジメチルケタール、P‐ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル等が挙げられる。これらは単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
光重合開始剤は、一般的に使用されるものであれば特に限定されず、いずれも使用可能である。具体的には、例えば、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−1−(0−アセチルオキシム)、フェニルビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン‐n‐ブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、アセトフェノン、ジメチルアミノアセトフェノン、2,2‐ジメトキシ‐2‐フェニルアセトフェノン、2,2‐ジエトキシ‐2‐フェニルアセトフェノン、2−メチル−4’−(メチルチオ)−2−モルフォリノプロピオフェノン、2‐ヒドロキシ‐2‐メチル‐1‐フェニルプロパン‐1‐オン、1‐ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、4‐(2‐ヒドロキシエトキシ)フェニル‐2‐(ヒドロキシ‐2‐プロピル)ケトン、ベンゾフェノン、p‐フェニルベンゾフェノン、4,4′‐ジエチルアミノベンゾフェノン、ジクロルベンゾフェノン、2‐メチルアントラキノン、2‐エチルアントラキノン、2‐ターシャリーブチルアントラキノン、2‐アミノアントラキノン、2‐メチルチオキサントン、2‐エチルチオキサントン、2‐クロルチオキサントン、2,4‐ジメチルチオキサントン、2,4‐ジエチルチオキサントン、ベンジルジメチルケタール、アセトフェノンジメチルケタール、P‐ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル等が挙げられる。これらは単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
光重合開始剤の含有量は、特に限定されず、例えば、(A)成分のカルボキシル基含有感光性樹脂(固形分、以下同じ。)100質量部に対して、5〜20質量部が好ましい。
(C)反応性希釈剤
反応性希釈剤とは、例えば、光重合性モノマーであり、1分子当たり少なくとも1つ、好ましくは1分子当たり少なくとも2つの重合性二重結合を有する化合物である。反応性希釈剤は、感光性樹脂組成物の光硬化を十分にして、耐酸性、耐熱性、耐アルカリ性などを有する硬化物を得るために使用する。
反応性希釈剤とは、例えば、光重合性モノマーであり、1分子当たり少なくとも1つ、好ましくは1分子当たり少なくとも2つの重合性二重結合を有する化合物である。反応性希釈剤は、感光性樹脂組成物の光硬化を十分にして、耐酸性、耐熱性、耐アルカリ性などを有する硬化物を得るために使用する。
反応性希釈剤は、上記化合物であれば特に限定されず、例えば、モノ(メタ)アクリレートモノマー類、2官能以上の多官能(メタ)アクリレートモノマー類等を挙げることができる。具体的には、例えば、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ジエチレングルコールモノ(メタ)アクリレート、2‐ヒドロキシ‐3‐フェノキシプロピル(メタ)アクリルレート、1,4‐ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6‐ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールアジペートジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジシクロペンテニルジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性燐酸ジ(メタ)アクリレート、アリル化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート、イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート類等が挙げられる。これらは単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
反応性希釈剤の含有量は、特に限定されず、例えば、(A)成分のカルボキシル基含有感光性樹脂100質量部に対して、2.0〜200質量部が好ましく、10〜100質量部が特に好ましい。
(D)エポキシ化合物
エポキシ化合物は、硬化物の架橋密度を上げて十分な強度の硬化物を得るためのものであり、例えば、エポキシ樹脂を挙げることができる。エポキシ樹脂としては、例えば、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂(フェノールノボラック型エポキシ樹脂、o−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、p−tert−ブチルフェノールノボラック型エポキシ樹脂など)、ビスフェノールFやビスフェノールSにエピクロルヒドリンを反応させて得られたビスフェノールF型エポキシ樹脂やビスフェノールS型エポキシ樹脂、さらにシクロヘキセンオキシド基、トリシクロデカンオキシド基、シクロペンテンオキシド基などを有する脂環式エポキシ樹脂、トリス(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレート、トリグリシジルトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート等のトリアジン環を有するトリグリシジルイソシアヌレート、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、アダマンタン型エポキシ樹脂等を挙げることができる。これらの化合物は単独で使用してもよく、2種以上混合して使用してもよい。
