JP4257798B2 - アルキルスズアルコキシド類の製造方法 - Google Patents

アルキルスズアルコキシド類の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、アルキルスズアルコキシドの製造方法、及びその製造方法で得られたジアルキルスズアルコキシドを触媒として用いることを特徴とする炭酸エステル、イソシアネートの製造方法、及びその製造方法で得られた炭酸エステル、イソシアネートに関する。
アルキルスズアルコキシドは、エステル合成触媒、エステル交換反応触媒、シリコンポリマーやウレタン硬化触媒等として極めて有用である。
従来のアルキルスズアルコキシドの製造方法としては、ジアルキル−ジクロロ−スズを原料とする方法(例えば特許文献1参照)とジアルキルスズオキシドを原料とする方法(例えば特許文献2参照)等が挙げられる。前者のジアルキル−ジクロロ−スズを原料とする方法は、下記式(8)に示すように、副原料として高価な金属アルコラートを使用し、また、得られるジアルキルスズアルコキシドに対して2倍molの金属塩が生成するために、廃棄物等の問題もあって、コスト、廃棄物の観点からも工業的製造方法として問題がある。
従って、後者のジアルキルスズオキシドを原料とする方法が、大量の廃棄物を生成しないという点で好ましい。この方法によってジアルキルスズアルコキシドを得る方法が検討されている。たとえば下式(9)に示すように、ジブチルスズオキシドとアルコールとから2段反応でジアルキルスズジアルコキシドを得る例がある(特許文献3参照)。1段目は、ベンゼンやトルエン中で80℃から110℃の範囲で反応を行い、形成される水を共沸蒸留で除去して、1,1,3,3,−テトラブチル−1,3−ジアルコキシ−ジスタンオキサンを得、2段目で該ジスタンオキサンを180℃から220℃で不均化させて、ジブチルスズジアルコキシドを蒸留で得る。この方法は廃棄物を発生しないという点では優れているが、2段目の不均化反応では高沸点のジアルキルスズアルコキシドを高温条件で蒸留しなければならず、エネルギーの消費が多く工業的な生産としては問題があり、しかも生産性が低い。
ジアルキルスズオキシドとアルコールとからジアルキルスズジアルコキシドを直接得る方法として、下記式(10)に示すような高沸点アルコールを用いる方法が示されている(特許文献2参照)。この方法では、反応物質であるアルコールの沸点で反応を行うために、上記したベンゼンやトルエン中で反応させるよりも高温で反応を行って、形成される水を反応物質のアルコールとの共沸混合物として除去する。この方法は、上記方法に比較し、高沸点のジアルキルスズジアルコキシドを加熱蒸留しなくてもよい点で優れているが、反応温度が反応物質のアルコールの沸点で行うために、炭素数の短いアルコールでは反応が遅く、また炭素数の長いアルコールを用いても反応は遅く、生産性は高くない。
更に該方法では高沸点のアルコール中で高温で反応させるため、下式(11)によって生成すると推定されるトリアルキルスズ化合物が実際には大量に生成する。ジアルキルスズアルコキシドの熱変性によってトリアルキルスズ化合物が生成することは公知であり(非特許文献1参照)、該方法で得ようとしているジアルキルスズジアルコキシド以外の複雑な反応副生物の混合物となることもあり、工業的製法としては好ましくない。
上記した問題である生産性を高めるために、下式(12)に示すように反応物質として、アルコールと炭酸エステルを使用した例がある(特許文献2参照)。この方法は上記した生産性を改善する方法であるが、高価な炭酸エステルを反応物質として使用しなければならず、工業的な製造方法としては問題がある。
US−2700675 US−5545600 NL−6612421 工業化学雑誌 72,7(1969),1543
上記したように、アルキルスズアルコキシドの製造においては、生産性を高めようとすれば、高価な原料を用いなければならず、アルキルスズアルコキシドを簡便な方法で生産性高く製造する方法が望まれている。
本発明の目的は、工業的にアルキルスズアルコキシドを製造する方法、更には連続してアルキルスズアルコキシドを製造する方法を提供することである。
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意検討した結果、スズ−酸素−スズ結合を有する有機スズ化合物の群から選ばれる出発物質と、反応物質であるヒドロキシ化合物とを反応器に連続的に供給し、反応器から反応によって発生した低沸点成分を連続的に取り出し、反応器底部成分として出発物質と反応物質とに対応するアルキルスズアルコキシド類を含む反応液を連続的に取り出すことが可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は以下の通りである。
[1] 出発物質として、スズ−酸素−スズ結合を有する有機スズ化合物の群から選ばれる少なくとも1種のアルキルスズ化合物と、反応物質として、ヒドロキシ化合物とを脱水反応に付し、出発物質と反応物質に対応するアルキルスズアルコキシド類を得ることを含むアルキルスズアルコキシドの製造方法において、反応器に出発物質と反応物質を連続的に供給し、反応器から水を含む低沸点成分を取り出し、反応器底部成分としてアルキルスズアルコキシド類を含む反応液を連続的に取り出すことを特徴とする上記方法。
[2] 出発物質である前記少なくとも1種のアルキルスズ化合物が、テトラアルキル−ジアルコキシ−1,3−ジスタンオキサン類、及び/又はスズ−酸素−スズ結合を介して重合体として一般的に存在するジアルキルスズオキシド類である上記[1]記載の方法。
[3] 前記テトラアルキル−ジアルコキシ−1,3−ジスタンオキサン類が、下記化学式(1)で表されるテトラアルキル−ジアルコキシ−1,3−ジスタンオキサン類である上記[2]記載の方法。

(式中、R、R、R、及びRは、それぞれ、アルキル基であり、同一であっても、それぞれ異なっていてもよい。R、Rは、それぞれアルキル基である。a及びbは0から2の整数であって、a+bは2であり、c及びdは0から2の整数であって、c+dは2である。)
[4] 前記ジアルキルスズオキシド類が、下記化学式(2)で表されるジアルキルスズオキシド類の重合体である上記[2]記載の方法。

(式中、R及びRは、それぞれ、アルキル基であり、同一であっても、それぞれ異なっていてもよい。e及びfは0から2の整数であって、e+fは2である。)
[5] 前記出発物質が、それぞれ、単量体、2量体、(同一種類の単量体の会合体又は異なる種類の単量体どうしの会合体)、多量体、又は重合体のいずれであってもよい上記[2]記載の方法。
[6] 前記ヒドロキシ化合物が、下記化学式(3)で表されるアルコールである上記[1]から[5]のいずれか一項に記載の方法。

(式中、Rは、n−ブチル基、2−メチルプロピル基、直鎖状又は分岐状の炭素数5〜12のアルキル基を表す。)
[7] 前記アルコールが、1−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、炭素数5から炭素数8のアルキルアルコールからなる群から選ばれるアルコールである上記[6]記載の方法。
[8] 出発物質と反応物質とを反応器に連続的に供給し、該反応器内において液相又は気−液相で両物質間の脱水反応を行わせると同時に、製造されるアルキルスズアルコキシド又はアルキルスズアルコキシド混合物を含む高沸点反応混合物を該反応器の下部から液状で抜き出し、一方で、生成する水を含む低沸点反応混合物を蒸留によって該反応器からガス状で連続的に抜き出すことを含む上記[1]記載の方法。
[9] 前記反応器が、前記出発物質と前記反応物質を供給するためのそれぞれのライン又は該出発物質と該反応物質の混合液を供給するためのライン、及び水を含む低沸点反応混合物を抜き出すためのライン、及び高沸点反応混合物を抜き出すためのラインを備えている上記[1]又は[8]記載の方法。
[10] 前記水を含む低沸点反応混合物を抜き出すためのラインが気相成分を抜き出す位置にあり、前記高沸点反応混合物を抜き出すためのラインが下方で液相成分を抜き出す位置にある上記[9]記載の方法。
[11] 前記反応器が槽状又は塔状である上記[1]から[10]のいずれか一項に記載の方法。
[12] 前記反応器が、攪拌槽、多段攪拌槽、蒸留塔、多段蒸留塔、連続多段蒸留塔、充填塔、薄膜蒸発器、内部に支持体を備えた反応器、強制循環反応器、落膜蒸発器、落滴蒸発器、細流相反応器、又は気泡塔のいずれかを含む型式である上記[1]から[11]のいずれか一項に記載の方法。
[13] 不活性ガス、気体状の反応物質、気体状の不活性な有機化合物、水と共沸混合物を形成する有機溶媒の群から選ばれる少なくとも1つを供給する上記[1]から[12]記載のいずれか一項に記載の方法。
[14] 不活性ガスが、窒素、二酸化炭素、アルゴンから選ばれる上記[13]記載の方法。
[15] 前記脱水反応を60℃から160℃までの範囲で行う上記[1]記載の方法。[16] 出発物質と反応物質の比率として、出発物質中に含まれるスズ原子の合計モル数と、反応物質のモル数の比が3から100の範囲である上記[1]記載の方法。
[17] 脱水反応を下記式(4)で表される脱水速度で行うことを特徴とする上記[6 に記載の方法。


(式中、脱水速度は脱水反応で形成される水のうち、単位時間当りに系外に抜き出す水量[mol・hr−1]を表し、Xは出発物質に含まれる化学式(2)で表されるアルキルスズ化合物中のスズ原子モル数の合計[mol]を表し、Yは出発物質に含まれる化学式(1)で表されるアルキルスズ化合物中のスズ原子モル数[mol]を表し、Tは脱水反応温度[K]を表し、Rは気体定数=8.314J・mol−1・K−1を表し、A及びBはアルキルスズ化合物の種類に依存する係数である;ここで
上記式(4)の係数A及びBは出発物質であるアルキルスズ化合物の種類に依存し、基準物質を定めて求める係数である。出発物質に化学式(1)で表されるアルキルスズ化合物が含まれる場合は、上記A及びBはそれぞれ出発物質に含まれる化学式(1)で表されるアルキルスズ化合物から任意に選ばれるアルキルスズ化合物を基準物質として、該基準物質の熱分解反応の頻度因子及び活性化エネルギーを表すものであって、下記式(5)で得られるA及びBであり、そして出発物質に化学式(1)で表されるアルキルスズ化合物が含まれず、化学式(2)で表されるアルキルスズ化合物が含まれる場合は、A及びBはそれぞれ出発物質に含まれる化学式(2)で表されるアルキルスズ化合物と反応物質とから形成される下記化学式(7)で表されるアルキルスズアルコキシドから任意に選ばれるアルキルスズアルコキシドから任意に選ばれるアルキルスズアルコキシドを基準物質として、該基準物質の熱分解反応の頻度因子及び活性化エネルギーを表すものであって、下記式(5)で得られるA及びBである。


(式中、kは1次反応速度定数[hr−1]、Aは頻度因子[hr−1]、Bは活性化エネルギー[J・mol−1]、Rは気体定数=8.314J・mol−1・K−1、Tは熱分解反応温度[K]を表す。上記kは該熱分解反応の1次反応速度定数を表し、下記式(6)で得られるkである。


(式中、kは1次反応速度定数[hr−1]、tは加熱時間、X[hr]は基準物質の初期濃度に対する減少率[mol/mol]を表す。))


(式中、R10、R11、R13、及びR14は出発物質のR又はRのいずれかに対応し、g、h、i、及びjは出発物質のe又はfのいずれかに対応し、R12及びR15の少なくとも1つは反応物質のRに対応する。g及びhは0から2の整数であって、g+hは2であり;i及びjは0から2の整数であって、i+j=2である。))
出発物質と反応物質とを連続的に脱水反応に付し、形成される水と生成物を連続的に系外へ除去することにより、高い生産性でアルキルスズアルコキシドを製造することができ、産業上に大いに有用である。
本発明の特徴は、ジアルキルスズオキシド及び/又はテトラアルキル−ジアルコキシ−ジスタンオキサンを含む出発物質と、反応物質であるヒドロキシ化合物とを反応器に連続的に供給し、反応器から水を含む低沸点成分を取り出し、反応器底部成分として出発物質と反応物質とに対応する、アルキルスズアルコキシド類を含む反応液を連続的に得ることにある。
本発明者らは、ジアルキルスズオキシドとアルコールとからジアルキルスズアルコキシドが生成する反応を、以下の式(13)と式(14)の平衡反応に基づくものであると推定した。

従来、上記反応は、バッチ方式で、発生する水を常圧又は減圧の条件で留去しながら行われていた。上記式(13)及び式(14)の平衡は左側(原系)に偏っており、平衡を生成物側にずらすことにより生成する水を系外に出して反応を進行させる必要がある。同時に反応速度を早めるために、高温で実施することで上記反応が行われていた。
そのため、反応物質として炭素数の長い、高沸点のアルコールで上記反応を行なえば、数時間で反応が進行するが、炭素数の短い、低沸点のアルコールから対応するジアルキルスズアルコキシドを得ようとすれば、生産性は著しく低かった。式(13)に示したジアルキルスズオキシドとアルコールとから脱水反応によりテトラアルキル−ジアルコキシ−ジスタンオキサンを得る反応は従来の技術であっても比較的容易に定量的に進むことが知られている。しかし、特に式(14)の平衡は著しく原系に偏っており、反応で形成された水は系中で速やかに生成したジブチルスズジアルコキシドと反応してしまうために、生産性よくジアルキルスズジアルコキシドを得ることはできなかった。式(14)の反応で生成物をより多く得るためには、大量のヒドロキシ化合物を使用することによりジアルキルスズジアルコキシドへの転化率を向上させることはできるが、反応器のサイズが巨大になり、更に未反応の大量のヒドロキシル化合物を留去しなければならず、生産性を上げることはできなかった。
また、本発明者らが鋭意検討した結果、上記した従来の技術では、高温で長時間の反応時間を要するために、従来の方法では明記されていなかったが、目的としないトリブチルスズ化合物が多量に生成することを見出した。即ち、従来のバッチ方式の反応によれば、反応速度が遅く、バッチ反応であるために出発物質又は生成物であるアルキルスズアルコキシドが反応器内に滞留して、上記したトリアルキルスズ化合物の副生を惹起する重大な問題点があった(図1に1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ビス(2−エチルヘキシルオキシ)−ジスタンオキサンを加熱した時のトリブチルスズ化合物への変性反応の経時変化を示す)。
本発明者らが鋭意検討した結果、ジアルキルスズオキシド、テトラアルキル−ジアルコキシ−ジスタンオキサン及びそれらの混合物からなる群から選ばれる出発物質と、反応物質であるヒドロキシ化合物とを反応器に連続的に供給し、反応器から低沸点成分を取り出し、反応器底部成分として出発物質と反応物質とに対応する、アルキルスズアルコキシド類を含む反応液を連続的に得ると、従来のバッチ方式に比較して驚くべきことに反応時間が短く、生産性が極めて高くなり、更に驚くべきことに、上記したようなトリブチルスズ化合物の副生も抑制されることを見出した。
即ち、本発明者らは、従来のバッチ方式のアルキルスズアルコキシドの生成速度が、形成される水の除去速度によって大きく制限されていることを発想し、この課題を克服する方法として、該水を速やかに系外へ連続的に除去し、生成物であるアルキルスズアルコキシドを速やかに系外へ連続的に取り出す方法を提供することで生産性高くジアルキルスズアルコキシドを得ることができることを見出した。更に、本発明の方法によれば目的としないトリブチルスズ化合物をも低減することを見出した。
まず、本発明で使用する使用原料について以下に記述する。
出発物質はジアルキルスズオキシド類及び/又はテトラアルキル−ジアルコキシ−ジスタンオキサン類を含む組成物であり、テトラアルキル−ジアルコキシ−ジスタンオキサンのみであってもよいし、テトラアルキル−ジアルコキシ−ジスタンオキサンの前駆体であるジアルキルスズオキシドを任意の量含んでいてもよい。即ち式(13)に示すジアルキルスズオキシドからテトラアルキル−ジアルコキシ−ジスタンオキサンを得る反応も、式(14)に示すテトラアルキル−ジアルコキシ−ジスタンオキサンからジアルキルスズジアルコキシドを得る反応も同様の脱水反応であるので、ジアルキルスズオキシドを任意の量含有した出発物質であっても、ジアルキルスズアルコキシドを得ることができる。
本発明で使用するテトラアルキル−ジアルコキシ−ジスタンオキサン類は下式(1)に示すテトラアルキル−ジアルコキシ−ジスタンオキサンであって、下式(1)に代表される構造式を示すが、単量体、会合体、多量体、又は重合体であってもかまわない。

(式中、R、R、R、及びRは、それぞれ、アルキル基、アラルキル基又はアリール基であり、同一であっても、それぞれ異なっていてもよい。R、Rは、それぞれアルキル基、アラルキル基である。a及びbは0から2の整数であって、a+bは2であり、c及びdは0から2の整数であって、c+dは2である。)
式(1)のテトラアルキル−ジアルコキシ−ジスタンオキサンのR、R、R、及びRの例としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル(各異性体)、ペンチル(各異性体)、ヘキシル(各異性体)、ヘプチル(各異性体)、オクチル(各異性体)、ノニル(各異性体)、デシル(各異性体)、ウンデシル(各異性体)、ドデシル(各異性体)、2−ブテニル、シクロブテニル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロペンチル、シクロペンタジエニル、シクロヘキセニル等の炭素数1から12の脂肪族炭化水素基であるアルキル基や炭素数5から12の脂環式炭化水素基であるシクロアルキル基、ベンジル、フェニルエチル等の炭素数7から20のアラルキル基、フェニル、トリル、ナフチル等の炭素数6から20のアリール基が挙げられる、またエーテル結合を含んでいてもよいし、ノナフルオロブチル、ヘプタフルオロブチル(各異性体)などのように炭化水素基の水素の全部又は一部がハロゲン原子に置換したハロゲン化炭化水素基であってもよいが、これらに限定されない。好ましくは、低級アルキル基であり。より好ましくは炭素数1から8の直鎖状又は分岐状のアルキル基である。以上に示した炭素数以上のものも使用することができるが、流動性が悪くなったり、生産性を損なったりする場合がある。式(1)のR、R、R、Rは同一であってもよいし、場合によっては異なっていてもかまわない。
及びRは、直鎖状又は分岐状の炭素数1〜12のアルキル基、炭素数5〜12のシクロアルキル基、直鎖状又は分岐状の炭素数2〜12のアルケニル基、無置換又は置換された炭素数6〜19のアリール、及び直鎖状又は分岐状の炭素数1〜14のアルキルと炭素数5〜14のシクロアルキルからなる群から選ばれるアルキルを含む炭素数7〜20のアラルキル基を表し、またエーテル結合を含んでいてもよいし、ノナフルオロブチル、ヘプタフルオロブチル(各異性体)などのように炭化水素基の水素の全部又は一部がハロゲン原子に置換したハロゲン化炭化水素基であってもよいが、これらに限定されない。好ましくは、低級アルキル基であり、より好ましくは、n−ブチル基、2−メチルプロピル基、炭素数5から9の直鎖状又は分岐状のアルキル基である。以上に示した炭素数以上のものも使用することができるが、流動性が悪くなったり、生産性を損なったりする場合がある。式(1)のRとRは同一であってもよいし、場合によっては異なっていてもかまわない。
式(1)で示されるテトラアルキル−ジアルコキシ−ジスタンオキサンの例としては、1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ジ(n−ブトキシ)−ジスタンオキサン、1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ビス(2−メチルプロピルオキシ)−ジスタンオキサン、1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ジ−ペンチルオキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ジ−ヘキシルオキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ジ−ヘプチルオキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ジ−オクチルオキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ジ−ノニルオキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ジ−デシルオキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ジ−ベンジルオキシ−ジスタンオキサン、1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ジ−フェニルエトキシ−ジスタンオキサン、1,3−ジブチル−1,3−ジメチル−1,3−ジ(n−ブトキシ)−ジスタンオキサン、1,3−ジブチル−1,3−ジメチル−1,3−ビス(2−メチルプロピル)−ジスタンオキサン、1,3−ジブチル−1,3−ジメチル−1,3−ジ−ペンチルオキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,3−ジブチル−1,3−ジメチル−1,3−ジ−ヘキシルオキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,3−ジブチル−1,3−ジメチル−1,3−ジ−ヘプチルオキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,3−ジブチル−1,3−ジメチル−1,3−ジ−オクチルオキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,3−ジブチル−1,3−ジメチル−1,3−ジ−ノニルオキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,3−ジブチル−1,3−ジメチル−1,3−ジ−デシルオキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,3−ジブチル−1,3−ジメチル−1,3−ジ−ベンジルオキシ−ジスタンオキサン、1,3−ジブチル−1,3−ジメチル−1,3−ジ−フェニルエトキシ−ジスタンオキサン、1,3−ジブチル−1,3−ジエチル−1,3−ジ(n−ブトキシ)−ジスタンオキサン、1,3−ジブチル−1,3−ジエチル−1,3−ビス(2−メチルプロピル)−ジスタンオキサン、1,3−ジブチル−1,3−ジエチル−1,3−ジ−ペンチルオキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,3−ジブチル−1,3−ジエチル−1,3−ジ−ヘキシルオキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,3−ジブチル−1,3−ジエチル−1,3−ジ−ヘプチルオキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,3−ジブチル−1,3−ジエチル−1,3−ジ−オクチルオキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,3−ジブチル−1,3−ジエチル−1,3−ジ−ノニルオキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,3−ジブチル−1,3−ジエチル−1,3−ジ−デシルオキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,3−ジブチル−1,3−ジエチル−1,3−ジ−ベンジルオキシ−ジスタンオキサン、1,3−ジブチル−1,3−ジエチル−1,3−ジ−フェニルエトキシ−ジスタンオキサン、1,3−ジブチル−1,3−ジプロピル−1,3−ジ(n−ブトキシ)−ジスタンオキサン、1,3−ジブチル−1,3−ジプロピル−1,3−ビス(2−メチルプロピル)−ジスタンオキサン(各異性体)、1,3−ジブチル−1,3−ジプロピル−1,3−ジ−ペンチルオキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,3−ジブチル−1,3−ジプロピル−1,3−ジ−ヘキシルオキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,3−ジブチル−1,3−ジプロピル−1,3−ジ−ヘプチルオキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,3−ジブチル−1,3−ジプロピル−1,3−ジ−オクチルオキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,3−ジブチル−1,3−ジプロピル−1,3−ジ−ノニルオキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,3−ジブチル−1,3−ジプロピル−1,3−ジ−デシルオキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,3−ジブチル−1,3−ジプロピル−1,3−ジ−ベンジルオキシ−ジスタンオキサン、1,3−ジブチル−1,3−ジプロピル−1,3−ジ−フェニルエトキシ−ジスタンオキサン、1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ジ(n−ブトキシ)−ジスタンオキサン、1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ビス(2−メチルプロピル)−ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ジ−ペンチルオキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ジ−ヘキシルオキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ジ−ヘプチルオキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ジ−オクチルオキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ジ−ノニルオキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ジ−デシルオキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ジ−ベンジルオキシ−ジスタンオキサン、1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ジ−フェニルエトキシ−ジスタンオキサン、1,1,3,3−テトラフェニル−1,3−ジ(n−ブトキシ)−ジスタンオキサン、1,1,3,3−テトラフェニル−1,3−ビス(2−メチルプロピル)−ジスタンオキサン、1,1,3,3−テトラフェニル−1,3−ジ−ペンチルオキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラフェニル−1,3−ジ−ヘキシルオキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラフェニル−1,3−ジ−ヘプチルオキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラフェニル−1,3−ジ−オクチルオキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラフェニル−1,3−ジ−ノニルオキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラフェニル−1,3−ジ−デシルオキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラフェニル−1,3−ジ−ベンジルオキシ−ジスタンオキサン、1,1,3,3−テトラフェニル−1,3−ジ−フェニルエトキシ−ジスタンオキサン、1,1,3,3−テトラ(トリフルオロブチル)−1,3−ジ(n−ブトキシ)−ジスタンオキサン、1,1,3,3−テトラ(トリフルオロブチル)−1,3−ビス(2−メチルプロピル)−ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラ(トリフルオロブチル)−1,3−ジ−ペンチルオキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラ(トリフルオロブチル)−1,3−ジ−ヘキシルオキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラ(トリフルオロブチル)−1,3−ジ−ヘプチルオキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラ(トリフルオロブチル)−1,3−ジ−オクチルオキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラ(トリフルオロブチル)−1,3−ジ−ノニルオキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラ(トリフルオロブチル)−1,3−ジ−デシルオキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラ(トリフルオロブチル)−1,3−ジ−ベンジルオキシ−ジスタンオキサン、1,1,3,3−テトラ(トリフルオロブチル)−1,3−ジ−フェニルエトキシ−ジスタンオキサン、1,1,3,3−テトラ(ペンタフルオロブチル)−1,3−ジ(n−ブトキシ)−ジスタンオキサン、1,1,3,3−テトラ(ペンタフルオロブチル)−1,3−ビス(2−メチルプロピル)−ジスタンオキサン、1,1,3,3−テトラ(ペンタフルオロブチル)−1,3−ジ−ペンチルオキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラ(ペンタフルオロブチル)−1,3−ジ−ヘキシルオキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラ(ペンタフルオロブチル)−1,3−ジ−ヘプチルオキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラ(ペンタフルオロブチル)−1,3−ジ−オクチルオキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラ(ペンタフルオロブチル)−1,3−ジ−ノニルオキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラ(ペンタフルオロブチル)−1,3−ジ−デシルオキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラ(ペンタフルオロブチル)−1,3−ジ−ベンジルオキシ−ジスタンオキサン、1,1,3,3−テトラ(ペンタフルオロブチル)−1,3−ジ−フェニルエトキシ−ジスタンオキサン、1,1,3,3−テトラ(ヘプタフルオロブチル)−1,3−ジ(n−ブトキシ)−ジスタンオキサン、1,1,3,3−テトラ(ヘプタフルオロブチル)−1,3−ビス(2−メトルプロピル)−ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラ(ヘプタフルオロブチル)−1,3−ジ−ペンチルオキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラ(ヘプタフルオロブチル)−1,3−ジ−ヘキシルオキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラ(ヘプタフルオロブチル)−1,3−ジ−ヘプチルオキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラ(ヘプタフルオロブチル)−1,3−ジ−オクチルオキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラ(ヘプタフルオロブチル)−1,3−ジ−ノニルオキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラ(ヘプタフルオロブチル)−1,3−ジ−デシルオキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラ(ヘプタフルオロブチル)−1,3−ジ−ベンジルオキシ−ジスタンオキサン、1,1,3,3−テトラ(ヘプタフルオロブチル)−1,3−ジ−フェニルエトキシ−ジスタンオキサン、1,1,3,3−テトラ(ノナフルオロブチル)−1,3−ジ(n−ブトキシ)−ジスタンオキサン、1,1,3,3−テトラ(ノナフルオロブチル)−1,3−ビス(2−メチルプロピル)−ジスタンオキサン、1,1,3,3−テトラ(ノナフルオロブチル)−1,3−ジ−ペンチルオキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラ(ノナフルオロブチル)−1,3−ジ−ヘキシルオキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラ(ノナフルオロブチル)−1,3−ジ−ヘプチルオキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラ(ノナフルオロブチル)−1,3−ジ−オクチルオキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラ(ノナフルオロブチル)−1,3−ジ−ノニルオキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラ(ノナフルオロブチル)−1,3−ジ−デシルオキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラ(ノナフルオロブチル)−1,3−ジ−ベンジルオキシ−ジスタンオキサン、1,1,3,3−テトラ(ノナフルオロブチル)−1,3−ジ−フェニルエトキシ−ジスタンオキサンのようなテトラアルキル−ジアルコキシ−ジスタンオキサン、テトラアルキル−ジアラルキルオキシ−ジスタンオキサン等が挙げられる。上記した群のうちから単独で選ばれても良いし、上記した群から選ばれる混合物であってもよい。
本発明で使用するジアルキルスズオキシド類は下式(2)に示すジアルキルスズオキシド類であって、下式(2)に代表される構造式を示すが、単量体であっても会合体であっても多量体であっても重合体であってもかまわない。一般にSn=Oといった二重結合は形成されないので、ジアルキルスズオキシドは、単量体では存在せず、下記式(15)に示すようなスズ−酸素−スズを介した重合体で存在していることが知られている。

