JPWO2005000783A1 - 芳香族炭酸エステルの製造方法 - Google Patents

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Abstract

芳香族炭酸エステルの製造方法であって、(1)有機金属化合物と二酸化炭素とを反応させて、該反応で形成された炭酸ジアルキルを含有する反応混合物を得、(2)該反応混合物から該炭酸ジアルキルを分離して残留液を得、(3)該残留液をアルコールと反応させて、少なくとも1種の有機金属化合物と水とを形成し、該水を有機金属化合物から除去し、(4)工程(2)で分離された炭酸ジアルキルと芳香族ヒドロキシ化合物とを反応させて芳香族炭酸エステルを得る、ことを特徴とする方法。

Description

本発明は、芳香族炭酸エステルの製造方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、芳香族炭酸エステルの製造方法であって、(1)有機金属化合物と二酸化炭素とを反応させて、該反応で形成された炭酸ジアルキルを含有する反応混合物を得、(2)該反応混合物から該炭酸ジアルキルを分離して残留液を得、次の工程(3)及び(4)をその通りまたは逆の順序に、または部分的または全体的に同時に行う:(3)該残留液をアルコールと反応させて、少なくとも1種の有機金属化合物と水とを形成し、該水を有機金属化合物から除去する、(4)工程(2)で分離された炭酸ジアルキルと芳香族ヒドロキシ化合物とを反応させて芳香族炭酸エステルを得る、ことを特徴とする方法に関する。
本発明の方法においては、有毒物質を用いず、腐食性物質を発生しないだけでなく、副生物は少なく、中間生成物はリサイクルすることができるので、環境上好ましく、簡便かつ効率的に芳香族炭酸エステルを高純度で製造することができる。
従来技術
芳香族炭酸エステルは、ポリカーボネート原料、イソシアネート原料、医薬原料などのカルボニル源として広く使われており、安価な製造法が望まれてきた。
芳香族ポリカーボネートを工業的に製造する方法としては、次の方法(i)及び(ii)が知られている:
(i)界面重合法(ホスゲンとビスフェノール類とを、適当な塩素受容体の存在下で、ジクロロメタン/水2相の界面で重合させる方法)、
(ii)メルト法(炭酸ジフェニルとビスフェノール類とのエステル交換脱フェノールによって重合させる方法)。
上記の界面重合法においてはジクロロメタンを用いるが、メルト法においてはジクロロメタンを用いない。近年、ハロゲン化アルキルによる水質汚染の問題などからジクロロメタンを使用しない方法が求められているので、メルト法が注目を集めている。
上記したメルト法の原料として用いる炭酸ジフェニルの製造方法としては、主に以下の5つの方法が提案されてきた。
1)ホスゲンをカルボニルソースとして炭酸ジフェニルを製造する方法(例えば特許文献1参照)
2)一酸化炭素をカルボニルソースとして炭酸ジフェニルを製造する方法
3)シュウ酸ジアリールから製造する方法
4)尿素類をカルボニルソースとして製造する方法
5)二酸化炭素をカルボニルソースとして製造する方法
方法1)について説明する。方法1)には、金属フェノキシド水溶液にホスゲンを導入する水溶液法、有機溶媒/水2相系で行う界面法、フェノールとホスゲンとを気相で反応させる気相法などがあり、いずれも容易に芳香族炭酸エステルを得ることができるが、極めて有毒で腐食性の高いホスゲンを用いるため、その輸送や貯蔵等の取り扱いに細心の注意が必要であり、製造設備の維持管理及び安全性の確保のため多大なコストがかかっていた。更に、方法1)では、腐食性の高い塩酸を大量に発生することから、廃棄物処理等の問題もあった。一方で、得られる芳香族炭酸エステル中には塩素含有化合物が含まれており、このような芳香族炭酸エステルを用いてメルト法によってポリカーボネートを製造する場合、塩素含有化合物の存在は、微量であっても、触媒失活を引き起こしたり、得られるポリカーボネートの着色を引き起こしたりするなどの致命的な問題を生じさせるので、芳香族炭酸エステルに含まれる数ppmの塩素含有化合物を除去するために精製工程を別途設けなければならないといった問題点がある(例えば特許文献2参照)。
このように、方法1)には、原料の有毒性、副生成物の腐食性、生成する芳香族炭酸エステル中の不純物(塩素含有化合物)の存在といった非常に大きな問題を抱えている。
方法2)について説明する。方法2)は、カルボニルソースとして一酸化炭素を用い、酸素と芳香族ヒドロキシル化合物とから芳香族炭酸エステルを製造する酸化的カルボニル化法である。方法2)において用いる一酸化炭素は猛毒であり、輸送、取り扱いには細心の注意を要し、安全に製造するために製造設備の維持管理に多大なコストが必要である。また、方法2)においても、塩素や塩素含有化合物を触媒の一部または助触媒として用いるため、ホスゲンを用いる上記の方法1)の場合と同様に、炭酸ジフェニルへの塩素含有化合物の混入が避けられない。さらに、方法2)では、触媒として高価なパラジウムを使用するが、パラジウムの回収も困難であって、非常に高価で複雑なプロセスとなる。
このように、方法2)も、原料の有毒性、塩素による腐食性、生成する芳香族炭酸エステル中の塩素含有不純物の存在、多大な製造コストといった非常に大きな問題を抱えている。
なお、方法2)と類似の方法として、一酸化炭素と酸素とメタノールとから酸化的カルボニル化を行って炭酸ジメチルを得、該炭酸ジメチルと芳香族ヒドロキシ化合物とを反応させて芳香族炭酸エステルを得る方法もあるが、この方法であっても、酸化的カルボニル化工程で多量の塩素化合物を使用するために、該炭酸ジメチル中に塩素化合物が混入したり、装置を腐食させたりするという問題を抱えている(例えば特許文献3参照)。
方法3)について説明する。方法3)は、一酸化炭素を原料としてシュウ酸ジアリールを製造し、脱CO反応によって炭酸ジアリールを製造する方法である。方法3)によって得られる炭酸ジアリールは、フラン系不純物や原料系由来の塩素含有化合物などの不純物を大量に含み、該炭酸ジアリールを精製せずにそのまま使用して得たポリカーボネートは黄色に着色する。そのため、得られた炭酸ジアリールを精製するために、多数の工程を付加して不純物を除去する必要がある(例えば特許文献4)。
方法4)について説明する。方法4)は、尿素をカーボネートソースとして用い、アルコールと反応させて炭酸ジアルキルを得、次いで炭酸ジアルキルと芳香族ヒドロキシ化合物とを反応させて芳香族炭酸エステルを得る方法である。この方法は、毒性の低い尿素を原料とする点では改良された方法であるが、尿素とアルコールとから炭酸ジアルキルを製造するための反応では、アロハン酸エステル類の副生が避けられず、炭酸エステルの選択率は低く、プロセスは高コストとなる。また、中間体となるアルキルカーバメートと炭酸ジアルキルとは共沸があり、分離が非常に困難でアルキルカーバメートを含まない炭酸ジアルキルを得るには特別の工程が必要であって(例えば特許文献5)、更にアロハン酸エステルなどの副生物の処理設備等を必要とするため、複雑な製造工程となる。
工程5)について説明する。工程5)は、二酸化炭素をカルボニルソースとして用い、二酸化炭素とエチレンオキシドなどと反応させて環状炭酸エステルを得、次いで環状炭酸エステルとアルコールとを反応させて炭酸ジアルキルを得、更に得られたジアルキル炭酸エステルを芳香族ヒドロキシ化合物と反応させて芳香族炭酸エステルを得る方法である(例えば特許文献6参照)。この方法は低毒性で安価な二酸化炭素を使用する点では優れている。しかし、方法5)は炭酸ジアリールとエチレングリコールの併産プロセスであり、該エチレングリコールをエチレンオキシドへ戻すことは非常に難しいために、エチレンオキシド製造工程が別途必要となる。
このように、方法5)はエチレンオキシドの製造工程の必要性、併産物のエチレングリコールが再利用できないといった問題を抱えている。
二酸化炭素をカルボニルソースとして用い、エチレンオキシドなどから環状炭酸エステルを得た後、炭酸ジアルキルを得、次いで芳香族炭酸エステルを得るといった上記の方法5)に関連して、炭酸ジアルキルを二酸化炭素とアルコールとから直接に生成する例(特許文献7、8及び9参照)がある。該例において用いるアルコールをアセタール(有機脱水剤)を用いて製造する場合、下記式(4)に示す平衡反応で生成する水を系外に出し、下記式(5)に示す平衡反応における水として利用することにより、式(4)における平衡を生成系へずらすことができ、二酸化炭素とアルコールとから炭酸ジアルキルを得ることができる(式(4)及び(5)において、Meはアルキルの代表例であるメチルを表す)。しかし、下記式(4)及び(5)に従って、得られる炭酸エステルと等モルのアセタールが消費され、結局は炭酸ジアルキルとアセトンなどの併産プロセスとなっている。併産されるアセトンなどを再びアセタール(有機脱水剤)へリサイクルする反応は、困難な脱水反応であるために原料ロスが大きく、エネルギー効率が悪いため、工業化へは至っていない。
Figure 2005000783
また、無機脱水剤を使用した場合も同様に、水を吸収した無機脱水剤の再生には多大なエネルギーを必要とし、その結果、安価な炭酸エステルを提供できず、工業化プロセスとして採用されていないのが現状である。
以上述べたように、芳香族炭酸エステルの製造方法は多数提案されているが、原料の有毒性、塩素化合物による装置の腐食、塩素含有化合物などの副生成物の除去の煩雑さ、併産物が原料へリサイクルできないこと、などの問題がある。また、有毒性が低く、塩素化合物を含まない二酸化炭素をカルボニルソースとして用いた場合には、併産物、脱水剤由来の副生物の発生や脱水剤の処理等の問題が残されている。
したがって、有毒物質を用いず、腐食性物質を発生しないだけでなく、大量の併産物や副生物を発生しないような、環境上好ましく、簡便かつ効率的に芳香族炭酸エステルを製造する方法を開発することが望まれていた。
日本国特許3071008 日本国特開平8−198816 日本国特開平7−145109 日本国特開2002−47251 日本国特開2000−1461 日本国特開平9−40616号公報 日本国特開2001−247519号公報 独国特許第4310109号明細書 日本国特開2001−31629号公報 発明の概要
このような状況下、本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意検討した。本発明者らは既に、有機金属化合物、二酸化炭素、及び場合によってはアルコールを使用して、これらを反応させて炭酸ジアルキルを製造し、炭酸ジアルキル分離後の残留液から有機金属化合物を再生し、連続して炭酸ジアルキルを製造する方法を発明している(WO03/055840及びWO04/014840)が、この発明を利用することを考えた。その結果、該発明を更に発展させ、本発明の方法に到達した。すなわち、(1)有機金属化合物と二酸化炭素とを反応させて、該反応で形成された炭酸ジアルキルを含有する反応混合物を得、(2)該反応混合物から該炭酸ジアルキルを分離して残留液を得、次の工程(3)及び(4)をその通りまたは逆の順序に、または部分的または全体的に同時に行う:(3)該残留液をアルコールと反応させて、少なくとも1種の有機金属化合物と水とを形成し、該水を有機金属化合物から除去する、(4)工程(2)で分離された炭酸ジアルキルと芳香族ヒドロキシ化合物とを反応させて芳香族炭酸エステルを得る、ことを特徴とする方法により、従来技術に伴うすべての問題が解決されることを知見した。実際、本発明の方法においては、有毒物質を用いず、腐食性物質を発生しないだけでなく、副生物は少なく、中間生成物はリサイクルすることができるので、環境上好ましく、簡便かつ効率的に芳香族炭酸エステルを高純度で製造することができる。この知見に基づいて、本発明を完成した。
本発明による芳香族炭酸エステルの製造方法では、中間生成物はリサイクル使用でき、実質的に二酸化炭素と芳香族ヒドロキシ化合物から芳香族炭酸エステルと水のみを生成するものであって、従来技術の課題であった原料の有毒性、塩素含有化合物による腐食、分離困難な副生物や中間体の存在、併産物の発生、生成した芳香族炭酸エステル中への塩素含有化合物の残留といった課題はすべて解決された。
したがって、本発明の目的は、有毒物質を用いず、腐食性物質を発生しないだけでなく、大量の併産物や副生物を発生させずに、簡便かつ効率的に芳香族炭酸エステルを高純度で製造する方法を提供することである。
本発明の上記及びその他の諸目的、諸特徴並びに諸利益は、添付の図面を参照しながら述べる次の詳細な説明及び請求の範囲の記載から明らかになる。
添付の図面において:
図1は、本発明の芳香族炭酸エステルの製造方法のプロセスフロー図の例であり;
図2は、本発明の炭酸ジアリールの製造方法のプロセスフロー図の例であり;
図3は、本発明の方法における工程(3)、ジブチルスズジアルコキシドの製造、ジオクチルスズジアルコキシド、及びアルコールと水の蒸留分離に関するプロセスフロー図の例であり;
図4は、本発明の方法における工程(2)に関するプロセスフロー図の例であり;
図5は、本発明の方法における工程(4)に関するプロセスフロー図の例であり;
図6は、本発明の方法における工程(5)に関するプロセスフロー図の例であり;
図7は、本発明の方法におけるアルコールのリサイクルに関するプロセスフロー図の例であり;
図8は、本発明の方法における炭酸ジアリールの精製に関するプロセスフロー図の例であり;
図9は、本発明の方法における炭酸ジアリールの精製に関するプロセスフロー図の別の例であり;
図10は、本発明の方法におけるアルコール及び炭酸ジアルキルの分離に関するプロセスフロー図の例であり;
図11は、本発明の方法における炭酸ジアルキルの精製に関するプロセスフロー図の例であり;そして
図12は、本発明の方法における炭酸ジアルキルのリサイクルに関するプロセスフロー図の例である。
符号の説明
1 反応器
2、3、4、5、8、10、12、15、17、20、21、24、26、31、33、34、35、37、40、44、46、48、51、55、57、59、62、66、68、70、73、77、79、81、84、88、90、92、95、99、101、103、106、110、112、114、117、121、123、128、132、133、134、136 導管
6、18、28、41、52、63、74、85、96、107、118 凝縮器
7、9、16、19、23、29、32、47、58、69、80、91、102、113、124、125、126、127、131、135、137、138、139、140 貯槽
11 脱アルコール器
13、38、49、60、71、82、93、104、115 予熱器
14、39、50、61、72、83、94、105、116 連続多段蒸留塔
22、45、56、67、78、89、100、111、122 リボイラー
25 脱二酸化炭素槽
27 多段蒸留塔
42、53、64、75、86、97、108、119、129 気液分離器
30 薄膜蒸留装置
36、43、54、65、76、87、98、109、120、130 圧力調整バルブ
発明の詳細な説明
本発明によると、芳香族炭酸エステルの製造方法であって、
(1)有機金属化合物と二酸化炭素とを反応させて、該反応で形成された炭酸ジアルキルを含有する反応混合物を得、
(2)該反応混合物から該炭酸ジアルキルを分離して残留液を得、
次の工程(3)及び(4)をその通りまたは逆の順序に、または部分的または全体的に同時に行う:
(3)該残留液をアルコールと反応させて、少なくとも1種の有機金属化合物と水とを形成し、該水を有機金属化合物から除去する、
(4)工程(2)で分離された炭酸ジアルキルと芳香族ヒドロキシ化合物とを反応させて芳香族炭酸エステルを得る、ことを特徴とする方法が提供される。
次に、本発明の理解を容易にするために、本発明の基本的特徴及び好ましい態様を列挙する。
1.芳香族炭酸エステルの製造方法であって、
(1)有機金属化合物と二酸化炭素とを反応させて、該反応で形成された炭酸ジアルキルを含有する反応混合物を得、
(2)該反応混合物から該炭酸ジアルキルを分離して残留液を得、
次の工程(3)及び(4)をその通りまたは逆の順序に、または部分的または全体的に同時に行う:
(3)該残留液をアルコールと反応させて、少なくとも1種の有機金属化合物と水とを形成し、該水を有機金属化合物から除去する、
(4)工程(2)で分離された炭酸ジアルキルと芳香族ヒドロキシ化合物とを反応させて芳香族炭酸エステルを得る、ことを特徴とする方法。
2.工程(4)で得られる芳香族炭酸エステルが炭酸アルキルアリール及び炭酸ジアリールからなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする前項1に記載の方法。
3.工程(3)において、水を除去した有機金属化合物を工程(1)にリサイクルすることを特徴とする前項1または2に記載の方法。
4.工程(4)において、該芳香族炭酸エステルと共に生成するアルコールを工程(3)へリサイクルすることを特徴とする前項1〜3のいずれかに記載の方法。
5.工程(4)で回収する炭酸ジアルキルを工程(4)へリサイクルすることを特徴とする前項1〜4のいずれかに記載の方法。
6.工程(1)〜(4)のサイクルを少なくとも1回以上繰り返して行うことを特徴とする前項1〜5のいずれかに記載の方法。
7.工程(4)で得られる芳香族炭酸エステルが炭酸アルキルアリールであって、次の工程(5):
(5)該炭酸アルキルアリールを不均化反応させて炭酸ジアリールを得る、
を工程(4)の後にさらに含むことを特徴とする前項2〜5のいずれかに記載の方法。
8.工程(5)において、該炭酸ジアリールと共に生成する炭酸ジアルキルを工程(4)へリサイクルすることを特徴とする前項7に記載の方法。
9.工程(1)〜(5)のサイクルを少なくとも1回以上繰り返して行うことを特徴とする前項7または8に記載の方法。
10.工程(1)における有機金属化合物の使用量が、該二酸化炭素に対する化学量論量の1/200〜1倍の範囲であることを特徴とする前項1〜9のいずれかに記載の方法。
11.工程(1)における反応を20℃以上で行うことを特徴とする前項1〜10のいずれかに記載の方法。
12.工程(1)において用いる有機金属化合物が金属−酸素−炭素結合を有する有機金属化合物であることを特徴とする前項1〜11のいずれかに記載の製造方法。
13.金属−酸素−炭素結合を有する有機金属化合物が、下記式(1)で表される有機金属化合物及び下記式(2)で表される有機金属化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を包含することを特徴とする前項12に記載の方法。
Figure 2005000783
(式中:
は、ケイ素を除く周期律表第4族と第14族の元素よりなる群から選ばれる金属原子を表し;
及びRは各々独立に、直鎖状または分岐状の炭素数1〜12のアルキル基、炭素数5〜12のシクロアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数2〜12のアルケニル基、無置換又は置換された炭素数6〜19のアリール及び直鎖状または分岐状の炭素数1〜14のアルキルと炭素数5〜14のシクロアルキルよりなる群から選ばれるアルキルからなる炭素数7〜20のアラルキル基、又は無置換又は置換された炭素数6〜20のアリール基を表し;
及びRは各々独立に、直鎖状または分岐状の炭素数1〜12のアルキル基、炭素数5〜12のシクロアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数2〜12のアルケニル基、又は無置換又は置換された炭素数6〜19のアリール及び、直鎖状または分岐状の炭素数1〜14のアルキルと炭素数5〜14のシクロアルキルよりなる群から選ばれるアルキルからなる炭素数7〜20のアラルキル基を表し;そして
a及びbは各々0〜2の整数であり、a+b=0〜2、c及びdは各々0〜4の整数であり、a+b+c+d=4である。)
Figure 2005000783
(式中:
及びMは各々独立に、ケイ素を除く周期律表第4族と第14族の元素からなる群より選ばれる金属原子を表し;
、R、R及びRは各々独立に、直鎖状または分岐状の炭素数1〜12のアルキル基、炭素数5〜12のシクロアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数2〜12のアルケニル基、無置換又は置換された炭素数6〜19のアリール及び直鎖状または分岐状の炭素数1〜14のアルキルと炭素数5〜14のシクロアルキルからなる群より選ばれるアルキルからなる炭素数7〜20のアラルキル基、又は無置換又は置換された炭素数6〜20のアリール基を表し;
及びR10は各々独立に、直鎖状または分岐状の炭素数1〜12のアルキル基、炭素数5〜12のシクロアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数2〜12のアルケニル基、又は無置換又は置換された炭素数6〜19のアリール及び直鎖状または分岐状の炭素数1〜14のアルキルと炭素数5〜14のシクロアルキルよりなる群から選ばれるアルキルからなる炭素数7〜20のアラルキル基を表し;そして
e、f、g及びhは0〜2の整数であり、e+f=0〜2、g+h=0〜2、i及びjは1〜3の整数であり、e+f+i=3、g+h+j=3である。)
14.工程(2)における炭酸ジアルキルの分離を、蒸留、抽出及び濾過からなる群より選ばれる少なくとも1種の分離方法によって行うことを特徴とする前項1〜13のいずれかに記載の方法。
15.工程(2)における炭酸ジアルキルの分離を蒸留によって行うことを特徴とする前項14に記載の方法。
16.工程(2)における炭酸ジアルキルの分離を薄膜蒸留によって行うことを特徴とする前項15に記載の方法。
17.工程(3)における水の除去を、膜分離によって行うことを特徴とする前項1〜16のいずれかに記載の方法。
18.該膜分離がパーベーパレーションであることを特徴とする前項17に記載の方法。
19.工程(3)における水の除去を蒸留によって行うことを特徴とする前項1〜16のいずれかに記載の方法。
20.工程(3)で用いるアルコールが、直鎖状または分岐状の炭素数1〜12のアルキル基を有するアルキルアルコール、炭素数5〜12のシクロアルキル基を有するシクロアルキルアルコール、直鎖状または分岐状の炭素数2〜12のアルケニル基を有するアルケニルアルコール、及び無置換又は置換された炭素数6〜19のアリール及び、直鎖状または分岐状の炭素数1〜14のアルキルと炭素数5〜14のシクロアルキルとからなる群より選ばれるアルキルからなる炭素数7〜20のアラルキル基を有するアラルキルアルコールからなる群より選ばれる少なくとも1種のアルコールであることを特徴とする前項1〜19のいずれかに記載の方法。
21.工程(3)で用いるアルコールが水よりも沸点が高いことを特徴とする前項1〜20のいずれかに記載の方法。
22.工程(3)で用いるアルコールが、1−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、直鎖状または分岐状の炭素数5〜12のアルキル基を有するアルキルアルコール、及び直鎖状または分岐状の炭素数4〜12のアルケニル基を有するアルケニルアルコールからなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする前項21に記載の方法。
23.工程(3)で用いるアルコールが、工程(4)で用いる芳香族ヒドロキシ化合物よりも沸点が低いことを特徴とする前項21または22に記載の方法。
24.式(1)におけるR及びR、及び式(2)におけるR及びR10が各々独立に、n−ブチル基、2−メチルプロピル基、直鎖状または分岐状の炭素数5〜12のアルキル基、または分岐状の炭素数4〜12のアルケニル基を表すことを特徴とする前項13に記載の方法。
25.工程(1)において、該有機金属化合物を、単量体、オリゴマー、ポリマー及び会合体からなる群より選ばれる少なくとも1種の形態で用いることを特徴とする前項1〜24のいずれかに記載の方法。
26.式(1)におけるM、及び式(2)におけるM及びMがスズ原子を表すことを特徴とする前項13、24及び25のいずれかに記載の方法。
27.工程(1)で用いる有機金属化合物が、有機スズオキサイドとアルコールとから製造される化合物であることを特徴とする前項1〜26のいずれかに記載の方法。
28.工程(4)で用いる芳香族ヒドロキシ化合物の使用量が、工程(4)で用いる炭酸ジアルキルに対する化学量論量の0.1〜10000倍の範囲であることを特徴とする前項1〜27のいずれかに記載の方法。
29.工程(4)における反応を50〜350℃の範囲の温度で行うことを特徴とする前項1〜28のいずれかに記載の方法。
30.工程(4)における反応をエステル交換反応触媒の存在下で行うことを特徴とする前項1〜29のいずれかに記載の方法。
31.工程(5)における反応を不均化反応触媒の存在下で行うことを特徴とする前項7〜30のいずれかに記載の方法。
32.工程(4)で用いる芳香族ヒドロキシ化合物が下記式(3)で表されることを特徴とする前項1〜31のいずれかに記載の方法。
ArOH (3)
(式中、Arは炭素数5〜30の芳香族基を表す。)
33.式(3)で表される芳香族ヒドロキシ化合物がフェノールであることを特徴とする前項32に記載の方法。
34.工程(3)で用いるアルコールにおける芳香族ヒドロキシ化合物及びカルボン酸基含有化合物の合計含有量が1000ppm以下であることを特徴とする前項1〜33のいずれかに記載の方法。
35.前項1〜34のいずれかに記載の方法で製造される芳香族炭酸エステル。
36.前項35に記載の芳香族炭酸エステルを用いて得られるポリカーボネート類、イソシアネート類またはポリカーボネートジオール類。
37.該芳香族炭酸エステルが炭酸ジアリールであることを特徴とする前項36に記載のポリカーボネート類、イソシアネート類またはポリカーボネートジオール類。
以下、木発明について詳細に説明する。
本発明の方法は、次の4つの工程を包含する:
(1)有機金属化合物と二酸化炭素とを反応させて、該反応で形成された炭酸ジアルキルを含有する反応混合物を得る;
(2)該反応混合物から該炭酸ジアルキルを分離して残留液を得る;
(3)該残留液をアルコールと反応させて、少なくとも1種の有機金属化合物と水とを形成し、該水を有機金属化合物から除去する、
(4)工程(2)で分離された炭酸ジアルキルと芳香族ヒドロキシ化合物とを反応させて芳香族炭酸エステルを得る。
ただし、工程(3)及び(4)は、工程(1)及び(2)をこの順序で行ったあと、その通りまたは逆の順序に、または部分的または全体的に同時に行う。工程(3)及び(4)をその通りまたは逆の順序に行う場合、工程(3)及び(4)は部分的または全体的に同時に行ってもよい。なお、工程(3)及び(4)はそれぞれ別の装置を用いて行う。
工程(1)〜(3)について概略を説明する。工程(1)では、下記式(6)で表される反応を行う。即ち、有機金属化合物と二酸化炭素との反応により有機金属化合物のCO付加物を得、得られたCO付加物を熱分解させることにより、炭酸ジアルキルを含む反応混合物を得る。この反応混合物は、炭酸ジアルキル以外に、金属由来の成分を含む。工程(2)では、下記式(7)で表される操作を行う。即ち、工程(1)で得られた反応混合物から炭酸ジアルキルを分離して金属を含む残留液を得る。工程(3)では、下記式(8)で表される反応(即ち、残留液(金属を含む成分)とアルコールとから少なくとも1種の有機金属化合物と水とが生成する反応)を行い、該水を有機金属化合物から除去する。
工程(3)においては、水を除去した有機金属化合物を工程(1)にリサイクルすることが好ましい。
工程(4)について説明する。工程(4)においては、炭酸ジアルキルと芳香族ヒドロキシ化合物とを反応させて芳香族炭酸エステルを得る。通常、炭酸ジアルキルと芳香族ヒドロキシ化合物との反応により、炭酸アルキルアリールとアルコールとが生成する(下記式(9)を参照)。この反応は、たとえば、触媒を用い、炭酸ジアルキルとアルコールとを系外に出しながら、行うことができる。生成した炭酸アルキルアリールは、芳香族ヒドロキシ化合物と反応して、炭酸ジアリールとアルコールとが生成する(下記式(10)を参照)。また、炭酸アルキルアリールから、不均化反応により、炭酸ジアリールと炭酸ジアルキルとが生成する(下記式(11)を参照)。この反応は、たとえば、触媒を用い、生成した炭酸アルキルアリールを系外に出しながら、行うことができる。
したがって、工程(4)においては、反応条件を制御することにより、芳香族炭酸エステルとして、主として炭酸アルキルアリールを得ることもできるし、主として炭酸ジアリールを得ることもできるし、主として炭酸アルキルアリールと炭酸ジアリールとの混合物を得ることもできる。
上記のように、工程(4)においては、炭酸ジアルキルと芳香族ヒドロキシ化合物との反応により、炭酸アルキルアリールとアルコールとが生成する。このアルコールを工程(3)へリサイクルすることが好ましい。
また、工程(4)においては、上記の不均化反応により炭酸ジアルキルを生成させることもできるが、芳香族ヒドロキシ化合物との反応に用いた炭酸ジアルキルもその一部は未反応のまま残る。これらの炭酸ジアルキル(即ち、生成した炭酸ジアルキル及び未反応の炭酸ジアルキル)は、工程(4)にリサイクルすることが好ましい。
さらに、本発明の方法において、工程(1)〜(4)のサイクルを少なくとも1回以上繰り返して行うことが好ましい。
本発明の方法においては、工程(4)で得られる芳香族炭酸エステルが炭酸アルキルアリールであって、次の工程(5):
(5)該炭酸アルキルアリールを不均化反応させて炭酸ジアリールを得る、
を工程(4)の後にさらに含むことが好ましい。
工程(5)における反応は、反応式(11)で表される反応、即ち、炭酸アルキルアリールの不均化により炭酸ジアリールと炭酸ジアルキルとが生成する反応である。生成する炭酸ジアルキルは、工程(4)へリサイクルすることが好ましい。
さらに、本発明の方法が工程(5)を含む場合、工程(1)〜(5)のサイクルを少なくとも1回以上繰り返して行うことが好ましい。
したがって、本発明の方法の一つの好ましい態様においては、工程(1)〜(4)を行い、途中で生成する有機金属化合物やアルコールは、それぞれ工程(1)及び工程(3)へリサイクルされる。この場合、原料としては実質的に二酸化炭素及び芳香族ヒドロキシ化合物のみを用いて、生成物として芳香族炭酸エステルと水を取り出すものである(下記式(12)を参照)。
Figure 2005000783
ここで、二酸化炭素をカルボニルソースとして使用する他の方法と比較する。
式(12)でまとめられる上記の方法は、二酸化炭素をカルボニルソースとして使用する従来の方法、即ち、
a)エチレンオキシドなどを用い、環状炭酸エステルを中間体として使用する方法、
b)有機脱水剤を用いて炭酸ジアルキルを得る方法、
c)固体脱水剤を用いて炭酸ジアルキルを得る方法、
とは全く異なる方法である、以下、この点について説明する。
まず、方法a)との相違について説明する。方法a)は、下記式(13)から(17)に示す反応によって芳香族炭酸エステルを生成すると理解されている(式(13)〜(17)をまとめたものが式(18)である)。
Figure 2005000783
式(15)、(16)に従ってアルコールが生成するが、このアルコールは、上記の本発明の方法とは異なり、炭酸エチレンから炭酸ジアルキルを得るための式(14)へリサイクルされる。また、方法a)は式(18)(即ち、二酸化炭素とエチレンオキシドと芳香族ヒドロキシ化合物とから、芳香族炭酸エステルとエチレングリコールとを生成する反応)でまとめられるが、これは上記式(12)とは全く異なる。したがって、方法a)は上記の本発明の方法とは全く異なるものである。
次に方法b)との相違について説明する。方法b)は、芳香族炭酸エステルではなく炭酸ジアルキルを製造する方法であるが、参考までに説明する。方法b)は、下記式(4)に従って、炭酸エステルと水を生成させ、該水を下記式(5)の平衡反応を利用して、反応系内の有機脱水剤(アセタール)と反応させて、炭酸ジアルキル濃度を増すという方法である。従って方法b)は、生成する炭酸ジアルキルと等モルの有機脱水剤を生成させる反応で、下記式(19)のようであると理解される。
Figure 2005000783
式(19)は上記式(12)と全く異なる。したがって、方法b)は上記の本発明の方法とは全く異なる。
なお、該方法b)で得た炭酸ジアルキルを芳香族ヒドロキシ化合物と反応させて芳香族炭酸エステルを得られることも考えられるが、その場合に発生するアルコールは、リサイクル使用するとすれば、有機脱水剤の再生のために使用されると推定され、この点からも本発明の方法とは全く異なる。
次に方法c)(固体脱水剤を用いて炭酸ジアルキルを得る方法)との相違を説明する。方法c)は、上記の方法b)と同様に、芳香族炭酸エステルではなく炭酸ジアルキルの製造方法であるが、参考までに説明する。方法c)における反応は下記式(20)の平衡反応で表される。
Figure 2005000783
この反応で生成する水を、無機脱水剤と反応させるか、吸着させることにより平衡を生成系側へずらすことができ、これにより炭酸ジアルキルの収率を上げることができる。しかし、式(20)は上記式(12)とは全く異なる。したがって、方法c)は上記の本発明の方法とは全く異なる。
なお、方法c)で得た炭酸ジアルキルを芳香族ヒドロキシ化合物と反応させて芳香族炭酸エステルを得られることも考えられるが、その場合に発生するアルコールは、リサイクル使用するとすれば、式(20)の原料として使用される可能性が推定され、この点からも本発明の方法とは全く異なる。
本発明で用いる化合物について説明する。
本発明の方法の工程(1)で用いる有機金属化合物は、二酸化炭素と反応して炭酸ジアルキルを生成することができるものである限り、特に限定はない。金属−酸素−炭素結合を有する有機金属化合物が好ましい。その例としては、アルコキシ基を有する有機金属化合物を挙げることができる。金属−酸素−炭素結合を有する有機金属化合物は、下記式(1)で表される有機金属化合物及び下記式(2)で表される有機金属化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を包含することが好ましい。
Figure 2005000783
(式中:
は、ケイ素を除く周期律表第4族と第14族の元素よりなる群から選ばれる金属原子を表し;
及びRは各々独立に、直鎖状または分岐状の炭素数1〜12のアルキル基、炭素数5〜12のシクロアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数2〜12のアルケニル基、無置換又は置換された炭素数6〜19のアリール及び直鎖状または分岐状の炭素数1〜14のアルキルと炭素数5〜14のシクロアルキルよりなる群から選ばれるアルキルからなる炭素数7〜20のアラルキル基、又は無置換又は置換された炭素数6〜20のアリール基を表し;
及びRは各々独立に、直鎖状または分岐状の炭素数1〜12のアルキル基、炭素数5〜12のシクロアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数2〜12のアルケニル基、又は無置換又は置換された炭素数6〜19のアリール及び、直鎖状または分岐状の炭素数1〜14のアルキルと炭素数5〜14のシクロアルキルよりなる群から選ばれるアルキルからなる炭素数7〜20のアラルキル基を表し;そして
a及びbは各々0〜2の整数であり、a+b=0〜2、c及びdは各々0〜4の整数であり、a+b+c+d=4である。)
Figure 2005000783
(式中:
及びMは各々独立に、ケイ素を除く周期律表第4族と第14族の元素からなる群より選ばれる金属原子を表し;
、R、R及びRは各々独立に、直鎖状または分岐状の炭素数1〜12のアルキル基、炭素数5〜12のシクロアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数2〜12のアルケニル基、無置換又は置換された炭素数6〜19のアリール及び直鎖状または分岐状の炭素数1〜14のアルキルと炭素数5〜14のシクロアルキルからなる群より選ばれるアルキルからなる炭素数7〜20のアラルキル基、又は無置換又は置換された炭素数6〜20のアリール基を表し;
及びR10は各々独立に、直鎖状または分岐状の炭素数1〜12のアルキル基、炭素数5〜12のシクロアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数2〜12のアルケニル基、又は無置換又は置換された炭素数6〜19のアリール及び直鎖状または分岐状の炭素数1〜14のアルキルと炭素数5〜14のシクロアルキルよりなる群から選ばれるアルキルからなる炭素数7〜20のアラルキル基を表し;そして
e、f、g及びhは0〜2の整数であり、e+f=0〜2、g+h=0〜2、i及びjは1〜3の整数であり、e+f+i=3、g+h+j=3である。)
本発明でいう周期律表とは、国際純正及び応用化学連合無機化学命名法(1989年)で定められた周期律表である。
有機金属化合物は、単量体、オリゴマー、ポリマー及び会合体からなる群から選ばれる少なくとも1種の形態で用いることができる。
上記のように、本発明に用いる有機金属化合物において、式(1)のM及び式(2)のM、Mは、ケイ素を除く周期律表第4族と第14族の元素よりなる群から選ばれる金属原子であり、中でも、チタン、スズ、ニッケル、コバルト及びジルコニアなどが好ましい。アルコールへの溶解性やアルコールとの反応性を考慮すれば、チタン、スズが更に好ましく、最も好ましい金属としてはスズである。
本発明に用いられる式(1)の有機金属化合物のRとR、及び式(2)の有機金属化合物のR、R、R、Rの例としては、メチル、エチル、プロピル(各異性体)、ブチル(各異性体)、ペンチル(各異性体)、ヘキシル(各異性体)、ヘプチル(各異性体)、オクチル(各異性体)、ノニル(各異性体)、ブテニル(各異性体)、ペンテニル(各異性体)、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロペンタジエニル、シクロヘキセニル等の炭素数1〜12のアルキル基や炭素数5〜12のシクロアルキル基、ベンジル、フェニルエチル等の炭素数7から20のアラルキル基、フェニル、トリル、ナフチル等の炭素数6〜20のアリール基が挙げられる。またこれらの炭化水素基は二酸化炭素やアルコールと反応しない置換基、例えばアルコキシ基、ジアルキルアミノ基、アルコキシカルボニル基等で置換されていてもよい。エーテル結合を含んでいてもよいし、ノナフルオロブチル、ヘプタフルオロブチル(各異性体)などのように炭化水素基の水素の全部あるいは一部がハロゲン原子に置換したハロゲン化炭化水素基であってもよいが、これらに限定されない。好ましくは、炭素数1〜8の低級アルキル基であり、より好ましくは炭素数4〜8の直鎖状又は分岐状のアルキル基である。以上に示した炭素数以上のものも使用することができるが、流動性が悪くなったり、生産性を損なったりする場合がある。
式(1)の有機金属化合物のRとR、及び式(2)の有機金属化合物のRとR10の例としては、メチル、エチル、プロピル(各異性体)、ブチル(各異性体)、ペンチル(各異性体)、ヘキシル(各異性体)、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロペンタジエニル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、メトキシエチル、エトキシメチル等の炭素数1〜12のアルキル基や炭素数5〜12のシクロアルキル基、ベンジル、フェニルエチル等の炭素数7〜20のアラルキル基が挙げられる。好ましくは、低級アルキルであり、式(1)または式(2)で表される有機金属化合物を構成するアルコキシ基が、常圧で水よりも沸点の高いアルコールで構成されているアルコキシ基で、n−ブチル基、2−メチルプロピル基、直鎖状または分岐状の炭素数5〜12のアルキル基、または分岐状の炭素数4〜12のアルケニル基からなるアルコキシ基を有する有機金属化合物である。工程(3)で有機金属化合物を再生させて繰り返し使用する場合や、工程(4)の反応を効率よく行うためには、該アルコキシ基に対応するアルコールの常圧での沸点が工程(4)で用いる芳香族ヒドロキシ化合物よりも低いことが好ましく、好ましい例は、n−ブチル、2−メチルプロピル、直鎖状または分岐状の炭素数5〜8のアルキル基である。もっとも好ましい例は、金属−酸素−炭素結合を形成している酸素のα位炭素に分岐を持たないアルキル基であって、n−ブチル、2−メチルプロピル、直鎖状または分岐状の炭素数5〜6のから選ばれるアルキル基である。
式(1)で示される有機金属化合物の例としては、テトラメトキシスズ、テトラエトキシスズ、テトラプロピルオキシスズ(各異性体)、テトラブチルオキシスズ(各異性体)、テトラペンチルオキシスズ(各異性体)、テトラヘキシルオキシスズ(各異性体)、テトラヘプチルオキシスズ(各異性体)、テトラオクチルオキシスズ(各異性体)、テトラノニルオキシスズ(各異性体)、ジ−メトキシ−ジエトキシスズ、テトラメトキシチタン、テトラエトキシチタン、テトラプロピルオキシチタン、テトラ−イソ−プロピルオキシチタン、テトラキス(2−エチル−1−ヘキシルオキシ)チタン、テトラベンジルオキシスズ、ジメトキシ−ジエトキシ−スズ、ジエトキシ−ジプロピルオキシ−スズ(各異性体)、ジメトキシ−ジヘキシルオキシ−スズ(各異性体)、ジメチル−ジメトキシ−スズ、ジメチル−ジエトキシ−スズ、ジメチル−ジプロピルオキシ−スズ(各異性体)、ジメチル−ジブチルオキシ−スズ(各異性体)、ジメチル−ジペンチルオキシ−スズ(各異性体)、ジメチル−ジヘキシルオキシ−スズ(各異性体)、ジメチル−ジヘプチルオキシ−スズ(各異性体)、ジメチル−ジオクチルオキシ−スズ(各異性体)、ジメチル−ジノニルオキシ−スズ(各異性体)、ジメチル−ジデシルオキシ−スズ(各異性体)、ブチル−ジメトキシ−メチル−スズ、ブチル−ジエトキシ−メチル−スズ、ブチル−ジプロピルオキシ−メチル−スズ(各異性体)、ブチル−ジブチルオキシ−メチル−スズ(各異性体)、ブチル−ジペンチルオキシ−メチル−スズ(各異性体)、ブチル−ジヘキシルオキシ−メチル−スズ(各異性体)、ブチル−ジヘプチルオキシ−メチル−スズ(各異性体)、ブチル−ジオクチルオキシ−メチル−スズ(各異性体)、ブチル−ジメトキシ−エチル−スズ、ブチル−ジエトキシ−エチル−スズ、ブチル−ジプロピルオキシ−エチル−スズ(各異性体)、ブチル−ジブチルオキシ−エチル−スズ(各異性体)、ブチル−ジペンチルオキシ−エチル−スズ(各異性体)、ブチル−ジヘキシルオキシ−エチル−スズ(各異性体)、ブチル−ジヘプチルオキシ−エチル−スズ(各異性体)、ブチル−ジオクチルオキシ−エチル−スズ(各異性体)、ブチル−ジメトキシ−プロピル−スズ、ブチル−ジエトキシ−プロピル−スズ、ブチル−ジプロピルオキシ−プロピル−スズ(各異性体)、ブチル−ジブチルオキシ−プロピル−スズ(各異性体)、ブチル−ジペンチルオキシ−プロピル−スズ(各異性体)、ブチル−ジヘキシルオキシ−プロピル−スズ(各異性体)、ブチル−ジヘプチルオキシ−プロピル−スズ(各異性体)、ブチル−ジオクチルオキシ−プロピル−スズ(各異性体)、ジブチル−ジメトキシ−スズ、ジブチル−ジエトキシ−スズ、ジブチル−ジプロピルオキシ−スズ(各異性体)、ジブチル−ジブチルオキシ−スズ(各異性体)、ジブチル−ジペンチルオキシ−スズ(各異性体)、ジブチル−ジヘキシルオキシ−スズ(各異性体)、ジブチル−ジヘプチルオキシ−スズ(各異性体)、ジブチル−ジオクチルオキシ−スズ(各異性体)、ジブチル−ジノニルオキシ−スズ(各異性体)、ジブチル−ジデシルオキシ−スズ(各異性体)、ジブチル−ジベンジルオキシ−スズ、ジブチル−ジ(フェニルエトキシ)−スズ、ジフェニル−ジメトキシ−スズ、ジフェニル−ジエトキシ−スズ、ジフェニル−ジプロピルオキシ−スズ(各異性体)、ジフェニル−ジブチルオキシ−スズ(各異性体)、ジフェニル−ジペンチルオキシ−スズ(各異性体)、ジフェニル−ジヘキシルオキシ−スズ(各異性体)、ジフェニル−ジヘプチルオキシ−スズ(各異性体)、ジフェニル−ジオクチルオキシ−スズ(各異性体)、ジフェニル−ジノニルオキシ−スズ(各異性体)、ジフェニル−ジデシルオキシ−スズ(各異性体)、ジフェニル−ジベンジルオキシ−スズ、ジフェニル−ジ(フェニルエトキシ)−スズ、ジメトキシ−ビス(トリフルオロ−ブチル)−スズ、ジエトキシ−ビス(トリフルオロ−ブチル)−スズ、ジプロピルオキシ−ビス(トリフルオロ−ブチル)−スズ(各異性体)、ジブチルオキシ−ビス(トリフルオロ−ブチル)−スズ(各異性体)、ジペンチルオキシ−ビス(トリフルオロブチル)−スズ(各異性体)、ジヘキシルオキシ−ビス(トリフルオロブチル)−スズ(各異性体)、ジヘプチルオキシ−ビス(トリフルオロブチル)−スズ(各異性体)、ジオクチルオキシ−ビス(トリフルオロブチル)−スズ(各異性体)、ジノニルオキシ−ビス(トリフルオロブチル)−スズ(各異性体)、ジデシルオキシ−ビス(トリフルオロブチル)−スズ(各異性体)、ジベンジルオキシ−ビス(トリフルオロブチル)−スズ、ジフェニルエトキシ−ビス(トリフルオロブチル)−スズ、ジメトキシ−ビス(ペンタフルオロブチル)−スズ、ジエトキシ−ビス(ペンタフルオロブチル)−スズ、ジプロピルオキシ−ビス(ペンタフルオロブチル)−スズ(各異性体)、ジブチルオキシ−ビス(ペンタフルオロブチル)−スズ(各異性体)、ビスペンチルオキシ−ビス(ペンタフルオロブチル)−スズ(各異性体)、ジヘキシルオキシ−ビス(ペンタフルオロブチル)−スズ(各異性体)、ジヘプチルオキシ−ビス(ペンタフルオロブチル)−スズ(各異性体)、ジオクチルオキシ−ビス(ペンタフルオロブチル)−スズ(各異性体)、ジノニルオキシ−ビス(ペンタフルオロブチル)−スズ(各異性体)、ジデシルオキシ−ビス(ペンタフルオロブチル)−スズ(各異性体)、ジベンジルオキシ−ビス(ペンタフルオロブチル)−スズ、ジ(フェニルエトキシ)−ビス(ペンタフルオロブチル)−スズ、ジメトキシ−ビス(ヘプタフルオロブチル)−スズ、ジエトキシ−ビス(ヘプタフルオロブチル)−スズ、ジプロピルオキシ−ビス(ヘプタフルオロブチル)−スズ(各異性体)、ジブチルオキシ−ビス(ヘプタフルオロブチル)−スズ(各異性体)、ジペンチルオキシビス(ヘプタフルオロブチル)−スズ(各異性体)、ジヘキシルオキシ−ビス(ヘプタフルオロブチル)−スズ(各異性体)、ジヘプチルオキシ−ビス(ヘプタフルオロブチル)−スズ(各異性体)、ジオクチルオキシ−ビス(ヘプタフルオロブチル)−スズ(各異性体)、ジノニルオキシ−ビス(ヘプタフルオロブチル)−スズ(各異性体)、ジデシルオキシ−ビス(ヘプタフルオロブチル)−スズ(各異性体)、ジベンジルオキシ−ビス(ヘプタフルオロブチル)−スズ、ジ(フェニルエトキシ)−ビス(ヘプタフルオロブチル)−スズ、ジメトキシ−ビス(ノナフルオロブチル)−スズ、ジエトキシ−ビス(ノナフルオロブチル)−スズ、ジプロピルオキシ−ビス(ノナフルオロブチル)−スズ(各異性体)、ジブチルオキシ−ビス(ノナフルオロブチル)−スズ(各異性体)、ジペンチルオキシ−ビス(ノナフルオロブチル)−スズ(各異性体)、ジヘキシルオキシ−ビス(ノナフルオロブチル)−スズ(各異性体)、ジヘプチルオキシ−ビス(ノナフルオロブチル)−スズ(各異性体)、ジオクチルオキシ−ビス(ノナフルオロブチル)−スズ(各異性体)、ジノニルオキシ−ビス(ノナフルオロブチル)−スズ(各異性体)、ジデシルオキシ−ビス(ノナフルオロブチル)−スズ(各異性体)、ジベンジルオキシ−ビス(ノナフルオロブチル)−スズ、ジ(フェニルエトキシ)−ビス(ノナフルオロブチル)−スズ等のアルコキシスズ、アルコキシチタン、アルキルアルコキシスズなどがあげられる。
式(2)で示される有機金属化合物の例としては、1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ジメトキシ−ジスタンオキサン、1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ジエトキシ−ジスタンオキサン、1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ジプロピルオキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ジブチルオキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ジペンチルオキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ジヘキシルオキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ジヘプチルオキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ジオクチルオキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ジノニルオキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ジデシルオキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ジベンジルオキシ−ジスタンオキサン、1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ジ(フェニルエトキシ)−ジスタンオキサン、1,3−ジブチル−1,3−ジメチル−1,3−ジメトキシ−ジスタンオキサン、1,3−ジブチル−1,3−ジメチル−1,3−ジエトキシ−ジスタンオキサン、1,3−ジブチル−1,3−ジメチル−1,3−ジプロピルオキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,3−ジブチル−1,3−ジメチル−1,3−ジブチルオキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,3−ジブチル−1,3−ジメチル−1,3−ジペンチルオキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,3−ジブチル−1,3−ジメチル−1,3−ジヘキシルオキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,3−ジブチル−1,3−ジメチル−1,3−ジヘプチルオキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,3−ジブチル−1,3−ジメチル−1,3−ジオクチルオキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,3−ジブチル−1,3−ジメチル−1,3−ジノニルオキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,3−ジブチル−1,3−ジメチル−1,3−ジデシルオキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,3−ジブチル−1,3−ジメチル−1,3−ジベンジルオキシ−ジスタンオキサン、1,3−ジブチル−1,3−ジメチル−1,3−ジ(フェニルエトキシ)−ジスタンオキサン、1,3−ジブチル−1,3−ジエチル−1,3−ジメトキシ−ジスタンオキサン、1,3−ジブチル−1,3−ジエチル−1,3−ジエトキシ−ジスタンオキサン、1,3−ジブチル−1,3−ジエチル−1,3−ジプロピルオキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,3−ジブチル−1,3−ジエチル−1,3−ジブチルオキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,3−ジブチル−1,3−ジエチル−1,3−ジペンチルオキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,3−ジブチル−1,3−ジエチル−1,3−ジヘキシルオキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,3−ジブチル−1,3−ジエチル−1,3−ジヘプチルオキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,3−ジブチル−1,3−ジエチル−1,3−ジオクチルオキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,3−ジブチル−1,3−ジエチル−1,3−ジノニルオキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,3−ジブチル−1,3−ジエチル−1,3−ジデシルオキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,3−ジブチル−1,3−ジエチル−1,3−ジ(ベンジルオキシ)−ジスタンオキサン、1,3−ジブチル−1,3−ジエチル−1,3−ジ(フェニルエトキシ)−ジスタンオキサン、1,3−ジブチル−1,3−ジプロピル−1,3−ジメトキシ−ジスタンオキサン、1,3−ジブチル−1,3−ジプロピル−1,3−ジエトキシ−ジスタンオキサン、1,3−ジブチル−1,3−ジプロピル−1,3−ジプロピルオキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,3−ジブチル−1,3−ジプロピル−1,3−ジブチルオキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,3−ジブチル−1,3−ジプロピル−1,3−ジペンチルオキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,3−ジブチル−1,3−ジプロピル−1,3−ジヘキシルオキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,3−ジブチル−1,3−ジプロピル−1,3−ジヘプチルオキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,3−ジブチル−1,3−ジプロピル−1,3−ジオクチルオキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,3−ジブチル−1,3−ジプロピル−1,3−ジノニルオキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,3−ジブチル−1,3−ジプロピル−1,3−ジデシルオキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,3−ジブチル−1,3−ジプロピル−1,3−ジ(ベンジルオキシ)−ジスタンオキサン、1,3−ジブチル−1,3−ジプロピル−1,3−ジ(フェニルエトキシ)−ジスタンオキサン、1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ジメトキシ−ジスタンオキサン、1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ジエトキシ−ジスタンオキサン、1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ジプロピルオキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ジブチルオキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ジペンチルオキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ジヘキシルオキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ジヘプチルオキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ジオクチルオキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ジノニルオキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ジデシルオキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ジ(ベンジルオキシ)−ジスタンオキサン、1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ジ(フェニルエトキシ)−ジスタンオキサン、1,1,3,3−テトラフェニル−1,3−ジメトキシ−ジスタンオキサン、1,1,3,3−テトラフェニル−1,3−ジエトキシ−ジスタンオキサン、1,1,3,3−テトラフェニル−1,3−ジプロピルオキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラフェニル−1,3−ジブチルオキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラフェニル−1,3−ジペンチルオキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラフェニル−1,3−ジヘキシルオキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラフェニル−1,3−ジヘプチルオキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラフェニル−1,3−ジオクチルオキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラフェニル−1,3−ジノニルオキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラフェニル−1,3−ジデシルオキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラフェニル−1,3−ジ(ベンジルオキシ)−ジスタンオキサン、1,1,3,3−テトラフェニル−1,3−ジ(フェニルエトキシ)−ジスタンオキサン、1,1,3,3−テトラキス(トリフルオロブチル)−1,3−ジメトキシ−ジスタンオキサン、1,1,3,3−テトラキス(トリフルオロブチル)−1,3−ジエトキシ−ジスタンオキサン、1,1,3,3−テトラキス(トリフルオロブチル)−1,3−ジプロピルオキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラキス(トリフルオロブチル)−1,3−ジブチルオキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラキス(トリフルオロブチル)−1,3−ジペンチルオキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラキス(トリフルオロブチル)−1,3−ジヘキシルオキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラキス(トリフルオロブチル)−1,3−ジヘプチルオキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラキス(トリフルオロブチル)−1,3−ジオクチルオキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラキス(トリフルオロブチル)−1,3−ジノニルオキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラキス(トリフルオロブチル)−1,3−ジデシルオキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラキス(トリフルオロブチル)−1,3−ジ(ベンジルオキシ)−ジスタンオキサン、1,1,3,3−テトラキス(トリフルオロブチル)−1,3−ジ(フェニルエトキシ)−ジスタンオキサン、1,1,3,3−テトラキス(ペンタフルオロブチル)−1,3−ジメトキシ−ジスタンオキサン、1,1,3,3−テトラキス(ペンタフルオロブチル)−1,3−ジエトキシ−ジスタンオキサン、1,1,3,3−テトラキス(ペンタフルオロブチル)−1,3−ジプロピルオキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラキス(ペンタフルオロブチル)−1,3−ジブチルオキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラキス(ペンタフルオロブチル)−1,3−ジペンチルオキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラキス(ペンタフルオロブチル)−1,3−ジヘキシルオキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラキス(ペンタフルオロブチル)−1,3−ジヘプチルオキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラキス(ペンタフルオロブチル)−1,3−ジオクチルオキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラキス(ペンタフルオロブチル)−1,3−ジノニルオキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラキス(ペンタフルオロブチル)−1,3−ジデシルオキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラキス(ペンタフルオロブチル)−1,3−ジ(ベンジルオキシ)−ジスタンオキサン、1,1,3,3−テトラキス(ペンタフルオロブチル)−1,3−ジ(フェニルエトキシ)−ジスタンオキサン、1,1,3,3−テトラキス(ヘプタフルオロブチル)−1,3−ジメトキシ−ジスタンオキサン、1,1,3,3−テトラキス(ヘプタフルオロブチル)−1,3−ジエトキシ−ジスタンオキサン、1,1,3,3−テトラキス(ヘプタフルオロブチル)−1,3−ジプロピルオキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラキス(ヘプタフルオロブチル)−1,3−ジブチルオキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラキス(ヘプタフルオロブチル)−1,3−ジペンチルオキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラキス(ヘプタフルオロブチル)−1,3−ジヘキシルオキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラキス(ヘプタフルオロブチル)−1,3−ジヘプチルオキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラキス(ヘプタフルオロブチル)−1,3−ジオクチルオキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラキス(ヘプタフルオロブチル)−1,3−ジノニルオキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラキス(ヘプタフルオロブチル)−1,3−ジデシルオキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラキス(ヘプタフルオロブチル)−1,3−ジ(ベンジルオキシ)−ジスタンオキサン、1,1,3,3−テトラキス(ヘプタフルオロブチル)−1,3−ジ(フェニルエトキシ)−ジスタンオキサン、1,1,3,3−テトラキス(ノナフルオロブチル)−1,3−ジメトキシ−ジスタンオキサン、1,1,3,3−テトラキス(ノナフルオロブチル)−1,3−ジエトキシ−ジスタンオキサン、1,1,3,3−テトラキス(ノナフルオロブチル)−1,3−ジプロピルオキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラキス(ノナフルオロブチル)−1,3−ジブチルオキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラキス(ノナフルオロブチル)−1,3−ジペンチルオキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラキス(ノナフルオロブチル)−1,3−ジヘキシルオキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラキス(ノナフルオロブチル)−1,3−ジヘプチルオキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラキス(ノナフルオロブチル)−1,3−ジオクチルオキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラキス(ノナフルオロブチル)−1,3−ジノニルオキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラキス(ノナフルオロブチル)−1,3−ジデシルオキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラキス(ノナフルオロブチル)−1,3−ジ(ベンジルオキシ)−ジスタンオキサン、1,1,3,3−テトラキス(ノナフルオロブチル)−1,3−ジ(フェニルエトキシ)−ジスタンオキサンのようなアルコキシジスタンオキサン、アラルキルオキシジスタンオキサン等が挙げられる。
これらの有機金属化合物は単独で用いてもよいし、2種類以上併用してもよいし、他の有機金属化合物、場合によっては無機金属を加えてもよい。これらの有機金属化合物は市販されているものを使用してもよく、公知の方法で製造して使用してもかまわない。そのような有機金属化合物の例として、有機スズオキシドとアルコールとから得られる有機金属化合物を挙げることができる。たとえば、公知の方法(例えば、オランダ国特許6612421号に記載の方法)によって、ジブチル酸化スズと長鎖アルコールとから長鎖アルコキシ基を有するジブチルスズジアルコキシドが得られる。また、ジクロロジアルキルスズなどのハロゲン化ジアルキルスズとナトリウムアルコラートなどからジアルキルスズジアルコキシドを得ても良い。上記のWO03/055840またはWO04/014840に記載の方法によって、ジアルキル酸化スズと低級アルコールとからジアルキルスズアルコキシドを得ても良い。該方法では、水よりも沸点の低いアルコールとジブチル酸化スズから得られる有機金属化合物は式(2)で表される成分が主となる場合が多いが、式(1)で示される有機金属化合物を多量に得たい場合には、該方法で得られた反応物を蒸留することによって、蒸留成分として式(1)で示される有機金属化合物を得ることもできる。
式(1)の有機金属化合物及び式(2)の有機金属化合物の分析方法は119Sn−NMRによる方法が知られている(例えば、米国特許第5,545,600号明細書)。ただし、該文献には書かれていないが、式(1)の有機金属化合物に相当する構造の119Sn−NMRのシフト値は、サンプル中での式(1)の有機金属化合物の濃度やアルコールの存在などによって大きく変化するのでH−NMR、13C−NMRを併用して有機金属化合物の構造を決定することが好ましい。
上記のように、本発明で使用する有機金属化合物は、式(1)で表される有機金属化合物及び式(2)で表される有機金属化合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を包含していることが好ましい。式(1)の構造体と式(2)の構造体のいずれからも炭酸ジアルキルは得られるが、生成速度、生成量を考えれば、式(1)の構造体を含む有機金属化合物が好ましく、更に、式(1)の含有量が、使用する有機金属化合物中の金属に対するモル数で表して、50モル%以上であることが更に好ましい。
本発明で使用するアルコールについて説明する。本発明の方法においては、工程(3)で第1のアルコールを使用するほか、所望により工程(1)で第2のアルコールが使用でき、また、所望により工程(2)で第3のアルコールが使用できる。
第1のアルコール、第2のアルコール、第3のアルコールとしては、同じアルコールを使用してもよいし、異なるアルコールを使用してもよい。第1のアルコール、第2のアルコール、第3のアルコールとして用いることのできるアルコールの例としては、直鎖状または分岐状の炭素数1〜12のアルキル基を有するアルキルアルコール、炭素数5〜12のシクロアルキル基を有するシクロアルキルアルコール、直鎖状または分岐状の炭素数2〜12のアルケニル基を有するアルケニルアルコール、及び無置換または置換された炭素数6〜19のアリール及び、直鎖状または分岐状の炭素数1〜14のアルキルと炭素数5〜14のシクロアルキルとからなる群より選ばれるアルキルからなる炭素数7〜20のアラルキル基を有するアラルキルアルコールが挙げられる。
上記のアルコールの具体例としては、メタノール、エタノール、プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール(各異性体)、2−メチル−1−プロパノール、2−メチル−2−プロパノール、シクロブタノール、1−ペンタノール、2−ペンタノール(各異性体)、3−ペンタノール、3−メチル−1−ブタノール、2−メチル−1−ブタノール、2−メチル−2−ブタノール(各異性体)、2−メチル−2−ブタノール(各異性体)、3−メチル−2−ブタノール(各異性体)、シクロペンタノール、2−メチル−1−シクロブタノール(各異性体)、3−メチル−1−シクロブタノール(各異性体)、1−メチル−1−シクロブタノール(各異性体)、シクロブチルメタノール(各異性体)、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール(各異性体)、3−ヘキサノール(各異性体)、4−メチル−1−ペンタノール(各異性体)、3−メチル−1−ペンタノール(各異性体)、2−メチル−1−ペンタノール(各異性体)、2−エチル−1−ブタノール、3−メチル−2−ペンタノール(各異性体)、3−メチル−3−ペンタノール(各異性体)、シクロヘキサノール、1−メチル−1−シクロペンタノール(各異性体)、2−メチル−1−シクロペンタノール(各異性体)、シクロブチルメタノール(各異性体)、2−シクロブチルエタノール(各異性体)、1−シクロブチルエタノール(各異性体)、(1−メチル−シクロブチル)−メタノール(各異性体)、(2−メチル−シクロブチル)−メタノール(各異性体)、ヘプタノール(各異性体)、シクロヘキシルメタノール(各異性体)、(メチル−シクロヘキシル)メタノール(各異性体)、シクロヘキシルエタノール(各異性体)、(エチル−シクロブチル)−メタノール(各異性体)、(メチル−シクロプロピル)エタノール(各異性体)、(エチル−シクロプロピル)メタノール(各異性体)、オクタノール(各異性体)、ノナノール(各異性体)、デカノール(各異性体)、ウンデカノール(各異性体)、ドデカノール(各異性体)、プロペニルアルコール、ブテニルアルコール(各異性体)、ペンテニルアルコール(各異性体)、シクロペンテノール(各異性体)、シクロペンタジエニルアルコール、ヘキセノール(各異性体)、シクロヘキセノール(各異性体)等の炭素数1から12の脂肪族アルコールや炭素数5から12の脂環式アルコール、ベンジルアルコール、フェニルエチルアルコール等のアラルキルアルコールが挙げられる。
多価アルコールも使用できる。多価アルコールの例としては、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−プロパンジオール、シクロヘキサンジオール、シクロペンタンジオール等の炭素数1から12の脂肪族多価アルコールや炭素数5から12の脂環式多価アルコール等、ベンゼンジメタノール等のアラルキルアルコール等が挙げられる。
上記のアルコールの中で、好ましくは、常圧での沸点が水よりも高いものが好ましい。このようなアルコールの例としては、1−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール及び直鎖状または分岐状の炭素数5〜12のアルキル基を有するアルキルアルコール、直鎖状または分岐状の炭素数4〜12のアルケニル基アルケニルアルコール、シクロアルキルアルコール、アラルキルアルコールが挙げられる。更に好ましいアルコールは、1−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、炭素数5から炭素数8の直鎖状または分岐状のアルキルアルコールである。
工程(1)〜(4)のサイクルを繰り返して芳香族炭酸エステルを製造する場合には、該アルコールの常圧での沸点が、工程(4)で使用する芳香族ヒドロキシ化合物の沸点よりも低いアルコールが好ましく、更に好ましくは、1級のアルコールであって、1−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、炭素数5から炭素数6の直鎖状または分岐状のアルキルアルコールである。
本発明の方法の工程(4)で用いる芳香族ヒドロキシ化合物について説明する。芳香族ヒドロキシ化合物には特に限定はなく、たとえば下記式(3)で表されるものを用いることができる。
ArOH (3)
(式中、Arは炭素数5〜30の芳香族基を表す。)
式(3)で表される芳香族ヒドロキシ化合物の例としては、フェノール、クレゾール(各異性体)、キシレノール(各異性体)、トリメチルフェノール(各異性体)、テトラメチルフェノール(各異性体)、エチルフェノール(各異性体)、プロピルフェノール(各異性体)、ブチルフェノール(各異性体)、ジエチルフェノール(各異性体)、メチルエチルフェノール(各異性体)、メチルプロピルフェノール(各異性体)、ジプロピルフェノール(各異性体)、メチルブチルフェノール(各異性体)、ペンチルフェノール(各異性体)、ヘキシルフェノール(各異性体)、シクロヘキシルフェノール(各異性体)等の各種アルキルフェノール類;メトキシフェノール(各異性体)、エトキシフェノール(各異性体)等の各種アルコキシフェノール類;一般式(21)で表される各種置換フェノール類が挙げられる。
Figure 2005000783
(式中:Aは単なる結合、−O−、−S−、−CO−、−SO−等の2価の基、下記式(22)に示されるアルキレン基もしくは置換アルキレン基、または下記式(23)に示されるシクロアルキレン基を表し、また、芳香環は低級アルキル基、低級アルコキシ基、エステル基、ヒドロキシ基、ニトロ基、ハロゲン、シアノ基等の置換基によって置換されていてもよい。)
Figure 2005000783
(式中、R11、R12、R13、R14の各々は独立に水素原子、低級アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基であって、場合により、ハロゲン原子、アルコキシ基で置換されていてもよい。)
Figure 2005000783
(式中、kは3〜11の整数であって、水素原子は低級アルキル基、アリール基ハロゲン原子等で置換されていてもよい。)
また、このような芳香族ヒドロキシ化合物の例としては、ナフトール(各異性体)及び各種置換ナフトール類;ヒドロキシピリジン(各異性体)、ヒドロキシクマリン(各異性体)、ヒドロキシキノリン(各異性体)等のヘテロ芳香族ヒドロキシ化合物類等も挙げられる。
上記の芳香族ヒドロキシ化合物の中で、本発明において好ましく用いられるのは、Arが炭素数6から10の芳香族基である芳香族ヒドロキシ化合物であり、特に好ましいのはフェノールである。
芳香族ヒドロキシ化合物は、目的とする芳香族炭酸エステルに応じて選択される。たとえば、炭酸ジフェニルの製造の際にはフェノールを、炭酸ジトリルの製造の際にはクレゾールを、炭酸ジナフチルの製造の際にはナフトールを用いる。
芳香族ヒドロキシ化合物は、置換基としてアルキル基、ハロゲン類などを有していてもよく、また、ヒドロキシピリジンなどのような複素環化合物であってもよい。
次に、各工程についてさらに詳細に説明する。
上記のように、工程(1)は、有機金属化合物と二酸化炭素とを反応させ、これによって得られる有機金属化合物のCO付加物を熱分解し、炭酸ジアルキルを含む反応混合物を得る工程である。
工程(1)の反応温度は、通常、20℃(室温)以上で行う。好ましくは、20〜300℃である。反応を速く完結させるためには、さらに好ましくは80〜200℃であり、10分〜500時間の範囲で行う。
工程(1)で用いる二酸化炭素は、工程(1)で用いる有機金属化合物に対して、化学量論比で1から200の範囲で反応させることが好ましい。大過剰の二酸化炭素の存在は、平衡を更に進ませて遊離水の発生を引き起こすので、さらに好ましい範囲は1〜50である。また、二酸化炭素の量が多くなれば、高圧反応となり、耐圧性の高いリアクター構造が必要であり、また工程(1)終了後に二酸化炭素をパージする際に多くの二酸化炭素をロスするために、1から20の範囲が特に好ましい。言い換えれば、工程(1)における有機金属化合物の使用量は、該二酸化炭素に対する化学量論量の1/200〜1倍の範囲であることが好ましく、1/50〜1倍の範囲であることがさらに好ましく、1/20〜1倍の範囲であることが特に好ましい。
室温(20℃)以上で反応させる場合には、アルコールへの二酸化炭素の溶解度が制限されるため、反応が著しく遅くなる場合がある。したがって、工程(1)の反応圧力は、常圧から200MPa、好ましくは常圧から100MPaとし、必要により、二酸化炭素を充填しながら反応を行う。二酸化炭素の充填は、断続的に充填しても、連続的に充填してもよい。
得られる反応混合物(反応液)を分析し、所望の炭酸ジアルキルが得られれば工程(1)を終了する。例えば、有機金属化合物の金属原子の量に対して化学量論比で10%以上の炭酸ジアルキルが得られれば、常圧に戻して反応液を取り出してもよいし、反応液をリアクターから直接抜き出してもよい。
工程(1)において、他の成分が共存していてもよい。有効に用いられる他の成分としては、反応系内で脱水剤として機能する成分が挙げられる。添加することによって、工程(1)の反応系を非水系の状態に保てるからである。脱水剤として、公知の有機脱水剤を使用することができる。脱水剤の例としては、アセタール化合物、オルト酢酸トリメチル等のオルトエステル等が挙げられる。この他、ジシクロヘキシルカルボジイミドのような有機脱水剤も使用できる。脱水剤成分として、Molecular Sieves等の固体脱水剤を使用してもよい。固体脱水剤を用いる場合には、工程(3)を実施する前に固体脱水剤を除去することが好ましい。
工程(1)では、第2のアルコールの使用は任意であるが、アルコールを加えた方が高い収率で炭酸ジアルキルを得ることができる場合がある。これは工程(1)で行う反応の逆反応が存在するためであって、アルコールを加えることによって、新たな平衡反応を発生させ、逆反応の寄与を低減できるからである。アルコールに含まれる水分は、得られる炭酸ジアルキルの収量を悪化させるため、反応液中のアルコール中に含まれる水分が、金属化合物の金属原子の量に対して、化学量論量で、好ましくは0.1以下、より好ましくは0.01以下にする。アルコールを用いる場合は、式(1)の有機金属化合物及び式(2)の有機金属化合物の少なくとも1種を合成する際にアルコールを使用し、発生する水を蒸留によって除去すると共に、アルコールを一部残して蒸留を停止すると、残ったアルコールを工程(1)で使用するアルコールの少なくとも一部として使用できる。アルコールに含まれる水以外の不純物成分は該アルコールの製法や、リサイクルして使用する際には、精製条件によって異なってくるが、例えばエーテル類や芳香族ヒドロキシ化合物類、カルボン酸類などがあげられる。これら不純物成分は反応に悪影響を与える場合は除去し、悪影響を与えない場合は、そのまま使用してもよい。
第2のアルコールを使用する場合には、得られる炭酸ジアルキルの純度を高くするために、有機金属化合物のアルコキシドやアラルキルオキシドと同種の有機基を有するアルコールを用いることが好ましい。このような同種の第2のアルコールの場合、第2のアルコールの量は有機金属化合物の量に対して、化学量論量で1〜100000倍が好ましいが、有機金属化合物とは異なる有機基を有するアルコールを使用する場合や、有機金属化合物が式(2)のもののみである場合には、第2のアルコールの量は有機金属化合物の量に対して、化学量論量で2〜1000倍が好ましく、より好ましくは10〜1000倍の範囲である。有機金属化合物とは異なる有機基を有する第2のアルコールを使用すると、非対称炭酸ジアルキルが得られる。
工程(3)で形成される有機金属化合物を工程(1)へリサイクルする場合には、上記範囲となるように第2のアルコールを添加してもよく、場合によってはアルコールを除去して実施してもよい。
工程(1)終了後の反応液を、そのまま工程(2)にも用いてもよいし、冷却、加熱した後で工程(2)に用いてもよい。工程(1)終了後の反応液には、二酸化炭素が溶存していたり、有機金属化合物の二酸化炭素付加体として二酸化炭素を含有していたりする。工程(2)で蒸留等を行う場合に、該二酸化炭素の存在によって急激に発泡したり、減圧蒸留したりする場合には減圧度を一定にすることが難しかったりするので、該溶存二酸化炭素や該二酸化炭素付加体から二酸化炭素を脱離させる目的で脱二酸化炭素工程を設けた後に工程(2)を実施してもよい。該脱二酸化炭素工程は、加熱や減圧などの方法が好ましく実施できる。もちろん脱二酸化炭素工程で回収された二酸化炭素は工程(1)へリサイクル使用するために回収してよい。
工程(2)は、反応液から炭酸ジアルキルを分離して残留液を得る工程である。分離される炭酸ジアルキル(工程(1)で形成された炭酸ジアルキル)は下記式(24)に示す炭酸ジアルキルである。
Figure 2005000783
(式中、R15、R16は工程(1)で用いた有機金属化合物のアルコキシ基を構成するアルキル基、及び、工程(1)、工程(2)で第2、第3のアルコールを使用する場合には該アルコールのアルキル基からなる群より選ばれるアルキル基を示す。)
したがって、工程(2)で分離される炭酸ジアルキルの例としては、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジプロピルカーボネート(各異性体)、ジブテニルカーボネート(各異性体)、ジブチルカーボネート(各異性体)、ジペンチルカーボネート(各異性体)、ジヘキシルカーボネート(各異性体)、ジヘプチルカーボネート(各異性体)、ジオクチルカーボネート(各異性体)、ジノニルカーボネート(各異性体)、ジデシルカーボネート(各異性体)、ジシクロペンチルカーボネート、ジシクロヘキシルカーボネート、ジシクロヘプチルカーボネート、ジベンジルカーボネート、ジフェネチルカーボネート(各異性体)、ジ(フェニルプロピル)カーボネート(各異性体)、ジ(フェニルブチル)カーボネート(各異性体)、ジ(クロロベンジル)カーボネート(各異性体)、ジ(メトキシベンジル)カーボネート(各異性体)、ジ(メトキシメチル)カーボネート、ジ(メトキシエチル)カーボネート(各異性体)、ジ(クロロエチル)カーボネート(各異性体)、ジ(シアノエチル)カーボネート(各異性体)、メチルエチルカーボネート、メチルプロピルカーボネート(各異性体)、メチルブチルカーボネート(各異性体)、メチルペンチルカーボネート(各異性体)、エチルプロピルカーボネート(各異性体)、エチルブチルカーボネート(各異性体)、エチルペンチルカーボネート(各異性体)、プロピルブチルカーボネート(各異性体)、プロピルペンチルカーボネート(各異性体)、ブチルペンチルカーボネート(各異性体)、ブチルヘキシルカーボネート(各異性体)、ブチルヘプチルカーボネート(各異性体)、ブチルオクチルカーボネート(各異性体)等が挙げられる。
工程(2)においては、工程(1)で得られた反応液から炭酸ジアルキルを分離して金属を含む残留液を得る。ここで金属を含む残留液とは、再生可能な活性な有機金属化合物、再生可能な活性な変性有機金属化合物を含む残留液を指す。
工程(2)における炭酸ジアルキルの分離は、公知の分離方法で行うことができる。このような分離方法の例としては、蒸留、抽出、濾過、膜分離が挙げられる。これらの分離方法は、単独で用いてもよいし、組み合わせて用いてもよい。抽出のための溶媒は、炭酸ジアルキルと反応しない溶媒、例えば、ヘキサン、シクロヘキサン等の脂肪族、クロロホルム、ジクロロメタン、トリクロロメチレン等のハロゲン化炭化水素、ベンゼン、トルエン、クロロベンゼン等の芳香族、エーテル、アニソール等のエーテルが好ましく使用できる。
工程(1)においてメタノール及び/又はエタノールを用いた場合や、工程(1)ではアルコールを使用せず、用いる有機金属化合物がメトキシ基及び/またはエトキシ基を有する場合、生成する炭酸ジアルキルの沸点が100℃以下である場合(炭酸ジアルキルが、例えば、炭酸ジメチルや炭酸ジエチルの場合)には、反応液から直接、蒸留によって炭酸ジアルキルを分離することができる。蒸留方法は、一般に知られている常圧による蒸留方法、減圧蒸留、加圧蒸留方法が使用できる。蒸留は、温度がマイナス20℃から炭酸ジアルキルの沸点の間で実施してよく、好ましくは、20℃から炭酸ジアルキルの沸点の間である。この際、他の溶媒を加えて蒸留したり、抽出蒸留したりしてもよい。常圧での沸点が100℃を超えるような、更には、より高沸点となる炭素数が6以上の炭酸ジアルキルを蒸留で分離しようとする場合、蒸留温度(蒸留液温度)が高くなるに従って、蒸留中に先に示した式(6)に従う逆反応が顕著になり、炭酸ジアルキルの回収率が低くなる場合がある。この場合には、逆反応速度よりも速い速度で反応液から炭酸ジアルキルを分離することで、回収率を高くすることができる。例えば、減圧度を高めた蒸留法や、比表面積を増大させて速やかに炭酸ジアルキルを気相成分として反応液から分離する薄膜蒸留などを行うことが好ましい。
工程(2)で薄膜蒸留を行う際の薄膜蒸留装置は、公知の薄膜蒸留装置が使用できる。薄膜蒸留装置には公知の付帯設備を接続してよい。本発明で好ましく用いられる薄膜蒸留装置は、蒸留塔を付属した薄膜蒸留装置である。該蒸留塔は公知の蒸留塔が使用できる。
薄膜蒸留する際の分離温度は、薄膜蒸留器内の伝熱面の温度であり、伝熱面が該温度となるようなジャケットや熱媒の温度であってよい。この温度は、分離させる工程(1)で得られた反応液に含まれる炭酸ジアルキルと金属を含む成分などの種類や混合比にもよるが、通常、室温(20℃)〜300℃である。式(6)に従う逆反応を抑制するためや、工程(1)で得られた反応液や薄膜蒸留を用いた分離後の炭酸ジアルキルや金属を含む成分の流動性を考慮すると、好ましくは80〜180℃の範囲である。
加熱方法はジャケット方式などの公知の方法が使用できる。
分離圧力は、蒸留塔が付属している薄膜蒸留装置の場合には蒸留塔頂圧力であり、蒸留塔が付属していない薄膜蒸留装置の場合は薄膜蒸留器内の圧力である。分離圧力は、用いる原料化合物の種類や混合比にもよるが、通常、減圧、常圧のいずれであってもよく、具体的には通常0.1〜101.3KPa(常圧)であり、好ましくは0.3〜30KPaの範囲である。
30KPa以上で分離させる場合には、高沸点の炭酸ジアルキルのときには該炭酸ジアルキルの蒸気圧が低くなるために、蒸留温度を高くする必要がある。蒸留温度が高くなると、蒸留中に上記式(9)に従う逆反応が顕著になり、炭酸ジアルキルの回収率が低くなる場合があるので、該逆反応の影響が小さくなるように温度、圧力、滞留時間を調整する。反応器内の滞留時間は、用いる原料化合物である炭酸ジアルキルと有機金属化合物の種類や混合比にもよるが、通常1秒〜1時間、式(6)に従う逆反応を抑制するためには、好ましくは10秒〜10分で行う。反応器内の伝熱面積は、用いる反応液に含まれる炭酸ジアルキルや金属を含む成分などの種類、混合比、供給速度や反応器の材質にもよるが、分離させる液の供給速度(g/Hr)に対し下式(25)で示すような範囲となるように、供給速度と伝熱面積を調整してもよいし、下式(25)に限らず、一般的に行われる薄膜蒸留の知見や公知の技術を適用してよい。
供給速度(g/Hr)×係数k(Hr×m/g)
=伝熱面積(m) (25)
(式中、係数kは、1/10000〜1/1、好ましくは1/4000〜1/100の範囲の数である)
工程(1)で得られた反応液を薄膜蒸留する際の膜厚は、炭酸ジアルキルや金属を含む成分などの種類、混合比、供給速度や分離温度にもよるが、通常1×10−8〜1×10−1mである。分離効率を向上させるためには、好ましくは1×10−6〜1×10−2mである。
本発明においては溶媒を使用する必要はないが、工程(1)で得られた反応液の流動性を高めたり、薄膜蒸留分離後の炭酸ジアルキルや金属を含む成分の流動性を高めたりするなどの操作を容易にする目的で、炭酸ジアルキルや金属を含む成分と反応しない溶媒を添加して実施してよい。このような溶媒の好ましい例としては、例えばヘキサン、シクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素、クロロホルム、ジクロロメタン、トリクロロメチレンなどのハロゲン化炭化水素、ベンゼン、トルエン、クロロベンゼンなどの芳香族炭化水素、エーテル、アニソールなどのエーテルが挙げられる。
薄膜蒸留装置では、主に炭酸ジアルキルを含む成分をガス状で該装置上方から抜き出し、残留液を液状で該装置下方から抜き出す。抜き出された主に炭酸ジアルキルを含む成分は、そのまま工程(4)へ使用しても良いし、更に公知の方法で精製した後、工程(4)へ使用しても良い。
工程(1)で得られた炭酸ジアルキルが高沸点で、反応液中の金属を含む成分との分離が困難な場合には、工程(2)の実施の際に第3のアルコールを添加する方法を使用して良い。添加するアルコールは該炭酸ジアルキルを構成するアルコキシ基に相当するアルコールよりも低沸点のアルコールであって、炭素数1から6の直鎖状、分岐状のアルキルアルコールから選ばれるアルコールが好ましい。即ち、工程(2)の実施の際に、第2のアルコールを添加し、エステル交換させて第2のアルコールで構成される、工程(1)で得られた炭酸ジアルキルより沸点の低い炭酸ジアルキルに変換した後に蒸留分離することで、容易に分離が可能になることがある。
アルコールの添加量は工程(1)の実施条件によって異なるが、好ましくは工程(1)で得られた炭酸ジアルキルに対するモル比で表して2倍から100倍の間で添加する。添加する温度は室温(約20℃)からアルコールの沸点までの間でよい。バッチ式あるいは連続的に添加し、エステル交換させた後に蒸留分離しても構わないし、多段蒸留塔を使用して蒸留塔上部から工程(1)で得られた反応液を供給し、蒸留塔下部から第3のアルコールを供給して、第3のアルコールが蒸気圧をもつ温度、圧力で実施する反応蒸留の方法であってもよい。
工程(1)の終了後に、未反応の有機金属化合物、有機金属化合物の熱分解物などを除去して、又はそれらを除去しながら工程(2)を行ってもよい。
上記のように、工程(1)においては有機金属化合物と二酸化炭素とを反応させる。工程(1)で用いる有機金属化合物は二酸化炭素との反応性を有するので、以下しばしば「反応性有機金属化合物」と称する。本発明者らが、先にWO04/014840で提案したように、工程(1)の反応液には、該反応で形成された炭酸エステルと、再生可能な活性な変性有機金属化合物と、再生不能な非反応性有機金属化合物(劣化物)とを含むようにすることができる。その場合、工程(2)において、該再生不能な非反応性有機金属化合物を除去してよい。即ち、工程(1)で得られた反応液から炭酸ジアルキルと該再生不能な非反応性有機金属化合物(劣化物)とを含む第1の混合物と、再生可能な活性な変性有機金属化合物を含む残留液からなる第2の混合物とを得、更に第1の混合物から炭酸ジアルキルを分離してもよい。あるいは、該反応液から炭酸ジアルキルを含む第1の混合物と、該再生可能な活性な変性有機金属化合物と再生不能な非反応性有機金属化合物(劣化物)とを含む残留液からなる第2の混合物を得て、第2の混合物から再生不能な非反応性有機金属化合物を除去してもよい。
「再生可能な変性有機金属化合物」とは、反応性有機金属化合物に由来するものであって、主に、該反応性有機金属化合物と二酸化炭素とが反応して形成される付加物、及び、該付加物が熱分解した際に炭酸エステルと同時に形成される該付加体の分解物を指す。再生可能な変性有機金属化合物の構造の特定は難しいが、再生可能な変性有機金属化合物の例として、反応性有機金属化合物の二酸化炭素付加体、反応性有機金属化合物の加水分解物、反応性有機金属化合物の二酸化炭素付加体の加水分解物が挙げられる。
一方、「再生不能な非反応性有機金属化合物」(しばしば「劣化物」と称す)とは、反応性有機金属化合物に由来するものであって、反応性有機金属化合物及または反応性有機金属化合物の二酸化炭素付加体が熱劣化して、活性の著しく低い、再生不能な有機金属化合物に変化した化合物を指す。劣化物は、主に工程(3)で生成するが、それ以外に、反応性有機金属化合物の製造工程でも生成することがある。本発明でいう劣化物は、主として、分子内に金属1原子当たりに金属−炭素結合を少なくとも3つ有する化合物である。このような化合物の例としては、下記式(26)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2005000783
(式中:
はケイ素を除く周期律表第4属と第14属の元素よりなる群から選ばれる金属原子を表し;