エポキシ化合物は、硬化物の架橋密度を上げて十分な強度の硬化物を得るためのものであり、例えば、エポキシ樹脂を挙げることができる。エポキシ樹脂としては、例えば、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂(フェノールノボラック型エポキシ樹脂、o−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、p−tert−ブチルフェノールノボラック型エポキシ樹脂など)、ビスフェノールFやビスフェノールSにエピクロルヒドリンを反応させて得られたビスフェノールF型エポキシ樹脂やビスフェノールS型エポキシ樹脂、さらにシクロヘキセンオキシド基、トリシクロデカンオキシド基、シクロペンテンオキシド基などを有する脂環式エポキシ樹脂、トリス(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレート、トリグリシジルトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート等のトリアジン環を有するトリグリシジルイソシアヌレート、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、アダマンタン型エポキシ樹脂等を挙げることができる。これらの化合物は単独で使用してもよく、2種以上混合して使用してもよい。
エポキシ化合物の含有量は、特に限定されず、硬化後に十分な強度の塗膜を得る点から、例えば、(A)成分のカルボキシル基含有感光性樹脂100質量部に対して、10〜200質量部が好ましく、20〜100質量部が特に好ましい。
(E)成分の第4級アンモニウム塩で処理されたベントナイト
後述する(F)疎水性シリカとともに、(E)成分の第4級アンモニウム塩で処理されたベントナイトを配合することにより、スプレー塗工法にて厚く塗布された感光性樹脂組成物であっても、ダレを防止でき、優れた塗膜外観と解像性を有する硬化塗膜を形成でき、さらに、硬化物に優れた絶縁特性を付与することができる。
後述する(F)疎水性シリカとともに、(E)成分の第4級アンモニウム塩で処理されたベントナイトを配合することにより、スプレー塗工法にて厚く塗布された感光性樹脂組成物であっても、ダレを防止でき、優れた塗膜外観と解像性を有する硬化塗膜を形成でき、さらに、硬化物に優れた絶縁特性を付与することができる。
(E)成分の第4級アンモニウム塩で処理されたベントナイトは、下記一般式(I)
[R1R2R3R4−N]+X- (I)
(式中、R1、R2、R3、R4は、それぞれ独立に、炭素数1〜25の飽和脂肪族炭化水素基、炭素数2〜25の不飽和脂肪族炭化水素基または置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基(ただし、R1、R2、R3、R4のうちの少なくとも1つは、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基である。)、Xは、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素からなる群から選択されたハロゲンを表す。)で表される第4級アンモニウム塩で処理された、有機ベントナイトである。
[R1R2R3R4−N]+X- (I)
(式中、R1、R2、R3、R4は、それぞれ独立に、炭素数1〜25の飽和脂肪族炭化水素基、炭素数2〜25の不飽和脂肪族炭化水素基または置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基(ただし、R1、R2、R3、R4のうちの少なくとも1つは、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基である。)、Xは、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素からなる群から選択されたハロゲンを表す。)で表される第4級アンモニウム塩で処理された、有機ベントナイトである。
第4級アンモニウム塩のR1、R2、R3、R4は、それぞれ、炭素数1〜25の飽和脂肪族炭化水素基、炭素数2〜25の不飽和脂肪族炭化水素基または置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基であって、R1、R2、R3、R4のうちの少なくとも1つが置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基である、芳香族炭化水素基を有する第4級アンモニウム塩であれば、特に限定されないが、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基の数は、高解像性を損なうことなく絶縁特性をさらに向上させる点から1つ(すなわち、炭素数1〜25の飽和脂肪族炭化水素基と炭素数2〜25の不飽和脂肪族炭化水素基の合計は3つ)が好ましい。また、芳香族炭化水素基としては、単環及び複数の環由来の基が挙げられる。芳香族炭化水素基としては、ベンジル基、フェニル基、ナフチル基が好ましく、ベンジル基、フェニル基が特に好ましい。置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基の置換基としては、例えば、メチル基、エチル基等の炭素数1〜5個のアルキル基を挙げることができる。
また、スプレー塗工法にて厚く塗布する場合でも、確実にダレを防止しつつ、より優れた塗膜外観と解像性と絶縁特性を有する硬化塗膜を形成する点から、脂肪族炭化水素基としては、炭素数1〜5の飽和脂肪族炭化水素基と炭素数7〜22の飽和脂肪族炭化水素基を有する第4級アンモニウム塩が好ましく、炭素数1〜2の飽和脂肪族炭化水素基と炭素数14〜20の飽和脂肪族炭化水素基を有する第4級アンモニウム塩が特に好ましい。
