JP2733035B2 - 炭酸エステルの製造方法 - Google Patents

炭酸エステルの製造方法

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JP2733035B2
JP2733035B2 JP7106318A JP10631895A JP2733035B2 JP 2733035 B2 JP2733035 B2 JP 2733035B2 JP 7106318 A JP7106318 A JP 7106318A JP 10631895 A JP10631895 A JP 10631895A JP 2733035 B2 JP2733035 B2 JP 2733035B2
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carboxylic acid
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英昭 常木
義幸 恩田
篤 守屋
吉田  裕
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  • Low-Molecular Organic Synthesis Reactions Using Catalysts (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、原料炭酸エステルと芳
香族ヒドロキシ化合物とを原料として用いて炭酸エステ
ルを製造する方法に関するものである。
【0002】得られる炭酸エステルは工業的に有用な化
合物であり、例えば、炭酸エステルの一種である炭酸ジ
フェニルは、ポリカーボネートの原料として用いられ
る。
【0003】
【従来の技術】従来より、芳香族炭酸エステルの製造方
法としては、例えば、脂肪族炭酸エステルを芳香族ヒド
ロキシ化合物でエステル交換する方法が知られている。
特に、脂肪族炭酸エステルの一種である炭酸ジメチル
と、芳香族ヒドロキシ化合物の一種であるフェノールと
を反応させ、炭酸メチルフェニルを経由して炭酸ジフェ
ニルを製造する方法については、多くの提案がなされて
いる。炭酸ジフェニルの製造方法としては、例えば、ル
イス酸或いはルイス酸を発生する化合物を触媒として用
いる方法(特公昭58-48537号公報)、チタン系化合物や
アルミニウム系化合物を触媒として用いる方法(特公昭
59-34170号公報)、鉛化合物を触媒として用いる方法
(特公昭 64-3181号公報)、有機錫化合物を触媒として
用いる方法(特開昭54-48733号公報)等が知られてい
る。
【0004】上記の方法は、何れもバッチ式で実施され
ており、反応系に炭酸ジメチルを供給しながら、副生す
るメタノールを留去している。このため、反応時間が長
く、生産性が悪いという欠点を有している。また、メタ
ノールを効率的に留去するために、反応系にベンゼンを
添加する方法(特公昭 62-8091号公報)も知られてい
る。ところが、この方法は、メタノールを回収する際
に、ベンゼンとメタノールとの混合溶液から水を用いて
該メタノールを抽出する等、回収操作が煩雑となってい
る。従って、この方法においても、生産性を充分に向上
させることができない。
【0005】また、連続式多段蒸留塔を用い、該蒸留塔
内で炭酸ジメチルとフェノールとを反応させて炭酸ジフ
ェニルを製造する方法(特開平3-291257号公報)が知ら
れている。ところが、この方法は、炭酸ジメチルの転化
率が 1.6モル%〜24モル%程度であり、生産性が悪いと
いう欠点を有している。また、該方法においては、目的
物である炭酸ジフェニルを得るのに要する工程が前記他
の方法よりも多いという欠点も有している。
【0006】尚、炭酸ジメチルの転化率が低いのは、以
下の理由による。即ち、炭酸メチルフェニルを形成する
エステル交換反応は、原系側に非常に偏った平衡反応
(平衡定数K=10-3〜10-4)であり、該反応が実質的に
進行しないためである。
【0007】さらに、炭酸ジメチルと酢酸フェニルとを
反応させて炭酸ジフェニルを製造する方法(米国特許第
4,533,504号)が知られている。この方法は、炭酸ジメ
チルの転化率が70モル%以上と高い。ところが、該方法
は、副生する酢酸メチルから酢酸フェニルを再生する際
に、酢酸メチルを非常な高温でジケテンに変化させ、さ
らに、このジケテンをフェノールと反応させなければな
らない。従って、酢酸フェニルを再生する工程の収率が
悪く、また、用役費も掛かるという問題点を有してい
る。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】このように、上記従来
の製造方法は、転化率が低い、或いは、原料を合成する
際の効率が悪い等の欠点を有している。また、炭酸ジメ
チルとフェノールとを反応させて炭酸ジフェニルを製造
する上記従来の製造方法においては、炭酸ジメチルと副
生するメタノールとが共沸するため、両者の分離が困難
であるという問題点も有している。従って、上記従来の
製造方法は、炭酸エステルを効率的に製造することがで
きないという問題点を有している。
【0009】そこで、炭酸エステルを効率的に工業的に
製造することができる方法が求められている。即ち、本
発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであり、
その目的は、原料炭酸エステルと芳香族ヒドロキシ化合
物とを原料として用いて、効率的に炭酸エステルを製造
することができる新規な製造方法を提供することにあ
る。
【0010】
【課題を解決するための手段】本願発明者等は、新規な
炭酸エステルの工業的な製造方法を提供すべく鋭意検討
した結果、原料カルボン酸エステルと芳香族ヒドロキシ
化合物とを、触媒の存在下でエステル交換させることに
より、カルボン酸エステルを生成させ、その後、このカ
ルボン酸エステルと原料炭酸エステルとを、触媒の存在
下でエステル交換させることにより、効率的に該炭酸エ
ステルを製造することができることを見い出して、本発
明を完成させるに至った。
【0011】即ち、請求項1記載の発明の炭酸エステル
の製造方法は、上記の課題を解決するために、一般式
(1) R1 COOR2 ……(1) (式中、R1 、R2 はそれぞれ独立してアルキル基、脂
環式炭化水素基またはアリールアルキル基を表す)で表
される原料カルボン酸エステルと、一般式(2) R3 OH ……(2) (式中、R3 は置換基を有していてもよい芳香族基を表
す)で表される芳香族ヒドロキシ化合物とを、触媒の存
在下でエステル交換させることにより、一般式(3) R1 COOR3 ……(3) (式中、R1 はアルキル基、脂環式炭化水素基またはア
リールアルキル基を表し、R3 は置換基を有していても
よい芳香族基を表す)で表されるカルボン酸エステルを
生成させ、その後、上記カルボン酸エステルと、一般式
(4) 2 O−COOR 2 ……(4) (式中、 2 はアルキル基、脂環式炭化水素基またはア
リールアルキル基を表す)で表される原料炭酸エステル
とを、触媒の存在下でエステル交換させることにより、
一般式(5) R3 O−COOR6 ……(5) (式中、R3 は置換基を有していてもよい芳香族基を表
し、R6 はR3 および前記 2 からなる群より選ばれる
置換基を表す)で表される炭酸エステルを生成させる
方、該炭酸エステルと共に副生する前記一般式(1)で
表される原料カルボン酸エステルを回収することを特徴
としている。
【0012】請求項2記載の発明の炭酸エステルの製造
方法は、上記の課題を解決するために、請求項1記載の
炭酸エステルの製造方法において、上記R6 がR3 であ
ることを特徴としている。
【0013】
【0014】
【0015】請求項記載の発明の炭酸エステルの製造
方法は、上記の課題を解決するために、請求項1または
記載の炭酸エステルの製造方法において、上記原料カ
ルボン酸エステルと芳香族ヒドロキシ化合物とを、触媒
の存在下でエステル交換させながら気液接触させ、生成
するカルボン酸エステルを連続的に反応系外に抜き出す
ことを特徴としている。
【0016】請求項記載の発明の炭酸エステルの製造
方法は、上記の課題を解決するために、請求項1ないし
の何れか1項に記載の炭酸エステルの製造方法におい
て、上記原料カルボン酸エステルと芳香族ヒドロキシ化
合物とを、触媒の存在下でエステル交換させながら気液
接触させ、副生するアルコールを連続的に反応系外に抜
き出すことを特徴としている。
【0017】請求項記載の発明の炭酸エステルの製造
方法は、上記の課題を解決するために、請求項1ないし
の何れか1項に記載の炭酸エステルの製造方法におい
て、上記カルボン酸エステルと原料炭酸エステルとを、
触媒の存在下でエステル交換させながら気液接触させ、
生成する炭酸エステルを連続的に反応系外に抜き出すこ
とを特徴としている。
【0018】請求項記載の発明の炭酸エステルの製造
方法は、上記の課題を解決するために、請求項1ないし
の何れか1項に記載の炭酸エステルの製造方法におい
て、上記カルボン酸エステルと原料炭酸エステルとを、
触媒の存在下でエステル交換させながら気液接触させ、
副生する原料カルボン酸エステルを連続的に反応系外に
抜き出すことを特徴としている。
【0019】請求項記載の発明の炭酸エステルの製造
方法は、上記の課題を解決するために、請求項1ないし
の何れか1項に記載の炭酸エステルの製造方法におい
て、カルボン酸エステルの生成と、炭酸エステルの生成
とを、同一の反応器内で行うことを特徴としている。
【0020】請求項記載の発明の炭酸エステルの製造
方法は、上記の課題を解決するために、請求項1ないし
の何れか1項に記載の炭酸エステルの製造方法におい
