JP2004210685A - 重合性単量体組成物の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】煩雑な触媒除去等の工程を必要としない、また水酸基含有化合物と共重合させた場合にエステル交換や架橋反応等の副反応を起こさない重合性単量体組成物の製造方法を提供する。
【解決手段】ジブチルスズオキシドおよびジブチルスズジカルボキシレートから選ばれる少なくとも1種の触媒の存在下に、炭素数が5以上のアルコールとアルキル基の炭素数が1〜4のアルキル(メタ)アクリレートとをエステル交換反応させて生成するアルコールを留去せしめ、次いで得られた反応液を酸と接触させる重合性単量体組成物の製造方法。
【選択図】 なし
【解決手段】ジブチルスズオキシドおよびジブチルスズジカルボキシレートから選ばれる少なくとも1種の触媒の存在下に、炭素数が5以上のアルコールとアルキル基の炭素数が1〜4のアルキル(メタ)アクリレートとをエステル交換反応させて生成するアルコールを留去せしめ、次いで得られた反応液を酸と接触させる重合性単量体組成物の製造方法。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、重合性単量体組成物の製造方法に関し、より詳細には特定のスズ系触媒の存在下に特定のアルコールとアルキル(メタ)アクリレートとをエステル交換反応させて生成アルコールを留去せしめ、次いで得られた反応液を酸と接触させる重合性単量体組成物の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、目的とする(メタ)アクリレートを得るには、酸触媒の存在下に(メタ)アクリル酸とアルコールとをエステル化反応させて製造する方法や、チタン系触媒、スズ系触媒などの触媒の存在下にアルキル(メタ)アクリレートとアルコールとをエステル交換反応させて製造する方法が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記方法により製造した(メタ)アクリレート中に残存する触媒は、得られた(メタ)アクリレートを次の反応に使用する場合に通常副反応を起こすため、一般には得られた(メタ)アクリレート中に含有される使用触媒を分離する工程が必要となる。特に、得られた(メタ)アクリレートが蒸留精製困難な場合には、煩雑な触媒除去工程が必要であり、これがコスト高の要因となる。
【0004】
例えば、酸触媒の存在下にエステル化反応又はエステル交換反応させて目的とする(メタ)アクリレートを製造する方法では、反応後の酸触媒をアルカリによる中和洗浄によって除去する工程が必要となる。
また、チタン系触媒の存在下にエステル交換反応により目的とする(メタ)アクリレートを製造する場合には、水等を添加して不溶化させた後、ろ過助剤などを添加してろ過するか、活性炭などに吸着させてろ過するなどの工程が必要となる(例えば、非特許文献1参照)。
【0005】
一方、スズ触媒の存在下にエステル交換反応により目的とする(メタ)アクリレートを製造する際、蒸留により精製可能な(メタ)アクリレートを製造する場合には蒸留により触媒を除去する工程が通常採用されるが、高沸点であるため蒸留による精製が困難な(メタ)アクリレートを製造する場合には、アルカリ水溶液で反応液を洗浄する工程(例えば、特許文献1参照)、ろ過助剤や活性炭を用いてろ過し残存触媒を低減する工程などが採用される。
【0006】
しかしながら、上記アルカリ洗浄工程を採用する場合には、洗浄工程後の洗浄液処理工程、廃水処理工程等の工程が必要となりコスト高となるという問題点を有していた。また、ろ過助剤、活性炭などをろ過する工程を採用する場合には、除去率が低いため、使用した触媒を後工程で実質的に問題ないほど十分に除去できないことが多く、得られた(メタ)アクリレート中にスズ系触媒が残存した場合には、例えば得られた(メタ)アクリレートを他の(メタ)アクリレートと共重合する際にエステル交換反応が生じて、目的の共重合物を得ることができないといった問題があったり、水酸基含有(メタ)アクリレートと共重合させる際にはエステル交換反応が生じて、重合中に生成した二官能性単量体により架橋反応が起こるといった問題があったり、得られた(メタ)アクリレートの保存時に徐々に着色したりするといった問題が発生する。
【0007】
【非特許文献1】
オーガニック シンセシス 1987年 65巻 230〜235頁(Org. Synth. 65, 230−235 (1987))
【特許文献1】
特開平9−183751号公報(4−7頁)
【0008】
したがって、本発明は、煩雑な触媒除去等の工程を必要としない重合性単量体組成物の製造方法を提供すること、また水酸基含有重合性単量体と共重合させた場合に予定していないエステル交換や架橋反応等の副反応を起こさない重合性単量体組成物の製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、特定のスズ系触媒の存在下に、特定のアルコールとアルキル(メタ)アクリレートとをエステル交換反応させた後、反応液を酸と接触させることにより、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は
1) ジアルキルスズオキシドおよびジアルキルスズジカルボキシレートから選ばれる少なくとも1種の触媒の存在下に、炭素数が5以上のアルコールとアルキル基の炭素数が4以下のアルキル(メタ)アクリレートとをエステル交換反応させて生成アルコールを留去せしめ、次いで得られた反応液を酸と接触させることを特徴とする重合性単量体組成物の製造方法である。
また、本発明は、
2) 酸が、有機カルボン酸、リン酸、リン酸モノエステルおよびリン酸ジエステルから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする上記1)記載の製造方法、または酸が、酸性イオン交換樹脂であることを特徴とする上記1)記載の製造方法である。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の方法に原料として用いるアルコールとしては、炭素数が5以上のアルコールであることが必要であり、炭素数が5〜30のアルコールであることが好ましい。原料アルコールの炭素数が1〜4の場合には、その沸点が低く、後述の原料アルキル(メタ)アクリレートと共に留去してしまう場合が多く好ましくない。上記炭素数が5以上のアルコールとしては、例えば、n−アミルアルコール、n−ヘキシルアルコール、n−ヘプチルアルコール、n−オクチルアルコール、2−エチルヘキシルアルコール、トリデシルアルコール、ラウリルアルコール、オクタデシルアルコール、セチルアルコール、メリシルアルコール等の置換基を有しない脂肪族飽和アルコール類;ブトキシエチルアルコール、フェノキシエチルアルコール、tert−ブチルアミノエチルアルコール、N,N―ジエチルアミノエチルアルコール等の置換基を有する脂肪族飽和アルコール類;シクロヘキシルアルコール、シクロオクチルアルコール、メチルシクロヘキシルアルコール、エチルシクロヘキシルアルコール、イソボルニルアルコール、メチルイソボルニルアルコール、ジシクロペンテニルアルコール、ジシクロペンタジエニルアルコール、ジシクロペンテニロキシエチルアルコール等の脂環式アルコール類;ヘプタデカフルオロデシルアルコール等のフッ素含有アルコール類;ベンジルアルコール等の芳香族アルコール類;1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオール等のアルキルジオール類;エトキシジエチレングリコール、ブトキシジエチレングリコール、フェノキシジエチレングリコール、フェノキシトリエチレングリコール、フェノキシヘキサエチレングリコール、メトキシトリプロピレングリコール、エトキシトリプロピレングリコール、ブトキシトリプロピレングリコール、メトキシポリエチレングリコール、メトキシプロピレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール等のグリコール類;水酸基含有ポリイソプレン、水酸基含有ポリブタジエン、水酸基含有ポリブテン、水酸基含有ポリイソブチレン等の水酸基含有ポリマー類が挙げられる。これらのうちでも、n−ヘキシルアルコール、n−ヘプチルアルコール、n−オクチルアルコール、2−エチルヘキシルアルコール、トリデシルアルコール、ラウリルアルコール、オクタデシルアルコール、セチルアルコール、メリシルアルコール等の脂肪族飽和アルコール類が好ましく、エステル基を含まない炭素数が5〜30の脂肪族飽和アルコールであることがより好ましい。これらは1種単独で使用することもできるし、2種以上で使用することもできる。
