JP2007269653A - アルキルスズアルコキシドの製造方法 - Google Patents

アルキルスズアルコキシドの製造方法 Download PDF

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ビジャント・ブディアント
Nobutoshi Miyake
信寿 三宅
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Abstract

【課題】ジアルキルスズオキシドとアルコールから、エネルギー効率が高くしかも高純度、高収率でアルキルスズアルコキシド化合物を得ることのできる製造方法を提供する。
【解決手段】少なくとも2つの第一及び第二の反応器を用い、ジアルキルスズオキシド及び/又はテトラアルキルジアルコキシジスタンオキサンを含む出発物質と、アルコールから選ばれる反応物質とを脱水反応させ、発生する水を含む第一の低沸成分を第一の反応液から蒸発させて、アルキルスズアルコキシドを製造する方法であって、該第一の反応器の低沸成分の熱量を、該第一の反応器と連結した第二の反応器にある第二の反応液と熱交換させる工程と、該第二の反応液から、発生する水を含む第二の低沸成分を蒸発させる工程とを含むことを特徴とするアルキルスズアルコキシドの製造方法を提供する。
【選択図】なし

Description

本発明は、炭酸エステル製造に用いる触媒としてのアルキルスズアルコキシドに関する。
アルキルスズアルコキシドは、炭酸エステル合成触媒、エステル交換反応触媒、シリコンポリマーやウレタン硬化触媒等の触媒として極めて有用である。
従来のアルキルスズアルコキシドの製造方法として、ジアルキルスズオキシドとアルコールとを脱水反応させ、発生する水を含む低沸成分を反応液から除去するという方法(例えば、特許文献1や非特許文献1参照)が知られている。
ジアルキルスズオキシドを用いる方法は、下記式(6)に示す脱水を伴う平衡反応であると推定される。
Figure 2007269653
上記平衡は圧倒的に原系に偏っており、更に下記式(7)及び(8)に示す逐次脱水反応を包含していると推定される。アルキルスズアルコキシドのうち、ジアルキルスズジアルコキシドを高収率で得るためには、各脱水反応生成物のうちの水を系外に抜き出しながら製造されるが、エネルギー的に不利な反応であるために、高温(例えば180℃)で、長時間反応によって得られる。下記脱水反応を行い、過剰なアルコールを該反応液から除去した後、アルキルスズアルコキシドを含む反応液を得る。
Figure 2007269653
Figure 2007269653
上述のように反応は原系に偏っているため過剰なアルコールを用いる必要があり、この過剰アルコールの除去には多大なエネルギーを要するという課題がある。さらに、アルキルスズアルコキシドは不安定な化合物であることが知られており、アルコール除去の際、場合によっては変性物が発生し、目的物の収率が下がるという問題もある。
このように、従来技術ではジアルキルスズオキシドとアルコールとを用いてアルキルスズアルコキシドを製造することができるが、高い収率を保ちつつエネルギー効率を向上させる方法は知られていない。
US−5545600 Journal of Chemical Society C:Organic,23(1971),3972
上述のとおり、アルキルスズアルコキシドを製造する方法は知られているが、不安定な化合物であるアルキルスズアルコキシドの収率を高く維持しながら製造に必要なエネルギーを最小限にすることが重要な課題である。本発明では、アルキルスズアルコキシド製造においてアルコールを除去する際に、多大なエネルギーを要し、しかも変性物が副生し収率や純度が低下するという課題を解決することを目的とする。
本発明者等は、アルキルスズアルコキシドの製造について鋭意検討を重ねた結果、複数の反応器を用い、反応液から蒸発させる低沸成分の熱量を次の反応液と熱交換させ、該次の反応液から発生する低沸成分の蒸発に利用するという知見を得て、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の第一の態様では、
[1] 少なくとも2つの第一及び第二の反応器を用い、下記式(1)に示すジアルキルスズオキシド及び/又は下記式(2)に示すテトラアルキルジアルコキシジスタンオキサンを含む出発物質と、下記式(3)に示すアルコールから選ばれる反応物質とを脱水反応させ、発生する水を含む第一の低沸成分を第一の反応液から蒸発させて、アルキルスズアルコキシドを製造する方法であって、
該第一の反応器の低沸成分の熱量を、該第一の反応器と連結した第二の反応器にある第二の反応液と熱交換させる工程と、
該第二の反応液から、発生する水を含む第二の低沸成分を蒸発させる工程と、
を含むことを特徴とするアルキルスズアルコキシドの製造方法、
Figure 2007269653
(式中:
1は、直鎖状又は分岐状の炭素数1〜12のアルキル基、炭素数5〜12のシクロアルキル基、直鎖状又は分岐状の炭素数2〜12のアルケニル基、無置換又は置換された炭素数6〜19のアリールと、直鎖状又は分岐状の炭素数1〜14のアルキル及び炭素数5〜14のシクロアルキルからなる群から選ばれるアルキルと、から構成される炭素数7〜20のアラルキル基、無置換又は置換された炭素数6〜20のアリール基を表す。)
Figure 2007269653
(式中:
1は、直鎖状又は分岐状の炭素数1〜12のアルキル基、炭素数5〜12のシクロアルキル基、直鎖状又は分岐状の炭素数2〜12のアルケニル基、無置換又は置換された炭素数6〜19のアリールと、直鎖状又は分岐状の炭素数1〜14のアルキル及び炭素数5〜14のシクロアルキルからなる群から選ばれるアルキルと、から構成される炭素数7〜20のアラルキル基、無置換又は置換された炭素数6〜20のアリール基を表し;
2は、n−ブチル、2−メチルプロピル、炭素数5又は6のシクロアルキル基、直鎖状又は分岐状のアルキル基又はアルケニル基を表す。)
Figure 2007269653
(式中:
3は、n−ブチル、2−メチルプロピル、炭素数5又は6のシクロアルキル基、直鎖状又は分岐状のアルキル基又はアルケニル基を表す。)、