上記した第4級アンモニウム塩の具体例としては、塩化ステアリルベンジルジメチルアンモニウム等のステアリルベンジルジメチルアンモニウム塩、塩化パルミチルベンジルジメチルアンモニウム等のパルミチルベンジルジメチルアンモニウム塩、塩化ミリスチルベンジルジメチルアンモニウム等のミリスチルベンジルジメチルアンモニウム塩、塩化ドデシルベンジルジメチルアンモニウム等のドデシルベンジルジメチルアンモニウム塩、塩化ヘキシルベンジルジメチルアンモニウム等のヘキシルベンジルジメチルアンモニウム塩、塩化ベンジルベンジルジメチルアンモニウム等のベンジルベンジルジメチルアンモニウム塩、塩化フェニルトリプロピルアンモニウム等の塩化フェニルトリプロピルアンモニウム塩等を挙げることができる。これらのうち、優れた解像性と絶縁特性を得る点から、ステアリルベンジルジメチルアンモニウム塩が好ましい。
(E)成分の第4級アンモニウム塩で処理されたベントナイトの含有量は、特に限定されないが、例えば、その下限値は、(A)成分のカルボキシル基含有感光性樹脂100質量部に対して、スプレー塗工法にて厚く塗布する場合でも、確実にダレを防止し、優れた塗膜外観と解像性を損なうことなく、さらに絶縁特性を向上させる点から5.0質量部が好ましく、銅箔等の導体付近のカバーリング性を向上させる点から8.0質量部が特に好ましい。また、その上限値は、(A)成分のカルボキシル基含有感光性樹脂100質量部に対して、スプレー塗工を容易化しつつ、優れた硬化塗膜の外観を確実に維持する点から20質量部が好ましく、18質量部が特に好ましい。
(F)疎水性シリカ
上記した(E)成分の第4級アンモニウム塩で処理されたベントナイトとともに、(F)疎水性シリカを配合することにより、スプレー塗工法にて厚く塗布された感光性樹脂組成物であっても、解像性と絶縁特性を損なうことなく、ダレを防止でき、優れた塗膜外観を付与することができる。
上記した(E)成分の第4級アンモニウム塩で処理されたベントナイトとともに、(F)疎水性シリカを配合することにより、スプレー塗工法にて厚く塗布された感光性樹脂組成物であっても、解像性と絶縁特性を損なうことなく、ダレを防止でき、優れた塗膜外観を付与することができる。
疎水性シリカは、例えば、シラノール基を有する親水性シリカの表面を、疎水性化合物で疎水化処理したシリカであり、球状または略球状の微粒子である。疎水性シリカとしては、例えば、四塩化ケイ素の火炎加水分解法により得られるヒュームドシリカやシリカエアロゲル等の微粉末シリカの表面を、疎水性化合物である、シラン化合物、シロキサン化合物等の有機ケイ素化合物で疎水化処理したものが挙げられる。上記疎水性化合物である有機ケイ素化合物としては、例えば、メタクリロキシシラン、メチルクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、ヘキサメチルジシラザン、ジメチルシロキサン、トリメトキシオクチルシラン、メタクリルシラン、アクリルシラン等が挙げられる。このうち、スプレー塗工法にて厚く塗布された感光性樹脂組成物であっても、より確実に塗膜のダレを防止して、優れた硬化塗膜の外観を得る点から、アルキルシリル基で表面が修飾されている疎水性シリカが好ましい。
疎水性シリカの一次粒子径は、特に限定されないが、分散性の点から3〜100nmが好ましく、5〜50nmが特に好ましい。また、疎水性シリカのBET比表面積は、特に限定されないが、例えば、50〜500m2/gが好ましい。
疎水性シリカの含有量は、(A)成分のカルボキシル基含有感光性樹脂100質量部に対して5.0質量部〜20質量部である。本発明の感光性樹脂組成物をスプレー塗工法にて厚く塗布する場合に、(A)成分のカルボキシル基含有感光性樹脂100質量部に対して、5.0質量部未満では十分にはダレを防止できないことがあり、20質量部超では、スプレー塗工法にて優れた硬化塗膜の外観を得られない場合がある。疎水性シリカの含有量は(A)成分のカルボキシル基含有感光性樹脂100質量部に対して5.0質量部〜20質量部の範囲であれば、特に限定されないが、その下限値は、(A)成分のカルボキシル基含有感光性樹脂100質量部に対して、スプレー塗工法にて厚く塗布する場合でも、ダレを確実に防止する点から5.5質量部が好ましく、ダレを確実に防止しつつ、より優れた塗膜外観を得る点から6.5質量部が特に好ましい。また、疎水性シリカの含有量の上限値は、(A)成分のカルボキシル基含有感光性樹脂100質量部に対して、スプレー塗工法にて厚く塗布する場合でも、より優れた塗膜外観を得る点から13.5質量部が好ましい。
また、スプレー塗工法にて厚く塗布された感光性樹脂組成物であっても、優れた感度を損なうことなく、ダレの防止と塗膜外観と絶縁特性と解像性とをバランス良く向上させることができる点から、(A)成分のカルボキシル基含有感光性樹脂100質量部に対して、(F)疎水性シリカが5.5質量部〜13.5質量部含まれ、(E)成分の第4級アンモニウム塩で処理されたベントナイトが8.0質量部〜18質量部含まれることが好ましい。
(E)成分の第4級アンモニウム塩で処理されたベントナイトの質量と疎水性シリカの質量の比率は、特に限定されないが、(E)成分の第4級アンモニウム塩で処理されたベントナイトの質量:疎水性シリカの質量は、スプレー塗工法にて厚く塗布された感光性樹脂組成物であっても、ダレの防止と塗膜外観と絶縁特性と解像性とを確実にバランス良く向上させる点から、1.0:0.30〜3.0が好ましく、塗膜外観と絶縁特性と解像性とをさらにバランス良く向上させる点から、1.0:0.50〜2.5がより好ましく、1.0:0.80〜1.5が特に好ましい。
(G)フタロシアニングリーン系以外の着色顔料
フタロシアニングリーン系以外の着色顔料を配合することにより、すなわち、フタロシアニングリーン系の着色顔料を配合しないことにより、スプレー塗工法にて厚く塗布する場合でも、ダレの防止と塗膜外観を損なうことなく、解像性を向上させつつ、感光性樹脂組成物を着色することができる。また、上記した(E)成分の第4級アンモニウム塩で処理されたベントナイトとともに、フタロシアニングリーン系以外の着色顔料を配合することにより、より優れた絶縁特性と解像性を得ることができる。