17、R18、R19は各々独立に、直鎖状または分岐状の炭素数1〜12のアルキル基、炭素数5〜12のシクロアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数2〜12のアルケニル基、無置換または置換された炭素数6〜19のアリール及び直鎖状または分岐状の炭素数1〜14のアルキルと炭素数5〜14のシクロアルキルよりなる群から選ばれるアルキルからなる炭素数7〜20のアラルキル基、または無置換または置換された炭素数6〜20のアリール基を表し;
20は、直鎖状または分岐状の炭素数1〜12のアルキル基、炭素数5〜12のシクロアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数2〜12のアルケニル基、または無置換または置換された炭素数6〜19のアリール基及び直鎖状または分岐状の炭素数1〜14のアルキルと炭素数5〜14のシクロアルキルよりなる群から選ばれるアルキルからなる炭素数7〜20のアラルキル基を表し;そして
l、m、nは各々0〜4の整数であり、l+m+n=3または4、oは0または1の整数であり、l+m+n+o=4である。)
このような化合物の具体例として、テトラアルキルスズ、トリアルキルスズアルコキシドが挙げられる。劣化物の更なる例として、有機金属酸化物も挙げられる。その例としては、SnO、TiO、ZrOなどの化合物が挙げられる。
その他、一般的に有機金属化合物は酸素の存在下で変性することが知られており、本発明の有機金属化合物も、構造は不明であるが、酸素存在下で上記した以外の劣化物に変性する。従って本発明で用いる有機金属化合物の取扱い、保存、各工程の実施においては酸素を低減させるように公知の方法で対処する。
式(26)で示した化合物は、有機金属化合物(1)または(2)の生成過程、または本発明の方法の各工程における有機金属化合物(1)または(2)の加熱による変性によって生成すると考えられる。
本発明の方法の各工程は、劣化物の生成量が少なくなるような条件で行うことが好ましい。劣化物は式(26)に示すもののみではないが、本発明の工程(2)において除去する劣化物は主として式(26)に示す化合物である。これは、式(26)に示した化合物(分子内に金属−炭素結合を少なくとも3つ有する化合物)は、本発明における有用な有機金属化合物(反応性有機金属化合物及び再生可能な変性有機金属化合物)とは異なった物理的、化学的性質をもつことによる。劣化物の特性として、有用な有機金属化合物よりも沸点が低いことと、該有用な有機金属化合物よりも加水分解性が低いことが挙げられる。
式(26)に表される劣化物以外の成分を分離してもよい。その際は、一般的に行われるブローダウン、濾過などの方法が好ましく利用できる。分離した、式(26)に表される化合物などの劣化物は、一般的な方法で廃棄してよい。例えば焼却などによって金属酸化物として廃棄してもよい。もちろん、分離した該劣化物を使用して公知の方法で、本発明の方法の工程以外の工程を付加して有用な有機金属化合物を再生してもよい。
工程(2)を行う際に、水又は水を含んだ溶媒を反応液に加え、白色スラリーとした後に固形分を濾過分離し、その濾液を使用すれば、沸点が100℃を越える炭酸ジアルキルも容易に蒸留分離することができる。水はいかなる水であってもよいが、好ましくは蒸留水及び脱イオン水である。
工程(2)において、水を加える際の温度は、添加する水が反応液中で固化しないような温度(例えば、マイナス20℃)から100℃の範囲である。工程(1)終了後、好ましくは10〜80℃に温度を調節してもよい。炭酸ジアルキルが加水分解する場合は、その量をきわめて少なくするためには10〜50℃がより好ましい。水のみを用いてもよいが、水と溶媒を用いる場合は、炭酸ジアルキルと反応しない溶媒を用いる。工程(1)で使用したアルコールに水を溶解して使用すると、溶媒の分離が容易になる。
蒸留方法は、一般に知られている常圧による蒸留方法、減圧蒸留、加圧蒸留方法が使用できる。蒸留は、温度がマイナス20℃から炭酸ジアルキル及び/又はアルコールの沸点の間で実施でき、好ましくは50℃から炭酸ジアルキル及び/又はアルコールの沸点の間である。この際、他の溶媒を加えて蒸留したり、抽出蒸留したりしてもよい。
工程(1)終了後の反応液に、水及び/又は抽出溶媒を加えた後に、分液して油層部分の炭酸ジアルキルを分離してもよい。
上記したような方法で分離した炭酸ジアルキルを含む成分は、そのまま工程(4)に使用してもよいし、所望により公知の方法で精製したのち工程(4)を実施してもよい。
工程(3)において、該残留液をアルコールと反応させて、少なくとも1種の有機金属化合物と水とを形成し、該水を有機金属化合物から除去する。この工程は本発明者らによるWO03/055840またはWO04/014840に記載の方法が使用できる。工程(2)で炭酸ジアルキルを分離した後の残留液は金属を含む混合物であり、透明な液体、場合によっては固体であるが、いずれの場合も工程(3)で有機金属化合物を合成できる。
工程(3)において発生する水は、蒸留等の方法によって有機金属化合物から除去する。
工程(3)で用いるアルコールにおける芳香族ヒドロキシ化合物及びカルボン酸基含有化合物の合計含有量は、好ましくは1000ppm以下、より好ましくは100ppm以下である。このような濃度にするために、所望ならば、蒸留などの公知の分離方法でアルコールを精製して使用する。そのための好ましい化合物は、常圧における沸点が300℃以下のアルコールである。
多価アルコールを工程(3)で使用した場合に得られる金属アルコキシド、又は金属アラルキルオキシドの構造は、式(1)または式(2)で表される有機金属化合物の架橋体であっても、本発明において用いることができる。
工程(3)で用いるアルコールの量は、工程(1)で用いる有機金属化合物中の金属原子の量に対して、好ましくは化学量論量の1〜10000倍の範囲、より好ましくは2〜100倍である。
工程(3)の反応は、アルコールの種類によって異なるが、室温(20℃)から300℃の範囲で実施できる。
工程(3)で用いる脱水方法としては、一般的に用いられる公知の脱水方法を任意に用いることができる。Molecular Sievesのような固体脱水剤を充填した脱水塔によって除去してもよく、蒸留や膜分離によって除去してもよいが、短時間で大量に有機金属化合物を得ようとすれば、固体脱水剤の再生は煩雑であることから、蒸留によって脱水する方法が好ましい。蒸留方法は、公知の方法が使用できる。例えば常圧による蒸留方法、減圧蒸留、加圧蒸留、薄膜蒸留、抽出蒸留方法が使用できる。蒸留は、温度がマイナス20℃から工程(3)で用いるアルコールの沸点までの間で実施でき、好ましくは50℃から第1のアルコールの沸点の間である。もちろん、加圧ができる耐圧装置を使用した場合には、反応温度を高くすることによって、アルコールの蒸気圧や、あるいは不活性ガスの導入などにより加圧状態で実施することができ、この際の反応温度は常圧でのアルコールの沸点以上となるが、該加圧状態でのアルコールの沸点までで実施してよい。この際、他の成分を加えてもよい。水の沸点よりも高い沸点を持つ第1のアルコールを使用した場合には、加熱蒸留することによって水を留去することができる。膜分離の方法を使用する場合は、パーベーパレーション(浸透気化膜法)による方法が、効率よく水を除去できるため好ましい。
蒸留によって工程(3)の脱水を行う場合には、アルコールの沸点以下で、水が蒸気圧をもつ範囲であれば、どのような温度であってもよいが、反応を速く完結させる場合には、水とアルコールとの共沸温度で実施することが好ましく、水とアルコールとが共沸混合物を生成しない場合には蒸気温度が水の沸点で実施することが好ましい。
また、アルコールが水と共沸混合物を生成しない場合であっても、水と共沸する溶媒を加えて、共沸蒸留によって水を除去することができ、この方法は、低温で水を留去できることから好ましい。このような溶媒の例としては、ヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、ナフタレン、アニソール、1,4−ジオキサン、クロロホルム等の、一般に水と共沸混合物を生成するような飽和及び不飽和炭化水素、エーテル、ハロゲン化炭化水素等が使用できる。
共沸蒸留後の共沸混合物からの水の分離を考えれば、水の溶解度の低い飽和及び不飽和炭化水素を溶媒として使用することが好ましい。このような溶媒を使用する場合には、共沸によって水を充分除去できる量以上を使うことが必要である。蒸留塔等を用いて共沸蒸留を行う場合には、共沸混合物を蒸留塔で分離して、溶媒を反応系内に戻せるので、比較的少量の溶媒量でよいので好ましい方法である。
工程(3)は、必要に応じて不活性ガスの存在下でおこなってよい。不活性ガスを導入することで、反応器の気相部のガス上の水を系外へ抜き出すことによって、工程(3)でおこなう反応が早くなる場合がある。不活性ガスとは、工程(3)の反応に悪影響を及ぼさないガスであれば構わない。このような不活性ガスの例としては、窒素、アルゴン、ヘリウムなどがあげられる。前記したような水と共沸するような有機溶媒をガス状にして供給してもよい。また二酸化炭素も使用できる。
二酸化炭素を工程(3)で使用すると、形成された有機金属化合物と反応して炭酸ジアルキルが生成する場合があり、不活性ではないが、本発明においては悪影響ではないため、使用してよい。同様に、工程(3)で反応させるアルコールをガス状にして供給してよい。アルコールは反応物質であるが、工程(3)に悪影響を及ぼさないので使用してよい。不活性ガスの導入は、反応器のいずれの箇所から導入してもよいが、好ましくは反応器下方から、反応液中に導入する。導入量は反応器形状、反応条件によって異なるため、適宜調整して決定してよい。
工程(3)で使用する反応器に特に制限はなく、公知の反応器が使用できる。反応液の気−液界面積が広くなるような反応器が好ましい。バッフル付き攪拌槽や気泡塔などが好ましく使用できる。
工程(3)における反応によって、少なくとも1種の有機金属化合物を得る。この有機金属化合物は、通常、上記式(1)及び(2)からなる群より選ばれる構造を有する少なくとも1種である。
反応からの水の生成が殆どなくなれば、工程(3)を終了することができる。水の除去量によって、繰り返し行う工程(1)で得られる炭酸ジアルキルの収量が決まるために、なるべく多くの水を除去しておくことが好ましい。
通常、除去し得る水の量は、上記式(1)で表される金属アルコキシド、金属アラルキルオキシドのみが生成したとして求めた理論量の0.01から1倍の範囲内である。
工程(3)の終了後、必要に応じて、過剰量のアルコールを除去してもよい。繰り返し行う工程(1)で得られる炭酸ジアルキルの純度を考えれば、除去することが好ましい。繰り返し行う工程(1)で、工程(3)と同じアルコールを使用する場合には、除去しなくてもよいし、工程(1)の実施時に不足分を追加してもよい。また、必要であれば有機金属化合物を回収して工程(1)で使用しても良い。
過剰量のアルコールの除去は、得られる金属アルコキシド、又は金属アラルキルオキシドが固体の場合には、濾過によって濾液として除くことができるが、金属アルコキシド、又は金属アラルキルオキシドが液体の場合は減圧蒸留による除去、窒素等の不活性ガスを送り込んで蒸気圧分のアルコールの除去を行うことができる。この際、充分に乾燥させた不活性ガスを使用しなければ、得られた金属アルコキシド、又は金属アラルキルオキシドが、金属酸化物とアルコールに加水分解し、繰り返し行う工程(1)で得られる炭酸ジアルキルの収量が極めて低くなる。
工程(3)の終了後の、水を除去した有機金属化合物を工程(1)へリサイクルする際は、冷却してもよく、加熱した後に戻してもよい。このリサイクルは、連続的に実施してもよいし、バッチ式に実施してもよい。また、その際に必要であれば有機金属化合物を追添することも可能である。
工程(4)は、工程(2)で分離した炭酸ジアルキルと芳香族ヒドロキシ化合物とを反応させて、芳香族炭酸エステルを得る工程である。即ち、工程(2)で分離される式(24)に示した炭酸ジアルキルを出発物質とし、芳香族ヒドロキシ化合物(たとえば式(3)で表される)を反応物質として、反応を行う。工程(4)において、通常、下記式(27)で示す炭酸アルキルアリール及び下記式(28)で示す炭酸ジアリールからなる群より選ばれる少なくとも1種の芳香族炭酸エステルを得る。これら炭酸アルキルアリール、炭酸ジアリールは、それぞれ、1種類のみのときもあるし2種類以上のときもある。
Figure 2005000783
(式中、R21は出発物質のR15、R16から選ばれ、Ar、Ar、Arは、反応物質のAr、芳香族ヒドロキシ基を構成する芳香族基を示す。)
式(27)で示す炭酸アルキルアリールの例としては、メチルフェニルカーボネート、エチルフェニルカーボネート、プロピルフェニルカーボネート(各異性体)、アリルフェニルカーボネート、ブチルフェニルカーボネート(各異性体)、ペンチルフェニルカーボネート(各異性体)、ヘキシルフェニルカーボネート(各異性体)、ヘプチル フェニルカーボネート(各異性体)、オクチルトリルカーボネート(各異性体)、ノニル(エチルフェニル)カーボネート(各異性体)、デシル(ブチルフェニル)カーボネート(各異性体)、メチルトリルカーボネート(各異性体)、エチルトリルカーボネート(各異性体)、プロピルトリルカーボネート(各異性体)、ブチルトリルカーボネート(各異性体)、アリルトリルカーボネート(各異性体)、メチルキシリルカーボネート(各異性体)、メチル(トリメチルフェニル)カーボネート(各異性体)、メチル(クロロフェニル)カーボネート(各異性体)、メチル(ニトロフェニル)カーボネート(各異性体)、メチル(メトキシフェニル)カーボネート(各異性体)、メチルクミルカーボネート(各異性体)、メチル(ナフチル)カーボネート(各異性体)、メチル(ピリジル)カーボネート(各異性体)、エチルクミルカーボネート(各異性体)、メチル(ベンゾイルフェニル)カーボネート(各異性体)、エチルキシリルカーボネート(各異性体)、ベンジルキシリルカーボネートが挙げられる。
式(28)で示す炭酸ジアリールの例としては、ジフェニルカーボネート、ジトリルカーボネート(各異性体)、ジキシリルカーボネート(各異性体)、トリルフェニルカーボネート(各異性体)、キシリルフェニルカーボネート(各異性体)、キシリルトリルカーボネート(各異性体)、ジナフチルカーボネート、ジエチルフェニルカーボネート(各異性体)、ジ(プロピルフェニル)カーボネート(各異性体)、ジ(ブチルフェニル)カーボネート、ジ(トリメチルフェニル)カーボネート(各異性体)、ジ(メトキシフェニル)カーボネート(各異性体)、ジ(クロロフェニル)カーボネート(各異性体)、ジ(ニトロフェニル)カーボネート(各異性体)が挙げられる。
炭酸ジアルキルと芳香族ヒドロキシ化合物とから炭酸アルキルアリール及び炭酸ジアリールを得る方法は、これまで数多く知られており、本発明においても、これらの公知技術は好ましく適用できる。
工程(4)における上記式(9)で表される反応は、炭酸ジアルキルと芳香族ヒドロキシ化合物とのエステル交換に基づく平衡反応であって、反応を有利に進めようとすれば、エステル交換反応で脱離生成するアルコールを抜き出しながら反応させることが好ましく、この場合には、工程(4)で使用する芳香族ヒドロキシ化合物の沸点が、工程(3)で用いるアルコールの沸点よりも高いことが好ましい。特に、工程(1)〜(4)を1回以上繰り返して連続して実施する場合には、第1、第2、第3のアルキルアルコールの沸点は工程(4)で使用する芳香族ヒドロキシ化合物より低いことが好ましく、その沸点差は好ましくは2℃、分離の容易さを考えれば、10℃あることが更に好ましい。
工程(3)で用いるアルコールは、水よりも沸点の高いことが好ましい。さらに、そのようなアルコールの中で、1−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール及び直鎖状または分岐状の炭素数5〜12のアルキル基を有するアルキルアルコール、直鎖状または分岐状の炭素数4〜12のアルケニル基を有するアルケニルアルコール、シクロアルキルアルコール、アラルキルアルコールがさらに好ましい。工程(4)で行う反応を有利に進めるために、工程(4)の反応で生成するアルコールを除去することを考慮すれば、工程(4)で用いる芳香族ヒドロキシル化合物よりも沸点の低いアルコールが更に好ましい。工程(4)においては、複製するアルコールをガス状で抜き出し、生成物である炭酸アルキルアリール、炭酸ジアリール類は液状で反応器から抜き出す。即ち、水より沸点が高く、芳香族ヒドロキシ化合物よりも沸点の低いアルコールから構成させる炭酸ジアルキルであって、該炭酸ジアルキルの沸点が生成物である炭酸アルキルアリール、炭酸ジアリール類より沸点より低いものが好ましい。
また、工程(1)で第2のアルコールを用いる場合も、同様である。このような好ましいアルコールの例としては、n−ブチルアルコール、2−メチル−1−プロパノール、ペンタノール(各異性体)、ヘキサノール(各異性体)、ヘプタノール(各異性体)、オクタノール(各異性体)、ノニルアルコール(各異性体)、デシルアルコール(各異性体)、ドデシルアルコール(各異性体)、シクロブタノール、シクロペンタノール、シクロヘキサノールなどの直鎖状、分岐鎖状、環状のアルキルアルコールがあげられる。さらに工程(3)において蒸留脱水する場合、及び工程(4)で生成するアルコールを蒸留で抜き出しながら反応させる場合には、1−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、炭素数5以上8以下の直鎖状、分岐鎖状、環状のアルキルアルコールが更に好ましい。最も好ましい例は1−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、炭素数5以上6以下の直鎖状、分岐鎖状のアルキルアルコールから選ばれるアルコールである。
このような最適な組み合わせとしては、第1のアルコール、第2のアルコール、第3のアルコール、上記式(1)及び上記式(2)で表される金属−炭素−酸素結合を有する有機金属化合物のアルコキシ基に相当するアルコール、炭酸ジアルキルの構成アルコールが、1級のアルコールであって、1−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、ペンタノール(各異性体)、ヘキサノール(各異性体)の群から選ばれるアルコールであり、芳香族ヒドロキシ化合物が、フェノール、クレゾールから選ばれる芳香族ヒドロキシル化合物が挙げられる。
工程(4)で使用する芳香族ヒドロキシ化合物の量は、工程(4)で使用する炭酸ジアルキルに対する化学量論量の0.1〜10000倍の範囲であることが好ましい。工程(4)で行われる反応は、主に平衡反応であるから、芳香族ヒドロキシ化合物の量は多い方が有利であるが、使用量が増えれば反応器は大きくなり、後の生成物の分離にも大きな蒸留塔等が必要とされる。したがって、芳香族ヒドロキシ化合物の量は、炭酸ジアルキルに対する化学量論量の0.5〜100倍の範囲がさらに好ましく、0.5〜10倍の範囲が特に好ましい。
工程(4)に供給する化合物は、主に炭酸ジアルキル、芳香族ヒドロキシ化合物、必要であれば触媒であるが、反応に特に悪影響を与えない不純物が混入していてもかまわない。
これらの供給原料中に、生成物であるアルコール、炭酸アルキルアリール、及び炭酸ジアリール等が含まれていてもよいが、本反応は可逆反応であるため、これらの生成物の濃度があまり高い場合には原料の反応率を低下させるため好ましくない場合もある。供給する炭酸ジアルキルと芳香族ヒドロキシ化合物との量比は、触媒の種類及び量、並びに反応条件によっても変わり得るが、通常、供給原料中の該炭酸ジアルキルに対して該芳香族ヒドロキシ化合物はモル比で0.01〜1000倍の範囲で供給するのが好ましい。触媒の添加方法は公知の方法が好ましく適用できる。工程(1)から工程(4)、または工程(1)から工程(5)を繰り返して芳香族炭酸エステルを製造する場合には、工程(4)で使用した触媒を繰り返し使用してよく、不足分を追添してもよい。
工程(4)における反応の反応時間は、反応条件や反応器の種類や内部構造によっても異なるが、通常0.001〜50時間、好ましくは0.01〜10時間、より好ましくは0.05〜5時間である。反応温度は、反応器内の温度であり、用いる原料化合物である炭酸ジアルキル及び芳香族ヒドロキシ化合物の種類によって異なるが、通常50〜350℃、好ましくは100〜280℃の範囲で行われる。また反応圧力は、用いる原料化合物の種類や反応温度などにより異なるが、減圧、常圧、加圧のいずれであってもよく、通常10Pa〜20MPaの範囲で行われる。
本発明においては、溶媒を使用する必要はないが、反応操作を容易にする等の目的で適当な不活性溶媒、例えば、エーテル類、脂肪族炭化水素類、芳香族炭化水素類、ハロゲン化脂肪族炭化水素類、ハロゲン化芳香族炭化水素類等を反応溶媒として用いることができる。また、反応に不活性な物質として窒素、ヘリウム、アルゴン等の不活性ガスを反応系に共存させてもよいし、生成する低沸点副生成物の留去を加速する目的で連続多段蒸留塔の下部より、前記の不活性ガスや反応に不活性な低融点有機化合物をガス状で導入してもよい。
工程(4)終了後は、公知の方法で炭酸ジアルキル、芳香族ヒドロキシル化合物、アルコール、及び場合によっては触媒を分離して、芳香族炭酸エステルを得る。工程(4)の実施の際には、触媒を添加してもよい。上記したように、工程(4)における反応は主にエステル交換反応であり、エステル交換によって、炭酸ジアルキルから炭酸アルキルアリールと炭酸ジアリールを得るが、平衡が原系に偏っていることに加えて反応速度が遅いことから、この方法によって芳香族炭酸エステル類を製造する際には、これらを改良するためにいくつかの提案がされており、公知の方法が本発明においても好ましく使用できる。
エステル交換反応触媒(上記反応式(9)〜(10)の反応を促進する触媒)を用いる場合の触媒の量は、使用する触媒の種類、反応器の種類、炭酸エステル及び芳香族ヒドロキシ化合物の種類やその量比、反応温度並びに反応圧力等の反応条件の違い等によっても異なるが、供給原料である炭酸ジアルキル及び芳香族ヒドロキシ化合物の合計重量に対する割合で表わして、通常0.0001〜50重量%で使用される。また固体触媒を使用する場合には、反応器の空塔容積に対して、0.01〜75体積%の触媒量が好ましく用いられる。
エステル交換反応触媒として、数多くの金属含有触媒が知られている。公知のエステル交換反応触媒が本発明においても使用できる。エステル交換反応触媒の例として、遷移金属ハライド等のルイス酸又はルイス酸を生成させる化合物類〔日本国特開昭51−105032号公報、日本国特開昭56−123948号公報、日本国特開昭56−123949号公報(西独特許公開公報第2528412号、英国特許第1499530号明細書、米国特許第4182726号明細書)〕、有機スズアルコキシドや有機スズオキシド類等のスズ化合物〔日本国特開昭54−48733号公報(西独特許公開公報第2736062号)、日本国特開昭54−63023号公報、日本国特開昭60−169444号公報(米国特許第4554110号明細書)、日本国特開昭60−169445号公報(米国特許第4552704号明細書)、日本国特開昭62−277345号公報、日本国特開平1−265063号公報〕、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の塩類及びアルコキシド類(日本国特開昭57−176932号公報)、鉛化合物類(日本国特開昭57−176932号公報)、銅、鉄、ジルコニウム等の金属の錯体類(日本国特開昭57−183745号公報)、チタン酸エステル類〔日本国特開昭58−185536号公報(米国特許第4410464号明細書)〕、ルイス酸とプロトン酸の混合物〔日本国特開昭60−173016号公報(米国特許第4609501号明細書)〕、Sc、Mo、Nn、Bi、Te等の化合物(日本国特開平1−265064号公報)、酢酸第2鉄(日本国特開昭61−172852号公報)等が提案されている。
上記したエステル交換触媒と共に、不均化反応触媒(上記反応式(11)の反応を促進する触媒)を共存させても構わない。不均化反応触媒の例も多く提案されている。不均化反応触媒の例として、例えば、ルイス酸およびルイス酸を発生しうる遷移金属化合物〔日本国特開昭51−75044号公報(西独特許公開公報第2552907号、米国特許第4045464号明細書)〕、ポリマー性スズ化合物〔日本国特開昭60−169444号公報(米国特許第4554110号明細書)〕、一般式R−X(=O)OH(式中XはSn及びTiから選択され、Rは1価炭化水素基から選択される。)で表される化合物、〔日本国特開昭60−169445号公報(米国特許第4552704号明細書)〕、ルイス酸とプロトン酸の混合物〔日本国特開昭60−173016号公報(米国特許第4609501号明細書)〕、鉛触媒(日本国特開平1−93560号公報)、チタンやジルコニウム化合物(日本国特開平1−265062号公報)、スズ化合物(日本国特開平1−265063号公報)、Sc、Mo、Mn、Bi、Te等の化合物(日本国特開平1−265064号公報)等が提案されている。
工程(4)で行う反応を、反応方式を工夫することによって平衡をできるだけ生成系側にずらし、芳香族炭酸エステル類の収率を向上させる試みもある。例えば、炭酸ジメチルとフェノールとの反応において、副生してくるメタノールを共沸形成剤とともに共沸によって留去する方法〔日本国特開昭54−48732号公報(西独特許公開公報第736063号、米国特許第4252737号明細書)、日本国特開昭61−291545号公報〕、副生してくるメタノールをモレキュラーシーブで吸着させて除去する方法〔日本国特開昭58−185536号公報(米国特許第410464号明細書)〕が提案されている。また、反応器の上部に蒸留塔を設けた装置によって、反応で副生してくるアルコール類を反応混合物から留去する方法も知られている〔日本国特開昭56−123948号公報(米国特許第4182726号明細書)の実施例、日本国特開昭56−25138号公報の実施例、日本国特開昭60−169444号公報(米国特許第4554110号明細書)の実施例、日本国特開昭60−169445号公報(米国特許第4552704号明細書)の実施例、日本国特開昭60−173016号公報(米国特許第4609501号明細書)の実施例、日本国特開昭61−172852号公報の実施例、日本国特開昭61−291545号公報の実施例、日本国特開昭62−277345号公報の実施例〕、炭酸ジアルキルと芳香族ヒドロキシ化合物を連続的に多段蒸留塔に供給し、該塔内で連続的に反応させ、副生するアルコールを含む低沸成分を蒸留によって連続的に抜き出すと共に、生成した炭酸アルキルアリールを含む成分を塔下部より抜き出す方法(日本国特開平3−291257号公報)等の提案も好ましく使用できる。これらの方法は、芳香族炭酸エステル類を効率よく、かつ連続的に製造する方法であり、同様な連続的製造方法として、カラム型反応器内で接触エステル交換させる方法(日本国特開平6−41022号公報、日本国特開平6−157424号公報、日本国特開平6−184058号公報)や、複数の反応槽を直列につなぐ方法(日本国特開平6−234707号公報、日本国特開平6−263694号公報)、気泡塔反応器を用いる方法(日本国特開平6−298700号公報)、縦長反応槽を用いる方法(日本国特開平6−345697号公報)等が提案されている。
これらの方法で芳香族炭酸エステル類を工業的に製造する場合、長期間安定に運転する方法についても提案されている。日本国特開平6−157410号公報では、炭酸ジアルキルと芳香族ヒドロキシ化合物から芳香族炭酸エステル類を製造する際、反応器内の脂肪族アルコール類の濃度を2重量%以下にするように反応器に繋がった蒸留塔から脂肪族アルコールを抜き出す方法が開示され、安定した連続運転ができる事が記載されている。該公報は、蒸留塔内における触媒析出の問題を生じさせないためのものである。また、日本国特表平9−11049号公報では系内の触媒を含む液状物中において芳香族多価ヒドロキシ化合物およびまたはその残基が触媒の金属成分に対して重量比で2以下に保つことで触媒の析出を防ぎ長期間の安定運転を可能とする方法が開示されている。
芳香族炭酸エステルを製造する際に、高沸物質が副生することも知られている。例えば、日本国特開昭61−172852号公報には炭酸ジメチルをフェノールでエステル交換して炭酸ジフェニルを製造する際、炭酸ジフェニルと同程度の沸点を持つ不純物を副生し、この不純物が炭酸ジフェニルに混入することにより、最終目的物、例えばポリカーボネートの着色を起こすことが記載されている。該公報には具体的に記載されていないが、炭酸ジアリールと同程度の沸点を持つ不純物として、炭酸ジアリールのフリース転移による異性体であるアリーロキシカルボニル−(ヒドロキシ)−アレーンが挙げられる。例えば炭酸ジアリールが炭酸ジフェニルの場合には、アリーロキシカルボニル−(ヒドロキシ)−アレーンに対応する化合物としてサリチル酸フェニルが挙げられる。サリチル酸フェニルは炭酸ジフェニルより沸点が4〜5℃高い高沸物質である。反応を長時間行うと、上記の高沸物質が次第に系内に蓄積するので、製品である芳香族炭酸エステルに混入する該高沸物質が増加して製品純度が低下してしまう。また、高沸物質が増加するにしたがい反応液の沸点が上昇するので、高沸物質の副生がさらに加速されるなどの問題があるが、例えば、日本国特開平11−92429号公報などの方法によれば、多量の該触媒を必要とせずに純度の高い芳香族炭酸エステルを安定して製造することができる。
エステル交換反応触媒の具体例として下記の化合物が挙げられる。
<鉛化合物> PbO、PbO、Pb等の酸化鉛類;PbS、PbS等の硫化鉛類;Pb(OH)、Pb(OH)等の水酸化鉛類;NaPbO、KPbO、NaHPbO、KHPbO等の亜ナマリ酸塩類;NaPbO、NaPbO、KPbO、K[Pb(OH)]、KPbO、CaPbO、CaPbO等の鉛酸塩類;PbCO、2PbCO・Pb(OH)等の鉛の炭酸塩及びその塩基性塩類;Pb(OCOCH、Pb(OCOCH、Pb(OCOCH・PbO・3HO等の有機酸の鉛塩及びその炭酸塩や塩基性塩類;BuPb、PhPb、BuPbCl、PhPbBr、PhPb(又はPhPb)、BuPbOH、PhPbO等の有機鉛化合物類(Buはブチル基、Phはフェニル基を示す。);Pb(OCH、(CHO)Pb(OPh)、Pb(OPh)等のアルコキシ鉛類、アリールオキシ鉛類;Pb−Na、Pb−Ca、Pb−Ba、Pb−Sn、Pb−Sb等の鉛の合金類;ホウエン鉱、センアエン鉱等の鉛鉱物類、及びこれらの鉛化合物の水和物;
<銅族金属の化合物> CuCl、CuCl、CuBr、CuBr、CuI、CuI、Cu(OAc)、Cu(acac)、オレフイン酸銅、BuCu、(CHO)Cu、AgNO、AgBr、ピクリン酸銀、AgCClO、Ag(ブルバレン)NO、[AuC≡C−C(CH]n、[Cu(C)Cl]等の銅族金属の塩及び錯体(acacはアセチルアセトンキレート配位子を表す。);
<アルカリ金属の錯体> Li(acac)、LiN(CH9)等のアルカリ金属の錯体;
<亜鉛の錯体> Zn(acac)等の亜鉛の錯体;
<カドミウムの錯体> Cd(acac)等のカドミウムの錯体;
<鉄族金属の化合物> Fe(C10)(CO)、Fe(CO)、Fe(C)(CO)、Co(メシチレン)(PEtPh)、CoC(CO)、Ni−π−CH5NO、フェロセン等の鉄族金属の錯体;
<ジルコニウム錯体> Zr(acac),ジルコノセン等のジルコニウムの錯体;
<ルイス酸類化合物> AlX、TiX,TiX、VOX、VX、ZnX、FeX、SnX(ここでXはハロゲン、アセトキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基である。)等のルイス酸及びルイス酸を発生する遷移金属化合物;
<有機スズ化合物> (CHSnOCOCH、(CSnOCOC、BuSnOCOCH、PhSnOCOCH、BuSn(OCOCH、BuSn(OCOC1123、PhSnOCH、(CSnOPh、BuSn(OCH、BuSn(OC、BuSn(OPh)、PhSn(OCH、(CSnOH、PhSnOH、BuSnO、(C17SnO、BuSnCl、BuSnO(OH)等の有機スズ化合物;
もちろん、これらの触媒成分が反応系中に存在する有機化合物、例えば、アルコール類、芳香族ヒドロキシ化合物類、炭酸アルキルアリール類、炭酸ジアリール類、炭酸ジアルキル類等と反応したものであっても良いし、反応に先立って原料や生成物で加熱処理されたものであってもよい。
これらのエステル交換反応触媒は、反応条件において反応液への溶解度の高いものであることが好ましい。好ましいエステル交換触媒としては、PbO、Pb(OH)、Pb(OPh);TiCl、Ti(OPh);SnCl、Sn(OPh)、BuSnO、BuSn(OPh);FeCl、Fe(OH)、Fe(OPh)等、又はこれらをフェノール又は反応液等で処理したもの等が挙げられる。
工程(4)においては、先に示したように炭酸ジアルキルと芳香族ヒドロキシ化合物とのエステル交換反応(平衡反応)によって芳香族炭酸エステルが生成する。この平衡反応を有利に進めるためには、アルコールを抜き出しながら反応を行うことが好ましい。また、不均化反応も平衡反応であるため、芳香族炭酸エステルの中で炭酸ジアリールを多く得ようとすれば、不均化反応で生成する炭酸ジアルキルと芳香族炭酸エステルのうちの一方を系外に抜き出しながら反応させる方法が有利である。
本発明においては、生成物のうち、炭酸ジアルキルが芳香族炭酸エステルよりも低沸となるようにそれぞれのアルコキシ基、アリール基を選択して、炭酸ジアルキルを系外に抜き出しながら行うことが好ましい。
工程(4)には、上記のように、エステル交換反応触媒と共に不均化反応触媒(反応式(11)の反応を促進する不均化反応触媒)を添加してよい。不均化反応触媒の例として、ルイス酸及びルイス酸を発生しうる遷移金属化合物〔日本国特開昭51−75044号公報(西独特許公開公報第2552907号、米国特許第4045464号明細書)〕、ポリマー性スズ化合物〔日本国特開昭60−169444号公報(米国特許第4554110号明細書)〕、一般式R−X(=O)OH(式中XはSn及びTiから選択され、Rは1価炭化水素基から選択される。)で表される化合物、〔日本国特開昭60−169445号公報(米国特許第4552704号明細書)〕、ルイス酸とプロトン酸の混合物〔日本国特開昭60−173016号公報(米国特許第4609501号明細書)〕、鉛触媒(日本国特開平1−93560号公報)、チタンやジルコニウム化合物(日本国特開平1−265062号公報)、スズ化合物(日本国特開平1−265063号公報)、Sc、Mo、Mn、Bi、Te等の化合物(日本国特開平1−265064号公報)等が提案されている。
不均化反応触媒の具体例としては、上記のエステル交換反応触媒の具体例として挙げたものと同じものが使用できる。
もちろん、これらの触媒成分が反応系中に存在する有機化合物、例えば、アルコール類、芳香族ヒドロキシ化合物類、炭酸アルキルアリール類、炭酸ジアリール類、炭酸ジアルキル類等と反応したものであっても良いし、反応に先立って原料や生成物で加熱処理されたものであってもよい。
不均化反応触媒は、反応条件において反応液への溶解度の高いものであることが好ましい。好ましい不均化反応触媒の例としては、好ましいエステル交換反応触媒の例として挙げたものを挙げることができる。
工程(4)終了後は、公知の方法で触媒、芳香族ヒドロキシル化合物、アルコールを分離して、芳香族炭酸エステルを得る。
工程(4)で使用する反応器の形式に特に制限はなく、攪拌槽方式、多段攪拌槽方式、多段蒸留塔を用いる方式、及びこれらを組み合わせた方式等、公知の種々の方法が用いられる。これらの反応器はバッチ式、連続式のいずれでも使用できる。平衡を生成系側に効率的にずらすという点で、多段蒸留塔を用いる方法が好ましく、多段蒸留塔を用いた連続法が特に好ましい。
多段蒸留塔とは、蒸留の理論段数が2段以上の多段を有する蒸留塔であって、連続蒸留が可能なものであるならばどのようなものであってもよい。このような多段蒸留塔としては、例えば泡鍾トレイ、多孔板トレイ、バルブトレイ、向流トレイ等のトレイを使用したC棚段塔方式のものや、ラシヒリング、レッシングリング、ポールリング、ベルルサドル、インタロックスサドル、ディクソンパッキング、マクマホンパッキング、ヘリパック、スルザーパッキング、メラパック等の各種充填物を充填した充填塔方式のものなど、通常多段蒸留塔として用いられるものならばどのようなものでも使用することができる。さらには棚段部分と充填物の充填された部分とを併せ持つ棚段−充填混合塔方式のものも好ましく用いられる。
多段蒸留塔を用いて連続法を実施する場合、出発物質である炭酸ジアルキルと反応物質である芳香族ヒドロキシ化合物とを連続多段蒸留塔内に連続的に供給し、該蒸留塔内において金属含有触媒の存在下に液相または気−液相で両物質間のエステル交換反応を行わせると同時に、製造される芳香族炭酸エステルまたは芳香族炭酸エステル混合物を含む高沸点反応混合物を該蒸留塔の下部から液状で抜き出し、一方生成する副生物を含む低沸点反応混合物を蒸留によって該蒸留塔の上部からガス状で連続的に抜き出すことにより芳香族炭酸エステル類が製造される。
工程(5)は、工程(4)で得られた炭酸アルキルアリールを不均化して、炭酸ジアルキルと炭酸ジアリールとを生成する工程である。先に述べたように、工程(4)の実施の際に不均化反応触媒を加えて工程(4)と工程(5)とを同時に実施しても構わないし、工程(4)と工程(5)とを連続的に、または回分式に行っても構わない。また、工程(4)でも炭酸アルキルアリールと共に炭酸ジアリールが得られる場合があるが、この場合もそのまま工程(5)を実施できる。
工程(4)においては、先に示したように炭酸ジアルキルと芳香族ヒドロキシ化合物とのエステル交換反応(平衡反応)によって炭酸アルキルアリールが生成するが、この平衡反応を有利に進めるためには、アルコールを抜き出しながら反応を進める方法が有利である。工程(5)における不均化反応も平衡反応であるため、有利に進めようとすれば、不均化反応で生成する炭酸ジアルキルと炭酸ジアリールのうちの一方を系外に抜き出しながら反応させることが好ましい。
本発明においては、生成物のうち、炭酸ジアルキルが炭酸ジアリールよりも低沸点となるようにそれぞれのアルコキシ基、アリール基を選択して、炭酸ジアルキルを系外に抜き出しながら工程(5)を行うことが好ましい。副生する炭酸ジアルキルをガス状で抜き出し、生成物である炭酸ジアリールを液状で反応器から抜き出す方法が更に好ましい。抜き出した炭酸ジアルキルは、工程(4)以前の工程に戻して使用してよい。工程(4)で生成物液流に炭酸ジアルキルが得られる場合もあるが、この場合も該炭酸ジアルキルを分離して工程(4)へリサイクル使用できる。炭酸ジアリールの生産量を多くしようとすれば、抜き出した炭酸ジアルキルを工程(4)に戻して使用することが好ましい。
工程(5)では、不均化反応触媒を添加してよい。このような触媒の例としては、工程(4)で記載した不均化反応触媒を挙げることができる。
もちろん、これらの触媒成分が反応系中に存在する有機化合物、例えば、アルコール類、芳香族ヒドロキシ化合物類、炭酸アルキルアリール類、炭酸ジアリール類、炭酸ジアルキル類等と反応したものであっても良いし、反応に先立って原料や生成物で加熱処理されたものであってもよい。
触媒の添加方法は、公知の方法が好ましく適用できる。また、工程(4)に引き続き工程(5)を行う場合、工程(4)で使用した触媒をそのまま工程(5)の触媒として使用してよい。
工程(5)で用いる炭酸アルキルアリールの例としては、炭酸メチルフェニル、炭酸エチルフェニル、炭酸プロピルフェニル(各異性体)、炭酸アリルフェニル、炭酸ブチルフェニル(各異性体)、炭酸ペンチルフェニル(各異性体)、炭酸ヘキシルフェニル(各異性体)、炭酸ヘプチルフェニル(各異性体)、炭酸オクチルトリル(各異性体)、炭酸ノニル(エチルフェニル)(各異性体)、炭酸デシル(ブチルフェニル)(各異性体)、炭酸メチルトリル(各異性体)、炭酸エチルトリル(各異性体)、炭酸プロピルトリル(各異性体)、炭酸ブチルトリル(各異性体)、炭酸アリルトリル(各異性体)、炭酸メチルキシリル(各異性体)、炭酸メチル(トリメチルフェニル)(各異性体)、炭酸メチル(クロロフェニル)(各異性体)、炭酸メチル(ニトロフェニル)(各異性体)、炭酸メチル(メトキシフェニル)(各異性体)、炭酸メチルクミル(各異性体)、炭酸メチル(ナフチル)(各異性体)、炭酸メチル(ピリジル)(各異性体)、炭酸エチルクミル(各異性体)、炭酸メチル(ベンゾイルフェニル)(各異性体)、炭酸エチルキシリル(各異性体)、炭酸ベンジルキシリル等が挙げられる。これら炭酸のアルキルアリールは1種類であってもよいし、混合物であってもよい。
これらの炭酸アルキルアリールの中で、本発明において好ましく用いられるのは、炭酸アルキルアリールを構成するアルコールが、水よりも沸点の高いアルコールであって、炭酸アルキルアリールを構成するアルコールの沸点が炭酸アルキルアリールを構成する芳香族ヒドロキシ化合物の沸点よりも低く、例えば1−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール及び直鎖状または分岐状の炭素数5〜12のアルキル基を有するアルキルアルコール、直鎖状または分岐状の炭素数4〜12のアルケニル基を有するアルケニルアルコール、シクロアルキルアルコール、アラルキルアルコールの中から選ばれ、工程(5)で行う反応を有利に進めるために、工程(5)の反応で生成する炭酸ジアルキルを除去することを考慮すれば、工程(5)で得る炭酸ジアリールよりも沸点の低い炭酸ジアルキルであることが好ましい。このような最適な組み合わせとしては、第1のアルコール、第2のアルコール、第3のアルコール、上記式(1)及び上記式(2)で表される有機金属化合物のアルコキシ基に相当するアルコール、炭酸ジアルキルの構成アルコールが、1級のアルコールであって、1−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、ペンタノール(各異性体)、ヘキサノール(各異性体)からなる群から選ばれるアルコールであり、芳香族ヒドロキシ化合物が、フェノール、クレゾールから選ばれる芳香族ヒドロキシル化合物があげられる。
工程(5)に供給する化合物は、主に炭酸アルキルアリールであり、必要であれば触媒であるが、反応に特に悪影響を与えない不純物が混入していてもかまわない。
本発明で触媒を用いる場合の触媒の量は、使用する触媒の種類、反応器の種類、炭酸アルキルアリールの種類やその量、反応温度並びに反応圧力等の反応条件の違い等によっても異なるが、供給原料である炭酸アルキルアリールの重量に対する割合で表わして、通常0.0001〜50重量%で使用される。また固体触媒を使用する場合には、反応器の空塔容積に対して、0.01〜75体積%の触媒量が好ましく用いられる。
これらの供給原料中に、アルコール、芳香族ヒドロキシ化合物、及び炭酸ジアリール等が含まれていてもよいが、本反応は可逆反応であるため、これらの成分のうち、濃度があまり高い場合には原料の反応率を低下させるため好ましくない場合もある。
工程(5)の反応時間は、反応条件や反応器の種類や内部構造によっても異なるが、通常0.001〜50時間、好ましくは0.01〜10時間、より好ましくは0.05〜5時間である。反応温度は、反応器内の温度であり、用いる原料化合物である炭酸アルキルアリールの種類によって異なるが、通常50〜350℃、好ましくは100〜280℃の範囲で行われる。また反応圧力は、用いる原料化合物の種類や反応温度などにより異なるが、減圧、常圧、加圧のいずれであってもよく、通常10Pa〜20MPaの範囲で行われる。
本発明においては、必ずしも溶媒を使用する必要はないが、反応操作を容易にする等の目的で適当な不活性溶媒、例えば、エーテル類、脂肪族炭化水素類、芳香族炭化水素類、ハロゲン変脂肪族炭化水素類、ハロゲン芳香族炭化水素類等を反応溶媒として用いることができる。また、反応に不活性な物質として窒素、ヘリウム、アルゴン等の不活性ガスを反応系に共存させてもよいし、生成する低沸点副生成物の留去を加速する目的で連続多段蒸留塔の下部より、前記の不活性ガスや反応に不活性な低融点有機化合物をガス状で導入してもよい。
工程(5)終了後は、公知の方法で触媒、炭酸アルキルアリール、芳香族ヒドロキシ化合物、アルコールを分離し、炭酸ジアリールを得る。
工程(5)で使用する反応器の形式に特に制限はなく、攪拌槽方式、多段攪拌槽方式、多段蒸留塔を用いる方式、及びこれらを組み合わせた方式等、公知の種々の方法が用いられる。これらの反応器はバッチ式、連続式のいずれでも使用できる。平衡を生成系側に効率的にずらすという点で、多段蒸留塔を用いる方法が好ましく、多段蒸留塔を用いた連続法が特に好ましい。多段蒸留塔とは、蒸留の理論段数が2段以上の多段を有する蒸留塔であって、連続蒸留が可能なものであるならばどのようなものであってもよい。このような多段蒸留塔としては、例えば泡鍾トレイ、多孔板トレイ、バルブトレイ、向流トレイ等のトレイを使用した棚段塔方式のものや、ラシヒリング、レッシングリング、ポールリング、ベルルサドル、インタロックスサドル、ディクソンパッキング、マクマホンパッキング、ヘリパック、スルザーパッキング、メラパック等の各種充填物を充填した充填塔方式のものなど、通常多段蒸留塔として用いられるものならばどのようなものでも使用することができる。さらには棚段部分と充填物の充填された部分とを併せ持つ棚段−充填混合塔方式のものも好ましく用いられる。
多段蒸留塔を用いて連続法を実施する場合、出発物質である炭酸アルキルアリールを連続多段蒸留塔内に連続的に供給し、該蒸留塔内において金属含有触媒の存在下に液相または気−液相で不均化反応を行わせ、製造される炭酸ジアリールを含む高沸点反応混合物を該蒸留塔の下部から液状で抜き出し、一方生成する副生物を含む低沸点反応混合物を蒸留によって該蒸留塔の上部からガス状で連続的に抜き出すことにより炭酸ジアリールが製造される。
本発明の方法を達成する装置の材質に特に制限はないが、通常ステンレススチールやガラスライニングから選ばれる。
本発明で用いることのできる反応のフローの例を添付の図面に示すが、本発明に用いることのできる反応器、配管、その他製造に必要なタンク等は、これらに限定されるものではなく、公知の方法を組み合わせて使用できる。反応に伴って生成する副生成物の除去工程、ブローダウン工程、処理工程を付加してもよい。必要に応じて流量計、温度計などの計装設備、リボイラー、ポンプ、コンデンサー、蒸留塔などの公知のプロセス装置を付加してよい。加熱はスチーム、ヒーターなどの公知の方法が用いることができ、冷却も自然冷却、冷却水、ブライン等公知の方法が使用できる。熱効率を良くするために、各工程の熱収支をバランスさせたり、リサイクルを容易にするための回収方法を考慮した設計をしたりしてもよい。
本発明の芳香族炭酸エステルの製造方法においては、図1に示すように、工程(4)で生成するアルコールは工程(3)へリサイクル使用され、工程(4)で生成する炭酸ジアルキルは再度工程(4)の原料としてリサイクル使用できる。また、図2に示すように、工程(4)で生成するアルコールは工程(3)へリサイクル使用され、工程(5)で生成する炭酸ジアルキルは工程(4)へリサイクル使用できる。上記工程(1)〜(4)または工程(1)〜(5)を1回以上繰り返すことで、連続して芳香族炭酸エステルを得、排出される化合物としては実質的に水のみとなる。
