JP5855405B2 - 感光性樹脂組成物 - Google Patents

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本発明は、融点が130℃以上150℃以下の結晶性エポキシ化合物を硬化剤として使用した感光性樹脂組成物、及びその硬化物を有するプリント配線板及び反射シートに関するものであり、特に、予備乾燥時間のマージンに優れ、予備乾燥後の放置時間を長期に確保できる感光性樹脂組成物に関するものである。
プリント配線板及びフレキシブル配線板は、基板の上に導体回路のパターンを形成し、そのパターンのはんだ付けランドに電子部品をはんだ付けにより搭載するために使用され、そのはんだ付けランドを除く回路部分は永久保護被膜としてのソルダーレジスト膜で被覆される。これにより、プリント配線板及びフレキシブル配線板に電子部品をはんだ付けする際に、はんだが不必要な部分に付着するのを防止すると共に、回路導体が空気に直接曝されて酸化や湿度により腐食されるのを防止する。
プリント配線板及びフレキシブル配線板をソルダーレジスト膜で被覆するには、ソルダーレジスト用硬化性樹脂組成物を基板上に塗工後、塗膜を熱硬化させる前に、塗工したソルダーレジスト用硬化性樹脂組成物から溶剤を揮発させて塗膜の表面をタックフリーの状態にするために、60〜80℃程度の温度で15〜60分間程度の予備乾燥工程を実施する。
一方、プリント配線板及びフレキシブル配線板にソルダーレジスト膜を被覆する工程は、効率的に大量生産するために、予備乾燥工程及びその後の現像工程や熱硬化工程は、いずれも、コンベア等の搬送手段を用いて連続的に行なわれている。従って、前記予備乾燥工程のラインにトラブルが生じて、ラインが緊急停止すると、その復旧までに所定時間を要するので、予備乾燥中の基板は、その分、予定時間(例えば、15〜60分間程度)以上予備乾燥されることとなる。すると、予備乾燥の間に、溶剤の揮発だけでなく、ソルダーレジスト用硬化性樹脂組成物の硬化性樹脂と硬化剤であるエポキシ化合物とが反応してしまい、結果、硬化性樹脂組成物のアルカリ水溶液に対する溶解性が低下し、現像工程において、所期の現像ができないという問題があった。
さらに、上記の通り、予備乾燥工程及びその後の現像工程や熱硬化工程は、いずれも、連続的に行なわれているので、休業日等でソルダーレジスト膜の被覆工程を停止させる場合、予備乾燥終了後であって現像工程前のロットを、休業期間中、室温にて放置しておくことがある。すると、予備乾燥後、室温にて放置している間に、上記と同様に、ソルダーレジスト用硬化性樹脂組成物の硬化性樹脂と硬化剤であるエポキシ化合物との反応が進んで、硬化性樹脂組成物のアルカリ溶液に対する溶解性が低下し、現像工程において、所期の現像ができないという問題があった。
そこで、(A)分子中にカルボキシル基とエチレン性不飽和二重結合を有するウレタン樹脂、(B)光重合開始剤、及び(C)熱硬化性成分としてのブロックイソシアネートを含有する光硬化性・熱硬化性樹脂組成物であり、上記熱硬化性成分(C)として、(C−1)ブロックイソシアネートと(C−2)エポキシ樹脂、好ましくは室温で固形のエポキシ樹脂とを組み合わせて含有する光硬化性・熱硬化性樹脂組成物が提案されている(特許文献1)。特許文献1では、硬化前の光硬化性・熱硬化性樹脂組成物中に、固形のエポキシ樹脂を微粒状に分散させると、光硬化性・熱硬化性樹脂組成物のポットライフが長くなるため、ブロックイソシアネートを用いたことによる作用・効果と相俟って、組成物の保存安定性のさらなる向上を図ることができるというものである。
しかし、特許文献1では、50℃の雰囲気下であれば、保存中のインクの増粘率上昇をある程度抑えることができるが、光硬化性・熱硬化性樹脂組成物を基板上に塗布後、予備乾燥の条件である60〜80℃の雰囲気下で予備乾燥の予定時間以上放置したり、予備乾燥後室温にて長期間放置すると、依然として、所期の現像ができないという問題があった。
特開2009−185182号公報
上記事情に鑑み、本発明の目的は、塗膜硬度とはんだ耐熱性を損なうことなく、予備乾燥時間のマージンと予備乾燥後の放置時間を長期に確保でき、また露光時にネガフィルムへの張り付きを防止できる感光性樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明の態様は、(A)カルボキシル基含有感光性樹脂、(B)融点が130℃以上150℃以下の結晶性エポキシ化合物、(C)溶剤、(D)光重合開始剤、(E)反応性希釈剤を含有する感光性樹脂組成物であって、前記(B)融点130℃以上150℃以下の結晶性エポキシ化合物が、前記(A)カルボキシル基含有感光性樹脂100質量部に対して、60質量部以上含有し、前記(C)溶剤が、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル及び芳香族系炭化水素からなる群から選択された少なくとも1種であることを特徴とする感光性樹脂組成物である。
