JP5942368B2 - 着色樹脂組成物、カラーフィルタ、液晶表示装置及び有機el表示装置 - Google Patents
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Description
例えば、カラー液晶表示装置には、一例として、ブラックマトリックス、複数の色(通常、赤(R)、緑(G)、青(B)の3原色)からなる着色層、透明電極及び配向層を備えたカラーフィルタ基板と、薄膜トランジスタ(TFT素子)、画素電極及び配向層を備えた対向電極基板と、これら両基板を所定の間隙を持たせて対向させ、シール部材で密封して、上記間隙に液晶材料を注入して形成された液晶層とから概略構成された透過型の液晶表示装置がある。又、上記カラーフィルタの基板と着色層との間に反射層を設けた反射型の液晶表示装置もある。
又、(2)の白色有機ELとカラーフィルタとの組み合わせ方式及び(3)のCCM方式は、同じ色に発光する有機EL素子を一種類使用すればよいので、上記(1)の方式の有機EL表示装置におけるように、各色の有機EL素子の特性を揃える必要が無く、工程数及び材料の削減等が可能となり、製造コスト面でも注目を集めているフルカラー化方式である。
更に、光学特性が満たされても、製版特性が不十分であるとカラーフィルタが作成できない。その為、光学特性に加えて、更に製版特性の両立も必要で、該製版特性の中でも密着性の向上が特に求められている。
一方で着色剤として染料を使用したカラーフィルタも依然開発が進められている。例えば特許文献1には、シー・アイ・アシッド・ブルー83(トリアリルアミン系色素)と、シー・アイ・ソルベント・ブルー67(銅フタロシアニン系色素)を含む青色フィルタ層を設けたカラーフィルタが記載されている。
耐熱性の向上の方法としては、染料分子の構造を修飾することが主流であり、例えば、特許文献1〜3では、トリアリールメタン系色素や銅フタロシアニン系色素を分子修飾したことが記載されている。
この一つの方法として、例えば、特許文献4では、着色樹脂組成物に酸化防止剤を含有することが記載されている。
本発明者は、輝度に優れたカラーフィルタの画素を提供することができ、かつ前述したカラーディスプレイ製造工程で要求される耐熱性をも満たす着色樹脂組成物を提供することを目的とする。また、このような着色樹脂組成物を用いることにより、画素の色純度及び透過率に優れたカラーフィルタ、及び色純度のよい液晶表示装置並びに有機EL表示装置を提供することを目的とする。
更に、本発明者らは、鋭意検討を行った結果、染料を含む着色樹脂組成物において、酸
化防止剤と特定の化合物とを含有することで、上記課題を解決することを見出して、本発明に到達した。
なお、本発明において「(メタ)アクリル」、「(メタ)アクリレート」等は、「アクリル及び/又はメタクリル」、「アクリレート及び/又はメタクリレート」等を意味するものとし、例えば「(メタ)アクリル酸」は「アクリル酸及び/又はメタクリル酸」を意味するものとする。
本発明における「色材」は、「染料」及び「顔料」の双方を意味するものとする。
更に、「芳香族環」とは、「芳香族炭化水素環」及び「芳香族複素環」の双方を意味するものとする。
本発明は、(A)染料、(B)溶剤、及び(C)バインダー樹脂を含有する着色樹脂組成物であって、更に、(D)酸化防止剤と、(E)亜リン酸エステル及び/又は(F)チオエステルとを含有する、着色樹脂組成物である。
先ず、本発明の着色樹脂組成物に含有される、(D)酸化防止剤について詳説する。
本発明における(D)酸化防止剤は、本発明の効果を損わない限り、任意の成分を用いてもよいが、着色樹脂組成物中の他の成分との相溶性が高い点、及び入手が容易である点で、下記式(I)で表される化合物であること好ましい。
Lは、水素原子、炭素原子、硫黄原子、置換基を有していてもよい芳香族環基又は置換基を有していてもよい複素環基を表す。
Zは、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキレン基及び/又はエステル結合からなる2価の基である。
mは、1〜4の整数を表す。
また、一分子中に含まれる複数の
*は、Lとの結合部位を表す。)
(R1及びR2について)
R1及びR2は、各々独立に、置換基を有していてもよい炭素数1〜12のアルキル基を表す。
また、炭素数は、好ましくは1〜20、更に好ましくは3〜10である。
(Lについて)
Lは、水素原子、炭素原子、硫黄原子、置換基を有していてもよい芳香族環基、又は置換基を有していてもよい複素環を表す。
Lにおける芳香族環としては、芳香族炭化水素環及び芳香族複素環が挙げられる。
芳香族炭化水素環としては、単環であっても縮合環であってもよく、環を形成する炭素数が5〜10であれば特に制限はないが、例えば、m価の遊離原子価を有する、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ペリレン環、テトラセン環、ピレン環、ベンズピレン環、クリセン環、トリフェニレン環、アセナフテン環、フルオランテン環、フルオレン環などなどが挙げられる。
尚、本発明における遊離原子価については、「有機化学・生化学命名法 上」(南江堂、1992年5月20日発行、平山健三、平山和雄訳著、11−12頁)の記載に基づくものである。