工程(4)から回収されるアルコールは、そのままリサイクルして工程(3)へ使用できる場合もあるが、芳香族ヒドロキシ化合物やカルボン酸基含有化合物を含んでいる場合は、該芳香族ヒドロキシ化合物及びカルボン酸基含有化合物の合計含有量が1000ppm以下、より好ましくは100ppm以下となるように、公知の分離方法で精製して使用する。蒸留による分離が好ましく適用でき、工程(4)を反応蒸留による方法で行う場合には、蒸留塔によってアルコールの精製も同時に行うことができるので好ましい。
工程(4)及び/または工程(5)から回収される炭酸ジアルキルは、そのままリサイクルして工程(4)へ使用できる場合もある。回収される炭酸ジアルキルに他の成分が含まれている場合には、精製したり、濃度を調整したりしてリサイクルしてよい。他の成分とは、芳香族ヒドロキシ化合物や、エステル交換反応や不均化反応の際に副生成してくる成分などである。このような副生成してくる成分として炭酸エステルの脱炭酸生成物であるジアルキルエーテルや、アリールアルキルエーテルなどが挙げられる。回収される炭酸ジアルキルに含まれる該他の成分を一部除去したり、濃度を調整したりしてリサイクルしてよい。公知の方法が利用でき、例えば蒸留などによる方法が好ましく使用できる。
上記のように、芳香族炭酸エステルの製造方法は、ホスゲンを用いるホスゲン法や、一酸化炭素を用いる酸化的カルボニル化法が知られているが、これらは原料や触媒に塩素含有化合物を用いるために、製造される芳香族炭酸エステル中には塩素化合物を含有することが知られており、炭酸エステルを原料とするポリカーボネートの製造に重大な悪影響(重合触媒の失活やポリカーボネートの着色、劣化など)を及ぼす。またガソリンやディーゼル燃料添加剤として使用する場合にはエンジンや配管などを腐食する原因ともなる。本発明者らは先にWO03/055840、WO04/014840においてジアルキルスズアルコキシドを用いることで二酸化炭素とアルコールとから炭酸エステルと水のみを製造する方法を開示した。該発明を更に進歩させて、本発明に到達した。本発明の方法により、塩素化合物の含有量の極めて少ない、高純度の芳香族炭酸エステルを簡便かつ効率的に製造することができる。
更に、本発明の方法によって得られる芳香族炭酸エステルを用いて、ポリカーボネート類、イソシアネート類またはポリカーボネートジオール類を製造することができる。この場合の芳香族炭酸エステルとしては炭酸ジアリールが好ましい。
以下、このようなポリカーボネート類、イソシアネート類またはポリカーボネートジオール類について説明する。
ポリカーボネート類について説明する。炭酸ジアリールはメルト法ポリカーボネート原料として知られているが、従来の塩素含有化合物を出発物質とした炭酸ジアリールには塩素化合物が多く残留しており、ビスフェノールAとのエステル交換時の触媒を該塩素化合物が失活させる。この失活の対処方法として、触媒を多量に使用すると得られるポリカーボネートの耐候性、色相、物性に悪影響を及ぼす。従って、塩素化合物を炭酸ジアリールから除去する工程が必要であった。
例えば、塩素化合物を含有した炭酸ジアリールをアルカリ洗浄したり、蒸留精製したりする方法が知られている。しかし、この対処方法も、炭酸ジアリールの融点が比較的高温であって、溶融状態でアルカリ洗浄することによって、炭酸ジアリールの加水分解消失をも併発する致命的な問題点があったり、蒸留分離では、塩素化合物は低沸点成分から高沸点成分まで数種類の塩素含有化合物群であるため、蒸留精製も致命的な問題点を有しているため、工業的に用いるためにかかる精製コストは甚大であった。
また、二酸化炭素を原料としたエチレンカーボネートから炭酸ジフェニルを製造する方法では、エチレンカーボネートとメタノールとから炭酸ジメチルを得、次いで炭酸メチルフェニルを得、そして炭酸ジフェニルを得ているが、該方法では沸点の制約から中間体として炭酸ジメチルを経由することが必須要件である(系内でメタノールが最低沸であり、平衡をずらすためにはメタノールと最低共沸を形成する必要がある)。必然的に誘導される炭酸メチルフェニルは脱炭酸などの副反応を起こしやすく、メチル基を有するアニソールなどの副生成物が精製工程を経ても微量ながら製品である炭酸ジフェニルへ混入し、該炭酸ジフェニルを用いてポリカーボネートを製造する工程で重合速度を遅くしたり、重合度のばらつきや色相への影響を及ぼす。
これに対して、本発明の方法では副生物が発生しない。上記の炭酸ジメチル由来のメチル基を有する副生成物の特定は困難であるが、本発明の炭酸ジアリールの製造方法にあっては、中間体は炭酸ジメチルに限定されないので、ポリカーボネート製造に悪影響を及ぼすメチル基を有する副生成物を含まない炭酸ジフェニルを得ることができる。
ポリカーボネートの原料として用いる好ましい炭酸ジアリールの例として、該メチル基を有する副生成物が100ppm以下、更に好ましくは10ppm以下である炭酸ジアリールが挙げられる。
次にイソシアネート類について説明する。本発明の芳香族炭酸エステル(特に炭酸ジアリール)とポリアミン化合物とを反応させて、例えばヘキサメチレンジアリールカーバメートなどのポリアリールカーバメートを得、次いで熱分解させることにより、イソシアネートを得ることができる。従来ホスゲン原料からしか経済的なイソシアネート合成方法は知られていなかったが、本発明によって製造された炭酸ジアリールは安価で、塩素化合物含有量が極めて少ないため、有利にイソシアネート類を製造することができる。また従来ホスゲンなど、塩素含有化合物から得られたイソシアネートには塩素化合物を含有している。イソシアネートの主な用途はウレタンであるが、ウレタン化触媒は塩素で失活、変性しやすい問題があるが、本発明の製造方法で得られる炭酸ジフェニルから製造されるイソシアネートは塩素化合物を実質的に含有せず、上記問題を起こさない。
次にポリカーボネートジオール類について説明する。本発明の芳香族炭酸エステルを用いて、高純度のポリカーボネートジオール類を製造することができる。
本発明の方法で製造される芳香族炭酸エステルを用いて製造されるポリカーボネート類、イソシアネート類、ポリカーボネートジオール類は、従来の方法で製造される該化合物群に比較し、高純度であり、簡便に(したがって安価で)得られ、併産物も発生しないため、工業的に大きな価値を有する。
以下、本発明を実施例・比較例に基づき具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<分析方法>
1)金属化合物のNMR分析方法
装置:日本国、日本電子(株)製JNM−A400 FTNMRシステム
(1)H、13C−NMR分析サンプル溶液の作成
金属化合物を0.1から0.5gの範囲で計り取り、重クロロホルムを約0.9g加えてNMR分析サンプル溶液とする。
(2)119Sn−NMR分析サンプル溶液の作成
反応溶液を0.1から1gの範囲で計り取り、更に0.05gのテトラメチルスズ、約0.85gの重クロロホルムを加えてサンプル溶液とする。
2)炭酸エステルのガスクロマトグラフィー分析法
装置:日本国、(株)島津製作所製GC−2010システム
(1)分析サンプル溶液の作成
反応溶液を0.4g計り取り、脱水されたジメチルホルムアミド又はアセトニトリルを約0.5ml加える。さらに内部標準としてトルエンまたはジフェニルエーテル約0.04gを加えて、ガスクロマトグラフィー分析サンプル溶液とする。
(2)ガスクロマトグラフィー分析条件
カラム:DB−1(米国、J&W Scientific社製)
液相:100%ジメチルポリシロキサン
長さ:30m
内径:0.25mm
フィルム厚さ:1μm
カラム温度:50℃(10℃/minで昇温)300℃
インジェクション温度:300℃
検出器温度:300℃
検出法:FID
(3)定量分析法
各標準物質の標準サンプルについて分析を実施し作成した検量線を基に、分析サンプル溶液の定量分析を実施する。
3)芳香族炭酸エステルの収率計算方法
芳香族炭酸エステルの収率は、反応液中の重量%で示すか、工程(4)に供給した原料(炭酸ジアルキル)のモル数に対して、得られた炭酸アルキルアリール、炭酸ジアリールの生成モル%で求めた。
4)芳香族ポリカーボネートの数平均分子量
芳香族ポリカーボネートの数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した。
(ジブチルスズジアルコキシドの製造)
図3に示すような装置を用いてジブチルスズアルコキシドを以下のように製造した。
攪拌機及び加熱装置、バッフル付きの5LのSUS製反応器1にジブチル酸化スズ75g(0.3mol)を反応器1の上部4から入れ、1−ブタノール(米国、Aldrich社製)2224g(30mol)をアルコール貯槽16から、反応器1の上部に接続した導管3を通して加えた。0.1NL/HrでSUS配管を通して不活性ガス用導管2から窒素ガスのフィードを開始した。
攪拌及び反応器1の加熱を開始し、反応液温が113℃から1−ブタノールの沸点となるように温度調節した。この状態で約6時間反応を続け、その間、反応器1の上部に接続したガス抜き出し用導管5から発生する低沸点成分をガス相として抜き出し、凝縮器6を通して貯槽7へ移送した。貯槽7には水を含む1−ブタノール液が得られていた。反応器1の内部の液相成分は抜き出し用導管8から貯槽9へ移送した。貯槽9から導管10で、攪拌機及び減圧するための装置、加熱装置を備えた脱アルコール器11へ移した。
上記操作を3回繰り返した後、脱アルコール器内部液を加熱、器内を減圧して未反応のアルコールをガス状にして導管21から抜き出し、凝縮器6を通して貯槽16へ移送した。液相成分は抜き出し導管12を通して貯槽23へ移送した。
貯槽23の液を分析した結果、約320gで、ジブチルスズジブトキシドが約0.54モル、1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ジブチルオキシ−ジスタンオキサンが約0.18モル含まれていた。
(工程(1))
貯槽23へ移送された液のうち約107gを導管24から200mlオートクレーブ(日本国、東洋高圧社製)に入れて蓋をした。オートクレーブ内を窒素置換した後、SUSチューブとバルブを介してオートクレーブに接続された二酸化炭素のボンベの2次圧を5MPaに設定した後、バルブを開け、オートクレーブへ二酸化炭素を導入した。10分間攪拌し、バルブを閉めた。オートクレーブを攪拌したまま、温度を120℃まで昇温した。オートクレーブの内圧が常に約4MPaとなるように調整しながら、この状態のまま4時間反応させた。
途中サンプリングした結果、反応1時間後にはジブチルカーボネートが0.06mol生成しており、4時間後は約007molであった。オートクレーブを放冷したのち、二酸化炭素をパージした。
(工程(2))
図4に示すような装置を用いて工程(2)を以下のように実施した。
工程(1)の反応液をオートクレーブ下部から抜き出し、導管133を通して窒素置換した脱二酸化炭素槽25へ移送した。窒素雰囲気で80℃で約5分間加熱攪拌して、発生する二酸化炭素をパージした。脱二酸化炭素槽25から導管26を通して貯槽131へ抜き出した。
薄膜蒸留装置30(日本国、柴田科学社製 E−420)に、ディクソンパッキング(6mmφ)を充填した内径約5cmの多段蒸留塔27を接続し、貯槽131に貯められた反応液を約100g/Hrの速度で、導管132から該蒸留塔の中段から供給した。還流比は約0.2とした。薄膜蒸留器30は、ジャケットに130℃の熱媒を循環させて、内部圧力(蒸留塔頂圧力)を約1.3KPaとした。揮発成分を凝縮器28で貯槽29へ移送した。液相成分は抜き出しポンプと導管31を通して貯槽32へ抜き出した。貯槽29へは約0.06モル/Hrでジブチルカーボネートが抜き出されており、ジブチルスズアルコキシドは含まれていなかった。貯槽32へは約90g/Hrで液が抜き出されていて、該液中のジブチルカーボネートは検出限界以下であった。
(工程(3))
図3に示すような装置を用いて工程(3)を以下のように実施した。
工程(2)で貯槽32に抜き出された液を導管35でバッフル付きの5LのSUS製反応器1へ供給した。1−ブタノールを導管3から約2150g(29mol)加えた。0.1NL/HrでSUS配管を通して不活性ガス用導管2から窒素ガスのフィードを開始した。
攪拌及び反応器1の加熱を開始し、反応液温が113℃から1−ブタノールの沸点となるように温度調節した。この状態で約6時間反応を続け、その間、反応器1の上部に接続したガス抜き出し用導管5から発生する低沸点成分をガス相として抜き出し、凝縮器6を通して貯槽7へ移送した。貯槽7には水を含む1−ブタノール液が得られていた。反応器1の内部の液相成分は抜き出し用導管8から貯槽9へ移送した。貯槽9から導管10で、攪拌機及び減圧するための装置、加熱装置を備えた脱アルコール器11へ移した。脱アルコール器内部液を加熱、器内を減圧して未反応のアルコールをガス状にして導管21から抜き出し、凝縮器6を通して貯槽16へ移送した。液相成分は抜き出し導管12を通して貯槽23へ移送した。
貯槽23へ移送された液を分析した結果、ジブチルスズジブトキシドと1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ジブチルオキシ−ジスタンオキサンが含まれていた。
貯槽23へ移送された液を繰り返し行う工程(1)へリサイクルして工程(1)〜(3)を繰り返し実施した。
(工程(4))
[触媒の調製]
フェノール40gと一酸化鉛8gを180℃で10時間加熱し、生成する水をフェノールと共に留去することにより触媒Aを調製した。
[芳香族炭酸エステルの製造]
図5に示すような装置を用いて工程(4)を以下のように実施した。
段数80のシーブトレイを充填した内径約5cm、塔長4mの連続多段蒸留塔39の中段に工程(2)で貯槽29に抜き出されたジブチルカーボネートを含む反応液、フェノール及び触媒Aからなる混合液(混合液中のジブチルカーボネートとフェノールの重量比が65/35、Pb濃度が約1wt%となるように調整した)を、予熱器38を経て導管37から約270g/Hrで液状で連続的にフィードして、反応を行った。反応及び蒸留に必要な熱量は塔下部液を導管46とリボイラー45を経て循環させることにより供給した。連続多段蒸留塔39の塔底部の液温度は231℃、塔頂圧力は1.2×10Paであり、還流比は約3とした。連続多段蒸留塔39の塔頂から留出するガスを導管40を経て、凝縮器41で凝縮して導管44より貯槽138に約240g/Hrで連続的に抜き出した。塔底からは導管46を経て貯槽47へ約30g/Hrで連続的に抜き出した。
導管44から抜き出された液の組成は、1−ブタノール約9wt%、フェノール約30wt%、ジブチルカーボネート約61wt%であった。貯槽47へ抜き出された液の組成は、ジブチルカーボネート約0.1wt%、ブチルフェニルカーボネート約41wt%、ジフェニルカーボネート約50wt%、Pb濃度約9wt%であった。
[アルコールのリサイクル]
図7に示すような装置を用いてアルコールのリサイクルを以下のように実施した。
ディクソンパッキング(6mmφ)を充填した内径約5cm、塔長4mの連続多段蒸留塔61の塔最下部より約0.4mに工程(4)で導管44より貯槽138に連続的に抜き出された液を導管59から予熱器60を経て約240g/Hrで連続的にフィードして、蒸留分離を行った。蒸留分離に必要な熱量は塔下部液を導管68とリボイラー67を経て循環させることにより供給した。連続多段蒸留塔61の塔底部の液温度は189℃、塔頂圧力は約101.3KPa(常圧)であり、還流比は約3.5とした。連続多段蒸留塔61の塔頂から留出するガスを導管62を経て、凝縮器63で凝縮して導管66よりアルコール貯槽135へ約16.3g/Hrで連続的に抜き出した。塔底からは導管68を経て貯槽69へ約223.7g/Hrで連続的に抜き出した。導管66から貯槽135へ抜き出された液の組成は1−ブタノール約99.99wt%、フェノール約100ppmであった。
貯槽69へ抜き出された液の組成は、ジブチルカーボネート約66wt%、フェノール約33wt%、ブチルフェニルカーボネート約1wt%であった。
[アルコールと水の蒸留分離]
図3に示すような装置を用いて貯層7のアルコールと水の蒸留分離を以下のように実施した。
ディクソンパッキング(6mmφ)を充填した内径約5cm、塔長2mの連続多段蒸留塔14の塔上部約0.4mにジブチルスズアルコキシドの製造工程及び工程(3)で貯槽7に移送された反応液を予熱器13を経て約250g/Hrで連続的にフィードして、アルコールと水の蒸留分離を行った。蒸留分離に必要な熱量は塔下部液を導管15とリボイラー22を経て循環させることにより供給した。連続多段蒸留塔14の塔底部の液温度は81℃、塔頂圧力は約20KPaとした。連続多段蒸留塔14の塔頂から留出するガスを導管17を経て、凝縮器18で凝縮して気液分離器129にて液体の二相に分離させた。該液体の下相を貯槽19へ約25g/Hrで連続的に抜き出し、上相のみを還流液として還流比約0.6で導管20を通して塔内に戻した。塔底からは導管15を経て貯槽16へ約225g/Hrで連続的に抜き出した。貯層16へ抜き出された液の組成は1−ブタノール約100wt%、水は検出限界以下であった。貯槽19へ抜き出された液の組成は、1−ブタノール75wt%、水25wt%であった。
工程(3)
図3に示すような装置を用いて上記工程に引き続き工程(3)を以下のように実施した。
工程(2)で貯槽32に抜き出された液を導管35でバッフル付きの5LのSUS製反応器1へ供給した。アルコールのリサイクル工程で貯槽135に抜き出された1−ブタノールを導管134から、アルコールと水の蒸留分離工程で貯槽16に抜き出された1−ブタノール、及び予めアルコール貯槽16内に用意されていた1−ブタノールを導管3から合計約2224g(30mol)加えた。0.1NL/HrでSUS配管を通して不活性ガス用導管2から窒素ガスのフィードを開始した。攪拌及び反応器の加熱を開始し、反応液温が113℃から1−ブタノールの沸点となるように温度調節した。この状態で約6時間反応を続け、その間、反応器1の上部に接続したガス抜き出し用導管5から発生する低沸点成分をガス相として抜き出し、凝縮器6を通して貯槽7へ移送した。貯槽7には水を含む1−ブタノール液が得られていた。反応器1の内部の液相成分は抜き出し用導管8から貯槽9へ移送した。貯槽9から導管10で、攪拌機及び減圧するための装置、加熱装置を備えた脱アルコール器11へ移した。
貯槽23の液を分析した結果、約107gで、ジブチルスズジブトキシドが約0.18モル、1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ジブチルオキシ−ジスタンオキサンが約0.06モル含まれていた。
(工程(1))
上記工程(3)に引き続き工程(1)を以下のように実施した。
上記工程(3)で得られた反応液約107gを、導管24から200mlオートクレーブ(日本国、東洋高圧社製)に入れて蓋をした。オートクレーブ内を窒素置換した後、SUSチューブとバルブを介してオートクレーブに接続された二酸化炭素のボンベの2次圧を5MPaに設定した後、バルブを開け、オートクレーブへ二酸化炭素を導入した。10分間攪拌し、バルブを閉めた。オートクレーブを攪拌したまま、温度を120℃まで昇温した。オートクレーブの内圧が常に約4MPaとなるように調整しながら、この状態のまま4時間反応させた。
途中サンプリングした結果、反応1時間後にはジブチルカーボネートが0.06mol生成しており、4時間後は約0.07molであった。オートクレーブを放冷したのち、二酸化炭素をパージした。
(ジブチルスズジアルコキシドの製造)
図3に示すような装置を用いてジブチルスズアルコキシドを以下のように製造した。
攪拌機及び加熱装置、バッフル付き5LのSUS製反応器1にジブチル酸化スズ75g(0.3mol)を反応器1の上部4から入れ、1−ブタノール(米国、Aldrich社製)2224g(30mol)をアルコール貯槽16から、反応器1の上部に接続した導管3を通して加えた。0.1NL/HrでSUS配管を通して不活性ガス用導管2から窒素ガスのフィードを開始した。
攪拌及び反応器1の加熱を開始し、反応液温が113℃から1−ブタノールの沸点となるように温度調節した。この状態で約6時間反応を続け、その間、反応器1の上部に接続したガス抜き出し用導管5から発生する低沸点成分をガス相として抜き出し、凝縮器6を通して貯槽7へ移送した。貯槽7には水を含む1−ブタノール液が得られていた。反応器1の内部の液相成分は抜き出し用導管8から貯槽9へ移送した。貯槽9から導管10で、攪拌機及び減圧するための装置、加熱装置を備えた脱アルコール器11へ移した。
上記操作を3回繰り返した後、脱アルコール器内部液を加熱、器内を減圧して未反応のアルコールをガス状にして導管21から抜き出し、凝縮器6を通して貯槽16へ移送した。液相成分は抜き出し導管12を通して貯槽23へ移送した。
貯槽23の液を分析した結果、約320gで、ジブチルスズジブトキシドが約0.54モル、1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ジブチルオキシ−ジスタンオキサンが約0.18モル含まれていた。
(工程(1))
貯槽23へ移送された液のうち約107gを導管24から200mlオートクレーブ(日本国、東洋高圧社製)に入れて蓋をした。オートクレーブ内を窒素置換した後、SUSチューブとバルブを介してオートクレーブに接続された二酸化炭素のボンベの2次圧を5MPaに設定した後、バルブを開け、オートクレーブへ二酸化炭素を導入した。10分間攪拌し、バルブを閉めた。オートクレーブを攪拌したまま、温度を120℃まで昇温した。オートクレーブの内圧が常に約4MPaとなるように調整しながら、この状態のまま4時間反応させた。
途中サンプリングした結果、反応1時間後にはジブチルカーボネートが0.06mol生成しており、4時間後は約0.07molであった。オートクレーブを放冷したのち、二酸化炭素をパージした。
(工程(2))
図4に示すような装置を用いて工程(2)を以下のように実施した。
工程(1)の反応液をオートクレーブ下部から抜き出し、導管133を通して、窒素置換した脱二酸化炭素槽25へ移送した。窒素雰囲気で80℃で約5分間加熱攪拌して、発生する二酸化炭素をパージした。脱二酸化炭素槽25から導管26を通して貯槽131へ抜き出した。
薄膜蒸留装置30(日本国、柴田科学社製 E−420)に、ディクソンパッキング(6mmφ)を充填した内径約5cmの多段蒸留塔27を接続し、貯槽131に貯められた反応液を約100g/Hrの速度で、導管132から該蒸留塔の中段から供給した。還流比は約0.2とした。薄膜蒸留器30は、ジャケットに130℃の熱媒を循環させて、内部圧力(蒸留塔頂圧力)を約1.3KPaとした。揮発成分を凝縮器28で貯槽29へ移送した。液相成分は抜き出しポンプと導管31を通して貯槽32へ抜き出した。貯槽29へは約0.06モル/Hrでジブチルカーボネートが抜き出されており、ジブチルスズアルコキシドは含まれていなかった。貯槽32へは約90g/Hrで液が抜き出されていて、該液中のジブチルカーボネートは検出限界以下であった。
(工程(3))
図3に示すような装置を用いて工程(3)を以下のように実施した。
工程(2)で貯槽32に抜き出された液を導管35でバッフル付き5LSUS製反応器1へ供給した。1−ブタノールを導管3から約2150g(29mol)加えた。0.1NL/HrでSUS配管を通して不活性ガス用導管2から窒素ガスのフィードを開始した。攪拌及び反応器1の加熱を開始し、反応液温が113℃から1−ブタノールの沸点となるように温度調節した。この状態で約6時間反応を続け、その間、反応器上部に接続したガス抜き出し用導管5から発生する低沸点成分をガス相として抜き出し、凝縮器6を通して貯槽7へ移送した。貯槽7には水を含む1−ブタノール液が得られていた。反応器1の内部の液相成分は抜き出し用導管8から貯槽9へ移送した。貯槽9から導管10で、攪拌機及び減圧するための装置、加熱装置を備えた脱アルコール器11へ移した。脱アルコール器内部液を加熱、器内を減圧して未反応のアルコールをガス状にして導管21から抜き出し、凝縮器6を通して貯槽16へ移送した。液相成分は抜き出し導管12を通して貯槽23へ移送した。
貯槽23へ移送された液を分析した結果、ジブチルスズジブトキシドと1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ジブチルオキシ−ジスタンオキサンが含まれていた。
貯槽23へ移送された液を繰り返し行う工程(1)へリサイクルして工程(1)〜(3)を繰り返し実施した。
(工程(4))
[触媒の調製]
フェノール40gと一酸化鉛8gを180℃で10時間加熱し、生成する水をフェノールと共に留去することにより触媒Aを調製した。
[芳香族炭酸エステルの製造]
図5に示すような装置を用いて工程(4)を以下のように実施した。
ディクソンパッキング(6mmφ)を充填した内径約5cm塔長2mの連続多段蒸留塔39の中段に工程(2)で貯槽29に移送されたジブチルカーボネートを含む反応液とフェノール及び触媒Aからなる混合液(混合液中のジブチルカーボネートとフェノールの重量比が65/35、Pb濃度が約1wt%となるように調整した)を、予熱器38を経て導管37から約270g/Hrで液状で連続的にフィードして、反応をおこなった。反応及び蒸留に必要な熱量は塔下部液を導管46とリボイラー45を経て循環させることにより供給した。連続多段蒸留塔39の塔底部の液温度は231℃、塔頂圧力は2×10Paであり、還流比は約2とした。連続多段蒸留塔39の塔頂から留出するガスを導管40を経て、凝縮器41で凝縮して導管44より貯槽138に約67g/Hrで連続的に抜き出した。塔底からは導管46を経て貯槽47へ約203g/Hrで連続的に抜き出した。
導管44から抜き出された液の組成は、1−ブタノール約28wt%、フェノール約71wt%、ジブチルカーボネート約1wt%であった。貯槽47へ抜き出された液の組成は、フェノール約11wt%、ジブチルカーボネート約64wt%、ブチルフェニルカーボネート約22wt%、ジフェニルカーボネート約1wt%、Pb濃度約1wt%であった。
(工程(5))
図6に示すような装置を用いて工程(5)を以下のように実施した。
ディクソンパッキング(6mmφ)を充填した内径約5cm、塔長2mの連続多段蒸留塔50の中段に工程(4)で貯槽47へ抜き出された液を、予熱器49を経て導管48から約203g/Hrで液状で連続的にフィードして、反応をおこなった。反応及び蒸留に必要な熱量は塔下部液を導管57とリボイラー56を経て循環させることにより供給した。連続多段蒸留塔50の塔底部の液温度は237℃、塔頂圧力は約26KPaであり、還流比は約2とした。連続多段蒸留塔50の塔頂から留出するガスを導管51を経て、凝縮器52で凝縮して導管55より約172g/Hrで連続的に抜き出した。塔底からは導管57を経て貯槽58へ約31g/Hrで連続的に抜き出した。
導管55から抜き出された液の組成は、1−ブタノール約400ppm、フェノール約13wt%であり、ジブチルカーボネートが約84wt%、ブチルフェニルカーボネートが約3wt%であった。貯槽58へ抜き出された液の組成は、ジブチルカーボネート約0.1wt%、ブチルフェニルカーボネート約27wt%、ジフェニルカーボネート約64wt%、Pb濃度約9wt%であった。
[アルコールのリサイクル]
図7に示すような装置を用いてアルコールのリサイクルを以下のように実施した。
ディクソンパッキング(6mmφ)を充填した内径約5cm、塔長2mの連続多段蒸留塔61の中段に工程(4)で導管44から貯槽138に連続的に抜き出された液を導管59から予熱器60を経て約201g/Hrで連続的にフィードして、蒸留分離を行った。蒸留分離に必要な熱量は塔下部液を導管68とリボイラー67を経て循環させることにより供給した。連続多段蒸留塔61の塔底部の液温度は156℃、塔頂圧力は約40KPaであり、還流比は約0.7とした。連続多段蒸留塔61の塔頂から留出するガスを導管62を経て、凝縮器63で凝縮して導管66よりアルコール貯槽135へ約55g/Hrで連続的に抜き出した。塔底からは導管68を経て貯槽69へ約146g/Hrで連続的に抜き出した。
導管66から抜き出された液の組成は、1−ブタノール約100wt%、フェノールは検出限界以下であった。貯槽69へ抜き出された液の組成は、ジブチルカーボネート約1wt%、1−ブタノールは検出限界以下、フェノール約99wt%であった。
[炭酸ジアリールの精製]
図8、9に示すような装置を用いて炭酸ジアリールの精製を以下のように実施した。
ディクソンパッキング(6mmφ)を充填した内径約5cm、塔長2mの連続多段蒸留塔72の中段に工程(5)で貯槽58へ連続的に移送された液を導管70から予熱器71を経て約310g/Hrで連続的にフィードして、蒸留分離を行った。蒸留分離に必要な熱量は塔下部液を導管79とリボイラー78を経て循環させることにより供給した。連続多段蒸留塔72の塔底部の液温度は210℃、塔頂圧力は約1.5KPaであり、還流比は約1とした。連続多段蒸留塔72の塔頂から留出するガスを導管73を経て、凝縮器74で凝縮して導管77より連続的に抜き出した。塔底からは導管79を経て貯槽80へ約27g/Hrで連続的に抜き出した。
導管77から抜き出された液の組成は、ジブチルカーボネート約0.1wt%、ブチルフェニルカーボネート約30wt%、ジフェニルカーボネート約70wt%であった。
ディクソンパッキング(6mmφ)を充填した内径約5cm、塔長2mの連続多段蒸留塔83の中段に導管77から連続的に抜き出された液を導管81から予熱器82を経て約283g/Hrで連続的にフィードして、蒸留分離を行った。蒸留分離に必要な熱量は塔下部液を導管90とリボイラー89を経て循環させることにより供給した。連続多段蒸留塔83の塔底部の液温度は248℃、塔頂圧力は約27KPaであり、還流比は約4とした。連続多段蒸留塔83の塔頂から留出するガスを導管84を経て、凝縮器85で凝縮して導管88より約85g/Hrで連続的に抜き出した。塔底からは導管90を経て貯槽91へ約198g/Hrで連続的に抜き出した。
導管88から抜き出された液の組成は、ジブチルカーボネート約0.4wt%、ブチルフェニルカーボネート約99wt%、ジフェニルカーボネート約0.2wt%であった。貯槽91へ抜き出された液の組成は、ブチルフェニルカーボネート約0.1wt%、ジフェニルカーボネート約99wt%であった。該反応液中の塩素は検出限界以下であった。
(ジブチルスズジアルコキシドの製造)
図3に示すような装置を用いてジブチルスズアルコキシドを以下のように製造した。
攪拌機及び加熱装置、バッフル付き5LのSUS製反応器1にジブチル酸化スズ75g(0.3mol)を反応器上部4から入れ、1−ブタノール(米国、Aldrich社製)2075g(28mol)をアルコール貯槽16から、反応器上部に接続した導管3を通して加えた。0.1NL/HrでSUS配管を通して不活性ガス用導管2から窒素ガスのフィードを開始した。
攪拌及び反応器1の加熱を開始し、反応液温が113℃から1−ブタノールの沸点となるように温度調節した。この状態で約6時間反応を続け、その間、反応器1の上部に接続したガス抜き出し用導管5から発生する低沸点成分をガス相として抜き出し、凝縮器6を通して貯槽7へ移送した。貯槽7には水を含む1−ブタノール液が得られていた。反応器1の内部の液相成分は抜き出し用導管8から貯槽9へ移送した。貯槽9から導管10で、攪拌機及び減圧するための装置、加熱装置を備えた脱アルコール器11へ移した。
上記操作を12回繰り返した後、脱アルコール器内部液を加熱、器内を減圧して未反応のアルコールをガス状にして導管21から抜き出し、凝縮器6を通して貯槽16へ移送した。液相成分は抜き出し導管12を通して貯槽23へ移送した。
貯槽23の液を分析した結果、約1280gで、ジブチルスズジブトキシドが約2.08モル、1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ジブチルオキシ−ジスタンオキサンが約0.76モル含まれていた。
(工程(1))
貯槽23へ移送された液を貯槽23から導管24を通して1lオートクレーブ(日本国、東洋高圧社製)へ液送ポンプにより約500g/Hrで連続的に移送した。オートクレーブ内は、予め窒素置換後、120℃に昇温しておき、SUSチューブとバルブを介してオートクレーブに接続された二酸化炭素のボンベの2次圧を4MPaに設定した後、バルブを開け、オートクレーブへ二酸化炭素を導入し、オートクレーブの内圧が常に約4MPaとなるように調整しておいた。途中、オートクレーブ内をサンプリングした結果、ジブチルカーボネートは約0.57mol/kgであった。反応液は連続的にオートクレーブ下部から貯槽127へ連続的に抜き出した。
(工程(2))
図4に示すような装置を用いて工程(1)に引き続き工程(2)を以下のように実施した。
工程(1)で貯槽127へ連続的に抜き出された反応液を約515g/Hrで脱二酸化炭素槽25に移送し、窒素雰囲気下80℃で滞留時間として約5分加熱攪拌して、発生する二酸化炭素をパージした。脱二酸化炭素槽25から導管26を通して貯槽131へ抜き出した。
薄膜蒸留装置30(日本国、柴田科学社製 E−420)に、ディクソンパッキング(6mmφ)を充填した内径約5cmの多段蒸留塔27を接続し、貯槽131に貯められた反応液を約100g/Hrの速度で、導管132から該蒸留塔の中段から供給した。還流比は約0.2とした。薄膜蒸留器30は、ジャケットに130℃の熱媒を循環させて、内部圧力(蒸留塔頂圧力)を約1.3KPaとした。揮発成分を凝縮器28で貯槽29へ移送した。液相成分は抜き出しポンプにより導管31を通して貯槽32へ抜き出した。貯槽29へは約0.06モル/Hrでジブチルカーボネートが抜き出されており、ジブチルスズアルコキシドは含まれていなかった。貯槽32へは約90g/Hrで液が抜き出されていて、該液中のジブチルカーボネートは検出限界以下であった。
(工程(3))
図3に示すような装置を用いて工程(2)に引き続き工程(3)を以下のように実施した。
工程(2)で貯槽32に抜き出された液を導管33を通して導管35でバッフル付き60LのSUS製反応器1へ約413g/Hrで連続的に供給した。1−ブタノールを貯槽16より導管3を通して約7412g/Hr(100mol/Hr)の速度で供給した。反応器1内には1.5NL/HrでSUS配管を通して不活性ガス用導管2から窒素ガスをフィードし、攪拌及び反応液温が113℃から1−ブタノールの沸点となるように温度調節した。反応器1の上部からは接続したガス抜き出し用導管5から発生する低沸点成分をガス相として抜き出し、凝縮器6を通して貯槽7へ移送した。貯槽7には水を含む1−ブタノール液が得られていた。反応器1の内部の液相成分は抜き出しポンプにより抜き出し用導管8から貯槽9へ移送した。貯槽9から導管10で、攪拌機及び減圧するための装置、加熱装置を備えた脱アルコール器11へ移した。脱アルコール器内部液を加熱、器内を減圧して未反応のアルコールをガス状にして導管21から抜き出し、凝縮器6を通して貯槽16へ移送した。液相成分は抜き出し導管12を通して貯槽23へ移送した。
貯槽23へ移送された液を分析した結果、ジブチルスズジブトキシドと1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ジブチルオキシ−ジスタンオキサンが含まれていた。
貯槽23へ移送された液を繰り返し行う工程(1)へリサイクルして工程(1)〜(3)を繰り返し実施した。
(工程(4))
[触媒の調製]
フェノール79gと一酸化鉛32gを180℃で10時間加熱し、生成する水を約0.25g/Hrでフェノールと共に留去した。その後反応器上部からフェノールを留去することにより触媒Bを調製した。
[芳香族炭酸エステルの製造]
図5に示すような装置を用いて工程(4)を以下のように実施した。
段数40のシーブトレイを充填した内径約5cm、塔長2mの連続多段蒸留塔39の中段に工程(2)で貯槽29に移送されたジブチルカーボネートを含む反応液、フェノール及び触媒Bからなる混合液(混合液中のジブチルカーボネートとフェノールの重量比が65/35、Pb濃度が約1wt%となるように調整した)を、余熱器38を経て導管37から約270g/Hrで液状で連続的にフィードして、反応を行った。反応及び蒸留に必要な熱量は塔下部液を導管46とリボイラー45を経て循環させることにより供給した。連続多段蒸留塔39の塔底部の液温度は231℃、塔頂圧力は2×10Paであり、還流比は約2とした。連続多段蒸留塔39の塔頂から留出するガスを導管40を経て、凝縮器41で凝縮して導管44より貯槽138に約67g/Hrで連続的に抜き出した。塔底からは導管46を経て貯槽47へ約203g/Hrで連続的に抜き出した。
導管44から抜き出された液の組成は、1−ブタノール約27wt%、フェノール約72wt%、ジブチルカーボネート約1wt%であった。貯槽47へ抜き出された液の組成は、1−ブタノール330ppm、フェノール約11wt%、ジブチルカーボネート約65wt%、ブチルフェニルカーボネート約21%、ジフェニルカーボネート約1wt%、Pb濃度約1wt%であった。
(工程(5))
図6に示すような装置を用いて工程(4)に引き続き工程(5)を以下のように実施した。
段数40のシーブトレイを充填した内径約5cm塔長2mの連続多段蒸留塔50の中段に工程(4)で貯槽47へ抜き出された液を、余熱器49を経て導管48から約203g/Hrで液状で連続的にフィードして、反応をおこなった。反応及び蒸留に必要な熱量は塔下部液を導管57とリボイラー56を経て循環させることにより供給した。連続多段蒸留塔50の塔底部の液温度は237℃、塔頂圧力は約27KPaであり、還流比は約2とした。連続多段蒸留塔50の塔頂から留出するガスを導管51を経て、凝縮器52で凝縮して導管55より貯槽126へ約172g/Hrで連続的に抜き出した。塔底からは導管57を経て貯槽58へ約31g/Hrで連続的に抜き出した。
導管55から貯槽126へ抜き出された液の組成は、1−ブタノール約390ppm、フェノール約13wt%であり、ジブチルカーボネートが約86wt%、ブチルフェニルカーボネート約1wt%であった。貯槽58へ抜き出された液の組成は、ジブチルカーボネートが約500ppm、ブチルフェニルカーボネート約26wt%、ジフェニルカーボネート約65wt%、Pb濃度約8wt%であった。
上記工程(1)〜(5)を繰り返し実施した。
[炭酸ジアリールの精製]
図8に示すような装置を用いて炭酸ジアリールの精製を以下のように実施した。
ディクソンパッキング(6mmφ)を充填した内径約5cm、塔長2mの連続多段蒸留塔72の中段に工程(5)から連続的に抜き出された液を導管70から予熱器71を経て約310g/Hrで連続的にフィードして、蒸留分離を行った。蒸留分離に必要な熱量は塔下部液を導管79とリボイラー78を経て循環させることにより供給した。連続多段蒸留塔72の塔底部の液温度は210℃、塔頂圧力は約1.5KPaであり、還流比は約1とした。連続多段蒸留塔72の塔頂から留出するガスを導管73を経て、凝縮器74で凝縮して導管77より連続的に抜き出した。塔底からは導管79を経て貯槽80へ約27g/Hrで連続的に抜き出した。
実施例3に引き続き工程(1)〜(5)を繰り返し行った。
(工程(1))
実施例3の工程(3)で貯槽23に連続して抜き出された反応液を貯槽23から導管24を通して1lオートクレーブ(日本国、東洋高圧社製)へ液送ポンプにより約500g/Hrで連続的に移送した。オートクレーブ内は、予め窒素置換後、120℃に昇温しておき、SUSチューブとバルブを介してオートクレーブに接続された二酸化炭素のボンベの2次圧を4MPaに設定した後、バルブを開け、オートクレーブへ二酸化炭素を導入し、オートクレーブの内圧が常に約4MPaとなるように調整しておいた。途中、オートクレーブ内をサンプリングした結果、ジブチルカーボネートは約0.57mol/kgであった。反応液は連続的にオートクレーブ下部から貯槽127へ連続的に抜き出した。
(工程(2))
図4に示すような装置を用いて工程(1)に引き続き工程(2)を以下のように実施した。
工程(1)で貯槽127へ連続的に抜き出された反応液を約515g/Hrで脱二酸化炭素槽25に移送し、窒素雰囲気下80℃で滞留時間として約5分加熱攪拌して、発生する二酸化炭素をパージした。脱二酸化炭素槽25から導管26を通して貯槽131へ抜き出した。
薄膜蒸留装置30(日本国、柴田科学社製 E−420)に、ディクソンパッキング(6mmφ)を充填した内径約5cmの多段蒸留塔27を接続し、貯槽131に貯められた反応液を約100g/Hrの速度で、導管132から該蒸留塔の中段から供給した。還流比は約0.2とした。薄膜蒸留器30は、ジャケットに熱媒を循環させてボトム液温が130℃、内部圧力(蒸留塔頂圧力)を約1.3KPaとした。揮発成分を凝縮器28で貯槽29へ移送した。液相成分は抜き出しポンプにより導管31を通して貯槽32へ抜き出した。貯槽29へは約0.06モル/Hrでジブチルカーボネートが抜き出されており、ジブチルスズアルコキシドは含まれていなかった。貯槽32へは約90g/Hrで液が抜き出されていて、該液中のジブチルカーボネートは検出限界以下であった。
(工程(3))
図3に示すような装置を用いて工程(2)に引き続き工程(3)を以下のように実施した。
工程(2)で貯槽32に抜き出された液を導管33を通して導管35でバッフル付き60LのSUS製反応器1へ約413g/Hrで連続的に供給した。1−ブタノールを貯槽16より導管3を通して約7412g/Hr(100mol/Hr)の速度で供給した。反応器1内には1.5NL/HrでSUS配管を通して不活性ガス用導管2から窒素ガスをフィードし、攪拌及び反応液温が113℃から1−ブタノールの沸点となるように温度調節した。反応器1の上部からは接続したガス抜き出し用導管5から発生する低沸点成分をガス相として抜き出し、凝縮器6を通して貯槽7へ移送した。貯槽7には水を含む1−ブタノール液が得られていた。反応器1の内部の液相成分は抜き出しポンプにより抜き出し用導管8から貯槽9へ移送した。貯槽9から導管10で、攪拌機及び減圧するための装置、加熱装置を備えた脱アルコール器11へ移した。脱アルコール器内部液を加熱、器内を減圧して未反応のアルコールをガス状にして導管21から抜き出し、凝縮器6を通して貯槽16へ移送した。液相成分は抜き出し導管12を通して貯槽23へ移送した。
貯槽23へ移送された液を分析した結果、ジブチルスズジブトキシドと1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ジブチルオキシ−ジスタンオキサンが含まれていた。
貯槽23へ移送された液を繰り返し行う工程(1)へリサイクルして工程(1)〜(3)を繰り返し実施した。
工程(4):
[触媒の調製]
フェノール79gと一酸化鉛32gを180℃で10時間加熱し、生成する水を約0.25g/Hrでフェノールと共に留去した。その後反応器上部からフェノールを留去することにより触媒Bを調製した。
[芳香族炭酸エステルの製造]
図5に示すような装置を用いて工程(4)を以下のように実施した。
段数40のシーブトレイを充填した内径約5cm塔長2mの連続多段蒸留塔39の中段に工程(2)で貯槽29に移送されたジブチルカーボネートを含む反応液、実施例3の工程(5)にて導管55より貯層126へ連続的に抜き出されたジブチルカーボネートを含む反応液、フェノール、触媒B及び実施例(3)の炭酸ジアリールの精製工程で貯槽80に連続的に抜き出されたPbを含む反応液からなる混合液(混合液中のジブチルカーボネートとフェノールの重量比が65/35、Pb濃度が約1wt%となるように調整した)を、予熱器38を経て導管37から約270g/Hrで液状で連続的にフィードして、反応を行った。反応及び蒸留に必要な熱量は塔下部液を導管46とリボイラー45を経て循環させることにより供給した。連続多段蒸留塔39の塔底部の液温度は231℃、塔頂圧力は2×10Paであり、還流比は約2とした。連続多段蒸留塔39の塔頂から留出するガスを導管40を経て、凝縮器41で凝縮して導管44より貯槽138に約67g/Hrで連続的に抜き出した。塔底からは導管46を経て貯槽47へ約203g/Hrで連続的に抜き出した。
導管44から抜き出された液の組成は、1−ブタノール約27wt%、フェノール約72wt%、ジブチルカーボネート約1wt%であった。貯槽47へ抜き出された液の組成は、1−ブタノール330ppm、フェノール約11wt%、ジブチルカーボネート約65wt%、ブチルフェニルカーボネート約21%、ジフェニルカーボネート約1wt%、Pb濃度約1wt%であった。
(工程(5))
図6に示すような装置を用いて工程(4)に引き続き工程(5)を以下のように実施した。
段数40のシーブトレイを充填した内径約5cm塔長2mの連続多段蒸留塔50の中段に工程(4)で貯槽47へ抜き出された液を、余熱器49を経て導管48から約203g/Hrで液状で連続的にフィードして、反応を行った。反応及び蒸留に必要な熱量は塔下部液を導管57とリボイラー56を経て循環させることにより供給した。連続多段蒸留塔50の塔底部の液温度は237℃、塔頂圧力は約27KPaであり、還流比は約2とした。連続多段蒸留塔50の塔頂から留出するガスを導管51を経て、凝縮器52で凝縮して導管55より約172g/Hrで連続的に抜き出した。塔底からは導管57を経て貯槽58へ約31g/Hrで連続的に抜き出した。
導管55から抜き出された液の組成は、1−ブタノール約390ppm、フェノール約13wt%であり、ジブチルカーボネートが約86wt%、ブチルフェニルカーボネート約1wt%であった。貯槽58へ抜き出された液の組成は、ジブチルカーボネートが約500ppm、ブチルフェニルカーボネート約26wt%、ジフェニルカーボネート約65wt%、Pb濃度約8wt%であった。
[アルコールのリサイクル]
図7に示すような装置を用いてアルコールのリサイクルを以下のように実施した。
ディクソンパッキング(6mmφ)を充填した内径約5cm、塔長4mの連続多段蒸留塔61の塔最下部より約0.4mに工程(4)の導管44より貯槽138に連続的に抜き出された液を導管59から予熱器60を経て約67g/Hrで連続的にフィードして、蒸留分離を行った。蒸留分離に必要な熱量は塔下部液を導管68とリボイラー67を経て循環させることにより供給した。連続多段蒸留塔61の塔底部の液温度は164℃、塔頂圧力は約53KPaであり、還流比は約0.5とした。連続多段蒸留塔61の塔頂から留出するガスを導管62を経て、凝縮器63で凝縮して導管66よりアルコール貯槽135へ約18.2g/Hrで連続的に抜き出した。塔底からは導管68を経て貯槽69へ約48.8g/Hrで連続的に抜き出した。
導管66から抜き出された液の組成は、1−ブタノール約99.9wt%、フェノール約150ppmであった。貯槽69へ抜き出された液の組成は、ジブチルカーボネート約1wt%、1−ブタノール約100ppm、フェノール約98wt%であった。
