JP2001064234A - 芳香族カーボネートの製造方法 - Google Patents

芳香族カーボネートの製造方法

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JP2001064234A
JP2001064234A JP24202599A JP24202599A JP2001064234A JP 2001064234 A JP2001064234 A JP 2001064234A JP 24202599 A JP24202599 A JP 24202599A JP 24202599 A JP24202599 A JP 24202599A JP 2001064234 A JP2001064234 A JP 2001064234A
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carbonate
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distillation column
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Hidehiko Kudo
英彦 工藤
Haruto Kobayashi
治人 小林
Takeshi Minami
武志 皆見
Kenichi Kaeruishi
健一 蛙石
Kaoru Shimokawara
薫 下河原
Kenichi Mimura
健一 味村
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Chiyoda Chemical Engineering and Construction Co Ltd
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Chiyoda Corp
Chiyoda Chemical Engineering and Construction Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 メタノール原料から芳香族カーボネートを工
業的に有利に製造する方法を提供する。 【解決手段】 (i)メタノールを原料としてジメチル
カーボネートと未反応メタノールを含む反応液を生成す
る工程、(ii)該反応液を蒸留処理してジメチルカーボ
ネートとメタノールとの混合物を得る工程、(iii)該混
合物を反応蒸留塔のその蒸留部下部に供給する工程、
(iv)該蒸留部上部にフェノール性化合物を供給する工
程、(v)該混合物とフェノール性化合物とを接触させ
ながら加圧下で蒸留する工程、(vi)該反応蒸留塔下部
の反応部において、芳香族カーボネートを生成させる工
程、(vii)該蒸留部の頂部よりメタノールを抜出す工
程、(viii)該蒸留塔反応部から触媒を含有する芳香族カ
ーボネートを抜出す工程、(ix)該蒸留部から抜出され
たメタノールを該ジメチルカーボネート生成工程に循環
する工程、からなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、芳香族カーボネー
トの連続的製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】触媒存在下、ジメチルカーボネートとフ
ェノール性化合物から、芳香族カーボネートを製造する
方法は、良く知られている。例えば、ジメチルカーボネ
ートとフェノール(RhOH)を原料とし、エステル交
換によりメチルフェニルカーボネート(MPC)を生成
し、そのメチルフェニルカーボネートとフェノールのエ
ステル交換またはメチルフェニルカーボネートの同分子
内エステル交換(不均化)によりジフェニルカーボネー
ト(DPC)が得られる。 DMC+PhOH⇔MPC+MeOH (1) MPC+PhOH⇔DPC+MeOH (2) 2MPC⇔DPC+DMC (3) しかしながら、これらの反応は平衡定数が10-1〜10
-4と原料系に傾いているため転化率が低いと言う問題が
あり、反応蒸留塔を用い低沸点生成物を反応系から除去
することにより反応を生成系に傾け転化率を高める方法
が用いられている。具体的には、第1工程で行う(1)
の反応では、副生するメタノールを反応液より蒸留除去
し反応を生成系に進め転化率の向上を図り、第2工程で
行う(3)の反応では、副生するジメチルカーボネート
を反応液より蒸留除去し反応を生成系に進め転化率の向
上を図るものである。例えば、特開平3−291257
号、特開平4−9358号、特開平4−211038号
の各公報には、連続多段蒸留塔内でジメチルカーボネー
トとフェノール性化合物とを触媒存在下でエステル交換
し、芳香族カーボネートを製造する方法が提案されてい
る。ただし、この方法においては多段蒸留塔内において
触媒の閉塞がおこり長時間、安定に運転出来ないという
問題である。また、第2工程から抜き出された均一触媒
を第1工程へ循環する方法について言及していない。特
開平6−157410号、特開平6−116210号の
各公報には、反応器に繋がった蒸留塔を用いて、ジメチ
ルカーボネートとフェノール性化合物またはアルキルア
リールカーボネートとを反応器内で触媒存在下エステル
交換し、反応液中の低沸点生成物を2重量%以下にする
ことにより芳香族カーボネートを高収率で、かつ触媒の
閉塞なしに長期間連続製造する方法が提案されている。
特開平6−234707号公報には、ジメチルカーボネ
ートとフェノール性化合物とを反応させる際に2個以上
の直列に連続した攪拌槽を使用して低沸点生成物を攪拌
槽の頭部から排出する芳香族カーボネートの製造方法が
提案されているが、設備が複雑で建設費が高くなるとい
う問題がある。特開平8−188558号公報では、ジ
メチルカーボネートと芳香族ヒドロキシ化合物とを連続
的に気相部が連通し、かつ液相部が複数の反応区分に分
割された反応槽を用い副生した脂肪族アルコールを含む
軽質留分を反応槽の上部から気相状態で抜き出すことを
特徴とする芳香族カーボネートの製造方法が提案されて
いるが、この方法の場合、反応槽が複雑で各反応槽の条
件をコントロールすることが困難である。特開平6−2
63694号公報では、ジメチルカーボネートとフェノ
ール性化合物とを蒸留塔を備えた反応槽を複数直列に繋
いだ第1多段連続反応系からなる第1工程で反応させ、