[2] 該アルキルスズアルコキシドが、下記式(4)又は下記式(5)の少なくとも1つを含むことを特徴とする前項[1]記載の製造方法、
Figure 2007269653
(式中:
1は、直鎖状又は分岐状の炭素数1〜12のアルキル基、炭素数5〜12のシクロアルキル基、直鎖状又は分岐状の炭素数2〜12のアルケニル基、無置換又は置換された炭素数6〜19のアリールと、直鎖状又は分岐状の炭素数1〜14のアルキル及び炭素数5〜14のシクロアルキルからなる群から選ばれるアルキルと、から構成される炭素数7〜20のアラルキル基、無置換又は置換された炭素数6〜20のアリール基を表し;
4,R5は、n−ブチル、2−メチルプロピル、炭素数5又は6のシクロアルキル基、直鎖状又は分岐状のアルキル基又はアルケニル基を表し、R4,R5は、それぞれ、出発物質及び/又は反応物質のR2又はR3に対応する。ただし、R4,R5の少なくとも一つはR3に対応する。)
Figure 2007269653
(式中:
1は、直鎖状又は分岐状の炭素数1〜12のアルキル基、炭素数5〜12のシクロアルキル基、直鎖状又は分岐状の炭素数2〜12のアルケニル基、無置換又は置換された炭素数6〜19のアリールと、直鎖状又は分岐状の炭素数1〜14のアルキル及び炭素数5〜14のシクロアルキルからなる群から選ばれるアルキルと、から構成される炭素数7〜20のアラルキル基、無置換又は置換された炭素数6〜20のアリール基を表し;
6,R7は、n−ブチル、2−メチルプロピル、炭素数5又は6のシクロアルキル基、直鎖状又は分岐状のアルキル基又はアルケニル基を表し、R6,R7は、それぞれ、出発物質及び/又は反応物質のR2又はR3に対応する。ただし、R6,R7の少なくとも一つはR3に対応する。)、
[3] 該第一及び/又は第二の低沸成分は、熱交換が行われる際に、該第一及び/又は第二の低沸成分の沸点以下の温度で凝縮相として回収される工程をさらに含むことを特徴とする前項[1]又は[2]に記載の製造方法、
[4] 該ジアルキルスズオキシドは、ジ−n−ブチル−スズオキシド又はジ−n−オクチル−スズオキシドであることを特徴とする前項[1]ないし[3]のうち何れか一項に記載の製造方法、
を提供する。
また、本発明の第二の態様では、
[5] 前項[1]〜[4]のうち何れか一項に記載された方法で製造されたアルキルスズアルコキシドを触媒として用いることを特徴とする炭酸エステルの製造方法、
を提供する。
本発明に係るアルキルスズアルコキシドの製造によれば、アルコール除去に伴う収率低下が起こることなく、しかも高いエネルギー効率でアルキルスズアルコキシドを得ることができ、工業分野において大変有用である。
以下の実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明をこの実施形態にのみ限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨を逸脱しない限り、さまざまな形態で実施することができる。
本発明に係る製造方法では、少なくとも2つの連結している反応器を用い、ジアルキルスズオキシド及び/又はテトラアルキルジアルコキシジスタンオキサンからなる出発物質と、アルコールから選ばれる反応物質とを、一方の反応器にて脱水反応させ、発生する水を含む低沸成分を反応液から蒸発させアルキルスズアルコキシドを製造する際に、一方の反応器からの低沸成分の熱量を、他方の反応器にある他方の反応液と熱交換させ、該他方の反応液から発生する水を含む低沸成分の蒸発に用いる。
以下、本発明について詳細に説明する。まず、本発明で使用する化合物について説明する。本発明の出発物質は、下記式(1)で表されるジアルキルスズオキシド及び/又は下記式(2)で表されるテトラアルキルジアルコキシジスタンオキサンである。
Figure 2007269653
(式中:
1は、直鎖状又は分岐状の炭素数1〜12のアルキル基、炭素数5〜12のシクロアルキル基、直鎖状又は分岐状の炭素数2〜12のアルケニル基、無置換又は置換された炭素数6〜19のアリールと、直鎖状又は分岐状の炭素数1〜14のアルキル及び炭素数5〜14のシクロアルキルからなる群から選ばれるアルキルと、から構成される炭素数7〜20のアラルキル基、無置換又は置換された炭素数6〜20のアリール基を表す。)
Figure 2007269653
(式中:
1は、直鎖状又は分岐状の炭素数1〜12のアルキル基、炭素数5〜12のシクロアルキル基、直鎖状又は分岐状の炭素数2〜12のアルケニル基、無置換又は置換された炭素数6〜19のアリールと、直鎖状又は分岐状の炭素数1〜14のアルキル及び炭素数5〜14のシクロアルキルからなる群から選ばれるアルキルと、から構成される炭素数7〜20のアラルキル基、無置換又は置換された炭素数6〜20のアリール基を表し;
2は、n−ブチル、2−メチルプロピル、炭素数5又は6のシクロアルキル基、直鎖状又は分岐状のアルキル基又はアルケニル基を表す。)
上記式(1)で示されるジアルキルスズオキシドの例としては、ジメチルスズオキシド、ジエチルスズオキシド、ジプロピルスズオキシド(各異性体)、ジブチルスズオキシド(各異性体)、ジペンチルスズオキシド(各異性体)、ジヘキシルスズオキシド(各異性体)、ジヘプチルスズオキシド(各異性体)、ジオクチルスズオキシド(各異性体)、ジビニルスズオキシド、ジアリルスズオキシド、ジシクロヘキシルスズオキシド、ジシクロオクチルスズオキシド、ビス(トリフルオロブチル)スズオキシド、ビス(ペンタフルオロブチル)スズオキシド、ビス(ヘプタフルオロブチル)スズオキシド、ビス(ナノフルオロブチル)スズオキシド、ジフェニルスズオキシド、ジベンジルスズオキシド、ジフェネチルスズオキシド、ジトリルスズオキシドなどが挙げられる。好ましい例としては、R1が炭素数1〜12のアルキル基であるジアルキルスズオキシドであり、炭素数の短い場合は、生成物のアルキルスズアルコキシドが固形物になりやすく、炭素数が長い場合は生成物の流動性が低下する場合があるため、より好ましい例としては、R1が炭素数4〜8のアルキル基であるジアルキルスズオキシドである。上記式(1)で表されるジアルキルスズオキシドは一般的に多量体で存在することが知られており、上記式(1)では単量体構造のジアルキルスズオキシドを示しているが、多量体構造であっても会合体であってもかまわない。