複素環基は、ヘテロ原子として窒素原子、硫黄原子及び酸素原子のいずれか一つを含む非芳香族環である。
複素環基が炭素以外の環を構成する原子を複数有する場合、これらは同一であっても異なっていてもよい。
前記Lにおける芳香族環及び複素環の中で、着色樹脂組成物中のバインダー樹脂などとの相溶性に優れる点、及び合成が容易である点で、下記<群A>で表される環が特に好ましい。
但し、各環において、*の少なくとも一つは、Zとの結合部位を表す。)
また、Zは、炭素数1〜10のアルキレン基及び/又はエステル結合からなる2価の基である。
組み合わされた基としては、例えば、−CH2−C(=O)O−CH2−、などの基も含まれる。
Zの構成原子数は、30以下であることが好ましい。
前記式(I)中のベンゼン環は、R1、R2、−OH、及びZ以外に、任意の置換基を有していてもよいが、ラジカルとの結合力が高い点で、置換基を有していない場合が好ましい。
(置換基群W)
フッ素原子、塩素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数2〜8のアルケニル基、炭素数1〜8のアルコキシル基、フェニル基、メシチル基、トリル基、ナフチル基、シアノ基、アセチルオキシ基、炭素数2〜9のアルキルカルボキシル基、スルホン酸アミド基、炭素数2〜9のスルホンアルキルアミド基、炭素数2〜9のアルキルカルボニル基、フェネチル基、ヒドロキシエチル基、アセチルアミド基、炭素数1〜4のアルキル基が結合してなるジアルキルアミノエチル基、トリフルオロメチル基、炭素数1〜8のトリアルキルシリル基、ニトロ基、炭素数1〜8のアルキルチオ基。
前記式(I)中のmは、1〜4の整数を表す。
溶剤に対する溶解性が高く、更に本発明の効果が得られ易い点から、mは2〜4であることが好ましい。
(式(I’)について)
前記式(I)で表される化合物は、更に、下記式(I’)で表される化合物であることが好ましい。
n1は、1〜10の整数を表す。
l1は、0〜5の整数を表す。
上記式中のベンゼン環は、R1及びR2、−OH、並びに−(CH2)n 1−以外に、任意の置換基を有していてもよい。
尚、n1及びl1が、各々1以上である場合、その順番は順不同であってもよい。
*は、Lとの結合部位を表す。)
(n1について)
n1は、1〜10の整数を表す。
バインダー樹脂等との相溶性が高い点から、好ましくは1〜5である。
l1は、0〜5の整数を表す。
バインダー樹脂等との相溶性が高い点から、好ましくは0〜1である。
尚、n1及びl1が、各々1以上である場合、その順番は順不同であってもよい。これは、例えば、−CH2−C(=O)O−CH2−であってもよいことを意味する。
(分子量)
本発明における(D)酸化防止剤の分子量は、通常90〜3000、好ましくは150〜2000、更に好ましくは250〜1300である。上記範囲内であると、ラジカルとの結合力が高い点で好ましい。
前記式(I)で表される化合物中、好ましい具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明における酸化防止剤の含有量は、着色樹脂組成物の固形分中、通常0.1〜6.0重量%、好ましくは0.2〜4.0重量%、更に好ましくは0.25〜3.0重量%で
ある。上記範囲内であると、着色樹脂組成物中に良好に分散し、不要成分の析出が少なく、得られるカラーフィルタの色特性に影響を与え難い点で好ましい。
本発明の着色樹脂組成物は、(E)亜リン酸エステル及び/又は(F)チオエステルを含有する。
まず、(E)亜リン酸エステルについて説明をする。
(1.(E)亜リン酸エステルについて)
本発明における亜リン酸エステルは、下記式(II)で表される化合物である。
また、R11〜R13は、互いに結合して環を形成していてもよい。)
R11〜R13は、各々独立に、置換基を有していてもよい炭素数1〜12のアルキル基、置換基を有していてもよい芳香族環基又は置換基を有していてもよい複素環基を表す。
また、R11〜R13における、芳香族環及び複素環基としては、前記(Lについて)の項で記載のものが挙げられる。好ましい態様も同様である。
更に、R11〜R13は、互いに結合して形成される環としては、例えば、下記部分構造が挙げられるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
更に、式(II)で表される化合物は、例えば、R11〜R13のいずれかで結合して、2量体や3量体を形成していてもよい。
(1−1.分子量)
本発明における亜リン酸エステルの分子量は、通常80〜2000、好ましくは150〜1500、更に好ましくは300〜900である。上記範囲内であると、高い酸化作用を示す点で好ましい。
本発明における亜リン酸エステルの好ましい具体例を以下に示すが、本発明はこれらに
限定されるものではない。
亜リン酸エステルを併用することで、密着性が向上する理由は、後述の[効果を奏する理由]と同様で、発生したラジカルを染料が受け入れるのを防ぎ、膜の硬化性を向上するものと推測される。
本発明のチオエステルは、本発明の効果を損わない限り、特に制限はなく、公知の材料を用いることができるが、着色樹脂組成物中での他の成分との相溶性が高い点、及び入手が容易であるという点で、下記式(III)で表される化合物であることが好ましい。