【0011】
また、本発明の方法においてもう一方の原料として用いるアルキル(メタ)アクリレートとしては、アルキル基の炭素数が1〜4のアルキル(メタ)アクリレート(本明細書において(メタ)アクリレートは、アクリレートおよびメタクリレートを意味する。以下同じ。)であることが必要である。炭素数が5以上のアルキル(メタ)アクリレートの場合には、生成アルコールの沸点が高くなり、生成アルコールを留去する際に同時に原料アルコールも留去される場合があるため好ましくない。
上記アルキル基の炭素数が1〜4のアルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、s−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート等が挙げられ、メチルアクリレート、メチルメタクリレートあるいはこれらの混合物であることが反応で生成するアルコール(メタノール)を共沸混合物として系外へ容易に除去できる点で好ましい。
【0012】
上記アルコールとアルキル(メタ)アクリレートとのエステル交換反応は、公知の方法により行なうことができる。
また、その際の上記アルコールとアルキル(メタ)アクリレートの使用割合は、特に制限されないが、反応速度、使用量などの観点から、前記アルコール1モルに対して、前記アルキル(メタ)アクリレート2モル以上であることが好ましく、5モル以上あることがより好ましい。
【0013】
本発明の方法においてエステル交換反応で用いる触媒としては、ジアルキルスズオキシドおよびジアルキルスズジカルボキシレートから選ばれる少なくとも1種のスズ系触媒であり、ジアルキルスズオキシド、ジアルキルスズジカルボキシレートまたはこれらの混合物が用いられ、反応性の観点からジアルキルスズオキシドが好ましく用いられる。
上記触媒としては、通常公知の化合物が使用でき、好ましい具体例として、ジブチルスズオキシド、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジオクチレート、ジブチルスズジ(2−エチルヘキサノエート)等を挙げることができ、これらは1種単独で用いることもできるし、2種以上を用いることもできる。これらのうち反応性の点からジブチルスズオキシドが好ましく用いられる。
【0014】
エステル交換反応で使用される上記スズ系触媒の使用割合は、特に制限されるものではないが、反応時間、後述する酸の使用量の観点から、通常仕込反応液全量に対して10〜20,000ppmの濃度で添加することが好ましく、100〜10,000ppmの濃度で添加するのがより好ましい。
【0015】
本発明の方法における前記アルコールとアルキル(メタ)アクリレートとのエステル交換反応に際しては、(メタ)アクリロイル基の重合を抑制するため、重合禁止剤を添加して実施することが好ましい。該重合禁止剤としては、特に限定されず、例えば、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、ジ−t−ブチルハイドロキノン等のハイドロキノン類;α−ナフトール、β−ナフトール等のナフトール類;カテコール、ジ−t−ブチルカテコール等のカテコール類;p−ベンゾキノン;ピロガロール、フェニルエチルピロガロール等のピロガロール類;2,6−ジ−t−ブチルアニソール等のアニソール類;p−ヒドロキシジフェニルアミン、フェノチアジン、ジエチルヒドロキシルアミン等のアミン類;2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル等のN−オキシル類などが挙げられ、ハイドロキノンモノメチルエーテル、フェノチアジン、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシルなどが好ましく用いられる。これらは単独で用いても良いし、2種以上を併用しても良い。
重合禁止剤の使用量は、特に制限されるものではないが、通常上記アルキル(メタ)アクリレートに対して30〜10,000ppm、好ましくは100〜1,000ppmであり、前記原料などと混合して用いる。
【0016】
本発明における前記アルコールとアルキル(メタ)アクリレートのエステル交換反応に際しては、反応を阻害しないものである限り、必要により溶媒を使用することができる。使用可能な溶媒としては、例えば、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、メチルシクロヘキサン、オクタン等の脂肪族飽和炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン等のハロゲン化炭化水素などが挙げられる。溶媒は1種類のものを使用してもよいし、2種類以上を混合して使用してもよい。
溶媒を使用する場合、その使用量は、仕込反応液全量に対して、通常0.01〜20倍質量であり、好ましくは0.1〜5倍質量である。
【0017】
エステル交換反応における反応温度は、特に限定されないが、通常20〜300℃、好ましくは40〜200℃の範囲の温度で実施される。
また、上記エステル交換反応は、通常、空気等の酸素存在下で実施されるが、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下に実施することもできる。
【0018】
本発明における前記アルコールとアルキル(メタ)アクリレートとのエステル交換反応を実施する際には、反応の進行に伴いアルキル基の炭素数が1〜4の低分子アルコール(以下、生成低分子アルコールと略記することがある)が副生するので、目的化合物を収率よく得るために、かかる生成低分子アルコールを除去しながら反応を行うことが好ましい。
生成低分子アルコールを除去する方法としては、特に限定されず、例えば、蒸留などにより生成低分子アルコールを反応系外に留去する方法が採用され、一般的には生成したアルコールが共沸蒸留によって系外に留去される。
【0019】
上記生成する低分子アルコールを共沸蒸留によって反応系外に留去する方法としては、例えば、生成アルコールと共沸し得る溶媒を使用して、生成アルコールと溶媒等とを反応系外に留去する方法、生成アルコールと前記原料アルキル(メタ)アクリレートとを共沸混合物として反応系外に留去する方法などが挙げられるが、後者の方法がより好適である。
【0020】
本発明の方法におけるエステル交換反応の圧力は、特に限定されず、例えば、大気圧下で行うこともできるし、生成するアルコールを容易に反応系外へ除去するために減圧下で行うこともできる。
