JP2011001330A - 4−ニトロフェニルクロロフォーメートの製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、医薬中間体やペプチド合成分野等におけるアミノ保護基として有用である4−ニトロフェニルクロロフォーメート製造方法に関する。
4−ニトロフェニルクロロフォーメートの製造方法として、例えば、4−ニトロフェノールのNa塩とホスゲンとを反応させる方法(特許文献1)、キノリンのような第3級アミンの存在下で4−ニトロフェノールとホスゲンとを反応させる方法(非特許文献1)等が知られている。しかしながら、いずれの方法も非常に高い毒性を有するホスゲンを使用しており、法律によっても、輸送、貯蔵や使用に関して安全規制が制限されているため、工業的規模で実施するには適当なものとはいえない。また、特許文献1に記載の方法は、比較的低温においても4−ニトロフェノールの炭酸ジエステルが副生し、4−ニトロフェニルクロロフォルメートの収率が低下するといった不具合があり、4−ニトロフェニルクロロフォルメートを安全かつ容易に高収率で製造する方法が望まれている。
J.A.C.S,1957年,79巻,p.6180−6183
本発明は、4−ニトロフェニルクロロフォーメートを安全かつ容易に高収率で製造する方法を提供することを目的とする。
本発明は、以下に示すとおりの4−ニトロフェニルクロロフォーメートの製造方法に関する。
項1.4−ニトロフェノールとビス(トリクロロメチル)カーボネートとを塩基性化合物の存在下で反応させることを特徴とする式(1);
項2.塩基性化合物がピリジン、トリエチルアミン、ジメチルアニリンおよびジエチルアニリンからなる群から選ばれる少なくとも1つである項1に記載の4−ニトロフェニルクロロフォーメートの製造方法。
項3.4−ニトロフェノールに1モル対し、ビス(トリクロロメチル)カーボネート0.3〜0.6モルを用いる項1または2に記載の4−ニトロフェニルクロロフォーメートの製造方法。
項4.ビス(トリクロロメチル)カーボネートに、塩基性化合物を加えたのち、4−ニトロフェノールを添加する項1〜3のいずれかに記載の4−ニトロフェニルクロロフォーメートの製造方法。
本発明にかかる4−ニトロフェニルクロロフォーメートは、4−ニトロフェノールとビス(トリクロロメチル)カーボネートとを反応溶媒中、塩基性化合物の存在下で反応させることにより製造することができる。
本発明に用いられるビス(トリクロロメチル)カーボネートの使用割合は、4−ニトロフェノール1モルに対して、ビス(トリクロロメチル)カーボネート0.3〜0.6モルであることが好ましく、0.35〜0.45モルであることがより好ましい。
前記ビス(トリクロロメチル)カーボネートの使用割合が0.3モル未満の場合、不純物が増加するおそれがあり、0.6モルを超える場合、過剰のホスゲンが発生するため安全上好ましくない。
本発明にかかる反応溶媒としては、4−ニトロフェノールとビス(トリクロロメチル)カーボネートとの反応において不活性であり、4−ニトロフェニルクロロフォーメートを溶解する溶剤であれば特に限定されず、例えば、ベンゼンやトルエン等の芳香族炭化水素、モノクロロベンゼン等のハロゲン化芳香族炭化水素、塩化メチレン、クロロホルムや四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素および酢酸エチル等のエステル系炭化水素等を挙げることができる。
本発明に用いられる塩基性化合物としては、有機塩基化合物が好ましく、例えば、ピリジン、トリエチルアミン、ジメチルアニリンおよびジエチルアニリン等のアミン系有機塩基化合物を挙げることができる。
前記塩基性化合物の使用割合は、4−ニトロフェノール1モルに対して、塩基性化合物1.0〜2.0モルであることが好ましく、1.0〜1.5モルであることがより好ましい。前記塩基性化合物の使用割合が1.0モル未満の場合、反応が不充分になるおそれがあり、2.0モルを超える場合、不純物が増加するおそれがある。