フタロシアニングリーン系以外の着色顔料を配合することにより、すなわち、フタロシアニングリーン系の着色顔料を配合しないことにより、スプレー塗工法にて厚く塗布する場合でも、ダレの防止と塗膜外観を損なうことなく、解像性を向上させつつ、感光性樹脂組成物を着色することができる。また、上記した(E)成分の第4級アンモニウム塩で処理されたベントナイトとともに、フタロシアニングリーン系以外の着色顔料を配合することにより、より優れた絶縁特性と解像性を得ることができる。
フタロシアニングリーン系以外の着色顔料であれば、着色顔料の種類は特に限定されないが、例えば、白色着色剤である酸化チタン、黒色着色剤であるカーボンブラックなどの無機顔料、フタロシアニンブルー系等の青色着色剤、アントラキノン系等の黄色着色剤などの有機顔料を挙げることができる。これらは単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
これらのうち、より優れた絶縁特性と解像性をバランスよく得ることができる点から、フタロシアニンブルー、アントラキノンが好ましい。また、フタロシアニンブルーとアントラキノンを併用する場合には、解像性をさらに向上させる点から、アントラキノンの含有量(質量)がフタロシアニンブルーの含有量(質量)以上、すなわち、アントラキノンの含有量(質量)/フタロシアニンブルーの含有量(質量)の値が1.0以上であることが好ましく、解像性をさらに向上させつつ優れた感度を得る点から、アントラキノンの含有量(質量)/フタロシアニンブルーの含有量(質量)の値が1.0超5.0以下が特に好ましい。
フタロシアニングリーン系以外の着色顔料の含有量は、特に限定されないが、例えば、(A)成分のカルボキシル基含有感光性樹脂100質量部に対して、着色性と感度とのバランスの点から、0.1〜30質量部が好ましく、0.2〜15質量部がより好ましく、0.5〜5.0質量部が特に好ましい。
本発明の感光性樹脂組成物では、上記(A)成分〜(G)成分に加えて、必要に応じて、種々の成分、例えば、各種添加剤、有機溶剤等の非反応性希釈剤、フィラー等を配合することができる。
各種添加剤には、例えば、シリコーン系、炭化水素系及びアクリル系等の消泡剤、分散剤、シラン系、チタネート系及びアルミナ系等のカップリング剤、三フッ化ホウ素−アミンコンプレックス、ジシアンジアミド(DICY)及びその誘導体、有機酸ヒドラジド、ジアミノマレオニトリル(DAMN)及びその誘導体、グアナミン及びその誘導体、メラミン及びその誘導体、アミンイミド(AI)並びにポリアミン等の潜在性硬化剤、アセチルアセナートZn及びアセチルアセナートCr等のアセチルアセトンの金属塩、エナミン、オクチル酸錫、第4級スルホニウム塩、トリフェニルホスフィン、2−メルカプトベンゾイミダゾール等のイミダゾール類、イミダゾリウム塩類並びにトリエタノールアミンボレート等の熱硬化促進剤などを挙げることができる。
フィラーは、感光性樹脂組成物の塗膜の物理的強度を上げることに寄与するものであり、例えば、タルク、硫酸バリウム、シリカ、アルミナ、水酸化アルミニウム、マイカ等を挙げることができる。
非反応性希釈剤は、感光性樹脂組成物の乾燥性や塗工粘度を調節するためのものであり、例えば、有機溶剤を挙げることができる。有機溶剤には、例えば、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類;トルエン、キシレン、テトラメチルベンゼンなどの芳香族炭化水素類;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、メチルカルビトール、ブチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジプロプレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテルなどのグリコールエーテル類;酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート及び上記グリコールエーテル類のエステル化物などのエステル類;エタノール、プロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコールなどのアルコール類等を挙げることができる。
上記した感光性樹脂組成物の製造方法は、特定の方法に限定されないが、例えば、上記各成分を所定割合で配合後、室温にて三本ロールにより混合分散させて製造することができる。また、必要に応じて、前記混合分散前に、攪拌機にて予備混合してもよい。
次に、本発明の感光性樹脂組成物の使用方法例について説明する。ここでは、本発明の感光性樹脂組成物をプリント配線板の絶縁保護膜(例えば、ソルダーレジスト膜等)として塗工する方法を例にとって説明する。
上記のようにして得られた本発明の感光性樹脂組成物を、例えば、銅箔をエッチングして形成した回路パターン(例えば、導体である銅箔の厚さ50μm以上)を有する基板であるプリント配線板上に、スプレー塗工(スプレーコータ法)にて、所望の厚さ、例えばDRY膜厚を60μm以上とする場合、Wet膜厚70μm以上の厚さで塗布して塗膜を形成する。次に、感光性樹脂組成物に有機溶剤等の非反応性希釈剤が含まれている場合には、非反応性希釈剤を揮散させるために、60〜80℃程度の温度で15〜60分間程度加熱する予備乾燥を行って、タックフリーの塗膜を形成する。
次に、予備乾燥を行った塗膜上に、回路パターンのランド以外を透光性にしたパターンを有するネガフィルム(フォトマスク)を密着させ、その上から紫外線(例えば、波長300〜400nmの範囲)を照射させる。そして、前記ランドに対応する非露光領域を希アルカリ水溶液で除去することにより塗膜が現像される。現像方法には、スプレー法、シャワー法等が用いられ、使用する希アルカリ水溶液としては、例えば、0.5〜5質量%の炭酸ナトリウム水溶液が挙げられる。次いで、130〜170℃の熱風循環式の乾燥機等で20〜80分間ポストキュアを行うことにより、プリント配線板上に目的とするソルダーレジスト膜等の絶縁保護膜を形成させることができる。