この態様では、融点が130℃以上150℃以下の結晶性エポキシ化合物は、予備乾燥の温度である60℃〜80℃の雰囲気下において溶解しにくいので、予備乾燥工程では結晶状態にて感光性樹脂組成物中に存在している。さらに、このエポキシ化合物は、(C)成分である溶剤に対して難溶性を有する。従って、予備乾燥工程では、(A)成分であるカルボキシル基含有感光性樹脂とエポキシ化合物との反応性が低下していると考えられる。一方で、ポストキュア工程の温度である約150℃では、このエポキシ化合物が軟化、溶融するので、(A)成分であるカルボキシル基含有感光性樹脂との間で架橋硬化反応が起こると考えられる。
本発明の態様は、前記(B)融点130℃以上150℃以下の結晶性エポキシ化合物が、前記(A)カルボキシル基含有感光性樹脂100質量部に対して、60質量部以上含有することを特徴とする感光性樹脂組成物である。
本発明の態様は、前記(B)融点130℃以上150℃以下の結晶性エポキシ化合物が、下記一般式(1)
Figure 0005855405

(式中、R、R、R、Rは、それぞれ独立して、水素原子、メチル基またはt‐ブチル基を示す。)であることを特徴とする感光性樹脂組成物である。
この態様では、一般式(1)の結晶性エポキシ化合物は、融点が138℃以上145℃以下の範囲であり、融点の下限値がさらに高い。従って、60℃〜80℃の雰囲気下においてより溶解しにくく、(C)成分である溶剤に対してより一層の難溶性を有する。
本発明の態様は、前記(A)カルボキシル基含有感光性樹脂が、芳香環を有することを特徴とする感光性樹脂組成物である。
本発明の態様は、前記(C)溶剤が、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート(EDGAC)、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(DPM)及び芳香族系炭化水素からなる群から選択された少なくとも1種であることを特徴とする感光性樹脂組成物である。
本発明の態様は、さらに、(F)酸化チタンを含有することを特徴とする感光性樹脂組成物である。
本発明の態様は、上記感光性樹脂組成物の硬化被膜を有するプリント配線板である。本発明の態様は、上記感光性樹脂組成物の硬化被膜を有する反射シートである。
本発明の態様によれば、予備乾燥の温度条件では、カルボキシル基含有感光性樹脂とエポキシ化合物との反応性が低下しているので、予備乾燥時間のマージンと予備乾燥後の放置時間を長期に確保できる。従って、トラブルにより予備乾燥工程の搬送手段が緊急停止して予備乾燥時間が予定時間より長くなっても、所期の現像が可能であり、また、予備乾燥終了後のロットを長期間室温にて放置しても、円滑に所期の現像を実施できる。さらに、結晶性エポキシ化合物の融点は150℃以下なので、ポストキュア工程では、このエポキシ化合物はカルボキシル基含有感光性樹脂との間で架橋硬化反応が起こり、はんだ耐熱性と塗膜硬度が向上した硬化物を得ることができる。
本発明の態様によれば、融点130℃以上150℃以下の結晶性エポキシ化合物が、カルボキシル基含有感光性樹脂100質量部に対して、60質量部以上含有することで、予備乾燥時間のマージンをより長期化できるとともに、はんだ耐熱性と塗膜硬度をより向上させることができる。
本発明の態様によれば、結晶性エポキシ化合物として、上記一般式(1)の化合物を使用することで、予備乾燥の温度条件下において、カルボキシル基含有感光性樹脂とエポキシ化合物との反応性がさらに低下するので、予備乾燥時間のマージンをより長期化でき、予備乾燥後のロットを室温にてより長期間放置できる。また、本発明の態様によれば、カルボキシル基含有感光性樹脂が芳香環を有することで、硬化物のはんだ耐熱性と硬度が確実に向上する。
次に、本発明の感光性樹脂組成物について説明する。本発明の感光性樹脂組成物は、(A)カルボキシル基含有感光性樹脂、(B)融点が130℃以上150℃以下の結晶性エポキシ化合物、(C)溶剤、(D)光重合開始剤、(E)反応性希釈剤を含有することを特徴とする感光性樹脂組成物である。上記各成分は、以下の通りである。
(A)カルボキシル基含有感光性樹脂
カルボキシル基含有光硬化性樹脂は、特に限定されず、例えば、感光性の不飽和二重結合を1個以上有するカルボキシル基含有樹脂が挙げられる。(A)成分の例として、1分子中にエポキシ基を2個以上有する多官能性エポキシ樹脂のエポキシ基の少なくとも一部にアクリル酸又はメタクリル酸等のラジカル重合性不飽和モノカルボン酸を反応させて不飽和モノカルボン酸化エポキシ樹脂を得て、生成した水酸基に多塩基酸又はその無水物を反応させて得られる多塩基酸変性不飽和モノカルボン酸化エポキシ樹脂が挙げられる。また、上記の多塩基酸変性不飽和モノカルボン酸化エポキシ樹脂の有するカルボキシル基に、1つ以上のラジカル重合性不飽和基とエポキシ基を持つグリシジル化合物をさらに反応させた化合物を挙げることもできる。
