JP6051950B2 - 着色樹脂組成物、カラーフィルタ、液晶表示装置及び有機el表示装置 - Google Patents

着色樹脂組成物、カラーフィルタ、液晶表示装置及び有機el表示装置 Download PDF

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Description

本発明は、着色樹脂組成物、カラーフィルタ、液晶表示装置及び有機EL表示装置に存する。
液晶表示装置及び有機EL表示装置を始めとするフラットパネルディスプレイは、幅広く使用されており、これらのディスプレイにはカラーフィルタが使用されている。
省エネルギー化という時代の流れを汲んで、カラーフィルタとしては更なる高輝度化、高コントラスト化が求められている。
カラーフィルタには顔料を用いた着色樹脂組成物が主に使用されているが、高輝度及び高コントラストとするために、例えば、非特許文献1では顔料粒子の粒径をその呈色波長の1/2以下にまで微分散する方法が開示されている。
しかしながら、特に青色顔料は他の赤色、緑色顔料に比較して呈色波長が短いため、この場合にはさらなる微分散を必要とし、コストアップ並びに分散後の安定性が問題となる。
一方、色材として、染料の開発も行われている。
例えば特許文献1には、シー・アイ・アシッド・ブルー83(トリアリルアミン系色素)と、シー・アイ・ソルベント・ブルー67(銅フタロシアニン系色素)を含む青色フィルター層を設けたカラーフィルタが記載されている。
また、特許文献2には、下記式で表される重合性トリフェニルメタン染料を含むポリマーを用いたカラーフィルタが記載されている。
特開2002−14222号公報 特開2000−162429号公報
橋爪清、「色材協会誌」、1967年12月、p608
しかしながら、特許文献1及び2に記載の染料では、得られる画素の輝度が不十分である場合があることを見出した。
そこで本発明は、得られる画素の輝度が高いキサンテン系化合物を含む着色樹脂組成物を提供することを課題とする。
また、本発明は、輝度の高い画素が得られる着色樹脂組成物を提供することを課題とする。更に本発明は、高品質なカラーフィルタ、液晶表示装置及び有機EL表示装置を提供することを課題とする。
本発明者らが鋭意検討を行った結果、特定の化合物を用いることで、上記課題を解決しうることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、(A)染料、(B)溶剤及び(C)バインダー樹脂を含有し、(A)染料が、下記式(I)で表されるキサンテン系化合物(以下、「キサンテン系化合物(I
)」と称する場合がある)を含有することを特徴とする着色樹脂組成物、カラーフィルタ、液晶表示装置及び有機EL表示装置に存する。
Figure 0006051950
(式(I)中、R〜Rは、各々独立に、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基又は置換基を有してもよい炭素数6〜10の芳香族炭化水素環基を表す。
尚、R及びR、並びにR及びRは、各々独立に、互いに結合して環を形成していてもよく、該環は置換基を有していてもよい。
及びRは、各々独立に、置換基を有していてもよい、炭素数1〜12のアルキル基又は置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環基を表す。)
本発明とすることで、得られる画素の輝度が高いキサンテン系化合物を含む着色樹脂組成物を提供することが可能となる。
また、本発明は、輝度の高い画素が得られる着色樹脂組成物を提供することを課題とする。更に本発明は、高品質なカラーフィルタ、液晶表示装置及び有機EL表示装置を提供することが可能となる。
本発明のカラーフィルタを有する有機EL素子の一例を示す断面概略図である。
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明するが、以下の記載は本発明の実施態様の一例であり、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。
なお、本発明において「(メタ)アクリル」、「(メタ)アクリレート」等は、「アクリル及び/又はメタクリル」、「アクリレート及び/又はメタクリレート」等を意味するものとし、例えば「(メタ)アクリル酸」は「アクリル酸及び/又はメタクリル酸」を意味するものとする。
また「全固形分」とは、後記する溶剤成分以外の本発明の着色樹脂組成物の全成分を意味するものとする。
更に、「芳香族環」とは、「芳香族炭化水素環」及び「芳香族複素環」の双方を意味するものとする。
又、「C.I.ピグメントグリーン」等の用語は、カラーインデックス(C.I.)を意味する。
本発明の着色樹脂組成物は、(A)染料、(B)溶剤及び(C)バインダー樹脂を含有し、該(A)染料が、キサンテン系化合物(I)を含有する。
まず、本発明におけるキサンテン系化合物(I)について詳説する。
[キサンテン系化合物(I)について]
Figure 0006051950
(式(I)中、R〜Rは、各々独立に、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基又は置換基を有してもよい炭素数6〜10の芳香族炭化水素環基を表す。
尚、R及びR、並びにR及びRは、各々独立に、互いに結合して環を形成していてもよく、該環は置換基を有していてもよい。
及びRは、各々独立に、置換基を有していてもよい、炭素数1〜12のアルキル基又は置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環基を表す。)
(R〜Rについて)
〜Rは、各々独立に、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基又は置換基を有していてもよい炭素数6〜10の芳香族炭化水素環基を表す。
〜Rにおけるアルキル基としては、直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル基であって、その炭素数が通常1以上、また、通常10以下、好ましくは8以下、更に好ましくは6以下のものが挙げられる。具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、2−プロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。
〜Rにおける芳香族炭化水素環基としては、単環であっても縮合環であってもよく、環を形成する炭素数が6〜10であれば特に制限はないが、例えば、1個の遊離原子価を有する、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、アセナフテン環、フルオランテン環、フルオレン環などの基が挙げられる。
尚、R及びR、並びにR及びRは、各々独立に、互いに結合して環を形成していてもよく、該環は置換基を有していてもよい。
及びR、並びにR及びRが互いに結合して形成される環としては、例えば、以下のものが挙げられるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 0006051950
〜Rにおけるアルキル基及び芳香族炭化水素環基が有していてもよい置換基としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はないが、例えば、下記(置換基群Z)の項に記載のものが挙げられる。
尚、得られる画素の輝度がより高い点で、RまたはRのいずれか、並びにRまたはRのいずれかは、炭素数1〜10のアルキル基であることが好ましい。
(置換基群Z)
炭素数1〜8のアルキル基(直鎖状又は分岐鎖状アルキル基への置換を除く)、炭素数2〜8のアルケニル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、炭素数6〜15のアリール基、炭素数2〜9のアルキルカルボニルオキシ基、炭素数7〜16のアリールカルボニルオキシ基、炭素数2〜9のアルコキシカルボニル基、炭素数7〜16のアリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、炭素数2〜9のアルキルカルバモイル基、炭素数7〜16のアリールカルバモイル基、スルファモイル基、炭素数1〜8のアルキルスルファモイル基、炭素数6〜15のアリールスルファモイル基、炭素数2〜9のアルキルカルボニル基、炭素数7〜16のアリールカルボニル基、炭素数1〜8のアルキルスルホニル基、炭素数1〜8のアルキルスルホニルアミノ基、炭素数6〜15のアリールスルホニルアミノ基、アミノ基、炭素数1〜8のアルキル基が結合してなるアルキルアミノ基、炭素数1〜4のアルキル基が結合してなるジアルキルアミノ基、炭素数6〜15のアリールアミノ基、炭素数6〜15のアリール基と炭素数1〜4のアルキルが結合してなるアリールアルキルアミノ基、炭素数6〜15のアリール基が結合してなるジアリールアミノ基、フェネチル基、ヒドロキシエチル基、炭素数1〜8のアルキルカルボニルアミノ基、炭素数7〜16のアリールカルボニルアミノ基、炭素数1〜4のアルキル基が結合してなるジアルキルアミノエチル基、トリフルオロメチル基、炭素数1〜8のトリアルキルシリル基、炭素数1〜8のアルキルチオ基、炭素数6〜15のアリールチオ基、ヒドロキシ基、ニトロ基、シアノ基、カルボキシ基、スルホ基、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子。
上記置換基群Wにおけるアリール基としては、具体的にはR〜Rにおける芳香族炭
化水素環基として記載したものが挙げられる。該アリール基は、メチル基、エチル基等の低級アルキル基、メトキシ基、エトキシ基等の低級アルコキシ基、ニトロ基、トリフルオロメチル基、シアノ基、カルバモイル基、スルファモイル基、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子を、更に置換基として有していてもよい。
中でも、R〜Rにおけるアルキル基、芳香族炭化水素環基及び互いに連結して形成される環が有していてもよい置換基として、好ましくは炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、フェニル基、トリル基、炭素数2〜9のアルキルカルボニルオキシ基、カルバモイル基、スルファモイル基、炭素数1〜8のアルキルスルファモイル基、トリフルオロメチル基、シアノ基、スルホ基及びフッ素原子である。
尚、式(I)中のSO は、炭素原子のいずれかに結合していることを意味する。
(R及びRについて)
及びRは、各々独立に、置換基を有していてもよい、炭素数1〜12のアルキル基又は置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環基を表す。
及びRにおけるアルキル基の炭素数は、通常1以上、好ましくは2以上、また通常12以下、好ましくは8以下である。
及びRにおけるアルキル基及び芳香族炭化水素環基の具体例及び有していてもよい置換基は、前記(R〜Rについて)の項で記載のものと同様である。
尚、得られる画素の輝度がより高い点で、RまたはRのいずれかは、炭素数1〜12のアルキル基であることが好ましい。
(キサンテン系化合物(I)の合成方法)
キサンテン系化合物(I)は、例えば「総説合成染料」(堀口博著、三共出版、1968年)、「理論製造 染料化学」(細田豊著、技報堂、1957年)、機能性色素の合成と応用技術(松居正樹監修、シーエムシー出版、2007年)に記載の方法に準じて合成することができるが、この方法に限らない。
具体的には、次の2つの工程を経て得ることが出来る。第1工程では、(i)または(ii)の方法により、カルボキシ基が置換したキサンテン化合物を合成する。(i)フタル酸無水物とN置換m−アミノフェノール類を反応する。(ii)フルオレセインクロリドとN−置換アミンとを反応する。
第2工程は、(iii)〜(vi)の方法により、目的物を得る。(iii)第1工程で得られたキサンテン化合物のカルボキシ基を酸クロリド化、続いてN−置換アミンと反応し、カルバモイル基を形成する。続いて、スルホン化する。(iv)縮合剤を用いて第1工程で得られたキサンテン化合物のカルボキシ基とN−置換アミンとを反応して、カルバモイル基を形成する。続いて、スルホン化する。(v)第1工程で得られたキサンテン化合物のカルボキシ基を酸クロリド化、続いてスルホ基を有するN−置換アミンと反応し、カルバモイル基を形成する。(vi)縮合剤を用いて第1工程で得られたキサンテン化合物のカルボキシ基とスルホ基を有するN−置換アミンとを反応して、カルバモイル基を形成する。
尚、キサンテン系化合物(I)は、−SO の位置が異なる混合物として得られる場合がある為、式(1)の通りの記載としている。
[分子量]
本発明におけるキサンテン系化合物(I)の分子量は、通常500以上、好ましくは600以上、また通常5000以下、好ましくは2000以下である。
上記範囲内であると、溶剤に対する溶解性が良好で且つ製造が容易である点で好ましい。
<具体例>
以下に、本発明におけるキサンテン系化合物(I)の好ましい具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 0006051950
Figure 0006051950
(含有量)
本発明の着色樹脂組成物は、キサンテン系化合物(I)を全固形分中、好ましくは、0.01重量%以上、より好ましくは0.1重量%以上、特に好ましくは1重量%以上、また好ましくは50重量%以下、より好ましくは40重量%以下、特に好ましくは30重量%以下の割合で含有する。
上記上限以下であると、塗膜の硬化性が低下し難く、膜強度が十分であるため好ましい。また、上記下限以上であると、着色力が十分であることから、所望の濃度の色度が得られ易く、また膜厚が厚くなり難いため好ましい。
本発明の着色樹脂組成物中には、(A)染料として、キサンテン系化合物(I)の1種のみが含まれていてもよく、2種以上が含まれていてもよい。
更に、キサンテン系化合物(I)以外のその他の染料の1種又は2種以上が含まれていてもよい。また、着色樹脂組成物中の全(A)染料の含有量は、着色樹脂組成物中、好ましくは0.1重量%以上、更に好ましくは0.5重量%以上、また好ましくは40重量%以下、更に好ましくは30重量%以下である。
尚、本発明の着色樹脂組成物において、キサンテン系化合物(I)の含有量は、全(A)染料の固形分中、30重量%以上であることが好ましい。
(その他の染料)