(式中、R及びRは、それぞれ、アルキル基、アラルキル基又はアリール基であり、同一であっても、それぞれ異なっていてもよい。e及びfは0から2の整数であって、e+fは2である。)

(式中、R16及びR17は、それぞれ上記R及びRと同じ定義であり、k及びlは上記e及びfと同じ定義である。nは2以上の整数を表す。末端構造は不明であるので省略している。)
式(2)のジアルキルスズオキシドのRとRの例としては、メチル、エチル、プロピル(各異性体)、ブチル(各異性体)、ペンチル(各異性体)、ヘキシル(各異性体)、ヘプチル(各異性体)、オクチル(各異性体)、ノニル(各異性体)、デシル(各異性体)、ウンデシル(各異性体)、ドデシル(各異性体)、2−ブテニル、シクロブテニル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロペンチル、シクロペンタジエニル、シクロヘキセニル等の、炭素数1から12の脂肪族炭化水素基であるアルキル基や炭素数5から12の脂環式炭化水素基であるシクロアルキル基、ベンジル、フェニルエチル等の炭素数7から20のアラルキル基、フェニル、トリル、ナフチル等の炭素数6から20のアリール基が挙げられる、またエーテル結合を含んでいてもよいし、ノナフルオロブチル、ヘプタフルオロブチル(各異性体)などのように炭化水素基の水素の全部又は一部がハロゲン原子に置換したハロゲン化炭化水素基であってもよいが、これらに限定されない。好ましくは、低級アルキル基であり、より好ましくは炭素数1から8の直鎖状又は分岐状のアルキル基である。以上に示した炭素数以上のものも使用することができるが、流動性が悪くなったり、生産性を損なったりする場合がある。
このようなジアルキルスズオキシドの例としては、ジメチル酸化スズ、ジエチル酸化スズ、ジプロピル酸化スズ(各異性体)、ジブチル酸化スズ(各異性体)、ジペンチル酸化スズ(各異性体)、ジヘキシル酸化スズ(各異性体)、ジヘプチル酸化スズ(各異性体)、ジオクチル酸化スズ、ジシクロヘキシル酸化スズなどのジアルキル酸化スズや、ジトリル酸化スズ、ジフェニルエチル酸化スズなどのジアラルキル酸化スズ、ジフェニル酸化スズ、ビス(2,6−ジメチル−フェニル)酸化スズ、ジナフチル酸化スズなどのジアリール酸化スズなどが挙げられる。上記した群のうちから単独で選ばれてもよいし、上記した群から選ばれる混合物であってもよい。
出発物質としては、式(1)で表されるテトラアルキル−ジアルコキシ−ジスタンオキサンと式(2)で表されるジアルキルスズオキシドが会合していてもよいし、重合した状態であってもよい。
上記出発物質の式(1)で表されるテトラアルキル−ジアルコキシ−ジスタンオキサンは、公知の方法で製造したものが使用できるし、また本発明の方法を使用して出発物質を式(2)で示されるジアルキルスズオキシド、反応物質を式(3)で示したヒドロキシ化合物として製造することもできる。
本発明で使用する反応物質はヒドロキシ化合物であって、好ましくは下式(3)で表されるアルコールである。

(式中、Rは、n−ブチル基、2−メチルプロピル基、直鎖状又は分岐状の炭素数5〜12のアルキル基、炭素数5〜12のシクロアルキル基、直鎖状又は分岐状の炭素数2〜12のアルケニル基、無置換又は置換された炭素数6〜19のアリール、及び直鎖状又は分岐状の炭素数1〜14のアルキルと炭素数5〜14のシクロアルキルからなる群から選ばれるアルキルを含む炭素数7〜20のアラルキル基などを表す。)
上記したヒドロキシ化合物の具体例としては、1−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、2−メチル−2−プロパノール、シクロブタノール、1−ペンタノール、2−ペンタノール(各異性体)、3−ペンタノール、3−メチル−1−ブタノール、2−メチル−1−ブタノール、2−メチル−2−ブタノール(各異性体)、2−メチル−2−ブタノール(各異性体)、3−メチル−2−ブタノール(各異性体)、シクロペンタノール、2−メチル−1−シクロブタノール(各異性体)、3−メチル−1−シクロブタノール(各異性体)、1−メチル−1−シクロブタノール(各異性体)、シクロブチルメタノール(各異性体)、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール(各異性体)、3−ヘキサノール(各異性体)、4−メチル−1−ペンタノール(各異性体)、3−メチル−1−ペンタノール(各異性体)、2−メチル−1−ペンタノール(各異性体)、2−エチル−1−ブタノール、3−メチル−2−ペンタノール(各異性体)、3−メチル−3−ペンタノール(各異性体)、シクロヘキサノール、1−メチル−1−シクロペンタノール(各異性体)、2−メチル−1−シクロペンタノール(各異性体)、シクロブチルメタノール(各異性体)、2−シクロブチルエタノール(各異性体)、1−シクロブチルエタノール(各異性体)、(1−メチル−シクロブチル)−メタノール(各異性体)、(2−メチル−シクロブチル)−メタノール(各異性体)、ヘプタノール(各異性体)、シクロヘキシルメタノール(各異性体)、(メチル−シクロヘキシル)メタノール(各異性体)、シクロヘキシルエタノール(各異性体)、(エチル−シクロブチル)−メタノール(各異性体)、(メチル−シクロプロピル)エタノール(各異性体)、(エチル−シクロプロピル)メタノール(各異性体)、オクタノール(各異性体)、ノナノール(各異性体)、デカノール(各異性体)、ウンデカノール(各異性体)、ドデカノール(各異性体)、プロペニルアルコール、ブテニルアルコール(各異性体)、ペンテニルアルコール(各異性体)、シクロペンテノール(各異性体)、シクロペンタジエニルアルコール、ヘキセノール(各異性体)、シクロヘキセノール(各異性体)等の炭素数1から12の脂肪族アルコールや炭素数5から12の脂環式アルコール、ベンジルアルコール、フェニルエチルアルコール等のアラルキルアルコールが挙げられる。
これらのヒドロキシ化合物のなかで、1−ブタノール、2−ブタノール(各異性体)、2−メチル−1−プロパノール、2−メチル−2−プロパノール、シクロブタノール、1−ペンタノール、2−ペンタノール(各異性体)、3−ペンタノール、3−メチル−1−ブタノール、2−メチル−1−ブタノール、2−メチル−2−ブタノール(各異性体)、2−メチル−2−ブタノール(各異性体)、3−メチル−2−ブタノール(各異性体)、シクロペンタノール、2−メチル−1−シクロブタノール(各異性体)、3−メチル−1−シクロブタノール(各異性体)、1−メチル−1−シクロブタノール(各異性体)、シクロブチルメタノール(各異性体)、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール(各異性体)、3−ヘキサノール(各異性体)、4−メチル−1−ペンタノール(各異性体)、3−メチル−1−ペンタノール(各異性体)、2−メチル−1−ペンタノール(各異性体)、2−エチル−1−ブタノール、3−メチル−2−ペンタノール(各異性体)、3−メチル−3−ペンタノール(各異性体)、シクロヘキサノール、1−メチル−1−シクロペンタノール(各異性体)、2−メチル−1−シクロペンタノール(各異性体)、シクロブチルメタノール(各異性体)、2−シクロブチルエタノール(各異性体)、1−シクロブチルエタノール(各異性体)、(1−メチル−シクロブチル)−メタノール(各異性体)、(2−メチル−シクロブチル)−メタノール(各異性体)、ヘプタノール(各異性体)、シクロヘキシルメタノール(各異性体)、(メチル−シクロヘキシル)メタノール(各異性体)、シクロヘキシルエタノール(各異性体)、(エチル−シクロブチル)−メタノール(各異性体)、(メチル−シクロプロピル)エタノール(各異性体)、(エチル−シクロプロピル)メタノール(各異性体)、オクタノール(各異性体)、ヘキセノール等の炭素数1から8の1級又は2級一価アルコール、ベンジルアルコール等の炭素数7から8の1級又は2級のアラルキルアルコールが好ましい。
更に好ましくは、上記した群のなかで常圧での沸点が、水よりも高い該アルキルアルコール、該アラルキルアルコールであって、ヒドロキシル基が結合している炭素が−CH−OHとなる、1級アルコールであることが好ましい。最も好ましいアルコールは、1−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、炭素数5から炭素数8のアルキルアルコールである。これらヒドロキシ化合物は単独で用いてもよいし、上記群のなかから選ばれた混合物であってもよい。
これらの出発物質及び/又は反応物質に加えて他の有機金属化合物、無機金属化合物を加えてもよいし、溶媒を加えて使用してもよい。
次に、本発明で生成するジアルキルスズアルコキシドについて説明する。
本発明で製造されるジアルキルスズアルコキシドは、上記した出発物質と反応物質とを反応して得られるジアルキルスズアルコキシドである。
本発明で製造されるジアルキルスズアルコキシドは、下式(4)に代表される構造式を示すテトラアルキル−ジアルコキシ−ジスタンオキサン及び下式(5)に代表される構造式を示すジアルキルスズジアルコキシドであり、これらは単量体、会合体、多量体又は重合体であってもかまわない。


(式(22)及び(16)中、R22、R23、R25、R26、R18、及びR19はそれぞれ出発物質のR、R、R、R、R、又はRのいずれかに対応し、R24、R27、R20、及びR21はそれぞれ出発物質及び反応物質に対応してR、R、及びRから選ばれる(但し、R24及びR27の少なくとも1つはRである)。q、r、s、t、m、nは出発物質に依存し、0から2の整数であって、q+rは2、s+tは2、m+nは2である。oおよびpは0から2の整数であって、o+pは2である。)
上記した式(22)で代表されるテトラアルキル−ジアルコキシ−ジスタンオキサンは、出発物質と反応物質とから得られるテトラアルキル−ジアルコキシ−ジスタンオキサンであって、R22、R23、R25、及びR26の例としては、式(1)及び/または式(2)の化合物を含んだ反応物質の場合は、式(1)及び/又は式(2)で示したR、R、R、R、R、Rのいずれかに対応し、R24及びR27は、式(1)及び/又は式(3)で示したR、R、又はRのいずれかに対応する(但し、R24及びR27の少なくとも1つはRである)。このようなテトラアルキル−ジアルコキシ−ジスタンオキサンの例は前記した式(1)で表されるテトラアルキル−ジアルコキシ−ジスタンオキサン類と同じである。
上記した式(16)で代表されるジアルキルスズジアルコキシドは、出発物質と反応物質とから得られるジアルキルスズジアルコキシドである。
式(16)のジアルキルスズオキシドのR18及びR19の例としては、式(1)及び/又は式(2)の化合物を含んだ反応物質の場合は、式(1)及び/又は式(2)で示したR、R、R、R、R、又はRのいずれかに対応し、R20及びR21は、式(1)及び/又は式(3)で示したR、R、又はRのいずれかに対応する(但し、R20及びR21の少なくとも1つはRである)。
このようなジアルキルスズジアルコキシドの例としては、ジメチル−ジ(n−ブトキシ)−スズ、ジメチル−ビス(2−メチルプロピルオキシ)−スズ、ジメチル−ジ−ペンチルオキシ−スズ(各異性体)、ジメチル−ジ−ヘキシルオキシ−スズ(各異性体)、ジメチル−ジ−ヘプチルオキシ−スズ(各異性体)、ジメチル−ジ−オクチルオキシ−スズ(各異性体)、ジメチル−ジ−ノニルオキシ−スズ(各異性体)、ジメチル−ジ−デシルオキシ−スズ(各異性体)、ブチル−メチル−ジ(n−ブトキシ)−スズ、ブチル−メチル−ビス(2−メチルプロピルオキシ)−スズ(各異性体)ブチル−メチル−ジ−ペンチルオキシ−スズ(各異性体)、ブチル−メチル−ジヘキシルオキシ−スズ(各異性体)、ブチル−メチル−ジ−ヘプチルオキシ−スズ(各異性体)、ブチル−メチル−ジ−オクチルオキシ−スズ(各異性体)、エチル−ブチル−ジ(n−ブトキシ)−スズ、エチル−ブチル−ビス(2−メチルプロピルオキシ)−スズ、エチル−ブチル−ジ−ペンチルオキシ−スズ(各異性体)、エチル−ブチル−ジ−ヘキシルオキシ−スズ(各異性体)、エチル−ブチル−ジ−ヘプチルオキシ−スズ(各異性体)、エチル−ブチル−ジ−オクチルオキシ−スズ(各異性体)、ブチル−プロピル−ジ(n−ブトキシ)−スズ、ブチル−プロピル−ビス(2−メチルプロピルオキシ)−スズ、ブチル−プロピル−ジ−ペンチルオキシ−スズ(各異性体)、ブチル−プロピル−ジ−ヘキシルオキシ−スズ(各異性体)、ブチル−プロピル−ジ−ヘプチルオキシ−スズ(各異性体)、ブチル−プロピル−ジ−オクチルオキシ−スズ(各異性体)、ジブチル−ジ(n−ブトキシ)−スズ、ジブチル−ビス(2−メチルプロピルオキシ)−スズ、ジブチル−ジ−ペンチルオキシ−スズ(各異性体)、ジブチル−ジ−ヘキシルオキシ−スズ(各異性体)、ジブチル−ジ−ヘプチルオキシ−スズ(各異性体)、ジブチル−ジ−オクチルオキシ−スズ(各異性体)、ジブチル−ジ−ノニルオキシ−スズ(各異性体)、ジブチル−ジ−デシルオキシ−スズ(各異性体)、ジブチル−ジ−ベンジルオキシ−スズ、ジブチル−ジ−フェニルエトキシ−スズ、ジフェニル−ジ(n−ブトキシ)−スズ、ジフェニル−ビス(2−メチルプロピルオキシ)−スズ、ジフェニル−ジ−ペンチルオキシ−スズ(各異性体)、ジフェニル−ジ−ヘキシルオキシ−スズ(各異性体)、ジフェニル−ジ−ヘプチルオキシ−スズ(各異性体)、ジフェニル−ジ−オクチルオキシ−スズ(各異性体)、ジフェニル−ジ−ノニルオキシ−スズ(各異性体)、ジフェニル−ジ−デシルオキシ−スズ(各異性体)、ジフェニル−ジ−ベンジルオキシ−スズ、ジフェニル−ジ−フェニルエトキシ−スズ、ジ(n−ブトキシ)−ジ−トリフルオロブチル−スズ、ビス(2−メチルプロピルオキシ)−ジ−トリフルオロブチル−スズ、ジペンチルオキシ−ジ−トリフルオロブチル−スズ(各異性体)、ジヘキシルオキシ−ジ−トリフルオロブチル−スズ(各異性体)、ジヘプチルオキシ−ジ−トリフルオロブチル−スズ(各異性体)、ジオクチルオキシ−ジ−トリフルオロブチル−スズ(各異性体)、ジノニルオキシ−ジ−トリフルオロブチル−スズ(各異性体)、ジデシルオキシ−ジ−トリフルオロブチル−スズ(各異性体)、イベンジルオキシ−ジ−トリフルオロブチル−スズ、ジフェニルエトキシ−ジ−トリフルオロブチル−スズ、ジ(n−ブトキシ)−ジ−ペンタフルオロブチル−スズ、ビス(2−メチルプロピルオキシ)−ジ−ペンタフルオロブチル−スズ(各異性体)、ジペンチルオキシ−ジ−ペンタフルオロブチル−スズ(各異性体)、ジヘキシルオキシ−ジ−ペンタフルオロブチル−スズ(各異性体)、ジヘプチルオキシ−ジ−ペンタフルオロブチル−スズ(各異性体)、ジオクチルオキシ−ジ−ペンタフルオロブチル−スズ(各異性体)、ジノニルオキシ−ジ−ペンタフルオロブチル−スズ(各異性体)、ジデシルオキシ−ジ−ペンタフルオロブチル−スズ(各異性体)、ジベンジルオキシ−ジ−ペンタフルオロブチル−スズ、ジフェニルエトキシ−ジ−ペンタフルオロブチル−スズ、ジ(n−ブトキシ)−ジ−ヘプタフルオロブチル−スズ、ビス(2−メチルプロピルオキシ)−ジ−ヘプタフルオロブチル−スズ(各異性体)、ジペンチルオキシ−ジ−ヘプタフルオロブチル−スズ(各異性体)、ジヘキシルオキシ−ジ−ヘプタフルオロブチル−スズ(各異性体)、ジヘプチルオキシ−ジ−ヘプタフルオロブチル−スズ(各異性体)、ジオクチルオキシ−ジ−ヘプタフルオロブチル−スズ(各異性体)、ジノニルオキシ−ジ−ヘプタフルオロブチル−スズ(各異性体)、ジデシルオキシ−ジ−ヘプタフルオロブチル−スズ(各異性体)、ジベンジルオキシ−ジ−ヘプタフルオロブチル−スズ、ジフェニルエトキシ−ジ−ヘプタフルオロブチル−スズ、ジ(n−ブトキシ)−ジ−ノナフルオロブチル−スズ、ビス(2−メチルプロピルオキシ)−ジ−ノナフルオロブチル−スズ、ジペンチルオキシ−ジ−ノナフルオロブチル−スズ(各異性体)、ジヘキシルオキシ−ジ−ノナフルオロブチル−スズ(各異性体)、ジヘプチルオキシ−ジ−ノナフルオロブチル−スズ(各異性体)、ジオクチルオキシ−ジ−ノナフルオロブチル−スズ(各異性体)、ジノニルオキシ−ジ−ノナフルオロブチル−スズ(各異性体)、ジデシルオキシ−ジ−ノナフルオロブチル−スズ(各異性体)、ジベンジルオキシ−ジ−ノナフルオロブチル−スズ、ジフェニルエトキシ−ジ−ノナフルオロブチル-スズなどが挙げられる。
次に、本発明で使用する出発物質及び反応で得られる化合物の分析方法について説明する。
式(1)、式(7)、式(22)及び式(16)で示されるアルキルスズアルコキシドの分析方法としては、119Sn−NMRによる方法などが使用できる。この方法はアルキルスズアルコキシドを分析する公知の方法(例えば、米国特許第5,545,600号)である。ただし、式(16)で代表して示されるジアルキルスズジアルコキシド構造の119Sn−NMRのシフト値は、サンプル中での式(16)の有機金属化合物の濃度やアルコールの存在などによって大きく変化するのでH−NMR、13C−NMRを併用して決定することが好ましい。例として反応物質が2−エチル−1−ヘキサノールと出発物質としてジブチル酸化スズを使用して合成した式(16)のアルキルスズアルコキシドの構造に相当する119Sn−NMRのシフト値を表1に示す。

注:シフト値(δ)はテトラメチルスズ(SnMe4)に対する値である。
濃度は重クロロホルム(CDCl3)中の重量濃度(wt%)である。
以下、工程について詳しく説明する
本発明は、化学式(1)で表されるテトラアルキル−ジアルコキシ−ジスタンオキサン、化学式(2)で表されるジアルキルスズオキシド、及びそれらの混合物、会合物、重合物からなる群から選ばれる出発物質と、化学式(3)で表される反応物質であるヒドロキシ化合物とを脱水反応に付し、出発物質と反応物質とに対応する、化学式(22)及び/又は化学式(16)で表されるアルキルスズアルコキシド類を得ることを含むアルキルスズアルコキシド類の製造方法において、反応器に出発物質と反応物質を連続的に供給し、反応器から水を含む低沸点成分を取り出し、反応器底部成分として化学式(22)及び/又は化学式(16)で表されるアルキルスズアルコキシド類を含む反応液を連続的に取り出すことを特徴とする上記方法である。
反応器に供給する出発物質と反応物質はそれぞれ別々に反応器に供給してもよいし、反応器に供給する前に混合しておいてもよい。出発物質が固体である場合には加熱して液状にして供給してもよいし、反応物質及び/又は溶媒を用いて液状、スラリー状にして供給してもよい。出発物質と反応物質はそれぞれ連続的に供給しても断続的に供給してもよい。
本発明の出発物質と反応物質との反応は下式(17)及び/又は下式(18)に基づくものと推定している。

