JP2011207795A - ポリカーボネートポリオールポリアクリレートの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ポリカーボネートポリオールと、アクリル酸ビニル化合物とを、エステル交換能を有する触媒の存在下で反応させることにより、副生物として生成するビニルアルコールは、即座にケト型であるカルボニル化合物へと異性化し、反応系からアルコールは除去され、副反応は抑制され、アクリレートへの高い変換率が達成される。
【選択図】なし
Description
しかし、この方法では、得られるポリカーボネートポリオールポリアクリレート化合物が茶色に着色するという製品の品質に係る大きな問題があった。更に、この方法では、原料のアクリル酸を過剰に用いるため、合成後、それらを中和して水洗することにより除去しても、得られる生成物中に、酸触媒、原料に起因する硫黄分、不純物が残存し、品質の悪化(悪臭、金属腐食)が起こりやすいという課題がある。
本発明で使用されるポリカーボネートポリオールは、分子構造中に炭酸エステル構造を有し、末端に2個以上の複数の水酸基を有するものをいい、直鎖状であっても、枝分かれ構造を有していてもよい。例えば、ポリカーボネートポリオールは、式(I):
R1は、同一又は異なっており、直鎖状、分岐鎖状若しくは環状のアルキレン基の1つ以上で構成された2価基であり、該2価基は、置換基を有していてもよく、かつ/又は非末端の1つ以上の炭素原子が2価の芳香族基、2価のヘテロ環式基、酸素原子若しくは硫黄原子で置き換えられていてもよいか、あるいは、架橋炭素環の2価の基であり、nは、平均重合度を表し、1〜50の数である)で表されるものを使用することができる。
本発明で使用されるアクリル酸ビニル化合物としては、式(II):
R2は、水素原子又は炭素原子数1〜4の直鎖状又は分岐状のアルキル基であり、
R3は、水素原子又は炭素原子数1〜10の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基である)で表される化合物を用いることができる。
本発明で使用される触媒はエステル交換触媒であれば特に制限されない。エステル交換触媒としては、例えば、チタン、スズ、アルミニウム、亜鉛、銅、ニッケル、鉄等の金属の化合物や、塩酸、硫酸、リン酸、p−トルエンスルホン酸、カチオン性イオン交換樹脂等のプロトン酸や、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等の無機塩基、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムt−ブトキシド等の有機塩基などを挙げることができる。
反応温度は反応が進行し原料や生成物が分解しない範囲であればよく、通常は40〜250℃、好ましくは50〜200℃、更に好ましくは60〜180℃ である。反応圧力は反応が進行する条件であれば特に制限されず、常圧、加圧、減圧、いずれの条件でもよい。反応雰囲気は大気下であってもよいが、ヘリウム、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下又は気流下であることが好ましい。なお、反応時間は反応条件等により異なるが、通常は0.1〜100時間の範囲である。
アクリレート部位の重合を防ぐため、前記反応は重合防止剤を共存させて行うことが好ましい。重合防止剤は通常に使用されるものであれば特に限定されず、例えば、フェノール、クレゾール、ヒドロキノン、t−ブチルヒドロキノン、p−メトキシフェノール(メトキノン)、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、フェノチアジンなどが使用できる。重合防止剤の使用量は、ポリカーボネートポリオール1モルに対して0.000001〜0.05モル、更には0.000002〜0.03モルであることが好ましい。
また、前記反応は必要に応じて溶媒を使用して行うことが好ましい。溶媒は前記反応温度を達成し、反応物を溶解し、反応を阻害しない溶媒であれば特に制限されない。溶媒としては、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、シクロオクタン、シクロデカン、シクロドデカン、石油エーテル等の脂肪族炭化水素や、ジクロロエタン、クロロホルム等の脂肪族ハロゲン化炭化水素や、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、イソプロピルベンゼン等の芳香族炭化水素や、クロロベンゼン、クロロトルエン等の芳香族ハロゲン化炭化水素などが使用される。これら溶媒では、芳香族炭化水素、芳香族ハロゲン化炭化水素が好ましく、中でもトルエン、キシレンが更に好ましい。
溶媒の使用量は、ポリカーボネートポリオール1gに対して50g以下、更には0.01〜40g、特に0.05〜30gであることが好ましい。