【0021】
本発明の方法においては、前記のようにジアルキルスズオキシドおよびジアルキルスズジカルボキシレートから選ばれる少なくとも1種の触媒の存在下に、炭素数が5以上のアルコールとアルキル基の炭素数が1〜4のアルキル(メタ)アクリレートとをエステル交換反応させて生成アルコールを留去せしめ、次いで得られた反応液を酸と接触させることが重要であるが、反応液と酸とを接触させる時期としては、特に限定されるものではなく、例えば、反応終了直後でもよいし、反応終了後幾つかの他の工程を経た後でもよい。
【0022】
上記酸としては、特に限定されず、例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、ヘキサン酸、ペンタン酸、2−エチルヘキサン酸、n−オクチル酸、ラウリル酸等の有機カルボン酸類;リン酸、リン酸メチル、リン酸ジメチル、リン酸エチル、リン酸ジエチル、リン酸2−エチルヘキシル、リン酸ジ(2−エチルヘキシル)等のリン酸及びそのエステル類;亜リン酸、亜リン酸メチル、亜リン酸ジメチル、亜リン酸エチル、亜リン酸ジエチル、亜リン酸2−エチルヘキシル、亜リン酸ジ(2−エチルヘキシル)等の亜リン酸及びそのエステル類;p−トルエンスルホン酸等のスルホン酸類等が挙げられる。これらのうち、触媒の失活性能の点で、有機カルボン酸、リン酸、リン酸モノエステルおよびリン酸ジエステルから選ばれた少なくとも1種であることが好ましく、リン酸、リン酸モノエステルおよびリン酸ジエステルから選ばれた少なくとも1種であることがより好ましい。これらの酸は、1種類のみを使用してもよいし、2種以上を使用してもよい。これらの中でもリン酸、リン酸モノエステル、リン酸ジエステル、またはこれらの2種以上の混合物が触媒を十分に失活できる観点からさらに好ましい。
また、本発明の方法における酸は、上記酸に限られず、例えば、同様な性能を有するカルボン酸、リン酸、スルホン酸等の官能基を有する酸性イオン交換樹脂、活性白土等の固体酸を使用することができ、取り扱い性などの観点から、前記酸性イオン交換樹脂が好ましく用いられる。
本発明の方法において、酸の使用量は、特に限定されないが、前記スズ系触媒1モルに対して、通常酸として0.1〜10モルの範囲であることが好ましく、0.2〜5モルの範囲であることがより好ましく、触媒の失活に全量使用され実質的に遊離の酸が生じない2モル程度であることがさらに好ましい。
【0023】
本発明の方法において、反応液と酸とを接触させる方法は特に限定されず、例えば、反応液に単に添加する方法、反応液を攪拌しながら酸を添加する方法、加熱下に反応液を攪拌しながら酸を添加する方法などが採用され、触媒と酸とが効率よく接触し反応する観点から、加熱下に反応液を攪拌しながら酸を添加する方法が好ましい。
また、イオン交換樹脂などの固体酸を用いる場合には、上記の方法以外の方法を採用することができ、例えば、イオン交換樹脂などを充填したカラム、ろ過器等に反応液を通過させて接触させる方法、反応液中にイオン交換樹脂などを添加して攪拌等により接触させた後、該イオン交換樹脂等をろ過などの簡便な方法により除去する方法などを用いることができる。これらの方法のうち前者の場合には、処理後処理液中に遊離の酸が混入することがないという利点がある。
また、本発明の方法における反応液を酸と接触させる際の温度は、特に制限されないが、通常室温(20℃)〜200℃程度の温度範囲が好ましく採用される。
【0024】
反応液と酸との接触後の処理液は、目的とする単量体以外に、酸と触媒との反応生成物と、場合により残存する酸、使用原料、生成アルコール等とを含有するが、酸と触媒との反応生成物等はろ過により、あるいは活性炭に吸着させることなどにより処理液から除去してもよいし、そのまま処理液中に残してもよい。本発明においては、工程を増加させないという観点からは後者の方がより好ましい。
そして、酸を接触させて得た処理液は、そのまま重合性単量体組成物として用いてもよいし、適宜減圧濃縮等の操作を経た後に重合性単量体組成物として用いてもよい。
【0025】
本発明の方法により得られる重合性単量体組成物は、単量体以外の成分、例えば、酸と触媒との反応生成物、使用原料等を含有しているが、該単量体組成物そのままでまたは該単量体組成物を用いて得られた重合物の形で、アクリル系樹脂、熱可塑性エラストマー、樹脂改質剤、粘着剤、紫外線・電子線または放射線硬化型のインキ、塗料、コーティング剤、接着剤等に使用される。
【0026】
【実施例】
以下、本発明に関して実施例を挙げて更に詳しく説明するが、本発明はかかる実施例により何等限定されるものではない。
なお、得られた重合性単量体組成物中の単量体の純度は次の方法により測定した。
(1)得られた重合性単量体組成物を同重量のイソプロピルアルコールで希釈した後、以下の条件にてガスクロマトグラフィーにかけた。
カラム:G−100(商品名:化学品検査協会製)
カラム温度:100℃から10℃/分の速度で300℃まで昇温
検出器:FID
(2)次いで、重合性単量体組成物中の単量体の純度(%)を、ガスクロマトグラムの面積値から、次式(A)または(B)により算出した。
【0027】
また、実施例7〜12、実施例19〜24、比較例3〜4および比較例7〜8におけるエチレングリコールジメタクリレート(以下、EGDMAと略記することがある)の生成量の測定は、次の方法により測定した。
(1)反応液をサンプリングし、希釈せずに以下の条件のガスクロマトグラフィーにかけた。
カラム:G−100(商品名:化学品検査協会製)
カラム温度:100℃で5分保持した後、10℃/分の速度で280℃まで昇温検出器:FID
(2)次いで、EGDMA生成量(%)を、ガスクロマトグラムの面積値から、次式(C)により算出した。
[EGDMAの面積値/(EGDMAの面積値+2−ヒドロキシエチルメタクリレートの面積値)]×100 (C)
【0028】
実施例1
1リットルガラス製3つ口フラスコにビグリュウー管およびその上部に還流冷却器を取り付け、1−オクタデシルアルコール250g、ハイドロキノンモノメチルエーテル200ppmおよび4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル100ppmを含むメチルメタクリレート(以下、MMAと略記することがある)312gを仕込んだ。次いでジブチルスズオキシド0.94gを添加して、空気を吹き込みながら110℃に加熱して攪拌し、反応により生成したメチルアルコールをMMAとの共沸物として大気圧下に蒸留し留去した。次に、得られた反応液を100g取り、これに2−エチルヘキサン酸をジブチルスズオキシドの2倍モル添加し、80℃にて2時間加熱攪拌した後、ロータリーエバポレーターにて2.7KPa(20Torr)、バス温度60℃の条件下1時間減圧濃縮して透明な重合性単量体組成物A(オクタデシルメタクリレート99.3%含有)を得た。
【0029】
実施例2
実施例1における反応液100gを取り、2−エチルヘキサン酸の代りにリン酸を酸として添加する以外は、実施例1と同様にして、透明な重合性単量体組成物B(オクタデシルメタクリレート99.3%含有)を得た。
【0030】
実施例3
実施例1における反応液100gを取り、2−エチルヘキサン酸の代りにイオン交換樹脂「オルガノ株式会社製アンバーリスト 15E」(スルホン酸官能基タイプ)3.0g(ジブチルスズオキシドの0.24倍モルに相当)を加え、1時間室温にて攪拌し、続いてろ過することによりイオン交換樹脂を除去した後、ロータリーエバポレーターにて2.7KPa(20Torr)、バス温度60℃の条件下1時間減圧濃縮して、透明な重合性単量体組成物C(オクタデシルメタクリレート99.3%含有)を得た。