キサンテン系化合物(I)以外に含まれていてもよい、その他の染料としては、キサンテン系染料、トリアリールメタン系染料、アントラキノン系染料、アゾ系染料、ジピロメテン系染料、キノフタロン系染料、シアニン系染料、メチン系染料、フタロシアニン系染料等が挙げられる。特に青色画素を形成する際には、キサンテン系染料、トリアリールメタン系染料、アントラキノン系染料、アゾ系染料、ジピロメテン系染料、シアニン系染料、フタロシアニン系染料が好ましい。
[(B)溶剤]
本発明の着色樹脂組成物に含有される(B)溶剤は、着色樹脂組成物に含まれる各成分を溶解または分散させ、粘度を調節する機能を有する。
該(B)溶剤としては、着色樹脂組成物を構成する各成分を溶解または分散させることができるものであればよく、沸点が100〜200℃の範囲のものを選択するのが好まし
い。より好ましくは120〜170℃の沸点をもつものである。
このような溶剤としては、例えば、次のようなものが挙げられる。
エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコール−モノt−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、メトキシメチルペンタノール、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、3−メチル−3−メトキシブタノール、トリプロピレングリコールモノメチルエーテルのようなグリコールモノアルキルエーテル類;
エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテルのようなグリコールジアルキルエーテル類;
エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、メトキシブチルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、メトキシペンチルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテートのようなグリコールアルキルエーテルアセテート類;
ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジアミルエーテル、エチルイソブチルエーテル、ジヘキシルエーテルのようなエーテル類;
アセトン、メチルエチルケトン、メチルアミルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルイソアミルケトン、ジイソプロピルケトン、ジイソブチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、エチルアミルケトン、メチルブチルケトン、メチルヘキシルケトン、メチルノニルケトンのようなケトン類;
エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリンのような1価または多価アルコール類;
n−ペンタン、n−オクタン、ジイソブチレン、n−ヘキサン、ヘキセン、イソプレン、ジペンテン、ドデカンのような脂肪族炭化水素類;
シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、メチルシクロヘキセン、ビシクロヘキシルのような脂環式炭化水素類;
ベンゼン、トルエン、キシレン、クメンのような芳香族炭化水素類;
アミルホルメート、エチルホルメート、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸プロピル、酢酸アミル、酢酸シクロヘキシル、メチルイソブチレート、エチレングリコールアセテート、エチルプロピオネート、プロピルプロピオネート、酪酸ブチル、酪酸イソブチル、イソ酪酸メチル、エチルカプリレート、ブチルステアレート、エチルベンゾエート、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸プロピル、3−メトキシプロピオン酸ブチル、γ−ブチロラクトンのような鎖状または環状エステル類;
3−メトキシプロピオン酸、3−エトキシプロピオン酸のようなアルコキシカルボン酸類;
ブチルクロライド、アミルクロライドのようなハロゲン化炭化水素類;
メトキシメチルペンタノンのようなエーテルケトン類;
アセトニトリル、ベンゾニトリルのようなニトリル類:
これらの溶剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記溶剤中、本発明における(A)染料の溶解性の点から、グリコールモノアルキルエーテル類が好ましい。中でも、特に着色樹脂組成物中の各種構成成分の溶解性の点からプロピレングリコールモノメチルエーテルが特に好ましい。
また、例えば任意成分として後述する(F)顔料を含む場合には、塗布性、表面張力などのバランスがよく、着色樹脂組成物中の構成成分の溶解度が比較的高い点からは、溶剤としてさらにグリコールアルキルエーテルアセテート類を混合して使用することがより好ましい。尚、顔料を含む着色樹脂組成物中では、グリコールモノアルキルエーテル類は極性が高く、顔料を凝集させる傾向があり、着色樹脂組成物の粘度を上げる等、保存安定性を低下させる場合がある。このため、グリコールモノアルキルエーテル類の使用量は過度に多くない方が好ましく、(B)溶剤中のグリコールモノアルキルエーテル類の割合は5〜50重量%が好ましく、5〜30重量%がより好ましい。
また、最近の大型基板等に対応したスリットコート方式への適性という観点からは、150℃以上の沸点をもつ溶剤を併用することも好ましい。この場合、このような高沸点溶剤の含有量は、(B)溶剤全体に対して3〜50重量%が好ましく、5〜40重量%がより好ましく、5〜30重量%が特に好ましい。高沸点溶剤の量が少なすぎると、例えばスリットノズル先端で染料成分などが析出・固化して異物欠陥を惹き起こす可能性があり、また多すぎると組成物の乾燥速度が遅くなり、後述するカラーフィルタ製造工程における、減圧乾燥プロセスのタクト不良や、プリベークのピン跡といった問題を惹き起こすことが懸念される。
なお、沸点150℃以上の溶剤は、グリコールアルキルエーテルアセテート類であっても、またグリコールアルキルエーテル類であってもよく、この場合は、沸点150℃以上の溶剤を別途含有させなくてもかまわない。
本発明の着色樹脂組成物において、(B)溶剤の含有量に特に制限はないが、その上限は通常99重量%とする。組成物中の(B)溶剤の含有量が99重量%を超える場合は、(B)溶剤を除く各成分の濃度が小さくなり過ぎて、塗布膜を形成し難くなる場合がある。一方、(B)溶剤の含有量の下限値は、塗布に適した粘性等を考慮して、通常75重量%、好ましくは80重量%、更に好ましくは82重量%である。
[(C)バインダー樹脂]
(C)バインダー樹脂は、着色樹脂組成物の硬化手段により好ましいものが異なる。
本発明の着色樹脂組成物が光重合性樹脂組成物である場合、(C)バインダー樹脂としては、例えば特開平7−207211号公報、特開平8−259876号公報、特開平10−300922号公報、特開平11−140144号公報、特開平11−174224号公報、特開2000−56118号公報、特開2003−233179号公報などの各公報等に記載される高分子化合物を使用することができるが、中でも好ましくは下記(C−1)〜(C−5)の樹脂などが挙げられる。
(C−1):エポキシ基含有(メタ)アクリレートと、他のラジカル重合性単量体との共重合体に対し、該共重合体が有するエポキシ基の少なくとも一部に不飽和一塩基酸を付加させてなる樹脂、又は該付加反応により生じた水酸基の少なくとも一部に多塩基酸無水物を付加させて得られる、アルカリ可溶性樹脂(以下、「樹脂(C−1)」と称す場合がある。)
(C−2):カルボキシル基含有直鎖状アルカリ可溶性樹脂(C−2)(以下、「樹脂(C−2)」と称す場合がある。)
(C−3):前記樹脂(C−2)のカルボキシル基部分に、エポキシ基含有不飽和化合物を付加させた樹脂(以下「樹脂(C−3)」と称す場合がある。)
(C−4):(メタ)アクリル系樹脂(以下、「樹脂(C−4)」と称す場合がある。)
(C−5):カルボキシル基を有するエポキシアクリレート樹脂(以下「樹脂(C−5)と称す場合がある。)
このうち特に好ましくは樹脂(C−1)が挙げられ、以下該樹脂について説明する。
尚、樹脂(C−2)〜(C−5)は、アルカリ性の現像液によって溶解され、目的とする現像処理が遂行される程度に溶解性を有するものであれば何でもよく、各々、特開2009−025813号公報の同項目として記載のものと同様である。好ましい態様も同様である。
(C−1):エポキシ基含有(メタ)アクリレートと、他のラジカル重合性単量体との共重合体に対し、該共重合体が有するエポキシ基の少なくとも一部に不飽和一塩基酸を付加させてなる樹脂、或いは該付加反応により生じた水酸基の少なくとも一部に多塩基酸無水物を付加させて得られるアルカリ可溶性樹脂
樹脂(C−1)の特に好ましい樹脂の一つとして、エポキシ基含有(メタ)アクリレート5〜90モル%と、他のラジカル重合性単量体10〜95モル%との共重合体に対し、該共重合体が有するエポキシ基の10〜100モル%に不飽和一塩基酸を付加させてなる樹脂、或いは該付加反応により生じた水酸基の10〜100モル%に多塩基酸無水物を付加させて得られるアルカリ可溶性樹脂が挙げられる。
そのエポキシ基含有(メタ)アクリレートとしては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシブチル(メタ)アクリレート、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル等が例示できる。中でもグリシジル(メタ)アクリレートが好ましい。これらのエポキシ基含有(メタ)アクリレートは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記エポキシ基含有(メタ)アクリレートと共重合させる他のラジカル重合性単量体としては、本発明の効果を損わない限り特に制限はなく、例えば、ビニル芳香族類、ジエン類、(メタ)アクリル酸エステル類、(メタ)アクリル酸アミド類、ビニル化合物類、不飽和ジカルボン酸ジエステル類、モノマレイミド類などが挙げられるが、特に下記式(7)で表される構造を有するモノ(メタ)アクリレートが好ましい。
下記式(7)で表される構造を有するモノ(メタ)アクリレートに由来する繰返し単位は、「他のラジカル重合性単量体」に由来する繰返し単位中、5〜90モル%含有するものが好ましく、10〜70モル%含有するものが更に好ましく、15〜50モル%含有するものが特に好ましい。
Figure 0006051950
上記式(7)中、R89は水素原子又はメチル基を示し、R90は下記式(8)で表される構造を示す。
Figure 0006051950
上記式(8)中、R91〜R98は、各々独立に、水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を表す。尚、R96とR98とが、互いに連結して環を形成していてもよい。
96とR98が連結して形成される環は、脂肪族環であるのが好ましく、飽和又は不飽和のいずれでもよく、更に炭素数は5〜6であることが好ましい。
中でも、式(8)で表される構造中、特に下記構造式(8a)、(8b)、又は(8c)で表されるものが好ましい。
Figure 0006051950
尚、前記式(8)で表される構造を有するモノ(メタ)アクリレートは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記式(8)で表される構造を有するモノ(メタ)アクリレート以外の、「他のラジカル重合性単量体」としては、着色樹脂組成物に優れた耐熱性及び強度を向上しうる点で、スチレン、(メタ)アクリル酸−n−ブチル、(メタ)アクリル酸−tert−ブチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸イソボロニル、(メタ)アクリ
ル酸アダマンチル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、が挙げられる。
上記モノマー群から選択された少なくとも1種に由来する繰返し単位の含有量が、1〜70モル%であるものが好ましく、3〜50モル%であるものが更に好ましい。
尚、前記エポキシ基含有(メタ)アクリレートと、前記他のラジカル重合性単量体との共重合反応には、公知の溶液重合法が適用される。
本発明において、前記エポキシ基含有(メタ)アクリレートと前記他のラジカル重合性単量体との共重合体としては、エポキシ基含有(メタ)アクリレートに由来する繰返し単位5〜90モル%と、他のラジカル重合性単量体に由来する繰返し単位10〜95モル%と、からなるものが好ましく、前者20〜80モル%と、後者80〜20モル%とからなるものが更に好ましく、前者30〜70モル%と、後者70〜30モル%とからなるものが特に好ましい。
上記範囲内であると、後述の重合性成分及びアルカリ可溶性成分の付加量が十分であり、また、耐熱性や膜の強度が十分であるため好ましい。
上記の様に合成された、エポキシ基含有共重合体のエポキシ基部分に、不飽和一塩基酸(重合性成分)と、更に多塩基酸無水物(アルカリ可溶性成分)とを反応させる。
ここで、エポキシ基に付加させる不飽和一塩基酸としては、公知のものを使用することができ、例えば、エチレン性不飽和二重結合を有する不飽和カルボン酸が挙げられる。
具体例としては、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、o−、m−、p−ビニル安息香酸、α−位がハロアルキル基、アルコキシル基、ハロゲン原子、ニトロ基、又はシアノ基などで置換された(メタ)アクリル酸等のモノカルボン酸等が挙げられる。中でも好ましくは(メタ)アクリル酸である。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
このような成分を付加させることにより、本発明で用いるバインダー樹脂に重合性を付与することができる。
これらの不飽和一塩基酸は、通常、前記共重合体が有するエポキシ基の10〜100モル%に付加させるが、好ましくは30〜100モル%、より好ましくは50〜100モル%に付加させる。前記範囲内であると、着色樹脂組成物の経時安定性に優れるため好ましい。尚、共重合体のエポキシ基に不飽和一塩基酸を付加させる方法としては、公知の方法を採用することができる。
更に、共重合体のエポキシ基に不飽和一塩基酸を付加させたときに生じる水酸基に付加させる多塩基酸無水物としては、公知のものが使用できる。