なお、塗工方法として、スプレー塗工(スプレーコータ法)に代えて、スクリーン印刷、バーコータ、アプリケータ、ブレードコータ、ナイフコータ、ロールコータ、グラビアコータ等、他の公知の塗工方法を用いてもよい。
次に、本発明の実施例を説明するが、本発明はその趣旨を超えない限り、これらの例に限定されるものではない。
実施例1〜8、比較例1〜7
下記表1、2に示す各成分を下記表1、2に示す割合にて配合し、3本ロールを用いて室温にて混合分散させて、実施例1〜8、比較例1〜7にて使用する感光性樹脂組成物を調製した。そして、調製した感光性樹脂組成物を以下のように塗工して試験片を作製した。下記表1、2中の数字は質量部を示す。また、下記表1、2中の空欄は配合なしを意味する。
下記表1、2に示す各成分を下記表1、2に示す割合にて配合し、3本ロールを用いて室温にて混合分散させて、実施例1〜8、比較例1〜7にて使用する感光性樹脂組成物を調製した。そして、調製した感光性樹脂組成物を以下のように塗工して試験片を作製した。下記表1、2中の数字は質量部を示す。また、下記表1、2中の空欄は配合なしを意味する。
なお、表1、2中の各成分についての詳細は以下の通りである。
(A)成分のカルボキシル基含有感光性樹脂
カルビトールアセテート250質量部に、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(住友化学工業(株)製、ESCN−220、エポキシ当量220)220質量部及びアクリル酸72質量部を溶解し、還流下に反応させて、クレゾールノボラック型エポキシアクリレートを得た。次いで、得られたクレゾールノボラック型エポキシアクリレートに、ヘキサヒドロ無水フタル酸138.6質量部を加え、酸価が理論値になるまで還流下で反応させた後、グリシジルメタクリレート56.8質量部を加え、さらに反応させて、固形分65質量%である(A)成分のカルボキシル基含有感光性樹脂の合成樹脂(A−1)を得た。
カルビトールアセテート250質量部に、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(住友化学工業(株)製、ESCN−220、エポキシ当量220)220質量部及びアクリル酸72質量部を溶解し、還流下に反応させて、クレゾールノボラック型エポキシアクリレートを得た。次いで、得られたクレゾールノボラック型エポキシアクリレートに、ヘキサヒドロ無水フタル酸138.6質量部を加え、酸価が理論値になるまで還流下で反応させた後、グリシジルメタクリレート56.8質量部を加え、さらに反応させて、固形分65質量%である(A)成分のカルボキシル基含有感光性樹脂の合成樹脂(A−1)を得た。
(B)光重合開始剤
・イルガキュア907:BASFジャパン(株)
・KAYACURE DETX:日本化薬(株)
(C)反応性希釈剤
・DPHA:東亞合成(株)
(D)エポキシ化合物
・エピコート828、YX−4000K:三菱化学(株)
・イルガキュア907:BASFジャパン(株)
・KAYACURE DETX:日本化薬(株)
(C)反応性希釈剤
・DPHA:東亞合成(株)
(D)エポキシ化合物
・エピコート828、YX−4000K:三菱化学(株)
(E)成分の第4級アンモニウム塩で処理されたベントナイト
・チキソゲルVZ:united catalyst社
(F)疎水性シリカ
・アエロジルR974:ジメチルシリル基で表面を修飾、日本アエロジル(株)
(G)フタロシアニングリーン系以外の着色顔料
・クロモフタルイエローAGR:チバスペシャリティケミカルズ(株)
・リオノールブルーFG−7351:トーヨーカラー(株)
・チキソゲルVZ:united catalyst社
(F)疎水性シリカ
・アエロジルR974:ジメチルシリル基で表面を修飾、日本アエロジル(株)
(G)フタロシアニングリーン系以外の着色顔料
・クロモフタルイエローAGR:チバスペシャリティケミカルズ(株)
・リオノールブルーFG−7351:トーヨーカラー(株)
フィラー
・硫酸バリウムB−34:堺化学工業(株)
・FH105:富士タルク(株)
・硫酸バリウムB−34:堺化学工業(株)
・FH105:富士タルク(株)
各種添加剤
・メラミン:日産化学工業(株)
・DICY−7:ジャパンエポキシレジン(株)
・アンテージMB:川口化学工業(株)
・Disperbyk−103(主成分:フィラーに親和性のある基を有する共重合物)、BYK−410(主成分:変性ウレア)、Disperbyk−102(主成分:ポリ(オキシエチレン)トリデシルエーテルリン酸塩、酸価101mgKOH/g):ビックケミージャパン(株)
非反応性希釈剤
・PMA:三洋化成品(株)
・メラミン:日産化学工業(株)
・DICY−7:ジャパンエポキシレジン(株)
・アンテージMB:川口化学工業(株)
・Disperbyk−103(主成分:フィラーに親和性のある基を有する共重合物)、BYK−410(主成分:変性ウレア)、Disperbyk−102(主成分:ポリ(オキシエチレン)トリデシルエーテルリン酸塩、酸価101mgKOH/g):ビックケミージャパン(株)
非反応性希釈剤
・PMA:三洋化成品(株)
(A)成分以外のカルボキシル基含有感光性樹脂
・リポキシSP−4621:昭和電工(株)
(E)成分以外の第4級アンモニウム塩で処理されたベントナイト
・チキソゲルVP:united catalyst社
(G)成分以外の着色顔料
・ファーストゲングリーン:DIC社
親水性シリカ
アエロジル♯380:日本アエロジル(株)
・リポキシSP−4621:昭和電工(株)
(E)成分以外の第4級アンモニウム塩で処理されたベントナイト
・チキソゲルVP:united catalyst社
(G)成分以外の着色顔料
・ファーストゲングリーン:DIC社
親水性シリカ
アエロジル♯380:日本アエロジル(株)