【0031】
実施例4
実施例1における反応液100gを取り、2−エチルヘキサン酸の代りにリン酸エチルエステル(モノエステルとジエステルの混合物、モノエステル/ジエステル質量比=40/60)を酸として添加する以外は、実施例1と同様にして、透明な重合性単量体組成物D(オクタデシルメタクリレート99.3%含有)を得た。
【0032】
実施例5
ジブチルスズオキシド0.94gの代りにジブチルスズジラウレート2.38gを添加する以外は、実施例1と同様にして、透明な重合性単量体組成物E(オクタデシルメタクリレート99.2%含有)を得た。
【0033】
実施例6
実施例5における反応液100gを取り、2−エチルヘキサン酸の代りにn−オクチル酸を酸として添加する以外は実施例1と同様にして、透明な重合性単量体組成物F(オクタデシルメタクリレート99.2%含有)を得た。
【0034】
比較例1
実施例1における反応液100gを取り、酸を添加せず、反応液と酸とを接触させない他は実施例1と同様にして、透明な重合性単量体組成物G(オクタデシルメタクリレート99.3%含有)を得た。
【0035】
比較例2
実施例5の反応液100gを取り、酸を添加せず、反応液と酸とを接触させない他は実施例1と同様にして、透明な重合性単量体組成物H(オクタデシルメタクリレート99.2%含有)を得た。
【0036】
実施例7〜12
100mlナスフラスコに、実施例1〜6で得られた重合性単量体組成物A〜Fをそれぞれ10.0g取り、メチルメタクリレート10.0g、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(以下、HEMAと略記することがある)1.0gを混合し、90℃で3時間加熱攪拌した。3時間後、ガスクロマトグラフィーによりゲル化等の架橋反応の原因となるエチレングリコールジメタクリレート(エステル交換生成物)の生成量をそれぞれ評価した。得られた結果を表1に示す。
【0037】
比較例3〜4
上記実施例7において、重合性単量体組成物Aの代りに重合性単量体組成物GまたはHを用いた以外は、実施例7と同様にそれぞれ評価した。得られた結果を表1に示す。
【0038】
【表1】
【0039】
上記表1の結果から、ジブチルスズオキシドまたはジブチルスズジラウレートを触媒として用いて1−オクタデシルアルコールとメチルメタクリレートとのエステル交換終了後に、反応液を酸と接触させて得られた本発明の実施例1〜6の重合性単量体組成物は、比較例1〜2のものと比べて、ゲル化等の異常な架橋反応の問題となるエチレングリコールジメタクリレートの生成が少ない、つまり2−ヒドロキシエチルメタクリレート(水酸基含有メタクリレート)とのエステル交換反応が抑制されていることがわかる。特に、実施例2または実施例4におけるようにリン酸またはリン酸エステルで酸処理した場合には、触媒であるジブチルスズオキシドの活性が完全に消失していることがわかる。
【0040】
実施例13
1リットルガラス製3つ口フラスコにビグリュウー管およびその上部に還流冷却器を取り付け、1−ドデシルアルコール220g、ハイドロキノンモノメチルエーテルを200ppmおよび4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル100ppmを含むMMA355gを仕込んだ。次いでジブチルスズオキシド0.97gを添加して、空気を吹き込みながら110℃に加熱して攪拌し、反応により生成したメチルアルコールをMMAとの共沸物として大気圧下に蒸留し留去した。反応液を100g取り、酢酸をジブチルスズオキシドの2倍モル添加し、80℃にて2時間加熱攪拌した後、ロータリーエバポレーターにて2.7KPa(20Torr)、バス温60℃の条件下1時間減圧濃縮して透明な重合性単量体組成物I(ドデシルメタクリレート99.3%含有)を得た。
【0041】
実施例14
実施例13における反応液100gを取り、酢酸の代りにリン酸を酸として添加する以外は、実施例13と同様にして、透明な重合性単量体組成物J(ドデシルメタクリレート99.3%含有)を得た。
【0042】
実施例15
実施例13における反応液100gを取り、酢酸の代りにn−オクチル酸を酸として添加する以外は、実施例13と同様にして、透明な重合性単量体組成物K(ドデシルメタクリレート99.3%含有)を得た。
【0043】
実施例16
ジブチルスズオキシド0.97gの代りにジブチルスズジラウレート2.46gを使用する以外は、実施例13と同様にして、透明な重合性単量体組成物L(ドデシルメタクリレート99.1%含有)を得た。
【0044】
実施例17
実施例16における反応液100gを取り、酢酸の代りにリン酸エチルエステル(モノエステルとジエステルの混合物、モノエステル/ジエステル質量比=40/60)を酸として添加する以外は実施例16と同様にして、透明な重合性単量体組成物M(ドデシルメタクリレート99.1%含有)を得た。
【0045】
実施例18
実施例16における反応液100gを取り、酢酸の代りにイオン交換樹脂「オルガノ株式会社製アンバーリスト 15E」(スルホン酸官能基タイプ)3.0g(ジブチルスズジラウレートの0.24倍モル)を加え、1時間室温にて攪拌し、続いてろ過することによりイオン交換樹脂を除去した後、ロータリーエバポレーターにて2.7KPa(20Torr)、バス温60℃の条件下1時間減圧濃縮して、透明な重合性単量体組成物N(ドデシルメタクリレート99.1%含有)を得た。
【0046】
比較例5
実施例13の反応液100gを取り、酸を添加せず、反応液と酸とを接触させない他は実施例13と同様にして、透明な重合性単量体組成物O(ドデシルメタクリレート99.3%含有)を得た。
【0047】
比較例6
実施例16の反応液100gを取り、酸を添加せず、反応液と酸とを接触させない他は実施例16と同様にして、透明な重合性単量体組成物P(ドデシルメタクリレート99.1%含有)を得た。
【0048】
実施例19〜24
100mlナスフラスコに、実施例13〜18で得られた重合性単量体組成物I〜Nをそれぞれ10.0g取り、MMA10.0g、HEMA1.0gを混合し、90℃で3時間加熱した。3時間後、ガスクロマトグラフィーによりゲル化等の架橋反応の原因となるEGDMAの生成量をそれぞれ評価した。得られた結果を表2に示す。
【0049】
比較例7〜8
実施例19において、重合性単量体組成物Iの代りに重合性単量体組成物OまたはPを用いた以外は、実施例19と同様にそれぞれ評価した。得られた結果を表2に示す。
【0050】
【表2】
【0051】
上記表2の結果から、ジブチルスズオキシドおよびジブチルスズジラウレートを触媒として用いて1−ドデシルアルコールとメチルメタクリレートとのエステル交換終了後に、反応液を酸と接触させて得られた本発明の実施例13〜18の重合性単量体組成物は、実施例1〜6の場合と同様、比較例5〜6のものと比べて、2−ヒドロキシエチルメタクリレートとのエステル交換反応が抑制されていることがわかる。特に、実施例14または実施例17におけるようにリン酸またはリン酸エステルで酸処理した場合には、実施例2または実施例4の場合と同様に、触媒であるジブチルスズオキシドおよびジブチルスズジラウレートの活性が完全に消失しており、リン酸およびリン酸エステルが特に有効であることがわかる。
【0052】
【発明の効果】