て、カルボン酸エステルの生成および/または炭酸エス
テルの生成を、多段蒸留塔で行うことを特徴としてい
る。
【0021】請求項記載の発明の炭酸エステルの製造
方法は、上記の課題を解決するために、請求項1ないし
の何れか1項に記載の炭酸エステルの製造方法におい
て、カルボン酸エステルの生成および/または炭酸エス
テルの生成を、気泡塔で行うことを特徴としている。
【0022】以下に本発明を詳しく説明する。尚、以下
の説明においては、便宜上、前記一般式(3)で表され
るカルボン酸エステルを生成させる反応を前段反応と称
し、前記一般式(5)で表される炭酸エステルを生成さ
せる反応を後段反応と称することとする。また、必要に
応じて、前記一般式(5)で表される炭酸エステルのう
ち、式中、R6 で示される置換基が置換基 2 である炭
酸エステルを炭酸モノエステルと称し、R6 で示される
置換基が置換基R3 である炭酸エステルを炭酸ジエステ
ルと称することとする。
【0023】上記の後段反応は、炭酸モノエステルが生
成する反応と、炭酸ジエステルが生成する反応との2段
階で進行する。即ち、先ず、前記一般式(4)で表され
る原料炭酸エステルの置換基 2 2 の何れか一方
が、前記一般式(3)で表されるカルボン酸エステルの
置換基R3 とエステル交換される。これにより、炭酸モ
ノエステルが生成すると共に、副生カルボン酸エステル
が副生する。次いで、炭酸モノエステルの残りの置換基
2 が、前記一般式(3)で表されるカルボン酸エステ
ルの置換基R3 とエステル交換される。これにより、炭
酸ジエステルが生成すると共に、原料カルボン酸エステ
ル(以下、副生する原料カルボン酸エステルを副生カル
ボン酸エステルと記す)が副生する。
【0024】本発明にかかる炭酸エステルの製造方法に
おいて、原料として用いられる前記一般式(1)で表さ
れる原料カルボン酸エステルは、特に限定されるもので
はないが、式中、R1 、R2 で示される置換基が、それ
ぞれ独立してアルキル基、脂環式炭化水素基またはアリ
ールアルキル基で構成される化合物である。そして、ア
ルキル基は、炭素数1〜10が好ましく、脂環式炭化水素
基は、炭素数3〜10が好ましく、アリールアルキル基
は、炭素数7〜10が好ましい。
【0025】前記一般式(1)で表される原料カルボン
酸エステルとしては、具体的には、例えば、酢酸メチ
ル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸シク
ロヘキシル、酢酸ベンジル、酢酸 -2-エチルヘキシル、
プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン
酸プロピル、プロピオン酸ブチル、酪酸メチル、酪酸エ
チル、酪酸プロピル、イソ酪酸メチル、イソ酪酸エチ
ル、イソ酪酸プロピル、吉草酸メチル、吉草酸エチル、
吉草酸プロピル、イソ吉草酸メチル、イソ吉草酸エチ
ル、イソ吉草酸プロピル、ヘキサン酸メチル、ヘキサン
酸エチル、ヘキサン酸プロピル、ヘプタン酸メチル、ヘ
プタン酸エチル等が挙げられる。
【0026】また、本発明にかかる炭酸エステルの製造
方法においては、エステル交換反応の平衡を生成系側に
有利にして反応効率(平衡転化率)を高めるために、前
段反応において副生するアルコールを反応系外に抜き出
すことが好ましい。このため、上記例示の化合物のう
ち、副生するアルコールの沸点よりも沸点が高い原料カ
ルボン酸エステルがより好ましい。
【0027】尚、炭酸エステルと共に副生する副生カル
ボン酸エステルは、原料カルボン酸エステルとして再び
使用できることが好ましい。さらに、副生カルボン酸エ
ステルと、副生するアルコールとが共沸組成物を形成し
ないように、上記置換基R 2 設定することが好まし
い。これにより、副生カルボン酸エステルを容易に分離
・回収することができる。また、副生カルボン酸エステ
ルを原料カルボン酸エステルとして全て再使用すること
ができる場合には、原料カルボン酸エステルは、実質的
に消費されない。
【0028】本発明にかかる炭酸エステルの製造方法に
おいて、原料として用いられる前記一般式(2)で表さ
れる芳香族ヒドロキシ化合物は、特に限定されるもので
はないが、式中、R3 で示される置換基が芳香族基で構
成される化合物である。上記の芳香族基は置換基を有し
ていてもよい。
【0029】前記一般式(2)で表される芳香族ヒドロ
キシ化合物としては、具体的には、例えば、フェノー
ル、o-クレゾール、m-クレゾール、p-クレゾール、o-ク
ロロフェノール、m-クロロフェノール、p-クロロフェノ
ール、o-エチルフェノール、m-エチルフェノール、p-エ
チルフェノール、o-イソプロピルフェノール、m-イソプ
ロピルフェノール、p-イソプロピルフェノール、o-メト
キシフェノール、m-メトキシフェノール、p-メトキシフ
ェノール、キシレノール類、α−ナフトール、β−ナフ
トール等が挙げられる。これら芳香族ヒドロキシ化合物
は、適宜混合して用いてもよい。上記例示の化合物のう
ち、工業的な面からフェノールが好適である。
【0030】本発明にかかる炭酸エステルの製造方法に
おいて、原料として用いられる前記一般式(4)で表さ
れる原料炭酸エステルは、特に限定されるものではない
が、式中、 2 で示される置換基が、アルキル基、脂環
式炭化水素基またはアリールアルキル基で構成される化
合物である。そして、アルキル基は、炭素数1〜10が好
ましく、脂環式炭化水素基は、炭素数3〜10が好まし
く、アリールアルキル基は、炭素数7〜10が好ましい。
【0031】前記一般式(4)で表される原料炭酸エス
テルとしては、具体的には、例えば、炭酸ジメチル、炭
酸ジエチル、炭酸ジ-n- プロピル、炭酸ジイソプロピ
ル、炭酸ジブチルの各異性体、炭酸ジペンチルの各異性
体、炭酸ジヘキシルの各異性体、炭酸ジヘプチルの各異
性体、炭酸ジオクチルの各異性体、炭酸ジノニルの各異
性体、炭酸ジデシルの各異性体、炭酸ジシクロヘキシ
ル、炭酸ジベンジル、炭酸ジフェネチルの各異性体、炭
酸ジ(メチルベンジル)の各異性体等が挙げられる。こ
れら原料炭酸エステルは、適宜混合して用いてもよい。
上記例示の化合物のうち、工業的な面から炭酸ジメチル
が好適である。
【0032】前段反応および/または後段反応を行う際
に用いられる反応器は、特に限定されるものではなく、
回分式反応器、流通式反応器、気液接触型反応器の何れ
であってもよい。また、流通式反応器は、流動層式、固
定床式(後述する均一触媒を用いる場合には、単なる押
し出し流れ式)、撹拌槽式の何れであってもよい。そし
て、同一の反応器を用いて前段反応および後段反応を行
ってもよく、また、前段反応と後段反応とを異なる反応
器を用いて行ってもよい。
【0033】前段反応は、原系側に非常に偏った平衡反
応(平衡定数K=10-3〜10-4)である。このため、エス
テル交換反応の平衡を生成系側に有利にして反応効率
(平衡転化率)を高めるために、カルボン酸エステルと
共に副生するアルコールを反応系外に抜き出すことが好
ましい。
【0034】従って、回分式反応器を用いて前段反応を
行う場合、並びに、連続槽型反応器等の流通式反応器を
用いて前段反応を行う場合には、該反応器の上部に蒸留
塔を設置して、副生するアルコールを連続的に反応系外
に抜き出す(留去する)方法が好ましい。また、アルコ
ールを留去する際には、該アルコールと原料カルボン酸
エステルとを充分に分離させることが好ましい。
【0035】また、気液接触型反応器を用いて前段反応
を行う場合には、該反応器に原料カルボン酸エステルと
芳香族ヒドロキシ化合物とを連続的に供給し、生成物で
あるカルボン酸エステルを含む高沸点成分を反応器下部
から液状で連続的に抜き出すと共に、副生成物であるア
ルコールを含む低沸点成分を反応器上部からガス状で連
続的に抜き出す方法が効率的であり、好ましい。
【0036】後段反応も平衡反応(平衡定数K=10-1
101 )であるが、前段反応と比較してエステル交換反応
の平衡が原系側にそれ程偏っていない。このため、後段
反応は、前段反応よりも反応が進行し易いが、上記の平
衡を生成系側に有利にして反応効率(平衡転化率)を高
めるために、前段反応と同様に、炭酸エステルと共に副
生する副生カルボン酸エステルを反応系外に抜き出すこ
とが好ましい。
【0037】従って、回分式反応器を用いて後段反応を
行う場合、並びに、連続槽型反応器等の流通式反応器を
用いて後段反応を行う場合には、該反応器の上部に蒸留
塔を設置して、副生する副生カルボン酸エステルを連続
的に反応系外に抜き出す(留去する)方法が好ましい。
また、副生カルボン酸エステルを留去する際には、該副
生カルボン酸エステルとカルボン酸エステルとを充分に
分離させることが好ましい。
【0038】また、気液接触型反応器を用いて後段反応
を行う場合には、該反応器にカルボン酸エステルと原料
炭酸エステルとを連続的に供給し、生成物である炭酸エ
ステルを含む高沸点成分を反応器下部から液状で連続的
に抜き出すと共に、副生成物である副生カルボン酸エス
テルを含む低沸点成分を反応器上部からガス状で連続的
に抜き出す方法が効率的であり、好ましい。
【0039】上記の気液接触型反応器は、特に限定され
るものではない。気液接触型反応器は、該反応器内に気
相部が存在し、生成した低沸点成分が該気相部へ連続的
に分離・除去され得る構造、即ち、いわゆる反応蒸留を
実施することができる構造であればよい。特に、連続式
の多段蒸留塔、または、より高沸点の原料を反応器上部
から供給し、より低沸点の原料を反応器下部から供給す
る形式の気泡塔が好適に使用できる。
【0040】上記連続式の多段蒸留塔としては、塔頂
(最上段)と塔底(最下段)とを除いた段数が2段以上
の蒸留塔が好ましい。このような蒸留塔としては、例え
