JP2020152722A - アルキルアリールカーボネートの製造方法 - Google Patents

アルキルアリールカーボネートの製造方法 Download PDF

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JP2020152722A
JP2020152722A JP2020043643A JP2020043643A JP2020152722A JP 2020152722 A JP2020152722 A JP 2020152722A JP 2020043643 A JP2020043643 A JP 2020043643A JP 2020043643 A JP2020043643 A JP 2020043643A JP 2020152722 A JP2020152722 A JP 2020152722A
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博夫 宮内
Hiroo Miyauchi
博夫 宮内
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Mitsubishi Chemical Corp
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Abstract

【課題】ジアルキルカーボネートとジアリールカーボネート、ジアルキルカーボネートと芳香族ヒドロキシ化合物、又はジアリールカーボネートと脂肪族アルコールとを触媒を用いてエステル交換反応させる反応工程を有するアルキルアリールカーボネートの製造方法において、アルキルアリールカーボネートの収率を高めることが可能な製造方法を提供する。【解決手段】ジアルキルカーボネートとジアリールカーボネート、ジアルキルカーボネートと芳香族ヒドロキシ化合物、又はジアリールカーボネートと脂肪族アルコールとを触媒を用いてエステル交換反応させる反応工程を有するアルキルアリールカーボネートの製造方法において、該反応工程後に脱触媒剤として有機酸又は無機酸を用いる工程を有する。【選択図】なし

Description

本発明は、ジアルキルカーボネートとジアリールカーボネート、ジアルキルカーボネー
トと芳香族ヒドロキシ化合物、又はジアリールカーボネートと脂肪族アルコールをエステ
ル交換させることによりアルキルアリールカーボネートを製造する方法に関する。アルキ
ルアリールカーボネートは、溶媒、リチウムイオン電池用、リチウム電池用、キャパシタ
用等の電解液成分、ジアリールカーボネートの原料、各種反応におけるアルキル化剤、カ
ルボニル化剤、あるいはアンチノック添加剤として有用である。
アルキルアリールカーボネートは、ポリカーボネート合成用の原料として有用なジアリ
ールカーボネートの反応中間体として公知の化合物である。従来、このジアリールカーボ
ネートの製造方法として広く研究されているのは、ジアルキルカーボネートと芳香族ヒド
ロキシ化合物とを反応させて、アルキルアリールカーボネートとジアリールカーボネート
の混合物を経て、ジアリールカーボネートを効率よく製造する方法に関してである。例え
ば、反応速度を高めるための触媒の例として、特許文献1〜5に記載の有機スズアルコキ
シドや有機スズオキシド類などのスズ化合物、特許文献6に記載のアルカリ金属またはア
ルカリ土類金属の塩類及びアルコキシド類、特許文献7に記載の鉛化合物類、特許文献8
に記載のチタン酸エステル類等が提案されている。
また、ジアルキルカーボネートと芳香族ヒドロキシ化合物から連続的に効率よくジアリ
ールカーボネートを製造する反応方式の開発例として、特許文献9、10に、エステル交
換反応により生成するメタノールを反応系から連続的に抜き出しながらジアリールカーボ
ネートを製造する方法が提案されている。従って、従来、アルキルアリールカーボネート
は反応の中間体として芳香族ヒドロキシ化合物、ジアルキルカーボネート及びジフェニル
カーボネートとの混合物として存在することはあっても、アルキルアリールカーボネート
そのものを純度良く製造する試みはなされなかった。また、もし上記アルキルアリールカ
ーボネート、芳香族ヒドロキシ化合物、ジアルキルカーボネート及びジフェニルカーボネ
ートとの混合物からアルキルカーボネートを製造しようとしても、その濃度が低いために
純度良く製造するためには多大の手間暇を要し、到底工業的製造法として成り立つもので
はなかった。
特許文献11には、ジアルキルカーボネートとジアリールカーボネートを接触的に不均