式(2)で示されるテトラアルキルジアルコキシジスタンオキサンの例としては、1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ジブトキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ビスペンチルオキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ビスヘキシルオキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ジブトキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ビスペンチルオキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ビスヘキシルオキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラフェニル−1,3−ジブトキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラフェニル−1,3−ビスペンチルオキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラフェニル−1,3−ビスヘキシルオキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラキス(トリフルオロブチル)−1,3−ジブトキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラキス(トリフルオロブチル)−1,3−ビスペンチルオキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラキス(トリフルオロブチル)−1,3−ビスヘキシルオキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラキス(ペンタフルオロブチル)−1,3−ジブトキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラキス(ペンタフルオロブチル)−1,3−ビスペンチルオキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラキス(ペンタフルオロブチル)−1,3−ビスヘキシルオキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラキス(ヘプタフルオロブチル)−1,3−ジブトキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラキス(ヘプタフルオロブチル)−1,3−ビスペンチルオキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラキス(ヘプタフルオロブチル)−1,3−ビスヘキシルオキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラキス(ノナフルオロブチル)−1,3−ジブトキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラキス(ノナフルオロブチル)−1,3−ビスペンチルオキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラキス(ノナフルオロブチル)−1,3−ビスヘキシルオキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラオクチル−1,3−ジブトキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラオクチル−1,3−ビスペンチルオキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラオクチル−1,3−ビスヘキシルオキシ−ジスタンオキサン(各異性体)などが挙げられる。好ましい例としては、1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ジブトキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラオクチル−1,3−ジブトキシ−ジスタンオキサン(各異性体)が挙げられる。より好ましい例としては、R1が炭素数1〜12のアルキル基であるテトラアルキルジアルコキシジスタンオキサンであり、炭素数の短い場合は生成物のアルキルスズアルコキシドが固形物になりやすく、炭素数が長い場合は生成物の流動性が低下する場合があるため、さらに好ましい例としては、R1が炭素数4〜8のアルキル基であるテトラアルキルジアルコキシジスタンオキサンである。上記式(2)で表されるテトラアルキルジアルコキシジスタンオキサンは一般的に多量体で存在することが知られており、上記式(2)では単量体構造のテトラアルキルジアルコキシジスタンオキサンを示しているが、多量体構造であっても会合体であってもかまわない。
次に反応物質であるアルコールについて記述する。本発明で用いるアルコールは、下記式(3)で表される。
Figure 2007269653
(式中:
3は、n−ブチル、2−メチルプロピル、炭素数5又は6のシクロアルキル基、直鎖状又は分岐状のアルキル基又はアルケニル基を表す。)
アルコールの例としては、n−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、ペンタノール(各異性体)、ヘキサノール(各異性体)、シクロヘキサノールなどが挙げられる。これらのアルコールの中で、n−ブタノール及び2−メチル−1−プロパノールがより好ましい。
上記したジアルキルスズオキシド及び/又はテトラアルキルジアルコキシジスタンオキサンとアルコールとを脱水反応することによって、下記式(4)又は式(5)の少なくとも一つを含むアルキルスズアルコキシドを製造する。なお、本発明で用いる用語「アルキルスズアルコキシド」とは、後記の式(4)及び式(5)で表される化合物を含む。