前記多官能性エポキシ樹脂は、2官能以上のエポキシ樹脂であればいずれでも使用可能である。多官能性エポキシ樹脂のエポキシ当量は特に制限されないが、1000以下が好ましく、100〜500が特に好ましい。多官能性エポキシ樹脂には、例えば、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、シリコーン変性エポキシ樹脂等のゴム変性エポキシ樹脂、ε−カプロラクトン変性エポキシ樹脂、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ビスフェノールAD型等のフェノールノボラック型エポキシ樹脂、о−クレゾールノボラック型等のクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、環状脂肪族多官能エポキシ樹脂、グリシジルエステル型多官能エポキシ樹脂、グリシジルアミン型多官能エポキシ樹脂、複素環式多官能エポキシ樹脂、ビスフェノール変性ノボラック型エポキシ樹脂、多官能変性ノボラック型エポキシ樹脂、フェノール類とフェノール性水酸基を有する芳香族アルデヒドとの縮合物型エポキシ樹脂等を挙げることができる。また、これらの樹脂にBr、Cl等のハロゲン原子を導入したものも使用可能である。これらのうち、硬化物のはんだ耐熱性と硬度の点から芳香環を有する多官能性エポキシ樹脂が好ましい。これらのエポキシ樹脂は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
使用するラジカル重合性不飽和モノカルボン酸は、特に限定されず、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、桂皮酸などを挙げることができ、アクリル酸、メタクリル酸(以下、(メタ)アクリル酸ということがある。)が好ましく、アクリル酸が特に好ましい。エポキシ樹脂とラジカル重合性不飽和モノカルボン酸との反応方法は特に限定されず、例えばエポキシ樹脂とアクリル酸を適当な希釈剤中で加熱する反応方法が挙げられる。
多塩基酸又は多塩基酸無水物は、前記エポキシ樹脂とラジカル重合性不飽和モノカルボン酸との反応で生成した水酸基に反応し、樹脂に遊離のカルボキシル基を持たせるものである。使用する多塩基酸又はその無水物としては、特に限定されず、飽和、不飽和のいずれも使用可能である。多塩基酸には、例えば、コハク酸、マレイン酸、アジピン酸、クエン酸、フタル酸、テトラヒドロフタル酸、3−メチルテトラヒドロフタル酸、4−メチルテトラヒドロフタル酸、3−エチルテトラヒドロフタル酸、4−エチルテトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、3−メチルヘキサヒドロフタル酸、4−メチルヘキサヒドロフタル酸、3−エチルヘキサヒドロフタル酸、4−エチルヘキサヒドロフタル酸、メチルテトラヒドロフタル酸、メチルヘキサヒドロフタル酸、エンドメチレンテトラヒドロフタル酸、メチルエンドメチレンテトラヒドロフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸及びジグリコール酸等が挙げられ、多塩基酸無水物としてはこれらの無水物が挙げられる。これらの化合物は単独で使用してもよく、2種以上混合して使用してもよい。
また、上記したように、本発明のカルボキシル基含有感光性樹脂においては、多塩基酸変性不飽和モノカルボン酸化エポキシ樹脂の有するカルボキシル基に、1つ以上のラジカル重合性不飽和基とエポキシ基を持つグリシジル化合物を反応させることにより、ラジカル重合性不飽和基を更に導入してさらに感光性を向上させてもよい。
この感光性をさらに向上させた樹脂は、グリシジル化合物の反応によってラジカル重合性不飽和基が、その前駆体の樹脂の高分子の骨格の側鎖に結合するため、光重合反応性がより高くなり、優れた感光特性を有する。1つ以上のラジカル重合性不飽和基とエポキシ基を持つ化合物としては、例えば、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールトリアクリレートモノグリシジルエーテル等が挙げられる。なお、グリシジル基は1分子中に複数有していてもよい。上記した1つ以上のラジカル重合性不飽和基とエポキシ基を持つ化合物は、単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
カルボキシル基含有感光性樹脂の酸価の下限値は、確実なアルカリ現像の点から30mgKOH/gであり、40mgKOH/gが好ましい。一方、酸価の上限値は、アルカリ現像液による露光部の溶解防止の点から200mgKOH/gであり、硬化物の耐湿性と電気特性の劣化防止の点から150mgKOH/gが好ましい。
また、カルボキシル基含有感光性樹脂の重量平均分子量の下限値は、硬化物の強靭性及び指触乾燥性の点から3000であり、好ましくは5000である。一方、重量平均分子量の上限値は、(E)成分である反応性希釈剤等との相溶性及び円滑なアルカリ現像性の点から200000であり、好ましくは50000である。カルボキシル基含有感光性樹脂の二重結合当量は、感光性の点から200〜1000g/eqであり、感光性とフレキシブル性のバランスの点から400〜800g/eqが好ましい。
カルボキシル基含有感光性樹脂として市販されているものには、例えば、ZFR−1122、FLX−2089、ZAR‐1035、ZCR‐1642H(以上、日本化薬(株)製)、サイクロマーP(ACA)Z−250、サイクロマーP(ACA)Z−300(以上、ダイセル化学工業(株)製)、リポキシ SP−4621(昭和高分子(株)製)等を挙げることができる。これらの樹脂は、単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