例えば、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水イタコン酸、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水クロレンド酸等の二塩基酸無水物;無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、ビフェニルテトラカルボン酸無水物等の三塩基以上の酸の無水物が挙げられる。中でも、無水コハク酸及びテトラヒドロ無水フタル酸が好ましい。これらの多塩基酸無水物は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
このような成分を付加させることにより、本発明で用いるバインダー樹脂にアルカリ可溶性を付与することができる。
これらの多塩基酸無水物は、通常、前記共重合体が有するエポキシ基に、不飽和一塩基酸を付加させることにより生じる水酸基の10〜100モル%に付加させるが、好ましくは20〜90モル%、より好ましくは30〜80モル%に付加させる。
上記範囲内であると、現像時の残膜率及び溶解性が十分であるため好ましい。
尚、当該水酸基に多塩基酸無水物を付加させる方法としては、公知の方法を採用することができる。
更に、光感度を向上させるために、前述の多塩基酸無水物を付加させた後、生成したカルボキシル基の一部にグリシジル(メタ)アクリレートや重合性不飽和基を有するグリシジルエーテル化合物を付加させてもよい。このような樹脂の構造に関しては、例えば特開平8−297366号公報や特開2001−89533号公報に記載されている。
上述のバインダー樹脂(C−1)の、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)で測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は、3000〜100000が好ましく、5000〜50000が特に好ましい。上記範囲内であると、耐熱性や膜強度、更に現像液に対する溶解性が良好である点で好ましい。
また、分子量分布の目安として、重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)の比は、2.0〜5.0が好ましい。
なお、バインダー樹脂(C−1)の酸価は、通常10〜200mg−KOH/g、好ましくは15〜150mg−KOH/g、更に好ましくは25〜100mg−KOH/gである。酸価が低くなりすぎると、現像液に対する溶解性が低下する場合がある。逆に、高すぎると、膜荒れが生じることがある。
着色樹脂組成物における(C)バインダー樹脂の含有量は、全固形分中、通常0.1〜80重量%、好ましくは1〜60重量%である。
上記範囲内であると、基板への密着性が良好であり、また露光部への現像液の浸透性が適度で、画素の表面平滑性や感度が良好である点で好ましい。
[(D)重合性モノマー]
本発明の着色樹脂組成物は、(D)重合性モノマーを含有することが好ましい。
(D)重合性モノマーは、重合可能な低分子化合物であれば特に制限はないが、エチレン性二重結合を少なくとも1つ有する付加重合可能な化合物(以下、「エチレン性化合物」と言う場合がある。)が好ましい。
エチレン性化合物は、本発明の着色樹脂組成物が活性光線の照射を受けた場合、後述する光重合開始成分の作用により付加重合し、硬化するようなエチレン性二重結合を有する化合物である。尚、本発明における(D)重合性モノマーは、いわゆる高分子物質に相対する概念を意味し、狭義の単量体以外に二量体、三量体、オリゴマーも包含する。
(D)重合性モノマーにおけるエチレン性化合物としては、例えば、(メタ)アクリル酸等の不飽和カルボン酸;モノヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステル;脂肪族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステル;芳香族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステル;不飽和カルボン酸と多価カルボン酸及び前述の脂肪族ポリヒドロキシ化合物、芳香族ポリヒドロキシ化合物等の多価ヒドロキシ化合物とのエステル化反応により得られるエステル;ポリイソシアネート化合物と(メタ)アクリロイル基含有ヒドロキシ化合物とを反応させたウレタン骨格を有するエチレン性化合物;等が挙げられる。
脂肪族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステルとしては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリ
レート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。また、これら(メタ)アクリル酸エステルの(メタ)アクリル酸部分を、イタコン酸部分に代えたイタコン酸エステル、クロトン酸部分に代えたクロトン酸エステル、或いは、マレイン酸部分に代えたマレイン酸エステル等が挙げられる。
芳香族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステルとしては、ハイドロキノンジ(メタ)アクリレート、レゾルシンジ(メタ)アクリレート、ピロガロールトリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
不飽和カルボン酸と多価カルボン酸及び多価ヒドロキシ化合物とのエステル化反応により得られるエステルは、単一物であってもよく、混合物であってもよい。代表例としては、(メタ)アクリル酸、フタル酸、及びエチレングリコールの縮合物;(メタ)アクリル酸、マレイン酸、及びジエチレングリコールの縮合物;(メタ)アクリル酸、テレフタル酸、及びペンタエリスリトールの縮合物;(メタ)アクリル酸、アジピン酸、ブタンジオール、及びグリセリンの縮合物等が挙げられる。
ポリイソシアネート化合物と(メタ)アクリロイル基含有ヒドロキシ化合物とを反応させたウレタン骨格を有するエチレン性化合物としては、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート;シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等の脂環式ジイソシアネート;トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネートと、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシ〔1,1,1−トリ(メタ)アクリロイルオキシメチル〕プロパン等の(メタ)アクリロイル基含有ヒドロキシ化合物との反応物が挙げられる。
その他、本発明に用いられるエチレン性化合物の例としては、エチレンビス(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド類;フタル酸ジアリル等のアリルエステル類;ジビニルフタレート等のビニル基含有化合物等が挙げられる。
これらの中では脂肪族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステルが好ましく、ペンタエリスリトール又はジペンタエリスリトールの(メタ)アクリル酸エステルがより好ましく、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートが特に好ましい。
また、エチレン性化合物は酸価を有するモノマーであってもよい。酸価を有するモノマーとしては、例えば、脂肪族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステルであり、脂肪族ポリヒドロキシ化合物の未反応のヒドロキシル基に非芳香族カルボン酸無水物を反応させて酸基を持たせた多官能単量体が好ましく、特に好ましくは、このエステルにおいて、脂肪族ポリヒドロキシ化合物がペンタエリスリトール及び/又はジペンタエリスリトールであるものである。
これらの単量体は1種を単独で用いてもよいが、製造上、単一の化合物を得ることは難しいことから、2種以上の混合物を使用してもよい。
また、必要に応じて(D)重合性モノマーとして酸基を有しない多官能モノマーと酸基を有する多官能モノマーを併用してもよい。
酸基を有する多官能モノマーの好ましい酸価としては、0.1〜40mg−KOH/gであり、特に好ましくは5〜30mg−KOH/gである。
上記範囲内であると、現像溶解特性が低下しにくく、また製造や取り扱いが容易である。更に、光重合性能が落ち難く、画素の表面平滑性等の硬化性が良好であるため好ましい。
本発明において、より好ましい酸基を有する多官能モノマーは、例えば、ジペンタエリ
スリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートのコハク酸エステルを主成分とする混合物である。この多官能モノマーと他の多官能モノマーを組み合わせて使用することもできる。
本発明の着色樹脂組成物において、これらの(D)重合性モノマーの含有量は、全固形分中、通常1重量%以上、好ましくは5重量%以上、更に好ましくは10重量%以上であり、また、通常80重量%以下、好ましくは70重量%以下、更に好ましくは50重量%以下、特に好ましくは40重量%以下である。
また、(D)重合性モノマーの前記(A)染料に対する比率は、重量比で、通常1重量%以上、好ましくは5重量%以上、更に好ましくは10重量%以上、特に好ましくは20重量%以上であり、また、通常200重量%以下、好ましくは100重量%以下、更に好ましくは80重量%以下である。
上記範囲内であると、光硬化が適度であり、現像時の密着不良が置き難く、また現像後の断面が逆テーパー形状になり難く、更に溶解性低下による剥離現象・抜け不良が置き難いため好ましい。
[(E)光重合開始成分及び/又は熱重合開始成分]
本発明の着色樹脂組成物は、塗膜を硬化させる目的で、(E)光重合開始成分及び/又は熱重合開始成分を含むことが好ましい。ただし、硬化の方法はこれらの開始剤によるもの以外でもよい。
特に、本発明の着色樹脂組成物が、(C)成分としてエチレン性二重結合を有する樹脂を含む場合や、(D)成分としてエチレン性化合物を含む場合には、光を直接吸収し、又は光増感されて分解反応又は水素引き抜き反応を起こし、重合活性ラジカルを発生する機能を有する光重合開始成分及び/又は熱によって重合活性ラジカルを発生する熱重合開始成分を含有することが好ましい。なお、本発明において光重合開始成分としての(E)成分とは、光重合開始剤(以下、任意に「(E1)成分」とも称する)に重合加速剤(以下、任意に「(E2)成分」とも称する)、増感色素(以下、任意に「(E3)成分」とも称する)などの付加剤が併用されている混合物を意味する。
[(E)光重合開始成分]
本発明における(E)光重合開始成分は、通常、(E1)光重合開始剤、及び必要に応じて添加される(E2)重合加速剤及び(E3)増感色素等の付加剤との混合物として用いられ、光を直接吸収し、或いは光増感されて分解反応又は水素引き抜き反応を起こし、重合活性ラジカルを発生する機能を有する成分である。
光重合開始成分を構成する(E1)光重合開始剤としては、例えば、特開昭59−152396号、特開昭61−151197号各公報等に記載のチタノセン誘導体類;特開平10−300922号、特開平11−174224号、特開2000−56118号各公報等に記載されるヘキサアリールビイミダゾール誘導体類;特開平10−39503号公報等に記載のハロメチル化オキサジアゾール誘導体類、ハロメチル−s−トリアジン誘導体類、N−フェニルグリシン等のN−アリール−α−アミノ酸類、N−アリール−α−アミノ酸塩類、N−アリール−α−アミノ酸エステル類等のラジカル活性剤、α−アミノアルキルフェノン誘導体類;特開2000−80068号公報等に記載のオキシムエステル系誘導体類等が挙げられる。
具体的には、例えば国際公開第2009/107734号パンフレット等に記載の光重合開始剤等が挙げられる。
これら光重合開始剤の中では、α−アミノアルキルフェノン誘導体類、オキシムエステル系誘導体類、ビイミダゾール誘導体類、アセトフェノン誘導体類、及びチオキサントン誘導体類がより好ましい。
また、オキシムエステル系誘導体類としては、1,2−オクタンジオン,1−〔4−(フェニルチオ)フェニル〕−,2−(o−ベンゾイルオキシム)、エタノン,1−〔9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル〕,1−(o−アセチルオキシム)、及び下記式(XI)で表される化合物等が挙げられる。
Figure 0006051950
(上記式(XI)中、
Zは、置換基を有していてもよい芳香族基を示す。
nは、0又は1の整数を表す。
mは、0〜20の整数を表す。
Xは、−CR9495−、−C(=CR9697)−、−CR98=CR99−及び−C≡C−からなる群より選ばれる1つの基又はこれらが2以上結合してなる基を表す。
96〜R99は、各々独立に、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を示す。
94、R95及びR101は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、それぞれ置換基を有していてもよい、炭素数6〜20のアリール基、炭素数2〜20のヘテロアリール基、炭素数2〜20の1価の非芳香族ヘテロ環基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数6〜20のアリールオキシ基、炭素数2〜20のアシル基、炭素数2〜20のアシルオキシ基、炭素数1〜20のN-置換アミノ基、炭素数1〜20のシクロアルキル基、炭素数1〜20のアルキルスルホニル基、炭素数6〜20のアリールスルホニル基、炭素数1〜20のアルキルスルフィニル基、炭素数6〜20のアリールスルフィニル基、カルバモイル基、炭素数2〜20のアルキルカルバモイル基、炭素数7〜20のアリールカルバモイル基、炭素数1〜20のアミノオキシカルボニル基、シアノ基、ニトロ基、炭素数1〜12のアルキルスルファニル基、炭素数2〜12のアルコキシカルボニル基、炭素数3〜12のアルケニルオキシカルボニル基、炭素数3〜12のアルキニルオキシカルボニル基、炭素数7〜12のアリールオキシカルボニル基、炭素数3〜12のヘテロアリールオキシカルボニル基、炭素数2〜12のアルキルスルファニルカルボニル基、炭素数3〜12のアルケニルスルファニルカルボニル基、炭素数3〜12のアルキニルスルファニルカルボニル基、炭素数7〜12のアリールスルファニルカルボニル基、炭素数3〜12のヘテロアリールスルファニルカルボニル基、炭素数2〜12のアルキルスルファニルアルコキシ基、−O−N=CR3031、−N(OR30)−OCO−R31又は下記式(2)で表される基