化反応させて反応混合物より目的物であるアルキルアリールカーボネート類を得る方法に
おいて、安定化かつ高活性で反応生成液に溶解しない不均一系触媒を提供すること、及び
高選択性で単純なプロセスで効率よくアルキルアリールカーボネート類を製造する方法が
提案されている。この方法は、触媒の活性、反応後の触媒の分離という面では優れている
ものの、触媒の製造が容易でなく汎用的ではない。
一方、特許文献12には、アルキルフェニルカーボネートをアンチノック添加剤として
使用することが提案されており、そのアンチノック添加剤を得る方法として特許文献13
には触媒として1,5,7−トリアザビシクロ〔4,4,0〕デセ−5−エンの存在下に
アルカノールとジアリールカーボネートをエステル交換させる方法が提案されている。し
かしながら、ここで用いる触媒は高価であり、反応物に均一に溶解するため反応後の触媒
分離が煩雑である。
例えば特許文献14には、ジアルキルカーボネートと芳香族ヒドロキシ化合物との反応
によるジアリールカーボネートの製造を、反応工程、触媒予備分離工程、原料回収工程及
び製品精製・触媒分離工程の四工程で行うことが提案されているが、煩雑な触媒分離工程
が必要となっている。
特開昭54−48733号公報 特開昭54−63023号公報 特開昭60−169444号公報 特開昭62−277345号公報 特開平1−265063号公報 特開昭56−25138号公報 特開昭57−176932号公報 特開昭58−185536号公報 特開平3−291257号公報 国際公開WO1992−18458号公報 特開平10−139736号公報 米国特許第4600408号公報 特開平4−283544号公報 特開平9−169704号公報
エステル交換反応は平衡反応であり、目的物は平衡組成物から蒸留等の方法によって回
収される。通常、蒸留精製では沸点の低い順に分離されていくことから、平衡組成物中に
触媒が存在した場合は蒸留中での平衡移動が無視できない。ジアルキルカーボネートとジ
アリールカーボネートのエステル交換反応によるアルキルアリールカーボネートの製造に
おいては、例えばジアルキルカーボネートが最も沸点が低い場合、蒸留中にジアルキルカ
ーボネートが系外に排出されることにより、逆平衡反応が起こり、目的物であるアルキル
アリールカーボネートの収率が低下するという問題があった。このことを防ぐために触媒
を除去しようとすれば、煩雑な触媒分離工程が必要であったり、或いは汎用的でない固体
触媒を使用する必要があった。
ジアルキルカーボネートと芳香族ヒドロキシ化合物、又はジアリールカーボネートと脂
肪族アルコールを原料とするエステル交換反応によるアルキルアリールカーボネートの製
造においても同様で、蒸留中に原料化合物が系外に排出されることにより、逆平衡反応が
起こり、目的物収率が低下する課題がある。
これらの課題を解決するために鋭意検討を進めた結果、本発明者は、エステル交換反応
の平衡組成物に特定の脱触媒剤を添加することで、逆平衡反応が抑制されることを見出し
、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は以下[1]〜[3]に示す具体的態様を提供する。
[1]ジアルキルカーボネートとジアリールカーボネート、ジアルキルカーボネートと
芳香族ヒドロキシ化合物、又はジアリールカーボネートと脂肪族アルコールとを触媒を用
いてエステル交換反応させる反応工程を有するアルキルアリールカーボネートの製造方法
であって、該反応工程後に脱触媒剤として有機酸及び/又は無機酸を用いる工程を有する
、アルキルアリールカーボネートの製造方法。
[2]前記脱触媒剤がカルボン酸、リン酸類、ホウ酸類及びスルホン酸類からなる群か
ら選択される少なくとも1つの化合物を含む[1]に記載のアルキルアリールカーボネー
トの製造方法。
[3]前記脱触媒剤がリン酸、亜リン酸、ホウ酸、p−トルエンスルホン酸、エチレン
ジアミンジコハク酸及びエチレンジアミン四酢酸からなる群から選択される少なくとも1
つの化合物を含む[1]又は[2]に記載のアルキルアリールカーボネートの製造方法。
本発明によれば、高い収率でアルキルアリールカーボネートを製造することが可能であ
る。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。以下の実施の形態は、本発明の実
施態様の一例(代表例)であり、本発明はこれらに限定されるものではない。また、本発
明は、その要旨を逸脱しない範囲内で任意に変更して実施することができる。