本発明により、上記式(17)及び/又は上記式(18)に従って出発物質と反応物質とから脱水反応を行って、反応器から水を含む低沸点成分を除去し、反応器底部からテトラアルキル−ジアルコキシ−ジスタンオキサン及び/又はジアルキルスズジアルコキシドを連続的に得ることができる。
上記式と共に、ジアルキル−ジアルコキシ−ジスタンオキサンを出発原料とした場合で、該ジスタンオキサンのアルコキシ基に相当するヒドロキシ化合物と異なったヒドロキシ化合物を反応物質として使用した場合は、下記式(19)に推定されるアルコキシ交換反応による生成物を伴う場合がある。
本発明において、脱水反応の反応器の形式に特に制限はなく、公知の槽状、塔状の反応器が使用できる。水を含む低沸点反応混合物はガス状で蒸留によって反応器から抜き出し、製造されるアルキルスズアルコキシド又はアルキルスズアルコキシド混合物を含む高沸点反応混合物を反応器下部から液状で抜き出せればよい。このような反応器として、たとえば攪拌槽、多段攪拌槽、蒸留塔、多段蒸留塔、多管式反応器、連続多段蒸留塔、充填塔、薄膜蒸発器、内部に支持体を備えた反応器、強制循環反応器、落膜蒸発器、落滴蒸発器、細流相反応器、気泡塔のいずれかを含む反応器を用いる方式、及びこれらを組み合わせた方式等、公知の種々の方法が用いられる。平衡を生成系側に効率的にずらすという点で、塔状の反応器を用いる方法が好ましく、また形成される水を気相にすみやかに移動させられる気−液接触面積の大きな構造が好ましい。多管式反応器、多段蒸留塔、充填剤を充填した充填塔を用いた連続法が特に好ましい。
多段蒸留塔とは、蒸留の理論段数が2段以上の多段を有する蒸留塔であって、連続蒸留が可能なものであるならばどのようなものであってもよい。このような多段蒸留塔としては、例えば泡鍾トレイ、多孔板トレイ、バルブトレイ、向流トレイ等のトレイを使用した棚段塔方式のものや、ラシヒリング、レッシングリング、ポールリング、ベルルサドル、インタロックスサドル、ディクソンパッキング、マクマホンパッキング、ヘリパック、スルザーパッキング、メラパック等の各種充填物を充填した充填塔方式のものなど、通常多段蒸留塔として用いられるものならばどのようなものでも使用することができる。充填塔は塔内に上記した公知の充填剤を充填した充填塔ならばどのようなものでも使用することができる。充填剤は脱水性能をもったものでもかまわない。
たとえばモレキュラーシーブなどの充填剤が好ましく使用できる。さらには、棚段部分と充填物の充填された部分とをあわせもつ棚段−充填混合塔方式のものも好ましく用いられる。該反応器には、該出発物質と該反応物質を供給するためのそれぞれのライン又は該出発物質と該反応物質の混合液を供給するためのライン、及び水を含む低沸点反応混合物を抜き出すためのライン、及び高沸点反応混合物を抜き出すためのラインを備えていることが好ましく、該水を含む低沸点反応混合物を抜き出すためのラインは、反応器中の気相成分を抜き出せる位置にあり、該高沸点反応混合物を抜き出すためのラインが下方にあることが特に好ましい。連続法を実施する場合、出発物質と反応物質とを反応器内に連続的あるいは断続的に供給し、該反応器内において液相又は気−液相で両物質間の脱水反応を行わせると同時に、製造されるアルキルスズアルコキシドを含む高沸点反応混合物を該反応器の下方から液状で抜き出し、一方生成する水を含む低沸点反応混合物を蒸留によって該反応器からガス状で連続的に抜き出すことによりアルキルスズアルコキシドが製造される。
また、不活性ガス及び/又は、気体状及び/又は液体状の反応物質を該反応器下方から供給するラインを別途取り付けてもよいし、生成した高沸点反応混合物の一部又は全部を再度反応器に循環させるラインを取り付けてもよい。反応器から抜き出した水を含む低沸点反応混合物などを蒸留塔など公知の方法も用いて精製し、共沸及び/又は同伴された反応物質などをリサイクル使用してかまわない。使用する原料によってはスラリー状であったり、常温(20℃)で固形であったり、粘度が高かったりする場合があるので、それぞれのラインは詰まり等を考慮したり、保温、冷却、加熱する設備を付加してもよい。
本発明によってアルキルスズアルコキシドを製造する際、本発明の条件を満足する反応器は1基用いてもよいし、又は2基以上組み合わせて用いても構わない。また本発明の条件を満足する反応器と他の反応器を組み合わせてアルキルスズアルコキシドを製造することも可能である。例えば、ジアルキルスズオキシドとアルコールとからバッチ反応で一部のみアルキルスズアルコキシドを製造し、その反応液を本発明の条件を満足する反応器を用いて反応させる方法等は、本発明の態様の一部である。
本発明で用いることのできる反応器の具体例について図を用いて説明するが、本発明で用いることのできる反応器は、これら具体例に限定されるものではない。必要に応じて流量計、温度計などの計装機器、リボイラー、ポンプ、コンデンサー、蒸留塔などの公知のプロセス装置を付加してもよい、加熱はスチーム、ヒーターなどの公知の方法でよく、冷却も自然冷却、冷却水、ブライン等公知の方法が使用できる。
図2は、塔型の反応器の正面から見た断面図である。塔型反応器は充填剤を詰めた充填塔であっても、多段蒸留塔であっても、その他の塔型の反応器であってもかまわない。ここでは充填剤を詰めた充填塔で説明する。出発物質と反応物質の混合液は供給ライン4から、反応器1へ導入されるか、あるいは出発物質を供給ライン4から供給し、反応物質を供給ライン8から反応器1に導入する。また不活性ガスはガス供給ライン7から導入される。導入された出発物質と反応物質は反応器内部で分散される。該混合液は反応器内部の充填剤等に沿って下方に流れながら、水が蒸発する。反応器内部は減圧、常圧、加圧状態にコントロールされており、ガス供給ライン7から必要に応じて供給される不活性ガス及び/又は反応物質のガスや反応で形成される水を含む低沸点成分などは、反応器上方2から抜き出しベントライン5から排出される。反応器内部で生成物であるアルキルスズアルコキシドの濃度を高められた反応液は反応器下方3から抜き出しライン6から排出される。必要に応じて充填塔、それぞれのラインはジャケットやヒーターなど公知の方法で加熱、冷却する。
図3は、槽型反応器と塔型の反応器を組み合わせた反応器を正面から見た断面図である。槽型反応器は攪拌槽であっても循環槽であっても、その他の槽型の反応器であってもかまわない。ここでは攪拌槽で説明する。塔型反応器は充填剤を詰めた充填塔であっても、多段蒸留塔であっても、その他の塔型の反応器であってもかまわない。ここでは充填剤を詰めた充填塔で説明する。反応物質は供給ライン15から攪拌槽9へ導入し、出発物質を供給ライン16から攪拌槽に導入する。導入された出発物質と反応物質は攪拌槽で分散される。該混合液は攪拌槽内で加熱されながら、水が蒸発する。攪拌槽内部は減圧、常圧、加圧状態にコントロールされており、ガス供給ライン18から必要に応じて供給される不活性ガス及び/又は反応物質のガスや反応で形成される水を含む低沸点成分などは、攪拌槽上方11から抜き出しベントライン17から排出される。
攪拌槽内部で生成物であるアルキルスズアルコキシドの濃度を高められた反応液は攪拌槽下方12から移送ライン19よりバッファー槽24に移送され、バッファー槽から中継ライン25で塔型反応器に移送される。中継ライン25から反応器10に導入されたジアルキルスズアルコキシドを含む液は反応器内部の充填剤等で分散される。該液は充填剤等に沿って下方に流れながら、水が蒸発する。反応器内部は減圧、常圧、加圧状態にコントロールされており、ガス供給ライン20から必要に応じて供給される不活性ガス及び/又は反応物質のガスや反応で形成される水を含む低沸点成分などは、反応器上方13から抜き出しベントライン21から排出される。反応器内部でジアルキルスズアルコキシドの濃度を高められた反応液は充填塔下方14から抜き出しライン23から排出される。反応物質は必要に応じて供給ライン22から補填してもよい。また、必要に応じて攪拌槽、充填塔、それぞれのラインはジャケットやヒーターなど公知の方法で加熱、冷却する。
反応器及びラインの材質は、出発物質や反応物質に悪影響を及ぼさなければ、公知のどのようなものであってもよいが、SUS304やSUS316,SUS316Lなどが安価でもあり、好ましく使用できる。
本発明で行われる脱水反応の反応時間(連続法の場合は滞留時間)に、特に制限はなく通常0.001〜50時間、好ましくは0.01 〜10時間、より好ましくは0.1〜2時間である。
反応温度は、用いる原料化合物の種類によって異なるが、通常50〜350、好ましくは60〜160℃の範囲である。反応温度を一定にする目的で、上記反応器に公知の冷却装置、加熱装置を設置してもよい。また反応圧力は、用いる原料化合物の種類や反応温度などにより異なるが、減圧、常圧、加圧のいずれであってもよく、通常0.1〜2.0×107Paの範囲である。本発明においては、必ずしも反応溶媒を使用する必要はないが、反応操作を容易にする等の目的で適当な不活性溶媒、例えば、エーテル類、脂肪族炭化水素類、芳香族炭化水素類等を反応溶媒として用いることができる。
反応時間と反応温度について更に詳しく説明する。
本発明の特徴は、ジアルキルスズオキシド、テトラアルキル−ジアルコキシ−ジスタンオキサン及びそれらの混合物からなる群から選ばれる出発物質と、反応物質であるヒドロキシ化合物とを反応器に連続的に供給し、反応器から反応によって発生した低沸点成分を取り出し、反応器底部成分として出発物質と反応物質とに対応するアルキルスズアルコキシド類を含む反応液を連続的に取り出すことにある。本発明によれば、従来の方法とは異なり、非常に生産効率よく目的とするアルキルスズアルコキシドを生産できる。更に驚くべきことには、平衡反応である脱水反応を本発明によって促進させることのみでなく、アルキルスズアルコキシドの熱反応によるトリアルキルスズ化合物の生成を著しく低減できることである。
本発明の方法で、脱水反応を以下の条件で実施することにより、脱水反応時に副反応として生成するトリブチルスズ化合物を、出発物質に含まれるスズ原子のモル数に対するモル%で表して1mol%以下とすることができる。もちろん出発物質にトリブチルスズ化合物が含まれている場合には、この範囲を超える場合があるので、予め除去するか、許容されるトリブチルスズ化合物の範囲となるように出発物質中のトリブチルスズ化合物含有量を調整する必要がある。また、トリブチルスズ化合物は脱水反応時のみでなく、熱反応によって進行するので、トリブチルスズ化合物の副生を抑制したい場合は、配管などの滞留時間は短く、また温度は低くすることが好ましく、脱水反応器以外の設備によってトリブチルスズ化合物量の調整してよい。
出発物質として、化学式(1)で表すテトラアルキル−ジアルコキシ−ジスタンオキサン及び/又は化学式(2)で表すジアルキルスズオキシドと、反応物質である化学式(3)で表すアルコールとから、アルキルスズアルコキシドを製造する場合、下記式(4)によって定められる脱水速度以上で脱水反応を行うことによって、トリブチル化合物の極めて少ない化学式(22)及び/又は化学式(16)で表すアルキルスズアルコキシドを得ることができる。化学式(2)で表すジアルキルスズオキシドと化学式(3)で表すアルコールの混合液を用いてもよいが、溶解性や混合液の輸送等の観点から、化学式(1)で表すテトラアルキル−ジアルコキシ−ジスタンオキサンと化学式(3)で表すアルコールを用いることが好ましい。

(式中、脱水速度は脱水反応で形成される水のうち、単位時間当りに系外に抜き出す水量[mol・hr−1]を表し、Xは出発物質に含まれる一般式(2)で表されるアルキルスズ化合物中のスズ原子モル数の合計[mol]を表し、Yは出発物質に含まれる化学式(1)で表されるアルキルスズ化合物中のスズ原子モル数[mol]を表し、Tは脱水反応温度[K]を表し、Rは気体定数=8.314J・mol−1・K−1を表し、A及びBはアルキルスズ化合物の種類に依存する係数である;ここで
上記式(4)の係数A及びBは出発物質であるアルキルスズ化合物の種類に依存し、基準物質を定めて求める係数である。出発物質に化学式(1)で表されるアルキルスズ化合物が含まれる場合は、上記A及びBはそれぞれ出発物質に含まれる化学式(1)で表されるアルキルスズ化合物から任意に選ばれるアルキルスズ化合物を基準物質として、該基準物質の熱分解反応の頻度因子及び活性化エネルギーを表すものであって、下記式(5)で得られるA及びBであり、そして出発物質に化学式(1)で表されるアルキルスズ化合物が含まれず、化学式(2)で表されるアルキルスズ化合物が含まれる場合は、A及びBはそれぞれ出発物質に含まれる化学式(2)で表されるアルキルスズ化合物と反応物質とから形成される下記化学式(7)で表されるアルキルスズアルコキシドから任意に選ばれるアルキルスズアルコキシドを基準物質として、該基準物質の熱分解反応の頻度因子及び活性化エネルギーを表すものであって、下記式(5)で得られるA及びBである。

(式中、kは1次反応速度定数[hr−1]、Aは頻度因子[hr−1]、Bは活性化エネルギー[J・mol−1]、Rは気体定数=8.314J・mol−1・K−1、Tは熱分解反応温度[K]を表す。上記kは該熱分解反応の1次反応速度定数を表し、下記式(6)で得られるkである。

(式中、kは1次反応速度定数[hr−1]、tは加熱時間、X[hr]は基準物質の初期濃度に対する減少率[mol/mol]を表す。)

(式中、R10、R11、R13及びR14は出発物質のR又はRのいずれかに対応し、g、h、i及びjは出発物質のe又はfのいずれかに対応し、R12及びR15の少なくとも1つは、反応物質のRに対応する。)
上記式(5)で定めた脱水速度以上の脱水速度で反応を行えば、トリアルキルスズ化合物の少ないアルキルスズアルコキシドを得ることができるが、化学式(16)で表すアルキルスズアルコキシドをより多く得るためには、下記式(20)に示す脱水速度以上で反応を行うすることがより好ましい。