本発明の方法によれば、煩雑な触媒除去等の工程を必要とせずに重合性単量体組成物の簡便な製造方法を提供することができ、しかも本発明の方法によって得られる重合性単量体組成物は、水酸基含有化合物と共重合させた場合にもエステル交換や架橋反応等の副反応を起こさないか起こりにくいものであり、重合性物質として好適に使用することができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、重合性単量体組成物の製造方法に関し、より詳細には特定のスズ系触媒の存在下に特定のアルコールとアルキル(メタ)アクリレートとをエステル交換反応させて生成アルコールを留去せしめ、次いで得られた反応液を酸と接触させる重合性単量体組成物の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、目的とする(メタ)アクリレートを得るには、酸触媒の存在下に(メタ)アクリル酸とアルコールとをエステル化反応させて製造する方法や、チタン系触媒、スズ系触媒などの触媒の存在下にアルキル(メタ)アクリレートとアルコールとをエステル交換反応させて製造する方法が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記方法により製造した(メタ)アクリレート中に残存する触媒は、得られた(メタ)アクリレートを次の反応に使用する場合に通常副反応を起こすため、一般には得られた(メタ)アクリレート中に含有される使用触媒を分離する工程が必要となる。特に、得られた(メタ)アクリレートが蒸留精製困難な場合には、煩雑な触媒除去工程が必要であり、これがコスト高の要因となる。
【0004】
例えば、酸触媒の存在下にエステル化反応又はエステル交換反応させて目的とする(メタ)アクリレートを製造する方法では、反応後の酸触媒をアルカリによる中和洗浄によって除去する工程が必要となる。
また、チタン系触媒の存在下にエステル交換反応により目的とする(メタ)アクリレートを製造する場合には、水等を添加して不溶化させた後、ろ過助剤などを添加してろ過するか、活性炭などに吸着させてろ過するなどの工程が必要となる(例えば、非特許文献1参照)。
【0005】
一方、スズ触媒の存在下にエステル交換反応により目的とする(メタ)アクリレートを製造する際、蒸留により精製可能な(メタ)アクリレートを製造する場合には蒸留により触媒を除去する工程が通常採用されるが、高沸点であるため蒸留による精製が困難な(メタ)アクリレートを製造する場合には、アルカリ水溶液で反応液を洗浄する工程(例えば、特許文献1参照)、ろ過助剤や活性炭を用いてろ過し残存触媒を低減する工程などが採用される。
【0006】
しかしながら、上記アルカリ洗浄工程を採用する場合には、洗浄工程後の洗浄液処理工程、廃水処理工程等の工程が必要となりコスト高となるという問題点を有していた。また、ろ過助剤、活性炭などをろ過する工程を採用する場合には、除去率が低いため、使用した触媒を後工程で実質的に問題ないほど十分に除去できないことが多く、得られた(メタ)アクリレート中にスズ系触媒が残存した場合には、例えば得られた(メタ)アクリレートを他の(メタ)アクリレートと共重合する際にエステル交換反応が生じて、目的の共重合物を得ることができないといった問題があったり、水酸基含有(メタ)アクリレートと共重合させる際にはエステル交換反応が生じて、重合中に生成した二官能性単量体により架橋反応が起こるといった問題があったり、得られた(メタ)アクリレートの保存時に徐々に着色したりするといった問題が発生する。
【0007】
【非特許文献1】
オーガニック シンセシス 1987年 65巻 230〜235頁(Org. Synth. 65, 230−235 (1987))
【特許文献1】
特開平9−183751号公報(4−7頁)
【0008】
したがって、本発明は、煩雑な触媒除去等の工程を必要としない重合性単量体組成物の製造方法を提供すること、また水酸基含有重合性単量体と共重合させた場合に予定していないエステル交換や架橋反応等の副反応を起こさない重合性単量体組成物の製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、特定のスズ系触媒の存在下に、特定のアルコールとアルキル(メタ)アクリレートとをエステル交換反応させた後、反応液を酸と接触させることにより、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は
1) ジアルキルスズオキシドおよびジアルキルスズジカルボキシレートから選ばれる少なくとも1種の触媒の存在下に、炭素数が5以上のアルコールとアルキル基の炭素数が4以下のアルキル(メタ)アクリレートとをエステル交換反応させて生成アルコールを留去せしめ、次いで得られた反応液を酸と接触させることを特徴とする重合性単量体組成物の製造方法である。
また、本発明は、
2) 酸が、有機カルボン酸、リン酸、リン酸モノエステルおよびリン酸ジエステルから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする上記1)記載の製造方法、または酸が、酸性イオン交換樹脂であることを特徴とする上記1)記載の製造方法である。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の方法に原料として用いるアルコールとしては、炭素数が5以上のアルコールであることが必要であり、炭素数が5〜30のアルコールであることが好ましい。原料アルコールの炭素数が1〜4の場合には、その沸点が低く、後述の原料アルキル(メタ)アクリレートと共に留去してしまう場合が多く好ましくない。上記炭素数が5以上のアルコールとしては、例えば、n−アミルアルコール、n−ヘキシルアルコール、n−ヘプチルアルコール、n−オクチルアルコール、2−エチルヘキシルアルコール、トリデシルアルコール、ラウリルアルコール、オクタデシルアルコール、セチルアルコール、メリシルアルコール等の置換基を有しない脂肪族飽和アルコール類;ブトキシエチルアルコール、フェノキシエチルアルコール、tert−ブチルアミノエチルアルコール、N,N―ジエチルアミノエチルアルコール等の置換基を有する脂肪族飽和アルコール類;シクロヘキシルアルコール、シクロオクチルアルコール、メチルシクロヘキシルアルコール、エチルシクロヘキシルアルコール、イソボルニルアルコール、メチルイソボルニルアルコール、ジシクロペンテニルアルコール、ジシクロペンタジエニルアルコール、ジシクロペンテニロキシエチルアルコール等の脂環式アルコール類;ヘプタデカフルオロデシルアルコール等のフッ素含有アルコール類;ベンジルアルコール等の芳香族アルコール類;1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオール等のアルキルジオール類;エトキシジエチレングリコール、ブトキシジエチレングリコール、フェノキシジエチレングリコール、フェノキシトリエチレングリコール、フェノキシヘキサエチレングリコール、メトキシトリプロピレングリコール、エトキシトリプロピレングリコール、ブトキシトリプロピレングリコール、メトキシポリエチレングリコール、メトキシプロピレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール等のグリコール類;水酸基含有ポリイソプレン、水酸基含有ポリブタジエン、水酸基含有ポリブテン、水酸基含有ポリイソブチレン等の水酸基含有ポリマー類が挙げられる。これらのうちでも、n−ヘキシルアルコール、n−ヘプチルアルコール、n−オクチルアルコール、2−エチルヘキシルアルコール、トリデシルアルコール、ラウリルアルコール、オクタデシルアルコール、セチルアルコール、メリシルアルコール等の脂肪族飽和アルコール類が好ましく、エステル基を含まない炭素数が5〜30の脂肪族飽和アルコールであることがより好ましい。これらは1種単独で使用することもできるし、2種以上で使用することもできる。