Figure 0006051950
(R30及びR31は、各々独立して、置換基を有していてもよい、炭素数1〜12のアルキル基又は炭素数6〜20のアリール基を表す。)
101は、Zと結合して環を形成していてもよく、該環は置換基を有していてもよい。
102は、置換基を有していてもよい、炭素数2〜20のアルキルカルボニル基、炭素数3〜25のアルケニルカルボニル基、炭素数4〜8のシクロアルキルカルボニル基、炭素数7〜20のアリールカルボニル基、炭素数2〜10のアルコキシカルボニル基、炭素数7〜20のアリールオキシカルボニル基、炭素数2〜20のヘテロアリール基、炭素数3〜20のヘテロアリールカルボニル基基または炭素数2〜20のアルキルアミノカルボニル基を表す。
103は、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数3〜5のアルケニル基又は6〜20のアリール基を表し、
104〜R109は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数1〜20のアルコキシ基を表す。)
(Zについて)
Zは、置換基を有していてもよい芳香族基を示す。
該芳香族環基としては、芳香族炭化水素環基及び芳香族複素環基が挙げられる。
芳香族炭化水素環基としては、単環であっても縮合環であってもよく、環を形成する炭素数が5〜18であれば特に制限はないが、例えば、1個の遊離原子価を有する、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ペリレン環、テトラセン環、ピレン環、ベンズピレン環、クリセン環、トリフェニレン環、アセナフテン環、フルオランテン環、フルオレン環、インデン環などの基が挙げられる。
また、芳香族複素環基としては、単環であっても縮合環であってもよく、環を形成する炭素数が3〜10であれば特に制限はないが、例えば、1個の遊離原子価を有する、フラン環、ベンゾフラン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、オキサジアゾール環、インドール環、カルバゾール環、ピロロイミダゾール環、ピロロピラゾール環、ピロロピロール環、チエノピロール環、チエノチオフェン環、フロピロール環、フロフラン環、チエノフラン環、ベンゾイソオキサゾール環、ベンゾイソチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、トリアジン環、キノリン環、イソキノリン環、シノリン環、キノキサリン環、フェナントリジン環、ベンゾイミダゾール環、ペリミジン環、キナゾリン環、キナゾリノン環、アズレン環、アクリジン環、キサンテン環、フェナジン環、フェノチアジン環、フェノキサジン環、ベンゾチアゾール環などの基が挙げられる。
尚、Zにおける芳香族環基が有していてもよい置換基としては、例えば、下記[置換基群W]の項に記載のものが挙げられる。
[置換基群W]
炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、水酸基、アミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ハロゲン原子、スルホ基及びカルボキシ基。
(nについて)
nは、0又は1の整数を表す。
スプレー現像における画像の形成との効果が、より良好に得られ易い点で、nは0であることが好ましい。
(mについて)
mは、0〜20の整数を表す。
グラム当たりのラジカル活性種の発生量が高く、更に製造が簡便な点で、mは、0〜5であることが好ましい。
(X及びR101について)
Xは、−CR9495−、−C(=CR9697)−、−CR98=CR99−及び−C≡C−からなる群より選ばれる1つの基又はこれらが2以上結合してなる基を表す。
mが2以上である場合、一分子中に含まれる複数のXは、同じでもよく、また異なっていてもよい。
96〜R99は、各々独立に、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を示す。
94、R95及びR101は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、それぞれ置換基を有していてもよい、炭素数6〜20のアリール基、炭素数2〜20のヘテロアリール基、炭素数2〜20の1価の非芳香族ヘテロ環基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数6〜20のアリールオキシ基、炭素数2〜20のアシル基、炭素数2〜20のアシルオキシ基、炭素数1〜20のN-置換アミノ基、炭素数1〜20のシクロアルキル基、炭素数1〜20のアルキルスルホニル基、炭素数6〜20のアリールスルホニル基、炭素数1〜20のアルキルスルフィニル基、炭素数6〜20のアリールスルフィニル基、カルバモイル基、炭素数2〜20のアルキルカルバモイル基、炭素数7〜20のアリールカルバモイル基、炭素数1〜20のアミノオキシカルボニル基、シアノ基、ニトロ基、炭素数1〜12のアルキルスルファニル基、炭素数2〜12のアルコキシカルボニル基、炭素数3〜12のアルケニルオキシカルボニル基、炭素数3〜12のアルキニルオキシカルボニル基、炭素数7〜12のアリールオキシカルボニル基、炭素数3〜12のヘテロアリールオキシカルボニル基、炭素数2〜12のアルキルスルファニルカルボニル基、炭素数3〜12のアルケニルスルファニルカルボニル基、炭素数3〜12のアルキニルスルファニルカルボニル基、炭素数7〜12のアリールスルファニルカルボニル基、炭素数3〜12のヘテロアリールスルファニルカルボニル基、炭素数2〜12のアルキルスルファニルアルコキシ基、−O−N=CR3031、−N(OR30)−OCO−R31又は下記式(2)で表される基
Figure 0006051950
(R30及びR31は、各々独立して、置換基を有していてもよい、炭素数1〜12のアルキル基又は炭素数6〜20のアリール基を表す。)
101は、Zと結合して環を形成していてもよく、該環は置換基を有していてもよい。
102は、置換基を有していてもよい、炭素数2〜20のアルキルカルボニル基、炭素数3〜25のアルケニルカルボニル基、炭素数4〜8のシクロアルキルカルボニル基、炭素数7〜20のアリールカルボニル基、炭素数2〜10のアルコキシカルボニル基、炭素数7〜20のアリールオキシカルボニル基、炭素数2〜20のヘテロアリール基、炭素数3〜20のヘテロアリールカルボニル基基または炭素数2〜20のアルキルアミノカルボニル基を表す。)
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。中でも求核置換反応に対して比較的安定なフッ素原子、塩素原子、臭素原子が好ましい。
置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリール基は、好ましくは炭素数が6以上、12以下で、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基等が挙げられる。該アリール基に置換していてもよい基としては、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、水酸基、アミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ハロゲン原子、シアノ基、スルホ基及びカルボキシ基などが挙げられる。アリール基の具体例としては、フェニル基、p−トリル基、m−トリル基、p−メトキシフェニル基、メシチル基、ナフチル基、アントラセニル基等が挙げられる。
置換基を有していてもよい炭素数2〜20のヘテロアリール基は、ヘテロ原子として窒素原子、硫黄原子及び酸素原子のいずれか一つを含む芳香族環で、好ましくは炭素数が2以上、12以下である。ヘテロアリール基が炭素以外の環を構成する原子を複数有する場合、これらは同一であっても異なっていてもよい。該1価の非芳香族ヘテロ環基としては、単環であっても縮合環であってもよく、ピロリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、チアゾリル基、オキサゾリル基、トリアゾリル基、チアジアゾリル基、ピリジニル基、ピリミジニル基、トリアジニル基、キノリニル基、イソキノリニル基、ベンゾチアゾリニル基、フタルイミドイル基、ベンズイミダゾロニル基、フリル基、チオフェニル基、ピラニル基、インドリニル基、イソインドリニル基等が挙げられる。該ヘテロアリール基に置換していてもよい基としては、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、水酸基、アミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ハロゲン原子、スルホ基及びカルボキシ基などが挙げられる。ヘテロアリール基の具体例としては、2−ピロリル基、2−イミダゾリル基、1−ピラゾリル基、2−チアゾリル基、2−オキサゾリル基、1,2,4−トリアゾール−1−イル基、4−ピリジニル基、2−ピリミジニル基、4,6−ジアミノ−2−トリアジニル基、8−キノリニル基、8−イソキノリニル基、2−ベンゾチアゾリニル基、6−メチル−7−スルホ−2−ベンゾチアゾリニル基、1,3−ジヒドロ−1,3−ジオキソ−2H−イソインドール−2−イル基、1H−ベンズイミダゾール−2−イル基、2−フリル基、2−チオフェニル基、1−インドリニル基、2−イソインドリニル基が挙げられる。
置換基を有していてもよい炭素数2〜20の1価の非芳香族ヘテロ環基は、ヘテロ原子として窒素原子、硫黄原子及び酸素原子のいずれか一つを含む非芳香族環で、好ましくは炭素数が2以上、12以下である。1価の非芳香族ヘテロ環基が炭素以外の環を構成する原子を複数有する場合、これらは同一であっても異なっていてもよい。該1価の非芳香族ヘテロ環基としては、単環であっても縮合環であってもよく、ピペリジニル基、ピロリジニル基、イミダゾリジニル基、ピラゾリジニル基、ピペラジニル基、モルホリニル基等が挙げられる。該1価の非芳香族ヘテロ環基が有していてもよい置換基としては、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、水酸基、アミノ基、ジメチルアミノ基
、ジエチルアミノ基、ハロゲン原子、スルホ基及びカルボキシ基などが挙げられる。1価の非芳香族ヘテロ環基の具体例としては、1−ピペリジニル基、1−ピロリジニル基、1−イミダゾリジニル基、1−ピラゾリジニル基、1−ピペラジニル基、1−モルホリニル基が挙げられる。
置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基は、好ましくは炭素数が1以上、10以下である。該アルコキシ基が有していてもよい置換基としては、炭素数1〜10のアルコキシ基、フェニル基、水酸基、アミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ハロゲン原子、シアノ基、スルホ基及びカルボキシ基などが挙げられる。アルコキシ基の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、s−ブトキシ基、t−ブトキシ基、n−アミルオキシ基、t−アミルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、n−ヘプチルオキシ基、n−オクチルオキシ基、ヒドロキシエトキシ基、1,2−ジヒドロキシプロポキシ基、2−メトキシエトキシ基、2−エトキシエトキシ基、2−ブトキシエトキシ基、2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ基、2−(2−エトキシエトキシ)エトキシ基、2−(2−ブトキシエトキシ)エトキシ基、ベンジルオキシ基、フェネチルオキシ基等の炭素数1〜18の直鎖又は分岐のアルコキシ基が挙げられる。
置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリールオキシ基は、好ましくは炭素数が6以上、14以下である。該アリールオキシ基としては、フェノキシ基、ナフトキシ基、アントラセニルオキシ基等が挙げられる。該アリールオキシ基が有していてもよい置換基としては、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、水酸基、アミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ハロゲン原子、シアノ基、スルホ基及びカルボキシ基などが挙げられる。アリールオキシ基の具体例としては、フェノキシ基、1−ナフトキシ基、2−ナフトキシ基、3−トリルオキシ基、4−メトキシフェノキシ基、4−シクロヘキシルフェノキシ基等の置換基を有していてもよいアリールオキシ基が挙げられる。
置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアルキルカルバモイル基は、−CO−NR11b12bで表され、R11b及びR12bは、各々独立に、水素原子又は置換基を有していてもよいアルキル基を表す。該アルキル基は、炭素数が通常1以上、また通常19以下、好ましくは12以下である。該アルキル基に置換していてもよい基としては、炭素数1〜10のアルコキシ基、フェニル基、水酸基、アミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ハロゲン原子、シアノ基、スルホ基及びカルボキシ基などが挙げられる。アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、シクロヘキシル基、ヒドロキシエチル基、1,2−ジヒドロキシプロピル基、2−メトキシエチル基、2−エトキシエチル基、2−ブトキシエチル基、2−(2−メトキシエトキシ)エチル基、2−(2−エトキシエトキシ)エチル基、2−(2−ブトキシエトキシ)エチル基、ベンジル基、フェネチル基等が挙げられる。該アルキルアミノ基の具体例としては、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジブチルアミノ基、ジ(2−エトキシエチル)アミノ基、ジフェネチルエチルアミノ基、シクロヘキシルエチル基等が挙げられる。該アルキルカルバモイル基の具体例としては、メチルカルバモイル基、エチルカルバモイル基、フェネチルカルバモイル基、2−エチルヘキシルカルバモイル基、2−エトキシエチルカルバモイル基、2−(2−エトキシエトキシ)エチルカルバモイル基、ジメチルカルバモイル基等が挙げられる。