(式中、X、Y、A、B、R、Tは式(5)で前記したものと同一の意味を表し、A、Bは式(5)と同様にそれぞれ式(5)、式(6)を用いて求める。)
上記した熱分解反応とは下記式(21)で示す反応を代表として含む、化学式(1)及び/又は化学式(7)で示されるようなテトラアルキル−ジアルコキシ−ジスタンオキサンの減少反応である。具体的には、化学式(1)及び/又は化学式(7)を含む液を窒素雰囲気攪拌下、液の温度を一定とした状態で、化学式(1)及び/又は化学式(7)の減少量の経時変化を、119Sn−NMR測定法で経時的に測定して、上記式(6)及び式(5)で反応速度を解析する。ここでいうテトラアルキル−ジアルコキシ−ジスタンオキサンは、式(21)では単量体として記述しているが、もちろん2量体、会合体、多量体、又は重合体であってもかまわない。
該熱分解反応の加熱温度は100℃から200℃までの任意の温度(例えば120℃、140℃、160℃など)である。該熱分解反応系中、化学式(1)及び/又は化学式(7)で表される化合物の含有量は95%以上である。該熱分解反応は、化学式(1)及び/又は化学式(7)の分解を促進するような物質(例えば酸素や水分など)の影響を受けないような条件下で、加熱して実施される熱分解反応である。上記式(21)に従った加熱による化学式(1)及び/又は化学式(7)に相当する化合物の減少量は、119Sn−NMRで経時的に測定される。熱分解物はどのようなものか定義はできないが、トリアルキルスズアルコキシドを含有する熱分解物である。
また、塩素含有化合物を原料として用いていないために、本発明に従って、式(4)に定める脱水速度以上で実施されたアルキルスズアルコキシドは、トリアルキルスズ化合物及び塩素含有化合物の含有率の著しく低いものとなる。塩素化合物は、出発物質に含まれている場合があるが、原理的に本発明の方法によれば出発物質以上に塩素化合物が増加することはなく、高純度のアルキルスズアルコキシドを得ることができる。
使用する反応物質の量は、出発物質に対して過剰量であれば化学平衡を生成物側に有利に進めることができるが、反応器から取り出したアルキルスズアルコキシドを含む液からアルキルスズアルコキシドの濃度を高めようとすれば、過剰の未反応のヒドロキシ化合物を留去しなければならないのでエネルギー効率が低くなる。逆に反応物質の量が少なければ、未反応の出発物質を多く回収することになる。従って出発物質と反応物質の比率は、出発物質中に含まれるスズ原子の合計モル数と、反応物質のモル比が3から200の範囲であるが、反応器底部から取り出されるジアルキルスズアルコキシドの濃度を高くしようとすれば、好ましくは3から100であり、更に好ましい範囲は3から10である。
本発明では、系内から反応によって形成された水と生成したアルキルスズアルコキシドを速やかに系外へ除去することに特徴がある。前記したように、本発明者らは従来のバッチ方式では、形成された水が系内で速やかに生成したアルキルスズアルコキシドと逆反応してしまうことで生産性を損ねていると推定した。本発明は、反応液中で形成された遊離水を速やかに気相へ移行させ、更に反応器から除去し、同時に生成したアルキルスズアルコキシドを系外へ抜き出して生産性を向上させる方法を提供するものである。該反応で形成された遊離水は、系内の気−液平衡によって反応液中から気相へ移動すると推定される。
本発明の製造方法は、この気−液平衡に依存する水の移動を、反応液の比表面積を増大させて速やかにさせ、同時に生成したアルキルスズアルコキシドをも系外へ抜き出すことで、式(13)及び/又は式(14)に推定される平衡反応において、原系へ戻る逆反応を抑制することを目的としている。従って、前記した槽型及び/又は塔型の反応器において、形成される水を速やかに気相へ移動させる目的で、反応器内部での液状成分は反応器の空隙容積の2/3以下となることが好ましく、更に好ましくは1/3以下である。
「系内」とは、反応器、反応器周辺の配管及び機器、回収系の機器及び配管等の内部を示す。本発明の「高沸点反応混合物」とは、反応器に供給する高沸物質を含む液や、反応器中の高沸物質を含む反応液、反応器から排出される高沸物質を含む反応液、及びその反応液の一部を蒸発させ、高沸物質の濃度を高めた濃縮液等を意味し、高沸物質が溶解している場合もあり、スラリー状になっている場合もある。スラリー状の場合には、スラリー中の溶解していない部分も「高沸点反応混合物」に含まれる。
本発明で言う高沸物質とは、その沸点が本発明で製造するアルキルスズアルコキシドの沸点と同じであるか又は高い有機物質を指し、例えば、反応して生成する高分子量の副生物も同様に高沸物質として挙げられる
本発明でいう「水を含む低沸点成分」とは、反応で形成される水や、反応物質の一部を指し、沸点が本発明で製造するアルキルスズアルコキシドの沸点よりも低い有機物質を指し、例えば、反応して生成する低分子量の副生物も同様に低沸物質として挙げられる。また不活性ガスや有機溶媒を使用した場合には有機溶媒の一部も低沸成分として挙げられる。
本発明において、出発物質と反応物質を反応させてアルキルスズアルコキシドを製造するにあたり、反応にともなって水が生成してくるが、これを反応系外へ除去することによって反応速度が高められる。不活性ガスを供給することによって、反応により生じる水を含む低沸点成分の分圧を効率的に下げ、これにより反応を進行させるものである。従って、窒素、アルゴン、ヘリウム、二酸化炭素や低級炭化水素ガスなど反応に悪影響を及ぼさない不活性ガスを導入して、生成してくる水を含む低沸点成分をこれらのガスに同伴させて除去する方法や、系内で生成する水を抜き出しやすくするために適当な圧力に設定して、反応温度における水又は水を含む共沸成分が蒸気圧をもつ圧力、即ち水又は水を含む共沸成分が液相から気相へ移動できる圧力で反応を行うことが好ましい。
不活性ガスとして上記したうちの二酸化炭素は、生成したアルキルスズアルコキシドと反応して、該アルキルスズアルコキシドの二酸化炭素挿入体や、該挿入体から少量の炭酸エステルを生成する場合もあるが、特に悪影響を与えないため、不活性ガスとした。また、式(13)及び/又は式(14)に示したように、反応は反応物質であるヒドロキシ化合物濃度を高めることによっても化学平衡を生成物側に有利に進めることができる。
即ち、上記反応器内部では、反応が進行するに従って反応物質のヒドロキシ化合物はアルキルスズアルコキシドのアルコキシ基として消費されるので、ヒドロキシ化合物濃度は低下する傾向になる。従って、反応器の下方からも反応物質を供給し、あるいは反応物質ガスを供給して反応物質であるヒドロキシ化合物濃度を高めることで、あるいは、ヒドロキシ化合物ガスを反応器下方から供給することで、上記した不活性ガスの効果と同様に生成してくる水を含む低沸点成分を同伴させて系外へ除去する効果がある場合がある。
もちろん、不活性ガスと共にヒドロキシ化合物又はヒドロキシ化合物ガス、不活性な気体状の有機化合物及び/又は、水と共沸混合物を形成する有機溶媒や気体状の該有機溶媒を反応器下方から供給してもよい。流通する不活性ガスや反応物質ガスとしては、酸素や含水量ができるだけ低いガスが好ましい。この場合、ガスをモレキュラーシーブ等やイオン交換樹脂、脱酸素剤等を充填した層に流通させてもよく、ガスを極低温に冷却することにより脱水して使用することもできる。流通ガスの含水量を露点で示すと、好ましくは−10℃以下、好ましくは−40℃以下である。反応器下方から不活性ガスを該反応器下方から供給する場合、不活性ガスの供給量に特に制限はなく、反応器の種類や構造、サイズによって異なる。蒸留塔を反応器として使用する場合には例えばフラッディングが激しく起こらないように、適宜調節する
本発明で製造されたアルキルスズアルコキシドは、そのまま使用することもできるし、濃縮、希釈又はその他の成分を添加して使用することができる。
アルキルスズアルコキシドは、ジアルキル炭酸エステル、アルキルアリール炭酸エステル、ジアリール炭酸エステルなどの炭酸エステル類、イソシアネート類、ポリカーボネート類の製造触媒として知られている。本発明で製造されるジアルキルスズアルコキシドは高純度、低コストであって、これらジアルキル炭酸エステル、アルキルアリール炭酸エステル、ジアリール炭酸エステルなどの炭酸エステル類、イソシアネート類、ポリカーボネート類を工業的に有利に製造できる。
即ち本発明で製造されたアルキルスズアルコキシドはトリブチルスズ化合物及び塩素化合物が極めて少ないアルキルスズアルコキシドであるという特徴を有する。ジアルキルスズアルコキシドは、ジアルキル炭酸エステル、アルキルアリール炭酸エステル、ジアリール炭酸エステルなどの炭酸エステル類、イソシアネート類、ポリカーボネート類の製造触媒、エステル合成触媒、エステル交換反応触媒、シリコンポリマーやウレタン硬化触媒等の触媒として極めて有用である。
一般に、トリアルキルスズ化合物のいくつかは毒性の点から多くの規制を受けているし、塩素含有化合物の存在は金属腐食やポリマーの劣化等を引き起こすことも知られている。従来のアルキルスズアルコキシドを上記触媒用途に使用した際に、上記した有害なトリアルキルスズ化合物や塩素含有化合物の製品への混入があったが、どの工程で、あるいはどの化合物から由来してくるかについては知られていなかった。
本発明者等は鋭意検討を重ねた結果、アルキルスズアルコキシドを用いた際に製品に混入するトリアルキルスズ化合物や塩素含有化合物が、主に、用いたジアルキルスズアルコキシドに当初から含有されていることを突き止めた。本発明によって製造されたジアルキルスズアルコキシドは高純度であり、該トリアルキルスズ化合物や塩素含有化合物が極めて少なく、上記した従来のアルキルスズアルコキシドに由来する問題が解決される。
例えば、炭酸エステルの製造方法は、ホスゲンを用いるホスゲン法や、一酸化炭素を用いる酸化的カルボニル化法が知られているが、これらは原料や触媒に塩素含有化合物を用いるために、製造される炭酸エステル中には塩素化合物を含有することが知られており、炭酸エステルを原料とするポリカーボネートの製造に重大な悪影響(重合触媒の失活やポリカーボネートの着色、劣化など)を及ぼす。またガソリンやディーゼル燃料添加剤として使用する場合にはエンジンや配管などを腐食する原因ともなる。
本発明者らは先にWO03/055840、WO04/014840においてジアルキルスズアルコキシド(これらの特許ではジアルキルスズアルコキシドを広義の意味で使用し、ジアルキルスズアルコキシド、テトラアルキルスズ−ジアルコキシ−ジスタンオキサンを含めた意味で使用している)を用いることで二酸化炭素とアルコールとから炭酸エステルと水のみを製造する方法を開示した。本発明を用いることで、これらの従来の発明を更に進歩させ、極めて早く、高純度なジアルキルスズアルコキシドを生成させ、その結果より効果的にトリブチルスズ化合物や塩素化合物の含有量の極めて少ない炭酸エステルを製造することができる。得られた炭酸エステルはエステル交換反応や不均化反応によって塩素含有量の極めて少ないジアリール炭酸エステルへと容易に変換できる。
本発明で製造されたアルキルスズアルコキシドを用いる炭酸エステルの製造方法は、上記WO03/055840、WO04/014840の方法が好ましく使用できる。アルキルスズアルコキシドと二酸化炭素を含む混合物を60℃から200℃の範囲、0.1時間から10時間の範囲、0.1MPaから20MPaの範囲で反応させることによってジアルキル炭酸エステルを含む反応液を得ることができる。得られたジアルキル炭酸エステルを含んだ反応液は、蒸留法など公知の方法で、ジアルキル炭酸エステルを含む成分を分離し、スズを含んだ残留液を得る。このスズを含んだ反応液には本発明の反応物質となる化学式(1)や化学式(2)で示すような化合物と、それ以外の、現在の分析方法では構造不明なスズを含んだ成分を含有しているが、驚くべきことに本発明の方法を使用することで、該構造不明なスズを含んだ成分からも本発明の生成物であるアルキルスズアルコキシドを得ることができる。
該ジアルキル炭酸エステルと芳香族ヒドロキシ化合物とを公知の方法で反応させ、アルキルアリール炭酸エステル、ジアリール炭酸エステルを得ることができる。
ジアリール炭酸エステルの製造方法は、ホスゲンを用いるホスゲン法や、一酸化炭素を用いる酸化的カルボニル化法が知られているが、これらは原料や触媒に塩素含有化合物を用いるために、製造されるジアリール炭酸エステル中には塩素化合物を含有することが知られており、炭酸エステルを原料とするポリカーボネートの製造に重大な悪影響(重合触媒の失活やポリカーボネートの着色、劣化など)を及ぼす。またガソリンやディーゼル燃料添加剤として使用する場合にはエンジンや配管などを腐食する原因ともなる。本発明者らは先にWO03/055840、WO04/014840においてジアルキルスズアルコキシドを用いることで二酸化炭素とアルコールとから炭酸エステルと水のみを製造する方法を開示した。本発明者らは、該発明を更に進歩させて本発明に到達した。本発明の方法により、塩素化合物の含有量の極めて少ない、高純度のジアリール炭酸エステルを簡便かつ効率的に製造することができる。
更に、本発明の方法によって得られるジアリール炭酸エステルを用いて、ポリカーボネート類、イソシアネート類又はポリカーボネートジオール類を製造することができる。この場合のジアリール炭酸エステルとしては炭酸ジフェニルが好ましい。
以下、このようなポリカーボネート類、イソシアネート類又はポリカーボネートジオール類について説明する。
ポリカーボネート類について説明する。ジアリール炭酸エステルはメルト法ポリカーボネート原料として知られているが、従来の塩素含有化合物を出発物質としたジアリール炭酸エステルには塩素化合物が多く残留しており、ビスフェノールAとのエステル交換時の触媒を該塩素化合物が失活させる。この失活の対処方法として、触媒を多量に使用すると、得られるポリカーボネートの耐候性、色相、物性に悪影響を及ぼす場合があった。従って、そのような場合には塩素化合物を炭酸ジアリールから除去する工程が必要であった。
例えば、塩素化合物を含有したジアリール炭酸エステルをアルカリ洗浄したり、蒸留精製したりする方法が知られている。しかし、この対処方法も、ジアリール炭酸エステルの融点が比較的高温であって、溶融状態でアルカリ洗浄することによって、ジアリール炭酸エステルの加水分解消失をも併発する致命的な問題点があったり、蒸留分離では、塩素化合物は低沸点成分から高沸点成分まで数種類の塩素含有化合物群であるため、蒸留精製も致命的な問題点を有しているため、工業的に用いるためにかかる精製コストは甚大であった。
また、二酸化炭素を原料としたエチレンカーボネートから炭酸ジフェニルを製造する方法では、エチレンカーボネートとメタノールとから炭酸ジメチルを得、次いで炭酸メチルフェニルを得、そして炭酸ジフェニルを得ているが、該方法では沸点の制約から中間体として炭酸ジメチルを経由することが必須要件である(系内でメタノールが最低沸であり、平衡をずらすためにはメタノールと最低共沸を形成する必要がある)。必然的に誘導される炭酸メチルフェニルは脱炭酸などの副反応を起こしやすく、メチル基を有するアニソールなどの副生成物が精製工程を経ても微量ながら製品である炭酸ジフェニルに混入し、該炭酸ジフェニルを用いてポリカーボネートを製造する工程で重合速度を遅くしたり、重合度のばらつきや色相への影響を及ぼす場合があった。
これに対して、本発明の方法では副生物が発生しない。上記の炭酸ジメチル由来のメチル基を有する副生成物の特定は困難であるが、本発明のジアリール炭酸エステルの製造方法にあっては、中間体は炭酸ジメチルではなく、式(3)で表されるアルコールから形成される長鎖アルキル基を有するジアルキル炭酸エステルであるので、ポリカーボネート製造に悪影響を及ぼすメチル基を有する副生成物を含まない炭酸ジフェニルを得ることができる。
ポリカーボネートの原料として用いる好ましいジアリール炭酸エステルの例として、該メチル基を有する有機化合物(副生成物)が100ppm以下、更に好ましくは10ppm以下であるジアリール炭酸エステルが挙げられる。
次にイソシアネート類について説明する。本発明のアルキルスズアルコキシドを用いて製造されるジアリール炭酸エステル(特に炭酸ジフェニル)とポリアミン化合物とを反応させて、例えばヘキサメチレンジアリールカーバメートなどのポリアリールカーバメートを得、次いで熱分解させることにより、イソシアネートを得ることができる。従来ホスゲン原料から出発する反応しか経済的なイソシアネート合成方法は知られていなかったが、本発明によって製造されたジアリール炭酸エステルは安価で、塩素化合物含有量が極めて少ないため、有利にイソシアネート類を製造することができる。また従来ホスゲンなど、塩素含有化合物から得られたイソシアネートには塩素化合物を含有している。イソシアネートの主な用途はウレタンである。ウレタン化触媒は塩素で失活、変性しやすい問題があるが、本発明の製造方法で得られる炭酸ジフェニルから製造されるイソシアネートは、塩素化合物を実質的に含有せず、上記問題を起こさない。
次にポリカーボネートジオール類について説明する。本発明のアルキルスズアルコキシドを用いて製造されるジアリール炭酸エステルを用いて、高純度のポリカーボネートジオール類を製造することができる。
本発明の方法で製造されるジアリール炭酸エステルを用いて製造されるポリカーボネート類、イソシアネート類、ポリカーボネートジオール類は、従来の方法で製造される該化合物群に比較し、高純度であり、簡便に(したがって安価で)得られ、併産物も発生しないため、工業的に大きな価値を有する。
更に、該ジアルキル炭酸エステル及び/又は該ジアリール炭酸エステルから、公知の方法でイソシアネート類を製造することができる。
ジアリール炭酸エステルはメルト法ポリカーボネート原料として知られているが、従来の塩素含有化合物を出発物質とした炭酸ジアリールには塩素化合物が多く残留しており、ビスフェノールAとのエステル交換時の触媒は該塩素化合物により失活する場合があった。この失活の対処方法として、触媒を多量に使用すると、得られるポリカーボネートの耐候性、色相、物性に悪影響を及ぼす場合があった。従って、そのような場合には塩素化合物をジアリール炭酸エステルから除去する工程が必要であった。例えば、塩素化合物を含有したジアリール炭酸エステルをアルカリ洗浄したり、蒸留精製する方法が知られている。
しかし、この対処方法も、ジアリール炭酸エステルの融点が比較的高温であって、溶融状態でアルカリ洗浄することによって、ジアリール炭酸エステルの加水分解消失をも併発するという致命的な問題点がある。また、蒸留分離では、塩素化合物は低沸点成分から高沸点成分まで数種類の塩素含有化合物群であるため、蒸留精製も致命的な問題点を有している。そのため、工業的に用いるためにかかる精製コストは甚大であったが、本発明によって製造されたジアルキルスズアルコキシドを用いて製造されたジアリール炭酸エステルは安価で、塩素化合物含有量が極めて少ないため、有利にイソシアネート類を製造することができる。
従って、本発明で製造されたアルキルスズアルコキシドを用いて製造される炭酸エステル類、イソシアネート類、ポリカーボネート類は従来の方法で製造される該化合物群に比較し、工業的に安価に製造することができ、高純度である。
以下、本発明を実施例に基づき具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定され
るものではない。
<分析方法>
1)NMR分析方法
装置:日本国、日本電子(株)社製JNM−A400 FT−NMRシステム
(1)1H−NMR、13C−NMR、119Sn−NMR分析サンプルの調製
スズ化合物を約0.3g秤量し、重クロロホルム(アルドリッチ社製、99.8%)を
約0.7gと119Sn−NMR内部標準としてテトラメチルスズ(和光社製、和光一級)
を約0.05g加えて均一に混ぜた溶液をNMR分析サンプルとする。
2)水の分析方法
装置:日本国、三菱化学(株)社製CA−05微量水分計
(1)定量分析法
分析サンプルをシリンジを用いて0.12ml採取し重量を測った後、そのまま水分計に注入し、水の定量を行う。その後再びシリンジの重量を測り、サンプル注入量を割り出し、サンプル中の水含有量を求める。
3)炭酸エステルのガスクロマトグラフィー分析法
装置:日本国、(株)島津製作所製GC−2010システム
(1)分析サンプル溶液の作成
反応溶液を0.4g計り取り、脱水されたジメチルホルムアミド又はアセトニトリルを約0.5ml加える。さらに内部標準としてトルエン又はジフェニルエーテル約0.04gを加えて、ガスクロマトグラフィー分析サンプル溶液とする。
(2)ガスクロマトグラフィー分析条件
カラム:DB−1(米国、J&W Scientific社製)
液相:100%ジメチルポリシロキサン
長さ:30m
内径:0.25mm
フィルム厚さ:1μm
カラム温度:50℃(10℃/minで昇温)300℃
インジェクション温度:300℃
検出器温度:300℃
検出法:FID
(3)定量分析法
各標準物質の標準サンプルについて分析を実施し作成した検量線を基に、分析サンプル溶液の定量分析を実施する。
4)ジアルキルスズアルコキシドの収率計算方法
ジアルキルスズアルコキシドの収率は出発原料(化学式(1)及び/又は化学式(2)で表す化合物)のスズ原子のモル数に対して、得られた各ジアルキルスズアルコキシド(化学式(7)及び/又は化学式(16)で表す化合物)のスズ原子モル数の生成モル%で求めた。
5)芳香族炭酸エステルの収率計算方法
芳香族炭酸エステルの収率は、反応液中の重量%で示すか、あるいは供給した原料(炭酸ジアルキル)のモル数に対して、得られた炭酸アルキルアリール、炭酸ジアリールの生成モル%で求めた。
6)芳香族ポリカーボネートの数平均分子量
芳香族ポリカーボネートの数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した。
実施例1
(出発物質1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ビス(2−エチル−ブチルオキシ)−ジスタンオキサンと反応物質2−エチル−1−ブタノール混合液の作成)
容積1Lのなす型フラスコに、ジブチルスズオキシド(米国、アルドリッチ社製、98%)24.9g(0.1mol)及び2−エチル−1−ブタノール(米国、アルドリッチ社製、98%)208g(2.0mol)を入れた。白色スラリー状の該混合物を入れたフラスコを、温度調節器の付いたオイルバス(日本国、増田理化工業社製、OBH−24)と真空ポンプ(日本国、ULVAC社製、G−50A)と真空コントローラー(日本国、岡野製作所社製、VC−10S)を接続したエバポレーター(日本国、柴田社製、R−144)に取り付けた。オイルバス温度を140℃に設定し、該フラスコを該オイルバスに浸漬してエバポレーターの回転を開始した。エバポレーターのパージバルブを開放したまま常圧で約30分間回転攪拌と加熱した後、エバポレーターのパージバルブを閉め、系内を真空ポンプと真空コントローラーを用いて徐々に減圧し、約60kPaとした。この状態を1時間保った後、該フラスコをオイルバスから上げた。反応液は透明な液になっていた。パージバルブを徐々に開いて系内の圧力を常圧に戻した。留去した液は9.9gであり、透明で、2層に分離していた。留去した液を分析したところ約1gの水を含んでいた。その後、該フラスコをオイルバスから上げてパージバルブを徐々に開き系内の圧力を常圧に戻した。該フラスコには反応液218gを得た。119Sn,1H,13C−NMRの分析結果から、ジブチルスズオキシド基準で収率11%でジブチル−ビス(2−エチル−ブチルオキシ)スズ、収率約88%で1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ビス(2−エチル−ブチルオキシ)−ジスタンオキサンを含有していた。
(塔型反応器でジブチルスズジアルコキシドを得る)
図2に示すような塔型反応器1において、ジブチルスズアルコキシドを製造した。反応器上部2に供給ライン4と抜き出しベントライン5、反応器下部3にガス供給ライン7と抜き出しライン6を取り付けた内径15mm、全長850mm(有効長750mm)のSUS316製チューブリアクターにヘリパックNo.3(日本国、東京特殊金網株式会社製)を充填し、該チューブリアクターの下部フランジ部分及びフランジから約60mmを160℃に設定したヒーターで温調し、該加熱器上部から該チューブリアクターの上部フランジまでを140℃に設定したヒーターで温調した。
ガス供給ライン7から0.04NL/分で窒素ガスを供給し、供給ライン4から上記で作成した出発物質と反応物質の混合液を20g/Hrで送液ポンプを用いて供給を開始した。該リアクター内滞留時間は約16分であり、ガスベントライン5からは水を含む低沸点物質がガス状で抜き出され、高沸点成分が抜き出しライン6から流出され始めた。この状態で2時間連続送液、連続抜き出し運転を続けた。抜き出しライン6から抜き出された液を分析すると、ジブチルスズオキシド基準で収率約94%のジブチル−ビス(2−エチル−ブチルオキシ)スズと約6%の1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ビス(2−エチル−ブチルオキシ)−ジスタンオキサンからなるジブチルスズアルコキシドを含んでいた。トリブチルスズ(2−エチル−ブチルオキシド)は0.2%であった。一方、ベントラインから抜き出されたガス相は冷却すると、2層の透明な液であり、水分を含んでいた。搭型反応器での脱水速度は、0.0033mol/Hrであり、式(16)で求められる値0.00025mol/Hrよりも大きかった。
実施例2
(出発物質1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ビス(2−エチル−ブチルオキシ)
−ジスタンオキサンの作成)
容積500mLのなす型フラスコに、ジブチルスズオキシド(米国、アルドリッチ社製、98%)59.8g(0.15mol)及び2−エチル−1−ブタノール(米国、アルドリッチ社製、98%)122g(1.2mol)を入れた。白色スラリー状の該混合物を入れたフラスコを、温度調節器の付いたオイルバス(日本国、増田理化工業社製、OBH−24)と真空ポンプ(日本国、ULVAC社製、G−50A)と真空コントローラー(日本国、岡野製作所社製、VC−10S)を接続したエバポレーター(日本国、柴田社製、R−144)に取り付けた。オイルバス温度を140℃に設定し、該フラスコを該オイルバスに浸漬してエバポレーターの回転を開始した。エバポレーターのパージバルブを開放したまま常圧で約30分間回転攪拌と加熱した後、エバポレーターのパージバルブを閉め、系内を真空ポンプと真空コントローラーを用いて徐々に減圧し、約70kPaとした。この状態を1時間保った後、該フラスコをオイルバスから上げた。反応液は透明な液になっていた。パージバルブを徐々に開いて系内の圧力を常圧に戻した。留去した液は3.6gであり、透明で、2層に分離していた。留去した液を分析したところ約2.2gの水を含んでいた。その後、該フラスコをオイルバスから上げてパージバルブを徐々に開き系内の圧力を常圧に戻した。該フラスコには反応液175gを得た。119Sn,1H,13C−NMRの分析結果から、ジブチルスズオキシド基準で収率約99%で1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ビス(2−エチル−ブチルオキシ)−ジスタンオキサンを含有していた。
(塔型反応器でジブチルスズジアルコキシドを得る)
図2に示すような塔型反応器1において、ジブチルスズアルコキシドを製造した。反応器上部2に供給ライン4と抜き出しベントライン5、反応器下部3にガス供給ライン7と抜き出しライン6を取り付けた内径15mm、全長1635mm(有効長1450mm)のSUS316製チューブリアクターにヘリパックNo.3(日本国、東京特殊金網株式会社製)を充填し、該チューブリアクターの下部フランジ部分及びフランジから約60mmを160℃に設定したヒーターで温調し、該加熱器上部から該チューブリアクターの上部フランジまでを140℃に設定したヒーターで温調した。
ガス供給ライン7から0.04NL/分で窒素ガスを供給し、供給ライン4から上記で作成した出発物質と反応物質の混合液を20g/Hrで送液ポンプを用いて供給を開始した。該リアクター内滞留時間は約32分であった。抜き出しベントライン5からは水を含む低沸点物質がガス状で抜き出され、高沸点成分が抜き出しライン6から流出され始めた。この状態で2時間連続送液、連続抜き出し運転を続けた。抜き出しライン6から抜き出された生成物を分析すると、ジブチルスズオキシド基準で収率約94%のジブチル−ビス(2−エチル−ブチルオキシ)スズと約6%の1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ビス(2−エチル−ブチルオキシ)−ジスタンオキサンからなるジブチルスズアルコキシドを含んでいた。トリブチルスズ(2−エチル−ブチルオキシド)は0.4%であった。一方、抜き出しベントライン5から抜き出されたガス相は冷却すると、2層の透明な液であり、水分を含んでいた。搭型反応器での脱水速度は、0.0033mol/Hrであり、式(16)で求められる値0.0005mol/Hrよりも大きかった。
実施例3
(1,1,3,3−テトラブチル−1,3ビス(2−エチルヘキシルオキシ)−ジスタンオキサンの合成)
温度計、三方コック、ジムロート冷却器と連結した水分定量受器を備えた容積2Lの三口フラスコにジブチルスズオキシド(米国、アルドリッチ社製、98%)199.8g(0.80mol)、2−エチル−1−ヘキサノール(米国、アルドリッチ社製、脱水99.6%)1045g(8.0mol)及びトルエン(日本国、和光純薬工業社製、有機合成用)500gを入れた。白色スラリー状の混合物を入れた該フラスコを130℃に設定したオイルバス(日本国、Fine社製、FWB−240)に浸漬した。約30分間攪拌及び加熱した後、混合物の温度が119℃になり水分定量受器に水とトルエンの回収が始まった。
この状態を約3時間保った後、水分定量受器に約7.2mLの水を回収した。その後、オイルバスの温度を90℃に下げ、混合物温度を下げた後、水分定量受器をはずし、該フラスコを枝管付連結管、リービッヒ冷却器、減圧連結管及び2つの蒸留液回収容器と連結した。系内を29kPaに減圧し該フラスコからトルエンを蒸留した後、さらに系内を0.6kPaに減圧し過剰な2−エチル−ヘキサノールを蒸留した。蒸留によって回収した液は1420gであって、該フラスコには295.6gの生成物を得た。119Sn,1H,13C−NMRの分析結果から生成物は純度95%以上の1,1,3,3−テトラブチル−1,3ビス(2−エチルヘキシルオキシ)−ジスタンオキサンであった。
(塔型反応器でジブチルスズジアルコキシドを得る)
図2に示すような塔型反応器1において、ジブチルスズアルコキシドを製造した。反応器上部2に出発物質を導入する供給ライン4と反応物質を導入する供給ライン8と抜き出しベントライン5、反応器下部3にガス供給ライン7と抜き出しライン6を取り付けた内径15mm、全長850mm(有効長750mm)のSUS316製チューブリアクターにヘリパックNo.3(日本国、東京特殊金網株式会社製)を充填し、該チューブリアクターの下部フランジ部分及びフランジから約60mmを160℃に設定したヒーターで温調し、該加熱器上部から該チューブリアクターの上部フランジまでを140℃に設定したヒーターで温調した。
供給ライン7から0.04NL/分で窒素ガスを供給し、供給ライン4から上記で作成した出発物質を3g/Hrで送液ポンプを用いて供給し、供給ライン8から反応物質2−エチル−1−ヘキサノール(米国、アルドリッチ社製、脱水99.6%)を17g/Hrで送液ポンプを用いて供給を開始した。該リアクター内滞留時間は約15分であり、抜き出しベントライン5からは水を含む低沸点物質がガス状で抜き出され、高沸点成分が抜き出しライン6から流出され始めた。この状態で2時間連続送液、連続抜き出し運転を続けた。抜き出しライン6から抜き出された液を分析すると、ジブチルスズオキシド基準で収率約45%のジブチル−ビス(2−エチル−ヘキシルオキシ)スズと約55%の1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ビス(2−エチル−ヘキシルオキシ)−ジスタンオキサンからなるジブチルスズアルコキシドを含んでいた。トリブチルスズ(2−エチル−ブチルオキシド)は0.3%であった。一方、ベントラインから抜き出されたガス相は冷却すると、2層の透明な液であり、水分を含んでいた。搭型反応器での脱水速度は、0.0018mol/Hrであり、式(16)で求められる値0.000058mol/Hrよりも大きかった。
実施例4
(塔型反応器でジブチルスズジアルコキシドを得る)