【0011】
また、本発明の方法においてもう一方の原料として用いるアルキル(メタ)アクリレートとしては、アルキル基の炭素数が1〜4のアルキル(メタ)アクリレート(本明細書において(メタ)アクリレートは、アクリレートおよびメタクリレートを意味する。以下同じ。)であることが必要である。炭素数が5以上のアルキル(メタ)アクリレートの場合には、生成アルコールの沸点が高くなり、生成アルコールを留去する際に同時に原料アルコールも留去される場合があるため好ましくない。
上記アルキル基の炭素数が1〜4のアルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、s−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート等が挙げられ、メチルアクリレート、メチルメタクリレートあるいはこれらの混合物であることが反応で生成するアルコール(メタノール)を共沸混合物として系外へ容易に除去できる点で好ましい。
【0012】
上記アルコールとアルキル(メタ)アクリレートとのエステル交換反応は、公知の方法により行なうことができる。
また、その際の上記アルコールとアルキル(メタ)アクリレートの使用割合は、特に制限されないが、反応速度、使用量などの観点から、前記アルコール1モルに対して、前記アルキル(メタ)アクリレート2モル以上であることが好ましく、5モル以上あることがより好ましい。
【0013】
本発明の方法においてエステル交換反応で用いる触媒としては、ジアルキルスズオキシドおよびジアルキルスズジカルボキシレートから選ばれる少なくとも1種のスズ系触媒であり、ジアルキルスズオキシド、ジアルキルスズジカルボキシレートまたはこれらの混合物が用いられ、反応性の観点からジアルキルスズオキシドが好ましく用いられる。
上記触媒としては、通常公知の化合物が使用でき、好ましい具体例として、ジブチルスズオキシド、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジオクチレート、ジブチルスズジ(2−エチルヘキサノエート)等を挙げることができ、これらは1種単独で用いることもできるし、2種以上を用いることもできる。これらのうち反応性の点からジブチルスズオキシドが好ましく用いられる。
【0014】
エステル交換反応で使用される上記スズ系触媒の使用割合は、特に制限されるものではないが、反応時間、後述する酸の使用量の観点から、通常仕込反応液全量に対して10〜20,000ppmの濃度で添加することが好ましく、100〜10,000ppmの濃度で添加するのがより好ましい。
【0015】
本発明の方法における前記アルコールとアルキル(メタ)アクリレートとのエステル交換反応に際しては、(メタ)アクリロイル基の重合を抑制するため、重合禁止剤を添加して実施することが好ましい。該重合禁止剤としては、特に限定されず、例えば、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、ジ−t−ブチルハイドロキノン等のハイドロキノン類;α−ナフトール、β−ナフトール等のナフトール類;カテコール、ジ−t−ブチルカテコール等のカテコール類;p−ベンゾキノン;ピロガロール、フェニルエチルピロガロール等のピロガロール類;2,6−ジ−t−ブチルアニソール等のアニソール類;p−ヒドロキシジフェニルアミン、フェノチアジン、ジエチルヒドロキシルアミン等のアミン類;2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル等のN−オキシル類などが挙げられ、ハイドロキノンモノメチルエーテル、フェノチアジン、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシルなどが好ましく用いられる。これらは単独で用いても良いし、2種以上を併用しても良い。
重合禁止剤の使用量は、特に制限されるものではないが、通常上記アルキル(メタ)アクリレートに対して30〜10,000ppm、好ましくは100〜1,000ppmであり、前記原料などと混合して用いる。
【0016】
本発明における前記アルコールとアルキル(メタ)アクリレートのエステル交換反応に際しては、反応を阻害しないものである限り、必要により溶媒を使用することができる。使用可能な溶媒としては、例えば、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、メチルシクロヘキサン、オクタン等の脂肪族飽和炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン等のハロゲン化炭化水素などが挙げられる。溶媒は1種類のものを使用してもよいし、2種類以上を混合して使用してもよい。
溶媒を使用する場合、その使用量は、仕込反応液全量に対して、通常0.01〜20倍質量であり、好ましくは0.1〜5倍質量である。
【0017】
エステル交換反応における反応温度は、特に限定されないが、通常20〜300℃、好ましくは40〜200℃の範囲の温度で実施される。
また、上記エステル交換反応は、通常、空気等の酸素存在下で実施されるが、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下に実施することもできる。
【0018】
本発明における前記アルコールとアルキル(メタ)アクリレートとのエステル交換反応を実施する際には、反応の進行に伴いアルキル基の炭素数が1〜4の低分子アルコール(以下、生成低分子アルコールと略記することがある)が副生するので、目的化合物を収率よく得るために、かかる生成低分子アルコールを除去しながら反応を行うことが好ましい。
生成低分子アルコールを除去する方法としては、特に限定されず、例えば、蒸留などにより生成低分子アルコールを反応系外に留去する方法が採用され、一般的には生成したアルコールが共沸蒸留によって系外に留去される。
【0019】
上記生成する低分子アルコールを共沸蒸留によって反応系外に留去する方法としては、例えば、生成アルコールと共沸し得る溶媒を使用して、生成アルコールと溶媒等とを反応系外に留去する方法、生成アルコールと前記原料アルキル(メタ)アクリレートとを共沸混合物として反応系外に留去する方法などが挙げられるが、後者の方法がより好適である。
【0020】
本発明の方法におけるエステル交換反応の圧力は、特に限定されず、例えば、大気圧下で行うこともできるし、生成するアルコールを容易に反応系外へ除去するために減圧下で行うこともできる。
【0021】
本発明の方法においては、前記のようにジアルキルスズオキシドおよびジアルキルスズジカルボキシレートから選ばれる少なくとも1種の触媒の存在下に、炭素数が5以上のアルコールとアルキル基の炭素数が1〜4のアルキル(メタ)アクリレートとをエステル交換反応させて生成アルコールを留去せしめ、次いで得られた反応液を酸と接触させることが重要であるが、反応液と酸とを接触させる時期としては、特に限定されるものではなく、例えば、反応終了直後でもよいし、反応終了後幾つかの他の工程を経た後でもよい。
【0022】