また、R22は、直接結合、置換基を有していてもよい炭素数1〜18のアルキル基、置換基を有していてもよい芳香族環基又は置換基を有していてもよい複素環基を表す。
lは、1〜3の整数を表す。
mは、1〜4の整数を表す。
また、一分子中に含まれる複数の
*は、X1との結合部位を表す。)
(2−2.R21〜R23について)
R21は、置換基を有していてもよい炭素数4〜18のアルキル基、又は、―(CH2)2―CO−O−R23(R23は、置換基を有していてもよい炭素数4〜18のアルキル基を表す。)
また、R22は、置換基を有していてもよい炭素数4〜18のアルキレン基、置換基を有していてもよい芳香族環基、又は置換基を有していてもよい複素環基を表す。
また、R22における芳香族環及び複素環基としては、前記(Lについて)の項で記載のものが挙げられる。好ましい態様も同様である。
(2−3.X1及びmについて)
X1は、水素原子、炭素原子、又は硫黄原子を表す。
つまり、X1が水素原子である場合、mは1で、X1が硫黄原子である場合、mは最大2、X1が炭素原子である場合、mは最大4である。
X1は、式(III)における括弧でくくられた部分構造以外に水素原子又は任意の置換基と結合していてもよい。但し、前記式(III)で表される化合物において、X1に結合している括弧でくくられた部分構造が効果を発現する部位である。その為、mは、X1で選択された原子に対して最大数の結合を形成することが、効果発現の点から好ましい。
前記式(III)におけるlは、1〜3の整数を表す。
(2−5.式(III−1)について)
前記式(III)で表される化合物は、直鎖状構造を持つことで分子同士の凝集が抑制され、着色樹脂組成物中で均一に分散した状態で存在することで、効率の良い効果発現が期待できることから、更に下記式(III−1)で表される化合物であることが好ましい。
R23及びR24は、置換基を有していてもよい炭素数4〜18のアルキル基を表す。
アルキル基として、着色樹脂組成物中での他の成分との相溶性が高い点で、直鎖アルキルが好ましい。
(2−6.分子量について)
本発明における(F)チオエステルの分子量は、通常60〜3000、好ましくは100〜200、更に好ましくは150〜1200である。上記範囲内であると、高い酸化作用を示す点で好ましい。
本発明における(F)チオエステルの好ましい具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明における、(E)亜リン酸エステル及び(F)チオエステルの(D)酸化防止剤に対する含有量は、着色樹脂組成物の固形分中、通常0.05〜6.0重量%、好ましくは0.2〜4.0重量%、更に好ましくは0.25〜3.0重量%である。上記範囲内であると、樹脂組成物中に良好に分散し,不要成分の析出がない点および色特性に影響を与えない点で好ましい。
また、本発明の着色樹脂組成物は、前記(F)亜リン酸エステルと前記(F)チオエステルとを併用してもよい。このように併用する場合も、着色樹脂組成物中の含有量が上記範囲内となるようにすればよい。
本発明の構成とすることで、効果を奏する理由について、特に、(D)酸化防止剤がフェノール系酸化防止剤(前記式(I)で表される化合物)の場合を例に挙げて、以下の通り推測する。
本発明におけるフェノール系酸化防止剤は、着色樹脂組成物中で発生したROO・(ROOのラジカル)を有する化合物にH・を渡す。
しかしながら、フェノール系酸化防止剤のみでは効果が殆ど無かった理由は、ROO・とフェノール系酸化防止剤の反応速度よりも、ROO・と染料の反応速度の方が圧倒的に速いためである。
(E)亜リン酸エステル及び(F)チオエステルはフェノール系の酸化防止剤と同様に、ROO・と反応して、反応性の低いRO・を生成することで効果を発揮する。しかしながら、(E)亜リン酸エステル及び(F)チオエステルはフェノール系に比べてROO・との反応性が低いために、これらを単独で用いても、得られる効果が低い。
この様に、酸化防止剤を混合することで、染料の酸化、すなわち退色反応が抑制されるために、本発明の着色樹脂組成物を用いて形成される画素を含むカラーフィルタは、輝度が高く、またコントラストに優れたものになる。
更に、本発明の着色樹脂組成物を用いて形成された画素は、密着性も良好なものである。
本発明における(A)染料は、本発明の効果を損わない限り特に制限はないが、例えば、アゾ系染料、アントラキノン系染料、フタロシアニン系染料、キノンイミン系染料、キノリン系染料、ニトロ系染料、カルボニル系染料、メチン系染料、シアニン系染料、トリアリールメタン系染料等が好ましく挙げられる。
この他、フタロシアニン系染料として、例えば、C.I.パッドブルー5等が、キノンイミン系染料として、例えば、C.I.ベーシックブルー3,C.I.ベーシックブルー9等が、キノリン系染料として、例えば、C.I.ソルベントイエロー33,C.I.アシッドイエロー3,C.I.ディスパースイエロー64等が、ニトロ系染料として、例えば、C.I.アシッドイエロー1,C.I.アシッドオレンジ3,C.I.ディスパースイエロー42等が挙げられる。
4号パンフレットなどに記載のものが挙げられる。
更に、シアニン系染料としては、例えば、特願2010−142748に記載のものが挙げられ、好ましい態様も同様である。
本発明の着色樹脂組成物は、(A)染料以外にも、その他の色材を併用することが出来る。その他の色材としては、染顔料が使用できるが、耐熱性及び耐光性等が良好である点から(J)顔料が好ましい。