Figure 2007269653
(式中:
1は、出発物質のR1に対応し、直鎖状又は分岐状の炭素数1〜12のアルキル基、炭素数5〜12のシクロアルキル基、直鎖状又は分岐状の炭素数2〜12のアルケニル基、無置換又は置換された炭素数6〜19のアリールと、直鎖状又は分岐状の炭素数1〜14のアルキル及び炭素数5〜14のシクロアルキルからなる群から選ばれるアルキルと、から構成される炭素数7〜20のアラルキル基、無置換又は置換された炭素数6〜20のアリール基を表し;
4,R5は、n−ブチル、2−メチルプロピル、炭素数5又は6のシクロアルキル基、直鎖状又は分岐状のアルキル基又はアルケニル基を表し、R4,R5は、それぞれ、出発物質及び/又は反応物質のR2又はR3に対応する。ただし、R4,R5の少なくとも一つはR3に対応する。)
Figure 2007269653
(式中:
1は、出発物質のR1に対応し、直鎖状又は分岐状の炭素数1〜12のアルキル基、炭素数5〜12のシクロアルキル基、直鎖状又は分岐状の炭素数2〜12のアルケニル基、無置換又は置換された炭素数6〜19のアリールと、直鎖状又は分岐状の炭素数1〜14のアルキル及び炭素数5〜14のシクロアルキルからなる群から選ばれるアルキルと、から構成される炭素数7〜20のアラルキル基、無置換又は置換された炭素数6〜20のアリール基を表し;
6,R7は、n−ブチル、2−メチルプロピル、炭素数5又は6のシクロアルキル基、直鎖状又は分岐状のアルキル基又はアルケニル基を表し、R6,R7は、それぞれ、出発物質及び/又は反応物質のR2又はR3に対応する。ただし、R6,R7の少なくとも一つはR3に対応する。)
式(4)で示されるアルキルスズアルコキシドの例としては、ジメチル−ジブトキシ−スズ(各異性体)、ジメチル−ビスペンチルオキシ−スズ(各異性体)、ジメチル−ビスヘキシルオキシ−スズ(各異性体)、ジブチル−ジブトキシ−スズ(各異性体)、ジブチル−ビスペンチルオキシ−スズ(各異性体)、ジブチル−ビスヘキシルオキシ−スズ(各異性体)、ジフェニル−ジブトキシ−スズ(各異性体)、ジフェニル−ビスペンチルオキシ−スズ(各異性体)、ジフェニル−ビスヘキシルオキシ−スズ(各異性体)、ジブトキシ−ビス−(トリフルオロ−ブチル)−スズ(各異性体)、ビスペンチルオキシビス−(トリフルオロブチル)−スズ(各異性体)、ビスヘキシルオキシ−ビス−(トリフルオロブチル)−スズ(各異性体)、ジブトキシ−ビス−(ペンタフルオロブチル)−スズ(各異性体)、ビスペンチルオキシビス−(ペンタフルオロブチル)−スズ(各異性体)、ビスヘキシルオキシ−ビス−(ペンタフルオロブチル)−スズ(各異性体)、ジブトキシ−ビス−(ヘプタフルオロブチル)−スズ(各異性体)、ビスペンチルオキシビス−(ヘプタフルオロブチル)−スズ(各異性体)、ビスヘキシルオキシ−ビス−(ヘプタフルオロブチル)−スズ(各異性体)、ジブトキシ−ビス−(ノナフルオロブチル)−スズ(各異性体)、ビスペンチルオキシビス−(ノナフルオロブチル)−スズ(各異性体)、ビスヘキシルオキシ−ビス−(ノナフルオロブチル)−スズ(各異性体)、ジオクチル−ジブトキシ−スズ(各異性体)、ジオクチル−ビスペンチルオキシ−スズ(各異性体)、ジオクチル−ビスヘキシルオキシ−スズ(各異性体)等のジアルキルスズアルコキシドなどが挙げられ、好ましい例としては、ジブチル−ジブトキシ−スズ(各異性体)、ジオクチル−ジブトキシ−スズ(各異性体)などが挙げられる。
式(5)で示されるアルキルスズアルコキシドの例としては、1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ジブトキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ビスペンチルオキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ビスヘキシルオキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ジブトキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ビスペンチルオキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ビスヘキシルオキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラフェニル−1,3−ジブトキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラフェニル−1,3−ビスペンチルオキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラフェニル−1,3−ビスヘキシルオキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラキス(トリフルオロブチル)−1,3−ジブトキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラキス(トリフルオロブチル)−1,3−ビスペンチルオキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラキス(トリフルオロブチル)−1,3−ビスヘキシルオキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラキス(ペンタフルオロブチル)−1,3−ジブトキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラキス(ペンタフルオロブチル)−1,3−ビスペンチルオキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラキス(ペンタフルオロブチル)−1,3−ビスヘキシルオキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラキス(ヘプタフルオロブチル)−1,3−ジブトキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラキス(ヘプタフルオロブチル)−1,3−ビスペンチルオキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラキス(ヘプタフルオロブチル)−1,3−ビスヘキシルオキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラキス(ノナフルオロブチル)−1,3−ジブトキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラキス(ノナフルオロブチル)−1,3−ビスペンチルオキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラキス(ノナフルオロブチル)−1,3−ビスヘキシルオキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラオクチル−1,3−ジブトキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラオクチル−1,3−ビスペンチルオキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラオクチル−1,3−ビスヘキシルオキシ−ジスタンオキサン(各異性体)などが挙げられる。好ましい例としては、1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ジブトキシ−ジスタンオキサン(各異性体)、1,1,3,3−テトラオクチル−1,3−ジブトキシ−ジスタンオキサン(各異性体)が挙げられる。
前述したように、出発物質と反応物質を脱水反応し(下式(9)及び下式(10)の逐次脱水反応と推定される。)、アルキルスズアルコキシドを製造する。
Figure 2007269653
Figure 2007269653
脱水反応後の生成物であるアルキルスズアルコキシドを含む反応液は過剰なアルコールを含んでおり、このアルコールを蒸発させ高濃度のアルキルスズアルコキシドを得る。過剰アルコールを蒸発させる際に、場合によっては収率や純度が低下する場合があった。
本発明者らは、アルコールの蒸発に関して鋭意検討を重ねた結果、アルキルスズアルコキシドの収率や純度を高く保ちつつ高いエネルギー効率で過剰なアルコールを除去することができる方法を見出した。すなわち、本発明は、少なくとも2つの第一及び第二の反応器を用いて、ジアルキルスズオキシド及び/又はテトラアルキルジアルコキシジスタンオキサンからなる出発物質とアルコールから選ばれる反応物質とを脱水反応させ、発生する水を含む低沸成分を反応液から蒸発させてアルキルスズアルコキシドを製造する際に、該第一の反応器の第一の反応液からの低沸成分の熱量を、第二の反応器にある第二の反応液と熱交換させ、該第二の反応液から発生する水を含む低沸成分の蒸発に用い、これによってアルキルスズアルコキシドの収率低下がなく、しかも製造に必要な熱量を小さくすることが可能である。つまり、第一の低沸成分の熱量を、熱交換器を用いて第二の反応器の第二の反応液へ熱を移動させ、該第一の低沸成分自体を凝縮させて、具体的には、気体から液体へ凝縮させるとともに、第二の低沸成分を蒸発させることにより、アルキルスズアルコキシドの製造において、高いエネルギー効率で、低沸成分であるアルコールを除去することは可能となる。
前述のように、本発明に係るアルキルスズアルコキシドの製造方法を、第一及び第二の反応器という2つの反応器にて説明したが、本発明に係る製造方法は、2つの反応器を用いた場合に限定されるものではなく、第三及び第四の反応器を用いた場合であっても、前述の第一及び第二の反応器と同様の操作が繰り返し行われる。第三及び第四の反応器を用いた場合であっても、第一及び第二の反応器を用いて、本発明に係るアルキルスズアルコキシドの製造方法を実施している限り、本発明に係る製造方法の特許請求の範囲に包含されるものである。そして、最終的には、第nの反応器(nは2以上の整数である。)において、低沸成分を蒸発させて排気する、あるいは該蒸気を別の反応器の反応液と熱交換させる。一方で、かかる低沸成分から凝縮された凝縮相である液体は廃棄されてもよい。なお、各反応器からの低沸成分は、必要に応じて、熱交換が行われる際、低沸成分の沸点以下の温度で凝縮相として回収しても構わない。
過剰なアルコールを除去する際に、場合によっては得られたアルキルスズアルコキシドの収率が低下し、副反応から生成したトリアルキルスズ化合物などが製品に含まれたり、製品が著しく着色したりする場合がある。さらに、このようなアルキルスズアルコキシドを、例えば炭酸エステル合成に用いると、副生成物が多く見られた。これら副反応や着色原因の詳細については明らかではないが、本発明に係る製造方法により得られたアルキルスズアルコキシドを触媒して炭酸エステルの合成に用いると、これらの課題も解決することができる。
次に、本発明のアルキルスズアルコキシドの製造及び製造条件について述べる。本発明のアルキルスズアルコキシドの製造は、前記したように、出発物質と反応物質を脱水反応させることによって得られる。かかる脱水反応は、2つ以上の蒸留塔を用い、一つの蒸留塔における低沸成分を、他の蒸留塔のリボイラーで熱交換させ、熱量を有効利用するものであり、蒸留におけるエネルギー効率を高めることができる。本発明のアルキルスズアルコキシドに係る製造方法では、エネルギー効率を高めることだけなく、驚くべきことに収率の低下を抑制できる。
該脱水反応は平衡反応であって、生成物であるアルキルスズアルコキシドの生成速度、生成量は、出発物質と反応物質のモル比に大きく依存する。該脱水反応を行う際、出発原料に対するアルコールのモル比は、アルコールの種類によって異なるが、通常1〜1000倍、好ましくは3〜50倍である。脱水反応は平衡反応であるため、アルキルスズオキシドのモル数に対して過剰のアルコールを使用した場合が一般に反応を早く進行させることができるが、大過剰のアルコールを使用した場合には、反応後のアルコールの留去に多大なエネルギーを必要とするので、上記範囲が好ましい。該反応温度は、原料アルコールの種類や反応圧力によって異なるが、通常60〜180℃である。高温では副反応が起こりやすくなり、一方、低温では反応が非常に遅いため、好ましくは100〜160℃である。反応圧力についても原料アルコールの種類などによって異なり、減圧から加圧条件で行うことが可能であるが、好ましくは200Pa〜1MPaという圧力範囲で行う。効率よく反応系から水を除去するために、より好ましくは10kPa〜0.5MPaの範囲である。