(B)融点が130℃以上150℃以下の結晶性エポキシ化合物
エポキシ化合物は、架橋密度を上げて、十分な機械的強度を有する硬化物を得るためのものである。本発明で使用するエポキシ化合物は、融点が130℃以上150℃以下の結晶性エポキシ化合物であり、(C)成分である溶剤に対して難溶性を有している。本明細書において、「難溶性」とは、(C)成分である溶剤に結晶性エポキシ化合物を添加した試料液(結晶性エポキシ化合物の濃度1.0質量%)を、80℃の乾燥機中に12時間放置し、攪拌後、さらに80℃の乾燥機中に12時間放置後、試料液を乾燥機から取り出し、72時間室温(25℃)にて静置後、目視にて試料液の結晶性エポキシ化合物の溶解状態を観察し、結晶性エポキシ化合物の溶解量が5体積%以下である場合を意味する。結晶性エポキシ化合物を添加する溶剤は、特に限定されないが、印刷性と乾燥性の点から、後述するように、(C)成分の溶剤であるジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(DPM)、及び芳香族系炭化水素が好ましい。なお、結晶性エポキシ化合物とは、常温(25℃)で固形の比較的低分子(例えば、分子量200〜1000)のエポキシ化合物である。
本発明で使用するエポキシ化合物の融点は130℃以上150℃以下であるが、予備乾燥工程におけるカルボキシル基含有感光性樹脂との反応性をさらに低下させつつ、ポストキュア工程においてカルボキシル基含有感光性樹脂との間で確実に架橋反応させる点から、融点は138℃以上145℃以下が好ましい。
融点が130℃以上150℃以下の結晶性エポキシ化合物であれば、特に限定されないが、例えば、下記一般式(1)
Figure 0005855405
(式中、R、R、R、Rは、それぞれ独立して、水素原子、メチル基またはt‐ブチル基を示す。)のハイドロキノン型エポキシ化合物を挙げることができる。これらの化合物は、単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
融点が130℃以上150℃以下の結晶性エポキシ化合物の配合量は特に限定されないが、その下限値は、カルボキシル基含有感光性樹脂100質量部に対して、予備乾燥時間のマージンを長期化しつつ、硬化物のはんだ耐熱性と塗膜硬度を向上させる点から60質量部が好ましく、絶縁信頼性の点から85質量部がより好ましく、高ガラス転移温度化の点から120質量部が特に好ましい。一方、その上限値は、製造時の分散性の点から180質量部が好ましく、現像性の点から160質量部がより好ましく、塗工性の点から150質量部が特に好ましい。
(C)溶剤
溶剤は、熱硬化性樹脂組成物の粘度や乾燥性を調節するために使用するものである。溶剤には、例えば、有機溶剤を挙げることができる。有機溶剤としては、例えば、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、メタノール、イソプロパノール、シクロヘキサノールなどのアルコール類、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素類、石油エーテル、石油ナフサ等の石油系溶剤類、セロソルブ、ブチルセロソルブ等のセロソルブ類、カルビトール、ブチルカルビトール等のカルビトール類、酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、カルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のエステル類などを挙げることができる。このうち、作業性の点から、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(DPM)、及び芳香族系炭化水素(例えば、石油ナフサ)が好ましい。これらの溶剤は単独で使用してもよく、2種以上混合して使用してもよい。溶剤の配合量は、特に限定されないが、(A)カルボキシル基含有感光性樹脂100質量部に対して、40〜500質量部が好ましい。
(D)光重合開始剤
光重合開始剤は、一般的に使用されるものであれば特に限定されず、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン‐n‐ブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、アセトフェノン、ジメチルアミノアセトフェノン、2,2‐ジメトキシ‐2‐フェニルアセトフェノン、2,2‐ジエトキシ‐2‐フェニルアセトフェノン、2‐ヒドロキシ‐2‐メチル‐1‐フェニルプロパン‐1‐オン、1‐ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2‐メチル‐1‐〔4‐(メチルチオ)フェニル〕‐2‐モルフォリノ‐プロパン‐1‐オン、4‐(2‐ヒドロキシエトキシ)フェニル‐2‐(ヒドロキシ‐2‐プロピル)ケトン、ベンゾフェノン、p‐フェニルベンゾフェノン、4,4′‐ジエチルアミノベンゾフェノン、ジクロルベンゾフェノン、2‐メチルアントラキノン、2‐エチルアントラキノン、2‐ターシャリーブチルアントラキノン、2‐アミノアントラキノン、2‐メチルチオキサントン、2‐エチルチオキサントン、2‐クロルチオキサントン、2,4‐ジメチルチオキサントン、2,4ジエチルチオキサントン、ベンジルジメチルケタール、アセトフェノンジメチルケタール、P‐ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、2,4,6‐トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6‐トリメチルベンゾイル)‐フェニルフォスフィンオキサイド、2‐ベンジル‐2‐ジメチルアミノ‐1‐(4‐モルフォリノフェニル)‐ブタノン、エタノン,1‐[9‐エチル‐6‐(2‐メチルベンゾイル)‐9H‐カルバゾール‐3‐イル]‐,1‐(O‐アセチルオキシム)等が挙げられる。これらは単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。光重合開始剤の配合量は、カルボキシル基含有感光性樹脂100質量部に対して、2〜25質量部であり、8〜20質量部が好ましい。
(E)反応性希釈剤
反応性希釈剤は、例えば、光重合性モノマーであり、1分子当たり少なくとも2つ以上の重合性二重結合を有する化合物である。反応性希釈剤は、カルボキシル基含有感光性樹脂の光硬化を十分にして、耐酸性、耐熱性、耐アルカリ性などを有する硬化物を得るために使用する。
反応性希釈剤は、上記化合物であれば特に限定されないが、例えば、1,4‐ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6‐ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールアジペートジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジシクロペンテニルジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性燐酸ジ(メタ)アクリレート、アリル化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート、イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。反応性希釈剤の配合量は、カルボキシル基含有感光性樹脂100質量部に対して、2〜100質量部であり、10〜90質量部が好ましい。
本発明の感光性樹脂組成物では、上記成分に加えて、必要に応じて、難燃剤、着色剤を配合してもよい。
本発明の感光性樹脂組成物に難燃剤を配合することで、硬化物に難燃性を付与することができる。難燃剤は特に限定されず、公知のものを使用でき、例えば、トリスジエチルホスフィン酸アルミニウム等の難溶性難燃剤を挙げることができる。
本発明の感光性樹脂組成物に着色剤を配合することで着色できる。白色に着色する場合には、白色着色剤、例えば、酸化チタンを配合する。酸化チタンには、アナターゼ型酸化チタン、ルチル型酸化チタンを挙げることができる。アナターゼ型酸化チタンは、ルチル型酸化チタンと比較して白色度は高いものの、光触媒活性を有するので、感光性樹脂組成物中の樹脂の変色を引き起こすことがある。これに対して、ルチル型酸化チタンは光触媒活性をほとんど有さず、樹脂の変色を防止できる点で好ましい。酸化チタンの配合量は、カルボキシル基含有感光性樹脂100質量部に対して30〜800質量部であり、好ましくは50〜500質量部である。
また、本発明の感光性樹脂組成物を白色以外の色、例えば、黒色、青色、黄色等に着色する場合には、白色着色剤に代えて、それ以外の着色剤、例えば、黒色着色剤、青色着色剤、黄色着色剤等を配合してもよい。
本発明の感光性樹脂組成物では、上記成分の他に、必要に応じて、種々の添加成分、例えば、消泡剤、各種添加剤、体質顔料などを適宜配合することができる。
消泡剤には、公知のものを使用でき、例えば、シリコーン系、オレフィン系共重合物、アクリル系等を挙げることができる。各種添加剤には、例えば、シラン系、チタネート系、アルミナ系等のカップリング剤といった分散剤、三フッ化ホウ素−アミンコンプレックス、ジシアンシアニド(DICY)及びその誘導体、有機酸ヒドラジド、ジアミノマレオニトリル(DAMN)及びその誘導体、メラミン及びその誘導体、グアナミン及びその誘導体、アミンイミド(AI)並びにポリアミン等の潜在性硬化剤、アセチルアセナートZn及びアセチルアセナートCr等のアセチルアセトンの金属塩、エナミン、オクチル酸錫、第4級スルホニウム塩、トリフェニルホスフィン、イミダゾール類、イミダゾリウム塩並びにトリエタノールアミンボレート等の熱硬化促進剤を挙げることができる。
上記した本発明の感光性樹脂組成物の製造方法は、特定の方法に限定されないが、例えば、上記各成分を所定割合で配合後、室温にて、三本ロール、ボールミル、サンドミル等の混練手段、またはスーパーミキサー、プラネタリーミキサー等の攪拌手段により混練または混合して製造することができる。また、前記混練または混合の前に、必要に応じて、予備混練または予備混合してもよい。