本発明に係るアルキルアリールカーボネートの製造方法は、ジアルキルカーボネートと
ジアリールカーボネート、ジアルキルカーボネートと芳香族ヒドロキシ化合物、又はジア
リールカーボネートと脂肪族アルコールとを触媒を用いてエステル交換反応させる反応工
程を有し、該反応工程後に脱触媒剤として有機酸及び/又は無機酸を用いる工程を有する
ものである。
<原料>
本発明の原料としては、ジアルキルカーボネート、ジアリールカーボネート、芳香族ヒ
ドロキシ化合物、又は脂肪族アルコールが挙げられる。
本発明で原料の一例として使用されるジアルキルカーボネートは一般式(I)で表され
る化合物である。
Figure 2020152722
式(I)中、Rは炭素数1〜4のアルキル基である。具体的には、メチル、エチル、n
−プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、n−ブチル、イソブチル、t−ブチル、メ
チルシクロプロピル等の炭素数が1〜4個までのアルキル基を持つジアルキルカーボネー
トが使用できる。中でも炭素数が1〜2である、ジメチルカーボネート(以下、DMCと
記載)及びジエチルカーボネートが特に好ましい。
本発明の原料の一例であるジアリールカーボネートは一般式(II)で示される化合物で
、原料ジアルキルカーボネートの2つのアルキル基が芳香族基で置換された化合物である
Figure 2020152722
式(II)中、Arは、アリール基を示す。具体的には、ジフェニルカーボネート、ジト
リルカーボネート、ジキシリルカーボネート、ジ(エチルフェニルカーボネート)、ジ(
n−プロピルフェニル)カーボネート等のアリール基の炭素数が6〜9個のジアリールカ
ーボネートが使用されるが、最も好ましいものとして、ジフェニルカーボネート(以下、
DPCと記載)が挙げられる。
本発明の原料の一例である芳香族ヒドロキシ化合物はAr(アリール基)-OHで示さ
れる化合物である。具体的には、フェノール、クレゾール、キシレノール、エチルフェノ
ール、n−プロピルフェノール等のアリール基の炭素数が6〜9個の芳香族ヒドロキシ化
合物が使用されるが、最も好ましいものとして、フェノールが挙げられる。
本発明の原料の一例である脂肪族アルコールはR’(脂肪族炭化水素基)OHで示され
る化合物である。具体的には、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパ
ノール、シクロプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、t−ブタノール、メチ
ルシクロプロパノール等の炭素数が1〜6個までの脂肪族炭化水素基を持つアルコールが
使用されるが、最も好ましいものとして、メタノール、エタノールが挙げられる。
また、アルキルアリールカーボネートとは一般式(III)で示される炭素数が1〜4個の
アルキル基と炭素数が6〜9個のアリール基を有するカーボネートである。
Figure 2020152722
式(III)中、Rは式(I)、Arは式(II)の場合と同一である。
具体的には、メチルフェニルカーボネート、エチルフェニルカーボネート、n−プロピ
ルフェニルカーボネート、イソプロピルフェニルカーボネート、シクロプロピルフェニル
カーボネート、n−ブチルフェニルカーボネート、イソブチルフェニルカーボネート、t
−ブチルフェニルカーボネート、メチルシクロプロピルフェニルカーボネート、メチルト
リルカーボネート、エチルトリルカーボネート、n−プロピルトリルカーボネート、イソ
プロピルトリルカーボネート、シクロプロピルトリルカーボネート、n−ブチルトリルカ
ーボネート、イソブチルトリルカーボネート、t−ブチルトリルカーボネート、メチルシ
クロプロピルトリルカーボネート、メチルキシリルカーボネート、エチルキシリルカーボ
ネート、n−プロピルキシリルカーボネート、イソプロピルキシリルカーボネート、シク
ロプロピルキシリルカーボネート、n−ブチルキシリルカーボネート、イソブチルキシリ
ルカーボネート、t−ブチルキシリルカーボネート、メチルシクロプロピルキシリルカー
ボネート、メチルシクロプロピルトリルカーボネート、メチル(エチルフェニル)カーボ
ネート、エチル(エチルフェニル)カーボネート、n−プロピル(エチルフェニル)カー
ボネート、イソプロピル(エチルフェニル)カーボネート、シクロプロピル(エチルフェ
ニル)カーボネート、n−ブチル(エチルフェニル)カーボネート、イソブチル(エチル
フェニル)カーボネート、t−ブチル(エチルフェニル)カーボネート、メチルシクロプ