図2に示すような塔型反応器1において、ジブチルスズアルコキシドを製造した。反応器上部2に供給ライン4と抜き出しベントライン5、反応器下部3にガス供給ライン7と抜き出しライン6を取り付けた内径15mm、全長850mm(有効長750mm)のSUS316製チューブリアクターにヘリパックNo.3(日本国、東京特殊金網株式会社製)を充填し、該チューブリアクターの下部フランジ部分及びフランジから約60mmを160℃に設定したヒーターで温調し、該加熱器上部から該チューブリアクターの上部フランジまでを140℃に設定したヒーターで温調した。
窒素供給ライン7から0.04NL/分で窒素ガスを供給し、供給ライン4から出発物質ジブチルスズオキシド(米国、アルドリッチ社製、98%)19.9g(0.08mol)と反応物質2−エチル−1−ブタノール(米国、アルドリッチ社製、98%)817g(8mol)からなるスラリー液を8g/Hrで送液ポンプを用いて供給を開始した。該リアクター内滞留時間は約35分であった。抜き出しベントライン5からは水を含む低沸点物質がガス状で抜き出され、高沸点成分が抜き出しライン6から流出され始めた。
この状態で5時間連続送液、連続抜き出し運転を続けた。抜き出しライン6から抜き出された生成物を分析すると、ジブチルスズオキシド基準で収率約61%のジブチル−ビス(2−エチル−ブチルオキシ)スズと約38%の1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ビス(2−エチル−ブチルオキシ)−ジスタンオキサンからなるジブチルスズアルコキシドを含んでいた。トリブチルスズ(2−エチル−ブチルオキシド)は0.1%であった。一方、ベントライン5から抜き出されたガス相は冷却すると、2層の透明な液であり、水分を含んでいた。搭型反応器での脱水速度は、0.00062mol/Hrであり、式(16)で求められる値0.00005mol/Hrよりも大きかった。
実施例5
(塔型反応器でジブチルスズジアルコキシドを得る)
図2に示すような塔型反応器1において、ジブチルスズアルコキシドを製造した。反応器上部2に供給ライン4と抜き出しベントライン5、反応器下部3にガス供給ライン7と抜き出しライン6を取り付けた内径15mm、全長850mm(有効長750mm)のSUS316製チューブリアクターにヘリパックNo.3(日本国、東京特殊金網株式会社製)を充填し、該チューブリアクターの下部フランジ部分及びフランジから約60mmを170℃に設定したヒーターで温調し、該加熱器上部から該チューブリアクターの上部フランジまでを150℃に設定したヒーターで温調した。
供給ライン4から実施例1で使用したものと同じ方法で作製した出発物質1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ビス(2−エチル−ブチルオキシ)−ジスタンオキサンと反応物質2−エチル−1−ブタノール混合液を8g/Hrで送液ポンプを用いて供給を開始した。次いでガス供給ライン7から2−エチル−1−ブタノール(米国、アルドリッチ社製、98%)を1g/分で供給した。該リアクター内滞留時間は約30分であり、抜き出しベントライン5からは水を含む低沸点物質がガス状で抜き出され、高沸点成分が抜き出しライン6から流出され始めた。
この状態で2時間連続送液、連続抜き出し運転を続けた。抜き出しライン6から抜き出された液を分析すると、ジブチルスズオキシド基準で収率約48%のジブチル−ビス(2−エチル−ブチルオキシ)スズと約52%の1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ビス(2−エチル−ブチルオキシ)−ジスタンオキサンからなるジブチルスズアルコキシドを含んでいた。トリブチルスズ(2−エチル−ブチルオキシド)は0.4%であった。一方、ベントラインから抜き出されたガス相は冷却すると、2層の透明な液であり、水分を含んでいた。
実施例6
(槽型反応器と塔型反応器を組み合わせてジブチルスズジアルコキシドを得る)
図3に示すような槽型反応器と塔型反応器の組み合わせでジアルキルスズアルコキシドを製造した。
撹拌槽上部11に反応物質を導入する供給ライン15及び出発物質を導入する供給ライン16及び蒸留塔を備えた抜き出しベントライン17、撹拌槽下部12にガス供給ライン18及び移送ライン19、そして攪拌機、温調設備、各ライン操作に必要な計装設備及びバルブ類を備えたバッフル付き1LのSUS304製の撹拌槽9と、バッファー槽24、バッファー槽24から塔型反応器へ移送する中継ライン25、そして反応器上部13に中継ライン25を接続し、反応物質を導入する供給ライン22、蒸留塔を備えた抜き出しベントライン21、反応器下部14にガス供給ライン20及び抜き出しライン23を接続し、温調設備、各ライン操作に必要な計装設備及びバルブ類を備えた内径15mm、全長1635mm(有効長1450mm)のSUS316製チューブリアクターにヘリパックNo.3(日本国、東京特殊金網株式会社製)を充填した塔型反応器10を使用した。
撹拌槽9の内部を窒素置換したのち、供給ライン15から反応物質2−エチル−1−ヘキサノール(米国、アルドリッチ社製、脱水99.6%)390g(3.0mol)を導入し、供給ライン16から出発物質ジブチルスズオキシド(米国、アルドリッチ社製、98%)199.8g(0.80mol)を導入した。ガス供給ライン18から0.02NL/分で窒素ガスを供給し、攪拌しながら反応液が160℃になるように反応器を加熱し、抜き出しベントライン17から発生するガスを抜き出した。この状態で20分反応させたのち、移送ライン19から約40ml/分で反応液を連続的に抜き出し、同時に反応器内部の液面が一定になるように、供給ライン16と供給ライン15から出発物質と反応物質とのモル比が1:3.75となる速度で連続的に供給し、抜き出しベントライン17から発生するガスを連続的に抜き出しながら、定常運転を開始した。
移送ライン19からは、バッファー槽24へ反応液を移送した。2時間後バッファー槽24の液を分析すると、ジブチルスズオキシド基準で収率約5%のジブチル−ビス(2−エチル−ヘキシルオキシ)スズと約95%の1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ビス(2−エチル−ヘキシルオキシ)−ジスタンオキサンからなる1次生成ジブチルスズアルコキシドを含んでいた。槽型反応器での脱水速度は、1.26mol/Hrであり、式(16)で求められる値0.13mol/Hrよりも大きかった。
(次いで、バッファー槽に蓄積した1次生成ジブチルスルアルコキシドを出発物質として反応器10でジブチル−ビス(2−エチル−ヘキシルオキシ)スズ収率を高める。)
反応器10の下部フランジ部分及びフランジから約60mmを160℃に設定したヒーターで温調し、該加熱器上部から該チューブリアクターの上部フランジまでを140℃に設定したヒーターで温調した。
ガス供給ライン20から0.04NL/分で窒素ガスを供給し、バッファー槽24から中継ライン25によって上記で作成した1次生成ジブチルスズアルコキシドを出発物質として5g/Hrで送液ポンプを用いて供給し、供給ライン22から反応物質2−エチル−1−ヘキサノール(米国、アルドリッチ社製、脱水99.6%)を15g/Hrで送液ポンプを用いて供給を開始した。該リアクター内滞留時間は約35分であり、抜き出しベントライン21からは水を含む低沸点物質がガス状で抜き出され、高沸点成分が抜き出しライン23から流出され始めた。
この状態で2時間連続送液、連続抜き出し運転を続けた。抜き出しライン23から抜き出された液を分析すると、ジブチルスズオキシド基準で収率約75%のジブチル−ビス(2−エチル−ヘキシルオキシ)スズと約24%の1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ビス(2−エチル−ヘキシルオキシ)−ジスタンオキサンからなるジブチルスズアルコキシドを含んでいた。トリブチルスズ(2−エチル−ヘキシルオキシド)は0.9%であった。一方、ベントラインから抜き出されたガス相は冷却すると、2層の透明な液であり、水分を含んでいた。搭型反応器での脱水速度は、0.021mol/Hrであり、式(16)で求められる値0.00025mol/Hrよりも大きかった。
実施例7
(塔型反応器でジブチルスズジアルコキシドを得る)
図2に示すような塔型反応器1において、ジブチルスズアルコキシドを製造した。反応器上部2に供給ライン4と抜き出しベントライン5、反応器下部3に反応物質2次供給ライン7と抜き出しライン6を取り付けた内径15mm、全長1635mm(有効長1450mm)のSUS316製チューブリアクターにディクソンパッキング3mm(日本国、東京特殊金網株式会社)を充填し、該チューブリアクターの下部フランジ部分及びフランジから約60mmを170℃に設定したヒーターで温調し、該加熱器上部から該チューブリアクターの上部フランジまでを150℃に設定したヒーターで温調した。
ガス供給ライン7から0.04NL/分で窒素ガスを供給し、供給ライン4から実施例1で使用したものと同じ方法で作製した出発物質1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ビス(2−エチル−ブチルオキシ)−ジスタンオキサンと反応物質2−エチル−1−ブタノール混合液を15g/Hrで送液ポンプを用いて供給を開始した。該リアクター内滞留時間は約50分であり、抜き出しベントライン5からは水を含む低沸点物質がガス状で抜き出され、高沸点成分が抜き出しライン6から流出され始めた。
この状態で4時間連続送液、連続抜き出し運転を続けた。抜き出しライン6から抜き出された液を分析すると、ジブチルスズオキシド基準で収率約63%のジブチル−ビス(2−エチル−ブチルオキシ)スズと約36%の1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ビス(2−エチル−ブチルオキシ)−ジスタンオキサンからなるジブチルスズアルコキシドを含んでいた。トリブチルスズ(2−エチル−ブチルオキシド)は0.3%であった。一方、ベントラインから抜き出されたガス相は冷却すると、2層の透明な液であり、水分を含んでいた。搭型反応器での脱水速度は、0.0016mol/Hrであり、式(16)で求められる値0.00026mol/Hrよりも大きかった。
実施例8
(出発物質1,1,3,3−テトラオクチル−1,3−ジ(ブチルオキシ)−ジスタンオキサンの作成)
容積2Lのなす型フラスコに、ジオクチルスズオキシド(日本国、和光純薬工業社製、95%)217g(0.6mol)及び1−ブタノール(日本国、和光純薬工業社製、特級)445g(6mol)を入れた。白色スラリー状の該混合物を入れたフラスコを、温度調節器のついたオイルバス(日本国、増田理化工業社製、OBH−24)を接続したエバポレーター(日本国、柴田社製、R−144)に取り付けた。
オイルバス温度を127℃に設定し、該フラスコを該オイルバスに浸漬してエバポレーターの回転を開始した。エバポレーターのパージバルブを開放したまま常圧で約150分間回転攪拌と加熱した。その後、該フラスコをオイルバスから上げて放冷した。該フラスコに437gの粘稠な反応液を得た。119Sn,1H,13C−NMRの分析結果から、ジオクチルスズオキシド基準で収率96%1,1,3,3−テトラオクチル−1,3−ジ(ブチルオキシ)−ジスタンオキサンを含有していて、ジオクチル−ジ(ブチルオキシ)スズは含まれていなかった。
(塔型反応器でジオクチルスズジアルコキシドを得る)
図2に示すような塔型反応器1において、ジオクチルスズアルコキシドを製造した。反応器上部2に供給ライン4と抜き出しベントライン5、反応器下部3にガス供給ライン7と抜き出しライン6を取り付けた内径15mm、全長850mm(有効長750mm)のSUS316製チューブリアクターにヘリパックNo.3(日本国、東京特殊金網株式会社製)を充填し、該チューブリアクターの下部フランジ部分及びフランジから約60mmを150℃に設定したヒーターで温調し、該加熱器上部から該チューブリアクターの上部フランジまでを140℃に設定したヒーターで温調した。
ガス供給ライン7から80ml/分で二酸化炭素ガスを供給し、供給ライン4から上記で得た反応液(出発物質1,1,3,3−テトラオクチル−1,3−ジ(ブチルオキシ)−ジスタンオキサンと反応物質1−ブタノールからなる混合液)を10g/Hrで送液ポンプを用いて供給を開始した。該リアクター内滞留時間は約37分であり、該リアクターの内圧は圧力ゲージで約0.2MPa−Gであった。抜き出しベントライン5からは水を含む低沸点物質がガス状で抜き出され、高沸点成分が抜き出しライン6から流出され始めた。
この状態で4時間連続送液、連続抜き出し運転を続けた。抜き出しライン6から抜き出された液を分析すると、ジオクチルスズオキシド基準で収率約43%のジオクチル−ジ(ブチルオキシ)スズと1,1,3,3−テトラオクチル−1,3−ジ(ブチルオキシ)−ジスタンオキサンからなるジオクチルスズアルコキシドを含んでいた。トリオクチルスズブトキシドは0.1%であった。一方、ベントラインから抜き出されたガス相は冷却すると、2層の透明な液であり、水分を含んでいた。搭型反応器での脱水速度は、0.0017mol/Hrであり、式(16)で求められる値0.00025mol/Hrよりも大きかった。
実施例9
(出発物質1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ジ(ブチルオキシ)−ジスタンオキサンの作成)
容積1Lのなす型フラスコに、ジブチルスズオキシド(米国、アルドリッチ社製、98%)50g(0.2mol)及び1−ブタノール(日本国、和光純薬工業社製、特級)178g(2.4mol)を入れた。白色スラリー状の該混合物を入れたフラスコを、温度調節器のついたオイルバス(日本国、増田理化工業社製、OBH−24)を接続したエバポレーター(日本国、柴田社製、R−144)に取り付けた。
オイルバス温度を127℃に設定し、該フラスコを該オイルバスに浸漬してエバポレーターの回転を開始した。エバポレーターのパージバルブを開放したまま常圧で約2時間回転攪拌と加熱した。その後、該フラスコをオイルバスから上げて放冷した。該フラスコに212gの粘稠な反応液を得た。119Sn,1H,13C−NMRの分析結果から、ジブチルスズオキシド基準で収率98%1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ジ(ブチルオキシ)−ジスタンオキサンを含有していて、ジブチル−ジ(ブチルオキシ)スズは含まれていなかった。
(塔型反応器でジブチルスズジアルコキシドを得る)
図2に示すような塔型反応器1において、ジブチルスズアルコキシドを製造した。反応器上部2に供給ライン4と抜き出しベントライン5、反応器下部3にガス供給ライン7と抜き出しライン6を取り付けた内径15mm、全長850mm(有効長750mm)のSUS316製チューブリアクターにヘリパックNo.3(日本国、東京特殊金網株式会社製)を充填し、該チューブリアクターの下部フランジ部分及びフランジから約60mmを150℃に設定したヒーターで温調し、該加熱器上部から該チューブリアクターの上部フランジまでを140℃に設定したヒーターで温調した。
ガス供給ライン7から80ml/分で二酸化炭素ガスを供給し、供給ライン4から上記で得た反応液(出発物質1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ジ(ブチルオキシ)−ジスタンオキサンと反応物質1−ブタノールからなる混合液)を10g/Hrで送液ポンプで供給を開始した。該リアクター内滞留時間は約37分であり、該リアクターの内圧は圧力ゲージで約0.2MPa−Gであった。抜き出しベントライン5からは水を含む低沸点物質がガス状で抜き出され、高沸点成分が抜き出しライン6から流出され始めた。
この状態で4時間連続送液、連続抜き出し運転を続けた。抜き出しライン6から抜き出された液を分析すると、ジブチルスズオキシド基準で収率約90%のジブチル−ジ(ブチルオキシ)スズと9%の1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ジ(ブチルオキシ)−ジスタンオキサンからなるジブチルスズアルコキシドを含んでいた。トリブチルスズブトキシドは0.06%であった。一方、ベントラインから抜き出されたガス相は冷却すると、2層の透明な液であり、水分を含んでいた。搭型反応器での脱水速度は、0.0033mol/Hrであり、式(16)で求められる値0.00025mol/Hrよりも大きかった。
実施例10
(出発物質1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ビス(2−メチル−1−プロピルオキシ)−ジスタンオキサンの作成)
容積1Lのなす型フラスコに、ジブチルスズオキシド(米国、アルドリッチ社製、98%)50g(0.2mol)及び2−メチル−1−プロパノール(日本国、和光純薬工業社製、特級)178g(2.4mol)を入れた。白色スラリー状の該混合物を入れたフラスコを、温度調節器のついたオイルバス(日本国、増田理化工業社製、OBH−24)を接続したエバポレーター(日本国、柴田社製、R−144)に取り付けた。
オイルバス温度を118℃に設定し、該フラスコを該オイルバスに浸漬してエバポレーターの回転を開始した。エバポレーターのパージバルブを開放したまま常圧で約2時間回転攪拌と加熱した。その後、該フラスコをオイルバスから上げて放冷した。該フラスコに196gの粘稠な反応液を得た。119Sn,1H,13C−NMRの分析結果から、ジブチルスズオキシド基準で収率76%で1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ビス(2−メチル−1−プロピルオキシ)−ジスタンオキサンを含有していて、ジブチル−ビス(2−メチル−1−プロピルオキシ)スズは含まれていなかった。
(塔型反応器でジブチルスズジアルコキシドを得る)
図2に示すような塔型反応器1において、ジブチルスズアルコキシドを製造した。反応器上部2に供給ライン4と抜き出しベントライン5、反応器下部3にガス供給ライン7と抜き出しライン6を取り付けた内径15mm、全長1635mm(有効長1450mm)のSUS316製チューブリアクターにヘリパックNo.3(日本国、東京特殊金網株式会社製)を充填し、該チューブリアクターの下部フランジ部分及びフランジから約60mmを150℃に設定したヒーターで温調し、該加熱器上部から該チューブリアクターの上部フランジまでを140℃に設定したヒーターで温調した。
ガス供給ライン7から80ml/分で二酸化炭素ガスを供給し、供給ライン4から上記で得た反応液(出発物質1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ビス(2−メチル−1−プロピルオキシ)−ジスタンオキサンと反応物質2−メチル−1−プロパノールからなる混合液)を10g/Hrで送液ポンプを用いて供給を開始した。該リアクター内滞留時間は約22分であり、該リアクターの内圧は圧力ゲージで約0.2MPa−Gであった。抜き出しベントライン5からは水を含む低沸点物質がガス状で抜き出され、高沸点成分が抜き出しライン6から流出され始めた。
この状態で4時間連続送液、連続抜き出し運転を続けた。抜き出しライン6から抜き出された液を分析すると、ジブチルスズオキシド基準で収率約97%のジブチル−ビス(2−メチル−1−プロピルオキシ)スズと約3%の1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ビス(2−メチル−1−プロピルオキシ)−ジスタンオキサンからなるジブチルスズアルコキシドを含んでいた。トリブチルスズブチルオキシドは0.02%であった。一方、ベントラインから抜き出されたガス相は冷却すると液状であり、水分を含んでいた。搭型反応器での脱水速度は、0.0038mol/Hrであり、式(16)で求められる値0.00051mol/Hrよりも大きかった。
実施例11
工程−1(出発物質1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ビス(2−メチル−1−プロピルオキシ)−ジスタンオキサンの作成)
容積1Lのなす型フラスコに、ジブチルスズオキシド(米国、アルドリッチ社製、98%)50g(0.2mol)及び2−メチル−1−プロパノール(日本国、和光純薬工業社製、特級)178g(2.4mol)を入れた。白色スラリー状の該混合物を入れたフラスコを、温度調節器のついたオイルバス(日本国、増田理化工業社製、OBH−24)を接続したエバポレーター(日本国、柴田社製、R−144)に取り付けた。
オイルバス温度を118℃に設定し、該フラスコを該オイルバスに浸漬してエバポレーターの回転を開始した。エバポレーターのパージバルブを開放したまま常圧で約2時間回転攪拌と加熱した。その後、該フラスコをオイルバスから上げて放冷した。該フラスコに196gの粘稠な反応液を得た。119Sn,1H,13C−NMRの分析結果から、ジブチルスズオキシド基準で収率76%で1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ビス(2−メチル−1−プロピルオキシ)−ジスタンオキサンを含有していて、ジブチル−ビス(2−メチル−1−プロピルオキシ)スズは含まれていなかった。
工程−2(塔型反応器でジブチルスズジアルコキシドを得る)
図2に示すような塔型反応器1において、ジブチルスズアルコキシドを製造した。反応器上部2に供給ライン4と抜き出しベントライン5、反応器下部3にガス供給ライン7と抜き出しライン6を取り付けた内径15mm、全長1635mm(有効長1450mm)のSUS316製チューブリアクターにヘリパックNo.3(日本国、東京特殊金網株式会社製)を充填し、該チューブリアクターの下部フランジ部分及びフランジから約60mmを150℃に設定したヒーターで温調し、該加熱器上部から該チューブリアクターの上部フランジまでを140℃に設定したヒーターで温調した。
ガス供給ライン7から80ml/分で二酸化炭素ガスを供給し、供給ライン4から上記で得た反応液(出発物質1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ビス(2−メチル−1−プロピルオキシ)−ジスタンオキサンと反応物質2−メチル−1−プロパノールからなる混合液)を10g/Hrで送液ポンプを用いて供給を開始した。該リアクター内滞留時間は約22分であり、該リアクターの内圧は圧力ゲージで約0.2MPa−Gであった。抜き出しベントライン5からは水を含む低沸点物質がガス状で抜き出され、高沸点成分が抜き出しライン6から流出され始めた。
この状態で工程−1で作成した液がなくなるまで連続送液、連続抜き出し運転を続けた。抜き出しライン6から抜き出された液をSUS製1Lの中継タンクにためた。ためられた液を分析すると、ジブチルスズオキシド基準で収率約97%のジブチル−ビス(2−メチル−1−プロピルオキシ)スズと約3%の1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ビス(2−メチル−1−プロピルオキシ)−ジスタンオキサンからなるジブチルスズアルコキシドを含んでいた。トリブチルスズ(2−メチル−1−プロピルオキシド)は0.03%であった。一方、ベントラインから抜き出されたガス相は冷却後、多段蒸留塔で水分を除去し、2−メチル−1−プロパノールを回収した。搭型反応器での脱水速度は、0.0168mol/Hrであり、式(16)で求められる値0.000648mol/Hrよりも大きかった。
工程−3(ジアルキルスズアルコキシドから炭酸エステルを得る)
工程−2で中継タンクにためられた反応液を130℃、約65Paとした薄膜蒸留装置(日本国、柴田科学社製 E−420)に送液ポンプ(日本国、島津製作所社製 LC−10AT)で3g/分でフィードして揮発成分を留去し、非揮発成分を冷却して回収し、回収液約74gを得た。該回収液を200mlオートクレーブ(日本国、東洋高圧社製)に入れて蓋をした。オートクレーブ内部を窒素置換した後、SUSチューブとバルブを介してオートクレーブに接続された二酸化炭素のボンベの2次圧を4MPaに設定した後、バルブを開け、オートクレーブへ二酸化炭素導入した。
10分間攪拌し、バルブを閉め、オートクレーブを攪拌したまま、温度を120℃まで昇温した。この際、オートクレーブ内圧が4MPaとなるように背圧弁で調整した。この状態のまま4時間反応させ、その後、パージラインから二酸化炭素を静かにパージして常圧に戻し、素早くオートクレーブボトムに取り付けられている抜き出しラインから内部の液を抜き出し、透明な反応液が得た。炭酸ジ(2−メチル−プロピル)がジブチルスズオキシド基準で収率40%で得られていた。該透明な反応液を130℃、約65Paとした薄膜蒸留装置(日本国、柴田科学社製 E−420)に送液ポンプ(日本国、島津製作所社製 LC−10AT)で3g/分でフィードして炭酸ジ(2−メチル−プロピル)を含む揮発成分を留去し、非揮発成分を冷却して回収し、回収液約62gを得た。この炭酸ジ(2−メチル−プロピル)を含む揮発成分を冷却した液にはトリブチルスズ(2−メチル−1−プロピルオキシド)は検出されなかった。塩素分析結果から塩素も検出されなかった。
該回収液を119Sn,1H,13C−NMRの分析すると、1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ビス(2−メチル−1−プロピルオキシ)−ジスタンオキサンを含有していて、ジブチル−ビス(2−メチル−1−プロピルオキシ)スズは含まれていなかった。
工程−4(炭酸エステル製造後の回収液を出発物質としてジアルキルスズアルコキシドを
得る)
工程−3で回収した回収液に回収液に含有される1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ビス(2−メチル−1−プロピルオキシ)−ジスタンオキサンなどの有機スズ化合物に含有されているスズ原子のモル数に対して約10倍モルとなるように、反応物質として工程−1で多段蒸留塔で脱水回収された2−メチル−1−プロパノールと不足分は2−メチル−1−プロパノール(和光純薬工業社製、特級)を加えて、出発物質と反応物質の混合液を作製した。工程−2の供給ライン4から供給する液を上記混合液とした他は、工程−2と同様の操作をして該混合液がなくなるまで連続送液、連続抜き出し運転を続けた。
抜き出しライン6から抜き出された液をSUS製1Lの中継タンクにためた。ためられた液を分析すると、ジブチルスズオキシド基準で収率約97%のジブチル−ビス(2−メチル−1−プロピルオキシ)スズと約3%の1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ビス(2−メチル−1−プロピルオキシ)−ジスタンオキサンからなるジブチルスズアルコキシドを含んでいた。一方、ベントラインから抜き出されたガス相は冷却後、多段蒸留塔で水分を除去し、2−メチル−1−プロパノールを回収した。
続いて、工程3と工程4を3回繰り返し、3回目の工程4で得られた中継タンク中の液には工程−1で使用したジブチルスズオキシド基準で収率約95%のジブチル−ビス(2−メチル−1−プロピルオキシ)スズと約2%の1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ビス(2−メチル−1−プロピルオキシ)−ジスタンオキサンからなるジブチルスズアルコキシドを含んでいた。搭型反応器での脱水速度は、式(16)で求められる値よりも大きかった。トリブチルスズ(2−メチル−1−プロピルオキシド)は0.05%であった。
比較例1
(低沸点成分のみを連続的に抜き出す方法)
容積1Lのなす型フラスコに、出発物質ジブチルスズオキシド(米国、アルドリッチ社製、98%)50g(0.2mol)及び反応物質2−メチル−1−プロパノール(日本国、和光純薬工業社製、特級)178g(2.4mol)を入れた。白色スラリー状の該混合物を入れたフラスコを、温度調節器のついたオイルバス(日本国、増田理化工業社製、OBH−24)を接続したエバポレーター(日本国、柴田社製、R−144)に取り付けた。オイルバス温度を118℃に設定し、該フラスコを該オイルバスに浸漬してエバポレーターの回転を開始した。エバポレーターのパージバルブを開放したまま常圧で約8時間回転攪拌と加熱した。その後、該フラスコをオイルバスから上げて放冷した。該フラスコに139gの粘稠な反応液を得た。119Sn,H,13C−NMRの分析結果から、ジブチルスズオキシド基準で収率78%で1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ビス(2−メチル−1−プロピルオキシ)−ジスタンオキサンを含有していて、ジブチル−ビス(2−メチル−1−プロピルオキシ)スズは含まれていなかった。
比較例2
(低沸点成分のみを連続的に抜き出す方法)
冷却管とディーンスターク型水分受器を備えた1Lなす形フラスコに、出発物質ジブチルスズオキシド(米国、アルドリッチ社製)25g(0.1mol)と反応物質2−エチル−1−ヘキサノール(米国、アルドリッチ社製、脱水99.6%)390g(3.0mol)トルエン300ml(日本国、和光純薬工業社製 特級)を加えた。攪拌子で攪拌しながら120℃に保温されたオイルバスで12時間加熱環流した。ディーンスターク型水分受器には約0.8mlの水が得られ、フラスコ内にはジブチル酸化スズ基準で収率約95%の1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ビス(2−エチル−ヘキシルオキシ)−ジスタンオキサンが得られ、ジブチル−ビス(2−エチル−ヘキシルオキシ)スズは得られていなかった。
比較例3
(出発物質1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ビス(2−メチル−1−プロピルオキシ)−ジスタンオキサンの作成)
比較例1の方法で、ジブチルスズオキシドと2−メチル−1−プロパノールからジブチルスズオキシド基準で78%の出発物質1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ビス(2−メチル−1−プロピルオキシ)−ジスタンオキサンを含有する液を139g得た。
(槽型反応器で低沸点生成物のみを連続的に抜き出す)
上記液を温調装置、攪拌装置、窒素ライン、パージラインを備えた500mlのSUS製オートクレーブ(日本国、東洋高圧社製)に入れ、反応物質2−メチル−1−プロパノール(日本国、和光純薬工業社製、特級)74g(1mol)を加えて蓋をした。オートクレーブ内部を窒素置換した後攪拌を開始し、パージラインをあけたまま設定温度を125℃として加熱攪拌おこなった。温度上昇に伴って発生する気体成分をパージラインから2時間かけて留去した。低沸点成分の留出がほとんど止まったのを確認して、オートクレーブを放冷した。オートクレーブ内部の反応液を119Sn,H,13C−NMRの分析すると、ジブチルスズオキシドと2−メチル−1−プロパノールからジブチルスズオキシド基準で79%の1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ビス(2−メチル−1−プロピルオキシ)−ジスタンオキサンを含有し、1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ビス(2−エチル−ヘキシルオキシ)−ジスタンオキサンは得られていなかった。
比較例4
(低沸点成分のみを連続的に抜き出す方法)
冷却管とディーンスターク型水分受器とサンプリング口を備えた容量1Lの2口フラスコに、出発物質ジブチルスズオキシド(米国、アルドリッチ社製)129g(0.5mol)と反応物質2−エチル−1−ブタノール(米国、アルドリッチ社製、98%)510g(5.0mol)を加える。攪拌子で攪拌しながら160℃に保温されたオイルバスで6時間加熱蒸留し、生成する水を2−エチル−1−ブタノールと共に留去しながら反応させた。冷却後フラスコ内にはジブチルスズオキシド基準で収率約8%のジブチル−ビス(2−エチル−ブチルオキシ)スズが得られ、1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ビス(2−エチル−ブチルオキシ)−ジスタンオキサンは80%。トリブチルスズ(2−エチル−ブチルオキシド)は6%含まれていた。反応器での脱水速度は、0.045mol/Hrであり、式(16)で求められる値0.273mol/Hrよりも小さかった。
比較例5
(低沸点成分のみを連続的に取り出す方法で、高温で反応させる方法)