蒸発から発生した低沸成分は他の反応器の中にある他の反応液と熱交換させることによって該他の反応液の蒸発を行うことができる。熱交換の際、流体の流れは向流であっても並流であってもかまわない。熱交換させる低沸成分は温度低下による熱損失を最小限にするために熱交換器までの配管を十分に断熱し、また熱交換の効率という観点から、低沸成分温度と熱交換を行う反応器の操作温度との差を10℃以上にすることが好ましく、より好ましくは15℃以上にする。さらに低沸成分の熱量を十分に回収するために熱交換器出口では70%以上の低沸成分が凝縮することが好ましい。
本発明に係るアルキルスズアルコキシドの製造方法において、熱交換効率の観点から、熱交換後の低沸成分は、その沸点以下の温度で凝縮相として回収されることが好ましい。
上記したように、反応は平衡反応と推定され、平衡を生成物側にずらしてアルキルスズアルコキシドを得る。即ち、反応液の中から水を除去してアルキルスズアルコキシドを得る。脱水方法は公知の脱水方法が使用できる。例えば、蒸留、膜分離、脱水剤などの方法が挙げられる。蒸留は減圧蒸留、加圧蒸留、薄膜蒸留、共沸蒸留などの方法が使用でき、膜分離はパーベーパレーションなどの方法が使用でき、脱水剤はモレキュラーシーブなどの公知の脱水剤が使用できる。また、反応液中に例えば窒素やアルゴンなどの不活性ガスを流し、反応液からの水の除去を促すこともできる。不活性ガス中に水が含まれると得られたアルキルスズアルコキシドを加水分解させ、収率低下を引き起こす場合があるので、不活性ガス中の水分量は0.05vol%以下、好ましくは0.005vol%以下として添加することが好ましい。
上記脱水反応によるアルキルスズアルコキシドの製造はいかなる反応器、例えば、バッチ型反応器、セミバッチ型反応器、完全混合槽型反応器及び流通型反応器、又はこれらの反応器を連結させた複合型反応器を用いてもよい。また発生する水を含む低沸成分を反応液から蒸発させながら脱水反応を行うため、蒸留操作が行える塔型反応器が好ましく用いられる。塔型反応器は充填剤を詰めた充填塔であっても、多段蒸留塔であっても、あるいはこれらを組み合わせた塔型反応器であってもかまわない。
上述の方法を用いれば、アルキルスズアルコキシドの収率低下がなく、しかも製造に必要な熱量を小さくすることができる。
以下に示す本発明の実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、これらは例示的なものであり、本発明は以下の実施例等に制限されるものではない。当業者は、以下に示す実施例に様々な変更を加えて本発明を実施することができ、かかる変更は本願特許請求の範囲に包含される。
<分析方法>
1)NMR分析方法
装置:日本電子(株)社製JNM−A400 FT−NMRシステム
(1)1H−NMR、13C−NMR、119Sn−NMR分析サンプルの調製
スズ化合物を0.3g秤量し、重クロロホルム(アルドリッチ社製、99.8%)約0.7gと、119Sn−NMR内部標準としてテトラメチルスズ(和光社製、和光一級)0.05gとを加えて均一に混ぜた溶液を、NMR分析サンプルとする。
(2)定量分析法
各標準物質の標準サンプルについて分析を実施し作成した検量線を基に、分析サンプル溶液の定量分析を実施する。
(3)ジアルキルスズアルコキシドの収率計算方法
ジアルキルスズアルコキシドの収率は出発原料(化学式(1)及び/又は化学式(2)で表す化合物)のスズ原子のモル数に対して、得られた各ジアルキルスズアルコキシド(化学式(4)及び/又は化学式(5)で表す化合物)のスズ原子モル数の生成モル%で求めた。
2)水の分析方法
装置:三菱化学(株)社製CA−05微量水分計
(1)定量分析法
分析サンプルを、シリンジを用いて0.12ml採取し重量を測った後、そのまま水分計に注入し、水の定量を行う。その後再びシリンジの重量を測り、サンプル注入量を計算し、サンプル中の水含有量を求める。
(製造例1:出発物質1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ジ(ブチルオキシ)−ジスタンオキサンの合成)
容積2000mLのなす型フラスコに、ジブチルスズオキシド(三共有機合成社製)540g(2.18mol)及び1−ブタノール(和光社製)1400g(18.9mol)を入れた。白色スラリー状の該混合物を入れたフラスコを、温度調節器のついたオイルバス(増田理化工業社製、OBH−24)と真空ポンプ(ULVAC社製、G−50A)と真空コントローラー(岡野製作所社製、VC−10S)を接続したエバポレーター(柴田社製、R−144)に取り付けた。エバポレーターのパージバルブ出口は常圧で流れている窒素ガスのラインと接続した。エバポレーターのパージバルブを閉め、系内の減圧を行った後、パージバルブを徐々に開き、系内に窒素を流し、常圧に戻した。オイルバス温度を128℃に設定し、該フラスコを該オイルバスに浸漬してエバポレーターの回転を開始した。エバポレーターのパージバルブを開放したまま常圧で約30分間回転攪拌と加熱した後、混合液が沸騰し、低沸成分の蒸留が始まった。この状態を6時間保った後、パージバルブを閉め、系内を徐々に減圧し、系内の圧力が76〜54kPaの状態で残存低沸成分を蒸留した。低沸成分が出なくなった後、該フラスコをオイルバスから上げた。反応液は透明な液になっていた。留去した液は1255gであり、透明で、2層に分離していた。留去した液を分析したところ約19.6gの水を含んでいた。その後、該フラスコをオイルバスから上げた、パージバルブを徐々に開き系内の圧力を常圧に戻した。該フラスコには反応液684gを得た。119Sn,1H,13C−NMRの分析結果から、生成物1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ジ(ブチルオキシ)−ジスタンオキサンを、ジブチルスズオキシド基準で収率99%を得た。同様な操作を6回繰り返し、1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ジ(ブチルオキシ)−ジスタンオキサンを合計4100g得た。