第1工程からの反応液を第1工程と同様な構成の第2多
段連続反応系からなる第2工程において反応させ、それ
ぞれの工程で副生する低沸点物を蒸留塔より系外に抜き
出す芳香族カーボネートの製造方法が提案されている
が、この方法の場合、設備が複雑で建設費が高くなる。
そして、特開平9−169703号公報には、反応蒸留
塔に供給するフェノール性化合物をジメチルカーボネー
トに対してモル比で5以上とする芳香族カーボネートの
製造方法を提案しているが過剰のフェノール性化合物の
分離および循環により経済性に劣るという問題がある。
【0003】これらの技術の提案は、平衡反応の副生物
であるメタノールもしくはジメチルカーボネートを蒸留
操作により反応液から除去し反応収率を高めようとする
ものであるため、第1工程においては、平衡反応を規制
する物質の1つであるメタノールを原料のジメチルカー
ボネートに含まずに行うものである。唯一特開平6−2
34707号公報においては、原料カーボネートに含ま
れるメタノール量を、カーボネートに対して0−5重量
%以下と記載されているが、メタノールの含有したジメ
チルカーボネート原料を用いた実施例はない。さらに、
これらの技術は、第1工程内で、副生するメタノールと
ジメチルカーボネートの共沸物をブレークする思想はな
い。
【0004】一般的に、ジメチルカーボネートは、メタ
ノールを出発原料として、一酸化炭素による酸化カルボ
ニル化、アルキレンカーボネートとのエステル交換、お
よびホスゲンまたは尿素との反応によって得られる。し
かしながら、ジメチルカーボネートの反応収率を高める
ために、メタノール過剰下で反応させるのが普通であ
り、かつジメチルカーボネートとメタノールは、常圧に
おいてジメチルカーボネート30重量%、メタノール7
0重量%の共沸組成を形成することから、従来このよう
な混合物として回収される。前述のとおり、ジメチルカ
ーボネートから芳香族カーボネートを製造するエステル
交換反応においては、メタノールの存在は反応を原料系
に傾ける作用があり、芳香族カーボネートの反応収率を
低くさせる。したがって、通常、芳香族カーボネート合
成工程へはメタノールを含有しない精製ジメチルカーボ
ネートを供給する必要があった。このような共沸物は通
常の蒸留操作では分離が困難であるため、回収後のジメ
チルカーボネートとメタノール共沸物を特別な操作を付
加し精製ジメチルカーボネートを得ている。例えば、メ
タノールと共沸する第3成分(共沸物形成剤)を加え、
メタノールとジメチルカーボネートとの共沸組成比を変
えたり、共沸をなくしたりする方法(特開昭54−41
820,特公昭62−8091)、加圧蒸留により共沸
組成比を変化させる方法(特開昭51−108019,
特開平2−212456)等が提案されている。また、
大量の水でメタノールを抽出する方法(特開昭50−7
7319)、有機溶剤によりジメチルカーボネートを抽
出する方法(特開平6−16596)等も提案されてい
る。即ち、従来は、メタノールを出発原料にジメチルカ
ーボネートを製造し、その後、芳香族カーボネートを製
造する方法においては、そのジメチルカーボネート製造
工程から、回収されるメタノールとジメチルカーボネー
トの共沸物を特別な分離操作を用いてメタノールを除去
し、精製ジメチルカーボネートとして芳香族カーボネー
ト製造工程に供給することが一般的に行われている。
【0005】さらに、芳香族カーボネート製造工程にお
いても、ジメチルカーボネートとフェノール性化合物と
のエステル交換反応においてメタノールが生成し、原料
ジメチルカーボネートと共沸物を形成する。そして、こ
の共沸物は、エステル交換反応を生成物側に進めるため
に蒸留操作によって系外に抜き出され、ジメチルカーボ
ネート分離工程に供給することによってメタノールとジ
メチルカーボネートを分離し、メタノールはジメチルカ
ーボネート製造工程へ、ジメチルカーボネートは、芳香
族カーボネート製造工程へそれぞれ循環させる方法が提
案されている。具体的には、特開平9−40616号公
報には、メタノールを出発原料としてジメチルカーボネ
ートを製造し、フェノール性化合物と触媒存在下でエス
テル交換して芳香族カーボネートを製造する方法に関
し、1)メタノールを出発原料としたジメチルカーボネ
ート製造工程、2)メタノール/ジメチルカーボネート
共沸物から溶剤にてジメチルカーボネートを抽出し、未
抽出のメタノールをジメチルカーボネート製造工程に循
環する溶剤抽出蒸留工程、3)溶剤とジメチルカーボネ
ートを分離するジメチルカーボネート精製工程、4)精
製ジメチルカーボネートとフェノールからエステル交換
によりジフェニルカーボネートを製造するジフェニルカ
ーボネート製造工程、5)ジフェニルカーボネート製造
工程で副生するメタノールとジメチルカーボネート混合
物をメタノール/ジメチルカーボネート共沸組成とし溶
剤抽出蒸留工程に循環させるメタノール/ジメチルカー
ボネート共沸蒸留工程からなる芳香族カーボネートの製
造方法が提案されている。ただし、この方法の場合、分
離工程が煩雑で、ジメチルカーボネートへ溶剤が混入す
る問題がある。また、芳香族カーボネート製造工程内で
副生するメタノールとジメチルカーボネートの共沸物を
ブレークする思想はなく、溶剤抽出蒸留工程での加圧蒸
留の併用の思想もない。
【0006】特開平7−330687号公報には、芳香
族カーボネート製造工程におけるメタノールとジメチル
カーボネートの共沸をブレークして芳香族カーボネート
を製造するために、反応蒸留塔の上部にフェノールの1
部または全部を供給し、塔底部(反応部)に精製ジメチ
ルカーボネートと触媒および残量のフェノールを供給し
て反応を行うとともに、この反応で副生するメタノール
と未反応ジメチルカーボネートとの共沸物をフェノール
を用いる抽出蒸留により分離しメタノールを塔頂から抜
き出す方法が提案されいる。ただし、この方法の場合、
多量のフェノールの分離および循環による経済性の問題
がある。また、副生するメタノールとジメチルカーボネ
ートの共沸物ブレークを溶剤抽出蒸留と加圧蒸留を併用
して行う思想はない。
【0007】前記従来法はいずれも芳香族カーボネート
製造工程へ供給するジメチルカーボネートにメタノール
を含まないものであり、その前段のジメチルカーボネー
ト製造工程においてジメチルカーボネートとメタノール
共沸物の分離精製工程を必要とするものである。そし
て、芳香族カーボネート製造工程で副生するメタノール