ば、ラシヒリング、ポールリング、インタロックスサド
ル、ディクソンパッキング、マクマホンパッキング、ス
ルーザーパッキング等の充填物が充填された充填塔;泡
鐘トレイ、シーブトレイ、バルブトレイ等のトレイ(棚
段)を使用した棚段塔等、一般に用いられている蒸留塔
が使用できる。また、棚段と充填物層とを併せ持つ複合
式の蒸留塔も用いることができる。さらに、複数の多段
蒸留塔を組み合わせて用いてもよい。尚、上記の段数と
は、棚段塔においては棚段の数を示し、充填塔において
は理論段数を示す。
【0041】上記の気泡塔としては、気液接触を効率的
に行うために、反応器下部の気体導入部に多孔板や多孔
質板等の分配器が設置された気泡塔が好ましい。また、
気泡塔内に、充填物を緩やかに充填してもよく、また、
気体の再分配器を設けてもよく、さらに、液体の逆混合
を防止する段を設けてもよい。さらに、気泡塔の上部に
蒸留塔を設け、気液分離の効率を向上させることもでき
る。
【0042】また、上記多段蒸留塔および気泡塔を複数
連結させてもよい。これにより、反応効率をより一層向
上させることができる。さらに、上記回分式反応器、流
通式反応器、および気液接触型反応器を組み合わせて、
前段反応および/または後段反応に用いてもよい。
【0043】尚、後段反応において、原料炭酸エステル
の沸点が副生カルボン酸エステルの沸点よりも低い場合
には、副生カルボン酸エステルを反応系外に抜き出そう
とすると、原料炭酸エステルが反応系外に抜き出されて
しまう。そこで、原料炭酸エステルの沸点が副生カルボ
ン酸エステルの沸点よりも低い場合には、回分式反応器
または流通式反応器と、気液接触型反応器との組み合わ
せが好ましい。即ち、先ず、回分式反応器または流通式
反応器を用いて、ほぼ平衡状態となるまで後段反応を進
行させ、原料炭酸エステルの相当量を、炭酸モノエステ
ルや炭酸ジエステルに転化させる。次に、この反応液を
気液接触型反応器に供給し、後段反応を進行させながら
気液接触、つまり、反応蒸留することにより、副生カル
ボン酸エステルを連続的に反応系外に抜き出す。これに
より、原料炭酸エステルが反応系から抜き出され難くな
るので、反応効率をより一層向上させることができる。
【0044】本発明にかかる炭酸エステルの製造方法に
おいては、原料カルボン酸エステルと芳香族ヒドロキシ
化合物とを、触媒の存在下でエステル交換させる(前段
反応)。また、カルボン酸エステルと原料炭酸エステル
とを、触媒の存在下でエステル交換させる(後段反
応)。前段反応で用いる触媒と、後段反応で用いる触媒
とは、互いに同一であってもよく、また、互いに異なっ
ていてもよい。
【0045】前段反応で用いる触媒としては、硫酸等の
鉱酸;パラトルエンスルホン酸等のスルホン酸類;イオ
ン交換樹脂、ゼオライト等の固体酸;水酸化ナトリウム
等の塩基;チタンテトライソプロポキシド、ジルコニウ
ム(IV)イソプロポキシド等の金属アルコキシド;塩化ア
ルミニウム、四塩化チタン等のルイス酸や、ルイス酸を
発生する化合物;フェノキシ鉛、フェノキシチタン等の
金属フェノキサイド類;酸化鉛類;炭酸鉛等の鉛塩類;
ジルコニウム(IV)アセチルアセトネート、ビス(アセチ
ルアセトナト)銅(II)、亜鉛(II)アセチルアセトネー
ト、リチウムアセチルアセトネート等の金属アセチルア
セトネート錯体;ジブチル錫オキシド等の有機錫化合
物;チタノシリケート;金属置換リン酸アルミニウム等
が挙げられる。
【0046】後段反応で用いる触媒としては、チタンテ
トライソプロポキシド、ジルコニウム(IV)イソプロポキ
シド等の金属アルコキシド;塩化アルミニウム、四塩化
チタン等のルイス酸や、ルイス酸を発生する化合物;フ
ェノキシ鉛、フェノキシチタン等の金属フェノキサイド
類;ジブチル錫オキシド等の有機錫化合物;チタノシリ
ケート;金属置換リン酸アルミニウム等が挙げられる。
また、通常のプロトン酸、プロトン塩基、固体酸、固体
塩基も触媒として用いることができる。
【0047】そして、固体の不均一触媒を用いる場合に
は、上記の反応器内部に該触媒を保持して反応液を接触
させればよい。また、反応器として充填塔や複合式の蒸
留塔を用いる場合には、塔内に充填する充填物の一部ま
たは全部に代えて固体の触媒を充填することもできる。
【0048】また、均一触媒を用いる場合には、該触媒
を混合した溶液を反応器内部に供給する。例えば、反応
器として蒸留塔を用いる場合には、該触媒は、原料炭酸
エステルおよび芳香族ヒドロキシ化合物の何れか一方ま
たは両方に混合して供給することができる。或いは、触
媒を混合した溶液を、蒸留塔における原料炭酸エステル
または芳香族ヒドロキシ化合物の供給段に供給してもよ
く、または、供給段と異なる段に供給してもよい。但
し、蒸留塔においては、触媒の存在する領域(段)が多
い程、反応液と触媒との接触頻度が増し、反応効率が良
好となる。このため、触媒は、できるだけ蒸留塔の上部
の段に供給することが好ましい。また、例えば、反応器
として気泡塔を用いる場合には、該触媒は、より高沸点
の原料に混合して該気泡塔の上部から供給することがで
きる。或いは、気泡塔内部に該触媒を保持して反応液を
接触させてもよい。尚、均一触媒を用い、かつ、前段反
応の終了後に触媒の分離・除去を行わない場合には、前
段反応で用いる触媒と、後段反応で用いる触媒とは、互
いに同一であることが好ましい。
【0049】均一触媒を用いる場合における触媒濃度
は、原料炭酸エステルおよび芳香族ヒドロキシ化合物の
合計量、つまり、原料に対して、固定床式の反応器以外
の反応器を用いる場合に、下限値は 0.1 ppm、好ましく
は1 ppm、さらに好ましくは10ppmである。また、上限
値は、反応器内部の反応液に飽和状態で溶解する量であ
り、凡そ10重量%、好ましくは5重量%、さらに好まし
くは1重量%である。不均一触媒を用いる場合における
触媒の量は、原料に対して、回分式反応器や懸濁床式の
反応器を用いる場合に、下限値は 0.1重量%、好ましく
は 0.5重量%、さらに好ましくは1重量%である。ま
た、上限値は、40重量%、好ましくは30重量%、さらに
好ましくは20重量%である。
【0050】反応器への原料の供給方法は、特に限定さ
れるものではなく、原料炭酸エステルと、芳香族ヒドロ
キシ化合物と、必要に応じて原料カルボン酸エステルと
を混合してなる混合物を供給してもよく、また、原料炭
酸エステルと、芳香族ヒドロキシ化合物と、原料カルボ
ン酸エステルとをそれぞれ別個に供給してもよい。そし
て、これら原料炭酸エステルおよび芳香族ヒドロキシ化
合物等は、液状で供給してもよく、ガス状で供給しても
よく、或いは、気液混合状態で供給してもよい。但し、
反応器内で両者の接触が円滑に行われるように、例えば
反応器が多段蒸留塔である場合には、より高沸点の原料
を供給する段を、より低沸点の原料を供給する段よりも
上段とすることが好ましい。尚、上記高沸点の原料に
は、低沸点の原料の一部が含まれていてもよく、また、
上記低沸点の原料には、高沸点の原料の一部が含まれて
いてもよい。
【0051】前段反応における、原料カルボン酸エステ
ルと芳香族ヒドロキシ化合物とのモル比は、使用する触
媒の種類や量、或いは反応条件等にもよるが、1:50〜
50:1の範囲内が好ましく、1:20〜20:1の範囲内が
より好ましく、1:5〜5:1の範囲内がさらに好まし
い。上述したように、前段反応は、原系側に非常に偏っ
た平衡反応である。従って、原料カルボン酸エステルお
よび芳香族ヒドロキシ化合物の何れか一方を大過剰に用
いることにより、他方の反応効率(平衡転化率)を高め
ることができる。しかしながら、両者のモル比が上記の
範囲外である場合には、大過剰に用いた原料カルボン酸
エステル若しくは芳香族ヒドロキシ化合物を回収し、リ
サイクルしなければならない。このため、工業的に不利
となり、好ましくない。
【0052】後段反応における、カルボン酸エステルと
原料炭酸エステルとのモル比は、使用する触媒の種類や
量、或いは反応条件等にもよるが、1:50〜50:1の範
囲内が好ましく、1:20〜20:1の範囲内がより好まし
く、1:5〜5:1の範囲内がさらに好ましい。カルボ
ン酸エステルおよび原料炭酸エステルの何れか一方を大
過剰に用いることにより、他方の反応効率(平衡転化
率)を高めることができる。しかしながら、両者のモル
比が上記の範囲外である場合には、大過剰に用いたカル
ボン酸エステル若しくは原料炭酸エステルを回収し、リ
サイクルしなければならない。このため、工業的に不利
となり、好ましくない。
【0053】また、後段反応においては、反応系に、前
段反応における未反応物である原料カルボン酸エステル
や芳香族ヒドロキシ化合物等が含まれていてもよい。但
し、上記の未反応物が比較的多い場合には、後段反応を
行う前に、該未反応物を分離・回収することが好まし
い。回収された未反応物は、前段反応の原料として再び
使用することができる。
【0054】上記の反応器を操作する際に、その操作条
件を決める因子としては、例えば、操作温度(反応温
度)、操作圧、液の滞留時間、および液のホールドアッ
プ量等が挙げられる。また、反応器が蒸留塔である場合
には、さらに、段数や、還流比等が挙げられる。反応器
が流通式反応器である場合には、さらに、液時空間速度
(LHSV)等が挙げられる。尚、液時空間速度とは、
反応器内を流通する原料の体積流量を、該反応器の体積
で除した値である。
【0055】操作温度は、原料カルボン酸エステル、芳
香族ヒドロキシ化合物、および原料炭酸エステルの種
類、触媒の種類や量、他の条件(因子)等にもよるが、
下限温度は 100℃、好ましくは 140℃、より好ましくは
160℃であり、上限温度は 350℃、好ましくは 300℃で