置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアリールカルバモイル基は、−CO−NR13b14bで表され、R13bは置換基を有していてもよいアリール基を表す。R14bは水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基を表す。該アルキル基の好ましい炭素数、有していてもよい置換基の例は、前記R
11b及びR12bのアルキル基の場合に例示したものと同様である。
該アリール基は、炭素数が通常6以上、また通常19以下、好ましくは12以下で、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基等が挙げられる。該アリール基に置換していてもよい基としては、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、水酸基、アミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ハロゲン原子、シアノ基、スルホ基及びカルボキシ基などが挙げられる。アリール基の具体例としては、フェニル基、p−トリル基、m−トリル基、p−メトキシフェニル基、ナフチル基、アントラセニル基等が挙げられる。該アリールカルバモイル基の具体例としては、フェニルカルバモイル基、ナフチルカルバモイル基、p−トリルカルバモイル基、p−メトキシフェニルカルバモイル基、フェニルメチルカルバモイル基等が挙げられる。
置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアシル基は、−COR15bで表され、R15bは置換基を有していてもよいアルキル基または置換基を有していてもよいアリール基を表す。該アルキル基の好ましい炭素数、有していてもよい置換基の例は、前記R11b及びR12bのアルキル基の場合に例示したものと同様である。該アリール基の好ましい炭素数、有していてもよい置換基の例は、前記R48のアリール基の場合に例示したものと同様である。該アシル基の具体例としては、アセチル基、エチルカルボニル基、n−ブチルカルボニル基、ベンゾイル基、p−トリルカルボニル基、m−トリルカルボニル基、p−メトキシフェニルカルボニル基等が挙げられる。
置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアシルオキシ基は、−O−COR16bで表され、R16bは置換基を有していてもよいアルキル基または置換基を有していてもよいアリール基を表す。該アルキル基の好ましい炭素数、有していてもよい置換基の例は、前記R11b及びR12bのアルキル基の場合に例示したものと同様である。該アリール基の好ましい炭素数、有していてもよい置換基の例は、前記R13bのアリール基の場合に例示したものと同様である。該アシル基の具体例としては、アセトキシ基、エチルカルボニルオキシ基、n−ブチルカルボニルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、p−トリルカルボニルオキシ基、m−トリルカルボニルオキシ基、p−メトキシフェニルカルボニルオキシ基等が挙げられる。
置換基を有していてもよい炭素数1〜20のN-置換アミノ基は、−NR17b18
で表され、R17bは水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基を表す。R18bは置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基を表す。該アルキル基の好ましい炭素数、有していてもよい置換基の例は、前記R11b及びR12bのアルキル基の場合に例示したものと同様である。該アリール基の好ましい炭素数、有していてもよい置換基の例は、前記R13bのアリール基の場合に例示したものと同様である。該N-置換アミノ基の具体例としては
、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジブチルアミノ基、ジ(2−エトキシエチル)アミノ基、ジフェネチルエチルアミノ基、シクロヘキシルエチル基、フェニルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ジ(p−トリル)アミノ基、ジ(p−メトキシフェニル)アミノ基、エチルフェニルアミノ基、n−ブチルフェニルアミノ基等が挙げられる。
置換基を有していてもよい炭素数3〜20のシクロアルキル基は、好ましくは炭素数が3以上、12以下である。該シクロアルキル基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基、デカリニル基等が挙げられる。該シクロアルキル基に置換していてもよい基としては、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、水酸基、アミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ハロゲン原子、シアノ基、スルホ基及びカルボキシ基などが挙げられる。シクロアルキル基の具体例としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基、デカリニル基等が挙げられる。
置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルスルホニル基は、−SO−R19bで表され、R19bは置換基を有していてもよいアルキル基を表す。該アルキル基の好ましい炭素数、有していてもよい置換基の例は、前記R11b及びR12bのアルキル基の場合に例示したものと同様である。該アルキルスルホニル基の具体例としては、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、フェネチルスルホニル基、2−エチルヘキシルスルホニル基、2−エトキシエチルスルホニル基、2−(2−エトキシエトキシ)エチルスルホニル基、トリフルオロメチルスルホニル基等が挙げられる。
置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリールスルホニル基は、−SO−R20bで表され、R20bは置換基を有していてもよいアリール基を表す。該アリール基の好ましい炭素数、有していてもよい置換基の例は、前記R13bのアリール基の場合に例示したものと同様である。該アリールスルホニル基の具体例としては、フェニルスルホニル基、ナフチルスルホニル基、p−トリルスルホニル基、p−メトキシフェニルスルホニル基等が挙げられる。
置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルスルフィニル基は、−SO−R21bで表され、R21bは置換基を有していてもよいアルキル基を表す。該アルキル基の好ましい炭素数、有していてもよい置換基の例は、前記R11b及びR12bのアルキル基の場合に例示したものと同様である。該アルキルスルフィニル基の具体例としては、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、フェネチルスルフィニル基、2−エチルヘキシルスルフィニル基、2−エトキシエチルスルフィニル基、2−(2−エトキシエトキシ)エチルスルフィニル基、トリフルオロメチルスルフィニル基等が挙げられる。
置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリールスルフィニル基は、−SO−R22bで表され、R22bは置換基を有していてもよいアリール基を表す。該アリール基の好ましい炭素数、有していてもよい置換基の例は、前記R13bのアリール基の場合に例示したものと同様である。該アリールスルフィニル基の具体例としては、フェニルスルフィニル基、ナフチルスルフィニル基、p−トリルスルフィニル基、p−メトキシフェニルスルフィニル基等が挙げられる。
置換基を有していてもよい炭素数1〜12のアルキルスルファニル基は、−S−R23bで表され、R23bは置換基を有していてもよいアルキル基を表す。該アルキル基の好ましい炭素数、有していてもよい置換基の例は、前記R11b及びR12bのアルキル基の場合に例示したものと同様である。該アルキルスルファニル基の具体例としては、メチルスルファニル基、エチルスルファニル基、フェネチルスルファニル基、2−エチルヘキシルスルファニル基、2−エトキシエチルスルファニル基、2−(2−エトキシエトキシ)エチルスルファニル基、トリフルオロメチルスルファニル基等が挙げられる。
置換基を有していてもよい炭素数2〜12のアルコキシカルボニル基は、−CO−OR24bで表され、R24bは置換基を有していてもよいアルキル基を表す。該アルキル基の好ましい炭素数、有していてもよい置換基の例は、前記R11b及びR12bのアルキル基の場合に例示したものと同様である。該アルコキシカルボニル基の具体例としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基、フェネチルオキシカルボニル基、2−エチルヘキシルオキシカルボニル基、2−エトキシエトキシカルボニル基等が挙げられる。
置換基を有していてもよい炭素数3〜12のアルケニルオキシカルボニル基は、−CO−OR25bで表され、R25bは置換基を有していてもよいアルケニル基を表す。該アルケニル基は、炭素数が通常1以上、また通常11以下、好ましくは8以下である。該ア
ルケニル基に置換していてもよい基としては、炭素数1〜8のアルコキシ基、フェニル基、水酸基、アミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ハロゲン原子、シアノ基、スルホ基及びカルボキシ基などが挙げられる。
アルケニル基の具体例としては、ビニル基、アリル基、メタニル基等が挙げられる。アルケニルオキシカルボニル基の具体例としては、ビニルオキシカルボニル基、アリルオキシカルボニル基などの炭素数3〜12のアルケニルオキシカルボニル基が挙げられる。
置換基を有していてもよい炭素数3〜12のアルキニルオキシカルボニル基は、−CO−OR26bで表され、R26bは置換基を有していてもよいアルキニル基を表す。該アルキニル基は、炭素数が通常1以上、また通常11以下、好ましくは8以下である。該アルキニル基に置換していてもよい基としては、炭素数1〜8のアルコキシ基、フェニル基、水酸基、アミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ハロゲン原子、シアノ基、スルホ基及びカルボキシ基などが挙げられる。アルキニル基の具体例としては、メチニル基、プロピニル基、ブチニル基等が挙げられる。アルキニルオキシカルボニル基の具体例としては、メチニルオキシカルボニル基、プロピニルオキシカルボニル基などの炭素数3〜12のアルキニルオキシカルボニル基が挙げられる。
置換基を有していてもよい炭素数7〜12のアリールオキシカルボニル基は、−CO−OR27bで表され、R27bは置換基を有していてもよいアリール基を表す。該アリール基の好ましい炭素数、有していてもよい置換基の例は、前記R13bのアリール基の場合に例示したものと同様である。アリールオキシカルボニル基の具体例は、フェニルオキシカルボニル基、1−ナフチルオキシカルボニル基、2−ナフチルオキシカルボニル基、p−トリルオキシカルボニル基、p−メトキシフェニルオキシカルボニル基などの炭素数7〜12のアリールオキシカルボニル基が挙げられる。
置換基を有していてもよい炭素数3〜12のヘテロアリールオキシカルボニル基は、−CO−OR28bで表され、R28bは置換基を有していてもよいヘテロアリール基を表す。該ヘテロアリール基の好ましい炭素数、有していてもよい置換基の例は、前記R94、R95及びR101におけるヘテロアリール基が有していてもよい置換基と同様である。ヘテロアリールオキシカルボニル基の具体例は、8−キノリニルオキシカルボニル基、2−フラニルオキシカルボニル基、3−フラニルオキシカルボニル基、2−ピリジルオキシカルボニル基、3−ピリジルオキシカルボニル基、4−ピリジルオキシカルボニル基、2−ベンゾチアゾリルオキシカルボニル基などの炭素数3〜12のヘテロアリールオキシカルボニル基が挙げられる。
置換基を有していてもよい炭素数2〜12のアルキルスルファニルカルボニル基は、−CO−SR29bで表され、R29bは置換基を有していてもよいアルキル基を表す。該アルキル基の好ましい炭素数、有していてもよい置換基の例は、前記R11b及びR12bのアルキル基の場合に例示したものと同様である。該アルキルスルファニルカルボニル基の具体例としては、メチルスルファニルカルボニル基、エチルスルファニルカルボニル基、n−プロピルスルファニルカルボニル基、イソプロピルスルファニルカルボニル基、n−ブチルスルファニルカルボニル基、n−ヘキシルスルファニルカルボニル基、n−オクチルスルファニルカルボニル基、n−ドデシルスルファニルカルボニル基などの炭素数2〜12のアルキルスルファニルカルボニル基等が挙げられる。
置換基を有していてもよい炭素数3〜12のアルケニルスルファニルカルボニル基は、−CO−SR30bで表され、R30bは置換基を有していてもよいアルケニル基を表す。該アルキル基の好ましい炭素数、有していてもよい置換基の例は、前記R25bのアルケニル基の場合に例示したものと同様である。アルケニルスルファニルカルボニル基の具体例としては、ビニルスルファニルカルボニル基、アリルスルファニルカルボニル基など
の炭素数3〜12のアルケニルスルファニルカルボニルが挙げられる。
置換基を有していてもよい炭素数3〜12のアルキニルスルファニルカルボニル基は、−CO−SR31bで表され、R31bは置換基を有していてもよいアルケニル基を表す。該アルキル基の好ましい炭素数、有していてもよい置換基の例は、前記R26bのアルケニル基の場合に例示したものと同様である。アルキニルスルファニルカルボニル基の具体例としては、メチニルオキシカルボニル基、プロピニルオキシカルボニル基などの炭素数3〜12のアルキニルスルファニルカルボニル基が挙げられる。
置換基を有していてもよい炭素数7〜12のアリールスルファニルカルボニル基は、−CO−SR32bで表され、R32bは置換基を有していてもよいアリール基を表す。該アリール基の好ましい炭素数、有していてもよい置換基の例は、前記R13bのアリール基の場合に例示したものと同様である。アリールスルファニルカルボニル基の具体例は、フェニルスルファニルカルボニル基、1−ナフチルスルファニルカルボニル基、2−ナフチルスルファニルカルボニル基、p−トリルスルファニルカルボニル基、p−メトキシフェニルスルファニルカルボニル基などの炭素数7〜12のアリールスルファニルカルボニル基が挙げられる。