とジメチルカーボネートとの共沸物を原料のフェノール
性化合物による溶剤抽出と加圧蒸留とを併用して分離効
率を向上させる思想はない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、メタノール
原料から芳香族カーボネートを工業的に有利に製造する
方法を提供することをその課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題
を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、本発明を完成する
に至った。即ち、本発明によれば、メタノール原料から
芳香族カーボネートを連続的に製造する方法において、
(i)メタノールを原料としてジメチルカーボネートと
未反応メタノールを含む反応液を生成するジメチルカー
ボネート生成工程、(ii)該反応液を蒸留処理してジメ
チルカーボネートとメタノールとの混合物を得る工程、
(iii)該混合物を反応蒸留塔のその蒸留部下部に供給す
る工程、(iv)該蒸留部上部にフェノール性化合物を供
給する工程、(v)該蒸留部において該混合物とフェノ
ール性化合物とを接触させながら加圧下で蒸留する工
程、(vi)該反応蒸留塔下部の反応部において、ジメチ
ルカーボネートとフェノール性化合物とを触媒の存在下
で反応させて芳香族カーボネートを生成させる工程、(v
ii)該蒸留部の頂部又は頂部付近よりメタノールを抜出
す工程、(viii)該蒸留塔反応部から触媒を含有する芳香
族カーボネートを抜出す工程、(ix)該蒸留部頂部又は
頂部付近から抜出されたメタノールを該ジメチルカーボ
ネート生成工程に循環する工程、からなることを特徴と
する芳香族カーボネートの連続的製造方法が提供され
る。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明は、メタノールを原料とし
て製造したメタノール含有ジメチルカーボネートとフェ
ノール性化合物を用いて、芳香族カーボネートを製造す
る工程を含む。この場合の芳香族カーボネートとは、芳
香族基を有するカーボネート(炭酸エステル)を意味す
る。このような芳香族カーボネートには、メチルアリー
ルカーボネート、ジアリールカーボネートが包含され
る。なお、本明細書で言う芳香族基には、ベンゼン等の
通常の芳香族化合物から誘導される芳香族基(アリー
ル)の他、ピリジン等の複素(ヘテロ)芳香族化合物か
ら誘導される複素芳香族基(ヘテロアリール)が包含さ
れる。
【0011】前記フェノール性化合物としては、芳香環
(複素芳香環を含む)に直接ヒドロキシル基(OH)が
結合した化合物であれば、どのようなものであってもよ
い。この場合、その芳香環には、ベンゼン環の他、ナフ
タレン環等の縮合多環芳香環、ビフェニル等の鎖状多環
芳香環、各種の複素芳香環等が包含される。芳香環に
は、各種の置換基、例えば、炭素数1〜6のアルキル基
又はアルコキシ基や、シアノ基、エステル基、ヒドロキ
シル基、ニトロ基、ハロゲン原子(Cl、Br、I、
F)等が結合していてもよい。ベンゼン環由来の芳香族
基の具体例とを示すと、フェニル、トリル、キシリル、
トリメチルフェニル、テトラメチルフェニル、エチルフ
ェニル、プロピルフェニル、ブチルフェニル、ジエチル
フェニル、メチルエチルフェニル、ペンチルフェニル、
ヘキシルフェニル、シクロヘキシフェニルなどのフェニ
ル基及び各種アルキルフェニル基;メトキシフェニル、
エトキシフェニル、ブトキシフェニルなどの各種アルコ
キシフェニル基;フルオロフェニル、クロロフェニル、
ブロモフェニル、クロロ(メチルフェニル)、ジクロロ
フェニルなどの各種ハロゲン化フェニル基等が挙げられ
る。
【0012】前記縮合多環芳香環由来の芳香族基として
は、ナフチル、メチルナフチル、ジメチルナフチル、ク
ロロナフチル、メトキシナフチル、シアノナフチル等が
挙げられる。
【0013】前記鎖状多環芳香環由来の芳香族基として
は、下記一般式(II)で表されるものが挙げられる。
【化1】 前記式中、Aは置換基を有していてもよいアルキレン
基、−O−、−S−、−CO−、−SO2−等の2価の
基を示す。nは0又は1の数を示す。nが0の場合に
は、2つのベンゼン環は直接結合していることを示す。
また、各ベンゼン環には前記した如き各種の置換基が結
合していてもよい。
【0014】前記置換基を有していてもよいアルキレン
基としては、下記一般式(III)で表されるものが挙げ
られる。
【化2】 前記式中、R1、R2、R3及びR4は水素原子、炭素数1
〜6の低級アルキル基、炭素数5〜8のシクロアルキル
基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数7〜11のア
ラルキル基、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルコキシ
基等が挙げられる。mは0又は1の数を示す。
【0015】また、前記一般式(I)における2価の基
Aとしては、下記一般式(IV)で表されるシクロアルキ
リデン基であることができる。
【化3】 前記式中、kは3〜11の数を示す。このシクロアルキ
リデン基は、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜1
2のアリール基、ハロゲン原子等の各種の置換基が結合
していてもよい。
【0016】前記複素(ヘテロ)芳香環由来の芳香族基
(ヘテロアリール)としては、ピリジル、クマリル、キ
ノリル、メチルピリジル、クロルピリジル、メチルクマ
リル、メチルキノリル等が挙げられる。
【0017】本発明で用いる好ましいフェノール性化合
物の具体例を示すと、フェノール、クレゾール、キシレ
ノール、トリメチルフェノール、テトラメチルフェノー
ル、エチルフェノール、プロピルフェノール、ブチルフ
ェノール、ジエチルフェノール、メチルエチルフェノー
ル、メチルプロピルフェノール、ジプロピルフェノー
ル、メチルブチルフェノール、ペンチルフェノール、ヘ
キシルフェノール、シクロヘキシルフェノールなどの各
種アルキルフェノール;メトキシフェノール、エトキシ
フェノールなどの各種アルコキシフェノール、下記一般
式(V)
【化4】 (式中、A及びnは前記と同じ意味を有する)で表され
るフェノール、ナフトール及び各種置換ナフトール、ヒ
ドロキシピリジン、ヒドロキシクマリン、ヒドロキシキ