リービッヒ冷却管とサンプリング口を備えた容量1Lの2口フラスコに、出発物質ジブチルスズオキシド(米国、アルドリッチ社製)129g(0.5mol)と反応物質2−エチル−1−ヘキサノール(米国、アルドリッチ社製、脱水99.6%)651g(5.0mol)を加える。攪拌子で攪拌しながら190℃に保温されたオイルバスで2時間加熱蒸留し、生成する水を2−エチル−1−ヘキサノールと共に留去しながら反応させた。冷却後フラスコ内にはジブチルスズオキシド基準で収率約40%のジブチル−ビス(2−エチル−ヘキシルオキシ)スズが得られ、1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ビス(2−エチル−ヘキシルオキシ)−ジスタンオキサンは1%であった。トリブチルスズ(2−エチル−ヘキシルオキシド)は29%含まれていた。反応器での脱水速度は、0.175mol/Hrであり、式(16)で求められる値3.44mol/Hrよりも小さかった。
比較例6
(トリブチルスズ化合物及び塩素含有化合物を含むジブチルスズアルコキシドによる炭酸エステル合成)
三方コックを備えた100mLなすフラスコに0.3L/分の窒素ガスを流し、ジブチルスズジブトキシド(アズマックス社製、トリブチルスズ化合物含有量1.5mol%、塩素原子含有量7600ppm)23.80g(0.063mol)及び3−メチル−1−ブタノール(米国、アルドリッチ社製、脱水99+%)26.44g(0.30mol)をガスタイト型シリンジ(Hamilton社製、1050TLL)によって仕込んだ後、該フラスコを振り液体を均一に混ぜた。混合液を、バルブを備えた150mLのSUS316L製圧力容器(Swagelok社製、316L−50DF4−150)にシリンジによって移し、バルブを閉め容器を密閉した。磁気誘導式攪拌機、マントル型ヒーター、温度計、圧力計、2つのガスパージバルブ及び液体サンプリングバルブを備えた容積200mlの高圧容器(東洋高圧社製、FCシリーズオートクレーブシステム)に、減圧弁を備えた窒素ボンベとSUS316製チューブによって接続した。窒素ボンベの圧力を減圧弁によって0.5MPaに設定し、該高圧容器のガスパージバルブを開き容器内の圧力が0.5MPaになるまで窒素を導入した。別のガスパージバルブを開き容器の圧力を常圧に戻した。この操作を3回繰り返し容器内の窒素置換を行った。混合液の入った該圧力容器の重量を測り、該高圧容器の液体サンプリングバルブに接続した後、圧力容器を窒素によって0.5MPa昇圧した。液体サンプリングバルブを徐々に開き、混合液を高圧容器に導入した。圧力容器の重量変化から高圧容器に仕込んだ混合液量を求めた。オートクレーブの加熱を開始し、攪拌機を回転数450rpmで運転し、混合液を120℃に加熱した後、減圧弁を備えた炭酸ガスボンベ(昭和炭酸社製、純度99.99vol%)を高圧容器のガスパージバルブに接続した。炭酸ガスボンベの2次圧を減圧弁によって4.5MPaに設定し、ガスパージバルブを開き、炭酸ガスを高圧容器の導入し、圧力を4.0MPaに調整した。加熱及び攪拌を2時間行った後、ヒーターを容器から取り外し、容器内温度が常温になるまで放冷した。その後、ガスパージバルブを開き、容器内圧力が0.05MPaになるまで炭酸ガスを除いた。液体サンプリングバルブに三方コックを備えた100mL三口フラスコにテフロン(登録商標)チューブによって接続し、該バルブを開き混合液をフラスコに移した。フラスコの重量測定より採取した混合液量を求めたところ、22.07gであった。次いで、該フラスコに枝管付連結管、温度計、リービッヒ冷却器、減圧連結管及び2つの蒸留液回収容器に接続した。該フラスコをオイルバスに浸漬し、混合液温度120℃に昇温した後、真空ポンプと真空コントローラーによって約32kPaに徐々に減圧し約1.5時間保持し、蒸気温度96℃の留分1を11.51g得た。次いで、系内をさらに0.15〜0.06kPaに減圧し約1時間保持し、蒸気温度64〜80℃の留分2を2.30g得た。留分2についてGC−FID分析を行った結果、炭酸ジ−3−メチルブチルが0.20g含まれており、さらに塩素分析を行った結果、塩素原子含有量が70ppmであり、119Sn−NMRの分析結果から、トリブチルスズ化合物が0.7wt%であった。
比較例7
(多量にトリブチルスズ化合物を含有するジブチルスズアルコキシドによる炭酸エステル合成)
ジブチルスズジメトキシド(米国、アルドリッチ社製、トリブチルスズ化合物3.5mol%含有)を23.56g(0.079mol)及び3−メチル−1−ブタノール(米国、アルドリッチ社製、脱水99+%)33.06g(0.38mol)を比較例6と同様な方法によって高圧容器に仕込み、同様に加熱及び攪拌を行った。その後、同様に混合液温度を下げ、炭酸ガスを除いた後、混合液を37.51g三方コックを備えた100mL三口フラスコに採取した。次いで、該フラスコに枝管付連結管、温度計、リービッヒ冷却器、減圧連結管及び2つの蒸留液回収容器に接続した。該フラスコをオイルバスに浸漬し、混合液温度120℃に昇温した後、真空ポンプと真空コントローラーによって97〜13kPaに徐々に減圧し約1.5時間保持し、蒸気温度54〜98℃の留分1を16.85g得た。次いで、系内をさらに0.06〜0.2kPaに減圧し約1時間保持し、蒸気温度79〜81℃の留分2を1.71g得た。留分2についてGC−FID分析を行った結果、炭酸ジ−3−メチルブチルが1.61g含まれており、さらに119Sn−NMR分析を行った結果、該炭酸エステルに含まれているトリブチルスズ化合物が1.2wt%混入したことを確認した。
実施例12
(出発物質1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ジ(ブチルオキシ)−ジスタンオ
キサンの作成)
容積2000mLのなす型フラスコに、ジブチルスズオキシド(米国、アルドリッチ社製)542g(2.18mol)及び1−ブタノール(日本国、和光社製)1400g(18.9mol)を入れた。白色スラリー状の該混合物を入れたフラスコを、温度調節器のついたオイルバス(日本国、増田理化工業社製、OBH−24)と真空ポンプ(日本国、ULVAC社製、G−50A)と真空コントローラー(日本国、岡野製作所社製、VC−10S)を接続したエバポレーター(日本国、柴田社製、R−144)に取り付けた。エバポレーターのパージバルブ出口は常圧で流れている窒素ガスのラインと接続した。エバポレーターのパージバルブを閉め、系内の減圧を行った後、パージバルブを徐々に開き、系内に窒素を流し、常圧に戻した。オイルバス温度を126℃に設定し、該フラスコを該オイルバスに浸漬してエバポレーターの回転を開始した。エバポレーターのパージバルブを開放したまま常圧で約30分間回転攪拌と加熱した後、混合液が沸騰し、低沸成分の蒸留が始まった。この状態を6時間保った後、パージバルブを閉め、系内を徐々に減圧し、系内の圧力が76〜54kPaの状態で残存低沸成分を蒸留した。低沸成分が出なくなった後、該フラスコをオイルバスからあげた。反応液は透明な液になっていた。留去した液は1255gであり、透明で、2層に分離していた。留去した液を分析したところ約19.6gの水を含んでいた。その後、該フラスコをオイルバスからあげてパージバルブを徐々に開き系内の圧力を常圧に戻した。該フラスコには反応液686gを得た。119Sn,1H,13C−NMRの分析結果から、生成物1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ジ(ブチルオキシ)−ジスタンオキサンがジブチルスズオキシド基準で収率99%を得た。同様な操作を6回繰り返し、1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ジ(ブチルオキシ)−ジスタンオキサンを合計4120g得た。
(塔型反応器でジブチルスズジアルコキシドを得る)
図4に示すような塔型反応器31において、ジブチルスズアルコキシドを製造した。反応器上部32に供給ライン26と供給ライン27、熱交換器28、低沸成分回収ライン34、凝縮器35、気液分離器36、背圧弁37、ベントライン38、液相回収ライン39、反応器下部33にガス供給ライン29、熱交換器30と抜き出しライン40を取り付けた内径50mm、全長4000mmのSUS316製の塔型反応器31にGOODROLL Type A(日本国、東京特殊金網株式会社)を充填した。該反応器を140℃に設定したヒーターで温調した。
ガス供給ライン29から1−ブタノール(日本国、和光純薬工業株式会社製、工業用品)を399g/Hrで、及び二酸化炭素を3NL/Hrで供給し、熱交換器30によって全ての1−ブタノールを気化させ、反応器下部33に供給した。供給ライン26から出発物質1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ジ(ブチルオキシ)−ジスタンオキサンを210g/Hrで、供給ライン27から反応物質1−ブタノール(日本国、和光純薬工業株式会社製、工業用品)を951g/Hrで送液ポンプを用いて供給を開始した。該反応器内滞留時間は約30分であった。反応器内の液温度が140℃で背圧弁37の圧力が0.096MPa−Gになるように調整し、この状態で約10時間連続供給した後、系内が定常状態に達した。反応器上部32から低沸成分回収ラインを経て凝縮器35において液化させた後、液相回収ライン39から低沸成分を753g/Hrで回収し、一方で、反応器下部33からジブチルスズアルコキシドを含む成分を807g/Hrで抜き出しライン40から回収された。回収された液を分析すると、ジブチルスズオキシド基準で収率41.3%のジブチル−ジ(ブチルオキシ)スズと58.7%の1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ジ(ブチルオキシ)−ジスタンオキサンからなるジブチルスズアルコキシドを含んでいた。トリブチルスズブトキシドは0.04%であった。一方、液相回収ライン39から回収された液は透明であり、2500ppmの水分を含んでいた。搭型反応器での脱水速度は、0.144mol/Hrであり、式(16)で求められる値0.0015mol/Hrよりも大きかった。
実施例13
(塔型反応器でジブチルスズジアルコキシドを得る)
図4に示すような塔型反応器31において、ジブチルスズアルコキシドを製造した。反応器上部32に供給ライン26と供給ライン27、熱交換器28、低沸成分回収ライン34、凝縮器35、気液分離器36、背圧弁37、ベントライン38、液相回収ライン39、反応器下部33にガス供給ライン29、熱交換器30と抜き出しライン40を取り付けた内径50mm、全長4000mmのSUS316製塔型反応器31にMETAL GAUZE CY(スイス国、Sulzer Chemtech Ltd社製)を充填した。該反応器を140℃に設定したヒーターで温調した。
ガス供給ライン29から1ブタノール(日本国、和光純薬工業株式会社製、工業用品)を566g/Hrで、及びCOを3NL/Hrで供給し、熱交換器30によって全ての1−ブタノールを気化させ、反応器下部33に供給した。供給ライン26から実施例12と同じ方法で作製した出発物質1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ジ(ブチルオキシ)−ジスタンオキサンを280g/Hrで、供給ライン27から反応物質1−ブタノール(日本国、和光純薬工業株式会社製、工業用品)を1330g/Hrで送液ポンプを用いて供給を開始した。該反応器内滞留時間は約13分であった。反応器内の液温度が140℃で背圧弁37の圧力が0.096MPa−Gになるように調整し、この状態で約10時間連続供給した後、系内が定常状態に達した。反応器上部32から低沸成分回収ラインを経て凝縮器35において液化させた後、液相回収ライン39から低沸成分を1006g/Hrで回収し、一方で、反応器下部33からジブチルスズアルコキシドを含む成分を抜き出しライン40から1170g/Hrで回収された。生成物抜き出しライン40から回収された液を分析すると、ジブチルスズオキシド基準で収率37.5%のジブチル−ジ(ブチルオキシ)スズと62.4%の1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ジ(ブチルオキシ)−ジスタンオキサンからなるジブチルスズアルコキシドを含んでいた。トリブチルスズブトキシドは0.022%であった。一方、液相回収ライン39から回収された液は透明であり、2200ppmの水分を含んでいた。搭型反応器での脱水速度は、0.39mol/Hrであり、式(16)で求められる値0.0015mol/Hrよりも大きかった。
実施例14
(塔型反応器でジブチルスズジアルコキシドを得る)
図5に示すような塔型反応器46において、ジブチルスズアルコキシドを製造した。反応器上部47に供給ライン41と供給ライン42、熱交換器43、低沸成分回収ライン49、凝縮器50、低沸成分貯蔵槽51、背圧弁52、ベントライン53、液相回収ライン54、反応器下部48に反応器下部に滞留する反応液を循環する循環ライン44、リボイラー45と抜き出しライン55を内径50mm、全長3500mmのSUS316製ダウンカマー付きシーブトレーを塔型反応器46に取り付けた。各シーブトレーは約9gのホールドアップ量を有し、50mmの間隔で設置した。該塔型反応器を140℃に設定したヒーターで温調した。
供給ライン41から実施例12と同じ方法で作製した出発物質1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ジ(ブチルオキシ)−ジスタンオキサンを280g/Hrで、供給ライン42から反応物質1−ブタノール(日本国、和光純薬工業株式会社製、工業用品)を1400g/Hrで送液ポンプを用いて供給を開始した。該反応器内滞留時間は約24分であった。反応器下部に滞留する反応液は循環ライン44とリボイラー45によって6000g/Hrで、温度が約140℃で循環加熱した。反応器内の液温度が140℃で背圧弁52の圧力が0.096MPa−Gになるように調整し、この状態で約10時間連続供給した後、系内が定常状態に達した。反応器上部47から低沸成分回収ライン49を経て凝縮器50において液化させた後、液相回収ライン54から低沸成分を1010g/Hrで回収し、一方で、反応器下部48からジブチルスズアルコキシドを含む成分を670g/Hrで抜き出しライン55から回収された。回収された液を分析すると、ジブチルスズオキシド基準で収率44.4%のジブチル−ジ(ブチルオキシ)スズと55.0%の1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ジ(ブチルオキシ)−ジスタンオキサンからなるジブチルスズアルコキシドを含んでいた。トリブチルスズブトキシドは0.05%であった。一方、液相回収ライン54から回収された液は透明であり、2300ppmの水分を含んでいた。搭型反応器での脱水速度は、0.20mol/Hrであり、式(16)で求められる値0.0015mol/Hrよりも大きかった。
実施例15
(塔型反応器でジブチルスズジアルコキシドを得る)
図5に示すような塔型反応器46において、ジブチルスズアルコキシドを製造した。反応器上部47に供給ライン41と供給ライン42、熱交換器43、低沸成分回収ライン49、凝縮器50、低沸成分貯蔵槽51、背圧弁52、ベントライン53、液相回収ライン54、反応器下部48に反応器下部に滞留する反応液を循環する循環ライン44、リボイラー45と抜き出しライン55を取り付けた内径50mm、全長4000mmのSUS316製の塔型反応器46にMELLAPAK 750Y(スイス国、Sulzer Chemtech Ltd社製)を充填した。該塔型反応器を140℃に設定したヒーターで温調した。
供給ライン41から実施例12と同じ方法で作製した出発物質1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ジ(ブチルオキシ)−ジスタンオキサンを280g/Hrで、供給ライン42から反応物質1−ブタノール(日本国、和光純薬工業株式会社製、工業用品)を1330g/Hrで送液ポンプを用いて供給を開始した。該反応器内滞留時間は約13分であった。反応器下部に滞留する反応液は循環ライン44とリボイラー45によって6000g/Hrで、温度が約140℃で循環加熱した。反応器内の液温度が140℃で背圧弁52の圧力が0.096MPa−Gになるように調整し、この状態で約10時間連続供給した後、系内が定常状態に達した。反応器上部47から低沸成分回収ライン49を経て凝縮器50において液化させた後、液相回収ライン54から低沸成分を1006g/Hrで回収し、一方で、反応器下部48からジブチルスズアルコキシドを含む成分を604g/Hrで抜き出しライン55から回収された。抜き出しライン55から回収された液を分析すると、ジブチルスズオキシド基準で収率46.3%のジブチル−ジ(ブチルオキシ)スズと53.6%の1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ジ(ブチルオキシ)−ジスタンオキサンからなるジブチルスズアルコキシドを含んでいた。トリブチルスズブトキシドは0.022%であった。一方、液相回収ライン54から回収された液は透明であり、2200ppmの水分を含んでいた。搭型反応器での脱水速度は、0.21mol/Hrであり、式(16)で求められる値0.00081mol/Hrよりも大きかった。
実施例16
(塔型反応器でジブチルスズジアルコキシドを得る)
図6に示すような塔型反応器61において、ジブチルスズアルコキシドを製造した。反応器上部63に供給ライン56と供給ライン57、熱交換器58、低沸成分回収ライン65、凝縮器66、低沸成分貯蔵槽67、背圧弁68、ベントライン69、液相回収ライン70、そして反応器中部62に低沸成分回収ライン71と凝縮器72、低沸成分貯蔵槽73、ガスライン74、液相回収ライン75、そして反応器下部64に反応器下部に滞留する反応液を循環する循環ライン59、リボイラー60と抜き出しライン76を取り付けた内径50mm、全長4000mmのSUS316製の塔型反応器61にMELLAPAK 750Y(スイス国、Sulzer Chemtech Ltd社製)を充填した。該塔型反応器を140℃に設定したヒーターで温調した。
供給ライン56から実施例12と同じ方法で作製した出発物質1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ジ(ブチルオキシ)−ジスタンオキサンを280g/Hrで、供給ライン57から反応物質1−ブタノール(日本国、和光純薬工業株式会社製、工業用品)を1332g/Hrで送液ポンプを用いて供給を開始した。該反応器内滞留時間は約13分であった。反応器下部に滞留する反応液は循環ライン59とリボイラー60によって6000g/Hrで、温度が約140℃で循環加熱した。反応器内の液温度が140℃で背圧弁68の圧力が0.096MPa−Gになるように調整し、この状態で約10時間連続供給した後、系内が定常状態に達した。反応器上部63から低沸成分回収ライン65を経て凝縮器66において液化させた後、液相回収ライン70から低沸成分を512g/Hr、また反応器中部62から低沸成分回収ライン75を経て低沸成分496g/Hrで回収された。一方で、反応器下部64からジブチルスズアルコキシドを含む成分を603g/Hrで抜き出しライン76から回収された。抜き出しライン76から回収された液を分析すると、ジブチルスズオキシド基準で収率47.5%のジブチル−ジ(ブチルオキシ)スズと52.4%の1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ジ(ブチルオキシ)−ジスタンオキサンからなるジブチルスズアルコキシドを含んでいた。トリブチルスズブトキシドは0.021%であった。一方、液相回収ライン70と75から回収された液は透明であり、2200ppmの水分を含んでいた。搭型反応器での脱水速度は、0.21mol/Hrであり、式(16)で求められる値0.00081mol/Hrよりも大きかった。
実施例17
(塔型反応器でジブチルスズジアルコキシドを得る)
図7に示すような塔型反応器82において、ジブチルスズアルコキシドを製造した。反応器上部84に低沸成分回収ライン86、凝縮器87、低沸成分貯蔵槽88、背圧弁89、ベントライン90、液相回収ライン91、そして反応器中部83に供給ライン77と供給ライン78、熱交換器79、そして反応器下部85に反応器下部に滞留する反応液を循環する循環ライン80、リボイラー81と抜き出しライン92を取り付けた内径50mm、全長4000mmのSUS316製の塔型反応器82にMELLAPAK 750Y(スイス国、Sulzer Chemtech Ltd社製)を充填した。該塔型反応器を140℃に設定したヒーターで温調した。
供給ライン77から実施例12と同じ方法で作製した出発物質1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ジ(ブチルオキシ)−ジスタンオキサンを280g/Hrで、供給ライン78から反応物質1−ブタノール(日本国、和光純薬工業株式会社製、工業用品)を1330g/Hrで送液ポンプを用いて供給を開始した。該反応器内滞留時間は約6分であった。反応器下部に滞留する反応液は循環ライン80とリボイラー81によって6000g/Hrで、温度が約140℃で循環加熱した。反応器内の液温度が140℃で背圧弁89の圧力が0.096MPa−Gになるように調整し、この状態で約10時間連続供給した後、系内が定常状態に達した。反応器上部84から低沸成分回収ライン86を経て凝縮器87において液化させた後、液相回収ライン91から低沸成分を1031g/Hrで回収し、一方で、反応器下部85からジブチルスズアルコキシドを含む成分を抜き出しライン92から602g/Hrで回収された。回収された液を分析すると、ジブチルスズオキシド基準で収率47.0%のジブチル−ジ(ブチルオキシ)スズと52.9%の1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ジ(ブチルオキシ)−ジスタンオキサンからなるジブチルスズアルコキシドを含んでいた。トリブチルスズブトキシドは0.012%であった。一方、液相回収ライン91から回収された液は透明であり、2200ppmの水分を含んでいた。搭型反応器での脱水速度は、0.21mol/Hrであり、式(16)で求められる値0.00037mol/Hrよりも大きかった。
実施例18
(塔型反応器でジブチルスズジアルコキシドを得る)
図8に示すような塔型反応器99において、ジブチルスズアルコキシドを製造した。反応器上部101に低沸成分回収ライン103、凝縮器104、低沸成分貯蔵槽105、背圧弁106、ベントライン107、液相回収ライン108、そして反応器中部100に供給ライン93と供給ライン94、熱交換器95、そして反応器下部102に反応器下部に有機溶媒供給ライン96、滞留する反応液を循環する循環ライン97、リボイラー98と抜き出しライン109を取り付けた内径50mm、全長4000mmのSUS316製の塔型反応器99にMELLAPAK 750Y(スイス国、Sulzer Chemtech Ltd社製)を充填した。該塔型反応器を140℃に設定したヒーターで温調した。
供給ライン93から実施例12と同じ方法で作製した出発物質1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ジ(ブチルオキシ)−ジスタンオキサンを280g/Hrで、供給ライン94から反応物質1−ブタノール(日本国、和光純薬工業株式会社製、工業用品)を1330g/Hrで送液ポンプを用いて供給を開始した。該反応器内滞留時間は約6分であった。反応器下部102に有機溶媒供給ライン96からヘキサン(日本国、和光純薬工業株式会社製、脱水グレード)を300g/Hrで送液ポンプを用いて供給し、滞留する反応液は循環ライン97とリボイラー98によって6000g/Hrで、温度が約140℃で循環加熱した。反応器内の液温度が140℃で背圧弁106の圧力が0.12MPa−Gになるように調整し、この状態で約10時間連続供給した後、系内が定常状態に達した。反応器上部101から低沸成分回収ライン103を経て凝縮器104において液化させた後、液相回収ライン108から低沸成分を1088g/Hrで回収し、一方で、反応器下部102からジブチルスズアルコキシドを含む成分を抜き出しライン109から821g/Hrで回収された。抜き出しライン109から回収された液を分析すると、ジブチルスズオキシド基準で収率54.0%のジブチル−ジ(ブチルオキシ)スズと46.0%の1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ジ(ブチルオキシ)−ジスタンオキサンからなるジブチルスズアルコキシドを含んでいた。トリブチルスズブトキシドは0.013%であった。一方、液相回収ライン108から回収された液は透明であり、2500ppmの水分を含んでいた。搭型反応器での脱水速度は、0.24mol/Hrであり、式(16)で求められる値0.00037mol/Hrよりも大きかった。
実施例19
(横型薄膜蒸留装置でジブチルスズジアルコキシドを得る)
図9に示すような横型薄膜蒸留装置113(日本国、日南機械社製、PFD1)において、ジブチルスズアルコキシドを製造した。反応器上部114に供給ライン110と供給ライン111、熱交換器112、低沸成分回収ライン116、凝縮器117、低沸成分貯蔵槽118、ベントライン119、液相回収ライン120、反応器下部115に抜き出しライン121を内径50mm、全長1100mmのSUS316製横型薄膜装置113に取り付けた。該反応器を120℃に設定したヒーターで温調した。
供給ライン110から実施例12と同じ方法で作製した出発物質1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ジ(ブチルオキシ)−ジスタンオキサンを4600g/Hrで、アルコール供給ライン111から反応物質1−ブタノール(日本国、和光純薬工業株式会社製、工業用品)を22000g/Hrで送液ポンプを用いて供給を開始した。該反応器内滞留時間は約6分であった。反応器内の液温度が120℃になるように調整し、この状態で約2時間連続供給した後、系内が定常状態に達した。低沸成分回収ライン116を経て凝縮器117において液化させた後、液相回収ライン120から低沸成分を18000/Hrで回収し、一方で、反応器下部115からジブチルスズアルコキシドを含む成分を抜き出しライン121から8600g/Hrで回収された。回収された液を分析すると、ジブチルスズオキシド基準で収率34.2%のジブチル−ジ(ブチルオキシ)スズと65.7%の1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ジ(ブチルオキシ)−ジスタンオキサンからなるジブチルスズアルコキシドを含んでいた。トリブチルスズブトキシドは0.015%であった。一方、液相回収ライン120から回収された液は透明であり、2000ppmの水分を含んでいた。搭型反応器での脱水速度は、2.5mol/Hrであり、式(16)で求められる値0.0061mol/Hrよりも大きかった。
実施例20
工程−1(出発物質1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ジ(ブチルオキシ)−ジスタンオキサンの作成)
容積3000mLのなす型フラスコに、ジブチルスズオキシド(米国、アルドリッチ社製)759g(3.05mol)及び1−ブタノール(日本国、和光社製)1960g(26.5mol)を入れた。白色スラリー状の該混合物を入れたフラスコを、温度調節器のついたオイルバス(日本国、増田理化工業社製、OBH−24)と真空ポンプ(日本国、ULVAC社製、G−50A)と真空コントローラー(日本国、岡野製作所社製、VC−10S)を接続したエバポレーター(日本国、柴田社製、R−144)に取り付けた。エバポレーターのパージバルブ出口は常圧で流れている窒素ガスのラインと接続した。エバポレーターのパージバルブを閉め、系内の減圧を行った後、パージバルブを徐々に開き、系内に窒素を流し、常圧に戻した。オイルバス温度を127℃に設定し、該フラスコを該オイルバスに浸漬してエバポレーターの回転を開始した。エバポレーターのパージバルブを開放したまま常圧で約40分間回転攪拌と加熱した後、混合液が沸騰し、低沸成分の蒸留が始まった。この状態を7時間保った後、パージバルブを閉め、系内を徐々に減圧し、系内の圧力が76〜54kPaの状態で残存低沸成分を蒸留した。低沸成分が出なくなった後、該フラスコをオイルバスからあげた。反応液は透明な液になっていた。留去した液は1737gであり、透明で、2層に分離していた。留去した液を分析したところ約27.6gの水を含んでいた。その後、該フラスコをオイルバスからあげてパージバルブを徐々に開き系内の圧力を常圧に戻した。該フラスコには反応液958gを得た。119Sn,1H,13C−NMRの分析結果から、生成物1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ジ(ブチルオキシ)−ジスタンオキサンがジブチルスズオキシド基準で収率99%を得た。同様な操作を6回繰り返し、1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ジ(ブチルオキシ)−ジスタンオキサンを合計5748gを得た。
工程−2(塔型反応器でジブチルスズジアルコキシドを得る)
図4に示すような塔型反応器において、ジブチルスズアルコキシドを製造した。反応器上部32に供給ライン26と供給ライン27、熱交換器28、低沸成分回収ライン34、凝縮器35、低沸成分貯蔵槽36、背圧弁37、ベントライン38、液相回収ライン39、反応器下部33にガス供給ライン29、熱交換器30と抜き出しライン40を取り付けた内径50mm、全長4000mmのSUS316製の塔型反応器31にGOODROLL Type A(日本国、東京特殊金網株式会社製)を充填した。該反応器を140℃に設定したヒーターで温調した。ガス供給ライン29から1−ブタノール(日本国、和光純薬工業株式会社製、工業用品)を399g/Hrで、及び二酸化炭素を3NL/Hrで供給し、熱交換器30によって全ての1−ブタノールを気化させ、反応器下部33に供給した。供給ライン26から出発物質1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ジ(ブチルオキシ)−ジスタンオキサンを210g/Hrで、供給ライン27から反応物質1−ブタノール(日本国、和光純薬工業株式会社製、工業用品)を951g/Hrで送液ポンプを用いて供給を開始した。該反応器内滞留時間は約30分であった。
工程−3(ジアルキルスズアルコキシドから炭酸エステルを得る)
工程−2から得た反応液を80℃、約6.5kPaとした薄膜蒸留装置(日本国、神鋼環境ソリューション社製)に送液ポンプを用いて807g/Hrで供給して揮発成分を留去し、非揮発成分を冷却して回収し、241g/Hrで990mlオートクレーブ(日本国、東洋高圧社製)に供給した。SUSチューブとバルブを介してオートクレーブに接続された二酸化炭素のボンベの2次圧を4MPaに設定した後、バルブを開け、マスフローコントローラー(日本国、オーバル社製)を用いてオートクレーブへ二酸化炭素を28g/Hrで供給した。温度を120℃まで昇温した。オートクレーブにおける滞留時間は約1時間であった。二酸化炭素と反応した液をバルブを介して除炭槽に移送し常圧に戻した後、反応液を130℃、約1.3kPaとした薄膜蒸留装置(日本国、神鋼環境ソリューション社製)に送液ポンプを用いて267g/Hrで供給して炭酸ジブチルを含む揮発成分を留去し、非揮発成分を冷却して回収した。この炭酸ジブチルを含む揮発成分をディクソンパッキング(6mmφ)を充填した内径50mm塔長2000mmの連続多段蒸留塔の中段に約202g/Hrで供給して、蒸留分離を行った。冷却した液には1−ブタノール及び炭酸ジブチルの混合物であり、炭酸ジブチルは98wt%であった。この混合液にトリブチルスズブチルオキシは検出されなかった。塩素分析結果から塩素も検出されなかった。一方、非揮発成分を119Sn,1H,13C−NMRの分析すると、1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ジ(ブチルオキシ)−ジスタンオキサンを含有していて、ジブチル−ジ(ブチルオキシ)スズは含まれていなかった。
工程−3で回収した非揮発成分に含有される1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ジ(ブチルオキシ)−ジスタンオキサンを送液ポンプを用いて塔型反応器31に戻し、工程−2を繰り返した。