試験片作製工程
基板:プリント配線板(ガラスエポキシ基板「FR−4」、板厚1.6mm、導体(Cu箔)厚18〜90μm)
基板表面処理:バフ研磨
塗工:スプレー塗工
塗工条件:吐出量(110cc/min)、コンベアー速度(2.3m/min)、ディスク回転数(30000rpm)、印加電圧(−35KV)
Wet膜厚:100〜110μm
予備乾燥:80℃、20分
露光:感光性樹脂組成物上300mJ/cm2(メイン波長365nm、オーク(株)「HMW−680GW」)
アルカリ現像:1質量%のNa2CO3水溶液、液温30℃、スプレー圧0.2MPa、現像時間60秒
ポストキュア:150℃、60分
基板:プリント配線板(ガラスエポキシ基板「FR−4」、板厚1.6mm、導体(Cu箔)厚18〜90μm)
基板表面処理:バフ研磨
塗工:スプレー塗工
塗工条件:吐出量(110cc/min)、コンベアー速度(2.3m/min)、ディスク回転数(30000rpm)、印加電圧(−35KV)
Wet膜厚:100〜110μm
予備乾燥:80℃、20分
露光:感光性樹脂組成物上300mJ/cm2(メイン波長365nm、オーク(株)「HMW−680GW」)
アルカリ現像:1質量%のNa2CO3水溶液、液温30℃、スプレー圧0.2MPa、現像時間60秒
ポストキュア:150℃、60分
評価項目は、以下の通りである。
(1)チキソ比
イワタカップにて60〜65秒(25℃)になるよう溶剤(プロピレングリコールモノメチルエーテル)にて希釈後、ブルックフィールド社製の粘度計RVT型を用いて、スピンドル回転数5rpmで温度25℃における感光性樹脂組成物のBF粘度(η5)、および、スピンドル回転数50rpmで温度25℃における感光性樹脂組成物のBF粘度(η50)をそれぞれ測定した。そして、これらの測定値からチキソ比(η5/η50)を算出した。
(1)チキソ比
イワタカップにて60〜65秒(25℃)になるよう溶剤(プロピレングリコールモノメチルエーテル)にて希釈後、ブルックフィールド社製の粘度計RVT型を用いて、スピンドル回転数5rpmで温度25℃における感光性樹脂組成物のBF粘度(η5)、および、スピンドル回転数50rpmで温度25℃における感光性樹脂組成物のBF粘度(η50)をそれぞれ測定した。そして、これらの測定値からチキソ比(η5/η50)を算出した。
(2)ダレ性
上記試験片作製工程において、立て掛けて行った予備乾燥の後の基板について、感光性樹脂組成物の塗膜を、目視にて以下の基準で評価した。
◎:導体厚90μmの細線パターン部に塗膜のダレ無し
○:導体厚90μmの細線パターン部には塗膜のダレが有るものの、導体厚60μmの細線パターン部には塗膜のダレ無し
△:導体厚60μmの細線パターン部には塗膜のダレが有るものの、導体厚35μmの細線パターン部には塗膜のダレ無し
×:導体厚35μmの細線パターン部に塗膜のダレ有り(導体厚18μmの細線パターン部には塗膜のダレ無し)
上記試験片作製工程において、立て掛けて行った予備乾燥の後の基板について、感光性樹脂組成物の塗膜を、目視にて以下の基準で評価した。
◎:導体厚90μmの細線パターン部に塗膜のダレ無し
○:導体厚90μmの細線パターン部には塗膜のダレが有るものの、導体厚60μmの細線パターン部には塗膜のダレ無し
△:導体厚60μmの細線パターン部には塗膜のダレが有るものの、導体厚35μmの細線パターン部には塗膜のダレ無し
×:導体厚35μmの細線パターン部に塗膜のダレ有り(導体厚18μmの細線パターン部には塗膜のダレ無し)
(3)感度
上記試験片作製工程において、80℃、20分の予備乾燥を行った後の基板の塗膜上に、感度測定用ステップタブレット(コダック21段)を設置し、ステップタブレットを通してメイン波長が365nmの紫外線の照射光量を、積算光量計(「UV−351」、オ−ク(株)製)を用いて測定し、300mJ/cm2照射したものをテストピ−スとし、1質量%のNa2CO3水溶液を用い、2.0Kg/cm2のスプレー圧にて60秒間現像を行った後の露光部分の除去されない部分を、数字(ステップ数)で記録し、以下の基準にて評価した。
○:10ステップ以上
△:8〜9ステップ
×:7ステップ以下
上記試験片作製工程において、80℃、20分の予備乾燥を行った後の基板の塗膜上に、感度測定用ステップタブレット(コダック21段)を設置し、ステップタブレットを通してメイン波長が365nmの紫外線の照射光量を、積算光量計(「UV−351」、オ−ク(株)製)を用いて測定し、300mJ/cm2照射したものをテストピ−スとし、1質量%のNa2CO3水溶液を用い、2.0Kg/cm2のスプレー圧にて60秒間現像を行った後の露光部分の除去されない部分を、数字(ステップ数)で記録し、以下の基準にて評価した。
○:10ステップ以上
△:8〜9ステップ
×:7ステップ以下
(4)スプレー塗工性(塗膜外観)
上記試験片作製工程における予備乾燥後における塗膜表面の外観を、目視により観察し、以下の基準にて評価した。
◎:気泡、ゆず肌ともなく、レベリング性良好である
○:若干のゆず肌がある、またはCu箔付近のカバーリングが若干薄い
△:若干のゆず肌に加え、塗膜表面が若干失沢している
×:ゆず肌がある、またはスプレー塗工が不可である
上記試験片作製工程における予備乾燥後における塗膜表面の外観を、目視により観察し、以下の基準にて評価した。
◎:気泡、ゆず肌ともなく、レベリング性良好である
○:若干のゆず肌がある、またはCu箔付近のカバーリングが若干薄い
△:若干のゆず肌に加え、塗膜表面が若干失沢している
×:ゆず肌がある、またはスプレー塗工が不可である
(5)絶縁特性
導体厚18μm、L/S:100μm/100μmであるくし型導体パターン上に、上記試験片作製工程に準じて硬化塗膜を作製した。次いで、得られた基板を槽内温度121℃、槽内湿度97%に保たれた環境下にて、DC30V印加し、96時間投入した。その後、絶縁抵抗を、DC50V印加して測定し、以下の基準にて評価した。
◎:抵抗値が10Ω11以上
〇:抵抗値が10Ω9以上抵抗値が10Ω11未満