本発明にかかる4−ニトロフェノールとビス(トリクロロメチル)カーボネートとの反応温度としては、−20℃〜反応溶媒の沸点であることが好ましく、−10〜10℃であることがより好ましい。前記反応温度が−20℃未満の場合、反応が遅くなるおそれがあり、反応溶媒の沸点以上の場合、不純物が増加するおそれがある。反応時間としては、1〜24時間であることが好ましく、2〜10時間であることがより好ましい。
本発明にかかる4−ニトロフェノールとビス(トリクロロメチル)カーボネートとを反応溶媒中、塩基性化合物の存在下で反応させて4−ニトロフェニルクロロフォーメートを製造する反応手順としては、特に限定されるわけではないが、例えば、反応容器中において、ビス(トリクロロメチル)カーボネートを溶媒に溶解したのち、これに塩基性化合物を10〜120分程度かけて滴下し、次いで、4−ニトロフェノールを添加して反応させる方法が挙げられる。ビス(トリクロロメチル)カーボネートに塩基性化合物を加えたのち、4−ニトロフェノールを添加することにより、4−ニトロフェニルクロロフォーメートの収率を高めることができる。また、前記4−ニトロフェノールの添加方法は、分割添加である方が好ましい。なお、前記4−ニトロフェノールの分割添加は、少なくとも2分割以上とするのが好ましく、10分割以上とするのがより好ましい。なお、4−ニトロフェノールを溶媒に溶解させて添加する場合は、分割添加に限らず、滴下して添加してもよい。前記4−ニトロフェノールの添加時間としては、例えば、10〜120分程度である。前記4−ニトロフェノールを分割添加することにより、炭酸ジエステルの生成などの副反応が抑制され、4−ニトロフェニルクロロフォーメートの収率を高めることができる。
かくして得られた4−ニトロフェニルクロロフォーメートは、反応終了後、生成した有機塩基の塩酸塩を除去するため、冷水を滴下して分液し、再度、冷水を滴下して洗浄、分液したのち、減圧留去するなどにより単離することができる。
本発明によれば、4−ニトロフェニルクロロフォーメートを安全かつ容易に高収率で製造することができる。
以下に実施例を挙げ、本発明を具体的に説明するが、本発明はこの実施例によって何ら限定されるものではない。
実施例1
撹拌機、温度計および還流冷却器を備え付けた5L容の四つ口フラスコにトルエン3Lとビス(トリクロロメチル)カーボネート118.7g(0.4モル)を仕込んで溶解させた。この溶液を0℃に保ちながら、撹拌下、ジエチルアニリン164g(1.1モル)を60分かけて滴下し、引き続き0℃に保ったまま、4−ニトロフェノール139.1g(1.0モル)を10分割して、60分かけて添加した。その後、1時間攪拌を行った後、冷水1Lを加えて、撹拌後、分液し、再度冷水1Lを加えて、撹拌後、分液した。その後、減圧蒸留してトルエンを除去し、4−ニトロフェニルクロロフォーメート193.5g(0.96モル)を得た。反応に用いた4−ニトロフェノールに対する4−ニトロフェニルクロロフォーメートの収率は、96%であった。
撹拌機、温度計および還流冷却器を備え付けた5L容の四つ口フラスコにトルエン3Lとビス(トリクロロメチル)カーボネート118.7g(0.4モル)を仕込んで溶解させた。この溶液を0℃に保ちながら、撹拌下、ジエチルアニリン164g(1.1モル)を60分かけて滴下し、引き続き0℃に保ったまま、4−ニトロフェノール139.1g(1.0モル)を10分割して、60分かけて添加した。その後、1時間攪拌を行った後、冷水1Lを加えて、撹拌後、分液し、再度冷水1Lを加えて、撹拌後、分液した。その後、減圧蒸留してトルエンを除去し、4−ニトロフェニルクロロフォーメート193.5g(0.96モル)を得た。反応に用いた4−ニトロフェノールに対する4−ニトロフェニルクロロフォーメートの収率は、96%であった。
実施例2