(実施例1)
(塔型反応器でジブチルスズジブトキシドを合成)
図1に示すような塔型反応器6において、ジブチルスズジブトキシドを製造した。反応器上部8に供給ライン3、予熱器4、低沸成分回収ライン13、そして反応器中部7に供給ライン1と供給ライン2、予熱器5、そして反応器下部9に反応器下部に滞留する反応液を循環する循環ライン11、リボイラー10と抜き出しライン12を取り付けた、内径50mm、全長4000mmのSUS316製の塔型反応器6にMELLAPAK 750Yを充填した。反応器下部9から回収した反応液はバルブ18を介して塔型反応器19の反応器上部20に供給し、また反応器上部8から回収した低沸成分を反応器下部21のリボイラー22に供給し塔型反応器19内の反応液と熱交換させた後、凝縮した低沸成分を低沸成分貯蔵層14を介して回収ライン16から回収した。塔型反応器6の圧力制御は背圧弁15によって制御した。塔型反応器19にMELLAPAK 750Yを充填し、反応器上部には低沸成分回収ライン25、凝縮器26、低沸成分貯蔵層27、圧力制御弁28を設置した。
供給ライン1から製造した1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ビス(ブチルオキシ)−ジスタンオキサンを300g/Hrで、供給ライン2から1−ブタノールを1415g/Hrで、供給ライン3から1−ブタノールを2122g/Hrで送液ポンプを用いて供給を開始した。該塔型反応器6内の平均滞留時間は約7分であった。反応器下部にある反応液は循環ライン11とリボイラー10によって循環加熱した。リボイラー10の入り口に180℃の水蒸気を供給し、該塔型反応器6内の反応液を加熱し低沸成分を蒸発させた。反応器下部9からジブチルスズジブトキシドを含む成分を抜き出しライン12から1757g/Hrで回収し、次の塔型反応器19の反応器上部20に供給した。一方、反応器上部8から回収した低沸成分2121g/Hrを塔型反応器19の反応器下部21に設置したリボイラー22の入り口に供給した。リボイラー22の出口では水を含んでいる1−ブタノールを凝縮した約100℃の液として回収した。この状態で約10時間連続供給した後、系内が定常状態に達し、反応器内の温度は140℃で圧力は0.096MPa−Gであった。一方、塔型反応器19の圧力は圧力制御バルブ28によって約4kPaに調節し運転した。反応器下部21に設置した循環ライン23とリボイラー22によって塔型反応器19内の反応液を循環加熱し、塔型反応器19内の温度は120℃であった。反応器上部20から低沸成分を凝縮器26と低沸成分貯蔵層27と回収ライン29を介して1410g/Hrで回収された。反応器下部21から346g/Hrで生成物を回収し、回収液は淡黄色の液体でこれにはジブチルスズオキシド基準で収率70%のジブチルスズジブトキシドと収率29%の1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ジ(ブチルオキシ)−ジスタンオキサンからなる生成物を含んでいた。さらにトリブチルスズ(ブチルオキシ)は約0.2%、1−ブタノール0.5wt%であった。塔型反応器6のリボイラー10に供給された水蒸気量から計算した熱量は約2100kJ/Hrであった。
(比較例1)
図2に示すような塔型反応器6において、ジブチルスズジブトキシドを製造した。反応器上部8に供給ライン3、予熱器4、低沸成分回収ライン13、そして反応器中部7に供給ライン1と供給ライン2、予熱器5、そして反応器下部9に反応器下部に滞留する反応液を循環する循環ライン11、リボイラー10と抜き出しライン12を取り付けた、内径50mm、全長4000mmのSUS316製の塔型反応器6にMELLAPAK 750Yを充填した。反応器下部9から回収した反応液はバルブ18を介して塔型反応器19の反応器上部20に供給し、また反応器上部8から回収した低沸成分を凝縮器31によって液化させ、低沸成分貯蔵層32を介して回収ライン34から回収した。塔型反応器6の圧力制御は背圧弁33によって制御した。塔型反応器19にMELLAPAK 750Yを充填し、反応器上部20には低沸成分回収ライン25、凝縮器26、低沸成分貯蔵層27、圧力制御弁28を設置した。
供給ライン1から製造した1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ビス(ブチルオキシ)−ジスタンオキサンを300g/Hrで、供給ライン2から1−ブタノールを1414g/Hrで、供給ライン3から1−ブタノールを2122g/Hrで送液ポンプを用いて供給を開始した。該塔型反応器6内の平均滞留時間は約7分であった。反応器下部9にある反応液は循環ライン11とリボイラー10によって循環加熱した。リボイラー10の入り口に180℃の水蒸気を供給し、該塔型反応器6内の反応液を加熱し低沸成分を蒸発させた。反応器下部9からジブチルスズジブトキシドを含む成分を抜き出しライン12から1758g/Hrで回収し、塔型反応器19の反応器上部20に供給した。一方、反応器上部8から回収した低沸成分は2121g/Hrであった。この状態で約10時間連続供給した後、系内が定常状態に達し、反応器内の温度は140℃で圧力は0.096MPa−Gであった。一方、塔型反応器19の圧力は圧力制御バルブ28によって約4kPaに調整し運転した。反応器下部21に設置した循環ライン23とリボイラー22によって塔型反応器19内の反応液を循環加熱し、塔型反応器19内の温度は120℃であった。リボイラー22に供給した水蒸気はリボイラー10と同様に入り口における温度は180℃で出口における温度は約160℃であった。反応器上部20から低沸成分を低沸成分回収ライン25を介し、凝縮器26によって液化させ、低沸成分貯蔵層27と回収ライン29を介して1410g/Hrで回収された。反応器下部21から346g/Hrで生成物を回収し、回収液は茶色液体でこれにはジブチルスズオキシド基準で収率70%のジブチルスズジブトキシドと収率27%の1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ジ(ブチルオキシ)−ジスタンオキサンからなる生成物を含んでいた。さらにトリブチルスズ(ブチルオキシ)は約2%、1−ブタノール0.5wt%であった。リボイラー10及び22に供給された水蒸気量から計算した熱量は約3400kJ/Hrであった。