工程−2の反応器内の液温度が140℃で背圧弁37の圧力が0.096MPa−Gになるように調整し、この状態で約10時間連続供給した後、系内が定常状態に達した。反応器上部32から低沸成分回収ライン34を経て凝縮器35において液化させた後、液相回収ライン39から低沸成分を753g/Hrで回収し、一方で、反応器下部33からジブチルスズアルコキシドを含む成分を抜き出しライン40から807g/Hrで回収された。回収された液を分析すると、ジブチルスズオキシド基準で収率41.3%のジブチル−ジ(ブチルオキシ)スズと58.7%の1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ジ(ブチルオキシ)−ジスタンオキサンからなるジブチルスズアルコキシドを含んでいた。トリブチルスズブトキシドは0.04%であった。一方、液相回収ライン39から回収された液は透明であり、2500ppmの水分を含んでいた。搭型反応器での脱水速度は、0.144mol/Hrであり、式(16)で求められる値0.0015mol/Hrよりも大きかった。また工程−3から得た炭酸ジブチルの収率は約30g/Hrであった。得られた炭酸ジブチルには塩素化合物及びトリブチル化合物が含まれなかった。
実施例21
(実施例20製造方法で得られた炭酸ジブチルから炭酸ジフェニルを製造する)
(触媒の調製)
フェノール80gと一酸化鉛32gを180℃で12時間加熱し、生成する水をフェノールと共に留去することにより触媒Aを調製した。
(炭酸ブチルフェニルの製造)
図10に示すような装置で実施例20から得た炭酸ジブチルを用いて炭酸ブチルフェニルを製造する。段数40のシーブトレーを充填した内径約50mm塔長2000mmの連続多段蒸留塔124の中段に炭酸ジブチルとフェノール及び触媒Aからなる混合液(混合液中の炭酸ジブチルとフェノールの重量比が65/35、Pb濃度が約1wt%となるように調整した)を、熱交換器123を経て供給ライン122から送液ポンプを用いて約270g/Hで連続的に供給して、反応を行った。反応及び蒸留に必要な熱量は塔下部液を循環ライン131とリボイラー130を経て循環加熱させることにより供給した。連続多段蒸留塔124の塔底部の液温度は231℃、塔頂圧力は背圧弁128によって約200kPaに調整し、還流比は約2とした。連続多段蒸留塔124の塔頂から留出する低沸成分は低沸成分回収ライン125を経て凝縮器126で凝縮した後、低沸成分貯蔵槽127を経てライン129より約67g/Hrで連続的に抜き出した。塔底からは高沸成分回収ライン131を経て抜き出しライン132へ約203g/Hrで連続的に抜き出した。液相回収ライン129から抜き出された液の組成は1−ブタノール約27wt%、フェノール約72wt%、炭酸ジブチル約1wt%であった。抜き出しライン132の液の組成は、1−ブタノール330ppm、フェノール約11wt%、炭酸ジブチル約65wt%、炭酸ブチルフェニル約21%、炭酸ジフェニル約1wt%、Pb濃度約1wt%であった。
(炭酸ブチルフェニルの不均化反応から炭酸ジフェニルを製造する)
図11に示すような装置で炭酸ジフェニルを製造する。段数40のシーブトレーを充填した内径約5cm塔長2mの連続多段蒸留塔135の中段に炭酸ブチルフェニルを余熱器134を経て供給ライン133から送液ポンプを用いて約203g/Hrで連続的に供給して、反応を行った。反応及び蒸留に必要な熱量は塔下部液を循環ライン142とリボイラー141を経て循環加熱させることにより供給した。連続多段蒸留塔135の塔底部の液温度は237℃、塔頂圧力は圧力調整弁139によって約27kPaに調整し、還流比は約2とした。連続多段蒸留塔135の塔頂から留出する低沸成分は低沸成分回収ライン136を経て、凝縮器137で凝縮した後、低沸成分貯蔵槽138を経てライン140より約172g/Hrで連続的に抜き出した。塔底からは抜き出しライン143を経て約31g/Hrで連続的に抜き出した。液相回収ライン140から抜き出された液の組成は1−ブタノール約390ppm、フェノール約13wt%であり、炭酸ジブチル約86wt%、炭酸ブチルフェニル約1wt%であった。抜き出しライン143から抜き出された液の組成は、炭酸ジブチルが約500ppm、炭酸ブチルフェニル約26wt%、炭酸ジフェニル約65wt%、Pb濃度約8wt%であった。
次いで、図12に示すような装置で炭酸ジフェニルの精製を実施した。ディクソンパッキング(6mmφ)を充填した内径約5cm塔長2mの連続多段蒸留塔146の中段に抜き出しライン143から連続的に液を供給ライン144と熱交換器145を経て約315g/Hrで供給して、蒸留分離を行った。蒸留分離に必要な熱量は塔下部液を循環ライン153とリボイラー152を経て循環させることにより供給した。連続多段蒸留塔146の塔底部の液温度は210℃、塔頂圧力は圧力調整弁150によって約1.5kPaに調整し、還流比は約1とした。連続多段蒸留塔146の塔頂から留出する低沸成分は低沸成分回収ライン147を経て、凝縮器148で凝縮した後、低沸成分貯蔵槽149を経て液相回収ライン151から約288g/Hrで連続的に抜き出した。塔底からは抜き出しライン154から系外へ約27g/Hrで連続的に抜き出した。液相回収ライン151から抜き出された液の組成は炭酸ジブチル約200ppm、炭酸ブチルフェニル約29wt%、炭酸ジフェニル約71wt%であった。ディクソンパッキング(6mmφ)を充填した内径約5cm塔長4mの連続多段蒸留塔157の中段に液相回収ライン151から連続的に抜き出された液を移送ラインライン155と熱交換器156を経て約288g/Hrで供給して、蒸留分離を行った。蒸留分離に必要な熱量は塔下部液を循環ライン164とリボイラー163を経て循環加熱させることにより供給した。連続多段蒸留塔157の塔底部の液温度は198℃、塔頂圧力は圧力調整弁161によって約6kPaに調整し、還流比は約6とした。連続多段蒸留塔157の塔頂から留出する低沸成分は低沸成分回収ライン158を経て、凝縮器159で凝縮した後、低沸成分貯蔵槽160を経て液相回収ライン162より約90g/Hrで連続的に抜き出した。塔底からは抜き出しライン165から系外へ約198g/Hrで連続的に抜き出した。液相回収ライン162から抜き出された液の組成は炭酸ジブチル約700ppm、炭酸ブチルフェニル約93wt%、炭酸ジフェニル約7wt%であった。抜き出しライン165へ抜き出された液の組成は、炭酸ブチルフェニルは検出限界以下、炭酸ジフェニル99wt%であった。また、該反応液中の塩素濃度は検出限界以下であった。
実施例22
(実施例21から得た炭酸ジフェニルからヘキサメチレンジイソシアネートを製造する)
攪拌装置、温度計、滴下ロートを備えた500mlフラスコに、実施例21から得た炭酸ジフェニル161g(0.75モル)及びフェノール(Aldrich社製を予め蒸留したもの)142g(1.5モル)を入れ、乾燥窒素で置換後、フラスコを50℃のウォーターバスに浸漬し、攪拌を開始した。フラスコ内部の固形分が溶解したのを確認後、ウォーターバス温度を45℃とした。滴下ロートには、45〜50℃に保温された1,6−ヘキサメチレンジアミン(Aldrich社製を予め蒸留したもの)35g(0.3モル)が入れられており、この滴下ロートよりフラスコ内部に滴下開始した。フラスコ内の液温が50〜60℃となるように滴下速度を調整しながら約20分かけて滴下した。滴下終了後、ウォーターバスの設定温度を、フラスコ内の液温が50℃となるように調整して約1時間攪拌を続けた。この反応液を高速液体クロマトグラフィー及びゲルパーミエーションクロマトグラフィーで分析した結果、1,6−ヘキサメチレンジアミンの反応率は100%で、1,6−ヘキサメチレンジカルバミン酸フェニルが収率99.6%、選択率99.6%で生成していることがわかった。尿素化合物は約0.4%であった。
上記のようにして製造した反応液を余熱器を通してディクソンパッキング(6mmφ)を充填した内径2インチ塔長4mの連続多段蒸留塔の中段に供給して、過剰のフェノールを蒸留塔上部からガス状で抜き出し、蒸留塔下部から液状の高沸点混合物を連続的に抜き出した。塔底部はリボイラーで130℃で加熱循環し、塔頂部の圧力は約20KPaとなるように調整した。塔底から抜き出された液は、移送ラインとポンプを通してディクソンパッキング(6mmφ)を充填した内径2インチ塔長4mの連続多段蒸留塔の下から1m付近からフィードして熱分解をおこなった。塔底部はリボイラーで220℃で加熱循環し、塔頂部の圧力は約2.6kPaとなるように調整した。塔の上部から2m付近からガス状でヘキサメチレンジイソシアネートを含む成分を抜き出し、塔の上部からはガス状でフェノールを抜き出した。ヘキサメチレンジイソシアネートを含む成分は、ディクソンパッキング(6mmφ)を充填した内径2インチ塔長4mの連続多段蒸留塔の中段にフィードしてヘキサメチレンジイソシアネートの精製をおこなった。塔底部はリボイラーで120℃で加熱循環し、塔頂部の圧力は約0.13kPaとなるように調整した。塔頂部から抜き出された成分はヘキサメチレンジイソシアネートが純度99.9%で得られた。また塔底部から抜き出された成分は炭酸ジフェニルが主成分であった。
比較例8
(塩素化合物を含んだジフェニルカーボネートからヘキサメチレンジイソシアネートを得る。)
攪拌装置、温度計、滴下ロートを備えた500mlフラスコに、ジフェニルカーボネート(ドイツ国、バイエル社製、加水分解性塩素化合物15ppmを含有)161g(0.75モル)及びフェノール(米国、Aldrich社製を、予め蒸留したもの)142g(1.5モル)を入れ、乾燥窒素で置換後、フラスコを50℃のウォーターバスに浸漬し、攪拌を開始した。
フラスコ内部の固形分が溶解したのを確認後、ウォーターバス温度を45℃とした。滴下ロートには、45〜50℃に保温された1,6−ヘキサメチレンジアミン(米国、Aldrich社製を予め蒸留したもの)35g(0.3モル)が入れられており、この滴下ロートよりフラスコ内部に滴下開始した。フラスコ内の液温が50〜60℃となるように滴下速度を調整しながら約20分かけて滴下した。滴下終了後、ウォーターバスの設定温度を、フラスコ内の液温が50℃となるように調整して約1時間攪拌を続けた。
この反応液を高速液体クロマトグラフィー及びゲルパーミエーションクロマトグラフィーで分析した結果、1,6−ヘキサメチレンジアミンの反応率は99%で、1,6−ヘキサメチレンジカルバミン酸フェニルが収率99%、選択率99.6%で生成していることがわかった。尿素化合物は約0.5%であった。
上記のようにして製造した反応液を、予熱器を通して、ディクソンパッキング(6mmφ)を充填した内径2インチ、塔長4mの連続多段蒸留塔の中段にフィードして、過剰のフェノールを蒸留塔上部からガス状で抜き出し、蒸留塔下部から液状の高沸点混合物を連続的に抜き出した。塔底部はリボイラーで130℃で加熱循環し、塔頂部の圧力は約20kPaとなるように調整した。塔底から抜き出された液は、移送ラインとポンプを通してディクソンパッキング(6mmφ)を充填した内径2インチ塔長4mの連続多段蒸留塔の下から1m付近からフィードして熱分解を行った。塔底部はリボイラーで220℃で加熱循環し、塔頂部の圧力は約2.6KPaとなるように調整した。
塔の上部から2m付近からガス状でヘキサメチレンジイソシアネートを含む成分を抜き出し、塔の上部からはガス状でフェノールを抜き出した。ヘキサメチレンジイソシアネートを含む成分は、ディクソンパッキング(6mmφ)を充填した内径2インチ、塔長4mの連続多段蒸留塔の中段にフィードして、ヘキサメチレンジイソシアネートの精製を行った。塔底部はリボイラーで120℃で加熱循環し、塔頂部の圧力は約130Paとなるように調整した。
塔頂部から抜き出された成分はヘキサメチレンジイソシアネートが純度99.3%で得られた。また塔底部から抜き出された成分はジフェニルカーボネートが主成分であった。得られたヘキサメチレンジイソシアネートは5ppmの加水分解性塩素化合物を含有していた。
実施例23
(実施例21から得た炭酸ジフェニルからポリカーボネートを製造する)
実施例21から得た炭酸ジフェニル(NMR分析結果、メチル基を含む不純物(アルキル基末端のメチル基を除く)は検出されなかった)23.5gとビスフェノールA22.8gとを、攪拌装置を備えた真空反応装置に入れ、窒素ガスで置換しながら8kPaで30分間、4kPaで90分間重合させた。その後、270℃まで昇温し、0.07kPaで1時間重合させた。得られた芳香族ポリカーボネートの色は無色透明で良好であり、数平均分子量は10500であった。
比較例9
(塩素化合物を含有する炭酸ジフェニルからポリカーボネートを得る)
炭酸ジフェニル(ドイツ国、バイエル社製、塩素として15ppm含有)23.5gとビスフェノールA22.8gとを、攪拌装置を備えた真空反応装置に入れ、窒素ガスで置換しながら8kPaで30分間、4kPaで90分間重合させた。その後、270℃まで昇温し、0.07kPaで1時間重合させた。高分子量体は得られず、数平均分子量800以下のオリゴマーを含む未反応物が得られた。
比較例10
(多量にトリブチルスズ化合物を含有するジブチルスズアルコキシドによる炭酸エステル合成)
比較例5から得られたジブチルスズ(2−エチル−ヘキシルオキシド)(トリブチルスズ(2−エチル−ヘキシルオキシド)29mol%含有)120gを比較例6と同様な方法によって高圧容器に仕込み、同様に加熱及び攪拌を行った。その後、同様に混合液温度を下げ、炭酸ガスを除いた後、混合液を100g三方コックを備えた200mL三口フラスコに採取した。次いで、該フラスコに枝管付連結管、温度計、リービッヒ冷却器、減圧連結管及び2つの蒸留液回収容器に接続した。該フラスコをオイルバスに浸漬し、混合液温度130℃に昇温した後、真空ポンプと真空コントローラーによって系内を0.13kPaに減圧し、蒸気温度約125℃の留分を18g得た。GC−FID分析を行った結果、炭酸ジ−2−エチルヘキシルが55wt%含まれており、さらに119Sn−NMR分析を行った結果、該炭酸エステルに含まれているトリブチルスズ化合物が約44wt%混入したことを確認した。
比較例11
(触媒の調製)
フェノール40gと一酸化鉛8gを180℃で10時間加熱し、生成する水をフェノールと共に留去することにより触媒Aを調製した。
(炭酸ジフェニルの製造)
1000mlオートクレーブ(日本国、東洋高圧社製)に、比較例7と同じ方法で得たジ(3−メチル−1−ブチル)カーボネート約110g、予め蒸留精製したフェノール(米国、Aldrich社製)490g、及び触媒A(触媒Aは、オートクレーブ内の内容物に対して鉛濃度が0.4重量%となるような量)を入れて蓋をした。
オートクレーブ内を窒素置換した後、バルブを閉めて攪拌を開始し、オートクレーブの内部液温が230℃まで昇温した。オートクレーブの下部に窒素を50ml/分で導入して、オートクレーブ内の全圧が100から200kPaの範囲になるように、オートクレーブ上部のバルブを操作して、低沸成分を約4時間留去し続けた。4時間後、窒素の導入を止め、オートクレーブを放冷した。
内容物を分析したところ、ジ(3−メチル−1−ブチル)カーボネート約0.28mol,3−メチル−1−ブチル(フェニル)カーボネート約0.21mol、ジフェニルカーボネート約0.026molを得ていた。
反応液を真空コントローラー及び真空ポンプに接続した冷却管とディーンスターク管とを備えた1000ml3つ口フラスコに移し、攪拌のための攪拌子を入れた。このフラスコを150℃としたオイルバスに浸漬し、攪拌を開始し、徐々に減圧して約100kPaとした。この状態で未反応のフェノールとジ(3−メチル−1−ブチル)カーボネートを留去し、主に3−メチル−1−ブチル(フェニル)カーボネートとジフェニルカーボネートからなる反応液を得た。
次いで、減圧度を約50kPaに調整し、オイルバス温度を220℃として攪拌、反応を継続した。ジ(3−メチル−1−ブチル)カーボネートを留去しながら6時間継続して反応を終了した。反応液を分析すると、ジフェニルカーボネートが約0.26mol(56g)生成していた。
次いで、該フラスコにヘリパックNo.2を充填した内径約25mm塔長500mmのガラス管、枝管付連結管、温度計、リービッヒ冷却器、減圧連結管及び2つの蒸留液回収容器に接続した。該フラスコをオイルバスに浸漬し、混合液温度185℃に昇温した後、真空ポンプと真空コントローラーによって徐々に減圧し低沸成分を留去した後、さらに系内を約2kPaに減圧した。蒸気温度175℃の留分を約50g得た。この留分についてGC−FID分析を行った結果、炭酸ジフェニルが98wt%含まれており、さらに119Sn−NMR分析を行った結果、該炭酸ジフェニルに含まれているトリブチルスズ化合物が約1.5wt%混入したことを確認した。
比較例12
(トリブチルスズ化合物含有不純物を含んだ炭酸ジフェニルからヘキサメチレンジイソシアネートを得る。)
攪拌装置、温度計、滴下ロートを備えた500mlフラスコに、比較例11と同じ方法によって得た炭酸ジフェニル(トリブチルスズ化合物を約1.5wt%含有していた)160g(0.75モル)及びフェノール(米国、Aldrich社製を、予め蒸留したもの)142g(1.5モル)を入れ、乾燥窒素で置換後、フラスコを50℃のウォーターバスに浸漬し、攪拌を開始した。
フラスコ内部の固形分が溶解したのを確認後、ウォーターバス温度を45℃とした。滴下ロートには、45〜50℃に保温された1,6−ヘキサメチレンジアミン(米国、Aldrich社製を予め蒸留したもの)35g(0.3モル)が入れられており、この滴下ロートよりフラスコ内部に滴下開始した。フラスコ内の液温が50〜60℃となるように滴下速度を調整しながら約20分かけて滴下した。滴下終了後、ウォーターバスの設定温度を、フラスコ内の液温が50℃となるように調整して約1時間攪拌を続けた。
この反応液を高速液体クロマトグラフィー及びゲルパーミエーションクロマトグラフィーで分析した結果、1,6−ヘキサメチレンジアミンの反応率は99%で、1,6−ヘキサメチレンジカルバミン酸フェニルが収率99%、選択率99.6%で生成していることがわかった。尿素化合物は約0.5%であった。
上記のようにして製造した反応液を、予熱器を通して、ディクソンパッキング(6mmφ)を充填した内径2インチ、塔長4mの連続多段蒸留塔の中段にフィードして、過剰のフェノールを蒸留塔上部からガス状で抜き出し、蒸留塔下部から液状の高沸点混合物を連続的に抜き出した。塔底部はリボイラーで130℃で加熱循環し、塔頂部の圧力は約20kPaとなるように調整した。塔底から抜き出された液は、移送ラインとポンプを通してディクソンパッキング(6mmφ)を充填した内径2インチ塔長4mの連続多段蒸留塔の下から1m付近からフィードして熱分解を行った。塔底部はリボイラーで220℃で加熱循環し、塔頂部の圧力は約2.6KPaとなるように調整した。
塔の上部から2m付近からガス状でヘキサメチレンジイソシアネートを含む成分を抜き出し、塔の上部からはガス状でフェノールを抜き出した。ヘキサメチレンジイソシアネートを含む成分は、ディクソンパッキング(6mmφ)を充填した内径2インチ、塔長4mの連続多段蒸留塔の中段にフィードして、ヘキサメチレンジイソシアネートの精製を行った。塔底部はリボイラーで120℃で加熱循環し、塔頂部の圧力は約130Paとなるように調整した。
塔頂部から抜き出された成分は茶色に着色し、ヘキサメチレンジイソシアネートが純度95%で得られた。また塔底部から抜き出された成分はジフェニルカーボネートが主成分であった。
比較例13
(トリブチルスズ化合物含有不純物を含んだ炭酸ジフェニルからポリカーボネートを得る)
比較例11と同じ方法によって得た炭酸ジフェニル(トリブチルスズ化合物を約1.5wt%含有していた)24.5gと、ビスフェノールA23.2gとを、攪拌装置を備えた真空反応装置に入れ、窒素ガスで置換しながら8kPaで30分間、4kPaで90分間重合させた。その後、270℃まで昇温し、0.07kPaで1時間重合させた。得られた芳香族ポリカーボネートは茶色であり、数平均分子量は9000であった。
比較例14
(炭酸ジメチルから炭酸ジフェニルを製造する)
(触媒の調製)
チタンテトラブトキシド(日本国、東京化成社製)340g(1mol)とフェノール1882g(20mol)を180℃で6時間加熱し、生成する1−ブタノールをフェノールとともに留去することによって触媒Bを調製した。
(炭酸ジフェニルの製造)
図13に示すような装置で炭酸ジフェニルを製造する。段数40のシーブトレーを装備した内径約50mm塔長2000mmの連続多段蒸留塔172の塔頂173に炭酸ジメチルとフェノール及びメチルフェニルカーボネートからなる混合液を、供給ライン166から熱交換器167及び供給ライン168を経て液状で312g/Hrで連続的に供給して、反応を行った。上記混合物の各成分は、運転時の供給ライン168における液の組成が、炭酸ジメチル50.1wt%、フェノール44.6wt%、炭酸メチルフェニル5.0wt%になるような量を用いた。連続多段蒸留塔の塔底174には、炭酸ジメチルをガス供給ライン169より熱交換器170に導入してガス状にした炭酸ジメチルをガス供給ライン171を経て550g/Hrで供給した。触媒Bは、移送ライン178におけるTi濃度が0.046wt%になるような量を触媒導入ライン213より供給した。連続多段蒸留塔172の塔底温度は203℃、塔頂圧力は0.65MPa・Gであった。塔頂173より留出するガスを低沸回収ライン175を経て凝縮器176において液化した後、液相回収ライン177より551g/Hrで抜き出した。塔底174から311g/Hrで抜き出した反応混合物は移送ライン178を経て蒸発器179に導入した。ここでは触媒及び芳香族炭酸エステル類を含む濃縮液が形成された。この濃縮液の一部を移送ライン180及び循環ライン181からリボイラー182及び循環ライン183を経て蒸発器179に循環した。濃縮液の残りを蒸発器179から移送ライン180、移送ライン184及び供給ライン166を経て再び連続多段蒸留塔172に10g/Hrで供給した。蒸発器179で形成された濃縮液の一部は抜き出しライン185から0.5g/Hr系外に抜き出した。移送ライン178におけるTi濃度が0.046wt%に維持されるように、触媒Bを触媒導入ライン213から供給した。一方、蒸発器179の蒸発物を低沸回収ライン186より凝縮器187において液化し、得られた液体を移送ライン188、移送ライン189を経て段数20のシーブトレーを装着した内径50mm塔長1000mmの棚段塔からなる連続多段蒸留塔193内で反応を行った。移送ライン189の液の組成は炭酸ジメチル42.1wt%、フェノール24.5wt%、炭酸メチルフェニル28.1wt%、炭酸ジフェニル4.5wt%であった。触媒は移送ライン201におけるTi濃度が0.046wt%になるように触媒導入ライン212から供給した。連続多段蒸留塔193の塔底温度は198℃、塔頂圧力は38kPaであった。塔頂194から留出するガスを低沸成分回収ライン196を経て凝縮器197で液化させ、一部は移送ライン199より塔頂194に戻し、残りの凝縮液は移送ライン198及び移送ライン200より熱交換器167及び供給ライン168を経て連続多段蒸留塔173に再循環させた。この再循環操作を開始させてからは供給ライン168における組成が同じになるように供給ライン166からフェノールを新たに供給した。連続多段蒸留塔の塔底195の反応混合物の一部を循環ライン190からリボイラー191及び循環ライン192を経て塔底195に再循環させ、残りの反応混合物を移送ライン201から690g/Hrで蒸発器202に供給した。蒸発器202では触媒及び芳香族炭酸エステルを含む濃縮液が形成された。この濃縮液の一部を移送ライン203及び循環ライン204からリボイラー205及び循環206を経て蒸発器202に循環させた。濃縮液の残りを蒸発器202から移送ライン203、移送ライン207及び移送ライン189を経て再び連続多段蒸留塔193に20g/Hrで供給した。蒸発器202で形成された蒸気の濃縮液の一部は抜き出しライン208から系外に1g/Hrで抜き出した。移送ライン201におけるTi濃度が0.046wt%に維持されるように触媒Bを触媒導入ライン212から供給した。蒸発器202から留出するガスは低沸成分回収ライン209より凝縮器210を経て液相回収ライン211から682g/Hrで抜き出した。回収された液組成は98%が炭酸ジフェニルであり、H−NMR分析よりメチル基含有不純物は90ppmであった。
比較例15
(メチル基含有不純物を含んだ炭酸ジフェニルからヘキサメチレンジイソシアネートを得る。)
攪拌装置、温度計、滴下ロートを備えた500mlフラスコに、比較例14から得た炭酸ジフェニル(炭酸メチルフェニルを約90ppm含有していた)161g(0.75モル)及びフェノール(米国、Aldrich社製を、予め蒸留したもの)142g(1.5モル)を入れ、乾燥窒素で置換後、フラスコを50℃のウォーターバスに浸漬し、攪拌を開始した。
フラスコ内部の固形分が溶解したのを確認後、ウォーターバス温度を45℃とした。滴下ロートには、45〜50℃に保温された1,6−ヘキサメチレンジアミン(米国、Aldrich社製を予め蒸留したもの)35g(0.3モル)が入れられており、この滴下ロートよりフラスコ内部に滴下開始した。フラスコ内の液温が50〜60℃となるように滴下速度を調整しながら約20分かけて滴下した。滴下終了後、ウォーターバスの設定温度を、フラスコ内の液温が50℃となるように調整して約1時間攪拌を続けた。
この反応液を高速液体クロマトグラフィー及びゲルパーミエーションクロマトグラフィーで分析した結果、1,6−ヘキサメチレンジアミンの反応率は99%で、1,6−ヘキサメチレンジカルバミン酸フェニルが収率99%、選択率99.6%で生成していることがわかった。尿素化合物は約0.5%であった。
上記のようにして製造した反応液を、予熱器を通して、ディクソンパッキング(6mmφ)を充填した内径2インチ、塔長4mの連続多段蒸留塔の中段にフィードして、過剰のフェノールを蒸留塔上部からガス状で抜き出し、蒸留塔下部から液状の高沸点混合物を連続的に抜き出した。塔底部はリボイラーで130℃で加熱循環し、塔頂部の圧力は約20kPaとなるように調整した。塔底から抜き出された液は、移送ラインとポンプを通してディクソンパッキング(6mmφ)を充填した内径2インチ塔長4mの連続多段蒸留塔の下から1m付近からフィードして熱分解を行った。塔底部はリボイラーで220℃で加熱循環し、塔頂部の圧力は約2.6KPaとなるように調整した。
塔の上部から2m付近からガス状でヘキサメチレンジイソシアネートを含む成分を抜き出し、塔の上部からはガス状でフェノールを抜き出した。ヘキサメチレンジイソシアネートを含む成分は、ディクソンパッキング(6mmφ)を充填した内径2インチ、塔長4mの連続多段蒸留塔の中段にフィードして、ヘキサメチレンジイソシアネートの精製を行った。塔底部はリボイラーで120℃で加熱循環し、塔頂部の圧力は約130Paとなるように調整した。
塔頂部から抜き出された成分は淡茶色に着色し、ヘキサメチレンジイソシアネートが純度98%で得られた。また塔底部から抜き出された成分はジフェニルカーボネートが主成分であった。
比較例16
(メチル基含有不純物を含む炭酸ジフェニルからポリカーボネートを得る)
比較例14から得た炭酸ジフェニル(炭酸メチルフェニルを約90ppm含有していた)23.5gと、ビスフェノールA22.8gとを、攪拌装置を備えた真空反応装置に入れ、窒素ガスで置換しながら8kPaで30分間、4kPaで90分間重合させた。その後、270℃まで昇温し、0.07kPaで1時間重合させた。得られた芳香族ポリカーボネートの色は無色透明で良好であり、数平均分子量は9500であった。
比較例17
(横型薄膜装置でジブチルスズジアルコキシドを得る)
図9に示すような横型薄膜装置(日本国、日南機械社製、PFD1)において、ジブチルスズアルコキシドを製造した。反応器上部114にスズアルコキシド供給ライン110とアルコール供給ライン111、熱交換器112、低沸成分回収ライン116、凝縮器117、低沸成分貯蔵タンク118、ベントライン119、液相回収ライン120、反応器下部115に生成物抜き出しライン121を内径50mm、全長1100mmのSUS316製横型薄膜装置113に取り付けた。該反応器は内温を120℃に設定したヒーターで温調し、内圧を54kPaに真空ポンプ及び真空コントローラーによって調整した。
供給ライン110から実施例12と同じ方法で作製した出発物質1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ジ(ブチルオキシ)−ジスタンオキサンを4600g/Hrで、供給ライン111から反応物質1−ブタノール(日本国、和光純薬工業社製、脱水グレード含水量50ppm)を22000g/Hrで送液ポンプを用いて供給を開始した。該反応器内滞留時間は約10分であった。反応器内の液温度が約100℃になるように調整し、この状態で約1時間連続供給した後、系内が定常状態に達した。反応器上部114から低沸成分を21000g/Hrで回収し、一方で、反応器下部115からジブチルスズアルコキシドを含む成分を5600g/Hrで回収された。抜き出しライン121から回収された液を分析すると、ジブチル−ジ(ブチルオキシ)スズは含まれておらず、未反応の1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ジ(ブチルオキシ)−ジスタンオキサンが全て回収された。液相回収ライン120から回収された液は透明であり、50ppmの水分を含んでおり、脱水反応が起こらなかった。
実施例24
(塔型反応器でジブチルスズジアルコキシドを得る)
図(14)に示すような塔型反応器219において、ジブチルスズアルコキシドを製造した。反応器上部221に低沸成分回収ライン223、凝縮器224、分離器225、背圧弁226、ベントライン227、有機層還流ライン228、水層回収ライン229、そして反応器中部220に供給ライン214と供給ライン215、熱交換器216、そして反応器下部222に反応器下部に滞留する反応液を循環する循環ライン217、リボイラー218と抜き出しライン230を取り付けた内径50mm、全長4000mmのSUS316製の塔型反応器219にMELLAPAK 750Y(スイス国、Sulzer Chemtech Ltd社製)を充填した。該反応器を140℃に設定したヒーターで温調した。
供給ライン214から実施例12と同じ方法で作製した出発物質1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ジ(ブチルオキシ)―ジスタンオキサンを280g/Hrで、供給ライン215から反応物質1−ブタノール(日本国、和光純薬工業株式会社製、工業用品)を1330g/Hrで送液ポンプを用いて供給を開始した。該反応器内滞留時間は約6分であった。反応器下部に滞留する反応液は循環ライン217とリボイラー218によって6000g/Hrで、温度が約141℃で循環加熱した。反応器上部221から低沸成分回収ライン223を経て凝縮器224において液化させた低沸成分は、2000g/Hrで回収され、分離器225において有機層と水層が徐々に分離する。分離器225中の有機層、すなわち1−ブタノールは有機層還流ライン228を経て反応器上部221に1994g/Hrで戻され、一方で高濃度の水を含む下層の液は水層回収ライン229から6g/Hrで回収された。反応器下部222からジブチルスズアルコキシドを含む成分を抜き出しライン230から1604g/Hrで回収された。反応器内の液温度が140℃で背圧弁226の圧力が0.096MPa−Gになるように調整し、この状態で約10時間連続供給した後、系内が定常状態に達した。抜き出しライン230から回収された液を分析すると、ジブチルスズオキシド基準で74.2%のジブチル−ジ(ブチルオキシ)スズと25.7%の1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ジ(ブチルオキシ)―ジスタンオキサンからなるジブチルスズアルコキシドを含んでいた。トリブチルスズブトキシドは0.015%であった。一方、水層回収ライン229から回収された液は透明であり、90wt%の水分を含んでいた。搭型反応器での脱水速度は、0.33mol/Hrであり、式(16)で求められる値0.00037mol/Hrよりも大きかった。
1,1,3,3−テトラブチル−1、3−ビス(2−エチルヘキシルオキシ)−ジステノキサン加熱時(180℃)のトリブチル−(2−エチルヘキシルオキシ)−スズの生成を示す図。 本発明にかかる塔型反応器の実施例を示す概念図。 本発明にかかる槽型反応器と塔型反応器を組み合わせた反応器の実施例を示す概念図。 本発明にかかる塔型反応器の実施例を示す概念図。 本発明にかかる塔型反応器の実施例を示す概念図。 本発明にかかる塔型反応器の実施例を示す概念図。 本発明にかかる塔型反応器の実施例を示す概念図。 本発明にかかる塔型反応器の実施例を示す概念図。 本発明にかかる横型薄膜蒸留装置の実施例を示す概念図。 本発明にかかる連続多段蒸留塔の実施例を示す概念図。 本発明にかかる連続多段蒸留塔の実施例を示す概念図。 本発明にかかる連続多段蒸留塔の実施例を示す概念図。 本発明にかかる連続多段蒸留塔の実施例を示す概念図。 本発明にかかる塔型反応器の実施例を示す概念図。