[炭酸ジアリールの精製]
図8、9に示すような装置を用いて炭酸ジアリールの精製を以下のように実施した。
ディクソンパッキング(6mmφ)を充填した内径約5cm、塔長2mの連続多段蒸留塔72の中段に工程(5)で貯槽58に連続的に抜き出された液を導管70から余熱器71を経て約315g/Hrで連続的にフィードして、蒸留分離を行った。蒸留分離に必要な熱量は塔下部液を導管79とリボイラー78を経て循環させることにより供給した。連続多段蒸留塔72の塔底部の液温度は210℃、塔頂圧力は約1.5KPaであり、還流比は約1とした。連続多段蒸留塔72の塔頂から留出するガスを導管73を経て、凝縮器74で凝縮して導管77より連続的に抜き出した。塔底からは導管79を経て貯槽80へ約27g/Hrで連続的に抜き出した。
導管77から抜き出された液の組成は、ジブチルカーボネート約200ppm、ブチルフェニルカーボネート約29wt%、ジフェニルカーボネート約71wt%であった。
ディクソンパッキング(6mmφ)を充填した内径約5cm塔長4mの連続多段蒸留塔83の中段に導管77から連続的に抜き出された液を導管81から余熱器82を経て約288g/Hrで連続的にフィードして、蒸留分離を行った。蒸留分離に必要な熱量は塔下部液を導管90とリボイラー89を経て循環させることにより供給した。連続多段蒸留塔83の塔底部の液温度は198℃、塔頂圧力は約6KPaであり、還流比は約6とした。連続多段蒸留塔83の塔頂から留出するガスを導管84を経て、凝縮器85で凝縮して導管88より約90g/Hrで連続的に抜き出した。塔底からは導管90を経て貯槽91へ約198g/Hrで連続的に抜き出した。
導管88から抜き出された液の組成は、ジブチルカーボネート約700ppm、ブチルフェニルカーボネート約93wt%、ジフェニルカーボネート約7wt%であった。貯槽91へ抜き出された液の組成は、ブチルフェニルカーボネートは検出限界以下、ジフェニルカーボネート約100wt%であった。また、該反応液中の塩素濃度は検出限界以下であった。
(ジオクチルスズジアルコキシドの製造)
図3に示すような装置を用いてジオクチルスズアルコキシドを以下のように製造した。
攪拌機及び加熱装置、バッフル付きの5LのSUS製反応器1にジオクチル酸化スズ108g(0.3mol)を反応器上部4から入れ、1−ブタノール(米国、Aldrich社製)2223g(30mol)をアルコール貯槽16から、反応器上部に接続した導管3を通して加えた。0.5NL/HrでSUS配管を通して不活性ガス用導管2から窒素ガスのフィードを開始した。
攪拌及び反応器1の加熱を開始し、反応液温が113℃から1−ブタノールの沸点となるように温度調節した。この状態で約12時間反応を続け、その間、反応器1の上部に接続したガス抜き出し用導管5から発生する低沸点成分をガス相として抜き出し、凝縮器6を通して貯槽7へ移送した。貯槽7には水を含む1−ブタノール液が得られていた。反応器1の内部の液相成分は抜き出し用導管8から貯槽9へ移送した。貯槽9から導管10で、攪拌機及び減圧するための装置、加熱装置を備えた脱アルコール器11へ移した。
上記操作を3回繰り返した後、脱アルコール器内部液を加熱、器内を減圧して未反応のアルコールをガス状にして導管21から抜き出し、凝縮器6を通して貯槽16へ移送した。液相成分は抜き出し導管12を通して貯槽23へ移送した。
貯槽23の液を分析した結果、約375gで、ジオクチルスズジブトキシドが約0.50モル、1,1,3,3−テトラオクチル−1,3−ジブチルオキシ−ジスタンオキサンが約0.20モル含まれていた。
(工程(1))
貯槽23へ移送された液のうち約125gを導管24から200mlオートクレーブ(日本国、東洋高圧社製)に入れて蓋をした。オートクレーブ内を窒素置換した後、SUSチューブとバルブを介してオートクレーブに接続された二酸化炭素のボンベの2次圧を5MPaに設定した後、バルブを開け、オートクレーブへ二酸化炭素を導入した。10分間攪拌し、バルブを閉めた。オートクレーブを攪拌したまま、温度を120℃まで昇温した。オートクレーブの内圧が常に約4MPaとなるように調整しながら、この状態のまま4時間反応させた。
途中サンプリングした結果、反応1時間後にはジブチルカーボネートが0.05mol生成しており、4時間後は約0.06molであった。オートクレーブを放冷したのち、二酸化炭素をパージした。
(工程(2))
図4に示すような装置を用いて工程(2)を以下のように実施した。
工程(1)の反応液をオートクレーブ下部から抜き出し、導管133を通して、窒素置換した脱二酸化炭素槽25へ移送した。窒素雰囲気で80℃で約5分間加熱攪拌して、発生する二酸化炭素をパージした。脱二酸化炭素槽25から導管26を通して貯槽131へ抜き出した。
薄膜蒸留装置30(日本国、柴田科学社製 E−420)に、ディクソンパッキング(6mmφ)を充填した内径約5cmの多段蒸留塔27を接続し、貯槽131に貯められた反応液を約90g/Hrの速度で、導管132から該蒸留塔の中段から供給した。還流比は約0.2とした。薄膜蒸留器30は、ジャケットに180℃の熱媒を循環させて、内部圧力(蒸留塔頂圧力)を約3KPaとした。揮発成分を凝縮器28で貯槽29へ移送した。液相成分は抜き出しポンプと導管31を通して貯槽32へ抜き出した。貯槽29へは約0.04モル/Hrでジブチルカーボネートが抜き出されており、ジオクチルスズアルコキシドは含まれていなかった。貯槽32へは約80g/Hrで液が抜き出されていて、該液中のジブチルカーボネートは検出限界以下であった。
(工程(3))
図3に示すような装置を用いて工程(3)を以下のように実施した。
工程(2)で貯槽32に抜き出された液を導管35でバッフル付きの5LのSUS製反応器1へ供給した。1−ブタノールを導管3から約2223g(30mol)加えた。0.5NL/HrでSUS配管を通して不活性ガス用導管2から窒素ガスのフィードを開始した。攪拌及び反応器1の加熱を開始し、反応液温が113℃から1−ブタノールの沸点となるように温度調節した。この状態で約12時間反応を続け、その間、反応器1の上部に接続したガス抜き出し用導管5から発生する低沸点成分をガス相として抜き出し、凝縮器6を通して貯槽7へ移送した。貯槽7には水を含む1−ブタノール液が得られていた。反応器1の内部の液相成分は抜き出し用導管8から貯槽9へ移送した。貯槽9から導管10で、攪拌機及び減圧するための装置、加熱装置を備えた脱アルコール器11へ移した。脱アルコール器内部液を加熱、器内を減圧して未反応のアルコールをガス状にして導管21から抜き出し、凝縮器6を通して貯槽16へ移送した。液相成分は抜き出し導管12を通して貯槽23へ移送した。
貯槽23へ移送された液を分析した結果、ジオクチルスズジブトキシドと1,1,3,3−テトラオクチル−1,3−ジブチルオキシ−ジスタンオキサンが含まれていた。
貯槽23へ移送された液を繰り返し行う工程(1)へリサイクルして工程(1)〜(3)を繰り返し実施した。
(工程(4))
[触媒の調製]
フェノール79gと一酸化鉛32gを180℃で10時間加熱し、生成する水をフェノールと共に留去した。10時間で水約2.5gを抜き出した。その後反応器上部からフェノールを留去することにより触媒Bを調製した。
[芳香族炭酸エステルの製造]
図5に示すような装置を用いて工程(4)を以下のように実施した。
ディクソンパッキング(6mmφ)を充填した内径約5cm、塔長2mの連続多段蒸留塔39の中段に工程(2)で貯槽29に移送されたジブチルカーボネートを含む反応液、フェノール及び触媒Bからなる混合液(混合液中のジブチルカーボネートとフェノールの重量比が約65/35、Pb濃度が約1wt%となるように調整した)を、予熱器38を経て導管37から約270g/Hrで液状で連続的にフィードして、反応を行った。反応及び蒸留に必要な熱量は塔下部液を導管46とリボイラー45を経て循環させることにより供給した。連続多段蒸留塔39の塔底部の液温度は239℃、塔頂圧力は約250KPaであり、還流比は約2とした。連続多段蒸留塔39の塔頂から留出するガスを導管40を経て、凝縮器41で凝縮して導管44より貯槽138に約67g/Hrで連続的に抜き出した。塔底からは導管46を経て貯槽47へ約203g/Hrで連続的に抜き出した。
導管44から抜き出された液の組成は、1−ブタノール約33wt%、フェノール約65wt%、ジブチルカーボネート約2wt%であった。貯槽47へ抜き出された液の組成は、フェノール約11wt%、ジブチルカーボネート約60wt%、ブチルフェニルカーボネート約26wt%、ジフェニルカーボネート約1.6wt%、Pb濃度約1wt%であった。
(工程(5))
図6に示すような装置を用いて工程(5)を以下のように実施した。
ディクソンパッキング(6mmφ)を充填した内径約5cm塔長2mの連続多段蒸留塔50の中段に工程(4)で導管44より貯槽47へ抜き出された液を、予熱器49を経て導管48から約203g/Hrで液状で連続的にフィードして、反応を行った。反応及び蒸留に必要な熱量は塔下部液を導管57とリボイラー56を経て循環させることにより供給した。連続多段蒸留塔50の塔底部の液温度は240℃、塔頂圧力は約27KPaであり、還流比は約2とした。連続多段蒸留塔50の塔頂から留出するガスを導管51を経て、凝縮器52で凝縮して導管55より貯槽29へ約165g/Hrで連続的に抜き出した。塔底からは導管57を経て貯槽58へ約39g/Hrで連続的に抜き出した。
導管55から抜き出された液の組成は、1−ブタノール約500ppm、フェノール約13wt%、ジブチルカーボネート約85wt%、ブチルフェニルカーボネート約2wt%であった。貯槽58へ抜き出された液の組成は、ジブチルカーボネート約0.3wt%、ブチルフェニルカーボネート約32wt%、ジフェニルカーボネート約61wt%、Pb濃度約7wt%であった。
[アルコールのリサイクル]
図7に示すような装置を用いてアルコールのリサイクルを以下のように実施した。
ディクソンパッキング(6mmφ)を充填した内径約5cm、塔長2mの連続多段蒸留塔61の塔最下部より約0.7mに工程(4)で導管44から貯槽138に連続的に抜き出された液を導管59から予熱器60を経て約201g/Hrで連続的にフィードして、蒸留分離を行った。蒸留分離に必要な熱量は塔下部液を導管68とリボイラー67を経て循環させることにより供給した。連続多段蒸留塔61の塔底部の液温度は145℃、塔頂圧力は約13KPaであり、還流比は約0.3とした。連続多段蒸留塔61の塔頂から留出するガスを導管62を経て、凝縮器63で凝縮して導管66よりアルコール貯槽135へ約68g/Hrで連続的に抜き出した。塔底からは導管68を経て貯槽69へ約133g/Hrで連続的に抜き出した。
導管66から抜き出された液の組成は、1−ブタノール約99.9wt%、フェノール約100ppmであった。貯槽69へ抜き出された液の組成は、ジブチルカーボネート約2wt%、フェノール約98wt%であった。
[炭酸ジアリールの精製]
図8、9に示すような装置を用いて炭酸ジアリールの精製を以下のように実施した。
ディクソンパッキング(6mmφ)を充填した内径約5cm、塔長2mの連続多段蒸留塔72の中段に工程(5)で貯槽58に連続的に抜き出された液を導管70から予熱器71を経て約195g/Hrで連続的にフィードして、蒸留分離を行った。蒸留分離に必要な熱量は塔下部液を導管79とリボイラー78を経て循環させることにより供給した。連続多段蒸留塔72の塔底部の液温度は210℃、塔頂圧力は約1.5KPaであり、還流比は約1とした。連続多段蒸留塔72の塔頂から留出するガスを導管73を経て、凝縮器74で凝縮して導管77より連続的に抜き出した。塔底からは導管79を経て貯槽80へ約14g/Hrで連続的に抜き出した。
導管77から抜き出された液の組成は、ジブチルカーボネート約0.3wt%、ブチルフェニルカーボネート約34wt%、ジフェニルカーボネート約66wt%であった。
ディクソンパッキング(6mmφ)を充填した内径約5cm、塔長2mの連続多段蒸留塔83の中段に導管77から連続的に抜き出された液を導管81から予熱器82を経て約181g/Hrで連続的にフィードして、蒸留分離を行った。蒸留分離に必要な熱量は塔下部液を導管90とリボイラー89を経て循環させることにより供給した。連続多段蒸留塔83の塔底部の液温度は232℃、塔頂圧力は約16KPaであり、還流比は約2とした。連続多段蒸留塔83の塔頂から留出するガスを導管84を経て、凝縮器85で凝縮して導管88より約62g/Hrで連続的に抜き出した。塔底からは導管90を経て貯槽91へ約119g/Hrで連続的に抜き出した。
導管88から抜き出された液の組成は、ジブチルカーボネート約0.6wt%、ブチルフェニルカーボネート約99wt%、ジフェニルカーボネート約0.4wt%であった。貯槽91へ抜き出された液の組成は、ブチルフェニルカーボネート約0.3wt%、ジフェニルカーボネート約99.7wt%であった。
(ジブチルスズジアルコキシドの製造)
図3に示すような装置を用いてジブチルスズアルコキシドを以下のように製造した。
攪拌機及び加熱装置、バッフル付きの5LのSUS製反応器1にジブチル酸化スズ75g(0.3mol)を反応器1の上部4から入れ、1−ブタノール(米国、Aldrich社製)889g(12mol)をアルコール貯槽16から、反応器1の上部に接続した導管3を通して加えた。0.1NL/HrでSUS配管を通して不活性ガス用導管2から窒素ガスのフィードを開始した。
攪拌及び反応器1の加熱を開始し、反応液温が113℃から1−ブタノールの沸点となるように温度調節した。この状態で約6時間反応を続け、その間、反応器1の上部に接続したガス抜き出し用導管5から発生する低沸点成分をガス相として抜き出し、凝縮器6を通して貯槽7へ移送した。貯槽7には水を含む1−ブタノール液が得られていた。反応器1の内部の液相成分は抜き出し用導管8から貯槽9へ移送した。貯槽9から導管10で、攪拌機及び減圧するための装置、加熱装置を備えた脱アルコール器11へ移した。
上記操作を3回繰り返した後、脱アルコール器内部液を加熱、器内を減圧して未反応のアルコールをガス状にして導管21から抜き出し、凝縮器6を通して貯槽16へ移送した。液相成分は抜き出し導管12を通して貯槽23へ移送した。
貯槽23の液を分析した結果、約300gで、ジブチルスズジブトキシドが約0.24モル、1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ジブチルオキシ−ジスタンオキサンが約0.33モル含まれていた。
(工程(1))
貯槽23へ移送された液のうち約100gを導管24から200mlオートクレーブ(日本国、東洋高圧社製)に入れて蓋をした。オートクレーブ内を窒素置換した後、SUSチューブとバルブを介してオートクレーブに接続された二酸化炭素のボンベの2次圧を5MPaに設定した後、バルブを開け、オートクレーブへ二酸化炭素を導入した。10分間攪拌し、バルブを閉めた。オートクレーブを攪拌したまま、温度を120℃まで昇温した。オートクレーブの内圧が常に約4MPaとなるように調整しながら、この状態のまま4時間反応させた。
途中サンプリングした結果、反応1時間後にはジブチルカーボネートが0.02mol生成しており、4時間後は約0.03molであった。オートクレーブを放冷したのち、二酸化炭素をパージした。
(工程(2))
図4に示すような装置を用いて工程(2)を以下のように実施した。
工程(1)の反応液をオートクレーブ下部から抜き出し、導管133を通して、窒素置換した脱二酸化炭素槽25へ移送した。窒素雰囲気で80℃で約5分間加熱攪拌して、発生する二酸化炭素をパージした。脱二酸化炭素槽25から導管26を通して貯槽131へ抜き出した。
薄膜蒸留装置30(日本国、柴田科学社製 E−420)に、ディクソンパッキング(6mmφ)を充填した内径約5cmの多段蒸留塔27を接続し、貯槽131に貯められた反応液を約80g/Hrの速度で、導管132から該蒸留塔の中段から供給した。還流比は約0.2とした。薄膜蒸留器30は、ジャケットに100℃の熱媒を循環させて、内部圧力(蒸留塔頂圧力)を約1.3KPaとした。揮発成分を凝縮器28で貯槽29へ移送した。液相成分は抜き出しポンプと導管31を通して貯槽32へ抜き出した。貯槽29へは約0.02モル/Hrでジブチルカーボネートが抜き出されており、ジブチルスズアルコキシドは含まれていなかった。貯槽32へは約77g/Hrで液が抜き出されていて、該液中のジブチルカーボネートは検出限界以下であった。
(工程(3))
図3に示すような装置を用いて工程(3)を以下のように実施した。
工程(2)で貯槽32に抜き出された液を導管35でバッフル付きの5LのSUS製反応器1へ供給した。1−ブタノールを導管3から約889g(12mol)加えた。0.1NL/HrでSUS配管を通して不活性ガス用導管2から窒素ガスのフィードを開始した。
攪拌及び反応器1の加熱を開始し、反応液温が113℃から1−ブタノールの沸点となるように温度調節した。この状態で約6時間反応を続け、その間、反応器1の上部に接続したガス抜き出し用導管5から発生する低沸点成分をガス相として抜き出し、凝縮器6を通して貯槽7へ移送した。貯槽7には水を含む1−ブタノール液が得られていた。反応器1の内部の液相成分は抜き出し用導管8から貯槽9へ移送した。貯槽9から導管10で、攪拌機及び減圧するための装置、加熱装置を備えた脱アルコール器11へ移した。脱アルコール器内部液を加熱、器内を減圧して未反応のアルコールをガス状にして導管21から抜き出し、凝縮器6を通して貯槽16へ移送した。液相成分は抜き出し導管12を通して貯槽23へ移送した。
貯槽23へ移送された液を分析した結果、ジブチルスズジブトキシドと1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ジブチルオキシ−ジスタンオキサンが含まれていた。
貯槽23へ移送された液を繰り返し行う工程(1)へリサイクルして工程(1)〜(3)を繰り返し実施した。
(工程(4))
[触媒の調製]
フェノール79gと一酸化鉛32gを180℃で10時間加熱し、生成する水をフェノールと共に留去した。10時間で水約2.5gを抜き出した。その後反応器上部からフェノールを留去することにより触媒Bを調製した。
[芳香族炭酸エステルの製造]
図5に示すような装置を用いて工程(4)を以下のように実施した。
ディクソンパッキング(6mmφ)を充填した内径約5cm、塔長2mの連続多段蒸留塔39の中段に工程(2)で得られたジブチルカーボネートを含む反応液、フェノール及び触媒Bからなる混合液(混合液中のジブチルカーボネートとフェノールの重量比が約65/35、Pb濃度が約1wt%となるように調整した)を、予熱器38を経て導管37から約270g/Hrで液状で連続的にフィードして、反応をおこなった。反応及び蒸留に必要な熱量は塔下部液を導管46とリボイラー45を経て循環させることにより供給した。連続多段蒸留塔39の塔底部の液温度は215℃、塔頂圧力は約150KPaであり、還流比は約2とした。連続多段蒸留塔39の塔頂から留出するガスを導管40を経て、凝縮器41で凝縮して導管44より貯槽138に約16g/Hrで連続的に抜き出した。塔底からは導管46を経て貯槽47へ約254g/Hrで連続的に抜き出した。
導管44から抜き出された液の組成は、1−ブタノール約53wt%、フェノール約47wt%であった。貯槽47へ抜き出された液の組成は、フェノール約29wt%、ジブチルカーボネート約60wt%、ブチルフェニルカーボネート約9wt%、ジフェニルカーボネート約0.5wt%、Pb濃度約1wt%であった。
(工程(5))
図6に示すような装置を用いて工程(5)を以下のように実施した。
ディクソンパッキング(6mmφ)を充填した内径約5cm、塔長2mの連続多段蒸留塔50の中段に工程(4)で導管44より貯槽47へ抜き出された液を、予熱器49を経て導管48から約254g/Hrで液状で連続的にフィードして、反応を行った。反応及び蒸留に必要な熱量は塔下部液を導管57とリボイラー56を経て循環させることにより供給した。連続多段蒸留塔50の塔底部の液温度は235℃、塔頂圧力は約26KPaであり、還流比は約2とした。連続多段蒸留塔50の塔頂から留出するガスを導管51を経て、凝縮器52で凝縮して導管55より貯槽29へ約238g/Hrで連続的に抜き出した。塔底からは導管57を経て貯槽58へ約16g/Hrで連続的に抜き出した。
導管55から抜き出された液の組成は、1−ブタノール約0.1wt%、フェノール約31wt%、ジブチルカーボネート約67wt%、ブチルフェニルカーボネート約1wt%であった。貯槽58へ抜き出された液の組成は、ジブチルカーボネート約0.1wt%、ブチルフェニルカーボネート約25wt%、ジフェニルカーボネート約58wt%、Pb濃度約17wt%であった。
[アルコールのリサイクル]
図7に示すような装置を用いてアルコールのリサイクルを以下のように実施した。
ディクソンパッキング(6mmφ)を充填した内径約5cm、塔長2mの連続多段蒸留塔61の塔最下部より約0.8mに工程(4)で導管44から貯槽138に連続的に抜き出された液を導管59から予熱器60を経て約168g/Hrで連続的にフィードして、蒸留分離を行った。蒸留分離に必要な熱量は塔下部液を導管68とリボイラー67を経て循環させることにより供給した。連続多段蒸留塔61の塔底部の液温度は145℃、塔頂圧力は約27KPaであり、還流比は約0.3とした。連続多段蒸留塔61の塔頂から留出するガスを導管62を経て、凝縮器63で凝縮して導管66よりアルコール貯槽135へ約90g/Hrで連続的に抜き出した。塔底からは導管68を経て貯槽69へ約78g/Hrで連続的に抜き出した。
導管66から抜き出された液の組成は1−ブタノール約99.9wt%、フェノール約150ppmであった。貯槽69へ抜き出された液の組成は、ジブチルカーボネート約0.2wt%、1−ブタノール約100ppm、フェノール約99wt%であった。
[炭酸ジアリールの精製]
図8、9に示すような装置を用いて炭酸ジアリールの精製を以下のように実施した。
ディクソンパッキング(6mmφ)を充填した内径約5cm、塔長2mの連続多段蒸留塔72の中段に工程(5)で貯槽58に連続的に抜き出された液を導管70から予熱器71を経て約163g/Hrで連続的にフィードして、蒸留分離を行った。蒸留分離に必要な熱量は塔下部液を導管79とリボイラー78を経て循環させることにより供給した。連続多段蒸留塔72の塔底部の液温度は210℃、塔頂圧力は約1.5KPaであり、還流比は約1とした。連続多段蒸留塔72の塔頂から留出するガスを導管73を経て、凝縮器74で凝縮して導管77より連続的に抜き出した。塔底からは導管79を経て貯槽80へ約27g/Hrで連続的に抜き出した。
導管77から抜き出された液の組成は、ジブチルカーボネート約0.1wt%、ブチルフェニルカーボネート約30wt%、ジフェニルカーボネート約70wt%であった。ディクソンパッキング(6mmφ)を充填した内径約5cm塔長2mの連続多段蒸留塔83の中段に導管77から連続的に抜き出された液を導管81から予熱器82を経て約136g/Hrで連続的にフィードして、蒸留分離を行った。蒸留分離に必要な熱量は塔下部液を導管90とリボイラー89を経て循環させることにより供給した。連続多段蒸留塔83の塔底部の液温度は233℃、塔頂圧力は約17KPaであり、還流比は約3とした。連続多段蒸留塔83の塔頂から留出するガスを導管84を経て、凝縮器85で凝縮して導管88より約41g/Hrで連続的に抜き出した。塔底からは導管90を経て貯槽91へ約95g/Hrで連続的に抜き出した。
導管88から抜き出された液の組成は、ジブチルカーボネート約0.3%、ブチルフェニルカーボネート約99wt%、ジフェニルカーボネート約0.3wt%であった。貯槽91へ抜き出された液の組成は、ブチルフェニルカーボネート約1wt%、ジフェニルカーボネート約99wt%であった。
(ジブチルスズジアルコキシドの製造)
図3に示すような装置を用いてジブチルスズアルコキシドを以下のように製造した。
攪拌機及び加熱装置、バッフル付きの5LのSUS製反応器1にジブチル酸化スズ75g(0.3mol)を反応器1の上部4から入れ、1−ブタノール(米国、Aldrich社製)2223g(30mol)をアルコール貯槽16から、反応器1の上部に接続した導管3を通して加えた。0.1NL/HrでSUS配管を通して不活性ガス用導管2から窒素ガスのフィードを開始した。
攪拌及び反応器1の加熱を開始し、反応液温が113℃から1−ブタノールの沸点となるように温度調節した。この状態で約6時間反応を続け、その間、反応器1の上部に接続したガス抜き出し用導管5から発生する低沸点成分をガス相として抜き出し、凝縮器6を通して貯槽7へ移送した。貯槽7には水を含む1−ブタノール液が得られていた。反応器1の内部の液相成分は抜き出し用導管8から貯槽9へ移送した。貯槽9から導管10で、攪拌機及び減圧するための装置、加熱装置を備えた脱アルコール器11へ移した。
上記操作を3回繰り返した後、脱アルコール器内部液を加熱、器内を減圧して未反応のアルコールをガス状にして導管21から抜き出し、凝縮器6を通して貯槽16へ移送した。液相成分は抜き出し導管12を通して貯槽23へ移送した。
貯槽23の液を分析した結果、約320gで、ジブチルスズジブトキシドが約0.54モル、1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ジブチルオキシ−ジスタンオキサンが約0.18モル含まれていた。
(工程(1))
貯槽23へ移送された液のうち約107gを導管24から200mlオートクレーブ(日本国、東洋高圧社製)に入れて蓋をした。オートクレーブ内を窒素置換した後、SUSチューブとバルブを介してオートクレーブに接続された二酸化炭素のボンベの2次圧を5MPaに設定した後、バルブを開け、オートクレーブへ二酸化炭素を導入した。10分間攪拌し、バルブを閉めた。オートクレーブを攪拌したまま、温度を120℃まで昇温した。オートクレーブの内圧が常に約4MPaとなるように調整しながら、この状態のまま4時間反応させた。
途中サンプリングした結果、反応1時間後にはジブチルカーボネートが0.06mol生成しており、4時間後は約0.07molであった。オートクレーブを放冷したのち、二酸化炭素をパージした。
(工程(2))
図11に示すような装置を用いて工程(2)を以下のように実施した。
工程(1)の反応液をオートクレーブ下部から抜き出し、窒素置換した脱二酸化炭素槽25へ移送した。窒素雰囲気で80℃で約5分間加熱攪拌して、発生する二酸化炭素をパージした。脱二酸化炭素槽25から導管103を通して貯槽137へ抜き出した。
ディクソンパッキング(6mmφ)を充填した内径約5cm、塔長2mの連続多段蒸留塔105の中段に工程(1)で得られたジブチルカーボネートを含む反応液を導管136から予熱器104を経て約106g/Hrで液状で連続的にフィードして、蒸留分離を行った。蒸留に必要な熱量は塔下部液を導管112とリボイラー111を経て循環させることにより供給した。連続多段蒸留塔105の塔底部の液温度は170℃、塔頂圧力は約1KPaであり、還流比は約1とした。連続多段蒸留塔105の塔頂から留出するガスを導管106を経て、凝縮器107で凝縮して導管110より約12g/Hrで連続的に抜き出されており、ジブチルスズアルコキシドは含まれていなかった。塔底からは導管112を経て貯槽113へ約94g/Hrで連続的に抜き出されており、該液中のジブチルカーボネートは検出限界以下であった。
(工程(3))
図3に示すような装置を用いて工程(3)を以下のように実施した。
工程(2)で貯槽113に抜き出された液を導管35でバッフル付きの5LのSUS製反応器1へ供給した。1−ブタノールを導管3から約2223g(30mol)加えた。0.1NL/HrでSUS配管を通して不活性ガス用導管2から窒素ガスのフィードを開始した。
攪拌及び反応器1の加熱を開始し、反応液温が113℃から1−ブタノールの沸点となるように温度調節した。この状態で約6時間反応を続け、その間、反応器1の上部に接続したガス抜き出し用導管5から発生する低沸点成分をガス相として抜き出し、凝縮器6を通して貯槽7へ移送した。貯槽7には水を含む1−ブタノール液が得られていた。反応器1の内部の液相成分は抜き出し用導管8から貯槽9へ移送した。貯槽9から導管10で、攪拌機及び減圧するための装置、加熱装置を備えた脱アルコール器11へ移した。脱アルコール器内部液を加熱、器内を減圧して未反応のアルコールをガス状にして導管21から抜き出し、凝縮器6を通して貯槽16へ移送した。液相成分は抜き出し導管12を通して貯槽23へ移送した。
貯槽23へ移送された液を分析した結果、ジブチルスズジブトキシドと1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ジブチルオキシ−ジスタンオキサンが含まれていた。
貯槽23へ移送された液を繰り返し行う工程(1)へリサイクルして工程(1)〜(3)を繰り返し実施した。
(工程(4))
[触媒の調製]
フェノール79gと一酸化鉛32gを180℃で10時間加熱し、生成する水をフェノールと共に留去した。10時間で水約2.5gを抜き出した。その後反応器上部からフェノールを留去することにより触媒Bを調製した。
[芳香族炭酸エステルの製造]
図5に示すような装置を用いて工程(4)を以下のように実施した。
段数40のシーブトレイを充填した内径約5cm塔長2mの連続多段蒸留塔39の中段に工程(2)で得られたジブチルカーボネートを含む反応液、フェノール及び触媒Bからなる混合液(混合液中のジブチルカーボネートとフェノールの重量比が約65/35、Pb濃度が約1wt%となるように調整した)を、予熱器38を経て導管37から約270g/Hrで液状で連続的にフィードして、反応を行った。反応及び蒸留に必要な熱量は塔下部液を導管46とリボイラー45を経て循環させることにより供給した。連続多段蒸留塔39の塔底部の液温度は230℃、塔頂圧力は約150KPaであり、還流比は約2とした。連続多段蒸留塔39の塔頂から留出するガスを導管40を経て、凝縮器41で凝縮して導管44より貯槽138に約67g/Hrで連続的に抜き出した。塔底からは導管46を経て貯槽47へ約203g/Hrで連続的に抜き出した。
導管44から抜き出された液の組成は、1−ブタノール約22wt%、フェノール約75wt%、ジブチルカーボネート3wt%であった。貯槽47へ抜き出された液の組成は、フェノール約12wt%、ジブチルカーボネート約68wt%、ブチルフェニルカーボネート約17wt%、ジフェニルカーボネート約1wt%、Pb濃度約1wt%であった。
(工程(5))
図(6)に示すような装置を用いて工程(5)を以下のように実施した。
ディクソンパッキング(6mmφ)を充填した内径約5cm、塔長2mの連続多段蒸留塔50の中段に工程(4)で導管46より貯槽47へ抜き出された液を、予熱器49を経て導管48から約203g/Hrで液状で連続的にフィードして、反応を行った。反応及び蒸留に必要な熱量は塔下部液を導管57とリボイラー56を経て循環させることにより供給した。連続多段蒸留塔50の塔底部の液温度は237℃、塔頂圧力は約26KPaであり、還流比は約2とした。連続多段蒸留塔50の塔頂から留出するガスを導管51を経て、凝縮器52で凝縮して導管55より貯槽126へ約178g/Hrで連続的に抜き出した。塔底からは導管57を経て貯槽58へ約25g/Hrで連続的に抜き出した。
導管55から抜き出された液の組成は、1−ブタノール約400ppm、フェノール約14wt%、ジブチルカーボネート約83wt%、ブチルフェニルカーボネート約3wt%であった。貯槽58へ抜き出された液の組成は、ジブチルカーボネート約0.1wt%、ブチルフェニルカーボネート約34wt%、ジフェニルカーボネート約55wt%、Pb濃度約11wt%であった。
[アルコールのリサイクル]
図7に示すような装置を用いてアルコールのリサイクルを以下のように実施した。
ディクソンパッキング(6mmφ)を充填した内径約5cm、塔長2mの連続多段蒸留塔61の中段に工程(4)で導管44から貯槽138に連続的に抜き出された液を導管59から予熱器60を経て約201g/Hrで連続的にフィードして、蒸留分離を行った。蒸留分離に必要な熱量は塔下部液を導管68とリボイラー67を経て循環させることにより供給し。連続多段蒸留塔61の塔底部の液温度は124℃、塔頂圧力は約9KPaであり、還流比は約0.5とした。連続多段蒸留塔61の塔頂から留出するガスを導管62を経て、凝縮器63で凝縮して導管66よりアルコール貯槽135へ約44g/Hrで連続的に抜き出した。塔底からは導管68を経て貯槽69へ約157g/Hrで連続的に抜き出した。
導管66から抜き出された液の組成は、1−ブタノール約100wt%、フェノールは検出限界以下であった。貯槽69へ抜き出された液の組成は、ジブチルカーボネート約4wt%、フェノール約96wt%であった。
[炭酸ジアリールの精製]
図8、9に示すような装置を用いて炭酸ジアリールの精製を以下のように実施した。
ディクソンパッキング(6mmφ)を充填した内径約5cm、塔長2mの連続多段蒸留塔72の中段に工程(5)で貯槽58に連続的に抜き出された液を導管70から予熱器71を経て約252g/Hrで連続的にフィードして、蒸留分離を行った。蒸留分離に必要な熱量は塔下部液を導管79とリボイラー78を経て循環させることにより供給した。連続多段蒸留塔72の塔底部の液温度は210℃、塔頂圧力は約1.5KPaであり、還流比は約1とした。連続多段蒸留塔72の塔頂から留出するガスを導管73を経て、凝縮器74で凝縮して導管77より連続的に抜き出した。塔底からは導管79を経て貯槽80へ約27g/Hrで連続的に抜き出した。
導管77から抜き出された液の組成は、ジブチルカーボネート約0.1wt%、ブチルフェニルカーボネート約38wt%、ジフェニルカーボネート約62wt%であった。ディクソンパッキング(6mmφ)を充填した内径約5cm塔長2mの連続多段蒸留塔83の中段に導管77から連続的に抜き出された液を導管81から予熱器82を経て約225g/Hrで連続的にフィードして、蒸留分離を行った。蒸留分離に必要な熱量は塔下部液を導管90とリボイラー89を経て循環させることにより供給した。連続多段蒸留塔83の塔底部の液温度は227℃、塔頂圧力は約13KPaであり、還流比は約4とした。連続多段蒸留塔83の塔頂から留出するガスを導管84を経て、凝縮器85で凝縮して導管88より約87g/Hrで連続的に抜き出した。塔底からは導管90を経て貯槽91へ約138g/Hrで連続的に抜き出した。
導管88から抜き出された液の組成は、ジブチルカーボネート約0.3wt%、ブチルフェニルカーボネート約99wt%、ジフェニルカーボネート約0.1wt%であった。貯槽91へ抜き出された液の組成は、ブチルフェニルカーボネート約400ppm、ジフェニルカーボネート約100wt%であった。
(ジブチルスズジアルコキシドの製造)
図3に示すような装置を用いてジブチルスズアルコキシドを以下のように製造した。
攪拌機及び加熱装置、バッフル付きの5LのSUS製反応器1にジブチル酸化スズ75g(0.3mol)を反応器1の上部4から入れ、イソブタノール(米国、Aldrich社製)2223g(30mol)をアルコール貯槽16から、反応器1の上部に接続した導管3を通して加えた。0.1NL/HrでSUS配管を通して不活性ガス用導管2から窒素ガスのフィードを開始した。
攪拌及び反応器1の加熱を開始し、反応液温が107℃からイソブタノールの沸点となるように温度調節した。この状態で約6時間反応を続け、その間、反応器1の上部に接続したガス抜き出し用導管5から発生する低沸点成分をガス相として抜き出し、凝縮器6を通して貯槽7へ移送した。貯槽7には水を含むイソブタノール液が得られていた。反応器1の内部の液相成分は抜き出し用導管8から貯槽9へ移送した。貯槽9から導管10で、攪拌機及び減圧するための装置、加熱装置を備えた脱アルコール器11へ移した。
上記操作を3回繰り返した後、脱アルコール器内部液を加熱、器内を減圧して未反応のアルコールをガス状にして導管21から抜き出し、凝縮器6を通して貯槽16へ移送した。液相成分は抜き出し導管12を通して貯槽23へ移送した。
貯槽23の液を分析した結果、約320gで、ジブチルスズジイソブトキシドが約0.56モル、1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ジイソブチルオキシ−ジスタンオキサンが約0.17モル含まれていた。
(工程(1))
貯槽23へ移送された液のうち約107gを導管24から200mlオートクレーブ(日本国、東洋高圧社製)に入れて蓋をした。オートクレーブ内を窒素置換した後、SUSチューブとバルブを介してオートクレーブに接続された二酸化炭素のボンベの2次圧を5MPaに設定した後、バルブを開け、オートクレーブへ二酸化炭素を導入した。10分間攪拌し、バルブを閉めた。オートクレーブを攪拌したまま、温度を120℃まで昇温した。オートクレーブの内圧が常に約4MPaとなるように調整しながら、この状態のまま4時間反応させた。
途中サンプリングした結果、反応1時間後にはジイソブチルカーボネートが0.06mol生成しており、4時間後は約0.07molであった。オートクレーブを放冷したのち、二酸化炭素をパージした。
(工程(2))
図4に示すような装置を用いて工程(2)を以下のように実施した。
工程(1)の反応液をオートクレーブ下部から抜き出し、導管133を通して、窒素置換した脱二酸化炭素槽25へ移送した。窒素雰囲気で80℃で約5分間加熱攪拌して、発生する二酸化炭素をパージした。脱二酸化炭素槽25から導管26を通して貯槽131へ抜き出した。
薄膜蒸留装置30(日本国、柴田科学社製 E−420)に、ディクソンパッキング(6mmφ)を充填した内径約5cmの多段蒸留塔27を接続し、貯槽131に貯められた反応液を約100g/Hrの速度で、導管132から該蒸留塔の中段から供給した。還流比は約0.2とした。薄膜蒸留器30は、ジャケットに130℃の熱媒を循環させて、内部圧力(蒸留塔頂圧力)を約2.7KPaとした。揮発成分を凝縮器28で貯槽29へ移送した。液相成分は抜き出しポンプと導管31を通して貯槽32へ抜き出した。貯槽29へは約0.07モル/Hrでジイソブチルカーボネートが抜き出されており、ジブチルスズアルコキシドは含まれていなかった。貯槽32へは約90g/Hrで液が抜き出されていて、該液中のジイソブチルカーボネートは検出限界以下であった。
(工程(3))
図3に示すような装置を用いて工程(3)を以下のように実施した。
工程(2)で貯槽32に抜き出された液を導管35でバッフル付きの5LのSUS製反応器1へ供給した。イソブタノールを導管3から約2150g(29mol)加えた。0.1NL/HrでSUS配管を通して不活性ガス用導管2から窒素ガスのフィードを開始した。
攪拌及び反応器1の加熱を開始し、反応液温が107℃からイソブタノールの沸点となるように温度調節した。この状態で約6時間反応を続け、その間、反応器1の上部に接続したガス抜き出し用導管5から発生する低沸点成分をガス相として抜き出し、凝縮器6を通して貯槽7へ移送した。貯槽7には水を含むイソブタノール液が得られていた。反応器1の内部の液相成分は抜き出し用導管8から貯槽9へ移送した。貯槽9から導管10で、攪拌機及び減圧するための装置、加熱装置を備えた脱アルコール器11へ移した。脱アルコール器内部液を加熱、器内を減圧して未反応のアルコールをガス状にして導管21から抜き出し、凝縮器6を通して貯槽16へ移送した。液相成分は抜き出し導管12を通して貯槽23へ移送した。
貯槽23へ移送された液を分析した結果、ジブチルスズジイソブトキシドと1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ジイソブチルオキシ−ジスタンオキサンが含まれていた。
貯槽23へ移送された液を繰り返し行う工程(1)へリサイクルして工程(1)〜(3)を繰り返し実施した。
(工程(4))
[触媒の調製]
フェノール40gと一酸化鉛8gを180℃で10時間加熱し、生成する水をフェノールと共に留去することにより触媒Aを調製した。
[芳香族炭酸エステルの製造]
図5に示すような装置を用いて工程(4)を以下のように実施した。
段数40のシーブトレイを充填した内径約5cm塔長、2mの連続多段蒸留塔39の中段に工程(2)で得られたジイソブチルカーボネートを含む反応液、フェノール及び触媒Aからなる混合液(混合液中のジイソブチルカーボネートとフェノールの重量比が65/35、Pb濃度が約1wt%となるように調整した)を、予熱器38を経て導管37から約270g/Hrで液状で連続的にフィードして、反応を行った。反応及び蒸留に必要な熱量は塔下部液を導管46とリボイラー45を経て循環させることにより供給した。連続多段蒸留塔39の塔底部の液温度は231℃、塔頂圧力は2×10Paであり、還流比は約2とした。連続多段蒸留塔39の塔頂から留出するガスを導管40を経て、凝縮器41で凝縮して導管44より貯槽138に約42g/Hrで連続的に抜き出した。塔底からは導管46を経て貯槽47へ約228g/Hrで連続的に抜き出した。
導管44から抜き出された液の組成は、イソブタノール約33wt%、フェノール約66.5wt%、ジイソブチルカーボネート0.5wt%であった。貯槽47へ抜き出された液の組成は、フェノール約21wt%、ジイソブチルカーボネート約62wt%、イソブチルフェニルカーボネート約15wt%、ジフェニルカーボネート約1wt%、Pb濃度約1wt%であった。
(工程(5))
図6に示すような装置を用いて工程(5)を以下のように実施した。
段数40のシーブトレイを充填した内径約5cm、塔長2mの連続多段蒸留塔50の中段に工程(4)で貯槽47へ抜き出された液を、予熱器49を経て導管48から約228g/Hrで液状で連続的にフィードして、反応を行った。反応及び蒸留に必要な熱量は塔下部液を導管57とリボイラー56を経て循環させることにより供給した。連続多段蒸留塔50の塔底部の液温度は239℃、塔頂圧力は約30KPaであり、還流比は約2とした。連続多段蒸留塔50の塔頂から留出するガスを導管51を経て、凝縮器52で凝縮して導管55より約206g/Hrで連続的に抜き出した。塔底からは導管57を経て貯槽58へ約22g/Hrで連続的に抜き出した。
導管55から抜き出された液の組成は、イソブタノール約0.2wt%、フェノール約23wt%であり、ジイソブチルカーボネートが約73wt%、イソブチルフェニルカーボネート約4wt%であった。貯槽58へ抜き出された液の組成は、ジイソブチルカーボネートが約0.1wt%、イソブチルフェニルカーボネート約28wt%、ジフェニルカーボネート約60wt%、Pb濃度約12wt%であった。
[アルコールのリサイクル]
図7に示すような装置を用いてアルコールのリサイクルを以下のように実施した。
ディクソンパッキング(6mmφ)を充填した内径約5cm、塔長2mの連続多段蒸留塔61の中段に工程(4)で導管44から貯槽138に連続的に抜き出された液を導管59から予熱器60を経て約210g/Hrで連続的にフィードして、蒸留分離を行った。蒸留分離に必要な熱量は塔下部液を導管68とリボイラー67を経て循環させることにより供給した。連続多段蒸留塔61の塔底部の液温度は175℃、塔頂圧力は約80KPaであり、還流比は約0.3とした。連続多段蒸留塔61の塔頂から留出するガスを導管62を経て、凝縮器63で凝縮して導管66よりアルコール貯槽135へ約69g/Hrで連続的に抜き出した。塔底からは導管68を経て貯槽69へ約141g/Hrで連続的に抜き出した。
導管66から抜き出された液の組成は、イソブタノール約99.9wt%、フェノール約400ppmであった。貯槽69へ抜き出された液の組成は、ジイソブチルカーボネート約0.7wt%、イソブタノール約300ppmwt%、フェノール約99wt%であった。
[炭酸ジアリールの精製]
図8、9に示すような装置を用いて炭酸ジアリールの精製を以下のように実施した。
ディクソンパッキング(6mmφ)を充填した内径約5cm、塔長2mの連続多段蒸留塔72の中段に工程(5)で貯槽58に連続的に抜き出された液を導管70から予熱器71を経て約220g/Hrで連続的にフィードして、蒸留分離を行った。蒸留分離に必要な熱量は塔下部液を導管79とリボイラー78を経て循環させることにより供給した。連続多段蒸留塔72の塔底部の液温度は210℃、塔頂圧力は約1.5KPaであり、還流比は約1とした。連続多段蒸留塔72の塔頂から留出するガスを導管73を経て、凝縮器74で凝縮して導管77より連続的に抜き出した。塔底からは導管79を経て貯槽80へ約27g/Hrで連続的に抜き出した。
導管77から抜き出された液の組成は、ジイソブチルカーボネート約1000ppm、イソブチルフェニルカーボネート約32wt%、ジフェニルカーボネート約68wt%であった。
ディクソンパッキング(6mmφ)を充填した内径約5cm、塔長4mの連続多段蒸留塔83の中段に導管77から連続的に抜き出された液を導管81から予熱器82を経て約193g/Hrで連続的にフィードして、蒸留分離を行った。蒸留分離に必要な熱量は塔下部液を導管90とリボイラー89を経て循環させることにより供給した。連続多段蒸留塔83の塔底部の液温度は211℃、塔頂圧力は約7KPaであり、還流比は約2とした。連続多段蒸留塔83の塔頂から留出するガスを導管84を経て、凝縮器85で凝縮して導管88より約61g/Hrで連続的に抜き出した。塔底からは導管90を経て貯槽91へ約132g/Hrで連続的に抜き出した。
導管88から抜き出された液の組成は、ジイソブチルカーボネート約0.3wt%、ブチルフェニルカーボネート約99wt%、ジフェニルカーボネート約0.1wt%であった。貯槽91へ抜き出された液の組成は、ブチルフェニルカーボネート約500ppm、ジフェニルカーボネート約100wt%であった。
(ジブチルスズジアルコキシドの製造)
図3に示すような装置を用いてジブチルスズアルコキシドを以下のように製造した。
攪拌機及び加熱装置、バッフル付きの5LのSUS製反応器1にジブチル酸化スズ75g(0.3mol)を反応器1の上部4から入れ、2−エチル−1−ブタノール(米国、Aldrich社製)4837g(21mol)をアルコール貯槽16から、反応器1の上部に接続した導管3を通して加えた。1.0NL/HrでSUS配管を通して不活性ガス用導管2から窒素ガスのフィードを開始した。
攪拌及び反応器1の加熱を開始し、反応液温が約120℃となるように温度調節した。この状態で約6時間反応を続け、その間、反応器1の上部に接続したガス抜き出し用導管5から発生する低沸点成分をガス相として抜き出し、凝縮器6を通して貯槽7へ移送した。貯槽7には水を含む2−エチル−1−ブタノール液が得られていた。反応器1の内部の液相成分は抜き出し用導管8から貯槽9へ移送した。貯槽9から導管10で、攪拌機及び減圧するための装置、加熱装置を備えた脱アルコール器11へ移した。
上記操作を3回繰り返した後、脱アルコール器内部液を加熱、器内を減圧して未反応のアルコールをガス状にして導管21から抜き出し、凝縮器6を通して貯槽16へ移送した。液相成分は抜き出し導管12を通して貯槽23へ移送した。