△:抵抗値が10Ω8以上抵抗値が10Ω9未満
×:抵抗値が10Ω8未満
導体厚18μm、L/S:100μm/100μmであるくし型導体パターン上に、上記試験片作製工程に準じて硬化塗膜を作製した。次いで、得られた基板を槽内温度121℃、槽内湿度97%に保たれた環境下にて、DC30V印加し、96時間投入した。その後、絶縁抵抗を、DC50V印加して測定し、以下の基準にて評価した。
◎:抵抗値が10Ω11以上
〇:抵抗値が10Ω9以上抵抗値が10Ω11未満
△:抵抗値が10Ω8以上抵抗値が10Ω9未満
×:抵抗値が10Ω8未満
(6)解像性(寸法精度)
上記試験片作製工程に準じ、Cu箔上にフォトマスク(ライン幅100μm)を介して形成した感光性樹脂組成物の露光部のライン幅を光学顕微鏡にて測定し、以下の基準にて評価した。
◎:ライン幅105μm以内
○:ライン幅105μm超110μm以内
△:ライン幅110μm超115μm以内
×:ライン幅115μm超
上記試験片作製工程に準じ、Cu箔上にフォトマスク(ライン幅100μm)を介して形成した感光性樹脂組成物の露光部のライン幅を光学顕微鏡にて測定し、以下の基準にて評価した。
◎:ライン幅105μm以内
○:ライン幅105μm超110μm以内
△:ライン幅110μm超115μm以内
×:ライン幅115μm超
(7)現像性(アルカリ現像性)
上記試験片作製工程の予備乾燥後の塗膜を、0.2MPaのスプレー圧にて現像(30℃、1質量%の炭酸ナトリウム現像液を使用)するのに必要な時間をブレークポイントとし、該時間を測定し、以下の基準にて評価した。
◎:ブレークポイント20秒未満
○:ブレークポイント20秒以上30秒未満
△:ブレークポイント30秒以上60秒未満
×:ブレークポイント60秒以上
上記試験片作製工程の予備乾燥後の塗膜を、0.2MPaのスプレー圧にて現像(30℃、1質量%の炭酸ナトリウム現像液を使用)するのに必要な時間をブレークポイントとし、該時間を測定し、以下の基準にて評価した。
◎:ブレークポイント20秒未満
○:ブレークポイント20秒以上30秒未満
△:ブレークポイント30秒以上60秒未満
×:ブレークポイント60秒以上
上記評価の結果を上記表1、2に示す。
上記表1に示すように、多塩基酸変性ラジカル重合性不飽和モノカルボン酸化エポキシ樹脂のカルボキシル基に、ラジカル重合性不飽和基とエポキシ基とを有するグリシジル化合物が反応した反応生成物であるカルボキシル基含有感光性樹脂((A)成分のカルボキシル基含有感光性樹脂)に対応する合成樹脂(A−1)に、上記一般式(I)で表される第4級アンモニウム塩に対応する塩化ステアリルベンジルジメチルアンモニウムで処理されたベントナイトである、(E)成分の第4級アンモニウム塩で処理されたベントナイトと、(A)成分のカルボキシル基含有感光性樹脂100質量部に対して約6.0質量部〜約18質量部の(F)疎水性シリカと、(G)フタロシアニングリーン系以外の着色顔料と、を配合した実施例1〜8では、厚さ18〜90μmの導体パターンに対し、スプレー塗工法にて、Wet膜厚100〜110μmと感光性樹脂組成物を厚く塗布しても、優れた感度を有し、ダレを防止でき、すなわち、優れた耐ダレ性が得られ、また、外観の優れた硬化塗膜を形成できた。さらに、実施例1〜8では、絶縁特性と解像性(寸法精度)とアルカリ現像性にも優れた硬化塗膜を得ることができた。特に、分散剤としてDisperbyk−102(ポリ(オキシエチレン)トリデシルエーテルリン酸塩)を用いた実施例8では、アルカリ現像性に優れた硬化塗膜を得ることができた。
また、実施例1〜8から、(E)成分の第4級アンモニウム塩で処理されたベントナイトの質量:(F)疎水性シリカの質量が、1.0:0.30〜3.0の範囲で配合されると、厚さ18〜90μmの導体パターンに対し、スプレー塗工法にてWet膜厚100〜110μmと感光性樹脂組成物を厚く塗布しても、優れた感度を有し、ダレを防止でき、また、塗膜外観、絶縁特性及び解像性(寸法精度)にも優れた硬化塗膜を得ることができた。
また、(A)成分のカルボキシル基含有感光性樹脂100質量部に対して、(F)疎水性シリカが約6.0質量部〜約13質量部、(E)成分の第4級アンモニウム塩で処理されたベントナイトが約9.0質量部〜約18質量部配合された実施例1〜5、8では、スプレー塗工法にてWet膜厚100〜110μmと厚く塗布された感光性樹脂組成物であっても、優れた感度を損なうことなく、厚さ60μmの導体パターンに対してもダレを防止でき、さらに、塗膜外観と絶縁特性と解像性とをバランス良く向上させることもできた。
また、実施例1、3〜8と実施例2から、フタロシアニンブルーよりもアントラキノンの配合量の方が多い、またはアントラキノンの配合量がフタロシアニンブルーの配合量と同等であると、解像性がさらに向上した。
一方で、上記表2に示すように、(G)成分以外の着色顔料、すなわち、フタロシアニングリーン系の着色顔料が配合された比較例1、5、6では、解像性(寸法精度)が得られなかった。また、(E)成分の第4級アンモニウム塩で処理されたベントナイトが配合されなかった比較例2、5では、抵抗値が10Ω8以上抵抗値が10Ω9未満と、優れた絶縁特性は得られず、スプレー塗工性も得られなかった。なお、カルボキシル基含有感光性樹脂にグリシジルメタクリレート骨格が導入されていない比較例2、7では、感度が得られなかった。
(F)疎水性シリカの代わりに親水性シリカが配合された比較例3では、耐ダレ性とスプレー塗工性が得られなかった。また、(F)疎水性シリカが、(A)成分のカルボキシル基含有感光性樹脂100質量部に対して約27質量部含まれる比較例4では、スプレー塗工性が得られなかった。また、(E)成分の第4級アンモニウム塩で処理されたベントナイトに代えて、塩化ジステアリルジメチルアンモニウムで処理されたベントナイトが配合された比較例6では、抵抗値が10Ω8以上抵抗値が10Ω9未満と、優れた絶縁特性は得られなかった。