置換基を有していてもよい炭素数3〜12のヘテロアリールスルファニルカルボニル基は、−CO−SR33bで表され、R33bは置換基を有していてもよいヘテロアリール基を表す。該ヘテロアリール基の好ましい炭素数、有していてもよい置換基の例は、前記R94、R95及びR101におけるヘテロアリール基が有していてもよい置換基と同様である。ヘテロアリールスルファニルカルボニル基の具体例は、8−キノリニルスルファニルカルボニル基、2−フラニルスルファニルカルボニル基、3−フラニルスルファニルカルボニル基、2−ピリジルスルファニルカルボニル基、3−ピリジルスルファニルカルボニル基、4−ピリジルスルファニルカルボニル基、2−ベンゾチアゾリルスルファニルカルボニル基などの炭素数3〜12のヘテロアリールスルファニルカルボニル基が挙げられる。
置換基を有していてもよい炭素数2〜12のアルキルスルファニルアルコキシ基は、炭素数1〜10のアルキルスルファニル基が置換したアルコキシ基を指す。該アルキルスルファニルアルコキシ基中のアルキルスルファニル基は、炭素数1〜8のアルコキシ基、フェニル基、水酸基等が置換していてもよい。該アルキルスルファニルアルコキシ基中のアルコキシ基は、アルキルスルファニル基以外に、炭素数1〜8のアルコキシ基、フェニル基、水酸基等が置換していてもよい。アルキルスルファニルアルコキシ基の具体例は、メチルチオメトキシ基、メチルチオエトキシ基、エチルチオメトキシ基、エチルチオエトキシ基、メチルチオプロポキシ基、エチルチオプロポキシ基などの炭素数2〜12のアルキルチオアルコキシ基が挙げられる。
尚、R101はZと結合し、環を形成していてもよく、該環は置換基を有していてもよい。
(R102について)
102は、置換基を有していてもよい、炭素数2〜20のアルキルカルボニル基、炭素数3〜25のアルケニルカルボニル基、炭素数4〜8のシクロアルキルカルボニル基、炭素数7〜20のアリールカルボニル基、炭素数2〜10のアルコキシカルボニル基、炭素数7〜20のアリールオキシカルボニル基、炭素数2〜20のヘテロアリール基、炭素数3〜20のヘテロアリールカルボニル基または炭素数2〜20のアルキルアミノカルボニル基を表す。
炭素数2〜12のアルキルカルボニル基としては、アセチル基、プロパノイル基、ブタノイル基等が挙げられ、好ましくはアセチル基である。炭素数は、好ましくは2〜10、
より好ましくは2〜7である。
炭素数3〜25のアルケニルカルボニル基としては、クロトノイル基、アクリロイル基等が挙げられ、好ましくはクロトノイル基である。炭素数は、好ましくは3〜12、より好ましくは3〜7である。
炭素数4〜8のシクロアルキルカルボニル基としては、シクロヘキシルカルボニル基、メチルシクロヘキシルカルボニル基、シクロペンチルカルボニル基等が挙げられ、好ましくはシクロヘキシルカルボニル基である。炭素数は、好ましく4〜7である。
炭素数7〜20のアリールカルボニル基としては、ベンゾイル基、メチルベンゾイル基、ナフトイル基等が挙げられ、好ましくはベンゾイル基である。炭素数は、好ましくは7〜12、より好ましくは7〜10である。
炭素数2〜10のアルコキシカルボニル基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基等が挙げられ、好ましくはメトキシカルボニル基である。炭素数は、好ましくは2〜8である。
炭素数7〜20のアリールオキシカルボニル基としては、フェノキシカルボニル基、p−メチルフェノキシカルボニル基、ナフトキシカルボニル基等が挙げられ、好ましくはフェノキシカルボニル基である。炭素数は、好ましくは7〜15、より好ましくは7〜10である。
炭素数2〜20のヘテロアリール基としては、チエニル基、ピロリル基、ピリジル基等が挙げられ、好ましくはチエニル基である。炭素数は、好ましくは2〜12、より好ましくは2〜7である。
炭素数3〜20のヘテロアリールカルボニル基としては、チオフェンカルボニル基、ピロリルカルボニル基、ピリジンカルボニル基等が挙げられ、好ましくはチオフェンカルボニル基である。炭素数は、好ましくは5〜15、より好ましくは7〜10である。
炭素数2〜20のアルキルアミノカルボニル基としては、モルホリノカルボニル基、ジメチルアミノカルボニル基、メチルアミノカルボニル基等が挙げられ、好ましくはジメチルアミノカルボニル基である。炭素数は、好ましくは2〜12、より好ましくは2〜10である。
上述した各基のうち、露光感度の点から、R102としてはアルキルカルボニル基、シクロアルキルカルボニル基、アリールカルボニル基が好ましく、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基がより好ましい。
尚、R102として上述した各基が有しうる置換基については後述するが、上述した各基としては、置換基を有さないものが特に好ましい。
尚、R102として上述した各基が有していてもよい置換基としては、例えば、下記[置換基群W]の項に記載のものが挙げられる。
[置換基群W
炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、フェニル基、水酸基、アミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ハロゲン原子、シアノ基、スルホ基及びカルボキシ基。
(R103について)
103は、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数3〜5のアルケニル基又は6〜20のアリール基を表す。
該アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、シクロヘキシル基、ヒドロキシエチル基、1,2−ジヒドロキシプロピル基、2−メトキシエチ
ル基、2−エトキシエチル基、2−ブトキシエチル基、2−(2−メトキシエトキシ)エチル基、2−(2−エトキシエトキシ)エチル基、2−(2−ブトキシエトキシ)エチル基、ベンジル基、フェネチル基等が挙げられる。炭素数は、好ましくは1〜10、より好ましくは1〜6である。
該アルケニル基としては、アリル基、メタニル基等が挙げられる。炭素数は、好ましくは3〜4である。
該アリール基は、前記(X及びR101について)の項で記載のものと同様である。
尚、R103として上述した各基が有しうる置換基については後述するが、上述した各基としては、置換基を有さないものが特に好ましい。
尚、R103として上述した各基が有していてもよい置換基としては、例えば、上記[置換基群W]の項に記載のものが挙げられる。
グラム当たりのラジカル活性種の発生量が高く、更に製造が簡便な点で、R103は、炭素数1〜6のアルキル基であることが好ましく、特にエチル基であることが好ましい。
(R104〜R109について)
104〜R109は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数1〜20のアルコキシ基を表す。
グラム当たりのラジカル活性種の発生量が高く、更に製造が簡便な点で、R104〜R109は、水素原子であることが特に好ましい。
その他に、ベンゾインアルキルエーテル類、アントラキノン誘導体類;2−メチル−(4’−メチルチオフェニル)−2−モルホリノ−1−プロパノン等のアセトフェノン誘導体類、2−エチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン等のチオキサントン誘導体類、安息香酸エステル誘導体類、アクリジン誘導体類、フェナジン誘導体類、アンスロン誘導体類等も挙げられる。
これら光重合開始剤の中では、α−アミノアルキルフェノン誘導体類、チオキサントン誘導体類、オキシムエステル系誘導体類がより好ましい。特に、オキシムエステル系誘導体類が好ましい。
必要に応じて用いられる(E2)重合加速剤としては、例えば、N,N−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル等のN,N−ジアルキルアミノ安息香酸アルキルエステル類;2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール等の複素環を有するメルカプト化合物;脂肪族多官能メルカプト化合物等のメルカプト化合物類等が挙げられる。
これらの(E1)光重合開始剤及び(E2)重合加速剤は、それぞれ1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、必要に応じて感応感度を高める目的で、(E3)増感色素が用いられる。増感色素は、画像露光光源の波長に応じて、適切なものが用いられるが、例えば特開平4−221958号、特開平4−219756号各公報等に記載のキサンテン系色素;特開平3−239703号、特開平5−289335号各公報等に記載の複素環を有するクマリン系色素;特開平3−239703号、特開平5−289335号各公報等に記載の3−ケトクマリン系色素;特開平6−19240号公報等に記載のピロメテン系色素;特開昭47−2528号、特開昭54−155292号、特公昭45−37377号、特開昭48−84183号、特開昭52−112681号、特開昭58−15503号、特開昭60−88005号、特開昭59−56403号、特開平2−69号、特開昭57−168088号、特開平5−107761号、特開平5−210240号、特開平4−288818号各公報等に記載のジアルキルアミノベンゼン骨格を有する色素等が挙げられる。
(E3)増感色素もまた1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の着色樹脂組成物において、これらの(E)光重合開始成分の含有量は、全固形分中、通常0.1重量%以上、好ましくは0.2重量%以上、更に好ましくは0.5重量%以上、また、通常40重量%以下、好ましくは30重量%以下、更に好ましくは20重量%以下の範囲である。
上記範囲内であると、露光光線に対する感度が良好で、また未露光部分の現像液に対する溶解性も良好で、現像不良などを誘起し難い点で好ましい。
[(E)熱重合開始成分]
本発明の着色樹脂組成物に含有されていてもよい(E)熱重合開始成分の具体例としては、アゾ系化合物、有機過酸化物及び過酸化水素等が挙げられる。これらのうち、アゾ系化合物が好適に用いられる。より具体的には、例えば国際公開第2009/107734号等に記載の熱重合開始成分を用いることができる。
これらの熱重合開始成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
[その他の任意成分]
本発明の着色樹脂組成物は、前記各成分の外に、界面活性剤、有機カルボン酸及び/又は有機カルボン酸無水物、熱硬化性化合物、可塑剤、熱重合防止剤、保存安定剤、表面保護剤、密着向上剤、現像改良剤等を含有していてもよい。これら任意成分としては、例えば特開2007−113000号公報記載の各種化合物を使用することができる。また、後述の(F)顔料を含有する場合には、分散剤や分散助剤を含有してもよい。
[(F)顔料]
本発明の着色樹脂組成物は、得られるカラーフィルタの耐熱性の向上等の目的で、本発明の効果を損わない範囲で、(F)顔料を含有していることが好ましい。
(F)顔料としては、例えばカラーフィルタの画素等を形成する場合には、赤色、オレンジ色、黄色、青色、紫色等各種の色の顔料を使用することができる。また、その化学構造としては、例えばフタロシアニン系、キナクリドン系、ベンズイミダゾロン系、ジオキサジン系、インダンスレン系、ペリレン系、アゾ系、キノフタロン系、アントラキノン系等の有機顔料が挙げられる。この他に種々の無機顔料等も利用可能である。以下、使用できる顔料の具体例をピグメントナンバーで示す。
赤色顔料としては、C.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、12、14、15、16、17、21、22、23、31、32、37、38、41、47、48、48:1、48:2、48:3、48:4、49、49:1、49:2、50:1、52:1、52:2、53、53:1、53:2、53:3、57、57:1、57:2、58:4、60、63、63:1、63:2、64、64:1、68、69、81、81:1、81:2、81:3、81:4、83、88、90:1、101、101:1、104、108、108:1、109、112、113、114、122、123、144、146、147、149、151、166、168、169、170、172、173、174、175、176、177、178、179、181、184、185、187、188、190、193、194、200、202、206、207、208、209、210、214、216、220、221、224、230、231、232、233、235、236、237、238、239、242、243、245、247、249、250、251、253、254、255、256、257、258、259、260、262、263、264、265、266、267、268、269、270、271、272、273、274、275、276等を挙げることができる。これらの中で、好ましくはC.I.ピグメントレッド48:1、122、168、177、202、206、207、209、224、242、254等であり、更に好ましくはC.I.ピグメントレッド177、209、224、242、254等である。
オレンジ顔料としては、C.I.ピグメントオレンジ1、2、5、13、16、17、19、20、21、22、23、24、34、36、38、39、43、46、48、49、61、62、64、65、67、68、69、70、71、72、73、74、75、77、78、79等を挙げることができる。これらの中で、好ましくはC.I.ピグメントオレンジ38、71等である。
黄色顔料としては、C.I.ピグメントイエロー1、1:1、2、3、4、5、6、9、10、12、13、14、16、17、24、31、32、34、35、35:1、36、36:1、37、37:1、40、41、42、43、48、53、55、61、62、62:1、63、65、73、74、75,81、83、87、93、94、95、97、100、101、104、105、108、109、110、111、116、117、119、120、126、127、127:1、128、129、133、134、136、138、139、142、147、148、151、153、154、155、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、172、173、174、175、176、180、181、182、183、184、185、188、189、190、191、191:1、192、193、194、195、196、197、198、199、200、202、203、204、205、206、207、208、並びに特開2005−325350号公報及び特開2007−25687号公報に記載の顔料Yを挙げることができる。
