JP5419618B2 - 感光性樹脂組成物、プリント配線板用のソルダーレジスト組成物およびプリント配線板 - Google Patents
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Description
(A)カルボキシル基含有感光性樹脂、
(B)下記一般式(I)で表わされるフェノール系化合物、
(C)下記一般式(II)で表わされる有機イオウ系化合物、
(D)光重合開始剤、(E)希釈剤、(F)エポキシ化合物、及び(G)着色剤を含有することを特徴とする。
(R3-S-CH2CH2COOCH2)4C・・・・(II)
(一般式(II)において、R3は、炭素数10〜20のアルキル基を示し、4個のR3は、同一でも異なっていてもよい。)
上記において、(A)カルボキシル基含有感光性樹脂100質量部に対して、(B)フェノール系化合物の含有量が0.1〜30質量部であり、(C)有機イオウ系化合物の含有量が0.1〜30質量部であることが好ましい。
(A)カルボキシル基含有感光性樹脂
カルボキシル基含有感光性樹脂としては、従来公知の感光性樹脂のうちカルボキシル基を含有するものであれば、いずれも使用することができる。写真現像法により、パターン形成する為に露光後の非露光領域を希アルカリ水溶液で除去する目的でカルボキシル基が含有される。それ自体に感光性の不飽和二重結合を1個以上有する感光性のカルボキシル基含有樹脂、および感光性の不飽和二重結合を有さないカルボキシル基含有樹脂のいずれも使用可能である。感光性の不飽和二重結合を有さないカルボキシル基含有樹脂については、熱硬化工程において、(F)成分であるエポキシ化合物の硬化剤として作用する。また、カルボキシル基含有感光性樹脂としては、芳香環を持つものを使用可能であるが、UV照射および加熱後の反射率の低下が小さく、加熱後の変色の問題を生じ難くする観点から、芳香環を持たないものが好ましい。
上記のエポキシ樹脂とラジカル重合性不飽和モノカルボン酸の反応において、エポキシ樹脂が有するエポキシ基1当量あたりラジカル重合性不飽和モノカルボン酸を0.7〜1.2当量反応させる事が好ましい。アクリル酸又はメタクリル酸の少なくとも一方を用いるときは、さらに好ましくは0.8〜1.0当量加えて反応させる。ラジカル重合性不飽和モノカルボン酸が0.7当量未満であると、後続の工程の合成反応時にゲル化を起こすことがあり、あるいは樹脂の安定性が低下する。また、ラジカル重合性不飽和モノカルボン酸が過剰であると未反応のカルボン酸が多く残存するため、硬化物の諸特性(例えば耐水性等)を低下させる恐れがある。エポキシ樹脂とラジカル重合性不飽和モノカルボン酸の反応は、加熱状態で行うのが好ましく、その反応温度は、80〜140℃であることが好ましい。反応温度が140℃を超えるとラジカル重合性不飽和モノカルボン酸が熱重合を起こし易くなり合成が困難になることがあり、また80℃未満では反応速度が遅くなり、実際の製造上好ましくないことがある。
そのほか、カルボキシル基含有感光性樹脂として、カルボキシル基含有ウレタン変性エポキシアクリレート樹脂である昭和高分子社製「リポキシSV−4」、日本化薬社製「カヤラックFLX−2062」等が挙げられる。
(B)フェノール系化合物
フェノール系化合物としては、下記一般式(I)で表わされるフェノール系化合物が使用される。
具体的には、例えば
3,9−ビス{2−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフエニル)プロピオニルオキシ]−1,1−ジメチルエチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、
3,9−ビス{2−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフエニル)プロピオニルオキシ]−1,1−ジメチルエチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、
3,9−ビス{2−[3−(3−iso−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフエニル)プロピオニルオキシ]1,1′−ジメチルエチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、
3,9−ビス{2−[3−(4−ヒドロキシ−5−メチルフエニル)プロピオニルオキシ]1,1′−ジメチルエチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、
3,9−ビス{2−[3−(3−t−ブチル−5−エチル−4−ヒドロキシフエニル)プロピオニルオキシ]1,1′−ジメチルエチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカンなどが挙げられる。
(C)有機イオウ系化合物
有機イオウ系化合物としては、下記一般式(II)で表わされる有機イオウ系化合物が使用される。
(R3-S-CH2CH2COOCH2)4C・・・・(II)
(一般式(II)において、R3は、炭素数10〜20のアルキル基を示し、4個のR3は、同一でも異なっていてもよい。)R3である炭素数10〜20のアルキル基としては、ラウリル基、ミリスチル基、パルミチル基、基、ステアリル基などが挙げられる。
(D)光重合開始剤