ノリンなどのヘテロ芳香族ヒドロキシ化合物などが挙げ
られる。本発明では、フェノール性化合物としては、ヒ
ドロキシル基を2個有するフェノール性化合物を用いる
ことができる。このようなものとしては、例えば、ハイ
ドロキノン、レゾルシン、カテコール、ジヒドロキシナ
フタレン、ジヒドロキシアントラセン及びそれらのアル
キル置換フェノール性化合物の他、下記一般式(VI)で
表されるものを挙げることができる。
【化5】 (式中、A及びnは前記と同じ意味を有する) 前記フェノール性化合物の中で、本発明において好まし
くは用いられるのは、炭素数6〜10の芳香族基からな
る芳香族モノヒドロキシ化合物であり、特に好ましいも
のはフェノールである。
【0018】本明細書で言うメチルアリールカーボネー
トとは、ジメチルカーボネートの1つのメチル基が、芳
香環基で置換されたもので、下記一般式(VII)で表わ
されるものの他、下記一般式(VIII)で表されるものを
意味する。
【化6】
【化7】 前記式中、Ar1及びAr2は芳香環基を示し、mは1又
は2を示す。
【0019】前記一般式(VII)で表されるメチルアリ
ールカーボネートは、1つのヒドロキシル基を有するフ
ェノール性化合物から誘導されるものであり、一方、前
記一般式(VIII)で表されるメチルアリールカーボネー
トは、2つのヒドロキシ基を有するフェノール性化合物
から誘導されるものである。
【0020】前記メチルアリールカーボネートの具体例
を示すと、例えば、メチルフェニルカーボネート、メチ
ルトリルカーボネート、メチルキシリルカーボネート、
メチル(トリメチルフェニル)カーボネート、メチル
(クロロフェニル)カーボネート、メチル(ニトロフェ
ニル)カーボネート、メチル(メトキシフェニル)カー
ボネート、メチルクミルカーボネート、メチル(ナフチ
ル)カーボネート、メチル(ピリジル)カーボネート、
メチル(ベンゾイルフェニル)カーボネート、メチル
(ヒドロキシフェニル)カーボネート、メトキシカルボ
ニルオキシビフェニル、メチル(ヒドロキシフェニル)
カーボネートなどが挙げられる。
【0021】本明細書でいうジアリールカーボネートと
は、ジメチルカーボネートの2つのメチル基が芳香環基
によって置換されたものであり、下記一般式(IX)、
(X)、(XI)で表わされるものである。
【化8】
【化9】
【化10】 前記式中、Ar1及びAr3は1つのヒドロキシル基を有
するフェノール性化合物から誘導された芳香族基を示
し、Ar2及びAr4は2つのヒドロキシキを有するフェ
ノール性化合物から誘導された芳香族基を示す。
【0022】ジアリールカーボネートの具体例を示す
と、例えば、ジフェニルカーボネート、ジトリルカーボ
ネート、フェニルトリルカーボネート、ジ(エチルフェ
ニル)カーボネート、フェニル(エチルフェニル)カー
ボネート、ジナフチルカーボネート、ジ(ヒドロキシフ
ェニル)カーボネート、ジ〔2−(ヒドロキシフェニル
プロピル)フェニル〕カーボネートなどが挙げられる。
【0023】本発明において、ジメチルカーボネートと
フェノール性化合物とのエステル交換反応に使用される
触媒は、従来公知の各種のメチルアリールカーボネート
化触媒であり、ジメチルカーボネートとフェノール性化
合物との反応によりメチルアリールカーボネートを生成
し得るものであればいかなるものでも使用することがで
きる。このようなものとして特願平8−231472に
示されるような、以下のものが挙げられる。
【0024】例えば、均一系触媒としては、遷移金属ハ
ライド等のルイス酸またはルイス酸を形成し得る化合
物、有機スズオキシド等のスズ化合物、鉛化合物類、銅
族金属、アルカリ金属、亜鉛、カドミウム、鉄族金属、
ジルコニウム等の錯体類、チタン酸エステル類、ルイス
酸とプロトン酸の混合物、Yb、Tm、Ho、Dy、T
b等の希土類元素のハロゲン化物等が提案されている。
また、不均一系触媒としては、シリカ−チタニア固体
酸、ポリマー性スズ化合物、Sc、Mo、Mn、ランタ
ノイド等の化合物類、アルカリ金属またはアルカリ土類
金属の塩類、二酸化チタン、モリブデン(VI)酸化物ま
たは/及びバナジウム(V)酸化物、それらがシリカ多
孔体であるシリカゲル及び/若しくは結晶性メソ多孔質
シリケート、ジルコニアまたはチタニアの無機酸化物担
体に担持した触媒等が提案されている。これらの触媒の
中で特に好ましく用いられるのは、Ti、Mo又はVの
アルコキシ化物や、アリールオキシ化物であり、さらに
はこれらの化合物が反応系中に存在する有機化合物と反
応したもの、あるいはこれらの化合物が反応に先立って
原料や生成物で加熱処理されたものも好ましく用いられ
る。これらの触媒は反応液に均一に溶解していてもよ
く、SiO2などの担体に固定された不均一触媒でもよ
く、また、均一、不均一触媒が混在していてもよい。
【0025】本発明で用いられる反応蒸留塔とは、蒸留
部と反応部とを有するもので、蒸留の段数が2段以上の
多段を有する蒸留塔であって、連続蒸留が可能なもので
あるならばどのようなものであってもよい(本発明でい
う蒸留塔の段数とは、棚段塔の場合には、その棚段の数
を表わし、充填塔式その他の蒸留塔については理論段数
を表わす)。このような反応蒸留塔としては、例えば、
泡鐘トレイ、多孔板トレイ、バルブトレイ、向流トレイ
等のトレイを使用した棚段塔式のものや、ラシヒリン
グ、レッシングリング、ポールリング、ベルルサドル、
インタロックスサドル、ディクソンパッキング、マクマ
ホンパッキング、ヘリパック、スルザーパッキング、メ
ラパック等の各種充填物を充填した充填塔式のもので最
下部が液だめとなっている、通常、連続式の多段蒸留塔
として用いられるものならばどのようなものでも使用す
ることができる。また、棚段部分と充填物の充填された
部分とを合わせ持つ棚段−充填混合塔方式の蒸留塔も好
ましく用いられる。さらに、好ましくは、蒸留塔部と反
応器部とが一体に形成されたものであってもよい。
【0026】本発明によりメタノール原料から芳香族カ
ーボネートを製造するには、先ず、ジメチルカーボネー
ト生成工程において、メタノールを原料として用いて、
ジメチルカーボネートを生成する。メタノールを用いて
ジメチルカーボネートを合成する方法としては、従来公
知の各種の方法を用いることができる。このような方法
のうち、好ましいものとしては、銅系触媒を含む触媒液
を用いて、アルキルアルコール、一酸化炭素(CO)、