以下に、上記した本発明の感光性樹脂組成物の塗工方法について説明する。まず、本発明の感光性樹脂組成物をソルダーレジスト膜としてプリント配線板に塗工する場合を例にとって説明する。
上記のようにして製造した本発明の感光性樹脂組成物を、例えば銅箔をエッチングして形成した回路パターンを有するプリント配線板上に、スクリーン印刷法、ロールコータ法、バーコータ法、スプレーコータ法、カーテンフローコータ法、グラビアコータ法等を用いて所望の厚さに塗布し、感光性樹脂組成物中の溶剤を揮散させるために60〜80℃程度の温度で15〜60分間程度加熱する予備乾燥を行ってタックフリーの塗膜を形成する。その後、塗布した感光性樹脂組成物上に、前記回路パターンのランド以外を透光性にしたパターンを有するネガフィルムを密着させ、その上から紫外線を照射させる。そして、前記ランドに対応する非露光領域を希アルカリ水溶液で除去することにより塗膜が現像される。現像方法には、スプレー法、シャワー法等が用いられる。使用される希アルカリ水溶液としては特に限定されないが、例えば、0.5〜5%の炭酸ナトリウム水溶液が挙げられる。次いで、130〜170℃の熱風循環式の乾燥機等で20〜80分間ポストキュアを行うことにより塗膜を熱硬化させ、プリント配線板上に目的とする感光性樹脂組成物の硬化塗膜を形成させることができる。
このようにして得られた硬化塗膜にて被覆されたプリント配線板に、噴流はんだ付け方法、リフローはんだ付け方法等により電子部品がはんだ付けされることで、電子回路ユニットが形成される。
次に、上記した感光性樹脂組成物をシート状のベースフィルム表面に塗工して、反射シートを製造する方法例について説明する。反射シートを製造する場合には、反射被膜に高い反射率を付与するために、感光性樹脂組成物に白色着色剤を添加する。シート状ベースフィルム表面を例えば酸処理して洗浄後、該洗浄した表面に、上記のようにして製造した白色の感光性樹脂組成物を、印刷マスクを用いたスクリーン印刷法やスプレーコータ法等、公知の塗工手段にて所望の厚さ(例えば5〜100μmの厚さ)に塗布する。塗工後、60〜80℃程度の温度で15〜60分間程度加熱する予備乾燥を行ってタックフリーの塗膜を形成する。次いで、130〜170℃程度の温度で10〜80分間ポストキュアを行うことにより、シート状のベースフィルム表面に目的とする白色の硬化塗膜、すなわち反射被膜を形成させて反射シートを製造できる。
上記シート状ベースフィルムの材料は、特に限定されないが、例えば、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリビニルフロライド(PVF)、フッ化エチレン・プロピレンコポリマー(FEP)、ポリテトラフロロエチレン(PTFE)、アラミド、ポリアミド・イミド、エポキシ、ポリエーテルイミド、ポリスルホン、ポリエチレンナフタレート(PEN)、液晶ポリマー(LCP)等を挙げることができる。
次に、本発明の実施例を説明するが、本発明はその趣旨を超えない限り、これらの例に限定されるものではない。
実施例1〜11、比較例1〜4
下記表1に示す各成分を下記表1に示す配合割合にて配合し、3本ロールを用いて室温にて混合分散させて、実施例1〜11、比較例1〜4にて使用する感光性樹脂組成物を調製した。そして、調製した感光性樹脂組成物を後述する試験片作製工程を用いて基板上に塗工し、試験片を作成した。なお、下記表1に示す各成分の配合量は、特に断りの無い限り質量部を示す。
Figure 0005855405
表1中の各成分についての詳細は以下の通りである。
(A)カルボキシル基含有感光性樹脂
・ZFR−1122:日本化薬(株)製、ビスフェノールF型エポキシアクリレートの酸無水物添加物。
・FLX−2089:日本化薬(株)製、酸変性ウレタン化エポキシメタクリレート樹脂。
・ZAR−1035:日本化薬(株)製、ビスフェノールA型エポキシアクリレートの酸無水物添加物。
・ZCR−1642H:日本化薬(株)製、ビフェニル型エポキシアクリレートの酸無水物添加物。
(B)結晶性エポキシ化合物
・YDC−1312:新日鐵化学(株)製、一般式(1)のうち、R、Rは、t‐ブチル基、R、Rは、水素原子であるハイドロキノン型エポキシ樹脂。
・エピコート1003:三菱化学(株)製、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(常温(25℃)にて固形)、融点89℃。
・YX−8800:三菱化学(株)製、多環芳香族エポキシ樹脂。
・YX−4000K:三菱化学(株)製、ビフェニル型エポキシ樹脂。
・YSLV−120TE:新日鐵化学(株)製、チオエーテル型エポキシ樹脂。
(D)光重合開始剤
・SPEEDCURE TPO:LAMBSON社製、2,4,6‐トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド。
・イルガキュア819:チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、ビス(2,4,6‐トリメチルベンゾイル)‐フェニルフォスフィンオキサイド。