ある。操作温度が 100℃よりも低い場合には、触媒活性
が低くなるので反応時間が長くなり、生産性が低下する
ため好ましくない。また、操作温度が 350℃よりも高い
場合には、脱水反応、或いは、脱炭酸反応によるエーテ
ル類(ジアリールエーテル類、アルキルアリールエーテ
ル類等)の生成等の副反応が起こり易くなるため好まし
くない。さらに、反応器内部の圧力が上昇しすぎるため
好ましくない。
【0056】操作圧は、減圧、常圧、加圧の何れであっ
てもよく、また、原料カルボン酸エステル、芳香族ヒド
ロキシ化合物、および原料炭酸エステルの種類、触媒の
種類や量、他の条件(因子)等にもよるが、凡そ、1mm
Hg〜100 kg/cm2の範囲内が好ましく、5mmHg〜50kg/cm2
の範囲内がより好ましい。
【0057】ホールドアップ量や段数は、反応時間、即
ち、滞留時間と密接に関係している。つまり、平衡転化
率を高めるには、滞留時間を或る程度長くする必要があ
り、また、滞留時間を長くするには、ホールドアップ量
を大きくするか、または、段数を多くする必要がある。
このうち、ホールドアップ量を大きくする方が好ましい
が、或る程度以上大きくすると、フラッディングが起こ
る。このため、反応器の空塔容積(体積)に対するホー
ルドアップ量は、体積比で 0.005〜0.75の範囲内が好ま
しく、0.01〜0.5 の範囲内がより好ましい。また、段数
を多くする場合には、反応器を製造する際の費用や高さ
制限、用役費、固定費等を考慮に入れて、2段〜 100段
程度が好ましい。尚、段数を多くすると、前段反応にお
いて、原料カルボン酸エステルと副生するアルコールと
の沸点差が比較的小さい場合、並びに、後段反応におい
て、カルボン酸エステルと炭酸モノエステル或いは副生
する副生カルボン酸エステルとの沸点差が比較的小さい
場合において、気液分離の効率が向上する。
【0058】還流比は、0〜100 の範囲内が好ましく、
0〜50の範囲内がより好ましく、0〜25の範囲内がさら
に好ましい。尚、前段反応において、原料カルボン酸エ
ステルと副生するアルコールとが共沸組成物を形成する
場合には、還流比は、0或いは比較的小さな値にするこ
とが好ましい。また、原料カルボン酸エステルと副生す
るアルコールとの沸点差が比較的小さい場合には、還流
比は、比較的大きな値にすることが好ましい。同様に、
後段反応において、カルボン酸エステルと炭酸モノエス
テル或いは副生する副生カルボン酸エステルとの沸点差
が比較的小さい場合には、還流比は、比較的大きな値に
することが好ましい。
【0059】液時空間速度(LHSV)は、原料カルボ
ン酸エステル、芳香族ヒドロキシ化合物、および原料炭
酸エステルの種類、触媒の種類や量、操作温度、他の条
件(因子)等にもよるが、下限値は0.05hr-1、好ましく
は 0.1hr-1、より好ましくは0.2hr-1であり、上限値は5
0hr-1、好ましくは20hr-1である。
【0060】また、反応器として回分式反応器を用いる
場合には、該反応器に原料カルボン酸エステル、芳香族
ヒドロキシ化合物、原料炭酸エステル、および触媒を所
定量ずつ仕込み、攪拌しながら所定の反応温度で、前段
反応および/または後段反応を行う。反応圧力は、上記
化合物の蒸気圧の和となるが、反応系に対して不活性な
気体(窒素ガス等)を導入して加圧してもよい。反応時
間は、触媒の種類や量、反応温度等にもよるが、凡そ、
0.01時間〜 100時間の範囲内が好ましく、 0.1時間〜50
時間の範囲内がより好ましい。
【0061】そして、不均一触媒を用いた場合には、反
応終了後、遠心分離や濾過等の公知の方法を用いること
により、反応液から不均一触媒を容易に除去・回収する
ことができる。また、均一触媒を用いた場合には、反応
終了後、蒸留等の公知の方法を用いることにより、反応
液から均一触媒を容易に分離・回収することができる。
尚、前段反応と後段反応とで同一の均一触媒を用いた場
合には、前段反応の終了後、該触媒を分離せずに、その
まま後段反応を開始することもできる。
【0062】後段反応の終了後、上記の方法を用いて触
媒を分離し、次いで、蒸留、抽出、再結晶等の公知の方
法を用いることにより、前記一般式(5)で表される炭
酸エステル、即ち、目的物である炭酸ジエステルを容易
に単離することができる。また、必要に応じて、副生成
物である副生カルボン酸エステルや炭酸モノエステル、
未反応物である原料炭酸エステルや芳香族ヒドロキシ化
合物等を容易に分離・回収することができる。
【0063】本発明にかかる炭酸エステルの製造方法に
おいては、必要に応じて、反応系、つまり反応液に、溶
媒を添加してもよい。反応操作を容易にするために添加
する溶媒としては、上記反応系に対して不活性な化合
物、例えば、エーテル類、脂肪族炭化水素、芳香族炭化
水素、ハロゲン化炭化水素等が挙げられる。また、前段
反応において、原料カルボン酸エステルと副生するアル
コールとが共沸組成物を形成する場合には、該共沸組成
物の共沸点よりも共沸点が低い共沸組成物を上記アルコ
ールとの間で形成する溶媒を、反応系内に共存させるこ
とが好ましい。例えば、アルコールがメタノールである
場合には、好適な溶媒として、ベンゼンやシクロヘキサ
ン等の化合物が挙げられる。該溶媒は、メタノールとの
間で、共沸点が比較的低い共沸組成物を形成する。この
ため、原料カルボン酸エステルおよびメタノールの共沸
が抑制されるので、両者の分離が容易となり、平衡転化
率を向上させることができる。尚、原料カルボン酸エス
テルとアルコールとが共沸組成物を形成しない場合に
も、両者の分離をより一層容易とするために、共沸点が
低い共沸組成物をアルコールとの間で形成する溶媒を、
反応系内に共存させてもよい。また、アルコールを反応
系から容易に除去するために、反応器の下部から反応系
に対して不活性な気体(窒素ガス等)を導入することも
できる。
【0064】次に、上記原料炭酸エステルと芳香族ヒド
ロキシ化合物とを原料として用いて前記一般式(5)で
表される炭酸エステルを製造する方法について以下に説
明する。先ず、反応器として回分式反応器を有する反応
装置を用いた炭酸エステルの製造方法の一例について、
図1を参照しながら、説明する。
【0065】図1に示すように、上記の反応装置は、反
応器としての回分式反応器1、蒸留塔2、凝縮器5、お
よび、ポンプ6等から構成されている。
【0066】回分式反応器1は、原料カルボン酸エステ
ルと芳香族ヒドロキシ化合物とをエステル交換させると
共に、生成するカルボン酸エステルと原料炭酸エステル
とをエステル交換させる。回分式反応器1は、耐圧性を
有しており、攪拌装置1aや加熱装置1bを備えてい
る。回分式反応器1には、原料供給管10が接続されて
いる。また、回分式反応器1の底部には、抜き出し管1
1が接続されている。さらに、回分式反応器1の上部に
は、蒸留塔2が設置されている。抜き出し管11は、回
分式反応器1内の反応液を反応系外に抜き出すことがで
きるようになっている。
【0067】蒸留塔2は、副生成物であるアルコールま
たは副生カルボン酸エステル等を含む低沸点成分を反応
液から連続的に留去する。蒸留塔2の塔底は、回分式反
応器1の上部と接続されている。また、蒸留塔2の塔頂
は、導管13を介して凝縮器5と接続されている。
【0068】凝縮器5は、蒸留塔2の留出液を凝縮して
液化する。凝縮器5は、導管13を介して蒸留塔2の塔
頂と接続されており、導管14を介してポンプ6と接続
されている。また、凝縮器5には、圧力調整弁16を備
えた調整管15が取り付けられている。そして、導管1
4は分枝しており、留出液の一部を連続的に反応系外に
抜き出すことができるようになっている。
【0069】ポンプ6は、所定の還流比で留出液を蒸留
塔2に還流させるようになっている。ポンプ6は、導管
14を介して凝縮器5と接続されており、導管17を介
して蒸留塔2の塔頂と接続されている。
【0070】次に、上記構成の反応装置を用いた炭酸エ
ステルの製造方法の一例について説明する。
【0071】先ず、前段反応を行い、カルボン酸エステ
ルを生成させる。即ち、原料供給管10を介して、原料
カルボン酸エステル、芳香族ヒドロキシ化合物、触媒、
および必要により溶媒等からなる混合物を回分式反応器
1に仕込む。次に、この反応液を攪拌しながら加熱して
昇温させる。その後、所定温度で原料カルボン酸エステ
ルおよび芳香族ヒドロキシ化合物を、触媒の存在下でエ
ステル交換させる。
【0072】そして、副生成物であるアルコール等を含
む低沸点成分を蒸留塔2で蒸留し、該アルコールを留去
する。アルコールを含むガスは、凝縮器5で連続的に凝
縮されて留出液となる。上記留出液の一部は、ポンプ6
を介して蒸留塔2の塔頂に所定の還流比で戻され、残り
の留出液は、連続的に反応系外に抜き出される。即ち、
副生成物であるアルコールは、留出液として連続的に反
応系外に取り出される。
【0073】尚、前段反応の反応中に、低沸点の原料、
例えば原料カルボン酸エステルを、原料供給管10を介
して回分式反応器1に連続的に供給してもよい。また、
アルコールの留去を容易にするために、上記の溶媒或い
は不活性な気体を原料供給管10を介して回分式反応器
1に連続的に供給してもよい。蒸留塔2の段数や還流比
等を最適な値に設定することにより、アルコールを高純
度で回収することができる。
【0074】前段反応の終了後、上記アルコール、未反
応の原料カルボン酸エステルおよび芳香族ヒドロキシ化
合物等を留去する。これにより、回分式反応器1内に
は、生成したカルボン酸エステルと触媒とが残される。
尚、該回分式反応器1内には、未反応の原料カルボン酸
エステルや芳香族ヒドロキシ化合物等の一部が残留して
いてもよい。また、前段反応の終了後、抜き出し管11
を介して回分式反応器1内の反応液を反応系外に抜き出