本発明の着色樹脂組成物中の全色材の含有量、つまり、前記(A)染料及びその他の色材の総含有量は、全固形分に対し、通常、1〜50重量%であるが、好ましくは3〜40重量%、より好ましくは5〜30重量%である。
上記範囲内であると、色濃度に対して膜厚が適度であり、液晶セル化の際のギャップ制御が容易である。更に、分散安定性が高く、再凝集や増粘などが置き難いため好ましい。
(B)溶剤は、本発明において、上記成分のほか、場合により配合したこれら以外の成分等を溶解又は分散させ、粘度を調節する機能を有する。
(B)溶剤としては、特に制限がなく、各成分を溶解又は分散させることができるものであればよい。このような溶剤としては、例えば国際公開第2009/107734号パンフレット等に記載の溶剤等が挙げられる。本発明における(B)溶剤に該当する市販のものも同様である。
尚、本発明の着色樹脂組成物全体に占める溶剤の含有量は、特に制限されないが、その上限は通常99重量%以下とし、塗布に適した粘性等をも考慮すれば、好ましくは50重量%以上、より好ましくは60重量%以上、特に好ましくは70重量%以上である。
(C)バインダー樹脂は、硬化手段により好ましい樹脂は異なる。
本発明の着色樹脂組成物が光重合性樹脂組成物である場合、(C)バインダー樹脂としては、例えば特開平7−207211号、特開平8−259876号、特開平10−300922号、特開平11−140144号、特開平11−174224号、特開2000−56118号、特開2003−233179号などの各公報等に記載される高分子化合物を使用することができるが、中でも好ましくは下記(C−1)〜(C−5)の樹脂などが挙げられる。
(C−2):カルボキシル基含有直鎖状アルカリ可溶性樹脂(C−2)(以下、「樹脂(C−2)」と称す場合がある。)
(C−3):前記樹脂(C−2)のカルボキシル基部分に、エポキシ基含有不飽和化合物を付加させた樹脂(以下「樹脂(C−3)」と称す場合がある。)
(C−4):(メタ)アクリル系樹脂(以下、「樹脂(C−4)」と称す場合がある。)
(C−5):カルボキシル基を有するエポキシアクリレート樹脂(以下「樹脂(C−5)と称す場合がある。)
このうち特に好ましくは樹脂(C−1)が挙げられ、以下該樹脂について説明する。
(C−1):エポキシ基含有(メタ)アクリレートと、他のラジカル重合性単量体との共重合体に対し、該共重合体が有するエポキシ基の少なくとも一部に不飽和一塩基酸を付加させてなる樹脂、或いは該付加反応により生じた水酸基の少なくとも一部に多塩基酸無水物を付加させて得られるアルカリ可溶性樹脂
樹脂(C−1)の特に好ましい樹脂の一つとして、エポキシ基含有(メタ)アクリレート5〜90モル%と、他のラジカル重合性単量体10〜95モル%との共重合体に対し、該共重合体が有するエポキシ基の10〜100モル%に不飽和一塩基酸を付加させてなる樹脂、或いは該付加反応により生じた水酸基の10〜100モル%に多塩基酸無水物を付加させて得られるアルカリ可溶性樹脂が挙げられる。
R96とR98が連結して形成される環は、脂肪族環であるのが好ましく、飽和又は不飽和のいずれでもよく、更に炭素数は5〜6であることが好ましい。
中でも、式(8)で表される構造中、特に下記構造式(8a)、(8b)、又は(8c)で表されるものが好ましい。
前記式(8)で表される構造を有するモノ(メタ)アクリレート以外の、「他のラジカ
ル重合性単量体」としては、得られる画素の耐熱性及び強度を向上しうる点で、スチレン、(メタ)アクリル酸−n−ブチル、(メタ)アクリル酸−tert−ブチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸イソボロニル、(メタ)アクリル酸アダマンチル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、が挙げられる。
尚、前記エポキシ基含有(メタ)アクリレートと、前記他のラジカル重合性単量体との共重合反応には、公知の溶液重合法が適用される。
本発明において、前記エポキシ基含有(メタ)アクリレートと前記他のラジカル重合性単量体との共重合体としては、エポキシ基含有(メタ)アクリレートに由来する繰返し単位5〜90モル%と、他のラジカル重合性単量体に由来する繰返し単位10〜95モル%と、からなるものが好ましく、前者20〜80モル%と、後者80〜20モル%とからなるものが更に好ましく、前者30〜70モル%と、後者70〜30モル%とからなるものが特に好ましい。
上記の様に合成された、エポキシ基含有共重合体のエポキシ基部分に、不飽和一塩基酸(重合性成分)と、更に多塩基酸無水物(アルカリ可溶性成分)とを反応させる。
ここで、エポキシ基に付加させる不飽和一塩基酸としては、公知のものを使用することができ、例えば、エチレン性不飽和二重結合を有する不飽和カルボン酸が挙げられる。
これらの不飽和一塩基酸は、通常、前記共重合体が有するエポキシ基の10〜100モル%に付加させるが、好ましくは30〜100モル%、より好ましくは50〜100モル%に付加させる。前記範囲内であると、着色樹脂組成物の経時安定性に優れるため好ましい。尚、共重合体のエポキシ基に不飽和一塩基酸を付加させる方法としては、公知の方法を採用することができる。