反応終了後、本発明では、触媒を失活させることが好ましい。この触媒失活は、塩基、水、リン酸エステル(リン酸ジブチル等)、リン酸等の少なくとも一種の失活剤を反応液に添加することにより行われる。触媒として、前記の有機チタン化合物、有機スズ化合物、又は有機アルミニウム化合物を使用した場合、水、リン酸エステル、リン酸のうち少なくとも一種の失活剤で失活させることが好ましいが、中でも水で失活させることが特に好ましい。失活剤のうち、塩基は、前記プロトン酸を失活させる場合に使用することが好ましい。
還流装置を取り付けた内容積200mlのガラス製フラスコに、ポリカーボネートジオール(UH−100:平均分子量1000、平均重合度7.0:宇部興産製:1,6−ヘキサンジオールと炭酸ジメチルとを反応させて得られたポリカーボネートジオール)10.0g(0.01モル)、メタクリル酸ビニル5.6g(0.05モル) 、p−メトキシフェノール0.02g 、テトラブトキシチタン0.034g(0.10ミリモル)、及びトルエン50mlを入れ、常圧下、窒素気流中、バス温120℃で9時間加熱攪拌した。この間、還流装置には10℃の冷却水を流し、全還流した。
反応後、反応液に水0.6gを添加してバス温90℃で2時間攪拌した。次いで、不溶物を吸引濾過で除去し、濾液をロータリーエバポレーターにて、溶媒を減圧溜去後、残渣を60℃デシケーター中、2時間減圧乾燥し、透明のポリカーボネートジオールアクリレート化合物13.09gを得た。このものは、1H−NMRより、末端アクリレート化率(原料ポリカーボネートジオールの末端水酸基がアクリレート化された割合)が89.7%で、平均重合度が7.2であった。
還流装置を取り付けた内容積200mlのガラス製フラスコに、ポリカーボネートジオール(UH−100:平均分子量1000、平均重合度7.0:宇部興産製:1,6−ヘキサンジオールと炭酸ジメチルとを反応させて得られたポリカーボネートジオール)10 .0g(0.01モル)、メタクリル酸メチル5.0g(0.05モル)、p−メトキシフェノール0.02g、テトラブトキシチタン0.034g(0.10ミリモル)、及びトルエン50mlを入れ、常圧下、窒素気流中、バス温120℃で9時間加熱攪拌した。この間、還流装置には10℃の冷却水を流し、全還流した。
反応後、反応液に水0.6gを添加してバス温90℃で2時間攪拌した。次いで、不溶物を吸引濾過で除去し、濾液をロータリーエバポレーターにて、溶媒を減圧溜去後、残渣を60℃デシケーター中、2時間減圧乾燥し、色透明のポリカーボネートジオールアクリレート化合物13.50gを得た。このものは、1H−NMRより、末端アクリレート化率(原料ポリカーボネートジオールの末端水酸基がアクリレート化された割合)が31.2%で、平均重合度が7.0であった。
Claims (5)
- ポリカーボネートポリオールと、式(II):
(式中、
R2は、水素原子又は炭素原子数1〜4の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基であり、
R3は、水素原子又は炭素原子数1〜10の直鎖状、分岐鎖状若しくは環状のアルキル基である)
で表されるアクリル酸ビニル化合物とを、エステル交換能を有する金属触媒の存在下で反応させることを特徴とする、ポリカーボネートポリオールポリアクリレート化合物の製造方法。 - ポリカーボネートポリオールが、式(I):
(式中、
R1は、同一又は異なっており、直鎖状、分岐鎖状若しくは環状のアルキレン基の1つ以上で構成された2価基であり、該2価基は、置換基を有していてもよく、かつ/又は非末端の1つ以上の炭素原子が2価の芳香族基、2価のヘテロ環式基、酸素原子若しくは硫黄原子で置き換えられていてもよいか、あるいは、架橋炭素環の2価の基であり、
nは、平均重合度を表し、1〜50の数である)
で表されるポリカーボネートポリオール化合物である、請求項1記載のポリカーボネートポリオールポリアクリレート化合物の製造方法。 - ポリカーボネートポリオールが、3つ以上の水酸基を有するポリオール及び炭酸エステルから得られる枝分かれ構造を有するポリカーボネートポリオールである、請求項1記載のポリカーボネートポリオールポリアクリレート化合物の製造方法。
- 触媒が、アルコキシ基若しくはアリールオキシ基を有する有機チタン化合物、アルキル基、アリール基、若しくはアシルオキシ基を有する有機スズ化合物、又はアルコキシ基を有する有機アルミニウム化合物から選ばれる1種以上である、請求項1〜3のいずれか一項記載のポリカーボネートポリオールポリアクリレート化合物の製造方法。
- 反応終了後に触媒を失活剤で失活させる、請求項1〜4のいずれか一項記載のポリカーボネートポリオールポリアクリレート化合物の製造方法。
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