実施例1において、ジエチルアニリン164gに代えて、ピリジン86.9g(1.1モル)を用いた以外は、実施例1と同様にして、4−ニトロフェニルクロロフォーメート145.6g(0.85モル)を得た。反応に用いた4−ニトロフェノールに対する4−ニトロフェニルクロロフォーメートの収率は、85%であった。
実施例1において、ジエチルアニリン164gに代えて、ピリジン86.9g(1.1モル)を用いた以外は、実施例1と同様にして、4−ニトロフェニルクロロフォーメート145.6g(0.85モル)を得た。反応に用いた4−ニトロフェノールに対する4−ニトロフェニルクロロフォーメートの収率は、85%であった。
実施例3
撹拌機、温度計および還流冷却器を備え付けた5L容の四つ口フラスコにトルエン3Lとビス(トリクロロメチル)カーボネート118.7g(0.4モル)を仕込んで溶解させた。これに4−ニトロフェノール139.1g(1.0モル)を仕込み、この溶液を0℃に保ちながら、撹拌下、ジエチルアニリン164g(1.1モル)を60分かけて滴下した。その後、1時間攪拌を行った後、冷水1Lを加えて、撹拌後、分液し、再度冷水1Lを加えて、撹拌後、分液した。その後、減圧蒸留してトルエンを除去し、4−ニトロフェニルクロロフォーメート131.0g(0.65モル)を得た。反応に用いた4−ニトロフェノールに対する4−ニトロフェニルクロロフォーメートの収率は、65%であった。
撹拌機、温度計および還流冷却器を備え付けた5L容の四つ口フラスコにトルエン3Lとビス(トリクロロメチル)カーボネート118.7g(0.4モル)を仕込んで溶解させた。これに4−ニトロフェノール139.1g(1.0モル)を仕込み、この溶液を0℃に保ちながら、撹拌下、ジエチルアニリン164g(1.1モル)を60分かけて滴下した。その後、1時間攪拌を行った後、冷水1Lを加えて、撹拌後、分液し、再度冷水1Lを加えて、撹拌後、分液した。その後、減圧蒸留してトルエンを除去し、4−ニトロフェニルクロロフォーメート131.0g(0.65モル)を得た。反応に用いた4−ニトロフェノールに対する4−ニトロフェニルクロロフォーメートの収率は、65%であった。
Claims (4)
- 塩基性化合物がピリジン、トリエチルアミン、ジメチルアニリンおよびジエチルアニリンからなる群から選ばれる少なくとも1つである請求項1に記載の4−ニトロフェニルクロロフォーメートの製造方法。
- 4−ニトロフェノールに1モル対し、ビス(トリクロロメチル)カーボネート0.3〜0.6モルを用いる請求項1または2に記載の4−ニトロフェニルクロロフォーメートの製造方法。
- ビス(トリクロロメチル)カーボネートに、塩基性化合物を加えたのち、4−ニトロフェノールを添加する請求項1〜3のいずれかに記載の4−ニトロフェニルクロロフォーメートの製造方法。
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JP2009147284A JP2011001330A (ja) | 2009-06-22 | 2009-06-22 | 4−ニトロフェニルクロロフォーメートの製造方法 |
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN104284761A (zh) * | 2013-03-29 | 2015-01-14 | 日本碍子株式会社 | 蜂窝成型体的切断方法 |
CN105936626A (zh) * | 2016-04-12 | 2016-09-14 | 济南大学 | 一种氨基保护基的制备方法 |
CN114920650A (zh) * | 2022-06-15 | 2022-08-19 | 江西亚太科技发展有限公司 | 一种用于分离4-硝基苯酚及4-硝基苯基氯甲酸酯的气相方法 |
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2009
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