例えば、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水イタコン酸、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水クロレンド酸等の二塩基酸無水物;無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、ビフェニルテトラカルボン酸無水物等の三塩基以上の酸の無水物が挙げられる。中でも、無水コハク酸及びテトラヒドロ無水フタル酸が好ましい。これらの多塩基酸無水物は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの多塩基酸無水物は、通常、前記共重合体が有するエポキシ基に、不飽和一塩基酸を付加させることにより生じる水酸基の10〜100モル%に付加させるが、好ましく
は20〜90モル%、より好ましくは30〜80モル%に付加させる。
更に、光感度を向上させるために、前述の多塩基酸無水物を付加させた後、生成したカルボキシル基の一部にグリシジル(メタ)アクリレートや重合性不飽和基を有するグリシジルエーテル化合物を付加させてもよい。このような樹脂の構造に関しては、例えば特開平8−297366号公報や特開2001−89533号公報に記載されている。
(C)バインダ樹脂の含有量は、全固形分中、通常0.1〜80重量%、好ましくは1〜60重量%である。
上記範囲内であると、基板への密着性が良好であり、また露光部への現像液の浸透性が適度で、画素の表面平滑性や感度が良好である点で好ましい。
本発明の着色樹脂組成物は、(G)重合性モノマーを含有することが好ましい。(G)重合性モノマーは、重合可能な低分子化合物であれば特に制限はないが、エチレン性二重結合を少なくとも1つ有する付加重合可能な化合物(以下、「エチレン性化合物」と言う場合がある。)が好ましい。
(G)重合性モノマーにおけるエチレン性化合物としては、例えば、(メタ)アクリル酸等の不飽和カルボン酸;モノヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステル;脂肪族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステル;芳香族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステル;不飽和カルボン酸と多価カルボン酸及び前述の脂肪族ポリヒドロキシ化合物、芳香族ポリヒドロキシ化合物等の多価ヒドロキシ化合物とのエステル化反応により得られるエステル;ポリイソシアネート化合物と(メタ)アクリロイル基含有ヒドロキシ化合物とを反応させたウレタン骨格を有するエチレン性化合物;等が挙げられる。
スリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。また、これら(メタ)アクリル酸エステルの(メタ)アクリル酸部分を、イタコン酸部分に代えたイタコン酸エステル、クロトン酸部分に代えたクロトン酸エステル、或いは、マレイン酸部分に代えたマレイン酸エステル等が挙げられる。
不飽和カルボン酸と多価カルボン酸及び多価ヒドロキシ化合物とのエステル化反応により得られるエステルは、必ずしも単一物ではなく、混合物であってもよい。代表例としては、(メタ)アクリル酸、フタル酸、及びエチレングリコールの縮合物;(メタ)アクリル酸、マレイン酸、及びジエチレングリコールの縮合物;(メタ)アクリル酸、テレフタル酸、及びペンタエリスリトールの縮合物;(メタ)アクリル酸、アジピン酸、ブタンジオール、及びグリセリンの縮合物等が挙げられる。
これらの中では脂肪族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステルが好ましく、ペンタエリスリトール又はジペンタエリスリトールの(メタ)アクリル酸エステルがより好ましく、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートが特に好ましい。
また、必要に応じて(G)重合性モノマーとして酸基を有しない多官能モノマーと酸基を有する多官能モノマーを併用してもよい。
酸基を有する多官能モノマーの好ましい酸価としては、0.1〜40mg−KOH/gであり、特に好ましくは5〜30mg−KOH/gである。
本発明において、より好ましい酸基を有する多官能モノマーは、例えば、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートのコハク酸エステルを主成分とする混合物である。この多官能モノマーと他の多官能モノマーを組み合わせて使用することもできる。
上記範囲内であると、光硬化が適度であり、現像時の密着不良が起き難く、また現像後の断面が逆テーパー形状になり難く、更に溶解性低下による剥離現象・抜け不良が起き難いため好ましい。
本発明の着色樹脂組成物は、塗膜を硬化させる目的で、(H)光重合開始成分及び/又は熱重合開始成分を含むことが好ましい。ただし、硬化の方法はこれらの開始剤によるもの以外でもよい。