貯槽23の液を分析した結果、約360gで、ジブチルスズジ−2−エチル−1−ブトキシドが約0.60モル、1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ジ−2−エチル−1−ブチルオキシ−ジスタンオキサンが約0.15モル含まれていた。
(工程(1))
貯槽23へ移送された液のうち120gを導管24から200mlオートクレーブ(日本国、東洋高圧社製)に入れて蓋をした。オートクレーブ内を窒素置換した後、SUSチューブとバルブを介してオートクレーブに接続された二酸化炭素のボンベの2次圧を5MPaに設定した後、バルブを開け、オートクレーブへ二酸化炭素を導入した。10分間攪拌し、バルブを閉めた。オートクレーブを攪拌したまま、温度を120℃まで昇温した。オートクレーブの内圧が常に約4MPaとなるように調整しながら、この状態のまま4時間反応させた。
途中サンプリングした結果、反応1時間後には炭酸ジ(2−エチル−ブチル)エステルが0.07mol生成しており、4時間後は約0.08molであった。オートクレーブを放冷したのち、二酸化炭素をパージした。
(工程(2))
図4に示すような装置を用いて工程(2)を以下のように実施した。
工程(1)の反応液をオートクレーブ下部から抜き出し、導管133を通して、窒素置換した脱二酸化炭素槽25へ移送した。窒素雰囲気で80℃で約5分間加熱攪拌して、発生する二酸化炭素をパージした。脱二酸化炭素槽25から導管26を通して貯槽131へ抜き出した。
薄膜蒸留装置30(日本国、柴田科学社製 E−420)に、ディクソンパッキング(6mmφ)を充填した内径約5cmの多段蒸留塔27を接続し、貯槽131に貯められた反応液を約90g/Hrの速度で、導管132から該蒸留塔の中段から供給した。還流比は約0.2とした。薄膜蒸留器30は、ジャケットに180℃の熱媒を循環させて、内部圧力(蒸留塔頂圧力)を約2.7KPaとした。揮発成分を凝縮器28で貯槽29へ移送した。液相成分は抜き出しポンプと導管31を通して貯槽32へ抜き出した。貯槽29へは約0.06モル/Hrで炭酸ジ(2−エチル−ブチル)エステルが抜き出されており、ジブチルスズアルコキシドは含まれていなかった。貯槽32へは約80g/Hrで液が抜き出されていて、該液中の炭酸ジ(2−エチル−ブチル)は検出限界以下であった。
(工程(3))
図3に示すような装置を用いて工程(3)を以下のように実施した。
工程(2)で貯槽32に抜き出された液を導管35でバッフル付きの5LのSUS製反応器1へ供給した。2−エチル−1−ブタノールを導管3から約4837g(21mol)加えた。1.0NL/HrでSUS配管を通して不活性ガス用導管2から窒素ガスのフィードを開始した。
攪拌及び反応器1の加熱を開始し、反応液温が約120℃となるように温度調節した。この状態で約6時間反応を続け、その間、反応器1の上部に接続したガス抜き出し用導管5から発生する低沸点成分をガス相として抜き出し、凝縮器6を通して貯槽7へ移送した。貯槽7には水を含む2−エチル−1−ブタノール液が得られていた。反応器1の内部の液相成分は抜き出し用導管8から貯槽9へ移送した。貯槽9から導管10で、攪拌機及び減圧するための装置、加熱装置を備えた脱アルコール器11へ移した。脱アルコール器内部液を加熱、器内を減圧して未反応のアルコールをガス状にして導管21から抜き出し、凝縮器6を通して貯槽16へ移送した。液相成分は抜き出し導管12を通して貯槽23へ移送した。
貯槽23へ移送された液を分析した結果、ジブチルスズジ(2−エチルブトキシド)と1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ジ(2−エチルブトキシ)−ジスタンオキサンが含まれていた。
貯槽23へ移送された液を繰り返し行う工程(1)へリサイクルして工程(1)〜(3)を繰り返し実施した。
(工程(4))
[触媒の調製]
フェノール40gと一酸化鉛8gを180℃で10時間加熱し、生成する水をフェノールと共に留去することにより触媒Aを調製した。
[芳香族炭酸エステルの製造]
図5に示すような装置を用いて工程(4)を以下のように実施した。
段数40のシーブトレイを充填した内径約5cm、塔長2mの連続多段蒸留塔39の中段に工程(2)で得られた炭酸ジ(2−エチル−ブチル)エステルを含む反応液、フェノール及び触媒Aからなる混合液(混合液中の炭酸ジ(2−エチル−ブチル)エステルとフェノールの重量比が71/29、Pb濃度が約1wt%となるように調整した)を、予熱器38を経て導管37から約200g/Hrで液状で連続的にフィードして、反応を行った。反応及び蒸留に必要な熱量は塔下部液を導管46とリボイラー45を経て循環させることにより供給した。連続多段蒸留塔39の塔底部の液温度は237℃、塔頂圧力は13KPaであり、還流比は約2とした。連続多段蒸留塔39の塔頂から留出するガスを導管40を経て、凝縮器41で凝縮して導管44より貯槽138に約34g/Hrで連続的に抜き出した。塔底からは導管46を経て貯槽47へ約166g/Hrで連続的に抜き出した。
導管44から抜き出された液の組成は、2−エチル−1−ブタノール約29wt%、フェノール約70.7wt%、炭酸ジ(2−エチル−ブチル)エステル0.3wt%であった。貯槽47へ抜き出された液の組成は、フェノール約14wt%、炭酸ジ(2−エチル−ブチル)エステル約70wt%、炭酸(2−エチルブチルフェニル)エステル約13wt%、ジフェニルカーボネート約0.7wt%、Pb濃度約1wt%であった。
(工程(5))
図6に示すような装置を用いて工程(5)を以下のように実施した。
段数40のシーブトレイを充填した内径約5cm、塔長2mの連続多段蒸留塔50の中段に工程(4)で貯槽47へ抜き出された液を、予熱器49を経て導管48から約166g/Hrで液状で連続的にフィードして、反応を行った。反応及び蒸留に必要な熱量は塔下部液を導管57とリボイラー56を経て循環させることにより供給した。連続多段蒸留塔50の塔底部の液温度は239℃、塔頂圧力は約19KPaであり、還流比は約2とした。連続多段蒸留塔50の塔頂から留出するガスを導管51を経て、凝縮器52で凝縮して導管55より約157g/Hrで連続的に抜き出した。塔底からは導管57を経て貯槽58へ約9g/Hrで連続的に抜き出した。
導管55から抜き出された液の組成は、2−エチル−1−ブタノール約500ppm、フェノール約15wt%であり、炭酸ジ(2−エチル−ブチル)エステルが約78wt%、炭酸(2−エチルブチルフェニル)約7wt%であった。貯槽58へ抜き出された液の組成は、炭酸ジ(2−エチル−ブチル)が約0.1wt%、炭酸(2−エチルブチルフェニル)エステル約26wt%、ジフェニルカーボネート約53wt%、Pb濃度約21wt%であった。
[アルコールのリサイクル]
図7に示すような装置を用いてアルコールのリサイクルを以下のように実施した。
ディクソンパッキング(6mmφ)を充填した内径約5cm、塔長2mの連続多段蒸留塔61の塔下部より0.4mに工程(4)で導管44から貯槽138に連続的に抜き出された液を導管59から予熱器60を経て約170g/Hrで連続的にフィードして、蒸留分離を行った。蒸留分離に必要な熱量は塔下部液を導管68とリボイラー67を経て循環させることにより供給した。連続多段蒸留塔61の塔底部の液温度は138℃、塔頂圧力は約20KPaであり、還流比は約2とした。連続多段蒸留塔61の塔頂から留出するガスを導管62を経て、凝縮器63で凝縮して導管66よりアルコール貯槽135へ約49g/Hrで連続的に抜き出した。塔底からは導管68を経て貯槽69へ約121g/Hrで連続的に抜き出した。
導管66から抜き出された液の組成は、2−エチル−1−ブタノール約99.7wt%、フェノール約0.3wt%であった。貯槽69へ抜き出された液の組成は、炭酸ジ(2−エチル−ブチル)エステル約0.4wt%、2−エチル−1−ブタノール約0.1wt%、フェノール約99.5wt%であった。
[炭酸ジアリールの精製]
図8、9に示すような装置を用いて炭酸ジアリールの精製を以下のように実施した。
ディクソンパッキング(6mmφ)を充填した内径約5cm、塔長2mの連続多段蒸留塔72の中段に工程(5)で貯槽58に連続的に抜き出された液を導管70から予熱器71を経て約193g/Hrで連続的にフィードして、蒸留分離を行った。蒸留分離に必要な熱量は塔下部液を導管79とリボイラー78を経て循環させることにより供給した。連続多段蒸留塔72の塔底部の液温度は230℃、塔頂圧力は約1.5KPaであり、還流比は約1.5とした。連続多段蒸留塔72の塔頂から留出するガスを導管73を経て、凝縮器74で凝縮して導管77より連続的に抜き出した。塔底からは導管79を経て貯槽80へ約40g/Hrで連続的に抜き出した。
導管77から抜き出された液の組成は、炭酸ジ(2−エチル−ブチル)エステル約0.1wt%、炭酸(2−エチルブチルフェニル)エステル約33wt%、ジフェニルカーボネート約67wt%であった。
ディクソンパッキング(6mmφ)を充填した内径約5cm、塔長4mの連続多段蒸留塔83の塔下部より0.2mより導管77から連続的に抜き出された液を導管81から予熱器82を経て約229g/Hrで連続的にフィードして、蒸留分離を行った。蒸留分離に必要な熱量は塔下部液を導管90とリボイラー89を経て循環させることにより供給した。連続多段蒸留塔83の塔底部の液温度は241℃、塔頂圧力は約33KPaであり、還流比は約5とした。連続多段蒸留塔83の塔頂から留出するガスを導管84を経て、凝縮器85で凝縮して導管88より約120g/Hrで連続的に抜き出した。塔底からは導管90を経て貯槽91へ約109g/Hrで連続的に抜き出した。
導管88から抜き出された液の組成は、炭酸ジ(2−エチル−ブチル)エステル約0.2wt%、炭酸(2−エチルブチルフェニル)エステル約61wt%、ジフェニルカーボネート約39wt%であった。貯槽91へ抜き出された液の組成は、炭酸(2−エチルブチルフェニル)エステル約2wt%、ジフェニルカーボネート約98wt%であった。
(ジブチルスズジアルコキシドの製造)
図3に示すような装置を用いてジブチルスズアルコキシドを以下のように製造した。
攪拌機及び加熱装置、バッフル付きの5LのSUS製反応器1にジブチル酸化スズ75g(0.3mol)を反応器1の上部4から入れ、1−ブタノール(米国、Aldrich社製)2223g(30mol)をアルコール貯槽16から、反応器1の上部に接続した導管3を通して加えた。0.1NL/HrでSUS配管を通して不活性ガス用導管2から窒素ガスのフィードを開始した。
攪拌及び反応器1の加熱を開始し、反応液温が113℃から1−ブタノールの沸点となるように温度調節した。この状態で約6時間反応を続け、その間、反応器1の上部に接続したガス抜き出し用導管5から発生する低沸点成分をガス相として抜き出し、凝縮器6を通して貯槽7へ移送した。貯槽7には水を含む1−ブタノール液が得られていた。反応器1の内部の液相成分は抜き出し用導管8から貯槽9へ移送した。貯槽9から導管10で、攪拌機及び減圧するための装置、加熱装置を備えた脱アルコール器11へ移した。
上記操作を3回繰り返した後、脱アルコール器内部液を加熱、器内を減圧して未反応のアルコールをガス状にして導管21から抜き出し、凝縮器6を通して貯槽16へ移送した。液相成分は抜き出し導管12を通して貯槽23へ移送した。
貯槽23の液を分析した結果、約320gで、ジブチルスズジブトキシドが約0.54モル、1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ジブチルオキシ−ジスタンオキサンが約0.18モル含まれていた。
(工程(1))
貯槽23へ移送された液のうち約107gを導管24から200mlオートクレーブ(日本国、東洋高圧社製)に入れて蓋をした。オートクレーブ内を窒素置換した後、SUSチューブとバルブを介してオートクレーブに接続された二酸化炭素のボンベの2次圧を5MPaに設定した後、バルブを開け、オートクレーブへ二酸化炭素を導入した。10分間攪拌し、バルブを閉めた。オートクレーブを攪拌したまま、温度を100℃まで昇温した。オートクレーブの内圧が常に約4MPaとなるように調整しながら、この状態のまま4時間反応させた。
途中サンプリングした結果、反応1時間後にはジブチルカーボネートが0.05mol生成しており、4時間後は約0.06molであった。オートクレーブを放冷したのち、二酸化炭素をパージした。
(工程(2))
図4に示すような装置を用いて工程(2)を以下のように実施した。
工程(1)の反応液をオートクレーブ下部から抜き出し、導管133を通して、窒素置換した脱二酸化炭素槽25へ移送した。窒素雰囲気で80℃で約5分間加熱攪拌して、発生する二酸化炭素をパージした。脱二酸化炭素槽25から導管26を通して貯槽131へ抜き出した。
薄膜蒸留装置30(日本国、柴田科学社製 E−420)に、ディクソンパッキング(6mmφ)を充填した内径約5cmの多段蒸留塔27を接続し、貯槽131に貯められた反応液を約90g/Hrの速度で、導管132から該蒸留塔の中段から供給した。還流比は約0.2とした。薄膜蒸留器30は、ジャケットに120℃の熱媒を循環させて、内部圧力(蒸留塔頂圧力)を約1.3KPaとした。揮発成分を凝縮器28で貯槽29へ移送した。液相成分は抜き出しポンプと導管31を通して貯槽32へ抜き出した。貯槽29へは約0.05モル/Hrでジブチルカーボネートが抜き出されており、ジブチルスズアルコキシドは含まれていなかった。貯槽32へは約80g/Hrで液が抜き出されていて、該液中のジブチルカーボネートは検出限界以下であった。
(工程(3))
図3に示すような装置を用いて工程(3)を以下のように実施した。
工程(2)で貯槽32に抜き出された液を導管35でバッフル付きの5LのSUS製反応器1へ供給した。1−ブタノールを導管3から約2223g(30mol)加えた。0.1NL/HrでSUS配管を通して不活性ガス用導管2から窒素ガスのフィードを開始した。
攪拌及び反応器1の加熱を開始し、反応液温が113℃から1−ブタノールの沸点となるように温度調節した。この状態で約6時間反応を続け、その間、反応器1の上部に接続したガス抜き出し用導管5から発生する低沸点成分をガス相として抜き出し、凝縮器6を通して貯槽7へ移送した。貯槽7には水を含む1−ブタノール液が得られていた。反応器1の内部の液相成分は抜き出し用導管8から貯槽9へ移送した。貯槽9から導管10で、攪拌機及び減圧するための装置、加熱装置を備えた脱アルコール器11へ移した。脱アルコール器内部液を加熱、器内を減圧して未反応のアルコールをガス状にして導管21から抜き出し、凝縮器6を通して貯槽16へ移送した。液相成分は抜き出し導管12を通して貯槽23へ移送した。
貯槽23へ移送された液を分析した結果、ジブチルスズジブトキシドと1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ジブチルオキシ−ジスタンオキサンが含まれていた。
貯槽23へ移送された液を繰り返し行う工程(1)へリサイクルして工程(1)〜(3)を繰り返し実施した。
(工程(4))
[触媒の調製]
フェノール79gと一酸化鉛32gを180℃で10時間加熱し、生成する水をフェノールと共に留去した。10時間で水約2.5gを抜き出した。その後反応器上部からフェノールを留去することにより触媒Bを調製した。
[芳香族炭酸エステルの製造]
図5に示すような装置を用いて工程(4)を以下のように実施した。
段数40のシーブトレイを充填した内径約5cm塔長2mの連続多段蒸留塔39の塔上方0.5mに工程(2)で得られたジブチルカーボネートを含む反応液、フェノール及び触媒Bからなる混合液(混合液中のジブチルカーボネートとフェノールの重量比が約65/35、Pb濃度が約1wt%となるように調整した)を、予熱器38を経て導管37から約270g/Hrで液状で連続的にフィードして、反応を行った。反応及び蒸留に必要な熱量は塔下部液を導管46とリボイラー45を経て循環させることにより供給した。連続多段蒸留塔39の塔底部の液温度は221℃、塔頂圧力は約150KPaであり、還流比は約2とした。連続多段蒸留塔39の塔頂から留出するガスを導管40を経て、凝縮器41で凝縮して導管44より貯槽138に約42g/Hrで連続的に抜き出した。塔底からは導管46を経て貯槽47へ約203g/Hrで連続的に抜き出した。
導管44から抜き出された液の組成は、1−ブタノール約23wt%、フェノール約73wt%、ジブチルカーボネート4wt%であった。貯槽47へ抜き出された液の組成は、フェノール約12wt%、ジブチルカーボネート約67wt%、ブチルフェニルカーボネート約18wt%、ジフェニルカーボネート約1wt%、Pb濃度約1wt%であった。
(工程(5))
図6に示すような装置を用いて工程(5)を以下のように実施した。
ディクソンパッキング(6mmφ)を充填した内径約5cm、塔長2mの連続多段蒸留塔50の中段に工程(4)で導管44より貯槽47へ抜き出された液を、予熱器49を経て導管48から約203g/Hrで液状で連続的にフィードして、反応を行った。反応及び蒸留に必要な熱量は塔下部液を導管57とリボイラー56を経て循環させることにより供給した。連続多段蒸留塔50の塔底部の液温度は235℃、塔頂圧力は約26KPaであり、還流比は約2とした。連続多段蒸留塔50の塔頂から留出するガスを導管51を経て、凝縮器52で凝縮して導管55より貯槽29へ約176g/Hrで連続的に抜き出した。塔底からは導管57を経て貯槽58へ約27g/Hrで連続的に抜き出した。
導管55から抜き出された液の組成は、1−ブタノール約300ppm、フェノール約14wt%、ジブチルカーボネート約84wt%、ブチルフェニルカーボネート約1wt%であった。貯槽58へ抜き出された液の組成は、ジブチルカーボネート約0.5wt%、ブチルフェニルカーボネート約31wt%、ジフェニルカーボネート約59wt%、Pb濃度約10wt%であった。
[アルコールのリサイクル]
図7に示すような装置を用いてアルコールのリサイクルを以下のように実施した。
ディクソンパッキング(6mmφ)を充填した内径約5cm、塔長2mの連続多段蒸留塔61の中段に工程(4)で導管44から貯槽138に連続的に抜き出された液を導管59から予熱器60を経て約201g/Hrで連続的にフィードして、蒸留分離を行った。蒸留分離に必要な熱量は塔下部液を導管68とリボイラー67を経て循環させることにより供給し。連続多段蒸留塔61の塔底部の液温度は116℃、塔頂圧力は約13KPaであり、還流比は約0.5とした。連続多段蒸留塔61の塔頂から留出するガスを導管62を経て、凝縮器63で凝縮して導管66よりアルコール貯槽16へ約46g/Hrで連続的に抜き出した。塔底からは導管68を経て貯槽69へ約155g/Hrで連続的に抜き出した。
導管66から抜き出された液の組成は、1−ブタノール約100wt%、フェノールは検出限界以下であった。貯槽69へ抜き出された液の組成は、ジブチルカーボネート約5wt%、フェノール約95wt%であった。
[炭酸ジアリールの精製]
図8、9に示すような装置を用いて炭酸ジアリールの精製を以下のように実施した。
ディクソンパッキング(6mmφ)を充填した内径約5cm、塔長2mの連続多段蒸留塔72の中段に工程(5)で貯槽58に連続的に抜き出された液を導管70から予熱器71を経て約273g/Hrで連続的にフィードして、蒸留分離を行った。蒸留分離に必要な熱量は塔下部液を導管79とリボイラー78を経て循環させることにより供給した。連続多段蒸留塔72の塔底部の液温度は210℃、塔頂圧力は約1.5KPaであり、還流比は約1とした。連続多段蒸留塔72の塔頂から留出するガスを導管73を経て、凝縮器74で凝縮して導管77より連続的に抜き出した。塔底からは導管79を経て貯槽80へ約27g/Hrで連続的に抜き出した。
導管77から抜き出された液の組成は、ジブチルカーボネート約0.6wt%、ブチルフェニルカーボネート約34wt%、ジフェニルカーボネート約65wt%であった。
ディクソンパッキング(6mmφ)を充填した内径約5cm、塔長2mの連続多段蒸留塔83の中段に導管77から連続的に抜き出された液を導管81から予熱器82を経て約246g/Hrで連続的にフィードして、蒸留分離を行った。蒸留分離に必要な熱量は塔下部液を導管90とリボイラー89を経て循環させることにより供給した。連続多段蒸留塔83の塔底部の液温度は211℃、塔頂圧力は約7KPaであり、還流比は約2とした。連続多段蒸留塔83の塔頂から留出するガスを導管84を経て、凝縮器85で凝縮して導管88より約85g/Hrで連続的に抜き出した。塔底からは導管90を経て貯槽91へ約161g/Hrで連続的に抜き出した。
導管88から抜き出された液の組成は、ジブチルカーボネート約1.6wt%、ブチルフェニルカーボネート約98wt%、ジフェニルカーボネート約0.4wt%であった。貯槽91へ抜き出された液の組成は、ブチルフェニルカーボネート約0.2wt%、ジフェニルカーボネート約99wt%であった。
(ジブチルスズジアルコキシドの製造)
図3に示すような装置を用いてジブチルスズアルコキシドを以下のように製造した。
攪拌機及び加熱装置、バッフル付きの5LのSUS製反応器1にジブチル酸化スズ75g(0.3mol)を反応器1の上部4から入れ、1−ブタノール(米国、Aldrich社製)2223g(30mol)をアルコール貯槽16から、反応器上部に接続した導管3を通して加えた。0.1NL/HrでSUS配管を通して不活性ガス用導管2から窒素ガスのフィードを開始した。攪拌及び反応器の加熱を開始し、反応液温が113℃から1−ブタノールの沸点となるように温度調節した。この状態で約6時間反応を続け、その間、反応器上部に接続したガス抜き出し用導管5から発生する低沸点成分をガス相として抜き出し、凝縮器6を通して貯槽7へ移送した。貯槽7には水を含む1−ブタノール液が得られていた。反応器1の内部の液相成分は抜き出し用導管8から貯槽9へ移送した。貯槽9から導管10で、攪拌機及び減圧するための装置、加熱装置を備えた脱アルコール器11へ移した。
上記操作を3回繰り返した後、液相成分を含む全成分を抜き出し導管12を通して貯槽23へ移送した。
貯槽23の液を分析した結果、約1170gで、ジブチルスズジブトキシドが約0.54モル、1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ジブチルオキシ−ジスタンオキサンが約0.18モル含まれていた。
(工程(1))
貯槽23へ移送された液のうち約130gを導管24から200mlオートクレーブ(日本国、東洋高圧社製)に入れて蓋をした。オートクレーブ内を窒素置換した後、SUSチューブとバルブを介してオートクレーブに接続された二酸化炭素のボンベの2次圧を5MPaに設定した後、バルブを開け、オートクレーブへ二酸化炭素を導入した。10分間攪拌し、バルブを閉めた。オートクレーブを攪拌したまま、温度を120℃まで昇温した。オートクレーブの内圧が常に約4MPaとなるように調整しながら、この状態のまま4時間反応させた。
途中サンプリングした結果、反応1時間後にはジブチルカーボネートが0.01mol生成しており、4時間後は約0.02molであった。オートクレーブを放冷したのち、二酸化炭素をパージした。その後反応液をオートクレーブ下部から抜き出し、図4に示すような装置の貯槽127へ移送した。
上記操作を3回繰り返した後に貯槽127をサンプリングした結果、ジブチルカーボネートが0.07mol含まれていた。
(工程(2))
図4に示すような装置を用いて工程(2)を以下のように実施した。
貯槽127から導管128を通して脱二酸化炭素槽25へ反応液を移送した。脱二酸化炭素槽25を窒素雰囲気で80℃で約15分間加熱攪拌して、発生する二酸化炭素をパージした。脱二酸化炭素槽25から導管26を通して貯槽131へ抜き出した。
薄膜蒸留装置30(日本国、柴田科学社製 E−420)に、ディクソンパッキング(6mmφ)を充填した内径約5cmの多段蒸留塔27を接続し、貯槽131に貯められた反応液を約26g/Hrの速度で、導管132から該蒸留塔の中段から供給した。還流比は約0.2とした。薄膜蒸留器30は、ジャケットに120℃の熱媒を循環させて、内部圧力(蒸留塔頂圧力)を約1.3KPaとした。揮発成分を凝縮器28で貯槽29へ移送した。液相成分は抜き出しポンプと導管31を通して貯槽32へ抜き出した。貯槽29へは約0.02モル/Hrでジブチルカーボネートが1−ブタノールとともに抜き出されており、ジブチルスズアルコキシドは含まれていなかった。貯槽32へは約22g/Hrで液が抜き出されていて、該液中のジブチルカーボネートは検出限界以下であった。
(工程(3))
図3に示すような装置を用いて工程(3)を以下のように実施した。
工程(2)で貯槽32に抜き出された液を導管35でバッフル付きの5LのSUS製反応器1へ供給した。1−ブタノールを導管3から約2223g(30mol)加えた。0.1NL/HrでSUS配管を通して不活性ガス用導管2から窒素ガスのフィードを開始した。
攪拌及び反応器1の加熱を開始し、反応液温が113℃から1−ブタノールの沸点となるように温度調節した。この状態で約6時間反応を続け、その間、反応器1の上部に接続したガス抜き出し用導管5から発生する低沸点成分をガス相として抜き出し、凝縮器6を通して貯槽7へ移送した。貯槽7には水を含む1−ブタノール液が得られていた。反応器1の内部の液相成分は抜き出し用導管8から貯槽9へ移送した。貯槽9から導管10で、攪拌機及び減圧するための装置、加熱装置を備えた脱アルコール器11へ移した。脱アルコール器内部液を加熱、器内を減圧して未反応のアルコールをガス状にして導管21から抜き出し、凝縮器6を通して貯槽16へ移送した。液相成分は抜き出し導管12を通して貯槽23へ移送した。
貯槽23へ移送された液成分を分析した結果、ジブチルスズジブトキシドと1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ジブチルオキシ−ジスタンオキサンが含まれていた。
貯槽23へ移送された液を繰り返し行う工程(1)へリサイクルして工程(1)〜(3)を繰り返し実施した。
(工程(4))
[触媒の調製]
フェノール79gと一酸化鉛32gを180℃で10時間加熱し、生成する水をフェノールと共に留去した。10時間で水約2.5gを抜き出した。その後反応器上部からフェノールを留去することにより触媒Bを調製した。
[アルコールと炭酸ジアルキルの分離]
図10に示すような装置を用いて1−ブタノールとジブチルカーボネートの分離を以下のように実施した。
ディクソンパッキング(6mmφ)を充填した内径約5cm、塔長2mの連続多段蒸留塔94の塔下部0.6mに工程(2)で貯槽29に連続的に抜き出された液を導管92から予熱器93を経て約295g/Hrで連続的にフィードして、蒸留分離を行った。蒸留分離に必要な熱量は塔下部液を導管101とリボイラー100を経て循環させることにより供給した。連続多段蒸留塔94の塔底部の液温度は150℃、塔頂圧力は約19KPaであり、還流比は約0.1とした。連続多段蒸留塔94の塔頂から留出するガスを導管95を経て、凝縮器96で凝縮して導管99よりアルコール貯槽139へ約283g/Hrで連続的に抜き出した。塔底からは導管101を経て貯槽102へ約12g/Hrで連続的に抜き出した。
導管99から抜き出された液の組成は、1−ブタノール約100wt%、ジブチルカーボネートは検出限界以下であった。貯槽102へ抜き出された液の組成は、ジブチルカーボネート約99.6wt%、1−ブタノール約0.4wt%であった。
[芳香族炭酸エステルの製造]
図5に示すような装置を用いて工程(4)を以下のように実施した。
段数40のシーブトレイを充填した内径約5cm、塔長2mの連続多段蒸留塔39の中段に工程(2)で得られたジブチルカーボネートを含む反応液、フェノール及び触媒Bからなる混合液(混合液中のジブチルカーボネートとフェノールの重量比が約65/35、Pb濃度が約1wt%となるように調整した)を、予熱器38を経て導管37から約270g/Hrで液状で連続的にフィードして、反応を行った。反応及び蒸留に必要な熱量は塔下部液を導管46とリボイラー45を経て循環させることにより供給した。連続多段蒸留塔39の塔底部の液温度は220℃、塔頂圧力は約150KPaであり、還流比は約1とした。連続多段蒸留塔39の塔頂から留出するガスを導管40を経て、凝縮器41で凝縮して導管44より貯槽138に約67g/Hrで連続的に抜き出した。塔底からは導管46を経て貯槽47へ約203g/Hrで連続的に抜き出した。
導管44から抜き出された液の組成は、1−ブタノール約18wt%、フェノール約74wt%、ジブチルカーボネート8wt%であった。貯槽47へ抜き出された液の組成は、フェノール約14wt%、ジブチルカーボネート約69wt%、ブチルフェニルカーボネート約14wt%、ジフェニルカーボネート約1wt%、Pb濃度約1wt%であった。
(工程(5))
図6に示すような装置を用いて工程(5)を以下のように実施した。
ディクソンパッキング(6mmφ)を充填した内径約5cm、塔長2mの連続多段蒸留塔50の中段に工程(4)で導管44より貯槽47へ抜き出された液を、予熱器49を経て導管48から約203g/Hrで液状で連続的にフィードして、反応を行った。反応及び蒸留に必要な熱量は塔下部液を導管57とリボイラー56を経て循環させることにより供給した。連続多段蒸留塔50の塔底部の液温度は231℃、塔頂圧力は約26KPaであり、還流比は約1とした。連続多段蒸留塔50の塔頂から留出するガスを導管51を経て、凝縮器52で凝縮して導管55より貯槽29へ約181g/Hrで連続的に抜き出した。塔底からは導管57を経て貯槽58へ約22g/Hrで連続的に抜き出した。
導管55から抜き出された液の組成は、1−ブタノール約500ppm、フェノール約16wt%、ジブチルカーボネート約82wt%、ブチルフェニルカーボネート約2wt%であった。貯槽58へ抜き出された液の組成は、ジブチルカーボネート約0.1wt%、ブチルフェニルカーボネート約38wt%、ジフェニルカーボネート約50wt%、Pb濃度約12wt%であった。
[アルコールのリサイクル]
図7に示すような装置を用いてアルコールのリサイクルを以下のように実施した。
ディクソンパッキング(6mmφ)を充填した内径約5cm、塔長2mの連続多段蒸留塔61の中段に工程(4)で導管44から貯槽138に連続的に抜き出された液を導管59から予熱器60を経て約201g/Hrで連続的にフィードして、蒸留分離を行った。蒸留分離に必要な熱量は塔下部液を導管68とリボイラー67を経て循環させることにより供給し。連続多段蒸留塔61の塔底部の液温度は134℃、塔頂圧力は約16KPaであり、還流比は約0.5とした。連続多段蒸留塔61の塔頂から留出するガスを導管62を経て、凝縮器63で凝縮して導管66よりアルコール貯槽16へ約38g/Hrで連続的に抜き出した。塔底からは導管68を経て貯槽69へ約163g/Hrで連続的に抜き出した。
導管66から抜き出された液の組成は、1−ブタノール約100wt%、フェノールは検出限界以下であった。貯槽69へ抜き出された液の組成は、ジブチルカーボネート約10wt%、フェノール約90wt%であった。
[炭酸ジアリールの精製]
図8、9に示すような装置を用いて炭酸ジアリールの精製を以下のように実施した。
ディクソンパッキング(6mmφ)を充填した内径約5cm、塔長2mの連続多段蒸留塔72の中段に工程(5)で貯槽58に連続的に抜き出された液を導管70から予熱器71を経て約225g/Hrで連続的にフィードして、蒸留分離を行った。蒸留分離に必要な熱量は塔下部液を導管79とリボイラー78を経て循環させることにより供給した。連続多段蒸留塔72の塔底部の液温度は210℃、塔頂圧力は約1.5KPaであり、還流比は約1とした。連続多段蒸留塔72の塔頂から留出するガスを導管73を経て、凝縮器74で凝縮して導管77より連続的に抜き出した。塔底からは導管79を経て貯槽80へ約27g/Hrで連続的に抜き出した。
導管77から抜き出された液の組成は、ジブチルカーボネート約0.1wt%、ブチルフェニルカーボネート約43wt%、ジフェニルカーボネート約57wt%であった。
ディクソンパッキング(6mmφ)を充填した内径約5cm、塔長2mの連続多段蒸留塔83の中段に導管77から連続的に抜き出された液を導管81から予熱器82を経て約198g/Hrで連続的にフィードして、蒸留分離を行った。蒸留分離に必要な熱量は塔下部液を導管90とリボイラー89を経て循環させることにより供給した。連続多段蒸留塔83の塔底部の液温度は211℃、塔頂圧力は約7KPaであり、還流比は約2とした。連続多段蒸留塔83の塔頂から留出するガスを導管84を経て、凝縮器85で凝縮して導管88より約86g/Hrで連続的に抜き出した。塔底からは導管90を経て貯槽91へ約112g/Hrで連続的に抜き出した。
導管88から抜き出された液の組成は、ジブチルカーボネート約0.3wt%、ブチルフェニルカーボネート約99wt%、ジフェニルカーボネート約0.2wt%であった。貯槽91へ抜き出された液の組成は、ブチルフェニルカーボネート約0.1wt%、ジフェニルカーボネート約99wt%であった。
(ジブチルスズジアルコキシドの製造)
図3に示すような装置を用いてジブチルスズアルコキシドを以下のように製造した。
攪拌機及び加熱装置、バッフル付きの5LのSUS製反応器1にジブチル酸化スズ75g(0.3mol)を反応器1の上部4から入れ、1−ブタノール(米国、Aldrich社製)2223g(30mol)をアルコール貯槽16から、反応器1の上部に接続した導管3を通して加えた。0.1NL/HrでSUS配管を通して不活性ガス用導管2から窒素ガスのフィードを開始した。
攪拌及び反応器1の加熱を開始し、反応液温が113℃から1−ブタノールの沸点となるように温度調節した。この状態で約6時間反応を続け、その間、反応器1の上部に接続したガス抜き出し用導管5から発生する低沸点成分をガス相として抜き出し、凝縮器6を通して貯槽7へ移送した。貯槽7には水を含む1−ブタノール液が得られていた。反応器1の内部の液相成分は抜き出し用導管8から貯槽9へ移送した。貯槽9から導管10で、攪拌機及び減圧するための装置、加熱装置を備えた脱アルコール器11へ移した。
上記操作を3回繰り返した後、脱アルコール器内部液を加熱、器内を減圧して未反応のアルコールをガス状にして導管21から抜き出し、凝縮器6を通して貯槽16へ移送した。液相成分は抜き出し導管12を通して貯槽23へ移送した。
貯槽23の液を分析した結果、約320gで、ジブチルスズジブトキシドが約0.54モル、1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ジブチルオキシ−ジスタンオキサンが約0.18モル含まれていた。
(工程(1))
貯槽23へ移送された液のうち約107gを導管24から200mlオートクレーブ(日本国、東洋高圧社製)に入れて蓋をした。オートクレーブ内を窒素置換した後、SUSチューブとバルブを介してオートクレーブに接続された二酸化炭素のボンベの2次圧を5MPaに設定した後、バルブを開け、オートクレーブへ二酸化炭素を導入した。10分間攪拌し、バルブを閉めた。オートクレーブを攪拌したまま、温度を120℃まで昇温した。オートクレーブの内圧が常に約4MPaとなるように調整しながら、この状態のまま4時間反応させた。
途中サンプリングした結果、反応1時間後にはジブチルカーボネートが0.06mol生成しており、4時間後は約0.07molであった。オートクレーブを放冷したのち、二酸化炭素をパージした。
(工程(2))
図4に示すような装置を用いて工程(2)を以下のように実施した。
工程(1)の反応液をオートクレーブ下部から抜き出し、導管133を通して、窒素置換した脱二酸化炭素槽25へ移送した。窒素雰囲気で80℃で約5分間加熱攪拌して、発生する二酸化炭素をパージした。脱二酸化炭素槽25から導管26を通して貯槽131へ抜き出した。
薄膜蒸留装置30(日本国、柴田科学社製 E−420)に、ディクソンパッキング(6mmφ)を充填した内径約5cmの多段蒸留塔27を接続し、貯槽131に貯められた反応液を約120g/Hrの速度で、導管132から該蒸留塔の中段から供給した。還流比は約0.5とした。薄膜蒸留器30は、ジャケットに130℃の熱媒を循環させて、内部圧力(蒸留塔頂圧力)を約1KPaとした。揮発成分を凝縮器28で貯槽29へ移送した。液相成分は抜き出しポンプと導管31を通して貯槽32へ抜き出した。貯槽29へは約0.08モル/Hrでジブチルカーボネートが抜き出されており、ジブチルスズアルコキシドは含まれていなかった。貯槽32へは約110g/Hrで液が抜き出されていて、該液中のジブチルカーボネートは検出限界以下であった。
(工程(3))
図3に示すような装置を用いて工程(3)を以下のように実施した。
工程(2)で貯槽32に抜き出された液を導管35でバッフル付きの5LのSUS製反応器1へ供給した。1−ブタノールを導管3から約2223g(30mol)加えた。0.1NL/HrでSUS配管を通して不活性ガス用導管2から窒素ガスのフィードを開始した。
攪拌及び反応器1の加熱を開始し、反応液温が113℃から1−ブタノールの沸点となるように温度調節した。この状態で約6時間反応を続け、その間、反応器1の上部に接続したガス抜き出し用導管5から発生する低沸点成分をガス相として抜き出し、凝縮器6を通して貯槽7へ移送した。貯槽7には水を含む1−ブタノール液が得られていた。反応器1の内部の液相成分は抜き出し用導管8から貯槽9へ移送した。貯槽9から導管10で、攪拌機及び減圧するための装置、加熱装置を備えた脱アルコール器11へ移した。脱アルコール器内部液を加熱、器内を減圧して未反応のアルコールをガス状にして導管21から抜き出し、凝縮器6を通して貯槽16へ移送した。液相成分は抜き出し導管12を通して貯槽23へ移送した。
貯槽23へ移送された液を分析した結果、ジブチルスズジブトキシドと1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ジブチルオキシ−ジスタンオキサンが含まれていた。
貯槽23へ移送された液を繰り返し行う工程(1)へリサイクルして工程(1)〜(3)を繰り返し実施した。
(工程(4))
[触媒の調製]
フェノール79gと一酸化鉛32gを180℃で10時間加熱し、生成する水をフェノールと共に留去した。10時間で水約2.5gを抜き出した。その後反応器上部からフェノールを留去することにより触媒Bを調製した。
[芳香族炭酸エステルの製造]
図5に示すような装置を用いて工程(4)を以下のように実施した。
段数40のシーブトレイを充填した内径約5cm、塔長2mの連続多段蒸留塔39の中段に工程(2)で得られたジブチルカーボネートを含む反応液、フェノール及び触媒Bからなる混合液(混合液中のジブチルカーボネートとフェノールの重量比が約48/52、Pb濃度が約1wt%となるように調整した)を、予熱器38を経て導管37から約270g/Hrで液状で連続的にフィードして、反応を行った。反応及び蒸留に必要な熱量は塔下部液を導管46とリボイラー45を経て循環させることにより供給した。連続多段蒸留塔39の塔底部の液温度は221℃、塔頂圧力は約150KPaであり、還流比は約2とした。連続多段蒸留塔39の塔頂から留出するガスを導管40を経て、凝縮器41で凝縮して導管44より貯槽138に約60g/Hrで連続的に抜き出した。塔底からは導管46を経て貯槽47へ約210g/Hrで連続的に抜き出した。
導管44から抜き出された液の組成は、1−ブタノール約10wt%、フェノール約90wt%、ジブチルカーボネート0.3wt%であった。貯槽47へ抜き出された液の組成は、フェノール約36wt%、ジブチルカーボネート約54wt%、ブチルフェニルカーボネート約8wt%、ジフェニルカーボネート約0.5wt%、Pb濃度約1wt%であった。
(工程(5))
図6に示すような装置を用いて工程(5)を以下のように実施した。
ディクソンパッキング(6mmφ)を充填した内径約5cm、塔長2mの連続多段蒸留塔50の中段に工程(4)で導管44より貯槽47へ抜き出された液を、予熱器49を経て導管48から約210g/Hrで液状で連続的にフィードして、反応を行った。反応及び蒸留に必要な熱量は塔下部液を導管57とリボイラー56を経て循環させることにより供給した。連続多段蒸留塔50の塔底部の液温度は237℃、塔頂圧力は約26KPaであり、還流比は約2とした。連続多段蒸留塔50の塔頂から留出するガスを導管51を経て、凝縮器52で凝縮して導管55より貯槽29へ約198g/Hrで連続的に抜き出した。塔底からは導管57を経て貯槽58へ約12g/Hrで連続的に抜き出した。
導管55から抜き出された液の組成は、1−ブタノール約0.4wt%、フェノール約38wt%、ジブチルカーボネート約60wt%、ブチルフェニルカーボネート約1wt%であった。貯槽58へ抜き出された液の組成は、ジブチルカーボネート約1wt%、ブチルフェニルカーボネート約11wt%、ジフェニルカーボネート約65wt%、Pb濃度約23wt%であった。
[アルコールのリサイクル]
図7に示すような装置を用いてアルコールのリサイクルを以下のように実施した。
ディクソンパッキング(6mmφ)を充填した内径約5cm、塔長2mの連続多段蒸留塔61の中段に工程(4)で導管44から貯槽138に連続的に抜き出された液を導管59から予熱器60を経て約300g/Hrで連続的にフィードして、蒸留分離を行った。蒸留分離に必要な熱量は塔下部液を導管68とリボイラー67を経て循環させることにより供給し。連続多段蒸留塔61の塔底部の液温度は134℃、塔頂圧力は約16KPaであり、還流比は約0.7とした。連続多段蒸留塔61の塔頂から留出するガスを導管62を経て、凝縮器63で凝縮して導管66よりアルコール貯槽135へ約30g/Hrで連続的に抜き出した。塔底からは導管68を経て貯槽69へ約270g/Hrで連続的に抜き出した。
導管66から抜き出された液の組成は、1−ブタノール約100wt%、フェノールは検出限界以下であった。貯槽69へ抜き出された液の組成は、ジブチルカーボネート約0.3wt%、フェノール約99wt%であった。
[炭酸ジアリールの精製]
図8、9に示すような装置を用いて炭酸ジアリールの精製を以下のように実施した。
ディクソンパッキング(6mmφ)を充填した内径約5cm、塔長2mの連続多段蒸留塔72の中段に工程(5)で貯槽58に連続的に抜き出された液を導管70から予熱器71を経て約118g/Hrで連続的にフィードして、蒸留分離を行った。蒸留分離に必要な熱量は塔下部液を導管79とリボイラー78を経て循環させることにより供給した。連続多段蒸留塔72の塔底部の液温度は210℃、塔頂圧力は約1.5KPaであり、還流比は約1とした。連続多段蒸留塔72の塔頂から留出するガスを導管73を経て、凝縮器74で凝縮して導管77より連続的に抜き出した。塔底からは導管79を経て貯槽80へ約27g/Hrで連続的に抜き出した。
導管77から抜き出された液の組成は、ジブチルカーボネート約1wt%、ブチルフェニルカーボネート約15wt%、ジフェニルカーボネート約84wt%であった。
ディクソンパッキング(6mmφ)を充填した内径約5cm、塔長2mの連続多段蒸留塔83の中段に導管77から連続的に抜き出された液を導管81から予熱器82を経て約91g/Hrで連続的にフィードして、蒸留分離を行った。蒸留分離に必要な熱量は塔下部液を導管90とリボイラー89を経て循環させることにより供給した。連続多段蒸留塔83の塔底部の液温度は207℃、塔頂圧力は約5KPaであり、還流比は約3.5とした。連続多段蒸留塔83の塔頂から留出するガスを導管84を経て、凝縮器85で凝縮して導管88より約14g/Hrで連続的に抜き出した。塔底からは導管90を経て貯槽91へ約77g/Hrで連続的に抜き出した。
導管88から抜き出された液の組成は、ジブチルカーボネート約8wt%、ブチルフェニルカーボネート約90wt%、ジフェニルカーボネート約2wt%であった。貯槽91へ抜き出された液の組成は、ブチルフェニルカーボネート約0.2wt%、ジフェニルカーボネート約99wt%であった。
(ジブチルスズジアルコキシドの製造)
図3に示すような装置を用いてジブチルスズアルコキシドを以下のように製造した。
攪拌機及び加熱装置、バッフル付きの5LのSUS製反応器1にジブチル酸化スズ75g(0.3mol)を反応器1の上部4から入れ、1−ブタノール(米国、Aldrich社製)2224g(30mol)をアルコール貯槽16から、反応器1の上部に接続した導管3を通して加えた。0.1NL/HrでSUS配管を通して不活性ガス用導管2から窒素ガスのフィードを開始した。攪拌及び反応器の加熱を開始し、反応液温が113℃から1−ブタノールの沸点となるように温度調節した。この状態で約6時間反応を続け、その間、反応器上部に接続したガス抜き出し用導管5から発生する低沸点成分をガス相として抜き出し、凝縮器6を通して貯槽7へ移送した。貯槽7には水を含む1−ブタノール液が得られていた。反応器1の内部の液相成分は抜き出し用導管8から貯槽9へ移送した。貯槽9から導管10で、攪拌機及び減圧するための装置、加熱装置を備えた脱アルコール器11へ移した。
上記操作を3回繰り返した後、脱アルコール器内部液を加熱、器内を減圧して未反応のアルコールをガス状にして導管21から抜き出し、凝縮器6を通して貯槽16へ移送した。液相成分は抜き出し導管12を通して貯槽23へ移送した。
貯槽23の液を分析した結果、約320gで、ジブチルスズジブトキシドが約0.54モル、1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ジブチルオキシ−ジスタンオキサンが約0.18モル含まれていた。
(工程(1))
貯槽23へ移送された液のうち約107gを導管24から200mlオートクレーブ(日本国、東洋高圧社製)に入れて蓋をした。オートクレーブ内を窒素置換した後、SUSチューブとバルブを介してオートクレーブに接続された二酸化炭素のボンベの2次圧を5MPaに設定した後、バルブを開け、オートクレーブへ二酸化炭素を導入した。10分間攪拌し、バルブを閉めた。オートクレーブを攪拌したまま、温度を120℃まで昇温した。オートクレーブの内圧が常に約4MPaとなるように調整しながら、この状態のまま4時間反応させた。
途中サンプリングした結果、反応1時間後にはジブチルカーボネートが0.06mol生成しており、4時間後は約0.07molであった。オートクレーブを放冷したのち、二酸化炭素をパージした。
(工程(2))
図4に示すような装置を用いて工程(2)を以下のように実施した。
工程(1)の反応液をオートクレーブ下部から抜き出し、導管133を通して、窒素置換した脱二酸化炭素槽25へ移送した。窒素雰囲気で80℃で約5分間加熱攪拌して、発生する二酸化炭素をパージした。脱二酸化炭素槽25から導管26を通して貯槽131へ抜き出した。