上記酸としては、特に限定されず、例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、ヘキサン酸、ペンタン酸、2−エチルヘキサン酸、n−オクチル酸、ラウリル酸等の有機カルボン酸類;リン酸、リン酸メチル、リン酸ジメチル、リン酸エチル、リン酸ジエチル、リン酸2−エチルヘキシル、リン酸ジ(2−エチルヘキシル)等のリン酸及びそのエステル類;亜リン酸、亜リン酸メチル、亜リン酸ジメチル、亜リン酸エチル、亜リン酸ジエチル、亜リン酸2−エチルヘキシル、亜リン酸ジ(2−エチルヘキシル)等の亜リン酸及びそのエステル類;p−トルエンスルホン酸等のスルホン酸類等が挙げられる。これらのうち、触媒の失活性能の点で、有機カルボン酸、リン酸、リン酸モノエステルおよびリン酸ジエステルから選ばれた少なくとも1種であることが好ましく、リン酸、リン酸モノエステルおよびリン酸ジエステルから選ばれた少なくとも1種であることがより好ましい。これらの酸は、1種類のみを使用してもよいし、2種以上を使用してもよい。これらの中でもリン酸、リン酸モノエステル、リン酸ジエステル、またはこれらの2種以上の混合物が触媒を十分に失活できる観点からさらに好ましい。
また、本発明の方法における酸は、上記酸に限られず、例えば、同様な性能を有するカルボン酸、リン酸、スルホン酸等の官能基を有する酸性イオン交換樹脂、活性白土等の固体酸を使用することができ、取り扱い性などの観点から、前記酸性イオン交換樹脂が好ましく用いられる。
本発明の方法において、酸の使用量は、特に限定されないが、前記スズ系触媒1モルに対して、通常酸として0.1〜10モルの範囲であることが好ましく、0.2〜5モルの範囲であることがより好ましく、触媒の失活に全量使用され実質的に遊離の酸が生じない2モル程度であることがさらに好ましい。
【0023】
本発明の方法において、反応液と酸とを接触させる方法は特に限定されず、例えば、反応液に単に添加する方法、反応液を攪拌しながら酸を添加する方法、加熱下に反応液を攪拌しながら酸を添加する方法などが採用され、触媒と酸とが効率よく接触し反応する観点から、加熱下に反応液を攪拌しながら酸を添加する方法が好ましい。
また、イオン交換樹脂などの固体酸を用いる場合には、上記の方法以外の方法を採用することができ、例えば、イオン交換樹脂などを充填したカラム、ろ過器等に反応液を通過させて接触させる方法、反応液中にイオン交換樹脂などを添加して攪拌等により接触させた後、該イオン交換樹脂等をろ過などの簡便な方法により除去する方法などを用いることができる。これらの方法のうち前者の場合には、処理後処理液中に遊離の酸が混入することがないという利点がある。
また、本発明の方法における反応液を酸と接触させる際の温度は、特に制限されないが、通常室温(20℃)〜200℃程度の温度範囲が好ましく採用される。
【0024】
反応液と酸との接触後の処理液は、目的とする単量体以外に、酸と触媒との反応生成物と、場合により残存する酸、使用原料、生成アルコール等とを含有するが、酸と触媒との反応生成物等はろ過により、あるいは活性炭に吸着させることなどにより処理液から除去してもよいし、そのまま処理液中に残してもよい。本発明においては、工程を増加させないという観点からは後者の方がより好ましい。
そして、酸を接触させて得た処理液は、そのまま重合性単量体組成物として用いてもよいし、適宜減圧濃縮等の操作を経た後に重合性単量体組成物として用いてもよい。
【0025】
本発明の方法により得られる重合性単量体組成物は、単量体以外の成分、例えば、酸と触媒との反応生成物、使用原料等を含有しているが、該単量体組成物そのままでまたは該単量体組成物を用いて得られた重合物の形で、アクリル系樹脂、熱可塑性エラストマー、樹脂改質剤、粘着剤、紫外線・電子線または放射線硬化型のインキ、塗料、コーティング剤、接着剤等に使用される。
【0026】
【実施例】
以下、本発明に関して実施例を挙げて更に詳しく説明するが、本発明はかかる実施例により何等限定されるものではない。
なお、得られた重合性単量体組成物中の単量体の純度は次の方法により測定した。
(1)得られた重合性単量体組成物を同重量のイソプロピルアルコールで希釈した後、以下の条件にてガスクロマトグラフィーにかけた。
カラム:G−100(商品名:化学品検査協会製)
カラム温度:100℃から10℃/分の速度で300℃まで昇温
検出器:FID
(2)次いで、重合性単量体組成物中の単量体の純度(%)を、ガスクロマトグラムの面積値から、次式(A)または(B)により算出した。
【0027】
また、実施例7〜12、実施例19〜24、比較例3〜4および比較例7〜8におけるエチレングリコールジメタクリレート(以下、EGDMAと略記することがある)の生成量の測定は、次の方法により測定した。
(1)反応液をサンプリングし、希釈せずに以下の条件のガスクロマトグラフィーにかけた。
カラム:G−100(商品名:化学品検査協会製)
カラム温度:100℃で5分保持した後、10℃/分の速度で280℃まで昇温検出器:FID
(2)次いで、EGDMA生成量(%)を、ガスクロマトグラムの面積値から、次式(C)により算出した。
[EGDMAの面積値/(EGDMAの面積値+2−ヒドロキシエチルメタクリレートの面積値)]×100 (C)
【0028】
実施例1
1リットルガラス製3つ口フラスコにビグリュウー管およびその上部に還流冷却器を取り付け、1−オクタデシルアルコール250g、ハイドロキノンモノメチルエーテル200ppmおよび4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル100ppmを含むメチルメタクリレート(以下、MMAと略記することがある)312gを仕込んだ。次いでジブチルスズオキシド0.94gを添加して、空気を吹き込みながら110℃に加熱して攪拌し、反応により生成したメチルアルコールをMMAとの共沸物として大気圧下に蒸留し留去した。次に、得られた反応液を100g取り、これに2−エチルヘキサン酸をジブチルスズオキシドの2倍モル添加し、80℃にて2時間加熱攪拌した後、ロータリーエバポレーターにて2.7KPa(20Torr)、バス温度60℃の条件下1時間減圧濃縮して透明な重合性単量体組成物A(オクタデシルメタクリレート99.3%含有)を得た。
【0029】
実施例2
実施例1における反応液100gを取り、2−エチルヘキサン酸の代りにリン酸を酸として添加する以外は、実施例1と同様にして、透明な重合性単量体組成物B(オクタデシルメタクリレート99.3%含有)を得た。
【0030】
実施例3
実施例1における反応液100gを取り、2−エチルヘキサン酸の代りにイオン交換樹脂「オルガノ株式会社製アンバーリスト 15E」(スルホン酸官能基タイプ)3.0g(ジブチルスズオキシドの0.24倍モルに相当)を加え、1時間室温にて攪拌し、続いてろ過することによりイオン交換樹脂を除去した後、ロータリーエバポレーターにて2.7KPa(20Torr)、バス温度60℃の条件下1時間減圧濃縮して、透明な重合性単量体組成物C(オクタデシルメタクリレート99.3%含有)を得た。
【0031】
実施例4
実施例1における反応液100gを取り、2−エチルヘキサン酸の代りにリン酸エチルエステル(モノエステルとジエステルの混合物、モノエステル/ジエステル質量比=40/60)を酸として添加する以外は、実施例1と同様にして、透明な重合性単量体組成物D(オクタデシルメタクリレート99.3%含有)を得た。
【0032】
実施例5
ジブチルスズオキシド0.94gの代りにジブチルスズジラウレート2.38gを添加する以外は、実施例1と同様にして、透明な重合性単量体組成物E(オクタデシルメタクリレート99.2%含有)を得た。
【0033】
実施例6
実施例5における反応液100gを取り、2−エチルヘキサン酸の代りにn−オクチル酸を酸として添加する以外は実施例1と同様にして、透明な重合性単量体組成物F(オクタデシルメタクリレート99.2%含有)を得た。
【0034】
比較例1