光重合開始剤としては、オキシム系開始剤、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン−n−ブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、アセトフェノン、ジメチルアミノアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノ−プロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−2−(ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、ベンゾフェノン、p−フェニルベンゾフェノン、4,4′−ジエチルアミノベンゾフェノン、ジクロルベンゾフェノン、2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−ターシャリーブチルアントラキノン、2−アミノアントラキノン、2−メチルチオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−クロルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、ベンジルジメチルケタール、アセトフェノンジメチルケタール、p−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド等が挙げられる。これらを単独または組み合わせて用いることができる。
(E)希釈剤
希釈剤は、光重合性モノマー及び有機溶剤の少なくとも1種からなる。光重合性モノマーは、反応性希釈剤ともいわれるもので、これは(A)感光性樹脂の光硬化を更に十分にして、耐酸性、耐熱性、耐アルカリ性などを有する塗膜を得るために使用するものである。反応性希釈剤は、1分子中に二重結合を少なくとも2個有する化合物が好ましく用いられる。(A)感光性樹脂を含有する組成物の粘度や乾燥性を調節するために非反応性希釈剤である有機溶剤を用いてもよいが、その必要がなければ有機溶剤を用いなくてもよい。また、上記(A)感光性樹脂のみの光硬化性で足りる場合には光重合性モノマーを用いなくてもよい。
(F)エポキシ化合物
エポキシ化合物としては、エポキシ系熱硬化性化合物の代表的なものとして、1分子中に少なくとも1個のエポキシ基、好ましくは2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂(エポキシオリゴマーを含む)が好適であるがこれに限らない。例えばビスフェノールAとエピクロルヒドリンとをアルカリの存在下に反応させて得られたビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールAとホルマリンとを縮合反応させて得られた樹脂のエポキシ化物、これらの樹脂において、ビスフェノールAの代わりにブロム化ビスフェノールAを用いたもの、ノボラック樹脂にエピクロルヒドリンを反応させてグリシジルエーテル化したノボラック型エポキシ樹脂(フェノールノボラック型エポキシ樹脂、o−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、p−tert−ブチルフェノールノボラック型など)、ビスフェノールFやビスフェノールSにエピクロルヒドリンを反応させて得られたビスフェノールF型やビスフェノールS型エポキシ樹脂、さらにシクロヘキセンオキシド基、トリシクロデカンオキシド基、シクロペンテンオキシド基などを有する脂環式エポキシ樹脂、フタル酸ジグリシジルエステル、テトラヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、ジグリシジル−p−ヒドロキシ安息香酸、ダイマー酸グリシジルエステルなどのグリシジルエステル樹脂、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、トリグリシジル−p−アミノフェノールなどのグリシジルアミン系樹脂、(プロピレン、ポリプロピレン)グリコールジグリシジルエーテル、ポリテトラメチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、レゾルシンジグリシジルエーテル、1,6ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、(エチレン、プロピレン)グリコールジグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ソルビタンポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテルなどのグリシジルエーテル樹脂、トリス(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレート、トリグリシジルトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート等のトリアジン環を有するトリグリシジルイソシアヌレート、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、アダマンタン型エポキシ樹脂などが挙げられる。
(G)着色剤
着色剤が白色の場合、ルチル結晶構造を有する酸化チタン粒子が有効であり、塗膜を白色化する。この粒子の平均粒径は特に限定されないが、1〜0.01μmであってよい。また、ルチル型酸化チタン粒子の表面処理剤も限定されるものではない。
以上の着色剤は、単独で用いても2以上混合することもできる。
本発明の組成物には、上記の成分(A)〜(G)のほかに、必要に応じてエポキシ樹脂用硬化剤として酸無水物などを含有させることができる。
酸無水物化合物としては、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸等の芳香族酸無水物類、無水テトラヒドロフタル酸、無水メチルテトラヒドロフタル酸等の環状脂肪族酸無水物が挙げられる。白色度の観点から、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水メチルヘキサヒドロフタル酸等の水素化された環状脂肪族酸無水物が好ましい。
(組成物の製造およびソルダーレジストの形成)