ロピル(エチルフェニル)カーボネート、メチル(n−プロピルフェニル)カーボネート
、エチル(n−プロピルフェニル)カーボネート、n−プロピル(n−プロピルフェニル
)カーボネート、イソプロピル(n−プロピルフェニル)カーボネート、シクロプロピル
(n−プロピルフェニル)カーボネート、n−ブチル(n−プロピルフェニル)カーボネ
ート、イソブチル(n−プロピルフェニル)カーボネート、t−ブチル(n−プロピルフ
ェニル)カーボネート、メチルシクロプロピル(n−プロピルフェニル)カーボネート、
メチルシクロプロピルトリルカーボネート等であり、最も代表的なものとしては、メチル
フェニルカーボネート(以下、MPCと記載)及びエチルフェニルカーボネートが挙げら
れる。
ジアルキルカーボネートとジアリールカーボネートとを触媒を用いてエステル交換反応
する際に好ましい材料の組み合わせは、ジメチルカーボネートとジフェニルカーボネート
、ジエチルカーボネートとジフェニルカーボネートが挙げられ、ジアルキルカーボネート
と芳香族ヒドロキシ化合物とを触媒を用いてエステル交換反応する際に好ましい材料の組
み合わせは、ジメチルカーボネートとフェノール、ジエチルカーボネートとフェノールが
挙げられ、ジアリールカーボネートと脂肪族アルコールとを触媒を用いてエステル交換反
応する際に好ましい材料の組み合わせは、ジフェニルカーボネートとメタノール、ジフェ
ニルカーボネートとエタノールが挙げられる。
<触媒>
本発明で用いられる触媒は、ジアルキルカーボネートとジアリールカーボネート、ジア
ルキルカーボネートと芳香族ヒドロキシ化合物、又はジアリールカーボネートと脂肪族ア
ルコールとからアルキルアリールカーボネートを製造する反応を促進するものであるなら
ば、いかなるものでも使用することができる。例えば、ジブチルスズオキシド、ジフェニ
ルスズオキシド、ジブチルジフェノキシスズ、ジブチルジメトキシスズ、ジブチルジエト
キシスズ等の有機スズ化合物、酸化鉛、ジフェノキシ鉛、酢酸鉛等の鉛化合物、Zr(a
cac)、ZrO等のジルコニウム化合物、AlX、TiX、VOX、VX
、ZnX、FeX、SnR−nXn(ここでXはハロゲン原子、アセトキシ基、ア
ルコキシ基、アリールオキシ基を示し、nは1〜3の整数を示す)等のルイス酸などが挙
げられる。この中で、特に好ましいのはテトラメトキシチタン、テトラエトキシチタン、
テトラフェノキシチタン等のチタン化合物、ジブチルジフェノキシスズ、ジブチルジメト
キシスズ、ジブチルスズオキシド等のジアルキルスズ化合物である。
<脱触媒剤>
本発明で用いられる脱触媒剤は、有機酸及び/又は無機酸である。
有機酸として、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、乳酸
、リンゴ酸、クエン酸、安息香酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、サリチル酸
、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、ピルビン酸、エチレンジアミ
ン四酢酸、エチレンジアミンジコハク酸、及びジエチレントリアミン五酢酸等のカルボン
酸;リン酸モノメチル、リン酸ジメチル、リン酸モノエチル、リン酸ジエチル、リン酸モ
ノプロピル、リン酸ジプロピル、リン酸モノブチル、及びリン酸ジブチル等の有機リン酸
;メチルホウ酸、エチルホウ酸、フェニルホウ酸等の有機ホウ酸;ベンゼンスルホン酸、
及びp−トルエンスルホン酸等の有機スルホン酸等があげられる。有機酸は1種を単独で
用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併有してもよい。
無機酸としては、リン酸及び亜リン酸等の無機リン酸;ホウ酸:硫酸及び亜硫酸等の無
機スルホン酸等が挙げられる。無機酸は1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組
み合わせ及び比率で併有してもよい。
また、有機酸と無機酸を適宜組み合わせて用いてもよい。
なかでも、好ましくは、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、乳酸
、リンゴ酸、クエン酸、安息香酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、サリチル酸
、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、ピルビン酸、エチレンジアミ