し、別の蒸留装置(図示せず)を用いて該反応液からア
ルコール、未反応の原料カルボン酸エステルおよび芳香
族ヒドロキシ化合物等を留去してもよい。この場合に
は、残留物を回分式反応器1内に返還すればよい。
【0075】続いて、後段反応を行い、炭酸エステルを
生成させる。即ち、原料供給管10を介して、原料炭酸
エステル等を回分式反応器1に仕込む。次に、この反応
液を攪拌しながら加熱して昇温させる。その後、所定温
度でカルボン酸エステルおよび原料炭酸エステルを、触
媒の存在下でエステル交換させる。
【0076】上記の後段反応において、原料炭酸エステ
ルの沸点が、副生する副生カルボン酸エステルの沸点よ
りも低い場合には、回分式反応器1を密閉することが好
ましい。即ち、回分式反応器1を密閉した状態で、ほぼ
平衡状態となるまで後段反応を進行させ、その後、蒸留
塔2等を用いて、副生成物である副生カルボン酸エステ
ルや未反応の原料炭酸エステルを留去し、後段反応をさ
らに進行させることが好ましい。尚、原料炭酸エステル
の沸点が、副生する副生カルボン酸エステルの沸点より
も高い場合には、後段反応を行いながら、蒸留塔2等を
用いて、副生成物である副生カルボン酸エステルを留去
すればよい。この場合、副生カルボン酸エステルを高純
度で回収することができる。副生カルボン酸エステルを
原料カルボン酸エステルとして再使用することができる
場合には、原料カルボン酸エステルは、実質的に消費さ
れない。
【0077】後段反応の終了後、上記副生カルボン酸エ
ステル、未反応のカルボン酸エステルおよび原料炭酸エ
ステル等を留去する。その後、例えば精留することによ
り、目的物である炭酸ジエステルを単離する。回分式反
応器1内に残された触媒は、容易に回収することがで
き、再使用することができる。尚、後段反応の終了後、
抜き出し管11を介して回分式反応器1内の反応液を反
応系外に抜き出し、別の蒸留装置(図示せず)を用いて
該反応液から副生カルボン酸エステル、未反応のカルボ
ン酸エステルおよび原料炭酸エステル等を留去してもよ
い。また、精留する代わりに、抽出、再結晶等すること
により目的物である炭酸ジエステルを単離することもで
きる。
【0078】以上の反応操作を行うことにより、効率的
に炭酸エステルを製造することができる。
【0079】次に、反応器として連続槽型反応器を有す
る反応装置を用いた炭酸エステルの製造方法の一例につ
いて、図2を参照しながら、説明する。尚、説明の便宜
上、前記反応装置(図1)が備える構成と同一の機能を
有する構成には、同一の符号を付記し、その説明を省略
する。また、以下の説明においては、原料炭酸エステル
の沸点が、副生カルボン酸エステルの沸点よりも低い場
合を例に挙げることとする。
【0080】図2に示すように、上記の反応装置は、反
応器21・22・23、蒸留塔2・2、凝縮器5・5、
および、ポンプ6・6等から構成されている。
【0081】反応器21は、原料カルボン酸エステルと
芳香族ヒドロキシ化合物とをエステル交換させ、カルボ
ン酸エステルを生成させる。反応器21は、攪拌装置2
1aや加熱装置21bを備えている。反応器21には、
原料供給管10が接続されている。また、反応器21の
底部には、導管24が接続されている。さらに、反応器
21の上部には、蒸留塔2等が設置されている。導管2
4には導管24aが接続されており、反応器21から抜
き出した反応液に、導管24aを介して原料炭酸エステ
ル等を混合することができるようになっている。
【0082】反応器22・23は、カルボン酸エステル
と原料炭酸エステルとをエステル交換させる。反応器2
2は、密閉することができるようになっており、攪拌装
置22aや加熱装置22bを備えている。反応器22に
は、導管24が接続されている。また、反応器22の底
部には、導管25が接続されている。反応器23は、攪
拌装置23aや加熱装置23bを備えている。反応器2
3には、導管25が接続されている。また、反応器23
の底部には、抜き出し管11が接続されている。さら
に、反応器23の上部には、蒸留塔2等が設置されてい
る。反応装置のその他の構成は、前記反応装置(図1)
の構成と同一である。
【0083】次に、上記構成の反応装置を用いた炭酸エ
ステルの製造方法の一例について説明する。尚、説明の
便宜上、前記反応装置(図1)での操作と同様の操作に
ついては、その説明を簡略する。
【0084】先ず、前段反応を行い、カルボン酸エステ
ルを生成させる。即ち、原料供給管10を介して、原料
カルボン酸エステル、芳香族ヒドロキシ化合物、触媒、
および必要により溶媒等からなる混合物を反応器21に
仕込む。その後、所定温度で原料カルボン酸エステルお
よび芳香族ヒドロキシ化合物をエステル交換させ、副生
成物であるアルコール等を留去する。
【0085】続いて、後段反応を行い、炭酸エステルを
生成させる。即ち、前段反応の終了後、導管24を介し
て、反応器21内の反応液を反応器22に移送する。ま
た、該反応液に、導管24aを介して原料炭酸エステル
等を混合する。その後、所定温度でカルボン酸エステル
および原料炭酸エステルをエステル交換させる。
【0086】反応器22においては、密閉した状態で、
ほぼ平衡状態となるまで後段反応を進行させる。その
後、導管25を介して、反応器22内の反応液を反応器
23に移送する。反応器23においては、蒸留塔2等を
用いて、副生成物である副生カルボン酸エステルや未反
応の原料炭酸エステルを留去し、後段反応をさらに進行
させる。
【0087】後段反応の終了後、上記副生カルボン酸エ
ステル、未反応のカルボン酸エステルおよび原料炭酸エ
ステル等を留去する。その後、例えば精留することによ
り、目的物である炭酸ジエステルを単離する。反応器2
3内に残された触媒は、容易に回収することができ、再
使用することができる。
【0088】以上の反応操作を行うことにより、効率的
に炭酸エステルを製造することができる。尚、原料炭酸
エステルの沸点が、副生する副生カルボン酸エステルの
沸点よりも高い場合には、反応器22を設けなくてもよ
い。また、反応装置を、反応器21・22・23が直列
に複数連結された構成としてもよい。これにより、反応
効率(平衡転化率)をより一層向上させることができ
る。
【0089】次に、反応器として多段蒸留塔を有する反
応装置を用いた炭酸エステルの製造方法の一例につい
て、図3を参照しながら、説明する。尚、説明の便宜
上、前記反応装置(図2)が備える構成と同一の機能を
有する構成には、同一の符号を付記し、その説明を省略
する。また、以下の説明においては、原料炭酸エステル
の沸点が、副生カルボン酸エステルの沸点よりも低い場
合を例に挙げることとする。
【0090】図3に示すように、上記の反応装置は、反
応器としての連続式多段蒸留塔31・32、反応器3
3、リボイラー4・4、凝縮器5・5、および、ポンプ
6・6等から構成されている。
【0091】連続式多段蒸留塔31は、原料カルボン酸
エステルと芳香族ヒドロキシ化合物とをエステル交換さ
せながら気液接触させる。連続式多段蒸留塔31には、
原料供給管8・10が接続されている。また、連続式多
段蒸留塔31の塔底は、導管34・35を介してリボイ
ラー4と接続されている。さらに、連続式多段蒸留塔3
1の塔頂は、導管13を介して凝縮器5と接続されてい
る。尚、連続式多段蒸留塔31において、原料供給管8
は、原料供給管10よりも上段に接続されている。ま
た、原料供給管10は、塔底に接続されていてもよい。
【0092】原料供給管8は、原料カルボン酸エステル
および芳香族ヒドロキシ化合物のうち、より沸点の高い
化合物を含む混合物を連続式多段蒸留塔31に連続的に
供給する。原料供給管10は、原料カルボン酸エステル
および芳香族ヒドロキシ化合物のうち、より沸点の低い
化合物を含む混合物を連続式多段蒸留塔31に連続的に
供給する。尚、原料カルボン酸エステルの沸点と、芳香
族ヒドロキシ化合物の沸点とに殆ど差が無い場合には、
原料供給管8・10の何れか一方を省略し、原料カルボ
ン酸エステルおよび芳香族ヒドロキシ化合物等からなる
混合物を連続式多段蒸留塔31に連続的に供給する構成
としてもよい。
【0093】リボイラー4は、導管34・35を介して
連続式多段蒸留塔31の塔底と接続されている。リボイ
ラー4は、導管34を通じて抜き出した塔底液を加熱
し、導管35を通じて塔底に戻す。つまり、リボイラー
4は、塔底液を加熱して循環させる。そして、導管34
は分枝しており、塔底液の一部を缶出液として反応器3
3に連続的に移送する。また、導管34には導管34a
が接続されており、上記の缶出液に、導管34aを介し
て原料炭酸エステル等を混合することができるようにな
っている。
【0094】反応器33および連続式多段蒸留塔32
は、カルボン酸エステルと原料炭酸エステルとをエステ
ル交換させる。反応器33は、流通式反応器である。該
反応器33の底部には、導管34が接続されている。ま
た、反応器33の上部には、導管36が接続されてい
る。導管36には、圧力調整弁37が取り付けられてい
る。
【0095】連続式多段蒸留塔32は、カルボン酸エス
テルと原料炭酸エステルとをエステル交換させながら気
液接触させる。連続式多段蒸留塔32の中段部には、導
管36が接続されている。また、連続式多段蒸留塔32
の塔底は、抜き出し管11および導管38を介してリボ
イラー4と接続されている。さらに、連続式多段蒸留塔
32の塔頂は、導管13を介して凝縮器5と接続されて
いる。そして、抜き出し管11は分枝しており、塔底液
の一部を缶出液として連続的に反応系外に抜き出すこと
ができるようになっている。反応装置のその他の構成
は、前記反応装置(図2)の構成と同一である。
【0096】次に、上記構成の反応装置を用いた炭酸エ