本発明では、スプレー塗工法を用いて厚く塗布された感光性樹脂組成物であっても、優れた感度を有し、ダレを防止でき、外観に優れ、高解像性(高寸法精度)と絶縁特性を有する硬化塗膜を形成できるので、例えば、厚い導体パターンを有するプリント配線板にソルダーレジスト膜等の絶縁保護膜を設ける分野で利用価値が高い。
Claims (11)
- (A)1分子中にエポキシ基を2個以上有する多官能性エポキシ樹脂とラジカル重合性不飽和モノカルボン酸との反応生成物であるラジカル重合性不飽和モノカルボン酸化エポキシ樹脂の水酸基に、多塩基酸又はその無水物が反応した化合物である多塩基酸変性ラジカル重合性不飽和モノカルボン酸化エポキシ樹脂のカルボキシル基に、ラジカル重合性不飽和基とエポキシ基とを有するグリシジル化合物が反応した反応生成物であるカルボキシル基含有感光性樹脂と、
(B)光重合開始剤と、
(C)反応性希釈剤と、
(D)エポキシ化合物と、
(E)下記一般式(I)
[R1R2R3R4−N]+X- (I)
(式中、R1、R2、R3、R4は、それぞれ独立に、炭素数1〜25の飽和脂肪族炭化水素基、炭素数2〜25の不飽和脂肪族炭化水素基または置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基(ただし、R1、R2、R3、R4のうちの少なくとも1つは、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基である。)、Xは、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素からなる群から選択されたハロゲンを表す。)
で表される第4級アンモニウム塩で処理されたベントナイトと、
(F)疎水性シリカと、
(G)フタロシアニングリーン系以外の着色顔料と、
を含有し、
前記(F)疎水性シリカが、前記(A)成分のカルボキシル基含有感光性樹脂100質量部に対して5.0質量部〜20質量部含まれる感光性樹脂組成物。 - 前記(G)フタロシアニングリーン系以外の着色顔料が、フタロシアニンブルー系及びアントラキノン系からなる群から選択された少なくとも1種の化合物である請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
- 前記R1、R2、R3、R4のうちの1つが、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基である請求項1または2に記載の感光性樹脂組成物。
- 前記(E)成分の第4級アンモニウム塩で処理されたベントナイトが、前記(A)成分のカルボキシル基含有感光性樹脂100質量部に対して5.0質量部〜20質量部含まれる請求項1乃至3のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
- 前記(F)疎水性シリカが、前記(A)成分のカルボキシル基含有感光性樹脂100質量部に対して5.5質量部〜13.5質量部含まれ、前記(E)成分の第4級アンモニウム塩で処理されたベントナイトが、前記(A)成分のカルボキシル基含有感光性樹脂100質量部に対して8.0質量部〜18質量部含まれる請求項1乃至4のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
- 前記(E)成分の第4級アンモニウム塩で処理されたベントナイトの質量:前記(F)疎水性シリカの質量が、1.0:0.30〜3.0の範囲である請求項1乃至5のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
- 前記(F)疎水性シリカが、アルキルシリル基で修飾されているシリカである請求項1乃至6のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
- 前記第4級アンモニウム塩が、ステアリルベンジルジメチルアンモニウム塩である請求項1乃至7のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
- さらに、ポリ(オキシエチレン)トリデシルエーテルリン酸塩を含有する請求項1乃至8のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
- 請求項1乃至9のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物の光硬化物。
- 請求項1乃至9のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物の光硬化膜を有する配線板。
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JP2019178305A (ja) * | 2018-03-30 | 2019-10-17 | 太陽インキ製造株式会社 | 硬化性樹脂組成物、該組成物からなるドライフィルム、硬化物および該硬化物を有するプリント配線板 |
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JP2008257045A (ja) * | 2007-04-06 | 2008-10-23 | Taiyo Ink Mfg Ltd | 黒色ソルダーレジスト組成物およびその硬化物 |
JP2008299294A (ja) * | 2007-06-04 | 2008-12-11 | Taiyo Ink Mfg Ltd | 光硬化性・熱硬化性樹脂組成物及びそれを用いて得られるプリント配線 |
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-
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- 2018-06-14 JP JP2018113938A patent/JP6542435B2/ja active Active
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