ン四酢酸、エチレンジアミンジコハク酸、及びジエチレントリアミン五酢酸等のカルボン
酸;リン酸、亜リン酸、リン酸モノメチル、リン酸ジメチル、リン酸モノエチル、リン酸
ジエチル、リン酸モノプロピル、リン酸ジプロピル、リン酸モノブチル、及びリン酸ジブ
チル等のリン酸類;ホウ酸、及びメチルホウ酸、エチルホウ酸、フェニルホウ酸等のホウ
酸類;硫酸、亜硫酸、ベンゼンスルホン酸、及びp−トルエンスルホン酸等のスルホン酸
類であり、より好ましくは、リン酸、亜リン酸、ホウ酸、p−トルエンスルホン酸、エチ
レンジアミンジコハク酸及びエチレンジアミン四酢酸であり、特に好ましいのは、リン酸
、亜リン酸又はホウ酸である。
本発明で用いられるエステル交換反応とは、ジアルキルカーボネートとジアリールカー
ボネート、ジアルキルカーボネートと芳香族ヒドロキシ化合物、又はジアリールカーボネ
ートと脂肪族アルコールとが触媒の存在下、アルキル基とアリール基を互いに交換して、
アルキルアリールカーボネートを生成するものである。
本発明のエステル交換反応で、原料として用いるジアルキルカーボネートとジアリール
カーボネート、ジアルキルカーボネートと芳香族ヒドロキシ化合物、又はジアリールカー
ボネートと脂肪族アルコールの組成比は理論的にはモル比で1:1であるが、特に制限さ
れるものではなく広い範囲で用いることが可能であるが、通常1:20〜20:1、より
好ましくは3:1〜1:3の範囲である。また、反応温度は、通常、30〜300℃、よ
り好ましくは100〜250℃の範囲である。その際、圧力は反応液の蒸気圧によって規
定されるべきものであり、特に制限はなく、エステル交換反応への影響は少ない。
本発明において、アルキルアリールカーボネートは、例えば、以下に示すように、順に
反応工程(工程1)、脱触媒工程(2)、製品精製工程(3)からなるプロセスによって
製造される。
(工程1)反応工程
本発明において、触媒存在下にジアルキルカーボネートとジアリールカーボネート、ジ
アルキルカーボネートと芳香族ヒドロキシ化合物、又はジアリールカーボネートと脂肪族
アルコールをエステル交換反応させる反応形式は特に制限されるものではないが、回分式
反応を行う場合、触媒の使用量は原料のカーボネート総重量に対して0.01〜30重量
%、より好ましくは0.1〜15重量%の範囲である。回分式反応器に触媒、ジアリール
カーボネート及びジアルキルカーボネート、ジアルキルカーボネートと芳香族ヒドロキシ
化合物、又はジアリールカーボネートと脂肪族アルコールを所定量充填し、所定温度で攪
拌しながら不均化反応させることにより、目的とするアルキルアリールカーボネートを得
ることができる。その際の反応時間は、反応温度と触媒使用量により異なるが、一般的に
は0.1〜100時間、より好ましくは1〜20時間の範囲で実施することができる。
(工程2)脱触媒工程
脱触媒工程の反応形式は特に制限されるものではないが、工程1の反応液に脱触媒剤を
添加することによって実施される。脱触媒剤の使用量は反応に使用した触媒に対して0.
1〜10モル倍、より好ましくは0.5〜3モル倍の範囲である。工程1の反応液に脱触
媒剤を添加し、所定温度で攪拌することで脱触媒反応を実施する。その際の反応時間は、
通常0〜10時間、より好ましくは0〜2時間の範囲で実施することができる。また、反
応温度は、通常、30〜300℃、より好ましくは100〜250℃の範囲である。この
ときに脱触媒反応を実施せず、脱触媒剤を添加した段階で次工程に付してもよい。
(工程3)製品精製工程
該工程3は、公知の蒸留方法により高純度の目的とするアルキルアリールカーボネート
を得ることができる。例えばジアルキルカーボネートとジアリールカーボネートを原料と
した場合は、蒸留により、ジアルキルカーボネートを主成分とする初留分、目的物である
アルキルアリールカーボネートを主成分とする製品留分、アルキルアリールカーボネート
とジアリールカーボネートを含む後留分の順に留出し、蒸留釜にはジアリールカーボネー
トを主成分として含む残留物が得られる。ここで、後留分は留出させてもよいし、蒸留釜
に残し、反応にリサイクルさせてもよい。本発明のアルキルアリールカーボネートの製法
によれば、目的物であるアルキルアリールカーボネートを高選択率で得ることができ、し
かも分離後の原料は回収し再利用することができる。製品塔の塔底温度は通常230℃以
下とする。230℃を超えると、アルキルアリールカーボネートの変質が起こり好ましく
ない。なお、上記工程3で用いる蒸留塔の形式は充填塔、棚段塔等、一般的な蒸留装置な