特に、本発明の着色樹脂組成物が、(C)成分としてエチレン性二重結合を有する樹脂を含む場合や、(G)成分としてエチレン性化合物を含む場合には、光を直接吸収し、又は光増感されて分解反応又は水素引き抜き反応を起こし、重合活性ラジカルを発生する機能を有する光重合開始成分及び/又は熱によって重合活性ラジカルを発生する熱重合開始成分を含有することが好ましい。なお、本発明において光重合開始成分としての(H)成分とは、光重合開始剤(以下、任意に(H1)成分と称する)に重合加速剤(以下、任意に(H2)成分と称する)、増感色素(以下、任意に(H3)成分と称する)などの付加剤が併用されている混合物を意味する。
本発明の着色樹脂組成物に含有されていてもよい。光重合開始成分は、通常、(H)光重合開始剤、及び必要に応じて添加される(H3)増感色素、(H2)重合加速剤等の付加剤との混合物として用いられ、光を直接吸収し、或いは光増感されて分解反応又は水素引き抜き反応を起こし、重合活性ラジカルを発生する機能を有する成分である。
これら光重合開始剤の中では、α−アミノアルキルフェノン誘導体類、オキシムエステル系誘導体類、ビイミダゾール誘導体類、アセトフェノン誘導体類、及びチオキサントン誘導体類がより好ましい。
その他に、ベンゾインアルキルエーテル類、アントラキノン誘導体類;2−メチル−(4’−メチルチオフェニル)−2−モルホリノ−1−プロパノン等のアセトフェノン誘導体類、2−エチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン等のチオキサントン誘導体類、安息香酸エステル誘導体類、アクリジン誘導体類、フェナジン誘導体類、アンスロン誘導体類等も挙げられる。
必要に応じて用いられる(H2)重合加速剤としては、例えば、N,N−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル等のN,N−ジアルキルアミノ安息香酸アルキルエステル類;2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール等の複素環を有するメルカプト化合物;脂肪族多官能メルカプト化合物等のメルカプト化合物類等が挙げられる。
また、必要に応じて感応感度を高める目的で、(H3)増感色素が用いられる。増感色素は、画像露光光源の波長に応じて、適切なものが用いられるが、例えば特開平4−221958号、特開平4−219756号各公報等に記載のキサンテン系色素;特開平3−239703号、特開平5−289335号各公報等に記載の複素環を有するクマリン系色素;特開平3−239703号、特開平5−289335号各公報等に記載の3−ケトクマリン系色素;特開平6−19240号公報等に記載のピロメテン系色素;特開昭47−2528号、特開昭54−155292号、特公昭45−37377号、特開昭48−84183号、特開昭52−112681号、特開昭58−15503号、特開昭60−88005号、特開昭59−56403号、特開平2−69号、特開昭57−168088号、特開平5−107761号、特開平5−210240号、特開平4−288818号各公報等に記載のジアルキルアミノベンゼン骨格を有する色素等が挙げられる。
本発明の着色樹脂組成物において、これらの(H)光重合開始成分の含有量は、全固形分中、通常0.1重量%以上、好ましくは0.2重量%以上、更に好ましくは0.5重量%以上、また、通常40重量%以下、好ましくは30重量%以下、更に好ましくは20重量%以下の範囲である。この含有量が著しく低いと、露光光線に対する感度が低下する原因となることがあり、反対に著しく高いと、未露光部分の現像液に対する溶解性が低下し、現像不良を誘起することがある。
本発明の着色樹脂組成物に含有されていてもよい熱重合開始成分(熱重合開始剤)の具体例としては、アゾ系化合物、有機過酸化物及び過酸化水素等が挙げられる。これらのうち、アゾ系化合物が好適に用いられる。より具体的には、例えば国際公開第2009/107734号パンフレット等に記載の熱重合開始剤を用いることができる。
これらの熱重合開始剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の着色樹脂組成物は、前記各成分の外に、界面活性剤、有機カルボン酸及び/又は有機カルボン酸無水物、熱硬化性化合物、可塑剤、前記本発明に係る前述の(A)染料以外の染料、熱重合防止剤、保存安定剤、表面保護剤、密着向上剤、現像改良剤等を含有していてもよい。また、色素として顔料を含有する場合には、分散剤や分散助剤を含有してもよい。これら任意成分としては、例えば特開2007−113000号公報記載の各種化合物を使用することができる。
本発明の着色樹脂組成物は、適宜の方法により調製することができるが、例えば、前記(A)染料、(C)バインダー樹脂、(D)酸化防止剤、(E)亜リン酸エステル化合物及び/又は(F)チオエステル化合物を(B)溶剤及びその他の添加剤と共に混合することで調製できる。
また、(A)染料の他に、更に(J)顔料を含む場合の調製方法としては、(J)顔料を含む溶剤中、分散剤及び必要に応じて添加する分散助剤の存在下で、場合により(C)バインダー樹脂の一部と共に、例えば、ペイントシェイカー、サンドグラインダー、ボールミル、ロールミル、ストーンミル、ジェットミル、ホモジナイザー等を用いて、粉砕しつつ混合・分散して着色分散液を調製する。該着色分散液に、(A)染料、(C)バインダー樹脂、(D)酸化防止剤、(E)亜リン酸エステル化合物及び/又は(F)チオエステル化合物、必要に応じて、(G)重合性モノマー、(H)光重合開始剤及び/又は熱重合開始剤、などの添加剤を添加し、混合することにより調製する方法を挙げることができる。