上記(A)〜(G)、および必要に応じてその他の成分が混合され、必要に応じて三本ロール、ボールミル、サンドミル等の混練手段、あるいはスーパーミキサー、プラネタリーミキサー等の攪拌手段により混練または混合され、本発明の感光性樹脂組成物が得られる。
表1に示すように、下記の質量比で各成分を混合してソルダーレジスト組成物を作製した。
(A)感光性樹脂(ダイセル化学工業社製、サイクロマーP(ACA)Z-250)100質量部
(B)フェノール系化合物(住友化学工業社製、スミライザーGA−80)10質量部
(C)有機イオウ系化合物(住友化学工業社製、スミライザーTP−D)1質量部
(D)アルキルフェノン系光重合開始剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、イルガキュア907)12.5質量部
(D)フォスフィンオキサイド系光重合開始剤(シイベルヘグナー社製、スピードキュアTPO)0.75質量部
(E)希釈剤(DPHA) 15質量部
(F)エポキシ化合物(DIC社製、EPICRON860)25質量部
(G)ルチル型酸化チタン(石原産業社製、R−680)50質量部
(他の成分)
消泡剤(信越シリコーン社製 KS‐66)1質量部
チクソ剤(日本アエロジル社製 AEROSIL R‐974)1質量部
DICY‐7(ジャパンエポキシレジン社製)1質量部
メラミン(日産化学社製)2質量部
EDGAC(ダイセル化学工業社製)20質量部
硫酸バリウム(堺化学工業社製、B−34)10質量部
(実施例2〜5)
実施例1において、表1に示すように、(B)フェノール系化合物と(C)有機イオウ系化合物の含有量を変更した以外は、実施例1と同じ方法でソルダーレジスト組成物を作製した。
(比較例1)
実施例2において、表1に示すように、(C)有機イオウ系化合物を使用しないこと以外は、実施例2と同じ方法でソルダーレジスト組成物を作製した。
実施例2において、表1に示すように、(C)有機イオウ系化合物を住友化学工業社製、スミライザーTMPに変えること以外は、実施例2と同じ方法でソルダーレジスト組成物を作製した。
実施例2において、表1に示すように、(C)有機イオウ系化合物をチバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、イルガノックスPS800FDに変えること以外は、実施例2と同じ方法でソルダーレジスト組成物を作製した。
実施例2において、表1に示すように、(B)フェノール系化合物を使用しないこと以外は、実施例2と同じ方法でソルダーレジスト組成物を作製した。
実施例2において、表1に示すように、(B)フェノール系化合物をチバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、イルガノックス1010に変えること以外は、実施例2と同じ方法でソルダーレジスト組成物を作製した。
実施例2において、表1に示すように、(B)フェノール系化合物をチバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、イルガノックス1098に変えること以外は、実施例2と同じ方法でソルダーレジスト組成物を作製した。
実施例2において、表1に示すように、(B)フェノール系化合物と(C)有機イオウ系化合物の何れも使用しないこと以外は、実施例2と同じ方法でソルダーレジスト組成物を作製した。
実施例および比較例の各配合物を3本ロールで混合分散させて、感光性樹脂組成物を調製した。この組成物の塗膜の評価結果を、組成と併せて表1に示す。評価をする際の基板作製工程は以下の通りである。
表面処理: バフ研磨
DRY膜厚: 20〜23μm
予備乾燥: 70℃−20分(BOX炉内25分)
露光 : レジスト上: 400mJ/cm2 (オーク社製HMW−680GW)
現像 : 1%Na2CO3−30℃−0.1MPa−60秒
ポストキュア: 150℃−60分(BOX炉内70分)
(2)反射率の測定
反射率は、分光光度計U−3410((株)日立製作所製:φ60mm積分球)にて、500nmにおける反射率を測定した。照射後:UV照射(50J)後硬化塗膜の反射率を測定した。加熱後:170℃で100時間加熱後硬化塗膜の反射率を測定した。
260℃で5分間加熱後硬化塗膜の変色を目視にて評価した。○:変色なし、△:変色が若干認められる、×:黄変の基準で評価した。
はんだ耐熱性は、試験片の硬化塗膜を、JIS C−6481の試験方法に従って、260℃のはんだ槽に30秒間浸せき後、セロハンテープによるピーリング試験を1サイクルとし、これを1〜3回繰り返した後の塗膜状態を目視により観察し、以下の基準に従って評価した。
◎:3サイクル繰り返し後も塗膜に変化が認められない○:3サイクル繰り返し後の塗膜にほんの僅か変化が認められる△:2サイクル繰り返し後の塗膜に変化が認められる×:1サイクル繰り返し後の塗膜に剥離が認められる。
電気特性はIPC−TM−650のIPC−SM840B B−25テストクーポンのくし形電極を用い、85℃、85%R.H.で200時間加湿した後の絶縁抵抗を、DC50Vを印加して測定した。
(6)アルカリ現像性
予備乾燥条件を80℃100分間で行った後、現像処理(1%Na2CO3−30℃−0.1MPa−60秒)することによって、導体上のレジスト残渣を目視で評価した。○:残渣なし、△:若干残渣が認められる、×:残渣ありの基準で評価した。
Claims (4)
- (A)カルボキシル基含有感光性樹脂100質量部に対して、(B)フェノール系化合物の含有量が0.1〜30質量部であり、(C)有機イオウ系化合物の含有量が0.1〜30質量部である請求項1記載の感光性樹脂組成物。
- 請求項1又は2記載の感光性樹脂組成物からなることを特徴とする、プリント配線板用ソルダーレジスト組成物。
- 請求項3記載のプリント配線板用ソルダーレジスト組成物の硬化物からなるソルダーレジストが形成されているプリント配線板。
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