及び酸素(O2)を、酸化カルボニル化反応工程におい
て反応させる方法を示すことができる。
【0027】前記メタノールの酸化カルボニル化反応工
程(ジメチルカーボネート生成工程)で用いる触媒液
は、銅化合物と、環状窒素化合物と、下記一般式(1)
で表されるグリコールエーテルを含む均一溶液からな
る。 R1O〔CH(R2)CH2O〕n R3 (I) (式中、R1は炭素数1〜6のアルキル基、R2は炭素数
1〜2のアルキル基又は水素、R3は炭素数1〜6のア
ルキル基又は水素、nは1〜12の整数を示す) この触媒液において、銅化合物としては、触媒活性と炭
酸ジエステルの選択性の観点から、特に、塩化第1銅
(CuCl)又はその錯体が好ましい。
【0028】グリコールエーテルは、前記の一般式
(I)で表されるものであるが、その代表的グリコール
エーテルは、メタノール、エタノール、プロパノール及
び/又はブタノール1モルに対し、酸化エチレン及び/
又は酸化プロピレンを2〜12モル付加したグリコール
モノアルキルエーテル系化合物である。また、それらの
代表的グリコールエーテルの別の群は、上記グリコール
モノアルキルエーテルの末端のOH基のHをメチル基、
エチル基、プロピル基、又はブチル基等の低級アルキル
基で置換したグリコールジアルキルエーテル系化合物で
ある。
【0029】環状窒素化合物としては、特に、ピリジ
ン、2−ヒドロキシピリジン、2−メチルピリジン、
1,10−フェナントロリン、2,2’−ジピリジルを
用いることが好ましい。
【0030】原料として用いられる一酸化炭素及び酸素
は、それぞれ、高純度ガスである必要はなく、窒素、ア
ルゴン、二酸化炭素などの不活性ガスにより希釈したも
のであってもよい。特に、反応条件下においては、酸素
による爆発を防止するために、不活性ガスによる希釈を
行うことが好ましい。その意味では酸素の代わりに空気
を用いてもよい。本発明で用いるメタノールのカルボニ
ル化工程(炭酸ジエステル生成工程)においては、前記
触媒液中において、メタノールと一酸化炭素と酸素とを
反応させる。この場合の反応を、銅化合物として、Cu
Clを用いた場合の反応例を反応式で示すと以下の通り
である。
【0031】 (酸化) 2(ROH)+ 1/2 O2 + 2[CuCl・Xn] → 2[Cu(OR)Cl・Xn] + H2O (a) (カルボニル化) 2[Cu(OR)Cl・Xn]+ CO → (RO)2CO + 2[CuCl・Xn] (b) 上記2つの式をまとめると、次式になる。 2(ROH)+ 1/2 O2 + CO → (RO)2CO + H2O (c) 前記式において、Rはメチル残基を示し、Xは配位子を
示し、nはCuClに結合する配位子の数である。
【0032】ジメチルカーボネート生成反応は、回分方
式又は流通方式のいずれの方式によっても実施すること
ができる。
【0033】前記ジメチルカーボネート生成工程で得ら
れる反応液は、蒸留処理工程において蒸留処理され、メ
タノールとジメチルカーボネートからなる留分と、それ
以外の留分(触媒液留分)とに分離される。
【0034】前記蒸留処理工程で得られるメタノールと
ジメチルカーボネートからなる混合物は、芳香族カーボ
ネートの合成原料として用いられる。。この混合物を用
いて芳香族カーボネートを製造するには、反応蒸留塔
(加圧反応蒸留塔)に対し、その蒸留塔下部の反応部
に、その混合物を液状、蒸気状又は気液混合状で供給す
るとともに、その蒸留塔上部にフェノール性化合物を液
体状で供給し、さらに、蒸留塔最下部の反応部に触媒液
を供給し、そして、その蒸留塔を加圧下に保持して蒸留
(加圧蒸留)する。加圧反応蒸留にてフェノール性化合
物を塔頂近くに供給することは、メタノールとジメチル
カーボネートのように、共沸組成を形成する混合物から
ジアリールカーボネートを製造する場合に、特に適した
方法であるフェノール性物質、例えばフェノールを抽剤
とする抽出蒸留により、メタノール、ジメチルカーボネ
ートの共沸組成を分離できるが大量のフェノール流量が
必要であった。また、加圧蒸留により、メタノール、ジ
メチルカーボネートの共沸組成を変え、分離することも
できるが、完全分離が困難であることと、高圧によりメ
タノール沸点が上昇するため、反応液中からのメタノー
ル除去の蒸留温度、しいては反応温度が高くなり副反応
による不純物の生成が起る。おどろくべきことに、加圧
下で抽出蒸留を行うことにより必要なフェノール量が大
幅に削減でき、かつ副反応をともなわず、反応を進行さ
せることを見い出した。前記メタノールとジメチルカー
ボネートとの混合物中の含有量は、5〜95重量%、好
ましくは5〜70重量%である。
【0035】この加圧蒸留処理においては、その蒸留塔
最下部の反応部においてジメチルカーボネートとフェノ
ール性化合物とのエステル交換反応が起り、その反応に
より副生したメタノールは、蒸留塔に供給されたメタノ
ールとともに、蒸留塔頂部又はその付近からガス状で抜
出される。この場合、蒸留条件を調節して、蒸留塔頂部
又はその付近からメタノール単独又は少量のジメチルカ
ーボネートが混入したメタノールを抜出すことができ
る。このメタノールの抜出し口は、蒸留塔のフェノール
性化合物の供給口よりも上方の位置、好ましくは塔頂部
又はその付近に配設する。前記ジメチルカーボネート等
の不純物を含むメタノール中の不純物の含有量は、0〜
60重量%以下、好ましくは0〜30重量%である。
【0036】前記反応蒸留塔の反応部で生成した芳香族
カーボネートは、触媒とともに、その反応部から抜出
す。この場合、抜出される芳香族カーボネートには、フ
ェノール性化合物が含まれていてもよいし、メタノール
が少量含まれていてもよい。芳香族カーボネート中のメ
チルアリールカーボネートの含有量は50〜100重量
%、好ましくは80重量%以上である。反応蒸留塔に供
給されるフェノール性化合物量とジメチルカーボネート
量との比率は、その反応部の条件によっても変化する
が、通常、ジメチルカーボネートに対するフェノール性
化合物のモル比で、0.1〜4、好ましくは0.3〜2
である。また、蒸留塔に供給されるフェノール性化合物
量は、蒸留塔内に供給される全物質に対して、1〜20
モル%、好ましくは5〜18モル%である。
【0037】反応蒸留塔に供給する触媒量は、その触媒
活性によって変るが、通常、供給するジメチルカーボネ
ート量とフェノール性化合物量合計重量に対して、0.