実施例1における反応液100gを取り、酸を添加せず、反応液と酸とを接触させない他は実施例1と同様にして、透明な重合性単量体組成物G(オクタデシルメタクリレート99.3%含有)を得た。
【0035】
比較例2
実施例5の反応液100gを取り、酸を添加せず、反応液と酸とを接触させない他は実施例1と同様にして、透明な重合性単量体組成物H(オクタデシルメタクリレート99.2%含有)を得た。
【0036】
実施例7〜12
100mlナスフラスコに、実施例1〜6で得られた重合性単量体組成物A〜Fをそれぞれ10.0g取り、メチルメタクリレート10.0g、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(以下、HEMAと略記することがある)1.0gを混合し、90℃で3時間加熱攪拌した。3時間後、ガスクロマトグラフィーによりゲル化等の架橋反応の原因となるエチレングリコールジメタクリレート(エステル交換生成物)の生成量をそれぞれ評価した。得られた結果を表1に示す。
【0037】
比較例3〜4
上記実施例7において、重合性単量体組成物Aの代りに重合性単量体組成物GまたはHを用いた以外は、実施例7と同様にそれぞれ評価した。得られた結果を表1に示す。
【0038】
【表1】
【0039】
上記表1の結果から、ジブチルスズオキシドまたはジブチルスズジラウレートを触媒として用いて1−オクタデシルアルコールとメチルメタクリレートとのエステル交換終了後に、反応液を酸と接触させて得られた本発明の実施例1〜6の重合性単量体組成物は、比較例1〜2のものと比べて、ゲル化等の異常な架橋反応の問題となるエチレングリコールジメタクリレートの生成が少ない、つまり2−ヒドロキシエチルメタクリレート(水酸基含有メタクリレート)とのエステル交換反応が抑制されていることがわかる。特に、実施例2または実施例4におけるようにリン酸またはリン酸エステルで酸処理した場合には、触媒であるジブチルスズオキシドの活性が完全に消失していることがわかる。
【0040】
実施例13
1リットルガラス製3つ口フラスコにビグリュウー管およびその上部に還流冷却器を取り付け、1−ドデシルアルコール220g、ハイドロキノンモノメチルエーテルを200ppmおよび4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル100ppmを含むMMA355gを仕込んだ。次いでジブチルスズオキシド0.97gを添加して、空気を吹き込みながら110℃に加熱して攪拌し、反応により生成したメチルアルコールをMMAとの共沸物として大気圧下に蒸留し留去した。反応液を100g取り、酢酸をジブチルスズオキシドの2倍モル添加し、80℃にて2時間加熱攪拌した後、ロータリーエバポレーターにて2.7KPa(20Torr)、バス温60℃の条件下1時間減圧濃縮して透明な重合性単量体組成物I(ドデシルメタクリレート99.3%含有)を得た。
【0041】
実施例14
実施例13における反応液100gを取り、酢酸の代りにリン酸を酸として添加する以外は、実施例13と同様にして、透明な重合性単量体組成物J(ドデシルメタクリレート99.3%含有)を得た。
【0042】
実施例15
実施例13における反応液100gを取り、酢酸の代りにn−オクチル酸を酸として添加する以外は、実施例13と同様にして、透明な重合性単量体組成物K(ドデシルメタクリレート99.3%含有)を得た。
【0043】
実施例16
ジブチルスズオキシド0.97gの代りにジブチルスズジラウレート2.46gを使用する以外は、実施例13と同様にして、透明な重合性単量体組成物L(ドデシルメタクリレート99.1%含有)を得た。
【0044】
実施例17
実施例16における反応液100gを取り、酢酸の代りにリン酸エチルエステル(モノエステルとジエステルの混合物、モノエステル/ジエステル質量比=40/60)を酸として添加する以外は実施例16と同様にして、透明な重合性単量体組成物M(ドデシルメタクリレート99.1%含有)を得た。
【0045】
実施例18
実施例16における反応液100gを取り、酢酸の代りにイオン交換樹脂「オルガノ株式会社製アンバーリスト 15E」(スルホン酸官能基タイプ)3.0g(ジブチルスズジラウレートの0.24倍モル)を加え、1時間室温にて攪拌し、続いてろ過することによりイオン交換樹脂を除去した後、ロータリーエバポレーターにて2.7KPa(20Torr)、バス温60℃の条件下1時間減圧濃縮して、透明な重合性単量体組成物N(ドデシルメタクリレート99.1%含有)を得た。
【0046】
比較例5
実施例13の反応液100gを取り、酸を添加せず、反応液と酸とを接触させない他は実施例13と同様にして、透明な重合性単量体組成物O(ドデシルメタクリレート99.3%含有)を得た。
【0047】
比較例6
実施例16の反応液100gを取り、酸を添加せず、反応液と酸とを接触させない他は実施例16と同様にして、透明な重合性単量体組成物P(ドデシルメタクリレート99.1%含有)を得た。
【0048】
実施例19〜24
100mlナスフラスコに、実施例13〜18で得られた重合性単量体組成物I〜Nをそれぞれ10.0g取り、MMA10.0g、HEMA1.0gを混合し、90℃で3時間加熱した。3時間後、ガスクロマトグラフィーによりゲル化等の架橋反応の原因となるEGDMAの生成量をそれぞれ評価した。得られた結果を表2に示す。
【0049】
比較例7〜8
実施例19において、重合性単量体組成物Iの代りに重合性単量体組成物OまたはPを用いた以外は、実施例19と同様にそれぞれ評価した。得られた結果を表2に示す。
【0050】
【表2】
【0051】
上記表2の結果から、ジブチルスズオキシドおよびジブチルスズジラウレートを触媒として用いて1−ドデシルアルコールとメチルメタクリレートとのエステル交換終了後に、反応液を酸と接触させて得られた本発明の実施例13〜18の重合性単量体組成物は、実施例1〜6の場合と同様、比較例5〜6のものと比べて、2−ヒドロキシエチルメタクリレートとのエステル交換反応が抑制されていることがわかる。特に、実施例14または実施例17におけるようにリン酸またはリン酸エステルで酸処理した場合には、実施例2または実施例4の場合と同様に、触媒であるジブチルスズオキシドおよびジブチルスズジラウレートの活性が完全に消失しており、リン酸およびリン酸エステルが特に有効であることがわかる。
【0052】
【発明の効果】
本発明の方法によれば、煩雑な触媒除去等の工程を必要とせずに重合性単量体組成物の簡便な製造方法を提供することができ、しかも本発明の方法によって得られる重合性単量体組成物は、水酸基含有化合物と共重合させた場合にもエステル交換や架橋反応等の副反応を起こさないか起こりにくいものであり、重合性物質として好適に使用することができる。
Claims (3)
- ジアルキルスズオキシドおよびジアルキルスズジカルボキシレートから選ばれる少なくとも1種類の触媒の存在下に、炭素数が5以上のアルコールとアルキル基の炭素数が1〜4のアルキル(メタ)アクリレートとをエステル交換反応させて生成アルコールを留去せしめ、ついで得られた反応液を酸と接触させることを特徴とする重合性単量体組成物の製造方法。
- 酸が、有機カルボン酸、リン酸、リン酸モノエステルおよびリン酸ジエステルから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1記載の製造方法。
- 酸が、酸性イオン交換樹脂であることを特徴とする請求項1記載の製造方法。
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