Claims (17)

  1. 出発物質として、スズ−酸素−スズ結合を有する有機スズ化合物の群から選ばれる少なくとも1種のアルキルスズ化合物と、反応物質として、ヒドロキシ化合物とを脱水反応に付し、出発物質と反応物質に対応するアルキルスズアルコキシド類を得ることを含むアルキルスズアルコキシドの製造方法において、反応器に出発物質と反応物質を連続的に供給し、反応器から水を含む低沸点成分を取り出し、反応器底部成分としてアルキルスズアルコキシド類を含む反応液を連続的に取り出すことを特徴とする上記方法。
  2. 出発物質である前記少なくとも1種のアルキルスズ化合物が、テトラアルキル−ジアルコキシ−1,3−ジスタンオキサン類、及び/又はスズ−酸素−スズ結合を介して重合体として一般的に存在するジアルキルスズオキシド類である請求項1記載の方法。
  3. 前記テトラアルキル−ジアルコキシ−1,3−ジスタンオキサン類が、下記化学式(1)で表されるテトラアルキル−ジアルコキシ−1,3−ジスタンオキサン類である請求項2記載の方法。
    (式中、R、R、R、及びRは、それぞれ、アルキル基であり、同一であっても、それぞれ異なっていてもよい。R、Rは、それぞれアルキル基である。a及びbは0から2の整数であって、a+bは2であり、c及びdは0から2の整数であって、c+dは2である。)
  4. 前記ジアルキルスズオキシド類が、下記化学式(2)で表されるジアルキルスズオキシド類の重合体である請求項2記載の方法。
    (式中、R及びRは、それぞれ、アルキル基であり、同一であっても、それぞれ異なっていてもよい。e及びfは0から2の整数であって、e+fは2である。)
  5. 前記出発物質が、それぞれ、単量体、2量体(同一種類の単量体の会合体又は異なる種類の単量体どうしの会合体)多量体、又は重合体のいずれであってもよい請求項2記載の方法。
  6. 前記ヒドロキシ化合物が、下記化学式(3)で表されるアルコールである請求項1から請求項5の何れか一項に記載の方法。
    (式中、Rは、n−ブチル基、2−メチルプロピル基、直鎖状又は分岐状の炭素数5〜12のアルキル基を表す。)
  7. 前記アルコールが、1−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、及び炭素数5から炭素数8のアルキルアルコールからなる群から選ばれるアルコールである請求項6記載の方法。
  8. 出発物質と反応物質とを反応器に連続的に供給し、該反応器内において液相又は気−液相で両物質間の脱水反応を行わせると同時に、製造されるアルキルスズアルコキシド又はアルキルスズアルコキシド混合物を含む高沸点反応混合物を該反応器の下部から液状で抜き出し、一方で、生成する水を含む低沸点反応混合物を蒸留によって該反応器からガス状で連続的に抜き出すことを含む請求項1記載の方法。
  9. 前記反応器が、出発物質と前記反応物質を供給するためのそれぞれのライン又は該出発物質と該反応物質の混合液を供給するためのライン、及び水を含む低沸点反応混合物を抜き出すためのライン、及び高沸点反応混合物を抜き出すためのラインを備えている請求項1又は請求項8記載の方法。
  10. 前記水を含む低沸点反応混合物を抜き出すためのラインが気相成分を抜き出す位置にあり、前記高沸点反応混合物を抜き出すためのラインが下方で液相成分を抜き出す位置にある請求項9記載の方法。
  11. 前記反応器が槽状又は塔状である請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
  12. 前記反応器が、攪拌槽、多段攪拌槽、蒸留塔、多段蒸留塔、連続多段蒸留塔、充填塔、薄膜蒸発器、内部に支持体を備えた反応器、強制循環反応器、落膜蒸発器、落滴蒸発器、細流相反応器、又は気泡塔のいずれかを含む型式である請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
  13. 不活性ガス、気体状の反応物質、気体状の不活性な有機化合物、水と共沸混合物を形成する有機溶媒の群から選ばれる少なくとも一つを供給する請求項1から請求項12記載のいずれか一項に記載の方法。
  14. 不活性ガスが、窒素、二酸化炭素、又はアルゴンから選ばれる請求項13記載の方法。
  15. 前記脱水反応を60℃から160℃までの範囲で行う請求項1記載の方法。
  16. 出発物質と反応物質の比率として、出発物質中に含まれるスズ原子の合計モル数と、反応物質のモル数の比が、3から100の範囲である請求項1記載の方法。
  17. 脱水反応を下記式(4)で表される脱水速度で行う請求項6に記載の方法。
    (式中、脱水速度は、脱水反応で形成される水のうち、単位時間当りに系外に抜き出す水量[mol・hr−1]を表し、Xは出発物質に含まれる化学式(2)で表されるアルキルスズ化合物中のスズ原子モル数の合計[mol]を表し、Yは出発物質に含まれる化学式(1)で表されるアルキルスズ化合物中のスズ原子モル数[mol]を表し、Tは脱水反応温度[K]を表し、Rは気体定数=8.314J・mol−1・K−1を表し、A及びBはアルキルスズ化合物の種類に依存する係数である;ここで、
    上記式(4)の係数A及びBは出発物質であるアルキルスズ化合物の種類に依存し、基準物質を定めて求める係数である。出発物質に化学式(1)で表されるアルキルスズ化合物が含まれる場合は、上記A及びBはそれぞれ出発物質に含まれる化学式(1)で表されるアルキルスズ化合物から任意に選ばれるアルキルスズ化合物を基準物質として、該基準物質の熱分解反応の頻度因子及び活性化エネルギーを表すものであって、下記式(5)で得られるA及びBであり、そして出発物質に化学式(1)で表されるアルキルスズ化合物が含まれず、化学式(2)で表されるアルキルスズ化合物が含まれる場合は、A及びBはそれぞれ出発物質に含まれる化学式(2)で表されるアルキルスズ化合物と反応物質とから形成される下記化学式(7)で表されるアルキルスズアルコキシドから任意に選ばれるアルキルスズアルコキシドを基準物質として、該基準物質の熱分解反応の頻度因子及び活性化エネルギーを表すものであって、下記式(5)で得られるA及びBである。
    (式中、kは1次反応速度定数[hr−1]、Aは頻度因子[hr−1]、Bは活性化エネルギー[J・mol−1]、Rは気体定数=8.314J・mol−1・K−1、Tは熱分解反応温度[K]を表す。上記kは該熱分解反応の1次反応速度定数を表し、下記式(6)で得られるkである。
    (式中、kは1次反応速度定数[hr−1]、tは加熱時間、X[hr]は基準物質の初期濃度に対する減少率[mol/mol]を表す。))
    (式中、R10、R11、R13、及びR14は出発物質のR又はRのいずれかに対応し、g、h、i、及びjは出発物質のe又はfのいずれに対応し、R12及びR15の少なくとも1つは反応物質のRに対応する。g及びhは0から2の整数であって、g+hは2であり、i及びjは0から2の整数であって、i+j=2である。))
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