00001〜50重量%、好ましくは0.001〜10
重量%、より好ましくは0.005〜2重量%である。
【0038】本発明で用いる反応蒸留塔の蒸留塔内の反
応液の下降速度及び蒸気の上昇速度は、使用する蒸留塔
の種類により、また充填塔を使用する場合にはその充填
物の種類により異なるが、通常、フラッディングを起こ
さない範囲で設定される。本発明で用いる反応蒸留塔で
は、還流比を増加させると反応副生物であるメタノール
やジメチルカーボネートの蒸気相への蒸留効率が高くな
るため、抜き出す蒸気中の反応副生物の濃度を増加させ
ることができる。しかしながら、あまりに高く還流比を
増加させると、必要な熱エネルギーが大きくなるので好
ましくない。したがって、還流比は、通常、0〜10が
用いられ、好ましくは、0〜5が用いられる。
【0039】本発明における前記芳香族カーボネート生
成反応は、反応蒸留塔最下部(反応部)内で起こるた
め、生成する反応生成物の量は、反応蒸留塔最下部の液
だめ内のホールドアップ液量に依存する。つまり、同じ
塔高、同じ塔径の連続多段蒸留塔を用いる場合には、液
ホールドアップの高い反応蒸留塔が反応液の平均滞留時
間、即ち反応時間が長くなるという点で好ましい。しか
しながら、液ホールドアップがあまりに高い場合には、
滞留時間が長くなるために副反応が進行しやすくなる。
従って、本発明に用いる反応蒸留塔最下部の液だめのホ
ールドアップ液量は、蒸留条件や蒸留塔の種類によって
も変わり得るが、反応液の平均滞留時間として、通常、
0.01〜10時間になるように設定される。
【0040】本発明により反応蒸留塔で反応を行う場
合、その反応温度は、用いる原料の種類によって異なる
が、通常50〜350℃、好ましくは100〜280℃
の範囲である。50℃より低いと充分な反応連度が得ら
れず280℃より高いと不純物の生成が多くなる。また
その反応圧力は、用いる原料の種類及び反応温度により
異なるが、通常、4〜200Kg/cm2Gである。本
発明の反応蒸留塔を用いる反応においては、必ずしも溶
媒を使用する必要はないが、反応操作を容易にする等の
目的で適当な不活性溶媒、例えば、エーテル類、脂肪族
炭化水素類、芳香族炭化水素類、ハロゲン化脂肪族炭化
水素類、ハロゲン化芳香族炭化水素類等を反応溶媒とし
て用いることができる。本発明では、反応に不活性な物
質として窒素、ヘリウム、アルゴン等の不活性ガスを反
応系に共存させてもよい。また、副生するアルキルアル
コールやジアルキルカーボネートの除去を加速する目的
でそれぞれの蒸留塔の下部より不活性ガスや反応に不活
性な低沸点有機化合物をガス状で導入してもよい。
【0041】図1に本発明の方法を実施する場合のフロ
ーシートの1例を示す。図1において、1はメタノール
原料からジメチルカーボネートを生成するジメチルカー
ボネート生成工程、2はそのジメチルカーボネート工程
から得られるジメチルカーボネートおよび未反応メタノ
ール混合物と触媒液を分離する反応蒸留処理工程、3は
反応蒸留塔を示す。
【0042】図1のフローシートに従って芳香族カーボ
ネートを製造するには、ジメチルカーボネート生成工程
1で得られた反応液をライン4を通って蒸留処理工程2
に送り、ここで蒸留処理し、メタノールとジメチルカー
ボネートの混合物(共沸混合物)を蒸留塔の塔頂からラ
イン5を通って抜出す。一方、蒸留塔の塔底からは触媒
液を抜出し、ライン6を通ってジメチルカーボネート生
成工程1に循環する。蒸留処理工程2で得られたメタノ
ールとジメチルカーボネートの混合物は、これをライン
5を通って反応蒸留塔3の蒸留部bの下部に供給すると
ともに、蒸留部bの上部にライン7からフェノール性化
合物を供給し、さらに、その蒸留塔最下部の反応部aに
ライン8から触媒液を供給する。反応蒸留塔3は、加圧
条件で運転され、その塔頂からはライン9を通ってメタ
ノールが抜出され、凝縮器10を通った後、その一部は
蒸留部bの頂部に還流され、残部はライン11を通って
ジメチルカーボネート生成工程1に循環される。反応蒸
留塔反応部aにおいては、ライン7を通って供給され、
塔内を降下し、反応部aに流入したフェノール性化合物
とジアルキルカーボネートとの混合物のエステル交換反
応が触媒の存在下で進行する。この反応により、芳香族
カーボネートが生成し、副生物としてメタノールが生成
する。
【0043】反応蒸留塔3は、加圧条件で運転される
が、その加圧条件を含めた蒸留塔操作条件は、塔頂から
抜出されるメタノール中に含まれるジメチルカーボネー
トの量が、60重量%以下、好ましくは30重量%以下
になるように設定する。蒸留塔の圧力は、その頂部圧力
で、通常、3〜50kg/cm2G、好ましくは8〜1
6kg/cm2Gである。反応蒸留塔3の反応部aから
は、芳香族カーボネートを含む反応液がライン13を通
って抜出される。この反応液は、芳香族カーボネート、
ジメチルカーボネート、フェノール性化合物、触媒から
なるもので蒸留処理することにより、芳香族カーボネー
トを分離回収することができる。また、この芳香族カー
ボネートは、メチルアリールカーボネートとジアリール
カーボネートの混合物からなるが、この混合物は、さら
に蒸留処理を施すことにより、メチルアリールカーボネ
ートとジアリールカーボネートとに分離することができ
る。
【0044】
【実施例】次に本発明を実施例によりさらに詳細に説明
する。
【0045】実施例1(流通方式による炭酸ジメチルの
合成) 実験装置としては、図2に示した装置系を用いた。図2