薄膜蒸留装置30(日本国、柴田科学社製 E−420)に、ディクソンパッキング(6mmφ)を充填した内径約5cmの多段蒸留塔27を接続し、貯槽131に貯められた反応液を約100g/Hrの速度で、導管132から該蒸留塔の中段から供給した。還流比は約0.2とした。薄膜蒸留器30は、ジャケットに150℃の熱媒を循環させて、内部圧力(蒸留塔頂圧力)を約1.3KPaとした。揮発成分を凝縮器28で貯槽29へ移送した。液相成分は抜き出しポンプと導管31を通して貯槽32へ抜き出した。貯槽29へは約0.07モル/Hrでジブチルカーボネートが抜き出されており、ジブチルスズアルコキシドは含まれていなかった。貯槽32へは約90g/Hrで液が抜き出されていて、該液中のジブチルカーボネートは検出限界以下であった。
(工程(3))
図3に示すような装置を用いて工程(3)を以下のように実施した。
工程(2)で貯槽32に抜き出された液を導管35でバッフル付きの5LのSUS製反応器1へ供給した。1−ブタノールを導管3から約2150g(29mol)加えた。0.1NL/HrでSUS配管を通して不活性ガス用導管2から窒素ガスのフィードを開始した。
攪拌及び反応器1の加熱を開始し、反応液温が113℃から1−ブタノールの沸点となるように温度調節した。この状態で約6時間反応を続け、その間、反応器1の上部に接続したガス抜き出し用導管5から発生する低沸点成分をガス相として抜き出し、凝縮器6を通して貯槽7へ移送した。貯槽7には水を含む1−ブタノール液が得られていた。反応器1の内部の液相成分は抜き出し用導管8から貯槽9へ移送した。貯槽9から導管10で、攪拌機及び減圧するための装置、加熱装置を備えた脱アルコール器11へ移した。脱アルコール器内部液を加熱、器内を減圧して未反応のアルコールをガス状にして導管21から抜き出し、凝縮器6を通して貯槽16へ移送した。液相成分は抜き出し導管12を通して貯槽23へ移送した。
貯槽23へ移送された液を分析した結果、ジブチルスズジブトキシドと1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ジブチルオキシ−ジスタンオキサンが含まれていた。
貯槽23へ移送された液を繰り返し行う工程(1)へリサイクルして工程(1)〜(3)を繰り返し実施した。
(工程(4))
[芳香族炭酸エステルの製造]
図5に示すような装置を用いて工程(4)を以下のように実施した。
段数40のシーブトレイを充填した内径約5cm、塔長2mの連続多段蒸留塔39の中段に工程(2)で得られたジブチルカーボネートを含む反応液、フェノール及びハフミウムエトキシド(米国、Gelest社製)からなる混合液(混合液中のジブチルカーボネートとフェノールの重量比が65/35、Hf濃度が約1wt%となるように調整した)を、予熱器38を経て導管37から約270g/Hrで液状で連続的にフィードして、反応を行った。反応及び蒸留に必要な熱量は塔下部液を導管46とリボイラー45を経て循環させることにより供給した。連続多段蒸留塔39の塔底部の液温度は231℃、塔頂圧力は2×10Paであり、還流比は約2とした。連続多段蒸留塔39の塔頂から留出するガスを導管40を経て、凝縮器41で凝縮して導管44より貯槽138に約40g/Hrで連続的に抜き出した。塔底からは導管46を経て貯槽47へ約230g/Hrで連続的に抜き出した。
導管44から抜き出された液の組成は、1−ブタノール約27wt%、フェノール約70wt%、ジブチルカーボネート1wt%であった。貯槽47へ抜き出された液の組成は、フェノール約21wt%、ジブチルカーボネート約62wt%、ブチルフェニルカーボネート約11%、ジフェニルカーボネート約1wt%、Pb濃度約1wt%であった。
(工程(5))
図6に示すような装置を用いて工程(5)を以下のように実施した。
段数40のシーブトレイを充填した内径約5cm、塔長2mの連続多段蒸留塔50の中段に工程(4)で貯槽47へ抜き出された液を、予熱器49を経て導管48から約230g/Hrで液状で連続的にフィードして、反応をおこなった。反応及び蒸留に必要な熱量は塔下部液を導管57とリボイラー56を経て循環させることにより供給した。連続多段蒸留塔50の塔底部の液温度は239℃、塔頂圧力は約20KPaであり、還流比は約2とした。連続多段蒸留塔50の塔頂から留出するガスを導管51を経て、凝縮器52で凝縮して導管55より約220g/Hrで連続的に抜き出した。塔底からは導管57を経て貯槽58へ約15g/Hrで連続的に抜き出した。
導管55から抜き出された液の組成は、1−ブタノール約1wt%、フェノール約22wt%、ジブチルカーボネートが約68wt%、ブチルフェニルカーボネート約2wt%であった。貯槽58へ抜き出された液の組成は、ジブチルカーボネートが約0.1wt%、ブチルフェニルカーボネート約31wt%、ジフェニルカーボネート約50wt%、Pb濃度約18wt%であった。
[アルコールのリサイクル]
図7に示すような装置を用いてアルコールのリサイクルを以下のように実施した。
ディクソンパッキング(6mmφ)を充填した内径約5cm、塔長2mの連続多段蒸留塔61の中段に工程(4)で導管44から貯槽138に連続的に抜き出された液を導管59から予熱器60を経て約200g/Hrで連続的にフィードして、蒸留分離を行った。蒸留分離に必要な熱量は塔下部液を導管68とリボイラー67を経て循環させることにより供給した。連続多段蒸留塔61の塔底部の液温度は121℃、塔頂圧力は約9KPaであり、還流比は約0.5とした。連続多段蒸留塔61の塔頂から留出するガスを導管62を経て、凝縮器63で凝縮して導管66よりアルコール貯槽135へ約54g/Hrで連続的に抜き出した。塔底からは導管68を経て貯槽69へ約146g/Hrで連続的に抜き出した。
導管66から抜き出された液の組成は、1−ブタノール約100wt%、フェノールは検出限界以下であった。貯槽69へ抜き出された液の組成は、ジブチルカーボネート約1wt%、1−ブタノールは検出限界以下、フェノール約96wt%であった。
[炭酸ジアリールの精製]
図8、9に示すような装置を用いて炭酸ジアリールの精製を以下のように実施した。
ディクソンパッキング(6mmφ)を充填した内径約5cm、塔長2mの連続多段蒸留塔72の中段に工程(5)で貯槽58に連続的に抜き出された液を導管70から予熱器71を経て約149g/Hrで連続的にフィードして、蒸留分離を行った。蒸留分離に必要な熱量は塔下部液を導管79とリボイラー78を経て循環させることにより供給した。連続多段蒸留塔72の塔底部の液温度は210℃、塔頂圧力は約1.5KPaであり、還流比は約1とした。連続多段蒸留塔72の塔頂から留出するガスを導管73を経て、凝縮器74で凝縮して導管77より連続的に抜き出した。塔底からは導管79を経て貯槽80へ約27g/Hrで連続的に抜き出した。
導管77から抜き出された液の組成は、ジブチルカーボネート約0.1wt%、ブチルフェニルカーボネート約50wt%、ジフェニルカーボネート約50wt%であった。
ディクソンパッキング(6mmφ)を充填した内径約5cm、塔長2mの連続多段蒸留塔83の中段に導管77から連続的に抜き出された液を導管81から予熱器82を経て約122g/Hrで連続的にフィードして、蒸留分離を行った。蒸留分離に必要な熱量は塔下部液を導管90とリボイラー89を経て循環させることにより供給した。連続多段蒸留塔83の塔底部の液温度は227℃、塔頂圧力は約13KPaであり、還流比は約4とした。連続多段蒸留塔83の塔頂から留出するガスを導管84を経て、凝縮器85で凝縮して導管88より約61g/Hrで連続的に抜き出した。塔底からは導管90を経て貯槽91へ約61g/Hrで連続的に抜き出した。
導管88から抜き出された液の組成は、ジブチルカーボネート約0.2wt%、ブチルフェニルカーボネート約99wt%、ジフェニルカーボネート約300ppmであった。貯槽91へ抜き出された液の組成は、ブチルフェニルカーボネート約400ppm、ジフェニルカーボネート約100wt%であった。
(ジブチルスズジアルコキシドの製造)
図3に示すような装置を用いてジブチルスズアルコキシドを以下のように製造した。
攪拌機及び加熱装置、バッフル付きの5LのSUS製反応器1にジブチル酸化スズ75g(0.3mol)を反応器1の上部4から入れ、1−ブタノール(米国、Aldrich社製)2223g(30mol)をアルコール貯槽16から、反応器1の上部に接続した導管3を通して加えた。0.1NL/HrでSUS配管を通して不活性ガス用導管2から窒素ガスのフィードを開始した。
攪拌及び反応器1の加熱を開始し、反応液温が113℃から1−ブタノールの沸点となるように温度調節した。この状態で約6時間反応を続け、その間、反応器1の上部に接続したガス抜き出し用導管5から発生する低沸点成分をガス相として抜き出し、凝縮器6を通して貯槽7へ移送した。貯槽7には水を含む1−ブタノール液が得られていた。反応器1の内部の液相成分は抜き出し用導管8から貯槽9へ移送した。貯槽9から導管10で、攪拌機及び減圧するための装置、加熱装置を備えた脱アルコール器11へ移した。
上記操作を3回繰り返した後、脱アルコール器内部液を加熱、器内を減圧して未反応のアルコールをガス状にして導管21から抜き出し、凝縮器6を通して貯槽16へ移送した。液相成分は抜き出し導管12を通して貯槽23へ移送した。
貯槽23の液を分析した結果、約320gで、ジブチルスズジブトキシドが約0.54モル、1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ジブチルオキシ−ジスタンオキサンが約0.18モル含まれていた。
(工程(1))
貯槽23へ移送された液のうち約107gを導管24から200mlオートクレーブ(日本国、東洋高圧社製)に入れて蓋をした。オートクレーブ内を窒素置換した後、SUSチューブとバルブを介してオートクレーブに接続された二酸化炭素のボンベの2次圧を5MPaに設定した後、バルブを開け、オートクレーブへ二酸化炭素を導入した。10分間攪拌し、バルブを閉めた。オートクレーブを攪拌したまま、温度を120℃まで昇温した。オートクレーブの内圧が常に約4MPaとなるように調整しながら、この状態のまま4時間反応させた。
途中サンプリングした結果、反応1時間後にはジブチルカーボネートが0.06mol生成しており、4時間後は約0.07molであった。オートクレーブを放冷したのち、二酸化炭素をパージした。
(工程(2))
図4に示すような装置を用いて工程(2)を以下のように実施した。
工程(1)の反応液をオートクレーブ下部から抜き出し、導管133を通して、窒素置換した脱二酸化炭素槽25へ移送した。窒素雰囲気で80℃で約5分間加熱攪拌して、発生する二酸化炭素をパージした。脱二酸化炭素槽25から導管26を通して貯槽131へ抜き出した。
薄膜蒸留装置30(日本国、柴田科学社製 E−420)に、ディクソンパッキング(6mmφ)を充填した内径約5cmの多段蒸留塔27を接続し、貯槽131に貯められた反応液を約60g/Hrの速度で、導管132から該蒸留塔の中段から供給した。還流比は約0.1とした。薄膜蒸留器30は、ジャケットに140℃の熱媒を循環させて、内部圧力(蒸留塔頂圧力)を約2KPaとした。揮発成分を凝縮器28で貯槽29へ移送した。液相成分は抜き出しポンプと導管31を通して貯槽32へ抜き出した。貯槽29へは約0.04モル/Hrでジブチルカーボネートが抜き出されており、ジブチルスズアルコキシドは含まれていなかった。貯槽32へは約55g/Hrで液が抜き出されていて、該液中のジブチルカーボネートは検出限界以下であった。
(工程(3))
図3に示すような装置を用いて工程(3)を以下のように実施した。
工程(2)で貯槽32に抜き出された液を導管35でバッフル付きの5LのSUS製反応器1へ供給した。1−ブタノールを導管3から約2223g(30mol)加えた。0.1NL/HrでSUS配管を通して不活性ガス用導管2から窒素ガスのフィードを開始した。
攪拌及び反応器1の加熱を開始し、反応液温が113℃から1−ブタノールの沸点となるように温度調節した。この状態で約6時間反応を続け、その間、反応器1の上部に接続したガス抜き出し用導管5から発生する低沸点成分をガス相として抜き出し、凝縮器6を通して貯槽7へ移送した。貯槽7には水を含む1−ブタノール液が得られていた。反応器1の内部の液相成分は抜き出し用導管8から貯槽9へ移送した。貯槽9から導管10で、攪拌機及び減圧するための装置、加熱装置を備えた脱アルコール器11へ移した。脱アルコール器内部液を加熱、器内を減圧して未反応のアルコールをガス状にして導管21から抜き出し、凝縮器6を通して貯槽16へ移送した。液相成分は抜き出し導管12を通して貯槽23へ移送した。
貯槽23へ移送された液を分析した結果、ジブチルスズジブトキシドと1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ジブチルオキシ−ジスタンオキサンが含まれていた。
貯槽23へ移送された液を繰り返し行う工程(1)へリサイクルして工程(1)〜(3)を繰り返し実施した。
(工程(4))
[芳香族炭酸エステルの製造]
図5に示すような装置を用いて工程(4)を以下のように実施した。
段数40のシーブトレイを充填した内径約5cm、塔長2mの連続多段蒸留塔39の中段に工程(2)で得られたジブチルカーボネートを含む反応液、フェノール及びジフェニルスズオキシド(日本国、アヅマックス社製)からなる混合液(混合液中のジブチルカーボネートとフェノールの重量比が約65/35、Sn濃度が約1wt%となるように調整した)を、予熱器38を経て導管37から約135g/Hrで液状で連続的にフィードして、反応を行った。反応及び蒸留に必要な熱量は塔下部液を導管46とリボイラー45を経て循環させることにより供給した。連続多段蒸留塔39の塔底部の液温度は231℃、塔頂圧力は約150KPaであり、還流比は約2とした。連続多段蒸留塔39の塔頂から留出するガスを導管40を経て、凝縮器41で凝縮して導管44より貯槽138に約31g/Hrで連続的に抜き出した。塔底からは導管46を経て貯槽47へ約105g/Hrで連続的に抜き出した。
導管44から抜き出された液の組成は、1−ブタノール約8wt%、フェノール約84wt%、ジブチルカーボネート8wt%であった。貯槽47へ抜き出された液の組成は、フェノール約17wt%、ジブチルカーボネート約75wt%、ブチルフェニルカーボネート約6wt%、ジフェニルカーボネート約0.3wt%、Sn濃度約1wt%であった。
(工程(5))
図6に示すような装置を用いて工程(5)を以下のように実施した。
ディクソンパッキング(6mmφ)を充填した内径約5cm、塔長2mの連続多段蒸留塔50の中段に工程(4)で導管44より貯槽47へ抜き出された液を、予熱器49を経て導管48から約316g/Hrで液状で連続的にフィードして、反応を行った。反応及び蒸留に必要な熱量は塔下部液を導管57とリボイラー56を経て循環させることにより供給した。連続多段蒸留塔50の塔底部の液温度は240℃、塔頂圧力は約26KPaであり、還流比は約2とした。連続多段蒸留塔50の塔頂から留出するガスを導管51を経て、凝縮器52で凝縮して導管55より貯槽29へ約304g/Hrで連続的に抜き出した。塔底からは導管57を経て貯槽58へ約12g/Hrで連続的に抜き出した。
導管55から抜き出された液の組成は、1−ブタノール約0.1wt%、フェノール約18wt%、ジブチルカーボネート約79wt%、ブチルフェニルカーボネート約3wt%であった。貯槽58へ抜き出された液の組成は、ジブチルカーボネート約0.5wt%、ブチルフェニルカーボネート約40wt%、ジフェニルカーボネート約25wt%、Sn濃度約34wt%であった。
[アルコールのリサイクル]
図7に示すような装置を用いてアルコールのリサイクルを以下のように実施した。
ディクソンパッキング(6mmφ)を充填した内径約5cm、塔長2mの連続多段蒸留塔61の中段に工程(4)で導管44から貯槽138に連続的に抜き出された液を導管59から予熱器60を経て約310g/Hrで連続的にフィードして、蒸留分離を行った。蒸留分離に必要な熱量は塔下部液を導管68とリボイラー67を経て循環させることにより供給し。連続多段蒸留塔61の塔底部の液温度は110℃、塔頂圧力は約9KPaであり、還流比は約0.7とした。連続多段蒸留塔61の塔頂から留出するガスを導管62を経て、凝縮器63で凝縮して導管66よりアルコール貯槽135へ約25g/Hrで連続的に抜き出した。塔底からは導管68を経て貯槽69へ約285g/Hrで連続的に抜き出した。
導管66から抜き出された液の組成は、1−ブタノール約100wt%、フェノールは検出限界以下であった。貯槽69へ抜き出された液の組成は、ジブチルカーボネート約9wt%、フェノール約91wt%であった。
[炭酸ジアリールの精製]
図8、9に示すような装置を用いて炭酸ジアリールの精製を以下のように実施した。
ディクソンパッキング(6mmφ)を充填した内径約5cm、塔長2mの連続多段蒸留塔72の中段に工程(5)で貯槽58に連続的に抜き出された液を導管70から予熱器71を経て約200g/Hrで連続的にフィードして、蒸留分離を行った。蒸留分離に必要な熱量は塔下部液を導管79とリボイラー78を経て循環させることにより供給した。連続多段蒸留塔72の塔底部の液温度は210℃、塔頂圧力は約1.5KPaであり、還流比は約1とした。連続多段蒸留塔72の塔頂から留出するガスを導管73を経て、凝縮器74で凝縮して導管77より連続的に抜き出した。塔底からは導管79を経て貯槽80へ約70g/Hrで連続的に抜き出した。
導管77から抜き出された液の組成は、ジブチルカーボネート約1wt%、ブチルフェニルカーボネート約61wt%、ジフェニルカーボネート約38wt%であった。
ディクソンパッキング(6mmφ)を充填した内径約5cm、塔長2mの連続多段蒸留塔83の中段に導管77から連続的に抜き出された液を導管81から予熱器82を経て約130g/Hrで連続的にフィードして、蒸留分離を行った。蒸留分離に必要な熱量は塔下部液を導管90とリボイラー89を経て循環させることにより供給した。連続多段蒸留塔83の塔底部の液温度は227℃、塔頂圧力は約13KPaであり、還流比は約4とした。連続多段蒸留塔83の塔頂から留出するガスを導管84を経て、凝縮器85で凝縮して導管88より約81g/Hrで連続的に抜き出した。塔底からは導管90を経て貯槽91へ約49g/Hrで連続的に抜き出した。
導管88から抜き出された液の組成は、ジブチルカーボネート約2wt%、ブチルフェニルカーボネート約98wt%、ジフェニルカーボネート約0.1wt%であった。貯槽91へ抜き出された液の組成は、ブチルフェニルカーボネートは検出限界以下、ジフェニルカーボネート約100wt%であった。
(ジブチルスズジアルコキシドの製造)
図3に示すような装置を用いてジブチルスズアルコキシドを以下のように製造した。
攪拌機及び加熱装置、バッフル付きの5LのSUS製反応器1にジブチル酸化スズ75g(0.3mol)を反応器1の上部4から入れ、5−メチル−1−ヘキサノール(米国、Aldrich社製)3486g(30mol)をアルコール貯槽16から、反応器1の上部に接続した導管3を通して加えた。0.1NL/HrでSUS配管を通して不活性ガス用導管2から窒素ガスのフィードを開始した。
攪拌及び反応器1の加熱を開始し、反応液温が約120℃となるように温度調節した。この状態で約6時間反応を続け、その間、反応器1の上部に接続したガス抜き出し用導管5から発生する低沸点成分をガス相として抜き出し、凝縮器6を通して貯槽7へ移送した。貯槽7には水を含む5−メチル−1−ヘキサノール液が得られていた。反応器1の内部の液相成分は抜き出し用導管8から貯槽9へ移送した。貯槽9から導管10で、攪拌機及び減圧するための装置、加熱装置を備えた脱アルコール器11へ移した。
上記操作を3回繰り返した後、脱アルコール器内部液を加熱、器内を減圧して未反応のアルコールをガス状にして導管21から抜き出し、凝縮器6を通して貯槽16へ移送した。液相成分は抜き出し導管12を通して貯槽23へ移送した。
貯槽23の液を分析した結果、約380gで、ジブチルスズジ(5−メチルヘキシド)が約0.56モル、1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ジ(5−メチルヘキシ)−ジスタンオキサンが約0.17モル含まれていた。
(工程(1))
貯槽23へ移送された液のうち約127gを導管24から200mlオートクレーブ(日本国、東洋高圧社製)に入れて蓋をした。オートクレーブ内を窒素置換した後、SUSチューブとバルブを介してオートクレーブに接続された二酸化炭素のボンベの2次圧を5MPaに設定した後、バルブを開け、オートクレーブへ二酸化炭素を導入した。10分間攪拌し、バルブを閉めた。オートクレーブを攪拌したまま、温度を120℃まで昇温した。オートクレーブの内圧が常に約4MPaとなるように調整しながら、この状態のまま4時間反応させた。
途中サンプリングした結果、反応1時間後にはジ(5−メチルヘキシル)カーボネートが0.07mol生成しており、4時間後は約0.08molであった。オートクレーブを放冷したのち、二酸化炭素をパージした。
(工程(2))
図4に示すような装置を用いて工程(2)を以下のように実施した。
工程(1)の反応液をオートクレーブ下部から抜き出し、導管133を通して、窒素置換した脱二酸化炭素槽25へ移送した。窒素雰囲気で80℃で約5分間加熱攪拌して、発生する二酸化炭素をパージした。脱二酸化炭素槽25から導管26を通して貯槽131へ抜き出した。
薄膜蒸留装置30(日本国、柴田科学社製 E−420)に、ディクソンパッキング(6mmφ)を充填した内径約5cmの多段蒸留塔27を接続し、貯槽131に貯められた反応液を約60g/Hrの速度で、導管132から該蒸留塔の中段から供給した。還流比は約0.2とした。薄膜蒸留器30は、ジャケットに100℃の熱媒を循環させて、内部圧力(蒸留塔頂圧力)を約1.3KPaとした。揮発成分を凝縮器28で貯槽29へ移送した。液相成分は抜き出しポンプと導管31を通して貯槽32へ抜き出した。貯槽29へは約0.04モル/Hrでジ(5−メチルヘキシル)カーボネートが抜き出されており、ジブチルスズアルコキシドは含まれていなかった。貯槽32へは約55g/Hrで液が抜き出されていて、該液中のジ(5−メチルヘキシル)カーボネートは検出限界以下であった。
(工程(3))
図3に示すような装置を用いて工程(3)を以下のように実施した。
工程(2)で貯槽32に抜き出された液を導管35でバッフル付きの5LのSUS製反応器1へ供給した。
5−メチル−1−ヘキサノールを導管3から約3486g(30mol)加えた。0.1NL/HrでSUS配管を通して不活性ガス用導管2から窒素ガスのフィードを開始した。
攪拌及び反応器1の加熱を開始し、反応液温が約120℃となるように温度調節した。この状態で約6時間反応を続け、その間、反応器1の上部に接続したガス抜き出し用導管5から発生する低沸点成分をガス相として抜き出し、凝縮器6を通して貯槽7へ移送した。貯槽7には水を含む5−メチル−1−ヘキサノール液が得られていた。反応器1の内部の液相成分は抜き出し用導管8から貯槽9へ移送した。貯槽9から導管10で、攪拌機及び減圧するための装置、加熱装置を備えた脱アルコール器11へ移した。脱アルコール器内部液を加熱、器内を減圧して未反応のアルコールをガス状にして導管21から抜き出し、凝縮器6を通して貯槽16へ移送した。液相成分は抜き出し導管12を通して貯槽23へ移送した。
貯槽23へ移送された液を分析した結果、ジブチルスズジ(5−メチルヘキシド)と1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ジ(5−メチルヘキシ)−ジスタンオキサンが含まれていた。
貯槽23へ移送された液を繰り返し行う工程(1)へリサイクルして工程(1)〜(3)を繰り返し実施した。
(工程(4))
[触媒の調製]
フェノール79gと一酸化鉛32gを180℃で10時間加熱し、生成する水をフェノールと共に留去した。10時間で水約2.5gを抜き出した。その後反応器上部からフェノールを留去することにより触媒Bを調製した。
[芳香族炭酸エステルの製造]
図5に示すような装置を用いて工程(4)を以下のように実施した。
ディクソンパッキング(6mmφ)を充填した内径約5cm、塔長2mの連続多段蒸留塔39の中段に工程(2)で得られたジ(5−メチルヘキシル)カーボネートを含む反応液、フェノール及び触媒Bからなる混合液(混合液中のジ(5−メチルヘキシル)カーボネートとフェノールの重量比が約65/35、Pb濃度が約1wt%となるように調整した)を、予熱器38を経て導管37から約270g/Hrで液状で連続的にフィードして、反応を行った。反応及び蒸留に必要な熱量は塔下部液を導管46とリボイラー45を経て循環させることにより供給した。連続多段蒸留塔39の塔底部の液温度は230℃、塔頂圧力は約150KPaであり、還流比は約2とした。連続多段蒸留塔39の塔頂から留出するガスを導管40を経て、凝縮器41で凝縮して導管44より貯槽138に約58g/Hrで連続的に抜き出した。塔底からは導管46を経て貯槽47へ約212g/Hrで連続的に抜き出した。
導管44から抜き出された液の組成は、5−メチル−1−ヘキサノール約21wt%、フェノール約79wt%、ジ(5−メチルヘキシル)カーボネートは0.3wt%であった。貯槽47へ抜き出された液の組成は、フェノール約29wt%、ジ(5−メチルヘキシル)カーボネート約60wt%、(5−メチルヘキシル)フェニルカーボネートカーボネート約9%、ジフェニルカーボネート約0.5wt%、Pb濃度約1wt%であった。
(工程(5))
図6に示すような装置を用いて工程(5)を以下のように実施した。
ディクソンパッキング(6mmφ)を充填した内径約5cm、塔長2mの連続多段蒸留塔50の中段に工程(4)で導管44より貯槽47へ抜き出された液を、予熱器49を経て導管48から約212g/Hrで液状で連続的にフィードして、反応をおこなった。反応及び蒸留に必要な熱量は塔下部液を導管57とリボイラー56を経て循環させることにより供給した。連続多段蒸留塔50の塔底部の液温度は237℃、塔頂圧力は約26KPaであり、還流比は約2とした。連続多段蒸留塔50の塔頂から留出するガスを導管51を経て、凝縮器52で凝縮して導管55より貯槽29へ約200g/Hrで連続的に抜き出した。塔底からは導管57を経て貯槽58へ約12g/Hrで連続的に抜き出した。
導管55から抜き出された液の組成は、5−メチル−1−ヘキサノール約0.1wt%、フェノール約7wt%、ジ(5−メチルヘキシル)カーボネート約89wt%、(5−メチルヘキシル)フェニルカーボネートカーボネート約4wt%であった。貯槽58へ抜き出された液の組成は、ジ(5−メチルヘキシル)カーボネート約3wt%、(5−メチルヘキシル)フェニルカーボネートカーボネート約15wt%、ジフェニルカーボネート約60wt%、Pb濃度約2wt%であった。
[アルコールのリサイクル]
図7に示すような装置を用いてアルコールのリサイクルを以下のように実施した。
ディクソンパッキング(6mmφ)を充填した内径約5cm、塔長2mの連続多段蒸留塔61の塔最下部より約0.4mに工程(4)で導管44から貯槽138に連続的に抜き出された液を導管59から予熱器60を経て約174g/Hrで連続的にフィードして、蒸留分離を行った。蒸留分離に必要な熱量は塔下部液を導管68とリボイラー67を経て循環させることにより供給した。連続多段蒸留塔61の塔底部の液温度は112℃、塔頂圧力は約4KPaであり、還流比は約6とした。連続多段蒸留塔61の塔頂から留出するガスを導管62を経て、凝縮器63で凝縮して導管66よりアルコール貯槽135へ約36g/Hrで連続的に抜き出した。塔底からは導管68を経て貯槽69へ約138g/Hrで連続的に抜き出した。
導管66から抜き出された液の組成は、5−メチル−1−ヘキサノール約100wt%、フェノール約400ppmであった。貯槽69へ抜き出された液の組成は、ジ(5−メチルヘキシル)カーボネート約0.4wt%、5−メチル−1−ヘキサノール約0.5wt%、フェノール約99wt%であった。
[炭酸ジアリールの精製]
図8、9に示すような装置を用いて炭酸ジアリールの精製を以下のように実施した。
ディクソンパッキング(6mmφ)を充填した内径約5cm、塔長2mの連続多段蒸留塔72の中段に工程(5)で貯槽58に連続的に抜き出された液を導管70から予熱器71を経て約244g/Hrで連続的にフィードして、蒸留分離を行った。蒸留分離に必要な熱量は塔下部液を導管79とリボイラー78を経て循環させることにより供給した。連続多段蒸留塔72の塔底部の液温度は210℃、塔頂圧力は約1.5KPaであり、還流比は約1とした。連続多段蒸留塔72の塔頂から留出するガスを導管73を経て、凝縮器74で凝縮して導管77より連続的に抜き出した。塔底からは導管79を経て貯槽80へ約54g/Hrで連続的に抜き出した。
導管77から抜き出された液の組成は、ジ(5−メチルヘキシル)カーボネート約4wt%、(5−メチルヘキシル)フェニルカーボネートカーボネート約19wt%、ジフェニルカーボネート約70wt%であった。
ディクソンパッキング(6mmφ)を充填した内径約5cm、塔長2mの連続多段蒸留塔83の中段に導管77から連続的に抜き出された液を導管81から予熱器82を経て約190g/Hrで連続的にフィードして、蒸留分離を行った。蒸留分離に必要な熱量は塔下部液を導管90とリボイラー89を経て循環させることにより供給した。連続多段蒸留塔83の塔底部の液温度は300℃、塔頂圧力は約101KPa(常圧)であり、還流比は約6とした。連続多段蒸留塔83の塔頂から留出するガスを導管84を経て、凝縮器85で凝縮して導管88より約87g/Hrで連続的に抜き出した。塔底からは導管90を経て貯槽91へ約103g/Hrで連続的に抜き出した。
導管88から抜き出された液の組成は、ジ(5−メチルヘキシル)カーボネート約8wt%、(5−メチルヘキシル)フェニルカーボネートカーボネート約37wt%、ジフェニルカーボネート約55wt%であった。貯槽91へ抜き出された液の組成は、(5−メチルヘキシル)フェニルカーボネートカーボネート約4wt%、ジフェニルカーボネート約96wt%であった。
(ジブチルスズジアルコキシドの製造)
図3に示すような装置を用いてジブチルスズアルコキシドを以下のように製造した。
攪拌機及び加熱装置、バッフル付きの5LのSUS製反応器1にジブチル酸化スズ75g(0.3mol)を反応器1の上部4から入れ、1−ブタノール(米国、Aldrich社製)2224g(30mol)をアルコール貯槽16から、反応器1の上部に接続した導管3を通して加えた。0.1NL/HrでSUS配管を通して不活性ガス用導管2から窒素ガスのフィードを開始した。
攪拌及び反応器1の加熱を開始し、反応液温が113℃から1−ブタノールの沸点となるように温度調節した。この状態で約6時間反応を続け、その間、反応器1の上部に接続したガス抜き出し用導管5から発生する低沸点成分をガス相として抜き出し、凝縮器6を通して貯槽7へ移送した。貯槽7には水を含む1−ブタノール液が得られていた。反応器1の内部の液相成分は抜き出し用導管8から貯槽9へ移送した。貯槽9から導管10で、攪拌機及び減圧するための装置、加熱装置を備えた脱アルコール器11へ移した。
上記操作を3回繰り返した後、脱アルコール器内部液を加熱、器内を減圧して未反応のアルコールをガス状にして導管21から抜き出し、凝縮器6を通して貯槽16へ移送した。液相成分は抜き出し導管12を通して貯槽23へ移送した。
貯槽23の液を分析した結果、約320gで、ジブチルスズジブトキシドが約0.54モル、1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ジブチルオキシ−ジスタンオキサンが約0.18モル含まれていた。
(工程(1))
貯槽23へ移送された液のうち約107gを導管24から200mlオートクレーブ(日本国、東洋高圧社製)に入れて蓋をした。オートクレーブ内を窒素置換した後、SUSチューブとバルブを介してオートクレーブに接続された二酸化炭素のボンベの2次圧を5MPaに設定した後、バルブを開け、オートクレーブへ二酸化炭素を導入した。10分間攪拌し、バルブを閉めた。オートクレーブを攪拌したまま、温度を120℃まで昇温した。オートクレーブの内圧が常に約4MPaとなるように調整しながら、この状態のまま4時間反応させた。
途中サンプリングした結果、反応1時間後にはジブチルカーボネートが0.06mol生成しており、4時間後は約0.07molであった。オートクレーブを放冷したのち、二酸化炭素をパージした。
(工程(2))
図4に示すような装置を用いて工程(2)を以下のように実施した。
工程(1)の反応液をオートクレーブ下部から抜き出し、導管133を通して、窒素置換した脱二酸化炭素槽25へ移送した。窒素雰囲気で80℃で約5分間加熱攪拌して、発生する二酸化炭素をパージした。脱二酸化炭素槽25から導管26を通して貯槽131へ抜き出した。
薄膜蒸留装置30(日本国、柴田科学社製 E−420)に、ディクソンパッキング(6mmφ)を充填した内径約5cmの多段蒸留塔27を接続し、貯槽131に貯められた反応液を約100g/Hrの速度で、導管132から該蒸留塔の中段から供給した。還流比は約0.2とした。薄膜蒸留器30は、ジャケットに130℃の熱媒を循環させて、内部圧力(蒸留塔頂圧力)を約1.3KPaとした。揮発成分を凝縮器28で貯槽29へ移送した。液相成分は抜き出しポンプと導管31を通して貯槽32へ抜き出した。貯槽29へは約0.06モル/Hrでジブチルカーボネートが抜き出されており、ジブチルスズアルコキシドは含まれていなかった。貯槽32へは約90g/Hrで液が抜き出されていて、該液中のジブチルカーボネートは検出限界以下であった。
(工程(3))
図3に示すような装置を用いて工程(3)を以下のように実施した。
工程(2)で貯槽32に抜き出された液を導管35でバッフル付きの5LのSUS製反応器1へ供給した。1−ブタノールを導管3から約2150g(29mol)加えた。0.1NL/HrでSUS配管を通して不活性ガス用導管2から窒素ガスのフィードを開始した。
攪拌及び反応器1の加熱を開始し、反応液温が113℃から1−ブタノールの沸点となるように温度調節した。この状態で約6時間反応を続け、その間、反応器1の上部に接続したガス抜き出し用導管5から発生する低沸点成分をガス相として抜き出し、凝縮器6を通して貯槽7へ移送した。貯槽7には水を含む1−ブタノール液が得られていた。反応器1の内部の液相成分は抜き出し用導管8から貯槽9へ移送した。貯槽9から導管10で、攪拌機及び減圧するための装置、加熱装置を備えた脱アルコール器11へ移した。脱アルコール器内部液を加熱、器内を減圧して未反応のアルコールをガス状にして導管21から抜き出し、凝縮器6を通して貯槽16へ移送した。液相成分は抜き出し導管12を通して貯槽23へ移送した。
貯槽23へ移送された液を分析した結果、ジブチルスズジブトキシドと1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ジブチルオキシ−ジスタンオキサンが含まれていた。
貯槽23へ移送された液を繰り返し行う工程(1)へリサイクルして工程(1)〜(3)を繰り返し実施した。
(工程(4))
[触媒の調製]
フェノール40gと一酸化鉛8gを180℃で10時間加熱し、生成する水をフェノールと共に留去することにより触媒Aを調製した。
[芳香族炭酸エステルの製造]
図5に示すような装置を用いて工程(4)を以下のように実施した。
ディクソンパッキング(6mmφ)を充填した内径約5cm、塔長2mの連続多段蒸留塔39の中段に工程(2)で得られたジブチルカーボネートを含む反応液、フェノール及び触媒Aからなる混合液(混合液中のジブチルカーボネートとフェノールの重量比が65/35、Pb濃度が約10wt%となるように調整した)を、予熱器38を経て導管37から約180g/Hrで液状で連続的にフィードして、反応を行った。反応及び蒸留に必要な熱量は塔下部液を導管46とリボイラー45を経て循環させることにより供給した。連続多段蒸留塔39の塔底部の液温度は240℃、塔頂圧力は1.5×10Paであり、還流比は約2とした。連続多段蒸留塔39の塔頂から留出するガスを導管40を経て、凝縮器41で凝縮して導管44より貯槽138に約35g/Hrで連続的に抜き出した。塔底からは導管46を経て貯槽47へ約145g/Hrで連続的に抜き出した。
導管44から抜き出された液の組成は、1−ブタノール約29wt%、フェノール約71wt%、ジブチルカーボネート約0.2wt%であった。貯槽47へ抜き出された液の組成は、フェノール約13wt%、ジブチルカーボネート約56wt%、ブチルフェニルカーボネート約17wt%、ジフェニルカーボネート約1wt%、ブチルフェニルエーテル0.7wt%、Pb濃度約12wt%であった。
(工程(5))
図6に示すような装置を用いて工程(5)を以下のように実施した。
ディクソンパッキング(6mmφ)を充填した内径約5cm、塔長2mの連続多段蒸留塔50の中段に工程(4)で貯槽47へ抜き出された液を、予熱器49を経て導管48から約219g/Hrで液状で連続的にフィードして、反応を行った。反応及び蒸留に必要な熱量は塔下部液を導管57とリボイラー56を経て循環させることにより供給した。連続多段蒸留塔50の塔底部の液温度は235℃、塔頂圧力は約26KPaであり、還流比は約2とした。連続多段蒸留塔50の塔頂から留出するガスを導管51を経て、凝縮器52で凝縮して導管55より約164g/Hrで連続的に抜き出した。塔底からは導管57を経て貯槽58へ約52g/Hrで連続的に抜き出した。
導管55から抜き出された液の組成は、1−ブタノール約0.1wt%、フェノール約17wt%であり、ジブチルカーボネートが約80wt%、ブチルフェニルカーボネートが約1wt%、ブチルフェニルエーテルが約1.5wt%であった。貯槽58へ抜き出された液の組成は、ジブチルカーボネート約0.5wt%、ブチルフェニルカーボネート約17wt%、ジフェニルカーボネート約30wt%、ブチルフェニルエーテル約0.2wt%、Pb濃度約52wt%であった。
[アルコールのリサイクル]
図7に示すような装置を用いてアルコールのリサイクルを以下のように実施した。
ディクソンパッキング(6mmφ)を充填した内径約5cm、塔長2mの連続多段蒸留塔61の中段に工程(4)で導管44から貯槽138に連続的に抜き出された液を導管59から予熱器60を経て約210g/Hrで連続的にフィードして、蒸留分離を行った。蒸留分離に必要な熱量は塔下部液を導管68とリボイラー67を経て循環させることにより供給した。連続多段蒸留塔61の塔底部の液温度は130℃、塔頂圧力は約9KPaであり、還流比は約0.7とした。連続多段蒸留塔61の塔頂から留出するガスを導管62を経て、凝縮器63で凝縮して導管66よりアルコール貯槽135へ約61g/Hrで連続的に抜き出した。塔底からは導管68を経て貯槽69へ約149g/Hrで連続的に抜き出した。
導管66から抜き出された液の組成は、1−ブタノール約100wt%、フェノールは検出限界以下であった。貯槽69へ抜き出された液の組成は、ジブチルカーボネート約0.3wt%、1−ブタノールは検出限界以下、フェノール約99wt%であった。
[炭酸ジアリールの精製]
図8、9に示すような装置を用いて炭酸ジアリールの精製を以下のように実施した。
ディクソンパッキング(6mmφ)を充填した内径約5cm、塔長2mの連続多段蒸留塔72の中段に工程(5)で貯槽58に連続的に抜き出された液を導管70から予熱器71を経て約346g/Hrで連続的にフィードして、蒸留分離を行った。蒸留分離に必要な熱量は塔下部液を導管79とリボイラー78を経て循環させることにより供給した。連続多段蒸留塔72の塔底部の液温度は210℃、塔頂圧力は約1.5KPaであり、還流比は約1とした。連続多段蒸留塔72の塔頂から留出するガスを導管73を経て、凝縮器74で凝縮して導管77より連続的に抜き出した。塔底からは導管79を経て貯槽80へ約180g/Hrで連続的に抜き出した。
導管77から抜き出された液の組成は、ジブチルカーボネート約1wt%、ブチルフェニルカーボネート約36wt%、ジフェニルカーボネート約62wt%、ブチルフェニルエーテル0.4wt%であった。
ディクソンパッキング(6mmφ)を充填した内径約5cm、塔長2mの連続多段蒸留塔83の中段に導管77から連続的に抜き出された液を導管81から予熱器82を経て約167g/Hrで連続的にフィードして、蒸留分離を行った。蒸留分離に必要な熱量は塔下部液を導管90とリボイラー89を経て循環させることにより供給した。連続多段蒸留塔83の塔底部の液温度は218℃、塔頂圧力は約9KPaであり、還流比は約5とした。連続多段蒸留塔83の塔頂から留出するガスを導管84を経て、凝縮器85で凝縮して導管88より貯槽140に約63g/Hrで連続的に抜き出した。塔底からは導管90を経て貯槽91へ約104g/Hrで連続的に抜き出した。
導管88から抜き出された液の組成は、ジブチルカーボネート約3wt%、ブチルフェニルカーボネート約96wt%、ジフェニルカーボネート約400ppm、ブチルフェニルエーテル約1wt%であった。貯槽91へ抜き出された液の組成は、ブチルフェニルカーボネート約300ppm、ジフェニルカーボネート約100wt%であった。
[炭酸ジアルキルのリサイクル]
図12に示すような装置を用いて炭酸ジアルキルのリサイクルを以下のように実施した。
ディクソンパッキング(6mmφ)を充填した内径約5cm、塔長2mの連続多段蒸留塔116の中段に炭酸ジアリールの精製工程で連続多段蒸留塔83の塔頂から導管88より貯槽140に連続的に抜き出された液を導管114から予熱器115を経て約189g/Hrで連続的にフィードして、蒸留分離を行った。蒸留分離に必要な熱量は塔下部液を導管123とリボイラー122を経て循環させることにより供給した。連続多段蒸留塔116の塔底部の液温度は165℃、塔頂圧力は約9KPaであり、還流比は約6とした。連続多段蒸留塔116の塔頂から留出するガスを導管117を経て、凝縮器118で凝縮して導管121より炭酸ジアルキル貯槽125へ約4.5g/Hrで連続的に抜き出した。塔底からは導管123を経て貯槽124へ約184.5g/Hrで連続的に抜き出した。
導管121から貯槽125へ抜き出された液の組成は、ジブチルカーボネート約96wt%、ブチルフェニルエーテルは約2.5wt%、ブチルフェニルカーボネートは約1.5wt%であった。貯槽124へ抜き出された液の組成は、ジブチルカーボネート約0.5wt%、ブチルフェニルエーテル約1wt%、ブチルフェニルカーボネート約98wt%、ジフェルニカーボネート約400ppmであった。
[芳香族炭酸エステルの製造]
図5に示すような装置を用いて工程(4)を以下のように実施した。
ディクソンパッキング(6mmφ)を充填した内径約5cm塔長2mの連続多段蒸留塔39の中段に、炭酸ジアルキルのリサイクル工程で貯槽125に連続的に抜き出されたジブチルカーボネートを含む反応液、フェノール及び触媒Aからなる混合液(混合液中のジブチルカーボネートとフェノールの重量比が65/35、Pb濃度が約1wt%となるように調整した)を、予熱器38を経て導管37から約270g/Hrで液状で連続的にフィードして、反応を行った。反応及び蒸留に必要な熱量は塔下部液を導管46とリボイラー45を経て循環させることにより供給した。連続多段蒸留塔39の塔底部の液温度は240℃、塔頂圧力は1.5×10Paであり、還流比は約2とした。連続多段蒸留塔39の塔頂から留出するガスを導管40を経て、凝縮器41で凝縮して導管44より約51g/Hrで連続的に抜き出した。塔底からは導管46を経て貯槽47へ約219g/Hrで連続的に抜き出した。
導管44から抜き出された液の組成は、1−ブタノール約29wt%、フェノール約71wt%、ジブチルカーボネート約0.2wt%であった。貯槽47へ抜き出された液の組成は、フェノール約13wt%、ジブチルカーボネート約55wt%、ブチルフェニルカーボネート約17wt%、ジフェニルカーボネート約1wt%、ブチルフェニルエーテル3.5wt%、Pb濃度約11wt%であった。
比較例1
工程2、3を行わずに芳香族炭酸エステルを以下のように製造する。
(ジブチルスズジアルコキシドの製造)
図3に示すような装置を用いてジブチルスズアルコキシドを以下のように製造した。
攪拌機及び加熱装置、バッフル付きの5LのSUS製反応器1にジブチル酸化スズ75g(0.3mol)を反応器1の上部4から入れ、1−ブタノール(米国、Aldrich社製)2223g(30mol)をアルコール貯槽16から、反応器1の上部に接続した導管3を通して加えた。0.1NL/HrでSUS配管を通して不活性ガス用導管2から窒素ガスのフィードを開始した。
攪拌及び反応器1の加熱を開始し、反応液温が113℃から1−ブタノールの沸点となるように温度調節した。この状態で約6時間反応を続け、その間、反応器1の上部に接続したガス抜き出し用導管5から発生する低沸点成分をガス相として抜き出し、凝縮器6を通して貯槽7へ移送した。貯槽7には水を含む1−ブタノール液が得られていた。反応器1の内部の液相成分は抜き出し用導管8から貯槽9へ移送した。貯槽9から導管10で、攪拌機及び減圧するための装置、加熱装置を備えた脱アルコール器11へ移した。
上記操作を3回繰り返した後、脱アルコール器内部液を加熱、器内を減圧して未反応のアルコールをガス状にして導管21から抜き出し、凝縮器6を通して貯槽16へ移送した。液相成分は抜き出し導管12を通して貯槽23へ移送した。
貯槽23の液を分析した結果、約320gで、ジブチルスズジブトキシドが約0.54モル、1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ジブチルオキシ−ジスタンオキサンが約0.18モル含まれていた。
(工程(1))
貯槽23へ移送された液のうち約107g番導管24から200mlオートクレーブ(日本国、東洋高圧社製)に入れて蓋をした。オートクレーブ内を窒素置換した後、SUSチューブとバルブを介してオートクレーブに接続された二酸化炭素のボンベの2次圧を5MPaに設定した後、バルブを開け、オートクレーブへ二酸化炭素を導入した。10分間攪拌し、バルブを閉めた。オートクレーブを攪拌したまま、温度を120℃まで昇温した。オートクレーブの内圧が常に約4MPaとなるように調整しながら、この状態のまま4時間反応させた。
途中サンプリングした結果、反応1時間後にはジブチルカーボネートが0.06mol生成しており、4時間後は約0.07molであった。オートクレーブを放冷したのち、二酸化炭素をパージした。該反応液をオートクレーブ下部から抜き出し、貯槽へ移送した。
上記ジブチルスズジアルコキシドの製造工程及び工程(1)を繰り返し実施した。
(工程(4))
[触媒の調製]
フェノール79gと一酸化鉛32gを180℃で10時間加熱し、生成する水をフェノールと共に留去した。10時間で水約2.5gを抜き出した。その後反応器上部からフェノールを留去することにより触媒Bを調製した。
[芳香族炭酸エステルの製造]
図5に示すような装置を用いて工程(4)を以下のように実施した。