これらの中で、好ましくはC.I.ピグメントイエロー138、139、前記顔料Yである。
青色顔料としては、例えばC.I.ピグメントブルー1、1:2、9、14、15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、17、19、25、27、28、29、33、35、36、56、56:1、60、61、61:1、62、63、66、67、68、71、72、73、74、75、76、78、79などを挙げることができる。
これらの中でも、青色の銅フタロシアニン顔料が好ましく、該銅フタロシアニン顔料としては、C.I.ピグメントブルー15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6などが好ましく挙げられ、更に好ましくはC.I.ピグメントブルー15:6である。
この為、本発明の着色樹脂組成物が、青色顔料を含む場合、青色顔料の全含有量に対して、80重量%以上、特に90重量%以上、とりわけ95〜100重量%が、C.I.Pigment Blue15:6であることが好ましい。
紫色顔料としては、例えばC.I.ピグメントバイオレット1、1:1、2、2:2、3、3:1、3:3、5、5:1、14、15、16、19、23、25、27、29、31、32、37、39、42、44、47、49、50などを挙げることができる。
これらの中でも、紫色のジオキサジン顔料が好ましく、該ジオキサジン顔料として、C.I.ピグメントバイオレット19、23などが好ましく挙げられ、更に好ましくはC.I.ピグメントバイオレット23である。
この為、本発明の着色樹脂組成物が、紫色顔料を含む場合、紫色顔料の全含有量に対して、80重量%以上、特に90重量%以上、とりわけ95〜100重量%が、C.I.Pigment Violet23であることが好ましい。
これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で混合して用いてもよい。
本発明の着色樹脂組成物を、赤色画素を形成するのに用いる場合、上記の赤色顔料、オレンジ色顔料、または黄色顔料のいずれか1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で混合して用いてもよい。
本発明の着色樹脂組成物を、青色画素を形成するのに用いる場合、上記の青色顔料、または紫色顔料のいずれか1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で混合して用いてもよい。
なお、本発明の着色樹脂組成物に用いる(F)顔料は、高いコントラストの画素を形成しうる点から平均一次粒径の小さいものが好ましく、具体的には、平均一次粒径が40nm以下であることが好ましく、35nm以下であることがより好ましい。
特に、青色の銅フタロシアニン顔料についても同様に、好ましくは平均一次粒径が40nm以下であり、より好ましくは35nm以下、更に好ましくは20〜30nmである。
また、ジオキサジン顔料については、平均一次粒径は好ましくは40nm以下、より好ましくは25〜35nmである。着色樹脂組成物中で顔料が凝集し難い点からは、平均一次粒径が小さすぎない方が好ましい。
なお、ここで、(F)顔料の平均一次粒径は以下の方法により測定・算出された値である。
まず、(F)顔料をクロロホルム中に超音波分散し、コロジオン膜貼り付けメッシュ上に滴下して、乾燥させ、透過電子顕微鏡(TEM)観察により、顔料の一次粒子像を得る。この像から、個々の顔料粒子の粒径を、同じ面積となる円の直径に換算した面積円相当径として、複数個(通常200〜300個程度)の顔料粒子についてそれぞれ粒径を求める。
得られた一次粒径の値を用い、下式の計算式の通り個数平均値を計算し、平均粒径を求める。
個々の顔料粒子の粒径:X、X、X、X、・・・・、X、・・・・・・X
Figure 0006051950
(配合量)
本発明において、(F)顔料を含む場合、着色樹脂組成物における顔料の含有量は、全固形分中、通常80重量%以下、好ましくは50重量%以下である。
また、前記(A)染料100重量部に対する含有量は、通常2000重量部以下、好ましくは1000重量部以下である。
上記範囲内とすることで、(A)染料による透過率に大きな影響をすることなく、得られる画素の耐熱性がより良好になり易い点で好ましい。
[分散剤]
本発明の着色樹脂組成物が、(F)顔料を含む場合、更に分散剤を含有することが好ましい。
本発明における分散剤は、顔料が分散し、安定を保つことができれば特に種類を問わない。
例えば、カチオン系、アニオン系、ノニオン系や両性等の分散剤を使用することができ
るが、ポリマー分散剤が好ましい。具体的には、ブロック共重合体、ポリウレタン、ポリエステル、高分子共重合体のアルキルアンモニウム塩又はリン酸エステル塩、カチオン性櫛型グラフトポリマー等を挙げることができる。これら分散剤の中で、ブロック共重合体、ポリウレタン、カチオン性櫛型グラフトポリマーが好ましい。特にブロック共重合体が好ましく、この中でも親溶剤性を有するAブロック及び窒素原子を含む官能基を有するBブロックからなるブロック共重合体が好ましい。
具体的には、窒素原子含有官能基を有するBブロックとして、側鎖に4級アンモニウム塩基、及び/又はアミノ基を有する単位構造が挙げられ、一方、親溶剤性のAブロックとして、4級アンモニウム塩基及びアミノ基を有さない単位構造が挙げられる。
係るアクリル系ブロック共重合体を構成するBブロックは、4級アンモニウム塩基、及び/又はアミノ基を有する単位構造を有し、顔料吸着機能を持つ部位である。
又、係るBブロックとして、4級アンモニウム塩基を有する場合、当該4級アンモニウム塩基は、直接主鎖に結合していてもよいが、2価の連結基を介して主鎖に結合していてもよい。
このようなブロック共重合体としては、例えば、特開2009−025813号公報に記載のものが挙げられる。
また、本発明の着色樹脂組成物は、上記した以外の分散剤を含んでいてもよい。その他の分散剤としては、例えば特開2006−343648号公報に記載のものが挙げられる。
本発明の着色樹脂組成物が、(F)顔料を含有する場合、分散剤の全固形分中の含有量は、(F)顔料の総含有量の2〜1000重量%、特に5〜500重量%、とりわけ10〜250重量%の範囲内となるように用いることが好ましい。
上記範囲内とすることで、(A)染料の耐熱性に影響を及ぼすことなく、良好な顔料分散性を確保することができ、また顔料の分散安定性がより良好となる点で好ましい。
[分散助剤]
本発明の着色樹脂組成物には、分散助剤を含有していてもよい。ここでいう分散助剤は、顔料誘導体であってもよく、顔料誘導体としては、例えば特開2001−220520号公報、特開2001−271004号公報、特開2002−179976号公報、特開2007−113000号公報、及び特開2007−186681号公報等に記載の各種化合物等を使用することができる。
尚、本発明の着色樹脂組成物における分散助剤の含有量は、顔料の総固形分量に対して通常0.1重量%以上、又、通常30重量%以下、好ましくは20重量%以下、より好ましくは10重量%以下、更に好ましくは5重量%以下である。添加量を上記の範囲に制御することにより、分散助剤としての効果が発揮され、又、分散性及び分散安定性がより良好である点で好ましい。
[分散樹脂]
本発明の着色樹脂組成物には、前記(C)バインダー樹脂もしくはその他のバインダー樹脂から選ばれた樹脂の一部又は全部を下記の分散樹脂として含有していてもよい。
具体的には、後述する[着色樹脂組成物の調製方法]において、前述の分散剤等の成分とともに、(C)バインダー樹脂を含有させることにより、該(C)バインダー樹脂が、分散剤との相乗効果で(F)顔料の分散安定性に寄与する。結果として分散剤の添加量を減らせる可能性があるため好ましい。又、現像性が向上し、基板の非画素部に未溶解物が残存せず、画素の基板への密着性が向上する、といった効果も奏するため好ましい。
このように、分散処理工程に使用される(C)バインダー樹脂を、分散樹脂と称するこ
とがある。分散樹脂は、着色樹脂組成物中の顔料全量に対して0〜200重量%程度使用することが好ましく、10〜100重量%程度使用することがより好ましい。
[着色樹脂組成物の調製方法]
本発明において、着色樹脂組成物は、適宜の方法により調製することができるが、例えば、キサンテン系化合物(I)を含む(A)染料及び(C)バインダー樹脂を、(B)溶剤及び必要に応じて用いられる任意成分と共に混合することで調製できる。
また、(F)顔料を含む場合の調製方法としては、(F)顔料を含む溶剤中、分散剤及び必要に応じて添加する分散助剤の存在下で、場合により(C)バインダー樹脂の一部と共に、例えば、ペイントシェイカー、サンドグラインダー、ボールミル、ロールミル、ストーンミル、ジェットミル、ホモジナイザー等を用いて、粉砕しつつ混合・分散して顔料分散液を調製する。該顔料分散液に、キサンテン系化合物(I)を含む(A)染料、(C)バインダー樹脂、必要に応じて、(D)重合性モノマー、(E)光重合開始成分及び/又は熱重合開始成分、などを添加し、混合することにより調製する方法を挙げることができる。
[着色樹脂組成物の応用]
本発明の着色樹脂組成物は、通常、すべての構成成分が溶剤中に溶解或いは分散された状態である。このような着色樹脂組成物が基板上へ供給され、カラーフィルタや液晶表示装置、有機EL表示装置などの構成部材が形成される。
以下、本発明の着色樹脂組成物の応用例として、カラーフィルタの画素としての応用、及びそれらを用いた液晶表示装置(パネル)及び有機EL表示装置について、説明する。
<カラーフィルタ>
本発明のカラーフィルタは、本発明の着色樹脂組成物から形成された画素を有するものである。
以下に、本発明のカラーフィルタを形成する方法について説明する。
カラーフィルタの画素は、様々な方法で形成することができる。ここでは光重合性の着色樹脂組成物を使用してフォトリソグラフィー法にて形成する場合を例に説明するが、製造方法はこれに限定されるものではない。
まず、基板の表面上に、必要に応じて、画素を形成する部分を区画するようにブラックマトリックスを形成し、この基板上に、本発明の着色樹脂組成物を塗布したのち、プレベークを行って溶剤を蒸発させ、塗膜を形成する。次いで、この塗膜にフォトマスクを介して露光したのち、アルカリ現像液を用いて現像して、塗膜の未露光部を溶解除去し、その後ポストベークすることにより、赤色、緑色、青色の各画素パターンを形成して、カラーフィルタを作製することができる。
画素を形成する際に使用される基板としては、透明で適度な強度を有するものであれば特に限定されないが、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、アクリル系樹脂、熱可塑性樹脂製シート、エポキシ樹脂、熱硬化性樹脂、各種ガラスなどが挙げられる。
また、これらの基板には、所望により、シランカップリング剤やウレタン系樹脂などによる薄膜形成処理、コロナ放電処理やオゾン処理などの表面処理等、適宜前処理を施してもよい。
着色樹脂組成物を基板に塗布する際には、スピナー法、ワイヤーバー法、フローコート法、スリット・アンド・スピン法、ダイコート法、ロールコート法、スプレーコート法等が挙げられる。中でも、スリット・アンド・スピン法、及びダイコート法が好ましい。
塗布膜の厚さは、乾燥後の膜厚として、通常、0.2〜20μm、好ましくは0.5〜
10μm、特に好ましくは0.8〜5.0μmである。
上記範囲内であると、パターン現像や液晶セル化工程でのギャップ調整が容易であり、また所望の色発現がし易い点で好ましい。
露光の際に使用される放射線としては、例えば、可視光線、紫外線、遠紫外線、電子線、X線等を使用することができるが、波長が190〜450nmの範囲にある放射線が好ましい。
画像露光に使用される、波長190〜450nmの放射線を用いるための光源は、特に限定されるものではないが、例えば、キセノンランプ、ハロゲンランプ、タングステンランプ、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、中圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、蛍光ランプ等のランプ光源;アルゴンイオンレーザー、YAGレーザー、エキシマレーザー、窒素レーザー、ヘリウムカドミニウムレーザー、半導体レーザー等のレーザー光源等が挙げられる。特定の波長の光を照射して使用する場合には、光学フィルターを利用することもできる。
放射線の露光量は、10〜10,000J/mが好ましい。
また、前記アルカリ現像液としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、珪酸ナトリウム、珪酸カリウム、メタ珪酸ナトリウム、燐酸ナトリウム、燐酸カリウム、燐酸水素ナトリウム、燐酸水素カリウム、燐酸二水素ナトリウム、燐酸二水素カリウム、水酸化アンモニウム等の無機アルカリ性化合物;モノ−・ジ−・又はトリ−エタノールアミン、モノ−・ジ−・又はトリ−メチルアミン、モノ−・ジ−・又はトリ−エチルアミン、モノ−・又はジ−イソプロピルアミン、n−ブチルアミン、モノ−・ジ−・又はトリ−イソプロパノールアミン、エチレンイミン、エチレンジイミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)、コリン等の有機アルカリ性化合物等の水溶液が好ましい。
前記アルカリ現像液には、例えばイソプロピルアルコール、ベンジルアルコール、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、フェニルセロソルブ、プロピレングリコール、ジアセトンアルコール等の水溶性有機溶剤や界面活性剤等を適量添加することもできる。なお、アルカリ現像後は、通常、水洗する。
現像処理法としては、浸漬現像法、スプレー現像法、ブラシ現像法、超音波現像法等の何れかの方法によることができる。現像条件は、室温(23℃)で5〜300秒が好ましい。
現像処理の条件には特に制限はないが、現像温度は通常10℃以上、中でも15℃以上、更には20℃以上、また、通常50℃以下、中でも45℃以下、更には40℃以下の範囲が好ましい。
現像方法は、浸漬現像法、スプレー現像法、ブラシ現像法、超音波現像法等の何れかの方法によることができる。