ステルの製造方法の一例について説明する。尚、説明の
便宜上、前記反応装置(図2)での操作と同様の操作に
ついては、その説明を簡略する。
【0097】先ず、前段反応を行い、カルボン酸エステ
ルを生成させる。即ち、原料供給管8・10を介して、
原料カルボン酸エステルを含む混合物、および芳香族ヒ
ドロキシ化合物を含む混合物を連続式多段蒸留塔31に
連続的に供給する。連続式多段蒸留塔31に供給された
原料カルボン酸エステルおよび芳香族ヒドロキシ化合物
は、触媒の存在下でエステル交換させながら気液接触、
つまり、反応蒸留される。また、副生成物であるアルコ
ール等は、留出液として連続的に抜き出される。尚、触
媒が均一触媒である場合には、該触媒は、原料カルボン
酸エステルおよび/または芳香族ヒドロキシ化合物と共
に連続式多段蒸留塔31に連続的に供給する。また、触
媒が不均一触媒である場合には、該触媒は、連続式多段
蒸留塔31・32内部、および反応器33内部に保持す
る。さらに、溶媒を用いる場合は、原料供給管10を介
して、該溶媒を連続式多段蒸留塔31に連続的に供給す
ればよいが、溶媒供給管を別途設けてもよい。
【0098】続いて、後段反応を行い、炭酸エステルを
生成させる。即ち、導管34を介して、連続式多段蒸留
塔31の缶出液を反応器33に連続的に移送する。ま
た、該缶出液に、導管34aを介して原料炭酸エステル
等を連続的に混合する。その後、所定温度でカルボン酸
エステルおよび原料炭酸エステルをエステル交換させ
る。
【0099】反応器33においては、好ましくは、ほぼ
平衡状態となるまで後段反応を進行させる。その後、導
管36を介して、反応器33内の反応液を連続式多段蒸
留塔32に連続的に供給する。
【0100】連続式多段蒸留塔32においては、後段反
応がさらに進行する。即ち、連続式多段蒸留塔32に供
給されたカルボン酸エステルおよび原料炭酸エステル
は、触媒の存在下でエステル交換させながら気液接触、
つまり、反応蒸留される。また、副生成物である副生カ
ルボン酸エステル、未反応の原料炭酸エステルおよび芳
香族ヒドロキシ化合物等は、留出液として連続的に抜き
出される。
【0101】尚、上記の留出液は、例えば蒸留等の公知
の方法を用いることにより、未反応の原料炭酸エステル
と、副生カルボン酸エステルを含む他の成分とに分離す
ることが好ましい。回収された上記の原料炭酸エステル
は、後段反応の原料として再び使用することができる。
また、回収された上記の副生カルボン酸エステルを含む
他の成分は、前段反応の原料として再び使用することが
できる。従って、原料カルボン酸エステルは、実質的に
消費されない。
【0102】そして、生成した炭酸エステルを含む塔底
液は、連続式多段蒸留塔32から缶出液として反応系外
に連続的に抜き出される。即ち、目的物である炭酸エス
テルは、缶出液として連続的に反応系外に取り出され
る。尚、触媒が均一触媒である場合には、蒸留等の公知
の方法を用いることにより、缶出液から該触媒を容易に
分離・回収する。回収された上記の触媒は、連続式多段
蒸留塔31に供給することにより、再び反応に供され
る。
【0103】以上の反応操作を行うことにより、効率的
かつ連続的に炭酸エステルを製造することができる。
尚、原料炭酸エステルの沸点が、副生する副生カルボン
酸エステルの沸点よりも高い場合には、反応器33を設
けなくてもよい。また、カルボン酸エステルおよび原料
炭酸エステルのうち、より沸点の高い化合物を連続式多
段蒸留塔32の上段に連続的に供給し、より沸点の低い
化合物を下段に連続的に供給する場合には、反応器33
を設けなくてもよい。さらに、前段反応と後段反応とで
異なる均一触媒を用いる場合は、連続式多段蒸留塔31
と反応器33との間に、蒸留塔を直列に連結すればよ
い。この場合には、連続式多段蒸留塔31の缶出液に、
導管34aを介して後段反応に用いる触媒を混合する。
【0104】反応器として多段蒸留塔を有する反応装置
は、図3に示す構成にのみ限定されるものではなく、種
々の構成とすることができる。次に、多段蒸留塔を有す
る他の構成の反応装置を用いた炭酸エステルの製造方法
の一例について、図4を参照しながら、説明する。尚、
説明の便宜上、前記反応装置(図3)が備える構成と同
一の機能を有する構成には、同一の符号を付記し、その
説明を省略する。また、以下の説明においては、原料カ
ルボン酸エステルの沸点が、芳香族ヒドロキシ化合物の
沸点よりも低い場合を例に挙げることとする。
【0105】図4に示すように、上記の反応装置は、反
応器としての連続式多段蒸留塔41、リボイラー4、凝
縮器5、および、ポンプ6等から構成されている。
【0106】連続式多段蒸留塔41は、原料カルボン酸
エステルと芳香族ヒドロキシ化合物とをエステル交換さ
せながら気液接触させると共に、生成するカルボン酸エ
ステルと、原料炭酸エステルとをエステル交換させなが
ら気液接触させる。連続式多段蒸留塔41には、原料供
給管8・10・42が接続されている。尚、連続式多段
蒸留塔41において、原料供給管8は、原料供給管10
よりも上段に接続されており、原料供給管10は、原料
供給管42よりも上段に接続されている。また、原料供
給管42は、塔底に接続されていてもよい。
【0107】原料供給管8は、芳香族ヒドロキシ化合物
を含む混合物を連続式多段蒸留塔41に連続的に供給す
る。原料供給管10は、原料カルボン酸エステルを含む
混合物を連続式多段蒸留塔41に連続的に供給する。原
料供給管42は、原料炭酸エステルを含む混合物を連続
式多段蒸留塔41に連続的に供給する。尚、原料カルボ
ン酸エステルの沸点と、芳香族ヒドロキシ化合物の沸点
とに殆ど差が無い場合には、原料供給管8・10の何れ
か一方を省略してもよい。
【0108】また、連続式多段蒸留塔41の塔底は、抜
き出し管11および導管43を介してリボイラー4と接
続されている。さらに、連続式多段蒸留塔41の塔頂
は、導管13を介して凝縮器5と接続されている。そし
て、抜き出し管11は分枝しており、塔底液の一部を缶
出液として連続的に反応系外に抜き出すことができるよ
うになっている。反応装置のその他の構成は、前記反応
装置(図3)の構成と同一である。
【0109】次に、上記構成の反応装置を用いた炭酸エ
ステルの製造方法の一例について説明する。尚、説明の
便宜上、前記反応装置(図3)での操作と同様の操作に
ついては、その説明を簡略する。
【0110】先ず、原料供給管8・10・42を介し
て、原料カルボン酸エステルを含む混合物、芳香族ヒド
ロキシ化合物を含む混合物、および原料炭酸エステルを
含む混合物を連続式多段蒸留塔41に連続的に供給す
る。
【0111】すると、連続式多段蒸留塔41に供給され
た原料カルボン酸エステルおよび芳香族ヒドロキシ化合
物は、触媒の存在下でエステル交換させながら気液接
触、つまり、反応蒸留される。これにより、前段反応が
進行し、カルボン酸エステルが生成する。該カルボン酸
エステルは、連続式多段蒸留塔41内を流下する。ま
た、副生成物であるアルコール等は、留出液として連続
的に抜き出される。尚、触媒が均一触媒である場合に
は、該触媒は、原料カルボン酸エステルおよび/または
芳香族ヒドロキシ化合物と共に連続式多段蒸留塔41に
連続的に供給する。また、触媒が不均一触媒である場合
には、該触媒は、連続式多段蒸留塔41内部に保持す
る。さらに、溶媒を用いる場合は、原料供給管42を介
して、該溶媒を連続式多段蒸留塔41に連続的に供給す
ればよいが、溶媒供給管を別途設けてもよい。
【0112】次に、生成したカルボン酸エステル、およ
び連続式多段蒸留塔41に供給された原料炭酸エステル
は、触媒の存在下でエステル交換させながら気液接触、
つまり、反応蒸留される。これにより、後段反応が進行
し、炭酸エステルが生成する。また、副生成物である副
生カルボン酸エステルは、連続式多段蒸留塔41内を上
昇し、上記の前段反応に供される。
【0113】そして、生成した炭酸エステルを含む塔底
液は、連続式多段蒸留塔41から缶出液として反応系外
に連続的に抜き出される。即ち、目的物である炭酸エス
テルは、缶出液として連続的に反応系外に取り出され
る。尚、触媒が均一触媒である場合には、蒸留等の公知
の方法を用いることにより、缶出液から該触媒を容易に
分離・回収する。
【0114】以上の反応操作を行うことにより、効率的
かつ連続的に炭酸エステルを製造することができる。
尚、連続式多段蒸留塔41の缶出液をさらに別の連続式
多段蒸留塔に供給し、エステル交換させながら気液接触
させてもよい。これにより、反応効率(平衡転化率)を
より一層向上させることができる。
【0115】尚、反応装置は、図1ないし図4に示す構
成にのみ限定されるものではなく、種々の構成とするこ
とができる。
【0116】以上のように、本発明にかかる炭酸エステ
ルの製造方法は、前記一般式(1)で表される原料カル
ボン酸エステルと、前記一般式(2)で表される芳香族
ヒドロキシ化合物とを、触媒の存在下でエステル交換さ
せることにより、前記一般式(3)で表されるカルボン
酸エステルを生成させ、その後、上記カルボン酸エステ
ルと、前記一般式(4)で表される原料炭酸エステルと
を、触媒の存在下でエステル交換させることにより、前
記一般式(5)で表される炭酸エステルを生成させる
方、該炭酸エステルと共に副生する副生カルボン酸エス
テルを回収する。
【0117】これにより、平衡転化率を向上させること
ができ、効率的に炭酸エステルを製造することができ
る。
【0118】また、本発明にかかる製造方法は、上記原
料カルボン酸エステルと芳香族ヒドロキシ化合物とを、
触媒の存在下でエステル交換させながら気液接触させ、
生成するカルボン酸エステルを連続的に反応系外に抜き
出す。さらに、本発明にかかる製造方法は、上記原料カ
ルボン酸エステルと芳香族ヒドロキシ化合物とを、触媒
の存在下でエステル交換させながら気液接触させ、副生
するアルコールを連続的に反応系外に抜き出す。
【0119】また、本発明にかかる製造方法は、上記カ
ルボン酸エステルと原料炭酸エステルとを、触媒の存在
下でエステル交換させながら気液接触させ、生成する炭
酸エステルを連続的に反応系外に抜き出す。さらに、本
発明にかかる製造方法は、上記カルボン酸エステルと原
料炭酸エステルとを、触媒の存在下でエステル交換させ
ながら気液接触させ、副生する副生カルボン酸エステル
を連続的に反応系外に抜き出す。
【0120】これにより、平衡転化率を向上させること
ができ、効率的かつ連続的に炭酸エステルを製造するこ
とができる。
【0121】
【作用】上記の製造方法によれば、一般式(1) R1 COOR2 ……(1) (式中、R1 、R2 はそれぞれ独立してアルキル基、脂
環式炭化水素基またはアリールアルキル基を表す)で表
される原料カルボン酸エステルと、一般式(2) R3 OH ……(2) (式中、R3 は置換基を有していてもよい芳香族基を表
す)で表される芳香族ヒドロキシ化合物とを、触媒の存
在下でエステル交換させることにより、一般式(3) R1 COOR3 ……(3) (式中、R1 はアルキル基、脂環式炭化水素基またはア
リールアルキル基を表し、R3 は置換基を有していても
よい芳香族基を表す)で表されるカルボン酸エステルを
生成させ、その後、上記カルボン酸エステルと、一般式
(4) 2 O−COOR 2 ……(4) (式中、 2 はアルキル基、脂環式炭化水素基またはア
リールアルキル基を表す)で表される原料炭酸エステル
とを、触媒の存在下でエステル交換させることにより、
一般式(5) R3 O−COOR6 ……(5) (式中、R3 は置換基を有していてもよい芳香族基を表
し、R6 はR3 および前記 2 からなる群より選ばれる
置換基を表す)で表される炭酸エステルを生成させる
方、該炭酸エステルと共に副生する前記一般式(1)で
表される原料カルボン酸エステルを回収する
【0122】これにより、効率的に炭酸エステルを製造
することができる。尚、上記の製造方法は、従来の製造
方法において使用されているホスゲンを原料として使用
しないので、安全性に優れている。また、上記の製造方
法は、塩素を含む原料を使用しない。このため、得られ
る炭酸エステルを原料として用いることにより、高品質
のポリカーボネートを得ることができる。
【0123】
【実施例】以下、実施例により、本発明をさらに具体的
に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるも
のではない。
【0124】〔実施例1〕図1に示す反応装置を用いて
炭酸エステルを製造した。但し、回分式反応器1とし
て、減圧装置を備えた内容積1Lのステンレス製の反応
器を用いた。また、蒸留塔2として、高さ 500mm、内径
20mmのステンレス製の蒸留塔に、充填物として 1.5mmφ
のステンレス製ディクソンパッキングを充填したものを
用いた。
【0125】そして、回分式反応器1に原料供給管10
を介して、吉草酸メチル(原料カルボン酸エステル) 3
00g、フェノール(芳香族ヒドロキシ化合物) 100g、
および、触媒としてのジブチルスズオキシド「Bu2SnO」
0.1gを仕込んだ。
【0126】次に、この反応液を攪拌しながら 240℃に
昇温し、その温度で前段反応を行った。その際、蒸留塔
2の還流比を2として、副生成物であるメタノール(ア
ルコール)等を含む低沸点成分を留去した。尚、圧力調
整弁16を操作することにより、回分式反応器1の温度
を 240℃に維持した。
【0127】上記の前段反応を3時間行った後、未反応
の吉草酸メチルおよびフェノールの大部分を留去した。
留去されたメタノール、吉草酸メチルおよびフェノール
の合計量は、 302gであった。
【0128】続いて、上記の回分式反応器1に原料供給
管10を介して、炭酸ジメチル(原料炭酸エステル) 1
00gを仕込んだ。次に、回分式反応器1を密閉し、 200
℃で30分間攪拌し、ほぼ平衡状態となるまで後段反応を
進行させた。その後、回分式反応器1内を減圧し、未反
応の炭酸ジメチルを留去した。次いで、 200℃で1時間
攪拌し、後段反応をさらに進行させた。その際、蒸留塔
2の還流比を2として、副生成物である吉草酸メチル
(副生カルボン酸エステル)等を含む低沸点成分を留去
した。
【0129】後段反応の終了後、未反応の吉草酸フェニ
ル(カルボン酸エステル)等を留去した。これにより、
炭酸ジフェニル(炭酸エステル)を95.5重量%含有する
反応混合物53.7gを得た。また、実質的に消費されたフ
ェノールを基準とした炭酸ジフェニルの収率は、45.1モ
ル%であった。
【0130】上記の結果から明らかなように、本実施例
にかかる方法を実施することにより、効率的に炭酸エス
テルを製造することができることがわかる。
【0131】〔実施例2〕図3に示す反応装置を用いて
炭酸エステルを連続的に製造した。但し、連続式多段蒸
留塔31として、高さ 2.5m、内径20mmのステンレス製
の蒸留塔に、充填物として 1.5mmφのステンレス製ディ
クソンパッキングを充填したものを用いた。そして、塔
頂から1m下の位置に原料供給管8を接続し、塔底から
500mm上の位置に原料供給管10を接続した。また、リ
ボイラー4等を用いて塔底液を加熱する代わりに、連続
式多段蒸留塔31の塔底部をヒータで加熱することによ
り、蒸留に必要な熱を供給した。
【0132】また、反応器33として、長さ 200mm、内
径20mmのステンレス製の流通式反応器を用いた。さら
に、連続式多段蒸留塔32として、高さ 1.5m、内径20
mmのステンレス製の蒸留塔に、充填物として 1.5mmφの
ステンレス製ディクソンパッキングを充填したものを用
いた。そして、塔頂から 500mm下の位置に導管36を接
続した。また、リボイラー4等を用いて塔底液を加熱す
る代わりに、連続式多段蒸留塔32の塔底部をヒータで
加熱することにより、蒸留に必要な熱を供給した。尚、
連続式多段蒸留塔32は、減圧装置を備えている。
【0133】そして、連続式多段蒸留塔31に原料供給
管8を介して、フェノール(芳香族ヒドロキシ化合物)
を主成分とする原料と、触媒としてのチタンテトラフェ
ノキシド「Ti(OPh)4」とからなる供給液Aを連続的に供
給した。供給液Aの単位時間当たりの流量は、24.7g/hr
とした。
【0134】また、連続式多段蒸留塔31に原料供給管
10を介して、吉草酸メチル(原料カルボン酸エステ
ル)を主成分とする原料である供給液B(一部はガス
状)を連続的に供給した。供給液Bの単位時間当たりの
流量は、58.8g/hrとした。上記のチタンテトラフェノキ
シドは、原料(吉草酸メチルおよびフェノールの合計
量)に対するチタンの添加量が 500 ppmとなるように添
加した。
【0135】連続式多段蒸留塔31の操作条件は、塔底
温度を 243℃、塔頂圧力を4kg/cm2、還流比を2とし
た。上記の反応条件、即ち、供給液Aおよび供給液Bの
流量および組成、並びに、連続式多段蒸留塔31の操作
条件を、表1に示す。
【0136】上記の連続式多段蒸留塔31にて吉草酸メ
チルとフェノールとをエステル交換させながら気液接触
させた(前段反応)。そして、生成した吉草酸フェニル
(カルボン酸エステル)を含む缶出液Cを、反応器33
に連続的に移送した。また、副生したメタノール(アル
コール)を含む留出液Dを、連続的に反応系外に取り出
した。缶出液Cの単位時間当たりの流量は、75.0g/hrで
あり、また、留出液Dの単位時間当たりの流量は、 8.5
g/hrであった。
【0137】次に、反応器33に導管34aを介して、
炭酸ジメチル(原料炭酸エステル)を主成分とする原料
である供給液Eを連続的に供給した。つまり、上記の缶
出液Cと、供給液Eとを反応器33に連続的に供給し
た。供給液Eの単位時間当たりの流量は、37.1g/hrとし
た。そして、上記の反応器33にて吉草酸フェニルと炭
酸ジメチルとをエステル交換させながら気液接触させた
(後段反応)。即ち、反応器33にて、ほぼ平衡状態と
なるまで後段反応を進行させた。尚、圧力調整弁37を
操作することにより、反応器33内の圧力を10kg/cm2
即ち、反応液の蒸気圧以上に調整すると共に、該反応器
33の温度を 200℃に維持した。従って、反応器33内
の反応液は、液相状態に保たれている。
【0138】次いで、上記反応器33の反応液を、連続
式多段蒸留塔32に連続的に移送した。連続式多段蒸留
塔32の操作条件は、塔底温度を 219℃、塔頂圧力を 1
00mmHg、還流比を1とした。上記の反応条件、即ち、供
給液Eの流量および組成、並びに、反応器33および連
続式多段蒸留塔32の操作条件を、表2に示す。
【0139】上記の連続式多段蒸留塔32にて吉草酸フ
ェニルと炭酸ジメチルとをエステル交換させながら気液
接触させた(後段反応)。即ち、連続式多段蒸留塔32
にて、後段反応をさらに進行させた。そして、生成した
炭酸ジフェニル(炭酸エステル)を含む缶出液Fを、連
続的に反応系外に取り出した。また、副生した吉草酸メ
チル(副生カルボン酸エステル)、および、未反応の炭
酸ジメチルやフェノールを含む留出液Gを、連続的に反
応系外に取り出した。缶出液Fの単位時間当たりの流量
は、28.1g/hrであり、また、留出液Gの単位時間当たり
の流量は、84.0g/hrであった。
【0140】そして、缶出液Fの組成を分析した。その
結果、炭酸ジフェニルは、原料(吉草酸メチル、フェノ
ールおよび炭酸ジメチルの合計量)を1kg/hr の流量で
供給した場合の収量が 231g/kg・hrであった。また、実