において、60はリサイクルポンプを示し、61は反応
装置を示し、62はフラッシャーを示し、63は受器を
示し、64は冷却器を示し、65はO2メータを示し、
66はガスメータを示す。1.3重量部のCuClとピ
リジン3.9重量部と、トリエチレングリコールジメチ
ルエーテル38.1重量部からなる触媒液とメタノール
56.3重量部との混合液200mlを、ハステロイC
製反応装置61に仕込み、また、その混合液の60ml
をフラッシャー62に仕込んだ。反応装置61におい
て、混合液(反応溶液)を1000r.p.m.で撹拌
しながらかつCOを1.25mol/hrで供給しなが
ら、反応装置61及びフラッシャー62を100℃に昇
温した。反応装置61の圧力は25kg/cm2Gと
し、フラッシャー62の圧力は絶対圧で0.8kg/c
2とした。次に、O2/CO混合ガスをライン68を通
して反応装置61に供給し、メタノール/ピリジン混合
液をライン67を通して反応装置61に供給した。O2
の供給速度は0.1mol/hrとした。反応装置内の
CO分圧は、排ガス組成分析より、24〜24.8kg
/cm2、O2分圧は0.02〜0.12kg/cm2
あった。メタノール/ピリジン混合液中のピリジン濃度
は0.75wt%であり、この混合液は、フラッシャー
内の液レベルが一定となる流量(1.5〜2.5mol
/hr)で供給した。反応装置61から反応溶液の一部
を気液混相で抜出し、フラッシャー62に導入し、ここ
でフラッシュさせた。このフラッシャーの温度は100
℃であり、圧力は絶対圧で0.8kg/cm2である。
このフラッシャー62において、反応溶液中に含まれる
気体(CO)が反応溶液から分離されるとともに、反応
溶液中に含まれる炭酸ジメチル、メタノール、ピリジ
ン、水及びトリエチレングリコールのそれぞれの一部が
気相で冷却器64に送られ、ここで凝縮液として回収さ
れる。冷却器64に導入されたCOからなる排ガスは、
2メータ65及びガスメータ66を通って排出され
る。フラッシャー62内の残液は、リサイクルポンプ6
0により、流量8ml/minで反応装置61に返送さ
れる。反応装置61に供給されるO2の殆どは、その反
応装置61において反応して消費されるので、フラッシ
ャー62内の雰囲気は実質上COのみからなる。従っ
て、このフラッシャー内においては、触媒液とCOとの
接触が起り、触媒液は再生される。前記のようにして長
時間連続運転を行った。その反応結果を表1に示す。
【0046】
【表1】 CO={1−A/(B−C)}×100(%) A;排ガス中のCO2濃度(vol%) B;供給ガス中のO2濃度(vol%) C;排ガス中のO2濃度(vol%) 前記S(M)は次式で表される。 SM=D/E×2×100(%) D;生成した炭酸ジメチル量(mol) E;消費されたメタノール量(mol)
【0047】比較例1、2(DMC/MeOH/PhO
H系の気液平衡曲線とDMC/MeOH系の気液平衡曲
線との比較) 常圧気液平衡測定装置(柴田科学製)を用いてメタノー
ルージメチルカーボネートーフェノール3成分系の気液
平衡線図を取得した。その主要データを表2に示す。こ
のデータから、フェノールの添加によりジメチルカーボ
ネートとメタノールの共沸組成はブレークされるが、十
分な分離を行うためにはモル分率で0.25以上のフェ
ノールの添加が必要であることが知見された。
【0048】
【表2】
【0049】実施例2(DMC/MeOH/PhOH系
の気液平衡への圧力効果) 図3に示す長さ1.6m、内径1インチのステンレス管
にステンレス製ヘリパックを充填した小型連続蒸留装置
(理論段20段)を用いて連続蒸留を行った。塔頂から
理論段15段の位置にメタノール/ジメチルカーボネー
ト=70/30(w/w)の混合液を、塔頂から4段の
位置にフェノールを連続的に供給し、定常状態にて表2
に示す成分組成(wt%)塔頂、塔底液を得た。操作圧
力を上げることによって、少ないフェノール供給量で十
分なメタノールとジメチルカーボネートの分離が可能に
なることが明らかである。
【0050】実施例3 図1に従って芳香族カーボネートを製造した。その主要
操作条件を図1との関連で以下に示す。
【0051】(1)ライン4 (i)反応液流量:559.54重量部/h (ii)反応液組成(wt%) メタノール:22.15 ジメチルカーボネート:3.04 (iii)触媒液:74.81 (2)ライン5 (i)蒸留物流量:56.7重量部/h (ii)蒸留物組成(wt%) メタノール:70 ジメチルカーボネート:30 (3)ライン7 (i)フェノール流量:16.1重量部/h (ii)フェノール組成(wt%) フェノール:100 (4)ライン8 (i)触媒液流量:16.7重量部/h (ii)触媒液組成(wt%) フェノール:96.4 触媒(チタンフェノラート):3.6 (5)反応蒸留塔3 (i)塔高:1.2m、塔径:1インチ、充填物:ステ
ンレス製ヘリパック No.2、充填層高さ:1m (ii)塔底温度:235℃ (iii)塔頂圧力:14kg/cm2G (iv)還流比:5 (6)ライン11 (i)メタノール留分流量:42.8重量部/h (ii)メタノール留分組成(wt%) メタノール:97.1 ジメチルカーボネート:2.9 (7)ライン13 (i)芳香族カーボネート留分流量:31.7 (ii)芳香族カーボネート留分の組成(wt%) ジフェニルカーボネート:2.54 メチルフェニルカーボネート:24.4 フェノール:38.6 ジメチルカーボネート:34.1 メタノール:0.07 アニソール:0.19 触媒(チタンフェノラート):0.19