らば何でもよい。また、段数(充填塔の場合は理論段数、棚段塔の場合は棚段の数)は、
通常3〜50段が使用される。還流比は、通常0.1〜10の範囲で実施される。小さす
ぎると分離性能が悪化し、大きすぎると、必要な熱エネルギーが過大となり好ましくない
同様にジアルキルカーボネートと芳香族ヒドロキシ化合物、又はジアリールカーボネー
トと脂肪族アルコールを原料とする場合も、同様に蒸留により目的物であるアルキルアリ
ールカーボネートを高選択率で得ることができ、しかも分離後の原料は回収し再利用する
ことができる。
本発明においてアルキルアリールカーボネートが高収率で得られる理由は以下のように
推定される。
脱触媒剤が存在しない系では、精製工程において残留原料成分が先に系外に排出された
場合、触媒が逆平衡反応を促進し目的物が分解され、収率が低下してしまう。一方、脱触
媒剤がエステル反応後に用いられる系では、脱触媒剤が触媒と反応し触媒の活性点を被毒
することにより触媒の活性が失われ、上記逆平衡反応が発生しなくなることで、目的物の
収率を高くなっているものと考えられる。
本発明において、原料としてDMC及びDPCを用いた場合、MPCが得られる。
以下に実施例を挙げて本発明の方法を具体的に説明するが、本発明はこれの実施例によ
り限定されるものではない。
<比較例1>
撹拌子、温度計及び還流冷却器を備えた反応容器(250ml)内に、MPC38.0
g(250mmol)と触媒としてジブチルスズオキシド0.62g(2.5mmol)
を入れ、撹拌下100℃、常圧で6時間反応させた。得られた反応混合物をガスクロマト
グラフで分析したところ、反応混合物の組成はMPC(81.6mol%)、DMC(8
.4mol%)、DPC(8.3mol%)、フェノール(1.8mol%)であり、M
PCの分解率は18.4%であった。
<実施例1>
撹拌子、温度計及び還流冷却器を備えた反応容器(250ml)内に、MPC38.0
g(250mmol)と触媒としてジブチルスズオキシド0.62g(2.5mmol)
、脱触媒剤として亜リン酸0.20g(2.5mmol)を入れ、撹拌下100℃、常圧
で6時間反応させた。得られた反応混合物をガスクロマトグラフで分析したところ、反応
混合物の組成はMPC(99.8mol%)、DMC(0.0mol%)、DPC(0.
0mol%)、フェノール(0.2mol%)であり、MPCの分解率は0.2%であっ
た。
<実施例2〜5>
脱触媒剤として、表1に示す化合物を使用し、該化合物の含有量がいずれも実施例1同
様2.5mmolとなる重量で使用したこと以外は実施例1と同様に反応を実施した。結
果を表1に示す。
いずれの脱触媒剤も触媒による逆平衡反応を抑制する効果が認められた。
<実施例6〜8>
脱触媒剤として、表1に示す化合物を使用し、該化合物の含有量がいずれも実施例1の
半分の1.25mmolとなる重量で使用したこと以外は実施例1と同様に反応を実施し
た。結果を表1に示す。
いずれの脱触媒剤も触媒による逆平衡反応を抑制する効果が認められた。
Figure 2020152722
本発明の方法によれば、原料であるジアルキルカーボネートとジアリールカーボネート
、ジアルキルカーボネートと芳香族ヒドロキシ化合物、又はジアリールカーボネートと脂
肪族アルコールから高収率・高選択率でアルキルアリールカーボネートを製造することが
できるため、目的とするアルキルアリールカーボネートの工業的に有利な製法ということ
ができる。

Claims (3)

  1. ジアルキルカーボネートとジアリールカーボネート、ジアルキルカーボネートと芳香族
    ヒドロキシ化合物、又はジアリールカーボネートと脂肪族アルコールとを触媒を用いてエ
    ステル交換反応させる反応工程を有するアルキルアリールカーボネートの製造方法であっ
    て、該反応工程後に脱触媒剤として有機酸及び/又は無機酸を用いる工程を有する、アル
    キルアリールカーボネートの製造方法。
  2. 前記脱触媒剤がカルボン酸、リン酸類、ホウ酸類及びスルホン酸類からなる群から選択
    される少なくとも1つの化合物を含む請求項1に記載のアルキルアリールカーボネートの
    製造方法。
  3. 前記脱触媒剤がリン酸、亜リン酸、ホウ酸、p−トルエンスルホン酸、エチレンジアミ
    ンジコハク酸及びエチレンジアミン四酢酸からなる群から選択される少なくとも1つの化
    合物を含む請求項1又は2に記載のアルキルアリールカーボネートの製造方法。
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