質的に消費されたフェノールを基準とした炭酸ジフェニ
ルの収率は、99モル%であった。上記の反応結果、即
ち、留出液D・Gおよび缶出液C・Fの流量および組
成、並びに、炭酸ジフェニルの収量および収率を、表3
に示す。
【0141】尚、上記の留出液Gを蒸留することによ
り、未反応の炭酸ジメチルと、吉草酸メチルを含む他の
成分とに分離した。回収された上記の炭酸ジメチルは、
導管34aを介して反応器33に再び供給した。また、
回収された上記の吉草酸メチルを含む他の成分は、原料
供給管10を介して連続式多段蒸留塔31に再び供給し
た。従って、吉草酸メチルは、実質的に消費されなかっ
た。さらに、上記の缶出液Fを蒸留することにより、炭
酸ジフェニルとチタンテトラフェノキシドとを分離し
た。回収された上記のチタンテトラフェノキシドは、原
料供給管8を介して連続式多段蒸留塔31に再び供給し
た。
【0142】〔実施例3〕実施例2における吉草酸メチ
ルを酪酸メチル(原料カルボン酸エステル)に変更する
と共に、触媒としてのチタンテトラフェノキシドを鉛ジ
フェノキシド「Pb(OPh)2」に変更した以外は、実施例2
と同様の反応装置を用いて炭酸ジフェニルを連続的に製
造した。尚、鉛ジフェノキシドは、原料(酪酸メチルお
よびフェノールの合計量)に対する鉛の添加量が1000 p
pmとなるように添加した。
【0143】上記の反応条件、即ち、供給液Aおよび供
給液Bの流量および組成、並びに、連続式多段蒸留塔3
1の操作条件を、表1に示す。また、供給液Eの流量お
よび組成、並びに、反応器33および連続式多段蒸留塔
32の操作条件を、表2に示す。
【0144】そして、缶出液Fの組成を分析した。その
結果、炭酸ジフェニルの収量は 244g/kg・hrであった。
また、炭酸ジフェニルの収率は、99モル%であった。上
記の反応結果、即ち、留出液D・Gおよび缶出液C・F
の流量および組成、並びに、炭酸ジフェニルの収量およ
び収率を、表3に示す。
【0145】〔実施例4〕実施例2における吉草酸メチ
ルをヘキサン酸メチル(原料カルボン酸エステル)に変
更した以外は、実施例2と同様の反応装置を用いて炭酸
ジフェニルを連続的に製造した。
【0146】上記の反応条件、即ち、供給液Aおよび供
給液Bの流量および組成、並びに、連続式多段蒸留塔3
1の操作条件を、表1に示す。また、供給液Eの流量お
よび組成、並びに、反応器33および連続式多段蒸留塔
32の操作条件を、表2に示す。
【0147】そして、缶出液Fの組成を分析した。その
結果、炭酸ジフェニルの収量は 189g/kg・hrであった。
また、炭酸ジフェニルの収率は、91モル%であった。上
記の反応結果、即ち、留出液D・Gおよび缶出液C・F
の流量および組成、並びに、炭酸ジフェニルの収量およ
び収率を、表3に示す。
【0148】
【表1】
【0149】
【表2】
【0150】
【表3】
【0151】上記実施例2〜4の結果から明らかなよう
に、本実施例にかかる方法を実施することにより、効率
的かつ連続的に炭酸エステルを製造することができるこ
とがわかる。
【0152】
【発明の効果】本発明の炭酸エステルの製造方法は、以
上のように、一般式(1) R1 COOR2 ……(1) (式中、R1 、R2 はそれぞれ独立してアルキル基、脂
環式炭化水素基またはアリールアルキル基を表す)で表
される原料カルボン酸エステルと、一般式(2) R3 OH ……(2) (式中、R3 は置換基を有していてもよい芳香族基を表
す)で表される芳香族ヒドロキシ化合物とを、触媒の存
在下でエステル交換させることにより、一般式(3) R1 COOR3 ……(3) (式中、R1 はアルキル基、脂環式炭化水素基またはア
リールアルキル基を表し、R3 は置換基を有していても
よい芳香族基を表す)で表されるカルボン酸エステルを
生成させ、その後、上記カルボン酸エステルと、一般式
(4) 2 O−COOR 2 ……(4) (式中、 2 はアルキル基、脂環式炭化水素基またはア
リールアルキル基を表す)で表される原料炭酸エステル
とを、触媒の存在下でエステル交換させることにより、
一般式(5) R3 O−COOR6 ……(5) (式中、R3 は置換基を有していてもよい芳香族基を表
し、R6 はR3 および前記 2 からなる群より選ばれる
置換基を表す)で表される炭酸エステルを生成させる
方、該炭酸エステルと共に副生する前記一般式(1)で
表される原料カルボン酸エステルを回収する方法であ
る。
【0153】これにより、効率的に炭酸エステルを製造
することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例における炭酸エステルの製造
方法に好適に用いられる反応装置の概略の構成を示すブ
ロック図である。
【図2】本発明の一実施例における炭酸エステルの製造
方法に好適に用いられる他の反応装置の概略の構成を示
すブロック図である。
【図3】本発明の一実施例における炭酸エステルの製造
方法に好適に用いられるさらに他の反応装置の概略の構
成を示すブロック図である。
【図4】本発明の一実施例における炭酸エステルの製造
方法に好適に用いられるさらに他の反応装置の概略の構
成を示すブロック図である。
【符号の説明】
1 回分式反応器(反応器) 2 蒸留塔 5 凝縮器 8・10 原料供給管 11 抜き出し管 21・22・23 反応器 31・32 連続式多段蒸留塔(反応器、多段蒸
留塔) 33 反応器 41 連続式多段蒸留塔(反応器、多段蒸
留塔)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 吉田 裕 神奈川県川崎市川崎区千鳥町14−1 株 式会社日本触媒 機能開発研究所内 (56)参考文献 特開 昭51−105032(JP,A) 特開 昭56−123948(JP,A) 特開 昭57−16834(JP,A) 特開 平6−116210(JP,A) 特開 昭51−75044(JP,A)

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式(1) R1 COOR2 ……(1) (式中、R1 、R2 はそれぞれ独立してアルキル基、脂
    環式炭化水素基またはアリールアルキル基を表す)で表
    される原料カルボン酸エステルと、一般式(2) R3 OH ……(2) (式中、R3 は置換基を有していてもよい芳香族基を表
    す)で表される芳香族ヒドロキシ化合物とを、触媒の存
    在下でエステル交換させることにより、一般式(3) R1 COOR3 ……(3) (式中、R1 はアルキル基、脂環式炭化水素基またはア
    リールアルキル基を表し、R3 は置換基を有していても
    よい芳香族基を表す)で表されるカルボン酸エステルを
    生成させ、その後、上記カルボン酸エステルと、一般式
    (4) 2 O−COOR 2 ……(4) (式中、 2 はアルキル基、脂環式炭化水素基またはア
    リールアルキル基を表す)で表される原料炭酸エステル
    とを、触媒の存在下でエステル交換させることにより、
    一般式(5) R3 O−COOR6 ……(5) (式中、R3 は置換基を有していてもよい芳香族基を表
    し、R6 はR3 および前記 2 からなる群より選ばれる
    置換基を表す)で表される炭酸エステルを生成させる
    方、該炭酸エステルと共に副生する前記一般式(1)で
    表される原料カルボン酸エステルを回収することを特徴
    とする炭酸エステルの製造方法。
  2. 【請求項2】上記R6 がR3 であることを特徴とする請
    求項1記載の炭酸エステルの製造方法。
  3. 【請求項3】上記原料カルボン酸エステルと芳香族ヒド
    ロキシ化合物とを、触媒の存在下でエステル交換させな
    がら気液接触させ、生成するカルボン酸エステルを連続
    的に反応系外に抜き出すことを特徴とする請求項1また
    は2記載の炭酸エステルの製造方法。
  4. 【請求項4】上記原料カルボン酸エステルと芳香族ヒド
    ロキシ化合物とを、触媒の存在下でエステル交換させな
    がら気液接触させ、副生するアルコールを連続的に反応
    系外に抜き出すことを特徴とする請求項1ないしの何
    れか1項に記載の炭酸エステルの製造方法。
  5. 【請求項5】上記カルボン酸エステルと原料炭酸エステ
    ルとを、触媒の存在下でエステル交換させながら気液接
    触させ、生成する炭酸エステルを連続的に反応系外に抜
    き出すことを特徴とする請求項1ないしの何れか1項
    に記載の炭酸エステルの製造方法。
  6. 【請求項6】上記カルボン酸エステルと原料炭酸エステ
    ルとを、触媒の存在下でエステル交換させながら気液接
    触させ、副生する原料カルボン酸エステルを連続的に反
    応系外に抜き出すことを特徴とする請求項1ないし
    何れか1項に記載の炭酸エステルの製造方法。
  7. 【請求項7】カルボン酸エステルの生成と、炭酸エステ
    ルの生成とを、同一の反応器内で行うことを特徴とする
    請求項1ないしの何れか1項に記載の炭酸エステルの
    製造方法。
  8. 【請求項8】カルボン酸エステルの生成および/または
    炭酸エステルの生成を、多段蒸留塔で行うことを特徴と
    する請求項1ないしの何れか1項に記載の炭酸エステ
    ルの製造方法。
  9. 【請求項9】カルボン酸エステルの生成および/または
    炭酸エステルの生成を、気泡塔で行うことを特徴とする
    請求項1ないしの何れか1項に記載の炭酸エステルの
    製造方法。
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