このようにして作製されたカラーフィルタを液晶表示装置に使用する場合には、このままの状態で画像上にITO等の透明電極を形成して、カラーディスプレイ、液晶表示装置等の部品の一部として使用されるが、表面平滑性や耐久性を高めるため、必要に応じ、画像上にポリアミド、ポリイミド等のトップコート層を設けることもできる。また、一部、平面配向型駆動方式(IPSモード)等の用途においては、透明電極を形成しないこともある。また、垂直配向型駆動方式(MVAモード)では、リブを形成することもある。また、ビーズ散布型スペーサに代わり、フォトリソグラフィー法による柱構造(フォトスペーサー)を形成することもある。
<液晶表示装置>
本発明の液晶表示装置は、上述の本発明のカラーフィルタを用いたものである。本発明の液晶表示装置の型式や構造については特に制限はなく、本発明のカラーフィルタを用いて常法に従って組み立てることができる。
例えば、「液晶デバイスハンドブック」(日刊工業新聞社、1989年9月29日発行、日本学術振興会第142委員会著)に記載の方法で、本発明の液晶表示装置を形成することができる。
<有機EL表示装置>
本発明のカラーフィルタを有する有機EL表示装置を作成する場合、例えば図1に示すように、透明支持基板10上に、本発明の着色樹脂組成物により画素20が形成された青色カラーフィルタ上に有機保護層30及び無機酸化膜40を介して有機発光体500を積層することによって多色の有機EL素子を作製する。
有機発光体500の積層方法としては、カラーフィルタ上面へ透明陽極50、正孔注入層51、正孔輸送層52、発光層53、電子注入層54、及び陰極55を逐次形成していく方法や、別基板上へ形成した有機発光体500を無機酸化膜40上に貼り合わせる方法などが挙げられる。このようにして作製された有機EL素子100は、パッシブ駆動方式の有機EL表示装置にもアクティブ駆動方式の有機EL表示装置にも適用可能である。
次に、合成例、実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。
[1]色材の合成
(合成例1:染料1の合成)
フルオレセインクロリド(東京化成工業製)(7.38g)、o−トルイジン(5.59g)、塩化亜鉛(無水)(5.50g)およびスルホラン(50.2g)を混合し、窒素雰囲気下、170℃で8時間撹拌した。反応液を氷水(200mL)に入れ、濃塩酸(25mL)を加えてろ過をした。得られた固体を水(300mL)で懸洗を行った後、減圧下、50℃で乾燥し、中間体(1−a)を得た(12.34g)。この中間体(1−a)はこれ以上精製せず、次の反応に使用した。
Figure 0006051950
上記中間体(1−a)(3.09g)、ジイソブチルアミン(3.22g)、オキシ塩化リン(1.02g)および1,2−ジクロロエタン(62mL)を混合し、窒素雰囲気下、80℃で3時間撹拌した。反応液を水(300mL)に入れ、クロロホルム(100mL)で抽出した。有機層を4N塩酸(150mL)、水(150mL)で洗浄したのち、溶剤を留去した。得られた固体をシリカゲルクロマトグラフィー(クロロホルム/メタノール=9/1)にて精製し、中間体(1−b)を得た(0.55g)。
Figure 0006051950
濃硫酸(12.9g)と上記中間体(1−b)(0.46g)を混合し、氷冷下で5時間撹拌した。反応液を氷水(120mL)に入れ、20%水酸化ナトリウム水溶液で中和した後、ろ過し、得られた固体を減圧下で乾燥して、染料1を得た(0.44g)。染料1は、高速液体クロマトグラフィー質量分析により染料1−Aと染料1−Bの94:6の混合物と同定した。
この化合物の10ppmプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)/プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)=35/65溶液中での極大吸収波長(λmax)は547nmで、グラム吸光係数は91であった。MSの結果を
下記に示す。LCMS(ESI,posi)m/z 703(M+H,C4243S)(染料1−A) m/z 782(M+H,C4243)(染料1−B)
Figure 0006051950
(合成例2:染料2の合成)
フルオレセインクロリド(東京化成工業製)(3.69g)、2,6−ジメチルアニリン(3.64g)、塩化亜鉛(無水)(2.73g)およびスルホラン(25.0g)を混合し、窒素雰囲気下、170℃で8時間撹拌した。反応液を氷水(150mL)に入れ、濃塩酸(10mL)を加えてろ過をした。得られた固体を水(150mL)で懸洗を行った後、減圧下、50℃で乾燥し、中間体(2−a)を得た(5.10g)。この中間体(2−a)はこれ以上精製せず、次の反応に使用した。
Figure 0006051950
窒素雰囲気下、上記中間体(2−a)(1.48g)、N,N−ジメチルホルムアミド(14.0mg、)トルエン(20mL)および塩化チオニル(0.75g)の混合物を80℃で3.5時間攪拌した。溶媒を留去し、(2−a)の酸塩化物を得た。
N−メチル−4−アミノベンゼンスルホン酸(0.58g)、炭酸カリウム(0.64g)、水(5mL)およびクロロホルム(10mL)の混合物に、上記の(2−a)の酸塩化物をクロロホルム(3mL)に溶解させたものを加え、6時間室温で撹拌した。反応後、水(10mL)を加え、有機層をさらに水(10mL)で2回洗浄した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム/メタノール=20/1→15/1)で精製して、赤色固体の染料2を得た(0.74g)。
この化合物の10ppmプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)/プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)=35/65溶液中での極大吸収波長(λmax)は543nmで、グラム吸光係数は112であった。MSの結果
を下記に示す。LCMS(ESI,posi)m/z 708(M+H,C4338S)
Figure 0006051950
(合成例3:染料3の合成)
ローダミンB(東京化成工業製)(1.42g)、塩化チオニル(2.48g)、N,N−ジメチルホルムアミド(20mg)およびトルエン(24mL)の混合物を、窒素雰囲気下、80℃で5時間撹拌した。溶媒を留去し、ローダミンBの酸塩化物を得た。
N−メチル−4−アミノベンゼンスルホン酸(0.72g)、炭酸カリウム(0.80g)、水(18mL)およびクロロホルム(15mL)の混合物に、上記のローダミンBの酸塩化物をクロロホルム(30mL)に溶解させたものを加え、6時間室温で撹拌した。反応後、水(20mL)を加え、有機層をさらに水(80mL)で2回洗浄した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム/メタノール=9/1)で精製し、暗紫色固体の染料3を得た(0.40g)。
この化合物の10ppmプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)/プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)=35/65溶液中での極大吸収波長(λmax)は572nmで、グラム吸光係数は151であった。MSの結果
を下記に示す。LCMS(ESI,posi)m/z 612(M+H,C3537S)
Figure 0006051950
[2]樹脂の合成
(合成例1:樹脂Aの合成)
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート145重量部を窒素置換しながら攪拌し、120℃に昇温した。ここにスチレン5.2重量部、グリシジルメタクリレート132重量部、トリシクロデカン骨格を有するモノアクリレートFA−513M(日立化成社製)4.4重量部および、および2.2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル8.47重量部の混合液を3時間かけて滴下し、更に120℃で2時間攪拌し続けた。次に反応容器内を空気置換に変え、アクリル酸67.0重量部に2,4,6,−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール1.1重量部およびハイドロキノン0.19重量部を投入し、100℃で12時間反応を続けた。その後、テトラヒドロ無水フタル酸(THPA)15.2重量部、トリエチルアミン0.2重量部を加え、100℃で3.5時間反応させた。こうして得られた樹脂AのGPCにより測定したポリスチレン換算の重量平均分子量Mwは約9000、酸価25mg−KOH/gであった。
(合成例2:樹脂Bの合成)
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート114.0gを500mlの4つ口フラスコに入れ、窒素バブリングを行いながら85℃まで昇温した。これにシクロヘキシルメタクリレート100.1g(0.55mol)、メタクリル酸33.3g(0.45mol)、および2.2’−アゾビス(イソブチロニトリル)4.925g(0.03mol)をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート96.45gに溶解し、4時間かけて滴下した。滴下後反応液を85℃に保ったままさらに2時間攪拌し、その後窒素バブリングを止めて100℃に昇温1時間攪拌した。こうして得られた樹脂BのGPCにより測定した重量平均分子量Mwは約15000、酸価は190mgKOH/gであった。
[3]青色顔料分散液の調製
C.I.ピグメントブルー15:6を12.0重量部、分散剤にBYK−LPN21116(ビックケミー社製)を分散剤固形分換算で6.0重量部、更に参考合成例2で作製した樹脂Bを固形分換算で4.0重量部、溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを78.0重量部を混合し、攪拌機で3時間攪拌して固形分濃度が20重量%のミルベースを調製した。このミルベースを600重量部の0.5mmφのジルコニアビーズを用いビーズミル装置にて周速10m/s、滞留時間3時間で分散処理を施し、青色顔料分散液を得た。
[4]着色樹脂組成物の調製
[1]で合成した染料、[2]で合成した樹脂A、[3]で調製した顔料分散液、重合性モノマーとしてジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)、光重合開始剤として、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム)(OXE02:BASF社製)その他の成分として、メガファックF−475(DIC社製)、Irgnox1010(BASF社製)、JPP−100(城北化学工業社製)を下記の表1に示す割合で混合し、溶剤としてプロピレングリコールモノメチエーテルアセテートとプロピレングリコールモノメチエーテルの7:3(重量比)溶液を用いて固形分濃度が17%になるように着色樹脂組成物を調製した。
尚、表1中の数値は溶剤を含んでいない含有量(重量部)である。
混合に際しては、各成分が十分に混合するまで1時間以上撹拌し、最後に5μmの駒形フィルターを用いて濾過し、異物を取り除いた。
Figure 0006051950
[5]色度、輝度の測定
洗浄した後5cm角に切断したガラス基板AN100(旭硝子社製)上に、上記各着色樹脂組成物をスピンコート法により塗布し、減圧乾燥させた。その後、50mJ/cmの露光量にて全面露光し、230℃のオーブンにて60分間焼成した。その後、分光光度計U−3310(日立製作所製)にて、分光透過率を測定し、XYZ表色系における色度(sx、sy)及び輝度(C光源)を算出した。
結果を[表2]に示した。
[6]コントラスト比の測定
[5]で得られた着色膜ガラス基板をそれぞれ2枚の偏光板で挟み、背面側から波長範囲380〜780nmの光で照射しつつ前面側の偏光板を回転させ、透過する光強度を輝度計BM−5AS(トプコン社製)にて最大値と最小値を測定した。そして、その最大値を最小値で割った値を、コントラスト比として評価した。
結果を[表2]に示した。
Figure 0006051950
表2に示すが如く、本発明におけるキサンテン化合物(I)を含有する着色樹脂組成物は、得られる画素の輝度及びコントラスト比が高い。
このため、本発明の着色樹脂組成物を用いて形成される画素を含有するカラーフィルタ、並びに該カラーフィルタを含む液晶表示装置及び有機EL表示装置は高品質であり、また消費電力が少なくすむため、省エネルギーである。
100 有機EL素子
20 画素
30 有機保護層
40 無機酸化膜
500 有機発光体
51 正孔注入層
54 電子注入層

Claims (7)

  1. (A)染料、(B)溶剤及び(C)バインダー樹脂を含有し、
    (A)染料が、下記式(I)で表されるキサンテン系化合物を含有することを特徴とする、着色樹脂組成物。
    Figure 0006051950
    (式(I)中、R〜Rは、各々独立に、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基又は置換基を有してもよい炭素数6〜10の芳香族炭化水素環基を表す。
    尚、R及びR、並びにR及びRは、各々独立に、互いに結合して環を形成していてもよく、該環は置換基を有していてもよい。
    及びRは、各々独立に、置換基を有していてもよい、炭素数1〜12のアルキル基又は置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環基を表す。)
  2. 更に、(D)重合性モノマーを含有することを特徴とする、請求項1に記載の着色樹脂組成物。
  3. 更に、(E)光重合開始成分及び/又は熱重合開始成分を含有することを特徴とする、請求項1又は2に記載の着色樹脂組成物。
  4. 更に、(F)顔料を含有することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の着色樹脂組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の着色樹脂組成物を用いて形成された画素を有することを特徴とする、カラーフィルタ。
  6. 請求項5に記載のカラーフィルタを有することを特徴とする、液晶表示装置。
  7. 請求項5に記載のカラーフィルタを有することを特徴とする、有機EL表示装置。
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