本発明に係るアルキルスズアルコキシドの製造方法は、炭酸エステルの製造、エステル交換反応、ポリマー硬化剤等の分野において好適に利用できるアルキルスズアルコキシを提供することができる。
本発明に係るアルキルスズアルコキシドの製造方法を実施するための反応器の概略図である。 本発明において、アルキルスズアルコキシドを製造するための反応器の概略図である。
符号の説明
1,2,3:供給ライン、4,5:予熱器、6,19:塔型反応器、7:反応器中部、8,20:反応器上部、9,21:反応器下部、10,22:リボイラー、11,23:循環ライン、12:抜き出しライン、13:低沸成分回収ライン、14,27,32:低沸成分貯蔵層、15,33:背圧弁、16,29,34:回収ライン、18:バルブ、25:低沸成分回収ライン、26,31:凝縮器、28:圧力制御弁

Claims (5)

  1. 少なくとも2つの第一及び第二の反応器を用いて、下記式(1)に示すジアルキルスズオキシド及び/又は下記式(2)に示すテトラアルキルジアルコキシジスタンオキサンを含む出発物質と、下記式(3)に示すアルコールから選ばれる反応物質とを脱水反応させ、発生する水を含む第一の低沸成分を第一の反応液から蒸発させて、アルキルスズアルコキシドを製造する方法であって、
    該第一の反応器の低沸成分の熱量を、該第一の反応器と連結した第二の反応器にある第二の反応液と熱交換させる工程と、
    該第二の反応液から、発生する水を含む第二の低沸成分を蒸発させる工程と、
    を含むことを特徴とするアルキルスズアルコキシドの製造方法。
    Figure 2007269653
    (式中:
    1は、直鎖状又は分岐状の炭素数1〜12のアルキル基、炭素数5〜12のシクロアルキル基、直鎖状又は分岐状の炭素数2〜12のアルケニル基、無置換又は置換された炭素数6〜19のアリールと、直鎖状又は分岐状の炭素数1〜14のアルキル及び炭素数5〜14のシクロアルキルからなる群から選ばれるアルキルと、から構成される炭素数7〜20のアラルキル基、無置換又は置換された炭素数6〜20のアリール基を表す。)
    Figure 2007269653
    (式中:
    1は、直鎖状又は分岐状の炭素数1〜12のアルキル基、炭素数5〜12のシクロアルキル基、直鎖状又は分岐状の炭素数2〜12のアルケニル基、無置換又は置換された炭素数6〜19のアリールと、直鎖状又は分岐状の炭素数1〜14のアルキル及び炭素数5〜14のシクロアルキルからなる群から選ばれるアルキルと、から構成される炭素数7〜20のアラルキル基、無置換又は置換された炭素数6〜20のアリール基を表し;
    2は、n−ブチル、2−メチルプロピル、炭素数5又は6のシクロアルキル基、直鎖状又は分岐状のアルキル基又はアルケニル基を表す。)
    Figure 2007269653
    (式中:
    3は、n−ブチル、2−メチルプロピル、炭素数5又は6のシクロアルキル基、直鎖状又は分岐状のアルキル基又はアルケニル基を表す。)
  2. 該アルキルスズアルコキシドが、下記式(4)又は下記式(5)の少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1記載の製造方法。
    Figure 2007269653
    (式中:
    1は、直鎖状又は分岐状の炭素数1〜12のアルキル基、炭素数5〜12のシクロアルキル基、直鎖状又は分岐状の炭素数2〜12のアルケニル基、無置換又は置換された炭素数6〜19のアリールと、直鎖状又は分岐状の炭素数1〜14のアルキル及び炭素数5〜14のシクロアルキルからなる群から選ばれるアルキルと、から構成される炭素数7〜20のアラルキル基、無置換又は置換された炭素数6〜20のアリール基を表し;
    4,R5は、n−ブチル、2−メチルプロピル、炭素数5又は6のシクロアルキル基、直鎖状又は分岐状のアルキル基又はアルケニル基を表し、R4,R5は、それぞれ、出発物質及び/又は反応物質のR2又はR3に対応する。ただし、R4,R5の少なくとも一つはR3に対応する。)
    Figure 2007269653
    (式中:
    1は、直鎖状又は分岐状の炭素数1〜12のアルキル基、炭素数5〜12のシクロアルキル基、直鎖状又は分岐状の炭素数2〜12のアルケニル基、無置換又は置換された炭素数6〜19のアリールと、直鎖状又は分岐状の炭素数1〜14のアルキル及び炭素数5〜14のシクロアルキルからなる群から選ばれるアルキルと、から構成される炭素数7〜20のアラルキル基、無置換又は置換された炭素数6〜20のアリール基を表し;
    6,R7は、n−ブチル、2−メチルプロピル、炭素数5又は6のシクロアルキル基、直鎖状又は分岐状のアルキル基又はアルケニル基を表し、R6,R7は、それぞれ、出発物質及び/又は反応物質のR2又はR3に対応する。ただし、R6,R7の少なくとも一つはR3に対応する。)
  3. 該第一及び/又は第二の低沸成分は、熱交換が行われる際に、該第一及び/又は第二の低沸成分の沸点以下の温度で凝縮相として回収される工程をさらに含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. 該ジアルキルスズオキシドは、ジ−n−ブチル−スズオキシド又はジ−n−オクチル−スズオキシドであることを特徴とする請求項1ないし3のうち何れか一項に記載の製造方法。
  5. 請求項1〜4のうち何れか一項に記載された方法で製造されたアルキルスズアルコキシドを触媒として用いることを特徴とする炭酸エステルの製造方法。

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