・イルガキュア369:チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、2‐ベンジル‐2‐ジメチルアミノ‐1‐(4‐モルフォリノフェニル)‐ブタノン。
・OXE−02:BASFジャパン(株)製、エタノン,1‐[9‐エチル‐6‐(2‐メチルベンゾイル)‐9H‐カルバゾール‐3‐イル]‐,1‐(O‐アセチルオキシム)。
(E)反応性希釈剤
・EBECRYL8405:ダイセル・サイテック(株)製、4官能変性ウレタンアクリレート80質量%+ヘキサメチレンジオールジアクリレート(HDDA)20質量%。
・EBECRYL3708:ダイセル・サイテック(株)製、2官能変性エポキシアクリレート。
その他、OP‐935はクラリアントジャパン(株)製のトリスジエチルホスフィン酸アルミニウム、AC−2000は共栄社化学(株)製のオレフィン系共重合物、DICY−7は三菱化学(株)製のジシアンシアニドであり潜在性硬化剤、メラミンも潜在性硬化剤である。なお、エピコート850は、三菱化学(株)製、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(常温(25℃)にて液状)である。
試験片作成工程(はんだ耐熱性、塗膜硬度評価用)
銅張積層板(FR-4、1.6t、導体厚35μm)に回路パターンを形成したプリント配線板を希硫酸(3%)により表面処理後、スクリーン印刷法にて、上記のように調製した実施例1〜11及び比較例1〜4の感光性樹脂組成物をそれぞれ塗布し、塗布後、BOX炉にて80℃で20分の予備乾燥を行った。予備乾燥後、回路パターンのランド以外を透光性にしたパターンを有するネガフィルムを塗膜上に密着させ、その上から露光装置(オーク社製HMW−680GW)にて波長360nmの紫外線を500mJ/cm露光した後、30℃、1%の炭酸ナトリウム現像液にて現像した(現像圧力0.2MPa、60秒)(写真現像法)。現像後、BOX炉にて150℃で60分のキュアを行うことで、プリント配線板上に硬化塗膜を形成した。硬化塗膜の厚みは、20〜23μmであった。
評価
(1)予備乾燥後の管理幅
上記のように調製した実施例1〜11及び比較例1〜4の感光性樹脂組成物を上記のプリント配線板に塗布後、BOX炉にて、温度80℃、所定時間、予備乾燥を行った。この所定時間は、20分、30分、40分、・・・と、10分毎に260分まで振った。予備乾燥後、上記写真現像法にて現像を行った。現像後、20分〜260分までの各予備乾燥時間における銅箔上の残渣を目視で観察し、残渣が発生した予備乾燥時間を予備乾燥後の管理幅とした。
(2)予備乾燥後の放置可能時間
上記のように調製した実施例1〜11及び比較例1〜4の感光性樹脂組成物を上記のプリント配線板に塗布後、BOX炉にて、温度80℃、20分、予備乾燥を行った。その後、室温(25℃)にて放置した。室温(25℃)での放置時間は、24時間、48時間、・・・と、24時間毎に120時間まで振った。上記所定時間放置後、上記写真現像法にて現像を行った。現像後、24時間〜120時間までの各放置時間における銅箔上の残渣を目視で観察し、残渣が発生した放置時間を予備乾燥後の放置可能時間とした。
(3)フィルム張り付き性
上記のように調製した実施例1〜11及び比較例1〜4の感光性樹脂組成物を上記のプリント配線板に塗布後、BOX炉にて、温度80℃、20分の予備乾燥を行った。その後、ネガフィルムを塗膜上に密着させ、その上から露光装置(オーク社製HMW−680GW)にて波長360nmの紫外線を500mJ/cm露光した。露光の際におけるネガフィルムへの塗膜の張り付き性を、以下の基準に従って評価した。
◎:ネガフィルム引き剥がし後、塗膜に張り付き跡なし。
○:ネガフィルム引き剥がし後、塗膜に張り付き跡が若干残存。
△:ネガフィルム引き剥がし後、塗膜に張り付き跡が残存。
×:引き剥がし後のネガフィルムに、塗膜付着。
(4)はんだ耐熱性
上記のように調製した各試験片の硬化塗膜を、JIS C−6481の試験方法に従って、260℃のはんだ槽に30秒間浸せき後、セロハンテープによるピーリング試験を1サイクルとし、これを1〜3回繰り返した後の塗膜状態を目視により観察し、以下の基準に従って評価した。
◎:3サイクル繰り返し後も塗膜に変化が認められない。
○:3サイクル繰り返し後の塗膜にほんの僅か変化が認められる。
△:2サイクル繰り返し後の塗膜に変化が認められる。
×:1サイクル繰り返し後の塗膜に剥離が認められる。
(5)塗膜硬度
JIS K−5600−5−4の試験方法に従い、銅箔上の硬化塗膜に、芯の先が平らになるように研がれた3Bから9Hの鉛筆を約45°の角度で押しつけて、塗膜の剥がれが生じない鉛筆の硬さを記録した。
また、実施例1〜11で使用した結晶性エポキシ化合物「YDC−1312」、比較例1で使用した結晶性エポキシ化合物「YX−8800」、比較例2で使用した結晶性エポキシ化合物「YX−4000K」、比較例3で使用した結晶性エポキシ化合物「YSLV−120TE」及び比較例4で使用した結晶性エポキシ化合物「エピコート850」について、(C)溶剤に対する溶解性と融点を下記表2に示す。表2中の「ソルベッソ#150」は、芳香族系炭化水素(エクソンモービル社製)である。