段数40のシーブトレイを充填した内径約5cm、塔長2mの連続多段蒸留塔39の中段に工程(1)で貯槽に貯められたジブチルカーボネートを含む反応液、フェノール及び触媒Bからなる混合液(混合液中のジブチルカーボネートとフェノールの重量比が約65/35、Pb濃度が約1wt%となるように調整した)を、予熱器38を経て導管37から約300g/Hrで液状で連続的にフィードして、反応を行った。反応及び蒸留に必要な熱量は塔下部液を導管46とリボイラー45を経て循環させることにより供給した。連続多段蒸留塔39の塔底部の液温度は230℃、塔頂圧力は約150KPaであり、還流比は約2とした。連続多段蒸留塔39の塔頂から留出するガスを導管40を経て、凝縮器41で凝縮して導管44より貯槽138に約76g/Hrで連続的に抜き出した。塔底からは導管46を経て貯槽47へ約224g/Hrで連続的に抜き出した。
導管44から抜き出された液の組成は、1−ブタノール約98wt%、ジブチルカーボネート2wt%であった。貯槽47へ抜き出された液の組成は、ジブチルカーボネート約13wt%、ブチルフェニルカーボネート約3wt%、Pb濃度約1wt%であった。
[アルコールとカーボネートのリサイクル]
図10に示すような装置を用いてアルコールのリサイクルを以下のように実施した。
ディクソンパッキング(6mmφ)を充填した内径約5cm、塔長2mの連続多段蒸留塔94の中段に工程(4)の導管44より貯槽138に連続的に抜き出された液を導管92から予熱器93を経て約220g/Hrで連続的にフィードして、蒸留分離を行った。蒸留分離に必要な熱量は塔下部液を導管101とリボイラー100を経て循環させることにより供給した。連続多段蒸留塔94の塔底部の液温度は207℃、塔頂圧力は約101KPa(常圧)であり、還流比は約0.5とした。連続多段蒸留塔94の塔頂から留出するガスを導管95を経て、凝縮器96で凝縮して導管99よりアルコール貯槽135へ約216g/Hrで連続的に抜き出した。塔底からは導管101を経て貯槽102へ約4g/Hrで連続的に抜き出した。
導管99から抜き出された液の組成は、1−ブタノール約100wt%、フェノール及びジブチルカーボネートは検出限界以下であった。貯槽102へ抜き出された液の組成は、ジブチルカーボネート約100wt%、1−ブタノール及びフェノールは検出限界以下であった。
比較例2
工程3を行わずに炭酸ジアリールを以下のように製造する(ジブチルスズジアルコキシドの製造)
図3に示すような装置を用いてジブチルスズアルコキシドを以下のように製造した。
攪拌機及び加熱装置、バッフル付きの5LのSUS製反応器1にジブチル酸化スズ75g(0.3mol)を反応器1の上部4から入れ、1−ブタノール(米国、Aldrich社製)2223g(30mol)をアルコール貯槽16から、反応器1の上部に接続した導管3を通して加えた。0.1NL/HrでSUS配管を通して不活性ガス用導管2から窒素ガスのフィードを開始した。
攪拌及び反応器1の加熱を開始し、反応液温が113℃から1−ブタノールの沸点となるように温度調節した。この状態で約6時間反応を続け、その間、反応器1の上部に接続したガス抜き出し用導管5から発生する低沸点成分をガス相として抜き出し、凝縮器6を通して貯槽7へ移送した。貯槽7には水を含む1−ブタノール液が得られていた。反応器1の内部の液相成分は抜き出し用導管8から貯槽9へ移送した。貯槽9から導管10で、攪拌機及び減圧するための装置、加熱装置を備えた脱アルコール器11へ移した。
上記操作を3回繰り返した後、脱アルコール器内部液を加熱、器内を減圧して未反応のアルコールをガス状にして導管21から抜き出し、凝縮器6を通して貯槽16へ移送した。液相成分は抜き出し導管12を通して貯槽23へ移送した。
貯槽23の液を分析した結果、約320gで、ジブチルスズジブトキシドが約0.54モル、1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ジブチルオキシ−ジスタンオキサンが約0.18モル含まれていた。
(工程(1))
貯槽23へ移送された液のうち約107gを導管24から200mlオートクレーブ(日本国、東洋高圧社製)に入れて蓋をした。オートクレーブ内を窒素置換した後、SUSチューブとバルブを介してオートクレーブに接続された二酸化炭素のボンベの2次圧を5MPaに設定した後、バルブを開け、オートクレーブへ二酸化炭素を導入した。10分間攪拌し、バルブを閉めた。オートクレーブを攪拌したまま、温度を120℃まで昇温した。オートクレーブの内圧が常に約4MPaとなるように調整しながら、この状態のまま4時間反応させた。
途中サンプリングした結果、反応1時間後にはジブチルカーボネートが0.06mol生成しており、4時間後は約0.07molであった。オートクレーブを放冷したのち、二酸化炭素をパージした。
(工程(2))
図4に示すような装置を用いて工程(2)を以下のように実施した。
工程(1)の反応液をオートクレーブ下部から抜き出し、導管133を通して、窒素置換した脱二酸化炭素槽25へ移送した。窒素雰囲気で80℃で約5分間加熱攪拌して、発生する二酸化炭素をパージした。脱二酸化炭素槽25から導管26を通して貯槽131へ抜き出した。
薄膜蒸留装置30(日本国、柴田科学社製 E−420)に、ディクソンパッキング(6mmφ)を充填した内径約5cmの多段蒸留塔27を接続し、貯槽131に貯められた反応液を約90g/Hrの速度で、導管132から該蒸留塔の中段から供給した。還流比は約0.2とした。薄膜蒸留器30は、ジャケットに145℃の熱媒を循環させて、内部圧力(蒸留塔頂圧力)を約1.3KPaとした。揮発成分を凝縮器28で貯槽29へ移送した。液相成分は抜き出しポンプと導管31を通して貯槽32へ抜き出した。貯槽29へは約0.06モル/Hrでジブチルカーボネートが抜き出されており、ジブチルスズアルコキシドは含まれていなかった。貯槽32へは約90g/Hrで液が抜き出されていて、該液中のジブチルカーボネートは検出限界以下であった。
上記ジブチルスズジアルコキシドの製造工程及び工程(1)〜(2)を繰り返し実施した。
(工程(4))
[触媒の調製]
フェノール79gと一酸化鉛32gを180℃で10時間加熱し、生成する水をフェノールと共に留去した。10時間で水約2.5gを抜き出した。その後反応器上部からフェノールを留去することにより触媒Bを調製した。
[芳香族炭酸エステルの製造]
図5に示すような装置を用いて工程(4)を以下のように実施した。
段数40のシーブトレイを充填した内径約5cm塔長2mの連続多段蒸留塔39の中段に工程(2)で得られたジブチルカーボネートを含む反応液、フェノール及び触媒Bからなる混合液(混合液中のジブチルカーボネートとフェノールの重量比が約65/35、Pb濃度が約1wt%となるように調整した)を、予熱器38を経て導管37から約270g/Hrで液状で連続的にフィードして、反応を行った。反応及び蒸留に必要な熱量は塔下部液を導管46とリボイラー45を経て循環させることにより供給した。連続多段蒸留塔39の塔底部の液温度は221℃、塔頂圧力は約150KPaであり、還流比は約2とした。連続多段蒸留塔39の塔頂から留出するガスを導管40を経て、凝縮器41で凝縮して導管44より貯槽138に約67g/Hrで連続的に抜き出した。塔底からは導管46を経て貯槽47へ約201g/Hrで連続的に抜き出した。
導管44から抜き出された液の組成は、1−ブタノール約23wt%、フェノール約73wt%、ジブチルカーボネート4wt%であった。貯槽47へ抜き出された液の組成は、フェノール約12wt%、ジブチルカーボネート約67wt%、ブチルフェニルカーボネート約18wt%、ジフェニルカーボネート約1wt%、Pb濃度約1wt%であった。
(工程(5))
図6に示すような装置を用いて工程(5)を以下のように実施した。
ディクソンパッキング(6mmφ)を充填した内径約5cm、塔長2mの連続多段蒸留塔50の中段に工程(4)で導管44より貯槽47へ抜き出された液を、予熱器49を経て導管48から約201g/Hrで液状で連続的にフィードして、反応を行った。反応及び蒸留に必要な熱量は塔下部液を導管57とリボイラー56を経て循環させることにより供給した。連続多段蒸留塔50の塔底部の液温度は235℃、塔頂圧力は約26KPaであり、還流比は約2とした。連続多段蒸留塔50の塔頂から留出するガスを導管51を経て、凝縮器52で凝縮して導管55より貯槽29へ約176g/Hrで連続的に抜き出した。塔底からは導管57を経て貯槽58へ約27g/Hrで連続的に抜き出した。
導管55から抜き出された液の組成は、1−ブタノール約300ppm、フェノール約14wt%、ジブチルカーボネート約84wt%、ブチルフェニルカーボネート約1wt%であった。貯槽58へ抜き出された液の血成は、ジブチルカーボネート約0.5wt%、ブチルフェニルカーボネート約31wt%、ジフェニルカーボネート約59wt%、Pb濃度約10wt%であった。
[アルコールのリサイクル]
図7に示すような装置を用いてアルコールのリサイクルを以下のように実施した。
ディクソンパッキング(6mmφ)を充填した内径約5cm、塔長2mの連続多段蒸留塔61の中段に工程(4)で貯槽138に連続的に抜き出された液を導管59から予熱器60を経て約201g/Hrで連続的にフィードして、蒸留分離を行った。蒸留分離に必要な熱量は塔下部液を導管68とリボイラー67を経て循環させることにより供給し。連続多段蒸留塔61の塔底部の液温度は116℃、塔頂圧力は約13KPaであり、還流比は約0.5とした。連続多段蒸留塔61の塔頂から留出するガスを導管62を経て、凝縮器63で凝縮して導管66よりアルコール貯槽16へ約46g/Hrで連続的に抜き出した。塔底からは導管68を経て貯槽69へ約155g/Hrで連続的に抜き出した。
導管66から抜き出された液の組成は、1−ブタノール約100wt%、フェノールは検出限界以下であった。貯槽69へ抜き出された液の組成は、ジブチルカーボネート約5wt%、フェノール約95wt%であった。
[炭酸ジアリールの精製]
図8、9に示すような装置を用いて炭酸ジアリールの精製を以下のように実施した。
ディクソンパッキング(6mmφ)を充填した内径約5cm、塔長2mの連続多段蒸留塔72の中段に工程(5)で貯槽58に連続的に抜き出された液を導管70から予熱器71を経て約273g/Hrで連続的にフィードして、蒸留分離を行った。蒸留分離に必要な熱量は塔下部液を導管79とリボイラー78を経て循環させることにより供給した。連続多段蒸留塔72の塔底部の液温度は210℃、塔頂圧力は約1.5KPaであり、還流比は約1とした。連続多段蒸留塔72の塔頂から留出するガスを導管73を経て、凝縮器74で凝縮して導管77より連続的に抜き出した。塔底からは導管79を経て貯槽80へ約27g/Hrで連続的に抜き出した。
導管77から抜き出された液の組成は、ジブチルカーボネート約0.6wt%、ブチルフェニルカーボネート約34wt%、ジフェニルカーボネート約65wt%であった。
ディクソンパッキング(6mmφ)を充填した内径約5cm、塔長2mの連続多段蒸留塔83の中段に導管77から連続的に抜き出された液を導管81から予熱器82を経て約246g/Hrで連続的にフィードして、蒸留分離を行った。蒸留分離に必要な熱量は塔下部液を導管90とリボイラー89を経て循環させることにより供給した。連続多段蒸留塔83の塔底部の液温度は211℃、塔頂圧力は約7KPaであり、還流比は約2とした。連続多段蒸留塔83の塔頂から留出するガスを導管84を経て、凝縮器85で凝縮して導管88より約85g/Hrで連続的に抜き出した。塔底からは導管90を経て貯槽91へ約161g/Hrで連続的に抜き出した。
導管88から抜き出された液の組成は、ジブチルカーボネート約1.6wt%、ブチルフェニルカーボネート約98wt%、ジフェニルカーボネート約0.4wt%であった。貯槽91へ抜き出された液の組成は、ブチルフェニルカーボネート約0.2wt%、ジフェニルカーボネート約99wt%であった。
(繰り返し行う工程(1))
工程(2)で得られた金属を含む成分約94gを、貯槽32から導管24を通して200mlオートクレーブ(日本国、東洋高圧社製)に入れて蓋をした。オートクレーブ内を窒素置換した後、SUSチューブとバルブを介してオートクレーブに接続された二酸化炭素のボンベの2次圧を5MPaに設定した後、バルブを開け、オートクレーブへ二酸化炭素を導入した。10分間攪拌し、バルブを閉めた。オートクレーブを攪拌したまま、温度を120℃まで昇温した。オートクレーブの内圧が常に約4MPaとなるように調整しながら、この状態のまま4時間反応させた。
途中サンプリングした結果、反応1時間後にはジブチルカーボネートが0.003mol生成しており、4時間後は約0.004molであった。オートクレーブを放冷したのち、二酸化炭素をパージした。
(ジブチルスズ−ジ(3−メチル−1−ブトキシド)の合成)
真空コントローラーおよび真空ポンプに接続した冷却管とディーンスターク管とを備えた1L4つ口フラスコにジブチル酸化スズ(米国、Aldrich社製)70.5g(0.28mol)及び3−メチル−1−ブタノール(米国、Aldrich社製)502g(5.7mol)、攪拌のための攪拌子を入れた。
このフラスコを140℃としたオイルバスに浸漬し、攪拌を開始し、徐々に減圧して約90KPaとした。この状態で留出物を除去しながら徐々に減圧度を85KPaに下げた。反応開始から約12時間続けた。その後、徐々に減圧して未反応物を留去し、最終的に減圧度を約200Paとして30分間かけて未反応のアルコールを留去した。フラスコをオイルバスからあげて、冷却し、窒素で常圧に戻した。粘調な液体127gを得た。
留去された液体を分析したところ、約260mmolの水が留去されていた。得られた粘調な液体をNMR分析したところ、ジブチルスズ−ジ(3−メチル−1−ブトキシド)と、1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ジ−(3−メチル−1−ブトキシ)−ジ−スタンオキサンが生成していた。
(工程(1))
200mlオートクレーブ(日本国、東洋高圧社製)に上記で得られた粘調な液体114gを入れて蓋をした。オートクレーブ内を窒素置換した後、SUSチューブとバルブを介してオートクレーブに接続された二酸化炭素のボンベの2次圧を5MPaに設定した後、バルブを開け、オートクレーブへ二酸化炭素を導入した。10分間攪拌し、バルブを閉めた。オートクレーブを攪拌したまま、温度を120℃まで昇温した。オートクレーブの内圧が常に約4MPaとなるように調整しながら、この状態のまま4時間反応させた。
途中サンプリングした結果、反応1時間後にはジ(3−メチル−1−ブチル)カーボネートが、上記した粘調な液体に含まれるスズ原子のモル数に対して収率18%生成しており、4時間後の同じく収率は20.4%であった。オートクレーブを放冷したのち、二酸化炭素をパージした。
(工程(2))
工程(1)終了後、オートクレーブを室温(約20℃)まで冷却した後、オートクレーブ内に蒸留水約6gを加えたのち、30分攪拌した。攪拌をとめてオートクレーブを開放し、白色スラリーを得た。固形分を濾別し、濾液を蒸留のための冷却管と真空ポンプおよび真空コントローラー(日本国、岡野製作所社製)を備えた100mlナスフラスコに入れ、攪拌のための攪拌子を入れた後、このナスフラスコをオイルバスに浸漬して攪拌を開始した。
オイルバス温度を140℃として、徐々に減圧して、水と3−メチル−1−ブタノールを留去した後、ジ(3−メチル−1−ブチル)カーボネートを留去して約11gジ(3−メチル−1−ブチル)カーボネートを得た。
(工程(3))
真空コントローラーおよび真空ポンプに接続した冷却管とディーンスターク管とを備えた1L4つ口フラスコに上記工程(2)で得られた白色固体及び3−メチル−1−ブタノール(米国、Aldrich社製)502g(5.7mol)、攪拌のための攪拌子を入れた。このフラスコを140℃としたオイルバスに浸漬し、攪拌を開始し、徐々に減圧して約90KPaとした。この状態で留出物を除去しながら徐々に減圧度を85KPaに下げた。反応開始から約12時間続けた。その後、徐々に減圧して未反応物を留去し、最終的に減圧度を約200Paとして30分間かけて未反応のアルコールを留去した。フラスコをオイルバスからあげて、冷却し、窒素で常圧に戻した。粘調な液体112gを得た。
得られた粘調な液体をNMR分析したところ、ジブチルスズジ(3−メチル−1−ブトキシド)と、1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ジ−(3−メチル−1−ブトキシ)−ジ−スタンオキサンが生成していた。
(触媒の調製)
フェノール40gと一酸化鉛8gを180℃で10時間加熱し、生成する水をフェノールと共に留去することにより触媒Aを調製した。
(工程(4))
100mlオートクレーブ(日本国、東洋高圧社製)に、上記工程(2)で得られたジ(3−メチル−1−ブチル)カーボネート約11g、予め蒸留精製したフェノール(米国、Aldrich社製)49g、及び触媒A(触媒Aは、オートクレーブ内の内容物に対して鉛濃度が0.4重量%となるような量)を入れて蓋をした。
オートクレーブ内を窒素置換した後、バルブを閉めて攪拌を開始し、オートクレーブの内部液温が230℃まで昇温した。オートクレーブのボトムから窒素を50ml/分で導入を開始して、オートクレーブ内の全圧が100から200KPaの範囲になるように、オートクレーブ上部のバルブを操作して、気体成分を約4時間留去し続けた。4時間後、窒素の導入を止め、オートクレーブを放冷した。
内容物を分析したところ、ジ(3−メチル−1−ブチル)カーボネート約28mmol、3−メチル−1−ブチル(フェニル)カーボネート約21mmol、ジフェニルカーボネート約2.6mmolを得ていた。
反応液を真空コントローラーおよび真空ポンプに接続した冷却管とディーンスターク管を備えた100ml3つ口フラスコにうつし、攪拌のための攪拌子を入れた。このフラスコを150℃としたオイルバスに浸漬し、攪拌を開始し、徐々に減圧して約100KPaとした。この状態で未反応のフェノールとジ(3−メチル−1−ブチル)カーボネートを留去し、主に3−メチル−1−ブチル(フェニル)カーボネートとジフェニルカーボネートからなる反応液を得た。
(繰り返し行う工程(1))
200mlオートクレーブ(日本国、東洋高圧社製)に上記工程(3)で得られた粘調な液体110gを入れて蓋をした。
オートクレーブ内を窒素置換した後、SUSチューブとバルブを介してオートクレーブに接続された二酸化炭素のボンベの2次圧を5MPaに設定した後、バルブを開け、オートクレーブへ二酸化炭素を導入した。10分間攪拌し、バルブを閉めた。オートクレーブを攪拌したまま、温度を120℃まで昇温した。オートクレーブの内圧が常に約4MPaとなるように調整しながら、この状態のまま4時間反応させた。
途中サンプリングした結果、反応1時間後にはジ(3−メチル−1−ブチル)カーボネートが同じく収率18%生成しており、4時間後の収率は21%であった。オートクレーブを放冷したのち、二酸化炭素をパージした。
(ジブチルスズ−ジ(3−メチル−1−ブトキシド)の合成)
真空コントローラーおよび真空ポンプに接続した冷却管とディーンスターク管とを備えた1L4つ口フラスコに、ジブチル酸化スズ(米国、Aldrich社製)70.5g(0.28mol)、及び3−メチル−1−ブタノール(米国、Aldrich社製)502g(5.7mol)を入れ、さらに、攪拌のための攪拌子を入れた。
このフラスコを140℃としたオイルバスに浸漬し、攪拌を開始し、徐々に減圧して約90KPaとした。この状態で留出物を除去しながら徐々に減圧度を85KPaに下げた。反応開始から約12時間続けた。その後、徐々に減圧して未反応物を留去し、最終的に減圧度を約200Paとして30分間かけて未反応のアルコールを留去した。フラスコをオイルバスからあげて、冷却し、窒素で常圧に戻した。粘調な液体127gを得た。
留去された液体を分析したところ、約260mmolの水が留去されていた。得られた粘調な液体をNMR分析したところ、ジブチルスズ−ジ(3−メチル−1−ブトキシド)と、1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ジ−(3−メチル−1−ブトキシ)−ジ−スタンオキサンが生成していた。
(工程(1))
200mlオートクレーブ(日本国、東洋高圧社製)に上記で得られた粘調な液体114gを入れて蓋をした。
オートクレーブ内を窒素置換した後、SUSチューブとバルブを介してオートクレーブに接続された二酸化炭素のボンベの2次圧を5MPaに設定した後、バルブを開け、オートクレーブへ二酸化炭素を導入した。10分間攪拌し、バルブを閉めた。オートクレーブを攪拌したまま、温度を120℃まで昇温した。オートクレーブの内圧が常に約4MPaとなるように調整しながら、この状態のまま4時間反応させた。
途中サンプリングした結果、反応1時間後にはジ(3−メチル−1−ブチル)カーボネートが、上記した粘調な液体に含まれるスズ原子のモル数に対して収率18%生成しており、4時間後の収率は20.4%であった。オートクレーブを放冷したのち、二酸化炭素をパージした。
(工程(2))
工程(1)終了後、オートクレーブを室温(約20℃)まで冷却し、オートクレーブ内に蒸留水約6gを加えた後、30分攪拌した。攪拌をとめてオートクレーブを開放し、白色スラリーを得た。
固形分を濾別し、濾液を蒸留のための冷却管と真空ポンプおよび真空コントローラー(日本国、岡野製作所社製)を備えた100mlナスフラスコに入れ、攪拌のための攪拌子を入れた後、このナスフラスコをオイルバスに浸漬して攪拌を開始した。オイルバス温度を140℃として、徐々に減圧して、水と3−メチル−1−ブタノールを留去した後、ジ(3−メチル−1−ブチル)カーボネートを留去して約11gジ(3−メチル−1−ブチル)カーボネートを得た。
(工程(3))
真空コントローラーおよび真空ポンプに接続した冷却管とディーンスターク管とを備えた1L4つ口フラスコに、上記工程(2)で得られた白色固体及び3−メチル−1−ブタノール(米国、Aldrich社製)502g(5.7mol)を入れ、さらに攪拌のための攪拌子を入れた。
このフラスコを140℃としたオイルバスに浸漬し、攪拌を開始し、徐々に減圧して約90KPaとした。この状態で留出物を除去しながら徐々に減圧度を85KPaに下げた。反応開始から約12時間続けた。その後、徐々に減圧して未反応物を留去し、最終的に減圧度を約200Paとして30分間かけて未反応のアルコールを留去した。フラスコをオイルバスからあげて、冷却し、窒素で常圧に戻した。粘調な液体112gを得た。
得られた粘調な液体をNMR分析したところ、ジブチルスズジ(3−メチル−1−ブトキシド)と、1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ジ−(3−メチル−1−ブトキシ)−ジ−スタンオキサンが生成していた。
(触媒の調製)
フェノール40gと一酸化鉛8gを180℃で10時間加熱し、生成する水をフェノールと共に留去することにより触媒Aを調製した。
(工程(4))
100mlオートクレーブ(日本国、東洋高圧社製)に、上記工程(2)で得られたジ(3−メチル−1−ブチル)カーボネート約11g、予め蒸留精製したフェノール(米国、Aldrich社製)49g、及び触媒A(触媒Aは、オートクレーブ内の内容物に対して鉛濃度が0.4重量%となるような量)を入れて蓋をした。
オートクレーブ内を窒素置換した後、バルブを閉めて攪拌を開始し、オートクレーブの内部液温が230℃まで昇温した。オートクレーブのボトムから窒素を50ml/分で導入を開始して、オートクレーブ内の全圧が100から200KPaの範囲になるように、オートクレーブ上部のバルブを操作して、気体成分を約4時間留去し続けた。4時間後、窒素の導入を止め、オートクレーブを放冷した。
内容物を分析したところ、ジ(3−メチル−1−ブチル)カーボネート約28mmol、3−メチル−1−ブチル(フェニル)カーボネート約21mmol、ジフェニルカーボネート約2.6mmolを得ていた。
反応液を真空コントローラーおよび真空ポンプに接続した冷却管とディーンスターク管とを備えた100ml3つ口フラスコに移し、攪拌のための攪拌子を入れた。このフラスコを150℃としたオイルバスに浸漬し、攪拌を開始し、徐々に減圧して約100KPaとした。この状態で未反応のフェノールとジ(3−メチル−1−ブチル)カーボネートを留去し、主に3−メチル−1−ブチル(フェニル)カーボネートとジフェニルカーボネートからなる反応液を得た。
(工程(5))
工程(4)終了後、減圧度を約50KPaに調整し、オイルバス温度を220℃として攪拌、反応を継続した。ジ(3−メチル−1−ブチル)カーボネートを留去しながら6時間継続して反応を終了した。反応液を分析すると、ジフェニルカーボネートが約26mmol生成していた。
(繰り返し行う工程(1))
200mlオートクレーブ(日本国、東洋高圧社製)に上記工程(3)で得られた粘調な液体110gを入れて蓋をした。
オートクレーブ内を窒素置換した後、SUSチューブとバルブを介してオートクレーブに接続された二酸化炭素のボンベの2次圧を5MPaに設定した後、バルブを開け、オートクレーブへ二酸化炭素を導入した。10分間攪拌し、バルブを閉めた。オートクレーブを攪拌したまま、温度を120℃まで昇温した。オートクレーブの内圧が常に約4MPaとなるように調整しながら、この状態のまま4時間反応させた。
途中サンプリングした結果、反応1時間後にはジ(3−メチル−1−ブチル)カーボネートが同じく収率18%生成しており、4時間後の収率は21%であった。オートクレーブを放冷したのち、二酸化炭素をパージした。
(実施例4の製造方法で得られたジフェニルカーボネートからヘキサメチレンジイソシアネートを得る。)
攪拌装置、温度計、滴下ロートを備えた500mlフラスコに、実施例3と同様にして製造したジフェニルカーボネート161g(0.75モル)及びフェノール(米国、Aldrich社製を、予め蒸留したもの)142g(1.5モル)を入れ、乾燥窒素で置換後、フラスコを50℃のウォーターバスに浸漬し、攪拌を開始した。
フラスコ内部の固形分が溶解したのを確認後、ウォーターバス温度を45℃とした。滴下ロートには、45〜50℃に保温された1,6−ヘキサメチレンジアミン(米国、Aldrich社製を、予め蒸留したもの)35g(0.3モル)が入れられており、この滴下ロートよりフラスコ内部に滴下開始した。フラスコ内の液温が50〜60℃となるように滴下速度を調整しながら約20分かけて滴下した。
滴下終了後、ウォーターバスの設定温度を、フラスコ内の液温が50℃となるように調整して約1時間攪拌を続けた。
この反応液を高速液体クロマトグラフィー及びゲルパーミエーションクロマトグラフィーで分析した結果、1,6−ヘキサメチレンジアミンの反応率は100%で、1,6−ヘキサメチレンジカルバミン酸フェニルが収率99.6%、選択率99.6%で生成していることがわかった。尿素化合物は約0.4%であった。
上記のようにして得た反応液を、予熱器を通してディクソンパッキング(6mmφ)を充填した内径2インチ、塔長4mの連続多段蒸留塔の中段にフィードして、過剰のフェノールを蒸留塔上部からガス状で抜き出し、蒸留塔下部から液状の高沸点混合物を連続的に抜き出した。塔底部はリボイラーで130℃で加熱循環し、塔頂部の圧力は約20KPaとなるように調整した。塔底から抜き出された液は、移送ラインとポンプを通してディクソンパッキング(6mmφ)を充填した内径2インチ、塔長4mの連続多段蒸留塔の下から1m付近からフィードして熱分解を行った。塔底部はリボイラーで220℃で加熱循環し、塔頂部の圧力は約2.6KPaとなるように調整した。
塔の上部から2m付近からガス状でヘキサメチレンジイソシアネートを含む成分を抜き出し、塔の上部からはガス状でフェノールを抜き出した。ヘキサメチレンジイソシアネートを含む成分は、ディクソンパッキング(6mmφ)を充填した内径2インチ、塔長4mの連続多段蒸留塔の中段にフィードして、ヘキサメチレンジイソシアネートの精製を行った。塔底部はリボイラーで120℃で加熱循環し、塔頂部の圧力は約130Paとなるように調整した。
塔頂部から抜き出された成分はヘキサメチレンジイソシアネートが純度99.9%で得られた。また塔底部から抜き出された成分はジフェニルカーボネートが主成分であった。
比較例3
(塩素化合物を含んだジフェニルカーボネートからヘキサメチレンジイソシアネートを得る。)
攪拌装置、温度計、滴下ロートを備えた500mlフラスコに、ジフェニルカーボネート(ドイツ国、バイエル社製、加水分解性塩素化合物15ppmを含有)161g(0.75モル)及びフェノール(米国、Aldrich社製を、予め蒸留したもの)142g(1.5モル)を入れ、乾燥窒素で置換後、フラスコを50℃のウォーターバスに浸漬し、攪拌を開始した。
フラスコ内部の固形分が溶解したのを確認後、ウォーターバス温度を45℃とした。滴下ロートには、45〜50℃に保温された1,6−ヘキサメチレンジアミン(米国、Aldrich社製を予め蒸留したもの)35g(0.3モル)が入れられており、この滴下ロートよりフラスコ内部に滴下開始した。フラスコ内の液温が50〜60℃となるように滴下速度を調整しながら約20分かけて滴下した。滴下終了後、ウォーターバスの設定温度を、フラスコ内の液温が50℃となるように調整して約1時間攪拌を続けた。
この反応液を高速液体クロマトグラフィー及びゲルパーミエーションクロマトグラフィーで分析した結果、1,6−ヘキサメチレンジアミンの反応率は99%で、1,6−ヘキサメチレンジカルバミン酸フェニルが収率99%、選択率99.6%で生成していることがわかった。尿素化合物は約0.5%であった。
上記のようにして製造した反応液を、予熱器を通して、ディクソンパッキング(6mmφ)を充填した内径2インチ、塔長4mの連続多段蒸留塔の中段にフィードして、過剰のフェノールを蒸留塔上部からガス状で抜き出し、蒸留塔下部から液状の高沸点混合物を連続的に抜き出した。塔底部はリボイラーで130℃で加熱循環し、塔頂部の圧力は約20KPaとなるように調整した。塔底から抜き出された液は、移送ラインとポンプを通してディクソンパッキング(6mmφ)を充填した内径2インチ塔長4mの連続多段蒸留塔の下から1m付近からフィードして熱分解を行った。塔底部はリボイラーで220℃で加熱循環し、塔頂部の圧力は約2.6KPaとなるように調整した。
塔の上部から2m付近からガス状でヘキサメチレンジイソシアネートを含む成分を抜き出し、塔の上部からはガス状でフェノールを抜き出した。ヘキサメチレンジイソシアネートを含む成分は、ディクソンパッキング(6mmφ)を充填した内径2インチ、塔長4mの連続多段蒸留塔の中段にフィードして、ヘキサメチレンジイソシアネートの精製を行った。塔底部はリボイラーで120℃で加熱循環し、塔頂部の圧力は約130Paとなるように調整した。
塔頂部から抜き出された成分はヘキサメチレンジイソシアネートが純度99.3%で得られた。また塔底部から抜き出された成分はジフェニルカーボネートが主成分であった。得られたヘキサメチレンジイソシアネートは5ppmの加水分解性塩素化合物を含有していた。
(実施例4の製造方法で得られたジフェニルカーボネートからポリカーボネートを得る)
実施例4で得たジフェニルカーボネート[NMR分析結果、メチル基を含む不純物(アルキル基末端のメチル基を除く)は検出されなかった]23.5gとビスフェノールA22.8gとを、攪拌装置を備えた真空反応装置に入れ、窒素ガスで置換しながら8000Paで30分間、4000Paで90分間重合させた。 その後、270℃まで昇温し、70Paで1時間重合させた。得られた芳香族ポリカーボネートの色は無色透明で良好であり、数平均分子量は10500であった。
(メチル基含有不純物を含むジフェニルカーボネートからポリカーボネートを得る)
ジメチルカーボネートを用いてフェノールとエステル交換し、メチルフェニルカーボネートを経由し、不均化反応してジフェニルカーボネート(メチルフェニルカーボネートを約90ppm含有していた)を得た。このジフェニルカーボネート23.5gと、ビスフェノールA22.8gとを、攪拌装置を備えた真空反応装置に入れ、窒素ガスで置換しながら8000Paで30分間、4000Paで90分間重合させた。その後、270℃まで昇温し、70Paで1時間重合させた。得られた芳香族ポリカーボネートの色は無色透明で良好であり、数平均分子量は9500であった。
比較例4
(塩素化合物を含有するジフェニルカーボネートからポリカーボネートを得る)
ジフェニルカーボネート(ドイツ国、バイエル社製、塩素として5ppm含有)23.5gとビスフェノールA22.8gとを、攪拌装置を備えた真空反応装置に入れ、窒素ガスで置換しながら8000Paで30分間、4000Paで90分間重合させた。その後、270℃まで昇温し、70Paで1時間重合させた。高分子量体は得られず、数平均分子量800以下のオリゴマーを含む未反応物が得られた。
本発明の芳香族炭酸エステルの製造方法においては、有毒物質を用いず、腐食性物質を発生しないだけでなく、副生物は少なく、中間生成物はリサイクルすることができるので、環境上好ましく、簡便かつ効率的に芳香族炭酸エステルを高純度で製造することができる。
【0235】
上記操作を3回繰り返した後、脱アルコール器内部液を加熱、器内を減圧して未反応のアルコールをガス状にして導管21から抜き出し、凝縮器6を通して貯槽16へ移送した。液相成分は抜き出し導管12を通して貯槽23へ移送した。
貯槽23の液を分析した結果、約380gで、ジブチルスズジ(5−メチルヘキシルオキシド)が約0.56モル、1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ジ(5−メチルヘキシルオキシ)−ジスタンオキサンが約0.17モル含まれていた。(工程(1))
貯槽23へ移送された液のうち約127gを導管24から200mlオートクレーブ(日本国、東洋高圧社製)に入れて蓋をした。オートクレーブ内を窒素置換した後、SUSチューブとバルブを介してオートクレーブに接続された二酸化炭素のボンベの2次圧を5MPaに設定した後、バルブを開け、オートクレーブへ二酸化炭素を導入した。10分間攪拌し、バルブを閉めた。オートクレーブを攪拌したまま、温度を120℃まで昇温した。オートクレーブの内圧が常に約4MPaとなるように調整しながら、この状態のまま4時間反応させた。
途中サンプリングした結果、反応1時間後にはジ(5−メチルヘキシル)カーボネートが0.07mol生成しており、4時間後は約0.08molあった。オートクレーブを放冷したのち、二酸化炭素をパージした。
【0237】
図3に示すような装置を用いて工程(3)を以下のように実施した。
工程(2)で貯槽32に抜き出された液を導管35でバッフル付きの5LのSUS製反応器1へ供給した。
5−メチル−1−ヘキサノールを導管3から約3486g(30mol)加えた。0.1NL/HrでSUS配管を通して不活性ガス用導管2から窒素ガスのフィードを開始した。
攪拌及び反応器1の加熱を開始し、反応液温が約120℃となるように温度調節した。この状態で約6時間反応を続け、その間、反応器1の上部に接続したガス抜き出し用導管5から発生する低沸点成分をガス相として抜き出し、凝縮器6を通して貯槽7へ移送した。貯槽7には水を含む5−メチル−1−ヘキサノール液が得られていた。反応器1の内部の液相成分は抜き出し用導管8から貯槽9へ移送した。貯槽9から導管10で、攪拌機及び減圧するための装置、加熱装置を備えた脱アルコール器11へ移した。脱アルコール器内部液を加熱、器内を減圧して未反応のアルコールをガス状にして導管21から抜き出し、凝縮器6を通して貯槽16へ移送した。液相成分は抜き出し導管12を通して貯槽23へ移送した。
貯槽23へ移送された液を分析した結果、ジブチルスズジ(5−メチルヘキシルオキシド)と1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ジ(5−メチルヘキシルオキシ)−ジスタンオキサンが含まれていた。

Claims (37)

  1. 芳香族炭酸エステルの製造方法であって、
    (1)有機金属化合物と二酸化炭素とを反応させて、該反応で形成された炭酸ジアルキルを含有する反応混合物を得、
    (2)該反応混合物から該炭酸ジアルキルを分離して残留液を得、
    次の工程(3)及び(4)をその通りまたは逆の順序に、または部分的または全体的に同時に行う:
    (3)該残留液をアルコールと反応させて、少なくとも1種の有機金属化合物と水とを形成し、該水を有機金属化合物から除去する、
    (4)工程(2)で分離された炭酸ジアルキルと芳香族ヒドロキシ化合物とを反応させて芳香族炭酸エステルを得る、ことを特徴とする方法。
  2. 工程(4)で得られる芳香族炭酸エステルが炭酸アルキルアリール及び炭酸ジアリールからなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. 工程(3)において、水を除去した有機金属化合物を工程(1)にリサイクルすることを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
  4. 工程(4)において、該芳香族炭酸エステルと共に生成するアルコールを工程(3)へリサイクルすることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
  5. 工程(4)で回収する炭酸ジアルキルを工程(4)へリサイクルすることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
  6. 工程(1)〜(4)のサイクルを少なくとも1回以上繰り返して行うことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
  7. 工程(4)で得られる芳香族炭酸エステルが炭酸アルキルアリールであって、次の工程(5):
    (5)該炭酸アルキルアリールを不均化反応させて炭酸ジアリールを得る、
    を工程(4)の後にさらに含むことを特徴とする請求項2〜5のいずれかに記載の方法。
  8. 工程(5)において、該炭酸ジアリールと共に生成する炭酸ジアルキルを工程(4)へリサイクルすることを特徴とする請求項7に記載の方法。
  9. 工程(1)〜(5)のサイクルを少なくとも1回以上繰り返して行うことを特徴とする請求項7または8に記載の方法。
  10. 工程(1)における有機金属化合物の使用量が、該二酸化炭素に対する化学量論量の1/200〜1倍の範囲であることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の方法。
  11. 工程(1)における反応を20℃以上で行うことを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の方法。
  12. 工程(1)において用いる有機金属化合物が金属−酸素−炭素結合を有する有機金属化合物であることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の製造方法。
  13. 金属−酸素−炭素結合を有する有機金属化合物が、下記式(1)で表される有機金属化合物及び下記式(2)で表される有機金属化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を包含することを特徴とする請求項12に記載の方法。
    Figure 2005000783
    (式中:
    は、ケイ素を除く周期律表第4族と第14族の元素よりなる群から選ばれる金属原子を表し;
    及びRは各々独立に、直鎖状または分岐状の炭素数1〜12のアルキル基、炭素数5〜12のシクロアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数2〜12のアルケニル基、無置換又は置換された炭素数6〜19のアリール及び直鎖状または分岐状の炭素数1〜14のアルキルと炭素数5〜14のシクロアルキルよりなる群から選ばれるアルキルからなる炭素数7〜20のアラルキル基、又は無置換又は置換された炭素数6〜20のアリール基を表し;
    及びRは各々独立に、直鎖状または分岐状の炭素数1〜12のアルキル基、炭素数5〜12のシクロアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数2〜12のアルケニル基、又は無置換又は置換された炭素数6〜19のアリール及び、直鎖状または分岐状の炭素数1〜14のアルキルと炭素数5〜14のシクロアルキルよりなる群から選ばれるアルキルからなる炭素数7〜20のアラルキル基を表し;そして
    a及びbは各々0〜2の整数であり、a+b=0〜2、c及びdは各々0〜4の整数であり、a+b+c+d=4である。)
    Figure 2005000783
    (式中:
    及びMは各々独立に、ケイ素を除く周期律表第4族と第14族の元素からなる群より選ばれる金属原子を表し;
    、R、R及びRは各々独立に、直鎖状または分岐状の炭素数1〜12のアルキル基、炭素数5〜12のシクロアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数2〜12のアルケニル基、無置換又は置換された炭素数6〜19のアリール及び直鎖状または分岐状の炭素数1〜14のアルキルと炭素数5〜14のシクロアルキルからなる群より選ばれるアルキルからなる炭素数7〜20のアラルキル基、又は無置換又は置換された炭素数6〜20のアリール基を表し;
    及びR10は各々独立に、直鎖状または分岐状の炭素数1〜12のアルキル基、炭素数5〜12のシクロアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数2〜12のアルケニル基、又は無置換又は置換された炭素数6〜19のアリール及び直鎖状または分岐状の炭素数1〜14のアルキルと炭素数5〜14のシクロアルキルよりなる群から選ばれるアルキルからなる炭素数7〜20のアラルキル基を表し;そして
    e、f、g及びhは0〜2の整数であり、e+f=0〜2、g+h=0〜2、i及びjは1〜3の整数であり、e+f+i=3、g+h+j=3である。)
  14. 工程(2)における炭酸ジアルキルの分離を、蒸留、抽出及び濾過からなる群より選ばれる少なくとも1種の分離方法によって行うことを特徴とする請求項1〜13のいずれかに記載の方法。
  15. 工程(2)における炭酸ジアルキルの分離を蒸留によって行うことを特徴とする請求項14に記載の方法。
  16. 工程(2)における炭酸ジアルキルの分離を薄膜蒸留によって行うことを特徴とする請求項15に記載の方法。
  17. 工程(3)における水の除去を、膜分離によって行うことを特徴とする請求項1〜16のいずれかに記載の方法。
  18. 該膜分離がパーベーパレーションであることを特徴とする請求項17に記載の方法。
  19. 工程(3)における水の除去を蒸留によって行うことを特徴とする請求項1〜16のいずれかに記載の方法。
  20. 工程(3)で用いるアルコールが、直鎖状または分岐状の炭素数1〜12のアルキル基を有するアルキルアルコール、炭素数5〜12のシクロアルキル基を有するシクロアルキルアルコール、直鎖状または分岐状の炭素数2〜12のアルケニル基を有するアルケニルアルコール、及び無置換又は置換された炭素数6〜19のアリール及び、直鎖状または分岐状の炭素数1〜14のアルキルと炭素数5〜14のシクロアルキルとからなる群より選ばれるアルキルからなる炭素数7〜20のアラルキル基を有するアラルキルアルコールからなる群より選ばれる少なくとも1種のアルコールであることを特徴とする請求項1〜19のいずれかに記載の方法。
  21. 工程(3)で用いるアルコールが水よりも沸点が高いことを特徴とする請求項1〜20のいずれかに記載の方法。
  22. 工程(3)で用いるアルコールが、1−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、直鎖状または分岐状の炭素数5〜12のアルキル基を有するアルキルアルコール、及び直鎖状または分岐状の炭素数4〜12のアルケニル基を有するアルケニルアルコールからなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項21に記載の方法。
  23. 工程(3)で用いるアルコールが、工程(4)で用いる芳香族ヒドロキシ化合物よりも沸点が低いことを特徴とする請求項21または22に記載の方法。
  24. 式(1)におけるR及びR、及び式(2)におけるR及びR10が各々独立に、n−ブチル基、2−メチルプロピル基、直鎖状または分岐状の炭素数5〜12のアルキル基、または分岐状の炭素数4〜12のアルケニル基を表すことを特徴とする請求項13に記載の方法。
  25. 工程(1)において、該有機金属化合物を、単量体、オリゴマー、ポリマー及び会合体からなる群より選ばれる少なくとも1種の形態で用いることを特徴とする請求項1〜24のいずれかに記載の方法。
  26. 式(1)におけるM、及び式(2)におけるM及びMがスズ原子を表すことを特徴とする請求項13、24及び25のいずれかに記載の方法。
  27. 工程(1)で用いる有機金属化合物が、有機スズオキサイドとアルコールとから製造される化合物であることを特徴とする請求項1〜26のいずれかに記載の方法。
  28. 工程(4)で用いる芳香族ヒドロキシ化合物の使用量が、工程(4)で用いる炭酸ジアルキルに対する化学量論量の0.1〜10000倍の範囲であることを特徴とする請求項1〜27のいずれかに記載の方法。
  29. 工程(4)における反応を50〜350℃の範囲の温度で行うことを特徴とする請求項1〜28のいずれかに記載の方法。
  30. 工程(4)における反応をエステル交換反応触媒の存在下で行うことを特徴とする請求項1〜29のいずれかに記載の方法。
  31. 工程(5)における反応を不均化反応触媒の存在下で行うことを特徴とする請求項7〜30のいずれかに記載の方法。
  32. 工程(4)で用いる芳香族ヒドロキシ化合物が下記式(3)で表されることを特徴とする請求項1〜31のいずれかに記載の方法。
    ArOH (3)
    (式中、Arは炭素数5〜30の芳香族基を表す。)
  33. 式(3)で表される芳香族ヒドロキシ化合物がフェノールであることを特徴とする請求項32に記載の方法。
  34. 工程(3)で用いるアルコールにおける芳香族ヒドロキシ化合物及びカルボン酸基含有化合物の合計含有量が1000ppm以下であることを特徴とする請求項1〜33のいずれかに記載の方法。
  35. 請求項1〜34のいずれかに記載の方法で製造される 芳香族炭酸エステル。
  36. 請求項35に記載の芳香族炭酸エステルを用いて得られるポリカーボネート類、イソシアネート類またはポリカーボネートジオール類。
  37. 該芳香族炭酸エステルが炭酸ジアリールであることを特徴とする請求項36に記載のポリカーボネート類、イソシアネート類またはポリカーボネートジオール類。
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