【0052】実施例4 図1に従って芳香族カーボネートを製造した。その主要
操作条件を図1との関連で以下に示す。この場合、ライ
ン7からのフェノールとして、フェノールと他の成分と
の混合物を用いた。
【0053】(1)ライン4 (i)反応液流量:238.75重量部/h (ii)反応液組成(wt%) メタノール:27.55 ジメチルカーボネート:2.40 (iii)触媒:70.05 (2)ライン5 (i)蒸留物流量:19.1重量部/h (ii)蒸留物組成(wt%) メタノール:70 ジメチルカーボネート:30 (3)ライン7 (i)フェノール混合物流量:52.9重量部/h (ii)フェノール混合物組成(wt%) フェノール:30.5 ジメチルカーボネート:69.5 (4)ライン8 (i)触媒液流量:1.73重量部/h (ii)触媒液組成(wt%) フェノール:93.1 触媒(チタンフェノラート):6.9 (5)反応蒸留塔3 (i)塔高:1.2m、塔径:1インチ、充填物:ステ
ンレス製ヘリパック No.2、充填層高さ:1m (ii)塔底温度:235℃ (iii)塔頂圧力:14kg/cm2G (iv)還流比:5 (6)ライン11 (i)メタノール留分流量:17.1重量部/h (ii)メタノール留分組成(wt%) メタノール:95.9 ジメチルカーボネート:4.1 (7)ライン13 (i)芳香族カーボネート留分流量:56.7 (ii)芳香族カーボネート留分の組成(wt%) ジフェニルカーボネート:3.63 メチルフェニルカーボネート:20.6 フェノール:15.3 ジメチルカーボネート:59.9 メタノール:0.05 アニソール:0.18 触媒(チタンフェノラート):0.21
【0054】
【発明の効果】本発明によれば、メタノールを出発原料
としたジアルキルカーボネートとフェノール性化合物と
から芳香族カーボネート、特に、メチルアリールカーボ
ネートを、安価な装置コストで連続的にかつ効率よく製
造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法を実施する場合のフローシートの
1例を示す。
【図2】流通方式により炭酸ジメチルの合成を行う場合
に用いた実験装置説明図である。
【図3】実施例で用いた小型連続蒸留装置の説明図であ
る。
【符号の説明】
1 ジメチルカーボネート生成工程 2 蒸留処理工程 3 反応蒸留塔
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 皆見 武志 神奈川県横浜市鶴見区鶴見中央二丁目12番 1号 千代田化工建設株式会社内 (72)発明者 蛙石 健一 神奈川県横浜市鶴見区鶴見中央二丁目12番 1号 千代田化工建設株式会社内 (72)発明者 下河原 薫 神奈川県横浜市鶴見区鶴見中央二丁目12番 1号 千代田化工建設株式会社内 (72)発明者 味村 健一 神奈川県横浜市鶴見区鶴見中央二丁目12番 1号 千代田化工建設株式会社内 Fターム(参考) 4H006 AA02 AC48 AD11 BA05 BA50 BA51 BC52 BD33 BD52 BD70 BE30 BE40 BJ50 KA57 KA60 4H039 CA66 CD10 CD40 CF30

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 メタノール原料から芳香族カーボネート
    を連続的に製造する方法において、(i)メタノールを
    原料としてジメチルカーボネートと未反応メタノールを
    含む反応液を生成するジメチルカーボネート生成工程、
    (ii)該反応液を蒸留処理してジメチルカーボネートと
    メタノールとの混合物を得る工程、(iii)該混合物を反
    応蒸留塔のその蒸留部下部に供給する工程、(iv)該蒸
    留部上部にフェノール性化合物を供給する工程、(v)
    該蒸留部において該混合物とフェノール性化合物とを接
    触させながら加圧下で蒸留する工程、(vi)該反応蒸留
    塔最下部の反応部において、ジメチルカーボネートとフ
    ェノール性化合物とを触媒の存在下で反応させて芳香族
    カーボネートを生成させる工程、(vii)該蒸留部の頂部
    又は頂部付近よりメタノールを抜出す工程、(viii)該蒸
    留塔反応部から触媒を含有する芳香族カーボネートを抜
    出す工程、(ix)該蒸留部頂部又は頂部付近から抜出さ
    れたメタノールを該ジメチルカーボネート生成工程に循
    環する工程、からなることを特徴とする芳香族カーボネ
    ートの連続的製造方法。
  2. 【請求項2】 該ジメチルカーボネート生成工程におい
    て、金属銅、金属銅化合物又は銅の錯化合物と、下記構
    造式(I)で表されるグリコールエーテルと、環状窒素
    化合物との存在下に、メタノールを一酸化炭素及び酸素
    と反応させてジメチルカーボネートを生成する請求項1
    の方法。 R1O〔CH(R2)CH2O〕n R3 (I) (式中、R1は炭素数1〜6のアルキル基、R2は炭素数
    1〜2のアルキル基又は水素、R3は炭素数1〜6のア
    ルキル基又は水素、nは1〜12の整数を示す)
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