本発明の着色樹脂組成物は、通常、すべての構成成分が溶剤中に溶解又は分散された状態である。この着色樹脂組成物が基板上へ供給され、カラーフィルタや液晶表示装置、有機EL表示装置などの構成部材が形成される。
以下、本発明の着色樹脂組成物の応用例として、カラーフィルタとしての応用、及びそれらを用いた液晶表示装置(パネル)及び有機EL表示装置について、説明する。
本発明のカラーフィルタは、本発明の着色樹脂組成物から形成された画素を有するものである。
以下に、本発明のカラーフィルタを形成する方法について説明する。
カラーフィルタの画素は、様々な方法で形成することができる。ここでは光重合性の着色樹脂組成物を使用してフォトリソグラフィ法にて形成する場合を例に説明するが、製造方法はこれに限定されるものではない。
また、これらの基板には、所望により、シランカップリング剤やウレタン系樹脂などによる薄膜形成処理、コロナ放電処理やオゾン処理などの表面処理等、適宜前処理を施して
もよい。
塗布膜の厚さは、乾燥後の膜厚として、通常、0.2〜20μm、好ましくは0.5〜10μm、特に好ましくは0.8〜5.0μmである。
画素を形成する際に使用される放射線としては、例えば、可視光線、紫外線、遠紫外線、電子線、X線等を使用することができるが、波長が190〜450nmの範囲にある放射線が好ましい。
また、前記アルカリ現像液としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、珪酸ナトリウム、珪酸カリウム、メタ珪酸ナトリウム、燐酸ナトリウム、燐酸カリウム、燐酸水素ナトリウム、燐酸水素カリウム、燐酸二水素ナトリウム、燐酸二水素カリウム、水酸化アンモニウム等の無機アルカリ性化合物;モノ−・ジ−・又はトリ−エタノールアミン、モノ−・ジ−・又はトリ−メチルアミン、モノ−・ジ−・又はトリ−エチルアミン、モノ−・又はジ−イソプロピルアミン、n−ブチルアミン、モノ−・ジ−・又はトリ−イソプロパノールアミン、エチレンイミン、エチレンジイミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)、コリン等の有機アルカリ性化合物等の水溶液が好ましい。
法、ブラシ現像法、超音波現像法等の何れかの方法によることができる。現像条件は、室温(23℃)で5〜300秒が好ましい。
現像方法は、浸漬現像法、スプレー現像法、ブラシ現像法、超音波現像法等の何れかの方法によることができる。
像上にポリアミド、ポリイミド等のトップコート層を設けることもできる。また、一部、平面配向型駆動方式(IPSモード)等の用途においては、透明電極を形成しないこともある。また、垂直配向型駆動方式(MVAモード)では、リブを形成することもある。また、ビーズ散布型スペーサに代わり、フォトリソによる柱構造(フォトスペーサー)を形成することもある。
本発明の液晶表示装置は、上述の本発明のカラーフィルタを用いたものである。本発明の液晶表示装置の型式や構造については特に制限はなく、本発明のカラーフィルタを用いて常法に従って組み立てることができる。
例えば、「液晶デバイスハンドブック」(日刊工業新聞社、1989年9月29日発行、日本学術振興会第142委員会著)に記載の方法で、本発明の液晶表示装置を形成することができる。
本発明のカラーフィルタを有する有機EL表示装置を作成する場合、例えば図1に示すように、透明支持基板10上に、本発明の着色樹脂組成物により画素20が形成された青色カラーフィルタ上に有機保護層30及び無機酸化膜40を介して有機発光体500を積層することによって多色の有機EL素子を作製する。
(参考合成例1:樹脂Aの合成)
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート145重量部を窒素置換しながら攪拌し120℃に昇温した。ここにスチレン20重量部、グリシジルメタクリレート57部及びトリシクロデカン骨格を有するモノアクリレート(日立化成社製FA−513M)82重量部を滴下し、更に120℃で2時間攪拌し続けた。次に反応容器内を空気置換に変え、アクリル酸27重量部にトリスジメチルアミノメチルフェノール0.7重量部及びハイドロキノン0.12重量部を投入し、120℃で6時間反応を続けた。その後、テトラヒドロ無水フタル酸(THPA)52重量部、トリエチルアミン0.7重量部を加え、120℃3.5時間反応させた。こうして得られた樹脂AのGPCにより測定した重量平均分子量Mwは約15000であった。樹脂Aの構造は以下に示す通り(以下の4種の繰り返し単位を含む高分子化合物)であった。
(参考合成例3:染料Bの合成)
[1]で得られた染料A及びB、樹脂Aを表1に記載された組成となるように他の成分を混合して、カラーフィルタ画素形成用組成物を調製した。また、各実施例及び比較例中の酸化防止剤、亜リン酸エステル及びチオエステルの種類と配合量を表2に記載した。尚、表1中の数値は、添加する各成分の重量部を表し、表2中の数値は全固形分に対する配合量を表す。
又、表1及び2中の各化合物は、各々以下の通りである。
DPHA:ジペンタエリスリトールテトラアクリレート
PGMEA:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