Figure 0005855405
なお、表2の各結晶性エポキシ化合物の溶解性評価方法は下記の通りである。
ネジ口瓶に各結晶性エポキシ化合物を1g取り、そこに表2記載の各溶剤を9g添加し、10質量%試料液とした。同様に、各結晶性エポキシ化合物を0.5g取り、そこに表2記載の各溶剤を9.5g添加し、5質量%試料液とした。同じく同様に、各結晶性エポキシ化合物を0.1g取り、そこに表2記載の各溶剤を9.9g添加し、1質量%試料液とした。作成した試料液を80℃のオーブンに12時間放置し、よく攪拌後、更に80℃のオーブンに12時間放置した。その後、試料液をオーブンから取り出し、室温(25℃)にて1時間静置し、試料液の温度が下がったことと試料液の状態を確認した。透明な試料液については、更に室温(25℃)で72時間放置し、試料液中の結晶性エポキシ化合物の溶解状態を目視にて観察した。
◎:結晶性エポキシ化合物は溶解していない。
○:結晶性エポキシ化合物は溶解しているが、溶解量が5体積%以下。
△:結晶性エポキシ化合物の溶解量が5体積%超50体積%以下。
×:結晶性エポキシ化合物の溶解量が50体積%超。
実施例1〜11と比較例1〜4の予備乾燥後の管理幅、予備乾燥後の放置可能時間、フィルム張り付き性、はんだ耐熱性及び塗膜硬度の結果を表3に示す。
Figure 0005855405
表3に示すように、融点が138〜145℃の結晶性エポキシ化合物を配合した実施例1〜11では、フィルム張り付き性、はんだ耐熱性及び塗膜硬度を損なうことなく、予備乾燥後の管理幅が220〜260分、予備乾燥後の放置可能時間が120時間以上となり、予備乾燥後の管理幅、予備乾燥後の放置可能時間ともに長期化できた。従って、実施例1〜11では、予備乾燥時間のマージンと予備乾燥後の放置時間を長期間確保できた。また、表2より、融点が138〜145℃の結晶性エポキシ化合物は、(C)成分であるジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、DPM及びソルベッソのいずれに対しても、難溶性であった。
これに対して、融点が125℃以下の結晶性エポキシ化合物を配合した比較例1〜3及び結晶性ではないエポキシ化合物を配合した比較例4では、いずれも、予備乾燥後の管理幅が60〜100分の範囲、予備乾燥後の放置可能時間が72時間と、実施例1〜11と比較して予備乾燥後の管理幅、予備乾燥後の放置可能時間ともにかなり短かった。また、表2より、比較例1〜3で使用した融点が125℃以下の結晶性エポキシ化合物は、(C)成分であるジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、DPM及びソルベッソのいずれかまたはいずれに対しても、難溶性を示さなかった。
また、実施例1と実施例2から、融点138〜145℃の結晶性エポキシ化合物が、カルボキシル基含有感光性樹脂100質量部に対して60質量部以上含有されていると、フィルム張り付き性、はんだ耐熱性及び塗膜硬度を確実に向上させつつ、予備乾燥後の管理幅をより長期化できた。さらに、実施例4から、融点89℃と低融点のエポキシ化合物を融点138〜145℃の結晶性エポキシ化合物とともに配合しても、予備乾燥後の管理幅、予備乾燥後の放置可能時間ともに長期化できた。
本発明の感光性樹脂組成物は、塗膜硬度とはんだ耐熱性を損なうことなく、予備乾燥時間のマージンと予備乾燥後の放置時間を長期に確保できるので、連続的搬送工程にて被膜を形成する分野、例えば、ソルダーレジスト、太陽電池用バックシートの被覆、LEDのバックシートの被覆等の分野で利用価値が高い。

Claims (3)

  1. (A)カルボキシル基含有感光性樹脂、(B)融点が130℃以上150℃以下の結晶性エポキシ化合物、(C)溶剤、(D)光重合開始剤、(E)反応性希釈剤を含有する感光性樹脂組成物であって、
    前記(B)融点130℃以上150℃以下の結晶性エポキシ化合物が、下記一般式(1)
    Figure 0005855405
    (式中、R 、R 、R 、R は、それぞれ独立して、水素原子、メチル基またはt‐ブチル基を示す。)の化合物であって、前記(A)カルボキシル基含有感光性樹脂100質量部に対して、60質量部以上含有し、
    前記(C)溶剤が、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート及びジプロピレングリコールモノメチルエーテルからなる群から選択された少なくとも1種であることを特徴とする感光性樹脂組成物。
  2. 前記(A)カルボキシル基含有感光性樹脂が、芳香環を有することを特徴とする請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
  3. さらに、(F)酸化チタンを含有することを特徴とする請求項1または2に記載の感光性樹脂組成物。
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