PGME:プロピレングリコールモノメチルエーテル
酸化防止剤の化合物の構造式は、前記[(D)酸化防止剤](具体例)の項に、また亜リン酸エステル及びチオエステルについては、各々[(E)亜リン酸エステル及び(F)チオエステル](1−2.(E)亜リン酸エステルの具体例)又は(2−7.(F)チオエステルの具体例)の項に記載のものである。
亜リン酸エステルについては、化合物II−1はHP10(アデカ社製)、化合物II−2はJPP100(城北化学社製)、化合物II−3はJP650(同社製)、化合物II−4はJPM308(同社製)を用いた。
チオエステルについては、化合物III−1は3,6−Dithiaoctane−1,8−diol(DTD、アルドリッチ社製)、化合物III−2はIRGANOX PS800FD(BASF社製)、化合物III−3はDLTP(APIコーポレーション社製)を用いた。
5cm角に切断したガラス基板上に、上記各着色樹脂組成物をスピンコート法により乾燥膜厚1.8μmとなるように塗布し、減圧乾燥させた後、ホットプレート上にて80℃3分間プリベークした。その後、60mJ/cm2の露光量にて全面露光した後、日立製作所製分光光度計U−3310にて、分光透過率を測定し、XYZ表色系における色度(C光源)を算出した。
また、実施例15〜18、並びに比較例15及び16については密着性の評価も行い、これを表4に示す。
尚、密着性の評価は、下記の通りである。
[4]密着性評価
5cm角に切断したガラス基板上に、上記各着色樹脂組成物をスピンコート法により乾燥膜厚2.0μmとなるように塗布し、減圧乾燥した。次に、高圧水銀灯により幅50μm、長さ3mmの直線状マスクパターンを通してサンプルを50mJ/cm2の露光量にてパターン露光した後、炭酸水溶液を使用し、現像液温度26℃で0.06MPa圧でスプレー現像した。現像した時間は、あらかじめ測定した着色組成物の溶解時間プラス20秒とした。溶解時間は、炭酸水溶液を使用し、現像液温度26℃、圧力0.25MPaでスプレー現像したときに、未露光部の着色組成物が現像液へ完全に溶解し、基板が露出した時間とした。基板は現像後、十分な水でリンスした後、クリーンエアで乾燥した。その後、クリーンオーブンにて230℃20分焼成した。作製した基板について、密着性を評価した結果をまとめて表4に示す。なお、密着性とは、得られた1から80μmの直線パターンのうち、現像後に基板上に残っている線幅の数値とした。
また、表4に示すが如く、特に、亜リン酸エステルを含む、本発明の着色樹脂組成物を用いて形成された画素は、輝度及び耐熱性が高く、更に密着性が向上している。
20 画素
30 有機保護層
40 無機酸化膜
500 有機発光体
51 正孔注入層
54 電子注入層
Claims (8)
- (A)染料、(B)溶剤、及び(C)バインダー樹脂を含有する着色樹脂組成物であって、更に、(D)酸化防止剤と、(E)下記式(II)で表される化合物及び/又は(F)下記式(III)で表される化合物若しくは下記化合物III−1とを含有し、
更に、(H)光重合開始成分及び/又は熱重合開始成分を含有することを特徴とする、着色樹脂組成物。
また、R11〜R13は、互いに結合して環を形成していてもよい。)
また、R22は、直接結合、置換基を有していてもよい炭素数1〜4のアルキレン基、又は置換基を有していてもよい芳香族環基を表す。
X1は、水素原子、炭素原子、又は硫黄原子を表す。
lは、1〜3の整数を表す。
mは、1〜4の整数を表す。
また、一分子中に含まれる複数の
*は、X1との結合部位を表す。)
- 前記(D)酸化防止剤が、下記式(I)で表される化合物であることを特徴する、請求
項1に記載の着色樹脂組成物。
Lは、水素原子、炭素原子、硫黄原子、置換基を有していてもよい芳香族環基、又は置換基を有していてもよい複素環基を表す。
Zは、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキレン基及び/又はエステル結合からなる2価の基である。
上記式中のベンゼン環は、R1及びR2、−OH、並びにZ以外に、任意の置換基を有していてもよい。
mは、1〜4の整数を表す。
また、一分子中に含まれる複数の
*は、Lとの結合部位を表す。) - 前記(E)及び(F)の含有量が、全固形分中の重量%で、0.05重量%以上、6.0重量%以下であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の着色樹脂組成物。
- 前記(A)染料が、有機溶剤に対して可溶であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の着色樹脂組成物。
- 更に、(J)顔料を含有することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の着色樹脂組成物。
- 請求項1〜5のいずれか一項に記載の着色樹脂組成物を用いて形成された画素を有するカラーフィルタ。
- 請求項6に記載のカラーフィルタを有することを特徴とする、液晶表示装置。
- 請求項6に記載のカラーフィルタを有することを特徴とする、有機EL表示装置。
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